中央環境審議会地球環境部会(第88回)議事録

1.日時

平成22年3月5日10:02~12:04

2.場所

ホテルはあといん乃木坂6F「ソレイユの間」

3.議事次第

  • 1.地球温暖化対策基本法案の検討状況について

資料一覧

資料1
 地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)
資料2
 地球温暖化対策基本法案(仮称)に対して寄せられた主な御意見とそれに対する考え方
資料
 地球環境部会委員提出資料

議事録

午前10時02分 開会

○地球環境局総務課課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第88回地球環境部会を開催いたします。お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございました。本日の審議は公開として実施させていただいております。
 また、カメラ撮りにつきまして、冒頭のみと広報させていただいておりましたが、会議を通じて可能とさせていただきます。なお、ライト及びフラッシュについては冒頭のみでお願いしたいと思います。
 次にお手元の配布資料の御確認をお願いしたいと思います。資料1、資料2、他に各欠席委員の先生方の御意見、また出席されております先生の参考資料をつけさせていただいております。審議過程の中で、もし資料に不足等ございましたら事務局にお申しつけいただければと思います。
 それでは、これ以降の会議の進行は鈴木部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは議事に入らせていただきたいと思いますが、本日、田島環境副大臣に御出席いただいておりますので、まず最初に御挨拶を一言いただければと思います。

○田島環境副大臣 皆様おはようございます。本日は大変急な呼びかけにもかかわらず、こんなに多くの先生方に御出席をいただきました。本当にありがとうございます。
 本日は、皆様に、ただいま政府の方で準備をしております地球温暖化対策基本法につきまして御議論をいただくというふうに承知をしております。
 地球温暖化対策基本法は、それこそ鳩山総理が国連演説で、すべての主要国の公平かつ実効性のある国際枠組みの構築、そして意欲的な目標の合意のもとに、温室効果ガスの排出を2020年までに90年比25%削減するという大きな目標を掲げ、その表明を受けまして、あらゆる施策を総動員していく。その中で今後の政策体系を明らかにしていくため、用意をさせていただいたものでございます。
 中環審の先生方には、もっと早くにこの基本法案の内容等々を明らかにし、御意見をいただくのが本筋だったと思っておりますが、先月初めて皆さんに御議論をいただいたという点については、我が方の大変失礼があったと、心からお詫びを申し上げなければならないと思っております。
 ただ、現在検討しております私どもの地球温暖化対策基本法案は、我が民主党が昨年通常国会に提出をさせていただきました地球温暖化対策基本法案をベースに、マニュフェストに盛り込んであります内容も踏まえまして、3党合意による基本法制定が盛り込まれたことを受けまして準備をしてきたところでございます。
 民主党法案提出に当たっては、これまで各層、各界の皆さんからヒアリングも重ねてまいりましたし、オープンな場でのシンポジウム等も開催させていただきました。とはいえ、昨年夏の衆議院選挙での政権交代が途中に入り、こうした皆様へのお披露目のような形になってしまったことを率直にお詫びを申し上げなければならないと思っているところでございます。
 基本法案の政府内での検討につきましては、皆さんにも、もう既に聞き及んでいただいているかもしれませんけれども、今大詰めの段階に入っておりまして、連日私どもも、さまざまな会議、政策会議等々を主催させていただき意見をお伺いしているところでございますが、どうか今日、貴重なお時間を皆さんこうして割いて御出席をいただいた先生方ばかりであろうかと思います。ぜひ、よりよい中身にしていくために、皆様からの貴重な御意見を頂戴できますように心からお願いを申し上げまして、開会に当たりましての御挨拶にさせていただきたいと思います。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

○鈴木部会長 どうもありがとうございました。
 前回の地球環境部会におきまして、この地球温暖化対策基本法案につきましては簡潔に御説明をいただいております。また、委員の先生方はよく御承知のように、既に一般国民からのある種のパブコメなどの過程を経てもおりますが、この中環審の部会といたしましては、本来ですと大臣からの諮問をいただいて、この法案の審議を進めるというようなことになろうかと思いますが、今御説明がございましたように、既に昨年のうちから議員立法を目指された法案ができており、それがベースになってここへ進んできているというようなことで、途中経過の段階で、この地球環境部会において先生方の御意見を伺い、それを可能な限り法案にまた反映させていただくと、そういうことであろうかと思います。
 それでは、この基本法案、極めて重要な法案でありますので、その後の検討状況を含め、環境省の方から御説明をお願いしたいと思います。

○小林大臣官房審議官 おはようございます。大臣官房審議官の小林でございます。御説明をさせていただきます、よろしくお願い申し上げます。恐縮ですが座って説明させていただきます。
 2種類の資料を用意しておりまして、1つが地球温暖化対策基本法案の概要というものでございます。そこにも書いてございますが、政府部内で今議論の途上でございますので、若干まとまりきっていない部分も含めまして、環境省の責任で出させていただいているということを御了解いただければと思います。
 それから、もう1つの資料は、年末にいろいろなところから御意見をいただきましたもの、あるいはいろいろな説明会・意見交換の場も極力設けてということでやってきておりますが、そういうところでいただいた御意見を私どもの責任で集約をさせていただいたような形で、それに対する現時点での環境省の考え方、また、それに該当する条項が、この概要案のどこに相当しているかというようなことを示した資料でございます。
 それでは、法案の概要案の方をまず御説明をさせていただきます。
 基本法でございますので、一般的なスタイルで、法律の目的があり、基本原則、哲学や方向性を述べるところがあり、それから今後の中期的あるいは長期的な目標、これに対する対策はどうしていくかと。こういうオーソドックスな体系でございます。
 1ページ目、1.目的でございます。ここについても今最終段階で、いろいろな論議をし、練っているところでございますが、やはり最終的な目標として、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすことがないように、要するに地球の温室効果ガスの濃度も安定化させるということが究極の目的でございまして、こういったものはぜひ位置付けたいと思っております。
 それから、我が国が率先して対応をとっていくということも重要でございますし、国際的な枠組みをしっかり構築していくということも重要だというようなことを位置付ける必要があるのではないかと考えております。
 また、新しい社会をつくっていくという意味で、化石燃料になるべく頼らないような社会に今切り替えていくというようなことも大きな方向性ではないかと考えているところでございます。
 こういう大きな目標に向かってやってまいりますが、その中で、経済の成長あるいはエネルギーの安定供給ということと、ぜひ両立するような形でやっていきたいというような趣旨をうたえればというようなことで検討しているところでございます。
 2が基本原則。どういう考え方でやっていくかということを明らかにしたいというものでございます。
 (1)が、新しい生活様式あるいはビジネススタイル、こういうものを通じまして、そういう意味で、新しい意味での豊かな国民生活。それからまた、我が国が国際社会の中で競争力も保ってやっていける、そういう持続的な経済成長というものも実現をしながら新しい温暖化対策に対応できる社会をつくっていくという、新しい社会づくりという観点でございます。
 それから(2)は、地球全体の課題でございますので、国際的協調をしっかりとっていくということでございますが、その中で我が国は、これまで省エネを初めといたしまして大変蓄積された知識・経験があるわけでございますので、こういうものが十分生かせるような形で国際協調を図っていきたいというのが(2)でございます。
 (3)は、ベースになります地球温暖化の防止、またこれから温暖化への適応ということも大変大きな課題になってまいりますが、これに関する技術の開発あるいは研究、そしてまたその成果の普及ということも重要な課題であると考えております。
 (4)でございますが、地球温暖化対策あるいは適応への対応ということが、産業の発展あるいはこれに伴います就業の機会の増大というような形で、Win-Winの関係になっていくようなこともぜひ目指したいということでございます。こういう過程で特に、そうはいいましても産業も切り替えが必要になりますので、移行に伴う痛みに対する配慮も要るのではないかということで、「雇用の安定を図りつつ」というような言葉もいろいろな議論の中で今盛り込もうとしているところでございます。
 (5)でございますが、エネルギー政策、それから生物多様性、食料政策、こういった関連施策との連携は非常に重要でございまして、こういうものを事業者・国民の理解も得ながら、しっかりやっていきたいということも重要な要素ではないかと考えております。
 それから次に、中長期の目標でございます。先日の部会でも、ちょっとペーパーは簡単なものでございましたが趣旨は御説明を申し上げましたが、我が国は25%削減という高い目標を掲げて国際交渉にも臨んできております。コペンハーゲン合意を受けての我が国としての1月末の登録後25%削減、2020年ということで、前提条件をした上で登録をしております。
 これを制度でも位置付けていきたいということでございまして、[1]にございますように、平成32年、2020年でございますが、この中期的な目標として90年比で25%削減を目標とするということでございます。この中には、これからの国際交渉にかかわるわけでございますが、吸収源あるいは国際貢献というようなものも、もちろん制度としてはカウントし得るというような形で位置付けたいと思っております。
 [2]にございますように、これは総理も内外問わず一貫して申し上げているところでありますが、すべての主要国が公平かつ実効性が確保された枠組み、国際的な枠組みが構築をされていく、そしてその中で意欲的な目標について合意ができるというようなことを前提条件ということで言っておりますので、こういう状況が認められる場合に、この中期目標は設定をされていくということを明らかにしまして、もちろんこの合意に向けて頑張っていくと、こういうことでございます。
 (2)の長期目標でございまして、これは平成62年、2050年でございますが、80%の削減という大変大きな目標を、これは国際社会もこういう流れにございまして、位置付けていきたいということでございます。これは地球全体の排出量を半減いたしまして安定化に持っていくということを見込みながら行うものでございます。
 (3)、これに向けていろいろな政策を講じてまいりますが、特に中期目標について前提条件を設けておりますが、中期目標がそういう意味で条件が成就をいたしまして設定されるまでの間も、長期目標に向けての、これは途中のパスでございますので、政策は積極的に講じていくということを明らかにしたいと思っております。
 3ページにまいりまして、再生可能エネルギーの中期的な目標でございます。これについては供給ベースの方で目標を設けるべきなのか、あるいは消費量・需要の方で設けるべきなのか、いろいろ模索をしたり御意見を伺ってまいりましたが、供給量の割合として10%を目指すというような形で位置付けていきたいと考えております。
 そして、これらを実現するために、基本計画でも全体像をしっかり位置付けながら、対策は総動員でやっていくということでございます。
 5のところにそれを列挙しているわけでございまして、こういう諸々の対策をしっかりやっていくということを明らかにするというのも、この基本法の大きな目的であると考えているところであります。
 (1)が国内排出量取引制度でございまして、ここに明記しておりませんが、どういう意味での制度であるかということを、定義というような形でさらにここに書き込んでいかなければならないと思っておりますが、環境省としては、ぜひキャップ・アンド・トレード型の制度を位置付けていければということで政府内では議論を続けているところでございます。
 また、いつ制度を導入していくかというのも目途を持った形で、例えば1年後には法律を提案していくというような形で位置付けられればということも希望しているところでありまして、論議の途上でございます。
 それから特に、次に出てまいります温暖化対策税の検討とは並行して検討が行われると。全体を視野に入れながらの議論ができるということも、これもいろいろなところからの議論をいただいたことを受けて、そういうようなことを位置付けているところでございます。
 いずれにしましても、[2]にございますように、具体的な制度設計は個別の法制度のこれからの検討の中でやっていくということで、大きな方向性・位置付けをここで決め、具体的論議は今後に委ねるということでございます。
 (2)地球温暖化対策税でございます。これは昨年末の税制大綱での位置付けを受けまして、後段の方でございますように、23年度の実施に向けた成案を得るように検討するということでございますが、もちろん税制全般のグリーン化ということも重要な課題であるというふうに位置付けられないかと思っております。
 (3)固定価格買取制度でございまして、この位置付けも重要と考えておりますが、ここについても全量買取方式の制度であるということを積極的にうたったらどうかというような提案をし、議論をしているところでございます。
 (4)以下は、諸々の対策の総動員ということでございますので、ちょっと逐一の御説明は、後で御質問なりあった場合の対応とさせていただきたいと思いますが、ハードな対策、それからソフトな人づくりというようなものも含めまして、幅広に掲げていきたいと思っておりまして。便宜的に、ここでは日々の暮らしにかかわる取組、ものづくり、地域づくりというような形で整理をしておりますが、条文上はずらっとこういった政策が並んでくると、こういうことになろうかと思っております。これは関係省庁から極力いろいろなものを積極的に位置付けるようにというような御提案をいただいておりますので、極力前向きに取り組んでいきたいと思っているところでございます。
 最後5ページにまいりまして、ちょっと書きぶりは書いておりませんが、原子力の利用についての一定の位置付けというものも重要な課題だと思っておりますし、それから、国際協調という中で、連携してくることはもちろんでございますが、特に日本の優れた技術・経験が各国に貢献ができ、それがまた評価されるような仕組みというものも、これも各界から御提言をいただいておりまして、ぜひとも手がけていきたいと思っております。
 (7)、ちょっとさらっと書いておりますが、温暖化への適応も、安定化までには随分時間がかかりますので今後ますます重要な課題になっていくというような認識でございます。
 (9)にございました、副大臣からのお話もございましたが、今最終段階で、今日もこういう場をもたせていただいておりますが、基本法はスタートラインでございますので、これを具体化していく中で、いろいろな方の御意見を聞き、意見交換をしてやっていくということは重要な課題だということで、これも法律に位置付けたいと考えております。
 次のペーパーについては、ちょっと適宜御参照いただくということで若干の御紹介にとどめさせていただきたいと思いますが、1ページ目は意見交換、意見聴取をしっかりやるべきという御指摘をいただいているところでございまして、この法案作成の過程でも極力努めているところでございますが、今後ロードマップあるいは基本法スタートラインとしての基本計画策定、個別政策の中で、しっかり実質的な意味の意見交換をやりたいという趣旨でございます。
 それから、基本法でどこまで細かく書いていくのかというような御指摘もよく受けるところでございますが、基本法でございますので、1ページの下の方に書いておりますように、全体の施策のプログラムを規定するということでございます。その中で大きな方向性は明らかにした上で、ただ、具体策については今後の論議をしっかりやっていくというような位置付けができればと考えているところでございます。
 中長期計画、特に中期計画について、2ページでございますが、前提条件をしっかり書くべしというのが、年末の御意見をいただいた中でも最も多い意見でございましたので、先ほど御説明したように、そこはしっかり位置付けをしたいというふうに今整理をしつつあるところでございます。
 それから一方で、その前提条件があるときに、それがあるからといって前提条件ができるまで対策が進まないというのは困るというような強い御意見もいただいておりまして、その辺は先ほどのように長期目標に向かってしっかりやっていくということでございます。
 あと森林吸収源の問題等々。あと若干、一、二の御紹介にとどめますが、4ページ。特に経済・雇用への影響について目配りが重要だというような御意見もいただいておりまして、4ページの下から5ページにかけて書いておりますが、基本原則の中で経済の持続的な成長を実現しつつというようなことでありますとか、先ほども御紹介いたしましたような雇用の安定への配慮というようなことを基本原則に盛り込み、また個別施策の中でも、新しい事業の創設、健全な発展というようなことをぜひ積極的に位置付けたいと考えているところでございます。
 それから、産業界の意見をよく聞くべきということも、全くおっしゃるとおりでございまして、前向きに新しい産業・雇用を生み出すというような観点での論議をぜひ進めたいというふうに考えております。
 あとは適宜御覧をいただければと思います。先ほどの御説明とダブりますので省略をさせていただきます。
 8ページにまいりまして、原子力の推進につきましては、先ほどの資料では項目のみの提示にしておりまして、ここは今いろいろな論議をしているところでございます。現時点での環境省の考え方を述べれば8ページにあるようなことではないかということでございます。
 とりあえず最初の御説明は以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 これまで御説明いただきましたことに関しまして、委員の先生方から御意見あるいは御質問があろうと思います。また、文章で資料をお出しいただいている委員の方もいらっしゃいますが、御意見を開示していただくときにそれをお使い下さい。それから、本日御欠席ではありますが永里委員、西岡委員、そして森島委員から文書で御意見をいただいております。これは御参照いただければと思います。
 それでは御質問・御意見おありの方は、例によりまして名札を立てていただければと思います。
 ほとんど全員の方になりますか。こちらからまいりましょうか、浅岡委員から、それでは。

○浅岡委員 大詰めということでありますが、ぜひとも反映をさせていただきたいと思います。
 要点につきまして幾つか申し上げます。目的というところで、条約の条文だけが引かれておりますが、やはりここはコペンハーゲン合意でも2℃という目標があったと。それから削減対策をもって経済を成長させていくという位置付けで、もっと動的にとらえた書き方をしていただきたいと思います。
 申し忘れましたが、気候ネットワークでは、他のNGOとも協力いただきまして、NGOからの地球温暖化対策法案(気候保護法案)を条文化いたしまして、ホームページにもアップしておりますので、どうぞ御参照いただきたいと思います。
 目標につきましては、この25%の前提でありますけれども、先ほどから、その前提が確認できるまで何もしないわけではないというお話も一方でありましたが、それではやはり削減のメッセージ性はとても弱いと思いますし、その間に何ができるのかも懸念される条文になっています。
 条文の書き方といたしましては、解除条件的に国際合意の結果によって見直すということもありますし、附帯決議などで見直しを確認しておくということも可能だと思います。そもそも2050年にわたるものですから、基本的に目標の強化も含めた見直しの条項を入れておいて、2020年目標については国際合意や科学の動きによって目標を見直すということを明記しておくというのは1つの方法ではないかと思います。
 今の形で、特に附則で、いつ、2020年目標が本当に法的な意味を持つことになるのかわからないということは、この法律の最も根本的な位置付けを欠く、存在意義を欠くと思います。
 この基本法は、プログラム法だとおっしゃいましたが、今、温暖化に必要なのは、単なるプログラム法ではなくて、実効性のある、実効規定が入った法律である必要があります。
 それから、主要な対策であります排出量取引につきましては、西岡先生も書いてくださっておりますけれども、原単位目標、何らかの指標による目標が、産業界や労働組合関係から言われているということで、政府の中がゆらゆらしているように見えるわけでありますけれども、ここは総量での削減目標を設定し、全体の削減量を確保するということでなければ、この制度を入れる意味がないと思います。
 途上国の国の目標が原単位など効率指標が多いため、これでは総量は増えておかしいじゃないかと産業界の方は強く批判をしているわけでありますが、同じことが自分たちに返ってくる問題です。ここは総量で、しかも発電所が対象から外れるような間接排出による取引制度設計には絶対にしてはならない、対象は事業所単位、直接排出でやらなければいけないと重ねて申し上げておきます。
 再生可能エネルギーにつきましては、目標が低いこと、全量ということはとても重要なことであります。私も太陽光発電を設置しているのですけれども、余剰というのはほとんどございません。これでは皆さんの気持ちが動かないと思います。
 さらに、再生可能エネルギーのうち、太陽光に非常に偏重になったプログラムが議論されているように思います。一昨日の議論を見ましても、半分以上、6割もが太陽光によるとするような計画では、高くつく上、実効性は上がらない。もっと他の再生可能エネルギー、風力などを大きく入れられる仕組みでなければ目標も達成できないと思います。
 それから、法案では弱いのですけれども、私はもっと自治体の役割ということを大きく書き込んでいただきたいと思っています。それから第三者機関を、昨年の法案の中では、目標の見直しなどで科学に基づく第三者機関を入れておられたわけでありますから、ぜひとも入れていただきたい。
 そしてこれらが動く、本当に国民が動いていくためには情報をしっかり開示すると、このことをもっと明記していただきたいと思います。
 原子力につきましては、この法律ができて原子力だけが動くなんてことに決してならないように、よろしくお願いしたいと思います。

○鈴木部会長 では浅野委員。

○浅野委員 私は浅岡委員の御意見とは若干違うんですが、むしろ長期目標のところが明確に書かれ、何であれ長期目標については法が施行された途端に効力を持つということにした、基本法のアイデアは大事なことだと思います。
 中環審は、2050年に80%削減という目標に向けて長期的にどう対応すればいいのかを、これまでも真面目に考えてきたわけですが、本当にそのための施策は時間をかけて実施しなくてはいけないことですから、当面の10年先のことばかりに全部の議論が集中するという構造にはあまり感心できない面があります。その意味では、何であれ長期目標が80%削減の点にあることを明確に示すこと、それから、世界全体では50%削減をめざすべき、ということが明確にされるのは政策方針を示す基本法としては大事なメッセージではないかと考えます。
 その上で、実は見落としていて、今ごろになって言って申しわけないので、今さら法律に入れろということまで言う気はないのですが、少なくとも中環審の特別部会が、持続可能な社会ということで今まで指摘してきたことは、低炭素社会・生物共生社会・循環型社会の同時実現だった。ところが、その循環型という視点がこの基本法では十分に位置付けられていない。この中には生物共生・エネルギーは入っているんですけど、循環型という視点がどうも正面から出てこないわけです。それで、これはやっぱり何とかきちっと意識していかなきゃいけないと思います。
 と申しますのは、環境政策の基本は、前回も申しましたけれども、環境基本法です。この環境基本法のもとに温暖化対策基本法がつくられ、生物多様性基本法があり、循環型の基本法がある。こういう構造を考えてみれば、必然的に基本計画の一番上に、私どもの理解では環境基本計画が来るんだろうと思います。それに基づいて多分この地球温暖化対策についても基本計画がつくられる。循環も基本計画がつくられる。そして生物は国家戦略からつくられると、こういう構造になっておりますから、循環が浮いてしまうということになるのは甚だ残念なことです。
 それともう1つは、構造上の問題がちょっとここでややこしくなってくるなと思うので、今後の立法上の工夫が必要だと思いますのは、京都議定書目標達成計画が温対法にもとづいて現に存在しますから基本法成立後は、これまでの推進法の目達計画は何らかの形に形を変えざるを得ないのですが、そちらの方は何年か置きに書き替えという構造になっているとすると、この温暖化基本法の基本計画は、そんなにたびたび書き替えるのでは、まずいということになります。
 一方では、環境基本計画は5年ごとに見直しをしていますし、循環計画も5年ごとに見直しまして、さらに生物多様性国家戦略の方も大体そのぐらいで改定されてきていきますから、そこら辺の関係をどう整理するかというのは、ちょっと悩ましいところです。何らかの形で工夫せざるを得ませんので、仮にこの法律ができた場合には、理解としては、この温暖化基本法における基本計画というのも、どっちかというと基本法に書かれている主要な施策をもう少し具体化して書くと。それを年次計画に落としていくのが推進法レベルになるという、こういう構造にならざるを得ないだろうなと思います。
 それに関連して申し上げますと、この基本法にできるだけ政策については明瞭に書いておけば基本計画の負担は軽くなります。もしこの基本法が抽象化されたものであれば基本計画のところでしっかり書けばいいということになりますので、これはどっちでも構わないということになります。
 だから基本法にそんなに細かいことまで書き込んでしまうというのは、次に何か変えるときにも法律改正になりますので大変やりづらい。それに対して基本計画の変更というのは閣議決定でできますから。そういう意味でいえば、基本法にあんまり事細かに、技術的なディテールにわたるところまで書き込まない方が賢いんじゃないかという気がいたします。
 最後に、浅岡委員が言われたように、自治体の役割について国の法律、今の地方主権の時代に詳しく書くことはつらいとはいうものの、政策の基本ですから、国と自治体が一体となって対策に取り組むんだという姿勢にもとづいて書くのであればそれは許されると思うので、もっと自治体の役割については積極的に強調しておく必要があるだろうと思います。
 それにあわせて地域づくりが重要だと考えます。はじめに80%の目標に触れましたが、その実現のためには、やっぱり長期にわたるソフト・ハード両面でのインフラ整備とでもいうべきことをやらなくてはどうにもなりません、「コンクリートから人へ」ですか、そのことは私、賛成ですが、温暖化対策をしっかりやることによって将来の人を支えていくことになる。そのためには、徹底的に公共事業をつぶすだけでなく、グリーン化をはかり、80%削減に効くような整備はやるべきだということは意識しておく必要があると思います。

○鈴木部会長 それでは飯田委員。

○飯田委員 できるだけ手短に、5点申し上げます。
 その前提として、今日、田島副大臣も来られているので申し上げますが、「政治」とは最後は足して2で割って、お互いをWin-Winに持っていく妥協が必要だと思います。しかし、足して2で割ってはいけない世界というのもあります。(政治的に「足して2で割る」には)その前提として、当然、科学とか合理とか現実とか、そういうものにのっとった議論をお互いに尽くした上で、お互いに痛みや変化を和らげるために、「足して2で割る」ところが最後は必要となるのだと思います。しかし、「足して2で割る」以前の議論も紛れ込んできているので、そこはしっかりと切り分ける必要があります。そうでなければ、どんなデタラメでもどんどん言ったもの勝ちとなり、デタラメとまともな議論を足して2で割っていたら、本当にデタラメになってしまいますので、そこは要注意しなければいけないと思います。そういう意味で5つ申し上げます。
 まずやっぱり目標値。この点は、私はまた改めて浅野さんの議論ではなくて浅岡さんの議論に戻りたいと思います。アメリカでは温暖化に関しては、大きく、英語で言うところの「ディナイナー」(denier)、いわゆる懐疑派、否定派があり、これは論外です。ただ、要注意しなければならないもう1つは「ディレイラー」(delayer)です。ディレイヤーとは、非常に巧妙に対策を遅らせて事実上対策をとらせないというもので、ここは最大の要注意ですね。
 国内の目標値に「ただし書き」が付くというのは、そもそもナンセンスです。しかし「ただし書き」が、もはややむを得ないのであるなら、先ほど御説明のあった長期目標で担保するのではなく、この「ただし書き」は中期目標を達成することを妥協するのではないというふうに、しっかりと長期ではなくて中期の方で担保しないと全く意味を持たなくなる。それはもう環境省がこれまでもさんざん経験されてきた、いわゆる省庁間ポリティクスだと思うんですね。ここは要注意で、そもそも削除することが真っ当であるというふうに思います。
 科学のところは、もう西岡先生が書かれているので、科学は長期だけじゃなくて中期のところもしっかり科学に基づいていますので、これを位置付けないとなると、そもそも環境省は科学を捨てたのかということになるのです。
 2点目、キャップ・アンド・トレード。これはもう浅岡さんが先ほど申し上げたので、もう繰り返しませんが、少なくとも世界の中でガラパゴスになるような制度はやめていただきたい。つまり原単位であるとか、発電所にしっかりと削減義務がかからないキャップ・アンド・トレード、これはそもそもあり得ないということです。
 それから、3点目の再生可能エネルギーのフィードインタリフ。これももともと民主党のマニュフェストでは、必ずしも既存の水力を合わせて10%かどうかははっきりしていないので、しかもこの国は、ほとんどエネルギーを輸入して、極めてエネルギーが世界の中で最も脆弱な国の1つですから、10%に達するではなくて、少なくとも10%以上とか、もうちょっとここは意欲的にすべきではないかと考えます。
 なお、3ページ目にある、固定価格制度を創設・拡充ではなくて、ちゃんと法制度を手当てすると、法制度のところまで書き込んでいただきたいというふうに思います。
 それから原子力。原子力をめぐってはいろいろ議論があると思いますが、ここに素朴に10年前から、10年一律のように単純に推進を書くのではなくて、過去の歴史をしっかりと目を見開いて見ていただくと、原子力の稼働率が上がらなかったゆえに、そこを石炭火力で埋めて、この国の増分って、ほとんど石炭火力が占めているわけです。つまり原子力のパフォーマンスが落ちたときに、それが温暖化の排出の増加につながらないという、そちら側の歯止めもしっかりと入れていただきたいということです。
 5点目、地方自治体の重要性は先ほどのお二人と一緒なんですが、私は固有名詞で申し上げたいんですが、東京都が、もうこの春からキャップ・アンド・トレードを始めるわけです。アメリカもカリフォルニア州とか、そういったところの経験がちゃんと国に生きていますので、やはり地方自治体のイニシアチブもしっかりと尊重しながら、それを国の制度設計にもきちんと反映をしていくといったことも、まあこれは法に書くことではないかもしれませんが、法の精神に生かしていただきたいというふうに思います。以上です。

○鈴木部会長 では猪野委員。

○猪野委員 ありがとうございます。
 席上に私の意見書を提出させて頂いておりますので、そちらに沿って意見を述べさせていただきます。
 まず基本法案につきましては、我が国の国民生活や経済活動に大きな影響を与えるものであることから、法案の策定にあたりましては、各種の施策が国民経済や雇用に与えるプラスとマイナスの効果や、国民負担などについて明らかにした上で、国民や企業の意見を十分踏まえることが必要であると考えます。是非情報開示を行っていただき、その上で国民各層との対話を丁寧に積み重ねていただきたいと思います。
 また、本法案のような重要な事項につきましては、当審議会はもとより、関連する審議会などにおいても慎重に審議すべきであり、その内容が法案に反映されるべきであると考えます。
 次に、中期目標につきましては、前提条件が確保される基準を明確に示すとともに、国際的な公平性や実現可能性、国民負担の妥当性・納得性を確保し、国民の理解と合意の上で目標を決定すべきであると考えます。
 長期目標につきましては、少なくとも「2050年までに世界半減」が途上国を含めた国際合意となることを前提条件とする必要があると考えておりますが、2050年という40年後の世界について、定性的な方向性を示すというのであればまだしも、技術的な裏づけが十分見通せない中で、法律で80%という数値目標を厳格に設定することに違和感を感じます。
 また、基本的施策についてですが、国内排出量取引制度や温暖化対策税、固定買取制度などについては、施策全体の効果、国民の負担を検証した上で法案に盛り込む必要性を判断すべきであると考えます。特に排出権取引についてですが、例えば工場で製品を製造する段階ではCO2を排出するものの、その製品の利用段階までをトータルで見ればCO2が大きく削減されるという、ライフサイクル的な観点から評価することも重要であり、単に工場に排出量の上限をつけるということは、技術の開発や普及にも何らかの制約をかけることにも繋がります。
 続いて、全体の表現についてですが、資料1、1ページの1の目的の8行目に、「脱化石燃料社会への社会経済構造の転換」とあります。化石燃料につきましては、中長期的に見ても引き続き重要なエネルギー源であることには変わりはなく、化石燃料を効率的に使うということが重要です。したがって、脱化石燃料社会というよりも低炭素社会という言葉を使った方が適切であると考えます。
 また、3ページの再生可能エネルギーの目標については、本来、中期目標達成の具体的な道筋の中で設定されるべきであると考えます。特に再生可能エネルギーの目標値は、社会的コストや実現可能性を検証した上で掲げる必要があると考えております。
 さらに、再生可能エネルギーの定義ですが、ヒートポンプは、大気中に存在する大気熱を活用する技術です。欧州においても、大気熱は再生可能エネルギーに位置付けられていることから、我が国でも太陽光と同様に、大気熱も本法案の再生可能エネルギーの1つとして位置付けるべきであると考えます。
 それから5ページですが、原子力は、温室効果ガスの削減に、量的にもコスト的にも最も有効な対策です。国の明確な意志なくして、原子力の推進成り立ちません。エネルギーセキュリティや経済性とのバランスの視点からも、原子力の利用促進を明確に本法案に規定すべきであると考えます。
 最後に1つ申し上げます。資料2の1ページの1、最後のパラグラフに、「基本法をスタートラインとして、関係者や国民の意見を伺い、意見交換も行う」とありますが、これは順番が逆のような気がいたします。基本法の制定に先駆けて、開かれた議論を行い、関係者や国民の理解や合意を得るべきです。十分な情報を提供した上で議論を行うべきであり審議会がスタートラインではないかと思っております。以上でございます。

○鈴木部会長 石坂委員。

○石坂委員 ありがとうございます。4点ばかり申し上げようと思いますが。
 1つは今、猪野委員もおっしゃいましたように、原子力の利用というところが、まだ書き込まれていないような、調整状態にあるようですけれども、温暖化防止を進めていくためには原子力の利用は避けて通れないものでありますから、これはきちっと利用につきましての前向きな記載が必要であると思います。
 それから2つ目は、資料の3ページで、民間企業によるクリーンな技術や製品の提供などを通じた世界全体の排出量削減への貢献、これについての規定をすべきではないかというふうな書き方をしてありますが、規定すべきかどうかということは別にしましても、こうした話を国際交渉でも十分に主張していっていただきたいと思いますし、こういう面での日本の役割なり効用というのは大きいと思いますので、1つの大きな重要な点として重視をしていっていただきたいと思います。
 それから、この全体を通じまして、裏を返せば当然わかることなんですけれども、かなりいろいろな意味での負担を国民に強いるということは避けられないわけですね。つまりコストの面があると。そのことについて、そういう問題があるんだということは、どこかにやはり記載をし、負担を求めるというふうなことを書いておくべきではないかと思います。
 最後の点は、そこの7番目の地球温暖化への適応ということですけれども、いかに日本が25%削減をしても、世界全体として見るとそのウエイトはそんなに大きいわけじゃありませんから、温暖化が進んでいくということは避けがたい事態だと思うんですね。したがって日本として、温暖化が進んできたときに日本国はどう対応するんだという具体的な政策というものを、今から用意をし、積み上げていかないと、大変、日本国にとっては憂うべき事態が将来生じる可能性があります。したがって、この点は十分に重視をして書き込んでいただきたいし、対策もとっていく必要があると思います。

○鈴木部会長 では岩村委員。

○岩村委員 私からは、基本原則の2番目の地球温暖化対策のところで、「我が国に蓄積された知識、技術、経験等を生かす」という部分について、意見及び政府の今の動きを質問したいと思います。
 我が国が環境の技術で最先端を行っているということは、誰しも認めるところですし、それを生かして今後の経済成長戦略の中にも取り込むという方針。これは報道でいろいろ取り上げられています。ただ、残念ながら、これをどうやるのか。ここに書いてあることは「生かして、応じて、推進する」というのですね。それから国際的協調。それで国際的協調というのは5ページのところに書いてあるんですが、これも今まで言っているのと、どこが違うのかなと。もうちょっと具体的とは言いませんけど、例えば、今せっかく持っている技術、これを使ってくださいといったって使わないと思うんですね、そんなコストのかかることはやりません。今の中国・インドの態度を見ればすぐわかるわけで、そこら辺を何か仕組み、国際的な協調というのか、国際的な枠組みの中に取り入れられないかという視点の検討は、されているのかどうか。成長戦略に入れられるんだから当然そういう議論もされていると思うんですが、今の政府の動き。
 それから、日本の石炭火力1つとっても、それは今、中国でつくっているもの、インドでつくっているもの、製鉄所も同じだと思いますけど、日本のものとは全く別水準ではないか。高水準のものを日本はつくってきて、それを利用しているわけですから。じゃあ他の国にもそういうものを使うように、これは国際的ないろいろな枠組みのための議論がいると思いますけど、そういう方向というのはないのかどうか。今日現在でも日本の基準のものが中国なりインドでできれば、温暖化ガスを増えることはとめられないまでも増え方を押さえられるんだろうという気もしますし、やっぱりその点を議論すべきだろうと。
 それから、基本法の中にも、推進されなければならないじゃなくて、もう少し具体的に、そういう意味で、国際的にイニシアチブを握るとか、そのぐらい何か覚悟があってもいいんじゃないかなという気がいたします。
 私の言った意見が、そんなものは既に検討済みだというのであれば、そのお答えを教えていただいても結構だと思います。ありがとうございました。

○鈴木部会長 では及川委員。
 今までのペースで進みますと、時間がとても足りなくなります。なるべく簡潔に、申しわけないんですが、よろしくお願いします。

○及川委員 はい、わかりましたけれども。
 今日の資料ですけれども、事前にお送りいただいて私なりに勉強してきたんですね。ですけれども、ちょっとこの日本語はひどいなというのが、まず最初の全体的な印象でございました。
 そして、これは日本の法律ですから、いろいろ年号が出てくるんですけれども、平成で表記されているというのは、ある意味では当然なのかもしれませんけれども、単に日本だけではなくて、世界に向けて日本はこうするんだという理解を得られるような格好が要るように思うんですね。そういったときに例えば、平成2年における温室効果ガスというようなものが出てきますけれども、これは1990年なんです。京都議定書の基準年なんです。そういったのをきちっと示すというのが1つには大事ではないかなという印象を持ちました。
 それから、税制のことが出てきまして、具体的な内容は、別にここでどうこう言うわけではないんですけれども、税制全体のグリーン化という表現がありますね。これが何でグリーン化かというと、森林が吸収源であると、それが前提にあるだろうと思うんですけれども、その森林に関して書かれているというのは、もうごくわずかですね、つけ足し程度にしか出ていないんですね。だからこういった表現が適切なのかどうかというのが、ちょっと違和感を覚えるということがあります。
 そして森林に関していえば、もちろん吸収源であると同時に国土保全、日本なんか山地帯ですから国土保全という意味合いでも森林が大事ですし、それから蒸発散で加熱を防ぐといった意味合いでも、二酸化炭素を吸収する以上に重要な働きをしているんですね。だから、そういったものをきちっと理解した上で、何かまとめていただけないかなというのが私の希望でございます。
 それから後ろの方に、監視体制等の実施ということが書いてありますけれども、日本というか、環境省では1990年から、地球環境研究総合推進費、略して推進費と言っておりますけれども、この推進費で非常に多くの科学的な研究をしてきていて、既に20年の実績があるわけです。そういったものを生かす。あるいは10年ぐらい前から、いわゆるアースシミュレーターですね、それが稼働して、精力的な研究が継続しているわけです。
 そういう科学的な成果を、日本で生まれた科学的な成果をきちっと取り上げて生かしていくという精神が、何かこれだけを見ると全然感じられないんですけれども、何かそういったようなことが生かせるような形にしていただきたいというのが私の希望です。以上です。

○鈴木部会長 逢見委員。

○逢見委員 私はペーパーを別途用意してございます。ただ、これを全部紹介するとちょっと発言時間をオーバーするかもしれませんので、これを参照しながらポイントのみ発言させていただきます。
 総論の一番最初のところに、地球温暖化対策は雇用対策と一体的に推進すべきであるというふうに述べておりますが、これが意味するところは、まず我が国は資源も食料もエネルギーも輸入に依存しなければいけない体質であると。そうした国民生活に必須な資源、食料やエネルギーを今後も安定的に輸入するためには、それを手に入れるだけのしっかりした富を国内でつくっていかなきゃいけない。その富は、私はものづくり産業にあるというふうに思っておりまして、将来においても日本のものづくり産業が、きちんと国内で存立し得るということが重要だというふうに思っております。また、雇用という点においても、やはり雇用をしっかり支えるものづくり産業が我が国において必要だと。
 地球温暖化対策は、低炭素社会に向けて、日本の、我が国の産業構造の転換をもたらすものであると。その中で新しい産業が伸びていくということで、就業機会が拡大していくということは当然必要なわけですが、もう一方で衰退する産業も出てくるわけです。そうしたところで雇用、そのことが直ちに失業者の増大となって社会に出ていくということではなくて、こうした人たちがきちんとした新しい仕事に移行していくという、雇用の公正な移行ということも配慮すべきだと。
 そういう点で、資料1の基本原則の(4)に、このような雇用の安定を図りつつとか、就業機会の増大というものが入っていることについては評価したいと思います。ただ、目的のところにも、ぜひそうした雇用の安定を図るというような趣旨のものが込められるようにお願いしたいと思います。
 それから、雇用の創出については、政府部内で今新しい成長戦略がつくられて、昨年12月に基本方針が示され、これから具体的な行程表があるわけですが、新成長戦略の中には、環境とか健康とか、これから重点的に伸ばさなきゃいけない産業分野が列記されて、そこに雇用の創出目標も具体的な数字が入っております。私どもは、これは非常に重要なところだと思っておりますので、こうした新しい産業が雇用をしっかりつくっていくというために、そのことが温暖化対策基本法によって、そういう部分の新しく伸びる産業が縮小せざるを得ないということがないようにお願いしたい。
 これは理念を語る基本法ですから、具体的なものは書き込まないということだと思いますが、特に排出量取引の部分について、総量規制、総量枠のみの設定ですと、そうした新しい産業が伸びていく、そういうものを制約することになりかねないということを懸念しておりまして、そうした産業については、原単位での対応ということも可能なような仕組みとすべきだというふうに思っております。
 それから、ちょっと資料1で気になったところは、猪野委員も指摘されたところでございますが、目的のところに「脱化石燃料社会への転換」という文言があるんですが、脱化石というのが、どの程度のことを意味するのかわかりませんが、まだ今後とも、化石燃料への依存度は減らしていかなきゃいけないと思いますが、「脱」ということで、それに頼らないというところを意味するとすれば、まだちょっとそこはしばらく時間がかかるというか、まだ必要な化石燃料はうまく使っていくべきではないかと思っております。
 それから、原子力のところが、まだ調整中ということで中身が記載されておりませんが、これはエネルギーの安定的供給、そしてそれが低炭素化を進めていく上できちんとした位置付けが必要でございますので、原子力の利用というタイトルになっておりますが、これが多分、推進とか促進とか、そういう形の中身になるというふうに理解しておりますけれども、そういうことできちんとした位置付けをお願いしたい。
 政策形成への民意の反映。我々は社会対話が必要ということをずっと言い続けております。冒頭の田島副大臣の中で、これまでの経緯についての説明がございましたけれども、今後ロードマップも含め、いろいろな具体的な議論をしていく上では国民の意見を広く聞いて、開かれた議論になるようにお願いしたいと思います。以上です。

○鈴木部会長 では大塚委員。

○大塚委員 4点、簡単に申し上げたいと思いますけど、2点は意見で、2点は簡単なコメントでございます。
 第1に、排出量取引が特に焦点が当たっていると思いますけれども、先ほど御説明がございましたように、キャップ・アンド・トレード型というのはぜひ書き込んでいただけるとよろしいかと思います。というのは、原単位目標での排出量取引というのはやっても、恐らくほとんど効果は発揮しない可能性が高いので、何のためにあるかちょっとよくわからないということになってしまうように思われますので、キャップ・アンド・トレードというのは、ぜひ書き込んでいただきたいと思います。
 それに対する産業界の御懸念もわかるのですが、もしそういうのがあるのであれば、基本原則の中に「国際競争力の確保」ということを入れていただくと、それとセットというのは1つの方法かなというふうに思います。つまりキャップ・アンド・トレード型を入れて、かつ国際競争力を確保するというのが、恐らく今後我が国が取るべき方向性ではないかと思います。
 それから第2点でございますけれども、排出量取引とも関連するところですが、排出量取引と環境税と固定価格買取制度という3つのものは、この基本施策に書いてありますように三本柱で、すべて非常に重要な問題だと思います。西岡先生も書いておられますように、ポリシーミックスというのが非常に重要なんですが、ちょっとそこの点があまり書かれていないのではないかという感じでして、5の(1)の[2]のところには確かに税と排出量取引の関係は書いてあるんですけれども、固定価格買取制度も含めて3つのポリシーミックスということを、ぜひ書いていただけるようにしていただけるといいのではないかと思います。
 以上2点は意見でございます。
 あと2点、簡単なコメントでございますけれども、目標についてでございますが、中期の目標につきまして、主要国の排出は意欲的な削減がなされるということが条件になっているということは、結論的には私はこれでいいと思っております。ただ、法的に見ると、かなり異例なことだということは一応申し上げておきたいと思います。つまり将来の国民の権利義務と関係するような問題を条件をつけて法律に書くということは、かなり異例なことではあります。ただ、現在の日本の国際交渉のスタンスとか、あるいは日本は地球全体の中で4%しか排出していないわけですから、そのことを考えると、いたし方ないというか、現在ではこういう条件を入れて法律をつくるというのは合理的な態度ではないかと考えております。
 それからもう1つでございますけれども、こちらに民意の反映とか有識者の意見を聞くというような話がございますが、この5ページの方にも出ているわけですけれども、今回、中環審でこういう会議を事前に開いていただいたというのは大変よかったと思っております。以上でございます。

○鈴木部会長 亀山委員。

○亀山委員 4点、簡潔に述べさせていただきます。
 まず第1点は中期目標についてでございます。中期目標について、私はやはり条件つきで書くのはおかしいのではないかと思います。国際約束、インターナショナルコミットメントと国内法とは、全く法律の性格が違いますので、私は考え方も変えて構わないのではないかと思います。
 国際約束の場合は、他の国の態度によって自分たちの態度が変わってくるというのはむしろ当たり前のことでございますし、国際約束して、それが達成できなかった場合に、どのような罰則規定があるのかもわからないときから約束だけをするというのは、またおかしいことでございますから、国際交渉でこのような条件をつけるというのは合理的です。
 しかし、国内法で考えていくときには、他の国がどんな行動をとろうと自分の国がこれは大切だと思えばやるべきでありますので、むしろこのような条件つきのような書き方をせず、むしろ見直し条項なるものをつけて、5年後あるいは10年後に見直したときに、どこか、もしかしたらこれ以上必要になっているかもしれませんし、見直すような規定を設けるべきではないかと思います。
 見直すときの条件としては、他の国がどのような国際約束をしたかということだけを見直すのではなくて、実際に地球温暖化の状態がどうなっているのかといった科学的な知見の進展といったものも全部含めて見直していくべきだと考えております。それが第1点でございます。
 第2点は、5番目の基本的施策に盛り込む内容でございます。これは個別具体的なことを申し上げるのではなくて、全般的に、なるべく多く盛り込むべきだというお話をさせていただきたいと思います。コペンハーゲン合意では、先進国の約束について、数値の達成が国際約束というか、むしろインプリメンテーションという、何か政策を導入するという部分に力点が書かれるような書きぶりになりました。
 気候変動枠組条約では、どちらかと言うとプレッジ・アンド・レビュー的な書き方をしていて、これで全然国が真剣にならなかったので、キャップ・アンド・トレード型の京都議定書という構造が生まれ、しかしそれでもやっぱりうまくいかないということで、今どちらかというと振り子はもう一回プレッジ・アンド・レビュー型に戻っているわけですけれども。
 ということはどういう意味かというと、日本の国が25%という数字を掲げたのはいいけれども、その数字を目指して、あなた実際にどんな施策をとっているんですかということが、むしろ今後は国際的にもレビューの対象となる可能性が高いということでございますので、むしろここのところになるべく具体的に、なるべく多く、いろいろな種類の施策を盛り込んでいただきたいと思います。これは国際交渉上、そう考えるわけでございます。
 第3点は、最後のページの(8)の監視観測等の実施でございます。こちらは地球温暖化の状況に関する監視というと、非常に具体的には多くのデータあるいは情報が念頭に置かれるかと思いますけれども、地球的な、地球規模の、どれぐらい気温が上昇しているのかとか、大気中濃度が上昇しているのかというところから、かなりローカルな部分で、実際我が国のどこでどういう異常気象が起きているとか、どういった生物が絶滅しかけているとか、そういったところまで幅広に見ていっていただきたいと思いますし、監視観測するだけではなく、その結果を逐次国民に周知させるということが重要だと思いますので、その部分をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。やはり国民が温暖化がどうなっているのかということを知らなければ、何でこういうことをしなきゃいけないのかということがわかりませんので、ぜひそれは含めていただきたいと思います。
 最後に、一部の委員の先生方からコスト負担ということが、発言がありましたけれども、過去より1年ほど、中期目標検討委員会あるいはタスクフォースでコストという議論をさんざんしてきておりますが、どのようなモデルとかを使いましても、コストというものを分析するのは非常に難しくて、あのとき使われたモデルというのは、コストというのは一応計算できたとしても、逆にプラスの面ですね、新しい産業が生まれたりとか、むしろ節約することになって私たちの家計が助かったりとか、そういう部分が全然反映できない計算だったわけですから、やってみて、全体的に日本の経済あるいは日本の豊かさにとって、プラスなのかマイナスなのかというものを数字であらわすというのは非常に難しいということを御念頭に置いていただきたいというふうに思います。むしろやはり今書かれているように、雇用の促進ですとか産業の育成といったものを盛り込むことが重要ではないかと思います。以上でございます。

○鈴木部会長 木下委員。

○木下委員 3点申し上げたいと思います。
 まず第1点は中期目標ですが、我が国の主張を明確に意志としてあらわすためにも、このような法律で規定するのは意味があるというふうに思っております。その上で、先ほど環境省から御説明がありましたけれども、中長期目標については、現在の目標達成の中でも大きな役割を果たしております森林等による吸収量を含むというような発言については、評価をしたいというふうに思っております。
 2点目は、3ページの税制全体の見直しでございます。今回、グリーン化の一環ということで、このような規定が設けられることについては評価をしたいというふうに思っておりますけれども、さまざまな温暖化対策の推進のために、これらの税制で得られた財源については、可能な限り温暖化対策に使用されるよう、進めていっていただきたいというふうに考えております。これは希望でございます。
 それから第3点でございますけれども、5ページの地域づくりにかかわる取組の中で、2つ目の丸でございます。温室効果ガスの吸収作用の保全・強化を図るためということで、幾つか例示をされておりますけれども、環境省の説明がありましたように、さまざまな政策を総動員するという観点から、例えば広範に存在いたします農地等についても、吸収財源対策に含めるべきだろうというふうに考えております。具体的に法律に書くかどうかは別にいたしまして、基本計画の設定等については考慮いただきたいというふうに考えております。以上です。

○鈴木部会長 進藤委員。

○進藤委員 紙を準備しておりますので、それに従って御説明申し上げます。4点申し上げます。
 1点目は、この対策基本法案の拙速な策定には反対をいたしたいと思います。
 地球温暖化対策、これは極めて重要な課題でありますので、国民経済や雇用に与える影響、これについて明らかにした上で国民の十分な理解と納得を得ると、こういう必要があると思いますが、しかるに今までのところ、どの分野で、どういう技術を用いて、どれだけの温室効果ガスを削減するのかというロードマップすら提示されておりません。それを実現する必要なコスト、それから我が国の経済や国民生活に与える影響、それと国民負担、これについての情報も開示されていません。ひところタスクフォースという活動があったんですが、結果が好ましくないということで、人選を変えると言われました。この事自体もいかがかと思うんですが、その人選を変えた結果も、まだ今のところ発表されていない状況であります。
 このように国民への十分な判断材料の提供や開かれた国民的議論、こういうものがない中で、基本方針となるべき法案が策定されることについては反対せざるを得ないと考えます。これが1点です。
 2点目、長期目標でございます。長期目標は昨年のG8、ラクイラ・サミットで2050年までに世界全体の排出量の少なくとも50%の削減を達成することとし、これをすべての国と共有する。そしてこの一部として、先進国全体で2050年までに80%削減するとの目標を支持するとされています。我が国の長期目標は、2050年までの世界全体での排出量半減に、すべての主要国が合意すること、これがいわば前提条件になっているわけですので、この合意が成立していない以上、法案に具体的な数値を記すべきではないと考えます。
 3番目、中期目標ですが、1990年比25%削減という中期目標には、前提条件がずっとついています。この前提条件が満たされたと認められる場合に中期目標は設定されるわけであります。この前提条件については、この前のCOP15等のいろいろな議論を見ますと、満たされないことが十分に想定される状況であります。さらに言えば、2020年においてさえ満たされない場合も想定され得る中で、仮置きのように中期目標を設定する。これは適切でないと考えます。
 公平性の確保、実現可能性、それから国民負担レベルの妥当性、こういう検証もないままに中期目標を法案に盛り込むこと、これには反対したいと思います。国内目標を先行して定めるべきではないと考えます。
 4番目、個別の施策ですけれども、日本の産業界は世界最高水準のエネルギー効率を達成してきております。既存の技術による削減ポテンシャルは小さいと言わざるを得ません。いろいろペナライズしても技術的・エネルギー的に代替効果が少ないということであります。したがって国内での削減効果が期待できないことから、海外から排出権を購入せざるを得ないということになりますので、膨大な国富が海外に流出することになります。
 それから、国際競争力を大きく損なうことになりますし、工場閉鎖や生産縮小により国民経済、地域経済、雇用にも大きな影響を与えると思います。
 また、エネルギー効率の低い途上国へ生産シフトするということは、地球全体でCO2を減らすという目的にとっては、かえって逆効果になります。
 とりわけ排出量取引制度については、EUで既に導入されていますけれども、この削減効果が不明であります。またいろいろな不祥事、この制度をめぐる不祥事も報道されております。公平なキャップの設定はどう考えても困難であります。競争条件をゆがめること、マネーゲーム化、これも懸念されております。
 それから、ここに書いておりませんが、排出量取引検討の期限については調整中という括弧書きがついておりました。一部の報道に、1年以内に成果を得ると言われています。先ほどの審議官の説明でも1年以内というお話がありましたけれども、導入を前提とした規定ぶりは、受け入れられないのではないかと考えます。
 次に、固定価格買取制度ですけれども、これにより大幅な電気料金の上昇、価格転嫁が生じます。昨日の新聞では、一人当たり年7,000円の負担ということが報道されていますが、電気料金の大幅な上昇が見込まれるのであれば、国際競争力はもとより国民負担の観点からも大変な問題だと思います。慎重な検討を先行させるべきと思います。
 個別施策は中長期目標、とりわけ中期目標の達成のための手段でありますので、その中期目標が上述のとおり国際交渉任せで流動的である中で、影響も何も分析されないまま、政策効果、国民負担等の検証もないまま導入が基本法の中に位置付けられること、これについては反対をしたいと思います。以上でございます。

○鈴木部会長 須藤委員。

○須藤委員 どうもありがとうございます。4点ほどお話ししたいと思います。
 1番目は、先ほどの説明全体として私はよろしいし、賛成をしたいと思いますし、25%の中期目標、80%の長期目標、これも結構だと思います。特に、私たち中環審の一部の者はIPCCが報告書を発表したときに、国民の皆様へということでアピールをしたことがございます。その最後に、子供たちの将来の幸せのためにというので結んでいるはずでございます。子供たちの幸せになるかどうか、今の小学生が2050年で大体50歳になるわけでございますので、もう一度そのときの感動というか、意識を思い出していただいて、この法案が本当に子供たちの幸せになるかどうかを見直していただきたいと。前提がそういうことで、今の政権は子供たちを大切にすると私は伺っていますので、ぜひ子供たちの未来のために、この法案の基本にしていただきたいと、こういうふうに思います。
 それから2番目は、もう幾つか重なっていますからキーワードだけで申し上げます。再生可能なエネルギーは全量買取制度にしていただきたいし、10%ではなくて、他の先生も言われましたが太陽光だけではなくて、いろいろ再生可能エネルギーを入れて10%以上にしていただきたい。それから科学技術の発展は、気候変動問題は非常に不確定なことが多いので当然それが必要です。そして、そのために、また子供たちの環境学習、特に児童・生徒の環境学習をますます推進しなくちゃいけないので、基本的にその問題を取り上げていただきたい。
 それから最後に、ちょっと地方自治体の、何人かおっしゃっていますが、取り上げ方。これは国法ですからいいんですが、特にキャップ・アンド・トレードで、先ほどの東京都の話もあったんですが、他の県でも始めつつあるところがあります。そういうものがもちろん総量削減をやるためにやるんですが、先にやった地方自治体が損してしまうようなことにならないように、先行している自治体の後押しをしていただきたい、背中をたたいてほしい、そして足を引っ張らないでほしいということが1つ。
 それから、財政が極めて厳しいので、地域グリーンニューディールのことで23年まで補助金があったようですが、24年度以降もそういうことができるようにしてほしい。それから、温暖化防止活動推進センターが、これまた予算ので、地域の温暖化防止活動推進センターが核になっているのが極めて今、困難になってきております。そういう意味で、温暖化防止活動推進センターの継続と、その強化を、ぜひこういう中で取り上げていただきたい。以上でございます。

○鈴木部会長 大聖委員。

○大聖委員 2点申し上げたいと思います。
 まず私ども、教育に携わっております立場から御発言したいと思いますけれども、この基本法案では、ものづくりの重要性というのはさんざん指摘されているわけです。それは、とりも直さず技術立国を目指すということになりますけれども、それを支えるのはやっぱり人材育成だと思います。今、須藤委員がちょっとおっしゃいましたけれども、私ども、今年の春に卒業する学生が、ちょうど2050年に定年を迎えますので、それまでに彼らがどんな挑戦的な課題に取り組むか、その成果が実は2050年の目標達成に大きく依存していると思います。そういった意味で、人材育成の重要性をぜひ盛り込んでいただきたいということと。
 そういう中で、国際的に活躍できる人材の育成とか、あるいはアジア地域、新興国での環境に取り組む人材の育成に当たって私どもが支援するというような、そういう視点も非常に重要だというふうに思っております。これが1点。
 それからもう1つは、科学技術の振興ですとか教育ですとか、それから資源エネルギーに関わる基本法があるわけです。それとのリンケージなしに本基本法だけでスタンドアローンで機能するわけがありませんので、その間の齟齬のないような、矛盾のないような、そういったニュアンスをぜひ盛り込んでいただきたいと思います。以上です。

○鈴木部会長 長辻委員。

○長辻委員 何点か申し上げたいと思います。
 まず25%削減の目標値ですが、これは主要排出国の意欲的な取組が示された場合に設定されるものとし、とされていますけれども、現実を見ておりますと、主要排出国である米国・中国は、後ろ向きの姿勢がはっきりしておりまして、その点に注目すれば、前提条件そのものが崩れかけているのではないかと思われます。
 また、最近のことになりますけれどもIPCCの報告書に対する信頼性に疑問符がつき始めておりまして、2020年までに90年比25%減という目標の根拠が揺らぎかねない状況にあるのではないかと思われます。そう考えている国民は少なくないのではないかと思います。
 サイエンスにはいろいろな考えがありますので、温暖化が非常に進んでいるという立場に対して、いや、そうではないのではないかという見方があってもしかるべきであり、後者の意見をディナイナーあるいはディレイラーとして切り捨てるのは、サイエンスの立場としてはあまりにも危険ではないかと思います。
 それから国際交渉では、今年11月にCOP16が開かれる予定ですが、25%削減をあらかじめ決定していることが、日本にとって非常に不利に作用する可能性が大きいのではないかと思います。
 また、この25%という削減率の高さを考えますと、容易には達成できない目標値で25%です。しかし現実的に非常に効果を発揮し得ると考えられる原子力については、その位置付けについて、あまり検討がなされている節はないように思われます。最も確実性の高い原子力さえ使いこなせないようでは、この基本法が理念倒れになってしまう可能性があるのではないかと心配しています。
 それから、メディア等で扱われているニュースの量から見ましても、国民の負担ということ、これがどれほどのものになるかということがほとんど明示されていないと思います。非常に重い25%が、あまりにも軽く25%と、単に数値として書かれているのではないかと、その点を危惧しております。
 それから基本法の全体として、国益、言い替えれば国民益ということだと思いますが、そういう視点が弱いのではないかと思います。国際交渉の現場を見ておりますと、各国とも地球益と同等に国益ということにウエイトを置いて対策を講じているように思われます。現実感というか、現実的な感覚、地に足のついた感覚、これが理念の方に押し流されてしまって少し希薄になっているのではないかと、そういうことを憂慮しております。以上です。

○鈴木部会長 福川委員。

○福川委員 ありがとうございます。私も数点申し上げたいと思います。
 1つは、この目的でございますが、これはこの法律を何のためにつくるかということを明確に確認する必要があるように思います。先ほど亀山委員もおっしゃいましたが、今世界の流れはかなり変わってきておりまして、確かに民主党のマニュフェストというのは昨年の8月の段階でつくられていて、その後コペンハーゲン合意でああいう結果になってしまった。その結果について先日、福山外務副大臣が経済同友会でお話になったときに、国際的な側面ではキャップ・アンド・トレードではなくてコンセンサス方式になったんだという、こういうお話をしておられまして、確かに現実の動きはプレッジ・アンド・レビューの方に動いているというふうに私も感じております。
 そうしたときに、今こういう法律を何のためにつくるかということであれば、要するにコンセンサスをつくりやすくするということを目的にするということが大事かというふうに思います。
 そうしますと、先ほど石坂委員が言われたように、もっと国際貢献はどういうことをするんだ。それからもっと人の派遣等でどういう貢献をするんだ。それからまた、例えば政策形成についての助言はどういうふうにするんだというような、もっとコンセンサスをつくりやすい条文をもっと入れるべきではないかと思います。
 その場合、国内をどういうふうにするかということで、国内の政策メニューを並べるというのも合意形成を1つしやすくなるかとは思いますが、今、この当時の25%の合意というのが、コペンハーゲンの中で、もちろん総理は御主張になりましたけれども、あれが本当にこれからの国際交渉のベースになるのかどうかどうかということは、よくもう一回再吟味してみる必要があるのではないかというふうに思います。
 したがって、私はむしろ、国際貢献をどうやって果たしていって、コンセンサスをつくるかということをもう少し重点を置くということを申し上げてみたいと思います。
 2番目に申し上げたいことは全体最適を視野に入れていただきたいということでございまして、ここにもいろいろ作文の中では、雇用に配慮するとか、国民の負担をどうするということでしたが、今、国民全体でどういう負担になるのか、成長率にどう影響するのか、それから、例えば、既に日本の産業のかなりの企業は、恐らく半分以上の企業は海外移転を計画してしまっています。もし海外に行ってしまえば、雇用は減る、そして成長が落ちる、成長が落ちれば排出量が減るから、その面ではいいかもしれませんが、しかし技術開発はできない、国際貢献もできないと、こういうことになってしまうので、やっぱりここで成長率がどういうふうになるか、それから国民負担にどうなるかということを含めて、全体最適で、どういうのがこの選択肢であるかということをわかるようにした上で、この法案をつくっていただくということが必要ではないか、これが、2番目に申し上げたいことでございます。
 3番目に申し上げたいことは、この排出権取引でございますが、これはもうここの部会でも何回もいろいろ議論をしてまいりました。しかし最近、ヨーロッパでも排出権取引についての見方が変わっておりまして、例えば昨年の10月に、イギリスの環境関係のある委員会では排出権取引の効果は薄くなったという発表をしておりますし、最近私どもがEUのビジネスの人たちと話をしますと、自分たちが言い出しはしたが、これが本当に効果があるかないかという点を今、再吟味しているんだと言っております。私は排出権取引、これは国際的にはもちろん非常に問題があってコンセンサス方式になりましたが、国内でも、まず割り当ての方式が非常に難しいということがあります。
 それから、排出権の価格は事後的にしか決まらないから、企業が設備投資等をするときに予見可能性がない。そういうことですと政策的な効果があまり高くないということになります。
 したがって排出権取引については内外の状況と、それから実際にこれに応じて企業がどう行動するかという心理的な問題も含めて十分御検討をいただきたいと思います。
 それから4点目に申し上げたいことは、家計部門の消費節約をどう促進するかでございまして、ここで書いておりますのは、教育だとか情報提供と、それからエコ商品の普及等々がありますが、これでやっぱり十分考えなきゃいけないのは、先ほど環境税や買取制度の話がございましたが、価格に転化するということが消費者に対する認識を深めることになるというふうに思います。したがって、こういうものを考える場合には、価格転嫁をどうするかということも考えていただきたいというふうに思います。
 それから、浅野先生のおっしゃった循環方式、これは私もぜひ強調をしていただきたいと思いますし、それから他の方も何人かおっしゃいました原子力もぜひ書き込んでいただきたいと思います。
 最後に1つ、長期の問題でございますが、50年先ということであれば、一番大事なことは技術上の構造を大改革するということでございまして、これは本当に基礎的な研究から体制をつくって取り組んでいかなければいけない。ひとつぜひ基礎研究の促進ということを強く強調していただきたいと思います。以上です。ありがとうございました。

○鈴木部会長 桝井委員。

○桝井委員 ありがとうございます。私は2点にとどめたいと思います。
 まず1番目として、全体として今回の基本法案の調整・策定過程ということにつきまして、政治主導とは言うけれども甚だ不透明で、いったい中でどういうような調整を行っているのかわからないということにつきまして大変問題であって、これは産業界の方も御同意だと思います。これだけの重要なものについて、このような決まり方ということは大変問題があると。今回の環境大臣案を見ましても、理念法、基本、骨格の法律だけれども、その中の、後で述べますけれども、主要な部分について、やはり骨格がどうなったのかわからなくなるような問題もあり、密室での調整というものに甚だ異議を申したいと。
 そこで、今日は副大臣も出てきていただいておりますけれども、こうした中環審、あるいは他でもいいんですけれども、こうした会議で御説明をいただく、あるいは質問ができるということ。しかもそれが事後ではなく事前に行われて十分説明を伺えると、こういう機会は非常に重要だと思いますので、ぜひとも、この問題はこれからもさらに制度づくりを含めてありますので、その辺をお願いしたいと思います。
 2番目は、国際的な観点ということで考えてみたいと思います。温暖化問題に対処するには、国内だけではもちろん一国で済む問題ではないわけで、常に国際的な観点がなければどうにもならない。その中で今回の基本法案、今ここに明らかになっておりますものを、国際的な観点、要するに国際交渉を含めた外国の人たちはどう見ているか、どこを見るのか、どこを一番大事に見るのかというと、確かに作文の部分はあるけれども、見るのは1つ。基本施策のところの排出量取引と環境税と、あるいは再生可能、ここのところはどうなんだと。ここがどれぐらいやる気があるというか、国の方向が出るのかを見るということは間違いないと思います。
 そこでこれを見ますと、いつの間にかキャップ・アンド・トレードという基本的な概念、これが消えていると。どうしたことかと。総量形式の排出削減、これの世界的な、世界標準。これなくして基本法案、理念法となるのかどうか。確かに原単位ということは出るけれども、これはそこから、大きな理念の中から見ると、今後さらに議論すればいいことであって、理念法に書くことではないというふうに思われます。この法案が閣議決定されるということですが、閣議決定は単に国内法の問題だけではなくて、今言ったような意味で世界に対する大きなメッセージである。日本はこういうふうに進むのだと。
 その点でここの、今、重要部分の、非常にあいまいになっている部分というのは非常に気にかかるというわけで、環境省あるいは副大臣の方にもお願いしたいのは、キャップ・アンド・トレード、これは譲れないと。このシステム、これがなくて何の理念法だということ。
 それからもう1つは、これは環境税もそうですが、環境税には平成23年度に成案を見る云々と入っていますけれども、たしか排出量取引についても1年以内という基本線のような形があったはずだと。ここをやはり概念的にはキャップ・アンド・トレード、そして時期、この2つがないと、目鼻がないということで基本法にならないと。この辺はボトムラインだということで、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。

○鈴木部会長 三橋委員。

○三橋委員 私も3点お話し申したいと思います。
 第1点は、90年比25%削減の達成というのは現状維持路線ではとても達成できません。エネルギー多消費型の産業構造、エネルギー多消費型のライフスタイル、化石燃料依存型のエネルギー構成比、これを抜本的に転換させなければ実現できません。そのための転換を促す法案として環境基本法が現在制定されようとしているわけで、私は全面的に賛成いたします。できるだけこの原案を、いろいろな声を反映させるということで後退させないでほしいということですね。ここに掲げてある諸政策、これをできるだけ守ることによって基本法を内容あるものにさせていただきたいというのが第1点。
 第2点は、この基本法案というのは、実は景気対策法として非常に重要な役割を持っております。法案の目的を達成するためには、人・物・金を集中的に、これらの新エネ等々の分野に投入する必要がありますが、それによってイノベーションが起こり、新規需要が発生し、さらに雇用の拡大、こういうことが起こって、低迷している景気を回復させることにつながっていくと思います。したがってむしろこの法案ができることが景気回復のために必要なんですね。
 現状維持路線は乾いた雑巾を絞るような非常に非効率な路線なんですね。そうした乾いた雑巾路線をとれば日本経済を衰退させてしまいます。1990年から今日までの20年間、実質経済成長率が年率で1%程度で低迷してしまったのは、現状維持路線にしがみつき、温暖化対策をマイナス要因として位置付けてきた結果に他ならないわけです。したがって恐らく過去20年、年率1%程度の成長しかできなかったわけですからね、リーマンショック後の世界同時不況等々を加味すれば、現状維持路線を続ければ、2020年までの成長率は恐らくゼロ成長かマイナス成長で低迷すると思います。
 これを阻止するためには、ぜひこの基本法を成立させる必要があります。基本法に盛り込まれている諸政策を実施することによって現状を転換させることで、日本経済は必ず回復することが可能だろうと思います。その点で基本法は、温暖化対策法の他に景気対策法としての大きな役割を担っているということを広く国民に訴えて、国民各層が温暖化対策に積極的に取り組むことが最大の景気対策、雇用対策になることを訴えていく必要があるというように思います。
 それから3番目が、資料として私が提出してある主要国のGDPとGHGの排出量との関係というのをちょっと御覧ください。これは1990年から2007年までの17年間に世界主要国のGDPとGHGがどういう変化を遂げてきたかということを示しているわけです。
 例えばここを読んでください。デンマークは1990年から2007年の17年の間にGDPは45%増加したと。それに対してGHG、温室効果ガスは13%減っているということですね。ドイツしかり、イギリスしかり、フランスしかり、スウェーデンしかり。全部GDPが右上がりで上昇しています。それに対してGHGはマイナスに転じているわけですね。イギリスを除くユーロ圏、15カ国でもGDPは上昇しGHGはマイナスに転じているということになっているわけです。その中でアメリカと日本だけは引き続きGHG、CO2をどんどん増やしながら経済成長を遂げていると。
 特にアメリカは京都議定書から離脱しているわけですから、石油・石炭をバンバン使って高い成長を示しているわけですね。しかしこういうことはこれから難しくなってくると思います。
 それから日本。日本の8.7%というのは、日本だけは歴年じゃなくて年度の数字ですね、3カ月ちょっとずれています。しかし傾向は変わりませんね。日本は8.7%も90年比でGHGを増やしながら、経済成長率は先進国最低の22%。このことは、日本がもうCO2の排出をする限り高い成長ができないということですね。
 次のページを見てください。今の数字をグラフ化したものです。アメリカと日本だけはまさにGHGを増やしながら経済成長率を遂げていると。しかし、こういう時代はもう既に終わりつつあるということですね。日本が新成長戦略で実質2%、名目3%を2020年まで実現するということを実現するためには、この図で言えば、赤く突き出した部分をマイナスにもっていかない限り2%とか3%の成長というのは実現しないわけですね。
 したがって民主党政権は、ぜひ、方向ははっきりしているわけですからね、あまりいろいろな意見で混乱させずに、目指すべき方向はGHGをマイナスにする、そのためのイノベーション、新規投資、新規需要、そういうものを通して新しい成長、新成長戦略の目標に向けて突き進んでいくということが非常に明瞭になってきたということを、ぜひ副大臣、お聞きいただきたいと思います。
 それと最後は、世界の人口、GDP、石油のカップリングと書いてありますね。1950年から2000年の20世紀の半世紀、8.1倍GDPは増えています、それに対して石油の消費量が7.3倍、大変密接な関係がありますよね。この関係を21世紀は石油の消費量をマイナスにする、しかしGDPは右上がりの成長を実現させる、こういう政策を自信を持って推進してほしいということを強調させていただいて、私の結論にさせていただきたいと思います。

○鈴木部会長 横山委員。

○横山委員 簡潔に4点申し上げたいと思います。
 1点目は全体的なことです。前回のこの部会で基本法案の概要というものが示されて、今回は資料1、基本法案(環境大臣案の概要)ということですけれども、これを見てみると、やはり産業界とあるいは労働組合が一緒になって、あるいは新政権になったのに考え方があまり変わらない一部の役所も加わって、猛烈な巻き返しをやろうとしているということで、環境省も、あるいは民主党もたじたじとしているんではないかというふうに思います。
 しかし私は、ここが踏ん張りどころであって、ここで後退して個別法の段階で書き込む、例えば、キャップ・アンド・トレード方式というのは個別法の段階で書き込むとか何とかというようなことは、やろうと思っても私はだめだと思います。今の時点できちんとやっておく必要があると思います。
 それから、先ほどもいろいろ出ていますが、これまでの審議、特にこの2つの資料の間で何があって、何で肝心な言葉が抜けたのかというのが、みんな密室状態で行われて、明らかにならないという状況はまずいと思います。こういうことで国民の信頼もなくしてしまうし、せっかくチャレンジ25キャンペーンなんかをやっていても効果は半減するんではないかというふうに思います。
 それから2点目は、原子力について述べたいと思います。かなり推進の発言がありましたけれども、私は反対の立場から述べたいと思います。安全性とか放射性廃棄物の問題というのは、もう改めて言いませんけれども、日本は地震国だというようなことを、ぜひ考えていただきたいと思います。
 茂木清夫さんという地震予知連の会長なんかも務めた有名な地震学者がいます。その方が地震のある程度以上の規模の世界の発生状況と、それから原発がどういう地域に設置されているかという図を1つにまとめてやったんですね。そのところ、誠に見事に日本だけが地震多発地帯に50数基の原発を抱えているという状況です。しかもその日本で、地震が多発、活動期に入っているという見方もされているわけです。その茂木清夫先生は私にその図のことを話したときに、びっくりしたでしょうというんですね。私も状況は知っていましたけれども、図を改めて見せつけられて、今ここに図があれば皆さんにお見せしたいんですけれども、こんなに見事な相関があるのかというふうに思いました。産業界とか電力業界とか、あるいは労働組合のお話を聞くだけじゃなくて、心ある地震学者の話も聞いて、この地震国日本に、これ以上の原発をつくっていいのかどうかということを、ぜひ検討してほしいというふうに思います。
 3番目は、これまでも出てきていますけれども、何でキャップ・アンド・トレード方式の名前がなくなったのかということです。これまで経団連の自主行動計画というものを中心に産業界でCO2の削減ということが進められてきたわけですけれども、きちんとしたルールをつくって、しかも排出量を各企業に割り当てると、それで公明正大にやっていこうというものだったのが、やっぱりキャップ・アンド・トレードの名前がなくなることによって、一歩も二歩も後退という印象を強く与えていると私は思います。原単位方式も認めるといったこともささやかれているようですけれども、一般の人に、やっぱり大幅後退という印象を与えるというふうに思います。ぜひキャップ・アンド・トレードの名前を基本法に入れるべきだと思います。
 4点目は、全量買取方式ですね。これも、この表現が抜けたのも後退、大幅後退と言えると思います。私は前回この部会で、基本的施策の中で、排出量取引制度とか、あるいは環境税とか、それから全量買取というものを記載されているということで、これまでとは全く違う、これは新しい政権が生まれた影響だというようなことを言いましたけれども、今度の資料を見ると、その発言を取り消したくなるような気持ちです。
 そういう意味で、今回の案ではなくて、原案の、法案の概要に沿ったものをぜひつくっていただきたいと思います。以上です。

○鈴木部会長 では中上委員。

○中上委員 急に参加したものですから端っこに座っておりまして見えないかと思ったんですが、指名していただいてありがとうございます。2つ、3つ申し上げたいと思います。
 今の御意見にもございましたけど、公平なキャップ・アンド・トレードということに絡んでですけれども、これはなぜこうなのかというと、私の個人的な感覚からいけば、基本的にはきちんとしたデータベースがないから決めかねるわけですね。そういうデータがないということを御存知ないで議論されている方もいらっしゃるんじゃないかと思うものですから。この基本法には監視と書いてありますが、それは結果としてのCO2の話でしょうけど、それ以前に、どういうふうなエネルギーの消費実態なり、そこからCO2が出ているかというデータは我が国にはきちっとしたものがないわけですね。だからキャップ・アンド・トレードみたいな話になってくると途端に話があいまいになってしまうわけですよ。
 ここはぜひ、法律になじむ話かどうかわかりませんけれども、ぜひデータベースをきちっとそろえると。場合によっては、それをアジアで同じようなフォーマットでやっていくというふうな形で取り組んでいただきたい。その場しのぎのデータで議論しているからこうなっちゃうんだと私は思います。
 それから、今のフィードインタリフの話がございました。これは非常に私も結構だと思いますが、これが進めば進むほど私は日ごろ、飯田さんともこの前も一緒に同じような議論をしたわけでありますけど、家庭においては特に太陽熱をもっと全面でやるべきだというんですが、太陽熱はすっぽり抜け落ちるわけですね。当然みんな太陽電池の方に目が向いてしまって、そちらにシフトします。しかし、効率あるいはコストパフォーマンスから考えたら遥かに太陽熱の方がいいわけです。しかしこれを計量してお金勘定すると、そこは結構難しいんですね、熱は。そういうものができないから抜け落ちてしまう。したがって、これはいつまでたっても日の目を見ないと。これでは話にならんわけでありまして、こういった点も、きちっと評価しなきゃいけないんですけれども、3ページには太陽光が一番最初にありますけれども、私は最初に太陽熱を出すべきであって、何とか等と一緒にしてほしくないと。これは個人的な意見であります。
 もう1点、これは私のアイデアでありますが、新しい枠組みで25%が決まったというふうに受け取られているようでありますが、私は新しい枠組みをやるならば、長辻さんの御意見にありましたけれども、なぜアジアバブル構想的な発案ができなかったかと。EUはEUバブルでやってきたわけですね。増える国もあれば減る国もある。トータルで8%でいったわけでありますから。
 それはアジアの調整は非常に難しいと思います。難しいからこそ政治主導だけではできないと思いますから、ここは優秀な官僚に現場で調整してもらえばいいわけでありまして、そういう形にすれば、今出ている国際貢献あるいは国内での産業の衰退論がありますけれども、日本の省エネ技術は申すまでもなく目下アジアでは間違いなく一番です、世界でも一番でしょうから、そうすると日本の省エネ産業あるいは新エネ産業は、アジアというマーケットを得て、非常に大きな貢献ができるはずでありますし、そこで削減できるCO2の方が遥かに大きいわけですね。そういう枠組みで考えないと、どうも4%を、だから日本がやるなと言っているんじゃないですよ、日本は応分なことをやるわけでありますけれども、もう少し大きな枠組みで考えた方がよかったのではないかと、これは私の個人的な提案であります。以上です。どうもありがとうございました。

○鈴木部会長 ありがとうございました。大変重要な御指摘、そしてまた法案に、ある意味では漏れている点も御指摘いただいていると思います。
 残り時間が非常に限られておりますので、いろいろな御質問等については、どういう順番で。

○小林大臣官房審議官 大変広範な、大変奥深い御意見をいただきましてありがとうございました。
 ちょっと大変たくさんございますので、またきちんと整理をしてやらせていただきたいと思いますが、全体的なところで幾つか申し上げたいと思います。
 まず、この基本法の、環境政策全体での位置付けというような大変重要なお話がございました。これはきっちり整理をして国会でも御審議をいただかなければならないと思いますが、環境法の全体の中で、どういう役割を果たすのか。その中で今日御紹介し損ないましたが、それぞれの主体の役割、これもまた責務規定で明らかにしてまいりますので、自治体の役割の重要性、何人かの方からございましたが、国との適切な役割分担の中でやっていくというようなこと、そういうことも含めまして全体の法体系、またそれぞれの主体の役割分担、こういうこともしっかり位置付けてまいりたいと思っております。
 それから基本法でございますので、大変中身にわたる御指摘もいただきましたが、条文で必ずしも示せる部分というのは限りがあると思います。これはいずれ基本計画の中で、もう少し具体化をし、また議論していくということが重要かと思いますが、審議に合わせて、ちょっと附属資料の方でも書きましたが、ロードマップということで、いったいどういう対策で、それをどのぐらいやることによって目標に向かっていくのかという作業も、これは最終的な作業としては時間がかかると思いますが、要所要所で情報公開しながら説明をし、また議論の糧にしてまいりたいと思っておりますので、そういうことと合わせて議論をさせていただければと思っているところでございます。
 それから目標、特に中期目標につきましては、立場の異なる方面からの御指摘がございました。前提条件が非常に総合判断を伴うような条件になっておりますので、いったいどうかというような御指摘がございました。附属資料2の方にちょっと書いておりますが、少なくともいつの時点でこの条件が成就したかというようなことは、政府としてきっちり政令なら政令というような形で世の中に明らかにするということを法律にも記載をして、そういう手続としてはしっかり書きたいと思っております。
 では、その中身がどうかということは、これは一概に言えない部分がございますが、よく説明していくというようなことが重要だろうと考えているところでございます。
 それで、条件なしで行くべしという、それぐらいの気持ちで私どももやっていきたいところではございますが、今日御出席の方以外のいろいろな団体からも、この高い目標にどう向かっていくかというところについては懸念を表明される方も結構おられまして、私どもとしては、前提条件ということを設けながら、大方の方には、ぜひ一緒に25%という中身に向かっていくというような合意を得たいということで、今回こういう提案をしているものでございます。
 長期目標につきましては、地球全体を半分にするというのは、前提条件ということではなくて視野に入れる形で、アメリカのオバマ大統領と鳩山総理も80%に向かっていこうということで合意をしているところでございますので、ぜひ長期目標としてしっかり掲げていきたいという気持ちでございます。
 それからあと、国際協調、特に新しい日本の貢献の仕組みのお話がございました。ちょっと条文としては、ぜひその趣旨は盛り込んでいきたいと思っておりますし、盛り込んでいるつもりでございますが、これは具体的な形で、国際交渉あるいは、これはぜひ今日の委員、あるいは各界からもお知恵を拝借しながら、地球のためにも日本のためにもなることでありますので、これはぜひとも手がけていきたいと思っております。その取っかかりは基本法にもつくりたいと思っております。
 税制のグリーン化のお話がございまして、ここで出ていますグリーン化は、温暖化対策その他、環境対策全般について税制全体をそういう方向に持っていこうということでございます。もちろん森林吸収その他の話も入ってくると思いますし、個別施策に吸収源もしっかり位置付けたいというふうに思っているところでございます。
 それから対話の重要性のお話がございまして、一般的なパブコメとか、こういった審議会を通じて、あるいは従来やっていますような、いろいろな方との意見交換というものはもちろんやっていきたいと思いますが、社会対話というのは新しい提案だというふうに心得ておりますので、ちょっと今どうしていくかという具体的なあれではございませんが、これにチャレンジするつもりでやってまいりたいと思っております。
 あとちょっと1つ1つ申し上げにくいのでございますが、雇用あるいは地域づくり、教育、科学技術、監視など、それぞれ本当に重い御指摘をいただきました。法律に位置付けるとともに、実質的な面で政策にしっかり折り込む必要があると思っておりますので、そういう形で対応していきたいと思っているところでございます。

○森谷大臣官房審議官 岩村先生から御質問があった点について、私の方から今申し上げられることをお答えしたいと思います。
 知識、技術、経験、それをどう生かすかという視点であったと思います。
 私の方のお答えは、ちょっと技術に偏ったお答えになると思いますが、端的に申し上げますと、その思いとか概念を、どのような仕組み・方法論にしていくかというところを今真剣に考えないといけないと思っていまして。簡単に今の現状、国際交渉を申し上げますと、実はコペンハーゲン合意の中で、この種の点は、先進国は皆、重要な部分であるけれども抜けているという認識を持っております。既存のCDMを活用するというということを超えて、さらに新しい、プロジェクトではなくて、セクター全体を多用したような、そういう取組も必要であるということは、これまでも先進国の間で議論されておりまして。
 技術についていうと、技術プラスアルファというか、技術を生かしてもらうための仕組みとか、例えば具体的にいうとコンサルティングといいますか、それからキャパシティビルディングとかファイナンスというものと絡めて、どのようにつくったらいいかということを検討しないといけないと思っています。
 これまではどちらかというと国連中心の仕組みであります、CDMも御存知かと思いますけれども。今はもっと広い範囲で考えようとしていまして、例えば国際的に皆が認知するような仕組みであれば、二国間で意欲のある国と技術移転その他知識の移転を進めていくということができないかなと思っています。
 COP16、COP17の枠組みづくりで、このような気持ちで交渉していきたいと思いますし、繰り返しになりますけれども、具体的な発想や思いを具体的な方法論に変えていくことを真剣に考えていかないといけないと思っています。

○小林大臣官房審議官 すみません、お答えで大事な点を申し損ないまして。
 キャップ・アンド・トレード型の排出量取引はどうなったのか、あるいは固定価格買取制度について全量方式はどうなったかということでございますが、折衝過程だということで、ちょっと遠慮して書かせていただいたものですから誤解を招きましたかもしれません。
 資料2の5ページから6ページに書かせていただいておりますが、どういう形で排出量取引制度を位置付けるかということは、今、政府部内で、かなりしっかり論議をしているところでございますが、環境省としては、ここにありますように、キャップ・アンド・トレード方式であるということは、ぜひ位置付けをして、ただ、その制度の具体化については、よくよくこれから議論をしていきたいという立場で今、議論しております。
 それから7ページでございますが、固定価格買取制度につきましても、環境省としては、ぜひ全量買取方式であるということを位置付けられないかということで議論をしておりますので、そういう意味で前回と環境省のスタンスは変わっておりませんで、ぜひ政府部内で合意を得るべく頑張っているということでございます。

○鈴木部会長 大変大事な問題につきましても、お答えいただいたと思います。
 基本法ということですので、いったい基本法でどこまでカバーするのか、そして、それがもしでき上がっていったとしたときに、その後の基本計画であったり、それぞれの部門の実行法のようなもので、どういうふうに全体的な体系を作り上げていくのかという点で、もちろんエネルギーあるいは資源の方とも関連を持って、ある種、国づくりの基本となっていく意味を持っていると思います。
 一方において環境、IPCCについてはいろいろとクライメートゲートみたいな話もありましたが、もう間もなく、またしばらくしますと第5次報告書が準備されてくることになると思いますし、不確定なことはいろいろあることは承知しながら、温暖化に対してどういうふうに我々は準備をしていくのか。
 温暖化が進行したとき発生するリスクは、どれぐらいの国民負担になるのかということをきっちりと考えないと、すぐ当面の負担によって毎日の生活が大変になるという話ばかりが先行するという、ある意味では危ない話も多いのではないかと思っております。温暖化の影響というのが日本においては、もっと厳しい国、最貧国などに比べればあるいは軽微かもしれません。それでももう既に、いろいろなところであらわれていることもあると思います。いったいそれが進んでいったときに、スターン・レビューであればGDPの5%から20%という、そういう負担を覚悟しなければいけないというような警告もあるわけですし、我が国において本当にどうなのかというようなことも、きっちり科学技術の面から検証していくことも必要と思います。
 基礎研究の重要性ということも御指摘いただきましたが、先日ちょっと驚いたデータを見ました。OECDの国の中で、国が投資する研究費のうち環境に何%ぐらいが振り向けられているか。ドイツが4%、フランスが3%、イギリス2%というような感じで、日本が1%なんですね。最近OECDに入った韓国が5%です。これだけ日本というのは環境に対する、ある意味では認識が不十分といってもいいのかもしれません。何しろ環境省の予算そのものが国の0.4%しかないという、そういうところですから、こういうところから本当はきっちりと変えていく必要もあると思います。これは基本法に書き込むようなことではもちろんありませんが、今後いろいろと考えていく上で、ぜひ配慮していただければと思っております。
 また、この基本法に平成23年とか、非常に直近のことがいろいろ書き込まれることになるのかもしれませんが、ということは間もなく見直しをしていかなきゃいけないという、そういうことにもなるでしょうから、これはあくまでも1つの出発点というようなことの見方もできるのかなと、そんなふうに思っております。
 今日は大変長い時間ご議論頂きました。といいましても、まだまだおっしゃり足りないと思っておられる先生方は多いことと思いますが、時間がまいりました。最後に御多忙中を御出席いただいた田島副大臣に締めをお願いできればと思っております。

○田島副大臣 長時間にわたりまして各委員の先生方から本当に貴重な御意見、大所高所からの御意見を頂戴できました。本当にありがとうございました。できる限り皆さんの発言を書きとめようとペンを走らせましたが、本当に久しぶりに痛みを覚えるぐらいのボリュームの御提言をいただいたものと思っております。ただ、本当に、それぞれのお立場で、また研究テーマで今日まで積み上げていただいている先生方の御発言でありますから、それこそ幅の広い御意見がありました。恐らくこれが社会全体の声の縮図でもあろうかというふうに思います。
 しかし、今、我々が今回この基本法案を通して、温暖化対策を政府として、また国家として取り組まなければならない、その状況は皆さんも御承知のように、待ったなしの状況にあることは、皆さんも御理解をいただけるものと思っております。そうした中で、まずは基本法案で、大きな本の表紙と、そして目次の部分をしっかりつくり上げさせていただきたい。そして、それにのっとった形で、先生方を初め国民の皆さんからの意見を聞きながら、その中身をしっかりと効果のある施策、中身、充実していくことに汗を流していきたいと考えているところでございます。
 本来でありますならば、皆様からもっと早くにいろいろと御指導をいただきながら進めてくるのが本意だったと思います。そういった点は深く反省をしなければならないと思っております。しかし、今置かれている状況、そして国際的な状況もしっかりと視野に入れながら、私どももこれから、その中身の精査についても、また努力を重ねてまいりたいと思っております。
 まだまだ皆さんから御意見もお伺いしたい、またお話もされたいと思う先生方も多くいらっしゃろうかと思いますが、限られた時間の中ではありましたが、こうしてたくさんの先生方に、急遽の御参集の上で、こうして会議が持てたことを大変ありがたく思っております。どうか今後とも環境省諸施策に大所高所からの御意見・御提言をいただきますことを心からお願いを申し上げまして、最後の皆様に対する感謝の御挨拶とさせていただきたいと思います。どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。本日は本当にありがとうございました。

○鈴木部会長 それではこれをもちまして、地球環境部会を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

午後0時04分 閉会

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