地球環境部会(第135回) 議事録

日時

平成29年2月10日(金)10時00分~12時00分

場所

全国都市会館 大ホール
東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館2階

議事録

午前 10時00分 開会

○地球環境局総務課長
皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会を開催いたします。私は、事務局を務めております、環境省地球環境局総務課長の角倉と申します。本日は、どうかよろしくお願いいたします。
本日の議事は公開とさせていただいております。
本日は、委員総数26名中、過半数の委員にご出席をいただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告申し上げます。
まず、安井部会長よりご挨拶をいただければと存じます。どうかよろしくお願いいたします。

○安井部会長
皆様、おはようございます。
本来でございますと、オーバーエイジ枠とでも呼べる、そういう立場でございますけれども――受けていますね。なぜか今回、部会長を務めさせていただきます安井でございます。
ご存じのとおりでございますので、何も申し上げることはないのでありますけれども、やはりこの問題は非常に未来を見た話なものですから、今の現在の皆様の立ち位置からの議論だけだと、なかなか進まないなというふうにいつも考えておりまして、それで、場合によってはお互いの立場をスワップして議論をやってみるなんていう、そういうトレーニングもやらないといけないのかななんていうことすら考えておる次第でございますが、ここの場は、そういう場ではないとは思いますが、いずれにいたしましても、熱心なご議論をいただければと思っております。ひとつよろしくお願い申し上げます。

○地球環境局総務課長
安井部会長、ありがとうございました。
中央環境審議会は、本年2月に委員の改選があり、改選後、最初の部会開催と今回がなります。つきましては、新しく参加された委員の先生方をご紹介させていただきたいと存じます。お手元の資料1に、中央環境審議会地球環境部会委員名簿がございます。こちらのほうをご覧いただければと存じます。
新委員のご紹介でございますが、まず、委員といたしまして、上から二つ目に書いてございます、小西委員でございます。

○小西委員
小西でございます。よろしくお願いいたします。

○地球環境局総務課長
続きまして、臨時委員でございます。新しく臨時委員になられた方といたしまして、まず、赤渕臨時委員でございますが、本日は所用のためご欠席と伺っております。
続きまして、伊香賀臨時委員でございます。

○伊香賀委員
伊香賀でございます。よろしくお願いいたします。

○地球環境局総務課長
続きまして、井田臨時委員でございます。

○井田委員
井田でございます。よろしくお願いいたします。

○地球環境局総務課長
続きまして、佐藤臨時委員でございます。

○佐藤委員
佐藤です。よろしくお願いいたします。

○地球環境局総務課長
続きまして、藤村臨時委員でございます。

○藤村委員
藤村でございます。よろしくお願いいたします。

○地球環境局総務課長
続きまして、環境省地球環境局長の鎌形局長より、一言ご挨拶申し上げます。

○地球環境局長
おはようございます。環境省の地球環境局長、鎌形でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
お忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
今日は新しい体制でのスタートということで、役所側のほうから、最近の気候変動・地球温暖化対策をめぐる状況を中心に、ざっとご紹介していきたいと、こういうふうに思っています。
気候変動をめぐっては、昨年、大きく世界が動きました。11月にはパリ協定が発効したということで、昨年のCOPでは、世界全体で一致団結して、後戻りすることなく進んでいくというような機運が醸成されました。一部、アメリカでの政権の動きがございますけれども、世界はパリ協定をきっかけに大きく舵を切っていて、この潮流はもはや変わらないというふうに私どもとしては考えているところであります。
日本としては、2030年の26%削減の目標、そして28年度80%削減を目指すと、こういったことを掲げて取り組んでいるところでありますので、しっかりと進めていきたい、こういうふうに考えております。
そして、今日、全体的な最近の動向のご説明のほかに、二つの小委員会での議論についても状況の報告をさせていただくことにしています。議事次第にもございますけども、一つは長期低炭素ビジョンということで、小委員会にお願いしてございます。長期大幅削減を実現するための方向性、あるいは、そうした方向に進んでいった上での社会の絵姿、こういうものをお示しするということであります。こういったことで、今、取りまとめに向けた議論ということでございますので、ご紹介した上で、部会の委員の皆様方にもご意見を賜りたい、このように考えてございます。このビジョンというのは、中央環境審議会でおまとめいただいた後、政府全体としての長期戦略の策定の土台になっていく、こういう位置づけのものです。
それから、もう一つは適応の関係です。閣議決定の適応計画というものを一昨年決めているわけでございますけども、そういったものに基づいての取組の中で、科学的知見の充実、あるいは定期的な気候変動の影響評価、こういったものをどう進めていくかということについて、これも気候変動影響評価等小委員会での議論を進めていただいています。これも3月を目途に中間取りまとめというような段階での議論ということでございますので、またご意見を賜り、議論を進めていきたい、このように考えてございます。
以上のような内容でございますけども、本日、ぜひご忌憚のないご意見を賜れればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○地球環境局総務課長
それでは、カメラはここでご退席をお願いいたします。
次に配付資料の確認をさせていただきたいと存じます。お手元の資料の議事次第の次の紙に配付一覧をつけてございますが、こちらもご覧いただきながら、ご確認いただければと存じます。
まず、資料1が、先ほどご紹介いたしました中環審地球環境部会委員名簿。続きまして、資料2が、地球温暖化対策を始めとする最近の動向。資料3-1が、長期低炭素ビジョン(素案)。資料3-2が、長期低炭素ビジョン(素案)概要。資料3-3が、長期低炭素ビジョン(素案)参考資料集。資料3-4が、長期低炭素ビジョン小委員会委員名簿。資料3-5が、長期低炭素ビジョン小委員会開催経緯。資料4-1が、気候変動影響評価等小委員会の中間取りまとめ骨子(案)。資料4-2が、気候変動影響評価等小委員会の検討状況でございます。もし資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと存じます。
それでは、以降の議事進行につきましては、安井部会長にお願いしたいと存じます。どうかよろしくお願いいたします。

○安井部会長
それでは議事に入らせていただきますが、その前に、今回委員が交代しておりますので、新たに部会長の代理というものを指名する必要がございます。中央環境審議会の例によりまして、部会長に事故があるときは、部会長が予め指名する者がその職務を代理するということになっております。そこで、本日、実はご欠席なんですけれども、本人の了解もいただいておりますので、大塚委員に引き続きまして部会長代理をお願いしたいと思っておりますので、これは私が決めることのようでございますので、ひとつよろしくご承認いただければと思う次第でございます。
さて、本日でございますが、本日、議事次第のとおり3点、いずれも報告事項でございます。議題ごとに区切って説明をいただきまして、それからご質問、もしくはご審議をいただければと思う次第でございます。
それでは、まず議題の1につきまして、事務局からのご説明をお願いいたします。

○地球環境局総務課長
それでは資料2に基づきまして、地球温暖化対策を始めとする最近の動向について、ごく簡単ではございますが、ご説明させていただきたいと存じます。
資料2、1枚おめくりいただきまして、スライド番号2をご覧いただけますでしょうか。まず、地球温暖化の科学的知見でございます。IPCC第5次評価報告書統合報告書が2014年11月2日に発表されているところでございますが、そこでのポイントでございます。観測された変化及びその原因として、気候システムの温暖化には疑う余地がない、人為起源の温室効果ガスの排出が、20世紀半ば以降の観測された温暖化の支配的な原因であると。このように結論づけられております。将来の気候変動、リスク及び影響といたしまして、現状を上回る追加的な温暖化対策をとらなかった場合は2.6℃~4.8℃となる可能性が高いと。このような結論が出ているところでございます。2℃目標の緩和経路は複数あるとされておりまして、2050年までに40~70%削減、21世紀末までに排出をほぼゼロにすると。こうしたことが重要であるとされているところでございます。
幾つかめくっていただきまして、スライド番号5番をご覧いたたければと存じます。2℃目標を達成するために、あとどのくらいCO2を排出できるかでございますが、既に化石燃料として約2兆トンのCO2が排出されておりまして、排出していいのは、残り1兆トンと言われております。化石燃料の埋蔵量を全て燃やすと3兆トン排出相当ですので、つまり3分の2は単純には燃焼できないと、このような状況でございます。
続きまして、スライドの8をご覧いただければと存じます。こうした状況の中で、一昨年、パリでCOP21が開催され、そこでパリ協定が採択されたところでございます。パリ協定は、京都議定書にかわる2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みで、歴史上、初めて全ての国が参加する、公平な合意でございます。下のほうの欄に書いてございますが、パリ協定のポイントといたしましては、世界共通の長期目標として2℃目標の設定、1.5℃に抑える努力を追求することに言及。次でございますが、主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すると。このようにされているところでございます。
次のページをご覧いただければと存じますが、パリ協定につきましては、昨年11月4日に発効要件を満たし、発効したところでございます。これを受けて、パリ協定第1回締約国会合が昨年11月15日~18日まで開催をされたところでございます。そこで、各国から、一致団結して後戻りすることなく、パリ協定の実施にしっかりと取り組む意思が表明されたところでございます。今後はパリ協定の実施指針の交渉に移るわけでございますけれども、これにつきましては、2018年までに指針を策定することが決定をされているところでございます。今後、こうした枠組みのもとで具体的な議論が進展していくと。こういうような状況になっているところでございます。
続きまして、スライド番号15番をご覧いただけますでしょうか。国際的な協力の一つとして、大きなものとしては持続可能な開発目標(SDGs)というのがございます。これは2015年国連サミットで採択をされたものでございまして、2030年までの国際目標で、先進国・途上国を問わず全ての国に適用されるものでございます。これを受けて、我が国では2016年5月に、総理大臣を本部長とし、全閣僚を本部員とする「SDGs推進本部」が設置され、12月に実施指針を決定したところでございます。
スライド17をご覧いただければと存じますが、その後、ステークホルダーズ・ミーティング等を開催しているところでございます。
続きまして、スライド番号21番をご覧いただけますでしょうか。パリ協定の枠組みのもと、日本は約束草案を平成27年7月17日に国連事務局に提出しているところでございますけれども、ここでは、日本として2030年度に2013年度比で26%を削減すると、このような目標を掲げているところでございます。
スライドの23をご覧いただければと存じます。この目標を達成するため、地球温暖化対策計画、これを平成28年5月13日に閣議決定させていただいたところでございます。これにつきましては、下のほう、第4章、進捗管理方法等とございますけれども、毎年、これについては進捗点検を行い、少なくとも3年ごとに計画の見直しをする。こういう形になってございます。これにつきましては、地球環境部会等の場におきましても、進捗管理等という形でご審議を賜りたい、このように考えているところでございます。
続きまして、スライド25番をご覧いただけますでしょうか。環境省として、この26%削減を達成するためのツールの大きなものとして、「エネルギー対策特別会計」を活用した温室効果ガス排出削減対策というのがございます。平成29年度の予算案に盛り込んでおりますのが1,535億円でございます。全部で四つの柱で取り組んでおりまして、第一の柱が「家庭・オフィス・地域で丸ごと再エネ・省エネ普及」、第二の柱が「世界を変える先導的技術の開発・実証と社会実装」、第三の柱が「金融、社会システムの低炭素化」、第四の柱が「JCM、我が国の技術等により世界を低炭素・脱炭素化」するという、世界全体での排出削減への貢献ということでございます。
この「エネルギー対策特別会計」の財源でございますが、26ページをご覧いただけますでしょうか。地球温暖化対策のための税が導入をされておりまして、全化石燃料に対してCO2排出1トン当たり289円を課税しているところでございます。その税収を活用して温暖化対策を講じているところでございます。あと、すみません、このページで誤植がございまして、29年度要求は1,885億円と書いてございますが、これは29年度予算案額が1,535億円、前のページに書いてある数字のほうが正しいので、ここだけ訂正をお願いできればと存じます。
続きまして、スライド番号40番をご覧いただけますでしょうか。日本の26%削減目標を達成する上で、大きな課題の一つが石炭火力問題だと私どもは認識しております。スライド番号40番のグラフにございますように、最新鋭の石炭火力発電所でも、従来型のLNGの約2倍のCO2を排出すると。こういうものでございます。
スライド番号41番でございますが、26%削減目標と整合的なエネルギーミックスというのを政府として提示をしているところでございますけれども、こちらでは石炭は26%程度に抑えるということでございます。
しかしながら、スライド番号42番にございますように、現在、石炭火力の新増設計画がかなり出てまいっておりまして、このとおりに全て実現するとしたら、その目標としている数字を大きく上回ると。こういうようなことでございまして、このままでは26%削減目標の達成は決して容易ではないと考えております。
こうした中で、スライド番号43番のところでございますが、昨年2月に、環境大臣・経産大臣、両大臣で合意をいたしまして、石炭火力の問題もあり、電気事業分野については、省エネ法、それから電力需給の高度化法の、この二つの枠組みのもとで、経済産業省がしっかり取組をし、その取組の進捗状況について、しっかりとレビューをした上で、もしこの取組がうまくいかないようであれば、施策の見直し等について検討をすると。このようにさせていただいているところでございます。
続きまして、スライド番号46番をご覧いただけますでしょうか。私どもとして大きな検討課題といたしましては、カーボンプライシングがございます。カーボンプライシングについては、代表的なものとしては排出量取引、それから環境税等ございますが、そのほかにも多種多様なものが入ります。カーボンプライシングについては、炭素ベースのエネルギーの価格を引き上げ、最小のコストで削減目標が達成される重要な手法であると考えてございます。
スライド番号47番にございますとおり、各国でもカーボンプライシングの導入が進んでおり、スライド番号48番にございますとおり、国際的な様々な文脈でもその重要性がうたわれているところでございます。
こうした中で、スライド番号50番でございますが、昨年11月29日に、山本環境大臣からご指示があり、本格的なカーボンプライシングの検討を始めるべきであると。このようなご指摘をいただいているところでございます。私どもとしては、今年の春を目途に、新しくこのための検討の場を立ち上げたいと。このように考えているところでございます。
スライド番号52番以降、長期低炭素ビジョンについてでございますが、これについては、別途、本日ご報告の時間をいただいておりますので、ご説明は省略させていただきたいと存じます。
それから、スライド番号59番をご覧いただけますでしょうか。フロン等対策の推進でございます。フロンについては、現在、モントリオール議定書で取組が進んでおりますけれども、代替フロン、HFCについても、昨年、モントリオール議定書が改正をされ、規制対象に追加をされてところでございます。
61
番をご覧いただけますでしょうか。現在、フロン排出抑制法に基づいて、その回収の取組が進んでいるところでございますが、地球温暖化対策計画の目標ですと、2020年度5割の回収目標、2030年度7割の回収目標ですが、現時点で、依然として3割程度の回収率で推移をしております。
こうしたこともございますので、フロン対策については、現在、62ページにございますとおり、別途、検討会において総点検をさせていただいているところでございます。この検討結果を踏まえまして、引き続き、対策強化について、私どもは検討していきたいと考えているところでございます。
63ページ以降、気候変動の影響への適応の分がございますが、これについても、本日、別途ご報告のお時間を設けさせていただいておりますので、この場でのご説明は割愛させていただきたいと存じます。
駆け足で恐縮ですが、以上でございます。

○安井部会長
ありがとうございました。
あまり質問時間がないんですけど、大体30分まで、半までぐらいの予定でございますが、何かご質問がある方は名札を立てていただければと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいですか。
浅野先生に20分差し上げるのもあれですから、もうお一人ぐらいおられても。
じゃあ、浅野先生、お願いします。

○浅野委員
あまり今まで地球環境部会で議論していなかったので一言申し上げたいのですが、フロンについて、今日、報告が出ています。これは温暖化対策という面から見ても無視できない重要なテーマです。しかし、現在の我が国の法律体制には、かなり問題があるということを感じています。フロン排出抑制法は、家電製品等については別途、廃リ部が所管している家電リサイクル法等があるので、同法によって適正な処理が行われることを前提としてこれらを対象から外しております。ところが、家電リサイクル法には穴あき部分がありまして、これですべてがきちっとうまくいっているかどうかということは、よくわかりません。さらに、家電リサイクル法は、フロンの回収を直接の目的とする法律ではありませんので、空調機等を取り外すときに本当に適切にフロンを回収できているかということになると、法的な規制としてはあやしいところがある。かなりの家電製品が、海外に流れたり、無料回収というので集められていますけれども、こういうやり方でのフロンの回収もれというものもかなりあるだろうと思われます。ですから、これまではフロン法があるから、地球環境部会としては、もうそれでよろしかろうと考えてそのままにしていたのですが、どうもそれだけでもいけないので、廃リ部との緊密な連携をとりながら、場合によっては、家電リサイクル法についてもフロン回収という観点での見直しをしなくてはいけないということがあるようにも思います。
例えば一つ上げれば、家電リサイクル法は、家電小売り業者さんには自分で売ったもの、それから買い替えのときには引き取りなさいとしていますが、そうでないときは引き取り義務がないわけです。では市町村が代わりに適正に回収・処理をしているわけでもありませんので、ここが穴あき状態になってしまっています。そういったことがあって体制がすべてに見配りできる状態にはなっていないということ記憶しておく必要がありますし、事務局は、廃リ部としっかりと連絡をとり合って、この辺については漏れがないような対策を立てる必要があるだろうと思います。

○井田委員
フロン、浅野先生が全くおっしゃるとおりで、僕は京都議定書採択のころからフロンの問題はこうなると書いてきたし、当時の通産省の資料でも、2010年になったら大幅に増えるという予測はあったんです。世の中に生産で出して回収でやりますというのは間違いだって僕も書いてきたし、いっぱいみんな言っていたんですよね。今になってこういうことが起こっているというのは、僕は日本の環境政策上の大きな大失態だと思っています。わかっていたことなんですよね。僕は、今のやり方をやっていて、30%50%70%に上がっていくとは全く思いません。
浅野先生おっしゃるように、法改正、法制度にも問題があるし、いまだにダストブロワーで、生産すぐ放出みたいな用途はいっぱいありますよね。フロンのことは、もうこれ、過去の過ちを取り返すために、よっぽどキガリ改正とパリ協定を機会にして思い切ったことをやらないと、これはやっぱり大変なことになると思います。税金をかけて補助金でやってもいいし、罰則をかけてもいいし、いろいろアイデアはあるし、用途規制なんかも僕はあるべきだと思うんですけども、これはよっぽどの発想の転換をしてやらないと、回収率が上がってフロンの排出は抑えられますとは、全く思わないというふうに思っています。
ダストブロワーの中には、134aから何分の1だから、これは地球に優しいですと言わんばかりのことをやって売っているものもあるんです。今、キガリ改正でHFCが減って、じゃあ、低GWPのフロンに転換しましょうというんだったら、それは間違いであって、技術、ほかの全くGWPの低いものがありますから、何か仕組みをつくって、経済的手法を導入してでも、そういうものへの転換を図るべきだと思います。フロンは思い切って発想を転換をしてやらなければいけないことだと思っています。

○安井部会長
ありがとうございました。
ほかに何かございましたら、お願いしますが。よろしゅうございますか。
後のほうでも、多分、ご質問いただけるような状況になるかと思いますので、ここは、それでは、進ませていただきたいと思います。
それでは、次に議題2に移らせていただきますが、またご説明をいただきまして、それでご質問、ご議論という、そういうことにしたいと思います。お願いします。

○低炭素社会推進室長
それでは、議題の2でございますけれども、資料3-1~3-3までが、長期低炭素ビジョン(素案)の本文と、概要と、参考資料ということになっております。3-4の小委員会で、これまで議論を重ねてきていただいたところでございます。3-5のほうに、開催経緯がございますけれども、先般、この部会で12月にご議論いただきました。その後、年が明けまして、地方ヒアリングというのをやってきておりまして、小委員会のほうでも議論を重ねてきていただいているところでございます。23日に、この(素案)をお示ししまして、そこでご議論をいただいておりますけれども、本日ご紹介させていただきますのは、そのときと同じ資料でございます。その際も様々なご意見をいただいておりますけれども、それは反映されておりませんので、ご承知おきください。
資料3-1でざっと説明させていただきます。
目次をご覧いただきますと、第1章で気候変動問題が、科学に基づく取組が基本だということを書いておりまして、第2章でパリ協定を踏まえた世界の潮流というのを書いております。第3章で、一方で、ということで、我が国の直面する経済・社会的課題というのをまとめまして、第4章のところで、この気候変動対策をきっかけにして、こういう経済・社会的諸課題を同時解決できるのではないかというようなことを基本的考え方にしているところでございます。めくっていただいた2ページ目のところで、第5章では、205080%削減を実現するためにはどういう社会の絵姿になるのかというのを書きまして、第6章のところで、そういう社会に向かっていくための政策の方向性を記載しておるところでございます。
3ページ目、4ページ目は、1章~6章までをサマリーとして書いたものでございます。
5ページのところに参りまして、第1章でございますけれども、(1)として科学的知見ということで、①で気候変動問題が社会の脅威であるということで、気温の変化ですとか影響、リスクとか影響について書いておりまして、6ページ目のところではティッピングポイントなどにも触れまして、また、下のほうでは国家安全保障の問題であることにも触れております。
6ページ目の下のところから、②として2℃目標と温室効果ガス排出実質ゼロということで、気温の上昇の大部分が二酸化炭素の累積排出量によって決定づけられているということが書いてあります。
また、7ページの3段落目のところでは、気候感度の科学的な推定値には幅があるということも書いております。また、7ページ目の下のほうで、③でカーボンバジェットが前提となる世界というふうに書いておりますけれども、先ほどの資料でご説明しました約2.9兆トンとか1.9兆トンということで、世界全体で、累積排出量をあと約1兆トンに抑える必要があると。それをカーボンバジェットと呼んでおるということを書いております。
めくっていただきまして、8ページ目のところから、パリ協定の意義というのを書いておりまして、これも先ほどご説明させていただいたようなことを、パリ協定の内容について書いております。
9ページ目の下のほうの段落では、生産ベースとか消費ベースというようなことが小委員会の中でも議論になりましたので、その両方の削減が必要であるということを記載しております。9ページ目の下のところから、我が国の長期目標等ということで、めくっていただいた10ページ目のところに、2050年目標に係る経緯ということを書いておりますけれども、その下から2段落目ぐらいで、20113月の東日本大震災によって影響を受けましたけれども、その後、第4次環境基本計画が閣議決定されたというようなことも書いております。
また、次のページの11ページ目で、2050年目標の1人当たり排出量は約2トンということを書いておりまして、世界、特に先進国の目標がどういう目標であるかということ、それから世界全体で科学的に求められている削減量がどれぐらいであるかということを書いておりまして、その一番下のところでは、世界各国の1人当たり年間排出量というのが、IPCCのシナリオと概ね足並みが揃っているということを書いております。
11ページ目の下のところから、第2章ということで、パリ協定を踏まえた世界の潮流というのを記載しておりまして、12ページ目のところで、世界各国の動向ですとか、自治体の動向、13ページ目に参りまして、民間企業の動向とか、14ページ目で金融の動向ということで、この中で、例えばTCFDとかエンゲージメントとか、ダイベストメントについても触れております。
また、15ページ目で、市民・科学者の動向というのを書いております。
15ページ目の下のところから、我が国の直面する経済・社会的課題ということで、人口減少とか過疎化のことですとか、次のページに行っていただきまして、高齢化とか経済再生の課題、次のページで地方の課題とか、国際社会における課題ということを書いておりまして、17ページ目の下のところで、②としまして、経済・社会的諸課題への対応の方向性として、経済成長が、「より安く」から「より良きもの」を求める価値観などイノベーションが不可欠であるということですとか、めくっていただきまして、18ページ目のところに、量から質の経済成長に転換が求められているということも書いております。
また、19ページ目の下のところから(2)としまして、変化の著しい社会で考慮すべきと考えられる主な要素としまして、ICTの進展ですとか、めくっていただきまして、20ページのところで、自然との共生などについても記載をしております。
20ページの下のところから第4章ということで、その大幅削減に向けた基本的考え方というのを書いておりまして、次のページ、21ページ目のところで、その「同時解決」ということで、そこの2行目ぐらいには、長期大幅削減に取り組むことは、気候変動問題と経済・社会的諸課題との同時解決のきっかけとなり得るということを書いております。
その下のほうで、①として、経済成長の観点で書いております。
めくっていただきまして、22ページ目の真ん中辺りで、炭素生産性の向上ということで、炭素生産性、炭素投入量当たりの付加価値を大幅に向上させることが不可欠だということを書いておりまして、それぞれその分母とか分子についても分析を加えておりますし、23ページのところでは、付加価値生産性と炭素生産性との親和性についても記載しております。
23ページの下のところでは、潜在需要の喚起と外需の獲得ということで、いわば「約束された市場」と言われているということを書いております。
そのことについては、次のページ、めくっていただきました24ページ目の上のところで、全世界の合意で成立したパリ協定が、世界規模の市場を創出すると。その次の段落では、世界市場における競争優位を獲得できなければ、他国のモデルを輸入する立場に陥りかねないといったことにも触れております。
また、そのページのもう少し下のところで、②として地方創生とか国土強靱化ということで、地域エネルギー、現在のエネルギーの大半が化石燃料であるため、地域のエネルギー代金の支払いの多くが輸入代金として海外に流出しているといったことを書いております。
また、その少し下には、再生可能エネルギーの多くは自立分散型エネルギーであって、災害時の強靱さの向上につながるため、国土強靱化にも資するといったようなことを書いておりまして、その次には市街地のコンパクト化ということで、25ページのほうでは、それが温室効果ガスの排出削減に寄与しますし、マルチベネフィットも生じ得るということも書いております。
その下のところで、③、気候・エネルギー安全保障ということを書いておりまして、我が国で80%削減することに加えて、世界全体に「+α(プラスアルファ)」の貢献をする。それが気候安全保障の強化に資するといったようなことを記載しております。
また、次のページ、26ページ目では、エネルギー安全保障ということで、地域エネルギーを活用してエネルギー自給率を高めることがエネルギー安全保障の確保に直結するといったようなことも書いております。
また、その下のほうで(2)としまして、世界全体の排出削減への貢献ですけれども、国内対策が大前提だということを書いておりまして、そこのページの一番下の段落では、我が国、世界の排出量に占める割合は3.0%ぐらいなんですけれども、我が国より排出量が少ない国々も取組をしないというようなことになれば、それが全世界の排出量の3分の1にも上るというようなことも記載しております。
また、27ページのところでは、長期大幅削減の鍵はイノベーションということを書いておりまして、技術のイノベーション、経済社会システムのイノベーション、ライフスタイルのイノベーションについて記載しております。
そのページの一番下で、(4)として、取り組むべきときは「今」ということで、もうまさに今取り組まないといけないということを28ページ目、29ページ目で、カーボンバジェットの観点、インフラの観点、環境政策の原則の観点、普及に要する時間の観点、世界の潮流の観点、パリ協定の長期目標実現の観点で記載をしております。
その29ページのところから第5章で、長期大幅削減の絵姿というのを記載しておりまして、実現する社会の絵姿としまして、①では、「脱炭素市場の創出」と「質の経済」実現の両輪による持続的成長がされている社会、その次のページで、30ページ目で、②として自然資本を基盤とした再エネ産業とコンパクトなまちづくりによる「地方創生」がなされている世界、次のページ、31ページ目で、気候安全保障への大きな貢献とエネルギー安全保障が向上した国家の実現が図られている世界といったようなことを書いております。
また、その下のほうの(2)で、様々な分野における大幅削減の社会像としまして、2行目のところですけれども、徹底した省エネ、再エネ等の活用による電力の低炭素化の最大限の推進とともに、電化・低炭素燃料への利用転換が対策の3本柱であるというようなことを書いております。
その次のところから具体的に書いておりまして、①としまして、建物・暮らしでは、全体のストック平均でゼロエミッションに近づいている状況ということを書いておりまして、それぞれ建物、新築、既築とかにわたって書いているというものでございます。
33ページ目のところから、②として移動というのが書いてありまして、乗用車ではモーター駆動の自動車が主流になっているといったようなことを書いております。
③、34ページ目の真ん中のところから、産業・ビジネス活動ということで、国際競争力とかICTの活用、それから金融についても書いておるというものでございます。
次のページ、36ページ目で④になりますけれども、エネルギー需給ということで、電力については低炭素電源(再生可能エネルギー、CCS付火力発電、原子力発電)が発電電力量の9割以上を占めているという状況を書いております。
また、その次のページの上のほう、三つ目の丸では熱利用ですね、太陽熱とかバイオマス、地中熱等の利用のことですとか、その次の丸では、CO2を排出しない水素(CO2フリー水素)の供給についても触れております。
その下のほうで、⑤として地域・都市ということで、まちのコンパクト化ですとか、地域のエネルギーについて記載しております。
次のページ、38ページ目のところから第6章ということで、長期大幅削減の実現に向けた政策の方向性ということを書いておりまして、(1)として基本的な方向性、①で既存既技術とかノウハウ、知見の最大限の活用というようなことを書いております。
次のページ、39ページ目の2段落目ぐらいでは、環境省の事業で、5年以内に追加投資が回収できるにもかかわらず実施率が低い対策も存在するといったようなこととともに、そういう投資がされていない部分に係る課題についても記載をしております。
また、その下のところでは、②として新たなイノベーションの創出・普及ということで、大幅削減実現のためには、極めて大きな社会変革に今から取り組む必要があるといったようなことで、イノベーションの必要性を記載しております。
それが40ページから41ページ目まで書いておりまして、41ページ目の上のほうでは、イノベーションの創出には原資が必要であるといったようなことも書いておりますけれども、その次の段落では、不確実性を理由とした市場参入の遅れや投資・対策の先延ばしが国際競争力の劣化につながるといったようなことも書いておりますし、その次の段落では、イノベーションの創出には需要側の役割も重要だといったようなことを記載しております。
また、42ページ目の上のほうでは、政府がこれまでと変わらない国内対策をとり続けると「ジリ貧」状態を招いて、市場における政策に対する不安を高めかねないといったことも記載しております。
42ページ目の上のほうで、③としまして、あらゆる施策の総動員ということで、きめ細かな施策の実施ということで、2行目ぐらいで、排出源ごとに、科学的知見を踏まえた定量的なデータに基づく分析やモデル解析を行って、施策のあり方についてきめ細かく検討し、施策を実施していく必要があるということを書いております。
その次には、あらゆる政策への気候変動対策の織り込みについて書いておりまして、その次のページ、43ページ目では、温暖化政策とエネルギー政策との連携について書いております。
43ページ目の下のところから(2)としまして、主要な施策の方向性を記載しておりまして、めくっていただきました44ページ目のところで、①としてカーボンプライシングとして、市場の活力を最大限に活用ということで、そこの2行目では、あらゆる経済社会活動において、人々が温室効果ガスの排出を認識できるような基盤の整備が必要であるといったようなことですとか、そのすぐ後には、経済的なインセンティブを付与することにより「認識」を持たせ、人々の行動を誘導する経済的手法があるということで、その下のほうで「カーボンプライシング(炭素の価格付け)」の活用が考えられるということを書いております。
その下から、意義で、そこの数行目では、どのような変化が起きても社会が柔軟に対応できる仕掛けとして、各主体が経済合理性を追求して創意工夫を促す仕組みが有効だということを書いております。
また、次のページ、45ページ目では、カーボンプライシングについて、炭素価格が明示的に示されるものですとか、一方で「暗示的な炭素価格」というような考え方もあるということは記載しております。
次のページ、46ページ目では、国内外のカーボンプライシングの動向とその効果というのを書いておりまして、その次のページ、47ページ目のところでは、その同時解決の手法としてのカーボンプライシングということで、化石燃料の相対価格が上がることで、低炭素製品・サービスに対する需要が創造されるというようなことを書いております。
また、次のページ、48ページ目のところの2段落目では、OECDの分析ということで、実効炭素価格の相当程度の上昇が、マクロ経済に悪影響を与えている現象は確認できないといったことも書いております。
その次のページ、49ページ目のところから、②としまして、大幅削減に向けた他の主要な施策群ということで、環境情報の整備・開示ということで、気候変動の観点も含めて適切な財・サービスの選択を行うことが可能となるよう、財・サービスに環境情報の提供を促す仕組みが重要だということを書いておりますし、その下のほうでは、サプライチェーン全体の排出量の算定を支援することも必要だということを書いております。
次のページ、50ページ目では、規制的手法について書いておりまして、その一番下のところでは、規制には、技術や性能を特定することで温室効果ガス排出量を直接制限するもののほか、政府計画や公共調達に関するもの、先端技術の普及やイノベーションを促進するもの、エネルギー効率を改善するもの等、様々なものが想定されるといったことを書いております。
次のページ、51ページ目では、革新的な技術開発の推進、普及や、環境金融、土地利用、めくっていただきまして、52ページ目のところでは、全ての主体による自主的な取組、53ページ目では、教育・人材育成・市民参加、科学的知見の充実等、適応能力の強化、めくっていただきまして、54ページ目では、世界全体の排出削減への貢献、資源循環の推進、55ページ目に参りまして、エネルギー起源CO2以外の温室効果ガス対策の必要性についても触れております。
また、55ページ目の真ん中辺りから、長期大幅削減に向けた進捗管理ということで、進捗管理の重要性について記載をしております。
これが本文でございまして、それをまとめたものが、資料3-2として記載をしておりまして、また、参考となるような本文の中身に書いているものの間連データ等については、資料3-3で参考資料集ということで用意しているものでございます。これら冒頭申し上げましたように、先般の小委員会でも様々なご意見をいただいておりますけれども、それについては全く反映されておりませんで、ご留意いただければと思っております。
以上でございます。

○安井部会長
ありがとうございました。時間も多少余裕がございますので、何かご意見がありましたら、ぜひお願いしたいと思いますので、名札をお立ていただきましてですね。
ここまで、しかし全員行けるかな。何はともあれ、やってみるしかございませんので、それでは佐藤委員からでございますか。じゃあ、佐藤委員、佐久間委員、順番に行きたいと思います。お願いします。

○佐藤委員
ありがとうございます。パリ協定、画期的なものができて、それで世界の潮流がここに書かれているように、その金融であるとかダイベストメントであるとか様々な潮流、大きな潮流が出てきて、これは頼もしいし、期待を抱かせるということなんだろうと思います。ただ、一方で、今、国際ニュースに日々接している身からすると、こういう前向きの動きがある一方で、やっぱり米国のトランプ政権という大きな不安要素があるというのも事実だろうと思うんですね。そういうことに対する言及はここにまるでないということで、ややこの現状の認識にリアリティーが感じられないという感じがいたします。このビジョンは最終的に計画として成立するまでに少しタイムラグもあると思いますし、トランプ政権の動き、これからどうなるかわかりませんけれども、その辺の記述がやっぱり必要なのではないかというふうに感じます。何しろトランプ政権はご案内のように、石炭や石油産業の重視ということを、主に雇用の観点から言っているわけですけれども、現状その天然ガスの価格というのがシェール革命によって石炭と比べれば価格優位があるということで、その石炭・石油というのを簡単に前面に押し出して、産業としてまた復活させるというのは難しいと思いますけれども、場合によってはアメリカの石炭や石油が、今は輸出港の関係でなかなか難しいですけれども、輸出に向かうなんていうことも考えられるだろうと思います。
それから、もう一つは、アメリカと並んで注目される中国なんですけれども、昨日だったか一昨日だったか、一部の報道が、中国のGDPの地方政府の水増しの話を大きく報じていました。このパリ協定においても、このパリ協定というのは歴史的な意味があるとすれば、途上国を含む全ての国が参加するという、この1点において歴史的なものだったと思います。気候変動枠組条約が成立してから以降の歴史を考えれば、そのこと自体、大変なことなわけですけれども、なぜ合意できたかといえば、何しろ拘束力が弱いので、拘束力が弱いからこそ合意できたというのがリアルな現実だろうと思います。大事なのは、だからだめだということを言いたいわけではなくて、そういう仕組みだから、これから魂を入れていかなくちゃいけないだろうということなんだろうと思うんですね。これは日本の貢献にも関係していきますけれども、そういう中央の政府が立派なことを言っても地方の政府がついてこないというような国もこの枠組みの中にいるわけですから、そういったことをきっちり監視していく仕組みというのを日本も先導してつくっていくということも重要だろうと思います。したがって、そういう、やや不都合な真実についてもちゃんときっちり記述することによって、この報告書というかビジョンがリアリティーを持つものになるんじゃないかというのが1点指摘したいところです。
それから、もう一つは、縷々、この中でも指摘はされているんですけれども、気候変動対策もさることながら、日本が長期低迷する経済の立て直しというものが急務であるということが重要だと思います。高度経済成長時代の成長とは言わないですけれども、技術や社会システムを含む広い意味のイノベーションを前提とした一定の成長がなければ、2050年という長期の仕組みの中で日本がパリ協定のもとで世界をリードしていくという活力自体も失われてしまうだろうというふうに思います。温室効果ガスの削減技術がこれまで以上に企業の国際競争力を左右していくということは間違いないでしょう。革新的な技術開発とか、そのための投資をどうやって導いてくるかという仕組みを整備する必要もあるだろうと思いますし、付加価値を創出して国際競争力の強化につなげるということも極めて重要だろうと思います。その科学的な知見に基づいてということが極めて重要なんですけれども、アメリカファーストではないですけども、日本の国益ということをもう少し前面に出し、経済成長と気候変動対策というのが両方引っ張り合って前に進んでいくような仕組みというのを少し、もう少し強調してはいかがかなというふうに思いました。
それから、あと記述の話ですけれども、IPCCに関して様々な科学的な事実が書いてありますが、日本の長期戦略を考える上で、日本にどういう影響が出るのかみたいな記述がまるでないのはいかがかなという感じもいたしました。
以上です。

○安井部会長
ありがとうございました。
やっぱり時間がどうもなさそうな気配でございまして、このぐらいしゃべっていただくと、多分30分ぐらい遅れてしまうかもしれません。三、四分ぐらいで、ぜひご意見をいただければと思います。

○佐久間委員
ありがとうございます。まず、何点かあるんですけれど、三、四分ということですね。
まず、第1点、この3ページのサマリーの第3段落でもありますように、2030年度の中期目標と2050年度の長期目標、これが全く同列に記述されているんです。これ、ご案内のとおり両者の性質は全く異なりますので、そこは分けて書いていただきたいと思います。これはもう閣議決定、昨年5月にされた温対計画でも、長期目標については、主要国の参加する公平で実効のある国際枠組み、これは今、佐藤委員もおっしゃったことに極めて関係あります。あと、主要排出国の能力に応じた排出削減努力、あと、経済と環境の両立、この三つを前提にして目指すということですから、それに従って、その閣議決定に従って、国民の皆様にもわかりやすい違いが理解できる形で、これ他のページでも何点か出てますけれども、記載については修正をお願いしたいと思います。
あと、2点目としまして、第5章の絵姿、これは中身についていろいろありますが、一つはっきり言えるのは、革新的な技術開発は、これはもう必須だという点だと思います。その点では、この中にあるCCS等、民間ベースではかなり難しいものも入っていると。ただ、こういうことをやらないと、この絵姿というのは絵そらごとになると、こういうことになるのではないかと思います。ここのCCSというのは当然非常に難しいわけで、これは環境省の方も今大変ご苦労されている福島関係の放射能廃棄物、この処理、この最終処理というのは、中間処理開始後30年以内にやると、こういうスパンで考えられているわけで、そうしますとCCSについても、もう今何か着手してなければいけないということですから、ここはもう少し具体的なものがないと、絵姿といえども、全く根拠のないものになるんじゃないかと思います。とにかくもう少し技術開発の重要性というのを意識されないと、対策もこのカーボンプライシングの一本足打法になっているのではないかと思います。
このカーボンプライシングについて言えば、これも閣議決定でははっきりと条件がありまして、我が国の産業に対する負担やこれに伴う雇用への影響、海外における排出量取引制度の動向とその効果、この2点目はいろいろ研究されたように見受けます。あと、国内において先行する主な地球温暖化対策の運用評価の見極め、これがちょっとされているのかどうか。あと、最初に言った産業への負担、雇用への影響、これがされているのかどうか。これをやった上で慎重に検討を行うというのが閣議決定ですので、ちょっとここの報告のビジョンは、閣議決定とも乖離しているのではないかというところの懸念があります。
あと、カーボンバジェットにつきましては、これも今まであまり議論されてなかったところかと思うんですが、こういうコミットメントというのは、これから起きるいろいろな出来事等々については柔軟性が欠けるのではないかと思います。
以上です。

○安井部会長
ありがとうございました。
途中でご退席の予定の委員がいらっしゃいますので、ちょっとそちらを先に。まず、南部委員、それから藤井委員、そして小西委員に戻らせていただきます。

○南部委員
すみません。ご配慮いただきましてありがとうございます。2050年という長期のビジョンとなると、現時点では、先ほど先生方もおっしゃったように、想定できないことが起きる不確実性もございます。また、我が国の大幅なGHGの削減のためには、政府だけでなく、様々なステークホルダーの協力が必要です。たとえそこに異なる意見の方々がいらっしゃっても、その人たちの協力もなければ、いい結果につながらないと考えており、一致団結できる「わかりやすいビジョン・方向性」を示すことが必要です。
人口減少・高齢化など将来に関する変数も多いなか、今後の経済成長、雇用、産業競争力など、我が国の長期目標を策定するに当たって、勘案しなければならない論点を丁寧に検証していただければ幸甚です。その上で、パリ協定にもございます、削減目標を5年ごとに更新することを勘案した目標設定などの配慮が必要だと考えておりますので、どうかこの点もご留意いただきたいと思います。
以上です。

○安井部会長
ありがとうございました。
藤井委員、お願いします。

○藤井委員
2点申し上げたいと思います。1点は、21ページの(1)の気候変動対策をきっかけとした経済・社会諸活動の「同時解決」との記述です。「同時解決」はある部分ではするかもしれませんが、スターン・レポートを持ち出さなくても分かると思いますが、環境問題、特に温暖化対策のコストというのは、早く対策をやればそんなに大したことはないよ、というのが経済学的な基本認識なんです。もちろん同レポートは、手をこまねいていると大変になりますよということを、言いたいがための指摘なのですが、現状において、温暖化対策をやったから雇用が急に増えるとか、経済成長が高まるということではありません。多少はもちろん効果がありますよということだと思います。したがって、こ「同時解決」という認識は、気持ちはわかるんですけども、温暖化対策をやれば経済成長するかのごとく読まれてしまうと、また誤解を招くと思います。これ同じようなことが42ページの記述です。これもちょっと書き過ぎじゃないかというか、「あらゆる施策の総動員」と書いていますが、まるで戦時中の国家総動員令みたいな意識になります。いろんな対策をもちろん、いろんな人がやってもらわなきゃいけないということですけれども、あくまでも環境対策、温暖化対策というのは限界的な追加コストなのです。これまでの多くの分析でもその点は明確です。例えば世界のインフラを2030年までに新たに整備するコストというのは80数兆ドルかかるという欧米の試算がありますけれど、それをグリーン化する場合は5%ぐらいの追加コストでいいというような指摘があります。これは国際的なデータですけども、やはりこの視点は、温暖化対策だからといって、何でもかんでもやればいいわけではない、効果のある対策を効率的にやるという趣旨だと思います。たとえば、比喩が妥当かはわかりませんが、おそば屋さんに行ったときにメニューがずらりと並びますよね。その場合、単に料理名が並べられるだけでは、どれを食べていいかわからない。やっぱりこの料理がお薦めですよ、といったものがあったほうがわかりやすい。同じように、温暖化対策にはこの施策が効くんだと、あるいは、これがお薦めですよというものを、少なくともビジョンを出すのであれば、そうした「お薦めメニュー」を審議会として国民に出すべきではないですかね。これが1点です。
もう一つは、カーボンプライシングを盛り込まれたのは、思い切ってやられたと思います。経団連とこれから大変な闘いをやられるんだと思いますけれども、これとその他の対策との連携がいま一つよく読めません。カーボンプライシングさえやれば、温暖化対策はうまくいくわけではないと思います。当然のことながら、そのプライス付けをタックスでやる場合と排出権取引でやる場合とでは違ってきます。排出権取引でやる場合だったら、金融を使わなきゃいけないとかですね、そうした施策とのつながりを示す必要があると思います。他の主要な施策群の説明のところも、それぞれの施策のウエートがよく読めない。何を優先してやっていこうとされているのか。この辺をもう少しクリアしていくことによって、産業界のほうも、対策によって影響のある産業界と影響の少ないところ、あるいはビジネスとなるところとならないところというのが見えてくると思います。ビジョンですので、その辺も示していただければと思います。
以上です。

○安井部会長
ありがとうございました。
それでは、小西委員、お願いします。

○小西委員
ありがとうございます。なるべく3分で。この2050年ビジョン、私たちWWFを初めとするCAN-Japanという気候変動NGOも、2050年のこのエネルギーシナリオ、いろいろ定量的に出させていただいています。実はWWF16日にまた新たに発表させていただくのですが、ぜひ建設的に貢献させていただければと思っております。基本的に同じ考え方のところが多くて、徹底した省エネですとか、ZEBとかZEHとか、熱利用とか、いろいろあります。これ全て定性的な表現というところが気にはなるんですが、今後の計画を立てていかれる礎として見た場合、非常に網羅的でいいのかなと思っております。その中で唯一定量的な目標があるのが、この電力9割低炭素電源、まだ残り1割、CCSなしの火力があるということは、まあ是非はともかくとして、これをどのように達成していくかという、その施策が見えないところが気になるんです。これカーボンプライシングの議論はあるんですけれども、現実、2050年というのは結構本当にあっという間で、30年余り。となると、今、非常に増えている石炭の、この新増設、これが全て導入されていくと、そもそも、このせっかくの2050年の計画は全て飛んでしまいますので、これを今、止めていくことというのが非常に喫緊の課題なのではないかと思っております。
関西電力さんの赤穂が、燃料転換を、今、取りやめられたということで、非常にその英断を、敬意を表したいと思うんですけれども、まだやっぱり千葉の、例えば蘇我とか、パリ協定が始まって初めての配慮書、建設計画が出ていますけれども、こういったものが入っていくと、まさに2030年の政府目標ですら、今、環境省さんの資料で7,000万トンも超過してしまう、このような状態を放置しておいては、この2050年の、せっかく今考えている長期ビジョンが、絵に描いた餅になってしまいますので、やっぱりその足元、どうやってそういったものを止めていくかという施策の方向性が入るべきじゃないかなと思っております。
それには、やっぱり、この中で見ると、カーボンプライシングと、あと直接規制のところで、今から入り得るのかなと思うんですけれども、インプリシットなカーボンプライシングが日本にはあるという議論も書かれていますけれども、もし本当にそうならば、こういった石炭火力の新設計画は入ってこないはずなので、やっぱりここは、非常に実効的なカーボンプライシングの導入、期待されるではなく、本当にこれを前提として議論していくということが、強く、なるべく入ったほうがいいんじゃないかなと思っております。
同時に、その規制的手法のところか、どこかで、これが、どのように電源9割、少なくともそれを達成していくものを、どうやって達成するかという施策が見えたらなと思っております。お願いいたします。

○安井部会長
ありがとうございました。
ご発言希望者が2人ほど増えてしまいましたので、またまたちょっと短目にお願いいたします。

○岸上委員
ありがとうございます。それでは、本当に短く、質問を一つさせていただきます。
26ページのところで、「世界全体の排出削減へ貢献」とあり、国別で目標を掲げるということで、国内対策が大前提という記載でございます。それはそれで理解しておりますが、一方で、会計士として、企業の活動を見てみますと、当然のことながら、グループで活動をされており、取組や対策なども、事業所ごとにそのロケーションのある国で行うこともあるとは思いますけれども、製品の開発等で、ほかの国に影響を及ぼすような努力もグループベースで相当されているのではないかと思っております。
質問は、そういうような努力を促進するような仕組みが存在する、ないしは、検討されているかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思っております。環境省の対策自体は、日本の国全体として取り組んでいくもので、国内の数値の集計が中心になるということは理解しておりますが、海外への影響のある努力を促進する仕組みはあるのかお教えください。よろしくお願いいたします。

○安井部会長
ありがとうございました。
続きまして、河上委員、お願いします。

○河上委員
ありがとうございます。
何点かございまして、一つは、全般的な話ですが、前回もちょっと申し上げたことで恐縮ですが、2050年の長期目標につきましては、いわゆる達成すべきターゲットということではなくて、目指すべきビジョンだというふうに思いますので、この点はしっかり資料に明記すべきではないかと思っております。
そういうことですので、その道筋については、やはり今後の状況の進展、特にイノベーションということになるかもしれませんが、これに合わせて柔軟に対応していくべきものでありますから、長期目標からのバックキャストと、こういったことはふさわしくないと思っておりますので、改めて申し上げておきます。
それから、あと、23ページに、「炭素生産性の分子」というところの項目がございまして、ここには、温室効果ガスの排出量と経済成長の「デカップリング」が先進国で珍しくなくなってきていると。そういうことで、GDPの成長と温室効果ガス排出量が連動していない可能性があるとされている、ということでありますが、これ、先ほどもちょっとご意見があったと思いますが、この判断は相当慎重になるべきだと思っております。
重要なことは、デカップリングが発生している国のGDPの増大要因が、温室効果ガスの排出削減要因と結びついているかどうかということでありますので、この点については慎重に精査すべきだというふうに考えております。仮に、因果関係がないとなれば、依然として、排出規制といったものが経済には負の影響を与えるということになりますので、そういうふうに考えざるを得ない場合もあるということであります。
したがいまして、2050年の長期目標につきましては、これも先ほどお話がありましたが、やはり温暖化対策と経済成長の両立、これ、大前提でございますので、十分にここはご配慮の上、慎重な検討をお願いしたいと思います。
なお、安全を大前提ということではありますが、原子力の活用については、このGDPの成長と温室効果ガスの排出削減、この同時達成が可能だと思っております。我が国でもデカップリングの位置づけに大きく寄与すると、こう思っておりますので、中長期的な継続運用のための検討は行っていくべきと、こういうふうに考えます。
それから、46ページに、「実効炭素価格」の話、すみません、「国内におけるカーボンプライシングの動向とその効果」というところがございますけれども、ここの記載に、実効炭素価格が高い国は炭素生産性が高いと。1人当たり排出量が少ない傾向にあるということで、特に欧州が意識されているものと思っております。しかしながら、OECDのデータによると、EUのほうでは、生産ベースの温室効果ガス排出量は減少はしておりますが、消費ベースでの温室効果ガス排出量はほとんど変わっていないと。これは、場合によって、カーボンリーケージが発生している可能性もあるということでありまして、この点、やはり十分な精査が必要と考えます。
排出量取引や、炭素税といったカーボンプライシングは、以前から申し上げておりますとおり、先ほどの点も含めまして、いろいろな懸念事項があるので、相当程度慎重にご検討をお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、41ページのところに、イノベーションの創出における政府の役割というところがございます。これの記載に、京都議定書の発効以降の我が国の削減実績等を踏まえて、我が国の温暖化対策の取組が既に後れをとっていると。今後、他国の後塵を拝する可能性ということについて記載がなされております。しかしながら、我が国のGDP当たりの排出量等を見ても、これは決して他国に後れをとっているわけでなくて、むしろアメリカだとかカナダ、欧州などと比較すれば、数字がいいということになります。我が国は、オイルショック以降、絶え間ない省エネ活動だとか、あるいは原子力を使った低炭素化、こういったことに注力した結果だと思います。
したがって、京都議定書発効時をスタートとしたような削減率のみで判断すべきではないと思っておりまして、また、我が国の2030年の目標ということになりますと、国際的にも遜色のない、野心的な目標として設定をしておるわけでございますから、国際交渉も踏まえますと、ちょっとこの記載内容は、少し見直されたほうがいいのではないかと思います。
以上でございます。

○安井部会長
ありがとうございました。今ので大体4分ぐらいでございますので。
荻本委員、お願いします。

○荻本委員
2点ございます。55ページの進捗管理という点が第1点目でございまして、過去の部会で、点検というときにも申し上げてきたのですが、ぜひ、この進捗管理は重要なので、やるということを書くだけではなくて、第1フレーズに、やる、やると書いてあるんですけど、どうやってやるかは書いていない進捗管理はあり得ないと。
また、その下のほうに「目安」と書いてあるんですけど、これ、きっと英語にできないんですね。「目安」という日本語は。だから、これは英語に直したとき、一体何になるのかということをぜひ考えていただいて、それぞれのプロジェクト、施策を始める前にこの指標を考えませんと、中間、または終わったときに、これを報告してくださいというふうに仕様書に書いていないと誰も報告してくれません。なので、進捗管理をやりますというのは、やりながら考えることでなくて、施策を始める前には、ぜひそのストラクチャーを考えないといけないということで、よろしくお願いしたいと思います。
イノベーションというものを、皆さん、期待していただくのはとてもすばらしいことで、私も、学者としてありがたいとは思うんですが、どうしてもあやしいものも入ってきて、死屍累々ということもあり得ます。ですから、進捗管理をちゃんとやりますということが、やはりいい提案を生んで、いい進捗になるということをぜひお願いしたい。
もう一点は、需要というところをぜひ注目していただきたい。特に石炭火力がどうのと言うつもりはないんですけど、どうしても供給側の議論というのは非常にやりやすいし、誰と協議していいかわかりやすいので、みんな議論しやすい。ですから、そういう供給側の議論はよくやられます。それに対して、家庭であるとか、たくさんの業務用ビルとか、この世界は誰と話していいかわからないので、誰にとってもやりにくい。でも、本当に重要なのは、需要そのものが省エネができるか、または、変わっていけるかということだろうと思いますので、いっぱい書いてあるんですけれども、スケジュールが立たないような気がいたします。ぜひ需要が、絵姿が描いてあるものに向かって、どういうスケジュールで行くかということを、早い段階で詰めるような内容にしていただければと思います。
以上です。

○安井部会長
ありがとうございました。
それでは、井田委員、お願いします。

○井田委員
いろいろ言いたいことがあるので、急ぎますけど、80%目標というのは、これまでと全く違うというのはおっしゃるとおりで、それを考えるときには、26%のような積み上げでやっていくのではなくて、それを目指してバックキャストをやっていくものだというのが、ちょっと書き方か足りないように思うというのが1点です。
HFCをさっき申し上げましたけれども、それも、こんな書き方じゃちょっと甘っちょろいなというふうに思います。
石炭なんですけれども、小西さんがおっしゃったとおりで、今、配付資料の42ページのグラフを見ると、今のエネルギーミックスに不整合があるから問題だという言い方なんですけれども、パリ協定にWell Below 2 Degreesと書いてあって、プログレッシブなものだというのがパリ協定の目標であったら、これはここまで出していいというふうに考えるべきものではなくて、ここを、どんなことがあってもここまでしか出しちゃいけないものだと考えるようなことは、石炭の視点というのは、そういう視点で考えるべきだというふうに思います。石炭の書き方もちょっとこれではどうかなというふうに思う。
ビジョンだというのは、そういうことなんですけど、ちょっと見ているとショートフォールも多いかなと思いまして、一つは、Climate Justiceの観点なんですけども、Climate Justice、単にコラムの中に書いてあるだけで、これは非常に国際交渉の中では注目されている概念なので、なぜ我々が今これをやらなきゃならないのかという点で、Climate Justiceというものをもっと強調されるべきではないかと思います。その意味で、25ページの下とか26ページの下の、「たった3%の国です」というのをよく聞くんですけども、そうじゃないというのは、おっしゃるとおりなんですけども、ここに、じゃあClimate Justiceというのはどういうものかというふうなことを一言書かれるべきではないかというふうに思います。
あと、国内のコスト・オブ・インアクションという、行動をしなかったときのコストというのが大きくなるからやるんだという視点も、ちょっと見当たらない。
すみません、急ぎますけれども、カーボンプライシングとかカーボンバジェットの話を聞いていると、僕、今、一体どこの時代に生きているのかなというふうに思います。こういう議論は、とっくの昔に、国際交渉の中では終わっていますよね。だからパリ協定ができたわけだし、カーボンプライシングだって、もう前提、これを、パリ協定が定めた大転換をやるための大前提であるというのは、ほぼ、もう国際的には常識であるので、小西さんがおっしゃったように、実現されていることが期待されるとか、こういうふうになっていることが、こんなものになっているというような、人ごとのような書き方じゃなくて、カーボンプライシングというのはもうやりますと。その上で、税なり、排出量取引なり、仕組みを考えることを、制度設計を早急にやるべきではないかというような書き方をすべきであるので、カーボンプライシングに関しても、もう一つ踏み込んだ書き方があるべきだと思います。
トランプ政権は、佐藤委員おっしゃるとおりなんですけども、一方で、エクソンはカーボンタックスを支持しているし、2日前ぐらいにニューヨークタイムズに載った記事ですと、ジェイムス・ベーカーがやるべきだと言ったとか、保守派のシンクタンクなんですけど、クライメートリーダーシップカウンシルというのがあって、そこもカーボンタックスを支持するというようなことを言っていると。それもアメリカの一面の事実で、リアリティーであるので、今、あんまりトランプが、アメリカが不安定だから、日本もやらないんだというようなメッセージを出すのは、これは国際的に非常によくないことで、今、国際社会とか、事務局が一番恐れているのは、いわゆるアンブレラの中からアメリカに追随するようなものが出てきてしまうというふうなことが、今の進みかけた交渉の構造を大きく動かしてしまう、逆に、ネガティブなインパクトを与えてしまうというようなことなので、日本が間違ってもアンブレラの中の最初でそんなトリガーを引くようなことかあってはいけない。荻本先生がおっしゃるように、英語で出すわけですから、間違ってもそんなメッセージが日本から出ていってはいけないというふうに思います。

○安井部会長
ありがとうございました。
伊香賀委員、お願いします。

○伊香賀委員
家庭と業務のお話、1点だけ、意見を述べさせていただきます。資料でいうと、31ページ、32ページと3839に関することでありますが、2050年の目標の通過点としての2030年があり、パリ協定に基づいて、家庭だと39%減、業務40%減、途方もない削減の目標になっている、その目処が、はっきり言って、立っていないというふうに感じております。
例えば住宅の断熱性能、省エネ性能を上げることの、そのコベネフィットを訴えていくということに関して言えば、先月、国交省の断熱改修事業のプレス発表をして、ようやく新聞各紙、取り上げていただきましたけど、まだまだ、国が幾ら補助金を出しても、自宅の断熱改修をしようという人はほとんど現れなくて、予定数がちょっと未達成になるかもしれないという危機的状況もあり、それから健康のエビデンスについても、まだまだ不十分なところもあって、長期目標で、特に家庭・業務がなかなかしんどいことを打破するには、国民の共感を得なきゃいけない、あるいは企業の共感を得なきゃいけないというところで、ぜひとも報道機関の方々のご協力が不可欠ではないか。要は、普及活動というところをもっと強調していただけないかなというのが意見でございます。
以上です。

○安井部会長
ありがとうございました。
飛びまして、三村委員ですね。

○三村委員
1点だけ、意見を言わせていただきます。この中に、気候変動と社会・経済の同時解決という概念が出ていますけど、これは、緩和だけじゃなくて、適応も含めて、非常に重要なんじゃないかなというふうに思っているということです。
今、中央大学の運営を担当しているわけですけれども、地域との連携というか、地域の活力を維持するために貢献するということで、実際に見てみると、もうここにたくさん書いてありますけれども、高齢化だとか、地方創生とか、あるいは地域経済の活力の維持、それから防災、国土強靱化、農業、そういう非常に具体的な問題がたくさんあって、そういうような問題の中に、この気候変動対策というのがうまく組み込まれていかないと、なかなか地域全体としての取組に広がっていかない、そういうような印象を持っています。
この提案の中にも、建物・暮らしとか、地域・都市というようなことが書いてありますけれども、気候変動対策の視点からそういうものを考えるというだけじゃなくて、向こうの人たちも、その中に気候変動対策をどう位置づけるかということを考えてくれるというような関係にならなきゃいけないんじゃないか。
そういう意味では、温暖化対策全体、緩和と適応を合わせた対策が、我が国の持続的な発展の中にどういうふうに位置づけられるかということは非常に重要だと思っていまして、今、話していることは、この長期低炭素ビジョンという中の枠をちょっと超えたような話ですので、どういうふうにそれをうまく表現するかということは、また別途考えていただければと思いますけれども、基本的な気候変動対策と社会・経済の同時解決という概念は非常に大切だと思いますけれども、それを実際に行うためには、どういうような対応が必要かということを考えることが重要なんじゃないかということを思っています。

○安井部会長
ありがとうございました。
藤村委員。

○藤村委員
最初にグリーン連合というのは、次世代につけを残さない、持続可能な市民社会をつくるという目的で、皆で力を合わせて、強く社会や政治に働きかけようということで、一昨年の6月に、日本の環境NGONPOがつくった連合組織で、今、約80団体属しているということをちょっとご紹介させていただきたいと思います。
このビジョンについてですけれども、データも非常に充実していて、よくまとめられていると思いますし、私自身、このプロセスに直接関わったわけではないんですけれども、初めて拝見したものとして、NGOとしての立場で幾つか意見を言わせていただきます。まず1点目が、2050年長期ビジョンということで、科学というものを基本に置いているというのは非常にいいというふうに思うんですけれども、これと合わせて、やはり将来世代につけを残さない、より健全な環境を残すためのビジョンだという、この2本を大きな柱として据えていただきたいなというふうに思います。
これは、環境政策の原点の観点でということで、28ページに若干触れておりますけど、ここは環境省でなければ言えない部分なので、大いに言っていただきたいのが1点。
それから、2点目といたしましては、パリ協定の意義ということで、いろいろ行政的な意義は書かれているわけですけれども、やはり4章の冒頭に書かれているように、もう世界が脱炭素社会へ舵を切ったんだという明確なメッセージとか、今から始めないと間に合わないよという、そういう危機感をもっと前面に出して書いていただいた方が、伝わりやすいのではないかなと思いました。
それから、3点目として、全体を通じて、経済についての記述が非常に多いなというふうに感じました。もちろん、経済は大切ですし、経済ありきの人たちを説得するというのも非常に大切だというふうには思いますけれども、産業界もいろんなご意見がありますし、何より2050年、産業構造も今とは随分違っているだろうと思いますし、そもそも、今のような短期的経済成長が人々を豊かにするという価値観そのものも変わっているかもしれないんじゃないかと。
そうした中で、今のような経済成長ありきという前提で長期ビジョンを書かれるのは、ちょっと、いかがなものかと思います。むしろ、経済成長を強調するよりも、量から質への転換だという辺りを強調された方がいいのではないかなと思いました。
4点目として、その一方で、このビジョンを支えるのは、やはり国民であり自治体であると思うんですが、その視点が、今まで、皆さんもおっしゃっていましたが、ちょっと少ないなと。このパリ協定の内容を知っている国民はほとんどいないし、以前に比べて、地域での市民講座みたいなのも減っている中で、国民の理解を得るために、質の高い環境教育をどう進めていくのかとか、人材をどう育てるのかとか、市民参加をどう進めるのか。これがこのビジョンを支えるベースでもありますし、今後の施策の大きな柱となるべきではないかと思うんですが、その辺りの記述が非常に少ないなというふうに感じた次第です。
それから、5点目として、2050年の絵姿を描くというのは非常に難しいと思いますけれども、2030年の目標に向けて何をするかを、もうちょっと明確にしていただきたい。そのためには、40ページ以降、政府の役割だとか、主要な政策の方向性を書いておられますけども、もっとこの辺りを前に持ってきて、環境省としての姿勢だとか、覚悟というものを、国民にしっかり示した上で、少なくともカーボンプライシングだとか、CCS火力や原発抜きでの90%再エネなど、確実にやるべきことを、いつまでに、どういうふうにやっていくのかということを明確に示していただきたいなと思います。
それから、最後に、規制的手法というのも書いてございますけれども、東京都で効果を上げたのは、一つの規制でもあるキャップをかけ、その上で取引を入れたということがうまくいった要因というふうに認識をしております。そういうことも含めて、やはり経済的手法とあわせて規制というものも非常に重要だと思いますし、また、この規制の話も、環境省からしか出てこないだろうと。大防法がいいのか、新法がいいのか、いろいろ議論はあるかと思いますけれども、やはり早期にこの検討を始めるということも明確に打ち出していただけるとうれしいなと思います。
いずれにしても、このビジョンを支えて、よりよい環境政策を進めるのは、国民であり、自治体であり、そして我々のようなNPOを味方につけることが大切だということで、環境省らしいビジョンを出していただきたいなというふうに期待をします。

○安井部会長
ありがとうございました。
根本委員、お願いします。

○根本委員
ありがとうございます。3点、申し上げさせていただきます。
すみません、どうしても3点言わせていただきたいので、ちょっと早口で失礼いたします。
初めに、26ページでございます。先ほど岸上委員も触れた部分でございまして、(2)番にございます、「世界全体の排出削減への貢献」という部分でございまして、この項目のみ、なぜか脇に「国内対策が大前提」と、補足的な追記があるわけでございまして、私どもの理解としましては国内対策も大事であり、国際貢献も大事という、大変自然な捉え方をしておるわけでございまして、どちらが上だとか、どちらが先だとかということではなくて、どちらも当然やらなきゃいけないし、同時に進めていくべきものであろうというふうに考えております。これまた、申し上げるまでもない話になるんですけれども、経済のグローバル化ということで、企業のバリューチェーン、そのネットワークが、文字どおり、これはグローバルでございますし、また、製品、あるいはサービスといったものが、国境を越えて、無尽蔵に動き回っていると、そういう状況でございます。
また、いつも車の例で恐縮でございますけども、環境への負荷が大変低いと言われている次世代自動車の例になりますけれども、生産段階だけ取り出すと、残念ながら、今の技術で行きますと、排出が増えてしまいます。輸出であれば、日本の排出量が増えるということになってしまいますけれども、それ以上に、使用段階を含めたライフサイクル全体という見方をしていただきますと、これは当然、日本だけではなくて、世界全体に対して、その排出削減に大きく寄与すると、そういうようなこともあるわけでございまして、このように、国内と海外、切っても切れないほど強くつながっていると、こういう状況の中で、国内だ、海外だと、ぱっと二つに分けて、そういった二元論的な発想でやるのではなくて、日本も含めた、グローバルで、どうやって削減を進めていくのかという、よりポジティブな視点で記述されたほうがいいんじゃないのかなというふうに思います。
結論としましては、国内対策が大前提といったような、何といいましょうか、硬直的といいましょうか、抑圧的といいましょうか、このような追記は必要ないんじゃないのかなというふうに思います。これが1点目でございます。
2点目でございますが、こちら、例えばということで、47ページを代表例で出させていただきたいんですけれども、同じようなトーンが、ほかのページにもたくさん見られたかというふうに思います。例えばこの47ページで言ったときに、どの言葉がとか、どの文章がとかいうことではなくて、そういった個々の話ではなくて、全体に関わるような話になるんですけれども、やはり何か大きな誤解をされているんじゃないのかなと、どうしてもちょっと言わざるを得ないんですけれども、この47ページで書かれていること、すみません、これ、かいつまんで申し上げると、「より良い」製品とサービスがあってと。一方に、「より安い」製品・サービスがあってと。何かバーサスの関係で捉えられて、この二者択一的に見られていて、日本企業はこれまで、あたかも低価格化だけを目指していたというような書きぶりに見えて仕方ありません。
これからはということで、カーボンプライシングを使って高付加価値化を目指す、それにシフトするチャンスだというような書き方になっているわけでございますけれども、私ども含めまして、多くの日本企業がやってきたことというのが、平たく申しますと、これまでも、これからもということになりますけども、端的に申し上げると、よい品をより安くということだったわけでございまして、安ければよかろうというつもりでやってきたわけでは全くございませんし、先にやるのは、よい品という考え方だったわけでございます。
社会が求めているものを研究開発して、多くのお客様にご利用いただけるよう、適切な価格で提供するという思いでやってきております。
したがいまして、この書きぶりによりますと、繰り返しになりますけども、日本の企業が低価格でやってきたということ。また、見ようによっては、コスト抑制の努力、これに対して否定されているような書き方ではないかというふうに思います。さらには、この高付加価値であれば高くても売れるんじゃないかといった読み方ができてしまうのかなというふうに思います。やはり二重三重に誤解されているんじゃないのかなと言わざるを得ないと思います。
私どもの感覚としましては、この環境面で、高付加価値の製品ということで成功した事例としましては、LEDの照明ですとか、ハイブリッド自動車が挙げられるというふうに思うんですけれども、じゃあこれはなぜ普及したのかということをお考えいただきたいんですけれども、やはり一つは、社会が求める新しい価値の提供ができたと、この大きな1点、ございます。そして、それだけじゃなくて、やはりお客様がお求めやすい価格まで引き下げたということもあって、この両輪の結果だというふうに思っています。
したがって、価値があれば高くても売れるというような感覚は、我々は持ち得ないということでございますので、やはり我々企業の取組に対しましては、政府におかれましては、ぜひ、過剰でもなく、不当でもなく、正しい評価をぜひお願いしたいというふうに思います。
最後になります。3点目でございます。
50ページの規制的手法というところでございまして、この規制的手法の真ん中の辺りに、自動車の排ガス規制のように、適切に設計された環境規制は、技術のイノベーションを創出すると、「創出する」という表現がございます。これは正しい表現なのでしょうかということなんですけれども、例えばということになりますが、かつて、日本版マスキー法の導入がございました。これは、排気触媒の技術が市場で使える目処が立ったということであり、排気ガス対策が可能になったという裏づけがあったことだろうというふうに思っていますし、技術的解決可能性の当てがない中で、イノベーションを期待して排ガス規制を強化したということではなかったのではないのかなと、私どもは理解しております。
最後になりますけども、そもそもの話ということで、大変恐縮でございますけれども、イノベーションが生じてまいる究極の大元といいますか、源泉といいますか、そういったようなものは、やはりもっと純粋な、大きな夢とか、祈りとか、そういったものであって、やはり規制のはるか以前にあるようなお話だというふうに理解しております。イノベーションの創出ですとか促進、こういったものを議論するに当たりましては、規制、規制ということよりも、より根っこにあるようなものを刺激するような施策、あるいは、イノベーションにチャレンジする人が増えるような施策、元気が出るような施策、こちらを強く打ち出していただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。以上でございます。

○安井部会長
3分とご努力いただきながら7分かかりました。
中村委員、お願いします。

○中村委員
ありがとうございます。このビジョンをつくられたことについて敬意を表したいと思います。主に中小企業を会員とする商工会議所の代表として、かつエネルギー産業に携わっている者として、意見を申し上げます。
先ずは、この長期目標と記載された「2050年80%削減」についてです。何度も申し上げているとおり、実現可能か明確ではないものですので、あくまで将来の目指すべきビジョンと位置づけることを明記していただきたいと思います。
また、このビジョンには柔軟性を持たせるべきと考えています。拝見しますと、2050年というピンポイントのところで、こうでなくてはだめだと読めてしまいます。これが非常にリアリティーを損ねている、あるいは柔軟性を欠如させているのではないでしょうか。もちろん、仮に「205080%削減」をやらなくてはいけないということになっても、イノベーションが必要と言っているのであり、そうであるならば、不確実なことがたくさんあると思います。したがって、本ビジョンそのものも、実は多くの主体が色々と検討している中のあくまで一つであるべきです。また、このビジョンを実現するにしても、その中に多種多様なシナリオがあって然るべきであり、各主体が自分達に合ったシナリオを選択できるような柔軟性がないと、産業界をはじめ国民はついていけないのではないかと考えます。
一例を申し上げます。私は都市ガス事業に携わっておりますが、このビジョンの案をご覧になったお客様から、いきなりこういうお電話をいただきました。「もう天然ガスを使えないのですか。もうだめなのですか」と聞かれたのです。私はそんなことはないという事を丁寧に答えました。そうするとお客様は安心して「ああ、よかった。まだ化石燃料も使えるよね」と、ご理解いただけました。しかし、本ビジョンの、全体として柔軟性を感じることができない書きぶりでは、短絡的に2050年を見据えて今すぐにかつ唯一の選択肢を採るしかないといったような誤解を招く可能性が大いにあります。この点は十二分に気をつけていただきたいと思います。
なぜこう申し上げたかというと、2030年の目標は確固たるものですので、産業界は今、2030年に向けて積極的に設備をリプレースして高効率を図ったり、あるいは、コジェネや燃料電池等の高効率システム等を普及導入することで温暖化対策に貢献していこうと一生懸命取り組んでいる石油、プロパン、ガスなどの1次エネルギーに携わる事業者さんがおられます。地域で本当に地に足がついた実業での取組をされているのにもかかわらず、このようなビジョンをピンポイントで出されますと、非常に水を差される思いがするのです。2050年のあくまでビジョンであることをはっきり示し、そう見せていただきたいと思います。
リアリティーを出すには、つまり、この2050年のビジョンを実効性があり社会がついていけるものとするためには、2030年以降、どのように変えていくのかという連続したシナリオを複数示していただくことが必要なのではないかと思います。繰り返しになりますが、とにかく取組の柔軟性の確保という考え方をビジョンの案の中に取り入れていただきたいと思います。
次に、地球温暖化対策と経済成長の両立についてです。単刀直入に申しあげますと、もちろんイノベーションは必要でございますが、11ページに、気候変動対策は「約束された市場」と書かれています。これは環境産業だけを念頭に置いた市場成長であると理解いたします。脱炭素が経済成長をもたらすという考え方も、やはり正直申し上げて、短絡的な見方と思います。経済は、様々な産業が連関しながらシステムとして成り立っているのであり、気候変動対策だけで物事が進むわけではありません。やはり良好な経済環境があるからこそ、イノベーションや技術が進むのであり、ビジョン実現のためには、経済成長と地球温暖化対策の両立を目指す必要があることを、改めて認識すべきだと考えます。
関連して、根本委員もおっしゃっておられましたが、国内対策が大前提ということについても非常に強い違和感を覚えます。もちろん、温暖化対策はグローバルな問題であり、他方で国内対策もしっかりやっていくべきですが、中小企業であっても、今や自社の成長のために広く海外に目を向けています。今までは国内で成功してから海外へ進出するという順序が一般的でしたが、今は海外展開が先という考え方も広まっているように思います。したがって、国内対策と国際貢献を同時に進める考え方を持たないと、企業としては、やはり思い切った投資ができないのではないかと考えています。
最後にカーボンプライシングについてです。これは既に他の委員の方が言っておられましたが、やはりこういった過激な制度が導入された場合、製品やサービスの供給側は生産調整や海外移転などに踏み切らざるを得ない場合も出てきます。中小企業の立場から改めて申し上げますと、現在、電力料金は東日本大震災前と比較して高止まりしています。非常に厳しい状況の下で事業活動を行っている中で、カーボンプライシング等々でさらにコスト負担が増えると、多くの企業が革新的なイノベーションにトライするための投資が困難となります。したがって、カーボンプライシングの導入には反対の立場を取りたいと思います。長期低炭素ビジョン小委員会でも、カーボンプライシングはイノベーションの阻害要因となるという意見が出たと聞いています。本素案の中にも、様々な意見が出たという事実をきちんと書き込むことで、社会に対し、カーボンプライシングについては賛否両論あるということを、そして「2050年80%削減」の位置付けについても多様な考え方があることを明記すべきです。以上です。

○安井部会長
ありがとうございました。
中根委員、お願いします。

○中根委員
今、明確な方向性を持ってイノベーションをやっていらっしゃる企業の方からのお話がありました。イノベーションには二つあって、エネルギーをどう脱炭素化するかというような初めから長期的な方向性を持って取り組むべきものもあれば、人工知能のように、温暖化対策を目指して開発されたわけではないけれども、温暖化対策に向けて取り込んでいくべきもの、そういうものがあるかと思います。どちらにしても、イノベーションに対して明確な方向性を示すことが重要だと思います。
ちょっと古い話になって申し訳ないんですけども、35年前に自動車メーカーを見学させていただいたときに、電気自動車はやっていないのですかと質問したところ、当社の強みはエンジンなので、電気自動車はやりませんとのお返事があったことを覚えています。また、10年前のことですけども、IoTによる低コストの省エネ技術システムを試作した社員に対して、今のシステムで十分収益が上がっているのだから、そのビジネスモデルを破壊するような技術はやらないと上司に言われたと、そんなことを覚えています。今は、企業のマインドも大きく変わっていると認識していますけれども、変わり切っているだろうかということですね。まだまだ変わらなければいけないのではないかというようなこともあるかと思います。それは、企業さんによっていろいろかと思いますけど。
それに対して、企業の自主的な行動だけでやってほしいというのは酷な話で、政府の役割というのは、企業が脱炭素のほうに変わるためにどういうふうなサポートをするかということだと思います。それについて、その方向性ということで具体的に書かれているかと思うんですけれども、実際にそういう、大きく脱炭素化していくというふうに変わり切っていくということを促すというか、サポートするということが、これなんだというメッセージとか、そういうことが、どう具体化するのかという表現が、力強いメッセージとか表現がなされるといいなというふうに考えています。
いろいろ規制的な方法、カーボンプライシング等々、ご議論あるかと思いますけども、今のように、どのように産業が脱炭素に向かうためにサポートするのかということで、いろんな政策、ビジョンに向かう政策が書かれているんだということ、そこがはっきりするようなメッセージになるといいなと、そう思っております。
以上です。

○安井部会長
ありがとうございました。
末吉委員、お願いします。

○末吉委員
ありがとうございます。
SDGsの、一等最初に出てくる言葉にこういう言葉がありますよね。Transforming our worldだと。これから我々の世界は変革するんだということですよね。まさにこの長期ビジョンは、その精神で物を考えるべきだと思います。ですから、当然、ゴールがすごく大事ですよね。ゴールなき長期ビジョンというのはありません。それから政策、なかんずく国レベルの政策です。当然、法律や規制も重要になってきます。無論、商業ルールです。こっちのほうが実際にはビジネスを縛ります。で、私が関心のある金融でいうと、金融原則。金融商品も大事なんですけども、金融原則とか、あるいは金融制度ですよね。さらに、これらを全て下でくくっているのが、私は、哲学、倫理観だと思います。金融でいえば、金融倫理ですね。
そういったことを申し上げた上で、金融の記述のある14、15ページの現状と、35ページの絵姿と、51ページの主要な施策、これ三つが、私には、ぷっつんで、本当につながってないように見えるんですね。それはなぜかと、ずっと考えていたんですが、やはり既に始まった大きな底流を、あまり認識してないんじゃないか。何だか、これ、30年後、50年後の話というふうに捉えているところがあるんじゃないかと思うんです。
少し具体的に言いますと、例えばグリーンインベストメントが、パリ協定やSDGsの実効の非常に重要なものという位置づけになっていますよね。そもそもパリ協定を生んだ陰の主役の一つが機関投資家です。あるいは、SDGsでいえば、つい先日、130日に、ポジティブ・インパクト・ファイナンス原則というのが生まれました。SDGsが必要とする90兆ドルのお金をどう調達しようかというところから生まれた原則です。これは恐らく、責任投資原則に並んでいくんだろうと思います。あるいは、国の政策がグリーンファイナンスをどんどんどんどん取り組み始めております。一つの典型例が中国ですよね。中国は、経済や社会の変革のために欠かせないのがグリーンファイナンスだと言っているわけです。ですから、このグリーンファイナンスシステムガイドラインの中に、何とキャップ・アンド・トレードが入っているわけですよ。金融政策の中にですよ。あるいは、国レベルのグリーンファンドをつくって、グリーン産業に投資をしていくんだというのが入っています。
あるいは、金融センターの競争条件になり始めたと。東京都が世界の金融センターを目指しているわけですけれども、今度、来週、G7のレベルで、金融センターの議論が始まります。これは、例えばパリが、今、ロンドンを追い抜こうとしておりますよね。その柱にグリーンファイナンスがあるんです。
ですから、こういったことがもう現実に始まっております。ですから、東京都が、今、たしか第5位でしたか、金融センターとしてのランクづけ。これ、うまくいかないと、5位、6位、7位、10位の圏外に行ってしまうと、そういうような話も出てくるんじゃないでしょうか。
あるいは、投融資判断の情報公開というのは確かにそうなんですけども、ルールとか原則が変わっていくという話だと思うんですね。ですから、TCFDの話も、融資するかしないかの判断の基準になっていくんだ、そういったような認識を持って、この金融の変化を見ないと、私は、見誤るのではないかと懸念をしております。
ですから、最後にそういったことを申し上げた上で、これからの議論でお願いしたいのは、やっぱりホリスティックですよね。サイロ、サイロで議論するのはもうやめたほうがいいと思います。それから、システミックに、あるいはインスティテューショナルに、どうしていくのがいいのか、こういった議論の視点が重要ですし、それを全部足し合わすと、やっぱり僕は、ロジックを大事にしていく、そういった議論をしていかないと、目先、足元のさざ波や波乱要因に惑わされて、そのことをやらないことのエクスキューズにするのは、もうやめたほうがいいんじゃないでしょうか。やはり目線を遠くに持って、そこで考えていかなきゃいけないことを、どうしようかという話だと僕は思っております。
以上です。

○安井部会長
ありがとうございました。
それでは、最後に、下田先生。

○下田委員
ありがとうございます。
これだけのビジョンを、この短期間でまとめられた委員、それから関係者各位に敬意を表したいと思います。私がこれまで申し上げてきたことの関連でいいますと、49ページのところで、自治体の電力消費量に関するデータの開示ですとか、排出原単位の開示等の、データの開示について述べていただいたことは、非常に大事なことだと思います。
先ほど、進捗管理というお話がございましたけれども、やはりこういうデータを使って、業界団体なり自治体なりという、国だけではない、いろんな主体がカーボンマネジメントをしていって、それが次の施策の改定とか目標の見直しというところにつながっていくようなシステムをつくっていくというのが、まず大事だというふうに思っております。
それから、テクニカルなところで二つくらい申し上げますと、15ページのところに、「人口減少と過疎化」というのがあるんですけれども、人口総量というよりは、世帯の人数が減っていて世帯数が減らないというところが、家庭のCO2排出が減らない大きな原因になっておりますので、この辺、対策のないところではあるのですけれども、背景としては認識しておく必要があるだろうと思います。
それから、37ページの「地域・都市」のところで、都市と中山間という仕分けをされているのですけれども、日本の場合は、南北に長くて、気候の違いというのが大きくありますので、やはり寒いところと暑いところに対する施策の違いも認識しておく必要があるだろうと思います。
それから、カーボンプライシングのところでは、中小の業務建物とか家庭というのが、なかなか値段に反応してくれないというところがありまして、ここをどう動かしていくというのが大事だと思いますし、それから、国際的に比較したときに、低炭素なものづくりができているところがエンカレッジされるようなシステムでないといけないというふうに思いますが、この辺りはやはり制度設計の問題だと思いますので、その辺りを引き続きご検討いただければというふうに思います。
いずれにいたしましても、先ほどからお話が出ておりますように、昨今の国際情勢を鑑みますと、やはり日本が前向きなメッセージを定期的に出すということが非常に大事なポイントになっているというように思いますので、そう考えていただければと思います。
以上です。

○安井部会長
ありがとうございました。
17分遅れでございますが、質問が一つあったと思いますので、26ページ辺りに関しまして、岸上委員からの。

○低炭素社会推進室長
岸上委員からございました、国際貢献というところですけれども、幾つかのところで書いておりますけれども、例えば54ページ目のところで、「世界全体の排出削減への貢献」ということを、今後の方向性として書いておりますけれども、上のほうでは、「JCMを中心に海外展開を推進しているところであり」というふうに書いておりますけれども、今、主なものとしては、JCMなどを使って施策を進めておるところでございます。

○安井部会長
ありがとうございました。
大分時間がなくなりましたので、ちょっと急ぎまして、最後の議題に参りたいと思いますが、やや短目にご説明をいただいて、それで質疑応答もできるだけコンパクトにさせていただきたいと思います。
それでは、ご説明を事務局からお願いします。

○研究調査室長
資料4-2をご覧ください。気候変動影響評価等小委員会の検討状況でございます。
政府の適応計画、一昨年の11月に閣議決定をしております。
パワーポイントの3ページをご覧ください。適応計画の概要でございます。
目指すべき社会の姿、これはビジョンでございますけれども、適応、これ自体を目的とするのではなく、適応を推進することで気候変動の影響による被害を最小化、あるいは回避をして、持続可能な社会を構築するという、そのビジョンを設定いたしました。
これに基づいて、五つの基本戦略を政府として決定しております。このうち、(1)が政府自身の施策に適応を組み込むということ。それから、(4)は地域の取組の推進。それから(5)は国際協力、特に途上国の取組を推進するということでございまして、こういった施策をサポートするために、科学的知見の充実、気候リスク情報の共有という、基本戦略(2)と(3)というものを設定しております。これらの戦略を踏まえて、第2部の分野別施策であったり、第3部の基盤的な施策の実施に着手をしているところでございます。
次の4ページは、小委員会のリストでございます。
5ページでございますけれども、現在、こういった計画に基づいて何をやっているかというものを時系列にまとめたものでございまして、昨年の10月から中環審の小委員会を再開しておりまして、主として科学的な知見ですとか、あるいは気候リスク情報、これを具体的に科学的な観点からどういうふうに進めていくかということですとか、出てきた情報をどういうふうに、地方や海外に活用していくかという方針について、今、議論しているところでございます。
一方、政府の適応計画本体につきましては、局長級で構成される関係府省庁連絡会議で、その施策のフォローアップのやり方について議論をしているところでございます。こういった取組などを通じて、平成32年ごろを目途に、第2次気候変動影響評価を実施し、必要に応じて、その計画の見直しを行っていくという予定にしております。
次のページが小委員会のスケジュールでございまして、再開後、計6回、開催をしております。最新は第15回でございまして、今週の火曜日に実施したと。ここで、これは仮称ですけれども、「今後の気候変動影響評価等に向けた取組の方針」について、ご議論いただきました。
8ページが、骨子、目次でございまして、適応計画の戦略に即して、知見の充実、気候リスク情報の共有、地域、それから国際協力といったような章立てを行っております。
続きまして、この方針の案でございます、骨子でございます、資料4-1をご覧ください。
3ページに飛びまして、「現状と課題及び具体的な取組の方向性」ということで、最初の段落ですが、この中で、適応の取組というのは、科学的な検討のみの段階から具体的な計画策定や実施の段階に入ったということで、この変化を踏まえた影響評価や適応策の推進の体制の構築、それから施策展開が必要である。そのために、あらゆる関係者との連携が必要である、ということが書かれております。
次のパラグラフでございますけれども、特に地域で取組を進めるためには、先ほども幾つかご意見がございましたが、人口減少・高齢化・過疎化への対処、農業の再生、地域経済の活性化、さらにはこれらを含めた地方創生や国土強靱化等の課題に対応する取組が優先されるけれども、こういった取組の中に適応をどのように関連づけて組み込んでいくかが重要となる、ということを位置づけております。
続きまして、5ページでございますけれども、これ以降は具体的な方向性でございます。まず、5ページ、観測・監視の体制については、5ページの二つ目の丸でございますけれども、関係府省庁、研究機関が連携を深めていく、そういう形で、特に気候変動の影響を含めた観測・監視を戦略的に進める、このための計画づくりを行っていくことが適当であるということを記載しております。
続きまして、気候変動及びその影響の予測でございますけれども、6ページの下から二つ目の丸でありますが、今後、継続的に気候変動、それから、その影響の予測を進めていくためには、パリ協定に基づくグローバルストックテイクですとかIPCCの第6次評価報告書、こういった国際的なスケジュールを見据えて、戦略的に進めていく必要があるというふうに記載をしております。
7ページでございますけれども、一番上のパラグラフですが、例えば気候シナリオの条件設定等について、関係機関が連携して議論を進めていくというようなこと。また、社会経済シナリオ、(2)ですけれども、8ページの上から二つ目の丸ですが、IPCCで最近策定されました、社会経済シナリオであるSSPシナリオ、これの国内版、国内SSPの検討を行っていくということが記載されております。
続きまして、気候変動影響に関する調査研究でございます。9ページの「具体的な取組の方向性」、一つ目の丸ですが、特に、いわゆる外力、気温や降水量、あるいは物理的な影響だけではなく、いわゆる脆弱性や曝露、こういったものを適切に評価をしていく手法の開発を、今後、行っていくべきであるということが記載されております。
続きまして、10ページ以降ですが、定期的な気候変動影響評価でございます。この中では、特に11ページ、「影響評価の指標」、これはちょっと表現ぶりは修正いたしますけれども、前回の気候変動影響評価報告書においては、重大性・緊急性・確信度という三つの観点から評価を行っております。まだ知見が不十分で、この辺、まだ改善の余地があるというご意見もありましたので、この点について、今後、検討をしていくということが記載されております。
続きまして、13ページ、「1-5、海外における気候変動影響が日本に及ぼす影響の評価」であります。
具体的な取組としては、14ページの上から二つ目の丸に記載をしておりますが、将来我が国において甚大な影響が予想される食料安全保障や国際的なサプライチェーンに焦点を当てた調査研究を進めていくということを記載しております。
その次は、大きな2章、2.でございます、「気候リスク情報等の共有と提供を通じた理解と協力の促進」でございます。こちらにつきましては、15ページの「具体的な取組の方向性」でございますけれども、「気候変動適応情報プラットフォーム」、これは後ほどご説明いたしますが、こういったプラットフォームなどを通じて、各主体が連携をして情報基盤の整備を進めていくことが記載されております。
次に、16ページ、「国民への気候変動の影響と適応の普及啓発」に関する箇所でございますが、「現状と課題」、上から二つ目のパラグラフにございますように、「適応」という言葉自体については、概ね半数が「知っていた」と回答をしておりますが、内容まで理解している国民の方々は、まだ4%程度と、非常に少ない割合でございます。ということで、普及啓発をしっかり行っていくということですとか、あとは、16ページの一番下の丸にも書いてありますように、国民等のステークホルダーと双方向のコミュニケーションを促進する、このための施策、ツールをしっかり開発していくことが重要であるということが記載されております。
続きまして、17ページ以降、「民間事業者の取組の推進」であります。「具体的な取組の方向性」として、18ページの最初の丸に記載しておりますが、民間事業者が求める情報を、今後、政府としても積極的に提供していくと。それから、民間事業者の求めに応じて、科学的な観点から的確にアドバイスができるような体制の整備を進めていくこととするとしております。また、こういったことをサポートするために、政府が民間事業者用のガイドライン等の参考情報の整備などを今後行っていくことが適当であるとしております。
それから、19ページ以降は、地域、それから海外の協力でございますが、こちらについては、文章のご紹介は省略させていただきます。かわりに、パワーポイントの資料の一番最後、裏にございますが、ここで、気候変動適応情報プラットフォームと地域適応コンソーシアムについてのご案内をしておりますので、最後にこちらをご紹介させていただきます。
この情報プラットフォーム、A-PLATとも呼んでおりますが、こちらは、国立環境研究所に事務局を置くものでありまして、昨年の8月に設置をしております。情報基盤整備を行うだけではなく、地域や事業者が適応に取り組むことを促進するための支援ツールを開発・提供したり、あるいは、都道府県などの担当者と、適応に関わる人材の育成を行う、こういった総合的な機能を、今後さらに発展させていくことを目指しております。
また、その対象領域も、国内だけではなく、今後、2020年までに、アジア太平洋地域に拡大する。この旨は、COP22でも山本大臣から発信をしたところでございます。
また、地域適応コンソーシアム、こちらは来年度の新規事業として要求しているものでございます。環境省だけではなく、農林水産省、国土交通省との連携事業を想定しておりまして、国、都道府県、研究機関等による地域適応コンソーシアムを構築するものであります。これは、情報を共有するだけではなく、地域のニーズを踏まえた具体的な影響予測計算ですとか、そういった情報を踏まえて、自治体や企業などが適応の取組を促進させていく、そういう機能を持った事業、これを来年度から、この絵の中にありますが、各ブロックで実施していくことを予定しております。
以上です。

○安井部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまご報告いただきましたことに関しまして、ご質問等ございましたら、また名札を挙げていただいて。
じゃお二人に限り、ご意見をいただきたいと思います。
では、小西さん。

○小西委員
ありがとうございます。
この影響調査と適応は、私たちもずっと、最初2008年ぐらいからでしたか、出されたものを、すごく熟読して、活用させていただいてまいりました。これは、今までずっと研究だったのが、いよいよ研究から実施の段階に入ったということを、これ、如実に、見させていただいて非常に、ここまで来たんだなということをうれしく思っております。
特に今回の地域適応コンソーシアム、環境省さんのイニシアティブで、農水省さん、国交省さんも交えて、地域の自治体、まさにそれをエンカレッジする仕組みが立ち上がったことを、本当にすばらしいなと思っていたわけです。竹本さんも予報士でいらっしゃるので、同じなんですけれども、私、実は、予報士会、全国3,300人会員を抱える副会長をやらせていただいているんですけれども、予報士は今8,000人いるんですが、実は宝の持ち腐れなんです。4,000人が気象、現業の仕事につけていないんですけれども、まさにこういった人材育成のときには、この予報士、全国の自治体とかに、今、多くの方がいらっしゃっていますので、ステークホルダーを巻き込むときに、ご検討をいただければなと思っております。
一つ質問としては、この地域適応コンソーシアム、これはやっぱり自治体さんに適応計画をつくってもらおうと、私たち、いろいろな自治体さんと話し合っているんですけれども、国がまだやっていないのにということを、すごく多く言われて、まだ、一歩踏み出される力がなかなかなかったんですけれども、ここでやっぱり肩を押してくださる、それはどんな計画でやっていらっしゃるのか、ちょっとお聞きできればと思います。

○安井部会長
お先にどうぞ。

○研究調査室長
サポートのコメント、どうもありがとうございます。地域の現状でございますけれども、政府の適応計画策定前までは、非常に地方公共団体での適応計画の策定状況はかなり限られていたんですが、計画策定後、都道府県でも相次いで、何らかの適応に関する要素を、例えば温暖化対策の実行計画の中に盛り込むというような動きが急速に拡大をしておりまして、最新の情報はおさえておりませんが、少なくとも昨年の秋の段階では、31の都道府県でそのような取組を行っているというふうに聞いております。
ただ、どちらかというと適応に関する概念ですとか、国の取組をそのまま紹介していることと、とりあえずできる施策を記載しているということが多くて、今後、より発展させるためには、こういったコンソーシアム事業を通じて、より具体的な関心のあるテーマについて、科学的な知見をより充実させていく必要があると、そういう趣旨でこの事業を開始することにしております。
以上です。

○安井部会長
よろしゅうございますか。
井田委員、お願いします。

○井田委員
最後の最後に来て、論点を拡散させるようで申し訳ないんですが、今日ずっと聞いてきて、適応の話まで聞いてきて、重要なキーワードが一つ欠けていると思ったのは、海洋酸性化の話なんですね。それは資料の中にも入っていないし、全然リファーがないというのは、これはどうしたことかと僕は思うんですけども、ごめんなさい、それは長期ビジョンを考える上でもそうだし、適応を考える上でもそうだし、なぜならなきゃならないのかと、私が申し上げるまでもないですけども、これはもう気候感度に幅がありますというお話をしますけど、これ、私が申し上げるまでもないですけども、科学の法則によって必ず起こるんですよね、大気中の濃度が上がれば。で、よもや水産庁のお仕事だと考えているわけではないと思うんですけども、ビジョンの中にも何で一言もないのかなというふうに思ったし、適応の計画の中に具体的に入っているか入っていないかというのはまた別として、今日、海洋酸性化という大きなリスクの問題が全然出なかったということが、私、驚きなんですけど、もし、時間過ぎて恐縮ですけども、一言コメントをいただければと思います。

○研究調査室長
ご意見ありがとうございます。
今回の小委員会は、今後、何をするかという方針を並べたものでございまして、いわゆる気候変動影響評価報告書の中では、そういった酸性化も含めた海洋のリスクについては記載をしております。

○安井部会長
大変重要な問題だと思います。
というわけで、一通りの議事が終わりまして、ご協力いただきありがとうございました。まあまあ遅れてはおりまして。
本日のご意見を伺って、私も初めて部会長を務めるのでありますが、この話というのは、やはり西欧社会と日本社会のあり方の違いというのが、すごく背景に大きいものがあるというふうに認識をしておりまして、パリ協定というのは、とにかくClimate Justiceという、気候正義という言葉から始まっちゃうんですよね。ところが、彼らはそういう正義というのを、多分、日本の山でいえば富士山みたいな格好の正義を考えているので、究極のところへ行くと多分収束するんですが、日本は、富士山がありながら、八ヶ岳型の正義の構造を持っておりまして、上がるところから頂上が違うんですね。そういうところをやっぱり何とか打破しないと、この議論はなかなか、本当はまとまらないんだろうと思います。

金融界がESG投資でまとまったのは、比較的「お金」という共通のことで、多分うまく富士山ができたのかなという気もするんですけど、やっぱり日本の産業は、ありとあらゆるものがございますし、正義が違うなという感覚がいたします。
あと、もう一つ、最近持っている感覚なんですけど、市民という人たちに、一体この正しさというものをどういうふうに伝えるかというときに、まだ、実を言いますと、日本の場合には、まだ懐疑論的な方が結構おられる。今、一番、懐疑論の根底で問題なのは何かというと、大気中のCO2の寿命じゃないかなと思っているんですね。これ、皆さん、何年ぐらいだとお考えなんですか。この間、岩手大学に行って、EMS、環境マネジメントシステムをやっている学生に、「何年?」と聞いたら、誰も知らなかったとかいう、誰も考えたことがなかったという、そういうことでありまして、最近、シェルン・フーバーという、ポツダムの連中は、3万年だと言っています。ところが、懐疑論者は7年だと言っているんです。さて、どれが正しいんでしょうか。
その辺り含めて、いろいろと議論をさせていただかなきゃいけないことがあるかなという気がして、はい。

○浅野委員
部会長をやめたので、時間を過ぎての発言を平気で行うというにも申し訳ないことですが一言だけお許しください。
ビジョンの取りまとめをしております。今日もいろいろなご意見を部会の皆様方からいただきましたし、新しくメンバーになられた方のご意見も伺いましたので、十分にこれらをも含めて考えさせていただきたいと思います。ただ、この長期低炭素ビジョンというのは、それ自体が、直ちに細かいプログラムまでを書き並べたものということをイメージするのは非常に難しい。それをやるためにかなり時間がかかりますけども、事は緊急を要するわけですね。
ですから、今の段階で、どういう絵姿を考えるべきなのかということを、まずはっきり示していくことが必要だと、こういう姿勢で事務局にも準備をさせております。その辺はぜひご理解をいただきたいと思いますし、次のステップ、さらに次のステップというのが、次々に待ち構えておりまして、これで全部終わりではないので、ここにいただいたご意見が全部盛り込まれないからといって、それだけでビジョンの全体を否定をされてしまいますと大変つらいことでございますので、よろしくご理解をお願いいたします。

○安井部会長
現部会長、前部会長が時間を延ばしていてもしようがないので、本日はどうもありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。

午後 12時07分 閉会

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