中央環境審議会 地球環境部会(第101回) 議事録

日時

平成24年2月29日 15:05~18:17

場所

全国都市会館『大ホール』

議事次第

1.開会

2.議題

(1)
気候変動による影響等について
(2)
2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会における議論の状況について
(3)
今後のスケジュール
(4)
その他

3.閉会

配布資料

資料1
地球温暖化の影響に関する最近の研究動向
資料2
国際交渉をふまえた温暖化対策の方向性
資料3
2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会での具体的な議論の進め方について
資料4
2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会での検討状況
資料5
各WGの発表に対する2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会での主なご意見
資料6
今後のスケジュール
参考資料1-1
日本の気候変動とその影響
参考資料1-2
温暖化から日本を守る適応への挑戦2012
参考資料1-3
STOPTHE温暖化2012
参考資料2
2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会における検討方針
参考資料3-1
コミュニケーション・マーケティングWG報告資料
参考資料3-2
コミュニケーション・マーケティングWG参考資料
参考資料4
技術WG報告資料
参考資料5
マクロフレームWG報告資料
参考資料6
自動車WG報告資料

午後 3時05分 開会

地球温暖化対策課長
それでは、定刻でございますので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会第101回の会合を開催いたします。
本日、委員総数36名中、既に過半数の委員にご出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。
また、本日の審議については、公開とさせていただいております。
では、以後の議事進行につきましては、鈴木部会長にお願いいたします。

鈴木部会長
それでは、第101回ということになりますが、地球環境部会を開催させていただきます。
事務局からまずは配付資料の確認をお願いいたします。

地球温暖化対策課長
いつものように議事次第がございまして、議事次第の下に配付資料のリストがございますが、資料1が、地球温暖化の影響に関する最近の研究動向。資料2が、国際交渉をふまえた温暖化対策の方向性。資料3が、小委(2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会)での具体的な議論の進め方について。資料4が、小委での検討状況でございまして、資料5が、小委での主なご意見、そして、資料6が、今後のスケジュールについて。
参考資料については、1-1が日本の気候変動とその影響。それから、番号はついておりませんが、冊子が二つついておりまして、参考資料1-2、1-3になっておりますが、温暖化から日本を守る適応への挑戦と、STOP THE 温暖化という冊子がお配りされていると思います。参考資料2が、2013年以降の対策・施策に関する検討小委の検討方針。参考資料3-1以降については、小委の下のWG(ワーキンググループ)での取りまとめをおつけいたしておりますが、まず、コミュニケーション・マーケティングWG取りまとめ。それから3-2が伝え手のためのガイドライン・データ版。参考資料4が技術WGの取りまとめ。参考資料5がマクロフレームWGの取りまとめ。参考資料6が自動車WGでの現時点での取りまとめ、案(概要版)以上でございます。
もし過不足等がございましたら、事務局のほうにお申し出くださるよう、お願いいたします。

鈴木部会長
資料が、いろいろそろっておりまして、ごらんいただきますと大体おわかりいただけると思いますが、地球環境部会に関しましては、第4次の環境基本計画に関する議論は、ただいま総政部会のほうで最終的なパブコメに至ると、こういう段階になっております。
それはそれといたしまして、地球環境部会のほうでは、エネルギー・環境会議という、これが内閣府のほうにできた、将来的なエネルギー・環境政策を考えていただける閣僚の方々の会議ということになりますが、その辺が革新的なこれからの政策を決めていくに当たって、環境側から、いろいろなインプットを求められております。そういうところに対しまして、2013年以降どうするのか、あるいは、もう少し長期的にどう考えていくのか。いろいろなことをこの地球環境部会で検討を進め、それを適切な時期、夏に向けてエネルギー基本計画が見直されているところでもありますが、エネルギーに関しましてはそちらのほう、それから環境に関しましては、こちらの地球環境部会からということで、ご議論いただいたことを、形を整えてあげていくと、こういうような作業を求められているわけであります。
そういうものの一環として、本日のこの地球環境部会がございますので、その流れの中でいろいろとご議論をいただければと思います。
そして、2013年以降に関しましては、資料が、今日は幾つか出ておりますが、その小委員会のほうで検討をいただいていると、こういうことになっております。その前に、また幾つかのご報告をいただきながら進んでいくということになります。
ちょっと説明が長くなりましたが、本日の議事はそういうことで、まず一つ目は気候変動による影響等について。二つ目は2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会における議論の状況について。そして三つ目は、ただいまざっと申し上げた今後のスケジュール。こういうようなことで進めたいと思います。
まず、議題1、気候変動による影響等について、これに入りたいと思いますが、これにつきましては、資料1と資料2が準備されております。
資料1に関しましては原澤委員から、資料2に関しましては高村委員からご説明をお願いいたしまして、続けてお話を伺った後で、ご質問あるいはご意見を伺うようにしたいと思っております。
それでは、原澤委員からお願いできますでしょうか。

原澤委員
環境研の原澤でございます。資料1、地球温暖化の影響に関する最近の研究動向ということで、ご説明したいと思います。
2枚目ですけれども、IPCCが第4次報告書を出した2007年以降、かなり日もたっているということもありまして、特に影響研究が進んできております。
四つほどご紹介いたしますが、まず1番目はIPCC関連になります。既に第99回のこの部会におきまして、IPCCの特別報告書、極端現象に関する報告書は、公表されたすぐ後に報告されたところであります。現在、第5次評価報告書の作成が進んでおりまして、2013年から14年ごろに公表の予定ということであります。
それと並行する形で、IPCC直接ということではないのですが、IPCCが協力しているのですけれども、研究者グループが新しい排出シナリオ、将来どれぐらいの温室効果ガスが出るのかというような気候モデルの前提、あるいは影響研究の前提となるような、新しい排出シナリオを現在つくっているところであります。こちらについては、RCP(Representative Concentration Pathway)と呼ぶものと、社会経済シナリオ(Shared Scio-economic Pathway)というSSPと呼んでいる2種のシナリオが、今、開発中です。
 ということで、影響研究の面から見ますと、今、将来想定については、IPCCのシナリオでありますSRESシナリオを使った研究が中心で、進んでいるということであります。
二つ目でございますけれども、IPCCがそういう途中段階であるということから、かつ、また第4次評価報告書(AR4)が発表されてから時間もたっているということで、かなり影響研究が進んでいて、その影響研究のレビューも行われているということであります。
例えば、UNEPのScientific Compendiumですとか、ある研究者のAR4以降の気候変動・リスクに関する知見、Goodらの影響リスクに関する知見のレビューということで、こちらについては今日ご紹介いたします主要な内容ですけれども、2010年4月までの文献を取り上げてレビューをしているということでございます。そのほかにも、北極気候影響評価報告書というのが2005年に出たと思いますけれども、そちらの更新情報も取りまとめられているということでございます。
こういった影響研究やレビューが進んでいく中で、国別の温暖化影響評価、こちらは国の影響でございますので、一部は影響研究のレビューにも入っていたりするわけですけれども、そういった国別の温暖化影響研究、気候変動リスク評価が進んでいるということです。例といたしましてイギリス、豪州、あとプロビア(PROVIA)といったものが動いているということであります。
これと並行する形で影響がわかったということで、その影響に対してどう対応していくか適応戦略といったものを、イギリス(2008年)、ドイツ(2008年)、韓国(2010年)が戦略をつくっているということであります。
 今日、ご説明いたしますのは、先ほどご紹介したIPCC・AR4以降の影響研究のレビューが進められておりますので、そちらを中心にご紹介するということであります。
さっきご紹介したGoodらの報文が出されているのですけれども、そちらのほうを中心に説明したいと思います。
3ページ目ですけれども、AR4以降の影響研究の特徴であります。四点挙げております。まず地球温暖化の影響評価及び気候モデルの不確実性評価について確率的な方法が検討されている。
第4次報告書のときの影響研究は、比較的少ない数の気候モデルのデータしか使えなかったということもあるのですが、その後、いろんな気候モデルの研究が進みまして、現在ですと、20以上の気候モデルの結果が使えるというような状況があります。
一方、影響研究、その前段階の気候モデル、さらにその前の排出シナリオの不確実性が非常に研究面では問題になってきたということで、従来の確定的な評価だけではなくて、不確実性も評価する確率的な方法による研究が進んできているということであります。具体的な例ですけれども、複数の気候モデルや排出シナリオによる予測の結果を確率や確率分布で表示していくということで、これまでに比べると情報量が非常に多くなってきたということであります。
2番目ですけれども、BaUシナリオに比較して、緩和策シナリオのもとで、潜在的な便益の評価が検討されている。直訳したものですからわかりづらいのですけれども、先ほどご紹介しましたように、現在のIPCCのシナリオであるSRESシナリオを使って、将来の排出量の想定をして、それをもとに気候モデルによる気温上昇の計算、さらに影響の計算をするわけですけれども、現在使われているIPCCのシナリオは6本ございます。一番排出量が多いのはA1-FIで、これは大体2100年で4℃上昇します。一番少ないのはB1というシナリオでありまして、2100年で大体2℃ぐらい上がるということであります。かなりシナリオによって幅があるということで、影響研究の面からすると、どっちのシナリオを使うか、あるいは両方使うかによって、影響の評価が変わってくるということであります。このIPCCのシナリオそのものは、対策なしのシナリオです。ということで、京都議定書の対策は入っていないということであります。そういう意味で、Business-as-Usualなシナリオ、あるいは「成り行きシナリオ」というような表現が出来るかと思います。
それに加えまして、いろんな対策を打った場合を「緩和策シナリオ」ということで、これについては影響研究でそれぞれ工夫して、2℃に安定化するようなシナリオをつくったり、あるいは少し小刻みに温度上昇があった場合のシナリオをつくったりという形で、緩和策シナリオとして研究で扱っているということでございます。
これまでの影響研究、特に第4次報告書までは、物理的な影響が中心だったのですけれども、影響が出る場合には適応策を打っていくということで、研究の流れがあったのですけれども、例えば将来、4℃が2℃になった場合、いわゆる緩和策の効果というようなことも評価出来るのではないか、影響は影響、緩和策は緩和策、あるいは適応策は適応策という個別ばらばらということで来たわけですけれども、同時に考えていこうというのが影響研究の新しい方向になっているかと思います。例といたしまして、今お話ししたことが、例えば2℃目標の緩和策により、BaUに比べて悪影響を大幅に削減出来る。ただし、それでもやはり影響は取り除けないので、適応策を打っていく、まさに緩和策と適応策を車の両輪として考えていくというのが影響研究の新しい方向性かと思います。
 3番目ですけれども、第4次報告書の際にも不確実な分野、気候と自然・人間システムの関係の理解には、まだ不確実性があるということで、例えば二酸化炭素の肥沃化効果、あるいは施肥効果、極端現象の健康影響、温暖化とマラリアの関係ですとか、海洋酸性化の生物影響といったものが、まだ不確実性が大きい分野だということです。
 4番目ですが、気温が唯一の影響の尺度ではないという認識が高まったということで、2℃の目標というのは、全世界の平均気温で2℃ということでありますので、たとえば北極はそれよりも気温上昇が大きいですし、途上国では、地域によっても違うということがありますので、地域の気温ですとか、あるいは、後でご紹介するようなアマゾンの乾燥化といったものが問題になってきております。そういった場合には降水量が非常に重要になってくるということで、影響研究が、気温だけでなくてそういった追加的なパラメーターも使ったような研究が進んでいるということであります。
 だんだん時間がなくなってきましたので駆け足でいきますけれども、4ページ目でございます。
 こちらも最近の影響研究の特徴を示したものでありまして、例えば影響の深刻さはどうか、第4次報告書で示されたものに比べまして、人間の健康とか生態系・生物多様性、あるいは農業・食料分野の影響は、影響がより深刻であることがわかってきたということであります。
中ほどは、影響の理解がどれくらい進んだかということで、酸性化ですとか、人間の健康、生態系、あるいは農業の関係で理解が進んでいる。それだけ研究が多くやられて、論文も多く出ているということであります。
一番下は、信頼性はどうかという、いわゆる不確実性の問題ですけれども、全般的に上がっているということではあるのですが、分野によって差が出ているということであります。
 次の5ページですけれども、地球温暖化の人間や自然システムへの影響ということで、そこに挙げました6分野、沿岸ですとか海洋の酸性化といったような分野で、どういった研究の新しい知見が得られたか簡単にご紹介したいと思います。
6ページにまいります。沿岸システムということで、こちらについてはIPCCの第4次報告書で、結論と思われるものについて、さらに研究が進んでそれを確かめたというような点ですとか、新たに研究が進んだというようなことがあります。
例えば、IPCC第4次報告書のときには、東南アジアは気候変動シナリオの下で非常に脆弱な地域であるということが結論されたわけですけれども、新しい研究もこれを支持しているということになります。
2番目のポツは、経済被害のコスト分析が進んできたということであります。こちらについても、従来は影響だけだったのですけれども、適応策を入れた場合にはどうなるかというような計算もされるようになってきた。
一番下のポツですけれども、ヨーロッパの観光とか行楽への影響研究も進んでまいりましたが、現段階では影響がプラスかマイナスかについては一致していない。例えば、海面上昇によって砂浜が狭くなるというのはマイナスの影響ですが、一方、気温が上昇しますのでより海水浴客が増えるというのがプラスの影響と、そういった研究が進められているということであります。
7ページにまいります。海洋の酸性化ということで、こちらについては、前回は生態系の分野の1項目だったのですけれども、今回の場合は非常にこちらの研究が進んできたということです。第4次報告書の際には、pH、これは海洋表面のpHが工業化前に比べて約0.1減少して、このままでいきますと0.3から0.4さらに低下するということだったのですけれども、いろいろ検討が進んでおりまして、例えば、2℃を目標に緩和策をしっかりとれば、pHの低下を0.16に抑えられるということです。そうはいっても、これでもまだ海洋にとってはみれば影響が出てくるということが言われています。
また、海洋の酸性化の影響を受ける石灰化生物種というのがありまして、ただ、こちらは抵抗性があって影響の出ないものもあったりするということで、現在、研究者がこういった点の研究を進めているということであります。環境研でやっている例を8ページに書いております。石灰化生物は、サンゴですとか、炭酸カルシウムを取り込んで骨格にするような生物でありまして、こういった生物が酸性化の影響を受けるということであります。
 9ページですけれども、新しい知見といたしまして、造礁サンゴにおいて応答曲線が得られているということで、ただ、先ほどご紹介しましたように種類によってその応答が違うということで、この辺が研究の最前線で進められておりますし、次の第5次報告書ではこういったことがしっかりまとめられるのではないかと思います。
 10ページ、生態系と生物多様性。ほかの分野に比べ、この生態系と生物多様性の分野は、研究が大いに進んでおりまして、研究論文もたくさん出ております。幾つかご紹介いたしますと、例えば熱帯生態系というのは、第4次報告書の場合には脆弱な生態系のリストには入っておりませんでしたが、今回は多分入っていくのではないかということです。前回は極域、山岳、サンゴ礁、地中海生態系の脆弱さが問題になったわけですが、加えて熱帯生態系も入ってくるということであります。
 3番目のポツですけれども、これはIPCCの結論でありました「全球平均気温が工業化前に比べて2℃から3℃の気温上昇を超えると植物・動物種が20~30%消滅リスクが増加する」という知見が得られているわけですが、これを支持する研究が増えてきているということであります。
最後につきましては、気候変動化で、アマゾン乾燥化のモデルによる予測の信頼性が向上しているということがわかってきております。
 11ページに、環境研の研究成果をお持ちしたのですけれども、従来、気候モデルのうち幾つかの予測結果は、アマゾンは降水量が増えるというような話もあったのですけれども、統計的な検討も踏まえて解析をしてみますと、アマゾンは乾燥化するということがわかってきております。第4次報告書で得られた知見から、もう少し影響は深刻だというようなことが、特にアマゾンについては言えるのではないかということであります。
 4番目が水資源と砂漠化ということで、こちらについては第4次報告書で示された水資源への気候変動リスクについて大きな変更はないということで、新しい研究も、例えば水不足人口などは、ほぼ同じ範囲に入っているということであります。2番目のポツですけれども、地中海地域、南アメリカ中央部においては2℃の気温上昇で、年平均流量が25%減少する、あるいは4℃の気温上昇で、約40%減少するということを示しております。ここで、2℃、4℃というのが研究の中でシナリオとして使っているわけですけれども、先ほどお話ししたSRESのシナリオの一番昇温の高いシナリオをBaU、成り行きシナリオと使っていまして、2℃の気温上昇というのは緩和策のシナリオを使っている。その差を見ることで、影響がどうなるかというのを検討しているということでございます。
 13ページには、IPCCで使っています21の気候モデルを使った研究がされているということは、冒頭でお話ししたように、単に一つの気候モデルの結果だけではなくて、多くの気候モデルの結果を使ってものを言っている研究が進んでいるということで、こちらのケースですと0.5℃から6℃といったような昇温を想定した計算結果が出ておりまして、さっきご紹介したような年平均流量の減少が予測されているということであります。
 14ページが農業と食糧安全保障であります。こちらにつきましては、農業の場合は、昇温の程度が小さな場合にはCO2の肥沃化効果ですとか、適地が北に拡大するといったようなことでプラスになるのではないかという結果になっていたのですが、新しい研究では、どうもCO2の肥沃化効果、あるいは施肥効果が思ったより小さいのではないかということで、第4次報告書のような収量が増大するという楽観的な結果ではなくなるという話です。加えまして、害虫とか雑草、あるいはオゾンの増大による収量減少といったことも報告されております。
 一番下ですけれども、全球平均気温を2℃に制限する目的で緩和策を入れた場合には、BaUに比べまして、栄養不良人口を30~50%減少出来るし、また穀物生産量の損失を70~100%削減出来るといったような研究も報告されてきております。
 15ページですが、こちらも農業関係では比較的早くから多くの気候モデルの結果を使った、統計的あるいは確率的な研究が進んでいるという一例で、この場合は、例えば18の気候モデルの結果を使って、三つのIPCCのシナリオを使った検討をしているということで、直近の2020年代でも穀物の生産量は減少するだろうということであります。2050年は少し戻ってはいるのですが、この辺は施肥効果と、気温上昇が複合した影響ということになっております。
 16ページ、人間の健康ですけれども、こちらについても、総じて第4次報告書の評価は楽観的過ぎたのではないか、もっと暑熱の影響などは高いのではないか。あと、マラリアについては、前回はあまり温暖化とは関係ないということがあったわけですけれども、やはり関係があるというような論文も出てきております。
 以上が、温暖化影響研究の世界的な流れということですが、17ページ以降に日本への影響を載せております。時間もないので大分駆け足になりますけれども、現在、生じている影響ということで、お手元のパンフレットにも引用されている図ですけれども、農作物の被害が生じている、高山植物が変わってきている、あるいはスキー産業への影響ですとか、洪水や渇水のリスクは拡大していっているというような図を載せております。幾つか研究事例ということで、海水温上昇に伴い、サンゴ分布が北へ急速に拡大している、これはなかなか大変な研究ですけれども、サンゴのある種については分布が年当たり14キロぐらい移動していることがわかってきた。こちらは環境研の研究ですけれども、今年度からサンゴのモニタリングを始めたということであります。図で、真ん中辺にエンタクミドリイシというのがあるのですが、その上のクシハダミドリイシという字が消えてしまっています、大変申しわけありませんが、エンタクミドリイシの上の図が、クシハダミドリイシ。その横がスギノキミドリイシというサンゴの種類でございます。そういった種が最近、北上してきているということがわかってきたことであります。
 19ページは、温暖化の影響予測ということで、ハイマツの場合はどうなるか、こちらについても研究が進められておりまして、2100年には、気候モデルによって違うのですけれども、ある気候モデルは25%、ある気候モデルは14%で、ハイマツ適地は本州中部及び北海道の高山で残るが、東北地方とか北海道南西部では消失すると予測されるという結果です。
 20ページにつきましては土砂災害ということで、特に降雨の関係のリスク評価も進んできております。
 最後のまとめということで、1番目は、温暖化に関連して以下の点が指摘し得るということで、温暖化は進んでおり影響は分野によって第4次報告書で見積られたよりも深刻であることがわかってきた、特に農業・食料・健康影響です。
 2番目のマルが、2℃の気温上昇でも深刻な影響が現れる。その被害人口や被害額の見積もりも行われているということで、生態系や生物多様性への影響、海面上昇による経済被害。
 3番目のマルは、影響・リスクの視点から2℃に気温上昇を抑えた場合の、緩和策の評価も影響的な側面から研究が進められているということで、影響、適応策、緩和策を一緒に考えた研究が進められているところでございます。
 4番目のマルは、温暖化の影響評価や予測の不確実性を低下させるべく検討が続けられているということで、多くの気候モデルを使ったりとか、多くのシナリオを使ったりして、結果を確率として評価をする方法が開発されて、適用されております。
 日本における影響につきましては、既に温暖化の影響はいろんな分野で生じているということと、温暖化の影響研究も進んでおりまして、日本全体の影響ですとか、地域の影響が予測・評価出来るようになってきまして、緩和策と適応策の検討時のリスク情報としては、良い情報が出てきているのではないかと思います。
 3番目は、温暖化影響を最小限に抑えるためにはやはり2℃を目標にして、緩和策を確実に実施して、それでも避けることができないものについては、適応策により低減するというのが原則ではないかということであります。以上、簡単にご報告いたしました。

鈴木部会長
続きまして、資料2、高村委員のほうからお願いいたします。

高村委員
ありがとうございます。資料2をもとに報告をさせていただきます。
私の報告のポイントは、スライド2にございますけれども、大きく二つございます。
一つは、現在、我々がこの地球環境部会で、日本の削減目標、それからその達成のための施策のあり方について議論しておりますけれども、同時に、こうした目標設定、あるいは施策のあり方というのは、これまで日本も参加して積み重ねてきた国際合意を反映する形のものであるべき、あるいはそれを無視して国内の目標を議論することができないと考えるものですから、この目標と施策の設定に当たって、どういう国際的な合意を日本も参加をしてつくってきたのかということについて、前半でお話を申し上げたいと思います。出来るだけルールを客観的に読み解く形で、合意の良し悪しについては踏み込まない形でご報告を申し上げたいと思っております。
後半では、この積み重ねてきた合意を踏まえた上で、まさに今、議論をしております目標と施策に関する議論において留意すべきではないかというふうに思われる点について述べさせていただきたいと思っております。
スライドの3は、もう既に前回、前々回でしょうか、事務局からご紹介があった点でございます。ダーバンでの大枠の結果について図化したものでございます。
スライドの4でございますけれども、ダーバンCOP17の合意というのは、ある意味で非常に複雑な構成を持っている。複雑な意味合い、インプリケーションを持っているものを、環境省作成のものに、若干私が手を加えて図化したものでございます。私は主立った合意を大きく三つにスライドで整理をしております。
一つ目の点でございます。スライドの5でございますけれども、これは皆さんご存じのとおり2020年以降の法的枠組み交渉が、まさに今年から始まる。2015年の文書採択を目指して、その交渉が行われるということでございます。これはスライドの4でいきますと、前半の2020年以降の法的枠組み交渉というところに該当いたします。
スライドの6でございますけれども、このダーバン・プラットフォーム作業部会が行います今後の2020年以降の法的枠組み交渉開始が決まったことによって、これまで二つの交渉トラックで議論、合意をしてきたこと、その位置づけが変わることになったというふうに考えております。すなわち、京都議定書の第二約束期間は、将来的には新しいこの枠組みに繋がっていく、統合されていく「繋ぎ」の役割を果たすのであるということ。そして同時に、このスライドの6の最後の点でございますけれども、第二約束期間に目標を設定するか否かにかかわらず、AWG-LCAという作業部会が作成してきたルール、スライドの4でいきますと紫色になりますが、いわゆるカンクン合意をもとにしてつくっているルールに基づいて、アメリカも含めて、すべての国がこのCOP決定のもとで2020年までの温暖化対策を進めていくということになります。すなわち、カンクン合意と、それに基づく一連のCOP決定が2020年までのすべての国に適用される、法的拘束力はありませんけれども、国際的なルールとなるということであります。
スライド8になります。この間の国際交渉で前提とされてきたもう一つの大きなことを念頭に置く必要があると思っております。これはCOPの決定の中にもすでに反映されている点であります。すなわち国際的に合意された長期目標と現在の各国の目標との間にギャップがあるということでございます。これはダーバン・プラットフォーム決定では「アンビションギャップ(ambition gap)」という言葉を使って、全球平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃に抑えるという長期目標と現在の各国の対策水準との間に、世界的に見たときにギャップがあるということを示しています。
スライドでは次のポイントになりますが、そのことによって2012年、今年から始まります2020年からの法的文書の策定プロセスにおいては、世界的にこの削減水準の引き上げを行うことがCOP17で決定されております。その中で、その具体的な方法として、このギャップを埋める方法を検討する作業計画を2012年から開始・実施するということであります。
この背景には、この間出ております研究機関、そして国際機関等の研究成果があるわけであります。一つにはスライドの9に紹介しております、いわゆるエミッションギャップ、ギャップレポートなどと呼ばれます国連環境計画UNEPが中心になってつくった報告書でございます。これは、見ていただきますとわかるように、ケースが四つ分かれております。これは国によって幅のある約束をしている国、日本であれば25%条件つきですから、ゼロと25という、下限と上限をもっているというふうに想定をして計算されております。
これは国立環境研究所の甲斐沼先生が、特にリードオーサー参加されておりますが、RITE、国立環境研究所のシミュレーションもこの中には反映されております。見ていただきますとわかりますように、2℃という目標と現在のプレッジ、約束の水準にギャップがあるということが、どのケースにおいてもわかります。
次のスライド10でございますけれども、こちらは国際エネルギー機関の2011年のアウトルックでございます。国際エネルギー機関のこの報告書は、温暖化との関係において、とりわけ重要なポイントとして、現在ある既存のインフラによって2017年までに追加的な対策がとられないと、既に、既存のインフラによってロックインされた形で、この2℃の目標を達成することが非常に難しくなるということを示しています。
そうした前提のもとで、日本の削減目標と施策について考えていくときに、先ほど申し上げました、日本が京都議定書の第二約束期間に、現時点において削減目標を設定しないという政府の立場を踏まえて、その前提に立った場合に日本に適用される国際ルールに焦点をおいてご紹介をしてまいりたいと思います。
スライド11で紫色に書いております、いわゆるカンクン合意に基づく実施、これが、先ほど申しました、京都議定書に参加する、しないにかかわらず、すべての国に適用される2020年までのルールということになります。その概要がスライド12からであります。
まず、カンクン合意をもとにルールを積み重ねている形ですので非常に複雑でありますけれども、カンクン合意で、長期目標に関しては工業化以前からの全球平均気温上昇を2℃未満という目標を、締約国が対策をとる際の長期目標として確認しています。さらにその四つ目のところでございますけれども、2050年の排出削減目標ですとか、あるいは排出量ピークアウトのタイミングについては、今年に向けてまだ交渉を継続いたしますが、最後の四つ目のバレットにありますが、2013年、来年から始まる予定の再検討で、いわゆる長期目標が適切かどうかの再検討を行います。ここでは1.5℃目標を含めた長期目標の強化というのが既に検討課題として盛り込まれております。
スライドの13でございます。2020年までの先進国の削減目標と対策はといいますと、2009年のコペンハーゲン合意、これはCOPが決定はできませんでしたが、日本も含めて支持をする国は、書簡などで、このコペンハーゲン合意への支持を表明しております。日本も2010年1月に書簡を事務局あてに出しております。このコペンハーゲン合意で、附属書1国は2020年の数値目標を実施することを約束しております。原文をここにつけております。その合意にこたえて、先ほど言いました2010年1月の書簡において、日本はこの数値目標について、前提条件つきで通報しているということでございます。
このコペンハーゲン合意は、先ほど言いましたように正式なCOPの決定にはなっておりませんけれども、その後カンクン合意を経て、現在の交渉では、それを基に各国が提出した削減目標を明確にする作業が行われております。
スライドの14でございます。先進国が同時に長期的な低排出開発戦略を策定すべきこともまたカンクン合意で決定され、その進捗状況についてその情報を提出することが要請されております。
スライドの4でございます。そのようにして、先進国が提出する目標は、政治的な拘束力はあるにしても、法的な拘束力はないものでありますが、しかしながら、かなり詳細な検証の制度が作られているというのが4以下でございます。
とりわけ、スライドの16でございますけれども、2年に一度の隔年報告書の提出が求められております。これは見ていただきますとわかりますように、かなり詳細な削減目標に関する情報と同時に、その進捗状況、そしてその対策実施によって2020年、30年の排出予測がどうなるか。そして、途上国への支援に関する情報、さらに報告は奨励という扱いになっておりますけれども、自らの削減目標の遵守をどういうふうに自己評価する制度を持ち、国内において設定した目標が不遵守の場合どうするのかといったようなルール、こうした情報を提出することになっております。
こうして提出される2年ごとの情報は、スライドの17でございますが、国際的な評価と審査のもとに置かれます。これは専門家の審査と多国間評価、つまり、ほかの国からのピアレビュー(相互評価)を受けるという形での政治的な評価を受けることになります。
スライドの18でございますが、その流れを書いております。
スライドの19で多国間評価、今言いましたほかの国からのピアレビューについて詳細を書いております。なぜかと言いますと、これまで、枠組条約のもとでも先進国は政策措置の情報を出して審査を受けてまいりましたが、これは原則として専門家の審査にとどまり、報告書を出したあと2年後に専門家の審査が行われ、先進国まとめてバンドルで、会議の場で議論しておりました。しかし、この2020年までのカンクン合意に基づくルールというのは、個別の国の政策措置、目標達成のための方法、進捗を、個別の国に関して多国間の場で評価していくという検証制度が導入されております。
さらに、ご存じのとおり、枠組条約の場というのは、この間非常に透明性が高い形で議論が行われておりまして、これはすべてウェブキャストでも配信されています。そういう意味では、非常に透明性の高い形でそれぞれの国の削減目標の達成の進捗状況というのが評価されるというのが、この検証の考え方であります。
不遵守の場合の措置については現在決まっておりません。しかし、途上国が非常に強く不遵守に対する措置を導入すべきだということを主張しております。これは今後の交渉にゆだねられています。
さて、残りました時間でございますけれども、先進国にかかわる点ではございませんが、間接的にかかわる点としてスライドの20、途上国による排出削減策であります。これは基本的にはカンクン合意で合意されています。途上国が自発的に対策をとり、それを通報し、そしてスライドの21でありますが、同じように2年に一度の報告書を出して、一定の検証を受けるという仕組みでございます。
スライドの22でございますけれども、途上国における森林減少からの排出削減、いわゆるREDDあるいはREDDプラスといわれる対策についてです。これもカンクン合意で大筋の発展形態、方向性は決まりましたけれども、一番大きな問題になっているのが市場メカニズムを導入するか、いかに資金支援をするかという点であります。
スライドの23、そこにもかかわります市場メカニズムに関しては、なかなか合意がまとまっていない段階にございますが、京都議定書のもとではなく、気候変動枠組条約のもとで新しい市場メカニズムをつくるとすれば、その市場メカニズムというのはここに書いています一定の条件のもとでつくられる。その方法と手続を作成する作業計画が実施されることになっております。
スライドの24でございます。途上国に対するさまざまな支援もまた国際的には合意ができてきております。詳細には入りませんけれども、とりわけ途上国に対する先進国の支援という点に焦点を当てますと、適応策に関しては三つ目のバレットになりますけれども、適応策実施のための資金、技術、能力構築の支援を、途上国に提供することが先進国に要請されております。能力構築に関しても先進国による、とりわけ資金供与に重点が置かれた合意になっております。
資金の支援に関して言いますと、スライドの25でございますけれども、コペンハーゲン合意を経て、2020年までに年1,000億米ドルの動員目標というのを先進国が約束しております。これは、もちろん公的資金だけではなく、民間の投資といったようなものも含む数字ではございますけれども、これを具体化する作業計画が今年から始まります。
さて、スライドの26でございます。これまで申し上げました、これまで積み重ねてきた国際合意を踏まえたときに、留意しなければならないのではないかという点をいくつか述べさせていただきたいと思います。
一つ目の点は、低炭素社会・経済への長期的な観点からの移行、そして大幅な削減という国際社会の政治的な意思は明確であります。もちろん、それをどういうふうにやるかというところで、その合意をつくるのに困難を抱えているわけでありますけれども、その方向性は明確であります。これはカンクン合意の2℃目標、そして2013年から始まる再検討でも、さらにそれを強化する検討事項が入っているという点は、苦しみながらもそうした方向に進みたいという国際社会の意思を示しております。
特にこの間の国際機関、研究機関の報告でも、対策水準の世界的な引き上げと早期の対策導入が求められている点も、申し上げたとおりであります。
スライドの27であります。第二約束期間に、仮に日本が目標を設定しないとしても、日本が政治的に支持することを表明しているコペンハーゲン合意に基づいて、そして、それを踏まえたカンクン合意のルールのもとで、日本は2020年の削減目標の履行を約束しています。仮に法的拘束力のある目標でなくても、誠実に履行してきたのが日本のこれまでの外交的な立場であったと理解しております。
スライドの28でございます。国際的な審査と評価の対象になることは先ほど申し上げたとおりでございます。ちなみにスライド29で、京都議定書の第一約束期間のルールとどう違うかというのを整理しております。特に京都議定書の場合は、数値目標は法的拘束力のあるものでありますが、毎年の排出量を報告し、審査を受ければ、約束期間が終了するまでは、それぞれの対策というのは各国の自由に任されていたのに対して、カンクン合意に基づく2020年までの国際的なルールでは、それぞれの国の施策、その効果に踏み込んだ個別的な審査の仕組みが動くということでございます。
そういう意味では、スライドの28に戻りますけれども、削減目標の水準は各国の自主性が尊重される形でありますが、しかしながら目標の履行が全く放置されるということではございません。これは私見でありますけれども、京都議定書のもとで目標を設定する国に対しては、京都議定書のもとで別の審査の仕組みが動きますから、むしろこの枠組条約のもとでのカンクン合意の実施の検証においては、京都議定書に参加しない、第二約束期間に目標を設定しない国に対して、より政治的には厳しい目が向けられると見てよいのではないかと思っております。
スライドの30でございます。私どもがここで議論をしている削減目標と施策の議論において留意をしないといけないと思っていますのは、2012年から始まります、2020年からの新たな法的文書策定交渉における政治的な日本の発言力をどう高め、維持をしていくかという点であります。
ここにあります「信頼性の欠陥」というのは、京都議定書交渉の際にEUが域内においては十分な削減目標を約束出来る条件がなかったにもかかわらず、国際的にそれよりもより高い目標をほかの国にも要求したという点について、そのEUの戦略の失敗を分析した論文で指摘されているものであります。
すなわち、国内においてどういう対策をとるかということを考える際に、2020年以降の枠組み交渉において、どういう形で日本の主張を反映させていくかという、国際交渉での立ち位置を考えていく必要があろうかと思います。
最後でございます。途上国への支援、国際貢献策についても、検討が必要だと思います。これまでの報告でご紹介しましたように、まずは、先進国として適応策や能力構築、あるいは資金支援への約束をしているということがございます。先ほど紹介いたしましたように、どうなるか具体的な内容について、まだ資金等に関しては決まっておりませんが、審査と評価の対象になるということであります。
もちろん、途上国の削減が世界の温暖化抑制の一助となるというのは間違いございませんから、その削減行動の実効性を高めるという点でも重要でありますし、先ほど言いました日本の外交的な立場というものを、より理解をしてもらうためにこうした支援というものをうまく使っていくというのは重要な要素であろうと思います。
そして、国際貢献策、途上国への支援策につきましては、もし、途上国など日本国外における削減量を生み出すことによって、その貢献分を削減目標達成に日本が使うことが出来るということであれば、例えば市場メカニズムによって発行される排出枠を目標達成に使えるということになるとすれば、恐らく削減目標達成にかかる全体としての費用を低減することに資するだろうというふうに思います。
ただし、市場メカニズムの利用に関しては、先ほど紹介いたしましたように国際的ルールがまだ確定していない部分がございます。そういう意味では、削減目標を設定する段階で、どれだけという定量的な評価というのは、今の段階ではなかなか難しい点がございますけれども、しかしながら、こうした考え方に立った上で、途上国にどういう形で支援策を講じていくかということの考え方や方向性というのは、この場で十分に検討する必要があるのではないかというふうに思っております。以上です。

鈴木部会長
ありがとうございました。お話しいただきました二つのトピックともに大変重い課題だと思います。
今お話しいただきましたことに関しまして、いろいろと委員の方々からご質問、あるいはご意見があろうかと思いますので、手元のネームプレートを立てていただきましたら、私のほうから指名させていただきます。
お二つありますが、どちらでも構わずに、まず一周り、ご質問等をいただいて、それから、それぞれについて取り上げさせていただくと、こういうことにしたいと思います。
それではこちらから、横山委員のほうからまいりましょう。

横山委員
原澤委員に3点、お尋ねしたいと思います。
まず1点目は、3ページの一番下のところに、気温が唯一の影響の尺度ではないという認識が高まっているということで、例として降水量とかを挙げましたけれども、気温がやはりベースになっているのではないかというような気もします。それで、もう少し具体的に、気温だけではなくて、どういうものが影響の尺度として今後考えられるようになったかというのを説明していただければと思います。
それから2点目は、21ページの下から6行目、日本における影響で、既に温暖化の影響がいろいろな分野で生じており、被害が出ているということですけれども、これまで温暖化の影響だと思うけれども、ちょっとわからないというようなことで、温暖化の影響によるとみられるとか、そういうことが多かったと思うのですが、もうそれを超えて、こういうふうに断定しているような状況になっているという理解でいいのかどうかです。
例えば、短時間で大雨が降るケースも日本で増えていても、気象庁は、まだまだ温暖化の影響ではないと、温暖化の影響とは断定できないというような言い方をしていると思うのですが、その辺も含めて説明していただけるとありがたいです。
最後は3点目ですけれども、IPCCの第4次評価報告書を甘過ぎるのではないかとか、もっともっと温暖化の影響は大きいよという指摘が出ていると思いますけれども、第5次評価報告書では、温度の上昇とか海面上昇について、ある程度の値というか、第4次に比べるとかなり温暖化の影響が進みそうだというような検討が進んでいるのか、それはまだなのか、その辺のところを教えていただきたいと思います。以上です。

新美委員
ありがとうございます。
私は高村さんのご報告を非常に興味を持って伺ったのですが、その中で1点コメントをいたしたいと思います。
それは、いただいた資料のスライド31の国際貢献の点に関するものです。それからスライド32もそうですが。国際貢献で途上国の支援というのは、タイトルとしてはよくわかるのですけれども、中身をどうするのかというのが非常に大事だろうと思うのです。どんな支援をするのか、従来の日本は、どちらかというと金さえ出せば終わりとか、箱物でよしというような風潮があったわけですけれども、どういう内容の途上国支援をするのかというのは、今から少し戦略的に考えていかないとまずいと思います。そして、それが同時に、温暖化防止に有用であると、国際的にきちんと評価されるような、そういうプログラムを立てていく必要があるだろうと考えます。
以上です。

長辻委員
原澤さんのご説明で感じたのですけれども、温暖化という現象は、生物の多様性に非常に大きな影響を与えています。その与えている影響を見る上でも、モニタリングというのは、私は非常に重要な作業だと思うのです。
しかし、今日のご説明ですと、日本周辺のサンゴの分布の変化の影響のモニタリングの開始は平成23年度からと、非常に遅い。サンゴの北上現象というのは、もう10年以上前から、恐らくいろんな地域で感じている人がたくさんいて、そういう情報も出ていたと思います。それが、なぜこれだけ遅くなってしまったかというと、私の勝手な考え方ですと、モニタリングの研究が、最近冷遇されているからでしょう。流行の先端的な研究などには予算がふんだんに投入されるのですけれども、モニタリングというのはいわゆる地味な活動で、なおかつ、短期の間には成果を出せない研究です。特に若手の人たちが大学に残ろうと思えば、3年とかそれぐらいのタイムスパンのうちに成果を出さないといけないということで、これは取り組んでいられない。どうしても後に後に置いていかれる研究です。
ですから、このモニタリングというのは、しかしなければ、何もものを言うことができないわけなので、それを例えば環境研のような大きな組織が地方の大学などと連携して、これをもっともっと情報をたくさん集約出来るような、そういうシステム、そういう方向を目指していただきたいということを感じましたので、申し上げました。以上です。

中上委員
前々から、国際的観点からの留意事項ということについて、幾つかの場で申し上げてきたことがあるのですが。
ただ、今、日本が置かれている状況がこういう状況なものですから、そういうことを言うと日本が逃げを打つのではないかと思われるというのが、これが困った状況ではありますけれども、なぜかというと、いわゆるアジアバブルのような構想ですね。EUがEUバブルを打ってきたと同じように、アジアが一緒になって全体の枠の中で総排出量をいかに減らしていくかというふうな戦略がとれないだろうか。それが、まさにこの高村委員がご指摘になっていることで、途上国に対して一段二段アクセルを踏んだ省エネをとっていかないと、とてもではないけれども彼らの成長に見合ったエネルギー供給が追いついていかないだろうということ。これは高村委員の中の20ページに成り行き排出量と書いてありますけれども、成り行き排出量をいかに減らすかということですけれども。
今の評価の話につながりますと、今の状況ですと京都メカニズムで、どこかでジャッジしてもらって、例えば日本が途上国を支援したとしても、そういう審査に通らないと、結果としてそれは認められないということになるわけですから、透明性があるのでしょうけれども、いかにも窮屈なやり方だと思います。もう少し自由度を持って、アジア全体での排出量を減らすということに対してコミットした場合には、日本のほうにも応分の評価が出るようにという形でのアジアバブルというのはできないだろうか。これは、恐らく政治的な判断でなければ、とてもできないことだと思いますけれども、今こそそういうシナリオを考えるべきではないかと思っております。その辺について、是非環境省も、こういう高村さんのお話にあるような途上国の支援をやっていただきたい。
これは、いつか申し上げたかもしれませんが、私はベトナムとタイとかで、幾つか途上国の省エネのお手伝いをしたのですが、いわゆる省エネ法を彼らは学びたいと言って日本に来るのですが、日本が通ってきた道ではない道を通るべきだというのが私のそのときの結論でありまして、我々が段階を追ってきたのを、彼らは一足飛びに大きな省エネがとれる可能性が幾つもあるのですが、いかんせん、そういう技術は極めてみんな高いのです。だから、したがって、導入できないので我々が通ってきたのと同じような道を通らざるを得なくなってしまう。そこをジャンプさせるためには、相当な先進国側からの支援がなければいけないということになるわけでありますが、そういうものをやっていくときには、是非何か違った枠組みを考えないと、今までのような議論の場でやっていると、日本が幾らそういうことで貢献しても、別な国々が判断して、これはいい、これは悪いと言われたのでは、やっているほうとしてはとてもたまらないと思うので、是非そういうことを検討していただきたいと思います。

菅家委員
高村委員の報告について、感想とご質問をさせていただきたいわけでありますけれども。
まず、ダーバンでの合意の含意という5ページの1番目に書いてあるところでありますけれども、今回のダーバン合意というものが、すべての主要排出国だけではなくて、すべての国を含む法的枠組みへの道筋を打ち立てたという意味では、画期的な合意だったというふうに私も思っておりますけれども、いろいろと分析されておられるわけでありますが、日本政府はCOP16の段階で、早々と京都議定書第二約束期間には参加をしないということを宣言して、この間、交渉に臨んできたわけでありますけれども、今日の27ページのところに書いてありますとおり、第二約束期間に参加しない先進国であっても、コペンハーゲン合意に基づいた目標を履行することが求められている。法的な拘束力はないけれども、それに準じた責務というものを果たさなければならないというご指摘については、私もそのとおりだというふうに思っております。
そういう意味で、30ページのスライドにありますとおり、日本政府がこれからの交渉において、いかに発言力を高めていくかという観点でのさまざまなご指摘をいただいているわけでありますけれども、そういう意味で、この間の日本政府の対応と、今回の高村先生の国際交渉力を高める観点での分析について、少しコメントがあればいただければというふうに思います。

及川委員
原澤さんにお尋ねいたします。3枚目の4番です、先ほども出ておりましたけれども、気温が唯一の影響の尺度ではないということで、私もそうだと思うのですけれども、一番大きいのは蒸発散が盛んになって乾燥するという問題があって、干ばつなどが起こりやすくなるのだろうと思うのですけれども、GCMでいろいろ検討をされているわけのようですけれども、温暖化に関しては尺度に色々あるにしても方向性は一定しているの思うのです。
ところが、どういう地域が乾燥して、どういう地域は雨が降るかというのは、なかなかモデルによって違うというのがこれまでの結果だったと思うのですけれども、最近その辺がどうなっているのかというところを一つ教えていただきたいと思います。
それからもう一つは、その上で3番にCO2の肥沃化効果というのが出ておりまして、このまま大気中のCO2の濃度が高まれば、陸上植生の光合成が活発になるということが当然考えられるわけですけれども、いろいろ地球温暖化がもたらすのは、CO2はもちろん一番主流ですけれども、それ以外にメタンですとか酸化窒素ですとかあるわけです。その辺が、CO2をどの程度見積っているのかというようなことを教えていただきたいと思います。
それで排ガスのお話なども出てきましたけれども、そういったところに、温暖化だけではなくて、CO2の肥沃化効果といったようなものを加えて、ああいうような見積もりが出されているのかどうかということです。
それから、もう一つは海洋のほうですけれども、海洋の酸性化が進んでいくというようなことが言われているわけですけれども、グローバル炭素循環を考えたときには、我々人類が出したCO2の半分ぐらいが大気に残って、残りが海洋と陸域に行っているというふうに見られているわけですけれども、海洋が酸性化すると、なかなか海に行きにくくなるわけです。そういったときに、この酸性化が進んだときに、実際どの程度海に取り込まれにくくなっているのかといったところを教えていただきたいと思います。以上です。

井上委員
両先生のお話を伺いまして、非常に不勉強な質問で申しわけないのですが、2点ございます。
原澤先生に対しまして、気候変動の悪い影響というのは、いろんな知見とか文献があるのですが、好影響について、世界的な好影響、それから日本での好影響、こういった研究は一体どのような段階にあるのか、あるいは整理されたものがあるのかというのが一つ目のご質問。
もう一つは、高村先生に対しまして、国際的なCOPの枠組み、条約の枠組みについて、COP15まで精力的に議論してきたが、結局まとまらずに今まさにこういった事態に陥っている。今後この枠組みでの交渉が果たしてワークするのかどうか、非常に難しいと思うのですけれども、その辺に関するご意見がございましたらお願いします。

浅野委員
高村委員にご質問です。おっしゃることは、大体こういうことだと理解したのです。つまり、カンクン合意と、それからコペンハーゲン合意があって、それはベースとして全然変わっていない。だから、例え京都議定書の第二約束期間がどうであれ、これについての拘束は政治的に十分ある。だから、これで何もしなくてもいいという馬鹿な議論にはなりませんよということが多分おっしゃりたいことだろうと理解いたしました。
このとおりのスケジュールでいくと、2020年にすべての国に適応される法的文書ができて、これらがハードローになるのだけれども、それまでは残念ながらこれらはソフトローだというふうに理解をする以外にないと思うのです。そうすると、ソフトローというものは、結局のところ、サボればサボって済んでしまうみたいなところがあるようにも見えるですが、しかしそこは必ずしもそうでもなく、そこでいかにちゃんとまじめにやったか、まじめにやらなかったかが重要で、ソフトローであったとしても誠実にそれにつき合っている国とそうではなかった国のギャップがその後には凄く大きくなってくるだろうという点を今、委員が強調されたのだと思うのです。それはよくわかりました。
それで、ソフトローである当面のつなぎの状態ではあるのですが、ご説明を伺っていて一番大事だなと思ったのは、このルールの中での、評価を受けるという部分だと思うのです。それで、そのときに、カンクン合意は2050年、とにかく長期的な目標をはっきりセットしよう。それからコペンハーゲンのほうは20年ということを言っているわけです。
どうも、この20年と50年のどちらによりウエイトを置いて今後世界が動いていくのかという点は大きな問題だと思われます。
どうしても、20年の話ばかりやっていきますと、例え自発的にレベルを提案、自分で決めてこれをやりますと言うにせよ、50年とは繋がらないような話になりそうでして、それではどうにもならないと思います。
むしろ私は、国際的にきちんと主張していかなければいけない事柄は、50年を見据えてこういうことをやろうとしているんだから、その結果、その50年に確実に達成出来るためにここまで努力しているという、そこを評価してもらわなくてはいけないという気がいたします。そこで心配なのは、20年目標といって自分で手を挙げた数字についての達成度だけがギチギチと評価されてしまうと、どうもそこで話が切れてしまって、50年のほうは全然吹っ飛んでしまうという危険性があるようにも思われるのですが、これは今の枠組みのソフトローの中ではどうなるんだろうか、この点について高村委員のご見解を聞かせていただきたいと思います。

鈴木部会長
いろいろと、皆さんのご関心があるところの議論になろうかと思いますが、ご質問にお答えいただく前に、私のほうからも一つ、高村さんのプレゼンテーションで、大変よくまとめていただいて、いろいろ整理がついてわかりやすくなったと思うのですが、やはりこれから本当に大事なのは、途上国に対して一体、日本が何をしていくか。そのときの枠組みというか、いわば京都メカニズムの経験から学んだ上で一体どういう仕組みをつくっていくのが良いのか。
2国間云々とか、いろんな形があり得ると思うのですけれども、本当にそれを、途上国がこれから人口増加を抱えながら、なおかつ経済発展していかなければいけない。そして、リープフログ(蛙とび)みたいなことが本当に可能なのかどうかということも含めた上で、中上さんがおっしゃったように、一体、日本は、アジアを例えば仲間にして、どういう戦略をどう立てていくべきなのか。
その戦略を立てるのは、一体、環境省が立てるのか、あるいは国全体としての今後の外交戦略の中でどうしていったらいいのか。
産業界は収益を上げるためにどんどん外にお出になっていかれると思うのですが、そういう戦略ではなくて、環境面から見た、アジアを巻き込んだ2050年目標に向けて人類が持続可能な活動をしていくための具体的な仕組みを提案し、実現していく、これはどういうふうにやるべきかということは、こういう整理を通じて、もしお考えがあったら伺いたいと思います。
では、原澤さんからお答えをいただけますか。

原澤委員
いただいたコメント、ご意見に対してお答えということで、最初に、横山委員のほうから三つご質問とご意見をいただいています。
最初は、3ページの4ポツのところで、気温が唯一の尺度ではないという話があって、おっしゃるとおり、気温が一番重要なファクターだと思いますし、それに加えて、及川委員からお話があったように、乾燥度と言いますか、降水量の問題があります。特にアマゾンは湿潤になるという話だったんですが、乾燥化するというのが、2005年アマゾン西部の乾燥化がおきて、そういった見解が出てきているわけです。降水量が非常に大きな要素になっており、気温と降水量、影響研究では両方の要素を入れて計算するわけなんですけれども、降水量の気候モデルの予測がまだばらつきが大きいということで、紹介したアマゾンの乾燥化については、いろいろな気候モデルがある中で、より確からしいものに選んでいくと、アマゾンの乾燥化が言えるのではないかというような話です。影響研究は気温を中心にやってきたのですけれども、気温そのものはいわゆる全球気温が重要ですけれども、さらに地域をみると、地域によっては昇温が平均より高かったりしますので、そういったものを考える影響と、もう一つは、温度と降水量を組み合わせた両方の影響を、特に農業関係ですとか生態系関係では考えることで、尺度が増えているということであります。
 二つ目が、今起きているいろんな現象が、温暖化の結果起きているかどうか。これは非常に難しい話で、いわゆる気候変動の検出みたいな話でありまして、グローバルでは北極海の海氷が溶けていて、これは温暖化の影響と言われているわけです。日本では、例えば桜の開花が、これは気象庁の生物季節データを解析すると、だんだん早くなっているところです。そういう個別の分野についてはそういった影響検出の研究知見が蓄積されてきております。
 今日はグローバルなレベルのお話と、あとは日本の中での影響をかいつまんでお話ししたものですから、そういった影響の検出、あるいは気候変動の検出といった面では、多くの研究がありますし、蓄積もある。その一つとして、サンゴ礁がだんだん北上しているというのも、これもローカルな問題ではあるんですけれども、一つのそういった証拠になってきているかと思います。
 3番目に、将来気候、例えば気温上昇が第5次報告書ではどの程度になるのか、こちらについて、私のレベルではわからないということではあるんですが、一番最初にご紹介したように、IPCC関連で新しいシナリオをつくっている、気候モデルにインプットするための、いわゆる排出シナリオということでRCPというのを4種類つくってそれが公開されて、気候モデルのグループはそれを使って計算して、その結果が今出始めているというところであります。
そういった結果が第5次報告書には盛り込まれて、RCP2.5ですとかRCP4.5ですとか、結果として、将来気候の気温や雨がどうなるかというのが出てくるかと思います。
気候予測値を使って影響研究をやるんですけれども、まだ十分出てこなくて、AR5に影響研究でRCPとかを使った研究が幾つか載るぐらいと思っております。
 長辻委員のコメントは本当にそのとおりでありまして、モニタリングは非常に重要で、地道な作業が必要であります。特に、影響モニタリングはなかなか難しくて、本当に気候変化が及ぼしている影響かどうかというのは非常に長いデータが必要です。ですから、モニタリングが必要だということではあるんですが、生態系の関係ですと、モニタリングサイト1000ですとか、大規模なモニタリングのネットワークがつくられつつありまして、動いているということであります。
 先ほどご紹介したサンゴ礁については、過去のデータを80年分ぐらい整理していますので、モニタリングそのものは今年度から始まったということではあるんですが、長期間のデータもあわせて使っていけるというようなことがあります。こういったモニタリングや過去のデータ利用は今後重要になってくるんではないかと思います。
 ただ、気象モニタリングと比べますと、なかなか生物を追いかけるモニタリングは難しくて、環境研のほうでは、さっきご紹介した、サンゴ礁と高山の植物等の影響についてモニタリングをやっと始めたということであります。もう一つ、環境省では影響の統計を整理しておりまして、こちらも、農業関係ですとか建築物関係、建築物への影響はなかなか難しいと思うのですが、建築物関係とか、あとは健康関係の影響データを整備して、モニタリングの支援をしていこうというような形で進められております。こういった影響モニタリングは予算的にも厳しいし、研究的にもなかなか厳しいところがあるんですけれども、徐々にではありますけれども進んでいくんではないかと思います。1点、環境研は大きな組織ではなくて、小さな組織ですので、その辺はご了解いただければと思います
 及川先生から四つほどいただいております。一つは、生態系を考える場合には、乾燥とか降水量というのが非常に重要ということで、先ほどご紹介したように、蒸発散ですとか乾燥というのは気候モデルのいわゆる独壇場ではあるんですけれども、だんだん良くなっているとはいえ、降水量の予測はなかなか難しい面があって、影響モデルの方でいろいろ工夫しながら進めていて、第5次報告書では、例えば水資源の関係、あるいはアマゾンの乾燥化は、より新しい知見がまとめられるのではないかと思います。
 2番目のCO2の肥沃化効果。よく使われるのは、農業のいわゆる施肥効果でありまして、ほかに、例えばCO2リッチな状況で植物がより大きくなるという点を、影響研究ではそこまで考慮していないというのが現実的なところであります。具体的に、CO2がどれだけ高くなると、どれだけ植物、例えばハイマツとかブナとか、影響があるかとなると、まだそういった知見もあまりないということがあります。農業分野ではCO2の施肥効果という形で取り入れてきたわけですけれども、その施肥効果も入れて計算して、さらにオゾンですとか害虫ですとかを考えると、第4次報告書の段階よりも厳しくなってくるのではないかというようなことをご報告しました。
 海洋の酸性化につきましては、例えば温暖化して熱がかなり海洋に浸透しているとか、地球規模の現象が起きつつあって、陸域の温暖化は、影響が目に見えやすいんですけれども、海洋の温暖化と酸性化の問題は、なかなか目に見えないというこです。酸性化については研究が進んできており、海洋がどういう役割を果たしているかは今後しっかり研究していくべき課題ではないかと思います。私は、海洋とか、地球規模のいわゆる熱循環、あるいは炭素循環は専門ではないんですけれども、この辺は多分、大分進んできているのではないかということだけのお答えしかできません。
 井上委員から、悪い影響だけではなくて、良い影響もということでありまして、IPCCでも、むしろそこは強調するぐらい、やはり両方の影響を見ているということです。例えば今回も、一部資料に入れています。例えば日本ですと冬の死亡が多いですけれども、暖かくなることによって冬の死亡が減る、一方夏は暑くて死亡が増えるということで、そういうプラスの影響も積極的に評価するというのが影響研究の原則かと思います。日本での好影響ということについては、農業分野の影響ではお米が取れるようになる、ある温度範囲まではそういう傾向があったりするんですけれども、全般的に見て悪影響のほうが大きいと思います。ただ、分野によるということで、影響研究については常に気にして進めているところではあります。以上です。

高村委員
ありがとうございました。まず、新美委員からいただいたご質問といいましょうか、コメントでございますけれども、私も全く同じように思いまして、後でまとめて鈴木先生からいただきました途上国の支援策について若干コメントしたいと思いますが、途上国の支援策の中身をどうするかということが非常に問われているというふうに思っております。
私が一つ、事例としてご紹介したいと思いますのは、もう既に現在JICAさんがベトナムでやっていらっしゃる取り組みです。ベトナムも今後排出量が大きくなることが予想される国でありますけれども、何が最も自国の発展にとって望ましく、何が最も温暖化抑制にとって効果的な対策かということを決定すること自身になかなか難しさを抱えている。JICAさんはベトナム政府と一緒になって施策の同定の作業からともに進めていらっしゃいます。
例えば、こうした非常にきめ細やかといいましょうか、途上国に寄り添った支援策が必要な国も数少なくなかろうと思います。
これは、適応策に関しても同様でありまして、途上国の排出増のほうにばかり目がいって、適応策のほうには目が行きませんけれども、日本の主張を今後外交の場で通していくときに、多数のこうした温暖化の影響に脆弱な国からの支持を得られるようなそうした対応、戦略というのが必要だろうと思っております。ありがとうございました。
中上先生のご質問には、鈴木先生からの質問と合わせてお答えをさせていただこうというふうに思っております。
菅家委員からいただいたコメントでありますが、一番これがハードな質問かと思いましたけれども、これまでの交渉を見てどうかというのは、私自身もさらに考える必要がございますけれども、例えばKP2(京都議定書第二約束期間)に参加をしないというタイミングがあの時点でよかったのかどうかといったような点は考える余地、総括する余地があるのかもしれません。
ただ、もう少し前を見た言い方をさせていただきますと、まさに菅家委員がおっしゃいましたけれども、京都議定書よりもやはりすべての国が参加をした枠組みのほうが実効的であるというふうに主張してきた経緯からすれば、仮に、今COPのもとで、法的拘束力はありませんが、すべての国が参加したルールがあるわけで、そのもとでその実効性を示していく必要があろうかというふうに思います。
さて、井上委員からのご質問でありますが、これも非常に難しいご質問をいただいたと思います。ありがとうございました。
枠組条約のプロセスが非常に難儀をしているという点では、まさに共通の認識を持っております。ただ、これが果たして枠組条約から内在的に来ているものか、それとも、もう少し違う国際政治の大きい変化の中でいやおうなく迫られているものなのかということを思うわけでございます。
例えば、ご存じのように、WTOのドーハラウンドを見てまいりますと、最終的には決裂と言ってはいけませんけれども交渉相成らない形で終わっているのに比べますと、お互いに何とかぎりぎりのところで妥協して、何とかこのプロセスを維持していることがむしろすごいなとも思えるわけであります。
これは、植田先生とご一緒に書かせていただいたものにも書きましたけれども、やはり新興国が台頭することで現在のルールを変えようという動きが出てきており、また同時に、途上国自身の利害も大きく分かれるようになった。そのために、交渉アクターが増えている中で、それでもなお、非常に難しい交渉を各国政府が何とかマネージをしようとしているということではないかと思います。
将来的な枠組みにおいても、中国、あるいはアメリカにしても、枠組条約の枠組みから離れてルールメーキングをしようという意思はないように思います。
そういう意味で、今日、ご紹介しましたように、どこまで枠組条約の下で合意を積み重ねてきたかということを前提に目標設定の議論をする必要があると思っているわけですが、しかしながら、同時に、枠組条約のもとにありながら、いろいろな多様な取組が展開される余地というものを、今後つくっていかないといけないんだろうというふうにも思います。
先ほど、委員のご意見の中にも2国間のメカニズムの言及がございましたけれども、仮に枠組条約のもとにはあるけれども、その実施に関して一定の裁量というものが国にゆだねられているような形の取組というのは、ほかにもひょっとしたらあるかもしれません。
そういう意味では、2020年から始まる国際枠組みをつくっていくこれからの過程で、そのあり得る枠組みの形というのをいろいろなアイデアを出しながらつくっていくことが必要ではないかと思っております。ありがとうございました。
浅野先生は、私が申し上げたかったことを非常に適切にラップアップしてくださいましたので、つけ加えることはございません。先生がご指摘のように、まさに2020年まで京都議定書の第二約束期間目標を設定しないのであれば、いわゆる法的拘束力のないソフトローと言われるもとで取組を進めていくわけでありますけれども、しかしながら、法的拘束力の有無と、実際にその合意をされたものの実効性の程度というのは必ずしも一致しないということも、これまで研究者の中でも議論してきたことであります。
とりわけ、仮にルールに法的拘束力がなくて、先ほど紹介したような、かなり厳しい検証制度が適用されますと、結局、国自身がそのルールに拘束力があろうとなかろうと、それに従う行動を取らざるを得ないということも観察されます。
他方で、2020年以降の国際枠組みをやはり議定書にしようという強い国際社会の動きがあるのは、削減水準の格差に対する不公平感というのが今随分広がってきているというところにあろうかと思います。そして、もちろんもう一つは、全体としての世界的な温暖化抑制に必要な削減量をどう確保するかという観点からです。
そういう意味で、将来的にはハードロー、議定書のほうに行こうという国際的な流れを踏まえつつ、今の枠組みの中で実効性をどう高めていくかという状況にあるという先生のご指摘はそのとおりでございます。
最後にありました2050年との連結の問題でございますけれども、私の理解は、現在のカンクン合意をもとにしたCOP決定の中で、まさに2050年との連結を図ろうとしているのが低排出戦略の策定だと理解しております。
もちろん、今のカンクン合意のもとでの検証の制度でも、2030年の排出予測というものを出すことが国に要請されておりますので、そこでも30年までは接合しているんですけれども、2050年というタイムラインでいきますと、低炭素排出戦略、低排出戦略というものを策定すること。そして、その進捗状況を国に対して要請しているという、ここにまさに接合しようという国際的な意思があるというふうに理解しております。
そして、最後に、中上先生、それから鈴木先生からいただいたご意見にあった点でありますけれども、是非、私としても、地球環境部会で今後の途上国の支援策についてはしっかり議論いただきたいと思い、今回、頭出しのような形で出させていただきました。
恐らく、国際貢献の度合いを定量化するところまで仮に行かなくても、一定の原則とか考え方を確認することができるように思います。
例えば、新美先生からご指摘のありました、非常にきめ細やかな、お金だけではない、多様な支援といった考え方もそうですし、鈴木先生あるいは中上先生からありました、国際貢献において、日本としてどういう経済のあり方、経済戦略をもってこの気候変動対策をともに推し進めていくかといった考え方、戦略をうまくつくっていくことが恐らくもう一つの柱ではないかと思います。
もちろん、三つ目には、途上国とともにつくっていきながら、現実に排出が削減されるということが、当然、気候変動政策の途上国支援としては重要な点だと思っております。
今は非常に簡単な項目だけしか申し上げませんでしたが、私は、1月30日の細野大臣のステートメンントはまさにそのラインに沿ったものだと理解しております。地球環境部会で委員の方のご意見を聞きながらともに議論を進めていければと思っております。以上です。

鈴木部会長
ありがとうございました。いかがでしょうか。まだ、もしセカンドラウンドが出来ればと思いますが。もちろん、まだ大きな議題が残っておりますので、よろしければ、この温暖化影響、それから国際的な交渉を踏まえた今後の方向性、これは、これから、ある意味では継続的に考えていかなくてはいけない課題であろうかと思いますので、今日は、このお二人のプレゼンテーションを伺って、この議論をこの段階で止めさせていただくということでよろしいでしょうか。それでは、次の議題に入らせていただきたいと思いますが、資料3以降になります。
2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会、これを西岡委員長のもとで動かしていただいております。その進行状況を、この地球環境部会でご報告いただくというようなことになっておりますが、もちろん一回ですべてをご報告いただくというようなことは不可能でありますので、今日のところはどれぐらいの割合、半分ぐらいになるのでしょうか、前半の部分という感じでしょうか。しかも、それをまとめて要約してお話いただくというようなことになろうかと思います。では、事務局のほうから、資料3、4、5です。説明をお願いいたします。

低炭素社会推進室長
説明させていただきます。中身に入る前に、全体の流れを、いま一度ご報告、確認させていただきたいと思います。
参考資料2というものがありまして、そこに小委員会での検討方針というものが添付してございます。検討方針の本文につきましては、1ページ目から9ページ目までついておりますが、それをおめくりいただきまして、別添1というものがついてございます。
こちらが、エネルギー・環境会議が昨年12月21日に決定いたしました基本方針、その中に規定されております検討のスケジュール、また中央環境審議会地球環境部会においての検討の内容というものをまとめたものでございます。
一番上の四角囲みに書いてございますけれども、中央環境審議会におきましては、エネルギー・環境会議が定めました基本方針に基づいて、この春を目途に地球温暖化対策の選択肢の原案を策定するというのが役割として指示されてございます。
これまでの検討のスケジュール、そして今後のスケジュールというものがその下に書いてございますけれども、平成22年12月におきましては、中央環境審議会地球環境部会のもとに設置をされておりました中長期ロードマップ小委員会において具体的な姿を検討いただきまして、中間整理というところまでは進んだというものでございます。
震災、原発事故などを受けまして、昨年からは、この小委員会を「2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会」に改組いたしまして、さらに議論を深めていただいたというのが経緯になっております。
折に触れまして取りまとめをいただいたというものでございまして、それらの内容についてエネルギー・環境会議にもインプットさせていただき、昨年12月にはエネルギー・環境会議からは基本方針が示されたというものでございます。
特に温暖化に関連する部分につきまして、中ほどに点線枠囲いで三つパラグラフを抜き書きしておりますけれども、一つ目にございますとおり、地球温暖化対策につきましては、科学的知見に基づき、国際的な協調のもとで、我が国として率先的に取り組んでいく必要があるということ。
同時に、地球温暖化対策の国内対策につきましては、我が国のエネルギー構造や産業構造、国民生活の現状、長期的な将来あるべき姿等を踏まえて組み立てていく必要があるということが示されております。
また、二つ目のパラグラフといたしまして、原発への提言、依存度、提言のシナリオを具体化するという中で検討されております省エネ、再生可能エネルギー、化石燃料のクリーン化、さらに需要家が主体となった分散型エネルギーシステムへの転換ということが有効であるということ。そして、検討といたしましては、エネルギーミックスの選択肢と表裏一体となる形で温暖化対策を複数の選択肢を提示するというのが求められております。
そして、選択肢の提示に当たっては、幅広く関係会議体の協力を要請し、従来の対策・施策の進捗状況、その効果を踏まえ、国内対策の中期目標、必要な対策・施策は何なのか、また国民生活や経済への効果、影響なども合わせて提示するというふうにうたわれておりますし、また、国内における排出削減のみならず、吸収源対策、そして適応対策、日本の技術を生かして海外での排出削減に貢献するという二国間オフセット制度の活用をはじめとする国際的な地球温暖化対策のあり方についても明らかにするということが基本方針に書かれてございます。
これを受けまして中央環境審議会でご議論いただいているわけですが、国内排出削減対策につきましては中央環境審議会の囲みの中にございますが、この小委員会のほうで複数の選択肢の原案をご議論いただいておるということでございまして、その内容につきましては地球環境部会のほうに報告をさせていただき、議論を深めていただくということでございます。
本部会におきましては、小委員会の議論も踏まえていただきながら、国内の排出削減対策について検討いただくということに加えまして、吸収源対策、適応対策、そして国際的な温暖化対策のあり方について検討いただきまして、最終的には、地球温暖化対策の選択肢の原案という形で作成、取りまとめをお願いしているというところでございます。
そのほか、この紙の一番下にございますが、エネルギーミックスにつきましては総合資源エネルギー調査会、そして原子力政策につきましては原子力委員会で選択肢の原案の作成作業が進んでいるというものでございまして、この春頃を目途に、エネルギー・環境会議におきましては、これら選択肢の原案を見ながら、エネルギー・環境戦略に関する複数の選択肢を統一的に提示するということでございまして、それが、国民的議論を進めながら夏くらいにはエネルギー・環境会議において戦略として取りまとめられるというスケジュールになってございます。
全体の流れは以上のようになってございまして、本日は、小委員会のほうでご議論いただいております内容について、これまでの進捗状況をご説明するというものでございます。
資料3に戻っていただきだきまして、まず、小委員会のほうでどのような議論を進めているのかということをごらんいただきたいというふうに思っております。
この1ページ目に示しておりますマルの1からマルの4という、このようなステップを踏んで議論を深めていただいているというところでございます。
まず、マルの1といたしまして、2050年の低炭素社会の将来像の検討をいただく。その後、各ワーキンググループから2020年、2030年におきまして複数のケースを設定して検討いただいてきました対策・施策の内容につきまして報告をしていただき、議論を深めていただくというのが次のステップでございます。
その後、各ワーキンググループの報告内容でありますとか小委員会での議論を踏まえまして、複数の選択肢の素案を設定いただくということ。
そして、最後に、選択肢の素案につきまして、評価の際の観点に基づいて評価案を作成し、小委員会としての議論を深めていただくということでございます。
具体的な内容を1ページ目半ばから書いておりますが、まず、長期的な将来像につきましては二つ目のパラグラフにございますが、2050年にはどのような社会が想定され、またどのような技術が必要なのかということを明らかにする。
そして、大幅な削減のために必要な技術、社会の仕組み、暮らし方等につきまして、技術WG、マクロフレームWGの報告を踏まえつつ議論をいただいているというものでございます。
二つ目の各WGからの報告、そして議論というものでございますが、2030年までを対象としてエネルギー政策が同時並行的に議論されておりますが、それと表裏一体の形で温暖化の複数の選択肢の原案をつくっていくというものでございますが、個別の分野、自動車WG、エネルギー供給WG、住宅・建築物WG、地域づくりWG、低炭素ビジネスWG、こちらにおいて、昨年後半から検討を行っていただいておりますが、そちらで原則三つのケースに分けて検討いただいておりますので、その報告をいただくということでございます。
裏面、2ページ目に、そのケース分け、各ワーキンググループの検討に当たって設定をされたケースが表になってございますけれども、対策の強度に応じまして、高位ケース、中位ケース、低位ケースというもので検討いただいております。
まず、低位ケースにつきましては、現行、既に取り組まれている、また想定されている対策が継続されるというものを考えた場合でございます。
中位ケースにつきましては、合理的な誘導策であるとか義務づけなどを行うことによって、重要な低炭素技術製品等が導入されることが促進されるというケースでございます。
そして、高位ケースにつきましては、初期投資が大きくとも社会的効用を勘案すれば導入すべき低炭素技術製品等につきまして、導入可能な最大限の対策を見込み、それを後押しする大胆な施策を想定したケースというものでございまして、これに沿って検討いただきましたワーキンググループの内容について、今、小委員会のほうで聴取、議論を深めていただいておるところでございます。
その後、マル3といたしまして、報告内容、また議論の内容を踏まえまして、2020年、2030年におきます国内の温室効果ガスの排出量の見通しであるとか、省エネの量、再生可能エネルギーの導入量、化石燃料のクリーン化などの達成の見通しなどにつきまして、モデル分析なども行い、定量的にお示しし、議論を深めていただく。
そして最後に、小委員会としての選択肢の素案を議論いただいて取りまとめをし、本部会のほうに報告をさせていただくという流れになってございます。
以上のようなステップを踏んで議論しておるところですが、本日は全体で八つございますーキンググループのうち四つにつきまして、既に小委員会のほうでご議論いただきましたので、その概要について、資料4に基づきまして概要をご説明いたします。
まず、スライド1に「WGについて」と書いてございまして、その構成が図示されてございます。
WGは全体で八つからなっておりますけれども、長期の姿につきまして検討いただいておりますのがマクロフレームWG、そして技術WG、この二つになっております。
一方、個別具体的な分野につきまして、主に2020年、30年を視野に入れて検討を深めていただいておりますのがエネルギー供給WG、低炭素ビジネスWG、コミュニケーション・マーケティングWG、自動車WG、地域づくりWG、そして住宅・建築物WG、この六つになってございます。
それぞれ、技術の検討状況などについて情報共有を深めつつ検討を行ってきたというのが検討体制になってございます。
そして、スライド2につきましては、それぞれどのような分野を分担してきたのか、また、各小委員会の委員の方々に座長をいただいておりますので、座長のお名前をお示ししつつ、技術、地域、社会、人、どの分野を主にご検討いただいたのかということを図示しているものでございます。
また、これまでの進捗状況につきましてはスライド3の下の部分でございますが、小委員会におきましては、第8回、9回、10回におきまして四つのワーキンググループからご報告させていただき、議論を深めていただいたということで、本日、ここまでの進捗をご報告するというものでございます。また、今週後半から3月半ばまでにかけまして、残り四つのワーキンググループにつきましてご議論いただきまして、その内容につきましては3月23日の地球環境部会において報告させていただくというスケジュールになっております。
続きまして、個別のワーキンググループの報告内容につきましてお話を申し上げます。まず、技術WGの内容でございます。スライド5には技術WGの概要と、検討いただきました対策・技術を整理しております。左上に検討内容というところが書いてございますが、中長期ロードマップの際にも検討しておったわけでございますけれども、震災、また原発事故などの後、状況の変化なども見られますので、それらを踏まえまして、新技術の棚卸しをするところからスタートいたしまして、低炭素技術の効率の改善がどこまで進むのかという可能性の検討、そして2050年の温室効果排出ガスの削減量を算定するということも行い、今後望まれる技術の方向性について明らかにするということを行ってきたわけでございます。
そして、成果といたしまして、どのような、まず技術がどこまで進展するのかということを検討した結果をお示しできたということと、2050年において削減の姿がどのようになるのかという例をお示ししたというもの。また、望まれる技術の方向性について整理ができたというものでございます。
幅広い技術について検討を行ってきておりますが、定量化出来るもの、できないものを幅広く行っておりまして、定量化できたものについては、スライド5の下の部分につきまして、その部門、またどのようなサービス種に属するのかということを分類した上で技術を例示しておりますが、これらのものについては、今回、定量化を進めるというものでございます。
その結果につきましては、スライド6に三つのグラフとして示してございます。
こちらにつきましては、このワーキンググループにおきまして、棚卸し、精査を行った技術をもってどのような姿になるのかということを示したものでございまして、大きく分けますと、ポイントが三つあるというものでございます。
まず、一番左のグラフが最終エネルギー消費量の予測でございますけれども、こちらにつきましては、吹き出しにありますように、革新的な省エネを実現する、これらの技術によって大幅な削減をするというところがポイントでございまして、40%の削減ということが重要なポイントになります。
中ほど、一次エネルギー供給量で示しておるところが、自然エネルギーの徹底活用というところがポイントになるものでございます。
現段階でいきますと、原子力政策の方向性が示されていないというところでございますので、今回の試算におきましては、ある意味で温暖化の面で厳しい状況であるといえます原子力を見込まないというような条件で算定したものでございまして、今後、方向性が示されてくれば、再度計算をする必要があるというものでございます。
また、右側、温室効果ガス排出量というところでございますけれども、主に産業分野、そして長距離の物流に関しましては化石燃料の使用が必要ということもございますので、80%削減というためには、三つ目のポイントといたしましてはCO2を回収して貯蔵するというCCS技術が重要だというものでございまして、今回の試算につきましては年間2億トン分の技術が必要であるという整理になってございます。
また、これらを形づくっていくという観点からいきますと、スライド7におきましては、低炭素社会を構築するに向けての技術の方向性というものを部門別、またどのような技術の種類で削減していくのかということを分類したものでございます。
表の一番右側、GHG削減のタイプというふうに題しまして、マル1からマル5まで分類してございますけれども、一般的に言われます、いわゆる省エネというのはマル3に当たるかと考えておりまして、一定のサービスを提供するに当たりまして、出来るだけエネルギーの消費量を削減していくという技術でございますが、それに加えまして、エネルギーの低炭素化を進めるマル4の技術、そして、さらにそれに先立つ満足度を提供するに当たって、いかにサービス量を削減していくのかなど、断熱の強化などのマル2の対策、さらにライフスタイルの見直しなどを踏まえたマル1という分類を行っておりまして、どのような技術が開発されるべき、また、それを後押しすべきかという方向性をまとめたというようなものが成果としてございます。
左の8にはそれらを取りまとめたというものでございまして、技術のリストを再生利用し、それらの技術によってどこまで対応が出来るのかという検討をしたというもの。
そして、マル2にありますけれども、技術の効率の向上性。効率、向上についてどこまで進むのかということについても、2020年、30年を中心にいたしましたワーキンググループでの検討内容とも連動しながら精査を行ったということと、マル4にございますけれども、低炭素化を進めていくに当たりまして、望まれる技術の方向性を精査し、示したということでございます。マル5といたしましては今後の検討が必要だということとして、対策技術の開発・普及に当たりましてはさまざまな障害がありますので、それらの把握、そして打開するための方策の検討が必要である。
また、ライフスタイルの変革、必要なサービス量を通じての満足度を高めるための技術、こういったところのブラッシュアップが必要だということ。
あと、さまざまなところで検討が行われておりますので、それらを共通して利用出来るようなデータベース化も必要だというのが取りまとめになってございます。
続くワーキンググループとしましては、マクロフレームWGでございます。スライド10がマクロフレームWGで示したコンセプトのものでございます。
こちらにつきましては、2050年に想定し得る社会を五つに分類をし、その社会の方向性を示した、コンセプトを明確にしたというものでございまして、中長期ロードマップを作成する際にも進めてきた作業でございますが、特に、それぞれの社会像につきましてメリット、デメリットを整理したというのが今回の進捗部分でございます。
スライド10の中ほどに図示してございますけれども、大きく分けますと、経済成長志向なのか、資源エネルギー面での自立を志向するのか、また、暮らし、生き方、これについて余裕を指向するのかということを分類しつつ、さらに経済成長につきましては、製造業を中心とし、それを国内で行うのか、海外で行うのかの分類などを含めまして、五つの社会像をつくりながら検討を進めたというものでございます。
具体的にはスライド11に五つ示してございますが、それぞれの社会名をものづくり総括拠点社会、メイドインジャパン社会、サービスブランド社会、資源自立社会、そして分かち合い社会ということに分類しながら、プラスの面、さらにマイナスの面というものを整理してお示ししたというものでございます。
あくまでも、このどれかに社会がなるというよりは、これらのモザイク状のものが実際の社会だろうということでありますが、具体的な姿が浮かびやすいようにということで整理したものでございます。
これらの姿をもとに、マクロフレームがどのようなものになるかという検討も進めております。スライド12につきましては、それぞれのケースにつきまして、人口、国内総生産量、就業者などがどうなるのかということを試算した結果を示してございますし、また、12ページ目の左下の部分に、国内総生産の推移というのが時系列で、折れ線グラフで書いてございますけれども、この折れ線グラフの中の2050年のあたりにプロットしておりますのが、先ほどごらんいただきました五つの社会像ごとの成長の姿ということで、メイドインジャパンが一番伸び、シェアをするというのが下のところにある。大体この範囲にあるというものでございます。
そして、赤い星のところで書いておりますが、技術ワーキングで先ほどごらんいただきました将来像というのは、ここのあたりにあるというものを、今回、一例として試算したというものでございますし、また、2010年あたりから実線で2020年まで引かれております緑の線と赤い線がございますが、これが、今、政府が示しております成長率でございまして、上の赤い部分が成長シナリオ、そして緑の部分が慎重シナリオということで、これら五つの社会像がおおむね射程に入っているということだと思っております。
さらに、これらの姿につきまして、スライド13でございますが、排出量がどうなるのかという試算を行った結果を示しているというものでございます。
以上が長期の姿を検討した二つのワーキンググループでございますが、続きまして、コミュニケーション・マーケティングWGでの検討というものでございます。
こちらのワーキンググループにつきましては、実際に、生活者が高効率の省エネ商品であるとか再生可能エネルギーを導入していくということを進めていただく必要があるわけですが、それらをいかに効率よく進めていくのかという具体的な内容をご検討いただいたというものでございます。
スライド15には現状の課題と検討の方向性というもので書いてございますけれども、政府が、制度であるとか、またそれを進めるための必要な情報というものを伝えたいと思っても、生活者にはなかなか届かないというのが現状でございまして、その間に、より身近な人々が伝え手という形で生活者に寄り添い、情報を伝え、また吸い上げていくということが必要だということではありますけれども、なかなかきめ細やかな動きができていないということ、また、その声を吸い切れていないということがございますので、これらの活動を円滑にするために伝え手をいかに支援していくのかということが検討のポイントになってきたということが明らかになったわけでございます。
そして、検討を進めた今年度の内容がスライド16でございますけれども、伝え手とその活動を支援していくというためには三つの仕組みが必要だということが取りまとめられたものでございまして、左上、括弧1としてまとめておりますのが、伝える内容の整備、またその提供ということでございますし、括弧2といたしましては、伝え手が生活者の声をいかにうまく吸い上げるのかという仕組み、そして伝え手のその活動を支え続けるという仕組み、これらが重要だということでございまして、実際の伝え手でございます環境NPOであるとか環境カウンセラーなどの方々、また学校の教員の方などの経験の共有、技術の向上、そして取組意欲の向上ということを支えていく必要があるという整理をした上で、具体的なツールといたしましてはスライド12にお示ししておりますけれども、伝え手のためのガイドラインというものに取りまとめたというものでございます。
内容といたしましては二つ目の四角にございますけれども、コンパクトにまとめた簡易版というものと詳細版、この二つをつくりつつ、さらにこれを実践的なものにしていくというために改訂し続けるという方向性を出してございます。具体的なガイドラインにつきましては参考資料につけてございます。
まとめといたしまして、スライドの18でございますけれども、先ほどございましたように三つの仕組みが必要であるということと、ガイドラインをつくって、その改訂をし続けるというものが取りまとめになっておりますし、また、今後の必要性という形でございますが、この情報をいかに整備、加工、提供していくかという具体的な中身の話もありますし、具体的なガイドラインの拡充、そして伝え手の能力、モチベーションの向上を図るための取組を構築していく必要があるというものでございます。
最後のワーキンググループでございますが、自動車WGでございます。
スライド20に書いてございますけれども、中長期ロードマップの際にも検討してきたものでございますが、本年度の検討内容といたしましては、それにつけ加えまして、マル1というところにございますけれども、まず2020年度までに新燃費基準が提示されるということになりましたことも踏まえ、さらに、エコカーについては幅広い技術が進展していくということ、また、震災、原発事故を受けまして、国民の省エネルギーへの関心が高まっているということなどを踏まえて、見通しを検討、ブラッシュアップしたというものでございます。
さらに、マル2といたしまして、自動車単体の対策、燃料の低炭素化の具体的な施策・政策について精緻化を行ったというのが2点目。
さらに、昨年は議論しておりましたけれども、それを具体化するということで、エコドライブ、ITS技術、カーシェアリング、こちらにつきまして、その効果の具体化をしてきたというものでございます。
スライド20にありますように、現状につきまして、どのような自動車が、どのような走行距離で使われているかということを分類した上で、その分類ごとに細かく検討いたしまして、低炭素技術はどのようなものが適用出来るのかという整理をしてきたというものでございます。
スライド21には今年度の具体的な検討内容が整理されておりますが、まず、自動車単体対策といたしましては、乗用車の次世代車両についてということで、燃料電池車の早期普及に向けた技術の動向の検討、また、スマートハウスに関して議論が深まっているということでございますが、その中で、電気自動車が蓄電池として大きな役割を果たすということもございますので、家庭業務でのエネルギー消費と一体的に管理する可能性が見えてきたというもの。こういったものの議論を深めたというものでございますし、また、トラック、バスにつきましても検討を深めたというものでございます。
また、超小型モビリティというものも提案が出されてきているというものでございまして、それらの検討も深めたというものでございます。
続く、スライド22につきましては、自動車などの使い方につきましての検討ということで、カーシェアリングにつきましては、カーシェアリングの事業化が非常に進んでいるということがございますので、それらの実績も使いながらCO2の削減効果を評価するための手法を検討してきたというものでございますし、ITS・ICT技術に関しましては、スマートフォンなどとの連携、活用ということも議論を深めてきたというものでございます。
最後、スライド23ページ目に自動車WGの議論の中身のまとめをつけてございますけれども、今回の議論につきましては、グラフにございますとおり、燃料の消費量の削減効果という形で取りまとめを行ってございますし、その下につきましては主な留意点が記載されております。
一つ目の留意点といたしましては、振興国におきましてはモータリゼーションが進展している、今後もしていくということでございますので、日本が有しております次世代自動車の技術、こういったものを普及することによって国際貢献をいかに果たしていくかということがポイントになっていくということでございますし、また、鉄道・航空・船舶の分野につきましては、運輸部門におきますCO2の排出割合としては比較的小さいものではございますけれども、この対策を進めるということに加えまして、モーダルシフトの受け皿ということもございますので、そういった面での検討が必要であるという取りまとめがなされてございます。
以上が、各ワーキンググループから報告されたものの資料でございますが、これらの報告を踏まえまして議論がなされ、どのような議論があったのかというのが資料5に取りまとめております。こちらが、小委員会において出された主なご意見というものでございます。
まず、2ページ目には技術WGに関する主なご意見というもので、括弧1から括弧6までに、内容別に分類したものが書いてございます。
括弧1といたしまして、技術の中身の整理の仕方、これをもうちょっと精査するべき必要があるというようなご指摘、また、括弧2といたしまして再生可能エネルギー、そしてCCSにつきましてかなり多くを見込んでいるということですので、それらの精査が必要であるというご指摘。
さらに、括弧3といたしましては、運輸部門の将来像につきましては2050年においても石油を使うような形というのがありますけれども、もっとエコカーなどの進展ができないのかというご指摘もございました。
また、括弧5につきましては、コストに関して、例えばエネルギーコスト、社会コストについての分析が必要であるということでご指摘もございましたし、政策にどのように生かされるのかということにつきましても取りまとめの中に明示しておくべきだというご指摘もございました。
3ページ目、4ページ目、5ページ目につきましては、分類ごとに詳細な質問事項について取りまとめを行っておりますので、後ほどご覧いただければと思います。
6ページ目には、マクロフレームWGに関する主なご意見というところでございまして、大きく分類いたしますと3点ございます。
括弧1といたしまして、五つの想定し得る社会の姿についてでございますけれども、震災以降の社会的な変化も反映すべきだというようなお話。
括弧2といたしましては、排出量の試算をしておりますけれども、その際について、80%削減実現に向けての具体的な施策についても示すべきだというようなこと。
また、国内だけではなく、海外でCO2を削減するようなことを評価していく枠組みとそのシナリオを用意してもいいというご意見もいただいておるところでございます。
続く8ページ目には、コミュニケーション・マーケティングWGの議論におきますご意見でございます。大きく分けますと五つに分類をされるというものでございますが、こういったアプローチに関しては、温暖化の議論の中に文化人類学的な観点を取り入れていくアプローチであるということで、低炭素化の行動を広める上で非常に有効なアプローチだというご指摘。
また、括弧2といたしまして、海外事例を含めて、さまざまな手段、方法が考えられるということなので、さらにこの検討を深めていくべきだというようなお話。
括弧3といたしまして、伝え手を支え続ける仕組みにつきましては、伝えられた生活者が伝え手に変貌していくというような視点も重要だというご指摘もございます。
さらに、括弧4といたしまして、政策を考えていくに当たりましては、製品、サービス等を供給する供給者側との連携も重要だというようなお話もございます。
さらに、括弧5といたしまして、学校におきます環境教育についても議論を深め、伝え手である教員に関する状況も鑑みながら体系的に進めるべきだというご指摘がございました。
続く11ページ目には、自動車WGに関する主な意見というもので、五つに分類、整理させていただいております。
括弧1といたしまして、次世代車の普及台数の予測に関してですが、買い替えをするタイミングを早める施策というのも重要だということで、現状、次第に平均使用年数が延びて、今のところ13年ということになりますが、それらを早めるようなことも考えるべきだというようなお話。
括弧2といたしましては、カーシェアリング、エコドライブ、次世代自動車への買い替えということについては、CO2の増加要因でもあるというものではないのかというご指摘もございまして、そのチェックをすべきだというお話もございました。
また、エネルギー消費の推計につきましては、今後、CO2の排出量に換算していく作業が必要だということ。また、電気自動車、プラグインハイブリッド車につきましては、電力の評価につきましては一次エネルギーで評価すべきというようなご指摘もございました。
あと、単体対策に加えまして、括弧5といたしまして交通流対策であるとか、まちづくりの議論も必要だということ。さらに車を使わないような方向性も出していくべきだというようなご指摘もございました。
その他、括弧6といたしましてスマートハウスの標準化の努力、こういったものを国際標準として打ち出していく必要があるというようなこと。また、海外でどのような自動車の市場になっているのか、動きはどうなのかというご質問、ご意見もあったというものでございまして、これらも踏まえながら、ワーキンググループと相談させていただきながら、事務局でさらにブラッシュアップしていきたいというふうに考えてございます。
資料3から5は以上でございます。

鈴木部会長
ありがとうございました。この検討小委員会の中には、先ほどご説明がありましたように八つのワーキンググループがあって、本日はそのうちの前半としてマクロフレーム、技術、そしてコミュニケーション関連、自動車についてご報告いただきました。後半のほうは、自動車などの場合に類する単体的なワーキンググループがあと四つ残っているわけであります。それはまた次回にご報告、ご説明いただくということで、途中の段階ではありますが、まず、今日ご説明いただきました四つのワーキンググループについてご議論頂きます。特に、コミュニケーション・マーケティングWG、それから自動車WGに関しましては座長を務められました委員の方が、この地球環境部会の委員も務めておられます。今日はおいでいただいておりますので、まず補足、あるいはワーキンググループを動かされた上での何かコメント、あるいは、思いを語っていだければと思います。コミュニケーション・マーケティングWG座長を務められました枝廣委員のほうから、それではお願いいたします。

枝廣委員
ありがとうございます。コミュニケーション・マーケティングWGの座長を務めさせていただきました枝廣と申します。
私たちのコミュニケーション・マーケティングWGは、ほかのワーキンググループと比べるとちょっと性質が違っていまして、どこかの分野、もしくはセクターを、2020年、2030年で掘り下げて考えるというよりも、それぞれのワーキング、もしくは小委、もしくは地球環境部会で、さまざまに、例えば低炭素化に向けてよい施策をつくっていく。実際にその施策をつくるというのと、それが一般の人々の間で行動として実行されるという、それはイコールではないわけで、それを出来るだけイコールに近くしていくためにはどうしたらよいかということを考えることをミッションとして進めています。
特に、家庭部門は二酸化炭素がなかなか減らないということもありますし、特に3.11以降、世の中的には温暖化どころではないという雰囲気も広がっていまして、懐疑論が普及してしまっているということもあって、なかなか低炭素行動への動機、もしくは実現というのが、今、遅くなっているなあというのが一つの現状としてあります。
そのときに、では、どうやって伝えて、そして行動につながるような形で施策をつくっていったらいいかということをコミュニケーションとマーケティングという二つの視点で考えるということを、昨年度からやっています。
今年は特に、特別セッションを途中で開きまして、企業、NGO、自治体など、実際に生活者に伝える立場にある方々、四十数名に集まっていただいて、伝える活動をする上で、今、何が壁なのか。どのような手助けがあれば、よりそれを推進することが出来るかという、ワークショップ形式でヒアリングをさせていただいて、そのあたりの課題抽出から、実際に今、伝え手の現状というのが、自分たちのエネルギーを補給したり、さらに進んでいくための自己啓発をするような基地もなければ、情報を伝えるための、例えばわかりやすいいろいろな資料であるとか、データの整理であるとか、そういった武器もないまま、それぞれ勝手にやりなさいと言われているのが現状だということが、よくわかりました。
その中で、先ほど言った温暖化懐疑論に出会うことも多く、今は温暖化どころではないという世の中の動きもあって、伝え手として頑張ってくれるはずの人が、今は元気を失っている、もしくは、やる気がなかなか出ない状況というのも伝わってきました。
そういうことで、実際に生活者に活動して、行動してもらうための心理的な障壁の見つけ方、それの乗り越え方、そういったことを含めて、実際にどういうふうに伝えるか、例えば、それはキャンペーンでもイベントでも、講演でも、立ち話でもいいのですが、どういうことに気をつけてお話をすればいいかということをガイドラインとして一つまとめてみようと思いました。
伝え手は今、孤立無援の形で、それぞれ頑張ってはいるのですが、そういった方々がネットワークを通じてお互いに切磋琢磨しながら、もしくは励ましあいながら、先へ進んでいけるような、そういう場をつくっていく必要があると思っています。これは今後の活動になりますが。こういったことについて、小委、もしくは環境省として、しっかりサポートしてやっていかないと、いくらいい施策をいっぱいつくっても、それが実現に結びつかないままではもったいないのではないか。WGではそのような活動をしてきました。
ガイドラインについては、参考資料におつけしています。まだまだたたき台の段階ですが、是非、ほかの委員の皆様からご意見をいただいて、よいもの、使えるものにしていきたいと思っていますので、今でなくても結構ですが、後ほどでも、事務局のほうに、いろいろとご意見、アイデア、改善点などいただければ幸いです。ありがとうございます。

部会長
ありがとうございました。それでは、もう一つ、自動車WGの座長をお務めになりました大聖委員のほうから。

大聖委員
早稲田大学の大聖です。今、土居室長からご説明がありました資料の、一番最後の23ページが我々の結論になっておりますけれども、その中で、2050年で60%ぐらいは、原油換算で減らせるのではないかなあと我々は予想しておりますけれども、80%をこの分野で減らしなさいということになりますと、あと20%頑張らなければいけない。もちろん、原油換算ですからCO2イコールではなくて、そういう中で低炭素化を、燃料、エネルギーの分野で進めていく必要があるのだろうということと、あとは、地域づくりとか、その中での物流のあり方というものを、やはりもう少し低炭素化の方向へ向ければ、80%のCO2削減が可能ではないかなというふうに、我々は期待しております。
それから、もう一つ、運輸分野では、車が一番大きな割合を占めておりますので、燃費の改善ですとか電動化の技術、こういったものは日本が今一番進んでいるわけでして、そういったものを加速させるような取組が必要だというふうに思いますし、その一方で、車の利用のあり方ですね。先ほど、エコドライブとかカーシェアリングとか、ITSとかICTを使ったような高度な車の利用のあり方、こういったものも推進する必要があるだろうというふうに思っております。
それから、もう一つは、車というのは国際的な商品でありますので、国際市場で技術力が問われているというところが、メーカーは非常に重要な課題なわけです。そういう面で、適切な国の支援が必要だろうと思います。税制面とか、研究開発にかかわる支援、そういったもの。それから、この分野の産業というのは、日本の基幹的な産業力の一つの源泉になっていますので、それは、維持、発展させていくような取組が必要だというふうに思っております。
それから、最後になりますけれども、先ほどの高村委員のご説明に関連して一言つけ加えますと、運輸部門での国際貢献と国際戦略といいますか、そういったものを考えますと、やはり民間だけの力ではなくて、政府の、国の支援、これが、三間の連携といいますか、そういったものが不可欠だというふうに思っております。
その点をちょっとつけ加えさせていただいて、発言を終わります。

鈴木部会長
ありがとうございました。この段階で、この検討小委員会の委員長、座長を務められております西岡委員のほうは、いかがでしょうか。

西岡委員
まず、非常に大変な作業をしていただいた分科会の委員の方々に、お礼を申し上げたいと思っております。
私どもに与えられた一番の使命といいますのは、先ほどお話がありましたように、低炭素戦略をつくるということであります。また、それをどういう観点でつくっていくかということに関しましては、お手元にそして前回細野大臣が来られてお話になりました。2050年80%削減あたりを視野に入れて長期の目標を定めてほしい。その途中として、2020年、2030年のシナリオ、選択肢をつくってもらいたい。出来る限りの再生エネルギーを入れて、日本をまた活性化した国にしたい。それは、長期にはグリーン成長に結びつくといった形の低炭素戦略にしてもらいたい。という話がありました。それに従いまして、今のところ淡々とその作業を進めているところであります。
しかし、これは私の感想になりますけれども、先ほどから国際的な議論というものがございました。同時に、国際的にも努力しなければいけないということがございます。いま、いわゆるパーセントの論議から外れてみると、我々が今やろうとしている作業というのは一体何なのだろうか。もう一度考え直してみると、まさにそれは、世界が低炭素の方向に向かっているから、低炭素戦略をつくれと言われているわけですけれども、単なる%削減達成ではなく、どう経済を活性化し、そして豊かな国にしていくかということが、むしろ問われているのではないか。
長期の方向が低炭素化で定まったときに、あと、よく言われます3E、すなわち省エネルギーの問題、それから経済との葛藤という話がございますけれども、この二つとも、この低炭素の方向に向かって、これは対立ではなくて、その中でどう入れ込んでいくかということを、しっかり考えていくというのが、我々の使命であるという具合に考えております。
そういう面から、今回、作業をまずしていただいたのは、この2050年において、原子力の依存度を下げるという話もございましたので、原子力がない場合でも、どれだけ、今の技術、そして改良された技術、今から見込まれる改良点等々を含めまして、80%削減がどういう形で出来るだろうかという姿を示した。良し悪しではなくて、そういう姿を示しました。
それが、また、経済成長に関してどういう意味を持っているかということについても、もう一つの望ましい社会のほうで示しました。
最初に一枚紙で裏表に書いてありましたけれどこれからの作業というのは、も、どういう選択肢を考えたらいいだろうかという話かと思います。結局のところ、我々が出来ることは出来るけれども、それをスムーズに、そして活性を保ちながら、そこにどう到達するか。それを、どういう政策で、どの程度の低炭素に向けた政策の強度を考えながらやっていくと、一番、国民の支持を得られるか、あるいは、それが妥当であるということが評価されるかということが、我々の関心でございます。
私どもは、特に今回、今日の議論でも皆さんにお願いしたいのは、どういう観点で、我々はそういう国をつくっていくときの評価をするのだろうかと。できたら前向きに、こう評価するためには、こういう指標、あるいはいろいろ問題があるだろうから、そのあたりはどういう点に気をつけて、さらに作業をしていくかということに対するご意見を、是非いただきたい。
今日も、EUの戦略の話を聞いてきたのですけれども、どの国も、この低炭素の方向に向かってどれだけ先に勝っていくかというようなことを、どうも国をあげてやってゆく方向になっているということであります。
しかしながら、あまり急激にやり過ぎるとさまざまな摩擦もあるでしょうし、資金的な、資源的な問題もあるかと思いますけれども、そのあたりをどうするか。そのような考え方で、私どもは今、作業をしているところでございますので、どうぞ忌憚のないご意見をいただければと思っております。

鈴木部会長
ありがとうございました。
それでは、今ご説明いただきました件につきご意見を頂きます。先ほど来申し上げていますように、あと4ワーキンググループをあわせて一つのセットになっていくということですが、この段階でいろいろとご質問、あるいはご意見を伺えればと思います。

浅岡委員
ありがとうございます。いろいろな作業を少し理解できたかと思います。
私も今朝、EUの報告を聞かせていただいていたのですけれども、明確な視点を持つべきではないかと思います。経済を一定レベルに維持しながら、排出量は下げていく。下げる目標は80%だと。
日本においては、まだそういう考え方が定着していないのではないか。今日のEUの会合での産業界からのご質問でも、そう思ったりもしましたけれども。
目標といいますか、指標をしっかりここで打ち出せることが必要です。さらに、震災がありまして、原子力について、原子力委員会のほうでもまだ議論は混とんとしてますけれども、現実問題として、依存度は下がっていかざるを得ない。上げようもないのですから、よりより強い意志をもって、そうしたことを実現すると。出来るか、できないかという前に、そういう目的意識をしっかり持つべきではないかと思いました。
今回の震災を契機にして、いろいろなところで変わってきたところも既に現れている。これも取り入れながら、従前のロードマップと連続性を持たせるのではなく、どこか視点を切るとか、一、二年前のロードマップのここを変えたというところを見せていくのがいいと思います。
それから、今日、EUの報告を聞きながら、感心したのですけれども、6ページには、再生可能エネルギー、一次エネルギー、温室効果ガス排出量についての2050年までの流れの道筋がありませんけれども、部門別に排出削減のロードマップといいましょうか、シナリオをEUで整理しておられていて、電力・エネルギー供給部門では2050年にはゼロになるとか、自動車はある部分残るとか、そういう整理ができていました。
アメリカの、かつての排出量取引法での排出枠のシナリオも、それに似たものでありましたけれども、今回の議論がそういうものにどうつながっているのだろうかと心配もいたします。高村先生のお話の中で、日本が長期ビジョンのもとに、MRVを検証していくためのシナリオの下で施策を提起していくためには、そういう視点を持っておかないといけないのではないかと思った次第です。

浅野委員
大変、よく整理をされていると思いますし、目標も非常に明確である。よく説得力のある仕事をしていただけたと思って感心いたしました。
今日の段階では、まだ残りのワーキンググループの報告が出ていないので、こんな段階で言ってしまうのはよくないのかもしれないのですが、何となくこのままでずっといきますと、地域で計画をつくろうというときに、結局のところ適当に、いいとこ取りのつまみ食いでやっていかざるを得ないのかなという印象をうけます。それぞれの地域の知恵をそこで生かせということなのかなという感じもするのです。
ワーキングの中には、地域づくりWGがあるのですけれども、これまでのロードマップWGのようなやり方ですと、何となく都市計画的なところだけに走っていってしまうので、個々の政策をどうしようかと地域で考えて選び取るときに、このような報告は大事な参考書になるのですけれども、しかし実際にはそれでもなかなかそれが使いにくいなということになってしまうのでは困ると思います。
国全体を考えているときには、こういった整理しかないので、もうよくわかるし、まとまっていると思いながらお聞きしたのですが、例えばマクロフレームですか、これはどういう社会を目指すという場合でも、地域に下りていったら、それぞれの地域で、うちはこれだ、うちはこれだということになってしまって、オールジャパンはこれだと言われたって、うちはとてもつき合えませんよということになる可能性があるようにも思われます。
つまり結局のところ、国全体を考えるときはこうであるかもしれないのだけれど、各地域は各地域の選び取り方みたいなものがあるということにしておかなくていけないかもしれません。そこをどう最後に、うまく整理するかという問題がありそうな気がしていて、とりわけ、地域づくりのWGに期待するのですけれども、どうもそれもまずいので、地域の話はそこでやるのだから知りませんというようなことにならないようにしていただきたいと思います。
それから、もう一つの、コミュニケーション・マーケティングとお話しについても、地域という立場から見ると何となくわかりにくいなという感じがしてはいるのですが、これもさっきのように、それぞれの地域でこれを上手に利用すればいいと考えれば、それでいいのかもしれないと思います。
環境省の地球環境局に対するかなり強い要望ですが、これまでにも、この面でいろいろな制度をつくってきたのですけれども、地球環境局の腰が全然据わっていない。要するに、センターをつくりました、推進委員をつくりました。では、どうやってそれを動かすんだ、どういうイメージでその人たちに働いてもらうんだといったことは。あまり明確にしないままで過ごしてきた上で、、あげく事業仕分けで防衛戦をやりながら、負け戦の連続できているわけです。
だから、改めてここにもう一回こういう提案が出されるのであるならば、これを盾に取って、そこらあたりのこれまでの作ろうとしてきた仕組みや組織のテコ入れはしっかりやっていただかないと、地域でセンターを預かっている者にとっては、とてもやりづらい状況が続いています。宜しくお願いしたい。

井上委員
20年と30年、それから50年のつながりが、もう一つ私も理解できていないのですが、技術WGの6ページで、先ほどお話があった、そもそも原子力を2050年でゼロを、所与のものとして検討を進めるということは、おかしい。これは一つのパラメーター、オプションであり、2050年においても原子力は一定の割合、エネルギーのセキュリティの観点から、割合をおうべきというケースも検討すべき。
そもそも、この場で2050年ゼロという議論は一回もやっていない。当然、小委員会からいろいろなデータが上がらないと議論できない。ということですから、やはり原子力もオプションとして残るデータも見ながら議論しないと結論は出ない。
そもそも、我々、中環審は、責任のある選択肢を示すべきであろう。その責任というのは、実現性、経済性、エネルギーセキュリティ、それに加え、最も大事なのは時間軸だと思います。
我々、電源の立場から申しますと、2020年の電源構成というのは、10年間のアセスの期間と建設期間を考えると、今、結論を出さないと20年の話にはならない。同じように、2050年の電源構成というのは、2040年の段階で採用出来る技術とコストでもって判断するという、今後の40年の連続性、積み上げをもって説得力のある説明をしないと、やはり責任ある選択肢の提示ということにはならない。
その検討の結果、やはり温暖化対策として原子力のエネルギーが不可欠であるという結論が得られるなら、中環審として責任をもって、エネルギー・環境会議にそれを提言すべきだと思います。それが1点目。
それから、2点目として、国際公平性という分析が必要である。これは、すなわち、CO2の限界削減コストの諸外国との比較・検討であって、評価の観点においても、「国ごとの能力に応じた応分の責任」ということが記載されています。
日本の優れた技術でもって諸外国のCO2を削減する、その結果、日本が80%、先進国が80%、トータルで世界が50%というバランスが違うなら、それも責任をもってやはり提言していくべきだと思います。以上です。

植田委員
二つございます。ありがとうございます。
一つは、この選択肢を考える際の一つの判断基準に、国際的観点からの、先ほど高村委員からのお話があった、交渉における発言力を高めるという観点が必要であるというふうに思います。
それは、つまり、国際社会の中の日本なので、国内排出削減対策ではあるのですけれども、それは同時に、その対策自身が、国際的な発信をしているという面を持っているはずですので、その点を留意する観点がいるのではないかということが1点です。
それと関係しますけれども、全体のイメージといいますか、2013年以降を考えていく上で、マクロフレームをはじめとして、大きなイメージとして、細野大臣はグリーン成長とおっしゃったと思いますが、グリーン市場が非常に大きくなるという、その見通しをどういうふうに考えておられるかがはっきりしないと、グリーン市場の中で日本の技術や経済のプレゼンスをどういうふうに考えるかというような戦略が、中央環境審議会的な観点からの選択肢としては、大変重要になるというふうに思います。以上です。

浦野委員
まず最初にちょっと確認したいのですけれども、このワーキンググループというのは、基本的には国内の対策を、あるいは、その効果をどういうふうに上げていくかというふうに見えて、それを踏まえて海外にどうするか、あるいは海外の人に対してどうするかというのは、ここには入っていないというふうに見えるわけですが、それでよろしいのかということと、その上で、コミュニケーション・マーケティングのほうは、私は非常に興味があるというか、これがないと実質的にはいろいろな政策、施策をとっても、経済界は多少いろいろ抵抗もありながら動いていくかと思うのですけれども、国民というか生活者のほうは、なかなか動かない。
今まで、浅野先生もおっしゃいましたけれど、幾つかあってもなかなか動かないんです。それは、なぜだろうかというと、こういう制度とかシステムの提案というのも非常に大事だし、これはこれでよくまとまっているんですけれども、どうもやはり言い方は悪いけれど、上から目線というか、上からの考えだなという感じが、私にはするんですね。
なぜかというと、生活者の側とのやりとりをして声や要望が出て、その要望が生かされる政策、それは、建て前としては非常にいいんだけれど、果たして声や要望が出るようにするには、どうしたらいいのかとか、それを今度、働きかけて行動変容を促すと書いてあるんだけど、行動変容を果たしてさせるには、そのシステムをつくれば出来るのかとか、そういうところが非常に、私は心許ないという気がするんですね。
これは、参考資料3-2の参考のところに、認識と行動の乖離というのがあるというのが書いてありますけれども、この部分をどう突破するのかというのを、何か仕組みをつくらないといけない。これは非常に民主的に、みんなの意見を聞いて、それを政策に生かしますよというのですけれど、それだけで、果たして国民、生活者は動くのか。
例えば、この間のように電力が不足して、強制的に節電をするという形になったときに、これは、声や要望を通して政策したわけではないんですよね。それはそれなりに物凄く効果があったわけで、そういう、ある半ば強制的といってはいけないですけれども、政策としてやったことを、もちろん出来るだけ理解を得るように、いろいろな情報を提供したり、話し合いをしたりすることはいいのだけれども、上からくることとか、それから下から持ち上げること、両方うまく組み合わせていくような仕組みをつくらないと、実質的にはなかなか動かないんじゃないかなと。制度や枠組みはできたけれど、動く人が少人数で動かないということになりかねない。是非、この辺をもう一度深めて、非常に重要な部門だと思うので、動く形にしたい。
行動するために何がというと、自分の今の生活が非常に、例えば経済不安だとか職がないとかという、震災になったとかいうと、もうそれどころじゃないという話になるわけで。今の生活を基準にものを考えないで、次世代とか地球全体とか、少し大きくものを考えて自分の行動をのせるというのは、なかなか難しい。出来る人は出来るんですけれど、できない人も凄く多くて、そこをどうやって働きかけ、呼びかけていくところの仕組みづくりなりをつくっていく。
例えば伝え手というのを、どうやって生活者に、本当に話の出来る人をもっていけるのかという。それは、支援する仕組みをつくって補助したりなんかすれば出来るのかというと、そうでもないと思うので、そこら辺をもう一段、是非深めていただきたい。宜しく。期待していますので。

新美委員
ありがとうございます。ただいまのご意見と、私は非常に似ているんですけれども、この2013年以降どうするかというのは、ある意味で、たびたび出てきますように社会経済構造をどう変えるか、場合によっては、もっと身近に言えば、生活構造をどう変えるかということが一番の課題だというのを、私も認識を、ただいまのご意見と同じにしております。
その意味で、このコミュニケーション・マーケティング手法というのは非常におもしろいといいますか、生活者に対して働きかける、また、そういったシステムをつくろうということで、非常に興味があるんですけれども、実は、こういう仕組みというのは消費者関連でしばしば提案されて、しばしば失敗してきているというものでもあるわけです。
それらを見てみますと、チャンネルが明確であって、何をしたらいいのか、だれが事業者で、消費者はどんな問題を抱えているのか、抱えていそうなのかというような場面では、非常に成功しているんです。ところが、環境という問題になりますと非常にチャンネルが多様でありますし、範囲も広い。その中で、どういうものをどうして構築するのかというのは、まさに具体論が非常に重要になってきますので、その辺を、是非今後もご検討いただきたいと同時に、場合によっては、生活者にとってエコであるというために、主要なものを数点、チャンネルを選んで、そこで、こんなものをやったらどうかというような提案もあってもいいのではないかと、そういうふうに思います。
まだ、どういうふうにしたらいいかというのは、私も持っておりませんが、是非、ワーキンググループの仕事を具体化していくという作業を、是非進めていただきたいというふうに思います。

及川委員
私は、ワーキンググループの論議に参加させていただいて感じたことなんですけれども、低炭素社会を実現するということで、いろいろ論議されているわけなんですが、そうすると、それがどうなっていれば低炭素社会が実現したことになるのかというところを、もうちょっと明確にしたほうがいいのではないかというのが、私の感じであります。
それで、我々の論議の根本としては、2007年に出ましたIPCCレポートで地球温暖化は進行している。そして、それは自然現象ではなくて、我々の人間活動が影響してそうなっているという重要な結論が出されたわけです。ですから、その温暖化をもたらしているのは、大気CO2濃度を中心とした温室効果ガスですから、そのガスを2℃以内に抑えるという大きな目標があるわけで、それを実現するためには470ppm以下に抑えないとだめなわけです。
ですから、こういった対策をとることによって、どの程度に抑えられているのかということを強く認識して、論議するのがいいのではないかなというのが私の意見でございます。

大塚委員
エネルギー供給ワーキンググループで座長をつとめましたので、原子力発電について若干お話をしたいと思います。
先ほどご指摘があった点でございますが、原発につきましては、一番蓋然性の高いところを前提にして数字を出していますので、西岡先生とか事務局のほうから、後からお答えがあるかもしれませんが、エネルギー・環境戦略に関するエネルギー・環境会議の決定を踏まえ、また、現在出されている法案を踏まえて、40年で廃炉になるということと、新増設はし難いということと、それから福島の第一と第二については廃炉にするということを一応の前提にしますと、2050年には原発がなくなっているという、そういう徐々に減らしていくということが、一番蓋然性が高いのではないかという前提で考えておりまして、何か強い意志があるとかということではないものですから、その点だけ申し上げておきます。
以上です。

亀山委員
まず、検討小委員会の先生方の多大なる努力に、心より敬意を表したいと思います。
恐らく、国内排出削減対策については同小委員会のご報告を待っていればいいのではないかと思います。むしろ、私がここでコメントさせていただきたいのは、その小委員会の結果を受けて、こちらの中環審地球環境部会で何を議論するために時間を費やすべきかということに関してでございます。
こちらでは、地球温暖化対策の選択肢を示すということになっておりますが、そもそも地球温暖化対策、あるいは排出削減目標値、数値の検討において、二つのアプローチがあると考えています。
一つ目は、どれぐらい削減出来るかという、「出来る」の観点からの議論です。もう一つは、どれぐらい削減すべきかという、「べき」論からの議論でございます。
一つ目の「出来る」の議論については、まさにこの小委員会でやっていただいている作業が、それに当たると考えております。他方、「すべき」の議論というのは、まさに今日、原澤委員からのご報告を受けたように、地球が全体的に、これから気候変動の脅威にさらされるということが予想されている中で、国際社会としてどのように取り組んでいくのかということを議論していく中で、日本として、どれぐらいの貢献の応分だと、日本人、私たちが認識すべきなのか、認識するのか。また、世界から日本は、どれぐらい貢献すべきだと思われているのか。このような観点から検討すべきだと思っていまして、それは、出来る、できないの話とは全く関係ない話であります。
それで、小委員会では、この「すべき」の議論というのはできないわけで、そこを、まさにこちらの部会でやるべきだと思います。また、特に短期的には、この二つのアプローチで求められた目標値の間に乖離が生じる可能性が多いわけでして、その乖離を埋めるための方策として、吸収源対策ですとか二国間オフセットクレジットをはじめとする、さまざまな国際貢献分というのを検討すべきだと思っております。このような、国際貢献分を検討すべきだという意見は、今日この場でもさまざまな意見が委員さんから出されましたので、是非、ここで検討すべきだと考えております。
また、選択肢の示し方というのも、こちらで議論すべきだと思います。必ずしも数値は、一つだけ掲げるとは限らないのではないかと思います。今申し上げた二つのアプローチで、少なくとも国内の排出削減で、これだけ目指しますと。それに加えて、国際的な貢献分も加えて、もう一つ、この位を目指しますといったような二段階の目標の提示の仕方というのも、私は考えていいのではないかと思っていまして、そういった、どういう数字の提示の仕方をするかということ自体も、ここで検討してもらいたいと思っております。
日本は、国際交渉の中で、かなり昔から、多分2007年ぐらいからだと思いますけれども、すべての国が参加する枠組みというものを常に主張してきました。ずっと主張してきて、ようやく昨年のダーバンで、すべての国が参加する枠組みについて交渉することが合意されました。合意されたのですから、日本が言っていたことがようやく通ったわけですね。通ったときに、私たちの立ち位置というものを明確に示す必要があると思っていて、このタイミングを逃してしまったら、日本の存在感というのは国際社会ではなくなってしまうのではないかと危惧いたします。
今後のスケジュールを見ますと、今後のこの環境部会の開催頻度というのはそれほど高くない中で、私が申し上げたことを議論していただけるのかどうかということを伺いたいと思います。以上です。すみません。長くなりました。

河野委員
ありがとうございます。小委員会の先生方、ご苦労さまでした。オブザーバーで参加させていただいて、感じたことを1点、意見として申し述べさせていただきたいと思います。
これを、国民の前に選択肢として今後示すものを地球部会としてつくるわけですけれども、どういうふうにしたらいいのかということを、ずっと考えていて、一番避けたいのは、何というか、誰も読んでくれないようなものを国民の前に出すのだけは避けたいと思っております。
じゃあ、誰も読んでくれないものではなくて、魅力的で、ああ、そうかと頭の整理ができて、みんなで議論しようよというベースになるものには何が必要かというと、一つは幅の広さだと思うんですね。
つまり、しばり的なものはあるわけですけれど、国内80%、2050年世界半減、先進国は80%削減とか、2℃目標とかありますけれども、それは大事な目標ですが、それが出来る範囲だけで選択肢を示すというのはよくないと思います。この際ですから、選択肢はなるべく幅広くといっても、10も20もあるとわかりにくいので、5から7とか、その位には絞らなきゃいけないと思いますが、例えば選択肢Aの場合は、これだと2℃目標はちょっと難しいが、こういうメリットはあるとか。メリットというか長所、短所みたいなものも含めて。それから、あと観点的なものも、ここの資料2の4ページにありますが、これも多過ぎるので、これを全部表にすると、わけがわからなくて、とても読んでもらえないものなので、そこももうちょっと絞って、ですから、幅広くすっきりした選択肢を示すという努力を、ここの地球部会でつくることをやらなきゃいけないことを念頭にしなきゃいけないと思うんです。
ですから、小委員会でご議論いただいているのは、非常に熱心な先生方のご議論だと思うんですが、理念的なものというのは非常に大事だと思います。国民の前に、こういう理念で、あるいは世界的にも日本はこういう理念で目指したい、こういう戦略を打ち出していきたい。こういうふうにすれば非常にいいんじゃないかという理念的なものはくっきりと出す必要がある。そういう意味で、低炭素戦略をつくるという、西岡先生のおっしゃったそういうのは必要だと思うんですが、それと、選択肢というのはまるで一緒ではなくて、それを踏まえた上で、こういう選択肢を用意しましたので、皆さん議論してくださいというふうに、非常にわかりやすく、幅広く、すっきりしたものを、どういうふうにつくればいいかということを、今後、私たちで念頭に置いて議論していく必要があると思います。

進藤委員
4点申し上げます。資料5の議事録があります。
小委員会での主な意見ということで、私が申し上げたことをまとめていただいているのですが、ニュアンスが少し違うので訂正いただきたいと思います。
5ページの2番目「コストをはじめとする経済的なフィージビリティが必要」。これは一般論として必要です。ただ、「2050年を狙うと、こういう分析は必須」と書いておりますけれども、その後に私が申し上げたのは、今のこの時点で技術がどう変化するかわからないという、40年後の2050年をねらったシミュレーション、これをいくら緻密にやっても難しいのではないか。したがって、あまりそういうことに力を入れる必要はないんじゃないかという趣旨で申し上げました。
コストの分析は、2050年はやらないというお答えをいただきましたので、それはそれでよろしいかと思います。
それから、7ページの施策の実施について、下から三つ目で「坂の上の雲のような議論ではないのか」と書いてありますけれども、この趣旨は、2050年80%削減、これは今の段階で、緻密なシミュレーションでやれるかやれないかというのは、わかるようなことではない。であれば、そういうリジッドな目標とはなり得ず、細野大臣がいみじくも「視野に入れる」というふうに表現されたように、遠景に見据える目安的なものだと。ならば、そういうことを明確に言ったらどうかということが、この趣旨でございます。
3点目は、2020年、2030年のオルタナティブの中でコストの分析をやることになりますけれども、是非、我々は国際競争の中で生業を成り立たせて、そこで生活しながら環境問題を見て行くわけですので、是非、限界削減費用を、国際的な公平性という観点から入れていただきたいと思います。
それから、4点目、枝廣先生の、マーケティングの議論、大変興味深く読みました。やはり、マーケティングの基本論として、だれが意思決定するかというディシジョン・メーキング・ユニットと、それにどうアプローチするかというチャネル、この議論が大事です。先ほどどなたかからご発言がありましたけれども、ディシジョン・メーキング・ユニットの一つである企業は、はっきりわかっているから、そこにアプローチが出来る。そこへのチャネル、経団連があるということで、かなりこれは有効に無駄のないアプローチなりマーケティングが出来るわけであります。
したがって、この生活者についても、そのようなことを明確にしていく必要がある。そう考えたときに、この「生活者」という概念が、果たして実効的なのかどうか。「生活者」の中に家庭もあり、いろいろあるんだと思うんです。主婦もいて、ご主人もいて、子供もいてというのはあると思うんですが、生活者という概念を、もう少し厳密に定義していくことと、それに対するアプローチは学校であり、企業であり、いろいろなチャネルがあるわけで、それを詰めていくというのが、企業以外、産業以外のところで減らすために大事なんじゃないかなと思います。これは、コメントでございます。

高村委員
ありがとうございます。3点ほどでございます。
一つは、特に技術ワーキング、マクロフレームワーキングのところで、少なくとも2050年80%という数値について、今現在において想定可能な技術を使ってどれぐらい積み上がるかということを示していただいたということは、一つの技術的な展望としては非常に重要な作業をしていただいたのではないかというふうに思います。それが1点でございます。
二つ目でございますけれども、これは自動車ワーキングの報告の中にかかわるのですが、しかし、ほかにもかかわる点でございますけれども、かなり多くの公的な支出、補助が必要であるというところも付記されているところであります。もちろん、これはその自動車のセクターで、例えば自動車税制を改変することで、必要な財源を調達する可能性もあれば、あるいは、より横断的な何らかの財源の対処というのを考える必要があると思うのです。最終的に決めるところはここではないにしても、一定のオプションを全体として整理をする必要があるのではないかというのが2点目です。
3点目は、まだ、地域づくりWGの報告がございませんが、特に自動車の交通流のボリュームについては、都市地域と異なる農山村漁村の独自性があり、非都市地域と都市地域と分けた施策の整理が必要なように思っております。これは及川先生がしばしおっしゃるように、例えば農村あるいは山村でおいて、森林等の温暖化対策というのが都市地域と比しても非常に重要な位置を占めるというような指摘も含めて、地域づくりWGの中で、是非、一定の地域特性に合わせた分類といいましょうか、地域の整理をして施策をご検討いただきたいという要望でございます。以上です。

冨田委員
ありがとうございます。今後議論をする、2020年、それから2030年の選択肢と、それから2050年の社会の姿、これの関係について、小委員会に参加している者として、1点意見を申し上げたいと思います。
資料4の8ページに、技術WGの取りまとめがありまして、そのマル1のところで「省エネルギー・低炭素エネルギー技術によりどこまで可能であるかを検討した」というふうにありますが、小委員会でご説明いただいた技術ワーキングの赤井先生のほうからはニュアンスが違って、どれほどの省エネ、低炭素技術が開発、普及されなければ、実現できないかということの、そういうニュアンスのコメントでございました。
一つの断面を右から見るか左から見るかということではありますが、それで私が受けた印象としては、どのような選択肢を取るかによって、必要となる技術、それの普及量、そういったものの違いは出てまいりますが、2050年80%というのは、それほどのことができれば可能であるということがいえるかなということです。
すなわち、20年、30年の選択肢の議論の中で、50年の社会はこれだということを言う必要はないということだったというふうな印象を持ちました。
以上でございます。

中上委員
私も資料5の、幾つか私のコメントが出ているのですが、4ページの一番上に書いてある、私の言った事実と違って、途中で中座したのでこういうことになってしまったのかもしれませんけれども。
「CCSは駆け込み寺」と、この辺はいいのですが、「FIT(フィードインタリフ)がいつまでもある訳ではない中で、再生可能エネルギーをどのように導入するのか。」というのではなくて、「FITがいつまでもある訳ではない」と、これはいいんですけれども、2050年ごろになったら、恐らくFITというのはないのではないかと思います。そうしたときに、太陽光を屋根につけた人たちが、それをグリッドに出していく。要するに、自分で売るかということを言ったんですね。
今は40円で買ってくれるから、多分売るんだと思いますけれども、これが、ほかの電源と同じで、10円だといったら、それは使ったほうが得だから出さないんじゃないかと。そうなったときに、グリッドと太陽光の関係がどうなるのかということを私は発言したつもりですので。これだと誤解されますので、今のような趣旨で直しておいていただきたいです。
ついでに、もう一つ言わせていただきますと、植田先生が、グリーン成長、グリーン市場という話がありましたけれども、グリーンというと、どうしても再生可能エネルギーとか、そちらに目がいきがちですが、日本で特筆されるのは省エネ技術なんです。
省エネ技術というのは今でも、アジアに行っても、ヨーロッパに行っても、物凄く高い評価があるわけですから、そういう意味で、グリーンというと、どうしてもそっちへ行ってしまって、省エネルギーという地道なほうに目がいかない。ここを何とかしていただきたいと思います。
もう1点は、浦野先生からのお話と、これは枝廣さんのWGに繋がってくると思いますが、どうも、つくり手目線といいますか、上から目線でものを言う。さっきのあれも繋がってきますけれども、使い手の目線でフィードバックがかかってこない。私が最近よく言うのは、スマートハウスとは言うんですけれど、スマートホームとは言わないんです。スマートハウスというと、どうしてもつくり手のイメージなんですけれども、スマートホームと言った途端に、使い手も参加者であるとなるんですが、日本の場合は、どういうわけかスマートハウスになっちゃう。ヨーロッパにいきますと、全部スマートホームで議論をされている。
この辺からして、すべてがみんな上から目線じゃないかというふうに思いました。

永里委員
時間がおしています。それで、もう簡単に言わなきゃいけないんですけれど。
2050年80%削減というのは、細野大臣の「視野に入れて」という表現だろうと思います。したがって、それだったらいいんですけれども、今回、例えば技術のほうでCCS、2億トンにするというように書いてありますよね。これでしたら、CCSの専門の方が、このコストが幾らかかるのか、日本で可能なのかどうかということを考えたときに、国民の負担がどれだけ大きいのかということになってきます。これが実現するとなると、コストの問題というのは避けて通れないのですが、だから、コストを考えると80%削減というのは、国内では実現不可能というようなことになる可能性だって出てくるわけです。
したがって、私としては、80%削減は理念としてよろしいし、視野に入れるのはいいと思うんですけれど、やはりコストを考えないと。本当のことは、そこを考えたらば、実際は途上国のほうに日本がいろいろ技術を出して、そして、そこで世界全体で減らしたらいいんだろうということになりますので、そうなると日本は、国内で80%削減しなくても貢献するわけです。
私が何を言いたいかというと、ここのところはそれぐらい随分怪しい議論で、コストを無視して提示することのむなしさを訴えたかったのです。
それと同時に、2020年、2030年について、いろいろなケース、三つのケース、高位、中位、低位のケースがありますが、これもコストが重要で、限界削減コストはこれでどうなるのか。それをやって国際的に公平なのかどうか。日本だけが損をするんじゃないか。別の言い方をすると、日本の企業は、世界での競争力がこれであるのだろうかと懸念されることから、やはりこのコストのことは無視できないので、そこは出来るだけ表すようにしたほうがいいんじゃないかと思います。

三橋委員
マクロフレームの問題点について指摘したいと思います。
資料4のマクロフレームのところの12ページを見てください。それと、もう一つ、参考資料5の8ページを見てください。よろしいですか。
このマクロモデルの2050年までの数字の置き方で、やはり相当問題があるなということを指摘したいと思います。
まず、参考資料5の8ページになるんですかね。ここに2050年のAとBということも含めて、主要な経済指標が載っています。いいですか。わかりますか。
そこで非常に奇妙なことは、例えばGDPについては、2005年実績が506兆円だったのが、2050年770兆円というふうに増えていますね。しかし、関連するGDP以外の指標は全部、2005年に対して2050年は減っています。人口も、1億2,700万人から9,400万人というような形で。粗鋼生産もしかり、セメント生産量もしかり、自動車保有台数もしかり、旅客・交通需要もしかり、貨物、交通需要しかり、全部、要するに経済活動の主要な指標は減っているのに、なぜ、GDPだけが増えているのかということです。これは明らかに矛盾だろうと思います。
この点について、なぜ、GDPが506兆円から770兆円まで増えるのか。2050年までに人口が大幅に減少する中で、GDPがこんなに増えるはずはありません。これは、経済学を勉強した人なら誰でもわかると思います。そういう過程の中で計算しているということが、一つ疑問があるということです。
それと、もう一つは、資料4の12ページ。11ページと12ページ。ここでも、国民総生産の推移が12ページに書いてあります。ここでも、五つの想定し得る社会を前提として、技術以下、ほとんどがGDPの大きさは2010年よりも大きくなっています。恐らく、こういう経済というのは実現しないんだろうと思います。一番最後に書いてあるシェア、分かち合い社会ですね。これは、ずっと下のほうにあります。これは、2010年のGDPよりも下になっていますよね。恐らく、現実の2050年の日本のGDPの姿は、こんなものだろうと思います。
しかも、2050年のこの姿というのは、五つの想定し得る社会像としては、R&D、あとMIJ(メイドインジャパン)。こういうような形で、経済そのものは非常に活発化した経済になっていると思います。技術革新も進んでいる社会だと思います。しかし、GDPの規模は、2010年と比べて低くなっている。そういうようなことが、人口の大幅減少ということを想定すれば明らかに見込めるわけですよね。
だから、シェア、分かち合い社会という、GDPの規模は小さくなって、元気がないみたいだけれども、そうじゃなくて、この程度の規模でR&D、あるいはMIJというような経済が実現するというような前提で考えるべきではないかというのが、私の指摘です。
それと、ここにある五つの想定し得る社会像というのは、いわば、これは前回にも言ったかもわかりませんけれど、大学のゼミの学生に、これから50年でどういう姿になるかということを、五つの班に分かれて、ちょっと研究してくれというような課題を与えると、恐らくこういうような姿が出てくると思います。
そこで私が言いたいのは、これはあくまで作業の一つの過程というふうに考えて、最終的には2050年の日本のGDPの姿というのを一本にまとめて、恐らくこの五つで書いてあるいろいろな社会の総合体が、2050年の日本の姿になるのだろうと思うのです。
したがって、最終的には五つのケースを並べて自由にご選択くださいということじゃなくて、一本に絞り込んだ、2050年の日本の姿というものを描いてほしいんです。そうしないと、恐らく、グリーングロースといいますか、グリーン成長、力強いグリーン成長というものをイメージする場合には、五つも選択肢があってはちょっと困りますよね。やはり一つにまとめるという中で、その一つにまとめた方向の中で最大の努力をしたケース、中間のケース、あるいは現状維持みたいな形にまとめていくような、そういうような形で、2050年までのロードマップをつくってもらわないと、前回は、この五つに近い想定で終わっていると思うんだけど、これを一つにまとめる作業をしないと意味がないんじゃないかというのが、私の意見です。

鈴木部会長
ありがとうございました。根本的なところと致しまして、小委員会のほうには、地球環境部会の委員の方々は参加出来る仕組みになっているわけですから、小委員会で本来議論していただくべきことは、そこで議論していただくということであろうと思いますが、もちろん、皆さんがそれぞれご出席になることではないので、あるときに、こういう形で報告をいただいて、また、ここで議論させていただくということは大事だろうと思います。
何といっても、その2050年がどういう年なのか。もちろん、今から80%削減、これはともかくIPCCの仮説に基づけば、その段階までにCO2の削減を世界全体として5割削減しておかなければいけない。これに対して異を唱えるというのは、この世代、あるいは次の世代に対して、sぇ帰任を果たすことにはならないと思います。我が社はこれによってつぶれてしまうから、それは承服しがたいと、こうおっしゃられても困るわけです。
ですから、そこに即した形で、どういうパスを決めていくのかということを、まさに国の革新的なエネルギー・環境政策として今後選んで決めていかなくてはいけない。それに対して、我々としてはどういうインプットをするかが問われています。根本のところで80%というのは白紙に戻ったのではないかという、こういう議論をされても、これはもう世界に対して恥ずかしい思いをするだけだろうというのが、これは私の個人的な感想です。
では、その40年後に一体どういう姿が見えるのかというと、現状では石油ベースの経済の上で進んでいるところであり、将来の施策について、これは経済性がないなんて言ったところでしようがない面もあるかもしれません。先の話はなかなか見えない。そしてまた、一番大きいのは、人口減少をしていく日本において、それがどのくらい海外に開かれていくことになるのか。あるいは、国という単位が変わっていく可能性だってないとは言えない。また、わが国としてもたとえば海外から人を、労働力をどれくらい受け入れるというようなことを、想定するかという判断をどのように行うのか、そういう中で、雇用の問題なんかも考えていくことになるでしょう。
そういうときに、この五つの社会像のメニューというのは、こんな楽しいものでいいのかなと、もっと深刻な事態が、いろいろあり得るのではないかというような感じはします。
現過程では、こういう五つの社会像というのが出てきている。しかも、その五つの社会像がモザイクのように、ある地域ではR&D、ある地域ではMIJ、というすみわけが可能なのか、たとえば徹底的に高度に工業化した社会と徹底的に「サツキとメイ」に象徴される生物多様性を重視した自然共生社会、その二つの両極を、ある程度共存させるということならいいのでしょうか。こういう五つの社会の一つを選ぶということになるのか、それぞれの地域がそれぞれの社会像を求めるというモザイク構造なのか、それでは何か今と何も変わらないんじゃないかという感じもしますので、その辺のところも是非、今後、小委員会、ワーキンググループで考えていただくことになるのかなと思います。また私の言い放しで終わってしまうと、皆さんにお叱りを頂くのですが、時間が、実は予定より10分超えてしまっています。また、小委員会でワーキンググループのまとめをなさるわけですね。最終的には、その選択肢を準備いただくというプロセスの中で、是非、今日いろいろとお出しいただいたご意見を取り入れていただくことをお願いします。
原子力の問題については、さっき大塚先生がおっしゃいましたが、原子力は原子力委員会の方で、その選択肢を選び出して上げてくるということで、ここではエネルギーという単位でしか考えておりませんので。CO2という話になったときに、そこにおいて、原子力の問題は非常に大きなファクターとして入ってくるわけですね。
ですから、ここでは、是非原子力を推進しろというようなことは申し上げるつもりはない。それはご理解いただければと思います。
どうですか。特に事務局のほうで何か対応されますか。あるいは、西岡先生も。

西岡委員
全部対応しようと思ったら時間がないようですので、一つだけ誤解があったので答えたい。
私は先ほど、技術の2050年のシナリオの話をするときに、少し言い淀んで「原子力なしで、こういう技術になりました」という言い方をしました。計算結果はそのとおりですが、作業手順はそう言う意図ではなく、細野大臣の言われるとおり、再生可能エネルギーを目いっぱい入れて、そして省エネをいっぱい入れたシナリオを書いてみたら、原子力が特になくてもいいようになりましたというべきであった。以上です。

土居低炭素社会推進室長
いただきましたご意見につきましては、取りまとめをしまして、引き続き小委員会のほうで議論する際にご提示し、議論を深めていただきたいと思います。
1点だけ。資料5につきまして、ニュアンスが違うというご指摘を複数いただきましたので、申しわけありませんが修正させていただきたいと思います。

鈴木部会長
では、一応、この段階ではこういうところまでにさせていただきたいと思います。
予定の時間を15分ほどオーバーいたしまして、大変申しわけありませんでした。
それでは、次回の予定なんかは。

土居低炭素社会推進室長
資料6で、今後の部会のスケジュールを記載してございます。次回が3月23日に行われますが、引き続き、小委員会に報告し、議論いただきました個別のWGの報告をさせていただき、国内対策の選択肢の素案について議論の進捗状況をご報告し、議論いただくということでございます。
それに引き続きまして、話題になりました吸収源、国際貢献、また適応に関しましても、本部会において議論を深めていただいていきたいというふうに考えております。以上でございます。

室石課長
次回の日程につきましては、3月23日でございます。詳細につきましては、追って連絡を差し上げます。また、議事録につきましては事務局で取りまとめまして、委員の皆様にご確認いただきました後にホームページにアップさせていただきますので、宜しくお願い申し上げます。

鈴木部会長
それでは、これで、本日の地球環境部会を、終了させていただきます。どうもありがとうございました。

午後 6時07分 閉会

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