地球環境部会(第145回) 議事録

日時

 令和2年8月4日(火)15時00分~17時00分

場所

 WEBによる開催

議事

(1)気候変動国際交渉等の状況について

(2)新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策について

(3)その他

議事録

午後3時02分 開会

総務課長

定刻を過ぎましたので、ただいまから第145回中央環境審議会地球環境部会を開催いたします。

私、本日、事務局を務めます地球環境部局総務課長の関谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、委員総数28名中、過半数の委員にご出席をいただいております。現時点で21名のご参加となっていまして、あと2名ほど参加をお待ちしてございます。これによりまして、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告いたします。

本日の部会はコロナウイルス感染症対策のため、ウェブにより開催をいたしております。開催の状況につきましては、YouTube環境省動画チャンネルで同時配信をしております。

ウェブ会議の開催に当たりまして何点かご協力をお願いいたします。通信環境に伴うトラブルの低減のために、カメラの映像をオフにしていただき、ご発言の際のみオンにしていただきますようお願いいたします。事務局側も、発言する場合を除きオフにさせていただきます。また、ハウリング等を防ぐため、ご発言する際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますよう、併せてご協力をお願いいたします。ご発言がある場合は、ご自身のお名前の右側にございます手の形のアイコン、挙手ボタンでございますが、こちらをクリックしていただきます。また、発言が終わられましたらボタンを再度クリックしていただきまして、挙手を解除いただきますようお願いいたします。また、挙手ボタンを押しているにもかかわらず事務局側が気づかないなどございましたら、チャットでお知らせください。何か通信トラブル等ございましたら、同じくチャットにご記入いただくか、あるいは事務局までお電話を頂きますようお願いいたします。

それでは、初めに、三村部会長よりご挨拶を頂きたいと存じます。三村部会長、よろしくお願い申し上げます。

三村部会長

皆さん、こんにちは。部会長の三村です。

コロナ問題、皆さんそれぞれ苦労されている中でご出席いただきまして、ありがとうございました。この会は中環審の地球環境部会として初めてのオンラインの会議ということで、事務局と、それから大学のオフィスのスタッフが協力して運営していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

この間、社会はコロナ対策一色ということになっているわけですけれども、同時に重要な事案がありました。一つは、7月に令和2年豪雨ということで、九州をはじめ、大変な被害が発生しました。ここ数年、毎年のようにこうした大きな被害が発生していて、気候危機という以外にないような状況になっています。

それから、もう一つは、つい先日、政府の石炭火力発電所の対応、あるいは今後の輸出について大きな一歩を踏み出す、そういう展開の発言がありました。これについては後でまた報告があると思いますけれども、このようにコロナ対策を進めつつ、同時に緩和策、あるいは適応策、気候変動対応をどうやって進めていくか、そういう重要な議論を今日は予定しております。そういうことで皆さん、どうぞご協力をよろしくお願いいたします。

それでは、いつものように活発な議論を期待しておりますので、これで私の挨拶といたします。

総務課長

三村部会長、ありがとうございました。

それでは、ここで前回以降、委員の交代がございましたので、ご紹介をさせていただきます。

今回新たに電気事業連合会環境専門委員会委員長の紀ノ岡委員がご参画されました。よろしくお願い申し上げます。

また、前回以降、環境省の人事異動がございました。本日は、新たに着任した者の名前を読み上げるのみの対応で失礼いたします。

地球環境審議官は近藤。

地球環境局長、小野。

大臣官房審議官、白石。

地球温暖化対策課長、小笠原。

脱炭素化イノベーション研究調査室長、中島。

脱炭素社会移行推進室長、坂口。

脱炭素ビジネス推進室長、内藤。

地球温暖化対策事業室長、加藤。

脱炭素ライフスタイル推進室長、菊池。

そして、私、総務課長、関谷でございます。

それでは、地球環境局長の小野よりご挨拶申し上げます。

地球環境局長

先月、地球環境局長を拝命いたしました小野でございます。どうぞ先生方、よろしくお願いいたします。

本日は、またお忙しいところ、ご参加いただきまして誠にありがとうございます。

前回は2月に開催をさせていただいておりますが、その後、三村先生のご挨拶にもございましたけれども、世界中で新型コロナウイルス感染症のパンデミックということで、多くの人命が失われ、患者も多数発生しているということでございます。さらに経済にも深刻な影響を与えております。また、テレワークとか本日のようなウェブ会議も一般化しておりまして、社会の在り方も大きく変化しつつあります。

一方で、コロナウイルスの今回のパンデミックの前から気候変動問題についてはもちろん存在しているわけでございまして、三村先生から言及がございましたように、まさに気候危機と言えるような状況にあると認識しております。今後、適応・緩和双方で一層の対応が求められているところでございますし、先ほど申し上げましたコロナに伴う社会の在り方の変化が気候変動対策にどのような影響を与えるのかという点についても議論が必要かと思っております。

こうした中で、国際会議とかが軒並み中止、延期ということになってございまして、この気候変動のCOP26についても来年11月に延期となりました。ただ、小泉環境大臣自らが提案いたしまして、オンライン・プラットフォーム閣僚級会合を9月3日に開催し、引き続き気候変動対策への機運を醸成、維持すると。さらに、コロナからの復興と気候変動対策双方を進める各国の取組を共有しようという動きになってございます。

また、地球温暖化対策計画でございますけれども、これについても可能な限り早く見直しの議論を行う新たな小委員会を開催する予定としております。この小委員会におきましても、コロナウイルスによる影響も踏まえた気候変動対策について検討する予定としております。

本日は、こうした国内外の動きについてご紹介させていただくとともに、温対計画見直しを見据えた、コロナの影響も踏まえた今後の気候変動対策について、委員の先生方の比較的自由な、かつ忌憚のないご意見を頂戴できればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

総務課長

ありがとうございます。

それでは、これ以降の議事進行は三村部会長にお願い申し上げます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、議事に入りたいと思います。

議事次第、既に送られていると思いますけれども、それを見ていただきますと、本日はその他も含めて三つの議題があります。議事をどう進めるかということですけれども、まず、議題の1について説明の後、質疑応答を行います。議題の2が本日の主要な議題、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策ということですけれども、報告を受けた後、かなりの時間を取って自由に討議を行いたいと思います。積極的な意見交換を行いたいと思いますので、どうぞご協力をよろしくお願いします。

それでは、まず議題1について、事務局から説明をお願いします。

国際連携課長

議題1でございます。資料の2をご覧いただければと思います。国際連携課長の大井と申します。どうぞよろしくお願いします。ビデオのほうにさせていただきます。

資料の2、表紙をおめくりいただきまして、COP25の概要でございますけれども、これにつきましては前回2月の部会におきましても詳細ご報告、ご議論いただいたところでございますので、今日のところは割愛をさせていただきます。昨年12月にCOP25が開かれて、いずれにしてもパリ協定の実施ルールのうち、市場メカニズムの一部について交渉を引き続き継続していくことになったということでございます。

それで、COP25から26へという、ページ番号、2ページ目でございますけれども、先ほど局長挨拶にもあったとおり、COP26につきましては今年11月開催予定だったものが来年の11月1日から12日ということで、丸々1年延期ということが今年の4月初めだったんですけれども、発表がございました。場所についてはイギリスのグラスゴーというのは変わっておりませんけれども、その関係での補助機関会合なども延期をされているという状況になります。ですので、気候変動の国際交渉の、いわゆる会議が開かれない状態になっているわけでございますけれども、その間も国際的な機運を維持しようと。新型コロナウイルスと並ぶもう一つの危機である気候危機、これに対する国際的な対応、モメンタムを失ってはならないということで、4月の末から様々なイベントが公式・非公式に開催をされているところであります。

まず、4月の末でありますけれども、ドイツが主催をするペータースベルク気候対話が開催されまして、そこではコロナからの復興と気候変動対策を主要なテーマとしておりました。

また、6月の前半、10日間なんですけども、これはもともと補助機関会合、いわゆるSB、subsidiary bodiesとの会合が予定されていた期間に様々なワークショップなどをオンラインで開催しようということで、条約事務局がいろいろ呼びかけてJune Momentumと称した会合が開催をされました。

また、先月になりますけれども、カナダ・EU・中国が主催する、これも非公式の閣僚級の会合、Ministerial on Climate Action、略してMOCAというふうにいいますけども、この会合が開かれました。やはりコロナからの復興、それから気候変動対策の重要性についての議論が行われたということでございます。

そんな形で、非公式ではあるけれども、閣僚級、あるいは事務方レベルでの議論を継続してきたということでございます。

そういう中で、小泉環境大臣から、このモメンタムをさらに引き継ぎ、さらに向上させるということで提案をされているのが、このオンライン・プラットフォームでございます。先ほど申し上げたとおりで、COP26が延期される中で国際協調の不在(ギャップ)を回避して、機運を高く保つための機会であるということで、このオンライン・プラットフォームを提案したいと。特に、これまで開かれておりますペータースベルクとかMOCAとの大きな違いは、このオンライン・プラットフォーム会合につきましては、条約事務局、UNFCC事務局の協力も得まして、全ての締約国、197か国・地域に対して招待状を4月上旬に発送しております。希望するなるべく多くの国が参加をし、新型コロナウイルスからの復興、そこにおける気候変動及び環境保全について、閣僚レベルで情報、意見交換をしようというのが第一の目的であります。また、こうしたディスカッションを通して、国際的な機運の維持にも貢献していくという二つの目的を持って提案をしているものでございます。

会合につきましては、9月3日に日本時間の夜でございますけれども、オンラインで開催することを既に案内済みであります。

また、この閣僚級の会合のみならず、その機会に各国からどういう取組をしているのかということを、質問票の形での資料情報収集をしまして、それを一覧できる形で掲載する情報ウェブサイト(オンライン・プラットフォーム)、これを創設することといたしております。これにつきましても、この会合に間に合うように今月中には立ち上げまして、周知をしたいと思っています。いずれにしても、国連事務総長、それから、メルケルドイツ首相、あるいは条約事務局、各国、非常に多くから支持をされているイニシアチブでございまして、この9月3日のオンライン会合をしっかりと成功させたいというふうに考えているところでございます。

私からの説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

三村部会長

大井課長、どうもありがとうございました。

それでは、今のこの議題について、皆さんからご質問、あるいはご意見を頂きたいと思います。最初に説明がありましたとおり、画面のご自分のお名前の横にある手を挙げるボタン、挙手ボタンをクリックしていただいて、その順番に私のほうから指名をしたいと思います。

じゃあ、ご意見のある方、あるいはご質問のある方、クリックをお願いいたします。

実は、今日の会議は環境省の事務局と茨城大学のサテライトオフィスを結んでやっていまして、私のところからは挙手をされているかどうかが見えないものですから、ある程度手が挙がったところで環境省から教えていただくことになっています。ちょっと時間を取りますので、待っていてください。

それでは、佐藤委員、最初に手が挙がっていますので、お願いいたします。

佐藤委員

ありがとうございます。読売新聞の佐藤です。

小泉大臣がオンライン・プラットフォームの構築を提案されて、閣僚級のオンライン会合が開催されるということは、日本の存在感を国際社会にアピールする上でも大変よかったと思うんですけれども、これは以前から一部で指摘されてきたことですけれども、COPの在り方そのものですね。つまり気候変動枠組条約の加盟国の代表、新政府組織、NGO、そして、我々メディアもそうなんですけれども、一堂に会して会議を行うということ自体が気候変動対策としてどうなのかという点が問われてきているような気がするんですね。環境省資料の新型コロナの影響による経済社会の変化でも、移動レスであるとかテレワークであるとか言及があります。今日の会議自体がそうですけれども、昨年、グレタ・トゥーンベリさんがヨットで大西洋を移動したことは記憶に新しいわけですけれども、最近もフランス政府が温暖化対策の観点もあって域内の航空機運航を減らそうとしているというようなニュースも流れていましたから、考えさせられる問題だと思うんですね。COPについては交渉団が疲れ果てないとなかなか合意できないとも言われていますので、いろんなオンライン方式の弊害もあろうかとは思いますが、そういった議論がもし行われているようであれば、ご教示願いたいというのが質問です。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、数人の方から手が挙がっているようですので、時間の関係もあるので、お一人2分程度で手短にご発言をお願いします。

次は、山戸委員、それから、その次が小西委員、井田委員、大塚委員の順番で発言をお願いします。

それでは、山戸委員、お願いします。

山戸委員

ありがとうございます。先ほどもありましたように、小泉大臣によるCOP25での発信や、COP26に向けたオンライン・プラットフォームの創設など、日本が気候変動分野で国際的なリーダーシップを発揮していただくことは私ども民間企業としても大変心強く、また、ありがたく思っております。ぜひ、引き続き、気候変動対策における我が国の貢献について、官民連携して国際的に力強く発信していくことが重要と考えますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、次、小西委員、お願いします。

小西委員

ありがとうございます。オンライン・プラットフォームなんですけれども、これはやっぱりこの間の総会でもお話ししたんですけど、京都会議以来の日本のホスト国ということになりますので、やっぱり日本の国際的存在感を高めるということと同時に、国際的な議論の中で国内にいかにそれをフィードバックしてドライバーにしていくかということが問われているんだと思います。そこでお聞きしたいのが、日本、今回、石炭が動きましたので、そういったことを小泉大臣、きっとアピールされるんだろうとは思うんですけれども、やっぱりNDCの引上げというのが一番のハイライトになってきますので、日本でNDCの引上げ、これから小委員会が立ち上がるということですが、それに向けて国際的な勢いというものを日本国内で、NDC、引き上げないといけないよねみたいな雰囲気をぜひ作っていただけるような場になったらなと願っております。いろいろな、3時間ぐらいということですので、なかなかたくさんのことはできないと思うんですけれども、その構成の仕方とかで、このNDCの引上げに向けての盛り上がりというものを、例えばどのようにお作りになるのかなということをお聞きさせていただければと思います。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、井田委員、お願いします。

井田委員

ありがとうございます。聞こえていますでしょうか。

三村部会長

聞こえています。

井田委員

はい、手短に申し上げますが、今、小泉大臣のリーダーシップとおっしゃったんですけども、国際的なリーダーシップはきちんとした国内対策があってこそ示せるものだと私は思っておりますので、今、小西さんがおっしゃったように、ぜひNDCをどうするのかと、NDCをどうやって引き上げるのかというような議論を国内でした上で、それを背景にリーダーシップを発揮していただきたいというのが1点であります。

あと、各国のクエスチョンには対策、コロナ後の対策を含めてクエスチョンを集めて、それをコンパイルして事務局に渡すというのは非常にいいアイデアなんですけども、じゃあ、日本がここに何を持っていくのかというのも問われるわけでありまして、これはかねがね申し上げているように、プラスチックを含めた資源循環であるとか循環経済というようなものを視野に入れること。あと、小泉大臣の後ろに、背景にSDGsの写真がありましたけども、SDGsが求める2030年のトランスフォーマティブなチェンジというものに向けて、もう根本的に政策を転換していくんだというような、日本としてそういう覚悟を示すというようなインプットをぜひしていただきたいと思います。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、質問はちょっとここまでにさせていただいて、最後、大塚委員、お願いします。

大塚委員

聞こえますでしょうか。

三村部会長

聞こえます。

大塚委員

もう皆さんおっしゃっていただいてしまったんですけども、私も今回、このオンライン・プラットフォームが開かれるということは大変いいことだと思っています。環境省も大変でいらっしゃるでしょうけども、本当に日本が久しぶりに中心的な役割を果たすということは大変心強いことだと思っております。今回、コロナだからCOP26が開かれなかったということでもあるんですけれども、このオンライン・プラットフォームによって世界中にリアルタイムで同時発信するというふうに多分なると思うんですけれども、そのように考えてよろしいんですよね。世界的に同時発信を、リアルタイムで同時発信するということが結構有効なんじゃないかと思いますので、お伺いしたいと思います。

以上でございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

委員の皆さんからオンライン・プラットフォームに対する非常に強い期待、かなり期待ということですね、それに合わせた国内対策の強化というような方向での質問、意見が出ましたけれども、それでは、大井課長でしょうか、ご質問、ご意見に対してお答えをお願いします。

国際連携課長

委員の皆様、ご意見、ご質問も含め、ありがとうございます。

順序が逆になりますけど、まさに大塚委員から最後あったご質問につきまして、リアルタイムの発信ということにつきまして、お答えをまずいたします。このイベント、日本時間の9月3日、夜8時から11時の3時間のイベントを予定しておりますけれども、イベント全体をウェブストリーミングのような形で動画配信をすることを考えてございます。基本言語は英語でございますけれども、可能であれば日本語通訳も日本国内の施行機関向けに発信したいというふうに考えております。

それから、一番最初に佐藤委員からご質問がございました、COPの在り方そのものが、今回、このコロナの、そういうような議論があるのかどうかということでございます。若干、私見も入りますけれども、COP、もしくはコロナが収束して、今だとみんなが集まるような会議が開かれるとしても、恐らくそこでの、やっぱり3密会議というようなことは当然ながら言われると思いますし、全体としてのCOPの規模とか、会合の規模みたいなところでの変化というのは間違いなくあるだろうなというふうに思っております。

他方で、物事を決める交渉を本当に完全に全部オンラインでできるかというと、ここはなかなかやっぱり難しいところもあるので、あると実際に実感しておりますので、完全に対面での交渉というのはなくなるわけではないだろうなと思いながらも、全体としての在り方というのは、今回のコロナ前と後では違ったような様相になるんじゃないかというふうに基本的には思っているところでございます。何かそういうことが決定されたわけでは、現時点ではございませんけれども、そういう状況と認識しております。

それから、小西委員のほうから、NDCの引上げなどを含めて、どういうふうにこのオンライン・プラットフォームの会場を作っていくのかというご質問がありました。その点につきましては、まだ検討中というところもございますけれども、やはり会議の中心は各国、できるだけ多くの国の大臣に参加をしていただいて、それぞれの国の取組についての情報共有、それから意見交換、これが主眼になるかと思います。その中で、当然ながら気候行動の強化ということで、野心の向上みたいな話も当然出てくると思いますし、国によっては、こういう状況であっても、しっかりNDCについてこういうふうに検討していくんだといったときに、アップデートしたというような報告もあるかと思います。日本につきましても、石炭の話、それからNDCに関する動き等もご議論いただきます状況など、可能な範囲でできる発信をしっかりしていくということが基本かなと思ってございます。

大体頂いたご質問は以上かなと思いますけれども、いずれにしましても、大変ポジティブなご支持を、ご意見を頂きまして、ぜひその期待に応えられるように、しっかりいたしますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

三村部会長

どうもありがとうございました。

お話にありましたとおり、各委員から非常にこの取組に対する強い支持と期待ということが示されたわけですから、環境省のほうでもぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。

それから、この意見交換の中身は次の議題にも広く関係しますので、次の議題に移りたいと思います。この議題1について、さらにご意見のある方は、後日、事務局に意見のご提出をお願いしたいと思います。

次、議題2について、事務局からご説明をお願いしますが、ちょっと私がこちらで聞いている範囲では、事務局からの音声が少し聞き取りにくいところがあるので、パソコンに近づいて、はっきり説明をしていただけると我々も聞きやすいんじゃないかと思いますので、よろしくお願いします。

それでは、議題2の説明をよろしくお願いします。

脱炭素社会移行推進室長

それでは、10日ほど前に脱炭素室長を拝命いたしました、坂口でございます。私から説明をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

資料3、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策について、ご覧いただければと思います。

まず、1ページ、これは目次になりますが、その次のページをお願いいたします。NDC及び地球温暖化対策計画の見直しについてということですけれども、これは冒頭の局長のご挨拶にもありましたとおり、温対計画の見直しに着手いたします。この背景といたしまして、今年の3月、NDCを我が国として提出いたしましたけれども、これを契機として行うということでございます。また、その後の削減目標の検討につきましては、エネルギーミックスの改定と整合的に行うと。さらなる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値を目指し、次回、パリ協定の5年ごとの提出期限を待つことなく実施するということでございます。

NDCの中で、この概要というところに記載がありますが、2030年度26%削減目標を確実に達成するということを目指すということを確認するとともに、さらなる削減努力を追求していくという方針を表明しております。これに基づいて見直しに着手をするということでございます。

この見直しの小委員会の設置等々については、後ほどまたご説明をいたしたいと思います。

次のページ、お願いいたします。おめくりいたします、恐れ入ります。

ちょっとこれはまたコロナとは違う話なんですが、最近の気候変動に関係する政策のご紹介を幾つかいたします。石炭火力発電輸出の方針変更ということでございます。今年、先月ですね、7月9日に決定いたしましたインフラ海外展開に関する新戦略の骨子ということで、この輸出の方針を変更しております。

新たな方針、これもるる報道されているとおりではございますが、相手国の脱炭素移行型のインフラ輸出支援を推進していくということを基本方針としまして、石炭火力発電の輸出については、相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題や脱炭素化に向けた方針をしっかり把握していない国に対しては、政府としての支援を行わないということを原則とするということでございます。

次のページをお願いいたします。それから、これと前後いたしまして、国内の石炭火力発電に関しても動きがございます。経済産業大臣が、この非効率な国内の石炭火力のフェードアウト、それから、再エネ主力電源化を目指していくといった表明がございます。

7月3日でございますが、梶山経産大臣が閣議後会見において、「非効率な石炭火力のフェードアウト、再エネの主力電源化を目指していく上で、より実効性のある新たな仕組みを導入すべく、今月中に検討を開始し、取りまとめるよう事務方に指示」という発言がございました。

これを踏まえて、7月13日から、既に資源エネルギー庁の総合エネルギー調査会において議論が開始されております。

次のページをお願いします。次でございますが、これは前回2月の部会の際に、2018年度の温室効果ガス排出量の速報値についてご説明を申し上げましたけれども、その確報が4月に出ておりますので、それに関するものでございます。速報値と基本的にはもう傾向は変わっておりませんで、2018年度総排出量12億4,000万トン、これは5年連続の減少ということと、それから、1990年以降、最も少ない排出量となったということでございます。

この前年度、それから13年度に比べて排出量が減少した要因については、電力低炭素化、電力由来のCO2の排出量の減少ですとか、暖冬の要因等々が挙げられますけれども、詳しくは参考資料のほうに数字がございます。

52ページぐらいで、もうちょっと後ですかね、すみません。このもうちょっと後ですね。この次のページ、こちらにございます。総排出量、これはCO2、すみません、総排出量でこの2013年から1億7,000万トンの減が発生しているんですけれども、この中で特に発電由来のCO2、これが1億1,000万トンほど減っております。また、5,800万トンほど、それ以外の、いわゆる燃料由来等々のCO2が減少していると。特に、この1億1,200万トンの発電由来の減少のうち、電力の排出原単位の改善、これは再生可能エネルギーの投入拡大ですとか、原発の稼働率上昇、こういった要因で8,900万トンのCO2減ということで、これが一番大きな要因かと思われます。ただ、このほか、例えば電力消費量の減少、これは単なる気候の暑い、寒かったとか、そういう減少以外で、いわゆる省エネ・節電等で1,800万トン、こういった動きがあるというご紹介でございます。これ以外の詳細の分析、それから、その他各国比較等については、この参考資料に同様に掲載しておりますので後ほどご覧いただければと思いますが、前回の部会の際に、国際比較とか、それから、いわゆる製品ベースでもう少し詳しい分析をすべきではないか等といったご意見も頂きまして、4月の確報値が出た段階で各委員にはお送りをいたしまして、いろいろご意見を頂いておるんですけれども、それに対する事務局の分析、ちょっといろいろ技術的に難しい点もございまして、まだ結論が出ておりません。これについてはちょっと引き続き検討させていただきたいと思います。ちょっとこの場を借りてお詫び申し上げます。

それでは、資料は戻りまして、こちらのグラフは先ほどの部門別に分かれているというものでございまして、産業部門がかなり減っているということ、それから、業務、家庭についてもかなりの減少が見えているという傾向がございます。

次のトピックですけれども、最近、非常に激甚の気象災害が頻発しているということでございまして、想定を超える各地で頻繁に災害が生じる「気候危機」というべき時代を迎えたということを認識しまして、小泉環境大臣、それから、内閣府の武田特命担当大臣(防災担当大臣)との間で、こういった「気候変動×防災」ということで、有識者の方を交えて検討開始、2月から開始いたしまして、これを踏まえて6月30日付で両大臣の共同メッセージというものを発表してございます。

次のページ、お願いします。こちらがその共同メッセージの概要でございます。趣旨としましては、やはり気候変動リスクを踏まえた抜本的な防災・減災対策が必要であるということ、SDGsの達成も視野に入れながら、気候変動対策と防災・減災を効果的に連携させるべき、そういう戦略を示すのだという趣旨で書いておりまして、真ん中の緑の四角辺りに幾つか記載がございますけれども、気候変動と防災は、あらゆる分野で取り組むべき横断的な課題であるという認識を改めて示しているということ、それから、三つ目ですが、各分野の施策において「気候変動×防災」を組み込んで、政策の主流にしていくことを追求すると、こういったメッセージを挙げております。細かいところ、各施策についてはここにあるとおりでございます。この場では割愛させていただきます。

続きまして、新型コロナウイルス感染症と今後の脱炭素社会に関する動向ということで幾つか資料をお示ししたいと思います。

まず、こちらのペーパーでございますが、これは国際エネルギー機関(IEA)の分析を一部抜粋したものでございます。IEA、世界全体の発電量の見込みですね、今年どうなるかという予測をしておりまして、それによりますと、世界で石炭火力発電がこの1年で10%以上低下するのではないかと。年間の石炭需要が8%減、戦後史上最大の減り幅になるのではないかというふうに分析がされております。

このほか、石油、それからガスについても減少し、全体のエネルギー需要そのものが6%減ると、一次エネルギー需要が6%減、これは2008年の金融危機(リーマン・ショック)の約7倍に相当する減少幅だろうというふうに推定がされています。

一方で、再エネだけは若干増えるという分析でございます。これは導入量自体が増加傾向にあるということもございますが、IEAの分析によれば、できた再エネに関しては、もう運用コストが低いということ、それから継投接続が優遇されるということもあり、再エネの需要の増加はこういった状況内でも見込まれるというふうに分析がされております。

次のページ、お願いします。それで、これがCO2排出量にどのように影響するのかという、これはまたIEAの世界全体の分析でございます。2020年第1四半期のCO2排出量が5%以上減るだろうと。これは前年同期比ということでございますが、この危機、削減量がリーマン・ショック後の2009年に記録した前年比削減量の6倍、さらには第二次世界大戦後、対前年比削減量の総計の2倍ということで、過去に類を見ないぐらいの減り幅になるのではないかと、そういった推定がなされております。

次のページ、お願いします。ここからは国内のエネルギー需要に関する幾つかのデータをお示ししたいと思います。我が国の中で、この3月から6月にかけて、いろいろ各部門別にどのような状況になっているかというのを簡単にお示ししたいと思います。まず、これは発電電力量全体でございます。3月から6月にかけて、どの月も前年度比で減少していると。特に、やっぱり4月から5月にかけてが非常に減り幅が大きく、活動が少し戻ってきております6月は、この減り幅は減っているという傾向がございます。

次、お願いします。産業部門、これは5月までしかデータがございませんけれども、特に4月、5月、非常な減少が見えております。これは欧米中心のロックダウン等々による経済活動の停滞ということを含めて、世界中の急減というのも大きかろうというふうに思われます。

次、お願いいたします。こちらは業務部門の影響でございます。これは第3次産業活動指数というデータですけれども、これも同様に4月、5月、特に飲食関連、それから運輸・郵便、小売、この辺を中心に減少が拡大しているという傾向がございます。

次、お願いします。一方で、唯一傾向が違いますのが家庭部門でございまして、3月、4月に関してはむしろ、これは世帯当たりの電力消費量ですけれども、増加の傾向がございます。ただ、5月については微減、大体同じぐらいということでありまして、これも推定でしかないんですけれども、在宅時間の増加によって、暖房・給湯・照明等々の使用量が増加している。特に3月、4月、まだ寒い日もございましたので、暖房が増えたという影響が出ているのかなという気がいたします。

次、お願いいたします。こちらは運輸部門でございまして、そのうちのガソリンの国内販売量、したがいまして、これは乗用車に関するデータということになりますが、やはり4月、5月、かなり減っております。恐らくこれは不要不急の外出自粛という言葉が言われましたので、乗用車の移動がかなり抑制されたものと思われます。

次、お願いします。こちらは軽油の販売量でございます。これも、やはり3月、4月、5月と減っておるのですが、乗用車ほどではないという傾向であります。輸送も抑制はされましたけれども、一方で宅配関係とか、そういった増要因も多少はあると見られまして、その分減り幅が少し少なくなっているのかなと思われます。

次、お願いします。こちらがテレワークの影響ということでございまして、こちらは本当に定性的な分析でしかありませんで申し訳ないんですけれども、急速にテレワークが広がっていると。これが働き方、ライフスタイルの変容を大きく促しているわけでございますが、これによるCO2への影響としましては、やはり人の移動、それからオフィスに関する消費量等々が減りますね。その分の減少要因がかなり大きくある一方で、先ほど、家庭では若干増える傾向がございました。それから、いわゆる宅配関係、運輸の物流ですね、それに加えまして、この下の左のグラフにありますとおり、情報通信に関するトラフィックが非常に増えているといったデータがございまして、このように情報通信インフラ絡みのところで増要因があると。したがいまして、今後、そのテレワークがより進展していくという中では、家庭、それから物流、さらには情報通信インフラ、この辺りについての脱炭素化というのをより推進していく必要があるだろうというふうに見ております。

次のページ、お願いします。こちらはIEAも同様に、この在宅勤務のエネルギー消費、CO2排出に関する分析をしております。これは日本というよりは世界全体平均みたいな話ですので、少し日本の傾向とは定量的に違う部分もございますが、やはり移動による影響が非常に大きかろうと。特に、これはそれなりの長距離を車で通勤する人をかなり想定して作られた分析でございますので、その点については理解をしておく必要があるかなというふうに思います。

次のページ、お願いします。こちらは私どものほうで新型コロナウイルスの影響による経済社会の変化、こんなことになっていくだろうというキーワード的に分析をしたものでございまして、短期的には「新しい生活様式」を徹底して、このウイルスから命と健康を守ると。それと同時に、経済と雇用を回復するということが主眼になっていくだろうと。その中で出てくるキーワードとしては、デジタル化、分散化、それから移動しない、テレワークとかですね、遠隔サービス、さらにはレジリエンスの強化、新たなビジネスモデルの模索、特に今非常に痛んでいる観光、飲食等々、そういった中でのお話。さらには、これは製造業の世界かと思いますが、リスク管理の観点から、生産拠点を国内回帰または分散化する動き、こんなことが出てくるのではないかというふうに見ております。

次のページ、お願いします。こうしたことを踏まえて、今後、社会的・経済的価値の高い「命を守る」分野への社会投資等が進むのではないかという見方をしておりまして、フランスの経済学者、ジャック・アタリさんがピックアップした分野としては、ここに書いてあるようなことが挙げられると。こうした分野の脱炭素化をより実現していくと。例えばITの脱炭素化、物流の脱炭素化、こういったことが重要ではなかろうか、さらには、この社会の変化を捉えた、例えばデジタル化による効率化、分散、「気候変動×防災」、革新的環境イノベーション、ESG投資など、こういったことをより重視して考えていく必要があるのではないかと考えております。

次、お願いします。こちらは緊急経済対策の中で当省が新型コロナウイルス対策として挙げたもの、脱炭素社会への移行も推進していきたいという、閣議決定へのインプット、さらには、補正予算で、国内回帰を踏まえた脱炭素社会への転換事業ですとか、それから、高機能かつ脱炭素に向けた換気の設備ですね、こういったものを導入する支援をしていく、こういったことを皮切りとして挙げているところでございます。

次、お願いします。政府の成長戦略や、それから、いわゆる骨太と言われます経済財政運営と改革の基本方針、こういったところにもウィズ・コロナ、ポスト・コロナ社会の基本理念ということの中の一つに脱炭素・循環経済の実現、さらにはESG投資、徹底した省エネルギー、再生可能エネルギー、こういったことを入れ込んでいると。環境と成長の好循環、こういったキーワードも入れるようになっております。

次、お願いいたします。それで、最初のほうにも少しご説明しましたとおり、今後、地球温暖化対策計画を含みます中長期の気候変動対策の検討をしてまいりたいと思います。先ほど冒頭申し上げたとおり、NDCの提出を契機としまして計画の見直しに着手する予定でございます。

今後、温対計画の見直しを含む気候変動対策について検討を行うために、この地球部会の下に「中長期の気候変動対策検討小委員会」を設置いたしました。これについては、先日、各委員の皆様方には書面で協議をさせていただきまして、ご了解いただきました。誠にありがとうございます。今後、産業構造審議会にも同様の小委員会を設けまして、合同で検討を進める予定でございます。少し人数を絞る必要があろうということもありまして、両審議会・小委員会で合計20名程度という体制を考えておりますが、委員の構成については現在まだ調整中ということでございます。

検討に当たりましては、温対計画の見直し、中長期の両面でさらなる削減努力の検討を深めてまいりたいと思います。

次、お願いします。この議論の進め方でございますが、8月中に何とか、これは先ほどの議題にもあった9月3日のオンライン・プラットフォームより、できれば前に開催できるといいなというふうに思っておりますが、これから日程調整をいたします。第1回開催の後、専門家へのヒアリング等を順次実施していきたいと思います。

恐らく議論することになる主要なポイントとしては、ポスト・コロナ時代の社会変化を見据えた対策、さらには、毎年これまでやってまいりました計画の点検進捗を反映した対策の強化、深掘りと、さらには脱炭素社会の実現を見据えた中長期の対策の方向性と、こういったことを議論してまいることが決まっております。

私からは以上です。ありがとうございました。

三村部会長

どうもありがとうございました。

今のご説明を伺っていると、新型コロナウイルス対策と同時に、この気候変動対策にとっても、今、非常に重要なポイントに来ているということで、この両者をどういうふうに連携しながら新しい社会を創る方向で、どう進めていくかということが問われているんだと思います。今、報告を行った中身について、ご意見、あるいはご質問があれば、また挙手ボタンで手を挙げていただければと思います。この議論のために約1時間程度の時間を取ってありますので、最初に皆様方から、委員の先生方から意見を頂いて、環境省のほうからそれに対する回答をもらった後に、さらに時間があれば議論を継続すると、そういうやり方で進めたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは、どうぞ挙手をお願いします。

それでは、私のところに挙手の連絡が届いた順に発言をお願いすることにしたいと思います。

最初に、藤村委員、それから、その後、浅野委員にお願いしたいと思います。では、よろしくお願いします。

藤村委員、お願いします。

藤村委員

どうもありがとうございます。環境文明21、グリーン連合の藤村です。よろしくお願いいたします。

最近、小泉大臣がメディアによく登場なさっていて、今日ご説明いただいたような石炭火力だとか脱炭素についてお話をされています。BSの夜の番組なので、どれくらいの方が見ているのか、ちょっと定かではありませんけれども、それなりに国民社会の理解を得るという意味ではすごくいいことだと思います。

そういうことも含めて、まず質問ですが、第1点として、その中で大臣が、石炭は減らすと、再エネは増やすと、原発も恐らく進まないだろうというふうな発言をなさっているんですけども、それからすると、今日の資料の2ページにあるNDCと計画の見直しの中で「エネルギーミックスの改定と整合的に」という部分がとても気になります。なぜかというと、これまでも、まずエネルギーミックスを決めて、その中で温暖化対策をどうするかという議論だったと伺っております。今回はそうではなくて、まず、やはりパリ協定の1.5℃目標があって、その中でエネルギーミックスをどうするかという流れにしないといけないと強く思っています。先ほどご説明がありましたように、経産大臣も非効率の石炭化のフェードアウトだとか、再エネの電力市場化、それから、つい先日、経済同友会からも再エネ40%という提言も出されております。こうしたことも踏まえて、これまでの議論の流れを逆転させることが非常に大切だと思うんですけども、環境省としてその意思と手段はあるのか、また、その大幅に変えるという可能性について、ぜひお伺いしたいのが1点目です。

それから、2点目は、気候変動と防災のところで大臣同士がいろいろやってメッセージが発せられているのはすごくいいと思うんですが、いかんせん、なかなかそれが実際に現場で動いている国民だとか被災された方のところに届いていないんじゃないのかなと思います。その辺のところを、地元のNGOだとか、いろんな自治体を使って情報発信していくことをぜひやっていただきたいと思います。

それから、3点目として緊急経済対策、今日示されたのはほとんどが事業者支援という方向だというふうに思います。これが決して悪いとは思いませんが、実際に、気象災害や熱中症で大変な思いをされている方がたくさんいるわけなので、例えば、10ページの今後の取組のところにある「グリーンインフラ」の整備だとか、避難所での感染症や熱中症のリスクへの対応というのを、今後の取組としてではなくて、緊急経済対策の中に組み込めなかったのかなということをすごく、この資料を見て思いました。

それで、もう一点はですね、やはり。

三村部会長

すみません、大分長くなっているので。

藤村委員

ごめんなさい。ぜひ、そのグリーンリカバリーに関して、もう少しその視点での政策をもうちょっとアップしていただきたいなという、これはお願いです。

以上です。すみません、長くなりました。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、次に浅野委員にお願いしますが、この後、江守委員、右田委員、下田委員、石上委員の順番でお願いをします。

じゃあ、浅野委員、お願いいたします。

浅野委員

現在の「地球温暖化対策計画」ですが、掲げられた施策の具体化のために政策実現手法を動員するということが抽象的に述べられていますけれども、しかし、内容を見ていきますと、個票のレベルまで下りて内容を読んでみても、やっぱり既に存在する法制度によって規制をするといったようなことが書かれていることを散見できるものの、個別施策についての具体的な実現手法の検討が極めて不十分ではないかと思います。今日は石炭火力発電について、現計画よりもさらに前進できるような方向が示されたというご報告でありまして、そのこと自体は評価したいと思いますけども、しかし、結局のところ、内容的には現行法に基づいた規制的手法をよりどころにして自主的な取組を促すという、我が国の経産省が発明したんだと思いますが、産業を対象とする場合の環境面でのある種の手法が基本になっているのです。そうなりますと、例えばCCSへの取組といったようなことについても、こういったような手法で推進できるかどうかということについてはかなり疑問があります。昨年に作られました「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」は、カーボンプライシングについては現計画よりも表現ぶりで少し具体化しまして一歩進んだと思いますけども、昨年の夏に小委員会でこれまでの議論を整理いたしましたところ、あと議論しなきゃいけないことはこのぐらいのことだろうというふうになったのは次のようなところでした。まず、一番重要なのは、既存の制度とカーボンプライシングの関係をどううまく調整するか、どちらがいいのかということをしっかり検討しなきゃいけないということ。それから、具体的な数字を挙げて議論しなきゃいけないんじゃないか。それから、我が国の実情と言われているものは何であるかということをもう少し明瞭にするということが必要だろうと。このぐらいのところまで絞り込むというふうに話が進んでおりますので、ぜひ今回の計画に当たっては、今まではカーボンプライシングについて使われていた表現が非常に消極的なものであったのですが、決して先に指摘した「成長戦略」の表現ぶりまで来たのですから、その道を後退させないようにしてほしいということを強くお願いしたいと思っています。

それから、自治体は割合安易に、国が目標を掲げますとそれをすっとそのまま入れればいいというような発想になってしまいがちなんですが、そういうことにならないようにする必要があると思いますので、やはり意欲的な目標をしっかり示すということが大事だろうと思いますし、それから、部門別にどうなるかということを、もっとより明確に示していくことによって、各自治体は、自分の地域の温室効果ガス発生源の構成比率がどうなっているかということが分かるはずですから、それを参考にしながら各地域の実情に合った目標をきちっと立てるということができるような、そういう計画にしていかなくてはいけないだろうと思いますので、よろしくお願いいたします。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、江守委員、お願いします。

江守委員

ありがとうございます。聞こえますでしょうか。

三村部会長

聞こえています。

江守委員

2点、コメントを申し上げたいと思います。一つは、今日、オンライン会合ということで、これがYouTubeで放送されているわけですけれども、これは非常によかったというふうに思っています。今まで環境省の会議というのはあんまりYouTubeで放送することはなくて、経産省の会議は放送しているのが多くて、非常に経産省のほうがいいなというふうに思っていたところです。それで、もし今後、集まって会合するのが普通になるにしても、今後このYouTubeの放送というのは続けていただきたいと。特にそう思いますのは、今、若い人が、いわゆるFridays For Futureの高校生、大学生とかがNDCの引上げに非常に強い関心を持って、どのように彼らの意見というのを表明していこうかということを考えていて、こういう審議会とかも結構ウオッチをしています。ぜひ彼らに見ていただきたいと。我々としては、そういう若い人が見ているんだと、我々が見られているんだという、そういう意識を持って恥ずかしくない議論をしていかなくちゃいけないと思います。そのためにもYouTubeというのは続けていただきたいというのが1点です。

2点目は、浅野委員からもご発言があったんですけれども、カーボンプライシングについてなんですが、これはちょっと、最近ネットを見ていますと、とあることをきっかけにしてカーボンプライシング、特に炭素税に対する反発的なコメントが非常によく見られるようになっているということが起こっています。これは、一つはコロナとの関係があると思っていまして、今これだけ経済がダメージを受けているのに増税するのかと、そういうリアクションというのが当然あるわけですよね。もちろん新しい税金の話をすると、そういう反発が来るのは世の常だろうと思いますけれども、カーボンプライシングというのは、僕の理解では、単に税金を増やして高くするからみんな我慢してくださいとか、そういう話ではなくて、むしろ脱炭素の商品とかサービスについては追い風になるような、そちらが相対的に経済的な優位性が上がって、選択されるし、投資が来るし、イノベーションも進むと、そういう、経済に対してブレーキではなくて、その向きを変えるのであるというところは僕から見ると本質に見えますので、そういったことを含めてカーボンプライシングについても堂々とこれから議論していく必要があるのではないかと思います。

以上です。ありがとうございました。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、右田委員にお願いしますが、この後、下田委員、石上委員、それから藤井委員、井田委員、中根委員、藤本委員、佐藤委員、小西委員、そのほかにも手が挙がっておりますが、今から先、数名の方にはそういう順番でお願いしますので、よろしくお願いします。

それでは、右田委員、お願いします。

右田委員

右田でございます。聞こえますでしょうか。

三村部会長

はい、聞こえています。

右田委員

よろしくお願いします。

現在、言うまでもなく、コロナは依然、世界で蔓延しておりまして、経済や雇用の十分な回復も、いまだ見通せない状況にございます。

産業界では、国際的なサプライチェーンの寸断や自国優先主義の流れによりマーケットが分断され、産業構造や雇用構造の変容を余儀なくされる可能性があると考えております。

その意味で環境と成長の好循環を生み出していくことは、今まで以上に重要なことだと考えております。

先ほど事務局から説明がありましたが、13ページにおいて、今般のコロナウイルスの影響により2020年の世界のCO2排出量は約8%減少するという見通しのご紹介がありました。皆さんご承知のように、世界中でロックダウンをはじめとした経済活動の規制、自粛が行われても8%ということですから、規制的手法、経済的手法では、パリ協定の目指す温室効果ガス排出量のネット・ゼロはおろか、80%削減すら実現不可能であることを示唆していると思います。脱炭素世界を実現するためには、政治的手法、経済的手法ではなく、政府の長期戦略にも掲げられたビジネス主導の非連続的なイノベーションを創出することが不可欠であると考えております。

資料42ページでもご紹介いただいておりますが、経団連はこうした考え方の下、企業等のイノベーションを後押しすべく、今年6月にチャレンジ・ゼロを開始いたしました。その後も参加企業は増え続けておりまして、現在140を超える企業、団体が脱炭素社会の早期実現に向け320を超える様々なイノベーションに挑戦することを宣言しております。

この取組につきましては、今月4日、小泉大臣と経団連幹部との懇談でもご紹介申し上げています。大臣からも高い評価と期待を頂いたと伺っております。

経団連は、日本政府と連携して、このチャレンジ・ゼロを強力に推進することによりまして、ESG投資の呼び込みや、多様な連携を促すなど、脱炭素社会の早期実現を目指してまいりたいと考えておりますので、ご理解、ご支援をよろしくお願いしたいと思います。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、下田委員、お願いします。

下田委員

私はコロナ後の影響についてお話をさせていただきたいと思いますけれども、今、資料にありましたように、現れているエネルギー消費等の変化というのは、これはテレワークとかテレショッピングということを考えずに造られた町とか建物の中で、人々がライフスタイルを変えただけで生じたものでありまして、本来は、少し長い目で見て、そういうライフスタイルの変化に対して町をどう変えていくか、それから住宅とか建築の在り方をどう変えるか、モビリティをどう変えるかということを議論していくべきだというふうに考えております。その両者の最適解を生み出すということが大事だと思っておりまして、特にハードをどう変えていくかということを早く描き出して実行することが、これからグリーンリカバリーの中で経済の復興、雇用に関係してくるところだと思いますので、そこを国はやっていただきたいと思っております。

 以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、次は石上委員、お願いします。

石上委員

ありがとうございます。聞こえるでしょうか。

三村部会長

聞こえております。

石上委員

5ページにあります国内の石炭火力発電に関する動きに関してですが、この経産大臣の発表の後、石炭火力発電所に働く人たちや機械設備の現場から不安の声が関係の労働組合に寄せられているという状況があります。

この大きな流れについては、基本的に連合としても賛同するわけですけれども、こういったエネルギー政策転換の中で犠牲になる人たちや地域が出るといったことがあってはならないというふうに思っておりまして、そのための対策が一方では必要だというふうに思います。

こういったエネルギー政策を転換する実施に当たっては、労働者を含んだ関係当事者との対話と参加、そういったことを基本とした対策の実施を求めていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

いろんな意見に対する説明やお答えは、また後で伺うことにして、次に移りたいと思います。

藤井委員、お願いします。

大丈夫です。聞こえています。

藤井委員

聞こえていますか。すみません。

それでは、私は最初のNDC等の議論でご指摘したいんですが、我が国は長期目標2050年80%削減としておりますが、これとNDCは連動していないわけですね。NDCの対策自体が、突き詰めていけば80%削減になるかというと、ならない。今現在、昨年のオランダ、あるいは先日のアイルランド等で、長期目標と当面政府が取っている対策とが不整合であるということが司法の場で問われ、政府側が敗訴という事例が2件も出ています。法律の世界から、あるいは論理の世界からいえば、目先の対策が長期目標と整合していないということ自体、全く受け入れられないということだと思いますので、その点について、我が国もしっかり議論したほうがいいと思います。

それから、もう一点、今日の環境省のご説明でちょっと気になったのは、コロナの影響が我々経済社会にも、あるいは温暖化対策にも影響しているわけですけれども、ご存じのように、生物多様性のCOP15が来年の7月ですか、行われます。ところが、環境省の説明には生物多様性、あるいはナチュラルキャピタルとの関係が、一切議論が出ていない。同じような人間活動の、過剰な人間活動がCO2の過剰な排出を引き出し、あるいは自然資本の削減から、こういったコロナ問題も一つの結果として起きているのではないかと思いますので、COP15のほうとCOP26の両方とも環境省が所管しているはずですから、十分に整合性をもって議論していただきたい。

それから、もう一点付け加えますと、石炭火力の海外輸出の問題の議論ですけれども、4条件はあくまでも石炭火力の議論でしかない。同じ化石燃料でも天然ガス火力についても、今設置すると恒久化するということでよくない、温暖化対策の視点ではよくないとなるのですけれども、相対的には、石炭よりは天然ガスのほうがCO2の排出量は少ないわけですから、どうしても輸出せざるを得ない場合に、そういう選択肢(天然ガス火力に切り替える)を検討するということがどうして入らなかったのか。これはぜひ事務局からご回答を頂きたいなと思います。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、次は井田委員にお願いします。

井田委員

ありがとうございます。

聞こえますでしょうか。

三村部会長

聞こえています。

井田委員

最初に質問が二つあるんですが、一つはちょっとあったんですが、エネルギーミックスとの整合性をどう取っていくのかというのを、これは向こう側、経産省側の仕事だと思うんですが、環境省側のお考えがあったら伺いたいというのが質問の1点目です。

質問の2点目は、これと関わるんですけども、マクロフレームをどう設定するかというのが私は重要だと思っておりまして、ポスト・コロナの時代に、今、想定されているような経済成長率にしても、粗鋼生産量にしても、エチレンにしても、セメントにしても、紙にしても、電力消費量にしても、今までのマクロフレームが全く通用するとは思えないんです。これをどういうふうに、環境省と経産省の合同委員会でもいいし、環境省だけでもいいんですけども、今後の対策を考えていく上で、マクロフレームの議論というのをどういうふうにしていくのか。あるいは、私は幾つか選択肢を示すべきではないかと思うんですが、マクロフレームの議論というのをどうしていくのかというのを考えていらっしゃるのかというのを伺いたいというのが質問の2点目です。

次からはコメントになるんですけれども、既にお話があったように、グリーンリカバリーが重要だと思います。これはコロナによって、日本もそうですけれども、既に膨大な投資が行われている。これで、元にあったものを作ってはいけないんです。日本でどうかというと、先ほど、環境省から予算というのがごく僅かな額が示されましたけども、外国のシンクタンクの試算では圧倒的にグリーンネガティブなほうがグリーンポジティブなものよりも多いというのが日本の現行の復興計画、復興投資の姿であって、さらに大きな問題は、これは赤字国債でなされるんです。赤字国債で次世代につけを回しておいて、現行世代が税などの形で負担しないと、これは次世代に、赤字国債ですから、つけが回ることになる。しかもそのつけをもって、これまでの環境破壊を続けるような投資をしたら、環境面の負債、環境負債も次世代、先ほど江守さんからFridays For Futureの話がありましたけれども、彼らに二重のつけをまた回すことになる。これは、私は二重の不正義だと思います。そういうことをやってはいけないので、グリーンネガティブなものをなくしてグリーンポジティブなものをどうしていくのかというようなことを、ぜひ今後検討していただきたい。

ここでやっぱり重要になるのは、私は、江守さんはじめ皆さんからお話があったんですけども、カーボンプライシングだと思います。炭素税などで現行世代が負担しない、負担するということが非常に重要であるということに加えて、これは江守さんがおっしゃったように、SDGs、パリ協定が求めるトランスフォーマティブなチェンジをするための有効な手段なんです。その上で、今後の議論においては、もうCPの議論、さんざんしてきたので、もうこれは導入を前提にして、じゃあ、一番大きな影響を受ける人たちをどうするのかという、一歩前進した議論をしていただきたいと思います。

繰り返しになりますけれども、カーボンプライシングというのはトランスフォーマティブなチェンジ、SDGsが求めるトランスフォーマティブなチェンジのドライバーになるものであって、ぜひ、カーボンプライシング導入に向けた議論を、導入を前提にした議論をこれからの小委員会の場でしていただきたいと思います。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、次に移りますけれども、中根委員の次は、先ほども言いましたが、藤本委員、佐藤委員、小西委員、大塚委員、中島委員、山戸委員、髙村委員、その順番で発言をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

それでは、中根委員、お願いします。

中根委員

中根でございます。3点、コメントさせていただきます。

1点目は、NDC見直し、エネルギーミックス改定及び地球温暖化対策計画の見直しについてですけども、先ほど藤村委員がおっしゃったご意見と同じように感じておりまして、2015年のINDC作成プロセスでは、エネルギーミックスが決まらなければ決まらないというストレスのたまるプロセスだったことを覚えています。

また、エネルギーミックスの再生可能エネルギー、火力発電、原子力発電の割合が固定的で、その後の政策をロックしてしまって、再生可能エネルギーの最大限の導入という政策の障害になったのではないかと感じています。

3月の書面開催の意見でも申し上げたのですけれども、今や再生可能エネルギー100%の製品を日本国内の工場で製造するのができなければ工場を海外に移転しなければならないと、そんなことが起こるのではないかと心配しています。

ですから、2050年脱炭素社会実現を目標として、再生可能エネルギーの導入割合の上限を取り払うくらいの意気込みで脱炭素の方向に大幅な柔軟性をもたらすようなエネルギーミックスにするように、他省庁や政府全体に働きかけていただきたい。これが1点目です。

2点目は、10枚目のスライドの気候危機時代の気候変動と防災戦略の今後の取組です。これはポスト・コロナでも現状の災害に対しても非常にタイムリーで、的を射た内容になって、全体としてはいいと思います。

その中で気を配っていただきたいのが、高齢者施設や障害者施設を洪水や土砂災害のリスクのある地域から真っ先に撤退させて、健康な方々と一緒に安全な場所に居住できるようにしていただきたいということです。これは典型的なSDGsの具体化であって、象徴的な意味を持つのではないかと思います。

3点目は、24枚目のスライドの右側の大規模感染リスクを低減するための高機能換気設備等の導入支援事業についてです。目のつけどころはとてもいいと思うんですけれども、ただ、6月12日から7月10日という短期間の公募期間でしたので、一種のパイロット事業になるのではないかと理解しています。その効果をしっかり解析していただくことをお願いします。

この目的は、飲食店が多い雑居ビルのCO2削減と感染症対策の同時解決ですけれども、断熱性がよくて気密性の高いビルのビルマルチエアコンの更新時にビルオーナーの協力の下に実施することが中期的には重要だと考えます。

そういうことで、寒冷地と温暖な地域では効果が全く異なると考えられますので、そんな観点から、札幌、仙台、東京の飲食店が入った雑居ビルでのCO2削減効果を比較するなどのデータ解析結果に基づいて、中期的な施策に向けた検討を、ぜひお願いしたいと思います。

以上です。ありがとうございました。

三村部会長

どうもありがとうございました。

では、次は藤本委員にお願いします。

藤本委員

藤本です。聞こえていますでしょうか。

三村部会長

よろしくお願いします。

藤本委員

皆様、ご説明ありがとうございます。私から3点、意見というかコメントさせていただきたいと思います。

 まず、一つ目が、防災と気候変動の関連をご議論されるというお話をお伺いしました。気候変動と防災の関連性というのは非常に強いものがあると思いますし、昨今の日本の環境変化を考えますと、非常に重要なテーマだと思います。

ただ、日本の場合、各地でいろいろな災害が起きているところで、その内容それぞれが違う要因で事象として起きているのではないかと思っておりますので、どちらかというと、全般的な議論というよりは、個別に起きていることをしっかり分析いただいて議論を進めていただけるといいのではないかと考えております。こちらが一つ目です。

それから、コロナ対応ということで、今、生活様式が大きく変わろうということで、社会でも認識されていると思いますし、私もそのように理解しております。

それを踏まえたときに、今のエネルギーのポートフォリオとして、これからどのように需要が変わってくるのかというものの計画の見直しがいずれ必要になってくるのではないかと考えております。現状の分析として、産業ですとか家庭ですとか、実際に需要が変動しているところのご説明は頂いたのですが、それを基にどのように今後の計画に落とし込んでいくご予定なのかということもお伺いできればと思います。

 最後、3点目でございますが、緊急経済対策のところで、やはりお金をつけて対策をしていかなければならないところがあるかと思います。中でもESG投資の重要性なども記載がされていたと思いますが、情報開示を適切にする企業などの組織に対してインセンティブを与えて投資を促していく、適切な形でお金を集めて、適切なものに投資をしていくというようなサイクルがうまく作れるといいのではないかと考えております。

 私からは以上でございます。ありがとうございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、佐藤委員、お願いします。

佐藤委員

ありがとうございます。

皆さん、大分議論が出たので、石炭火力について1点だけコメントさせていただいて、質問がその後、一つあります。

今回の石炭火力の方針転換については、島国でエネルギー資源に乏しい日本は、エネルギーの安全保障については強く意識せざるを得ないわけですけれども、調達が容易で、これまではコストが比較的安かった石炭の優位性というものが再エネのコスト低下によって揺らいでいる、そして金融機関による投融資の取りやめも相次いでいる。石炭火力の輸出については、座礁資産化するのを恐れて、現実には企業が輸出に二の足を踏んでいる。そういう状況の中では、石炭火力からの段階的な撤退というのは極めて合理的な判断だったと思います。欲を言えばあと数年早く表明できればもっとよかった。

ただ、廃止される非効率な石炭火力の基数というのは100基ということで、数的には非常に大きいわけですけれども、エネルギーミックスの観点で言いますと、高効率とはいえ、新しく石炭火力を新設してしまいますと、せいぜい2030年の26%という比率が20%程度に減る程度だと思います。そういう意味では、やはり今の段階で立ち止まるのではなくて、高効率の石炭火力についても慎重な検討をこれから進めるべきだと思います。そうでないと、NDCの引上げについては、なかなか実現性が難しいのではないかというふうに考えます。

それから、質問なんですけれども、ウィズ・コロナ時代の脱プラスチック対策についての質問です。この間のコロナの感染拡大の中で、命と健康を守るためには医療用のプラスチック製品を使い回すことはできない状況が続いていますよね。社会全体でプラスチックの使い捨てをやめるという方向性を取るにしても、それができない分野というものが、今後、コロナ禍の中で拡大していくのではないかというふうに考えられます。医療分野だけではなくて、世界的に見ても、飲食店での使い捨て容器への回帰と言えるような動きも出ているようです。この点について目をつぶるのか、それとも何か対策を講じるべきなのかということについて、環境省の見解があれば教えていただきたいと思います。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、次は小西委員、お願いします。

小西委員

お願いします。手短に3点、お話しさせていただきたいと思います。

まず1点目は、資料の6ページなんですけれども、排出量が5年連続で減っていると、COPでもいつもこれは出されるんですけれども、1990年に比べると、3%減くらいにすぎないので、結局、1990年から地球温暖化対策をしようというふうになってきて、約30年間で3%しか減少できていないということを、もう少しグラフの上にある四角いところで分析として、現実を直視した分析になったほうがいいかなと思います。

ここから言えることとして、これまでのやり方では効果がなかった。すなわち、例えば産業部門の排出削減の施策が自主行動計画がメインだったということが、やはり、それでは功を奏さなかったんじゃないかということがここから導き出されてくるかと思いますので、やはり、カーボンプライシングとかそういったもの、新しい施策が必要なんだということを、ここで分析結果として出てくるみたいなことをしっかり現実として見たほうがいいのではないかなと思っています。

ここから、やはりグリーンリカバリーが非常に重要になってきますけれども、そのときにやっぱり過去を検証して、リーマン・ショックの後、日本は急増していることがここからも分かります。2013年過去最高となっています。そのときの増加要因として、火力発電の増加による化石燃料消費量の増加によってエネ起源CO2の排出量が増加したみたいな分析がなされていますので、今回はそれを防いで、いかに、今まさに環境省さんがおっしゃっておられるような脱炭素化とSDGsに沿った形のリカバリーが果たしていけるかといったような視点で、まず、過去の経緯からの今回の違いというものを見せていけばいいのではないかなと思います。

その三つ目として、今の経済復興策、井田さんもさっきおっしゃっておられましたけれども、日本の中で、脱炭素とかSDGsとか、どの程度一緒に検討されているか。EUとかでは例えば3割を気候変動対策にみたいに言われていて、Do no harmで全体として脱炭素化がかかっており、少なくとも環境に害をなすものはやらないみたいなことになっていますので、そういった形での整理が日本でも問われているのではないかなと思っております。

 以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

では、続いて大塚委員、お願いします。

大塚委員

聞こえますでしょうか。

三村部会長

聞こえています。

大塚委員

大きく4点、お話しさせていただきたいと思います。

一つ目は、グリーンリカバリーの話がたくさんの委員から出ていたと思いますけども、ぜひ、グリーンリカバリーに関しての政府のビジョンというのを策定していただきたいということがございます。

今回、コロナでいろんな影響が与えられているわけですけれども、残念ながらパンデミックはここ20年で四、五回出てきていて、これは天災ではなくて人災という面が非常に強いのではないかと思います。そういう意味で、これからもまた出てくる可能性が残念ながらあるわけですけれども、そのときに気候変動は、パンデミックを引き起こしやすくするということがございますので、現在、コロナの危機から脱却するときに、グリーンリカバリーといっても、多くの国民はそれどころではないと思う方もいらっしゃるのかもしれませんけども、まさに温暖化対策を取ることが新たなパンデミックを防ぐためにも、あるいは緩和するためにも重要だということを、ぜひ打ち出していっていただきたいと思います。

それから、二つ目ですけれども、今回、温暖化対策の計画の見直しの話が出てきていますが、それはそれでやっていただく必要が非常に高いわけですけども、さらに温暖化対策推進法につきましても、附則の見直しの規定がございまして、平成31年までに法制上の措置を取るということに前回の改正のときになっておりますので、今後、法制上の措置についても検討して、できるものから順次実現していっていただきたいと思います。

それから、第3点でございますけれども、温暖化対策の計画に関することでございますが、今回のコロナとの関係で「命の産業」については国内に置いておく必要があるというような話が出ていますが、医療機器とかについて、特に、マスクとかも一時は非常に逼迫しましたので、あとは人工呼吸器なんかもそういう話がございましたけども、このようなことは今後やはり気をつけていく必要があるのだろうと思います。

温暖化対策との関係で私がちょっと気になっているのは、昔、鉄鋼に勤めていた方からお伺いしたことですけれど、日本から現場がなくなっていくと技術開発なんかはとてもできないということがございまして、今まで、前回の温暖化対策基本計画におきましても、あと長期戦略におきましても、イノベーションというのは、先ほどもご指摘があったように、極めて重視されているわけですけれども、環境省が考えているような制度のイノベーションではなく、技術のイノベーション、特に経済産業省が関係されると思いますけど、こちらに関しては、国内に現場がなくてイノベーションをどうやってやっていくのかという問題があると思うんです。それで、トヨタのように、国内で300万台死守してくださっているところはいいんですけれども、必ずしもそうでないところも結構多いようです。これは個々の企業についてはコストとの関係で活動なさらざるを得ないので、致し方ないんですけども、国、政府としては、やはり、イノベーションということを言うからには、国内の産業もある程度確保する拠点を置いておくことを今後とも考えて、既にそういうことは先ほど出ていたと思いますけれども、考えていっていただく必要があるんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。

それから、石炭火力に関しては、今般、特に輸出との関係では一歩前進してよかったと思っていますけども、国内の石炭火力に関しては、今のエネルギーミックスを確実に達成するということが今回出てきたということでございますけれども、2030年のエネルギーミックスの後、また次のエネルギーミックスとの関係を含めて、2030年後の石炭火力のシェアを下げていくということの原動力に、ぜひ今回の措置を活用していっていただきたいと思います。

カーボンプライシングについては、浅野先生をはじめ既にご指摘がありましたが、今後さらに重要になってくると思いますし、財政赤字との関係でも何らかの税を入れるということになると、環境税、カーボンプライシングは非常に重要になってくるのではないかと思います。

それから、あと1点だけ、「気候変動×防災」のところですけども、気候変動との関係でグリーンインフラは非常に重要なものとして挙げられていて、私も賛成なんですけど、10ページとかに「古来の知恵に学び」ということが書いてあるんですけれども、今回、気候変動の結果、毎年こんなとんでもない集中豪雨が起きるようになってきているので、昔とは多分違ってきていると思うのです。アメリカの環境法学者とかは、気候変動によって適応の問題が生じ、環境法が全部変わるみたいなことを言っている人もいますが、アセスの仕方も変わってきますし、グリーンインフラに関しても、今までと全く違う状況に対してどう対処していっていただけるかということを、ぜひお考えいただきたいと思います。

以上です。すみません、長くなりました。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、中島委員、お願いします。

中島委員

私から大きく3点、申し上げます。

1点目として、新型コロナウイルス感染拡大が中小企業等に与えた影響についてお話しさせていただきます。

中小企業は、リーマン・ショックを超えるコロナショックという未曾有の影響を受けています。日本商工会議所の調査では、調査対象は多くを中小企業が占めますが、7月の調査によると、業況判断指数は芳しくなく、全産業で依然、非常に厳しい状況にあることは変わりません。加えて新型コロナウイルスによる経営への影響が「続いている」もしくは「経済活動の停滞が長期化すると影響が出る懸念がある」と回答した企業は9割以上ありまして、長期にわたって経営の立て直しを強いられることが予想されています。

またテレワークについて最近行われた調査では、23区内の事業者については67%が「実施」していると回答していますが、全国で見ると、「実施・検討中」も含めて24%にとどまっています。つまり、働き方改革やデジタル化の観点で、東京と地方で差が明らかに出ているということです。売上、利益等については、例えばアベノミクス前と2019年を比較すると、売上高経常利益率で大企業と中小企業の差は拡大しています。

以上のことも踏まえ、気候変動対策を推進するにあたり、都市と地方の違い、それから大企業と中小企業の違いを踏まえて、新しい生活様式の定着と地域創生実現の観点からも、ぜひ、きめ細かい対応をお願いしたいと思います。

2点目ですが、過去にも申し上げているように、脱炭素社会の実現に向けて各主体がリアリティを持って進めていくためには、今後の社会のありたい姿というのを政府と国民全体で共有することが重要だと思っています。この点で、環境省が提唱しています地域循環共生圏は上位概念であるSDGsやESGの全ての要素を含んでいると思っています。具体的には、感染症や災害リスクを避けるために一極集中から分散化に向かうこと、また、エネルギーの地産地消や面的利用をはじめとして脱炭素と経済復興を目指すことなど、コロナ後のあるべき社会の姿として納得感のある方向性だと思っており、地域循環共生圏を推進していくことが、まさに脱炭素社会に直結することだと思っています。この施策を推進するためには、国の将来を検討するほかの政府会議体、つまり先ほど申し上げました「ありたい姿」を考える政府会議体とも連携しながら、まさに原局である環境省が、地域循環共生圏によるCO2削減効果等について定量感を伴った形で示すことで、関連施策や関係省庁も強く巻き込みながらの推進につなげていくことが重要だと思っています。ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。

3点目です。今年度に入ってから初回の会合であり、かつ地球温暖化対策計画の見直しスタートというタイミングなので申し上げます。資料3の5ページで、非効率な石炭火力のフェードアウトに関わる議論がトピックスとして紹介されていますが、今後は様々な電源の特性を踏まえて、「S+3E」の大原則に基づいた議論がなされるべきだと思っています。さらに、昨今の自然災害の増加を踏まえれば、レジリエンス強化の視点も重要であり、これらについて、ぜひバランスの取れた議論をお願いします。

その他、最後に1点です。地球温暖化対策計画見直しに向けた合同会合では専門家へのヒアリング等が予定されていますが、ぜひ有識者だけではなく、温室効果ガス削減の実施主体である企業をはじめとしたビジネスの意見がしっかり反映されるように、幅広くステークホルダーを巻き込んだ議論をお願いしたいと思います。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、次に山戸委員、お願いします。この後、髙村委員、紀ノ岡委員、そこまでで、一応ご発言を切らせていただいて、環境省のお答えを聞いた後に、またさらに時間があれば議論を続けたいと思いますので、よろしくお願いします。

それでは、山戸委員、お願いします

山戸委員

ありがとうございます。

本日のご説明の中で、新型コロナウイルスの影響により人々の行動様式が大きく変容した結果、幅広い部門で経済活動量の低下が見られたことを定量的に分析いただいております。

今年は運輸部門のCO2排出量も相当減少すると見られておりますが、私ども自動車メーカーといたしましては、引き続きイノベーション創出に向けた研究開発や、FCV、EV、PHVといった電動車の社会への普及、実装に努め、脱炭素社会の早期実現に貢献してまいりたいと思っております。

そうした中、家庭部門におきましては電力消費量の増加が見られるとの分析もございました。前回の会合でも申し上げましたが、我が国の中期削減目標において、家庭部門は2013年比で約40%の削減が求められております。環境省の皆様には、ぜひ、ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ時代を見据え、着実に国民運動が推進されるようにすることで家庭部門の削減にもつなげていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

以上でございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、髙村委員、お願いします。

髙村委員

ありがとうございます。聞こえますでしょうか。

三村部会長

聞こえています。

髙村委員

ありがとうございます。

私からは、ほかの委員がご指摘にならなかった点を特に2点、申し上げたいというふうに思っております。

一つは、三村部会長が最初におっしゃいましたけれども、感染症の拡大というこの状況の中で気候変動対策、脱炭素化に向かう対策も適応策も非常に重要性が増しているというのはそのとおりだというふうに思います。足元の感染症と災害の複合リスクを抑えるという意味でも適応策は非常に重要ですし、将来の気候変動リスクを低減するという意味でも脱炭素化の政策というのは非常に重要になっていると思います。

その意味で、今回始まる温暖化対策計画の見直しについては、もちろん足元の2030年をどうするのかという点もそうですけれども、同時に、これは下田委員がおっしゃいましたが、長期的な視点から、どういう将来の社会をめざすのか、それを支えるインフラはどのようにあるべきか、こうしたものをきちんと書いていくような、そういう作業を期待いたします。特に、インフラ形成にかかる時間を考えると、今ここで始めないといけないというふうに思います。

先ほどから何人かの委員からイノベーションについて議論がありました。長期戦略の中でも非常に重視をしていますけれども、しかしながら、長期戦略に関するイノベーションの議論は企業さんの中にイノベーションのシーズを作り出す力はあるけれども、それを普及して、コストを下げて実装していくためのインフラや社会の制度にむしろ課題があるという認識でした。

そういう意味では、将来を見据えて、まさにイノベーションを作っていくための政策の議論をやっていただきたいというふうに思います。

それに関わって、今「長期的な」と申し上げましたが、このことは地域の脱炭素化にとっても、これは中島委員がおっしゃった点ですけれども、長期的な政策の一貫性や見通しを示すということが具体的な補助と合わせて非常に重要だというふうに思います。特に、今日ご紹介がありました150もの自治体が、しかも7,000万人をカバーした自治体が50年ゼロを目指したいという意思を持っているということの重さをふまえて、国は、その方向で、どういう見通し、政策の方向性を出せるのかということをきちんと議論ができる温対計画の見直しにしていただきたいというふうに思っております。

2点目でありますけれども、コロナ後の在り方として、どの方も多分否定をしないのは、分散型の国土、地域づくりの重要性ということだと思います。これは日本のこの50年間の都市集中、あるいは一極集中の課題にどう対応するかという問題です。恐らくいろいろな手だてを取ってきて、なお解決できないでいるこの課題に対処をするには、地方が住民にとってより魅力的な場にならないといけない。これを作り出す地方のエンパワーメントが今、非常に重要になっていると思います。恐らく、雇用であったり、生活環境や教育環境といったものを統合的に地域が向上させていくという、そういう仕組み、政策が必要で、これもどなたかおっしゃいました、地域循環共生圏という取組はそれにつながってくると思います。

脱炭素の観点からいきますと、欧州などもいろんな戦略の柱を立てておりますけれども、例えば建築物のリノベーションですとか、クリーンエネルギーですとか、クリーンな持続可能なモビリティの実現、いずれも経済復興、雇用創出をしながら、脱炭素、クリーンな社会を創っていける、そういうポテンシャルを持った施策があるということだと思います。

中でもやはり強調したいのが、再生可能エネルギー、クリーンエネルギーの積極的な導入、活用で、これは特に地方のエンパワーメントという点では非常に重要な施策だと思います。経産省も再エネ主力電源化に向けて政策パッケージの検討を開始していますし、さらに再エネ型経済社会の創造というビジョンを今、打ち出して議論をし始めています、そういう意味では、環境省でも経産省のこうした検討と連携をして、ゼロ・カーボンシティ、あるいは2050年ゼロエミッションを目指す地域や企業の支援をする、再エネ導入の促進策というものを検討実施していただきたいと思っております。

以上でございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

次は紀ノ岡委員で最後と言ったんですが、実は連携が悪くて、西尾委員と、それから吉高委員が挙手をされているということなので、あと、この3名の方にご発言いただいた後で環境省にお返事を頂きたいと思います。

ちょっと時間が苦しくなってきたので、3人の方、申し訳ありませんが、簡潔なご発言をお願いします。

それでは、紀ノ岡委員、お願いします。

紀ノ岡委員

ありがとうございます。電気事業連合会の紀ノ岡でございます。

まず、温対計画の見直しを含めました中長期の気候変動対策、これを検討する際に、やはり政府の長期戦略、あるいは現行の温対計画に記載がありますとおり、環境と成長の好循環の実現、あるいは地球温暖化対策と経済成長の両立、こういった観点が非常に重要ではないかということを申し上げたいと思います。特にエネルギー資源の乏しい我が国の現状を考えますと、私ども電気事業におきましても、脱炭素社会、これを目指す上で、従来から申し上げていることですが、S+3E、この考え方が非常に重要だというふうに考えてございます。

多様な電源、いろんな電源、それぞれ一長一短あるわけでございますけれども、再エネ、やはり今、CO2削減のための主力電源化ということを目指して国を挙げて取り組んでおられるところですけれども、やはり、再エネにもいい面、悪い面ということがきちっとあるということを認識しておくことは、まず重要なのではないかと思います。

再エネということを考えますと、幾ら再エネのコスト、単体としての再エネのコストが下がったとしても、再エネというのはいろんなシステムの中で機能しているということを、まず踏まえる必要があると思います。電力というのは、系統につながって電気として使えるわけでございますので、再エネを組み込んだ系統全体の安定性をどう保つか、これが非常に重要になってまいります。

また、コスト面について申し上げますと、これは系統対策を含めたトータルの経済性で再エネというものの実力を評価していくということが非常に重要であるというふうに思っています。

そういう意味でも、現実的には再エネのコスト低減、これも重要な課題であるということをやはり認識しておく必要があるのではないかというふうに思います。

したがいまして、再エネの普及、拡大、これは非常に重要なわけですけれども、こうした今申し上げた問題の解決、これは非常に重要でございまして、そのためにも、再エネの実力を発揮するためにも、その裏方として再エネを支える調整力としての火力電源、あるいはガスであったり、そしてまたエネルギーセキュリティー、あるいは経済性に優れ、既に技術として確立しております原子力の活用、これも再エネと同様に必要不可欠であると、私ども事業者は考えてございます。

したがって、まとめますと、多様な電源をうまく組み合わせていくということだと思います。再エネを生かすためにも多様な電源を組み合わせていくことが重要であるというふうに思っています。

加えまして、温室効果ガスを削減するためには、今申し上げたような供給サイドにおける電源の脱炭素化、低炭素化ということももちろん重要なんですけれども、エネルギーの使われ方、需要サイドからのアプローチも必要、したがって、需要サイドという意味におきましては、電化ということを推進していくということが、供給サイドと併せて重要なのではないかということを申し上げたいということでございます。

そのため、温対計画の見直しに当たっては、今申し上げたような観点もしっかり踏まえた上で議論をお願いしたいというふうに思います。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、西尾委員、お願いします。

西尾委員

すみません。時間のないところで、ありがとうございます。

2点、申し上げたいと思います。

今日の審議会で、コロナ禍でロックダウンされて、社会、経済のサステナビリティを度外視しても、実際のCO2は思ったほど減らないんだということをデータとして示していただいて、あらためてNDCの達成やパリ目標の達成に向けて、今の生産体制や市場取引のあり方、あるいは生活の延長線では、とてもではないけれども解決できないんだということを思い知らされました。解決に向けては、まさにバックキャスティング的な発想でエネルギーミックス、あるいは生産体制、市場取引、暮らし方等々を総合的に見直す必要があると考えます。

もう一点、ライフスタイルということで言えば、コロナ禍によって市民は奇しくも新しい働き方、新しい暮らし方、あるいは、大学においても教育体制の在り方そのものについても新しい経験をしたわけです。その結果、20ページの資料のような形で、生活者周辺でのエネルギー消費量が増えてしまったというデータがありますけれども、これはまさに下田先生がご指摘されたように、これまでの社会インフラの下での働き方、暮らし方を前提とした上での負荷量ですので、そういう意味からすると、これについても注意して検討していく必要があるだろうと思います。さらに、コロナ感染リスクに対しては、医学的な対応も含めて元の安全・安心な生活に戻る必要がありますが、そのときに、元の生産体制や暮らし方、あるいは物を中心とした取引に戻してしまうのではなくて、むしろ、地球温暖化の観点から、望ましい新しい暮らし方や生産体制を推進することが求められます。今は、それに向けての構造変革を行う重要な時期だと思います。それを実現するためには、ハード面だけではなくて、ライフスタイルというソフト面も含めた全体最適を基とした中長期的なシナリオづくり、社会デザインが不可欠となります。今後、中長期の気候変動対策検討小委員会を作られるということですので、ぜひとも、その点についても検討してください。すなわち、コロナで体験した新しいスタイルを、地球温暖化の観点で、より望ましい方向に進化させる、そして浸透させること、そのために必要なインフラや社会システムは何か、どのような制度設計を行うかについてご検討いただきたいと思います。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

 それでは、吉高先生、最後ですけれども、よろしくお願いします。

吉高委員

ありがとうございます。聞こえますでしょうか。

三村部会長

聞こえています。

吉高委員

では手短に。資料3の23ページにある、コロナの影響による変化と社会の脱炭素化についての記載は、私も同意でございまして、そのような社会においては、22ページにあります、「レジリエンス」が重要なキーワードかと思っています。9ページに「気候変動×防災」について内閣府と小泉大臣が会談されたとあります。この中で気になりましたのが、グリーンインフラという言葉でございます。再エネは分散型電源として、レジリエンスにおいても重要な役割があると思います。例えば、国交省のグリーンインフラ懇談会が公表した中間整理では気候変動へのレジリエンスのことが入っておらず、再エネによる分散型電源がはいっていません。各省の役割として分けられるとは思いますが、欧州では「グリーン」として気候変動に関して包括的に入っています。気候変動に対してレジリエントな日本だということを海外に発信するためには、省庁横断で気候変動に対してレジリエンスとは何か、日本にとって何がレジリエンスなのかということを包括的に整理し共有していただきたいのが一つと、これを9月のオンライン・プラットフォームなど、海外に向けて発信していただきたい。(23ページにあるような社会に対して)強靭な日本を創っていくということを、海外にしっかりと発信していただきたいというのが私の願いでございます。

以上でございます。よろしくお願いします。

三村部会長

どうもありがとうございました。

今日は大変多方面にわたる、大変いい、いろんな意見、提案を頂きました。

最後に私から一つだけ、私自身の質問を申し上げたいと思うんですが、今日これだけいろんな話をしていただいて、それが今後どういう政策に生かされるかということです。アフターコロナと、それから気候変動対応を合わせた総合的な政策を今後どういうふうに形成して実施していく、そういう計画があるかどうかということを環境省のほうに伺いたいと思います。

それで、たくさん出たので、全部お答えいただくというのは、なかなか難しいかもしれませんが、限られた時間の中でも主要な点についてお答えをお願いしたいと思います。もう、あと予定の時間まで5分くらいになってしまったので、誠に申し訳ないんですが、時間を5分から10分ぐらい延ばさせていただいて、用件のある方は途中で退室していただいて結構ですけれども、その時間の中で環境省のほうからのお答えを頂きたいと思います。よろしいでしょうか。

それでは、環境省のほうから、順次、担当の方々からの回答をお願いします。

脱炭素社会移行推進室長

多様なご意見、ありがとうございます。まず、温対計画など全体に関することについて、本当に手短に、非常に多様に頂いたので、全部お答えし切れないんですけれども、まず、温対計画の見直しに関して、エネルギーミックスとのいわゆる整合性というところについて、いろんな意味で気になるというお言葉を頂きました。ここは、当然ながら整合的であることは必要なわけですけれども、先ほど髙村先生からもご指摘があったとおり、経済産業省のほうも今、再エネの主力電源化ですとか、再エネ型経済社会といった検討をいろいろ始められていまして、そういったことと呼応しながら、来年ちょうどエネルギー基本計画の見直しの時期に入っていますので、そうした動きと日頃から緊密に連携を取りながら、両者が整合する形で、両方で議論をしながら作っていければいいと思います。どちらかが一方的に何かを作ってどちらかに無理やり合わせるという形にならないように、ぜひしたいなというふうに思っております。

それから、コロナ後の社会をどのように見ていくかというところについて非常に多様なご意見を頂きました。本当にありがとうございます。頂きました視点などをいろいろ踏まえまして、また今度、小委員会でいろいろな方々からのご意見も聞きながら考えていきたいと思いますが、そういった望ましい社会とか、それからどうなっていくであろうと、そういったところを踏まえて、今後、温暖化対策としてどのような施策を打っていくべきかということを考えて、それを計画に落とし込んでいくと、そういった流れかと思います。

あと、このほか、例えば生物多様性との関係ですとか、それから地域循環共生圏との関係、それからビジネスの視点をと、そういった様々なご意見も頂きました。これを全て踏まえて、しっかり議論をしていきたいと思っております。

取りあえず、私からは以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

ほかの方から何かお答えはありますか。

気候変動適応室長

気候変動適応室、髙橋と申します。

今日は「気候変動×防災」の関係でいろいろな委員からご意見を頂きまして、ありがとうございます。

防災ということの部分もございますので、地域に根差した、また影響を受けやすい高齢者問題も非常に重要だと思っています。そういった意味で、地域の取組というのを国のほうでも後押しをして、今後とも進めていきたいと思っております。

1点だけ補足して説明させていただきますと、大塚委員からだったかと思いますが、「古来の知恵に学び」というようなところについてご指摘を頂いたかと思います。この報告書においての趣旨は、気候変動の影響に伴って、これまでの経験では想定できない災害というのが考えられるとするものに対応していくということが必要になってくるという中で、従来の洪水を起こさないということではなくて、様々な対策を取っていく必要があるだろうと。その中で、過去にあるような、ただ洪水を起こさないということではなくて、水をいなすような取組や知見、知恵というものも活用していくということが適当ではないかと、そういった意味でまとめているものということでございます。

これからの気候危機時代での対策というのを、様々な対策を考えながら取り組んでいくということを政府一丸となって取り組んでいこうと思っております。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

次、どなたか。

地球温暖化対策課長

地球温暖化対策課長の小笠原でございます。

大塚委員から、地球温暖化対策推進法の附則の見直し規定についてのご意見を頂きました。見直しの期限が来ておりますので、我々のほうで検討した上で、どのようなことができるのかということを、今の法律の評価も含めて検討していきたいというふうに思っております。

それから、髙村委員から、再エネの積極的な活用についてご意見を頂きました。エネ庁のほうも再エネの主力電源化に向けてということで積極的な検討をされていますので、その動きと連携しつつ、環境省としまして何ができるかということを実施していきたいというふうに思います。

それから、私の直接の担当ではないんですけれども、前々任でリサイクル推進室長をしておりましたので、その関係で、プラスチックの件について佐藤委員からご意見がございました。ご指摘のとおり、プラの廃棄が増えている部分はもちろんあるわけでして、あくまでやっぱりコロナ禍ではきっちりと感染防止対策を講じた上で、レジ袋の有料化などの取組も進めておりますし、プラスチック資源循環戦略で3Rの目標なども定めて、さらに今、循環の議論も循環局のほうでしているところですので、しっかりとプラスチックの3Rというのを進めてまいりたいというふうに思います。

三村部会長

ありがとうございます。

では、次の担当の方、お願いします。

国際地球温暖化対策担当参事官

すみません。参事官をしております辻原です。

私のほうから、藤井委員より、石炭の輸出に関する4要件について、火力発電であっても高効率の石炭火力じゃなくて天災ガスなどの選択肢を示すべきではなかったのかと、どういう調整が行われたのかというご質問がありました。それについてお答えしたいと思います。

今回の4要件の見直しですが、あくまでも石炭火力について限定的に議論いたしました。したがって、石炭火力と天災ガスを比べて天災ガスのほうがという議論はしておりませんで、あくまでも石炭火力を導入する際にどういうふうなことを考えていくべきかという議論をしております。その中で、基本方針として脱炭素化インフラを積極的に目指していくということを、まず掲げておりますので、この中で、水素であったりとか、エネルギーマネジメント技術であったりとか、再生可能エネルギー、CCS、こういった脱炭素型の選択肢も示していくと、こういったことは基本的な方針ということで示しております。

以上でございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

市場メカニズム室長

よろしいでしょうか。市場メカニズム室長の井上でございます。

浅野先生、江守先生ほか多くの方からカーボンプライシングに関するご意見を頂きました。ありがとうございます。カーボンプライシングにつきましては、皆様方からお話があったとおりでございますが、環境と成長の好循環といった脱炭素社会への移行、あとSDGsの実現を進めるための歯車を回していくドライバーとして有力な政策ツールの一つだと考えられております。コロナ禍におきましても、その可能性を追求するという姿勢は変わるところではございません。

一方で、新型コロナウイルスが経済にも大きな影響を与えていることは重く受け止める必要があると考えております。カーボンプライシングにつきましては、こうした経済の状況をよく見極めつつ、CPの小委員会の開催時期も含めて検討していきたいと思っております。

あと、もう一点でございますが、地球温暖化対策計画の見直しとの関係でございますが、カーボンプライシングの小委員会での議論も踏まえながら、計画の見直しに活かしていきたいというふうに思っております。

以上でございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

あと、お一人いらっしゃいますか。

地球温暖化対策事業室長

事業室長の加藤でございます。よろしくお願いします。

資料3の24ページのところで、高機能換気設備のお話を中根委員から頂きました。

環境省では、導入後、CO2削減効果の分析とかを行っておりまして、委員のおっしゃるとおり、断熱とか気密性を保ちつつ、熱交換型の換気という形で、新しいコロナ時代に対応した換気量の確保を図るという、対策の両立を図っていかないといけないと思っております。その有効性、特にご指摘があったように、冬の暖房についての効果が高いのではないかというご指摘かと思いますので、よく検証をしていきたいと思います。

あとは、もう一つ、太陽光のPPAモデルのほうにつきまして、グリーンリカバリー等のお話、多数の委員から頂きました。需要家主導で需要近接型の再エネを入れていくというのを初期投資なしでやっていくというのがPPA、第三者所有モデルというようなものでございまして、レジリエンスの観点から、もしくは電力の系統を強化、整備するための時間を待っている間、まず、需要近接型のところから再エネにしていくというところが、FITに頼らない仕組みを構築するという観点からも非常に重要であると思っております。今後そういう需要家主導の再エネ整備、これをさらに今後、需要家側の省エネ・蓄エネ機器などとも連携して、需要の能動化を図って、再エネを安く使いこなしていく仕組みというものを構築していきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

三村部会長

どうもありがとうございました。

これで、環境省からのお答えは最後でしょうか。

地球環境局長

三村先生、すみません。地球環境局長、小野でございますが。

三村部会長

すみません。じゃあ、お願いいたします。

地球環境局長

最後に、三村先生から頂きました、今後どのように検討して、どこに生かしていくのかというお話でございます。

まず、先生方、大変ご熱心な議論、ありがとうございました。また、議論の進め方については、チャットでいろいろと議論、ご意見を頂いております。これについてもよく検討したいと思っております。

まず、主に緩和に関する点でございますけれども、これについてはご説明しましたように、地球環境部会の下に小委員会を設置したところでございますので、今後、経産省の産構審と合同で検討を進め、地球温暖化対策計画の見直しに反映させていくと。さらに、計画に関わらないといいますか、それをはみ出るところについては、どのようなやり方でやるのかというのは併せて検討したいと思っております。

また、適応については今、同じく中環審の小委員会で影響評価をしておりますので、今年中に影響評価を行いまして、来年度には適応計画の見直しに反映させていきたいと考えております。

また、プラスチックという話もございましたが、これは循環局のほうで、これも経産省と合同で委員会を設置して、今後の在り方というのを検討しておりますので、これも年度内でしたでしょうか、結論を出すというふうになっております。

このように、ちょっと場はいろいろと分かれますけれども、それぞれしっかりご議論をいただいて、結論が出たものについては、それぞれ計画なり、新たな影響評価・適応計画、あるいは温対計画、様々なツールの中で生かしていきたいと考えておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

以上でございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

これまで皆さん指摘されましたけれども、今日は大変多様な、いろいろな方面からのご意見を頂きました。きちんと議事録も作られると思いますので、今日の議論を次の政策展開にぜひ生かしていただきたいというふうに思います。

議題3が残っていますが、これはもう何かあればということなので、今日は時間も過ぎておりますので、この点はないということでよろしいでしょうか。そうさせていただきます。

それでは、時間も7分ほど過ぎてしまいましたけれども、以上で本日の議事を終了したいと思います。

最後に、事務局から何か連絡があれば、連絡事項等をよろしくお願いします。

総務課長

委員の皆様におかれましては、本日は活発なご議論をありがとうございました。

本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただきました後、ホームページに掲載をさせていただきます。

次回日程につきましては、現時点では未定でございますが、詳細が決まり次第、別途ご連絡を申し上げます。

事務局からは以上でございます。

三村部会長

それでは、以上で閉会とさせていただきます。

本日は初めてのオンラインの会合でしたけれども、大変活発な議論、ありがとうございました。オンラインとしては、予想以上によく議論ができてよかったと思います。どうもありがとうございました。

午後5時08分 閉会