中央環境審議会地球環境部会(第12回)議事録

1.日時

平成16年1月30日(金)15:00~17:30

2.場所

フロラシオン青山

3.出席委員

  
(部会長)  浅野 直人  
(委員)  鈴木 基之  桝井 成夫
   桝本 晃章  和気 洋子
   青木 保之  浅岡 美恵
 浦野 紘平  太田 勝敏
 大塚  直  久保田 泰雄
 小林 悦夫  佐和 隆光
 塩田 澄夫  瀬田 重敏
 高橋 一生  永田 勝也
 西岡 秀三  林  貞行
 平尾  隆  廣野 良吉
 福川 伸次  松野 太郎
 甕   滋  安原  正
   山口 公生  横山 裕道
     

4.議題


(1) 地球温暖化に関する国際的対応について
(2) 気候変動に関する科学的知見の整理について
(3) 地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しについて


5.配布資料


<地球温暖化に関する国際的対応について>
 資料 1-1 「気候変動問題に関する今後の国際的な対応の基本的な考え方について(中間とりまとめ案)」に対する意見の概要及びそれに対する考え方(案)
    別添 中間とりまとめ案に対する意見(全体)
 資料 1-2 中間とりまとめ案に対するパブリックコメントについて御議論いただきたい点
 資料 1-3 気候変動問題に関する今後の国際的な対応の基本的な考え方について(中間とりまとめ案)
 資料 1-4 中央環境審議会地球環境部会への気候変動に関する国際戦略専門委員会の設置について
<気候変動に関する科学的知見の整理について>
 資料 2   西岡委員提出資料
<地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しについて>
 資料 3-1   我が国の温室効果ガス排出の動向と背景
 資料 3-2 地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しの進め方について(案)
 資料 3-3   地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しの論点(案)
 資料 3-4   今後の地球環境部会のスケジュール(案)
<参考資料>
参考資料1 中央環境審議会議事運営規則
参考資料2 地球温暖化対策推進大綱(平成14年3月19日 地球温暖化対策推進本部決定)
参考資料3 地球温暖化対策推進大綱の進捗状況(平成15年8月29日 地球温暖化対策推進本部了承)
参考資料4 「環のくらし」応援BOOK Part2

 



午後3時03分開会

○石野総務課長 それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会の第12回会合を開催いたします。
 現時点におきまして、全委員中20名の方が御出席でございます。あと一方お見えになれば、定足数ということでございますので、始めさせていただければと思います。
 それでは、浅野部会長、よろしくお願いいたします。

○浅野部会長 それでは、本日の会議に先立ちまして、小島地球環境局長から御挨拶をお願いいたします。

○小島地球環境局長 地球環境局長の小島でございます。委員の皆様におかれましては、地球環境の御審議、行政等につきまして御指導いただきまして、厚く御礼を申し上げます。
 本日は、前回の地球環境部会でおまとめをいただきました気候変動に関する今後の国際的な対応の基本的な考え方、その中間とりまとめ案、これにつきましてパブリックコメントを内外からいただきましたので、これを御紹介し、また、これを踏まえて、本日その中間とりまとめを、御審議をいただいてまとめていただきたいというふうに考えております。
 また、このことに関連いたしまして、さらにそのビヨンド京都といいますか、今後の国際交渉に備えるための専門的な御審議をいただくための専門委員会の設置につきまして、御審議をお願いいたしたいと思います。
 それから、国内のことでございますけれども、我が国の温暖化対策は、地球温暖化対策推進大綱に従って進めておりますが、今年はその評価・見直しの年でございます。昨年来、本部会におきまして、京都議定書の6%削減約束を確実に達成するために、現在の温暖化対策につきまして審議を進めていくべきだと、こういう御指摘をいただいております。本日から本格的な大綱の評価・見直しの審議の開始をお願いいたしたいと思っております。
 このようなことに関しまして、この議論の前提となります気候変動に関する科学的知見、これがベースだと思いますけれども、このことにつきまして改めて整理し、情報を共有しておくことが有益ではないかと思いまして、部会長とも相談の上、IPCC第3次評価報告書の執筆者の一人であられます西岡委員に御発表をお願いしております。今後の評価・見直しの進め方等についても御審議をいただきますけれども、これからこの部会におきましては、将来の排出量の推移、大綱に掲げられた対策・施策による削減量の見通しなどにつきまして評価を行っていただくとともに、京都議定書の約束達成をより確実なものとする観点から、必要とされた場合には、どのような追加的な対策・施策というものを織り込んでいくべきかということについても御審議をいただきたいと思います。
 長丁場の審議になりますけれども、よろしく皆様方の御協力をお願いいたしたいと思います。
 以上でございます。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、資料の確認をお願いいたします。

○事務局 お手元の資料を御覧ください。1枚目が議事次第、2枚目が座席表、3枚目が資料一覧の1枚紙、その次が地球環境部会の委員名簿。
 続きまして、横長でございますが、資料1-1、中間とりまとめ案に対する意見の概要及びそれに対する考え方。続きまして、右肩に四角で別添と囲っております中間とりまとめ案に対する意見(全体)。続きまして、資料1-2、中間とりまとめ案に対するパブリックコメントについて御議論いただきたい点。資料1-3、気候変動問題に関する今後の国際的な対応の基本的な考え方について(中間とりまとめ案)。資料1-4、1枚紙でございますが、中環審地球環境部会への気候変動に関する国際戦略専門委員会の設置について。
 続きまして、横長でございますが、資料2、気候変動に関する科学的知見の整理について。
 資料3-1、同じく横長でございますが、我が国の温室効果ガス排出の動向と背景。資料3-2、地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しの進め方(案)。資料3-3、温暖化対策推進大綱の評価・見直しの論点(案)。資料3-4、地球環境部会の審議のスケジュール(案)。
 横長でございますが、参考資料1、中央環境審議会議事運営規則。それから、ピンク色の冊子でございますが、参考資料2、温暖化対策推進大綱。続きまして、参考資料3、白の冊子でございますが、昨年8月の温暖化対策推進大綱の進捗状況について。参考資料4でございますが、B5サイズのピンク色の冊子でございます「環のくらし応援BOOK Part2」。この冊子は環境省の普及啓発活動の一環として、2月2日発売の販売部数28万部でございます主婦層向けの雑誌の付録として、家計に携わっていらっしゃる主婦の方の手元に直接届けることとなっております、エコライフと省エネを支える製品カタログでございます。
 以上でございます。過不足等ございましたら、手を挙げて教えていただければと思いますが、よろしいでしょうか。

○浅野部会長 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日お諮りをすることは3つでございます。それぞれ御説明をお聞きした後で、質疑応答の時間を設けたいと思いますので、御質問、御意見等はその際にお願いいたします。本日、会議は2時間半、17時30分までを予定しておりますので、どうぞ御協力をよろしくお願いいたします。
 では、まず最初の議題でございます。先ほど小島局長からの御挨拶にもありましたように、地球温暖化に関する国際的対応について。昨年11月の第10回本部会でまとめていただきました気候変動に関する今後の国際的な対応の基本的考え方の中間とりまとめ案についてパブリックコメントをいただきました。これを踏まえまして、本日、中間とりまとめとしてこれを御承認いただきたく、審議をお願いいたします。
 なお、国際交渉の状況を見ながら、今後当部会でこの点についても審議を進めてまいるわけでございますが、これに備えた素材集め、材料づくりをしていくという必要がございますので、そのために専門委員会を設置いたしたく、その点についてもお諮りをしたいと存じます。
 まず、中間とりまとめ案につきましては、国内外から多くの意見が寄せられまして、内容的には、部会で大きく論議された点について、予想どおりと言っては申しわけない気もするんですが、賛否両論が寄せられたところでございます。これらについて事務局に指示を致しまして、主要な御意見の概要をとりまとめていただき、さらに当部会としての考え方の整理をいたしました。
 整理に当たりましては、これまで部会の審議で十分に議論いただいた点については、中間とりまとめ案の文言をそのままといたしまして、この点についての議論を繰り返すことは避けることといたしました。議論をしなかった点について修文案をつくり、部会長の案として本日お手元に御用意をさせていただいておりますので、これらも含めて、まず事務局から説明をお願いいたします。

○牧谷国際対策室長 国際対策室長の牧谷でございます。座って説明をさせていただきます。
 資料1-1を御覧ください。昨年11月の第10回の部会でとりまとめをいただきました中間とりまとめ案に対しまして、パブリックコメントを11月25日から12月26日という期間で実施をいたしました。若干これに間に合わなかった意見もございましたけれども、それらもすべて含めております。全部で62件集まりまして、このうち国内が50件、国外が12件という結果でございました。
 資料1-1の別添がございますけれども、これにいただいたすべての意見を網羅しております。これはいわばファクトシートでございまして、これについては、非常に幅広い意見をいただいたわけでございますけれども、説明は省略をさせていただきます。
 資料1-1でございますけれども、これにその概要と基本的な考え方(案)というものをお示ししております。
 全体的なトーンといたしましては、とりまとめ案で示された基本的な方向性でありますとか内容に対して、多くの賛同する意見をいただきましたし、また一方で、例えば産業界が指摘している問題に言及していないといった御批判もございました。この資料1-1におきましては、部会長からも方針がございましたように、当部会でかなりの議論をいただいたという点につきましては、その原文を生かすということにいたしまして、議論がされていない部分について今日御議論いただきたいという趣旨でございます。それは、資料1-2ということで、次にまた御説明をいたします。資料1-3では、それらの修正案を入れ込んだ形で報告書全体を示したものでございます。
 では、まず資料1-1でございますけれども、お開きいただきまして、2ページからであります。時間の制限もありますので、説明は左側の主な御意見の概要というところの基本的に御説明をするということにさせていただきたいと思います。
 まず、全般についてというところでありますけれども、中間とりまとめ案に対する評価というふうにかぎで囲っております。このかぎはずっと出てまいりますが、整理の都合上、事務局でこういったヘッティングをつけさせていただきました。
 まず、全体の評価に関しましては、1つ目の○にありますけれども、基本的な方向に賛成するという御意見。それから2つ目にありますように、京都議定書の実効性等産業界が指摘している問題について全く言及していないといった御批判がございました。
 これに対しまして、御意見に対する考え方の方でございますけれども、報告書といたしましては、バランスを考慮してとりまとめたものでございます。ただ、ここの議論といいますのは、次期枠組みについての議論をお願いしているわけでございますが、ともすれば、その現行議定書自体に批判をするというふうに見えなくもない意見もございました。これは決して、京都議定書を守らなくていいということでの趣旨ではないと理解はしておりますけれども、念のため、なお書きで京都議定書に関する国会の全会一致の可決を経たという経緯。それを踏まえて、我が国は京都議定書の約束達成に向けて全力を尽くすんだという点を言及しております。
 次に、また左側に戻っていただきまして、具体的な検討についての必要性について。今回の検討が、基本的な考え方というところに対象のスコープを区切った関係上、具体的な検討をもっとやるべきであるという多くの意見をいただきました。
 次に3ページでございますが、他の審議会との連携というところで、産業構造審議会でも検討をやっていると。これらとの連携を図るべきであるということでございます。現段階におきましては、多様な観点、幅広い立場からの議論がなされることが重要としております。
 次に、1つ飛んでいただいて、次期枠組みの具体的な提案というところがあります。先ほどと同じでございますけれども、より具体的な提案を今後考えていくべきであるという観点からの御意見をいただいております。
 以上が全般的なコメントでございました。
 次に4ページ、第1章、次期枠組みに関する検討の趣旨のところの1(1)、なぜ2013年以降も気候変動の対策に取り組まなければならないのかというセクションに対しまして、1つ目の○にありますように、この問題の緊急性の認識が薄いように受け取られるという御意見がございました。
 1つ飛んで3つ目の○でありますが、報告書に1000ppmを並列で示すと誤解を与えるという意見がありました。これにつきましては、次の資料1-2によりまして詳しく御説明をいたします。
 次、1(2)次期約束に関する検討は始まりつつあるということでありますけれども、次期約束の検討には、大幅削減を意図した検討、それから議定書の義務を緩めるだけの検討があるという御指摘がありました。
 次に、5ページに飛んでいただきまして1(3)、当審議会における次期枠組みに関する検討の趣旨に関してでありますけれども、その2つ目の○でありますけれども、現在の大量消費の経済社会から脱却するのか、あるいは将来の未知の技術を待ってそれまでは対処療法にとどめるのかという中で、中環審は前者を打ち出すべきという御指摘がございました。
 次に、大きな2番の次期枠組みを検討する上での考え方、その(1)が気候変動枠組条約の究極目的の達成に向けた絶え間ない前進というところに関し、基本的な考え方につきまして、2つ目の○にありますように、長期的に世界全体での相当な削減量が必要と。そのために中期の削減目標を設定という御意見がございました。
 それから、6ページにまいりまして、技術につきましても幅広い御意見をいただいております。
 1つ目でありますけれども、究極目的達成のためには技術的ブレイクスルーが必要という御指摘。
 2つ目には、技術的革新のみでは不確実性が高いと。こういったことを中心とした考えを採用すべきではないという御指摘。
 3つ目には、我が国は省エネ先進国であるということで、それを活用した仕組みを検討という御指摘でございます。
 2(2)でございますけれども、京都議定書の発効ということでありますが、基本的な考え方の2つ目に、京都議定書はルールを決めずに目標値を決めたと。全体量3割しかカバーしていないというような致命的な欠点があるという御指摘もありました。これに対しましては、冒頭と同じようなコメントを右に書いております。
 次に、2(3)地球規模の参加というところに飛んでいきたいと思います。米国の参加に関しまして、米国が受け入れるような削減目標は甘いものになる可能性がある。その意味で、米国や途上国が参加するような枠組みが必ずしも環境保全上の実効性を確保するための必要条件とはならない等の意見がございました。
 次、途上国の参加に関しましてもいろいろな御意見ございましたが、2つ目にありますように、中国、韓国、インド等による対策を求めるべきである。3つ目の丸におきましては、非附属書I国の排出量に、ある程度の排出抑制目標を設定すること等の御指摘がございました。
 次に8ページでありますが、2(4)、先進国と途上国の衡平性ついては、まず先進国の対策強化が必要という御指摘。
 それから、次の衡平性については、長期的には、一人当たりの排出量を指標にするべきであると。あるいは3つ目にありますように、先進国間の衡平性について、現段階で差異をことさら強調すべきでないという御指摘がありました。
 次に2(5)、これまでの国際交渉の合意の上に立脚した交渉について。ここは当審議会部会でも大変な御議論をいただいたところでございますが、基本的な考え方の2つ目にありますように、京都議定書の骨格が次期枠組みにおいても継続されるべきであるという御意見。3つ目に、米国も参加できるようにするためには、条約の原点に立ち返った柔軟な発想での国際交渉という御指摘がございました。
 こういった意見の幅があるわけですが、このページの下の方に注3についてというところがありますが、その○を御覧いただくと、(注3)で述べられている意見の違いはさほど大きなものではないのではないかという御指摘がございました。これは、ちなみに海外からの意見です。
 最後10ページで2(6)、多様な主体が参加した国際合意プロセスということについて。今、市民、企業、地方自治体というものに加えて、各セクターというものも加えるべきではないかという御指摘。
 最後2(7)におきましては、環境と経済の好循環ということがありますが、環境は経済の前提であるということを確認し、その上で経済をどう考えるかという方向での確認が重要という御指摘。
 2つ目には、国の拠って立つ産業構造を損なうことなく、「環境と経済の両立」を図るべきという御指摘がありました。
 これを踏まえまして、資料1-2でございます。特に1ページ目でありますが、ここは衡平性に関する議論の中で、原文というところにございますように、一人当たり排出量などの要素だけでなく、国際的に対策の責任の主体となっている国単位での排出総量の相対的な大きさも考慮されるべきであるというくだりがありました。これに対して、これはやや唐突で、「一人当たりの排出量」の重要性についてももっと言及が必要であるといった趣旨での御意見をいただいております。
 これに対しまして、修文案のところでありますけれども、ここは必ずしも一人当たりの排出量と、それから排出総量の相対的な大きさを比較して、どっちが重要かということを論じた部分ではないと理解をしておりますが、そのあたりの趣旨をより明確にするということで、1ページから2ページ目かけての修文案を作成してみたわけであります。
 ポイントは、まず排出総量の相対的な大きさも考慮されるべきであると、いったんここで文を切りまして、その後、ただし書きで条約の前文の引用をしながら、一人当たりの排出量が依然として少ないということについての言及を行っております。
 以下、2ページ目、3ページ目でございますが、ここも基本的には、正確さを期すための修文案ということでございます。
 最初には、資料1-3の2ページ目にある1000ppmを言及している部分について、1000ppmを書くのは適当ではないということでありますが、これはIPCCの記述を例示的に引いたものでございます。それを明らかにするため、「例えば」という文言を挿入しております。
 次に、森林、海洋の役割、ここの重要性を指摘したくだりがございまして、森林以外にも炭素吸収源・貯蔵庫があるという御指摘がありましたので、ここを、「森林などの炭素吸収源・貯蔵庫」というふうにしております。
 次に、3ページ目でございますけれども、目的達成の向けてのパスが存在するが、その影響の甚大さを考慮すればというところに関して、「影響の甚大さのリスク」というふうに入れた方が正確ではないかという御指摘がありました。
 以下、3番はCOP9の結果を踏まえた事実的な修正でございます。単なるアップデートということでございますので、御説明は省略させていただきます。
 以上でございます。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま中間とりまとめ案の修文案、それから寄せられました御意見に対する考え方の案をお示ししているわけでございますが、これについて、御質問なり御意見なりございましたら、お伺いをしたいと思います。
 いつものとおりですが、恐縮ですが、名札をお立ていただけると、私の方からわかりやすいので、御協力をお願いいたします。いかがでございましょうか。
 ではどうぞ、林委員、お願いいたします。

○林委員 具体的な質問の前にちょっと質問なのですが、外国からのパブリックコメントが来ているというお話で、この中に盛り込まれると理解しているのですが。この審議会で、従来外国からのコメントというのはどういうふうに扱っておられているのか。ちょっと過去の経緯を知らないものですから、それをちょっと伺いたいと思います。
 外国のコメントという場合に、例えば開発途上国が、そもそも開発途上国として義務ができていないというような立場があるわけですけれども、そういうコメントがぼんぼん入ってきて、それをここに反映させるということになると、一体、我々がやっている中間とりまとめというのはどういうものになるのかということもあるし、これはやはり世界の排出量の削減をどうやって確保するか、温暖化防止のためにどうするかということを念頭に置いた日本の提案ということでしょうから、外国からのコメントをどう扱うというものについてちょっと考え方を伺わせていただければ、ありがたいと思います。

○浅野部会長 パブリックコメントというのは、多くの方々から参考のために御意見をお伺いするということで、パブリックコメントに決定権があるとは考えていません。
 ですから、他の部会も同様でありますけれども、パブリックコメントの数が例えば多い、これだけの数のパブリックコメントがあったんだから、その数の多いパブリックコメントに従うというような考え方を必ずしもとっておりません。
 ですから、海外からパブリックコメントをいただいてはいけないということはもちろんないわけだろうと思いますし、環境影響評価法の手紙でも、どこから意見が来ても受けるということになっています。ただ、パブリックコメントの内容のどこを取って、どこは参考までにお聞きするかという点は、当然この部会の主体的な判断によると理解をしております。
 ただ、従来、海外からのパブリックコメントの意見をもらったという記憶はそう多くはないんですけれども、この辺は石野課長、どうでしょう。

○石野総務課長 私も、これまで地球環境部会やその他の部会で、外国からコメントをいただいたことは余りないように思いますが、1つの例としては、大都市における自動車排出ガスを規制する法律を3年前に改正しました際に、パブリックコメントを募集しましたら、欧州の自動車工業会から意見をいただいたということがありました。これは、本部は欧州にあって、代理で東京事務所が出してくるわけですけれども、外国の自動車メーカーの意見が提出された例があったということでございます。

○浅野部会長 よろしゅうございますか。どうぞ御意見、それだけでよろしゅうございましょうか。
 じゃ、廣野委員。

○廣野委員 ありがとうございました。パブリックコメント、いろいろ有益なお話、ありがとうございました。
 この資料の1-2のところに書いてあるので、1ページから2ページのところの線が引っ張ってあるところなんですが、もし私の聞き間違いでなければ、この線を引っ張ったところは、こういうふうに変えるということでしたでしょうか。もし、そういうふうに変えるということでしたら、ちょっと意見があるものですから。

○浅野部会長 これは、このように変えてはどうかという御提案でございます。

○廣野委員 そうですね。そこで、私是非考えていただきたいのは、確かに、最後のところに書いてある「ただし」というところ、これは確かにそのとおりなんですが、将来私たち、できるだけ途上国自身が、京都議定書の中で彼らが参加するということについて、声高に議論していくということであるならば、それがまた必要と思うんですけれども。そうであるならば、やはり最後のところに、「途上国における一人当たりの排出量は依然として比較的少ないことについて留意されるべきである」というこの言葉は、若干否定的に感ずるなと。
 僕がやはり一番心配しているのは、この10年間の先進国と途上国の排出量の伸びの速度を見ると、もう途上国が先進国の4倍なんですね。だから、そういう格好で非常に急。特にこれは経済が成長しているアジアの途上国、中国、インドが典型的なんですが。
 そういうことを考えると、私はやはりこの「一人当たりの排出量は依然として比較的少ないことについて留意されるべきである」ということによりも、もっと重要なことは、こういう経済が急速している途上国の場合、特にこれは大きな国、インド、ブラジル、それからアルゼンチン、それからメキシコ、それから中国なんですけれども、こういうような国の場合、余りにも非常に急速に伸びておりますので、やはり我々が何らかの形で留意する必要があるのではないかと。これがこういう入り口、エントリーポイントをつけておきますと、その次にまた議論するときに、途上国のいわゆる京都議定書への参加への我々の要請というものがもっともっと意義が出てくるかなと思います。
 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございます。この点につきましては、条約の前文に書いてあることをもう一度総記するということでありまして、むしろ部会長の気持ちとしては、これまで国としての排出総量の相対的な大きさを考慮しなきゃいけないということをほとんどはっきりと言ってこなかったという面があるので、それを少なくとも入れたという点は、今委員が御指摘になったような気持ちがあるわけであります。
 それから、ここでは余りこれ以上細かく議論するというよりも、今後の交渉の中の議論の進め方によるんだろうと思いますけれども、部会長としての率直な気持ちを申しますと、途上国という言葉で一くくりできるかどうかということについては、もっときめ細かい議論をしていかなければいけない時期に来ているという認識もありますので、それでさまざまな指標をということで使う必要があるだろうということを述べたわけです。
 ただ、それが唐突だと言われて、いきなり一人当たりの排出量を無視して、先進国の責任も全く不問に付すようなことをお前たちは言っているのかと言われると、決してそんなことは真意ではございませんので、それはあくまでも条約の前文であるこのことについては、我々は百も承知の上というんでしょうか、十分にそれを前提とした上で、なおかつこのような議論ということを書いたつもりでございます。御理解いただければと思います。
 福川委員、どうぞ。

○福川委員 文章上の問題なんですが、今、廣野委員が御指摘されたことで、修文の案ですと、「なお、人為的な温室効果ガスの排出が気候変動の原因を成しているという観点から衡平性の確保を図るに当たっては」ということになって、それで次の文章にいって、「国単位での排出総量の相対的な大きさも考慮されるべきである」とこう書いてあって、「も」と書いてあるわけなんですが、「も」というのは、ほかのことがあって同一のことがあるから「も」と書くわけなんですけれども。ここのところは、「も」と書くのは、多分ただし書きの後のものがあるから「も」と書かれたんだろうと思うんです。
 普通、文章で書くときには、「相対的な大きさが考慮される」というのが本来の文章だと思います。ただ、そう書いてしまうと、この衡平性の確保に当たってというときに、国の大きさというと、これはアメリカみたいなものもありますし、インド、中国みたいなようにたくさん出している。ただ一人当たりは少ないけれども、大量に出しているという国もあったりするので、こういうことを先にどんと書いたのでしょうが、果たして意味がうまく出ているのかなというのが気になります。
 それで、せめて言えば、「ただし」というところを「この際」又は「この場合」とかいうことにして、その上の「大きさも考慮されるべきである。この際云々云々」とすれば、少し文章が通るかもしれません。これさらっと読むと、「も考慮される」というので、いきなりそっちが出て、従属文の方が先に書いてあるのでちょっと分かりにくいし、本来の趣旨と違うかもしれません。

○浅野部会長 わかりました。じゃ、その点は今の御意見を踏まえて、再度検討させてください。
 「も」と書いたのは、御指摘のとおりの面と、それからさらに審議の中でもいろいろな指標があるではないかという御議論があったので、代表的にこれを1つ挙げてみたということがあるものですから、それも含めて「も」と書いたんですが、確かに御指摘のような点があろうかと思います。
 平尾委員、どうぞ。

○平尾委員 廣野委員と同意見でございます。むしろ、元の方がいいのではないかと、議論のプロセスからして。最後の途上国における云々留意されるべきであるというのは少し引き過ぎるといいますか、そういった印象を受けました。

○浅野部会長 高橋委員。

○高橋委員 2点ございます。今御議論になっているところですが、これが日本の立場ということを考えますと、恐らく近いうちに非常に大きな国際社会での話題になるに違いないと思いますのが、日本の人口は2006年にピークに達し1億2,774万で、その後減るというようなことが予測されておりますが、そういうような状況では、やはり国単位としての責任というのは非常に日本としては前に出しておかないと、やはり国際社会に対するスタンスとしてはまずかろうというふうに1つは感じます。この点は強調し過ぎても強調し過ぎることはない、日本の立場としてはということが1つ。
 それからもう一つは、先ほどお話ありましたように、もう既に途上国ということで一くくりすることはほぼナンセンスであろうというふうに私は思います。この全体のポリティックスが非常に1980年風のものを引きずっているわけですけれども、こういうところで、もしその点に関して指摘するとしたら、非常に早い速度で工業セクターが拡大している諸国というところが非常に重要な問題になってくると思いますので、そのあたりのところの重要さを指摘しておくということが、ただし書きあたりの表現としては正解なんじゃないかと思います。
 以上2点です。

○浅野部会長 瀬田委員。

○瀬田委員 林委員の先ほどの御意見と関連いたしますが、全体意見の中で白の星印が海外からの意見ということになるわけですね。これらが、今回の1-1に対してどういうふうに響いてきたかということをずっと見ていたんですが、ちょっとその辺が分かりませんので再度お聞きします。
 と申しますのは、海外からの意見というものはやはりそれなりの、これはこの前、森嶌委員長からもお話がありましたように、それぞれの国の国益というものも踏まえて出ているわけでございましょうから、それらが今回の全体の中でどんなふうに効いてきたかということは、一度確認させていただく必要があるかなと思います。

○浅野部会長 ちょっと御趣旨を正確に受けとめているかどうかわかりませんが、先ほど申しましたように、パブリックコメントを一つ一つ全部取り上げて、私どもの文章をいじくり回していくということになりますと、何のためにこの部会で議論したかわからないということでありますから、どの部分をどう取り入れるかということは、私どもの判断の問題だと思っております。
 具体的には、今回は国外からの意見を直接修文に反映させるということはほとんどしておりませんで、それからさらに、ほかのことについても関連して申しますと、パブリックコメントの中には、今後我々がもっと具体的な検討をしていくときには、大いに参考にすべきコメントが多く含まれていて、この段階のスタンスをはっきり定めようという、中間とりまとめの段階の文章に直接入れるということは適当ではない。
 だから、これを直ちに修文案に反映していないけれども、それを全く無視しようという意図でもないと思うんですね。今後十分、ここで寄せられた御意見を審議の中で参考にできるものが多々あるということは理解しております。その辺のところを少し述べさせて頂き、言いっ放し、聞きっ放し、意見は出したが、全部無視されたととらえるのは真意ではないという面がございますから、それははっきりと今申し上げて議事録にとどめておきたいと思います。
 それから、高橋委員からの御指摘についても、今後の交渉のやり方とかというようなことと深いかかわりがあると思いますので、後でお諮りをしますが、専門委員会などの御議論の中で十分にどうすればいいかということをまず考えていただいて、それを受けて我々の部会で議論をするということにさせていただければと思います。この段階の中間とりまとめに、今の御意見を直截に入れるというためには、もうちょっと全体の議論が必要かなと存じます。
 ただ、部会長としての認識は、高橋委員がおっしゃった認識とかなり近いものがあるということは、率直に言って事実でございますけれども、しかしながら、その点について、ここで突き詰めた議論をみんなでやったかということになりますとちょっと問題がございます。
 それから、この国単位の相対的な大きさを全面に出したということについては、この部会の中でも、かなり批判的な御意見も現にございましたし、従来どおりの考え方をちゃんと大事にしていくべきだという御議論もございましたから、ある意味では、この部会である程度皆さんで納得でき、合意ができるぎりぎりの線のある種のバランスということになりますと、こんなところかなということで書いたということもございます。
 それから、パブリックコメントも案の定と言いましょうか、この部分については全く賛否両論出てきておりますから、平尾委員の御指摘はございますけれども、できればバランスをとってつくって現段階での文章としてはこんなものだということにさせて頂きたい。ただ、福川委員がおっしゃったようなレトリックの問題はあると思いますので、それは少し手直しをすることは必要かと思いますから、お任せいただければと思います。
 はいどうぞ、廣野委員。

○廣野委員 せっかく部会長さんはじめ、一生懸命やられたでしょうから、それを弁護するのはよく分かるんですけれども、私はやはりこういう、特に今回の気候変動問題に関する今後の国際的な対応の基本的な考え方について議論しているわけで。
 そうであるとすれば、これは国際的な対応の基本的な考え方ですから、当然これは、例えば英文に訳したときにどういうような意味を持つかということを考えるんですね。そうなると、やはり僕は余りここで書いてあるような、いわゆる先ほどおっしゃった条約の前文にあるとおりという、こういう言い方で、前の条約の前文を引き出してきて、そしてこういう格好で述べるよりも、やはり現実の状況、それからこれから起こってくる状況ということを頭に置いて、特にやはりこういうような言い方ではなくて、私たちは実は、特に先進途上国と言いますか、最近ではNIESという言葉は使われなくなりましたので、そういう意味で私は先進途上国というのを使っていますが。
 そういう先進途上国の場合、急速に排出量が伸びているんですね。やはりそういうことについて、我々が警笛を鳴らすと、ウォーニングをするという、そういうのが基本的な我々の考え方あるいは立場の中に表明されていいと思うんですね。
 そうであるとすると、いちいち昔の条約の前文に戻ってこういうことを書くよりも、しっかりとこういうような形でもって、現在の状況に対する我々の認識をしっかりとここに書くことがより重要かなと。その方が今後いろいろな議論をしていくときに、そういう認識の上に立って、次のステップを考えることになりますので、是非その点、もう一度再考量をお願いします。

○浅野部会長 今の修文の部分だけで議論を廣野先生なさっているんですが、こちらの方の資料1-3の修文後のものの15ページをちょっとお開けいただきますと、ここのところで、「途上国の中でも」ということはちゃんと書いてはいるわけです。ですから、御指摘の点は、全体の文章の中には入っていると理解をしておりますけれども。その上で、先ほどコメントも出ましたし、またこの部会の中でも、最後の最後に厳しい御注意もいただいたというような経過も踏まえて、これを入れたということでございます。
 それではいかがでございましょうか。他の議案もございますので、これまでかなり時間をかけて白熱した御議論もいただいた上でとりまとめてまいりました中間とりまとめ、あくまでも中間とりまとめでありますから、この後さらにまた最終のものがいろいろな形で検討され出ていくことになるかと思いますが、当部会として、とりあえず現段階における中間とりまとめとして、先ほど福川委員から御指摘があった点については事務局に検討させますので、その点については部会長に御一任をいただいた上で、これを部会のとりまとめということにさせていただいてよろしゅうございましょうか。
 浅岡委員。

○浅岡委員 そのお話の前提として、相対的な大きさも考慮されるべきであるというのを、大きさが考慮されるべきであるとするという趣旨ではないというふうに理解していいわけですね。「も」を「が」に変えるということで考えましょうというような御意見ではないですね。

○浅野部会長 ええ、さっき福川委員がおっしゃったのは、せめて「ただし」というふうに変えろということです。

○浅岡委員 はい、わかりました。それでは結構です。

○浅野部会長 どうぞ、桝本委員。

○桝本委員 私も、最後の廣野委員の御指摘は非常に重要なことだというふうに思います。是非、これは中間という御説明でございましたから、それはそういうふうに受けとめさせていただきますが。やはりこれまでの条文化された事態よりも、はるかにこれから起こる、あるいは起こりつつある国際的な状況をいかに反映するかという方が重要だと思います。
 16ページの、これはもう前の文章で議論があったところでございますが、16ページの(5)と、それから8ページの(2)、ここの扱い方1つでも、廣野先生のおっしゃったような意味で考えますと、非常に一種の矛盾に近い議論のポイントがあろうかと思いますので、私は廣野先生のお考えを支持し、かつ是非尊重いただきたいと思います。

○浅野部会長 よろしゅうございましょうか。

○林委員 私も、廣野先生の意見に強く賛同するものでございます。これは京都議定書の第1約束期間後のことを言っているので、今後その交渉において、排出量が急速な勢いで増えている開発途上国に対しては相当強い注文を日本はつけていくんだろうと思うので。
 そういうときに、中間とりまとめと言っても、外国に誤解を与えるような、日本はそういうことなんだなというようなことにならないようにしておく必要があるので。その意味においては、これは今後の日本の主張を考えると、バランスというか、ちょっと適当ではないというふうに私も思います。

○浅野部会長 そうすると、具体的には、このとりまとめ案をここで御了承いただけませんということ──先ほど、これでよろしいでしょうかとお諮り申し上げたんですが、反対であるという御趣旨でございましょうか。議事録にはその旨はっきりとどめておきます。

○林委員 私一人で反対するということはいたしませんけれども、廣野先生のような感じの修文というのは、どうしてできないのかというのがよく分からないんですが。なぜここでわざわざ、後進国に有利なところだけを引いたところをただし書きで書く必要があるのかというのが、私は理解できないところであります。

○浅野部会長 ちょっとそれは少し真意を御理解いただけていないという気もするんですが。と言いますのは、もともと枠組条約の話でございまして、枠組条約そのものはもう世界各国みんな共通して了解していることですね。議定書の話というのは、それをさらに具体化していくためにはどうするかということでありますから。
 だから、枠組条約の前提を──どこを強調するかと言われれば、確かにそういう面があるかもしれませんけれども、しかし、少なくともこの部会の中でも一方的に、先ほどの「ただし」というところの表現はともかく、その点はあえて無視しているという印象の議論をしているというつもりもございませんし、それからこれが英文になったときに受けとめる方というのは、アジアの途上国、いろいろな国もあるわけでしょうから、そういう方々に妙な誤解を与えてしまうということは、決してこの部会の真意ではないということで入れたということでございます。
 できれば、これをさらに修文し、ある部分を強調しというようなことは、今後の次のステップでの議論の中で十分にただして、取り上げていくということにさせていただけないでしょうか。今日もしここで、この部分について削って別の文章ということになりますと、また議論の蒸し返しになってしまって、これだけでまたもう一、二回議論をしなきゃいけないということになりかねない気もするんです。
 ですから、とりあえずこのぐらいのところで、一応この部会の意向といいましょうか、を反映させたということにさせていただければ、ありがたいんですが。

○浅岡委員 1点だけですが、私も、今もうこれでよろしいと思います。ここで書こうとしているところは、衡平性という問題を日本としてどう考えるのかと、こういうことを書いているわけでありまして、日本はこうしたいということを書くわけではないので、そこの誤解をかえって招くような表現は避けるべきだと思います。

○浅野部会長 それでは、先ほど申しましたように、ちょっとした修文をしなきゃいけないという御指摘については、私に御一任をいただいた上で、これについて中間とりまとめとさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは続きまして、今後の国際交渉の状況を見ながら、当部会でこの件に関しては審議を続けてまいる所存でございますけれども、このとりまとめの考え方を具体化していくための材料を収集・整理をする、そういう目的で、本部会のもとに専門委員会を設置することをお諮りしたいと存じます。
 部会に設置する専門委員会につきましては、参考資料1-1にございます審議会運営規則第9条第1項の規定に基づいて、各部会が決定をすることになっております。そこで、この設置したいと考えております専門委員会につきまして案を用意しておりますので、事務局から御説明をお願いいたします。

○牧谷国際対策室長 資料1-4でございます。今部会長からありましたような趣旨によりまして、「気候変動に関する国際戦略専門委員会」という名称の専門委員会を設置させていただければと思っております。
 2番にありますように、この専門委員会は、気候変動に関する将来の国際的な対策に係る枠組みに関する調査ということでございまして、将来再開されるでありましょう。この部会での審議に備えた材料づくり、情報の収集・整理・分析という仕事をお願いしたいと思っております。したがって、利害調整を行うというよりも、そういった専門的な観点からの議論の詰めということになると思います。
 スケジュール的なことでございますけれども、本日、設置の承認をいただけましたならば、早速部会長のもと、人選などを進めまして、余り時間が十分ではございませんが、年度末を目途に設置をさせていただければと思います。
 とりまとめ時期でございますが、今後の国際交渉の進展、今ロシアがなかなか、批准に関する動向がはっきりしないということで、不確定要素が多くございます。今後の国際交渉がどう進むかというところがございますけれども、現段階といたしまして、今年の秋というのを1つの念頭に置いて検討を進めていただければと思っております。
 以上でございます。

○浅野部会長 では、ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見ございますか。
 桝本委員、どうぞ。

○桝本委員 まず、ここでおっしゃっている専門という意味の範囲、今の解釈を1つお伺い申し上げたいと思います。
 そのお答えによりますが、私のお願いがございます。1つは、現実的なエネルギーの世界の専門家をこの中に入れるべきだし、入れていただきたい。それから環境・エネルギーと関係ない分野で、国際政治のいわば地政学的な分野に及ぶ専門家も入れていただきたい。この2点を要望させていただきたいと存じます。

○浅野部会長 ありがとうございました。
 それでは、専門ということについて何かコメントがあれば。

○牧谷国際対策室長 趣旨を正確に私理解しているかわかりませんが、ここでの部会で今後また審議を再開するわけでございますが、それに供する資料をいろいろな専門の立場から御議論をいただき、おまとめいただくということでございます。
 従いまして、部会長の御指導のもと、今おっしゃいました2つの分野の専門家についても検討させていただきたいと思います。

○浅野部会長 御発言の趣旨は私も理解をいたします。今回のこの専門委員会は、ほかの場合のように、専門委員会にある意味では丸投げで、そこで出された答えを1回の部会で通すという性格のものではございませんで、むしろ議論を詰めていくための素材をしっかり専門的な立場で出していくものと理解いたしております。
 ですから、当然この専門委員会から出てくるものは、両論併記があっても全然構わないという理解でございまして、議論のもの本体はあくまでも部会である。そのための準備のために、専門委員会で専門的にきちっと材料を整理していくと、こういう趣旨でございます。よろしゅうございましょうか。
 それでは、専門委員会に所属すべき委員、臨時委員、専門委員につきましては、部会長である私の方で指名をさせていただくことにいたします。専門委員会の委員長は、審議会議事運営規則第9条第2項の規定に基づいて、部会長が指名したいと思っております。
 本日は、この専門委員会を設置することについて御承認をいただき、メンバー等については、ただいまの御意見等も踏まえながら、さらに今後考えまして、決定をいたしましたら、皆様方にお知らせをしたいと思います。
 それでは、この件については御了承いただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。
 では次に、議題ということにしてはいるわけですが、やや性格が議題ということになじむかどうか、若干問題はあるわけでございますけれども。将来の枠組みの検討に当たりましても、また地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しをするに当たりましても、科学的な知見が極めて重要なベースになると思われます。そこで、これから審議を進めていくに当たり、改めてIPCCの第3次評価報告書を中心とする科学的知見に係る情報を審議会の場で共有したいと考えました。
 そこで、国立環境研究所の理事でもあり、IPCCの第3次評価報告書の執筆者である西岡委員に気候変動に関する科学的知見の整理について御報告をいただくということで、ちょっと今から会場を暗くしてスライドを使って御説明をいただこうと思います。
 では、どうぞよろしくお願いいたします。

○西岡委員 西岡でございます。科学的知見の整理ということでお話をさせていただきます。
 先ほど御紹介にありましたように、私も1988年,もう10何年も前から、IPCCを通じてこの問題に取り組んでおります。やはり15年ぐらいたちますと、科学の進歩というのが非常にあるということ。それから、その科学で検出されたいろいろな事象が、やはり非常に変わりつつあるなということを見てきました。この間に、いろいろな観測あるいはコンピューターの発達、さらにはプロセスの研究等々が非常に進んできたことがあり、いろいろなことが分かってきて、その度ごとに、このIPCCというのはそれを報告しているわけであります。
 具体的に、例えば、台風が本当に増えるのかどうかという話は、10何年前はどっちか分からない、ある人は増えるという話が非常に多かったんですけれども、最近、日本の地球シミュレーターみたいなものでやってみますと、数は余り増えないんじゃないかというような結論がだんだん出てきて、いろいろな知見が固まりつつあるということを目の前に見てきました。
 暖かくなると、いろいろな生物が極方向へ動き出すんじゃないかなどということも、15年前は推測として言われていたんですけれども、それが実際、カリフォルニアでチョウチョウが大分北の方へ上がっているというのが前の報告書であり、次の報告書では、欧州の方でもいろいろなデータを集めてみると、そういう兆候が見られるというふうに、だんだんと、この気候変動に関する知見というのがロバストになってきました。
 我々研究者にとっては、いろいろな現象を研究していきますと、また新しい発見があるものですから、実にエキサイティングで、是非もっと研究費をいただいて、研究をもっとやりたい。だから、まだまだいろいろ分かりませんなんて言いますが、結構我々政策を打っていくのに必要な知見というのは確実に固まりつつあるという感じを受けます。
 97年COP3の前も、やはりこういうところで科学的知見についてお話ししたことがありますけれども、そこから大分いろいろなことが変わってきました。今日はその件について、少々お話をさせていただきます。
 気候政策検討に必要な科学的知見、いろいろな知見がありまして、細かく言っていくときりがありませんけれども、私はこういうぐあいに一応整理いたしました。
 最初は、どういう知見が政策を考えるのに要るかということです。まず、一体気候は変化しているのか。変化していないんだったら、別に問題ない。変化しているとしたら、その原因は人為的なものだろうか。もしそれが人為的なものではなくて、自然のものだったら、我々何もすることはできなくて、やることは、温度上昇が悪い影響を及ぼすんだったら、それへの適応策を打っていくべきだということになる。あるいは人為的なもので、今後非常に悪いというんだったら、これを何とか予防していかなきゃいけない。もし予防だけで間に合わなければ、適応策を打っていこう。自然の変異あるいは人為的な変異であろうと、その変化にどう対応していくかという策を同時にもう考えていかなきゃいけない。ですから、このあたりがどう認識されているのかということをお話いたします。
 まず最初に、気候は変化しているかということでございます。これが1860年から2000年の間の気候の変化であります。98年が一番暖かかったのですが、最近の温度はいつも2番目に暖かいというような状況があらわれるということで全体として温度が上がっている。
 この上昇が一体、これまでの変動の中に入っているのかどうか。大昔の1000年ぐらい前からの温度を、例えばアイスコアといいまして、昔の氷をほじくり返したりして温度を確かめているわけですけれども、それが大体こういう範囲で推測されていると。これが平均をとったものですけれども。だんだんだんだん最近になりまして、温度計というもので測れるようになったし、不確実性の幅が小さくなってきている。そういう中から見ても、こういうぐあいに上がってきたというのは、どうも不確実性の範囲から飛び出して、やや異常な記録ではないかということで、現在はこの温度の結論といたしまして、1990年中はこの100年でもっとも温暖であったとされています。
 これが1カ所とか2カ所ということではなくて、全世界で、たしか私の記憶では3,000から5,000ぐらいの測候所データを使いまして、一応格子状にして見てみた。そうすると、この赤いところというのは、ここにありますように大きな丸でしめしたように1度ぐらい上がっている。気候のシステム全体から見ますと、大体温度が上がり始めると、北の方、高緯度の方が温度が上がるという予測になるわけですけれども、それとも合ったような感じで、この35年ぐらいの変化が見られるということがあります。
 原因が人為的なものか。御承知のとおり、温室効果ガスなるものが二酸化炭素を初めとしてメタン、いろいろございます。ここでは二酸化炭素で考えています。昔から一体二酸化炭素は大気へ貯まり、貯まってどこへいってしまったんだろうかというので、15年ぐらいはミッシングシンクという言葉があったんですが、だんだんそれもいろいろな人が計り始めて、それを集めてみると、大体こういうことがわかってきたと。
 すなわち、我々化石燃料で6.3、これはGt=10億トン単位ですから、63億トン、64億人人間いますから、1人1トンですけれども、大体そういう感じで、それだけ化石燃料から出している。一方、吸収している方はどうか。海の方にも吸収しているし、それから森林や土壌にも吸収している。それを両方足してみると、これは3.1Gtトンですから、6.3入っていって3.1減っていますから、残ったのが3.2Gt。これが大気にどんどんどんどんたまり込んでいるということもわかってきました。
 この370ppmとかいろいろ書いてあるんですが、ここの測定につきましては、世界そこら中で測っている。昔はマウナロアというのが有名ですけれども、今や世界多くの場所で測っておりまして、もうこの増加しているということは確実な話であります。
 ところが、本当にどれだけ入っているかというのは、皆さんお考えになればすぐわかるように、海の吸収測定だと船をいっぱい浮かべて、どこにどれだけ入っているかということを調べて初めてわかるような数字ですから、ある意味では、この数字で確実だというわけにもまいりません。ですけれども、大体いろいろな人が計ったり推測したりして、こういう数字が上がっている。人為的なCO2が吸収されず、大気に残っているということです。
 この二酸化炭素が非常に増えております。私今370ppmと申しましたけれども、産業革命以前のものを調べてみますと、280ppmだった。さらに42万年ぐらい前のこのアイスコア、南極で氷を掘り返して調べた結果ですけれども、そのときの最高値も280ぐらいで、今の370というのはもう極端に多くなっている数字であります。
 大きな論争がわかった次の段階に入ります。確かに温度は変化している。だけど、それは人為的なものなのだろうか。人為的なものでなければ、我々幾ら努力してもしようがない。どうやってそいつを見分けるんだ。皆さん少し考えていただきますと、温度がどんどん増えていて、それが人為的なものであるか、ないかをどうやって区別したらいいんだろうか。科学的にはいろいろな手が考えられる。しかし、地球を題材にして実験はできないので、一遍人為源の二酸化炭素を増やしてみて、それ上がったじゃないかというわけにいかない。
 ですから、どのようにそれを説明するかというと、まずこの赤い線というものが実測値。計測は温度計でちゃんとされている。そうしますと、もし我々がコンピューターでモデルをつくってみて、それがうまく実測に合っているかどうかをみる。合っていれば、その仮定が正しいだろう。もちろんほかの仮定で合わせることもできるわけですけれども、一応そういう論理でやっております。
 ですから、ここは自然の原因だけ、これは太陽からの入射であるとか、火山が爆発、全部入れまして、4つのモデルでシミュレーションする。大体こんなグレーの幅でシミュレーション、できる。そうすると、このあたりは大体合っているんですけれども、近年の乖離というのはどうも説明できないということになります。
 それでは、今度は人為的な、すなわち炭酸ガスが増えたので、そいつを入れてみて計算したらどうかということで計算してみますと、近年のは確かに合っているけれども、いや、やはりこの辺は合わないねということでございます。それだったら、その両方とも全部入れたモデルで計算したらどうかということになりますと、大分合ってくる。何度も申し上げますけれども、だからといって、その前提がすべてわかっているということではなくて、たまたまそういう前提だったらこう合った。その前提というのは、入れたものと入れないもの、入れないものと入れたものでやってみたら、どっちも合わなくて、やはりそいつが合成したものである。すなわち、大体自分たちが仮定したメカニズムというのが、そんなところではないかということが、これで言えるわけであります。気候変化の観測結果とモデルシミュレーションによる再現結果を比較して、どうも人為的な原因でないと合わないねということが分かってきたのです。
 じゃ、今後はどうなるのという話になります。今後100年で2℃上るというのは、少なくとも1000年前から見ると、相当な上がり方だなというのがお分かりかと思います。
 それでは、実際に将来何度ぐらいになるんだろうかということで計算をしてみた。計算してみたところ、2100年の1.4℃から5.8℃という、こんなに幅があるということが分かってきた。どうしてこんな幅が出たんだろうかということにいきますが、例えば、この1つの赤い線を見てみますけれども、これは人間社会がこれくらいの排出をするという社会だとする。その時に、今度はモデルにその排出量を入れて計算しますと、大体これくらいの幅で温度の推定ができる。このモデルの中が科学的な不確実性です。これはいろいろなモデルの前提がありますので、どうしてもこういう幅が出てくる。
 いやいや、人間社会はそんな不合理じゃないから、もう少し初めからCO2を減らしていくんじゃないか。もしそういう排出で計算したら何度ぐらいになるかということを計算してみますと、この幅に収まって、大体これくらいだろうと。だけど、もし無視して、エネルギー多消費型、しかも、石炭もどんどん使っていくような話になると、これは大変なことになってここまでいくよということで、この全体の幅1.4~5.8℃の中というのはそういう構成で推定されています。
 ですから、どの排出のルートを持っていくかということは、これは我々人間が決める話、人間社会が決める話でございまして、あとはコンピューターに任せると、これだけの不確実性がありながら、大体のシミュレーションができるということです。
 科学の進歩からいいますと、先回のIPCCの第2次レポートというところでは、これくらいの幅で温度が割と低いところにこうなっておりました。なぜ現在大きくなるかといいますと、こういう排出シナリオをいろいろ組み合わせてやってみるということでやってみたからです。
 その前提としておりましたエアロゾル、酸性雨のもとみたいなものもそのひとつですが、これが前のレポートではどんどんと途上国が工業化して増えるという前提だったんですが、どうもそれはおかしいんじゃないか。幾ら途上国でも、あるGDP以上になったら、環境のことも考えるだろうから、もっとそれは減らすべきじゃないかなんていう議論もありまして、これを減らしましたところ、硫酸エアロゾルは冷却するのに効くものですから、全体として温度が上がった。そういうことで、この示すところは、不確実性というのが社会的な問題、我々がどう動くかという問題、そしてモデルの組み合わせであるということを示しています。
 もう一つ、この絵で皆さん注目を是非しておいてもらいたいのは、これだとまるで、こういうスピードで排出ができるようにお考えかもしれません。それは全く間違いでして、緑の一番低い方のシナリオというのは、2040年ぐらいに排出量を上げていって、そこからもうずっと下げていくと、現在よりも下げていくということをやって初めてこういうふうになるということ。それから、この赤いあたりですけれども、しようがないから当分は増えるけれども、大体これも2050年ぐらいをピークにして、現在よりずっと下げることによって、初めてここに到達するということであります。どんどん排出できるといって誤解はしないようにしていただきたい。
 不確実性がどうして広がったんだろうかというと、今もお話をしましたとおり、いろいろな世界を前提にしてやっていますので、その社会の動きが予測の幅に出ていると。それと気候モデルの精度を組み合わせて幅が広がっているということでございます。
 今度は、気候は変化しているかと、それから気候変化の影響が見られるんだろうかということでございます。先ほど私申しましたように、衛星が観測を始め、船が多く出始めて、いろいろなことが分かってきた。例えば積雪面積、これなんかは衛星からいつも監視していて分かるわけですけれども、この面積が10%、60年以降減ってきたのが顕著にあらわれている。氷河がどこでも後退しているということは多分全体的に暖かくなっているんだろう。
 気象関係の損害保険会社の支払いがものすごく多くなったなんてこともありますけれども、それは必ずしも気象が変動した証拠ではなく、危ないところにいっぱいいろいろなものを建てるからそうなっちゃうんだなんていう話がありまして、それは括弧づきです。
 昨夏のフランスの熱波です。これは頻発する異常気象と書かれていますが、これはちょっと書き過ぎであって、言ってみれば、急に熱波が起きると、それに対応し切れない社会は大変なことになるよという1つの例であるかと思います。もともとそういう安定な気候を前提として社会ができておりますし、お医者さんは夏にはどこかへ行っちゃうものですから、こういうことになるということです。
 森林火災が顕著に増えているということも、事実でございまして、これも人工衛星から見ますと、非常によく数が数えられる。
 今までは事実でございますけれども、今度は、予測でございます。今平均気温の話がありましたし、ここにあります海面水位は上がっていくだろう。生態系への影響、一部の動植物は絶滅してしまう可能性もあるだろう。それから農業への影響というのは当面生産が増加する地帯もありますが、放っておくと、多くの地域で生産量が減少するだろう。影響のワーキンググループというのがありまして、私はそちらに属しているんですけれども、そこでは数多くの予測が、幾つかの精密なモデルとデータを用いてできるようになりました。しかしながら、まだこの影響につきましては、残念ながら、世界中でどこでどれだけの温度変化が起きて、どういう生産の減少があって、そいつが幾らになるんだなんていうことはまだできておりません。
 こういう研究は、ぞくぞくと出てくるわけでございまして、最近のいわゆるNature誌というところで動植物、これは多様性がどんどん減っていくよなんていう話、あるいはWHOが気候変動と人間の健康、熱波、いろいろなウイルスの媒介をする昆虫が、暖まりますのでどんどん増えていくとか、スキー場がだめになったなんていう話もある。
 それから、だらだらと温度が上がっていくのなら、それに対して人間が対応できるかもしれない。けれども、ひょっとすると、いろいろな気候システムの全般に影響するような大きなカタストロフィーが起こる可能性もあり得る。例えば、最近はメタンハイドレートなんていう話もございますけれども、ツンドラなどは暖かくなりますと、そういうところに埋もれたメタン等々があっという間に出ていってしまうということも可能性があり、またその兆候も幾らか見えておるわけでございます。
 それから、南極及びグリーンランドの氷床、これが何キロあるいは数百メートルの厚さにわたって、南極を覆っている氷が溶けていくと。現在、0.6℃上がっているわけですね、先ほど申しましたように。氷を暖かいところに置いておきますと、どんどん溶けていきますから、そういうことで海面がどんどん上がっているわけなんですが、これまで0.6℃上がった分につきましては、少なくとも氷はどんどんまだ溶けているという状況があります。
 現在、海流というのが世界じゅうを2000年周期でぐるぐるっと回って、このフィンランドのあたりで沈み込みまして、またそれが深層流になりまして、この湧昇流として、上に上がって、この辺の日本近海で魚がいっぱい取れるところで上がってくる。それがぐるぐる2000年で回っている。これが地球気候を調整する一番のスタビライザーになっているわけですが、これがひょっとすると変わるかもしれない。沈み込みがだんだん弱くなってくる。
 じゃ、どのあたりが危ないかという話になります。先ほどこういうものをお見せしましたけれども、我々いろいろなものを集めてわかったことは、非常に弱いシステムは早めにやられるだろうし、あるいは極端な現象、干ばつとかがどんどん増えていくのは、このあたりから始まりそうだ。先ほど私申しました破局的な海流がどうなるなんていう話はこの辺でなりそうだと。一体どの辺が危険かということは、我々はっきりとは何とも言っていないわけでして、こういうものをどう皆さんが判断なさるのかということになります。
 いずれにしましても、我々はある安全な水準で、温室効果ガス濃度を安定化する必要があります。ここに書かれたとおり、排出量と吸収量を平衡にしなきゃいけません。先ほど私3.2Gt たまっていると言いましたが、どんどんたまっていったんじゃ困っちゃう。ですから、入ってくる量と出ていく量を一緒にしなきゃいけないということですが。
 これがその模式図です。人が6.3Gt、大気にどんどんと放り込んでいる。一方、自然吸収量は3.1Gtだ。ですから、どんどんたまっていく。我々がこの温暖化をとめようとしたら、排出量と吸収量と一緒にしなきゃいけない。すなわち、現在の量よりどんどん絞っていかなきゃいけないということです。
 ですから、今どんどん増えているけれども、将来いずれにしても安定化しようと思ったら、これとこれとを一緒にしなきゃいけないということは非常に重要な話です。吸収力は今3.1Gtですけれども、当分はちょっと増えていくかもしれませんが、あとでまた下がっていくという予想がされています。排出は放っておきますと、すぐに10Gtぐらいになってしまいます。
 それに対抗して、これをどうやって減らしていくか。当面、社会も余り減らしても困るからというので、この辺ちょっと位上げてもいいけれども、550ppm、750ppm、どこかに安定させるためには、もう出しっ放しというわけにいかず、排出量を閉めなきゃいけないということになります。
 これは最終的には、まだ安定化していないわけですけれども、安定化させるためには、この排出量を、1,000ppmだったらこんなものに下げなきゃいけないけれども、550ppmだったらこれぐらい下げる。これはどこのあたりかというと、もう2030年あたりで下げる必要がある。550ppmで安定化がいるというのは、言ってみれば、今の相場観になっております。これをするには、2030年ぐらいからもう下げなきゃいけない。京都議定書でちょっと下がったんですが、これはほとんどある面では効かない。これじゃだめです。もっともっと多くの人がこれに賛同して、最終的にこの後2030年には、世界中で下げてもらわないといけない。もっともこれにはどういう道筋でも書けます。今この緑を思い切って構わないじゃないか、どんどんどんどん出してしまえという話になったとして、それを安定化するには、今度は後で急に下げなきゃいけない。どっちの道を選ぶかというのが、皆さんの選択ということになります。
 最終的にどれだけ下げなきゃいけないかといいますと、ここを見ていただければわかるんですが、550ppmにするには、2000年の排出量より世界中で25%まで下げてくれと。現在、先進国だけが50%減らすということじゃとても間に合わない。
 一体どの水準を選択すべきかということで、イギリス、スウェーデン、ドイツ等々は次の計画を立てておりますけれども、大体550ppmぐらいを選ぶ。そのためには2050年には、イギリスの場合はたしか60%カットですね。ドイツの場合は、450ppm選んでおりまして、2050年は45ないし60%カットという削減を計画しているところです。
 結局、今すぐに下げたとしても、温度や、あるいは気候が安定するにはものすごい時間がかかる。早めにやらないと、それがどんどんどんどん蓄積されてしまいます。
 これは、例えばこの時点で減らしたとします。しかしながら、先ほど申し上げたようにこれから減らしても、出ていく分よりも入ってくる分が多いわけですから、どんどん蓄積してしまう。炭酸ガスの濃度は、幾らここで頑張って閉め始めても、どんどんどんどんたまって増えていきます。気候は、ある慣性を持っていますから、それで安定化するにはもっともっと後になります。もし下げるのがどんどんどんどん遅れると、この幅がどんどんどんどん高くなっていく。この氷ですね、先ほど南極の氷の話をしましたが、もし2℃で安定化したとしましても、ずっと2℃なわけですから、冷蔵庫の氷をその辺の室内に出しておいておくようなもので、どんどんどんどんなくなるまでは溶けていくということで今は1メートルとか、もっと少なく10何センチという小さな幅のはなしをやっておりますけれども、そんな程度のものではありません。
 これで私の話は終わります。気候は変化している。原因は人為的である。そして、これはもう少し調べてみないといけませんが、今後、かなり悪い影響がおこる。どういう手を打っていくかということを考えなきゃいけない。
 まとめでございますけれども、科学的観測、知見の集約が組織的に行われてきて、科学的な不確実性は狭まりつつある。気候は変化しつつあり、現象として観測されている。変化は人為起源であり、影響はまだ十分ではないが、基盤を脅かす可能性が多い。いずれにしても、いつかは温室効果ガスを今より大幅に削減しなきゃいけない。それをいつやるか、先を見通してどういう手を打っていくかということが重要である。気候の慣性を考慮しますと、早めの対策が有効である。これが私のこれまでの科学的知見を踏まえた結論です。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。西岡委員に、科学的知見についてのとりまとめのお話を伺いました。なかなかこういう話をまともにと言うんでしょうか、聞く機会というのはないものですから大変勉強になったと思います。
 さて、時間も限られてはおりますが、ただいま西岡委員から御報告いただいたことについて、御質問なり、コメントなりいただけるようでしたら。

○塩田委員 西岡委員に非常に包括的な御説明をいただきまして、いろいろ難しい問題を理解することができて感謝しております。
 今、御説明の中で二、三点質問があるんですけれども、最初の全体の大きな循環の中で、海洋の吸収の問題を言われましたけれども、大気の問題というのは、水の問題と比べて、非常に世界の学者の意見がまとまってきたという話を聞きますけれども、海洋の問題とか水の問題がそこに絡んでくると、先ほど台風の問題もおっしゃいましたけれども、まだ世界的なコンセンサスはないんじゃないかというような意見を聞いたことがありますが、その点についてどのように考えられるか。従って、そこの点の解明が、これから国際的にも必要なのではないかというのが1つの質問です。
 それから、いろいろ地球の現象は、地球の気候が変わっていろいろな現象が起こっているという御説明がありましたが、このことはみんなが認めているということだと思うんです。ただ、これらの現象のうち、地球の温暖化と因果関係があるという立証はされているものとされていないものがあると思うんですけれども。ただいま御説明ありました病気の問題とか、あるいは生物の問題とか、そういう問題については、地球の温暖化とその現象とのかなり因果関係が深いということに関しては立証されているものをここにお示しになったのかどうか。その2点。
 それから最後に、南極の氷が溶けるとか、あるいはツンドラが溶けるとか、そういう問題は非常に深刻な問題だと思うんですけれども、現状においては、そのような兆候があるのかないのかというような点はどうなっているのでしょうか。
 こういうことについては、私はどういう観点から申し上げているかと申しますと、我々が地球温暖化にどの程度に真剣になれるか。地球温暖化防止が大事なことだということは、ほとんどコンセンサスがあるのだと思うんですけれども、どのくらい深刻なことかということをたくさんの人に理解してもらう観点からは、世界の学者がこういうことに関してコンセンサスができているということをもっと広報する必要があるのではないでしょうか。地球の温暖化については、IPCCでかなり組織的な研究をなさって、世界の学者がコンセンサスを得たというふうにもろもろの本に紹介されていますけれども、そういう西岡委員の今御説明になったこのストーリーというのは、世界の学者が基本的にはサポートするものかどうか。そういうような点について、もしそういうことであれば、これをもっと広報して、みんなに深刻な危機感を持ってもらうということが大事なんじゃないか。そういう観点から、私はこの発言をいたしました。ありがとうございました。

○浅野部会長 それでは、平尾委員も御質問でしょうか。御質問でしたら。

○平尾委員 私のはとっさにあれっと思った単純な話なんですが、2ページ目のグラフがございますね、温度の変化。それで、1940年から1980年の間がちょっとなんかぐずぐずしているんですが、60年から80年はむしろマイナス──上がっているんですけれども、平均値からするとぐずぐずしていると。80年から急に上がっていますね。
 5ページ目のCO2の濃度の変化を見ますと、1960年から1980年で25ppmぐらい上がっているんですね。1980年から2000年まで30ppm上がっているので、5ppmぐらい上がり、ちょっとカーブがぐっと立っているので、その辺の違いが、それぞれ1980年を挟んでの20年のところの挙動の差が出ているのか、あるいはまた別に、1960年から1980年の間で何か別のフェーズが何かあったのか。その辺ちょっと、どういうふうに御議論されているのか、ありましたら教えていただきたい。

○浅野部会長 それでは、今のお二方の御質問についてどうぞ。

○西岡委員 特に後半につきましては、今日松野先生がいらっしゃるので、もし先生の気候学の方からの御見解がありましたら、是非お伺いしたいと思います。
 まず、最初の質問の方に移りますが、例えば南極について、そういう溶ける兆候があるのかという話でございますが、あります。ですけれども、私はここであるからそうだということは、すぐには申し上げません。最近報告されたネイチャーかサイエンスだったか、どっちかに載っていましたけれども、南極で氷が下の方から溶けてきているという観察結果が示されております。南極から多くの氷山どころか、四国ぐらいの大きさの氷の塊がどんどん浮いてきているということも報告されていますが、我々、科学者は非常に慎重に、だからそれが温暖化に原因するということは普通言いません。そういう事実がありましたという話をします。
 それで、2つ目の質問。いろいろな現象が起きているけれども、それが人為的な原因によるかどうか。これは論理から言ってできない話です。我々が言っておりますのは、いろいろな現象は起きていて、それは気候の変化に基づくものであるという推測まではできます。そして、その気候の変化が人為的であるかないかという話、気候の変化全体がどうかというのは、私がここで示したような論理でやっているわけでして、そこのところは、いや、最近マラリアが増えてきたのは、人間が出している分かという論理は成り立たないわけであります。ですから何度も言いますが、私どもは、気候は変化している。変化しているのは人為であると。そして気候の変化全体がこういう影響を及ぼしているということを言っておるわけであります。
 それから、海洋についてのコンセンサスがあるかということでございますが、私どもの研究所でも、太平洋をなめるようにしてCO2の計測をしました。そういうのが多くのところで始まりまして、海洋でどのあたりをどう吸っているかということはだんだんわかってきたというのがあります。
 これがコンセンサスになるかというと、我々がやっておりますのは、そういうデータを、研究所のフォーラムをつくりまして、そこでみんなが出し合う。そしてプロットしてみると、大体どこまで吸収しているかというのがわかってくるわけです。そういう作業は、IPCCではなくて、科学の世界でみんなやっております。
 IPCCは何をやっているかというと、そういうところで出された論文をきちんと見る。論文一つ一つはピュアレビューをされておりますが、その一つ一つの論文をまず全部集める。そして、この論文が言っていることは、例えばあるところで炭酸ガスが増えていますよと、それで測ってみたと。これはもう、いわゆる科学の事実としては、そいつはそれでいい。だけど、そこではかっている問題が全体的な問題であるという具合に位置づけられるかといったことをIPCCとしては考えなきゃいけない。確かにそれはそうだろうと。しかしながら、こっちではこういう結果が出て、こっちはこういう結果が出る。全体としてどうなっているんだと。
 もし、我々がそういう科学の事実だけを皆さんの中に放り投げて、あっちは出ているよ、あっちは減っているよなんていう話をしても、じゃ一体あなた方はどっちを言いたいんだという話になりますが、そういうのをまとめてみようというのがIPCCでやっている仕事です。別に、これはIPCCじゃなくても、どこでやってもらってもいいんですが、幸いにして、政府が音頭をとって、そういうのをひとつやってくれないかということで、科学者に委託してやっているわけです。その結果が、大体私がここで申し上げましたようなことになっています。
 コンセンサスというのは非常によく言われるんですけれども、コンセンサスということは科学では基本的にないわけです。大体このあたりで、みんなおかしくないよと思っているというのがここにあると。そういうぐらいにお考えになった方がいいかと思います。IPCCがこういう意見を持って、こう言っているということは全くありません。よくインバランスということをしますが、全体として眺めてみて調べてみると、こういう具合になりましたよというのが集まって、それが最新の科学の知見、温暖化に関する科学的知見として、いわゆる報告書で出されているということでございます。
 さて、最後の平尾さんの1940年から80年の件で、もし……。

○浅野部会長 では、その点については松野委員。

○松野委員 地球フロンティア研究システムの松野でございます。
 今のことに関してですが、答えと、それから多少、西岡委員の御説明に対するコメントと両方させていただきます。
 まず最初の1940年代に一時高温があって、それから一端世界全体、特に北半球ですが低温化し、再び1975年以降高温化していること。これがちゃんと分かっているかと言われたら、分かっていないというのが確かだと思います。
 先ほどのモデルの結果で非常によく合っていました。あれはハドレセンターというイギリスのところで、第3次報告書に関しては指導的役割を果たしたところの結果で、これ自体を見ると非常によく合っていますが、本当に合っているのかどうかというのはよく分かりません。というのは、40年代に高くなったのは、主に北極の付近・高緯度域の顕著な高温がかなり貢献していて、それが何であるかというのは本当のところまだ分からないんです。その後下がったというのが、多分これの多くは、そこにあります自然変動の中の火山噴火が60年代に割と盛んにあって、成層圏にチリが漂ったと。それが一つ貢献していると思います。
 それから、人間活動から出される亜硫酸ガスも、いろいろな公害、日本なんか典型的にそうですけれども、60年代から70年代初めはひどかったけれども、今はクリーンになったとか、そういうもろもろな原因があります。それに太陽活動。太陽活動はよくわからないんですけれども、それらを全部加味して、割と観測された変化に近い、状況すなわち一たん40年代上がるけれども、再び下がるというようなことが起こってもおかしくない根拠もありますが、実はそれを取り入れなくても、北極が自然の変動で、たまたま10年ぐらい高くなることがある。北極というか、北極区域を中心に、地球全体の気温にあの程度の影響を与えることはあり得るという研究もこれはあります。この方面の研究のリーダーである真鍋さんのグループが大分前に、出した結果です。
 というわけで、90年代の高温が自然変動でたまたま高くなったものだとして、自然変動でたまたま高くなったものを我々が再現するだけのモデルへの信頼性を持っていないので、それは余り確かではない。
 その上、今の火山活動とか太陽活動と、それから人間の亜硫酸ガスを全部寄せたもののせいかというと、そちらもそれほど確実でないので、そのどっちかというのは非常に微妙で判断しにくい。というわけで、あそこの40年代が説明できているとは言えないと思います。
 ただ、それ以降の75年以降の昇温に関しては、これはいろいろなファクターが把握されているので、これは計算結果との一致というのは、これは原因結果の関係として納得できると思っています。なんか歯切れは悪いですけれども、正確に言うとそうです。
 あと1点、コメントです。これは西岡委員非常に簡潔におまとめいただいているんですが、炭素循環と、それから今後の安定化に関するところです。まず最初に、4ページの図でさっき魚が跳ねていましたけれども、あれはどうも利口な魚で数が間違っているよと言っているんじゃないかと思います。3,800Gtとありますが、あれは多分けたが1つ違って3万8,000Gt、もしかしたら3万5,800Gtという数が何かの文献にありますので、このどちらかじゃないかと思います。つまり、大気中にある自然状態では約600Gt、産業化以前では600Gtだったんですが、その約60倍の炭素を、海はそれと平衡状態にあるときには保ち得る。それだけ海はたくさん吸うことができるということです。
 ただ、60倍というのは、産業化以前での600Gtに対応するもので、これ以後、その1を1個ふやして2にしたら、それに対応してもう60海が吸えるかというとそうじゃなくて、それは一種の緩衝溶液になっているので、ちょうどその10分の1ぐらい、大気に1増やすと海は6しか吸えません。しかしながら、依然として非常に大きな吸収力を持っているということは言えると思います。
 そこで、それに関連して、安定化という問題が先ほど書いてありまして、資料のページでいくと19、20です。西岡委員の御説明、19ページの例ですが、これ自体、間違いはないのですけれども、ちょっと間違った解釈をされそうなところがあるんじゃないかと思います。水道から6.3Gt出ていて、自然吸収が3.1Gtありますが、現在3.1Gtというのは、これは海の中にたまる分と合わせてですので、これちょっと見ると、現在水道の蛇口から出る量を3.1Gtに絞れば、もうそれで大気中の濃度は安定化するんじゃないかというふうに読めてしまうのではないかと思います。
 これはそうではないので、そこの安定化という議論をするときの水槽から出て行く3.1Gtに相当するのは何かというと、先ほどお話ししました海の吸収のうち表面の400メートルぐらいは20年ぐらいで平衡に達しますので、残りの9割に吸収される分ですね。4,000メートルまでは1000年かからないと混じらないので、その1000年の間、まだまだ産業以前のフレッシュな280ppmに対応する濃度しか持たない海水が残っています。それがゆっくりゆっくり1000年かけて上に上がってきて、それが吸うので、その吸う分が安定化した時今の吸収量。つまりフレッシュな産業化以前の水が吸ってくれるのに対応するのが安定化の──安定化するというか、人間が大気中に出し続けてもダイレクトに大気中にたまらないのです。しかし、これは当面100年とか500年とかの話で、1000年たてばもう絶対だめです。出し続けたものが貯まってもういっぱいになりますから。1000年ぐらいまでだったら、まだフレッシュな水が残っていれば、それが吸ってくれて、それでバランスがとれるから、その時間スケールで安定化が可能という、メカニズムとしてはそういうことです。
 従って、そこのメカニズムのモデル化によって多少の違いがあります。20ページの図ですね。650ppmとか550ppmで安定化する場合、2300年での放出量、これが2Gtよりも少ないぐらいになっていますが、次の21ページのところでは、550で20億トン、650で26億トンすなわち2.0,2.6Gtで前の値より多めになっています。これは2つともモデルの違いと思います。
 個人的に申しますと、このIPCCで報告されているモデルは、これは過小評価で、この環境研のモデルの結果の方がいいと思います。これは私個人の意見ですけれども。一般にリファーされるIPCCは安定化のためにはものすごく少ない排出しか許されない、どっちにしろ少ないんですけれども、その度合いがより厳しくなっているということです。
 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。大変よく分かるコメントをいただいたと思います。
 横山委員、御質問でしょうか。

○西岡委員 皆さん、魚の下の数字にゼロを1つ加えてください。

○横山委員 私自身としては、温暖化の深刻さを改めて認識しました。そういう点から2点、簡単に質問したいと思います。
 まず、16ページの海洋大循環に関してヨーロッパが寒冷化するということですが、これ地球が温暖化していて、ヨーロッパが寒冷化すると打ち消しでいいんじゃないかというような誤解を生む可能性があると思うんですが、これはあれですね。全体として温暖化する中で、ヨーロッパは寒冷化して、まさに気候変動の一環だという理解でよろしいんですね。
 それからもう1点は10ページで、これは基本的なことで申しわけないんですが、暑い日とか寒い日で、ほかのところはみんな上昇とか減少とか増加とかきちんとしているんですが、暑い日だけは増加した可能性が高いとなっているんです。これは何か理由があるのか。もし分かったら教えてください。

○西岡委員 まず後者の方ですけれども、暑い日の話、今のところなんですが、おっしゃるように、有意に上がったか下がったかという話になりますと、まだ十分なデータがとれていないので、IPCCではその可能性が非常に高いだとか、高いだとか、いろいろな言い方によって大体確度を決めております。
 それからもう一つは、絵の方に戻っていただきますが、海流停止現象が起こるのは、今の排出を続けていっても、2100年以降あるいはもっと後ではあるかもしれないということを真鍋さんの計算からは言っていらっしゃいます。
 そこで、この北の方でどんどん沈み込むのはなぜかと言いますと、南の方から回ってきたメキシコ湾流が上の方にいくに従って、蒸発でもってどんどんどんどん塩分濃度が濃くなっていく。そして、かつ北の方に行きますと冷たいものですから、比重が全体的に重くなってあの辺で潜り込んでしまうと。そういうのがドライビングフォースになって、今この大循環をつくっているということは言われております。
 ところが、温暖化いたしますと、例えば北の方の氷がどんどん溶けていきまして、海水がメキシコ湾に向かって冷たい海水が来るということで、全体に薄まってしまって沈み込まなくなってしまうということになりますと、今までメキシコ湾流でもたらされておりました熱がそこまで到達しないということで、そこは冷える可能性があるのではないかということは言われております。
 温暖化という問題は、温暖化という言葉自身が良くなくて、普通はクライメートチェンジと言っているわけですね。要するに、気候システム全体が変わるんだよと。それの典型的な指標として温度が高くなると、温暖化ですから、その傾向はいいんですけれども、必ずしも全部が暖かくになるわけじゃなくて、冷たくなるところもあります。
 ですけれども、これも1つの仮説でして、果たしてそこの温度が低くなるのか、あるいは温暖化の方が強くて、そのままやはり温暖化するのか、まだ分からないところはあります。

○浅野部会長 西岡委員、すみません、時間が。横山委員の御質問のとおりであると。つまり気候変動ということだというお話だと思います。
 鈴木委員にコメントをお願いいたします。

○鈴木委員 私も実は、モデルというのは大変好きな人間の一人でありまして、いろいろなことの将来予測にシミュレーションモデルを使います。
 そういう意味で、モデルの限界というか、難しさというのをある意味では身にしみて感じておりますが、特に地球のような複雑なシステムを一体どうやって、その数学モデルにつくり上げて、それをどう計算するか。これは松野先生なんかが、地球シミュレーターで大変御苦労なさっておるわけですが。精微化すればするほど、パラメーターが増えて、将来予測というのが難しくなるというか、"アンビギュアスな面"が増えていくという、これはモデルのある意味では背負っているフェイトみたいなものでもあります。
 そういうことを考えても、やはりこの地球の、例えばここに図で出していただいておりますような将来予測というのは、やはりかなり進化した、初期に比べてやはり進歩している。そういう意味では、不確定性の幅が狭まっただけではなくて、やはり不確定性の質が変わっていったという意味で、私は非常に評価したいと思っております。
 そしてまた、西岡委員がお話になったのは、先ほどもおっしゃっておりましたが、サイエンティストとして非常に慎重に言葉を選んで話しておられると思います。本来ですと、こういうシミュレーターで我々が松野先生なんかに将来計算していただきたいと思うのは、本当に平均気温がわずか上がっただけで、例えばフラクチュエーションが増えていく。洪水が増え、干ばつが増え、そういうようなまさに異常気象が多発していくことがどういうことになるかということですね。そういうところにも、いずれはシミュレーションを適用して予測をしていただけるようになるんじゃないかということを、私自身は期待しております。
 それから、将来にわたって、ここでは物理的な問題だけでしたが、生物的な問題、たとえば生物多様性の問題もありますし、それから何といっても、人間活動に関して、今地球上の人口が60億ですけれども、それが2050年には90億になるというようなペースで拡大していく。そういう状況と、この気候変動の予測が重なりあったときに、一体どんなことが世界的に起こるかというそら恐ろしい状態に現在直面しているのではないかと思っております。
 もちろん、サイエンティストとしては、いろいろな意味での社会的な予測をするというわけにいかないわけですが、そういう状況にある中で、この気候変動というものをやはりきちんと認識をして、そして慎重ではありながらも、やはりその対策、それに対する対応にだんだんと踏み出す。こういうことが必要なのではないかと思っております。
 そういう意味で、コメントになりましたが、西岡先生、大変見事に、しかも簡潔にまとめていただいたことに対して感謝申し上げたいと思います。

○浅野部会長 佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 質問なんですけれども、1つは、13ページから14ページにかけてのところに関わることなんですけれども、最近、ロシアの議定書の批准にかかわることなんですけれども。要するに温暖化が、あるいは京都議定書が、そのロシアの経済に対してどういう影響を及ぼすかということを慎重に見きわめたいというようなことを言っていますよね。その上で批准をするか否かを決めたいと。
 特に14ページをまず見ますと、これはほとんどの影響がむしろ──その前に今日言いたいのは、要するにロシアにとって京都議定書は、排出権取引ということが導入されたということで、もしアメリカが離脱しなければ、大変な経済的な恩恵があったわけですね。ところが、アメリカが抜けたことによって、排出権取引の価格が10分の1ないしそれ以下になるということで、そこで非常に経済的な、アメリカが抜けたということによる損失を被った。
 ところで、それはとりあえず置いておいて、この平均気温が上がるとか、14ページに書かれていることに関しては、恐らくロシアにとってはむしろプラスなんですね。つまり気温が上昇してくれることはロシアにとってありがたいということで。ところが、その前の13ページを見ると、森林火災が物すごくロシアであると。わずか2003年1月から8月の8カ月間に、なんと日本の国土面積の6割に等しいぐらいの森林火災が起きているということで、つまりこういうことは、ちゃんとロシアにおいても認識されているのかどうかと。つまりクライメートチェンジの結果、こういう森林火災が起きているんだということは、これは大変な損失なわけですね。
 ですから、そういうことが、つまりこれを一覧する限り、この森林火災の増加ということが、唯一ロシアにとっての温暖化がもたらす悪影響であるということですので、その点についてちゃんと認識されているかどうかということが1つ。
 それからもう1つは、25ページの一番最後の結論のところで書かれている一番最後のところなんです。危険を避けるためにはアーリーアクションが有効である、早めの対策が有効であるというふうにお書きになっています。有効なのか、それとも不可欠なのか。西岡さんのお話を伺っている限りでは、むしろここは不可欠というような感じになるんですけれども。有効というのはちょっとあいまいな意味なんですけれども、その辺、本当に不可欠なのか。それとももう少しあいまい、早くやった方が得ですよという程度のことなのか、その点についてお答えください。
 以上です。

○浅野部会長 これは多分、不可欠と本当は書きたかったんだろうと思いますが、ロシアの認識については……。

○西岡委員 ありがとうございます。一言ロシアの方だけ申し上げます。
 12月にロシアで会合がありまして、そこでロシアの国土安全危機管理省とか何とか、そういうところの人が発表しています。ロシアでもみんないろいろ意見が違う。絵を見せてもらったのは、ツンドラが溶けてきて、道路だったか、線路だったかがぐにゃぐにゃになっていまして、そこで事故が起きて130人死んで600人がけがした。ロシアのインフラストラクチャーに対する影響が非常に大きい。ですから、ロシアの国内の安全担当者の方は何とかしてくれという訴えだったんですね。
 ところが、一方、今度は経済顧問の人は、IPCCはこんなことをやっていないのかなんていう話で反論をやっています。御質問から言いますと、ロシアで十分その危険は認識されている。それから、火災に対する報告もありました。

○浅野部会長 松野委員。

○松野委員 先ほどの幾つかの、今後のポスト京都のいわゆる安定化とかということに関して、一言ちょっとコメントさせていただきます。
 ひとつは、一番何が怖いかということで、すでに西岡さんのお話にありました、コンベアーベルトと言っていますが、世界を巡る海洋循環がとまるかもしれないという恐れです。これは、さっきお話ししました理由によって、海洋がCO2を吸い込む能力へも影響してきますし、それからそれが直接気候や、それからいろいろな生態系、海の中の生態、その他にも影響する恐れがあるので、もしこれが起こってしまったら非常に困るということで、これ自身の確からしさが大きな問題です。
 それから、そういうことが起こるとすれば、どのぐらいのレベル、CO2の濃度が果たして650ppmなら大丈夫なのか、あるいは550ppmでもだめなのか。この辺を中心に、研究はこれから重要な研究になると思います。
 もう1つは、西南極大陸の氷床の崩壊。なんかアイスバーンが壊れたりなんかしていますが、それは今のところは特に異常ではなくて、しかしながら、これは、非常に確率は低いけれども、もし西南極大陸全体の氷床の崩壊が起これば、世界じゅう6メートルぐらい水位が上がるということで、これも確率は低いけれども、非常に将来にとっての大きな問題だからこれも調べるということを考えられています。
 それともう一つは、先ほどお話出ましたいろいろな異常気象とか、本当の意味でいろいろ極端な現象や出来事、台風の強さや集中豪雨がどうなるかとか干ばつが起こるとか、そういうことに関してのきめ細かい予測。多分これはこれから、単に我々のCO2の削減という問題じゃなくて、もうある程度我々避けられない温暖化が進行しつつあるという認識に立って、気候変化が進行しつつあるときの対応策をとる上で、具体的な情報として必要であるから、それに力を入れようと、こういうところを我々世界中の気候変動研究者は努力をしております。
 以上でございます。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、まだ御関心があり、御質問があろうかと思いますが、大変恐縮です。もう一つ大事なことを今日取り上げておかなければいけませんので、このぐらいにさせていただきます。
 ただいまのお話を聞いた後で、6%の話なんていうのはいささかぞっとするような感じもするわけですが、それにしましても、現在政府の大綱の評価・見直しをする時期に来ておりまして、当部会として取り上げなければいけません。この件に関して、一括して事務局からまず説明をいたします。

○清水地球温暖化対策課長 地球温暖化対策課長の清水です。座って説明させていただきます。
 時間が押していますので、資料3-1、3-2、3-3、3-4をかなりはしょった形で説明せざるを得ないことをお許しください。
 まず3-1ということですが、大綱の見直しの前提といたしまして、少し事実関係を確認しておきたいというふうに思っております。
 1ページ開いていただきまして2ページを見ていただきますと、温室効果ガスの排出の現状、それからGDPとエネルギー消費の各国比較、それからCO2排出に関する原単位の各国比較などの資料が入っております。
 3ページ目でございますが、1990年以降の我が国の温室効果ガスの総排出量を図示したものであります。2001年度の総排出量が12億9,900万トンということで、基準年に比べ5.2%増しているという、そういう図であります。
 めくっていただきまして、4ページ目でありますが、それでは温室効果ガスの排出の現状がどういう形になっているかということでございます。CO2は部門別に見ております。左側の図でございますが、工業プロセスと廃棄物を除く94%がエネルギー消費に伴っているというものであります。エネルギー転換、産業、運輸、業務その他、家庭という形で分かれておりますが、我が国の場合、間接排出、すなわち電力再配分後というデータになっておりますので、産業あるいは業務、家庭などは電力由来分が含まれた形でのデータになっております。
 これは、右の方で管理主体別に表現してみるとどうなるかということでありますが、マイカー分とか一般廃棄物を含めますと、左側の方のデータの上の方、家庭分は約20%。工業プロセス、エネルギー転換、産業、運輸、業務など、いわゆる事業系ですが、企業・公共部門関係が約8割となります。管理主体別に見ると、またこういうような見方もできるということであります。
 それから、各国の比較ということで5ページ目にいきたいと思います。附属書I国全体では、現時点では、真ん中ぐらいの黒いグラフになっておりますが、-12%。全体で-5%目標ということですが、これは下回っております。これはロシアなど、経済移行国が大幅に排出量を減少させているということであります。
 それから、EUにつきましては、努力なしで目標を達成できるのではないかというようなことをおっしゃる方もあるわけでありますけれども、実際のところは、EU目標との間に依然開きがありまして、達成していないと、そんな状況であります。
 現在のところ、達成できる見込みがあるというのは英国、スウェーデンなどで、ほかの国はかなり厳しいのではないかと。このため、EUでは2005年からキャップ&トレードの排出量取引制度などを導入しているという、そんな状況でございます。
 それから、ページをめくっていただきまして、GDP当たりのエネルギー消費ということで、エネルギーの消費効率をいろいろ図示してみました。
 7ページ目が、1990年におけるGDPとエネルギー消費の各国比較です。内訳を製造業、運輸、業務、家庭という4分類に分けて各国、アメリカ、ドイツ、イギリス、日本を比較しております。日本はトータルで4カ国中最小でございます。分野別に見ますと、製造業は各国と同じぐらいでありますけれども、運輸あるいは家庭という部分が、各国に比較して非常に小さかったということで、ここら辺がエネルギーの消費効率を上げている原因ではないかというふうに思われます。
 8ページ目にいっていただきまして、2000年の同じような形のデータです。これは2000年の為替水準で見たものです。このデータで見ますと、日本はトータルで4カ国中最小ということになっておりまして、製造業を含むすべての部門において最小になっておりますが、ただ1990年と比べた場合、考えなければならないのは、大幅な円高、マルク高、ポンド高が進行しているということであります。
 こういう観点から、為替についての変動を排除する形で、9ページ目以降、購買力平価で比べた資料をつけております。購買力平価で90年を見ますと、依然、アメリカ、ドイツ、イギリスに比べまして、日本はトータルでは最小というような形になっております。
 それから、次の10ページをめくっていただきますと、これは2000年における購買力平価の基準であります。これで見ますと、2000年の為替レートで見た形と少し違うような形も見えるわけでございまして、ドイツ、イギリスと日本が接近しているというようなことがあります。製造業は他国と同程度ないし若干多めで、やはり運輸、家庭などの分野が非常に低いということが目立っているわけであります。
 こういう比較は、為替レートということでいろいろな要素がありますので、別の角度からの分析も必要ということで、11ページ以降、原単位的に比較してみました。
 12ページを開けていただきますと、家庭部門のエネルギー消費を世帯数で割った値ということであります。これで見ますと、暖房という部分が日本では他国に比べて低いということが、家庭分野でわかります。気候の違いというものがあるというふうに思いますが、ただ、日本と同じような気候条件のイタリアと比較しましても、暖房という面での差がついているということが特徴です。
 それから、13ページは運輸関係です。運輸関係の人口当たりのエネルギー消費ということで、アメリカに比べ、イギリス、ドイツ、日本は非常に低い値でありますけれども、伸びているということであります。
 それから、産業分野で代表的なところで、鉄鋼、セメント、それから紙・パルプということで、14、15、16ページに分けております。各国、製造方法とか、あるいは製造物の構成比など違いますので、一概にこれをもって多い少ないということは言い切れない面もありますが、参考になる資料として見ていただければと思います。
 鉄鋼を見ますと、80年代、90年代、日本は各国と差があったのが、90年代を通じて、かなり差が縮まってきているというようなデータでございます。
 15ページは、セメント関係です。セメントは、依然として日本がかなり高効率ということかなというふうに思います。
 それから、紙が16ページです。ここの説明は省略します。
 最後17ページに、CO2排出、発電の原単位ということで各国比較をしております。4カ国で比べますと、原子力の割合が高い日本が一貫して低い数値になっているということであります。ただこの中で、イギリスで1993年以降、急速に排出係数が低下している。これは天然ガスということが背景にあるというふうに考えられております。
 資料3-1は以上であります。
 こういうような状況があるわけでありますが、いよいよこれから地球温暖化推進大綱の評価・見直しということで、審議をお願いしていくわけでありますが、今後の進め方などを含めまして、資料3-2、3-3、3-4という形で御説明していきたいと思います。
 まず、資料3-2でありますけれども、現在の大綱をどういうような形でつくっていったかというのをおさらいしたいと思います。現在の大綱は、2002年3月にできております。この時点で得られた最新のデータは1999年のデータでありまして、そのとき、6.9%基準年を上回っていた。その2002年の時点におきまして、旧大綱と言われる改正前の大綱がございまして、その大綱に盛り込まれた対策をここでは現行対策と呼んでおりますが、その大綱の対策を進めても、ほぼ横ばいの7%程度の排出が見込まれるということでありましたので、また2010年に6%に届かないということから、2002年3月におきまして追加対策を用意しまして、これで現在の大綱ができ上がっております。
 次の2ページ目にまいりまして、大綱の構成、特徴的に、それぞれの分野を3つの表であらわしております。一番左が現行対策とその削減量、それから追加対策とその削減量、それを実現するための国等の施策ということであります。
 対策というところを見ていただきますと、例えば冷房・暖房の温度設定など、あるいは追加対策のところを見ていただきますと、白熱灯を電球に変えるとか、それぞれの対策の導入率あるいはそれによって削減するCO2の削減量というような形で書いてあります。それを実現するために、一番右に施策という形で書いてあります。これが今の大綱の形であります。
 3ページにまいりまして、今の大綱はそれぞれ部門別に目標を設けております。この表にありますように、エネルギー起源のCO2につきましては±0%。それから非エネルギー起源CO2、メタン、一酸化二窒素、これが-0.5%。それから[3]としまして、革新的技術開発、国民各界各層のさらなる地球温暖化防止活動の推進、ここで-2%。それから代替フロン等3ガスにつきましては、当時5%ほど伸びるということが前提でありましたので、それをプラス2%で抑えるというのが目標になっております。それから、森林経営による吸収量の確保、3.9%。これらの目標を全部合わせて実は-4.4%でありますので、まだ-6%に足りないと。この1.6%の不足分については、京都メカニズムの活用というのが念頭に置かれ、記述されているところであります。
 次の4ページ目になります。今後、この大綱をどういう形で評価・見直ししていくかということでありますが、4ページ目がまず評価の流れであります。評価は、現在の対策・施策について、実際うまくいっているかどうかをチェックするということになります。
 対策・施策は数え方によりますが、一応対策が87、施策が200という形で書いてあります。定量的な目標のある対策は66ございますので、この一つ一つについて見ていく必要があるわけでございます。この現行対策・施策が現在どのような形で動いているか、2010年までの削減量がどれくらい見込まれるかということの作業を行い、実際2010年の時点で6%に達するか、達しないか。達しなければ、不足削減量はどれくらいになるかということを検討していく必要があります。
 それから、5ページ目にまいりまして、削減量が不足した場合に、今度は大綱の見直しのプロセスに入っていくということになります。不足削減量を確定しまして、それに対して、現行対策でさらに追加できるかどうか。あるいは、今ある大綱の中の対策にない新しい対策というものをさらに追加して、そこで追加削減量を見なければならないかどうか。その対策を実現するために施策というものを選定していくという、そういうことが必要になってくると思います。これは後で、論点のところで詳しく御説明したいと思います。
 6ページ目にまいりまして、それでは今の時点でどういう形になっているかということで、現時点における目標の達成状況についてのデータを示しております。現時点における最新のデータは2001年度の排出量であります。これが、その区分ごとに表の中で2番目と3番目の欄に書いてあります。2001年度の排出量の基準年総排出量比というふうに書いてありますが、1990年の基準年度におきましては、およそ12億3,000万トンという数字になっておりますので、この1%というのがおよそ1,200万トン程度の量だというふうに御理解いただければと思います。
 現在の状況を見ますと、この2番目の2000年度排出量と、それから目標量のところで比べていただければ、その差が一番右の2001年度排出量と目標量の差というところになっておりますが、エネルギー起源CO2につきまして、約9,100万トン程度まだ削減が足りないという、そんな状況であります。
 2番目の非エネルギー起源CO2、メタン、N2Oにつきましては、現在目標を達成しているというような状況になっております。
 それから、革新的な環境・エネルギー技術の研究開発の強化、国民各界各層による更なる地球温暖化防止活動の推進につきましては、これは実は測定上、ほかの部分と区分することがなかなか困難ということで、左側の2つが注という形になっておりますが、ここの部分でも2,500万トンほど削減する必要があるということであります。
 それから、代替フロン類につきましては、すでに達成しているという、そんな状況。吸収源対策、京都メカニズムも、今後確保していかなければならないというふうに理解しております。
 それから、7ページ目は、エネルギー起源CO2のうち各部門別で見た現在の状況ということで、産業、運輸、業務、家庭、エネルギー転換というような形でそれぞれ表をつくっております。時間の関係上、割愛させていただきたいと思います。
 今後、評価・見直しを次回以降、具体的に各部門についてしていただくことを考えておりますが、資料3-3で評価・見直しの論点ということを書かせていただいております。
 まず、評価に当たっての論点ということでありますが、現在の対策・施策をどのように評価していくかということでございます。
 まず、1番上の自然体ケースで将来の排出量がどれぐらい伸びるかというのを見なければなりません。自然体ケースで、これは経済成長率など、いろいろな経済フレームに基づいて2010年の排出量を予測するということになります。
 それから、個別の対策・施策の評価に基づいて、今後どれぐらい排出削減量が見込まれるかということを検討する必要があります。大綱の対策ですね。これの現時点での導入量、それから現時点でどれぐらい排出量の削減があるかを見て、それから2010年までどれぐらい対策・施策が伸びるかを見て、その上で2010年における排出削減量の見込みがどの程度になるかを検討していきたいというふうに思っております。
 この結果、[3]のところの2010年における6%削減約束の達成見通しというものを出していく必要があると思います。もし達成することができないのであれば、どの程度の排出削減量がさらに追加的に必要になるか、これも明らかにしていく必要があるというふうに思います。
 2ページ目にいきまして、こういった評価に当たりまして、対策の実施主体による効果と、それから対策の実施主体の取組の成果ではない影響など、要因分析をしていく必要があるのではないかということを思っております。
 それから、6%約束という目標を確実に達成することを目指すのであれば、削減量を過大に見積もらないような形で確実性・担保性というのを考えていく必要があるというふうに考えております。
 それから、3ページにまいりまして、見直しということで、これは追加対策をどういうような形で見直していくかということであります。評価の結果、このままで順調に進めば削減量が不足しないという場合であれば、モニタリングなどを強化していくわけでありますが、排出削減量が不足する場合は、それぞれいろいろな論点が出てきます。
 まず、区分・部門ごとの削減の目標等をどうするかという議論であります。削減が必要である場合、その削減をどの区分で実現していくか。現大綱は先ほども見ましたように、それぞれの区分あるいは部門ごとに目標が定められております。ある区分あるいは部門で、排出削減量が不足した場合に、その区分・部門内でさらに追加的な対策を実施するということでいいかどうか。あるいは、その区分間の再配分というのがあるかどうか。
 それから、現在の大綱の目標に加え、これを補う指標として、主体ごとの指標などを設定してはどうかと、こういうことも論点というふうに考えております。
 それから、排出削減量、ある部門で追加的に削減量を確保する必要があるというふうになった場合、ある対策の削減量に応じた対策の検討をしていく必要があります。評価の結果、ある対策の導入目標量あるいは排出削減見込み量が、現在の大綱の規定に足らない場合には、まずは大綱に規定された量を確保するために、追加的な施策を講ずるべきではないだろうか。あるいは、その追加施策を幾ら講じても、導入目標量、排出削減見込み量が確保されないような場合、この場合、現在の大綱の前提条件が不適切であった可能性もあると。そういう場合には、現在のそういう導入目標量、排出見込み量を修正する必要があるのではないか。こういうことが議論の対象になると思います。
 それから、評価の結果、さらに削減量が必要という場合でありますけれども、現在の大綱に規定されている対策で、導入目標量なり削減見込み量が達成された場合、さらに上積みが可能あり得るかどうか。あるいは、現在規定されていないような新しい対策を考える、さらにそれを実現するための施策を検討するかどうかというようなことを検討していく必要があると。こういう将来の追加的な対策を検討するに当たっても、やはり確実性・担保性というところを十分検討していく必要があるというふうに思っております。
 それから、5ページ目にいきまして、その他ということでありますが、この全体の評価・見直しのプロセスを、透明性を持っていく必要があるのではないだろうか。
 それから、長期的な検討との整合性ということでありますが、特に対策技術を導入するに当たって、少し長期的な観点からの検討との整合性や、長期的な技術政策のビジョンとの整合性を図りながら、大綱の対策・施策についても検討を行っていくべきではないだろうかというようなことを論点にしております。
 以上が論点でありますけれども、最後、資料3-4ということで1枚紙があります。
 当面の進め方といたしまして、現在、各種経済フレームの変化に応じた将来の排出量の推計、それから大綱の対策・施策の進捗状況の評価というものが、非常に重要な分野であることから、例えば産業、民生、運輸、エネルギー転換など、主要な点につきまして2回ほどに分けながら議論していただき、その後に関係府省、地方公共団体、事業者、民間団体のヒアリングを行ってみてはどうだろうかと。実際、6%約束達成に必要な削減量が不足する場合、次の段階で追加対策の議論がでてきますので、そのヒアリングの後に必要な追加対策・施策を審議するということで、前半が評価、後半が見直しということで、中間とりまとめという形で進めていってはどうであろうかということの御提案であります。
 以上であります。

○浅野部会長 ただいま大綱の評価・見直しについて、まずどのような手順で評価・見直しをしていくのかということ、それから、その手順とは別に、どういうところが多分きちっと進めて議論をしなきゃいけない論点であるかということに関して、現段階で事務局として考えられることについての整理をしたことを申し上げました。そして、スケジュールについて、3-4で御提案を申し上げているわけでございます。
 ただ、残念ながら、これについて1時間近く議論をする予定でありましたけれども、前半の質疑が随分長く──とは言え、非常に有用であったと思いますが、残り10分しかございません。
 それで、このような形で今後2月以降の部会で議論を進めていきたいと考えておりますが、もし今日特に御発言の御希望がございましたら、御発言をお伺いし、なお時間も限られておりますので、できればお考えなどについてコメントがあれば、書面でもってお出しいただければ、それを次回以降の議論の進め方の参考にさせていただきたいと思っております。この進め方、資料の3-2、それから3-3の細かい点については、来月以降の議論の中で少し本格的に議論させていただきたいというふうに思っておりますので、今日は内容に入っての議論はちょっと時間的に無理かと思います。
 言葉遣いとして御留意いただきたいのは、対策という言葉と施策という言葉がちょっと普通の我々の使い方とは違う使い方が大綱では行われていることです。対策というのは、言ってみればメニューである。そして施策というのは、それを実現するためのツールであるという整理をしているわけです。ただし、本当にそのとおりになったかどうかは非常に疑問があります。ですから、その点も含めて今後は考えなきゃいけないんだろうと思います。
 それからもう一つは、大綱を見るときには、現行対策というのは、これは旧大綱であり、追加対策というのは現在の大綱で加えられたものということになりますから、今後の検討に当たっては、もう過去のものについては一緒くたに扱うことができるわけで、我々が今後追加対策とかというときには、今後に考えられるものをさすということになろうかと思います。その辺のところの言葉の使い方が混乱しますと、議論がかみ合わなくなってしまう恐れがございます。そのあたりは是非お気をつけいただきたい。
 それでは、10分しかございません。恐縮でございますが、桝本委員、平尾委員、浅岡委員に御発言いただきます。どうぞ。

○桝本委員 細かくは、座長お話のとおり文言で書かせていただきたいと思いますが、2点お願いがございます。
 1点は、追加対策というものを、今の枠組みだけにとどまらず、枠組みそのものを拡大するということを是非御検討いただく対象にしてはどうかと私は特に思います。特に京都議定書の補足的対策というふうに位置づけられている京都メカニズムについては、メカニズムそのものを有効に活用させるための働きかけ、枠組みの若干の変更ということも、先ほど廣野先生がおっしゃったような意味を含めて、私は十分可能性があると思うだけに、是非それも加えるよう賜りたいというのが1点です。
 それから2点は、運輸や民生のところで、1府省に限らず、例えば国土交通省等の財源の配分、そうしたものまで考えますと、まだまだ実効的に打ち得ることがあると思いますので、各省庁に及ぶ府省の壁を越えた対策も是非お考えいただきたいと思います。細かくは、また書かせていただいて提出をさせていただきます。

○浅野部会長 ありがとうございます。後の方の点、私も全く同感であります。
 さて、平尾委員、先にお願いします。

○平尾委員 私は、公的資料ですので、事実の誤認という意味で鉄鋼業が載っておりましたので、3-1の資料の14ページで、鉄鋼業はドイツに既に原単位面でビハインドだというふうなデータになっておりますが、これデータのとり方で、IISIという国際鉄鋼業の機関がございます。そのデータに基づきますと、1994年の段階で日本を100にいたしますと、ドイツが103ということで、日本の方が優れておりますし、ちなみに、そのころの推定だと、中国は150ということで。しかも、ドイツは西ドイツでございますので、この辺のところのデータの認識だけ、また別途確認いただければと思います。

○浅野部会長 ありがとうございます。それじゃ、その点は後でまた直接データをいただいて、必要なものは部会で御披露いただくことにいたします。
 それでは、浅岡委員。

○浅岡委員 先ほど桝本委員からお話ありましたように、現大綱である対策のつくり方とか枠組みにとらわれないと、私も是非ともそうしていただきたいし、省の壁を横断的に取っ払った議論をしたい、その点そのとおりお願いをしたいと思います。
 その中で、特に考えていただきたいと思うところは、第1約束期間以降のことも見通しながら、特に将来伸ばすべきところは何かという視点を考えながらやっていただきたい、いきたいなと思いますことと、これまでのところが非常に横断的というか、発想が抜けているところがやはり税政・財政という部門だと思いますので、そうしたところも大胆に議論にのせていくということでお願いいたしたいと思います。

○浅野部会長 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 感想のようなことと意見を2つ申し上げますが、1つは、資料3-1を伺って、特に4ページについては、いろいろ考えなければいけないことがあるんだろうと思っております。今までの業務あるいは運輸と言われてきたところが、別の分け方ができるんだということを再認識しておく必要があるのだろうと思いました。
 それからもう1点ですけれども、資料の3-3でございますが、これは本当に細かいことになるのかもしれませんし、また御議論いただければと思いますけれども。3ページの一番上のところで、着実な対策実施を確保するための仕組み(モニタリング等)を強化するという話で、これは削減量が不足しない場合に初めてやるというようなことになっているんですが、モニタリングというのは、各自がどれだけ排出しているかということを調査するためには不可欠だと思いますので、別に削減量が不足していなくてもやらなければいけないことではないか私は思っております。是非御検討いただければと思います。
 以上です。

○浅野部会長 廣野委員。

○廣野委員 これはコメントじゃありません、質問です。
 この地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しの論点の中で、その言葉が全然出てこないものですからどうなっているのかなと思ったんですが。これは全体の流れを見てみると、1つの前提があって、その前提というのは京都議定書ということだと思います。京都議定書の中におけるところの6%削減部分というのがここに出ているわけですけれども。
 この点で、京都議定書というものが発効する、あるいは発効しない。そういう場合に──どういう場合でも、我が国としては、地球温暖化対策推進をやっていくんだということの意味として、これをやっていくのか。それとも、京都議定書が発効しない場合も2つのケースをやって、その中で個々に我が国としてどういうことをやるべきかということをやるのか。そこらあたりはどんなふうになっているんでしょうか。

○浅野部会長 京都議定書との関係では、京都議定書が発効したときには、この大綱が京都議定書実施計画というふうに変わることになります。それとは別に、大綱は大綱であくまでも第1ステップ、第2ステップ、第3ステップと言ってきているわけですけれども、その点、私の認識は京都議定書が発効するかどうかは、法制度的には、この名称が変わるか、変わらないかの問題に過ぎないという理解です。
 どうぞ。

○清水地球温暖化対策課長 今、浅野部会長がおっしゃいました京都議定書目標達成計画という法定計画を、京都議定書が発効すると、政府がそれをつくらなければならないということになりますので、この大綱の内容を踏まえて、そういうものをつくるということになります。
 それで、京都議定書につきましては、いつ発効するかという議論になるかと思いますが、ただ対策自体は今からやっておかなければ間に合わないと考えておりますので、2002年につくりました大綱のスケジュールに従いまして粛々と進めていきたいというふうに考えております。

○浅野部会長 鈴木委員。

○鈴木委員 今の廣野先生の御質問と関連するんですが、やはり大綱というからには、それなりの格調の高い、我が国の意思をそこに表明するようなものであってほしいと思うわけで、これは、これまでの大綱を改定していくというようなこともあろうかと思いますが、先ほど西岡先生が示されました、例えば二酸化炭素の着地点ですね。最終濃度を例えば550ppmに持っていくのか、あるいは450ppmでいくのか。その辺で、やはり日本のきちんとした意思表示があって、それに到達するために、現在としては6%というようなロジックとして整合性のあるものがあるのかどうかですね。その辺のところまでねらったものが、私は大綱としてはふさわしいんじゃないかと思います。その辺は、こういう切羽詰まった話のときには難しいんでしょうか。

○小島地球環境局長 もちろん京都議定書というのは、条約の究極目標を達成するというゴールに向かっての国際的な意味での第一歩というわけでありますから、我々はどこに向かって進んでいるのかということの上で、この京都議定書というものを考えていく必要があると思います。
 ただ、今回のこの大綱の見直しは、合意をされました京都議定書をどういうふうに実行するかというその枠の中で、そのフォートについてやっているわけであります。もちろん先生のおっしゃるようなイギリスやドイツが、我々はどこへ向かっていくのか。そしてイギリス、ドイツそれぞれの国が何をすべきかという、そういう長期的な議論はあわせて必要だと思いますが、それをどういうふうに議論していくかというのは、また御相談だと思っております。

○浅野部会長 それでは、本日予定の時間を既に過ぎてしまいました。本当にありがとうございました。本日の御議論を踏まえまして、大綱の評価・見直しの議論を進めてまいりたいと存じます。
 今後、月に1回から2回のペースで、かなりタイトなスケジュールで御審議をお願いすることになります。どうぞよろしく御協力をお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

午後5時32分閉会
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