中央環境審議会第59回地球環境部会・産業構造審議会環境部会第地球環境小委員会合同会合(第18回)議事概要

日時

2007年6月27日(水)9時30分~12時30分

場所

三田共用会議所 講堂

出席委員

茅地地球環境小委員長、浅野部会長代理、青木委員、碧海委員、秋元委員、浅岡委員、飯田委員、石坂委員、猪野委員、浦野委員、及川委員、逢見委員、大塚委員、鹿島委員、勝俣委員、木下委員、黒田委員、河野委員、小林委員、塩田委員、鈴木(正)委員、住委員、関澤委員、大聖委員、高橋委員、高村委員、武内委員、千葉委員、富永委員、中上委員、永里委員、長辻委員、新美委員、原沢委員、福川委員、桝井委員、三橋委員、山本委員、横山委員


1.

関係業界からのヒアリング(電力、鉄鋼、経団連、学校、病院)

 資料1は電気事業連合会、資料2は経済産業省、資料3は日本鉄鋼連盟、資料4は日本経済団体連合会、資料5は全私学連合、資料6は日本医師会から説明が行われた。

2.

委員の発言及び質疑

  • 電事連に対して、目標は海外なみの運転実績が確保されれば無理でない数字かもしれないが、残念なことに不祥事等もあり現場に元気がない。かつては世界のトップクラスにいた。まずは安全を確保しながら、現場の元気が出る対策が必要。不祥事が出るたびにいろいろな手続きや規制が増えて、第一線の担当者が報告や処理に追われてしまい実際の設備と向き合って安全を実践していく時間が取られてしまってはいけない。安全を守るための行動と安全の規則を守るための行動は乖離してはいけない。現場が自主的に安全管理する仕組みを作ることが必要。
  • 日本の優れた省エネ技術、発電・転換技術は、GDP当たりのCO2排出量でいうと日本が1に対してヨーロッパが1.5、米国が3、中国・インドでは10~20というように大変な技術を有している。このような技術が途上国で利用してもらえるだけでも地球温暖化防止効果になる。CDMが広く、深く使用される対策を是非とも御願いしたい。マネーゲームの排出権取引ではなく、実体のあるCDM取引が国際的な柱になることを希望している。
  • 電事連の資料について、電気事業は日本の排出量の30%を占めており重要、総量での削減を目標に掲げて頂くことは不可欠。資料1の2ページのグラフでは、総量削減が見にくくなっている。これまでも申したが、既存の施設の中でも稼働率を変えることで削減を図れることは示したが、本日それが具体的に示されていないのは残念。私たちが調査したところでは、発電所の中でも効率が3倍以上違うバラツキがある。そのような内容を見えるようにして頂きたい。
  • 鉄連の発表について、総量についての目標はあるが効率についての目標がない。今日の資料では90年以降の効率の変化が示されていないので、示してほしい。総量的には国内事業では新たな高炉による製鉄というよりも、既存の国内にある鉄を再利用することを考える時期に来ている。技術については共有されているとの指摘があったが、技術は本当に国際的にも共有されていると理解してよいのか。
  • 経団連の発表について、本日の説明では、自主行動計画自身の目標の見直し、深掘り、目標の自主協定化、排出量取引に向けた検討など、前向きな姿勢が示されなかったが、このような検討はされているのか。また、環境情報を積極的に発信していきたいとあるが、私たちが情報開示を求めたところ92%の事業者は開示頂いたが、鉄鋼の場合は17の高炉製鉄所全てが開示されていない。このような所への指導を御願いしたい。
  • 運営方法について、今回の議題は電力、自主行動計画など、目達計画の核心部分であり、それを一人2分間というのは時間が少なすぎる。また、毎回、言いっぱなしで終わっている。じっくり議論できる場が必要。
  • 電事連の発表について、出来ないケースについてコンティンジェンシー・プランを作ってほしい。出来ないときに電力会社は一社一社どうするのかということを出してほしい。各社の責任分担を明確にしてほしい。
  • 経産省の資料について、「原子力は自由化と両立させて推進すべき」とあるが、何故この中に「再生可能エネルギー」、「新エネ」という表現がないのか。また、「石炭は、・・・積極的に評価されるべき電源」「地球温暖化対策と整合のとれた導入を図るべき」とあるが、これはどのような意味か。この先整合性の取れた導入とは具体的・定量的にどのような導入なのか、経産省にお答え頂きたい。
  • 鉄連について、省エネ法の年率1%の義務が各社守られているのかいないのかYes or Noでお答え頂きたい。
  • 各業界から説明があったが、自主行動計画に基づいてそれぞれが着実に目標を見ながら取り組みを進めている。そのような意味で自主行動計画は成果が上がっている。したがって、このような自主行動計画は様々な業界が取り上げて、目標を立てることが大切である。また、一律的な税や規制だけでなく、各企業がそれぞれ自ら考えながら目標を立てることが重要である。産業界としても協力をしていきたい。
  • 自主行動計画で目標を達成していくことはコンセンサスが得られている。したがって、計画を定めている業種は着実に取り組みを進めていくことが重要であり、未策定業種については早急に自主行動計画を策定し、カバーする範囲を広げていくべきである。
  • 特に学校と病院は排出量が多く、急がれる分野である。全私学連の資料では、本年8月に方針を決定し、来年の3月に策定するとあるが、これで本当に間に合うのか疑問である。病院については、まだ目標達成計画を作るか否かも分からない。医師会は、診療所をカバーしていると理解しているが、全病院をカバーする自主行動計画をどのような仕組みで、いつまでに作るのか。
  • 経団連の資料について、オフィスすなわち本社ビル等からのCO2排出削減対策に関する自主行動計画の進捗状況を教えてほしい。
  • 電事連の資料について、京都メカニズムでCDMを買ってくることは効率の良いことだと思うが、京都メカニズムも含めてエネルギー原単位を変更することは基礎となる数字が動いてしまうとの懸念がある。京都メカニズムについてはエネルギー原単位を変更しないのが適切であると考えているが、ご意見を頂きたい。
  • 自主行動計画は産業分野を中心に行われてきたところ、業務について行っていくことは重要なことだと思うが、業務については業界の排出量がそれほど多いかどうかという問題はあるが、私学や病院で取り組みが進み始めていることは重要なことである。ただ、今年の秋口くらいまでに自主行動計画を策定しないと目標達成計画に十分な貢献はできない。出来るだけ早急に計画を策定してほしい。
  • 経団連の資料について、1頁のグラフは企業数であり、参加した人数ではないのではないか。電事連は、25万人の社員がいるとのことだが、環境家計簿にどのくらいの人数が参加し、どのような結果になったのか。鉄連では10%弱の効果があるとしている。また、グラフのうち、マイカー通勤、環境家計簿などは低い参加率であるが、具体的な努力はしているのか。
  • 私学連合は、東京都がCO2削減のための条例を出したことについて、どのように考えているのか、また、どのような計画を考えているのか。
  • 1点だけ御質問と精査をしていただきたい。電事連初め鉄鋼業界もCDMを使った排出権の取得ということをやられているわけだが、この場合に、国全体のCO2の排出量とか自主行動計画の中でその排出量をどう評価するかというのが、まだきちんと定まっていないような気がする。排出係数を動かすことが本当にいいのかどうか、他の委員からの指摘もあったが、その辺のスキームをこの会合で基本的な形を決めるべきだろうと思う。
  • もう一点は、CDMにしろ、ある種、海外から排出権を買った場合には、自主行動計画内でやるCDMと、前に御説明あった国の予算が若干手当てされてNEDOとしてやられるようなCDM、排出権の取得というケースと、どういう形で調整するのか。
  • コストがかかった分をある種価格に転嫁することができるとすれば、それ自身は原単位係数が変わり得るし、そのことによって各主体の省エネが起こる可能性もあるわけで、そういうスキーム全体を考えたときに、国際的な取り組みがどういうふうに評価されるべきかという基本的な形を、この会合で決めておいた方がいいだろうという気がする。
  • 電力と鉄を比較すると、鉄の切り札は省エネ技術の圧倒的強さにある。そのような技術を普及させるだけでも変化がある。電力の切り札は原子力発電所の稼働力を上げること。しかし、日本の稼働率は国際的にはpoorである。規制の合理化を行わないと国際的な水準には達しない。
  • 経団連の自主行動計画については評価するが、国民運動につながる行動を支援することを産業界が行ってほしい。例えば、産業界ではまだまだクールビズが徹底されていない。
  • 国民が行動を起こすためのインセンティブを与える仕組みについて政府にお願いするばかりではなく、産業界が作ってほしい。産業界自身が何らかの仕組みを作って仕掛けていってほしい。
  • 環境の国民運動を起こそうとしているNGO、NPOを産業界として支援してほしい。
  • 教育界、医師会の対応は、まだまだ遅れている。
  • 鉄連に対して、輸送機器類に関わる軽量化の観点から、開発中の先端技術である超高張力鋼は省エネにとって大きなインパクトがある。車両、船舶のメーカーと共に、どの程度の削減効果があるか検討し、明示してもらいたい。非常に大きな効果があると期待している。
  • 自主的に取り組んでいる団体について、定量性のある削減効果が見えない。もう少し、定量的に透明性をもって把握できるよう努力していただきたい。
  • 大学の取り組みへのサポートも御願いしたい。
  • 我々が扱っている問題は社会運動として大きく展開していかないと政策のスペースが生まれないと考えている。その社会運動の担い手は民間の非営利セクターであり、このような主体がイニシアティブを取っていくべき。今日の報告を聞いて、何故日本でこのような運動が起こっていないのか分かった。日本で一番大きい民間非営利団体は私立大学であり、その次が病院である。この2つの団体について、今日の報告を聞いてだらしのないことがはっきりした。私立大学、病院は、スケジュールを前倒し、さらに大きな運動として発展させていく視点を持ってほしい。
  • 電事連に対して、ヒートポンプに期待している。ヒートポンプの効率の良さを最大限活かす方策を講じてほしい。メーカーだけに任せておくと不十分であるため、実効効率を含めた効率改善を電力の主導で進めてほしい。
  • 病院はエネルギー消費原単位が極めて大きいので、ESCO的な省エネビジネスにマッチする。私学についてもESCO的な観点で取り組めば省エネが進むので検討してほしい。その際、経団連のメモにもあるが、簡単な省エネを手がけた後にESCOに持ち込まれても、難しい省エネばかり残って事業が成立しない。ESCOに取り組むのであれば、最初から一括して持ち込む方が良い。
  • 経産省の資料の5頁で、「事業者毎のCO2排出原単位の公表により、需要家がCO2排出原単位の少ない事業者を選択する傾向が想定」とあるが、想定の根拠はどこにあるのか。
  • 電事連の関係で、再生可能エネルギーの開発と普及に重要性が感じられなかったので、是非積極的に進めてほしい。
  • 京都メカニズムの活用について、買った排出権を係数の方に入れるのは不適切と思う。京都メカニズムをどう使うのかはこれまで議論されていなかったので、議論すべき。
  • 電事連では個人ベースでの取り組みも行っているが、例えば電気の使用量が一人当たりどの程度出ているのか、それが分かるように「見える化」を進めてほしい。CO2排出量が各家庭でどの程度出ているのか分かるようにしてほしい。
  • 電事連に対して、新エネが進まない理由は何か、これを広めるための具体的な提案があれば教えてほしい。ヒートポンプを普及するためにはどうすべきか、もっと需要開発の努力をすべきなのか、あるいは普及のための助成を行った方が良いのか、これを広めるために具体的に何を考えているのか教えてほしい。
  • 鉄鋼については、技術移転をするに際して何か問題はあるのか。供与した技術が流れてしまう、知的所有権の保護が十分でない等いろいろあるが、これをもっと他の産業の例とするためにも教えてほしい。
  • 電事連に対して、京都メカニズムを対策の3本柱と位置づけているが、これは達成が相当困難であるという意味だと思う。既にCDM契約したものがあるとのことだが、1千億円以上あると聞く。この1千億円は電事連の自己負担だと思うが、最終的には政府に無償に提供されるという理解でよいのか。また、各電力会社によって、対策の度合いが異なっているが、どのように負担を割り振るのか。
  • 電事連は、今のようなはっきりしない制度の中で、巨額のCDM資金をどのように捻出するのか。また、新エネが拡大しない最大の原因は、政府にあるのではないかと思うが、電事連はどのように考えているのか。クレジット、京メカを含めて仕組みを政府に検討してもらいたいと発言されていたが、もう少し具体的に説明していただきたい。
  • 目標達成計画は最終的には数量削減であり、排出原単位あるいはエネルギー原単位の削減とともに総量規制全体がどうなっているのか、たえず検討し明らかにしてほしい。
  • 省エネ機器は普及すべきだが、国民は、まだ使える機器を買い換えることに抵抗感がある。省エネ機器が出来たからすぐに買い換えろというのではなく、それが何故必要なことかを説明する必要がある。
  • 鉄連の資料の3頁でPJとの記号があり、これはペタジュールだと聞いて分かったが、エネルギーの専門家ばかりではないので、注釈をつけるなど、素人が分かるように説明してほしい。
  • 資料の6頁で、「予算措置済み」とあるが、具体的な額を教えてほしい。
  • 電事連と鉄連に対して、ハイリゲンダム・サミットで「2050年半減」との宣言がなされたが、今回の資料でその内容が反映されていないのは残念である。
  • 電事連について、LNG発電にシフトするとのことだが、かなりの原単位の改善になるわけだが、第3回の会合では今の割合が最適と回答頂いている。LNG発電にシフトするのか否か確認したい。
  • 国民は政府、産業界が本気になっているかどうかを見ている。国民運動を展開していく上で、産業界を代表する電事連、鉄連は、非常に大きな役割を持っており、新たな削減策についてどう考えているのか。
  • CDMを活用するとあるが、EUは勿論アメリカは排出量取引に向かっているが、今後も排出量取引は拒否するのか。

○茅委員長

  • 会合の運営について、事務局と折衝したが、いまの人数から適当な委員を選出して議論を行うとの方法は事務局から困難との回答を得た。したがって、いまの人数で議論を行うしか方法がないと思っている。もし委員よりコメントがあれば書面で提出頂きたい。
  • 京都メカニズム、具体的には途上国へのCDMについて、排出係数にどう反映させるかという問題については、電事連は独自の考えがあると思うが、次回以降で事務局から考え方を示して頂くこととしたい。

○勝俣委員

  • 熱効率の件については、いつでも公表されている数値なので計算のときには熱効率の数値もカウントしている。
  • 各社別の責任分担の件については、電気事業全体で20%削減ということを自主目標として掲げているので、中でデコボコはある。
  • CDMについては、我々に言う話ではなく、国全体で整理すべき話である。
  • クールビズについては、取り組んでいるが、難しい面がある。日本の消費者は、「省エネを行っているか」と聞くと大半は「行っている」と答えるが、実際は行っていないというギャップがあり、そのギャップをどうするかが問題である。
  • 私学や病院に対するESCO事業の活用については、いずれご相談させていきたい。
  • 見える化については、使用量を入力頂ければ月間のCO2排出量が分かる仕組みになっているが、こうしたものが普及・浸透しない。
  • 新エネについては、これが進まないのはコストの問題等、いろいろな問題が絡み、限界がある。電化を最大限にして、省エネを徹底して、原子力を最大限導入することが、CO2削減の最高の道ではないか、と考えているが、いろいろなもののバランスを取ることが必要。
  • 省エネ機器の買い換えについては、今はリフォーム等が多く、買い換えの時期でもあり、今後力を入れていきたい。高いものに対して助成を出す仕組みがありがたい。

○電気事業連合会

  • 環境家計簿については、分かっている数字は少ないが、現時点で、社員で1,800人程度、お客様は1万2千人程度である。大きく力を入れたいと思っている。
  • 目標についての考え方は、我々が原単位を使用しているのは、お客様の電気の使用状態によって常に量が変化するが、経済性、セキュリティなど全てを取り組んだ結果として原単位を下げるということを行っており、我々の努力が反映できるような目標として行っている。3本柱としてクレジットでこれを補うという点については、原単位で守るということは、量でも守ることになり、我々としては業界として量も下げていくことを考えている。
  • CDMに関しては、いろいろな考えがあるが、国際的に認められたシステムでもあり、世界的に削減が可能であるということもあり、反映させて頂きたいと思っている。

○日本鉄鋼連盟

  • エネルギー効率については、毎回のフォローアップで数字を提示している。
  • 日本での生産量については、世界の需要が変わらない限り日本で生産を下げても意味がない。途上国の方がエネルギー効率が悪いので、地球温暖化に逆行すると思う。
  • 技術の共有化については、101の技術については共有できるように開示しているが、知的所有権を放棄しているわけではない。
  • 省エネ法の年率1%の努力義務については、努力している。
  • 超高張力鋼鈑については、日本全体で1240万トンの削減に寄与している。これについては、省エネルギーセンターに委託して評価を御願いしている。
  • 技術移転の障害については、知的所有権の保護が重要であると考えている。
  • 資金メカニズムについては、何らかの先進国の支援が必要と思っている。
  • 省エネ投資については、各社の積み上げであり、金額は不明である。
  • 産業界がもっと本気になるべきとの指摘については、世界鉄鋼協会として核心的技術開発に取り組む予定である。

○日本経済団体連合会

  • 自主行動計画については、未策定業種に対する自主行動計画策定の働きかけについても取り組んでいるところである。
  • 業務・運輸部門を含めた経団連全体の削減目標策定については、秋口を目途に検討しているところである。目標達成業種への目標引き上げについては、検討を要請しているところ。CO2排出量の目標設定については、LCA的な分析の充実を図りつつ、目標設定が可能かどうか検討を要請している。
  • 民生部門については、オフィスの進捗状況は、関係者との打ち合わせ、勉強会等を行っている。本社ビルがない場合どうするのかなども議論していきたい。
  • 資料4のグラフについては、ご指摘の通り、会員企業を対象としたものである。
  • 環境家計簿の利用率の低さについては、説明会を開催するなど、利用率を高める努力をしている。
  • 民生について産業界がイニシアティブをとってはどうかとの指摘があったが、関係者と協力して産業界として努力したい。

○全私学連合

  • 私学連合会は、経営の問題につき情報交換をする場であるが、温暖化対策の問題は全体に通じる問題であり、今後全体で議論できると思う。時間はかかるが、行動基準を明確にしたい。
  • 個々の大学レベルではいろいろな取り組みを行っており、高い評価を受けているところもある。また、情報交換も行っている。どういうふうにやっているかについて、まとめて見えるようにすることが一つの大きな義務と考えている。
  • ESCOは使っているが、お金がかかる。

○日本医師会

  • 委員の方々からは、大変厳しいご指摘を頂いたと理解している。
  • 17万人弱の会員のうち、50%が診療所、50%が勤務医である。全て病院の経営者は医師会の会員が行っており、100以上の医学会もすべて医師会の傘下にあることから、医師会の責任は非常に重いと認識している。
  • 個別の病院については、取り組んでいるところもあると認識しているが、残念ながら全体像は把握していない。長年の医療費の抑制政策の中で、今年も多数の病院がつぶれているとの現状はあるが、ESCO事業等は逆に病院経営にプラスになるという面もある。各病院団体に周知したい。早急に自主行動計画を策定したい。

○後藤資源エネルギー庁電力基盤整備課長

  • 電気事業分科会について、環境電力についてはこれから議論していく予定であるが、原子力が切り札として議論のメインになってくると思う。原子力部会等で、原子力は長期的にリスクが高い、投資がかかるということで、どのように自由化のときに反映させるかについては持ち越しになっているので、きちんと議論すべきという意味で資料に記載した。
  • 石炭との整合については、これからの議論であるが、CDMの活用をどう組み合わせていくのかと思っているところである。
  • CO2原単位の少ない事業者を選択する傾向については、自由化範囲は6割を越えている。ただ残念なことにPPSのシェアは1%である。今後環境的に優位な電力を供給できれば、CO2原単位の見える化が進んでいるので、省庁においてもCO2入札なども進めており、どこかのタイミングで原単位の選択が起こるタイミングがあると思っている。
  • ヒートポンプについては、120億円ほどの支援をしている。

○江崎資源エネルギー庁エネルギー政策企画室長

  • 買い換えではなく買い増しではないかとの指摘について、数量的な分析をしている立場から申し上げれば、日本では世界一いいものが作られているが、使い方を間違えると、目達計画の数字が出てこない。いまの目達計画は、効用を減らさないでいまの使い方の中で機器を替えていくことによりCO2が減ることになる。

○小川環境省地球温暖化対策課長

  • CDMについて、自主行動の中で獲得するCDMと国の1.6%のCDMとの関係は、国の1.6%は様々な対策を積み上げてなお足りない場合は補填するというものであり、したがって、自主行動計画の中でカウントするものはこの1.6%とは別に扱われる。クレジットをマイナス6%達成に含めるためには最終的に国の口座に引き落とされて償却する必要がある。
  • 電力の排出係数については、温対法の算定公表制度に関わる内容であり、電力の排出係数のみならず、他のエネルギー供給者の場合はどうするのかなど、全体について考える必要がある。なお、現在の法律のシステムとして、実際に排出した排出量について報告を頂く制度になっている。したがって、CDMを入れるのであれば法律の考え方を変えることになり、法律改正も含めて検討する必要がある。

○3.自主行動計画の進捗状況等について(各省からのヒアリング)

○藤原経済産業省環境経済室長

  • 資料7の構造を簡単に御説明したい。左側に論点整理等で指摘されている4項目、経済産業省から国土交通省までの関係10省庁が上に並んでいる。進捗状況の内容については、総数で45の業種について記号付きで並べている。これは、あくまでも現時点での整理ということでご理解いただきたい。左上の凡例で◎、○、△は、本年度実行する予定のものであり、既に実行を決定している、又は実行積みのものは◎、決定時期が10月までのものは○、決定時期が11月以降又は未定のものは△、それ以外のものを×とさせて頂いている。なお、本件、自主行動計画の深掘、サービス分野への適用範囲の拡大の必要性については、先程の論点整理に加えて、5月29日の温対本部、6月1日に閣議決定された21世紀環境立国戦略、6月19日に閣議決定された骨太の方針2007年などにも盛り込まれていることをご参考までに申し上げたい。

○小島経済産業省産業技術環境局長

  • 経済産業省では、この自主行動計画について、1998年度より毎年度フォローアップをしてきており、昨年度からは環境省中環審と合同で実施してきている。
  • 2006年度については、初めて本格的に8業種について目標の引き上げを行った。それから、それぞれ自主行動計画の目標の達成、未達成ということだけでなく、排出量の増減を評価して、S、A、B、Cで整理した4象限の表で整理したという評価も行っている。
  • それから、今、事務局から説明がありましたように、フォローアップの結果について論点整理で、特に排出量が増加している業務・運輸部門、先ほど出て来た学校、病院を含むサービス分野への拡大、あるいは目標引き上げを更にやるということで、温対本部で総理からも、各省所管業種について、さらに徹底するようにという強い指示があったところである。
  • 経済産業省については、先ほどの資料7の表の一番左側だが、論点整理で指摘のあった未策定業種、情報サービス産業、リース事業、特定規模電気事業者、これはPPSである、これらについては既に、夏ごろまでには策定をするということになっている。それに加えまして、家電量販店やメッセ等の大規模展示場についても自主行動計画を策定するということにしている。
  • 定性目標については、すべて定性目標を定めて実施している。
  • 3番目ですが、LPガス、日本貿易会については、政府によるフォローアップから抜けておりましたので、これも本年度から実施するということにしている。
  • 目標の引き上げについては、今年度、8業種行ったわけだが、さらに化学工業、石油精製業、セメント産業についても目標の引き上げをするということで検討中とのことだが、本年9月を目途に設定するということである。
  • 策定業種の拡大、それから目標の引き上げ等の深掘りを徹底するとともに、フォローアップを徹底して、取り組みの強化を図っていきたいと考えている。

○南川環境省地球環境局長

  • 全国産業廃棄物連合会については、1万6000社加盟している。遅くとも来年の3月までに計画を策定する。
  • 全国ペット小売業協会については、会員は3500程度で、本年度内に策定する。
  • 日本新聞協会は、環境省所管ではないが、働きかけている。本年度中に策定することが決定している。

○警察庁、金融庁、総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省から説明があった。

  • 4.委員の発言及び質疑
  • この運動全体についての考え方について、自主行動計画への大変な批判があるなかで一定の成果を上げており、これをもっと拡張しよう、深掘をしようというということで議論が進んでいる、更にその上に国民運動がこれに乗らなければ京都議定書の目標達成はできないという動きについて、評価している。
  • 6月24日の日経新聞で、ヨーロッパはキャップ&トレードをしている先進的な国、日本はそれをやらない自主行動計画しかやらないという記事があるが、このような論調では京都議定書は達成できない。広範な国民運動を展開することが重要だということを理解頂いて、この会合でも議論してほしい。
  • 文科省からの説明で、エネルギー使用の合理化の法律に基づき130校が対象となっているとのことだが、この法律は、ただ届け出るだけではなくて罰則もある。不十分な場合は指示、監督、罰則がある。この法律がどのように運用されているのか。
  • 地球温暖化問題は国を挙げて取り組むべき課題であるにもかかわらず、まだ達成目標もできていない業種があるというのは大いに反省すべき。未策定業種について、3月までに策定という記述があるが、3月で間に合うのか、もう少し早く策定して新しい目達に盛り込むということが必要ではないかと思う。
  • 業務、家庭は相当増えているが、これらの分野はこれまで対策を取ってこなかったとしか言いようがないが、絶対量でみても業務・家庭の積み残しは産業に比べて圧倒的に多い。絶対量を出して、効果のある具体的な対策を国民に積極的にアピールしてくべきではないか。
  • EU-ETSについては、キャップ&トレード型の排出量取引制度は国際的な枠組みとして位置づけるのは不適切であるということをEUビジネス界と日本産業界の会合―日本・EUビジネス・ダイアログ・ラウンドテーブルで合意しており、提言も出している。鉄鋼連盟のパンフレットにも掲げてあるが、国際鉄鋼協会(IISI)では、この5月にポリシー・ステートメントを発表し、「排出量取引は意味がない、これに置き換わるものとして効率のいい産業が生き残って、効率の悪い産業は衰退・淘汰されるという形にすべきである」ということを主張している。欧米も入って決めたことに意味がある。日本では排出量取引について正しい理解がなされていないのではないかと思う。
  • 電力、鉄鋼を含め全体にかかわる目標の設定の仕方について、全体として定量化目標の設定が少ないのが懸念される。定量化が仮に今の段階で難しくても、原単位の目標設定があれば、2010年あたりの活動量は想定できるので、少なくとも想定されている削減排出量を併記してもよいのではないか。
  • 目標設定においては、業界内でもバラツキがある。目標達成の程度が業界内でどの程度幅があるかを把握することが必要である。
  • 目標設定が部分的である。業務部門、運輸部門の全体的な目標設定が必要である。
  • チェーンストア協会、百貨店協会などについて、1月に相当量の排出量が出ているとの話があったが、業務部門の業界について排出量の大きさ、深掘が可能か、調べてほしい。消費者の行動に影響を与えるという意味で非常に大きな意味があると思う。
  • 学校、病院について、早期に策定してほしいと思うが、様々な業態があるようなので、例えば一定規模の学校又は病院に焦点を当てるというのも一案ではないか。国立学校についてもぜひお願いしたい。
  • 縦割り行政の弊害を感じる。資料7を見ると、経産省、環境省はよくやっているが、他の省庁はやる気があるのか心配である。
  • 6月23日の日経朝刊で、環境省は7月にも中環審で大型ビルCO2削減のため義務を課すとの記事があったが、中環審と産構審が連携しているこのような仕組みを活かして環境省と経産省は連携して取り組んでほしい。
  • 資料7で△、×などの記号が付されている団体は、実質的には秋口までにやらないと目標達成計画に間に合わない。具体的に言うと、未策定業種は、例えば、病院、私学連合会、信用組合、信用金庫、証券業協会、パチンコ、ゲームセンターといったところは至急策定してほしい。それから、定性的目標を定量化すべき業界としては、例えば、日本放送協会、電気通信事業者協会、テレコムサービス協会、日本民間放送連盟、日本ケーブルテレビ連名、衛星放送協会、生命保険協会、日本フードサービス協会、生命保険協会、日本倉庫協会、日本バス協会、全国乗用自動車連合、日本港運協会、日本船艇工業会などがある。特に放送業界については、排出権取引誘導の報道を6月3日のBSで放送しているが、国連気候変動枠組条約事務局長の「排出権は上手く機能しており市場規模は3兆円に達する」との発言を報道していながら、排出権取引は投機的マネーゲームになっていて実際はCO2削減に寄与していない、CO2削減など何もしない企業が枠をもらっているなど、排出権取引の問題点が全てカットされている。こういう状態なので、自ら温暖化対策を実行してほしい。資料7に出ている経産省、環境省以外の監督官庁は、是非目標達成計画を秋口までに策定するよう指導してほしい。

○浅野部会長代理

  • 自主行動計画の未設定の分野について、これほど議論が進んできたというのは大変いいことだと思うので、まずはそれぞれの関係する省庁の御努力にも感謝したいと思う。
  • ただ、ちょっと気になる点は、自主行動計画がどんどん広がっていけば、これで温暖化の対策は終わりと思われては困るわけで、その点は誤解を受けないようにする必要がある。
  • というのは、未策定の分野については、かなりのところが、そんな大きなウェートを占めるものではないということであり、目達計画の中でも、33ページに書いてあるが、もともとオフィス・店舗等というところに上がっている部分は、定量的な目標には入っていない。産業部門は定量的な目標だが、この部分は定量的ではない。要するに、合わせわざで、こういうことで後ろからバックアップをするという意味で自主行動計画をぜひやってほしいということを言っているということを忘れてしまって、まるで自主行動計画ができたら、それで終わりだと、これですべて解決するんだというような議論にならないようにする必要がある。
  • その意味では、9月までにはぜひ策定しろというのは分かるが、それで定量化して、これで数字を稼いで何とか辻つまを合わせようという発想で議論するのであれば、それはちょっと困る。
  • 同様に、ウェートがそれほど大きくないにしても、これはきめ細かく対応することに効果がある。ほかのところで出ているように、前回、中小企業対策が議論されたようだが、それと同じような面がある。
  • 文部科学省にぜひお願いしたいと思っているのは、幼稚園は幼稚園なりに設備更新ができなくたってできることはある。そういうところと、設備更新をすればドサッと下がるところがあるので、規模別にガイドラインをしっかり示してあげることはやれる。
  • このようなきめ細かいものと、大学のような大きいところという、しっかりした仕分けをする形で、取り組んで行く必要がある。

○小島経済産業省産業技術環境局長

  • チェーンストア、コンビニエンスストアの対策強化という御意見があったが、それにつきましては、去年、目標を引き上げており、今回は取り上げていないが、増加していることは事実なので、さらなる対策の強化を強く要請している。
  • さらに、チェーンストアとかコンビニエンスストアは、事業所単位だけでなくて、チェーン全体あるいは企業単位でやることがより効果的なので、そういった対策の仕組みの変更も含めて対策の強化を要請しているところである。

○江崎資源エネルギー庁エネルギー政策企画室長

  • 省エネ法の運用について、分野によって対応が異なるが、いまの段階は第1ステップとして調査については30数件ある。今後、調査について運用していきたい。

○小川環境省地球温暖化対策課長

  • 未策定の業種については、各省と連携を密にして進めていきたい。
  • 先週の日経の記事については、環境省の発表に基づく内容ではないので、どのような趣旨かは承知していない。
  • 環境省としては、排出量の伸びの著しい業務その他部門についてどうするかということを含めて、どのような枠組みで、何が効果的かということをさらに検討したい。地球温暖化対策推進法の枠組みも視野に入れ、何ができるか検討したい。

○文部科学省

  • 省エネ法の運用については、定期報告書を主務大臣の経済産業省と当省に提出頂き、両省共同で現地調査を行っている。その結果から判断すると、概ね適正に運用されていると理解している。

○国土交通省

  • 定量化の目標設定については、我々はいまの目標が十分とは思っていない。CO2削減に向けた目標を設定する方向でフォローアップを含め行っていきたい。

○委員の発言及び質疑

  • 総務省の名前がなかったが、都道府県、市町村はどうなっているのか。また不動産業界も重要なので自主行動計画に巻き込んでほしい。
  • 各省間で温度差がある。責任を持ってこの自主行動計画を行うという気がないのではないか。是非、各省庁とも責任をもって行ってほしい。
  • 今年中に何とかするというのでは遅い。秋口までになんとかする必要がある。茅委員長から10月ごろまでに計画を提出するよう言ってほしい。
  • 自主行動計画の策定は重要であるが、未策定業種については必ずしも多くのCO2を排出していないので、自主行動計画だけ進めば終わりということではない点は気をつけてほしい。
  • 秋口までには策定が必要。暫定でも良い。
  • 産業界の中で、業務・運輸に関係する部分について自主行動計画で明確に位置づけてほしい。
  • 不特定多数の顧客が出入りする店舗は国民運動に引きつけた取り組みが必要。そのような店舗において温暖化に率先して取り組んでいるという姿が国民の目に見えるということが重要。そのような意味では、パチンコ、ゲームセンター、外食産業については、24時間、365日営業しているというイメージがあるので、自主行動計画を作るなど国民の目に見えるようにすることに対して積極的に取り組みを進める必要がある。
  • 自主行動計画を策定する企業が増えてきているということは各省庁の努力はあると思うが、レベル差があるというのは他委員の指摘の通りである。国民運動にまで広げていくという観点からは、各企業の大小にかかわらず参加していくことが「見える化」の一つではないか。
  • 来年から第一約束期間が始まるが、計画の策定は年度末ではなく早めに行っていくのが必要である。
  • 資料7の金融庁の部分について、金融業の店舗だけではなくて、融資先、お金が出て行く先の排出量も見えるよう、検討頂きたい。
  • 経産省がメインだと思うが、定性的目標の定量化が重要だと思うが、定量化の内容をきちんと見ていく、また自主行動計画任せではなく、例えば石炭をどのように燃料転換できるかの施策を考えるなど、深掘して考えてほしい。
  • 鉄連から配布されたパンフレットに、京都議定書批准国の中に中国、韓国、インドが入っていないのはミスリーディングではないか。京都議定書の対象国を矮小化する資料である。

○警察庁

  • パチンコ店は、風営法で午前0時以降は営業できないようになっている。更にパチンコ営業においては業界の意思統一に向けて条例で営業時間を制限しており、概ね午後の11時までの営業となっている。

○小島経済産業省産業技術環境局長

  • 経産省の関係の目標、定量化のところが白くなっているというのは、先ほど申し上げたが、これはすべての業種で定量目標が設定されているので、こうなっている。
  • それから、その定量目標自体については、業種ごとに自ら定めるが、その結果、どういう量の変化を起こしているか、増えているか、減っているかということを示すということで、先ほど申し上げたSABC評価をして、見える化をしている。それによって、例えば目標引き上げのあるところは定量目標、あるいは原単位目標は達成しているけれども、見える化によって悪化している部分があるということで目標引き上げをし、さらに削減努力をするということをやっており、そういう定量目標についての見える化、あるいは総量削減に対してどう効果があるかをあわせて評価している。

○小川環境省地球温暖化対策課長

  • 都道府県市町村については、地方公共団体の実行計画という形で自らの事業の排出量につき計画を定めることになっている。実態としては、都道府県、指定都市については全て定めているが、市町村については策定が十分ではないので今後課題と考えている。

○金融庁

  • 融資先については、我々は所管していない。どのような対応が可能かは検討したいが、所管上の問題があるという点はご理解頂きたい。

○茅委員長

  • 追加で質問又はコメントがあれば書面で事務局まで提出してほしい。それに対して事務局として対応したい。

○藤原経済産業省環境経済室長

  • 追加の御意見がありましたら1週間以内に事務局までご提出頂きたい。また、議事録の案も1週間で御願いしたい。次回は、第19回ということで、来週7月6日(金)15:00~18:00で場所未定で予定しているが、エネルギー起源CO2以外の対策、また横断的な施策についても御議論頂く予定である。次々回の第20回については、7月25日(水)に中間報告素案審議を予定している。また、8月上旬を目処に中間報告案を御審議頂くことを予定している。

○茅委員長

  • 次回で一通り全ての分野に目を通したことになるが、その後、更に排出量取引について御議論頂くことになると思うが、これについては委員の中にはっきりとした御意見、御知見をお持ちの方がいるので、そのような委員の方から話しをして頂くことも考えている。

○藤原経済産業省環境経済室長

  • 排出権取引制度については、メリット、デメリット等、次回また御審議頂きたいと思っているが、本日何人の方々から早急に導入すべきとの御意見はあったが、キャップという強度な強制的な制度を前提とした制度であるという点、あるいはキャップの公平性の議論、業務・家庭対策との整合性、業務・家庭対策としての有効性の議論があった。このような議論を踏まえ御審議頂きたいと思っている。

(文責 事務局)