中央環境審議会地球環境部会(第21回)議事録

1.日時

平成16年7月15日(木) 午後1時05分~午後4時25分

2.場所

三田共用会議所「講堂」

3.出席委員

  
(会長)  森嶌 昭夫  
(部会長)  浅野 直人

 
(委員)  清水  誠  鈴木 基之
   桝井 成夫  桝本 晃章
   和気 洋子

 
(臨時委員)  青木 保之  大聖 泰弘
   浅岡 美恵  高橋 一生
   飯田 浩史  永里 勝也
 飯田 哲也  西岡 秀三
 太田 勝敏  廣野 良吉
 大塚  直  福川 伸次
 久保田 泰雄  甕   滋
 小林 悦夫  安原  正
 佐和 隆光  山口 公正
 塩田 澄夫  
     
(専門 委員)  平田  賢   

               

4.議題


(1) 革新的な環境・エネルギー技術の研究開発の強化、国民各界各層による地球温暖化防止活動の推進に係る対策・施策の見直しについて
(2) 非エネルギー起源二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素に係る対策・施策の見直しについて
(3) 温室効果ガス吸収源対策の推進に係る対策・施策の見直しについて
(4) 2010年の温室効果ガス排出量の推計(現状対策ケース及び対策強化ケース)
(5) 中間とりまとめに向けての主な論点整理

5.配布資料


資料1 「革新的な環境・エネルギー技術の研究開発の強化」、「国民各界各層による更なる地球温暖化防止活動の推進」に係る対策・施策の見直しについて
資料2 非エネルギー起源二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素に係る対策・施策の見直しについて
資料3 温室効果ガス吸収源対策の推進に係る対策・施策の見直しについて
資料4 2010年の温室効果ガス排出量の推計(現状対策ケース、対策強化ケース)暫定値
資料5 中間とりまとめに向けての主な論点整理
資料6 地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しに関する中間とりまとめ(たたき台)
参考資料1  2008~2012年度の温室効果ガス排出量の推計(現状対策ケース、対策強化ケース)
委員提出書面意見

6.議事

午後1時05分開会

○盛山地球環境局総務課長 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会、地球環境部会の第21回会合を開催いたします。全委員40名中、現在18名の方が出席されております。まだ過半数に達しておりませんが、追々お見えになると思いますので、時間でもございますので、そろそろはじめさせていただきたいと思います。
 審議に先立ちまして環境省におきまして7月1日付で人事異動がありましたので、まず御紹介させていただきます。
 まず、地球環境審議官の松本でございます。

○松本地球環境審議官 松本です。よろしくお願いいたします。

○盛山地球環境局総務課長 続きまして環境管理局長の小林でございます。

○小林環境管理局長 小林です。よろしくお願いします。

○盛山地球環境局総務課長 大臣官房審議官総合環境政策局担当の桜井でございます。

○桜井審議官 桜井です。よろしくお願いいたします。

○盛山地球環境局総務課長 総合環境政策局環境経済課長の鎌形でございます。

○鎌形環境経済課長 鎌形です。よろしくお願いします。

○盛山地球環境局総務課長 同じく総合環境政策局企画官の上河原でございます。

○上河原企画官 上河原でございます。よろしくお願いします。

○盛山地球環境局総務課長 地球環境局地球温暖化対策課国際対策室長の水野でございます。

○水野国際対策室長 水野です。よろしくお願いいたします。

○盛山地球環境局総務課長 それらか最後になりましたが、私、地球環境局総務課長の盛山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○盛山地球環境局総務課長 それでは浅野部会長、よろしくお願いいたします。

○浅野部会長 それでは本日の議事について、御紹介申し上げます。議事次第にありますように、最初は、革新的な環境エネルギー技術の研究開発の強化等についての施策の見直しをお諮りいたします。次に、非エネルギー起源の二酸化炭素等についての対策・施策の見直し、そして吸収源の対策・施策の見直しについてです。これでひと当たり対策・施策の見直しについての御検討を終わっていただいてきます。さらに参考までにということで、2010年の温室効果ガス排出量の推計について、現状のままではこうなるということと、対策を可能な限り現在強化したものではどうなのかということに関する推計の数値をお示しいたして、ご議論いただきます。最後は中間とりまとめについての論点の整理をお示し致しますので、これについて御議論いただきたい。以上でございます。本日は主に5の議題に時間を割きたいと思いますので、どうぞ審議に御協力をいただきたいと思います。
 では、資料の確認を事務局からお願いいたします。

○事務局 まず、1枚目が議事次第、続きまして本部会の座席表、それから委員名簿、それから資料一覧、資料1が革新的な技術の研究開発の強化、国民各界各層による更なる地球温暖化防止活動の推進に係る対策・施策の見直しについて。資料2が、非エネルギー起源二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素に係る対策・施策の見直しについて。資料3が吸収源対策の推進に係る対策・施策の見直しについて。資料4が、2010年度の温室効果ガス排出量の推計の暫定値。資料5が、中間とりまとめに向けての主な論点整理。資料6が大綱の評価・見直しに関する中間とりまとめのたたき台。
 参考資料1が、2008~2012年度の温室効果ガス排出量の推計のバックデータ集。それから委員の皆様方から書面でお教えいただいた御意見として、天野委員の御意見、桝本委員の御意見、それからヒアリングに参加していただきました日本経団連様からの御意見、それから横長で浅岡委員から提出いただきました地球温暖化対策推進大綱の第2ステップに向けたNGOの提案、それからこのような小さなビラでございますが、COP3の議長をお務めになりました大木浩元環境大臣を代表に7月30日に東京タワー近くの神谷町に先日オープンいたしました全国地球温暖化防止活動推進センター、「ストップおんだん館」のビラでございます。
 それから委員の皆様のお席の方にはこれまでの20年間の調査結果をとりまとめました「酸性雨対策調査総合とりまとめ報告書について」を配布させていただいております。
 資料については以上でございますが、本日、各委員お二人の真ん中のところにマイクを設置させていただいております。御使用にあたりましては真ん中の大きなボタンを一度押していただきますと、赤いランプがつきますので、その状態で御発言いただいて、御発言後はもう一度同じように大きなボタンを押していただいて、スイッチをオフにしていただきたいと思います。
 以上でございます。

○浅野部会長 それでは、ただいまから議事に入りたいと思います。本日は16時までの議事を予定しております。議題の4と5の間に多分14時30分ごろかと思いますが、質疑に先立って5分間の休憩をはさみたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に議題の1「革新的な環境・エネルギー技術の研究開発の強化」「国民各界各層による地球温暖化防止活動の推進に係る対策・施策の見直しにいて」、議題2「非エネルギー起源二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素に係る対策・施策の見直しについて」、議題3「温室効果ガス吸収源対策の推進に係る対策・施策の見直しについて」の審議をまとめて行いたいと思います。
 それでは、清水地球温暖化対策課長から説明をお願いいたします。

○清水地球温暖化対策課長 それでは座って説明させていただきます。まず、資料1を御覧いただきたいと思います。「革新的な環境・エネルギー技術の研究開発の強化」「国民各界各層による更なる地球温暖化防止活動の推進」に係る対策・施策の見直しについてということからであります。
 まず、1の○ところに書いてありますのが革新的な技術の研究開発の関係でございます。この対策は大綱におきまして革新的な技術開発によって744万tCO2の削減対策という、そういう形で位置づけられておりました。ここに書いてございますように、エネルギー転換技術でありますとかさまざまな基盤技術あるいは革新的プロセスシステム技術といったことが掲げられてございます。
 2番目の○に書いてございますように、革新的温暖化対策技術と申しますのは、1998年の当時の想定を超えた技術革新によるCO2あるいはメタン、二酸化窒素の排出抑制がされたというふうにとらえられるわけでありますが、2010年までに導入されるのであれば、その時点では既に他の一般的な技術というようなふうになってくるのではないだろうかと。特にここの部門では産業部門の対策に多く寄与するものと考えられるわけでありますけれども、産業部門の対策につきましては、実施法の計画あるいは省エネ法による対策という形でパッケージ化されております。パッケージ化された対策ということで技術を特定する対策ではないわけでありますので、実際問題として考えた場合、そういったCO2あるいはメタン、N2Oなどの排出の量の中から、どこの分が革新的技術でどこの分は一般的技術であるかというような振り分けをしていこうとすることが大変困難状況なのではないかということであります。したがいまして、ここの議論におきましては、むしろそれぞれの排出ガスの対策抑制の一環として議論した方が、より効率的に取り扱うことができるのではないだろうかということであります。
 後ろから2番目の○で革新的技術のうちCO2の固定化につきましては、2010年までの実用化は困難であり、2030年までの技術的な課題という整理が適当と考えております。ただ、こういう区分なりの変更というものは技術による評価がないということではなくて、むしろ評価の問題でありまして、技術開発の必要という意味では、あるいは中長期的な取組の中から探す必要性があるかなというところでありますので、こういった対策を進めていく必要があるということであります。
 それから裏を見ていただきまして、「国民各界各層による更なる地球温暖化防止活動の推進」ということについてであります。大綱におきましては、この区分におきまして1562~2222万t-CO2の排出削減を見込んでいるわけでございます。これらの対策の評価は第15回のこの部会においても議論いたしましたが、特にこの国民各界各層による区分、この区分につきましては、その区分自体が排出量もっているわけではなくて、それぞれの対策による削減効果が業務部門の排出量あるいは家庭部門の排出量に対して、それぞれの効果を発揮するというそういう形になるわけであります。したがいまして、ここの対策の進捗状況を的確に評価するためには、こういった他の区分の排出量の中からこの区分の対策自身の削減量を定量的に分離して、それを評価する必要があるわけであります。
 しかしながらここの対策を考えますと、例えば家庭で見た場合に省エネ家電などの効率アップとかあるいは住宅の断熱等、他の対策条件と相まって全体としての削減効果を発揮していくということでありますので、他の対策とかさまざまなそのほかの前提条件を抜きにして、この対策の効果を評価するというふうになりますと、むしろ正確性を欠く面があるのではないかと。したがいまして、この区分によるCO2の対策につきましては、むしろCO2の排出削減の対策ということとあわせて議論した方がより適切ではないかということを、ここではいっております。
 最後の○でございますが、この対策自体は他の対策と相まって効果を発揮する重要な対策であることには変わりない。引き続きこの対策を進めていく必要があるという認識でございます。
 引き続きまして、資料2の方を御説明したいと思います。資料2は「非エネルギー起源二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素に係る対策・施策の見直し」ということでございます。この区分の対策におきましては、対策の進捗、対策・施策の進展とさまざまな社会経済フレームの変化によりまして、大綱の目標が-0.5%という目標を掲げてございますけれども、この目標が達成される確実性が高いだろうと評価されました。今後ともこの現大綱に盛り込まれた対策・施策を着実に実施していくというのは当然でありますけれども、ただ、これらの対策についてはいらないかというと、他の対策と同様検討は行う必要はあるといったことで、いくつかのオプションについて検討いたしました。
 二つ目の○のところでいくつか書いてございまして、例えばN2Oというのは笑気ガス、麻酔ガスでございますが、これを使ったあと再処理するようなシステム、そのほかの対策も検討されていますが、現時点におきましては設備コストとかあるいはさまざまな条件に鑑みまして、2010年までに導入される確実性は低いのではないかと。そのほかで次ページ以降に2つの対策・施策の評価を議論していただきたいと思っております。
 ページをめくっていただきますと「混合セメントの利用拡大」ということが次のページにございます。対策の概要のところに書かれておりますように、混合セメントは高炉スラグあるいはフライアッシュ等を仕上げの段階で混合すると、そのことによってクリンカの消費量が削減できる。クリンカ製造にあたりましては石灰石からのCO2の排出ということで、それでCO2が出てくるわけでございますけれども、この高炉スラグなどを混合する量を増やして、そこのプロセスによってCO2削減が図られる。現在、高炉スラグの6割程度が混合セメントの原料として使われておりますが、今後割合を上げていくことによって追加的な削減量が見込まれるだろうということです。
 導入ポテンシャルのところに書いてありますが、仮に全量を混合セメントとして利用した場合は172万t-CO2程度の削減が見込まれると。ただ、導入に向けては採算性や品質などの問題がありますので、地方公共団体に対するグリーン調達法に基づく利用の促進などを推進して利用率を高めていきたいということであります。
 それから次の3ページ目は「下水汚泥焼却施設における燃焼の高度化」です。この下水道におきましては高分子凝集剤を利用して汚泥を発生させ、それを焼却しているわけなんですけれども、この流動床炉におきまして焼却する場合、他の炉と焼却する場合に比べて条件が悪くなってまいりまして、N2Oの発生量が高くなるということがあります。削減効果のところに書いてありますが、850℃以上の温度条件にした場合は、現在の流動床炉で焼却に比べて排出量3分の1以下に削減が可能ではないだろうかということであります。ポテンシャル的には3,450から4,595t-N2O、これはCO2に換算しますと100万t-CO2以上です。導入への課題としては、運転管理者が温度状況をきちんと管理していくということが必要でありますけれども、そういったものに対する手引きなり指針の徹底を図りながら、かつ実態把握を行いながら高度化を行っていくというのが、ここで示された対策であります。
 それから資料3ということで吸収源対策になります。資料3の吸収源対策の一番上に書いてございますように、森林経営に基づく獲得吸収量の上限値は炭素換算で1,300万トンです。これは日本全体の中では3.9%程度の吸収量ということになっているわけでありますけれども、評価しましたところに書いてありますように、現状程度の森林整備水準では3.1%程度、1,030万炭素トン程度の確保にとどまり、上限値を下回るのではないかということです。このため森林整備に関しては対策をさらに進めていくということであります。さらに都市緑化についても書いてあるとおりです。
 2ページ目にいっていただきまして、「健全な森林の整備」になります。多様な森林整備を展開し、間伐、下刈など行い、あるいは荒廃地における植林、保育等の推進により、二酸化炭素の吸収量を確保していくというものでございます。
 課題のところに書いてありますように、現在、間伐が必要な森林は多く存在しておりまして、間伐材による利用率が4割から5割ということで大変低いということがありますので、この辺りを把握していく必要があります。さらには、特に森林整備の担い手の問題というのが大きな課題としてありますので、この辺りも対策をということで、これに向け考えられる施策例ということで挙げております。間伐の推進あるいは間伐材の利用促進、緑の雇用対策などいくつかの施策例を挙げております。
 次に3ページ目の保安林というところになります。保安林、それから自然公園法あるいは自然環境保全法に基づく制度、こういった保安林制度、自然公園制度、自然環境保全法の制度によって森林の自然環境を保全していくことにより二酸化炭素の吸収量を確保しようという、そういう対策であります。課題のところに書いてございますように、保安林については計画的に指定を行い、かつ管理体制を整備していく必要があります。それから導入に向けてでは自然公園地域におけるモニタリングということも政策例として挙げているところであります。
 それから4ページにまいりまして、「国民参加の森林づくり等の推進」ということであります。こういった森林の制度というのは、やはり国民の高い意識に支えられて行う必要があるということでありますので、国民の直接参加による森林の整備・保全活動を進めております。課題のところにございますように、そういった意識向上とともに森林を使った環境教育が一つの課題となっております。そういう観点から施策例といたしまして、広範な森林づくりへの参加活動あるいは森林ボランティアの利用、グリーンワーカー事業、体験学習などを中心した環境教育の推進。それから最後に企業、法人の森林などの制度を使いまして、企業による森林づくりということで、こういった企業による森林づくりへの参加も一つの大きな施策として挙げております。
 それから次の5ページになりまして、「木材及び木質バイオマス利用の促進」ということであります。ここに書いてございますようにさまざまな利用、木造住宅あるいは公共施設への木材利用の促進などを図ることによって、木材を積極的に活用していく。それからあわせて木質バイオマスエネルギーとして活用していくということ。こういったことによって吸収源対策にも影響してくるということであります。
 それから導入の課題ということでは書いてございますように、森林・林業基本計画における目標達成ということに向けた供給体制の整備や需要拡大による利用量の拡大が必要となってまいります。施策例のところにありますように、地域材利用を促進し、バイオマス利用を推進する。さらに消費者対策、生産流通体制の整備というようなさまざまな面での施策例を挙げております。
 6ページでございますが、「森林吸収量の報告・検証体制の強化」も大きな課題でございまして、内容については割愛させていただきます。
 それから7ページ目、「都市緑化等の推進」ということです。これはいわゆる森林とは別枠で考えております。特に都市公園における緑地あるいは公共公益施設における緑化・緑地の保全化を含めて二酸化炭素吸収量の確保に努めるものであります。ここの施策例としては報告・検証体制というのが挙げられております。
 以上、簡単でありますが、資料の説明を終わらせていただきます。

○浅野部会長 それでは、ただいま事務局から説明をいただきました。これについて御質問、御意見をうけたまわりたいと思いますが、会場が何しろ広くてどなたがお手をお挙げになったかわからないという可能性が高いので、おそれいります今の3つについて、本来なら順番に御意見をうかがわなければいけないのですが、時間の関係がありますし、さらに1つではなくて3つのそれぞれについて発言される委員もいらっしゃると存じます。御発言御希望の方はおそれいりますちょっと名札をお立てください。
 今、桝本委員から上がりました。ほかにいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。もうそれではこれで終りということにさせていただきますが、よろしゅうございますか。
 それでは、桝本委員からどうぞ。

○桝本委員 おそれいります。私は特に資料1の「革新的な研究開発の強化」並びに「国民各界各層による……」この話、先ほどの清水課長さんのお話は、要はこれは一種の技術で手法だから主体別による工夫は出ないというふうに聞こえました。しかしお配りいただいているところの14年3月の地球温暖化対策推進大綱にあるとおり少なくともこのぐらいの数字になるという数字が推定されて、例えば744万tあるいは2,000万t近い数字が出ている。しかも基準年比で何パーセントの削減が期待されるという、あるいは削減を図るためにという定量的なものが表示されている。私の理解では大綱は少なくとも閣議で決められた並の重さがあると思う。私はここにきて計算しにくい、把握しにくいという事情はわかりますが、ここにきてこれを変えるというのは、いかにもこれまでの主張を、あるいは考え方の継続性、連続性という意味で問題ある。あるいはこれまでの数字がいい加減だったとあるいは定量的に把握できないことを掲げ続けてきたわけで、もっと早く問題を指摘すべきではないか。
 したがって、私は以前と同じ内容で、何らかの推計をされることを要求したい。現大綱では、この革新的技術あるいは国民各界各層の活動については非常に詳細にお書きになっていらっしゃいます。このことをできないの一言で、いつの間にかこういうチェックがなくなってしまうというのは、私は大変に異議があります。なおかつ、ここにお書きになっている例えば運輸部門、車の話、さまざま書いていただいています。国交省に御相談なされたのか。それから革新的な技術は文科省、経産省に御相談なられたか。私はその点もちょっとおうかがいしたい。これは国としての大綱でありますから当然、各省庁の間で御相談の上にこのところはこういう難しさがあるということを議論されて、こうした案にならざるを得ないというふうに思いますが、その辺をちょっとおうかがいすると同時に、強く私としては前と同じ工夫で試みをすることをお願いしたい。

○浅野部会長 御質問の点についてはあとで答えさせます。御意見をひとわたりうかがいます。浅岡委員どうぞ。

○浅岡委員 今日、お手元に配布いただきましたNGO提案の19ページから24ページに記載しております。これまでの検討の経過におきましても、大綱に盛り込んでいる裏付けがない。そもそも言葉としても、新技術といいながら、この数年の間にそれが実施できるとしてカウントしているもので、まさに矛盾です。また現在、ここで俎上に上がっているようなものが近未来的普及できる見通しもないというところも、もう分かってきているわけですね。それから国民側の更なる努力という部分も、9ページも書いているとおっしゃられましたが、一生懸命何とか把握できないかとなさったのかもしれませんけれども、これを政府として定める対策とか政策と呼ぶようなものかということについて、これまで大いに議論をしてきたわけです。対策・政策というには、実効性の担保がないではないかとも議論をしてきたところです。まして、大綱は閣議に準じるものであったのではないかというような御意見もありましたけれども、まったく中身が伴わず、本来の考え方がおかしかったということがこれだけ明らかになってきたものを維持してもどうにもならないものですので、この点は是非とも今日の資料1にあるようにもともとの対策の中に盛り込むと。ただ、そのときにここに-2%としてカウントしたものを消してしまうのではなくて、その中身についてはしっかり達成できるように、本来的な政策の中身についての議論をするということを望みたいと思います。
 それから非エネルギー起源CO2、メタン、一酸化二窒素の方につきましては、これも私どもの今日配布いただいている19ページの上段の方に書いてありますけれども、現在-0.5%達成の確率性が高いということですが、もっともっと達成される確率性が現に高いとみております。これは目標の見直しの中でしっかりとこのことを進めていくということを明示して、もっともっとちゃんとした目標設定に近寄るのが今見直しをするという意味で意義のあることだと思います。
 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。それでは永里委員ですね、どうぞ。

○永里委員 この大綱は国民に向かって政府がコミットしているんだろうと思います。産業界は自主行動計画で社会に向かってコミットしておりまして、一生懸命それを努力してやろうとしています。同じようにコミットしている大綱の方がもっと重要であると思うんですが、政府はもうできないからやめるというような意味にとりかねないんですけれども、努力しているんでしょうかね、こういうことについて。大綱で言ったことについて努力した結果として、こういう書き方になっているのかどうか非常に疑問です。産業界は一生懸命努力し、経団連の自主行動計画でコミットメントをして、そしてそれもあまり信用できないと政府の方から言われながらもそういうふうに努力しているわけですが、政府そのものが自らを否定するようなこういうことをやっていいのであろうかという方がちょっと心配でございます。

○浅野部会長 福川委員、お願いします。

○福川委員 まず資料1でございますが、今既にいろいろな方からのお話がございましたが、私は確かに評価が難しいという技術的な問題がおありかもしれませんが、やっぱりここに書いてあること自体はできる限りこれ精査して、増えたところが定量的に分かるようにすべきだというふうに思います。
 それから2つ目にこの○の3つ目ですけれども、固定化技術はもう困難だから先延ばしすると、こういうことなんですけれども、今までかなり時間をかけてやってきましたので、少なくともどこまで進んだか、そしてなぜこれが2010年までにできないかということを、もっときちんと説明すべきだと思います。ちょっとできそうもないから次に延ばしてしまって2030年までというのは、私はちょっと政府としての取組の努力が足りないのではないかという気がいたすわけであります。
 それから技術の問題で、○の4つ目のところもリスクの高い技術開発を実用化に結びつけるのは難しいから第2約束期間を見据えてということですけれども、これもやっぱり短期に実現できる技術と長期でなければできないものと努力すべきだということはかねがねここでもいろいろ議論になっておりますので、この点ももう少し努力をして、できる限りできるものはやると。そして、できないとすればなぜできないかということを明確に説明すべきだと思います。
 裏の方にまいりまして、○の2番目、3番目あたりですけれども、これなかなか難しい、難しいとこう書いてありますが、ここで対策を書いておきながら評価ができないというのは、まさにこの対策の効果がないということを認めてしまっているようなことなので、現実には難しいかもしれませんが、やっぱりある程度の効果を、少なくとも定性的には評価をして、これについての国民の協力に対しての評価、というものはすべきだというふうに思います。
 それから次に資料の3でありますけれども、この森林シンクの問題です。○1に上限1,300万炭素トンに対して1,030万炭素トンがあったと。こういうことですけれども、この平成10年~14年でこういうことになるということなんですけれども、これもただこういわれても、どうしてこういうふうになったかというのは必ずしも納得的ではない。今まで平成10年~14年、どういうような森林対策をやって、どういった植林がふえてこういう吸収になったのか。今までの図面と対比して、なぜ1,030万炭素トンもあったのか。これはもう少しこの根拠をはっきりしていただきたいというふうに思います。
 それからこれの2ページ目にまいりまして、この「健全な森林の整備」ということでございますが、これのシンクに期待をするのはわかりますし、また林業対策がいろいろ困難な問題であることも私も理解はできますけれども、いったいこの健全な森林の整備をするという、この対策の中身がどういうことに相成っているのか。ここに間伐の推進だとか下刈の推進とか荒廃地の植林等々書いてありますが、この対策を具体的にどのように予算をふやしていくか。それからこの森林で今一番の問題は労働力不足でございまして、非常にきつい労働でございますので、いったいこの労働力の不足対策、労働力確保対策はどうしていくのか。これもまた、やっぱりきちんとしたその対策を具体的に出していって、そしてどういう効果があるかということを定量的に示すべきではないかと思います。
 それから3ページの保安林ですけれども、ここにいくつかの施策例が書いてありますけれども、確かにこういうことかもしれませんが、これもこの施策としてはやや抽象的だという感じがいたします。もう少し具体的な施策を農林水産省と御協議をいただいて、もっと具体的に納得的になる、それが先ほどお話があった1,300万炭素トンまでいけるというようになるような具体的な対策を積み上げていただきたいというふうに思います。
 もう1つ、最後に御検討たまわりたいと思うのは農業一般でございまして、この農業、水田というのはメタンガスを出すというそういうことになるわけで、これに対する対策をどうするかということであります。今、WTOの交渉が行われておりますが、農業の多面的機能を重視して、農業について特別な扱いをしたいということを日本の政府は主張しているわけでありますけれども、その多面的機能の中で環境に役に立っているということについて、その農業、これは林業でなくていわゆる農業の関係はどういうふうに環境省としては評価をなさるのか。その点もおうかがいをしておきたいと思います。ありがとうございます。

○浅野部会長 ありがとうございました。それではただいま御意見がありましたが、事務局からお答えをいただけるものはいただこうと存じます。失礼致しました、廣野委員先ほどから名札をお立てになっておられましたか、どうぞ。大変申しわけありません。

○廣野委員 よろしいですか。今、福川委員がいろいろ多岐にわたって御意見またお願いがありましたので、大体それに重複しますからそこを省きまして、資料第1の点のところで、まず資料1、2すべてそうなんですけれども。ごめんなさい、資料1の裏ですね。やっぱり先ほどから皆さん方おっしゃっているように、やっぱりこういうのはなかなか難しいから今回はちょっとこういうことでやめて、そして次のこの抑制対策の見直しの議論の中であわせて取り扱うこととするというのは、どうしてもこれ読むと先へ延ばすというそういう議論だと思います。
 では、先へ延ばしたときに現在できないことが果たしてその次できるのかといえば、こういうことが当然浮かんでくるわけで、そういう意味で、もちろん一番下のところに「政府と民間企業等の一丸となった革新的温暖化対策技術の開発は必要である。」ということですから、その必要性は認めているんですけれども、しかしその評価についてはかなり否定的な議論がされております。私、たまたま前から申しましたように、日本評価学会の副会長ですが、我々この評価をするときにこういうようなもろもろのたくさんの、いってみれば独立変数あるいは一様変数というのもありますけれども、そういう中で、しかしやはり評価の指標によってはこういうことを使うことによってかなりのところまで定性的な議論、また定量的な議論もできますので、そういうことを考えるとこういう格好で先へ引き延ばすということについては、やはりいかがなものかというふうに感じます。
 特に私申し上げたいのは、この1のところ、2のところともにそうなんですが、特に1のところでは革新的な温暖化技術対策ということで、こういう対策技術ということで、こういうことの開発が現に1990年代以降行われてきたわけで、そういうものがどうしてうまくできなかったのかという、こういう分析を行うことによって、まさに我々が評価すべき対象についてのある程度、定性的、定量的評価ができるのではないだろうかと。特にこういう中で国際的な協定とかあるいは国内でのいろんな合意とか、あるいはまたもろもろの一般市民の環境意識の問題とかということを考えると、やはり評価をせずに今このまま放置しておいて、そしていわゆる環境意識をもっと高めましょうとか、環境教育をもっと高めましょうといっても、やっぱりこの評価をせずにやるということについては非常に大きな疑問があります。そういう意味でやはりできるところまでで結構ですので、そういうものを評価して、そしてここまでできる、ここからはできないんだということをはっきりさせて、そしてなおかつ、それも国民あるいは産業界に対するところのもろもろの要望をするというのが妥当ではないかと思います。
 それから最後に森林のことですが、これは質問です。これは4ページのところに法人の森林というのがありまして、国有林の分収林制度ということが書いてあるのですが、企業によってはかなり熱心にこういうことをやっているところがあるのですが、現状がどうなっているのか。それを知りたいなと思います。
 以上です。

○浅野部会長 ただいま御意見をいただきました。まだほかにも御意見があろうかと思いますが、時間がないので始めの説明を少しはしょっておったところがございます。事務局に答えていただく前に少し誤解があるのではないかという点を御説明申し上げます。例えば資料1の1ページ目の一番下の部分の記述の真意は、要するに技術開発というものについて、2010年をターゲットということだけで評価をしていたのでは必ずしも適切ではないものがある。もっと長期的に見れば先の方で十分効果を上げる可能性があるものもあるだろうから、2010年だけを考えた評価をするにとどめておくのはよくないということをいっているのでありまして、その意味では先ほどの福川委員の御意見と同じことを書いたつもりでいたわけです。しかし、別の意味に受け止められるようであれば表現を直さなければいけないと思うのですが、実は真意はそういうことです。
 また、評価を放棄するのは不適当、との御意見が多々ありました。少なくともこの文章は既にこれまでの部会での御議論ずっと点検、評価をしてきてその結果のとりまとめをしているわけであります。定性的にはこれまでの対策・施策が効果を上げてきたということは、評価したわけですが、問題は定量的に何トン削減できたという形での評価がうまくできるかということになるとそれは難しいということがはっきりしてきた。この点も少なくともこれまでの部会での議論が中でおおむねみんなが同意をしたことではなかったかと思います。ですから、ここでは評価をしないと言っているのではなく、定性的には効果をあげ得たが、それが何トン削減できたといった形での評価をうまく引き出せるかというと、それは難しい。
 先ほどはそれも可能だとおっしゃた委員もいらっしゃるのですが、そういう技術を御存じなら是非御教示えていただきたいと存じます。事務局が徹夜に徹夜を重ねても現在与えられている資料からは定性的には評価できても定量的に評価しにくい。特にこの資料1でここに書かれていることの意味はこういうことです。革新的というのは大綱を何年か前に作ったときは未開発で革新的ということが言えるのでしょう。開発され実用化されて、汎用性のあるシステムに組み込まれてしまえば、革新的とも言えなくなってしまう。そして、どの部分がどこまでの削減効果につながったのかを切り分けることが難しくなってしまう。だったら革新的といって最初から独立部分扱いにしておいて、これだけのものは革新的だから、それが何年たったら達成され、実用化されてというシナリオになっているならいいんですけれども、漠と革新的と書いて見てもしょうがないのではないか。
 やはりほかの部分の努力の評価としっかり結びつけた形でやっていかないと、こういうものでこれだけ下げることになりますということにはし難いだろう。この点は国民の更なる努力ということについても同様であって、定性的には十分意味があるわけですけれども、定性的に意味があるということを定量的に分類して評価することを前提とする独立の部門の扱いにすることは、果たして本当にうまくいくのだろうか。民生部門、家庭部門で下げたということと、更なる努力で下げたということをどう切り分けるんだろう。例えば朝シャンをやめた人が何人いるから、この部分では何トン下がった。これは更なる努力で削減した。ほかの努力はそうでないというような形で我々には情報が与えられてこないわけです。この文章は更なる努力を放棄するとか、更なる努力はまったく評価できないからこの際、やめるといっているわけではないわけです。そうではなく、定性的には十分に意味があるが、定量的に評価するときにはちゃんとほかのものと組みあわせていかないと二重の計算になるのではないかということが、ここに書かれている、これが、部会長の理解です。
 これまでも今述べました御議論が多々あったという前提のもとでこの議論をしておりますから、更なる努力はもう放棄した。それがこのペーパーであるという意図ではないというつもりで、今日はこの部会にこの資料を出させたわけです。その限りにおいて先ほどから出ていましたさまざまな御意見について、私なりの御説明を申し上げたつもりでおりますが、なお、細かい点についての御質問・御意見もありますので、その点については事務局から説明をお願いいします。
 さらに吸収源の問題に関してでありますが、これは森林・林業基本計画をしっかりやっていけばこうなるということで、それがベースとなって本日のペーパーが出ているという理解をしておりまして、この吸収源についても十分な時間はとれませんでしたが、点検評価をしてきたわけです。ちょっと誤解があると思いますのは、京都議定書で吸収源としてカウントしてもらえるものはどうなのかということと、そもそも環境政策の立場から見て森林はどう管理されるべきなのかということ、これについてちょっと私も頭の中に混乱がございました。
 前者の観点で見ていきますと、実は我が国は新規植林、再植林については議定書の仕組みの上ではかなり困難であるわけで、森林管理の努力によってポイントを稼ぐ以外にないという前提でペーパーができているということでございます。都市緑化の推進のところでそれらのことについては別枠と事務局が申しましたのは、これは京都議定書で十分にカウントしてもらえるかどうかわからない部分であるが、しっかりやりましょうということでございます。
 これとあわせて同時に今御意見がありましたような農業政策、林業政策の問題がございまして、これらを切り離すことはできませんし、そのことのもっている社会的な効果というものも当然あり得るということは、既に我が国の京都議定書の受諾の段階で当時の大木大臣がコメントを出されたというのもありますし、さらにまた生物多様性という別の政策価値から見て、是非やらなければいけないということがある。それは分かっているんですね。そのことも含めた議論を我々もやってきたわけですけれども、とりあえずここでは京都議定書対応ということで大綱の検討をしていくとすると、こうなるという整理をしておりますから、そのあたりを御理解いただいた上で、御議論を頂きたいと言うことでございます。御質問のうち事務局で答えられる分については答えていただきます。

○清水地球温暖化対策課長 浅野先生、どうもありがとうございました。ほとんど答えていただいたので、追加的にお答えできるところをと思っております。
 桝本委員の方から関係省庁との協議どうなっているかという御指摘ございまして、関係の深い省庁にはペーパーを事前にお見せするというようなことは行っておりますが、調整という意味になりますと、これは審議会の議論でありますので我々の方も努力しながら政府全体として大綱をつくっていくというプロセスがありますので、そういうプロセスの中では完全という形を目指しておりますので、さらに調整を進めていくというふうに思っております。
 それから浅岡先生そのほかの委員の方たちから資料1のところの特に国民の努力部分について先送りしているのではないかとかあるいは考え方がおかしくてそもそもカウントできないから変えるのではないかというような、そういう御意見もあったわけでございますが、今浅野先生の方から説明されましたとおりでございまして、この対策自体の意味がないから変えるということではなくて、対策の効果はあるというふうに考えております。具体的にその対策というのを考えたときに、家庭からの排出ということを仮に考えた場合に、家庭からの排出というのは家庭でどういうエネルギーを使っているかというエネルギー原単位の問題、それから一家庭当たりの原単位の問題、それから家庭を世帯数に分けるという考えです。いわゆるエネルギー密度と原単位を掛けたものに対処して活動力という3つ部分に分かれているわけです。そうしたときに、そういう家庭の原単位を下げる対策として家庭の断熱構造あるいはエアコンなどの省エネ、あるいはここで今議論になっておりますライフスタイルの問題、こういった対策が全部相まって家庭の原単位というそういう効果でやっていくというふうに理解しておりますので、そういう家庭の原単位を下げる対策としてこの部分の努力というのは立派な対策として存在するわけであります。
 ただ、それを独立した変数として扱うのではなくて、むしろ家庭の対策を下げるための変数の中で総合的に扱った方が、より正確な評価ができるのではないかというものを統合するというのはそういう意味でありまして、対策の効果がないからこれはやめてしまうとか、これはなくていいかという意味ではまったくございませんので、そういう趣旨で御理解いただきたいと思います。そういう意味であって、この対策は引き続き行っていくと。ただ対策の部分について、より評価しやすい工夫というものの再整理の仕方があるのではないかというのが、今回の趣旨であります。
 そのほかも御議論ありましたが、答えられない部分につきましてはまた後ほどお答えしたいと思います。

○浅野部会長 というようなことでございます。ここで最後にまた、さらにとりまとめの作業をしていくということでございますので、再度この点についての御議論はのちの議題の5のところでもう一度とりあげていきたいと思います。浅岡委員、どうしてもということであればどうぞ。

○浅岡委員 すみません。私たちも個人的に必要がないとかいうことを申し上げているわけではまったくないわけですけれども、定量的に仮に計算ができないということとともに、私どもの提案の18ページの中に、家庭の排出の構造とどこでどのように削減できるのかを説明する努力をいたしましたけれども、この中の一番左の生活スタイルというのはライフスタイルによることで、さらに削減できる部分もあるでしょうという、この一点なのですが、先ほど清水課長さんいわれましたように、これは一体として考えるべきだというふうに私どもも考えております。今、大型のプラズマテレビなどがどんどん新聞・マスコミ等で宣伝されていますが、従来のテレビの2倍ぐらいのエネルギー消費をするわけです。もし、そんなものを買ってくださいというのであれば、もうそのほか、今まで使っていたのをやめましょうということとあわせて議論をしないと、ライフスタイルを変えましょうという条件がそろわないじゃないですかということです。ただ、それでも定量的に評価は難しいだろうと思うんです。

○浅野部会長 ありがとうございました。福川委員どうぞ。

○福川委員 浅野先生おっしゃる御趣旨はよくわかります。そういうことであれば、ただ、この文章を見ますと、なかなかその先生のおっしゃったようにはなかなか受け取れないので、ちょっと先生の趣旨に沿って事務局で文章をきちんと書くということを、是非お願いをしたいと思います。
 それから革新的技術の点で、確かに技術が実用化されるとそれは一般のコンベンショナルな技術になるというのは、それはそのとおりかもしれませんが、この対策ができてから取り上げた革新技術というのはそれなりにある。いくつかのものは特定できているわけですから、それはどういうふうになっているかというのは評価しないと、この次の革新的技術についてのインセンティブにもなりませんので、それはある程度の革新的技術としてこの対策大綱をつくって以来、取り上げたものがどういうことであるかというのは私は区分できるのではないかと思いますが、その点もあわせて御検討をお願いします。

○浅野部会長 分かりました。御指摘の文章をもっと整えるという点については、そのとおりだと思います。それから革新的技術の既にあるものについての評価は他の審議会でも行われ現実に評価をしてあることは私も承知しております。それらのデータを見ればおっしゃるようなことがある部分はわかるだろうということですが、ここでの提案は個々の技術の評価をここで個別に進めるという意図ではなかったものですから、こういう書きぶりになっているということでして、その点は是非御理解いただきたいと思います。
 それでは、議題の4として挙げております点について事務局から説明をお願いいたします。「2010年の温室効果ガス排出量の推計」と、それから論点整理、この点についてお願いします。

○清水地球温暖化対策課長 資料4「2010年の温室効果ガス排出量の推計」ということで、現状対策ケースと対策強化ケースの暫定値という形でお示ししております。この資料は実は4月16日の現在で、現状対策ケースのみについて数字を提示しております。実はその後いろいろなデータをさらに精査いたしまして、ベースが少し変わってきておりまして前回4月16日に現状対策ケース2010年度と出した数字よりも少し上方に修正された、そういう形になっております。それから今回新たに対策強化ケースということでお示ししております。
 前回、現状対策ケースということをお示ししたときは、主要産業の生産量について2つケースをお示ししています。1つは、日本エネルギー経済研究所の数値、それからもう1つは経団連の自主行動計画のフォローアップの中で使った生産量の数値という2つの数値をお示ししておりましたが、これは主要産業の生産量の方を今のエネ庁の方でされておりますので、そういった数値にあわせるという方向で直しております。それからGDPの成長率などが1.5%で計算していたものが一部ありまして、それを2%に直しまして修正しました。それから原発の新規基数につきましてはエネ庁と同じ形にしました。その結果、この現状対策ケースの表で見ますと、[1]のエネルギー起源CO2につきまして2010年におきまして、+7.1%というような形で前回よりかなり排出量が増えた形で示されております。それから非エネルギー起源CO2、メタン、それから一酸化二窒素につきましては、少し下がった格好になっております。
 それから前回と大きく違う点は、代替フロン等3ガス、ここでいいますと[5]から[7]という部分でありますが、現在推計方法を行いまして精査中ということで、今回は大変申しわけございませんが、数値の方は出せておりません。こういうのが前回との違いです。
 そしてこの資料につきましては、実はバックデータを天野先生の方からもっと詳しいデータができないかというお叱りがあったわけでありますけれども、今回は参考資料1というような形で、どういう考え方で現状対策ケース、それから対策強化ケースというのをそれぞれの項目について考え方、それから計算方法、それから計算に使ったデータなどお示ししております。この参考資料1の1枚目の下の方に書いてありますように、特にこういうデータの推計処理にあたっては関係者から、透明性の確保というのが大変重要であって、検証可能なものについてはということが強く示されておりますので、検証で行うときは必ずバックデータとともに今後とも心がけていきたいというふうに思っております。
 今回、ここの一番最後の今いいましたところの一番下に書いてありますように、本資料において示した数値やデータについては、より確実性や精度を高めるため、今後さらに新しいデータや知見が得られた場合には変り得るということで、現在、暫定値という形で出していただいております。
 すみません、資料4に戻っていただきまして見ますと、現状対策ケースはそういった形でエネルギー起源CO2につきましては+7.1%。これは追加対策を考えたケースで+0.5というところまで、今のところ対策を考えているというところでありますが、さらに大綱の目標との乖離が大きいという部分もありますので、更なる削減あるいは吸収量の更なる確保という意味で追加対策・施策の検討を進めるということとしておりますので、そういった意味からもこのあとは暫定値として取り扱っていきたいということです。今いいましたことは資料4の一番下の○のところに書いてあることを今お話いたしました。
 それからあと、もう1つ、非エネルギー起源CO2、それからメタン、一酸化二窒素につきましては幅で示しております。幅で示しているところの大きな原因が[3]番、[4]番のところが幅になっているということであります。これはどうして幅になっているかにつきましては、参考資料1の139ページ、過去の実績から推計した活動量で推計する場合。それから食料・農業・農村基本計画の数値目標で推計した場合という、そういう2つの数値で推計していきますので、その差が幅という形になって表れてくるというものです。数値の性格はそういうことです。
 それから特にエネルギー起源CO2につきましては、次のページでその内訳を示しております。エネルギー起源CO2につきましては産業部門、運輸部門、家庭及び業務その他部門というような形で、さらに民生部門につきましては家庭部門、業務その他部門の2つに分けた形で示してございます。それぞれ先ほどの参考資料1の前提におきまして検討、推計を行ったところ、それぞれこういった数字になっております。一番右側のところに大綱の目安としての目標という形で挙げております。
 大綱の目安としての目標は、配分前と配分後という形でおいておりますが、配分前はエネルギー起源CO2は±0%となっております。それから配分後といいますのは、ちょっと議論がございましたけれども、革新的技術開発、国民各界各層の地球温暖化防止活動による削減、これが2%分ございますので、これをそれぞれの対策の内容に分けて振り分けた配分後の目標というのが示されております。それにいたしましても今の対策という形で見ましても、こういった配分というのがそれぞれ入っております。ただ、産業部門については達成ということが見込まれると思います。これが資料4でございます。
 資料4とあわせまして資料5についても説明させていただきますので、あわせて御審議いただければと思います。ここは中間とりまとめの作業をしていただいたのですけれども、この中間とりまとめにおきまして主な論点をピックアップした形で、議論しやすいような形で11の論点をここで挙げました。もちろん、この11の論点のほかにも論点となる可能性はありますが、事務局の方で大きな論点についてのみまとめました。このとりまとめにあたりましては後ほど説明いたしますが、この論点以外にもありますが、今回は審議を早めるという観点から11にピックアップしたということであります。
 ここにありますように大綱の目標の論点、それから横断的な対策・施策、個別ガス別の対策、そういう形でまとめております。まず1ページ目を開けていただきまして、「大綱の目標について」、「論点1-目標区分の再整理と温室効果ガス別目標の明確化」です。ここの部分につきましては、実は先ほどの資料1の部分にかなり係わる部分ですが、それを論点という形で挙げております。最初の排出・削減量区分と対策量区分の整理ということで、「革新的な環境・エネルギー技術の研究開発の強化」、それから「国民各界各層による更なる地球温暖化防止活動の推進」の区分につきまして、他の区分との性格の違い、それから定量的な効果測定上の課題ということを考えると、再整理した方がより効果的対策を進めるという形です。
 先ほど説明しましたところをなぞるような形になりますけれども、こういった2つの区分につきましては独自の排出量を持たないで、それぞれの対策による削減効果が産業部門の排出量、業務部門の排出量、あるいは家庭部門の排出量などに対して発揮されるということでございます。したがいまして、この区分の対策の進捗状況を定量的に評価するためには、ほかの区分の削減量、ほかの区分の排出量の部分からこの区分の削減効果を定量的に分離していく必要があるわけでございますけれども、先ほど申し上げたように、他の対策と相まって全体として削減効果をもたらすような対策、それからそのほかの対策とまったく独立した形で、向こうの対策が決まったからこれだけというのでは正確性を欠くことになると。
 それから3ページ目の方にまいりまして、ガス別区分の徹底化です。現在の区分は今まで見てきておりますように、CO2につきましてはエネルギー起源CO2と非エネルギー起源CO2の2つに分けております。それに対しまして、非エネルギー起源CO2、それからメタン、一酸化二窒素というのは3つの仕組みを1つ括りでまとめています。それからHFC、PFC、SF6、これも3つの仕組みをまとめています。こういうまとまっている対策の分類を見ますと、それぞれの対策相互の補完性ということはないわけでありますので、それぞれ独立した形で区分に再整理した方がそれぞれの対策、進捗状況を正確に把握、評価できるのではないかということで、またそういったガス別の徹底化ということを問題として挙げております。
 それから4ページにまいりまして「横断的対策・施策について」であります。論点2に挙げておりますのが「事業者からの排出量の算定・報告・公表制度」であります。現在、CO2によります排出量の約8割が企業・公共部門関連でございますが、公共部門につきましては温暖化対策推進法によりまして排出量を公表しております。ただ、公共部門以外の事業者につきましては、排出量の算定・公表するというような制度はございません。現在自主的に行われている部分で見ますと2割が数字として上がってございます。
 各事業者がこの施策や対策をとるということを考えた場合に、まず自らがどれぐらい温室効果ガスを出しているのかを把握するというのが基礎になってございますので、その部分については書いてありますように、まず事業者が排出量を算定し、行政機関に報告、行政機関が一覧性をもって公表するような、そういう制度の導入というのが必要ではないだろうかということでここに挙げております。
 それから5ページにまいりまして、論点3「自主行動計画の拡大と透明性の確保」ということです。現在は産業部門の対策として経団連の自主行動計画が挙げられております。現在、産業部門、いわゆる製造業を中心とする産業部門でありますけれども、こういう部門では行われておりますけれども、特に運輸、業務その他部門など自主行動計画の策定が十分ではない。それから製造業においては運輸と比べるとバウンダリーを超えた削減活動があるということであります。こういった側面から考えますと、運輸、業務とも考え方が自主行動計画を策定する意義というのはあるのではないかということです。
 それから2つ目の論点が「自主行動計画の協定化と透明性の確保」ということです。経団連の自主行動計画につきましては、第三者評価委員会というのがありまして、その中の評価としても、ここにちょっと引用ということで書いてありますけれども、「自主的であるがゆえに、より一層の説明責任が求められる」ということと、「目標達成の見通しをより確実なものとしていく必要がある」ということで、この第三者評価委員会報告書の中でも自主協定の協定化について触れておりますので、そういった検討すべきではないだろうかと。
 それからさらには、2点目として透明性を高めるという意味で「専門的能力を有し、客観的な判断ができる専門機関の活用」ということも検討すべきではないか。これらが論点3の自主行動計画です。
 それから6ページにまいりまして、論点4「国内排出量取引制度」です。国内排出量取引制度は、ここに書いてありますように、経済的手法の代表的なものであります。費用を最小化という意味で、また費用的効果のある対策として諸外国で導入が進んでいると書いてありますように、EU、ノルウェー、スイス、カナダなどで導入が予定されております。
 我が国におきましても議論あるところでありますけれども、仮にこういったEU、カナダの国内排出量取引制度が受けとめられるとして、海外市場のクレジットを利用する形での制度を導入することができれば、諸外国と限界削減費用の平準化が図られるということでありまして、我が国の企業も削減に大幅に役立つ、そういう制度であるということを挙げております。
 そして国内排出量取引の制度設計ですが、7ページの方に書いてありますのが、特に第2ステップにおきましては、自主参加型で国内排出量取引制度というのを進めてみたらどうであろうかということであります。いわゆる自主的に削減目標にコミットした企業に対して、インセンティブを与えながら進めていくような、そういう制度として第2ステップは考えたらどうかというのが論点の4です。
 それから論点5は「温暖化対策税」ということであります。温暖化対策税につきましては、この地球環境部会の下に設けられました温暖化対策税制専門委員会で去年8月、具体的な点が論議されていまして、この温暖化対策税の効果といたしましては、価格インセンティブ効果、それから税によりいろいろ生じた税収を対策に活用する財源効果、それから税の導入によるアナウンスメント効果があるということで、こういった効果によって、今まで議論してきましたさまざまな対策を実現するためのいろんな施策として位置づけられるのではないか。
 特にこれらの対策は補助金とか税制優遇措置などの提案があるわけでありますが、こういったものを実現するため大変巨額な費用がかかる可能性が出てきておりまして、一般財源あるいは別目的である特別会計からの支出はやや困難だと。そういったことを考えると、論点1から3の効果を併せ持つ温暖化対策税が有力な手段として位置づけることはできるのではないか。ただ、この温暖化対策税制、それからこれに関連する施策につきましては、現在、施策総合企画小委員会での議論がなされておりますけれども、こういったことを踏まえてその小委員会におきまして検討が行われるということを期待しているということでございます。
 それから9ページ目は「個別ガス別の対策・施策の強化」です。まず論点としてはエネルギー供給サイドの対策の強化ということです。現在の大綱をつくりましたときは平成13年の長期エネルギー需給見通しをベースにおきまして、この中で90年から2010年でみて、電力の排出原単位を28%改善ということが前提となってつくられていたということです。
 それから排出係数改善ということを議論してきましたが、天然ガス火力の設備利用率の向上。それから原子力発電の効率あるいは設備利用率の向上については安全性の確保を大前提に考えられるようなわけでございます。これらそれぞれにつきましてどこまで可能性があるのかを精査しながら検討していくことが必要ということでございます。
 11ページにまいりまして、論点の7「産業部門の対策・施策の強化」ということです。産業部門はエネルギー起源CO2の4割強ということで大変重要な位置づけになっております。排出量の算定・報告・公表制度につきましては、既に論点2でまとめてきました。
 そして自主行動計画で各業種の対策ということであります。個別にブレークダウンして見ていきますと、産業部門に関して環境省の推計によりますと-12.4%というような見通しであったわけです。大綱においてこういった各業種の目標を産業部門の対策として位置づけて、各業種ごとに具体的に書いていくというようなことが必要になってくるのではないかというのが論点の7です。
 それから論点の8は「運輸部門の対策・施策の強化」です。自動車の単体対策、今の基準値よりもさらに進めるために5%超過達成。それからCO2の排出量のより少ない自動車というような観点から、アイドリングストップ装置搭載車やハイブリッド車の普及促進、あるいは低転がり抵抗タイヤ装着車の普及拡大を図る。
 それから燃費対策としてはいわゆるバイオエタノールを3%含んだE3というものを核として位置づけて普及を目指す。
 それから交通需要対策。あるいは交通流の円滑化対策など、こういった対策についてなかなか定量的な把握は困難というふうになりますので、定量的に把握をきちんとしながら削減効果が出るようにしていく必要があるということであります。
 それから公共機関の利用促進のための評価、それからモーダルシフト・物流の効率化を掲げております。
 それから論点の9としまして「業務部門の対策・施策の強化」です。建物の省エネ性能を向上していくというのが大変大きな対策としてあります。その前提として全体像を把握していく。そういった観点から14ページの上の方の小さな○ですが、新築の建物について一定の省エネ性能を確保することの義務化などの規制的な措置を検討したらどうかと。それから省エネ的な環境性能を示すための情報提供の仕組みですとか、あるいは税制等の誘導措置で省エネ性能の高い建物を進めたらどうかということを含めて提案しております。それからOA機器の効率改善も提案しております。
 それから論点の10にまいりまして「家庭部門の対策・施策の強化」ということです。やはり住宅の省エネ性能の向上、ここら辺はデータが不足しています。
 それから小さい○のポツの最初のところですが、新築の住宅について一定の省エネ性能を確保することの義務化でありますとか、集合住宅の建築主の取組強化などの規制的措置についても検討していってはどうかと。それから情報提供、税制等の誘導措置。それから住宅につきましては特に既存住宅についてのリフォーム、そういう観点から税制等による誘導措置の形をとっております。
 それから家庭におけるエネルギー需要の管理ということで、HEMSというもの、家庭におけるエネルギー管理といったものの施策。
 それから次16ページへまいりまして、「機器の省エネ性能向上」ということで、特に省エネ家電の買換促進ということ。まず1番目が、省エネ性能に関する製品情報を消費者に理解していただくということ。それから2番目が、一定の水準以上の高い省エネ性能を有する製品への買い換えに対する経済的インセンティブを考えていただくことです。それから表示制度、小売り販売店の連携した対策。
 最後に電圧調整装置の話がございますが、ここは説明を割愛させていただきます。
 それから17ページで論点11ということで「京都メカニズムに関する対策・施策の強化」ということです。京都メカニズムにつきましては京都議定書の6%目標との差であります1.6%分の活用ということを念頭におきながらの対策でありますが、場合によっては国内対策の総体として超過達成することがあるのではないかということの理由から、現大綱において1.6%は明記されておりません。
 しかしながら、今まで評価してきたことを見ますと、国内対策が総体として4.4%以上に超過達成されることがあって、京都メカニズムは不要だというような蓋然性は極めて低いのではないか。したがって、京都メカニズムの活用によって1.6%相当分であるということを大綱に明記した上で、本格的な活用策を進めていけばどうだろうということでございます。
 18ページですが、どういうような制度によってクレジットの本格的活用制度になるであろうか。これまで[1]から[4]まで4つについて審議を行われました。で、こういった提案になったわけでありますが、交渉の経緯におきましては、やはり京都メカニズムの活用という、こういった点を踏まえながらどう確保していくかであります。
 以上であります。

○浅野部会長 少し急いで説明をしていただきましたが、最初に事務局から申し上げましたように、これまでの評価・見直しの審議の中で多く御議論をいただいた点、これまではどちらかというと一つひとつの議論ではなくて全体を通じての御議論をそれぞれまず出していただくということで進めてまいりました。このために、何を議論したらいいかよくわからない面もあったものですから、これまでの御発言、御議論を項目別に整理をしてみようということで、このような整理をさせてみたわけでございます。
 その上で中間とりまとめについて本日は資料6の形でたたき台と記しものを、一応は仮に用意をしておりますけれども、まずは論点整理と書いた部分の御議論をいただいたわけで、そこについてある程度の合意ができればそれを、あるいは両論対立ということであれば両論を、それをこの中に入れ込むというつもりで資料6を準備させております。この中には論点の整理という部分が全部ブランクの形で、あとは全体の構図はこうだというような、とりあえずの手がかりになるように中間とりまとめのたたき台もお示ししております。
 今日は時間がございませんので、たたき台については特に御説明は申し上げませんが、お目通しをいただいて、こういうような議論の流れの中にこの論点の論議が入るということを御理解いただけると、なおありがたいと思います。
 それで論点整理、これが完全に論議が対立した部分であるかといわれると多少自信がないわけでございますが、こういう点は、そのままでは、取りまとめ素案やそのためのたたき台になかなか入れずらいというような点を事務局がまとめております。この資料がこれまで対立的に議論があったものをすべて並べられたという趣旨ではございません。しかし、特にこの部分についてはしっかり議論しないと、最終的なとりまとめになるまい、中間とりまとめにも至らないだろうということで御理解をいただきたいと思います。
 それではだいぶ長く議論いたしましたので、ここで5分間休憩をいただきまして、そのあと、この資料5を中心に御意見をたまわりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
午後14時30分 休憩
午後14時40分 再会

○浅野部会長 よろしゅうございましょうか。それでは再開をさせていただきます。論点として今11まで挙げてお示しをしたんでございますが、これをいつものパターンでやっていますと、おそらくちょっとあまりにも混乱がひどいのではないかと思いますので、まず、論点の1から5までについて御意見、御発言、御希望の方に名札をお立ていただいて、それでひとあたりそれが終わりましたところで、もしそこで多少意見のやりとりがあればそれはもちろんお受けいたしますが、そのあと、6から11までということで議論を進めていきたいと思います。できれば今日16時に終わることを望んでおりますが、場合によっては延びるかもしれませんけれども。
 それでは、論点の1と横断的と書かれている論点2から5まで、この全部の5点について御意見をうかがいたいと思いますので、御発言御希望の方はどうぞ名札をお立てくださいますように。よろしゅうございましょうか。
 それでは、大体これでほぼ発言の登録が終わったと思いますので、これだけの方が御発言御希望であることを念頭において以下の御発言、御審議をお願いいたします。
 それでは、鈴木委員からお願いいたします。

○鈴木委員 この論点整理大変きれいにまとめていただいて、この議論がしやすくなっていると思いますが、横断的なその対策・施策と。これは当然のことながら論点6から11の方にも関わってきてしまうんですが、1つは、論点1については、私はこれは大変結構だと思います。それから事業者からの排出量の算定・報告・公表制度、それから自主行動計画、この辺に絡んであるいはそれがまた後ろの業務部門の対策・施策にも絡むのですが、やはり経団連としての自主行動計画。これは経団連の一つの何ていうんでしょうか、いろんな努力をなさる。大変結構だと思いますし、それぞれの業界でそれぞれのまた目標を立てておやりになる。これも結構だと思うんですが、一方において非常に見えにくくしている部分は、それぞれの個別の企業が本当にどういう努力をしているか。あるいは大変な努力をしておられる企業というものが、逆に見えにくくなって、そういうような面もあって、ここまでくるならばいっそのことそれぞれの企業がやはりきちんとした情報公開をしていただくような方法を、是非この大綱の中である意味では推進するような形にしていただいたらどうか。企業ごとに情報公開というのが論点2のところにもございますが、その辺のところを企業の方も情報公開しやすい形で、いったいどういうような努力をされたか。これが分かるようにされてはいかがかと。その辺のところを是非盛り込んでいただきたいわけです。そんなふうに思う次第です。
 それからあとは排出量取引についてなんですが、ここには比較的さらっと書かれているわけですが、やはりこれはもう今後の方向として確実に、日本がある意味ではグローバルな国際金融にのっていくときに必要とされることでもあるでしょうから、そのための制度設計も含めて、いろんなトライアルを早めに始めて、どんどんいろんな制度に関する検討を進めていく必要があるんじゃないか。これは我が国だけ孤立して保守的になっていく必要は何にもない。むしろこういうような形で排出権、排出量に関しての市場をつくっていくということが、まさに自由経済に即しているやり方であると。これはもう、もちろん最初にアメリカのゴアが提唱したところからそういう考え方に則っているわけでありますし、是非この辺を積極的に進めていただきたい。

○浅野部会長 ありがとうございます。桝本委員お願いします。

○桝本委員 個別の議論に入る前に、今説明うかがったことと資料の分厚い推計という参考資料1をパラパラと拝見して思いますことで、進め方でお願いがございます。これだけの大部、しかも中身があってある前提がこれ大変な御努力の末推計がされている。これを今日いきなりあるいは場合によると前日、説明いただいて、すぐ全体に対して重要なコメントを出せというのは、少なくとも私のように産業界の一部を背負っている者からすると、ちょっとにわかに過ぎ、かつ重い部分があり過ぎます。で、お願いとしては、これは徹夜に徹夜だというお話の中でさらにお願いとしてですが、やはり数日前には御提示いただいて、我々が真剣に検討する時間をいただきたい。それだけに値する重大なことを検討しているのではないかというふうに私は思うだけに、徹夜の皆さんには申しわけありませんが、是非お願い申し上げたい。
 それから率直の感想を申しますと、排出量の推計の参考資料1をパラパラと拝見しますと、事実と違うことがあります。私は数値には誤差というものもあり、数値には意味があるということもわかっているつもりで申し上げたいわけですが、数値をあたかも机上で推計したり、言葉はきつくて申しわけありませんが、もて遊ぶようなことは是非おやめいただきたい。やはり産業界は生産、ときに温室効果ガスを排出しながら国の中で生産をしているという現実がございますので、是非私どもの産業界の実際のものづくりの現場にまで目をやり、ときに足を運んでいただいて、是非計算をしていただきたい。あるいは計算の前提となるパラメーターについての御議論をたまわりたいというふうに思います。いくつか後ほど御指摘させていただきますが、勘違いあるいは事実と違うところが、私にはあるように思われます。以上全体としてのお願いが第1です。
 それから第2は個別論議でございますが、目標、区分、整理と総括、明確化、これは先ほどの第1のところにも関係しているわけですけれども、その結果の数値は資料4の数表に2枚目に表れているだろうというふうに、私は勝手に理解をいたしました。先ほどの御説明もそういうことだったと思います。これを御覧いただきますと一番右側にある大綱の目安としての目標、-7%、配分前、この-7%はいわば大綱に書き込まれた数字でございまして、私ども経団連が、0%だと言い続けているところでございます。まだ-7%という数字はここに書かれている。それが2%といういわば革新的技術開発と国民運動の結果の推定値がいつのまにか8.5%というふうに置き換えられている。これは先ほどの清水課長さんの御説明から頭の中ではわかることではあります。それがさらに対策・強化ケースとして-12.4%になる。こうした数字のいわば羅列と私にはいえますが、については、非常に重い数字だけにしっかりした論拠等の説明を必要とするというふうに思います。
 私はこれだけパラパラと拝見してもこの違いについて理解ができません。是非、産業界に対してそれなりの説明をお願い申し上げたい。それでもし、これもちょっと悪口で恐縮ですが、例えば国民各界各層の努力、革新的技術の2%、これどっかへいっちゃいました。これはもともと国がある意味で、私の認識では責任をもっておやりいただくところというふうに理解をしております。それが右側にいくとなくなって、産業界、運輸部門等に振り分けられて、この表だけを見てあえて申し上げれば、これはもう国の責任逃れといえる。私にはそう思われます。こういう意味でこの数字の重さというものを十分御勘案いただいて、数字についての御説明もしっかりいただく必要があると、私は思います。それが第1でございます。くれぐれも今回、ほぼふれられていない、国がやるべき国民に呼びかけ、大きな活動をするということ、これは総理ですら施政方針演説等でしっかり謳われているところでありますから、この点がまったく忘れられてしまうことのないようにお願いを申し上げたいというふうに第一に思います。
 それから論点2、論点整理の4ページでございますが、ここにつきましては時間の制限もございますから、私後ろの方に、先ほど浅岡先生の方の資料の後ろの方に意見を出させていただいて、これについては疑義を呈しております。ただ、ただいま鈴木先生からお話になられたとおり、自主行動計画をその次とも関係して、我々産業界あるいは各企業が情報をできるだけ透明、公開にしてくれるように時代の流れですし、そうした傾向は大いに促進すべきだと思います。したがって、経団連としても自主的に呼びかけあいながら、各企業が積極的に情報を出していく。しかも透明にお進めできる格好で出していくということに一段と努力をしたいというふうに望んでいます。
 それから5ページ目でございますが、例えば自主行動計画の協定化について検討してという指摘があります。この協定化につきましても私は先ほども御指摘申し上げましたように、この参考資料の1で事実に即してないような数値を、そのままお出しになるような形では協定化をするに値しないと、私は思います。いわば我々は行政以上に国民の皆様に社会的に約束、公約として自主行動計画を出しているわけで、改めて政府に協定化をしていただく必要はまったくないと、私は思います。
 それから一番下の専門機関の活用等ございますが、これは既にここにちょっとお書きになられたとおり、産業構造審議会と総合資源エネルギー調査会の合同委員会の、小委員会で各業種別に特に呼ばれてヒアリングを受け、コメントをして申し述べるということをいたしております。是非、そこに環境省もあるいは中環審の先生方も御参加いただいて御発言をたまわりたいと。したがって、専門機関の活用という意味では、既に国が一歩乗り出して経団連の自主行動計画を業種別にチェックをされているということがあるということを、是非申し上げたい。
 それから6ページの論点4でございますが、これを私の名前でお出しさせていただいた2月以降についての意見の中に書いてございますが、要は排出量取引の基本はキャップアンドトレード、キャップをどう決めるか、ここに我々の最大の懸念と最大の問題があります。御案内のとおり先ほども御説明ございました。EUでは国がさらに産業界別に割り当てるということが一部行われはじめました。その結果、どういう声がヨーロッパの産業界から出ているか。既にいくつかの企業、主要大企業ですが、このまま排出量割り当てに相当する割り当てが行われるのであれば、自分たちの工場をアフリカに移設しなければいけないだろうということまで、主要企業の経営者が言わざるを得ない実態があるということも、是非御認識をたまわりたいというふうに思います。
 それから7ページの自主参加型、これはもし自主参加型であるとしたら、既にアメリカのナットソースが日本の商社と組んでビジネスも行おうとしております。国が関与していただく必要はありません。むしろ民間が純粋に取り組んで、それを支援していただくということで十分ではないかというふうに、私には思います。
 なおかつ、この排出量取引について、もう一言付け加えますと、今世界銀行、ワールドバンクがカーボンファンドということを世界中の企業、国、自治体からファンドを募って、やり始めています。その中の2003年、2004年では実に日本だけで41%に相当するファンドを出している。つまり日本企業はそれほどこの問題に真剣に取り組んでいる、ワールドバンクで既に41%をシェアするだけのことをやっているということでございまして、企業のそうした自主性をむしろ発揮させるということに御配慮をたまわりたいというふうに思います。
 それから温暖化対策税は既に申し上げたとおりですが、改めて申せば、既に環境省は各省庁に温暖化対策として1兆円を超える歳出をなさっているにうかがっております。さらにそれに加えて9,500億あるいは1兆円近い歳入を期待するのですから、現在の1兆円がどういうふうに使われて、どういう実効をもたらしているかという試算を是非お教えいただきたい。それから課税と京都メカニズムの経済性、コストの比較なども是非お示しいただきたいというふうに存じます。論点の提言はあとにさせていただきます。
 以上です。

○浅野部会長 それでは、浅岡委員お願いいたします。

○浅岡委員 大変量が多いので詳細に申し上げていると時間がないので、今日私ども提案した文書の中に盛り込まれていることを前提に一つ申し上げたいと思います。
 まず、目標区分については先ほどの議論がありますが、この資料4の2枚目のところで-2%を振り分けますと、それぞれの排出分野ごとの分野に対する割合ということで組み換えますと、配分後ということで非常に大きなばらつきが出てきますし、民生部門、家庭部門などにこれまでとても重い割り振りをしていたことがここでもわかるわけですね。それらをにらみつつですけれども、先ほども申しましたように2年ちょっと前に決めたから、これを動かさないのだというようなことではなく議論をすべき、今ここで見直しをするということは重要でありますけれども、やはりここの中でCO2に関して、今+0.5というのを頭におき、また非エネルギー起源のCO2を加えてもプラスになるというような形で対策を考えるのではなく、そもそも出発として削減しなければいけないと、そのための対策をしっかりやるのだという姿勢であるべきだろうと思います。
 その単位の対策、取組の仕方としまして論点2から論点5が今出されているわけですけれども、まずその論点につきましては、もうかねて申して、何度も何度も申し上げてきたことですけれども、個別の事業者あるいは事業者団体、業界と経済産業省との間で情報を共有しているだけでは、こうした問題の取組には不十分だということはもう言うまでもないことですし、これが事業者の企業秘密として保護されるような情報でないことも、もうかねて議論をされてきましたし、私も申し上げてきたところです。ちゃんと開示されて、こういう対策の中でどのように削減したのかについて国民的にも理解し、評価もできます。
 自主的にそれぞれ個別の企業が透明性を図っていくということで足りるのだという桝本委員のお話でしたけれども、例えば先般私どもが報告いたしました省エネ法に基づく事業者の情報の開示につきましても、化学業界とか鉄鋼業界とか、主要な業界が開示をしないという約束をされた状況がありました。で、そうした個々の事業者や事業者団体が開示・非開示を決めるというようなことでは、今のこの国として取組や対策を考えることにならないそうした仕組みだと思います。公開については既に動いているところは動いているわけですね。すべての取り組みの出発であろうと思います。
 そうした上で計画につきまして協定化を図る。そして税の仕組みをベースにおいて、その上で協定化を図る。そして国内の排出量取引ともリンクさせていくと。今回ばらばらに出されていますけれども、こうした仕組みがお互いにリンクした仕組みになって経済界にとってもメリットがあるということにもなっていくのだろうと思いますので、組み合せていくことが必要だろうと思いますし、その前提としてこの税の仕組みがあると思います。エネルギー転換部門の議論の中で天然ガスへの転換等をどうしていくのかというようなことを考えますにも、不可欠な話になってくるわけでありましょうし、有力な施策として位置づけられるのではないかというような書き方でありますけれども、もっと積極的にこれを取り入れていくということを明示した上で、早くその制度設計の設定も議論を進めていっていただきたいと思います。
 国内排出量取引について、私ども国内でしっかりした初期配分で行えるのであれば、それは効果的な仕組みになると考えておりますが、配分については1990年の排出水準を前提にしますと、日本の経済的バブルの時期でその後の各業界の、特に主要な産業の生産量の今後の見通し等を見ましても、かなりバブル的なところがあります。そういう点には留意しつつ、こうした仕組みを入れていくことが重要だと思いますが、ここに書かれているような海外とのエネルギー削減効果の平準化を書かれている点については仕組みももう少し見ながら考えていきたいなと思っているところであります。いずれにしましても、すべての出発は現状及びその後の推移について排出量の把握、報告をいただく。それによって初めて公表の仕組みになっていくということにもなると思いますので、報告制度が何よりも前提だというところを強調していただきたいと思います。

○浅野部会長 ありがとうございます。それでは飯田委員お願いします。

○飯田(哲)委員 できるだけ重複しないように手短に申し上げますが、目標区分の明確化、先ほどの国民各界各層とか革新的云々の見直しについては基本的に賛成します。現時点において合理的かつ制度的に担保されないものというものを入れるというのはナンセンスですので、もう時間も限られていますからこれは当然見直しすべきであろうと。
 それから論点2の横断的な施策で事業者からの排出量の算定・報告・公表、これも東京都の方で既にもう先行しておりますが、これ当然実施すべきであろうということで、特に省エネ法のいわゆる経済産業省の方のデータと重複する部分について、きちんと国の方で調整をしていただいて、いわゆる共通のフォーマットで、しかもインターネットですべて利用できるような形でデータの整理をするということが、当然出発点になるべきで、いわゆる自主的なものに委ねるというのは、今東京都の方でもうデータが出ておりますが、もうまったくバラバラな公表制度で、事実上データとしては特に役に立たないということがありますので、これは統一する形で基準として定めるべきであるということ。
 3点目の自主行動計画の協定化は基本的に賛成ですが、飛ばしまして、国内排出量取引制度、これも基本的には早期に実施すべきであると思うわけですが、いわゆる自主参加型の国内排出量取引制度だけに言及するというのは若干いかがなものかと。当然、費用負担の平準化という視点もありますし、それから対策効果の確実性という意味合いもあるのですが、もう1つ、重要な視点として、いわゆるだれが費用負担するかということを確実にするということが重要ではないか。
 具体的には要は実際に京都議定書が発効したときには、これを達成することが議論になっていくわけで、最後に出てくる京都メカニズムの1.6%で、残り4.4%は確実にここらで達成するという制度的な担保があればいいわけですが、仮にそれが例えばない場合に、結局、キャップアンドトレードのような施策で、あるいはこのあとの温暖化対策税、それが裏表の関係ではあるわけですが、結局、達成できない部分をだれが費用負担するかということを、制度的に担保できていないわけですね。結局、さぼればさぼるほど得をする制度になってしまうんですね。
 そのことが結果としては最後は国が税金で埋めて、いわゆる公的資金で埋めるということは国民の薄く広く負担になるわけで、やはり排出量に応じて負担をするということを、税アンド・オアそのキャップアンドトレードで確実に担保をしておくということが、いわゆる排出者責任を制度的に担保するという意味で非常に重要であると。これをロードマップとして少なくともここに明記しておかないと、自主参加型は入りやすいからとりあえず入れておくということだけでは、じゃ、実際に発効したときにキャップアンドトレードに移行できないのではないかということが問題にありますので、とりあえずはじめは自主参加型でいいんですが、発効した場合にはキャップアンドトレードを導入するといったものを書き込むべきであるというふうに。対策税については省略します。

○浅野部会長 ありがとうございました。それでは、大塚委員お願いします。

○大塚委員 基本的にこの論点の1から5について賛成でございますが、いくつか申し上げさせていただきたいと思います。
 まず第一の点についてですけれども、先ほど清水課長のお話がありましたけれども、基本的に革新に向けた技術の部分と、それから国民各界各層の更なる防止活動の推進部分というのは、結局はこういうものが別枠のカテゴリーになっていたとしても、最近審議会でもよく議論されているようですが、主体別に誰が対応する対策をとるのかということを分けていかないと、実際には対策がとれないということがございますのでそういう観点からも、これはこれで残してもいいんですけれども、他方で主体別に分けるということが必要になってきているんだろうと思います。そういう意味ではこの論点1の方に賛成したいと思います。
 それからほかに3点のところで申し上げておきたいのですが、排出量取引の件でございますけれども、基本的に削減コストを減少させていくという点から、国内取引制度というのは非常に効果的だというふうに考えております。アメリカで硫黄酸化物についての制度が連邦であるわけですけれども、それだけではなくて州でもCO2について取引制度が導入されてきておりますので、まだ一部ですけれども導入されてきておりますので、決して硫黄酸化物だけの話ではないということでございます。さらに硫黄酸化物についても規制でいくよりは排出量取引でいった方が、削減コストを低減できるという観点から共和党政権によって導入されたということが大変重要だろうと思います。
 キャップアンドトレード方式についてはいろいろ御懸念があるだろうと思いますけれども、他方で配分方法をどうするかということによって配慮できると思いますし、それから場合によっては暫定的ですけれども排出量取引の価格の上限設定をするというようなことをすれば、対応できるのではないかというふうに考えております。キャップアンドトレード方式についてはEUでは既に20カ国で国内排出量取引の割り当てが済んでおりますので、まだ少し残っていますけれども、かなり進んできているということだと思います。さらに、これによってほかの外国に産業界が移転して、産業空洞化が起きるかというような問題も指摘されましたが、これについては、例えば今日本の企業について海外に出るということの要因のトップは、市場の拡大への対応ということが第一の要因として挙げられていて、第二の要因としては低賃金ということが挙げられていて、環境コストは重要ファクターとして今のところ挙げられておりませんので、それほど気にする必要があるのかどうかということについては、私は少し疑問を持っております。
 それから自主参加型の国内排出量取引制度についてでございますけれども、これは基本的に補助をするということを考えているわけですので、それほど抜本的な制度ではないと思いますけれども、暫定的な制度として、特に経験の蓄積というふうにここに書いてありますけれども、国際的な排出量取引制度に慣れるための第一歩として非常に重要だろうというふうに思われます。そういう意味では残念ながら、産業界にまかせておくというだけではなかなか済まない面もあって、制度をつくるということはそれなりに意味があることではないかというふうに思っております。
 それから排出量取引制度についてはそのぐらいですけれども、温暖化対策税については既にほかでも御議論がありますので、それからもう既に浅岡先生とか指摘されていますので、詳しくはふれませんが、これもやっぱり削減コストの低減という意味では非常に大きな意味があるということだと思います。既に温暖化対策については使われているということはありますけれども、これはかなり羅列をしているだけだというところも、あまり強くは言いませんがございまして、例えば新幹線をつくったらそれがどのぐらい温暖化対策になっているかということは、必ずしも数字がはっきりしていない中で予算として挙げられているとか、道路を新しくつくったのが挙げられているとか、そういうかなりアバウトに予算の数字としていっておりますので、それが1兆円使っているからもう要らないということではないと思いまして、むしろ費用効果的に温暖化対策税をとったものを使っていくということが、今日必要になっているのではないかというふうに思います。
 あと、もう1つだけ申しますが、自主行動計画について既に産構審で対応を始められているということですけれども、是非お願いしたいのは、むしろ外部の検証機関、第三者機関によるチェックというのを、是非お願いしたいと。透明性という観点からはおそらくそういうことが非常に必要になっていると思われるということでございます。
 以上でございます。

○浅野部会長 それでは、久保田委員、お願いいたします。

○久保田委員 私も連合という立場では桝本さんと似たような立場にあるのかもしれませんけれども、実は大変重い課題ですので、組織的な討論はこれからでございます。したがいまして、ちょっと今日の段階ではこれまでの延長線上と少し個人的意見ということになるのかもしれませんけれども、その辺はお許しをいただきたいと。次回のときに少し討論はしてまいりたいとは思っておりますが、完全に職場といいますか単組レベルまで落とし込んだ上での意見集約ということには、なかなかこの期間では難しいというふうに思っていますので、また中間とりまとめのあとのパブコメ等々の中で組織的に対応するというようなことになってくるのではないかと思います。それだけ少し口頭エクスキューズしておきたいと思います。
 まず、論点1については賛成でございますが、具体的な行動ということになりますと、やっぱり主体別にそれぞれがどういうことをやるのかということを明確にしていくことは非常に大事だと。ただ、そのときに数字を挙げてそれができなかったときは、誰の責任かというような意味でのぎりぎりとしたそういうことではそれぞれが、いや、自分のことではない。そういうことはないというようなことで、それぞれが責任を負わないという力学に作用するよりは、むしろそれぞれが重なり合いながらすべてのことでやっていくというふうにしないと、特に家庭一人ひとりの行動とか家庭の段階というところを動かしていくのは、非常に難しいのではないかと思います。
 政府や自治体がこういうところをやる、それから企業も私は社員の家庭ということをそれぞれ視野においたときには、自分のところがつくる製品やそういうことだけではなくて、社員一人ひとりの家庭を視野において、特にその中では労使がパートナーシップを発揮しながらそういう競争といいますか、そういうことをやろうと。前向きな何かそういう活動をやろうということの余地はずいぶんあるのではないかというふうに思いますので、規定法のマトリックスといったらおかしいんですが、大変重要な、割り振りは必要ですが、大変重要な国民一人ひとり、各界各層がどうやって意識転換をして、しかも行動参加までするかということは大変重要だと思いますので、やっぱり主体別に何をするかということをそれぞれが努力をしていくべきではないかと思います。
 それから2つ目のデータ公開については、これまた組織的にはさまざまな意見を聞いてみないと、ちょっと私、軽々には言えませんが、これまでこの委員会の中で述べてきたことは、やはり業界としてキャップをはめるようなことよりは、むしろ個別企業の努力を解き放してCSRというような観点も含めて、やはり時代はオープンでフェアでオネストで、誠実にこの問題にそれぞれの企業はどれだけ取り組むのかと。そして本当に取り組んだ企業はほめられ、あるいは消費者から選考され、さぼった企業はやはりそういう目で見られるという仕組みを、どうつくるかというのは大変大事だと思います。そういう意味ではやっぱり個別企業別あるいは事業所レベルぐらいまで含めてですね、これがまた非常に強制的、画一的ということになると、企業側の心理としてもう少し自主的にやらせてほしいということになる。
 この辺のどの辺で折り合いをつけるかというのは実は非常に、もっと具体的に詰めていく必要はあると思いますが、軽々には言えませんが、基本的にはどれだけ努力をそれぞれの企業が自主的にやるか。その自主的なインセンティブをどれだけ仕組みとしてつくりあげるかということによると思います。イメージ的にいえばトップランナー方式というのは非常に成功しているのを、この環境問題あるいはCO2の削減を企業別トップランナー方式をお互いに競い合うと。そしてどれだけ地球にやさしい企業であるかということを本気に、前向きに競い合うような仕組みをどれだけつくるかというのは大変大事だと思いますので、業界でのキャップよりは、むしろ個別企業ごとのそういう努力というものを引き出すような仕組みを、思い切ってつけるのではないかというふうに思っています。
 国内排出量取引制度については、是非遅れないように社会的、実験を含めてやっぱり早めに取りかかるということは大事ではないかというふうに思っていますので、その環境条件整備やインフラ整備というのはやってみる仕組みをつくることは大事ではないかと思っています。
 税については別の委員会の中で言っておりますが、連合としては、はじめに税ありきというのもおかしいけれども、税は頭から否定するということもできないのではないかと。規制的手法や自主的手法と合せて経済的手法のあり方というのは、税や排出権取引制度を含めまして、2010年ターゲットだけではなくて、その次のところまで含めるとやはりまともに向き合って議論すべきではないかというふうに思います。これはそのときに冷静に、客観的に詰めていくことが必要だと思っておりますので、あまり拙速にやるということについてはどうなのかと。やっはり国民的議論を尽くすということが大事だと思いますし、間違ってもある特定業界だけにしわ寄せして、何となく財源対策としてやるということについては、本当の趣旨が生きないのではないかというスタンスにおります。
 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。最初のところの御発言で、確かに今までの大綱というのは全部1+1+1が3になるという大綱なんですが、それとはもう一つ別に数字で目標を示すのだが、それが割り当てになってしまわないようなものがあった方がいいという御発言だったような気がします。
 これ例えば法律の世界では連帯債務というのがあるんですが、これは1+1+1が1になる制度です。1では困るんですけれども3+3+3が3であれば、それで目標が達成できるという面があると思う。ということはかねてから私も思っていまして、これは単一の目標だけでやるのではなくて、マルチプルの目標があって、主体別の目標努力というのとこういう部門別はこうなっていると、両方あるというのがいいという議論はこれまでもあったと思うのですが、今の御指摘はそういうような趣旨だと理解したいと思います。
 小林委員、どうぞお願いいたします。

○小林委員 少し繰り返しになって申しわけないんですが、まず1点目の論点1については、このことに賛成です。もともと大綱の中で主体区分と対策区分が混同している。ですから、これを整理するというのは重要であるので、ただ、対策区分として書かれた問題を実際にやれたかどうかの評価というのは要るだろうと思うんですが、それを数値で出すかどうかというのは別の問題ではないかと考えます。その辺は整理をしていただきたいと思います。
 論点2でございますが、論点2につきましては、やはり公開という意味で、公表という意味で具体的に出していただくことが重要ではないか。御指摘の中で重複報告になるという御指摘をされておられた方がおられると思うんですが、当然重複報告というのは無駄な作業であると思いますが、重複報告を避けるためには、やはり情報公開が重要であって、情報公開さえちゃんとできれば重複報告の必要性はないと思います。
 特に私どもが関与しています地方自治体では、県民というか住民に対する対策の責務を持っているわけでございますが、その辺について情報が不足しているために、大変住民からの批判を受けております。そういう点に対して、やはり社会的責任を果たしていただくということが重要ではないかと思っております。
 それから論点3でございますが、自主行動計画そのものについては大変評価をさせていただきますし、大変進んでいるというふうに考えるわけですが、これの内容についてはやはり透明性に欠けるという問題がございます。この辺については透明性を是非お願いしたい。特に業界別の数値ということではなくて、できる限り個別の、企業別の数値を公開していただきたい。基本的には企業別、工場別のデータの積み上げによって初めて自主行動計画は達成しているかどうかというのが分かるわけでございまして、一部の業界では、これは私の勝手な想像ですが、どうも原単位掛けるいくらという形で行動計画の数値を出されているという部分も漏れ聞きます。これでは自主行動計画とはいえないのではないかという感じがいたします。是非、この辺についてはもう少し具体的透明性をした上で、自主行動計画を評価していただきたいことをお願いをしたいと思います。
 いろんなところで評価をされているという報告があったのですが、その評価をされた内容が具体的に公表されない限り、これは評価しているとはいえないのではないかと思います。 先ほどちょっとあった自主行動計画の±0%の数値と産業部門の-7%との評価の問題については先日、通商産業省のコメントの中に自主行動計画が±0%に含めて、単価で含めて産業界では-7%は達成するというコメントがあったというふうに記憶しておるのですが、そうであったとしたら、その-7%の数値の根拠を具体的に公表していただきたいし、また環境省においても情報のない中にそういう情報を入れて、いわゆる環境省が出された数値に固執するのではなくて、各部門のそういう情報合せた形で数字は修正していただければもっとわかりやすいものになっていくのではないかというふうに考えます。
 それから排出権取引の問題なんですが、私は排出権取引そのものは費用対効果からいって大変有効な手段であるというふうに考えております。現実に個別企業の中で削減が大変難しい。削減をするために多大な費用がかかる。逆に削減をすることはそれほど難しくないが、零細であるがためにその削減の費用がないという業界もございます。そういう相対する業界が国内取引をすることによって、効果的な削減がみえてくるという意味でこの国内排出権取引は十分効果があるというふうに私は考えております。
 そんな中で先ほどお話になりましたCDM、JIとはいいけれども、国内排出量取引は云々というお話があったわけですが、私は相手が違うだけであって一緒ではないかと。それがなぜ違うのかという点がちょっと理解しがたいという問題でございます。
 国内取引によって割り当てをしていくと、企業の締めつけが起こって海外流出が起こるのではないかという御心配をされていたわけでございますが、現実に今まで大気汚染対策とか水質汚濁対策で規制をする段階でその話は何度も出ております。出ておりますが、現実に規制をされた段階で国外に流出された産業が実際にあったんでしょうか。私はなかったというふうに記憶をしておりますし、一部出た会社も結局は戻ってくるという意味で、環境における負荷というか環境による圧力で海外流出はあまり起こっていないのではないかというふうに考えます。この辺にもう一度具体的に検討して書きたいというふうに考えたわけでございます。
 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。ちょっとおそれいります。中座を先に申し出ておられる委員がいますので、順番を変えます。福川委員お願いします。

○福川委員 どうも恐縮でございます。

○浅野部会長 論点6からあとの部分も、もしございましたらどうぞ、今のうちに。

○福川委員 はい。おそれ入ります。まずこの論点整理の位置づけでございますけれども、ここはあくまでも論点ということでございますので、やっぱりできるだけその論点について評価を既にしまっても客観的に書くということで、掘り下げていただきたいと思います。
 いろいろなところの中で、例えば有力な手段と考えられるのではないかとか誘導するような表現というのは、私はこの段階ではまだ早いのではないかというふうに思います。それが第1です。
 それから2番目に論点1ですが、この論点1自身はいいと思いますけれども、これを最後にまとめるときに中間とりまとめ、たたき台の方を見ますと大綱の評価ということが書いてございます。私はこれは実は非常に大事なことで、これから対策を評価しよう、また国民、企業に協力を求めようというのであれば、やっぱり説得力ある論旨を展開するべきだというふうに思っています。したがって、今どういう状況にあるか。温暖化の排出がどういう状況にあるかということをきちっと評価をした上で、なぜ、仮に目標が達成できないとすれば、なぜ、そうなったかということについての原因をきちんと説得力ある文章で分析をした上で、対策はこう評価をするというふうに論旨が展開するように、是非お願いをしたいと思います。
 その場合にもう1つは、よく政府側から申しますと、民間のここが悪い、あそこが悪いと、こういうことになるのですけれども、我々の反省も含めてですが、あるいは施策が本当に十分であったのかどうかという、その政府の反省というのもその中に含めて考えてみる必要があると思います。それはまた私ども審議会メンバーの反省でもあります。
 それから次の点、簡潔に申しますが、自主行動計画、論点3でございますが、私はちょっと言葉があれですが、自主行動計画の拡大と書いてありますが、これは確かに拡大しようという産業分野でありますから、そういう意味もありますが、内容も評価をするということなので、充実という表現の方が好ましいかというふうに思っております。
 それから排出量取引のところの6ページですけれども、このときの設計にあたっての留意点という書き言葉がありますが、この中に2つ○が書いてありますが、私はもう1つ、この○の中に行政コストをできるだけ低くするということを制度設計の中に入れるべきではないかと思っております。今、一般的に規制改革、規制緩和ということが一般的に小泉内閣で進めているわけでありますけれども、行政全般は事前的な調整よりも基準を明確、行動の標準を明確にして事後チェックという司法的なチェックということがよくいわれるわけでございますが、このときでもこのキャップアンドトレードで割り当てという形しかできないのか。そうではない、ほかの制度設計がないかどうかということも含めるべきだと思います。
 例えば国内排出量取引の基準を、行政からのキャップと、割り当てと、あるいはまた自主行動計画で協定化というような形でいくかどうか。これは自主行動計画はすべての企業がやっているわけではありませんから、そこで公平性の確保というような問題が出てきます。そうしますと、例えば自主的を基準にした排出量取引というものが果たして制度的に不可能なのかどうか。とすれば、記録をきちんと保存させておけばチェックは十分可能であるので、そういう制度設計もあるように思います。ですので、この排出量取引は十分検討すべきだと私も思いますが、制度設計にあたってはいろんな観点があるというふうに思います。その際、是非私はこの行政コストはできるだけ少なくするという論点で、制度設計を考えるのが今の時代の要請ではないかと思っております。
 それから温暖化対策税は今まで御議論がでました。私もこれはもちろんその検討を排除するつもりはまったくありませんし、是非検討すべきだと思いますが、ここに3つの効果がありますが、これが本当にどのように立証できるかということを十分論証する必要があるし、今施策小委員会で御議論になっていらっしゃるということですので、その辺を是非検討した上ですべきで、今直ちに有力な施策として位置づけられるとか、有力な手段と考えられるというのは、私はまだ時期尚早ではないかというふうに思っております。
 各論の点については大体こういうことで私は異存はございませんが、一つこの中で行政がどうであったか。公的部門がどうであったかということを、一つの論点の中に入れるべきではないかと。これまでもいろいろ行政がきちんと温暖化対策を実施しているかどうかということはいろいろ議論になっているわけですけれども、本当に総理官邸なり国会なり環境省なりが、実際どういうことをやっているかということはどうもよく分からないので、実際はそれぞれ公的部門がどういうことをやってきて、それはどう評価をすべきか。これは大綱の中にはあまり明確には目標はないかもしれませんが、やっぱり公的部門の反省ということもこの中で取り入れるようにすべきではないかと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。

○浅野部会長 それでは佐和委員申しわけありませんでした。どうぞ。

○佐和委員 まず先ほど議論になりました資料1を御覧になっていただければおわかりになると、悪文なんですね、すごく文章が。とにかく一つの○の中に一つの「。」しかないんですね。ですから非常に読みにくくて意味がわかりにくい。やっぱりこの論点云々ということに関しても同じようなことがいえると思います。
 それからまず、税のことについて一言だけ申し上げたいのですが、2番目の○で温暖化対策税の効果として1、2、3とあるというのがありますが、実はもう一つ重要なのは、温暖化対策税の効果がサプライサイドに立っているということです。サプライサイドといったら変ですけれども、つまり技術革新を加速するというんですかね、とにかく低燃費車の開発のインセンティブとなるとか、あるいは省電力の家電製品の研究開発ということをモチベートすると、そういう効果ですね。を4番目に、そして書くべきだと思います。
 それから先ほどいろいろ話題になっている排出権取引制度についてちょっと申し上げたいんですが、キャップアンドトレードというのはあまりよろしくないかのようにおっしゃいましたが、実は京都プロトコル自体がキャップアンドトレードなんですね。京都会議の閣僚会議が始まる初日に、橋本龍太郎総理に引き続いてアメリカのゴア副大統領が15分間ぐらいの演説をしたわけですね。その中で、自分はここで次のようなことをアメリカ代表団に対して言いたいと、正確ではありませんけれどもね、市場メカニズムを活用した制度を導入することを前提に、私はここでアメリカ代表団に対してモア フレキシブルになれというふうに言ったわけですね。まさにそれはキャップをするべきではなくて、キャップアンドトレードという要因を入れろということで、そのことを前提に当時、アメリカの政府は公式には0%というふうにいっていたわけですけれども、一気に、今は状況は変わりましたけれども、7%までいったということなんですね。
 それはさておき、何かこの経団連の提出しているこの資料を見ますと、環境税や経済統制的な施策には反対であるということで、あたかもこの排出権取引制度というのが、これが非常に規制色が強くて経済統制的だというふうに書いていますけれども、これは京都プロトコルを批判するのだったらよくわかるんですよ。京都議定書を、あの批准というものを認めた上で、つまり京都議定書というものを前提とすればですね、実はもっとも市場メカニズムを有効に活用する手法であると。そして実はここで割り当て、つまり割り当てというのは大変難しい問題だと思いますし、グランドファザリングとかいろんな言い方がなされているようですけれども、それだったらいっそのことオークションにすればいいということになるわけですね。その排出権取引制度の最大のメリットというのは、要するに国内の排出量に対してきちっとキャップをかぶせることができるということですね。
 それに対して税の場合は、税率を1万円にしようが2万円にしようが、結果としてどれだけ削減されるかということは、わからないわけですね。ですからそのために、しょっちゅう税率を調整しなければいけないという、そういうやっかいな問題があるということで、京都プロトコルと整合的なという意味では実はその排出権取引制度の方が、より整合的であるというふうに思われます。
 それから、ついでにこの経団連のリポートの中で、2ページ目の一番上のところに国際競争力を喪失させ、同様の制度を有しない国での生産が増加し、結果として地球規模での云々という、リーケージと呼ばれる昔からよく出てくる議論なんですが、実はこういうことを最小限で食い止めるためにCDMという制度がちゃんと導入されているわけですね。つまり、鉄鋼でも電力でもできるだけ効率的なものを、技術を日本が提供することによっておっしゃるような心配がないように、そんな手当てがプロトコルの中にきちんとなされているということですね。
 それから排出権取引の導入ということが、実は経団連の1ページ目のところにCDMやJIを中心に京都メカニズムを柔軟に活用していくことは重要であるとかありますね、民間企業に対してCDMやJIを行うことを動機づけるためにも、国内の排出権取引という制度を導入するということがやっぱり必要だとはいいませんが、意味があるというふうに私は思います。
 というわけで、税と排出権取引には先ほど申し上げたように、とにかく京都議定書を前提とすれば、どっちを導入するんだというと排出権取引の方が望ましいということになるわけですが、ここで問題になってくるのは、今、福川委員がおっしゃった行政コストの問題ですね。税の方がはるか行政コストが安くて済むということが、やっぱり税のメリットであるということを一言最後に申し上げたいと思います。

○浅野部会長 ありがとうございました。塩田委員お願いいたします。

○塩田委員 論点3から5ついて意見を申し上げます。まず、論点3の自主行動計画につきましては、今これに参加していない企業が、自主行動計画に参加をするということが今一番大事なことだと思います。そういう意味でどうやって促進をしていくかということの関連で、今検討しているのは第二ステップについての対策だと思いますので、その要件があまり過重となると参加する人が少なくなるのを危惧します。
 第2点目は国内排出権取引の問題ですが、有効に機能する分野があるだろうとは思います。ただ、それはすべての分野にこの制度がうまく機能するとは思えないです。具体的にいうと、運輸部門などはこの制度があまりうまく機能しない分野ではないかと思います。特に輸送量がふえているような場合には、この制度は運輸部門につきましては、御承知のように経済的な規制が既に撤廃されていますので、キャップ&トレードのキャップを定めるときに経済的規制を復活させるように思います。行政コストの問題ももちろんあると思います。
 それから3番目、論点5の税の問題です。この税の問題についても温暖化対策を実施していくためには当然費用はかかるわけでしょうから、そういう意味でもこういう税の検討をすべきということは当然だと思うのです。ただ、この温暖化対策税についてもどういう分野に抑制効果があるか。これは抑制効果があるという面については、一律にいかないのではないか。運輸部門で一番温暖化対策が必要だといわれているのは、自家用乗用車の分野ですけれども、この自家用乗用車の分野などについては、この程度の税ではほとんど効果がないだろうということが一般的に認識されている点です。
 そういうことも配慮すべきだと思いますし、他方、この論点5の中の温暖化対策税の2つ目のパラグラフに、温暖化対策税の効果として2番目に、「温暖化対策税より生じた税収を幅広い温暖化対策に活用することによる効果」ということが、ここに記載されていますけれども、このことに関して、どういう種類の政策に対してこの温暖化対策税を財源とするか、あるいは具体的に、どういう政策的にこの温暖化対策税をあてるのか、というような点についても、これは同時に検討しておくことが、この税をもし実現する場合には必要ではないだろうかというふうに思います。この点については私は税に対して賛成、反対ということよりは、そういう問題についての論議を是非環境審議会できちんとしていただきたいと思います。
 以上、3点です。

○浅野部会長 委員会の検討については最終的にはそこまでいかなければいけないという認識は、もっと議論が進められていると思いますが、なかなか前提のところの議論が進んでいないという状況ではある。
 高橋委員お願いいたします。

○高橋委員 ありがとうございます。ほぼ想像したとおり、10人ほどの方々の御意見うかがっていると、この論点1から5までに関しまして主要なポイントというのが出されたような感じがしますので、これを議論するに関して非常に重要なのではなかろうかという3つのポイント、それを背景として指摘させていただきたいと思います。おそらくこの中間とりまとめなどでは「はじめに」というところと「おわりに」というところになるのかもしれませんが、まず第1の点は、我々これやっているのに何やっているんだということに関してですが、我々が今やっていることは地球公共財を形成しつつある。その視点が非常に重要なんだと思います。地球公共財論といいますのは世界全体のシステムの問題から最近の非常に重視されている論点としましては、個々の国の中の公共政策、そのものが地球公共財論の重要なベースになっているという視点が中心になってきております。
 この我々が議論している問題というのは、とりもなおさず、この地球公共財、これの形成のプロセス。これを議論しているんだということが非常に重要な視点かと思います。それが第1点。
 第2点は、この論点の1から5まで全部非常に関係してきますが、我々が環境問題を議論していくとき、これまで30年ほどいつも大変な目に遭ってきてますのが、非常に大きな方向というのが見えてくると、何らかの意味でとんでもない大きな波がかぶってくる。コンテニュイティーということでものごとを見ていたらディスコンテニュイティーが起こったということが非常に大きな要素として、我々の作業というのが反故に期するという場合が非常に多かったわけです。今後も当然そういうことになると思います。
 なぜならば、やはり国際社会は非常にもともともろいわけですが、そのもろさが私は増していると思います。その非常にもろい国際社会の中で、我々が国内のこういう作業をやるということの認識、したがって、ディスコンテニュイティーという、これはどこから出てくるかわからないけれども、ディスコンテニュイティーというのが常にあり得る。あり得るのを想定しながらこういう作業をやっているんだということをはっきりさせないと、やっていることがかなりずいぶんのんきな話だなということになりかねないと思いますので、それは一応はっきりとこの報告書には、多分一番最初のあたりに言っておく必要があることだと思います。
 それから第3点目、これは一番最後のあたりにいうことかと思いますが、これ私は今回の作業を通じて非常に強く思いますのが、この数十年前のODAの議論と非常に似ているというふうに思います。どういうことかと申しますと、このODAなどという変なものが出てくる前提としまして、1950年代の終りころにアメリカがこのODAに相当するようなことを一生懸命やっていて、それがどうも耐えきれない。したがって、バードンシェアリングを先進国でやってほしいということから、このODAというようなことが出てきたわけですが、それでほかの先進国もほとんどの国がいやいやながら、こういうことをODAに関して努力してきたわけですが、日本の場合には気がついてみたら、そこで出てきたものが日本が持っているある意味で唯一の外交手段というのが形成されてきたということがあったわけなんです。
 おそらくこの環境に関しましても、今我々がやっている作業は腰が非常にひけていると思います。できるだけバードンを小さくしようと。世界の中でのバードンシェアリング、これをできるだけ避けよう。その上でどれだけうまくやるか。という視点ですべての作業が行われているかと思いますが、今のところ、それ以外にないのかもしれませんが、私は非常に強い確信を持っていますが、これからの21世紀のおそらくかなり早い時代に気がついてみると、この環境分野で我々国内でいろいろ行ってくる事柄そのものが、日本が地球社会で生きていく上の非常に大きなアセットになっている。それに気がつく段階がくるんじゃないかと思います。したがって、今回の中間とりまとめというときに、一挙にそういうふうになるはずがないわけですが、この最後の「おわりに」というあたりにはそういう社会を目指して、我々は今こういう作業をやっているんだというようなポイントが一つ入っていますと、この報告書の意味合いがまるっきり違ってくるように思います。
 以上、3点、この論点1から5すべてに関係するものとして述べさせていただきました。

○浅野部会長 どうもありがとうございます。最後のまとめの言葉まで用意していただいて大変ありがたいと思います。中央環境審議会の出す中間とりまとめで、政府の中間とりまとめというか政府の大綱というのは、政府全体でお考えになるわけですが、少なくとも当審議会の立場での中間とりまとめを目指していきたい。これは最終的に政府がどうなるかということをあまりにもおもんばかった中間とりまとめではだめであるという形、御指摘は多分事務局よくわかっているのだろうと思います。
 永里委員どうぞ。

○永里委員 どうもありがとうございます。高橋委員の格調高いお話と違って実務的な話で恐縮なんですが、資料4と資料5、それを見て感じることは、例えば業界あるいは産業界あるいは他省庁とのすり合わせが行われた上で、これが出てきているのではないようなふうに思われるのです。そういう手順を踏んでいないというところにちょっと懸念をいたします。
 それから国民的な努力についても評価のしようがないということもふれていますが、こういうことについても別枠でもいいですから、ダブルカウントでもいいですからそういう点は評価してあげないといけないのではなかろうかと。あるいはそういうふうに書いてあるのかもしれませんが、そういうふうに読めないところもあります。したがって、この資料4の方の2ページ目にエネルギー起源CO2は-12.4%という数字が出てきているのですけれども、こういうふうに産業界から見た非常に厳しい試算というかしわ寄せが行われているわけです。このような試算の前提に環境税とかそれから排出量取引などが盛り込まれているのかいないのか、これではわからないんですね。その辺のことについてちょっと御説明願いたいと思います。
 資料5についてもうちょっと具体的な話をしますと、先ほどの国民的な努力については、いわゆる普及啓発の目的その他もありますので、是非別枠でもいいですからそういうことでちゃんとチェックしてもらいたい、評価してもらいたいと思います。で、4ページ目のこの公表について、今は生産者とか消費者が企業を評価する時代になっていまして、こういう環境関係について無視しているとかでたらめなことをやっている企業は淘汰されるんですね。ですから、この自主計画とかそういうことを踏まえて自ら企業は公表するわけでして、このことについては自主性にまかせてほしいと思います。それで公表しないような会社というのは淘汰されていくのだろうと思うんです。ただ、エネルギー多消費産業がこういうデータを公表しますと、コスト情報をばらすことになりますので、これは企業として非常にまずいということになりますから、環境報告書、その他で公表する場合には、その企業の自主性にまかせてほしいというふうに考えております。
 それから5ページ目の自主行動計画の、先ほど福川委員がおっしゃいましたけれども、充実ということは非常にいい言葉だと思うんですが、これはもともと産業界が互助の精神でやっているわけです。とにかく企業は、最近CSRの観点を踏まえてそれぞれが非常に重なりながら全体を達成していこうという、そのような趣旨でとにかく互助の精神で全体を達成していこうと。だから極端な言い方をすると、できないところもあるんですけれども、そういうふうにできない企業があったとしてもみんなで業界で助け合っていこうということでありますので、業種別に具体的にそういうことをしなくても、枠をはめなくても全体として経団連はそういうことを達成しますし、企業の方も自らの精神でこういうことを公表していこうと。こういうふうに思っております。
 以上です。

○浅野部会長 西岡委員、お願いいたします。

○西岡委員 3点ございます。簡単に申し上げます。第1点ですけれども、論点1に関しまして、やはり主体別にはっきりした分け方をしていただきたい。これが第1点なんですけれども、それと同時にやはり手段別といいましょうか、それについてのデータもはっきりしていった方がいいんじゃないかと思います。といいますのは、先ほど革新的技術についてどう扱うかという話がございましたけれども、この炭酸ガスCO2の削減において技術革新がどれだけ寄与したかということは今後も非常に重要な話だという具合に思うわけですね。ですから、そのマトリックスとして主体別とそれから手段別と分けて書く。ちょうど気候ネットワークの18ページの図というのはそういうふうになっているわけで、そうなりますと、例えば産業の方でもこの20年間にどういう革新的技術を取り入れて、どれだけ減らしたかということもはっきりし、そしてその技術をどう選択していったかということが、その産業界の努力になるわけですから、そこははっきり分かれるのではないかと思います。
 同様にこれは消費者の方もちゃんと技術が提供されて、それをどう選択したかということがはっきりすると思います。できたらそういう努力はしていただきたい。しかし今、そういうデータをとる時間がないということでしたら、主体別について分けていただくということが一つあるかと思います。私が言いたいのはその技術革新の分がどれだけ今あるか。今後もそれが見込めるかということが非常に重要な要因であるということを言いたいと思います。
 第2点ですが、これは論点2に関してでございます。先ほどからこれはもう言い尽くされておりまして、産業界のデータは多分非常に専門家の方がきちんと数え上げられた数字でありますから、非常に貴重な数字だと思いますけれども、是非それは公開していただいて、かつこちらの方からもよくお話を聞いて一つの数字にしていただきたいなという具合に考えるわけです。
 3つ目でございますけれども、これは論点4、5あるいはちょっと飛んで11までいってしまいますけれども、国内のシステムを個別にもう論議する時代は大体論理はし尽くしたのではないかなと思っておりまして、この税あるいは国内排出量取引、そして共通のラインにこれを一緒にしたあるシステムをそろそろ打ち出していただきたいという具合に思うわけですね。みんな税の方は反対、こっちも反対、みんな反対と、みんな立場を変えてぐるぐるとツケを回していく状況では、いつまでたっても議論が収れんしないという具合に思っております。
 ちょっと11までいってしまいますけれども、その場合には政府がやっぱり、先ほど行政コストの話があったのですが、1.6%の分については例えば確実に手当てするという前提でもって、例えば国内排出量取引制度を構築するとか、それと自主的な分とどう組み合わせるかといったことについての論議をそろそろ始めていただきたい。ですから、論点が単に国内排出量取引制度あるいは京都メカニズムの形ではなくて、個々のシステムをどう構築していくかという論点にしていただければありがたいというふうに思います。

○浅野部会長 廣野委員、お願いいたします。

○廣野委員 今、最後の西岡先生の最初の点、実は先ほど私御質問した点あるいはコメントした点ですが、論点1なんですけれども、やっぱり私自身は先ほどの環境省の説明並びに座長の説明でも満足しませんね。やっぱり技術革新については数量的に出すということが重要だと思っております。それは可能だと思っておりますので、是非その点を考えて、もちろん、そのときにダブルカウントの問題がありますから、この例については先ほどのどなたかの議論にあったように、ちゃんとそこに書いておくことが重要だと思います。特にこの点重要だと思うのは、やっぱりこれから申します私、3点あるのですが、ほかの2点とも共通しますのでそういう意味で重要と思いますのでよろしくお願いします。
 それから次に申し上げたい点は、横断的対策・施策について、それから個別ガス別の云々ということですが、第一の横断的対策・施策についてということでは、やはり私は個別企業のそれぞれのデータをちゃんと出していただくというのが重要かなと思っております。と申しますのは、やはりこの環境対策と環境政策というのは基本的には現在よくいわれているように、1つは規制と、1つは市場のメカニズムですが、やっぱり市場のメカニズムと規制ということを考えた場合に、それを担保するのはやっぱり個別企業がそれに責任をもってやるということだと思います。個別企業が責任をもってやることによって、それを担保していくというのが重要ですので、1、2につきましても是非そのような個別企業のそれぞれのデータを出すということがここに書いてありますが、「事業者が算定し」と書いてありますけれども、これが重要だと思います。その場合にやっぱり市場のメカニズムを使うことが重要だろうと思います。
 というのはどういうことかと申しますと、やっぱりこういうような場合にできるだけ経済的なインセンティブを導入しまして行うことが重要であるということで、ペナルティはやっぱり言ってみればインセンティブですね、そういうものを導入する。その場合にやはり私は、これはあらゆる国すべてそうですが、日本の場合にもそうですけれども、それぞれの業界によってものすごくこの点は違うと思いますので、そういう業界別のデータをちゃんと出した上で各企業がそれぞれの比較において、どういうような状況であったかということをしっかり行政機関に報告するということが重要かなということです。やはり私は、この経済的なインセンティブを使って、例えばでございますけれども、例えばそういうようなことでかなりの言ってみれば自分たちのその目標に近づいていく努力をしている企業に対しては、それなりのインセンティブを提供すると。それは税制というのはもちろんできるだけわかりやすく簡素的なものがいいわけですが、若干の犠牲をしてもそういう意味で税制上の優遇措置をするというのも一つの方法かと思います。
 それから2番目の個別ガス別対策云々ということでございますけれども、ここでは私は産業界ではよく一般にトップランナー方式ということをいわれているわけですが、私は何もこれは産業部門の対策と考えるだけではなくて、運輸部門とか業務部門とか家庭部門についてもトップランナー方式を入れるというのが重要かと私は考えております。今日も皆さんあたりの議論の中で家庭部門の話が全然出てきませんでした。家庭部門のところで、是非ちょっと皆さんあたりに考えていただきたいのは、この論点の10でございますけれども、論点の10を見てみると、ほとんどがやはりいってみれば従来いわれていることをそのまま書いてあるという感じですね。まさに創造的な考え方がここで必要かなと思います。
 この創造的な考え方というのはどういうことかと申しますと、結局、家庭部門においては何とかしてCO2を削減するということを考えますと、当然新しい対策として従来いわれていたもの以外に、もっと総合的な対策が必要かなと思います。総合的な対策ということで例えばですが、これも一つの方法ですけれども、これは私たち自身、皆さん方も御経験あると思いますけれども、夏になって非常に暑くなってきたときにエアコンを使う方おります。私の場合にはエアコンは使いませんけれども、その使わなくて済む方法というのは、たまたまちょっと方法として非常に有効的なのは、自分のうちに樹木がたくさんあることですね。その樹木がたくさんあることによって、いってみればかなりすべての風も冷たくなりますし、そういう中でやはりこういうようなことを各家庭においてできるだけ樹木を……。

○浅野部会長 4時になりましたが、少し時間を延長させていただきます。

○廣野委員 はい、すみませんどうも。そういう点でやはり新しい方法を考えることによって、
単にここに書いてあるような4つの方式だけでないやり方を考えていただきたいと思っております。
 以上です。

○浅野部会長 それでは安原委員、お願いいたします。

○安原委員 ありがとうございます。私も論点1につきましては目標を整理するということで結構だと思います。賛成です。横断的対策・施策につきましては、全体としての対策効果を確保していくという観点から、是非導入することが必要だと考えております。その場合の主要な手法については論点2から5に示されているとおりだと思います。ただ、どなたかおっしゃいましたように、何かそれぞれの措置が個別に提示されているような気がいたします。対策効果をきちっと確保していくためには、それぞれの施策をうまく組みあわせるという観点が非常に重要だと思います。ポリシーミックスの考え方であります。
 具体的にはもう何回もこれまでいわれていますが、英国の事例が一つ参考になるのではないかと思います。そういう意味でこの中2と3の論点の施策は、是非積極的に進めていただくとして、特によく考えていただきたいのは4と5の施策の組み合わせではないかと思います。温暖化対策税につきましては、個々の施策を側面的に促進するという意味で、ここに示されておりますようにたくさんの主体に働きかけができるという意味で、この施策は非常に重要で不可欠であるベースではないかと思います。是非、この温暖化対策税の検討を進めていただきたい。
 その税がある前提で、税とそれから国内排出量取引制度の選択ができるようにするのがいいのではないかと思います。その場合、国内排出量取引はやっぱりキャップアンドトレードの仕組みでありますから、排出枠をどう決めるかということが出発点になります。その場合に、この排出枠の決め方として国から一方的に交付するのではなくて、その排出者と政府の間で十分協議して、現在利用可能な技術をできるだけ活用して排出量を抑制する、そのぎりぎりがどういうレベルであるかを十分協議し、排出枠を決める。そしてその排出枠を遵守できるような実施計画を定めていくというような仕組みが必要ではないかと思います。ここで示されております協定化というのがあるんですが、ちょっと性格がそういう意味では違うのではないかと思います。これはこれとして透明性、客観性を確保するという意味でやっていただくとして、キャップアンドトレードとしてのキャップの決め方として、協定の仕組みを利用してセットしていく。それを実施する過程で過不足が出た場合に市場で調整ができるというものとして、国内市場をきちっとつくる。
 したがって、この7ページの自主参加型の国内排出量取引というのがそういう協定で排出枠を設定して市場取引を活用できるようにするという趣旨なのか、何かもう少し前の段階のような表現がありますので、ここは最初の出だしとしてはこういう実験型でしかももう少しそれを拡大するというような形もやむを得ないかと思いますが、やはり本格的な国内排出量取引制度を構築するという目標で、是非検討を進めていただきたいと思います。
 以上でございます。

○浅野部会長 平田委員、お待たせいたしました。

○平田委員 ありがとうございます。キーワードは天然ガス、それからインフラ、温暖化対策税、それから透明性という4つでございます。昨年ですけれども家庭用のコージェネレーションシステムが開発されまして、これは1kWのピストンエンジンを使っているのですが飛ぶように売れております。ということは、一般の方々の認識というか省エネあるいは環境に対する御理解は非常に徹底していると思うんですね。燃料はもちろん天然ガスですが、近い将来水素であろうと思います。
 お隣の中国は天然ガスがタクラマカンの砂漠の下にまだ大量に眠っております。これを開発して4,000キロのパイプラインで上海まで輸送する計画に着手しました。西の気体を東に運ぶというので西気東輸事業と名付け、着工して3年で完成いたしました。4,000キロの大工事をあっという間に完成をいたしました。黄河の下をシールドトンネルで掘り抜くような大事業でした。そうなりますと、韓国はもともと幹線パイプラインを持っておりますので、とうとう日本は中国にも韓国にも遅れをとりました。21世紀はどうも日本は三流国になり下がります。ことほどさようにインフラというのは大事なんですね。
 特に気体燃料の為のインフラが重要です。例えばヨーロッパは80万キロぐらいの高圧天然ガスパイプラインが完備しておりますけれども、今年の1月からこのパイプラインに30%ぐらいまで水素を混ぜて送るという研究を始めました。混合ガスが目的地に到着したら、その混合気体をパラジウムなどの分離膜を使って、元の例えば水素と天然ガスに分けて使うとか、あるいは混合気体のまま、既存の家庭用の燃焼器あるいは普通のボイラーで燃やすということを考えております。ということは、パイプラインは近未来の水素の時代に絶対に必要なインフラでございます。そこで温暖化対策税でございますが、家庭用のコージェネレーションの普及とか、あるいはインフラの構築とか、そういうところに投じていただくためにどう考えても必要な税だろうと思います。
 最後に皆さんがいろいろおっしゃいましたけれども、結局、透明性というか、温暖化の関連の数字というのは非常にわかりにくい。かなりの専門家でも理解するのに時間がかかります。そういう意味では、透明性あるいは説明が十分できるような努力を是非徹底していただきたいと思います。
 以上でございます。

○浅野部会長 それでは次に「個別ガス等の対策・施策の強化、エネルギー起源CO2対策について」、論点の6から11までございます。これについてはともかくやります。とはいうものの御発言御希望の方はとりあえず、まず札をお立てください。この件に関して私は発言をしたいという方、よろしくお願いいたします。
 それでは、大変申しわけないんですが、時間がこういう時間であることはもうおわかりのとおりでありますので、私はどの論点について発言をしたいということをお一人1分ずつしゃべっていただきます。まずともかく1分差し上げますから。私はこの論点については意見があるということをしっかりお申し出いただきたいと思います。その上で御発言の内容が大体わかりますので書面をいただきまして、事務局がそれを個別に御相談申し上げるということにいたします。本日はともかくどういう点についてどなたがどのような御意見をお持ちかということの概要がわかるようにしたいと思いますので。山口委員からお願いいたします。1分で御協力いただければと思います。論点どれについてという、キーワードを中心に。

○山口委員 いくつか論点が列挙してございますが、ものごとの整理として、まず追加対策を列挙しこういうことをやりますということが、まず先にあって、そのための制度的仕組みがどうあるのがより実効的かというふうに、これを組み換えるのがいいんじゃないか。それでも足りない分が1.6%+α出てくるから、それは京都メカニズムをやっぱり表に出してやらざるを得ない。こういうロジックではないかと思います。横断的だとか縦割りだというやり方は非常にわかりにくいと思います。

○浅野部会長 はい、わかりました。これはたたき台の構造そのものについてのかなり根本的な御意見でありますので、もう一度事務局にも考えさせます。
 永里委員。1分でお願いします。

○永里委員 ありがとうございます。論点7、「産業部門の対策・施策の強化」については、-12.4%というのが11ページの下に書いてありますが、この数値の根拠は何なんでしょうか。排出権取引とかタックスが含まれているのでしょうか。
 それからその下の「各業種の目標値を具体的に記載することが適当ではないか」ということは、先ほど言った互助の精神で全体で達成するようにしておりますので、この辺については御考慮を願いたいと思います。
 最後の方の京都メカニズムに関しましては1.6%相当分を上限とする活用を講じるように読めますが、EUは実は、国の産業力を弱めないように産業界と裏で取引しているはずなんですね、その辺についての考慮がこれについてはあるんでしょうか。
 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。大聖委員。

○大聖委員 論点の8について意見を述べます。ここのところ物流の合理化が進んでおりまして、トラックなどの貨物の燃料の減少が続いておりますけれども、この中で本当に合理化が進んでいるのかどうか、あるいは企業の自主的な取り組みも一部行われておりますけれども、そういったものの逆にここにきまして、今、景気が回復しております。そんなことでそれによって、また物流が増大するという懸念が非常にございますので、そういったことも少し視野に入れながら見直しの少し論点を拡大して議論していただきたいと思います。是非、思います。

○浅野部会長 わかりました。論点をもうちょっと広げる必要があるという御指摘です。
 塩田委員どうぞ。

○塩田委員 論点11の京都メカニズムに関して1.6%に関して、仮に日本がこの1.6%のクレジットを確保するためにはどどのような分野のプロジェクトについて、どの程度の規模の事業をして、1.6%のクレジットを確保するというイメージを持っているのかという点を質問したいと思います。
 以上です。

○浅野部会長 佐和委員どうぞ。

○佐和委員 京都メカニズムについてですが、私が懸念するのは、数字の根拠は今時間がないので申しませんが、アメリカが加わっていれば、先進国、つまりアネックスIカントリー全体で+8%がなるんですね。それに対して今度は逆にアメリカが抜けたあとどうなるかというと、-5%前後になるわけですね。ということは、結局、先進国全体で5%削減するということは達成されてしまっているわけですね。ということは、排出権取引の取引価格というのがものすごく安くなると。そういうときに果たしてCDMやJIをやるインセンティブが果たして働くのでしょうかということです。ですからこの辺で、その辺のところの見通しというものをちゃんときちっと立てていただかないと、いったい京都メカニズムをどういうふうにして利用するのかというようなことについて、全然その見通しが立たないと思います。

○浅野部会長 はい、わかりました。かなりこれは難問ですね。
 大塚委員どうぞ。

○大塚委員 論点の11についてでございますが、18ページの[3]にありますようにクレジットの政府による調達の仕組みが非常に必要だと思います。今、佐和委員がおっしゃっていたようなことだと、排出量取引について政府が購入してくるということも含めてですけれども、この制度が非常に重要になってくるということ、1.6%について政府がこれを購入するということが必要になってくるということを申し上げておきたいと思います。
 あと1点だけ補足ですけれども、資料4の数値について先ほどから議論がございますが、これは是非透明性の観点からどういう根拠で、産業界の方は産業界の方で数値があると思いますけれども、どういう根拠で出てきているかということを御議論いただいて、別に環境省だけに責任を押しつけるのではなくて、お互いに根拠を示しているようにしていただきたいというふうに思っております。

○浅野部会長 ありがとうございました。技術屋さんの方々が中心になって数字をいじっておられて、こういうプレゼンのペーパーで十分わかるはずだという資料が出ていると、私は理解したんですが、しかしやはり分からないということでさっきのような御発言が出ているようです。このあたりもう一度事務局で作戦を練り直して、もっとわかりやすい説明ぶりをお願いしたい。
 太田委員、どうぞ。

○太田委員 論点8の運輸部門で特に単体対策が定量的に把握できるものということで、定量的に把握できない需要対策が何となく軽んじられているような、そういう状況であろうかと思いますが、これからはですから需要対策をきちんと把握できる形で取り組む必要があるということだと考えます。そうなりますとやはり主体別ということで事業者さん、それから家庭も含めて、それぞれがきちんとその交通の実態を把握して、それを公表し、それに対するある種のグリーントラベル・プランと我々いっていますけれども、自動車交通抑制計画といったものをそういったことをやはりきちんと、場合によって事業者単位でその取組向けてある種の規制をかけるということまで含めた議論が必要だろうと思います。

○浅野部会長 ありがとうございました。産構審に出ているペーパーなどを見てもその面はあると思いますので、ちょっと軽んじているつもりではなかったんですが、定量性ということにこだわって書いてあるものですから、こういう書きぶりになってしまいました。

○飯田(哲)委員 まず、論点6のエネルギー供給サイドについては天然ガスへのシフトをするのであれば、経済的な措置を含めた制度化が必要であるということ。それから原子力の稼働率の担保についてどうするかという話。それから論点2、いわゆるエネルギー供給部門で一番肝心な自然エネルギーへの転換が抜けている。それから論点8の運輸部門についてはまずバイオ燃料はエタノールに限らず総合的にすべきであると。それから公共交通の施策とかもうちょっと体系的な施策をきちんと盛り込むべきだと。それから論点9と10にあわせてはエネルギー供給者の責任としての省エネ施策というものをきちんと検討すべきであるということです。

○浅野部会長 ありがとうございました。浅岡委員どうぞ。

○浅岡委員 飯田さんおっしゃったように、天然ガスへの転換というか供給部門は非常に重要になると思いますので、もう少し周辺まで踏み込んで提起をしていくのでないと現実的に間に合わなくなるのではないかと思います。それはそのほかの全般の経済的措置の組み方というのとも係わってくると思います。
 それから運輸部門については、今、太田先生おっしゃった点も非常に重要であるとともに、先ほどの革新的技術開発と並ぶほどですけれども、大きな都市構造、まちづくりというような点を長期的に考える部分ですね、2010年まではともかく。それをロードマップとしてやはりきちっと組み込みながらやるということ。どうしてここで見積りが少ないのかという部分については、なかなか議論がしまらない、検証はできないということだと思います。ここはやはり国土交通省ともう少し説明をしっかり受けていただいて、どういう説明かもっとちゃんと出した上で最後の詰めをしていくようにしていただきたいと思いました。できないというだけでは済まない長期的課題だと思います。家庭部門につきまして、これトップランナーの見直しという部分が抜けておるのではないかなと。解釈として抜けているのではないかと思いました。その他気づいたところはあとで申します。

○浅野部会長 よろしくお願いします。青木委員どうぞ。

○青木委員 家庭部門がなぜ目標達成が難しいかというと、非常に目標がはっきりしないのではないか。電力配分前、配分後でどうだといっても一般家庭の方がこの大綱を見たって、全然自分が何をすればいいかわからない。要するに人が入っていないということで、私は家庭でわかるのはキロワットアワーとかリットルとか、立米とかいう単位で説明をしないとわからないのではないかと。そういう説明をすべきではないかというのが1点です。
 それから道路事情について見直しの対象になっておりますが、これは走行条件の改善とか燃費の改善につながってくると思うんですけれども、社会資本整備審議会の方でもいろいろ議論をしておるようでありますので、その辺どういうふうな取り組み方をするのか調整をお願いしたいというのが2点です。
 それからもう1つは、住宅の省エネ基準の義務化ですが、これは従来、私いろいろ申し上げておりますので深く申し上げませんが、いずれにしても基準法の義務化ということであればかなり難しいと思いますので、広く他の法制度あるいは仕組みの検討によって建築物の省エネ基準を高めるという議論を進めていただきたいと。
 以上であります。

○浅野部会長 和気委員、お願いいたします。

○和気委員 大綱見直しのための前提条件をどういうふうにとらえるかという観点から、4と6と7についてお話ししたいと思うのです。1点はエネルギー供給サイドもいいのですが、これは電力の自由化を含めて非常に自由化している。そういう中で当然コスト競争が厳しくなってくる。そういう中でCO2を含めたグリーンハウスガスを抑制するには何らかの経済的措置が、これはどうしても必要になるだろうということで、温暖化税を含めて排出量取引も含めてきちんと具体的に早急に議論すべきだろうというふうに、私は思います。
 それから論点7の産業部門の議論ですが、これは中国の経済発展も含めて非常に国際環境が競争的になってきております。したがって、産業界が国際競争力を極めて考えているということは当然のことだろうと思います。そういう中でこのCO2排出を抑制する上で重要なのは、やっぱり技術進歩ということだろうと思うのです。私はたまたま産構審の革新的技術のワーキンググループの評価委員でもあります。そういう意味では研究開発の段階の技術も、もちろん普及技術もいろんな段階の技術がありますので、そういう技術開発のための投資をきちんと評価するというところをどこかに置いてないと、やはり産業の競争力も脆弱化してしまうという意味では、必要と考えたらいいんじゃないかということが論点7のポイントです。
 それから論点10です。家庭部門のところ、これはまさしく家庭部門は日本中に分布しているわけです。非常に地域特性が強い主体になります。そこですべての家計簿も何千万戸というのをするよりは、やはりその地方自治体とかそういうもののコミュニティを何らかの形で議論してユニットとして、そしてその施策も具体的にボトムアップの施策をきちんと出して、そしてそれを中央環境審議会でどう評価するかということを、きちんと議論する場が必要だろうと思います。単に普及啓蒙活動の窓口というふうに地方自治体を位置づけてはいけないというふうに思います。
 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。桝本委員お願いします。

○桝本委員 まず、排出量取引でございますが、佐和先生の御指摘、私それなりにわかります。ただ、私が提出させていただいた資料の2ページの上の方の(3)に書いてあるところも是非お考えたまわりたいと。キャップアンドトレードのキャップの重さという、意味の重さを御理解いただきたいというふうに思います。
 それから具体的なコメントとしては論点6については、事実をエネルギー見通しと関係してお書きになっていますが、ここについては電力業界としてコメントを控えさせていただきたいと思います。
 それから9ページの下の方に火力発電の発電効率の6%程度の効率改善。これは極めて至難のことでございまして、別な資料の、参考資料1にございますことは先に私、これはもうこうした対策は既に終わっていると申し上げているわけで、私どもの発言も尊重していただきたいというふうに存じます。
 それから11ページの論点7でございますが、先ほど永里先生からお話があったとおり、この数字についてもしっかりした科学的論拠をお教えいただきたいというふうに存じます。
 それから16ページですが、15ページからのつながりでいわばエネルギー供給者に対して、一種の情報提供あるいはESCO等の義務化、制度化というのが記述があります。これは制度化をすることに反対でございまして、現在、既にエネルギー業者はここをビジネスの大きなマーケットとして、それぞれ懸命に創意工夫を凝らして競争しているところです。そういう中で制度化などをすることは企業の創意工夫を殺すことにつながります。
 それからこれも前に御指摘いたしましたが、16ページの下、過剰電圧の調整。これは私、これをつくっている方ではない電力、電気を御専門の人に是非御相談をたまわりたいとお願い申し上げました。やはり同じお願いを申し上げたいと思います。
 それから18ページ、京都メカニズムの1.6%、これは1.6%に限りません。もう少し増やしてみてもいいんではないかと。そういう意味で1.6%にこだわることはないだろうというコメントを出させていただきたいと思います。

○浅野部会長 ありがとうございました。鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 いくつかのところに関連することとそれからこれまでのお話をちょっとなぞるような面もあるのですが、やはり温暖化対策推進大綱ということで国の、ある意味ではこういう意味での意思を表示する上で、ちょっと個別の問題にあまりにも入り過ぎているという、それが羅列されて、それが果たして代表的なものなのかどうかというあたりもちょっと心配になるようなところがございまして、国土計画というかこれから10年あるいは30年後にいったいどういう国を目指すんだという、そこのところのきちんとしたある意味ではビジョンを示す。そういうふうなところに個々の対策を位置づけるというような、そういう発想を是非入れて、作文になってしまうかもしれませんけれども入れていただきたい。
 やはり日本がどういうサステイナブルな将来像を描くかというのは、アジアにとっても非常に重要な関心事でありますし、そういう意味からしますと、先ほど飯田さんがおっしゃったように、例えばエネルギー面では再生エネルギーについてほとんどふれられていないとかですね、サステイナブルモビリティというようなものをどういうふうに設計していくのか。そういうような観点もちょっとはなはだ不足していると思います。個別の住宅も結構なんですが、やはり都市あるいは地方とをどういうふうに結びつけていくのか。そういう全体像みたいなものがあって、そこにその個別のいろいろな対策をはめ込んでいっている。そういうようなところがあってほしいと私は思います。

○浅野部会長 ありがとうございました。いろいろ御注文いただきましたが、最後の方、本当に申しわけありません。一人1分と制限をしてしまいまして、これは今見出しだけいただいて、あとは書面を是非お出しいただきたいというつもりで申し上げたことでございます。
 7月の29日に次回のこの部会をこの場所で予定して、大会議室ですか、予定しておりまして、その準備のために22日までには御意見をいただいて、それを取り込んだ次回の資料をつくりたいと事務局は希望しております。大変原稿料も払わずにメモをよこせなどという失礼なことを申し上げて恐縮でございますけれども、今札をお立ていただかなかった委員の方も1から11までについてかまいませんので、御意見を是非お出しいただきたい。それから御質問があった点で技術的な部分について、今日お答えできなかった部分は事務局が直接うかがって御説明申し上げるということにしていいですね。そのようにさせていただきます。誤解もあるという面もあると思いますので、それは公の場できちっと説明をすることが正しいやり方だと思いますが、時間の関係でそのような取扱いにさせていただきます。
 それでは、次回29日は同じく13時から16時まででございます。次回は中間とりまとめの原案、きょうお渡ししました資料6をもとに議論をしたいと思いますので、この資料の6についてもこの全体の構成ぶりあるいは論点として取り上げなかった部分についての御意見がありましたら、これもまとめて事務局の方にお出しいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。事務局、何かございますか。
 よろしいですか。
 それでは、本日の部会はこれで終了いたします。議事録については後日、委員の皆様にお送りいたします。ありがとうございました。

午後4時25分 閉会