中央環境審議会地球環境部会「国内制度小委員会」(第3回)議事録

日時

平成13年5月11日(金)15:02~18:12

場所

虎ノ門パストラル6F 藤の間

出席者

(会長)森嶌昭夫
(委員長)安原正
(委員)青木 保之
浅野 直人
大塚 直
猿田 勝美
塩田 澄夫
西岡 秀三
福川 伸次
村上 忠行
浅岡 美恵
天野 明弘
小林 悦夫
佐和 隆光
寺門 良二
波多野 敬雄
宮本 一
横山 裕道
(事務局)山田大臣官房審議官
小島大臣官房審議官
浜中地球環境局長
青山地球環境局総務課長
竹中地球温暖化対策課課長
石飛地球温暖化対策課調整官
世一地球温暖化対策課課長補佐

議題

(1)運輸部門における取組の現状評価と今後の対策の在り方について
(2)HFC等3ガス部門における取組の現状評価と今後の在り方について
(3)その他

配付資料

資料1-2運輸部門における地球温暖化対策推進大綱に基づく取組の進捗状況の評価について
資料1-3運輸部門における今後の主要な追加的施策の在り方について(叩き台)
資料1-3(参考資料)第3回目標達成シナリオ小委員会の運輸部門の検討で提出された主な意見
資料2-1HFC等3ガス部門における現行施策の評価と今後の削減ポテンシャル
資料2-2HFC等3ガス部門における地球温暖化対策推進大綱に基づく取組の進捗状況の評価について
資料2-3HFC等3ガス部門における今後の主要な追加的施策の在り方について(叩き台)
資料2-4(参考資料)第3回目標達成シナリオ小委員会のHFC等3ガス部門の検討で提出された主な意見
資料3-1諸外国における温暖化対策のための国内政制度の検討状況(運輸部門及びHFC等3ガス部門関連)
資料3-2米国における温暖化対策のための国内制度の検討状況
参考資料1第1回会合議事録
参考資料2気候変動に関する非公式閣僚会合及び米国への働きかけ等について

議 事

午後3時02分開会

○安原委員長 それでは、定刻を少々過ぎましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会「国内制度小委員会」第3回会合を開催いたしたいと思います。
 皆様、大変ご多忙のところご出席いただきましてありがとうございました。
 それでは、議事に入ります前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料1-1といたしまして、「運輸部門における現行施策の評価と今後の削減ポテンシャル」でございます。資料1-2といたしまして、「運輸部門における地球温暖化対策推進大綱に基づく取組の進捗状況の評価について」、資料1-3といたしまして、「運輸部門における今後の主要な追加的施策の在り方について」の叩き台をお示しさせていただいております。それから、資料1-3(参考資料)として「第3回目標達成シナリオ小委員会の運輸部門の検討で提出された主な意見」をつけております。
 資料2-1といたしまして、「HFC等3ガス部門における現行施策の評価と今後の削減ポテンシャル」、資料2-2といたしまして、「HFC等3ガス部門における地球温暖化対策推進大綱に基づく取組の進捗状況の評価について」、同じく資料2-3といたしまして、「HFC等3ガス部門における今後の主要な追加的施策の在り方について」(叩き
台)でございます。同じく参考資料をつけさせていただいております。
 資料3-1といたしまして、「諸外国における温暖化対策のための国内政制度の検討状況」、運輸部門及びHFC等3ガス部門に関連する資料でございます。資料3-2といた
しまして、「米国における温暖化対策のための国内制度の検討状況」をつけております。
 参考資料1といたしまして、本小委員会の第1回会合の議事録を委員の先生方に配布させていただいております。なお、環境省のホームページに同一の内容のものをアップしておりますので、そちらをごらんいただければと思います。参考資料2は、「気候変動に関する非公式閣僚会合及び米国への働きかけ等について」の資料でございます。
 それから、資料番号はついておりませんけれども、梶原委員さんから「自治体の率先実行計画の『第三者認証』に関する意見」という1枚紙の資料をいただいておりますので、配布させていただきました。
 なお、お手元に前回と同様次回以降の会合の出欠の確認表をお配りしておりますので、お手数でございますが、出欠を記入の上、お帰りの際に事務局までご提出いただければと思います。
 以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 不足している資料がありましたら、事務局までお申し出でいただきたいと思います。
 本日は、運輸部門とHFC等の3ガスに関する取組の現状評価と今後の対策の在り方につきましてご審議いただきたいと考えております。本日は午後6時までの審議を予定しております。3時間とちょっと長うございますが、途中で休憩を入れたいと思います。
 それでは、最初の議題でございます「運輸部門における取組の現行評価と今後の対策の在り方」につきまして、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。

○調整官 資料1-1に基づきましてご説明申し上げます。これは前々回の目標達成シナリオ小委員会での資料で、「運輸部門における現行施策の評価と今後の削減ポテンシャル」という表題でございます。
 まず排出量の現状と推移についてでございます。図1は旅客部門では90年以降年々伸びを示しており、温暖化対策推進大綱上は「2010年には17%の増にとどめる」という目標でしたが、98年度時点で既に21%強という伸びを示しております。特に旅客部門の伸びが90年比32%を示しておりまして、中でも自家用乗用車の占める割合が多くなっております。
 図2は貨物部門でありまして、90年比5.9%の増加で、この部門の総排出量のうち83.2%が自動車で占められているという状況でございます。
 2ページの図3は輸送機関別、燃料別の割合を示したものでございまして、各項目の占める面積がちょうどそれぞれの温室効果ガス発生量の割合になります。自家用乗用車、貨物自動車の割合が多く、それぞれの燃料であるガソリン、軽油が非常に大きな割合を占めています。
 図4、図5は各輸送機関別の二酸化炭素の排出原単位でございます。皆様ご存じのとおり、旅客部門では自動車、航空機が非常に大きく、鉄道は小さい。貨物部門では、鉄道、船舶が小さいのに対して自動車がやや大きく、航空機は非常に大きな原単位を示しています。
 3ページにまいりまして、他部門との関係でございます。図6にありますように、運輸部門はエネルギー転換部門から燃料又はエネルギーを供給されています。また、産業部門、民生部門から発生する需要に対応して、輸送が発生するという関係になるわけであります。また、下の方に(NOX)と書いておりますが、運輸部門の対策は都市部の大気汚染対策と共通するものもございまして、後に述べますけれども、大気汚染対策とタイアップした形での温暖化対策も考えていかなければならないという特徴があろうかと思います。
 4ページからは、90年からのトレンドの要因分析を簡単にご紹介したいと思います。まず旅客部門は自家用車や旅客航空の輸送量そのものが増加しています。ここにありますように、自家用乗用車、旅客航空がそれぞれ17.2%、45%という大きな伸びを示しております。特に地方では相対的に公共交通機関の衰退が進みまして、自家用乗用車へのシフトが進んでいるということでございます。
 5ページにまいりまして、世帯当たりの乗用車の保有台数が図9に示されておりますが、1世帯当たり1.07台という状況になっております。下の図10にありますように、1台当たりの走行距離を見ますと、経年的な推移として、軽乗用車の1台当たりの走行距離が非常に減少しているというのが特徴です。これについては後ほど解析の結果をご説明したいと思っております。
 6ページでございます。普通乗用車の増加による平均車体重量の増加ということで、乗用車の大型化が進んでいる一方で、軽自動車の普及も進んでいることが、図11からも見てとれるわけでございます。特に大型車の普及に関しましては、税制改正によって大型化を促進した点が挙げられると思います。軽自動車も年々増えてきております。先ほどの軽自動車1台当たりの走行距離が年々減っていることをあわせて考えますと、各家庭で2台目の車として軽自動車が保有される傾向があります。しかも、ショッピングを含めて身近なところへの移動手段としての利用が増えてきているのではないか。そういう自動車の利用形態が増えてきているということが推測されるわけでございます。
 7ページにまいりまして、自動車の単体対策で、トップランナー方式による基準の適用を受けまして、図12にありますように、点線で示しました新車の理論上の燃費は向上してきておりますけれども、ストックではさほど上昇傾向が現れてきておりませんで、今後、新車の導入か増えるに従いまして上昇することが期待されます。一方、実走行燃費につきましては、依然として都市部を中心とする渋滞等の道路状況の変化や、積載率が下がってきているといったようなことから、燃費は余り改善されていないという状況です。
 8ページでは、先ほど申し上げました省エネ法に基づく燃費基準が年々強化されている状況がおわかりいただけると思います。8ページの後半ですが、燃費の非常にいいハイブリッド乗用車の量産・普及が始まっているということは、自動車単体の改善ということでは非常に期待されております。また、燃料電池自動車の開発も活発化してきて、近い将来実用化が期待されるわけであります。
 9ページにまいりまして、貨物部門です。この中では、貨物自動車の割合が増えてきているということが特徴で、相対的に鉄道と海運の割合が減少してきています。
 10ページにまいりまして、もう1つの特徴といたしまして、物流の小口化・多頻度化が進展してきております。特にインターネットの活用による通信販売、注文販売が増えてまいりますと、この傾向はますます増えてくるのではないかと予想されます。一方で、「グリーン物流」と書いておりますけれども、共同輸・配送、モーダルシフトなどを積極的に活用するような企業の動きもあります。また、「求貨求車情報システム」ということで、情報ネットワークを用いて積載効率が向上するような取り組みも始められております。
 以上がこれまでの要因分析でございまして、11ページから将来予測になります。図14、図15に示したものは、シナリオ検討会で計画ケースと申し上げたもので、既に決定している政策・対策のうち、将来的に確実に実施されるものを絞り込んで予測をしたものでございます。その結果を見ますと、基準年を100にした場合の指数で、旅客部門では 141、 142、すなわち、41ないし42%の増加、貨物部門では5%の増加となっておりまして、依然として現行の対策ではかなり大きな伸びを示してしまうということがわかるわけです。
 12ページは、地球温暖化対策推進大綱に盛り込まれた個々の対策技術と、今回の検討会、さらにはシナリオ小委員会で検討した計画ケースでの対策技術の比較でございます。
 この計画ケースでは目標達成のために十分な削減量が見込めないということがわかりましたので、さらに削減するためのポテンシャルの推計をしたのが13ページ以降でございます。運輸部門では、推計の結果、我が国の基準年の排出量を100といたしますと、 1.5ないし 2.6%に相当するような削減ポテンシャルが見込まれることがわかったわけです。表6にありますように、排出原単位の削減に関しては、実走行燃費の改善や、購入車の小型化を進めるといったようなこと。それから、自動車走行需要の他への転換に関しては、公共交通機関の活用、モーダルシフトといったものを進めることによるポテンシャルも推計しております。さらに、自動車走行需要そのものの抑制をするためのテレワーク、テレビ会議、また貨物の輸送効率の改善、こういったものでそれぞれの削減ポテンシャルをはじいております。
 このポテンシャルを実現するためにどのぐらいのコストを要するかを14ページに示しております。コスト-ポテンシャルの評価でございます。ごらんいただきますと、公共交通機関の利用、購入車両の小型化、積載率の向上などポテンシャルとしてはかなり大きいわけであります。しかも、費用対効果のところをごらんいただきますと、△のついたマイナスの費用というのは、対策を行った結果として経済的なメリットが生じるということでありますので、こういうものはポテンシャルとしては可能性の高いものだということが言えるのではないかと思います。
 15ページには、対策技術導入にあたっての課題と必要な対策手法ということで、単体の対策やインフラの整備はこれまでにも検討したわけでありますけれども、さらに人々のライフスタイルや企業の業務のスタイルを見直すことによって改善が見込めるものが運輸部門にはかなりあるわけでございます。そういうものを後押しするような政策が非常に重要になってくるということを書かせていただいております。その中には税制のグリーン化も今後の検討対象になるでありましょうし、交通需要マネジメント(TDM)といった手法も全国で採用されつつありますので、これをいかに推し進めていくかということも検討課題でございます。
 16ページの表8は、ポテンシャルとして見込んだ対策技術につきまして、制度的・社会的な課題、必要な対策手法、副次的効果をまとめたものでございます。普及啓発に始まりまして、助成措置を含む経済的措置など、さまざまなものが含まれております。そういうことが対策手法として考えられるのではないかということを小委員会でご議論いただいたわけでございます。また、副次的効果のところには、NOX等の大気汚染対策と相通ずる項目が結構ございますので、それを明記させていただきました。
 少し飛びまして、21ページにまいりまして、最後の9のまとめの(1)は、先ほどの排出量の現状と施策の評価でございますので、割愛させていただきまして、(2)の今後の削減ポテンシャルと主要課題について簡単にご紹介したいと思います。
 まず最初の課題でございますけれども、運輸部門では自動車単体の燃費改善、低燃費車・低公害車の普及促進、車両の小型化といった単体に起因する対策を進めていくことが削減効果が大きいと見込まれておりますので、燃費基準の強化とか税制面でのグリーン化の一層の推進、低公害車への助成、こういったことを進めていく必要があるのではないかという指摘であります。
 それから、旅客部門で言いますと、自家用自動車の走行量を抑制し、さらに実走行燃費を向上させることが重要になりますので、ここにありますように、公共交通機関の利用、輸送効率の向上、中心部の走行抑制等の対策がメニューとして考えられます。こういったものを進めるためには、1つにはユーザーである事業者、消費者の意識によるところが大きいために、普及啓発も必要でありますけれども、さらにそういう意識の改革を進めるためのさまざまな取り組み、割引切符とか相乗り・カーシェアリング促進のための経済的措置、さらには乗り入れ規制・ロードプライシングといったこともあわせて考えていく必要があるのではないかという指摘でございます。
 22ページの一番上は貨物部門で、モーダルシフトや積載率の向上、共同輸・配送の促進が重要でありますので、そのための基盤であるインフラ整備も必要ですし、あわせて関係者の取組を促進するための経済的な手法も検討すべきではないかということでございます。それから、旅客・貨物両部門に共通する対策として、ITS、TDMといったシステム、マネジメントに関連する対策もありますし、地域での計画そのものに位置づけて地域全体としての交通のマネジメントをやっていくという手法も重要になってくるということでございます。最後は、繰り返しになりますけれども、都市部のNOX等の排出削減にも寄与するという点を考慮した対策の進め方が必要だという指摘でございます。
 少し飛びまして、25ページ以降はポテンシャルでありました個々の対策技術について、26ページ以降に技術シートを用意しております。こういう形でそれぞれの対策のコスト評価、費用対効果の試算したものを紹介しておりますので、後でお目通しいただければと思います。
 以上で、資料1-1の説明を終わらせていただきます。

○対策課長 引き続きまして、資料1-2「運輸部門における地球温暖化対策推進大綱に基づく取組の進捗状況の評価について」でございます。
 2ページ目には、先ほども出てまいりましたが、温暖化対策推進大綱の目標は、2010年に運輸部門で90年に比較して40%増加するという成り行きケースから、それを17%まで下げるということが目標でございます。下の円グラフは全体のエネルギー起源のCO2の削減量の中の運輸部門の割合でございますが、運輸部門は全体の削減量の中の19%ということになっております。
 3ページはその内訳でございます。全体で4,700万トン強削減するということになっておりまして、主な対策ごとの数字でございます。
 4ページてございますが、さらに対策ごとの割合を見ますと、省エネ法に基づく燃費改
善が28%、あるいは、物流の効率化で19%、交通渋滞の緩和が24%などとなっております。
 5ページは、先般の私どもの検討会での2010年の対策見込みでございます。2010年の棒グラフがございますが、計画ケース2というのは原子力を2010年までに7基運転開始という前提での数字、計画ケース1では13基の前提での数字ということで、これらが今講じられている対策をこのまま実施した場合の排出量でございます。
 それから、削減ポテンシャルが重要でございまして、低位水準、高位水準ということでありまして、大綱の目標が一番右でございます。ポテンシャルとしては高位水準の方は目標よりも低い排出量での見通しであるということでございます。
 6ページは先ほどの大綱の削減目標量を旅客・貨物対策ごとに整理したものでございます。
 7ページ以降はその進捗状況と効果でございます。大きな分類といたしまして、個々の排出主体からの排出総量の管理のための枠組みという取り組みの進捗状況を見てまいりますと、地球温暖化対策推進法に基づく国・地方公共団体の実行計画が義務化されているわけでありますけれども、進捗状況といたしまして、実行計画の策定状況の進捗はあまり芳しくない状況でございます。それから、国・地方公共団体自らの事務・事業に関する温室効果ガス排出削減の実効性が上がっていないということで、引き続き、とりわけ市町村における策定を推進する必要があろうと。
 それから、事業者の方も温暖化対策推進法に基づいて削減努力の義務がございますが、経団連自主行動計画温暖化対策編において、運輸関連事業者及び運輸サービス利用事業者の一部がこれに参加をしております。課題といたしましては、幅広い参加者の確保と十分な目標の設定、計画の履行の確保、透明性・信頼性を確保できるような措置が必要であろうということでございます。
 なお、下の方の実行計画における対策の視点ということでございますが、運輸部門においては個々の主体があるわけでありますけれども、主体と言いましても大きく3つに分かれるのではないかということでございまして、1つは自動車などを製造する主体、それから、直接排出する主体、自動車などを利用する主体、それから、輸送需要発生者ということで、いわば荷主さん主体ということになるわけであります。それぞれがそれぞれの中で対策関連のための計画などをつくっていくという仕組みや、その進行を促進するということを考えております。
 次に9ページでございますが、個々の主体による排出削減ということで、削減対策ごとの進捗状況でございます。まず省エネルギー基準等の強化というところでは、自動車の燃費基準の強化におきまして、99年4月に改正省エネ法が施行され、ことしから自動車関連諸税のグリーン化が実施されております。単体の一層の燃費向上が引き続き必要だということと、低燃費自動車の普及を促す措置が必要だということです。
 同じく鉄道等のエネルギー消費効率の向上につきましても、例えば省エネ型の車両を導入した鉄道事業者の法人税の特例措置が実施されております。引き続きまして、そのエネルギー効率を向上させ、自動車との競争力を高めるといった手段によってモーダルシフト等に寄与することが必要だろうということです。
 次に、クリーンエネルギー自動車・低公害車の導入・普及の推進ということで、これに対する措置といたしましては、各種税の減免措置といったもの、あるいは、低利融資、あるいは、協議会における低公害トラックの導入促進、あるいは、燃料供給施設等の設置といった取組がされます。引き続き、公共機関の率先導入などが必要、あるいは、優遇措置が必要。あるいは、大規模ユーザーにおける一定割合導入の義務付けといったものも有効ではないだろうかということです。
 10ページにまいりまして、新たな省エネ型技術の開発・普及ということで、燃料電池等新しい構造による自動車の研究開発が進められております。まだ開発段階でありまして、具体的な削減には結びついておりませんけれども、こういうことを推進していくことが必要と。
 変わりまして、物流の効率化でございますが、トレーラーあるいは車両の大型化のための基盤整備ということで、国際コンテナ用トレーラー取得に対しての助成等が進められております。これも引き続き大型化を推進することが必要だろうと。それから、トラックの積載効率でありますが、自家用から営業用トラックへの転換のための税制度の優遇措置などが講じられております。共同輸配送等を推進して、さらに積載効率を向上させることが必要だろうということとともに、事業者の方において輸送効率に関する計画を策定するという方向も有効ではなかろうかと。
 次に、広い意味のライフスタイルの見直しということであります。まず自転車の促進でありますが、全国19のモデル都市で進められております。さらに、自転車利用の魅力を高めるようなインフラ整備等も必要になるということでございます。
 それから、(7)の政府の率先実行のところですが、公用車についてのクリーンエネルギー自動車・低公害車の購入ということで、先般、小泉総理のご指示により2002年度から3年間を目途に原則として政府一般公用車すべてについてクリーンエネルギー自動車・低公害車に切り替えるという新しい方針が出されております。
 このようなことが、個々の主体による排出削減の取組状況の概要でございますが、12ページの省エネルギー基準の強化ということで、改正省エネ法に基づく燃費基準がこのように決まっているわけでございます。実際に99年度の新車の販売台数はおよそ400万台でございますが、そのうち既に 135万台が2010年を目標年度とする基準を達成しているわけでございます。
 それから、13ページの図6と14ページの図7をごらんいただきたいと思います。自動車関係税制の変更によりまして、普通車の割合が増えてきたということでございまして、89年4月に物品税が廃止されて消費税になったことと、自動車税の税率が下がったということで、13ページの下にありますように税率が下がったわけでありますが、その結果、14ページにございますように、乗用車の保有台数に占める普通車と小型車の構成比がこのように普通車の割合が高まってきたということでございます。
 ちょっと飛びますが、18ページでございます。貨物自動車の積載効率を47%から50%に上げるということでございますが、90年からの推移を見てみますと、ほとんどの車両の積載効率が若干悪化傾向にあるということでございます。これは商品配送の小口化等によるものであろうと見られます。
 次に、21ページにまいりまして、大きな分類であります都市・地域構造対策でございます。ここの進捗状況を見ていただきたいと思います。まず物流の効率化でありますが、モーダルシフト、内航貨物船については、内貿ターミナル拠点の整備が進められております。モーダルシフト化率の数字が後で出てまいりますが、一層の推進が必要になろうということであります。
 それから、公共交通機関の利用促進ということで、鉄道については新線の整備とか、バリアフリーを義務化することにより魅力を高めるといった措置がとられておりますが、鉄道の輸送人キロはほぼ横ばいであります。それから、鉄道の輸送分担率は減少傾向にあるということ。それから、路面電車や新交通システムについては、路面電車は営業キロ、乗車人員について減少傾向にとなっておりますが、新交通システムは増加傾向にあります。それから、バスでは超低床式ノンステップバスの導入は少しずつ進んでおります。これも公共輸送機関の分担率が上がるように一層の魅力の向上が必要であろうということでございます。
 22ページにまいりまして、交通渋滞の緩和。交通需要マネジメント施策が着手されておりますが、こういったことを継続的に実施していくことが必要であろうと。高度道路交通システム(ITS)についても進められております。それから、ITの関係による渋滞の緩和対策が今後のポイントであろうかと思われます。
 25ページでございますが、モーダルシフト化率を見ております。モーダルシフトといいますのは、輸送距離500キロ以上の雑貨輸送量のうち、海運または鉄道による輸送量の割合ということで、トン数ベースであらわされておりますが、図11にございますように、85年からモーダルシフトは進んでいるという状況でございます。ただし、図12はトン数ベースで見ておりますが、貨物全体の分担率は、自動車分担率が少しずつ上がっております。したがって、中・短距離の貨物輸送需要の増加による自動車の分担率の上昇を上回るだけの長距離貨物輸送のモーダルシフトの推進が必要であろうということでございます。
 27ページにまいりまして、路面電車、新交通システムですが、図13の左側の(a)が入力ミスでグラフが上下しておりますので、今お配りしたものと差し替えていただきたいと思います。路面電車については営業キロが少しずつ下がっておりますが、モノレール・新交通システムについては上がっております。
 (b)の乗車人数ですが、路面電車は営業キロに比べて減少傾向があり、モノレール・新交通システムは増加傾向にありまして、これらについて今後とも整備する必要があろうということと、自動車の分担率が高い地方の中核都
市などにおいてこれらを整備して推進することが効果的であろうということでございます。
 それから、28ページにまいりまして、図14の乗合バスの運行キロと乗車人数の推移ですが、運行キロはほぼ横ばい、輸送人員は減少傾向ということであります。したがって、ノンステップバス等バス利用のバリアフリー化は進展していますが、輸送人員は減少傾向になるということで、一層の魅力を高めることが必要であろうということでございます。
 この評価のまとめが31ページからになりますが、まず、個々の排出主体からの排出総量の管理のための枠組みにつきましては、枠組み自身が十分とは言えず、特に法律に基づく実行計画の策定については市町村における策定をさらに進める必要があろう。事業者については、業界ごとに自主行動計画が策定されておりますが、運輸部門の観点からみますと、事業者が直接排出者及び輸送需要発生者として、運輸部門からの温室効果ガスの排出に関係しておりますけれども、そこまで視野に入れた計画は余り多うございません。したがって、自動車の規模あるいは専門技術などに応じて、策定の義務付け、第三者認証といった取り組みの強化が必要と考えられる、なお、計画の策定においては温室効果ガスの排出削減ための対策を可能な限り取り込む必要があるということでございます。
 Bの個々の主体による排出削減でございますが、新車の単体燃費は向上しているも関わらず、実行燃費はほぼ横ばいとなっているので、さらなる単体燃費の向上と保有車両の小型化を図るためにいろんな措置も必要になってくるのではないかということでございます。貨物自動車におきましては、積載効率は先ほど言いましたように悪化傾向にあります。したがって、これを高めるためのさまざまな対策が必要である。ライフスタイルとなっていますが、エコドライブについても、より具体的な対策が必要である。例えばAT車のオートマチック化や速度抑制装置の導入等が有効ではなかろうかということです。AT車のオートマチック化ではなくて、自動的なアイドリングストップをする。
 最後のページになりますが、都市・地域構造対策の中では、鉄道やバス等の交通機関の分担率が悪化傾向にある、輸送人員が増えていないということで、一層の魅力を高める、とりわけ近距離交通に関する分担率を高める必要があろう。その場合には、都市構造に着目する必要があるだろうということでございます。それから、大都市と地方都市では車の利用形態に差があるので、そういった実態を把握することが必要である。例えば自動車による交通需要を大きく増大させる郊外の新規開発よりも、地方都市の中心部における再開発を重視してやるということも、自動車に依存しない都市づくりということにもつながると思っております。
 以上、進捗状況の評価でございました。
 次に、資料1-3でございますが、次に資料1-3(参考資料)がついております。これは第3回のシナリオ小委員会における運輸部門の検討の際に出された主な意見・論点でございますが、まずこれからご紹介させていただきます。
 自動車単体からの二酸化炭素排出量削減についてですが、ガソリン車より二酸化炭素排出量が少なく、ディーゼル車ほど大気汚染物質を排出しない天然ガスの自動車、あるいは、二酸化炭素ニュートラルなバイオ燃料等の自然エネルギーの活用を進めるべきではない
かというご指摘がございました。ただし、食料事情等他の関係との比較が必要であろうと。
 2番目は、大都市と地方の特性に応じた対策を推進する必要があるのではないかということです。自家用乗用車の走行距離の増加は、通勤における利用、地方都市の郊外への大型ショッピングセンターの進出などに伴って、地方における乗用車の利用が増加したことが一因と考えられ、それに伴って公共輸送機関の衰退を招いていると考えられるということで、地方と大都市では状況が違い、その実態を把握する必要がある。特に地方都市においては、郊外の開発計画よりも、中心部における再開発を重視する。例えば開発計画申請時に、出入りする交通について事前予測を行って、環境・安全・円滑な走行に及ぼす影響をチェックして適切な対応を求める交通アセスメントを強化する必要があるのではないか。もう1つは、すぐ下に出てまいりますけれども、実行計画、ここでは「グリーン交通計画」と言われていましたが、グリーン交通計画の策定を求めて、自動車交通の抑制への取り組みを進めるべきではないだろうか。
 3番は今の話でございます。地方公共団体あるいは一定規模以上の事業者に対しては、当該事業活動に起因する二酸化炭素の排出抑制を図るために、従業員の車の利用、あるいは、製品や原材料の配送について、公共交通機関利用率、積載率等といった指標に基づく定量的な目標を定めた実行計画の策定を求め、個々の主体からの総排出量の管理に着目した対策の推進を図るべきではないかというご指摘でございます。
 これに関しましては、この資料の最後に(参考資料)として、シナリオ小委員会の太田先生から「組織的CO2削減車利用抑制啓発事業:グリーン交通計画」ということで、諸外国の事例を幾つかご紹介の上、このような仕組みをつくっていったらどうかというご提言がございました。
 1ページに戻りまして、4の各種政策手法ということでございます。まず揮発油税や軽油引取税はすべて道路整備に活用されてきましたけれども、道路の整備は、自動車の利便性を高めるとともに、結果としてこれにより自動車中心の社会作りを助長してきたと言えるかと思います。また、税制の改正により大型車が増加という経緯がある。今後は既存税制の欠陥を洗い出して、税の使い道として公共交通機関や環境対策に活用することが重要ではないだろうか。それから、税制の変更によって自動車使用に関わる実質的費用が減少すると、誘発交通を助長するおそれがあるという点に注意する必要がある。
 2つ目に、運輸部門は費用対効果が良いにも関わらず、先ほどコスト評価がございましたが、進捗状況がよくない温暖化対策が多く、他の部門と比較して経済的インセンティブが働きにくいと言える。このため経済的措置の活用と併せて、例えば代替手段として利便性の高い魅力のある公共交通機関の整備を図るなど、他の施策との組み合わせが必要であろう。
 3つ目でございますが、自動車の利用形態は、物流、業務、私用によって異なるため、運輸部門だけをとらえるのではなく、産業、民生業務、民生家庭といった部門と連携して削減する方策を検討する必要があろうということ。
 それから、自動車の燃費規制の効果については定量的な評価が容易である一方、自動車の利用に関わる諸対策の効果については定量的な評価のためのデータやモデルのシミュレーション等の手法が未整備であります。したがって、規制等の効果を推定するためにもこういった面についても早急な対応が必要であろうというようなご指摘をいただいております。
 それから、資料1-3でございますが、これまでの進捗状況の評価、あるいは、先ほどのシナリオ小委員会でのご意見・論点も踏まえた上で、運輸部門における今後の主要な追加的施策の在り方の叩き台を事務局の方で用意させていただきました。ここでは、サブタイトル的にございますように、大気汚染対策との一体的な取組の推進という基本的な考え方が必要ではないかということを言っております。大きく3つの分類といいますか、ポイントによって今後の追加的施策の在り方について述べております。
 1つは、計画的手法による自己管理の推進ということで、グリーン交通計画といったようなものに相当するかと思いますが、これをしっかりやっていこうと。評価のところでございましたように、国・地方公共団体には公用車なら公用車の運行も含めた実行計画を策定することが制度上義務付けられているわけでありますが、さらにこういった分野も視野に入れてやっていくと。一方で事業者の実行計画も同じように、下の枠にございますのはイメージでありますけれども、例えば製造事業者も製品の運行、あるいは、従業員の通勤といったものも含めた実行計画を策定していく。さらに第三者認証の場として実行性を高めていくといったものがあるのではないかということです。
 それから、Bの自動車単体からの温室効果ガスの削減対策。これは大きく2つに分かれまして、クリーンエネルギー自動車・低公害車の大量普及のための政策パッケージということで、1つは低公害車への全面転換といったことによって需要を喚起していく。それから、燃料等供給設備の設置の推進。低公害車に係る専用レーン、専用駐車場、あるいは、低公害車の有料道路の料金とか駐車場の料金の割引制度といったものも有効ではないか。それから、販売者に対して一定割合の低公害車の販売を義務付けるということも検討されるべきではないか。同様に大型ユーザーへのフリート規制も有効ではないか。現に一部進んでいますけれども、低公害車のレンタルサービス、共同利用への助成。それから、燃料電池の自動車、あるいは、水素自動車といったものも今後実用化が予定されておりますが、その段階で上記の措置を順次適用していくと。
 2つ目に、燃費目標の強化等というところで燃費の強化、先ほどありましたアイドリングストップ機能付きのAT車の製造を義務付ける。あるいは、大型貨物自動車へのスピードリミッターの義務付け。あるいは、小型車回帰といいますか、小型車のために自動車関連税制を見直す。あるいは、グリーン化の強化。こういったようなことが単体からの排出を削減する対策の手法ではないだろうか。
 3つ目に、社会システムの変革ということです。近距離交通等に係る自動車依存型社会からの脱却。例えば諸外国で既にやられているような鉄道・バスを対象とした共通運賃制度の導入。公共交通(バス、路面電車等)の整備・導入促進。それから、モデル的に一部はやっておりますが、鉄道等への自転車の持ち込み推進。それから、自転車専用道路の拡大・駐輪場の整備。レンタルサイクル等の共同利用制度。それから、特に地方の中核都市を中心とした自動車に依存しない中心市街地の再生。
 最後に、自動車交通・物流のグリーン化ということで、先ほど述べましたようが、交通環境アセスメントの評価、パークアンドライド施設の整備、それから、特に大都市の渋滞緩和のための立体交差化の推進、あるいは、右折帯の設置、それから、踏切一旦停止の義務を廃止するということも考えられると。それから、鉄道貨物輸送の促進のための基盤整備。
 こういった叩き台を用意させていただきました。
 2ページ、3ページは、運輸部門における対策と効果というのを対策効果別に分類・整理してみると2ページのようになると。それを、さっき大きく2つの主体が出てまいりましたが、それをもうちょっとブレークダウンして、主体別に見たものが3ページでございます。
 まず、2ページの右から2列目のところは、交通関係からの二酸化炭素を削減するための対策手法でありますが、この対策手法を講じていくと、左の方へ行って、自動車輸送量の減少、あるいは、エネルギー原単位の改善に寄与するわけであります。ところが、一番右の方に増加要因がありまして、自動車輸送の増加が一方である。それら増加要因に負けないように対策を推進することによって、温室効果ガスの排出量が削減されるという、対策と効果の関係が整理されております。
 3ページはそれの主体別になっておりますが、左から3列目のところが大きな自らの主体であります。それをさらに転換いたしますと、運輸部門でして、それによって実排出、あるいは、横断的対策の実施、需要の発生対策ということで排出対策の主体別の整理ができるということでございます。
 4ページ、5ページは、1ページ目に書かれたものを見やすく整理したものでございます。
 以上、資料の説明を終わります。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 資料の説明が長く続いたわけでございますが、資料1-1あるいは1-2につきましてのご質問、あるいは、資料1-3につきましては考えられる対策が整理されておりますが、これにつきましてのご意見等、何でも結構でございますけれども、ご発言がありましたら、よろしくお願いします。
 まず天野委員、どうそ。

○天野委員 非常にたくさんあるんですけれども、よろしいですか。

○安原委員長 ええ、どうぞ。

○天野委員 それでは1-1から順にページの進行に関連して、意見と、質問が出るかもしれませんが、よろしくお願いします。まず8ページ、クリーンエネルギー自動車が普及してきて活発化してきているということですが、自動車の台数に対する割合が本当に上がっているのかどうかということをお伺いしたいと思います。
 それから、10ページ、ITと環境に与える負荷についてプラス・マイナス両面が考えられるということが書いてありますけれども、ここの意図がどういうことかよく理解できないんですね。外国などではこういう場合には実証データを調べて、どちらが大きいとか小さいとかいう議論がされるんですけれども、それがないと、政策に対する配慮が何もできないわけです。ここはどういう意図でこういうことをお書きになったのかよくわからない。調査をする必要があるなら、調査をすべきだと書かれればよいのではないかと思います。
 それから、13ページです。削減ポテンシャルという言葉が私にはよく理解できないんですけれども。ポテンシャルというと、普通は最大限、これ以上削減できないというふうな印象を受けますがここでの前提は、社会的なシステムとか需要とか、そっちの方は考えないで、技術面で当面考えられる措置を講じればこれだけ減るということだと思うのですね。ポテンシャルという言い方がいいのかですね。需要面での対策の講じ方によってはこれ以上もっと削減できるというのであれば、別の言葉を使った方がいいんではないかと思います。
 特に、後でも申し上げますけれども、経済的手法がここではほとんど上がってこないんですね。そういうものを取り入れることを考えないで、これを本当のポテンシャルといいきってしまってよいのか。私はもっと大きなポテンシャルがあるのではないかと考えておりますので、表現を改めていただきたいと思います。
 14ページは、費用対効果がマイナスとなることが多いんですね。先ほどのご説明では、これは経済的にメリットがあるということですが、ちょっと理解できません。左の方には個々の削減ポテンシャルが出ておりますが、その削減に1トン当たり何円かかるというのをかけると、それが費用ですが、ここではその費用から便益を引いたものがマイナスになると理解していいということですね。そうすると、便益をどういうふうに評価してこの数字を出したのか、それを教えていただきたい。
 それから、16ページ、必要な対策手法というのが右から2つ目に挙がっておりますけれども、例えばロードプライシングが左の方に挙がっているんですが、必要な対策手法には入ってこないんですね。それ以外の経済的手法が全然出てこないということで、対策技術導入にあたっての必要な対策手法になぜ経済的手法が一切かかわりがないのか、私はよく理解できません。検討されるおつもりがないのであれば、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
 それから、21ページ、(2)の最初の○で、自動車単体に対する政策を実施する必要があると断言しておられるんですが、もちろん単体は大事だと思いますけれども、輸送量を下げるということがもっと大事だと思うんですね。先ほどの説明では、ここでは単体の改善等の措置に限るんだというふうにおっしゃられたので、それも私は理解ができない。どうして総量を減らすような措置が不必要なのか。
 それから、その下の○でいろんなことが書いてあるんですけれども、これは従来から中央環境審議会でずっと言われてきたことがもう一遍繰り返されている。ということは、今までそういうことを何遍も言ってきて、その政策がとられてきたのかとられなかったのかわかりませんけれども、効果が出ていないからここで繰り返さざるを得ないわけです。ここでもう一度同じ事を書いても恐らく同じことが繰り返されるのではないかと思いますので、こういうことをおっしゃるのであれば、具体的にどういう提言をするのかということをきちっと書いていただかないといけないのではないでしょうか。
 22ページは、2つ目の○のところで「地域の総合計画とか交通計画に位置づけて推進する」と、私もそう思いますけれども、これは一体だれがするのか。国がやるのか、地域の計画であれば、当然地方自治体、市町村が関与するわけですね。そちらに「おやりください」とおっしゃっておられるのか、その辺もあいまいではないかと思います。
 以上が1-1です。

○安原委員長 たくさんありますので、とりあえず資料1-1について事務局から回答していただくということにしたいと思います。

○調整官 では、順を追ってできる範囲でお答えしたいと思います。
 まず8ページの表ですが、クリーンエネルギー自動車の普及台数の全体割合について、今、すべての保有台数の数字を持っておりませんけれども、クリーンエネルギー自動車だけ見ましても、96年に4,300台であったものが99年には4万 5,400台ということで、絶対数としてはまだ多くはないわけであります。しかし、割合としてはこの4年間で10倍ぐらいになっていることを見ると、率としては余り多くはありませんけれども、全体に占める割合は確実に増えてきているというふうに理解しております。

○天野委員 何パーセントぐらいですか。

○調整官 6ページに保有台数の図がございまして、乗用車だけに限ったものでありますけれども、総保有台数が4,800万台ぐらいだと思いますので、そのうちの4万5,000台でありますので、 0.1%程度だと思います。
続きまして、2番目のIT関係の、10ページに関連することでございます。ITが運輸部門でどういうメリットがあるか、あるいは、デメリットがあるのかということについては、シナリオ小委員会でも、またその前の検討会でも大きな議論になりました。そういう定性的な指摘はできるのですが、具体的にどのぐらいの定量的な効果なり、マイナスのデメリットを持っているかについては、まだ十分な研究や調査がなされているとは認識されていません。そういった研究もアメリカを始めとする諸外国で少しずつなされつつありますので、そういう情報を収集しながら、ここはどういうふうに評価するかというのは今後引き続き考えていくべき重要な柱であると理解しております。今後とも情報収集を含めた調査を引き続きやっていきたいと思っております。
 それから、13ページのポテンシャルにつきましては、今までも高位、低位水準という表現は非常にわかりにくいとご指摘をいただいております。また、今のポテンシャルの用語が果たして適切かどうかというご指摘もございました。用語の使い方につきましては、検討会でもいろいろと議論した上で、とりあえずこういう、あいまいさは残るけれども、2010年までという限られた期間で、どのぐらいそれぞれの技術の普及がなされるかということについて幅で示して、それを「削減ポテンシャル」というふうに呼ぼうということで定義づけをしたわけです。用語が適切かどうかにつきましては、引き続き我々としても改善の余地があれば考えていきたと思いますけれども、一応、検討会ではそういう定義をして使ったということをご理解いただきたいと思います。
 それから、コスト評価ですが、14ページで△のついたものが結構あるということでございます。これも時間の関係でご紹介しなかったのですが、26ページ以降に個々の技術シートが示されております。この中でわかりやすいものでご説明をいたします。31ページをごらんいただきたいと思います。現在、自動車を利用しているものを一定程度、路面電車を敷設して、それに切り替えるということを想定した計算でございます。
 コスト評価という欄が中ほどより少し下の方にありますけれども、路面電車を利用する場合に、当然、路面電車の線路の敷設費その他多くの資金を要するわけでありますし、1年当たりの維持管理費もかかってくるわけであります。耐用年数を13年としてみると、年間の費用が505億円ということになります。一方、路面電車がなくて、現状すべて乗用車で交通が賄われていると考えますと、そこで要するガソリン代、1リットル100円と仮定しまして、 3,564億円かかる。このAとBの比較をいたしまして、A引くBで計算すると、追加費用としてはマイナスになる。これをt-CO2当たり、またt-C当たりで計算すると、下のマイナス3万9,700円とかマイナス14万 5,600円ということにというのが、先ほどの14ページの費用対効果の計算の仕方でございます。
 それから、16ページの対策手法の中で、必要な対策手法を取りまとめているわけでありますけれども、ロードプライシングを除いて経済的手法が載ってないではないかというご指摘でございます。前回も委員からご指摘いただいたわけでございまして、その点を全く排除しているということではございませんで、経済的な手法は非常に重要であるということは、「まとめ」のところでも触れさせていただいておりますけれども、全体にかかることでありますので、ここでは個々の対策技術に特徴的な対策手法を掲載したということで、その点では必ずしもすべての対策手法を掲載していないという面での不十分な点は確かにあろうと思いますけれども、経済的手法につきましては、ロードプライシングのような特定のものを除けば、広い範囲の対策技術に網羅的にかけるべき政策手法として非常に重要なものと認識し、検討の対象に加えるべきというふうに考えております。
 それから、単体の対策、これは「まとめ」のところでのご指摘でございます。21ページでございますけれども、単体の対策が非常に重要であるということであれば、総量を抑制するということはさらに大事ではないかということでございます。もちろん我々も総量を抑制することは不必要と考えているわけではございませんで、ここでは対策の順位づけを考慮して、単体対策にあわせてそれ以外の旅客部門から最後の項目まで含めて総量を抑制する。
 その中身には、自動車の走行はやむを得ないけれども、走行量を抑制する対策。それから、自動車の走行を他の交通機関に切り替えていく。それはモーダルシフトもありますし、公共交通機関もありますし、自転車や歩行に置き替えていくことも重要だということで、それは旅客部門や貨物部門の中でも掲載したつもりでございます。総量の抑制が明記されていないのは、そのとおりですが、我々としても全く必要ではないと考えているわけではないということをご説明申し上げたいと思います。
 それから、これまでもさまざまな対策について、中央環境審議会で議論してきて、効果が出てきていない。繰り返し書くだけでは不十分なので、どうやって実現させていくかを書くべきではないかというご指摘かと思います。シナリオ小委員会では現状の対策のポテンシャルを計算し、コストをあわせて算出するところまででございますけれども、これからは資料1-2以降の進捗状況の評価、そして、対策を具体的に実効あらしめるためにはどういう施策が必要かというのは、今回もそうですが、今後の審議に資するような形の資料を用意させていただき、その中で私どもとしての考え方をお示ししていきたいと思っております。
 最後に、地域の総合計画や交通計画に位置づける、これはだれがするのかというご質問です。確かに22ページにはだれがというところまでは書いておりません。国がつくるということも選択肢としてはありますし、また地方公共団体がつくるということもあり得るわけであります。さらには、先ほどのグリーン交通計画のように、民間も含めた地域の開発主体の方々が、地域ではないにしても、その事業について交通計画を立てるということもあり得るわけでありますので、ここでは少しあいまいになっておりますけれども、資料1-2以降でお示しした中でそれぞれの主体が計画的にやるということを念頭に置いて、これから議論を具体的に進めていただければと思っております。
 とりあえず以上で今までのご質問に対する回答とさせていただきます。

○安原委員長 それでは、時間の制約もありますので、できるだけ簡潔にご発言願いたいと思います。資料1-2のご質問もさることながら、資料1-3の対策についての議論にできるだけ時間を取って展開していただければと思います。
 それでは、どうぞ。

○天野委員 1つだけ、今のお答えで気になりますのは、例えば路面電車と自動車を取り代えることで費用が減るという計算をしておられるのですが、これを実際にやるとしますと、路面電車をつくる費用がかかる一方で自動車の利用は減りませんのでこんなことにならないんですね。つまり、実行可能な政策の評価にはなっていないと思いますので、こういう計算で自動車を路面電車に代えれば環境が改善されて経済的にもプラスが出ると結論するのはミスリーディングではないかと思うんですね。
 つまり、交通需要をすべて路面電車に強制的に、中央集権的に置き替えることができたらこういう計算はできますけれども、これは現実の政策手法の評価とはいえません。また、費用対効果の分析、あるいは費用便益分析というのは、実行可能な政策について便益と費用を比較するという方法ですが、ここでは便益の計算はまったくない。私はこれを見てちょっと驚いています。
 資料1-2の方ですが、13ページ、14ページで、自動車税制が変わったことで、いかに自動車の保有形態が変わったかということがあります。これは経済的手法がいかに交通需要に大きな影響を与えるかということを非常にはっきり示している例だと思うんですね。税制の変更があったことによって各種の排気ガス、温室効果とか大気汚染がどのぐらい増えたのかという試算をやろうと思えばできるんです。そういう計算をして、こういう税制特定の持っている環境効果がどんなものかということを環境省としては発言すべきだと思います。つまり、税制というのはいろんな要因が絡まって決められることですけれども、これだけはっきりとマイナスの環境効果が出ているものについて、環境省が何も発言しないというのは大変遺憾だと私は思います。これは今後対策を考えるときにいかに経済的側面をきちっと考えて政策を立案する必要があるかということを如実に示している例ではないかと思います。
 それから、28ページですが、これも先ほどの交通需要をどういうふうにつくり変えるかという話なんですね。評価のところで、「今後は、輸送需要を増加させるよう、」と書いてあるんですが、これは増加させるということではなくて、自動車に乗っている者を公共交通の方へシフトさせるということではないかと思うんですね。それはそれとしまして、ここに書いてあるようなことをして、果たして効果があるのでしょうかね。バリアフリー化をしたり、利便性とか快適性を向上させて、果たして公共交通機関に対する利用が増えるかは非常に疑問です。むしろどんどん減るのではないかと思います。ですから、公共交通機関へシフトさせるというのが目的であれば、何パーセントぐらいの需要を何年までにシフトさせる、そのためにはどういう措置をとる必要があるのかということを交通需要の動向もきちっと把握したうえで計算して、政策案として出すべきではないかと思います。
 次に、資料1-3で2点コメントをさせていただきます。1-3の資料では、一番下のところに経済的措置というのが総まとめにして書かれており、これでは経済的手法で一体何をするのかよくわからない形になっております。上の方はほとんどが供給サイドの政策だと思うんですね。交通対策を供給する側のさまざまな政策が挙げられている。それに対して交通サービスをグリーン化するのに需要の側からどういうふうにマネジメントするかという政策がこれに対応して並ぶはずなんですね。例えば、自動車の台数に対するトータ
ルの需要が今後どういうふうに変わるのか、それに対してどういう経済的な手法が使えるのか。
 あるいは、車種の間のシフト、先ほどの自動車税制の改正などで車種の間のシフトを通じて需要形態をどういうふうに変えるか。さらに、走行距離がどんどん伸びている。先ほどの例では軽乗用車の方が減っていますけれども、そういうふうな要因をうまく使えば環境負荷を減らすような形で走行距離の需要を満たすことができないのか。つまり、軽乗用車の利用をもっと活用するような経済的な誘因を与えれば動くはずですね。それから、トータルの交通需要というのは、例えばガソリン、エネルギーに対する値段によって影響されるわけですから、そういうものをどう変えるか。それから、先ほど言いました公共交通機関とか自動車とか船舶、そういうもののインフラ管理をどうするか。
 そういう手段がすべて経済的な手段としてこの表の右側にずっと並べられるはずなんですね。一まとめに一括して共通の経済的手法というのではなくて、経済的手法というのはそれぞれの目的に対応したさまざまな手段が考えられるはずなんです。その辺でこの表のつくり方が私は大変不満でして、交通の需要と供給に対する政策のあり方についてもっと勉強していただきたいというふうに思います。
 最後に、資料1-3(参考資料)の2ページ目ですが、1つ目のポツのところで、「他の部門と比べて経済的インセンティブが働きにくいと言える」と書いてある。私は前回か前々回に参考資料を出せさせていただいていますが、その中で旅客輸送に対して経済的インセンティブは働きにくいという実証結果を得ておりますけれども、貨物部門はそうではないんですね。ほかのエネルギー需要に比肩するぐらい経済的インセンティブが利いております。ですから、こういうふうに「経済的インセンティブが働かない」と言い切ってしまって、だから経済的手法をとらないということになりますと、どういう根拠からこのような結論を出されたというのかを教えていただきたい。この辺は事務局の方で数量的な分析をきちっと行って確認をとってして検証していただきたいと思います。

○安原委員長 貴重なご指摘ありがとうございました。
 今のご発言に対しまして、事務局の方からコメントがございましたら、どうぞ。
 今のご指摘は、運輸部門に個別の対策を中心に今回は提案を出してもらっておりまして、経済的措置につきましては運輸部門も大きな関係があるわけでございますので、もうちょっと後のこの会議の席でいろんな問題提起、あるいは、提案というものを議論していただく予定でございます。今回そこまで整理ができていない。

○浅野委員 今の発言については違うと思うんですが、いいですか。

○天野委員 運輸だからしているんでしょう。

○安原委員長 運輸部門との関係もそこまで今回整理ができなかったと。

○浅野委員 今、天野先生がおっしゃったのは、資料1-3は共通として一番下のところにずうっと並べてあるんですけれども、これはむしろ縦に横に並ぶべきものというご趣旨のご発言だったと思うんですね。今日出された資料はかなり苦労してつくっておられるということはよくわかるので、それなりに敬意を表したいと思うんですけれども、問題が複雑であるということを明らかにしたということにとどまっているんですね。
資料1-3の2ページと3ページは非常に重要な表だと思うんです。よくよく読みますと、これくらい運輸部門では話が入り組んでいたと。それから、主体についても、民生あるいは産業部門に比べれば非常に複雑に絡みあっている。そういう意味では資料1-3の参考資料はあくまでも委員会で出された意見を列挙してあるだけで、それがトータルな結論としての意見とは思わないんですけれども、その中にも出ていますように、運輸部門を扱うときには民生、産業部門と全く別々に扱うことはできない面があります。
 ちょっとひどい言い方をさせていただきますと、産業部門は自分のところの生産に必要なものの調達や製品の排出については運輸部門に全部ツケを回してしまえば、産業部門の中での負荷は少ないという結論になるわけですね。現実には運輸部門はどんどん増えているというのは、トータルでの産業部門の中でカウントしていいものを切り離して、外に出してしまう。もっと極端に言うと、完全に外注にしてしまえば自社の車を一切動かさない、すべて運輸業者に任せてしまえばそこのところにツケを回して、自分たちはそこはやっていないということになるわけですが、日本国全体としての排出量は全然減らないということになるわけですから、これでは困るという問題意識がシナリオ小委員会にもあったんだろうと思うんですね。
 資料1-3の2ページと3ページにあるものをこれからどう組み合わせていくのかということが極めて重要な検討課題だと思うわけです。その点、さっきのとおり高位計画をつくって、単体規制をやれとか、あとは社会システムを変えれば何とかなりますと、こういう話にはならないはずなので、1ページに書いてある全体の流れ、大気汚染対策と一体的にやらなきゃいけないという指摘はそのとおりであります。こういうことが出てきたのはいいと思うんですけれども、1ページに書いてあることと、2ページ、3ページの図とのつながりがいまひとつはっきりしない。
 むしろ、2ページ、3ページのところをきちっと体系化していく仕事をしていかないと、この話の完全な答えは出てこない。少なくとも2に関しては、経済的手法はかなりきいてくるというのは予測がつくんですけれども、ある一つの手法を投入すれば絶対的に効果が上がるとか、劇的に変わるというようなことは期待しにくいですね。その点は、天野先生もおっしゃるように、単体の限界も、まずやればということ、今の事務局のご説明の中で言っておられると思っていないんですけれども、1つ1つを引き出していくとそういうふうにとられてしまうんだという気がいたします。
 特に3のところにあります各主体別というところの切り方が、どうやって管理をしていくべきなのか、だれが管理するか、だれが仕事をするのかということを考える上で、非常に重要な絵だと思います。これをもとにして自主的にやる、あるところは法制的になるというような話が必要なんだろうと思いますから、その費用は出さなきゃいけないんだと思います。
 さっき評価のところの話を聞きながら、真岡市で最近バス会社がバスを100円にしたら乗客が非常に増えたと。すごくいいように見えるんですけれども、せっかくそういう施策を投入するのであれば、マイカーの規制をかければいいわけですが、それを規制しないわけです。バスは100円でお客が増えたのでバスの台数も増えますが、マイカーもタクシーも全然減りません。全体としては環境への負荷がものすごく高くなってしまうということになります。100円で走らせるというのは、決して環境を考えているのではなくて、ほかからお客を奪うためにやっているだけなんです。
そんなことをやろうとしているのに、それを環境政策の中で体系的につなぐという手立てが何もないところに問題があるということを実感を持って感じるわけです。ですから、天野先生がおっしゃるように、「公共交通機関の快適性を増したら何とかなりますというのは甘いよ」というのは、そのとおりだろうと思います。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 事務局からの発言はよろしいですか。
 それでは、小林さん、その後、浅岡さん、寺門さん。

○小林委員 恐れ入ります。きょうは東京都がお越しになっていないので、私の方で地方自治体としての考え方を数点お話したいと思います。
 自動車公害対策と一致すると考えていいと思うんですが、実際には自動車NOX法に基づいて自動車公害対策を進めているわけですけれども、結果として、目的が達成していないという状況にあります。現実にいろんな施策をとっておりますが、その中の車種規制と言われるような規制部門、それから、遮音壁をつくるとか、道路の通行帯の車線を減らすというような公共工事に伴うハードの部分については、ほとんど実施されております。これによる効果は十分出てきております。
 ところが、例えば輸送効率を上げるとか、モーダルシフトをするといういわゆる指導に伴うソフト事業とか、啓発によって人の心を打つというような事業がほとんど効果を出していないという問題があると思います。そういったことから考えた場合、この温暖化対策の中で運輸部門を一生懸命議論するよりは、自動車公害対策の方で議論したものをここに押えるだけで十分ではないかという気はしております。
 そういうことをベースにしまして問題点には1つは、1-1の14ページに費用対効果が書いてあって、天野先生が言われましたように、対策したことによって費用が安くなるというのが書いてあるわけですが、実際には進んでないんですね。なぜ進んでないかというと、1つは利便性が評価されていない、もう1つは心の豊かさを評価しているということだろうと思います。逆に言いますと、バスの方が安いに決まっているわけですが、皆さん自家用車を買われる。なぜ買うのか、車を持つという心の豊かさが評価がなるから車を買うのであって、単に安ければバスに乗ったり電車に乗るんだろう。そこを評価しなければならない。そういう意味で、心理的評価を入れなければ自動車公害対策というのは効果を発揮しないと思っております。その辺をどう対応していくのかというのを考える必要がある。そのために規制というのも必要ではないかと思います。それから、いわゆる心理効果を抑えるだけの経済的措置というのが必要ではないかと思います。
 2つ目は、資料1-3の3ページの自動車の実排出量のところですが、事業者規制をやります、事業者指導をやりますと言われるんですけれども、浅野先生が言われましたように、運輸事業者に対する指導規制を一生懸命やられる。ところが、実際上は自家用車から運輸業者に移れば移るほどコストはよくなりますし、事業者対策としては進むわけなので、その辺のことを十分踏まえなければならない。そういう意味で、ここに書いてあります自家用自動車の使用者、一番下の需要発生のところの利用者に対するモーダルシフトとか、積載効率向上のための施策を打っていかなければならない。ここのところがほとんどなされていないと思いますが、ここが重要ではないか。
 3つ目の問題点は、1-3にはないんですが、先ほど申し上げましたロードプライシングとか交通規制というものを併用しなければ施策がとれない。ところが、例えばロードプライシング一つをとっても、有料道路と有料道路の管理者が違うとロードプライシングはできないんですね。例えば私ども兵庫県の場合、阪神高速道路の神戸線と湾岸線とのロードプライシングは同じ管理者ですから、できますが、管理者が変わればそういうわけにはいかない。そのつなぎをだれがするのかというのは決まってないわけですね。有料道路の料金というのは、その道路をつくったときの費用から計算されるのであって、交通公害対策からは設定されていない。その辺をきちっとどこかで制度化をしなり限りだめだと思います。
 それから、交通規制についても、そこの交通渋滞を緩和するために交通規制があるのであって、大気汚染対策とか環境対策のために交通規制をするのではないという言い方がされております。ですから、環境対策からの交通規制は十分あるということを鮮明に打ち出すべきなんです。そういう意味で、法制度とか省庁間の壁を外すという対策をやらない限り、これは進まないと思います。
 4つ目は、温暖化対策の中でも問題になっているんですが、地方自治体による実行計画の部分です。資料1-3の4ページの上の対策メニューに書いてございますが、公共部門で実行計画は上がっていない、これを進めるべきだと。その際に実行計画の第三者認証と書いてありますし、その下の運輸部門においても、これは運輸部門に限らないんですが、事業者の実行計画について第三者認証が要るという案がつけられていますけれども、ここで言う第三者認証とは何ぞやという問題です。新しいビジネスをつくるだけにならないか、逆に、東京都さんが書いておられますように、隠れ蓑になってしまうのではないか。
 ここで言う公共部門である地方自治体、市町村に実行計画をつくらせる大きな目的というのは、一般の事業者の方々にそれを進めていくために率先導入、率先行動という意味で書かれておりますし、それをベースにして普及啓発をしてくださいというふうに書いてあるわけです。ところが、実際には温暖化対策で実行計画をつくる都道府県、市町村に一般の事業者を指導する権限が全くない。ですから、つくっても何の意味もない。逆に、市町村がつくらないものですから、事業者の方々をつくらせない理由になってしまう。そういう意味で、地方自治体が実行計画をつくるのは、行政部門ではなくて、事業者の一員としての地方自治体が実行計画をつくるんだという位置づけをお考えいただいて、そういう意味で、地方自治体と思い切って書かなくてもいいのではないか。いわゆる事業者。その事業者の一員に都道府県があるというふうに考えればいいのではないかというのが一つあります。もう1つは、事業者の実行計画に対して第三者認証をつくる必要はない。逆にいったら、第三者認証は都道府県、地方自治体が行政部門として管理監督をすればいいのではないか。そうすると、新しい第三者認証の組織をつくる必要はないというふうに思っております。
 意見でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 今の発言の第三者認証の点について事務局としての考え方とかご説明はありますか。

○対策課長 都道府県が第三者のかわりになって実行するというご意見は承りました。

○安原委員長 それでは、浅岡委員、お願いします。

○浅岡委員 資料3-1で、諸外国における運輸部門の主な推進メカニズムというのをまとめていただいておりまして、これの中を読み取ればわかるのかもしれませんが、旅客の自動車でヨーロッパでは小型車が圧倒的に多いですね。日本も小型自動車にシフトさせようとしている。どうして小型車が多くなる仕組みになっているのかをご紹介いただければと思います。そういうものを入れていくことを伴わなければ、日本でも実現できないと思います。
 それから、資料1-1の31ページで、先ほど路面電車についてのA、Bの比較の話がありまして、これも天野先生のお話とつながっていきますが、例えばA、Bで比較するのに、エネルギー費というものが3,564億円と大きいですけれども、これを負担する人はユーザーですよね。設備投資費では、Aの設備投資費は個々のユーザーの投資ではなくて、その部分の導入にあたっては、道路計画、交通計画によって整備すべきものであると書いていらっしゃるから、ほとんどリアリティーのない比較になっていると思うんです。
 資料1-3を見まして、1ページもそうですが、2ページ、3ページは追加的施策の在り方についてまとめていると、この場の議論がすべてそうだということかもしれませんけれども、大綱の議論、施策の他の追加部分だけをここにまとめていると思って見ています。大綱の対策もあわせてこういうグラフをつくってみないと、本当には議論ができないと思うんです。最大の問題は財源の話になるわけでしょうし、原単位を改善するというのも、渋滞緩和に線が引かれていて、そこには道路網のネットワーク化ということしかありませんけれども、大綱の中では道路建設につながるということがあるわけです。それが輸送量の増加も招くのではないかという議論もあります。
 そういうことでずっと追ってみますと、大綱に触れず、道路特定財源の問題も触れずということで、いろいろな議論をしていっても、実効性のない話に終わる。それに比べて、資料3-1の例えば英国を見ますと、公共交通の整備・利用推進においては何が政策かという点では、社会資本が充実してあって、公共交通整備のためにいつまでにこれだけお金を投資しましょうと。その他もろもろ海外の施策として今回ご紹介いただいたもの等を見ると、今日の起案が実際どうするのかという施策の中につながっていない抽象的対策に終わっているのは、残念に思います。
 一つ、ヨーロッパの小型車があれだけ町の中で大半を占めている状況というのはどうして生まれているかお教えいただければありがたいと思います。

○安原委員長 どうですか、事務局。

○対策課長 申しわけございません。具体的な背景というのは、今、手元の方にはありません。調べます。

○安原委員長 それでは、次回以降しかるべく解明ができましたら説明の機会をつくっていただきたいと思います。
 それ以外の浅岡委員の発言に対しまして、事務局からコメントないですか。
 よろしいですね。
 それでは、寺門委員、どうぞ。その次、宮本委員、お願いします。

○寺門委員 資料1-1から始まりますデータの読み方だと思うんですけれども、まず旅客部門については、公共部門はサーチュレートしているというか、輸送量についてサーチュレートしている。もちろん、航空なんかへのシフトは見られますが、サーチュレートしている。一方、自家用の、個人の乗用車が今非常にニーズが高いということがここに出ているわけでございますね。一方、車に対する単体の改善の成果については、7ページに新車における理論燃費が、いわゆるトップランナー方式が始まってから急速に改善を見ている。
 私どもも自動車メーカーさんに材料を出しているわけでございますが、1990年ぐらいから安全基準が猛烈に厳しくなって注目を浴びたわけでございますね。そういう意味からすると、実際には自動車はかなり改善しているんですけれども、安全性を上げなければいけないので、補強等を相当充実した。その結果として、自動車は材料を変えたんですけれども、重くなった。そういうことがここにあらわれていて、改善以上に安全対策が上回ったということで、燃費がじわじわ下がっていったわけです。安全基準が、今も側突とかオフセット衝突とか注目されていますが、それを乗り越えて、今、トップランナー方式による燃費の改善がこのようにあらわれ始めたということですね。
 これは自動車会社さんが非常に努力されて、新車において燃費のいいものが急速に普及を始めたということです。お客さんもこれを買っていただいているから、このように上がってきた。こういうことがこの1年、2年、3年ということで上昇傾向がどのように進んでいくのかということが、乗用車の中での見込みなんでしょうけれども、どういうふうに見込まれてどうなったのかというのは、専門家がいろいろシミュレーションされたんだと思うんですが、効果はこの二、三年であらわれてくる。先ほどの競争原理というものは、乗用車に乗りたいということと、公共交通機関を乗ることの魅力度と言いましょうか、コストは圧倒的に違うとおっしゃいますけれども、魅力度というのは大変違う。
 だから、個人の運転で旅行したいというニーズ、これをどこで断ち切れるかということは、皆さんわかっていて断ち切れないんだとお思いなんだと思うんですね。個人個人に戻ったときにそういうニーズは今非常に高いと。それをどこかでサーチュレートするんでしょうけれども、今はそういうニーズが非常に高いという状況が読めない。読めないけれども、それは少なくとも公共機関に比べて魅力度を含めて競争力があると。それがどこまでそのままいくかということですけれど、都会の中ではもう車を置く場所がないんですね。だから、どこかでがっちりと頭を打つわけです。一家に2台置くなんていっても、都会では置く場所がないんです。駐車場がないんです、だから、都会では増えない。中小都市ではまだ余裕があるから、そこに増えている。こういう話ですよね。
 そういうところを理解しながら、どうしていくのかということをやらないと、単に何かをやれば下がるということはない。競争原理が働くということは、自家用車に圧倒的に負担をかけますよといったら、その負担はどこに回っていくのか。個人に回ってくれば同じことなんですね。佐和先生がコストの内部化のお話をされますけれども、経済原則としては魅力度のあるところへどんどんいって、補助が来れば、そこにお金が回るというのは当たり前だと。コップの中で話をすれば、それは変わらないということで、税を取って、どこかで使ったと。だれか外国にお金を捨てるんなら別だけれども、そこの中で回す限りは経済原則としては何の効果もないということですよね。今は魅力があるから皆さんが選択されるということですから、最後はインフラ対策というものに帰結するんではないだろうかと思います。
 一方、貨物部門についていろいろな解釈がありましたけれども、これが少なくともサーチュレートしているということは、何を意味しているのかというと、競争原理が働いているということです。これは明らかにコストですから、競争原理が働いているわけです。例えば我々製造者は完全に輸送を外にお願いしています。製造業の人が自分で運んでいるということはめったにないわけで、ほとんど外にお願いしています。これはずうっと変わっていません。自前でやっている人なんてほとんどいません。作業の中でこちょこちょやっているのはあるかもしれませんけれども、外に出すものを自分でやっている事業者はほとんどいませんで、専門の事業者にお願いするわけです。そこでは競争原理が働いておりますから、少しでも効率よくやろうという人が競争力を持って、そこにお願いする。したがって、今の集荷システムを含めて競争をして、一番効率のいいところにいくということですから、一応サチュっていると見るべきなのではないか。この読み方をどう読んで、その後どうするかということを議論していただきたいと思います。私はそういうふうに解釈しておりますということを申し上げます。

○安原委員長 どうも。
 それでは、宮本委員。その後、塩田委員。

○宮本委員 2つ申し上げたいと思います。
 1つは、この資料の中で「ノーマイカーデー」の話が政府の中には入っているんですけれども、一般のところは出てないんですね。何で書かないのかなと。確かに難しいことはわかるんですが、国民の意識を向上させるためには「ノーマイカーデー」を入れたらどうかと思います。フランスでは「ノーマイカーデー」が発達していると思うんですが。ナンバープレートの奇数と偶数で日を決めて「ノーマイカーデー」をつくっているところがありまして、彼らに話を聞くと相当浸透しているようです。さらに、アイドリングの問題にしましても、私は夏の暑いときに行ったのですけれども、バスの運転手とかタクシーの運転手は止まっていると必ずエンジンを切るんですね。暑いなといっても、これは運転手の良識だという感じが浸透しているんですね。だから、国民の中にそういうものを浸透させるために、「ノーマイカーデー」を入れるとよいのではないか。
 私も一つの案を提案したいのですけれども、ナンバープレートを、例えば0なら0の日は「ノーマイカーデー」にするとか、1のつく日は「ノーマイカーデー」にするというような意識を持てば、大分違ってくるんですね。そうすれば、10日に一度ぐらい当たるわけですから、そういうことができないかなというのがあります。
 もう1つの提案はITSが渋滞緩和に非常に効果があり、さらには、NOXの問題とかCO2削減効果があると思うんですが、日本はなかなか進んでいないんですね。外国はかなり早くから進んでおります。日本では、舗装道路にやっとETCが入り出しているんですね。私は阪神道路公団の評議員をしておりまして、行って話をしますと、なかなか進まないと。10年前高速道路でフランスからイタリアへ入ったときには、テレパスというのが入っていたんです。6車線ぐらいあると2車線ぐらいがばっと走れるようになっている。非常に立派な事をやっているなといったら、「日本はけったいな国だ」と彼らは言うわけですね。なぜかというと、技術の進歩はフランスとかイタリアより日本の方が上だ、人件費の高いのは日本だと、その両方のメリットが出てくるのがETCではないのか、そんなものをなぜやらないのかと。
 私は10年前ぐらいから建設省に言ってきたんですが、それでもなかなか普及しない。フランスでやっているが、そのメリットはどうですかと言ったら、あれをやると違反者が出てきたときにどうだとか、車がバックしたときにどうだとかいって、非常に詳細なことまできっちりやるんです、日本の技術者というのは。私も技術者の一人ですけれども。そこまでいかないでも、早く入れることが大事かなと思います。ITSにしてもETCにしても、今のことを考えると、ETCでどうなるかというと、自分がシートを買わなきゃいけないんですね。そうすると3万円もかかる。しかも、阪神道路公団は料金を下げないというわけですね。それでは普及するはずがない。ラジオと一緒ですから、1,000円ぐらいでできるはずですよ。それを50円でも30円でも下げたら絶対普及すると思うので、私の言いたいことは、ITSにしてもETCにしても、あまり難しいことを言わないで、技術的に可能な範囲で、コストの安いものができるようにすることが重要ではないかという提案であります。以上です。

○安原委員長 具体的な提案、どうもありがとうございました。
 それでは、塩田委員、どうぞ。その後、佐和委員。

○塩田委員 今度は運輸関係の温暖化ガス削減策ので総合的な資料を出していただいたと思います。私は前から個別の温暖化防止対策の効果が評価できるように、過去からのトレンドのデータをできるだけ分析すべきだということを申し上げてきたんですけれども、資料の説明を只今伺い、今度全部の資料を見せていただいて重要ことがわかってきたと思います。私は(1)運輸部門の温暖化対策の問題点と(2)これから採用すべきの手法と、(3)これからどのような点に重点を置いてやっていくべきかという3点について申し上げたいと思います。
 第1の問題点としては、只今のご説明があったように運輸部門の温暖化ガスの問題の大部分が自動車にかかわる問題だということは大体共通認識になったと思います。そして自動車の中でも旅客部門の方が問題が大きいのです。ご承知のように温暖化ガスの排出量は旅客と貨物は約2対1で、そのうえ貨物の方は今まで伸びが大きくないということは、先ほどからいろいろご指摘がありますように、貨物の分野は経済的な判断がかなり厳密に加えられている分野なので、燃費の節減などのいろんな要素がこういうふうに反映してきたんだと思います。
 旅客自動車の分野で自家用車の伸びが大きいということですが、ここで非常におもしろい分析は、軽自動車は1台当りの走行キロが減っているというデータです。自動車の排気量の問題は、台数の問題ではなくて、走行キロの問題だと思います。さらに1台当りの走行キロの問題よりも1台当りの走行時間の問題なのかもしれません。この辺は排気ガスの排出についての技術の専門家のご意見を伺いたいところですけれども、例えば同じ10キロを走るのに、渋滞がなければ10分ぐらいで行く。ところが、10キロを2時間ぐらいかかることはよくあるわけです。そうすると、2時間車を動かすのと、10分動かすのでは、同じ目的で車を動かすにしてもエネルギーの使用量、従って温暖化ガスの排出量は大変に違うと思いますから、そういうことも分析していくべきであろうかと思います。
 きょうの問題点を指摘された資料1-3参考資料の最後にそういうご指摘(「自動車の利用に関わる諸対策の効果についての定量的な評価のためのデータの整備が必要である」)がありますけれども、そういう部分がこれからもう少し必要かなと思うんです。このように問題点がはっきりしたと思います。それから、これも皆さんご指摘になったことですが、自動車の排出量の原単位は、自動車の燃費の規制などでかなり改善している。自動車の単体対策ははっきり効果があることが立証できるということではないかと思います。
 第2の運輸部門の温暖化対策のすすめ方、今後とるべき手法としては、資料1でも90年からの分析をしていただいています。運輸部門の温暖化対策の項目別に90年からスタートして、どういう結果が起こってきたかということを時系列的によく分析して、その間に講じられた対策、その効果がどの程度出てきているかということをなるべく詳しくフォローするということが必要であると思います。
 それから、今後はそのデータのフォローの仕方も、前から議論が出ていましたけれども、できるだけ大きな傾向がわかるような速報的なデータを集めるという努力をして、毎年1年前のことが分析できるようなことをねらっていくべきであると思います。そして効果の大きい対策について重点的に考慮するということと、その効果を速報的なデータでできるだけすぐフォローして、その後の対策に活用していくと、こういうような手法がいいのではないかと思います。効果の大きいことが立証できる対策と、余り大きな効果が立証できないような対策は区別して、前者に対し重点的に予算を投じていくことがいいでしょうし、このような対策をみんなで協力して実施していくことが適切だと思います。
 第3の今後重点を置くべき対策として私が思いますのは、第1点が自動車の単体対策の推進と強化です。これについては、既にこの審議会の前身の答申も反映して自動車のクリーン税制というのがスタートしているわけです。ただ、グリーン税制はスタートしてはいますけれども、先程ご指摘があったように新車の理論的な燃費は向上しているが、これがストックには反映していないという問題はあるわけで、グリーン税制をできるだけうまく活用していくための課題はたくさん残っているしょうし、さらに税制をさらに改善するということも必要なんだと思います。それから、今回、公用車に導入されることになった低公害車の一層の普及の推進ものグリーンエネルギー自動車の導入というのも非常に有効な対策でしょう。こういう単体に起因する対策を推進していくというのが一番効果が立証せきるわけで、この分野については全力を尽くすべきであると思います。これが第1点です。
 第2点は自動車の使用に関して、乗用車の延走行キロ、延走行時間がどんどん伸び、実走行の燃費が伸びてていくから問題があるのだと思います。これは先程ご指摘の点です。この点について、一番効果がありそうな対策で、実行可能性があるものは、自家用自動車から公共交通機関へのシフトです。先ほど来いろいろご指摘がありましたけれども、これから電車をつくって、何かインフラをつくって、そこに誘導するということではなくて、東京は都営12号線ができたり営団の南北線も新しくできたりして、地下鉄のネットワークの蜜度が非常に高くなっていますし、周辺の千葉・埼玉などの都市からのアクセスもよくなっている、こういうことがあるわけです。他方、これはいろんな要素があると思うんですけれども、これだけの地下鉄の整備が行われても鉄道の乗車人員があまり増えてないという面があります。これだけ便利になっている公共交通機関をなるべくうまくみんなで使うという国民運動をやって、これを使っていくというのは直ちに効果があることだと思います。
 仮に首都圏の自動車で移動している人の1割が鉄道に移れば、年間温暖化ガス約80万トンを抑制する効果があるわけです。三大都市圏にしますと180万トンぐらいになるはずです。これは2年ぐらい前に計算したので、今は増えているかもしれません。そういう非常に具体的な効果があるのになかなか実現しないのは、いろんな原因があると思いますが、公共交通機関のバリアフリー化を推進して弱者の公共交通機関の利用を促進したり、満員電車に乗るのが嫌だから車で行くという人に対しては、時差通勤やフレックスタイムの活用により公共交通機関を使うように仕向けるなど、鉄道、乗合バスなどの公共交通機関の利用を妨げる要素をできるだけ取り除く。もちろん運賃料金の問題もあると思います。そういう点をきめ細かく対応していけば、自家用車から公共交通機関へのシフトの効果が期待できるのではないか。こういうことを組織的にやっていく価値があるだろうと思います。
 第3点は、先ほど軽自動車は1台当りの走行キロが減少傾向にあるというご説明がありましたが、これによって軽自動車はセカンドカーとして近回りの買い物なんかに使われており、問題が少いことがわかると思うんです。それでは自動車の問題は何かと言えば、軽自動車以外の自動車が都市内を通過していくとか、10キロとか20キロぐらいの中距離の移動をするときに問題が大きいのだと思います。そこで何か一番問題かというと、皆さんご承知のように朝から晩まで混んでいる踏切、交差点、ガードの下、駅の周辺、そういうところが1日の中で長時間交通渋滞を起こしている。交通渋滞を起こすことによって、同じ移動目的の人が自動車を使う時間が極端に伸びるんですね。3倍どころかすぐ5倍10倍ぐらいになるわけです。ここに最大の問題があるのは明らかであると思います。
 これはやっぱりインフラの整備の問題に帰着するんではないかというお話が先ほどありましたが、今ご指摘があったITSの推進が必要だということはもちろんだと思いますけれども、その前に今の非常に問題がある交差点の設備面で右折あるいは左折をする車線の追加とか、そこの信号のシステムを車が動く場合と人が歩く場合と分けるスクランブル交差点に直すとか、そういうことをやって、踏切、交差点あるいはガードといった非常に混雑するところについて大都市圏を中心によく見直して対策を講じていく。ですから、問題の交差点ごとに、そこの信号システムが適当なのかどうかということを、車を動かす人の意見をよく聞いて考えてみるという施策が非常に効果があるのではないかと思います。
 これに関連してあと一、二点。自動車を使用する人は電車を使っても行ける目的地に、道路が空いていればいろんな意味で便利だから自動車を使うケースが多いと思います。その場合、道路が非常に混んでいればやめようかという人がかなりいるんではないかと思うんです。交通情報を電話で聞こうとすると、交通情報が利用できる時間は非常に限られている上に、自動対応の時に東京でも大阪をはじめ全国の交通情報が提供されている時間も長いわけです。ですから、電話による交通情報をもう少しニーズに合った形できめ細かく提供する必要があると思います。もちろんコストがかかれば有料でいいと思うんです。車を使おうか電車で行こうかと迷う人に、情報を提供するということがもう少しあってもいいのではないか。今は朝の7時から夜の8時の間だけでそれ以外の時間は、その後は情報が一切ないんです。その点についてはカーナビを使えばいいじゃないかというお話があるかと思うんですけれども、電話で応対してもらう方がいい場合、あるいは、電話で即時に行動するための情報があった方がいい場合があることは間違いないと思うので、これはぜひ検討をお願いをしたいと思います。
 こういうことをやって自動車の流れをよくするということが先決問題で、そういうことをやっても問題があるということであれば、最後の手段として運行面の規制の検討も必要になるかも知れません。都内の交通について、自動車の流れについて10年前と今と比べると、車を使っていらっしゃる方はかなり感じておられると思いますが、交通の流れは全体としては確実によくなりました。何も変わらないというご指摘もありましたけれども。ただ、それがデータ面でどういうふうに把握されているかという問題はあるんじゃないか。ですから、自動車の交通の流れについて重要な混雑地点についてもっとデータを収集して、それも悉皆の統計というよりも、傾向がわかるような統計を速報値で整備して、そのデータに基づいて今は何をすべきかということを臨機応変にやっていくということが必要なのではないかと思います。
 もう一遍申し上げますと、自動車の単体規制をもっと精密にまず運用していくということ、それから、2点目が、旅客輸送に関して、自動車を使っている人に既にでき上がっている公共交通機関、電車、バス、地下鉄などをどうやってうまく使ってもらうか。3番目は、ボトルネックになっているところのシステム、もちろんITS、ETBも賛成ですけれども、そこにいく手前でやることがたくさんあるのではないか。具体的にはきめの細かい車線の追加、あるいは、信号システムの改善、それから、交通情報の提供、そういうことをやって、朝から晩まで車が渋滞しているような交差点あるいは駅前広場をなるべくなくしていくということができないだろうか。こんなふうに思うわけです。
 最後に、方向として、交通の分野というのは先ほどもご指摘がありましたけれども、利用者が自由に選択できることがベストなんですね。やむを得ない場合には規制をやらなきゃならないかもしれないけれども、なるべく公共交通機関を使うということに加えて、さらに環境政策上重要だということを、国民一人一人によく理解してもらって、みんながこっちへ行きましょうというような動きをつくることも大事だと思うんです。私が申し上げたいのは、ほかのやるべきことをやらないでおいて、頭から規制をしたり、あるいは、なるべく車に乗らないでほしいということを奨励するというのは、順番が逆ではないかという感じがいたします。
 以上、私の意見です。

○安原委員長 大分お時間がたっておりますので、あとは、佐和さんと猿田さんからの発言がありますから……。

○佐和委員 僕は2分ぐらいで済みます。

○安原委員長 そうですか。じゃ、そこで一たん切りたいと思います。

○佐和委員 先ほど話題になりました14ページのコスト-ポテンシャル評価ですけれども、確かにこういういろんな政策の評価を行うときにコストを評価して、それを比較するというのは大変重要なことなんですね。ですから、こういう表をおつくりになったのは大変結構なんですが、資料の表を見る限りにおいてはコストとは何かということに対する考え方が、少なくとも僕とは随分違うという感じがするんですね。
 それから、先ほどどなたかのご質問にありましたように、さまざまな対策がすべてマイナスで済むということは、やらないと損だみたいで、ノー・イクエント・ポリシーになるわけですね。だけども、なぜそれが進まないのかということについては、それぞれの個人あるいは消費者がある種の見せびらかしの効用みたいなもの、いい車に乗って見せびらかしをしたいとか、電車に乗るのは格好悪いからとか、そういう人が多いことが問題であって、なぜ普及しないのかということをちゃんと考える必要があるということ。
 それから、さっき天野先生のご質問に対する回答で、31ページの表を見てもエネルギー費用額、つまり設備投資の費用とエネルギーの費用とか何もかも含めて、マイナスはこれだこれだというのをおっしゃっているけれども、負担するのはだれなのか、選択するのはだれなのかということを念頭に置いてコストを計算しないと。というのは、市場経済の下でただのものというのは本来あり得ないわけですね。これだったら政策をやるとお金が返ってくるという話ですね。国民経済全体としてはそうかもしれない、それだったらみんな歩こうじゃないかということになります。それは一番マイナスといいますか、得するものが多いじゃないかということにもなるわけで、これに越したことはなしということにもなるわけです。
 ですから、この表のつくり方が問題だということと、だれが費用を負担するのか。政策の評価をするんだったら、国が負担するのはどれだけのお金なのか。つまり、路面電車を引いて、それは民間企業に任せる、民間の会社に任せておけば路面電車を引くということは考えられないわけですね。路面電車のことは公共事業の視点で、それに対してどれだけ費用がかかるのかと。しかし、時間等々のことからしてどの程度の客が期待できるか、運賃はどのぐらいに設定しなければならないか、ここまで設定すればどの程度お客は期待できるのか、そうすると、その結果としてCO2の排出削減がいかほどなのかというふうな観点で、マイナスの費用はどう考えてもおかしい。むしろプラスの費用で、路面電車を引くということがその他の対策に比べて、本当に見合うのかどうかというふうな評価をしていただきたいと思います。
 以上です。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ここで休憩に入りたいと思います。20分から再開ということにさせていただきたいと思います。
                              午後5時13分休憩
                              午後5時20分再開

○安原委員長 それでは、5時20分になりましたので、ご着席願います。
 休憩前に引き続きまして審議を続けたいと思います。
 まず、今のテーマにつきまして猿田委員、福川委員から発言をいただきまして、そのほかにご発言がなければこのテーマについては終わりまして、残されたHFC等の3ガスの問題に移りたいと思います。その審議を45分までに終えていただきまして、15分ぐらい、浜中地球環境局長から、米国の「京都議定書」不支持の最近の動きにつきましてご報告いただきたいと考えております。
 それでは、まず猿田委員、どうぞ。

○猿田委員 資料1-3に関連してお伺いしたいと思います。
 1-3の1ページで、国・地方公共団体の実行計画、事業者の実行計画とありまして、この中で事業者の使用管理の計画を含むというのが事業者のところに書いてありますけれども、3ページのところで、実排出者、横断的対策実施、あるいは、需要発生とありまして、運輸事業者、バス、トラックなどの大規模事業者とか中小企業が挙げてあります。現在、参議院に自動車NOX法の改正案、俗に「自動車NOXPM法」というのが提案されているわけですが、その中でも特定地域に本拠を有するある一定規模以上の事業者に対しては自動車使用管理計画などを出させると。
 これは、1-3の1ページの表題に「大気汚染対策との一体的な取組の推進」ということになっているわけで、NOXとの関連の中でということだと思いますけれども、自動車NOX法そのものは、今度の改正法ではPMも含んでいるわけですが、大気汚染防止法の対応だけでは浮遊粒子状物質などの環境基準の達成は難しいということで、特定地域というのを指定していて6都府県が入っているわけです。今度の中環審の答申の中でも名古屋市を中心とした愛知県も対象になっているわけです。これは政令事項ですから、どうなるかわかりませんが、かなり広域的に自動車の排気ガスに伴う大気汚染が注目されているところであります。CO2に関しても、自動車等の運輸部門における排出量はかなり膨大だというのは皆様ご存じのとおりであります。
 ただ、自動車NOX法でいきますと、これは特定地域しか対象にならない。そうすると、大規模事業者といっても数が限られてくるわけです。CO2問題については全国的な規模の問題でありますから、ここで実排出者、あるいは、需要発生や、大規模事業者が出ておりますけれども、こういう対象事業者に対してどのようなフォローをしていくのか。ただ単に「対象になりますよ」ではなくて、実行計画をつくらせるとしても、下から使用管理に関する計画を立てさせた場合、それをどこでどうフォローしていくのか。例えば地方自治体に、都道府県レベルに提出して、それを国が全国的な視点で調整していくというようなことも必要ではないかと思うんです。
 横断的対策の対策のところは、インフラ整備ということを、メーカーに対していろいろな義務化させるとか、いろんな問題があろうかと思いますけれども、地方公共団体のところでそれなりに都市計画の中で、あるいは、総合計画の中でどのような対応をしていくのかということで出てくるわけです。実際に車を使用する事業者に対して、そういう計画を立て、それに基づいて目標をはっきりさせるということが重要ではないかと思うんですが、その辺に関して何かお考えがあればお伺いしておきたいということです。

○安原委員長 では、福川委員にご発言いただいてから、一括して。

○福川委員 簡単に申し上げたいと思います。
 まず大きく言えば自動車の単体、輸送機関の単体の改善の問題とシステムの問題と、もう1つ都市生活、ライフスタイルの問題があるように思います。今、例えばハイブリッドカーなどが、先ほど天野委員からご紹介ありましたように、普及率は大変低いんですが、自動車メーカーはかなり赤字でこれを供給している。もちろん政策的なインセンティブがあるわけですが、これがもっと量産方向に行けばコストは下がるわけですね。今は本当にわずかで0.1%とかいうオーダーかもしれませんが、これをもっと高めていけばかなり大きく変わる可能性がある。それは自動車メーカーにももっと努力してもらうということが必要だと思います。
 2つ目は、都市再開発がかなり進み始めて、今まで職住分離で、遠いところから長い間、車で来たり電車で来たりしていますが、このごろは都心に回帰する、都心に帰ってこようという傾向が強くなっていますし、むしろ職住接近の方がいいということになって、都市の高層化という形で再開発を行うという形があります。ここをどういうふうに交通渋滞を起こさないような形の都市再開発にするか。高層化するときはそれなりにエネルギーが要りますが、効率的にするという形で都市の在り方を再検討するところで、これをどういうふうに取り込んでいくかということが非常に大事だと思うんです。東京の中央3区の人が少なくなっているところをどういうふうにしていくかということと合わせて、都市計画の問題をどうするかということだろうと思います。今、地方の中核都市も東京と似たよう
な問題が出始めているので、もう少し都市計画の中の問題を取り上げてはどうかと思います。
 それから、ITS等々のシステムが出ましたが、これは非常に重要なことで、非常に効率的だと思いますので、これはぜひ進めていく必要があるように思います。当面できるところからやっていけという話もございまして、これまた当然だと思います。私も時々自分でやってみますが、交通渋滞で嫌だなと思うのは駐車違反なんですね。都心に行って駐車違反や二重駐車がある、これが交通渋滞の原因で、駐車は違反なんだから、もっと徹底的に取り締まって、例えば罰金は10倍ぐらいにしてやれば随分違うと思います。ときどき外国の要人が来たりすると取り締まる、そうするとすうっと走るわけですね。信号の合理化等々いろんな問題がありますが、違反は違反で早く取り締まるということも非常に大事だし、その方がよく単体としてもありますが、できるところからどんどんやっていくということもあろうかと思います。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、先ほどの猿田委員の発言につきまして、事務局からコメントをお願いしたいと思います。

○調整官 交通に関する各主体の取り組みで、計画の策定も含めた取り組みが今後必要ではないかというご提案を申し上げたわけでありますが、運輸部門は非常に複雑な体系をしておりますので、計画をつくるにしてもだれがつくるということ、それをチェックして管理をするのをだれにするかということは非常に重要であり、具体的に検討していかなければいけないと思います。私どもも今まで内部で検討会という形で、猿田委員にもいろいろとご指導いただきながら、そういった検討もしております。
 先ほど具体的にご提案のありました自治体が具体的にこういう計画にどういう関与をしていくかということも非常に重要であると思いますので、きょうはまだ、この時点では全体像をお示ししたというところにとどまっておりますが、今後の審議では、きょうの大きな姿からさらに具体的な計画手法の検討の中で、今までの検討の成果も反映させながら具体的にお示ししてご審議いただきたいと思っております。

○安原委員長 よろしいですか。
 それでは、第1の議題につきましては、この程度にとどめたいと思います。
 時間が残り少なくなりましたが、15分ぐらいで、HFC等3ガスの問題の審議に入りたいと思います。
 まず事務局からご説明をお願いいたします。

○調整官 それでは、時間が限られておりますので、まず資料2-1につきまして、ポイントを絞ってご説明申し上げたいと思いますので、大変恐縮ですが、19ページのまとめのところをごらんいただきたいと思います。具体的なデータは前の方に全部ございますが、ポイントだけ申し上げたいと思います。
 (1)の排出量の現状と現行施策の評価であります。特にHFCにつきましては、CFC、HCFCというオゾン層破壊物質の代替物質として生産量が増大しているということが重要なポイントであります。しかも、冷媒、発泡剤、エアゾール、溶剤・洗浄剤など、非常に広範囲に使われております。特に冷媒、発泡剤の分野ではフロンの代替化ということで、今後の使用量の増大が見込まれます。
 PFCにつきましても、ハイテク産業の成長とともに使用量が増大してきております。一部、回収処理装置は実用化されてかなり効率は高いのですが、設置率はまだまだ低いという状況にあります。
 それから、SF6につきましては、従来は電気絶縁用として変電所、変圧器等で使われてきましたが、最近これに加えて半導体・液晶のエッチング等の分野でも使われてきているということであります。このうち、電気絶縁用途での回収処理は事業者の取り組みによって高い実績を示しておりますが、そのほかのものについてはまだ回収処理するには至っておりません。
 この3種類のガスについては、業界の自主的取組を含めてさまざまな対策が講じられていますけれども、冷媒用HFCやドライエッチング等でのPFC、SF6の回収率は依然として低いレベルにとどまっております。現在、冷媒用のHFCを含めたフロンの回収・破壊を義務づけるための法律の検討がなされておりますが、こういうものも含めて一層の削減が必要な状況であります。
 今後の削減ポテンシャルをはじいて実現するための主要課題を簡単にご紹介いたします。まず回収・処理の分野では、HFC等の3ガスの生産工程での排出抑制、それから、ガスを利用する製造工程等では実際に使う人と回収・処理をする人が同一でありますから、比較的対策を講じやすいということであります。したがって、そういうところでは回収・処理装置の導入に際して、コストがかかるものに対する経済的な支援等によって、比較的対策が進みやすいわけであります。
 20ページにまいりまして、一方、製品のメーカー、実際にそれを使う人、回収する人など、多くの主体が関与するものについては、一定の社会システムづくりが必要ということで、先ほど申し上げましたフロンの回収・破壊を義務付ける法制化も含めた検討が必要になってきているということでございます。
 それから、この3種類のガスを使わない、別のガスへの代替ということも考えらるべきであります。その中で特にエアゾール、噴霧器、それから、開放系の洗浄、発泡用途、こういうものは一たん使ってしまいますと、回収は事実上困難でありますので、なるべくHFC等の3ガスを使わないような方法、場合によっては使用の禁止も含めた、規制的な措置を導入することを考えております。ただし、中小企業に対しては代替のための助成や技術支援が必要と考えられます。
 それから、冷媒用途については、大気中に排出しないシステムづくりが技術的に可能でありますので、そういうことをやっていくという考え方と、もう1つ、代替物質に切り替えるということがありますが、それらが全体として、温暖化対策上、またそれ以外のさまざまな状況も考えて、どちらがいいのかという比較検討は今後ともしっかりやっていく必要があるということを述べております。
 最後に、ドライエッチング、CVDクリーニング等のPFC、SF6の代替物質につきましては、現状ではまだ研究開発段階にありまして、すぐに切り替えられるということではありませんけれども、引き続きそういうものを推進していって、なるべく早い時期に施策へ反映させることが必要ということを述べております。
 ちょっとさかのぼりますが、この分野でもコスト-ポテンシャル評価を試みております。12ページに総括表がございますが、ここでも費用対効果を出すときにかなりの仮定を置いた数字を出していることと、代替物質への切り替えについては、前提としてどういう条件を設定すべきかということでいろいろ検討しましたが、その点についてはまだ結論が出ておりませんで、今後の検討課題となっていることをご容赦いただきたいと思います。
 以上で資料2-1の説明を終わらせていただきます。

○対策課長 続きまして、資料2-2でこれまでの取り組みの進捗状況の評価について簡単にご説明申し上げたいと思います。
 2ページには、先ほどの説明にもありましたように、これら3ガスはいろいろなところで使われているということがわかると思います。
 続きまして、4ページでございます。私どもの検討会で2010年の排出量を予測してみました。一番右が大綱における排出量で、7,500万トンまで下げるという目標でございましたが、現行の施策、例えば家電リサイクル法など既にとられている施策をそのまま続けていくと、右から5番目の4,000万トンぐらいまで計画係数で下がると。さらに技術的なポテンシャルを追求していきますと、1,900万トンないしは 1,600万トンまで下げることができるということが予測されるわけでございます。したがって、さらに具体的な取り組みを進めていくことができるわけであります。
 資料2-3(参考資料)という1枚紙をごらんいただきたいと思いますが、これがシナリオ小委員会でのこの部門の主な意見・論点でございます。HFC等3ガスの排出量削減の重要性についてということで、3ガスの潜在排出量は二酸化炭素換算で運輸部門の貨物輸送とほぼ同じ程度だと。実排出量でも2分の1程度ということで、かなり大きな割合を占める。それから、大気中に放出されるガスの多くは意図的に生産される物質でありますから、削減は技術的に十分対応可能であるということを認識する必要があると。
 それから、排出抑制対策でありますが、冷媒や発泡剤の用途では一般に排出までに長期間を要するため、物質の代替を進めた場合には2010年という短期での効果は余りないかもしれませんけれども、2020年、2030年という長期にはかなりの削減が見込める。それから、家庭用冷蔵庫等の冷媒については、家電リサイクル法の対象になっていますが、エアコンからのHFCの回収については、現在国会で法制度の準備が進められておりまして、これが非常に重要になってくると。データの整備については、根拠データを収集するべきであるというようなご意見をいただいております。
 そこで、資料2-3の、今後この分野での追加的な施策の在り方の叩き台でありますが、これまでのご指摘にございましたように、技術的な可能性があるわけでありまして、それを具体的に実現する制度的な措置が必要だろうということでございます。
 なお、それぞれのガスの生産や製造、使用、点検時に排出されるわけでありますけれども、一番上のHFC等3ガスの生産時の排出抑制などについては生産・製造ライン上での漏洩防止、回収処理に係る設備や構造の基準をといった規制で対応できるのではないか。それから、器具への封入時における排出抑制でも、HFCやSF6の用途規制ということもあり得るのではないか。それから、クリーニング工程に係る漏出防止指針という制定もあり得る。それから、ドライエッチング等の分野では、製造ラインでの回収処理に係る設備や構造の基準といったこともあると。それから、HFCが含まれる噴霧剤等の使用時の排出抑制についても、エアゾールの用途規制ということも考えられる。
 それから、機器に含まれる冷媒等ですが、例えば家庭用のエアコン、冷蔵庫などの冷媒については既に家電リサイクル法の対象になっているわけでありまして、これの円滑・確実な実施を進めていくことで対応できる。カーエアコン、業務用冷凍空調機のHFCについては、議員立法による新しい立法化がなされる予定だということで、これによる対応が必要だと。それから、建材や冷凍空調機等用途の断熱材においても、回収・再利用・破壊ということを目的に進められておりますが、そのための技術開発の促進をさらに進める必要があると。それから、電気絶縁用途のSF6についても、回収処理の義務付けによって対応できるのではないか。
 裏にまいりまして、代替物質による使用量の削減ですが、冷媒に用いられているHFCから、非フロン系の物質への代替促進。1つは、既にこれを使っている電気冷蔵庫はグリーン購入法の特定調達品目に採用済みですが、さらに代替物質を使う冷蔵庫については、グリーン購入法の判断基準の作成ということで対応できるのではないか。それから、優遇税制の導入やラベリングの導入という手法もあると。それから、エアゾールのHFCからHC等への代替ですが、これも同じようにグリーン購入法での特定調達品目への追加が考えられる。さらにラベリング制度の導入。昔のCFCのときも同じことがございました。それから、発泡用途等についても、グリーン購入法での対応が考えられる。ラベリング制度もあり得ると。洗浄用途等の分野での代替については、代替物質使用設備に係る税制上の優遇措置というところから進めていくのかなと。
 こういうようなことで、この分野については基準を設定したり、回収・破壊を義務付けるというような対応で相当程度進むのではないかと思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対するご質問、まず浅野委員。

○浅野委員 資料2-2の21ページの最後のところに、「発生場所が特定でき、漏洩防止対策も明らかになっている。確実な回収を行うための施策の導入か効果的である」と、ここまでわかっているのであれば、例えば規制という手法ももちろんあるんでしょうけれども、これの扱いはかなり可能性が出てくるのではないか。2-3の中に経済措置のようなものが最後のところにどっと並んでいまして、例えば発泡剤のようなものの回収という場合は別でしょうけれども、物そのものを回収するということに関しては、回収すれば得であるという仕組みにすれば、みんな喜んで回収するわけですね。
 外国の例を見ると課税というのがあるんですけれども、課税という言葉が嫌なら罰金でも何でもいいんです。この前にフロンの議論をやったときにも、オレンジジュースよりも安いという話をしたらびっくりしたんですね。せめてオレンジジュースの3倍ぐらいの値段でやったらみんな回収するんじゃないかという議論をやったことがあります。それと同じようことがここでも成り立つのではないかという気がします。だから、そういうような便宜の入り込む余地をきちっと入れておかなきゃいけないのではないかと思います。
 お答えは必要ありません。

○安原委員長 ほかにご発言ございますか。
 浅岡委員。

○浅岡委員 技術は不案内ですけれども、家庭用エアコンは家電リサイクル法の円滑な実施で本当に大丈夫なんでしょうか。

○対策課長 制度的に措置されていますが、いかに円滑というか、確実に成功するか……。

○浅岡委員 部分的にユーザーが運んできたときにはもう終わっているんじゃないか、回収不能な状況になっているんじゃないかと。

○調整官 私も専門技術的にはよくわからないところがありますけれども、使用段階で少しずつ冷媒が外に漏れ出てくるということもありえますし、最終的に取り替えるときに無配慮でやりますと、大気中に出ることが今まではあったと思います。しかし、現状ではそういうものをなるべく回収するということを制度化したわけであります。もちろん100パーセントというわけにはいかないかもしれませんけれども、漏洩防止の対策も講じながら、回収するとき、あるいは、点検するときなどに漏れ出さないような対策を行って、回収するということは、この法律のシステムの中ではかなり進んでいくのではないかと期待しております。

○安原委員長 まだご意見があると思いますが、もしご意見がございましたら、別途、事務局に連絡していただくということで対応させていただきたいと思います。
 それでは、大分時間が少なくなりましたので、最後に浜中地球環境局長からのご説明をお願いいたします。

○地球環境局長 お手元に(参考資料2)というものをお配りしてございますので、それをごらんいただきたいと思います。
 4月21日にニューヨークに行きまして、プロンク議長の主催により開催された「気候変動に関する非公式閣僚会合」、それから、その後、川口大臣が22日から24日までワシントンを訪問いたしまして、米政府の関係高官とも会談をし意見交換を行ったということでございますので、それについてかいつまんでご紹介申し上げたいと思います。
 まず非公式閣僚会合でございますけれども、これは昨年11月ハーグでのCOP6中断後初めての閣僚レベルの会合ということでございます。米国の京都議定書不支持の表明に関して、ほぼすべての国から懸念が表明されまして、米国が現在行っております気候変動に
関する政策見直しの結果を早期に明らかにするように要請をしたということでございます。
 事前には欧州連合等あるいは途上国から米国を非難するとか、あるいは、米国が参加しないなら、米国抜きでも発効を目指すというような発言があるのかなと予感をしていたのでありますけれども、会合に入ってみますと、予想以上に冷静な雰囲気の中で、今後の進め方について、各国ができる限りの知恵を出し合っていこうじゃないかと、そういう有意義な意見交換ができたのではないかと感じております。
 また、今後の進め方でありますけれども、ほぼすべての参加国からCOP6の再開会合において成功をおさめるため全力で努力をするという旨の表明があったわけでございまして、できるだけ合意を目指して柔軟な対応を行おうではないかという雰囲気も感じられたわけでございます。これは川口大臣が別途行いました一連のバイ会談と申しますか、それはご参考までにその後につけてございますけれども、そういった中でも感じられたわけでございます。
 もちろんCOP6再開会合の合意のためには多くの解決すべき課題があるわけでありまして、最近の米国の立場の表明によりまして、ここの10年間で気候変動交渉の最も困難な時期にさしかかっているというふうに受けとめております。そういう状況の中で、川口大臣から「各国がこれまでの交渉の経緯を踏まえるとともに、創造的で革新的な発想で交渉に当たることが必要だ」ということを述べさせていただきましたけれども、先ほど申しましたように、各国ともできるだけの知恵を出し合って何とか合意にこぎつけたいという発言があったということでございます。
 資料の7ページでございますが、その後ワシントンを訪問いたしました。そこでは、ホイットマン環境保護庁長官をはじめアーミテージ国務副長官、リンゼー経済担当補佐官とと会談をした。あるいは、共和党のクレイグ上院議員とも会談をしたわけでございます。この中で、我が国がアメリカの態度表明に対して非常に強く懸念しているということ、そしてまた、我が国の衆参両院におきまして、米国の不支持表明を大変遺憾とすることなどを内容とする国会の決議が全会一致で可決されたと。米国はCOP3の前に95対0ということで上院で決議をされたようでありますし、それを最近よく言われるわけでありますが
、我が国は衆参両院の全会一致でそういう決議をしたということなどもお伝えいたしました。
 我が国の方針は変わっていない、京都議定書2002年発効を目指して、COP6再開会合での合意に向けて努力をするということ。もう1つ強調いたしましたのは、タイミングが重要だということでございまして、政策見直しを早急に完了して、COP6再開会合に十分先立って具体的な提案を提示していただきたいと。それから、そのレビューにおきましては、短期的な経済コストへの配慮を言われるわけですが、それだけはなくて、京都議定書で市場メカニズムを活用する枠組みが入っているわけでありますけれども、そういうことを活用すれば費用効果的に目標達成が可能であるということ。それから、対応が遅れる、行動が遅れると、後々環境へのコストが非常に大きくなる。それから、マイナスだけではなくて、省エネ等の分野で技術革新があったり、市場を新しくつくり出すといった利益と申しますか、経済的な機会が生まれるという面もある。そういう幅広い観点からぜひ政策づくりをしてもらいたいと。こういうことを主張したわけでございます。
 アメリカ側は、日本の立場はわかりましたと、大統領にお伝えをすると。ただ、基本的には京都議定書不支持という従来の立場を理解していただきたいということでございます。それから、政策の見直し作業については、緊急の課題として関係閣僚が集まって非常に真剣に作業をしていると。いつまでということについて約束はできないけれども、7月のボン会合までには提案を提示できるように努力をしたい、その前に日本には必ず相談をする、こういうことでございました。
 このようにアメリカは、立場は立場としても、地球温暖化問題は非常に重要な問題だという前提の下に真剣かつ緊急に政策の見直しをやっているということでございます。どのようなものが出てくるかということについては、私どもとしても楽観はできないと考えております。他方でアメリカは友好国の意見にも耳を傾ける姿勢を持っているということでございまして、楽観はできませんけれども、引き続き粘り強くアメリカの参加を求めて、働きかけを全力で続けていきたいと考えております。
 今後の日程でございますけれども、4月21日のニューヨークの会合におきましては、プロンク議長から5月21日ころからスウェーデンのストックホルムにおいてポップス条約という、難分解性有機汚染物質に関する国際条約でございますが、それの採択のための外交会議を予定されていて、その期間に非公式閣僚会合の次回会合を開きたいと。と申しますのは、ニューヨークでの会合ではプロンク議長が事前に各国に配布をしておりましたプロンクさんの新しいペーパーについての議論もする予定でありましたが、そこまでの時間がなくて議論ができなかったということで、そういった議論を行うための会合をやりたいというお話でございました。
 その後、参加を招請している各国の都合が必ずしもそろわないという事情があったようでございまして、ストックホルムでの会合はキャンセルするという連絡がございました。そのかわりと申しますか、いろいろな機会をとらえてプロンク議長が各国と個別に協議を重ねていきたいということのようでございます。さらに、それを踏まえまして、6月あたりを中心にして次回の会合が改めて設定されるのではないかと考えております。そうした個別の協議とか、再度主要各国が集まって閣僚レベルで会合を行うとか、そういったいろいろな機会がございますし、それとは別にあらゆる機会、あらゆるチャンネルを活用しまして、アメリカに対する働きかけ、あるいは、各国の連絡、協議に全力を挙げていきたいと考えているわけでございます。
 以上、川口環境大臣の今回のアメリカ訪問関係のご報告をさせていただいた次第でございます。

○安原委員長 局長、どうもありがとうございました。
 今の局長の説明につきまして何かご質問ございますか。
 では、波多野委員、どうぞ。

○波多野委員 局長、どうもご苦労さまでございました。
 以前この会議で欧州ミッションが日本に来たときの資料を見たことがありまして、その中に「議長はアメリカの態度についてヨーロッパよりも日本はより楽観的であるという印象を持った」ということが書いてあって、僕はそれはちょっとミスリーディングじゃないかということを申し上げたことがありますけれども、今のお話を聞いて同じ感じがするんです。
 アメリカという国がどういう国か、それから、ブッシュ政権がどういう政権かということを考えた上で、最近私はまたアメリカへ参りますし、ヨーロッパにも参りまして、関係の人と話をしても、アメリカは物すごくかたいと。アメリカからいい提案が出てくることはあまり期待できないという前提でヨーロッパ等は作業を始めているんだと。今ご説明いただいた資料にも、一番最後の6ページに「米国は政策見直しにおいて友好国の意見にも
耳を傾ける姿勢が看取された」とありますが、これはミスリーディングだと思うんですね。
 アメリカとの関係においてはうまくいくはずがないと思うんですね。だから、アメリカに説得を中止しようというわけではなくて、説得はもっと続けたらいい。アメリカは今度国連の人道委員会で選挙に負けたりして、余り勝手なことをやっていると世界の世論はアメリカに厳しくなるということは自覚しつつあるとは思います。それにもかかわらずCOP6にアメリカが同調するということは全く考えられないと思います。アメリカ案が出てきたら、それは非常に勝手なものが出てくるんだと観念して準備しておいた方が正しいというか、国民をミスリードしないと。日本の各関係省をミスリードしないだろうと私は思っています。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 天野委員、どうぞ。

○天野委員 昨年の11月にCOP6の前半のところで、アメリカの環境保護庁からアメリカの政策スタンスというペーパーが出ていますが、その中で途上国の参加ということを言っているわけですね。これは先ほどの上院での決議を踏まえてのことなんですけれども、その中で自主的に途上国が削減義務を負って排出取引に参加したいと申し出てきたとき、それを認めるようにすべきだというのが一項入っているんですね。それがアメリカの考え方であるということを言っております。
 ですから、上院の決議とアメリカのスタンスの両方を考えますと、今の議定書の交渉を継続することはちょっと無理じゃないか。つまり、議定書の改正ということまで踏み込んだ提案を米国がしてくるのかどうかですね。今のCOP6の後半という形で進行するところへ米国がとどまるかどうか。議定書そのものの再交渉というのはないと思いますから、議定書の改正案のようなものが出てくる可能があるのではないか。そのあたりはどういうふうにごらんになっていらっしゃるんでしょうか。

○地球環境局長 米国はまだ政策の検討中、レビュー中ということでございますので、政府の関係者から公式な形で具体的な方向性が出ているわけではございません。NGOの立場の方からはいろいろな見通しなり意見なりはあるようでございまして、そういうお話は伺っております。そういうお話をお聞きしておりますと、さまざまな方向に関してアメリカの中でも異なる意見があるようでございまして、どういう方向で出てくるかは必ずしも予断を許さないのではないかと思います。
 その中で、おっしゃいましたような途上国の参加という問題については、かなり大きな問題というふうにとらえていることは違いがないようでございます。それから、もう1つは、アメリカ経済への影響といいますか、これは裏返せば京都議定書で定められた7%削減目標がアメリカにとっては達成が難しくなってきているというか、事実上ほとんど不可能ではないか、アメリカではこういうような見方がする方がNGOも含めて非常に多いとう話も伺っているところでございます。
 それらを踏まえて、具体的にどういう形でアメリカが提案を出してくるかということについては、先ほど申し上げましたように、かなり意見の幅もあるようでございますので、そういう中で政府としてどういうふうな提案を出してくるのかということについては、まだはっきりわからないというのが現状ではないかと考えております。

○安原委員長 森嶌会長、どうぞ。

○森嶌会長 この間も申し上げましたけれども、アメリカはこう言ってくるだろうということを一つで想定するのではなくて、ワーストケースの場合、それから、この辺で出てくる場合、それから、先ほどおっしゃった途上国の参加を求めるというのは、相手のあることで、少なくとも私の知る限りでは、将来はともかくとして、中国もインドも絶対に飲みませんので、義務づけというのはできないわけです。
 そういう実現不可能な提案が出てきた場合、それに対してどう対応するのかとか、幾つか考えられるケースをシナリオとして立てて、日本政府としては、出てきたときにぎょっとして思考を停止するようなことにならずに、これはAのケース、Bのケース、Cのケース、Dのケースということは言えるように、環境省も外務省も産業省もそうだと思うんですけれども、環境省もこれだけ長く交渉をして、かりテクニカルなこともやってこられたわけですから、COP3とは桁が違っていろんな情報を持っておられると思うんですね。ただ、どう出てくるかがわからないという場合に、出てくるのを待つということではないと思うんです。
 繰り返して申し上げたいのは、いろんな場合を想定して、そのときに日本としてはどういうカードを切るかということを真剣に検討していただきたい。私も、波多野先生ほどではないけれども、アメリカで暮らして、アメリカのロイヤーの行動パターンというのはよく知っているつもりですが、彼らは交渉事はまさにゲームなんですね。ですから、彼ら自身がこう出てだめだったらこう来るというようなことは考えてやっているはずなので、日本はいつも近隣の友好とかということを信じて、ただ誠実にやろうなんて言ったって、世の中通用しないわけですから、ぜひ今度のCOP6にいろんな提案が出てきたときに、日本の行動は外側から見て、日本国民から見て、あるいは、途上国から見て、またうろうろしたことをやっているんだということがないような対応の仕方を十分検討しておいていただきたいと思います。

○安原委員長 浅岡委員、どうぞ。

○浅岡会員 もちろん内部で十分な検討をされているはずだと思いますし、やっていただきたいと思うのですが、最近の報道では、日本のこれまでのような対応、ご説明いただいたような対応に対して、アメリカが変わらなければと言いますか、日本がアメリカに求めているようにならなければ、日本もアメリカに同調するのではないかということがいろんなところからも言われておりますし、報道になっているということであります。
 これに対して相変わらずの対応を続けていくと、日本は後ろ向きだと印象を与え、全体の交渉の雰囲気を悪くする結果を招きかねない。いつまでも今のような対応では済まない交渉の中に来ているということを認識していただきたいと思います。交渉として本当に議定書をまとめ発効させていこうという意思があるのであれば、それを心の中にとどめるような時期はもう終わりつつあるように思います。

○安原委員長 率直なご意見をいただきましてありがとうございました。
 これできょうの審議を終えたいと思いますが、よろしゅうございますか。もしご意見があれば事務局の方にご連絡いただければ幸いでございます。
 次回は5月25日、2時半から6時までということで、エネルギー転換部門に絞った審議をする予定でございます。場所は東条インペリアルパレス2階「ちどりの間」でございます。ご出席をよろしくお願いいたします。
 それでは、きょうは長時間にわたりまして熱心な討議をいただきました。ありがとうございました。
 小島審議官からご発言がございます。

○審議官 フロンの回収・破壊法について進展がございましたので、ご報告だけしておきます。
 きょう与党のプロジェクトチームでフロンの回収・破壊法の与党三党の合意ができまして、来週から野党との協議に入るということになりました。対象はHCFC、これらの6ガスの対象ですけれども、そのほかにモントリオール議定書のCFCとHCFCの3種が対象です。冷媒用のフロンでは業務用冷凍冷蔵庫とカーエアコンでございます。国会の日程は非常に厳しいわけでございますけれども、野党との合意ができて、全党一致の委員長提案になれば今国会での成立が図れる可能性が出てきたということでございます。
 国会日程は非常に厳しいので、全党一致にならなければ、日程がほとんどありませんので、今国会は難しいかなと。そうすると施行も遅れてしまう、選挙の後どういう格好になるかわからないというような状況でございますので、ぜひ今国会で全党一致をみて成立になればいいなと思っております。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして閉会とさせていただきます。どうもご苦労さまでした。

午後6時18分閉会