カーボンプライシングの活用に関する小委員会(第19回) 議事録

日  時

 令和3年12月22日(水) 10:001200

議  題

(1)ポリシーミックスの中でのカーボンプライシングのあり方

(2)その他

配付資料 

資料1 ポリシーミックスの中でのカーボンプライシングのあり方

参考資料1  カーボンプライシングの活用に関する小委員会委員名簿

参考資料2  カーボンプライシングの全体像

参考資料3  各種文書におけるカーボンプライシングに係る記載

参考資料4  与党税制改正大綱(令和3年12月10日自由民主党・公明党)(環境省関連記載抜粋)

議事

前10時0分 開会

井上市場メカニズム室長

定刻となりましたので、ただいまから第19回中央環境審議会地球環境部会カーボンプライシングの活用に関する小委員会を開催いたします。

初めに、私、事務局を務めます地球環境局市場メカニズム室長の井上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の小委員会はWEBでの開催とし、Youtubeの環境省動画チャンネルで同時配信しております。

なお、増井委員、有村委員は遅れてご参加されると聞いております。

大橋委員、河口委員、高村委員、諸富委員、安田委員、吉村委員は、本日、所用のためご欠席と聞いております。

また本日、ご欠席の神津委員の説明員として、平井様にご参加いただいております。委員の皆様には、ご承知おきいただきますようお願いいたします。

それでは、WEB会議の開催に当たりまして、何点かご協力をお願いいたします。

通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフにして、ご発言の際のみオンにしていただきますようお願いいたします。

また、ハウリング等を防ぐため、発言する際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。

ご発言を希望される場合には、ご自身のお名前の右側にあります手のアイコン(挙手ボタン)をクリックしてください。また、発言を終わられましたら、ボタンを再度クリックしていただきまして、挙手を解除いただきますようお願いいたします。

もし、挙手ボタンを押しているのに事務局側が気づかない等ございましたら、画面右下のチャットチャットボックスにご記入ください。

その他、通信トラブル等ございましたら、チャットボックスにご記入いただきますか、事務局までお電話いただきますようお願いいたします。

それでは、浅野委員長、以降の進行をお願いいたします。

浅野委員長

皆さん、おはようございます。

5月に開会いたしまして、今日で8回目ということになります。年末のお忙しいときに会議を開きまして、ご迷惑をおかけいたしました。申し訳ございません。

 前回、第18回で、方向性について事務局から案をご提示し、これについてご意見をいろいろいただきました。そのご意見を基に修正を加えましたものを、本日ご提示をしたいということでございます。いろんなお立場の方が委員会のメンバーには入っておられるわけですが、今後の議論を進めていくために、どういう方向性を取るべきかということについて、できれば今日ご了承いただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、事務局から資料についての説明をいただきます。

どうぞ、事務局、お願いします。

井上市場メカニズム室長

すみません。それでは、事務局から資料1に基づきまして説明をさせていただきます。

先ほど浅野委員長からお話がありましたとおり、先月19日開催の第18回小委員会におきまして、事務局からポリシーミックスとしてのカーボンプライシングの方向性というものをお示しし、委員の皆様にご意見を頂戴いたしました。資料1につきましては、その意見を踏まえまして、修正したものをお示しし、改めてご審議いただくというものでございます。

それでは、資料についてご説明します。

まず、2ページをご覧ください。ここでは、前回、第18回小委員会での主なご意見をまとめたものでございます。一つ一つ詳細な説明は省略させていただきますが、ここにあります2ページ目でございますが、カーボンプライシング導入に関し、前向きなご意見、慎重に検討すべきとするご意見を列記させていただいております。

3ページ、ご覧ください。ここでは、カーボンプライシングの制度設計を考えるに当たりましての留意点、議論の進め方についてのご意見を列記しております。詳細な説明は省略させていただきます。

続きまして、4ページ、5ページを飛ばさせていただきまして、6ページ、7ページをご覧いただければと思います。前回の小委員会でのご意見を踏まえまして、ポリシーミックスとしてのカーボンプライシングの方向性について、修正した箇所を赤字で明記したものでございます。これに沿いまして、修正箇所を中心にご説明いたします。

まず、6ページの一つ目の矢羽根でございますが、2030年度46%削減、2050年カーボンニュートラルの実現のためには、地球温暖化対策計画にもありますとおり、あらゆる分野で、でき得る限りの取組を進めることが必要ということとしておりますので、その点を入念的に追記いたしました。

二つ目の矢羽根でございますが、1行目につきましては、地球温暖化対策につきましては、様々な手法がある点を丁寧に記載させていただきますとともに、3行目でございますが、カーボンプライシングありきではなくて、成長戦略や産業政策の中でカーボンプライシングの位置づけを明確にした上で、政策全体での議論が必要とのご意見を頂戴しておりましたので、その旨を追記しております。

四つ目の矢羽根でございますが、まず1行目でございますが、前回の小委員会におきまして、成長戦略に資する制度設計が可能かどうかという点で議論がなされることを明記すべきというご意見を頂戴しましたので、その旨、追記しております。その上で、2行目にございますが、次のページにあります自主的なクレジット取引、炭素税、排出量取引、それぞれについて検討を進めるということになります。また、なお書きでございますが、前回の小委員会におきまして、カーボンプライシングありきでなく、ポリシーミックスを踏まえた総合的な検討が必要、2050年カーボンニュートラル、2030年の排出削減目標を実現するために、どれほどのコストが発生するのか、誰がどの程度のコストを負担するのかを明確に示していくことが重要、トランジションの観点からカーボンプライシングを考えるべきといったようなご意見を頂戴いたしましたので、ここで検討に当たっての留意点として、記載にありますとおり、ポリシーミックスの中でのカーボンプライシングの在り方、社会全体における負担の在り方、経済社会構造の中長期的な展開に向けた適切な移行等の観点に留意することとする旨を追記させていただきました。

7ページをご覧ください。7ページにつきましては、修正を特に加えておりませんが、改めまして、簡単にご説明をいたします。

まず、一つ目の矢羽根でございますが、自主的なクレジット取引でございますが、Jクレジット、JCM、経済産業省さんの研究会におきましても、カーボンニュートラル・トップリーグやカーボン・クレジット市場に関する検討が進められておりますが、既存の制度の運用改善を図るとともに、新たな制度の構築を含め、引き続き検討を進めることとしてはどうかというものでございます。

続きまして、二つ目の矢羽根ですが、炭素税でございます。我が国におきましては、地球温暖化対策税がございます。広く行動変容を促す価格効果や、イノベーションや社会実装を支援する財源確保を踏まえながら、地球温暖化対策税の見直しを含めた検討を進めてはどうかというものでございます。なお、地球温暖化対策税の見直しを含めた検討と記載した趣旨でございますが、炭素税という場合には、新税・既存税制の見直しを含め、様々なものが想起されますが、まずは既存の地球温暖化対策税がございますので、その見直しについて考えるのが選択肢の一つであると考えまして、例示しておるものでございます。さらに、過去の炭素税についてのこの審議会の議論におきましても、例えばでございますが、課税段階として、上流・中流・下流課税についてご議論をさせていただきましたので、地球温暖化対策税の見直しだけでなく、そのようなことも合わせて、幅広く考えていくという趣旨を含めた検討としております。その検討に当たりましては、書いていますとおり、長期の時間軸、懸念点への配慮、税収の使途などに留意しながら、専門的・技術的な議論を進めてはどうかというものでございます。

 最後に、三つ目の矢羽根でございますが、キャップアンドトレード型の排出量取引でございます。排出量取引は、確実に排出削減を実現できるという利点はございますが、様々な課題もございます。一方で、EUだけでなく、中国や韓国でも導入されており、今や38か国・29地域で制度が実施されているところであり、こうした状況を踏まえまして、今後の我が国の排出削減状況の推移も踏まえ、将来的な制度の導入も含め、引き続き検討を深めることとしてはどうかというものでございます。

以上の見え消しを反映したものが、ページが戻りますが、4ページ、5ページということになります。

 以上、簡単ではございますが、よろしくお願いいたします。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいま事務局からご説明を申し上げましたが、この受けました説明について、ご発言をご希望の方は、どうぞ、毎回同様でございますが、ご自身のお名前の右にある挙手のアイコンをクリックいただいて、お待ちをいただければと思います。

今回の資料の内容、見え消し版では6ページ、7ページになりますが、4ページ、5ページの方向性の2枚紙、これについて、前回の提出したものに基づいてのご意見をいただいております。

その際にいただいたご発言以外の内容について、さらに追加的にご希望、ご発言がある場合に、ご発言をしていただければと思っております。前回のご発言と同じ内容でございましたら、既に記録されておりますので、それと重なることは極力お控えいただいたらと思っておりますが、特に制限するわけではございません。

さらに、今日は途中で退席をしなければならないということを、事前にご通知をいただいております土居委員にできれば早い段階でご発言をいただければと考えておりますが、それ以外に、もし途中退席の必要があるので早めに発言したいというご希望をお持ちの方は、どうぞチャットにご記入いただくか、あるいはその旨のご発言をいただければと思います。

それでは、土居委員、先にご発言いただけましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

土居委員

聞こえておりますでしょうか。

浅野委員長

はい、聞こえております。

土居委員

発言の順番をご配慮いただきまして、ありがとうございます。

ただいま事務局からご説明があった修正案で、私はよいのではないかというふうに考えております。

特に、これからさらに検討を踏まえる必要があると思いますけれども、12月10日に決定されました与党の税制改正大綱、令和4年度のものですけれども、これにはカーボンニュートラルの実現に向けたポリシーミックスと明記されていて、これが検討事項に挙げられたというわけでありますから、この検討事項に沿うような形で、この小委員会でも、来年、さらに議論を深める必要があるというふうに思います。

確かに与党税制改正大綱にはカーボンプライシングという言葉自体は書いていないということかもしれませんけれども、税制調査会で議論されているということである限りにおいては、税に関連しないはずはないというわけであります。ですから、今日の事務局からご説明があった修正案の中にもありますような炭素税、それから、これは税とは直接違いますけれども、排出量取引、こういった制度設計にも、さらに来年は踏み込んで議論をしなければならないだろうというふうに思います。

いつからそれを導入するかということは、また、これは次の次元の問題かとは思いますけれども、ただ、これを遅らせれば遅らせるほど、激変緩和が難しくなる。スモールスタートで始めて、そして緩やかに本格化させていくということで、社会全体にも無理なく受け入れられるような形で導入していくと、本格化していくということが必要で、それを遅らせれば遅らせるほど、急激な変化を強いられるような形で、この仕組みを社会が受け入れなければならなくなってしまう。そういう意味で早期に、スモールスタートでこういう仕組みを導入していくということが大事なのではないかというふうに思います。

私からは以上です。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、岩田委員、どうぞお願いいたします。岩田委員、どうぞご発言ください。

岩田委員

ありがとうございます。3点ほど申し上げたいと思います。

1点目は、修正案の、これ、全体として大変結構だと思いますが、その中で、まず一つ目、申し上げたいことは、これまで以上の規模、スピード感で実現する――46%削減ですね――いうことが書いてありまして、これは賛成なんですが、度々、どのくらい、それじゃあ、スピードを上げればいいかという、COP26で事実上2℃目標から1.5℃目標に変更されたというふうに私理解しております。1.5℃になりますと、カーボンバジェットですよね。言葉が出ていないのは、私は、ちょっといつも、ちょっと足らない点だと思っていますが、カーボンバジェットが幾らあるのかと。最終的には1.5℃目標をするために、我々が使ってもいいCO2のエミッションの量は幾らなんですかと。これはInternational Science Councilというのが国連の助言機関でございますが、そこでは、1.5℃のためには、残されているのは、もう10年分しかないと。毎年、今400t出しているわけですが、残されたバジェットは、もう4,000tしかありませんよと。これを図で示しておりまして、本当に10年でなくなってしまう、今のスピードで消費しているとなくなってしまうという、こういう、せっぱ詰まったところに私は置かれているんじゃないかと思うんですね。ですから、削減のために、バジェットの大きさというのをやっぱり理解するということが必要ですし、これは企業とか家庭もそれぞれご理解になるということがとても必要だと思っております。

私、心配しておりますのは、いわゆる移行期のリスクというのは、今の資産市場は、カーボンバジェットを織り込んでいないんですよね。これは各企業の経営についてもそうですけども、マーケット、資産市場でも織り込んでいない。そうしますと、その分だけ実は過大評価されているわけでありまして、ある時期に既存価格が大きく変動するということが、私、カーボンバジェットをちゃんと生かすためにはということになりますと、大きな変動が起こるということだと思います。

それから、もう一つ、企業の国際競争力ということにつきましても、プライシングに応じまして、実はこれまではコストとか価格の競争力とか、あるいはクオリティーと言っているのですが、この目標、1.5℃目標にどのくらい企業は適切な対応をしているかということが、マーケットで厳しく評価されることになるということになると思います。例えば、この企業は1.5℃をクリアする企業です、この企業は2℃です、あるいは3℃ですというようになって、国際競争力にダイレクトに効いてくると思います。日本の大手企業は、私の仄聞するところでは、大手は、もう既に1万円、100ドルというのは覚悟して、それで中期のもう計画を立てて、インターナルカーボンプライシング100ドルでもって、実はもう動き始めていると思います。というような事態を考えますと、ここでのカーボンプライシングの小委員会の議論は、あまりに悠長で、スピード感が本当にないなというふうに思います。ですから、私は、日本の産業が生き残れるかどうかということが問われていると私は思うんですね。成長に資するといいますけど、もう、日本の産業は衰亡、もう維持できなくなるというような問題なんだというふうに認識すべきではないかというのが1点目であります。

それから、2点目は、やはり修正案の最後のところにトランジション等の観点に留意すること、これはもうそのとおりでありまして、金融のほうで言うと、トランジションファイナンスについて、3省庁で原則なんかを明確にしているわけですね。つまり、今、ブラウンからグリーンには一足飛びにはジャンプできない。そうしますと、ライトブラウンにして、ライトグリーンにして、それでディープグリーンになっていくという、途中のプロセスがやっぱり必要だと思います。それに必要なファイナンスというのが、やっぱり必要だと。今回の修正案、いいのですが、ファイナンスについての記述がとても私少ないと思っていまして、企業がそういうことをやろうとしても、ファイナンスがついてこなかったら実現できないわけですね。もう少しファイナンスについての配慮が、もうちょっと書き込むということで、これまでサステナブルファイナンスとか、積み重ねた努力をやってこられていると思うんですね。というので、きちっと書くべきではないかと。これは2点目であります。

それから、3点目は、土居委員のと関連しますけど、前から申し上げているように、このカーボン小委で議論されたことが、具体的な政策のプロセスにどうやったら乗っていけるのかということを、やっぱりもう少し方向性をきちっと出していただけないかなということであります。具体的に言えば、政府税調にはいつ頃のタイミングで上げているんですかというようなことを、このカーボン小委員会でも、はっきりと載っけていただきたいというようなことを表明すべきではないかと思っております。

以上です。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、大塚委員、手が挙がっていますね。ご発言、お願いいたします。

大塚委員

大塚でございます。恐れ入ります。

3点申し上げたいと思いますけども、第1点は、今、岩田委員がおっしゃったことと類似しておりまして、カーボンバジェットのことは、どういうふうに入れていただけるか分からないですけども、ぜひ入れていただければと私も思っています。今年の3月に、ドイツの連邦憲法裁判所で出た決定におきましては、行動するときにCO2が出るということを考えて、カーボンバジェットを考えたら、削減をどういうふうにしていくかということを個々の年に関して、2031年以降に関しても削減目標を定めないと、基本的人権を侵害することになるんだという、そういう決定を出していまして、それで慌てて議会のほうが2031年以降の削減目標を明確に定めることにしたんですけども、そういうCO2の排出が基本的人権の制約と関係しているんだという発想、これらがヨーロッパでは広がってきているということでございまして、我々にとっては、なかなかなじみにくいのかもしれませんけども、そういう将来世代との衡平というような発想が重要になってきている、あるいは現在世代の若い人との衡平というのが結構重要になってきているということだと思います。

2点ですけれども、今の第1点とも関連しますが、大きな対策を、46%削減とか、2050年カーボンニュートラルに向けて打っていかなくてはいけないわけですが、それを全て補助金により、負担を先送りするということではなくて、炭素税によって、あらゆる主体の行動を変容していくことによって世代間公平を図るというのは、非常に重要なことだと思いますので、世代間衡平のようなことがどこかに書けるかということが、問題になるのではないかというのが第2点でございます。

それから、第3点ですが、EUの炭素国境調整との関係で、当面、どの程度のものになるかということに関しては、徐々に動いていくとは思いますけども、日本としても、炭素税等のカーボンプライシングの本格的導入を考えないと、遅れていってしまうということは、産業界においても多くの方が認識を始めているのではないかと思いますけども、そういうことについても、もし、どこかに書けたら、大変いいのではないかということを申し上げたいと思います。

以上、3点でございます。ありがとうございました。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、増井委員、どうぞお願いいたします。

増井委員

どうもありがとうございます。

私も3点ございます。岩田委員、大塚委員のご発言と重なってしまうところもあるかもしれませんが、ご了承いただければと思います。

まず1点目は、科学の観点からIPCC等がきちんと温暖化の原因等も明記しておりますので、AR6(第6次評価報告書)で示しておりますので、バジェットの議論も含めて、あるいは影響等も含めて、科学的な知見が蓄積されている中で、緩和に向けた取組の重要性というのは、世界的にも共有されているんだということは、まず明記した上で、日本としての取組としてのカーボンプライシングという、その位置づけというのは、科学的な支援もあるんだということを明記していただければと思います。それが1点目です。

2点目は、先ほど大塚委員のほうから国境調整のお話がありましたけれども、それだけではなくて、欧州のグリーンディールですとか、とにかく日本国内で適切な温暖化対策の措置をしていないと、グローバルな規模でのビジネスチャンスを逃してしまうと。成長に資するというようなことが、この文言にも書かれていますけれども、ビジネスチャンスを逃すということは、まさにそういう成長に資する機会を失ってしまうことにもつながっていきますので、ぜひ、国境調整、あるいは欧州、世界全体の動きというのを踏まえた上でのカーボンプライシングのやっぱり重要性・必要性というのは明記していただければと思います。それが2点目です。

最後が、今、スライドにもあります4ページ目のところ、最後のところに「経済社会構造の中長期的な転換に向けた」というふうに書かれているんですけれども、ちょっと、どういうふうな転換なのか、全体を見れば、もちろんきちんと書かれてはいるんですけれども、どういうふうな転換なのかということの方向性は、やっぱり最後、きちんと明示すべきだと思っています。脱炭素社会に向けた転換、あるいはそれを支援するための温室効果ガス排出量の見える化ですとか、あるいは環境はただではないんだというようなこと、そういう、これまでとは認識をやっぱり変えないといけないということを強くメッセージとして出すというようなことも必要かと思いますので、その点も踏まえて、ぜひ強いメッセージを修正案の中にも盛り込んでいただければと思います。

以上になります。どうもありがとうございました。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、井上委員、お願いします。

井上委員

まず、取りまとめいただきまして、ありがとうございます。また、発言の機会を頂戴し、ありがとうございます。

これまでの本委員会において、2050年カーボンニュートラル・2030年度排出削減目標を目指すにあたっては、どれほどのコストが追加的に発生し、誰が負担するのかといった点を含めた、国民的な議論や強力な成長戦略の必要性について申し上げてまいりました。

今回、資料4ページの第2段落と第4段落に、その趣旨を盛り込んでいただき、また、度々意見を申し上げてまいりました、相対的に経営体力の弱い中小企業に対するご配慮についても、資料5ページの「炭素税」の「懸念点への配慮」の中で、エネルギーコストとあわせて、「中小企業対策」と明記をいただきまして、本当に感謝申し上げます。

従前より申し上げておりますが、カーボンプライシングを導入すれば経済が成長するわけではなく、「成長に資する」カーボンプライシングは、「強力なグリーン成長戦略」とセットで講じられるべきであると考えております。国がカーボンニュートラルに向けた社会の全体像とその実現に向けた具体的な道筋を、エネルギー戦略や成長戦略として示し、そして、その中でカーボンプライシングの位置づけを明確にするなど、政策全体での議論が不可欠でございます。2030年・2050年を見据え、環境省様だけではなくて、経済産業省様をはじめ他省庁様とも横断的に連携いただき、議論を今後も進めていくことが重要であると考えております。

また、既に自主的・先駆的な取組を進めている日本企業についても、よりフォーカスをしていただき、2030年・2050年までのトランジション期においても、代替技術が確立できるまで、国のさらなる支援・施策を打ち出していただきたく、よろしくお願い申し上げます。

以上でございます。ありがとうございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、椋田委員。

椋田委員

聞こえておられますでしょうか。

浅野委員長

ちょっとお声が小さいようですが。

椋田委員

これでいかがでしょうか。

浅野委員長

はい、聞こえております。

椋田委員

まずは、今回の取りまとめに当たられました浅野委員長、そして事務局の皆様に御礼を申し上げたいと思います。

これまでの小委員会の議論では、自主的なクレジット取引、炭素税、排出量取引といった、各種のカーボンプライシングについて、様々なご意見がございました。こうしたことを踏まえれば、どのカーボンプライシングを優先して議論するということではなく、まさに「成長に資するかどうか」という観点から、ポリシーミックス全体の中でのカーボンプライシングの在り方を総合的に検討していくことが何よりも重要と考えております。今回提示いただいた方向性には、こうした考え方をしっかり反映していただいており、概ね内容に異論はございません。

来年以降のカーボンプライシングに関する検討に当たりましては、引き続き、経済界の意見をしっかりくみ取っていただければ幸いです。

私からは以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、清水委員、お手が挙がっております。どうぞ、清水委員。

清水委員

恐れ入ります。電事連の清水でございます。聞こえますでしょうか。

浅野委員長

聞こえております。どうぞ。

清水委員

ありがとうございます。

おまとめいただきました資料1の4ページ、5ページにある方向性について意見を申し上げます。

まず、4ページ目の4ポツ目について、前回申し上げました成長に資する制度設計ができるかという大前提を追加いただきまして、感謝申し上げます。

また、追加されました社会全体における負担の在り方についても、大事な観点であるというふうに考えております。繰り返しになりますけども、追加的なカーボンプライシングにより、エネルギーコストの上昇など、国民生活や産業活動にどの程度の影響が出るのか、この点については定量的にお示しいただくことをお願いしたいというように思います。

また、懸念点への配慮につきましては、電力のみが負担しておりますFIT、あるいは高度化法等、効果や負担が重複する既存制度を踏まえることが重要と考えますので、他規制等との観点も加味した上で、今後、ご議論いただきたいというように思います。

さらに、税収の使途が例示されておりますが、今後の議論に当たりましては、その意義、費用対効果も含めて検討いただければというふうに考えております。

最後に、今後の議論に当たって、一定の方向性で決め打ちするのではなく、炭素税以外の他の制度との兼ね合いも加味して、総合的な視点から偏りのない議論をお願いしたいというように思います。

私からは以上でございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、手塚委員、小西委員の順番でお願いいたします。手塚委員、どうぞ。

手塚委員

ありがとうございます。聞こえていますでしょうか。

浅野委員長

聞こえております。どうぞ。

手塚委員

資料1、おまとめいただきまして、どうもありがとうございました。

ご説明の中でも、前回の議論でも、様々な論点・視点を引用してご説明いただきまして、そういうものを反映した形で、これが取りまとめられたということで理解いたしております。大きくこの内容について異論があるわけではございません。

ポリシーミックスの広い概念の中で、特定の手法の導入を前提とした議論を進めるというよりは、中立的な観点から、成長に資するカーボンプライシングの在り方について、専門的・技術的な検討をするというふうにまとめられているというふうに理解をしております。

その中で、実際に専門的・技術的検討を進める中で重要な視点として、やはりこれは現在政府が既に発表され、実施に入られている温対計画並びに第6次エネルギー基本計画とカーボンプライシングとを、どういう関係を持たせるのかということの視点を検討していく必要があるんだろうと思います。そうした既存の計画、既存の政策を実施していく際に、カーボンプライシングを入れる必要があるという形で入れようというものなのか、あるいは、既存の政策にさらに上乗せする形で入れるものなのかということでございます。

そもそも、温対計画並びに第6次エネルギー基本計画の中で、様々な対策・施策が取られることがうたわれているんですけども、それらが総合的に国民に対してどのような負担をもたらすのか、あるいは産業に対してどのようなエネルギーコストの上昇をもたらすのかといったことが、定量的に現時点で示されておりません。唯一、第6次エネルギー基本計画の中で、FITの買取価格が今後9年間で2兆円拡大すると示されています。これはカーボンプライシングが入ろうが入るまいが、こういうことがうたわれているわけですね。これだけが示されているんですけれども、残念ながら、自然変動電源が入った場合の系統安定化コスト等の追加的な負担についての定量的な見解は示されておりません。そういったものを全て総合的に判断した上で、カーボンプライシングの議論というのは行われていく必要があるんだろうと思います。

そういう意味で、専門的・技術的検討を行う際には、他の施策、あるいは他の政府の審議会等で行われている様々な、これをこれから入れるであろう政策との間の関係性のようなものも、きちんと整理して検討する必要が出てくる。そうしないと、それぞれが部分最適を積み上げていった際に、全体的に仕上がったものが、本当に成長に資するものになるかどうかということは担保できないんだろうと思います。

具体的に申し上げますと、昨日、産業構造審議会の製造産業分科会という会合が開かれまして、そこで素材産業の将来についての議論というのがスタートしております。その中での視点としては、素材産業の未来に向けて、条件整備の一つとして、低廉かつ安定したエネルギーの供給を確保するということがうたわれており、そういう検討をこれから始めるということがうたわれています。当然、この話とこのカーボンプライシング政策、つまり我が国のエネルギーの8割以上を供給している炭化水素に対して費用をかけるという政策とは大きく関わってくる話になろうかと思います。こういったものをお互いにブリッジをかけながら検討を進めていくことが非常に重要だというふうに思いますので、ぜひ今後の進め方の中でご配慮いただければと思います。

私からの発言は以上です。どうもありがとうございました。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、小西委員、どうぞ、お願いいたします。

小西委員

ありがとうございます。私からは、意見三つと、それから一つご質問をさせていただければと思います。

まず一つが、この修正案のところの2番なんですけれども、炭素税の三つ目のポツのところで、具体的には「国際的な動向を踏まえつつ」というところがあるんですけれども、やはり第6回でこの専門委員会でも定量分析を実施していただいていますので、その定量分析でいろいろと示唆があったと思います。例えば、税収の活用次第でGDPの増大があり得るですとか、あるいは、構造展開シナリオですと、税収を省エネ効果に入れることによって、さらにCO2排出量が削減されるとか、あるいは、投資回収年数を10年というふうに見た場合に、非常に効果が大きくなるといった、そういった示唆が定量的に出されているものがありますので、ぜひ今後、やっぱり定量分析のいろいろな知見もありますので、それを踏まえつつといった言葉が一言入っていただけないかなと思っております。

あと、もう一つ、やはり今後もこういった専門的、技術的な議論を進めてはどうかというところなんですけれども、以前の例えば石炭火力のファクト研究会のような、より具体的な制度設計を、入れるか、入れられないかは別にして、もう具体的にできるような、そういったより研究会に近いような進め方というものも、この中の検討に入ってくればいいのではないかと思っております。でないと、平場で議論していると、どうしても入り口論で終始してしまって、なかなか実際には具体的にどういうふうに多消費産業に配慮すれば日本に適しているのかといったような、これだけの専門家が集まりながら、そういった具体的な議論ができないのが非常に残念に思っております。ここの3ポツ目、例えばこの「具体的に」の言葉、ここのところを「次の事項に留意しつつ、具体的に専門的・技術的な議論を進めてはどうか」みたいな言葉がちょっと変わることがあり得たらうれしいなと思っております。

あと、もう一つなんですけれども、カーボンプライシングじゃなければ、ほかにどんな政策や施策があり得るのかと。ずっと私、以前からここの専門委員会の中でもほかの委員の方にお聞きして、代替案はじゃあどういったものがあり得るのかとお聞きしているんですけれども、前回も委員長もおっしゃっておられた、なかなか委員のクロストークというのができない状況にありますので、やっぱり代替案というものをぜひ示していただきたいなと思っております。

例えば、ほかの政策、施策でどんなものだったら省エネを進めて、投資資金を今後のグリーン成長戦略に回せるようなものを確保して、かつ、競争力を高める手法があって、それを長期的な予見可能性をもって示せるのかといったものが、代替案があってこそ、カーボンプライシングとのメリット・デメリットというものもはかれるんじゃないかなとずっと思っております。でないと、カーボンプライシングだけを議論して、これの是非だけを問うというのでなく、本来、そもそもどうやって日本の46%削減を実施していく、そのツールとなり得るのかという、そもそも論がありますので、そこをぜひ代替案を示していただいて上で、そことの比較検討という形が本当はできればよかったなと思っております。

最後、一つ、事務局に質問なんですけれども、今後具体的にこの議論はどうなっていくのでしょうか。

以上です。ありがとうございます。

浅野委員長

ご質問については、後のほうで事務局にまとめてお答えをいただくことにしたいと思います。

大野委員、牛島委員、遠藤委員、この順番でご発言をいただきたいと思います。

大野委員、どうぞ。

大野委員

ありがとうございます。私は、仮まとめとしては、この文章でよろしいのではなかろうかと思います。もちろん、ここをこうしたほうがもっといい、あそこをこうしたほうがもっといいということはあると思うんですけれども、あまりそこで時間を費やすことに実質的な意味がないんじゃないかなと思います。

その上で、全般的な考え方としては、冒頭に岩田委員が言われたことに全面的に共感をいたします。賛成であります。やはりカーボンバジェットの考え方、また、COP26で今の案の、今、各国がコミットしているものだけでは1.5℃目標には程遠いとなって、来年の12月までに再度、各国に2030年目標の強化が求められたと、そういうふうな状況の中で、やっぱりこの委員会の検討はあまりにも遅過ぎるということなので、本当にこれを急がなくてはならないと思います。

二つ目に、定量的な検討が必要というご意見がありました。まさにそのとおりだと思います。定量的検討をするためにも、やはりこの小委員会でやるべきことは、カーボンプライシングの具体案とつくることだと思います。今のような程度の文言では、検討のしようがありません。ですから、ぜひ前回の委員会で多くの皆さんが賛成されたように、具体的な制度設計をするということをまずやっていただきたいと思います。

もちろんポリシーミックス全体との関係が必要だということは、そのとおりですけれども、これについてはいろんな政府の委員会がいろんな角度から検討しています。それらを総合的に取りまとめて、総合的な形をつくるような機能は、この小委員会にはないんだと思います。やはりこの小委員会はポリシーミックスを念頭に置きつつ、カーボンプライシングの具体策をつくる、具体案を検討するということがこの委員会に与えられたミッションだと思いますので、ぜひその点を本当に早く急いでやっていただきたいと思います。

以上であります。

浅野委員長

ありがとうございました。

牛島委員、お願いいたします。

牛島委員

ありがとうございます。聞こえておりますでしょうか。

浅野委員長

聞こえております。どうぞ。

牛島委員

事務局の皆さん、ここまでまとめていただいてありがとうございます。他の委員の方もおっしゃっていたように、私的にもこの修正案について同意いたします。それぞれが合意しやすい領域に入ってきたと考えております。

また、成長に資するというところが、一つ大きな合意点というところでは重要なキーワードになってくるのではないかと思います。

これに当たり、個社で見た成長に資するという観点と、経済全体、日本の経済全体で見た成長に資するという観点で、またこれは大きく解釈が変わってくるであろうと思いますので、先ほど他の委員の方もおっしゃっていましたが、他の成長戦略との連携や一貫性、一貫したメッセージをどこかで担保していくことも、重要な論点になろうかと思います。

同時に、私の周りのほほほある企業はカーボンヘビーな会社ですが、いろいろ事情を聞くと、現場では今のデマンドが乏しいという声がありました。世の中的には脱炭素に向けた論調が大いに盛んになっておりますが、足元、実際のビジネスの現場では、なかなかそうしたものを買っていただくというところはまだまだ限定的であるという声も聞いております。

そうした環境において、脱炭素に思い切った投資をしていく、あるいは価格転嫁を躊躇しているというのがこれらの会社で比較的見てとれることであろうと思います。

一方で、先般のCOP26でもありましたが、GFANZに代表されるような金融機関が相当これから動いていくと、今後ますます事業会社においても投資家からの圧力は高まってくることは容易に予想されるところであります。

そうした環境で、企業は両方からの板挟みに遭っている状況であると。さらには、各国で会計上の開示政策においても気候変動に関する開示や戦略には厳しい目が注がれる状況にあります。

そういう意味ではもはや個社をベースにした個社の戦略に依存した政策、個社レベルでの従来の連続線、あるいは延長線上での改革、改善ということはかなり困難な状況に来ていると感じます。政府による強いメッセージ、リーダーシップというのがこの分野で非常に重要に求められていると思います。

カーボンプライシングにおいても、そうしたコアになる要素になろうかと思いますので、このあたりは政府による強いメッセージやリーダーシップをこれからも求めていきたいと思います。

浅野委員長

よろしゅうございましょうか。

牛島委員 

はい、以上です。

浅野委員長 

どうもありがとうございました。

では、遠藤委員、どうぞ、お願いいたします。

遠藤委員

ありがとうございます。事務局の取りまとめ案に賛成をいたします。とりわけ、炭素税について、温対税の改良というのを第一ステップとして捉えておられること、それは政治的とか、政治的、社会的なリアリティがある措置だというふうに考えておりますので、まずそのあたりから具体的な制度設計に踏み込んでいくのがよいかと思います。

最初に岩田先生のほうからご提示されたんですけれども、気候変動の危機が極めて厳しい状況であるというご認識をご展開されましたけれども、そうだとすると、そもそも3%強の排出量の日本が、世界の気候変動の危機にどう立ち向かうかということを再度認識する必要があると思います。

そして、また、それが欧州の主導するフレームワークにむやみに引きずられることがないような、国益にかなうというか、それは、言葉を変えますと、成長に資すということになるんでしょうけれども、そのようなことを担保しながら世界に貢献する、それはやっぱり国際的に協力できる日本の突出した技術ですね。そういったものを世界に出して貢献していくということが必要になるかと思います。

ですので、温対税の改良ということで始まる税の改革によって得られた税収というのは、やっぱりこれまで皆さんの批判、批判というか、問題意識、強かったのは、細かいところにばらばらと環境省と経済産業省がそれぞれにばらまくというような側面がいつも批判の材料になっていたんですが、そうではなくて、例えば再生可能エネルギーを支える蓄電池であるとか、また、次世代の原子力の技術であるとか、そういった排出量の削減の効果が高く、世界貢献ができるもの、それについては、例えば高効率の石炭なんかも今できることの措置ではありますが、そういう次世代の技術も含めて、そういうものに還付していくというか、そういうものにつぎ込んでいく原資にしていくという方向性で議論が必要だというふうに考えております。

私のほうからは以上でございまして、つまり、今のは今後の議論についてそういう方向性が重要だろうという提案でございます。

以上でございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、前田委員、森澤委員、石田委員、この順番でお願いいたします。

前田委員、どうぞ。

前田委員

東京大学の前田です。聞こえていますでしょうか。

浅野委員長

聞こえております。大丈夫です。

前田委員

ありがとうございます。私、一言だけ申し上げたいのは、今、ここでページが4ページ、出ておりますが、ここのところの下のほうの、一番下のほう、下から2行目「社会全体における負担の在り方」と書いているところ、ここの社会全体といったときに、これをどう考えるかなんですが、社会といったときに、今我々がこの瞬間に存在している、あるいは、社会の意思決定をできる立場にいる人々だけではなく、将来の世代というのも、この社会全体に含めるべきかなというふうに思います。

これまでこの小委員会で時間軸であるとか、長期の視点であるとかという議論もしてきました。そして、この4ページのところにも「中長期的な展開に向けて」ということも入っています。こういう観点から、やはり、今、我々、この瞬間だけではなくて、将来の世代ということも、この社会全体の中に含めて負担の公平性ということを考える必要があるんだろうなというふうに思います。

そこで、具体的には、ここの「社会全体における負担の在り方」のこのちょっと前に、例えばですけど、「将来にわたる社会全体における負担の在り方」とか、あるいは「将来世代も含めた社会全体における負担の在り方」とか、あるいは「世代間の公平性も考慮した社会全体における負担の在り方」といった文言を少し、ちょっとだけ足したらより明確になっていいかなというふうには思ったところです。

もちろん、言葉を足すと文字数が増えますので、まあ、いろんな制約の中で文章をおつくりなっていると思うので、必ずしも今申し上げたのが適切かどうかは分からなくて、ほかのところに書くということもあり得るとは思うんですが、そんなことを思いましたので申し上げておきます。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

森澤委員、ご発言ください。

森澤委員

ありがとうございます。この修正案に、よくここまでまとめていただいてと思いまして賛成しております。

その中で、やはりエネルギーの移行を促進するためとか、今ビジネスモデルを変えるためにこのカーボンプライシングを考えないといけないんだという、この委員会の在り方、大野委員がおっしゃったように、具体策をこれからどのようにという部分が少しずつ見えてきたと。炭素税につきましては、石油・石炭税の部分で地球温暖化対策税を導入しているということを少しそこの部分を、新たな税でなくつくっていくという、そこの部分を変えていくということですね。これ、エネルギーの移行を促進するために活用できるのではないかというところの意見が、この委員会の中で出てきたということ、それをもう少し具体化していただきたい部分と、排出量取引制度につきましても、経産省さんのほうが始められるといいますか、検討されていらっしゃいます自主的なクレジット取引と書いていらっしゃる中に、カーボンニュートラルのトップリーグというところを7スライドの中に掲載していただいておりますが、クレジット取引というよりも、自主参加型の排出量取引制度、これに参加されるような企業さんが出てくるかもしれない。それが出てくるならば、将来におけます、必須で、皆さんが参加しないといけないという排出量取引制度の助走としてできるところからやっていくということも可能性はあるのではないかなと思っております。

この自主的なクレジット取引ということではなく、排出量取引にそれは該当していると思いますので、そこの部分を一緒に環境省さんも関わって、仕組みをつくっていけたらと。それが将来におきまして、先に削減している企業が得になるといいますか、先行しているメリット、またノウハウを得たということによりまして参加する意味があると、また、そのように考えていただく企業が増えることが望ましいと思っていますので、それは、その取扱いですね。スライドの7に掲載していただいているところですが、そこのところは排出量取引制度と捉えていただいて、こちらのほうを、そうです、このスライド5ですね。失礼しました。こちらのほうをどのように具体的に始めていけるのか。それが始めていただく企業、自主的に参加される企業が将来において排出量取引制度を必須で始まるというキャップアンドトレード、これ、自主参加であってもキャップアンドトレードですので、そこが始まることによりまして、日本の中で地域限定ではなく、日本として参加していただく排出量取引制度が始まってくると。それは正直、画期的なことだと思いますので、そういう企業が出てくるというふうに経産省さんも、今、動いていらっしゃるかと思うんですが、ここの部分の具体性というものをもう少し一緒に環境省のこの委員会のほうからも声を上げていけたらいいのではないかなと思っています。

Science Based Targetsに日本の企業さんも賛同していらっしゃる企業さん、たくさんいらっしゃいまして、ただ、まだ1.5℃までいけている企業としましては、大分、アメリカ、イギリスとか、ほかの国から比べると低いと。これは、1.5℃に向かっていくということに当たりましては、いろんな部分からはやはり炭素税のところが効いてくると思います。それは、どうしてかといいますと、再エネが必要になってくる、再エネをどのように使っていけるか、そこの部分の将来性が見えてくることによりまして変わってくるのではないかなと思います。

あと、金融のほう、投資家という言葉がよく出ておりますし、私のほうも投資家と一緒に行動はしておりますけれども、今、日本の銀行のサステナブルファイナンスを大分進めてこられてましてメガバンクをはじめ、いろんな銀行が優遇、優遇といいますか、金利の優遇を優れている企業に対しまして移行するに当たって、そういうものをつくっていらっしゃると。そういう企業が投資家からも評価もされますし、銀行からも優遇金利を受けられるというような状況になっていますので、自主的に参加されるような企業も始まってくれば、いろんなコミットもされて自主的な部分も始まってくる、それが将来においての必須で参加しないといけないというキャップアンドトレードにもつながっていくのではないかというような期待をしております。

以上です。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、石田委員、どうぞ、ご発言をお願いいたします。

石田委員

ありがとうございます。取りまとめに関しては、私もこれでいいと思います。今後の話ですが、ポリシーミックスの中で炭素税はバックストップとしての位置づけで地球温暖化対策税の見直しを含めた炭素税の制度設計の検討を始めるべきだと思います。

現在、最も重要なことは、2030年のNDCの目標をいかに達成するかではないかと思います。それは遠い未来ではなくて、8年後に迫っているからです。CCUSなどの新しい技術開発を進めることはもちろん賛成ですが、この8年間で開発を終えて普及させることは時間的に不可能だと思いますので、今あるCO2削減や再エネの普及が2030年のNGCの目標達成のためには必要です。世界情勢から見ても、カーボンプライシングの導入が新しい技術導入や再エネの導入を促進してCO2排出の削減には効果的であり、カーボンプライシングの導入は避けられないと考えられており、企業はカーボンプライシングの導入に備えておく必要があります。

企業は、概ね、3年前後の時間軸で中期経営計画を策定していますが、この時間軸で予見可能性が確保されている必要があります。その意味で、できる限り早い時期に長期的な時間軸で段階的な引上げを含む将来計画を示すことが必要です。これにより、カーボンプライシング導入の準備ができます。日本だけでカーボンプライシング導入を行わないとしても、将来、世界情勢からはカーボンプライシング導入が必要となり、突然導入されるような場合には、予見可能性の確保はおろか、炭素集約型の産業とか中小企業、市民などが抱える懸念への対処や、激変緩和措置が難しくなります。このようになっては、企業は対応が遅れて、結局、世界からは取り残され、競争力を失います。成長に資するどころではないと思います。

今から十分な検討を行うとともに、事務局からの提案があるとおり、長期的な時間軸で段階的に引上げを行い、予見性を示すことが非常に重要だと思います。自主的なクレジット取引に関しては、参加企業がもともとCO2削減企業であり、カバー範囲が狭くて2030年のNDC目標を達成する保証はないと思います。

繰り返しになりますが、今、重要なことは、あと8年しかない2030年に日本国として表明したNDCの目標を確実に達成することが重要であって、ゆっくり検討している時間がありません。その対策はスピード感と実効性から判断されるべきだと思います。

ありがとうございました。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

神野先生、何かコメントございますでしょうか。

神野委員

どうもありがとうございました。最初に、冒頭、岩田委員がご提示されたように、地球環境問題、とりわけ二酸化炭素の問題については、かなり喫緊というのでしょうか、深刻な状況になっていると思いますので、今日、事務局がまとめていただいた案を見ると、極めて目配りよく、様々な論点を拾っていただいて、フェーズを具体的な段階に上げて進めていく上での論点等々については、一応網羅していただいているのではないかというふうに思っています。

それゆえにと言ったらいいかもしれませんけれども、いただいた多くの委員からは、私の聞いている限り、ほぼ全て、この案でいいのではないかと、修正案でですね。当面いいのではないかというご意見が多かったというように思いますので、これ、事務局に感謝を申し上げる次第でございます。

その上で、様々なご意見をいただいているわけですが、これは、この案に基づいて具体的な検討段階に入ったときの論点や気をつけるべき点、それから、当然のことですが、カーボンプライシングが他の諸施策とどういうふうに位置づけるか、これは様々なまた段階があって、当面、ポリシーミックスというような段階もありますし、そのほか税制とか、ほかの政策があるわけですが、それについても今後の進め方、政策段階、どうするかというお話もありました。今後、この案に基づいて画像を操作像にしていくというんでしょうかね。動かしていくという段階で解決していただかなくちゃ、取り上げていかなくちゃいけない問題、これは、案をつくるときにも様々な関連するような状況を有機的に関連づけて考慮していかなくちゃいけませんし、それから、具体的に進める、そうした段階でも同じようなことが言えると思います。私もといいましょうか、皆さんと同じように、この案で進めていいんじゃないかと。この案に基づいて、軸はあんまり変更しないにしても、様々な、今日ご指摘いただいたことを含めて、これから進めていく上で有機的に関連づけながら進めていくということで、そういう意味では、この修正案は、ここでひとまず、これを基に進めていくという意志決定ができるのではないかなというふうに思います。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

有村委員はまだご到着でないんでしょうか。確認できていますか。

有村委員

有村です。今、入りました。

浅野委員長

分かりました。有村さん、もうほとんど全ての委員からご発言を受けたところです。何か先生のご発言がございますでしょうか。

有村委員

いえ、基本的に修正案に賛同いたします。

今回、いろいろと取りまとめいただきましてありがとうございました。また、すみません、遅れて入りまして申し訳ありませんでした。

今回、参考資料などもつけていただいて、自民党の税調での議論などもいろいろご紹介いただきありがとうございました。そういった中で、かなり、例えば住宅ローン減税の中に脱炭素に関する動きが入ってくるなど、いろいろな政策の動きが具体化しているというところがよく分かりました。

一方、カーボンプライシングに関してもポリシーミックスについて中で議論を進めていくべきだというようなメッセージもあるのかなというふうに理解しましたので、ぜひ具体的な制度設計の議論を進めていくということが、まあ、検討してみるということが必要なのではないかなというふうに考えているというところです。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

ご質問、1点だけございましたので、事務局からお答えをいただけますか。

井上市場メカニズム室長

事務局でございます。様々ご意見、ありがとうございます。

まず、今回取りまとめさせていただきましたカーボンプライシングの方向性というものでございますが、まさにカーボンプライシングの議論の今後の進め方、あと、留意すべき論点というところにフォーカスを当ててシンプルにまとめておりますので、例えば岩田委員、大塚委員などからカーボンバジェット、CBAM、世代間の公平性、様々ご意見がございましたが、我々としては、この点については読める部分はこの中で書いていると思いますし、あと、書き切れていない部分につきましては、まさに今日、お話しいただいた話を議事録にしっかり残しまして、今後の議論に反映させていただくということでご理解をいただければと思うところでございます。

また、小西委員、あと、関連しまして岩田委員のほうから、今後の進め方というお話がございました。繰り返しになりますが、この方向性が了承されればという前提になりますが、まずは、この内容というのはまさしくカーボンプライシングの議論の進め方、留意すべき論点というところについて審議会における議論を整理いただいたということで感謝する次第でございます。

これまで、どちらかといいますと、炭素税、排出量取引、クレジット取引を含めまして、入り口といいますか、前提となるところの大枠的な議論が中心でございましたが、例えば4ページの一番最後の矢羽などにもありますとおり、今後はこういった進め方、留意点を踏まえながら、まさしく成長に資する制度設計に向けた議論ということをやっていきたいというふうに思っております。

まだ具体的にどう進めていくかについては、環境省内でもこれから検討させていただきますし、浅野委員長ともよく相談の上、考えていきたいと思います。

一方で、スピード感ももちろん持たなければなりませんが、このカーボンプライシングの議論におきましては、これまで何回もやってきたとおり、様々ご意見があるところでございますので、矛盾する言い方かもしれませんが、スピード感を持ちつつ、一方で丁寧に議論を進めていきたいというのが事務局、環境省としての方針でございます。

非常に簡単ですが、事務局からは以上でございます。

浅野委員長

委員の先生方で特にご発言、ご希望の方、いらっしゃいますでしょうか。

よろしゅうございますか。

それでは、本日はいろいろとご意見をいただきましてありがとうございました。いずれにいたしましても、事務局が今日提案いたしましたこの方向性修正案という文書がございますが、この範疇の中でさらにこういうような点も留意すべきということでいろいろとご意見をいただいたことと思います。ありがとうございます。しっかり議事録にとどめておりますので、今後の議論の中ではその点についても反映できるのではないかと考えております。

なお、これまでも具体的な制度設計に係るご提案もこれまでの小委員会でのご発言の随所で随分いただいているというふうに認識をしております。再開後の本委員会では、これまで、決して抽象的な議論ばっかりやっていたというわけではなく、具体的なご提案やお話も多々うかがってきて出ておりますので、もう一度、事務局にそのあたりもよく整理をするとともに、この今日の整理の中にありますような観点から成長に資する制度設計というものを具体的にどうするかということを考えていかなければならないと思いますので、できるだけ急いで、その実現ができるように事務局と相談をしながら進めていきたいと考えております。

この方向性をもってカーボンプライシングの検討を進めるということについてご了承いただけるということでよろしいでしょうか。

(了承)

浅野委員長

ありがとうございます。それでは、事務局が示されました方向性について、当小委員会としては概ね了承いただけたということにたします。ですから、本日の資料では、文章の中に「どうか」と書いてあるところが各所にございますが、これは小委員会としては、「どうか」ではなく、それでいくというふうに考えたと、理解をしていただければと思います。

本日は、本当にはじめにも申し上げましたが、暮れのお忙しいときにご参集いただきましてありがとうございました。本日はやや時間が残りましたけれども、以上をもちまして本日の審議は終了とさせていただきたいと思います。

どうぞ、事務局、この後お願いいたします。

井上市場メカニズム室長

本日は誠にありがとうございました。

委員の皆様からいただきました様々なご意見を踏まえながら、ここにあります「ポリシーミックスとしてのカーボンプライシングの方向性」に沿いまして、今後ともカーボンプライシングの制度設計を含めた検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。

なお、次回以降の日程等につきましては、浅野委員長ともご相談の上で、また皆様に改めてお知らせいたします。

本日はありがとうございました。以上でございます。

浅野委員長

皆様、ありがとうございました。どうぞよいお年をお迎えください。これで失礼いたします。

午前11時11分 閉会