中央環境審議会 地球環境部会(第110回)議事録

日時

平成24年7月18日 13:00~15:24

場所

全国都市会館 大ホール

議事次第

1.開会

2.議題

(1)
エネルギー・環境に関する選択肢等
(2)
2013年以降の地球温暖化対策・施策について
(3)
その他

3.閉会

配付資料

資料1-1
エネルギー・環境に関する選択肢〔概要〕
資料1-2
エネルギー・環境に関する選択肢
資料1-3
エネルギー・環境の選択肢に関する国民的議論の進め方について(第二報)
資料2-1
グリーン成長の実現に向けて-グリーン成長戦略パネル中間取りまとめ-
資料2-2
グリーン成長に向けて
資料3-1
2013年以降の地球温暖化対策・施策について
資料3-2
海外における排出削減について
参考資料1
あかり未来計画について
参考資料2
国連持続可能な開発会議(リオ+20)(概要と評価)
参考資料3
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第35回総会の結果について

午後 1時00分 開会

地球温暖化対策課長
それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会の第110回を開催いたします。既に委員総数の過半数の委員にご出席いただいておりまして、定足数に達しております。また、本日の審議については公開とさせていただいております。では、以降の議事進行について、地球環境部会長の鈴木先生にお願いいたします。

鈴木部会長
それでは、早速、第110回となりますが、議事に入らせていただきたいと思います。本日は、議題に上がっておりますように、これまで、極めてインテンシブ(集中的)に議論をいただきましたエネルギー・環境に関する選択肢、これに関しまして、現在の決定された形と、現在の進行状況、それから2番目として、2013年以降の地球温暖化対策・施策についてのいろいろな検討、そして、その他と。この三つが上がっておりますが、この三つにつきまして、まず配付資料の確認を事務局からお願いしたいと思います。

地球温暖化対策課長
それでは、いつものとおり、最初に議事次第がございますが、そのところに配付資料のリストが書いてございます。資料1-1がエネルギー・環境に関する選択肢の概要版、資料1-2が選択肢の本体、資料1-3が国民的議論の進め方について、それから資料2-1がグリーン成長の実現に向けて、それから資料2-2がグリーン成長に向けて、それから資料3-1が2013年以降の地球温暖化対策・施策に向けた今後の予定ということで、タイトルは施策についてとなっているかと思います。それから資料3-2は海外における排出削減について、それから、参考資料が三つございまして、あかり未来計画の開始についてのお知らせと、参考資料2が(リオ+20)の(概要と評価)、参考資料3が気候変動に関する政府間パネルの第35回総会の結果についてでございます。もし不足分がございましたら、事務局の方に申し出いただきますように、宜しくお願いいたします。それでは、カメラの方、報道の方がもしおられましたら、撮影については、ここまでということにさせていただきたいと思います。宜しくお願いいたします。

鈴木部会長
それでは、議事に入ります。この議題の(1)と(2)と(3)、それぞれご担当から一括してご説明をいただきまして、その後で質疑応答をお受けします。今日は何かを決定するという事項はございませんので、今後に向けたご議論をお願いできればと思います。それでは、説明をお願いいたします。

清水審議官
国家戦略室の内閣審議官の清水でございます。宜しくお願いします。私の方からは、議題(1)のエネルギー・環境に関する選択肢等についてお話し申し上げたいと思います。
資料1-1をおあけください。この資料は、実は今、この選択肢に関する意見聴取会を全国11カ所でやっておりまして、そこで使っている資料と同じ資料になります。本体は資料1-2ということで、この本体の本文自体が、6月29日にエネルギー・環境会議で決定されております選択肢になりますが、便宜上、資料1-1でご説明したいというふうに思います。
表紙をめくっていただき、1ページ目です。震災前、我が国は原子力を基幹電源とするエネルギー選択を行いました。原発は温暖化問題に貢献する、あるいは原発が準国産電源であるという、そういう認識のもと、電源に占める原発の比率を2010年の現状では26%ありますが、これを2030年に向けて45%まで引き上げていこうという、そういう選択であったわけであります。しかし、3月11日の東日本大震災、それから東電の福島原発の事故を受け、この方針を白紙から見直すことにしました。昨年7月には、政府のエネルギー・環境会議におきまして、原発依存度を可能な限り減らすということ、この基本理念を決定いたしました。この方向性は共有されつつあるというふうに認識しておりますが、意見が分かれる論点もあります。どの程度の時間をかけて原発を減らしていくのか、どこまで減らすべきか、その減らした原発の分をどのエネルギーで補っていくか、あるいは、どの程度のコストをかけて構造転換を図っていくか、こういった点は意見が分かれております。
2ページ目をご覧ください。今回、政府が提示する新しいエネルギー選択の方向性は、表題にもあるとおり、原発からグリーンへというふうになります。図にあるように、原発依存度を減らし、それから化石燃料依存度を減らすというふうになりますと、再生可能エネルギー、省エネにシフトしていくと、そういうふうになります。どのようなエネルギー選択を行うにしても、この右にあります三つの改革はやっていこうという、そういう考え方です。一つはクリーンエネルギーへの転換で成長を加速し、それから需要家がエネルギーを主体的に選択できるシステムに変え、こうした改革を国際貢献につなげていくという、そういうことであります。
3ページに移ります。原発からグリーンへという大きな方向性のもと、四つの視点を挙げています。第1に原子力の安全確保と将来リスクの低減、第2にエネルギー安全保障の強化、第3に地球温暖化問題解決への貢献、第4にコストの抑制、空洞化防止の視点であります。こういった視点から、どこまで原発依存度を下げていくべきか、どこまで再生可能エネルギーや省エネを拡大すべきか、あるいは、できるのか。どのようなスピードで原発からグリーンへの構造改革を行うべきか、あるいは、できるのか。これが論点になっております。こういった論点に答える形で、原発低減の度合いや、再エネ、省エネの拡大の度合い、スピードが異なる三つのシナリオ、これをゼロシナリオ、15シナリオ、20~25シナリオというふうに言っておりますが、この三つのシナリオを用意いたしました。
4ページ目のグラフをご覧ください。この三つのシナリオと2010年実績、それから現行のエネルギー基本計画を比較したグラフになっております。電源構成は、赤が火力、緑が再生可能エネルギー、紫が原子力ということからなっております。一番左の2010年実績では火力が主体でありました。一番右側の現行のエネルギー基本計画では原子力が主体という考え方でありました。この二つと比較しまして、今回、提示している三つのシナリオは、いずれも原発依存度を減らしていく、再生可能エネルギーを伸ばしていくということでありますが、それぞれのシナリオごとにその程度が違うということがおわかりかと思います。なお、この三つの選択肢でありますが、これは国家戦略室と関係省庁のもとに策定されましたが、このゼロシナリオといいますのは、中環審でご議論いただいた高位ケースにほぼ相当するという、そういうシナリオになっております。それから、15、20~25シナリオ、これは中環審の中位ケースと、総合資源エネルギー調査会のケースの中間に相当するような、そういうシナリオになっているということでございます。
5ページ目でございます。まず、この三つのシナリオの基本となる原子力依存度低減の考え方についてです。どのシナリオでも共通事項といたしまして、第1に徹底した安全対策の強化によってリスクを最小化する。第2に使用済核燃料は放射性廃棄物の発生を抑制し、将来世代への負担を減少させる。第3に安全を支える技術や人材を確保、開発するということがあります。その上で、ゼロシナリオは、2030年までのなるべく早期に原発比率をゼロとします。15シナリオでは、2030年に15%程度といたしますが、これは既存の原発に対して、40年運転制限制度を自然体で運用した場合の数字にほぼ相当する、そういう値になっております。原発の新増設が非常に厳しいと、難しい状況にあるという実情を踏まえているシナリオでもあります。核燃料サイクルにつきましては、再処理も直接処分もあります。ゼロシナリオのところは直接処分ということでございます。それから、20~25シナリオ、これは原発を一定程度維持し、2030年において20%~25%程度とする、そういうシナリオです。このシナリオにおきましては、原子力発電所の新設・更新が必要になります。核燃料サイクル政策も、再処理あるいは直接処分、両方あり得ます。2030年以降の姿がどうなるかも非常に関心の高いところでありますけれども、どのシナリオでも、国際的なエネルギー情勢、地球環境をめぐる国際的な情勢、技術革新の動向、国民の信認等の動向を把握して、不断の検証を行い、2030年目途で大きな方向性に関して検証を行うという、そういうことにしております。
6ページ目です。これはゼロシナリオということですが、これは2030年までのなるべく早い、早期に原発比率をゼロにするという、そういうシナリオです。このシナリオの場合、高位のケースの対策を想定しておりますので、省エネ性能の劣る製品の販売制限や禁止を含む厳しい規制を広範囲に課す。そして、経済的負担が重くなってでも、相当高水準の再生可能エネルギーの普及、あるいは省エネの推進などを行う、そういうシナリオになっております。再生可能エネルギーは、ほかのシナリオが30%程度であるところを35%としておりますし、省エネも、ほかのシナリオよりも強化しております。このことによって、CO2も、化石燃料も、輸入額も、他のシナリオと遜色のないレベルまで低くなっております。ちなみに、温室効果ガスの排出量は、2030年で、1990年比23%削減というふうになっております。このシナリオは、コストや経済面への影響は、他のシナリオよりも大きい傾向となっております。
7ページ目が15シナリオです。これは原発依存度を着実に下げていく、そういうシナリオです。2030年の原発比率が15%程度となります。再エネ、省エネについては、着実に推進し、再エネは30%とします。温室効果ガスの排出量が23%マイナス、それから化石燃料の輸入額が16兆円となっており、これはゼロシナリオと同等程度でございますが、コストや経済への影響についてはゼロシナリオよりも小さい、そういう傾向があります。このシナリオは、2030年までの間に原子力、再エネ、化石燃料を組み合わせて使うことになるため、エネルギー情勢や技術の変化など、様々な環境の変化に対して柔軟に対応するシナリオとなっております。
8ページ目、これが20~25シナリオです。これは緩やかに原発依存を低減しながら、一定程度は維持していこうというシナリオでありまして、原子力への新規投資、更新を行うシナリオとなっております。2030年の原発比率が20~25%程度となります。再エネ、省エネは、着実に実施し、再生可能エネルギーが25%~35%程度になります。温室効果ガスの排出量は25%マイナスということで、他のシナリオよりも経済的に進めることができるシナリオになっております。ただし、このシナリオにおきましては、説明しましたように、原発の新設、あるいは更新が必要となりますので、原子力及び原子力行政に対する国民の強固な信頼が前提となります。
次、9ページに参りたいと思います。これは原発依存度を支えるグリーンシフトの具体像について整理した表になっております。まず、現状と15シナリオ、あるいは20~25シナリオの世界を比較いたします。真ん中の欄です。この真ん中の欄でも、再生可能エネルギーは30%普及するという形になります。これは太陽光や風力が、現在、原発1基分相当であるところを、全体として20基相当まで増やしていくような、そういうシナリオになります。太陽光発電で言えば、現状の90万戸に設置されている状況から、設置可能なほぼすべての住宅の屋根に導入し、1,000万戸の住宅に太陽光パネルを乗せるという、そういう形になります。さらに、右の欄のゼロシナリオに行きますと、省エネは35%になります。太陽光で言えば、強度の面から、現在はなかなか設置不可能な住宅に対しても、改築補強をしながら導入ということで、1,200万戸相当を乗せるという、そういう前提になります。
それから、10ページが省エネです。現状と15シナリオ、20~25シナリオ、真ん中の欄を比べますと、ここでは、設備や機器の入れ換えの際に最新鋭の機器を導入するということによって、省エネを行うことになりますが、右側のゼロシナリオということになりますと、現在、規制によって効率の劣る既存の施設、設備、住宅までも入れ換えるような対応も必要となる、そういう対策の強度になっております。
それから、11ページ、またもう一度、各シナリオの発電構成の比較に行きます。2030年までにどこまで原発比率を下げ、どの程度のコストをかけて、どこまで再エネや省エネを拡大するかということは、この各シナリオ間での問いかけになっております。原発を大きく減らせば、グリーンへのシフトはより早く、より大きくしなければならないということでありますが、当然コストなり、また、努力も必要ということになります。それから、一方、原発を減らす度合いを小さく、スピードを遅くする場合には、大前提として、国民の原子力に対する強固な信認がなければいけないということですので、いずれのシナリオでも、再生可能エネルギー、省エネのウエイトが大きくなりますので、こういったものが進まなければ、海外から化石燃料を輸入しなければならない。地球温暖化につながる化石燃料への依存、あるいは富の海外流出、コストアップなど、国民生活に大きな影響が及ぶこともあります。こういう三つのシナリオを用意いたしましたので、是非、これをよく見比べていただければというふうに思っております。
12ページ以降が今後の進め方です。国民的議論につきましては、別途、資料1-3というペーパーを配っておりますので、これは後ほど、詳しく見ていただければというふうに思いますが、現在、国民的議論といたしましては、まず、情報提供データベースの整備を7月7日から行っております。さらに、意見聴取会、これは全国11カ所で行っております。既にこの週末、3カ所行っております。電力関係者の発言が多かったということもありますので、改革の方向を昨日、示させていただいたところであります。それから、討論型世論調査ということで、非常に新しい試みでありますが、世論調査をやる対象の方、無作為で抽出しますが、この方々によく論点について議論し、内容を理解していただいた上で、アンケートにお答えいただくような新しい試みの討論型世論調査ということも、8月4、5日に予定しております。それから、パブリックコメントは、現在も募集しております。当初、7月中という議論もありましたが、やはりもう少し時間を延ばした方がよいだろうということで、現在、8月12日まで時間を延ばして、受け付けておりますので、これも関係方面からの応募を期待しております。こういった国民的議論の上で、8月には「革新的エネルギー・環境戦略」を決定したいと思います。そこにおいては、エネルギー・環境の大きな方向性を定め、エネルギーミックスの大枠に加えまして、2020年、2030年の温室効果ガスの国内排出量なども示していきたいというふうに思います。そして、政策の具体化ということで、エネルギー基本計画、原子力政策大綱、地球温暖化対策、グリーン政策大綱、これも年内に定めていくということを予定しております。その後、不断の検証を行うとともに、2030年を目途に大きな方向性について検証を行うというのは、先ほどお話ししたとおりであります。
13ページ、「おわりに」ということですが、今回のエネルギー・環境の選択は、国民的な課題の選択であり、将来世代にも影響を及ぼす選択であり、世界が注目する大変大きな選択であるというふうに思っております。是非、国民的議論による大勢の方の参加を期待いたします。その結果を礎にして、政府は責任ある選択を行っていきたいというふうに考えております。今回、説明しましたこの資料1-1の表紙のところにホームページアドレスを書いてございますが、(http://www.sentakushi.go.jp/)というホームページを開設しております。ここですべて、今回の資料、関連資料、バックデータなどを公開しておりますので、これもご参照いただければなというふうに思います。この資料1-1の説明は、ここまでなのですが、この場は中央環境審議会でありますので、温室効果ガスの排出量について、補足説明をしたいと思います。
この資料1-2、縦長の資料ですが、この資料の14ページ、表2、シナリオごとの2030年の姿(総括)という表がございます。この表は、大変細かく、見にくいわけではありますけれども、全体の構成でいきますと、上がシナリオごとの電源構成、それに対して四つの視点ということをさっき述べましたが、原子力の安全性、エネルギー安全保障、地球温暖化、コストという四つの視点に従って、それぞれ、どんな指標があるかを示した、そういう形の資料になっております。この中で、地球温暖化問題解決への貢献という欄の中ほど、ちょうどこのページで言うと、真ん中ぐらいに温室効果ガス排出量(1990年比)という欄がございます。ここで2030年と2020年の温室効果ガスの排出量についてお話しします。
2030年の温室効果ガスの排出量、それぞれのシナリオごとの姿は、先ほどの概括の資料の中にもう既に出てきておりますが、ゼロシナリオで23%マイナス、15シナリオで23%マイナス、20~25シナリオで25%マイナスという、そういう値になっております。2020年の姿がその下に記載されております。ゼロシナリオ、追加対策後の方を見ていただいて、2020年原発ゼロの場合は、温室効果ガスの削減量は「▲0%」となっております。それから、ゼロシナリオの場合の2030年にゼロが来ると。つまり、2020年には原発は途中段階であるというケースにおきましては「▲7%」、7%の削減。それから、15シナリオでいきますと「▲9%」、2020年には9%の削減。20~25シナリオでいきますと「▲10~11%」という、それが計算される2020年の温室効果ガス排出量の姿であります。ただ、これには大きな前提がございまして、非常に見にくいのですが、この脚注に「※3」という形で記載されています。非常に細かい字ですが、ここには、2020年の原発依存度については、2030年と2010年の原発依存度を機械的に結んで、その大まかな通過点として算出したものであるという、こういう記載がございます。この数字を見るときには、こういう前提条件であるということは留意していただければなというふうに思います。
選択肢についての説明は以上でありますが、引き続いて、資料2-1のグリーン成長の実現についてという資料についても、あわせてご説明したいというふうに思います。このグリーン成長の実現についてというペーパーは、国家戦略室の方で、グリーン成長戦略パネルというものを古川大臣のもとに作っておりまして、その中間報告に位置づけられるものであります。この中間報告資料自体は7月2日の国家戦略会議に報告され、公開された資料でございます。
1ページ目をあけていただいて、今、申し上げた6月29日の「エネルギー・環境に関する選択肢」の中で、特に大胆なエネルギー構造改革に関する3つの視点ということで、どのような選択肢をとる場合でも、ともかく実施していくということの前提条件がありました。その中の第1番目が、クリーンエネルギーへの重点シフトと成長の確保ということです。今回、選択肢を提示するに当たって、再生可能エネルギーを増やし、省エネも進めていくということですから、それをグリーンの成長に変えていく、そのためのグリーン政策大綱を年内に決定するということがこの中でも決まっております。グリーン成長戦略は、どのような選択肢をとろうとも、我が国が推進しなければならないエネルギー・環境政策の中の最重要課題というふうに認識しております。そういった観点から、このグリーンパネルでは、実は三つの視点で、現在、物事を考えております。一つが歴史的な視点、二つ目が社会変革の視点、三つ目が産業構造の視点という、その三つです。
2ページ目に少し歴史的な視点を書いてございます。非常に参考になりますのは、やはり石油危機のときに我が国がどういうふうに対応したかという、そういうことです。石油危機を一つのバネとして、我が国は国民生活を高効率化し、あるいは、産業構造を転換し、エネルギー政策も転換してきました。そういう中で、目標をきちっと持ち、あるいはエネルギー価格が上がったということの、その価格に対応した対応ということ、それから、規制の強化、あるいは制度改革なども押し進めましたし、戦略的な研究開発もしてきて、幾つかの成果を上げているということがございますので、今回のグリーン成長を考えるに当たっても、大変参考になる事例だというふうに考えております。
次の3ページ目に参ります。社会変革の視点ということで、2番目の視点を置いております。従来は供給サイドを中心とするような政策が多かったわけでありますが、今回は家計が主役の社会変革ということで、デマンド・サイド、分散型のエネルギーなどに重点を置いた、そういう変革というのが一つの大きなヒントになるのではないだろうかということで、ここで、次世代自動車であるとか、建物あるいは太陽光などを一つの例に挙げておりますが、こういう家計が主役の社会変革が非常に大きなテーマになるのではないだろうかと思います。
それから、②で言っておりますのは、イノベーションの連鎖ということでありますが、これまでは産業政策を縦割りで唱えて、個別の産業ごとに見ていたと。しかし、グリーンという立場で見ると、横をすべて連携するような形で、融合的に業種横断型の対策を打ち出す。これが大変重要な視点になってくるのではないだろうかというのが2番目の視点です。
それから、4ページ目に参りまして、産業構造を変革していくような視点として、今回、世界に向かって成長していくということを考えたときに、キーワードとして、"global(グローバル)""profitable(プロフィタブル)""sustainable(サステナブル)"という三つのキーワードを考えております。内外一体で、日本の市場のみならず、やはり世界市場を念頭に置いた戦略が企業には求められているでしょうし、変革というものを、今後、持続的に稼いでいけるようなスマートグリッドであるとか、いろいろな仕組みが重要になってくるということです。それから、2番目として、グリーンイノベーションに対応した産業構造の進化ということで、ここではETということで、エネルギーテクノロジー、それから自動車・電機とそれに連なるサプライチェーン、それからエネルギー産業の変革という、三つの項目を一つの例として挙げております。
それから、5ページに参ります。政策のフレームワークとして、これも先ほどの過去の歴史に学ぶということで、二つありまして、一つは、先ほど申し上げたように「グリーン」という横軸で、縦割りの産業政策ではなくて、融合的な産業政策、横割りの政策が必要であるという側面、それから、政府の機能と役割としては、昔の石油危機のときに学んで、目標を設置し、価格メカニズムが働くような競争的市場を創造し、新しい公共財を整備していくと。この中にはスマートグリッドのような非常に新しい物理的公共財もありますが、国際的ルールづくりなども公共財としての位置づけがあるのではないのかということで、明示しております。それから、当然、産業政策としては、初期リスクを管理・補完するようなのが国の役割でありますし、それから需要家サイドの対策を中心に考えるのであれば、家計など含めて、きめ細かな政策誘導、政策展開が重要であるということです。
現在、6ページに行きますが、グリーン成長の先導的プロジェクトとして、グリーン部素材、次世代自動車、蓄電池、海洋開発、エネルギーの制御システムなどを一つの核として考えておりますが、これは現在も検討を進めておりますので、まだまだこの枠は広げられれば広げていきたいというふうに考えております。
7ページ、今後の進め方ということであります。グリーン成長パネルということで、現在、有識者にお話を聞いていますが、これをさらに進めていき、推進体制の強化を図りながら、さらに検討を進めていきたいというふうに思っております。現在、政府としては、日本再生戦略を策定中でありますが、その中の一つの大きな柱として、グリーン成長も位置づけていきたいというふうに考えておりますし、先ほども申しました選択肢を8月に決めるという、革新的エネルギー・環境戦略の中でも「グリーン成長戦略」の内容を拡充し、最終的には年内のグリーン政策大綱につなげていきたいというふうに考えております。以上でございます。

地球温暖化対策課長
続きまして、資料2-2をご説明いたします。「グリーン成長に向けて」というタイトルでございますが、先ほどの資料2-1と同じ日に細野環境大臣の方から公開されたものでございます。
おめくりいただきますと、2ページ目と書いてありますが、まず、グリーン成長の先導的中核プロジェクトとして、「浮体式」の洋上風力発電の推進というのを上げてございます。環境省が長崎の五島で進めておるプロジェクトでございますが、洋上は、陸上に比べて非常に大きなポテンシャルがあるということ、それから、水深が浅い海域が少ない日本におきまして、深い海域でも適用可能な浮体式というのは非常に期待されるということで、こういった技術というのは、海外展開というのも期待できるということでございます。その下の枠にありますように、台風への耐性といったようなことの課題がございますが、これは、私も現地でやっている人たちに聞いたことでもございますけれども、台風への耐性がもし大丈夫だということになれば、もう世界中、どこの海でもこの浮体式というのは通用するんだというような現地での技術者の声もございますし、非常に期待できるものではないかというふうに思っております。一番下に事業計画がございますけれども、平成25年からは実証機(2メガワット)、さらに現在よりも大きな風車を洋上の方で実証していきたいというふうに考えておるところでございます。
おめくりいただきまして、3ページ目でございますが、グリーン成長の先導的中核プロジェクト~自然調和型地熱開発の推進~ということで、我が国、世界第3位の資源量を地熱について持っているということでございますが、その下に課題が1、2、3というふうにございまして、関連法令の諸規制が厳しいのではないか。あるいは、開発コストが意外と大きい。それから、地熱資源のほとんどが温泉地に近接していて、地元での調整が必要というような課題が指摘されておりまして、これを踏まえた環境省の取組、真ん中の四角でございますが、まず規制・制度改革アクションプランへの対応として、本年3月に、公園法、温泉法に係る通知を既に出しているということ。それから、環境省による事業支援の制度もあるということ。それから3として、経済産業省と連携いたしまして、福島とか、そういったところで、地元の説明会を開催しているということでございまして、現在は、その地熱開発戦略の形成のための検討会議を環境副大臣のもとに設置してるというものでございます。
おめくりいただきまして、4ページ目、社会変革を促す取組(家庭・地域)でございますが、大きく三つのくくりがございますけれども、いずれも環境省の予算、あるいは他省庁とのというのがございますけれども、まず、家庭エコ診断でございますが、きちっと訓練を受けた診断員の方に、ご家庭に直接行っていただきまして、そこで家庭のエコ診断をしていただくということによって、より具体的な省エネ製品とか、あるいは、お家の改築だとか、そういったもののサポートをしていくという事業をしております。また、次世代HEMS・スマートメーターということで、「気づき」「見える化」をするのがHEMSという考えがございますけれども、そのデータの有効活用、それから制御技術をさらに進めていくといったようなこともしております。三つ目の枠ですが、低炭素地域づくりとして、LEDについては、現在、「あかり未来計画」というものを実施しているということで、これは参考資料1のほう方で、もう一度、ご説明をいたします。また、自然・分散型のエネルギーで再生可能エネルギーの導入を支援していくということで、グリーンニューディール基金というのも用意しておるところでございます。
おめくりいただきまして、5ページ目ですが、世界に拡大するグリーン産業分野での日本技術の展開ということで、後ほど、また資料3-2のほう方で出てまいりますけれども、日本の技術で排出削減と経済成長を両立させる低炭素成長を実現していくということで、二国間オフセット・クレジット制度というものを上げております。
おめくりいただきますと、6ページ目では、第100回の部会でご紹介いたしました細野大臣の考え方として、世界をリードするグリーン成長国家の実現へということで、こういった筋にも沿っているというものでございます。
それでは続きまして、参考資料1、先ほど予告いたしましたが、「あかり未来計画」の開始についてということで、6月13日に記者発表したものですが、1ページ目、表側の四角い枠に3段落ございますが、1段落目は背景ということで、ここは読んでいただければという感じなのですが、2段落目のところにありますように、環境省と経済産業省が一緒になって、今年度以降、なるべく早期に省エネ性能に優れた電球形蛍光ランプやLED照明等、高効率な照明製品への切替えが進むように、一層の積極的な対応を関係各方面に協力要請をするということでございまして、資料の中で、後ろの方に別紙の1という形で、経済産業大臣、環境大臣、連名で、省エネあかりフォーラムの方に要請をした文書、お願いをした文書というのをつけてございます。また、これとあわせまして、関係団体から成る省エネあかりフォーラムと共同で、キャンペーン「あかり未来計画」というのを実施していくということを予告いたしております。なお、ちょっとこの資料で、別紙3、4、5、6については、枚数の関係で省略させていただいております。別紙2までの掲載とさせていただいておりますことをお断りいたします。

低炭素社会推進室長
続きまして、資料3-1でございます。2013年以降の地球温暖化対策・施策についてということで、まず1ページ目には今後の予定ということで、スケジュールが書いてございます。一つ目の丸につきましては、先ほど説明がございましたが、「エネルギー・環境に関する選択肢」に定められたスケジュールでございまして、現在は国民的議論を行っているというところでございます。8月に入りますと、この国民からの声を踏まえつつ、革新的エネルギー・環境戦略を決定するということになっておりまして、その中におきましては、エネルギーミックスの大枠、そして、2020年、30年の温室効果ガスの国内排出量等を示すということになってございます。また、年内でございますけれども、この革新的エネルギー・環境戦略の決定を受けまして、原子力政策大綱、地球温暖化対策の計画、そして、グリーン政策大綱を取りまとめていくという流れになってございます。国内の作業といたしましては、このような流れになっておりますが、地球温暖化対策に関連する国際的な流れといたしましては、10月末のプレCOP、そして11月末から12月にかけてのCOP18ということで、国際的な動きもあるということでございますので、年内に温暖化の対策の取りまとめを進めていきたいというふうに考えてございます。
1枚おめくりいただきまして、2ページ目には、2020年の温室効果ガス削減目標についてということで、国際的な流れ、また、国内での流れにつきまして、取りまとめをしたものでございます。まず、国際的合意の内容とその対応等ということで、COP16、17におけます合意の内容、また、その中身について整理をしたものでございます。一つ目の丸、COP16で採択をされましたカンクン合意に位置づけられた2020年の温室効果ガス削減目標というものにつきましては、COP17における合意の結果、この目標につきましては、三つのパーツ、すなわち、「国内での温室効果ガス排出の削減」の部分、また、「温室効果ガスの吸収源」の部分、そして、「海外における排出削減」、こちらにつきまして、それぞれ内訳を明確にしつつ、測定・報告・検証をしていくということになってございます。二つ目の丸でありますが、カンクン合意に基づく各国の目標というものにつきましては、国際的な位置づけとして、「プレッジアンドレビュー」という方式になってございます。中身の確認の仕方といたしましては、専門家による技術的なレビュー、そして、条約国補助機関におけます多国間評価を受けるということになりまして、我が国といたしましても、その内容につきまして、説明責任を果たしていくということが必要になってございます。
また、今年の4月に閣議決定をいたしました第4次環境基本計画におきましては、長期目標が掲げられておりまして、この中におきましては、気温上昇を2℃以内にとどめるための大幅な削減ということで、2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を少なくとも半減するという目標をすべての国と共有すること。そして、長期的な目標として、2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すということを位置づけております。これらのことを考えまして、2013年以降の地球温暖化対策・施策に関する計画の策定をする際におきましては、国内外に明示していく2020年の目標につきましては、「国内での排出削減」、「温室効果ガス吸収源」、そして「海外における排出削減」、それぞれの内訳として示しまして、これらを誠実に履行することが適当というふうに考えられます。
3ページ目でございますが、では、この内訳ごとに、どのような検討条件になっているのかというものを取りまとめてございます。まず、国内の排出削減につきましては、先ほどご報告申し上げましたが、「エネルギー・環境に関する選択肢」というものが提示されておりまして、国民的議論を経て8月には決定されていくということになっております。また、「温室効果ガス吸収源」につきましては、先般、おまとめいただきました「2013年以降の対策・施策に関する報告書(地球温暖化対策の選択肢の原案について)」という報告書の中におきまして、「算入上限が3.5%」というふうに国際的になっておりますので、その分を「最大限確保するということを目指すべきである」というふうに位置づけられております。三つ目といたしましては、「海外における排出削減」についてということでございますが、こちらにつきましては、先進国において、各国がどのような貢献を行うかということにつきましても明らかにすることが求められております。我が国におきましても、自国の能力、そして、責任の観点から、可能な限り最大限の貢献が求められているということでございまして、こちらも、先般、おまとめいただきました報告書におきましては、「第一約束期間における削減分(基準年比にいたしまして1.6%)を後退することなく強化を図って、費用対効果も考えながら、最大限努力していく必要がある」というふうに規定をされておるというところでございまして、それらのものを模式的に書いたのが下の3パーツということでございます。資料3-1は以上でございます。

市場メカニズム室長
続きまして、資料3-2に基づきまして、海外における排出削減の考え方につきまして、補足説明をさせていただければと存じます。海外における排出削減の考え方につきましては、先般の6月29日付で中央環境審議会で取りまとめいただきました「2013年以降の対策・施策に関する報告書」での考え方を整理していただいているところでございます。そこでは、先ほど申し上げましたとおり、大きな考え方といたしまして、海外における排出削減が我が国の目標の一部を構成する旨を明らかにするとともに、京都議定書第一約束期間における海外における排出削減分(基準年総排出量比1.6%)、これを後退させることなく、強化を図り、費用対効果も考えながら、最大限努力していくことが必要と、こういうふうな指摘をいただいているところでございます。その際の主な考え方のポイントといたしまして、まず第1点目といたしまして、我が国が地球規模での温暖化防止に貢献することは、2013年以降、従来にも増して重要となっている。2点目といたしまして、COP17決定、ダーバン会議におけます決定におきまして、先進国が掲げる中期目標の詳細について、国内排出削減分に加えて、国際的な市場メカニズムの活用量も含めた排出削減目標についても明らかにすることとされております。3点目といたしまして、我が国の優れた低炭素技術やノウハウをより積極的に活用していく道を探るべきであると。こうした3点に基づきまして、このためという形で、海外における我が国の排出削減の目標を、我が国の目標の一部を構成する旨を明らかとするとともに、京都議定書第一約束期間における海外における排出削減分を後退させることなく、強化を図ると、こういう考え方をいただいているところでございます。この海外における排出削減を実現する手段といたしましては、二つ挙げられておりまして、一つが、従来からのCDMクレジットの活用、二つ目のポツに書いてある部分でございます。もう一つが、我が国の得意分野を生かしつつということで、排出削減を適切に評価できる二国間オフセット・クレジット制度についても取り組んでいくことが必要であると、こういう2点の方向性をいただいているところでございます。そして、前回までの議論、部会・小委員会における主な意見といたしまして、大きく二つ、ご意見をいただいている形になっております。一つは、選択肢の原案を提示するという現段階においてということで、この段階におきまして、本報告書において、国内排出削減、海外における排出削減、国内の吸収源対策について、それぞれに目標値を掲げるべきであると、こういうご意見と、むしろそうすべきではないと、こういうご意見と、両方のご意見をいただいたところでございます。
次、2ページでございますが、二国間オフセット・クレジット制度の概要について、書かせていただいているところでございます。この二国間オフセット・クレジット制度につきましては、温室効果ガスの排出削減活動を幅広く対象にし、途上国の状況に柔軟かつ迅速に対応した仕組みを構築するということを考えておりまして、CDMよりもさらに柔軟で、なおかつ、実際の排出削減につながるような実のあるもの、こういう制度を構築していきたいと、こういうことで、現在、関係省庁と一体となって取り組んでいるところでございまして、実際の途上国との協議の状況について、3ページに、ごく簡単に取りまとめさせていただいております。現在、東南アジア諸国と二国間オフセット・クレジット制度に関する政府間協議を開始しているところでございます。そのほかの国々とも国際会議等の機会を活用して、幅広く意見交換を行っているところでございまして、具体的には、インド、メコン諸国、ベトナム、タイ等との首脳共同声明において、この協議に関して、両国間で取り組んでいくと、こういうことを既に言及していただいております。インドネシアとの間では、政府間文書で、本制度の協議推進につきまして、既に合意したところでございまして、モンゴルとの間におきましても、本制度の協力に関する覚書を作成しているところでございまして、関係省庁と一体になりまして、この二国間オフセット・クレジット制度の速やかな立ち上げに向けて、現在、取り組んでいるところでございます。以上でございます。

鈴木部会長
多くの課題につきまして、ご報告方々、ご説明いただきましたが、委員の方々から、いろいろご質問、あるいはご意見があろうかと思います。例によりまして、名札を立てていただきましたら、私の方から指名をさせていただきます。大体皆さん立てて頂きましたか。では、浅岡委員から順番にまいりましょう。

浅岡委員
質問を何点かと、コメントを一、二点したいと思いますが、まず、この新しい資料1-1というのは、これまでお見せいただいていた概要と、書き方が違っているところがあります。エネルギー・環境会議からの報告の文章自身は変わっていないのだと思いますけれども、その関係で、特に15シナリオについてお聞きします。概要版の方の5ページでは、2030年まで原発依存度を着実に下げるとしまして、現存する原発に新しい安全規制の40年運転制限制度を自然体で運用した場合の数字にほぼ相当するということになっておりまして、新増設が難しい状況にあるという実情を踏まえているとあります。これが資料1-2の方には書かれていませんけれども、つけ加えられたのはどういう経緯でしょうか。そして、その資料1-2の14ページの下の、先ほどの米印3の小さなところでありますけれども、2020年の数字は、2030年と10年を直線で結んだと、ありまして、2020年の原発比率につきまして、上の方を見ますと、21%という数字が細かい数字の中にあります。2010年の震災及び福島事故前と15%とを直線で結んだと、こういうのが2020年であります。この関係でお聞きしたいのが、もともとこの15%が出てまいりましたときに、自然体では12%ぐらいだったと思います。これを四捨五入して15%という説明をどなたかから聞いたと思います。自然体では15%にならないのではないでしょうか。2010年の水準に、いつ頃、達するということを前提にして、2030年の数字が出てきて、それを前提に2020年という数字があるのでしょうか。今はほとんどゼロに近いわけでありますから、2010年の数字は、現実にはいつ頃あるものだと、あるいは、いつ頃、どのくらいになるのがマキシマムだと、お考えなのでしょうか。もし、この15というのをこのまま、エネルギー・環境会議の方で決定いたしましたといったときに、実績がその数字に至らないとき、この2020年、30年の原発比率の数字というものは、どういう意味を持つものでしょうか。国として目指す目標というような意味を持つのでしょうか。それとも、そこに至らないというときは、そこまで実現しようとする、そういうもとになるということでしょうか。稼働40年というのはありますが、稼働率につきましては、どの程度をお考えなのでしょうか。もし、それが至らないときは、40年で廃炉にせず、もっと長く稼働させることがあり得る、あるいは、新設や更新があり得るということをお考え、あるいは、80%以上の稼働率を考えるというようなことがあり得るということで、このシナリオができているのでしょうか。今、国民的な議論という中で、15シナリオというのは、どんな前提に基づいているのだろうと、大変皆様の疑問になっています。どう考えたらいいのだろうということがありましたので、そのご説明をいただきたいというのが一つであります。
そして、この夏に示されるというものというのは、このエネルギーミックスと呼んでいるもの、国内のCO2の排出量等とあります、この等は何をご予定しておられるのでしょうか。これらに関連することで、ちょっと一、二点、私の意見を言わせていただきたいと思います。わかりやすくよくまとめられているのは資料1-1と1-2だと思うのですけれども、この中で、ここの3ページのところの原子力が、このように位置づけられたというところの前提として、安全であるということとしてきた。これについて何を反省するのかというところが必要なのではないかと思います。
それから、温暖化につきまして、これ、ここ数日の西日本、京都でもすごい水害があったのですけれども、そうした集中豪雨等の状況を見ましても、将来世代に大変大きな安全を脅かす問題であるという位置づけが、5ページも含めても、やはりその位置づけがない。しっかりやらなくちゃいけないという点が足りないのではないかと思います。
それから、最後の方のところで、この温暖化につきまして、今後の選択が、温暖化問題を解決していく日本の選択がモデルとなっていくと、こういうことを書いておられるのですけれども、モデルというのは、どういう意味でお書きになっていらっしゃるのか、今の関係ともあわせまして、お示しいただければと思います。以上です。

浅野委員
全体として、仕上がり品を見ると、何となく温暖化対策のところがかすんでいるなという印象はあるのですが、それはしようがないですね。いずれにせよ、どれかシナリオが決まったら、それに即して、本格的に温暖化対策の具体策をこの部会で考えていかなくてはいけないだろうと思います。しかしどうも9ページ、10ページ辺りのこのお話について、一般には関心を持たれていないような印象をうけることが、やや心配です。
グリーン成長に向けてという、資料2-2ですが、この中で、洋上の風力について、アセスメントが重要と書かれているわけですが、確かに、この点については、もう少し検討をきちっとやらなくてはいけないだろうと思います。風力のアセスについて、検討会をやりましたけれども、洋上の遠くの沖合で発電をするということを想定しないで、風力で洋上といっても、恐らく起こした電気を運ぶことを考えると、沿岸近くの場所に立地するであろうから、陸上の風力発電施設と特に区別して扱う必要もないだろうという割り切りをしたんですけども、本当に沖合でやるんだということになった場合は問題になりそうなことが想定できます。もっとも近隣に住宅がないので、そのあたりの問題が全く出てこないというメリットもありますが、検討を急ぐ必要があるだろうと思います。関係課とも協議を始めていただく必要があろうかと思います。
それから、いずれにせよ、この秋以降、具体的な地球温暖化対策については検討しなければいけないことになるわけですが、現在の法律は、具体的な計画を京都議定書目標達成計画という名前で呼んでいるので、それである限りは2012年を過ぎるとその後は、形式的にいえば法的な裏づけがないということになりかねませんから、この辺は何とかしなきゃいけないだろうと思います。今の状況の中で、仮に法律改正がなかなか進まないのであれば、これはしようがありませんから、閣議決定でやる以外にない。法律がないから何もしませんというわけにいきませんので、かつて、大綱でやったという経験があるわけですから、十分に議論して策定されるものであれば、大綱でもそれなりに意味がありますので、この辺のところも十分に考えなくてはいけないと思います。
今日、資料3-1が出ておりますけども、これを考えるときには、単に国内削減量だけの話では終わらないと思いますから、日本全体で吸収源も含め、海外での削減も含め、考えていかなきゃいけないと思います。しかし吸収源について若干気になりますのは、現在はどうも森林の管理で何とか凌ぐという発想です。人手もない、なかなか新規の植林もやれないので、管理で吸収源の数字を稼ぐことしかできないということになっています。ところが管理でやっている限りは、樹齢が高くなればなるほど、吸収量は落ちていきますから、どこかで限界が来るはずです。そうなりますと、吸収源にかなり依拠するというのであれば、思い切って、きちっと切って、植え直すという政策に転換していかないといけないのではないかなという気もするのですけども、その辺、どうするんだろうということも考えなければならないだろうと思います。
最後ですけども、あかり未来計画ということで、環境大臣が業界に要請をされたということはよくわかりました。これで白熱電球の製造販売がなくなっていくのだろうと思いますけども、かつて、スパイクタイヤの禁止を業界が自主的にやりますと言われたときに出てきたのは、海外製品との関係があって、それで、結局、スパイクタイヤについては、業界の要望も受ける形で、国内でスパイクタイヤの法的な販売禁止に踏み切ったことを思い出します。それと同じような問題がここで出てくる可能性はないのだろうかなという気もちょっとしています。仮に国内メーカーが、みんな、これはもういいですよといって、つくらないよと言ってくれたときに、輸入品が入ってきてしまったら、どうにも不公平ではないかという気もするんですね。その辺のところも、あわせて議論をしておかなければいけないかなと思います

井上委員
ありがとうございます。まず、エネルギー・環境会議から示されました選択肢について、清水審議官に、1点質問、1点意見を述べさせていただきます。
一つは、私ども、中環審でずっと申し上げてきた火力発電におけるLNGと石炭の比率、これが基本問題委員会から、かなり中環審寄りの最終的な案になったということで、これについては、制約すべきでないと申し上げてきましたが、エネルギー・環境会議の中でどういった議論があって、こういった値になったのか。それともう一つは、太陽光と風力の比率に絡んで、系統対策コストは、基本問題委員会の案から大幅に削減されて、かなり中環審寄りの数字。これは太陽光と風力の日本の中のバランスの中で、中環審としては太陽光を重んじた結果、そういった値になったと理解していますが、これも、そのエネルギー・環境会議の中でどういった議論があったのかご紹介いただきたい。
それから次に、エネルギー・環境会議から示された、国民負担、痛みの示し方ですが、これが各モデル間の差異の説明も含めて、非常にわかりにくいというのが正直な印象です。差異が見えない、あるいは、四つの経済モデルが示されておりますけども、なぜそういった差が出るのかということもよく理解できない。我々はずっと入り込んでおりますので、読み解くことがある程度はできても、一般の国民の方にとっては非常に難しいだろう。広く議論をしたいけども、前提として、痛みが国民にわかっていただけるのかというのが心配な点でございます。
次に、意見聴取会について、審議官から、電力関係者のルールということで、今、ご紹介がありましたので、意見を申し上げさせてもらいますが、私も正直申しまして、大阪の意見聴取会へ登録しました、が、当然そういったことなので、ルールに従いたいと思います。ただ、その電力関係者とは、どこまでの関係者を呼ぶのかということについて、明確なルールの提示があるものと思っておりますので、その辺については、きっちり示していただきたいと思います。
次に、電事連としてのこの選択肢についての意見表明というのは、この場では控えさせていただきまして、今、電事連の中で議論して、まとまり次第、公表させていただくことになると思います。
最後に、2013年度以降の対策・施策についての資料3-1ですが、一つ、クリアにしたいのは、8月にこの2020年、30年の排出量が示される。これは恐らく今の選択肢の中で示されていく。これから示されたその選択肢というのは、非常に国際公平性の観点から、限界削減費用が諸外国に比べて非常に高いものになってしまいます。そういった数字が、この年内に示される温暖化対策の議論と直接はリンクしないということ、この出た数字が、日本の2020年の目標なりにフィックスされないということを確認させていただきたい。私はそういう理解でおります。以上でございます。

浦野委員
細かい内容については、もうかなり中環審でも議論しておりますので、今日、資料1-1、国家戦略室から出されている資料で気になることがございます。といいますのは、9ページ、10ページ目とかの15シナリオとかゼロシナリオに行くところなどに「規制」という言葉が非常に多いんですね。確かに、政策を進める上では、規制は必要でして、重要なわけです。特にゼロシナリオでは、かなり強硬なことも必要かもしれませんが、規制をしないとできないかのような感じがあって、規制以外の様々な政策手段があるわけなので、規制以外のことも含めて書かないといけない。吹き出しみたいなところに、規制、規制、規制とすごく書いてあるのをもう少し何か工夫すべきだというのが私の意見です。
それから、もう一つは、これで国民的議論を進めて、8月に環境戦略を決定していくと。それは政府が責任ある選択を行うということになっているわけですけども、責任ある選択というのがどういうのかはよくわかりませんが、その前提となる国民的議論が、やはりオープンで、公平・公正である必要がある。全員一致ではないにしても、国民からの信頼がある程度得られなければ、政府が責任ある選択をしても、その先で国民の納得、支持が得られないという事態になりかねない。それぞれのプロセスの、例えば意見聴取会で、電力関係者がどのぐらい参加できるのか、できないのかも含めて、やはりオープンで、公平・公正であるということを国民が信頼して、このプロセスを見られるようになっていないといけない。今後も是非その点を改善していただきたい。
それから、もう一つは、資料2-2で、グリーン成長で細野大臣が出しているものにもございますけれども、現実にこれを進めるためには、かなりの社会変革が必要でございます。その社会変革のところが、この資料2-2では4ページ目のところに書いてあるのですが、これは家庭・地域というのが中心に書かれております。家庭・地域以外にも、社会変革を促す取組は大事なわけですけども、特に家庭・地域を変えていくときに、専門用語とか、あるいは英語の略語みたいなのを書いても、その時点で浮いてしまう。こういう資料も含めて、今後、進めていくときに、とにかく専門用語は使わない、できるだけ英語の略語なんかは使わないで、本当に国民、家庭、地域の人たちにわかるようにする努力を、もう一段、しっかり進めていただかないと、先が厳しいなという感じを受けますので、是非ご検討いただきたいと思います。

及川委員
3点お伺いしたいと思います。第1点は、この資料1-1の4ページですけれども、各シナリオにおける発電構成というところで、2010年実績に画して、ゼロシナリオ、15シナリオ、20~25シナリオということで、比率が出ているのですけれども、2010年に比べると、やや下がっているわけですね。節電をする、そういったことで下がっているのだと思いますけれども、具体的にどれだけ下がっていて、どういった対策で、こういうふうに下げることを見込んでいるのか、その辺を一つお伺いしたいと思います。
それから、2点目は、吸収源についてですけれども、先ほども浅野委員からも出ておりましたけれども、京都議定書でも吸収源の問題というのは非常に大きく取り扱われているわけですね。ですけれども、今回は、この吸収源に関係しては、専ら農水省の方の委員会に丸投げしたような格好で、それを取り入れるという格好なのですけれども、当然、非常に大きなウエイトを占めるはずですから、この場でも論議していただきたいということがあります。そして、去年の7月に日本の木材自給率が、現在、20%ぐらいしかないんですね。それを10年間で50%に引き上げるという閣議決定をしているわけです。つまり、それは、それだけ林業を活性化するということで、当然、間伐だけではなくて、新規に植えていくというようなことも含めて対応をとろうとしているはずなんですけれども、この吸収源の問題をもう少しこの委員会でもはっきりと論議できるようにしていただきたいということもございます。
それから、3点目ですけれども、ちょっとこういう場ではなかなか乗せにくいわけですけれども、我々の究極的な議題としては2050年ということで、今から40年先という、非常に長いスパンを考えているわけですね。そういったときに非常に重要になるのは、環境教育、これをしっかりとやることではないかと思うんです。それで、前に環境省からもご説明いただいて、この環境教育に関係しては、副読本をいろいろつくって、学校に配布しているという説明をいただいたんです。それで、私、親しい教員の方がいましたので、その方に関東一円の先生方に聞いてもらったんですね。そしたら、全然そういうのは知らないと。特に、ゆとり教育の見直しということがありまして、とてもそんな本までやっている暇がないんだというようなお話だったんです。ですけれども、非常にこの環境教育の問題というのは大事ですから、文科省が一番中心でしょうけれども、環境省も文科省の方へ働きかけて、小中学生の方々に、そういう環境教育の重要性というのを教えるようにしていただきたいというふうに思っております。以上です。

大塚委員
3点ございますけども、ほとんど意見ですが、若干お伺いしたいようなところもございます。
一つは、先ほど、清水さんからご丁寧に説明していただいたんですけども、15シナリオに関して、活断層の問題とか、最近、また新聞紙上をにぎわせていますが、40年廃炉で、新増設なしとした場合に15が本当に達成できるかどうか、若干微妙になっているのではないかと思います。原発に関する安全規制をちゃんと行うということが前提だと思いますので、そのときに15というのが本当に達成できるのかというのが、ちょっと問題になってきているという感じがいたします。また、ここは別に環境省にお伺いすることなので、ちょっと方向が違って恐縮ですが、脱原発を今すぐにやるということをご主張の方は、同時に、原発の安全規制対策についても、是非主張していただきたいと思います。というのは、いわゆる予備的主張ということになると思いますが、脱原発を今すぐすべきであるという主張をされるときに、同時に、安全対策についても主張していただかないと、安全対策が十分なされないままに再稼働してしまうというあまりよくない結果に至る可能性もありますので、こんなところで言うべきことかという問題もありますが、申し上げておきたいと思います。
それから、二つ目ですけれども、これは2013年の会議に出させていただいた関係で、申し上げておきたいことです。ゼロシナリオの場合に温暖化対策として対策高位を採用することが望ましいわけですが、これは、国民が本当にその気になっていただかないといけないという覚悟が必要だということです。もちろんいろいろな規制はやっていく必要があると私は思っていますが、かなり厳しい規制をしていかないと対応できませんし、例えば、再生可能エネルギーについては、対策高位だとIRRという内部収益率を10%にはしないといけないわけですが、そうすると、過熱して、途中でスペインのように制度が立ち行かなくなる可能性も出てまいります。つまり、2030年後のことはともかくとして、とにかく2030年までの時期に非常に厳しい対応をとるというようなことにはなります。私は原発について何が結論としていいかを申し上げているわけではありませんが、それとは関係なしに、2013年の会議に関わった関係で、温暖化の対策高位というものの性格について申し上げた次第です。
それから、三つ目ですけども、今の話と矛盾するように思われるかもしれませんが、矛盾するわけではないですけども、あかり未来計画については、非常にいいことをしていただいていると思っていまして、これはLEDについては、長期的には費用効果性もあるものですから、是非進めていっていただく必要があると思います。先ほど浅野先生がおっしゃったこととも関係しますけれども、大手の販売店ではLEDを販売していくことになると思いますけども、白熱電球に関しても、小規模なところでなお売られる可能性があって、メーカー間で不公平が生じる可能性があると思いますので、その観点から法的な規制が必要なのだろうと思います。EUでも、白熱電球に関して、100ワットのものですけども、事実上、禁止をしていますが、そういう議論は次期の計画の中で、是非検討していくべきであると思っております。以上です。

小林委員
現在、2030年に向かってどうするかという議論が進められているわけですが、この中では、私自身が大変気になりますのは、2050年、また、それ以降の時期において、この原発依存をどう考えていくかということを、もう一度、皆さんでお考えいただきたい。なぜそういうことを申し上げるかといいますと、全廃するというのは、それはそれでいいのですが、もし全廃しない、また、将来的に安全という技術が今後進んでいったことによって、いわゆる原子力というのは、やはりエネルギー対策とかCO2対策上は大変効果のある技術だと思うんですね。そういう意味から、その安全に関する技術が今後進んだ場合、原発依存というのはあってもいいと私は思っています。そういう意味からいきますと、今の流れからしますと、大学等での原子力に関する研究者がどんどん減っていきますし、また、政府における原子力開発の研究の予算がどんどん削られていってしまうと思います。そんな中で、将来的にこの原子力に関してどう考えていくか。そういう意味でした場合、原子力に関する研究、これについてどう考えるかというのを押さえていただきたい。つまり、このままいきますとゼロになる可能性があります。ところが、将来的に、もし安全というものが確保されるのであれば、原子力は大変有効な私は施策だと思いますので、そういう意味から、研究について、やはり維持するなら維持するということを明示していただかないと、問題があるのではないかなということを是非お願いをしたい。このままいきますと、原子力は全廃になると思います。そんな中で、世界的にどんな傾向なのかということを踏まえて、日本として、世界に対抗していくための研究というのは重要ではないかということを、是非ご検討いただきたいと思います。
それから、これは質問なのですが、資料2-2に洋上風力の話があったのですが、先ほど浅野先生もちょっと触れられましたが、たしか数年前に、外洋における風力発電の研究というのを国立環境研究所でやっていたと思います。これが、その後、何か全く聞こえてこないのですが、その後、どういうふうに進んでいるのか、もしおわかりいただいたら教えていただきたい。
それから、もう1点は、先ほど浦野先生が言われましたが、こういう資料、ほとんど英語の略語とか片仮名が大変多いのですが、これ、是非改めていただきたい。実は、先日、JSTのシンポジウムで、私の方から提案で、略語と片仮名を使わないでシンポジウムをやりましょうと提案をしましたら、1人目の発表者からもう話がとまってしまって、日本語にならなかったというのがございました。そういう意味で、是非、これはご検討していただければと思います。以上です。

進藤委員
三つの選択肢をいただきまして、我々、経団連のいろいろな分科会でも、これについての議論を始めております。政府の方にも来ていただいて、選択肢を説明したりしていただいています。そこでいろいろ議論が出ているので三つ、四つ、ご紹介します。一つは、前提となっている成長率、政府の成長戦略は、「名目3%、実質2%」という数値で閣議決定されているわけですが、今回のこの前提は慎重ケースということで、20年代1.1%、30年代は0.8%となっています。これを参照ケースとして、そこからの落ち方を議論しています。財政再建なんかを議論するときは、非常にコンサーバティブ(保守的)なところで、1.1とか0.8を採用するというのはいいのですが、今回のようにエネルギーの見通しを検討するときには、やっぱり一番多く使うケースがどうかということから議論をすべきではないかという議論が出ております。2%でもし実質成長した場合には、1,000億キロワットアワーぐらいの電力が不足することになる。これをどうするかという意見が出ています。
二つ目は、省エネが非常に大きくビルトインされていることについてであります。一般的にGDPが増えますと、電力の使用量が増える。いわゆる弾性値はプラスのはずなんですが、今回の三つのシナリオは弾性値がマイナスになっています。過去、ずっと調べてみても、マイナスになったところはなかったかというと、そうでもないみたいで、オイルショックの後数年ぐらいはあったみたいですが、極めてまれなケースです。この弾性値マイナスという状況が長期にわたって本当に起こりうるのか否か、というのが、2点目。
それから、想像していた通り、電力コストが上がるという声があります。これは再生可能エネルギーがかなり入るためですが、非常にコストが上がる。家庭の電力で言えば、月額1万円のものが1万8,000円になる。これは原発ゼロのケースですが、そういうようなところで、産業の国際競争力が本当に維持できるのかどうか、というのが3点目です。
又、この電力料金が上がるのも、結局、CO2制約がそれに効いているということで、これも、ここで議論をさせていただいた経緯があるのですが、3シナリオとも皆、予定調和的に23~25%、2030年で減るという数字になっているわけです。電力料金をそれだけ上げて、あるいは、再生可能エネルギーも一生懸命頑張って、この23~25%削減という数値を、なぜここまで守らなければいけないのか、そういう議論がありました。これが4点目です。
それから、もう一つ、別の固まりとして、この資料3-1について、私の意見を申し上げたいと思うのですが、資料3-1の2ページの一番下の丸。この三つの切り口、国内削減と、吸収源と、それから海外削減、この三つをそれぞれ、目標の内訳として示して、誠実に履行することが適当と考えられると書かれています。誠実に履行するのはいいのですが、この内訳として示すということについて、私は従来から反対だということを申し上げてまいりました。それで、3ページの下の3色の図がありますが、これをどう解釈するかということです。これは二つ解釈の仕方があると思います。ひとつは、国内削減量の目標が決まり、吸収量が3.5%と決まり、それから海外における排出削減が決まって、この三つを足して、それが我が国の削減目標だという見方であります。もうひとつは、最初にこの3色の棒全体の横の長さが決まって、すなわち全体の削減目標が決まって、そのうち国内削減でどれぐらいできるのか、コストも勘案しながら検討する。そして次に、吸収量はマックスどれぐらいなのかを検討する。全部できれば問題はないのですが、仮に全部できない場合、その残余を海外における排出削減で埋める。それを日本の努力にしてもらうという考え方も、あるわけです。最初の考え方で、総和でこの目標になると言っても、国内削減量というのは、正直言って、まだ不確実な数値です。再検証が必要です。企業はまだいろいろ見通せると思いますが、家庭の電力消費削減などは非常に不確実だと思います。もう一つは、海外における排出削減をどれぐらいやるかというのが、先験的に決まるかどうかということです。それが決まらないから、いや、お金があれば、いくらでもやればいいわけですが、それができないから、今、従来の1.6%を超える、超えないというぐらいの基準しかないということです。そういう性格のものです。又、国内ができない場合に、海外でやるという、相互融通の必要性なども、出てくると思います。それから、この三つで、「我々はこういう手の内ですよ」ということを明らかにして、国際交渉が本当にやれるのかどうかという議論があります。更に、限界削減費用だけ見ますと、左の赤いところが非常に高くて、ずっと右にむかって落ちていって、海外における、今、炭素価格というのはtあたり3.2ユーロぐらいです。320円ぐらいになっている。こういうのをそのまま足していいのかどうかということもあります。私は、この三つを単純に足すというのは、まずいのではないかと思っています。したがって、まず、国際交渉の中で、国際公平性や実現可能性等も議論して、この棒の長さが決まって、そこから国内削減量、現実的な削減量がどれぐらいかという検証をし、確定し、そこでできないものを吸収量と、それから海外における排出減でやると考えるべきであります。そうすれば、何のために海外で我々はCO2を減らすのか、単に国際貢献ということではなくて、そういう全体を減らすことで、国際的なCO2削減に貢献するという、その位置づけもはっきりしてくると私は思います。
最後にひとつ質問ですが、この2ページ目の一番上の丸ですが、COP16で採択されたカンクン合意について、COP17では、この三つのそれぞれの内訳を明確にして、測定・報告・検証(MRV)をしていくこととされていると、こう書いているのですが、原典を見まして、これがどこに書いてあるのか、我々は見つけることができなかったものですから、後で、ここにキチンと書いていますということがあれば、教えて頂きたいと思います。

菅家委員
今日、初めて選択肢の内容について説明を受けましたので、少し質問させていただきたいのですけれども、概要版の5ページのところに、それぞれの原発依存低減の考え方が示されておりまして、どなたかもおっしゃっていましたけれども、その15シナリオのこの説明について、私は総合エネ調の基本問題委員会も出ていますので、内容については、こういう議論があったというのは、間違いもない、事実でございまして、15%の意味というものは、こういうことだったというふうに思います。ただ、エネルギー・環境会議で実際に決めた資料1-2には、これについての表記が一切書かれていないんですね。今日の概要版では入っていますけれども、これまで見せていただいた概要版には、この説明が入っていなかったんですね。それは、すなわち、本編に入っていないから、入っていなかったと思うのですけれども、その辺のエネルギー・環境会議における議論、すなわち、基本問題委員会の議論とか、あるいは基本問題委員会の報告書とは違う形で、最終的にはエネルギー・環境会議で表現が整理されているわけでありまして、その辺の議論の経緯について、教えていただきたいということでございます。
それとも関わるのですけれども、8月に政府として最終的に決めますよということについて書いてあるわけですね。具体的には、エネルギーミックスの大枠と、2020年、30年の温室効果ガス国内排出量等を示すというふうに書いてありまして、このエネルギーミックスの大枠の意味について、どういうふうに考えておけばいいのかということについて、ご説明をいただければというふうに思います。なんでこんなことを質問しているかというと、先ほどの15%の場合も、原発がこれからどういうふうになっていくかというのは、まだ未確定の部分が相当あるわけでありまして、実際に規制庁が立ち上がって、新しい安全基準ができ上がってというふうに、様々なその変動要因がある中で、この15%という数字ありきということでお決めになるのか、いや、そうではなくて、例えばこの提言の考え方に示されているようなことを中心に考えていったら、その辺の数字は変わるわけでありますので、その大枠の意味について、少し教えておいていただきたいというふうに思います。
それと、温室効果ガスにつきまして、2030年の姿につきましては、この会議においても、随分議論をされてきたわけでありまして、ただ、20年の数字の出し方について、先ほど、20年の原発のウエイトについては、単純に直線的に線を引いて、そこにあるものを暫定的に置いたにすぎませんということの説明がありましたけれども、一体全体、20年のその数字については、一体どういった要因でもって、お考えをまとめようとしているのかということについて、少し教えていただければというふうに思います。以上です。

鈴木部会長
時間も、それほどたっぷりとは言えなくなってまいりましたので、なるべく重複するご質問は短くお願いできればと思います。

高村委員
ありがとうございます。重複する質問を除いて、3点、コメントをさせていただきたいと思います。
1点目は、今回の資料でいきますと、2-1、清水審議官からご報告があったところでありますけれども、特にその中でも、スライドの5だと思いますけれども、やはり政策のフレームワークが非常に重要だと思っております。先進的なものづくりをして、それを普及していく、支援していくということと同時に、ここに書かれていますように、市場を得てビジネスとして自立して展開をしていくということ、そうした健全な市場の競争のルールをつくっていくということは、非常に重要かと思います。その観点から、今日、ご紹介があったあかり未来計画のように、製品について、あるいは、場合によっては、製造プロセスを含む事業活動について、こうした発想でルールづくりを積極的にしていく必要があると思います。これは産業政策の中ではもちろんですけれども、温暖化対策にもこの視点を、是非今後、これから検討する温暖化対策にも、この視点を入れていただきたいと思います。これは浅野先生、大塚先生が、幾つか事例を紹介されたとおりであります。
2点目は、これも清水審議官からあった点でありますが、今回、ご紹介があったいずれのシナリオについても、現行対策水準よりも明らかに、上積みの省エネ、温暖化対策が必要だということは明らかであります。そういう意味では、前回の地球環境部会でも申し上げましたけれども、13年以降の施策の議論をやはりできるだけ早く開始をして、決定をしていただきたいと思います。これは地方公共団体の計画上もそうですし、事業者さん、特にまじめにどうしようかと考えていらっしゃる事業者さんほど、国はどういう目標と、どういう方向性を持っているのかということを示してほしいという要望を聞きます。そういう意味では、これについては、是非お願いをしたいと思います。
最後でございますが、2点目と関わりますけれども、今日、資料3でご紹介いただきました2020年目標に関してであります。これはエネルギー・環境会議の選択肢の報告書でも問いが投げかけられているところでありますけれども、先ほど、進藤委員も含めてご発言がございましたけれども、国際的にプレッジをする目標としてという意味でいくと、少なくとも、その目標設定、目標の実施において、吸収源対策を使うのか、海外での排出削減も使うのかということ。あるいは、どういうアプローチでそれを行うのかということを明確にする必要があるかと思います。この点については、さっき、どの委員からも異論はないように受け取ったわけですけれども、日本がプレッジをしていく際に、様々な要因、例えば経済動向ですとか、気象条件の変化ですとか、あるいはコストの問題を考えますと、できるだけ、やはり可能な削減手段を目標達成の手段として入れておくということが必要かと思います。ただし、その国際的にプレッジをするときのその書きぶりについては、もう少し検討が必要ではないかという点が、先ほどもご指摘があった点かというふうに思います。他方で、国内の目標としての意味合いも、当然2020年目標としてあるわけで、国として、どういう分野で、どういう方法で削減するのかは、できるだけ具体的に数値目標を伴って明確にされる必要があるというふうに思います。これは、先ほど、2点目に申し上げた観点に加えて、非常にストレートな言い方をしますと、やはり具体的な対策の強度というものが明確にならないと、そのための財源、施策の動員というものの合意形成というのは非常に難しいかと思います。吸収源対策はどういうふうにするかという方法論は明らかになりさえすれば、数値目標というのは明確になりますけれども、海外削減分は、確かに一定のフレキシビリティがあるところだというふうに思うわけですが、少なくとも、下限のピンどめは、この財源確保といったような観点、あるいは施策の動員という観点からは、必ず必要だというふうに思っております。以上です。

冨田委員
最初に、選択肢のことについてですが、三つのシナリオということですけれども、このシナリオの名称が象徴しているように、原発比率、原発依存度、それから電源構成、こういったものに、非常に大事なことではあるのですが、関心というか、議論が集中し過ぎてはいないだろうかということが、1点、気になります。エネルギーということで言えば、電源だけではなくて、熱というところもあるわけですし、それから再生可能エネルギーの導入量、それから省エネ、こういったものについての実現可能性だとか、そういうところを含めて議論をする必要があるわけで、今の段階でどういう対応がとれるかはわかりませんが、意見聴取、それから、今後、行われる討論型の対話ですか、そういったところでも、是非そういった面で、原発以外のところについても国民のお考えというのを聞くことをやっていただければというふうに思います。
それから、このエネルギー・環境会議から出された選択肢に関して、いろいろな場面で意見を聞く機会が私もあったわけですが、30年の選択をすることによって、これから、例えば3年とか5年、どう変わるのだろうか。あるシナリオを選択したことによって、直近の生活とか、あるいは企業の活動というのはどうなるのかといったことを聞かれたことがあるわけですが、私自身、答えられませんでした。この選択肢の議論に関わった者として、国民、あるいは企業の関心に、必ずしも十分に答え切れていないのではないかなということを反省しているところです。
それから、30年のことはともかくとして、20年のことについては、この部会の中でも、今の議論で大丈夫だろうかということを何度か発言いたしましたけれども、資料3-1のところで、8月末に、20年、30年の排出量等を示すということを言われて、その次の裏のページでは、2020年の目標というふうになっているわけです。8月末に示された排出量がそのまま目標になるだろうかと。これは井上委員も指摘されたところですが、2020年の目標のところの書きぶりを見ると、誠実に履行をするということが書かれているわけで、これがどのくらいの意味を持つかというのは、ちょっとあいまいなところがあるわけですが、文字どおりのことを考えると、今、大まかな通過点、30年に至る通過点ということで出された排出量をもって、誠実に履行するという目標に位置づけていいのだろうかというところに関しては疑問があります。したがって、20年のことについては、もう少しきちんと精査が必要だろうというふうに考えます。
それから、資料3-1のところでございますけれども、この三つの分野の削減について、トータルとして、どういうふうに考えるのかということについては、進藤委員の方からご意見がありましたので、そこのところは省きますが、個々のものについて、今、言いました国内での排出量削減、これについてのさらなる議論がまだ必要だろうということ。
それから、もう一つは、海外における削減のところでございますけれども、資料3-1、それから3-2のところにも書かれていますが、2013年の対策の小委員会でまとめた文言が引用されておるわけですけれども、「1.6%を後退させることなく、強化を図り」云々とありますが、私の認識は、報告書にはこう書かれておりますが、これが小委員会、あるいは部会の総意というふうにはまとまっていないと理解しています。すなわち、部会、小委員会でこういう意見もありましたということが書かれているわけで、資料3-2のところに書かれているのは、それぞれの目標を掲げるべきかどうかということについての反対意見があったということしか書かれていないわけですが、1.6%を後退させることなく、強化をするということについても反対意見があったわけで、私自身は、その反対意見を申し上げた1人でありますけれども、したがって、この報告書にこう書かれているということだけをもって、あたかも1.6%以上を目指すんだということが合意されたと理解しておりませんので、その辺はご確認をお願いしたいと思います。以上です。

中上委員
今、冨田委員がおっしゃいましたように、あまりに電力に議論が偏り過ぎているので、そこは、是非、エネルギー・環境に関するという意味で、国民的な議論をなさるのだったら、是非ほかのものに対しても十分配慮していただきたいと思います。家庭でいっても、電力よりも熱、あるいはほかのエネルギーの方が多いわけですね。45%と55%ぐらいの比率だと思います、45が電気ですけれども。
それともう1点、これは進藤委員からもご指摘がございましたけど、電気代がかなり上がると。これは基本問題委員会でも話したことですので、ダブりますけれども、現状は1万円のものが1万4,000円、1万8,000円に上がるというようなことは、これは今回の国民的議論をするときには、極めてわかりやすいメッセージの一つだと思うのですが、それがこの中に入っていないわけですね。何億キロリットルがどうのとか、削減率が何%といっても、一般の消費者の方々にとっては、ほとんどこれは相当な知識を持っていらっしゃらないとわかりづらい。それに対して電気代というのは、極めてわかりやすいメッセージの一つだと思います。これは非常に重要な意味があるのじゃないかと思いますので、もう既に始まっているものですから、今さら追加するのはいかがなものかと思いますけれども、是非ご配慮を願いたいと思います。確か電気代が上がっても、所得が伸びれば、相対的にはあまり問題はないのですけども、ここには、この資料から落ちていますが、実質所得は確か下がるという推計結果、どのシナリオでも下がるという結果だったわけですから、非常に相対的にその電気代への負担がプレッシャーが大きくなるわけでありますから、こういうメッセージは是非どこかで入れておくべきじゃないかと。そうしないとミスリードするのではないかと思います。
最後ですけれども、二国間オフセットの話がございましたが、これから途上国支援をやっていただく段階で考えていただきたいのは、これから増加を抑制するという形でのその省エネが必要なわけでして、現在あるものを省エネするというのは、日本流の省エネの考え方ではだめなんですね。そこをいかに取り組むかということが、二国間協力というか、非常に大きな意味を持ってくるわけです。もの凄く成長をこれからしてくるわけですから、その成長を、経済成長だとか、生活水準の向上を担保しながら、しかし、エネルギーを減らすという、こういうふうな省エネ施策といいますか、そういう支援をするべきであって、そうしないと、現実的には日本が寄与した割には効果が上がらないということになりかねないので、是非、今までとは違った観点から、この問題を取り組んでいただきたいと思います。以上です。

永里委員
選択肢を考えるに当たって、基本的な考えを申し述べます。この20年来、GDPが全然増加していません。20年前もGDPは500兆円あったんです。もし名目で3%、実質で2%成長していたら、今、名目で900兆円、実質で750兆円になっていまして、今のような税収不足問題、赤字国債などの問題というのも、こんなに深刻になっていないんです。だから、成長戦略が非常に重要だということを言いたいと思います。成長するにはエネルギーが必要です。2030年に向けてのこれからの20年間、実質2%の成長を続けたら、今回、提示されたようなエネルギー需給にはなりません。はるかに大きなエネルギー量を必要とします。成長するためには、より安いエネルギーコストでなければならず、高い再生可能エネルギーではなく、原子力や化石燃料をより多く必要とします。また、GDP750兆円に見合うエネルギーを考えれば、それに見合う再生可能エネルギーの供給には自ずと限度があります。資料1-1は、GDP成長率に関して、慎重シナリオを前提としていることは承知しておりますが、赤字国債の発行残高、税収のことを考えれば、GDPを落とすような政策は考えるべきではありません。日本がギリシャのように沈没しそうなときに、温室効果ガスを90年比25%削減というような目標にこだわるべきではありません。だから、国際協力に関しても、自由な発想で考えるべきです。国際的な公平性が担保された形で、日本の優れた技術を世界に広めて、世界全体で2050年に50%削減するような、地球益と国益が合致するような政策をとるべきであり、国際的に認知させるべきです。原子力発電については、より安全にするための規制を強化して、原子力の平和利用と研究開発を進め、人材の確保、そして、育成に努めるべきです。そして、選択肢に関して言えば、今、申し上げた理由により、国民生活に与える影響を考慮し、経済成長を重視した選択をすべきだと思います。以上です。

長辻委員
何人かの方が既におっしゃっておられますけれども、この三つの選択肢を考えるに当たって、国民の議論があまりにも原発比率のみに集中し過ぎていると感じます。エネルギー全体について考えるべきであろうということは、私も同感です。
それと、話は少し変わりますけれども、日本では、浮体式の洋上風力発電が主流になるだろうということで、小林委員の方からも質問がありましたけれども、私も関心があるのでお尋ねします。まず、どの研究機関の技術が基礎になっているのでしょうか。これを教えて下さい。というのが、私の知っている範囲でも、数社の電力会社がこの浮体式の風力発電を研究しておりましたので、どういう技術が生かされているのかを教えていただきたいと思います。
それから、洋上風力に関して、今まで、海洋での種々の発電研究に関しては、塩気、塩分が一番の大敵になっていたわけですが、今回のこの浮体式洋上風力発電の技術において塩分対策はどこまで進んでいるのか、それを知りたいと思います。
それから、あともう一つ、気をつけなければならないのは、洋上では遮るものがありませんので、音は思いのほか、遠くまで届きます。洋上であっても風力発電の一番難しい問題である騒音対策、これも十分に考えて進められる必要があると思います。以上です。

三橋委員
3点質問があります。まず、資料1-1の5ページです。三つのシナリオのうち15シナリオに関してです。40年廃棄と、原発の新増設が難しい状況という二つの注釈が新たに加えられており、このことから、15シナリオは脱原発路線というふうに解釈していいのかという質問です。実は15シナリオについては、原発の稼働率が80%を前提にしているが、過去数年の稼働率はもっと低く、たとえば70%稼働率を仮定すると、新たに原発を2基増設する必要がある。だから15シナリオは脱原発ではなく、原発推進路線じゃないかという批判があります。ただ、この5ページに新たに加えられた注釈を見れば、15シナリオというのは、脱原発シナリオというふうに考えてもいいのかなとも思いますが、この点について、伺いたいなと思います。
2番目の質問です。資料3-2で二国間オフセット・クレジット制度の話が書いてあります。これは、いわゆる京都メカニズムの中のCDMに近い考え方というふうに考えていいのでしょうか。京都議定書の約束期間が今年末で切れてしまい、日本は13年以降、京都議定書の延長に参加しないので、CDMのメカニズムも失効してしまうわけですね。二国間オフセット・クレジットは、CDMに代替する考え方として受け止めていいのですかという質問です。
3番目の質問です。資料3-1で2020年の温室効果ガス削減目標について書いてあります。これまで、政府は90年比で25%削減ということを世界に公約にしてきましたが、原発事故で、その目標達成が事実上難しくなってしまった。3-1の資料の3ページに、8月にエネルギー・環境会議で2020年の温室効果ガスの国内排出量目標を決めるというふうに書いてあります。その目標数値はどのくらいを想定しているのでしょうか。資料1-2の14ページに総括表が載っています。その真ん中辺に、2020年の削減目標として、ケースによって違いますが、例えば90年比で7%削減から10、11%削減まで載っています。大体この辺の数字を考えているのでしょうか。これが3番目の質問です。以上です。

森嶌委員
清水審議官、内閣府で大変苦労をしておられることに、敬意を表したいと思います。まず最初に、中環審では、小委員会も含めて、ここ1年ぐらい、一生懸命選択肢について議論して参りました。私は選択肢の審議をこの中環審ですることについては、意味がないのではないかと考えて賛成してこなかったのですけれども、結局、エネルギー・環境会議が選択肢をつくられたわけです。この前の中環審では、選択肢の2-2を是非入れろなどという議論がありましたが、結局、これを見ると、中環審の案はすっかり吹っ飛んでいますし、この三つのシナリオも、先ほどの清水審議官のお話ですと、中環審の高位のものと、産構審のものとのハイブリッドであるというようなことで、中環審が審議会として議論してきたことがどれくらいの意味があったのかということです。それなら最初から、エネルギー・環境会議の有識者が決めればよかったのです。それでは、我々が中環審で議論したのは、結局、政府あるいは国家戦略会議が自分の責任で15%シナリオを決めて国民を説得するのではなくて、国民的な議論をしたので政府は国民の選択に従って決めたんですということを示す、そのセレモニーの一部として使われたように思います。
なぜ、そういうことを言うかというと、私は、麻生内閣のときに、2005年を基準として、15%のCO2排出削減目標を定めたときの内閣府の政策部会のときの部会長をしましたが、自分ではそのつもりでなかったのですけども、結局、政府の方で、もうほとんど15%削減を決めていた段階で、そこに落ち着くように部会でいろいろな資料をそろえさせられるのです。それで、私に最大限できたことは、データがどこからどういう諸源に基づいて出て来たかを公表して、できるだけ国民に実態を知ってもらいたいということでした。実を言うと、この選択肢の中に、先ほどからいろいろデータが出ていますけれども、その根拠がはっきりしていないものがあります。例えば、国の成長戦略では、経済成長率が名目3%、実質2%あるにもかかわらず、ここでは慎重シナリオということで、成長率を1.1%としています。また、成長率が1%ですと、エネルギー、これは原子力であろうと、石油であろうと、エネルギーの消費量は、経験則上、少なくとも減ることはないと思いますが、追加対策をする前の段階で、3.1億キロリットル減ることになっています。計算をした人に聞いたら、そういうふうに入れろということで、すべてのモデル計算をしているということでした。麻生内閣のときにも、いろいろな前提を一定にしてモデル計算をしていました。私は、そういう計算をしてはいけないとは言いませんが、少なくとも、こういう前提を置いて計算をしているんですということを国民の前にはっきりさせるべきです。国民各層から意見を聞く地方の会については、今まで、新聞やテレビなどでは、具体的にこれだとこのように国民に対する負担がありますというような問題ではなくて、電力会社が出るのはけしからんじゃないかとか、嘘を言うなとかいうようなことだけが取り上げられております。国民がこれから10年、20年先に、どのような負担を被るのか、あるいは、この政策をとったらどうなるのかということを、政府が国民にきちっと説明をしているのかどうかということは、必ずしも出ていないのではないでしょうか。清水さん、今後この会のやり方について改良するとおっしゃいましたけれども、是非、こういう点を改良していただきたいと思います。
私は、長年、消費者行政にも携わってきましたけれども、まず、消費者に対して、何が問題なのかをきちっと説明して、消費者に選択をしてもらわないと、こういう、わけのわからないと言うと失礼ですが、前提が何だかもわからない難しい数表をぽかんと出しておいて、それで、集会を開き、その上、その集会の開催通知もインターネットなどで短時間参加者を募集して、既に募集したから、後から参加したいと言ってもだめですよと言っておいて、出てきた人に、電力会社だからだめだとか、何とかだからだめだとかやっておいて、最後に、政府がもともと考えていた結論を、これが国民の意見を聞いた選択だと与えるのでしょうか。是非とも、これだけ重要な国民経済に関わる、国民全体に関わるような問題をやるときには、単なる手続論ではなくて、政府は自分での責任において、こういう負担をこういう事情で国民に被せ、雇用はこれだけ落ちるかもしれない、しかし、省エネや脱原子力依存をこれだけやる、ということを明らかにすべきです。
第2に、グリーン成長について。先ほどから外国語を使うなと出ていましたけれども、グリーン成長は何かというと、"global(グローバル)""profitable(プロフィタブル)""sustainable(サステナブル)"な成長だとして英語が使ってあり、中身はないようです。そこで、歴史を見ますと、1973年、78年のオイルショックのことを書いてありますけど、あのときには、ちゃんと製造業は輸出産業ということで、エネルギー多消費型の産業を、政府が一致して押して、それを石油を使わないで何とかやってきたのです。ターゲットはしっかりしていたのです。ですから、歴史を振り返っても、当時とは歴史的な背景が全く違っているんですね。これは2ページ。
3ページを見て、そこで、社会変革をしたらこれから何が出てくるのかというと、家計が主役の社会変革ですが、家を建て替えたり、冷暖房のタイムシフトとか、家庭が発電所にとかいうことで、ここに出てくるようなことで日本の経済が担えるのか、これで国民みんなが食えるのでしょうか。いずれ人口が7000万人になるのかもしれないけど、これで食えるのでしょうか。ストラテジーが何もうかがわれません。そして、グリーン成長は、グローバル、プロフィタブル、サステナブルといっていますが、グローバルということは、外国に企業がどんどん出ていくことになります。電力価格が高くなって、雇用がなくなるわけですね。中国がプロフィタブルになる。そして、日本はサステナブルでなくなるという話なのですね。こんなものを見せられて、どこがグリーンなのでしょうか。ブラウンじゃないでしょうか。有識者がとおっしゃっているけど、その有識者の名前をちゃんと知らせていただきたい。我々よりももっと経験も知識もない人たちがこういうことを考える。これは資料2-1についても2もそうです。こういうものはせいぜい3年か4年しか持たなくて、日本経済のうちのせいぜい10分の1ぐらいしか持たないお話ですので、申し上げます。
そして、こういうものを前提として、8月末に出てくるエネルギー・環境会議のプランを基にして中環審は何をやるか。これはもう今まで何回も部会長に申し上げていますけれども、以前から、中環審としては、2020年の削減目標を決めて、それを達成するためにどういう政策をとるのか。高位、中位、低位などというずさんなものではなくて、具体的に決めることが審議会の義務だと繰り返し申し上げております。今まで時間を浪費してきたわけですから、是非とも、部会長はきちっとした戦略を立てて、2013年以降の環境政策の実施に間に合うように、中環審としての仕事をやるようにしていただきたいと思います。その意味では、私は折角、折角と私は褒めているわけではないのですが、京都議定書の第二約束期間はやらないと言った以上、なぜ資料3-1のように、何か1.6%だとかなんとか、第一約束期間の制約をいまだに引きずっているのでしょうか。もしも国内の削減を一生懸命やって足らないなら、CDMに限らず、REDD+であれ、セクトラル・アプローチであれ、もちろん国際的に通用する検証をしてなければなりませんが、国際的なクレジットを持ってきて、日本はちゃんと国際的に2℃に抑えることに貢献しているのだからいいではないかということを主張すべきです。それぐらいのことを中環審がやらないと。中環審はこれまで時間を浪費し過ぎたと思います。

横山委員
3点、簡潔に述べたいと思います。
1点目は、2020年の排出量削減目標についてですけれども、私は、これは、この当部会の大きな課題だったと思います。ところが、時間がなくて、ほとんど議論できなかったと。今回の資料を見ると、原発比率を2010年と30年、足して2で割るという数字を前提にしているわけですね。これは非常に弱いのではないかと思います。大変ではあっても改めて、2020年に原発比率がどうなるかというようなものを検討した上で、2020年の排出量削減目標といったものを出していただきたいと思います。
それから、2点目は、三つのシナリオが示されたわけですが、最終的にゼロシナリオと15シナリオの中間をとるとか、そういうこともあり得るのか、今の段階で国家戦略室はどう考えているのか、教えてほしいと思います。
それから、3点目は、20~25シナリオ、資料を見ると、緩やかに原子力依存度を制限しながらと書いてありますけれども、20~25と、現行の26は、どう考えても緩やかに依存度を低減していると思えませんので、現状維持型とか、そういうことに変えるべきではないかと思います。以上です。

鈴木部会長
大変多様なご意見を頂きましたが、ただ、関心を持たれたところはかなり的が絞られているところもあろうかと思います。時間が大幅に予定よりオーバーしていますが、まず、いろいろいただいたご質問等につきまして、対応を清水さんの方からお願いいたします。

清水審議官
ちょっと大分時間がオーバーしているようですので、簡潔にお答えしたいと思います。幾つか、まとまった意見があったかなというふうに思います。一つは、15%のシナリオをめぐる議論、それから成長率の議論、それから2020年の数字の性格などが、非常に大きな議論だったと思います。まず、そういう大きな議論についてお答えして、あと、細かな議論について、時間の範囲でお答えします。まず、15%のシナリオということでありますけれども、これ、全般に、まずどのシナリオでも言えることですが、ちょっと言葉の使い方として、皆さん、脱原発というような言い方をされる場合が多いのですが、政府としては、原発依存度を減少させるという言い方をしております。現状は26%ですから、そこから、低減していくという意味において、今回、ゼロシナリオあるいは15シナリオ、20~25シナリオ、いずれにおいても、原発の依存度を低減させると、減少させるという、そういうシナリオになっているということです。いわゆる脱原発という言葉では表現していないということは、まず前提として理解していただければなというふうに思います。
それから、15シナリオで、特に今回の5ページで、40年運転制限制、それから新増設が難しい状況にあるという説明を加えております。ご指摘がありましたように、選択肢の本文にはこの表現はございませんが、国会でのいろいろな議論を踏まえ、より明確にこの15シナリオの性格を位置づけるという意味で、今回、特に追加した表現になっておりますが、考え方としては、当然、選択肢を出した当初から背景にあったものをより明確に説明したという形になっております。
それから、成長率の議論でございますが、確かに、この中央環境審議会においても、慎重シナリオということを中心に議論されていました。それから、総合エネ調の方でも慎重シナリオ、あるいは、より低いシナリオがあるのではないかということも含めて、向こうの方の議論ではなされたというふうに理解しております。確かに、政府の成長戦略は名目3%、実質2%程度という目標になっておりますが、これは政策努力の目標としての性格を持つものとして理解しております。こういった目標とは別に、一定の経済見通しを前提とする場合もあります。先ほど、どなたか、ちょっとご指摘がありましたけども、財政運営戦略において、経済・財政の健全化の道筋を示すに当たっては、慎重シナリオで行うというふうにしておりますので、このエネルギー・環境政策についても、慎重シナリオで使用することが適当というふうに考え、これを採用したものであります。
それから、2020年の数字の性格ということでございました。別の数字を使ってほしいという議論もございましたが、この数字自体は、総合エネ調が提示し、かつ、ここの審議会、部会の場にも提示され、毎回、議論されたという、そういう性格のものであり、それを採用したということでありますので、むしろ、ほかの数字が可能であるのであれば、やっぱり審議会の方でご議論いただきたかったということであります。現在はその数字しかない、あるいはそれが前提になっているということで、それを採用したということでありますが、先ほどから説明しましたように、米印の3のところで、この数字の持つ性格といいますか、前提条件については明確にしました。今後、エネルギー・環境会議の場で、これはどういう数値になるかはわかりませんが、一つの大枠を示したという後に、それぞれの分野において、例えばエネルギー基本計画であるとか、温暖化の対策の計画的なものになるのかどうか含めて、それぞれの分野で政策が決まっていくことになると思いますので、その場において、その数字の持つ意味、性格などを含めて、さらに議論していただければというふうに思いますが、前提条件としては、この審議会の場で議論したということでございます。委員の皆様から見ると、数字あるいはシナリオの数字が議論と違うので、この審議会の意義はどうだったかというご意見もありましたが、本来であれば、総合エネ調の事務局と中環審の事務局がすり合わせていただければ、より簡単ではあったのですが、結果として違う数字が出ましたので、関係省庁、さらに調整しまして、この数字が出たということではありますけれども、決して、これは中環審なり、総合エネ調の議論を無視したということではなく、その議論を十分に踏まえて作った、そういう選択肢というふうに我々は考えておりますので、宜しくお願いいたします。
それから、幾つか重要なご指摘がございました。例えば、モデルになるということの意味は何かとか、非常に今回、温暖化対策の特に内容の部分で、省エネ、再エネみたいな対策が進めば、それは、やはり世界に対してモデルとなるようなやり方になるのではないかと思っております。
それから、いろいろな委員から幾つかご質問がありましたが、それは、先ほど申し上げたように、関係省庁の間で、より適切なものという形で調整したものであります。さらに細かい話は、またちょっと別途、お話ししたいと思います。
それから、浦野委員の方からは、規制以外もあるのではないかというようなご指摘がありましたけれども、これは、まさにこの審議会でやった高位の内容に準じたものでありますので、それをどういう形で要約したかという、要約の問題というふうに考えますが、より適切なものがあったかもしれませんので、意見として受け止めていきたいというふうに思います。
それから、及川委員の方から、事実関係ですが、省エネがどれぐらいか、電力がどれぐらいかというご意見がありましたけれども、現在が2010年レベルで1.1兆キロワットアワー。それをどのケースにおいても、現状より10%程度削減して、1兆キロワットアワーというようなことを前提にしております。これは、現在のエネルギー基本計画が1.2兆キロワットアワーということから見ても、かなりの省エネが進んだ、そういう姿になっております。
小林委員の方から、原子力の安全性確保ということで、研究体制、あるいは人材の問題がありましたけど、まさにそのとおりだということを思っておりまして、そのことは論点の中にも明記しているところでございます。ちょっとほかにもいろいろあったかもしれませんが、とりあえず、こんなところで。

地球温暖化対策課長
続いて、資料2-2の関係のご質問、ご意見についてでございますけれども、2-2の最初にご紹介させていただいた浮体式の洋上風力の関係ですけれども、まず、どこの研究機関のということですが、国立環境研究所と京都大学の方で、従来から研究してきたものがベースになっております。施行して実際にやっておりますのは、富士重工業と戸田建設でやらせていただいておりまして、写真がございますけれども、このスパーの下の部分はコンクリートでできておりまして、コンクリートの上に鋼管のつなぎ合わせが出てきていると。中にバラスト水が入っているという形で、特に揺れについて揺動を抑えるような制御というのは特にしていないような形でやっております。
それから、音がどこまで届くのかという、その辺については、環境アセスメントを実施いたしておりますし、まさに、この実証でいろいろとこれから調べていくという中で、騒音関係についても、きちんと特定をしたり、あるいは塩分対策についても、そういったことも調べながらやっていくという予定にしております。
それから、同じく資料2-2の中で、浦野先生、あるいは小林先生の方からご指摘がありました、家庭向けの社会変革を狙うなら、わかりやすい言葉を使うべきと。参考にさせていただきたいと思っております。
また、あかり未来計画の関係、LED化の推進について、大塚先生、浅野先生からいただいておりますけども、ご意見を参考にさせていただいて、今後、進めさせていただきたいというふうに思っております。私の方からは以上です。

清水審議官
追加で、すみません。経済負担についての情報提供が不十分ではないかというご指摘、大変重要なご指摘でしたので、お話し申し上げます。今回の資料2の、私、説明しませんでしたが、各シナリオのところには、発電コスト及びそのシナリオをとった場合の家庭の電気代ということで、大変重要な情報は示しております。ちょっと時間の関係上、そこに言及ができなかったのは、大変申し訳なかったです。それから、電気代、GDPを含む経済的負担につきましては、確かになかなか説明しにくい部分ではあるのですが、選択肢そのもの、及びそれを背景としたモデル、及びそのモデルに関する諸元のデータ、すべてウェブ上で公開しております。やはり透明・公正な形でデータを公開して、国民的議論を踏まえて、政府として決定していきたいというふうに思っております。
それから、あともう一つ、選択肢の三つ以外のところから決定することがあり得るのかというご質問がありましたけれども、これはあり得るという形でお答えさせていただいておりますので、国民的議論がどういう形になるのか、さらによく傾聴しながら、議論を進めていきたいというふうに思っております。

低炭素社会推進室長
それでは、資料3-1に関する部分でございますけれども、8月には国内排出量などにつきまして、それを記載した戦略が決定されるということになっております。その戦略を受けて、温暖化対策を年内に取りまとめていくということが記載されておりますので、今日、ご紹介いたしました国内排出量、そして、吸収源、海外削減量と、それぞれの内訳が示されまして、国内、国際的に説明責任が果たせることができるような形で、対策、そして、計画としてまとめていきたいというふうに思っております。当然、その中、詳細につきましては、ご議論いただきたいというふうに考えております。

市場メカニズム室長
私からは、海外の削減分に関していただきましたコメント、ご質問等について、ご説明申し上げたいと思います。まず、冨田先生から、その1.6%を後退させることなくと、この中環審の報告書の記述につきましては、必ずしもコンセンサスはなかったのではないかと、こういうご指摘をいただきました。この記述の部分につきましては、ほかの委員の先生方のそれぞれの思いもあろうかと思いますので、引き続き、ご議論を賜れればと考えております。
次に、中上先生の方から、二国間オフセット・クレジットの取組を進める際には、特に途上国における省エネ対策をもっとしっかりと進めて、実際の排出削減の貢献が目に見える形になるように、さらに努力すべきではないかというご指摘をいただいたところでございまして、これにつきましては、ご指摘を承りまして、さらに努力、工夫をしてまいりたいと考えております。
最後に、三橋先生の方から、この二国間オフセット・クレジットにつきましては、CDMクレジット、CDMの仕組みと同じようなものなのか、同じような考え方なのかというご質問をいただきました。基本的な考え方としては、同じようなものを考えておりますが、CDMの仕組みが国連中心で中央集権的なものであるのに対しまして、私どもが考えております二国間オフセット・クレジットの制度につきましては、二国間で、そのテーラーメードで使い勝手のいいもの、要は、地域の実情に応じた形で柔軟なものをつくっていきたいと考えておりまして、CDMの制度を補完するような形で、私ども日本と、それから、実際に排出削減の取組を進めている途上国の政府との間で議論いたしまして、使い勝手がよく、なおかつ、実際の排出削減につながる、そうした柔軟な仕組みを、CDMを補完するものとしてつくっていきたいと、このように考えているものでございます。以上でございます。

鈴木部会長
よろしいですか。CDMは、2013年以降も継続するということで宜しいですか。

市場メカニズム室長
今、ご質問いただきました2013年以降のCDMの取り扱いでございますが、日本につきましては、京都議定書第二約束期間に入らないという形になってございますが、それでは、京都議定書第二約束期間に入っていない国がCDMクレジットを引き続き使えるかどうかにつきましては、次回のCOPで引き続き議論をして決まっていくと、こういう整理になっておりまして、私どもとしては、第二約束期間に日本が入っていなくても、CDMクレジットを使えるという我が国の主張を、ご理解をいただきたいと考えているところでございます。

鈴木部会長
大変時間がオーバーしてしまいました。非常に、短期間でこのエネルギー・環境会議の選択肢案もまとめていただいた。清水さん、大変ご苦労いただいたと思いますが、これを拝見すればするほど、いろいろな問題が残っているということもよくわかります。しかも、なおかつ、これを8月までに国民的議論を終えるという、信じられないような時間で国民的議論とはどうするんだろうと思うわけで、そういうようなことをトライアルとして、今、我が国はやってみているということかもしれません。いずれにしましても、この中環審といいますか、地球環境部会としては、こういう形でまとまっていくものを、やはりどういうふうに、国民の視点で、よりわかりやすい形にしていくのか。そしてまた、その範囲内でアップグレードをしていくのかというようなことを目指して努力していくことになろうかと思いますが、事態は急展開を遂げている間なので、非常にわかりにくいというのが残念でもあり、また申し訳ないような感じもございます。
一応今日いただきましたご意見、またご質問等は、議事録に基づいて、事務局の方でまた精査していただいて、補うべきところがあったら補っていく、そんなことで、お願いしたいと思います。
追加のご意見でしょうか。では、短くお願いいたします。

浅岡委員
時間がないことはよくわかりますし、また、ご説明しにくいことも多々あることも理解いたしますが、疑問や質問にちゃんとお答えいただけていない部分が多々あると思います。それで、書面でも差し上げますので、ちゃんとした回答をいただいて、それらを踏まえて、誤解がない上で国民的議論を進めていくというふうにしておかないと、後々、後悔が残ると思いますので、そういう取り扱いをお願いしたいと思います。

鈴木部会長
そうですね。それは事務局のほう、宜しくお願いいたします。
よろしいでしょうか。大変時間が延びてしまって、不手際をお詫び申し上げます。

地球温暖化対策課長
それでは、事務局の方から二つお知らせがございます。一つは、現在、国会の方で都市の低炭素化の促進に関する法律案、いわゆる低炭素まちづくり法案がご審議中でございますけれども、本案が成立いたしますと、低炭素建築物の認定基準の策定というのが待っておりまして、その際は、専門委員会を部会の下に設けさせていただくなど、中央環境審議会の方にご知見を賜ることとなると存じておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。また、二つ目のお知らせとしましては、いつものごとく、議事録についてでございますが、事務局でまとめまして、委員の皆様へご確認をいただいた後にホームページに掲載をさせていただく予定でございます。宜しくお願いいたします。

鈴木部会長
それでは、本日の地球環境部会、これで終了いたします。どうもありがとうございました。

午後 3時24分 閉会