中央環境審議会地球環境部会(第27回)議事録

1.日時

平成17年2月23日(金) 午後3時00分~午後6時10分

2.場所

フロラシオン青山 1階 ふじの間

3.出席委員

(部会長) 須藤 隆一
(部会長代理) 浅野 直人
(委員) 浅岡 美恵 大塚 直
鈴木 基之 武内 和彦
桝井 成夫 和気 洋子
(臨時委員) 青木 保之 飯田 哲也
飯田 浩史 浦野 紘平
及川 武久 川上 隆朗
久保田 泰雄 小林 悦夫
塩田 澄夫 清水 誠
富永 健 中上 英俊
永里 善彦 西岡 秀三
馬場 久萬男 平尾 隆
福川 伸次 三橋 規宏
森嶌 昭夫 安原 正
横山 裕道
(専門委員) 原沢 英夫

4.議題

  1. 温室効果ガスの安定化濃度に関する科学者会合の結果について
  2. 温室効果ガス排出量の将来推計について
  3. 地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しを踏まえた新たな地球温暖化対策の方向性について(第1次答申案)
  4. 対策の裏付けとなる施策についての技術的検討<中間段階の報告>

5.配付資料

 座席表
 委員名簿

資料1 温室効果ガスの安定化濃度に関する科学者会合の結果について
資料2-1 温室効果ガス全体の排出量見通しについて
資料2-2 温室効果ガス将来推計の主要な変更点
資料2-3 温室効果ガス排出量削減のための対策一覧
資料3 地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しを踏まえた新たな地球温暖化対策の方向性について(第1次答申案)
資料4 対策の裏付けとなる施策についての技術的検討<中間段階の報告>
参考資料1 温室効果ガスの将来推計
参考資料2 温室効果ガス排出量の推計方法の概略について

6.議事

午後3時00分 開会

○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会の第27回会合を開催いたします。
 全委員40名中、現在20名の方が御出席でございます。ということで、これから遅れて来られる方もいらっしゃるということで、本日の会合は部会として成立いたしております。
 1月から新たに所属委員となられました原沢委員が御出席でございますので、御紹介させていただきます。

○原沢委員 国立環境研究所の原沢でございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございました。それでは、部会長よろしくお願いいたします。

○須藤部会長 委員の皆様、御多用の中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。また、事務局の環境省の皆様には準備等きちっとやっていただきましたことを、お礼を申し上げます。さらに、本日も大変たくさんの方に傍聴いただいたことをお礼を申し上げます。
 それでは、早速議題に入らせていただきます。
 本日の議題は、ここに書いてありますように、議題1、温室効果ガスの安定化濃度に関する科学者会議の結果。2番目が、温室効果ガス排出量の将来推計について。3が、地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しを踏まえた新たな地球温暖化対策の方向性について(第1次答申案)についてでございます。議題4は、対策の裏付けとなる施策についての技術的検討<中間段階の報告>でございます。既に、事務局から各委員にお伝えしているところでありますが、本日は議題3の第1次答申案について、取りまとめたいと考えております。どうぞよろしく御配慮をお願いいたします。また、議題4の対策の裏付けとなる施策の技術的検討、中間段階の報告と先ほど申し上げましたが、次回3月8日を予定しております第2次答申案の取りまとめに向けて、本日は自由な討議をお願いしたいと考えておりますので、この審議についても円滑な進行ができますよう、御協力をお願い申し上げます。
 それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。どうぞ。

○事務局 まず、座席表が1枚、それから議事次第が1枚、委員名簿1枚、それから、資料1、温室効果ガスの安定化濃度に関する科学者会合の結果について、資料2-1が温室効果ガス全体の排出量見通しについて、資料2-2が、排出量の推計の主要な変更点、資料2-3が、排出量削減のための対策一覧、資料3が、大綱の評価見直しを踏まえた新たな温暖化対策の方向性について(第1次答申案)、資料4は、クリップで束になっておりますが、クリップを除いていただきますと、まず資料4、対策の裏付けとなる施策についての技術的検討<中間段階の報告>、別紙として、こちらの委員名簿、別添1として、A3でございますが、各政策手法毎の温暖化対策への適用可能性、別添2が目標達成計画に盛り込まれることが想定される対策一覧<暫定>、別添3が、計画に盛り込まれることが想定されている対策・施策<暫定>、
別添4が、追加的な経済的支援が必要と考えられる主な対策の例<暫定>、別添5の[1]として、個票でございますが、森林の整備・保全、別添5の[2]が京都メカニズムの活用でございます。続きまして、参考資料1として、温室効果ガスの将来推計のこれまでの経緯、参考資料2として、排出量の推計方法の概略。それから、本日は海外出張で御欠席でございますが、第1次答申案への桝本委員からの書面意見、同じく、飯田哲也委員からの追加的措置に関する参考意見。それから、本日発売の結婚情報雑誌のゼクシィに折り込んで配布することとなっております、「ふたりで始める環のくらしパート2」という小冊子につきましても、配布させていただいております。何か過不足等ございましたら、お教えいただきたいと思います。

○須藤部会長 それでは、議事に入ってよろしゅうございますか。参考資料については、すぐ配付してくださるそうですので、ちょっとお待ちくださいませ。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日は、3時間、18時までの審議を予定しております。前回も私、冒頭に申し上げましたんですが、この審議会の委員の数は、現在二十数名でございますが、一応40名を予定しているわけでございまして、時間的には大変厳しい短時間の中でやらなければいけないわけでございまして、前回も120分と申し上げたんですが、今日はさらに全体で事務局から指示されている質問時間というのは96分でございます。そういう中で割り振りますと、極めて短い時間に先生方に御発言をお願いするということになりますので、どうぞ手短に、要領よく、できるだけ全員の皆様が御発言できるようお願いをして、それでは議事に移りたいと思います。
 最初の議題は、温室効果ガスの安定化濃度に関する科学者会合の結果についてでございます。この2月1日から3日にかけて、英国環境・食糧・農村地域省の主催によりまして、危険な地球温暖化のレベルとそれを避けるための方策について、G8を中心といたしました科学者間の議論を行うことを目的として開かれたものでございます。日本からは、国立環境研究所の原沢社会環境システム研究領域長を始めといたします、研究者7名が御出席をされたと伺っております。それでは、出席されました原沢委員から御報告をお願いいたします。

○原沢委員 資料1に基づきまして報告いたします。
 今回の国際シンポジウムイギリス政府が主催しましたものでありまして、温室効果ガスの安定濃度に関する科学者会合、"Avoiding Dangerous Climate Change"、「危険な気候変動を避ける」というようなタイトルのシンポジウムでありました。イギリスのエクセター、これは気象局のハドレーセンターという、日本で言いますと気象研究所があるところで開催されまして、30カ国、200名以上の研究者あるいは関係者が参加しています。あいさつには、当初ブレア首相も来るのではないかという話があったんですが、都合で来られずに、結局はベケット大臣が来られてあいさつをされたということであります。
 背景についてなんですけれども、御存じのように、2003年、ヨーロッパに熱波が起きまして、フランスでは1万5,000人ぐらいの方が亡くなったということで、非常に異常気象に対する関心が高く、これとの温暖化との関係が非常に関心が高いということが1点あります。
 2番目は、京都議定書が発効して、第1約束期間のめどがついたということではあるんですが、温暖化の対策はそれ以降も続けていかなければいけないということで、もちろん、アメリカとか途上国の動向は非常に重要ではあるんですが、さらに気候変動枠組条約で言うところの究極的な目標、大気中の温室効果ガスの安定化というようなところが、科学的にどんなことがわかっているかというのを、今の時点ではっきりまとめておいた方がいいのではないかということです。
 科学的な知見につきましては、IPCCは今、第4次報告書をまとめております。2007年の発表ということですから、まだ何年か先ということでありますし、第3次報告書、今一番温暖化の対策等にも使われている科学的な知見は、2001年の発表なので2000年頃までの科学的知見がまとめられているということで、この5年間に非常に研究が進みましたので、その新しい知見をとりまとめておこうということであります。
 こういう背景がありまして、イギリスでG8で、先ほどが開催されます。それで、アフリカの問題と気候変動問題がイシューになるということで、今の段階で科学的な新しい知見をまとめておこうということで開催されたわけであります。
 資料の2ページですけれども、時間も限られておりますので、簡単に成果をお話ししますが、話題は3つございまして、1つはさまざまなレベルでの温暖化の影響はどうなっているかという話。2番目が、危険な温暖化を避けるための安定化濃度とか排出経路について何がわかっているか。3番目には、安定化を達成するための技術的なオプションというのはあるんだろうか。そういう3つの問いがありまして、各国から、論文の募集がありまして、かなりの数の論文が提出されたわけであります。
 成果ですけれども、まず1つは、影響関係であります。これについては、先ほど御紹介しましたように、IPCCの第3次報告書以降、もう5年ぐらい経っておりますので、この間非常に多くの影響の検出、あるいは影響の予測に関する論文や報告書が出ております。一言で申しますと、科学者が考えていた以上に、温暖化は進んでおりますし、このままいくと、これまでは確率的に発生がないのではないかといわれていたような大規模な影響も表れるのではないかというようなことが発表されました。具体的に申しますと、グリーンランドの地域的な気温が2.7度、これは全球でいいますと、1.5度上昇しますと融解が始まるですとか、あるいは1度気温が上昇しますと、サンゴ大規模なの白化が起きるとか、かなりいろいろな事例が報告されました。それで、3度以上の気温上昇になりますと、21世紀中には起こることがほとんどないと第3次報告書では述べられておりました海洋大循環の停止、これはデイ・アフター・トゥモローでも有名になりましたような、極端に変わるような気候変化でありますけれども、そういった海洋大循環の停止といった現象の確率、あるいはリスクも高まってきているのではないかといったような報告がございました。
 2番目ですけれども、安定化濃度と排出経路、さらにそのときの影響ということにつきましては、ヨーロッパでは550ppmに安定化して、温度上昇2度ぐらいを目途に対策を打っていこうということで、この科学的なバックグラウンドを私どもも探していたわけなんですけれども、一歩進めた議論がありまして、どうも550ppmに安定化しても2度を超える確率はかなり高そうだというようなことがわかってきたということであります。さらに、対策を、これはある意味では当たり前なんですけれども、例えば対策が5年遅れたりしますと、それを取り返すために、かなり大幅な削減を相当のスピードでしなければいけないというような論文が何本か出ておりました。
 最後ですけれども、安定化のための技術オプションがあるかということです。ただし、特効薬はないということでありまして、費用をなるべく安く抑えるためには、COだけではなくて、いろんなガスに対する対策を進めるような話。あるいは京都メカニズムですとか、強力な技術の開発、普及、取引といったものが必要であるだろう。ただし、現在の段階では、いろんな政治的、社会的、行動的な障壁もあるということですので、こういった問題も克服しないかないと、使えるオプションも使えないで当初の予定どおりいかないのではないかということであります。
 以上が、科学者会合の簡単な報告です。以上です。

○須藤部会長 どうも御報告ありがとうございました。
 本来でありますと、ここで御質問もいただくところでございますが、今日は予定が詰まっておりますので、もし御質問がある場合は、第3の議題の御質問のところで一巡させていただきますので、そのときにお伺いしたいと思います。
 それでは、議題2に移らせていただきます。次の議題、温室効果ガス排出量の推計について、夏の中間とりまとめ以降の状況変化を反映させて、再計算を行っていただいたものでございます。それでは、清水地球温暖化対策課長、よろしくお願いいたします。

○清水地球温暖化対策課長 地球温暖化対策課長の清水です。座って説明させていただきます。
 この排出量関係の資料、資料2-1、2-2、2-3という3つございますが、そのほかに参考資料1、参考資料2というのが、後ろについております。この5つの資料を使って、御説明したいと思います。
 まず、申しわけないんですが、参考資料2から見ていただくのが一番わかりやすいかと思います。後ろの方についております参考資料2であります。温室効果ガス排出量の推計方法の概略ということで、こういう温室効果ガスをどういう形で推計しているかを、概念的に表したものであります。
 一番最初のページにありますように、例えばエネルギー起源のCOの排出量の算定でいきますと、活動量×活動量あたりのエネルギー消費量、それにエネルギーごとの温室効果ガス排出量、いわゆる原単位と排出係数を活動量に掛けるというような、そういうやり方で計算しております。例えば、産業部門のところを見ますと、活動量と原単位に排出係数というのがあるわけですが、それぞれ生産動向などを見ながら活動量が決まり、それからさまざまな対策を行うことによって、原単位あるいは排出係数が変わる。エネルギー関係の対策によっても影響されるというような、こういう基本的な構造の中で、排出量について推計しているわけであります。
 それでは、その前提となる生産フレームがどういう形になっているかというのを示したのが、資料2-2を御覧いただきたいと思います。資料2-2、温室効果ガス将来推計の主要な変更点というふうにございます。実は、昨年12月以来、いろいろな係数、あるいは経済フレームと申した方がいいかもしれませんが、その変更がございました。その結果なども踏まえて、今回の推計の値が変わってきているという、そういう大前提になる変更点であります。
 まず、1ページ目を見ていただきますと、エネルギー起源COの中に、経済成長率の最新の見通しというふうに書いてございます。2005年1月21日に政府としての将来展望が出ておりまして、この中でこの図、真ん中あたりに図が書いてございますように、経済成長率が将来にわたり1.6から1.5%程度になっております。これは実は従来2%ということで我々は推計してきたものを、下方修正ということになりますので、当然推計値も変わってくる。それから、エネルギー多消費産業の生産量ということで、これもかなり大きなフレームになるわけですが、これが変わってきている。それから、次のページにまいりまして、自主行動計画上の目標の変更など、製紙連合会あるいは電機・電子4団体におきまして、少し目標なども変わっているというようなことでございまして、こういった点を踏まえまして、今回の推計の値がかなり変わってきているということであります。
 この推計をするに当たりまして、対策ということを当然考えるわけであります。その対策を示したのが資料2-3になります。これは、将来推計の前提としまして、どのような対策をどれだけ実施するかという定量的な前提を置かないと計算できないということになりますので、それを示した資料です。逐一、内容の説明は省略いたしますけれども、こういう定量的なまず経済フレームの変化、あるいは対策の定量的な数量ということを前提にしながら、当方としまして計算を続けてきたということです。
 それで、資料2-1という一番最初の資料に戻っていただきたいと思います。資料2-1が温室効果ガス全体の排出量見通しについてということです。今申し上げましたような考え方、経済フレームの変化、あるいは対策量を見込みながら、2010年における今のまま対策が進んだ場合、それから2010年における対策を強化した場合の、それぞれの排出量について推計を行った結果が、この資料に表れているということでございます。
 これを見ますと、例えばエネルギー起源COというところを見ますと、2002年度は10.2%増ということで、大変伸びていたわけであります。非エネルギーCO、メタン、NOとかあるいは代替フロン等3ガスが下の方にありまして、温室効果ガス排出量というところの2002年度の値を見ていただきますと、これまでお話ししていた7.6%というようなこういう値だったわけでありますけれども、これ、それぞれ7.6%の内訳が、エネルギー起源CO、メタン、非エネルギーCO、メタン、一酸化窒素、あるいは代替フロン等3ガスという、こういう形で分かれていたわけであります。
 これが将来、2010年に現状対策でいったときに、温室効果ガスの排出量のところを見ていただきますと、プラス6.0%ということで、このままの対策ではまだマイナス6%目標を達成するに至らない。それが、現状対策ケースということであります。一方、対策強化ケースのところを見ていただきますと、温室効果ガス排出量という下の欄を見ていただきますと、温室効果ガスマイナス0.5%、それから吸収源3.9%、京都メカニズム1.6%を含めまして、マイナス6.0%に届くという、そういう姿を見せているわけであります。
 この対策強化ケースの内訳でございますけれども、従来、この大綱の目標につきましては、左の下の方に書いてありますけれども、現大綱ということで、非常に小さい枠組みに掲げられているのが現大綱の数字でありますけれども、特に、ガスでマイナス0.5%ということを目指すというところは変わらないわけでありますけれども、例えばエネルギー起源COについて見ますと、これはエネルギー起源COと国民努力、革新的技術などを含めて、基本的にはマイナス2%という目標で、これまで対策を行おうとしてきたところでありますけれども、これが今回の推計によりますとプラス0.6%ということで、少し上方に修正されています。その分どうなったかということでありますけれども、非エネルギー起源CO、メタン、NOの部分、これは従来マイナス0.5%というようなことで対策を行ってきたわけでありますけれども、ここの部分がマイナス1.2%ということが対策強化ケースのところに数値として現れております。すなわち、ここで0.7%ほど、さらに目標を超過達成といいますか、深掘りすることができる。それから、代替フロンにつきましては、これまでプラス2%ということを目標に対策を行ってきているわけでありますけれども、これがプラス0.1%、すなわち1.9%分ほどさらに対策が進む可能性があるということであります。こういった結果を受けまして、エネルギー起源COにつきましても0.6%という数字で推計を行っているわけであります。この数字そのものは、現在この星印の2番目にありますように、関係省庁と最終的な調整中という前提ではありますけれども、一応の推計値としてこういう形になっております。
 さらに、このエネルギー起源COの中の産業部門、民生部門、家庭部門、業務その他部門という形で見ていきますと、それぞれこの一番右の対策強化ケースの括弧書きのパーセントを見ていただければいいと思いますが、例えば産業部門につきましては8.6%、それから、これは従来目安としての目標はマイナス7%、あるいは革新的技術開発を含めれば、マイナス8%ということで対策をとってきたわけでありますので、今回推計しまして、ほぼこれまでの対策と同じようなレベル、少し対策の値がコンマ以下で強化されております。
 民生部門につきましては、これまでマイナス2%という目標だったわけでありますが、実際民生部門のところの2002年度の値のところを見ていただきますと、33%という数字がございます。現在、民生部門として33%伸びているということですので、これをマイナス2%、あるいは実態的に見ますと、国民各界各層の努力分がありますので、例えば家庭部門につきましては、実質的にはマイナス12%というのが、現在の大綱の実質的な目標値であったわけでありますけれども、なかなか家庭部門につきまして見ても、現状の2002年度を見て28.8%というような数字があるわけでありますので、そこから4割削減というのは大変大きな数字になるわけで、かなり実現可能性が低いわけでありますが、今回実施可能な対策というのを積み上げ、家庭部門につきましてはプラス6%、それから業務その他部門につきましてはプラス15%というのを一応目安としての値を示しております。従来の目標値に比べますと、かなり上方修正という御意見もあるわけでございますけれども、これは現状から見て、それぞれ家庭、業務につきましては、2割以上、20%以上の削減を求めるという、大変、この値自体も厳しい値であるということは認識した上で、こういう対策強化ケースの数値を出しております。
 これが2-1でございます。
 最後は、参考資料1を御覧いただければと思います。これまで、温室効果ガスの将来推計、夏以来何べんか数字を出しておりますが、従来の推計がこういう形で変わってきたということでございます。たとえば、この参考資料1の裏側を見ていただきますと、対策強化ケースの数字がございます。昨年8月の中間報告の値から見て、いずれもほぼ前回の8月の値に非常に近い値が、今回最終的な値になったものというふうに理解しています。したがいまして、かなり8月のときの推計は、正確な数字であったのであろうというふうに理解しております。
 議題2は以上でありますが。

○須藤部会長 どうも御説明ありがとうございました。ここで、本来ですとやはりこの推計量について御質問いただくところでございますが、次の議題、先ほど第1次答申案と申し上げたんですが、その中でこの問題を取り上げる方が私は妥当と判断しておりましたので、続いて、議題3についても御説明いただいて、その後、委員の先生方から一括して御質問なりコメントをいただこうと思いますので、続けて清水地球温暖化対策課長、御説明願います。

○清水地球温暖化対策課長 資料3でございます。これは、内容的には8月の中間取りまとめを踏まえまして、前回のこの会合におきまして、資料を示させていただきました。前回、さまざまな御意見をいただき、それをリバイスしたものという形ですので、今回の説明は特に変更のあったところを中心に、時間の制約もありますので、簡単に説明させていただきたいと思います。
 この資料3は、「地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しを踏まえた新たな温暖化対策の方向性について」というタイトルになっております。今回、第1次答申ということでございます。これは、後で第2次答申をどういう形で行うかということを、考え方も御説明したいと思います。
 1ページを開けていただきますと、目次でございます。基本的な構成は、前回と変えておりません。前回の議論を踏まえて、一部修正しているということであります。Iで、基本的認識と日本の取組、IIが大綱の評価を行い、それから次のページにまいりまして、IIIで、大綱の評価・見直しを踏まえた京都議定書目標達成計画の策定。それから、最後は、対策の裏付けとなる施策の検証についてということを、一つ項目として付け加えておりますので、これは後でまた御説明したいと思います。
 それでは、内容の説明に入りたいと思います。ページを繰っていただきまして、1ページというところを御覧いただきたいと思います。
 これは、はじめにという形でありますが、追加いたしました。特に、最近、異常気象の頻発など、国民の不安が高まっているということがありますが、特に1ページの真ん中あたりで、本年2月16日に京都議定書が発効いたしましたので、そのことを書いております。
 それから、1ページの下の方にいきましては、大綱で「ステップ・バイ・ステップのアプローチ」を採用し、2004年と2007年に大綱の見直し作業を行うと。次の2ページにまいりまして、そういう「ステップ・バイ・ステップのアプローチ」に従った見直しの検討として、特に中央環境審議会では、昨年1月から16回にわたって審議をいただいたことを書いております。そういったこれまでの審議を踏まえ、大綱の評価・見直しを踏まえた京都議定書目標達成計画の策定に当たっての視点、目標のあり方、目標を達成するための対策、施策の方向性に関して答申を行うこととしたというのが、今回の第1次答申の趣旨であります。
 それから、今回の第1次答申の中で、まだ行っておらない作業がございます。それが次のところに書いてありますが、今後は対策が確実に実施されるよう、対策を実現するために必要となる施策やその量についての検証作業を進めていると。その結果を踏まえて、追加的な答申を早急にとりまとめることとしたいということで、ここの部分について、さらに次回御議論いただき、次の第2次答申におまとめていただければ大変ありがたいという、そういうスタンスで書いております。
 3ページ目からが、前回もお示しした本文であります。3ページ目につきましては、前回、北半球の中緯度地域のところにおける影響があるという御指摘がありましたので、ここを追加しております。
 それから、4ページ目にまいりまして、ここは追加はございません。
 それから、5ページの図1につきまして、少し御指摘があった点を踏まえて一部修正しております。
 以降、6ページ、7ページ、8ページ、9ページ、11ページまでは変更がございません。失礼いたしました。7ページになります、対策技術の重要性と社会変革のための対策技術の早期導入の必要性という部分、平尾委員の意見を踏まえて一部修正しております。失礼いたしました。
 それから、11ページにまいりまして、11ページの下の段落で、京都議定書が2005年2月16日に発効いたしましたので、そのことを記述しております。
 それから、12ページにまいりまして、図2は京都議定書の批准国、2月14日現在でありますけれども、わかりやすい図で記載しているものであります。
 それから、13ページから、地球温暖化に関する日本の取組ということでありますが、ここのページについては、特段変更はございません。
 それから、14ページから大綱の評価ということに入ってまいります。
 1が、現在の温室効果ガスの排出状況ということであります。これは、14ページから24ページまでの記述でございますが、前回からは一切変更ございませんので、この24ページまでは説明は割愛させていただきます。
 それから、25ページからが、大綱の対策・施策の進捗状況の評価ということであります。この部分につきましても、基本的には変更しておりません。ただ、対策について整理した関係上、一部てにをはなどは直しておりますが、基本的に従来のトーンで書いているということであります。
 ただ、ちょっと1点だけ御指摘しておきたいと思います。29ページでありますけれども、前回、混合セメントについて平尾委員から御指摘がございまして、混合セメントについて追加対策の方で実は混合セメントが抜けたのではないか、これはどうなったのかという御指摘がありました。実は、混合セメントに係る記述のところにつきましては、追加対策ではなくて、むしろ現行対策で、今の対策を推進するという形での位置づけということにしております。29ページの真ん中から少し下ほどに、セメントの減少や混合セメントの着実な利用拡大など、工業プロセスからの排出量が減少しておりというところに、明確に書いておりまして、ここは混合セメントについて記述を追加したということであります。そこを除きましては、特に評価のところについては基本的な変更はございません。
 それから、37ページのところからが、2010年における温室効果ガスの排出量の見通しと不足削減量のことであります。この3につきましては、特に、前回数値を入れない、表を入れない形で御説明したわけであります。今回、39ページ、40ページという形で現状対策ケースの値を追加しております。まさにこの値は、先ほど資料2で御説明したその数値をここに入れ込んだという形になっているわけであります。この39ページのところを見ていただきますと、これは現状対策ケースでありますけれども、大綱の対策・施策を現状のまま実施しただけでは、京都議定書の6%削減約束は達成できないおそれがあるということでありますので、追加的な対策や施策の導入が不可欠であるということが、今回も現状対策ケースの推計においては示されているということであります。
 それから、40ページの方にまいりまして、(4)2010年において不足する削減量ということであります。現状対策で、排出量ベースで見ますと、6%程度、1990年を上回るということになりますので、ギャップとしては12%のギャップであります。ただ、吸収源対策が現状のままで推移した場合に、2.6%程度の吸収量は確保できるという見通しがありますので、追加対策として考えた場合は、これを差し引きまして、9.4%程度の不足削減量をともかく追加的対策で何とかしなければならないということが、40ページまでの前半の評価の結論ということでございます。
 それから、41ページ以降が、IIIということで、大綱の見直しを踏まえた京都議定書目標達成計画の策定ということであります。
 41ページの1の(1)のところで、京都議定書目標達成計画の策定に当たっての基本的考え方ということであります。これが41ページから44ページまでございますが、ここの部分については、前回と特に変更等はございません。
 44ページから(2)あらゆる政策手法の特徴と活用ということでございます。ここのところは前回御説明いたしましたが、基本的には施策小委員会の方の報告書をそのまま採用したという形になっておりまして、ここの部分、(2)のところ、46ページまでのところにおいて特段の変更はございません。ただ、46ページの一番下に2)の各政策手法の活用というところがございます。ここまででさまざまな政策手法の特徴を記述しておるわけでございますけれども、各政策手法の活用について、今後対策がすぐ実施されるように、対策を実現するために必要な施策やその量についての検証作業を進めて、その結果を踏まえた検討を行うということを書いています。まさにこの部分の検討が進んだ段階で、第2次答申の内容として御相談したいということを考えています。
 それから、47ページからの(3)諸外国における地球温暖化対策につきましては、これは特段の変更はございませんで、説明は省略します。
 それから、49ページから、中長期的な観点からの温暖化対策技術の普及ということで書いています。ここも基本的には変更ございませんが、49ページの2番目の丸につきましては、技術的要素を分解して、それぞれの要素に対してどういう技術が利くかということをわかりやすく書いた、こういう記述を追加しております。
 そのほかにつきましては、52ページまで変更はございません。
 それから、53ページから、京都議定書目標達成計画の目標の在り方ということが記述されているわけでありますが、ここも基本的には変更ございません。53ページ、54ページ、55ページとまいりまして、55ページの下の方から、革新的な環境・エネルギー技術の研究開発の強化、それから次の56ページに、国民各界各層による更なる地球温暖化防止活動の推進についてとあります。前回と比べまして、順序が少し入り組んでおりましたので、順序の整理だけはしております。ここの部分に書いてあることは、これまで御議論させていただいたとおり、これらの革新的技術なり国民各界各層の対策について、ダブルカウントを避けるべきだという御議論があったわけでありますので、今回の目標値の推計につきましても、こういった記述を踏まえた形でしております。すなわち、前回の大綱におきまして、革新的技術あるいは国民各界各層の努力というものが、エネルギー起源COの外枠として議論されたわけでありますが、今回の推計におきましても、内枠という形で議論をしております。ただ、これらの対策、当然重要な対策でありますので、参考値としての排出削減量見込みはきちんと出した上で、それぞれの対策は進めていきたいというふうに思っております。
 それから、58ページで、社会経済活動量の変化と温室効果ガス目標の設定ということであります。ここの内容については変更ありませんが、ここに書いてあるような大きなトレンドの流れを見た形で、今回のエネルギー起源COの対策の、それぞれの部門別の対策についての見直しも行われたものというふうに理解しています。
 それから、59ページからが、各区分や部門にまたがる横断的対策・施策の部分であります。ここにつきましても、59ページ、60ページ、61ページと続きまして、大きな変更はございません。69ページの環境税のところまで、前回と同一の文章にしております。環境税のところが(7)ということでございますが、69ページの一番最後の○、それから70ページの最初の○を追加しております。69ページの最後の○におきましては、今後の作業といたしまして、特に環境税絡みでございますけれども、対策を実現するために必要となる施策やその量について検証する作業を通じて、温暖化対策全体の中で環境税の果たすべき役割を、より具体的かつ定量的に明らかにするということを書いております。
 それから、70ページの方にまいりまして、前回、環境税について、課題について指摘を前回はしていたはずなのに、そこの部分が抜けているという御指摘がありましたので、環境税についての課題となる部分を追加したということが、70ページの一番上の丸でございます。
 70ページ、71ページはそのほかについては、特段の変更ございません。
 それから、72ページにまいりまして、これは複数の主体による複合的・システム的に連携した対応ということで、前回も記述しましたが、特に前回、都市計画について踏み込んだ記述が必要だろうという御指摘をいただきましたので、都市計画についての記述を72ページのところで加えてあります。
 それから、74ページ以降、個別ガス別の対策・施策の強化ということであります。基本的には、前回と同じような考え方で書いております。特に排出量推計に当たって、対策について関係省庁ともそれぞれ調整しております。その中で必要な部分については追加しておりますが、広くこの中では記述しているということであります。ですから、逐一の説明はいたしませんが、ただ1点だけ御指摘しておきたいのは、78ページのところでございます。後で御紹介する桝本委員の御意見もありましたけれども、特に78ページの産業部門の対策・施策の強化の中で、各業種の自主行動計画に基づく取組の促進ということで、下から2番目の○のところで、京都議定書目標達成計画におきまして、個別業種の自主行動計画の目標値を記載するとともに、その蓋然性を高めることが必要であるという記述を書いています。これは、前回の表現と同じ記述にはしておりますが、これは桝本委員からも御意見がございましたので、本日議論していただきまして、その議論を踏まえて、必要であればここは修正するということで、現段階の案としては一応これを出しているということでございますので、御了解いただきればというふうに思っております。
 個別の対策については、細かくなりますので省略いたします。
 それから、100ページを御覧いただきたいと思います。100ページにおきまして、6、地方公共団体の施策という形で、新たな項目を挙げております。実は、この地方公共団体の施策は、前回の記述におきましては、次の対策施策の実施体制という中の1つの項目として、小さな項目として置いていたのでありますけれども、特に今回、京都議定書目標計画を策定するときに、地方公共団体の役割というのは大変大きなものがあります。特に計画の中に位置づけていくというようなことも法律上規定されておりますので、この地方公共団体の施策は、大きな項目として今回特出しして書いております。特に、この(1)の一番最初の丸に書いてありますように、温暖化対策につきまして、地域から発想して、地域の実情に最も合った取組を地方公共団体が主体的に推進するというふうな考え方が重要であって、地球温暖化対策の推進に当たって、地方公共団体が果たす役割は大きいというような記述をしております。
 それから、いろいろな対策の例として、地域のまちづくり的な取組とか、あるいは非常に事業者、住民に身近な公的セクターとしての活動、あるいは先進的なモデル的取組ということをここでは記述しております。これが新しいところであります。
 それから、102ページにまいりまして、対策・施策の実施体制ということであります。今申し上げたように、実は前回はこの中の(3)という形で、地方公共団体の役割と書いてありました。これは100ページに新しい項目として挙げましたので、その地方公共団体の部分は削除されておりますが、そのほかの部分につきましては、前回と同じであります。
 それから、104ページから、追加対策による削減効果と京都議定書目標達成計画の目標値という記述にしております。これも前回、104ページ、105ページ、106ページあたりの記述は前回と同じでありますが、将来推計の数値がまだできておりませんでしたので、この107ページ、108ページの表につきましては、前回お示しできなかったわけであります。今回、こういう形で表という形でお示ししております。この内容につきましては、先ほど御説明いたしました資料2における推計と同じ値ということになっております。今回、この推計を行いましたので、これを踏まえて、京都議定書目標達成計画の目標ということが検討されることが必要であるということで、提言をしておるわけであります。
 それから、最後109ページになりますが、対策の裏付けとなる施策の検証についてということであります。京都議定書が発効しまして、今回こういう形で答申を行うという、そういう趣旨が書いてありますが、最後の行に、これも前文のところと同じでありますけれども、今後対策を実現するために必要となる施策やその量についての検証作業を行って、追って追加的な答申をまとめるということであります。今回の答申の1次答申とし、その議論を踏まえた答申を2次答申ということで扱っていただきたいというふうに思っております。
 最後、桝本委員からの意見が出ておりますので、御紹介いたしたいと思います。皆様のお手元に配られたと思いますが、桝本委員の方からの意見書ということでありますが、第1番目の意見が、78ページ、各業種の自主行動に基づく取組の促進ということでございます。先ほど、私の方から、前回と同じ表現で今回は挙げさせていただいたというところでありますが、修文案といたしまして、「京都議定書目標達成計画によっては、経団連の自主行動目標を十分に達成する蓋然性を高める取組が必要であり、その際には経団連自主行動計画の下の個別業種が、各自の目標に向かい全力で取り組むことが奨励される」というような修文でございます。理由といたしましては、チームワーク的な取組の中で、チームプレーを弱めるということはいかがなものかということが御指摘されております。
 それから、次の2ページにまいりまして、一番最初のこの意見が一番強い意見だというふうに思っておりますが、以下の項目についても最大限御配慮をお願い申し上げますという形で、44ページの事業者による自主的取組の促進のところ、あるいは46ページの排出量取引制度に関する意見、あるいは、77ページ、電気事業における取組に関する意見、あるいは自主取組についての、特にクレジットで移転するという部分に関する意見が来ております。
 以上であります。

○須藤部会長 課長、御説明簡潔にしていただきましてありがとうございました。
 それでは、先ほど、議題1、2につきましても御質問いただきませんでした。今の議題3、これは第1次答申案でございますが、1、2、3を含めまして御質問なりコメントのある方はどうぞ、札をお立てください。この前のお約束でございますと、左側からまいりますので、前回はこちら側でしたので、原沢委員が今日は最初でございますけれども、こちらからまいりますが、それでよろしゅうございましょうか。それでは、順番にまいります。先ほど申し上げましたように、なるべく簡潔に、要領よく御質問なりコメントをお願いいたします。どうぞよろしく。

○原沢委員 前回、ちょっと出席していないものですから、確認という意味を含めて2つほどお聞きしたいんですが、1つは、評価見直しの透明を確保ということで、54ページの方にPDCAサイクルの話がありまして、こういった形で計画の進捗状況を確かめるという意味で非常にいいなと思うんですけれども、例えば計画関係はやっぱりフォローアップがなかなか難しいということもありますので、こういったPDCAサイクルを根づかせて、毎年定期的にチェックするということが非常に重要だろうということで、例えば、最近ですとある県なんかは、環境基本計画の見直しにこういったPDCAサイクルを入れておりますので、そういう意味でも環境面でこういった環境管理的な仕組みが入ることについては、非常によろしいのではないかと思います。
 もう1点、38ページに、これはちょっと確認なんですけれども、対策の実施による削減効果ということで、[1]から[4]のいわゆる対策のカテゴリー化をやっていらっしゃるということでありまして、後で追加的な対策等については、このうちの[1]あるいは[2]という判断でよろしいのか、あるいは[3]、[4]を含めているのかどうか、ちょっと確認という意味で御質問させてください。

○須藤部会長 とりあえず、2番目の方はすぐお答えいただいた方がよろしいと思います。

○事務局 削減量の計算に当たりましては、明確に削減量を計算できるもののみを含めております。

○須藤部会長 それではありがとうございました。
 横山委員、続いてお願いいたします。

○横山委員 前回の案と比較して読んでみて、やはり地方公共団体の施策というところを特出ししたのは大変よかったなと。今後の温暖化防止で中心になるのは、紛れもなく地方公共団体であるわけで、その点については評価したいと思います。
 ただ、前回部会長からも、財源的にも裏打ちされた対策・施策なんかを示すようにという宿題が出されましたけれども、そういう観点から言うと、私はもう少し具体的な話が出てくると思いました。しかし、残念ながらそうはなっていないと思います。そういうきちんと財源的にも施策の面でも裏打ちされたものでない限り、6%削減がこれでできますよと言われても、それは数字合わせに過ぎないという批判、印象はぬぐえないわけで、残念ながらその辺は少し不満というか、もう少し踏み込めなかったのかと思います。
 そういうことから考えると、6%削減という目標達成のためには、環境税の導入というものが欠かせないということが、私は改めてこれを見て思いました。なかなか、対策、施策でどうやって効果を挙げていくかということが見出せない中で、環境税の導入というのは欠かせないと思います。温暖化対策税、あるいは環境税のような1本柱が通ってこそ、いろんな対策とか施策が生きてくるわけで、それから税収を温暖化防止の財源にすることで、対策、施策というのが、より確実なものになるということができるわけで、ぜひともこの第1次答申の環境税のくだりに、温暖化防止には環境税の導入が最大の道なのだというような趣旨のことを書くべきではないかというふうに思います。これから、他省との激烈な折衝が始まるわけで、そのときにこの第1次答申に出ているようなあいまいな表現では、全然環境省あるいは中央環境審議会が考えているような厳しい対策、施策というのは打ち出せないようになるというふうに心配します。ぜひ、環境税のところはもう少し踏み込んでやっていただきたいというふうに考えます。
 それから、2番目ですけれども、作業を急いで3月8日にまとめる答申では、対策・施策をだれが見ても、ああこれならいけるなというようなものにしてほしいというふうに思います。改めて言うまでもないんですが、これまでの大綱と違って、京都議定書が発効したという段階では、京都議定書目標達成計画というのは一段と重みを増すわけで、その辺を考えた上でやっていただきたいというふうに思います。
 それから、桝本委員の方から、原発の修正ということが出ていましたけれども、私は原発に過度の期待をかけることとか、京都メカニズムの安易な拡大というものについては、やってはいけないというふうに思いますので、修正する必要はないと思います。
 以上です。

○須藤部会長 今、3点いただきましたが、これは、意見として今受け止めさせていただいて、最後にまとめの段階で、課長なり部会長なりが方向性を示したいと思います。
 続いて安原委員、どうぞお願いいたします。

○安原委員 私は、ただいま説明をしていただきました第1次答申案のドラフトは全体として非常によくまとめていただいておりますので、結構かと思います。
 それから、個別のところでは横山委員とだぶるわけでございますが、まず69ページから70ページにかけての環境税のところでございますが、前回は環境税についての今後の検討の方向が、似たような表現ではありましたが、中期の形になっておりましたが、これを本文に上げていただいて、2つの丸のところで表現していただいておりますので、今後環境税をどういう見地から検討を進めるのかが明確に示されておりますので、これで進めていただければ結構かと思います。
 それから、第2点目の桝本委員の御指摘のところですが、私も横山委員と同じ、原案の方がいいのではないかと思います。自主行動計画は、非常にこの京都議定書目標達成計画の中でも非常に重要な位置を占めるわけでございますので、少なくとも計画の上で何らかの位置づけをきちっとするのが適当であると思います。そして、目標値を記載すれば、それだけ蓋然性が高まるということでございますので、ぜひ原案を維持していただきたいと思います。
 以上でございます。

○須藤部会長 どうも御意見ありがとうございました。
 それでは、三橋委員、続いてお願いをいたします。

○三橋委員 1つは、質問なんですけれども、2010年までのこの現状対策とそれから対策強化ケース、これは前提がどういう具合になっているのかということお聞かせいただきたいんですけれども、現在の大綱に沿ってやるのが現状対策なんですか。あるいは対策強化というのは、例えば議論になっている環境税とか、そういうものも入った対策なんですかということが第1点です。それが質問です。だから、現状と対策強化はどこがどう違うのかということが質問です。
 それから、あと私も環境税について1つ、この69ページについて、例えば、また環境税の効果としてはというのが真ん中辺にありますね。「効果の3つの効果があるとされており、」と書いてあるでしょう。しかし、環境税については既にヨーロッパでは十数年のもう歴史があって、環境税を実施した結果、具体的にこういう効果がある、例えば省エネの効果があるとか、そういう事例はいっぱいあるわけです。だから、ここのところは、注か何かをつけて、「効果があるとされており」ではなくて、もう効果が上がっているところもあるわけですから、その辺を具体的に注か何かをつけて、ヨーロッパの場合にはここではこういう効果が上がっているとか、そういうようなことを書かないと、余り説得力がないと思うんです。それで、中央環境審議会が今までもいろいろヨーロッパの環境税についての、どこの国が何年からどういうことをやってどうだというような一覧表をよく発表してもらって、我々も見ていますけれども、どういう効果が上がっているのかということについては、ほとんど触れていないんです。しかし、今必要なのは、実際にやった結果どういう効果があったのか、もし欠点があるなら欠点があるという、むしろそっちの方の分析をして、目標達成計画に過去の、もう既にやっているところの実績を示すということが、意味があるんだと思うんです。何年にどこの国が何をやって、何パーセントでどうだったというようなことはもう十分わかっているわけで、やった結果どうだったのかということです。それをやっぱり盛り込まないと、目標達成計画としては弱いのではないかということを、私意見として強く申し上げておきたいと思います。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 2番目の方は御意見として承って、最後にまとめさせていただきますが、1番の方は、前提条件でございまして、質問でございますので、ちょっと。

○事務局 資料2-3を御覧ください。これは内容を御説明しなくて、大変失礼いたしました。
 資料2-3を1枚めくっていただきますと、対策の一覧、それから省エネ効果、参考としてのCO削減見込み、それで対策の内容と書いてありまして、上の方を見ますと、2010年度の削減効果の積算の前提という欄がございまして、現行対策、追加対策というふうにあります。これが現行対策のときに何を見込み、追加対策のときに何を見込んだかということであります。例えば、現行対策のところにバーがついてあって、追加対策のところに記述があるものがあります。例えば次世代コークス炉のところを見ていただきますと、現行対策の中はバーで、追加対策のところに記述があります。こういうものがいくつか、中を見ていただきますとあります。これは現行対策では見込んでいないけれども、追加対策では見込んでいるという、これを大きな前提として算定しているというものであります。
 環境税につきましては、こういう対策技術を後押しするという意味において、大変大きな役割を果たすものというふうに理解しております。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして福川委員、どうぞお願いいたします。

○福川委員 今回、経済成長の見通しを改定されて、新しい構造改革と経済財政の中期展望によって推定をされたと、こういうことになっておりますが、確かに2005年度は1.6%の成長なんですが、以後、1.5%だったり1.6%だったりするんですけれども、これはどういうことでこういう1.5%だったり1.6%だったりするのか。これはどういう根拠でこういうふうに相成ったか。多分モデル計算だと思いますけれども、従来の2%と違った要素で、どこが一番変わったか、もしおわかりであれば教えていただきたいと思います。
 それから、資料の2-1で、全体の排出量の見通しが書いてありますが、この中で家庭部門、業務その他部門というものが、2002年度に比べ、あるいはまた現状対策に比べ、相当深掘りをするということになっておりまして、これが大変できれば結構だと思いますが、では一体これは家庭部門とか業務その他部門というのは、なかなか政策の有効性が必ずしもはっきりしてこないわけですが、どうしてこういうふうになってくるのか、あるいはどういう政策をとることを考えてこういうふうに相成ったのか。かなりこれは相当大きなカットバックですから、もう少し政策の有効性というものについて説明をしていただかないと、なかなか皆さんの納得が得られにくいのではないかという気がいたします。特に、また業務部門、ビル部門というのは実はもっと政策を強化していく必要があるし、私などは特に、例えば業務部門のビルについても、例えばトップランナー方式を導入するというようなことで、競争を刺激するというようなことも考えていいのではないかと、このように思っているところであります。
 それから、69ページの環境税とも絡むんですけれども、一体この税を考えるときに、どこの部門の消費を抑制しようとするのか、あるいはどこの部門の政策を強化しようとするのか、これは相当、ただ税といってもつくり方によって税の効果というのは非常に違ってくるわけで、それで一体この税が果たして確実性なのか効率性なのかというのは、私は判断できにくいと思います。環境税については、もっとより詳細な検討が必要だと思うので、私はむしろ環境税そのものを否定するものでは決してないんですけれども、環境税をもし納得させようと思うなら、この69ページの表現は、私はまだ不十分ではないかと、こういう気がいたしております。
 それから、前回もお尋ねしましたが、環境省としていろいろ今回予算要求をなさって、かなりのものが取れたと、大変満足をしていらっしゃるやに印象を受けますが、そういうことであるなら、どういう効果がこの今の予算の中でできるのかという気がいたします。ここの大綱の方向を見ても、実は各省、他省のことはかなり書いてあるけれども、環境省が何をやったかというのは余り書いていないんです。そのPRをしたとかいうことが書いてあるんですが、一体では環境省は予算を取られて、どういう効果があるようなことをなさったか、前回お尋ねをしたわけですけれども、それをやっぱりきちんと御説明していただきたい。またそれは説明責任が環境省としてはあることだと思いますし、それがまた将来何か充実しなければならない施策があるとすれば何であるのかということを明瞭にしていただく必要がある。このように思っております。
 以上です。

○須藤部会長 どうも御質問と御意見を混ぜていただいて、4点あったかと思いますが、2と3はどちらかというと御意見というふうに承りたいと思いますが、1と4については、ちょっとお答えをいただいた方がよろしいかと思います。

○事務局 まず、経済成長率がどういう計算かということの御質問がありました。私ども、経済財政諮問会議における構造改革と経済財政の中期展望という政府全体の決定をそのまま採用したということであります。内閣府の方でこの計算をしておりますので、これは経済モデルを動かしてそういう数値が出てきているのであろうと推測しますが、より詳細に調べて御報告したいと思います。
 それから、それぞれの対策、環境省が予算を取ったことによる削減量がどうなっているかということを明確にするべきだと。これは、自民党などの場においても議論になっておりまして、私どもも資料を作成しておりますので、次回のこの会合に出すようにしたいと思います。

○須藤部会長 前回も御質問いただいたんですが、その御説明は次回ということにさせていただきます。
 では、平尾委員、どうぞお願いいたします。

○平尾委員 ありがとうございます。質問が1点と2、3指摘がございます。
 1点は、この見通しというものの位置づけが今どういうふうになって、計算された結果ですね、どうなっているのかというのを後で教えていただきたい。
 それから、内容についてのあれですが、いろいろ私の意見が、大分修正をかけていただいて、申しわけありません。ありがとうございました。何ぼか、この前たくさん言いましたので、まだちょっと抜けているところもありますので、ちょっと御指摘させていただきたい。
 18ページのところの国際比較のところでございますが、5行目あたりぐらいに、家庭部門のエネルギー消費の割合が各国で一番低いのが日本の特徴ということで言い切っておって、特徴だからこれで寂しいんだなというので終わってしまうんですが、実は89ページの方にもう少し私ども日本のライフスタイルのことで頑張らなければいかん視点が書かれておりますので、ここのところで誤解のないように、むしろ繰り上げて表現しておいたらどうかというのを前回申し上げました。
 それから、46ページでございます。京都メカニズムのところについて、ここの表現は、これは1つ正しいことではあるんですが、積極的に活用すべきだという指摘があるといいながら、最後に「補足的」なものとされているということで、頑張ろうというのがトーンダウンなので、これは逆にむしろ、補足的なものであるがこれを活用すべきだというふうに、もう少し積極的に京都メカニズムをPRしたらどうかというのを前回申し上げました。
 それから、環境税のところでございます。69ページのところで、今さっき三橋委員からも話がございましたが、欧州の税の効果がどうなのかということでございます。これは私は逆の立場で、欧州はどちらかというと税制中立で導入しておりますが、そういう効果がどうなのかということをきちっと明確にした上で、あるいは我が国での政策の効果を、投資対効果というのを考えた上でこの議論をすべきでありまして、そういった意味で、この丸が3つ目、環境税のところにございます、「公平性、透明性、効率性、確実性の観点から優れている」というふうに断定するのは、まだこの段階では早いのではないかということでございます。
 それから、77ページのところで、原子力のところで、これは桝本委員の表現についての疑義がございますが、先般私は原子力をもう少し積極的にということで、前回は横山委員の方から違うんだということでおしかりを受けましたけれども、この関係者一体となってというところのことを桝本委員が訂正したいというのは、これは今のままでいくのか、それともちゃんと稼働率を上げてやるのかということで、稼働率を上げていこうということなら、やはり国も自治体も一体となって取り組むというのが、本腰を入れたことではないかということで、これは私は訂正した方がいいのではないかと思いますし、さらにあえてくどく申し上げますと、原子力発電というのがもう既に増設が困難だということは上の方のくだりにありまして、もうあきらめみたいになっていますけれども、私は個人的には原子力発電に我が国はどれほど依存したらいいのかということについて、やれとかやらないとかではないで、やっぱりどのくらい依存すべきなのか、我が国の経済を維持する上で、というふうな議論があってしかるべきではないかと。そのところが完全に消え去っておりまして、やはりもう一度議論すべきではないかと思います。
 それから、78ページの自主行動計画については、これも桝本委員と同意見でございますので、くどくなります。やめます。
 それから、106ページ。申しわけありません、長くなりまして。あと2つです。これは前回指摘したんですが、まとめのところで、106ページの上の方に、環境税、サマータイム導入、観測何とかの推進について提言したということでありますが、サマータイムの導入とかというのは議論されていたかもわかりませんが、環境税を提言したということは、環境税の意義だとか問題点、今後解決すべき課題等については議論して提言したと、この報告ではですね。そのようにするのが正しい表現ではないかというのを前回御指摘したとおりでございます。再度申し上げます。
 最後に109ページでございます。一番最後、この対策の確実性、これは私もかねてから申し上げておりまして、こういう積み上げをきちっとやるべきではないか。これについて、ぜひ今後は取り組んでいただきたいんですが、先ほど横山委員の方から、税は大事だということで意見がございましたが、それもこれが検証してどのくらいの確実性なのか、どういう対策が要るのかというのを積み上げて、それが既存の税制でどの程度賄えるのか、それがあふれるのかと。あふれるなら、新たな対策を講じなければいかんと、こういう三段論法できちんと積み上げていく。それで初めて環境税というものが国民に納得していただけると、こういう手順ではないかというふうに思いますので、この検証については、拙速でばたばたやるのではなくて、私はこれは大変難しい仕事だと思います。フィージブルかどうかということをやらないと、単にアイテムを挙げて掛け算してこうだということでは、ふたが閉まらない。したがって、省庁横断でこの辺はよく議論していただきたいと思います。
 大変長くなりました。申しわけありません。

○須藤部会長 どうもたくさん御意見いただきまして、再度前回と同じ部分もあったかとも思いますが、これもいずれも御意見としてとりあえずは承っておくということで、最後にまとめさせていただきます。
 永里委員、続けてどうぞお願いします。

○永里委員 ありがとうございます。桝本委員のこの記述と、それからただいまの平尾委員のお話がありましたので、私と同じ意見のところがかなりあるんですが、それでもやっぱり言わなければいけないところと、それから私自身の意見とを言います。
 まず、44ページの事業者による自主的取組の促進について、自主行動計画の自主的取組については、この良さをもう少し書いてほしいという意味で、桝本委員の意見と同じでございます。
 それから、45ページの普及啓発等の話で、上から2行目、「普及啓発等は、政府において、更に強化して取り組むべき必須の課題である。一方、」と書きまして、これは「困難である」と書いてあるんですが、子どもの教育とかを含めまして、これは積極的に、例えば夏休みに地球環境問題の宿題を出すとか、そういうことを含めて、子どものときからこういうことを勉強させなければいけない。先ほどの77ページに、原子力発電の記述がありますけれども、この原子力発電の持つ意味なども、やっぱり教育上、記すべきだろうと思います。ですから、ここのところはひっくり返しまして、「一方・・・」の方を上に上げて、「・・・は困難であるが、」とし、その後、「普及啓発等は、政府においてさらに強化して取り組むべき必須の課題である」というふうに、私は積極的に記述してほしいと思います。
 次に、46ページ、これは私かねてから言っていますが、この排出量取引制度について京都メカニズムの上の方のところでございますが、国による公平な排出枠の設定というのは、本当にできるんだろうかと。不可能に近いのではないかと思います。産業構造の変化などの阻害要因となります。ここは私はそういうふうに指摘しておりますので、桝本委員のもそう書いてありますから、それをちょっと参考にしてほしいと思います。
 それから、77ページ、先ほどから出ておりますが、原子力に関しましては、関係者という言葉をもっと踏み込んで、規制緩和も必要ですし、各地方自治体の協力も必要なので、ここのところは、「国とか自治体が一体となって」というような、そういう記述がいいと思います。
 そして、78ページの、非常に問題提起のあるの桝本委員の最初のところですが、これはもう全面的に桝本委員の意見に賛成でございます。
 それから、ちょっと飛ばしましたけれども、69ページの環境税に関しましては、これも三橋委員と同じような意味で、私も問題を指摘したい。同じようなというのは、要するに、本当に欧州のEUの環境税というのが効果的であったかどうかということについて、疑問を持っております。環境省の方も含む政府の方々が、EUの環境税について効果があったかどうか調査に行ってらっしゃいますが、その記録もございますので、効果があるかどうかということについて、よく検討してほしいと。だから、三橋委員から見ると、非常に「効果があるとされており」という書き方が御不満のようでございますが、平尾委員もおっしゃっていましたが、この環境税についてはもう少し検討が必要でなかろうかと思います。
 以上です。

○須藤部会長 どうも御意見ありがとうございました。これについても、最後にまとめさせていただきます。
 それでは、塩田委員、どうぞお願いいたします。

○塩田委員 私は、運輸部門の問題に限ってコメントさせていただきたいと思います。
 私、かねがね、この地球温暖化対策というのは、量的に非常に大きな影響があるような事項について、具体的な効果が期待できるような施策を講じて、その施策の結果がどの程度の効果が出たかということを明らかにしていくという行政の進め方が望ましいということを何度も申し上げたつもりです。
 運輸部門について、今度の答申案は、非常に前進が見られると思います。具体的に申し上げますと、1つは自動車の単体対策、あるいはクリーンエネルギー自動車の普及・促進、こういう部分は、これは前から非常に成績がいい分野だったと思いますが、82ページに書いてありますように、この分野をもっと推進すべきだということが非常に簡単に書いてありますが、これにつきまして私はもっと力を入れていってもいいのではないかと思います。特に自動車のグリーン税制というのは、非常に大きな効果があった。燃費効率が非常に高い自動車の導入に前倒し効果があったということは、これは地球環境対策の観点からも非常に大きな効果だろうと思います。その点がもう少し強調されるべきではないかというふうに思います。
 次に大きな対策としては、物流の効率化という問題がありました。これについては、追加対策の中に入っていると思いますが、この今の80ページ前後の運輸部門の対策の重要性というところには、必ずしもこの問題が正面から取り上げられていないと思いますが、荷主団体、運送業者の団体の協力が非常に推進されており、これも具体的に大きな効果が期待されているというふうに聞いております。それはなぜかというと、1つは、荷主の協力によって、エネルギー効率がいい輸送を具体的に選択できる。しかもどの程度の量を選択できるかということが明らかにできるということと、それから、貨物鉄道の活用がある程度期待できるということだというふうに聞いております。この点が十分に言及されていないので言及すべきだと思います。
 3つ目は公共交通機関の利用の促進でありますが、この問題について注目すべき点としては、公共交通機関の中で輸送量が大きいのは、通勤輸送なんです。また、大きなショッピングセンターの周りというのは、自家車や貨物車の交通量が多いのです。そういうようなところに着目して、関係者の連携によって、自家用自動車から公共交通機関への移転を促進するというような施策が、これから策定されるような動きもあるようですから、これは大いに期待ができると思います。
 以上、3つの対策というのは、実施するのに、当面大きな予算が要るということでは、ないのです。ただ、そういう施策を促進していく過程で、それを誘導するための補助金が要るとか、あるいは税制上の恩典が要るとかいうことはもちろんあると思いますけれども、大きな予算が要らないで効果が大きいのではないかというふうに推測されます。そういう観点をもう少し注目してもいいのではないかというふうに思います。
 それから、先ほど都市ごとの、地方公共団体のイニシアチブの問題、それが大事だという御指摘もありましたけれども、交通の分野にもそういう試みが今なされておりまして、地方公共団体、特に大きな都市、あるいは中都市だと思いますけれども、バス路線の再編成とか、あるいは電車の活用とか、そういうことによって、公共交通機関の利用とそれからまちづくり、まちの再活性化とか、そういうようなプロジェクトについて、都市ごとに何が必要かということを考えて、地方公共団体が中心になって施策をすすめていく動きがあります。これを中央官庁が支援されるというふうに聞いておりますが、こういうような施策も1つ1つの、既にある予算をできるだけうまく活用するというふうなモデル事業であるというふうに聞いておりますが、これも全国でもかなりの数の計画が具体化されているようでありますから、そういうモデルができたら、そのモデルに従って、それと同じようなことができるような都市にそれを及ぼしていくというようなことが非常に有効なのではないかと、こんなふうに思います。
 私は、このような具体的な成果が上がりそうなプロジェクトをすすめておられる皆様方に深く敬意を表したいと思いますし、これが具体化して、数量的な効果ができるだけ早く明らかになることを期待したいと思います。
 この点に関して、2つ問題点を申し上げますと、1つは物流の効率化、あるいはモーダルシフトに関して、これは具体的に何でそれが省エネにつながっているかというと、1つは荷主の協力によって、営業用自動車のウエートが増えている。営業用自動車というのは、たくさんの人の荷物を扱うので積載効率が上がるということで、COの量の排出の抑制になる。これはスムーズにいっているんだということです。ところが、自動車から鉄道に輸送をシフトするということ、これはCOの削減効果は更に大きいことは明らかですが、これは鉄道貨物輸送をやっているJR貨物がそれにどの程度まで対応できるかという問題があります。これは御承知のように民営鉄道ですので、現在までどういうことをやったかといいますと、駅ホームの改善とか変電設備の改善とか、そういうようなものはかなりやって、輸送能力をかなり高めているんだという話なんですが、できるのはそこまでで、線路そのものが不足するという問題があるというふうに聞いております。ここが物流効率化モーダルシフトの、大量なモーダルシフトを貨物鉄道に期待するときの大きな問題点でして、この問題点が全く解決されていないというふうに思います。
 もう一つの問題点は公共交通機関の利用の促進に関するものですが、これも非常に大きいのは、自家用車で動いている人が公共交通機関をどのくらいシフトしてくれるかということですけれども、この分野については80ページにも書いてありますように、これから国民の協力を求めるPRが大事だということが書いてあります。私は、PRとそれから環境教育というのも非常に大事なテーマだと思います。それを具体的にどうやって、どういうふうに効果を表すかというその具体的な施策というものが必ずしも見えていないという点が問題点だと思います。
運輸部門においては単体対策、あるいは物流効率化、あるいは公共交通機関の利用の促進、この三つが大きな柱だと思いますけれども、貨物鉄道の輸送力の増強と自家用車の利用者に公共交通機関を利用して頂くための具体的な施策の二つがそれらを実施していくに当たっての問題点ではないのかというふうに私は考えます。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続いて小林委員、お願いいたします。

○小林委員 それでは、簡潔に、何点か申し上げます。
 まず、1点目が53ページでございますが、ここのところに企業、家庭、業種別、また企業形態別の主体別の目標の設定、それとその次のところに、それに対する各主体の努力の評価方法というのが記述されておりますが、ここの部分、ぜひ、確実にやっていただいたいということをお願いしたいと思います。今までここがきっちりできていないがためになかなか進まなかったのではないか。そういう意味で、必ずここは目標をきちっとし、それを評価するということが重要かと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次が、61ページです。環境教育の強化という部分なんですが、ここの記述が今まで進められている内容が書いてあるだけで、強化といいながら何が強化なのかがちょっとよくわかりません。実際には44ページの、いわゆる今までの評価のところには、結構何が問題でどうすべきかということが具体的に書いてあるので、ここのところを見ながら、ここの文章をもう少しきちっと書いていただいたほうがいのではないかということを、ぜひお願いをしたいと思います。
 次が、69ページです。環境税のところなんですが、これは横山委員に御指摘いただいたとおりで、これはぜひ進めていただきたいんですが、この中で修文としてお願いしたいのは、次の70ページのところの3行目のところになりますが、「環境税に関する多くの論点をできる限り早急に検討する必要がある」というふうに書いてあるんですが、ここのところなんですが、環境税そのものについては、導入について皆さんある程度御賛同いただいているのではないか。問題にしているのは、その環境税の導入の手法に問題があるというふうに、私は理解します。そういう意味からいきますと、ここの文章については、ぜひ環境税の導入に向けて、多くの論点をできる限り早急に検討する必要があるというふうにお書きいただいたほうがいいのではないかというふうに、私は思います。
 次、72ページでございますが、ここのところで、複数の主体による複合的・システム的な連携に対応した対策というのが書いてございまして、2つ、都市計画・都市構造、交通システムの問題、それから経済システムに関する複数主体の連携という部分が書いてございまして、ここのところは前から言われながらほとんどやられていない。余り進んでいないと私は理解しております。そういう意味で、ぜひ政府において、各省庁の連携の中で、ここの部分に今後具体的に事業を進めていっていただければということで、ここのところをぜひ重点的にお願いをしたいと思います。
 次、78ページ。先ほどから議論になっています各主体の自主行動計画に基づく取組の促進のところですが、これについては原案どおりぜひお願いしたい。これは先ほどちょっと申し上げましたように、目標を明確にし、その目標について実効性を評価するという意味からいきまして、ここはやはり数字は明確にしておく必要性があると思います。そういう意味で、ぜひここは進めていただきたいということをお願いします。
 それから、100ページ、最後の地方公共団体の施策でございますが、これにつきましては、具体的に書いていただいたことに感謝いたします。ありがとうございます。この中で、一番最後のパラグラフになりますが、ここのところに、国は特に積極的な地方公共団体の取組について、補助を含め、積極的に支援することが適当であるということで、これについては、先ほどもう少し具体的にという御指摘もあったわけでございますが、できればもう少し具体的に、「補助を含め」だけではなくて、もう少し何か例示がいただければ、もっといいのではないかと思います。
 以上です。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。これも御意見として承りました。
 久保田委員に移る前に、今、中上委員が御出席なさいましたので、本日の御出席が最初でございますので、御紹介をさせていただきます。

○中上委員 遅れてきて申しわけございません。総合資源エネルギー調査会の需給部会があったものですから、遅れてしまいました。中上です。よろしくお願いします。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。突然で申しわけございません。
 それでは、久保田委員、どうぞお願いいたします。

○久保田委員 目標達成計画をということで、もう時間もない。この期に及んではといいますか、ここに来れば、どうやって6%削減約束の実効性を上げるかということに全力を挙げるべきであるというふうに思います。そういう意味では、大綱の評価をしっかりした上で、現実的数字の上で、2008年に向けて具体的な数字を積み上げる。目標も、変えるべきところは今きちっと変えて、そのかわり立てた目標は必ずやると、そういうことが大事ではないかと思いますので、エネルギー起源CO、あるいはその中での産業、民生の数字は、これがどこまで蓋然性を持っているかということについては十分検討しきっているわけではございませんが、今までの大綱の目標数字では、ギャップがありすぎてという意味におきまして、目標を変更することについては賛成でございます。ただ、それだけに、家庭部門と業務その他部門の本当に目標達成するのは容易なことではないのではないか。先ほどの数字で言いますと、非エネCO、あるいは代替フロンの予想以上の頑張りのポケットによって、少し目標を緩目にということになっておりますけれども、少し下げたハードルでも、これを達成するのは実は大変なことではないかと。その辺が本当に見えているのかということについて、危惧を感じます。
 53ページの、ここに書いている、とりわけ主体別目標の設定をしっかりやるべしという記述がございます。大賛成でございますが、これを展開したものが一体どこに出てくるのか。最終答申のときには、この展開の具体的な施策というのが何か出てくるのかこないのか、その辺がちょっとこのままではよく見えません。非常に大事ではないかと思いますし、関連すれば92ページに、例えばライススタイルの変革のところで、これまでやってきた国民のライフスタイルの、冷房温度を下げるとか何とか、いろいろありますけれども、これを溶け込ませるということをしながらも、しっかりベンチマークをする。それから、再掲方式で、しかも導入目標量を掲げてやるんだという論議経過になっておりますが、2つ目の丸のところでやっているエネルギー消費量の節約の目安の設定だとか、それぞれの家庭が取組の成果を見えやすく、しかも自分が実感できて、PDCAサイクルをそれぞれの家庭でも回せるというような方策を具体的にどうするのかということについては、なかなか見えていないのではないかと思いますので、ここの強化をやるべきではないかと思います。
 2つ目ですが、70ページです。サマータイムのことは前回も申し上げました。同じことを申し上げるような感じもいたしますので、簡単にしておきますけれども、労働組合としても、サマータイムはいったん、前回議論したときには、どちらかというと反対もあってというふうな議論をしておりますが、ぜひ前向きに議論をしたいと思っております。ただし、サマータイムで本当にどれだけの効果があるのかということについては、現在の大綱でも25万トンから123万トンですか、非常に大きな差がありますし、実はこの審議会でも本当にサマータイムに焦点を当てて、徹底した議論をしたという記憶は余りございません。今日の新聞でも、サマータイム議連が4月に法案を用意するというようなことが書かれていますが、心配なのは、一体どこが責任を持ってこのサマータイムの国民的議論をするのか。議連が法案を準備すれば、それは法案は通るのかもしれませんけれども、一体、70ページの3つ目の丸に書いているアンケート調査をし、パンフレットを作成し、国民的議論をやる。そして合意形成を図るのは一体どの省庁が責任を持ってどういうふうにするのかということがちょっとこの中では見えておりません。もし、事務局でお考えがあったらお伺いをしたいということと、サマータイムを入れることによる二酸化炭素排出量の削減効果は一体どれぐらいなのかということについては、ぜひ数字をもとに一度テーブルの中でお出しをいただきたい。もちろん、諸外国の例を聞いても余り温室効果ガスでサマータイムをやるというのは、ドイツやイギリスで議論をふっかけても、ポカンとした顔で見られます。余りこの地球温暖化問題だけではない余暇の問題や、あるいはライフスタイルの見直しや、トータルの効果ということが多いのではないかとは思いますけれども、数字についても一度しっかり、データベースをしっかりした上で、その上に議論を積み上げるということにぜひしていただきたいというふうに思います。
 もう1点だけ、1ページの、これはミスプリかと思っているんですが、下から2行目の「衆参両院の全会一致の合意を得て、2006年6月に京都議定書を採択した我が国は」というのは、2002年の間違いだと思います。
 以上です。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。御指摘をいただきましたそのミスのところはすぐ修正させます。
 では、川上委員、どうぞお願いします。

○川上委員 ありがとうございます。
 私自身は、この委員会に入ってまだ日が新しいので、全体の今までの議論に参加していたわけではございません。しかしながら、今までの議論を伺っていて、特に京都議定書がいよいよ発効して、それを日本として守らなければいかんという状況が現出した中で、これからの議論というのは、つまり最後の詰めの議論というのは、相当厳しいものになると。今までの流れを見ていても、やはり特に家庭部門、業務その他の部門などというところが非常に排出量が増えているわけですが、それについて効果的な対策がここに何らかの形で出てくるのかということについては、相当素人的に見ても、危惧をもって見ざるを得ないという感じがいたします。今ごろそういうことを言っても、という感はありますけれども、やはり対策が真に有効であるために、環境税の問題も含めて総合的に厳しく、最後の検討を行っていく必要がある。これは当然のことながら、一般論として申し上げておきたいと思います。
 その中で、京都メカニズムの話については、1.6%というのが、議定書上はもちろん、前回の大綱の中でも補足的なものでなきゃいけないということが書いてあるわけですが、実際問題として、補足的という言葉がかなりひとり歩きしていて、しかしながら我々の対策を全体として眺めてみると、1.6%はどうも京都メカニズムでやらないと実現しそうもないということが、今の段階でははっきりしてきたんだろうと思うんです。
 その中で、前回の議論でも、この特に97ページ、99ページぐらいの京都メカニズムの書き方については、むしろ今から準備を怠りなく、政府としては本腰を入れて、この1.6%なるものを実現していく必要があると。その実現するためには、相当本腰を入れた対策が要るんだという議論がかなりあったと思うんです。そこのところは、どうも新しいペーパーを見ても、反映されていないというか、全然直っていないのではないかと私は思いますけれども、この辺はもっともっとトーンアップする必要がある。そういう意見が現に何人かの委員から、前回出たんだというのが私の理解でございます。そういうことで、特に政府がこれ取り組まなければいかんことですから、政府としてやることの重要性というものを、もう少しきちっと書き込むべきだと。
 それから、もう一つ、ポイントですけれども、特に京都メカニズムの中のCDMについては、途上国に対する技術移転という視点があるわけで、その技術移転によって、将来地球温暖化防止問題について、途上国をインボルブしていくと、関与させていくというところの非常に重要なポイントがあると思うので、それはやはり何らかの形で反映させるべきではないか。紙の中にも反映させるべきではないかというのが第1点でございます。
 それから、具体的にもう一つ、この中に、クレジットの調達制度というのと、それから設備補助方式というやり方が、書かれているわけですけれども、設備補助方式というのは、これは予算を取って、それを補助額に応じてやっていくということで、予算的なインパクトも割と小さいですし、これはともかくとして、クレジット調達制度というのは、民間があるいはとってくる、あるいは政府自らが出動してCDMなりJIなりを獲得してくるということだろうと思うんですけれども、それを実現するための方策といいますか、そのための一般的な技術協力、入り口論、私、12月の会議のときにも申し上げたんですけれども、その辺についての工夫といいますか、政府としての対処、いろんなやり方があるんだろうと思うんですけれども、それをもっとできたら書き込んで、調達制度というものを本当に実現するために、政府関係当局として、早急に議論を詰めるべきであるというような趣旨のことを入れたらどうかという気がいたします。その点について、ちょっと指摘しておきます。どうもありがとうございました。

○須藤部会長 どうも御意見ありがとうございました。
 それでは、浦野委員、お願いいたします。残り時間が、この議題短くなってきましたので、すみません、お願いいたします。

○浦野委員 将来の見込みとして、非常に増えている民生部門と運輸部門、これが増えるということを書いてあるわけですから、ここを先ほどの、今の久保田委員からの御意見と非常に重なるんですけれども、そこの部分について、もうちょっと具体的な施策が欲しい。特に運輸については、先ほど塩田委員から大分具体的な、効果のありそうなことも相当見えている、ただし、運輸について言うと、何となく自動車、あるいは道路対策というのが非常に強くて、公共交通の方は何となくいいやという感じになるんですが、公共交通の方の省エネというのも実は一見して、やはり非常に冷暖房を過剰にかけているとか、電気もつけっぱなしで、昼も電気つけっぱなしというのは、どう見ても省エネ対策をとっていると思えないような状況がたくさんあるわけで、公共交通の方の省エネというのも、もう少し具体論として何かやってほしいというのが1つ。
 それから、家庭用と業務用については、教育とか情報提供とか、あるいは技術としてこういうものが普及するということについてはいろいろ書いてあるんですけれども、技術だけに頼るということでは、この部門が余りいかない。では教育というのは、非常にロングレンジの問題で、すぐに効果がある、あるいは学習会をやったからすぐ行動につながるということではないということで、情報もそうです。情報提供したらすぐ行動につながって、効果が出るというものでもないということで考えると、やはり政策として、先ほど久保田委員から御指摘もありましたが、政策としてどこがどういうことをする、自治体も含めてですね。どうやって社会システムなり、ライフスタイルを変えていくんだという、具体的な行動が見えない。特に、行動を促すようなインセンティブが見えない。何となく教育を促進しましょう、情報提供を促進しましょう。これは、環境省は大分今回お金の予算を取ったようですけれども、それが具体的な政策、施策、社会システムの変換、ライフスタイル変換にどう結びつくのか、あるいは結びつくような何かをそれぞれの省庁がどう努力するのかというのをぜひお考えいただいて、追加的に、今回ではなくて、次回でもいいんですが、追加していただきたい。
 先ほどお話しした、具体的に必要となる施策とその量、あるいは効果の検証というのは、これからやるとおっしゃっているので、ぜひ家庭業務のところは、もう一段、具体論を入れていただきたいというふうに思います。
 以上です。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 続いて、それでは飯田委員、どうぞお願いいたします。

○飯田(哲)委員 まず、桝本委員が出されている意見について、いくつかコメントしたいんですが、基本的に、論理的、説得的であれば考量すべきだと思うんですが、全般に余り論理的ではないのではないかというふうに思います。
 まず、最初のいわゆる個別業種のコミットメントに反対するという御意見なんですが、例えば、各業種の目標達成のみが評価されるとチームプレーを弱めるということが、全く私は何か論理的に理解できないですし、各異業種間の効果的な連携が目標達成に各業種の目標が出ると、連携ができなくなるということも、どういうことを意図されているのか全くわかりませんし、さらに産業構造のダイナミックな転換に影響を与えるということも、個別の業種がコミットメントすることとどういう連携があるかということは、全く理解できない。むしろ、今各企業は個別にCSRとかされているわけですから、せめて業種ごとにコミットメントするのは最低限の社会的に責務ではないかというふうに思いますので、まずこれについては、全く賛同できない。
 それから、次に、国内排出量取引制度のところで、国による公平な排出枠制度は不可能といえ、新規産業の、産業の高度化の阻害要因になり得ると書かれているんですが、そういう意見があったら全部書けばいいのかということもあるんですね。現にEUではもう既にやっているわけで、確かに公平な排出は難しいことは確かですけれども、それは課題なのであって、不可能ではないわけですし、むしろマイケル・ポーターなんかの研究によれば、環境規制の厳しい国ほどイノベーションが進むという、かなり包括的な研究もありまして、産業構造の高度化の阻害要因ということもなり得ると、一方でむしろ産業構造が高度化する可能性の方が、データ的には可能性が高いといったことも考えると、この文章をつけ加える必要はまずないのではないか。
 それから、次の原子力のところなんですが、まず事実誤認として、「原子力はエネルギー基本法において」と書いてありますが、エネルギー基本法には原子力の文字は、原子力のげの字も入っておりませんので、これはエネルギー基本計画の間違いだと思います。その上で、ここで関係者が一体となって、わざわざあえて自治体を含めて書かれているわけですが、昨年あの美浜の事故があって、それから、今例えば福島県と東京電力とがなかなかうまくいかないというあたりとか、そういう経緯をいろいろ考えると、ここにこういうことを温暖化対策として書くのに、温暖化対策を理由に自治体も協力せよということを、失礼ながら桝本さんが言い出せる立場なのかなということも、やはり考える必要があるのではないか。ここでそれ以上はちょっと突っ込みませんけれども、これは既存の表現で十分ではないかというふうに思っています。
 最後のところの、またお金で、環境税にも御反対で、排出量のいわゆる全体の取引枠にも御反対で、しかし、クレジット移転では補助金が欲しいというのは、これはちょっと虫がよすぎるのではないか。つまり基本的に全体として、企業が一定のこの国としての目標を達成するときに適正な費用を背負うのは当然であって、国が補助金を払うというのは、間接的に、いわば家計部門から企業部門への所得移転であって、一方で環境税、財源は払わない。いわゆる社会的費用としての排出量取引の枠も反対だといいながら、家計部門から金はよこせというのは、やはりこれはちょっと筋が通らない話だと思います。
 その上で、あとは自治体のところの101ページ、これは先ほどちょっと指摘があったところですが、自治体のところで、実際の施策を書かれたのは、やはり私も非常にいいことなんですが、上から3つ目の丸のところで、最後のところに国は云々で、「補助を含め」と書いてあるんですが、やはり今三位一体改革が進んでいて、補助ではなくて財源移譲という形が進んでいるわけで、自治体に施策を期待する以上、補助ではなくて財源の話を、ここで書くのは非常に大変だと思うんですが、やはり補助ではなくて財源のことをきちんと書くべきではないかというふうに思います。
 以上です。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、青木委員、どうぞお願いいたします。

○青木委員 全部もう1回読み直しまして、若干気になる表現がありますので、表現の中で四、五点、それと1つ意見を言わせていただきたいと思います。
 まず、4ページなんですけれども、「洪水、熱波等の異常気象」という表現がありますが、まずは気象というのは大気中の諸現象ということでありますので、洪水はまず気象には入らないのではないか。それから、念のためにIPCCの原典に当たってみたんですけれども、やはりdroughtとfllodが対になって書いているようでありますので、この辺は豪雨、熱波等の異常気象及びこれらに伴う洪水、干ばつの増加というような表現にされたらいかがかと思います。
 それから、3ページと4ページの表でありますけれども、念のため原典に当たってみましたが、私の見落としかもしれませんが、原典には見つかりません。もしこれを環境省がおつくりになっているんだとしたら、評価報告書から作成というふうに書かれた方が、注はいいのではないかというふうに思います。
 それから、表2の中で、これも気象現象への影響という表現、これも洪水、干ばつを気象現象と考えられているようなんですけれども、これも若干表現上問題があるのではないかというような気がいたしますし、そのあとに、台風の後にクエスチョンマークがついていますけれども、これはクエスチョンマークをつけたまま世に出されるのかどうか、その辺は整理された方がいいのではないかというふうに思います。
 それから、7ページですが、都市インフラ、農業インフラを気候変動に対応すべきことと書いてございますけれども、それはまさにそのとおりだと思いますけれども、基本的にはやはり治山、治水施設、河川の堤防でありますとか砂防施設でありますとか海岸堤防でありますとか、そういったものが基本的に一番大変なわけでございますから、治山、治水施設を初め、都市インフラ、農業インフラ等というふうな表現にすべきではないかというふうに思います。
 それから、8ページの上の方ですけれども、同じような中身で、開発計画や防災計画に気候変動に対応する対策をつくれと書いてありますけれども、その前にやはり国の基本としては、治山、治水施設が気候変動に対応していかなければならないわけであります。河川局の幹部に聞きましたら、昨年1日降雨量でありますとか時間降雨量というのは、観測地点で過去最大という地点が相当あったということで、そういったことがありますと、ダムの放流計画でありますとか、堤防の計画でありますとか、そういったものも状況が変わってくれば、100年に1回の洪水とか50年に1回の洪水というのも変わってくるわけで、見直していかなければならないのではないかというふうに思いますので、この辺も治山、治水計画を始め、開発計画や防災計画というふうにしていくべきではないかというふうに思います。
 それから、44ページ、国民に対する情報提供にいろいろあるわけですけれども、ここに製品情報とかいろいろ書いてありますが、これをほかのところで読めるということならそれでも結構なんですけれども、やっぱり基本的には温暖化現象の原因とか、状況に関する基本的な情報自体が国民に対してまだ十分発出されていないだろうし、新たな知見も出てくるわけでございますから、そういった表現を加えるべきではないかというふうに思います。
 それから、72ページ、この中に脱温暖化型の都市計画という表現があるんですけれども、ちょっとイメージがはっきりわからないんですが、こういう都市計画が形としてあるわけではありませんし、それから100ページの同じようなところで、「温室効果ガスの排出削減に資する都市整備の推進」という表現があるんですけれども、むしろそういったことをねらわれているのであれば、脱温暖化を目指した都市づくりといった表現の方がよろしいのではないかというふうに思います。
 それから、1つ、意見ですけれども、広報関係ですが、新聞報道によりますと、今度30億円の広報予算が予算案に入っているという報道がございます。いずれそれがはっきり決まれば、また内容等についてお教えいただきたいと思いますけれども、国がこれだけの金をつけて広報活動をやるというのは、例えば国勢調査などを除けば、あまり単独の省庁ではないというふうに思いますが、ぜひ有効に活用していい広報をやっていただきたいんですが、今までいろいろ議論されていますように、広報というのは、やっぱり集中も大事ですけれども、毎年継続させていかなければ同じようなことでもすぐ忘れてしまうこともありますので、繰り返し活動を続けることが必要でありますし、またこういう温暖化に対する人の行動というのは、自分が考えて行動に移らなければ何も実効が上がりません。押しつけられてはなかなか動かないものでありますから、基本的な情報を提供して、自分が考えて、自分がライフスタイルを変換していくというふうなことに役立つような情報提供をぜひお願いいたしたい。国、地方公共団体、民間が相互啓発的に有効な広報活動をしていただきたい。幹部の方がぜひ責任を持って、広報活動を展開していただきたいと思います。
 それに若干関連いたしますが、都市計画とかLRTとか、公共交通機関について、今日後の議論になると思いますが、資料4で、LRTについても、なかなか採算性を考えると簡単ではないということを書いてございますが、こういった現実に目を向けた記述というのは今まではなかったと思うんですけれども、そういうことをしっかりとらえて議論していくことが非常に大事だと思います。こういったものは、やはり住民が、場合によったら自分たちが税負担をして、あるいは多少不便になってもこういうことをやっていかなければならないという気にならないととてもできませんし、逆に市民、地方公共団体がそういう気になれば、国からはいろいろな施策、応援もできるということになりますので、そういった啓蒙活動であります。これは国、地方公共団体の啓蒙的活動でありますとか、国、地方公共団体もいろいろな関係団体を持っていると思いますので、そういった総力、これは環境省だけではなくて、各省ともに、各都道府県もともに、総力を挙げて、そういう意識が向上するような方策を立てていただきたいと思いますし、また国、県などからは、地方公共団体の職員に対する研修でございますとか、地方公共団体の長に対する意識の向上といったことについて、さらに配慮していただきたいというふうに思います。
 以上です。

○須藤部会長 どうもいろいろ御意見ありがとうございました。
 それでは、桝井委員、どうぞお願いいたします。

○桝井委員 環境税と自主行動計画について、簡単に申し上げたいと思います。
 まず、69ページの環境税なんですけれども、ここの表現はいろいろありまして、永里委員からも、環境税には疑義があるというふうな話がありました。しかし、考えてみますと、この環境税のいわゆる政策的手法という、そういうふうなものと、具体的に提示されている環境税あるいはその具体案とを混同しておられるのではないかと、まず考えます。政策手法一般としては、環境税は効果があるというふうに言えると私は思いますし、これまで専門委員会の検討の結果ではなかろうかと。したがって、ここの表現はいいのではないかと。三橋さんの言われるように、とされる、されているというよりは、効果があると言い切っていいのではないかと思います。具体的なものと混同した結果、疑義があるというのであれば、それは具体案、その中で議論していく問題であると、かように考えます。
 さらに、この環境税なんですが、政府税調の答申を見ましても、これは民生、運輸でCOの増加が止まらない、歯止めがかからない、増え続けていると。そこへの対策の一環として、環境税を検討することが早急に意味があるんだと書いているわけで、やはり今1つの大きな問題である民生、運輸、あるいは業務、そこらのところが増えることについて、環境税が有効なんだというよりも、これまでにかける、規制をかけるものがないと、環境税以外に有効な手立てというものが、今までのところでないんだということを、やはりもうちょっと突っ込んでもいいのではないかと思います。
 さらに、もう1点、申し上げるところは、私、平尾委員の御意見に賛成いたしますけれども、いろいろな対策を積み上げて、それは一体いくらかかるのと検証して、そして環境税を考える。この方法は、全くそういう手順ではなかろうかと。その際、定量的にどのような形でお金が必要で、どういう対策だというのを明らかにした上で、やっぱりこれは環境税が必要だということになるのであれば、私は当然だなというふうに思うわけです。いずれにしても、1兆2,000億円か忘れましたけれども、温暖化対策費の中で、実際に温暖化対策そのものに当たる額は、数千億、二千数百億ということで、とても十分ではないことは既に明らかなんですが、早く定量的にどれぐらいさらに要るのか、明らかにしていただきたい。
 それから、この環境税で、ここまで言っておいてもいいのではないかと思うんですが、もうこの段階ですから、財政は非常に、日本の財政というのはこれから厳しくなり、どのぐらいお金を出せるのかということが大きな問題になる中で、やはりこの環境税というのは、安定的、追加的な財源であるというのは、嫌な点かもしれませんが、そこはやっぱり国民の皆さんに得心していただくためにも言うべきではないかということです。したがいまして、どなたかがおっしゃいましたけれども、この中環審としての対策を訴える上で、環境税に向けましてはもう十分検討をいろんなことをやってきたわけですから、ここは早急に検討と。他の税調と同じような意見ではなくて、それを促す意味でも、導入に向けて早急に検討すべきであるというぐらいに踏み込んでもいいのではないかと考えます。
 それから、もう1点だけ簡単に言いますと、78ページの目標達成計画において、産業部門の個別業種、目標値を記載すると。これはこのまま残しておくべき文章ではないかと。重要な方向性だと思います。桝本さんがおっしゃっていますけれども、チームワークだということですよね。ただ、このチームワークというのは言葉はいいんですけれども、下手をすると、もたれ合いということにもなるわけで、やはり個々の業種、個々の企業、これはやっぱりしっかりやっていく大きな目標として、個別業種の目標というのは、非常に重要であるというふうに考えます。それが、もちろんこの経団連の自主行動計画、非常に重要なもので、大いにやっていただきたいと思っているものですけれども、それぐらいは容認して、自らのやっている行動計画の信頼性、透明性というのを、自ら高めていただきたいというふうに願っています。
 以上です。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、武内委員、どうぞお願いいたします。

○武内委員 この第1次答申案については、いろいろとお話し申し上げたことも入れていただいておりまして、私としてはこの非常に厳しい数値目標がある中で、やはり環境税も含めたこの全体としての答申案が妥当であるというふうに支持したいと思います。
 その上で、私の関心事について1点だけ申し上げさせていただきますと、3.9%という森林の吸収分について、依然として現在の状況との間の中に、相当な乖離があるという。これは当初は乖離以前に、そもそもその数字の根拠の科学性というふうなところが疑義があったというところから始まって、やっとここまで来たわけですけれども、その状況の中で、今、環境税との関係について考えてみますと、やはり幅広に温暖化対策にこうした環境税を活用するという観点から言えば、当然のことながら、その吸収源対策にもそれが振り分けられるというふうなことになるべきではないかというのが私の考え方であります。そして、そのようなことが、いわば例えば木材価格の国際的な価格との乖離状況を埋めることにもなり、ひいてはバイオマスに依拠した循環型社会の形成にも貢献するということで、いわば我が国における環境政策の総合化という観点にも非常に貢献するというふうに考えております。こういうことについて、必ずしも現時点で十分な記述がないということについては、今後の課題ということで結構だと思いますけれども、やはりそのような観点を今後とも重視していただきたいというのが、私の主張でございます。つまり3.9%は、初めから引き算の数字ではないと私何度か申し上げておりますけれども、非常にそれ自身が重い数字であるということを受け止めた上で、そのことについてのさまざまな対策の中で、環境税の問題についても議論していただきたいということでございます。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、鈴木委員、どうぞお願いします。

○鈴木委員 京都議定書が発効いたしまして、それで短期間のうちにこれだけの第1次答申、そしてこれを受けて追加答申をおつくりいただく。大変私は慌ただしい中でも国の意思をきっちりと示していく非常にいい機会であり、必要なことだと思っております。
 今、いろいろな御意見が出て、これは多分修文に関しては、部会長にお任せすればいいと思うんですが、やはり一番大事なところは、対策に関して、定量的な評価を行って、これは追加答申の中で出されることになると思いますが、それを例えば財源として、どれくらい必要になってくるのかと、そういうような議論につなげていくというところだろうと思います。
 しかしながら、ちょっと私の感想といたしまして、やはりこの6%、これは議定書の達成目標ということですから、それはそれで結構なんですが、この6%というのは、決して終点ではないんです。これを終えた後には一体またどこまで、安定化させるために削減していかなければいけないか。これは最初に原沢先生の方からも御指摘があったように、ますます厳しくなっていく。そういう将来を見据えて、やはりいろいろな国の構造を変えていく方向に、例えば環境税であったり、あるいはいろんな仕組みを考えていかなくてはいけない。そういう意味では、スタート地点であって、この辺で余りごたごたとした議論があるというのは、私はちょっと不思議な気がするわけですが、そういう意味からしますと、確かに短期的に効果はないかもしれないけれども、この6%の、2010年の後を見据えて、我が国をどういうふうにデザインしていくのか。例えば、GNPとエネルギー消費量というのは、デカップルできないものなのかどうかとか、あるいは公共交通と自動車の話がありましたが、これも例えば今の都市設計では、大きな中心的な駅と高速道路がつながっていないとか、港と高速道路がつながっていないとか、いろんな問題があるわけです。そういうような長期的に、やはり国をどういうふうに設計していくかというような問題、あるいは産業構造も本当に、産業構造審議会あたりで将来的な構造を考えていただいているのか。そういうようなことも含めて、いろんな大きなボールをこれから、これを通して投げていかなければいけないんだろうと思うものですから、6%、当面の目標はこれですが、ぜひそういうものが裏にあるということをお考えいただいて、中環審としても考えていかなくてはいけないのではないかと思っております。
 特に、ここで当面一番大きな問題は、先ほどから永里委員以来いろいろ触れられておりますが、民生と業務というところをどう考えるのか。しかしここに一番、あるいは得意なのは環境省かもしれないんですね。環境省はやはりそういう意味での、一般市民あるいは市民団体なんかといろんな意味での連携を深めることもできるわけですから、そういうところをどう生かしながら、単発的に30億という話ではなくて、それを目にして、いい仕組みをつくっていくということも考えていただきたい。そういうふうに思います。当面、第1次答申につきましては、いろいろ御意見がありましたり、御意見がたくさんあったと思いますが、それをぜひ修文の方で取上げていただければと思っております。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、大塚委員、お願いいたします。

○大塚委員 簡単に2点、プラス、細かい点を3点ほど申し上げておきたいと思います。
 2点、最初に申し上げておきたいのは、多くの委員からもお話があったところでございますが、施策が今まで削減量に関して、十分に必ずしも検討されていないものもあるかとは思いますので、最後109ページにありますように、検証作業を早急に行って定量的にきっちりとした対応ができるようにしていっていただきたいということでございます。
 それから、第2点でございますけれども、今まで温暖化対策に関しての費用というのは、予算としてはあることはあるわけでございますが、従来決して温暖化対策が十分に進んでいるというわけには残念ながらいっておりませんので、そのための財源というのは、必要になっているといわざるを得ないのだろうと思います。その辺が、69ページ、70ページのあたりの先ほどから御議論があります環境税の議論と関連するわけでございますけれども、施策総合企画小委員会の方でも議論がございましたように、69ページの下から3つ目の丸のあたりの、こういう観点から優れているというのは、そちらの方で一応検討は進んでいると思いますので、私はこれは維持していただいてよろしいのではないかというふうに思っております。
 そして、この手の問題について、早期の対策というのが必要だということは、最初に原沢委員の方からもお話があったとおりでございますので、税の導入というのも、2008年ぎりぎりになってからするのではなくて、必要であれば早くから対応しなければいけない問題だということだと思います。70ページの3行目あたり、4行目あたりについて、先ほど小林委員の方から、環境税に関するではなくて、環境税の導入に向けてというふうに変えるべきだという御議論がございましたが、私もそれに賛同しておきたいと思います。
 それから、3点ほど、やや細かい問題に移りたいと思います。
 78ページの経団連の自主行動計画について、下から2つ目の丸、あるいは下から7行目あたりについて、下から2つの丸について御議論があるようでございますが、ぜひ個別業種の自主行動計画という言葉を残していただけるとよろしいと思っております。先ほど、53ページのところで、主体別の対応というのが必要だという御議論もあり、久保田委員からもその点に関しての御指摘がございましたが、主体別の対応をするためには、せめて個別業種の対応がはっきりと結果が出てくるようにしないと、きっちりとした対応が、責任をもって進んでいかないということがあると思いますので、この点はぜひ残していただけるとよろしいというふうに思っております。
 それから、ちょっとあちこち飛んで申しわけありません、46ページの京都メカニズムに関する記述でございますが、先ほど平尾委員の方から、積極的に活用というところをもっと強調すべきだという御議論が、下から8行目ぐらいについてございました。これは確かに費用効果性の面からもいい面がありますので、そういう御指摘はごもっとものところもございますけれども、何といっても国内でまず対策をしなければいけないということもあり、京都議定書に補完的、補足的という言葉も書いてありますので、これはこのままでよいのではないかと。1.6%について、国が調達をしてくるということを考えておられるわけですから、その範囲で対応していっていただくというのが、とりあえずやっていただくことではないかというふうに思っております。
 あと、非常に細かい点でもう1点でございますが、101ページの上から3つ目の丸について、補助はいかがかという飯田委員からの御指摘がありましたが、私はこれはこのままでいいと思っています。残念ながら、自治体によっては環境意識が必ずしも高くないところも、ここに出てきていらっしゃる委員ではなくて、そうではないところも残念ながらございますので、財源移譲をして何に使われるかわからないということになってはちょっと困りますので、私はこれはこのままで結構だというふうに思っております。
 以上でございます。

○須藤部会長 どうも意見ありがとうございました。
 それでは、浅岡委員、どうぞお願いします。

○浅岡委員 まずは大きな目標の割り振りにつきまして、長く議論をしてまいりましたが、結果を見ますと、京都議定書採択の前の交渉のときから、エネルギー起源のCOについては、まず0.5とか、なかなかゼロ以下にならないのをどうするかということをずっと議論してきたと思うのですけれども、結果的には、エネルギー起源が+0.6増加という案になってきたとは、まことに残念だと思います。こうした議論に時間をつぶして対策を取らなかった、遅れたということがそこに現れれてると思うんですが、私どもは、今回マイナスになってきたフロンのところとか、非エネルギー起源CO2等についても、水増し目標であると言ってまいりましたし、それと怪しい森林吸収源と調整すべきであって、このエネルギー起源COについてはしっかり削減ができる、その後も削減できるようにしなくてはいけないと思ってまいったわけです。ところが、最終的に割り振りしまして、+0.6の中で、産業部門このエネルギー起源COの中の割り振りが、不適切であったと思います。
 -2%の国民の更なる努力と革新的技術の開発という部分の割り振りを、再割り振りをいたしたのはいいことですが、もっと深掘りすべきであるということを、日本の排出の実態の中から、ずっと議論をしてきたと思います。
 そういう中で、このような目標になりました上で、なおかつ先ほどいろいろ御発言がありましたように、これを達成していくのに、どれだけの裏づけ施策があるのかと。今日の配付いただきました裏づけなり中間報告というのを拝見いたしますと、ずいぶんこれまでもいろいろ補助金が出されてきていたのですが、その補助金が、今後も必要だし、それでは足りないからもっと増やさなければいけない。あるいは新たな補助金が必要だと縷々書いていまして、その補助金の行き先はおおむね産業界です。経済界、産業界に戻っていくお金をどう回すのかという議論をしているように思われるわけであります。いずれにしても、このような状況で本当にしっかりした施策の裏づけをし、その財源も考え、必要な仕組みを設けなければいけないという議論をこれだけやってきて、本日桝本委員からこのような提案をいただいたわけでありますが、もう一度繰り返しになりますが、簡単にコメントしておきたいと思います。
 1ページの意見1につきましては、事業者にとりましても、国民もそうです。啓発もそう。誰もが自主的に取り組むことが奨励されます。しかしながら、経団連自主行動計画の達成の蓋然性を高める取組のために、前後逆さまの話であればまだわかりますけれども、そういう趣旨だということであります。
 2ページ目の、44ページ、自主的取組がより高い目標に向けた取組を継続的に進めることができるものとして評価をせよと、こういう御指摘でありますが、こうした取組、自主的行動計画が97年の京都会議の直前ぐらいから始められたと思いますが、7年、8年を経て、0%目標一向に変えようとなさらなかったように、決して自発的に、継続的により高い目標に向けた取組がなされるということがないとされているもとにどうするかということを、今議論していると思います。
 それから、国内排出量取引制度につきましての46ページにつきましては、目標設定は不可能に近いとありますが、これは、全く逆であると。産業構造の高度化に向けて加速的な役割をこうした仕組みが担うこと既に実証がいろんなところであるということも、申し上げたとおりであります。
 事業者の各主体別の数値目標を本当は入れるべきだと、私は思いますが、少なくとも業種別の目標数値を入れ、それを約束するということは当然のことでありまして、それを達成することについて、あるいは達成できないことについて、クレジットのお金を、さらに財政的支援措置をしてもらいたいというのが、3ページの後ろでありますけれども、このようなことをおっしゃるのは、そもそも目標達成の拘束性について御認識が違うということだろうと思います。
 そこで、問題なんですが、さらにやはり国内で、およそ1,000、2,000、3,000ぐらいの事業所からの排出で、事業者数で言えば1,000、2,000、それぐらいの事業者の方の各事業所の排出量取引制度を設けていかれれば経済的メリットも十分出ますし、削減も確実になるし、言わんとする趣旨もまっとうされてくるだろうと私は思います。早くそうした制度を入れるべきだと思います。
 原子力につきまして、官民一体になってと関係者一体になってとある分も削除していただきたいと。できることはやったらよろしいと思いますけれども、無理をして一体にしてやっていただくことは、国についても求めませんし、自治体についてはとりわけ求めません。
 それから、質問ですが、63ページであります。排出量の算定・報告・公表制度は、私は大変必要なことで、最も基礎的な作業だと思いますけれども、ここに「排出者は」とありまして、主体の文章が排出者となっております。この排出者というのは、事業者という意味でしょうか、それとも事業所という意味でしょうか。事業所でなければ私は意味がないというふうに思います。
 それから、64ページのところの2つ目の丸でありますけれども、その最後ですが、営業上の秘密は法的に保護される範囲が皆無であるとは申しませんが、こうした温暖化に関する二酸化炭素等の排出がこのようになるとは、私の常識では理解ができなません。特に「営業秘密は十分に保護される仕組みとすることが必要」との「十分」というのは不要であろうと思います。「適切に」で結構かと思います。
 それから、もう一つ、101ページ、102ページにつきまして、地方公共団体の取組について大変これは重要な指摘が加わりましたが、101ページ(2)のところ、また、102ページ、国についての(1)であります。事務事業も含めまして、それぞれ公共団体が排出削減計画をつくる、公表するということでありますが、ここにPDCAサイクルがしっかり組み込まれていないのは、大変問題があると思います。計画策定にも、地域住民あるいは国民の声が反映する仕組みがもともと必要でありますし、公表だけではなく、それが改定されていくプロセスにちゃんと入っていくと。ここにもしっかりPDCAサイクルが読めるように書くことが必要ではないかと思います。
 長くなりました。恐縮です。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 一渡り、委員の先生方から御意見なり御質問なり、たくさんいただきました。これをどうまとめるかというのは、極めて難しいことであることは、私もよく承知しております。この問題、いろいろな御意見やら、質問についての取り扱いにつきましては、まず浅野部会長代理は、前回の部会長でございましたので、この辺のことはよく御存じでございますので、私と部会長と十分相談した上で、どこを修文したらいいのか、あるいはその修文する箇所については、修文の内容については事務局あるいは私から提案をして、それぞれの委員に打ち合わせをさせていただきたいと、こういうふうに思います。ここで今申し上げられるのは、やや具体的なところがあって、例えばでございますが、すべての先生の御意見にお答えすることはできませんが、青木委員がおっしゃっていたように、用語の点で不適切な、私も伺っていてそう思いました。即座に直せるものは直したい。検討させていただきたい。こういうふうに思います。
 それから、今になって補助金がなんていうところは、財源の問題とか、事情まで書くのはちょっと具合が悪いんですが、財源と言葉を書いてもいいのかと、こういうふうに思いました。
 それから、川上委員が、大変今危機感がないというふうなことをおっしゃっておられて、私も全くそう思っていまして、国民の総力を挙げてやらなければならないときになって、どうも余り意見の一致が見られないのは、大変私も残念に実は思っておりまして、国民が総力を挙げてというようなときに、もっと危機感があってしかるべきだと、こういうふうに思います。というようなことを踏まえて、もう1回、文書は精査をしていただきたいと思いますし、さらに鈴木委員は中環審の会長でもいらっしゃるので、もう少し将来をもっと展望しろと、6%が最終目標ではないんだと、私も全くそう思っております。そういう意味で、最後の方の文章の中には、もう少し将来を展望してというのが、特に原沢委員も最初におっしゃっていただいたように、ますます不確実でなく、確実性が増してきたんだというようなお話を、大変これは重要な点でございますので、そういうことは取り上げていかなくてはいけない。
 それから、あと私も思いつきで、全部きれいな頭に整理されていませんが、塩田委員からは、運輸部門についてかなり具体的なことをおっしゃっていただきまして、効果があるということをおっしゃっていただきました。その辺の部分は、入れられるものであれば、これはまだ事務局と相談しておりませんけれども、入れていかなければいけないかなというようなことについても、浅野部会長代理と御相談しながら、しかし御相談しながらといっても、余り時間がございません。可能な限り今日いただいた意見は反映をさせるということでございますが、非常に時間が迫っている問題でございますので、この問題につきまして、議題の3でございますが、部会長に御一任して、一応第1次答申案としてお認めをいただきますでしょうか。もちろん、このままではございませんので、修文をした上でということの条件で、御一任いただけますでしょうか。
 どうもありがとうございます。それでは、特に今御反対をするわけにもいかないでしょうから、一応お認めいただいたということで、次に進めさせていただきますが、事務局はどうぞその部分のことを十分理解していただいて、一両日中に答申案として、1日2日はかかるかもしれませんが、まとめていただきたいと思いますので、各委員の連絡等は、怠りなく、早急にやっていただきたいと、こういうふうに思います。ということで、本来ですと清水課長からおまとめをいただいて、あるいは質問にもっとお答えをいただかなければいけないんですが、ここら辺は、次の4の議題をどうしても今日やらなければいけませんので、皆様お疲れでございましょうが、続行して4の議題に入らせていただきます。ということで、本当に御協力ありがとうございました。
 ということで、4の議題ですが、あとお約束の時間に30分足らないんです。それで、10分ぐらいは超過、あるいは15分ぐらいの超過はお許しいただいて、4のところの議論はどうしても少しはしておきたいので、まず御説明の方は、15分ぐらいで御説明をお願いをいたします。では、鎌形課長、どうぞお願いします。

○事務局 環境経済課長の鎌形でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料4に基づきまして、簡単に御説明させていただきます。
 本日の議論の中でも、対策の裏付けとなる施策、財源を中心としてさまざまな御議論がございました。それははっきりさせなければならないという御議論がございました。前回もそういう御議論がございました。そのような議論を受けまして、私ども環境省の方で、専門家にも相談させていただきながら、今、達成計画に盛り込もうとして挙げられております対策のメニューについてレビューをして、それについてどういう施策で裏付けていくのか、あるいは財源的にはどうなのか、こういう作業をしています。その作業の中間報告をいたしたいということで、これが資料4ということでございます。私ども環境省の方で、各省の審議会とか、そういうもので出されたデータなどを材料に、私どもの責任で今のところ作業をまとめさせていただいているというところでございます。そういう意味で、ここに書いてございませんけれども、関係各省とすり合わせたものというわけではございませんので、そこは環境省の責任で今作業をしているという前提があることをまず御理解いただきたいと思います。
 それで、資料でございますけれども、資料4が今までの作業の中間段階の報告ですが、1には今申し上げたような作業内容について書いてございますが、基本的にさまざまな政策手法を比較検討するということと、それから、対策のメニュー、その裏付けとなる施策の検証について作業ということでございます。そして、この検討に当たりましては、別紙とありますが、学識経験者からの御助言もいただいてやっているということでございまして、この本体の資料4の冊子の次のところに別紙というのがついてございますけれども、この部会の委員にも何人かお願いして見ていただいているということでございます。
 それで、全体的な御説明をする際に、どういった作業の手順でやっているかということにつきましては、この本体の後、別添1、2、3、4という形で表がついてございます。この表が基本的な作業でございまして、その作業ごとにやっているということでございます。これらの別添資料を基に、まずその構造を御説明して、作業のイメージをつかんでいただきたいというふうに考えております。
 まず、別添1でございます。A3のもので表裏でございますけれども、「各政策手法毎の地球温暖化対策への適応性可能性」というタイトルになってございます。左側でございますが、規制的手法、経済的手法、その内訳に規制の中では直接規制、枠組規制とか、あるいは経済的手法の中では、補助金・租税特別措置、環境税など。あと裏にまいりますと、左側には自主的取組の促進、情報的手法、環境教育・普及啓発、京都メカニズム、こういった分類がございます。それぞれにつきまして、ちょっとまた元に戻りますが、一般的にどういう手法であるかという定義の次に、温暖化対策を具体的に見た場合に、どういうところで適用が期待されるのか、あるいは適用が困難な部分はどこかというものを表で整理しておるものでございます。ちょっとサンプル的に御紹介いたしますと、一番上の直接規制というところには、機器単位の対策、トップランナー規制のようなものですね。こういうものが現状としてございますし、そういうところへ適用していくのがなかなかふさわしい手法であろうと。それから、そこのすぐ右へいきますと、初期需要の創出段階でコストが高い、そういうものに対しての適用はなかなか難しいのではないか。こういったような適用可能性をそれぞれ温暖化対策の具体的な中身に即して分類していく、こういう作業をしたものでございます。
 まず、そういう作業をいたしましたのが別添1でございますが、あと具体的な今挙げられていう対策の中で、どういうふうにそれを当てはめていくかという、こういうことになってまいりますけれども、次に別添2というものを御覧いただきたいと思います。
 A4の1枚紙でございます。暫定ということで、実は今日これに類するものは、先ほど排出量の見通しの説明の中でも資料として使われておったわけでございますけれども、一番左側に、今まとめています対策のメニューがございます。今回、京都議定書目標を達成するためにどんな対策を積み上げていくかという、この達成の対策のメニューでございます。その右側に、今空欄になってございますけれども、作業が間に合わなかったので埋めていないということだけでございますけれども、実際に削減量はどれだけかという表でございます。これを全部足し上げていきますと、今回第1次答申にございました削減の見通しという形、いわゆる現状対策ケース、追加対策強化ケース、こういったものの数字が並んでくるということでございます。
 それで、実際に、ではこの具体的な1番から番号を振ってございますけれども、こういう対策をどういうふうに実現していくかというところの、どういう政策を当てはめて実現していくか。それが次のステップということでございまして、次が別添の3というものを御覧いただけますでしょうか。
 別添3というのは、左側の番号が振ってあるもの、この対策のメニューというのは、いわゆる別添の2、今御紹介しましたものと共通している対策が並んでおるわけでございます。これをどうやって実現するかということにつきまして、その右側の方に、規制的手法、経済的手法、自主的取組の推進、情報的手法、こういった欄があるかと思います。それぞれの対策につきまして、どういう政策でそれを実現していくのか、これは今中央環境審議会、ここの審議会を始め、各省の審議会でもいろいろ議論をされております。そういった議論をされているものの内容をこちらに並べてきているということでございます。
 ちょっとサンプル的に具体的に御覧いただきますと、例えば、4ページ目を御覧いただきますと、4ページ目は家庭部門ということが並んでございますが、その一番上、24番でございますけれども、機器の効率改善といったような項目がございます。そういうものに関しましては、規制的手法のところにトップランナー規制の話が出てくると。それから経済的な措置のところで、経済的なインセンティブの付与の検討が必要である。こういったことが出てくる。あるいは情報的手法のところへきますと、機器の省エネ性能に関する消費者への情報提供、こういったような政策課題が上がってくるということでございます。これがそれぞれについて、すべていろんな審議会で議論されているものを整理しているのが、この表でございます。
 そして、あと、こういったものを出してきた場合に、これを特に経済的措置の面で、実際どういうふうな財源が必要かということも、いろいろ宿題いただいています。そういうことを検討する上で、この表の一番右側に、「社会全体にかかる費用に関する分析」というのが掲げられております。残念ながら、今日の段階では、具体的な定量的な数字までお出しするのに至っておらず、定性的な表現ばかりで恐縮でございますけれども、いずれにしても政府が経済的な支援をしようがしまいが、この対策量を確保していくためには、誰かが何がしかのコストを負担してやっていかなければならない。そういうことでございますので、そういったコストのかかる分析をしようということでございます。例えば省エネ機器であれば、従来型の機器と効率のいい機器との差額の部分に相当する部分が新しいコストになってまいります。それと導入量というものを掛け合わせたものが、実際に社会全体として必要になってくる、そういうようなコストになるだろうと。そういう考え方、一例ではそういうことでございますが、そういったものを積み上げていくという作業をしているということでございます。
 それから、次に別添4というものを御覧いただきたいんですが、追加的な経済的支援が必要と考えられる主な対策の例ということでございます。先ほどのメニューの中で、経済的支援が必要と考えられるものを抽出してまいりまして、それについての具体的分析を加えるというものでございます。左側から項目が並んでございますが、右側から2番目の欄には追加的財源が必要と考えられる背景というものについて分析するということでございます。例えば一番上の高性能工業炉の導入促進というところでありますと、現在導入の初期段階で更なる導入促進を図るための経済的支援が必要だと、こういう背景を述べております。それから、実際には政策的支援というのはどれくらい要るんだろうかというのを書くことになりますが、現在はここは試算中となっております。これについても今私どもの方で、さまざまな資料を材料に積み上げをしているということでございます。
 それから、別添の5の[1]、[2]というのがございます。これは実は今の作業を、個別の対策ごとにこういった、我々は個票というふうに呼んでおりますけれども、そういったものをつくっているというのをサンプルを今回、お出しさせていただきました。例えば、別添5の[2]の京都メカニズムの活用というところで言えば、まず1番に導入目標がどうなっているか、それから現状はどうなっているのか、それから、課題はどういうものがあるのか、それから3番目に価格としての情報、今手に入る価格情報というのはどんなものがあるのか。裏にまいりまして、現行の支援制度にどんなものがあるのか。そして5番目、社会全体にかかる費用、6番目、必要な財源の試算、こういったようなものを試算していくということでございます。本日の段階でお示ししている数字についても、まだまだ精査をしていくと、こういう過程のものでございます。
 以上でございまして、それで、本体の方にちょっと戻っていただきたいんですけれども、資料4の本体でございますけれども、今のような作業をまとめていくという形でございます。時間がありませんのではしょらせていただきますが、1ページ目の2の手法別の評価というのは、先ほど別添1で整理すると申しました、各手法についてどういう対策への適用が可能なのか、あるいはどういう対策については適用する上での困難があるのか、そういうところを整理していくというものでございます。それが、2ページ、3ページ、4ページと続きます。それから、4ページ目の3、対策の裏付けとなる施策の検証というところでございますが、分野別の課題の抽出というところでございますが、これにつきましては、各対策分野ごとにさまざまな政策の可能性を検討しますが、その中で主として経済的支援の必要な背景というものを分析しているということでございます。これが、4ページ、5ページ、6ページ、7ページ、8、9という形で続いてまいります。もうちょっと具体的な説明をしたいんですけれども、時間もございますので、省略していきます。
 それから、10ページの2)でございますけれども、それでは社会全体で必要な追加的費用がどれぐらいかということ、あるいは経済的支援の量はどれぐらいかということをまとめてまいります。先ほどの作業を積み上げた結果をまとめていくということでございます。例えば、10ページから11ページでございますけれども、社会全体で必要な追加的費用、年間で○○○○~△△△△億円程度と書いています。今日のところは数字を埋めておりませんけれども、これについて作業をしているということでございます。ちなみに、すぐ下にいわゆるAIMモデルの試算についての話が出てございますが、AIMモデルで試算した場合に、これは昨年施策小委員会でも御紹介させていただきましたけれども、年間1兆円規模のものが必要ということが出てまいります。モデル上の計算です。このモデルは費用の安い対策から導入が進むという前提でございますので、そういう意味で少なめの評価ということかと思いますけれども、そういったものを1つの目安としてございますけれども、こういうモデル上の計算だけでなくて、それぞれ個別に積み上げてみようということでございます。
 それから、11ページの真ん中、経済的支援の量ということでございます。さまざまな手法がございます。補助とか融資とか税制上の優遇措置とか、いろいろございますが、そういうものを一定の前提を置いて試算して、ここも四角とひし形で書いておりますけれども、どれぐらい見込まれるのかということを算出するということでございます。
 それから、11ページ、費用対効果についての考えというのをまとめてございます。とかくこれだけ財源が必要というふうに積み上げた場合に、実際に効果のある、費用対効果があるものに投入されるのかという議論があろうかと思います。そういうことについての考え方を示したものでございますが、基本的にはまず効率的なものをやるというのは、大前提でございますけれども、ただ、ここでは、効率を第一にしますと、例えば、産業部門で対策をとるのが一番今効率的だというふうに考えられますが、産業部門だけでやるということでいいのか、各主体が公平に分担すべきではないかという論点。それから、例えば新エネルギー対策と省エネルギー対策を比較していくと、新エネルギーの方が効率的には現段階ではよくないということが出てこようかと思いますが、将来的な、中長期的に何を普及すべきかということを考えた場合に、新エネの普及というところも必要ではないか。そういったさまざまな議論があるということで、効率的なものを前提としながらも、さまざま配慮すべき点はあるということをまとめております。
 それから、あと12ページのイにつきましては、今個別の分野ごとの対策の積み上げについての議論をしておりましたけれども、環境教育・普及啓発、サマータイムとかといった横断的な施策とか、あるいは技術開発、都市構造の変化と、こういった中長期的な課題というものにも対応が必要だということがございます。
 それから、4番、まとめということでございます。これは、実際に作業をした後に、さらによく見ていただきたいということでございますけれども、我々今作業途中で、ある程度の感触をつかんでいる中でのまとめということで、理解していただければと思います。それで、13ページの政策手法の比較というのは、先ほどの別添1の作業などをまとめているということでございます。この中でも、環境税につきましては、価格効果、アナウンスメント効果、財源効果を通じた効果的な削減効果を上げる手法という記述をさせていただいております。
 それから、13ページの下の施策の検証という部分でございますけれども、社会全体で追加的に必要な費用、それから経済的な支援が見込まれるもの、こういったものについてのまとめを書くということでございます。
 それから、最後14ページにまいりまして、それぞれ作業をしていくわけなのでございますけれども、それぞれ削減量と必要な財源なども積み上げますと、これが財源がはりつけられたような対策の削減量を積み上げると大体何パーセントぐらいになるのか、こういったものも計算しようと考えております。それから、もう一つ、ただこの試算でございますが、価格や技術開発の動向など不確定な要素があるので、それらの値については、規模を示す参考として理解している。そういうような前提で作業しているということでございます。
 それで、以上のような作業をした結果、結論が出た上での話でございますけれども、下のような結論というものを、これはまだこれから検討していくという形になろうと思いますけれども、ただ今まで私どもが作業をしている感じでは、安定的な財源の確保というものがやっぱり必要というようなボリュームが出てくるのではないかと。そういうことで、すべての主体に公平な参加を求める環境税というものが、早急な検討課題として出てくるだろうと、こういうような感触を持っておりますけれども、そこは作業を進めてまた御報告したいということでございます。次回には、しっかりと作業を、具体的数字も埋めて御報告して議論いただきたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。

○須藤部会長 どうも御説明ありがとうございました。次回は3月8日に第2次答申案ということを予定しているわけでございますが、それは今作業中のものがしっかりとした数値が出てきて初めて、それが皆様にお示しできるということのようでございまして、現在では、その中間報告をお示しいただいたということでございます。
 あと、いかがでございましょう。私のまとめを含めまして、18時15分に終了したいと思いますので、あと25分間の御質問等お受けしたいと思いますので、まず札を立ててください。特になければ、もちろん、そんなには無理に引き伸ばしませんが、多分たくさんあるだろうと予想したので、私今15分の延長と申しました。そうしたら、今度は真ん中からいきましょうか。前回はこちら、今回は左側からで、今度は真ん中の西岡委員からまいりましょうか、真ん中を先にやって、それでどうしても時間が足りなかった場合は、次回送りに許してくださいということにさせていただきます。
 それでは、西岡委員からどうぞ。

○西岡委員 簡潔に申し上げます。こういうロードマップをきちっとつくっていただきたいというのが結論です。といいますのは、欧州等々の状況を見ていますと、この10年間いろいろ議論してきて、結局何も日本は進まなかった。しかしながら、ヨーロッパの方はエネルギー共同にしても、CO共同にしてもどんどんよくなっている。早くモメンタムをつけないと、このままずるずるといってしまうのではないかと、非常に危惧を覚えております。今ここで拝見いたしました中身が、見ますと、もう既に部会であるとか、私も何度も作業部会等々でいろいろ議論したことがもう盛り込まれておるわけですから、中身の細かい検討については十分済んでいるのではないかと思っております。早くまとめていただきたいというのが私の意見です。

○須藤部会長 ありがとうございました。
 そうしたら、こちらにまいりましょう、永里委員、中上委員という順にいって、それから左側の方に、平尾委員とまいります。

○永里委員 どうもありがとうございます。
 新しい予算をつけて、こういうことをする前に、我々は余りお金を使わないでこういうことをすべきであろうと。要するに、新税の導入をするようなことではなくて、既存の予算の中で、この省エネ対策をやるべきではなかろうかと思います。そういう意味で、まずやるべきことは、国民的な努力をすべきでしょうし、それから、補助金なんていうのを新税を導入してまでやるべきではなかろうと、産業界は思います。むだな予算は使わず、ぜひやっていきたいと思います。税はいったん入れますと、非常に硬直的で縮小することがありません。どんどん肥大化していきます。ここで鈴木先生もおっしゃっていましたが、この国の形をどうする。要するに、少子高齢社会になると、年金問題その他含めて、どんどん国家予算が膨らんでいくと思います。そういう国の形にしていくのかどうか。少なくとも現在ある予算を有効的に使うようなことを考えなければならないんだろうと思うんです。
 そういう意味では、前半の部分で原子力の稼働率を上げるというような重要な記述があったんですが、今回の対策の裏づけとなる施策についての検討では、その項目が落ちております。金を使わない項目については、(ただし、これは民間の方が金を出すわけでしょうけれども、)ここに記述されていないわけです。中間的段階の報告ではありますが、あえて環境税導入の必要性を示すために、要するにお金がこれだけかかるんですよと示すためにこの資料をおつくりになられているというふうに見えますので、もう少しその辺のことについてもちゃんと書いてほしいと思います。
 以上です。

○須藤部会長 ありがとうございました。
 中上委員、どうぞ。

○中上委員 初めて参加して、多分次回は海外出張でまた出られませんので、いくつか御質問のあったものも含めてコメントさせていただきます。
 サマータイムでございますけれども、「地球環境と夏時間を考える国民会議」のときに一度試算いたしましたが、直近の試算では社会経済生産性本部でやりまして、90万キロリットルか100万キロリットルぐらいの直接効果がありそうであると。C換算で40万トンぐらいいけそうだと。幅がありましたのは、電力の排出原単位も火力でとるか全電源でとるかでぶれるものですから、非常に大きな幅を持ちましたけれども、前回の幅があるというのはそういう意味であって、今回はC換算で40万トンオーダーでございます。決して小さい数字ではないと私は思っております。
 それから、中長期ビジョンはどうなるのか、私全く鈴木先生の意見に賛成でございまして、そういう意味では経済産業省は2030年の中長期ビジョンをやったわけでありますが、そういう時間軸をどう見るか。ところが余りにも今の議論のすべてが、直近の京都議定書に振り回されすぎている。この環境税の問題も、あたかも京都議定書をクリアするために要るようにとられているけれども、これはやっぱり全く間違ったメッセージを一般の方に与えるんだと私は思います。
 それで、私は、この検討のワーキングに入っているわけで、そこで非常に過激な発言をしたわけでありますけれども、とにかくこれから京都議定書の目標を達成するためには、今日も需給部会があったわけでございますが、いずれにしましても、今現在から2009年に向けてはエネルギーマイナス成長で経済社会運営をしなければいけないわけであります。こういう事態ができたのは、何度も皆さん御承知のとおり、2度の非常に大きなオイルショックがあったときだけでありまして、それ以来一切そういう経験をしていないわけでありますから、相当な負担がすべての人に及ぶということを、もっと本当は強烈にメッセージを出さなければいけない。それが伝わっていない。どうも新聞論調によると、何となくできそうだと。余りに大きな数字が並んでくるものですから、一般の人はほとんど理解できない。ですから、自分の生活レベルにフィードバックできない情報ばかりがあふれているわけでありますから、これも人々を間違った方向に安心させてしまう。安心してしまっているんです。
 私が危惧しまして、環境省の議論をこの部会でやらせていただいたときに、私は税のことは素人ですけれども、環境税を入れて京都議定書ができるというふうな一般の人が誤ったメッセージをとっていると、もし達成できないということが万が一にもあった場合には、すべてこの環境税は何のために入れたんだといって、ものすごいゆり戻しが来るのではないかということを、私は個人的には危惧するわけです。そこを慎重にやらなければいけませんねというのが、私が最初のこの部会でやったメッセージでありまして、さはさりとて、やはりどのぐらいの対策費用がかかるのかというのはやらなければいけない。しかし、費用の問題は非常に悩ましい問題を持っておりまして、いわゆる名目価格と実質価格といったらいいでしょうか、要するに実際の流通価格と定価とはずいぶんずれがあるわけです。特に大きな工事を伴うようなシステム的な商品になってきますと、見積もり価格と実勢価格に大きな開きが出てくる場合があるものですから、ですから余り精緻にやろうとすると、かえって泥沼に陥るので、かなり大きな幅で示したらいかがですかというのを、最後の方に苦しいような表現になっておりましたが、全体の規模をチェックするためにこういう作業をやっているんだと御理解いただきたいわけでありまして、個別の作業そのものが1対1で的確な価格になって皆様に御提示できるかということは、私自身は、委員としては余り責任が持てません。もちろん、事務局はものすごい努力をされていますから、そういうのが出てくるかもしれません。そういうことをちょっとお含みおき願いたい。
 もう1点、ついでで恐縮ですけれども、家庭と業務が伸びる伸びると言われておりますけれども、家庭のエネルギーが伸びるのは、1つには世帯数が伸びるんだから、ある意味では仕方がない。それから、欧米諸国と、これは環境省の資料にもございますけれども、欧米先進諸国との居住水準を考えていただければ、いまだに日本の家庭というのは、暖房がそんなに潤沢に行き渡っているかというと、欧米に比べればはるかに遅れているわけです。そのスタートラインから見て、増えることはすべて悪だという議論になってしまうのか、その辺は慎重に議論しないと、私はこれまた誤ったメッセージを与える。では、本当にプラズマテレビ、薄型テレビ、全部やめさせてしまうのかということまで、ここまで踏み込めるかという話になるわけですね。だから生活の豊かさ。それはまた鈴木先生の話に戻りますけれども、生活者レベルでも、我々はどういう生活ビジョンを持つんだということが前提にあって、ここに達するためにはどうしてもこれだけ必要である。しかしそれを削るにはどうしたらいいかという議論をどこかでやっておかないと、現実の今の数字だけをいじって、これが多い少ないという議論に余り走ってしまうのは、かえってまた誤ったとらえ方になってしまうのではないかと思います。
 長くなりましたけれども、初めてで1回しかしゃべりませんでしたので。

○須藤部会長 どうもありがとうございます。
 そうしたら、平尾委員。その後、小林委員の方にまいります。

○平尾委員 この話はかねてからお願いしておったことですから、大変大事なことだと思います。環境税が入れるとか入れないとか、そんなことは抜きにして、まずどういう手立てがあって、どういうとこら辺までいくのかと、そのためにどのぐらいの武器を準備しておかなければいかんのだという、これは今後の方策の原点になりますので、ぜひこれをシビアに議論していただきたい。単に、これは仮想で、ればたらでこれだけ、例えば省エネ設備をどれだけ普及すればという形で、掛け算して計算するのは、これは1週間もあればすぐできるでしょうけれども、本当にそれがいくんだろうかと。例えば、国民に対してインセンティブを働かせるというのは、その考えている効果が本当に思いどおりいくんだろうかと。そういった議論は、やはり広く省庁またがって、よくフィージブルに議論していただきたいということでございます。

○須藤部会長 どうもありがとうございます。
 それでは、小林委員どうぞ。できれば、全部一言ぐらいはいただいた方がいいような気がしますので、1分ぐらいで回していただければ幸いです。

○小林委員 では、一言だけございます。環境税についてはこの議論の中で、やはり必要であるということが、明確に出てくる。その場合、その環境税にどのくらい財源が必要であるか。それとその環境税の役割というか、必要性について、定量的にきちっと明確にしていただくということが必要なので、ここで第2次答申できちっとそれを整理していただければと思います。もし、ほかの対策が進めば、その環境税が必要でないという、ひっくり返しにもなると思いますので、ぜひそこの必要性というのをきちっと押さえていただければと思います。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。急がせてすみません。
 それでは、浦野委員、どうぞ。

○浦野委員 別添3で、部門別、手法別に具体的なものが書かれて、非常にわかりやすくなって、これから物を整理するのに非常によくなったと思うんですが、このときに最初の、別添1にある手法のうち、教育と普及啓発というものが一応手法の中に入っているんですけれども、ここに一切抜けているんですね。どこにも関係あるんですけれども、やはり家庭部門なんかにはかなり具体論として何カ所か入れるなり、これの教育・普及啓発手法の位置づけをもう少し何かしないと、そこだけ抜けてしまった感じで、非常に重要といいながら何もどこにも出てこない、別添3には出てこないというのはちょっと具合悪いので、何かうまく工夫していただきたい。

○須藤部会長 どうもありがとうございます。
 では、飯田委員。

○飯田(哲)委員 できるだけ手短にしゃべりたいと思うんですが、ちょっと今日メモを別途出させていただいたのは、こちらの議論のあれですが、大きく2つ。第1次取りまとめについてはもうほとんど固まっているので、これを第1次答申についてはいじくらないという形で、こちらが第2次答申になるので、ぜひこちらで検討されてはということで、いわゆる先ほども環境税の議論につながるという話もあるとすれば、いわゆるRPS法は2005年度から見直しになって2006年度までに完了するということは、もう法律に書き込まれているわけで、その法目的の中には、もって環境に資するとは書いてあるんですけれども、これは最終的に省庁間協議でぎりぎり入った言葉で、目標値に関して、環境大臣の協議を受けることができる程度のことしか書いておりません。事実上、環境省からは治外法権になっているわけですね。新エネ対策をど真ん中で環境税をぶち込むような話をするのであれば、法目的の中にもっときちんと書き込んで、完全にこれが境界になるようなことをこの中に入れておかないと、いくら例えば新エネ対策でいくらかかると書いても、ある意味机上の空論になってしまう可能性があるので、もう現実に法改正が今年始まるわけですから、そのことをどう書くかはいろいろ配慮があると思いますが、そこを見据えた議論が必要ではないかというのが1つ。
 もう一つは、この枠組みのところで、規制的手法の直接規制のところにRPS法が入っているのが非常に違和感があって、どうもここに書くと、英語で言うコマンド・アンド・コントロールに見えてしまうんです。しかし、RPS法であるとか、ドイツ型の固定価格制度(フィード・イン・タリフ)というのは、初期需要をつくるための価格インセンティブをつくるための、どちらかというと経済的手法というのが一般的な理解であるはずです。それがもっと違和感があるのは、例えば、別添3の5ページ目に新エネ対策があって、ここに規制的手法のところにRPS法があって、経済的手法にこのばらばらある補助金が入っていると。むしろ、私もメモにも出しましたけれども、今自然エネルギーに限りませんけれども、いわゆる技術プッシュの補助金型から市場プルのランニング支援型に大きく手法としては変わってきているのであって、こういうばらばらばらまく補助金ではなくて、それこそRPSもしくはフィード・イン・タリフのような形に変わっていくというベクトルが本当は出てこないといけないんですが、ここからだと、逆に古い手法から補助金に向かっているように見えてしまって、ちょっとここの、ほかの全面的な枠組みまで直すのは大変だと思いますが、ここのところの整理の仕方は、少し考えていただかないと、最後に費用を導いていくところで、すごくミスリーディングな整理になってしまうのではないか。世界の動きに何か逆行するような、補助金だらけの新エネ対策になってしまうという非常に危惧を覚えてしまうので、そこはぜひ資料の整理において御留意願いたいというふうに思います。
 以上です。

○須藤部会長 どうもありがとうございます。
 それでは、武内委員、どうぞ。

○武内委員 先ほどお話をいたしました吸収源対策をどう考えるかということについて、ここでも1つ問題を提起したいんですが、ここで1,700億円が必要だというとんでもない数字が出ているということ自身が、森林について、あまりそれは引き算の前提数字だというふうに考えない方がいいよというふうなことはある意味で言っているわけですけれども、ただ、この数字自身が、恐らく林野庁から出てきた数字をそのまま書いているのではないかと思うんです。
 それで、その前提となっているのは、やっぱり林道整備を中心とした従来型のいわゆる補助事業、基盤整備事業みたいなものの延長線上になっているというふうに、そうでない部分があるのかもしれませんけれども、基本的に私はそうであるというふうに聞いているんですが、やはり温暖化対策について、いろいろな新しい経済メカニズムをどう発動するかということがこれだけ議論になっている中で、この部分だけは全く思考停止しているという状態でこういう形で出されているというのは、私は全くこの中央環境審議会として、責任を果たしていないのではないかと思うんです。例えば基盤整備をやめて、木材について直接外材との間の差額を補てんするというような形でやる場合と比べてどうなのかとか、そういういろんな政策オプションを考えた上でこのことを議論してここに出てこなければいけないのに、最後の最後までこれを見ると、まるっきり林野での基本方針がそのまま中環審での方針になっているというのは、私はいささか問題だと思いますので、ここはやはり少しきちっとした形で考えていただきたいというふうに思います。

○須藤部会長 どうもありがとうございます。
 それでは、大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 この小さい部会にも入れていただいていますので、その観点から少しお話ししますが、中上委員から先ほど非常に重要な御指摘があって、私もそのときも申し上げていたんですけれども、環境税というのは、第1約束期間だけをターゲットにしたものではないということをぜひ環境省にもおっしゃっていただくとよろしいというふうに思っております。中上委員と全く同じ意見でございます。
 それから、RPSについては、飯田委員の方からお話があったように、私も経済的手法でもありますという話をそのときしてきたんですが、多分義務量を1.35%に徐々に近づけていくというところが、直接規制的な意味もないわけではないというところでここに書いてあるということで、両方に入れた方がいいのかもしれませんけれども、おっしゃることは確かにそのとおりでして、ちょっと整理が非常にしにくかったということがありますので、ぜひまた飯田委員から建設的な意見を伺って、少し修正をしていったらよろしいのではないかというふうに思っております。また、飯田委員がおっしゃったように、別に補助金にたくさん持っていくためにやっているわけではないので、いろんな手法で整理をして、補助をするとしたらどこかという、そういう整備をしているということだと思いますので、ぜひ、そういう観点から、進めていくべきだというふうに思っております。
 もう1点ですけれども、先ほど小林委員も言われたように、そういう観点から、補助が必要なものがあるとすれば、それについて、環境税として、定量的にどれだけの補助が必要かということを見出すということも、全体の中での1つの重要なポイントではあると思いますので、その点も含めた作業を進めているということでございまして、ぜひ、そこの定量的なところを明らかにしていくべきだというふうに考えております。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 では、浅岡委員、どうぞ。

○浅岡委員 先ほど永里委員から、私の説明がよろしくなかったのか、誤解されたと思うので、訂正しておきますけれども、ここに書かれている中間段階の報告にありますことも一例といたしまして、例えば対策費用が社会全体としてかかる、その社会全体にかかる部分をどのように分配していくのかという中に税の仕組みは不可欠であるということを前提といたしまして申し上げておりまして、一定の税収があって、余り高い税でないとすれば、対策にそれを活用せざるを得ない。行き先はどこかと申しますと、ほとんどは産業界ではないかと。例えば、高性能の給湯器等に補助をすることを考えましても、消費者に補助をしているといいましても、消費者の手元に入るわけではなくて、みんな事業者にいくわけでありまして、結局消費者は高いお金を出して、高性能のエネルギー効率のいいものを購入し、温暖化対策をしていくという、最終的にはそういう構図であるということについては御案内のとおりであります。経済界にとって、決して自分たちに負担があるのではなくて、むしろお金が回ってくる仕組みを今議論しているのだということを申し上げたわけであります。
 そのときに、先ほど武内委員からお話しありましたように、森林吸収源について問題がいろいろあるところでありますゆえに、こういう話が林道建設に使われるなんていうことは、必要な林道もあるでしょうけれども、極めて吟味しなければいけないと。その他同じような問題もあるかと思います。各業界の方やそれに近い方はおわかりになるので、しっかり意見を出していただきたいと思います。中上先生が先ほどおっしゃいましたように、家庭、業務というものについて、この程度で止めなければいけないと思いますけれども、今まで増えてきたのが悪かったというようにとらえるのではなく、我々の生活水準をどのように見ていくのかという観点で、消費者に理解を得ながら、高効率製品を購入するための消費者教育等も含めていかれますと、先ほど教育はどこに配分されるのかという部分につきましては、裏に教育の手当てもあるということになるのではないかと思います。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。特に、後半の方では少し時間も急がせて、おっしゃりたいことがおっしゃれなかったかと思いますが、次回の2次答申案のときには、今の浅岡委員の方から回しますので、お約束をさせていただきます。
 ということで、たくさんの意見をいただきましたが、これを踏まえまして、ぜひ、第4の議題、鎌形課長の方では、大変短時間なんですけれども、定量化した数値をきちっと出していただいて、そして第2次答申案としてお示しをいただきたい。しかも、できればこの場ではなくて、1日でも2日でも早めに、作業しているのはよく承知をしているんですが、早めに委員の先生方にお目通しをいただけるように配慮していただきたいということでございます。
 ということで、次回の部会は、3月8日火曜日、15時から18時まで、場所は竹橋のKKRホテル東京10階瑞宝の間で開催を予定しております。ここではございませんので、どうぞお間違いくださいませんよう、お願いいたします。
 本日の議事録につきましては、事務局の方でとりまとめた上、後日委員の皆様に案をお送りさせていただきます。
 それでは、少し時間を超過いたしましたが、これをもって本日の部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。お疲れさまでございました。

午後6時10分 閉会