中央環境審議会地球環境部会(第75回)議事録

1.日時

平成20年2月7日 13:00~15:00

2.場所

ルポール麹町 マーブル

3.出席委員

(部会長) 鈴木 基之
(委員) 浅岡 美恵 浅野 直人
大塚 直 佐和 隆光
猪野 博行 和気 洋子
(臨時委員) 青木 保之 飯田 哲也
石坂 匡身 及川 武久
鹿島 茂 川上 隆朗
小林 悦夫 塩田 澄夫
高橋 一生 高村 ゆかり
永里 善彦 長辻 象平
福川 伸次 桝井 成夫
三橋 規宏 横山 裕道
渡辺 正孝

4.議事次第

  1. 低炭素社会について
  2. その他
    (1)気候変動に関する国際的動向について
    (2)財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)「将来枠組みに関するアジア政策対話」

5.配付資料

資料1 「低炭素社会づくりに向けて」への意見募集の結果概要
資料2 「低炭素社会づくりに向けて」(論点整理)
資料3-1 福田総理の世界経済フォーラム2008年年次総会(通称「ダボス会議」)
出席:概要と評価
資料3-2 鴨下環境大臣のダボス会議出席結果について
資料3-3 ダボス会議における福田総理大臣特別講演
資料4 第2回エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国会合 概要と評価
資料5 将来枠組みに関するアジア政策対話(財団法人地球環境戦略研究機関(IGES))

6.議事録

午後1時00分 開会

○高橋市場メカニズム室長 大変お待たせをいたしました。定刻となりましたので、ただいまから会議を始めさせていただきます。
 本日は,委員総数40名中25名の委員の皆様から出席予定をいただいておりますので、定足数を満たすということでございます。
 それでは、以降の進行につきましては、鈴木部会長にお願い申し上げます。

○鈴木部会長 それでは、審議に入らせていただきます。例によりまして、本日の審議は公開となっておりますことをまず最初に申し上げておきます。
 事務局から資料の確認をお願いいたします。

○高橋市場メカニズム室長 それでは、お手元の議事次第をごらんいただきたいと思います。
 まず資料1として、パブリックコメントの結果の概要がございます。資料2といたしまして、「低炭素社会づくりに向けて」という論点整理のものがございます。それから、資料3-1といたしまして、ダボス会議の概要と評価、資料3-2といたしまして環境大臣のダボス会議の、これは資料3として3つの資料が1つになっていると思いますけれども、鴨下環境大臣の出席結果、それからダボス会議における総理の講演というものがついてございます。それから資料4といたしまして、第2回エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国会合の結果。資料5といたしまして、将来枠組みに関するアジア政策対話というものがございます。
 なお、昨今の紙資源の節約の観点からでございますけれども、既にホームページにこの資料3と資料4は掲載されておりますので、恐縮ですけれども、傍聴の方には配布を割愛させていただいておりますので、ご了承ください。
 以上でございます。

○鈴木部会長 それでは、議事に従いまして、最初の1といたしまして、低炭素社会について、こういう議題です。1月の初めまで実施しておりましたパブリックコメント、意見募集の結果の概要についてご紹介いただきまして、それから前回12月21日にこの部会でご議論あるいはご意見をいただきましたが、それを踏まえて修正されました論点整理ペーパー、これにつきまして事務局のほうから説明をしていただきます。

○高橋市場メカニズム室長 それでは、資料1と資料2につきましてご説明をいたします。
 資料2につきましては、先ほど部会長からもお話がございましたように、パブリックコメントの結果、それから前回の昨年12月のこの部会でのご議論、それから関係省庁あるいは関係省内での引き続きの検討によるいろいろなコメントございましたものですから、それらはまだ必ずしも全部反映できておりませんけれども、できる範囲で反映したものを今日ご説明したいと思っております。引き続きご意見をいただきまして、取りまとめ作業を続けていきたいと思っております。
 まず、資料1でパブリックコメントの概要につきまして、簡単にご報告させていただきたいと思います。
 昨年12月半ばから1月初めまで、この素案につきましてご意見をいただきました。50団体あるいは個人の方々から、193件という大変たくさんのご意見をいただきました。それをまとめてございます。非常にたくさんなご意見のものですから、かなり短くまとめてございまして、今日すべてご紹介できませんけれども、かいつまんでご紹介したいと思います。
 まず、全体の背景に対するご意見ということで、ここは長期目標そのものについてのご意見が幾つかございました。
 それから、1として低炭素社会の基本的理念という部分でございますけれども、ここにつきましては、例えば6番のような3Rの推進というようなものをもっと強調すべきであるというご意見。それから、9番にありますけれども、カーボンニュートラルからさらにカーボンマイナスというものを目指すべきだというようなご意見。あるいはその次にございますように、大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却というところをより強調するべきであるというようなご意見。それから、「豊かさを実感できる簡素な暮らし」という理念を挙げているわけでございますけれども、これは消費者だけではなくて企業活動そのものの変革というのも大事な要素であるというようなこと。あるいは南北間、世代間の格差、公正の実現というような観点が重要である。
 それから、指標として、これもほかにも幾つかございましたけれども、GDPという指標だけではなくて、「豊かな暮らし」を示す新たな指標というものも必要ではないかというようなこと。
 それから、17番にございますように、特に数十年の寿命を持つインフラ部門の対策については、やはり現時点での意思決定が2050年を決定するという面があることについてのご指摘がございました。
 それから、次のページでございますけれども、18番、長いご意見をいただいていますが、要は低炭素社会というものの概念について、文明論も含めてより深く比較研究をしていくということも大事ではないかというご意見もいただいております。
 それから2として、低炭素社会の具体的イメージという部分についてのご意見でございます。全般論としては、20番でございますけれども、この低炭素社会への取組を促す点で、前回の案でも環境金融商品というようなことは触れていたんですけれども、より広く金融投資、そういうものが環境に取り組む企業に適切に金融投資等が行われるというようなことも含めまして、金融投資部門あるいはそれに関連する情報開示というようなものが1つ重要な項目として立てるべきではないかというご提案もいただいております。
 それから次に、個別の分野ごとの具体的イメージということでございますけれども、(1)として移動という部分でございます。これについては大変たくさんのご意見をいただいてございます。1つは、やはり公共交通機関の充実、活用というものが大事だというようなご意見が幾つかございました。27番はじめございます。それから、モータリゼーションという流れは逆転するべきであるというようなお話。自転車、徒歩を前提としてまちづくりが重要である。それから、自動車の大都市中心市街への乗り入れの規制についてのいろいろな手法が重要であるというようなこと。モーダルシフトについても、36番以降でございますけれども、物流だけではなくて人の移動についてもモーダルシフトというものをもっと進めていくべきであろう。
 それから、自動車の利用についても、アイドリングストップを初めとしてできるだけ自動車の使用を控えるというような話でございますとか、3ページには官公庁等が率先して低公害車を使うべきだというようなご指摘がございました。
 それから、(2)といたしまして、居住空間、建物あるいは就業空間ということでございます。これにつきましては45番にございますように、太陽熱温水器、太陽光発電、あるいは高効率給湯器というような、燃料電池というさまざまなものが出てきておりますけれども、そういうもののベストミックスによって低炭素システムを構築するというようなこと、燃料電池の活用というようなことがございました。それから、太陽光、風、自然のエネルギーというものを活用する、あるいはそういうものと一体的な住まいをつくっていくというようなこと。それから、具体的な点として、53番にありますような太陽電池パネルを学校にすべてつけていったらどうかというようなご指摘もございました。
 それから、(3)といたしまして消費者選択というところでございます。58番にございますように、消費者の選択行動だけではなくて、企業活動のあり方自体も転換するという視点も重要ではないか。消費者に対する情報が不可欠である、あるいは意識改革、社会システムの構築が必要であるというようなこと。それから、断熱とか機器の効率については規制も必要ではないかというようなご指摘もございました。生ごみとかコンビニ、自動販売機等についての具体的なご提案もございましたし、故障したものを修理して使うというような仕組みというものが大事だというようなことがございました。
 それから、4として産業部門についてのご意見でございます。70番にございますように、やはりエネルギー転換と産業部門というのが非常に大きな部分を占めているので、今後とも重要な分野であろうというようなご指摘。生活・消費活動の脱物質化というものが重要ではないか。あるいは「サービスの販売」、「寿命の長い製品」、「修理サービスの充実」、そういう分野に重点を置く企業もふえるというようなことも重要ではないかというようなことでございました。
 それから、4ページにまいります。74番として、働き方についての視点。時間的、精神的余裕というものが環境の配慮には必要ではないかというようなこと。それから、77にございますように、工場にも省エネトップランナーというような考え方が有効ではないかというようなことでございます。84番にございますように、ITの進展というものについては逆に消費エネルギーの増加につながっているのではないかというご指摘もございました。それから、電力については料金体系の話、見直しのような話。それから、天然ガスの活用。下水処理からのメタンガスの利用。それから、太陽光発電についてはもっと研究開発普及に力を入れるべきだというご意見。95番では太陽エネルギーの熱利用というようなことについてもご指摘がございました。
 それから、5番として、森林・農業ということでございます。森林・農業についてはより重視すべきだということで、エネルギー・食糧の供給というのもございますし、農村地域の自立というようなことも含めてご指摘がございました。
 また、101番にございますように、農業は重要だといっているだけではなくて非常に深刻な高齢化、過疎化という中で農業に携わる人への配慮というものも重要ではないかというご指摘もございました。
 それから、5ページ目でございますけれども、農産物の安全・安心というのは非常に昨今も関心の高い問題もご指摘がございました。それから、105番も先ほどと同じような視点でございますけれども、農林業で生活できるという条件が必要である、そういう具体的なイメージが必要ではないか。それから、農業規模、経営の効率化ということだけではなくて、生態系の保護を考慮した持続可能な農業というものを書くべきだと。里山、荒れた山林を守るための活動というようなこと。それから、林業の重要性、関連して間伐材の活用の重要性というようなことについてご指摘がございました。
 それから、(6)のまちという部分でございますけれども、これについては幾つかバイオマスとかコージェネとかそういう具体的な技術の活用についてかなり個別的なご意見もございました。それから、後半のほうでは、農村やあるいは地方の活性化というような観点からのご意見が幾つかあったということでございます。
 それから、低炭素社会実現のための戦略という部分でございますけれども、124番でございます。排出量取引あるいは炭素税といったような経済的手法、あるいは規制的手法の重要性等についてご指摘がございました。
 6ページにまいりまして、企業に望まれる行動という部分では、効率的な商品の開発、あるいはつくるだけではなくて、維持とか修理についての取組もより強化をしてほしいというようなご指摘がございました。
 それから、政府が講ずべき手段ということでございます。まず、制度的なインフラ整備、制度、仕組みのところでございます。これもかなりたくさんのご意見をいただいております。例えば、カーボンディスクロージャーについては制度的インフラとして位置づける必要があるのではないか。市民の参加ということの重要性。それから、134番でございますけれども、政策決定に当たって低炭素社会という視点での評価、アセスメントをやる制度というようなものも必要ではないかと。137番ですけれども、再生可能エネルギーへの支援をより強化をすべきであるというようなこと。それから、144番以降ですけれども、環境税についての具体的なご提案。それにつきましては排出権取引についての具体的なご提案、重要性の指摘というようなものもございました。
 それから、7ページにまいりますと、規制ということについても家庭、個人に対しても場合によっては規制が必要ではないかということも含めて、その重要性についてご指摘があったということでございます。
 それから、政府が講じる手段の次として、ソフト的インフラ整備という、情報とか環境教育という部分でございますけれども、158番にございますように、学校、地域、家庭の連携の重要性というようなこと。160番ですけれども、環境教育を必須科目としてより重視すべきであるというようなこと。その次にございますように、GDPではない真の豊かさをあらわす指標というものの構築。それから、政府とか自治体がさまざまな施策や事業を評価する場合に、可能な限りCO2の排出量の削減という評価項目を加えるということがいいのではないか。165番にございますように、各家庭におけるCO2の排出削減についてのアドバイザーというような資格があってもいいのではないか。それから、森林・農業については、そのCO2の吸収源あるいはエネルギー供給源としての貢献を数値化をする必要がある。カーボンオフセットというものをさらに進めていく必要があるのではないかというようなことでございます。
 それから、ハード的インフラということですが、ちょっとハード的インフラと若干ずれますけれども、173番にございますような移動についてもいろいろな手段があるわけでございますので、CO2の排出の少ない順に優先順位をつけてもっと進めていくべきではないかというようなご意見もございました。
 それから次に4番で、世界への発信・国際的な連携という部分についてのご意見でございます。8ページにいっていただきまして、1つは181番にございますように、CO2の削減というのは緩和策だけではなくて、適応策の重要性のご指摘。それから、日本が率先して取り組むべきだということももっと強調すべきだというようなこと。それから、184番にございますように、これまでのオイルショックを含めた日本の経験、成功・失敗の事例についてアジアについて発信できるのではないかというようなこと。それから、途上国への支援という意味では、環境だけではなくて、人口、資源、外部経済、さまざまな問題を解決する必要があるというようなことがございました。
 あと、最後サブタイトル案、これは低炭素社会がちょっと言葉として固いというようなこともご指摘もあって、何か非常にわかりやすいサブタイトルはないでしょうかということで募集もいたしましたけれども、ここにございますようなご提案をいただいております。
 次に、資料2に移らせていただきます。
 冒頭申し上げましたように、この資料2につきましては、今ご説明をいたしましたパブリックコメントについてまず反映を試みております。加えまして、前回のこの部会でかなり活発にご意見をいただきました。そういうものについてもできるだけ反映をいたしました。それから、関係省庁からも今引き続きいただいているところでございますけれども、幾つかコメントをいただいております。そういうものを踏まえまして、まだ作業途中でございまして、もっとめりはりをつけたものにすべく、今省内でも議論をしているところでございますけれども、現時点の案ということでご議論いただければというふうに思っております。
 では、1ページ目からご説明を申し上げますけれども、時間の関係もございますので、主に前回の資料、昨年末の資料から変更した部分、これを赤字で示してございますので、そこを中心にご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、はじめにというところでございますけれども、ここは今回の低炭素社会づくりの当地球部会における検討の前提背景というものを、昨年の「クールアース50」の発表というものをはじめとして書いてございます。
 この部分につきましては、前回委員のほうからもご指摘ございましたけれども、21世紀環境立国戦略において、低炭素社会に加えまして循環型社会、自然共生社会という3つの側面をうたっているわけでございまして、それらの相互関係に十分留意して検討を行っていく必要があるというご指摘がございましたので、その趣旨をこの(1)の最後のところに加えさせていただいております。
 「低炭素社会づくり」においては、「循環型社会」「自然共生社会」との関係に留意しながら検討を行っていくものである、ということでございます。
 それから、2ページ目は全体の構成ですけれども、後ほどご説明するのに、このイメージの一番下に(8)として金融・投資・情報開示というものを先ほどのパブコメも踏まえて独立して加えさせていただいております。
 3ページ目は、これはIPCCの結果の概要を踏まえた長期的な大幅削減の修正というところを書いた部分で、ここについては特に変更してございません。
 次に、低炭素社会の基本的理念というところで、5ページ目でございます。ここも大きな構成は変えてございませんけれども、少し前回のご指摘等踏まえまして、あるいはパブコメを踏まえまして少し表現を変えてございます。カーボン・ミニマム、あらゆる社会セクターにおいて二酸化炭素の排出を最低限に抑えていくというところでございます。これについては大量生産・大量消費・大量廃棄社会からの脱却という意識、そういうものとの関連も重要だというようなご指摘もございましたので、そういう文言を1つつけ加えてございます。
 それから、豊かさを実感できる簡素な暮らしの実現というところにつきましては、これも前回のご議論の中で、例えば豊かさという中で心の豊かさが重要ではないかというようなご指摘もございました。あるいは世代間の、次世代への思いやりというようなことの観点、あるいは消費者だけじゃなくて生産者も変革する必要があるというようなご意見を踏まえまして、ここにございますように、未来世代の思いやりなどの価値観を重要視するというようなこととか、「生産者も消費者の志向にあわせて、自らを変革していくことが必要」であるというような文言を加えてございます。
 それから、ちょっと赤くなっておりませんけれども、下から2行目ですけれども、このような人々の選択や心の豊かさを求める価値観の変化というようなことで、心の豊かさというものを強調しております。
 それから、3といたしまして、自然との共生の実現というところでございます。これについても前回もいろいろご意見をいただきまして、人間は当然自然生態系の一部ということもございますけれども、逆にその自然というものは人間の文化を育んできたという観点も重要であるというようなこともございました。そういうものを踏まえまして、「自然と人間はその文化の基盤であるという認識の下、自然の恵みを享受し、また、その恩恵によって生きていくことができる。自然と調和・共生した社会づくりを進めることが必要である。」というようなことを書いてございます。
 それから、最後に、「自然とのふれあいの場や機会の確保」ということも加えてございます。
 次に7ページでございますけれども、具体的イメージというところに入りまして、まずまちということで、大都市・中都市、小都市、農山漁村ということで、地域ごとの特性に合わせた具体的なイメージということを書いている部分でございます。
 主な変更点だけ申し上げますけれども、大都市・中都市については、ここにございますように、下水汚泥等、都市における未利用エネルギーの積極的な活用、これは小都市でも同様のことでございますけれども、というようなこと。それから、これも前回の案にも基本的には入ってございましたけれども、少し文言を適正化しております。「熱輸送管が整備され、地区レベルで排熱を含むエネルギーを有効に活用」するという、排熱利用の重要性というものを書いてございます。
 それから、小都市の部分でございますけれども、いわゆるコンパクトシティということなんでございますけれども、これも前回ご議論があったかと思いますが。都市と農村の境界部分についてのいろいろご意見ございました。市街地の面積が計画的に適正規模へと縮小していく、都市周辺部は緑地・農地へと転換をしていくと、そういうプロセスがこれから人口減少というようなことがある中で、スムーズに進んでいくということが重要ではないかということでございます。
 それから、新たな要素として、河川の話を1つ書いてございます。多自然の川づくりということで、「地域の暮らし、歴史・文化に配慮し、自然が本来有している生物環境や河川景観を保全創出しつつ治水が行われ、災害に強いまちになっていると。」地球温暖化への適応も含めて1つ項目を加えてございます。
 農山漁村については余り大きな変更してございませんけれども、これも委員のご指摘にございました、地域の特性に応じた適応策、アダプテーションという観点が重要だというご指摘もございましたので、ここに1つ加えてございます。
 次に、8ページ、移動というところでございます。これについては、先ほどもたくさんコメントいただいておりますけれども、基本的には主な要素は既に入っているのかなと思っております。ただ、ここは十分まだ反映できていない部分ございますが、人の移動だけじゃなくて貨物の移動、そういうものの低炭素化というものも大事であるというご指摘を委員あるいは関係省庁からもいただいております。その辺をもう少しさらに工夫したいと思っていますが、幾つかそういう観点を入れておりまして、行動のところで、貨物の荷主・物流事業者が低炭素な輸送手段を積極的に選択をしていく、あるいは基盤のところで、貨物鉄道駅あるいは港湾等の貨物に関するインフラの整備というようなことが書いてあります。それから、交通量対策のところは、これは基本的な考え方が入っておりましたけれども、少し表現を適正化したということで、環状道路整備等の渋滞対策、ボトルネック踏切の対策、多様で弾力的な高速道路の料金施策というようなことによりまして渋滞をなくしていく、あるいはITSの活用によりまして、道路交通情報の提供の充実等によりまして自動車交通の効率化を図っていくということを書いてございます。
 次が、9ページ、居住空間・就業空間でございます。これについては細かい修正はしてございますけれども、内容的には大きく変わってございません。見える化技術等によりまして、住んでいる人、あるいは職場の省エネ意識が徹底をしていくと。それから、エネルギー効率の高い機器の導入の促進、あるいは太陽エネルギー等の活用。それから、基盤として、地域の条件に適した住宅ができていくとか、質の高い長期的に使用可能な質の高い住宅あるいは改修、そういうものが進んでいくということが書いてございます。
 それから、10ページがエネルギー供給というところでございます。これは前回産業とエネルギーを分けて1つ立てていたところでございますが、大きく変わっているところはございません。細かいところでは、この低炭素エネルギー供給、さまざまな低炭素の例えば電力、発電プロセスが挙がっておりますけれども、バイオマス発電が抜けておりましたので、それは加えております。あるいは排熱とかバイオマス熱利用についても、より一般的な表現にしてございます。
 あと、導入、ポテンシャルという言葉はちょっとわかりにくいということで、導入可能量というような表現で、下の細かいところでございますけれども、修正をしてございます。
 それから、11ページが産業部門というところでございます。ここは少しこのポンチ絵も含めて書いてございます。右側の修正部分でございますけれども、製品のライフサイクル、製造-物流・販売-消費-廃棄という全体を通した低炭素化に加えまして、サービスの販売、寿命の長い製品づくり、修理サービスの充実という、ある意味脱物質化といいましょうか、そういうところに重点を置く企業、産業もふえていくというようなことを書いてございます。
 それから、イノベーションというところにつきましては、低炭素社会におけるビジネスモデルというところにつきましては、「社会的責任と収益拡大が両立するビジネスモデル」という表現に改めております。
 それから、基盤のところで多様な環境金融商品というところについては具体的に環境対策低利子融資とかローン、あるいはグリーン電力証書、排出枠、カーボンオフセットクレジット等、具体的な金融商品を例示をしているというところでございます。
 それから、12ページでございますけれども、森林・農地・海洋というところでございます。これにつきましては先ほどのパブリックコメントなどを踏まえまして、1つは農林水産業の経営効率化というようなところについては、効率化だけではなくて生態系の保護を考慮した持続的な経営とバランスをとっていくというようなこと。あるいは安全・安心確保の重要性、それから食料・木材自給率の向上についても「飛躍的に」ということでさらに表現を強めているところがございます。
 それから、木質バイオマスの活用についてもより具体的な例を書き加えているというところでございます。それから、基盤のところで、この里山、里海とか、あるいは荒れた山林を守ると、そういう地域の活動の重要性ということを加えておるのと。先ほどのパブリックコメントにもございましたような農林水産業の担い手の確保という観点も1つ加えているというところでございます。
 それから、13ページが消費者選択というところでございます。これについては食、住、家電、娯楽、車の運転ということで幅広く書いてございますけれども、それほど大きく変わっておりませんが、低炭素社会づくりに対する責任を持たない企業の商品は購入しない。それから、購入をした後は修理をしながら長く使うというようなことを1つ加えているというところでございます。
 それから、14ページでございますけれども、これが新しく今回加えたところでございまして、金融・投資及び情報開示というところで、今後の低炭素社会に向けて低炭素のビジネスモデルを持っている企業、そういうところに十分な資金を供給するというようなこととか、投融資の意思決定の際に地球温暖化問題への対応というものがきちんと評価をされるというようなこと。あるいは企業が環境問題、CO2の負荷削減というようなことにどういうふうに取り組んでいるかというような情報をディスクロージャーをしていくというようなこと。それから、これは適応の観点でございますけれども、気候変動リスクに対応するための金融商品、そういうようなものがどんどんできてくるというようなことも、この分野の要素としてつけ加えてございます。
 そういうことを進めていくための技術基盤ということで、そういう気候変動リスクを評価するためのさまざまなデータというものが産業別、地域別、企業別に蓄積されていくと。それらのデータを使ったさまざまな評価方法論というものが開発されていく。あるいは企業の気候変動リスク情報というものが開示をされて、それが金融機関とか投資家が活用できるというような基盤が整備されている。それから、気候変動関連の金融商品というものがいろいろ供給されて、さまざまな場面で活用されていくと、そういうようなことをこの金融・投資、情報開示というところで書かせていただいております。
 次に、第3部ということで、今第2部で申し上げたような具体的な2050年の低炭素社会のイメージを実現するための戦略というところでございます。まず、18ページの総論的な部分でございます。これについては、低炭素社会づくりについて貢献とかそういうことじゃなくて責任を持ってやるべきだというようなご意見もございましたので、この一番上の枠のところでは、低炭素社会づくりに責任を持って対処するというような表現を書いてございます。
 国民のところでは、この国民の自らやるというだけではなくて、その家庭の我慢を超えた低炭素社会の実現ということで、国民の購入行動等が企業や商品というものを選別していくという視点も書き加えております。
 それから、政府のところについては、これも前回ご意見ございましたけれども、国だけではなくて地方自治体の役割も重要であるということがございますので、低炭素社会づくりに向けては国と地方が適切な役割分担のもとに連携をし、各地方の特色を生かした先進的取組を尊重しながら整備していくという表現をつけ加えております。
 17ページ以降、より具体的な戦略を列挙している部分でございますけれども、国民に望まれる取組というところについては特に大きな変更はございません。企業の部分については、これも先ほどのイメージのところにもございましたけれども、前回の案では収益の拡大というのはちょっと強調されている部分がございましたけれども、より前向きな表現に改めるべきだというようなご意見もございましたので、このビジネスモデルの変革のところでございますけれども、「低炭素社会においてイノベーションに絶えず挑戦し、社会的責任と収益拡大が両立するビジネスモデルを獲得する」という表現に変えてございます。
 それから、18ページの政府が講じる手段というところでございますけれども、これについてはパブリックコメントあるいは委員のご意見を踏まえまして幾つか追加してございます。1つは、政府自らが率先して実行するということの重要性ということで1つ率先事項というものをこのインセンティブの1つとして加えてございます。
 それから、経済的手法の中で、いわゆる経済的メカニズム、税とか取引、そういうものを書いてございましたけれども、それに加えまして、温暖化を助長する補助金や優遇税制の削減という逆の観点も重要であるというご指摘がございましたので、加えてございます。
 それから、パブリックコメントにもございましたけれども、情報的手法の中で、さまざまな政策の実施に伴って出てくるCO2等の算定の手法を確立し、それを用いて政策評価の段階でこのCO2の排出というものを組み入れていくというようなこと。
 それから、これも委員のご指摘やパブリックコメントにございましたけれども、GDPだけではなくて、豊かさをあらわす指標というものを今後開発していく必要があるということを書いてございます。
 それから、このページの下に枠を新たに設けまして、戦略ということで、温室効果ガスの見える化の推進によるライフスタイル、ビジネススタイルの変革というものを書いてございます。これはまだ途中経過でございますけれども、こういう形でいろいろ細かい網羅的に挙げておりますけれども、幾つかめりはりをつけて、今後さらに議論を深めていくべき項目を幾つかピックアップをしていきたいと思っておりまして、こういう形で幾つか柱になる戦略的というものを次回までに整理していきたいと思っておりますので、この辺についてもぜひご意見、ご示唆をいただければと思っております。
 ここで挙げておりますのは見える化というところでございますけれども、やはりこの消費者あるいは企業の行動、ライフスタイルを変えていく、ビジネスモデルを変えていくという中で、さまざまな商品とか、活動でありますとか、農産物も含めて、温室効果ガスがどれだけ排出されるのかということを、その製造・流通・使用、各段階においてわかるような、それを定量化して示していくと。LCAの考え方も使いながらそういうことを、情報の整備を進めていくということがまず重要ではないかということで、そのための評価方法とか表示のあり方、あるいは表示する際のいろいろなIC技術、ユビキタスインフラの活用というようなことがまずスタート、基盤として書いてございます。
 そういうものを使いながら低炭素社会づくりに向けた国民運動を強力に推進していく。1つの例としてはカーボンオフセットというような活動を、こういう情報をもとに進めていくということによりまして、このライフスタイル、ビジネススタイルの変革を強力に進めていこうということでございます。
 見える化については、環境省だけでなくていろいろな部門でも検討が進められているところでございますけれども、省エネラベルがここに小さく書いてございますが、省エネラベルとか農産物のLCA評価、あるいはフードマイレージ、バーチャルウォーター、カーボンフットプリントというような産業・消費者選択の「見える化」、あるいは移動についてもCO2駅すぱあと、カーナビによるエコドライブというようなこと。
 それから、居住空間についても省エネなりCASBEE、エアコンの省エネお知らせサインとかさまざまなアイデア、取組が進みつつありますけれども、こういうものを体系的に総合的に進めていくということが重要ではないかということでございます。
 次に19ページでございますけれども、政府が講じる手段の(2)というところで、人材育成、資金等の部分です。人材育成については先ほどパブコメにございましたけれども、学校・企業・地域、さまざまな場が相互に連携するというようなことの重要性。
 それから、資金としては、低炭素促進ビジネスを振興していくと。融資・投資部門の施策ということでございます。
 この下に戦略として1つ提案をしてございます。ちょっとここについてはまだ記述が十分入っておりませんけれども、「もったいない」の考えに即した低炭素で循環型の社会づくり、いわゆる循環型社会と低炭素社会というものの統合といいましょうか、1つの柱として考えている部分でございまして、これについてはまさにライフスタイル、できるだけものを長く大切に使うというようなこともございますし、使うことによりましてその地域で循環型社会をCO2の削減と同時に実現をしていくと。日本で3Rということで今国際的にも発信をしているとことでございます。
 そういう国民運動的なものに加えまして、この廃棄物処理というプロセスの中で、できるだけバイオマスの活用でありますとか廃棄物による発電、あるいは廃棄物の焼却熱の活用というものを最大限進めていきまして、そういうものによって地域におけるエネルギー供給に貢献、活用していくというところが1つのパッケージとして立てられるのではないかということを今考えているところでございます。
 それから、20ページにまいりまして、引き続き政府が講じる手段というところでございますけれども、都市についてまちづくり大変重要な分野でございます。これについても、引き続き検討をさらに進めていきたいと思っております。この今日の資料では基本的には前回とそれほど変わっておりませんが、少し用語の使い方を適正化をしたということで、「集約型都市構造の実現に向けた都市・地域整備の総合的な戦略」というタイトルにしてございます。
 具体的なものとして、低炭素社会の実現に配慮した都市計画マスタープランの推進というようなこと、あるいは公共輸送機関の駅等を中心とした、歩いて暮らせるまちづくりというようなこと、それから大規模集客施設等にかかる立地規制の強化など、都市計画制度の活用による都市機能の適正な配置の確保というようなことでございます。
 これについても1つコラムをつくってございますけれども、農山漁村地域における低炭素社会の実現という部分でございます。都市と並んで農村の取組というものも重要な柱として位置づけられるのではないかということでございまして、農山村にはさまざまな低炭素型のエネルギー源があると、供給源があるというようなことで、ここにございますように農業関連施設を使った太陽・風力発電でございますとか小規模の水力発電、あるいは下水、家畜排せつ物等を活用した発電・熱利用、それからバイオ燃料の大規模な活用、あるいは木質バイオというようなことでございます。そういうようなものもございますし、需要サイドとしてもさまざまな農林業におけるエネルギーの活用というところにこういう低炭素エネルギーを活用していくという余地がたくさんあるのではないかということで、こういうものを総合的に進めていきまして、CO2を農山村地域でも全体として削減をしていくというようなことが1つ柱として挙げられるのではないかということで書いてございます。
 そういう意味で、戦略という3つほど枠をつくっておりますけれども、これについてはさらにほかのものも含めて追加、充実をしていきたいと思っておりますので、ぜひまたご意見等いただければと思っております。
 それから、21ページから世界への発信、最後の部分でございます。
 22ページがこの低炭素社会環境立国・日本モデルの創造と発信ということで、日本のこれまでの環境あるいはエネルギー分野の経験を踏まえて、途上国に対して日本モデルというものを発信をしていこうというところでございます。大きく変わってございませんけれども、課題先進国日本というところで、これまでの日本が直面してきたさまざまな問題、中でも特にCO2の排出量がふえてしまってきている、そういう要因として新たにオフィスのIT化、パソコンの普及、あるいは夜間、深夜における国民活動の活発化というような要素をつけ加えてございます。
 それから、日本の強みというところでは、人材というものも1つ強みとして加えているというところでございます。
 最後、23ページに日本の経験を踏まえた国際的な発信というところでございますけれども、これについても大きな構成は変わってございません。前回の部会でもご指摘ございましたけれども、特に日本としては環境あるいはエネルギー分野の貢献というものがやはり今後の国際貢献の柱になるのではないかというようなことを書かせていただいております。
 また、途上国に対する支援という観点では、特に社会資本、これから途上国でどんどん整備されていくという中で、この取組が遅れることによる非効率なシステムのロックインを防ぐという観点、迅速な対応というものが必要だということを書いてございます。
 それから、3番目の国際的なインセンティブの強化というところでは、途上国への資金の還元という中では緩和と適応というものがあるだろうというようなこと。それから、これも前回ご指摘がございましたけれども、日本として環境技術というものを世界に発信していく中で、1つ重要な要素としてご指摘ございましたけれども、ここにございますような技術の移転をよりインセンティブを働かせるというためには、知的所有権や商慣行に関する国際的なルールづくりというものが重要だろう、そういうものを推進していくということを1つ新たな要素として加えてございます。
 以上、大変駆け足のご説明でございましたけれども、パブリックコメントの概要、それからそれらを踏まえた現時点での論点整理の案ということでございます。引き続き政府部内での検討も進めていきますし、今日さらにこの場でいろいろご意見をいただきまして、次回に向けてよりめりはりのあるものにしていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 パブリックコメントあるいは先生方からのご意見に基づいて、論点整理の現段階での形が資料2でございまして、これに今日もご意見をいただき、3月末ぐらいですか、今年度内ぐらいにこの論点整理をまとめる、そういう計画になっております。
 いかがでしょうか。先生方のほうからこれはということがございましたら、名札を立てていただければと思います。これはちょっと時間がかかりそうですね。
 ではそちらから、横山委員のほうからまいりましょうか。
 すみません、佐和委員が早くお出にならなければいけないということなので、最初に佐和委員。

○佐和委員 すみません。私は前回出席してないので初めてこの資料を拝見したんですが、幾つか気がついたことを申し上げます。
 まず、はじめにのところに書かれた、要するに豊かさ云々という話が……、どこにあったのかな、基本理念のところに豊かさを実感できる簡素な暮らしのところを書いていますが、結局日本というのは異常なまでにGDP信仰の強い国なんですね。例えば、GDPの速報値が発表されますと夕刊の一面トップになるという、これは非常に世界的に見て特異な例で、そして例えば欧米に行きますと、雇用とかインフレ率とかそういうことがむしろ生活者としての実感、つまりGDPなんていうのはそれほど重要視されていないんです。
 ですから、そういう意味では、GDPの新たな指標をつくるというのも、これは昔々ネットナショナルウェルフェアという指標をつくろうとして、結局何が何だかわからないというNNWということでポシャッてしまったという例もあるわけで、GDPを相対化すると1つの物差しにすぎないという考え方を徹底させることは必要だと思います。
 それからその次に、科学的知見という3ページのところですけれども、私はこれはよくわからないのでどなたか、今日ここには余り関係の方もいらっしゃらないのであれですけれども、550ppmというスレシオールドがあって、閾値があって、それを超えればどうこうということではなくて、私は何となく、私は非科学者ですけれども、経験上感じるのは、要するに大気中のCO2の濃度が徐々に高まるにつれて、例えばハリケーンや台風の頻度とか強度が高まるというふうに思うんですが、その辺の科学的なことについてきっちりしたことを教えていただきたい。
 それから、7ページにコンパクトシティのような話が出ておりますが、都市の構造を変えるというのは、住んでいる人間がいる以上なかなか難しいし、それから本当にコンパクトにすればどれだけ省エネになるかどうか。
 そして同時に、一番最後のところにも、トドウキョウのスプロール化というのがあたかもCO2の排出量をふやしているように見えますが、これだけのスプロール化して皆さん方が自動車で通勤するのは不可能ということで、そして満員電車で通勤なさっている。ということは、1人当たりの通勤に要するCO2排出量というのはオールモーストゼロなんですね。ほとんどゼロであるというようなことから考えると、どういう都市構造が適切なのかということについても十分検討に値する。
 それから、移動につきましては、今石油価格が非常に上昇しておりますが、これは人によって見方がさまざまなんですが、私はやはり石油価格は今後20年、30年すれば二、三倍になって、現在100ドルとして、それの二、三倍になっている。そうすると、ガソリンが500円ぐらいになっているんじゃないか。そうすると、ガソリンエンジンで走る自動車に乗るというのは非常にぜいたくな人であるということになって、そして結局電気で走らざるを得なくなる。それはフューエルセルの場合も間接的にはやはり電気であるというように考えると、そういうふうに考えますと、やはり一体都市交通部門における排出量というのが相当大きく変わってくると。その場合、電源をどうするかという大問題が出てくるわけです。それをCO2フリーにするためにどうすればいいか。
 それから、中小零細企業というのは古い設備を抱えていて、それを新しい設備に置き換えれば10%や20%のCO2排出削減は可能なんだけれども、手元にお金がないし、銀行もお金を貸してくれないというようなのが現状なわけですね。そういう意味で、やはりソーシャル・レスポンシビリティ・インベストメントみたいなことを通じて、金融機関にこういうCO2排出削減の面での社会貢献というものを促すということをぜひやっていただきたい。
 それから、18ページに経済的手法というのについて小さな文字で書かれておりますが、ここで技術革新、要するに経済的手法が技術革新のインセンティブとして働くということをもっと強調していただきたいというふうに思います。
 大体以上でございます。

○鈴木部会長 それでは、横山委員のほうに戻りましょう。

○横山委員 2点申し上げたいと思います。1点目は10ページのエネルギー供給のところです。この図とか説明を見ていると、石炭火力とかガス火力とか原子力とか、あるいは風力とか太陽光発電とか、集中型電源と分散型電源を単に並べているというだけで、今後の社会はやはり大規模集中電源に頼るだけではなくて、自らもエネルギー供給に関係するんだというような視点を入れていただきたいなと。要するに、分散型電源で自らもエネルギー供給する、それが環境教育なんかにも役立つわけで、そういう視点が欲しいと思います。図を見ると確かに燃料電池、コージェネとか太陽光発電とか書いているんですが、そういう説明、自らもつくり出すんだというようなことを入れるとイメージがすっきり、しっかりするのではないかと思います。
 それから、16ページの低炭素社会実現のための戦略ということで、政府とか国民と企業ということが挙がっていて、私は前回NGO、NPOと地方のことをもう少し書かないとおかしいのではないかということを申し上げました。それに対して、地方は入ったみたいですけれども、NGO、NPOのほうは相変わらず全然入らないというのは余りにもちょっと、片手落ちというのは言葉が悪いですが、ぜひこれからはNGO、NPOの活動・行動に期待するという意味で、その辺を入れていただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 では、三橋委員。

○三橋委員 私も言いたいことはいっぱいあるんだけれども、3点に絞ります。1つは、低炭素社会のイメージの問題なんですけれども、つまりいろいろこの中で書いてあるんだけれども、それでは低炭素社会というのはどういう社会なのかというイメージをもうちょっとわかりやすく説明する方法というのはあるんじゃないかと思うんですね。例えば、最近私はなるほどと思ったんだけれども、スウェーデン政府が発表した数字で、スウェーデンの経済成長率は1990年比で44%増加したということですね。同じ期間に温室効果ガスの排出量は8.7%減少したということです。そうしますと、CO2の排出量を減らしながら一定の経済成長を高めるということが例えば低炭素社会のイメージなのかなというふうにも考えられるわけですね。
 成長すればするほど炭素の消費量が減っていくというようなこと、これは1つの非常にわかりやすいイメージだと思います。日本の場合には、ほぼ同じ期間経済成長率は15%ぐらいしか増加しなかったけれども、温室効果ガスは大体6.何%か7%前後ということで、依然として経済成長すればCO2の排出量もふえる、そういう経済構造になっている。これは明らかに炭素型の経済成長ですよね。
 だから、低炭素社会という場合には、低炭素社会とは何かというイメージをもっとはっきりさせる必要があるんじゃないかと思うんですね。今1人当たりの温室効果ガスの排出量は日本では年間約10トン、それを例えば5トン以下にすれば低炭素社会といえるのかどうかとかいろいろあると思うんですけれども、その辺、ヨーロッパでは恐らくそれが2トンとか1トンとかというところまで減らして、それを低炭素社会のイメージとしていますよね。
 低炭素社会のイメージをもっとわかりやすく、経済成長しながら炭素が減っていくような社会が低炭素社会、あるいはこのレポートの中で目指しているものだとか、やはり国民全般にわかりやすいような説明が必要なんじゃないかなということ。これが第1点です。
 それから第2点は、やはり人口が2050年に急激に減っていくわけですね。今と比べて2050年の人口は9,500万人ですから、3,300万人ぐらい減るわけです。その人口が3,300万人減ることの影響、それはもちろんエネルギー需要を急速に落としていく役割もあると同時に、高齢化しながら人口が減っていくわけですから、家族構成のあり方なんかでも相当変わってくると思うんですね。そういうような家族構成の変化。それから、それに伴って恐らく人口は今まで東京一極集中がまだ続いているけれども、それは2050年の世界になるとかなり地方都市のほうに分散化していくような感じが出てくるだろうというふうに思います。
 そうしますと、例えば現在東京の都心部で30階、40階もあるようなそういう高層ビルが果たして2050年まで-エレベータなんか上に上げるためには大変なエネルギーがかかるそうですね-そういうような人工物というものは果たして2050年まで生き続けることができるのかというような疑問もあります。そういうような形で、家族、そこに住む人間たちが2050年どういうような姿になるかということがこの中では決定的に欠けていると思います。その辺はぜひお願いします。
 それから3点目、これは先ほど佐和委員が言ったこととも若干関係するんだけれども、一般に経営学の分野ではイノベーションが起こる原因として、例えば強力なライバルの存在、あるいはユーザーの非常に厳しい苦情、それから原材料の高騰、こういうようなものがイノベーションの原因になるというようなことが常識です。
 それに対して、最近私が読んだ論文では、マイケルポーターというハーバード大学の経営学の先生が言っているのでなるほどと思ったことは、適正に管理された環境規制は4番目のイノベーションを引き起こすということでいろいろな事例を挙げています。つまり、適正に管理された環境規制、例えば経済的手法をうまく実施すれば、それが企業のインセンティブを非常に高める、そういう役割をしている過去の事例も幾つも挙げています。
 そういうことで、むしろ環境税も含めて、経済的な規制というものを通して企業に新エネとか省エネとか、そういうようなイノベーションを引き起こすような位置づけというものをぜひ入れてほしいなという感じがするわけです。
 マイケルポーターはそういう技術革新のことをイノベーションオフセットというような言い方をしています。したがって、当初数年は環境投資がマイナスになっても、3年、4年というような時間の経過の中で相殺して、それ以降はプラスに転じていく、もうそういうケースが圧倒的に多いんだということを企業を事例に研究しているわけです。そういうようなことをぜひ入れてほしいなというふうに思います。
 以上の3点です。

○鈴木部会長 桝井委員。

○桝井委員 7ページの低炭素社会の具体的イメージ、三橋さんがおっしゃいましたように、やはり低炭素社会というのは2050年に確かに人口もかなり減っている、それから世界はこれからどういうふうな形で動いていくのかわからないものが大いにあるわけですけれども、もう少しなるほどそのような感じかというイメージを出す工夫がいるのではないかと思うわけです。
 この中、大都市・中都市、まち、農山漁村とあるんですけれども、非常に意外性といったらおかしいけれども、農山漁村というものについてのイメージが特に乏しいのではないかなと。というのは、恐らく農山漁村というのが非常に重要なキーになり得る可能性というのは大いにあるわけです。一番上に、大規模経営の拡大と効率的な生産で第一産業は活性化というのが、これはパブコメにもありましたが、余りにもこれはいろいろな状況、2050年を見てこれではちょっと余りじゃないかと。
 第一産業は活性化していなければいけないわけですよね、恐らく2050年の低炭素社会の重要なイメージのものとして、これは活性化していなければいけない。これは恐らくこれから流れで、日本、人口も減る中で、食料の自給率というのは今のような状況ではだめなわけで、これ必ず国内というのはかなりふえていかなきゃいけないし、非常に工夫しどころで、ここのイメージというものをもう少し……、これだけではちょっとイメージがわかない、とにかく活性化させる方法というのはこれだけではないはずだと思うわけです。だから、ここのところは難しい点はあるけれども、もう少し膨らませてもらいたい。
 それからもう1つは、これはよかったなと思うんですが、14ページの低炭素社会の具体的イメージの金融関係、これまたどのような変転になっていくかわかりませんけれども、これを1項別立てにされるのは当然のことであったと思うわけです。
 そういうわけですけれども、文章的なことでいえば、行動、ビヘイビアのところですね、投資家が一番初めに低炭素型のビジネスモデルを進めている企業に十分供給しているという表現ですけれども、これはできれば低炭素型のビジネスモデルが投資利益の対象として当然のこととなって、それゆえ必要な資金を十分供給していると、そういう時代になっているということをつけ加えていただきたいと思います。

○鈴木部会長 では、高村委員。

○高村委員 ありがとうございます。3点申し上げたいと思います。この間不在にしておりましたので、議論の中でもう既にご指摘のあった点かもしれません。
 まず第1点目は、この中でもインフラなどのところで触れられておりますが、タイムスケールとの関係です。パブコメでもいわゆる2050というイメージ、それからそれに到達するためのこういう施策が必要だということについてのご提示がされていることは評価されつつも、いわゆる中間点といいますか、2020ですとか2030といったような中間点にどういうふうにたどり着くのかといいますか、通っていくのかということについてのコメントが幾つかあったと思います。
 この中で、それを中間点として書き込むというのも1つあるのかもしれませんが、あるいは仮にそれが難しくても、このまとめていった過程の中で、次の作業としてその中間点のイメージの具体化というのが必要であるということについては確認をするのが望ましいのではないかというのが1点でございます。
 2つ目、3つ目は簡単な点ですが、2つ目のところは、スライドの13ページ、消費者選択のところです。さっきの発言でもございましたけれども、金融投資の部門に着眼していただいたのは私もとてもいいことだと思うんですが、あわせてここの消費者選択の中にも消費者自身も投資者としてそうした企業活動を支えるといったような行動を盛り込んでいただくのはどうかというのが2つ目でございます。
 そして最後、3点目ですけれども、一番最後のスライドであります。国際的なインセンティブの強化のところで、いわゆる炭素の価格づけのルール化と、その中で上がってくるお金の資金の還元ということは書かれておりますが、もともとクールアースの中でもそれとは別に途上国支援については力点を置かれていたかと思います。そういう意味で、政府間の途上国への支援というものを低炭素型社会の実現に資する形でそれを行うといったことはもう既に現在ある基調かと思いますので、触れていただくのがよいのではないかというふうに思いました。
 以上です。

○鈴木部会長 高橋委員。

○高橋委員 一般的なことを1点、それから極めて各論的な事柄を1点だけ述べさせていただきます。
 持続可能な社会の実現という目的のために3つの要素をとりあえずは使っていって、それを全体の姿にしていくというそのプロセス自身は私は非常にすばらしいと思います。そのプロセスの中でこの低炭素社会の部分が今作業の中心なわけですが、これはやはりこの中でスポッと抜けている、当然のことながらプロセスの議論というのが次の段階で非常に重要になってくるだろうと思いますし、そのプロセスの議論のところであと2つの循環型社会、自然共生社会というところとのインターラクションというのがはっきりしてくるんだろうと思いますので、その次のステップとしてプロセスの分析をどういうふうにするかということが非常に大事になるのであろうなというふうに思います。今の段階では、そのことは念頭にありますよということを一応最初のところで断っておいたほうが多分いいだろうというふうに思います。この作業ではそのプロセスには入らないけれども、それが重要だということはよくわかっているということ。
 極めて各論的なところは最後のページに関してです。世界への発信(2)というところです。これ今日お配りいただいた資料3-1のところで、福田さんがダボスに行かれて云々というところ、これは日本の国際社会への発信というのが往々にして極めて混乱をもたらすわけですが、このダボスの中では非常に多くの部分をTICAD4との関係でのご発言に時間を使ったわけですが、それが恐らく今回の一番最後のページのあたりにも何らかの形で表現されたほうが、日本からのメッセージのコーヒアランスということからすると大事になるだろうと思います。
 (1)の途上国への日本モデルの発信というそういうところでは、当面アジアを中心としてというのは正解なんだろうと思います。ただ、アフリカ、あるいはもう少し広く後発途上国との関係も、今回のテーマをグローバルな視点から我々としては位置づけているんですよということを明確にするためには非常に重要なメッセージだと思いますので。途上国の例えばオカマ等々のエネルギー利用の効率化とか、あるいは都市がめちゃくちゃになっている状況が非常に我々の関心事項との関係で大きな問題をもたらし始めているとか、そういう都市インフラの整備を通じてのこの問題に対する取組等々、日本が明らかにやろうとしていることが多々ある。そうすると、やはり例えば(4)後発途上国とのパートナーシップというような項目をつけて、アフリカとの協力などもそこに取り込んでいくことが日本からのメッセージとして非常に重要だろうと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 塩田委員。

○塩田委員 細かいことを二、三点申し上げたいと思います。
 1つは、8ページの移動というところですけれども、前にも一度申し上げたんですが、この移動の輸送量というところに着目しますと、今国際絡みの旅客、貨物の輸送量が多いということを申し上げたつもりですけれども、その点についての言及が少し足りないように思います。この移動のイメージというのはまちの中、あるいはまちとまちの間の移動というようなイメージに見えます。新幹線の絵はありますけれども、幹線輸送的なイメージが浮かんでこないという感じがいたします。
 それから、自動車が全部カーシェアリングとレンタルになる、これは思い切った斬新なアイデアですから反対はしませんけれども、ちょっとそこまではいかないんじゃないか、少しそこには飛躍があるんじゃないかなというような気がいたします。
 以上の2点が移動についてのイメージです。
 それから、上のほうのまちのところで先ほど佐和委員からもお話がありましたけれども、コンパクトという言葉というのは余り大きいというイメージじゃないと思うので、大都市・中都市の中のコンパクトな都市というのはどういうものなんだろうと。中都市はよく分かりませんが、大都市の中のコンパクトな都市という、この辺はどんなイメージなのか説明していただければありがたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 小林委員。

○小林委員 恐れ入ります。この資料を見せていただいて大変気になるのが7ページの今話題になっているまちというところなんですが。今都市再開発が相当いろいろなところで進んでいるわけです。今のところ大都市が多いわけですが、これから中都市、小都市というふうに広がっていくという感じがしますし、また農漁村においてもそういうことがこれから置き換えが進んでいくのではないかという意味からいきまして、ここに書いてある資料、先ほど佐和先生も言われたように、この書いてある項目だけ見ていてイメージがわいてこない、どんなまちなんだというイメージがどうもわかない。
 理由は何かというと、1つは1枚の紙にこれを全部押し込んでしまっていることに問題があるのではないかな。ですから、これが1枚じゃなくて2枚、3枚にして、もう少し具体的にまちの中のこういう部分こういう部分がこういうふうなイメージなんだということをもう少し整理して書いていただいたほうがいいのではないかなと。読んでいて一般の方々理解できない可能性が強いなという気がします。そういう意味で、ここのところの分量をもう少し充実させていただいて、もっとイメージをきちっと、今塩田委員も言われたコンパクトなまちという、塩田先生がイメージされている言葉とは違っていると思うんですが、そういうところももう少しわかりやすいような書き方をされたらいかがかなという気がします。
 それから2点目は、戦略ということで「もったいない」が出てきたんですが。実は今市民の中でもったいないという言葉と、それから省エネ商品への買い替え促進という話がバッティングしているんですよね。いろいろなところでそれが説明をすると意見として出てきます。そういう意味で、このもったいないという言葉と省エネ商品の買い替え促進というのをどういうふうに整理をするのかというのをきちっと書いてあげないと、ちょっと市民の方々は混乱するのではないかというのが2点目。
 それから3点目は、政府の戦略のところに戦略が入ってきているんですが、この戦略3つか4つ書いてあるんですが、これの位置づけはここじゃないだろうな、別の場所ではないかと思うので、そこのところ、ちょっと戦略の書きぶりをもう一度お考え直しいただきたい。
 それから4番目は、具体的イメージに書いてある項目立てと、それから後の政府が講じるべき手段のところに書いてある内容が本当にマッチングして書かれているのかなという、やればわかるんですけれども私はやっていないので、一度チェックをしていただいたら。よく計画づくりの中で、あるべきあるべき論がいっぱい書いてあって、そのあるべき論に対してどういう具体的行動をするかが全く書いてない計画が大変多いんですが、そういう意味で今回については少しその辺、具体的にイメージをどう進めていくかという具体論のところをきちっと整理をしていただいたらと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 川上委員。

○川上委員 私は一番最後のページの世界への発信・国際的な連携について2点、やや手続的な書き方の問題も含めまして2点コメントさせていただきます。
 第1点目は、前回私が言わせていただいて、日本の国際貢献の柱にするという文言が入ったのは非常に多といたしますけれども、この場所はやはり低炭素社会づくりに関する協力を日本の国際貢献の柱にするということでしたら、いわゆる柱書き的なところに持っていって、以下のような措置あるいは取組を行いながら対外的に発信するというようなことをすべて包括して国際貢献の柱にするんだというような書き方のほうがいいんじゃないかと思います。これは全体的はコメント。以下というのは1、2、3すべてということです。
 それからもう1つ、先ほど高村委員も言われましたけれども、かなり長期的に見て、地球環境問題全体を見渡した場合に、やはり途上国の適応の問題、これは貧困の問題と絡むわけですけれども、これが非常に長期にわたって大きな問題であるということは言うまでもないので、その辺はきちっと3つ目ぐらいに書くんでしょうか、あるいは項を起こして書いてもいいと思いますけれども、適応の関連での途上国支援ということをもう少しきちっとめりはりをつけて打ち出すべきではないかというふうに思います。
 以上です。

○鈴木部会長 鹿島委員。

○鹿島委員 私も3点ほど、感想も含めてお話をさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、用語というよりも考え方の整理ということなのかもしれませんけれども、例えば2ページ目を見ていただくとわかりやすいのかもしれませんが、多分ここでは大きく主体を国民、企業、政府というふうに分けられて、そういう中で例えばまち、それから居住空間、それからそこでの生活の仕方ということで消費者、産業が農林、一般の産業、それからもう1つエネルギーを別に、それから金融というのはこういう形で分けるのがいいのかどうかわかりませんけれども、とにかく金融という面があると、こういうふうに分かれているわけです。
 ところが、中をながめていきますと、例えば政府がどうなるのかというようなところはかなり自由に変えられるという意味なのかどうかというのはわかりませんし、それから用語が国民になってみたり消費者になってみたりいろいろな使い方をされているので、少し考えられているフェーズをきちんとしていただけないかなというのが私の第1点目でございます。
 なぜそんなことを申し上げるかというと、読んでいてすごくわかりにくい、すごいというと言いにくいですね。どこが欠けているのかとか、どこが重点になっているのか、あるいはそういうものをどういう考え方でやっているのか。これは後で申し上げることと関連するんですけれども、そういうことがわかりにくくなる。
 特にやはり具体的に申し上げれば、そのイメージという中に国民と産業、あるいはここでいうと企業があるんですけれども、もう1つ重要な主体である政府がどうなっているのか、どういうふうに考えているのか。特にここで最初にお書きになっているような持続可能な社会というものと、ほかにも幾つかの計画があってそういうものとの関係というのがあるわけですので、そのあたりについて考えていくときに必要なんじゃないかというのが理由でございます。
 それから2点目は、これは考えていただけたらということなんですけれども、日本が例えば、これは一度申し上げたかもしれませんけれども、全く生産をせずに海外からみんな輸入をしてしまう、実はパテントを持っていて、それを売れば日本の中では生産をしなくてもいいと、非常に極端な姿を描くと全部海外から調達するということになるわけですね。日本の自給率が低いとか産業がこういうふうになっているということは、今ある面そういう状態になっているわけで、国際交通についての配慮とともに、今日本の国内の生活が海外へどういうふうに与えているか、そういうことをきちんと伝えていくということが最後のところに私は必要なんじゃないか。
 私の関係しているところでいきますと、例えばマラッカ海峡を通過しているような貨物、船の中の貨物というのはかなりの部分が日本に発着するものでございます。そういうことがあるわけですので、少し日本が国内でやった技術を外へ出していくと、プラスの面ばっかりだと、こういうふうな姿勢ではなくて、もうちょっとフェアに日本をながめていくという姿勢がやはり必要なんじゃないかというのが私の感想でございます。
 それから、3点目は私の専門といったらいけないかもしれませんけれども、一番関係の深いまちとか交通とかというところで、いつかこれもお伺いしたかもしれませんけれども、今現在の制度とかというのはどの程度固いものとしてお考えになってらっしゃるのかというのが余り伝わってこない。
 例えば具体的に申し上げますと、土地利用規制、都市計画の中の1番、さっき事業の話がありましたけれども、土地利用規制というのがありますが。これなんかも、これまでは要するに純粋に、要するに土地利用の純化ということで考えてきたわけですけれども、もうそろそろいいんじゃないかというのはいろいろなところで言われているわけですね。ところが、書かれていることというのは、どうもやはり純化の方向で考えられているような感じがいたします。

○鈴木部会長 なるべく簡潔にお願いできますか、すみません。

○鹿島委員 申しわけございません。そんなことでありますので、ぜひどういうふうなところでどの程度の現在を前提とされて考えているのかを教えていただければと思います。
 私としては、まちづくりとか交通とかというのはやはり地方の自主性をどう使っていくかということに関係するので、そういう基本的な方向を出されるほうがいいのではないかと。それから、それを支えるような仕組みに変更していくと、そういうほうがいいのではないかというふうに感じます。
 以上です。すみません、長引きまして。

○鈴木部会長 及川委員。

○及川委員 低炭素社会づくりということなんですけれども、これは地球温暖化を極力抑えるという意味合いなわけですね。だから、それを実現するためには大気中の二酸化炭素濃度をなるべく低い状態、450あるいは500ぐらいに抑えるといったことに向けて取り組まなければならないということだと思うんですね。これは日本だけでやってもだめなので、国際的な合意のもとにそういう方向性を決めていく必要があるのではないかということを思っております。
 それで、そういったときに1つの重要な手法として、1997年ですけれども地球フロンティアがつくられて、地球シミュレータという数年前までは世界最高速のスーパーコンピュータがつくられて、現在でもそれを活用して将来予測がいろいろなされているわけです。それで、こういった科学的な、しっかりと精度の高い予測をしていくというそういった成果に基づいて、国内でもそうですし、それから国際的にも非常にまずい状態を回避するにはこうしなければならないといったような政策提言というのが要ると思うんですけれども、そういう科学的な活動をしっかりエンカレッジするといった方向をやはり強く出していただきたいなということを思います。
 そういったことで、将来の地球温暖化を抑えなければならないわけですけれども、前回も言いましたように、1990年代は1年間に1.5ppmというCO2濃度の上昇だったんですけれども、2000年には2ppmに増加しているわけですよね。下がるどころか加速されているということで、非常に危険な状態にあるという認識を持って取り組んでいただきたいというのが私の意見です。

○鈴木部会長 石坂委員、それではお願いいたします。

○石坂委員 ちょっと今まで皆さん方がおっしゃってきた意見と違う意見なんですけれども、どうもこの低炭素社会づくりというのは2050年ごろをめどにした、いわば理想的な未来像を書いているんですね、それがこれだと思うんです。それはそれでわかるんですけれども、インパクトが弱いんですね、低炭素社会づくり、一体一般の人が聞いて低炭素社会って何だと、わかるという人もたくさんおられると思いますけれども、わからない人もたくさんいると思うんですね。むしろ私はインパクトがあるのは脱石油だと思うんですね、あるいは脱化石燃料。直截的にはそれが原因でそういうことを目指しているわけですから、そのほうがよほどわかりやすいと思うんです。
 それから、低炭素社会というのは、つまり脱石油でも同じなんですけれども、温暖化を防止するためにやる、これはそのために今やっているわけだからそうなんですけれども、もう1つ石油は枯渇資源なんですね。ですから、遠からずなくなるわけです。ですから、そうしたことに対してどう対応していくんだという問題を当然含んでいるはずなんですね。
 それから、近視眼的に見れば、今100ドルもしようかというほど石油が上がってしまっていることにどう対応していくんだと。つまり、これは環境問題だけじゃなくて、我が国の経済とか社会全体のあり方にかかわる問題なんですね。そういうものを含んだものが低炭素社会なんですけれども、この言葉からはそういうことは伝わってこないような気がするんです。もちろん言葉を分解していけばそういう意味が入っていることは間違いないんですけれども、そういうものが直截的に伝わってこないんですね。そういう意味で、もう少し直截的な名前にしたほうがいいんじゃないかという気がいたします。
 それから、いろいろなことがここに書いてあるんですけれども、結局つづめていえば、ライフスタイルを変えるということと、もう1つはイノベーションなんですね。それをいろいろな分野に分けていくとこういうことになるんですけれども、その大事になるところをきちっと書かないと、なかなか直截的に頭の中に入ってこない気がします。
 それから、この中でイノベーションについての記述がほとんどないような気がします。イノベーションがなければこの事態は過ごせない、そのためには一体どうしたらいいんだと、イノベーションをどうやって進めるんだと、そういうふうな観点がないとこれはただ理想を書いただけの絵になってしまうので、ぜひそうした点を補てんしたものにしていっていただきたいと思います。

○鈴木部会長 飯田委員。

○飯田委員 もう皆さん散々言われたので、できるだけ違う論点で申し上げたいと思います。
 1つは、まずこの文書が外に出ていったときというか、多分ターゲットはG8だと思うんですけれども、特に国際的に見て全くリアリティがない、もうおとぎ話のようなフィクションに見られてしまうのではないかというふうに思うんです。
 というのはどういうことかというと、今の石坂委員の意見の部分も私は全く同感で、いわゆるピークオイルという議論も今出ていて、そちらの話も非常に必要だと思うんですが、もう1つはEUがダボス会議の直前に出したアクションプランで、再生可能エネルギーのシェアを各国に義務づけをするような議論を一方でしているわけですね。
 この致命的な欠陥は何かというと、そういう制度的なもの、昨年中環審と合同部会でやった三大話ですね、環境税とかキャップアンドトレードとか再生可能エネルギー、それを真正面からやることを全く逃げていて、これで実現できるのかということは多分海外の国際社会から見たら全くリアリティがないと。
 それの関係でもう1点いうと、国際社会に貢献するというのは半ば笑われるのではないかと。というのは、例えば今日グローバルウィンドウ、世界風力協会の統計が出たんですが、日本が途上国と位置づけているインドの風力は170万ふえて800万キロワットです。中国に至っては260万から350万ふえて600万に達したんですね。中国はわずか2年前までは日本より少なかったんですよ、風力が。日本はわずかふえたのは14万キロワットで、154万キロワットで世界13位で、日本よりはるかに小さいオランダにも抜かれています。要は、実績を何も出してないのにこんなものできる、しかも我々が環境エネルギーの技術だ、制度だといって何を移転するんだというふうに、完全にそこを見透かされていると思うんですね。
 そんなことが裏づけもなくて、しかもこの文章の細かいことを挙げつらったら系統のこととか本当は踏み込まなきゃいけないことはいっぱいあるんですが、要は全体の位置づけとして本当にこの文書を国際社会に出していけるようなリアリティ、政治的リアリティのある文書になっているかということをきちんと踏まえないと、やはり笑いものになってしまうと思うんですね。
 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 ちょっと予定の時間を大幅にオーバーしてしまっているんですが。

○浅岡委員 すみません、短くします。今飯田さんが言われたこともありますが、これをいつの時点でどのように活用されようとしているのかというのをもう少し明確にしていただければと思います。それにあわせてこの使い方があるだろうと思います。
 3月末をめどにということでありましたが、最初冒頭にも数字は言わないとありますが、国民に対して理解や共感を得ていただくという観点でも、2050年どれくらいの削減を目指しているのかというイメージも示さないで出すというのはやはり無理があると、共感していただくのに無理があると。3月末ぐらいになればそういう数字も入れられるというようなことをぜひともやっていただきたいと。
 それから、その途中のプロセス、2050年、70%、80%削減しましょう、そんな世界ですよとこういうイメージをして、そこに至るプロセスはとても重要だということになるプロセスが、この戦略と書いてあるところがまさにそのプロセスをいっているんだと思います。
 ここにいろいろなことを皆さん言われたんですが、もう1つだけ強くお願いしておきたいのは、こうしたプロセスにおいて、横山先生が言われましたように、NGOの役割というものをちゃんと位置づけるということは不可欠だと思います。今消費者政策が大きく動いておりまして、有識者会議も既に先もって動くという状況になり、今環境省に遅れて一元化の作業をしておりますけれども、ここで本当にこの消費者団体がどう位置づけるのかという点はとても重要な課題になっています。他方で、国民に責任があると言われるんですが、国民あるいはそうした市民の側にどんな権限があるのかということとあわせて、どんなコミット、役割ができるのか、位置づけないと道筋というものが出てこないのではないかと思います。
 それから、最後のページの点ですけれども、22ページから23ページにかけて、課題先進国等をいろいろ挙げられて、一体この課題はどう解決したのかということをセットで社会に示すということに本当はならなくちゃいけなくて、それがよく見えないということではないかと思います。

○鈴木部会長 いろいろなことをいただきましたが、ちょっと南川局長のほうから。

○南川地球環境局長 どうもさまざまなご意見ありがとうございました。特にこの低炭素社会、もともとローカーボンソサイエティということで出てきたんですけれども、まだ世界的にも一体何だろうかということが必ずしも定着をしていないということで考えております。そういうことで、私どもはいろいろな方の意見を聞きながら試行錯誤しているというのが現状でございます。
 ただ、今日もご意見をいただきましたけれども、ではカーボンミニマムって一体何だろうかと、要は何を一番念頭に置いてローカーボンソサイエティをつくっていくのかと、そこの看板がしっかりしないと後のことについても非常にインパクトが弱いということについては全くご指摘のとおりだと思っております。
 したがいまして、今日の議論をもう一度踏まえまして私どもも整理をしますし、また次回、今日のいろいろご疑問のうちお答えできるところはぜひお答えをしっかりしたいと思います。
 それで、今後私どもとしては、こういうものは一回まとめて終わりじゃないんですけれども、とりあえず3月年度内には一度まとめたいと思っておりますし、その後は全体をいろいろ点検する中で、今日も幾つかの項目の中で戦略とかいうことで各論、こういったことを受けての各論の展開ということも今後していくということでの目出しだけは一応しておりまして、そういった各論の話も今後ぜひ展開していきたいと思っております。
 今比較的自由に議論できる内容でございますので、余り既存の枠にとらわれないでの議論をぜひお願いしたいと思っておりますし、私どもそういう形での準備を行いたいと考えているところでございます。どうぞ、引き続きよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 現段階でパブリックコメントもそうですし、先生方のご意見も、これも入れろあれも入れろ、あれも書いてほしいというようなことが全部ここへ入っていて、何とか立国戦略なんかをつくったときとか基本計画を考えるときと同じような話にちょっとなっている面もあるんですが、やはり洞爺湖サミットがあり、そして50年50%、この場合は日本としては6分の1にカーボンエミッションを減らすというこういう決意を述べているわけですから、それに向けてそれじゃあローカーボンソサイエティというのは日本モデルというものはどういうものかということをきちんと示さなくてはいけない、大変重要なところに追い込まれているわけであります。
 そういう50年に6分の1に下げていくとしたらどうなるのか。そのビジョンを定量的にある程度、ここにいろいろな書いてありますが、それぞれのプライオリティをどうつけていくのか、そういうものをつくるとしたらどういう本当に社会になるのかというビジュアルなものをきっちりと示していく、こういうことが最終的にはあってほしいと思われていると思います。
 それがないと、国際的にももちろん、国内でもある意味ではインパクトを与えることができない、そして途上国のお手本になるためにはどういう社会を提示するのか、こういうことも求められているわけでしょうから、その辺に向けて、ここでもうマテリアルは全部出そろっているんでしょうから、そこから次のステップで、ぜひまた先生方のご意見を伺いながら、どういうライフスタイル、どういう産業構造になっていかなきゃいけないか、かなり深刻な食糧自給の問題もあり、深刻な問題をどう乗り越えていくのか、それに立ち向かっていこうとしているわけですので、委員の方々のぜひご協力をお願いして、ちょっと年度末までにというのは厳しいかもしれませんが、頑張っていただければと思います。
 大変いろいろなご意見をいただきまして、実は時間を大幅にオーバーしてしまって申しわけありませんでしたが、次の話題に進めさせていただきたいと思います。
 2番目の議題としてその他となっておりますが、ここでその他の1、気候変動に関する国際的動向について。これは先ほども出てまいりましたが、ダボス会議におきまして福田総理のほうからのお話がありましたが、これに関連して。そしてまた、先週ホノルルでエネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国会合、これは米国が主導しているものと思いますが、そういうような動きがございましたので、まずその辺のところからご説明をお願いいたします。

○清水大臣官房長 地球環境問題交渉官の清水です。座って説明させていただきます。
 1月下旬にダボスでいわゆるダボス会議というものがございまして、それに同行してまいりましたのでご報告いたしたいと思います。
 ダボス会議と申しますのは世界経済フォーラムという、これは民間団体でございますが、その年次総会でありまして、スイスの高級リゾート地のダボスで毎年開かれることから通称ダボス会議というふうに言われております。
 もともと経済人による私的な会合だったわけですが、近年特に多くの国際機関の長であるとか、あるいは大統領、首相、閣僚級の方々がいっぱい集まるということで、特に昨年もG8の議長国であったドイツのメルケル首相が出たりして大変注目を浴びておりまして、今回本年も国連事務総長バン・キムンさん、あるいは英国の首相のトニー・ブレアさんなどを含め、世界のリーダーが集まるということでありました。かつ、経済問題のみならず、地球環境問題、温暖化問題についても大きな議題の1つとして取り上げるということでありましたので、福田総理がG8議長国の総理としてこの場で地球温暖化問題も含め、世界に発信する場としてふさわしいということで出席してきたわけであります。
 資料3-1のほうに概要が出ておりますが、総理は1月25日から27日まで出席しまして、すみません、実際出たのは26日、1日だけということになりますが、特別講演を行ったほか、アフリカ問題あるいは安全保障問題、国際ビジネス評議会など、あるいはバイ会談などをこなしてきました。
 総理の特別講演につきましては、1枚めくっていただいて資料3-3というところについております。前半は世界経済でありますが、1ページめくっていただきまして、下のほうに気候変動問題が書いております。簡単にご紹介いたしますと、最大のテーマは気候変動問題ですということで、右のページにいきまして、クールアース推進構想として、ポスト京都フレームワーク、国際協力、イノベーションの3つについて地球環境問題について話をしてきたと。
 まず、ポスト京都フレームワークということでは、10年から20年の間にピークアウトして2050年に半減という観点から、日本は主要国とともに今後の温室効果ガスの排出削減について国別総量目標を掲げて取り組みますということで、真ん中の下あたりに書いてございます。セクター別などの積み上げ方式でいくということもここで議論をしております。
 それから、そのページの下のほうで、国際環境協力、これは次のページにまいりまして、エネルギー効率を徹底的に高めるという観点から、2020年までに30%の効率を世界全体で共有していったらどうだろうということ。
 それからもう1つ、我が国として100億ドル規模の新たな資金メカニズム、クールアース・パートナーシップを構築するということを発言しております。
 それから、3つ目にイノベーションということで、ここの柱は技術革新、それから低炭素社会の2つを議論しております。まさに今日この場でも議論していただいたとおりであります。技術革新のほうは5年間で300億ドル規模の資金を投入するということをお話ししています。それから、低炭素社会への転換ということで、大きくここでは生産の仕組み、ライフスタイル、都市交通のあり方など、あらゆる制度を根本から見直すための検討に着手することを決定したということで、まさにここでの議論を踏まえて、今後我が国として検討していくということを国際的に宣言したわけであります。そして、国内外の低炭素づくりを拡大し、地球をローカーボンプラネットにする先導役を果たしていきたいということで発信をさせていただいたということであります。
 それから、総理のみならず、実は鴨下大臣もダボス会議に出席しております。資料を戻りまして3-2という2ページ目でございます。実はなぜ鴨下大臣がダボス会議に招待されたかと申しますと、このダボス会議をやっている事務局の世界経済フォーラムは2005年のグレーンイーグルスサミットでブレア首相がグレーンイーグルスダイヤログ、対話というのを打ち出しまして、その中で民間のビジネス同士の対話も推進していこうということで、その主体を担っているのがこの世界経済フォーラムという団体です。
 実は昨年10月も日本で、日本の経済界のトップの方々と世界の環境関係のトップの企業の方々で対話なども行っておりまして、今後G20とか、あるいはサミットにもそういう対話の成果をインプットしていきたいという非常に大きな流れの中で議論している団体であります。そういう中でG8の環境大臣である鴨下大臣にもぜひ来ていただきたいということで、鴨下大臣に招待が来て、今回の出席ということになったわけであります。
 鴨下大臣は、長く出席したかったわけでありますけれども、国会との関係でやはり総理と同じく1月26日のみの出席となりました。特に鴨下大臣は、この後ろのほうに(参考)公開フォーラムというふうに書いてありますが、Climate Change Divideという形のパネルディスカッションに参加してまいりまして、これは例えばこのパネリストのところに書いてありますが、ユネップの事務局長のアキム・シュタイナーあるいは中国の環境基金の理事長、あるいはブラジルのエタノール会社の社長、あるいはスイスの再保険会社の重役などと一緒に、いかにしたら途上国を対策に巻き込めるかという観点から、Climate Divideというテーマで議論してきました。
 この中では、特に鴨下大臣は、COP13で合意されたバリロードマップが非常に歴史的成果があり、これをぜひとも成功させなければならない、そのためにG8の議長国として日本がリーダーシップを発揮していく。それから、安全保障という観点からも温暖化問題が重要化を増している中で、特に今中国との間で我が国コベネフィットアプローチというような形で温暖化と通常の公害問題を兼ねたような対策も行っていますので、こういったことも含めて支援していくというようなことについて発言しております。
 少々長くなりましたが、以上であります。

○谷津大臣官房審議官 続きまして、資料4をごらんいただければと思います。
 第2回エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国会合、メイジャーエコノミーズミーティング、MEMと略称してございます。
 1月30、31、ホノルルのハワイ大学に併設されております東西センターで開催されました。環境省を代表してこの代表団のメンバーとして行ってまいりました。
 参加国のところをごらんいただきますと、G8の参加国との関連でいきますと、最近はG8プラス5ということで、アウトリーチ国、中国、インド、メキシコ、南ア、ブラジル、この5カ国が過去2回G8サミットに招待されているんですが、このMEMのメンバーはプラス3、G8プラス5プラス3ということで、オーストラリア、インドネシア、韓国、この3カ国が招待されております。
 2、主な内容でございます。このアメリカが主導する会議と国連の関係がかねてより議論になっておったわけでございますけれども、バリでの交渉を踏まえまして、国連交渉プロセスにこのMEMがいかに貢献できるかという点がポイントでございました。
 その結果、長期目標、中期の国別計画、国別計画には中期の国別の目標と政策措置でございます。セクター別アプローチ、技術開発などでございます。
 今後でございますが、5月に第3回のMEMがフランスで開催されるということになりました。また、これにあわせましてセクター別アプローチについてのサイドイベントがパリで開かれるという予定でございます。
 それに先立って、3月に日本で今後のMEMの進め方に関する事務レベルの意見交換を行う。これは先ほどもございましたが、3月15、16日と幕張でG20の第4回最終会合が開かれますので、これにあわせて事務レベルで今後のMEMの方向性について議論しようということでございます。あわせて、このMEMのもとで日本が議長をしております技術のワークショップを開こうということになっております。
 ポイントだけ各論をごらんいただければと思います。長期目標については、我が国はかねてより拘束力を有しないビジョンとしてのグローバルの長期目標、50バイ50というのを提案しているわけでございますけれども、それを共有すべきという主張をしてございます。
 次のページにかけまして、50バイ50というと途上国もできる限りの努力をしなければ達成が困難だ、また一方で技術的なブレークスルーが必要だ。またあわせて、この部会のテーマでございます低炭素社会づくりも重要ということでございます。
 セクター別アプローチとか技術協力につきましては、上から5行目、6行目あたりでございますけれども、今後重要なセクターを特定して具体的な行動について議論していくことが重要だと。また、技術開発のロードマップを今後つくっていこうというような意見が出されたわけでございます。
 またあわせて、技術を活用するためには途上国での能力向上も重要だと。また、一番下のところですが、設備・機器のメンテナンス、こういったものも忘れてはならない要素だという議論が行われました。
 中期計画でございますけれども、バリ行動計画で先進国と途上国の今後のコミットメントとかアクションについて合意がなされたわけでございますけれども、この合意を踏まえてこのMEMでどういう方向で議論を促進していったらいいのかということが話し合われたわけでございます。
 我が国からは、下から4行目のところでございますが、目標設定に当たっては積み上げ方式で公平さを確保することが必要だという主張を行い、またコモンバットディファレンシエイテッドレスポンシビリティ、先進国と途上国の約束の差異化が必要だというような意見もございました。
 適応・森林・計測・資金などについても所要の議論が行われました。
 最後のページでございますけれども、評価というところですが、長期目標をどういう形でやっていったらいいのか。新興国の中には長期目標というのはやはり1人当たりで議論すべきだというような意見もございまして、どういう方向で意見が集約されるかということであります。
 また、(2)のところで、次期枠組みに絡めて国別の中期計画、目標と政策措置について今後バリ行動計画との関連でどういう議論をしていけばいいのか。また、セクター別アプローチもかなり広範な国から発言がございまして、共通認識ができつつございます。
 最後、G8議長国として、今後このMEMのプロセスもうまく連携をしながら国連の交渉をどう積極的に進めていくのかという観点が重要だということでございます。
 以上です。

○鈴木部会長 ただいまの清水交渉官、そして谷津審議官からのご報告につきまして、何か。時間が大変タイトになっておりまして、もう予定の時間を大幅に遅れております。
 もう1つ、今日はIGESのシニアエキスパートの水野さんから、将来枠組みに関するアジア政策対話についてのご説明をいただくことになっております。
 では、早速お願いしてよろしいでしょうか。

○水野CDMプログラム・リーダー ご紹介いただきましてありがとうございます。IGESの水野と申します。今日はお忙しい中、こうした機会を与えていただきましてありがとうございます。ちょっと時間がありませんので、飛ばしながら私どもがやっておりますこのアジア政策対話について簡単にご紹介させていただきます。
 スライドの2ページですが、これはアジア益と書いていますが、アジアの関心を反映させた将来枠組み、この構築に貢献することを目的として3年間やっております。いろいろな方を集めまして、大体1回20人から30人集まって議論をして、結果をいろいろなところに報告していると。
 中身をご紹介していきますと、かなり視点が途上国寄りというか、お気づきになるかと思いますが、私どももアジアの一員としての貢献というのを意識して進めております。
 スライドの3枚目がこれまでの実績です。3カ年、第1ラウンドが国別、第2ラウンドが地域別、若干テーマを絞って行いまして、第3ラウンド、これ今年度ですけれども、テーマを絞ってやりました。
 第1ラウンドは、モントリオールでCOP/MOPが開催される前、要するに将来枠組みに関する交渉とか対話が始まる前から始めておりまして、そういう意味で1つの息の長いこういう取組をしているというふうに自負をしております。
 スライドの4枚目に当時の、これは3年前でそんなに昔のことじゃないと思うんですが、環境は激変しておりますので大分昔のことのように思いますが、4ページ目の下にありますけれども、一番この会議で出てくることは、京都議定書はアジアの、特に途上国の関心を反映していないと。正確にそうかどうかは別にして、日、米、欧で決められたという意識が強いということの話が出ていました。
 5スライド目にいきますと、第1ラウンド、これ始めたばかりの年で国別にやってみますといろいろな考えの違いがある中で、一方共通点というのもありまして、開発の視点それから適応の問題、これがずっとこの対話の中で議論されていることです。
 6枚目にいきますと、そういうことを踏まえまして、第2ラウンドでは若干テーマを絞って共通のテーマということで4つのテーマに絞って議論したんですが、エネルギー安全保障についてもやはりどうしても温暖化問題を制約問題ととらえがちでして、開発の問題なんだという議論。それから、CDMについても、一番最後になりますけれども、将来、2013年以降のCDMがどうなるのか、これをはっきりさせることが必要であると。
 先進国から見るとCDMをそのまま単純延長というのはいかがなものかという議論もありますが、アジアの中ではやはりこういう要望が大変強いことになっております。
 7ページ目、第2ラウンド、技術移転、適応ですけれども、技術移転、ここのあたりからのトランスファーだけじゃなくて、デベロップメントとかディフュージョンとか技術の開発であるとか普及、こういったことがやはり重要という議論が始まっております。
 適応につきましても、適応問題は資金問題とほぼ同じようなところもありますが、やはり京都議定書が余り適応に重きを置いていないと、ほとんど出てこないわけですけれども、そういったことで適応というものに的を絞った仕組みづくりも必要という議論もございました。
 8ページ目にフィードバックということでありますが。一番下に書いてありますように、どうも先進国の視点が少ないという指摘もありまして、今年度はアメリカ、ヨーロッパからも人を招聘して第3ラウンドを行いました。それが9ページ、10ページでございまして、9ページ、将来枠組みのあり方ということでいろいろな議論の中で、この3番目にやはり緩和だけで議論をしてほしくないと、適応・技術・資金、こういったものをバランスよく取り扱ってほしいという視点が強うございまして、それがしかしバリロードマップに見事に反映されたのではないかというふうに思っております。
 それから10ページ目、セクターアプローチということについても議論をいたしましたが、やはりユニークなアウトプットの1つが3番目にありますが、セクターアプローチはまず国内産業から始めるべきだと。どうも先進国で議論していますと全世界共通の、やはり国際競争力にさらされている産業ということに議論がいきがちなんですが、なかなかその比較が難しいので、最初はやはり国内産業から始めるべきではないかというような意見もございました。
 続きまして、11スライド目、技術協力につきましては、知的財産権の話もずっと議論していましたけれども、本当にそれだけが障壁になっているのであれば強制的にライセンスをさせると、それによって本当に普及するのであればそういうことも考えるべきという議論がありました。
 12ページですけれども、適応につきましては保険のことが大変関心が高くて、ここにアジア災害リスク保険機構という言葉を書いてあります。これはカリブ海で世銀が去年から設立した保険のアジア版といったものもやはりつくったらいかがかという話がありました。
 最後のスライド、13ページ目がコベネフィットということです。コベネフィットというのは、1つのベネフィットは温室効果ガスの削減ということなんですが。もう1つが何かというのは千差万別というか、やはりアジアで話すとどうしても開発便益ということに議論がいきまして、それをその2つを両立させるということが常に出てまいります。
 今後につきまして、もうバリロードマップも採択され、もう3年前とは環境は激変して、途上国も交渉についているわけでございまして、どうするかという議論があるんですが、3年やってきて定着した感もありまして、アジアの各国からは今年も引き続きやってほしいということで、こういったいわゆる政府間の交渉だけではないこういう会合も、バリロードマップでの採択というものの一助になったというふうに私どもとしては信じてやっております。
 説明は以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 何か特にご質問ございますか。簡潔にお願いいたします。

○浅岡委員 先ほどのMEMのご報告の中で、最後にセクター別アプローチについて共通認識ができてきているようだとおっしゃいましたが、それがどのようなものかもう少し詳しくご紹介ください。

○谷津大臣官房審議官 セクター別アプローチにつきましてはバリアクション計画の中に明確に位置づけられたわけであります。アジア地域におきましては、AP6あるいはカナダも入ったAP7ということで、セクター別の取組が進められてきておりますけれども、ECも別途の観点からセクター別の取組を進めてきておりまして、そういった各国がセクター別アプローチという共通の言葉でようやく議論が始まったなということでございます。中身については、まだこれからいろいろ議論を進めながら統一した方向を見出していく必要があると思っています。
 以上です。

○鈴木部会長 では、飯田委員。これも簡潔にお願いいたします。

○飯田委員 今日の報告内容ではないんですけれども、環境省では今地球温暖化対策法の改正作業を進めておられるというふうに認識しておりますが、その中で、今日の低炭素にもちらっと出ていたグリーン電力証書です。CDMといわゆるカーボンクレジットについては、今年の初めにガイドラインが整ったというふうに認識していますので、法律化を受けるそこから先の作業はあると思うんですけれども、グリーン電力については環境省のほうは全く検討していないので、ちょっと後手後手に回っていくのではないかと思いますので、急いで検討を進めていただいたらどうかと。いわゆるグリーン電力の中に炭素価値がどうなんだと。
 というのは、先週経済産業省のほうでは新エネ部会が立ち上がって、明日第1回目、グリーン電力証書のガイドライン検討会が始まると。こちらはRPSのときからの宿題で、かつ省エネ法の中にグリーン電力証書を位置づけるような形で進めておられるので、これはこれで経済産業省の役割を果たされていると思うんですが、環境省のほうが全く検討していないと、ちょうどその算定報告みたいに、省エネ法で経済産業省が窓口になってとったデータを後でおこぼれでもらうみたいな形になりはしないかと非常に私は心配しておりまして、プロアクティブというか先取りで検討を進めていただきたいというふうに思っています。

○鈴木部会長 それはお伺いしておくということで。

○飯田委員 さようでございます。

○鈴木部会長 それでは、最後に事務局のほうから。

○高橋市場メカニズム室長 本日の資料につきましては公開とさせていただきます。また、会議録につきましては、後日各委員にご確認いただいた上で公開させていただきます。次回の日程については決定次第ご連絡をさせていただきます。
 以上でございます。

○鈴木部会長 それでは、大変進行が悪くて時間が窮屈になってしまって失礼いたしました。これをもちまして、地球環境部会を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

午後3時02分 閉会