中央環境審議会第41回地球環境部会・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第4回)、産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主行動計画フォローアップ合同小委員会電子・電機・産業機械等ワーキンググループ(第6回)合同会議議事概要

日時

平成18年12月21日(木)13:00~15:00

場所

虎ノ門パストラル(葵の間)

出席委員

(合同会合)石谷小委員長代理・座長、碧海委員、秋元委員、石坂委員、浦野委員、及川委員、逢見委員、川上委員、黒田委員、神津委員、河野委員、小林委員、佐和委員、塩田委員、鈴木正委員、関澤委員、千葉委員、名尾委員、中上委員、永里委員、長辻委員、馬場委員、早瀬委員、福川委員、桝井委員、横山委員、米本委員

(自主行動)後藤委員、松尾委員、島田委員、藤江委員


1.

石谷座長から開会の挨拶の後、経済産業省藤原環境経済室長から資料1に基づき、自主行動計画フォローアップの概要について説明。

2.

各業界(電機・電子4団体、日本産業機械工業会、日本工作機械工業会、日本ベアリング工業会、日本建設機械工業会)から資料2~6に基づき、地球温暖化対策の取組について説明。

3.

委員の発言、及びそれに対する応答は以下のとおり。

  • 電機・電子4団体が、数年前に目標の評価指標を名目生産高あたり原単位から実質生産高あたり原単位に切り替えたことにより、省エネへの取組が適切に評価されるようになった。
  • 電機・電子4団体が2010年目標を原単位25%改善から28%改善に引き上げたことは評価する。追加的な3%改善は、特にどこの分野が貢献したのか。また、技術的改善か、他の改善か、どのような対策で行う計画か教えて欲しい。
  • 各団体の資料の「業務部門における取組」部分では、どのような取組によりどれだけ削減したかを具体的に明らかにしていただいた上で、貢献を評価して欲しい。
  • 電機・電子4団体の目標を名目生産高から実質生産高ベースに替えたことで、数量原単位に限りなく近づけて省エネ技術を適切に評価できるようになった、というが、そこの部分がよく分からないので、詳しく教えて欲しい。市場価格や企業物価指数が上がった下がったで一喜一憂するのではなく、むしろ、CO総排出量ベースの目標設定も検討すべきと考えるが、どうか。
  • 電機・電子4団体では運輸部門の排出量が大きく減っているが(資料2-1、9頁)、どのような取組(例えば物流の集約化等)を行ったのか。対策ごとの効果と合わせて次年度以降公表して頂けると、他企業や他業界への広がりが期待できる。
  • 工作機械工業会は、エネルギー使用量が1997年度比6.9%増加している。今後も生産高が伸びていくとのことであるが、その中で、目標である原単位6%削減をどのような対策により達成する予定か説明いただきたい。
  • 工作機械工業会の環境活動マニュアル、ランキング制度は非常に面白い。トップ・ワースト10企業のHP公表等をすればさらに取組が進むのではないか。そのような取組を是非進めていただきたい。
  • 建設機械工業会は、エネルギー原単位の2010年度目標0.90が見通し0.81より悪いが(資料6、3頁)、目標の深掘りは検討しないのか。
  • 全体への質問として、自主行動計画では、原単位を目標と定めて原単位は改善させる一方、排出量は増えている業界が多々ある。もちろん、生産量が増えれば排出量が増えてしまうのは仕方ない面もあるが、京都議定書では総量を減らす必要があり、原単位改善を排出量削減にどのようにつなげていくつもりか。
  • 自主行動計画において、運輸部門の排出削減への貢献はどう評価すべきか、検討していく必要がある。
  • 電機・電子4団体の2010年原単位目標は2005年実績より悪いが、目標の更なる見直しは検討するのか。
  • 産業機械工業会については、どのような省エネ対策がどれだけ効果があったかを時系列で示して、効果があった対策については普及させて頂きたい。
  • ベアリング工業会は、排出量が増えている一方で2010年度見通しが現行目標を下回っているので、目標の深掘りを検討頂きたい。
  • 電機・電子4団体の実質生産高は1990年度比で約2倍に伸びているが、実感として本当にこれほど生産量が増加したのか。それとも、性能の向上による価値の切り上げの影響がかなり含まれているのか。
  • 京都メカニズムの活用について、具体的にどのようなことを考えているか。

○電機・電子4団体

  • 当業界では多様な製品が作られ、生産量の単位を共通化するのが困難なため、指標に実質生産高を用いている。生産高を数量化するためのデフレータについては、日銀の国内企業物価指数や日本経済センターの数値等できるだけ客観的な指標を用いている。
  • 当業界において排出量目標でなく原単位目標を設定しているのは、業界構造が変化する中で、新製品製造をできる限り国内で行うという日本への経済効果と、省エネ効果の同時達成を目指していることによる。排出量は増えているというご指摘があったが、排出量増加を理由に工場が海外に立地することは、日本経済にとっても望ましくないことだと考える。
  • 今後の省エネ・原単位改善の具体的進め方については、さらに生産量の増加が見込まれるデバイス分野の省エネ努力を徹底することで大幅な削減を実現したい。
  • どの業界にも共通し、特に工作機械工業会に見られる特徴だが、エネルギー原単位の年度ごとの変動が大きい(資料4、2~3頁)。これは、原単位計算の際に分子となるエネルギー消費量がエネルギーの固定消費分と変動消費分の和とされているため、原単位の良し悪しが生産量の増減次第となっているからである。固定消費分と変動消費分を分けて計算すべきであり、回帰分析でエネルギー消費を従属変数、生産金額を説明変数、共通項をおおむね固定費とおく等の手法により、固定消費分についてはさし引いて原単位を計算すべきではないか。
  • 実質化については、どのような指標を用いるかで大きく数字が変わってくるのであり、ここでは国内企業物価指数が用いられているが、その指標が妥当かどうかの検討が必要。電機・電子4団体では、製品が多種多様であり、それを合計するためには金額に換算する必要があるが、生産高を実質化するための物価指数として国内企業物価指数を使用されているが、例えば電気電子業界独自の指数を計算することもできるのではないか。
  • 電機・電子4団体、工作機械工業会が使用している国内企業物価指数は、何年を基準年としているのか。製品構成が急速に変化する業界において、古い年度を基準年としている指数を採用しては、実態を正しく反映できないのではないか。

○電機・電子4団体

  • デフレータとしては、日銀の国内企業物価指数の中で「電気機器」の指数を引用している。何年を基準年としているかは確認してご連絡する。
  • 電機・電子4団体の資料で、エアコンの消費電力量の推移が掲載されているが、この数値がどのような根拠で計算されたかが非常に重要な意味を持つので、算定の前提を明示するか、指数化して示す方が誤解を与えないと考える。そうしないと、一般の方はこれが通常のエアコンの消費電力であると考えると思うが、このような細かい数字は無いはず。後で具体的なデータを私に教えて欲しい。
  • 資料2-1の11頁の図の中の「自然体ケース」について、なぜ一度排出量が下がってから上昇する、というカーブを描くのか。
  • 業界に新製品が出てくることがあれば、一方で衰退した旧製品もあるはず。衰退した製品に関する排出量減少分についてはどのように計算すればよいか。そうでないと、新製品だけが矢面に立ってしまう。課題として認識しておいてほしい。
  • 電機・電子4団体が原単位改善目標を25%から28%に引き上げたのは大変評価できることであり、さらに努力して欲しい。他の業界も頑張って欲しい。
  • 家電業界に最も期待されるのは、製造時の排出量削減よりも、省エネ効果の大きい機器を普及させることである。省エネ機器を開発しても、国民が買い替えないと実際の機器の効率化につながらないが、耐用年数の過ぎていない機器の廃棄を 「もったいない」と考える国民も多い。これらの人々の買い替えを進める方法は何か。

○日本産業機械工業会

  • 具体的に実施した省エネ対策及び効果を時系列で示すべきということについては、資料3の2頁にあるとおり、しっかりと評価し今後に活かすこととしている。アドバイスを活かして進めたい。
  • 運輸部門における取組については、改正省エネ法で特定荷主の報告義務がスタートしたが、報告義務対象外の会員企業の中でも運輸部門の省エネ化を進めているところがある。そのような先進的な企業の情報を有効に活用して取り組んでいきたい。
  • 業務部門についても企業が各種取組を進めているが、より効率的な実施を図る。

○日本工作機械工業会

  • CO排出量をいかにして6%削減するかについては、まず、エネルギー固定消費部分である照明やコンプレッサの使用量を下げることで対応している。具体的には、「環境活動マニュアル」にある企業の事例を参考に、他の企業でも対策を進めることで目標を達成したい。
  • 環境活動状況報告書に省エネトップ10、ワースト10企業を公表することは難しいが、一定基準以上の先進的企業を公表することは考えていきたい。
  • エネルギー消費の固定分、変動分を分けるべきという点については、技術的に難しい面がある。実際にやろうとすると、測定器による計測等が必要となり簡単ではなく、現在検討中。実際にエネルギー消費量を下げることが大事なので、まず新技術を導入して排出量を下げることが重要。

○日本ベアリング工業会

  • 民生運輸部門への貢献の観点からいえば、ベアリングは製品そのものが回転を円滑化して摩擦を減らすものであり、本質的に省エネに資するものである。現在、小型化等によりさらに省エネに貢献している。例えば、ハブベアリングは回転動力を30%低減でき、自動車の燃費向上に資する。
  • 当業界は、目標としているCO原単位低減のみならず、排出量削減も目指して各種省エネ対策、燃料転換に取り組んでいる。環境と経済の両立という観点から、生産量を増やす一方で、COの排出をできる限り抑えようとしている。
  • 目標の見直しについて、当業界は、電力のCO排出係数を固定方式で計算すると2年連続で目標を達成しているが、変動方式を用いて計算した場合まだ達成できていない。当面は、現行目標達成に向けて取り組んでおり、現時点で目標見直しは考えていない。

○日本建設機械工業会

  • 当業界は、輸出の好調により今年度初めて目標を達成した。しかし、最近米国で住宅着工率が下がっており、また、中国が2008年の北京オリンピック以降需要が低下するリスクもあるため、今後も同様に削減が進むかどうかは不透明である。当面は目標の引き上げは行わず、現行目標の達成を目指して対応していきたい。
  • 建設機械工業会の実施済み対策として「ESCO導入の拡大」が挙げられているが、具体例をおしえてほしい。
  • 建設機械工業会は、可能であれば、合同小委の最終報告の際にデータを提出して頂きたい。
  • 電機・電子4団体の資料は、機器の製造段階だけでなく消費段階での省エネ効果、取引・回収段階の物流におけるCO削減貢献の効果、製品再利用時のCO削減効果の3点にについて定量的分析を行ったことが評価できる。他の業界でもこのような分析をするとよい。
  • 業界によっては、1990年度を基準とする業界と1997年度を基準年としている業界とがある。京都議定書の基準年であり、かつ経団連自主行動計画の基準年である1990年が適当と思うが、それ以外の年を評価の基準年としているがなぜか。
  • 各業界ごとに市場規模や企業数を用いるとき、その対象が業界全体、団体に参加している企業、実際に行動計画に参加している企業、アンケートに回答した企業など、各業界によって異なるため、比較がしづらい。今後整理して欲しい。また、が指標を計算する際、アンケート回答企業からの集計結果を単純に計算しているのか、あるいは一定の推計により業界全体、業界団体に参加している企業、自主行動計画策定企業に引き延ばしているのか、それぞれ明示して欲しい。
  • 目標の基準年を1997年度としている業界については、その理由を示すとともに、1990年実績を示して欲しい。
  • 電力のCO排出係数を変動方式で評価している業界については、その排出係数の変動が大きく影響して実際の取組が評価しにくいため、固定方式の計算結果を併記して欲しい。
  • エネルギー原単位を生産量から計算しているが、実際のエネルギー使用量は、生産量ではなく生産規模で決定されている。このため、生産量が減ってきても、エネルギー消費量が減らず、原単位が大きくなるということがあるので、その辺りを分かりやすくすべきではないか。
  • 電機・電子4団体からは、機器の省エネ化により民生部門に貢献しているとの説明があったが、実際には民生部門における機器の使用量は増加している。このような点を考慮して民生部門への貢献を評価すべき。特に、「もったいない」の価値観も含め、省エネ機器への買い替えは行うべきではないとの意見もあるが、全体としてどうすれば民生部門の排出削減につながるか分析して欲しい。
  • 電機・電子4団体の2010年見通しでは、生産量が増える前提となっており、原単位を25%改善しても、排出量は大きく増える結果となる。それについて業界としてどのように考えているのか。 ・工作機械工業会では、2010年見通しよりも昨年度の生産量が上回っているが、生産量を見通しの量まで抑えるということなのか。そうでなければどのようにして目標を達成するのか。
  • 各企業から業界団体に提出される自主行動計画アンケート中に記載された数字の正確性を各団体がチェックできているか、それともそのまま足し上げているのか。
  • 電機・電子4団体は既に目標を達成し、目標を深掘りするとのことであるが、他の団体においても、同様に目標の深掘りをしていただきたい。例えば建設機械工業会の目標原単位が2010年見通し原単位よりも悪くなっているが、これはおかしいと思わざるを得ない。
  • 全業種について、原単位目標のみならず排出量目標を設定することを検討してほしい。また、1990年度以外の年を基準年としている業界については、1990年度を基準年として排出量・原単位変化の計算を行って欲しい。
  • 本日説明があった業界に共通して、機械製造時よりも、この機械が使われる段階でいくらCOを削減できるかという観点が重要になる。長期的な温暖化対策の観点からは、このような業界がイノベーションへの意欲を失わず、排出削減効果の高い設備が今後も生まれ世界に普及するよう、政策面でも配慮してほしい。
  • 民生部門への対策が重要であると考えており、日本産業機械工業会からの説明で、会員企業の従業員が環境家計簿をつけることを推進しているとの話があったが、どれくらいのサンプルが集まったのか、またその効果について教えてほしい。また、他の業界団体でも同様の取組を行っていれば教えて欲しい。

○電機・電子4団体

  • アンケート結果のチェックについては、業界団体が集めた集計結果を第三者機関に評価してもらっている。

○日本産業機械工業会

  • 環境家計簿は大手の2社で実施しており、工業会としても、今後そのような事例を普及させていきたい。

○経済産業省 藤原環境経済室長

  • 自主行動計画について、本日ご指摘頂いた事項、すなわち原単位目標と排出総量との関係、デフレータの採用の問題、電力係数の変動分の処理の問題等については、基本的には現在経団連中心に各業界の自主的判断に委ねられているところ。自主行動計画のそもそものあり方についての本質的な課題ということで、今後目標達成計画の評価・見直しのプロセスの中でも重要な検討課題と位置付けさせて頂きたい。
  • 因みに、目標となる数値については、複数の指標を用いている業種が7業種、エネルギー原単位が13業種、エネルギー消費量が3業種、CO原単位が4業種、CO総量が6業種であり、そのうち何らかの形でエネルギーまたはCO総量を目標としている業種は15業種あるが、残りは原単位のみ目標としている。
  • 業界目標の基準年の設定については、原則1990年度とされているが、データが不十分であること等を理由に、1990年以降の年度を基準年にしている業界もある。

○石谷座長

  • 長い間自主行動WG委員を勤めている中で、WG委員間では現行の方法を理解し合ってしまうような状況があったが、今回、産構審・中環審の委員に基本的で重要な事項をご指摘頂いたことにより、改めて問題意識が喚起された。今後、公にも分かりやすい形で示していけるようにしたい。
  • WGとしての意見については、本日の議論を踏まえ、委員長である私がとりまとめたいが、内容はご一任頂きたい。
4.

最後に、藤原環境経済室長から、資料7に基づき今後の合同会合の進め方が説明され、会議が終了。