中央環境審議会第62回地球環境部会・産業構造審議会環境部会第地球環境小委員会合同会合(第21回)議事概要

日時

2007年8月10日(金)9時30分~12時00分

場所

大手町サンケイプラザ 4階 ホール

出席委員

鈴木部会長、茅地球環境小委員長、青木委員、碧海委員、秋元委員、浅岡委員、浅野委員、飯田委員、石谷委員、猪野委員、植田委員、植松委員、潮田委員、浦野委員、及川委員、逢見委員、大塚委員、鹿島委員、勝俣委員、木下委員、神津委員、河野委員、小林委員、塩田委員、須藤委員、大聖委員、千葉委員、富永委員、内藤委員、名尾委員、長辻委員、中山委員、新美委員、西岡委員、原沢委員、福川委員、桝井委員、三橋委員、森嶌委員、山口(光)委員、横山委員、米本委員、和気委員、渡辺委員、渡委員


1.

京都議定書目標達成計画の評価・見直しについて

 環境省及び経済産業省から資料1に沿って説明が行われた。また、資源エネルギー庁から8月9日(木)に開催された総合資源エネルギー調査会需給部会の報告が行われた。

2.

委員の発言及び質疑

  • 非常にゆゆしき事態である。抜本的な対策がないと6%削減約束の達成は無理である。
  • 前回の合同会合で、私を含め何人かの委員が新エネルギーの固定価格買い取り制度について記述すべきであると意見したが、入っていない。なぜ、意見が反映されていないのか教えて欲しい。
  • 現在、柏崎の原発が止まっており、他の原発にも影響が及ぶ可能性もあり、状況が大きく変わってきている。今の状況を合同会合としてどう見るか、記述して欲しい。
  • 排出量の見通しなどの計算方法について、HPなどで公表する予定なのか。専門家だけではなく、一般の人でも理解できるようにすべきではないか。
  • 4大臣会合で排出量取引について議論が行われていることを承知しているが、その内容を公開してもらいたい。密室でやるべきではない。また、この合同会合とどのようにリンクしているのか。
  • 中間報告(案)は、トータルで見ればバランスが取れていると思う。
  • 石油連盟としては、自主行動計画に基づき取組を進めている。現在、目標達成が確実な状況であることを受け、目標の引き上げを検討しており、9月に示す予定である。
  • バイオエタノールについては、石油連盟としては、燃料の持つ公共性に着目し、消費者の安心・安全・厚生を守り、メーカーの製造責任を果たすべく、ETBEの普及に取り組んでいる。4月から実験展開を行っているが、今のところ全く問題が発生していない。
  • まだ、供給量は2万klだが、目標は21万klである。バイオエタノールの原料価格が高騰しており、農業とのバッティングの問題をクリアにし、国内のバイオエタノール生産については、全て石油業界が調達し、安定供給するので、しっかりした政策、支援により協力して欲しい。
  • キャップ&トレードについては、温暖化対策として極めて問題である。国民運動をはじめ、国、地方、経済界の全てが参加すべきである。自主的努力や地道な努力が大事で、そこにインセンティブが働く施策の導入を期待している。
  • 意見を言った委員は、自分の意見により施策が導入された場合のコストについて考えるべきである。
  • 掲げた対策によって日本経済にどのような影響が出るのかを明らかにして、そのような影響を前提としても対策を行うべきかを問う必要がある。
  • 何が何でも京都議定書を達成すべきか議論する時が来る。日本の計画はコスト計算がないので上手くいくとは思わない。達成出来なかった時には、出来ない理由を示せば良い。対策を提示する際に「見える化」が必要と言われているが、海外から見て、「日本はそこまで取り組んだが、それでも出来なかった」ということが分かるような「見える化」を図る必要がある。
  • 2010年の経済成長率は出ているが、2008~2012年の各年の値はどうなっているのか、もしわかるのであれば、教えて欲しい。日本では、経済成長率が1%増大すると温室効果ガス排出量が0.5%増大するというデータがある。自主行動計画に基づく取組をやっているにもかかわらず、経済が成長しているため、排出量が全然減少していない。削減の推移を示して欲しい。そうしないと2010年の姿が見えてこない。今の対策では達成は無理であろう。
  • 目標達成できるように環境税の導入を急ぐべきである。ただ、中間報告の環境税の部分の書きぶりについては、改善の余地がある。アンケート調査を行い、その結果を踏まえた上で、国民意識が変わってきていることを示さなければ、説得力に欠ける。
  • 今後どのように使うのかなど、中間報告の位置付けについて教えて欲しい。
  • 9頁の2010年の推計を見ると、産業部門においては、1990年と比較して排出量が減少しており、目標をクリアできる見込みである。しかしながら、民生・業務部門においては、排出量が大幅に増加してしまっている。順調な進捗状況を示している産業部門の対策の中身を詳細に見てみたい。具体的には、2010年に不足量があった場合どの程度CDMで補うのか、原発稼働率の仮定などについて教えて欲しい。
  • 森林吸収として、3.8%削減は本当に達成できるのか疑問である。
  • 京メカについては、今回の不足削減量分を京メカで賄わないといけないかもしれず、そうすると4%弱活用することになると思うが、税金で対応することになるだろう。現在のEU-ETSの価格で計算した場合、どれくらいの額が必要になるのか教えて欲しい。
  • 排出量取引については、「2013年以降に先送りするのではなく」との表現も入り、素案と比較して少し良くなっている。しかしながら、環境税については、取り扱いが足りない。
  • 今考えられるぎりぎりの案であると思う。今後、予算編成や税制改正を通じて、国民に国の決意を見せて欲しい。
  • 国民運動は、理解・協力を求めることが多いが、何をやったらどんな効果があるかが抽象的で分からない。国民に具体的に示し、インセンティブが働くようにして欲しい。
  • 対策上位ケースになるか下位ケースになるか、不確実な要素がある。今の日本は、輸出主導型であるが、消費重視型になると民生のエネルギー消費量が増加することになる。どのような成長パターンを想定するかによって、対策も変わってくる。
  • 別紙1の[2]の「対策効果が見込まれるもの」として列挙された政策には幅がある。例えば、新エネルギーの対策など、最終報告までにしっかり精査し、必要があれば、税制、法律、予算で確実にやっていく必要がある。
  • 対策評価指標とCO2排出量の関係が明確でないものがある。例えば、交通流体策が該当するが、最終報告に向けて精査して欲しい。あまり効果がでないのであれば、削減効果を全体の推計に盛り込むべきではないのではないか。
  • 第1約束期間後、日本国として事務局への自己申告、条約事務局のレビューがあると思うが、対策評価指標の仮定が不確実なものの扱い方や下位ケースの想定について、どのように対応するつもりか。
  • 新聞では0.9%が強調されているが、とりわけ対策下位ケースの3400万tに注目している。追加対策の定量的評価をコスト込みで行うべきである。
  • 第1約束期間の5年間で、フォローアップを行うと思うが、目標達成が厳しいのであれば、即座に追加対策、現行対策の強化を図る必要がある。そのような仕組みを検討すべきである。
  • 6頁の図2には、電熱配分後の部門別CO2排出量のグラフが記載されているが、電熱配分前のグラフも掲載すべきではないか。電力会社に代表されるエネ転部門では、火力発電によるCO2排出量が業務や家庭部門等に割り振られて、それが電熱転換後のグラフとなっているが、国民はそのことをほとんど知らない。チーム・マイナス6%等、CO2排出削減を目指す国民運動を効果的に展開するためにも、電熱配分前後の2種類のグラフを併せて示すのがよいと思う。
  • 環境税は、国内排出量取引と比較して、簡単にしか記述されていない。環境税の効果は、価格高騰によるエネルギー使用量の削減と財源の有効活用である。日本のエネルギー関連税の負荷が国際的に見て高い。税収を環境対策に使用する場合にどのような対策が必要なのか定量的に把握すべきである。このような点を記述してはどうか。
  • エネルギー価格高騰によるCO2削減は、国際競争力上は各国共通であるが、環境税を賦課した場合、エネルギーを利用する立場から見ればコスト面で大きな影響があり、国際競争力上も影響を与える。環境税についても、国内排出量取引と同様、賛否両論を記載すべきである。
  • ポスト京都のためにも、日本がやっていることを前向きにアピールすべきである。自主行動計画について経団連の自主行動計画の説明をすると欧米人から「それはなれ合いの談合だ」と言われる。国際的に通用するコンセプトに置き換えて、国際的に発信して欲しい。
  • 今後定量化が必要な取り組みがあり、その主体やチェックする仕組みを明示する必要がある。とりわけ、運輸部門の自動車の利用に関する取り組みは根拠の明確化をお願いしたい。
  • 既に取り組まれていて、効果が出ているものにも注目して欲しい。そのような対策を一層強化することで削減効果を上げる必要がある。また、2010年が目標だが、即座に効果は出なくても、後半にじわりと効果が出てくる対策もあるはずであり、そのような対策も重要。
  • 今回示された削減不足量の結果を尊重する。
  • 環境省に対して、削減不足量が拡大し、目標を下回った場合、どのように対処しようと考えているのか。
  • 経済産業省に対しては、8頁の電力におけるCO2排出原単位20%削減とあるが、この信頼性、確実性はどれくらいなのか教えて欲しい。もし達成できない場合には、削減不足量についてどのように対応するのか。
  • 現行計画で運輸部門は目標から乖離しているが、現状に甘んじることなく、交通流対策など追加対策を検討して欲しい。
  • チェーン店の各店舗を全てあわせると相当な量となる。合わせて一定規模以上の事業者に排出削減計画の策定を義務づけるなど法的な対応が必要である。
  • 16頁の新エネルギー対策の部分について、有機性廃棄物からのメタン回収によるバイオガス発電や廃棄物焼却炉からの熱を利用したサーマル発電も記述すべき。
  • 13頁の地域の取組強化の部分については、地方自治体や地球温暖化防止推進センター、地球温暖化防止活動推進員の役割を具体的に明記して欲しい。センターや推進員は、今はボランティアでやっており、財政面の支援をどうするか検討すべき。
  • 14頁の国民運動の中で、センターや推進員の位置づけを明確し、記述して欲しい。また、見える化は、国民運動との関係で重要であり、もっと踏み込んで記述して欲しい。
  • 16頁の新エネルギー対策については、売電に係る優遇措置について記載して欲しい。
  • 18頁の国内排出量取引と環境税について、今後検討を進めることになるので、国民が理解できるようにもう少し丁寧に書いてほしい。国内排出量取引については、「また、欧米における制度の導入状況を見つつ、・・・」の文章がとても分かりにくい。環境税については、「国民に広く負担を求めることになる」とあるが、環境税導入には様々な前提条件があるはずであり、環境税を導入したら国民に負担となるという短絡的な話ではない。
  • 今回、数字を出した努力は認めるが、いまいちである。
  • この数字の事実をどう受け止めるのか。民生部門が問題なのは明らかであり、どのような有効な手段を講じるかがポイントである。
  • 柏崎原発は出来るだけ早く復旧してもらいたい。
  • 年末に向けて追加対策を考えることになるが、定量的な検討が必要。
  • 6%削減が達成出来なかった場合どうすべきか、いまのうちに考えておくべき。
  • 排出削減、吸収源対策についても記述されており、全体としてバランスが取れていると思う。
  • 温室効果ガスの排出量の見通しは厳しい状況であるが、追加対策により6%削減が達成されるよう検討すべきである。農林水産分野においても、施設整備、農業機械、漁船対策など取り組むべき課題は多い。
  • 1日1人1kgについて、キャンペーン参加者に特典を供与する協賛企業が増えてきている。このような取組をさらに進めることが国民運動を盛り上げていく上で、重要である。
  • 柏崎原発の件についておわびしたい。地震関連の調査、設備のあり方などを検討しているところであり、復旧がいつになるか、現時点で確実なことは言えない。
  • 電事連としても、自主行動計画の達成に向けて努力していきたい。
  • 排出量取引については、今後、中国やインドをはじめとしたアジア諸国をどのように仕組みに取り入れるかが重要である。エネルギー需給の面を考えても、重要であるので、記述して欲しい。
  • 環境税については、原油価格が高騰しているのにもかかわらず、民生・業務・運輸部門の温室効果ガス排出量が増加している現状を、どう考えるか入れて欲しい。
  • 1人1日1kgは、人によって減らしやすさが異なっており、その点も議論すべき。
  • 環境税については、国内で税金として集めて他の施策に投資することがよいのか、海外からクレジットを購入し、製品価格に上乗せすることのどちらがよいのか最後までに検討して欲しい。
  • 地方公共団体や国が行うべきことが見えてこない。温暖化の観点から国や地方公共団体の行う政策についてアセスを行うことを義務化することも検討してもよいのではないか。
  • 8頁にある通り、各主体が引き続き積極的に取り組むことを前提としていると思うが、計画は強制できないので、インセンティブが重要である。その意味で、追加対策として、国内排出量取引や環境税は、炭素に価格を付け、民間の創意工夫を活かしていくことができるので重要ではないか。
  • 9頁については、出した数字が、将来的に問題になると思う。8頁にどのような前提条件に基づいて算出されたものなのかを明記すべき。電力については記述されているが、トップランナーや自動車税制グリーン化や住宅など重要な対策・大きな排出源となっているものについては、記述すべきではないか。国民に対する強いメッセージになるだけでなく、各省庁のやる気にもつながる。
  • 12頁の算定・報告・公表制度の強化を進めて欲しい。報告される情報が正確でない場合もありえるので、第3者機関による検証が必要である。また、その先に計画の義務づけが必要となってくると考えられるので、東京都の計画書の制度に近づけるなどの手法が考えられる。
  • 吸収源対策は入ってよかったと思うが、全体のウェイトが大きいので、もっと記載を増やすべきではないか。追加的な森林整備で20万ha確保しなければならない状況だが、どうやって達成するのか。
  • 林野庁の緑のオーナー制度については、国民から資金を募って森林管理を行い、収益を上げようというものであるが、今は、マイナスとなっている。こういった制度によるマイナスの効果は入っているのか。
  • 全体として、バランスが取れていて妥当だと思うが、本当に達成できるのか疑問が残る。
  • 日本が頑張って約束を達成することが、世界全体の対策にどこまで寄与できるのか。費用対効果を見て欲しい。
  • 1990年を基準とすることは不公平である。その負担を国民に押しつけるべきではない。自主的な取組が重要であるので、インセンティブが働くように進めるべきである。
  • 環境税は、川下で転嫁されていくとされているが、広く薄く負担させることは本当によいのか。どこかにしわ寄せが来るので、慎重に考えるべきである。特に、中小企業にとっては、燃料代を価格に転嫁することが容易ではないので配慮が必要。現在の書きぶりは、去年の自民党の税調の環境税の書きぶりとほぼ同じである。このようなことをいくら言っても理解は得られない。だれがコストを負担するかをよく考えて欲しい。
  • 18頁の排出量取引については、本題に入る前に少し説明が必要なのではないか。具体的には、日本は市場経済をベースとしているので、そこに温暖化抑止機能を入れることの重要性は疑う余地がないが、その具体的な制度については、議論が必要であると入れるべきである。
  • 環境税については、新たに導入することを前提として記述されているが、既存の税制や財政が温暖化を促進させている側面もあるので、既存の施策について総点検するという項目を入れて欲しい。
  • 温暖化対策は、取り組む主体が増えることが決定的に重要であると考える。13頁の地域の取組の部分では、地方の行うべき仕事を具体的にし、明確化すべきである。ここが不明確なため、対策が進まないのではないか。
  • 13頁の地域の取組強化について、書かれていることはそのとおりであるが、特に地方自治体が温暖化対策に取り組むに当たっては、国の施策との重複を避けることが重要である。国の施策ではカバーしにくく弱い部分である業務・家庭部門の排出抑制や地域に根ざした実効ある取組に力を入れることが重要である。最近、国の温室効果ガス排出量報告制度や排出量取引の導入を検討する自治体もあると聞いており、国と地方の整合が取れていないと感じている。施策の方向について整理が必要ではないか。
  • 日本では各業界において、世界最高水準のエネルギー効率を達成している。今後は、この技術を世界に普及させていく必要があり、さらに高度な技術を開発していくインセンティブの付与が重要である。地球規模でCO2排出削減を進めていくためには、技術開発がブレークスルーになるのではないか。
  • 情報が十分でない状況で、結論だけがでているところが見受けられるので、需給部会の資料を付けるなどしてもよいのではないか。また、リファレンスのようなものを入れると、あとでしっかりフォローできるのでやって欲しい。
  • 排出量取引と環境税の部分については、いきなり両論併記とするのではなく、まず、この合同会合でコンセンサスが得られた部分を書いてはどうか。意見がまとまらなかった部分については現状通り両論併記にすべき。形式的にも分かり易くして欲しい。現在の記述では、前提条件などが異なっているものが羅列されているように見受けられる。例えば、国際枠組みとそうでないものが混在しているので、整理して記述するかリファレンスを付けるべき。
  • 今後検討すべき事項については、この合同会合で12月までにコンセンサスが得られるのか疑問である。
  • リザベーションを中間報告とセットで付けて欲しい。
  • 国家政策としてこの計画1本では不十分である。財務的手当を含めて、コンティンジェンシープランを用意しておく必要がある。それが責任のある国家政策である。
  • 8頁の電力の排出原単位の部分の記述である「(なお、上記の20%程度の・・・)」の説明は日本語として理解できないので、修正すべきである。また、電力会社に責任を押しつける形になっている点は、国家政策として適切なのか。エネルギー政策、脱炭素化に向かう仕組みとして、大丈夫なのか。
  • 新規の環境税ではなく、既存の石油石炭税の組み替えくらいは検討しても良いのではないか。短期的な措置として、もっとも有効であると考える。
  • 再生可能エネルギーについては、現在の記述だけで本当にできるのか。最終報告の大玉になるはずである。ドイツやアメリカなどと比較して、日本だけ取り残されている。
  • 11頁の経団連の自主行動計画については、目標を達成していない業種が特に重要であり、具体的にどのような取組をすべきか明記すべき。
  • 今回の中間報告は、最終報告につながり、最終的には京都議定書目標達成計画の改定に大きく影響を与えると認識している。中間報告は最終報告ではないので、最終報告の中に今回出ている様々な意見を反映させて欲しい。
  • 当初、目達計画の枠を変更する必要ないと思っていたが、目標そのものものを見直さざるを得ない部分がある。例えば、運輸部門については、単体対策と貨物物流の合理化の効果は出ているが、それ以外の対策は効果が芳しくない。税金の無駄使いであり、きちんとやってもらわないと困る。
  • 代替フロン等3ガス対策について良い結果が出ているのは、大変な努力・費用負担を積み重ねた結果である。何も対策をしていない部門が、代替フロン等3ガス対策の削減分での恩恵を受けることは公平性を欠く。
  • 最終報告までに、10頁の3つ目の○のライフスタイル・ビジネススタイルを変革することが、が特に大事である。総論に記述するだけではなく、具体的にどうするかも明記すべき。
  • 14頁の見える化についてはライフスタイル・ビジネススタイルの変革につながる対策であるが、これだけでは不十分である。個々の施策を推し進めるために国民運動とセットにするべきである。例えば、公共交通機関の利用促進には、これを利用しようという国民の意識が必要となる。また、環境省の国民運動の啓発活動では、類似のキャンペーンの名称やキャラクターが多すぎて困惑させられることがある。もっと単純化する必要はないか。
  • 別表については、建築物と住宅の部分が気になる。性能評価を受けているものの割合を前提条件としているのはおかしい。自信がある人しか性能評価を受けていないので、妥当な対策評価指標と言えるのか。また、実際に排出削減につながったのかを評価するため第三者がチェックする仕組みを作っておくべき。
  • 「見える化」という表現は、視覚障害者に対する配慮がないので、検討の余地がある。「可視化」では問題があるのか。議事録には少なくとも残しておいて欲しい。
  • 資料2の14頁以降の通り、意見を提出していたが、素案からほとんど変更がないので、口頭で再度意見を述べ、追って書面も提出する。
  • 別紙2について、全体として自主行動計画に係る部分の量がどれくらいなのかわかりにくい。対策上位ケースと下位ケースの予測でどの対策にどれくらいの不足量があるのか、もともとの削減見込み量を書いて、さらに8頁に示されている電力等で足りない見込みの量をも入れて、始めて全体の不足分の位置がわかる。
  • 中間報告案での削減不足量には、エネ転、産業部門での不足量がカウントされていない。我々の試算では、2/3がエネ転換、産業であるが、環境省と経済産業省の試算では、電力原単位の改善がされない場合には不足量の3/4~4/5をエネ転、産業部門が占めることになる。どこが足りないのかを明確にすることで、抜本的対策はどこに必要なのかが明らかになる。
  • 別紙1の「個別対策・施策の評価内容の詳細」の自主行動計画と電力分野では、「・・・が予定されている」と記述されている。約束されていると書けないのであれば、約束に結びつくように持って行く方策を考えなければならない。フォローアップして、できないのであれば、協定化、環境税、排出量取引を入れるなどの仕組みにすべきだ。
  • 当面は、一般的な環境税よりも、石油石炭税を見直すべきである。発電及び産業部門の石炭利用は増えており、燃料の転換を促すためにも既存の税制のグリーン化が極めて重要。産業部門については、また意見を提出したい。
  • 日本がやってどうなるのかと発言された委員がいたが、日本の国際的信用にかかる。アメリカの大気浄化法に基づく温室効果ガス規制に関する訴訟の最高裁の判決でも、中国やインドがどうであれ、アメリカが努力することが世界の温暖化対策に貢献すると述べている。
  • 地域の取組は重要である。排出量取引はともかく、算定・報告・公表制度や計画書の提出義務化は自治体がフォローアップを含めてやるべきである。データを出させるだけでは意味がない。東京都のように使いやすいデータとして事業所等に還元することが重要ではないか。地域だからこそできることもあるので、国と地方の連携の中で、地域の取組を明確に位置付ける必要がある。
  • 本来の目的は、増加の一途をたどっている温室効果ガスの排出量のピークをおさえ、安定化させることを地球レベルで達成することである。京都議定書は第一歩に過ぎない。そのため、将来の安定化を阻害する硬直的な施策を計画に入れるべきではないこと、将来の安定化に有効な施策は頭出ししておくべきであることについて考えなければならない。
  • IPCCでは、安定化のためには、技術の導入が重要であると指摘しているとおり、再生可能エネルギーに加えて、原子力、CCSなどインパクトのあるものに注力すべきである。原発稼働率を90%まで上げることができれば、1次エネルギーの5%を削減できる。原発を止めて排出量を削減するのは、難しい状況であるので、原発にもっとがんばってもらう必要があるという視点も必要ではないか。また、石炭資源を有効利用することは大切である。以上より、16頁の新エネ対策の部分に、原子力エネルギーの安全かつ効率的な生産利用を進めるための社会的、技術的な条件を整備する、コールテクノロジーの推進に向けた炭酸ガスの回収・貯留技術の積極的な推進を付け加えて欲しい。
  • 14頁の国民運動で1人1日1kgが最初に来ていても効果がないのではないか。国民一人一人に関心を持ってもらうこと、どの部分が排出削減ができるかを考えるための働きかけが重要。1人1日1kgでは、一人一人の効果をどのように計算しようとしているのか。見える化と言われているが、その効果が見えていないのが現状である。
  • 地球温暖化問題を考える上で、難しい議論をやさしく、専門用語を優しく、みんなが考えられるようにし、皆が考えて判断できるようになるようにもっていって欲しい。

○鈴木部会長

  • 合同会合は、目標達成計画の改訂を議論する場であり、中間報告は最終報告を経て、新たな目標達成計画に盛り込まれていく。中間報告については、今後パブリック・コメントを募集して国民各層からご意見を頂く予定である。最終報告については今年中にまとめたい。今後は、最終報告に向けて、足りない部分をどのように埋めていくか、具体的に検討することになるが、過去の施策の定量的な評価を行い、施策のコストも勘案し、施策のプライオリティを検討していく必要がある。

○徳田環境省地球温暖化対策課長

  • 全ての意見を反映させることはできないが、内容を精査して、座長とも相談して、反映できる部分は反映させていく。
  • 今後については、最終報告を年内に、計画の見直しは、来年の3月まで、そこに向けて、具体的な施策、予算、法制度、税制について検討する。具体的な施策が見えると定量化することができるので、CO2排出削減量を計算し、削減不足量がゼロとなるように作業を進める。
  • 目標を達成できなかった場合どうするのか、予測の不確実性はどう考えるのか、という質問については、2008年度以降、フォローアップを行い、必要に応じて追加的な対策を行うことになる。
  • 環境税や排出量取引についての扱いは、座長とも相談したいが、それだけに焦点をあてて議論すると他の部分が議論できなくなってしまうので、注意が必要である。
  • 森林吸収源対策については、間伐等の施策が挙げられているが、1990年以降に何らかの施業が行われていれば、京都議定書の吸収源としてカウントされている。
  • 見える化については、できる限り定量化し、国民の皆様の努力による削減効果がわかるようにしたい。

○藤原経済産業省環境経済室長

  • 現行対策のみによる不足量について、今後精緻化していくとともに、追加対策については、9月以降の会合で審議したい。
  • 自主行動計画について何名かの委員からコメントを頂いた。石油連盟においては目標引き上げを前向きに検討頂いているとのご報告を頂いたが、石油連盟に限らず、本日各業界からご出席頂いている各委員におかれましては、今年はフォローアップのプロセスを早めたいと思っており、引き続きご協力願いたい。当省関係では33業種フォローアップしているが、12業種が未達成である。目標未達成の業種については、目標達成にかかる蓋然性・透明性を高めたい。特に鉄鋼・電力について、CDMの利用状況はどうなっているかとのご質問があったが、我々が把握しているところでは、電力については2008年から2010年までの3年間で3,000万トンを活用する可能性があるとのこと、鉄鋼については5年間で2,800万トンを活用する可能性があるとのことである。いずれにせよ、今回提示した推計の数字については、電力・鉄鋼のみならず、他の業種においても目標が達成されることを前提としている点はご承知置き頂きたい。

○江崎資エ庁エネルギー政策企画室長

  • 今回推計した数値の根拠データはすべて揃っており、公表したいと考えている。
  • 温暖化ガス排出量について、2008年から2012年までの途中の数字を示せないかとのご指摘については、この審議会で頂いている数値は2010年のみであるため、難しいと考えている。
  • 推計値の産業部門別の内訳については、自主行動計画を前提に計算している。
  • 電力配分前のデータも追加すべきとのコメントについては、計算方法として電力配分は後から足すのではなく、最初に消費量をベースに全体を計算して決めているので、計算は不可能である。
  • 数字の検証については、旧大綱では国民運動の2%を計算根拠に織り込んでいるが、今後は、一人一日1kgの効果も含めて、消費者の行動を把握することによって計算根拠が正しいか否かを検証することが必要になってくる。

○鈴木部会長

  • 多くの委員から意見を頂いたが、これらの意見を中間報告案にどのように反映させるかについては茅委員長と自分に一任頂きたい。

○吉野資エ庁電力基盤整備課長

  • 一般電気事業者の自主行動計画については、一般電気事業者の方々による環境適合・安定供給を前提とした電源構成が確保された取組と、そのユーザーである民生・業務の方々の省エネ努力が相まっているという点をご理解頂きたい。
  • 柏崎刈羽原発の件については、現時点ではその影響は評価できない。

○渡邊資エ庁新エネルギー対策課長

  • 新エネの固定価格買い取り制度については、新エネ部会で議論させて頂きたい。

○鈴木部会長

  • 本日審議頂いた中間報告案はパブリック・コメントに付したいと考えている。本日配布した資料2の各委員からのコメントはパブリック・コメントには付さないが、本日の審議を踏まえて書面でご提出頂いた追加コメントについてはこの資料2に追加して、その後公表したい。中間報告の取りまとめも最終段階にあることも踏まえ、追加意見については、前回審議した以降の内容についてのみとさせて頂きたい。ゼロから議論をスタートするときりがないため、ご理解頂きたい。
  • なお、中間報告をまとめるにあたって、茅委員長と自分とで作成した共同談話を示したいと考えている。

○茅委員長

  • 今後の半年は、京都議定書目標とのギャップをどのような対策で埋めていくかを議論することになる。ただし、今回の見通しは電力原単位等、様々な前提がある。今後はこの前提が満たされるよう、各行動主体に協力を御願いすることになるが、もしこの前提が満たされない場合は、一部の委員からも指摘のあったコンティンジェンシープランを後半の議論で検討する必要がある。中間報告はあくまでも現時点での見通しと今後の示唆を含んだものであるという点を改めて強調したい。

○徳田環境省地球温暖化対策課長

  • 意見・コメントをご提出頂く場合は、8月17日金曜日までに書面にて事務局にご提出頂きたい。本日の議事概要は事務局でとりまとめ、委員の皆様に送付したい。送付後、一週間で環境省及び経済産業省のホームページに掲載したい。諸事情により一週間以内に御返事を頂くことができない委員分についても、いったん暫定版をホームページに掲載させて頂き、後ほど、修正があれば差し替えたい。

(文責 事務局)