中央環境審議会 地球環境部会(第121回) 議事録

○土居低炭素社会推進室長 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会を開催いたします。 本日の審議は公開とさせていただきます。 では、冒頭、浅野部会長よりご挨拶をお願いいたします。

○浅野部会長 久しぶりに地球環境部会だけの独自の開催ということですが、今日は内容的には、環境基本計画の点検という、本来、この部会固有の仕事を中心にご議論いただくことになりますけれども、大分長いこと部会を開いておりませんでしたので、いろいろと忌憚のないご意見を聞かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○土居低炭素社会推進室長 続きまして、地球環境局長の関より一言ご挨拶を申し上げます。

○関地球環境局長 本日はご多用の中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。ちょうど1カ月ほど前に、この場で産業構造審議会との合同会議を行いまして、京都議定書の目標達成計画の対策・施策の進捗状況について、ご議論いただいたところであります。

 本日は単独開催ということでありまして、環境基本計画の点検としまして、この地球環境部会にご担当いただいております、平成24年度、25年度におきます地球温暖化に関する取組の点検につきましてご議論をいただきたいと、このように思っております。

 また、来年の夏頃を目途としまして、政府全体の適応計画を策定するべく作業を進んでいるところでございますけれども、当部会のもとに昨年設置されました、気候変動影響評価等小委員会におきまして、今年の3月に中間報告を取りまとめていただきました。本日はその内容をご紹介させていただきまして、幅広い見地からのご意見を頂戴できればと考えております。

 さらにご承知のとおり、IPCCにおきまして公表されました、第5次評価報告書の三つの報告書の要点や、前回の合同会議以降の地球温暖化対策の状況としまして、2020年以降の新たな国際枠組みに関する議論の進捗や、G7の成果など、国際的な動向につきましてもご報告させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○土居低炭素社会推進室長 それでは、カメラにつきましてはここまでとさせていただきます。続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の次に、配付資料一覧が1枚であります。その次に、委員名簿が1枚紙でついております。議題の一つ目に関しましては、環境基本計画の点検ということで、資料1-1、そして、1-2、1-3と三つ資料がございます。議題の2関係でございますが、資料2といたしまして、気候変動影響評価等小委員会の中間報告のつづりがございます。議題の3といたしまして「IPCC第5次報告書について」という横長のもの。そして、議題4といたしまして「最近の地球温暖化対策の状況について」というものでございます。本資料は以上でございまして、続く参考資料といたしまして、第4次環境基本計画の地球温暖化に関する取組の抜粋、参考資料2-1といたしまして、気候変動影響評価等小委員会の趣旨を1枚紙でつけております。また、参考資料2-2といたしまして小委員会の名簿、参考資料3-1からがIPCCの報告書でございまして、報道発表資料に続きまして、3-2といたしまして「政策決定者向け要約」、参考資料3-3が第2作業部会の公表資料、そして、3-4といたしまして政策決定者向けの要約(原文)、そして、3-5といたしまして第3作業部会関連の資料、そして、要約が3-6ということでついてございます。不足等がございましたら、お申しつけください。これからの議事進行につきましては、浅野部会長にお願いいたします。

○浅野部会長 それでは、議事に入りたいと思います。今、資料のご説明にもありましたように、まずは環境基本計画の点検についてでございます。その後、気候変動影響評価等小委員会から中間報告をいただき、またIPCCの評価書の報告をいただくこと等々でございます。

 では、早速議題1でございます。本日は、議題ごとに説明をいただく。その上でご質問、ご意見をいただく。こういう進め方でまいりたいと考えておりますが、まず、第4次環境基本計画についての進捗状況の点検についてでございます。この議題につきましては、他部会よりも当部会での作業が遅れておりまして、本日、点検項目をどうするかということについて皆様からのご意見を伺い、その上で各省に対して質問状を出して、そのご回答をいただいた上で、さらに、次の作業をということになります。

 それから、これまでは京都議定書の目標達成計画の進捗状況の点検をすれば、環境基本計画の点検に代えることができたわけですが、昨年度は目標達成計画が切れてしまっておりますので、その部分は全く環境基本計画に沿ってそれ自体の進捗状況を点検して検討しなくてはいけないという事情のもとにあるということでございます。

 それからもう一つ、これも大変悩ましいことですが、第4次環境基本計画をつくったときに、2020年の目標についてはややペンディングっぽい書き方をしていて、その後にそれが確定したら計画自体も変えますみたいなことを書いて、何となく逃げているような面もないわけではないのですが、その点がまだ相変わらず暫定的な状況のままにおかれていて、決まったといえば決まっているのですけれど、しかし、依然としてすっきりしない状況であるわけですから、、そういう状況を踏まえながら点検をしていかなければいけないということもございますので、よろしくお願いいたします。

 では、事務局からご説明いただきます。

○土居低炭素社会推進室長 それでは、資料1-1、1-2、1-3に基づきましてご説明を申し上げます。

 まず、資料1-1でございますが、こちらは昨年12月に総合政策部会におきまして議論された第2回の環境基本計画点検の進め方の資料でございます。まず、全体のスケジュールでございますけれども、平成26年度の点検のスケジュールが1枚目に記載されております。下から二つ目のところでございますけれども、最終的な出口といたしましては、中央環境審議会として、点検報告書というものをお作りいただき、閣議報告するというところでございます。それに向けまして、9月頃から総合政策部会におきまして点検報告書の取りまとめの議論をいただくということでございまして、案をまとめ、審議の後、パブリックコメントを実施するという予定になっております。

 ここにインプットするために個別の分野ごとに点検を行うというのが、この夏の作業になっておりまして、分野横断的な部分につきましては、4月ごろから総合政策部会で議論が始まっておりますし、また、各重点分野の点検につきましては、地球温暖化問題、生物多様性、物質循環、化学物質が今年度の点検でございますので、それぞれ担当の部会におきまして点検をいただくというところでございます。それに当たりましては、関係府省へのヒアリングなども行っていただくというものでございます。今回は、この点検を行うべき重点検討項目をご議論いただくというものでございます。

 おめくりいただきまして、2ページ目が、点検をする分野をまとめております。下の表のところにございますけれども、横断的な重点分野①~③、そして、個別の重点分野④~⑨、さらに復旧、復興、汚染回復という項目が立っております。

 ①、③の横断的分野につきましては、毎年度点検を行うということで、○が全ての年度についております。

 ④~⑨までの個別の案件につきましては、4年間のうち2回点検を行うということで、④にございます「地球温暖化に関する取組」につきましては、今年度と28年度、この2回ということでございます。

 そして、3ページ目でございますが、点検を行う項目の内容につきまして、3.として四角に囲っておりますけれども、「なお」といたしまして、個別の分野につきましては各関連部会において点検項目について審議いただき、決定をするという流れになっております。

 この総合政策部会の進め方に基づきまして、地球環境部会における点検の進め方、また、内容を資料1-2、1-3で示してございます。

 まず、点検の進め方でございますけれども、1.概要の2段落目に書いてございますけれども、今回の点検につきましては、平成24年度と25年度の内容について、ご審議いただきたいというものでございます。

 なお、平成24年度の中身につきましては、先日、京都議定書目標達成計画の進捗状況の点検というものを行っておりますので、これを活用すると。

 また、25年度につきましては、今回、項目を定めていただいた後、関係省庁に点検の作業をお願いするという流れを考えております。

 スケジュールにつきましては、先ほど申し上げた全体の流れでありますけれども、地球環境部会の作業が四角囲みで書いておりまして、本日を入れて、3回ご審議をお願いできればと思っております。本日は重点項目について審議をいただき、決定いただく。その後、各省の調査を経て、点検報告書の案というものを次回、8月5日にお示しをし、関係府省からのヒアリングもお願いしたいと思っております。その議論を最終的には、8月29日におまとめをいただくということで、その結果を総合政策部会にお渡しするという流れでございます。ですので、実質的な内容につきましては、次回以降となっております。

 そして、資料1-3でございますけれども、点検をする重点検討項目の案でございます。項目ごとに二つほど選ぶという流れになっておりますので、今回につきましては、温暖化対策のうち、適応につきましては、後ほど進捗をご説明しますが、まだ成果が上がるという段階ではありませんので、削減・吸収対策、いわゆる「緩和」の部分の点検項目を掲げております。

 上の段、①といたしまして、国内でどのような対策を行っているのかというところでございまして、中ほどにa)からc)ということで、エネルギー起源のCO2から始まりまして、その他の温室効果ガスの削減対策、さらに森林等の吸収源対策、これらを網羅する形で点検を行っていただいてはどうかというものでございます。

 二つ目の項目といたしましては、下の囲みにありますけれども、国際的に日本がどのような貢献を行っているのかという分野でございまして、気候変動枠組条約のもとでの貢献、さらにそれ以外での多国間での取組、また、2国間クレジット制度の活用を初めとする2国間の協力、こういった内容について、ご審議を賜ればと思っております。

 それぞれ関係府省という形で、ヒアリングの対象と考えられる省庁も掲げておりまして、こちらについてご審議を賜ればと思っております。

 事務局からの説明は以上でございます。

○浅野部会長 よろしゅうございましょうか。念のために申し上げますが、参考資料1に、第4次環境基本計画の地球温暖化に関する部分の抜粋が載っておりまして、今、土居室長の説明にありましたように、今回の点検項目として、事務局がつくりました案は、この重点分野でいいますと、73ページ、74ページあたりに重点的取組事項と挙がっているもののうち、③、④、⑤と、それから⑥に掲げられているものをとりあえず挙げてみたということでございます。

 必ずしも目標達成計画以降の計画がきちんとはできていない状況の中で、目達計画が終わった後の1年間、引き続き同じように取り組むという政府の決定のみを拠り所として、ことが進められてきているものですから、他になかなか書きようがないということで、部会長としては、やや安直だなと思っておりますけれども、これでご勘弁いただけたらと思うわけです。 何かご意見がありましたら、お聞かせください。また、この省にも質問したほうがいいということについてもご指摘いただけるようでしたらお願いいたします。

 ご発言をご希望の方は、どうぞ。名札をお立てくださいますように。

 それでは、長谷川委員、原澤委員、それから、井上委員、この順番でお願いいたします。

○長谷川委員 ありがとうございます。それでは、この点に関しまして、今、浅野先生から参考資料73,74ページの③、④、⑤、⑥あたりと言われましたが、72ページの③事業者というところには、「主体的、自主的かつ積極的に実施」とされております。また75ページでは、国内排出量取引制度につきまして、2010年12月の閣僚委員会決定を引用し、「国内において先行する主な地球温暖化対策(産業界の自主的な取り組みなど)の運用評価」などを「見極めて、慎重に検討を行う」とされております。

 そして、自主行動計画に関しては、今年の5月28日の中環審・産構審の合同会合で紹介された、茅先生が座長を務められている「自主行動計画に関する総括的評価に係る検討会」や、平成26年版の環境白書において、高い成果を上げてきたと評価されております。こうした評価も踏まえ、この環境基本計画の点検に当たっていただきたいと思います。

 以上でございます。

○浅野部会長 わかりました。どうもありがとうございました。原澤委員、どうぞ。

○原澤委員 質問二つ、一つは、資料1-3ですけれども、中ほどに第1回の隔年報告書の記載があって、先ほどのご説明ですと、24年度までは目達計画ができている。25年度は、その目達計画に代わるものとして、第1回隔年報告書の中に書かれている対策等が、計画とみなして、これが対象になるのかどうかというところを確認させていただきたいのが、1点目です。

 2点目が国際的な地球温暖化対策ですけれども、例えば、これは24年度、25年度だけじゃなかったと思いますけれども、京都メカニズムの評価も結構重要なことではないかと思いますし、産業界がやっていたセクターベースアプローチはどうしたのか、その辺まで広げると大変かと思うのですけれど、基本的な点検の範囲を確認したいということです。

○浅野部会長 わかりました。それでは、ご質問につきましては後ほどお答えいただきます。では、井上委員どうぞ。

○井上委員 ありがとうございます。点検の進め方で、一つご質問と意見なのですけれども、資料1-1の3ページに、地方ブロック別ヒアリングというのが載っていますが、この中では、いろいろ地方で掲げております地域実行計画、実施状況も含めてヒアリングされるのでしょうかというのが質問でして、と申しますのは、地方独自でCO2の排出の届け出制度なんかもつくっておられますが、我々の事業としては、その地域を超えた事業をいろいろやっている中で、地域ごとに別々の届け出制度があると非常に煩雑な作業であったと、この5年間の経験から思っておりますし。それから、地方独自のカーボンオフセット制度なんかもございます。そういった中でコスト効果、あるいはかけた労力に対するCO2の削減効果があったのかということも含めて、ヒアリング点検を行っていただけると、この5年間の実績がまた次に生かせるものと思いますので、よろしくお願いします。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。わかりました。では高橋委員、どうぞ。高橋委員、高村委員の順番です。

○高橋委員 ありがとうございます。高橋でございます。私から、資料1-3にかかわって、まず、ここの重点の検討項目として、一つ目に、国内における温室効果ガス削減の取組と、それから、項目2として、国際的な地球温暖化対策への貢献という、この二つについて挙げていただいていることについては、まずもって賛成でございます。

 ただ、確認をしたいことが1点ございまして、例えば、グリーン・イノベーションなど、新たな技術開発とか、低炭素社会に向けた取り組み、また税制のグリーン化などについても、ここの1の中のa)、またはb)、こういうことに含まれていると捉えてよろしいのでしょうかというのが1点でございます。

 また、2点目のところ、これは質問になろうかと思いますけれども、国際的な地球温暖化対策への貢献ということで、4行ぐらい下のところに、国連気候変動交渉以外の場でも、多国間の枠組みを活用した温暖化対策が実施されるなど、国際連携を推進しているところと書いてございますけれども、ここについて具体的にどのような取組が進められているのか、お聞きしたいということと、今後、そのような計画というのがあるのかどうかについても少しお聞きしたいと思っております。

 以上でございます。

○高村委員 1点でございます。原澤委員のご発言とかかわっておりますけれども、第1回の隔年報告書を提出して、既に国際的には来年の6月に多数国間の評価を、2020年目標の進捗について受けることが決まっております。そういう意味では2020年目標、暫定の目標として出しているものの、当然、前提となっていた省エネ、再エネの想定があると思いますので、それに照らして、進捗が評価できるような情報を出していただきたいと思っております。これが来年の多数国間評価の準備の一環にもなるような形で位置づけていただきたいということでございます。

 以上です。

○浅野部会長 高橋委員、高村委員、どうもありがとうございました。それでは、ご要望としてのご発言は、ご要望として承ればいいと思いますが、事務局で答えられる範囲で答えてください。

○土居低炭素社会推進室長 第1回の隔年報告書に関するご質問がございました。こちらにつきましては、2020年の日本の目標を、どのような対策・施策をもって実現していくのかということを取りまとめたものでございます。

 中身につきましては、平成24年、25年などに行われているものの拡大、延長、こういったものも含まれておりますけれども、具体的に隔年報告書としては2020年に向けての作業でございますので、必ずしもこのまま今回の点検の中で隔年報告書について直接触るというものではないかと思いますが、項目としてはかなりオーバーラップをしていくということだと思っております。

 また、分野横断的な施策である、社会、経済のグリーン化などにつきましても、点検をいただく項目になろうかと思いますが、全体として、分野横断的な取組の点検につきましては総合政策部会でも行われていますので、役割分担を個別に調整をさせていただきまして、どちらの部会で点検の作業を具体的にするのかということは調整させていただければと思っております。

○浅野部会長 井上委員からのご質問のブロックヒアリングでございますが、ブロックヒアリングは総合政策部会が行いまして、横断的な項目を中心にやるということになります。京都に伺いますが、京都では主に森林関係を扱うということで、ご懸念の話は全然出てきません。ですから、もし必要であれば、ここでそれについてはご発言をいただいて、何らかの形で取り扱うということになろうかと思います。

 それから、今、室長から話がありましたが、横断項目の中で、グリーン・イノベーションの問題を取り扱っていますので、そこでかなりの部分はカバーできると思いますが、税制の問題は、必ずしも十分に今年扱っていると思いませんので、それは一定の進捗がありましたし、今、一生懸命、環境省も考えておりますから、それはここで扱う余地はあるかもしれませんので、そこはまた、総合政策部会を所管する環境計画課とよく協議をして、どちらで扱うかということを話し合うということにしたいと思います。

 あとは高村委員、それから原澤委員からのご指摘は、次の本来国がやらなきゃいけない作業と、ここでの作業というものが、できるだけ効率的にうまく利用できるようにという趣旨のご発言だと思いますので、ばらばらにやらないで、一括してできるものはやったほうがいいだろうと思いますから、極力ご趣旨に沿うように作業を進めていきたい、このように考えております。

 ほかに何かご意見、ご質問ございますか。よろしゅうございますか。

(異議なし)

○浅野部会長 それでは、質問項目の中身に触れてのご意見は、特になかったような気がいたします。それから、この省にも回答を求めてはどうかということについても特段のご指摘はなかったと思いますので、この重点検討項目については、今日のご意見をもう一遍よく後で事務局と相談をして、この中に加筆すべきことがあれば加筆をするということにしたいと思いますが、このような案の内容で概ねこれから作業を進めていく。詳細については、私にご一任をいただくということでよろしゅうございましょうか。

(異議なし)

○浅野部会長 ありがとうございます。それでは、これはそのようにさせていただきます。

 では、次に議題の2でございまして、気候変動による将来影響報告と、それと今後の課題について、中間報告が出ておりますので、これについては、小委員長の住先生からご説明をいただきたいと思います。

○住委員 それでは、委員長の住ですが、資料2に基づきましてご説明をしたいと思います。

 これは昨年度と今年度も続く2年の計画でございまして、これを取り巻くいろいろな、それぞれの思惑と言っては語弊がありますが、捉え方の違いがございます。影響評価をまとめるのだけど、ただ、まとめるだけかという話がございまして、その裏には、先ほど局長からお話がありましたように、政府としての適応計画がございます。そうすると、適応計画にそれはどうはね返るのだと、我が省にはどうなるのだというところが余りよくわかっていない部分があったりして、それぞれ非常に思惑等もあるのですが、ここでは主として、いろいろ気候変動の影響が言われているのだけれども、やはり議論の出発点として、客観的なデータ、でき得れば確からしさをちゃんと表現したいというのが基本でございます。そういう形で、より網羅的に今までいろいろやられている部分を集めて、客観的には表現したいと思って始めています。

 まず、背景ですが、そういう形でいろいろやっているのですが、終わりのほうに別表1というのがございますが、ほかの国がそこに載っておりますが、少なくともイギリス、アメリカ、オランダ、中国、韓国を含めて、国として気候変動どうなるかというアセスメントをやっている。中にはコストまで踏み込んでいる。リスクという形で踏み込んでいるところもございますけれども、最低限、国としての気候影響をまとめているということもありますので、そういう観点で日本は少し遅れておりますので、できれば他の国と並んで、ある意味では、そういう気候変動の影響をそれなりに評価したいなと思っております。

 それから、各府省でも独自にやられたりしたことはいっぱいございますので、できる限りそういうのを集めて、客観的な手段にしたいということと。まだまだ現在継続中なのですが、何らかの形で確からしさということを何とか表現したい。それは、今現在、こういう影響の問題に、国民的な意味での要望は、どの程度、本当に大変なのかどうかというのをちゃんと言ってほしいというのは、多分国民の声でありますので、それに応えるべく、まだまだ現在のところ、サイエンス自体が進展していないというのも事実でありまして、いろいろ言うけれど、国民の皆さんが聞きたいことには余り答えていないねという批判が常にあるということを重々承知しておるのですが、できる限りそこを埋めていきたいなと思っております。

 あと、2章の我が国における気候変動の概要、取組、取組はいろいろやっていますということで、それから将来予測もまあまあやっていますねと、これはある意味では頑張ってやっているということを書いてあります。言わせていただければ、幾らでも言いますけれど、よくやっているのですが、それは置きまして。

 2.2からの気候変動の観測結果は、これは現在わかっていることを一応網羅的に、それぞれのところから集めてきてやったということ。

 それから、2.3の将来予測は、現在、モデルでしか将来予測はありませんので、現在行われているモデルの結果をそれなりにまとめてきたというわけです。

 ここで直接は関係がないのですが、環境省の取り組みとして、この間、新聞報道されましたように、結局、今の学問的状況は、1回の積分をやったからといって全然わからない。不確かさは相当あるので、何としてもその不確かさというか、信頼度を出すためには、いろいろ変えながら、多数例に関してやってみないとわからないというのが、今の状況になっている。それがある意味では、計算時間が要るのですが、それをかけて、環境省もいろいろやられておりますので、そういう方向で進んでいるということでございます。

 あと3.で、我が国における気候変動による影響の概要等々のことが書いてあります。これもそれぞれの省で取り組んでおりますし、そういうところのものを網羅的に書いています。

 どうしても皆さん、自分のところはよくやっていると、こういう話になりがちなところがあって、そこのところのバランスをどうとるか、現実的には大事なのですが、一応ここにおいては満遍なく、それなりのところに目配りしながらまとめていくというところだと思います。

 それから、現状の3.2のところも、今どうなっているかというのがわからない、ないと、将来どういうふうになるかというのがわかりませんので、それぞれのところを各専門家の意見を集めて、まとめてございます。これに関しても、人によって意見が違い、多々いろいろな部分があろうかと思いますが、その辺をまとめてやってきたというところです。

 基本的には、3.3から始まるところの将来予測される気候変動による影響というところが一番大事ですし、皆さん知りたいところなのですが、そこに関してはなかなか、15ページから16ページに見られますように、こういう骨子でやりましょうという話になっています。それは、ただただ労力をかければわかるというものではなくて、結構難しいので、それから、どうしても、できる限りいろいろな結果をまとめて、確からしさを表現したいと思っているのですが、確からしさをどうやって表現するかという話になりますと、結局、いろいろな人が研究しているのだけども、ほとんどの研究結果は、このことを支持しているね、そのときは割と確かだねと言えると思いますが、日本の米の何とかとか、そういうものというのは関係者ぐらいしかやっていないとデータに限りがあるとか、いろいろな面で限界があったりしますので、その辺を今どうしようかと悩んでいるところですが、一応それぞれのこういう課題に関して、ワーキンググループをつくって、専門家を集めて、その中で議論して、これは起きそうだねとか、例えば、暑くなりますから熱中症が増えると、そのくらいの記述は正しいけれど、どこが増えるかなんていうのはケース・バイ・ケースだろうとか、そういう意味で、最終的には、そういうエキスパート・ジャッジメント的な形での信頼度をつけざるを得ないかなと思っております。

 例えば、全球平均気温というのは、これはIPCCでもありますように、物すごい数のモデルがあって、シナリオがあって、大体3度プラマイということは、いろいろな意味でまとまっていますから、それは確からしいですねとか、そういうことは言えるのですが、どうしてもより細かくなりますと、なかなか数が足りませんので、その辺は適宜考えながらやっていきたいと思っておりますが、そういう姿勢でやっているということです。

 何回も言いますが、フラストレーションが我々の側にもありまして、本当にどっちなのだ、早く対策を打たなければ駄目なのかどうかと、恐らく国民の人は聞きたいわけですよ。ごちゃごちゃ言うなと言われると思いますが、そこまではっきりと言えないところが現状でありますので、そこを加味しながら出していきたい。

 議論されたのは、ここでは露わになっていないのですが、こういう影響評価がどう使われるかというのは皆さん非常に関心があって、ただただ報告書が出て、それでは余りにも、やってもしようがないね、しかし、これをどう反映するか、ちゃんとしてくれと言われても、それは、例えば他省庁のことですと他省庁の所管のことですし、なかなかそこは難しいということで、いろいろジレンマがあるのですが。

 そこで、一応将来の方向性が書いてありまして、情報を集める必要がある。17ページの(1)は、それはこれでいいと思います。

 それから、取り上げていてまだ実現していないのですが、現在こういう分野では、いわゆるフューチャーアースと言われるような新しい動きがあって、従来の研究者だけがやっていることでは問題があるのではないか。だから、実際の影響を受ける人とか、いろいろな人の思いというものを聞きながら課題設定していくということが大事ではないかと言われております。

 そんなものを聞いたら無茶を言うから嫌だと思うかもしれませんが、やはりそういうことは非常に大事だろうと僕らも考えていたのですが、では具体的にどうするかというのは、未だにわかっていないところがあって、環境省としては、いろいろなところでアンケートを取り、シンポジウムなどの後に、それなりにパブリックコメント以外にも、いろいろな意味でフィードバックを聞こうという形でしておりますので、少なくともこれは国民というユーザーがいますので、そういう人たちがどういうことに関心があって、何を聞きたいかということは配慮をしていくべきだろうと、課題の設定とか、そういうことに関しても。そう思っておりますので、そのことはちゃんとできているかどうかは置いておきまして、そういう方向で鋭意考えているということはご承知おきください。

 それから、影響の評価ですが、これはとにかく確からしさというのが大事で、情報を集めても、割と自分だけのピンポイントの影響とか、いろいろな情報が入ってきますので、それをどう整理をしてどうやるか、その辺のところが、これからも大事だろうということですね。

 それから、影響の評価で難しいのは、普通の異常気象みたいな、頻繁に起きるような異常気象と、たまにしか起きないのだけれども、甚大な被害が起きるような部分を、どうバランスさせてやったらいいかということは考えていく必要があるだろうと思います。

 それから、その下の4.2、継続的・総合的に気候変動による影響の評価を進める上での課題というところも書いてありまして、まず、引き続き情報や知見の集積。特に、これは非常に難しいのですが、将来的に考えれば、コストの問題を避けて通れないので、従来、影響評価でも、こういう影響が出ます、こういう影響が出ます、こうなります、こうなる可能性がありますと言っているのは楽なので、それは嘘ではないので気が楽なのですが、では具体的にどういうアクションを取るのですかというときには、お金の問題は絶対入ってきますので、その辺のことは、これからやらざるを得ないのだろうなと思っております。

 それから、2番ですが、これから適応計画をつくって、それなりに、それに基づいて施策が展開されていくのですが、1回やったらそれで終わりということは多分ないと思います、いろいろ状況が変わりますので。僕は5年ぐらいがちょうどいいと思いますが、5年ぐらいごとに状況を見直して、今行っているような適応計画なりアクションアイテムが本当にいいのか、もうちょっと変えたほうがいいか、そういう見直しをするというプロセスが大事で、中環審がやることかどうかというのはあろうかと思いますが、政府全体の枠組みとしては、そういうチェック・アンド・レビューみたいなことをするプロセスは大事だろうと思います。

 最後に、どうしても不確定性が伴いますので、不確定性の定量化というか、それは確率で表現するかどうかというのはあると思いますが、そういうことは非常に大事だろうと。

 それから、(3)に地方公共団体等の支援と書いてありますが、先ほど言いましたように、ステークホルダーというか、住民の人とのリンクと考えたときに、何とか自治体というか、そういうところが一番フロントなのですね。現実的にそういうところでいろいろな施策が展開されていますので、国から何か言っても国民との間が遠いので、自治体が軸になって住民の人と話をしていくということが大事だろうと。それに対して国としてはいろいろ支援をしていく、そういう体制づくりが非常に大事なのではないかなということが書かれております。

 これらのことは、そういう報告書が出たので、皆さんのご意見がいっぱいあろうかと思いますが、こういう適応計画というのは、ある意味では、これは僕の個人的な意見なのですが、日本の国づくりと全部リンクしているようなことなのですね。産業構造の改革と似たようなもので、いろいろなものを21世紀は合うように組み変えていくプロセスの一環だと思いますので、それに向けて、より有効な情報を提供できるようにしたいなと思っております。ただ、具体的にどうするかというところは我々の権限ではないのですが、明らかに言われていることは、できるかどうかは別として、各省ばらばらにやってもだめだね、国として全体、整合性をとってやったほうがいいねというのは誰でも言うことなのですね。それをどういうふうにやるかというのは知りませんけど、ある意味では、国全体として整合的に、効率的に、より有効な形での適応計画全般を進めていくということは非常に大事なことであろうと僕は思っております。

 以上です。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。報告書の意図とか、あるいはどういうことを考えたのか、あるいは、さらに今後どういう課題が残っているのかという点についてのお話をいただきました。中身一つ一つについてのご説明をこの後、事務局からというのはありませんので、皆さん読んできているものという前提で話が始まります。

 ご質問、ご意見がございましたら、お出しをいただきたいのですが、大塚委員が中座をされるので、大塚委員に、まず発言をお願いいたます。

○大塚委員 ありがとうございます。今回のこの報告書をもとに、適応計画、あるいは各省の適応実行計画というのができていくのだと思いますけれども、先ほどお話にもありましたし、この検討の背景にある委託調査の検討会には出させていただきましたが、環境省が、各省の適応実行計画をまとめていくときに、全体を統括するようなことができると、本当はいいなと思っています。ただ、実際にはなかなか難しいのではないかというところもあるのですけれども、少なくともやっていただきたいのは、各省がばらばらにつくったときに漏れるものが出てくると思いますし、あるいはダブるものも出てくる可能性もあるので、全体の整合性がとれるよう、環境省で検討していただきたいということは特に申し上げておきたいと思います。

 この後、適応の計画をつくるとしたら、都道府県でも計画をつくっていただくことになると思うのですけれども、国の計画と都道府県の計画、両方でやっていく必要があると思いますが、できれば地球温暖化対策推進法の中に適応計画も入れるということも、ぜひ念頭に置いて検討を進めていただくとありがたいと思っております。

 以上でございます。

○浅野部会長 どうもありがとうございます。それでは、ほかの委員の方で、ご発言、ご質問がございましたらどうぞ。では、長辻委員どうぞ。

○長辻委員 住さんにお尋ねしたいのですけれど、この報告書をつくられるに当たって、昔の古気候は参考になさったのでしょうか。

○住委員 古気候の状況は参考にしていません。というのは、より目先、5年、10年、15年を具体的にどうするかという話のときに、古気候でやりますと、どうしても分解能が、縄文開始がこうだとか、ああだとかという話をすると、分解能が非常に違うのと、時間のスケールが違ってきますので、それをやると混乱すると僕は思っているのですね。それとも、あくまでも現在まで観測されている観測データがある範囲内で、どういう傾向が出ているのかというのが第一点。

 それで将来を考えるときに、合理的に考えるとすると、今の我々の知見では、物理法則に基づいたモデルで推論するのが最もバイアスはないだろうと、僕は思っております。それを具体的にどうするか。それとも、かつ不確実性がありますので、これは確からしいとか、これは五分五分だねとか、この辺は眉唾ものだねということをどうやって担保するかというのは、現在でもまだいろいろ議論が分かれている。

 ただ、今わかっているのは、例えば、気温のほうが雨に比べれば十分精度は高い。例えば、暑い夏が出てくるだろうということのほうが、例えば、物すごい雨がこの場所に降るなんてことは余りわかりませんので、だから、その点では、その辺を考えながらやっているということで。よくバレオの話というのは、温暖化しているメカニズムの理解とか、そういう点では非常に大事だと思いますけど、ここ10年、15年とか、そういうアクションに関しては、それを使うことは、それほど重要ではないと思います。

○浅野部会長 よろしいですか。では、高村委員どうぞ。

○高村委員 ありがとうございます。この小委員会に関わらせていただいたのですが、政府として、これだけの気候変動の、日本の影響の情報を集めて、少なくともメンバーはオールジャパンでまとめてくださったのは初めての試みだと思っていまして、そういう意味で、非常に重要な報告書案ができつつあると思っています。

 意見としては一つだけでございますが、大塚委員の意見にも関わるのですけれども、具体的にどういう施策をとるかというのは、所管官庁なり、あるいは自治体が決めていくことが多々あると思うのですが、全体として、日本で適応策を進めていくときの視点ですとか、考え方ですとか、より行きますと、先ほど整合的、効率的、統合的にと住先生もおっしゃいましたけれども、日本のシステムをどういうふうにつくって、適応策をする日本のシステムのあり方といったものを、中環審の中で、少し時間をとって議論をしてもいいのではないかということです。

 影響の評価は引き続きやっていただくとして、例えば、今出たところでも、国と地方自治体の責務、役割分担がどうかとか、あるいは計画の法定化、どういう計画にするのかといったところは、ここで少し意見交換をしてもいいのではないかと思っております。

 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。井上委員どうぞ。

○井上委員 産業界、それから電気事業としてのこの適応に関する認識でございますけれども、我々の設備というのは風水害を始めまして、十分余裕を持った設計を今やっているということから、こういった適応計画というのは非常に時間スケールの長い問題でございますので、足元、緊迫感があるかといったら、なかなか緊迫感が出てこない。設備が変わっていく中で、そういった状況に応じた設計をしていこうという考え方でございます。

 ただ、電力消費自体はもちろん変わってくるでしょうから、ここでも取り上げられておりますが、例えばエビデンスの23ページの中に、細かい字のこの表ですが、エネルギーの消費の動向みたいなものをいろいろ分析していかなければいけないということになっておりますが、省エネ機器がどう進展するのか、エネルギー消費はどう今後増減するのかという非常に難しい問題でございますから、ここではヒートアイランドによるこういった調査結果を持ってきていますが、いろいろな他の調査結果も必要になってくるなというのが感想でございます。

 以上でございます。

○浅野部会長 ありがとうございました。藤井委員、原澤委員、長谷川委員の順にどうぞ。

○藤井委員 ありがとうございます。既に小委員長が言われたことでもあるのですが、整合性のところなのですけれども、例えば、食糧についていえば自給率の問題等、あるいはインフラも老朽化等々、成長戦略そのものもそうなのですけれども、そういうものが当然前提になってくるので、それぞれの個別政策における温暖化の適応策の優先度みたいなものを、委員会として、全部こちらで仕切るわけには当然いきませんので、政府全体への要求の仕方の中に、嫌よというだけじゃなくて、もうちょっと仕組みがないと、それぞれの行政は従来の行政の論理もありますし、経緯もありますので、どこまでそれをここで言えるかなんですけれども、国全体でいえば、言われるように皆さん既にお感じのことのようで、そこをまとめていかないと、資源にも限りがあるので、国全体として、この温暖化に対応した国づくりの戦略みたいなものをちゃんと持てよと。

 とりわけ、そこで大事なのは優先度ですね。それぞれの個別政策と温暖化政策の優先度の位置づけを明確にしないと、予算は、財政が超逼迫している国ですし、民間資金をどれだけそこにインボルクするかということも入ってくると思うのです。そのような視点をぜひ出していただきたいなと思います。

○原澤委員 2点。1点は、私も小委員会に関わらせていただいて、このまとめの時点では、項目の表がございますが、そちらは、例えば別添資料の項目、これもいろいろな議論があって、最終的にこうなったということで、その時点で、私はこれでいいかなと思ったのですが、その後にIPCCのワーキンググループ2の報告書が出まして、そちらでは複数分野、地域における主要リスクが八つ出てきまして、例えば、極端現象によるインフラ等の機能停止のリスクとか、あとは気温上昇とか干ばつ等による食糧安全保障のリスクが挙げられています。どちらかというと、小委員会では日本を中心にしたリスク評価に重点を当てて、議論の中でも、外国の影響が日本にどう波及するか間接的な影響もちょっと話題にはなったのですけれども、そこは次という話で、IPCCではその辺を先取りしたような形になってきています。今年度の議論では、そういったことも含めて項目出しをしておいたほうがいじゃないか。

 ただ、実際に研究があるかというと、ないところもあったりするのですけれど、やはり外国で起きたことが間接的に日本に影響するというのは、重要な視点になっていくのではないかというのが1点目です。

 もう一つは、来年夏の適応計画にこれがどう生かされるか、自治体との関係とか、PDCAへの回し方とか、いろいろ関連することが出てきて、そちらはどういう議論がされるのか、部会で、そういった内容も含めた議論もするべきじゃないか。たまたま目標の議論もされるということなので、適応と緩和は別々にやるというのも一つの案ですけれども、やはりインタラクションするべき項目ではないかと思います。

 これはぜひお願いとして、この部会で、そういった議論もできる時間をとっていただければというのがお願いです。

○長谷川委員 ありがとうございます。やはり産業活動、経済活動のところに触れさせていただきたいと思いますが、13ページの(6)では、まだまだ産業のところには触れていただけていないように思いますので、欧米ではそのあたりをどのように扱っておられるのかということも含め、日本の産業や、日本企業の海外進出先の対応なども見ていただけるとありがたいと思います。

 聞くところによりますと、欧米では、「適応」よりもむしろリスクマネジメントという観点で、より強靭な経済活動ができるように、どう対応すべきか、サプライチェーンまで含めて、かなり対応が進んでいると聞いております。ぜひ、諸外国の様子なども調べていただければと思います。

 そういう意味では、将来影響一覧表の23ページ、F―01で、製造業も、項目は作成されていますが、まだ、空欄のように見受けられますので、このあたりも、日本の経済活動を支える産業がどのように今後対応していけばよいのかということも含め、参考にさせていただけるように、ぜひ調査等を進めていただければと思います。

○浅野部会長  どうもありがとうございました。住委員、どうぞ。

○住委員 別に僕が答える筋合いではないかもしれませんが、おっしゃるとおり、それは正しいのですが、非常にそういう人材がないといえば語弊があるけれど、そう多くはないのと。

 基本的に、見てもらうとわかりますように、気候変動影響で自己抑制的になっているので、それはバックグラウンドが、そういう意味でサイエンスサイドの人が多いので、こういうものの中でちゃんと言えるほど、お前らちゃんとやっているかと言われますと、飲み屋で喋る分には幾らでも喋ってもいいのですけれど、できない部分がある。

 そこが恐らく、本当は産構審でやっているみたいな形で、国として、そういう部分は絶対大事なのは確かなので、組織してもらうというのが、現実的には正しいかなと僕は思います。

 そういう点で、それこそ政府全体の中での中央環境審議会の役割というもの、その辺も本当は整理をするくらい、適応計画に伴うさまざまな施策というのは総合的かつ包括的なのです。だから、逆に心配されるのは、何でも入ってくるわけ。これも適応だ、あれも適応だと、全部それはそうだと言えばそうなってしまうので、そこは非常によく注意しなければだめだということになっています。

 ただ、そこまで大きくしなくても、非常に身近なことで言いますと、府県なんかに聞きますと、府県もみんな縦割りなのですね。何とか部、何とか部、それではほとんど話はできないのだけれど、霞が関が話をしているよというと、そこもできるようになるので、そういう意味での枠組みができるというのは非常に大事だということと。

 あと今言われていますのは、例えば、堤防をつくる中で、厳しい基準値とか、公共事業のあれがあるのですが、そこをもうちょっと緩めるとか、少し柔軟に対応できるように変えていくとか、できることは結構あると言っておりますので、その辺もよく注意していかなければ駄目なのは、どんどん話が大きくなって拡散して、何も決まらず終わりというのが大体日本のやり方なのですけれど、そうならないように、できることを一歩一歩積み上げていくということをしていけたらいいかなと思いますが。

 ただ、僕らの委員会のタスクではない。そういう大きな部分のところは、中環審の報告書ならあり得ると思いますけれど、この影響評価小委員会がそれを書いたら、何を言われるかわからないと僕は思いますので、そこはご理解いただきたいと思います。

○浅野部会長 ありがとうございました。和貝委員、どうぞ。

○和貝委員 ありがとうございます。確からしさをどう表すかというお話だったのですけれども、例えば、この影響評価と今後の課題について、時間の軸というのですか、比較的、短期的には確からしさがある程度高くできる、それから中長期的には、もう少しいろいろな要素が入ってきて分からないということであれば、時間軸として、今後の影響把握と将来予想について、短期と中長期的な、そういう分け方でもって、結論をまとめていただけると、例えば、産業対応ですとか、それから温暖化のガス抑制とか、その辺の対策の立て方に、かなり具体的な方向が見えるのじゃないかと思うのですが。

○住委員 それは15ページに書いてありまして、やはり基本的に、短期2030年、中期2050年、長期2100年と振り分けてあります。個人的なことを言いますと、やはり30年ぐらいがいい視点で、それは土木の人に言われたのですけれど、すぐできるような対策は、例えば、顕著になったから、すぐやれば間に合うような対策と、インフラみたいに結構つくるのに時間がかかるやつと、時間スケールがあって、100年というのは余りにも不確実が高いので、100年後のことで、いろいろ今の割り切り率の問題もありますので、できるかと考えますと、大体いいところが30年ぐらいで、国の長期計画で考えても、5年ごとに30年ぐらいを見越しながらの方が僕はいいかなと思っておりますが、そういう時間スケールは入れて、ちゃんと出す予定になっております。

○中根委員 今のやりとりで大分はっきりしたかと思うのですけれども、こういう影響があるということが、報告がはっきり、ある精度で出ている。また、実際に気温が上がってくる、雨がたくさん降るようになってくるということによっても、自ずとそれぞれの企業なり、それから各政府や自治体のそれぞれの部署でやられていくということがあるだろうと思います。

 例えば、高温になって、お米の質が落ちてきて、1等米の割合が少なくなってきた。そうすると、高温になっても質が落ちないような品種改良をやるなんてことは、既に始まっているわけですね。だから、それぞれの企業なり、それぞれの部署で、影響が予測され、また、実際に顕在化されたら自然に、何らかのコストはもちろんかかるわけですけれども、進むことと、特に政府や自治体がやるべきこと、調整すべきこと、この辺の分担をはっきりと絞り込んでいくというか、そういうことが大事なんじゃないかと感じます。

○浅野部会長 ありがとうございました。大体出たご意見は、かなり同じ重要なところに収斂しつつあるような気もしているのですが、いずれにしても、全体で何が問題なのかということについての、明確な俯瞰図のようなものがなければいけないのですね。そして、ある部分は完璧にリスクマネジメントの問題ですから、防災の話としてやられていることと、こちらの話とは、必ずリンクするはずです。

 ついこの間、学会で、イギリスがやっていることについての報告をお聞きしたのですが、これは完璧に適応策というよりも、社会全体のリスクマネジメントをどうするのかということをいろいろ考えていって、それぞれのステークホルダーのうち、民間企業であっても公的色彩が強い主体には適応計画をつくることを義務づけるというところまで行っているという報告であったわけです。これはすごいなと思ったのですが、適応の問題は、そのようにリスクマネジメント的に扱わなければならない部分と、今、中根委員がおっしゃったように、品種改良のような、もうちょっと別の次元で、しかし、やらなくてはいけないこととか、いろいろあります。しかし、その辺がごちゃごちゃになって議論されると、政策もなかなかうまく進まないということがあるだろうと思います。

 それから実際には、多くの委員からご指摘がありましたように、適応の課題に関しては、自治体が一番関心を持っているはずです。それで情報がきちっと提供されれば、自治体としては何をやらなければいけないかということで、自から動いていくような面もあるわけですが、しかし、それにしても役割分担をはっきりさせるということが必要でしょうから、やはり住先生の委員会に全部押しつけるというのは無理で、この小委員会は、もともとプロ集団がプロとしての大変な議論を闘わせながらおやりになっているので、その特徴を生かし、この小委員会にはできるだけ確実さ、確からしさをしっかり示していただいて、それに基づいて、それをどう使うかということは、本来、中央環境審議会の地球環境部会が、ある程度の役割を果たさなければいけないだろうということは申し上げておりますので、ぜひ今後、このことについてはこの部会でも関心をもって考えていかなければいけないと思います。

 ただし、さっきも言いましたように、他の政策領域の施策として行われることと、ここで適応策として考えなければいけないと言っていることとが、実際は全く同じことをやっているかもしれない。その目を持っておかないと、各省が全く別の立場で同じことを言って、無駄を重ねるというのでは困ると思います。

 藤井委員がおっしゃったのも、そんなようなことだったのだろうと思っていますので、やはり見取り図をつくるということを政策レベルできちんと考えておいて、そして射程距離がここまで広がるので、ここから先は環境省固有の仕事ではないのだけれども、やるとすれば一緒にやらなければいけないというような提言をしていく場所は、多分この部会だろうと思いますから、今後、小委員会の報告を適宜受けながら、部会での議論をできればしていきたいと思いますし、今回は点検項目に適応がありませんけれど、2年後には適応というのがあると思いますから、そのあたりでは、多分動き始めるだろう適応の政策について、しっかり評価し、方向性を示すということが点検報告及び検討作業の中でも行われていくのではないかと、そんなことを考えたりしているところです。

 まだ、予定の時間までには若干時間がございますが、よろしゅうございましょうか。よろしければ、次はIPCCの報告書の話になるのだと思います。

 では、議題3について、事務局から説明をお願いいたします。

○辻原研究調査室長 それでは、資料3をご覧いただきたいと思います。こちらは環境省で、概要ということで重要なポイントをまとめたものでございます。1ページをご覧いただきまして、ご案内のことかと思いますが、IPCC、第1作業部会、第2作業部会、第3作業部会とございます。

 今回、第5次評価報告書を作成しているわけでございますが、第1作業部会、科学的根拠についての報告書については、昨年9月に承認をされております。

 引き続いて、第2作業部会の影響・適応・脆弱性、この報告書につきましては、今年の3月末に、日本で初めての開催でございますけれども、横浜で開催をされた総会で承認がされております。

 引き続いて、4月に入りまして、第3作業部会、緩和策を議論するところですけれども、この第3作業部会の報告書がドイツで開かれた総会で承認をされております。

 今後の予定ですが、今年の10月にこの第1作業部会から第3作業部会までの報告書を取りまとめるような形で統合報告書というものが作成される予定でございます。

 個別に中身のご説明をしていきたいと思います。まず、第1作業部会、科学的根拠についての概要でございます。4ページをご覧いただきまして、これがエッセンスでございますけれども、まず、観測事実としては、気候システムの温暖化について疑う余地がないということで、はっきりと言い切っております。

 温暖化の要因につきましては、人間の活動が、20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高いということで、温暖化の原因が人間活動であるということが、高い確度であると記載をされております。

 将来予測につきましては、四つのシナリオで予測をしております。これはマスコミ等でも既にいろいろと書かれておりますけれども、気温上昇は最も緩和を進めた場合で、0.3から1.7℃まで幅があるということでございます。非常に高い排出が続くシナリオの場合でも、幅があって、2.6から4.8℃の気温上昇があるということでございます。

 海面上昇については、0.45から0.82メートルの範囲に入る可能性が高いと。これも高いシナリオの場合でございますけれども、こういった予測結果が出されております。

 最後に赤字で書いてございますけれども、これが今回の報告書の中で、一番の新しいポイントであったわけですが、CO2の累積総排出量と地表面の平均気温の変化が概ね線形関係にあるということが言われております。これまでに出した量というものが、最終的に気温上昇、何度上がるかというところに比例関係で効いてくるということが言われております。

 ちょっと飛びまして、8ページをご覧いただきますと、そのあたりが詳しく説明をしております。

 CO2の累積総排出量と世界の平均地上気温には、ほぼ線形の関係があるということで、この図にございますように、何ギガトン排出されれば、何度になるというものが線形関係で現われてくるということがわかったということでございます。

 したがって、より低い昇温目標を設定した場合には、また、あるいは特定の昇温目標でそれ以下にとどまる可能性を高めるためには、累積排出量をより少なくしていくことが必要であるということが書かれてあります。

 ちなみに下のほうに少し計算をしてみましたが、気温上昇を平均2℃未満に抑えるためには、800GtCに総量を抑える必要があるということでございますけれども、現在までに500GtCという量が排出をされておりまして、毎年約10GtCが排出されているということですので、このままの排出が続けば、30年程度で、この800GtCに達するという見込みでございます。

 次に行きまして、第2作業部会の結果でございます。こちらは影響・適応・脆弱性についてまとめた報告書でございます。

 概要をまとめております。10ページ以降を見ていただきたいと思いますが、まず、ここ数十年、全ての大陸と海洋において、気候変動による自然及び人間システムへの影響が現われているということが記載をされております。以前の第4次評価報告書では、影響を受けつつあることを示しているという記載でございましたので、より断定的な書き方に変わっております。

 それから、二つ目のポイントとしては、懸念の理由という図がございますけれども、これは10ページに参考の図をつけておりますが、気候変動のリスクのレベルに関する判断の根拠として、五つの包括的な懸念の理由というものを示しております。

 幾つか例を申し上げておきますと、例えば、1℃の上昇が起きた場合には、熱波、極端な降水、及び沿岸洪水のような極端な現象によるリスクが高くなる。あるいは生態系や文化など、独特で脅威にさらされているシステムで、リスクに直面するものが増加するということがわかります。

 2℃の上昇であれば、北極海氷やサンゴ礁のシステムは非常に高いリスクにさらされるということがわかります。

 3℃の上昇で、大規模かつ不可逆的な氷床の消失で海面上昇が起こるリスクが高くなる。こういったことがこの図から読み取れるということでございます。

 11ページに参りまして、先ほど原澤委員からもご指摘がございましたが、八つの主要なリスクというものが今回示されております。それが11ページに書いてございます。八つのリスクというものでございます。

 また飛びまして、13ページ、14ページでございますが、今回の報告書の特徴としまして、13ページにございますように、地域ごとのいわゆる影響によるリスク、そういったものの評価が地域ごとに示されております。この13ページは、アジア地域に関する評価を取りまとめた表を参考までにつけたものでございますけれども、アジアであれば、河川沿岸、都市洪水の増加、暑熱に関する死亡リスクの増大、そして栄養失調の原因となる干ばつによる水・食料不足の増大、こういった主要なリスクがあることが示され、それぞれ右端の棒グラフで、どのくらいのリスクがあるのか、また、現在、それから将来にわたって、どのくらいのリスクがあるのか、加えて、例えば、2℃であった場合にはどのくらいのリスクがあり、4℃であったらどのくらいのリスクがあり、それぞれ適応でどのくらいこのリスクが低減することができるのか、こういったことをまとめております。

 14ページにつきましては、まさに適応の報告書のエッセンスというべきものだろうと思いますけれども、適応がまさにリスク管理であるということをこの図で示しております。

 15ページに参りまして、こちらはまた、もう一つこの報告書の大きなポイントではございますが、レジリエントな経路と変革というのが必要であるということを示しています。こういった図で、それぞれのポイントごとに意思決定のポイントがあるということで、適切な意思決定をしていくということが高いレジリエンスを持った社会、低いリスクを持った社会をつくることにつながるということがこの図で説明されております。

 次に参りまして、第3作業部会、緩和策の報告でございます。こちらも概要をつけております。17ページをご覧ください。まず、この40年間に排出をされた人為起源のCO2につきまして、1750年~2010年の累積排出量の半分が、この40年間で出されているということが計算をされております。

 その次に、今後の温室効果ガスの緩和経路と持続可能な開発について説明がございますが、長期の緩和計画ということで、いわゆる「2℃シナリオ」を達成するためには、GHGs排出量は2010年と比べて2050年に40~70%低くしなくてはいけない。2100年時点ではほぼゼロ、又はマイナスということに、シナリオ上はなっているということが説明をされています。

 その場合、世界全体で、再生可能エネルギー、原発、あるいはCCS付き火力・バイオマスエネルギー、こういったものが2050年までに現状の3倍から4倍近くにならないと、こういったシナリオの達成というのが難しいということが書かれております。

 19ページに参りまして、さらに「2℃シナリオ」について、その特徴について抜粋をしておりますけれども、この「2℃シナリオ」というのは、2100年以前のある時点で、この温室効果ガス濃度が、2100年時点の濃度を一時的に超える、いわゆるオーバーシュートシナリオであるということが書かれております。今世紀末におけるバイオマス燃焼時に排出されるCO2を回収、貯留するバイオマスCCS、あるいは植林というようなものの大規模な普及というのが必要になってくるということが書かれております。

 ただし、CCSは未だ大規模な商業用火力発電所には適用されていないということ。それから、運転上の安全性などの懸念もあるということ。それからバイオマスCCSについては、原料の大規模生産への課題もあるということで、必要な対策ではあるが、一定の課題もあるということが記載をされております。

 さらに2030年までに、現状以上の緩和努力の実施が遅れた場合には、産業革命前に比べて、気温上昇2℃未満に抑え続けるための選択肢の幅というものが狭まり、2℃未満の達成というのが、なかなか難しくなるということが言われております。

 21ページに参りまして、緩和のコストについても今回、説明がされております。AR4でも、緩和のコストについて説明をされておりましたが、今回も改めてではございますが、緩和のコストが記載をされています。

 2100年に消費が3~11%、中央値は4.8%減少すると、これは緩和策を講じない場合と比べてということですけれども、これについては、いわゆる累積的なコストということで、今世紀中の消費が年率1.6~3%増加する前提に対して、年率で言うと0.04~0.14%のポイントの減少に相当するものでございます。

 最後にセクター別についても記載がされておりますが、今回は、エネルギーセクターについて、22ページに抜粋をして、お付けしております。

 エネルギーセクターについて、2100年で2℃未満に抑えることが可能なシナリオではどうなっているのかということですけれども、2010年、低炭素エネルギー、これには再生可能エネルギー、原子力、CCSが含まれますが、これによる電力供給の割合が、2010年の約30%から、2050年までに80%以上に増加している。2100年までにCCSなしの火力発電所はほぼ完全に廃止される。シナリオ上はこういうことになると記載をされております。

 一方で原子力については、成熟した低GHG排出のベースロード電源であるが、各種の障壁とリスクが存在するということも記載をされております。

 簡単でございますが、以上でございます。

○浅野部会長 それでは、ただいまIPCCの第5次の報告書について、ご説明いただきましたが、ご質問、ご意見がございましたら、どうぞネームプレートをお立てください。いかがでございましょうか。井上委員、どうぞ。

○井上委員 今度の5次の報告書については、大変深刻な報告書だと受け止めておりますけれど、最後のワーキンググループ3の報告書の中で、決してこの報告書は「2℃シナリオ」だけが書かれたものじゃないのですけれども、「2℃シナリオ」を実現しようと思うと、世界各国が国境を越えて、それから安全保障、それから国際交渉、こういったものをちょっと置いておいて、全ての国が温暖化対策のベクトルを一致して、対策に取り組むと。

 それから、技術的にもCCSとバイオマス付きCCSという課題が解決されて、しかもCCSですから、貯留場所がちゃんと確保できている。そういった前提に基づいて、CO2の対策コストを試算すると、これはいろいろ執筆者の方にも教えてもらいましたけれども、恐らく世界中の国が、1トン当たり10万円程度のコストになっているだろうということなので、これを平たく解釈しますと、2℃だけにこだわると、これは世界としては2℃を達成というのは非常に限りなく難しいと解釈できるのではないかと思います。

 ですから、IPCCの報告書の中には、もう少しいろいろな累積排出量も含めた、あるいは平衡気候感度とかの取り扱いも含めた柔軟なシナリオもあると思いますので、ぜひとも経費、コスト、そういった効率的な対策コスト、それから革新的技術開発、こういったものの推進と併せて考えていくべきだと思います。

 例えば、19ページに、赤字で、「CCSの技術開発を進めるとともに、早期の緩和対策が不可欠」であると断定的に書かれておるのですが、決してIPCCの報告にはそういうことは書かれていなくて、シナリオの一つの前提条件として書かれているはずですので、そういったミスリードのないような情報の発信の仕方が必要だと思います。

 加えまして、今の環境基本計画の中に、もちろん政治的にまた2℃を念頭に置いて、世界全体が50%、それから2050年までに先進国80%削減ということが書かれていますけれども、これについても、そろそろ政治レベルに、それの見直しが必要ではないかということも科学的な知見から発信していくべきだと思います。

 以上でございます。

○浅野部会長 ありがとうございました。ほかに何かご意見ご質問がございますか。和貝委員、どうぞ。

○和貝委員 少し専門的なことはわかりませんけれども、先ほどの住先生のご報告と、それから、このIPCCの評価報告書の関連ということでお伺いしたいのですが、例えば、先ほど確からしさと言われていましたが、IPCCの報告書の確からしさ、これをどう考えればいいのかということと。

 それから、これを一つの確かなものとして判定して、それに基づいて、いろいろな対応をされていくということであれば、先ほども住先生がおっしゃっていた、我が国としての影響とか、それから今後の課題についても、ある確からしさを前提にして対策を進めていく。確かの度合いが幾つかに分かれれば、そのグレードごとに対応していく。仮説に基づいた対応というのは十分に可能なのではないかと感じました。

○浅野部会長 今の点については、原澤委員、住委員、何かコメントありますか。

○原澤委員 IPCCの報告書、今回、5次報告書ですけれど、1次のときから、不確実性をどう扱うかということで非常に議論があって、第3次報告書から、例えば、メッセージのところには、いろいろな意味で不確実性を表記する形になっています。第3次のときはまだばらばらだったのですが、第4次のときには、第1、第2、第3作業部会で、少しずつ評価の仕方が違ったのですが、今回は可能性と不確実度(確信度)の二つの指標で、文章の不確実性を表記するような形になった。本文を見ると、メッセージの不確実性がわかるという形になっておりますので、そういう意味では、IPCCの第5次報告書は、科学的な知見の不確実性を統一して評価する形になっています。

 先ほどご紹介があった、小委員会の報告書とも当然連動してくることになるかと思いますけれども、基本的には、いかに多くの文献、研究事例があるかどうかというところですと、かなり満遍なく世界中ではあるのですけれど、日本にとってみると、分野によっては多寡があるということで、どう不確実性を評価していくか、一番難しい問題ではないかと思います。論文の多い分野も出てきておりますので、IPCCと同様な評価ができるようになってきつつあると、私は個人的には思います。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。河野委員、どうぞ。  

○河野委員 すみません。井上委員ご発言の目標の議論について、私の意見を申し述べさせていただきます。

 IPCCから離れるかもしれませんが、2℃目標というのは、ご存じのように、2009年のラクイラ・サミットで、先進国間で一致したもの。そのときに先進国80%減というのを決めました。その後、UNFCCCの12月の気候変動枠組条約のCOPの場でも、2℃目標というのは決定しております。

 ということなので、私もこの気候変動の問題、国際交渉の現場、ずっと長く取材してきておりますが、この辺のところというのは、そういう太い流れでできてきているので、それを2℃から2.5℃にするとか、そういう議論は世界的にないですね。だから、2℃を2.5℃にすればもっと確実じゃないかというのは、私個人としてはあまり意味がなくて、国際政治の流れの中で、それを設定して頑張ろうということなので、ご存じのように2020年以降の枠組みというのは、京都議定書のような、割り振ってどれだけ下げていくかというのは、国際交渉で割り振って各国に押しつけるというスキームではなくて、それぞれの国で自主的に決めたものがベースになるということは決まっておりますので、2℃を2.5℃にするとか、2℃に意味がないということを議論することは、あまり意味がないのじゃないかと思いますので、それは国際的な流れに沿って、日本も頑張るべきだと思います。

○浅野部会長 ありがとうございました。藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 費用議論が少し出ましたけれども、この21、22ページには消費の伸びの議論が書いてあります。ただ、当たり前のことですけれども、消費だけではなくて、当然、先ほどの適応の件もそうですが、ダメージのコストというのは、何も追加的な可能性を講じない場合においては膨大になると想像できます。膨大という言い方よりも、もう少し精緻な数字がどこかにあると思います。しかし、こうした未実現のコストは、事前に対策を講じることによる効果で消されてしまうので、もちろん見えなくなる。結果として温暖化の促進が抑制されるということなのです。したがって、これは実験によって、抑制的な施策を講じない結果としてダメージのコストが膨大になったので、やっぱり効果的な施策をやったほうがよかったねとは言えません。コスト論になるとこれまでの議論でも、恐らく事前にやるほうがコストは安くなる。ただ、ここでは追加的な緩和策の遅れは、中長期的な緩和コストを増大させるとは書いていますけれども、それだけではないと思います。つまり、事前対策によって適応コストの増大を抑えるとか、もっと言えば、それによって新たな温暖化対策を含む環境ビジネスシーンをつくり出すということになってくるのではと思います。そういう理解が望ましいのではないかと思います。

 もう一つは質問です。第3作業部会報告に、エフォートシェアリングの考え方が入っていると思います。これが、どの程度、今後の国際交渉に影響するのか、もちろん政策的にはIPCCではなくて、COPの中で議論していくと思います。しかし、第3次作業部会の報告の中で、世界を五つに分けて、地域ごとにいろいろなケースの場合に、単に削減技術だけではない面も含めて配分を考慮する考えが入っている。かつての京都議定書のときは、「共通だが差異ある責任」がありましたが、その変形バージョンみたいなものですね。そういうものがどの程度、議論の中で重みを持っているのか。あるいは今後、持っていきそうなのかという点に関心があります。その辺のご議論の中身での感触でも結構ですが、教えていただければと思います。

○浅野部会長 それでは、事務局からお答えください。

○辻原研究調査室長 ご指摘のとおり、本文を見ますと、6章だったと思いますけれども、エフォートシェアリングの議論は記載がございますが、実際には、SPMには、そういった中身というのは、詳細には記載されておりません。ただ、第3作業部会のSPMの最後のほうには施策の評価の章がございますけれども、そういった中では、国際協力は非常に重要だという抽象的な記載になっているのですが、そういった記載に丸まってしまっているということでございます。ただ、報告書本文にはございますので、今後の国際交渉の中で、こういった考え方というのが一つのケースとして持ち出される可能性はあるのではないかと思っております。

○浅野部会長 ということでよろしゅうございますか。では、高村委員、どうぞ。

○高村委員 ありがとうございます。今、続いてありました2℃の議論の、特にコストのところで、一つ事務局にご質問があるのですけれども、先ほど井上委員からありました、トン当たりの「2℃シナリオ」のコストについての言及というのが、私自身は余り記憶がなかったのですけれども、何か研究があるのかというのが、1点目のご質問であります。

 二つ目は、ここで出してくださっているように、マクロで見たときには、むしろ追加的な対策が遅れることが、同じレベルの安定化目標を達成する、2℃かどうかはともかく。安定化目標を達成するには、コストが大きくなるということはかなり明確に出されていて、2℃の議論というのは、少なくとも対策を早期に行うこと自身が、全体としてのコストを低減させるというメッセージではないかと。これは21ページにも書いてあると思いますが、これは私自身も読んで、そういうふうに書かれていたと思っております。

 3点目は、河野委員も言及されておりましたけれども、基本計画の中での2℃の言及の是非というのは、恐らくIPCCの議論だけではない、さまざまな政策的判断が必要になるところだと思っておりまして、問題提起としてあったということは理解をしつつ、少し慎重な議論が必要なように思います。

○浅野部会長 では、質問の部分で事務局から何かお答えがありますか。

○辻原研究調査室長 まずコストについてですが、トン当たり幾らかというものは、SPMには、具体的な数字は挙がっておりません。本文にあるかどうかというのは、今、記憶にございませんが、少なくともSPMにはトン当たり幾らという話はなくて、むしろSPMでは、この対策がなかったら何%コストが高くなるのかと、そういう比較はございます。

 そういった中で、CCS、BECCS等が非常に重要な技術になるというのは、コスト比較をしてもわかるというようなことが書かれております。よろしいでしょうか。

○井上委員 すみません。トン当たり10万円と申し上げたのは、確かにIPCCではなかったかと思いますが、RITEさんが、同じシナリオを前提として分析すると、恐らく10万円ぐらいかかっているだろうという報告書を目にしたものですから、それを引用させていただきました。

○浅野部会長 ということでございます。

 ほかにご発言、ご質問がございますか。よろしゅうございましょうか。

(な し)

○浅野部会長 それでは、今日はこのIPCCの報告書については、ご報告を承ったということで終わらせていただきます。

 では、次でございますが、最近の地球温暖化対策の状況についての説明をいただきます。

○秦国際地球温暖化対策室長 国際地球温暖化対策室長の秦でございます。

 それでは、資料4に基づきましてご説明をさせていただきます。

 まず、1ページ目でございますけれども、2020年以降の国際枠組み交渉でございますが、下のほうに図が書いております。これからのロードマップでございますが、2015年のCOP21、パリにおきまして、先ほど河野委員からもお話がございましたけれども、2020年以降の新たな枠組みに合意するというスケジュールになっております。

 それに先立ちまして、各国が約束草案を2015年の早いうちに示す、準備できる国は、2015年第1四半期までに、ということになっております。

 今年のCOP20におきましては、各国の約束草案を提出する際に必要な情報ですね、基準年ですとか、目標年ですとか、対象ガス、対象セクターといったような情報をはっきりさせましょうと。それから、新たな枠組みの要素を決定しましょうということになっています。

 それに向けまして、6月と10月にADPというのがございます。これはダーバン・プラットフォーム特別作業部会のことでございますが、リマの決定に向けまして準備をしましょうというものでございます。

 2ページ目に移りますけれども、そのADPの会合がこの間、ドイツのボンで開催されました。いろいろ書いておりますけれども、基本的には、いわゆる2分論、途上国と先進国は別だという議論と、そうじゃないのだと、それのせめぎ合い。基本的には、中身は従来の主張の繰り返しでございますが、このたび進んだなという部分があったのは、一番下のところでございますけれども、今後の交渉の進め方として、次回のADPの会合に向けまして、共同議長が交渉テキストの要素についてのたたき台を準備する。それから、約束草案の範囲とか、ともに提出すべき情報につきましても、共同議長がCOP決定案を提示すると。

 これは、これまでいろいろな国がサブミッションを出したりとかしたものを、一個一個議論しようじゃないかといったような流れから、ちょっと変わってきていると。共同議長の文書に即して議論しようじゃないかというのは、進め方としては大きな前進ではないかなと感じております。

 次の3ページ目でございますけれども、その要因となったものの一つが、ADP閣僚級対話という中の三つ目の○でございますが、中国が公の場で初めて、2015年早期に約束素案を出すということを明言した。これが一つの大きな要因かなと。

 もう一つは、ページが飛んで恐縮ですが、6ページでございます。このADP会合の直前に、アメリカが既設発電所を含めました排出規制案というのを出したと。これは1年ほど前にオバマさんが、今後の低炭素づくりについてのプログラムを発表したわけで、その一環でございますけれども、去年9月に、下のほうの○にございますが、新設について、新たな火力発電所のCO2排出基準案というのが出ていました。今度は既設発電所も含めて、規制案を出したと。

 そのポイントですけれども、四つ目のポツになりますが、各州において、発電部門のCO2排出率に関する2030年目標を設定したと。何々州は幾らと、そういうのが出たと。これを達成するために、柔軟に各州に裁量が与えられて、それを柔軟に達成できるような省エネ対策、新エネルギーでもいいし、それから排出量取引でもいいし、こういったことで、それぞれ下げてくださいと。三つ目のポチにありますように、2030年に30%、発電部門で削減しましょうと。こういうアメリカが積極的な姿勢を見せたと。

 アメリカと中国という、二つの世界の排出量の4割以上を占める2大大国が、こういう積極的な姿勢を見せたということで、全体的に、2015年合意に向けた機運というのが高まりつつあるのかなということを感じております。

 前後して恐縮ですが、4ページでございますけれども、国際交渉の構造でございますが、先ほども申し上げました2分論、先進国と途上国という大きな対立軸があるわけですけれども、途上国の中でも、例えば、真ん中にあります島嶼国(AOSIS)あたりが言っていることは、場合によっては、先進国以上に厳しいことを言っていたりもする。

 それから、中国を中心としますLike-Minded Developing Countriesというのがありますが、ここで出した意見が、必ずしも途上国全体から支持されないとか、そういった中で、途上国の中でも意見の食い違いが出つつあると。そういう状況の中で、来年の合意に向けた機運が高まりつつあるというのが現状かなと考えております。

 それから、次の6ページでございますが、ADPとほぼ並行いたしまして、ブリュッセルにおきまして、ロシア抜きでのG7のサミットが開催されまして、そこの首脳宣言をご紹介いたします。気候変動についても、それなりの分量が割かれておりまして、重要な議題の1個となっております。

 下線が引いてありますけれども、IPCCの報告に示されたように、緊急かつ具体的な行動が必要だと。2℃より下に効果的にとどめるためには、自らの役割を果たすという観点から、低炭素経済に引き続き深く関与する。それから、COP21に十分先立って、準備ができる国は2015年第1四半期までに約束素案を示すとともに、他国に対して我々に続くことを求めるといったようなことが、首脳宣言として合意をされたところでございます。

 それから、7ページ目以降は、2国間クレジット制度、いわゆるJCMについての簡単なご紹介でございますが、現在既にこちらに掲載しております、11か国との間で文書に署名をしたと。

 それから、8ページ目、9ページ目は、それぞれの国における具体のプロジェクトにつきまして記載をいたしております。

 あとは参考資料をおつけしておりますので、適宜ご参照いただければと思います。

 私からの説明は以上であります。

○浅野部会長 それでは、最近の動きについてのご説明をいただきましたが、ご質問、ご意見ございましたらお出しください。いかがでしょうか。河野委員、どうぞ。

○河野委員 ありがとうございます。関局長に質問なのですが、さっきからありますように、ADPで中国も来年早々に、2020年以降どうするというのを出すということを明言しましたし、アメリカ及びヨーロッパ、EUも、そういうふうに言っていると思うのですけれども、日本政府としては、環境省としてはどうしたいとお考えでしょうか。

○関地球環境局長 日本政府全体としましては、いつポスト2020目標を出すかということは意思決定されておりませんで、ただ、先ほどの今月行われましたG7のコミュニケ、これも安倍総理が出席しまして、合意しておりますし、昨年のCOP19の決議というのも、全会一致で当然日本も賛成しておりますので、COP21に十分先立って、できる国は第1四半期にということは、我が国としても合意しておりますので、第1四半期に出せれば、それに越したことはないのかもしれませんけれども、十分先立って出すと。十分先立ってというのが来年の何月なのかどこにも明示をされていませんけれども、文脈では、十分先出しで出して、それを相互にレビューすることによって、そういう結果も踏まえて、COP21で新たなルールを決めようということでありますので、当然、レビューする時間が必要でありますので、12月にCOP21が開かれたら、11月までに、それまでに出せばいいということではないということも、全体の流れでありますので、環境省としては、できるだけ早くエネルギー政策の議論等とも密接に関連いたしますけれども、新たな目標というのを政府の中で検討していきたいと、このように考えております。

○浅野部会長 では、長谷川委員、どうぞ。

○長谷川委員 どうもありがとうございます。このパワーポイントの19ページのところに、隔年報告書の第3章に載せていただきましたポイントとして、左側のエネルギー起源の産業部門のところには、低炭素社会実行計画に基づく自主的取組の推進を掲載していただいております。

 私ども産業界といたしましては、今後策定される地球温暖化対策計画においは、低炭素社会実行計画を政策の柱として位置づけていただきたいと思っておりますので、このように、世界に向けて報告を載せていただいたことは大変ありがたいと思っております。引き続き、低炭素社会実行計画を政策の柱として位置づけていただきたいと思います。

 また、国内の対策に目が行きがちではありますけれども、温暖化は地球規模の課題でございまして、解決に当たりましては、世界中で温室効果ガスを削減する視点が重要ということを忘れずに推進していただければと思います。

 以上でございます。

○浅野部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 JCMですが、今、長谷川委員も言われましたように、国際的な温暖化削減は、とりわけ途上国のCO2は、成長とともに、バランスのとれたCO2削減ということを進めなければいけない。ですから、JCMは、私としては制度としては大事だと思うのです。しかし、今までの国際的交渉の中で、これが2020年以降の枠組みとして位置づけられるような議論になっているのかどうか。日本が先行してやっているわけですけれども、もしこれが一つの有効な手段になっていくならば、他の先進国もこれを使っていくことになる。そうすると、従来のCDM/JIと並行するのか、あるいは、それらを変更するのか、その辺が国際交渉の中でどうなっていくのか、JCMは、どのように各国の二国間関係では、今も途上国との間で積み上がっているわけですが、途上国全般の中で、これをどう位置づけていくのだろうか、という点が疑問です。ちょっとくらいそういうのを途上国もやってくれるのか、あるいは、ないよりはましな程度なのか、そうではなく、ある種、ひょっとしたら国際的削減促進の切り札になり得るものなのか。私は切り札になってほしいと思うのですが、目下の国際的交渉の中での受け止めはどうなっているのか、ということをわかる範囲で結構ですが、お教えください。

○田中大臣官房審議官 6月のADPの会合に出ておりました感じを少しお話しさせていただきますが、ADPそのものの議論はかなり一般的なというか、原則的な議論が続いております。先ほどの資料の中にも、六つの柱ごとにそれぞれの立場が書かれておりましたけれども、一言で申し上げますと、コモンのほうがディファレンシエイトなのかという、先進国と途上国の対立と、さらにはルールに従って、きっちりと堅いシステムにしたいという要請、それは野心なり公平なり、いろいろな視点があると思いますが。それと、そうではなくて幅広い参加を確保するための、できるだけ柔軟な取り組みにしていこうという軸と、そういう間の非常に大きな政策的な議論をしている。まだそういう段階でありますので、一つ一つの個別の論点はたくさんあると思いますけれども、それは秋以降の議論になってくるかと思いますけれども、その中で、ただ、市場メカニズムの活用なり土地利用なり、こういったところはアカウンティングという文脈で、非常に大きな影響があるということは各国も認識をしておりますので、そういう文脈で、例えば、来年のどこかで出すことになる情報においては、そういった市場メカニズムなり土地利用なり、そういったものをどう計算し、あるいは活用しようとしているのかという情報を各国はきちんと出すべきだという主張が、多くの国からだんだん出されるようになってきているということでありまして、その中で、残念ながらJCMということを明示的に引用しているわけではございませんけれども、ただ、そういう市場メカニズムなり土地利用なりが、少しずつ議論の中に登場してくるような段階に入ってきています。逆に言うと、そういう要素が大事だということはわかっていて、ただ、環境の十全性と言っていますが、そういうものを確保するためには、それに対して、きちんと対応をとっていなきゃいけないということも同時に各国が主張を始めたということでございますので、それとは別に、補助機関会合では、従来からずっと難しい議論を積み重ねてきておりますが、こちらでも市場メカニズムをこれからもしっかりとしていくと同時に、そのために何かしっかりした対応が必要なんじゃないかという議論もなされておりますので、従来よりかなり議論は前に進んでいるのではないかと期待を込めて、私どもは思っております。

 もちろん良いことばかりではなくて、それこそ原則的に、こういった仕組みは良くないという主張も、もちろん一部の途上国からはございますけれども、体制としては、かなり以前よりは議論の場に乗ってきているのではないかと感じているところでございます。

○浅野部会長 高村委員、長辻委員の順にどうぞ。

○高村委員 ありがとうございます。2点でございますけれども、一つは、河野委員から関局長にご質問があった点ですので繰り返しませんが、交渉をご一緒する機会がございました今回のボンの会議ですが、先進国は基本的に非常に早い、例えば3月末前後を想定したようなタイミングで出すように動いているように思っております。これはG7、日米、EUの首脳レベル、あるいは閣僚レベルの合意でもそうですけれども。そういう意味で、日本国内で2015年の合意なんて、そんなに大したものはできない、あるいはできないのではないかという議論はもちろんあるのですが、もちろん交渉ですから分からないですけれども、しかし、今むしろ先進国全体の協調行動は、意味がある15年合意を成立させるために、やはり早く目標を出していこうというところにあると、国内的には認識を深める必要があるなと交渉を拝見して思っておりました。そういう意味で、私はリクエストというよりも、期待を込めての意見でございます。

 二つ目はもうちょっと深刻といいますか、短期的な問題になりますが、隔年報告書のお話を最初の議題で申し上げましたけれども、2015年、来年の6月にある、2020年目標の進捗効果を多数国間で評価するというのは、6月に日本の評価が入っているというのは事務局の予定の中でも明確にされておりまして、各国の施策の説明について、マックスで2時間、公開の場で評価をするということが手続としては紹介されております。それは、特定の審査をされた国の勧告としてまとめると。

 今回の施策は、隔年報告書に出されていますが、一番気にしていますのは、全体の2020年目標を達成に向けた施策の全体的な法令上の担保がないということであります。つまり温対法上の行動計画自身がまだ決まっていないというところが、非常に大きな問題として、そのとき指摘されるのではないかと思っておりまして、これは各省だけの話ではないのだろうと思いますけれども、その点については、来年の審査、評価を見越して、早々にお願いをしたいと思います。

○長辻委員 私もJCMについて、前から関心を持って期待はしているのですけれども、よくわからないのですね。よくわからないというのが、どこまでUNFCCCの枠組みの中で定着しているのか、定着する可能性があるのか。これがさっぱりわからない。例えば、植物の苗に例えてみれば、植えたばかりだろうと思うのですね。その根がどこまで伸びているのか。どこまで定着しているのか。この辺の感触をはっきり知りたいのですよ。

 期待を込めているという、先ほどお答えありましたけれども、そういう漠としたものではなくて、これが認められる可能性があるのか、機能する可能性があるのか。行為自体は非常にいいプロジェクトだと思うんですけれど、それがやっても認められないということになってしまえば、非常に困ったことになると思う。そこのところの見通しをはっきり知りたいのと。

 あと、JCMが日本以外の先進国でやっている国があれば、それを教えていただきたいのですが、よろしくお願いします。

○浅野部会長 それでは、先ほどと重なるかもしれませんが、もう一度、可能な限りお答えをいただけますか。例えば、日本以外でやっている国があるかというのだったら、割合簡単に答えられそうな気もするのですが。

○田中大臣官房審議官 今の国際的な議論の中で、どこまで定着しているかというご質問ですけれども、これまでのCOP決定の中でも、少なくともアクナレッジをされて、認識されているということは間違いないことでございますし、これをもとに、例えばカンクン合意なり、これからのBRの中でも、しっかりと情報を提出していくということも国際的に決まっていることですので、そういう意味では、きちんと認識されているということですけれども、これがポスト20年の枠組みの中で、どうしていくかということは、これは、そこまでの具体的な議論にはまだなっておりませんので、しっかりと位置づけられるように、これからも進めていくということしかないのかなと思っております。

 それから、日本以外の国の実施というのは、ここまで具体的なものを承知はしていないと思いますけれども、議論としては、もちろんEUのセクター別のアプローチだとか、いろいろなことがあるかと思いますけれども、ここまで具体的なものは、まだないのではないかと思いますが。

○川上市場メカニズム室長 私も、そういった具体的なお話というのは承知をしていないところでございますけれども、もう一つ、UNFCCCの中で認められているかどうかという点につきましては、こういった柔軟な市場メカニズムを活用するということ自体が認められており、具体的な、各国からの報告書中に、特に従来型の京都メカニズムとは別の様式のものも提示されているという状況でございますので、そういうものがあって、また途上国の期待も高いという状況でございます。

 おっしゃられましたように、政策自体が揺籃期でありまして、まだ具体的なクレジットが生じている段階ではございませんので、今11カ国ではありますけれども、これを一層広げながら、具体的なプロジェクト、設置補助事業などを積極的に進めまして、クレジットを積み上げていくということになろうかと思います。

 ちなみに、今年度助成をしようとしているところでは、10万トン程度のオーダーでCO2の排出削減量が生じる見込みの事業に設置補助をしておりますので、こうした実績を積み上げていくと、デファクトで、世界中に広げていくということになろうかと考えてございます。

○浅野部会長 中根委員、どうぞ。

○中根委員 このJCMの件について、ご指摘のような点については、不確実性があるのは間違いないのですけれども、ただ、こういう形で、大幅に世界の温室効果ガスの排出が減るということは明らかなわけで、こういう実績を積み上げることによって、不確実性をポジティブなほうに変えていくということを戦略的に躊躇しないでやっていくという、また、それについてネガティブな議論をなるべくしないようにする、サポートしていくということが大事じゃないかと思います。

 クレジット、JCMのC、クレジット、これをどう扱うかという問題はあるにしても、まず、JMを積み上げて実績をつくって、ディフォルトスタンダードにしていくことは重要ではないかと思います。

 もう一つ、例えば、アメリカが中国の温暖化対策に協力するという話もあると聞いていますけれども、それというのは大きな意味では同じような努力なわけですね。ですから、こういうきちんとした制度としてやっているかどうかというよりも、もう少し広く、先進国か途上国の、途上国と言っていいのかどうかというのは議論あるかと思いますけれども、効率の悪いエネルギーの作り出し方をしているところに対して、CO2を排出しないように、低減するように、協力していくということは全く同じような努力、同じような効果を生み出すものだと思います。

○浅野部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 一言だけ。ですから、JCMをもっとやりましょうということなので、今でいえば12カ国ですか、10カ国ですか、ここで日本がリーダーシップとって、グループをつくって、国際交渉の一つの拠点をつくるとか、その中に中国も呼び込むとか、そのようなリーダーシップを積極的にやっていただきたいと思います。それは要望です。

○浅野部会長 河野委員、どうぞ。

○河野委員 意見を1点だけ申し述べさせていただきたいと思います。2020年以降の新枠組みというのは、さっきも申し上げましたように、あくまでも各国の自主目標が基本ですけど、そこに総合検証というシステムを入れるということが非常に重要で、それはEUとかアメリカはかなり熱心に言っていて、私の知る限り、インドとか中国は結構そこはネガティブというか、余りそれをしたくないという動きを見せているのではないかと思うのですけれど、こういった大きい新枠組みをつくっていくという流れの中で、先進国の間での協調というか、一緒にいろいろ頑張っていくというところが大事だと思うので、日本が2020年以降どうするということを打ち出せないでずるずる行くと、結局、最も排出量が多くなっている新興国に何らかの行動をとってもらうという世界中の動きに水を差すというか、後ろから小石を投げるみたいな感じになると思うので、そこは国際交渉がどういう力関係で動いているのかというのを踏まえながら、日本政府としても適宜きちんと対応をとっていただきたいと思います。

○浅野部会長 大変大事な指摘をしていると思うのですね。国内しか目が向いていないような省があるとしたら困ると思います。

 高村委員が、法的な裏づけは何もないと言われましたけれども、法律は既にできていて、肝心の計画ができていないのですね。しかし、どういう施策をやるのですと、どこをちゃんとやるということをきちんと法律に基づいて計画に書くことは、いろいろな方法でやろうと思えばできるわけではありませんか。目標が決まるまでは検討も何もできませんといって、ずるずるやっている間に、自治体も何もしなくていいという気になってしまっているわけです。それが今一番の問題だと思うのです。

 少なくとも公式、非公式、いかなる方法であれ、法律に基づいてつくると言われている計画についての考え方の議論を始めなきゃいけないのではないですか。そこは最終的にこれで何トン下がりますみたいな話ではなくてもいいわけで、どの施策とどの施策が効果あるから、これはちゃんと今後も重点的にやらなきゃいけないというようなことぐらいは、既に目標達成計画の点検でも出てきているわけでしょうし、それから、産業界にも低炭素社会行動計画があって、それをやりますとおっしゃっているわけだから、それらを定量的に見ればどうなるかみたいな議論ぐらいをちゃんとはじめて、計画づくりの準備をしておかないと、またまた時間切れになってしまう。それが今日の一致した委員みんなの苛立ちだと思いますから、ぜひ事務局はしっかり受け止めて、頑張っていただきたいと考えます。

 それでは、時間になりましたので、本日の会議はこれで終了させていただきます。

 事務局からお伝えすることがありましたら、お願いいたします。

○土居低炭素社会推進室長 本日の議事録につきましては、事務局で取りまとめを行いまして、委員の皆様方のご確認をいただいた後に、ホームページに掲載させていただく予定にしております。

 次回の地球環境部会、8月5日火曜日、14時から16時を予定しております。よろしくお願いいたします。

○浅野部会長 それではどうぞ、次回もよろしくお願いいたします。

 本日はこれで散会いたします。ありがとうございました。

ページ先頭へ