地球環境部会(第128回)・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会合同会合(第44回) 議事録

午後 1時00分 開会

○低炭素社会推進室長

それでは、定刻となりましたので、まだ一部、ご到着されていない委員の方がいらっしゃいますけれども、ただいまから中央環境審議会地球環境部会、産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会、合同会合を開催いたします。

本日は、委員総数の過半数の委員にご出席いただいており、定足数に達しております。

また、本日の審議につきましては公開とさせていただきます。

まず、冒頭に環境省地球環境局長、梶原より、ご挨拶させていただきます。

○地球環境局長

本日は暮れのお忙しい中に多くの委員に出席を賜りまして、大変ありがとうございます。

皆様方ご存じのとおり、先月末から今月12日まで、日本時間でいきますと13日までということになりますけれども、パリでCOP21が開催されまして、2020年以降の新たな国際枠組みとしてパリ協定が採択されております。パリ協定におきましては、先進国と途上国との立場の違いを乗り越えて、歴史上、初めて、全ての国が参加する公平な合意案が成立いたしております。内容といたしましても、それにふさわしいものになっていると考えてございます。我が国の主張も数多く取り入れられているところであります。

パリ協定におきましては、2度目標が世界の共通の目標となり、この長期目標を達成するため、排出と吸収のバランスを今世紀の後半中には実現すること、そういうことに加えまして、各国が長期戦略を策定し、条約事務局に提出することも求められております。今後はパリ協定を踏まえて、約束草案で示しましたところの2030年度に26%減という目標に向けて、温室効果ガスの計画的な削減に取り組んでいかなければならない、そういうステージに入っているところでございます。

また、ご存じのとおり、G7やパリ協定に盛り込まれました長期の目標、そして既に閣議決定しております2050年80%削減というものもございます。2030年までの排出期限にとどまらず、2030年を通過点として、将来にわたり、経済システムあるいは経済社会システムやライフスタイルの変革といったようなことにも取り組んでいかなければならない、そして大きく社会を変革していかなければならないということだと考えております。

今朝、政府の地球温暖化対策推進本部が開催されまして、今後の取組方針を政府として決定しております。約束草案の達成に向けて着実に取り組むこと、そして我が国として世界規模での排出削減に向けて、長期的、戦略的に貢献することを決定しております。このため、当面の措置といたしまして、来春までに地球温暖化対策計画を策定すること、また策定に向けて当中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合を中心に検討を行っていただくことが決定されております。

約束草案の達成に向けては、徹底した省エネと再エネの最大限の導入に取り組むことなどが必要であります。とりわけ、業務部門や家庭部門からの排出量については約4割削減することとしております。国民一人一人の意識改革やライフスタイルの変革を含めた取組が不可欠であると考えてございます。また、我が国の排出量の約4割を占める電力部門からの排出削減のためにも、火力発電の低炭素化にしっかり取り組んでいく必要があるとも考えております。こうした対策を計画的に実行するためには、計画におきまして、事業者、国民などの各主体が取り組むべき対策、そして国の施策を明らかにすることといたしたいと考えております。

本日は計画の骨子について、ご審議を賜ることになっております。本日の骨子におきましては、政府部内で調整中であるために、長期的な目標を含めた、長期的な対応につきましては必ずしも十分に記載されておりません。引き続き、政府部内で検討することになっておりますけれども、地球温暖化対策が長期にわたって推進していくべきものであり、またパリ協定におきましても長期戦略の策定等、長期的な対応が求められているということ等を踏まえまして、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

委員の皆様方におかれましては、本計画がより実効性の高いものとなるよう、そして未来につながるものとなるよう、忌憚のないご意見を賜りたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○低炭素社会推進室長

続きまして、中央環境審議会地球環境部会の浅野部会長、産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会の山地委員長の順に、ご挨拶をお願いいたします。

○浅野部会長

それでは、座ったままで失礼いたします。

全ての国が参加するという枠組みが、我が国がかなり貢献するということになりまして、でき上がったことについては、審議会としても評価できると思います。その中で、2度目標のような長期の方向についても、はっきりとした方向が示されたということです。これはもう既に、罰則のない協定とはいうものの、ソフトローから、半ばハードローに行く移行期まで来た、そこまで高められたのではないか、そういう評価もできるのだろうと思います。

我が国も約束を着実に守るということが必要だろうと思います。法定の温暖化防止計画をつくる作業が大分遅れておりましたが、ようやくその準備ができることになりましたことはうれしいことです。パリで確認された長期の方向性も踏まえながら、ちゃんとした計画をつくらなきゃいけませんが、とりわけ自治体を初めとする地域でどういう取組をすればいいのか、この点についての指針になるようなものをつくっていく必要があると思っておりますので、どうぞ皆様方のご協力をお願いいたします。

○山地委員長

それでは山地のほうから一言、ご挨拶を申し上げます。

私も今回のCOP21、非常にいいものになったと思っております。基本的には各国が自主的に自分の目標を提出して、それを国際的にレビューしてブラッシュアップしていく、いわゆるプレッジ・アンド・レビューというプロセスが採用されたと理解しています。このプレッジ・アンド・レビューというのは、私が思い出す限りでは、本当にもう20年以上前だと思いますけれども、もう亡くなられましたけど、経済産業省におられた清木さん、後にIPCCの副議長も務められましたが、この方からもよく聞かされていた提案で、これを何とか現実にしたいなと思っていましたから、感慨深いものがあります。

地球温暖化対策というのは、基本的にはグローバルな視点で長期のビジョンを持って、それを現実に実行可能なものにしていくというリアリズムを踏まえて取り組むべきと考えております。という意味では、パリ協定を受けて、我が国の目標を、国際貢献を含めてきちんと達成する、実効性のある計画をつくっていかなきゃいけないと思っておりますので、皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。

○低炭素社会推進室長

ありがとうございました。

それでは、ここでカメラにつきましてはご退席をお願いいたします。

ここで、配布資料の確認をさせていただきます。議事次第の次に、配布資料一覧がございますので、突き合わせてご覧いただければと思います。

資料1、中央環境審議会地球環境部会の委員名簿。資料2、産業構造審議会の地球環境小委員会の委員名簿。資料3が、地球温暖化対策計画(骨子案)。資料4が、COP21について。資料5、「エネルギー革新戦略」の検討状況。

そして、参考資料がございます。参考資料1が、先ほど局長の挨拶にもございました、今朝行われました地球温暖化対策推進本部で決定されました、パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の取組方針について。それから参考資料2に、委員からのご意見ということで、ご欠席の委員、またご出席の委員、都合五つございますけれども、ご意見を頂戴しておりますので、こちらもあわせてご確認いただきたいと思います。

もし過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。

それでは、以降の議事進行は、中央環境審議会地球環境部会長の浅野委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○浅野部会長

今日、私は司会をしなくていいと思っておりましたが、きょうも司会をするのだそうです。2回連続で申しわけありません。委員のみなさまのご発言を封じる気はないのですが、時間管理は厳格にさせていただきますので、よろしくご協力をお願いいたします。

それでは、議題に入りたいと思いますが、いつものように、まず資料の説明を先にしていただいて、その後、委員からのご発言をお願いするという、そういう順番で進めたいと思います。

まず、地球温暖化対策計画、法定の計画の骨子案が出ておりますので、それについて。さらに、これに関連することとして、COP21の結果の報告や、あるいはエネルギーミックスの実現に向けた検討状況についてのご報告をいただくことにいたします。

では、まず議題1に関して、資料3の説明をいただきます。

○低炭素社会推進室長

資料3、地球温暖化対策計画(骨子案)をご覧いただきたいと思います。

冒頭、囲みの中でございますけれども、本計画は地球温暖化対策の推進に関する法律に基づいて定めるものでございます。また、あわせまして、参考資料1にございます、本日決定されました取組方針に基づきまして、定めるということになろうかと思います。我が国の約束草案で示しました2030年度の削減目標の達成に向けた道筋を明らかにするものとしたいと考えております。

参考資料1のほうをちょっとだけ触れさせていただきますと、本日決定された取組方針の中では、国内対策の取組方針という中で、1番、地球温暖化対策計画の策定ということで、来春までに策定するということ。それから、関連しますけれども、政府実行計画も来春までに、地球温暖化対策計画に即して策定するということ。そして3番として、国民運動の強化。これを国民各界各層が一丸となって取り組むために政府が働きかけをするということが主に盛り込まれたというものになってございます。

資料3に戻っていただきますと、「はじめに」以降が骨子案の内容になってまいります。大きな柱立てに沿って記載する内容について、あくまで骨子としてございますが、書いてございますので、概要を紹介させていただきます。

「はじめに」のところでございますが、こちらには計画の背景となりますさまざまなこと、具体的にはIPCCの5次評価報告書、それから我が国のこれまでの取組ということで、京都議定書の第一約束期間、あるいは2013年以降の国際的な対応、我が国の取組、さらには2020年以降の国際枠組みの構築に向けた対応、約束草案の提出について記述したいと考えております。

1ポツでございますけれども、我が国の温暖化対策の目指す方向というものを記載したいと考えております。

具体的には、1点目として、科学的知見に基づき、国際的な協調のもとで率先して取り組むこと。

二つ目として、パリ協定を踏まえまして、中期目標の達成に向けて施策を総合的に展開すること。

3点目として、パリ協定等において、2度目標が世界の共通目標になった。また、この長期目標を達成するために、排出と吸収のバランスを今世紀の後半中に実現することを目指すとされたこと等を踏まえまして、我が国としても世界的規模での排出削減に向け、長期的、戦略的に貢献するということ。

四つ目としまして、安倍総理が策定の指示をされたエネルギー・環境イノベーション戦略に基づきまして、革新的技術の研究開発を強化すること。

そして、その次が、我が国が有する、すぐれた技術を生かして、国外の排出削減に最大限貢献すること、といったことを考えてございます。

2ポツに、温暖化対策の基本的な考え方を記したいと考えてございます。

ここには、まず環境、経済、社会の統合的向上ということで、温暖化対策につきまして、我が国の経済の活性化あるいは雇用の創出、地域が抱える問題、そういったものの解決にもつながるように、技術革新や創意工夫を生かしまして施策の推進を図るといったことを考え方として据えたいと考えております。

二つ目が、約束草案に掲げられた対策の着実な実行でございます。約束草案で示しました中期目標は、エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題などを十分に考慮した裏づけのある対策、施策や技術の積み上げによって策定したものでございます。このため、その達成に向けては、約束草案に掲げられた対策が着実に実行されるということが重要でございますので、さまざまな政策、手段を有効に活用しながら、着実に実施していくということでございます。

また毎年、政府が講じた施策の進捗状況については、対策評価指標等を用いつつ、厳格に点検し、必要に応じて機動的に計画を改定し、対策、施策の追加、強化を図るということもあわせて、考え方としたいと考えております。

次に、パリ協定への対応でございます。

本日の本部決定にもございますが、パリ協定の署名及び締結に向けて、必要な準備を進めることとしてございます。パリ協定は目標のレビューのサイクルというものが盛り込まれておりますので、それについての着実な対応も行う。あわせて、安倍総理がパリで表明されたACE2.0も踏まえまして、途上国支援やイノベーションの取組も強化してまいります。

その次が、研究開発の強化あるいは技術の普及といったこと、具体的には革新技術の開発やJCMによる普及ということでございます。

そしてもう一つ、全ての主体の参加、連携の促進、透明性の確保、情報の共有、こういったことを通じまして、国民各界各層における意識改革や行動の喚起につなげるという考え方でございます。

3ポツでございます。我が国の削減目標ということでございます。ここでは2030年度に2013年度比26%減、2005年度比25.4%減とすると書いてございます。

4番、ガス別その他の区分ごとの目標。ここは約束草案の際に示しております目安を記載したものでございます。吸収源もあわせて書いてございます。

3ページ目のほうに移ってまいりますけれども、その次に計画期間。計画期間は、この計画の閣議決定の日から2030年度までとするとしてございます。6番に、国、地方公共団体、事業者及び国民の基本的な役割というものをそれぞれ記してございます。

4ページに行っていただきまして、7番、地球温暖化対策・施策でございます。ここが具体的な削減等に係る対策・施策を書く部分でございます。

(1)としまして、温室効果ガス排出削減対策・施策。1としてエネルギー起源CO2でございます。ここにつきましては、対策、施策の大まかな柱としまして、まずエネルギー革新戦略。これは今、経産省さんのほうでご検討されていると承知していますが、これなどを通じまして徹底した省エネ、あるいは国民負担の抑制と両立した再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化、安全性が確認された原子力発電の活用により、エネルギーミックスの実現に努めること。そして国民各界各層が一丸となって対策に取り組むために、国民運動を強化する。多様な主体が連携し、情報発信、意識改革、行動喚起を進める。また、コンパクトシティなど、多様な低炭素地域づくりにも努めるということでございます。

より具体的な対策、施策につきましては、その下に注とございますけれども、今回の骨子におきましては、日本の約束草案の3ポツという部分で、目標の積み上げの基礎となった対策、施策を記載しております。そのまま、今回の骨子の中に記載しております。

これに追加的に位置づけるべき施策につきましては、今後引き続き検討しまして、計画には記載するということになると考えてございます。

5ページは、エネルギー起源CO2の全体像でございます。

6ページにかけまして、ガスごとの対策がありまして、下のほうですが、(3)分野横断的な施策ということでございます。目標積み上げの基礎となった施策としてJ-クレジット及び国民運動の推進というものがございます。

7ページにまいりまして、その他の分野横断的な施策ということで、温対法に基づきます温室効果ガスの算定・報告・公表制度から始まりまして、事業活動における環境への配慮の促進。またJCM、ここにつきましてはプロジェクトのさらなる実施に向けて、プロジェクトの組成あるいは実施可能性調査、国際機関等との連携によるプロジェクト形成等を書いてございます。

税制のグリーン化という項目がございます。ここは記述がございませんけれども、現に温対税の税収による省エネ対策、再エネの導入等の対策を実施しているところでございます。こういったことを踏まえまして、今後具体的な記述を検討していきたいと考えております。

金融のグリーン化、こちらについても、環境配慮を金融面から促進する取組として記述したいと思っております。

8ページ目でございます。国内排出量取引。これにつきましては、従来慎重に検討を行うということで取り組んでおりますので、その方針どおり記述したものでございます。

(4)基盤的施策のところで、インベントリあるいは技術開発、研究の推進などが書かれてございます。

8番、政府実行計画及び地方公共団体実行計画に関する事項でございます。ここも現在は記載がございませんけれども、先ほど申し上げましたように、政府実行計画につきましては温対計画と並行して検討してまいりますので、その内容も踏まえて記述したいと考えてございます。

9番、地方公共団体が講ずべき施策。こちらについては実行計画とも関連するということでございますが、記載したいと考えてございます。

10番、特に排出量の多い事業者に期待される事項。こちらは目達計画でも同様の事項を記載してございますけれども、単独または共同して排出抑制等の措置に関して定量的な目標を含む計画策定を行うことが期待されるということで、記載することを考えてございます。

11番、海外における排出削減、国際連携、国際協力ということでございます。今回の合意された枠組みに基づきまして、今後パリ協定の実施に向けた各種指針の策定など、積極的に国際的な貢献をしていくこと等でございます。

それから、我が国の貢献による海外における削減というところでは、JCMあるいは森林減少、劣化に由来する排出削減等を記述したいと考えております。それに加えまして、世界各国や国際機関、いわゆる二国間あるいは多国間の協力等による協調的施策も記載したいと考えております。

12番でございますが、地球温暖化対策の進捗管理。ここの部分は、この計画をつくった後、その進捗状況を毎年1回、しっかり点検していくということでございます。目達計画と同様に、地球温暖化対策推進本部において最終的には点検するということでございますし、また全ての対策について、対策評価指標といったものを設けながら点検するといったことを考えてございます。

また、温対計画は温対法の中で少なくとも3年ごとに検討を加えまして、その検討の結果に基づいて必要に応じて計画を見直すということになってございますので、その旨も記したいと思います。

それから、パリ協定の中では目標の見直し提出サイクルというものが書かれておりますので、5年ごとの見直し、野心の向上といったものもここに入ってくるかと思っております。

それから13番は、既に約束期間を終了しておりますけれども、京都議定書に基づく措置というものも記載するということで、考えてございます。

また別表というのがございますが、これは目達計画のときにもございましたが、それぞれの対策、施策について、先ほど申しました対策評価指標あるいはCO2の削減見込量、そういったものを具体的な施策と組み合わせて、それぞれの対策、施策について個票をつくりまして、それを添付する形で、その後の進捗管理に使っていくということも考えてございます。

少し長くなりましたが、資料3は以上でございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。まだ内容がよくわからない面もありますが、経験を積んだ方は、これをご覧になるとこれから作られようとしている政府の計画の大体の姿、形がイメージできるのではないかと思いました。

それでは、次に議題2に関するCOP21の結果について、資料4に基づいて、外務省から。引き続いて、エネルギーミックスの実現に向けた検討状況について、資料5に基づいて、資源エネルギー庁から報告をいただきます。

○気候変動課長

外務省の中野でございます。

資料4、「気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)について」に基づいて、簡単に報告させていただきます。

まず、資料4の1頁目でございますけれども、ご案内のとおり、COP21が11月30日から2週間にわたってパリで行われまして、パリ協定が採択されたわけでございます。これは、京都議定書で2020年までの削減目標の約束期間というのが設定されておりましたので、20年以降の新しい国際枠組みを決める、そういう交渉でございました。この結果としましては、後でもう少し詳細に申し上げますけれども、歴史上初めて、先進国、途上国の違いを乗り越えて、全ての国が参加する公平な合意ができたものと考えております。

11月30日の冒頭、首脳会合が行われまして、これは各国首脳が非常に多く参加したわけでございますけれども、安倍総理もこの首脳会合に出席いたしました。総理から2020年に現状の1.3倍の約1.3兆円の資金支援を発表いたしました。これは過去に、コペンハーゲン(COP15)、それからカンクン(COP16)で、2020年までに1,000億ドルを先進国が協力して資金供与するということが決まっておりましたので、この目標の達成に貢献し、合意に向けた交渉を後押ししたと言うことができると思います。

パリ協定の中では、その次の四角囲みに書いてありますけれども、概ね以下の要素が盛り込まれております。

一つ目に、世界共通の長期目標として、2度目標の設定。各国とも2度目標の設定というところは共通項としてあったわけですが、さらに島嶼国を中心に、1.5度以内に上昇幅を抑えるということを強く要求する国々がございまして、結果として1.5度に抑える努力も追求するということについての言及がなされました。

二つ目に、これは日本も主張してきたわけですが、主要排出国を含む全ての国が排出削減目標を5年ごとに提出し、また更新するということも、盛り込まれております。三つ目に、全ての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し、レビューを受けること。今回、削減目標を各国が自分で決めて提出するという枠組みになったことがございまして、それを長期的にどうやって野心レベルを高めていくか。それから、実際に提出した目標をどうやって実施し、検証していくかという仕組みを国際合意の中につくることが非常に重要になりました。今回こうした項目が合意の中に書き込まれたということで、大きな前進だったと考えております。

四つ目に、適応の長期目標の設定、各国の適応計画プロセスや行動の実施、適応報告書の提出と定期的更新。適応については、途上国が特に重視しており、途上国側の要望に応える形で先進国側も、その要求を踏まえた形での合意としてまとめられております。

五つ目に、イノベーションの重要性の位置づけ。これも日本がずっと主張してきた項目であります。

六つ目に、5年ごとに世界全体の実施状況を確認する仕組みということで、これも先般、枠組条約事務局が各国の約束草案に基づいて、2度目標に向けてどれだけの排出削減量が予想されるかということを全体で出したものがございましたけれども、今後5年ごとに世界全体でどれだけ排出削減の実施がなされているかということを事務局で取りまとめて、それを報告する。それを各国にフィードバックして、各国がさらにそれを踏まえて措置を考えるという仕組みでございます。

それから、七つ目ですけれども、先進国が資金の提供を継続するだけでなく、途上国も自主的に資金を提供することが奨励されると。これはこれまでの枠組条約、京都議定書において、先進国だけが資金を供与するということが義務づけられていたわけですけれども、特に最近の世界経済の状況の変化を踏まえて、先進国だけではなくて、途上国も資金供与するということを、義務ではないが自主的に提供していくことが、合意の中に書き込まれております。

それから、最後の二点も我が国が積極的に主張した項目ですけれども、我が国提案の二国間クレジット制度を含めた市場メカニズムの活用というものが位置づけられたこと。

それから、発効要件ですけれども、最終テキストの一つ前のテキストでは、国の数だけが発効要件として書かれていたのですけれども、我が国は、特にアメリカ、中国を初めとする大排出国が入る枠組みが重要だという立場から、国の数だけでなく、排出量も発効要件に加えるべきであると主張したところ、これも最終的な合意の中に入ったということです。

以上、我々が主張した内容もかなり盛り込まれた形になっており、高く評価できるものではないかと考えております。

それから、資料の2頁目、3枚目でございますけれども、先ほど申し上げたように安倍総理がCOP21の冒頭、首脳会合に出席いたしまして、総理のスピーチの中で、先ほど申し上げた我が国の提案についても言っていただきましたし、それから三つ目の矢のところにある途上国支援、イノベーションから成る貢献策、「美しい星への行動2.0」を、このスピーチの中で改めて発表しました。

一つ目の柱である途上国支援については、2020年は現在の1.3倍、官民合わせて年間約1.3兆円の気候変動対策支援を実施すると。ほかの先進国も、EUを中心に、支援プレッジをしていたのですが、この日本のプレッジによって、先進国全体で合わせると2020年に1,000億ドルの約束が達成できる道筋がついたということで、交渉を大きく後押しできたということであります。

二つ目の柱として、イノベーションについて、気候変動対策と経済成長の両立の鍵は革新的技術の開発である、「エネルギー・環境イノベーション戦略」を来春までにまとめ、集中すべき有望分野を特定し、研究開発を強化していくということを、総理から述べていただきました。また、二国間クレジット制度の活用ということも、スピーチに盛り込んでおります。

そのほか、フランス、それからアメリカが主導した「ミッション・イノベーション」という国際イニシアチブがございまして、これはクリーンエネルギー関係の研究開発予算を5年後に倍増するというイニシアチブでございますが、この「ミッション・イノベーション」に日本も入るということを、総理のスピーチの中で言及しております。

3頁目でございますけれども、2週目を中心に、丸川環境大臣、木原外務副大臣を筆頭として、政務および関係省庁の事務方で交渉に参画いたしまして、先ほど申し上げた合意が得られたところでございます。

環境大臣のステートメントの中では、総理と内容が重複するところがございますけれども、国内においても、できるだけ早期に地球温暖化対策計画を策定すること、排出削減取組を着実に実行すること、適応計画に基づく具体的な適応策の実行についても、大臣から言及しております。

丸川環境大臣、木原外務副大臣、両政務とも、深夜にわたる交渉に積極的に参加していただきまして、そのほか、バイ会談でも我が国の立場を主張するとともに、相手方の出方を見るということで、合意形成に積極的に参画したということであります。

最後に、4頁目ですけれども、交渉以外にもいろんなイベントがございまして、リマ・パリ・アクション・アジェンダという、政府だけではなくて、地方自治体、民間セクターも積極的に参画していく、さまざまなイベントがございまして、ここに丸川環境大臣、星野経済産業大臣政務官が積極的に参加されましたし、また、二国間クレジット制度も、昨年のCOP20に続きまして、JCMのパートナー国16カ国が一堂に会する会合を今回も開催いたしました。

それから、フィリピンとの間で両国間のJCMの構築に向けての覚書に署名をし、間もなく17カ国目の二国間の文書が署名できるように、今後とも進めてまいりたいと考えております。

そのほか、日仏環境協力の覚書、「ジャパン・パビリオン」、「第4回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話」、こうしたさまざまな行事に積極的に参画したということでございます。

以上でございます。

○資源エネルギー政策統括調整官

続きまして、資源エネルギー庁のほうから、資料5の「エネルギー革新戦略」の検討状況をご説明したいと思います。この資料は、昨日の総合エネ庁の基本政策分科会でも説明した資料でございます。

開いていただきまして、エネルギー革新戦略策定の目的でございますけれども、エネルギーシステム改革の実行とエネルギーミックスの実現を通じて、エネルギー投資を拡大する。それによってGDP600兆円達成の一翼を担うということ。それから、エネルギー投資の拡大は、エネルギー効率を向上させる、CO2排出抑制にも貢献するといったことでございますが、そうしたことにあわせまして、省エネ、再エネの関連制度を一体的に整備する、こうしたものを戦略として策定したいということでございます。

具体的な柱が2ページ目でございまして、大きく三つ。徹底した省エネと、エネルギーの効率改善、2030年に35%を目指す。それから再エネにつきましては、目下、固定価格買取制度の見直しをしているところでございます。それから右端、新たなエネルギーシステムの構築ということで、新しいビジネス、それから電力市場への新規参入とCO2排出量抑制の両立と、こういったところを議論しております。

3ページ目でございます。この戦略に関してでございますけれども、11月26日の未来投資官民対話、3回目の折に、エネルギー関連の投資と課題について、議論された折に、四角の三つ目になりますけれども、経産大臣のほうから、省エネ、再エネを初めとする関連制度を一体的に整備し、戦略として取りまとめ、成長戦略や温暖化対策計画に反映していくことを表明している。そういう位置づけのものでもございます。

具体的な中身が4ページ目からでございます。まず、一つ目の大きな柱の省エネでございますが、産業部門では、このページの左側にありますとおり、トップランナー制度とベンチマーク制度ということでやっておりますが、製造業においてやっておりますものを流通サービスにも拡大していきたいということ。それから、中小企業に関しましては、取組支援の強化といったことも考えているということでございます。

めくっていただきまして、5ページ目。さらに産業部門でございますが、省エネ法の定期報告も運用しておりますが、今後、S、A、B、Cの4段階でのクラス分け評価といったことをやるとか、一方で未利用熱活用の推進ということで、そうしたものをカウントできるようなものを新たに措置しようということを考えております。

それから、6ページ目は家庭部門の省エネでございます。左側は照明のトップランナー制度につきまして、基準に関しまして見直しをすると。白熱灯も含めるといったことも、考えているということでございます。

右側は、住宅、建築物の省エネ化でございます。省エネ基準の適合義務化に関して法律を通していただきましたが、さらに2020年までに新築住宅に適用していくということ。

それから、7ページ目は、今の住宅との関連ですが、ゼロ・エネルギー住宅、ZEH、あわせてZEBに関しまして、ロードマップをつくろうと。例えば2020年までにハウスメーカー等の新築戸建の過半数をnet Zero Energy Houseにする、そういったことも掲げております。

右側には、既築のほうも大事でございます、省エネリノベーション、これにつきましても倍増させるといったことを掲げております。

8ページ目は運輸部門でございますけれども、次世代自動車のさらなる普及と。それから自動走行の推進といったことに関しましても、研究開発やシステムづくりといったことを進めてまいりたいということでございます。

それから、大きな二つ目の再エネでございます。これに関しましては、再生可能エネルギーの最大限の導入と、一方で国民負担の抑制を両立させるということで、今は固定価格買取制度の見直しをしております。

具体的な中身は少々細かくなりますが、その下になりますけれども、1点目は、認定制度の見直しでございます。認定された後、なかなか稼働しないといったものが多数ございますので、そうしたことに対応するために、現行の認定制度に関して、接続契約締結を認定の要件とするといった、新たな認定制度を創設したいということでございます。

二つ目は、長期安定的な発電を促す仕組みということで、国民負担を得ながら進めている導入でございますので、こののちもしっかり活躍いただきたいという観点から、保守点検、それから事後報告、こういったことをきちんとやっていただくための政策、政府の関与に関する新たな規定も置こうというふうにしております。

3番目は、コスト効率的な導入ということで、二重丸の二つ目にありますように、コスト効率的な買取価格決定方式を考えていこうと。事業用太陽光に関しては入札方式、それから住宅用太陽光、風力に関しては、あらかじめ価格低減スケジュールを設定する方式などを出していこうと。

それから二重丸の三つ目は、賦課金の減免措置でございます。これに関しましても、対象事業者の省エネへの取組、国際競争力への影響を真に評価してみる。それから、減免率についても検討する。こういったことを課題にしております。

それから4番目は、一方でリードタイムの長い電源、風力、地熱、水力といったものに関しましては、数年先の認定案件の買取価格まであらかじめ決定するとか、それからFIT認定前でも系統への接続申し込みができる、また各電源ごとの課題に応じた支援といったことも掲げているところであります。

5番目は、電力システム改革を生かした導入拡大ということで、FIT電源の買取義務者を小売事業者から送配電事業者に変更する。こういうことによりまして、より円滑に広域融通を進めるといったことも掲げております。

それから10ページ目、大きな柱の三つ目でありますが、新たなエネルギーシステムの構築のもとで新ビジネスの創出をということで、左側にはネガワット取引市場の創出と書いております。右側には太陽光蓄電池ディマンドリスポンスと、こういったものをIoTを活用して統合制御する。「バーチャルパワープラント」といったふうに命名しておりますが、こういったものの技術実証を進めてまいりたいと思っております。

それから、こうした技術も含めまして、新興国に対する先進的技術の普及といったことも掲げております。

それから、11ページ目は電力の市場のシステム改革と、それに伴う新規参入とCO2排出抑制の両立ということでございますけれども、この点に関しましては、既に電気事業者によりまして自主的枠組みとして、2030年にエネルギーミックスと整合性がとれる排出係数0.37を実現するといったことを目標とする枠組みをつくっていただいておりますけれども、これを補完するということで、新たに発電段階での対策、それから小売段階での対策と。発電段階では省エネ法のルールの整備を、それから供給構造高度化法のほうで、小売事業者に対する制度の基準づくりといったことをしておりますが、これらに関する議論を、現在は関連する審議会で議論いただいているところです。こうした目標達成を実現するためにも、自由化と整合的な市場設計を行っていく必要があるというふうに考えております。

最後、12ページ目は、水素社会の実現ということでございます。これにつきましては、足元で家庭用燃料電池、燃料電池自動車等の普及拡大を進めておりますが、今後、水素発電の本格導入や大規模な水素供給システムの確立に向けた技術実証と、トータルでのCO2フリー水素供給システムの確立を目指して、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

以上でございます。

○浅野部会長

それでは、委員のご発言をお願いしたいと思います。本日も私が司会しておりますので、産構審側からということになりますが、ご発言をご希望の方は札をお立てください。お立てにならない方は発言なきものと認めて、パスいただきます。後からの追加は認めません。ほとんど全部お立てになりました。本日は34人の委員がご出席でございまして、今、札を立てておられない方は2人ぐらいしかいらっしゃいませんので、一人の持ち時間2分をお守りください。どうしてもしゃべりたいことが多いというのはよくわかります。特に本日の会合は計画をつくるための前提となるご意見を伺おうというわけですから、ぜひ言っておきたいということがたくさんおありだろうと思いますけれども、時間が足りなくてご発言いただけなかった内容については、議事録確認の折に追加いただけないでしょうか。というわけで、本日の会合ではご発言時間が2分を過ぎないようにどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、田中委員からどうぞ。そのあと。田中委員、秋元委員、有田委員の順になります。

○田中委員

ご説明ありがとうございました。

地球温暖化対策計画の骨子案について、拝見しました。目指す方向というところの後ろの二つ、「エネルギー環境イノベーション戦略に基づき研究開発を強化する、あるいは世界全体での温室効果ガスに向けて、国外にそういった、国外の温室効果ガスの排出削減に最大限貢献する」。私はこの二つについては本当に重要なことだと思っています。日本として、官民の力を合わせて、今後は邁進していくということが大事だと思います。特にその中で、官が誘導し、いろいろな指針を出して、それをサポートするシステムをつくって出していくというのは大事なのですが、一方で実施していくのは民の力です。民の力をどれだけ盛り上げていけるかというところに、今後かかっているのではないかと思っています。

その点で、技術の開発と協力といったところで考えますと、まず技術開発では、どのようにインセンティブを付与できるのか、エネルギー環境イノベーション戦略などで練った戦略をどういうふうに民の力につなげていくのかといったところまで含めて、議論をじっくりしていくべきだと思っています。

国際協力のほうに関しては、過去にもこの場でご発言させていただいたかと思いますが、技術を広く利用していくような場をまずつくることと、それが自発的に、温暖化対策という名のもとで進んでいくような仕組み、システムを構築しなければいけないと思っていますし、そのためには、対策として進めていることを十分見せていって、それが進める側のインセンティブになるようなこと、例えばファイナンシャルな部分など、そういった仕組みも必要ですし、貢献度も定量化して、明確にしていくといった、さまざまな流れでの工夫が重要かと思います。JCMという流れも一つですが、クレジットだけにこだわらずに、国際的な技術協力の貢献部分を明らかにしていくという仕組みがよいかと思っています。

次に技術と協力の両方に絡めて言いますと、技術については2050年の目標というのがあると思いますので……。

○浅野部会長

お時間です。

○田中委員

2分ですね。すみません。わかりました。

高い目標に向けたロードマップというのを明らかに出していくことで、民の力を発揮させていくことができると思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

秋元委員、どうぞ。

○秋元委員

約束草案を提出して、排出削減努力を図っていくということを考えると、今我々の推計でも、日本の約束草案は非常に厳しい目標になっている。限界削減費用は非常に高くて、一方で中国とかインドなんかの限界削減費用はほぼゼロと推計される国がある。要は限界削減費用に非常に幅があるということは、コストが理想的に、例えばIPCCのシナリオが2度目標と示しているような目標に比べて、非常にコストが現実にはもっとかかるということを、よく理解しておく必要があると思います。その上で、今回2度目標とか、1.5度目標も含めて、出てきているわけですけれども、ただ、これに関しては非常にやっぱりギャップが大きくて、そこを実現するというのはなかなか、我々が現実的に考えると、そのギャップは非常に大きいということを理解して置く必要があると思います。

よって、後の資料の中でも、環境省さんのご検討かもしれませんけれども、国内で80%削減というような検討も、今後議論の中で長期目標を出していかないといけないという、2020年までに検討するという中で、それをやっていく、検討を進めていくということが重要ですけれども、国内で8割ということを決めてかかるんではなくて、もっと時間的な、そもそも2度目標は難しいということに加えて、時間的な柔軟性とか空間的な柔軟性ということを十分に考えながら、国内対策を考えていく必要があると思います。その上で、2050年と考えたときには、やはり原子力の新増設をどうするのかとか、そういう議論を避けては大幅な削減は無理なので、そこをしっかり踏まえて、根を置いて、じっくりこれに関して取り組んでいく必要があると思います。

最後になりますけれども、経済環境がよくないと、やはり投資が起こらないし、研究開発も起こらないので、経済環境を悪くするような政策を打つべきではないと思いますので、そういうことも踏まえて対策を考えていくことが重要ではないかと思います。

○浅野部会長

ありがとうございました。

有田委員、どうぞ。

○有田委員

簡単に申し上げます。後で議事録につけ足していきたいと思います。

私は資料3の6ページの国民運動の推進のところについて、発言させていただきたいと思います。これまでエコポイントなど、さまざまな対策というか、国が打って出た中で、国民はそれなりに地球温暖化に対する意識は持っていると思います。その意識改革と危機意識浸透を図るというふうになっているんですけれども、産業界はもう絞れないというか、絞り出すだけ絞った雑巾のようだというふうにおっしゃるんですけれども、それが本当かどうかということと、前回のところでも電力会社の方が、消費者がしっかり省エネ行動をとらないと、これは進められないというような発言だったと思いますが、そういう意味では小学生から、主婦を含めて、全員がこのことについては非常に関心を持って行動しているという中で、それ以外のところでもクールチョイスという、何か新しいような言葉を出して、危機意識ではなくて、もっと積極的な社会システムの変革というのを出していただきたいと思います。

短くと言いながら長くなっているんですが、ここで原子力発電のことの発言があったので、それを進めるというだけではなくて、再エネの拡大、それから環境省さんも石炭火力発電所に、もっとしっかり縛りをかけるというようなことで、よろしくお願いしたいと思います。

○浅野部会長

ありがとうございました。

石田委員、どうぞ。

○石田委員

大きく言うと二つございます。

基本的考え方ですね、資料3の。最初に環境、経済、社会の統合的向上とありますけど、本当に大事だと思います。3EプラスSで申し上げると、Sの中でもセキュリティーということが本当に大事だと思います。エネルギーだけじゃなくて食料、国土、地域のセキュリティーというのがこれから問われますので、お願いしたいと思います。

私の専門は交通なので、資料3の5ページのところに運輸部門の話が書いてございますけれども、最近は交通とまちづくり、ライフスタイルをどう一体的に考えるのかということが非常に厳しく問われておりまして、そういう観点からすると、ここはまだセクター別の、本当にセクション別の取組が中心でございますので、それをぜひご検討いただければと思います。これは交通と産業立地、産業構造という点でも同じかと思います。

それと、3番目でございますけれども、浅野部会長が冒頭のご挨拶の中で、自治体が大事だということでございますけれども、アクションはいっぱいされているんですけれども、いいモニタリングシステムがございません。アクションプログラムをきちんと実施できて、タイミングよくリポートできる、そういうシステム開発というのは極めて重要だと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

それでは、杉本代理。

○杉本氏(伊勢委員代理)

ありがとうございます。3点ございます。

温暖化対策の基本的な考え方についてでございますが、エネルギーミックスと整合性が確保されたものであるべきと考えておりまして、約束草案に掲げられた対策、施策が着実に実行されて、点検、改善のサイクルが回されることが重要だというふうに考えております。

続きまして、産業部門に関してですが、低炭素社会実行計画の対策の柱に位置づけるべきであり、約束草案の目標算定の基礎に含まれていない国内排出取引制度等の規制的な手法は、採用すべきでないというふうに考えております。

最後になりますけれども、運輸部門ですが、自動車業界としましては、今後も次世代自動車の普及や燃費の改善に取り組んでいきたいというふうに考えておりますが、実効的な削減には自動車単体対策とともに、交通量の改善やエコドライブの推進といった統合的なアプローチが不可欠であるというふうに考えております。これらの各対策が着実に実行されるよう、温対計画への具体的な盛り込みとともに、適切な予算措置がとられるべきだというふうに考えております。

ありがとうございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

岩船委員、どうぞ。

○岩船委員

ありがとうございます。私は家庭部門の省エネルギーのことについて、お話ししたいと思います。

ミックスの省エネの目標というのは非常に過大で、エネルギーで3割、電力で2割削減というのは、全く、今の水準から考えると非常に難しいと思います。国民運動や啓発でどうにかなる数字ではないと思います。ただ、まだターゲットはある。やれるところは、みんなに効く政策はもう躯体以外はほとんどないと思うんですけれども、例えばインバーター非搭載の冷蔵庫ですとか、賃貸オーナーに選ばれる安い給湯空調設備とか、そういったターゲットをきっちり設定して、実態を解明して、CO2削減限界費用、ポテンシャルに基づいた対策を進めるべきだと思います。

そういう意味で、エビデンスという意味では、やはりPDCAが大事なんですけれども、我々はHEMSデータを実は1,500件ほど収集して分析しておりまして、そうすると2台目の冷蔵庫を持っている家ですとか、ウオーターサーバー、除湿器といった、具体的な機器の保有と消費電力の相関みたいなデータが得られております。これらの多くはトップランナー等の対象になっていないですので、そういったデータに基づいて制度設計していく必要があると思います。

ところが、HEMSは過去にたくさん、一件当たり10万円ぐらいの補助金とともにばらまかれたにもかかわらず、ほとんどそのデータというのが活用されておりません。これからデータを収集しにあちこち回っても、今からデータは取れないというような設備ばかりなんです。そういったところが非常に大きな問題ではないかと思います。これはHEMSだけではなくて、スマートメーターに関しても恐らく同じようなことがこれから懸念されますので、そもそもミックスの数字どおりHEMSを普及させるというのであれば、HEMSのデータの活用をしっかりする。そもそも、それを可能とする仕様の標準化等についても十分検討すべきだと思います。

国民運動というのは、精神論ではなく、データに基づいたPDCAを回す、そのための制度設計づくりをぜひお願いしたいです。

○浅野部会長

ありがとうございました。

内山委員、どうぞ。

○内山委員

ありがとうございます。

最初にパリで開かれましたCOP21で、最も気になった点を述べさせていただきます。

地球温暖化抑制に向けたマスコミによる貢献度評価では、日本は58位と、主要国で下から4番目でした。これはNGOのジャーマンウォッチとか、CANヨーロッパによるもので、必ずしも客観的な評価とは言えませんけど、しかし我が国は京都議定書の約束目標を達成し、国内では省エネルギーや低炭素社会の実現に向けて精力的に取り組み、主要国の中で最も努力している国であり、その実績もあります。にもかかわらず、毎年のように国際的な評価が低いことに、憤りさえ感じます。

2030年度に向けた温暖化対策計画では、国際社会における日本の評価を高めることが大切であり、それには実施行動計画の我が国の実績を世界にアピールするとともに、国際的な貢献活動にできるだけ力を入れていく必要があると思います。

その点から、地球温暖化対策計画(骨子案)につけ加えさせていただきたい点があります。8ページから9ページの「11.海外における活動」の部分に、民間企業の活動として、経団連の低炭素社会実行計画を初めとする、民間の国際貢献についての記述を挿入していただければと思います。

あわせて、7ページの二国間クレジット制度の文章の中に、JICAの後に、JETROも挿入してはいかがかと思います。

また、エネルギー革新戦略の資料に、国際社会での活動の記述は10ページにわずかに記載されていますけれども、日本のエネルギー技術は海外に輸出され、外貨を獲得できるように成長していかなければならないと思います。技術がガラパゴス化しないためにも、革新戦略の中に海外への普及活動も加えていただければと思います。

それ以外に、骨子案について、若干のコメントがあります。最初の1ページの1ポツの対策の目指す方向ですけど、省エネルギーが最も大切な施策になっているにもかかわらず、それについての記述が全くありません。例えばそこに、省エネ炭素型のライフスタイルに向けた国民の意識改革を図るといったものを挿入してはいかがかと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございます。遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員

産業部門に限定した発言をさせていただきます。ほかの事業者と比べて、電力事業者の排出量が突出しているという状況は、これはまさしく原子力発電比率の低下、再稼働ができていないという状況を反映したものだと思います。秋元委員もおっしゃられましたが、2030年度に向けては20-22%の電源構成の達成を視野に入れた原子力の再稼働、2050年に向けてはリプレースも含めた原子力の活用が、排出量削減のために現実的には避けては通れないと理解しております。

また同時に、再生可能エネルギーの市場拡大をするということも、エネルギー基本計画にしっかり書き込まれていることですので、再エネの賦課金も含めた制度改革がなされておりますが、市場拡大の阻害要因になってはならない。こうしたインセンティブに加え、スマート・グリッドとか、電気自動車の活用とか、経済社会設計に踏み込んだ循環型モデルをつくっていかなくてはならないと思います。

制約の枠組みについては11ページで書かれております省エネ法、高度化法の利用というものがフレームワークとしてもっとも機能するのではないかと思います。省エネ法があるからこそトップランナー方式が進んだのであり、今後は高度化法の適用を重点的に考えていくのが、効率的な削減につながっていくのではないかと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

大石委員、どうぞ。

○大石委員

ありがとうございます。2点ほど、意見を述べさせていただきます。

まず一点目。温暖化防止の観点からフロンの取り扱いを考えるとき、改正フロン法以外の自動車リサイクル法や家電リサイクル法で規定されているものもあるわけですが、例えば、エアコンの冷媒の場合、産業用などできちんとフロンを回収、処理できている事業系のものもあれば、家庭用の場合など、知らずに冷媒が抜けてしまっている場合もあります。漏れや見落としがないよう細かく見ていく必要があるのではないか、というのが一つです。

あともう一点。来年4月から小口需要家についても電力が自由化され、私たちは電力、その翌年には都市ガスを自由に選べるようになります。料金メニューも広がっていくと思われますが、エネルギーをたくさん使う人のほうがお得になるというような、小売事業者がただ単に安さだけを売り物にしていくと、省エネのインセンティブが失われて、温暖化防止に逆行するような社会になりかねないのでは、と心配しております。

もちろん、国民の側が、電源の選択など温暖化防止を考慮してエネルギーを選び、省エネを最優先として使っていくことが最も重要で、そのためには、学校や社会においての教育も必要ですが、まずは売っていく側への啓発も必要ではないかと思います。国としても、そこの辺りに注意を払っていただけますよう、求めたいと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

市川代理どうぞ。

○市川氏(大橋委員代理)

参考資料2の13ページをご覧ください。大橋委員が欠席のため、提出した意見書に基づいてポイントをご紹介させていただきます。

 まず、今回、提示された「地球温暖化対策計画」の骨子案は、「パリ協定」を踏まえ、日本の「約束草案」で示した2030年度の中期目標の達成に向けた道筋を明らかにするものであるという基本的方向性が示されており、評価をいたします。

検討の際の留意事項として、5点ほど挙げさせていただきました。

気候変動問題は地球規模の課題であり、世界全体で実施することが不可欠です。わが国では、エネルギーミックスと整合的なものとなるよう「約束草案」を策定したのであり、(2)ですが、約束草案の積み上げ基礎とはなっていない対策や施策を盛り込むことには、慎重であるべきと考えます。

長期目標については、わが国だけが先走って明記する拙速は避けるべきで、別途、COPにおける検討結果を踏まえて、今後、時間をかけて議論すべきです。

(4)ですが、政府においては、エネルギーミックス実現に向けた戦略や、革新的技術戦略を早急に策定し、これらを踏まえた地球温暖化対策計画とすべきです。

なお、コストを無視した温暖化対策とならないよう、ご配慮をお願いいたします。

次にエネルギー起源CO2の排出削減について、産業部門では、今後、石油危機後並みの35%という大幅なエネルギー効率の改善に向けて取り組み、商工会議所でも更なる省エネの周知・普及促進・好事例の横展開に努めていく所存です。

一方、家庭部門においては、一歩踏み込んだ効果的なアプローチが重要なカギとなります。削減余地の大きい家庭部門に対する推進体制の整備など、計画への明記をお願いいたします。

(3)ですが、政府におかれては、国民理解の促進を図っていただくようお願いいたします。商工会議所としても、地域・中小企業の取り組みを促進するための行動計画をまとめる考えでございます。

以上、よろしくお願いいたします。

○浅野部会長

ありがとうございました。

亀山委員、どうぞ。お願いいたします。

○亀山委員

三つありまして、

ひとつは、経済的活動と低炭素社会構築に向けた社会インフラ整備と連動したCO2削減政策が重要と思います。

また、地球温暖化対策効果を算出してその値を達成するための事業支援が重要です。実際には温暖化対策技術が日本の国内外の環境ビジネスでは相当伸びておりますので、それを金額だけではなくて、どれだけCO2削減を行っているかという、そういう数値も出せるようにすると貢献度が評価できるんじゃないかと思います。

二つ目は、燃料電池コジェネレーションの導入支援が必要です。燃料電池に関しては、エネファームのことを記述されていますが、重要なのはやはり業務用とか、少し産業用の大き目のものの導入が、これはかなり省エネ効果があるので、そこら辺もぜひ手厚く支援していただければと思います。

三つ目は、地域の特性に応じた再生可能エネルギーの導入によるエネルギーサプライチェーンの構築支援が必要です。

 その中で、水素の輸送手段としてトラック、タンカーに加えて鉄道輸送の導入支援が重要と思われます。その場合、水素自動車関係に比べて、法制度の整備が遅れており技術開発にブレーキがかかっているので、水素社会の構築に向けた法制度改革が必要です。やはり地域における再生可能への導入では、エネルギーサプライチェーンの構築が必要で、今のところ自動車関係は結構整備しているんですが、鉄道関係が、法制度があまり整備されていないので、燃料電池車を実験しようとすると法律の関係でできないという、そこら辺が大分格差があるので、やはり鉄道によるエネルギーの輸送についても法制度の見直しをしていただければと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

池田代理どうぞ。

○橘川委員

橘川ですけれども。

○浅野部会長

失礼いたしました。橘川委員、どうぞ。

○橘川委員

まずは、委員がこんなにアセアセ発言しなければいけないというのは異様な状況だと思うので、委員の数を思いっきり減らしてください。

COP21ですけれども、対象が広がったこと、そしてJCMが一応その俎上に乗ったということは、よかったと思います。関係者の皆さん、お疲れさまでした。

とはいえ、JCMの武器は石炭火力技術になると思いますが、石炭火力自体については、逆風がむしろ強まった側面もあって、今、国内で手が挙がっている17GW、私は、2030年までどんなに多くても純増5GWぐらいかと思いますが、これを絞り込むことが必要だと思います。そのためには、JCMを拡張して、外で減らした人だけが国内でつくっていいというような枠組みにすべきだと思います。

環境省はアセス強化、経産省は省エネプラス高度化法ということで、これを達成しようとしていますけれども、この内の規制だけではとても絞り込めないと思います。

一方、規制が考えられること自体が、ボトムアップ方式でエネルギー転換部門の炭素が減ることが無理だということを示しているようなところがありまして、ここを考え直さなければいけないんじゃないか。

電力会社の中で利害がありまして、炭素をたくさん出しているところでは、むしろ業界団体を通じたこういうやり方ではなくて、個社で抜け駆け的に達成するというような道をとる可能性があります。

一方、炭素が少ないところでは、炭素税は、もしかするとウェルカムなところもあるかもしれない。そういうような現実も踏まえながら、業界団体ではなく、個社レベルでもボトムアップに参加できるような仕組みを考えていく必要があるのではないかと。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。さきほどは失礼しました。

池田代理、どうぞ。

○池田氏(木村委員代理)

意見を、参考資料2、15ページ~16ページで書面で提示させていただいておりますので、それをご覧いただきながら、発言させていただきたいと思います。

まず、今回のパリ協定ですけれども、京都議定書にかわる新しい国際枠組みとして歴史的な大きな新しい一歩であるという、歓迎しております。環境省、経産省をはじめ、政府交渉団の皆様方のご尽力に心から敬意を表したいと考えております。

その上で、「新しい酒は新しい革袋に盛れ」という言葉もございます。今回策定する計画は、京都議定書目標達成計画の発想や枠組みをそのまま踏襲するのではなく、COP21に向けた策定したわが国の約束草案や、今回策定された「パリ協定」の内容・性格を踏まえた新しい形で策定していただきたいというふうに考えます。

その観点から、時間が許す限り5点発言いたします。

第1に、今回の計画は、約束草案で記載された2030年度がターゲットであるということが明確化されている点に賛同いたします。また、技術を通じて長期世界全体での削減に貢献していく旨が掲げられていることも、世界全体の長期目標を掲げたパリ協定の内容を踏まえたもので、支持いたします。

なお、パリ協定では、2020年までに長期戦略を策定・提出することを各国に求めております。わが国の長期戦略は、パリ協定や原子力などのエネルギー政策の動向を踏まえて、2020年までを目途に、時間をかけて検討すべきというふうに考えます。

2点目は、「約束草案に掲げられた対策の着実な実行」に関してです。パリ協定は、ご案内のとおり、「ボトムアップ型」の枠組みです。また、我が国の約束草案は、具体的な対策を積み上げて設定しています。

以上を踏まえまして、今回の計画は、約束草案の算定根拠となった対策によって構成し、その対策を着実に実施すべきです。経団連としては、全力を挙げて低炭素社会実行計画に取り組んでまいります。

3点目は、国民運動に関してです。家庭部門ではこれまでなかなか成果が上がっておりませんで、20年余りで1.5倍程度CO2排出量は増加しております。今後、2030年までに約4割削減することが求められております。

そこで総理を中心とする推進体制を整備し、環境省が責任を持って家庭部門のPDCAを着実に回していく旨、計画に明記をしていただければとお願い申し上げます。

第4は、国内排出量取引制度に関してでございます。今回の計画において、約束草案の目標算定の基礎に含まれていない「国内排出量取引制度」などの規制的手法を採用すべきではないというふうに考えます。同制度は、民主導の活力ある経済社会の実現を妨げるのみならず、炭素リーケージを通じた地球規模の温暖化対策の阻害、イノベーションの原資を奪うことになる長期的な温暖化対策の遅延を招くものというふうに懸念をしております。規制色の極めて強い国内排出量取引制度を検討する必要はないというふうに考えております。

最後に、業務部門では、約4割の削減が求められているところであります。政府、地方自治体は、ぜひ率先垂範的に学校などの現業部門を含めて、パリ協定を踏まえた自らの実行計画を速やかに策定をするとともに、自らの活動の低炭素化について、PDCAサイクルを回しながら、最大限取り組んでいただきたいというふうに考えます。

以上でございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

崎田委員、どうぞ。

○崎田委員

ありがとうございます。まずCOP21のパリ協定に関して、積極的な形でまとめ上げていただきました。関係者の皆さんに敬意を表したいというふうに思っております。

私の立場からは、やはり国民運動、あるいは地域社会がどう本気で取り組むかということに関して発言をさせていただきたいと思いますが、やはりここをターニングポイントにして、しっかりやるべきだというふうに考えております。

なお、個人個人の普及啓発・環境学習、いろいろ必要ですけれども、そういう中で、やはりシステムに定着してほしいという声が大変強くあります。そういうふうな視点から考えますと、まず自治体がきちんと温暖化対策の計画をしっかり見直す、そして目標値を明確に立てる、そしてそれを、効果を定量化し、それを全国の自治体が公表しチェックをするような仕組みを構築していく、ここにしっかりと明確な目線を入れることが大事だというふうに思っております。

その内容として、エネルギーとか住宅とか暮らし方、いろいろありますが、技術と暮らし方、技術と地域、その連携で相乗効果を出すということを明確にすることが大事だと思いますが。そのために自治体だけではなく、自治体、技術のある産業界、そして研究者、大学の先生などのお立場の方と住民、地域団体、そういう人たちがきちんと連携をして話し合う、そして実行するような場をしっかりつくっていくという、社会イノベーションを起こすための環境まちづくり計画を立てる協議会を明確につくっていく、そういうような形をつくることが大事だと思っております。

そこに情報として、例えばこれまで環境モデル都市、環境まちづくり、あるいはJSTで環境温暖化対策のまちづくり、いろいろなところに関わらせていただいておりますが、そういう全ての今までのプロジェクトの先進事例を込めていく。そして地域では、こういうことは今地方創生とか、1億総活躍時代、そういうものに全部関係してきますので、やはり日本全体のオールジャパンの取り組みとして、この温暖化対策を位置づけていくという、そういう大きなビジョンを描くことが今大事だというふうに思っております。よろしくお願いします。

○浅野部会長

ありがとうございました。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

佐藤でございます。資料3の地球温暖化対策計画の(骨子案)について意見を述べます。

まず1ページでございますが、目指す方向性について、私は、温暖化対策というのは非常に重要ですが、これは国民にとってあまり我慢を強いるとか、健康を害するというような対策になっては元も子もございませんので、やはり国民がこれに取り組むことによって、同時に活性化する、幸せになるということを目指すべきだと思います。

例えば原子力に頼った温暖化対策が国民全体を幸福にするかというと、私はそうは思いません。それから、ワークライフバランスとか、少子化対策も重要でございますので、そういうものを配慮した対策にしていただきたいというふうに思います。

それから、3ページの役割のところでございますが、まず国の基本的役割の中で、自らの事務及び事業に関する措置の記載がないと思います。自治体だけでなく、国自体にも事務がありますので、国の事務の中でも十分取り組んでいただきたいというふうに思います。

7ページでございますが、税制のグリーン化、それから金融のグリーン化、私はこれは非常に大きな効力を持っていると思います。現在、税制のグリーン化については、具体的な例が何も書いてありませんが、どういうことをご検討になっているのか、何らかの例示が必要ではないかと思います。

税制の場合には、税金を取るという点では国民に負担になりますが、その再分配の仕方も重要です。バランスのとれた、公平で透明性の高い、税制のグリーン化が必要だと思います。

それから金融のグリーン化、これについては融資、それから株式投資、債券、こういうものの市場において、取り組みが明確化できるような情報の開示を求めるところであります。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。杉山委員、どうぞ。

○杉山委員

地球温暖化対策計画(骨子案)について、意見を申し上げます。本日配布資料の参考資料2の17ページに、意見を事前提出していますので、これに沿って申し上げます。

1点目ですけれども、パリ協定というのは数値目標の達成自体は義務ではないと、そのことははっきりさせるべきで、これは書き込むべきだと思います。

パリ協定に政策措置を実施する義務はありますけれども、それについてどうしたらいいかというのが2点目です。パリ協定はボトムアップで、温暖化対策の内容は各国が決めることになっている。日本の温暖化対策としては、現行のNDCのベースとなった長期エネルギー需給見通しの達成に向けての政策措置を整備していくことが基本になる。エネルギー見通しは、3Eのバランス、中でも費用対効果が重要ですけれども、これが明記してありませんでしたので、この精神をはっきりと計画に書き込むべきだと思います。

この3Eのバランスというのは、今後政策を見直すときとか、政策をつくり込んでいくときにも、必ずそれは考慮しなければいけない。

めくっていただきまして、パリ協定のもう一つの特徴なんですけれども、実際には、これは、枠組みとしては公平ですけれども、実施に当たっては相当に国によって濃淡が出るだろうことは、しっかり理解しておかなければいけない。だから、広範な日本の国益を守るためには、温暖化対策を実施する際に、やはりこれも、3Eのバランスが必要ということになります。

それから4点目ですけれども、長期的取り組みについてですが、2度目標といった野心的な目標の達成のためには、すなわち革新的技術開発が不可欠だということで、このことをむしろ強調すべきです。革新的技術開発を進めるためには、これもやっぱり温暖化対策は3Eのバランスをとらなければいけない。経済活動が抑圧されるようだと、企業活動、投資活動、研究開発活動が行われないので、いかなる革新的技術開発も望めない。ここの関係はよく理解する必要があります。

最後、一つ飛ばして、政府部門の省エネルギーということを申し上げたい。これから政府実行計画・地方自治体実行計画をつくられるということですが、大幅な省エネを業務部門はやらなければいけない。その業務部門の13%以上は政府部門ですので、そこで大幅な省エネルギーの計画をきちんとやらなければいけない。ここが費用効果的にうまく実施できれば、非常に実りは大きくて、データベースも整備できますし、それを公開できる、分析できる。民間のために本当の率先的な取り組みになると思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

竹内委員、どうぞ。

○竹内委員

骨子案に、2点申し上げたいと思います。

まず1点、IPCC、AR5で示された内容を記述とのことであるが、報告書の内容につきましては、気候感度のような重要な指標も含めて、不確実性が高いということを含めて記述していただかないと、将来的に国民が混乱するおそれがあるというふうに思います。

2点目、排出量取引についてですが、排出枠を設定しクレジットという有価物を産むには、その枠に法的拘束性が必要になるというふうに思いますが、26%目標というのは、少なくとも国際的には法的拘束性のある数字ではないという理解です。国内的にはどう理解すればよろしいのか、法的拘束力の有無を教えていただきたい。

そして、これは意見ですが、排出枠の設定を適正に行うことは、計画経済でもない限りこれは相当難しく、EU-ETSは「たなぼた利益」などを産業界にもたらしたうえに、今は壊滅的低価格が続いており破たんしたと評価せざるを得ません。そしてまた、再エネ政策との齟齬も考えなければなりません。FITによって再エネの導入が進んで、低炭素化が進めば、炭素価格自体は下がっていきますので、FITと排出量取引というのは、ベルトとサスペンダーを両方使うようなもので、効果は減殺されてしまうというふうに理解をしております。数年前は、カーボンプライシングとは排出量取引を意味したかもしれませんけれども、今は税制なども含めた炭素への価格付けであるというふうに認識されていると感じています。

その観点から言えば、我が国はオイルショックの直後にエネルギーの石油や天然ガスの利用に税をかけて、その多くを再エネや省エネへの投資に利用してきておりますので、そのことの国際的・国内的な説明をしていくことが重要であるというふうに思います。

パリ合意について2点。石炭についての逆風は強まったとのコメントが先ほどございましたけれども、途中段階の案では、高排出投資抑制という条文が入っていましたが、石炭技術の導入を望む途上国の反対でこれが落ちたというふうに聞いております。インド産業界の方たちとのディスカッションでも、「石炭を使うなというのはおかしい。石炭を効率的に使えというべきだ」というコメントが出ておりました。効率的に使えというべき、というのはまさに日本が持つような高効率技術に対する期待でもあると言えます。気候変動問題は社会・経済の発展のあり方を全体的・現実的に考える必要があるというのが、京都議定書の失敗に世界が学んだことでもあり、石炭にまつわるやりとりはご紹介しておきたいと思います。

もう1点だけ。条文の中で政府のご見解を確認したいんですが、EUは全体でレビューを受けることになるのか、日本と同様1国ずつレビューにかかると見てよいのでしょうか。この点について、関係者の皆様のご関心の喚起の意味も含めて、お伺いしたいと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

豊田委員、どうぞ。

○豊田委員

ありがとうございます。温暖化計画について、2点申し上げたいと思います。

一つは、国内排出権制度ですけれども、骨子の中に、いまだに排出権取引制度の検討に言及していることに驚いています。率直に言って、これまで国家として本制度を導入して成功した例は、存在していないのではないかと思います。EUがGHGの削減に実現できたのは、本制度の貢献ではなくて、むしろ不況のせいだと言われています。ECの委託調査によれば、産業界も有識者も大半が、本制度が排出削減のドライバーとしては機能していないと厳しい評価をしています。

韓国も導入しましたが、市場に出てくる排出権はなくて、取引は成立していません。豪州は導入をやめましたし、ニュージーランドも排出権はほとんど利用されていません。

日本は炭素税を導入しているわけですけれども、安定した税収でR&Dを含めて各種対策を講じています。FITも導入しています。採用して成功した例がないような制度を取り入れるというのは、考えにくいことだというふうに思います。

二つ目は、長期目標についてですけれども、一部の委員の方から、2050年について、世界で半減先進国80%減といったお話が出ていますけれども、こうした目標が、ある時、政治的に提供されたことは理解していますけれども。IPCCのレポートにはどこにも書いていませんし、最新のAR5においては、気候感度についてさえ科学者のコンセンサスは得られておりません。むしろ気候感度の相違によってさまざまなシナリオが提供されているわけです。AR5は、気候変動の問題を科学的には不確実性があることは、竹内委員が言われたとおり、率直に認めておりまして、オーバーシュートのシナリオの存在さえ認めているわけです。

 先述の目標は、AR4に基づいて整理された政治的な目標であって、科学的な目標ではないのではないかと理解をしています。本合同部会のような審議会で客観的な事実に基づかない非科学的な議論をすることは、あり得ないことだというふうに思います。

○浅野部会長

恐れ入りますけれど、30秒オーバーしていますので。

○豊田委員

エネルギーの革新戦略については、委員長おっしゃるように、議事録に追加させていただきます。

○浅野部会長

よろしくお願いいたします。

内山代理。どうぞ。

○内山氏(丹村委員代理)

まず地球温暖化対策計画におきましては、エネルギーミックスとの整合を前提とすることはもちろん、本日のご説明のありましたエネルギー革新戦略による各種施策とも整合する必要があると思います。

本日の骨子案の中には、京都議定書時代の目標達成計画を踏襲するような項目が幾つか見られますが、約束草案の基礎となっていない施策については削除すべきと考えております。

具体的に2点、第1に、国内排出量取引制度でございます。約束草案におきましては、産業部門の削減目標積み上げの基礎となりました対策の筆頭は低炭素社会実行計画であり、地球温暖化対策計画におきましても、産業部門対策の最重要の柱は、この実行計画であると理解をしております。

京都議定書目標達成計画におきましても、実績取り組みにより産業部門は十分な成果を上げたと自負をしておりまして、また政府の有識者会合でも高い成果を上げたと評価をしていただいております。この上、この制度を導入しなければならない理由は全くないと思いますので、ぜひ計画からは削除していただきたいと考えております。

第2に、JCMについても、目標の積み上げの基礎とはなっておりません。骨子案の中で国内対策と横並びで成立することには違和感があるため、国際協力の一環であることを明確にするような整理としていただきたいと考えます。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

廣江委員、どうぞ。

○廣江委員

ありがとうございます。今回の2030年目標のベースになっていますエネルギーミックスの実現のためには、既に何人かの委員がおっしゃっておられますが、徹底した省エネルギー、安全を確認された原子力の最大活用、さらには電力系統への悪影響、あるいは国民負担ということも考慮しながらの再生可能エネルギーの最大導入、さらにLNG、あるいは石炭火力の高効率化、こういったもの全てがそろわないといけないと思っています。

これらを実現するために、私どもの責任の重さ、これも痛感をいたしております。団体で行うのか、個社で行うのかは別にいたしまして、私どもは最大限努力をするつもりでございます。

ただ、それだけでは必ずしも十分ではございません。私どもの努力に加えまして、国におかれましては、事業環境整備あるいは政策的な誘導、また産業界や地方自治体を含めました国民全体のご協力が不可欠でございます。これらを三位一体となって、これは取り組むべきものであると思います。

こういった中でも、私どもは特に重い役割を担ってございますが、最大限、懸命に努力をしてまいりたいと考える次第でございます。

以上でございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

松尾委員、どうぞ。

○松尾委員

この地球温暖化対策計画というのは、2030年、2050年という長い時間軸で考えなくてはいけない。そのためにも、取り組みというものは、持続可能な取り組みでなければいけないし、持続可能な省エネにならなければいけない。またその取り組みが発展していく取り組みにならなければいけない。このような考え方に基づいた取り組みとすることを、やはり重視しなければいけないと思っています。

そういう意味では、今、経団連が中心にやっている低炭素社会実行計画という自主的な取り組みというのは非常に優れており、重要な取り組みであります。安易に、規制という方向で取り組みを考えるべきではないというふうに考えております。

更に、「事業者の基本的役割」のところに書いてあるライフサイクルを通じた環境負荷の低減は、個々の業者だけで考えられるものではなく、また、産業界だけで捉えるものでもない。官民一体となって、オールジャパンで考えていくものだというふうに思っております。

そういう意味では、個々の業種、個社2の削減量にとらわれることなく考えていくべきです。

また、排出量取引制度については、慎重であるべきだというふうに考えております。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

それでは南部委員、どうぞお願いします。

○南部委員

ありがとうございます。2点ご意見を申し上げます。

COP21で採択されましたパリ協定の前文に、「ディーセント・ワーク」と「公正な移行」という文言を明記することができました。この「公正な移行」とは、温暖化対策に伴う産業構造の転換などに際して、そこに働く労働者が失業または著しい賃金の低下にさらされることなく、次の職業につけるというコンセプトでございます。とりわけ大規模な産業転換が必要となる事態が想定される場合には、従来の能力開発事業に加え、十分な期間の職業訓練と訓練メニューの充実とともに、失業手当などの拡充が必要となると考えております。

1ページの基本的な考え方の中の環境・経済・社会の統合的向上の中に、「雇用創出」がございます。その際に、国内においてもぜひとも「ディーセント・ワーク」と、そして必要な場合には「公正な移行」の確保をお願いしたいということが、1点目でございます。

また、国を挙げた温暖化対策に国民一人一人の取り組みが必要だということは十分理解しておりまして、連合としてもその推進に努力をしているところでございます。

家庭部門においては、対策を実施するのは国民一人一人であり、仮に周知・広報がある程度行き届いたとしても、実際の削減行動につながらず、削減目標の実現が困難となることも考えられるため、4ページにございます7.の地球温暖化対策・施策につきましては、国民が「消費者」として積極的に取り組むためのインセンティブ向上につながるような施策もぜひとも盛り込んでいただきたいということで、ご意見等を申し上げます。

以上でございます。ありがとうございました。

○浅野部会長

ありがとうございました。

和貝委員、お願いいたします。

○和貝委員

ありがとうございます。計画(骨子案)の7ページ、温室効果ガスの算定・報告・公表制度について申し上げます。算定・報告・公表制度についても、やはり我が国においても、グローバルを意識した形で対応すべきだというふうに考えます。

算定基準等については、統一化・標準化の動きがあるということを伺っておりますけれども、公表・報告制度についても、標準化・統一化というような形で進めることが必要だと思います。各国との比較、それからわが国がどの位置にあるかというようなことがわかりやすく示されれば、国民の理解も進みますし、国民運動の推進にもつながるということでありますから、もしそのような制度をお考えであれば、それについて言及いただきたいと思いますし、なければ今後の提言も含めて、この中に盛り込んでいただきたいというふうに思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

村井委員、どうぞ。

○村井委員

ありがとうございます。2点と、あと感想を一つ述べさせていただきます。

一つは、8ページの低炭素なまちづくりの推進というのが、地方公共団体のところに書いてありますけれども。基本的に、現在のところ、まだ国の補助事業とかでいろいろやっていますので、できたら国のほうのところに、もう少し具体に位置づけていただけないのかなと思っています。

2点目は、国民運動ですけれども、最近の若い方々はいくらいい情報でも興味がなければシャットしてしまう傾向があります。かつて環境読本などが作られ環境教育に熱心に取り組んだ時代がありました。今後30年後とかを見通しますと、やはり今生まれた子とか、学齢期の子などを対象にもう少しいろんな形で情報を提供して、適切に判断できる人になって欲しいと思っています。

例えば、かつては、私どもが水道の蛇口をひねって水を出しっぱなしにしておりますと、子どもが「何で水道をずっと流しているの、先生もだめと言ってたよ」、そういう逆に学校教育で習ったことを家庭まで持ち込んで、親の行動を改善するというようなことがあったわけですけれども。何かそういうことも、改革するわけではないですけれども、必要なのかなと。そうでないと幾らいい情報が流されても、全部シャットアウトされてしまう。特に今の若者は、そういう傾向がありますので、国民一人ひとりの温暖化対策行動の改革に向けた取組が必要です。

それと、ちょっと思ったのですけれども、9ページの京都議定書に基づく措置、これは計画の一番最後でいいのではないか。前というか、最初のほうにざーと書く事にちょっと個人的には疑問を持っています。

以上でございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

では、藤井委員、どうぞ。

○藤井委員

5ページの分野別の対策・施策のところです。分野別の対策は非常に大事だと思います。その場合には、やはり排出量が多い、それから先ほど言われたポテンシャル、先ほどのポテンシャルの大きい産業、分野を対象とすべきであって、あらゆる分野をやる必要はないと思います。そういった分野に対して、費用対効果の、あるいは経済合理性のすぐれた政策を分野ごとにとっていくということが大事だと思います。

先ほどから排出権取引について、一部の委員から否定的なご意見もありましたが、そもそも歴史的に考えれば、まずは電力による排出権取引というものがヨーロッパでもやり、アメリカでも、もちろん現在もやっています。一番、今、電力対策が必要です。先ほどの石炭の問題が出ておりますが、エネルギーの問題とCO2の問題をバランスさせるためには、CO2削減のコストを価格付けする必要があります。こうした制度を石炭火力へ導入するならば、カーボン・クレジットを価格化して、必要なエネルギーを確保し、CO2の排出全体の削減をを経済合理的に実施するというのが、これは歴史的にも、あるいは先行する米欧でも、とってきた政策であり、その効果は明瞭であります。

もう一つ、日本ではあまり知られていないことですが、先日アメリカでEPAが2015年の自動車のクレジットの取引高を発表されました。これは単体の自動車ごとに排出規制に対応したクレジット、要するにCO2の削減を義務づけている制度です。その中で一番効率がよかったのは、小生の隣に座っておられる根本委員のところのトヨタであり、ホンダであり、日本車です。日本車メーカーさんはCO2クレジットを「売り」の立場で稼いでいる一方、一部のヨーロッパの自動車メーカーはクレジットの「買い手」になっている。こうしたことがマーケットに知られるので、日本車は「環境にいい」ということが相対的に理解され、マーケットの競争力の一助にもなっているといえます。つまりクレジット取引によって、日本の自動車メーカーは経済合理的な評価を得ているということだと思います。排出権取引およびクレジットには、そのような使い方もあります。多様な使い方がクレジットにありますので、研究されて、実践されていかれればいいと思います。

 それから、昨日IEAのビロル事務局長が来日された際の記者会見で、こう言われていました。カーボンプライシング、これこそベストオプションであると。これが現在の国際的な理解です。価格付けの方法論の中には、もちろんTAX(環境税)もあり、排出権取引もあります。いずれにしても、企業は、価格がつかないと経済合理的な対策がとれません。企業の方は、よくおわかりだと思います。ですので、こうした価格付けのあり方を政策の基本に据えて、今後の温暖化対策を合理的に進めていただければと思います。

以上です。 

○浅野部会長

ありがとうございました。

根本委員、どうぞ。

○根本委員

ありがとうございます。ほかの委員の方々のご発言と重なる点があるかと思いますが、3点簡潔に申し上げます。

1点目が、約束草案策定の経緯との整合性がございます。約束草案につきましては、資料3にも記述されていますように、技術的制約、コスト面の課題などを十分に考慮した裏付けのある対策・施策、さらには技術の積み上げによって策定されるというものでございます。

したがいまして、その策定の経緯を踏まえますと、今回の本体計画におきましても、約束草案に即したものとすべきでございまして、草案に記載されていない項目、あるいは議論されていない項目につきましては、ぜひ削除されるべきものと考えております。

また、規制的手法の活用でございますけれども、その規制の程度、あるいはその度合いにつきましては、柔軟性をぜひ確保していただきたいと考えております。

2点目でございます。国民運動の推進でございますが、家庭部門で十分な成果を上げていただくこと、これがすなわち日本の削減目標達成の鍵の大きな一つと考えておりますが、そのためには国民運動でございます。COOL CHOICE、これを強力に推進・加速させていくことが不可欠の条件であるかというふうに考えています。

このような事情を考えますと、極めて強力な推進体制の構築、あるいは着実かつ確実なPDCAの回しとそのための仕組みといったようなものが不可欠になってまいりますので、ぜひこの旨をこの計画のほうに明記いただきたいというふうに思います。

最後、3点目でございますが、知的財産権の保護でございます。日本のすぐれた技術を世界に展開し、海外での削減に大きく貢献するということにつきましては、我々産業界としましても非常に重要と考えておりまして、賛同しておりますが、一方、知的財産権は、多大な投資の結果でもございますし、我々企業の国際協力の源泉そのものでございます。政府におかれましては、知的財産権の保護といったことを十分に念頭に置いていただいて、国際貢献を進めていただきたいと考えております。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

中根委員、どうぞ。

○中根委員

ありがとうございます。まず「1. 」ですが、パリ協定を踏まえて、約束草案で示した中期目標について書かれているということ、もう一つは、長期的な方向、これがしっかり書かれている、パリ協定の目標を長期的な戦略的な側面として書かれている。30年目標を達成するに当たって、30年以降も視野に入れて対策を立てていくという意味で、この二つがバランスよく書き込まれているということは非常によろしいのではないか、適切ではないかと思います。

第2点は、研究開発ですが、先ほど予測にも不確実性があるというお話がありましたけれども、不確実性のない測定値や予測というものはないわけで、そういう不確定実性の範囲で平均値やトレンドの議論をして、今のような議論がされているわけです。

不確実性を低減する研究、影響予測、適用についての研究、発生源や吸収源を把握するための研究、それからインベントリーに関する研究も非常に重要でありますので、そういう研究も含めて推進していくという方向性が重要ではないかと考えております。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

長辻委員、お願いいたします。

○長辻委員

3点申し上げたいと思います。地球温暖化対策で2030年を通過点とするならば、この気候変動だけでなくて、南海トラフ地震に代表されるような地殻変動も変数の一つとして置いておく必要があるのではないかと思います。

それから2点目ですけれども、日本として26%削減を目指すには、言うまでもなく国民運動の推進が必要なのですが、メディアの、私一員として見ている限りにおいては、国民の地球温暖化、それから防止に対する関心が低下しているように、残念ながら思われます。ですから、国民の関心度がどういう方向に向かっているか、またどの程度の水準にあるかということを、例えば国規模のアンケート調査のようなことを実施して、多角的に捉えていく必要があるのではないかと、私は思います。

それから、3点目は質問めいたことなんですけれども、資料3にある吸収源対策では、森林吸収源のほかに農地土壌炭素吸収源とそれから都市緑化で、あわせて910万トンの吸収量を目指すというふうに書かれているのですが、農地土壌による炭素の吸収というのは、堆肥等有機物を土地の中に投入しなければ実現できないことなので、耕作放棄地がこれだけ増えている現状で、これが可能であるのかということ。

それから、都市緑化ですけれども、身の回りで見る限り、伐採例は見ますけれども、植樹されているというのはあまり見かけないんですね。これだけの炭素吸収を植樹・植栽でやろうとすれば、恐らく億本単位の植林が必要になるのではないかと思いますが、それが都市で可能なのかどうかということ、ここのところをお尋ねしてみたいと思います。

○浅野部会長

ありがとうございました。

冨田委員、お願いします。

○冨田委員

ありがとうございます。資料3について、3点申し上げたいと思います。

まず1点目は、計画の中に記載する対策・施策ですが、基本的には、約束草案のベースになっている対策・施策、すなわち資料3の5ページのところですね、これがベースになるのだろうと思います。

ただ、ここの中には、長期エネルギー需給見通しのほうで記載されているコージェネが入っておりません。また、最近、ZEBとZEHについても、普及のロードマップが策定されておりますし、また資料5のエネルギー革新戦略の中にも温暖化対策に貢献するものがあるように思います。そういったものについては、ぜひ含めていただきたい思います。

それから2点目は、6ページの分野横断的な施策ですが、ここに掲載されているものは、これまで既に取り組んできたものと、それからまだこれから取り組みを本格的にやろうかというものが混在しているように思います。既に取り組みを進めているものについては、これまでの取り組みでどういう効果があったのか、どういうところを改善すべきなのか、そういうことを踏まえて、これからはこういうふうにやっていきますということが書かれるべきだろうと思います。

それから、最後は7ページに書かれているJCMですが、どなたかの委員もおっしゃいましたけれども、7.の中に書かれていることにちょっと私は違和感を持っていまして、やはり11の海外における温室効果ガスの排出削減の推進、この中で記載されるべきものではないかと。こちらだけに記載されることでよろしいのではないかと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

末吉委員、どうぞ。

○末吉委員

ありがとうございます。私は、パリ協定の成果を理解する上で、パリ協定が占めるインプレケーションが極めて重要と考えています。その視点から意見を申し上げます。

パリ協定は、経済モデルの転換を明確に求めています。とすれば、地球温暖化対策計画の議論は、CO2をどうやって減らすかとあわせて、これをチャンスと捉え、事を大きく構え、パリ協定が要求する低炭素経済への移行にどう取り組むかをちゃんと議論するべきと考えます。

パリ協定採択の背中を押した陰の主役はビジネスであり、機関投資家でした。世界のビジネスリーダーが、反対オンリーから推進に大きくかじを切りかえました。潮目が明らかに変わりました。とすれば、世界の流れは、経済成長のあり方、ビジネス・観光・消費行動、ひいてはライフスタイルの根底からの見直しに向かいます。日本もこの流れに乗り、日本の国として、さらにはビジネスや金融の国際競争力を確保していくべきです。

 幸い日本はスチワーデシブ行動、コーポレート・ガバナンス行動、GPIFの国連責任投資原則の署名など、フレームワークが整ってきました。これらを総合的に活用しながら、世界で大きな流れが始まった炭素への価格付けや金融のグリーン化などを含め、骨子案にある環境・経済・社会の統合的向上の視点から議論すべきと考えます。

最後に、海外の有力国家は、法律によって国の削減目標や方向性を明示するとともに、ぶれないための政治的担保を確保しています。日本もそうするべきと考えます。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

下田委員、どうぞ。

○下田委員

資料3のところで2点申し上げたいと思います。

まず8ページに、地方公共団体が講ずべき措置ということで、PDCAサイクルを伴った温室効果ガス排出削減の率先実行とございまして、多分、これは事務事業のことを書かれているんだと思いますけれども、やはり家庭部門とか業務部門についても、地方公共団体を排出管理の主体にして、それぞれの自治体において、国の削減目標値、あるいはその積み上げに使った各技術の普及率というのが、それぞれの自治体でどのような値になるのかということを参照値として示していただいて、それを踏まえた計画とか管理体制を自治体に整えていただきたいと思います。

それから、国民運動のところで、少し肩に力の入ったような感じで聞こえるんですけれども、やはりコベネフィットを含めた低炭素社会の魅力づくりとかブランド化、それから各家庭に直接働きかけていくようなオーダーメイドの情報提供の取り組み、それから先ほどの委員のお話にもございましたけれども、長期にわたることを考えれば、やはり小中校・高等学校の場での教育対策、こういうところを重視していただきたいというふうに考えてございます。

また、情報提供や教育のところでミスリーディングにならないように、信頼性の高い情報を提供するために、各対策の定量的効果につきましては、使用・気候条件の違いによる変化も含めて、しっかりデータを蓄積していっていただきたいというふうに考えます。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

佐久間委員、どうぞ。

○佐久間委員

ありがとうございます。国内排出量取引制度、これにつきましては、私も導入すべきではないと考えております。安倍総理もCOP21の首脳会合において、気候変動対策と経済成長の両立、これには技術革新がキーだというふうに指摘しておられました。

日本のCO2排出量は今や小国レベル、あと限界削減費用については欧米の数倍と、こういう現状を考えますと、我々としては技術革新を進め、その技術を世界に広め、それによって地球環境の温暖化対策に当たるのが使命だと思っております。排出取引制度というのは、そのような技術革新を推進するということを妨げるものだと考えます。したがいまして、8ページにあります、国内排出量取引制度につきましては、今まで聞いたところでも支持される方もおりませんので、削除すべきだと考えます。

なぜ国内排出量取引制度がイノベーションを進める阻害要因になるかというのは、時間の許す限りだけ申し上げますと、イノベーションというのは、時間もお金もかかる。そのためには、やはり国内排出量取引制度にそういうリソースを割くべきではなく、技術革新に投入すべきだと考えます。また、競争の公正性の確保、カーボンリーケージ等々、いろいろな理由がございます。したがいまして、この制度を導入すべきじゃないというふうに考えます。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

河上委員、どうぞ。

○河上委員

ありがとうございます。2点申し上げます。

1点目は、地球温暖化対策計画でございますが、資料3の冒頭にもありますとおり、日本の約束草案で示された、我が国の2030年度の目標の達成に向けた道筋を明らかにするということでございますから、削減目標の積み上げの基礎となっていないような、7ページ辺りにあります、その他分野横断的な施策は削除すべきだと思っております。特に国内排出量取引でございますが、これは大変懸念が大きい。懸念については、お話が佐久間委員からありましたので、省略いたしますが、これは削除いただきたいと思っております。

 それからもう1点です。電力関係のご意見もいただきましたが、電力業界におきましては、CO2削減の枠組みをつくりました。この中でPDCAサイクルの推進が大変重要だと思っておりまして、現在これを強化しようということで、仕組みづくり、ルールづくりを進めているところでございまして、例えば個社計画の枠組みによるチェックであるとか、取り組みが不十分な場合の見直しの要求といったことも、検討を進めております。

こういったPDCAサイクルの推進は、経団連で取り組んでおります低炭素社会実行計画においても各業界さんは大変大きな成果を上げておられますから、我々電気事業におきましても十分やっていけると、こういうふうに考えております。

以上でございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

大塚委員、お願いします。

○大塚委員

6点、簡単に言います。一つは、長期目標について、2度目標と、それから既に閣議決定がされている2050年の80%削減の目標をぜひ入れるべきだと思います。

さらに21世紀末までに、人為的排出と吸収をバランスさせるという目標がパリ協定に入っていますので、それも考えなければいけないのではないかと思います。

第2に、長期の低炭素戦略については、パリ協定で2020年までに提出が求められていますので、その策定の提出を率先して行うべきではないかと思われます。その中では、技術だけではなくて、ライフスタイルの変更とか、社会システムの変革に関しても流すような戦略を盛り込むべきだと思われます。

三つ目ですけれども、環境影響評価に関しては、事業者さんが環境影響を自ら評価していただいて、環境汚染装置を講じるというものですが、これも重要な項目の1つですので、目達計画には多少書いてありましたが、目標、計画の中に入れていくべきではないかということを申し上げておきたいと思います。

四つ目ですが、国内排出取引に関してはいろいろなご意見がございますが、東京都は成功していると思いますけれども、EUに関してもリーマンショックがあったのでちょっとおかしなことになっていますけれども。対応の方法はあると思われますし、中国とか、またアメリカの州とかでも導入していますので、長期的な低炭素戦略の中で、費用効果性のある制度として積極的に続けるべきではないかと思います。

5番目ですけれども、税制のグリーン化に関しては、地球温暖化対策税がございますが、さらに車体課税がこの間も出ていたと思いますけれども、10%の消費税が上がるときにグリーン化を、環境割の税を導入することが既に決まっているかと思いますが、あれについてもぜひ盛り込んでいくべきではないかと思います。

 6目ですけれども、最後の海外との関係でのフロン対策技術、8ページに世界に展開するという話がありますが、対策の中にはぜひ回収も含めていただくとありがたいと思います。モントリオールフロンに関しては、途上国から大量のフロンが出てきますが、それに対してぜひ対策をとっていただいて、CO2だけではなくて、フロンについても世界的に回収をしていくことが必要だと思われます。

以上です。

○浅野部会長

それでは、どうもありがとうございました。

ご質問がそんなに多くあったとは思いません。多くのご発言は、コメントなりご意見なりということであったと思います。

竹内委員からのご質問がございましたので、これについては関谷低炭素社会推進室長からお答えいただきます。

また、レビューについてのご質問について大井国際地球温暖化対策室長からお答えをいただきます。

○低炭素社会推進室長

竹内委員のほうから、26%の目標に関しまして、国内における拘束力はあるのかということについてのご質問がございました。

今回の26%の削減目標、約束草案につきましては、まず今回の骨子にも改めて書かせていただいておりますけれども、裏付けのある対策・施策・技術の積み上げによって策定をしたものということで、そういう性格のものであるということ。

それから、これは総理もG7で表明をし、またその後我が国としても正式に国連に提出をした目標であるということ。そういった状況からしまして、これは確実に達成に向けて着実な対策をできる、そういう性格のものだというふうに理解をしております。

○浅野部会長

では、大井室長。お願いいたします。

 

○国際地球温暖化対策室長

同じく竹内委員のほうから、パリ協定の内容に関しまして、EUが全体レベルを受けるのか、もしくは個々の国ごとに受けるのかというご質問をいただきました。

お答えとしましては、個々の国ごとであるということでございます。このレビューの関係、透明性については、13条で規定をされておりますけれども、この規定については、Each Party に係るということです。

それから、目標の設定に関しまして各国が共同で実施をするという規定について、第4条に書かれておりますけれども、その場合についても、共同で実施する国は、それぞれの割合といいますか、アロケーションを通知して、その割合について、それぞれの国が個々に13条の規定について責任を負うという規定になってございますので、結論としては個々の国ごとにレビューを受けることになるだろうと理解しております。

○浅野部会長

ありがとうございました。

和貝委員のご指摘については、松澤地球温暖化対策課長からお答え願います。

○地球温暖化対策課長

委員から、算定・報告・公表制度について、標準化あるいは同一化、また外国との比較などを取り組んではどうかというご指摘、ご提言をいただきました。

この制度については、IPCCのガイドライン等も踏まえながら、算定を事業者が行って、所管大臣に報告し、経産大臣・環境大臣が公表するという流れになっております。こういった状況になっておって、ある程度国際的に統一した基盤のもとでやっているということでございます。

外国で同じような仕組みがないかどうかについては、少し研究をさせていただきたいと思っております。

以上でございます。

○浅野部会長

それでは、長辻委員から吸収源についてご質問がございましたので、これについては、農水省から官房政策課の作田環境政策室長がいらしていますので、お願いいたします。

○環境政策室長

農林水産省でございます。ご質問をいただきましたところの中心は、農地土壌炭素吸収源の吸収量と耕作放棄地が増えているというところかと思います。耕作放棄地が増えているという、この問題につきましては、確かに大きな課題というふうに私どもは認識しております。

一方で、食料の生産基盤としての農地、これにつきましては、今後さまざまな、まさに食料・農業・農村問題の対策として総合的にやっていくということで、その必要な面積を確保するという取り組みを進めていくという基本的な計画を私どもは有してございます。

そこでつくっております基本的な農地面積、これをベースに吸収量というものは算出しているということでございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

それでは、ご質問は以上だったと思いますが、外務省には特にご質問はなかったのですが、何かコメントなさりたいことがございましたら、どうぞ。ございますか。

○気候変動課長

いいえ、特にございません。

○浅野部会長

そうですか。

資源エネルギー庁はいかがでございましょうか。

○資源エネルギー政策統括調整官

一言だけ。内山先生のほうから、その技術、海外への普及拡大というご意見がありました。一部新しいビジネスを導入してくる中で、そうしたものを掲げたものもございましたけれども、それ以外のものに関しましても、今後議論していきたいと思っております。

それから、遠藤委員、橘川委員のほうから、省エネ法、それから高度化法への言及、それから業界団体でなく個社レベルでの参加ができる仕組みとありましたが、省エネ法・高度化法とも、個社を念頭に置いたものでございますので、その点ご理解願えればと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

服部室長、何かございますか。よろしゅうございますか。

それでは、一当たりご意見をいただき、ご質問にはお答えをしたと思います。

これで閉会したいと思いますが、閉会に当たりまして山地委員長から一言ご挨拶をいただきます。

○山地委員長

今日の議題は、地球温暖化対策計画の骨子案に対して、自由にコメントをいただくということだったので、意見にばらつきがあるという認識は私もしましたが、有意義な議論ができたかと思います。

基本的には、この計画は我が国が提出した約束草案の着実な実行、あるいは必要に応じたレビューによる修正ということですので、科学的知見に基づいたきちんとしたレビューを行っていくということが、私は基本であろうと思っております。

その中で、しかし、パリ協定の中で、例えばグローバル・ストックテイクという視点から、世界全体での道筋をチェックしていくというのがあります。そこが長期対応、長期目標ということだと思います。この件に関して、かなり意見が分かれたと思いますが、私は基本的には温暖化問題の不確実性を考えると、やっぱりリスク対応、つまり重層的な対応をしていくということだと思います。

そういう意味では、浅野会長も含めて意見が出ているんですけれども、2050年の我が国の数値目標を掲げた長期的対応よりも、重層的な対応という意味では、例えばイノベーションであるとか、国際的な貢献を戦略的・長期的に行うとか、そういうことが今回の骨子案には書かれてるように思いますので、私はこの対応で良いのではないかと思いますが、これは今後の議題というふうに考えます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

目標という言葉には、いろいろな意味があるんですね。それで、やはりどうも日本語の目標も、英語のゴールも、なかなかニュアンスをうまく伝え切れないものがあるということを、別の会合で随分議論いたしました。

環境基本計画で2050年80%、それを目指すと書いてある。これは当時委員の中から、目標は嫌だが、目指すのだったらいいよというご発言がございましたので、じゃあ、それで行きましょうということで、目指すと書いたことを覚えております。目指すと書こうと、目標と書こうと、同じことを言っているようでもあるのですが、日本ではどうも、目標と言うと、がちがちと何がなんでも達成しなければならない義務があるように聞こえる。目指すと言うと、まあいいかなというふうに聞こえる。そこがどうも問題ではないでしょうか。しかし、先々どこまでやらなければいけないかという目安がわからなかったら、技術開発できないじゃないですか。それを目指すという表現を使って、それでいいなら、それでもいいし、目標と言ってみても一向に構わないのではなかろうかと思っております。目標という場合に、そこには守らなければならない目標と目指すところという目標とがあるだろう。そういうことを含めて、意見を申し上げているつもりでおります。

さて、最後に経済産業省の産業技術環境局の井上局長からご挨拶をいただきます。

○産業技術環境局長

本日は時間の制約がある中で、要点を絞っていただきまして、数多くの貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。

実は、今朝の地球温暖化対策推進本部で、安倍総理から温暖化対策について、これから検討、それから実行していくに当たっての三つの原則ということで指示をいただいております。

一つ目はイノベーションによる解決、二つ目が国内投資を促し国際競争力を高めること、三つ目に国民に広く知恵を求めることという指示をいただいたところであります。

それで、こうした中で、今日もご報告をさせていただきましたような、エネルギーミックスの実現に向けましたエネルギー革新戦略、それから革新的な技術開発戦略、エネルギー環境イノベーション戦略につきましては現在政府の総合科学技術イノベーション会議の下に、既に特別のワーキンググループが設けられまして、検討が進められております。こうした経済産業省で行っております検討、さらには政府全体で行っている検討も、先ほどの総理の指示も踏まえながら、最終的には地球温暖化対策計画に反映をさせていただけるように、鋭意進めてまいりたいと考えております。

この合同会議の皆様方には、引き続き地球温暖化対策計画の取りまとめに向けてご意見を頂戴するわけでございますけれども、今後とも何とぞよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。

○浅野部会長

それでは、事務局から連絡事項がありましたら、どうぞ。

○低炭素社会推進室長

ありがとうございます。本日は、委員の皆様、活発なご議論をありがとうございました。

地球温暖化対策計画につきましては、本日のご意見を踏まえまして、関係省庁にて策定作業を進めてまいります。その後改めて本合同会合においてご議論をいただきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

また、本日の議事録につきましては、先ほど部会長からお話がございましたような対応も含めまして、これからやらせていただきますが、まず、今日のご発言について事務局のほうで取りまとめを行いまして、皆様にお送りをし、ご確認及び、恐らく追加ということもあろうかと思いますが、いただきました後ホームページに掲載をさせていただきます。

次回の開催につきましては、事務局から後日ご連絡をさせていただきます。

以上でございます。

○浅野部会長

それでは、本日の議事はこれで終了いたします。

ご協力ありがとうございました。

午後 3時00分 閉会