地球環境部会(第120回)・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会合同会合(第41回) 議事録

  〇小見山環境経済室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会の合同会合を開催します。
ご多忙のところ大変恐縮ですが、先ほどの合同会議に引き続いてあと2時間ということでよろしくお願いいたします。
本日の審議は公開とさせていただきます。
また、産業構造審議会地球環境小委員会及び中央環境審議会地球環境部会の委員に交代がございました。大変失礼ではございますが、時間の都合もありまして、名簿の配付をもってご紹介にかえさせていただきます。
まず冒頭でございますが、経済産業省の産業技術環境局長の片瀬よりご挨拶させていただきます。


〇片瀬産業技術環境局長 経済産業省の産業技術環境局長の片瀬でございます。
開会は私がご挨拶して、閉会は環境省の関局長からご挨拶するということで、恒例に従いまして、私のほうからご挨拶申し上げます。
まず浅野部会長、それから、山地委員長はじめ各委員の先生方におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきまして心から御礼申し上げます。
この合同会合は、前回は昨年10月に開催をされましたけれども、そのあと地球温暖化問題、日本の政策について幾つか進展がございました。
1点目は、2020年の目標の見直しということでございます。これはご案内のとおり、90年比マイナス25%という目標があったのですけれども、それを見直すということで、昨年11月、COP19の前に開催されました政府の地球温暖化対策推進本部での議論を経まして、新しい目標を登録しました。2005度比でマイナス3.8%という目標でございます。
ただ、この目標は、原子力発電の活用のあり方を含めたエネルギー政策、それから、エネルギーミックスがまだ検討中ということで、原子力発電による温室効果ガスの削減効果を含めずに設定したという現時点での目標という位置づけでございまして、今後、このエネルギー政策、それから、エネルギーミックスの検討の進展を踏まえて見直して確定的な目標を設定するということにしているところでございます。
また、この登録に合わせて地球温暖化対策推進本部におきまして、我が国の技術力で世界の温暖化問題に貢献していくというための戦略といたしまして、攻めの地球温暖化外交戦略というものを決定、発表をさせていただきました。
この基本的な考え方というのは、世界全体で温室効果ガスを削減するためには、日本の技術力、これによって貢献していくことが非常に有用であるということで、技術のイノベーション、普及、それから、発展途上国へのさらなる資金協力というものを総合的にパッケージとしてとりまとめたというものでございます。
その一環といたしまして、世界の産官学のトップに集まっていただいて、地球温暖化問題をイノベーションでどのように解決するかということを審議するためのダボス会議みたいなものですけれども、正式名称はイノベーション・フォー・クール・アース・フォーラム、ICEFといっておりますけれども、これを毎年開催していくということを発表いたしました。経済産業省が負担をして、環境省、外務省にも共催をしていただいて、しっかり世界全体のプラットホームになるような形での会議にしていきたいと思っているところでございます。
本日、ご審議いただくのは、2012年度及び5カ年全体での京都議定書の目標達成計画について進捗状況を評価していただくということで、審議の順番ですけれども、まず経産省、環境省からそれぞれ目達計画に基づいた対策、施策の進捗状況をご説明させていただきます。その上で、この目達計画はご案内のとおり、産業界においては温暖化対策の中心的役割というのは自主行動計画であるということになっておりますけれども、その成果につきましては、経産省が事務局となりまして、環境省にもオブザーバー参加をしていただいた総括評価検討会で評価、検証をしていただきました。その結果につきましては、本日、お忙しいところお越しいただいている検討会座長の茅先生からご説明いただくという順番になっております。
これから国際交渉も本格化していくわけでございまして、そういう中で、日本としてどのような政策が効果的かということをしっかり検討しながら進めていく必要があると思います。
そういう意味では、この京都議定書目標達成計画は終わりましたけれども、さらなる対策の評価ということは極めて重要であると考えておりますので、ぜひ本日、皆様方から忌憚のないご意見をいただいて評価をしていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。


〇小見山環境経済室長 続きまして、産業構造審議会地球環境小委員長の山地委員長、中央環境審議会地球環境部会長の浅野部会長の順にご挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

〇山地委員長 産業構造審議会の地球環境小委員会の委員長を務めております山地でございます。
実は先ほどまで、前半の部ということで、2時からつい先ほどまで自主行動計画のフォローアップということで、これも中環審と産構審の合同会議を開いたばかりでございます。
今、片瀬局長がおっしゃったように、我々がやらなければいけないことは多々あるわけですけれども、しかしまずは今までやってきた取り組みをきちんと評価する。なかんずく自主行動計画というやり方、これは先ほどの議論の中でも話があったのですが、今後、世界的にも温暖化への取り組みはプレッジ・アンド・レビューという形で進められていきそうな状況であり、これは構造的には自主行動計画と類似のものでありますので、こういう取り組みがどういうふうに効果をもつのか、我々の日本の経験を踏まえて国際的にも発信していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。


〇浅野部会長 中央環境審議会の地球環境部会長の浅野でございます。
重複を避けるために同じようなことは申しません。先ほどから連続の方は大変お疲れさまでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
きょう、私が後半司会をいたさせていただきますが、先ほど局長のご挨拶にもありましたように、本日は、経済産業省と環境省の関連する施策についてご報告をいただいて討議をする。その上で他の省庁の施策についてはどうなるか。それらはそれぞれの省庁の審議会でそれぞれに議論が行われ、その結果が最終的には内閣の本部にもっていかれてそこで議論が行われる。こういう手はずになっているわけです。
ですから、私どもがここで報告の内容を全部決めるという責任もありませんし、権限もありませんので、いいたい放題でかまわないのですが、できるだけ建設的なご意見を賜りたく存じますとともに、それから、ご発言は簡潔にお願いいたします。


〇小見山環境経済室長 ありがとうございました。
カメラ撮りはここまでということでよろしくお願いいたします。
まずは配布資料の確認をさせていただきたいと思います。
議事次第の下に配布資料一覧がございまして、まず資料1が中環審地球環境部会の名簿でございます。
資料2、産構審地球環境小委員会の名簿でございます。
資料3、最近の地球温暖化対策の状況について横長のパワーポイントでございます。
資料4、エネルギー基本計画の概要でございます。
資料5-1でございますが、経済産業省の施策に係る取り組みのエクセルの表でございます。それを詳しくしたものが資料5-1、詳細版というのがその後ろについてございます。
資料5-2、パワーポイントの横長の環境省版の進捗状況についての紙でございます。それの詳細版が資料5-2(参考)ということでついてございます。
資料6-1、自主行動計画の総括の評価に係る検討会の報告書本文でございます。
資料6-2、その概要版、横長のパワーポイント。
資料6-3、参考資料の自主行動における行動事例集でございます。
このあと参考資料1-1からありますが、目次と同様でございますので、説明、確認を割愛させていただきます。
あと1枚、茅先生が提出された資料、〈産業界の京都議定書達成への貢献〉というワードを1枚配布しておりますので、ご確認いただければと思います。
それでは、以降の議事進行につきましては、中央環境審議会地球環境部会の浅野部会長にお願いしたいと思います。浅野部会長、よろしくお願いします。


〇浅野部会長 それでは議事に入ります。
本日の議題は議事次第のとおりでございまして、まずは最近の地球温暖化対策の状況についてのご報告、それから、先ほどから話がありました目達計画の進捗状況についてご議論をいただきます。
まず議題の1について、前回の合同会議以降の動きということがございますが、資料3及び資料4に基づきまして、事務局及び資源エネルギー庁からご報告をいただきます。
それから、続きまして、本日の主な議題である議題の2に関しては、資料5-1及び5-2について事務局からご説明をいただく、資料6については、先ほど局長のご挨拶にもございましたとおり、公益財団法人地球環境産業技術研究機構の茅理事長からご報告をいただく。その後に順にご質問、ご意見をいただく、このような手はずになっております。
資料3につきましては、環境省の土居室長から、資料4につきましては、お手元にあります座席表には飯田課長がおいでになってご説明をいただくことになっておりましたが、急遽所用のために佐々木戦略企画室長が代わりにご説明くださることになっています。資料5-1については小見山室長、資料5-2については土居室長、この順番でそれぞれお願いいたします。持ち時間は土居さんが10分です。オーバーしないように。


〇土居低炭素社会推進室長 それでは、資料3でございます。
おめくりいただきまして1ページ目でございますけれども、我が国の温室効果ガスの排出量ということでございまして、この4月に2012年度の排出量が確定いたしました。いわゆる真水排出量といたしましては13億4300万トンということで、2008年度から2012年度までの値が出そろったというものでございます。
右の棒グラフにつきましては、この5カ年の平均ということでございます。5年平均で実際の排出量としては12億7800万トン、そこから緑の吹き出しでございますが、森林等吸収源ということで、これまでの森林に加えまして、都市緑化の値も確定ということで3.9%分になります。
そして3つ目、京都メカニズムクレジットといたしまして、政府取得分に加えまして、民間の取得したもの、これを合わせまして5.9%、これらの合計として5カ年平均で8.4%減というのが確定値ということになっております。
続く2ページ目でございますが、新たな2020年目標ということでございます。2005年度比3.8%減というもので立てておりますが、こちらにつきましてはエネルギー政策・エネルギーミックスが検討中ですので、この値自体には原発による温室効果ガスの削減効果を含めずに設定しております。ですので、エネルギーミックス等の検討の進展を踏まえまして確定的な値にしていくというものでございます。
これらの性格を有することを条件といたしまして、一番下に書いてございますが、昨年11月に条約事務局に登録をしております。
続く4ページ目でございます。
新しい目標と合わせまして、攻めの温暖化外交戦略も発表してございます。こちらは大きく分けますと3つのパーツからなっておりまして、1つがイノベーションということで温室効果ガスの削減の革新的な技術開発を促進していく様々なツールをパッケージにしたものでございます。
2つ目といたしましてはアプリケーションということで、これらの技術をどのように普及するのかという具体的な方策を示しております。
3つ目といたしましてパートナーシップということで、脆弱国の支援なども含めまして、官民合わせて、途上国支援で今後3年間で1兆6000億円の支援を行っていくということをCOPの場におきまして示したというものでございます。
続く5ページ目でございますが、COP19における我が国の対応ということで、これら新しい目標、また、温暖化の新しい外交戦略を示すとともに、(2)のところにありますけれども、JCM署名国で会合を開き、世界全体で削減していく努力を改めて表明をしたというものでございます。
このCOP19におきまして、どのような成果があったのかが6ページ目でございまして、下の囲みに主な成果とありますが、この中でも2015年、来年の12月に開催されますCOP21、ここで枠組みが確定していくということですが、それに十分先立って、また準備できる国については、来年の第1四半期までに約束草案を示すことが招請されたというところがポイントになっております。
それらを含めまして、7ページ目には、今後の重要な事項を書いておりますが、来年パリに向けまして、今年のペルーでのCOPにおきましては、約束草案を提出する際に、どのような情報を提示していくのかを決めていく。また、9月には気候サミットが開催されるという運びになっております。
また、8ページ目には、隔年報告書、国別報告書の内容を書いております。カンクン合意、そしてダーバン決定に基づきまして、今年の1月1日までに第1回目の隔年報告書を出すようにということになっておりまして、さらに併せて第6回目の国別報告書も提出するというものでございます。
中身は、目次からはじまりまして、具体的な中身が9ページ目から11ページ目に書いておりますが、日本の様々な取組について具体的な内容をとりまとめ、条約事務局のほうに通報したというものでございます。
12ページ以降がIPCCの動きでございまして、昨年の9月、スウェーデンから始まりまして、3月に横浜、そしてことしの4月ドイツということでワーキンググループ1から3までの報告書が総会で承認されたという流れになっておりまして、それらの内容をとりまとめて今年10月にデンマークにおきまして、統合報告書が承認される予定というものでございます。
具体的な中身は13ページ目から14ページ目まで記載しておりますが、これまでの中身について確度が上がってきているというような状況かと思っております。
あと16ページ目以降がこのゴールデンウィークに総理が外遊をされた際に各国と議論をし、共同声明をとりまとめておりまして、その中で気候変動に関する部分を抜粋したものでございまして、16ページ目が日米共同声明ということで、来年のパリへの決意など、また、17ページ目におきましては、日英の共同声明ということで、先ほど申し上げましたが、COP21に十分先んじてどのような約束草案を提示していくのかということを改めてここに記載してあるというものでございます。
そのほか、日仏、日EUなど各国とも温暖化に対して前向きな考えであるということを改めて確認したというものでございます。
かけ足でございますが、直近の温暖化対策の状況についてご説明を申し上げました。


〇浅野部会長 どうもありがとうございました。
では佐々木室長、どうぞお願いいたします。


〇佐々木戦略室長 資源エネルギー庁の佐々木でございます。
先般4月11日でございますが、東日本大震災発災以降、初めてとなりますエネルギー基本計画について閣議決定いたしました。その概要について簡単にご説明を申し上げます。
今回のエネルギー基本計画でございますけれども、大臣の言葉でそのまま申し上げれば、国民生活や経済活動を支える責任あるエネルギー政策を構築せよとの、安倍総理からのご指示を踏まえて、今後のエネルギー政策が進むべき、中長期的な政策の進むべき方向性、基本方針を定めたものという位置づけでまとめさせていただいたところでございます。
昨年1年間、総合エネルギー調査会で御議論いただきまして、いただきました提言を踏まえてなされた閣議決定でございます。
資料を1ページおめくりいただきまして2ページ目を御覧いただけますでしょうか。
今、申し上げましたとおり、今回、閣議決定いたしましたものは、エネルギー政策の今後の基本的な方向性を示したものということでございまして、基本的な視点の確認から始めております。2ページ目の下の部分でございますけれども、各エネルギー源にはそれぞれ特徴がございます。3ページ目にそれぞれのエネルギー源ごとの特徴を整理してございますが、このエネルギー源には、それぞれ特徴があって、安定供給の観点、コストの観点、それに加えまして、当然ながら環境負荷、安全性、あらゆる面で様々な特徴を有しています。そういった特徴を有するエネルギー源でございますけれども、あらゆる面で優れた、これだけ使っていればいいといったようなエネルギー源がないということを踏まえまして、実現可能でかつバランスのとれたエネルギー需給構造を実現するということがエネルギー政策の基本であるということを今回のエネルギー基本計画で改めて確認したところでございます。
こうしたバランスをとりながら、2ページ目の下のところに、各エネルギー源の強みが活き、弱みが補完される、強靱で、現実的かつ多層的な供給構造を実現するとの言葉で表現されております。それぞれのエネルギー源ごとの特徴を踏まえた上で、全体としてバランスのとれたエネルギー供給構造をつくる、それがエネルギー政策の目標であるということが今回の基本計画で明らかにされたところでございます。
1ページめくっていただいて3ページ目でございます。
それぞれのエネルギー源ごとに特徴を整理させていただいてございます。まず原子力からご報告申し上げますと、ここに書いてありますとおり、低炭素の準国産エネルギー源として、安定供給と、いわゆる運転コストが低いといったような特徴を有するエネルギー源でございますものですから、さらには運転時には温室効果ガスの排出もないというような特徴がある一方で、皆様ご承知のとおり、1回事故が起こると非常に大きな損害を及ぼすというようなこともございますので、安全性の確保を大前提にした上で、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源、基本的な原子力の特徴を踏まえた上でこういった性格づけを今回のエネルギー基本計画ではさせていただいたところでございます。
一方、再エネでございますけれども、温室効果ガスの排出がない、有望でかつ多様で、かつ低炭素だというようなこと、さらにいえば燃料を輸入しなくてもいいといったような特徴もございますものですから、3年間、導入を最大限加速し、その後も積極的に推進するということで、今後進むべき政策の基本的な方向性を示しております。
ただ、再生可能エネルギー源にはそれぞれ様々な特徴がございます。地熱とか一般水力というのは運転コストが低廉だという意味で、ベースロード電源に資する、そういったエネルギー源でございますし、太陽光や風力は出力が安定しないことから、バックアップの調整電源と組み合わせることが必要である。そういったことを踏まえながら再生可能エネルギー源の最大限の導入を進めていかなければならないという、そういった性格づけをさせていただいているところでございます。
同じように石炭、天然ガス、石油、LPガスにつきましても、それぞれ性格を明らかにした上で、いわゆるエネルギーミックスにつきまして4ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらにそれぞれのエネルギー源ごとの位置づけを踏まえた上で、原発の再稼働の状況ですとか、固定価格買取制度に基づく再エネの導入の実態ですとか、産業界の方々による省エネも含めた省エネの全体としての推進の状況等々も踏まえた上で、さらには温暖化に係る国内外の議論の進展も考慮に入れて、可能な限り速やかに示すということで今回のエネルギー基本計画には書かせていただいたところでございます。
裏を返しますと、今回のエネルギー基本計画は、エネルギー源ごとの性格を明らかにした上で、今後の進むべき方向性を明らかにするという、そういった性格でまとめたものでございますものですから、具体的な一定時点におけるエネルギー源のシェア、比率といったいわゆるエネルギーミックスの数字はお示しをしていない、そういった性格のものだとお考えいただければと思います。
6ページ目に飛んでいただけますでしょうか。再生可能エネルギーのところについて一言だけ申し上げたいと思います。
今回、それぞれのエネルギー源ごとの特徴、それは原子力、石油、石炭等々明らかにしているところですが、再生可能エネルギーについても、それぞれの太陽光とか風力とかいったものと、水力とか地熱とかいったもの、それぞれの性格をきちんと明らかにしたというのが1つ特徴かと思います。
まず6ページ目には風力、地熱の導入加速、これはポテンシャルがありながらなかなか導入が進んでいないということで、風力、地熱の導入を進めるための施策をなるべく具体的に書き込んだということでございます。
さらに1ページめくっていただきまして7ページ目でございますけれども、分散型エネルギーシステム、同じ再生可能エネルギーでも、大規模集中電源の対概念として分散型のエネルギー供給システムに貢献できるものとして、木質バイオマス、小水力発電といったような再生可能エネルギーの導入も促進するということを書き込んだことも今回のエネルギー基本計画に書かせていただいているところでございます。
皆様ご承知のとおり、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入がなされて以降、再エネの導入は徐々に加速化してきているところでございます。足元でも年間10%以上のペースで導入量の拡大が進んでいるところでございますが、7ページ目の真ん中のあたりでございますけれども、そのコスト負担増といった問題も導入量の拡大に伴って発生しているところでございます。
一方、諸外国、ドイツ、スペインといったような再生可能エネルギーの導入がさらに進んでいるような国々の状況というのも徐々に明らかになってきているところでございまして、そういった諸外国の状況等も参考にしながら、最大限の利用促進と国民負担抑制を両立させる施策の組み合わせを構築することを軸にいたしまして、固定価格買取制度につきまして総合的に検討するというようなことも今回のエネルギー基本計画に書かせていただいたところでございます。
ほか、原子力、化石燃料等々を含め、これから先どういった方向でエネルギー政策を進めるかということについて基本計画に書かせていただいたところでございますが、ひるがえって最初に戻ってしまいますけれども、今回のエネルギー基本計画、多様なエネルギー源の強みを活かし、弱みを補完し合うような最適なバランスをつくっていくというような方向を明らかにしたというのが一番の性格、特徴かと思います。
そういった理解の上で、今後さらに議論を深めていきたいと思っているところでございます。
非常に簡単ではございますが、私からの説明は以上とさせていただきます。


〇浅野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、資料5-1について、小見山室長お願いいたします。


〇小見山環境経済室長 資料5-1、エクセルの温室効果ガスの排出削減、吸収等に関する対策・施策の進捗状況について経済産業省からご説明申し上げたいと思います。
経済産業省の対策・施策は、28ございます。その28対策・施策の中で〇、×、△にあたる部分がこの右から2列目の見込みに照らした実績のトレンド等の評価というところに書いてございまして、この実績のトレンドがおおむね見込みどおりであるとか、見込みを上回っているというところに関してはおおむね問題がないという評価であろうということで、本日はその中で実績のトレンドが計画策定時の見込みと比べて低いという項目、これは合計9項目ございますが、これについてご説明させていただきたいと思います。
まず1項目目でございますが、1ページ目の一番下でございます。中小企業の排出削減対策の推進(国内クレジット制度)というところでございます。
表の見方でございますが、2008年から2012年という欄が2つ左と右にあるのですけれども、右に書いている2010と真ん中がちょっと太くなっているところが、これが2010年の目標値に相当するものでございます。2010年の目標値を書いておりますが、それ以外に11、12年で展開しているものもあれば、8、9、10、11とそれを書く、左側の実績と書いているところがその実績値であります。
皆さんにお配りした資料の中に網かけになっているところがございますが、これが前回の前年の本合同会合から新しく出たデータということでございます。したがって、2010年の値というのは、大体去年出たものと同じでございまして、今年はそこに11年とか12年の足元のデータが出てきているというところをどうご評価いただくかということかと思います。
中小企業の排出削減対策でございますが、これはいわゆる先ほどご説明申し上げましたJ-クレジットの前身の国内クレジットでございますが、2010年で182万トンという目標のところを2012年で150万トン、8割程度まで出てきた。その後継のJ-クレジットはそれなりに量が出てきているということでございます。
1ページおめくりいただきまして、次は建築物の省エネ性能の向上、1つ目の項目でございますが、2010年で2870万トンの目標を掲げていて、2010年2770万トンの実績が出て、ぎりぎり達していないところだったのですが、2011年で既に3200万トンをオーバーするという実績が出てきております。省エネ基準の適合率を見ても、85%の目標に対して平均85%という達成している状況でございます。
その3つ目の下の高効率な省エネルギー機器の普及でございます。640から720万トンの目標に対して2011年の段階では562万トンでしたが、2012年度で716万トン、目標にひっかかる数字が出てきたということでございます。詳しく中を見てみますと、高効率給湯器の中のヒートポンプに関しては2010年の目標が446万から520万トンというところに対して実績282万トンと相当届いていない。これは事業仕分け等もあって導入支援が止まったということも反映しているということでございます。
ただ、それ以外の例えばエコジョーズでありますとか、高効率空調機でありますとかに関していうと、2010年の時点ではエコジョーズは達成していないのですが、2012年の時点では目標の値を達成している。高効率空調機に関しては2010年の時点で達成している。あと高効率照明、LEDでございますが、これに関しては2010年の時点で普及率0.4から0.76を目標としていたのですが、1.16ということで大きく超過しているという状況でございます。
2つ下がっていただきまして住宅の省エネ性能の向上でございます。見込値、目標930万に対して、足元出ている数字が730万トンということで、これは届きそうにないなということでございます。国交省さんと協力して省エネ基準の適合の義務化を2020年に向けて施策として行うことにしておりますので、そこをしっかりやっていくということではないかと考えております。
次のページに移っていただきましてエネルギー転換部門、3つ未達成の項目がございます。まず原子力でございます。これは2010年の値をみて未達成という状況でございますが、今後に関しては、エネルギーミックスによる方向性に従って施策をしていくということではないかと考えてございます。
その4つ下でございますが、新エネルギー対策の推進、目標3800から4700万トンに対して、3732万トンが2011年ということでございますが、ご案内のとおり、2012年度には固定価格の買取制度が導入されたということで、12、13年と非常に大きく伸びているというのが実情でございます。
その下のコジェネレーション・燃料電池の導入促進でございますが、2010年の1400から1430万トンの値、2012年1459万トンと、震災後のガス転換が進んだということで、何とか目標に近づきつつあるという状況でございます。
その下の5.5ガス対策のうち混合セメントの利用拡大でございますが、2010年112万トンに対して、これははるかに届かないという水準でございます。公共工事の量に大きく依存するということから、公共工事が伸びていないということを反映したものだということでございます。
最後でございますが、一番下の冷媒として機器に充填されたHFCの法律に基づく回収等でございますが、これは環境省さんと一緒にやっている施策でございますが、カーエアコンについては、自動車リサイクル法に基づいて回収しておるのですけれども、震災によって車自身の買い換えが進まなかったということもあり、目標がわずかに達成できていない。
業務用の空調冷凍機に関しては大きく目標を達成できていないため、昨年、法律改正をいたしまして、フロンの回収、業務用の部分を強化するという対策を講じているところでございます。家電回収に関しては、家電リサイクル法に基づき、目標を大きく超過達成するという実情でございます。
以上、かけ足でございましたが、経済産業省の施策でございます。


○浅野部会長 ありがとうございました。
それでは、資料5-2は土居室長です。


○土居低炭素社会推進室長 資料5-2でございます。
2ページ目に総括的な表がついておりまして、こちらに環境省の対策部分が載っております。◎の部分につきましては実績が目標を上回っているというものでございます。また、○についてはほぼ見込みどおりというもの、さらに△の部分が実績が目標を下回った部分になっております。特に△の部分についてご説明をいたします。
3つございまして、省エネルギー機器の買い換えの促進、そして新エネルギー対策の推進、3つ目が廃棄物処理における対策の推進という分野になってございます。
特に新エネルギーにつきましては、先ほど小見山室長からもお話がありましたように、FIT制度が入るというところで、それの様子待ちの部分もあったというものでございます。
省エネルギー機器につきましては、飛んでいただきまして19ページ目に実績が記載されてございます。こちらにつきましては目達計画の中では省エネ型の電気ポット、食器洗浄機、電球型の蛍光灯、節水シャワーなど、こういったものの買い換えを促進していくというものを位置づけておりましたが、グラフを見ていただきますと、対策ケースとして想定していたものよりも実績が届かなかったというものでございます。評価ということで囲みに書いておりますけれども、3行目のところにありますが、元々住宅の建て替えであるとか、建築物の建て替えの際にこれらの機器が入っていくということを想定しながら考えておりましたが、景気の減速などによってそもそものそういった建て替えがなかったり、また、機器の買い換えが行われなかったというようなこと、電球型蛍光灯につきましては、さらにその先をいきますLEDの普及のほうが先にいってしまったなどの要因で進まなかったかということかと思います。
具体的には20ページ目に電気ポットでございますが、当初予定には2008年まではほぼ見込みどおりだとは思いますが、その後、普及が進まなかったということで、下の棒グラフを御覧いただきますと、そもそもの電気ポットの出荷台数自体が大幅に減っているということで、そのうちの省エネ型も実数としては進まなかったということかと思います。
また、21ページ目には電球型蛍光灯の話でございますが、こちらも当初は予定どおり進んでおりましたが、震災などの節電のムーブメントによりまして、LEDが一気に置き変わっていったということがございますので、結果的には目標には届かなかったというものかと思っております。
飛びまして次が廃棄物の中味でございますが、26ページ目でございます。
廃棄物は幾つかの対策がございますが、まずそもそもの排出量が26ページ目に書いておりまして、家庭ごみ、一般廃棄物につきましては、トレンドとしては大きく排出量自体が下がっているというもの、また、下の産業廃棄物につきましても、排出量自体も落ちておりますし、赤い折れ線グラフで最終処分量も示しておりますが、こちらも下がっているというのが元々のトレンドになっております。
個別の対策が27ページ目以降にありますが、まず廃棄物分野での対策といたしまして、ごみを焼却する際に合わせて廃棄物発電をしていくという目標を立てておりましたけれども、こちらにつきましては、一般廃棄物につきましては目標を達成していなかったというもので、こちらはそもそものごみ量が少なくなったこと、こういったところが要因かと思います。
また、28ページ目を御覧いただきますと、廃棄物を燃やすことによって発生するCO2、特にカウントとしましてはプラスチックごみであるとか廃油、こういったものを燃やすことによってCO2が出るわけですが、この量を抑えるということも対策として打ち出しております。こちらにつきましては発生量自体が下がっているということがございましたので、目標値を達成できる状況になっているということでございまして、CO2の排出は抑えられたというものでございます。
また、29ページ目でございますけれども、廃棄物を焼却する際に出てくるN2Oを抑えていくということで、こちらは連続して燃やせる焼却炉で燃やすということが対策になりますが、その比率を順次上げている、こちらは順調に進んでいるという状況で、元々の排出量が少なくなったというところで、様々な要因で、達成できた、できなかったというのが左右されたというのが現状かと思います。
環境省分は以上でございます。


○浅野部会長 ありがとうございました。
それでは、資料6につきまして茅先生からお願いいたします。


○茅RITE理事長 茅でございます。このような席に私のような年寄りの人間がなぜ出てきたのかと思われる方が多いと思うのですが、私は今の山地委員長の前任者でございまして、そこで自主行動計画を扱いましたので、その後始末はおまえがやれということでこういうことになったわけでございます。ご了解をお願いします。
資料6-1と6-2がございますが、資料6-2と、私の名前でお配りました1枚の紙で説明をさせていただきます。
まず1枚紙の私の名前のものを見ていただきたいのですが、これは何を書いてあるかというと、産業界が京都議定書達成に対してどのような貢献をしたかというものを数字で簡単に出したものでございます。
先ほど説明がございましたように、京都議定書は無事達成されたわけですが、その達成の内容を見てみますと、実は温室効果ガスの排出に関しましてはむしろ増えておりまして、そこにもあるように年率1.4%、基準年より増えているという状況が出ております。
これの大きな原因は、一番下に書いてございますように、民生部門が53%、運輸部門が10%基準年よりも排出が増えたというところにあるわけですが、産業部門を見ますと、そこにございますように、基準年に比べまして約7.5%の減少でございまして、これは基準年の総排出の2.9%に当たるわけでございます。つまり産業界だけが温室効果ガスの排出を減少するということに成功したということがございます。
仮に産業部門の温室効果ガスの排出が全く基準年と同じであったとすると、京都議定書の目標は、総排出が大体5.6%マイナスという形になりまして、実は目標は達成できなかったということになります。
その意味で言いますと、産業界の努力があったからこそ京都議定書が達成できたということで、産業界の努力というものはその意味でも評価できるわけですが、その行動の中心になったのが自主行動計画というわけでございます。
そこで資料6-2を開いて、まず2ページ目をみていただきますと、そこに自主行動計画の概要が出てございます。その概要の内容はお分かりいただけるかと思うのですが、そこでどういう業種が幾つぐらい参加したかというのが絵に出ております。
御覧覧いただきますと分かるように、実は経団連が自主行動計画を提唱しました1997年には38業種しか参加していなかったのですが、2012年には実に114業種が参加しておりまして、そのうちの半分が経団連、そしてそれ以外が半分という内訳になります。
これらの業種の排出する温室効果ガス、特にエネルギー起源のCO2について考えてみますと、その総排出量は日本全体の排出量の5割を占めるという量でございまして、産業・エネルギー転換部門に的を絞りますと、なんと8割を占めるということで、自主行動計画というのはいかに広い範囲をカバーしたかというのがよくお分かりいただけるかと思います。
さてこの自主行動計画では、当然のことながら目標を掲げて、それを達成するよう努力をしたわけです。その目標にはCO2あるいはエネルギーの総量目標もあれば、原単位目標もございまして、それは業種によって様々なのですが、その内容を見てみますと、なかなかおもしろいことがわかります。
1973年、オイルショックの年から現在に至るまでの原単位の低下状況というのが出ております。日本はご承知のオイルショック以来、省エネルギーには大変な努力をいたしまして、そのために原単位を約3割改善し、世界でも最も省エネルギーが進んだ国という評価を得たわけですが、それをベースラインといたしまして、さらに平均1割改善するというのが目標でございました。そして結果としてどうなったかと申しますと、当然これは業種によっていろいろ違うわけですが、これを業種の数の単純平均で見てみますと約17%改善となっておりまして、目標の10%改善に対してほとんど7割オーバーする結果になった。大変うまくいったという結果になっております。
次の4ページに出ておりますのはその内容を示したものでございまして、ここにあるように、そこで84業種と書いてあるのがこれは達成をした業種の数が出ております。そして一番下の部分だけが目標が達成できなかった業種でございますが、先ほど申し上げましたように、業種の数でいえば達成した方が圧倒的に多数である。ただ、残念なのは電力のように排出が大きいけれども、いろいろな事情から達成できなかったという業種もあるわけですので、これはご承知の東京電力福島第一原発の事故などのようにやむを得ない理由もあるかと考えております。
それから、5ページに出ておりますのは、総量達成に関しての要因分析でございます。総量達成を目標とした業種も幾つもございますが、例えばそのうち経済産業省所管の14業種を調べてみますと、そのうち12業種については、生産が落ちたリーマンショック、あるいは大震災の後、これを仮にそういうことがなかったとして、生産量が復元としたら一体どうなるかということを調べたわけです。つまり経済が落ち込んだときには当然のことながらCO2の排出などは減るわけですが、そういったことを一応なかったとしてこれが従来の経済成長のままでいったら、一体目標達成したことになるだろうかというのを調べてみたわけです。当然この方が厳しいわけですが、14業種のうち12業種はそれでも目標が達成できたという結果になっておりまして、総量という面からみても、自主行動計画の目標達成は可能であったということがお分かりいただけるかと思います。
これを別な面から考えてみたのが6ページでございまして、これは自主行動計画の1つ1つを調べたわけではございませんが、世界の各国の省エネルギーのための限界削減費用をモデルを使って計算した例でございます。
このモデルはたまたま私どもRITEの持っておりますモデルでございますが、この結果をみますと、左側の絵にあるように、日本の場合には削減の限界費用が57ドル/トン-CO2という結果になっておりまして、他の国に比べるとかなり高い値になっております。EUは38ドル、アメリカに至ってはわずか3ドルでございますが、いかに日本が省エネルギー、省CO2に努力をしたかということがここに表れています。
企業は一体どの程度この自主行動計画というものを重要視していたかということをアンケート調査で調べたのが7ページでございまして、そこを見ていただきますと分かるように、設定した目標は社会との約束である、設定した目標は必ず達成すべきものであるという2つの考えが企業の大部分、大体70%から80%近くを占めておりまして、企業が自主行動計画の目標達成ということについて極めて強い意欲を持っていたということが、これからお分かりいただけるかと思います。
そういった意味で、自主行動計画を行うことについては、政府の側から特別な指示を与えたというわけではなかったのですが、具体的には業界の団体がかなりきちんとした認識をもって実行してくれたということかと思います。
この1つの良い結果がその次の8ページに出ておりまして、自主行動計画参加業種において、同じ業種内の中小企業が一体どの程度自主行動計画を行ったかということです。それを見ますと、やはり自主行動計画を実行した業種の方が、その業種での中小企業の参加が大きいということが分かっておりまして、やはり中小企業を引き込むためにも、業種全体が自主行動計画を実行することが非常に有効であったということがいえるかと思います。
9ページと10ページは飛ばさせていただいて、最後に包括的に評価したものが11ページでございます。詳しいことは申しませんが、先ほど申し上げましたように、実際に自主行動計画によって、産業界が他の分野と異なって、温室効果ガスの排出を基準年よりも減らすことができた。そして目標を達成できた業種が大部分であったということで、これは成功と位置付けてよろしいかと思います。
現在、経団連は、低炭素社会実行計画を策定して、今後も同じように自主行動計画方式を実行しようと考えておりまして、これはこれまで以上に力を入れてやっていただくことを私どもは希望しております。
以上でございます。


○浅野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま資料についてのご説明をいただきましたので、これよりご意見を承りたいと思いますが、5時ぐらいには席を立たなければいけないという事前の通告をいただいておりました委員からご発言のご希望がおありでしたら優先的にご発言をいただきたく存じます。


○佐久間委員 佐久間でございます。
ただいま皆さんのお話を伺わせていただきまして、産業界として今後の取組についての基本的な考え方をショートコメントさせていただきます。
まず振り返り、産業界は今、茅先生、あと関係省庁の方からのご説明にありましたように、これまでの自主行動計画によりまして温暖化対策を推進し、多くの成果を上げたと考えております。従いまして、2013年度以降につきましても、産業界としては主体的、積極的に低炭素社会実行計画を推進する決意であります。
政府におかれましては、今後の国内政策においても、低炭素社会実行計画を政策の柱に位置付けていただきたいと考えております。これが1点目。
2点目、これは検討の視点ということでございますけれども、今後の国内の削減目標につきましては、まずは成長戦略、次にその成長のために必要なエネルギーは何か、どういうものかということ、そして最後にCO2の削減目標、こういう順番で検討していただきたいと考えておりますし、そうあるべきだと考えてございます。
その削減目標を検討する際には、実現可能性、国民負担の妥当性、国際的な公平性、この3条件を満たすということが必要だ。真水で設定すべきだと考えております。
以上です。


○浅野部会長 ありがとうございました。


○中根委員 攻めの地球温暖化外交戦略で一言申し上げたいと思います。
この外交戦略は非常によくできていますし、世界でCO2を減らすということが結局は温暖化、気候変動対策になるということで全体的には非常にいいと思います。
ただ、実際に単にそれが補足的なものという位置づけがこれまでされがちだったのですけれども、やはり本来CO2を減らすということ、温室効果ガスを減らすということが一番大事だということを明確にして、例えば具体的な実行の中では、何をすれば、どういうことをすれば一番効果的に温室効果を減らすことをできるかということをリストアップして、その中で日本が貢献できるものを重点的にやっていくというようなやり方も必要なのではないか。ある意味極端に聞こえるかもしれませんけれども、CCSが一番有効に行える場所を世界中でリストアップをして、また、安定的に行えるものをリストアップして、それを日本が貢献できるものを順にやっていくとか、火力発電所で効率の悪いものをリストアップして、日本が貢献できるものを順番にやっていくとか、そのぐらい費用対効果の高いものから日本がやっていくというようなことを考えてもいいのではないかと思います。
以上です。


○大塚委員 2点だけ簡単に申し上げたいと思いますけれども、自主行動計画の総括的な評価には、茅先生のもと、私も加わらせていただきましたが、先ほどご説明がございましたけれども、資料6-2の9ページのところにもございますように、自主行動計画については、やはり計画の履行が担保されないというところがちょっと問題がありますので、今回、一定の成果を収めていただいたことは大変良かったと思っておりますけれども、この点について低炭素社会実行計画においては今以上に、この前に行ったフォローアップの検討会がまさにそうなんですが、履行についてのフォローアップの強化を是非していただきたいと思っております。これは先ほど申し上げたことですみません。
もう1点ですけれども、エネルギー基本計画についてのご説明もいただきましたが、現在の地球温暖化対策計画は、法律が改正されてから1年もたっているのですけれども、まだできていない状況で、いろいろご苦労なさっていることは承知しておりますが、法律が改正されてから法定計画がたなざらしになっているという非常に異常な状況でございますので、ぜひ早急にお作りいただきたいと思います。一定の条件の下でというようなことになるのかもしれませんけれども、ぜひお作りいただきたいと思っているということを申し上げます。
以上です。


○浅野部会長 ありがとうございました。
それでは、予定の時間が6時までということになっておりまして、もう残る時間が60分を切ってしまったのですが、開始が3分ぐらいおくれたので、ここまでは許容の範囲かな、それでさらに最初のプレゼンが予定の時間より10分ぐらい延びています。あとは座長の帰りの飛行機の時間がありますので、最大延ばせるとしても15分ということになります。一切質問に対する回答なしと仮定して、言いっぱなし、聞きっぱなしで終わりますが、それでこれからのご発言ご希望の方は札をお立てください。よろしいでしょうか。それでは、本日は産構審側からご発言をということでございます。ただいまご発言ご希望の委員数が18人で時間は約60分です。どうぞ各自の持ち時間は暗算でお願いいたします。では秋元委員からどうぞお願いいたします。


○秋元委員 何点か申し上げたいのですけれども、まずIPCCの報告書が出たというところで、私はIPCCのリードオーサーをしていましたので、そこの解釈ということを申し上げたいのですけれども、1つのやはりポイントは、2°C目標といっても、この前回の報告書から比べていろいろなパスがあるということは1つの強いメッセージではないかと思います。そういうふうに伝わっていないのはちょっと残念ですけれども、しかも2°Cがかなり最近の世界排出量の増加から非常に難しくなっているという状況も1つのメッセージだろうと思います。
そういう中で、何を考えるべきかといいますと、やはりいろいろなもう少し幅をもった不確実性の中で我々意思決定していく必要があるだろう、何かトップダウン的にがちっと目標を決めて、そこから逆算していくという世界ではないのではないかというのが1つのIPCCの大きなメッセージであろうと思います。
それとともに、やはりこの自主行動計画というのは、まさにそういう状況に合っていると思っていまして、自主行動計画というのはプレッジしてレビューする。先ほどの会議で申し上げましたけれども、それがまさに今、国際的な枠組みになろうとしているというところもあって、結論としてのCO2排出量はここに絶対収まるというものではないかもしれないけれども、全体としてCO2を効果的に削減するという枠組みがこのIPCCが言おうとしていることと自主行動計画というものがマッチしているし、しかも今回、日本の戦略としてACEという形で、長期的に技術で削減していこうというところとも非常に合致している。まさにそういう土俵、土台が今、国際的にもできあがっているというところで、日本の貢献が非常に重要になっているのではないかと思っています。
最後もう1点だけ申し上げますと、やはりエネルギー基本計画のほうで3EプラスSというものが非常に強調されたところだと思います。ただ、ここは温暖化の委員会なので得てしてCO2のところばかりに目がいきやすいですけれども、そうではなくてやはりエネルギー安全保障、もちろん経済性は非常に重要だし、エネルギー安全保障といったようなところも含めて我々は戦略を立案することは重要ではないかと思います。
以上です。


○浅野部会長 ありがとうございました。岩船委員どうぞ。


○岩船委員 東京大学の岩船でございます。一番よく分かるところについて述べます。機器の買い替え、温暖化対策として省エネ機器の普及が計画策定よりも進まなかったという指摘がありましたが、これらの効果がフローベースで評価されているようです。買い換えによってどのくらい効果があったかという評価しかされてないのですが、本来は実態を把握するためにはストックベースでするべきです。例えば電気ポットの話がありましたけれども、恐らく今は瞬間式のポットに皆さんどんどん買い換えているはずですね。ということを考えると、省エネ型の貯湯式のポットが売れなくても別にかまわないわけで、本来、家でどのくらいエネルギー消費が減ったか、という評価が重要で、そのためにはストックベースの評価が重要です。もちろんそのためにはデータが必要で、その整備も重要です。 もう1つは、そういった場合に、今はどうしても標準世帯ベースで1軒当たりの効果を定量化していると思うのですけれども、今後はやはり単身世帯がどんどん増えてくる、そちらもそういった世帯類型ごとに切り分けて、もう少し政策をきめ細かく考えていただきたいと思っております。
以上です。


○浅野部会長 ありがとうございました。内山委員どうぞ。


○内山委員 低炭素社会実行計画に向けてコメントさせていただきます。
今回、自主行動計画の総括で電力のCO2排出原単位が非常に大きな影響を与えるということが明らかになったわけで、このことはエネルギー基本計画がまだ定量的に決まってない中で、今後、低炭素社会実行計画に大きな影響を与えるということが予想されます。
そういうことで電力の原単位を決めるということは非常に大事になりますが、それがまだわからない中で、各業界が目標を設定することは難しいと判断します。その解決策として電力の原単位は固定して設定すべきではないかと思います。とりあえずは基準年である2005年度の電力原単位に設定して、その上で各業種が目標を設定するということを望みたい。
もう1点、要望です。今回の自主行動計画で日本の技術がいかに優れているかというのが分かったわけで、これからアジアを中心にいかにそういう技術を輸出していけるかが国際的にみても日本が果たす役割として大きいということは皆さんも了解していることだと思います。そういう点でACEの攻めの地球温暖化外交戦略に期待したいのですが、これを具体化する活動、行動を早急にやっていただきたいと思っております。
以上です。


○浅野部会長 ありがとうございます。大石委員どうそ。


○大石委員 今のお2人の意見と同じですけれども、これだけ企業の方たちが努力して削減が進んでいる中で、あと何が残るかというとやはり民生部門、あとは世界に目をやったときに、日本がこれだけ頑張っていても、その効果が海外で認められるというか、実施できるかという点がこれからの課題になるのではないかなと思います。ですので、この日本の技術をぜひ海外で活かせるように自主行動計画をさらに進めていただきたいというのが1つです。
それとあとは先ほどの岩船委員の意見と同じですけれども、環境省の方の京都議定書の計画の進捗状況のところで、やはりポットですとか電球型蛍光灯の話が出て、きちんと目標が達成できてないということで出てきたのですけれども、これは逆に言えばもっとそれ以前の、例えばごみであれば出さない、リデュースとかというところで貢献できている部分も大きいと思うので、例えば省エネ機器に買い替えないで省エネ自体を実施しているというふうに考えれば、評価の仕方がもっと違ってくるのではないかなと思いましたので、ちょっと意見を述べさせていただきました。
以上です。


○浅野部会長 では亀山委員、崎田委員、杉山委員の順番です。亀山委員からお願いいたします。


○亀山委員 農工大の亀山です。
資料5-1の対策・施策の進捗状況、これについてちょっと感想を述べさせていただきます。
この資料は極めて重要な資料だと思いました。すなわちここ何年かの間になされた対策がどういう効果が生まれたかという、いわゆる産業界がどういうふうにそれをとらえたかというのが極めてリアルに書かれている。例えば実績のトレンドが見込みを上回ったというのは、その施策が非常に効果的だったために、産業界がそれに応えてどんどん省エネといいますか、CO2削減を行ったということは、今後、ここの部分についてはもっと加速的に対策を行えば、それ以上のことが得られるというのが出てくると思う。
もう1つ、逆に実績のトレンドが見込みを下回ったというのは、やはりもう少し工夫すればそういうことがもっと期待できるのではないかというようなことがありますので、ここをうまく分析して、次のCO2削減のための生きた対策をやっていただければと思います。
一例だけあげますと、コジェネレーション・燃料電池の導入促進、これの絶対値はかなり大きな効果を生んでいるのですけれども、実績のトレンドが計画策定時の見込みに比べて低いということですが、この前に私は燃料電池の戦略委員会に出たのですが、ものすごく大きい量の導入が期待されています。ですから、そこのところをどう対策すればうまくこれが期待どおりになるか。これはぜひ政策の方で真剣にやっていらっしゃると思いますが、効果的な対策をとっていただければ、このあとのCO2削減に大きく結びつくと思います。
以上です。


○崎田委員 今回、経済産業省と環境省の担当の政策の評価ということでご報告いただきまして、報告の仕方が違うというのを皆さん、お気づきになったと思うのですが、環境省のご報告が◎、○、×、△と分かりやすいのも最初に入れていただいて、社会全体の目線からいくと、そういうのを入れていただくと大変分かりやすいですし、今後総務省の政策評価もそういうことを期待している方向性にあると思いますので、評価を出していただくときに、少し事前にご相談いただいて、見方を分かりやすく、似たようにやっていただくと大変ありがたいなという感じがいたします。
なお、ただし○、×、△というようなことが出ると、△や×に対して非常に厳しい視点でチェックをするということになりますので、それがきちんと挽回すれば○になる可能性があるのか、かなり大変なのかという今後への展開とか展望、そういうものが分かるような形で出していただいた方がいいのではないかなという感じがいたしました。よろしくお願いします。
そのことからいうと、環境省の資料で廃棄物のところが△になっているところが、もちろん課題はありますけれども、指標になっているのが最終的なエネルギー回収のところなのであれば、もうちょっと全体的なところを評価したほうがいいのではないかという、事前に先ほどご意見がありましたが、そういう目標設定の仕方というのももう1回考えていただくのがいいかなと思います。
なお、全体的なところからいくと、先ほど産業界の削減努力が非常に進んでいるというお話がありました。私もデータ的にそういうふうなことになっていると思いますが、総排出量というのがやはり多い産業界ですので、ぜひ自主的な努力というのを継続的に進めていただければありがたいと思います。
なお、継続的な努力をするときの方向性ですけれども、先ほどサプライチェーンにちゃんと呼びかけている業種は、削減が進んでいるということもありました。そういうところをもっともっと徹底していただきたいなと非常に思います。どうしてかというと、私は地域で自治体の環境学習情報センターの指定管理者をしている団体の代表も務めております。そこで今やはり地域の民生部門のCO2が非常に増加傾向にあるということが大変課題になっていますので、住民、そして中小事業者が本気になって取り組むための施策を延々やっているのですけれども、やはり中小事業者の方々は削減努力がどういうふうにコスト削減に繋がるかとか、インセンティブが明確にならないと現実的にはなかなか取り組みにくく、現場は本当に苦労しながらやっているという状態ですので、もっとサプライチェーンに入ってない業界に対しても情報をきちんと、先進的な取り組み事例などいい情報を出すとか、いろんなことをもっと積極的に考えていただければありがたいと思います。
そういうときに、例えば商工会議所のような地域密着型の事業者のネットワークときちんと繋がって、そういう話を出していくとか、やはり1対1だけではない、もう少し大きな視点でそういう流れを作っていただくと、地域社会での連携もしやすいのではないかなと思っています。
今後そういうことを踏まえて、日本が世界全体に発信するときに、日本政府としての2020年以降のCO2排出の目標値ですけれども、やはり世界に対しても強い目標値が出せるようにみんなで頑張っていくことが大事だと思っております。よろしくお願いします。


○杉山委員 事前に資料を提出しております参考資料6として資料の一番下につけていただいていますので、これでお話をいたします。
京都議定書の目標達成計画の検証についてですけれども、1枚めくっていただきまして、まず目標達成計画の優れた点としまして、これを含めて日本の政策パッケージというのは世界でも最も整備されたものであることは間違いないので、これだけのことをやっているのですというのは積極的かつ明確に外に説明していく必要があると思います。そのためには、こうして政府による自己評価も必要ですけれども、ただ、複数の機関による検証というものが必要で、これなくして対外的な説得力というものが生まれ得ない。それから、それをやっておくことで今後の日本自身の政策の改善にとっても重要でありますので、複数機関による政策の検証、それをベースにした対外発信ということがまず1つ目です。
以上、良い点ですけれども、次のスライドをみていただきまして、目標達成計画は数値目標を達成するという明確な目標がありましたので、もちろん数値目標重視でそれはいいのですけれども、その一方で、費用対効果ということについては非常に軽視されてきたのではないかと思います。今日のご説明資料を見ても、費用対効果への言及がほとんどなかったと思います。
これから温暖化対策が進化していくためには費用対効果は当然よくなければいけない。アカデミックにここは書いていますが、温暖化対策になぜ政府が介入するかというと、それは市場経済だけでは温暖化問題は解決しない、市場の失敗があるから。ただ、その一方で、温暖化対策を非効率にやってしまっては、今度は国民経済を損なう、政府の失敗が起きますということで、政策目標というのは市場の失敗と政府の失敗両方を足したものを小さくすることである。このような視点からも費用対効果の検証というのはやはり要になってくる。特に、今日ご説明いただいた内容は、直接規制と、それから補助金がかなり多用されているシステムです。これをうまく運用すればもちろんいいのですけれども、大抵、海外の経済学者とかに話をすると、それは効率が悪いのではないのかというのが真っ先に飛んでくる質問ですので、そこはきちんと検証しておく必要があると思います。費用対効果というときに、そう単純に円割るトンCで全部片づくわけではないよというのはそのとおりで、その次のスライドですけれども、これは法規制と書いてあるのは、直接規制と書きたかったところを間違えて法規制と書いてしまっているので、直接規制と直していただきたいのですが、どのような規制にも、あるいは政府が何か提供する場合にも、目的というものははっきりしていて、それに応じた検証というのは可能で、そういった方法論というのはかなり整理されてきていますので、この目標達成計画に並んでいる諸施策についてきちんと評価をすることが十分可能だと考えます。
ということで最後、結論というスライドですけれども、日本の政策パッケージは世界最先端で、積極的な対外説明が必要。だが、費用対効果の観点が希薄だったため、政府の失敗のリスクがあるということで、費用対効果の複数機関による政策目的に応じた検証作業が必要です。
最後にポンチ絵ですけれども、上手な雑巾の絞り方というので、よくCO2削減というと、乾いた雑巾を絞るという言い方がされるのですが、よくよく考えてみると、乾いた雑巾を絞っても水は出てこないし、絞り方を間違えると雑巾は破れてしまうし、あんまりろくなことはない。濡れた雑巾というのは市場の失敗の状態で、これはもちろん絞った雑巾にして最適な状態にしなければならないのですけれども、絞り方を間違えたり、絞るのが強かったりすると政府の失敗になってしまうよ。こういうバランス感覚というものが今後必要になってくると考えますので、過去についてもよく検証する必要があると思います。
以上です。


○浅野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、竹内委員、田中委員、豊田委員の順番でお願いします。


○竹内委員 国際環境経済研究所の竹内でございます。
2点だけ申し上げたいと思います。
1点目がやはり日本の京都議定書第1約束期間の取り組みについて、諸外国、そして国内にも伝わっていないということを申し上げたいなと思います。
私はCOP19で石原大臣がステートメントをされた折に会場にいたのですが、実は会場で「あなた日本人ですか?」と詳しく内容を教えてくださいといわれたのは、新たな2020年目標でも、日本が拠出を約束した160億ドルの資金でもなくて、実は第1約束期間の超過達成についてどうやったのだというようなことを聞かれました。
京都議定書において、どの国がしっかりと削減努力を行ったのか、そしてそれが国内的には今までお話のありました自主行動計画という仕組みを使って産業界がどういった努力をしたのか、ここは先ほどの前半部分で申し上げた内容にも関わってきますけれども、こういった内容につきましては、政府として国内外共にしつこく訴えていただければと思っております。
もう1点は攻めの地球温暖化対策のエースであるJCMについてでございます。
国際交渉の中でJCMについては、最初は日本がまた変な制度を考えているというような警戒感をもたれていたかに記憶しておりますけれども、日本政府の方たちはゆっくりと、しかし確実に署名国という仲間をつくって展開をされて、非常に期待感が高いということを今、国際交渉の場に行くたびに感じております。けれども、まだまだ実はこれは安心ができないなとも思っております。
といいますのが、まずこれが国際交渉全体の枠組みの中でどういった制度になっていくのか、削減目標自体がオブリゲーションとなり、あたかも京都メカニズムの焼き直しのようなものになってしまっていくのかいかないのか。また、誰がクレジットをという資金の拠出をするのかしないのかという、これは相当しんどい制度設計が待っているわけです。今の署名国とのプロジェクトベースであればいいかなと思うのですけれども、相当しんどい制度設をしなくてはいけない。日本は温暖化の新たな目標を来年の早い段階で出すことを目指しているということを考えますと、非常に時間がないということが言えるかと思います。温暖化目標について、裏付けなく「えいやー」で出すことの怖さは日本は学んでいるかと思いますので、できるだけ早めに日本のエネルギー政策の足元を固めて、温暖化問題を検討できる素地をつくること、そして温暖化対策を考える場合には、先ほど秋元委員や杉山委員からもご発言がありましたけれども、改めてきちんと経済モデルを回して、どういったパスであれば持続可能で、acceptableかというところ、経済的な国民の負担というところも含めて検討していただくことを消費者としてもお願いしたいと思っております。
以上です。


○田中委員 JST低炭素社会戦略センターの田中でございます。
国内で非常に努力をして、特に茅先生のご報告にもございますように、産業部門で大変な努力をしてきた。これはまたひとえに、もちろん自主行動計画ですとか、省エネ法、あるいはトップランナー制度といったところで、いろいろな技術を基本として日本の産業界や取り巻く方々がご尽力されてきた結果だと思います。
日本はやはり技術力が非常に高く、それは世界的にも認められていることです。交渉の場ではというお話が先ほど前半の会議で竹内委員からございましたが、やはりIPCCの執筆段階にも関わっておりますと、日本の技術はどういうレベルにあるのかと真っ先に聞かれたり、産業についての情報は、本当に技術力の高さを信頼をされていて請われているということを非常に強く感じてまいりました。
こういった日本の技術を核として、今後どのように日本の今後の国内の削減の目標に繋げていけるのかというところですけれども、やはりそこを強みに、そしてそれをまた日本の経済にフィードバックさせる形で経済活動にも資するような形で枠組みを決めて固めていくことが大事だと思っています。
例えば自主行動計画や省エネ、トップランナーといった取り組みが様々あって、そこで達成できた数字だけではなくて、そこに至るまでの、制度的なインフラというものを日本はずっと発展させてきたというところが1つ強みとしてあります。そういったことを今後も続けるのにあたって、例えば国の目標ということが何か出てきたときに、産業であれば、原単位の向上度合い、家電の性能、車の燃費の向上などを数値化して積み上げていって、実際にどれだけ目標に資するのだといった考え方も必要ではないかと思います。
同時に、こういったことの技術の力を蓄積していくこと、そして広めていくというのは国際的にも、とても役立つことだと思っていて、先ほど大石委員でしょうか、お話がありましたが、例えばそれを本当にほかの国で使っていくといったことも積極的に考えていかなければいけないと思います。実際に緩和ということで考えると、世界のどこで削減しようと費用対効果が高いところでやるのが筋で、そういったところで技術移転や技術協力を進めることは、ACEで多大な拠出をすると決めたこともからめて、適したお金の使い道としてもうまいやり方なのではないかと思います。実際ACEのみならず、ODAでも日本は多大な途上国を中心とした支援を今までも行ってきて、これからもすると約束をしている。そういった日本の努力や貢献が国際的に認識してもらうようなことが重要だと思っています。これは必ずしもUNFCCCのフレームワークで認められるべきとまでは、そうなればありがたいですが、それが大事だというのではなくて、本当に日本が努力をしたことは認められるということが大事だと思っています。
また、2点目、自主行動計画のカバー率について幾つか資料の中でも言及されています。1点目と少し関係するのですが、例えば自主行動計画は業界団体が対象ですが、省エネ法では事業者が対象ということで、何度かの改正を経て大変カバー率が高く、産業でも90%をゆうに超えていて、民生でも5割近くに上がってきている。そういったカバー率を高めた制度が共存している状態なので自主行動計画のカバー率も何とか見直せる部分があるのではないかと思います。そういう制度の壁を超え、多分これは経産省や、環境省や、国交省やいろんなところがそれぞれが横断的に上手に見ていくことでよりよい道がみつかるのではないかと思います。
以上です。


○豊田委員 総論的に2点、各論的に1点お話したいと思います。
総論的な話ですが、先ほど秋元委員がIPCCの議論をされておられましたが、まだ完璧なものが出てきていないわけですけれども、統合報告書が出てきた段階で、やはり私どもに分かる形で環境省、経産省一緒になってその解釈についてしっかりとご説明をいただきたいと思います。今回のワーキンググループの報告書については、科学に基づく政策というよりは、政策に基づく科学といったような批判的なエコノミストのコメントもございます。一体どう理解していいのか、先ほど秋元委員が言われたような幅があるとして、そのほかのことについても含めどう考えたらいいのかというのを、一度しっかりと私どもに公式見解として教えていただきたいというのが1点です。
もう1つは、いただいた経産省のほうの資料20ページに日EUの定期首脳協議の声明がございまして、世界的な野心レベルと緩和構造の間に重大なギャップがあると認識すると両首脳が言っているわけですけれども、この認識に応えるためには、今の技術ではとても無理というのが多くの方々の理解だと思います。したがって、先ほどご説明のあったICEFにおいて、技術については、現在の技術ではむしろ不十分という認識のもとで、新しい技術についてぜひご議論を深めていただきたいと思います。
以上が総論です。
各論は、産業と民生について1つずつです。産業については今日、いろいろ深く議論を聞かせてもらいました。結論から言えばしっかりやっているということですが、海外に工場を移すことによって対応ができている部分、というのを整理ができるならばぜひ整理をしていただきたいと思います。佐久間委員だと思いますけれども、真水ということをおっしゃられましたけれども、真水ということをしっかり考えないと、一生懸命対応しても工場はみんな外へ出てしまう。産業の皆さんがしっかりやっていることは非常に評価いたしますけれども、工場の海外移転との関係をしっかり理解した上で産業の皆さんの努力をもう一度評価をする。それは必要だと思います。
それから、民生についてですけれども、必ずしも十分でないというご評価がありました。
少なくとも省エネ意識は非常に高まっていると思いますけれども、温暖化対策の意識が高まっているとはとても思えない。EUにおいては、これまで原子力をやっていた国でそれを脱原子力へ転換している国というのは現実にはドイツぐらいなんですね。半分の国々は今後も原子力は不可欠といっているわけです。その理由は温暖化からきているわけです。省エネだけでは不十分であり、再生エネルギーと原子力というゼロ・エミッションも重要であるという意識が国民の中に共有されているから、原子力というものに対する支持が強いわけです。
したがって、省エネということと温暖化対策を進めなければいけないという意識は必ずしもイコールではないというのが今の日本の現実だと思います。ここもしっかりこの場で議論をしていただきたいと思います。
以上です。


○浅野部会長 ありがとうございました。
それでは、松橋委員、そのあと高村委員の順にお願いいたします。


○松橋委員 産業界の自主行動計画について茅先生のご説明がありましたけれども、私も大変高く評価をしております。これだけ大きな産業界を束ねて、PDCAサイクルを回してご尽力するということは大変なご苦労があったはずで、そこを曲がりなりにも回してきたということが一番ポイントではないか。また、大量の京都クレジットを購入して京都議定書の目標達成に貢献したという点も含めて、それは非常なご苦労があったと推察いたします。
一方、分析として私ども産業連関表なんかを使いまして、長期的なGDP当たりのCO2排出量の推移というものをみて、これを主にエネルギー多消費産業の原単位の改善と、それから、元々GDP当たりのCO2原単位の低い低炭素な業種の伸びというのがあって、これは産業構造の変化ですが、その2つを分離するという試みをやってみました。そうしたところ、1990年までは確かにエネルギー多消費産業の付加価値当たりのCO2原単位というのは改善してきているのですが、それ以降、90年から2005年まではむしろエネルギー多消費産業全体としては付加価値当たりのCO2というのが増える傾向があります。それにかわって、さっき申し上げた産業構造の変化という、ICTサービスですとか医療、福祉とか、こういったもののGDPに占めるシェアの増加というものがGDP当たりのCO2の改善というところに大きく貢献しているということが私どもの評価では分かっておりまして、これに関していい悪いという評価は今は差し控えさせていただきますが、今後これをどう考えるかという点は非常に重要だと思いますので、ここで問題点としてあげさせていただきます。
以上です。


○高村委員 簡単に4点ございます。
1つは何人かの委員からもご指摘がありましたけれども、昨年末のワルシャワでの合意、それから、この間の日米、日英の首脳の合意、OECDの閣僚レベルでの合意で、明らかに2020年以降の目標設定の作業をかなり急いでやらなければいけない要請というのが国際的には生じていると思っています。
そういう意味で、今、暫定目標で2020年目標を出しておりますけれども、その次のステップをどこで、どういうスケジュールで、どういう形態でやるのか。
2つ目は、大塚委員からもありましたけれども、2013年以降の法定計画はまだ策定されていないというのは、やはり全体の2020年、暫定とはいえ、目標の進捗をみるという意味では問題な状況だと思っております。特に閣議決定では切れ目なく対策を行うとされていますし、しかも本日の資料にもありますけれども、省エネに関しても20%、再エネに関しても、とりわけこの3年間は非常に最高水準でという文言でご紹介がありましたが、やはり暫定目標であっても、特に省エネ、再エネに関して、エネルギー基本計画と閣議決定に基づいて具体的な対策と政策のメニューをつくっていただきたいということがリクエストであります。
3点目は自主行動計画について、これは前半に既に議論をさせていただいたので、簡単にポイントだけ申し上げますけれども、この経産省の検討会で出された幾つかのメッセージをきちんと受け止めて制度の改善が必要だと思っています。
1つは、これは経団連の低炭素社会実行計画の中にも書かれていますが、BATに基づく目標設定を行い、そのBATを社会的に示しながら目標を説明をしていくことが重要。あるいはBAUをどういうふうに引くかという問題もあります。
先ほど何人かの委員から費用の問題が出てまいりました。コストの程度を明らかにしていくということは一般的に私は非常に重要だと思っております。同時に杉山委員のほうからもありましたけれども、当然政策目的に応じて費用対効果は評価するべきだと思います。その意味では自主行動計画の文脈でも、確かに国単位としてのコストの問題は議論されますが、百貨店協会が今回、資料を出していただいていますように、かなり同じ業種、業態でもばらつきがあるということは、個別の事業者でも実は負担をしている費用というのはばらつきがあるのではないか。そう考えますと、やはり制度の公平性という観点からは、こうしたばらつき、コストのデータも具体的に出していただきながら2013年以降の低炭素社会実行計画のあり方を考えていっていただきたいと思います。
そして最後ですけれども、特に2020年の目標との関係では、やはり代替フロンの対策というのが非常に重要な位置を占めていると思っております。別の審議会で既に指針をつくってくださっていると聞いておりますけれども、やはりこれは国会の衆参の環境委員会でも附帯決議がありますように、やはり中長期的には廃絶することを目指すということを明確にした上で、短期的なコスト、経済的なコストだけではなく、やはり一度市場に出てしまいますと、回収するコストというのは非常に高いということもわかっておりますから、そういう意味では、代替のあるものはできるだけ転換をしていくという方針を明確にした政省令の指針というものをぜひつくっていただきたいと思います。
以上です。


○浅野部会長 ありがとうございました。
今の代替フロンの点は別の委員会でそのような考え方でやっております。ご安心ください。村上委員、藤井委員の順にお願いいたします。


○村上委員 民生部門が53%増えているという茅先生のご指摘を重く受け止めております。これは原発事故がなくてもかなり増えている。ただ、無駄に増えている部分もあるのですが、多くの部分は、国民のQOL、クオリティ・オブ・ライフが向上している部分に使われているわけです。それをどうするかと言いますと、新築は2020年に断熱とか省エネ基準の適合義務化ということで大体目処が立ったわけです。問題はストック建築でございまして、これは世界中でいい案がないわけでございますね。できたばかりのIPCCのAR5のチャプター内のビルディングですけれども、その中でもストック対策のいい案というのはあんまり書かれてないのでございます。ですから、これから国の政策としてこのストック対策に全力をあげて、例えば「リノベート・ジャパン」というような大きなプロジェクトをつくってストック対策を進めていただきたいという、これは要望でございます。


○藤井委員 まず京都議定書の目標は達成されたわけですけれども、その評価をもうちょっとしっかりしたほうがいいのではないかと思うのです。まず自主行動計画に基づく効果は確かにあったのはそのとおりではあるのですけれども、この京都議定書の達成の数字をみると、結局は一番効いたのは京都メカニズムクレジットですね、ウェートでいえば。期間中の排出量のトレンドをみても、2008年はリーマンショックの影響で減少しましたが、これはもちろん日本だけでなくて世界的に景気が低迷して行動が大きく落ち込んでいるわけです。そうした特殊事情を捨象すると、トレンドとしては、原発の事故が起きる前から日本の温室効果ガス排出量は右肩上がりになっているわけです。今後2020年以降を考えますと、個々の削減努力は当然継続していくでしょうし、あるいは自主行動計画もやっていかれると思いますが、先ほどのご議論にもあるように費用対効果を考えていくと、さらに自主行動計画で産業全体の排出量をどんどん下げていけるような環境にあるのかとちょっと疑問をもっています。効果が明らかなことはクレジットによる削減ですね。政府は今後、2国間クレジットの途上国への普及を検討されているわけですけれども、今まで考えたよりももっと大きな規模での普及が必要です。つまりそれが、先進国が求められている途上国への温暖化対策の支援の軸になると思います。今後、CO2の最大の排出源となっていく、途上国のCO2をいかに下げていくか。それに対して、我が国だけでは当然ないのですけれども、先進国がいかに費用対効果の観点から、技術移転と資金供与していくかということが大事になってきます。この点をもっと議論していかないといけないのではないでしょうか。多分恐らく日本が活用するクレジットは排出量全体の10%、20%どころではなくて、30%、40%くらい依存するというぐらいの展望をもっていかないと、地球全体の削減につながらないと思います。それが日本経済にとって費用対効果の面でどう評価できるのかを議論することになってくると思います。ところが、これまでの議論では、海外への貢献というか、協力という問題を、補助的あるいは補完的位置づけだったと思いますので、この点を今後もっと議論していきたいと思います。
それから、費用対効果の分析の重要性は本当にまさにその通りです。この場合の費用対効果分析とは、先ほどもご議論がありましたように、自主行動計画にこんなにたくさんコストをかけているのだなということでいいのでしょうか、という観点も入ってきます。個々の企業の競争力に影響が出るような形で、業界単位の自主的削減枠を目標に据えて、国際競争されている個々の企業が将来、特に2020年以降、競争と削減を両立できていくのかということも疑問を感じます。
また、温暖化対策の費用は、現状の費用だけでなくて将来費用が入ってくるわけですね。将来の対策を十分とらなかった場合に、経済全体が被る費用を誰がどう負担していくのか、それを自主的な枠組みによって企業セクターだけで負担していけるわけがない。そうすると自ずと自主行動計画も限界が出てくる。企業本来の経済活動に膨大なコストをかけて日本企業は自主的にやっていきますと言っていくと、グローバル市場で競争力を奪われるリスクがあるのではないか。
ですから、やはり本来、一番効果的にCO2を地球規模で削減できるところに日本企業の強みと資本力をもっていき、排出量を地球全体で大きく下げること自体を日本の貢献として国際的に認められるようなスキームづくりを我が国が提案していかなければならない。そうした枠組み作りをだれがやるのか他の国は我が国のためにはやってくれないですね。そのように思います。
以上です。


○浅野部会長 どうもありがとうございました。長谷川委員、冨田委員、井上委員の順にお願いたします。


○長谷川委員 2点申し上げます。
まず産業界の取組ですが、産業界はこれまでも自主行動計画によりまして温暖化対策を推進してまいりましたが、その一員といたしまして、日本自動車工業会・日本自動車車体工業会も自主行動計画に参画いたしまして、自動車生産時に排出するCO2削減について全力で取り組んでまいりました。
この経団連の自主行動計画につきましては、先ほど茅先生からも高い評価をしていただきましたけれども、先ごろ発表されましたIPCCの第5次評価報告書の第3作業部会報告書の本体、フルレポートの15章では明確に言及されておりまして、このような自主的取組が政策パッケージの一部として重要な役割を果たすということが明記されております。ただ、これは膨大な枚数の報告書でございますので、今後は政策決定者向け要約にもその有用性がよりわかり易く明記されて、世界の政策決定者にもアピールできるようになることを願っておる次第でございます。
それから、2013年以降は低炭素社会実行計画を推進しておりますが、この低炭素社会実行計画におきましては、国内の事業活動における2020年の削減目標の設定だけではなくて、消費者、顧客を含めた主体間の連携の強化、国際貢献の推進、革新的技術の開発の4本柱で取り組んでいることを改めて申し上げます。
また、日本自動車工業会・日本自動車車体工業会もこの低炭素社会実行計画に参画しておりまして、一層の削減努力に取り組んでいるところでございます。
2点目でございますけれども、今後、2020年以降の検討の視点については、国内の削減の目標は、政府、産業界、国民が一体となってバランスのとれた取り組みができるように、コミュニケーションをよく図った上で考えていただきたいと思います。以上でございます。


○冨田委員 地球温暖化対策推進法に基づく温暖化対策の計画を今後作っていくということになるわけですけれども、京都議定書目達計画を実施してきた貴重な経験を活かさなくてはいけないという観点で、各論ではございますけれども3点申し上げたいと思います。
1点目は、先ほど藤井委員がおっしゃられたところですが、海外クレジットの件です。京都マイナス6%は海外の貢献を含めて目標設定をしたわけで、当初は国が調達するマイナス1.6%のクレジットを計画していましたが、結果として電力会社の多大な努力によって4.5%ぐらい、クレジットを大量に購入して目標を達成しました。当初の計画とは違う形で目標達成ができたというところについてどう考えるのか。新しい20年、あるいは20年以降の目標設定を真水にするかどうかというところに非常に影響があるので、そこをきちんと総括をしないといけないと考えます。
それから、2点目は、これも各論で本日ご説明がありませんでしたが、排出量取引制度です。2008年から2012年にかけて試行的実施をやってきて、制度がワーカブルになるかどうかというような観点で経験してきたと記憶しておりますが、どう総括されるのか。総括されたことについて、これまでご説明いただいてないと思いますので、ぜひ新しい温暖化対策計画を考えるときには、排出量取引をやるのかやらないのかという観点が非常に大事だと思いますので、総括をぜひお願いしたいと思います。
それから、3点目は電力の排出係数の問題です。先ほど内山委員から、係数を固定して考えたらどうかという話がございましたけれども、どういう値に固定するかによって対策の評価は異なってまいります。これも本日の資料の中ではよくわからないことでありますが、京都目達計画に書かれているいろんな対策及びその対策を導入するときの効果については、様々な電力係数が使われているという実態がございます。対策導入によって削減量がどういうふうに評価ができるかということは、先ほど杉山委員のおっしゃられた費用対効果という点からも非常に大事なことだと思いますので、適切な削減量算定が行われるような係数を統一して使っていただきたいと考えます。
以上です。


○井上委員 最後まで時間が余って非常にうれしく思っております。
1部、2部を通じまして、電力業界の自主行動計画の目標が未達成というご説明がございました。何も私どもは批判があったというふうには受け取っておりません。原子力が当初思っていたより開発が進まなかったことに加えて、震災以降、再稼働ができなかったということで、京都クレジットを最初から織り込んでおったわけではなくて、5年間で一体何ができるのかということを考えたときに、このクレジットというのが補完的にやはり最大限のコスト効果があるということで、2.7億トン、5年間で取得してまいりました。電力各社の財政基盤が非常に悪くなる中で最大限悩みながら努力した結果でございます。結果的にこのクレジットもあって、京都議定書の日本としての目標達成ができた。それに一定の貢献ができたと思っております。
震災前後で原子力、これも何回も申し上げましたが、原子力が止まったことによって1億トン以上のCO2が増加してまいりました。原子力以外にも、高効率の火力が震災以降に13基ほど運開しております。コンバインドがほとんどですけれども11基、石炭も従来よりも高効率なもの、これを一定の従来LNG火力、それから、従来並みの石炭火力、これからどれぐらい削減できたかというのを一定の利用率で試算すると、700万キロワット分、年間300万トン程度と試算される。
先ほど申し上げたとおり、原子力が1年で1億トン、それに対して火力一生懸命頑張りました。それが数百万トンでございます。
このように原子力が温暖化対策、日本の国内の対策の中心、4番バッターであるということはやはり疑いがない。これを正面から見つめて、ただ、温暖化対策の側面から全てを決めるということはできないので、安全を確保した上で3つのEのバランス、この中で原子力が温暖化にどれだけコスト効果的に有効であるかということをしっかり評価していただいた上でエネルギーミックスを先に議論していただくということかと思います。
コスト効果でいえば、その他国内クレジット取引とか、それから、今日の議題ではございませんが、いろいろ自治体さんレベルでの取り組みもございます。ぜひともこの5年間の反省というのはいろいろあろうかと思いますので、それぞれの主体でしっかり評価をしていくべきだと思います。
以上でございます。


○浅野部会長 ありがとうございました。
それでは、これまでのご発言を受けて、産業構造審議会地球環境小委員長の山地委員長から一言お願いいたします。


○山地委員長 ありがとうございます。
ご発言を聞いていて、非常に貴重なコメントやご提案が数々あったと思っています。今日は言いっ放しでいいという冒頭の議長のお話でもありましたので、私が言いたいことを少し思いつきで申し上げます。2つございます。
1つはやはり評価の重要性ということを申し上げたいです。京都議定書目達計画にしろ、自主行動計画にしろ、きちんと評価する。それから、評価するシステムを作り上げる。これは非常に重要なことであって、その評価することによって次のよりよい計画、行動につながる。また、冒頭のときに少し申し上げたけれども、計画を作って、それを評価していくというやり方は、恐らく国際的にもMRVという言葉がありますけれども、そういうシステムの構築に非常に寄与する。そのときにだからまずは効果を評価しますけれども、その評価の条件が変化するわけで、条件を一定に調整した場合の効果をどのように評価するかという課題があります。これがベースとなる評価ですけれども、それに加えて難しいのですが、公平性の評価とか、あるいは先ほど来出ている効率性の評価とかが必要です。難しいがこのような点についてもやはり努力していく必要がある。これが1点目です。これは比較的わかりやすく表現できるかなと一応自分でも考えているのです。
もう1つの2番目は言いにくいのですけれども、目標の考え方というのですか、資料3の後半のところに日米共同声明とか、日英とか、日仏とか見ていますと、数値目標が出てきますね。2050年に世界で50%、先進国80%削減とか、それから、2°Cとかです。これはマジックにかかったようなところがある。杉山さんがマジックナンバーとどこかで言っていたことを思い出しました。といっても、温暖化に取り組むのがマジックにかかったなんていうつもりは全くないのです。ただ、取組みの目標としてマジックナンバーは非常に分かりやすいですね。50・80・2とか。しかし、温暖化問題は、そういうわかりやすいマジックナンバーを追いかけて解決できるほど単純な問題ではないはずですね。そこを今度のIPCCのAR5、第5次報告の解釈を通してこのマジックを解いていく必要があるのではないでしょうか。マジックナンバーは分かりやすいから世界に伝わって、それに対して異論を立てにくいというわけですけれども、そういう数値目標ではなくて、これは多分去年の秋ごろまで議論した中にも幾つかありますが、やはりアクション、行動、方向性、あるいは技術開発、重要なことはそういうものではないか。それをきちんと整理しなければいけない。だから余り共同声明の中でマジックナンバーを使わないようにする努力というのを意識してやっていかないと、マジック、魔法は解けないと思います。
後半はどう表現したらいいのか分からないままの提案ですが、そういうことを感じました。


○浅野部会長 ありがとうございました。私も一言、二言申し上げたいのですが、京都議定書目標達成計画というものは、元々京都議定書という縛りがあって、そこでこれだけ下げなければいけないという大前提があり、しかもクレジットなどは補完的なものであるという縛りがあって、それら全部の桎梏の中でできていたものです。それから、さらに計画を作ったときに、LEDがこんなに普及するなんてまるっきり考えてなかったものだから、書かれていることだけをきちっとまともに評価するという環境省式のくそまじめな評価をするとより削減の効果がでてはいるが、計画のこの部分は達成できなかった、といった非常に変な話になってしまうのです。しかしそのような点はむしろ、自分たちの作った計画がまずかったといえないからむにゃむにゃいっているのであって、よくよく聞いていれば、やはりあのときの計画はおかしかったということもあるわけでしょうから、その辺は次の計画のときにきちっと考えないといけないだろうと思います。それから、次の段階では、以前と違って京都議定書での拘束がない以上、全く勝手なことをやっていいというわけではないのだけれども、やはり今までと発想を変えなければいけない部分がありそうで、そういう考え方は、本日も多くの委員からご指摘のあった低炭素行動計画の考え方に入っているわけです。ですから、この点を忘れないようにする必要があるだろうと、そんなことを考えました。
それから、皆さん丁寧にホームページをお開けになって資料を御覧いただくといいのですが、今年の2012年の温室効果ガスの確定値の報告の中で、メガジュール単位でエネルギー使用量のデータとCO2排出量のデータが出されるようになりました。それをご覧いただくとエネルギー使用量では減少しているにもかかわらずCO2排出量が増えているということがわかりますので、この辺のところは先ほど豊田委員がおっしゃったように、省エネにしか関心がない、低炭素のほうに関心がない、この人たちにちゃんとアピールしていくときに、こんなに省エネの努力をしているのにCO2が上がっているのだということをこれほど明確に示すデータはないだろうと思いますから、ぜひ皆さん、御覧いただければと思います。
本日、最初申し上げましたように、本部で行われる議論に我々の意見をインプットするということが目的でございますので、出されましたご意見については、例によって多分事務局が精力的に整理をされて、類型化して整理をするということをなさると思いますので、そのとりまとめを私と山地先生にお任せをいただけますでしょうか。よろしゅうございますか。(異議なしとの声があった)
ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、私の役割は以上でありまして、このあと小見山室長お願いいたします。


○小見山環境経済室長 大変お疲れさまでした。
閉会にあたりまして、環境省地球環境局長の関局長よりご挨拶させていただきます。よろしくお願いします。


○関地球環境局長 環境省地球環境局長の関でございます。
本日は、多岐にわたりまして貴重なご意見を頂戴いたしまして大変ありがとうございました。
京都議定書の第1約束期間終了いたしましたけれども、本日、ご報告、ご説明させていただきましたように、国際的な約束であります6%削減というのは果たすことができるようになりまして、関係しました国民の皆様方に大変感謝する次第でございます。
京都議定書目標達成計画におきます各種の対策、施策につきましては、順調に進んだもの、当初の想定どおりに進まなかったもの様々ございます。本日、ご議論いただきました評価結果も踏まえまして、今後、次期計画の策定やその着実な実施につなげていきたいと考えております。
きょうもご議論、ご指摘がございましたけれども、昨年度来公表されておりますIPCCの報告書におきましては、温暖化は疑う余地がなく、人間による影響が温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高いということが示されておりまして、気候変動問題が科学的な観点から非常に深刻な状況であるということが示されたと私ども受け止めてございます。
環境省では、IPCCの総会、第2ワーキンググループでございますけれども、横浜で開催されたことを契機に、新たな気候変動対策キャンペーンとしてFun to Share(ファン・トゥ・シェア)というのを開始しまして、低炭素社会の実現に資する知恵や技術について様々な企業、団体、地域間の幅広い共有を促進しているところでございます。
地球温暖化防止の観点から、こうした取組や省エネの徹底、再エネの導入加速化について最大限の対策を今後、講じてまいりたいと考えております。
また、国際的にも来年のCOP21におきまして、2020年以降の新たな国際的枠組みが採択される予定でございまして、我が国としましても積極的に議論に貢献できるように対応してまいりたいと思っております。
委員の各位におきましては、引き続き地球温暖化問題をめぐる諸課題につきまして、国民各界、各層の多様な意見を反映しつつ、専門的な知見に根ざした大所高所からの議論をいただくことをお願いする次第でございます。
本日は、大変ありがとうございました。


○小見山環境経済室長 ありがとうございました。
委員の皆様におかれましてはどうもありがとうございました。
議事録につきましては、事務局でとりまとめを行い、委員の皆様にご確認いただきました後、ホームページに掲載をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。


○浅野部会長 それでは、本日はこれで閉会いたします。
遅れて始まった分だけ延びただけでしたので、定刻に終わったということにさせていただきます。
ありがとうございました。