中央環境審議会地球環境部会2020年以降の地球温暖化対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合(第7回)議事録

午後3時00分 開会

○低炭素社会推進室長

それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会2020年以降の地球温暖化対策検討小委員会・産業構造審議会約束草案検討ワーキンググループの合同専門家会合を開催いたします。

私は事務局の環境省低炭素社会推進室長の瀧口です。どうぞよろしくお願いします。以降、座って説明をさせていただきます。

本日は、委員総数の過半数の委員に御出席いただいており、定足数に達しております。また、本日の審議は公開とさせていただきます。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。配付資料の一覧を御参照ください。

資料1が中環審側の小委員会の委員名簿、資料2が産構審側の委員の名簿。この資料の2を御覧ください。今回、産構審の約束草案検討ワーキンググループのほうに、新たな委員として日本鉄鋼連盟の環境・エネルギー政策委員会の丹村委員長が就任されましたので、御紹介させていただきます。

配付資料一覧のほうに戻らせていただきます。

資料の3が長期エネルギー需給見通しの骨子。資料の4が日本の約束草案の要綱の案。そして、参考資料の1が約束草案の関連資料、参考資料の2が2013年度の温室効果ガスの排出量の確定値、参考資料の3が丹村委員の御提出資料、参考資料の4が大橋委員の御意見ということでつけさせていただいております。もし資料の過不足等ありましたら、事務局までお申しつけください。

それでは、早速議事に移りたいと思います。

以降の議事進行は、中環審のほうの小委員会の浅野小委員長にお願いいたします。

○浅野小委員長

それでは、本日は、私が進行を務めさせていただきます。早速、議事に入りたいと思います。

本日の議題は、議事次第にあるとおりでございまして、約束草案の要綱についてとなっております。

まず、事務局から資料の説明をしていただき、その後、御発言を御希望の委員から御質問、御意見をいただきたいと思います。事務局の説明につきましては、あらかじめお約束をした説明時間の終了1分前になりましたら、合図のベルを鳴らして時間をお知らせすることにいたしますので、どうぞご説明に当たられる方々におかれましては、よろしくお願いいたします。

それでは、資料説明を環境省及び資源エネルギー庁からお願いをいたします。

○低炭素社会推進室長

それでは、この議題の約束草案の要綱についてということですが、この約束草案は、これまでも御紹介しておりますとおり、エネルギー政策やエネルギーミックスに係る――すみません、申し訳ありません、カメラ撮影はここまででお願いいたします――この約束草案は、エネルギー政策やエネルギーミックスに係る国内の検討状況等を踏まえて検討してきました。

先日、長期エネルギー需給見通しの骨子が発表されたものですから、まず資源エネルギー庁のほうから、この骨子について御説明いただき、その後で約束草案の要綱について説明をさせていただきたいと思います。

資源エネルギー庁の松尾課長、お願いいたします。

○総合政策課長

それではお手元にございます資料の3に基づきまして御説明させていただきたいと思います。

この資料3の表側にございますように、この別添1とございます骨子でございますけれども、これは4月28日――一昨日でございますけれども――の総合資源エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し小委員会におきまして、事務局案として提出をされ、御議論いただきました結果、坂根小委員長に一任、了承されたものでございます。

では、具体的な中身に入りたいと思います。

1ページ御覧いただきまして、長期エネルギー需給見通し骨子、その一番目が見通しの位置づけでございます。

この長期エネルギー需給見通しにつきましては、エネルギー基本計画を踏まえて、いわゆる「3E+S」、Sは安全性、それから3Eが安定供給、経済効率、環境適合でございますけれども、これについて達成すべき政策目標を想定いたしました上で、これはまた後で出てまいりますけれども、それを実現するという、その方向性に基づいて施策を講じたときに、実現されるであろう将来のエネルギー需給構造の見通しであり、またあるべき姿を示すものであるということでございます。

このためマクロの経済指標や産業動向等を踏まえた需要想定を前提にいたしまして、そこに対策や技術等の裏付けとなる施策の積み上げに基づいて実行可能なものというふうにつくっていくということでございます。

具体的に今申し上げました「3E+S」の基本構想方針でございますが、2.基本方針の一番目でございます。(1)から(3)まで安全性を大前提に、この三つの方針を出しております。

一つ目は、自給率は震災前を更に上回る水準(概ね25%程度)まで改善をする。

それから、2番目、これは経済効率でございますけれども、電力コストは現状よりも引き下げる。

3番目に、環境につきましては、欧米に遜色ない温室効果ガスの削減目標を掲げ世界をリードするという、安全性を大前提に、この三つの目標を達成をするということでございます。

これらの政策目標を同時達成する中で、徹底した省エネ・再生エネの導入、火力発電の効率化等を進めまして、原発依存度は可能な限り低減させるということでございます。

3.が、具体的な2030年のエネルギー需給構造の見通しでございます。

(1)が、エネルギー需要及び一次エネルギー供給構造でございます。下のほうに絵がございますけれども、経済成長等によりまして、一定のエネルギー需要の増加、これは2013年度の実績から2030年度のところに向けまして上向きの矢印がございますけれども、この増加を見込みました上で、徹底した省エネルギーの推進により、これは石油危機後並みの大幅なエネルギー効率の改善を見込むということで、これがオレンジ色の徹底した省エネ、5,030万kl程度、対策前比13%のマイナスということでございます。

これを前提にいたしました一次エネルギーの供給構造が右側でございます。これは発電ロス等がございますので、供給のほうが多くなっておるわけでございますけれども、これが全体で4億8,900万kl程度。この中を、特に再エネと原子力、あわせまして自給率が24%超まで改善をするということでございます。

また、震災後大きく低下しておりました自給を増やすということでございますし、またエネルギー起源CO2の排出量につきましては、これは計算上、2013年比で21.9%減ということでございます。

続きまして、電源構成のほうに移りたいと思います。(2)でございます。

3ページお開きいただきまして、ここも真ん中に図がございますけれども、こちらについても、まず、電力需要のほうが自然体で一旦上がってくるという見通しを立てました上で、そこから徹底した省エネ(節電)を行うということで、対策前比17%のマイナスを想定をしております。このマイナス17%の省エネをあわせまして、これ右側が電源構成になっておりますけれども、省エネと、そのグリーンでございます再エネをあわせまして、約4割の対策を打つということでございます。

そういたしまして、その上で原発依存度の低減に、これで大きく貢献をするということでございますし、ベースロード電源につきましては、ここにございますように56%程度となるということで、これにより、現在よりも電力コストも低減をされるということでございます。

それでは、具体的な各分野の取組につきまして、その下でございます。

まず、(1)の省エネルギーでございますけれども、これは言うまでもなく、産業、業務、家庭、運輸各部門におきます省エネルギーの強化を図るとともに、ディマンドリスポンス等のエネルギー消費行動の変革、あるいはエネルギーマネジメントの推進等によりまして、スマートな省エネルギーを実現してまいります。また、エネファームや燃料電池自動車といいました水素関連技術の活用も推進していくと。

こういうことによりまして、先ほど申し上げましたように5,030万kl程度の省エネルギーを図り、エネルギー効率を35%程度改善するということでございます。

2番目が、再生可能エネルギーでございます。

こちらについては、各電源の個性に応じて最大限の導入拡大と国民負担の抑制を両立するということで、具体的には、自然条件によらず安定的な運用が可能であります地熱、水力、バイオマスを積極的に拡大し、これにより、ベースロード電源を一定程度確保しながら、原発依存度の低減を図る。

これに対しまして、自然条件によって出力が大きく変動いたします太陽光、風力につきましてはコストの低減を図りつつ、国民負担の抑制の観点も踏まえまして、最大限の導入拡大を図るということでございます。

3番目、火力でございますけれども。

こちらは非効率な石炭火力発電の抑制に向けた取組等火力発電の高効率化を図りまして、環境負荷の低減と両立しながら、有効活用を推進していくと。なお、石油火力につきましては必要な最小限の量とする。

また、化石燃料につきましては、これを低廉かつ安定的な供給をできますように資源確保の取組をさらに強化をしていきたいということでございます。

4番目が、原子力でございます。

原子力につきましては、安全性の確保を全てに優先し、規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められました場合には、その判断を尊重して原子力発電所の再稼働を進めていくと。また、規制基準を満たすことにとどまりませんで、不断の自主的な安全性の向上、それから、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定に向けた取組等を推進していく。さらに、原子力依存度の低減や電力システム改革後を見据えた原子力発電の事業環境整備等を図っていくということにいたしております。

なお、(注)に書いてございますように、この原子力発電比率は、2030年時点における電源構成上の見通しを示したものということでございまして、個別の原発の安全性に関する原子力規制委員会の審査に影響を与えるものではないということは、もちろんでございます。

(5)が、多様なエネルギー源の活用と供給体制の確保ということで、一つは、エネファームを含みますコージェネレーション、これは大体1,190億kWh程度を見込んでございますが、分散型エネルギーの推進を図りまして、エネルギーの効率的利用の推進を進めてまいります。また、各部門におきます燃料の多様化も推進をいたしますとともに、これらを支える供給体制の確保を図ってまいります。

また、(6)といたしまして、2030年以降を見据えたということで、この「3E+S」に関する政策目標の確実な実現、それから多層・多様化した柔軟なエネルギー需給構造の構築に向け、水素をはじめとします新たな技術の活用を推進するということでございます。

最後、長期エネルギー需給見通しの定期的な見直しということで、省エネルギーの進展、あるいは再生可能エネルギーの導入、各電源の発電コストの状況、あるいは原発を巡る動向等を踏まえながら、少なくとも三年ごとに行われますエネルギー基本計画の検討に合わせて、必要に応じて見直すことといたしております。

以上でございます。

○低炭素社会推進室長

それでは、続きまして、日本の約束草案の要綱の案を御説明させていただきます。

資料の4を御覧ください。

この約束草案の要綱の案ですが、1の温室効果ガス削減目標(案)、この2020年以降の温室効果ガス削減に向けた我が国の約束草案は、ただいま御説明いただきましたエネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題などを十分に考慮した裏付けのある対策・施策や技術の積み上げによる実現可能な削減目標として、国内の排出削減・吸収量の確保により、2030年度に2013年度比で26.0%減、2005年度比で25.4%減の水準にすることとして、この目標の案をしております。これは総排出量から吸収量を引いた量として約10億4,200万t-CO2になります。

この約束草案に記載すべき事項ですが、ここに書いてありますように、1の基準年。この基準年につきましては、2013年度と2005年度の両方を登録することとしておりますが、実際に、足元からどれぐらい削減したのかということが、今後対策を講じていく上で重要なものですから、2013年度比を中心に説明を行うことにしております。

目標年度は2030年度。その対象範囲や対象ガス、カバー率は、対象範囲は全ての分野。対象ガスも気候変動枠組条約が対象としております全てのガス。カバー率は100%となります。

この計画のプロセスですが、約束草案につきましては、その提出時期も含めて、COPの決定、各国の動向や将来枠組みに係る議論の状況、エネルギー政策やエネルギーミックスに係る国内の検討状況等を踏まえて検討してきたところです。

また、この専門家会合、中環審の小委員会、産構審のワーキンググループ合同会合において、国民に公開する形で検討を行ってまいりました。

並行してエネルギー政策やエネルギーミックスについては、総合資源エネルギー調査会の中に小委員会を設けられて、これも国民に公開する形で検討がなされております。

温室効果ガスの排出削減・吸収のための主要な対策・施策は、この資料の参考で示しておりますので、後ほど御説明させていただきたいと思います。また、この要綱の取扱いですけれども、この要綱案について、本日の御意見を踏まえて、この要綱ということで事務局サイドで固め、それをもとに政府の原案を取りまとめて、パブリックコメントを行った上で、地球温暖化対策推進本部で決定をして、国連(気候変動枠組条約の事務局)に提出したいと考えております。

また、今後、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地球温暖化対策計画も策定する予定にしております。

2ページ目に参りまして、前提条件、方法論。

こうしたところは、IPCCが求めております国際ルールに則ってやることにしておりますし、二国間クレジット制度(JCM)については、温室効果ガス削減目標積み上げの基礎とはしておりませんけれども、日本として獲得した排出削減・吸収量を我が国の削減として適切にカウントすることとしております。

また、こうした算定方法は、今後の算定ルールに関する国際交渉により変更の可能性があります。

ここで1~5まで書いておりますが、このほかにもCOP決定で求められている事項を盛り込んだ上で、この要綱から政府原案づくりというのを進めていきたいと思っております。

3ページ目を御覧ください。

以下、参考資料ということですが、それぞれの温室効果ガスの種類ごとに、あるいは部門ごとに2030年度の排出量の目安、あるいは目標ということで掲げております。

1の(1)のエネルギー起源の二酸化炭素、これは温室効果ガス排出量全体の9割以上を示すわけですけれども、このエネルギー起源のCO2排出量で申しますと、2013年度比で25%減、2005年度比で言いますと24%減の水準。それが、この表の1に書いてあります。2013年度の12億3,500万tから2030年度には9億2,700万tにする。2005年度の場合は、12億1,900万tからになりますけれども。こうした削減を、今後していくということであります。

非エネルギー起源CO2、メタン、一酸化二窒素、それからHFC等4ガスについても、それぞれ目標を掲げておりまして、4ページ目に参りまして、4ページ目の表の3が、HFC等の排出量の目標であります。

また、温室効果ガスの吸収源についても見込んでおりまして、吸収源活動により3,700万t-CO2、このうち森林吸収源対策により2,780万t、農地土壌炭素吸収源対策及び都市緑化等の推進により910万t、これが内訳になりますけれども、合計で3,700万tの吸収量の確保を目標としております。

また、JCM及びその他の国際貢献につきましては、ここに書いてあるところを読み上げさせていただきますと、途上国への温室効果ガス削減技術、製品、システム、サービス、インフラ等の普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への我が国の貢献を定量的に評価するとともに、我が国の削減目標の達成に活用するため、JCMを構築・実施していく。これにより、民間ベースの事業による貢献分とは別に、毎年度の予算の範囲内で行う日本政府の事業により2030年度までの累積で5,000万から1億t-CO2の国際的な排出削減・吸収量が見込まれる。ここは2030年度単年度ではなくて、それまでの累積ということで数字を掲げております。また、国際貢献として、JCMに加えて政府関係機関及び産業界の取組による排出削減ポテンシャルが見込まれる。

併せて、途上国の排出削減に関する技術開発の推進及び普及、人材育成等の国際貢献についても、積極的に取り組んでいくということにしております。

5ページ目が、先ほど御紹介いただいたエネルギーミックスの表を掲載させていただいております。

それから、6ページ以降が、それぞれの各ガス、それから、部門ごとの2030年度の排出量の目安と、2013年度、あるいは2005年度の排出量を対比させて、今回この温室効果ガス削減目標の積み上げの基礎となった対策・施策を右側に書いております。

この対策・施策につきましては、合同専門家会合の中で議論をいただいたものを中心に、実際にどれぐらいの削減効果が見込まれるかということを事務局のほうで作業をしまして積み上げたものです。

また、ここに個別具体の対策をそれぞれ設けておりますが、政府全体の温暖化対策としては、こうしたものを推進していく、あるいは補足するような横断的施策も実施をしている、あるいは実施をしていくところであります。

9ページまでがCO2関連、それから、10ページがその他のガス、あるいは非エネルギー系のCO2と吸収源対策ということで掲げております。

資料4の説明は、以上です。

○浅野小委員長

それでは、どうもありがとうございました。

これからいつものように、皆様方に御自由に御質問なり御発言をいただきたいと思います。

発言なさりたい方は、どうぞお手元の札をお立てくださいますように。私の指示に従って、順次、御発言ください。御発言は2分半以内でということでお願いをしたいと思います。

いつも私が司会をしますと、どうしても中環審のほうが割を食ってしまいますので、今日はしっかり時計をにらんで、産構審の方の御発言が長いようでしたら、その分は中環審の発言の機会を保障しようと思っております。今のところ余り名札が立っていないんですが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。ほぼ全員名札をお立てくださいました。

それでは、産構審の秋元委員から、順次お願いいたします。産構審側からですが、秋元委員、それから、今日は大橋委員、御欠席ですが、代理の小林さん、それから、丹村委員、この順番でお願いいたします。どうぞ。


○秋元委員

どうもありがとうございます。

まずエネルギーミックスに関してですけども、方針として電力のコストを引き下げるという方針のもとで検討されたというのは非常に大事なことで、それなりにバランスのとれた数字になっているかなというふうに思っています。

確かに、再エネ比率は、私はこれでも結構厳しい数字だというふうに思っていますけども、ただ、全体的なミックスバランスとしては、CO2のことも考えると、こういうレベルかなという感想を持っています。

ただ、省エネ目標に関しては、これまでも何回か申し上げましたけども、非常に深掘りしているという感じがするという気がします。

電力の需要に関しては、対策ケースではないところに関しては、GDPの弾性値が大体0.7ぐらいだというふうに思いますので、まだ許容範囲になっているかなという感じを持ちますけども、対策ケースになったときに17%削減するということになっていますので、相当厳しい対策をとらないといけないと。過去、こんな省エネルギーをしているところが、欧州含めて、まずないと思いますので、もし、価格弾性が多分マイナス0.1とか、マイナス0.2ぐらいというふうに言われていますから、もし価格効果でやろうとすると、0.1だとすると多分電力料金を170%とか、それぐらい上げないといけないわけですから、すごい対策をとらないといけません。もちろん、だから電力料金を上げて対策をとるということではなくて、別の対策を積み上げながらやるということですけども、いずれにしろ相当な厳しい対策になっているということを理解する必要があるかと思います。

同時に、この数字、まだ我々も今出たばっかりなので、限界削減費用の数字は見ていませんけども、大体これまでの計算からするとt-CO2当たりで250ドルぐらいの規模の対策の相場観ではないかなという感じで持っていますので、そうすると、欧州や米国なんかの目標と比べて、圧倒的に大きな高い限界削減費用の対策をとらないといけない。

前回の2020年目標の鳩山目標は470ドルとか、それぐらいの感覚でしたので、それに比べると半分ぐらいにはなっていますけども、それども相当な厳しい目標になっているという認識が必要かと思います。

いずれにしろ、そういう中で、特に民生部門、家庭業務に関しては相当深堀りしていますので、ここで実現できない可能性は、結構、私はやっぱりあるかなというふうには思いますので、そうなったときにも、ほかにしわ寄せするということではなくて、その中でPDCAサイクルをしっかり回しながら、将来に向かって対応をしっかりとっていくということは大事ではないかというふうに思います。

最後、質問ですけれども、事務局ちょっとお話しになりましたけども、約束草案で求められているのは、公平性がどうかとか、そういう話もありますし、条約第2条との関係、要するに、2℃目標との関係になるかと思うんですけども、それに関してどういう記述を今後考えられているのか、ちょっとこの中には入っていないと思いますので、参考資料のほうには少し公平性に関わりそうな記述はあるんですけども、そのあたり、もし今で考えがあればお聞かせいただきたいと思います。どうもありがとうございます。


○浅野小委員長

どうもありがとうございました。

御質問については、後でまとめて答えさせていただきます。

それでは、小林さん、どうぞ。


○大橋委員(小林代理)

大橋委員が欠席のため、参考資料4の意見書を御用意させていただきました。こちらを代読するように申しつかっておりますので、代読させていただきます。

まず、エネルギーミックスについてでございます。日本商工会議所では去る4月16日に「中長期的なエネルギーミックス策定に向けた基本的考え方」を取りまとめました。その中で、①安価で安定的なエネルギー供給が経済成長の前提条件であること、②そのためにも電力コスト上昇に一刻も早く歯止めをかけることを基本方針に、「FITの早期抜本的見直し」と「安全が確認された原子力発電の順次速やかな運転再開」 を提言しております。

今回の事務局案は、これまでの議論を踏まえ、実現性のあるバランスの取れたミックスとして2030年の目標を設定されております。

企業においては、将来のエネルギー政策に対する予見可能性が、今後の事業を営む上で不可欠でございます。従って、少なくとも3年ごとに行われるエネルギー基本計画の検討に合わせて定期的に長期エネルギー見通しを点検するとともに、「S+3E」の原点に沿って、例えば、2015年、2020年、2025年のマイルストーンを示していただき、2030年目標達成の道筋を確実なものにしていただきたいと考えております。すなわち、2030年の自給率を25%程度、電力コストを現状よりも2~5%低減、エネルギー起源CO2排出量を2013年度比21.9%削減のためには、ゼロエミッション電源である原子力と再エネのバランス、さらには石炭やLNG等の化石燃料利用のバランスが重要でございます。特に、電力コスト抑制をはじめ、「3E」すべての点で“安全が確認された原子力発電の順次速やかな運転再開”を実現していただきたいと思っております。

なお、今回の試算におきましては、省エネルギー対策による省エネ量が約5,000万klとされておりますけれども、投資余力やノウハウに乏しい中小企業に過度な負担とならないよう、省エネを推進する観点から、引き続き中小企業が活用できる省エネ関連設備導入支援や、省エネ診断・指導などの拡充をお願いしたいと思っております。

次に、約束草案の要綱についてでございます。地球温暖化対策は、エネルギー政策とセットで、整合性をもって進めることが重要でございます。あわせて、わが国のエネルギー効率・環境特性に優れた技術の海外普及や更なる技術開発の促進こそが、地球温暖化対策として最も貢献できる分野であり、新たな国際枠組みの議論において、正々堂々と主張すべきであると考えております。

なお、地球温暖対策税は化石燃料起源のCO2排出抑制対策を目的に導入されたものであり、安易な増税につながりかねない森林吸収源対策等への使途拡大は行うべきではないということを申し添えさせていただきたいということでございます。

以上でございます。よろしくお願いいたします。


○浅野小委員長

どうもありがとうございました。

丹村委員、どうぞお願いいたします。


○丹村委員

日本鉄鋼連盟を含む7産業団体では、エネルギー政策や地球温暖化対策に対する提言を実施いたしました。同時に、電力多消費団体11団体連名による要望書も取りまとめております。今回これらを参考資料として配付しております、最後のほうに二つつけておりますので御覧ください。

時間の関係上、詳しい御説明はいたしませんが、我々産業団体が強く希望しておりますのは、低廉で安定的なエネルギー供給の確保でございます。これは国内で事業活動を行う上での必須条件です。

電力価格で言えば、震災以前の水準への速やかな回復を目指すこと。願わくば、それを中長期的にさらに低下させ、その水準を維持していただきたいとの要望です。特に、電力多消費産業におきましては、震災前から既に3割上昇いたしました電力価格は、企業活動に甚大な影響を与えており、転廃業や事業縮小を余儀なくされている状況です。後ほど御一読いただきたいと思います。

こうした観点から、28日のエネルギーミックス小委員会で配布されたものを含めまして、その資料を拝見いたしますと、注目せざるを得ないのが、急騰いたしました電力価格が、今後2030年まで震災前の水準に戻らないことが前提とされている点でございます。具体的に数字を拝見いたしますと、原発の再稼働等もあって燃料費が大幅に低減しているのは大きな回復と思いますが、その裏で、再生可能エネルギーの買い取り費用に割り当てられた約4兆円が、これを打ち消してしまっております。再生可能エネルギーは、将来に向け重要な電源ですが、4兆円ものコストをかけることの費用対効果を冷静に見極めて、負担低減を図っていただきたいと思います。

特に、過大な国民負担を伴う現状の固定価格買い取り制度を前提とすることには疑問があります。再エネの導入拡大と国民負担の低減を両立するには、固定価格買い取り制度の抜本的な見直しが不可欠と考えます。コスト検証の結果を見ても、コストの大幅な低下を想定しつつも、必ずしも割高感は払拭されておりません。再エネの将来にわたる持続可能な拡大のためには、やみくもな量的拡大を目指すのではなく、まずは技術開発によりコスト低減を確実に実現することが重要と思います。

本日示された内容は骨子であり、今後も合同会議等で議論が続くものと理解しておりますが、今後の議論に当たりまして論点を二つ述べたいと思います。

まず、1点目がコスト負担です。

さきに述べました再エネのほかに、今回の骨子では約5,000万klの省エネが前提とされておりますが、この省エネにもコストがかかります。これらのコスト負担がトータルでどの程度となるのかの試算をお示しいただき、そのコスト負担は国民に受け入れられるのか、こういった視点での議論をお願いいたします。

2点目が、経済成長との関係です。

将来にわたる持続的な経済成長の実現は、多数の国民が強く期待するところです。今回の検討の前提は1.7%の経済成長ですが、本日提示されたさまざまな数値、特に電力料金が現状水準に高止まりすることがこれと整合するかについても、丁寧な議論をお願いいたします。

続きまして、約束草案でございます。

直近の実績であります2013年をベースに物事を考えるのは、非常にわかりやすくてよいと思います。各国がこの取組についてそれぞれ自由な形で約束草案を提示するのでしょうから、基準年を2005年、ましてや1990年といった10年以上も前に設定するよりは良いというふうに思います。

エネルギーミックスのところで、そのコスト負担の全体像を明らかにして議論するようお願いいたしましたが、削減目標についても同様でございます。26%削減目標とエネミックスによる削減である21.9%、この差を埋める対策の国民負担の規模感とその妥当性についてもよく議論していただければと思います。

以上でございます。


○浅野小委員長

どうもありがとうございました。

それでは、木村委員、崎田委員、佐藤委員の順番でお願いいたします。

木村委員、どうぞ。


○木村委員

ありがとうございます。

まず、総論から申し上げますと、国際社会に対して責任ある目標を設定するためには、当然のことながらエネルギーミックスを初め、個々の具体的な対策に裏づけられた数字を積み上げる必要があります。今回こうした手順を踏んで要綱案が提示されたことについては評価します。

特に、経済界の削減策につきましては、この場で二度説明しました、低炭素社会実行計画を踏まえていただき、感謝申し上げます。経済界としては、実行計画に基づいてPDCAを回しながら、最大限の取組をしていきたいという決意であります。

また、削減目標の実効性を確保するためには、国民運動、住宅建築物対策、交通流対策等に関しても責任主体を明確にし、今回示された数値をもとにPDCAサイクルを回すことが非常に重要だと考えています。そこで、ぜひとも産構審・中環審合同でのフォローアップをお願いします。

エネルギーミックスについて、幾つか意見を申し上げたいと思います。

今回の案では、電力コストが、震災後に急激に上昇した現状とほぼ同等とされています。企業の国内立地と雇用を確保していくという観点から、懸念が残ると思っています。

また、再生可能エネルギーや省エネにつきましては、国民負担の妥当性や実現可能性の観点から、相当チャレンジングな数字となっています。さらに、日本の削減目標の国際的公平性を確保する意味でも、諸外国との目標達成コストと比較する必要があります。

加えて、一次エネルギーの供給比率で、現在、石油は43%程度だと思いますが、これが32%へ10%低下しています。こうした面を含め、絵を描いても本当にできるのか、実現しなかったらどうなるのか、と実現可能性の観点から疑問が残る部分もあります。こうした点につきまして、政府並びに審議会において、引き続き議論を深めていただきたいと思います。

加えて、温暖化対策につきましては2点申し上げたいと思っています。

日本の温暖化対策は、国内の削減にとどまるものではありません。私たちが低炭素社会実行計画に記述しているとおり、国際貢献や革新的技術の開発についても、国際公約とは別の性格なものとして、COPはもとより、ICEFを含めたさまざまな場をもって国際社会にアピールしていただきたいと思っています。

最後に、JCMに関して申し上げたいと思います。

資料に「削減目標積み上げの基礎としていない」という表現がございます。また参考のページ4ページに、2030年度までの累積で5,000万tから1億tという記載があります。この部分については、今回示された削減目標に含まれていないというふうに理解しています。この点は、企業が海外プロジェクト推進するに当たり、足元を見られないようにするためにも非常に重要です。

そういう観点から、「3.JCM及びその他の国際貢献」につきまして、ページ3以降の「参考」の中で、「対象ガス及び排出・吸収量」という項目の一項目として位置づけられてますが、別の場所に記載する必要があるのではないかなと思っています。また、2ページの5の4番目のポツのところを御覧ください。「日本として獲得した」ということの表現の前に「事後的に」とか、を挿入するということで、全体の流れの中で誤解を招かないように表現していただきたいと思っています。今後、政府が最終的に提出する約束草案では、混同しないように正確に記述していただきたいというのが要望です。

以上でございます。


○浅野小委員長

どうもありがとうございました。

それでは、崎田委員、どうぞ。

○崎田委員

ありがとうございます。

私は、環境学習などの現場を運営していますけども、昨年デング熱の発症で非常に課題視された、ヒトスジシマカの生息が確認された公園の一つで環境学習センターを指定管理しておりまして、地球温暖化ということに対して、本当にしっかりと取り組んでいくことがどんなに大事かということを身を持って感じております。

そういう意味で、世界各国と連携しながら日本も役割を果たすという、ある程度きちんとした数字が今回提示されたということを一人一人が、しっかりと受け止めるよう、発信していただければありがたいなと思っています。

なお、その際、私が申し上げたいのは、この数字は実現可能な数字ということでいろんなデータを積み上げているということ。省エネルギーは全体の17%マイナスということで、先ほどデータを拝見すると、家庭部門と地域の民生事業者部門が各々約40%の削減という形になっています。

やはりこれを、本当にしっかりと実行していく、実行していくというのは、私たちが暮らしや仕事の中で実行するということを、国民、あるいは社会全体で共有しながら、この温暖化対策をちゃんとやっていくということを共有する。そういう社会の納得、あるいはムーブメントづくりが重要なのではないかとに思っています。

私はこれまでも社会がその気になるという意味で、国民運動としてきちんと目標数字も入れて、あるいは自治体の温暖化対策の取組をもう一度しっかりと目標数字を入れて見直していく事が重要。そういうようなことを発言してまいりましたが、今回こういう目標数字が出たことで、今まで京都議定書のときの数字のまま今据え置いて、どういうふうにしようかというふうに考えておられる自治体は大変多いと思うんですけれども、そういうところでもう一回きちんと新しい地域の基本計画を見直していただいて、しっかりと取り組んでいく、そしてそれを各省庁が支えていただく、そういう構図がしっかりできていけばいいなというふうに思っています。もちろん、私たち国民も一緒に汗をかくという、そこが重要な訳ですので、心から願っております。

なお、エネルギーミックスのことに関しては、CO2のゼロエミッション電源が合計すると約44%という数字になっております。私はこの数字がもっともっと増えるといいなという思いもありますけれども、非常に実現可能な数字が出ているというふうな感じがしておりますので、できるだけ再生可能エネルギーが社会で納得していただけるような形で増えていきながら地域活性化にもつながる、こういう形をつくっていければなというふうに心から願っています。よろしくお願いします。


○浅野小委員長

どうもありがとうございました。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

日本の約束草案要綱案について、意見を申し上げます。

まず、この約束草案要綱案について目標値、それから、約束草案に記載すべき事項については十分検討された結果だというふうに理解しておりますので、特に異論はございません。

ただ、先ほどの意見にもございましたけれども、前提条件、方法論において、二国間クレジットのJCMについての扱いの記載が、前半では基礎としないとしながら、後半ではカウントすると記載されており、わかりにくいと思いますので、ここは誤解がないように修正していただければというふうに思います。

それから、温室効果ガスをどうやって削減するかという内容について、まず省エネについては、ボトムアップで積み上げた値だと理解します。ただし、どうしてもボトムアップですと、我慢比べのような印象があります。今後の省エネは、技術のイノベーション、それから、規制の緩和による合理的な利用ということが必要です。国民が温室効果ガス削減を通じて、社会が非常に風通しがよくなったというような内容にしていただきたいと思います。

例えば、郵便の配達、旅客運送とか、貨物運送、廃棄物の収集運搬とか、そういう複雑な業界での規制によって効率的な運搬や運行管理ができない部分もあると思いますので、さまざまな規制緩和も同時に考えていただきたいというふうに思います。

それから、エネルギーのミックスについてでございますが、この数字は省エネとは違って、ボトムアップの数字ではないのではないと思います。つまり将来のかなり不確実な事実を含んでいる。例えば、この石炭発電の数字は何基を前提としているのか、今計画中のものも含めると、それがどういうカウント状況になるのか。原子力も、この数字は一体何基が動いている前提なのか。またこれらの状況は2030年までにどう推移するのか。こういうものの具体的な内容が、十分に私としては理解できないので、この数字がどの程度達成可能なのかということがわかりにくいと思います。

そういう意味では、2030年までの中で、稼働状況、それから、排出ガスの状況を見ながら、これについて適切な配慮をして目標が達成できるように、中間での見直し、再検討というのを進めていただきたいというふうに思います。

以上です。

○浅野小委員長

どうもありがとうございました。

竹内委員、どうぞ。


○竹内委員

ありがとうございます。

目標案自体は、これまでのさまざまな小委員会、ワーキングでの重ねられた御議論をまとめたものでございますし、他国と比較しても、全く遜色のないレベルであるというふうに考えておりますので、今後に向けて、ちょっと3点ほど申し上げたいと思います。

まず、1点目、こちらを国際交渉の場できちんと説明をしていく必要があるというふうに思います。日本がこれだけしっかりとした積み上げで出した目標を提出するということは、国際交渉の場に自信を持って御説明をしていただきたい。アメリカの産業界の方、研究者の方と話しても、あの目標の内訳は一切わからない。EUも、各国の分担などはこれからの議論に委ねているという状況。提出の時期では多少の後れをとりましたけれども、ボトムアップで積み上げをして、実効性ある目標を提出する、ある意味お手本として、国際社会に自信を持って訴えていただきたいと思います。

基準年につきましても、2013年を中心にという将来志向、先ほど室長のほうから「現状の足元を踏まえた」という御説明がありましたけれども、そうした考え方で目標を立てたのであれは、それでしっかりと御説明をいただきたいと思います。そして、しっかり積み上げた目標だからこそ、最後の1、2%切りよくみたいなお話で、数字が変わるといったようなこともあってはならない。国際交渉でやはりぶれないということが一番重要なことである、交渉の現場で見ていて認識しておりますので、その点をお願いしたいと思います。

参考資料の1で配布していただいた3ページ目を見ますと、本当に各国とも一目瞭然で、自分のところの削減の数字が一番大きく見える年を基準年として選んでいるというようなところが見てとれるかと思います。各国が都合の良い主張を繰り広げますが、最後に理解を得るのはきちんと筋が通った大義ですので、日本の考え方を交渉の中でしっかりと御説明をいただくことは非常に大変なことですけれども、お願いをしたいと思います。

2点目、やはり国内に対する説明をきちんとしていく必要があると思います。国民運動が正しく盛り上がるためには、正しい説明、正しい理解が必要。温室効果ガスは気持ちや気分で削減できるものではありませんので、コストの話が重要になってくるかと思います。

長期需給見通し小委員会の資料を拝見したところ、原発が稼働して発電コストが削減され低減しても、FITの買い取り費用が3.7から4.0兆円になれば、電気料金が震災前から3割上がっている現状とほぼ変わらないという状況が見てとれるわけです。

ゼロエミッション電源は増えるんですけれども、原単位を掛けると、これだけコストをかけて、大体4,000万t程度のCO2の削減ということになる。ざっくりとした計算ですが、そうするとCO21t当たり約6万円をかけるということになってきます。これを国民は本当に許容するのかどうか。何にどれくらいのコストをかけて、温暖化対策を国民はやっていくんだということをきちんと考えなければいけない。2兆円で消費税1%程度の増税分に当たるわけですので、どの程度のコストであれば負担をできるのかというところを真剣に議論するために、国民への御説明、特に負担というイヤな部分について、ぜひお願いしたいと思います。

最後の1点、JCMについてです。目標の内数に入れることは、ビジネスの常識から考えれば阻害要因となると考えましたため反対をいたしましたが、世界への貢献として、このアイデアはぜひ実現をさせる必要があります。

しかしその際、この要綱にありますような「日本の削減分として算入できるように」といったようなところにこだわる必要はあまりないのではないかと。温暖化対策というのは、世界全体でCO2が減ればいい話ですので、日本は世界でこれだけ減らしましたという事実、それが日本の削減量であっても、相手の削減量であっても、それは交渉上の話であって温暖化の話ではありませんので、日本は世界での削減にこれだけ貢献したということがどこかに、参照欄に書き込むなどのかたちでわかりさえすれば十分だと思います。ある意味、Japan contribution mechanismとでも考えたほうが、結局は交渉としてはうまくいくのではないかなと思いますので、この点お願いしたいと思います。

以上です。


○浅野小委員長

どうもありがとうございました。

それでは、豊田委員、高橋委員の順で、お願いいたします。

豊田委員、どうぞ。


○豊田委員

ありがとうございます。

2点ほど申し上げて、一つ質問をさせていただきます。

第一点は、エネルギーミックス案についてですけれども、二つの視点から、私としても合理的なものだと、まず評価をしたいと思います。

一つは、「3E+S」という観点から見れば、全てのエネルギーが一長一短あって不完全なもの。それをうまくバランスをとって、メリットを最大に、デメリットを最小にしようとしている努力をされているという点です。

もう一点は、発電コストを、少なくとも今のレベルより下げようとしているということだと思います。中小企業の方々は、今より1円/kWhでも上がっても困るということを言われているわけですから、この点が重要だというふうに思います。そういう意味で、エネルギーミックス案は合理的なものだというふうに思います。

1点懸念されるのは、中東情勢が非常に不安定であることです。そういう意味で、エネルギー自給率25%を目指すということですけれども、米国、カナダは100%に近い、あるいはそれを超えているわけですが、ドイツ、フランスは、それぞれ39、53であり見劣りがする。中東情勢そのほか不確実なエネルギー情勢によっては、この需給率を高める努力は、さらにして、かつコストが上がらないような努力をしていただきたい。そういう意味では、原子力の比率を上積みすることもあり得るのではないかというふうに理解をしております。

第二に、その結果としての約束草案でございますので、26%のGHG削減というのも合理的なものだというふうに、私も思います。

その際、メディアの情報を見せていただいていると、基準年について2013年が適当かどうかという議論をされているようです。先ほどの御説明だと足元からということ。これも一つの見方でしょうけれども。むしろ、EUが1990年を好み、米国が2005年を好み、そのほかの国々もそれぞれの数字基準年を使っているのは、ある意味で、それぞれの国々のエネルギー構造が大きく変わった年を選んでいるということだと思います。

EUはソ連が崩壊し、東欧を統合し始めた頃であり、アメリカはシェール革命が始まる前を選んでいるように思います。日本も、今回エネルギー構造が大きく変わるわけですから、そういう意味では、2013年を選ぶというのは、足元という視点も当然だと思いますが、私は非常に合理的なものだと思います。むしろ、評価というものはGDP当たりのCO2とか、1人当たりのCO2とか、さまざまなもので評価をすればいいというふうに理解をしております。

質問は、JCMについてです。今までもさまざまな御意見が出ておりますけれども、いただいた御説明の中で、この積み上げの中には入れない、削減目標の積み上げの中に入れないというふうにされていることは大変結構なことだと思います。ただ一、、4ページのほうで、「毎年度の予算の範囲内で行う日本政府の事業により、2030年度までの累積で」云々かんぬんと数字が載っていること自身が、私は非常に懸念されるところだというふうに思います。

この数字の性格を教えていただきたいと思います。積み上げということを言わないでおきながら、数字を置かれていることの意味合いは何なんだろうかと。この数字がひとり歩きしないかどうかというのは非常に心配なので、後で御説明いただければと思います。

以上でございます。


○浅野小委員長

どうも、ありがとうございました。

高橋委員、どうぞ。


○高橋委員

ありがとうございます。

まず、エネルギーミックスについてですが、トップダウンではなく積み上げによって、省エネや、交通流対策などもしっかり記載をされており、評価をしております。

ただし、記載の内容が実現できるように、一層、省庁間の連携を密にしていただきたいと思います。

また、1.7%の成長率を想定しておりますが、日本は今後少子化・高齢化がより深刻化するとも言われており、1.7%成長がどうなのか、まだ見えないところもありますが、家庭や職場の電化の流れは確実に進んでいくと思いますので、家庭などにおける国民運動として電力消費量を抑える取組を幅広く呼びかけていくことが重要ではないかと思います。

それから、約束草案の要綱案についてです。まず、基準年の問題についてですが、日本の場合は、2005年と2013年の両方の数値を登録し、13年度比を中心に説明されるということですので問題はないと思います。ただ、説明を2013年度で行うのであれば、先ほども丁寧な御説明がにございましたが、国際交渉の場で、「なぜ2013年にしたのか」ということを十分に説明していくことが重要ではないかなと思います。

2点目は、JCMの扱いですが、削減目標について、この記載のとおりに国際的に合意が得られた算定ルールのもとで獲得できた排出量・吸収量を、日本の削減としてカウントできるということは望ましいのではないかとに思います。

また、カウントした数字の扱いについては、さらに丁寧に議論が必要だと思います。

最後に、森林吸収源対策の強化についてですが、これについては前回も発言をさせていただきましたが、補正予算による充当分を当初予算化して必要な財源の確保をしながら、数値を上積みしていくべきだろうと思います。

間伐による適切な森林整備や木材によるCO2固定の取組など安定的に推進するということは、同時に、バイオマス発電についてもプラスの効果が想定されます。

また、森林吸収源対策は、都市部ではなく、地方が主体になります。そのため、地方創生、地方活性化にも資するものです。

もちろん対策の実施に当たっては、広く国民の理解と協力を得ながら、現在より低コストで持続性の高い手法を研究開発していくことも重要だと思います。

以上でございます。

○浅野小委員長

どうも、ありがとうございました。

それでは、高村委員、中上委員、安井委員、順番にお願いいたします。

ただいまのところ、産構審側9名の方の平均の発言時間は3分強でありましたので、そのくらいまでのご発言は多目に見ることといたします。

高村委員、どうぞ。

○高村委員

ありがとうございます。チャレンジングですけれども。

まず、最初に数値目標の、ここに出していただきました2030年目標についてであります。

需給見通しの委員会も含めて、特に、隣にいらっしゃいますけど、省エネ、かなり苦労して積んでいただいているというのは、特に省エネに関しては積んでいただいているのは、よくよく了解をしております。

これは事務局への御質問でもあるんですけれども。今回の数値目標が長期目標との整合性でどういう位置にあるのかという点であります。

私が記憶する、もう年をとりましたけど、麻生内閣当時の、ラクイラサミットだと思いますが、2050年、80と。これは環境基本計画にも書かれている長期目標だと思いますけれども、これとの関係で、今回の目標というのがどういう位置にあるのか。これは、どなたかおっしゃいましたけれども、約束草案の国際的に提出する説明としても要綱に、これまで欧米は、自国の長期目標との整合性を記載をしているというふうに理解をしていまして、この点について、まず御質問であります。

数値目標について、2点目でありますけれども、大変努力して積んでいただいているというのは重々承知した上で、なお、やはり積み増しの余地はないのかという点であります。一つは、もう既に需給小委で申し上げましたけれども、とりわけ、再エネの中でも太陽光と風力の積み増しというのは、ポテンシャルとしてはなお可能。特にコストに関しても、先般の御説明ですと、一番高いときに入ったものの認定分が、やはり落ちていくものがかなりありそうだということになりますと、全体としての賦課金の負担というのも低減の可能性があると。

そういう意味では、どなたかもおっしゃいましたが、2030年、あるいはそれを超えて、低炭素で国産のエネルギーを供給できるインフラをきちんと計画的に整えていくという観点から、積み増しの可能性というのはぜひ検討いただきたいというふうに思っております。

他にも、仮に、今いろんな事情で積み増せないとしても、積み増しの余地がないのかという点は、今後引き続き検討いただきたいと思っています。

これは、二日前の需給小委で山地先生がおっしゃっていた点は、私は全く同感で、今回電力のところを随分頑張って見てきたと思うんですが、これは中上先生もおっしゃっていますが、一次エネルギー供給、電力以外のところですね。ここにまだ再エネ、省エネの積み増しの可能性はないのか。これは多分データの整備や実態の把握も含めて、今すぐではないのかもしれませんけれども、やはりやるべき課題として残っているのではないかというふうに思います。

頑張って、積んでいただいたにもかかわらず、積み増しの話をしつこく言うのは、やはり計画をしたとおりに事が運ばなかったときに、やはりそれをきちんと担保するより、やはりですから、そのことをちゃんと踏まえたプランBを持って対策を組む必要があるだろうというふうに思います。これは手続的には、やはり具体的な施策を早期に練っていただきたいと思いますし、進捗管理の仕組みを、国として位置づけてつくっていただきたいと思います。

その観点からは、2020年目標の最終目標の確定と、温対法のもとでの温暖化行動計画の策定というのは、ぜひお願いをしたいと思います。

コストの点は非常に大事だというふうに認識をしています。さっき秋元委員からもありましたけども、しかしその省エネによる限界削減費用がかなり高いとすると、逆に、それは再エネなりの価値というのが上がるのではないか。もう一つは、出さなくていいものはできるだけ出さない。その意味では、石炭火力、石炭利用についてはきちんとしたやはりルールが必要ではないかというふうに思っております。

2点目でありますけれども、基準年についてであります。これは事務局にも伺いたいところでありますが、私自身は、2013年と5年比を比べたときにあまり数値が変わらないものですから、その意味というのがどこにあるのかというのを考えております。これはぜひ伺いたいところであります。

特に2020年目標、2005年比に変更したばかりのところで、今、基準年を変更することの政策的な影響といいますか、意味合いというのは、懸念を持っております。

国内的には2020年目標、2005年比で地方自治体は事業者のところも取組を進めているということ。それから、国際的には、国際交渉をずっと見てきたからかもしれませんけれども、やはり今、パリ合意に向かって非常に多くの問題を、しかも日本にとって非常に重要な案件があるところで、あえて、削減努力をごまかそうとしているんじゃないかといったような余計な腹を探られるような形の基準年の変更というのが賢明なのかどうかというふうに思うからであります。これは理由をお聞かせいただきたいと思いますけれども。

いずれにしても、基準年の変更って、そう簡単にできる話ではなく、ある意味では、伝家の宝刀を抜かれたというふうに思っていますが、13年というのは、もしそれを基準年とするとすれば、やはり2005年比というのと並行してきちんと位置づけていただきたいと思いますし、2013年というのは、そういう意味では、日本にとっては、これ以上後戻りをしない、今後確実に継続して削減をしていく始まりの年としてきちんと位置づけをしていただきたいというふうに思っております。

残念ながら、90年以降、リーマンショックの2009年を除きますと、二酸炭素排出量が90年を下回った年は、私はないと理解をしていまして、そういう意味では、そういう覚悟を持った13年の基準年という設定をしていただきたいと思っております。

最後、質問が一つございます。これは要綱の中にございますけれども、要綱案、パブリックコメントにかけていただくということですが、そのスケジュールについてお伺いしたいという点。

それから、もう一つは、やはり国民も非常に関心がある点ですので、そのスケジュールを出していただきたいというのが趣旨でございますけれども、背景になっていますエネルギーミックスのこの骨子案、あるいは報告書案についてもパブリックコメントにかけられるのかどうか、あるいはそのスケジュールというのを教えていただきたいと思います。

以上です。


○浅野小委員長

どうも、ありがとうございました。中上委員、どうぞ。

○中上委員

ありがとうございます。

省エネについて幾つか期待と、それから懸念をいただきましたけれども、両方とも、私は正しいと思っております。

積み上げというのは、一見わかりやすいんですけども、全てにわたって積み上げるというのは、これはそう簡単ではございませんで、何度も申し上げたかもしれませんけど、積み残しが必ずあるわけでございます。これについては、まだ引き続きこのような会議が終わった後も、地道に作業を続けていきたいというふうに私は申し上げてきましたので、積み残しがあるということも御理解いただきたい。

さはさりとて、5,000万klと、非常に大きな数字を今回たたき出したわけでありますけども、これにはかなりわかりやすい対策に限ってやっておるものですから、場合によってはかなり過剰な期待をそこにかけたものがないわけではない。これも御承知おき願いたいと思っております。

別な視点では、3.11以前、2011年以前はCO2を減らすということは、エネルギーを電化していくということが非常に大きな手段だったわけですね。電化率を高めることによってCO2を減らすというのは非常に大きな目標として掲げられて、それによって、家庭を含めて電化率が高まってきたという、こういう経緯があるわけです。

それが突然3.11によって全く局面が変わってしまったものですから、その数値が増えたことを、あたかも世の中が無駄に電気を使っているという理解をするのは、僕は間違っていると思っています。それは政策的に、そういう政策をとってきたわけですね。

ところが、残念ながら、そういう事態が生じてしまったものですから、今や、電力をいかに減らすかとなっているわけですから、そこの議論も、あまりすり替えて議論をしてしまうと誤解を招くんではなかろうかと思っております。

もう一点は、さっきのきめの細かい点に戻りますけれども、我がこととして考えられるかと。多分、家庭を御覧になると、かなり御自分でもできるという対策が出ているかもしれませんし、産業用も、これは別の部会で申し上げましたけれども、かなり大口の消費団体に対しては、かなりきめの細かい御検討をいただいた上で積み上げた数字でございます。

ところが、業務用を見ていただきますと一本であります。こんな乱暴な話はないわけでしてね。業務用というのは多種多様な業界があるわけですから、本来ならば多種多様な業種に対して、一つ一つ丁寧に説明していかなきゃいけない。ところがデータがそろっていないものですから、その作業はできていないと。従って、業務部門では省エネをわがこととして考えにくい状況になっています。これが先ほど申し上げた、きめの細かさが、これからの省エネルギーの可能性として残っているということであります。ですから、その点は御理解いただきたい。

もう一点は、私の質問ですけど、基準年の考え方につきましては、今、高村先生からそういうお話がございましたけれども。やはり日本は、2011年という世界にない体験をしたわけでございますから、日本の事情をきちんと説明した上で、世界に納得のいける形で基準年を提示することは、これは一向に無理難題を突きつけることにならないと思いますから、そこは慎重に検討していただいて、主張すべきは主張していただきたい。むしろ、2011年以前の数字のままフィックスしてしまうと、2011年以降の我が国の大変な混乱がかき消されてしまうんじゃないかと、かえって私は心配するわけであります。

もう一点、JCMですが、私もこれちょっと十分理解できていないものですから、もう少し詳しく先ほどの説明を補足していただくとコメントがしやすくなりますので、ぜひよろしくお願いします。

以上です。


○浅野小委員長

どうも、ありがとうございました。

安井委員、どうぞ。


○安井委員

ありがとうございます。

まず、約束草案の数字でございますけれども、日本の現状を考えますと、まずまず意欲的、アンビシャスと言えるのではないかと評価させていただいております。

今幾つか御意見ございましたが、2013年を基準年にすることの説明が、先ほど足元だからという事務局からの御説明だったんですけど、それはどうもあまり十分とは言えないんじゃないかと思います。

例えば、そのお隣の韓国のように毎年排出量が増える国であるような、そういうような印象が、どうも一番最新年を使うとあるので、そうではないという意味で2005年も出していると。今、中上先生がおっしゃいましたけど、やはり2011年という大変な経験をしたというその国が、その前後に基準年を二つ設けるのは当たり前だといったような、そういったロジックのほうが、むしろ通りがいいのではないかなというような気がいたしております。

それから、あと、先ほど高村先生がおっしゃっておられましたけれども、米国の約束草案では、気温上昇の2度目標の関連と、それから、あと、やはり2050年の先進国の80%削減が、この延長線上でやれるかというような、ちゃんとした宣言まで書いてありますよね、米国では。

そこまで書く必要があるかどうかというのは、確かに議論の余地はありますけれども、やはり2050年が先ほどもちょっとございましたけれども、やはり第一次安倍内閣のときに言い出したことでございますから、やっぱりある程度、それに対しても沿った形であるというようなことを、かなり格段の、何らかの進化をしないと難しいかもしれませんが、それを含めて努力をするんだというようなことは、やはり書きたいかなというような気がしておる次第でございます。

以上です。


○浅野小委員長

どうも、ありがとうございました。

村上委員、どうぞ。

○村上委員

まず、この約束草案の要綱は、大変よくバランスがとれた案であると思います。事務局の皆様の御努力を高く評価したいと思います。

それから、基準年でございますけど、これ見ますと2005年でも2013年でもあんまり変わらないわけでございまして、だとすると、僕は2005年も頭に出したほうが、国際的に変な勘ぐりをされないんじゃないかと。これは変わるんであればですよ、日本の2011年の特殊事情を強く言う必要があると思うんですけど、変わらないんであれば、2005年のほうがいろんな誤解を招かないと。

それから、お願いでございますけど、この資料3のエネルギーミックスも、2ページに棒グラフがございまして、エネルギー需要の予測をしていますけど、これを見ますと2013年度、これが100万kl単位で361で、2030年が計算すると376ぐらいになるわけでございますね。これは17年間、経済成長を1.7続けてほとんど増えないというのは、これは大変な、いわば、省エネでございまして、僕は中身を知らないから、よくわからないんですけど。これは、ぜひこれが実現するように、経済運営、行政運営をしていただきたいと思います。大変なことだと思います。

以上でございます。


○浅野小委員長

どうも、ありがとうございました。

藤野委員、さらに、原澤委員、大聖委員、順番でお願いします。

藤野委員、どうぞ。

○藤野委員

ありがとうございます。

3点あります。1点目は、1月23日の第4回の合同会合で山地座長が高村委員の指摘を受けて、透明性をきちんと意識するよう御指示されております。ただし、今日御説明された資料で、なぜこのような温室効果ガス排出量削減目標値になったのか、ちょっと検証できる資料ではないのではないかと思います。事務局及び関係者の方々の相当な検討に基づいて提案された数字だとは想像しますが、例えば意欲と多少の知識のある大学生や大学院生が読んで理解できる資料をお願いしたいのですが、本当に事務局はもうこれで終わりだと思って、ほっとしているかもしれませんけれども、ぜひ説明責任が果たせる資料の御準備をお願いします。

2点目は、高村委員からもコメントありましたけども、今後の進め方について教えていただけませんでしょうか。パブリックコメントは必須だと思いますが、その際には、先ほど指摘しました約束草案の算定根拠について説明責任を果たした資料を、あわせて御提示されながらの国民的議論につなげていただきたいと思います。

3点目は、議論のプロセスについてです。同じく1月23日の第4回の合同会合で高村委員及び小生から、それ以降の議論のプロセスの明示をお願いし、小見山室長が検討する旨、御返答されましたけれども、参加している限り、その以降の会合で具体的にプロセスが提示されたというような意識はありません。

議論のプロセスを明示することは、これからもお願いしますが、このエネルギー温暖化問題は、国内、国際、地域、ビジネス、NGO、個人等、多様なステークホルダーが関わる問題で、そういったさまざまな意見を反映しながら議論がどこまでできたかというところについては疑問が残ります。

例えば、原子力災害の被害者の現状や、再エネによって地域が外に支払うお金を削減しながら地域の自立につなげようとしている動きや、または、恐らく今と違う仕事もかなりしているような将来世代の声を反映させながらの議論をするというところまでには至らなかったのではないかと思います。もちろん、時間の制約があったということはわかります。

4月8日に東工大で国立環境研究所の主催で約束草案に関するシンポジウムを行いましたが、既に専門的な知見も多く出されている中で、そのような知見を活用しながら対策を検討していくようなプロセスというものが必要だと思います。

この問題は多くのステークホルダーが関わることから、例えば、前回、麻生政権のときは、内閣官房が土俵をつくって議論しましたけれども、やはりそういったような第三者の土俵のもとでの議論をするとか、または国会等にエネルギー温暖化を検討するような独立した第三者組織で継続的に議論をすることだったりとか、または、エネルギーと温暖化の問題はかなり一体的な問題ですので、そういったものを行政でもより一体的に議論できるような枠組みをつくるとか、そういったような検討を、ぜひお願いいたします。

以上です。


○浅野小委員長

どうも、ありがとうございました。

原澤委員、どうぞ。


○原澤委員 

約束草案とエネルギーミックスに対するコメントです。

最初に約束草案のほうですけども、私は2005年を基準年にしたほうがよろしいと思います。もし併記するのであれば、2005年のほうを先に書いていただければと思います。と言いますのは、2020年に3.8%減を、国際的に打ち出したときには2005年だったということがありますので、やっぱり一貫性を欠くと国際的な信用をなくすんではないかと思いますので、そういう意味で、一貫した基準年でやっていただけたらと思います。

JCMについてですが、3.8%の中身を聞いたときには、含まれていますという返事だったと思います。一貫性を考えると、今回の約束草案にも何らかの形でJCMの記載が入っていないと一貫性がないのではないか。先ほどから委員の方からもお話があったように、どっちなのかよくわからないというところがあったりするので、そこのところをクリアにしていただきたいと思います。

あと、約束草案の関連では、資料4の一番下のほうに、地球温暖化対策計画を策定する予定があるということで、私はこれは非常に重要だと思うんですけども、これについて追加的な情報があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

2番目がエネルギーミックスですけども、大方針としては原発依存度をできるだけ減らす、再エネ、省エネを最大限入れるということではなかったかと思うんですが、資料3のほうは「徹底した」という言葉が使われていて、ちょっとニュアンスが違うという感じがいたします。

それで、特に再エネの場合、太陽光と風力は中核的なエネルギーになっていくのではないかと思うんですが、どうもこの数字だけを見てみますと、現在認定されている量で、計画とは言えなくて、現状追認の量になっているんではないかと、思います。

そういう中で、再エネについても積み上げをやられているかと思うんですが、一方、引き算として原発の20%、22%が出てくるということで、2030年には15%まで自然体で下がっていく中で、5%、7%が増えるという中身がわからないと、なかなか全体を理解できないんじゃないかと思います。現段階で、その辺の原発が20~22になるということを、教えていただければと思います。

以上です。


○浅野小委員長

どうも、ありがとうございました。大聖委員、どうぞ。

○大聖委員

三つ申し上げたいと思います。一つ目は、資料の4の3の表に、対策、施策がいろいろ列記されておりますけども、これまでにも御意見がありましたように、定量的な議論が、検討が必要なものが少なくないというふうに思います。それらの定量化を進めて、それを国民にもわかりやすい形で説明していただく必要があるということであります。その中には、産学官の連携を強化するなどして、我々の研究対象となり得るものがたくさんあると思いますので、ぜひ、そのことに御留意いただきたいと思いますし、2030年というのは、実は、2050年に向けた出発点でもあるということを認識していただきたいと思います。

2番目ですけれども、我が国のCO2の排出量は世界の全体に占める割合としては3%台にすぎませんけれども、今後は、ハード、ソフト両面での、我が国の技術や政策、あるいはそれらのパッケージを海外展開すると。それによって得られるCO2の削減効果というのは大きなものがあると思います。そのような積極的な取組をぜひお願いしたいと思いますし、それがJCMに関わるのかどうかという、そういう議論はちょっと些末な議論ではないかなというふうに思います。

それから、3番目ですけれども、エネルギーミックスの変化によってCO2の削減効果としては大きなものがあると思いますけれども、次世代自動車、私どもちょっと専門にしておりますが、その中で電気自動車とかプラグインハイブリッド車というのがありますけれども、より低炭素な電源で充電するということと。それから、ガソリンの消費量が減るという効果があるんですね。そういうことを考えると、運輸部門のCO2の削減効果があるということですけれども、電力を余計消費するということで、オーバーオールのCO2の削減効果というのを確実に算定する必要があるというふうに思っております。

以上です。

○浅野小委員長

どうも、ありがとうございました。

それでは、末吉委員と大塚委員、お願いいたします。

末吉委員、どうぞ。

○末吉委員

ありがとうございます。

エネルギー問題とか、なかんずくCO2削減の問題は、社会の全てのステークホルダーに関わる問題、これを世界的に言えば、日本だけじゃなくて世界の全ての国にとっての問題だという認識を持って、幾つか申し上げたいと思います。

まず最初は、そもそも温暖化問題や2℃以内に抑えるということへの危機感をどれほど共有しての議論なんだろうかということであります。IPCC第5次評価報告書というのはどこかに行ってしまったんでしょうか。2050年には1人当たり2tという上限が云々云われている中であります。

それから、世界との共感ということで申し上げますと、たしか、今年の2月の施政方針演説で安倍総理は、温暖化で世界をリードするとおっしゃいました。4月のバンドン会議では、気候変動にともに立ち向かう。今朝のアメリカの議会での演説では、気候変動に希望の同盟で立ち向かうとおっしゃっています。大変すばらしい国際社会へのメッセージだと思います。

でも、一方の現実は、2013年比26%削減という報道に対して、世界から失望の声が出ているのが現実ではないでしょうか。日本のリーダシップがインダウトだと言われています。

さらに、より深刻な懸念として私が持つのは、低過ぎる目標は日本の変化への芽、将来の可能性を摘み取りかねないのではないかと思っております。再生可能エネルギーは世界で爆発的に増えております。例えば昨年1年間だけで、風力だけでも5,000万kWを超え、総量が3.7億kW、太陽光だけでも4,300万kW増え、1.8億kW、間もなく2億kWの容量になるそうです。こういった爆発的拡大は一体誰が予想し得たんでしょうか。一旦物事が変わり始めると、非常にバイアスモーメンタムが集まって、想像を超えた変化が始まります。

そうしたことを考えますと、政策のあり方をもう一度よく考えるべきではないでしょうか。いろんな御説明の中に、現実的、実現できるといったような言葉、現状肯定的な言葉が多く出てまいります。でも、我々が議論すべきは、2030年でも15年先です。その先に2050年が待っているわけです。としますと、時代を変えていく政策というのは、過去及び今日の延長線上にあるのではないんではないでしょうか。そういった長期の政策は、今は想定外だけだけれども、将来必ず必要になるものを手に入れるための戦略であり、知恵であり、そして覚悟であるべきだと思っております。

そういったことを考えますと、私自身は、エネルギーミックスにおいては、再生可能エネルギーは少なくとも30%以上。それから、約束草案における日本の温暖化ガスの削減は、少なくとも30%が必要だと思っております。現実はどんどん進んでまいります。そういったことを考えますと、私が申し上げている、少なくともというのは、最低限という意味ではなくて、上限としての目標を持つのではなく、下限としての目標を持つべきだと。上限とすれば、それを越していくようなものの、頭を押さえるようなことが出かねません。そういったことはぜひ避けていただきたい。下限として進めていただきたいと思っております。

2015年は、第二次世界大戦終了以降、最も重要な年だと言われております。それはCOP21であります。21世紀の新しいレジームづくりが始まっているからこそ、誰が、そのヘゲモニーを握るのか、非常に国家的な利益に重大なときであります。ぜひ日本という国がいろんな意味でリーダーシップの発揮できるような政策を打っていただきたい、こういうことを申し上げておきます。


○浅野小委員長

どうも、ありがとうございました。

大塚委員、どうぞ。

○大塚委員

4点、簡単に申し上げたいと思います。

第1点は、ちょっと大聖先生と意見が違っていて、恐れ入りますが、JCMに関しては国内で削減が十分ではなかった場合の補完として、極めて重要であると考えております。そのために目標の数値を出すというのもあり得ると思うんですけども、この資料の参考のところの4ページに出ているような予算措置との関係で数字を出しておくことは極めて重要だと思いますので、これはぜひ維持していただきたいと思います。

それから二つ目ですけども、今回の温暖化対策のCO2削減、温室効果ガス削減の目標に関しては、再生可能エネルギーがまだ足りないという問題もあると思いますが、それなりのものにはなっているのかなとは思います。

ただ、先ほどいろいろ御意見がございましたように、2050年、80%削減ということは閣議決定になっておりますので、それに比べてどうなのかと。それと関連させてみたときに、なお不足しているのではないかということもあると思いますので、今後また見直しの時期とかもあると思いますので、エネルギー基本計画を含めてですが、そういうときに多少の軌道修正はあり得るのかなと、していただけるのかなというふうに考えているところでございます。

2点目ですけども、先ほど秋元委員からの御質問があったように、私も同じようなことをちょっと伺いたいところがありますけども。今回の目標が二度目標との関係とか、あるいは世界における公平性との関係でどうなのかということを、これから国際的には説明していかなければいけないと思いますので、ぜひそこの説明を考えていく必要があると思います。

先ほど、後ろのほうの参考資料のほうで、GDP当たりの温室効果ガスと、あと、1人当たりの温室効果ガスの図が出ていて、これは公平性との関係で、それなりに重要なものになってくると思いますけども、ここに書いてあるような2010年までの数字が書いてあるわけですけども、これが2030年の目標を各国が実施した場合にどうなるのかということが大事なので、それを踏まえた上で公平性を考えなきゃいけないので、ここに書いてあるのは2010年までですので、そこはちょっとそういう数字を出したときにどうなるかということを、ぜひ出していただいて、それらを公平性との関係での説明に使っていく必要があると思います。

今回それなりの数字にはなっていると思いますけども、あと、先ほど中上委員がおっしゃったように、やはり大震災というのがあったことがあったので、それも公平性ということを考えると若干の考慮をしていただきたいところがないわけではないですが、しかし、あまりいつまでも甘えてはいられないと思うので、そういうことも踏まえた上で公平性に関して主張していくということではないかと思います。

あと2点、小さいことがございますけども、小さくないですが、今の問題に比べると少し小さい話がありますが、石炭火力に関しては、今までここで議論があったように、ミニ石炭火力に関して、特に最近たくさんできてしまっているので、どうするかという問題がございますけれども、今回の石炭に関しての数値、26だったかと思いますが、との関係で多過ぎるということが出てきた場合に、稼働率を下げてしまうとあまり効率的でなくて、意味が少なくなると思うんですけれども、これに関して経済産業省さんとしてはどういうふうにお考えかということを、ちょっとぜひお伺いしたい。認可をしないとかということもなかなか難しいかもしれませんが、どういうことをお考えかということをぜひお伺いしたいというのが、一つ質問としてございます。

それから、もう一つ、コストの点で再生可能エネルギーのコストに関して、再生エネルギーのコストに対して産業界の委員の方々から、ほとんどコストとの関係で反対という意見がずっと出続けてきているわけですけれども、これは私の考えですと、FIT自体が悪いのではなくて、FITを日本に入れるときにドイツとか参考にしたわけですけども、日本的に考えると、もちろん一般的には当たり前ですが、ドイツと違って変えたところが、結構ことごとく問題があったのかなという気がしていて、一つは賦課金に関して、ドイツは国際競争力との関係で産業界に関しては減額を9割程度していますが、日本はそういうことまではしていないということがありますし、出力抑制に関しては制限し過ぎたために、この間のような問題が起きてしまったということがありますし、これはドイツよりも制限したものですから。あと、毎年、調達価格を決めているというのも、ドイツは、最初からかなり長い期間に関して調達価格を決めて、その再生可能エネルギー事業者に対して配慮をして予測可能性をつけていますけども。もちろん日本では日本的に考えればいいんですけども、変えたところがことごとく問題があったのかなというふうに個人的には思っておりまして、FITが悪いのではなくて、FITもつくり方がいろいろありますから、そういうことも含めて、ぜひ御検討いただけるとありがたいと思います。

以上です。


○浅野小委員長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいままでの御質問も含めた御発言がございましたが、関係省庁事務局から御質問に類する部分についてのお答えをいただければと思います。

それでは、まず、経済産業省からお答えをいただけますでしょうか。その後、環境省の立場でのお答え、そして最後には、事務局として答えるべきことがあればということで、この順番でお願いいたします。

では、経済産業省のお立場ということでは、どなたが……。

○総合政策課長

では、資源エネルギー庁でございます。

まず、横断的な御議論と、あと、各論の御議論があったかと思いますけれども、まず横断的なところで、全般的に実現可能な対策なのかと。これは実現可能、難しいんじゃないかという御議論と、それから、まだ甘いんじゃないかという御議論、双方あったかと思いますけれども、私どもとしては、その裏づけがある程度あるものをしっかり取り組んでいくと。ただ、その中で最大限野心的なものを入れ込んでいくということをやってきているつもりでございます。

そういう意味で、特に、これから実際これは実現できるのかどうかというところは、どういう対策をとっていくかというところは非常に重要だと思っておりまして、その対策についてもしっかりとこれから審議会の中で御議論をいただき、検討を深めていただきたいというふうに思っております。

また、省庁間連携、これも大変重要だと思っております。私どもも、ぜひ各省とも連携をしながら、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

また、電気料金を含めたコストが上がるんではないかという御指摘がございまして、これについては、まず特に省エネの話もございましたけれども、私ども極力、この要綱にも、骨子にも書いてございますスマートな省エネを推進していくということに取り組みたいというように考えております。

また、再生可能エネルギーにつきましても、この要綱にも書いてございますように、国民負担の抑制との両立を図りながら最大限導入を図っていくということでございまして、そういう意味では、FIT、これは御案内のように、既に認定容量が相当量に及んでおりますので、これがどれくらい、これから見直しでコストが下がるかというのには限りがあると思っておりますけど、そういうFITの見直しも含めて、コストを、まさに両立を図っていきたいというふうに思っております。

それから、あと、こちらも書かせていただきました化石燃料につきまして、やはり低廉、安定供給、特に低廉供給ができます。それだけおっしゃるとおりコストも下がってくるわけでございますので、これについても引き続きしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

それから、PDCAでございますけれども、これについても、まさに定期的な見直しの中でしっかり進捗を見ながら、まさに、個々の電源の進捗状況、あるいはコストも見ながら、もし積みますもの、あるいは遅れているものがあれば、それをどうしていくかということもしっかり考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

それから、パブリックコメント等の今後のスケジュールということでお話がございましたけれども。私どもの総合資源エネルギー調査会のほうにつきましては、今後、今御説明いたしました骨子をもとに、本体を御作成いただくということになっております。

この時期については、これは約束草案取りまとめ状況等を見ながら、なるべく早くということだと思いますけれども、その御審議の状況にもよりますので、時期はなるべく早くするということで申し上げたいと思います。

また、国民の皆様の意見を伺うという件につきましては、常に私ども、今もインターネットの意見箱というのを設けまして、随時、御意見いただいておりますけれども、引き続き、さらにどういうことが考えられるのかというのは検討していきたいというふうに考えております。

それから、各論でございますけれども、一つは省エネでございます。省エネは、今ほど申し上げたこととほとんど重複いたしますけれども、とにかく相当チャレンジングであるということは、もう私どももよく認識をした上で、可能な限り、まさにスマートな省エネをしっかりやっていただけるように対策をしっかり積み上げていきたい、引き続き精査をしていきたいというふうに思っております。

また、再生可能エネルギーでございますけれども、先ほどお話がありましたように、FITの、既に認定した量のうちの、今回メガソーラーにつきましては6割ぐらいはとどまるということで、4割は、実際に脱落するんではないかというふうに見込んでおりますけれども、脱落することを見込んで、その分コストが上がらない前提で、ほかの再エネを入れて、今の数字になっているということで、そういう意味では、これから先なかなか今の手元の状況ではなかなか余力がどこにあるかというのはなかなか難しいところはございますけれども、先ほど委員からもお話がありましたように、今後の定期的な見直しの中で、あるいは、さらなる余力が出てくるかどうかというところも引き続き見極めながら、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

それを含めまして、再生可能エネルギーにつきましては、まず風力、地熱等の安定電源につきましては、これは規制緩和、あるいは地元との調整が相当順調に進む場合にはいけるんじゃないかというようなものまで含めて見込んでおりまして、そういう意味で、相当野心的に積ませていただいているというふうに思っております。

また、一方、太陽光、それから風力でございますけれども、これにつきましては、今、申し上げましたような既認定量の脱落等も相当程度見込まれる中で、コストが許す範囲で最大限どこまでいられるかということで分析をしているつもりでございます。

それから、原発でございますけれども、これについては、今の40年超運転がなければ14、15%じゃないかということで、そこからどうしていくのだというお話ございましたけれども、これについては考えられるものは、40年を超える運転の延長が1回に限りまして20年間認められております。関西電力が実際2基の延長申請をいたしておりますけれども、この40年超の運転につきましては、これは事業者が判断をされて、仮に申請をされれば、これは規制委員会のほうで審査をされまして、認められれば、20年を限度に延長が認められるということでございます。こうした運転の延長、あるいは稼働率の向上ということによって、必要な量が確保されるかどうかということかと思っております。

それから、石炭でございますけれども、石炭につきましては、従前よりアセスの際にも御議論いただいておりますが、自主行動計画によります総量の管理でずっとやっておったわけでございまして、現在も局長間の合意によりまして、電力事業者の方々に全体としての発電用の中でCO2排出量の総量を管理していただくという、そういう自主的枠組みづくりに取り組みいただいているところでございまして、現に、実際、取組の議論も新規事業者の方を含めた電力業界としての御議論が進んでいるというふうに伺っております。私どもとしては、これをしっかりと取組が進むように促してまいりたいというふうに考えてございます。

また、その他エネルギー効率の向上、火力のエネルギー効率の向上に向けて必要な対策をしっかり考えていきたいというふうに考えております。

私からは以上でございます。

○浅野小委員長

それでは、環境省、どうぞ。


○低炭素社会推進室長

それでは、事務局のほうから質問の部分についてお答えをさせていただきます。

JCMに関しましては、後ほど担当の川上室長から回答させていただくこととして、それから、必要に応じて、経産省の永澤室長からも補足いただければと思っております。

それ以外の部分についてお答えさせていただきます。この部分につきましても、もし共同事務局の経産省のほうから補足があればお願いいたします。

まず、秋元委員、それから、ほかの委員の方からも御質問いただいた約束草案として提出する情報について、公平性や野心度、あるいは条約第2条の目的達成に向けた貢献というのを含めるのではないかという、これについての考えはという御質問がありましたが、御指摘のとおりです。今回のこの要綱の案には盛り込みませんでしたけれども、今日いただいた御意見も踏まえて、こうした点について、政府の中でどのような記載をするか検討させていただきたいというふうに思っております。

それから、高村委員から、今回の数値目標に関して、長期目標との整合性について御質問がありました。これは今お答えした点とも関係するわけですけれども、重要なのは、今回2030年の削減目標を示しましたけれども、そこがゴールではなくて、さらに2040年、2050年と、さらに長期的な削減を実現していくということが重要なんだと思っております。

そういう意味で、長期的な削減ということを考えた場合に、いわゆる技術の役割、技術革新の余地ということも考慮しないといけませんし、2050年に至る道筋は一つではなくて、複数のパス、経路があると思っていますので、そうしたことも踏まえて、今後2030年以降も努力をしていくということだと考えております。

それから、高村委員から、積み増しの余地はないかというお話ではありましたが、今後パブリックコメントも含めて意見を伺うということになりますが、今日お出ししている資料は、事務局としてはベストの推計だというふうに考えています。

それから、パブコメにかけるスケジュールについても御質問がありました。これにつきましては、今日この審議会で、この要綱案について議論をいただきまして、それを踏まえて、我々政府、環境省、経産省で検討を踏まえて、その要綱というものを取りまとめたいというふうに思っています。その後、その要綱に基づきまして、政府の原案を取りまとめて、パブリックコメントを行った上で、最終的に約束草案というものを地球温暖化対策推進本部で決定して、気候変動枠組条約の事務局に提出するということを予定しています。

いつまでにどうするということは、今、具体的な日付までは申せませんけれども、できるだけ早く進めていきたいというふうに思っております。

それから、藤野委員から、なぜこのような目標になったのかという御質問がありましたが、今後、さらにプロセスを進めていく上で、いただいた御意見も踏まえて丁寧に説明していけるようにしていきたいと思っております。

原澤委員のほうから、地球温暖化対策計画の策定について追加的な情報があればということでしたが、まずCOPの決定に沿って、この約束草案を出すというのをこれまで進めておりましたが、この約束草案の提出、それを経て、今後、地球温暖化対策計画の策定というものも遅れないように進めていきたいというふうに思っています。

それでは、JCMのほう、よろしいでしょうか。

○市場メカニズム室長

市場メカニズム室長、川上でございます。

多数のコメントを頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。総論として、JCM、もっと国際貢献としてアピールをしていこうというような御意見、コメントというふうに拝聴いたしました。

明確な御質問という意味では、例えば中上委員、原澤委員から、2030年、削減目標との関係についてでありますとか、豊田委員初め、ここに出てきている数値の性格を伺いたいというような形であろうかと理解をしているところでございます。

まず、2030年削減目標との関係でございますけれども、目標達成の手段としてJCMは含まれる。けれども、国内削減目標値には含まれていないということになろうかと思います。もとより、積み上げという形で、この国内削減目標というものが設定されておりますけれども、JCMの側から申しますと、現時点で2030年度断面におきます排出削減・吸収量の定量的な計上というのが、なかなか容易ではないということから、ここに述べましたような累計での、少し幅を持たせた形での国際的な排出削減・吸収量の見込みというものを書かせていただいたというところでございます。

それから、この数値の性格でございますけれども、具体的な数値を日本として示していくということで、国際貢献を進めることを表わしたということになるかと思います。約束草案の要綱といたしまして、政府の取り組む方向でありますとか、方針、こういったものに位置づけられるかと思いますけれども、そういったことを示そうとしたものでございます。

ここにこの数字が出て、これが確保できないということにはしてはならないのだろうと思いますので、その実現に向けて誠意を持って取り組むべき数値、目標という言い方がどうか、そういうような位置づけになるものとして理解をしてございます。

それから、5,000万t、1億tの算出に当たりましては、環境省で実施しておりますJCMの設備補助事業、あるいはJICA等連携事業、ADB拠出金事業における直近の実績、その削減見込みを踏まえまして、例えば低位の場合ですと現在と同水準である場合、高位の場合ですと実績の伸び率なども踏まえまして、より効率的なJCMプロジェクトが案件化されるといった想定を置きまして、このような形で数値をお示ししたところでございます。

以上でございます。


○浅野小委員長

永澤室長、何かありますか。

○地球環境連携室長

経産省の永澤でございます。

それでは、今の川上室長の御説明に補足をさせていただきたいと思います。

2ページ、前提条件、方法論に書いてあることは、ややテクニカルな表現をさせていただいておりますが、こちら目標については、積み上げの基礎としては一切しておりません。ただ、「日本として獲得した」という表現をつけ加えておりますが、今後、クレジットのルールが定まった後に、場合によっては、日本側として獲得したクレジットについてはルールが定まった後に、適切にカウントするという趣旨で書いております。

それで、4ページでございますが、こちらは国際貢献という流れの中で書かせていただいているものでございまして、国際的な排出削減・吸収量ということで日本側が獲得した等々の表現は入れておらず、まさに日本の技術によって海外で削減した量ということで数字を書いているものでございますが、こちらの数字につきましては、国際コミットではない、あくまでも目標ではなく、見込みを書いているというものでございます。

以上でございます。

○浅野小委員長

ほかに事務局、よろしいですか。

それでは、一当たり御発言をいただき、また御質問に対する答えをいただきましたが、大変奇跡的なことでありますが、15分ほど残っております。

そこで、今日は後のほうで中環審側から出てきた御意見に対しても、またコメントがおありだろうと思いますし、多少時間を気にして、これは言わなかったということがおありかもしれませんので、残りの時間15分でございます。御発言を、さらに、第二ラウンドで御希望の方は、できるだけ遠慮がちに名札をお立てをいただければと思います。

豊田委員、どうぞ。

○豊田委員

ありがとうございます。

私も発言で申し上げましたように、自給率が高まれば高まるほどいいというふうには思うんですけども、その際、再生エネルギーを増やすことになるとコストが高くなるというふうに私自身は思っております。、これは事務局に伺うつもりはありません。むしろ再生可能エネルギー、太陽光や風力を増やしたほうがいいと言われた委員の方がおられましたが、そのコスト増の部分についてはどうお考えなのか教えていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。


○浅野小委員長

それでは、これについては末吉委員、コストについてはどうかという今のご発言について何か御発言がございましたらお願いいたします。

○末吉委員

どうも御質問ありがとうございます。

私自身いろんな数字をいじくっているわけじゃあありませんけれども、私が見るいろんな資料の中に、コストがどんどん下がっていると。これからも下がっていくという話はたくさん出てまいります。

それから、コストの話の場合に、手前の短期のコストと長期で見た場合のコストというのは本当に比較されているんでしょうか。それから、もっと申し上げれば、再生可能エネルギーにかかるコストは、本当の無駄なコストなんでしょうか。再生可能エネルギーを日本の国内で増やしていくことが、トータルとして見た場合に、日本が負担できないコストなんでしょうか。最終的に温暖化がもっとひどくなって、例えば去年の広島の水害みたいなことが多発する。そういったコストは、どういう具合に考えるんでしょうか。

ですから、コストの議論をするときには、どういったコストを対象にして議論をすべきかという話をしないと、非常に狭い範囲でのコストを考えるということは、むしろ。ですから、私はこれは社会のステークホルダー全てが関与すべき、あるいは社会の全てのステークホルダーに関わる問題であるということを冒頭申し上げたのは、そういう意味であります。


○浅野小委員長

ありがとうございました。

これ、さらに繰り返すと、多分同じことの繰り返しになっていくと思いますが、それぞれの立場の違いがはっきりしてきたと思います。

崎田委員、どうぞ。


○崎田委員

遠慮がちに上げたのは、先ほど、私、JCMのことを発言しなかったんですけれども、やはり今回、数値目標には入れないけれども、取組の大事さというのはきちんと共有するということが、かなりきちんと書かれたというのは大変重要なことだと思っています。世界の中でそのCO2削減対策をきちんと認めてもらえるような交渉を、今まで外務省を初め政府の皆さんがやってくださっていたわけで、それはきちんと継続していただきたい。やはり日本が取り組んできたことを定量化して世界に貢献し続けていただくのは大事なんではないかというふうに思いました。

なお、地域でのCO2削減、家庭や業務部門にとって大きな数字だと申し上げましたが、私はだから難しいというよりは、それをみんなで力をあわせて取り組みましょうということを、もっと強調して、社会でこれからやっていきましょうという気持ちで発言しました。

項目としてはきっといろんなことがあると思います。フロンガスの法律も変わり4月1日からかなり厳しくなったんですが、それに関してあまりこの委員会でコメントはありませんでしたが、事業者さんにはとっても大変ですけど、それを多くの消費者はあまり気づいていないとか、いろんな課題もあるんですね。やらなきゃいけないことはいっぱいありますので、そういうことを踏まえて、社会の中で盛り上げていければなというふうに願っています。

○浅野小委員長

ありがとうございました。

では、竹内委員、どうぞ。

○竹内委員

ありがとうございます。

遠慮が足りませんで、申し訳ありません。

1点ちょっと先ほどから基準年のお話が出てまいりまして、私も国際交渉の場には、毎年行っているものですから、交渉の行方を考えて目標を考えたくなるお気持ちもわかるんですが、この温暖化目標の一番のステークホルダーは誰ですかと言ったときに、私は国民だと思うんですね。この削減の目標を達成する、我々の目標として掲げて達成するというのは国民なので、その国民に対して一番納得性があるものというところを選ぶべきではないかなというふうに思います。

それを考えましたときに、2005年は記憶もおぼろで、どんな生活をしていたかの認識も薄い。2011年の原子力発電所事故で、エネルギー政策は根底からひっくり返ったに等しい状況であることを、国民はみな認識しています。2005年を基準年にする場合に、最大のステークホルダーである国民の納得感を得られるかについてはどうお考えなのかと思います。

そしてまた、これから日本のエネルギーの状況というのは、非常に大きく動いていく時期を迎えます。電力もガスもシステム改革によって、政府の規制から市場原理に委ねることになる。そういった中で、目標は立派なものを作ったとして、その達成の手段は逆に弱まっていくわけです。状況が激変していくわけですから、この温暖化の目標も不断の見直しをしていくということを、きちんとお願いをしたいと思います。当然説明責任は発生しますので、見直しが行われるようであればその都度国民に及び国際社会に対して説明をするとこととあわせてお願いをしたいと思います。

以上です。

○浅野小委員長

ありがとうございました。

次は高村委員が名札をお上げになりましたが、先ほど高村委員は4分半か5分ぐらい話されましたので、ちょっと後にお願いいたします。

割合に先ほどの発言時間が短かったので、藤野委員の発言を先にお願いします。ただ、残り時間をちゃんと計算してください。


○藤野委員

どうもお許しいただいて、ありがとうございます。

改めて、今回行った検討について検証できるように、どのような資料を参照し、専門家等の意見を反映させて、この目標値を定めるのに至ったか、こちらのほう、ぜひまとめてください。本当に、事務局の方々の御苦労は感謝します。

ただ、今後将来、今回やったことがどういうふうに検証するべきか。やはりわかったこと、わからないことをしっかりとさせながら、すごいチャレンジングなことを我々今やっていると思いますので、その事実に基づいて、次のステップに行けるようにもするためにも、今まで議論されたことをぜひまとめてください。よろしくお願いいたします。


○浅野小委員長

ありがとうございました。

高村委員、どうぞ。

○高村委員

ありがとうございます。発言をさせていただけると思ってなかったんですけど。

再生可能エネルギーのコスト、豊田先生のほうからありましたけれども、もちろんコストをどうやって下げていくかというのは非常に重要な点だと、私自身思っております。

積み増しは可能じゃないかというのは、実は、需給小委でお話申し上げましたけども、特に太陽光に関して言うと、恐らく2020年ぐらいまでに自立した形で、つまりFITに依存しない形になっていくような、それぐらいのコストの低減というのが見通せているんじゃないかと。これはコストの検証をされているワーキングのところでも出ていると思ってまして、そういう意味で、太陽光というのが国民負担をかなり軽減をした形で、今後増えていく余地がまだあるのではないかというふうに思っております。

もう一つは、やはり系統安定化コストというのが一つの大きな問題だと、これは山地先生にも教えていただきましたけれども。さまざまな系統側の対応、需要側の対応など、やはり工夫の余地が十分あるというふうに思っていまして、そこのコストをきちんとやはり精査をして、低廉なものからやっていくことで、2030年までまだ15年ございますので、いろいろな施策が可能であろうというふうに、もちろん一番大事なのは、皆様おっしゃっていましたけれども、どういう施策でこれを実現するかというのを、できるだけ早くやはり議論をして、固めていくことが何よりも大事だというふうに思っていまして、これは再生可能エネルギーだけではなく、ほかの施策もであります。

そういう意味で、今回の積み増し、私は期待をしますけれども、それとあわせて、きっちりした担保をする施策の議論を早々に始めていただきたいという要望をして、終わりたいと思います。

以上です。


○浅野小委員長

佐藤委員、どうぞ。

末吉委員が名札を上げておられますので、佐藤委員、末吉委員、とこれでもって打ち切りにいたします。


○佐藤委員

今までの委員会の中で、温室効果ガスの削減の取組の中で、各省庁の取組ということが随分説明されてきたんですけれども、今後、この資料とは別に、各省庁が具体的にどのように取り組んでいくというロードマップみたいなものは公表されるのかということを御質問させていただきます。

ぜひ、国民の自主的取組によるものなのか、それとも、国が何らかの政策で強力的に引っ張っていくものなのかということは、国民にわかりやすい形で示していただきたいというふうに思います。


○浅野小委員長

ありがとうございました。

末吉委員、どうぞ。


○末吉委員

ありがとうございます。

ちょっと金融のバックグラウンドなので、世界の金融の動向ということでお話します。

世界の機関投資家ですね。年金基金などは、今盛んに投資対象企業にCO2減らさせようという運動を始めました。この3月にコロンビア大学に集まった機関投資家の人たちの運用総資産額が6兆ドルだったそうです。これは日本の全上場株式を簡単に買える金額です。

彼らが言っているのは、自分の投資先企業に対して、株主としてCO2を減らすことを求めようということであります。幸いにも日本の中で、6月1日から始まるコーポレートガバナンスコードの中に、ESG経営を目指すということが入りました。これ環境をはっきり入れるということであります。

それから、我が国の国民年金であるGPIF、130兆円の運用をしている年金基金が、初めてESG投資を検討すると言い始めました。これは世界の流れであります。昨年10月のことですけれども、イギリスの中央銀行であるバンク・オブ・イングランドの総裁マーク・カーニーさんが、こういうことを言ったんですね。「多くの化石燃料のリザーブは、ほとんど使えなくなるだろう」と。それは当たり前です。CO2を出せなくなるわけですから。ですから、この問題は、The tragedy of horizon、地平線上に現れた悲劇であるという表現をしました。まだまだ遠くに見える。だから、目先のことで判断、ものを考えていると必ず、その地平線上に現れた黒点が大きくなって、非常に大きな災害をもたらすだろうと。ですから、強い短期主義への戒めであります。ですから、既に、我々はこの地球温暖化の問題は、地平線上に見えた悲劇の元であります。

ぜひぜひ長期主義にもう一回戻って、長期でものを考える。こういったことをやるべきじゃないでしょうか。

以上です。 

○浅野小委員長

ありがとうございました。

それでは、瀧口室長、先ほどの佐藤委員の御質問にお答えをお願いいたします。


○低炭素社会推進室長

佐藤委員のほうから、この対策についてのロードマップを策定されるのかという御質問がありました。

今後、地球温暖化対策計画を策定することにしておりますが、それがロードマップに該当するというふうに考えていただいていいと思います。


○浅野小委員長

それでは、大変申し訳ありませんが、本日は時間を超過しそうであります。10分ぐらいは延びると思いますので、お許しをお願いいたします。

それでは、山地座長に、これまでの議論を踏まえての御発言をいただきたいと思います。

シナリオではご発言予定時間2分ということですが、今日は3分ぐらいみんなしゃべっていますので、山地座長も3分程度はどうぞ。


○山地座長

ありがとうございます。

概ね、今回資料4として提出した約草案要綱案にポジティブな評価をしていただいているかなと思います。それは結構なんですけども、エネルギーミックスも含めて、ある意味、数値目標が固まってきたということですけど、数値目標はあくまでも出発点であって、それをいかに実現するか、そこを詰めていかなきゃいけない。

今回ミックスのほうでも、こちらのほうも、いわゆる積み上げるということをやってきたわけですので、実現可能性をある意味踏まえてではあるけれども、じゃあ、積み上げたら実現できるかというと、そんなことはないわけです。

例えば、2030年の電源構成を出して数値はつくりましたけど、電力システム改革が同時並行的に進んでいる。自由化された電力市場の中で、マーケットがそのままそれを実現するとは考えられない。どういう手段を講じて誘導していくのか、規制していくのか、やっぱり考えなきゃいけない。また、今日の議論の中でも電力の省エネについて、やっぱりベースラインから17%というのはなかなか大きいねという指摘があったが、この実現方策も考える必要がある。一方で、電力コストは現状から少しだけど下げるといっている。電気料金を下げて、さらに省エネを進めるというのは、かなり難しい。やっぱりこれをどう整合するか、そういうことを考える必要があると思います。

私は、長期で見れば、情報の活用に一番期待しています。Internet of Thingsで、IoT、IoTと言っていますけど、あれは今回だとエネルギーマネジメントとか省エネにつながっているんでしょうけど、Demand Response、あるいは再エネの調整力とか、そういうところへの応用についても爆発的な技術進歩があり得る。ただ、今なかなかその効果を積めないというのも、事実だと思います。

2点目は、JCMそれ以外ももちろんあるんですが、国際貢献、これをどう書き込んでいくか。ここの表現ぶりについては、まだまだ工夫が要るところだと思っています。数値的な目標の中に含めないという判断は合理的なものだと思っているんですけど。しかし、一方で、日本が世界の削減にどれだけ貢献しているのか、あるいはしようとしているのか、できれば量的に出したいところですよね。これもしかしなかなか難しい、方法論的に難しいので、今後の課題と思っています。

申し上げたいと思ったのは、そのあたりですけど、もう一つ、公平性の話がありましたですよね。公平性の話って、約束草案を各国で出てきたものを均等な努力をしているかとか、そういういろんな視点があるので、今日、基準年の話も聞きながら、削減パーセントの大きさを競うというのは交渉の場ではあり得ることだと思うけど、やっぱりその中で削減努力の公平性というのは見えるようにする必要がある。

そういう意味では、削減率の数値は2005年も2013年もあまり変わらないですけれども、欧米との比較て公平性が見えるような工夫をするのは理解できなくもない。研究分野だとこういう場合には、いわゆる限界削減費用とかというものの比較とかということをやる。最近あんまりそういうのを見なくなりましたけど。そういう、理論的な研究もやっぱり詰めていく必要がある。それとうまく整合したものに、今回我々がまとめようとしている約束草案がなっているという裏づけができれば、さらにいいなというふうに考えております。

しかし、いずれにしても、出発点となる案が、ほぼ私は、この会合で了解されたのではないかと考えておりまして、その点では、ある意味、長い議論を積み重ねてきて、ちょっと中間地点ではありますが、ほっとしたところです。

以上です。


○浅野小委員長

どうもありがとうございました。

私が申し上げたいと思っていたこと半分ぐらいは、山地座長がご指摘くださいました。

今日はあくまでも約束草案の要綱案ということで、これから政府が約束の中身をどうするのかということを考えていくための頭出しのような形でのご説明をいただいたわけですが、これまでここで6回、今日入れて7回になるわけですが、議論してきたことが全く無視されたとも思いません。ここでの意見が相当程度反映されたと思います。

昨日、今日、二日間かけて、これまでの6回分の議事録を全部読んで参りました。大変手間もかかりましたけども、まあ、ある点では一致する方向が示されながら、かなりの点での対立点もあったと思います。それらをかいくぐりながら、やっぱりここでの議論が踏まえられた案ができつつあるのかなという気がします。

ただ、今日完全に、皆さんがここで完全に合意をくださったとは、とても思えない。私は若干、両論併記的な点が残っているなというふうに思っておりますけども。ここは何しろ、政府に意見を申し上げる場ということでありますので、できましたら、ただいままでにいただいた各委員の御意見も踏まえながら、さらに最終的に、政府において責任をもって約束草案の取りまとめ作業を急いでいただきたい、このようにお願いしたいと思います。

それとあわせて、私自分自身、議事録を読んで感じましたことは、この草案の素案提示に至るプロセスに関しても重要なご指摘、ご意見がいろいろありましたけども、それに加えて、今、山地座長が言われましたように、この先、決定させるであろう草案の内容を具体化していくときに、この点を考えなくてはいけないとか、こういう点に留意しなくてはいけないとか、省庁間での施策に関する調整をちゃんとやらなくてはいけないとか、といったように今後につきの重要な発言が度々この会議では出されてきているということです。

ですから、できればもう一回、ここでちゃんとそういうものを整理して、こんな発言があったということをやりたいところなんですが、とても時間的にも、私個人がやるということも能力的にも無理でありまして、何しろ全部読むだけで精一杯だったわけです。

しかし、読んでいて無意味な発言は全くなかったと思いました。ですから、ぜひ、両省ともしっかり担当者はこれまでの議事録を読んでいただいて、この部分は使えると、この部分はどうも使えないというようなことをはっきりさせた上で、今後の作業を進めていただきたいと思います。この会議は、ただ言いっ放し、聞きっ放しではなかったということにぜひしていただきたい。多くの方々が見ておられる前でやってきたわけですから、是非、最終的にもそのことが証明できるようにしていただければ、ありがたいことだと思います。どうぞ今後の作業をよろしくお願いいたします。

それでは、環境省地球環境局長の梶原局長から、一言お願いいたします。

○地球環境局長

環境省の地球環境局長の梶原でございます。

昨年10月から本日を含めてこれまで7回にわたりまして、大変広範囲に、そしてとても参考になる御議論を賜りまして、本当にありがとうございます。

浅野座長、山地座長初め委員の方々、そして協力をしていただいた関係省庁の皆様方に対して深く感謝を申し上げたいと思います。

お陰様で、他の先進国にも遜色のないレベルの目標になったのではないかというふうに考えているところでございます。今回、いただいた御意見も踏まえて、今後政府として約束草案の案を作成いたしまして、そして国民の方々の御意見も賜りながら、最終的なものにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

地球温暖化問題、言うまでもなく、人類が直面しております最大の課題の一つでございます。本年12月のCOP21に向けて国際的な交渉を行っていくわけでございますけれども、これだけではなく、来月5月に開かれます太平洋・島サミットでありますとか、6月のG7のサミットでありますとか、そういった場面におきましても一つの大きな議題になっておるということでございます。

ぜひ、我が国の目標確保にしっかりと説明をして、全ての国が参加する実効のある国際枠組みの構築に向けて、日本がリードできるようにしていきたいと思っておるところでございます。

国内的にもしっかり、これを実施に移していくべきであるという御意見も賜りました。温暖化対策計画をつくり、その中で、今回積み上げの対象になった施策以外の施策、これは直接で数字につながらない施策もございます。そういったものも含めて、しっかりとした計画をつくってまいりたいと思っております。

いずれにいたしましても、2030年で温暖化対策が終わるということではございません。G7では、2050年、世界半減、そして先進国全体として80%削減、また国内的にも環境基本計画で80%削減を目指すという形になっております。

このためには、2050年、あるいはIPCCが言っている2100年といったようなことを見通して、早期に低炭素社会をつくっていくといったようなことが大切であるというふうに思っております。

繰り返しになりますけれども、これまでの御議論、御審議につきまして、深く感謝を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

○浅野小委員長

それでは、続いて、経済産業省、産業技術環境局長の片瀬局長から御挨拶をいただきます。

○産業技術環境局長

経済産業省の片瀬でございます。

閉会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。

まず、この合同委員会の委員の方々、7回の審議にわたりまして、本当に活発な御議論いただきまして、ありがとうございました。

御案内のとおり、過去、京都議定書の目標、これは、まさに京都であの国際会議場の場で交渉で決まったという完全なトップダウン、根拠の積み上げの具体的にない目標でありました。それから、その後の2020年のマイナス25%の目標。これについては、そのような具体的な積み上げの議論すら行われないまま決めた目標でありました。

今回は、そういう反省に立ちまして、まさに国際交渉、ボトムアップの約束草案を出すことを求めているという考えに忠実に立って、エネルギーミックスとの整合性を確保するということを基本的な大前提にして、エネルギーミックスのほうの御検討を総合資源エネルギー調査会のほうでしていただき、さらに、この約束草案それ自身についても、とにかく具体的な施策の積み上げ、それから、技術的制約、コスト面の課題等十分考慮して、実現可能性のある目標ということで作業をしてきたわけでございます。

その過程におきまして、この委員会の先生方からはさまざまな建設的なアイデア、御意見をいただきました。加えて、産業界の皆様方におかれましては、低炭素社会実行計画、これを真剣に取り組んでいただきまして、私どもの産構審、中環審の別の委員会の場ですけれども、そのレビューにおきましても、しっかり検証させていただいたわけでございます。

また、施策面につきましては、今日出席していただいている環境省、経産省以外の各省庁の方々いらっしゃいますけれども、非常に前向きに御協力をいただきました。

さらに、それを全体取りまとめるという意味で、内閣官房にも非常に御尽力をいただいたところでございまして、これは政府挙げて、英知を結集して取りまとめをしたというふうに考えております。

この積み上げというのは、非常に言うに優しく、実際は難しい。要するに、何も言わないと、本当に現実的に野心度の非常に低い目標が出てしまう可能性があるわけですけれども。

先ほど梶原局長からもお話いただいたように、そういう中で、結果として積み上げたものが、非常に、このように国際的に遜色のない野心的なものになったということは、まさに、日本の英知を結集して、産業界、それから関係省庁、それから、当然皆様方の英知を結集してできたということで、非常に我々感謝をするとともに、誇りに思っているところでございます。

国際的には、残念ながら日本の温室効果ガス2.8%しかないわけでございますので、26%減でも、先ほど単純な計算をしてみたら、世界全体、過去10年、2.2%、ガス伸びていますので、これだけでは、世界のトレンドを変えない限りは、地球温暖化というのは3カ月しか遅れないわけでございます。これも純然たる事実でございます。

従って、我々は、非常に26%という野心的な目標、これは実現可能性があると思いますけれども、取組を相当しなきゃいけないということも事実でございますので、これをPDCAとか、あるいは政府全体の取組でやっていくと同時に、やはり世界全体への、ほかの貢献ということも考えなきゃいけない。それはやっぱり私どもとしては技術革新だと思います。

一昨年の攻めの地球温暖化戦略の試算では、たしか、日本の技術を全て展開すれば、300億t相当の温室効果ガスの削減に貢献できると。これはこのJCMの見込みの5,000万t、1億t、これも重要ですけれども、それをはるかに超えるポテンシャルがあるわけでございますので、そのような技術革新、これをしっかり進めていく。

それから、これが世界全体で採用できるような国際枠組みをつくっていく。そういう中で、ICEFの話もありますし、それから当然、これから合意されるであろう検証、あるいは点検のメカニズム、これについても、今回日本が具体的な積み上げというのをせっかく出したんですから、具体的な点検・検証をしていこうと。それもイノベーションということを考慮した、Best Available Technologyという発想を入れて検証していこうということを呼びかけて、一歩でもそれに向けて近づけていくというのも、私ども政府としての大きな任務だと思います。これは外務省、環境省、経産省一体となって、しっかり努力していく必要があると思っております。

最後になりますけれども、本当に、この7回の御審議、いろいろ活発な御議論をいただきましたけれども、浅野委員長、それから山地委員長の適切な時間管理のもとにしっかりした議論ができたということを御礼を申し上げまして、私の御挨拶といたします。

ありがとうございました。


○浅野小委員長

ありがとうございました。

それでは、以上で本日の議事を終了いたします。

最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○低炭素社会推進室長

本日は活発な御議論をありがとうございました。いつものことですが、議事録につきましては、事務局のほうで取りまとめを行いまして、委員の皆様に御確認いただいた後、ホームページに掲載をさせていただきたいと思います。

○浅野小委員長

これで散会いたします。どうもありがとうございました。


――了――