カーボンプライシングの活用に関する小委員会(第17回) 議事録

日  時

 令和3年7月29日(木) 15:001800

議  題

(1)中間整理(案)について

(2)その他

配付資料 

資料1 中間整理(案)

参考資料1  カーボンプライシングの活用に関する小委員会委員名簿

参考資料2  カーボンプライシングの全体像

参考資料3  欧州委員会による炭素国境調整措置の提案について

参考資料4  第16回小委員会で示されたご意見に対する回答(増井委員提出資料)

議事

午後時0分 開会

井上市場メカニズム室長

定刻となりましたので、ただいまから、第17回中央環境審議会地球環境部会カーボンプライシングの活用に関する小委員会を開催いたします。

初めに、私、事務局を務めます地球環境局市場メカニズム室、室長をしております井上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の小委員会はWEBでの開催とし、YouTubeの環境省動画チャンネルで同時配信しております。

なお、前田委員は、遅れてのご参加ということで聞いております。

高村委員、諸富委員、吉村委員は、本日所用のためご欠席ということでございます。

また、環境省側で幹部の交代がございましたので、ご紹介させていただきます。

大臣官房環境経済課長として、新たに波戸本が着任しておりますので、ご紹介をさせていただきます。

それでは、WEBの会議の開催に当たり、何点かご協力をお願いいたします。

通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフにして、ご発言の際のみオンにしていただけますようお願いいたします。また、ハウリング等を防ぐため、発言する際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。

ご発言を希望される場合には、ご自身のお名前の右側にあります手のアイコン、挙手ボタンをクリックしてください。また、発言を終えられたら、ボタンを再度クリックしていただきまして、挙手を解除いただきますようお願いいたします。もし、挙手ボタンを押しているのに事務局側が気づかないなどございましたら、画面の右下にございますチャットボックスにご記入いただければと思います。

その他、通信トラブル等ございましたら、チャットボックスにご記入いただくか、事務局までお電話いただけますと幸いでございます。

それでは、浅野委員長、以降の進行をお願いいたします。

浅野委員長、聞こえておりますか。

浅野委員長

はい、どうも失礼いたしました。聞こえておりますでしょうか。

井上市場メカニズム室長

聞こえております。

浅野委員長

本日も、どうもお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

この委員会、2月に再開をいたしまして、今日で5回目の会議ということになります。大変活発にご意見をいただきましたことを取りまとめまして、取りあえず中間整理を行い、今日、できることならば整理案をとりまとめたいと願っております。

前回の委員会の直前でございますが、グリーン成長戦略に関しての決定、あるいは地域脱炭素ロードマップの決定などが行われましたが、その後も7月21日にはエネルギー基本計画の素案が公表され、また726日には温暖化対策計画の改定についての素案も発表されるなど、大変この領域での動きが激しいわけでございます。こういった状況をふまえつつ、今日もどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、中間整理(案)について、事務局からご説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

井上市場メカニズム室長

それでは、事務局から、資料1の中間整理(案)につきましてご説明させていただきます。この中間整理の案でございますが、前回の小委員会でお示しした素案に対しまして、各委員から頂きましたご意見を反映させたものでございます。素案からの追加修正したものを見え消しで表現しております。前回の小委員会では、中間整理につきまして詳細を説明しておりませんでしたので、改めてポイントをかいつまんでご説明させていただきますとともに、素案からの修正、追記した内容についても併せてご説明させていただきます。

まず、2ページをご覧ください。中間整理の構成としましては、第1章、2章で、国内外のカーボンプライシングを巡る動きや、カーボンプライシングを検討する目的・方向性を巡る議論といった大局的なものを整理した上で、第3章以降、各カーボンプライシングの類型ごとに議論を整理させていただいております。また、8章として、カーボンプライシングと既存の諸制度の関係などについて整理しております。

5ページ以降、本文に入るわけですが、全体としてこれまでの事務局からの説明を記載し、それに対する委員からの様々なご意見を記載するという流れでまとめております。

改めまして、5ページをお願いいたします。「はじめに」でございますが、3パラ目でございます。今回の中間整理の位置づけとして、本年21日の再開後の議論を論点ごとに整理するものと記載しております。その上で、この小委員会でのカーボンプライシングの検討の目的でありますカーボンニュートラルやグリーン成長の実現のためという点を明記するとともに、なお書きとしまして、この中間整理が、本小委員会としての特定の方向性や結論を示すものではない点に留意されたい旨の追記をさせていただいております。

1章は省略させていただきまして、第2章からご説明をさせていただきます。

ページ飛びますが、8ページをお願いいたします。カーボンプライシングの具体的な仕組みを検討する目的・方向性としまして、事務局から大きく3点説明させていただきました。一つ目として、カーボンニュートラル・成長に資するカーボンプライシング、二つ目として、国際的な動向も踏まえつつ、我が国の国益にかなうカーボンプライシング、三つ目として、様々な懸念点に適切に配慮したカーボンプライシングとなりますが、時間の都合で、ここでは第1点目のカーボンニュートラル成長に資するカーボンプライシングについて簡単に触れさせていただきます。

下から8行目でございますが、事務局のほうから、カーボンニュートラルの実現による成長とは、足元の投資・消費を喚起しつつ、将来的なイノベーションの実現や経済の構造転換を通じまして、中長期的に国内経済や国際競争力を強化していく旨、説明をさせていただきました。

9ページをお願いいたします。その上で、こうしたカーボンニュートラル、成長に資するカーボンプライシングの在り方として、一つ目の矢羽根にありますとおり、あらゆる主体の行動変容を促す価格シグナルが発出されること、二つ目の矢羽根にありますとおり、適切な価格シグナルの発出と、得られる収入を活用した後押しがセットとなった仕組みや、予見可能性の高い仕組みを考えるべき旨の提案をしたことを記載しております。

加えまして、真ん中辺りにありますが、三つの時間軸、すなわち脱炭素化の時間軸、経済成長の時間軸、技術の時間軸を踏まえた仕組みとすべき旨も記載しております。

10ページをお願いいたします。これに対しまして、委員からの意見としまして、例えば下から四つ目のポツにありますとおり、世界が脱炭素に向けて大きく動き出している中、カーボンプライシングを導入しないことが経済的・国際的にも我が国にとって損失になり得ること、下から三つ目のポツにありますとおり、カーボンプライシングを導入しないことが、結果的に新たな産業やイノベーションの展開を阻害し得ること、などを追記させていただきました。

11ページをお願いいたします。一方で、二つ目のポツにありますとおり、我が国が成長していくためには、生活や経済の基盤であるエネルギーを低廉かつ安定的に供給していくことが重要であること、四つ目のポツにありますとおり、あらゆる主体の行動変容を促すような価格シグナルは非常に高額となり、成長に資するカーボンプライシングとはなり得ないことから、価格シグナル以外の他の施策を組み合わせていくことが重要といった旨を追記させていただいております。

ページを飛ばしまして、16ページをお願いいたします。第3章として、炭素税を巡る議論を整理しております。

17ページをお願いいたします。3-2、炭素税の全体コンセプト・課税水準についてですが、下から4行目になりますが、激変緩和を図る観点から導入当初は低い課税水準とすべきであること、同時に、投資の予見可能性の確保の観点から、将来に向かって段階的に課税水準を引き上げていくことをあらかじめ明示すべきではないかとの提案を事務局からさせていただいた旨を記載しております。

これがそれを示した図でございます。18ページでございますが、これに対しまして、委員からは事務局提案を支持する意見がある一方で、例えば下から三つ目のポツにありますとおり、将来的に強い価格シグナルを出すためには相当に高い税率である必要があると思われ、欧米に比べて既に高い水準にあるエネルギーコストの大幅な上昇につながり、産業の立地競争力を大きく損なうことが懸念されるといった意見も記載しております。

19ページをお願いいたします。炭素税の課税段階につきまして、事務局から課税段階として、上流、中流、下流、最下流の4パターンをお示しし、それぞれの利点、課題などにつきまして説明したことを記載しております。

21ページをお願いいたします。これに対する委員からの意見としましては、例えば一番上のポツにありますとおり、上流段階での課税を支持する意見や、三つ目のポツにありますとおり、将来的にはCO2排出の見える化や、海外製品との税負担の調整の講じやすさの観点から、最終消費段階での課税に寄せるべきとのご意見もございました。

一方で、上流課税につきましては、例えば五つ目のポツにありますとおり、脱炭素化に必要な電化の妨げになり得る点や、コストを消費者に転嫁できなければ利益減につながり得るとの懸念についても記載をさせていただいているところでございます。

次に、3-4、様々な懸念点に配慮するための仕組みについてですが、事務局のほうから三つありますとおり、現時点で低炭素・脱炭素な技術に代替が困難である場合、設備投資等によって税負担の回避を図ることができない、エネルギー多消費産業のように新たな課税によるコスト増加が他者に比べて著しい場合は、税負担が過重となる、新たな課税によるコスト増加によって、著しく国際競争力がそがれてしまう場合がある、といった懸念に配慮する具体的な仕組みとしまして、炭素税の減免・還付、税収や他の政策を活用した支援が考えられる旨、事務局のほうから説明したことを記載しております。

22ページをお願いいたします。これに対する委員からの意見としましては、上から4行目にありますとおり、事務局提案同様の意見が多くありましたが、なお書きとしまして、こうした配慮により様々な懸念が払拭できるかどうかという点については、引き続き議論を深めていく必要があるという旨を追記させていただいております。

次に、3-5、税収の使途でございますが、事務局から下の矢羽根にありますように、需要・供給サイドの構造転換の後押し、先ほど来申し上げました様々な懸念点に配慮するための仕組みとして、税収を活用した支援策などについて提案した旨を記載しております。

23ページをお願いいたします。これに対します委員からの意見としましては、3行目以降にありますとおり、中小企業も含めた脱炭素化のための投資、イノベーションや脱炭素化に必要なインフラ整備、現時点では利用可能でない代替技術の開発、さらには脱炭素社会への公正な移行に必要な支出の原資としての活用を含め、様々なご意見があった旨を記載させていただいております。

次に、24ページをお願いいたします。第4章として、排出量取引制度を巡る議論を整理しております。

まず、4-1でございますが、排出量取引制度の特長・課題として、委員からは、一つ目のポツにありますとおり、排出総量の削減が確実に行われる、削減に多く取り組んだ者が金銭的なメリットが得られるなどの利点がある一方で、一番下のポツになりますが、排出量の割当方法の問題、カバー率の問題、制度運用にかかる行政コストが高いなどの課題があるといった指摘についても記載させていただいております。

25ページをお願いいたします。さらに、下から8行目にありますとおり、炭素税と排出量取引制度の関係性につきまして、委員からは、下から二つ目のポツにありますとおり、排出量取引制度は詳細な制度設計等に時間を要するため、まずは炭素税を検討するのが現実的といった意見や、一番下のポツにあるとおり、排出量取引制度のメリットも多くあるため、炭素税と併せて排出量取引についても検討し続けるべきなどの意見も記載させていただいております。

続きまして、26ページをお願いいたします。4-2として、排出量取引制度の全体コンセプトにつきましてですが、下から5行目にありますとおり、事務局より、急激な変化による社会的インパクトを回避する観点から制度導入当初は無償割当てを中心にすべきではないか、一方で、早期に脱炭素化に取り組むインセンティブを確保するため将来的に有償割当ての対象を徐々に広げていくことを明示すべきではないかといった提案をさせていただいた旨、記載しております。

27ページをお願いいたします。これが先ほど申し上げたものの図になります。

これに対します意見としまして、事務局提案を支持する意見もある一方で、下から三つ目のポツとして追記しておりますが、割当量の設定に当たっては、国の2030年目標、2050年カーボンニュートラルと整合的に、過剰な割当てにならないようにする必要があることや、下から二つ目のポツにありますとおり、イノベーションがどのように進展していくか見通せないなどの不確実性がある中で、割当総量や割当方法の設定を適切に行うことは困難などの意見があり、その旨、記載させていただいております。

そのほか、排出量取引制度につきましては、制度対象者、様々な懸念に配慮する仕組み、政府収入の使途につきましても、事務局からの提案や委員からの意見を記載しておりますが、時間の都合上、ここでは説明を省略させていただきます。

33ページに飛びます。お願いいたします。第5章として、クレジット取引を巡る議論について整理しております。主にJ-クレジット、JCM、非化石価値取引制度がございますが、事務局より、それぞれの制度について説明をさせていただきました。追記させていただきましたのは、前回の小委員会におきまして、それぞれの制度の活性化策や見直し方針をご説明させていただきましたので、その旨をそれぞれ追記させていただいているものでございます。

ページ飛びますが、37ページをお願いいたします。クレジット取引に関します委員の意見として、二つ目のポツにありますとおり、クレジット取引の市場整備は、成長戦略の観点からも重要であり、実用性の高い制度に向けて検討を加速化すべきという意見がある一方で、四つ目のポツにありますとおり、自主的なクレジット取引のみでは排出削減を担保することは考えにくく、あくまでも補完的なものであるため、炭素税や排出量取引のような仕組みが併せて必要であるといった意見を記載させていただいております。

38ページをお願いいたします。第6章としまして、炭素国境調整措置を巡る議論を整理しております。事務局から欧米の状況を説明しますとともに、炭素国境調整措置が実施された場合の対応として、経済産業省さんが中心にまとめられました炭素国境調整措置に関する基本的な考え方について、併せてご説明をさせていただきました。

40ページをお願いいたします。これに対し、委員からの意見としましては、例えば二つ目のポツにありますとおり、WTOルールとの整合性を含めて、日本が国際的な議論をリードしていく必要があるといった意見や、四つ目のポツにありますとおり、EUの炭素国境調整措置などによって不利益を被るリスクがあるため、明示的なカーボンプライシングを持つことが必要という意見がある一方で、次の五つ目のポツにありますとおり、明示的なカーボンプライシングは必ずしも必要ではなく、カーボンプライシング以外の我が国の気候変動対策の取組や、暗示的な炭素価格を含め、整理の上、国際的に発信、理解の醸成を図るべきなどの意見も記載させていただいております。

41ページ以降は、第7章として、インターナル・カーボンプライシングを巡る議論を整理しておりますが、時間の都合上、説明は省略させていただきます。

43ページをお願いいたします。ここからは第8章として、カーボンプライシングと既存の関連制度の関連を巡る議論を整理しております。

8-1でございます。地球温暖化対策税の効果につきまして、事務局から試算結果を説明し、委員から出た意見を整理させていただいております。ここも詳細な説明は省略させていただきます。

ページ飛びますが、46ページをお願いいたします。ここからは8-2として、いわゆるポリシーミックスにおけるカーボンプライシングの位置づけを巡る議論について整理をしております。

48ページ、お願いいたします。事務局から、ここにありますとおり、いわゆる限界削減費用曲線、MACカーブを見ながら、各種既存制度とカーボンプライシングの関係、ポリシーミックスについて提案した旨を記載させていただいております。

その上で、これに対しまして、委員からの意見としまして、例えば冒頭、総論として、一つ目にありますとおり、2050年カーボンニュートラル、2030年度46%削減目標の実現は、既存の諸制度や自主的取組のみでは困難であり、明示的カーボンプライシングが必要とある一方で、一番下のポツにありますとおり、明示的カーボンプライシングは投資に必要な原資を奪い、自主的にイノベーション・投資を進める低炭素社会実行計画と対立関係にある可能性が高く、シナジー効果が有効に働かないといった意見も記載させていただいております。

49ページをお願いいたします。また、下から三つ目以降が個別施策とカーボンプライシングの関係についての意見になりますが、例えば下から三つ目のポツにありますとおり、明示的なカーボンプライシングである温対税に加えまして、FIT・高度化法・省エネ法といいました暗示的カーボンプライシングがある中で、追加的なカーボンプライシングによって電力料金が高騰し、電化の推進を阻害することがないように慎重な議論が必要という意見がある一方で、一番下のポツにありますとおり、既存の諸制度は、中長期的な炭素価格を示しておらず、産業構造転換・行動変容に十分なシグナルを示していない。シグナルを明確に示し、CO2をベースにした制度に転換することも必要、といった意見も記載させていただいております。

50ページをお願いいたします。五つ目のポツ以降は、個別のFIT・省エネ法・高度化法に関してのカーボンプライシングとの関係について意見を記載しております。

51ページをお願いいたします。一つ目のポツ以降は、既存の税制とカーボンプライシングの関係について、例えば一つ目のポツにありますとおり、課税水準を考える際には、既存の税制を炭素比例な形に作り替えるのか、または既存の税制に上乗せした形にするのかといった具体的な議論が必要、また、四つ目のポツにありますとおり、既存の税制の組替えであればS+3Eといった評価軸が必要であり、上乗せであれば国際競争力の観点から、エネルギー関係の諸課税の負担も含めた総コストの比較が必要、などの意見も記載しております。

最後になりますが、「おわりに」ですが、2パラ目にございますとおり、本小委員会の議論や経済産業省のカーボンプライシング研究会における議論などを踏まえまして、「成長戦略実行計画」や、いわゆる骨太方針にもカーボンプライシングに関する政府の方針が記載されていることを説明しております。

52ページをお願いいたします。その上で2パラ目でございますが、こうした経緯を踏まえまして、本小委員会においては、成長に資するカーボンプライシングの活用に関する一定の取りまとめを本年中に行うことも視野に、炭素税や排出量取引についての専門的・技術的な議論、カーボンプライシングに関するその他の手法やポリシーミックスに係る検討を進めていくこととすると記載しております。

53ページをお願いいたします。参考としまして、前回の小委員会でご議論いただきました定量分析に係る議論を整理しております。前回の小委員会でもお話ししましたとおり、この定量分析については、議論の参考としての位置づけであることから本文には入れず、参考という扱いにしております。詳細な説明は省略いたしますが、定量分析の結果を見る際の留意点や分析結果を丁寧に記載させていただいておりますので、ご理解いただければと思います。

中間整理の案の説明は以上でございますが、あわせて、参考資料の3につきましても簡単に触れさせていただきます。

2ページ目をお願いいたします。7月14日の欧州委員会が示しております、炭素国境調整措置の導入方針についてでございます。概要を簡単にご説明いたしますと、対象部門、品目につきましては、セメント、電気、肥料、鉄鋼、アルミニウムの5品目となっております。

対象国でございますが、原則EUにこれらの品目を輸出する全ての国が対象となりますが、この資料にございますとおり、EU-ETSとリンクしている国々は適用外となるとのことでございます。

手続につきましてでございますが、ここにありますとおり、毎年、対象品目を製造するにあたり、排出する排出量を申告、それに対応するCBAM証書を購入して、これを償却することによりまして対応するということとしておるようでございます。

このCBAM証書でございますが、EU-ETSの排出枠オークションの価格に整合するものとなっておるということでございます。

ちなみに、排出量に関しましては、現時点では直接排出、いわゆるスコープ1に該当するもののみとなっておりますが、間接排出量につきましても今後検討されるとあります。

3ページをお願いいたします。冒頭は手続の続きでございますが、申告者は、原産地国で支払われました炭素価格に応じ、証書の償却量の削減を請求できるとしております。

ここで言う原産地国で支払われた炭素価格についてですが、ここにありますように、税または排出量取引制度において支払われた金額を対象にするというふうに記載されております。

最後でございますが、開始時期でございますが、2026年1月から本格適用としておりまして、20231月からの3年間は移行期間として、申告者は、輸入品に関する情報等をCBAM事務局に提出するということと書かれております。環境省としましても、さらにこの内容を精査して、先にご説明した経産省さんが中心にまとめた基本的な考え方に沿って経産省、外務省などとも連携しながら対応してまいりたいと思っているところでございます。

最後になりますが、参考資料の4としまして、前回の小委員会で定量分析結果につきまして、増井委員からご説明いただきましたが、その際に出たご意見に対する回答を増井委員のほうで作成していただいておりまして、その資料も添付しております。説明はここでは割愛させていただきますが、ご理解いただければと思います。

以上でございます。よろしくお願いいたします。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、ご発言をご希望の方はいつものように、どうぞ挙手機能をクリックいただいて、その意思を表明いただければと思います。できるだけ多くの委員にご発言いただけるように、ご発言はお一人当たり3分を目安ということでご協力をいただければと思います。

今、お二方の手が挙がっていることが私のところでは確認できておりますが、いかがでございましょうか。今、3人目です。後からどんどん増えてくると非常に時間配分が大変になってしまいますので、発言ご希望の方は早めに挙手ボタンを押しておいていただければとお願いいたします。

それでは、岩田委員が真っ先に挙手ボタンを押してくださいましたので、岩田委員からお願いいたします。岩田委員、どうぞご発言ください。

岩田委員

ミュート、すみません、失礼いたしました。どうもありがとうございます。

まず1点目は、私、これ前にも実は申し上げた点なんですが、本文のほうで言いますと、4445ページ、温対税の価格効果というのと財源効果の表がございます。これについて、私、前にもコメントを申し上げましたが、温対税のほうでやると、結果的には320tですね、CO2の排出量が削減される。財源効果だと350t削減されると、こういうふうになっておりまして、私、どうも居心地を悪く、実は考えておりまして、つまりこういう社会的費用の問題だとすると、それを解決するときに、税でやるのか、補助金でやるのかという議論がありまして、この結果を見ると、補助金でやったほうが効率がいいという受け取られ方をされるのではないかと恐れております。私の具体的な提案は、この長期の価格弾力性の値を使っておられると思うんですが、恐らく0.18から0.78でしたか、その中間を取っているとは思うんですけど、私は高いところの数字もレンジで示したらどうか、もちろんその中間値を代表させてもいいんですけども、価格弾力性が大きい場合には、この倍ぐらいもあり得るというようなことをどこかで断っていただければというふうに思います。ほかの、私、スタディー、いろいろ見てるんですが、ここで出ているよりもやや大きいのではないかという感触を持っております。ということで、これが1点目であります。

それから、2点目は、少し前のほうになりますが、6ページで、気候変動の物理的なリスク、移行リスク、このように書いてありまして、それが計り知れない、大きいと、こういう表現で、私、このとおりで全く賛成なのですが、ただ、具体的にどのくらいの損失なのかという、これは既に幾つか試算がございまして、それを例えばフットノートでもいいので書いたらどうかと思っております。例えば例を挙げれば、座礁資産について言えば、これは18兆ドルという、こういう資産は前からよく知られております。それから、もう一つの自然災害でフィジカルなコストというのもあるわけですけど、このフィジカルなコストというのにつきましては、これは中央銀行の国際的な取組をやっておりまして、Network for Greening the Financial Systemという、そこでは試算をやっていて、世界のGDP25%ぐらい、この物理的なコストがかかります。今、世界のGDP84兆ドルぐらいありますから、25%というと、おのずから相当大きい金額だと――21兆ドルになると思いますが――というので、ここでも破綻資産18兆ドルと21兆ドル足すと、例えば39兆ドルのコストがかかりますということになります。こういうこともどこかで数字で出したほうが、実感が湧くんじゃないか。同時に、これだけですと、コストだけでGDPが減ってしまう。イノベーションと投資がどのくらい行われるか、これについてもいつかIEAの計算なんかも、試算なんかも出てたと思うんですが、これはほかにも、今申し上げた中央銀行の組織のほうでは、例えば電力をグリーンにするだけで45兆ドルかかると。CCSなら1ないし2兆ドルかかる。エネルギー効率化に12兆ドルかかる。そうすると、それを足すだけで60兆ドルになるんですよね。ですから、このコストと比べて投資が明らかに大きい、後のほうでもいろいろモデル試算で投資があんまり出ないじゃないかというお話があるんですが、今、いろいろなされている試算を見ますと、私の見る限り、コストが大きくてGDPも下がりますという効果と、それから、それよりは新たな投資が必要だということで大きくなると。これが出てるんじゃないかと。そうしたことも、どこかで出したらどうかと――数字をですね――思います。これは2点目で。

それから、3点目は、国境調整措置ですが、原則、EUが明らかなものを出しておられまして、私、気になっておりますのは、私どものセンターも実は先進国が50ドルの炭素税を入れたときに、国際調整税もそれでやるということをやりますと、日本の場合、輸入に課す、50ドルに当たる分の関税を課すというようなことですと3,000億円ぐらい収入があるんですが、輸出を控除しますと、実は500億円ぐらいになってしまう。これはEUも同じ問題を抱えていると思います。EUの今度の案を見ますと、輸入のことだけ書いてあって、輸出のことは何も触れておりません。もし事務局がお分かりでしたら、輸出について、どのようにお考えになっているかということについて、もしご存じでしたらばお教えいただきたい。

以上です。

浅野委員長

どうもありがとうございました。ご指摘の点につきましては、後でまた事務局と相談をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

それでは、石田委員、どうぞ。

石田委員

まとめの大変な作業をありがとうございました。昨日、JCLPとして、カーボンプライシングに関する意見書を出させていただきましたので、簡単に内容を紹介させていただいて、意見に代えさせていただきたいと思います。

まず、日本は2030年までに46%以上の削減を目指すと約束しましたが、目標を確実に達成できる仕組みの導入が必要だと思います。2030年までには9年しかなく、迅速な社会全体の行動変化を起こさなければ間に合いません。国民全体に分かりやすく短期間に導入できる仕組みが望まれていると思います。さらに、公平で経済成長に資する制度である必要があります。現在、全員参加の炭素税及び排出量取引と自主的参加のクレジットなどの二つの仕組みが考えられていますが、炭素税及び排出量取引は、排出する人や企業が温室効果ガスの排出量に比例して、災害などの社会損失コストを負担するものです。一方、クレジットなどの自主規制というのは、例えば非化石証書など削減しようとする企業や人が支払うもので、排出をした人が費用を払わなくてもよい仕組みです。これは公平性を欠くと考えます。また、自主規制では目標を達成できる保証はありません。達成できそうもない場合に義務化に移行することも考えられますが、それでは間に合いません。例えばイオンのレジ袋削減の取組では、当初15円相当のインセンティブではレジ袋の辞退率は15%にとどまっていまました。また、地方自治体と消費者との間で義務化をした場合にも店舗が限られており、辞退率は約6割にとどまっており、有料化の義務化によって初めて80%に達しました。さらに、この間に20年もかかっています。今回はこのような時間はありません。炭素税であれば炭素税の増額によって推進強化ができますし、排出量取引は割当自体が排出削減に合致したものになりますから目標達成ができます。炭素税や排出量取引では、政府が、収入を得ることができるので、この得られた財源によって減税や脱炭素の技術開発、省エネ投資など、様々利用することで、脱炭素社会への転換の加速や、経済成長にもつなげることが可能だと考えます。また、これまで長らくカーボンプライシングの議論を行ってきましたが、今回もそうですが、導入の是非など、方向性は出さない方向です。しかし、我々には、先ほども申し上げたように時間がありませんから、具体的な制度設計や導入時期についての議論を行うことが是非とも必要だと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、安田委員ですね、どうぞよろしくお願いいたします。

安田委員

どうもこんにちは、安田です。今日はちょっと早めに退席しなければいけないので、恐らくこれ1回限りのコメントになるかと思います。

まず、中間整理及び今年度の委員会の運営は他省庁、特に経産省の方と連携して進められてきたと、これは非常によい取組だと思います。改めて事務局の皆さんにお礼申し上げます。

整理の中身について、既に岩田委員から具体的に出せる数字を盛り込んだほうがいいんじゃないか、これは強く賛成します。個人的に、これは中間整理という性質上、やむを得ないんだと思うんですけれども、少し気になったのは、やはり懸念を払拭するために議論を深める、慎重な議論が必要、検討を進めていくといった、今後もいつまで議論するんだろうというようなものがやっぱり出てきてしまうと。これはもちろん慎重に制度設計をしておく、きちんと議論を重ねるという重要な側面ではあるんですけれども、先ほど石田委員がおっしゃったように、時間がかなり限られているというところでは、いつまでも議論を進めていてもいいわけではないわけです。じゃあ、具体的な方向性として何が考えられるかというと、二つあるんではないかと思います。一つは、もう既に事務局側でも提案している話ですけれども、炭素税を入れるといっても、極端な話、税率がゼロ%だったら入れてないのと同じなので、小さい値から始めていって、様子、経過を観察すると。何も制度を変えずに、取りあえずああなる、こうなるというのをやる前から議論していっても、やはり得られるものは少ないので、一旦入れてみて反応を見るというアプローチですね。もう一つは、カーボンプライスに、あるいはそれに準ずる制度は入れないと。制度変更は行わずに、一定期間、経過観察をすると。産業界の窓口の取組であったりとか、既に起きつつある環境指向型の投資が一体どれぐらい伸びるのかと。それによって、特にカーボンプライスを入れなくも炭素排出が減っていくようであれば、その経過措置を延長する。逆に、ターゲットに届かない場合には、あらかじめ用意しておいたカーボンプライスを導入するという形で、何かその数値目標とか、具体的に将来こうなったら次のアクションを取るというコミットメントのようなものをやらずに議論だけをしていくと、恐らくこれは2030年まで何も起こらず、これはあまり実現してほしくないんですけれども、46%目標にも大きく届かず、恐らく2030年、またこういう委員会が立ち上がって、2050年のカーボンニュートラルに向けてどうしようというところで、新たにまた慎重な議論を重ねることになってしまうんじゃないかと思います。それはそれで、そのような意思決定しかできないのであれば、これが我が国の限界なのかもしれないんですけれど、もう少し、議論の進め方としてはニュートラルとしつつも、先ほど申し上げたように、やってみて経過を、経過に応じて制度を変更していく、あるいはやらずに数値目標を達成できなかった場合には何らかの制度を導入するといったコミットメント戦略を取るというのは一つのあり得る形ではないかと思います。

最後に、少し若干余談めいた話になるんですけれども、毎年、スイスのIMDというビジネススクールが世界デジタル競争力ランキングという、日本からするとあんまりありがたくないランキングかもしれない、それを出していまして、総合順位だと日本は2020年度で27位で、対象国が63位なので、真ん中からちょっと上ぐらいなんですけれども、トータル63か国の中で最下位63位の項目というのは幾つかあります。今回の件にも関係しそうなのが、企業の機敏な対応というのが、これは最下位です。63位。ちなみにですが、ほかに三つ最下位なのがあって、ビッグデータの利用と分析、デジタル人材のグローバル化、企業幹部の国際経験、言われてみると、そんな気もするなというファクターが並んでいるんですけれども、これの、やっぱり企業の機敏な対応というのは、企業ではなくて、こういった役所であるとか組織に置き換えても同様に成立すると思います。よく言えば、いろいろなステークホルダーの意見を聞いて慎重に議論を進めているとも言えるんですけれども、先ほど石田委員がおっしゃっていたように、時間が限られているときには、この種の機敏な対応ができないというのは、かなり大きなマイナスに動いているかと思います。その辺を乗り越えるアイデアですとか、この中間整理を基にした今後の検討にぜひ事務局サイドで活用していただければなと思う次第です。

以上になります。

浅野委員長

どうもありがとうございました。先ほどのご提案は、今後の取り扱いの折に検討の余地があるかもしれません。かつて大防法改正のときに類することをやったということを思い出しました。ありがとうございました。

それでは、増井委員の手が挙がっていますので、増井委員、どうぞお願いいたします。

増井委員

どうもありがとうございます。まず、中間整理の取りまとめ、ありがとうございます。これまでの議論はほぼ出尽くしたのではないかなと思っているんですけれども、今、安田委員あるいは石田委員がご発言されたように、私自身も慎重に進めたいという、そういう姿勢は非常によく理解できるんですけれども、世の中の流れがかなり大きく変わってきている。特に国際的にはヨーロッパが先行的にこのカーボンプライシングに取り組んできたんですけれども、最近ではアジアの国々もこういう国際的な動向を受けて、カーボンプライシング等に対して、かなり関心を持って議論を始めているというような中で、これでいいのかという思いは非常に強く持っております。特にASEANにつきましては、ちょうど1週間前にインドネシアが長期戦略2050年の目標を出したんですけれども、インドネシアにおきましても2060年までにネットゼロを目指すというふうなことを宣言されています。また、我々のタイの研究者の仲間から話を聞いてますと、タイでも国際的な市場動向から、特に民間企業の方のほうがネットゼロに向けたシナリオをかなり政府に対して強く要望しているというようなお話も聞いています。これはそういうふうにしないと、やっぱりビジネスの機会を失ってしまうという、そういう強い危機感をかなり抱いていらっしゃるようです。そういう意味で、日本もスピード感を持って、こういう議論に取り組まないと、いろんな市場、国際的な市場の機会を失ってしまう可能性があると思いますので、このカーボンプライシングにつきましても、2030年の46%削減、あるいは2050年にはネットゼロ、こういう排出の目標とやっぱり関連づけて早く道筋を示す必要があるというふうに思います。

一応、52ページのところに今後の検討ということで示されていますけれども、やはり議論のたたき台でもいいので、今回の中間整理を踏まえて、制度構築への議論を進めるというふうなことが極めて重要ではないかなと思います。

以上です。どうもありがとうございました。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、小西委員、どうぞお願いいたします。

小西委員

ありがとうございます。4点、お話しさせていただきたいと思います。

まず、今回の中間まとめ、これまでのあらゆる意見を本当によく取りまとめてくださったと思っています。ただ、この間出たばかりの地球温暖化対策の計画の素案を見てみても、26%のときから、今、46%になっているのに対して追加の政策、施策というものがほとんど見られない状況になっています。ですので、このままでは以前の26%削減のままの対策で日本は行ってしまうことになるのかなということを非常に懸念しております。昨日の日経新聞に小泉大臣が、やっぱり化石燃料型の経済から再生可能エネルギー型に移行しなければ日本の負担は増える、それへの解はカーボンプライシングの強化以外にはない、今年、カーボンプライシングの実現を一歩強化すると力説されたとあります。これについてどういう形でされていくのかと非常に期待しているんですけれども、事務局にお伺いできればと思っております。それと併せて今後のプロセス、今回、中間まとめが行われた後にどうなっていくかというプロセスもご説明いただければと思います。

二つ目が、今回、国境炭素調整措置についてのご説明、ありがとうございました。これ、やっぱり技術軸も先ほどの中で一つ重要だと言っていたんですが、この世界的な技術軸にも合わせていかないといけないということが、この国境炭素調整措置の導入によって強まってくるのだと思っております。ということで、明示的なカーボンプライシングがなければ日本は本当にどう言い訳して何とかしようかという、防戦の一方になるのではないかと懸念しております。

ここで二つ質問があるんですけれども、これ、取りあえずはまずセメント、電気、肥料、鉄鋼、アルミニウムの部門から始まるということなんですが、日本のこういった産業への影響というのはどの程度見込まれるのかといったこと、もし、ある程度試算されていたら教えていただきたいと思っています。

また、間接排出の取扱いは今後ということなんですけれども、日本、今回見直されたエネ基でも電源係数は2030年においてもまだまだ欧州よりも非常に高いところにとどまることになるということで、このまま遅れていくと、より不利になるのではないかと懸念しております。この間接排出の取扱いも非常に気になるところです。

三つ目が、やはり先ほど安田委員もおっしゃったんですけれども、私もこの懸念に配慮して、炭素集約度や国際競争力の観点から、税の減免措置などを検討されたということに対して追加意見として、こうした配慮により様々な懸念が払拭できるかという点については、引き続き議論を深めていく必要があるという追加意見が出されております。私たち国際NGOの世界では、今、三つのステップで国内の政策かつ企業さんの行動は動いていくと見ておりまして、その三つのDと言ってるんですけれども、DenyDelay、そしてDecarbonizeということで、日本は、Denyはもうこれ過ぎてきたと思うんですが、次はDelayに入っているのかなと思っております。大手の国際メディアでは「Delay is the new denial」のように、遅らせるというのは新しい否定的な戦略だみたいな言い方もされています。先ほどJCLPさんのカーボンプライシングの導入の声明も読ませていただいたんですけれども、今、約190社入ってらっしゃると理解してるんですが、もう既に経済成長と脱炭素化を目指す、こういった日本企業さんにとっては、むしろこういったカーボンプライシングが導入されていないことや電源係数がまだまだ高いとかいったことによって、陰に陽に足かせになっているんだと思います。ですので、むしろ経済成長と脱炭素化を目指す、こういった日本企業さんの後押しをする必要があるのではないかと思っております。そのために、まさに今、増井委員もおっしゃいましたけれども、既存の税制も整理しまして、どのようにポリシーミックス、制度構築をしていくのかといった具体的な議論が早急に続いていく必要があるんだと思っております。

最後にもう一つ、自主的クレジットは今回強化されていくという方向性は経産省のほうでも、こちらのほうでももうこれは示されているのかなと思うんですが、これは何度も同じことを申し上げて恐縮なんですけれども、結局、参加主体が広がらないので、あくまでも自主的クレジットは補完的な役割しか果たさないということはもう明確なのではないかと思っています。やっぱりやる気のある企業さんだけ頑張ってくれればいいというのではなく、社会全体の脱炭素化を進めていくためにこそ、明示的なこういった排出量取引制度ですとか、炭素税の強化とか必要だと思っております。

以上です。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、大野委員、どうぞお願いいたします。

大野委員

ありがとうございます。今回の取りまとめの文書は、ほとんどが今まで議論が行われたことをまとめた、まとめ方は少し意見があるかもしれませんけども、まとめたものだと思います。私は、その中で唯一というか、新しく付け加えられた、この「おわりに」の部分について意見を申し述べたいと思います。51ページから始まっている「おわりに」の部分ですけども、一番最後の52ページの最後のパラグラフのところで二つ意見があります。まず、この最後のパラグラフは、「こうした経緯に加え、カーボンプライシングに係る経産省、環境省を含む政府内の検討状況も踏まえつつ、本小委員会においては」、これ云々とか書いてありますね。これは読み流したら、ごく普通の文章に見えるんですけども、こうした経緯って何が書いてあるかという上のほうを見ると、これは政府の成長戦略実行計画ですか、この文章が引用してあって、52ページの上から3行目ですけども、足下で、J-クレジットや非化石証書などのニーズが高まっていると。「まずは、これらのクレジットに係る既存制度を見直して、自主的かつ市場ベースでのカーボンプライシングを推進する」と書いてあって、その後に炭素税や排出量取引については、やっぱり「議論を進める」と書いてあるんですね。要するに、これは少なくとも成長戦略が言ってることは、当面はJ-クレジットとか、そういう自主的なクレジット取引を先行するんだと。その後に、排出量取引や炭素税は議論するんだと、こういうふうに読めるんですよね。それをそうした経緯とか政府の検討事項を踏まえて、この小委員会で議論を進めるというのは、私はちょっと納得いかなくて、こういうことだと、何かこの委員会の議論も少し時間をかけてやればいいみたいに読めるんだと思うんですよ。むしろ、この小委員会の議論を踏まえて、今、政府で本来は検討してもらうべきだと思うので、ちょっとここの記述は納得がいきません。ここは修正をお願いしたいというふうに思います。

それから、同じように、この最後のパラグラフなんですが、今後の方向について、本小委員会の検討を本年中に行うことも視野に入れたいというふうに書いてあって、これもいつになるか分からないということに加えて、炭素税や排出量取引についての議論に並べて、ポリシーミックスに係る検討も進めていく。カーボンプライシングに関するその他の検証を進めていくと書いてあるんですね。そうすると、これは間口がどんどんどんどん広がっていってしまって、全然、その本来は、最初は幅広にやってもいいんだけど、議論していって議論を絞っていくべきなのにもかかわらず、今後の方向で、また排出量取引と炭素税以外のカーボンプライシングも検討するし、その他のポリシーミックスも検討すると言ってると。こんなことをやったら、いつになったら結論が出るか全く分からないですよね。これで私も触れたいのが、先ほどもJCLPの石田さんがご紹介された、昨日、JCLPが発表された意見書ですけども、これは非常に大事なものだというふうに思います。この中では、中身についてはさっき石田さんがご紹介されましたけども、触れなかった部分で、やっぱりこの導入の遅れというのが、日本企業の国際競争力や日本の産業立地競争力を低下させる可能性があるというご指摘をされているんですよね。この懸念というのは全くもう、何といったらいいんだろう、心配し過ぎとか、架空のものでなくて現実に起きていること、これはAppleさんのサプライチェーンに対する要求とか、皆さんもご存じと思うんですが、現に起きているわけです。そういう状況を踏まえて、やっぱり日本の企業の中でも便宜的に気候変動対策に取り組むグループが、やっぱり炭素税と排出量取引を先行的に制度設計を作れと、こういう意見書を出しているわけですよね。それに対して政府の成長戦略で言ってる、まずはJ-クレジットを先行、自主的なクレジット制度を先行するなんていうのは、本当、率直に言って話にならないスタンスだと思います。J-クレジットの前身の国内クレジットというのは2008年に始まったものですよね。もう13年前ですよ。13年間やってきて、日本の削減にはそんなに大きな効果がなかったことは明らかであると。これから46%削減という高い目標を目指そうというときに、まだ、まずはJ-クレジットのような自主的な取組をやるというのは全く納得がいきません。これを踏まえて、この小委員会が今後の検討を進めていくというのは正しくないと思いますので、ぜひこの文の記述については変更をお願いしたいと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、井上委員ですね。井上委員、どうぞお願いいたします。

井上委員

今回、中間整理をおまとめいただきまして、ありがとうございます。地球温暖化対策は喫緊の課題であり、中小の企業経営者としても官民一体となって取り組まなければいけないことは十分承知しております。今週の26日に新たな地球温暖化対策計画案が提示されました。2030年度において温室効果ガスを2013年度比46%削減する目標に関する分野別の内訳が示されました。削減量の34割は電気を再生可能エネルギー由来に変える効果を想定し、残りは産業部門や業務部門で大幅な省エネを行うことが求められております。我々中小事業者もそれぞれの事業内容に照らしながら、省エネなどに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。一方で、中小・小規模企業は利益率が非常に低い中で温暖化対策に取り組まなければならず、どうしてもコストの問題がついて回ります。自社の省エネ対策を強化・拡充しようとすれば、当然、相当程度の費用負担が新たに発生いたします。しかし、企業は既に高額なエネルギー本体価格に加え、エネルギー諸課税や炭素税である地球温暖化対策税を負担しております。特に震災以降高止まりしている電気料金は経営に大きな影響を及ぼしております。加えて、このコロナ禍で経営が悪化し、そして、事業立て直しを最優先せざるを得ないのが現状でもあります。ここにきて再び感染者数も急増しており、先行きが見通せず、疲弊し、廃業も考えざるを得ない企業も少なくございません。今後、中小・小規模企業はさらに厳しい経営環境に置かれることも予想されています。取引先への価格転嫁が容易でない中、温暖化対策の増強に伴うコスト増が事業継続に直結する問題になる懸念も感じています。最近では原材料費や輸送コストも上がっており、これらの価格上昇分が価格転嫁できない厳しい状況でもございます。こうした状況において、企業に追加的なコスト負担を強いるようなカーボンプライシングを新たに導入することは非常に厳しく、「成長に資する」とはとても言い難い状況であります。コスト増のしわ寄せを体力の弱い中小企業が受けることのないよう、既存のエネルギー諸税やエネルギー政策・産業政策を含め、総合的にお考えいただき、議論すべきだとも考えております。地域の中小企業の現状を十分にご勘案いただいた上で今後の議論を進めていただきたく、改めてお願い申し上げます。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

大塚委員、どうぞお願いいたします。

大塚委員

ありがとうございます。4点ほど申し上げさせていただきたいと思います。

まず、全体としていろいろな意見をとてもよくまとめていただいておりまして、関係者の方に敬意を表したいと思います。

一つ目ですけども、これは既に書かれていることですけれども、今回、成長戦略としてのカーボンプライシングということも大きく考えられていて、技術開発とか国際競争との関係、あとサプライチェーンとの関係で、カーボンプライシングを入れることこそが国際競争力を維持することにつながるという、その観点が入っているということが重要だと思います。そういう意味で、カーボンプライシングの早期の導入が必要ということがあると思います。

それから、二つ目ですけども、地球環境局のほうで温暖化対策の計画のほうに関係させていただいていますが、あちらのほうでも温対計画のフォローアップのところで、対策に不足の部分があったら政策についても含めて新たに検討するということを、最後のフォローアップのところに一文付け加えていますけれども、この点は、今回のカーボンプライシングともまさに関係しているところで、カーボンプライシングであれば、例えば炭素税の話であれば税率が目標との関係で十分かどうかを、その際に検討するというようなことも、例えばその中に入ってき得るわけですけれども、全体としては、カーボンプライシングが入っていることが極めて重要になりますので、温対計画との関係でもぜひカーボンプライシングの導入に向けて進めていっていただければと思っています。

次に、このペーパーとの関係で、25ページのところが少し気になっていますけれども、排出量取引に関して、まだ検討が不十分だということがあるんですけども、これは2008年のときに、既に検討していて、そのときにJVETSを含めると、自主的な排出量取引に関しては既に検討していましたし、具体的な内容に関しても検討していましたので、それについての記述が全くないというのは、ちょっとどうかと思いますので、一言入れておいていただければありがたいと思います。

それから、第3点として、炭素国境調整との関係でございますけれども、今回、ここで明示的なカーボンプライシングでないものについては差引きをしてもらえないということになるということが、明らかになってきたということは結構重要だと思っておりまして、これは、先ほど小西委員も言われたところでございますけれども、この3ページ目の上から3行目のところで、税または排出量取引制度において支払われた金額が差し引かれるんですけど、そうじゃない暗示的なものはカーボンプライシングとは言えない、暗示的なものに関しては差し引いてもらえないということが明らかになってしまいましたので、これはまさに成長戦略との関係でもカーボンプライシングが必要になってきたということが明らかになったのだと思っています。

5分野のうち電気はともかくとして、4分野に関しては、当面直接日本への影響はあまりないということだと思いますけども、今後、ほかの分野に広がっていく可能性は十分にあると思いますし、制度は最初に導入するときよりも制度を拡大することのほうが一般的にはすんなりいってしまいますので、これを拡大していくことは十分にあり得ると思いますし、この品目に関しては気をつけないと、日本の産業界はある意味世界の中でのEUの市場を失うということになってしまいますので、それが長期的に失うということになってしまう可能性もございますので、ぜひ、ご留意をいただく必要があるのだろうということを申し上げておきたいと思います。

4に、カーボンプライシングに関してはいろんなご意見がありますけども、さっきのインターナルなカーボンプライシングの導入とか、CCFDへの対応とか、既に個社ではいろんな対応していただいていますので、それなりに多くの産業界の中での企業においては、カーボンプライシング導入の準備は始めていただいているのではないかということも申し上げておきたいと思います。

以上でございます。すみません、途中で雑音が入りまして、すみませんでした。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

では、森澤委員、お願いいたします。

森澤委員

ありがとうございます。

中間整理の取りまとめ、ありがとうございます。その中で、例えば11ページですけれども、我が国が成長していくためには生活や経済の基盤であるエネルギーを低廉かつ安定的に供給していくことが重要とありますけれども、今までの考え方ではなくて、排出係数を入れた価格にするということが必要になってくるわけですので、安ければいいというわけではないということに、この文書が、こう、なかなか伝わっていかないので、少し見直しがいるのではないかと思います。

あと、そうですね、最初のところです。国内外の気候変動対策や経済対策をめぐる動きの中で世界の動きが出ておりますけれども、先進国でこれだけ災害が多いといいますか、多いのは日本ぐらいですので、一番多いんだと思うんです。そこの部分は温暖化によりまして、気象庁がもう発表されているような日本の南海上で台風が発生しているということで、そういった災害、今日もいろいろ雷雨の部分とか、そういった部分が、シグナルが出ておりますけれども、それということは、コストになるわけなんですが、これがどんどん増えてきているということで、対策を取らないことで、そういったコストも上昇している。先進国の中では、本当に日本がそういった災害が多いんだと、普通、これだけ災害があったら、もう先進国でいられないんじゃないかなと、もう諦めてしまうんじゃないかなと思うぐらいに日本は災害があるわけですけれども、そういった部分を、どうして、これ、気候変動に対しまして温暖化の部分に対しまして対応していかないのかということが、そういった気候変動の部分の中で日本の特に災害について、ここは何か盛り込むことはできないのかなというふうに思いました。

あとは、炭素国境調整ですか、皆さんがおっしゃっていますとおりに、日本の産業への影響ということを、可能でしたら知りたいと思います。

それと、経済成長と脱炭素化を目指すということでは、もう自主的に頑張っていらっしゃる企業さんは、削減していらっしゃいまして、クレジットも使っていらっしゃると。CDPの回答は今年度は昨日が締切りでしたが、もうたくさんの企業がこの状況下でも昨年を超えて開示、取組を開示していらっしゃると。この部分は、締切りが昨日で、今日のぎりぎりまでやっていらっしゃる企業さん、そういうふうな取組をしていらっしゃる一方で、もうこの自主的なクレジットというものは、使えるものはやっていこうと、排出係数が電力の部分とか、変えられない部分とか、いろんな部分、調達できない部分はそういったクレジットを導入いらっしゃるわけなので、購入していらっしゃるわけなんですが、やはりここで議論しないといけないのはカーボンプライシング、政策として必要なこと、炭素税であり、それから排出量取引というよりも割当量ですね、排出の割当量をどういうふうに決めていくか、これはもうオークションでやっていくほうがいいだろうという議論も出させていただいていますけれども、そういったことをどう始めていくかという制度設計、そちらであって、皆さんがおっしゃっていますとおりに、クレジットの話、自主的なクレジットの購入の話ではないというところを、もう少し明記していただければと思います。

あと、もう一点加えますと、投資家に加えまして金融、銀行のほうも、自分たちのスコープ3と言いますか、ファイナンスドエミッションを見ていかないといけないということで、融資ししている先の排出量というのを見ていくわけですから、やはり政策としてもカーボンプライシングを導入することによって、その企業が与信枠をたくさんもらえるように、融資の枠がもらえるということに結びつけていかないといけないといった部分では、もう本当に早くやらないといけないという中で、何か、いい枠組みを早く作れたらと、もう議論は尽したようには思うんですけれども、あとは政策のほうの判断が必要なんではないかというふうに思っております。

ありがとうございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、河口委員、お願いいたします。

河口委員

ありがとうございます。取りまとめ、お疲れさまでした。これだけ対立する議論を非常にうまくまとめていただいたと思います。

ただ、先日からEUのこのトータルの戦略なんかと日本のこの戦略を見比べてみていて、非常に見劣りがすると。なぜかというと、日本の場合は成長戦略一本やりなんですよね。EUというのは、包括的にもうトランジション、トランジットしなければいけない、今の仕組みをトランジットしなければいけないというところから入って、それで金融ですとか、その金融の下にタクソノミーなんかが入っているわけですけれども、その中で当然、カーボンの値段というのを見える化しないと、皆さん、それ、削減をする意欲が湧かないから、これが必要であると。そういう枠組みになっているんですけれども、今日の中間取りまとめの案を見ましても、また数日前に出た地球温暖化対策計画の原案なんかを見ましても、どうしても成長しなきゃいけない。つまり、既存の今までの20世紀型のこの温暖化をもたらしてしまった仕組みを、暗示的に前提の上で経済を従来型の成長をさせるためにカーボンを使うというふうに、これ、読み取れますし、暗示的にそういう発想なんではないかなと。

海外は、もう従来の仕組みを変えようと、そのためにこういうことをするんだというのと、従来の仕組みの中で勝つためにこういうことをするというので、全然立ち位置が違ってくると思うんです。成長、成長と言われているから、本当に成長するのかと思われるかもしれないけれども、過去20年ぐらいの日本経済の状況を見ますと、もう既に何人かの委員の方が指摘されていたことだと思うんですが、成長どころか、停滞していっていると。これは、成長するためではなくて、これ以上の地盤沈下を防ぐためということのほうが、多分本当ではないかなと思うんです。

JCLPのお話も先ほどありまして、まさにその辺りを物すごく丁寧におっしゃっているんですけれども、目の前にあるのは、これをやらないと地盤沈下する。成長するためにやるというと、やらなくてもどうにかなると思うわけですが、これをやらないと地盤沈下をするということになると、やはり、何か、認識が違ってくるのではないかと。ここでのまとめというのが成長戦略の中に入っているということなので、この成長という言葉が外せないのかもしれないんですが、安易に成長という言葉は使うことによって、逆に多くの変な期待を生み出しますし、逆にそれに成長しないからやめるみたいな、そういう議論も引き起こしてくると。

一方で、中小企業にはダイレクトにコストにかかると、これは、普通で、カーボンプライシングとは別立てで考えるもので、これは社会の仕組みを変える、カーボンの価格というのを明示していくと。その地球温暖化対策計画の中にも、2030年までには商品のカーボンのライフサイクルカーボンの排出量の開示というのをやっていくよと、単にこれだけCO2出ましたというよりも、それに値段がつくということによって、より削減の意欲というのが国民全体に行き渡るわけですので、そういうことも含めた、このカーボンの値段を明示化するということの広い社会的な意義ということにおいて、この問題を考えるべきなのではないかと。

基本のまとめとしては、こういう観点は非常に重要なんですが、それ以上の部分、成長という言葉に捕らわれてしまって見えなくなる部分があるよというので、その辺りのご配慮をお願いしたいと思います。

以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、土居委員、どうぞお願いいたします。

土居委員

ありがとうございます。これまで、聞こえておりますでしょうか。

浅野委員長

大丈夫ですか。

土居委員

聞こえておりますでしょうか。

浅野委員長

はい、聞こえております。

土居委員

ありがとうございます。

事務局におかれましては、これまで取りまとめていただきまして、誠にありがとうございました。

私からは、まず、一つ質問と、それから意見なんですけれども、事務局というか、これ、経産省なのかもしれませんけれども、先ほど事務局からご説明のあった欧州委員会の提案に関して、この炭素国境調整措置は、WTOルールと整合的なものだと言えるのかどうなのか、直ちに言えるという、整合的であると言えるのか、それともWTOルールに抵触するかしないかは、今後議論の余地があるということなのか、その点についてご見解を、今の段階でのご見解を伺いたいと思います。

以下は意見なんですけれども、この炭素国境調整措置は、確かに2026年から実質的に始まるということではあるんですけれども、2026年まで猶予が与えられたと見るべきではなくて、2026年までに何らかのアクションを我が国でもきちんと、この国境調整措置によって我が国の企業が不利にならないようにカーボンプライシングを含めてきちんと措置を順々に講じていく必要があると。2026年までは何もしなくていいという意味の時間的な猶予が与えられたと見るべきではないというふうに思います。

確かにカーボンプライシングに対しての反対論というのがあるということは承知しております。もし、何も、我が国でカーボンプライシングについて、今後も引き続き、何もしなくてよいような環境であるならば反対の姿勢を貫くというのも、それは理解できるわけですけれども、何かしなければならないという確率が高まっているならば、激変を避けることによってビジネスに対して打撃を与えるということを避けるということを、もはや考えなければならない段階に来ているのではないかというふうに思います。

2030年目標はもちろんあるんですけれども、その目標を達成するためというものはそれはそれとして、その政策目標との関連での政策手段の選択というのはありますけれども、問題は、何もしなくてもこのまま大丈夫だと言えないような状況になっている以上、日本企業の立場を守るためには、段階的でも激変を避ける形で、そのビジネスに対する経済的な打撃を緩和する、そういう方策を、もはや考えなければならないような状況に来ているのではないかというふうに思います。

そういう意味では、ただひたすらここの中間整理は賛否両論あったという取りまとめで決め打ちしないということなのかもしれませんけれども、反対が継続的に今後もずっと続けられると言えるような形で、その中間整理がされるということでは、私はないと、今の段階ではまだ理解が浸透していないということは認めますけれども、その反対に対する激変緩和を考えていく、そういう段階に来ているのではないかというふうに思います。

それから、もう一つは、少し、これ、具体的な修文に関するところなんですけれども、13ページに炭素国境調整措置を巡って、以下のような意見があったと言いつつ、第6章を参照というふうに書いてあって、実は40ページにある意見と、ここの意見で、一部重複している部分があると思います。13ページに書かれている意見は、基本的には国益にかなうかどうかという観点での議論というふうに、私は読めたわけでして、純粋に国境調整措置にまつわる部分はまさに第6章、40ページに関わる部分ということですので、13ページに書かれているものは、むしろ重複してはいけないとは言いませんけども、重複、できるだけ重複を避けて国益にかなうカーボンプライシングということに関する意見のみ、13ページに記すという形で残し、重複をしてはいけないとは言いませんけれども、そこは国境調整措置にまつわる意見は、できるだけ40ページのほうで、その記載をするという形にしてはいかがでしょうかというのが1点。

それから、もう一点は、18ページに将来的な強い価格シグナルを出すためには、相当な税率が必要であると思われ、というポツがあるわけですけども、そこ部分で、その末尾に産業の立地競争力を大きく損なうことが懸念されると書いてあるんですが、これは、まさに、今、申し上げているところの国境調整措置がなければそうだと思いますけれども、国境調整措置がなされれば、これはもちろん我が国でですけれども、我が国で国境調整措置がなされれば、我が国の産業の立地競争力が損なわれるというわけではないと思いますので、次のような修文案を提案したいと思います。

「大幅な上昇につながり、産業立地競争力」と書いてるところの、この読点の後ろに、上昇につながり、の後、「輸出免税等の国境調整措置がなければ」と入れていただいて、その後、産業の立地競争力を大きく損なうことが懸念されるというふうに、そういう形で修文していただければと思います。

私からは、以上です。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

では、手塚委員、お願いいたします。

手塚委員

ありがとうございます。聞こえていますでしょうか。

浅野委員長

はい、聞こえております。大丈夫です。どうぞ。

手塚委員

今回の資料は、ここで議論した内容について、バランスよく両論併記でまとめていただきましてありがとうございます。往々、全体的に論点はほぼ全部カバーされているのではないかというふうに思います。

私からのコメントは、今回の中間報告というよりは、それの後の扱いに関する議論なんですけども、先日、政府からはエネルギー基本計画において、FITの買取費用が現状から大きく増えると、現状の3.8兆円から9年後には6兆円ぐらいになっていくということが明記されております。これ、FIT付加金でいいますと、現状の3.36円から5円を突破するということが想起されます。また、同じ政府のコスト検証ワーキンググループにおいて、再エネのような自然変動電源を大量に入れることで、発電コストのほかにも統合コストという、いわゆる系統対策だったり、調整電源であったり、こういうコストが上乗せされることでFIT付加金のほかで、さらなる電気料金の増加も見込まれるということが示唆されております。

こうした負担増は温暖化対策のために電気料金を通じて国民、あるいは産業が負担するカーボンプライスにほかならないと思います。温暖化対策がなければ、こういう高額の費用を払って、エネルギーミックスを変えていくという政策が取られなかったんでしょうから、実質的にカーボンプライスだというふうに思います。こういうことが、本委員会の外で行われてきております。ポリシーミッスクの活用が重要だということが、この中間取りまとめにも書かれておりますけども、既に他の政策分野で高額のカーボンプライスが導入されていくということが具体的に提示されているわけでございます。

炭素税等について、この中間取りまとめ後に、改めてこの会合が開かれるとすると、そこで技術的、専門的な議論を行うに当たっては、この中間整理の延長じゃなくて、今般のエネルギー基本計画の素案、あるいは地球温暖化対策計画の案で示されているような、追加的にコストアップにつながる政策が議論されていること、それから各部門で極めて野心的な削減目標を掲げておりますので、それに対する諸政策に対して、関連して発生するポリシーミックス全体での負担増を定量的に示していただいた上に、その上で、さらに炭素税等の追加的費用負担を伴う政策が本当に必要なのかどうか、あるいはそれが成長に資するものなのかどうかということを、定量的、実質的に議論をしていくことが必要だというふうに考えております。

その意味で、本小委員会が、この次に開かれますまでの間に、ぜひ、この温暖化対策に伴うコストに関して、政府として国民がしっかり理解できるような具体的な形での見通し、あるいはその試算等をお示しいただけるようにお願いしたいと思います。

また、この中間取りまとめにも書いていますけども、成長に資するカーボンプライスの設計にはカーボンプライスの最終消費者への価格転嫁ができるかどうか、あるいは価格転嫁をした結果、消費者の行動が変わる、つまり少々高くても低炭素、脱炭素のものを喜んで購入するという行動が喚起されるかどうかが鍵となってくるというふうに考えます。

そういった意味では、この取りまとめの後、次回開催するまでの間に、ぜひ国民各層に対して脱炭素に向けて、各家庭、あるいは個人がどこまで追加的な費用を負担するつもりがあるかどうかということの世論調査のようなものを実施していただくと、この再開後の議論にとってこの価格転嫁、あるいは消費者行動の変容の期待といったところで議論が有益に進められるんじゃないかというふうに思います。

例えば、国立環境研究所の調査では、北海道、東北地方、日本海側など、寒冷地とか、豪雪地帯での世帯当たりの年間のCO2排出量というのは、様々な消費活動の結果、4から5トンぐらいになるというふうに推計されております。CO2トン当たり5,000円の炭素価格が完全に消費者に転嫁されるということは、こういった地域の方々の年間の世帯支出が2万円から2.5万円増えるということを意味しているわけです。

これに、さらに先ほどのFIT付加金が5円を突破するというようなことが起きてきますと、電気代を通して2万円近くの炭素価格を負担されることになりますので、合計年間45万円程度の世帯負担増になるわけですけども、こうした地域の方々がこういうことを容認できるのかどうか、つまり脱炭素のために消費行動を変えて、コスト負担を容認する、あるいは投資を行って完全電化を進めたり、ヒートポンプにしてできるだけCO2を下げるというような行動でCO2を下げるということになるのかどうか、こういうことをぜひ世論調査のような形で調べていただければ、議論が活性化されるんじゃないかというふうに思います。

最後に、カーボンプライスの導入について、JCLPさんがぜひ導入するべきだという意見書を取りまとめられたということのご指摘がございました。私どもの計算では、JCLPさんの売上げ1,000円当たりの電気の使用原単位は平均で0.42kWhです。我々のようなエネルギー多消費産業の原単位ははるかに大きくて20kWhと、48倍になっております。仮に、FIT賦課金が5円とか6円になった場合のJCLPさんの売上げ1,000円当たりの負担というのは1円ぐらいにしかならないんですけども、我々にとっては売上げの10%、つまりほぼ利益全体が賦課金で失われることになります。これは、電力だけの議論なんですけども、電力エネルギー多消費産業は、電力のほかにも化石資源による熱エネルギー等も多用していますので、代替技術が当面存在しない素材産業にとっては、成長に資するどころか、FITを含むカーボンプライスのインパクトというのは、事業存続に関わる問題でありまして、導入の是非や在り方については引き続き、極めて慎重な議論をお願いしたいと思います。

私からは、以上です。

浅野委員長

ありがとうございました。

では、牛島委員、お願いいたします。

牛島委員

ありがとうございます。EYの牛島です。

私のほうも、皆さんとほぼ同じような印象を持っていますが、まずは、この中間取りまとめ、本当にありがとうございます。かなりいろいろな意見を網羅的に指摘いただいているのではないかと思います。

ただ、やはり、世の中は、この1年でかなり加速度的に次のステージに移行しようとしています。先ほど来、様々なデータを取ってそれを元に判断するというところは、私も極めて重要だと思っていますけれども、ただ、世の中の今の動きというのは、むしろ、今までのその前提そのものを変えていくという動きであれば、今の状況を前提に物事を考えるということは、かなり限界に来ているのではないか。なので、様々な国際的に議論されているこうした潮流も踏まえて、やはり次の前提を、私たち、日本がどのようにつくっていくのか、国際社会が次に移行しようとしている中で、日本としてどういうポジションを築いて、どのような関係をその中で築いていくのかという視点も必要になろうと。つまり、過去と現在という日本という国だけではなくて、国際社会の中での未来、つまり過去の日本や過去の情報にそのヒントというのはもはやない、かなり限られてくる、むしろ新しい前提を作っていく方向に舵を切れていると思います。

そういった意味では、やはり本委員会でのこの中間以降の議論も、次のフェーズに移していく必要があるのではないかと思います。その観点は、私的には二つ、非常に危機感、ある意味危機感を持っておりまして、一つは、やはり世の中を変えるかもしれないと思っている国境調整措置です。ヨーロッパがあのように発表しましたが、アメリカのバイデン政権でも議論されていることは承知しておりますが、これを通じて、新たな環境経済圏なるものができる可能性があるのではないかと思います。

現時点では、米中の貿易の微妙な関係というものもありますので、アメリカとしてはなかなか中国に依存しにくい、ヨーロッパも最近そうした風向きは変わってきているかなと思うのですが、そういうときこそ、逆に技術的な面でも貢献する機会は多々あるのではないかと。一方で、この経済圏の中に日本が入れないというところ、むしろ他国のほうが先に入ってしまうということにおいては、日本においてもなおさら産業競争力上、果たしてどうなのかというところを非常に危惧するところであります。

もう一つは、会計制度の中でも、この環境で統合が進むという動きが加速しています。皆さんご承知のとおり、IFRS財団の下にISSPという、サステナビリティ関係の指標を検討するワーキングが立ち上がったということです。既に投資家の人たちにおいても、たとえ、この日本の中でカーボンプライシングという形でタックス、もしくはそのほかの手法ででも、可視化されなかったとしても、既にその会計上、将来の会計、さらには現在の投資家、これからの投資家においても、環境負荷そのものはもう既にコストとして、皆、見立て、一方でその環境価値なるものを収益として、ビジネスオポチュニティーとして見ていくという世界ができますので、言い方を変えれば、ここで議論を長引かせたとしても、世の中は既にその環境という問題については、特に炭素については、もうプライシングしていくという流れにあると。それにより新たな経済圏ができたり、新たな判断軸になったりということがありますので、遅かれ早かれ何らかの形で、やはりそうした手を、私たちは打っていく。むしろ、その新しい前提になり得るその環境経済の中で、日本がどのようにイニシアチブを取っていくのか、そうしたところのほうがこれからの競争優位性とか、成長という観点でも必要な要素になってくるのかなと思います。

したがって、その制度設計を早く急ぎ、その制度の中で議論をしていくというフェーズに入っていくことが必要です。そうした趣旨の一文を今回のレポートに入れていただいて、これからの議論の発展を期待したいと思います。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、大橋委員、お手が挙がっていると思います。どうぞよろしくお願いいたします。

大橋委員

ありがとうございます。

気候関連の情報開示が進んでいく中で、大企業、上場している大企業だけじゃなくて、サプライチェーン、我が国の経済のサプライチェーンを支えている中小企業も環境に対して対応が求められている、あるいはその求められている分野というのは、その範囲がどんどん広がっているというふうな状況なんだと思います。

そうした企業や、あるいは金融機関のニーズに対して応えるためにも、自力での排出削減ができればいいですけれど、そうした削減努力以外の手法も可能にするような、インフラ整備というのは必要であるということだと思います。

これまで、あまり熱心じゃなかったクレジット制度に対して、今後、しっかり取り組んでいくということが本報告書でもうたわれているということは、特定産業、例えば航空などの産業では非常に重要なことだと思いますけれども、そればかりでなくて広く我が国の経済にとって意味があることだなというふうに思います。

国境調整措置に関しては、我が国はこれまで価格ではなくて、数量で様々な環境施策を主に進めてきたという取組もあるんだと思います。そうした取組は、しっかり説明をしていくということが必要なんだと思います。46%を2030年に達成しようとすれば、数量の取組である省エネは必要だと思いますので、そういう意味でいうと効果的な省エネ法の運用というものは引き続き重要だと思いますし、温対法とどうやって折り合いをつけていくのかということで、そうした折り合いの中で現状の課題に対応できるように、どうやって発展的な出口を探っていくのかということも非常に重要だなというふうに思います。

こうした点も含めて、環境省と経済産業省の間で折り合いをつけて、制度を発展させていくということが今後求められてくるんだろうと思います。今回の報告書は、まさにそうした点に目配りがなされているというふうに認識をしていますが、先ほども、多分、大塚委員からあったと思いますけど、平成20年に排出量取引市場の試行的取組ということの議論がなされたというふうに認識していますけれども、このときも両省を含む共同事務局を構成して議論したというふうな経験もおありだと思いますので、そうしたことも改めて考えてみる余地はあるのかなというふうに思っています。

最後に、今回、こうした取組の中で、併せて経済成長という観点でいうと、DXの取組というのも、しっかり進めていくことが重要なんだろうというふうに思っています。様々な視点があると思いますけれども、例えば環境省でいえば、温対法上の算定報告公表制度というものがあるんだと思いますけれども、こうした制度がDXと融和性、親和性があるのかどうかということも、今後、検討する余地があるんだろうと思います。

以上、報告書のどこを直すというお話ではなくて、今後について思ったところを述べさせていただきました。ありがとうございます。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、神津委員、どうぞお願いいたします。

神津委員

気候変動、それから地球温暖化、それらが災害リスクに繋がっていると、我々は実感しているものと思います。CO2排出ゼロ社会を目指さなきゃならないという、とても分かりやすい目標を掲げて、我々は会議をしているんじゃないかなと思います。

化石燃料から自然エネルギーへの転換を図り、CO2排出ゼロ社会の実現にはイノベーションが必要だと、これは成長戦略に大いに資するものになり得るということも分かりやすい議論だと思います。

一方、この会議に度々登場するいろんな用語、例えば上流、下流の議論だとか、排出量取引、クレジット取引、価格シグナル、炭素国境調整というような、ちょっと分かりにくい用語が気になるところでございます。

CO2排出ゼロ社会の実現に向けて、企業の理解は当然必要ですけれど、もう一つ、国民の理解がとても大事だと思います。井上委員がご指摘になっていた中小企業の不安を解消しなければならないんだよということは、大事な指摘の一つであると思います。要望としましては、やっぱり国民が納得した上でのこのカーボンプライシングだと思いますから、国民に分かりやすい、例えばポンチ絵であるとか、ハンドブックであるとか、そういうようなツールを作成して、いろんなマスメディア戦略を展開して、国民の理解を得ることが大事だなと思います。

以上でございます。

浅野委員長

ありがとうございました。

それでは、有村委員、お願いいたします。

有村委員

ありがとうございます。聞こえていますでしょうか。

浅野委員長

はい、聞こえております。大丈夫です。

有村委員

まず、事務局、中間整理の取りまとめ、ありがとうございました。炭素税、排出量取引とも様々な論点が示されて、2年前に出されたものからすると、議論が進展しているようになっているとは思います。メリット、懸念も整理されて、ある意味制度設計をする上で教科書のようなものになっているのかなとも思いました。その上で、4点ほどコメントさせていただきたいと思います。

一つ目は、まず岩田委員からあったように、我々が今、防ごうとしている気候変動の被害に関して、具体的な金額、費用、コストを記載するというようなことは重要かと思います。どうしても、マイナス面ばかり強調される傾向があるので、我々が防ごうとしているものを明らかにするということは大事だと思いました。

それから、二つ目は、石田委員をはじめ、いろいろな委員から出ましたが、この制度、様々な懸念事項があるわけですけれども、2050年の脱炭素に向けた取組を進めるという点では、制度設計を具体的に進めていく中でそういったものを対応していくというような考え方があるのではないかと思います。例えば、先ほどご指摘あったエネルギー集約産業のコストということであれば、例えば減免措置があって、制度で対応できるものではないかと思いました。フィットでも、既に電力をたくさん使う事業者には減免措置がありますし、排出量取引であれば、無償配分で対応できるわけです。ですので、制度設計をしながら議論していくというようなことが、やはり必要ではないかなと思いました。

三つ目は、今すぐ導入には難しいというのであれば、安田委員の言うように、数値目標を掲げて、それができない場合には、明示的な炭素価格を導入をするという考え方もあるんではないかと思います。そうではないと、いつまでも議論を続けているというようなことになってしまうというような懸念を持ちました。

あと、関連してですけども、日本国内でも既にいろんな制度が実際に動いているのは確かですので、大橋委員が言われたように、現行制度との整理という意味では、環境省と経産省の合同委員会などを設けて、制度を議論していくということも必要ではないかと思いました。

4番目は、先ほどから何度か出てきている国境炭素調整の話です。国境炭素調整、今回、EU-ETSとリンクしている国からの輸出は減免するということのほかに、国内に炭素価格がある国は減免措置があるというような制度になっているというふうに理解しております。そうなってきますと、結局、炭素価格を国内で払うのか、外国で払うのかと、そういったような違いになってくるというような社会になってきているのではないかなというふうに思いました。

中間取りまとめに反映すべきということでは必ずしもありませんが、今後、そういった視点で国境炭素調整が、各国のカーボンプライシングを促進するような影響があるのではないかなというふうに思っております。

以上です。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、椋田委員、お願いいたします。

椋田委員

ありがとうございます。聞こえておりますでしょうか。

浅野委員長

はい、聞こえております。よろしくお願いします。

椋田委員

まず、事務局には、今回取りまとめていただきまして、ありがとうございました。

私からは、国境炭素調整について、1点だけ申し上げたいと思います。

今回、EUがこの案を発表する少し前だったと思いますけれども、アメリカのイエレン財務長官が、いかなる炭素国境調整システムも、明示的なカーボンプライシングのみに着目するのではなく、各国の気候変動対策が排出をどの程度減らしていくのかに着目することが大事である旨、発言していたとの報道がございました。

今回のEUの提案は、まだ案の段階であり、これから中身を詰めて、最終的に法制化されていくということだと思いますけれども、やはりこういった制度が保護主義的なものにならないということが重要だと思います。

そういった意味で、この報告書の39ページにも書いてございますように、政府が取りまとめた「基本的な考え方」の中で、炭素国境調整措置導入の妥当性やその制度の在り方について、立場を同じくする国々と連携して対応するとあるわけですが、このアメリカのイエレン財務長官の考え方は、日本の考え方とも比較的近いと思われますので、ぜひこういった国々とも連携しながら、EUの制度が過度に保護主義的にならないよう働きかけていくことが重要ではないかと思った次第です。

私からは、以上です。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

それでは、神野委員長代理、どうぞご発言をいただければと思いますが。

神野委員長代理

中間整理案、事務局のほうにまとめていただきまして、ありがとうございます。

それで、私は中間整理案としてはよくまとまっているのではないかと思っています。それは、論点を体系的に、網羅的に整理していただいているということです。カーボンプライシングの内的関連と言ったらいいんでしょうか、租税と、それから排出権取引とか、その内的関連の論点をちゃんとまとめていた。

それから、もう一つは、他の諸政策、あるいは既存の制度等々との関連についての論点をうまくまとめていただいているということなどを含めて、体系的にまとめていただいているというふうに思います。

ただ、委員の皆様からのご議論からいって、論点整理としましては、両論併記しているにすぎないと、これは中間整理の段階ですので、やむを得ないかなとは思います。もしも、僕はそれほどはないと思いますが、意見として漏れているものがあれば、それは拾うということはあり得るにしても、網羅的に大体書かれているのではないか。もちろん、当然のことながら議論をするということはお互いの議論を融合させていくということもあるわけですが、融合できなかったものについていえば、それはそのまま書くということだと思いますので、そこについては、大体漏れなく書かれているかなという気がいたします。

改革というのは、スピードが重要で、このままでは遅くなるんじゃないかというご心配もあるかと思うんですけれども、改革のときにヨーロッパのほうで割と多いのは、Slow up and Calm down、つまり日本とかアメリカはスピード、スピードというのが多いんですが、向こうは慎重に、慎重に、間違えないようにねということで、ぽっと出てきますけれども、長い年月をかけて議論をしているということがございますので、慎重に、慎重に、間違えないように進めていくということは、かなり重要ではないかというふうに思っています。

何もなしに時間を延ばすというのは全く意味がないので、当然のことながら、慎重に議論するということは、いざ実行に移したときの状況はちゃんと埋めておくとか、実行に移すときの準備作業をしておくとか、それからどういう問題点を、どう解消していったらいいのかということをクリアにしておくことを、実施しておくということが重要だと思っております。

そのために、この中間整理を軸にして、恐らくそれぞれ具体的なレベルでの議論は、もう始まるんだろうと思っています。例えば、私の関連する、というか、私の専門でいけば租税等々についても、この案に基づきながら議論は展開していく。そのときに当然のことですが、租税政策には租税政策の目的がありますので、どうしてもこういう政策で出てきた場合には、課税目的が衝突するわけです。この課税目的を衝突しているのを調整していくという作業を租税政策を担う分野でやっていかざるを得ないわけですから、そのときに、じゃあ、どういう論点があるのかということについては、整理していただいているので、これを軸にしながら次のステップの議論を進める上の、何というのかな、条件づくりというものにはなっているのはないかと。重要なのは、次のステップに進めていくということです。

もう一つは、ここでは一応、私の少しうがった見方かもしれませんが、とにかく、取りあえずやってみることが重要だと、カーボンプライシングについて、そういうご意見もあって、それは私もそうだと思っています。したがって、先ほども申し上げましたけれども、慎重に、慎重に進めるということは、いざやるといったときの準備もちゃんとしておくということが重要で、議論のための準備と、実行のための準備という両方を着実にやっていくことが必要で、そのための手がかりとして、これ、論点整理ですからということでは、うまくまとめていただいているのではないかというふうに思いました。

ちょっと、感想めいたもので申し訳ありません。

浅野委員長

どうも、神野委員長代理、ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。

それともう、ほかにご発言、ご希望の委員はいらっしゃいませんでしょうか。私の手元にあるメモでは、お手が挙っている方は以上だったと思います。よろしゅうございますね。

明示的なご質問としては、小西委員からございました。大塚委員からもありました。それから土居委員からは経済産業省にという、名宛てでご質問がありましたが、事務局で、ちょっとご質問に対するお答えを現段階でできるものについて、ご回答いただけませんか。

井上市場メカニズム室長

ありがとうございます。環境省の井上でございます。

様々、ご意見を頂戴いたしまして、ありがとうございます。この案につきまして、今、ご指摘いただいたもので、反映できるものは反映したいと思っております。特に、複数の委員から具体的な数字とかファクトとか、そういった部分がちょっと少ないというご意見もいただきましたので、これまで我々が示してきたデータも含めまして、例えば、注釈でファクトを書くなど、そういう工夫はしていきたいというふうに思っております。

数点、ご質問ありました話について、答えられるものを答えたいと思います。

まず、岩田委員のほうからございました44ページの温対税の価格効果、財源効果の試算の部分でございます。特に44ページの価格効果のエネルギー需要の価格弾力性につきまして、長期で見たときに0.14から0.78というふうに書いてあって、その中間を取って計算しているのではないかというような指摘がありましたけれども、これにつきましては、44ページの下の表のところを見ていただくと、エネルギー需要の価格弾力性の推定結果ということで、部門ごとでそれぞれ産業、家庭、業務、運輸ということで、それぞれ短期、長期ということで書かれています。そこの、それぞれの部門ごとの長期の部分をそれぞれ用いまして、この約320万トンのCO2削減ということで求めておりますので、先ほどありました0.14から0.78の中間値を取っているのとは違い、それぞれの部門での長期の弾力性を取っているものということでご理解ください。ただ、いずれにしましても、当時、この価格効果のところでも議論があったかと思いますけども、やはり若干この価格効果の推計の仕方というのも、粗い部分もございますので、まだ我々の中でどうしていいかというところも決まっておりませんけども、さらにより精緻なものになるように、引き続き、そこは検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

続きまして、同じく岩田先生のほうから、CBAMの関係でEUからの輸出のところが、今回の欧州委員会からの提案のところで、何か書かれているかというご指摘だと思いますけども、私が見る限りでございますけれども、EUへの輸入の部分については、こういう炭素国境調整措置の話は書かれていますけども、逆にEUからEU外に輸出する部分について、例えば還付するとか、何かしら減免するとか、そういったような記載はなかったものというふうに理解しているところでございます。まだ十分に精査し切れておりませんので、また改めてその部分はよく読んでみまして、もし間違い等がございましたら、またご連絡差し上げたいと思います。

あと、小西委員のほうから、大臣が日経新聞でカーボンプライシングをさらに強化というような話をされたということですが、それが何を意味しているかというと、それは大臣に聞いてもらわないと分からないですけども、いずれにしましても、大臣がこれまで会見でもおっしゃっているのは、昨年12月に総理から経産大臣、環境大臣に対してカーボンプライシングについて検討するように指示があって、まず、環境省、経産省が連携した形でこういったカーボンプライシングということを検討するということが、まず一つ重要なことであります。

もう一つは、こういった議論の結果として賛否あるかもしれませんが、成長戦略の実行計画、またいわゆる骨太の方針で、これまでカーボンプライシングは記載されないものでございますけれども、やはりグリーン成長というか、環境はコストではなくて、CO2削減自体が価値になるという認識の下で、カーボンプライシングというものがものすごいボリュームで書かれているというところが、もう一つ重要なことになっていると思います。そういった上で、後ほど説明いたしますけども、今後、こういった小委員会の場でも、今はこういう形で定性的な議論になっておりますけれども、より技術的、専門的な議論を進めてまいる、そういったところで我々としては大臣のおっしゃる一歩前進というような形で、一歩強化ということでやっていくのだというふうに理解をしております。すみません、これは私の理解でございますが。

あと、同じく小西委員から、CBAMに関して、今、電力を除いて話してもいいと思いますけども、セメント、肥料、鉄鋼、アルミニウムという4品目についての、我が国の産業経済に与える影響ということでございますが、私の理解でございますが、少なくともこれら4品目につきまして、日本からEUに輸出されているものというのは、極めて限られているものだと思います。もう0%から1%ぐらいのもので、そういった意味では、ちょっと言い過ぎかもしれませんけども、直接的な影響というのは大きくないかもしれません。

ただし、2点、懸念があると思っております。1点は、よく産業界の方がおっしゃいますけども、例えば一番分かりやすい例でいくと、鉄でございますが、例えばトルコとか、そういったところからの鉄は、EUにこういうCBAMが導入されるころによって輸出できない、そうなってくるとアジアのほうにその鉄の輸出が起こってくる、そうなってくると、アジア市場というのがますます競争力がかなり厳しくなってくる。そういった間接的な影響というのをどう捉えるかという面が一つ。

あともう一点は、こういった5品目だけで終わるのかということで、今後、さらに品目の追加があるかもしれない、そういった中での我が国への影響というのも、よく考えておかなければならないということだと思っております。

続きまして、大野委員からございました、「おわりに」というところの、51ページから52ページのところでございます。まず、少なくとも、我々の認識としては、2030年度の46%削減、2050年カーボンニュートラルの実現に向けまして、カーボンプライシング、とりわけ炭素税や排出量取引だけで、それを実現するというわけではありません。そういった意味では、様々な規制、自主的取組、様々な支援、それにこういったカーボンプライシング、そういったものを合わせまして、まさにポリシーミックスとしてやっていく、その中の一つとしてカーボンプライシングをどう考えるかということが、まず重要だと思っています。

さらに、カーボンプライシングの中でも、炭素税か、例えば分かりやすい話でいくと、炭素税かボランタリーなクレジット取引かという二項対立ではなくて、両立した形で、それぞれのメリットを生かしながらやっていけるものだと思っております。

実際に、52ページにありますけども、上のほうにありますのが618日に閣議決定されています成長戦略実行計画でございますが、私の理解としましては、まず最初に書かれているのは、成長に資するものについては、まず躊躇なく取り組むということでございます。躊躇なく取り組むという流れの中で、まず既存で既にありますJ-クレジット等のボランタリーなクレジット取引についての強化というものが躊躇なくできるものでございますのでやっていくと。さらに、炭素税、排出量取引につきましては、様々な負担とかの関係もありますので、成長に資する制度設計ができるかどうか、専門的・技術的な議論、この部分が重要だと思っております。というところで進めていくということで、私たちの理解としては、J-クレジットとか、こういうボランタリーなクレジットがまずあって、それの様子を見て、炭素税、排出量取引というわけではなくて、先に、既存のJ-クレジット等については、まず強化をし、同時並行的に炭素税、排出量取引についても、そこはスピード感を持って、一方で色々な利害関係者がいますので、そういった意味では慎重な検討をやっていくということだと思っておるところでございます。まず、その点について、ご理解いただければと思います。

その上で、最後の、52ページの最後のパラグラフで、こうした経緯に加えというところでございますけども、私の理解としては、この部分は議論を、またボランタリーなクレジット等の様々なものに拡散させるというよりは、むしろ私は集約させていく記載だと思っております。まず、炭素税、排出量取引につきましては、先ほど手塚委員等々からございましたけども、エネルギーミックス、エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画などで、具体的な姿が見えておりますので、そういった意味ではコストとか、税であればどういった形で使うのか、様々な主体、そういったところへの負担軽減をすべきところはどうやって軽減をしていくのか、まさにそういった専門的・技術的な議論、いわゆる制度設計に係る議論みたいなことをできるところからやっていくということだと思いますし、ポリシーミックスにつきましても、より46%削減、2050年カーボンニュートラル、そういったところに向けた計画がより具体的に示されておりますので、こういった流れの中でポリシーミックスについても、前回まだそこが示されていなかったので、ぼんやりした議論になったかもしれませんけども、より詳細な議論ができるものと思っておりますので、私としては、この部分については、拡散したというよりも、むしろ議論を集約し、より詳細な制度設計に向けた議論を始めていくという理解でおりますので、その点、ご理解いただければというふうに思うところでございます。

残りは、土居委員のほうから、WTOルールについて、EUCBAMは整合的と言えるかどうかというところでございます。後ほど、できれば経産省の梶川室長からもお答えいただければと思いますけども、いずれにしましても、まだ少なくともいろんなものを精査しておるところでございますし、実際に欧州委員会というよりも、欧州議会、あと産業界含めて、このCBAMについては様々意見があると聞いておりますので、そういった意見でどういった修正がなされていくか、そういったことも加味しながら、WTOルールとの整合性ということについては、さらに我々としてもしっかり議論をし、国際的にも様々発信していくということだと思っているところでございます。

雑駁ですけども、私のほうからは以上でございます。もし、梶川室長のほうから補足等ありましたら、よろしくお願いいたします。

浅野委員長

どうぞ。お願いします。

梶川室長

経済産業省の環境経済室長の梶川です。

今、井上室長からお話をいただいた内容で、かなり網羅的かなと思いますけども、少し補足的にご説明をさせていただこうかと思います。

特に、欧州委員会の炭素国境調整措置の件について、日本の産業界への影響というご質問と、あとWTOルールとの整合性という話があったかと思います。

日本の産業界への影響ということですけども、まず、これ、7月14日に発表された案ですけども、これ、あくまで現時点の案ということで、ある程度の概要は出ているんですけども、制度の詳細がまだ見えていないという部分があるなと思っています。その上で、先ほど井上室長のご説明がありましたけども、鉄鋼、アルミ、電力、こういった製品ですけども、EUから見て輸入量は1%以下、あと日本から出て行く輸出のシェアとしても1%以下というのが実態ではございます。その上で、注意すべき部分としては、これも先ほど井上室長からご説明ありましたけども、これ、ロシアとか、ウクライナとか、幾つかEUに輸出をしている国々の製品が、そこでピックアウトされることによって、ASEANにこういったものが出てくると、そうすると供給量が増えますので、値崩れが起こしやすくなるとか、そういう影響があり得るのではないかというのが1点。

あと、実際には、この発表があった後に、私が認識している限りにおいては、中国、オーストラリア、ロシア、ウクライナ、トルコ、この辺りの国がこういった措置に対して反対しています。そうすると、自国の市場を守るために、各国が、例えば貿易制限的な措置を取るような形になっていくということになり、世界経済の中で、この保護主義がだんだん強まる可能性もあります。日本は貿易立国であり、自由にこういった取引をすることが一つ日本の経済の強さにもなると思いますので、このあたりはEUとの関係において、しっかり注視していくというのが大事かと思っておるところでございます。

その上で、WTOルールとの関係ですけども、これは先ほど申し上げたように、制度の概要は発表されたんですが、まだ詳細が分からないということになっています。その上で、WTO協定上、外国の産品に対して、国内の同志の産品よりも不利ではないような待遇を与えるという原則がございまして、こことの関係が論点になるというふうに認識をしております。

そのときに大事になってくるのが、それぞれの産品ごとに、どういうふうに炭素の排出量を計算するかという計算の仕方、ここがある程度統一されていないと、なかなか各国で比較できないということになるかなと思っていまして、例えば、鉄鋼でいくと、EUタクソノミーでEUが採用している計算方法は、ISOで合意したやり方と異なります。その辺りは、しっかりと制度設計がどうなってくかというのを注視していくのが大事ではないかというふうに考えているところでございます。補足まで、私からは以上でございます。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

先ほど、土居委員から、13ページの記載について、少し検討したらどうかというご意見がございましたので、この点は、事務局とも相談して検討させていただきたいと思います。

そのほか、本日いただきましたご意見の中で、この中間的整理の中に入れたほうがいいようなものがあれば、それは極力入れるということにしたいと思いますが、大筋においては、この事務局の出しました整理案について、あまりご異論はなかったというふうに考えております。

そこで、この中間整理の案の今後取扱いにつきましては、私にご一任いただけますでしょうか。もし、ご異議がございましたら、どうぞお手元にある挙手ボタンで異論あるということを言っていただければ、岩田委員、お手が挙がっていますが、どうぞ。岩田委員、何かございますか。

岩田委員

私の意見に若干の、今、事務局のお答えありがとうございます。私が、今回の報告書で一つ抜けているのがグローバルな観点で、国境調整措置のところはそこは分るわけですけど、この気候変動はグローバルに取り組まないと仮に先進国だけが一生懸命やっても駄目なということになると思うんです。グローバルなところが、私、議論として非常に少ないなと思っていまして、先ほど中央銀行のネットワーク、Greening financial Systemの例を挙げたんですが、例えば、IMF、金融のほうはもうちょっとこのいろいろなリスクに対してセンシティブで、グローバルに考えようということで、情報開示についても共通のルールでやっていこうとしていますし、それからIMFが今年の1月にポリシーノートというのを出しまして、これは国際的なカーボンプライシングのフロアーを設けようと、ちょうど、これはカナダで州ごとにかなり違いあるので、これを徐々に一つのものにしていくと、1810ドルから2050ドル、30170ドル、これ、カナダドルですけど、こういうカナダ政府の例に倣って、グローバルにもそうやったらどうかという提案をしていまして、それで6か国上げていて、アメリカ、カナダ、EUUK、中国、インド、日本は触れていないんですが、これで3段階の税、最終的にはみんな75ドルになる、だけどそこに行く途中では25ドル、50ドルというような最低のフロアーをそれぞれ設けたらどうか、ちょうどOECDで法人税の最低税率の議論がございますけれども、それと同じことをこのカーボンプライシングでやったらどうか、こういう議論もありまして、以前に事務局のほうでIEAのほうがどのぐらいのカーボンプライシングという数字をご紹介になったかと思いますが、私、グローバルな相場観というのも、やはり重要だと思っていまして、そういったことも、これはフットノットにするか、別途の資料にするか、ぜひ、加えていただきたい。

それから、その関連で言いますと、前回ご紹介のあった増井委員のIntegrated Assessment Modelだというふうに思いますけど、これはいろんな形で各国がやっていますけれども、これ、あと、私、コメントいたしましたが、排出ゼロとした場合のシャドープライス、これは求めることができるんです。それで、増井委員は、いずれご紹介したいというお話があったんですが、例えば中央銀行のそのネットワークでは120ドルから300ドルというシャドープライスとしての排出ゼロ制約の影の価格、それがこのぐらいだというような、ある種のやはりその判断材料、いろいろなモデルのシミュレーションをやったらいろんな結果が出るわけですけども、大体どういう方向でグローバルに動いていくかという、こういう材料も私は、ぜひ、付録でも、あるいはフットノートでもいいですけれども、加えていただきたいと思います。

以上です。

浅野委員長

その点については、また後で事務局と相談をいたしまして、先生ともご相談させていただきたいと思います。

大野委員、どうぞ。

大野委員

ありがとうございます。私の意見に対しては、最後、井上室長のほうから説明がありまして、私が懸念するように、これからまた間口を広げてやっていくではなくて、これからは排出量取引と炭素税について、むしろ包括した議論をしていくんだというご説明があったんで、大変よかったと思います。

そうであれば、取りまとめについて、浅野委員長にご一任するのは異議がないんですけども、ぜひ、この最後の部分については、今の記述だと、どうしても炭素税、排出量取引についても専門的議論と、カーボンプライシングに関するその他の手法、ポリシーミックスに係る検討というのが三つ並列して書いてあるので、どうしても誤解が生じる可能性があると思いますので、ここは、そういう誤解が生じないような表現をご検討願いたいと思います。

浅野委員長

分かりました。

大野委員

なお、追加的に申しますと、私はもちろん炭素税や、要するにカーボンプライシングだけで気候変動対策が、対策が可能だということを全く思っておりませんで、ポリシーミックスというのが必要なことは言うまでもないんですが、ただそのポリシーミックスの検討、この委員会で全部やるわけはないので、この委員会はあくまでも炭素税、カーボンプライシングについて包括していくものだと思いますので、そういう趣旨で申し上げましたので、念のため付け加えます。

以上でございます。

浅野委員長

承知しました。事務局とこの件についても、相談させていただきます。

ほかに、よろしゅうございましょうか。

それでは、特にご異論がないものと認めさせていただいて、この後の取扱いにつきましては、私のご一任をいただければと思います。どうもありがとうございます。

それでは、ほかに何かご発言をご希望、ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、今日は久しぶりに早めに終わることができました。ありがとうございました。事務局、どうぞ、この後、今後の予定についてお話しください。

井上市場メカニズム室長

前田委員が、今、入られたとのことなので、前田委員のほうでコメントございましたら、お願いできればと思います。

浅野委員長

前田委員が遅れて、今、参加されたようですね。

前田委員

今、ボタンを押した瞬間に、今日終わりという話を聞いたところで、皆さんの議論を聞いていない中でいろんなことを申し上げるのは、ピント外れだと思い、あまり申し上げることはないんですが、では、一言だけ申し上げます。皆さん、もう十分議論があったと思いますこの中間整理の案を私もざっと見させていただきました。それで、「はじめに」のところですが、今般の中間整理は、カーボンニュートラルやグリーン成長の実現のため、ポリシーミックスの一つであるカーボンプライシングの活用に関する再開後の議論を論点ごとに整理するものであるとなっています。たった、ここ2行、3行ぐらいですけれども、これは、今回の議論をよく表しているなというふうには思いました。この前、198月に中間的整理をやったと思いますが、それからの違いという形がとてもよく表わされているんじゃないかなと思った次第です。

以上です。

浅野委員長

どうもありがとうございました。

すみません、ちょっと見落としておりました。今後も、本委員会の論議が続くと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、事務局、よろしいでしょうか。

井上市場メカニズム室長

本日は、ありがとうございました。

先ほど、この中間的整理案につきましては、浅野委員長一任ということでございますので、委員長とも相談いたしまして、修正すべきところを修正し、ご発言のあった先生につきまして、またご相談もあわせてさせていただければと思っております。

次回につきましては、まだ現時点において開催時期未定でございますが、これも委員長にもご相談した上で、また追って事務局よりご連絡をいたしたいと思っております。

本日は、ありがとうございました。

浅野委員長

それではどうも5回にわたっての委員会の議論にご参加くださいましたことを、私からもお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

それでは本日はこれで散会いたします。

午後5時15分 閉会