中央環境審議会第72回地球環境部会・産業構造審議会環境部会第地球環境小委員会合同会合(第29回)議事概要

日時

2007年12月14日(金)9時00分~12時00分

場所

虎ノ門パストラル 鳳凰

出席委員

茅委員長、浅野部会長代理、青木委員、碧海委員、秋元委員、飯田委員、石坂委員、石谷委員、猪野委員、潮田委員、浦野委員、及川委員、逢見委員、大塚委員、角田委員、鹿島委員、川上委員、木下委員、黒田委員、河野委員、小林委員、塩田委員、鈴木(正)委員、須藤委員、大聖委員、武内委員、名尾委員、中上委員、永里委員、長辻委員、中村委員、中山委員、南學委員、新美委員、西岡委員、馬田委員、福川委員、桝井委員、森嶌委員、山口(光)委員、山本委員、米本委員、和気委員


1.

京都議定書目標達成計画の評価・見直しについて・最終報告(素案)審議

 環境省及び経済産業省から資料に沿って説明があった。

2.

委員の発言及び質疑

  • 日本がこれまで取り組んできた自主行動計画やトップランナー制度などに取り組んできた。自主行動計画だけで1,800万トンの削減が可能で、不足分の半分を占める効果を持つ。中間報告が一般に提示された際、世間に誤解された面がある。日本は環境問題に関して落第生であり、目標達成は困難とのムードができたこと。最終報告では、目標達成が可能だというメッセージを出してほしい。エネルギー効率では世界のトップを走っていることを世間に知ってもらうことが重要。
  • 排出量取引については、ヨーロッパでは政治的混乱も起こしている。将来的な話としては別だが、第一約束期間についてこれを議論するのは妥当ではなく、省エネ対策などに集中していくべき。
  • 新エネは極めて有効な対策だが、風力や太陽光発電に偏り過ぎている。例えば、ヒートポンプ、地熱利用なども優れた対策である。
  • エネルギー収支比、EPRをにらんだ対策が必要であるが、EPRが高いのは原子力。原子力の稼働率を1%上げるだけで300万トンの排出削減が可能。これだけ大きな効果を出すものは他にない。安全性は必要であるが、安全と認定されても、安心が得られないため稼働できない場合もある。日本はトラブルで原子力の運転を中止する回数は世界でも少ない方であるが、一度運転を止めると運転が再開するまで世界と比べて4倍以上の時間がかかる。地域との調整など、本当の安全と縁の遠いところで運転再開に時間がかかっている。このようなことに対する対策を進めてほしい。
  • 最終報告をパブコメにかける際、英語版も作成してはどうか。
  • 自主行動計画について、事実に基づいた記載をしてほしい。1,800万トンの効果が不透明。省エネ法で規定されている1%エネルギー効率改善義務は、経産省関係39業種のうち4業種しか達成していない。1,800万トンの内容がわからない。我々の調査では1,800万トンのうち1,700万トンが化学工業関係。化学業界は削減率10%引き上げを20%にしたと言うが、昨年度で既に18%まで達成し、残りは正味2%しかない。このような不透明な数字が堂々と掲げられているのは問題。きちんと検証してほしい。
  • 両論併記を示す場合、事実に基づいて記載してほしい。20頁の新エネ部分について、RPS法はEUの実証レポートで削減効果の確実性がなくコストインセンティブもない旨が示されている。RPS法に基づくのであれば、EUの実証結果に対する反論を提示してほしい。
  • 国内排出量取引について、EU-ETSは試行段階であり問題があるのは理解しているが、それをもって国内排出量取引を不適当とするのは飛躍している。以前の会合で、UNDPのレポートを引用して排出量取引はダメとの発言もあったが、UNDPレポートでは国内排出量取引と炭素税の導入は不可避であるとの全く反対の内容も書かれている。自主主義は限界であるとも書かれている。
  • 事実であるにもかかわらず書かれていないこともある。7頁の電力部分。柏崎刈羽原子力発電所の停止は、今後の国内対策において極めて大きな影響を与える。この影響をすべて自主行動計画で処理しろというのは国の無責任。東京電力は不足分をCDMで調達することについて株主の了解を得ているのか。いま我々が直面している問題は最終報告に記載するべき。
  • 各項目で重複があるのではないか。今後数字を精査する際には、重複を排除してほしい。
  • 「自主行動計画の推進」という表現については、「自主行動計画に基づく取組」とした方が正確ではないか。
  • 国内排出権取引について、これはキャップアンドトレードの日本語訳のようだが、誤解を招かないよう、その旨を明記しておくべき。
  • 20頁の自主参加型排出量取引はキャップアンドトレードなのか。国内排出量取引と並んでいるのは違和感がある。
  • 将来の達成の可能性考えた場合、原子力の問題は避けて通れない。他のエネルギー戦略でも記載されており、最終報告に何らかの記載があるべきではないか。
  • 国内CDM制度について、これはあくまで自主行動計画を実施する企業の自主的な活用を前提としているものであり、既存の関連制度との連携・整合性の取れた制度とすると記載されているが、自主的活用という観点を踏まえて検討してほしい。
  • 20頁の自主参加型の国内型排出量取引制度について、制度の拡充を図っていくと記載されているが、これまでの事業の評価が十分に行われていない。まずは結果の評価を行うべきであり、拡充に結びつけた記載は適当でない。
  • 第一約束期間では自主行動計画を通じて取り組み、キャップアンドトレードは現実的でないとの書きぶりとなっているが、現実的な考え方。
  • 6%を達成するとのメッセージを強く打ち出すべき。
  • 2013年以降については、日本型の自主行動計画ではやりきれないと思われ、グローバル型のキャップアンドトレード導入を前向きに考えるべきであり、その旨を最終報告に記載すべき。キャップアンドトレードにはいろいろ問題があるため、とりわけ米国の動向、炭素リーケージ、国際競争力などの問題について調べる必要がある。
  • 12頁の業務・家庭部門について、省エネ法改正で届出義務の拡大・強化が図られるが、コンビニ等のヒアリングで分かったことだが、原単位にせよ排出量にせよ、事業所間で格差がある。情報公開やトップランナー方式などを導入することより、その格差をなくせないか。
  • 省エネ改修に対する税制優遇について、断熱化がキーワードとなっている。断熱材ではHFCを使用したものがいまだに存在するが、使用中でもガスが漏洩し、使用後は全て出てしまう。HFCなど、強い温室効果のあるガスを使用した断熱材には税制優遇するのは適切ではなく、ノンフロン断熱材に限定してほしい。
  • 13頁の教育について、長期的に重要な対策であるものの記述が少ない。時間のかかる対策であり、少なくとも「21世紀環境教育プラン」のフォローアップを強化してほしい。
  • 16頁の中小企業の排出削減対策について、自主行動計画の目標達成に活用するとあるが、ある対策の効果が二重にカウントされないよう配慮してほしい。
  • 8頁に示された3つの視点が今回の見直しに貫かれていることが重要。6%削減約束を確実に期すとの観点からは、今回の報告案では排出削減量が空欄の箇所が多く、削減を確実に期す内容とは言えない。最終報告までには、6%削減が確実となるよう、空欄の数字を必ず埋めてほしい。
  • 業務・家庭部門の抜本強化が掲げられているが、具体的な内容が見えてこない。
  • ライフスタイル・ビジネススタイルの変革について、いろいろな場所に記載されているようだが、きちんとした対策になっていないとの印象を受ける。例えば、14頁の産業・業務部門の省エネ対策において、一定規模以上のチェーン店等の「チェーン」にフランチャイズも含めてほしい。
  • 「今後、速やかに検討すべき課題」とあるが、内容を読むと今後速やかに検討するように思えない。「速やか」に行うのであれば、そのように記載すべき。
  • 深夜化するライフスタイル・ビジネススタイルの見直しについて、「在り方について、総合的に検討する」とあるが、意味不明。店舗、外食等で年中無休、24時間営業するとのビジネススタイルが温暖化対策の視点で成り立つのかというのが論点。論点を明確にすべき。
  • 12頁で金融機関における環境配慮推進の話が出ているが記述が少ない。温暖化対策を進める企業に対する関係ファンドへの投資額を増やすなど、金融機関の役割は重要。
  • 数字の重複がないか心配。16頁の中小企業の排出削減対策において、中小企業CDMは歓迎するが、自主行動計画の策定業種が活用するので、1,800万トンの数字と重複する可能性がある。その場合、更なる目標引き上げが必要。
  • 20頁の自主参加型の国内排出量取引制度について、国際的に排出枠的な動きがあり、自主的なものであれば、国内で排出量を購入することは望ましいこと。
  • 19頁の排出量取引について、具体的な制度の仕組みについて提案がないと指摘されているが、反省して検討していく必要がある。初期割当について、自主行動計画の現状のものを活用してはどうかとの自分の提案に対して、基準としては明確でないとのコメントを頂いたが、あくまでそれを基準とした上で効率改善すれば良い。
  • 最終報告では、必要な削減を確保できるとのメッセージを内外に示してほしい。数字が空欄の箇所については、精査した上で提示してほしい。
  • 国内排出量取引については、準備期間の問題もあり、現実的に第一約束期間にこれを導入することは困難。ポスト京都に向けて検討すると明記してはどうか。
  • 世間では現状の8%から▲6%への14%もの削減は困難との認識。しかしながら、上積みの対策を行って、不足分を2,000万トンから3,400万トンまで近づけてきたとみるべきである。
  • 数字が空欄の箇所はきちんと埋めるのは大前提。
  • 5頁の表について、以前はこの表に2010年度の目標のデータが追加されていたが、2010年度のデータを追加した表をベースとして、来年度以降フォローしてほしい。
  • 排出量取引には反対の立場。産業界としては、6%削減に向けて自主行動計画をベースとして取り組んでおり、これを今から変更するのは現実的ではない。第一約束期間においては、いまのやり方で進めると明記すべき。
  • 21頁の3ポツが空欄となっているが、6%の達成に絶望的になるのではなく、国民が力を合わせれば出来るという内容を記載してほしい。
  • 国民運動について、国民、特に子供たちが取り組んでいる。国民運動はいろいろ名分野に波及していくものであり、数字が眠っている分野。
  • 日本の産業界は、省エネですばらしい力を発揮している。世界へアピールできる分野でもあり、苦しいとは思うが、一層の力を出してほしい。
  • 海外への情報発信を進めてほしい。最終報告に新しい項目を設けても良い。
  • 運輸部門について、自動車単体については効果が出ているが、利用についてはまだまだ。自家用トラックの利用効率化が課題。貨物部門の効率化は営業用トラックの利用効率化が貢献している。
  • 自動車以外の交通機関については、燃費計測が難しく改善していない。船舶について、これから燃費の指標を作るとのことだがタイミングが遅い。
  • 交通流対策について、対策を実施する機関が複数に分かれている。それぞれの機関がそれぞれの目標に従って行動した場合、取引コストがかかるとの問題がある。
  • 排出量取引について、中小企業の排出削減対策の中に書かれており、また後半でも書かれている。両者の関係を整理できないか。
  • 一番大切なことは全体としてメリハリを持ったメッセージを書くことが重要。
  • 21頁の2010年の排出量見通しは重要な部分。日本として、この段階で出来ないとは言えない。条約上の義務を守るため、これまで最大限の努力をしてきたところであり、困難ではあるが、6%削減を成し遂げるとのメッセージを示すべき。国民運動により、家庭・業務等での協力が必要であり、メッセージを発することが必要。対外的には、ポスト京都に向けた議論は既に始まっており、日本が国際的なイニシアティブを取っていくためには、京都議定書は守るとのメッセージが必要。
  • 両論併記の部分は、国内的及び対外的にも関心が持たれているところ。厳しい議論があった結果であり仕方がないと思うが、この部分にもメリハリをきかせた記載ができないか。
  • 6%の達成に確実を期すため、どの程度の数字が可能か、評価していくことが必要。
  • 今回の最終報告の位置づけについて、2010年は迫っており、これまでの目標達成計画のフォーアップとは意味が異なる。堅めの目標ではあるが、いずれにせよ実現可能とのメッセージを伝えることが重要。現在数字が入っていない箇所は、幅を持って出すというのも一案。
  • 日本がどのように目標を達成するかによって、ポスト京都における日本ポジショニングが変わってくる。自主行動計画や国民運動など、日本はこれらの対策を真面目に実施して成果も出ていることをきちんと評価し、その雛形を提示することが重要。
  • ここ10年議論してきたことだが、データの曖昧さがある。体系的にエネルギー統計を整備してほしい。
  • 自主行動計画という日本独自のやり方であるが、これをもう少し極めていくしか道はない。
  • この数字と共に結論を示さないと、達成できないのではないかという懐疑派の納得を得られない。国交省分を始め、数字を出すよう強く指導すべき。
  • 省エネ対策について、省エネ法や温対法を改正するのであれば、事業者に対してエネルギー又は温室効果ガスの排出削減計画を作成させるようにしてほしい。温対法では算定・報告・公表制度が設けられているが、省エネ法においても、ベンチマークの設定根拠を明らかにするとの観点から、業種別でもいいので各事業者からのデータを公表してほしい。条例で既に義務づけているところもある。また、これらの報告において、きめの細かいチェック、又は確実性を高めるためにも、地方公共団体を活用してほしい。
  • 新エネ対策の部分について、グリーン電力証書が記載されているが、民間の自主的な取り組みに任せるのだけでなく、国としても制度の普及を加速させてほしい。
  • 中小企業CDMについて、自主行動計画の中で行うのであれば、すでに設定された削減量の中となり、新たな削減効果が出てくるとの説明はおかしいのではないか。(中小企業が行う削減量の半分が移転し、残り半分が、中小企業の新たな削減量となるのであれば、その分についてはカウントできるが、)
  • 国内排出量取引については、新しい対策として提案されており、今後議論していく内容。現行の説明は分かり難く、これをベースに議論すると、理解してもらえず、誤解を招く可能性もある。制度の仕組み、賛成・反対の意見、論点、今後の検討課題等を整理して記述してほしい。
  • 対策の効果について、今後、重複を精査していくことになると思うが、精査の手法、どのような対策が重複するのか、全体でどの程度になるのか重複の規模を示してほしい。
  • データ等はきちんと精査した上で、結論部分について、日本独特の手法で必要な削減量は達成できるという強いメッセージを世界に発信すべき。その際には、現時点では達成が100%確実とは言えず、国民各層、各主体が継続的に最大の努力をすることを要請してほしい。
  • 国内排出権取引について、自主行動計画を核とするのであれば、第一約束期間でこれを実施することは大きな矛盾。企業にキャップを設定することになれば、自主行動計画の目標引き上げ・深掘りは不可能。記載するとしても、ポスト京都の検討の中でとの限定を付すべき。
  • 11月30日の会合の諸富先生の資料で、自主行動計画ではフリーライダーが発生する、また排出削減に積極的に取り組む企業に潜在的な不満がたまるとの記載があった。日本製紙連合会で自主行動計画を進めている立場として申し上げたい。自主行動計画の取り組み方法として、参加各企業はエネルギーに関する資料は全て提示することを申し合わせている。その資料に基づいて、事務局は完全な比較資料を作成するが、それにより進んでいる企業と遅れている企業が一目瞭然となる。進んでいる企業は競争力があるということであり、遅れている企業は進んでいる企業に追いつこうとする。このような業界内の激しい競争の中で、当初化石エネルギーの原単位10%削減を掲げたが、2004年にはこれを13%に引き上げ、今年はこれを20%に引き上げた。こうした激しい競争の中で、20%目標の達成は可能と考えている。
  • キャップアンドトレードは、将来に渡って有効であり、不可避であるので早く導入すべきとの記載があるが疑問。我々は2050年までに排出量半減と言っており、これを前提とすると、アメリカは90%削減する必要がある。日本やヨーロッパは70~80%の削減は必要。中国ですら40%の削減が必要。キャップアンドトレードを導入した場合、省エネ努力をしなくなり、半減目標を達成できるか疑問。我々が目指すのは、大きな技術的なブレークスルーを生み出すこと。
  • 中間報告では、産業廃棄物排出業者の業界団体による自主行動計画の見直しを進めるとの記載があった。日本経団連では廃棄物に関する自主行動計画を既に作成していると思うが、業務部門、家庭部門、運輸部門のみならず、廃棄物部門についても温暖化対策に関連する部門について、自主行動計画に盛り込んでほしい。
  • 新エネ対策の推進について、最終報告に記載されている内容では2010年度の目標である1,910万キロリットル、CO2排出削減効果で4,690万トンの達成は困難と思われる。不足しているのであれば、例えば、平成19年度のエネルギー対策特別会計は1,500億円程度の剰余金があるとのことだが、これを新エネ対策の支援に活用できないか。
  • 国内CDMについて、「一定の厳格性及び追加性を確保する」と記載されているが、「厳格性」、「追加性」は何を意味するのか。
  • 国内排出量取引について、抽象的な議論でなく具体的な制度案を示して議論を掘り下げてほしい。
  • 深夜化するライフスタイルについて、12月に入ってイルミネーションおよびライトアップが増えてきた。せめて京都議定書の約束期間が始まる来年度からライトアップを自粛する旨を最終報告に盛り込めないか。
  • 第一約束期間の5年間、全体を通してきちんとフォローアップを行ってほしい。
  • 最終報告の記述では主体が不明確な箇所が多い。企業なのか、部門なのか、国民なのか、オールジャパンなのか、明確にしてほしい。
  • 運輸部門などで対策効果が空欄の箇所が多く、是非とも埋めてほしい。また、順番を自動車単体・物流・ソフト面という排出削減量の多いものから並べるべきではないか。
  • 環境省が実施しているエコドライブについて、今年は1,800の事業者が取り組み10万人参加したが、昨年の参加者数と比べて10倍となった。データを計算すると8.9%ほど燃費が改善している。このような確実なデータは押さえるべき。
  • 定量化できないものについては、今後どのように定量化していくのか、方向性は示してほしい。
  • 都市構造・地域構造の見直しを本格的に盛り込んで頂き評価できる。
  • 対策効果の数字を入れることについて議論はあるが、都市構造・地域構造の対策の数字は横で見ていくものであり、部門ごとの縦で見ていく数字とは異なる。縦で見るか、横で見るかとの視点で見ていくべきで、単に重複を排除するとの観点では、この分野の効果は減じてしまう。
  • これからは地方自治体が戦略的にCO2を削減していくことが重要。地方自治体の役割を盛り込んでほしい。
  • 海外の発信に関して、国内外の都市間の比較をしてはどうか。
  • ヒートアイランド対策については温暖化対策と連動していることが重要。温暖化対策を主体とした書きぶりとすべき。
  • 環境教育について、幅広に議論すべき。例えば、日本はeducation for sustainable developmentを推進しているが、このようなものと連携することが必要。
  • 16頁の新エネの導入について、「自然公園規制を含む各種土地利用規制との円滑な調整を推進」とあるが、例えば野鳥の被害、景観破壊の話もあり、これらについての調整も盛り込んでほしい。
  • 17頁の農業分野において、農業機械によるバイオディーゼル利用による地産地消モデル確立について、産業別に書かれているが、農村に焦点を当てて書けないか。
  • 18頁の森林について、経営している森林については記載があるが、国立林や保安林など、森林の管理をしないでも吸収量を確保出来ているものについて、積極的な政策の展開が必要。最近は途上国を巻き込んだポスト京都の議論の中で森林保全の重要性が指摘されているが、我々が先駆けとなってはどうか。
  • 12頁で省エネ改修の税制優遇措置が導入されるとのことであり一歩前進だとは思うが、お金を借りてこのような改修を行える者は限られていると思うので、所得税額控除という抜本的な対策を総力を挙げて進めてほしい。
  • 国内排出量取引については、推進を主張するのであれば、具体的な問題点をクリアする具体的な提案をしていただかないと議論は前に進まない。単に国内排出量取引により改善の余地があると言った抽象論は意味がない。
  • 21頁のサマータイムについて、単なる始業時間の繰り上げとなるとの意見が記載されているが、これは業務量が変わらないから単に出勤時間が一時間早まるだけとの説明があったためだと思うが、業務量が変わらなければ出勤時間が一時間早まれば退庁時間も一時間早まると考えるのが自然。サマータイムを導入するとなぜ労働時間が延びるのか、説明はない。
  • サマータイムについて、効果が小さいと書かれているが、何を根拠にして小さいと判断したのか。サマータイムよりも効果の小さい対策は他にもある。このように記載されてしまうと、省エネ効果がないような印象を与える。この表現を割愛するか、表現を大幅に見直してほしい。
  • サマータイムの導入はほぼ太陽光発電350万キロリットルと同等の効果がある。太陽光発電に投資すると2兆円ほどかかる。他の対策との比較を行ってほしい。
  • 増エネ効果によって省エネ効果が相殺されるとの指摘に対しては、具体的な数字を出してほしい。数字を出すのは非常に難しく、自分はあえて数字を出さなかった。
  • サマータイムは国民生活全般にかかわるテーマなので、経産省や環境省などの一省庁ではなく、内閣官房などで取り扱ってほしい。
  • 最終的にデータを把握していこうとの話があったが、総量把握は当然だが、例えば自治体レベルの効果についても把握できるようなモニタリング制度も重要。
  • エネルギーのデータ整備について他の委員からも指摘があったが、是非取り組んでほしい。ただ、エネルギーだけのデータを取っても意味はなく、どのような活動、建物、行動によってエネルギー消費がもたらされているのかが同時並行で得られていないと評価につながってこない。
  • 排出権取引導入推進者に伺いたいのは、キャップをどのようにかけるのかということ。環境省での懇談会でこの質問をした時、学者の方からは「交渉で決めること」との回答があった。衡平なキャップをどのようにかけるかについて産業界で議論した場合、大変苦労するはず。現実的には難しい話であり、具体的にどのようにキャップをかけるのかを示してほしい。
  • 原子力活用について、原子力エネルギーについてはエネルギー・セキュリティの観点も考慮すべき。原発の更なる活用こそが目標達成の近道であり、原発の活用についてもっと踏み込んだ記述としてほしい。なお、超長期的には、原発は過渡期の技術で、原発に代わる技術的なブレークスルーが必要。
  • サマータイム導入の是非を検討する部署を政府のどこかに作ってほしい。
  • 最終報告の結論部分が不明。産業界や企業は自主行動計画を通じて削減をコミットしている。企業の構成員である生活者、国民も同じ倫理観・価値観に立って、国民一丸となってかならず達成するとの確固たる意志に基づいて、削減が実現出来るとの文脈で結論を書いてほしい。
  • 2010年度排出量見通しは内外の関心を集めるところ。削減効果が示されていない箇所は次回までに是非数字を示してほしい。また、重複があれば整理してほしい。自主行動計画、省エネ法での削減効果を中心に、それ以外の削減効果も考慮して、この排出量見通しの結論部分に、目標達成に向けて必要な削減量は確保出来るとの明確なメッセージを入れてほしい。ポスト京都で我が国が中心的役割を果たすためにも必要なこと。
  • 排出量取引について、最終報告では「今後速やかに検討する課題」として位置づけられており、評価する。排出量取引は、いろいろ問題はあるが、費用効果的側面を持っており今後有効なツールとなる。したがって、具体策を含めて多面的な検討を速やかに始めてほしい。しかしながら、これからの議論になるので、仮に結論が出たとしても第一約束期間でこの制度を実施するのは困難。また、産業界は自主行動計画を通じて大変な努力をしており、排出量取引との関係も問題となってくる。排出量取引は、ポスト京都の議論を踏まえた上で、中長期の視点から議論するのが望ましく、ポスト京都に向けた議論ということを明記にすべき。
  • 国民が読んで分かり易いとの観点から、9頁から10頁に出てくる「定量化」との表現は概念が多義的であり、「数値目標化」とした方が良いのではないか。数値目標の中に、原単位目標と排出量目標があるとの整理。このような整理の上で、なぜ排出量目標が望ましいかの理由をきちんと記述した方が分かり易い。
  • 目標達成計画全体がタフな内容であることを念頭に置く必要がある。
  • 今後5年間、技術の問題や枠組みの問題など、いろいろなことが変わってくるはず。この時点で手を縛るような書き方はしない方が良い。
  • 結論部分では、6%削減が達成出来ることを明確に記載してほしい。
  • 国民運動の中では教育が一番大切。学校への対応を強化してほしい。
  • 金融面では、最近は環境関係のファンドが売れるようになってきており、関心は高まっている。ただ、海外から見れば、日本はSRIが弱い、CSRの認識が弱いとの印象。SRIの関係でどのように運用しているのかの情報公開が重要。
  • 海外へのPRについて、自主行動計画は海外からの評価が高くないのは確か。日本的なカルテル体質を前提として行われているものとの認識されている。企業のCSR的な取り組みであり、あくまで自主に基づくものであるということを諸外国に説明する必要がある。
  • 先般公表されたIPCC4次報告書では、「ここ20年から30年のうちに行動する必要がある」、あるいは「2020年には先進国は大幅な削減を求められ、10年から20年でCO2の上昇トレンドを下げるべき」との重要な記載があるが、2頁の基本認識においてこれらが反映されていない。第一約束期間の次に大きな削減目標があるということをきちんと書くべき。
  • 今後5年間、産業界の自主行動計画を核とする日本の削減計画は一定の評価ができる。ただ、他の対策の中には不透明なものもある。例えば、国民運動の削減効果の内訳を示してほしい。
  • 6%達成できないとの意見もあるが、不足分は税金又は経団連企業のお金を使って京メカを活用することになっており、必ず達成できることになっている。
  • 今後、更に削減目標がきつくなる中で、自主行動計画を続けることが出来るのか疑問。今後5年のうちに排出量取引、環境税の検討を進めておくべきと考えるが、環境税の記述については僅か5行。環境税は何年も検討を行っている問題。「国民に広く負担を求めることになるため」とあるが、税収中立にする、あるいは所得税を減税するとの方法もある。ミスリーディングな記述である。環境税は排出量取引と比べて早く導入できる対策でもある。
  • 最終報告書の意味、あるいは我々が行うべきことは、2005年の目標達成計画に掲げられた施策をチェックし、排出削減量が不足する場合には、新たな追加対策を検討して目達計画の改定案を提示することである。したがって、追加すべき施策の効果の数字が空欄では困る。他の委員からもコメントがあったが、幅でもいいので示してほしい。数字が出ないようでは、計画を改訂する閣議決定をする内閣に対して、我々の責任を果たしたことにはならない。
  • 国民運動について、削減効果は679万トンから1,050万トンとされているが、内容を見るとこれは具体的な施策ではなく、一種のあるべき論である。例えば、シャワーを一分節約することがよいとのみ書くのは施策ではなく、どうやって止めさせるかという施策を書くことが重要。これらの国民運動は環境省の所管であるが、チームマイナス6%のようなかけ声だけではなく、具体的な施策を積み上げて、きちんと数字を示してほしい。
  • 具体的な施策を積み上げて、3,400万トンが達成可能ということを示してほしい。
  • 取り組みを掲げても実際にできるかどうかは分からない。このため、21頁にも書かれているが、進捗管理が重要となる。例えば、自主行動計画について、9頁で「必要に応じ、再度フォローアップを行う」とあるが、毎年必ずフォローアップを行い、必要に応じて対策を追加することとするべき。まずは各省で各部門のフォローアップを行い、この会合のような政府全体の会合で、再度全体としてのフォローアップを行うとの仕組みを作るべき。
  • 環境税や排出量取引については、対策が必要となれば議論すれば良い。自主行動計画でも排出削減量が不足し、CDMで外国から排出量を買ってくることになれば、結局そのツケは国民が負担しなければならないことになる。
  • 全体として、真面目に検討して積み上げて出てきた報告書との印象。外国でこのような報告書はなく、極めて日本的。
  • 10頁で「企業間の責任分担の状況等について、現段階において確認するとともに、必要に応じ、その見直しを行うよう促進する」とあるが、日本の自主行動計画は実質的には自主ではなく、かなり政府が関与している。ただ、政府が個別企業の配分、排出量まで関与するのはどうかと思う。産業界は、業種・総量としてはコミットして、その範囲で企業が何とか取り組もうとしており、絶妙なバランスの仕組みとなっている。
  • 補足性、すなわち京メカ活用については、数値的上限はない。例えば、マラケシュ合意以前から、オランダは不足分の半分は購入すると公言している。当初、日本は1.8%買うと言っていたが、これは全体の7%。日本については、補足性は気にする必要がない。だから買った方が良いと言うことではなく、ホット・エアーを購入することは海外からは評価されないということ。
  • 排出権取引について、11月30日の議論では、上流で排出権をかけるということは誰も言っていない。また、4人が報告したが、第一約束期間を対象にして議論した者は一人もいない。導入を主張した者もポスト京都を前提としていた。
  • 産業界は自主的取組にコミットしており、その状況で排出権取引を入れる必要はあるのか疑問。
  • 排出権取引を導入すると排出量が減ると思っている人は多いと思うが、これは誤った認識。
  • 海外発信に関して、黙って自主的取組を行っているだけではダメ。なぜこのような取り組みを行っているのか、またその背景をきちんと説明する必要がある。ヨーロッパでは、カーボンにマーケットを付けて売買するとの考えで凝り固まっている。
  • IPCCは、この場合はこうなるということを報告するだけで、主張する機関ではない。バリの会合でもIPCCの結果を意図的に活用しようとする者が多かったが、これに報道機関が乗っている。この会合にも報道機関の方が出席していると思うが、是非報告書の原文を見てほしい。
  • 排出権取引について、排出権というあやしいものが市場で流通することが心配。金融システムを不安定にするとの疑いがある。
  • 京都メカニズムの長期的活用として、環境に関して中国のプレゼンスが高まっている中、アジア外交のツールとしてはどうか。
  • 日本の場合、補足性はそれほど考えなくても良いのではないか。

○高橋環境省市場メカニズム室長

  • 自主参加型の国内排出量取引制度については、現行の目標達成計画において、排出量取引についての知見・経験を蓄積すると書かれており、これを受けて最終報告案にも盛り込んだところ。今年の夏に取引を行ったところ、排出量についても、当初の削減目標は26%であったが、29%の削減ができた。今後も参加企業を増やし、今後の議論に対して有用な知見を提示できるようにしたい。

○徳田環境省地球温暖化対策課長

  • 国内排出量取引について多様な意見を頂いたところであるが、取りまとめ文書としては、賛成、反対の意見の他、多くの委員から頂いた意見として「具体的な案を提示すべき」との意見も追加している。まとめる上では、一方の意見に偏った内容を書くことは困難であり、現在の案を提示しているところ。
  • 国民運動の数字について、他の政策を後押しするものであり、他の政策との関係でダブルカウントはある。それにもかかわらずこのような数字を示したのは、国民運動に対するメッセージを国民に示す必要があるのではないかとの指摘が委員からもあったためである。

○藤原経済産業省環境経済室長

  • 2010年度排出量見通しの結論部分について、多くの委員から「必要な削減は確保されたとのメッセージを強く打ち出すべき」とのコメントを頂いたが、事務局として原案をする際に参考としたい。
  • 自主行動計画の第一約束期間での取り組みを強調し、キャップアンドトレードの導入はポスト京都に移行するような書きぶりとすべきとのコメントが多数あったが、事務局として修文を検討したい。ただ、一部の委員からも指摘があったが、この会合のミッションは一義的には第一約束期間について議論することであり、書きぶりに限界があることはご理解頂きたい。
  • 自主行動計画のフォローアップの報告書の英語版については、今年度分も含め、まとめて再来週中にはホームページで掲載したい。
  • フォローアップにおける排出削減量1,800万トンの内訳については、フォローアップの報告書の28頁にも内容の詳細を記載しているのでご覧頂きたい。
  • 「自主行動計画の推進」との表現については、修文を検討したい。
  • 国内排出量取引について、キャップアンドトレードと明記すべきではないかとのコメントについては、目標達成計画に定義があり、これを引用するなどの方法も検討したい。中小CDMとの違いについての御指摘もあったが、定義をしっかり書くことで問題は解決すると考える。
  • 「必要に応じ、フォローアップ」との表現については、これは11月の自主行動計画フォローアップ報告書でも同様に記述されている表現であり、毎年1回が原則となっているフォローアップを必要に応じもう一回行う可能性があるとの趣旨。また、個別企業に関することを書き過ぎではないかとのご指摘があったが、これも上記報告書には書いてあるところであり、自主行動計画の信頼性・透明性を高めるためにも必要ではないかと考えている。
  • 中小CDMについて複数のコメントを頂いた。既存の関連制度との整合性については、当然確保すべき。自主行動計画との関係でダブルカウントにならないかとのご指摘については、例えば、自主行動計画のなかでクレジットを使う場合は目標を引き上げてもらうことなどにより追加性が発生すると考える。認証基準の問題でもあり、工夫して行きたい。厳格性については、中間報告にも記載されているが、国連の小規模CDMの仕組みと認証基準を比較・整合させていきたいと考えている。一定の貨幣価値を持つものなので、当然のことながら、一定の厳格性は確保したい。
  • サマータイムについて、削減効果、検討体制など、複数のご指摘があったが、事務局で検討したい。
  • 深夜のライフスタイル・ビジネススタイルについて、論点を明確にすべきとのご指摘があったが、事務局で検討していきたい。

○江崎資エ庁エネルギー政策企画室長

  • 重複問題については、どのような行動を行っているのかとの観点から重複を排除している。新規の対策効果に注目が集まっているが、押し上げ効果、裏打ち効果、新規の効果がある。
  • 来年1月にマクロデータが修正されるが、そのデータを踏まえて数字を作り、最終的な見通しを作っていくことになる。
  • データ整備については、現在、全産業分野についてデータを整備しているところ。

○河本資エ庁省エネ・新エネ部政策課長

  • 新エネ対策に関して固定価格制度とRPS制度の比較について、RPS制度の方が優れていると認識している。
  • グリーン電力証書の具体策については、報告にも記載されているが、今後しっかりとした普及対策を取っていきたい。
  • 新エネ対策の目標1,910万キロリットルの達成については、今後とも最大限努力したい。
  • 省エネ対策関係のデータが出ていないとのご指摘については、現在精査しており、早急に出したい。

○吉野資エ庁電力基盤整備課長

  • 柏崎刈羽原子力発電所の停止の影響についてご指摘があったが、第一約束期間における影響については、現在進めている点検、安全確認、また今後の修繕のスケジュールによるので、現時点では見通せない。
  • 電事連では、中期的な電源構成、供給計画の下、自主行動計画の目標達成ができるよう既に1.2億トンのクレジット購入をコミットしているが、柏崎刈羽原子力発電所の停止の影響を含め目標を達成できるよう最大限努力をする旨、この合同会合でも表明されているところ。

○茅委員長

  • 結論部分が記載されていないが、この会合の目的は目標達成計画をどのように達成するかであり、数字が入らない箇所が多いため、結論が書けなかった。次回会合では必ず数字を入れてほしい。
  • 結論部分で「目標達成計画を達成出来る」と言ってほしいとのコメントがあったが、「出来る」という言葉の使い方が難しいと思っている。現在議論している追加対策だけでは問題は解決しない。目標達成のためには既存対策の達成が前提であり、そのためには相当な努力が必要である。

○浅野部会長代理

  • 目先の対策だけで目標を達成できると思ってしまうところだが、これまでの対策が実現出来ていないのが問題。次回会合までは無理だと思うので、せめてパブコメにかける時までには、これだけの対策を全て実施する必要があるということを分かるように提示してほしい。
  • 次回会合までには数字を必ず出してほしい。どうしても数字を入れられないのであれば、その省の責任者に来てもらって、理由をはっきり示してほしい。どうしても難しいのであれば、幅で示すというのも一案。

○徳田環境省地球温暖化対策課長

  • 本日のご発言に追加すべき質問・コメント等がありましたら、12月18日火曜日までに書面にて事務局まで提出頂きたい。また、本日の議事概要については、事務局でとりまとめの上、数日中に、委員の皆様に案を送付したい。皆様に送付後、1週間で環境省及び経済産業省のホームページに掲載する予定である。諸事情により一週間内にご返事を頂くことができない委員分についても、いったんは暫定版としてホームページに掲載させていただき、後ほど、修正があれば差し替えたい。
  • 次回は、今回の審議を踏まえ、最終報告案を作成し、ご審議頂く予定。日時は12月21日金曜日の9時から、場所は大手町サンケイプラザを予定している。

(文責 事務局)