中央環境審議会地球環境部会(第71回)議事録

1.日時

平成19年12月7日 13:30~15:00

2.場所

九段会館 2F 鳳凰

3.出席委員

(部会長) 鈴木 基之
(委員) 浅岡 美恵 武内 和彦
(臨時委員) 青木 保之 石坂 匡身
植田 和弘 浦野 紘平
及川 武久 逢見 直人
木下 寛之 塩田 澄夫
富永 健 永里 善彦
原沢 英夫 桝井 成夫
三橋 規宏 横山 裕道

4.議事次第

  1. 低炭素社会づくりに関する論点整理
  2. その他

5.配付資料

資料1 低炭素社会づくりに向けて
資料2 中央環境審議会地球環境部会(低炭素社会検討)の開催日程
参考資料 第1回~第7回までのヒアリング概要(発表者別)

6.議事録

午後1時38分 開会

○高橋市場メカニズム室長 それではお待たせいたしました。委員の先生方には、午前中から引き続きの会議で大変恐縮でございます。
 ただいまから会議を開催いたします。
 本日は、中央環境審議会地球環境部会として開催を予定してございましたけれども、委員の総数40名中、17名の委員の方からご出席いただいているということで、定足数に満たないということでございますので、地球環境部会懇談会という形で開催させていただくことを、あらかじめご了承お願いいたします。
 それでは、以降の進行につきましては、鈴木部会長にお願い申し上げます。

○鈴木部会長 それでは、早速、地球環境部会懇談会を始めさせていただきたいと思いますが、まず、いつものとおり本日の審議は公開となっておりますことをご報告申し上げます。
 では、資料の確認をお願いします。

○高橋市場メカニズム室長 では、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第に続きまして、資料1といたしまして、低炭素社会づくりに向けてというパワーポイントの資料がございます。資料2といたしまして、当部会の開催日程というものがついてございます。それから、次が参考資料ということで、第1回から第6回の懇談会のヒアリング概要ということで、まだすべての発表者のものではございませんけれども、これまでの発表いただいたもので確認できたものについて概要をつけてございます。
 以上でございます。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 前回までいろいろご議論いただきましたが、低炭素社会づくりに関する論点整理ということで、事務局に案を1つ作成していただいております。
 まず最初に、南川局長から趣旨をご説明いただきまして、その上で事務局から資料の内容についてご説明をお願いいたします。

○南川地球環境局長 どうも皆様、お忙しいところありがとうございます。午前中に続きまして、ご審議を大変恐縮でございます。
 地球環境局長でございますが、私からまず、この低炭素社会ということを検討するにつきまして、基本的な考え方というものをお話しさせていただきたいと思います。
 このローカーボンソサエティでございます。言葉がどちらかというと、これまで踊っているところがございます。前に申しましたが、1月の安倍前総理訪英の際に、ブレア首相との間で議論になりまして、その結果、共同文書に、ローカーボンソサエティを一緒につくっていこうという話が入ったというのが発端であったわけでございます。その後、政府におきましては、この低炭素社会をつくっていくということについては、革新的な技術開発と並んで、我が国がクールアース50の中で1つの大きな手段として掲げたわけでございます。特に、2050年半減という中では、単に技術だけでは大きな削減が見込めないという中で、全体的な社会づくりということについても、1つのテーマにしたいということを示しているところでございます。
 今年、来年の夏にございます洞爺湖サミットに向けてさらに検討を進めたいというふうに考えているところでございますが、この作業は、今後大幅な対策が求められる中で、温暖化対策の方向性を定めていくという意味で、非常に重要なものだというふうに考えているところでございます。
 今日、資料に出させていただいておりますものでございます。これは、これまでの有識者ヒアリング、また委員の皆様からのご議論を踏まえて作成したものでございます。
 資料1の2ページに概要がございますけれども、大きく4つのパーツからなっているところでございます。1が低炭素社会の基本理念、2が具体的イメージ、3が実現のための戦略、4が世界に向けた発信、国際的な連携ということでございます。
 この戦略におきましては、イノベーションを促進するんだと。イノベーションというのは、技術のみならず、制度もあるわけでございます。そして、ローカーボンソサエティを実現するためのインフラを確保していくんだと。それが非常に重要だと考えているところであります。インフラとは、例えば、インセンティブを付与する制度的なもの、また、人材や情報、資金の供給基盤整備をはじめとするソフトなもの、さらに交通網や都市構造、建築物といったハードなもの、また自然資産といったものもあるかと考えております。こうしたさまざまなインフラを今後適切に整備することがローカーボンソサエティにつながるのではないかということで、整理をさせていただいているところでございます。
 前回の部会にもいろいろご議論がございました。特にどの国を対象にするんだとか、だれに向けているんだとかということを明確にすべきということも、ご意見伺っております。私どもまとめるときには、まとめ方としては、我が国の知見、経験、それをベースにしまして、まず我が国を主に念頭に置いて、ローカーボンソサエティの基本理念、イメージと、それを実現する戦略といったものを日本モデルとして描くということがベースかと考えております。もちろん、そこには、他の先進国や途上国にも参考になることがございますし、また逆に、海外でいろいろ議論いただく中で、当然ながら日本が参考にすべきような指摘ということも、当然あるということを考えておりまして、私どもとしては、別に日本が優れているからということでこういったものを持ち出そうということでは考えておりません。
 この成果でございますが、当然、我が国の政策に反映していくものでございますし、また、諸外国に発信し、意見を伺う中で、国際的な協力ということも深めていくべきツールだということで考えているところでございます。
 まだ、私どもも必ずしも思考が整理されておりませんので、資料におきましても、どれが国内向けかとか国際途上国向けかとか、そういった仕分けはしておりません。今後、ぜひ工夫をしていきたいと考えております。
 それから、2050年の諸データについて、どういう前提で考えるのかというご指摘もございました。私どもとしては、現状では、世界全体の排出量を2050年に半減するということを考えながら、あと、あまり今の段階で数字にこだわってもなかなか進めていけないということで、柱をお示しするということで考えた次第でございます。データやモデルを用いました精緻な検討といたしましては、例えば西岡先生、今日実はもうバリに行かれておりまして、ご欠席でございますけれども、その西岡先生が率いておられます脱温暖化2050プロジェクトと、そういった研究の分野において、しっかりとした検討がなされているというふうに考えている次第でございます。
 今日、ここにお示ししました資料につきましては、全く第1案そのものでございます。引き続きご議論をお願いしたいと考えておりますし、あわせまして、この後でございますけれども、幅広く内外の方からのご意見も聞きたいというふうに考えているところでございます。
 将来的というか、半年先でございますけれども、洞爺湖サミットがあるわけでございます。また、その前には環境大臣会合もございます。日本からこういった議論を起こしていきたい、そして世界的にこのローカーボンソサエティの議論が進んでいくということを期待しているわけでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○高橋市場メカニズム室長 それでは、引き続き私のほうから、資料に基づいてご説明させていただきます。
 まず、最初の1ページ目でございますけれども、これは局長からもお話がありましたけれども、全体の構成でございます。まず基本理念というものを書きまして、その後に2050年の低炭素社会の具体的なイメージはどういうものかということを、分野別ということで記述してございます。それから、3として、そういう2050年の具体的な低炭素社会を実現するための戦略ということを書いてございます。最後に、4として、世界への発信・国際的な連携の進め方ということで書いてございます。
 めくっていただきまして、3ページ目から中身に入りますけれども、まず1として、低炭素社会の基本的理念ということでございます。最初のところに数行ございますけれども、2050年半減という世界、これは世界が一丸となって最大限の努力をしていく必要があると。具体的な数字ということで、これは全くの例示でございますけれども、例えば2050年半減という時点で、仮に1人当たりの排出量が世界全体で均一になるという仮定を仮に置きますと、先進国では現在の2~3割程度まで排出量を減らさなきゃいけない。途上国は、今後当然経済発展、生活のレベル向上というのがあるわけですけれども、そういう中でも、現状程度の排出量にとどめることが必要だと。当然、これは国によって差はございますけれども、全体的にはそんな傾向になるということで、相当の努力が必要な状態であるということでございます。こういう社会は、今までの延長線上では難しいということで、ここにございますような基本的な理念をもとに、あらゆる主体が取り組みを進めるということが必要であるということでございます。
 ここで理念として、3つの柱で整理をさせていただいております。
 まず、1として、カーボン・ミニマムの実現という言葉を使ってございますけれども、低炭素社会というのは、究極的には排出と吸収をつりあわせると。カーボンニュートラルというような社会を目指すということで、そのためには産業、行政、国民、あらゆる社会のセクターがその選択とか意思決定において、例えば省エネルギー、低炭素エネルギーの推進とか3Rの推進による資源生産性の向上、さまざまな手段を講じて、二酸化炭素の排出を最少化すると。これをカーボン・ミニマムと仮に称しておりますけれども、そういう配慮を徹底することが当然であるというような社会システムが必要であるということでございます。
 それから、2といたしまして、豊かさを実感できる簡素な暮らしへの志向という言葉を使ってございますけれども、これまで先進国を中心に形成されてきた大量消費、こういう大量消費に生活の豊かさを求めるような画一的な社会というものから脱却して、家族とかコミュニティとのきずな、健康、自然とのふれあい、あるいはもったいないというような日本の伝統的な心、こういうものに価値を置くということによりまして、生活の質を高めていく。そういうことを志向する消費者が増えているということによりまして、その消費者の選択が社会のシステムの変革をもたらし、低炭素で豊かな社会が実現できるのではないかということでございます。
 3として、自然との共生ということでございまして、人間とはそもそも、あるいは人間社会というのは、この地球生態系の一部であると、そういう認識がまず必要だということ。それを踏まえまして、特に低炭素社会ということになりますと、排出につりあう吸収というものがないと平衡にならないということでございますので、CO2の吸収を確保するということがまずございますし、また、今後温暖化が避けられない中で、その適用を図っていくというためにも、森林をはじめとする豊かで多様な自然環境というものを保全し、再生するということが極めて重要だと。このため、例えば地域社会において、バイオマス利用を含めた自然調和型技術の推進を図るなど、自然と調和、共生した社会づくりを進めるということが必要だということでございます。
 以上が、基本的理念として整理をしたものでございます。
 次の2として、低炭素社会の具体的イメージということで、5ページから分野ごとにイメージを、ポンチ絵も使って整理をしてございます。簡単にご説明いたしますけれども、まず移動ということでございまして、移動というのは非常にCO2の発生の大きな部分を占めているわけでございますけれども、このイメージについては、行動、技術、活動の場、Behavior、Technology、それからField of activitiesということで、こんなような3つのカテゴリーに分類しながら記述してございます。
 移動については、まず行動という分野では、このポンチ絵にございますように、さまざまな低炭素の移動手段というものが将来出てくるということで、それらをCO2の排出量を見える化しながら、各個人が環境負荷の小さな移動手段が選択できるような形になっている。それから、技術としても、当然車の単体技術も進んでまいりますし、それから1人乗りのパーソナル移動体というようなものもできてくる。そういう形で移動手段が広がってくる。それから、高度道路交通システムなどによりまして、自律的な運転というようなことで、もちろんCO2の削減にもなりますし、交通事故もゼロになるというような形が実現しているのではないかということでございます。
 活動の場ということで、いわゆる交通インフラに絡む話でございますけれども、都市の規模に応じて、鉄道、バス、モノレール、LRTといったさまざまな公共交通機関が組み合わされている。物流についても、先端的情報技術によって、低炭素物流システムができている。それから、駅を中心として、トランジットモール、自転車専用道路というようなことで、歩行者、自転車に優しいコンパクトな町ができている。カーシェアリングシステムのようなものも実現している。また、高度道路交通システムが発達しまして、低炭素交通システムの基盤をつくっているというようなことでございます。
 それから、次に2といたしまして、居住空間、就業空間、家庭とか業務というようなセクターに入ってくるものでございますけれども、住宅建築物についてのイメージでございます。
 まず、行動といたしましては、家庭でも職場でも、まずはエネルギーを無駄に使わないという心構えは当然浸透している。また、見える化技術によって、個人が省エネルギー行動を実践できるようになっている。それから、特にICT、情報技術の発展によりまして、自宅がどこにあっても会社と同様な仕事ができる。働き方の自由度が大幅に増して、大都市に立地していなくても、世界を相手にした仕事ができるような状態になっているだろうということでございます。
 技術といたしましては、日本のものづくりの力を集結して、非常にエネルギー効率の高い、あるいは自然エネルギーを利用したいろんな機器が開発普及されておりまして、ICTを活用した制御技術というものも普及している。また、地域の気候条件に適応した住宅というものができている。それから、住宅建築物の寿命を伸ばす工法、いわゆる200年住宅のようなものとか、それから既存の住宅のエコ改修というようなものが普及しておりまして、住宅の中古市場というものが活性化をしている。木造住宅が増えてきているというようなことでございます。
 インフラとしては、活動の場としては、やはり見える化の浸透、これもIT技術の発展も踏まえまして、いろんな機器のCO2排出量がどこでもわかるような見える化というようなものが、インフラが整備されているということでございます。
 それから、次のページにまいりまして、3としては、消費者選択ということで分類をしてございます。消費者の選択というものがこの将来のCO2の排出量に大きく影響してくるということでございますけれども、人々はさまざまな商品あるいはサービスを選択する際に、低炭素という配慮が徹底されているということでございまして、ここに右上にございますように、例えば商品の購入というものでも、リユース、再使用品を買ったり、物ではなくてサービスを購入する、レンタルをするというようなこと、あるいはライフサイクル的に環境負荷、CO2の排出の小さいものを選ぶというようなことが徹底してくる。それから、地産地消というようなものを推進というようなことがございます。具体的にも、このフードマイレージの話でございますとか、エコポイント、カーボンオフセットというようなものが普及してくるということで、消費者がさまざまな場面で、低炭素の商品、サービスを購入したり、あるいはCO2の排出を抑制するような経済的な手法などもいろいろと活用できるというような状況になっているということでございます。
 それから、4といたしまして、産業分野ということでございますけれども、産業分野は当然、CO2の排出量削減に大きな役割を果たしているところでございますけれども、Behaviorとしては、地球温暖化問題をビジネスチャンスととらえるというような考え方がまず重要ではないか。そういう中で、積極的に技術開発、プロセスの効率化、LCAを考慮した循環資源の利用、あるいは途上国への技術移転、さまざまな場面を通じまして、低炭素社会の形成に大きく貢献をしていくのではないか、そういう意識が浸透してきていると。また、そういう企業の積極的な取り組みについて、国民に情報を積極的に開示していく。それから、低炭素社会はある意味で炭素の制約がかかってくるわけですけれども、そういう中でもビジネスチャンスが損なわれないような、新しいビジネスモデルを常に追求していくというようなこと。それから、サプライチェーン全体での低炭素化を図るというような観点も重要だろうということです。
 技術としては、我が国のものづくり力を結集したさまざまな技術、エンドユース、あるいはエネルギーの供給技術というものが開発されて普及している。製造工程においても、例えば石炭のかわりに水素を還元剤として用いる製鉄技術というような革新的な製造技術が開発・導入されてきて、CO2の排出削減に大きく貢献をしている。電力供給についても、高効率・ゼロエミッション火力発電、あるいはバイオマスエネルギー、さまざまな技術が開発普及されて、いわゆる低炭素型の電力インフラというものが実現しているということでございます。
 活動の場という意味では、お金の流れですね。そういう革新的な技術開発をする分野に多くの資金が流れるような構造、あるいはその環境金融商品というものが流通してきている。あるいは、そういう削減技術を世界規模で普及させるための支援体制というものも確立しているということでございます。
 それから、次のページ、森林・農業というところでございますけれども、この分野につきましては、その地域の風土とか特色に根ざした生産・消費というような形を通しまして、安全・安心な農産物の供給というようなものがまずあります。また、都市の住民にとっては、自然を慈しむ場というものが提供されて、長期休暇というようなものが増えてきている。
 技術としては、その効率化等によりまして、国際競争力が強化されまして、食料、木材の自給率が向上し、CO2の吸収源というものが維持される。また、休耕作地を活用したバイオマスエネルギーとか太陽光、風力というような、エネルギーの製造地域、製造拠点としての貢献をしていると。また、稲わら、間伐材などの、今利用が難しいセルロース系の材料のバイオエタノール化というような技術が普及している。また、森林の維持管理についても、最新のモニタリング技術というものが活用されているというような状況でございます。
 活動の場としては、さまざまな一次産品、農産物がどこでどうつくられたかという履歴がわかるようなシステムが整備されていたり、また、森とか山とか海とかの地域それぞれの固有の景観というものが重視され、保全されるということによりまして、豊かな生態系サービスが提供され、農村文化というようなものも維持されているというようなことが書いてございます。
 それから、次のページでございますけれども、これまでのところは、いわゆるセクター別のイメージを書いてございますが、この10ページでは、前回の部会でもちょっとご指摘がありましたけれども、地域ごとのくくりで見たらどうなのかということで、少し整理をしてございます。ここでは、大都市・中都市というものと、小都市、それから農山村という3つのふるい分けをしてございます。大都市・中都市というのは、3大都市圏とか県庁、地方の中核都市、県庁所在地というようなところぐらいまでが大都市・中都市、それより小さいところが小都市、それから農山村と、そんなようなイメージで分けてございます。
 大都市・中都市については、当然人・資本の集積があって、高付加価値のサービス業などがあるわけでございますけれども、道路については、自転車とかパーソナル移動体というものが安全に走行できるようになっている。それから、都市の規模やその既設のインフラに応じて、鉄道、バス、LRT、さまざまな公共交通網が組み合わさった形で整備がされている。集合住宅の比率が高いわけですけれども、職住近接が実現されている。あるいは廃熱の有効活用がされているとか、またヒートアイランド対策としての風の道とかオープンスペース、そういうものが確保されていると。
 小都市については、駅を中心としたコンパクトな町になっている。それから、バスがかなり中心になりますけれども、バスについてもICTの活用によって、利便性が大幅に向上されている。それから、周辺に農地がありますので、地産地消が進んでいるというようなことでございます。
 農山村については、効率化によって、第一次産業が活性化をしている。自動車の比率が高いわけですけれども、モーターとかバイオ燃料によって低炭素が図られている。木造建築が多い。それから、林地・農地では、バイオマスの供給源になっている。それから、農山村にいても、通信システムの高度化によって、自然豊かな中でも就業が可能であり、また医療、教育等のサービスも十分受けられると、そういう社会が実現しているのではないかということでございます。
 以上がイメージでございまして、次に3として、そういう低炭素社会を実現するための戦略ということでございます。12ページは、これは目次のようなものでございますけれども、国民、企業が積極的にいろんなアクションを起こしていく。また、それをそういう国民、企業の低炭素社会に向けた行動が円滑かつ永続的に続くような制度、ルール、社会資本などを政府が整備をしていくということでございます。特に政府については、そのいろんなインフラ、制度、人材育成、住宅、都市・交通基盤、いろいろございますけれども、それぞれその整備に要するタイムフレームが異なりますので、そういうことを十分留意して、早い段階から着手をしていく必要があるというようなことがちょっと書いてございます。
 具体的な中身でございますけれども、13ページ以降でございますけれども、まず国民に望まれる行動というところでございますが、ここについては、最初に書いてございますように、人間というものが地球生態系の一部であって、その地球生態系と共生する社会をつくる主人公であるというような自覚を持つ中で、その低炭素社会づくりに積極的に参画をしていく。温暖化についての知識を持って、環境に配慮したライフスタイルを実践していくというようなこと。
 それから、企業については、このまず商品技術開発で、世界のイノベーションを引っ張っていくというようなこと。それから、低炭素社会に貢献する新しいビジネスモデルをどんどんつくっていく。それから、環境情報についてのディスクロージャー、あるいはさまざまな金融商品の開発というような形で、積極的な行動をとっていくということが期待されるということでございます。
 それから、14ページ以降、政府の講じる手段ということでございます。
 1つ目が、制度的なインフラ整備ということでございますが、これは低炭素に対するインセンティブを社会の中に植えつけていくということでございまして、いろんな手法があるわけでございますけれども、ここではいくつかに分類しておりますが、まず、将来的手法ということで、低炭素型のライフスタイルとか商品の開発とかまちづくりとか、そういうさまざまな個人、企業、あるいは自治体、そういうものを積極的に進めておられる方を表彰するというような形で奨励していく、あるいは環境配慮契約を徹底していくなどと。
 それから、次は経済的手法ということで、炭素価格が内部化されるようなルールづくり、環境税や排出量取引というようなものが例としてはあります。また、炭素を削減する投資自体の商品化というようなものもございます。また、税制のグリーン化というような、環境によい投資や商品に優遇していくというようなこと。
 それから、規制的手法ということで、今ございますようなトップランナーのような規制をどんどん拡大していくというようなことでございます。
 次が、ソフト的インフラ整備ということで、そのインセンティブの効果が発揮されるのに必要なさまざまなソフト面での整備ということで、まずは1つは人材育成ということでございまして、環境学習を充実していく。あるいは、ものづくりの技術の伝承でございますとか、さらなるイノベーションを引き起こす人材の育成というようなことで、一般の方々もございますし、いろんな専門家も含めて、低炭素社会をつくっていくために必要な人材の育成というものをやはり重点的にやっていく必要があるということでございます。
 また、情報の普及ということが大変重要だということで、ここでは高品質環境情報の大量循環という言葉を使ってございますが、あるいは温室効果ガスの見える化をどんどん進めていくと。そういう見える化を進めるための技術の開発・普及、あるいはカーボンディスクロージャーの企業の活動に伴う排出の情報の開示、情報拠点の確立というようなというようなこともございます。また、消費者が低炭素技術を選択できるような、それを促進するような仕組みづくりということで、製品ごとにLCA情報を表示していくとか、さまざまな条件におけるエネルギーの消費データというものを測定する方法を確立していく。また、そういう情報をICタグを使って製品につけていくような取り組みの促進というようなことが例示されてございます。
 それから、15ページでございますけれども、もう1つのソフトインフラ資金ということで、低炭素の技術開発、取り組みに資金が流れていくようなシステムをつくっていく。カーボンオフセットもその1つでございますし、そういうビジネスに対する融資制度の拡大。それから、これも前回意見が出ておりましたけれども、ODAというようなものも、エンドユース技術でもどんどん使っていくというようなことが考えられるのではないかということでございます。
 次がハード的インフラということで、都市、交通、建築等についてのハードインフラでございます。都市についていろいろ書いてございますけれども、地域の開発をする際のマスタープランに低炭素計画というものを記載していく。公共機関の駅を中心とした都市開発。あるいは、都市開発における経済的手法の活用というようなものも重要ではないかと。さまざまな開発計画の代替案ごとにCO2の排出量を比較できるような仕組みが有効ではないか。人が歩いて回れるような中心市街地というものをつくっていく。郊外のショッピングモールについては規制をしていく。あるいは、温暖化の適応というような観点も大変、これからの都市づくりでは重要だということで、その自然災害に備えた都市、河川の施設とか管理、あるいは熱負荷のシミュレーションの実施というようなものも、これはどちらかというと適応というよりも排出削減の部分ですけれども、そういうものも有効であるということでございます。
 それから、交通分野では、規模に応じた低炭素交通網の整備ということで、先ほどのイメージでも出てきておりますような、都市部における公共交通機関の整備。あるいは、人口密度の低い地域においては、例えば予約制の導入によって公共の足を確保するというようなこと。歩道・自転車専用道の大幅な拡大というようなことが例示されております。
 建築については、エネルギー自立型、あるいは長寿命型の住宅というものを推進していく。
 エネルギーについては、間欠性電源を活用できるような系統インフラとか、熱融通インフラによるエネルギーの面的利用を拡大していくというようなことが書いてございます。
 それから、最後は自然資本の整備ということで、自然環境、生物多様性という観点で、自然環境保全上、重要な地域を保全していく。損なわれた自然の再生をする、あるいは貴重な生態系のネットワークをつくっていくというようなことで、自然生態系の多様性を、保全を向上させていく。
 農林地については、バイオマス資源の供給源ということで、総合戦略的に開発をしていく。あるいは、これから温暖化が避けられない中で、やはり同じ途上国も含めた食料の確保というものが非常に重要だというご指摘がございましたけれども、温暖化に適応できるような品種改良というようなものも大変重要だということでございます。
 最後のパーツでございますけれども、世界への発信、国際的な連携ということで、2枚ほど書いてございます。
 17ページは、この国際的な発信、日本としての発信をする上での1つの基本的な前提といいましょうか、考え方として整理してございますけれども、ここも課題先進国というようなことでご指摘がございましたけれども、日本はこれまで、非常にエネルギーあるいは国土に制約がある中で、高い成長を遂げてきた。そういう中で、エネルギー問題あるいは深刻な公害問題というものを経験し、それらを技術とか制度で克服をしてきたということでございます。また、現在でもいろんな少子化問題から、当然温暖化問題も含めて、さまざまな課題に直面していると。それをこれまでの経験、あるいはこれからの取り組みというものを踏まえて、その日本の経験、取り組みをモデルとして、それを発信していくということが極めて重要であるということでございます。
 この下にございますように、日本の強みを生かしたモデルの発信ということで、自然との共生を旨とする自然観でございますとか、これまでの発展をもたらしてきた世界最高水準の技術、あるいは公害克服の経験、そういうようなものを踏まえまして、この低炭素社会を構築する日本モデルというものをつくって、それをアジアあるいは世界に発信していくということでございます。
 具体的な国際的な発信、連携の項目として、18ページに3つほど整理してございますけれども、最初がまさにその日本モデルの発信ということで、今申し上げたような課題先進国の日本の経験を発信していく。それによりまして、この右側に「途上国の蛙跳び」とございますけれども、途上国は、先進国が経験してきたような高炭素社会を経験せずに、一気に低炭素社会に向かうということが可能になるのではないか。あるいは、この場合に、途上国への支援、協力という中では、温暖化対策というものが、その温暖化だけではなくて、大気、水質の汚染の緩和でございますとか、生活の質の向上という、いわゆるコベネフィットという言葉を使っておりますけれども、コベネフィット効果を持つような温暖化対策というものがたくさんあるということで、そういうところを重点的に強調していくことによって、途上国の対策も進みやすいということがあるのではないかというところでございます。
 そういうことで、この日本の伝統も生かしながら、いろんな技術、制度、ノウハウ、そういうものを積極的に発信していくということでございます。
 2といたしまして、低炭素社会に関する情報拠点の整備、あるいは国際共同調査研究・人材育成の推進というところでございますけれども、低炭素社会実現のためのさまざまな最新の情報、技術、制度、あるいは人材、教育と、いろんな分野がございますけれども、そういうものを収集・分析・提供していくような拠点、あるいは国際共同研究を進める拠点と、そういうようなものを日本がイニシアチブをとって整備をしていってはどうか。その際に、既に我が国にはさまざまな国際機関、国内機関、大学がございますし、また民間企業の中でもそういう国際協力を進めていくようないろんな取り組みがございますので、そういうものを最大限活用して、ネットワーク化を図っていくということが重要だろうということでございます。洞爺湖サミットを契機に、この国際的な共同研究を呼びかけていくということでございまして、これまでの例としては、先ほど局長の話にもございましたけれども、例えば低炭素社会に向けた脱温暖化2050プロジェクトというものが、今、日英協力という形でも進められてございまして、そういうものも生かしながら、低炭素社会に向けた政策研究というようなものを、国際的に共同で進めていくというようなことが有効ではないかということでございます。
 最後の3といたしまして、低炭素社会に向けた国際的なインセンティブを強化する提案ということでございます。各国がそれぞれ国内で低炭素社会に向けた取り組みを最大限進めていくということが当然重要でございますけれども、それに加えて、国際協力の枠組みの中で、いろんな取り組みをさらに進めていくと。例えば、炭素の価格づけというような分野につきましても、国際的な取り組みがあり得るのではないか。例えば、国際的な輸送における航空とか船舶、そういうもの、国際的な輸送については、今、京都議定書の枠に入っていない部分があるわけでございますけれども、そういうものについても、国際協力のもとに推進していくということが重要ではないか。それから、日本が先進的に取り組んでいるグリーン購入とかグリーン契約、あるいは日本の企業が非常に進んでいると言われています環境報告書、こういう取り組みもどんどん世界に広めていくというようなこと。それから、最後に、自然の分野では、特に国際的に貴重な森林というようなものも、これも各国が保護するだけじゃなくて、国際協力という中で保全・管理をするというような取り組みもこれから重要になってくるのではないかということでございます。
 以上、雑駁な説明でございますけれども、今日のたたき台でございますけれども、低炭素社会づくりに向けたイメージということでご説明させていただきました。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 これが最初の案としてお出しいただいたものですが、これをいろいろ本日ご意見をいただき、そして年内ぐらいにもう1回あるわけですね。そこでこれをリバイズしていこうと、アップグレードしていこうという、そういうことです。
 基本理念、そしてイメージ、実現のための戦略、世界へ何を発信するのか、国際的な連携をどうとるのか、こういう順でお話をいただきましたが、どこからでも始めていただいて結構だと思いますが、ご意見あるいはご質問等ございましたら立てていただけますでしょうか。
 11名の方で、40分ぐらいしかございませんので、2分から3分ぐらいということになりますでしょうか。
 では、こちらから、浅岡委員から。

○浅岡委員 さっきと同じ点だけ、気になったことだけ申し上げます。
 1つは、最初のところ、産業と発電とが一緒になっているんですけれども、エネルギー転換供給部門をどうするのかというイメージは、決めにくいことはわかるんですけれども、やはり避けられないのではないかと。また処遇の問題もありますし、そういったゼロエミッションというのはどうかということもあります。これは、どれかエネルギー供給をあてにした計画という見通しをするのか、それはこの程度だということでやるのかというスケールと申しましょうか、大枠の発想の違いではないかなと思います。
 それから、住宅について、今日の午前中もいろんな議論がありまして、地域別規制、建物の省エネ規制というものが必要だということが、今日の政府の仕事の中にはあまり明確に出ていませんけれども、その点は必要だと思うんですが、もう1つ、私は今京都にいまして、京都で高さ制限を一生懸命やりまして、それから道路に面したところのファサードのデザインをずいぶんやったんですけれども、容積とか奥について、全体について何もできないようなんですね。
 それと、見かけをもってだけ、何となくつながるように見えているようですけれども、やはりそれを50年ぐらいかけてやるかということですけれども、今、例えばここの5ページにありますような大都市で、風の道とか入れていますが、こういう発想が全然入ってこられない。これは、大建物だけじゃなくて、普通の中層の建物、あるいは低層の建物でも、京都はもともとはちゃんと裏庭、中庭を入れて、中に風の道や光の道があるような家をしていたんですけれども、それがもう全くマンションばっかり建ててしまって、これでは夏の省エネをやってくださいと言ってももう無理だと。クーラーなしに暮らせないと、こういうようなことになってきています。
 そういう意味で、もっと街区として、町全体として、ヨーロッパ型、ちゃんと中庭をとっていくような、そういう大きなイメージというものが必要ではないかと思います。
 それから、食、食べ物についてフードマイレージが交通のところにありますが、これも京都のことで恐縮ですけれども、森林についてもウッドマイレージということで、京都府と京都府のセンターが共同しまして、認証しまして、地域産材の住宅、そして家を建てるように、そうした建物について、ラベルをつくって認証して、見える化を図っているというようなことがありましたら教えてください。
 それから、人材の点についてちょっとだけ。いろんな人材がということを書いてありますが、実際の現場のことから言いますと、診断や助言をしていくということを本当にたくさんの人がしないと、この人たちに回っていかないと。その部分の視点を入れていただければと思います。

○鈴木部会長 武内委員。

○武内委員 日本の2050年の低炭素社会を構想して、そしてそのことを世界に発信していくという構造は非常によくわかりましたが、そうなると、21世紀環境立国宣言とどういうふうにこれがかかわってくるのかということを明確にしたほうがいいと思います。私は、同じことをするなというふうに言っているのではなくて、環境立国宣言の中では、3つの社会像、低炭素社会と循環型社会、自然共生社会という、これらがやっぱり相互にかかわりを持っているという構造を提案したわけで、そのうち、この部分については低炭素社会で見ていくと。しかし、そこで低炭素社会という観点から循環型社会のあり方も自然共生社会のあり方も考えていくとこういうふうになるんだと。したがって、この一番最初の基本理念はこうなるんだというふうなつなぎをつけることによって、その両方の間の関係がよりわかりやすくなり、そしてお互いが何をしているかということがよく理解できるのではないかというふうに思うという点が、1つ目の点であります。
 それから、2つ目の点は、ここに書かれている技術革新、あるいは人々の行動変革というふうなものは、十分、今、書かれてきているわけですが、私1つ欠けていると思うのは、やっぱり低炭素社会に向けての科学的知識を市民が共有し、社会が共有する、そういう想像力というものをどこまで持てるかということではないかと思うんですね。IPCCの1つの大きな成果というのは、学問の世界の中に閉じられていた科学的な知識、その中には不確実性も含んで、超長期に物を考えていくということを、あらゆる異なる人たちの知識を集大成して発信したということになると思うんですけれども、そういうふうなことを日本の社会の中で考えていくというふうな、例えばその西岡チームがやったような成果が、本当にその社会の人々が実感を持って、そういう理屈でこうなっているのかというふうなことを理解した上で行動、あるいは理解した上で社会変革というふうなことになっていくということが必要なのではないか。
 そういうことで言うと、これちょっと私たちが今、仮に考えているんですけれども、ナレッジイノベーションみたいな、何かそういう新しいコンセプトというのが必要なんじゃないかなというふうに思っているということが2点目でございます。
 それから、3点目は、これは日本から世界に発信していくという、そこは了解したわけですけれども、例えば循環型社会を考えていくときに、日本を中心に考えていくわけですけれども、やっぱり東アジアというものを考えないと、そこにおける物流というのは世界最大規模になっていますから、そこを無視して日本の国内だけでの循環型社会というのはやっぱり考えられないというので、世界との間に東アジアというのを置いているわけですよね。だから、例えば自然共生で言うと、渡り鳥だとか、そういうふうなものを仮に考えていくとすると、やっぱり東南アジア、東アジアあたりを視野に入れざるを得ないと、こういうことになるわけですけれども、低炭素社会も、そのベースとして、物質エネルギー、エネルギーそのものはあまり移動していないかもしれませんけれども、船だとか何とかという、フードマイレージだとか、そういうふうなものにかかるエネルギーというようなものがあると思いますけれども、例えば海外で生産されたものが日本に入ってくるというのは、ある意味で先方でのエネルギー消費を日本に持ちこんでくるというふうなことにもなるわけで、その辺の少し世界と日本の間に、例えば東アジアといったことを、低炭素社会でも考える必要はないだろうかというようなこともご検討いただきたい。これが3点目でございます。
 以上です。

○鈴木部会長 青木委員。

○青木委員 基本理念のところなんですが、炭素の排出量を、例えば日本は70%から80%削減するというのは結構なんですけれども、それの削減に対しまして、いろいろな自然エネルギーでありますとか代替エネルギー等でエネルギーをつくってくるわけで、それはどの程度まで使えるのか、エネルギーとして1人当たりエネルギーをどのぐらい使えるのかということ、これは数字の問題を扱わないという前提でお話しになっておられますけれども、それがはっきりしないと、仮に非常に技術革新が進んじゃって、今と同じ程度のエネルギー消費が可能であるということになれば、かなり考え方が変わってきてしまうと思うんですね。
 この考え方というのは、やはり簡素な社会であるとか、エネルギーを節約しろと言っていますから、エネルギー消費量は、例えば現在の、どのぐらいかは知りませんけれども、60%とか70%とかというような感じになるのかもしれませんが、あまり正確じゃなくても結構ですけれども、ある程度エネルギーを減らした生活をしなければならないという印象を与えないと、全然迫力が出てこないという感じが1ついたします。
 それから、もう1つは、これは低炭素社会のテーマですから、非常に扱いにくいとは思うんですけれども、低炭素社会というのは、同時に気候変動が非常に進んでいる社会である。それから、日本で言えば、人口が減少して高齢化している社会であると。それとの関連もやはりある程度考えて書いておかないと、絵に描いた餅になってしまうというような気がいたします。気候変動のほうも、若干河川の整備のことを書いていただいていますけれども、恐らく日本は豪雨がかなりたくさん多くなると思うんですが、豪雨災害がかなり頻発するおそれもありますし、そうしますと、今のいろいろな集落でありますとか人間の生活の場所を変えて住むとか、そういったことも考えていかなければならない時代になりかねない。
 それから、これも植物学者のご意見を聞かないといかんのですけれども、今世紀末には東京は那覇並みになるという話がありますが、50年後はどうなっているのか知りませんけれども、宮崎並みぐらいになっているかもしれない。そうなりますと、現在でも、東京でもシュロの木がかなり自生するようになっていますが、樹相そのもの、これは学者によりますと、いろんな木によって、北上するのが1年に何キロとかというのを研究されておられるようですけれども、その北上が間に合わないおそれがあるという議論があるわけですね。それは50年程度でどのぐらいになっているのかわかりませんけれども、森林を維持するといっても、現在の森林が維持できるとは限らない。それから、自然を再生するといっても、現在の自然が再生できるとは全く限らないわけで、そういったことを少し考えておかないと、これも机上の空論になってしまうという感じがいたします。
 それから、都市の問題についていろいろ理想論が書いてあって、非常にそうなっていただけるとありがたいんですが、例えば悪名高い汐留のビルが50年に全部なくなって風の道ができているかというと、これは恐らく期待できないと思うんですね。この辺の話はどう書くかという問題がありますが、日本全国レベルで考えておられるのか、あるいはこういう方向でかなり進んでいるという方向で書くのか、その辺は慎重に検討しておかないと、これも絵に描いた餅になってしまう可能性があると思います。
 それから、人口が減少してきますから、それからいろいろ国土交通省も考えておられますので、都市のコンパクト化はかなり進むと思うんですが、コンパクト化した場合に、都市の周辺地域というのは非常に荒れてくると思うんですね。これは非常に理想的な絵が描いてありますが、この理想的な絵を実現されるためには、例えばそういった都市が撤収してきた場所について、例えばパルメンガルテンをつくっていくとか、いろいろな方法ができると思うんですけれども、これも省庁の壁を超えて、例えば国土交通省と農林水産省が共同していろいろな施策をとっていただかないと、50年後にこういう社会は実現していないという気がいたします。
 以上です。

○鈴木部会長 石坂委員。

○石坂委員 この4つの柱をたてまして、こういうふうに整理をしていく。この頭の整理は大変よくできていると思いますね。
 そういう意味で、教科書といいましょうか、論文といいましょうか、そういうものとしては、一応こういう筋立てで、まだこの中に書いていないことがありますけれども、そういうものを入れていけばいいと思うんですけれども、ただ、ちょっと疑問を感じますのは、これ2050年を目途に置いて、それに向けて長い道程の中でこうしたらいいという、そういうことでこの文章は恐らくつくっているんだと思うんです。それはそれでいいんですけれども、それがそのまま洞爺湖サミットに役立つかというと、それはないんじゃないかと思うんですね。
 問題は、午前中議論していた目達計画という、具体的に何をどうしてどうするかという話をさんざんしていたわけですけれども、それとこの話との間で、ギャップがあるわけです。これを見ても、2050年にそういうことができるというイメージがわいてこないですね。2050年に半分にするには一体どういう、何をどうすればいいかという、もう少し具体的なものがないと、これは作文としてはいいんですけれども、このどの部分でどうなるんだというふうな実体が伴ってこないと、恐らく洞爺湖サミットにも役に立たないと思いますし、それから、あまり世の中にもアピールすることはない、ただ理想像を書いただけだねということになるような気がします。
 そういう意味で、決してこれを否定するものじゃありませんけれども、もう1つブレークダウンしたというんですか、実行ベースのものを考えていかないといけないんじゃないかと思います。

○鈴木部会長 植田委員。

○植田委員 基本的な基本理念を明確にして、到達すべきというか、イメージ像をはっきりさせて、そこへの戦略というように組み立てるのはとてもいいと思うんですけれども、国民が見た場合に、そのイメージをできるかという問題が重要かというふうに思うんですが、ここに書かれていることはかなりイメージしやすいと思いますが、書かれていないことで重要なことがやはりあるんじゃないかというふうに思います。
 1つは、もう少し明示的に、エネルギーがどうなっているかというのがやっぱりないと、低炭素社会のイメージがしにくいんじゃないかというのが第1点。個々の個別には少しずつ出ているんですが、全体のイメージが全く出ていないので、それが非常に気になる点が1つですね。
 それから、もう1つは、国民的な観点からすると、経済との関係みたいなことを、ここではもう捨象してしまっているように見えるんですけれども、やっぱりそのイメージが出てこないと、リアリティがすごく弱いというか、そのGDPというのは決してそれだけで何か豊かさの指標では全然ありませんけれども、ある種の経済活動をあらわす指標ではあるわけですね。つまり、2050年へ向けての、例えば日本の経済はどうなっているかということと低炭素社会とは、どのように関係を持ちながら実現されるのかというのは、やっぱり関心事の1つではなかろうかというようなことを思いますので、その点、経済活動、企業活動という面もありますし、あるいは政府はどういうふうに変わっているんだろうかと。実は、そこも本当は重要な点である。つまり、例えば同じ公共事業みたいなものも、低炭素社会へ向けた事業を中心になっているとかいうようなことなのかなとも思うんですけれども、そういうことはほとんど書かれていないので、ちょっとイメージしにくい点がありますので、その点、どう考えるか。
 つまり、各主体がどういうふうにかかわっているかという点で言うと、この消費者というのと部分的に企業が出てくるんですけれども、それだけになっていまして、ちょっと全体像を把握しにくくなっている。これは仕方のないことかもしれませんが、金融も産業に入ってしまっていまして、例えば投資のあり方とか株式がどういうふうに変わっていくのかというようなことは、やっぱり大きなことかなというふうなことを思ったりしますけれども、その辺はイメージが非常にしにくいので、気になった点であります。
 それから、国際的な視点、先ほど武内委員がおっしゃったことは全くそのとおりだと思いましたが、もう1点、途上国と言う場合に、私はやっぱり貧困の削減というのをぜひ1つ入れて、貧困を削減することと、その温暖化防止が両立するようなスタイルで日本は取り組むというようなことは入れたほうがいいんじゃないかというふうに思いました。
 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 浦野委員。

○浦野委員 まず、2050年というのをイメージすると、かなりまだ先だという感じがして、不確定要素が非常に多いわけですから、あまり具体的なことを言いすぎても困るわけですけれども、ただ理解を得るという意味では、やはり何かやればできそうだなという形をイメージしなきゃいけないわけで、そのときに、まず、当面日本を中心に考えるとすると、明らかに少子高齢化していくと。あるいは、外国人をどれだけ受け入れるかとか、そういったことも非常に大きいわけですけれども、そうなったときに社会構造がどうなるのか。特に、例えばこの資料では町というのが書いてあって、大都市・中都市、小都市、あるいは農山村とかあるわけですけれども、それが本当にもうちょっと具体的にどういう相互関係のイメージになるのか。例えば、農村はバイオ燃料のようなものをいっぱいつくって、そこにエネルギー生産工場ができるとか、何ができるのかとか、あるいは何かもう少し具体的なイメージがないと、何か現実味がない。
 それから、もう1つは、それに伴って、産業構造、社会構造と産業構造はどうなるんだと。ものづくりの力とか書いてあるんだけれども、果たしてものづくりだけでいくのか、一次産業、二次産業、三次産業がどういうウエートぐらいになることを想定するんだろうか。農村を活性化する、あるいは森林業をやるとかいうことがありますけれども、もしものづくりをするとすると、在宅で仕事だけやっているわけにいかないわけですよね。そうすると、特に人の移動というのもありますけれども、物の移動というのをもう少し真剣に考えなきゃいけないという気がするんですね。ですから、社会構造と産業構造の変革。
 それから、もう1つは、それに伴う意識構造を変革させなきゃいけない。その3つをどういうふうにつなげていくのか。特に、意識構造の改革のところには、知識を十分得る、伝えるということもとても大事ですけれども、やはり教育というのをもうそれこそ10年、20年、しっかりやらなきゃいけないというふうに思うんですね。これについて丸っきり、記述がほとんどなくて、変な話ですけれども、現状の延長線だったら絶望的に見えるんですね。これ、よほど変えないと意識が変わらない。
 そうすると、もし意識が変わらないで、何らかの社会構造、産業構造を変えるとすると、実は戦略としてかなり規制的なものを入れざるを得ない。ところが、戦略のところに規制的手段は非常に遠慮して、推奨的、奨励的なこと、あるいは経済的インセンティブというのはそれなりに必要だというのはわかるんですが、これだけのことをやろうとしたら、相当の規制的手段を入れざるを得ないという気がするんですね。規制というのは、どこまでやるか、うんと細かいこともありますから、大枠だけ決めて、中で自主的な競争をしてもらうというようなこともあるでしょう。ですけれども、やはり相当の規制的あるいは政治的と言ってもいいかもしれませんけれども、政策がなければ、これだけのことはできない。それについて、かなり遠慮しているというか、書けない部分もあるんでしょうけれども、ちょっと現実、これで戦略的にできるかなというのは、かなり不安がある。
 そういう意味では、批判しているという意味じゃなくて、これをこれだけ形ができましたので、これを基盤にして充実していけばいいと思うんですが、そのときにここで行動と技術と活動の場というのがそれぞれ出ているわけですけれども、じゃあこの行動を実現するためにはどんな戦略があるのか。技術については、わりと戦略というのはよく見えるわけですけれども、この活動の場の側面で、これ行動、技術、活動の場という、そういう3つのキーワードで整理されています。それぞれが実現するためには、どういう具体的な戦略があり得るんだろうかというのを、もう少し一段掘り下げていただければというふうに思っています。
 以上です。

○鈴木部会長 及川委員。

○及川委員 低炭素社会をつくるためには、先ほどご説明がありましたように、いろんな対策をきめ細かくやっていかなければならないということはわかりますけれども、まず1つ、大枠というのをきちっと決める必要があるのではないかというのが私の印象でございます。それはどういったことかというと、地球温暖化を許容できる範囲に抑えるためには、大気中の二酸化炭素濃度を、当面450ppm以内に抑えると、そういった国際的な合意をしていくという方向が1つ重要になってくるように思いますけれども、先日、気象庁で資料をもらったんですが、90年代は年間1.4ないし1.5ppm増加していたのですが、2000年になってそれが1.9に増えているんですよね。加速しているわけですよね。
 ですから、非常に今、危機的な状況だと思うんですが、そういう大枠というのを日本から発信してでも、そういう大枠の論議というのをきちっとしていただく必要があるのではないかというのが、私の意見です。

○鈴木部会長 逢見委員。

○逢見委員 低炭素社会の具体的なイメージをいろいろ示していただいて、大変参考になったと思います。
 この中に、もう1つ、やはり働き方というのがあるかと思っております。それは労働組合の中で、今、国際的にもこの低炭素社会をイメージして、グリーンジョブという概念を出して、そういうグリーンジョブというものを具体的なイメージとしてつくり上げて、それを各国でつくり上げていこうということをやっております。
 例えば、日本では長時間労働の問題があります。深夜まで煌々と明かりをつけて働くという仕事のスタイルを変えていかなきゃいけないし、それから、在宅勤務のようなものを増やしていくということもあるでしょう。それから、2050年の働き方というのはどのぐらいのイメージになるか、ちょっとわかりませんけれども、大都市に高層ビルが立ち並んで、そこに長い通勤時間をかけて、一斉にみんなが働きに行くというような通勤のスタイルというのは変わっていったほうがいいんじゃないかと思います。、それから、職場環境についても、高温、高熱、あるいは危険、不快といった職場がまだあるわけで、そうした職場をなくしていくとか、会議の持ち方についても、みんなが一斉に1か所に集まって会議をするのではなくて、バーチャルな形で、移動しなくても会議ができるということになればそうした負荷も減るでしょう。このように日本で考えてもグリーンジョブのイメージというのはこれからいろいろ考えていけるんじゃないかと思います。我々もそういう作業をやっていきたいと思っております。
 それから、地球全体で考えれば、やはり先進国が途上国に対してどういうことができるのか。特に、技術の移転を通じて、例えば砂漠を緑にするとか、食料増産のための技術を提供して、人口扶養力を高めるとか、あるいは水汚染をなくして、安心して飲める水を提供するとか、そういうことを通じて、途上国の貧困削減や、地球全体としての低炭素化ということを目指していくことが必要だと思います。そのための先進国としての責務というのをあると思いますので、そういったものをこの中に入れていく必要があるのではないかと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 木下委員。

○木下委員 3点申し上げたいと思います。
 1つは、低炭素社会づくりに向けてというような、このような考え方は、非常に有効だと思いますけれども、ただ基本理念、イメージと、それを受けた具体的な戦略となりますと、その戦略の中に非常に、まだまだこれから十分に精査する必要があるなというふうに思いました。
 2点目は、9ページの森林・農業について、気がついたことを若干申し上げたいと思います。
 イメージの右側の行動、技術、活動の場という仕分けが、こういう仕分けなのかなというふうに思いました。というのは、技術のところに農業経営規模の拡大とか、効率的な生産によりと書いてあるんですけれども、もしこういうことであれば、こういうことが可能になるようなものはどういうものなのかということが整理すべきだろうというふうに思いましたし、今後、森林がCO2の吸収源として非常に有効だということが、このような審議会でも議論されておりますけれども、一番の問題点は、毎年毎年膨大な財政負担をしなければこのような吸収源維持ができないというところが最大の問題点であるとすると、技術というのは、その4つ目に書かれていることもさることながら、このような間伐とか森林管理が低コストでできるような技術をどうやって開発していくかというのが、ある意味では望まれていることではないかというふうに思います。
 それから、第3点ですけれども、18ページです。低炭素社会に向けた国際的インセンティブを強化する提案と。4つ目のポツにありますけれども、森林の問題です。森林は、適切に管理しますと、持続的に利用できる資源だというふうに思います。そういう意味で、保全管理する取り組みの中で、ぜひ違法伐採をどういうふうにして排除していくのかという取り組みがありませんと、単に管理するだけでは、非常に森林を持続的に利用していくという観点がないと難しいと思いますので、ぜひ持続的利用に向けた取り組み、あるいは違法伐採に対する国際的な取り組み、これをぜひ入れていただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 塩田委員。

○塩田委員 最初に、我が国の現状、それから50年後、それから温暖化対策と、この3つの枠組みで全体を見ますと、その構成からどういうところにウエートを置くかということに関係すると思うんですけれども、最初に交通、移動というところに焦点が当てられて、それであと居住空間、産業、消費者選択、森林となっていますけれども、私は、やはり自然とか森林とか農業とか、そういうもの、それから、先ほど来ご指摘があるエネルギーを中心にすえていくべきだと思います。都市もその一つかも知れません。交通というのは、これらの需要に対して対応していくという面があります。
 交通を考えますときに、このCO2の関係では日本の場合には首都圏、中部圏、近畿圏で、大きなウェートを占めますので、これら大都市圏の輸送とコンパクトシティというものがどういうふうに絡むのかということは、ぜひはっきりさせていただく必要があると思います。
 もう1つ交通で取り上げる項目ですが、我が国の人の流れ、あるいは物の流れで、周辺国との関係を抜きに考えることはできなくなってきておりますので、国内旅客輸送、貨物輸送における輸送の発着点になっており将来においても更に重要性を増す空港や港湾の輸送を円滑にするという視点が必要だと考えます。
 第2点でございますが、自然というものを考え直していかなければならないというご指摘に関し、第2点でございますが、今まで生物多様性とか森林とか農村とか、そういう項目は出ていますが、ここに海洋という項目が全然出てこないのはなぜでしょうか。海洋はやはりCO2との関係も相当大きいという指摘もございます。私が前にも申し上げていたんですけれども、これは我が国はやっぱり海洋に囲まれているから、この辺に少し焦点を当ててみる必要はないのかなというような気がいたします。
 いずれにしても、全体としてCO2の削減のためには施策の効果の大きいところから考えていくべきはないでしょうか。そういう面で交通を見ますと、やはり大都市の交通をどうするのか。東京、大阪、名古屋というようなところの大都市の交通をどう改善していくのかという政策が、交通に関しては重要性が大きいというのが、私の感じているところです。
 以上です。

○鈴木部会長 永里委員。

○永里委員 今から10年、15年前のことを考えたときに、このインターネット社会の出現というのは予想されていたでしょうか。そういうことを考えたときに、2050年の世界というのは、本当は全然違う社会になっていると思います。15年前だったら、資本の移動が自由に行われて、金融経済が実体経済に多大な影響を及ぼすというような、こういう社会は想像できなかったんですが、今はそれが当たり前になってきている。そう考えたときに、この2050年の世界というのは、実はここでちょっとしたジレンマに陥るんですけれども、気候が変わっているはずなんです。これは2050年の気候を変えないようにという提案のお話ではあるんですが、やっぱり変わっていて、世界が変わっているはずなんです。
 そういうときに、国の形というのは実際はどうなっているんだろう。たとえ国が存在したとしても、社会構造がガラッと変わっていて、将来の人が今のこの議論を聞いたときに、全くナンセンスな議論をしているということがあり得るわけで、したがって、これについて私が回答を持っているわけじゃないんですが、やはり前書きかどこかで、一応お断りの文章は入れるべきじゃないかと、そう思います。
 それから、もっと例示を書いてほしいと思いますね。私は原子力発電推進派のほうですが、2050年のときを考えたときに、原発はそれまでの過渡的なエネルギーです。だから、当然これからの画期的なエネルギー、技術開発、その辺についてのちょっとした例示を出すべきでしょう。
 そして、低炭素社会は、世界的な問題でもあり、食料とエネルギーの取り合いみたいなことがバイオに関して話題になっていますので、そのことを考えたときに、食料問題についても触れるべきであると同時に、遺伝子組み換え技術についても触れるべきだと思いま。エネルギーに転換できるバイオ増産の遺伝子組み換え技術というのは、当然、今も既に起こっていまして、実は日本の遺伝子組み換え技術というのは、ある専門家に言わせたら、30年、アメリカに遅れているそうですが、実は遺伝子組み換えによって、セルロース系からつくるバイオエタノールの生産性が上がっている。例えば遺伝子組み換え技術により得られた組換え菌"KO11"というのがあるのですが、これはもともと宮崎大学の太田一良教授の技術でアメリカで実用化されて日本がコレを購入しているという例があります。こういうことを踏まえると、その種の技術、食料との取り合いにならないバイオエネルギー増産のための遺伝子組換え技術というようなところも入れてほしいなと思います。
 以上です。

○南川地球環境局長 私、ちょっとツバルの大統領とこれから打ち合わせがありますので、抜けますが、今日また全部承って、ぜひ意を体して、私どもなりに咀嚼して、できるだけ取り入れるようにしたいと思います。
 いずれにしましても、今日伺った話をできるだけ理解をした上で入れ込みまして、また次回にご提出させていただくということと、あわせて広くいろんな方から意見を伺おうと思っています。それから、先生方からもぜひ、今日に限らず、またその後おっしゃっていただければ、私どもできるだけそういったことも咀嚼するようにしたいと思っています。

○鈴木部会長 原沢委員。

○原沢委員 簡単にいきます。
 従来の報告書に比べると、イラストが入ったりとか、またデザインも非常に工夫されて、読みやすくなっていると思います。
 最初点は、なぜ低炭素社会でなければいけないかというところで、もう既に何人かの委員からお話があったように、温暖化の問題があるわけですね。11月にIPCCの統合報告書が発表されて、やはり健全な危機感というのを共有していく必要があるんじゃないかということで、ぜひ前書きあたりに少し強調していただければと思います。
 低炭素社会ということがメインですので、循環型社会と、いわゆる自然共生の話は、どちらかというと従のような感じがするんですけれども、全部取り上げるのはなかなか難しいとは思いますけれども、省エネ、省資源という言葉がありますように、資源と廃棄物は、やはり低炭素社会とほぼ同じ次元で考えていく必要があるのではないか。環境省の中では、部署が違うという問題があったりするかと思うんですけれども、報告書の中では、ぜひ温暖化の問題と循環型の問題については、連携した形でのいろんなデータの紹介をしていただきたいというのが2点目です。
 3点目は、具体的なイメージの中で、やはり産業とエネルギーが一緒になっているというのはちょっと違和感がありまして、エネルギー関係もこれからいろいろな形で動いていくかと思いますので、できたらエネルギーに関連しては、供給と需要というような面で、1枚にしていただけたらよろしいかなと思います。
 4番目は、大体ざっと見てみますと、現在使われている技術とか対策がメインになっていて、これが多分50年の社会までつながっていくやつもあるかと思うんですけれども、講演の中には、ユビキタスの話ですとか、結構新しいものが近い将来入るんだの話もあったかと思います。2050年ということを考えると、こういった新しい技術もどこかにやっぱり入っていくんだろうなという、そういうようなところもあってもいいかなと思います。なかなかデータの問題とか情報の問題があったりして難しいかと思うんですけれども、ご検討いただければと思います。

○鈴木部会長 桝井委員。

○桝井委員 私は、この低炭素社会というのに至る道というのは、これはそうそう簡単じゃないどころか、ある種覚悟の要るような、1つの大きな変革になるんだと思っているんですね。だからこそ、そこに言った低炭素社会というのは、結構魅力的なものがあるんだと。要するに、そのような趣旨がこの中にはなくて、要するに非常に重要な問題、そこにいくには、これを通り越さなきゃだめというようなところに及び腰である。それでは道は開けませんよと、まず一言言いたい。
 その部分がまず象徴的に出ていますのは、3ページの低炭素社会の基本理念ですね。私も、原沢委員のおっしゃったように、今これだけの危機、IPCCの4次、言うまでもないとないと思いますが、それが当然ここに、健全な危機感とおっしゃったんですが、これは当然必要ですね。
 ここの部分で問題になるのは、「例えば」として、半減した時点で、仮に1人当たりのうんぬんとありますね。先進国で現在の2~3割程度、途上国では現状程度の1人当たり排出量にとどめることが必要と。この文章は何なんですかと言いたいわけですね。先進国一般にしてしまっているけれども、アメリカや日本も含めて、途上国とは非常に格差がある。要するに、1人頭の議論をやるわけだけれども、これはあり得ない例えばなんですね。何のためにこんなことをしているかというと、恐らく、日本は2050年に、日本はアメリカよりもっとですが、西岡先生のシナリオがありましたけれども、70%以上は削減しなければならないということが前提になっている。それを出さないがために、このように荒唐無稽、非現実的な例を出したような、基本的理念とうたうにはあまりにも格調が低いのではないかということで、これは大いに変えてもらいたいと思います。
 それから、私は思うんですが、どなたかおっしゃいましたが、やはりそこに至る道、これはしなければいけませんよというものは、前提のものはどうしても入れてほしいと。やっぱりその理解を得なければ、こんな低炭素社会には至ることなんか到底できません。それは、ここにもちらりと出るんですが、14ページ、炭素価格が経済システムに内部化されるルールづくりで、例えば環境税や何とか。これなんですが、ぼくはこの低炭素は、基本的にこの炭素価格が反映される、要するに資源を買うときに、水を買うときに、それまでと同じように、今度は使った分からCO2にお金がかかるんですよということが、まずこれは出発点、ぼくは大前提だと思うんですね。それをこれ、例えばでは困りますねと。これはぜひ前に持ってこないと、炭素、CO2排出するにはお金がかかるんですよと。この意識改革がない限り、こんな社会はできないと思うんですね。それが例えばじゃ困る。
 最後に、じゃあ世界に発信するというときに、これは何なんだと。(3)で、炭素の排出がコストであると認識されるような炭素の価格づけを途上国へ導入を、世界に伝えると。自分のところに最初に入れもしないで、世界に何を一体発信するのと言いたい。基本的に考えてもらいたいと思います。

○鈴木部会長 三橋委員。

○三橋委員 私は、やはり2050年の日本の経済社会のイメージというものをやっぱりしっかりと押さえておく必要があると思うんですね。特に2050年の日本の経済社会はどういう姿になっているか。これは、やはり人口減少の問題というのが非常に大きく効いてきますよね。2030年から2050年までの人口減少率というのは、人口問題研究所の推計だと1%ですからね。マイナス1%。そうしますと、よほどの生産性がない限りは、経済成長率はマイナス1%になっちゃいますよ。私はそれでいいと思うんですけれどもね。要するに、2020年から2030年ころをピークに、日本はこれまでGDPを一貫して規模を拡大してきたんだけれども、拡大がもう不可能になる時代になるということですよね。その中で2050年を迎えるということは、しっかりと認識しておく必要があると思うんですね。
 それで、人口も今、切り上げで1億2,800万人ぐらいですかね。それが2050年には9,500万人にまで落ち込むんです。3,300万人の人口が減るわけです。だから、例えば、現在1人当たり温室効果ガスの排出量、約10トン強ですけれども、10トン強×3,300万だと、3億3,000万ぐらい、CO2が放っておいても人口減少で減るわけですよ。そうしますと、仮に西岡構想の70%削減ということだと、人口減少だけでもう3割ぐらいは減ること、需要面から仕事は減るわけですよね。そういうようなことはしっかりと見通すことができるんだから、書き込んだほうがいいと思うんですよね。その上で、残りのそれじゃ40%はどういう形で削減するかというようなことも出てくるわけですけれどもね。
 それで、外国に対する提言なんかでも、特に2050年の日本に向けて、日本は人口も減少する、経済成長率もゼロ成長、あるいは場合によってはマイナス成長になるというような形で、低炭素社会を実現することは可能なんですね。しかも、1人当たりGDPの水準を落とさないということで、人口減少率というものをうまく活用していくことができるわけです。そうしますと、途上国に対するメッセージというのは、一番言いにくいことなんだけれども、人口減少と経済成長率をできるだけ低く抑える、そういうことが低炭素社会のために最も必要なんだということを、日本は発信していくべきだと思うんですよね。規模は小さくなったけれども、1人当たりGDPは落ちない形で活力ある低炭素社会というものをつくることは可能なんですからね。
 また、その2050年の経済社会というものを見れば、もうどんどん物をつくるフローの時代から、既に存在しているさまざまなストックを有効に活用するサービス経済の時代に入っていくわけですよ。だから、バージンの投入資源を最少にして、既存のストックを有効に活用するサービス経済で、活力ある経済というものが当然可能だし、また1人当たりGDPを少しでも高めるためには、相当思い切った技術革新というものが求められるわけですね。そうしないと実現できないだろうというふうに思いますので、いろいろ2050年の経済社会というものは今と違う形になっていて、しかも人口減少率というのはある程度予想可能ですから、それを軸として低成長、あるいは場合によってはゼロ成長、マイナス成長、そういうような中で低炭素社会を実現していくというようなシナリオを、むしろ世界に発信していくべきだろうと思うんですね。
 2050年に向けて、世界は逆なんですよ。人口はますます増加していく。現在67億人が90億人を突破する。また、中国、インド、そういうBRICsですかね。そういうところで、過去10年と同じような実質3%前後の経済成長率をとっている。こういうような流れが世界的にはあるわけですよね。
 恐らく2050年には、そういう途上国のCO2排出量が8割以上、先進国は恐らく、アメリカはどうなるかちょっとわかりませんけれども、ヨーロッパや日本は相当低炭素社会が実現しているので、8対2ぐらいの感じになっちゃうと思うんですね。そうすると、CO2排出で、やっぱり一番大きな影響力を持つのは途上国ということにもなるわけですからね。そういうような構造変化というものをしっかりと見極めた上での2050年の低炭素社会、それを日本がいかに人口減少と低成長というものを武器にして、各国に発信していく、そういうような構造をむしろ積極的に描いていくべきだろうというふうに思います。

○鈴木部会長 横山委員。

○横山委員 あくまでも日本を念頭に置いているんだということはよくわかったんですが、これだけを見ているとどういう国がこれを参考にしてくれるだろうかなとちょっと思ってしまいます。例えば、アメリカとかヨーロッパがこれを参考にしてくれるのかな、そういうことはないのではないか。そうすると、やはり途上国というものを念頭に置かないといけないのではないかというふうに思います。
 途上国については、いろんな方が発言したし、ここにも途上国への日本モデルの発信というのが18ページに書いてありますので、私は別の観点で述べたいと思います。
 例えば、森林伐採とか森林火災とか、そういう森林減少をどういうふうに歯止めを設けていくかとか、あるいは泥炭地とか、ツンドラからの温室効果ガスの放出と、これもかなり大きな量になっているわけで、そういうものをどういうふうに抑えていくかというような視点も必要になってくるのではないかというふうに思います。
 それから、2点目は、やはり前提をどういうふうに置いているのかというのがないとわかりにくいのではないかと思います。西岡委員のチームでは、シナリオAとシナリオBとか、あるいはGDPの成長率を2%とか1%とか、それから一定の経済成長を維持する、活力ある社会というのを前提にしているんだと書いてありますが、今回の場合もそういうものが少し必要ではないかというふうに思います。
 私はやっぱり、いろんな方が言いましたが、経済成長はそんなに重視しない、マイナス成長になってもいいんだ、生活レベルは下がっても精神的な満足度が上がるんだ、高まるんだというような観点を盛り込んでいただければと思います。
 それから、3点目は、原子力なんですが、原子力については、今回のヒアリングでも、原子力をこれからどうするかは人類の重要な判断だということが発言されて、この概要にも出てくるんですが、実はこの今回のやつがどういう表現をするかというと、8ページですか、先進的原子力発電で済ませようとしているんですね。何をもって先進的な原子力発電と言うのか、私にはちょっとわからないんですが、原子力についてはあまり触れたくないというのは個人的にはよくわかるんですが、やはりこれはきっちり対応する必要があると思います。原子力についてどういう記述をしていくかということが、報告書を信頼性あるものにするためにも、私は原子力は逃げないで、書き込むことは書き込んでほしいなというふうに思います。
 最後に、4点目なんですが、低炭素社会についてはいろんな意見があって、イメージが悪いと。これではだれも乗ってこないということがあったわけで、その辺をやっぱり考える必要があるのではないか。例えば、今回見ていて、カーボン・ミニマムなんていう言葉も出てきているわけで、何かもう少しいいイメージのわくようなことを考えることも必要になるのではないかというふうに思います。
 以上です。

○鈴木部会長 大変いろいろなご意見をいただきまして、本当はもう1ラウンドぐらいできるといいのかもしれませんが、ちょっと時間がオーバーしてしまっております。
 結局のところ、2050年とは書いてありませんが、この低炭素社会づくりに向けてというイメージづくりが、どういうところに位置づけられて、どういうものにしていくのかということ、その文書そのものがどういう意味を持ってくるのか、これは非常に重要だろうと思うんですが、局長もおっしゃっていましたように、一応ここでそのイメージのようなものを素案としてつくっておいて、それをもとにいろんな方からご意見をいただき、そしてそれを膨らませていく、こういうようなことだろうと思います。
 それにしても、2050年に一体日本の姿というのはどうなっているのか。エネルギーは自立できるのか。国際的な問題がありますし、国として鎖国する覚悟があるのか、あるいは国際的な連携はどうなっていくのかということになると、まさに2050の世界はどうなっているかということを見なきゃいけないわけにもなりますし、まずそこでエネルギー、そしてまた食料ですよね。食料を自給していくのか。食料とともに物流の問題、これをどういうふうにアジアの地域で位置づけていくのか。
 そして、そういうところで何よりも、日本は何をもって立国していくのか。GNPは今と同等でと言ったって、鉄鋼があんなに生産していただかなくて結構ですよなんていう話になっていったときに、一体どういう形のイメージを持っていくのか。結構おもしろい話がいろいろあって、ステーショナリーステートというんですか、定常状態の経済学というのをぜひやはり、植田先生もいらっしゃいますけれども、経済学の分野で、サービス経済が本当に拠って立つようなところのイメージもおつくりいただくといいんじゃないかという気がいたしますが、いずれにしろ、あまりこの文書で極端なことを書けないというつらさもあるんでしょうね。これ、書いちゃうとなかなか議論に乗っていただけなくなるというところもあるのかもしれませんので、そういうようなことで。
 しかしながら、低炭素社会ということですから、カーボンエコノミーがベースになっていくということは間違いないことで、そういうときに、イメージとしてどうなんだと。それで、具体的イメージといろいろ、現状の技術に基づいたイメージがちょっとたくさん書かれているような気がするんですが、本当に将来の技術の発展、40何年先のことまで見えないことはずいぶんあるわけですよね。ですから、そういう意味で、先ほど永里委員がおっしゃいましたが、前提、どこから出発して、今はどういう、いわばフォーキャストをしているんだという、そういうところは明確にしておく必要があるのかなというような、いろいろご注意、ご提案もいただきましたので、これを高橋室長のほうで少しまとめていただく、そんなものでしょうね。ぜひよろしく。

○高橋市場メカニズム室長 では、先ほど局長が申し上げましたけれども、本日はありがとうございました。いろいろとご指摘いただきましたので、次回までにすべてということは難しいと思いますが、できるだけ盛り込んで作成をして、次回、21日の13時からでございますけれども、それまでにできるだけ盛り込んだものをつくりましたら、またご審議いただきたいと思っております。
 また、並行しまして、幅広く国民の皆様にご意見を聞くということのパブリックコメントのようなものも並行してさせていただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

○鈴木部会長 追加のご意見なんかは、そうすると。

○高橋市場メカニズム室長 はい、それから、今日時間限られておりましたので、引き続き追加のご意見等があれば、できれば来週早いぐらいにいただけると、次の作業までに盛り込めると思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○鈴木部会長 それでは、少し時間を超過いたしまして、大変申しわけありませんでした。どうもありがとうございました。

午後3時12分 閉会

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