中央環境審議会第51回地球環境部会・産業構造審議会環境部会第地球環境小委員会合同会合(第13回)議事概要

日時

平成19年3月26日(月)13:00~15:30

場所

東京グリーンパレス「ふじ」の間

出席委員

石谷地球環境小委員会委員長代理、鈴木地球環境部会長、黒田委員、碧海委員、浅岡委員、浅野委員、石坂委員、猪野委員、飯田委員、及川委員、逢見委員、大塚委員、鹿島委員、木下委員、河野委員、小林委員、塩田委員、住委員、関澤委員、高橋委員、高村委員、富永委員、永里委員、長辻委員、新美委員、福川委員、桝井委員、森嶌委員、山口(公)委員、山口(光)委員、横山委員、渡辺委員、吉田委員


1.

京都議定書目標達成計画の評価・見直しについて

 鈴木部会長の挨拶の後、経済産業省、農林水産省、環境省、財務省、金融庁より施策の進捗状況についての報告が行われた。

2.

合同会議委員の発言及び質疑

  • NEDOにおいては、エネルギー分野の技術開発及び導入支援を実施しており、今後も最大限の努力をするつもりであるが、1点要望がある。目標達成計画実施に当たっては、NEDOには独法上の予算総額の制約があり、中期計画において、計画期間中5%を上回る効率化を図ることになっている。これまでにも、NEDOは京メカのクレジット取得事業等の予算が増加しているところ。今後、技術開発の予算確保などにあたって、予算総額の制約について弾力的な運用ができるよう配慮いただきたい。
  • 自主行動計画のフォローアップは良い方向に向かっているが、自主行動計画の目標が2010年のみに設定されている。2008年から2012年の5年間でやろうという話については、以前から意見があったが、今回は議論にならなかったのか、あるいは議論になったが駄目だったのか、もしそうであれば、その理由も教えていただきたい。
  • 資料3の32頁に、アイドリングストップ車導入支援が計画値を下回る普及見込みとなっており、見事に外れた結果となっている。これは、国交省、環境省、警察庁との連携が上手くいっていなかったのが原因と理解しているが、その辺りを明らかにしていただきたい。
  • 資料3の46頁の資料を見ると、こんなに風力発電は伸びていますよという資料であり、一貫として伸びてはいるが、47頁を見ると導入実績は10位から13位に下がっている。風力発電に対する日本の考え方に根本的な欠点があるのではないか。先ほど環境省から、自然環境に配慮した風力発電の推進という説明があったが、やはり風力発電からの電力を高く買い上げるといった根本的な対策をすべきではないか。
  • 原子力は臨界事故などの問題を抱えており、参考資料2の自主行動計画のパブリックコメントでも「原子力推進に依拠すべきでない」との意見が出ている。それに対する回答は、「原子力発電は地球温暖化対策の推進の上で極めて重要な位置を占める」という相変わらずのものだが、本当にそれで良いのか。もう少し根本的な問題として考えるべき。特に2008年以降、原子力事故が起きれば目標達成自体がダメになることになる。その辺をどのように考えているのか、お聞きしたい。
  • 自主行動計画についは、業務部門の削減が課題であるが、金融関係は目標が設定されていない業界もあり、しっかりと取り組むようにして欲しい。
  • 資料3に各国のエネルギー効率に関するデータが示されていたが、このような国際的な比較については、国際機関によるデータ作成が重要。幸いグレンイーグルズサミットでこうした仕事がIEAにTask Outされており、日本も大いに協力すべし。また、OECDやIPCCのような国際機関のデータの表記は、OECD・アジア(日本・韓国)やJANZ(日本+豪州・ニュージーランド)といった単位での表記となり、日本単独のデータが表記されないことが多いので、国際機関に対して日本単独のデータの記述を強く要請することは重要。
  • 燃料電池やハイブリッド車について説明があったが、第一約束期間以降も温暖化対策を進めて行くためには、技術革新が必要となってくる。そのための国際枠組みとしてどのようなものがいるかを検討する必要がある。
  • エネルギー問題を考える場合、安定供給・エネルギーセキュリティと温暖化の視点がそれぞれあるが、各要素が整合するよう取り組む必要がある。例えば、ドイツでは風力発電の固定価格買取制度を実施しているが、普及は進む一方、コストが高くなっている。このような点をどのように評価していくのか。エネルギー関係の委員会に出席すると、エネルギーの安定供給が一番の課題となり、温暖化は主たる論点にならない。温暖化関係の会議ではその逆である。両方の問題を統合して論じることが必要。また、バイオマスも、温暖化と食糧安保の両方の視点について、正面から議論をしていくことが重要。
  • 自主行動計画では、業種毎に努力を行い、効果が上がっている部分は評価できるし、SABCとランク付けして評価している点も評価できる。ただ、経団連全体の計画を見た場合、33業種の±0%目標が目標達成計画の-8.6%と乖離している点をどのようにしていくのか。また、SABCの評価を見ても、評価対象の業種の中にはかなり問題のある業種があり、なかなか簡単に減っていくという見通しがない。経産省として、どこかの時点で規制的な対策や、排出量取引制度を含む市場的な対策を考えるべきということを検討すべきではないか。
  • 資料3の16、17頁で、欧州が日本並みのエネルギー消費効率を実現した場合これだけ排出量が減るという数字が示されているが、気候や地理的要因がある中で、比較できないものを単純比較しておりミスリーディングではないか。確かに注意書きに気候や地理的要因があるという前提の下、示しているということになっているが、適切ではない。このような資料を用いるのであれば、気候や地理条件、構造等で誤差がどの程度生じるデータなのかをきちんと説明すべき。
  • 金融庁・財務省の説明は正直ではあるが、真剣さに欠けていると言わざるを得ない。経済産業省は所管の部門に関して優等生に見えるが、所管外の部門についてはどのように考えているのか。国全体としてはやり残したことがあるのではないか。そこが非常に重要。
  • また、現状では、環境省から他省庁へのプレッシャーのかけ方が不足しているように感じられるので、経済産業省として所管外の施策についても環境省をバックアップしていくべきではないか。
  • エネルギーと環境はコインの裏と表の関係であるので、エネルギーセキュリティとクライメットセキュリティを同じ棚の上で議論をしていくことが必要。
  • 資料3に示された自主行動計画の今後の課題は大事な点である。特に、主要7業種で産業部門の全排出量の9割以上を占めているという状況であるので、とりわけこの7業種の中で、目標を達成している業種は更に高い目標を設定し、達成できていない業種はそれをどのように達成するか、詳細な計画を持つことが必要。
  • 9頁にあるように、業務・民生・運輸部門の排出についても、産業部門が寄与している分があるので、事業所や運輸・交通部門における取組を進めていくよう、積極的に促していくことが必要。
  • 資料3の24~25頁に、トップランナー基準の省エネ効果が示されているが、高いエネルギー効率を達成していることが示されている。その上で、当初見込まれていたものよりも多くの消費効率の改善が見られるものが多数あると思うので、基準の見直しをするとともに、対象機器の拡大にも取り組むことが必要。この部分は、民生部門・運輸部門に大きく効くところなので、取組や施策をどのように進めていくかで、状況が変わってくる。
  • 代替フロン等3ガスについては、順調に削減が進んでいることが見て取れる。かなり目標を上回って削減が進んでいるので、是非目標の見直しをお願いしたい。特に、既に市場に出回っているガスの回収は重要であるが、ガスを市場に出さないことが将来の排出量を抑える上で重要であるので、既に代替技術・技法がある部分については、積極的に代替するような施策や支援策を検討することが必要。
  • 資料3の47頁で、風力発電について日本の成績が悪い点が気になる。2002年のヨハネスブルクの持続可能な環境サミットでは、環境における5つの主要分野の一つがエネルギーであり、その中で北側諸国が総意として主張していたのが風力発電の重視だったと記憶している。したがって、今後2002年の持続可能な環境サミットのレビューを行っていくプロセスの中で、特に先進国に関しては、風力発電の状況というのが非常に重要になってくる。そのため、日本の13番目という状況は非常に気になる。日本での導入が進んでいない理由として、環境省から環境分野からのコンステイメントがあり、政策的には、横山委員、山口委員のような要素があることは分かったが、それ以外にどのような点がボトルネックとなっているのか。
  • 自主行動計画については、未策定の業種や引き上げ余地の大きい業種について、政府全体によって厳格にフォローアップして、取組の強化が必要。
  • 今大きな課題である民生部門が大きく目標未達になっているので、政府が率先して国民運動的に取組を実施することが必要。政府が率先して温暖化対策を進めようという気運を醸成すべきだが、自主行動計画において各業種の取組がバラバラとなっているのは、そのような気運醸成に水を差すことになりかねない。みんなでやっていくというためにも、厳格なフォローアップをお願いしたい。
  • 自主行動計画について、金融庁・財務省を含め、熱心でない省庁がある。金融庁にしても財務省にしても、業界としての排出量自体は大きくなくとも関連業界の裾野が広く、社員教育や消費者への接触を通じて影響が出る住民数が多い。そういう意味で、民生の普及という意味から考えた場合、各省も言い訳に終始するのではなく、もう少し前向きに取り組んでもらいたい。環境省も同様である。
  • 日本の環境派の中には、EUが主張するから、そのようにしないといけないという考えがあるが、それは適当ではない。EUのやり方に全て従うのではなく、もっと自信を持つべき。経済産業省の資料の中に、日本の省エネ効率がEUより良いという説明があった。確かにこの計算はラフなものであり、更なる精査が必要ではあるが、大きなとらえ方としてはこれで合っているのではないか。
  • 自主行動計画についても、細かな点はともかく、全体としては良い線を行っていると考える。
  • 資料4の2ページで、農林水産省がバイオ燃料を600万klまで拡大するという試算が示されているが、これは非常に意欲的なもので評価したい。これを実現するためには、ここに書いてあるような技術開発が不可欠であり、特に稲わらについてはほとんどが利用されず水田に放置されているのが現状。そのため、これらを含めた技術開発等について、各省庁共同して開発を進めることが必要だが、具体的な計画あるいは具体的にいつまでにこのような技術開発を進めるつもりなのか、説明願いたい。
  • バイオマスについて、経済産業省・環境省は木質系の技術開発を進めている印象。他方、農林水産省が行っている技術開発については今は基礎研究で、2020年ないし2030年までかかるものであり、時間的なズレがあるようである。この関係はどのように調整されるのかお伺いしたい。
  • アイドリングストップ車の導入について、上手くいっていない理由を、先ほどは制度的な面があったかと思うが、技術的な面からも説明して欲しい。
  • 資料1の中には、施策が一覧してわかりにくいところがある。例えば、54~55ページの技術開発関係の各省予算一覧は各省によって記載方法がまちまちである。資料の工夫が必要。
  • 資料3の7頁について、自主行動計画について総量を含めて整理した点は評価できる。ただ、財務省・金融庁の管轄については自主行動計画への取組が不十分な点があるので、強化する方向で進めるよう、ぜひともお願いしたい。具体的には、財務省関係では、洋酒とか日本酒業界、タバコ業界の自主行動計画が未策定であり、ビール酒造組合については目標の引上げが望まれる。金融庁は、証券業界・信用組合が計画未策定であり、生命保険協会・日本損保協会は定量的な目標の設定が必要であり、その点を是非お願いしたい。
  • 資料3の14ページの国際比較については、自分も別の研究でこの点について指摘しており、対外的に交渉の材料として使うのは良いが、他方で、購買力平価で計算すると数値が大きく変わり、また、日本よりも少ないスイスやフランス、スウェーデンもあるので、さらなる精査をして、検討していただくことが必要。
  • 代替フロンについては、COと比較して温暖化効果が数千倍、数万倍という特性がある。これまで、業界が排出削減のために非常に努力している点は理解しているが、代替するガスの開発を進めるなど、取り組みを加速していくことが望まれる。
  • エネルギー供給事業者等による消費者へのエネルギー情報の提供の削減効果が420万トンCOと見込まれているが、不確実性が高いのではないか。もう少し固めの数字を試算すべきであるし、内容の説明をいただきたい。
  • 環境省に対しての質問であるが、バイオ燃料について、ETBEに関しては有害性等についても若干の議論がないわけではないので、対策はどのようになっているかを教えていただきたい。
  • 原子力については、目達計画上は2010年88%の稼働率となっているが、近年稼働率が70%前後で低迷している。昨今も制御棒の臨界事故等々もあり、しかも老朽化が進んでいる中、このまま88%という非常に高い目標を掲げることができるのか、文書で御回答いただきたい。
  • 自然エネルギー、新エネルギーについては、目達計画全体の中でボリュームは大きいが、世界全体で8兆円の市場へと急拡大している新エネルギーについて、日本では非常に小さい。RPS法については、先日1.63%、160億kWhを2014年の目標とすることで決着が着いたが、これは導入量というより、いくつか別の要因による決着であると理解している。もう少し別の負担スキームや、温暖化対策として電力、熱、バイオ燃料を含めた普及のスキームを追加で考えるべき。
  • エネルギー政策と自主行動計画の関係については、今回と前々回だけでは議論の時間が非常に短く、中身に対する突っ込みが足りない。次回の中間的とりまとめの前に、自主行動計画とエネルギー政策に関してはもう一回きちんと時間をとって、中身を議論する場をいただきたい。
  • 前々回に数字を固めに評価しなければならないということや、役所が言うとおりでは良くないと申し上げ、前回は目達計画が達成できるのかのような数字が出てきていたため、こんな計算根拠で達成できるのだろうかという疑問を申し上げていたが、本日の経済産業省の資料は、目標と実際の固めの数字と達成可能な数字が併せて示されており、分かりやすく、今後の議論に資するものである。我々の議論としては、よくやっている、やっていないという議論ではなく、本当に定量的な評価をした上で、どこが足りないか、足りない分を埋めるためにどうすれば良いかを議論していくつもりであり、その点、前回までに発表された他省庁の資料は、目標を達成できるということのみを示すばかりであった。これまでの資料も本日のような形に作り替えれば一番良い。
  • 見込み値が目標を上回る施策は問題がないが、目標に到達しない見込みの施策については、それぞれの所管の省が責任を持って、何とか達成できるようなものにする、あるいは「これは全くだめだ」と見れば分かるものについては、その不足分をどう補っていくかを検討する必要がある。
  • 例えば、高性能ボイラーや工業炉は目標まで到達する見込みで良いと思うが、高効率給湯器については、目標は520万台であり、最小では446万台、このようなものに関しては、経産省として目標達成に向けてどのように引き上げていくのか、何も書いていないものは施策がないと考えてよいのか説明して欲しい。
  • 環境省に対して、BDFの推進に当たって、実際に動いているところでは、税制上の問題が引っかかって止まってしまうということがある。つまり、ちょっとでも他のものと混ぜるとどっと税金がかかり、採算が合わなくなるという話がある。木質バイオマスについても、プラントが出来ても物が集まってこない、もの集めのルートについて上手く行かないとか、あるいは廃木材を集めようとする廃棄物処理法等の問題があり難しいということがネックになっている。この辺りについては、単発的にプラントを作っても駄目で、全体の社会システムの中で考えなければならず、環境省の局を超えて協議をしてもらう必要がある。
  • 資料3の14~16頁の数値については、2002年の地球温暖化対策推進大綱の見直しのときには、購買力平価で見ればどうなるのかという点が示されていたが、今回は示されていない。購買力平価を勘案した場合、GDP当たりのエネルギー消費量は変わってくるはずであり、また、どの年の為替ルートを使うかによっても大きく違うものであり、大変なミスリーディングではないか。
  • 国全体で見たとき、日本のエネルギー効率が良い分野は、家庭・運輸部門であり、それは経済や気候、風土に係る部分ある。逆に産業部門は比率が大きく、これは産業構造の問題がある。こうした点が分かるよう、もう少しきめ細かくデータを具体的に示すことが重要。
  • 山口委員から、エネルギーはコストの問題が重要であり、温暖化対策も重要であること、自然エネルギーの普及について、ドイツやスペインなどの買い取り制度はコスト意識が足りないといったご意見があったが、資料3の63頁右下に、家庭用燃料電池について市場規模とコストの関係が示され、市場が拡大するとコストが下がることが示されている。これは太陽光や風力でも同じことであり、現在、日本の太陽光発電のコストが減少しているのは、海外の市場に輸出拡大しているためであり、他国頼みの状況となっているが、日本国内の市場を拡大することを考えることが必要。
  • 経団連の自主行動計画が10年に渡って努力してきた点、経済産業省ほか省庁もご協力いただいてきた点を評価する。また、現在、目標の見直しや指標・数値の見直し等を含め、計画の見直し・拡大が進んできているが、これは、自主的な取り組みというよりは、行政と業界の間の協定に近いプロセスを10年に渡って推し進められたと結果と理解している。しかし、このような動きが出てくるまでかなりの時間がかかっているので、今後速やかに取り組みを進めるためには、EUのようなキャップ&トレード型の排出量取引を導入し、規制という要素よりも、企業が一定の枠内で独創性を持って、市場的なメカニズムを使って、もっと融通性を持った上で取り組める仕組みを導入することが必要。その導入により経団連の±0%と目標達成計画の-8.6%のギャップを埋め合わせることが可能となる。
  • 日本の64%が産業・エネルギー転換部門からの排出に占められているが、日本の排出量の半分は、わずか180ほどの製鉄所や・発電所からの排出量になる。1位と180位では45倍もの違いがあり、実状に合わせた政策を考えることが必要。
  • 本日自分から配布した資料の3頁のグラフは、同じ発電所や同業種であっても、発電所ごと・事業所ごとで発電効率やCO原単位がばらついていることを示している。より効率の良い発電所・事業所に移行させるような施策を考えることが必要。
  • 4頁のグラフは産業部門での石炭使用が増えていることを示しており、それは発電所もそうであるが、むしろ自家発電において石炭が増加している。
  • 5頁は、省エネ投資回収の期間が2年未満の業種がかなりあることを示している。ここはこれからの取組を考える上で非常に重要。投資をしてもらうことのメリットが大きいという点も踏まえて、やはりキャップアンドトレード型の排出量取引を導入していただくよう踏み込んでいただきたい。

○金融庁監督局総務課課長補佐

  • 指摘の点については、持ち帰り検討したい。

○国税庁酒税課課長補佐

  • 指摘の点については、持ち帰り検討したい。

○農林水産省環境政策課長

  • 本日御説明したバイオマスの工程表には、具体的な計画、どういう資源で何万キロリットルぐらいのエタノールを作るかということも示している。また、順番にどういう開発からするかということについては、関係省庁の技術開発について具体的な計画が盛り込まれており、技術開発で各省間でズレなく取組を進めている。ただ、各省得意分野があるため、説明は各々の得意なところを強調して、ということになっていると思う。
  • 廃食油などからのBDFの税制上の問題については理解しており、昨年税制改正の要望等をしたところ。また、不正軽油の問題をはじめ色々な問題があるため、先々週には、関係事業者や市町村が集まって課題を検討する場を設けることにより対策を講じている。

○環境省地球環境局長

  • 現在、EU自身が行っている温暖化問題についての野心的な取組は、EUがこの問題で世界を引っ張ろうということで、一定の評価をしているが、日本としては、評価するところは評価しつつ、主張すべきことは主張して一定の距離をおいて対応している。先日のG8環境大臣会合でも、EUはポスト京都議定書の検討スケジュールを急いでいるのに対し、日本は米・中・印が参加する枠組み作りが先決という立場をとっており、激しく議論してきたところである。
  • EUが京都議定書目標を達成するためには、あと6%程度削減をすることが必要な状況となっており、決して順調ではない。EUの施策の良いところは真似し、それ以外は日本独自の取り組みを進めるなど、よく見極めて対応をしていきたい。例えば、東アジアでは、温暖化問題についてまとまった結論がでないが、EUはEUとして統一した意見やアイディアを出していける点は評価できる。EUとの付き合いも大事にしながら、東アジアとの連携も進めていきたい。
  • 我々としては、EUとの付き合いも大事にしながら、世界全体として対策が進むよう、特に東アジアの様々な国との連携を大事にしてやっていきたい。
  • キャップ&トレードについてご指摘があったが、様々な問題がある。EU-ETSの第1期を見ると、必ずしも大きく削減効果があったかどうか明らかではないものと認識している。EUからは、この点について是非議論しようと誘われており、4月にでも担当者を派遣することも考えている。

○経済産業省環境経済室長

  • 自主行動計画について、政府全体で推進すべきとの趣旨で、多くの委員から様々な意見をいただいた。本日も説明したとおり、所管業種については、CO排出総量を一層意識してもらうよう促した上で、目標の更なる深堀り、対象業種の拡充を図りたい。また、他省庁所管業種については、環境省を全面的にバックアップして、未策定事業者への計画策定、目標の定量化、政府によるフォローアップの厳格化、目標の引き上げ等を促していきたい。また、産業界が家庭・業務・運輸部門に寄与する方策についても、経団連を中心に対応を促していきたい。
  • 自主行動計画の目標年次については、目達計画全体が2010年度を達成の目安として設定していることに合わせて、これまで2010年度に設定してきたところ。昨年秋に経団連からこの合同会議の場でも表明があったと思うが、2008~12年の5年間平均を目標年度とする旨示されたところであり、当省としてもその点を踏まえて評価していきたい。
  • 温暖化対策とエネルギー政策を総合的に検討すべきとのご指摘があったが、自主行動計画については、総合エネルギー調査会とも合同でフォローアップを進めているところであり、これによりエネルギー問題についても併せて議論しているところ。さらに省内各部署、関係各省庁とも連携を深めて参りたい。
  • -8.6%と±0%の乖離についてご指摘があったが、自主行動計画の±0%はあくまでも経団連での目標であり、産業部門全体では目達計画上、-8.6%が目標とされている。産業部門の実績は、現在、基準年比で-3.2%となっているが、この産業部門の範囲には、製造業の他、農業・鉱業・建設業が含まれている。また、エネルギー転換部門は含まれていない。製造業だけの排出量については、目達計画上、基準年比で約5%の削減を行うことが目標として設定されており、この目標と足下の実績との乖離を如何にして埋めていくかということが問題。自主行動計画の策定や目標引き上げ、自主行動計画以外の対策でギャップを埋めるよう検討を進めたい。
  • キャップ&トレードについては、その形態も含めて、国内で実施するにあたっては様々な論点があり、自主行動計画やNEDOによるクレジット取得との関係も含め総合的に検討していく。

○資エ庁省エネルギー・新エネルギー部政策課長

  • エネルギーセキュリティと温暖化の問題は裏腹の関係にあり、その両立を図りながら検討を進めたい。
  • エネルギー効率の国際比較についてご指摘いただいたが、本日御説明したのは、気象や地理的条件が違うという前提で出している一つの試算という位置付けである。ブレークダウンした分析という意味では、現在、セクター別での指標化をIEAにおいて作業を行っているところ。
  • 購買力平価によって国際比較をすべきではないかとのご指摘があったが、日本においては非貿易財が他国と比べて高価であるため、製造部門の効率性が表現できないといった問題点もある。いずれにせよ、どのような手法をベースに議論するか、日本としてどう主張すべきかは、引き続き考えていきたい。

○資エ庁省エネルギー対策課長

  • アイドリングストップ車の普及が計画通りに進んでいないことは重く受け止めている。各省連携については国交省・警察庁と連携してキャンペーンの実施をしており、連携は上手くいっているものと認識。問題は、技術面にあると考えている。アイドリングストップ車はバッテリーに負担をかけるが、信頼性の高い製品が期待通り出てこなかったため普及が進んでいない。
  • 自動車業界全体としては、排出削減の取組が進んでいる。例えば、ハイブリッド車は一部アイドリングストップ車の機能を有していると見ることもできる。このような対策全体で自動車の燃費が向上している。アイドリングストップ車普及による削減効果が目達計画上60万トンCOとされているのに対し、燃費改善による削減が2100万トンCOであり、これは更に上方修正が見込まれる。このような全体的な施策のバランスを考えつつ、見直していきたい。
  • トップランナー関連の施策については、これまで順調に進捗しているが、更なる拡大を図っていきたい。具体的には、目標年度に到った機器は次期基準を策定する。さらに、ルーター等の新しい機器の追加を検討している。また、エネルギー効率の測定方法が難しい業務機器についても、できる限り拡充していきたい。既に大型トラック・バスについては世界に先駆けて基準を策定済みである。
  • エネルギー供給事業者による情報提供の削減効果は大きすぎるとの指摘があったが、その積算は資料1でお示ししているところ。今後、改正省エネ法や予算措置等による削減効果を検証していきたい。
  • 今回、現行施策の見込みとして、上ブレと下ブレの可能性について示したが、下ぶれの数値は過去3年間のトレンドを延ばしたものである。今後施策の実施による押し上げ効果により目標を達成していきたい。さらに、来年の計画見直しに向けて、最新データも盛り込み、見込みを検証していきたい。

○資エ庁新エネルギー対策課長

  • 日本の新エネは95年から2000年で発電量が100倍にまで伸びている。日本は風力発電の稼働率が20%程度と低いが、これは国土的に風況などで問題があるためであり、また、国内の産業活動を考えると大きな負荷変動には耐えられないことから、風力発電を導入するのが難しい状況にある。それでも、政策上、風力発電事業者に3分の1補助、自治体に2分の1補助を行うなどの対策を講じて、風力発電の増加に努めている。また、蓄電池の技術開発を進めると共に、景観・野鳥保護といった他の施策との調整についても考慮しながら推進している。また、バイオマス関連技術開発における関係省庁との連携については、宮古島における大規模実証事業など、様々な技術開発・実証事業について、関係省庁と連携しつつ、各省庁の得意分野を中心として進めている。

○資エ庁電力・ガス事業部政策課長

  • 現在、発電全体の3割が原子力発電によるものであり、引き続き基幹電源としていく。国民の信頼回復を図りつつ、今後とも原発に依拠していく。
  • 利用率については、諸外国の原子力利用率状況などを見ながら、88%の利用率という目標を現在のところ堅持していくつもりである。
  • 発電所別での発電効率を見て対策を講じるべきとの指摘については、発電所ごとでみていくよりも、全体の電源構成を考えた方がCO削減には効くものと考える。そのような観点から、先週、電力会社別の排出係数の公表を行っている。

○経済産業省産業技術環境局長

  • 経済産業省以外の他省の取り組みについて、これまで余り十分なフォローをしてこなかったのではないかというご指摘があった。確かにそういう面があったため、今回、環境省と合同で産構審と中環審の合同会議を開催し、その中で取り組みを始めている。また、先般開催された地球温暖化対策本部においても、総理から、各大臣がそれぞれの分野で先頭に立って、全力で取り組むようにという指示が出されたところ。政府全体として今後進めていくということで、経済産業省も環境省あるいは内閣官房と一緒になって、取り組みを進めていきたい。
  • 排出量取引は地球温暖化対策の一つとして、目達計画の中でも総合的検討となっている。前回の審議会でも申し上げたとおり、現在、マイナス6%を達成するために、産業部門や近年排出量が著しく増加している民生・業務部門について、何をすべきか、どういう対策が有効かということを、個別分野ごとに分析しているところであり、先に手法ありきという議論ではないと考えている。排出量取引については、キャップあるいは排出量割当という非常に規制色の強い政策的措置であるため、導入するに際しては慎重な検討が必要。現在の京都議定書の義務は、国際的には、義務を負っている国と義務を負っていない国とがあり、そのような状況の中で日本国内に排出量取引という規制色の強い措置を実施した場合には、国内の産業が海外逃避しないか、あるいは今まで産業界が自主的な行動として進めてきた様々な対策が今後継続できるかといったことの検討も必要。
  • そういった中で、産業部門及び民生・業務部門のそれぞれについて、マイナス6%に向けてどういう対策が必要かという議論の中で、排出量取引制度についても方策の一つとして今後総合的に検討していきたいと考えているところ。さらにそういう中で、この合同会議においても各部門の対策の有効性、必要性、あるいは対策の強化についてご議論いただきたい。