地球環境部会(第150回) 議事録

開催日時

 令和5年1月26日(木)15時30分~17時30分

開催場所

 WEBによる開催

議題

(1)国内外の最近の動向について(報告)

(2)今後の熱中症対策の推進について

(3)その他

議事録

午後 3時30分 開会

総務課長
それでは、定刻となりましたので、ただいまから第150回中央環境審議会地球環境部会を開催いたします。
事務局の地球環境局総務課長の小笠原です。よろしくお願いいたします。
今日の部会はウェブでの開催とし、YouTubeの環境省動画チャンネルで同時配信しております。
本日は、委員総数28名中、19名の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たして、部会として成立していることをご報告いたします。
ここで、委員の交代がありましたのでお知らせいたします。前回まで臨時委員としてご参加いただいておりました日本公認会計士協会常務理事の藤本委員が退任され、同協会常務理事の男澤委員にご就任いただきました。男澤委員、よろしくお願いいたします。
以降の議事進行は、大塚部会長にお願いいたします。
 
大塚部会長
では、早速議事に入りたいと思います。
本日は、議事次第のとおり、議題が二つ用意されております。
まず、議題1、国内外の最近の動向について(報告)につきまして、事務局からご説明いただき、その後で質疑応答を行いたいと思います。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
 
脱炭素社会移行推進室長
昨年7月から脱炭素室長を務めております伊藤と申します。
私からは、資料1を用いまして、最近の動向の前半をご説明させていただきます。
本資料ですけれども、本地球環境部会、それから総政部会の下で、大塚先生に委員長を務めていただいて、取りまとめたというものでございます。昨年8月から12月にかけておまとめいただいた資料になります。
めくっていただきまして、3ページになりますが、本とりまとめの位置づけというところがございます。いわゆるGX、「脱炭素×成長」を我が国として進めるということで、この後、資料2で詳細説明ありますけれども、昨年7月から、官邸にGX実行会議というものが設置され、議論、取りまとめというものが進んでまいったという状況です。
この「とりまとめ」ですけれども、そこへの環境省からのインプットというものを一つの目的として、おまとめいただいたものでございます。見ていただきますと、①から④とありますけれど、①のGXの推進というところだけではなくて、今後の環境省の重点施策ですとか、環境基本計画の見直しへのインプットですとか、今年のG7日本開催、あるいはCOP28、国際会議への提案、発信というところにも活用するということで、おまとめいただいたというところでございます。
また、内容でございますけれども、この後の資料2で重複する部分がございます。資料2のほうで各担当から説明がありますので、私からは、資料2には出てこないところを中心にご説明申し上げたいと思います。
9ページにまいりたいと思います。取りまとめいただくに当たりまして、サステナブルな経済社会の実現に向けた統合的アプローチということで、概念整理をいただいております。図がございますけれども、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、それから、昨今、盛り上がっておりますネイチャーポジティブ、この三つで、それぞれの取組間でトレードオフを回避しつつ、相乗効果が出るよう統合的に推進するということを位置づけいただいております。それによって、希望や活力のある未来につながる地域循環共生圏の創造ということを、いわゆるコンセプトアプローチとして掲げていただいております。
また、次のページ、10ページ目にまいりますけれども、「脱炭素×成長」を我が国として進めるという全体像の中で、簡単に申し上げますと右側のエネルギー供給構造の転換ですとか、産業構造の転換、こちらは主に経済産業省を中心に我が国の中で施策を進めるという中で、環境省、環境政策としては、左側の地域・くらし、あるいは資源循環、社会インフラ・サプライチェーン、この辺りにいわゆる重きを置きながら、ただし、縦割りではなくて、しっかり経済産業省をはじめ関係省庁と連携して、政府一体となって進めるという形で全体像をおまとめいただいているという状況でございます。
11ページ以降は、申し上げたとおり重複しますので、後段のご説明に回しますが、45ページにまいりたいと思います。横断的な施策といたしまして、グリーンファイナンスの強化、あるいは人材育成、公正な移行、DXなど、この取りまとめに当たって申し上げれば、環境省としても、まだまだこれから取組をいろいろ考えていくということも含めて、重要性、課題などをおまとめいただいているという状況です。
かいつまんでご説明いたしますが、例えば49ページにまいります。脱炭素分野の人材が不足しているということで、大学、学校教育のみならず、即戦力人材の育成というところにも力を入れていくということの重要性をまとめていただいております。こちら、環境省だけで進めるということでもないかもしれませんが、政府全体としても人材育成、取り組んでまいりたいということでございます。
それから、53ページにまいります。密接に関連しますが、公正な移行というところも非常に昨今、力を入れておりまして、取組の方向性というのが左側にありますが、脱炭素を進める中で、労働力の移行、あるいは地域経済・地場企業一体での移行をどう進めるかというところの重要性をご指摘いただいております。環境省といたしましては、特に地域脱炭素の取組を中心に進める中で、このような公正な移行の観点も考えてまいりたいというふうに考えております。
56ページにまいります。DX・GXの同時推進とございますが、DX分野も非常に重要な分野でございますので、DXとGXを「車の両輪」として実装していくということで、同じように左側に取組の方向性というものを整理いただいています。
2点ございまして、データセンターなど電力をお届けする分野、DX分野をどうグリーン化するかという話、それから、GXを活用して、いかにグリーン化を進めるかという観点を整理いただいております。こちらも、環境省としましても、様々取組を検討してまいりたいということでございます。
時間の関係で割愛しますが、その他、59ページにございますとおり、国土・土地利用、あるいは自然共生、気候変動適応など、さらには国際展開という部分もおまとめいただいております。
繰り返しになりますが、今後の環境省としての政策にも生かしてまいりたいと思っておりますし、地球環境局に限らず、省内他局も含めて連携して、進めてまいりたいと思っているところでございます。
私からは以上です。
 
総務課長
続きまして、資料2をお願いいたします。地球環境局総務課長の小笠原でございます。
この半年間の地球環境局の温暖化政策の状況について、資料2にまとめております。
まず3ページからお願いします。まず、GX絡みの状況でございます。既にお聞き及びのところも多いと思いますが、7月に官邸にGX実行会議が設置されております。
4ページをお願いします。今後10年を見据えたロードマップの全体像ということで、GX実現に向けた基本方針案というものがまとめられた段階でございます。ロードマップの全体像、絵でまとめてありますけれども、意図としては、脱炭素、経済成長の同時実現に向け、今後10年で150兆円程度の投資が必要であろうと。それを実現するために「GX経済移行債」というものを発行して、これを活用して、規制・支援一体型で投資促進策を講じていき、20兆円規模の投資促進策を、ここ10年で実施していくと。
同時に、その財源確保の意味合いも含めてカーボンプライシングの導入について、時期も示し、見通しが分かるようにして、段階的に導入していくことで、投資を先行していくようなインセンティブとしていくと。具体的には、炭素に関する賦課金を2028年度に導入する。それから、排出量取引制度については段階的に強化をしていきつつ、2033年度から、発電事業者さんを対象にした有償オークションを導入する。こういった時期を明確にして、カーボンプライシングの導入を明らかにすることによって先行投資を促していく。
併せて、新たな金融手法の活用ということで、産業トランジション等に関するリスクマネーの供給を強化していく。併せて、アジア・ゼロエミッション共同体構想を通して、国際展開戦略をしていく。こういった全体像として、成長志向型カーボンプライシングという言葉でまとめられていますけれども、そういった構想がまとめられているところでございます。
この基本方針を踏まえた環境省の取組ということでございますけれども、5ページをお願いします。政府として、こうしてロードマップをまとめたわけでございますが、環境省として、これを四つに分解しますと、まず、規制・支援一体型の投資促進策、支援措置ということでは、地域脱炭素、脱炭素先行地域をはじめとする地域の取組を促進していくといったアプローチ。それから、くらしの面では、特に住宅について、後でまた個別の資料もございますが、住宅の断熱改修の支援、新築については規制を中心にして取り組むのですが、既築については支援ということで、断熱改修の支援、R4の補正で1,000億円の予算が政府としてあります。そういったものを活用して取り組んでいく。併せて、ZEB・ZEH化の支援をしていく。そういったことと合わせて、国民運動の展開を通じた意識変化ということに取り組む。
それから自動車については、商用車は、環境省が電動化の促進を図っていく。それから資源循環については、資源循環分野の脱炭素化ということとともに、脱炭素化に必要な資源の確保ということも含めて、資源循環分野の取組を進めていく。
それから、カーボンプライシングについては、GX基本方針を踏まえた取組について、経済産業省と協力して推進していくということ。
それから、新たな金融手法の活用については、特に、地域金融機関との連携による取組の強化といったこと、それから、中小企業さんの脱炭素化の支援をしていく。それから、昨年10月に立ち上がった脱炭素化支援機構の活用をしていくということ。
それから、国際展開戦略としては、JCMを活用し、パートナー国を拡大していきながらプロジェクトを推進して、海外での削減、それから日本への貢献というのを果たしていくといった全体像で取り組んでいきたいというふうに考えております。
 6ページ以下、その参考資料でございます。需要サイドからの取組ということで、地域からの取組、それから消費者の意識変革といったことに取り組んでまいります。
 7ページは、脱炭素先行地域、第1弾、第2弾と選定しておりますけれども、その例でございます。
 8ページは、次世代自動車ということで、特に商用車の電動化促進というところで、EVトラックであるとかEVタクシー等の普及促進に取り組んでまいります。
 9ページは、資源循環分野の動脈・静脈、連携した取組というのを図ってまいります。
 10ページは、グリーンファイナンスでございます。グリーンボンドの発行促進、それから、TCFD開示の促進とともに、ESG地域金融、その中では、脱炭素アドバイザー資格制度の創設といったようなことも含めて、取り組んでまいりたいと思います。
 11ページ、脱炭素化支援機構、昨年10月に立ち上がったこの機構、いろいろな幅広い方々に出資をいただいております。これを活用して、しっかりと脱炭素化事業の実施に取り組んでまいりたいと思います。
 12ページをお願いします。中小企業の取組支援ということで、商工会議所さんとも連携をしながら、中小企業さんの知る・測る・減らすの取組を支援してまいりたいと思います。
 13ページをお願いします。アジア・ゼロエミッション共同体構想等への貢献ということで、JCMを活用、さらに、我が国が先行している国際的な市場メカニズムの活用という中で、6条実施パートナーシップが、昨年、COPで立ち上がっております。こういった取組をさらに世界全体に広げていきたいというふうに考えております。
 以上がGX関係の、まず最初のパートの取組でございます。
 以下、今の取組と重なる部分もありますけども、個別分野のことについてご説明をいたします。
 
脱炭素ライフスタイル推進室長
脱炭素ライフスタイル推進室の井上でございます。2のくらしの脱炭素化の取組の前半パートについて説明させていただきます。
資料の15ページをお開きください。新しく国民運動がスタートしてございまして、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動、ちょっと長くて恐縮でございますが、二つやることがございまして、一つは10年後の将来像、絵姿というところを見せていきましょうと。二つ目は、それをしっかり後押しをしていこうというところで、G7やG20みたいなところにも、国際的な発信をやっていきつつ、国内での消費・行動の喚起というのと、マーケットイン、市場創出というところを狙っているところでございます。
スライドの16は、その絵姿、昨年10月にお示しをしたものでございます。暮らしの10年後というところで、できる限りCO2の細かい数値というよりも、生活としてどう豊かになっていくのかということの全体像、イメージというところでお示しをしているということでご理解いただければと思います。
続きまして、スライドの17、こういったものを進めていくための四つの切り口、働き方、暮らし方とか、製品・サービス、あとインセンティブとか情報発信、そして地域脱炭素につながる地域独自の暮らし方の提案とか、こういったものを進めておりますということで、今、全体で150くらいの取組、製品・サービスをご登録いただき、発信しているというところでございます。
次はスライド18で、この国民運動は昨年の10月にスタートいたしました。
スライド19をお開きいただきまして、その中で、第1弾という形で、個別の取組、「ファッション」、「住まい」、「デジタルワーク」、こういったところについても、個別のアクションという形でスタートしているところでございます。
 スライド20をお願いいたします。官民連携協議会というものを、この国民運動と同時にセットしてございまして、毎月ペースで協議会を開催しているところでございます。幅広い主体に入っていただいているというところでございます。
スライド21をお開きいただきますと、今の足元の状況でございます。全体540ぐらいの企業、自治体、団体、また、個人にも入っていただいてございます。各主体から提案をいただきながら、個別のプロジェクトもしくはキャンペーンというものを実施しているということで、G7、G20といった、先ほど申し上げたところにもつなげていきたいということでございます。
 国民運動の全体は以上でございます。
 
地球温暖化対策事業室長
続きまして、後段部分を説明いたします。地球温暖化対策事業室の松﨑です。
まず、22ページですが、既存住宅の現状について図示したスライドでございます。左側の図ですが、住宅の熱損失の多くが、窓、ドアなどの開口部で6割から7割、損失されています。一方で右側のグラフですが、日本の住宅ストックで5,000万強の戸数がありますが、そのうち6割から7割は断熱性の低い、単板ガラスの一重アルミサッシが使われているということで、既存ストックの脱炭素化はまだまだ不十分ですが、ポジティブに言いますと、ここに脱炭素化、CO2のポテンシャルが非常に大きいというものでございます。
かつ、この開口部、窓断熱のリフォームは短期間で施工可能ということで、高断熱窓の製品もそろっております。これを早期に拡大させるために、今年度の補正予算で1,000億円規模の支援事業を行うということとなりました。
次の23ページをお願いします。この住宅の支援ですが、今回、環境省だけではなくて、国土交通省、経済産業省、3省連携して、パッケージとして住宅の省エネリフォームの支援を行う制度を設けました。下の表がそのまとめでございますが、省エネ改修のうちの高断熱窓の設置、この支援に経産省と環境省合わせて1,000億円、高効率給湯器に関しては経済産業省事業で300億円、その他の省エネ改修及び全体のリフォーム工事は国土交通省で1,500億円、合わせて2,800億円の大規模事業となっております。
24ページ目をお願いします。この支援事業を効果的に行うために3省連携しまして、手続等々を含めてワンストップで行うことで連携して取り組んでおります。三つの事業、単独でもいいですし、組み合わせてもワンストップで対応ができるように仕組みを立てております。
次のページをお願いします。現在の進捗ですが、昨年末から特設の3省合同のホームページ、コールセンター、チラシなどを設けるとともに、製品の公募や事業者受付を順次開始しております。
26ページ目は、そのサイトとチラシの内容です。
環境省としては、3省連携して、この住宅の省エネリフォームを大々的、積極的に推進してまいります。
私からの説明は以上です。
 
フロン対策室長
それでは、その次、3番目のフロン対策につきまして、フロン対策室の豊住よりご説明を申し上げます。
29ページをご覧ください。昨年10月、WMOとUNEPが、オゾン層破壊の科学アセスメントのエグゼクティブサマリーを公表しております。このサマリーでは、モントリオール議定書に基づきまして、各国がオゾン層破壊物質の排出の抑制に取り組んだ結果、同物質の大気中存在量が引き続き減少いたしまして、成層圏オゾン層の回復が進んでいるということが示されております。具体的にはオゾン全量が、南極では2066年頃、それから、高緯度を除く全球の平均で2040年頃に1980年の値に戻ると、このように予想されております。また、2016年、モントリオール議定書キガリ改正によりまして、2100年までに0.3~0.5℃の温暖化を回避できると、こういったことが右側のグラフでございますが、予測されてございます。
次、30ページをお願いいたします。フロン分野における国内の取組について、ご紹介をいたします。業務用冷凍空調機器の管理に当たりまして、デジタル技術を活用した遠隔監視技術、こういったものが用いられるようになってきましたので、このような場合につきましては、フロン法に基づき、三月に一度求められております簡易検査に代えることができるとする告示改正を行ってございます。これにつきましては、政府の「デジタル臨時行政調査会」におきましても、データ化の対応事例ということで、資料にて紹介がされてございます。
また、昨年度から環境省において実施しております調査から、中央のグラフでもご覧いただけますように使用量の漏えい対策、これが消費電力の抑制につながると、こういった調査結果も得られておりますので、こういった情報も広く周知していきたいというふうに考えております。
さらに、フロン類を使わない自然冷媒機器への転換につきましては、これまでも支援を行ってきているところでございますが、来年度から、特に転換が進んでいない中小企業を中心に、引き続き支援を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
次、31ページをお願いいたします。法の施行状況でございますけれども、令和元年、法改正以降、都道府県による立入検査、それから任意の実地調査の実施件数が、左側のグラフにあるように増加いたしております。改正法の趣旨に沿って、施行いただいているというところでございます。特に、東京都におきましては、フロンGメンということで、解体現場の確認を多数実施いただいているところでございます。最新の業務用冷凍空調機器の廃棄時のフロン類回収率の推計の値でございますけれども、前年より1ポイント減りまして40%でございました。さらなる法の厳格な施行と周知に努めてまいりたいと思っております。また、令和4年11月、警視庁によりまして、フロン法違反事案の検挙がございました。これを受けて、環境大臣談話を発表いたしてございます。
次、32ページをお願いいたします。2022年5月の日米豪印首脳共同声明におきまして設立されました、いわゆるQ-CHAMPでの合意に基づきまして、COP27において、HFCに関するワークショップを開催いたしました。また、途上国におけるフロン対策の立案に資するように、気候と大気浄化の国際パートナーシップ、CCACと共同でHFCs等の政策手法を集めました「リソースブック」を作成、公表いたしております。また、「フロンJCM」といたしまして、途上国における代替フロンの回収・破壊による温室効果ガスの排出削減事業を実施しておりまして、現在フィリピンとベトナムにおきまして事業を実施しているところでございます。
以上、フロン対策についてのご報告となります。
 
気候変動国際交渉室長
続きまして、国際的な動向についてご説明を申し上げます。気候変動国際交渉室の青竹でございます。
COP27の概要でございますけれども、昨年11月にエジプトで開催されまして、「実施のCOP」として、世界全体での気候変動対策の強化に焦点が当たりました。COP27で決定されました全体の決定としましては、「シャルム・エル・シェイク実施計画」というものでございます。このポイントでございますけれども、大きくこちらでは2点挙げてございます。緩和につきましては、パリ協定の1.5℃目標に基づく取組の実施の重要性、その目標に整合的なNDCの再検討・強化を求めるというものでございます。また、気候資金につきましては、資金の流れを気候変動の取組に整合させることを目的としたパリ協定の理解を促進するために、対話を開始するということが決定されました。
次のページをお願いします。西村環境大臣のCOP27への参加ということでございますけれども、大臣には閣僚級セッションにおいて、主要経済国に対して1.5℃目標と整合した排出削減目標を策定することを呼びかけていただいてございます。また、閣僚級の協議を通じて、交渉に積極的に貢献していただくとともに、21か国・地域の閣僚級とバイ会談を行いました。また、一部の国とは、協力に関する覚書を締結したというところでございます。
3番目の我が国の気候変動対策の取組の発信ということでございますけれども、「ジャパン・パビリオン」を設置しまして、展示、セミナーを開催いたしました。特に、GX、トランジションファイナンス、削減貢献度などの考え方について産官学と重要性を共有したということでございます。
また、事前防災から災害支援・災害リスク保険までの技術的支援等を包括的に提供する「ロス&ダメージ支援パッケージ」を公表してございます。さらには、質の高い炭素市場構築に向けた「パリ協定6条実施パートナーシップ」の立ち上げを行いました。また、WMO早期警戒システム普及行動計画への支援などについても発信をしたというところでございます。
次をお願いします。各議題の交渉結果でございます。
緩和につきましては、2030年までの緩和野心と実施を向上するための「緩和作業計画」が策定されました。また、パリ協定6条については、6条の実施に必要となる細則や、国連が管理をする市場メカニズムの実施等について決定をしてございます。また、適応については、「世界全体の適応目標に関するグラスゴー・シャルム・エル・シェイク作業計画」について、その進捗状況を確認するとともに、最終年に向けた作業の進め方について決定をいたしました。
ロス&ダメージにつきましては、技術支援を促進する「サンティアゴ・ネットワーク」の完全運用化に向けた制度的取決めについて決定されております。
また、グローバル・ストックテイクについては、COP28で実施されるGSTの成果物の検討のために、今後の新たなコンサルテーションやワークショップの開催が決定されました。
気候資金については、特に脆弱な国へのロス&ダメージ支援に対して、新たな資金面での措置を講じるということ、また、その一環としての基金を設置するということが決定されております。また、その資金面での措置については、今後、COP28に向けて勧告を作成するために、移行委員会の設置が決定されたということでございました。
私からのCOPの報告については以上でございます。
 
地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官
引き続きまして、国際的な動向の後半、6条、JCM、G7について、地球局参事官の水谷より説明させていただきます。
先ほど、緩和野心の向上について少し触れておりましたけれども、世界全体の排出削減の深掘りに当たりまして、パリ協定6条の活用は効果的だと考えております。資料の真ん中の左にありますとおり、6条の適切な実施によりまして、2030年までに、累積で40~120トンCO2の追加的な削減が実現し得ると報告がございます。また、右側ですが、それに伴いまして、50兆円規模の脱炭素市場の創出が行われる可能性があるというふうに言われております。
次のページをお願いします。こうした脱炭素市場を、より質の高いもの、high integrityなものにする必要があると考えておりますが、そのためには、途上国等の6条実施の能力構築ですとか、体制強化というものが必要になるということが明らかになっております。そこで、我が国はCOP27におきまして、質の高い炭素市場構築に向けた「パリ協定6条実施パートナーシップ」を立ち上げております。現在、49か国・25国際機関が参加しています。この2月より、ワークショップ等の能力構築支援活動を順次開始していくこととしております。
次のページをお願いします。続きましてJCM、二国間クレジット制度でございますが、この半年近くで8か国、パートナー国が増えまして、現在、25か国との間でJCMを構築しております。2030年までの国内外で累積1億tという目標の達成に向けまして、足元の必要な体制整備も含めまして、JCMの積極的な活用につきまして、さらに進めていきたいというように考えております。
続きまして、41ページをお願いします。
G7札幌、気候・エネルギー・環境大臣会合について、簡単にご説明いたします。今年4月15日、16日に開催する予定でございます。化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行し、さらにカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブを統合的に実現するために、経済社会システム全体の変革をどう進めていくのか、議論していくこととしております。気候・エネルギー、それから環境のそれぞれで課題を議論するとともに、エネルギー安全保障を確保しつつ、脱炭素と経済成長の同時達成、資源効率性の向上、生物多様性の実現等を統合的に追求していく、こうした問題のシナジーを追及していくということについても議論していきたいというふうに考えております。
私からの説明は以上でございます。
 
気候変動適応室長
続きまして、気候変動適応に関する取組ということで、気候変動適応室、塚田からご説明いたします。
43ページでございます。気候変動適応計画の進捗状況ということでございます。適応法に基づく、政府の適応計画につきましては、一昨年10月に改定の閣議決定が行われておりまして、各省と連携して、計画の取組を推進しているところでございます。この計画のフォローアップについて毎年度実施しておりまして、令和3年度の施策のフォローアップ報告書を昨年11月に公表しております。このスライドはその概要でございます。この報告書では、分野ごとの施策の進捗の状況、あるいは設定したKPIの実績の進展、そういったものを確認しております。
左側に、分野別施策の進捗の例ということで、水資源分野では「渇水対応タイムライン」の関係の進捗、自然災害分野では、気候変動による降雨量の増加を示した「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」提言の公表、また、健康分野では、熱中症関係で、「熱中症警戒アラート」の全国での運用開始、こういった進捗が見られてきつつあります。
右側は、主なKPIの進展の例が記載されておりますが、前年度との比較が可能なKPIのうち、分野別については27のうち20、基盤的施策については27のうち22のKPIにおいて、実績の進展を確認しております。
次のページ、44ページでございます。参考までに、この適応計画の見直しと進捗管理ということでお示ししております。まず、短期的な施策の進捗については、前のページでご紹介したとおりでございます。また、中長期的な適応の進展の把握・評価ということで、分野ごとに施策の進捗状況、それから適応策の効果、こういった、いずれの観点からも評価を行うということで、現在検討を進めております。関係省庁との調整を経て、決めていきたいというふうに考えております。
今後のスケジュールでございますが、次の気候変動影響評価は2025年度、それを踏まえた適応計画の改定を2026年度に予定しております。その他、本計画のフォローアップについても、次の計画改定に活かしていきたいというふうに考えております。
続きまして、45ページ、ロス&ダメージの関係、先ほど、COP27の部分でございましたが、その中で、西村大臣が打ち出した日本のイニシアチブというところになります。ロス&ダメージは、世界における喫緊の課題でございます。国際社会が一丸となった取組が必要ということでございますが、交渉の中では、その新規追加的な資金支援、こればかりが焦点を当てられるという状況の中で、既存資金、あるいは技術的な支援と、既に日本政府が実施しているところでございますので、パッケージとしてお示しをしたというものでございます。事前防災から災害支援・災害リスク保険までの支援、それから早期警戒システム、そのほか、横断的取組として、①から③まで、ここにお示ししているようなパッケージとしてお示しをしております。
続きまして46ページ、前のページでお示ししたパッケージの中で、新規かつ追加的なイニシアチブとして、西村大臣が打ち出したものです。これは昨年、国連が、早期警戒システムで、地球上の全ての人々を守るというイニシアチブを打ち出し、COP27でWMOが行動計画を出したと。それに呼応するような形で、日本の有志企業との官民連携の推進体制を構築して、途上国において早期警戒システムの導入、あるいは、それを活用した自動展開をビジネスベースで展開していけるような形で推進していくということで、現在、官民連携体制の構築に向けた準備を進めているという状況でございます。
私からの説明は以上です。
 
大塚部会長
それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問・ご意見などをいただきたいと思います。
その前に、本日欠席されております江守委員からご意見をいただいておりますので、ご紹介させていただきます。よろしくお願いします。
 
総務課長
それでは事務局から、代わりに読ませていただきます。
2点いただいております。
1点目ですけれども、GXの実行のスケジュールにおいて、炭素に関する賦課金について、2028年度からと、排出量の有償化、2033年度からの導入は遅過ぎる。エネルギーに関する国民負担が増えないようにという配慮と理解しているが、負担の分配については議論されているのだろうか。一軒家を持ち電気自動車が買えるような高所得者は、各種補助金が受けやすいことも併せて考えると、配慮すべきは国民負担の総額よりも低所得者の負担ではないだろうか。低所得者への負担軽減措置を併せて実施しつつ、賦課金と有償化のスケジュールを早めるべきと考える。
2点目として、環境省は関係していなさそうだが、GX実現に向けた基本方針については、全国説明・意見交換会が各地で順次行われている。しかし、既に実施された関東開催は周知期間が短く、定員も限定的であった。会場50名、オンライン100名。GXに関するこのような対話機会は極めて重要であるため、政府として、より本格的に実施して、国民的議論を促していくべきと考える。
以上です。
 
大塚部会長
ありがとうございました。
では、環境省のご説明につきまして、ご質問・ご意見をいただきたいと思います。現在、事務局で挙手されている方を確認しておりますので、しばらくお待ちいただければと思います。
では、小西委員、お願いします。
 
小西委員
ありがとうございます。私からは、2点に絞ってお話しさせていただければと思います。
包括的なご説明ありがとうございました。
資料2の5ページですが、先ほど、江守委員もおっしゃっていましたが、このGX実現のためのこの法案、議論が非常に拙速に進められて、国民的な議論が、特に原発のことなど非常に意見が分かれることに対しても、あまりきちっと議論の場がなされないまま進んでいくということに非常に懸念を持っております。
例えば、5ページの中でカーボンプライシングについてもですが、つい先月行われたカーボンプライシング小委のところで、環境省のカーボンプライシング小委は、しばらく休眠するというように伺いました。ここの中に、経産省と協力して、今後カーボンプライシングを推進していくと書かれているのですけれども、それがどのような場で、どのように行われるかということをお聞きさせていただきたいと思います。
あと、GX実現のためのこの法案、この間、パブコメにかけられていました。この中に、GX実現のために関連法案の策定と書いてあるのですけれども、この関連法案とは、具体的にどんなことを想定されているかということを伺わせていただきたいと思います。
この中に書かれているカーボンプライシングをはじめとするものは、まさに温暖化の緩和、緩和法となるようなことが書かれているものがこのGXですので、本当はこれを進めていくためには、例えば、先ほど説明にもありましたネイチャーポジティブですとか、こういった生物多様性の配慮ということも本当に不可欠ですので、今後も、環境省からのインプットというものが重要なのだと思っております。ですので、まず、このGX実現のための関連法案とは、どのようなものを想定されているのかということを伺わせていただければと思います。
以上です。ありがとうございました。
 
大塚部会長
では、下田委員、お願いします。
 
下田臨時委員
ありがとうございます。これから、やはり地域・くらし分野というのが非常に大事になってくるということ、その上で、地域の中に、特に地方公共団体等で人材が足りないと書かれていることに関しては、本当に私も同意いたします。これから地域に人材を育てていくために、かなり強い対策を取っていただく必要があるのではないかというふうに思っております。例えば、今、脱炭素先行地域ということで進んでおりますけれども、これもよくある話ですけど、2030年になったら、採択のときにいた人がもう自治体にいないということがよくあります。そうではなくて、やはり2030年までやり切る人材に参画いただくということ、その方にいろんな研修とか、いろんな機会を与えるということで、地域の中心になっていくような人材を積極的に育てていく政策というのを、ぜひ考えていただきたいなというふうに思います。
その後で、大学等の教育のことも考えていただいておりますけれども、やはりGX関係の学部・学科に人を集めていくためには、進路を決めている高校生くらいに積極的に情報提供、教育というのをしていただきたいなというふうに思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
 
大塚部会長
ありがとうございます。採択したときの人がいなくなるというのは、昔、公害防止管理者とかでもありましたが、大事な問題だと思います。
では、三村委員、お願いします。
 
三村臨時委員
どうもありがとうございました。大変広い視野で、様々な検討が行われたことが分かりました。私からは簡単に3点、意見とそれから質問をしたいと思います。
第1の質問は、資料の1、今後10年を見据えた取組の方向性ということで、Cの経済社会の基盤の強靭化、いわば国土のレジリエンスの強化ということについて、説明がなかったわけですけれども、先ほど小西委員も言われたように、今後10年、あるいは、さらにその先の国民生活、あるいは地域の姿を考えると、この分野は非常に重要だと思います。
例えば気候変動、これからさらにひどくなるとして、それに対する防災とかレジリエンスをどう強化するのか、それから、温暖化対策においても、生態系を重視したネイチャーベースソリューション、そういうものをどういうふうに使っていくのか。その部分についても十分国民に分かりやすく、地域の人々にも理解できるように、その政策を具体化していただきたいと思います。その点について、どういう具体的な進展を考えておられるのか、それが第1点です。
2番目は、資料の2、国内外の最近の動向についての16ページ、17ページで、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしの絵姿、そういう姿を共有しながら、地域からやっていくということは非常に重要だと思います。
一方、今、私も幾つかの自治体の相談に乗ったりしておりますが、多くの市町村レベルでも、温暖化対策計画の改定、見直しが進められています。ところが、そのやり方として、環境省が策定している、計画のひな形というのが多く使われているのですけれど、その中には、今日いろいろ紹介していただいた住宅の省エネとか、そういうことについての具体的な計画の中身が入っていないのですね。それで、多くのものは太陽光発電でいかに地域のポテンシャルを生かして再エネをやっていくかというようなことを中心に検討されていて、今日言われたような省エネ・省資源なども含めた、住民の方にも分かりやすい、これなら取り組もうという、そういうような形の自治体の政策というものが、なかなか打ち出せていないと。そういう点について、ひな形を作られたときと現在では相当政策の認識も違っているということはあると思うので、ぜひ今日のような提案を、その中に入れていくことを進めていただければと思います。
3番目は、資料2の38ページの気候資金についてです。ロスダメ基金ですけれども、説明の中にもありましたけど、途上国からすると、新規追加的という部分にこだわる構図だと思うのですけれども、実際には、これまでのODAによる防災や社会インフラ、あるいは様々な産業への支援というようなものと一体にしてやるほうが、ずっと効率がいいはずなんですね。ですから、そういう議論が今度のCOPではどうだったのか、それから、我が国の今後、ロスダメと開発援助のコベネフィットといいますか、両方を実現するというような方向での取組について、どういうふうにお考えか、その点を伺いたいと思います。
以上です。
 
大塚部会長
どうもありがとうございます。
では、藤村委員、お願いします。
 
藤村委員
藤村です。ありがとうございます。私からは5点ほど。
1点は、先ほど江守さん、小西さんからもありましたカーボンプライシングについて、やはり支援、投資の後に賦課金とか排出量取引ということになると思うのですけれども、時期的に、かなり遅いなというふうに思いますし、支援とか投資も、これまで随分そういうことをしてきた力ある企業への支援がほとんどで、これでいいのかなという感じがいたします。既得権益の温存に終わるのではないかということで非常に危惧しています。
2点目は、国民運動ですけれども、何するのかなと。具体的には多分これからの議論になるのだと思いますけれども、官民協議会のメンバーも、今のところ、企業や自治体が中心だというふうに伺っております。国民の参加のない国民運動はうまくいくとは到底思えません。
そして、DX、GXともに、やはり企業中心の考え方になっているなと思います。原発政策など反論も非常に多いですし、これで国民の脱炭素化に対する理解が進んで、行動が変わるかどうか、非常に疑問に思っています。環境省には、経産省とは違う役割があると思います。特に、地域脱炭素と言うならば、供給側ではなくて、もっと受ける側の地域の、そして人々のニーズを把握した政策というものに重点を置いていただきたいなと思っているところです。
3点目は、全体的なことなので国民運動とも関連しますけれども、非常に市民参加が少ないなというふうに感じております。以前にも申しましたけれども、リオ宣言第10原則では、環境問題はそれぞれのレベルで、関心のある全ての市民が参加することによって最も適切に扱われる。意思決定過程に参加する機会だとか、市民の認識と参加を促進し、かつ奨励しなければならないというふうにあります。
にもかかわらず、脱炭素、GXに関わる様々な計画の中に、市民の中でも、特に認識があり、行動力もある市民団体の表記は非常に少ないですし、様々な検討会のメンバーも、環境団体の参加は本当に少ないですね。政府、企業、市民社会のトライアングルがうまく機能してこそ、初めて持続可能な、健全な社会が構築されるというのは、今の世界の賢者の意見だと思うのですけれども、日本は相変わらず産官学の構成のままで、市民社会を忘れているのではないかなといつも感じております。これから様々な計画が実施段階に入るわけですが、誰がそれを担うのかということです。ぜひ、市民社会ということをもうちょっと重視していただきたいなと思います。
4点目といたしまして、人材育成、環境教育のやり直しが必要だなというふうに考えています。先ほどの意見と重なりますが、脱炭素に対する中小企業、あるいは国民の理解というのはまだまだです。環境省のアンケートでも、国民が情報を得るのは主にメディアからですが、それによって行動の変化が起こるということはほとんどないようです。単発的な普及啓発だけでは不十分ですし、また、即戦力の育成だけではなくて、脱炭素という文明の転換まで求められる時代に即した中長期的な視点からの環境教育のやり直し、特に、個人の生活の変化だけではなくて、社会経済的行動につながるような環境教育のやり直しが必要ではないかなというふうに思っています。そのための国民的議論、参加ですし、以前から提案した気候市民会議もその一つではないかなと思いますので、この辺のところを、もっともっとこれから取組を進めるに当たっては重視していただきたいと思っています。
それから、今日は私自身、最後の参加になるので、直接関係はないのですが、5点目として、審議会の進め方について。最初、審議会というのは本当に審議する場というふうに考えていたのですけれども、どうも実際は3分間という限られた時間の中で、個人の意見を表明する場になってしまっているなというふうに思います。もっと審議会の進め方を再考してほしいというお願いを、井田委員などとともにした覚えがありますし、また、その後は、質問に対する回答はしていただくようになりましたけれども、その質問に対する反論意見などはできず、相変わらずの進め方が続いているように思います。以前は、もっともっと議論の場であったと、以前の委員からは聞いております。ぜひ、日本の将来に関わる重要なテーマについて審議する場ですから、もっと時間を確保して、もっと人も絞って、ぜひ審議会という名にふさわしい、喧々諤々の議論の場にしていただきたいなと期待しております。
すみません、長くなりました。
 
大塚部会長
ありがとうございます。最後の点は、記憶に留めていきたいと思います。
では、亀山委員、お願いします。
 
亀山臨時委員
はい、どうもありがとうございました。非常に多岐にわたるご説明をありがとうございます。環境省様の日ごろのご尽力に敬意を表します。
2点、意見させていただきたいと思います。
1点目が、資料2のページ41、G7札幌の会合に関することであります。これまで何年かにわたって、ほかの国がホストしたG7では気候変動と生物多様性が車の両輪であるという扱いで、常に気候変動の抑制、緩和に向けて、脱炭素していくべきだという意見と併記するような形で、生物多様性の保全についてもきちんと扱っていたという経緯があったかと思います。それと比べますと、日本の国内のここ1年の脱炭素に向けた意思決定は、先ほどのGX実行会議に関するほかの委員の皆様からのご意見もありますように、非常にエネルギーの技術的な部分に特化した議論となっておりまして、そこに生物多様性、あるいはネイチャーポジティブといったような考え方が全く反映されてないという課題があったというふうに思います。ですので、今度のG7におかれましては、ぜひ、ほかのG7の加盟国の気候変動担当者の方々と連携をとって、うまく気候の緩和の話とネイチャーポジティブの話を結びつけるような宣言文を草案いただけるようお願いできればというふうに思います。これが1点目でございます。
もう1点は、39ページ目のJCMに関するお話です。このJCMも非常に重要なメカニズムで、言ってみれば日本のお金と技術でもって海外の排出削減に貢献するというスキームでございますけれども、これだけを拝見すると、どうしても国と国との間のパートナーシップというようなニュアンスがとても強く見られると思います。
一方で、先ほどの資料1にもありましたように、最近、民間の金融の関係者の方々の間では、グリーンファイナンスの話が非常に盛り上がっております。グリーンファイナンス、今日の資料1のご説明では、どちらかというと日本国内の地域循環共生圏に資するような、国内の地域でも脱炭素に関係するプロジェクトにお金を出していくというような意味合いで、このサステナブルファイナンスも、あるいはグリーンファイナンスもご説明があったと思うのですけれども、日本国内でお金を回していくということが重要であるということは私も同意しますけれども、それと同じぐらい、日本の投資家、あるいは日本のお金を、いいところに使っていきたいと思うような方々が、日本国内だけではなく海外のそういった、よいと思われるプロジェクトにお金を出しやすいような、投資しやすいようなスキームに、JCMもなっていくといいなというふうに考えておりまして、ぜひそのような形で民間のお金を集めて、JCMの中のパッケージとして海外のプロジェクトにお渡しできるような、パリ協定の6条でもそういう可能性も書かれておりますので、そういったスキームにしていただけるといいかなというふうに思いました。
私からは以上になります。
 
大塚部会長
ありがとうございます。
では、吉高委員、お願いします。
 
吉高臨時委員
ありがとうございます。私からは、カーボンプライシングを早期に導入するということに大変同意しておりまして、それに関して、申し上げたいことがございます。
まず、経済産業省でもカーボンフットプリントは検討されており、環境省も関わっていると思うのですけれども、やはり一部の産業からというようなイメージもあるので、今の、例えば地銀協会でも、90%がTCFDに賛同いたしまして、スコープ3の排出量も見ていかなくてはならない場合に、中小企業はこういった製品に関する排出量データがまるでない状態ですので、ぜひ、そういったデータの整備というのを、この計画の中に入れていただくことは可能でしょうかというのが、まず1点でございます。
なぜ申し上げるかと申しますと、国民運動に関して、やはり消費者がもっと商品を選ぶ能力を上げていかないとと思います。私は農水省の繊維産業のサステナビリティーの政策に関わっているのですが、最終的には価格転嫁の話に必ずなります。今、世界中で、これほど物価が安い先進国はないということでは、これがなかなか進まないと、将来の豊かな暮らしに本当につながるのかというような疑問を持っております。まず、それが1点です。
それから、脱炭素の人材育成というのがあるのですけれども、今の価格転嫁という点で、やはり環境価値の転嫁の部分で、そこも教育が重要かと思っています。人口が減少する中で、本来の価値、価格というものを、きちっと教育の中で分かっていただくような機会を持つ。そういったことが将来的には食糧、エネルギー、経済の日本の現状、こういったものを解決に導くような重要な鍵になると考えております。
最後に、G7ですけれども、今、亀山委員もおっしゃっておりました、ネイチャーポジティブ、本当に重要です。全面的に押し出していただきたいと思っているのですが、防災能力が高くて、言うなれば気候変動の適応力が高いという日本の特徴、これは海洋国家であるということも大きいと思っています。ですので、G7の中で唯一のこういった海洋国家である日本が、例えばブルーエコノミーという形で打ち出すことはできないのか。
例えば、北海道で今回は行われるわけですけれども、脱炭素先行地域の提案も多い場所ですし、水産庁でも、北海道ブルーカーボン推進協議会などもありますので、それでエネルギー、環境、経済安全保障上、安全保障上も極めて海洋は重要なので、ぜひ環境の面から、エネルギーの面から、G7でブルーエコノミーについても取り入れていただければと思っています。
以上でございます。ありがとうございます。
 
大塚部会長
ありがとうございます。
では、石上委員、お願いします。
 
石上委員
資料1の53ページに、連合としても主張させていただきました公正な移行についての記載、そして、GX実行会議の取りまとめ文書にも公正な移行が入ったということで、非常に感謝をしております。
この間の議論の中でも、労働力の公正な移行ということだけではなくて、ここに記載のとおり、地域経済や地場企業も含めた公正な移行が必要なんだということについても、この53ページには記載をしていただきました。その意味では、このカーボンニュートラルの取組で経済成長を目指していくんだという、そういったある意味、明るい話というものが、前面に出ているのですけれども、一方で、我々が主張しているとおり、ここには労働移動の円滑化を図っていくというふうに記載をしていただいておりますが、マイナスの面を受ける労働者、国民や企業というものがあって、その人たちをどうするのかという議論も必要なんだと。それを今回は入れていただいたと。
やはりこの議論がなかなか盛り上がらない、国民的な議論になっていかない一つの理由としては、こういったマイナスの面としてカーボンプライシングの話もそうなのですが、国民負担についての議論が真正面からされていないというのがあるのではないかなというふうに思っておりまして、やはり全国民が自分たちの課題であり、自分たちに関係あることなんだというメッセージを出していかないと、この議論は進んでいかないのではないかなというふうに思っております。
その意味では、それもこの間、申し上げておりますけれども、このシャルム・エル・シェイク実行計画にも入っておりますが、社会対話の必要性、そして社会保障の必要性、これにも当然マイナスの面があるからこその議論なんだということだと思います。そこのところを、もう少し勇気をもって政府は国民に投げかけていく。そうでなければ、いいことばかりで、座っていれば何か実現するのではないかというふうにしか国民は感じない部分があるのではないかなと私は思っておりますので、ぜひそういった、みんなに影響があって、全ての自治体に影響があると、こういったメッセージをもっと出す必要があるのではないかなというふうに思います。
以上です。
 
大塚部会長
ありがとうございます。
では、次、小和田委員で一旦切らせていただき、事務局から回答いただきたいと思います。
小和田委員、お願いします。
 
小和田臨時委員
はい、小和田でございます。私からは2点だけコメントをさせていただきます。
初めに、資料2のスライド12で、中小企業に関わる具体的な取組について、商工会議所との連携含めご紹介いただきありがとうございます。その中で、先ほど、ほかの委員からもございましたが、中小企業にとりまして、そもそもカーボンニュートラルに向けた取組みについて「知る」、そしてCO2の排出量を「測る」ところから取り組むことが肝要です。この点、ぜひ一緒に取り組んでまいりたいと存じます。さらに、GXに関しましては、「省エネ」の取組が重要で、CO2削減と合わせてコスト削減にもなるという観点で、中小企業にとってみればメリットがある取組となることから、「減らす」についても、具体的に一緒に取り組んでまいりたいと考えております。
また、今回、カーボンプライシング等、今後のロードマップについて、4ページに記載されてございますが、このように前もって将来の具体的な取組が共有されることは、我々事業者にとっては、備えを講じる時間、すなわち「リードタイム」ができるという意味で大変歓迎いたします。
一方で、先行きにつきましては、エネルギー情勢も環境情勢も大変に不透明であるということを踏まえ、ロードマップは一旦作成するものの、その時々の状況に応じたしなやかな対応、必要に応じては見直すといったことも含めて、検討を進めていただければと思います。
私からは以上、2点でございます。
 
大塚部会長
ありがとうございました。
では、ここで一旦切らせていただいて、事務局からご回答をお願いします。
 
総務課長
たくさんの重要なご指摘をありがとうございます。
まず、GX絡みで多くの意見をいただきました。江守委員、小西委員、藤村委員からいただきました。また、カーボンプライシングの時期について、遅いのではないかというご指摘もいただきましたが、この政策パッケージについては、いろんなご意見はあろうかと思います。この政策の意図としては、成長志向型カーボンプライシング構想ということで、削減目標の達成と、経済成長というのを同時実現するために、今後10年で150兆円という投資が必要なんだと。それを実現するために、GX債を活用した先行投資というものをまずやって、しかも、単にお金を出すだけではなくて、規制・支援と一体でロードマップを作りながら、見通しを立てながらやっていくと。さらに財源確保でCPを導入して、CPについては、改めて時期を明示して予見可能性を高める。こうした政策パッケージで、支援・規制・CPというのを一体となって早期にやっていくことで、早期の投資や対策を実施すると。そういった趣旨のパッケージでございます。大事なのは対策をいかに前倒しでやっていただくかという、小和田委員からも、そういった見通しに基づくといった話がございましたけれども、そういった意図の対策です。いろんなご意見はあろうかと思います。
それから、小西委員のほうから、CPの今後の検討、どういう場でどういう検討をするのかということについては、CP小委でも環境省から申し上げたとおり、今後の調整というように認識をしております。
それから、関連法案としては、GXの基本方針の内容を実施していくための大枠、エネルギー関係はまた別途の法案があるようでございますけれども、GX、この基本方針を推進していくための大枠、国債の発行であるとか、償還であるとか、カーボンプライシングの導入時期等について定める法案が検討されているものと承知をしております。
それから、江守委員のほうから、GXの説明会を経産省がやっているということについての指摘がありました。経済産業省さんのほうでエネルギー、特に原子力についていろんなご意見があって、国民への意見の聞き方が足りないのではないかということで、意見交換会を開催されているというように承知をしています。いずれにしろ、GXについての国民理解ですね、委員からは、マイナスの面についても引き続き、そういうことが必要じゃないかとご指摘をいただきましたけれども、GXについて、国民にご理解いただくための努力というのは、これは何省であれ、計画する上で、環境省でもしっかりやっていかなくてはいけないというように認識をしております。それから、藤村委員からの審議会の進め方についてのご指摘、しっかりと心していきたいと思います。
あと、個別のものについて、まず、地域グループ関係で、下田委員からの、2030年まで脱炭素をやり切る人材というところと、三村委員からの、自治体の取組の中での住宅の省エネとか、そういうこともやるべきではないかという辺り、地域グループの髙橋さん、いかがでしょうか。
 
地球脱炭素事業推進課 課長補佐
ご意見いただきましてありがとうございます。環境省地域脱炭素事業推進課の髙橋でございます。
まず、下田委員からいただきました人材の件でありますけれども、我々もやはり地域の人材は非常に重要だと思っておりまして、特に地域の全体を牽引するリーダー、あるいは合意形成が大事ですのでコーディネートする人材、それから、脱炭素はやはり専門的な知識も必要ですので専門人材と、こういった方を育成していきたいということで、再エネ地域中核人材育成事業というものをやっておりまして、直近、令和3年度の実績ですと700人、自治体も含めて地域の企業であるとか、そういった方々のトレーニングをさせていただいているところであります。しかし、まだまだ、地域の人材は不足していると思いますので、こういった中核となる人材を育成してまいりたいと思っております。
また、脱炭素先行地域、今は計画段階ですけれども、2030年度に実現するというので、地方公共団体の方は異動もあるということでありますけれども、この次の第3回の募集からは、共同提案者として自治体以外の方も必須としておりまして、やはり地方公共団体以外のプレイヤーの方の参画も非常に重要ということで、そういったことにも配慮して、これから脱炭素先行地域の取組を進めてまいりたいと思います。
それからもう1点、三村委員からいただきましたご意見ですが、おっしゃるとおり、今の地方公共団体実行計画は、令和3年度の改正で、再エネのところにかなりウエートを大きく置いた部分がございます。ただ一方、やはり省エネの部分も非常に大事でございますので、我々のほうでつくっている地方公共団体実行計画策定マニュアルといったものに、省エネの施策も記載できるよう、これから検討を進めてまいりたいと思います。
以上でございます。
 
総務課長
それから、適応関係で、三村委員からロスダメと開発援助のコベネというのと、あと三村委員の1点目の国土のレジリエンス、もし可能でしたら、適応室のほうから、適応施策について、どう分かりやすく説明していくかということも含めて、お答えいただけますでしょうか。
 
気候変動適応室長
気候変動適応室の塚田でございます。
まず、COP27のロスダメに絡めたご質問でございますが、先ほどご説明しましたとおり、COP27では、エジプトでの開催だったということもあり、ロスダメに関して、特に途上国側から追加的な資金支援に焦点を当てた主張がなされ、結果として、資金での措置を講じる、その一環として基金を設置することなどが決まっているというところがあります。ただ、私どもとしては、新規追加的な資金支援だけではなくて、既存資金、あるいは技術的な支援も活用して、包括的に、効率的に取り組んでいく必要、その一環からご説明したロス&ダメージ支援パッケージというのを出していますし、政府だけの取組ではなく、官民連携のような形も含めて、お示しをしています。
今年、G7大臣会合が4月にございますが、私どもの認識はG7の間でも共有して、ODAなどの効率的な運用も含めた視点で取り組んでいきたいというふうに考えております。
 また、三村委員ご指摘の1点目のレジリエンス、あるいはNbSなどを地域の人にも分かりやすくということで、適応の視点で申し訳ございませんが、気候変動適応法の枠組みの中で、地域において、都道府県、市町村のほうで地域適応センターというのを設置していただいて、地元の市民の方と連携した取組、あるいは情報発信といったものをやっていたりもします。そういった活動を続けていきたいですし、また、政府の気候変動に関する世論調査などを見ますと、どうしても適応という言葉だとか行動とか、その辺の認知度がまだまだというところもございますので、そういったところの底上げから始め、それも含めた形で取り組んでいきたいというふうに思っております。
 
総務課長
それから、三村委員から、国民運動で何をやるのかという。
 
脱炭素ライフスタイル推進室長
はい、ありがとうございます。脱炭素ライフスタイル推進室の井上でございます。
まさに国民運動、これからというところで、様々なプロジェクトとかキャンペーンを、今、逐一進めているところでございます。具体の動き出しは、恐らく4月から、いろんな取組ができるかなというふうに思っております。また、企業、自治体が中心になってというお話もございましたが、官民連携協議会では、NGOの皆さんをはじめとした団体の方も、さらに個人の方にもご参加いただいて、様々なご意見、意見交換をしながら進めているところでございます。藤村委員の団体にも入っていただけるとありがたいなと思っております。
市民の皆さんと一緒になってというところは、我々も考えているところでございますので、そういうことで一緒に進めていければと思っています。
以上でございます。
 
総務課長
それから、吉高委員から、G7でブルーエコノミーを打ち出すことができないかということですが。
 
国際連携課長
ありがとうございます。国際連携課長の川又でございます。
ブルーエコノミーの関係、吉高委員の関係ですけれども、オーシャンディールということで、昨年のG7、ドイツの大臣会合ではまとめられております。海洋の関係では、やはり海洋プラスチックの問題ですとか、あるいはCOP15で合意された「30by30」の問題等ありますので、そういったものもそうですし、あるいは気候変動の緩和の関係で、海の活用ということも議論されているところでございますので、そういったことも、今後G7の中で検討していくということで考えております。
それからもう一つ、ネイチャーポジティブの関係につきましては、これもまさに今度のG7の中で一つの大きなテーマといたしまして、昨年、COP15で、新たな生物多様性枠組が採択されたということを受けまして、ネイチャーポジティブエコノミーの実現に向けて、脱炭素、それから循環経済と併せて統合的に進めていくということが非常に重要だと思っておりますので、そういったことも、このG7の中で打ち出して、これを進めていけるようにしたいというふうに考えております。
以上です。
 
総務課長
JCM関係で、亀山委員から、日本の投資家が海外プロジェクトに投資しやすい仕組みになっていくというご意見、水谷参事官、いかがでしょうか。
 
国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官
はい、ありがとうございます。
ご指摘の点、まさにそのとおりだと思っております。JCMの前のページに、質の高い炭素市場構築に向けた「パリ協定6条実施パートナーシップ」ということで説明させていただいていますが、質の高い炭素市場とは何ぞや、ということで、もちろん環境十全性だけではなくて、例えばジェンダーであったり、あるいは人権配慮だったりとか、そういったところを含めて、脱炭素技術が展開できるように、また、そこに民間投資が集まるようにという観点から、パートナーシップというもの、そういった市場がちゃんとできるようにという観点から、パートナーシップをつくったという側面もございまして、まさにJCMというのは、そういったものを勘案した上で進めていくものだというふうに思っております。
JCMの設備補助事業をやっていますけれども、そこでも、そういったコンセプトがちゃんと実現するようにという形で、プロジェクトを進めていきたいと思っていますし、また今後、民間JCMというものを進めていくことになりますけれども、そこでも、やはりそういった観点で、民間の資金が投入されやすいようにという形で、こういった質の高い炭素市場というコンセプトというものも併せて普及をさせていきたいというふうに考えております。ありがとうございます。
 
総務課長
吉高委員から、カーボンフットプリントとか排出量のデータの整備をという趣旨かと思いますが、平尾室長いかがでしょうか。
 
脱炭素ビジネス推進室 室長補佐
すみません、脱炭素ビジネス推進室の宮田ですけれど、平尾室長の代理で回答させていただければと思います。
吉高委員からご指摘いただきましたカーボンフットプリントのところ、中小関係のデータのところがなかなか無いといったことにつきましては、カーボンフットプリント自体、サプライチェーンないしバリューチェーンのところで、データを把握することについて、今年度モデル事業等でいろいろ、各企業さんと取り組んでいるところでございます。
また、消費者の選択であったりとか行動変容、ないしは価格の転嫁のところにつきましては、実際、カーボンフットプリントを今後拡大していく中で、課題となってくるかと存じますので、来年度もモデル事業を通じて、ここら辺の課題の解決に向けて、施策を進めていきたいと思います。
以上になります。
 
大塚部会長
はい、どうもありがとうございます。
では、再開させていただきたいと思いますが、田中加奈子委員、お願いします。
 
田中(加)臨時委員
よろしくお願いします。
今回、あらゆる部門にわたって総力戦を見せていただいたという思いで、技術開発も、需要供給それぞれに対策を取ろうとしていただいていて、一体感が本当に出てきたと思います。
裏を返せば、様々なステークホルダーの方と調整しながら、あるいは省庁間で調整しながら進めていらっしゃるのかなと思います。意地悪な言い方をすれば、細かいところで、それで本当にトレードオフが起きないのかとか、そういった引っかかりはあったりするのですけれども、大きなところで申し上げようと思います。もともとは低炭素とか、低GHG排出という流れから、今度は脱炭素、カーボンニュートラルというものに変わり、80%と言っていたものがもう100%になったわけで、これまでの低炭素とか、低排出の流れで進めていただいていたことについては、「低」になるのだけれども、本当に脱炭素につながるのかなという疑問があります。あるいは、こう進んで来たものをこのまま深めていけばなるというのではなくて、別の道を取るべきなのではないかといったところが散見されているようにも感じております。
例えば省エネですと、どのようなエネルギー源で使うエネルギーであっても、減らすことで全体の削減努力を後押しするものになるのでいいと思うのですけれども、化石燃料を使いつつで、ただ薄めるにとどまってしまうような技術利用の場合、見直しを図るべきなのではないかと思っております。このままでは減ることは減るけれど、ゼロにはならない。なくならない部分はもうCCSありきで、あれもこれも考えているのではないか、そんな疑問も少し浮かんでしまうようなところがございます。
あるいは、ご説明に詳細はありませんでしたが、グリーンエネルギーからつくった水素やアンモニアなど、ある種クリーンエネルギー媒体を、化石燃料に混ぜて使うことが幾つかその方策や計画に見られるのですが、今申し上げているような文脈に当てはめると、まさにそういったことが気になるといったところでございます。混ぜて使うものと、脱炭素のためにそれだけを使う場合というのは、やはり全く別の技術開発が必要な場合は、開発課題の見直しが必要なわけです。
例えば輸送部門の研究でも、炭素由来の燃料利用というものが普通に書かれていらっしゃいました。あるいは地域への脱炭素の取組といったところも、いろいろ働きかけとしては非常にすばらしいなと思ったのですが、気になるワーディングとしては「減らす」になっていて、「なくす」じゃなくてよいのかという疑問がございます。いま一度、計画の目指すところとか、そういったところを念頭に、その間のトランジションというものを見直していただければなと思います。
2点目ですけれど、過去数年、何回か意見を申し上げたこととして、脱炭素社会への移行に伴う人材育成とか教育、私は特に初等教育からと思っておりまして、やはり価値観の変容という意味では、本当に、特に初動が大事だと思っていて、それからリスキリングとかリカレント教育について、今回の中で、そういう対策がしっかり取られようとしているということを本当に大変うれしく思っています。
加えて申し上げると、GXとかDXという兼ね合いでさらにこの話を進めると、DXは現場の経験とかプロセスを熟知して理解をしているある意味シニアの方々と、AIとかデジタル教育最前線の、一番頭が働いている若手とのコラボレーションで出来上がるものだということで、それが本当に重要だと思うのですけれども、まさに、DXもGXに生かす際は、そこが基本かと思いますので、人材に関する政策立案の際にも、この世代間協力といった点をぜひ踏まえていただければなと思います。
最後に一言だけ追加ですが、吉高委員がおっしゃったスコープ3を捉えるためのデータ整備、私も非常に重要だと思っていて、本当にそれがないと結局ダブルカウントもしてしまうし、評価ができなくて抜け道になってしまうということもありますので、ぜひこういった大きな戦略の中で、しっかり捉まえていただきたいなと思います。
以上です。
 
大塚部会長
ありがとうございました。
では、伊香賀委員、お願いします。
 
伊香賀臨時委員
資料2の24ページに関してでございます。3省合同の連携で、住宅の断熱リフォーム等に2,800億円を確保していただいたということで、大いに期待しております。ただ、これは補正で、単発で終わらず、次年度以降もぜひ継続的にやることによって、民生・家庭部門の脱炭素を推進するというところに継続的に取り組んでいただきたいということでございます。
もう一つ、これに関連してなのですが、脱炭素に貢献する以外の健康への寄与ということで、日本は年間47万人が病死ですけれども、冬場に命を落としております。この対策は、そういう国民の健康を守るという観点にも寄与するということで期待しているのですが、この補助金を使える方々は、経済的にゆとりのある方々ばかりでありますので、むしろ、民間の賃貸とか公営の賃貸にお住まいで、暖房費用にも事欠く方々に対しての施策も、併せて今後ご検討いただきたいなと思います。
 
大塚部会長
では勢一委員、お願いします。
 
勢一委員
ありがとうございます、勢一です。私からは3点ほど申し上げたいと思います。
1点目は、既に前半でもたくさん意見が出ましたカーボンプライシングに関してです。私もほかの委員と同じ考え、意見を持っておりますが、やはり環境省の役割について、今後しっかり意識して、ご検討いただきたいと思いました。経済産業省に協力してということのご説明でしたけれども、カーボンプライシングは持続可能性政策であって経済政策ではないところが非常に重要で、カーボンプライシングで発生する負担は、構造上、転嫁されて、国民を含む消費者が負担をする、それによって市場メカニズムが動くことになるはずです。そういう意味では国民の合意を得られるか、得続けていくためには、やはり透明性と客観・中立的な立場での決定が非常に重要になってこようと思います。そのためは、環境省がもう少し主要な役割を今後担うべきではないかと考えております。これが1点目です。
2点目は、地域脱炭素に関してです。先ほど、公正な移行が非常に重要だというお話がございましたけれども、再エネ導入は地域脱炭素に必須ですけれども、既に各地で再エネをめぐる紛争も起こっております。そういう意味でも、ネイチャーポジティブとの連携も含めて、今後は地域で、その二つの要請を一つにまとめていくことが必要になってきています。現在、次期生物多様性国家戦略の策定が大詰めになっておりますけれども、これを受けて、今後、地方自治体が地域戦略を策定したり、アップデートする局面に移っていきます。そうすると、現在の脱炭素の実行計画の策定マニュアルもかなり大部でありますし、また、先ほどのご意見で、新しい要請も追加していくということでしたので、この大部な策定マニュアルを、また生物多様性の地域戦略でも出てきたということになると、なかなか、現場では処理できないのではないかという懸念がございます。ここは何らかの手当てが必要ではないかと考えています。併せて、専門人材の育成という点では、恐らくこのような状況だと、脱炭素の専門家だけでは足りないのではないかという懸念もありますので、取組をお考えいただければと思います。
最後、3点目ですけれども、フロンに関してです。31ページで、フロンの回収率が上がっていないという状況がデータでお示しいただいておりました。これに関しては、かなり長期にわたる取組が続いていますし、さらに自治体でも対策を強化しているというご説明でしたが、なぜ上がっていかないのかという原因として考えられるようなものがあったら、少し教えていただきたいと思います。
以上です。
 
大塚部会長
どうもありがとうございました。第1点は、特に重要な話だと思っております。
では、右田委員、お願いします。
 
右田委員
ありがとうございます。
先ほどの事務局からご説明いただきました内容に関しまして、数点申し上げたいと思います。
まず、GX実行会議についてですが、GX実現に向けた基本方針において、温室効果ガスの削減を図ると同時に、エネルギー政策、産業支援策など、産業競争力の維持強化を打ち出す方向性が示されている意義は極めて大きいと考えております。環境省におかれましては、今回の基本方針の取りまとめをスタートとして、引き続き、経済界の意見も踏まえながら、GXと成長の実現に向けた実効ある施策の展開をお願いしたいと思います。
そうした官民連携の施策展開の事例といたしまして、資料1の9ページに記載されております、サステナブルな経済社会の実現に向けた統合的アプローチ、そして、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブのトライアングルに関連して、2点申し上げたいと思います。
1点目は、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの関係であります。脱炭素製品に必要な資源の回収、リサイクルは極めて重要な課題だと思っています。鉄鋼業界においては、資源循環に関連する点として、スクラップの循環というテーマがございます。スクラップを利用した製品の技術開発をしておりますが、その実現に向けては、スクラップの分別、選別、物流インフラの整備、スクラップの国外流出の防止など、GX実現に向け、動脈と静脈が協働して資源循環を実現する新たなビジネスモデルの構築が必要不可欠です。効率的な資源循環システムの実現に向けて、政府・関係省庁と産業界とが密接に連携していく必要があると思います。
二つ目は、カーボンニュートラルと、ネイチャーポジティブの関係であります。最近、ブルーカーボンが注目されておりますが、我々鉄鋼業界の製造プロセスで発生するスラグという副産物の利用により、ブルーカーボンに貢献できます。そして、その効果発生のメカニズムも解明されつつあります。これを大規模に展開していきたいと考えておりますが、それをやる上で、法や行政との関係を調整する必要があります。環境省のみならず、国土交通省、農水省など省庁またがった連携をいただきながら、官民で推進して参りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、国際動向のところでご説明いただいたCOPについてであります。昨年のCOP27には、経団連も代表団を派遣いたしました。現地では、環境省の皆様に大変お世話になりました。この場をおかりして、お礼を申し上げたいと思います。今後とも日本政府が、立場を同じくする国と連携しつつ、国益を踏まえた交渉をしていただくよう希望いたしたいと思います。
以上でございます。
 
大塚部会長
ありがとうございました。少し接続が悪いところがあったので、議事録のほうで、修正や追加をお願いします。
では、田中里沙委員、お願いします。
 
田中(里)委員
ありがとうございます。私も短く、3点ほど、よろしくお願いいたします。
まず、資料2の4ページのロードマップについて、投資促進により、早く投資したところからインセンティブが効くということは重要でありながら、やはり同時に、大手企業のみならず、中堅、中小企業、地域企業、スタートアップも、自社の中長期的計画を立てる際に、こちらのロードマップを重ねられるように、促すことができたなら、また情報共有が丁寧になされるとよいと思います。やる気のある小規模な組織が取り残されないような配慮を期待します。
続いて16ページで、他の委員もご指摘の「暮らしの脱炭素化」についてです。多くの人は、これらの取り組みが未来社会に向けて正しいこと、良いことと認識しているのですけれども、それを自分のスタイルとして、好意的に自身の行動を変えていく、新たな価値を生むという認識にしていくためには、やはり何かもう少し、ファッショナブルというか、楽しさとか、エンターテイメント性等が必要です。地域のそれぞれの特色を生かしたライフスタイルや、家族の状況や構成に合わせたスタイルを公表し合うことも有効でしょう。表彰制度等もこれまで実施されていることに加えて、SNSの時代を意識して、互いに賞賛できる、し合えるような流れができれば良いと思います。これまでも、エシカルや、ロハスといった環境軸のスタイルはありますけれども、ネイチャーポジティブから発する新しいライフスタイルというのが強調されるのは、大変価値のあることだと感じます。市民の価値観を受ける形で、企業はサステナブルな経営を進化・発展させるという観点や、地域もそれに呼応_対応するなど、また具体的には、例えば、各地におけるサステナブルツーリズムをさらに開発して、インバウンドを通して世界とのやり取りをしながら、新しい価値観が明確になるようなシナリオを、かなり解像度を高くしていく活動ができればよいかと思います。
機運醸成や、多くの行動変容に向けて、問題意識を持って行動している企業は、もう既に様々なメディアで、例えば企業CMや動画などで、新しい技術用語と自社の取組など工夫をして公表をしたりしています。このような先進的な民間の活動、消費者に向けたB2Cの活動とも、上手く連携できたら良いと思います。
最後に、脱炭素人材の育成が産業界でも注目されていますけれども、その内容は少し矮小化して考えられているような嫌いもあります。私自身、取材をする限り、脱炭素ビジネスを招致すること、企業がビジネスベース中心で強調されているような面は、焦りもあって大きいのかと想像し、ここでも市民視点、生活者視点が置き去りにされがちかもしれないと思います。環境省が今回明確にされている、三つの原則のバランスを、人材育成においても皆が認識をして、教育機関では特にこの原則を踏まえたカリキュラム開発等もなされるように、イニシアチブを取っていただければなと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
 
大塚部会長
ありがとうございます。国民運動は、今まで環境省がどのぐらい成功してきていたという問題もあるかもしれませんので、今回はぜひ成功できるように、どうぞよろしくお願いします。
山戸委員、お願いします。
 
山戸臨時委員
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ご説明ありがとうございました。いずれも重要な取組であり、環境省が関係の省庁としっかりと連携しつつ、様々な活動を展開されていることがよく分かりました。とりわけ、資料第2の8頁にございますように、自動車の電動化に向けた国内投資を、予算面から強力にご支援いただいていることに改めて感謝申し上げます。私ども自動車メーカーは、こうした支援策も最大限に活用しつつ、全力でGXに挑戦することで、カーボンニュートラルと豊かな経済社会、ライフスタイルの実現に貢献してまいりたいと存じます。
また、暮らしの脱炭素化の取組の中でご説明がございました、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしをつくる国民運動は、新たな消費行動の喚起や、国内外での脱炭素型の製品・サービスの需要創出を図るものであり、GXを実現する上でも大変意義のある運動であると思います。とりわけ脱炭素型の製品は、往々にして生産コストが高くなり、結果、販売価格も高くなりやすい傾向がございます。国民運動を通じ、政府全体として、消費者の理解促進を図っていただくことは、脱炭素型の製品の普及を進める上で大変有効であると考えます。環境省の皆様には、企業、経済界のGXの取組へのご支援、ご理解をぜひともよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
 
大塚部会長
ありがとうございます。
では、西尾委員、お願いします。
 
西尾臨時委員
はい、ありがとうございます。2点、申し上げたいと思います。
1点目は、先ほど、田中加奈子委員がおっしゃったことと全く同じですけれども、脱炭素化という言葉で、みんな置き換えられてしまっているのですけれども、中を拝見すると、やはり従来の省エネの延長線上で対応できること、あるいは、暮らし方に関する部分は特にそうだと思うのですけれども、今までの過去の経緯もあるので、延長線で済むことと、全く別の発想で脱炭素化を目指さなければいけないことというのが、やはりあるかと思います。その辺を、たくさんの資料の中だとなかなか読み取りにくいので、その2点について明確にされて、戦略を整理して提示していただけたらなというふうに思うのが1点目でございます。
それから、2点目は、先ほど来から出ている新しい国民運動、官民連携協議会の話です。ホームページを拝見すると、すごく丁寧にいろんなことが書かれております。実際に、具体的にこんな行動をとると、CO2の削減がどのぐらいつながって、経済的にもどう得ですということが非常に事細かに書かれていて、実際のホームページを拝見すると本当にいろいろ勉強になります。
しかし、今のところ多分、メーカーさん、あるいは市民でも大変意識の高い市民、団体の方々しか見られていないのではないかと思います。ですから、ぜひともこれが一般市民、地域住民、あるいは子どもたちにこういうことを見てもらうだとか、こういう人たちにも活用してもらうための普及啓発策というのは、今後どういうふうに考えていらっしゃるのかなということを、ぜひとも2点目、質問としてお伺いしたいと思います。
これをエコ教育というところに落とし込んで展開するという手もあるでしょうし、そうじゃなくて、実際に環境省さんがいろいろとやっている、メーカーさんとか自治体さんとかが中心になって、消費者、市民も巻き込んで、何か実感するようなプロジェクトみたいな形で落とし込むこともできると思うのですけれども、その辺について、これを今後どういうふうな形で具体的に、最終消費者、本当の子供や住民のところに落とし込むためのコミュニケーション策等々を考えていらっしゃるかについて、お聞きしたいと思います。
以上、2点です。
 
大塚部会長
ありがとうございました。
では、荻本委員、お願いします。
 
荻本臨時委員
荻本です。よろしくお願いします。
地域脱炭素、また中小企業を巻き込むということで、非常に意義のある内容を聞かせていただきました。ここで、地方自治体であるとか、国民とか、いろんなところにリーチをしないといけないと。下田委員、三村委員、田中委員もご指摘されたように、それなりに物すごく難しいことをやろうとしている。人材、技術、財政等に支援をするのだけれども、それでもどうなるか、よく分からないことを今から開始する、とても難しいことなんですよというふうに、私は理解をしました。
2030年なら2030年になって、いろいろ予定どおりやったけど、結果は出なかったということが起こっても全然おかしくない。それが起こらないようにするためには、フォローアップで、私、過去にも申し上げましたように、PDCAでしっかりと見直していくしかない。では、何回見直せるかというと、年1回やったとしても5回ぐらいしか見直せない。その中で是正をして、いいものを広げて、何々をやろうということだとすると、今年1回目、何ができるかというぐらいの切迫感があるのだろうと思います。
ほかの委員も言われたように、私も複数の自治体の委員をやっていると、中で行われていることって、報告書が出てくるわけですけれど、自治体の名前をただ張り替えれば、どこにでも通るようなものが取りあえず出てきている。それは1年目ではしようがないとして、では2年目は、それをもっといいものにできるかと、そういうフィードバックをうまく回していかないといけないのだろうと思います。
ということで、あんまり日本人は好きではないですけれど、ぜひ、PDCAをやり、悪いところをちゃんと摘出して、逆に、いいところもちゃんと摘出して、前向きに転がしていくということができるように、ぜひお願いしたいと。
TIPSとしては、報告を分厚い紙にするのは、それはそれでいいですけれども、コロナのときに、感染者何人と出ていたような、全ての自治体がお互いに見えるようなプラットフォームを作るとかいうことで情報交換もするし、切磋琢磨もできるということをリアルタイムで進めるようなことを、ぜひ何か工夫をしていかないと、5回見直して未達で終わったということを、どうやって避けるかということだろうと思います。
もう1点は、高効率給湯器とか、EVとか、いい話が出ているのですけれど、電力から見ると、それを電気が余っているかもしれない昼間に充電したり、お湯を沸かせるかと。これができないと半分しか効果が出ません。これは環境省さんのGX会議の資料にも書いてあるとおりです。難しいのは、それを今から普及させるために製品があるのか、またはインフラがあるのか。そこを最初にやらないと、やっぱり動かないものができてしまうということです。今から普及させるとロックインしてしまいますから、動かないやつをつくってしまうと、次は10年後という話にもなろうかと思います。ぜひ、大変なお仕事ですけれども、全員参加でうまくやっていきたいというふうに考えます。
以上です。
 
大塚部会長
どうもありがとうございます。一つ目は、対策の内容だけではなくて、その進捗管理をしっかりやるという話で、極めて重要な話をしていただいたと思います。
では、井田委員、お願いします。
 
井田臨時委員
実は私、ダボス会議へ行ってきたのですけれど、非常に世界の危機感ってすごいんですよね。こういう厳しい状況でも、これだけは一生懸命やらなきゃならないという、非常に多くの機関が危機感を表明しているなというふうに思いました。それで、世界経済フォーラムのグローバルリスクの、ロングタームのリスクのトップ三つは、全部気候変動なんですよね。そういうのを見てきて、日本へ帰ってきてどうかというと、何人かの委員の方から発言がありましたけれども、あまりにもセンス・オブ・アージェンシーというのが欠けているというふうに思います。
GX基本方針の話、これも既に何人かの委員の方からご指摘があったですけれども、例えばCPのタイムライン2028年とか2035年とか、これは全く世界のセンス・オブ・アージェンシーからしたら、こんなに悠長なことをやっていていいのかなと思うようなタイムラインが書いてあるのですけどね。しかも、議論は経産省ペースでどんどん進んで、全く市民の熟議もない。こういう形で進めていて、やっぱり日本のGXというか、日本の温暖化対策というのは、今後もどんどん遅れていくだろうというような危機感を持っています。
申し上げたいことは、例えば、これまで環境省は本格的な炭素税を早くやろうと言ってきたはずですし、アンモニアの大量使用だって、環境省からきちっとした意見は出ていませんけれども、水環境とか地下水、海洋環境とかを考えたら、僕は大きな問題があると思うんですよ。
今日の話を聞いていると、環境省は、どうも暮らしと地方だけやっていればいいというふうに、自分たちが思っているようにも思えてしまうのですけれども、本当にそれでいいのでしょうか。どなたかからもありましたけれど、もっと国のエネルギー政策から、そういうものに正面から物を言って、もっと意見をちゃんと言って、自分の考えを少しでも通そうという姿勢がもっと必要だと思います。これは別にお答えをいただけるようなものではないと思うのですけれども、センス・オブ・アージェンシーの欠如とともに、やっぱり環境省のコミットメントというのが非常に薄いというのを感じていると申し上げます。
あともう一つ、G7に関しては、皆さんのおっしゃるとおりで、ネイチャーポジティブと気候変動をくっつけるというのは言うまでもないことなのですけれども、もう一つ、やっぱりプラスチックをどう減らしていくか、焼却を減らすとか、サーキュラーの観点も入れて、気候変動、ネイチャー、サーキュラー、三つをうまく組み合わせるような形で方針を出していくということが求められているのではないかと思うので、ぜひ、そういう議論を進めていただきたいというふうに思います。
昨年、ドイツが議長国になったG7のトッププライオリティーは、やっぱりクライメートと環境だったのですよね。ところが、日本の今の議論を見ていると、全くそういう感じがしないと。ここにもやっぱり日本の危機感の欠如とか、センス・オブ・アージェンシーの欠如が明確になっていると思うので、G7の会議をそれで終わらせてはいけないと思うので、ぜひ、気候変動がトッププライオリティーなんだという認識を、政府の中で高めていくというような努力が必要だと思います。
質問なのですが、勢一委員からもあったのですけれど、フロンについて、さんざん私、こんなことをやっていても絶対だめだと言ってきて、そのまんまできちんとしたお答えをいただいてないのですけれども、今のデータを見て、30年までも今のことをやり続けていて、ほぼ僕は失敗だと思っているのですけれども、今のような回収・破壊をやっていて、30年までに温対計画の目標を達成できると本当に思いますか。その先にあるキガリ改正のフル・インストルメンテーションって、これでできると思うのですか。思うのだったら、その道筋を教えてください。
本当に何度も申し上げているのだけれども、今の不十分な回収・破壊ということではなくて、もっと強力な政策、規制を含めた政策オプションというのが僕は必要だと思うのですけれども、こんな数字を見ても、まだそれを考えないでいいと思っているのでしょうか。これは明確なお答えをいただきたいと思います。
以上です。
 
大塚部会長
活発な意見をありがとうございます。
それでは、事務局から簡単にご回答いただきますので、よろしくお願いします。
 
総務課長
はい。前半は個別にお答えいたしましたが、時間の関係上難しいため、全体については、もちろん受け止めた上で、幾つかに区切らせていただきます。
井田委員からの、環境省は地域、暮らしだけやっていればいいのかというのは、そういうことではなくて、地域、暮らしもやるのだけれども、温暖化対策全体の進捗管理も含めて、先ほどの5ページに書いているようないろんな施策も含めて、環境省としてやれること、役割をしっかり果たすことが必要だというふうに思っております。
それから、荻本委員の地域脱炭素のPDCA、そういったご指摘を踏まえながらやっていきたいと思います。
あと2点、フロンと国民運動についてご指摘いただきましたので、そこについて簡潔にお願いします。
 
フロン対策室長
それでは、フロン対策について豊住から、勢一委員と井田委員からいただきましたフロン対策のご指摘についてお答えしたいと思います。
31ページにお示ししましたフロン廃棄時の回収率の推移でございますが、令和元年改正法の施行、2020年のデータで、一定の上昇はあったものの、やはり、ここに示しているような2030年の目標に向けては不十分であるというように環境省としても考えております。
では、具体的にどうしていくのかというところにつきましては、これから具体的に考えていかなければならないというふうに考えておりますけれども、やはり回収義務の周知が十分でないというところ、それから、1台当たりの回収率、こういったところの向上も含めながら、しっかりと対策についても検討していかなければいけないというふうに考えているところでございます。
 
脱炭素ライフスタイル推進室長
国民との関係ですけれども、西尾委員からの、今後の道筋というところでございますが、おっしゃるとおりでございまして、一般市民、子どもの皆さん、そういうところに火のつくように広めていくというやり方は、教育の話はもちろんでございますし、山戸委員からもございましたように、企業の皆さんと一緒になってということで、メーカー、自治体、市民を巻き込んでというところへのプロジェクト、もしくはキャンペーンというところで、実際、消費者にリーチさせていくというところの落とし込みをやっていくというところ、みんなの知恵を絞っていく必要があると思っています。
我々、環境省の予算で13億弱ぐらいの普及啓発の予算がございますが、当然足りませんので、そういった皆さんと一緒に連携して、そういうものをうまくレバリッジを効かせていくということが多分大事なので、まさに知恵の見せどころだと思っておりまして、その点では、田中里沙委員からおっしゃっていただいたように、これをうまくファッショナブル、エンタメ性とか、豊かな暮らしと今回申し上げているとおり、皆さんの自分事にしてもらう、暮らしそのものをよくしていくというところにうまくつなげていくというところに知恵を絞っていきたいと思っております。
ありがとうございます。
 
大塚部会長
どうもありがとうございました。国民運動は大事なので、ぜひ、今おっしゃったようなことでよろしくお願いします。
では、さらにご質問、ご意見がございます方は、申し訳ありませんが、メール等で事務局にご連絡いただきますようお願い申し上げます。
では、議題の2、熱中症対策の今後の在り方について、に入ります。
事務局から説明をいただいた後で質疑応答を行いたいと思います。事務局から説明をお願いします。
 
環境安全課長
環境保健部環境安全課長、高澤でございます。
それでは、資料3についてご説明いたします。
時間もなくなってまいりましたので、12ページをご覧いただければと思います。熱中症対策推進のための法制度の基本的考え方(案)ということで、気候変動適応法の改正について、今通常国会への法案提出を目指して作業を進めているところでございます。本資料につきましては、1月20日の環境保健部会でも説明させていただきまして、ご審議をいただき、法制化に向けて進めるようにと言われているところでございます。
上に背景、課題が書いております。今後、ますます極端な高温リスクが増加する中で、熱中症による死亡者数が年間1,000人を超え右肩上がりで推移をしているところでございます。海外では災害級の熱波も発生しています。また、国際的にも適応が重要な議題になっております。一方で、熱中症予防行動の浸透がまだ不十分、地域における取組も差が大きいという状況でございますし、政府の取組も多くの府省庁にまたがりますが、推進体制が不十分であり、強化が必要という認識でございます。
このような背景を踏まえまして、気候変動適応法の一部改正により、熱中症対策の推進のための法制化を図るということを考えておりまして、先ほど申しましたとおり、今通常国会の法案提出を目指しているというところでございます。
基本的な考え方を大きく三つ書かせていただいておりますが、一つ目が法的位置付けということで、これを明確にするために適応法を改正しまして、熱中症対策の重要性を明確に発信していくということが1点目でございます。
二つ目が、関係府省庁の連携強化ということで、現行では熱中症対策行動計画を任意の計画として策定しているのですけれども、これを法定の閣議決定計画に格上げしまして、環境省が取りまとめ役となりまして、関係府省庁の連携をしっかりと取っていくということを考えております。具体的な内容につきましては、この計画に記載して進めるということを考えております。
3点目が、極端な高温時も見据えた熱中症対策の一層の強化でございます。まず、アラートについて、現行の熱中症警戒アラートはございますけれども、これより一段高い、暑さの危険なレベルということで、熱中症特別警戒アラートというものを新たに発表するということを考えております。
二つ目がクーリングシェルターの確保ということで、クーリングシェルターというのは冷房設備のある、暑さをしのげる施設ということで、具体的には公民館とか、図書館とか、そういった既存施設を活用するようなイメージを考えておりますけれども、こういった施設をあらかじめ市町村長で指定をしていただきまして、先ほどの熱中症特別警戒アラートが発表された場合には、この施設を開放していただき、住民に利用していただけるようなことを考えております。
三つ目が普及啓発体制の強化ということで、市町村の人員も限られているということもございますので、地域において、そういった熱中症の予防行動などの活動を担う団体、民間団体、NPO法人などを指定いただいて、そういった活動を推進していただくということを考えております。
四つ目が、独立行政法人環境再生保全機構に、地方公共団体への技術的助言を行なってもらうといったことを考えております。
以上が、法制度の基本的な考え方でございます。環境保健部では、地球環境局としっかり連携を取って作業を進めておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
 
大塚部会長
ご説明いただいきありがとうございました。
では、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、挙手ボタンをクリックしてください。
では、小和田委員、お願いします。
 
小和田臨時委員
 熱中症対策は「適応」策としても非常に重要だと思っておりますので、住宅や公共施設等でのエアコンの普及・利用促進等の施策を講じることに賛同いたします。特に学校の一般教室では、既に空調設置など熱中症対策は進んでいますが、体育館等そのほかの施設ではまだまだの未整備のところが多いと認識しています。実際の災害発生時にはこのような場所が避難所として使われ、冷暖房が無いといったあまりにも劣悪な環境では避難所としての機能を果たさないということもあります。各自治体では、体育館における空調等の整備についておそらく現状進めている段階だと思いますが、ぜひ国としても、そこの後押しをお願いしたいと存じます。併せてエネルギーを多重化する等のレジリエンスという視点も非常に重要だと思っておりますので、この点を加味した施策の推進を期待いたします。
私からは以上です。
 
大塚部会長
ありがとうございます。
では、勢一委員、お願いします。
 
勢一委員
 ありがとうございます。勢一です。
 今回、熱中症の対策を適応法でということで、確かに自然環境の考え方で、適応としては非常に重要なのですけれども、今回ご紹介していただいているのは、まさに人の命と健康を守るところがメインになっていますので、なかなか、適応法の枠組の中で地方自治体の現場まで施策を展開することは少々難易度が高そうな構造に見えました。ですので、この辺りは少し工夫をしていただく必要があるのかなと思います。
これまでにも熱中症対策については、厚労省が、高齢者や障害者などを地域で守るための対策の支援などをしていたと記憶をしています。そうした経緯から、自治体では福祉や医療の部局が既に取り組んでおります。地域を含めて対策ができている場面も少なからずあろうかと思いますので、今回の法律が成立した後に、自治体が仮に適応法の枠組みの制度を使わなくても、地域で既にできている体制とか、あるいは既存の防災の体制を利用することもあろうかと思いますので、地域の多様性に合わせて運用していただくことを認めてもらえるような実施体制でお願いできればと思います。必ずしも法案に掲げられている制度や仕組みは、この法律に基づかなくてもできる場合も多々ありますので、地域の特性に応じた自由度をご検討いただければと思います。
以上です。
 
大塚部会長
ありがとうございます。
三村委員、お願いします。
 
三村臨時委員
どうもありがとうございます。
今の勢一委員のご意見と全く同じです。特に、脆弱性の高い高齢者は独居で、水が飲めなくて、クーラーが使えないと、その条件が重なると熱中症の確率が非常に高いということが分かっていますので、言ってみれば医療・福祉システムと結んで、それらを防ぐということが必要だと思います。あとの解決策とか展望については、勢一先生がおっしゃったとおりだと思います。
以上です。
 
大塚部会長
どうもありがとうございます。
では、伊香賀委員、お願いします。
 
伊香賀臨時委員
資料3の26ページ、一段上の対策ということで推進していただけるということで、大いに期待しております。
ただ、熱中症では、たしか5万人前後、年間で救急搬送されていますが、死に至る人数は1,000人前後なわけです。一方で冬の死者は47万人ということで、実は500倍も冬の問題があって、イギリスの事例も29ページあたりに紹介されていましたけれども、夏のアラートも大事なのですが、冬のアラートは、気候変動で夏も暑いし、冬も極端な寒冷状態が起きるという、イギリスのHeatwave planと併せて、cold weather plan for Englandというのが同時に出ていますので、そちらのほうも今後の展開として、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
以上です。
 
大塚部会長
どうもありがとうございます。
荻本委員、お願いします。
 
荻本臨時委員
ありがとうございます。
死者がどこから出ているかというのは分かったし、一方で、本来の活動ができなくなったので熱中症にかからないという、学校などの活動が抑えられているのもあると思います。ということで、ぜひデータを集めながら、それに即してピンポイントで対策が打てるという、先ほどと同じように、ぜひPDCAサイクルを回してやっていただければと思います。
以上です。
 
大塚部会長
ありがとうございます。
では、藤村委員、お願いします。
 
藤村委員
先ほどの勢一委員、それから三村委員の医療、福祉をということなのですが、実際、この熱中症の調査をした私の仲間から聞いたのは、本当に経済的に困窮していて、使いたくても使えないという人が非常に多いという話をしていました。エネルギー価格がますますこれから高騰する中で、そういう方が増えてくるということも懸念されますので、ぜひ医療、それから福祉という視点からも、対策を練っていただきたいなというふうに思います。
 
大塚部会長
ありがとうございます。
では、意見と質問を受けまして、事務局から回答いただきます。よろしくお願いします。
 
環境安全課長
環境安全課、高澤です。重要なご意見をいただきまして、ありがとうございます。
法律については、環境省が中心となって進めております。関係府省庁と現在も推進会議を組織してやっているのですけれども、ばらばらにやっている施策をいかに一体的に進めるかというところが鍵でございますので、お話が出ました、医療・福祉関係、また学校関係もございますし、あと避難所でありますと内閣府防災なども関係しておりますので、そういったところとしっかりと連携を取りまして進めたいと思っております。
また、冬のアラートとかについても勉強したいと思いますし、データをうまく集めながらPDCAサイクルを回していくということが重要と考えておりますので、引き続き、そういったところにも気をつけて取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
大塚部会長
ありがとうございました。
では、最後に、議題のその他につきまして、何かございましたら事務局からお願いいたします。
 
総務課長
ありがとうございました。
最後に、本日の議論を踏まえて、地球環境局長の松澤より一言申し上げます。
 
地球環境局長
地球環境局長の松澤です。
本日は、様々な観点からのご意見をありがとうございます。
脱炭素については、率直に言って、井田委員からもお話がありましたけれども、日本は後れを取っているということだと思いますので、強化しなければいけないと思っています。この脱炭素については、2050年に実質カーボンニュートラル、あるいはネットゼロと、こういうラインに乗っているかどうかというのを、国民の各界各層の皆さんと危機感を共有しながら、荻本先生の言われるように見直しをかけながら、前向きに回転させていくということが大事だと思います。これは政府一丸でやっていくということだと思っております。
その中で、環境省の役回りについて、何人かの先生方から大変ありがたいご指摘をいただきました。環境省は、持続性の確保という面で大きな役割を担っているのではないかと考えております。脱炭素、それから自然再興、ネイチャーポジティブ、さらに資源循環、サーキュラーエコノミーというものを統合的に進めていくという役割を、政府の中でとりわけ担っているのではないかなというように考えております。
さらに国民の皆様にアプローチして、この取組に関してうねりをつくっていけるように、我々環境省の職員も様々な方々の意見をお伺いしながら、意見交換しながら、新しい国民運動、成果が上がるように取り組んでいきたいというふうに思います。
それから、さらに熱中症の今回の法整備に関しまして、ご指摘のとおり、本当に医療、福祉、自治体の現場と、この熱中症対策が効果を上げるように取り組んでいくことが大事だと思いますので、一定のこういう形で法律上の仕組みをつくって、改めて、この問題について自治体と一緒に、対策が進むよう、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
本日は、どうもありがとうございます。
 
大塚部会長
どうもありがとうございます。
では、以上で、本日の議事は全て終了いたしました。少し延長しまして、誠に申し訳ありません。ありがとうございました。
最後に、事務局にお返しいたします。
 
総務課長
大塚部会長、ありがとうございました。
委員の皆様におかれましては、大変活発なご議論を賜り、厚く御礼申し上げます。
本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様に確認いただきました後に、ホームページに掲載をさせていただきます。次回の日程は、決まり次第ご連絡を差し上げます。
それでは、以上で地球環境部会を閉会させていただきます。
ありがとうございました。
午後 5時39分 閉会