中央環境審議会 地球環境部会(第104回) 議事録

日時

平成24年4月13日 15:00~18:00

場所

全国都市開館2階『大ホール』

議事次第

1.開会

2.議題

(1)
2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会における議論の状況について
(2)
吸収源対策、適応策、二国間オフセット・クレジット制度の活用等の国際貢献の取組状況について
(3)
今後のスケジュールについて
(4)
その他

3.閉会

配布資料

資料1
今回試算における原子力発電の発電電力量と設備容量について(事務局資料)
資料2
2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会における議論を踏まえたエネルギー消費量等の見通しの仮試算(その2)(国立環境研究所AIMプロジェクトチーム)
資料3-1
2013年以降の森林吸収源対策について
資料3-2
農林水産分野における温暖化対策 農地による炭素貯留について
資料4
国際貢献について
資料5
今後の地球温暖化による影響に対する対応の取組について
資料6
今後のスケジュール
参考資料1
エネルギーミックスの選択肢に関する整理(案)
(平成24年4月11日第18回基本問題委員会 資料1)

午後 3時00分 開会

地球温暖化対策課長
それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会第104回会合を開催いたします。本日、委員総数36名中、既に過半数の委員にご出席いただいておりますので、定足数に達しております。また、本日の審議については、公開とさせていただいております。なお、カメラ撮りにつきましては、後ほどの配付資料の確認のところまでというふうにさせていただきますので、宜しくお願いいたします。では、以降の進行について、浅野部会長代理にお願いいたします。

浅野部会長代理
それでは、今日は鈴木部会長が海外出張で都合が悪いということですので、私がご指名いただきましたので、進行を進めさせていただきます。それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

地球温暖化対策課長
それでは、お手元、議事次第の下に配付資料リストがございますが、ちょっと今日は配付資料リストに載っていない資料もございますので、そこも紹介をしながら、ご確認をお願いいたします。資料1が、今回試算における原子力発電の発電電力量と設備容量についてというA4、1枚。
その次に、資料番号がございませんが、昨日の第15回2013年小委のほうの主な議論についてということで、資料番号はございませんが、A4で2枚物がくっついておるかと思います。それから、資料2が二つございます。薄いものと分厚いもの。分厚いほうが資料2の本体、国環研のほうでの見通しの仮の試算。ちょっと訂正すべきところが見つかったものですから、薄いほうで訂正ページ抜粋版ということで、資料2という薄いものもつけさせていただいております。資料3-1が吸収源対策について。それから、資料3-2が農林水産分野における温暖化対策、農地による炭素貯留について。それから、資料4が国際貢献について。それから、資料5が適応の取組について。そして、資料6が今後のスケジュールでございます。参考資料1として、エネルギーミックスの選択肢に関する整理案。それから、浅岡委員よりご提出いただいている、気候ネットワークというクレジットのついた何枚かのA4の資料を配付させていただいております。
ご確認いただきまして、不足ございましたら、事務局までお申しつけください。
なお、カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、宜しくお願いいたします。

浅野部会長代理
それでは、議事に入ります。本日の議題は、議事次第にありますように、小委員会の議論の状況について、これが第1でございます。第2は、吸収源対策、適応策等についての議論でございまして、最後は今後のスケジュールについて。以上でございます。本日の議事の進行について、最初にお願いを申し上げたいと思います。この部会でやらなければいけない仕事として、国内排出削減について、小委員会の議論をフォローしながら検討をする。それから、小委員会では取り上げられません吸収源対策、適応策について部会として検討をする。適応策についても、方向性について、しっかりとそれを示していく、さらに具体的ステップを示す。こういうことがこの部会のミッションになっておりまして、さらにそれに加えて二国間クレジット制度、CDM活用など、国際協調のもとでの地球温暖化対策のあり方についても、この部会で検討をするということになっております。しかしながら、後の二つについては、これまで吸収源については一度だけ資料が出され、これにもとづいて議論をしております。それから、適応策については、数回前に一度ご報告を伺って、若干の議論をしたというにとどまっております。まとまった形で資料が出ましたのは今回が最初でございますし、また、国際的な取組についても、本日、資料が出て、初めてこれを議論するということになります。そこで、このための議論を十分にしたいと思います。いつも前半の議論が大変長引いてしまって、最後5分間程度、報告を聞いて終わりということになっていますが、それでは部会としての責任が果たせませんので、本日は前半については一定の時間で議論を打ち切りたいと思いますので、宜しくお願いいたします。具体的には16時25分をもって、委員の皆様方のご発言の途中でも議論を打ち切ります。それまでのご議論についての事務局からの答弁、関係者の答弁をその後10分程度いただきまして、その後、この後半のテーマについて取り上げたいと思います。
鈴木先生はとても寛容な方で、後から名札を立てられた委員にも発言を許されますけど、私は全く寛容でありませんので、最初にエントリーをされた委員以外の、後出しでのご発言はご遠慮いただきたいと思っております。それから、講演会ではありませんので、ご発言の趣旨は簡潔明瞭にお話をいただいて、ほかの人の時間を奪わないようにということを是非お願いをしたいと思います。最後に、18時には絶対終わりたいと思っておりますので、宜しくご協力をお願いいたします。
それでは、早速でございますが、議題1でございます。これについて、2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会の議論の状況についてということでございます。資料1を事務局からご説明いただき、さらに、昨日の議論を受けて、原子力の選択肢の関係について、西岡委員よりコメントをいただいた後、資料2について、国立環境研究所の藤野主任研究員から続けて説明をいただく。その後、質疑応答に入りたいと思います。では、事務局、どうぞ宜しくお願いいたします。

低炭素社会推進室長
それでは資料1、さらに参考資料1をご覧いただきながら、ご説明をしたいと思います。
まず、資料1でございますが、今回、資料2で国立環境研究所AIMプロジェクトチームに試算をいただいておりますけども、その前提となります原子力発電の発電電力量、そして設備容量について、どのような設定を行っているのかということをご報告いたします。
まず、参考資料1、横長のものですが、こちらをご覧いただきたいと思いますが。こちらは4月11日に基本問題委員会で資料1として提出されたものでございます。こちらは、各委員のほうから提出された選択肢についてとりまとめたものというものでございます。値としましては、2030年の時点というものでございまして、成長率としては、慎重シナリオを使っているというものでございます。発電電力量の見込みとしては、1兆キロワットアワーというものを見込んでの試算というものであります。A案は値を示さないというものですので、値自体は書いておりませんが、以下、B、C、D、Eということで、それぞれに原子力発電などの値が決まっておりまして、0、20、25、35%というのが原子力発電の発電電力量に占める割合というもので案が提示されたというのが、4月11日の結果でございます。
それを用いまして、資料1で発電電力量の設定を表のようにしております。
まず、上でございますが、発電電力量につきましては、今申し上げましたように1兆キロワットアワーと0、20、25、35%というものを使いまして、それを掛け算をし、2030年におけます原子力発電による発電電力量を0、2000、2500、3500億キロワットアワーというものを計算をして、試算をお願いしております。今回、試算に当たりましては、この比率というよりは、発電電力量そのものを用いて計算をいただいております。また、一部設備容量につきましても、計算に必要だというものでございまして、下の表にございますように、第16回の原子力委員会新大綱策定会議の資料で示されております2030年時点で約80%の設備利用率というものを、同じ方法を用いまして下の表のように設定をして計算をお願いしたというものでございます。なお、資料1の一番下にございますように、2020年の値につきましては基本問題委員会におきまして、現時点ではまだ選択肢が提示されていないということでございますので、提示された時点で計算を行っていくという予定でございます。
資料1の次にございます、資料番号を振っておりませんが、昨日行われました検討小委員会における主な議論についてということで、どのような議論が行われたかということをご紹介をしたいと思います。まず、今、資料1でご説明いたしました原子力発電についての設定について、ご議論が一渡りありました。上から行きますと、地球温暖化対策の中期目標を検討するに当たっては、2020年の選択肢が必要であるということで、こちらにつきましては、基本問題委員会のほうに提示するよう、中央環境審議会から申し入れを行うべきだというご意見。また、2030年におきまして、新増設なし、既設40年廃炉ということでいきますと、発電電力量に占める割合が10から15%になるという見込みがあるだろうと。それと原子力規制関係法案との関係を考えて、蓋然性の高そうな選択肢を基本問題委員会で検討してほしいというご意見もございました。一方、中央環境審議会独自で設定をして検討をするということについては、そうすべきではなく、政府一体となって同じ前提、数値で検討してほしいというご意見や、他の委員会で議論されているものにつきましては、小委員会のほうでは議論すべきではなく、小委員会としては、本質的な議論に集中すべきだというふうなご意見。また、設備稼働率につきましては、コスト等検証委員会で70%を使っているというご指摘もございました。こちらにつきましては、資源エネルギー庁の後藤課長のほうから、2030年におきましては、これまでの基本問題委員会の委員の意見をまとめたものではあるけれども、昨日、これは4月11日のことでございますが、委員会の議論も踏まえて、委員長、そして大臣とご相談をしたいというコメント。そして、まずは2030年の数字をまとめることに全力を挙げその後、2020年についても、議論次第ではあるけれども、できるだけ早くお示ししたいというお話がございました。また、小委員長からは、2020年における原発の選択肢、また2030年の比率で蓋然性の高いケースの検討につきましては、部会長と相談をし、申し入れをしていきたいというコメントがございました。ということで、前提のところにつきましては、以上でございます。

浅野部会長代理
それでは、西岡委員、お願いいたします。

西岡委員
小委員会のほうから、ちょっと付け加えさせていただきたいと思っております。私どもの検討委員会は、地球温暖化対策に関する複数の選択肢の原案を提示するための作業を行ってきております。前回のこの地球環境部会、ここでは2020年、2030年の原子力発電の選択肢が、総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会から提示されていなかった。このため、エネルギーミックスの選択肢の原案の検討と表裏一体で検討を進めるという観点から、藤野主任研究員より、どれ位、省エネや再エネができそうかという、最小エネルギー消費及び再エネの普及見通しを報告したところでございます。本日は、一昨日の4月11日に基本問題委員会のほうから、原子力発電についての2030年の複数の選択肢が出てきておりますので、その選択肢を入れた形で、温室効果ガス排出量の見通しについて、藤野主任研究員より再度発表してもらうことになっております。しかし、残念ながら、2020年の原子力発電の選択肢、まだ基本問題委員会のほうから提示されていない。昨日も、2020年がまだ計算できていないことについて、多くの委員からご意見をいただきました。そこで、地球環境部会から基本問題委員会に申し入れを行うことにしたいという旨を出席なさっておられました鈴木部会長とも相談してご了解いただき、昨日、小委員会で委員長として申し上げたところであります。今、報告がございましたように、
本日、地球部会として、エネルギー・環境会議からタスクアウトされた依頼について、このままでは責任を十分に果たすことができないということで、本日、藤野委員の発表、その他の質疑応答が終わった後に、基本問題委員会に早急に2020年の原発の選択肢を示すように申し入れをしていただきたいという点につきましては、今、部会長代理にお願いいたしまして、委員の皆さんにお諮りいただきたいと思っておりますので、宜しくお願いいたします。また、その際には、昨日も2030年の選択肢について、0%、20%、25%、35%、4通りだけではなくて、さらに法律などの観点から、蓋然性の高いケースも検討すべきなどというご意見も多くの委員からいただいております。その点についても、あわせて基本問題委員会で検討してもらいたい旨を申し入れたいと私の方でお願いしておる次第でございます。以上です。

浅野部会長代理
どうもありがとうございました。それでは、続いて藤野さんからご説明いただきます。

(独)国立環境研究所 藤野主任研究員
どうもありがとうございます。できるだけ30分以内にご説明したいと思います。
資料2をご覧ください。こちらは4月4日の部会のときに説明させていただいたものの更新をした、その2のものです。おめくりください。1ページ目のところに、今回行ったことを書いております。まず、4月4日、地球環境部会及び3月28日の小委員会のいただいたご指摘を出来得る限り反映はしましたが、既に中上委員から、オフィス部門の給湯の扱いについて、もうちょっとデータをきちんと、データがないということも非常に問題ですので、そこもちゃんと指摘した上で検討しないといけないということもご指摘いただいていますので、もし前回ご指摘いただいたところが十分反映していないということがあれば、個別にまた事務局に随時ご連絡いただければ幸いです。今回は、先ほど西岡委員のほうから説明ありましたが、2030年の原子力の選択肢を踏まえて、一次エネルギー供給だったり、温室効果ガス排出量の推計を行っております。そういう意味で、次回までに何とか2020年も含めたもの、またはこちらの部会で検討される、より幅広い選択肢が必要ならば、そういったことの素材をご提供したいと思います。2ページ目です。こちらも基本的には前のところと同じなんですが、3ポツ目のところで、技術の積み上げモデルの性質を書かせていただいています。基本的には、価格効果だったりとか経済的な影響につきましては、経済モデルというものを別途動かしておりますので、そちらもいずれご報告できるかと思います。もう一点は、基本的には、こちらは省エネと省CO2投資の計算を行っておりますけれども、クオリティ・オブ・ライフを高めるとか、そういうノンエナジー・ベネフィットについては、一部は定量化できていますが、全体が定量化できておりませんので、含めておらないということです。3ページ目をご覧ください。本資料の全体の構成、目次になっておりますが、今日は特に第2部の試算のところの(1)、(2)の辺りを特に中心にご説明したいと思います。
4ページ目以降のところは前回もご説明しましたので、少し飛んでいただいて、18ページ目の第2部、小委員会等での議論を踏まえたエネルギー消費量等の見通しの試算のところからご説明させていただきたいと思います。19ページ目にモデル分析との関わりを書いております。基本的には、八つあるワーキンググループで大変なご検討をいただいて、最新のサイエンティフィック・ファインディングを出していただいて、また、この部会なり小委員会で議論していただいて、そういったものを組み合わせるのがAIMモデルの役割となっております。そういった意味で、そうした皆さんの活動だったりご議論というものが非常に貴重であって、そういうものがないと試算ができません。20ページ目が今回計算したケースになります。マクロフレームの成長、慎重、2通り。原子力発電2030年の割合、4ケース。そして、省エネ・再エネ、化石燃料、クリーン化・効率化等の設定、3通り。合計24通りの計算を行っております。21ページ目、22ページ目は、こちらは前と変わっておりませんが、23ページ目のところで、前回の部会で亀山委員からエネルギー価格のご指摘を受けましたので、現在の想定を書いております。ただ、ちょっとまだ感度分析までは至っておりませんで、出来る限り対応したいとは思っていますが、まだやっていません。24ページ目は、先ほど土居室長から受けた設定に基づいて計算をしたということです。
25ページ目以降は前と同じですので、29ページ目まで飛んでいただけますでしょうか。(2)の我が国のエネルギー消費量の見通しということで、30ページ目に前回ご説明した最終エネルギー消費量成長シナリオの2030年の値。また31ページ目に慎重シナリオの数字。32ページ目に2050年の別途マクロフレームワーキンググループ、安井委員のほうが座長をされているところで検討をされているものと見比べるとどうなのか。33ページ目は、前から想定している再エネの割合を示しています。34ページ目から新しい結果になりますが、原子力2030年の想定を含めて行ったことで、一次エネルギー供給量というものの試算ができまして、お示ししたようなボリュームになるのかなという計算をしております。34ページ目が成長シナリオで、35ページ目が慎重シナリオの計算になっています。36ページ目は、それの構成のシェアを示しております。それぞれのケースで、横目でご覧いただけたらと思います。37ページ目は慎重シナリオです。38ページ目は、発電電力量構成を示しています。ただ、ちょっとこちらのほうで余力がなかったところもあって、火力がまとまって今示しておりますけれども、昨日、渡邊委員からもご指摘がありましたが、次回には内訳、石炭、石油、天然ガスの割合もお示ししたいと思います。
39ページ目は、その慎重シナリオの計算です。40ページ目は、キロワットの設備容量の構成の想定をこちらで示しております。このような想定で、必要となる最終エネルギー量の電力の消費量の対応をするという試算結果を得ました。41ページ目からは、温室効果ガス排出量の結果をお示ししております。新聞でも一部出ておったかもしれませんが、成長シナリオで、それぞれ原子力0、20、25、35と、低位・中位・高位でこのような数字になりまして、42ページ目は慎重シナリオになっておりまして、43ページ目にまとめて書いておる表をお示ししております。ちょっと眺めていただいて、ご判断いただければと思います。44ページ目からは、経済性のところの省エネ・再エネの追加投資額。追加投資額というのは、例えば更新で車が必要だというときに、在来型、従来型の車を買うか、燃費のいい次世代自動車を買うかで、追加的に必要なお金のところ、投資額を組み合わせたものになります。数字は、これは累積投資額になっておりまして、非常に単純に計算すると、2010年から2020年の合計を今これ、示していますので、高位ケースだと、年平均だと大体6.2兆円必要になって、省エネメリットは年間3兆円とか、その先の21年から30年を見ると3.6兆円とか、そういったボリューム感になるものです。45ページ目は、それを2030年まで投資の額を示させていただいています。つまり、これは約20年間の合計の投資額と、それに伴う省エネメリットというものを累積額で示させていただいています。46ページ目は、それの個別の対策に必要な累積投資額と、あとセクターごとというか、すまいだったり、乗用車、ものづくり、オフィス・店舗等のセクターの合計の省エネメリットをお示ししています。こちらの方も、昨日、たくさんの委員から左は細かく出しているのに右は大ざっぱだとご指摘を受けましたので、できるだけ右の省エネメリットの方も各対策に適合したものをお示しできるようにやりたいと思っています。47ページ目からは、個別の対策の追加投資額と、今度は温室効果ガスの排出量が計算できましたので、それに関わる削減量または費用の関係を示した、我々は削減コストカーブと呼んでおりますけれども、そちらの考え方をお示ししております。
まず、追加投資額というものは、投資の主体が誰かというのはそれぞれなんですけれども、それぞれが費用を出した分に対して投資回収年数というのを次のページでご説明しますけれども、想定しておりまして、それで割り算して、あとは年間の維持管理費用だったりとか、または一方でエネルギー費用節約分を引いたりとかというものを対策費用と名前をつけております。削減量は、個別の削減量、固定ケースと比較して計算しております。削減費用というのは、それらを割ったものなります。右の絵のようになって、対策A、対策Bのように、何年間の投資に対して、省エネのメリットが非常にあるものはマイナスになりますし、回収がもし間に合わないものは削減費用がプラスになるというような考え方です。48ページ目のところで、これも冨田委員に事前にご指摘いただいて、これは間違っているところが一部あって、上の説明のところが長期の、政策による後押しなどによって長期の回収年を前提に投資が行われる場合を、すみません、上に書いていまして、それが社会的な回収年数というふうに名前をつけて呼んでいるものです。下が短期の回収年を念頭に置いておるものです。つまり、上のほうが、右を見ていただきますと、民生機器で例えば8年とか、乗用車・トラック8年とか、長目の年数を見ていまして、下のほうは3年だったりとか、短目の年数を想定しています。ただ、こちらのほうも、例えば昨日、大野委員から乗用車・トラック3年というのはちょっと短過ぎるんじゃないかとか、5年位、見てもらえないかとか、そういったご指摘も受けました。ちょっと、こちらの方は、どういうバランスでやるか検討したいと思っております。そういった前提で、次のページ、49ページ目ですけれども、それぞれの対策を削減費用の安いものから並べると、このような削減費用曲線というものが描けました。それで、こちらも昨日、村上委員からご指摘いただいたんですけれども、最後の家庭の省エネ住宅、これが左でも右でも20万円で同じように見えるけれども、これはどういうことだというところで、これはすみません、波線を引き忘れておりまして、これはどちらも20万円を超える対策になっておりまして、そちらの表記が間違っていました。あと、これを計算するときに、電力の原単位をどういうふうに置いたのかというのは、昨日間違って全電源と答えたんですけれども、火力平均で、これは試算を行っております。50ページが中位ケースの計算になっておりまして、このようなコストカーブになりまして、51ページ目が低位ケースの計算の結果になりました。52ページ目は、ちょっとこちらは少し出過ぎておるかもしれませんが、一つの見方としてちょっとご提示しているものです。例えば、これ見てみますと、左上の短期の回収年、回収年数が短いので、かなりの対策がプラス(正)のコストが発生するというふうなカーブになっておりますけれども、それで見たときに、例えばマル1というところは、削減費用が比較的安い対策で、ものづくりのプロセス・技術とか、オフィス・店舗などに一部の対策技術、再生可能エネルギー技術というものが、このマル1のところに多く見られます。一方、右のほうの山の高くなっているマル2のところは、すまいの対策だったり、自動車の対策だったり、オフィス・店舗の一部の対策が多く含まれるものになっています。つまり、非常に単純にこのコストカーブだけ信じて、安いものから対策を打とうとしてしまうと、今、様々な省庁でサポートをしている、そのすまいとか自動車の対策というのが後回しになってしまうおそれがあるということです。4番は、そういうことで、クオリティ・オブ・ライフの向上も含めた検討も必要ですし、5番には、生活必需品でもありますし、マーケットを広げるところで、我が国のグリーン成長の源泉ともなる可能性がある分野なのかなということです。主観的な回収年数を用いた場合、削減費用が高い技術で、政策の後押しで、長期の回収年を前提に投資が行われる。つまり、左上のコストカーブから左下のコストカーブのようなことになれば、いろいろな条件がそろって、投資回収年数を長く見れれば、かなりの対策がマイナスのコストで出来得ることになるということと、あと、必ずしも短期的なCO2削減費用のみを最優先とするのではなくて、技術の将来性とかクオリティ・オブ・ライフの向上とか、そういったものを含めて、それぞれ精査する必要があるということは、これを計算した者として、是非注意していただきたいというところです。
53ページ目からは、また別の観点で結果をお示ししているものです。まず、53ページは、化石燃料の輸入金額が2030年にどのようになるかということで、原子力のケースと政策の進度のケースで、それぞれこういう輸入金額になるというような結果を得ました。54ページ目は、ここはエネルギー自給率と書いておりますけれども、定義としましては、海外に依存しないエネルギー、つまり再生可能エネルギーのうち輸入バイオマスを除く部分、こちらの割合が、それぞれ2030年のそれぞれの24ケースでどういうふうになるのかというものを示しております。昨日、渡邊委員の方から、エネルギー自給率といっても人それぞれに定義が違うのではと言われましたので、ちょっとそちらの方はよく注意をしながら、ほかの表現の方法もあれば、そちらも取り入れて試算結果をお示ししたいと思います。55ページ目からは、例えばセキュリティの観点で石油比率がどのように変化するか。なかなか石油比率をダイナミックに減らすということは、今回の試算ではなかなかないんですけれども、こういうような55、56ページの結果だったり、57ページ目は、再生可能エネルギーの割合になりまして、それぞれ原子力のケースと低位・中位・高位のケースをお示しさせていただいています。58ページ目は、慎重シナリオのケースです。59ページ目は、それのうち発電電力量に占める割合をお示ししています。ただ、これは原子力のケースに応じても、それぞれが今の結果としては電力量に占める割合が同じになっていますので、この表現について、最終的にこのまま同じで続けばもうちょっとコンパクトにお示しできたらと思っています。60ページ目は、慎重シナリオの結果です。61ページ目に、分散エネルギー発電の割合ということで、ここでは分散エネルギーとして、大規模水力を除く再生可能エネルギー発電と自家発電をここでは分散エネルギー発電と定義しまして、割合を計算したものをお示ししております。これも基本的に原子力のケースによらずに、ほとんど割合がかなり近く、それぞれのケースでなっています。昨日の議論で、送電ロスの方はどうなっているのかと。系統でやると、送電ロス5%ぐらい発生するけれども、地域で送電の距離が短いところでやれば、ロスはあまり発生しないのではないかというご指摘を受けておりましたので、そちらの方は、自家発電の中でもいろいろなものがあるし、風力でも、大規模風力だと系統を使っているものもあるので、そちらのほうをよく注意しながら検討をしたいと思っております。62ページ目が、慎重シナリオのものになります。63ページ目、64ページ目は、前回もお示ししましたが、優良ストックの形成がどのように変化しているかというものをお示ししています。65ページ目、66ページ目が、今回試算させていただきました数字を、こちらで主要となり得るようなものをピックアップして、一覧表にまとめたものです。是非、ご判断されるときに、ひとつ活用していただけたらと思っております。
67ページ目以降は、各部門における省エネの効果で、こちらは前回のときにかなりご説明させていただきましたので、基本的にはずっと飛ばしまして、一部だけ、115ページ目ですけれども、前回の資料から、小委員会の大野委員のご指摘を受けまして、自動車の販売台数の想定を含めました。こういったデータがないと、各業界でより真剣な検討をするのにデータがないとできないのでと言われましたので、出来る限りで対応させていただきたいと思っております。その途中に、あと前回のご議論で、例えば藤井委員からクオリティ・オブ・ライフというか、不動産価値の話だったり、新美委員から住宅高断熱化によって疾病の割合がというようなご指摘をいただいているところについては、まだ精査しているところでして、すみませんが、この資料の中には含めさせていただいておりません。
ということで、ざっと行きまして最後、まとめの方まで飛ばさせていただきましたら、135ページ目からまとめのことを示しております。
今回行ったこととしましては、前回、4月4日の地球環境部会及び3月28日の小委員会からいただいたご指摘について、出来得る限りは努力はしたんですがまだ反映できていないところがありますので、どこかまだ反映すべきところがありましたらご指摘いただきたいんですけれども、そういうことをしたりとか、2030年の原子力発電の想定、基本問題委員会で検討していただいているものを使いまして、一次エネルギー供給だったり、エネルギー構成だったり、温室効果ガス排出量だったりを試算し、結果を提示させていただきました。定量的な結果として、赤のボックスの中に書きましたような傾向が見られました。一次エネルギー供給の全体の像がどういうふうになると、発電電力量のうちの再生可能エネルギーの割合がどういうふうになるとか、特に温室効果ガス排出量、2030年のケースというものを計算させていただきました。今回行ったこと、(2)のほうですと、一次エネルギー供給の石油の比率の話でしたり、または再生可能エネルギーの比率でしたり、またはエネルギーを海外に依存しないエネルギーの比率というものも試算しました。それで、あと輸入額につきましても試算をしました。削減費用と削減量の関係のところにつきましては、これはあくまで我々の見方ですので、委員の方のご議論を是非していただいて、これをどういうふうに誤解のないように議論につなげていくか。つまり、こちらもあるデータの範囲でしかできないところで、中上委員が、この会合の前に個別にご指摘いただいたんですが、特に業務部門でデータがないところで省エネを検討せざるを得ないというところは、よく承知をしながらやらないと、ミスリードになってしまうというようなおそれがありますので、そういう前提を皆さんと共有しながら、国民的議論に供したいと思っております。137ページ目のところは、これは前回行ったことですので、ある意味、復習的なところでご覧いただけたらと思っています。
139ページ目が、次回以降に行うことになります。今日の地球環境部会、昨日も小委員会がありましたけれども、そちらの方でご指摘いただく、いただいたことを反映することと、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会で、検討したというか、今検討していただいている原子力発電に関する2020年の選択肢、そちらの方が出ましたら、至急に計算して、一次エネルギー供給、エネルギー構成、温室効果ガス排出量というものを推計したいと思っております。それらに基づいて、皆様のご議論に供する定量的な評価の素材をご提供したいと思っております。以上でご説明を終わらせていただきます。

浅野部会長代理
どうもありがとうございました。昨日の小委員会で出されたご意見については、今、藤野さんのご説明の中でも一部のコメントがございましたが、土居室長から、もしありましたら。

低炭素社会推進室長
基本的には藤野研究員から説明の中で言及いただいておりますが、昨日の議論のまとめた資料の2ページ目をご覧いただきますと、大きく分けますとエネルギーミックスとの整合をとるべきというのが一番上のマルであるとか、7番目のマルなどでご指摘いただいておりますし、二つ目のマル、また四つ目のマルなどでは、排出係数や計算の前提条件を示すべきというご意見。あと三つ目、五つ目、七つ目、八つ目などでは、投資額の内訳であるとか、石油燃料のクリーン化などの内訳を示すべきというご意見が出されております。3ページ目も、基本的には同じような定義であるとか内訳、これを示すべきということもありますし、3ページ目一番上でございますが、こちらにつきましては、費用、削減効果につきましては、量産効果での低減、投資回収年数の見直しなど、内容の精査を行うべきというようなご意見もいただいておりますし、また誰が負担するにしても、社会的費用は発生するということなので、二つ目のマルにございますが、表現、定義をもう一度見直すべしというご意見をいただいておりますので、国立環境研究所のプロジェクトチームとご相談しながら、適正化を図っていきたいというふうに考えております。以上でございます。

浅野部会長代理
ありがとうございました。今日、初めてこれをご覧になる方に要求するのは少し無理かもしれませんけども、既にこのくらいのことは、もう前回、昨日議論されておりますので、出来ればこれと重ならないように、ご発言、ご意見をいただければと思います。それでは、先ほど宣言をしましたように、最初に登録をしなかった方の発言は認めませんので、登録をお願いいたします。井上委員。それから高村委員。それから冨田委員。そして、三橋委員と藤井委員ですね。浅岡委員ですね。それから大塚委員。ほかにいらっしゃいますか。中上委員に永里委員。そして、今、末吉委員も挙げております。それから、進藤委員が挙げておられますね。これでよろしゅうございますか。横山委員。はい。それでは、あと30秒待ちますが。途中でしゃべりたくなるという人は、今のうちに予備的に挙げておいていただいて、途中で撤回は自由ですが、宜しいですか。それでは、前回、前々回とも、横山委員からでしたから、今日は浅岡委員。といって、最初に当たった方、10分間時間をさしあげますというわけではございません。
今、12人手を挙げておられまして、我々がこれに費やすことができるのが大体45分でございますので、45を12で割っていただいて、あとは自分でお考えください。では、どうぞ。

浅岡委員
ありがとうございます。私は昨日もたまたま参加できましたので、主なことは申し上げましたが、先ほど西岡先生から、こういう対応をしたいというご意見をいただきましたことについて、追加的にお願いをしたいと思います。
私自身は、原子力の新大綱策定会議にも出ておりまして、今日、資料1でご配付いただいていますような、何といいましょうか、これが当然の前提として、固まったものとして計算をするというように、だんだんと委員会を経ますと、いかにもまとまったものというように見られるのですけれども、実際に原子力委員会での議論を見ておりますと、決してそんなものではない。0、20、25、35%で試算をするということになっていっている、いきさつを見てきているものですから、大変懸念を感じているということであります。
昨日申し上げたのは、審議会でも大変細かく数字を出して申し上げましたけれども、政府から出されている新増設はできないと、首相自身が言っておられることと、さらに40年廃炉で原則やっていくと。出来る限り原子力の比率を低減していくと。国民が普通に受け止めているメッセージとして、現状から低減していくと受け止めているものを、エネルギー・環境会議の事務局などでは、今のエネルギー基本計画の増やすというものから下がっていれば、これは低減なのだという議論の中で、しかも2030年のスナップショットで、問題をちゃんと捉えない形で出てきている。
私が原子力委員会などで申し上げているのは、一定の水準でやっぱり維持していこうというシナリオをとるのか、一定の時点でやめていこうという道筋をとるのか、まずこの二つを分けて、水準でというときは、どの水準で、40年廃炉としながら、一体、どう可能なのかということを考え、そしてフェーズアウトしていくとすれば、いつぐらいの年数でやっていくのかとその選択肢が出てくる。こんな議論をすべきだという話をしながらですけれども、とりあえずケーススタディでやろうと出てきているものが、35%です。最も基本的なストーリーでは、発電量に対して原子力は10%に行かないぐらいの数量が、基本ベースといいましょうか、リファレンスシナリオになるんだということをかねて申し上げながらやってきているんですけれども、その部分をちゃんとした計算指標として持たないまま議論をすることは、今後の議論に大変よろしくないというふうに思います。かねて言っていますけど、なぜか論理的な議論をされてきていないので、先ほど西岡先生からは、この2030年10%程度の試算をしていくということについて、ちゃんと申し入れをしますというようなお返事がいま一つしっかり聞こえなかったものですから、これはちゃんと出していただきたいというふうに思います。
その流れのところでなんですけど、温暖化の観点で言いますと、2050年の目標はもちろんしっかり、ここは異論がないと皆さんおっしゃるのですけれども、そこに行くプロセスとして、当面2013年以降の2020年の目標と対策として議論をしているわけですし、そこで十分削減しながら、2030年、40年と行かないと、2℃のラインにならないということは、かねて議論をしてきていることですので、この基本問題委員会のほうにも、2020年の目標についてもやっていただくと。そこでやられなくても、我々はやっていかなくてはいけないということについても前回申し上げたところです。昨日、EUの方針についてのご説明も受けまして、2020年の目標と対策をした上で、2030年の目標、政策強化を議論しているという流れに対して、日本は2020年の目標も対策もこれからというようなことでは、本当に大変だということを一層、感を深めたわけであります。また、昨日も若干申し上げたんですけど、今日、席上配付していただきましたが、昨日のEUでもありましたけれども、発電部門というのは最もこれから排出削減が急速に可能な部門であるとか、そして産業部門も大きなポテンシャルがあるんだという、省エネのポテンシャルがあるんだということにつきまして、今日は意見を出しておりますので、ご参考にしていただきたいと思います。是非とも、ちゃんとした基礎数字を持って議論ができるように、こちらから基本問題委員会にも働きかけていただきたいと思います。以上です。

井上委員
3点ばかり、簡潔に意見を申し上げます。一つは、原子力比率に関するシナリオのケースでございますが、申し上げたいのは、やはり総合エネルギー調査会で議論されている原子力比率に加えて、中環審で独自の比率というのは必要ないというか、混乱を招くだけだということを申し上げたい。もともとエネルギー全体の構成というのは、総合エネルギー調査会のほうで整理されて、それに従って検討をすべき、あるいは合同の会議で検討をしていくべきだというのを申し上げてきました。ここまで議論が進んできて、原子力比率が出てきたわけでございますが、ここからちゃぶ台をひっくり返すような議論ではなくて、きっちり2020年も30年も総合エネルギー調査会と中環審で調整して、同じ数字を用いて検討していくべきだというのが1点。
それから、原子力が40年で廃炉になると、自動的に10から15%になるという議論が昨日もございました。今日もございますが、これについては、プラス20年のオプションというのが、これから検討をされていくわけでございまして、我々としましては、あくまで技術基準、プラス20年の技術基準を明確にしていただく。それから、延長については、科学的、技術的根拠に基づいて、基準となされるべきであるという考えでございまして、そういった議論がなされるべきだと考えております。
それから、2点目でございますが、過大な省エネと新エネに対する懸念でございます。これは前回も申し上げましたが、今回、47ページ辺りから、CO2の削減コストカーブが、かなり具体的なものが出てまいりました。投資コストに対してメリットが十分ございますよという結論でございますが、これだけを見てしまうと、政策として巨大なESCO会社あるいはファイナンス会社を一つつくれば解決できるのかという、そういった短絡的な見方になってしまいやしないかと。かたや省エネ法で日々努力しながら省エネを進めておるわけでございまして、省エネ法による政策効果が効いていないのかどうか。要するに、省エネというのはいろんなバリアがあって、コスト効果だけでは進まないというところを十分に分析する必要がある。そういったいろいろ問題点があるということを、この報告書でも整理すべきである。新エネ・省エネの推進にはいろんな前提、課題があって、それから留意事項があるはずである。一昨日の総合エネルギー調査会の中で、エネルギーミックス、再生エネルギー、火力に関する課題という資料がまとめられて、並行して配られておりました。これは非常にわかりやすい資料でございまして、是非とも、この中環審でも、総合エネルギー調査会と調整をとって、中身も同じ内容の、そういった課題に関する、あるいは留意事項に関する資料を共通でまとめていただきたい。そうすれば、総合エネルギー調査会とこの中環審で、例えば新エネでも太陽光と風力の比率が違うとか、そういった課題の中身も明らかになってくるのではないかと考えております。そういったものとセットでやはり公表していかないと、今朝の新聞のように、原子力ゼロでもCO2の削減が可能だというふうな、どうしてもマスコミはそういう論調になってしまうということが懸念されるところでございます。
3点目、藤野さんからご説明があった中身でちょっと気になったのが、セキュリティとして整理されている54ページからの所で、これはセキュリティというのはいろんな見方があるので、整理の仕方については気をつける必要があるというのは、昨日、渡邊委員の発言にもございましたところ。1点、54ページについて、原子力については純国産という扱いを従来からなされてきて、20%弱の国産である、それがちょっとここに反映できていないという指摘だったかと思います。備蓄効果もございますという指摘だったかと思いますので、その点、補足をさせていただきます。以上です。

大塚委員
2点ございますけども、一つは原子力のところの発電についての、先ほど2013年というお話、小委員会の方でも検討がなされたところで、西岡委員がおっしゃったことを私もそのように思いますので、ちょっと追加的に申し上げておきます。
基本的には、西岡委員がおっしゃったとおりなんですけども、今、ご議論のございましたように、中環審で独自に出すかどうかということですが、2020年の目標の問題と、それから2030年の蓋然性がありそうな選択肢が出ていないという二つの問題がございますけども、2020年の方は、まだ基本問題委員会の方で出しておられませんので、是非、書面で各委員から提示していただくよう、中環審からもお願いしていただきたいと思っておりますが。2030年の蓋然性がありそうな選択肢も、基本的には基本問題委員会のほうで出していただきたいところですけども、出てこないことには、ちょっとどうしようもないところもあるかなと思いますので、もし出てこなければ、中環審の方で打ち出すことはやむを得ないのではないかというふうに思っています。
それから、2030年の蓋然性の高い選択肢ですが、40年廃炉ということで、20年さらに延長するという問題が今、ご指摘のようにあることはあるんですけども、これはあくまでも例外という扱いをしていると思いますので、私は入れなくていいと思っているんですけども、その辺の議論は、あることはございますが、私自身はそのように考えております。
それから、もう一点でございますけれども、資料2のスライドの61ページのところで、分散エネルギーの発電に関して、昨日もご議論がございましたけども、セキュリティの面からは、自家発電については化石燃料を用いているので、分散エネルギーが必ずしも優れているとは言えないですが、今回のような自然災害の場合に、再生可能エネルギーのほうは優れているということが、集中的な大規模立地よりも優れているということが示されたと言われておりますので、その点はちょっと確認的に申し上げておきたいと思います。以上です。

進藤委員
二つ申し上げます。政府の審議会である総合資源エネルギー調査会、その下部組織である基本問題委員会、そして、この中環審、それぞれの守備範囲、機能、役割があるはずであります。エネルギーミックスは、総合資源エネルギー調査会側が出す。それを受けて、我々が環境の関係、CO2問題を議論するということでありますので、この位置関係はきちんと守るべきだと私は思います。これが1点。
2点目は、前回も申し上げて、私も催促しなかったので申し訳ないんですが、123ページ、124ページの、ものづくりの省エネの数字がございます。123ページの2020年、2030年の数字と、124ページの2020年、2030年の数字が違いますので、若干気持ちが悪いんですね。どういう分類にしているのか、分類が変わっているのだと思います。この数字自体を信用しないわけではないんですが、そこの扱いがどの様に違ってこういう数字が違っているのか。それから、業種横断技術というのがあります。我々も産業用照明だとか、産業用モーターだとか、業種に横断的な省エネの対策があるということは、知っているんですが、かなりのウエイトがありますので、これは具体的にどうあって、どういう分類になっているのか。そこはもう一回、この場でなくて結構ですから、教えていただきたいと思います。

末吉委員
ありがとうございます。私は、この種の計算モデルの活用について、重要な視点が二つあると思っております。一つは、アサンプション(前提条件)を何を入れるかを。それから、二つ目は、出てきた結果の活用・利用のあり方だと思います。その点で2点申し上げます。
まず、一つは原発なんですけれども、どうやって社会の声とか国民の声を反映させるのかという視点が非常に重要だと思っております。つまり、技術やエネルギーだけで議論するのはだめだと思います。広島、長崎を受けた日本国民が、福島の直後に強く言っていることの反映として、新増設はないんだと。既設は40年で廃炉するんだと言っているわけですから、これが大前提になる議論になるべきだと思います。あとは、廃絶のディテールをロングにするのかショートにするのかの話が残っていると思います。それから、原発で言えば、福島後の私は日本の原発が抱えた最大のリスクは、もし仮に次に事故が起きたら、そのとき全滅ですよね、日本の原発は。こういうリスクを抱えたものに大きな依存をしていいんでしょうか。そういったことのリスクも、是非議論していただきたいと思います。
それから、二つ目は、これは日本が日本国のために決める話でありますけども、本当に日本単独で決められるのかという話であります。あるいは日本が決めたことが本当に国際社会の中で有効性を発揮していくのかという視点であります。一つは、やはり、温暖化そのものの状況が非常に難しい状況になっていますよね。被害も非常に広がっている。ですから、私は間違いなく国際世論、これは国際機関のとおりですけども、各国ベース、あるいはNGO、場合によっては世界の消費者がもの凄い世論をつくっていくと思います。そういった世論に耐え得るような計画を我々がつくれるのかという話であります。それから、もう一つは、これ、かねがね私が絶えず申し上げているんですけども、日本の経済や産業や企業の国際競争力ということで、耐え得るものをつくらなきゃいけないと。もう改めていろんなことを申し上げるまでもないんですけども、様々な競争が既に始まっていますよね。不幸にして、日本の企業は負け始めております。そうした中で、日本が新しいグリーン経済のもとで国際競争力に勝っていくためには、我々は、どういったような目標や、あるいは政策やお金の使い方をしなきゃいけないのか、それこそ問われていると思うんですね。ですから、是非、我々は先を読んだ議論をすべきじゃないかと思っております。ですから、この資料の中には、世界の流れとか、いろいろ書いてありますけど、非常にあっさりとなんですよね。だから、現実に世界が今何を目指して、現実にどれだけのお金が動いて、どれだけの競争が始まって、その中で日本の企業がどれほど競争力を失っていっているのかシャープの堺工場をみんな思い出しましょうよ。ということであります。以上です。

高村委員
ありがとうございます。2点コメントをさせていただき、一つは簡単なご質問でございます。
一つは、今回、2030年の数値をもとに計算をしていただいておりますけれども、やはり、ほかの方がおっしゃった点もございますけども、やはり国際的な観点からは、先回、部会で報告をさせていただいて、皆様方のところでもご異論なかったと思いますけれども、既に日本は2020年目標を提出して履行することを約束しておりますし、その検証も予定をされているという観点からいきますと、2020年の目標がつくれるような数字を出していただく必要があるという点で、西岡先生からもありましたが、是非、地球環境部会から要請を出していただきたいというふうに思います。特に今年から2020年以降の国際枠組みの交渉が始まりますので、2020年目標なしで、日本のこの枠組みづくりの交渉を進めていくというのは、なかなか大変だと思います。そういう観点からも、2020年目標は、大臣も必要だというふうに、冒頭にこちらに付託された点でございますので、その点は要請を宜しくお願いをしたいという点でございます。
二つ目は、話題になっております、原子力の比率の問題でございますけれども、蓋然性が高い、蓋然性があるないかという議論がございますけれども、少なくとも意見がかなり分かれている問題で、現行のまま行った場合の現状維持係数のシナリオは、やはり提示をしていただくことが必要ではないかというふうに思うわけです。もちろん、これは基本問題委員会の検討事項であるということは重々承知をしておりますけれども、しかしながら、もしそれに蓋然性がないということであるとすると、その実現が温暖化目標に関しても困難になってくるという意味では、温暖化目標をきちんと履行ができるものとして、その根拠を示すという意味でも、やはり中環審のところで、その懸念については基本問題委員会の方に共有をしていただきたいと思います。先ほど井上委員もおっしゃいましたけど、やはり双方同じような議論をしているというのは間違いないところでございますので、そういう意味では、双方の資料、それから意見をしっかり共有しながらという観点からも、申し入れをお願いしたいと思います。
最後の1点、質問でございますけれども、資料2でございますが。これは3ガス等のいわゆる非エネルギー系の温室効果ガスについては、これにまた加わってくるという理解でよいかという点です。以上です。

浅野部会長代理
ちょっと今の点は簡単なので、藤野さん、3ガスはどうかということですが。

(独)国立環境研究所 藤野主任研究員
3ガスは別途、検討していただいているので、ここはエネルギーだけですね。

冨田委員
ありがとうございます。昨日申し上げたこと2点についてコメントします。
まず1点目ですけれども、今日の新聞を見て、「ああ、こういうふうに報道されるんだな」と思ったのは、43ページにあるような、2030年の排出量、あるいは基準年からの削減率、こうなりますということだけが大きく出ていました。私の認識としては、何を選択肢にすべきか、それの実現可能性がどうであるかということについては、まだこれからの議論だと思っております。46ページを例にとってみれば、まだまだ情報が不足しているということについてお願いをしているわけで、そういうのがそろって、どれを選択肢にしようかというところが議論できるという認識でおります。
それから、今、最後の高村委員がおっしゃられたこと、2点目ですけれども、41ページ、42ページのところに、ここのグラフだけ非エネルギーのところのCO2量が計算されて表示をされています。この資料の大部分はエネルギー起源のものですが、非エネルギーとエネルギー起源のものを、最終的には合算する必要があるわけですけども、合算する前に、それぞれ、どういうふうな傾向で対策をとるのかということを分析した後で合算をするという考え方で、資料のまとめをお願いしたいと思います。以上です。

中上委員
ありがとうございます。昨日出たかったんですけど、別件があって出られなかったんですが。冒頭、始まる前に藤野さんに相当きつく言ってしまったんですが。
まず、95ページを例えば、私の趣旨は、これすべて大変な作業の結果であることは十分認識した上で発言するわけですが、例えば95ページの左のほうに円グラフがございますけれども、業務用を一括りにして、こういう用途別になっていますよというと、みんなそんなものかなと思って話は先に進むんですけど、業務用をこういうふうに分けること自体が、実は基本的に間違っていると私は申し上げているわけですね。何が言いたいかというと、こういう一見精緻に、一見というと失礼かもしれませんけど、精緻に作業はされているわけですが、もとになるデータがほとんど明確でない段階でこれを出すと、今の冨田委員の話ではございませんけども、最後ですら、あれだけの結果をもって数字しか見ないわけですから、もう既にデータはきちっとあると思っちゃうわけですね。ないわけです。例えば通常、業務部門でいくと、冷暖房というような言い方はしないんですね。通常は空調用という言い方をするわけです、ビルでは。厨房はこんなにあるかと。考えていただいたら、厨房は、それはレストランで使うようなと思われるかもしれませんけど、大半のビルにはほとんどないわけですよね。その下の給湯を見ていただきますと、給湯はこんなシェアがまたあるわけないんですが、対策を見ていただくと、高効率給湯器と、いわゆる業務用で高効率給湯器いろいろ出ていますけれども、こんなに単純にですね、効率を掛けて総量が出るというものじゃないんですね。今、どういう機器が普及しているかというものがないと、どのぐらい置きかわるのか、ビンテージがどうなのか、そういう話の上に出てくる数字なんですよ。だから、普通の人は、みんなそういうものがあって出ていると思うわけですね、こういう数字。ですから、私が再三申し上げるんですけど、データをきちっとすべきだと。事務当局がご苦労されているのはわかりますけど、なお一層、こういった数値をきちっとデータベースとして押さえるということを言っていただかないと、今回もまた、「あーあ、そんなに要らなかったんじゃないか」というふうにして、結果の数字だけで議論をする。これは大変私不満です。
もう一点、これは全く違うところですが、52ページの例ですけれども、こういう省エネ曲線とかCO2曲線があるわけですが、多分、ESCOのビジネスモデルなんかもこういうのを使うわけでありますが、先ほどご説明でもありましたけれども、左の上の図でいきますと、1のほうが割と投資効果がいいというふうに読むんでしょうね、これ。あまり金がかからない。右のほうの2のほうの分類は、非常に金がかかると。どちらからやるかというと、数字は左からやるわけです。左からやっていくと、残ったのは2のようなものしか残らないです。ほとんど手つかずになっちゃうわけですよ。いかにこれを抱き合わせてやるかというのが、実はESCOのビジネスモデルの最大の売りなんですけれども、こういうふうにすると、効率のいいもの、経済性の高いものと。従って最後は2に膨大な政府経費を投資しなきゃいけないという話になってしまうわけで。こういう戦略も含めて、ビジネスモデルなんかがあるわけですから、少し何か可能性を言及しておかないと、この資料自体、大変な労力でおつくりになっているんでしょうけども、真意が伝わらないし、生きないんじゃないかと思います。以上です。

浅野部会長代理
ありがとうございました。今の点は、コメントの中では同じような考え方が示されているような気もするんですが。ということだと理解しました。

永里委員
ありがとうございます。3点申し上げます。
原発比率10から15%のケースを検討すべきということについてですけれど、いつも言っていますけれど、エネルギーと環境というのは表裏一体でございますから、これまでの部会の中でも、事務局より、総合エネルギー調査会の基本問題委員会における原子力発電比率について検討結果を待ってからCO2の計算を行うという方針が出されておりますので、国の政策については、ばらばらの整合性がない検討は回避すべきで、国民を惑わしますもので、整合性のある検討にしてほしいと思います。これが1点目。
2点目は資料2の中の各種データの根拠・前提・内訳等を明示して、透明性のある、わかりやすい表現にしてほしいと思います。例えば、124ページの各業種の省エネ量について、どのような根拠に基づいているのか、積み上げているのか、ヒアリングの上に基づいているのか、根拠を示してほしいと思いますし、46ページの「省エネ・再エネのための追加投資額の内訳」で採用している、投資回収年数は何年なのかなど、明らかにしてほしいと思います。
3番目は、130ページにありますが、再生可能エネルギー導入のための施策として、固定価格買取制度が挙げられていますが、電力料金をどのように見ているか教えてほしいと思います。以上です。

浅野部会長代理
今、直ちに答えろという意味じゃなくて、さらにちゃんと詰めてくれと、こういうご趣旨ですね。

永里委員
はい、そうです。

浅野部会長代理
はい、わかりました。

藤井委員
もう既にご意見が出ておりますし、西岡小委員長の方からのお話もありましたが、2020年の原発の見通しというのは、必ず出していただきたいということを総合資源エネルギー調査会のほうに、もう一回、申し入れていただきたい。これも昨日の議論に出たようですが、わが国もダーバン・プラットホームに合意しているわけですね。それは2020年の作業をやるということで合意しているわけですから、それを前提にしたエネルギーのほうの検証をしていただくということが、エネルギー・環境会議の基本的な枠組みをつくった意味の一つでもあります。そうしていただくのは当然のことでありますし、できないとエネルギー・環境会議自体がまとまらないということになります。それから同時に、申し入れの際には、総合資源エネルギー調査会には、発電の議論、この原発の議論だけではなくて、電力システムの議論も当然されているはずだと思います。つまり電力システムが現行の仕組みから変わっていくのか変わっていかないのか、どのようにすればより合理的にこの国の経済力を、経済社会を安全に、かつ効率的にしていくのかということも、当然議論されていると思いますので、そのような議論、つまり発送電分離についてやる場合とやらない場合ではコスト計算も変わってくると思いますので、その辺のご提示も総合資源エネ調査会のほうにお願いしたいと思います。
それから、次は国環研の資料2の方です。費用計算の中で、例えば再生可能エネルギーの費用については、コスト等検証委員会で出している昨年12月の数字で、例えば太陽光については現行30円ちょっと強のキロワット時間当たりで出しています。けれども、既にもうマーケットでは今年中に20円台になる、20円を切るかもしれないと言われているわけです。その要因は何かというと、海外要因です。中国等のものが入ってくるわけですね。ですから、ほかのものも同じだと思うのですけれども、検討される費用計算等の数字の中に、海外要因なり、従来のもの以外の要因、もちろん、技術開発の進展というのはあるわけですけれども、これはわからない部分もありますけれども、明らかに既にマーケットで12月のコスト等検証委員会の評価ではもう全く役に立たない、という環境下になっているということを踏まえていただきたい。そういうものも今後の計算の中に入れていただきたいと思います。以上です。

三橋委員
資料1の原子力発電の割合の問題ですけど、これは西岡小委員長が言ったことに、私も全面的に賛同です。総合資源エネルギー調査会基本問題委員会が提示した資料1が非常に恣意的な感じで、説得力が弱いことを改めて指摘しておきたいと思います。原発の割合が0%の後が20%というのは、いかにも原発を推進したいという恣意的な姿勢を強く感じますね。なぜ10%、15%、あるいは5%、という数字がないのかと。これは一般的国民感情からも、大きくずれているように思います。担当した基本問題委員会の方に説明してもらいたいと思います。なぜ0から20%まで飛んで、20%から35%までが小刻みになっているのか。非常に違和感がありますね。それから、2020年の数字が出てきていないことの理由も、基本問題委員会の担当者から伺いたいですね。なぜ2030年の数字が出ているのに20年の数字が出ていないのは、不思議な気がします。2020年の数字なしで、2030年の数字を議論しても、あまり意味がないように思います。基本問題委員会が2020年の数字が出せないというのなら、中央環境審議会で推計すべきではないか。この問題は総合資源エネルギー調査会の専管事項なので、環境省が手を出すのは越権行為だなどといった垣根意識にこだわるべきではないと思います。2020年の数字を中環審が計算し、それを総合資源エネルギー調査会に示して、キャッチボールをするぐらいの緊張関係が必要ですね。この分野はこの役所の専管事項、この分野はこの役所といった縦割り行政の時代ではないのではないか。2013年以降の温暖化対策をどうするかという大きな問題ですから、縄張り意識を捨てて、検討するべきです。中環審がそれをやるのは、越権行為だという発想は時代遅れだと強調しておきたいと思います。
それから、資料2について、ちょっと細部の問題ですけど、23ページ、マクロフレームについての仮定の数字が載っていますね。日本経済論を長年やってきた立場から言いますと、円ドルレートが2020年85円、2030年85円などという仮定は考えられません。急速な人口減少時代を迎えるこれからの日本を念頭に置けば、円安が進まざるをえません。2020年頃には100円を超える、あるいは120円位まで行ってしまう、それが日本経済の実力です。それに対して、仮定の数字は、現状に引きずられ過ぎていて、相当無理があると思います。そのほかの石炭とか天然ガスとか原油というのは、国際市場での変化ですから、割とこういう推移も納得いきますけど、円ドル相場については、急激な変化が予想されると思います。
また慎重シナリオの成長率の前提ですが、2010~20年が年率1.1%、20~30年が同0.8%。になっていますが、果たしてこれが慎重シナリオですかね。私には、楽観シナリオではないかという気がします。現実を直視すれば、2010~30年の経済成長率は、年率でゼロ%かマイナス成長になる可能性の方が大きいと思います。

横山委員
昨日の小委員会でも申し上げましたが、3点、今述べたいと思います。
1点目は、エネルギーミックスと特に原子力の選択肢について、総合資源エネルギー調査会に任せようという意見が複数の委員からありましたけれども、私は、中環審としても、温暖化防止という観点からエネルギーミックスを考えることは、全くおかしいことではないというふうに思います。現実に再生可能エネルギーについては、この中環審が中心的な役割を果たしているというふうに思います。百歩譲って、総合資源エネルギー調査会にエネルギーミックスについては完全に任せようとなったとしても、今回示された四つの案というのは、うち25%と35%というのは全く意味がないわけです。35%に至っては、今の原発、54基以上原発が稼働しているというような非現実的な中身になっているわけです。昨日も両方の委員を兼ねる飯田委員が、総合資源エネルギー調査会の内部事情に言及していましたけれども、私は、申し訳ないけれども、総合資源エネルギー調査会が信用できない存在になっているのではないかというふうに思います。それをそのまま受け入れて試算をして、昨日の小委員会、それから今日の部会に示すというのは、中環審の独自性が一体どこにあるのかということを改めて言いたいというふうに思います。
この辺に関連して、中環審として、総合資源エネルギー調査会に要望するということですが、それが出てきたとしても、2030年の選択肢の中に、原子力の25%とか35%というのは入れるべきではないというふうに思います。これは要望ですが、25%、最終的にも、エネルギー・環境会議に出す最終案の中にも、25%、35%なんていうのが入っているのは、本当に恥ずかしいことだというふうに思います。
3点目は、今、一番求められているのは、私は2020年の時点で、原子力を0、あるいは原子力を10%になる場合、どうなるかということを計算・検討して、25%削減の中期目標の達成が本当のところどうなのかですね。難しいなら、その状況を詳しく一般の人に説明して、2020年には難しいけれども、2020年代のいつ頃の時点ならば可能性があるのかということを示すのが、最も重要なことではないかというふうに思います。申し訳ないけれども、総合資源エネルギー調査会に引きずられている必要は全くないと思います。以上です。

浅野部会長代理
ありがとうございました。一渡りご意見をいただきました。藤野さん、何かコメントがありましたら。

(独)国立環境研究所 藤野主任研究員
どうもご意見ありがとうございました。あと、コメントも誠にありがとうございました。丁寧に資料を読んでいただきまして、本当にありがとうございます。
幾つか数字のところとかご指摘いただいたところで、本当に、進藤委員から123ページと124ページ目のところの数字のお話をいただきました。こちらは至急対応していなくて、本当に申し訳ありません。まだ積み残している宿題がありましたら、是非個別にでもご連絡いただければと思います。
あと、三橋委員から、シナリオ、大して、二つ、成長と慎重、変わっていないんじゃないかというご指摘で、結果をそれぞれご判断いただきたいんですが、ただ、数字のところで、一応、成長シナリオは2020年までに成長率1.8%、2030年まで1.2%、慎重シナリオは1.1%、0.8%になっていますので、そこだけはちょっと確認させていただきます。
それで、井上委員のほうから、省エネ・新エネに導入時の課題というところで、総合エネルギー調査会の基本問題委員会の方でも課題ペーパー出されているというところなので、そちらはよく勉強しつつ、末吉委員の方から、先を読んだ議論のところで、片方、可能性がコスト・オブ・インアクションの話ではありませんけれども、やらないことによって実はマイナスの影響もあるかもしれないというところについても、これをどういうふうに書くかというのは非常に難しいところもありますけれども、両論、どちらももし書くならば、書かないといけないかなということ、ご議論を聞いて思いました。
あと、たくさんの委員の方から、前提条件、よくしっかり出すようにと言われております。ちょっと作業が間に合っていないところがあって、本当に申し訳ないんですけれども、前回、2010年の中長期ロードマップのときにも、各技術対策の個票というか、コストだったりとか、削減量だったりとか、どういうふうに考えてやったかというのをつくった経験もありますので、それは出来得る限り対応したいと思います。差し当たり以上です。ありがとうございました。

浅野部会長代理
それでは、今日のご意見を踏まえて、さらに次回までに精査をいただきたいと思います。
資源エネルギー庁から後藤課長がいらしていますが、何かコメントございましたらどうぞ。

資源エネルギー庁長官官房後藤総合政策課長
すみません。いろいろご意見をいただきまして、ありがとうございます。
実は昨日も多数のご意見をいただいて、お答え申し上げているところでありますが、それを事務局の方でうまくまとめていただいておりますので、私のコメントは、この2030年は非常に議論がまだ白熱していて、まとまっていないのでということでございますが1点、ここに付け加えてお話を申し上げるとすれば、委員から出していただいた意見をまとめてきた形になっておりまして、原発2030年ゼロシナリオという方が多数おられたのは事実ではありますけど、15%とかということを主張された、ある意味で委員の方がおられなかったので残っていないだけであって、恣意的に外しているわけではないというのは、ご理解いただければと思います。
それから、あと35%が、何か非常にこれもおかしいのではないかという議論は、当然、委員会の中でもございましたけれども、大臣からいつも申し上げていることは、いわゆる幅広い議論をしてくれと、自由に議論をしてくれということが、まさに重要だということで、あともう一個言えば、成長率についても、1.8、1.1、それからゼロシナリオもバランスで振ってみたりするというようなことも、これもまさに政府の方針とは違うかもしれないけれども、いろいろやってみようじゃないかというのが基本的なポジションになっているので、委員の皆さんが自由に意見を出していただく中で、審議会としての議論をまとめていくということが大臣からのご指示でありますので、そういう意味では、選択肢の多様性は排除しないということになっているということかと思ってございます。
それから、2020年、なかなかすぐ出ていないのは、今まで18回もやって、2030年の数字が固まっていないところからおわかりになると思いますけれども、非常に議論が多様になっていて絞り切れていない中で、まだまだ2020年のところまでたどり着いていないというのが現状でございまして、昨日も申し上げましたけども、できるだけ早いタイミングで意見をまとめていきたいとは思いますが、まずは2030年からというふうに思っているところでございますので、それはご理解いただければというふうに思います。

低炭素社会推進室長
まず、削減費用と削減量の関係につきましてご指摘いただいておりますが、52ページ目の右側に分析結果、また検討しなければいけない部分が書いておりますが、特に片括弧7につきましては、このグラフにつきましては、非常に単純に短期的な費用のみを検討すれば、ご指摘いただいたような懸念というのも出てくるわけでございますが、分野ごとに、例えば技術の将来性であるとか、クオリティ・オブ・ライフなどベネフィットを勘案して検討すべきだということもありますので、部門ごとに詳細に検討すべきということが示唆される部分だと思いますので、今後、このグラフの見せ方、また解析の仕方については、詳細、ご指摘も踏まえながら示させていただきたいというふうに思っております。
また、為替レートにつきましては、いろいろな見方があろうかと思いますけれども、議論が関係審議会多数に及んで、それらが、議論が比較可能な、また統一的なものになるようにということで、コスト等検証委員会で、一定の方向性で各審議会検討すべきだということで示されたものを使っておるということですので、これがどれぐらい正しいかどうかというよりは、比較検討が可能になるようにという観点で使っているというものでございます。
最後に、原子力の設定の部分でございますけれども、こちらにつきましては、昨年末にエネルギー・環境会議から示されております基本方針、こちらの中で、地球温暖化対策の選択肢について複数、中央環境審議会において検討すべきというところが示されておりますが、その中では、原子力への依存度低減のシナリオを前提とし、温暖化対策として有効な省エネ・再エネ、化石燃料のクリーン化、分散エネルギーの仕組み、これを検討するようにということが明記されておるところでございます。ですので、検討に当たりましては、原発の依存度の低減のシナリオにつきましては、エネルギーミックスを検討されております総合資源エネルギー調査会の議論を聞きつつ、一方で、再エネ、化石燃料のクリーン化、分散型のエネルギーの仕組みにつきましては、温暖化対策の観点から検討いただくということだというふうに考えておりまして、その内容につきましては、小委員会におけます検討方針の中でも記載がされているというところでございます。以上でございます。

浅野部会長代理
ありがとうございました。それでは、ただいま出されましたご意見について、ご質問について、一渡り取り扱っていただきました。
三橋委員からのご指摘の為替レートの問題とか、前からご指摘のそもそもGDPがどうだという、こういう議論があることは私もよくわかるわけですね。やはり、最終的に出てきた数字だけがひとり歩きしてしまうと全く困るので、こういう前提でこれは計算していて、ここはかなり変動可能性がある。あるいは、もっと下にずれていくとか、上にずれていく可能性があるということを示しておかないと、国民的な議論が間違ってしまうというご指摘は、全くおっしゃるとおりだと思いまます。
ですから、可能な限り、そこはきちっと注をつけるとか、あるいは感度分析的にこういう場合はこうなるという、さらに補助的なデータが出てくると、もっときちっとした資料になるだろうと思いますから、そういう点へのご指摘だと私も思います。可能な限り努力をしていただきたいと、このように考えるわけでございます。
それでは、今日、当部会として、部会長はご欠席でありますが、既にご了承も得ているということでございます。西岡委員長ご提案の2020年について、早く数字を出してほしい。そうでないと、当部会の仕事ができないということについて、申し入れの文章をつくりたいと思いますが、その点については、特にご異議ございませんか。よろしゅうございますか。
それでは、部会としてはご異議ないということでございますので、内容は、既に西岡委員長と部会長がご相談の上、特に先ほどからご議論のあった点についても、含めた形の文案をお考えいただいていると思いますので、これを部会長にご一任いただけますでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、ありがとうございます。この件は部会長が帰国されてからでは間に合わないと思いますので、国際電話か何かで連絡をとって、速やかに処理をさせていただきます。大変ありがとうございました。

浅岡委員
すみません、一言だけ。
短く。先ほど後藤課長さんからご説明いただきました、2030年の目標の試算の仕方であります。幅広に議論をしていこうという、それは一つの考え方だと思います。そういう趣旨で受け止められない懸念がないように、基本問題の委員の中でも、レファレンスシナリオ10%というのは試算として必要ではないかとの意見が出ていることをちゃんと受け止めていくと。それが幅広な議論の素材を提供することだと思いますので、再度ご検討いただき、真摯に受け止めていただきますように、それもこの中環審からのご要請として、伝えていただきたいと思います。

浅野部会長代理
それでは、次の議題に移りたいと思います。次の議題は、吸収源対策、適応策、それから、二国間オフセット・クレジット制度の活用等、国際貢献の取組状況についてということでございます。
資料の3-1と3-2につきましては、林野庁の沼田次長、農林水産技術会議事務局、西郷研究総務官からご説明をいただく。引き続いて、資料の4と5について、環境省の事務局からご説明をいただく。これらのご説明を伺った上で、質疑応答に入りたいと思います。では、どうぞ宜しくお願いいたします。

林野庁沼田次長
林野庁の沼田と申します。お手元の資料3-1でございます。前回、 中環審の部会におきまして、武内先生から農林水産省が行いました、農林水合同の地球環境小委員会をとりまとめた内容をご報告させていただいたところでございますけど、今回、改めまして、私どものほうから森林吸収源対策についてご説明させていただきたいと思っております。なお、冒頭、前回、大塚委員からもお話がございましたけれども、いわゆる追加投資額と、そういったものについてご意見いただいておりますけれども、現在、詰めの作業を行っているところでございますので、森林吸収源対策の例えば、経済効果でありますとか雇用効果を含めて、改めてご説明できるようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
それでは、資料3-1の1ページでございます。これは前回もご紹介させていただいたペーパーでございますが、この中で6%のうちの第一約束期間3.8%を森林吸収源が担っておりますが、右のほうの実績でございます。今日、公表になりまして、平成22年3.9%ということでございます。確実に吸収量を計上できてきているのではないかと思っているところでございます。
次の2ページでございます。これはCOP17の結果でございまして、これも前回出させていただいた資料に入っているものでございますが、我が国としても、国際的に合意されたルールに基づいて、きちんとやっていきたいというふうに思っているところでございます。これまでと同様のルール、やり方でもって特例的に認められたということでございますが、黒ポツの4番目のところでございます。これは京都議定書第二約束期間へ参加・不参加ということに関係なく、隔年報告書の提出でありますとか、新たな国際的な評価・審査を受けるということが必要となっておりますので、私どもとしても引き続き、国際社会に対して、森林吸収について適切に報告をしていきたいというふうに考えているところでございます。
それから、次の3ページでございます。これは前回お示ししていない資料でございますけれども、森林吸収源の特性でございます。
一つは、まず即効性ということが挙げられるかと思っております。いわゆる、人為活動が評価されて、その森林の吸収量をカウント対象にできるというのが基本的な概念なわけでございますけれども、間伐等を行いますと、それはそのままカウントできる対象面積の拡大につながっていくということがあろうかと思っております。
それから、2番目については確実性でございまして、適切に事業をかければ、経済活動の変化に左右されずに確実といいますか、安定的に効果を発揮できるという特性があろうかと思っております。
それから、もう一つは、継続性の点があろうかと思っております。実は、前回もちょっとお話をさせていただいたんでございますけれども、右側のほうに、これはスギの場合でございますが、林の年齢ごとの年間成長量を記載させていただいておりますけれども、20年、30年前後が高くて、50年ぐらいになりますと、どんどん落ちていくという構造がございますけれども、また、そういったことで、木を例えば切って植えかえるという世界が、林業の場合はあるわけでございますけれども、そういったものをきちんと継続する、循環的に使っていくということであれば、森林の有する吸収能力というのを継続的に発揮することが可能だというふうに考えているところでございます。
それから、次の4ページでございますけれども、森林吸収源対策、いろいろな特性を持っているわけでございまして、森林吸収量の確保ということだけじゃなくて、森林の多面的機能の発揮、それから、森林・林業の再生といいますか地域経済の影響、それから雇用の創出と、そういった意味でいろいろな効果があろうかと思っておりまして、そういった、そのことの活動を通じて、持続可能で環境負荷の少ない低炭素社会へ誘導できるというふうに考えているところでございます。
それから、5ページ目でございます。このページも4月4日の資料にはつけておりませんけれども、実は、我が国の森林、特に人工林、育成林、人が苗木を植えて育てている森林でございますけれども、だんだんだんだん林の年齢、林齢と申しますけれども、だんだん上がっていくという構造になってきておりまして。そういった意味から、だんだん年数が経つと、今の状態がそのまま続くと対面積当たりの吸収量がどうしても下がっていってしまう。吸収量の算定方法を一番下に書いておりますけれども、成長量に容積密度なり、枝葉まで含んだ係数、それから炭素含有率、これは0.5なんですけれども、成長量、容積密度、係数というのは、木の種類ごと、それから年齢ごと、地域ごとに数字は変わってくるわけでございますけれども、何せ対面積当たりの成長そのものが低下しているということでございますので、こういったところが課題かというふうに思っております。なお、吸収量につきましては、毎年、算定値を条約事務局に報告をしておりまして、毎年、審査を受けているというところでございます。今のところ、特段の問題は生じていないという状況でございます。
それから、6ページでございます。6ページは、これは若干繰り返しになるかもしれませんけれども、こういった林業活動を通じて森林を再生していくということで、重要な役割を持っているわけでございますけれども、その持続的な森林経営を確立していくというためにも、やはり森林・林業の再生という取組を強くしていかなければいけないと思っているところでございます。
7ページでございます。これは前回お示しした資料でございますけれども、今後の森林吸収量の見通しということでございます。2013年以降、上限値3.5%というものがございますので、私どもとしては2013年から2020年までの間につきましては、上限値であります3.5%というものを確保していくよう目指していきたいというふうに考えておりまして、ただ、2020年以降につきましては、ご承知のように、2020年以降の義務化に向けた交渉がこれから始まるわけでございますけれども、森林の場合、直ちに吸収量を急激に増加させるというわけにもまいりませんので、2013年以降、例えば森林の若返りを図っていくとか、そういった取組をできるだけ早く始めていくということが、必要かなと思っているところでございます。
8ページには、今まで申し上げましたようなことを整理したものでございます。
9ページは、いわゆる森林の、じゃあどういったことが吸収量を増やすのに考えられるかということでございますが、右上のほうに写真とグラフをつけておりますけれども、実はスギの、いわゆる一般的な品種の場合と、今、精英樹と申しまして育種の結果なんですけれども、今、第2世代で成長量の早い、成長量の大きい種類が出てきておりますので、こういったものを活用する。例えば10年生のレベルで比較しますと、従来のものに比べて直径が2倍、樹高で1.5倍というようなものでございますので、こういったものを増やしていく必要があるのではないかと思っております。ただ、こういった苗を育成していくのに時間がかかりますので、戦略的に取り組んでいく必要があろうかと思っております。
10ページでございます。これは、木材利用による炭素貯蔵の発揮ということでございますけれども、いわゆる、伐採木材製品というものが、これから吸収量としてもカウントできるというようなことになったわけでございますので、私どもとしても、いわゆる、木造住宅をはじめとした、そういった木材製品の量を増やしていくと。それから、バイオマスの関係で申し上げますと、今年の7月から、いわゆる固定価格買取制度が始まるわけでございますので、そういったものを活用しながらやっていきたいというふうに考えているところでございます。
それで、11ページでございますけれども、これは森林・林業の再生でございますけれども、私ども、昨年の7月でございますが、森林・林業基本計画、閣議決定でございますけれども、こういった計画を立てさせていただきまして、その中で森林・林業を再生していこう、元気にしていこうということで取り組んでいるところでございますので、こういった活動を通じて、やはり効率的に森林吸収源対策も推進していくということで取り組んでいきたいと思っております。以上、説明を終わります。宜しくお願いします。

農林水産省農林水産技術会議事務局西郷研究総務官
引き続きまして、資料3-2に基づきまして、いわゆる、農地による炭素貯留、農地土壌の吸収源としての扱いにつきましてご説明申し上げます。
この資料の1ページを見ていただきたいと思います。これは前回も若干議論になりましたですけども、農地土壌の吸収源、どういうことかと申しますと、右側の参考ですけど、土の中にはいっぱい我々と同じように酸素を吸ってCO2を吐く微生物もたくさん棲んでおります。それから、植物が枯れて炭素が中に入っていくだとか、それを食べていくとか、あるいは、人間が堆肥など有機質で炭素がたくさん含まれているんですけど、を持ち込むといろんなことが起きて、当然、CO2も出ていくんですけども、そのCO2の出方を見ていて、前年と比べてどうかといったことで排出が減ったり、吸収したりすれば吸収源として見てよかろうという、このページの一番下の左の下にございますけれども、ネットネット方式と呼んでございますけども、これで測っていけばいいんじゃないかということが、COP17までに合意をされているところでございます。
それで、2ページでございます。我が国はどういうふうにこれまで取り組んできたかと申しますと、もちろん、温暖化のために土壌の炭素を調べてきたわけではないんでございますけれども、営農上の土壌管理の都合上、いろいろなところでずっと調べてきております。一番下、左の図を見ていただければ、ある土壌に化学肥料だけをまいた場合、あるいは、堆肥をまいた場合というのをずっと何十年も続けてやってまいりますと、これは堆肥等有機物でございますけけど、これをずっと連用していった場合に、土壌中の炭素の含有量が上がっていくというふうなことがございまして、こういったことで確認をしたと。それと、COPでもいろいろ議論したんですけど、この土壌吸収源の測り方についてルールが確立した中で、いろいろデータをとっておかなくちゃいけないなということで、四角の中の二つ目でございますけれども、20年度から全国約4,000点のポイントで土壌の炭素量を調べてまいりました。それで、このデータで、下の右のRothCモデルと書いてございますけれども、このRothCとは何かと申しますと、イギリスで有名なローザムステッド農業試験場といって、何百年もずっと同じところで土壌を測っている研究所がございまして、そういったところでモデルをつくっているんですけれども、そこがつくってきて、いろいろな諸々のデータを入れれば、先ほどのページにございました、参考にあったいろいろな脱CO2の挙動を測るようなモデルにすればいいだろうといったことをつくっておりまして、それを我が国用に改良いたしまして、我が国の水田だとか、あるいは我が国に多い、黒ボク土という土が多いんですけども、それがどうだというのは実測の結果と照合しまして、大体、適切な推定方法というのをつくってきてございます。
3ページでございます。では、今後どうしていくかということでございますけれども、これは堆肥や緑肥、要するに有機物のもとになって、土壌中に炭素を増やせるものというものは、これは営農上は土づくりと呼ばれているところに入っていくわけでございます。これは農地土壌にとっても当然よいことでございますけれども、そういったことで、そういった農家の取組を環境上も評価していくことが必要なのではないかということでございまして、これをきちんと、炭素貯留量を正確に算定して、農家の努力を判定していくという取組を実施したいというふうに考えているところでございます。
現況でございますけれども、今ご説明申し上げましたように、いろんなことでもって我が国の計算方法といったものにつきましての精緻化を進めているところでございます。それで、環境省にございます温室効果ガス排出算定方法検討会というところでのご検討をいただいたり、それから、大体これでいけるんじゃないかというふうな、我が国ほど実測データがある国はほかにはございませんので、一応、国際論文にいたしまして、国際誌への投稿だとか、あるいはIPCCなどにも、そういったことについて働きかけをしていこうと思ってございます。とにかく、ここにございますけれども、何とかそういうことで、内外にオーソライズされたものにつきまして、近年から通報に耐えられるようなデータをつくっていこうというふうにしているところでございます。
なお、今、まだどのぐらいたまるかということにつきましては、まだ検証中でございますけれども、ざっとしたところを申し上げますと、今そういった作業でございますけど、たまっていく規模ということでございますけれども、根元で森林吸収源の数字が今、2012年で3.8%とか、今後は3.5%になるなんていうことがございますけど、それの概ね10分の1から、あるいは数10分の1、30分の1ぐらいよというぐらいの規模ではないかというふうに考えているところでございます。これに要する費用でございますけれども、これ費用といっても、これは要するに土づくりの費用でございますので、若干、目的がいろいろとございますけれども。ですから、そういう点で炭素だけの温暖化対策として幾らだというのは非常に出しにくいところでございますけれども、ご参考までに申し上げますと、例えば、堆肥の施用について、農林水産省がいろんなモデル地区でやってみたらどうですかといったところにお話し申し上げているのが、10アール当たり国費で2,500円ぐらいということになります。大体、そういうふうな点がご参考かとは存じますけども、こういった点は森林吸収源と似たように、温暖化対策だけではないという点がなかなか、純粋な温暖化対策としてだけのコストを出すというのは、非常に困難なところがあるということはお含みおきをいただければというふうに存じております。以上でございます。

浅野部会長代理
ありがとうございました。それでは、資料の4と資料の5について、環境省から説明いただきます。

市場メカニズム室長
それでは、まずお手元の資料4、国際貢献についての資料をご覧ください。
めくっていただきまして、3ページでございますが、京都メカニズムの意義ということで整理をしております。四角のところにありますように、京都メカニズムというものは附属書1国(先進国)の目標を達成するための補足的な仕組みということで、自国の議定書上の約束達成に用いることができるものというのがそもそもでございます。ただ、その次のポツにございますように、地球温暖化が地球規模の問題であり、世界全体で削減をしていくということが有用であるという背景から、例えばCDMでは、当該国における排出削減・吸収のほか持続可能な開発の促進に寄与すると、そういったものが目的となっております。また、その下にIET、国際排出量取引というような絵がございますけれども、こちらについても、環境十全性を高める観点から、単にその枠の割り取りというわけではなくて、排出枠の売却から得た資金を、売り手国内の削減または環境改善に活用するようなスキーム、こういったものも設けられております。
4ページをご覧ください。第一約束期間における我が国の活用についての考え方を、京都議定書の目標達成計画を抜粋して説明させていただいております。目標達成計画では、その上に白マルで書いてありますけれども、途上国等における温室効果ガスの排出量の著しい増加、これらを背景に、地球規模での温暖化防止に貢献する観点から、自らの約束を確実かつ費用対効果を考えて達成するため、京都メカニズムについて、補足的であるとの原則を踏まえつつ、クレジットの取得をすることということでございます。結果として見ると、4ページの下になりますが、1.6%の獲得を目指し、これは実際には5年分で約1億トンとなりますけれども、目達計画に従ってクレジットの取得を進めてきたところでございます。今年の4月1日現在で9756万トンの契約、これを締結済みであり、予算措置としては1500億円、これを執行しておるところでございます。
5ページをご覧ください。京都メカニズムというものと途上国支援の重要性という考え方を整理をしております。我が国としては第二約束期間、これには参加しないこととしておりますけれども、2013年以降、この国内対策、国際貢献いずれの面でも取組の手を緩めるものではないというふうに考えております。この中で、先ほどの京都議定書目標達成計画の中でも指摘されておりますが、今後の途上国における排出の著しい増加、これが見込まれる中で、その途上国に対してどういう支援をし、どういう対策をとっていただくことができるのかといったものは2013年以降も、この重要性というのは変わるものではないというふうに考えております。また、これまでのCDMや、現在新たに提案しております二国間オフセット・クレジット制度、それらに係る取組を進めていく上で人材の育成、また組織の形成、そうしたものを通じて、途上国の対処能力の向上を図るといった効果も、単に数字だけの意味ではないものがあろうかと思っております。つきましては、この資料においては、以降、CDMの現状と成果、また、新たに日本が提案をしている二国間オフセット・クレジット制度について中心に説明させていただいておりますけれども、今のような考え方に基づいて、そういう構成にさせていただいているところでございます。
開いていただきまして、7ページをご覧ください。ここからCDMの現状と課題を整理をしております。まず、CDMの現状でございますが、2011年12月31日時点で、発行実績量というのは約8億トンというふうになっております。量ベースでいきますと、7ページのグラフの下の右側のグラフでございますが、立ち上がりは制度が始まった当初ですから、なかなか上がっていきませんが、徐々にプロジェクトも増え、現在、累積で8億トンというところでございます。また、今後の見通しということで、様々な研究機関が予測値を出しておりますが、世銀の報告書によれば、それらを集約すると2020年の時点では約27から40億トンというものが世界で発行されると、累積でございますけれども、そういうことが推計をされております。
8ページをご覧ください。CERの発行実績をホスト国別、またプロジェクトタイプ別に分けてみたものでございます。ホスト国別につきましては、その円グラフでも顕著なとおり、中国とインド、これを二つ合わせまして、全体の4分の3を占めているというところでございます。また、アフリカや後発開発途上国、それらについて発行実績のない国といったものもあるということになっております。プロジェクトタイプ別で見ますと、HFCの削減、またN2Oの削減と、そういった工業ガス系のプロジェクト、これが係数の関係もありまして非常に大きな割合を占めておりまして、日本が得意な省エネといったようなもののプロジェクトの割合というのは小さなものになっているというところでございます。
9ページをご覧ください。CERの価格の推移でございますが、当初、20ユーロ辺りで推移していたものが10ユーロから15ユーロ、この間で安定をしておりました。しかしながら、最近、昨年の後期からですが、EU-ETSの価格の低下に連動して、CERの価格も下がっているところでございます。
10ページをご覧ください。各国の活用状況でございます。我が国は、CERを6400万トン活用ということで、世界全体の活用の26%ということでございます。今後の見通しですけれども、欧州におきまして、EU-ETSの中で2008年から2020年に、約16億トンのクレジットの活用が認められているというところでございます。また、これは世界銀行の報告書になりますが、豪州では、今後5億トン強、ニュージーランドでは7700万トンの需要がそれぞれ予想されておるところでございます。
CDMの成果と課題を1ページずつにまとめております。CDMの成果としましては3点、まず、世界全体での排出削減への貢献ということで、8億トンの実績でございます。2012年までには日本の年間排出量の相当する量の削減というものが打ち出されることになっております。また、次のポツですけれども、単にCO2の削減のみならず、途上国における持続可能な開発やコベネフィットの貢献といったことも指摘されておりますし、また、これらのプロジェクトが途上国で実施されるための体制づくりというものがございまして、その結果がCDMのプロジェクトを通じて途上国の意識を高めて、取組を何かしようというふうに進めているといったことの効果も指摘されているところでございます。
12ページをご覧ください。他方、CDMの課題でございます。先ほどのグラフ等で説明しましたように、特定の国やプロジェクトに取組が集中しているといった点のほか、さらに加えて、方法論につきましても、現在、承認済みのものが把握しているものだけで201件ございますが、そのうち、使われている方法論というのは一部のものに集中をしております。この方法論は実際には事業者の方からニーズに応じて提案されたものが審査を受けて決定をされるわけですが、その過程で難しく、使いづらいものができてくるといった実態もあるというふうに聞いております。最後は、そのプロジェクトの登録からCERの発行までに長期間を要するということで、最大で約2年かかっていたというような状況がございます。
しかしながら、これにつきましてはCDM理事会のほうで、その下、13ページになりますが、手続の簡素化というものが進められて、現在ではかなり改善がされてきているというふうに聞いております。
加えて、14ページになりますが、昨年のCDM理事会において、今後のCDMのあり方等を議論するということでCDMの課題でありますとか、また、今後の運営・発展に関する課題というものを議論するための政策対話、ポリシーダイアログというパネルが設置をされたところでございます。これにつきましては、スケジュール、下のところにございますが、今年の9月までに報告書をまとめるというふうに聞いてございます。
次は、二国間オフセット・クレジット制度でございます。16ページをご覧ください。先ほどの現況を示したCDMの課題、特定の国やプロジェクトに取組が集中している等、そのCDMの課題をうまく解決をし、CDMを補完する制度の創設として新たなものが必要でないかと考えております。プロジェクトの集中につきましては、多くの国が便益を受けられる仕組み、また、幅広いプロジェクトが実施できる仕組みというものが必要であろう。方法論につきましては、途上国の実態に応じた、また、能力に応じたモニタリングであるとか実施方法、そうした方法論を考える必要があろうと。長期間を要しているといったものについては迅速な対応、また、その審査についても容易な制度、そうしたものが必要であろうというふうな必要性から、新たな制度の構築として、その下にありますが、3点。
まず第1点は、CDMというのは、どうしても国連の事務局で、世界統一的な基準に基づいて実施をしている制度でございますが、それらと併存する形で分権的な制度を構築するといったことが必要ではないかというのを指摘しております。
2点目としましては、対象とするプロジェクトの範囲、また方法論、これらについては、環境十全性については十分確保を図るよう工夫をしながらも、途上国の状況に応じて、より実態に即した簡素で使いやすいものにする必要があろうかと考えています。これらにつきましては、その制度の構築・議論を進めまして、2013年以降、出来る限り早い時期に二国間オフセット・クレジット制度を開始するということを目指したいというふうに考えております。
こういった必要性・方向性を踏まえ、制度の目的というものを整理したのが17ページでございます。温室効果ガスの排出削減活動を幅広く対象にし、途上国の状況に柔軟かつ迅速に対応した気候変動分野での技術移転や対策実施の仕組みを構築するということで、以下の実現を目指すと3点、記述しております。1点目は、途上国の持続可能な発展に貢献すること。2点目は、日本の貢献を定量的に評価し、日本の削減目標の達成に活用すること。3点目は、国連気候変動枠組条約の究極的な目的の達成にも貢献するものであること。
18ページをご覧ください。こういった考え方のもとに、現在、政府、関係省庁の間で制度の仕組みを議論しておりますが、CDMとの対比ということで整理をしますと、制度の基本ルールから制度の運営報告まで、二国間での決定というところにかなりの重きを置いて、ただ、原則についてはカンクン合意かダーバン合意を踏まえて制定するんだということで、整合をとれるような形で検討を進めているところでございます。
国際交渉の現状については、19ページをご覧いただければと思いますが、19ページの後半部分では、今年の3月でございますが、日本政府の意見ということで送付をしているものの中で、この二国間オフセット・クレジットに該当する部分について、先ほどの必要性・方向性と一致するところでございますが、既に提出をしているところでございます。
20ページは、途上国との協議の状況を言及しております。幾つかの首脳レベルでの声明の中にも、二国間オフセット・クレジット制度の今後の検討というものがうたわれているところでございます。
21ページは、環境省、経済産業省で現在実施をしております、これは平成23年度に実施をした実現可能性調査の状況でございます。
22ページは、人材育成の支援ということで、FS(実現可能性調査)の実施の事業以外にも、それに付随する途上国の能力を向上させるための事業というものを昨年度の実績ということで掲載をさせていただいております。
24ページ、25ページが今後の国際貢献の考え方ということで、本日、ご議論をいただきたいところでございます。一つ目のマルですけれども、まず、これは第一約束期間の考え方を再掲しておりますが、我が国というものは、京都議定書の約束を確実に、かつ費用対効果を考えて達成するために、第一約束期間において、途上国の排出量の増加なども考えながら、京都メカニズムについては補足的であるという原則も踏まえて、必要なクレジットを取得してきたというところでございます。
そこで、24ページの後段ですが、京都議定書第二約束期間に参加しない我が国が、今後の温室効果ガス排出削減に向けた国内対策、国際貢献、いずれの面でも、取組の手を緩めるものではないとするならば、地球規模での温暖化対策の促進という観点から、国際貢献分としての目標を掲げて、2013年以降についても、第一約束期間における国際貢献分を後退させることなく、強化を図っていくことが必要であるということでございます。
25ページが最後になりますが、国際貢献としての削減を実施する手段としては、我が国が提案している二国間オフセット・クレジット制度の早期実施、また、そのための人材育成の支援等のみならず、途上国における排出削減や、また持続可能な開発に貢献し、今後も量的な拡大が見込まれるCDMについても、今後の改善に向けた取組の進展を見極めながら、また、我が国の貢献を促進できるよう工夫を重ねつつ、引き続き活用していくことが重要ではないかというふうに整理をしております。これらについて、本日、いろいろご議論いただければと思います。以上でございます。

浅野部会長代理
資料5のご説明をお願いします。

研究調査室長
それでは、今後の地球温暖化による影響に対する適応の取組について、今回は国内の適応対策についてご説明をしたいと思います。
2ページをご覧ください。資料構成でございます。背景と、それから今後の取組の方向性ということでございます。本日は、この取組の方向性、特に2の(2)の部分について、審議会でご意見をちょうだいしたいと思います。
3ページは、我が国における地球温暖化影響ということで、温度と、それから大雨についての物理量的なものの観測結果を示しております。めくっていただきますと、左側の図は、海洋の酸性化に関する観測結果、右側につきましては、第四次評価報告書の知見を用いました我が国の将来予測を示しております。下側は、生き物に関しましての気候変化の影響を受けた観測例をサンゴ、それから桜の開花日について示しております。
1枚めくっていただきまして、我が国、社会への影響ということで、まず農業分野では、米や果物への高温障害といったものが見られております。それから、豪雨、台風による被害、下側の図は生態系への影響、あるいは熱中症リスクの増大、さらに観光・文化への影響を示してございます。
次のページでございますが、適応の取組概要ということで、ここからは各省別の現在までの取組をご紹介させていただいております。最初は文部科学省で、表がございますように、文部科学省では気候変動予測、それから適応のための予測研究、あるいはデータの融合研究がこれまで行われてきております。9ページは、その内容を紹介しておりますが、説明は割愛させていただきます。
10ページでございますが、これをまとめますと、気候変動予測に関する研究、それから影響評価・適応策に関する研究、情報基盤に関する研究という形で文部科学省では体系的に研究分野を進めているということでございます。
続きまして、農林水産省の分野では、農業への影響について、モニタリングというのが全国で行われております。左側にございますように、いろいろな作物について影響を把握されているということでございます。さらに、将来予測と評価といったところも行われてございます。
めくっていただきまして、それにどう対応していくかということで、高温環境に適応した品種などの開発、あるいは生産安定技術の開発といったことで、多様な取組が行われております。さらに、これに加えまして下側でございますが、適応技術の導入状況についても把握が行われて、それが提供されているということであります。また、産地サポート体制ということで、生産現場におけます技術支援といったことも、既に取り組まれているということでございます。
次をめくっていただきまして、作物以外にも生産基盤でありますハードウエア、インフラに対する影響についても、農林水産省では影響の検討、それから予測、対応の検討といったことが進められております。また、山地災害、海岸林の消失といった部分、あるいは野生鳥獣被害への対応、こういう分野でも取組が進められております。
次のページでございます。今度は国土交通省でございます。国土交通省は、今回は沿岸防災と水災害対策について資料をいただいております。沿岸防災の分野では、海面水位の上昇に対応ということで防護能力の向上、あるいは高潮が発生した場合の予防的措置、さらに災害時対応能力の向上と、こういった三つの柱で現在、施策をそれぞれ進めているということでございます。水災害対策につきましては、平成20年に国交省の審議会で温暖化に伴う地球気候変化への適応策のあり方についてということで、一定の答申が出されております。その中で、将来100年後の降水量の地域別の予測でありますとか、それに基づく治水安全度の評価などが行われ、これに基づいて、国土交通省で対策が現在まで進められております。
次、めくっていただきますと、水災害対策、国土交通省ではガイドラインというものをつくっておりまして、これは英語版もつくられていて、国際協力の分野でも活用されているところでございます。また、気象庁では温暖化の監視、それから予測ということが行われておりまして、監視に関しましては気候変動監視レポートの毎年の公表、予測の分野では気候モデルの開発のほか、数年置きに温暖化予測情報というものを公表されております。
次のページでございますが、気象庁におかれましても、交通政策審議会気象分科会で最近、今年の2月でございますが、気候リスクに対応した気候情報の活用を進めていこうと、そういう形での提言が行われております。
その次は環境省でございますが、環境省の部分は23ページをご覧いただきたいと思います。環境省は、熱中症あるいは自然生態系、水環境といった分野で適応の具体的な取組について検討をさせていただいております。特に自然生態系については、モニタリングサイト1000あるいは生物多様性の総合評価、地図化の実施といった取組を進めてございます。
次、めくっていただきますと、そうした各府省の連携につきましても取組を若干始めているところでございます。適応策に関する関係府省の連絡会議、あるいは影響評価統合レポート、文部科学省、気象庁、環境省でこういったものを作成したりしてございます。昨年12月に当部会でご紹介させていただきましたが、適応の方向性といった基本的な考え方についても関係府省と一緒に作成をしております。また、2012年3月に影響統計というものをとりまとめて公表しております。
続きまして、主要先進国、外国における取組でございます。イギリスでございますが、2008年11月に法律をつくりまして、その法律に基づいて、国全体の気候変動リスク評価を5年置きに実施すると。それに基づき国家適応計画を5年置きに策定すると、こういうような仕組みがイギリスではつくられております。現在、今年の1月に最初の気候変動リスク評価が行われており、2013年に最初の国家適応計画が策定されると、こういう予定でございます。
アメリカも同様に、1990年につくられた法律に基づきまして、合衆国全体における影響評価というものが2000年、2009年、次回は2013年に策定される予定ということでございます。
次のページ、EUでございますが、EUにおきましても、EU全体の影響評価報告書の策定などが行われております。中国、2006年12月に第1次国家気候変動評価報告書、11年末に第2次アセスメント報告がとりまとめられております。お隣の韓国でございますが、2010年に同じようにアセスメント報告書がとりまとめられ、国家適応マスタープラン、さらには、2011年からは、地方政府支援のための脆弱な地域・セクターの評価が行われております。そのほか、オランダ、フィンランド、ドイツ、オーストラリアなどで国家的な取組が進められております。
次の28ページ、取組の必要性ということで、エネルギー・環境戦略会議、あるいは環境基本計画での指摘を簡単にまとめております。要するに、適応策を国全体で取り組む必要があるという、そういう指摘がなされているということでございます。
続きまして、必要性の部分でございますが、これは今見ていただきましたように、温暖化により生じている可能性がある影響というのが見られております。これは、将来、温暖化が進行することで影響が拡大すると、こういうものでございます。
次のページでございますが、避けることのできない温暖化影響への対処ということで、これまでに排出されました温室効果ガスの排出によりまして、2℃以内に抑制するという目標のもとでも、我が国にいろいろな影響が生ずることが予測されます。こうした影響は広範な分野にもわたりますので、適切な対応というのを計画的に進める必要があろうかと考えております。
続いて、方向性でございます。方向性については、三つの柱が少なくともあるのではないかと考えております。一つは、リスクマネジメントとしての取組、国全体としての総合的、計画的な取組、また、さらに地方公共団体との連携と、こういうものでございます。特にリスクマネジメントといたしましては、2℃目標のもとでの適応を基本としながらも、2℃を超えた場合に備えていくと、そういう取組が必要かと考えております。
この国の取組としての具体的な手順が、以下32ページ以降にまとめてございます。四つ、マル1からマル4までございます。まずは、本年度末までに最新の科学的知見のとりまとめを行いたいというふうに考えております。これは影響評価統合報告書ということで、文部科学省、気象庁、環境省を中心にとりまとめていきたいというものでございます。二つ目のマル2でございますが、国全体の適用計画策定のための予測・評価方法の策定及び実施ということで、平成25年度末目途でございますが、文部科学省、気象庁、環境省が中心になりまして、専門家の会議を設置して、その審議を経て、新しい情報をできるだけ使い、予測・評価方法を策定しようというものでございます。この方法策定に当たっては、今見ていただきましたように、国土交通省、農林水産省といった適応の重要分野を担っております関係府省との連携・協力というものを重視していきたいと思っております。それらを踏まえまして、マル3でございますが、政府全体の適応計画の策定ということで、これを今から3年間かけて、平成26年度末目途ということでやっていきたいと思っております。政府全体で重点的な分野・課題を抽出して、抽出された分野・課題別の適応策を関係府省で立案して、最終的にとりまとめるということでございます。このマル1からマル3までの取組を定期的に見直していくということで、大体5年ごとにこういうものを見直していきたいというふうに考えております。以上でございます。

浅野部会長代理
どうもありがとうございました。それでは、多岐にわたる内容でございますけれども、はじめに申し上げましたように、当部会として、これをきちっと議論をし、特に適応についても方向性を示すということが必要であります。吸収源対策に関しては、実際に数字とも関連がございます。また、国際的な取組については、これをどう扱うかということを含めて議論が必要でございます。適応については、直接的に数値の目標ということでは、大きくこれがどうだこうだということではないのですが、しかし、温暖化対策についてきちっとした案を示すということでありますと、この適応についても、やはりその中に当然含めなくてはいけないという状況になっておりますから、今日はそのことについてもお話がある。大筋でこんな方向で行きたいという事務局のご提案がございましたので、これでよろしいかどうかということを含めて、これについてご意見をいただきたいと思います。
それでは、先ほどと同様でございますが、概ね、やはり45分程度の時間ということでございます。どの分野についてといって、切ってやっていくと多分、時間が全然調整できなくなりますので、とりあえずどこでも構わないので、ご発言をいただきたいということにしたいと思いますが。ご発言ご希望の方。今、横山委員の手が挙がりました。三橋委員、それから藤井委員、そして原澤委員ですね。長辻委員、永里委員、それから冨田委員、高村委員、住委員、それから末吉委員、大塚委員と井上委員と、河野委員ですね。進藤委員も手を挙げておられますね。それから、浅岡委員ですか。ほかにいらっしゃいませんか。もう今、読み上げましたが、漏れはございませんね。それでは、今度は横山委員からお願いいたします。

横山委員
ありがとうございます。2点、述べたいと思います。1点目は、森林吸収に関してです。日本の吸収量の最大値が決まったとき、3.8%と決まったときに、確か日本ではせいぜい2.5%ぐらいしか獲得できないよというようなことが言われていたと思うんですが、それが結局、2010年度に関しては3.9%というように、かなり吸収量が順調に増えているんだというふうに思います。これが日本の林業の進展にどう関わったのかというようなことを、ちょっとご説明していただきたいと思います。今度は各国一律3.5%ということで、この確保を目指すというのは私も結構なことだと思いますが、これを達成した場合に、林業の進展とか、あるいは国産材の利用にどう貢献するのか、その辺の説明をしていただければというふうに思います。
2点目は、適応の問題です。適応の問題も非常に重要な問題で、私も強力に取り組む必要があると思うんですが。今日の説明を伺っていて、もう少し東日本大震災とのつながりを強調したほうがいいんではないかと思います。つまり豪雨とか洪水とか高潮とか高波なんか、これはかなり津波被害と似てくるわけで、その辺を強調すると、適応というのは一体なんだろうという、かなり適応というのは難しい言葉だと思うんですが、その辺の説明にもなるというふうに思います。つい先日、宮古市に行ったときに、台風時にここまで海水が来たというのと、チリ地震津波のときに津波がここまで来たという同じ柱に、同じ目盛りに記載されているんですね。つまり、あそこにいる人たちにとると、津波と、それから台風による高潮というのは、同じ意識でとらえられているんですね。そういうところも、今後の適応の取組には強調して、地震・津波災害と地球温暖化が今後もたらす災害というのは密接に結びついているんだぞということを、かなり強調していただきたいと思います。以上です。

三橋委員
適応の取組について、資料5について伺いたいと思います。まず、適応の問題は非常に大切だと思いますが、どのような組織をつくってやるのか。従来のように、あるいはこの報告にあったように、省庁別でこれまでのように縦割り行政で、取り組むのか、あるいは、全体を統括する組織をあらたに新設して適応対策をに取り組むのでしょうか。それともう一つ、この適応対策も、温暖化の進み具合によって、例えば2020年代、30年代、50年代とかなり違ったものになるのではないかと思います。つまり時間的な別な対応の仕方の違いです。この2点について、伺いたい。

藤井委員
まず、適応の点は今ご指摘あったことですが、これも結局、費用効果をしっかり踏まえないといけない。対策の部分は、特にインフラに関した部分は必ずしも膨大なコストをかけてやればいいものではないと思います。経済効果等もありますので、方法論を費用効果を踏まえてしっかり比較、対照して、選択肢を持って検証するというプロセスを是非導入していただきたいと思います。
もう一点は、この土壌、農地のほうの炭素貯留ですけども、非常に大事なテーマです。これはまさに食料問題と絡んでくると思います。私は全く知らない分野なのですが、全く一つの発想ですが、つまり、これは炭素有機肥料に切りかえていくという中で、食料の増産とも絡んでくると思います。単に炭素の貯留だけじゃなくて、一種のこれはクレジットのようなものになるのではないかなという気もします。諸外国では、この炭素貯留の議論がどのようになっているのか。主な論点ですけども教えていただきたい。今言ったようなクレジット化を、例えばREDDのような形で今議論していますが、森林でそうしたクレジット化ができるなら、食料を生む農地ならもっとキャッシュフローが明らかなので、より市場価値のあるクレジット化が出来るのではないかなという気もするのですが、どうでしょうか。

原澤委員
適応に関して2点、質問というかコメントです。
一つは、非常にうまく資料をまとめていただいているなと思いますし、また、3年かけて国の戦略をつくるということですけども、その際、横山委員がおっしゃったように、なぜ適応しなければいけないかという、そこの考え方をしっかり国民に打ち出していく必要があると思いました。
あと、省庁連携も非常によくされていると思うんですけども、既存の対策そのものが適応策の側面を持っているものがあるわけです。特に防災はそういった面があったりしますので、適応策でまたお金が必要でなかなか出来ないということではなくて、既存の対策もやはり適応策的なところもしっかりこの中で見ていただければと思います。それに関連して、地方公共団体との連携ということがあって、これは非常に重要になってくるかと思います。さらに一歩進めて、地域の人々のコミュニティとか、そういったところまで踏み込んでいただいたほうがいいかなと思います。といいますのは、ハードで、あるいはソフトで、適応策という形でやるには、当然そのコスト等の限界があったりするので、地域のコミュニティとか、個人がどう動くかというようなところも非常に重要になってくる。それはこの震災で得た教訓ではないかと思いますので、そういった面も計画の中に入れ込んでいただければ、よろしいんではないかなと思います。
あと、いわゆる適応の評価みたいな話は一種のアセスメントということで、やっぱり技術資料とか、これまで環境省がやってきた、環境アセスメントと同じような流れで、手順とか技術資料の作成とか非常に重要だと思いますので、あわせて力を入れていただければと思います。以上、2点です。

長辻委員
適応と、それから森林吸収源についてお尋ねしたいと思います。最初に適応策ですが、特に生物と農業、これらに与える影響は、最高気温もさることながら、一番重要なのは最低気温の上昇です。なおかつ、日本列島の上にそれをプロットしていくときの、その北上のスピードの速さですね。これに生物が適応できない、対応できない、特に植物は自分で移動できないので、かなり厄介な影響を受けてしまうという、その辺りのこと。それから、スピードということでは、陸上よりも目に見えない水中の方が変化が急速に進んでいて、言ってみれば、フロントの移動が速いということを、もっともっと国民に伝る工夫があったほうがいいと思います。
今日いただいた資料でも5ページという、最初の部分にサンゴのスピードだとか桜のスピードが記されているのはいいことなんですけど、このスピードということが重要であるということをはっきりと打ち出されたほうが、よりよく適応策の役に立つのではないかと思いました。
次に森林吸収源ですけれど、これまでですと、日本が3.8%であったものが、各国一律で3.5%になるということですが、これは、確か日本が36%という高い削減義務を負うに当たって、その特例として3.8%が日本に与えられたという記憶があります。ところが、それが2013年以降、各国一律3.5%になるとすれば、国際比較の上で、相対的に日本の有利性が失われるのではないかという危惧を抱きますが、その危惧は当たっているかどうかということを一つお尋ねしたい。
それから、日本の森林の涵養ということでは、間伐が重要なファクターになっております。しかし、現実を見てみると、前回も少し話に出たと思いますが、一番厄介な問題として、間伐材の利用がなされていないということがあります。切り捨て間伐という言葉がありますが、現場に放置されている。その放置された間伐材が、洪水を含めた山地災害の一因になっているということも最近言われております。こういうことを、例えば条約事務局によって指摘されると、カウントの対象外になる可能性があるのではないかという危惧を持ちますが、その点はいかがでしょうか、ということをお尋ねします。
それから最後に、中国、韓国への木材の輸出ということが挙げられておりますけれども、発展のビジョンというのが、あまり見えてこないんですね。このままで放っておくと、林業がCO2の吸収源だけのものになりかねないなという危惧を感じます。林業をもっともっと発展させていただきたいと思いますので、その辺りのビジョンももう少し盛り込んでいただければと思いました。以上です。

永里委員
ありがとうございます。資料4のページ25について述べます。第二約束期間に参加しない国によるCDM活用について述べてありますが、考えるべきは地球全体でCO2を減らすことであって、単にCDMクレジットを購入するということは、地球規模での低炭素社会への実現に貢献するのか疑義があります。国富の流出につながりかねません。また、現時点でCDMクレジットの購入を織り込んだ中期目標を国際的にコミットすることは、国際的公平性の観点からも適当でないと思います。中期目標は限界削減費用を踏まえ、国際的公平性の観点から設定すべきだと思います。二国間オフセットについては、産業界としても積極的に取り組む考えでありますが、あくまでも日本の省エネ技術等による海外貢献分を日本の削減分として正当に評価されるようにすることが目的であって、政府はその後押しをしてほしいのであって、クレジットとして買って、国富を流出させてはいけないと思います。以上です。

冨田委員
ありがとうございます。クレジットのところについては、今、永里委員がおっしゃられましたので、私は森林吸収のところについてコメントしたいと思います。
まず、1点目は、費用に関して、今、計算をされているということでしたので、それを期待しておりますが、必ずしも削減費用だけで物事を判断するということではないわけですけれども、3.5%という上限まで本当にやるかどうかというところの判断基準の一つにはなると思いますので、是非宜しくお願いします。
それから、質問ですが、伐採木材製品、HWPですか、木材を焼却・埋め立て処分したときに排出でカウントするということですが、これは吸収量として評価したものを燃やした場合あるいは埋め立てた場合に排出としてカウントするという理解をしたわけですが、木材製品においては輸入材もあるわけで、そこのところはモニタリングとして、どういうふうに現実的なものができるのだろうかというところをお聞かせいただければと思います。
それから、最後はお願いですけれども、成長の早い精英樹とおっしゃいましたでしょうか、非常に大事なことだと思うんですが、毎年、花粉に悩まされる私としては、是非そこも配慮したものにしていただきたいというお願いでございます。以上です。

高村委員
ありがとうございます。2点でございます。
1点目は、適応策に関してでございます。非常に詳細な資料をありがとうございました。1点だけでございますけれども、政府全体の適応計画の策定が私も非常に重要だというふうに思っておりまして、もう諸外国でも先行しておりますが、やはり、きちんと法律上の根拠のある計画の策定をすべきではないかと思います。
現在の温対法のもとで、もちろん、適応策をやっていないということではないですけれども、しかし、温対法上は、どちらかというと、やはり排出削減策に重点を置いた定義になっているというふうに理解していまして。例えば、自治体さんなどと話をしますと、その適応策をやはりやらなきゃいけないというふうに思っていらっしゃる方はいるんですが、なかなか自治体の中で、全体として位置づけがされないというようなことも聞いております。やはり、法的な何らかの根拠というものを持った全体の計画というのが、それを後押しするんじゃないかというふうに思います。
2点目は国際貢献に関してでございますけれども、こちらの地球環境部会で、国内削減目標をきちんとやはり決めていくということが、まず第一義的に重要だと私思っておりますが、同時に、やはり政府として、途上国にどういう支援をして、どれだけ削減に貢献ができるのかということを、やはり出来る限り定量化をした目標といった形で示すべきではないかというふうに思います。もちろん、国際貢献、途上国への支援というのは数量化できないものがあるというのは、これまでの議論でもございますけれども、例えば能力構築ですとか適応策というのはなかなか数量化できないと思いますが、しかしながら、その一つには、日本の貢献によってどれだけ国外で削減が出来ているかということを示すということが、国内だけではなくて、交渉上の戦略としては非常に重要だと思います。短期的な観点からも、例えば、少なくともこれだけはという下限を示しながら国際ルールがどういう形になるかで、もっと引き上げが可能だというような形での交渉の戦略というのもあり得るというふうに思っていまして、そういう意味では、そうした国際交渉上の戦略としての位置づけという意味で、まずそれを考えるわけです。
もう一つは、恐らく国として具体的な目標なしに、支援といっても、なかなか財源確保を含め難しい、進まないんじゃないかという懸念であります。その具体的な数値目標の形でといいますのは、排出削減目標の形がいいんじゃないかと思っていますが、それは、つまり、どれだけ世界的な削減にこのお金が貢献したかということを国民にきちんと知らせるという意味で、税金の使い方として、それは説明できるという意味で、そういう形での指標というのが必要ではないかというふうに思います。恐らく国富の流出論というのはずっとあるわけですけれども、恐らく二つの点で日本にとってもプラスの点がある。一つは、2020年以降、途上国の削減を強めてほしいんだけれども、今、実際には排出量の状況自身もわからないようなその基盤をやはりつくっていくという観点と、もう一つは、以前の議論もございましたが、やはり国外削減、海外での削減、途上国の削減が実際そこで広がっていく省エネ・再エネ市場にうまく日本が入っていくというビジネスチャンスとして、やはり、きちんと位置づけることが重要ではないかと思います。ただ、留意すべき点として、こうした削減目標あるいは資金を支援するにしても、一定の検証を受けるというのはお話をしたとおりであります。そういう意味では、支援によって確実にやはり削減が生じることを示せるということと、途上国の環境ですとか持続可能な発展に資すると、そうした原則は確実に必要だと思います。とりわけ枠組み条約のもとでの制度でない場合には、その点については非常に留意を必要だというふうに思っています。以上です。

浅野部会長代理
それでは、あと7人おられまして、質問がいっぱいありますので、回答もいただかなきゃいけませんから、お一人、恐縮ですが、3分間にご発言時間を制限させていただきます。

住委員
わかりました。じゃあ、簡潔に言います。適応に関して、政府全体の計画を策定するというのは非常にいいんですが、適応というと、何かあることが起きるので、それに備えるみたいな、ちょっと受け身のイメージがあるんですが、僕は違うと思っておりまして、かつて高度成長期に全総と言われるような国土開発とか、ずっと全部やってきたんですが、あのときは石油が安くて、高度成長でお金がどんどん、行け行けどんどんで日本をどうするか。現在問われているのは、機構が変わり、金がなくなり、高齢化する、そういう条件で国土をどう開発するかというようなコンセプトをやはり入れるべきで、そういう点では、この新しい21世紀のいわゆる全総みたいな、新全総でもいいんですけど、そういう開発、それから地域開発も含めて全部に絡んできますので、そういう視点をやはり持っていただきたいというのが1点であります。なかなか大変だと思いますが、単に温暖化だけの問題ではなくて、適応というのは、1回しかできませんので、すべての問題に対して、出来る限りアジャストできるような新しい日本の社会をデザインするんだという、そういう、これでやっていただきたいと思います。
それから、2番目ですが、国際貢献ですが、お金周りのことが全然述べられておりませんので、いわゆる二国間のやつでもODA、援助というコンセプトでベースラインをやって、それでフリンジ・ベネフィットがあればいいんだ、そういうコンセプトなのか、国際的な排出権取引というのがあって、その中でどうするかというようなことはあまり出てこない。そこは立ち位置を決めたほうがいいんではないかなという気がします。
それから、3番目に農業のところなんですが、とにかく先ほど出ましたように、温暖化対策なんかいいから、農業をちゃんとしてよ。もう後はついて回るから。林業も、別にカーボン・オフセットなんかいいよ、考えなくても、とにかく林業をビジネスとしてちゃんとする。まず、その大本線をちゃんとやってもらえれば、それから後はついてくるので。やはり、変なちまちましたところでやると何かこれは勘ぐりなんですが、結局、そのお金を担保するとかというふうに変なふうにとりますので、その辺はよく考えていただければというふうに思います。以上です。

末吉委員
ありがとうございます。2点ありまして、一つは国際貢献の考え方の24ページの2番目のマルなんですけれども。これをさっと見れば、いいことを言うなと思うんですけれども、よくよく読むと、京都第二約束期間をけった理由が、全く僕にはわからなくなるんですよね。全然ないですよね。しかも、「取組の手を緩めることをしないならば」と言って、こういうことをやります、こういうことをやりますと言うんですけれども。ちょっとそもそも考え方が本末転倒でありまして、国際的な義務とか目標を、国際社会の中における、日本の国家としての、その義務あるいは目標を、こういう二国間クレジットでリプレースできると考えること自体が、間違いなんじゃないですかね。国家目標とこういう手段とがリプレーサブルじゃ、私はないと思うんですよ。国家目標をちゃんと進める上で、例えば真水にプラスして海外で二国間クレジットを使ってやるから、それも日本の、例えば京都議定書第二約束期間の義務の中にカウントしろと。日本はこうやって、ちゃんとまじめにしっかりやるんだから、そういうような持ち方、かけ方をすべきなのに、一番の本元をけっておいて、無条件でけっておいて、私たち、そういうことをやりますから、ちゃんと見てよねと、こういう話というのは本当にいいんでしょうかね。
もし私が日本のことでやるんだったら、もっと日本のビジネスがどんどん金が入るようなことを、国連が認めようが認めまいが、がんがんやるというぐらいのほうが、かえってビジネスライクで私はいいんじゃないかと思います。ですから、ここのところの国家目標と手段とのリプレーサブル、どっちを先に持ってくるかということの順番が逆ではないかと思います。
それから、2番目は、適応のところなんですけども、ちょっと申し訳ない言い方なんですけど、もうちょっと資料とか、起きていること、あるいは参考にするデータをアップデートしていただきたいんですよ。4ページを見ると、確かにIPCC第四次評価報告書ですけども、これは2007年ですよね。もう5年前ですよね。今、私の知る限りでは、もう去年の年末か今年に入って、がんがんOECD、IEA、米国エネルギー省なんかも、どんどん新しい直近の数字で、もっと厳しいことをいっぱい言っています。例えば、これ31ページに2℃が基本で2℃を超えることも考えることが重要だと書いてありますけども、今や2℃なんていうのはもう風前のともしびでありまして、それを基本にというよりも、それをどこまで超えていくのか、それに対して、国際社会がどういう危機感を持ってやらなきゃいけないのかという議論がある中で、2℃がベースなんて言われると、私なんかは非常に不思議に思います。まさに長辻委員がおっしゃったとおり、これは温暖化の問題、気候変動の問題、生態系の問題、もの凄いスピードで劣化していると思うんですね。そのスピード感が出るようなことを言っていただかないと、何だか、世の中のこういうものがゆったりと動いているというようなイメージでの日本のこういう適応策を国民に呼びかけるというのは、私は非常に不適切ではないかと思っております。以上です。

進藤委員
私からは二つ申し上げます。森林吸収のところですが、費用は今、検討中と言われたようですが、間伐だとか老齢化した木を植えかえるというような場合には、かなり費用がかかると思います。この費用がどのぐらいの桁なのか。人工光合成の開発を今やっているところが、8億と聞いた事がありますが、これに対して天然光合成をきちんとやるためにどのぐらいの規模なのか、1000億なのか1兆円なのか、わかれば教えていただきたい。費用と効果の対比を見るべきだと思います。
それから、もう一つ、国際貢献ですが、24ページのこの議論の流れは、CDMを強化していくという話なんですが、私は考え方が違うんです。国民の税金で排出権を買うというのは、これは国富の流出以外の何物でもないので、やめるべきだと思います。ただ、我々産業界は、省エネ技術は出すということで、もうリストアップもしているわけで、この二国間クレジットを是非進めて、世界でCO2を減らしていくということを是非やらせていただきたいと、思います。その際、それをクレジットにしますと、またお金を出すことになるわけで、この19ページの一番最後のところに書いていますが、多様なアプローチの中の一つの選択肢で、「クレジットを発行するのでなく、途上国に技術を出し、それで減ったCO2の量を把握して、それを直接、我々の貢献分に計上する方法もあり得る。」と書いているので、是非これを追求していただきたいと思います。

河野委員
二国間クレジットとCDMについて2点、申し上げたいと思います。
資料4の16ページ、17ページなんですけれども。これご説明いただいて、私の理解では、CDMは今後も日本が、それが国連で認められるかどうかはちょっと別ですけれども、このまま使い続けられる権利を確保する、使い続けられるという議論をしつつ、使いつつ、そこを補完するものとして、二国間オフセット・クレジットあるいは日本独自のものとして、二国間クレジットを創設するということだと思うんですけれども。まず、16ページの課題1、2、3ありますが、このほかで非常に重要な課題というのがありまして、それは持続可能な発展のためにCDMはもともとというのは、二つある理由のうちの一つが持続可能な発展というのがあるのですが、それが非常に実体的に言うと、ここで言われたように特定の国やプロジェクトに集中。それから、HC、このフロンのあれとか、ごく限られたものに、ちょっとしたことでどんどん稼げるものに集中しているということで、細かい、その村とか途上国の人々の持続可能な発展というか、生活向上のためになるものにあまり使われていないということが非常に大きい問題としてずっと指摘されているので、それも加えるべきだと思います。
それから、2点目は、この17ページの下の図に、日本の削減目標達成に活用とあるんですが、やっぱり、これは国内での何らかの仕組み、つまり、排出量取引制度であるとか、そういうところにカウントされていくという制度ができないと、二国間クレジット自体が非常に宙に浮いてしまう、一つのCSRみたいなものになってしまうんじゃないかと思うんですね。
例えば、アメリカの場合は二国間クレジットじゃなくて、もちろんアメリカも、国内排出量取引がぽしゃっているんですが、2009年に下院を通った制度などを見ると、REDDというのは、国内排出量取引制度を補完するものとしてつくられているんですね。ブラジルとかインドネシアを対象にしたREDDをアメリカは検討していたと思うんですけれども。事ほどさように対外的に削減目標をちゃんとやっているんですよということにカウントするだけではなくて、国内の確実に総量を減らしていく制度の補完として、二国間オフセット・クレジット制度をつくるということでないと、なかなか進まないんじゃないかというふうに私は考えます。宜しくお願いします。

大塚委員
今の国際貢献のところと適応のところと1件ずつございますけれども。国際貢献のところについてはスライド24に書いているような目標を掲げて強化を図っていくということを支持したいと思います。CDMについて問題があることは私もそのとおりだと思っているんですけれども、その改革は進めるとして、我が国が京都議定書の第二約束期間の目標の設定をしないということをしたわけですけども、そのときにアメリカとか新興国とかが入っていない状況で、我が国が目標を設定することについて公平でないということを強く主張したわけでして、参加しなかったこと自体については、私はそれほど賛成ではないですけども、とにかくそういう主張をしたということは重要なことだったんだろうと思っています。その点からして、日本がどういう行動スタイルをとるかというのは、きちんとした行動スタイルをとらないと、温暖化対策をしたくなかったからそういうことを言ったんだろうみたいなふうに思われる可能性はどうしてもありますので、国際貢献についても、やはり目標を掲げて対応していかないといけないのではないかと思います。
CDMに関しては、ここに書いてあるような問題があり、特定国にそのホスト国が集中しているということとか、あと、削減の確実性というのが必要だと思いますし、既に対応している簡素化ということ以外にもそういう点とか、あるいは特定国にあまり集中することに関しては、例えば一人当たりのCO2の排出量が2050年の世界半減ということを前提とした上での数字と比べて、それよりも超えているという場合には、ちょっと別に扱うことをしたほうがいいと私自身は思っていますけれども、そういうCDM改革というのは特に必要だと思いますし、二国間クレジットももちろん使いながら国際貢献をしていくというのが重要であると考えています。
それから、適応についてですけれども、先ほど、ご議論がありましたように、法定計画にするということは重要だと思いますし、あと、費用効果性は重要で、どうしてもこれは予算をとるための方法として使われる可能性がないわけではないものですから、そういう点からしても、費用効果性というのは非常に十分に見る必要がありますし、その事業によってどのぐらい適応の能力が上がったかということに関しての影響評価、技術評価というのも非常に重要になると思います。
1点、ちょっと質問しておきたいのは、スライド23にございますように、資料の5ですけど、自然生態系に関しては、先ほど長辻委員が言われたこととも若干関係するかもしれませんけれども、例えば植物と虫との関係で花粉を運ぶというようなときに、1週間、2週間ずれるだけで花粉が運ばれなくなるということがあるわけですね。これはもう多分、適応のしようがないんじゃないかと思っていますが、自然生態系に関して、やはりモニタリングがどうしても中心になっているみたいですが、これはもうちょっとどうしようもないですかね。その辺について、今、どうお考えになっているかお伺いしたいと思います。以上です。

井上委員
国際貢献の考え方、24ページ、25ページで、ちょっと大塚先生と逆の意見になります。具体的な目標を掲げて、2013年度以降についてもということですが、日本の優れた技術を移転して、国際貢献することは重要ですけれども、そこはボトムアップ、具体的アクションを重視すべきであって、それによる定量的評価は必要ですが、目標を掲げてやっていくというのは、これは2020年度以降の国際的な枠組み、これを見ながら検討していくべきだと思います。だから、数値目標は時期尚早。
それから、その下の25ページは、CDMを今後とも引き続き活用とありますが、これは具体的には国が活用するのか、民間か、具体的なイメージがあれば、お聞かせください。
それから、森林吸収につきまして、私はこの対策をほかの国内対策と一体どういう位置づけで、ここで議論したらいいのかというのが疑問に思っておりまして、やはり、森林吸収についても、ポテンシャルとかコスト効果をきっちりデータで出した上で、例えば、太陽光パネルや風力を国内で置く、国土利用するよりも、森林を植えてバイオマス発電するほうが得なのかどうか、そういった議論までするのか、あるいは特別扱いなのかというところの見解があればお聞かせください。以上です。

浅岡委員
多く議論を出されておりますので簡潔にしたいと思いますけれども、国際貢献という観点では、日本が京都議定書から出ようが出まいが、世界に対して今後ますます、相応の温暖化の対策が必要なところ、あるいは適応の必要なところに援助をしていくことが求められることは自明でありますので、同じことをやるときに、どれだけやっていることを、やはり世界にもアピールもし、国内の産業にとってもいい形、国民の経済にもいいようにするかという観点で前向きに捉えていくとなりますと、ちゃんと目標を定め、これだけやりますと、見せていけることにもなりますでしょうし、それをスピード化することは、当然だとおっしゃる。CDM並みに、CDMは制度改革もしつつですけれども、それはCDMと等しい形でちゃんと検証もされるというようなことを、それを受けられるのであれば、やはりそれと対応するものとして、二国間クレジットで、何かわからない形でやるということではなく、ちゃんとした仕組みに仕上げていくということを目標に持たれて、かつ河野委員が言われたように、税金でやりますというよりも、民間のそうした意欲が民間の中で回転していくような仕組みを設けていくと。そういう観点からやっていく意思、構えが必要かと思います。そういう意味で、ここの24、25ページに書かれていることは、さらに強化していただくということを私はお願いしたいと思います。
それから、適応に関しましてですけれども、国として法律もかえながら、こうした年次計画、5年計画をやって適応計画をつくっていくことは急いでやらないといけないことだと思うのですけれども、それを国としてやっているというだけではなく、このすべての資料は地域の中に現実にどう変わっていくのかと、変わりつつあるか、それをどう対応していくのかということに係るわけであります。地域との対応が必要だと、このまとめの中にも地方公共団体との連携というのがありますけれども、32ページ以下にはそうした観点が全く見られていません。自治体の中でこそ、農業や林業を本当にどうやっていくのか、防災をどうやっていくのか、その他、諸々、緩和策と見られているものは、やっぱり実質は適応策として非常に大きな側面を持っている。その地域自身をどうやっていくのかということをあわせて、並行して進めながら、それが国全体の適応計画になっていくというふうにしていかないと、お金が乏しい自治体として、精一杯のことをやっていくというふうに、また、整合的にやっていくというふうにならないわけであります。ですから、こうした適応計画をつくっていくという仕組みをつくっていく、法的な制度整備をされるというときも、自治体としての基本計画をつくっていくということを、厳しい義務等はできないまでも、やはりそうしたことをやっていくという、緩やかな議論の中で自治体も並行して調査しながら、それらのまとめた、まさにアップデートされた情報も国内で集約できて、対策がとれるようにしていただきたいと思います。

浅野部会長代理
ありがとうございました。地域との連携、今、浅岡委員がおっしゃったことは私もかねてから言っているわけで。ただ、今、分権の世の中で、義務づけということが果たしてできるかどうかという問題はありそうですが、連携をとるということ以上に、やろうと思っているところに対して、きちんとした技術支援あるいは財政的な支援というようなことを、もうちょっと書き込んでいただきたいというのは私も同じ気持ちです。
質問は、私の整理では八つ位あったと思います。それぞれ、もう時間が限られておりますけども、農林水産省からは5分間でお答えいただけますか。恐縮でございます。

林野庁沼田次長
それでは、森林吸収源の関係でございますが、第一約束期間において3.8%ということでございますが、私どもとしても、始める前は、間伐の水準が日本全国で年間30万ヘクタールというレベルでございましたけれども、対策を進めまして、年間55万ヘクタールという形で進んできております。国民の方々の関心も高まったということもございまして、新たな雇用労働者の中にも若い人がかなり入ってくるようになりました。それから、建設業から林業への参入といったようなものも見られてきております。補正予算を活用したという面があるわけでございますけれども、森林・林業全体にとっては、少しはよくなってきたのかなと思っているところでございます。それで、今後ですけれども、やはり引き続き間伐なり、それから新たな植林ということになろうかと思っておりますが、そういった活動を継続することによって、持続可能な森林経営に少しでもつなげていきたいと思っているところでございます。
それから、3.5%になって、特例の話でございますが、実は資料の2ページの中にも、森林吸収量の算定ルールを入れておりますが、実は参照レベル、各国ごとに数字が違っております。参照レベルでゼロという数字をもらったのは、これは交渉の成果なんですけれども、参照レベルゼロというのは日本だけです。したがって、フルにこういった吸収量が使えるという状況になっております。
あと、間伐材を放置したから災害が起こっていると、必ずしもそういう状況ではないと思っておりますけれども、いろんな意味で気象災害に遭うと、そこの森林というのは吸収量が当然ゼロといいますか、マイナスカウントになりますので、そういったことができるだけ起こらないようにしていきたいと思っておりますし、また、森林・林業全体のビジョンの関係でございますが、先ほど森林・林業再生プランと申し上げましたけれども、こういったものをつくって、閣議決定レベルの計画に直しまして、今現在、いわゆる川上のほうから川下の方まで一体として森林を整備し、林業をやって、加工もきちんとやっていくといったようなことに取り組んでおりますので、そういった中で、少しでも循環型社会、地域経済にとって効果があるように、また、林業というのは、実は雇用創出効果も高いわけでございますので、そういったことを少しでも進めていきたいと思っているところでございます。
それから、費用の関係でございますけれども、私どもとしても、出来る限りそういった、いわゆる、なりわいとして林業を少しでもやっていきたいと思っておりまして。ただ、森林そのものはいろんな広域的機能を持っておりますので、その面では国民全体で支えていただく部分もあるのではないかなと思っております。いわゆる皆伐といいますか、林業の場合、クリアカッティングについては、政府の補助金は出ておりませんので、植栽だとか、間伐だとか、そういったものが補助対象ということでございます。費用につきましては、極端に高い費用ということにはならないかと思っておりますけれども、今まで第一約束期間の中で、いわゆる補正予算なんかで追加していただいた部分というものが、やはり、それなりに必要になってくるのかなというふうに思っているところでございます。
あと、HWPのカウントルールについては検討中でございまして、輸入材についてはHWPの範囲から外れますので、国産材だけを取り扱うということになっているところでございますので、そこはきちんと把握ができるような、我が国のルールづくりというものに心がけていきたいと思っております。

浅野部会長代理
恐縮でございます。西郷さんに炭素貯留のことをちょっと。

農林水産省農林水産技術会議事務局西郷研究総務官
簡単にお答えをします。炭素貯留につきましてご質問をいただきました。確保をどうしているんだということでございますけれども、第一約束期間でこれを選んでいる国は、資料3-2の1ページに書いたところだけでございます。現在、どんな取組をしているのかということでございますけれども、クレジットの可能性はないかというようなこともございました。ケニアで、世界銀行が土壌炭素をクレジット化するというモデル事業を今やって、関心を呼んでおります。また、これはカナダのアルバータ州というところでございますけれども、農地を不耕起にすることによって、炭素がたまっていくという部分についてオフセットにならないかといったことを、これも取組が行われています。そういったことで、いろんなことで条約のフォーラムでもいろんな議論が行われているところです。ただ、各国の考え方と我が国と若干違うところがございまして、各国は、要するに耕し過ぎて排出が多くなったのを、不耕起というのは耕さないということでございますけど、あまり耕す強度を低くして少しずつためるというか、排出を少なくしようという考え方です。なので、どちらかというと、そこにもともと、どんどん炭素を入れて、それでやっていこうというので、若干ちょっと各国ともいろいろと流儀が違うんでございますけれども、基本的には同じはかり方でやっていこうということでは進めております。以上でございます。

浅野部会長代理
ありがとうございました。それでは、環境省から、国際的な取組の問題と適応の問題と、これも結構たくさん質問があったのですが、簡単にお願いいたします。

市場メカニズム室長
簡単にお答えします。国際貢献につきましては、本日初めて議論に供しました。多くの方々からご意見をいただきましたので、本日いただいたご意見を踏まえて、再度、事務局の方で整理をしたいと思っております。例えば、目標の是非でありますとか国富の流出論、これらについては両論いただいたところでございます。これらを事務局の中でよく整理をし、もう一度再考して、機会があれば、タイミングについては、また事務局の中で相談しますが、ご議論いただければというふうに思っております。
あと、質問でございまして、1点、国として活用するのか、民間の義務かと、進藤委員からご質問がございました。この点については、国としてどこまでということで、民間でどうすべきとか、あと、また、国内の対策との連動という話がございましたが、その辺りについては今回、検討の対象とはしておりませんでした。以上です。

浅野部会長代理
適応についてお答え下さい。

研究調査室長
たくさんご意見いただきまして、ありがとうございました。実際に、この適応計画を立案するに当たって、費用対効果ですとか効果のモニタリング、こういった様々なご意見を重視していく必要があると思います。とりわけ地方を重視するという点につきましては、この国としての取組を進めるのとパラレルに、危機感を持っている地方公共団体については、私どもとしましても、いろいろなサポートをしていきたいというふうに考えております。既に国土交通省、農林水産省でも現場レベルでの対応もされておりますので、そういった取組も今後ともやられていくと思います。適応を国民に知らせる、あるいは、アップデートした情報がないということがございました。これにつきましては、今年度内にまとめます最新の科学的知見の中で取り入れていきたいと思います。生物モニタリングの重要性につきましても、その中でできるだけのことをやらせていただきたいと思います。
それから、法定計画、これについては今、基本法案というのがございます。それを待ってということになろうかと思いますが、まずは具体的な取組を始めていく必要があると思いますので、今回の部会の中で、こういったことをオーソライズいただければというふうに思っています。
それから、組織につきましては、いろいろ難しい議論ございます。ただ、現状の組織であっても、これはやらなければいけないというふうに考えております。以上でございます。

浅野部会長代理
ありがとうございました。原澤委員からご指摘があったように、既存の政策の中で、こういう見方をすれば適応ということにつながるものが山のようにあるのに、やっている人たちが適応をやっていると思っていないというところに不幸がある、こういうことも実際に議論すると感じるところでございます。さて、それでは、資料6について1分間で説明いただいて、本日は多分、定刻よりも30秒遅れで終わると思います。

低炭素社会推進室長
資料6で今後のスケジュールについてご説明をいたします。裏面でございますけれども、次回が4月25日でございまして、引き続き議論をいただきたいというふうに思っておりますし、また、それに引き続きまして、経済モデルによる分析等をお示ししながら、国民経済への影響・効果についてもご議論いただきたいと思っておりますので、引き続き宜しくお願いいたします。

地球温暖化対策課長
次回、日程につきましては4月25日と今ご紹介したとおりでございまして、詳細につきましては、追って事務局より連絡を申し上げます。
また、議事録につきましては、いつものように事務局でとりまとめを行いまして、委員の皆様にご確認いただきました後にホームページに掲載をさせていただく予定です。宜しくお願い申し上げます。

浅野部会長代理
どうもありがとうございました。お陰様で定刻で本日の部会を終わりました。

午後 6時00分 閉会