中央環境審議会第54回地球環境部会・産業構造審議会環境部会第地球環境小委員会合同会合(第15回)議事概要

日時

平成19年5月25日(金)16:00~19:00

場所

ベルサール神田「ホール」

出席委員

茅地地球環境小委員長、浅野地球環境部会長代理、青木委員、碧海委員、秋元委員、浅岡委員、飯田委員、石坂委員、猪野委員、潮田委員、浦野委員、及川委員、逢見委員、大塚委員、鹿島委員、木下委員、黒田委員、神津委員、河野委員、小林委員、佐和委員、塩田委員、須藤委員、住委員、関澤委員、大聖委員、高橋委員、長辻委員、富永委員、内藤委員、永里委員、原沢委員、福川委員、桝井委員、三橋委員、山口委員、横山委員、和気委員、渡辺委員


1.

国民運動の推進について

 環境省より、配布資料(資料2)の説明が行われた。

2.

合同会議委員の発言及び質疑

  • 今朝の新聞で小泉首相より「2050年までに50%削減」との発言があり、家庭部門の取り組みにも触れられていたが、首相発言との関係を教えてほしい。
  • 自分は花博に参加したが、博覧会の公報活動は参考になるのではないか。
  • 関心がない人をどうするかが問題。国と地方の両方で盛り上がっていく必要がある。例えばシンボルマーク等を民間の宣伝やテレビ広告に積極的に入れてもらうなど、世間全体で動くことが必要。
  • 国と地方の関係で言えば、国で行う広報と地方で行う広報は自ずと異なるが、地方の広報は地域に密着しており、地域のCO排出量をより把握できる、そのようなきめ細やかな施策は地域で行い、それに必要な情報は国が提供することが必要である。
  • 情報を受ける側に対して、あれやれこれやれと強制するのはプラスにならず、むしろ自ら情報を得て、自分で考えて行動に移るような広報を目指すべき。例えば今福岡で節水の取組が進んでいるが、自ら水不足で苦労したため、節水が上手く行っている。
  • 福岡は水道料金を相当程度引き上げたことによって節水効果が上がったということを申し上げておく。
  • 2頁の「チーム・マイナス6%の6つのアクション」は全部を捉えていない、思いつきの印象を受けた。例えば、水道の使い方で減らそうとは、具体的にはどのようなことなのか不明。電気の使い方で減らそうとあるが、ガスには触れていないとか。水道の使い方で減らそう、電気の使い方で減らそうとは、具体的にはどのようなことなのか不明である。
  • 4月1日現在で約5,300人が委嘱されている地球温暖化防止活動推進員について、具体的にどのように選ばれているのか。
  • 一村一品について、「一品」とは何か、「一村一品」という言葉は既に相当普及している言葉なので、既存のイメージに左右されるとの印象を受けた。
  • 昨日、安倍首相が地球全体で現状から排出量50%削減が必要だと発言されたことはIPCCの警告を不十分ながら反映させたものと思うが、日本においてどのような目標なのか、日本としてもっと深掘りをした削減をしなければならず、また国民に対してその道筋を示すことが必要であるが、その点が不明である。
  • 「美しい星へのいざない」では、目達計画上、業務と家庭の分野、とりわけ家庭分野における国民運動を問題解決の方法と位置づけをしているが、4,700万トンという削減目標は家庭にとっては重い数字であり、国民運動で温暖化が解決するかと言えば無理がある。全体でそれぞれの部門はこのようにするといった、それぞれの部門でお互いの分担を認識・共有することが重要である。
  • 資料の後半部分で、業務や運輸部門、あるいは事業者同士の連携といった事業者の役割が明確になったのは良いことであるが、最後の頁の「取組を具体化するための制度的対応」の部分に事業者の役割を反映させることが必要。
  • 我々は地球温暖化活動推進センターの推進員の人たちと協力して日常的に活動しているが、国民運動については、仕組みの部分が重要であり、今後この点について議論の重点を置いていただきたい。
  • 「我が社はチーム・マイナス6%に入っていますから」といったように、国民運動をアリバイにしないでほしい。
  • 意味があり、効果のある選択肢を出してほしい。これに動員された国民が「意味があったのか」と疑問に思うことがないようにしてほしい。このような細々したことを行っても14%増えたCOを減らす効果としては限界がある。商品、サービス、政策全てにおいて、きちんと意味のある、選択したものがむしろ得になる仕組みを作ることが必要である。
  • 「意識は向上していても、必ずしも行動に結びついていない」との指摘はその通り。一人一人が意識を高める必要がある。特に企業の側からは、一般国民というよりも社員一人ひとりが環境を守るための活動、例えば「COダイエット宣言」などを行っているが、どうしても参加企業だけでは限界がある。全体に広めるためには国の旗振りが必要ではないか。各家庭でも意識がある人は既に取り組んでいるが、今後取り組む人に対して、家庭での取り組みを数量化して効果を教えることができれば、動きが促進されるのではないか。
  • 民生・業務の中にも高効率機器を使う必要があると述べられているが、ポテンシャルの高い機器をピーアールしていくことは大事である。例えばヒートポンプ技術のようなものだと思うが、国からも促進してほしい。
  • 温暖化問題は様々な対策を打つ必要があるが、一般の人に総花的に提示しては全般的に節約しなさいと言われているだけで実感が沸かない。照明や暖房など、効果が大きいものに重点を置くべきではないか。
  • 学校教育を通じて子供たちに行動してもらうこと、学んだ内容を家庭に持ち帰ってもらうことが効果的である。教育委員会や学校で楽しく競争しながら学び、それを例えば全国ランキングすることも効果的。
  • さらに地方公務員の取り組みの成果を公開して競争してもらい、あるいは表彰するなどしてはどうか。
  • 連合でも構成組織に対して如何に国民運動に寄与しているかを調査したところ、組織的に取り組んでいる一例として、海外での植林がある。組合費を出し合って植林活動をするとの活動は、環境教育にもつながっていると考えている。また、クリーンキャンペーンなどの例もある。海岸に落ちているゴミを拾う、ホタルが住める川作りをするなどにより、いまどのような問題があるかを学ぶことができる。
  • 省エネリサイクルについては、チーム・マイナス6%に参加している例もある。
  • 産業の特性に対応した職場作りと環境を組み合わせる例もある。例えば交通・運輸の分野であれば低公害車を導入するよう労使で協定する、ファーストフードで売れ残り食品をリサイクルするなどの取り組みである。
  • 7頁に課題が挙げられているが、それぞれの特性を利用して労使で取り組んでいる事例なども紹介するなどして、身近なところで出来ることを考えることが重要である。
  • 連合としては、誰でも参加できる運動として、レジ袋の辞退とマイバック持参の運動を組織的にも全国的にも進めていきたい。
  • 業務部門について、いくつかの推進項目があるが、現在、大企業を対象として行われている温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度を、簡単な報告でもいいと思うので、小さな企業にも広げていくことが考えられないか。
  • 家庭部門は非常に難しいところがあり、本当は環境税が一番良い方法ではあるが、それ以外の方法としては出来るだけ押しつけることのない形でアドバイスする必要がある。どういう方法で行うかは難しいと思うが、何らかの指針を政府が示すとかの方法もあるのではないか。
  • 9頁にもあるように、残念ながら家庭部門は定量的な評価が難しいこともあり、産業、家庭、業務、運輸という切り分けも難しく、以前各界各層による2%削減という話があったが、これを復活するのは難しいのではと考えている。
  • 「意識は向上していても、必ずしも行動に結びついていない」との課題があるが、実は行動に結びつくほど意識が向上していないのではないか。様々な取り組みの中で、例えばクールビズについては成果があったと思うが、その他の対策でどの程度成果があったのか、その評価無しには次の課題に行けないのではないか。
  • 行動につながらないのは、一つには何をしていいか分からないからである。2頁で6つのアクションが掲げられているが、具体的にやることが見つからない。家庭で、国民運動でというのであれば、もっと具体化したものが出てこないと、やってみようという気にならない。若いタレントがコンサートで、シャワーを浴びるときはバスタブの中で浴びようと言ったところ、ものすごい勢いで広がった。せっかくアクションを書くのであればもっと細かいことを提唱してもらいたい。
  • 行動の結果が見えないことが、行動に移らない原因である。国民運動をするのであれば、やったことはこれだけ成果が出たという点をアナウンスしないと続かない。
  • もっと具体的な策を考えることが重要。
  • 首相が2050年までに排出量半減と言った。また、もう少し中長期的な話として、どのような手法で排出量を抑えるかについて複数の意見があると発言したが、この点が重要。
  • 我々一人一人が加害者であり被害者である。
  • 環境省が書いたペーパーは何らインパクトがない。
  • 何をやったらどの程度の効果があったか、またやりがいがあったかが分かるようなことをやってもらいたい。また、これは環境省が中心としてやる仕事。環境省が持っている30億円程度の予算では何ができるのか、政府全ての予算をかき集めて取り組まなければダメ。
  • 私自身、地球温暖化防止推進センターの全国の連絡会の会長を4年間務めさせて頂いた。その間いろいろな活動を行ったが、ものすごい空しさを感じた。その理由は、みなさんいろいろなことは知っているが、単に知っているだけで認識はしてくれず、行動に移してくれない。人を動かすためにはものすごいエネルギーが必要であるが、いまはそのエネルギーをかけるだけの予算もなければ力もない。予算を政府だけが出すのではなく、例えば黒字の企業に地球温暖化対策のために寄付をしてもらうなどして、それを持ってこの運動を動かすことが必要ではないか。
  • 証拠作りにならないようにとの指摘があったが、ある企業が取り組んでいると言ったとしても、傘下企業で実際に取り組んでいるのはその一部に過ぎない場合が実情である。
  • 学校での教育、学校での生徒の行動が重要であるものの動いていない。教育委員会を通じてはなかなか難しい。このような状況を動かすためのシステムが必要ではないか。
  • 7頁の行動に結びついていないとの問題の根拠としては、5頁の上のアンケート調査がある。つまり、74%の人が意識しているにもかかわらず行動している人は19%弱しかいない。
  • 一つたばこの例を挙げたい。おそらく80%以上の人がたばこは健康に悪いと思っているが、かつては80%から90%の男性が喫煙していた。それが現在の男性の喫煙率は40%くらいであり、意識と行動のギャップが縮まってきている。なぜ、そこまで喫煙率が下がってきたと言えば、一つはたばこを吸える場所が減ったこと、吸える場所があっても牢獄みたいな場所で吸う必要があるためである。それからたばこを吸うことがカッコ悪いとの意識が出てきた。人はライフスタイルの美意識を気にするもので、格好悪いことは避けるということで、意識と行動がかなり接近してきた。
  • 温暖化対策で言えば、クールビズは予想以上に上手くいったが、これは日本人の横並び意識が力になった。
  • ギャップを埋めるためにはどうしたらいいか。環境にいい製品は買うときに高い。長く使用すれば高いことはないのだが、実際に購入する際に高額だと購入のインセンティブはわかない。これは経済的なインセンティブが備わっていないことの表れである。環境税に限らず、経済的なインセンティブをどのように仕掛けていくかが重要である。
  • 「大国の興亡」を書いたポール・ケネディは、「21世紀の難問に備えて」との本の中で、北方3国は環境の意識が高く、行動も伴っていると指摘しているが、これは十分豊かであること、教育水準が高いことが原因としている。これに対して日本は、環境を考えるほど十分豊かではなく、大学進学率は高いが知的レベルは高くない。単に教育するだけでなく、知的レベルを上げることが重要である。
  • 国民運動の推進には、知ること、伝えること、ともに行動することであると思うが、こうした結果が表に現れることが重要である。周囲に取り組みが見えるようにしてやることによって、かなり定着するのではないか。
  • 温暖化のこのような問題はマスコミに取り上げられることがない。地方版の新聞・テレビで、家庭部門の取り組みが実行されたらそれが取り上げてもらえるよう環境省で後押ししてほしい。
  • 自治体が中心になる必要があるが、市町村は格差があるため、環境省は十分に指導してほしい。その中で環境地方事務所がつなぎの役割を果たすと思うが、各事務所の体制を強化し、地方が横並びになるよう取組を進めていただきたい。
  • サマータイムについて、必ずしも全国一律のサマータイムである必要はない。例えばまずは環境省が自ら8時に始業して4時に終業することによって、全国に取り組みを広げていけるのではないか。
  • 今の目達計画の国民運動の関連施策は削減効果が定量的に示されておらず、実際に行動する国民に施策内容が具体的に分かり易く伝えられていないのではないか。
  • 一般国民の意識改革やライフスタイルの変革を促していくためには、自ら使用しているエネルギー使用量、CO排出量、あるいは一つ一つの行動の効果についてガイドラインを作って国民に明らかにしていく必要がある。そのためのピーアールを政府にしてほしい。
  • オイルショックの時のような強力な国民運動をもう一回行うべきではないか。当時は行政指導に基づいて政府として一生懸命取り組んでいた。
  • 教育の問題は是非強力に進めてほしい。
  • ガス、電気、水道は請求書を見ればよく分かる。このようなものにもう少し意識を向けても良いのでは。家庭、地域、家族構成、ビルの構造によって料金は異なるので、ベースラインが分かれば、請求書を見ることによって、自分はどれだけ無駄遣いしているか、節約できるかが分かる。
  • 国民の取り組みは、やりっ放しではなく、フィードバックの仕組みが必要。それを可能にするものとしてインターネットやEメールを活用することが考えられる。行政側としては、集積した情報をマクロ的に示してどの程度頑張っているかが見えるようにする仕組みを作ってほしい。
  • 街の電気屋さんを活用してはどうか。生活に密着したところで上手い取り組みをすれば、頑張れるのではないか。
  • 環境教育は、先生の意識を高めることが重要である。
  • 認識と行動を結びつけるためには、判断力と決断が必要。これを促すためのもうひとひねりが必要である。
  • 色々な良いアイデアがあるが、ネーミングがおそまつ過ぎる。国民から一つ一つの施策に対してネーミングを募集した方が良い。
  • 決定的に重要な問題として、国民運動は、いま我々が直面している問題に対してはとんちんかんな発想である。国民運動は現在の危機に対して、政府が中心となり国民を上げて取り組む時には歴史上意味がある。しかし、我々が直面している温暖化問題は長期の課題・危機の問題である。このような問題には国民運動は意味がない。
  • 国民運動ではなく社会運動が適切である。国を上げての社会運動を盛り上げるため、政府がどれだけ補完的な役割を果たせるかとの観点が重要。政府が中心ではなく、国民、NGOなどが中心になる必要がある。
  • 社会運動においては、モービライゼーション、ピーク、デクラインの3つの波を上手くリードする必要があり、そのために、イデオロギー、リーダー、組織が必要。
  • 難しいが、ネーミングについては対応可能ではないか。クローズドで、担当者の思いつきで出すようなやり方は変えるべき。
  • 最近出たIPCCの報告書では、ライフスタイルや消費パターンを変革することが必要と触れられているが、記者会見でIPCCの議長が日本のクールビズを例に出した。こういった取り組みが今世界的に注目を浴びており、世界的にも発信していく必要がある。
  • 市町村を如何に上手く動かしていくかが重要。都道府県のセンターは非常に頑張っているが、なかなか国民に分かってもらえない、健全な危機感が醸成されていない。今ある仕組みを上手く使い、なおかつ拡大していく必要がある。
  • 国民運動について、定量的な把握は難しいが、その中で意味のある施策を選択し進めていく必要がある。シミュレーションを行い、効果のある施策を取り上げていくことが必要。
  • 定量化については、是非原沢委員にアイデアを出していただきたい。例えば公衆衛生の疫学において、交絡因子のみを取り上げて計算しても、最終的な積み上げの際にダブルカウントとなるので問題ということと同じであり、それ自体は定量化できないということではない。
  • そのため、副次的な目標として定量化することは出来るが、他の対策と一緒にして各部門縦割りで削減したということとなると、ズレが生ずる可能性がある。
  • 意識が向上しても行動に結びついていないとの点については、行動に結びつかないのであれば、意識が向上したとは言えない。ある種のジャンプが必要であり、その大きな意識の変化を促すものは何かを議論することが必要。
  • そのためには、炭素を使うことはタダではないとの認識が必要。環境税を含めたインセンティブを示していく必要である。
  • 国民運動の施策は総花的であり、インパクトのある国民運動が必要である。自動車の排ガスによるCO排出量は大きく、低燃費型自動車の普及のため、あらゆる省庁、地方公共団体、民間企業等が運動を展開してはどうか。
  • エアポートや東京駅でのパーキングなどにおいて、低燃費車を優遇する制度を設けてはどうか。それから自動車の場合、総量規制が重要であり、道路を広くして自動車が通り易くすれば良いというものではなく、むしろ逆に道路を狭くするとか、自動車が通りにくいように道路をデコボコにするなどの方法もある。例えばドイツのフライブルグでは、ダウンタウンに入る場所には凹凸がついていて、自動車が走行しにくくなっている。
  • このような方法や、グリーン税制などもふくめ、低公害車を普及させるためには、省庁を越えて、地方自治体とも連携して、また、企業においても低公害車を何割使っているか公表させるなどの総合的な取り組みが必要である。
  • いろいろな提案が出ているが、むしろ有識者よりも全国の小学生を呼んできて聞いた方が良いアイデアがでるかもしれない。
  • 国民運動については環境省から資料が出てきているが、責任体制を明確にすることが必要である。全体の責任をはっきりしないと曖昧になってしまう。
  • ISO14001があるが、同規格は各企業が自ら良いと思うことを掲げて行う、その自由度が一番いいところ。ISO14001のターゲットにCOを出来るだけ入れていくとの運動をしてはどうか。
  • 海外から見て「日本はこういうことをやっているのか」という例を示せると良い。例えばバスのアイドリング・ストップなど、海外から見たら日本はここまでやっているのかと思う事例をやっていくことが必要。
  • 3頁でも触れているが、温暖化問題に関する危機意識の醸成がないと国民運動は進まないが、正しい知識を国民に与えることが必要である。逆に国民を煽ってはだめ。例えばスターンレビューの例で言えば、これをよく読んでみると、損害はものすごく排出が増えていくというシナリオで、コストは排出がそれほど増えないという前提で計算しており、矛盾がものすごくある。例えばコストが1%で損害が2割などとしてしまうと、国民に正しい情報を与えないこととなる。また、IPCCの報告書では、コストのところは全世界がキャップを受け入れ、何の制限なく排出権取引を行うとことが前提となっている。
  • 温暖化で危ない情報は出していかなければならないが、正確な情報を出すというのが重要。

○小川環境省地球温暖化対策課長

  • 国民運動に関する総理の新提案については、当方としても昨日聞いたところなので、その具体化は今後検討したい。
  • 都道府県の推進員については、特に国で選び方を定めているわけではない。基本的には地元を良く知る地方独自で行ってもらうことにしている。
  • 一村一品については、市町村から盛り上げていくことは重要と考えており、今後も進めていきたい。また、その他にも市町村向けの推進計画のマニュアルなども市町村の状況に応じて、作りやすいものを考えて出しており、今後も市町村への取り組みを強化していきたい。
  • 学校教育が重要とのコメントを多数頂いたが、国民運動として捉えるのはどこまでかというところがあるが、環境省としては環境教育について学校以外の教育についても様々取り組んでおり、また、学校教育についても文科省とも協力して取り組んでいるところである。国民の意識啓発あるいは行動の上で、環境教育は重要と考えている。
  • 見える化の重要性はその通りであり、どういったやり方があるか、ハード、ソフトを含め検討していきたい。
  • 定量化については、大胆に定量化すべきであるとのご指摘があったが、いろいろ仮定をおいたものとして使えるものは検討したいが、他の対策との二重計上や測度の精度の問題を踏まえ、適切な使い方を検討したい。
  • インセンティブの重要性は、自動車の税制だけにとらわれず、様々なインセンティブがあると思うので、重要なものとして検討していきたい。

○伊藤経済産業省大臣官房審議官

  • ご指摘のあった中でいわゆる家電製品とか給湯器など家庭における様々な機器の省エネを進めていくこと、またその買い換えを進めていくこと、さらには標準化の指摘もありました。これらは経済産業省で取り組んでいく分野と認識している。引き続き環境省と力を合わせて家庭部門についての取り組みを推進していきたい。

○江崎資エ庁総合政策課エネルギー政策企画室長

  • いまの点ついて、数量的な面で補足をさせて頂きたい。もともと現行の目達計画を作るとき国民運動分2%をどうするのかという論点があったが、最終的に現行対策に融合することになった。すなわち良いものを作ってこれに買い換えてちゃんと使っていく前提でいまの目達計画ができている。国民運動を見える化の方向から実施しないといまの対策自体が期待される効果を発揮しない。環境省の方で見える化を進めていくとのことだが、国民運動についての定量化は目標達成のためにも環境省にしっかりと取り組んでいただきたい。
3.

ヒアリング

 東京都及びCAN Japanから、資料(資料3-1、3-2、4)に沿って説明が行われた。

4.

ヒアリング内容に関する質疑応答

  • 東京都では、大規模事業所に対する地球温暖化対策ということで、指導、助言などいろいろきめ細かいことをされているが、どのくらいの規模・体制で行っているのか。また、国の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度をどのように評価しているのか、電気のグリーン購入に関してはRPS法など国が行おうとしている内容に注文はあるのか。
  • CAN Japanでは、自然エネルギー利用がポイントとのことであったが、国が行っていることで欠けているところはどこか教えてほしい。
  • CAN Japanに対して、3頁の下の図はコストが入っていない。昨日の首相の話の中で「環境と経済の両立」との言葉があるが、この両立は重要。590-710の数字があるが、もっと下の数字もあると思うが、なぜ省いているのか。また、上の図の400と450はどのようにして出しているのか。損害とコストを比較する必要があるが、その辺りのデータがない理由を確認したい。
  • 東京都の計画制度は規制になると思われるが、企業側にとっては自主取り組みがあり、この計画制度があり、またISOありということで、企業側の感じ方を聞きたい。
  • CAN Japanに対して、外国事例は参考になると思っているが、これを日本に持ってくる場合は、どのように導入したら良いか、特に考えはあるのか。
  • CAN Japanの話の中であった、海外事例を国内で実施する場合は、国内の縦割りの弊害があると予想される。各省は連携して日本なりの知恵を出して対応してほしい。
  • 東京都は1960年代あたりから、リーディング・エージェンシーとして国に先行して環境対策に取り組んできた。今回の制度については、A、B、Cという評価を採用しているが、この評価制度の評価が重要だと思うが、どのように評価するか、またそれをどのように公表すると効果があるのか、今の考えをお聞きしたい。上手くいくようであれば、これを日本全体に広げる必要がある。
  • 東京都において、大規模事業所の対象外事業所に対して踏み込んだ対策を行う場合、何が問題になるのか。
  • 東京都では、相当程度の指導・助言・評価をされているが、かなり専門的な知識あるいは専門家が必要と思う。専門家の養成はどのように行っているのか、また組織の規模はどのくらいか。
  • 東京都において、電力のグリーン購入を進める上での課題は何か。
  • CAN Japanの発表の中で、グリーン電力証書制度について法的支援、法的整備が必要とのことだが、具体的にどのようなことを考えているのか。また、その下の20のスライドで、炭素税や国内排出量取引制度の記述があるが具体的に何か考えているのか。
  • ヒートアイランド現象の問題もあり、東京都は地球温暖化問題を先取りして取り組んでいると認識している。取組の検討・分析結果を是非教えてほしい。
  • 東京都において、副知事をヘッドとして局をまたいで温暖化対策本部を作ったとのことだが、それがどういう意味で推進に効果があったのか。
  • 計画制度において、規制を受ける側、すなわち事業者側はどのように受け取っているのか。温暖化対策に対する理解は進んでいるのか。
  • これらの取組を介して、東京都にはノウハウが蓄積していくと思うが、それを今後どのように活用しているのか。
  • 事務局の方に投げかけたい。都の制度は国の算定・報告・公表制度のベースとなったものであり、国で争いがある対策、全面導入にはそれなりのリスクがある対策については、国として意図的に東京都をリードエージェンシーと位置づけ、先行的に取組を進めてほしい。国の報告制度や他の自治体の報告制度は、ただ報告を受けるだけで死んでいる制度である。東京都のように、生きた制度に連携させるなどの活きた制度としてほしい。
  • グリーン購入について、現在は損金扱いにならない。企業としては無駄なお金を払っても買おうとしているので、損金扱いにするよう検討することは経済産業省と環境省の宿題である。
  • 環境省に対して、このグリーン電力証書のCO活用を温対法の中で認めてほしい。また、グリーン購入法の中にグリーン電力証書を位置づける必要がある。容易に出来ることである。また、地方にも広げてほしい。
  • 東京都に対して、京都市でも同様の取り組みを行っているが、京都市の場合は基本的には定期報告をそのまま開示することになっている。東京都の制度ではどの部分が開示されているのか。
  • 床面積当たりのエネルギー消費量など、個別事業者のデータの提出、表示までの仕組みを考えているのか。
  • これまでの省エネ法の取組について、東京都の取組から見て、欠けている点、気付かれた点があれば教えて欲しい。

○東京都

  • 体制については5名ほど係員がいる。その他、ビジネス事業者を外部委託して活用している。指導・助言の最盛期は30名体制で対応した。
  • 評価制度の評価については、どうしたらA・AA評価を取れるかとの問い合わせがよくある。この評価制度は文化的に馴染んでおり、効果があったと思っている。
  • 事業者側の制度の受け止め方は、省エネ法との違いや二重の負担感が指摘されることもあるが、トータルで省エネを見ていくツールを提供しているので、事業者からは我々の指摘によってこれまで取り組んでいなかったものに気づくことが出来たとの声も頂いている。
  • 指導、助言の専門家については、この制度を構築するにあたって、職員が2年ほど事業所に入って調査し、内部のノウハウを蓄積した。また、ビジネス事業者も外部委託して活用しており、専門的なノウハウ、知識を活用している。
  • この制度を運用していて、省エネ法の対象事業者であるにもかかわらず、取り組みが出来ていない事業者もあることが分かった。我々は全体で見ており、助言をしたり、個別に指導したりする必要性が非常にあったものと考えている。
  • 対象外事業所については、今回は19事業所が提出しているが、ノウハウ、資金がないといった問題を克服する必要があると思われる。今後、取り組むべき課題であると認識している。
  • 公表事項は、個別の対策、削減量などをそのまま公表している。床面積当たりのエネルギー消費量については、ホームページで、評価も含め一覧で見られるようになっている。ただし、評価についてはA評価以上を公表している。これは、優れた取組をしている事業所を評価しようという制度なので、懲罰的なB・Cの評価の公表はしないということで行っている。
  • 副知事を筆頭とした本部を構築した効果については、今まで環境に関係ないと思っていたセクションが問題意識を共有し、話が早くなったということがあるが、一番は予算が取りやすくなったことが大きい。環境部署は予算が少なく、新たに予算を取るのは困難であるが、副知事が筆頭となったことで予算セクターへの説明が行い易くなった。これに関連して、グリーン購入への国の支援としては、グリーン購入をやることはいいことだと言ってくれるだけでも内部での説明の手間が全然違う。例えば温対法の中で自治体の取組として位置付けてもらうなど、国としても後押ししてほしい。
  • 都の取組と国の制度の関係については、国でも色々と取り組まれていると思うので、グリーン購入の取組などについても、国と一緒に上手くやって行きたいと考えており、国の後押しをお願いしたい。
  • ノウハウの活用としては、今回配布したA3資料の省エネカルテについて、各事業所の情報をプロットして当該事業所にお返しして、それぞれ全体の中でどういう位置にあるかをご検討いただく。また自己評価チェックシートは基本対策を行っていく際の重要なポイントであり我々のノウハウが詰まったものであるが、こうしたものを公表している。今後、こういったノウハウを活用したい。

○CAN Japan

  • 自然エネルギーの日本での拡大を阻んでいる要因としては、2010年までに1.35%というRPS法のターゲット自体が小さいため、電力会社にとってもそれを越える投資を行うインセンティブが沸かないことがあるのではないか。また、RPS法の新エネルギー等の中に低コストの廃棄物発電が含まれているのも要因の一つになっているのではないか。国として大きな目標を打ち出す必要がある。
  • 国内の排出量取引については、CAN JapanのメンバーグループであるWWFジャパンにおいて、上流と下流をミックスした形のハイブリッドな排出量取引と、これまでに行われてきた省エネ努力を反映したような排出量取引といった制度設計が可能ではないかとの提案をしている。
  • 海外事例の日本への導入については、御指摘通りそのまま日本に導入するのは困難であると考えている。例として上げた理由は、その国又は全体としての政策フレーム、パッケージの必要、その中で部門ごとに戦略的にフォーカスした政策を具体的に行っていくことの見せ方の例を示したかったためである。個別の政策内容自体の設計よりも、それぞれの部門でどこを対象としたよいか、といった点について参考にしていただければと考えている。
  • 欧米の政策は見る側、市民にとって政策全体が見えている様な形になっており、市民にとって心理的インセンティブとなり意欲が湧く。日本でも、そうした見せ方をする必要があると同時に、市場や投資家に対して長期的な見通しを提供することが必要。
  • 3頁のIPCC等のスライドについては、中身よりも、今後の国際交渉の中で合意の一つの土台になるであろうことを紹介し、その中でグローバルな意味での排出量がピークを迎え、その後緩やかに削減に向かっていく必要がある、の考え方を認識してもらうことを目的としている。現在、国際的な議論が活発化しており、長期的・究極的な議論が具体的になっているということもある。今後、気候安全保障の考え方を、日本でも進めるべきである。

○井内資エ庁省エネ・新エネ部政策課長

  • 省エネ機器のラベリング等、都の先導的な取り組みを採用した例もある。本日の内容も参考にしたい。

○伊藤経済産業省大臣官房審議官

  • CAN Japanの資料の3頁目、安定化シナリオのピーク年の左側の引用について、私の記憶では、「削減しなければ」とIPCCが報告している、それから下の引用では、「ピークを迎えなければならない」と主張している国があるということではなかったかと思う。いずれにせよ、必要あれば、環境省とも相談してAWGの議論の内容を報告したい。

○小川環境省地球温暖化対策課長

  • 本日のご発言に追加することがございましたら、6月1日(金)までに書面で事務局まで提出してほしい。また、本日の議事概要は事務局で取りまとめて、数日中に各委員の皆様にお送りしますので、チェックを御願いしたい。1週間程度の期間をおいて、環境省及び経済産業省のホームページに掲載したい。一週間以内でコメントを頂けない場合は、暫定という形で掲載させて頂き、以後、必要に応じて修正させて頂きたい。
  • 次回の会合は6月13日(水)9:30に開催予定。