中央環境審議会地球環境部会(第18回)議事録

1.日時

平成16年4月16日(金)13:00~16:00

2.場所

東條インペリアルパレス5階「曙」の間

3.出席委員

  
(部会長)  浅野 直人  
(委員)  織田 由紀子  塩田 澄夫
   鈴木 基之  須藤 隆一
   桝井 成夫  大聖 泰弘
 桝本 晃章  高橋 一生
 青木 保之  武内 和彦
 浅岡 美恵  富永  健
 天野 明弘  永里 善彦
 飯田 浩史  林  貞行
 飯田 哲也  平尾  隆
 太田 勝敏  福川 伸次
 大塚  直  三橋 規宏
 茅  陽一  安原  正
   久保田 泰雄  山口 公生
   小林 悦夫  平田  賢
   佐和 隆光   

               

4.議題


(1) 現状の対策進捗を踏まえた2008年~2012年度における温室効果ガス排出量
の暫定推計
(2) 中長期的な観点からの温暖化対策技術について
(3) エネルギー供給部門の対策・施策の見直しについて

5.配布資料


資料1 現状の対策進捗を踏まえた2008年~2012年度における温室効果ガス排出量
の暫定推計
資料2 中長期的な観点からの温暖化対策技術について
資料3 エネルギー供給部門の対策・施策の見直しについて

参考資料1-1 現大綱におけるエネルギー供給部門の対策の概要
参考資料1-2 エネルギー転換部門の現在までの排出量及び関連データについて
参考資料1-3 現大綱におけるエネルギー供給部門の対策の進捗状況について(暫定評価)
参考資料1-4 現大綱におけるエネルギー供給部門の施策の進捗状況について(暫定評価)
参考資料2 第16回部会での気候ネットワークヒアリングにおける委員からの質問への書面回答
参考資料3 委員提出書面質問

 

6.議事

午後1時00分 開会

○浅野部会長 定刻を過ぎておりますが、今日は御出席ご希望の委員は多いのですけれども、まだ御出席いただいてない方もおりますが、例のごとく始めているうちに定足数に達すると思いますので、まず最初に、配布資料の説明からさせまして、おっつけ成立することを期待してはじめたいと思いますので、事務局の方で本日の配布資料の説明からお願いいたします。なお、既に定員数は満たしていると報告を受けております。

○事務局 それでは、お手元の資料を御確認願います。1枚目が議事次第、それから座席表、それから地球環境部会の委員名簿、資料一覧と書いた紙でございます。
 資料1が現状の対策、進捗を踏まえた2008年~2012年度における温室効果ガス排出量の暫定推計、資料2が中長期的な観点からの温暖化対策技術について、資料3がエネルギー供給部門の対策・施策の見直しについて、参考資料1-1、これは4月2日の16回の地球環境部会での資料と同じものでございますが、エネルギー供給部門の対策の概要、同じく1-2がエネルギー転換部門における現在までの排出及び関連データについて、参考資料1-3からエネルギー供給部門の対策の進捗について暫定評価、参考資料1-4がエネルギー供給部門の施策の進捗状況について暫定評価、参考資料2といたしまして、先日の地球部会でヒアリングに参加いただきました気候ネットワークの平田運営委員から、先日の部会で御質問のあった事項についての御回答を寄せていただいておりますのでお配りさせていただきました。参考資料3が浅岡委員からの前回ヒアリングがありました経済産業省への資料説明について時間の関係上、御質問できなかったことについての質問の紙を提出いただいております。それから資料番号は振っておりませんが、飯田哲也委員よりエネルギー供給対策、特に自然エネルギー対策について、書面をいただいております。
 以上でございます。過不足等ございましたらお申し出願います。

○浅野部会長 それでは、資料よろしゅうございましょうか。もし不足がございましたらお申し出をいただきたいと思います。
 本日の議事でございますが、まず議題の1は、「現状の対策進捗を踏まえた2008年~2012年度における温室効果ガス排出量の暫定推計」でございます。それから議題の2は「中長期的な観点からの温暖化対策技術について」でございます。議題の3が「エネルギー供給部門の対策・施策の見直しについて」ということでございます。
 このうちの1の議題でございますが、これはこれまでやってまいりました進捗状況の点検、事実関係を明らかにするという作業の最後の締め括りでございまして、これまでの検討に基づいてどういう事実としての将来推計が行えるかという部分でございます。議題の2は関連することとして現在別のところで検討をしている技術検討会の検討の現段階までの状況の中間の御報告を申し上げるということで、これは質疑をしないで報告を聞くのみとさせていただきます。それから最後の議題の3でございますが、これから今後どうするかという話に入ってまいります。というわけで、毎回毎回、もうこれ以上申し上げないといいながら申し上げてしまうのですが、事実を明らかにするという部分では、ともかく事実がどうかということに少し特化して議論をしていただいて、これからどうするかという議論は次の議題3以降、今後続ける議論の中でやりますので、どうしても言いたくなるということはもうよくわかるんですが、事実の認識としてこれでよろしいかどうかということが、今後の議論の一番重要な基礎になりますから、その点について議題の1ではしっかり御意見、御議論をいただければと願っております。
本日の議事は16時まででございます。エネルギー供給部門の対策・施策の見直しについてということで、かなり御議論があることと想定をしておりますが、できましたら定刻に終わるということが望ましいと思っております。途中で休憩を挟みたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最初の議題でございまして、「現状の対策進捗を踏まえた2008年~2012年度における温室効果ガスの排出量の暫定推計」でございます。それでは、清水地球温暖化対策課長から説明をお願いいたします。

○清水地球温暖化対策課長 清水です。よろしくお願いいたします。では、座って説明をさせていただきます。
 資料1であります。これまでの5回審議をお願いしていた中で大綱の評価・見直しについてプロセスを2つたどるということで説明してきたものでございます。評価のプロセス、それから見直しのプロセスという2つのプロセスであったわけでありますけれども、今回の資料はいわばその前半の評価のプロセスのとりまとめというような形になっております。この中におきまして最終的には排出量がどうなっているかというような推計を示しております。後ほど説明いたしますけれども、これはあくまで現在の大綱に記述されている対策のうち、確実性の高いものに限定して削減量を見て、経済フレームを見ながら推計したデータになっておりますので、その点を御理解いただきたいと思います。
 それでは、資料1を使いまして説明に入ってまいりたいと思います。まず1ページ目開けていただきまして、「温室効果ガス排出の現状と目標」というふうに書いてございます。
見開きで見ていただくと分かりやすいかもしれませんが、下に4というページが振ってあるところを見ますと、これまで何べんも御説明しています我が国の温室効果ガスの排出量でございまして、2001年度の排出量が12億9,900万t、これは基準年の12億3,500万tに比べまして5.2%増というそういう状況になっているわけであります。
 次のページで目標ということで2つ書いてあります。上の方が現大綱における温室効果ガスの区分ごとの目標ということで、これは大綱の中に書いてあるとおりエネルギー起源の二酸化炭素といえば全体として±0%、産業、運輸、民生それぞれの基準年比の目標もあります。それから非エネルギー起源のCO2あるいはメタン、一酸化二窒素など、こういう形でデータがあります。ただ、この中で[3]の革新的技術開発、国民各界各層のさらなる地球温暖化防止活動の推進の-2.0%という項目につきましては、これまで排出量の方から見るとエネルギー起源の二酸化炭素と区分することはかなり難しかったということで示してきたところでありますし、それから削減量の方の評価をこれまで見ましたところ、機器の効率改善などの削減と、それから使用量の部分の削減を分けて分析するのはなかなか困難であるということが評価の内容であったというふうに理解しております。
 したがいまして、下の表で再整理をしております。具体的にどういう整理をしたかといいますと、この革新的技術開発、それから国民各界各層のさらなる地球温暖化防止活動の推進につきましては、運輸部門、業務部門、民生部門にまたがる対策がそれぞれ記述されております。例えばエコドライブなどは運輸の対策あるいはオフィスでの省エネなどワークスタイルの部門は業務部門、それから冷暖房、モニター、テレビなどのライフスタイルは家庭部門という形で再整理をすると下の方にあるような形で区分A、エネルギー起源の二酸化炭素、[1]、[2]、[3]、[4]という形にしておりますが、上の表と比べますと産業部門は変わっておりません。運輸部門、業務部門、それから家庭部門に上の-2%、トータルとしての-2%を割り振るとそれぞれ運輸部門については基準年比+16%、業務については-6%、家庭については-11%などというような基準年比になります。で、全体として-2.0%というような形です。この中には革新的技術開発の-0.6%が含まれています。こういう形の整理も可能であるということで参考までに示させていただきました。B以下は同じであります。
 次のページをめくっていただきまして、これは最終的には最後のページにあります排出見込みを推計するフレームの議論として用意させていただいたものでありますが、こういう排出量を見込むにあたってどういう形の考え方でいいかという考え方と、それから特にフレームの部分について示したそういう形の資料が一連の資料として続きます。まず8と書いてあるページを見ていただきたいのですが、大きく四角の囲みで生産量の増減掛けるやはり大なき四角の中に省エネ技術の導入とか新エネルギーの導入など書いてあります。2つの四角があるわけですが、これまでの大綱の対策の削減量の評価というのは右側の大きな四角の中にあるこれらの要素について見てきたということというふうに理解できます。例えばこれまで産業部門でいいますと省エネルギーはどれぐらい導入されるかあるいはエネルギーの種類に関してどういう形で議論が進んでいるかということです。
 実際にこの排出量を見ますときには右側の四角だけではなくて、左側の四角の生産量の増減も見る必要があるわけです。例えば2010年実際にどの程度の削減量が見込めるかというのは、単に右側の四角のみならず左の生産量の増減ということでも大きく影響を受けるわけであります。今回、この左側の生産量の増減などいわゆる活動量の方をフレームと称して新たな資料として用意しております。この産業についてのフレームは右側の10ページにまいりますと、それぞれの品目ごとに生産量を見ていかなければならないわけでありますが、なかなか環境省の方でこれを予測するわけにはいきませんので、外部のある程度根拠のあるデータということで、今回2つ用意いたしました。1つが経団連自主行動計画に基づいて2010年にどれぐらいの生産量というのがそれぞれの産業によって見込まれるか。それからもう1つが日本エネルギー経済研究所に基づく生産予測ということです。この2つを比べていただきますと、例えば化学の部分とエチレンの部分が右と左では違う。あるいはセメントの部分についても右と左と違うということがありますが、総じていえば経団連自主行動計画に基づく生産予測の量の方が大きくなっているということになります。これは後ほど御紹介しますが、この生産量の差によって将来の排出量の差というのがかなり増減があるということであります。
 それから10ページと書いてありますところは、これまで対策の評価をしてきたわけでありますけれども、その評価の中で特に確実なものに限ってここに記載しております。推計にあたりましても確実なもののみを使ったということでありますので、大綱の暫定評価に基づいた資料になっております。
 同じように次のページにまいりまして、運輸部門です。運輸部門の左側の下の図を見ますと、やはり交通需要という活動量に対して大きな四角の中の対策という掛け算、掛け合わせて排出量を見るという形になります。13と書いてあるところにまいりますと、交通量の需要の予測の変動であります。これは大綱をつくったときよりも乗用車の交通需要についてはあまり変化はございませんが、特に貨物の関係の交通需要が下方修正されております。
それから14ページのところでは、これまでの大綱の対策の評価に基づきまして確実性の高い対策として自動車の燃費であるとか、あるいは輸送機関のエネルギー消費効率の向上などです。
 次に16ページにまいりまして、業務その他の部門であります。業務は活動量に相当する部分がやはり16ページの左側の就業者数あるいは床面積の増減というところ該当したわけであります。17ページのところに書いてありますように、実は床面積は2010年までの将来推計はございませんので、むしろ就業者の方から床面積の伸びを割り出し、それに対して床面積当たりのエネルギー消費を掛けるというような形で、これは将来を予測するということにしております。そして対策で見込んだものを確実性の高い機器の効率改善あるいはBEMSなどの対策が入っているということであります。
 20ページにまいりまして家庭部門ということであります。家庭部門のフレームは世帯数でありますとか機器の保有台数の増減ということであります。21ページにまいりますと世帯数の予測、これは大綱策定時の予測より実は上方修正されておりまして、実績で見ましても実際の1998年の推計よりは高い値で伸びています。それから2003年の新しい推計を見ても1998年の推計より高い値になっているということであります。そういうフレームの中で機器の効率改善とかあるいは機器の買い替え予測値の中で一定の削減量を見込んで推計するということです。
 24ページにまいりましてエネルギー転換部門です。このフレームに該当するものは需要電力量の増減ということで、25ページの方にまいりますと需要電力量の将来予測という表になっております。この出典は左側にありますように電力供給計画でございます。電力供給計画では毎年つくるたびに少し電力の需要予測が下方修正されているということになっておりまして、今回16年度の電力供給計画をベースに推計しております。その中で対策として見込んでおりますのは、新エネルギーとそれから原子力などがありますけれども、新エネルギーは評価で見ましたように必ずしも全体の削減量を見ているわけではなくて、むしろ黒液・廃材などは横ばいで、他の新エネルギーは低い水準のまま推移したということで見ております。それから原子力発電につきましても現在の電力供給計画をもとに約4基分の原子力電力量が不足するという前提での推計になっております。
それから27、28ページでは非エネルギー起源のCO2ということであります。これもエネルギー起源のCO2と同じようにいろいろなフレームを見ているわけであります。生産量の増減というようなことでセメントのことを見たり、対策としては30ページにありますアジピン酸の製造過程におけるN2O分解装置の設置など、これはかなり確実な対策として見込んでいるわけであります。
 それからちょっとはしょりますが、31ページ、32ページで農林水産業の問題がフレームCO2に入ってまいります。農林水産業についてのフレームという部分は生産量の増減というところであります。33ページの表に示されていますように、実際にフレームとして農作物面積など大綱が想定していたフレームにあった部分以外にも目標と書いてありますが、このフレームからかなり下方修正した形で考えていく必要があろうかということを思っております。
 またページをめくりまして36ページ以下の廃棄物処理になります。これは廃棄物発生量の増減がフレームになっているわけでありますが、最終処分量につきましては37ページにありますように目標といいますか、当初大綱の想定しておりましたフレームと合うような方向で動いているということがあります。この中で確実な対策としては38ページにありますように、廃棄物の焼却関係あるいは下水道、合併処理浄化槽の普及などです。
39ページ以下が代替フロン等3ガスということになります。この中では生産量の増減と代替物質の開発、HFCの回収・破壊の実施などがあるわけですが、特に考えなければならない要素としては41ページにあります代替フロンが、実はモントリオール議定書で規制されているHCFCという塩素を含むフロン類からHFCという塩素を含まない形の代替フロンに変わってくると。これは左側の塩素を含むフロンがモントリオール議定書で規制されており、右側の代替フロンは京都議定書の対象になっているという、そういうことであります。これは上の方に規制スケジュールが書いてございますが、この間議論しましたように、まだHCFCの規制スケジュールが始まっていないということがありますので、今後代替が大幅に進む可能性があるということを前提にしながら、それをフレームにしております。以上がフレーム関係であります。
 次のページをめくっていただいて最後のページに上下2つの表がございます。この上下2つの違いは産業における生産量について日本エネルギー経済研究所の生産量予測を使ったのかあるいは経団連の生産予測に基づく見通しとしたのかという、ここの違いだけであります。したがいまして、エネルギー起源CO2の産業の部分以外の条件はまったく同じというふうに理解していただきたいと思います。
まず上の表から説明いたしますと、上の方に基準年、それから2001年の実績というふうにございます。これはもうすでに公表された数字であります。基準年は全体として12億3,500万t余り、これが1990年。95年と書いてあるのは代替フロンが95年ということでありますけれども、これが基準にあたりました。これに対しまして現在発表されている最新のデータが2001年の実績ということでそれぞれの値になっております。そして2010年の値が今まで見てきましたフレーム、それから堅く見ました対策の削減量というものを使いまして、それぞれの分野で2010年において、今から追加対策がなかった場合、それから大綱の中で確実と見られる対策のみを見た場合、その場合にどれぐらいのそれぞれの産業分野あるいは運輸分野、業務分野などの区分において、2010年において排出量がどうなるかということを試算したものであります。
 基準年比の増減で見ていただくのがわかりやすいかと思いますが、例えばエネルギー起源CO2の中の産業で見ますと-4.4%、これは一応区分内の目標でいいますと-7%ということになっておりますから、まだもう少し頑張っていただく必要がある。それから運輸につきましては16%となっていますが、国民各界各層の努力のエコドライブ部分を含んで16という意味であります。これで見ますと19.2%という値です。それから業務その他についても28.3%ということでかなり大幅な増です。それから家庭についても21.2%というような形になっています。これ全体合わせましてエネルギー起源CO2で見ますと5.9%増という区分内の量になります。
 右側が対総量ということになっておりまして、これは先ほどいいました12億3,500万tという値に対して何パーセント増加しているかというのが右側の対総量という形になります。エネルギー起源CO2で5%、括弧内の-2.0というのは国民各界各層の努力を含めた形での値として一応ここに掲載させていただいております。それから非エネルギーCO2、メタン、一酸化二窒素、これが-1.1%、目標は-0.5%だったわけであります。それから代替フロン等3ガス、これが+0.1%、ほぼ±0に近いというところであります。これを全部合計いたしまして下の4.1%というのが2010年における現在の推計値でございます。当然、京都議定書の目標が-6%でありますので10.1%のギャップが生じているということになります。
 ただ、今回記載した評価の中で吸収量についての評価は行っておりません。前回の資料でいいますと3.1%という数字もあったわけですが、それを10.1%から引いて考えることは当然できますし、それから京都メカニズムの部分も当然まだ評価しておりませんので、この中でカウントしながら次の対策を考えていくということになります。まだまだこういうふうにギャップがあるということが明らかになってきますので、こういう議論をもとに、今後このギャップをどういう形で埋めるかという第2のプロセスである見直しのプロセス、追加対策なりあるいは現在ある対策の確実性を高めていただく対策の検討に入っていただきたいということをこの資料は示しているものというふうに理解しております。
なお、下の資料におきましては経団連の生産予測に基づく見通しということで、産業の部分の値が-4.4%であったところが-3.1%になっており、それに応じて数字がそれぞれ変わっていくというそういう表になっております。
私の方からの説明は以上です。

○浅野部会長 ただいま清水課長から資料の1についての御説明をいただきました。この資料の趣旨はおわかりいただけると思います。現在まで我々は取組についての点検を行った段階で確実に達成できるであろうというものを折り込んで整理をしてみたということでございます。ですから、まだ数字が必ずしも確定していないもの、関係審議会の御議論を得てそこで数字がもう少し詳細に根拠データなども含めて示されるものがあれば変わる可能性があるという前提でございます。
 それからもう1つは、最初の3ページ目にあります目標ですが、大綱の目標は上の方に書かれておりまして、これをその後の統計の変更やあるいはこの審議会の中での御議論を踏まえ、国民各界各層の更なる努力といったような項目については実際のところ計量化のしようがないので、それをエネルギー起源の中に入れざるを得ないということであります。それぞれを前提に計算してみると、やはりこの目標をマイナスにという計算でやらない限りどうも読めそうもないということでございまして、参考までにということで示されておりますが、最後のまとめをこの参考までにをもとに整理し、なおかつ、森林経営による吸収は別の話であり、これはそういうこととして前提にせざるを得ない。そこで結果的には-6%の目標を達成するためには10.%1足りない。あるいは経団連の考えておられる生産見込みであれば10.6%足りなくなるというのが事務局からの御説明でございました。これについても皆さんの御意見をお聞きし、御質問もお伺いすべきだと思いますが、こういうようなものであろうということでして、数字が動く可能性があることは先ほど申したとおりでございます。今後数字が動く可能性はありますが、いずれにせよ、各関係審議会の御議論で一挙にこの10%が埋まるとも思われませんので、結論的には現行対策では、大綱の目標には足りないのではないかというのが当審議会の認識であるということになろうかと思うわけであります。そういうことについてもしここで大筋合意されるということになりますと、これをもとに次はではどうすればいいのかという議論に入ることになるわけです。どの部分でどうするのかということは次の段階での議論ということでございますが、とりあえず現状はこういうものであり、将来予測が2010年にはこうなるだろうということが現在のところ試算として出されているという御理解をいただきたいと思います。
 それではこの資料1に基づく清水課長の御説明について、御意見なり御質問なりございましたらいつものとおり名札をお立ていただいた方に御発言をお願いいたします。どうぞ名札をお立てください。
 ほかにいらっしゃいませんか。それでは、いつも、端っこにいる者が損をするというお声も聞いておりますので、桝本委員から順次、こちらから向こうに回りたいと思います。

○桝本委員 これは事務的な確認なんですけれども、先ほど御説明のありました一番最後に経団連の生産予測に基づく見通しという表現があります。経団連は私の知っている限りでは、正確には確認をする必要があるのですが、生産予測のようなものは出していなかったと思います。自主行動計画では前の方のページに割合と正確に、自主行動計画によるというふうになっています。これは各業界がそれぞれ生産予測をしているという意味でして、それはそういう理解でよろしいんでしょうか。

○清水地球温暖化対策課長 経団連自主行動計画によるという、そういう意味であります。

○天野委員 一つ形式的な話ですが、いろんなところで生産量の増減掛ける例えば排出抑制対策、エネルギーの排出抑制、こういう表現があるのですが、これは数式で読むと非常に分かりにくい。生産量は増減ではなくてこれは絶対量だろうし、排出対策のところはこれは多分原単位、それを掛け算するとイコールになる。ただ、原単位に当たるところはいろんな政策が並べて書いてありますので、いったいどういう計算をしているかということが一般の人にはわかりにくいわけですね。ですから、これは少しこういう掛け算とかを使う以上は正確な表現をしていただけないかというふうに思います。

○清水地球温暖化対策課長 わかりました。今の点はお叱りということでもう一回検討いたします。

○天野委員 それから先ほど予測見通しをどういうふうにしているかというお話がありまして、確実に削減できるものを集めたというのですけれども、これはすべて予測に依存しているということですので、そういうことをはっきり書いていただけないか。あるいはその予測がいつの時点で行われて、その予測が現在そのままで予測として通っているのかどうか。そのあたりも御説明いただければ。以上です。

○浅野部会長 それではその点はあとで説明させます。茅委員どうぞ。

○茅委員 簡単な質問ですが、最後の方で-2%目標の中の、どうも家庭部門だけにつけているように見えるのですが、革新的技術というのはほとんど産業の分野に近いものが多いのですが、それをどう考えてやられたのかちょっとこのやり方がわからないので、このやり方を教えていただきたい。私もこれを読んでいる範囲では家庭部門に革新的技術を含めて全部まとめて目標を入れたように読めるんですが、そうでしょうか。

○清水地球温暖化対策課長 ページ数で言いますと5ページ目を見ていただきたいと思います。

○浅野部会長 5ページというのは表の下に小さくあります。

○清水地球温暖化対策課長 6ですね、5の下の、6と書いていませんが、こういう形でやっておりまして、実は革新的技術開発については0.6%は別枠で考えています。ただ、革新的技術開発の部分が、実はこれまでまったく評価していなかった部分ですから、実際削減量ゼロにしております。確かに0.6%を産業部門の7%に足して7.6%にするという考え方も当然あり得るわけでありますけれども、この家庭部門でいうところの基準年比11%の中に、それは革新的技術開発の分は入っていないと、そういうことであります。

○浅野部会長 茅委員、それでよろしゅうございますか。

○茅委員 はい。

○浅野部会長 それでは、小林委員どうぞ。

○小林委員 茅先生とまったく同じ質問だったんですけれども、この0.6%をどうするのかという、これを見ていると相当数字が違ってくるのではないかという、それだけです。

○浅野部会長 佐和委員どうぞ。

○佐和委員 ついでですので、0.6%とそれからつまり上の表で[3]のところに-2%として革新的技術開発及び国民各界各層のさらなる云々とありますね、それを革新的技術開発の方を0.6%にして、国民各界各層のさらなる云々を1.4%というふうに分けているわけですね。その辺のやっぱり根拠というのが、私はちょっと疑問に思うのです。それはさておき、いずれにせよ、こういった約10年先の予測をするにあたっては膨大な仮定というのが当然前提としてあるわけですね。したがって、普通統計学的にいえばこういう予測をするときは、ある程度のインターバルな予測をするのが普通であって、これは完全ないわゆる点予測になっているわけですね。そうすると、膨大な仮定のどれか1つが動けば結果はどの程度変わるのかと。つまりどれだけロバストであるかということですね。どうもあまりロバストではないような気がするということなんです。
 ですから、その辺でこういう数字というのをあまり出すとそれが金科玉条のようになるのであって、前提をやっぱりもっと明確にして、この前提が少々動いた場合でも結果はあまり変わらないとか、この前提が変われば大きく結果が変わると思うのです。この辺をきちんとやるべきで、特に経済成長の率に関してすら今後10年で大体1%台の半ばぐらいの成長率を予測していらっしゃるのでしょうけれども、私などの個人的な見解ではもっと低いのだろうと思いますし、今やもっと高いという人もおりますし、相当やっぱり人によって幅があるし、非常に今現在、10年先の経済の予測というのは難しい状況なんです。その辺のこと。
 それから産業構造の変化というのも徐々にサービス化が進むというのでしょうか、いわゆる素材型産業なんかは徐々に生産量が減っていくであろうというふうにいわれながら、最近の中国の経済などを見ると、今中国へのセメントや鉄の輸出がものすごく増えているとか、そういうふうなことになると、また不透明になってくるというようなことで、もうちょっときっちり詰めていただきたいというふうに思います。
 それからいろんな機器ですね、つまり自動車とかあるいは家庭電化製品なんかのリプレースメントですね。リプレースメントをする、今省エネのもとこういった非常にいいのが出るわけですね。ですからエアコンを付け替えればそれで知らず知らずのうちに消費電力が3分の1ぐらいに減っていると。そんなことにもなるわけですね。ですから、主だったエネルギー多消費型の機器のリプレースメントの期間をどういうふうに見積もっていらっしゃるのか。あるいはそれがちゃんと考慮されてこういう数値がはじき出されているのか、そういった点についてまた後ほどお答いただきたいと思います。

○浅野部会長 それでは須藤委員。

○須藤委員 清水課長のおっしゃっていただいたことは今までの議論を踏まえれば、これは妥当だろうと思います。しかしながら四角掛ける四角の最初の方の四角というのは、あとの方もそうですが、仮定に立っているわけで、特に生産量などは日本エネルギー経済研究所と経団連の生産予測の見込みということなんですが、ほかにもたくさんあるのかもしれませんけれども、2つで評価をする、日本エネルギー経済研究所の生産予測を選んだ理由というかその辺が根拠、やはり先ほど天野先生おっしゃるように、いつ、どういうプロセスでこういうものを予測したかというのを明らかにしておかないと、あとで困るのではないでしょうか。

○浅野部会長 永里委員どうぞ。

○永里委員 代替フロンのことについて2点おうかがいしたいと思います。一番最後のページに代替フロン等3ガスの排出見込みで4,975万tとしてあるのですが、私の印象ではちょっと少ないような気がしたので。エアコンなど冷凍空調機器は2002年から2004年にかけて特定フロンからHFCに一気に置き換わっていまして、その廃棄が2010年前後に急激に出てきます。そういう最新のもとでどの程度見込んでいるのか。大幅な増加の見込み扱いを数字としては予測なさっているのでしょうかということです。
 それから2001年時点では排出量報告にマグネシウム業界のデータはまだ入っていないと思うのですが、マグネシウムというのはアルミの3分の2という非常に軽量で、これからどんどん市場が拡張します。今パソコンとか携帯電話に使われています。これから自動車のハンドルその他にどんどん使われてきまして、現行ベースを考えますと2010年前後にマグネシウムの鋳造時の六ふっ化硫黄が数百万tオーダーで増えると思われるのです。これをきちんと折り込んでいらっしゃるのでしょうか。仮にこういう2点の折り込みが不十分だとしますと、2010年時点はCO2換算で1,000万tから2,000万tというオーダーが狂ってくることになるんですね。ですから、その点についてちょっとおうかがいしたいと思います。
 また、それからフロン代替物質が温暖化ガスになるわけですけれども、これのさらなる代替技術の開発を加速するような国の支援が必要ではないかと思います。

○浅野部会長 ありがとうございました。三橋委員どうぞ。

○三橋委員 佐和委員の御指摘ともちょっと似ている面があると思いますけれども、今2004年度ということで2010年というのは割ともう近づいてきているわけですよね。それでこのCO2の排出量等々予測するにあたっての産業動向あるいは経団連の自主行動計画、これはだいぶもう古いわけですよね。したがって、今起こっている新しい産業構造の変化とか技術革新の影響などというのがあまり反映されていない形の中で、この排出量が予想されているような感じがするわけです。
 したがって、これを予測するためにはできるだけ直近でどうなっているのかというような新しいデータがないと、2010年のこの排出量の予測というのはほとんど意味がなくなってしまうような感じがするのですけれども、その辺、何かいい知恵がないのでしょうか。できるだけやっぱり新しい、今の変化を反映するようなそういう産業動向なり技術革新の変化、そういったものを反映するような方法で2010年のこの4.1%というようなものを調べるなら意味があると思うのですが、そうしないとせっかくつくった数字がまったく意味がないものになってしまう感じがしますけれどもね。

○浅野部会長 安原委員。

○安原委員 今の資料の一番最後の表の2010年の推計の数字ですけれども、これは電力配分後ですね。ですから、参考までに電力配分前の姿が出るのかどうか。したがって、電力の姿がどうなるのか、その配分前の各部門の内部努力をどのように見込んでおられるのか、明らかになればと思います。次回で結構ですけれども。

○浅野部会長 それではただいま御質問をひとあたりいただきました。ちょっと逆に三橋委員にお聞きしたいという気もするのですが、つまり数字がまったく意味がないという強い御発言であったわけですけれども、変わるだろうということは一応わかるのですが、そのさまざまな変化の様子によってはこれがマイナスに転じるという確実な見通しがあって、増えるだろうという見通しが全然狂ってくるというのであればかなり大きいと思いますが、増えた方がひどく増えるかちょっと少ないかというぐらいのことであれば、ある政策を考えるときには、まあまあ一応使えるのではないかと思うのですけれども。直感的に見ておっしゃるような大きな変化が生じた場合は、これはプラスではなくてマイナス方向になってしまうということが言えるという前提での御発言だったのでしょうか。

○三橋委員 私はもっと減るだろうという感じを持っているんですけれどもね。このいろんな生産量とか経団連が自主行動計画でやったときのあの産業構造とはだいぶ違ってきているんじゃないかという、そういうことですね。

○浅野部会長 構造とは違うということですね。多く減るのではないかという、分かりました。いずれにしてもこれは学会の報告だったらやっているのだと思いますし、事務局としても限られた資料の中で精一杯努力して数字を出していて、政策の方向を決めるためにということを考えていますから、学問的に考えればかなり荒っぽいということは承知の上ではあると思いますけれども、種々出されました御質問、御意見についてお答をいたします。

○清水地球温暖化対策課長 私で答えられる部分とそれから作業をした担当レベルで答えられる部分と2つあると思いますので、まず私の方から大きなところを議論して、そのあと、補足を担当の方からさせたいと思います。そういう前提でお話をしたいと思います。
 まず、天野先生の方から確実にというけれども、これ自体全然確実ではないんじゃないかという御指摘がありました。それはおっしゃるとおりなんですが、私が申し上げたのは、実はこれまでの5回の議論の中で対策について個別に見てまいりました。その見てきた対策の中で、実は削減量の計算が今のデータではできないというような評価がなされた、そういう対策がいくつかございました。で、今回の推計にあたりまして、今のデータでは計算できないとしたような対策、これは不確実性の高い対策というふうに称しておりますが、それは除いたという意味であります。したがいまして、過去の議論によって計算できた対策でありましても当然、不確実性はあるわけでありますが、総体的にこれまで評価した中で数値の計算ができなかった対策は除いて、そういう意味での確実性が高いということで、ここでは記述いたしました。
 それから佐和先生の議論で、まさに仮定を変えるというのがあるんじゃないかと。特に経済成長のパーセントが変わってくるといろいろ変わるんじゃないかというのは御指摘のとおりだと思います。ただ、前提としましては政府の見通しを前提に置かざるを得ないというのが今推計の前提であることは御理解いただきたいと思います。マクロモデルを動かすというよりも、むしろ積み上げ型で予測をしておりますので、変数を外部から与えるような形で動かしております。そういう意味におきまして産業構造の変化をどういう形で見るかという議論があったわけでありますけれども、これは環境審議会の場で産業構造をどう見るかというよりも、むしろより権威のあるところから取ってくる方がいいのかなということで、私のみましたところ、日本エネルギー経済研究所のデータがエネルギーとの関係では一番網羅的であり、適切ではなかったかというふうに判断したわけでありますが、ただ、経団連の自主行動計画におきましても業界独自の将来の数値というものはありますので、それを合わせて使ったということです。そこの生産量の数値というのがとりもなおさず2010年における経済構造の転換も意味しているというふうな理解で解釈して使っているわけであります。
 それからリプレースメントについては後ほどどこまで見ているか担当の方からお話をしたいと思います。
 それから須藤先生の方から、なぜ(これらを)選んだのかというような話がありましたが、それはそのとおりです。
 永里先生のお話は少し専門的になりますので、ちょっとまた別の担当の方からお話をいたします。
 それから三橋先生の方からもっと技術を見れば減っていくんじゃないかという御議論がありました。これはそのとおりかと思いますが、これはむしろ見直しの中で新しい技術を入れて、それでもってまた別の推計をしたいと思っています。ですから、これはある意味、今のままいったときどうなるかということで、対策の姿ではないというそういう理解でご議論していただき、今後見直しということで対策を積み上げてこれでまた改めて議論をして6%どうというような絵を書ければ書いていきたいということで御理解いただければなというふうに思います。
 それから安原先生の方から電力配分前の姿を表せということでありましたので、これは宿題とさせていただいて次回にしたいと思います。よろしくお願いします。

○宇仁菅フロン等対策推進室長 フロン等対策推進室長でございます。代替フロンと3ガスについてでございますが、まずエアコン等の冷媒において今後HFCへの代替が大きく進むということでございますが、それについては計算の中に入っております。もう1つのマグネシウム鋳造時のSF6については、これは現時点で2010年の時点においてどのくらい出てくるかというのが必ずしもはっきりしませんでしたので、これについては含まれておりません。今後、入れていかなければいけないと思っております。

○坂口地球温暖化対策課課長補佐 算定を担当しました地球温暖化対策課の坂口と申します。
残る1つの御質問で、家庭等の機器の代替状況についてどのように反映をしているかといった御質問があったかと思いますけれども、これにつきましてはほぼ自然体、これまでの代替状況、それから製品の使用状況、寿命等々を見ながら代替化が進むというふうに見ております。また、トップランナー機器、トップランナー基準というものが設定されておりますので、それについては法令の定めどおりに進むというふうに算定をしております。以上です。

○浅野部会長 よろしゅうございましょうか。詳細のデータは当然バックデータがあるはずですから、もし、佐和委員必要であれば資料出させます。

○浅野部会長 天野委員、どうぞ。

○天野委員 今の御説明は対策の部分だけなんですね。しかし、これは総量掛ける原単位、原単位は2つありますけれども、2つの原単位を掛けて排出量が出てくる。2つ目の四角の排出についてはおっしゃったようなことだろうと思います。ただ、脱温暖化型ワークスタイルというのはどのぐらい確実なのか、その辺私は疑問があります。それを言いたいんですね。そして最後に出てくる数字は交通需要の総量であるとか生産総量であるとか、こういうものに依存したものが最後の数字になって出てくるわけです。
それまでを含めて確実だというふうな印象を与えるような表現というのは私は非常におかしくて、しかも先ほどどなたかおっしゃいましたけれども、この数字はつくると一人歩きをすると。そうすると、ずっと以前に10年先の成長予測を前提にしてつくった数字がいつまでもいつまでもその議論の対象になってというのは非常におかしくて、これは対象の見直しをするためにもそういうことも含めて見直しをする必要があるのではないかというふうに思いますので、今日いただいたこの資料のいろんな基準年に対する目標値、これを今後の議論のベースにするというのであれば、私はどうしてそういうことをするのかなというふうに思うわけです。以上です。

○清水地球温暖化対策課長 確かにこの数字自体に、例えばここに出ております4.1%とか4.6%とかそういう数字自体に意味があるというよりは、むしろ対策の中でこれまで見てきた中でどこに確実性があり、それからどこに不確実性があるということを見てきたわけでありますし、それから今後の対策についてのトレンドの大きな状況を見るということでありますので、あまり数字のポイント以下なりあるいはこういう数字自体にこだわるというよりは、この数字自体あくまで暫定的なものでありますけれども、議論を進める上でどこら辺の対策が強化の必要があるかとか、あるいはどこをもっと見る必要があるかという、そういうような非常に大きな議論をするための数字として使うことには大変大きな意味があるのではないかなと私どもは考えます。
 それからこの数字自体は、確かに今ほかの審議会でも例えば総合資源エネルギー調査会でもまさに議論を行って、今後の需要見通しなどもさらに大きな数字だとかいろんな数字が出てくるということになっておりますので、そういうのも踏まえてまた直していきたいということでありますが、ただ、まったく何もないということをベースにしますと議論が進まないということになりますので、とりあえずの議論のベースとして、大きな方向性を議論するベースとして見ていただければなと思うわけでございます。

○天野委員 成長率の見通しとか業務別の生産量の見通しというのは、今いろんな立て方があると思いますね。それをそれぞれ当てはめてみたらどうなるかということをまずやって、それで大きな結果の違いはないんだということであれば、私は納得いたしますけれども。10年先の見通しをずっと以前につくった予測をそのまま使っても多分大丈夫だろうと言われても、私はちょっとわかりにくいということです。
 ですから、どうしてそういう作業ができないのかですね。そういう作業をしないでこの形で進めるのがいいのかどうかという理由が私にはなかなか分かりにくい。ですから、現在手に入るようないろんな成長率とか見通しを当てはめてみてどういう計算になるかということを、今回2つ出ているわけですね。その2つについてはこの2つでいいんですかということをまた言う委員もいらっしゃいますから、ですから私はその辺をもう少し確実性の高いやり方にできないのかという質問をしているわけです。

○清水地球温暖化対策課長 今、委員のおっしゃられた形で最新のデータで全部フレームを見直したというのがこの姿であります。前回の大綱の前提はまったく捨てております。そこは誤解をなさらないようにしていただければと思います。

○浅岡委員 この日本エネルギー経済研究所というのはいつのものなんですか、経団連の自主行動計画は概ね頭にありますけれども。2000年とか2002年とか、それを言っていただければ。

○清水地球温暖化対策課長 推計がありましたのは平成14年の12月、つまり今から1年と3カ月ほど前ということになります。

○佐和委員 すみません、ちょっと退出しなければいけないので一言だけ。18ページに就業者数の将来予測というのが出ていますね。その隣に床面積と書いていますけれども、この床面積の方は2001年までの過去の実績だけ書いて2010年まで出ていないわけですね。ところが就業者の方は何か予測が出ていると。だからこの辺もなぜ2010年までの床面積を出さないのかということと、床面積が当然増えると予想されるにもかかわらず、先ほどから問題になっている表に戻りますと、下の方ですけれども業務その他部門が-6%ということで第三次産業はどうしても増えるはずだと。にもかかわらず-6%というのは、相当何か実績ブロックをされるのかあるいは新しい技術が期待されるとかと思うのですが、いかがでしょうか。

○清水地球温暖化対策課長 まず、申し上げたいのは推計の方でありますけれども、おっしゃるとおり床面積のデータが2001年までしか入らなかったので、就業者の将来予測に基づいて床面積の将来予測をしました。それはデータとしてはここには示しておりませんが、計算しておりますので。就業者数から床面積を推計して、その床面積に係数を掛けるという形でやっておりますので。たまたますみません、ここにはその将来推計をしたときのデータは入れていないだけでありまして、作業としてはやっております。
 それから6%のところは、これは括弧の中は目標でありまして、下がるという意味ではありませんので。-6%もの削減をしなければならないにもかかわらず28.3%というようなことで逆であるということですから、これを目標と見ますと34.3%ギャップがあると。そういう意味でございますので、そこは誤解なきようにお願いします。

○浅野部会長 鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 全体に非常にきれいに整理されているんですが、あまりにもきれいすぎて例えばすべての排出量、部門別の排出量の推計がいわば需要量あるいは生産量、それ掛ける原単位という、先ほど四角掛ける四角という話がありましたが、これイコールその排出量という形になっていて、実際には多分それぞれのところでかなり質の違う産業であれば部門が違う、それぞれについての原単位が違うという、それを多分掛け算して設定をしておられるわけですね。ですからやっぱりそこのところをはっきりしていただいた方が、GNPだけで議論しているんだという話ではないはずですから、それが分かるようにしていただいて、むしろそういうことによって原単位の違う部分がフィードバックがかかって、例えば産業構造の変化にもつながっていくような、あるいは家庭での需要にもつながっていくような、そういう仕掛けをやはりここへ組み込んでいくというか示せるようなものにされたらいかがでしょうか。あまりにもその四角掛ける四角は単純化すればこうなっちゃうだという、ちょっといまどきこれではという感じもしないでもない。

○清水地球温暖化対策課長 データについてはさらに提供をするようにしたいと思います。

○浅野部会長 今の鈴木委員の御指摘は今後の議論を細かくやっていくときには必要であります。今日のところは暫定推計ということで全体の姿をまずお見せしようというものです。そして少なくも絶対に2010年には増えるだろうということについて、何もしなければともかく今までの対策でいけば増えるということについては、皆さんがそうだろうと言ってくださるというところまでが本日のとりあえずの目的であります。
 おっしゃるようにその先のことになりますと、もっと細かいものが必要でありましょうし、決してブラックボックスで議論をしてこの数字を出したとは思いませんで、またこの中には夕べ寝ていないのが何人もいるということも聞いておりますから、精一杯努力をしてやっております。そのあたりは御理解いただいた上で資料等についても必要な限り、秘密のものは何もないだろうと思いますからちゃんと出して、別に何もサイコロを転がして決めたわけではないぐらいのことは証をしないといけないという御指摘だと思いますし、特に細かく今後の話をしていくときには、その辺はどういう前提でこの議論をしたのかということをはっきりしないと、議論の説得力がないぞという御指摘はいただいて、そのとおりだと思います。
 それでは、よろしゅうございましょうか。この議題1については今いろいろ御指摘いただきましたことは、しっかりと今後さらにまた必要なものについては数字も検討させますし、ただ、最初に私ちょっと余計なことを申しましたけれども、少なくとも学会報告に耐えるものをつくれと言われれば、多分事務局は耐えられません。これはあくまでもこのデータを元に政策を考えることが不適当であるかどうかということが問題でございまして、細かい数字については本当に各審議会との歩調からいうと、我々はちょっと早く数字を示している訳です。他の審議会では5月を過ぎないと答えが出てこないわけです。それを待っていますと我々はまったく間に合わなくなってしまうという事情があって、今日まではとりあえず暫定的なデータを出してきているということでございますので、その点は御了解をいただきたいと思います。
 それでは、資料の2を用意しております。これについては地球温暖化対策技術検討会の検討状況について中間的に申し上げるという趣旨でございます。これについて、まず事務局の矢野調整官から説明をいただきます。これに関しては特別に何か今後の検討についての御注文ということがあれば御発言は構いませんが、とりあえず今日は御説明をお聞きいただくということにしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
では、矢野調整官どうぞ。

○矢野調整官 地球温暖化対策課の矢野でございます。失礼して座らせていただきます。資料の2番「中長期的な観点からの温暖化対策技術について」でございます。今、部会長の方からお話をいただきましたが、地球温暖化対策技術検討会というのを別に設けておりまして、そちらの方で現在までの検討している中間の御報告ということでとりまとめた資料でございます。
 1枚めくっていただきまして、上の方に検討会における検討ということで書いてございますが、検討会といたしましてはその第2ステップに向けた検討に視するための検討を行うということで、本日の部会にも御参加いただいております平田先生を座長といたしまして、昨年の10月から検討をいたしてきているものでございます。
 その下、1番の「検討の背景・目的」でございますが、今後の気候変動のリスクというのが大気中の温室効果ガス濃度をどの程度安定化するかということに依存するという中で、より早く排出量を減らせばより低い濃度で安定化をして、気候変動のリスクを低減できるということでございますので、そのような気候変動に対応した持続可能な社会に転換していくための技術といったものを、今の時点で検討していきましょうということでございます。一番下の四角に書いてございますが、この検討会では2030年を目途といたしまして、どのような技術をどの程度普及し得るか、それにより脱化石燃料化をどれぐらい進め得るか、対策技術の導入施策とその手順ということを検討していこうとしております。
 右側の5ページ、6ページと書いてあるところでございますが、「検討の方向」といたしまして、今後の化石燃料への依存度を大幅に下げるための方策として4つほど挙げてございます。1番目が少ないエネルギーで最大効果を得られる効率的利用。省エネ化の徹底というところ。2番目が再生可能エネルギーの体系の構築。再生可能エネルギーをこれから大幅に増加をさせていこうという方向。3番目が捨てられていた未利用のエネルギー資源を極力利用するための戦略。それから4番目といたしまして、化石燃料を天然ガス等の排出原単位の少ない燃料のウエイトを高める必要があるということで、大胆な天然ガスシフトを行う必要があるだろうという4つの方向を出してございます。
 その下の方にいきまして、この4つの方向を実際に実現するためには社会システムの転換が必要であるということでございますので、そのような普及に時間を要する対策というものに今すぐとりかからなければいけないだろうということ。それと社会システムを転換する上で上流側、供給サイドからの集中型だけではなくて分散型でのエネルギーの供給というようなものも必要であろうということで、地域における取組、地域からの取組で全体の転換を促すといったような観点からも検討を行おうということにいたしております。
 1枚めくっていただきまして、「現在の検討状況」というところでございますが、再生可能エネルギーにつきましては、資料ではバイオマスエネルギーと太陽光・風力エネルギー、それと水素エネルギーという3つほどお示しをさせていただいております。まずバイオマスエネルギーにつきまして、その導入のポテンシャルというのをみてございます。現在、我が国に輸入されている化石燃料は約4.7億t、一方、我が国で生産または輸入される食料・飼料等の有機資源というのは約1.1億tというような数字で、かなり大きなボリュームがあるというものでございます。これらの有機資源をバイオマスにしまして利用可能なエネルギー量でいきますと1,281PJということで、一次エネルギー利用の約6%というような推定もあるということでございます。これらにつきましていかに低コストで有効利用をしていくことができるかというのがバイオマスエネルギーのポイントとなっているということでございます。
 その下に導入拡大の方向性というのがございます。バイオマスにつきましてはいろいろな種類があるわけですけれども、それぞれ賦存の状況が違うということでオンサイト・地域単位での分散型エネルギー供給システムといったものに組み込んだ形態というのが有効ではなかろうかということでございます。そのエネルギー転換の仕方によりましては液体燃料とか固体燃料といった燃料としての利用ということもあり得るということでございますので、各利用スケール、いろいろな地域、オンサイトからその地域、広域、全国的な利用と、いろいろな各利用のスケールにおきましてバイオマスのエネルギー転換方法を適切に選択していくということが必要であろうということでございます。
 次のページは太陽光・風力の関係でございます。太陽光発電のポテンシャルにつきましては、日当たりのよい住宅・建築物のすべての屋根等に設置するというような場合ですと、約340億から680億KWh/年、それから風力発電につきましては、風況、それから建設可能な土地の確保を考慮して約40億から81億KWh/年というような推定がございます。これらの量というのが電気事業者によります発電電力量の数パーセントから10%弱程度というような推定がされております。
 このような太陽光発電、それから風力につきまして導入拡大の方向性ということで考えてまいりますと、特に太陽光発電につきましては技術開発による低コスト化というのがポイントかなと。それと合わせまして住宅設備としての普及、また家電製品としての普及というような簡単に手に入るような普及の仕組みというようなもの。あと合わせまして公共施設等への大規模設置事業の事業化というような3つぐらいの方向というのがあるのかなというようなことでございます。
 風力発電につきましてはかなり低コスト化が進んできているという中で、今後の普及を確実に進めるためには風力発電事業のインセンティブの確保というのが必要になってくるだろうということでございまして、一番下に書いてございますが、RPS制度の適切な運用による導入拡大ですとか、大型機による風況適地への導入。あるいはまた、分散型システムとしての地域における電源としての導入というようなことが考えられます。またさらに、将来的には水素を製造するシステムである洋上風力発電というものも考えられるだろうということでございます。
 その次のページが水素エネルギーでございますが、水素は燃料電池を用いますと熱と電気を直接取り出すことができて、効率的利用、省エネルギーになるということでございます。さらに再生可能なエネルギーから水素を製造するということによりますと、二酸化炭素を実質的には排出しないで済むシステムとすることが可能であるということでございますので、そのような形態での水素の導入というのをいかに進めていくかということがポイントになろうかということでございます。また合わせまして、製造プロセスにおきます副生水素あるいは廃棄物系の水素といったものも有効に利用し尽くすということも必要だろうということでございます。この水素導入ポテンシャルの試算例というものがございますが、再生可能エネルギーの関係でみますと水力、風力、太陽光、地熱及びバイオマス、こういった全エネルギーの賦存量から電解効率を考慮した水素供給ポテンシャルというのが約2,100億N?というような試算もございます。
 その拡大の方向性でございますが、当面最終エネルギー需要量に占める水素の需要量の割合が小さいうちというところでは、天然ガス等によります改質水素の供給というのが中心になってこようかと。その際にも同時に副生水素を有効利用している。また、再生可能エネルギーからの発電ですとか燃料利用によります一次エネルギー供給における導入というのが今進んでいるわけですが、その中でも将来的な方向としてはやはり再生可能なエネルギーからの水素の製造という方向にいきまして、一部水素としての利用も開始できるようにしていく必要があるだろうということでございます。
 次のページにまいりまして、天然ガスシフトというところでございます。天然ガスにつきましては発電で約7割、それから都市ガスで3割は使われているというところでございますが、電気事業におきます利用拡大というのがどちらかというと上流側からの大規模集約型のアプローチと。また都市ガスの場合ですとガスエンジンですとか燃料電池などのコージェネレーションによります分散型のアプローチというようなことで、特に都市ガスにつきましては天然ガス改質による水素供給というような場合には、将来の水素エネルギー利用のインフラへの活用の可能性も含めまして、地域からの取組として進めるということが可能になってくるというものでございます。
 導入ポテンシャルといたしまして火力発電所における天然ガス転換についての試算をここに載せてございますが、現在天然ガスの供給可能地域にございます石炭・石油の燃料を全部天然ガスに転換できるといたしますと、天然ガスの消費量としてLNG換算で約3,500万tの増加、転換前の1.9倍というような量になるだろうというような推定試算がございます。
 またその下になりますが、産業・業務用の天然ガス転換につきまして、燃料用の天然ガスシフトが進み、電力用が進んだ場合には燃料用につきましても現状の2.1倍ぐらい、3,400万tぐらいが見込まれるというような試算がございます。また改質水素原料としての利用ということでは、燃料電池の自動車用燃料である水素の原料といたしまして、当面は供給ステーションにおけます天然ガス改質による水素供給が有力になるだろうということで、燃料電池自動車が普及をした場合、必要となる水素の量というのが2030年では85億N?、それから家庭用が普及した場合には130億N?というような水素供給量が必要であるということで、これに対します天然ガス量は500万tぐらいというようなことでございます。
 これらの天然ガスの調達ということにつきまして、最後のところで若干触れておりますが、IEAのWorld Energy Outlook2002という中ではオーストラリア、ニュージーランドと一緒に日本も合わせまして3カ国の合計で2000年の1,220億m3から2030年には2,430億m3近くになるような予測がなされておりまして、我が国の需要といたしましては、東南アジア、中東、オーストラリアからのLNGに加えまして、今後はロシアからの天然ガスの輸入より、需要増がまかなわれるのではないかというような予測がなされているというようなところでございます。
 1枚めくっていただきまして、次に「エネルギーは利用し尽くされているか」というところで、コージェネレーション、それから「エネルギーの相互融通」といったページでございます。コージェネレーションシステムにつきましては、2003年3月末で日本全国の電力用発電設備の約2.5%に相当する量というのが既に導入されているというところでございます。これは今後とも今年の導入につきましては機械関連産業あるいは大規模店舗、病院などをはじめとして進んでいくのだろうというところでございますが、さらに本格的に組み込むためには個別でやるだけではなくて、もう少し集団・地域の単位でうまく電力と熱を合理的に供給・利用できるようなシステムというようなことも考えていく必要があるだろうということでございます。このようなことを行っていくことが将来の水素エネルギー利用時によるコージェネレーションシステムの構築においても有効だろうというふうに考えるわけであります。
 そのような導入の拡大の方向性といたしましては、適切なインセンティブの確保ということと、分散型エネルギーシステムの構成要素としての導入ということです。また、下のエネルギーの相互融通ということでは排熱のカスケード利用というのを考えてございますが、工場排熱につきまして現在一次エネルギーの供給の約5%程度のエネルギー量があるといわれているわけでございまして、これをうまくつくって使っていく。そのための条件といたしまして、需要と発生で条件が一致しないとなかなか使いにくいということでございますので、これにつきましても地域単位でのシステム構築、熱利用のネットワークというようなものを形成していくということが必要であるというようなところでございます。
 その次の17、18ページのところでございますが、今いろいろ申し上げましたように地域における取組というのが今後非常に重要だろうというところでございまして、今後、分散型のシステムを中長期的に導入していく具体論につきまして、さらに検討を進めていくというようなことにいたしております。また、その下にございます「技術開発、導入の手順」というところにつきましても、方向性としては5つぐらい今考えてございますが、1番目は、分野別の技術によるブレイクスルーを図る。2番目には、分散型のシステムを構築し、管理・運営する技術の確立を図る。3番目には、低コスト化あるいは小規模で適用できる技術の開発。4番目には、循環型社会と脱温暖化社会の両方を支えるバイオマス、副生水素、廃棄物系資源の利用。そして5番目として、国際貢献、CDMにつながる技術の開発といったような5つの方向性というものを考えながら今後の技術開発、導入の手順というのを引き続き検討してまいりたいと思っております。
 最後のページでございますが、今御説明しましたような中にまだ入っておりませんエネルギー利用機器ですとか自動車の省エネルギーの関係、それから再生可能エネルギーでもまだ中小水力ですとか太陽熱などにつきましては、まだまだこれからでございまして、このようなものを含めまして今後議論を重ねましてある程度まとまったところで、次回以降の部会の方にお諮りをしてまいりたいというふうに考えてございます。
説明は以上でございます。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。私も以前経験がございますが、技術検討会というのはなかなか微妙な位置におかれていて、技術検討とはいいながら実際にそれをやろうと思えばどうしてもそこに制度的な要素とか社会的な要素が入らざるを得ないわけですが、できるだけこういう検討会は単に淡々と技術の面からだけ、ともかくやってみようというスタンスで検討をなさっておられます。例えば今の御報告の中で天然ガスに全部変えたらどうかというのは、やる方には申しわけないのですけれども、ある意味では机上の計算みたいなところがないわけではない。現実にそれが政策として取れるかどうかということになれば、さらにさまざまなことを考慮しなければいけませんから、今の御報告にありましたように、その検討成果をこの審議の中で反映させるためには、当然に他のファクターを考慮するという必要が出てくるわけです。とりあえず技術的な可能性ということに限って、今このような検討をしておられるという御報告を聞いたということでございまして、部会長としては今日はこれは聞きっぱなしというつもりでおりますが、どうしても一言発言、質問をしないと今晩寝れないという方がいらっしゃいましたら、森嶋会長の方法にしたがって寝れない方のために御発言をお認めしたいと思います。桝本委員と天野委員と……結構寝れない人が多いですね。
 それでは皆さんの夜の安眠のために、まず桝本委員から順番に。

○桝本委員 今、淡々と技術的な評価を、しかも2030年というお話でございました。これはぜひ、お願いでございますが、例えば原子力の活用というものは当然あってしかるべきかと、私は思います。この中に原子力が見られないのを大変残念に存じます。主張あるいは考え、好み、これは別でして、まさに淡々と是非お願い申し上げたい。
 それからCO2の捕促、固定化、その辺の技術をどうお考えになっているか。30年までのことですと、やはりこうした検討も必要ではないかと存じます。それから石炭、石油。これは依然として大変大きいエネルギーシェアを占めるものですから、ここにあります「可能な限り有効利用する戦略」と、この中に石炭と石油なども入っているということであれば、私はよく分かるのですが、もし、含めていないということであれば石炭のさらなる費用と技術の開発等についても御関心を賜りたいというふうに存じます。
 それから最後の方の天然ガスのシフト。これは技術というよりもむしろ燃料の選択ではないか。それから排熱の回収についてもヒートポンプの革新的な技術開発というのはあり得ると思いますので、御検討を賜りたいと存じます。

○浅野部会長 浅岡委員どうぞ。

○浅岡委員 中長期的にこうした指標を示してくださるのは分かりがよくなってありがたいと思います。まことに私は不案内なのでお聞きするのですけれども、天然ガスへの転換というのは重要だと思いますが、13、14ページあたりに書いています例えば13ページの天然ガス転換前3,900万tの火力発電所で消費しているという話と、一番最後のところの天然ガスの調達のところで、我が国は760億?となっていまして、この関係を教えてくださるといいと思います。例えば転換前というのは立法メートルで示したらどのように理解してよろしいんでしょうかと、すみません、大変シンプルな。

○浅野部会長 ちょっと今の私もわからないので、シンプルなことを御説明下さい。

○松澤温暖化対策課課長補佐 温暖化対策課の松澤と申します。万tの方はいわゆるLNG換算のようでございまして、下の今浅岡先生言われましたものとの関係でいいますと、現状で約5,500万tLNGを大体使用しているかと思いますが、それが760億?でございます。大変恐縮です。今計算機がないので1万tが何億立米という数字がすぐに出てまいりませんが、大体そういう関係になっているところでございます。

○浅岡委員 はい、そう理解していいということでわかりました。

○浅野部会長 よろしいですね、ちょっと携帯電話の計算機能で計算してもいいんですが。
 それでは、天野委員どうぞ。

○天野委員 対策技術の検討委員会ということなんですが、例えば10ページを御覧いただくと分かりますようにどれぐらい普及するか。どれぐらいかという見通しがあって初めて言えることでありまして、そういう意味では対策技術という視点から見ますと、技術的な可能性と同時にどれだけのコストがかかっているのかという評価を当然一緒にやらないと結論が出てこない話ではないかと思いますので、これは要望ですけれどもそれぞれの技術について、どの時点でどれぐらいの量がどのぐらいのコストで供給できるのかということを一緒に、これは淡々と御検討いただければありがたいと思います。

○浅野部会長 飯田委員、お願いします。

○飯田(哲)委員 私メモを出しているのであとでコメントしますけれども、1点だけ。10ページ目の太陽光・風力エネルギーの洋上風力発電の囲みの説明のところに、洋上風力は水素にしか使えないようなことを書いてあるのですが、むしろ洋上風力はきちんと海底ケーブルをつないだ電力がまず優先であって、水素というのは先の話だろうということで、ちょっとこれはかなり誤解を招く書き方ではないかというふうに思います。以上です。

○浅野部会長 それでは大聖委員。

○大聖委員 私、この技術検討委員会のメンバーなんですが、誤解があるといけないのでちょっと指摘しておきたいと思いますが、11ページの水素エネルギーというところに副生水素というのがありますけれども、これは製鉄所ですとか出てくるのですが、副生水素というのは2020年で1,500万台ぐらいの燃料電池自動車の燃料の一方を賄えるだろうといわれておりますけれども、この副生水素というのは現在、自家消費しているものなんですね。ですから、それを公費で使うのはいいのですが、その分の熱源を、実は副生水素で使っていたのをほかの熱量で代替できないのでその差が儲かるんだという、そういう考え方で進められてしまいますので。

○浅野部会長 ありがとうございました。コメントをいただきました。平尾委員どうぞ。

○平尾委員 だいぶ先生方の御意見が出たので寝られるようになったんですが、ここで2つだけ。1つはこの技術を見ますと個別の技術ではなくて、どちらかというと全体系をどういうふうに利用していくかといった点での技術だと思うのですが、それであれば先ほど出ていました天然ガスとかいうことですが、むしろ我が国のエネルギーの分配を最適な分配というのはどうあるべきなのかと。そういう視点でどういう分野に、どういうエネルギーの使い方をしたら一番いいのかというような形の議論が抜けているのではないかと。そういうことを考えますと、天然ガスも世界にあるから手に入るというものではなくて、やはりこれは外国も含めて当然のことながらもっとシビアな問題だと思うのですが、そういう目でこれは大切にすべきではないかと。
 2点目は先ほど水素の話もありましたが、いいところばっかり見ないでマイナスがあるわけで、天然ガスから水素をとれば当然先ほど御指摘のCO2が出るわけで、それをどうするかというようなマイナスのところも含めた片手落ちでない議論をしないと、こういう全体系の技術開発をやるときには穴に落ちるのではないかというふうに思います。以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。それではほとんど御質問というよりも、むしろ御意見が多かったと思います。飯田委員の洋上風力についての御指摘は事務局で十分検討して必要な修正を加えてください。そのほかについては貴重な御意見、御示唆をいただきまして、是非検討材料の参考にしていただければと思います。
 それでは、5分間休憩いたしまして、14時30分より再開いたします。
午後2時25分 休憩
午後2時30分 再開

○浅野部会長 それでは再開をいたします。委員はどうぞ席にお戻りいただきたいと思います。
 それでは、次は「エネルギー供給部門の対策・施策の見直し」ということで、これから見直しに関する御議論を賜りたく存じます。では、まず資料3に基づきまして清水課長から御説明を申し上げます。

○清水地球温暖化対策課長 それでは、資料3を御説明したいと思います。これまで評価を行ってきたわけでありますが、これから見直しのプロセスというところになります。これがその第一段ということになります。今回はエネルギー供給部門でありますが、今後は各需要サイドの議論、家庭、業務、産業などを含めて順次行っていきたいと思います。今回はエネルギー供給部門ということです。1ページ目に書いてありますように、現在評価の結果、実は現在の大綱の中には確実性の低い対策・施策も含まれているのではないかと。今後、対策の評価の見直しの検討に当たりましては、そういった削減効果の確実性を向上させるために幅広く検討を行っていくことが必要なのではないかと。そういう面から大綱の対策・施策の強化の方向性について見ていくという、そういう整理であります。評価の資料と同じように、この資料はあくまで暫定的でありまして、今後変わり得る性格のものであるということについては御理解をいただきたいと思います。
 それでは1ページ目をめくっていただきまして2ページ目、エネルギー供給サイドの対策の第1番目は「新エネルギー対策」であります。これは太陽光、風力、廃棄物発電、バイオマス、太陽熱利用、未利用エネルギー、廃棄物熱利用、バイオマス熱利用、黒液・廃材などを含むものであります。ここにグラフを描いてありますが、原油量を見ますと、その中で黒液・廃材とかあるいは太陽熱、廃棄物発電なども割合としては非常に高いわけでありますが、なかなか目標の確実性の観点からいきますと、黒液・廃材などにつきましては確実性が高いわけでありますけれども、特に廃棄物発電、これについては前回の評価の資料の中でも2倍ぐらいのペースでいかないとなかなか追いつかないというような評価でございました。あるいは太陽熱利用、これは現在の状況からみると、むしろ下がっているというようなこともありまして、こういう確実性の低い対策というのが入っているということを言わざるを得ないという、そういう理解でありました。
 こうした観点から今1,910万klの導入を行うということが大綱の前提でありましたけれども、その1,910万klという目標量達成の確実性を高めていく。そういう観点から次のような政策オプションがいろいろあるのではないかということで、そういう観点から3ページ以下を政策オプションとして示したということで御理解いただきたいと思います。
 まず3ページ目ということで、「住宅用新エネルギー導入の促進」ということです。住宅用の新エネルギーにつきましては太陽光発電、それから太陽熱利用ということが2つの大きな柱になっております。ここに書いてありますように住宅用太陽光発電につきましては100万台、太陽熱利用については900万台ということが想定になっておりますが、評価のところで議論しましたように、太陽光発電につきましては最近伸びは大きいわけでありますけれども、今後の目標達成で見た場合に非常にギャップが大きく、かなり従来以上の導入の伸びが必要であるということ。それから対策導入にあたってのコストも高いことから償却に長時間を要するということから、より一層の負担軽減が必要となってくると書いております。それから住宅用太陽熱利用ということでありますけれども、これも900万台という非常に大きな数字でありますけれども、累積的に見ますと減っているというような状況もありますので、ここの部分につきましても今後抜本的な対策が必要なのではないかということであります。
 前回、少し御説明がしにくかったこともあるわけですが、特に太陽熱温水器は過去において減ったわけですが、近年普及している給湯温度調節型のボイラーというのはお風呂の設定すればお湯が沸くというようなシステムと太陽熱温水器の接合性が悪いということで、これが普及できない一つの大きな障害になっている。それではそういう給湯システムと統合したソーラーシステムということも一方であるわけですが、それは価格の問題があり、なかなか普及が微妙であるというのが今の状況になっております。
 こういう中で一応住宅の今後の方向性として3ページの下の5行目に書いてあるところでありますが、これまで行われてきたような電力会社による余剰電力購入あるいは国などの補助制度を有効活用する。あるいは価格低下を可能にする技術開発、あるいは普及を加速するための事業形態の開拓などを推し進める必要があるのではないかというのが方向性として示されております。
 それから4ページにまいりまして、「産業・業務部門における導入促進」ということです。産業・業務部門につきましては黒液・廃材を除きますと新エネルギーの電力が中心になると。こういった新エネルギー電力につきましては、ここで4つの方向性を挙げております。1つは、工場・事業所における自家消費を主目的とした導入。それから一般電気事業者への売電を主目的とした導入、RPS法などが対象になるような部分であります。それからPPS事業というふうに書いてございますが、これは独立系の売電事業者として、特に一般電気事業者ではなくて需要家に対して売電を行うような、そういう事業形態があるわけですが、そういう事業形態の中で新エネルギーによる電力を売るような、そういう事業者が今後出てくるということを期待したいと。それから4番目としては、新エネルギーの普及啓発を主目的とした公共部門での導入ということで、国、地方団体を含む行政が率先的に新エネルギーを導入するというような、そういうやり方の4つの方向性があるのではないかということで示させていただきました。
 こういう4つの方向性を進めるためにいくつかのことを書いておりますが、1つは、これまでの助成措置の強化、価格低下に資する技術開発ということで、これは家庭用と同じであります。それから、特に新エネルギー電力の買い取りに際して、今価格はかなり低迷していてなかなか普及が進まないというような議論もありますので、そういった買い取りに際しての付加価値を上げるような取組というのが可能性としてあるのではないかと。ここで挙げておりますのがRPS法の利用目標の引き上げ。それから新エネルギーの電力固定価格買取制度など、これは検討対象になり得るのではないかと。ただ、いずれも技術的課題とか経済的側面から、その実現性や有効性については検証が必要になってくるだろうということです。
 こういったRPS法の利用目標の議論に関連しまして、特に風力の系統連系の評価というのが大きな課題になっております。今後大規模な新エネルギーの導入にあたってそういう系統対策というのが必要になってきますので、そういった検討も必要があるだろうと。それからさらには、国、自治体におけるグリーン購入の対象としてグリーン電力プログラム、これを考えていく必要があるのではないかということを指摘しております。
 次に「地域の視点での導入促進」ということで、特に風力発電、バイオマス熱利用発電などを考えた場合に、地域における偏在という問題がありますので、この問題を解決するために、やはり地域間の融通のネットワークをつくっていく必要がある。それからさらに、地域におきまして、その供給ポテンシャル需要などを分析しながら、その地域でどう導入していくかを検討していく取組が必要であるということです。これが対策の方向性ということであります。
 2番目の分野として「電気事業に関する対策」ということになっております。大綱の記述では新エネルギーのほか燃料転換と原子力という3つの分野が大綱には掲げられておりましたが、特に燃料転換と原子力、これらを合わせて電気事業に関する対策としてこの資料では取り上げていきたいと考えております。大綱におきましては2010年度の原子力発電量が3割増ということを前提にしながら、このページの真ん中あたりに書いてございますが、1990年度から約2割の原単位改善目標にしたいと。これは長期エネルギー需給見通しの方の記述になるわけでありますけれども、およそ2010年におきまして73.6g-C/KWh、これは炭素でいったそうですから、CO2でいきますと0.270kgCO2/KWhというような程度の原単位の水準が可能ということが大体原子力対策に見合った数字として大綱の前提になったわけです。
 しかしながら、前回、電力なりいろいろ供給部門の評価を見ましたように、原子力の新増設のペースが落ちておりまして、大綱の想定を検討しましたところ、4基分の原子力発電量が不足するというようなそういう評価があったわけであります。ただし、考慮されるべき要因として電力需要の伸びが下方修正されているというのはこれまでに出たところでありますし、それからRPS法ということがあったわけであります。ただ、これらを全部勘案したとしても先ほど見ました2010年に大綱が前提といたしておりました原単位の水準というのを確実に達成するというのは、やはり困難になってきているのではないか。電気事業に関する対策・施策の見直しの検討にあたりましては、大綱が想定しているような排出原単位の水準の達成を確実にするという、そういう観点から次のページ以下にあるような対策を検討してみてはどうかというのが、この資料の趣旨でございます。
 次ページにまいりますと、1つ目の政策オプションとして掲げられておりますのが、「燃料転換の大幅導入」ということであります。この概要と効果というところに書いておりますように、表にありますように我が国の場合、原子力と石炭はベース用途として使っており、非常に高い設備利用率になっています。天然ガスはミドルのベースであるということで50%程度の利用率にとどまっているということは、前回も含めて御説明したところであります。一方、英国の場合に注目しているわけでありますけれども、原子力に加え、特に天然ガス。天然ガスの中でも高効率の天然ガスコンバインドサイクルの発電施設を順次導入しております。そしてこれらの施設を最大限活用しているのではないかということがいえるわけであります。
 我が国におきましても仮に英国のような形で高効率の天然ガス火力を中心に運用したらどうなるであろうかということ。これが一つの政策オプションになるのではないかということで、7ページ以下以降にお示ししてあるわけです。我が国の場合の現在の発電設備の範囲内でということで、これは新しく天然ガスの施設をつくるという意味ではございません。2010年までに運転開始される設備の範囲内でのことであります。それから天然ガス火力があるところ、ないところ、これは電力会社によって違いますので、そういうものを見た上で可能な範囲で高効率の天然ガスを中心に発電を行うというようなシミュレーションを環境省で試算してみました。
 試算してみたところ、この表に掲げられているとおりであります。この表は左側の従来の石炭ベースの場合ということで、火力発電の中で従来のベースで見ますと、石炭が大体64.3%ぐらいの設備利用率、天然ガスが50.3%ということにとどまる。これを天然ガスをベースにして焚いたらどうだということで右側の表になるわけでありますが、天然ガスでは59.3%の利用率、それに伴い石炭が50%に減るということになります。こうした運用を行うことによって、発電量あたりのCO2原単位が0.332から0.314ぐらいまで低下する。それに伴いCO2の1,920万t程度の削減効果を認めるということになっております。
 ただし、これは天然ガスを石炭、石炭を天然ガスに変えるということでありますので、燃料費の問題が出ます。燃料費の問題として追加的に燃料コストが生じるわけです。今言いましたような上の2つ表のケースで差額を見たときに、年間1,384億円の追加的なコストが発生すると、そういう計算もあります。こういったコストが生じるということについて、これをどういう形で負担するか。その合理的な負担方法についての社会的合意がなければこれは実現できないことだろうということでの課題としてここに書かさせてもらいました。仮にということでありますが、この額を電力料金全体に広く転嫁した場合、価格上昇というのは0.25円/KWh程度、それから電灯ということで家庭、業務を中心の区分ですが、ここに転嫁した場合は、0.81円/KWhという値が出てくるということで、これは一つの試算でありまして、これが1つ目の政策オプションであります。
 2つ目の政策オプションとしまして、既存発電施設の能力向上をしたらどうであろうかと。現在いろいろな発電所の効率向上に関する研究がいろいろな研究所の方から挙げられております。いくつかここに書いてありますが、タービンブレード交換あるいは復水冷却熱交換器交換あるいは深層水の冷却水利用、これは熱の差が大きくなればなるほど効率が上がりますので、冷たい水を使うという意味での効率アップ。それから所内電力の削減などを含めてこういった政策が出ることにより、火力発電の効率を平均3%程度、所内率を3%程度改善できるというような指摘があります。こういった施策を仮に大規模に導入された場合は、最大約850万tぐらいCO2の削減の可能性はあるのではないか。
 今、火力についてお話ししましたが、こういった対策につきましては原子力発電所についても適用可能であろうというふうに思っております。こういった対策を原子力発電所に適用した場合、出力は最大5%向上するというような指摘もありますので、その場合は1,000万tを超えるようなCO2削減のポテンシャルがあるというふうに考えております。
 これらの対策は当然設備の入替えということになりますので、コストの問題というのがあります。これを解決する必要がありますし、それから特に原子力発電所の場合は制度上、再認可の手続き的な面の問題があります。ということも含めて広く議論していただき、大綱の示すような目標でありますところの原単位数字を確保するということに向けて、いろいろ議論をしていただければ大変ありがたいというふうに思います。以上です。

○浅野部会長 それでは、ただいま資料の3について御説明いただきました。エネルギー供給部門についての対策・施策の見直しについて、現段階での事務局としてとりまとめたものを御説明申し上げました。これについてこれから御意見をいただきたいと思いますので、どうぞ御発言を御希望の方は名札をお立てください。
 よろしゅうございましょうか。三橋委員はよろしいでしょうか、そちらから当てようと思っているのですが。それでは福川委員どうぞ。

○福川委員 1つはソーラー、太陽光、太陽熱の利用ということですけれども、例えばドイツの経済省にソーラーができていて、いわゆる再開発について徹底的にやっています。それから業務用のところ、住宅もそうですけれども、ビルについても徹底的にこういう太陽光を利用させるということにもっと力を入れていく必要があるように思います。
 それから先ほどからもいろいろ出ている御議論ですけれども、コストとの問題、経済性との問題を十分にしていかなければいけないし、どちらかといえば電力の料金の自由化ということが政策として進められている中でこういう負担を求めるということにもなると、この政策の組み合わせが非常に難しいことになると思います。したがって、もう少し経済性との検討で、どうやってこの経済性と政策をうまく誘導していくかということが重要になるように思います。
 それから、これも今までに出た御議論ですけれども、大きく効果を上げるとすればやっぱり原子力という部分に相当多く頼ざるを得ないし、またそうすべきだというふうに思っていますが、これについては、またいろいろ対策が必要になってまいります。安全性の確保対策ということも必要でありますし、ピークカットの対策も必要だということで、これも相当大きく対策として重点をおいていく必要があるように思っております。いずれにしても、この価格対策ということが重要なことになりますから、これは現実の動きとして全体のエネルギー政策の中でも、またこの関連を十分検討して施策を練り上げていく必要があるように思います。とりあえず以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。平尾委員お願いします。

○平尾委員 質問は2点です。1点はLNGと石炭の日本の比較があるのですが、英国の石炭と天然ガスとのコスト格差といいますか、日本での格差に比べてどういう状態なんだろうかなということを知りたいのと、もう1つは、日本は天然ガス、石油がずっと下がっております。英国は97年か98年に大きく十何パーセントぐらい落ちております。その中で石炭と石油を分けたグラフがあればなと思うのですが、そこでスポッと落ちている1997年というのは何が政策転換にあったのだろうかということが、もしお分かりであれば教えていただきたい。

○浅野部会長 永里委員。

○永里委員 一番最後のページの原子力の出力向上についてなのですが、この原子力の出力向上というのは非常に重要だろうと思いますが、導入に当たっての課題ということにもあるとおり、ちょっと時間がかかりそうです。それよりも稼働率の向上を図る方が現時点では有効な対策ではないかと思います。具体的には今13カ月に一回の定期検査を行っているのですが、これを安全性をチェックして外国のように定期検査の間隔を延ばすことをしたらどうなんでしょうかと思います。ちなみにアメリカは24カ月です。

○浅野部会長 武内委員。

○武内委員 地球温暖化政策が地域の環境政策とかあるいは地域づくりそのものと密接な関係を持っていることは、温暖化対策への実効性を考える上に非常に重要だと思うのですが、そういう観点で4ページから6ページに書かれている風力発電、バイオマス発電等についての地域の視点の導入促進という、一応私はここに書かれていることはもっともだと思うのですが、ただ地域間のエネルギー融通のネットワーク云々ということをいうよりも、まずそれ以前に、いわば地産地消な意味でその場所で生産されたエネルギーは基本的にその場所で賄うというふうなことを原則にしたクリーンエネルギーの利用の促進と、そしてそのクリーンエネルギーの利用が同時にその主たる発生地域である日本の過疎地域における一種の雇用を含めた地域振興政策と結びついていくというふうな観点がより強化されていかなければいけないんじゃないかというふうに思っています。
 これはこのままでいきますと、日本の新エネルギーというのはこの程度だというふうな、そういう議論にしばしばなりかねませんので、そうでないような方向にむしろ促進していくためにも、やはり地域づくりあるいは地域関係という視点をより強化していただくということが重要であると思います。これは例えば東京都の場合には地球温暖化政策と、それから地域のヒートアイランド政策を結びつけているように、いわばそれの地方版といいますか、過疎地域版というような形でかなり明確にセットとして提案していくということが重要なのではないかなというふうに思っておりますので、意見として申し上げたものです。

○浅野部会長 ありがとうございました。高橋委員。

○高橋委員 ありがとうございます。我々つい忘れがちなんですけれども、1979年に国連新再生エネルギー会議というのが開かれまして、これは新エネルギー、再生可能エネルギーという分野に特化して開かれた会議でございまして、これの準備委員会の委員長を日本がやりまして、国際社会ではこの新エネルギー、再生可能エネルギー分野は日本アイテムだということに非常に一般的な印象としてなっております。
 ところがこの分野の進展というのは非常に遅々としてこの二十数年経っても進まないということで、我々はほっかむりしていますけれども、これはかなり日本に責任があるというように思われていますので、それを念頭においた上でこの分野のことを含めた今後の対策を考える必要があるだろうということ。これ1点指摘しておく必要があるかと思います。
 質問は1点でして、これは太陽エネルギー、その導入に関してなんですが、導入に関してのコンステートがどこにあるのかというのは国によって非常に違うと思うんですね。日本の場合何だろうかということをかなり明確に分析しておく必要があるだろうと思います。それでないとその政策対応というのはどこか狂ってくるかもしれません。基本的にはコストとか痛みとか安全とかそういうようなことがあるかもしれませんが、例えば太陽熱、パネルなどを屋根に付けるというようなことに関しまして、フランスの南部では太陽が豊かなのに導入が非常に遅れている。なぜなんだろう。調べていったら非常に明確な回答が出たということです。それはどうもこれは美観を損ねるということなんだそうでして、その場合には美観を損ねるのだったら美観を何とかするための工夫というのは何なのかということになる。
 結論が先ほどからそれが一つの仮定のようになっているようですが、日本の場合にはコストだったらコストを下げるということになってくると思います。もしかしたら、状況によって安全ということもあるのかもしれない。そのあたりのことはあまり簡単に仮定を立てないで、ある程度はっきりした調査をして、その上でそれに対する対策をとっていく必要があるだろうと思います。それは個々のエネルギー源に関して必ず言えることだろうと思います。そのコンステートは何なのかというのを非常に明確にしていく必要がある。それがこのドキュメントでは必ずしも出ていないというふうに私は感じます。以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。須藤委員、お願いします。

○須藤委員 1点だけ申し上げます。新エネルギーの場合、立地条件によって決まるというのはここに書いてあることで当然なんですが、この場合にやはり地域の視点でいいんですが、特に市町村の役割というのが大変私は重要だろうと思いますので、市町村がこういう方面の導入にあたって役割が演じられるような仕組みをつくるべきではないかと思います。

○浅野部会長 小林委員。

○小林委員 新エネルギーの導入促進にあたっての少し細かい問題なんですが、何点かお願いしたいと思います。まず、3ページのところなんですが、住宅用の太陽光発電の導入に関する補助制度ですが、最近普及が進んできたという理由のもとに相当補助率が下がってきている。そのことがまた逆の抑制になっているのではないか。今の進んでいる理由をもっと進めるために補助をもう少し緩和をして、補助率を上げるまたは補助額を増やすということを、是非やっていただきたい。これをしないとここでブレーキがかかるのではないかという心配をしております。是非、お願いをしたい。これは16年度また予算が厳しくなってきます。それが1点。
 それから2点目は太陽熱温水器なんですが、これを推している最大の理由は何かというと、住宅用のエネルギーの管理技術が相当向上してきているのですが、その技術向上に合わせて太陽熱温水器の技術が進んでいない。そのために先ほどお話あったようにマッチングしていないという問題がございます。ここのところの技術開発を是非お願いをしたい。これが2点目です。
 3点目はそういう自然エネルギーの購入の問題なんですが、できましたら各電力会社ごとに一定枠の自然エネルギー、再生エネルギーの購入枠を決めていただいて、その分は少し価格を上げて購入していただく。その上げた購入料金については電気料金に転嫁してもいいというようなシステムを是非お願いしたい。これをしなければやはり採算が合わないという問題がございますので、是非、太陽光パネルも含めて10年ぐらいで採算にのるようなそういうシステムを是非お願いをしたい。
 それから4番目は、風力発電等でございますが、ここについて是非お願いしたいのは、風力発電をつくるに当たって今一番大きな障害になっているのが何かというと規制なんですね。自然公園法のような規制が厳し過ぎて、風があるところが大体自然公園なので、そこに立てられないという問題がございます。是非、風力発電を自然に馴染むという発想で規制緩和をお願いしたい。
 それから5つ目が未利用エネルギーなんです。これは結構あるわりにほとんど使われていないというのがございます。是非ここのところの技術開発を。それから導入できるシステムを工夫をしていただければ相当進むのではないかなと思っております。以上です。

○浅野部会長 茅委員どうぞ。

○茅委員 2つだけ申し上げたいのですが、電源の問題なんですけれども、1つは原子力でこれは先ほど永里委員がおっしゃったこととほぼ同じですけれども、設備利用率が現在80%ちょっと超したという段階にきているのですが、世界的に見てももっと上げられる可能性が高い。アメリカの90%というのはやや上がり過ぎた気もしますが、日本でも一昨年の関電あるいは北電の90%を超したという例があります。たまたま条件が重なったということもありますけれども、今後を考えた場合、設備利用率を上げるということは安全性の問題を犠牲にするということはまったくなくて、むしろやり方によって十分上げられる問題だと思うので、この辺は考えていくべきだと思います。例えば5%ぐらいの設備利用率の向上は新設3基の意味を持っておりますので、非常に大きいということを申し上げます。
 2番目で一番難しいのが石炭火力の問題なんですけれども、石炭火力はCO2の排出にも原単位が大きい。これはもうよく分かっていることで、しかも現状では石炭火力の比率がどんどん上がってきている。これが最下の問題なんですが、一方において一昨年成立いたしましたエネルギー基本法の中には3つの条件が出ておりまして、供給の安定化、それと環境への適合、さらに市場原理の適用という3つの条件が出ているわけですね。
石炭の場合見ますと、この中で環境問題は今申し上げたとおりですけれども、安定供給という面から見ますと圧倒的に資源量が多くて、しかも広く世界に分布している。それから市場原理という点からしますと、コスト的に安いために今非常に広がりつつある。特にPPS、IPPと出ているのはその理由があるわけです。ここにたまたま石炭火力と天然ガス火力のベースとミドルのひっくり返した計算が出ておりますが、これは計算してみるとすぐ分かりになるように、CO2t当たり6,000円、カーボンt当たりですと何と2万4,000円の負担をするのと同じ意味になるので、これはとても大きな価格差があるということが分かると思います。
 そういった意味で、やはり単純に石炭火力の稼働率を下げればいいというものではないということを申し上げたいと思います。むしろ今申し上げたような3つの条件を、できるだけ裏切れないような方法で何とか石炭から目を離し抑制する方法がないか。例えば海外の値を使う。つまり京都メカニズムを使うというのも一つの方法かと思いますが、そんなことで、ただ環境という問題だけで石炭火力は処理できないということを申し上げたいということです。以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。大塚委員どうぞ。

○大塚委員 2点申し上げたいと思いますが、1点は廃棄物発電について先ほど2ページのところで清水課長からお話があったわけですけれども、これについてはあまり触れられていないので、是非検討をしておく必要があるのではないかと思います。リサイクルとの関係でどこまで捨てるかという問題も一方でありますので、なかなか慎重な検討が必要だと思いますが、ルーツが必要ではないかということでございます。
 それからもう1点は電力のことでございますが、5ページにありますようにCO2排出原単位2割減というのが自主行動計画でもお出しになっているところだと思いますので、是非、項目を達成していただければと思っております。5ページ以下に書いてある先ほどのこの御説明で納得をされるかどうかは必ずしも分からないところがございますが、是非、これではなくても、結論は2割原単位削減というところに向かうように、御相談、御検討をいただいてやっていただければと思っています。
 今、茅委員からも非常に総合的な石炭火力についてのお話がございまして、そのとおりだと思いますけれども、やや問題がございますので。今、たくさん石炭火力発電所をつくろうとしているという状況がこの間の資料にもありましたように、かつ、そうすると今度は7ページのように利用率を下げるというようなことは経済的にいうと、何が是か非かよく分からないようなところもあり、なかなか難しい問題だと思いますが、環境面からの検討というのを進めていただきたいというふうに感じております。以上です。

○浅野部会長 飯田委員お願いします。

○飯田(哲)委員 私は主に新エネというか供給対策の新エネ部門でコメントします。メモを別途に最後に1枚ものを出していますので、それに沿って手短に説明します。1点目目はその新エネルギーという用語です。これを見直した方がいいということで、中身は書いたとおりですので、これについてはどっかで茅先生も発言されていたというふうに聞いておりますので、これはここだけではなくて政府全体の問題なのですが、これはできるだけ速やかに訂正してほしいということで、内容は御覧いただければ。
発言の趣旨としては、まず1つは住宅だ、業務だとばらばらという形というよりは、むしろ大きく3つの市場に沿って政策をつくる。つまり、電力、熱量、交通。それが大事だということがまず第1点。それぞれに対して市場を活用した実効的、革新的政策が必要と。何をいわんとしているかというと、補助金パラダイムからいい加減脱出しないと日本の政策っていい加減かなり遅れてきているということです。補助金というのは初期事業をつくることには有効なんですけれども、それ以降の継続に関してはあまり有効ではないというのが通説になっていますので、むしろ市場をきちんとつくる。
 電力分野に関しては、今大塚委員がおっしゃったのとかなり趣旨は一緒ですけれども、やはり自主行動計画の2割原単位削減ということをきちんと達成していただきたい。それをするとすれば原子力で頑張るというのもおっしゃるかもしれませんが、前回からのトレンドからいくと、経営上で厳しいのではないか。むしろ自然エネルギーを増やした方がいいだろう。自然エネルギーに関してはRPS法そのものがこれはこれで3年間法律の手が縛られているので、別途補助してはどうか。例えばオーストリアなどはORPSと固定価格制別枠でやっていますから、ただ太陽光とかそれからコミュニティ風車、市民風車とかあるいは1,000KWを超える小規模水力、そういったものはRPSの対象外になる。あるいはそこの中にとても市場に入ってこれないものについて固定価格制で普及を図る。そういったところに石油特会を大量に注ぎ込む。そういった改めて政策が必要ではないかと。ヨーロッパの風力発電の9割は固定価格制でできているわけで、しかもますます増えているのはまさに固定価格制ですから、政策のどちらが有効なのかということを検証する意味においても非常に有効だというふうに思っています。さらに景気の低迷で省エネではなくて温暖化対策省電力課徴金のような形、これはデンマークで一度検討されたのですが、そういった制度を検討してはどうか。
 で、裏にいきますが、熱利用に関しても太陽熱、それからバイオマスも含めてあるいは家庭用ガスコージェネなども含めて、この熱利用分野でリニューアブル及びコージェネの排熱を使う仕組みをやっぱり市場をつくって普及させる。時間が長くなるので中身は省略します。
 交通分野についてもヨーロッパは去年できたダイレクトでこういった2005年、2%、5.7%、20%と非常に野心的な目標値をつくっていますので、日本でもこういう高い目標値を掲げて、すべての税を減免するというのは日本の場合は道路特会とかいろいろややこしい問題があるので、これは今政策検討を別途されているところなんですけれども、バイオ燃料RPSなんかをやってもおもしろいのではないかというふうに思っています。いずれにしても補助金ではなく、補助金というのはあくまで初期の需要形成で、あとは市場である程度自立的に拡大がしていくような、リニューアブルの優遇措置をきちんとつくるといったことをやっていかないと、なかなかこの供給対策というのはいつまでたっても広がらないのではないかというふうに思っています。以上です。

○浅野部会長 ありがとうございます。それでは天野委員。

○天野委員 2つ申し上げたいのです。1つは7ページのコストの合理的な負担が必要になるというので補助もつけられているのですけれども、普通こういった負担が合理的かどうかというのを判断するのにいくつかの基準があると思うのです。
 1つは、やはり汚染者支払い原則というのがありますので、そういったものを適用する。それから2つ目はやはり電力料金全体に適用するということになりますと、国際競争力等に影響が及ぶ可能性がありましてそれを配慮する。それから3番目は負担の公平性という点がありますので、大量に負荷を与えている主体とそうでない主体、それから負担能力のある主体とそうでない主体、それから日本は南北に長い国ですので地域差も当然こういう中に入ってくる。こういったことを含めて基準をつくるというのが合理的な負担だと思いますので、助成金を出すとかいうこととは別に、これだけの大きな問題ですので、まず汚染者支払い原則というのをベースにして政策をつくるというのは一つの考え方かと思います。
 ここで現在の説明の範囲内でというふうに書いてありますけれども、もし将来、設備を変えるというような長期のことを考えるのであれば、当然炭素税のような炭素の含有量を含めたエネルギーの選択を促進するような、そういうことも含めて合理的な負担方法を考えるべきではないかというふうに思います。これが1つ。
 それからもう1つは、今日は御議論がなかったのですけれども、未利用エネルギー、先ほど小林委員からも御指摘がありましたが、たまたまドイツで温室栽培にたくさん使っているのをなくすために地下30mから地下水を汲み上げてヒートポンプで電気に変える。そうするとコストが半分ぐらいになるとかいうわけです。私、技術的にはよくわかりませんけれども、もしそういうことが可能であれば日本は温泉国ですので無駄に捨てている温泉のお湯の熱をどんどん使えるのではないか。当然、温室栽培の野菜、果物、花、いっぱいあるわけですが、それは検討に値するのではないかというふうに思っております。以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。浅岡委員どうぞ。

○浅岡委員 1つはお願いなのですけれども、前のエネルギー転換の検討のときに、燃料別の発電所の建設のグラフと、それから現在の利用状況を書いたグラフを2つ並べて出していただいたのですけれども、あれを石炭火力もたくさんあるし、天然ガスもたくさんあるわけで、それを対比させていただいて番号でも打っていただいて、古いのがどのように今使われているのかとわかるようにしていただいた図を出してくださるとありがたいと思っています。
 その上でのことですけれども、先ほど天野先生からお話のあった7ページの天然ガスの転換の問題でありますが、これで50%から59%に上げるとしまして、先ほどの資料2の観点からいいますと、IEAの予測の極めて内輪の範囲内のところ、せいぜい100億?ぐらい増えるということのようでありますから供給として無理があるということではないのだろうと思うのですが、あとは消費者側としてもこの負担を引き受けていくということを考えるときに、どうしたらいいのかという点も私たち考えないといけないなと思っています。
 これが確かにこうして環境にいいことに改善されて、かつ新たな負担の大きい発電所、原子力などを削減できるという意味で、結局、経営のプラス面もあるのではないかというようなこともなされ、また電力会社としても消費者側により効率のいい機器を利用していくように、そういう誘導策を電力会社としてもしっかり広報あるいは促していただくというようなことなどを組み合わせながらやっていったときに、消費者としてエネルギー消費が若干高くなるとか、それでいくと一世帯数百円ぐらいあるのかなということかと思いますけれども、それを家庭の中で消費を削減してトータルとして政策を考えていけない、それは十分そうした政策を支持するというふうになるのではないかというふうに思っています。
 また、やはりそうしたことを進めていくというためにも、先ほど天野先生からお話がありましたように、適切な石炭への課税というものがしっかりなされなければいけないんだということでもあると思います。

○浅野部会長 青木委員お願いします。

○青木委員 4ページの新エネルギーの導入のところですけれども、新エネルギーの普及啓発を主目的とした公共部門での導入という項目がございますが、普及啓発を主目的ということで、やや遠慮されたような言い方をされておられ、理由があるなら御説明いただければよろしいと思うのですが、先ほどの技術研討会の方では公共施設等への大規模集中導入事業の事業化の問題が取り上げられておりました。これはもちろん、関係省と十分調整をしていかなければならないことだと思います。
 この公共部門というものをいろいろ考えてみますと、道路であろうとか公園であろうとか港湾であろうとか、公共施設も種々あると思うのですけれども、そういったところの自家消費の新エネルギーの活用というのは、これは当然いろいろ考えられると思いますが、まず、そういったところを利用して、さらに自家消費以上のエネルギーを発生させて、それを例えば余剰があれば電力会社に購入していただくというようなことも可能ではないかというふうに考えられますし、特に国レベルであれば、これは国の内部で調整ができる話である程度カウントもできるということだろうと思います。
 それから地方公共団体の方でも既にいろいろ焼却場の熱を利用して周辺のいろいろな施設へ使っているとか、あるいは先日もニュースでございましたけれども、東京の港湾部の公園で風力発電をやっているというようなことがございますが、現にそういう例も多々あるわけでございますから、そういったものをよく紹介されて、さらにそういうものを普及されるというようなことで、ここは単に普及啓発というだけではなくて、もう少し前向きの方向が出るのではないかというふうに思います。以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。桝本委員どうぞ。

○桝本委員 今回の報告は電気事業に対する対策が縷々ございますので、要点に絞って意見を言わせていただきます。まず、一番最初の新エネルギーのところの太陽熱利用ですが、これは電気事業に関わりございませんが、先ほどどなたかおっしゃられたとおり、やはりこれはまだまだ促進する余地がある。特に日本はどういうわけか自然あるいは右側のエネルギーについては、みんな電気にしようというふうに考えているわけで、太陽熱の温水利用だけでなく、例えば乾燥、そうしたものも実は化石燃料や電気を使って乾燥しているというのがたくさんあります。そういう意味では例えばシイタケの天然乾燥、これは付加価値ともども高く売れるというようなこともありますので、私は熱の利用をリニューアブルについて大いに考える必要はあるというふうに考えます。その1つとして、この太陽熱利用については先ほど小林さんがおっしゃられたのでしょうか、まだまだ障害になっていることをブレイクスルーする余地があるのではないかというふうに存じます。
 それから今何人かの方々は強制的にというところ、私は大変引っかかるわけですが、電力会社に対する期待が大変大きいというふうに私はうかがいました。そういう意味ではこの4ページのところで、国・自治体におけるグリーン購入としてのグリーン電力プログラムの検討が必要だということがございます。これは括弧で書いていただいているとおり、実は大企業さんあるいは大きい工場等についてはグリーン電力証書、そして一般のグリーン料金、これはもう既に仕組みがございます。ここにいらっしゃる何人かの方もおそらくグリーン料金などにも御参加いただいて、確か一口、月500円でしたでしょうか、お支払いいただくというようなこともやっているわけで、願わくば、ぜひそうした我々の自主的なシステムに入っていただきたい。
 それからちなみに、このグリーン電力証書は自然エネルギー株式会社で既にいわばビジネスモデル化しておりまして、4,300万KWh、43件のビックビジネスに関係していただいております。ビックビジネスだけではございません。中小の企業も参加いただいているところがあります。この負担分はおそらく1億円を超える、いわばお金を出してグリーンな電力を買うということを既に実行されておりまして、ここで「検討していく必要がある。」とお書きになっている部分を、ぜひ「積極参加をしたい」というふうにお書きいただきいただければというふうに存じます。ちなみに私どもが太陽光発電から全部でおよそ10億円の購入をしているという実績も現在ございます。
 それから電気事業に対する5ページ以降でございますが、まず大きく括りまして、ここで御指摘になっている電力会社、いわば私のおります東京電力のような電力会社以外に自家発電と蒸気利用の事業がございます。確か我々の分で7割弱、ですから二十数パーセントはそういう分野もあるわけで、ここで電力会社を縷々御検討いただいて何となく私どもは面はゆいような、何か変だなと思うような感触もあるわけですが、二十数パーセントの残されたところについても御検討の対象にしていただきたいというふうに存じます。
 細かく一つひとつ入りますが、まず5ページの「2割の改善」、これは90年比に対して2割の改善という原単位の目標を掲げ、我々のボランタリー目標としております。その実現については補完的措置を含めて何とか実現を図りたいという努力をしております。ただ、ここでいわれている73.6g-C/KWh、この数字は水準としては私どもが承知している数字ではございません。平成13年に総合資源エネルギー調査会の長期エネルギー見通しの目標ケースとして掲げられたものに確か合っていると思いました。そういう意味でこの数字と違う数字が私どもは目標値としてあるということを、2割削減を努力するということと同時に申し上げたいと思います。
 それから5ページのちょうど真ん中あたりに「電力需要が大綱の想定どおりであった場合には」、これは想定どおりではありません。既に16年度の供給計画で私どもは600億KWh弱程度、2010年の発電量を下方修正しておりまして、その下方修正分をCO2に現在の平均で直しますと、ほぼこの二千数百万トンに相当するCO2が減るというような需要減を予想せざるを得ないという実態もございます。
 それからその次に、「現時点における老朽石炭火力発電の天然ガス転換の事例が見られず」、これは16年度の供給計画を是非精査をしていただきたい。具体的には例えば中国電力の水島だったと思いました。それから東北電力の仙台火力、こういうところではここに御指摘のとおり、石炭あるいはほかの燃料から天然ガスの転換をするという計画を既に持っております。
 それから6ページになりますが、イギリスのことについてここに解説がありますが、実はイギリスは199年代に入りまして、ようやく北海のガスが入ってくるというような事情が固有事情として高まった。そういうこともありましてこうした事情にあるという背景、何を申し上げたいかというと、二酸化炭素の削減も政策目標の1つではありますが、それがすべてこのグラフで示される状況に反映しているわけではない。国なりの電源の選択、発電ソースの組み合わせ、それを考えての結果であるというふうに、ぜひ御理解を賜りたい。ちなみに依然として2001年のレベルでもイギリスは全体の発電量の3割強は石炭で発電している。これは次第に減ってまいりますが、そういうことでございます。当然のことながら先ほど御説明にありましたように、天然ガスの火力は新鋭ですから非常に効率のいい高効率の火力になってきている。これは当然ここで示されているとおりの現況状況にございます。
 ところが、ここで今日は御紹介はございませんが、前回この問題でドイツについてのグラフもあったかと存じます。今日もここで配布があるようでしたから、今私も探してみたわけですが、参考資料1-2というところの11ページにドイツが出ております。このドイツを御覧いただきますと、ドイツの天然ガス火力はその他火力というところに入っているようでございますから、ドイツは原子力をフェードアウトしよう。あるいは天然ガスを使うという中にありましても、やはり石炭火力は我々と同じとは申しませんが、非常に高稼働にあるという実態もある。環境ももちろん重要な制約要因ではありますが、そのほかの要因もあって電源の選択が行われているということでございます。
 それにつけても、次のページの7ページで示された数量の試算値でございますが、非常に示唆に富むものではありますが、私は、是非こういう数値を公の機関、国のこうした重要な審議会でお出しになる場合には、是非お願いは電気事業者あるいは電気事業連合会、私ども東電でも結構でございます。御相談をいただければそれなりに我々のいわば事業運営上の専門的な立場から御意見も申し上げられるなというふうに存じます。これはこれで間違いとは申しませんが、ある前提をおいたシミュレーションとしてはいろいろな形があり得るということでございまして、これがここにいらっしゃる皆さま方に何かいかにも実現性があるというように受け止められるのではないかと恐れるものでございます。
 先ほどどなたかがおっしゃっていただいたように、電源の選択は決して環境だけで決められるというものでは残念ながらございません。その点を是非御理解を賜りたいと思います。さらには、そのあと追加コストの電気料金への転換まで指摘をしていただいているわけですが、先ほどどなたから御指摘がありました。茅先生でしたでしょうか、6,000円から7,000円ぐらいのトン当たりのコストです。このコストが適正かどうかというようなことも当然のことながら考えないといけないというふうに、私どもとしては思わざるを得ません。
 それから7ページの一番下「既存発電施設の能力」、これは実は非常に重要なところです。例えばタービンブレード交換による効率向上、これは既に私どもは二十数年前に実施をしておりまして、ほぼ既に完了している技術でございます。東芝機械がCOCOMで問題になりましたが、局面の非常に高度な切削技術の最適化技術ができ始めておりまして、それを使ったタービンブレードの製造が進みました。それにどんどん取り替えるということも既に実施しております。
 それから所内電力の削減、これも非常に重要なことで指摘は間違いではございませんが、これは我々のコストダウンそのものでございますので、既に多様な形でいろいろなところで進められているということを、是非御理解賜りたいと存じます。
それから原子力の効率向上ですが、これは先ほど御指摘がありましたので。ちなみに日本全体で51基、稼働率を1%向上いたしますと二酸化炭素量で400万t弱の二酸化炭素の排出の削減が可能になります。この実現のためには、特に経済産業省原子力安全・保安院等の諸制度や仕組みの変更などのお願いをさせていただかないといけないという側面がございまして、我々としてはいろいろなお願いごともこれからしていく必要があるというふうに存じます。で、事情が許しましたら、これは電気事業連合会から電気事業の部分についての意見を、この次に出させていただくことをお許し賜りたいと存じます。ありがとうございました。

○浅野部会長 ありがとうございました。今の最後の点についてはこちらからも是非お願いをしたいと思いますし、それから既存の、もう既に終わっているものをここであたかもこれから削減の可能性があると書いてしまうのは非常にまずいわけでありますので、これは終わったということについては、可能な限りデータを事務局にお示しいただければ、それを考慮したいと思います。
 それでは、三橋委員、安原委員が先ですので、そのあと桝井委員にお願いします。

○三橋委員 新エネルギー対策を強化している上に当たって、さまざまなインセンティブをやっぱり設けないとそれは難しいと思うのです。目標だけを掲げて増やしていくというような議論をしてもね。したがって、温暖化対策税も含めた経済的手法というようなものの中で新エネルギーを普及させるためのインセンティブというものを、やはり考えていかないと、なかなか思うように普及していかないというようなことが第1点として指摘したいと思うのです。
 このインセンティブについては先ほど飯田委員が補助金の話をしたけれども、補助金は初期需要をつけるには効果的なんだけど云々というようなことをおっしゃったけれども、では、初期需要がついて新エネルギーがもう普及していますかという疑問があるわけですよ。初期需要はまだ十分ついていないんですね。したがって、やっぱり今の段階では補助金をつけて新エネルギーをさらに普及させていくというような、まだ段階なんですよね。あまり公式論的な言い方をして補助金はよくないんだというような形は、私は好ましくないと思うんですね。やはり今、さまざまな新エネルギーを普及させていくためには税制措置も含めたほかに補助金というのも、まだ非常に今の段階では効果があるわけですね。だから補助金がけしからんというのは経済学者が言うわけですけれども、その場合には初期需要がどのくらい出た場合に、もう補助金はいらないよとか、そういうような議論をしないと、何か初期需要さえついていないのに補助金が具合悪いみたいな議論というのは、私はおかしいと思いますね。
 それとインセンティブをつけるというもう1つの方法は、福川委員がおっしゃったように、やはり公的部門というか、そこではもうかなり強制的に新エネルギー対策というものをとるような政策というものを実行していくというようなことは、非常に大切な指摘だったんだろうなというふうに思います。いずれにしてもインセンティブをつけないと、現状のままでは石油をはじめとする化石燃料の利用の仕方がやっぱり安価でやりやすいんですよね。そういう中で新エネルギーをさまざまな形で普及させるというのは至難の業ですよね。
 それと特にバイオマスエネルギーなんかを使った場合には、地方の特性というようなものを相当考慮しなければいけないので、一律的な対応ではなくてその地域、その地域に合ったような対策というようなもの、先ほど武内委員もおっしゃったと思うのですが、そういうことでやっぱり非常に個別的な対応というものが、特に分散型エネルギーの普及のためには必要だと思うんですよね。そういうきめの細かいインセンティブをいかにつけていくかということを、この大綱の見直しの中では是非検討していただきたいなというふうに思います。

○浅野部会長 安原委員どうぞ。

○安原委員 私からも自然エネルギー、太陽光発電の大幅普及について具体的な方策をもっと考えるべきであるということで、発言をさせていただきたいと思います。
 確かに今のRPS法とか電力会社による買取制度というのは仕組みとしては非常にいい仕組みであるとは思いますが、RPS法の目標がここにございますように0.3%のものを2010年ですか、1.35%に上げていくという目標になっているわけですね。それすらなかなか今のままだと到達しないということでしょうけれども、あまりにもその全体水準が低過ぎる。しかしそれが現実ではないかと言われればそうなんですけれども、だからそこは政策をもっと考えることによって大幅に引き上げることができるのではないかと思うのです。
ヨーロッパなどはいろいろ事情は違うのでしょうけれども5%とか10%とか、そういう大きな目標を大胆に掲げて、そのための政策努力をしているわけですよね。日本もどのくらいがいいかは別としてかなり思い切った目標を設定して、そして努力していくというスタンスが必要ではないか。
 と申しますのは、太陽光発電について今の価格でいえばじっとしていても電力が供給されるのに、そのクリーンな太陽光発電を自らやりたいということであれば二十数年分ぐらいの電力料金を一括前払いしなければいかんわけですね。それができるのは住宅を建てると同時にそういう負担ができるのは相当裕福な人に限られてくるということではないかと思うのです。したがって、個々人に設置を期待するのもいいとは思うのですけれども、もっと事業者として真っ正面から取り組んでいただけないかと。電力会社は結局長期の設備投資をして安定的に電力を供給することを責務としている会社なんですね。ですから、太陽光発電についても買取の分もいいんですが、大きな目標を掲げた場合、自らがその設置にあたっていくと。他の人が発電したのを買い取るだけではなしに、自ら発電に取り組んでいくというぐらいのスタンスを持ってもらえないかと思うわけです。
 そうしますと、それは非常に割高だと。電力会社が割高分を全部背負うことはなかなかできないということと、それから設置する空間を電力会社が持っているわけではないということになると思うのです。だからこの2つをやっぱり解決しなければいかんのではないかと思います。その場合、福川さんもおっしゃったように、公共部門で今何も使っていない空間というのはあるわけですね。例えば小中学校は全国で何万校あるんでしょうかね。その屋根は使われておりませんし、JRをはじめ私鉄の駅舎の屋根も一部は使われているでしょうけれども、ほとんど使われていない。それから道路の法面の日当たりのいいところも使われていない。東海道新幹線を走れば周辺にずっと大きな事業所が並んでいますが、その屋根も何も使われていない。そういうのを電力会社と話し合ってもらって、その空間を提供してもらうと。そこにどんどん大規模に電力会社が太陽光発電を設置していくということはできないのかと。
 そういうことをやれば大量生産が発生して、もっと値段が下がってくると思うんですね。ところが下がっても、なお割高分が残るのであれば、その割高分を電力会社だけに負担してもらうというのは、それは酷じゃないかと思います。それはやっぱり消費電力に応じて電力消費者が応分の負担をしていく。そういう割高分の負担転嫁ができるようにするということではないかと思うんですね。そういうRPS法の目標を高く掲げて、そしてそれをバックアップするような今の空間の確保、それから割高分の負担調整、そういう仕組みをセットにする。そういう仕組みを検討していただけないかなという感じがいたします。
 それから先ほどの、今石炭利用が進んで天然ガス利用が進んでいないという話がございますが、やっぱりこれを進めないと本当の意味で電力部門からのCO2の発生の抑制はなかなかむずかしいのではないかと。やっぱりこのぐらいのことを考えなければいかん。しかし、日本は確かに島国ですから全部輸入に頼っている。天然ガスをLNGの形でやる。したがって、長期投資が必要になって価格がかなり高いと。だから石炭と比べればどうしたって割高になる。では、これだけの電力自由化が進んでいる中でなかなか高コストのものをどんどんやることはできないじゃないかという、確かにそれは今のまま放置しておいてはできないと思います。しかし、温暖化対策のために電力会社にCO2の抑制のためのアクションをとってもらうという意味では、これは中心的な課題になる問題だろうと思います。だからやはり何らかのCO2対策の目標を設定して、それに向かって努力してもらう。そのためにコストアップ要因が生ずれば、それを電力消費者に負担してもらう。転嫁が可能なような仕組みをつくると。何か工夫すればそういうことはできるのではないでしょうか。確かに社会的合意を得ないとできない話ですが、社会的合意を得て、ぜひ何か具体的な仕組みをつくっていただきたいと思います。以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。桝井委員お願いします。

○桝井委員 三橋委員の意見に近いわけですけれども、ここまでに原子力につきまして既存のものをとにかく電力会社の方も1%稼働すれば増えるんだという形、あるいは逆に原子力が大事だという意見がいるわけですが、できたものを使うという話はあっても新しくつくろうというような元気のある話は全然なかった。プラス電力会社はもう原子力発電を新規につくろうというような気どころか、何といいますか老朽の施設についてはそれを撤去というか費用に電力料金の上乗せをいうぐらいの事態になっている。
 そこで新エネルギーをどういうふうに今後もっていくのかということが非常に重要だということが言いたいわけで、三橋委員のおっしゃるようにいかにインセンティブをいい形でつけていくのかと。これも究極的には大きな図案でいけば温暖化対策税というものをおいた中でいろんな形のインセンティブをつけるというのが基本的な構図ではないのかというふうに思います。でも、そこまでいけないので、今の段階ではどうするのかということで、やはり安原委員のおっしゃるようにRPS法というのをせっかく掲げたのに目標が低過ぎると。これを実際にもう少し活用できるような、あるいは電力会社が買取を含めてこれをもう少し拡大する形が必要だということで、飯田委員のおっしゃった石油特会、環境省にも何か最近は特会もあるわけですけれども、ここらの補助を含めたものをやはりもうちょっと考えるべきではないか。
 最後に、新エネルギーについて書いてあるわけですけれども、これだけ個別に書いても仕方がないと思うんですが、やはりこれもどなたか委員のおっしゃったように、これを進めるについてはミックスというか地域を含めていろんなものをミックスした形というか構造的なものが一番意味がある、あるいは有効なものになろうかと。究極的には自然エネルギーを使って水素をつくる、あるいはその地域でそれをいかに利用するか。より高いものをつくるか。そこはちょっと個別ばかりではなくて総合的な形の実現可能な近い未来に、将来可能な形という期待もつけ加えていただきたいと思います。以上です。

○浅野部会長 佐和委員。

○佐和委員 いくつかをむしろ委員の方に、茅先生に質問したいのですけれども、まず最初に、この7ページの表というのは、これはちょっと行き過ぎると思うのです。といいますのは、これは単に天然ガスの稼働率をこの場合は9%上げるという数字を与え、電源構成及び必要な総発電量というものを、それも与えた上で。そうすると、つまり仮にX%天然ガスの稼働率を上げるとすれば、そのとき石炭の稼働率はXの関数として同様に何パーセント減ったというだけの話なんですね。そしてそのXに応じて下の計が持ち上がってくるわけで、たまたま9%としたときにこうなりましたというだけの数表であって、何かあまり9%ということでは根拠がないからこの表はちょっと行き過ぎるのだと思います。
 それからもともとこの辺は、間違ったら茅先生に注意していただきたいのですが、基本的に原子力とか石炭というのが電源としてはいわゆるベースロードな役割を果たしていて、天然ガスとか石油というのはいわゆるピーク対応になっているわけですね。したがって、役割が違うわけですね。先ほど桝本さんが御指摘になったドイツの例などを見ると、石炭と原子力の場合は稼働率が非常に安定して、どんな火力でも低いというのはこれは負荷調整のために使っている電源という意味ですね。ですから、本来役割の違う電源をこちらをこっちへパーセントを移したのと同じだという議論はちょっとおかしいという感じがするんですね。
 それからこれは桝本さんあるいは茅先生に質問なんですが、原子力の稼働率というのは結局は定期点検ですね。定期点検の期間をどうするかということによるわけですね。ですから、そこをもう少し高めるようにしてほしいとおっしゃると思うのですが、やっぱりそれはその辺の定期点検に関連して、今のよりもっと短くていいということなのかどうかということですね。
 それから先ほど補助金の問題について飯田さんと三橋さんで違う意見が出されたわけですけれども、私はやっぱり補助金というのはよくないと思うんですね。それよりはむしろ、買い上げる電力の料金を高くすると。韓国でも1.5倍ぐらいの値段で買っているわけですね。今日本の場合は25円なら25円で電力会社に買ってもらうということは、昼間ためておいてもらって夜返してもらうということですね。そうではなくて何十パーセントか高くすると、5倍の値段で買い取るというところまでやらなくても、そしてもちろん、その差額分というのは国が負担するというような方式をもっと考えれば、その行政コストが安くてすむ。補助金を配るというのはやっぱり行政コストが高くつくと思うのです。
 それから先ほどちょっと申し上げた天然ガス云々等にも関連するわけですが、もう少しロード曲線を平準化することが一つのやっぱり重要な政策になると思いますので。例えば今どきですから、各家庭で希望があれば、今1KWは何円ですよというのが電光掲示のようなところに出るというようなことを、希望者にはそういうものを取り付けるということは十分可能なんですね。ですから、そういうようなことをむしろ積極的に対策として進めていただければと思います。以上です。

○浅野部会長 飯田委員が先ほど三橋委員の……。

○飯田(哲)委員 はい、簡単に。今、佐和先生に御説明していただいたとおりなんですが、三橋委員のおっしゃったインセンティブをつくるという趣旨では全然まったく私も異論はないのですけれども、私が言ったのは、今佐和先生おっしゃったとおり、初期の補助金をできるだけやめた方がいい。これは事実だけ申し上げますと、ドイツは太陽光に関しても初期の補助金はありません。風力に関してもありません。しかしながら太陽光はことし1年で20万KWh増えるというふうにいわれています。来年は50万KWh増えると。なぜかというと、この春、法律改正してドイツは連邦全体で大体90円ぐらいで買い取るという形なんですね。つまり、価格補てんというのはEU欧州委員会の裁定で補助金ではないという裁定になっているわけですね。ですから、それはもう電力市場の中で決済されると。電気料金は確かにその分若干上がりますけれども、それは電力自由化の中で削減分の中で吸収されているというデータも出ていますので、大体一家庭当たりコーヒー一杯にもならない1EUROぐらいですから、それは十分吸収できると。
 そういう仕組みをきちんとつくるという方が今の電力会社が身銭を切って25円、これはもういつやめても仕方がない、いわば株主に違反していることなんですね。むしろ、そういうことを政府がきちんとつくらないと市場ができないということを申し上げたいという次第です。

○浅野部会長 この辺のところは1つは庶民感覚でどちらが分かりやすくて飛びつきやすいかということもあって、三橋委員のおっしゃっているのは、むしろそういうようなことだから、永久にそれをやるということではないし、それから飯田委員がおっしゃっているのも、またその文脈の中の話ですから別に対立しているとは思わないのですが。

○飯田(哲)委員 そうです、インセンティブをつくるという意味では一緒です。

○浅野部会長 いずれにしても、これは別に意見が分かれているという類ではないと私は理解しております。
 さて、桝本委員どうぞ。

○桝本委員 まず、一番簡単なところから。原子力の稼働率ですが、例えば定期検査には平均に60日、2カ月かかる。つまり12分の10しか動かない。こういうことでございますので、定期検査をできるだけ短縮して短くやり、例えば20日間と。12カ月分の20日間というようなことになれば、その分稼働が上がるということが第一ですが、当然トラブルで止まるようなこともできるだけ少なくしていくと。いずれも大前提は安全をしっかり確保するということでございますので、その安全の確保が担保される形で仕組みを変えていただくということをお願いしつつある。あるいはこれからお願いするといったらいいでしょうか。そういうふうに考えているというのが実際でございます。我々は相当短くできる。
 それからさらに、定期検査と定期検査の間を長期化する。先ほど永里委員から御紹介いただきましたが、今日本は13カ月という法的規制がございます。アメリカでは二十数カ月に及ぶ間続けて動かしていいという仕組みになっております。これも当然のことながら安全をしっかり担保しながらですが、高稼働の源泉は定期検査を短くすることと、定期検査と定期検査の間の日時を長くするというこの2つでございます。
 それから佐和先生おっしゃったロードの負荷、電気の使い方の平準化、これはこのとおりでございまして、これからも非常に重要なテーマです。特に関東圏のような非常に大きな電気を使う消費地では深夜の時間帯と昼とではおよそ倍の電気の使われ方が違います。それがためにコストが上がるという現実があります。この電気の使い方の平準化は一層努力し、コストを下げる。結果してそれが二酸化炭素削減にもつながるというふうに私どもも考えております。
 それから皆さまの何人かの方々からリニューアブルを高く買い取れと。これは大変悩ましい。それから安原先生からは電力会社でやれというお話がありました。私どももそれなりにやっております。しかし今の技術では残念ながら非常に高い。高いのを実験的、試験的にやることは我々としてはできますが、それ以上にビジネスとしてやるには我々は逡巡せざるを得ないというのが実際でございます。
 それから高く買い取れ。これは皆さまのような方々がほとんどの消費者であれば、高く買い取ることはやぶさかではございません。しかし、一方で安くしろという御要請も非常に強い。ちなみにIPPやPPS、これは私どもに電気をお持ち売りしている方々や、それから新規参入を競争の中で激しく安い電気料金でやろうとする方々の中に、相当分石炭があるということが現実でございまして、私としては皆さまの御意見も承りながら、しかし一方でコストを下げ、電気料金を安くするということも我々の仕事だということに、是非御理解賜りたいと存じます。
 それから桝井先生から新規の原子力の話がなかったと。これは実は私が申し上げなかったわけで、この前に配られた資料、今日参考資料1-3で配られておりますが、その中に確か表があったと思います。これが現実の姿でございまして、19ページでございます。16年度の供給計画でも2010年度に動くものは6つあるということで、電力の消費需要の見通しが下方修正相次ぎまして、結果して原子力に限らず火力等の開発計画も繰り延べ、繰り延べをいたしました。そうした結果と地域事情がなかなか難しいという事情から、結果してお約束の十数基が5基になっているというのが現実でございまして、我々としては事情が許せば原子力の新設を続けたいというふうに考えていることには変わりございません。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。御議論が必ずしもかみ合っているとも思えない面があります。というのは、つまり委員の大方の出された御意見は、現在のシステムをそのまま固定するということではだめだという前提で話をしておられる。一方では、現状はこうだから空想、考えではどうにもなりませんというお話ですから、これは必ずしもかみ合っていないと思うのですが、今日はここについて結論を出すという日ではございませんので、とりあえずどなたの御意見もお受けするということでやってまいりましたが、退席された委員から私に警告がきておりまして、重複する意見が非常に目立つ。前の人がしゃべったのと同じことを次の人が同じようなことを繰り返すのはまずい、部会長としてちゃんとコントロールしろということであります。私はできるだけ言論の自由は封殺しない方針でおりますので、だまってお聞きはしておりますが、そういう感想をもっておられる委員もいらっしゃることは、是非皆さん御留意をいただきたいと思います。
 さて、事務局もちょっと一言、二言何か言いたいといっておりますので、申し訳ございませんが、二、三分いただきます。

○清水地球温暖化対策課長 今日いただいた御意見の中には質問を含む御意見がありましたので、今後に活かせていただきます。ただ、佐和先生、私が質問したときにいらっしゃらなかったので誤解なきように言っておきますが、7ページにありました資料の表でありますけれども、これはそれぞれの電力会社の電力構成を全部見まして、その中で天然ガスがどれぐらい、それから石炭がどれぐらい、そういう稼働率を全部見まして、その中で可能な範囲でこうだったらどうなるということで調整してやったものでありまして、単純にこの天然ガスを50から59にして、それに合わせて石炭を合わせたというそういう資料ではないという、そこだけを。

○佐和委員 発電量を見るんでしょう。

○清水地球温暖化対策課長 それぞれを合わせる形にしています。それぞれの電力会社別に可能な範囲で動かすということですが、その可能な範囲というのを導入させるのは、またその判断かと思いますけれども。

○佐和委員 そのことから……。

○浅野部会長 あとでまた、直接に御説明申し上げます。それから平尾委員からの御質問の形で出たことについては、事務局。

○清水地球温暖化対策課長 質問にかかる部分については、また調べて次回以降にお出ししたいと思います。

○平尾委員 桝本委員の御指摘ので、やはり格差が小さいのかも分からない……。

○浅野部会長 ある程度、桝本委員の御説明で平尾委員の御質問のお答になったかと思いますが。

○平尾委員 はい、わかりました。できればあとでお願いします。

○浅野部会長 はい。それでは本日、予定の時間を過ぎておりますとシナリオには書いてありますが、私の電波時計では予定時刻を10秒しか過ぎておりません。次回の部会は現在のところ6月4日の10時からを予定しております。議題といたしましては、大綱の対策・施策の見直しの2回目の審議、中長期的な観点からの温暖化対策技術の検討会での2回目の審議、これを予定しております。それから6月4日までの間、1カ月ぐらい時間が空いてしまいますので、この間にもし追加審議をお願いするような事態が生じた場合は改めて御連絡申し上げます。先ほども申しましたが、他の審議会の審議がなかなか進んでいないという事情がございまして、それを少し見ようということで1カ月間をおくことにいたしました。どうぞ御了承いただきたいと思います。なお、本日の議事録につきましては、事務局でとりまとめまして、後日、委員の皆さまにご送付いたします。
 それでは、本日の部会はこれで終了いたします。ありがとうございました。

午後4時00分 閉会