地球環境部会(第140回) 議事録

日時

平成31年1月16日(水)14時30分~17時00分

場所

 全国都市会館 大ホール

(東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館2階)

議事録

午後 2時30分 開会

総務課長

それでは、定刻となりましたので、ただいまから第140回中央環境審議会地球環境部会を開催いたします。

初めに、私ですが、事務局を務めます地球環境部局総務課長の秦でございます。よろしくお願いいたします。

本日は、委員総数26名中、過半数の委員にご出席をいただいておりまして、定足数の要件を満たし、部会として成立しておりますことをご報告いたします。

また、本日の審議は公開といたしております。

まず、最初に安井部会長よりご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

安井部会長

皆様、こんにちは。また、本日、よろしくお願い申し上げます。

後で最後にいろいろ若干述べたいと思いますけれども、私にとって多分最後の座長でございますので、ひとつ特によろしくお願い申し上げます。

ということで。

総務課長

ありがとうございました。

続きまして、地球環境局長の森下より一言ご挨拶をさせていただきます。

地球環境局長

地球環境局長でございます。

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

去年1年間をちょっと振り返ってみたいと思うんですが、毎年、実は申し上げているかもしれませんが、本当この1年たつと、大きく世の中がさま変わりをしていることに気づかされるということがここ数年続いている状況だと思っております。

昨年は、本当に宿願でございました気候変動適応法が成立をいたしまして、12月1日付で施行という運びになりました。これまで地球環境部会で長年にわたって、これは研究の段階から育てていただきましたこの適応が大きな政策として確立をし、そして、今まさに全省が協力をしながら、自治体の方々、そして国民の皆様方、企業の皆様方も連携しながら、大きくこの問題に取り組んでいこうということができたということで、本当に重要な年だったなというふうに思っております。

振り返ると、夏の豪雨、そして猛暑、そして災害、さまざまなことが起こった1年でもありまして、国民の皆様方の中に、このままだとやっぱりちょっといけないんじゃないかという認識が本当に根づいてきた時期だったということも言えるかと思います。

そういったことが起こってきてしまうことをやっぱりとめるということが非常に大事で、適応も大事ですが、当然、その緩和、温室効果ガスの排出を減らしていくという努力も本当に待ったなしの1年になったという印象がございます。

年末には、COP24が開かれまして、原田環境大臣も参加をいたしまして、パリ協定の実施指針が策定をされたということで、このインターナショナルにも大きな変化がございました。今後は、世界が交渉から温暖化対策の実施、インプリメンテーションに大きくフェーズを移していくという、こういう年に2019年にはなるというふうに思っておりまして、皆様方と一緒にまた協力をさせていただきながら、連携させていただきながら取り組んでいきたいと思います。

また後ほど、ちょっと担当から述べると思いますが、COP24では、さまざまな企業の皆様方、そして自治体の皆様方の大きなご協力をいただきまして、本当に日本の発信という観点でも大成功だったというふうに思っています。心から御礼申し上げたいと思います。

今年ですが、言うまでもなく、G20が日本で開かれる年でございます。また、環境という名前を関したG20の会合もあわせて初めて開かれるということで、脱炭素化、そして世界のエネルギー転換、経済成長、そして地域の活性化、そういったことにつなげていくと。新たな成長の方向性というものをしっかりと打ち出していく。そんな年にしてまいりたいと思います。

また、後ほどご報告もさせていただきますが、フロンの取組、そしてカーボンプライシング、長期戦略の取組、そういったものに関しても、しっかり取り組んでいきたいと思っております。

引き続き、この地球環境部会で高所大所からご指導いただきながら取り組んでまいりますので、今日は忌憚のないご意見をぜひぜひお願いしたいと思います。

ありがとうございます。

総務課長

それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

本日の資料につきましては、ペーパーレスとさせていただいております。委員の皆様方におかれましては、タブレットをご覧いただきたいと思っております。

資料4につきましては、昨晩、ウエブサイトにアップしたものの、不備がございました。また、資料の5-3及び本日ご欠席の高村委員から提出のあった意見については、ウエブサイトのアップが間に合わなかったということで、傍聴者の皆様には紙で配付をさせていただいております。ご了承いただきたいと思います。

それでは、以降の議事進行につきましては、安井部会長のほうによろしくお願いいたします。

安井部会長

それでは、議事に入りたいと思います。

本日でございますけれども、議事次第といってもすぐ出てきませんけれども、その他を含めまして、七つの議題が予定されております。そのうち、二つ目の気候変動影響評価等小委員会の設置要綱の一部改正について、これのみが審議事項でございまして、それ以外は全て報告事項となってございます。

議事の進め方でございますけれども、まず議題1、COPの結果と、それから審議事項でございます、先ほども申し上げました議題2、それぞれを個別に。その後は、議題35までは一括して、そして、議題6のカーボンプライシング、これは皆様の多分非常に強い関心があると思われますので、個別に時間をとりまして、説明・質疑応答等を行う形という形にさせていただきたいと思います。

それでは、最初の議題でございます。まず、議題1につきまして、事務局からのご説明をお願いいたします。

国際地球温暖化対策担当参事官

国際地球温暖化対策担当参事官、小川と申します。よろしくお願いします。

資料1について、ご説明をさせていただきます。

2枚目に行っていただきまして、COP24について、これは概要でございます。122日~15日まで、14日までの予定ですけれども、通常どおり、いつものように1日延びたということでございまして、15日に閉会をしております。議題としては、まさしく実施指針をまとめるという会議でしたので、これが一番大きな交渉の議題でございました。あわせて、COP23でタラノア対話というのをやりましょうということが決まっておりまして、これのハイレベルの対話が行われております。三つ目がグローバルな気候行動の推進ということで、さまざまなパビリオンあるいはイベントが開かれて、世界規模で全ての主体の取組を推進しようという取組が行われました。

3枚目に行っていただきまして、結果の概要、主に3点ご報告をいたします。まずは、実施指針の採択でございます。パリ協定の精神にのっとって、二分論によることなく、すなわち先進国と途上国に分けることなく、すべての国に共通に適用される実施指針が採択されました。内容につきましては、緩和、次ページ以降、詳しくご説明をさせていただきます。内容について、緩和、透明性、市場メカニズムについて、決まっております。これの決定に当たりまして、今ありましたように、大臣も参加いただき、非常な交渉グループとバイ会談等を行いつつ、議論について積極的に参加をしております。特に二分論の回避については、これは非常に重要ということで主張して、最後、共通な実施指針の採択に至ったということでございます。

また、取組のアピールにつきましては、今ございましたように、さまざまなインプットもいただきつつ、ちょうどそのCOPの直前に、今会議でご報告させていただきます暫定値、速報値が出ましたので、この速報値において、4年連続の排出削減が実現していること、また、10月に打ち上げを成功しました「いぶき2」による世界の排出量の把握、透明性への貢献ということ、また、新しいビジョンとして、地域循環共生圏の構築などをステートメント、あるいはバイ会談の場でご説明して、あらゆる機会で発信をしております。

また、あわせてG20を念頭に、海洋プラスチックの対策につきましても、非常によい機会ですので、特にアメリカ、中国などと意見交換をさせていただいております。

最後、アメリカですけれども、交渉参加、非常に関心が高いので、この概要に特に記させていただいておりますけれども、アメリカも非常にパリ協定に対する脱退を表明していて、その態度は変わらないということがございますが、一方で、非常に国益を重視する観点から積極的に交渉には参加をしております。終わった後でありますけれども、国務省のほうから交渉の成果には留意する。また、その成果については、アメリカが経済的競争相手に対して、きちんと報告をせよと。自身のインベントについてきちんと報告をしてきたことについて、同じ内容で、同じ土俵で、指針で報告することになったということで、非常に重要な一歩であるというような評価をしております。

すみません、次、スライド3でございますけれども、ということで、詳細につきましてご説明いたします。詳細といっても、100ページを超えるものですので、非常に詳細の概要ということになりますけれども、緩和につきましては、まず、これは必ず全ての国が4年に1回出すNDC、目標値でございますが、そこに盛り込む情報について決定いたしました。目標あるいは基準年、基準年の定量データ等、決定いたしております。各NDCに当てはまる情報のみというのは、すなわち多くの先進国は、現時点で定量的なNDCを出しておりますし、途上国については目標年におけるBAUに対するパーセンテージというような出し方をしておりますけど、それぞれのNDCに応じて、定量的なデータあるいは定性的なデータをきちんと出していくということでございます。また、このアカウンティングについても、原則というのを規定をしております。

 適応につきましては、これは適応報告書を、shouldということで提出することが求められております。これは、緩和と違って、各国の任意ということもありますけれども、その適応報告書に記載する内容、影響リスク、政策・計画、あるいは支援等について列挙をしております。また、ニーズの評価等についても、方法論、レビュー等について書いていくということで、定めております。

 次に、資金でございます。大きく途上国からの非常に強い要望というか主張というのがありまして、一つは、資金の支援の見通しについて、9条でございますけれども、報告の方法について各国の裁量を確保した形で透明性のある報告についてのシステムを規定しております。また、もう一点は、025年まで毎年1,000億ドルという目標がCOP21で決定をしておりますけれども、これを超える2025年以降の目標については、2020年から検討を開始するということが決定されております。

 次に、スライド4でございます。透明性の枠組みということで、非常に簡単ですけれども、2年に1回ですね、透明性の報告書を出していくということで、盛り込んでいく内容について規定をしております。特に交渉で能力が不足する国に対して、柔軟性が与えられるということがパリ協定の中に盛り込まれておりますけれども、具体的にどのような柔軟性を与えるのか、特にインベントリーの中で、どういうことについて柔軟性を与えるかについて、詳しく特定をして規定をしております。あわせて、途上国において、柔軟性を適応するんですけれども、その柔軟性をどう適応しなくてよくするか、どういう能力開発を行っていて、どう改善していくかということについても、報告をしていただくということが決まっております。

最後、グローバル・ストックテイクですけれども、これについては、これも5年に1回、世界の全体の進捗を把握しようということで、それに使うための情報、例えばIPCCのレポートでございますとか、あるいは、透明性の2年に1回のレポートでありますとか、そのような情報を何を使って、この世界全体の進捗状況を把握するか、そして、その把握の仕方について、技術的なレビューを行うということ、また、ハイレベルのイベントを実施をして、どういうメッセージをまとめていくかというようなことについての実施の方法についても、この中で、実施指針の中で規定がされています。

大きくはこの五つの項目について、実施指針について定められております。

もう一点、スライド5でございますけれども、市場メカニズムは、そういう意味で、実施指針のところが今後決定をするというようなことで、実際の詳しいルールについては、次回以降決めていくということになりました。ただ、先ほどの一番冒頭のスライドにも書いておりましたけれども、非常に重要な点、すなわちダブルカウントを防止したものについて、きちんと透明性の報告書の中でレポートを出してもらうということについては、これは13条の実施指針の中で今回決まりましたので、具体的には、その真ん中にありますように、相当調整、ダブルカウントを防止するような調整をした後の排出量というものをちゃんと報告せよと。かつ、二重防止に向けた確固なアカウンティングについても報告せよということで、13条のほうではこれが担保されたということでございます。

この具体的なルール、2ポツの市場メカニズムについてはということでございますけれども、64のメカニズムの制度内容、あるいは京都メカニズムの取り扱い等について、あるいは二重計上の防止の詳しいルールについて、次回のCOPで決めていくというようなことが決まりましたので、少々残りましたけれども、繰り返しになりますが、そのダブルカウントは絶対防止するということが13条で固まりましたので、これを踏まえて、きちんと6条の実施も決めていくということだと思います。

交渉については以上でございまして、あとは、ステートメント、非常にこれもCOPの議事としては重要でございますが、原田大臣に出席いただきまして、先ほどの削減の継続していること、あるいは「いぶき」のことについて、発表していただきました。また、ジャパンパビリオン、右下に、写真はちょっと小さいんですけれども、従来のセミナーの会場だけということではなくて、具体的な浮体式の洋上風力とか、あるいは、チャレナジーということがありますけれども、いろんな具体的な技術についても展示しつつ、日本の取組をアピールをしております。

また、スライド7でございますけれども、これは2国間の会議ということで、大臣におかれては、13カ国、1地域、8団体ということで、非常に多くのバイ会談をやっていただきました。クリティカ議長とも交渉について議論をしたり、あるいは、特にアメリカについては、パリ協定の参加をどう考えるかということ、あるいは、そうはいっても、アメリカについては、引き続きスタンスは変わらないということを言っておりますけれども、一方で、温室効果ガスの削減と経済成長を達成するというようなスタンスについては、確認をしております。

また、プラスチックでございますけれども、来年、途上国を巻き込んだ形で、地球規模での実効性のある枠組みを構築したいということについても、あわせて時間を有効に活用させていただいて、議論をしたところでございます。

説明は以上でございます。

安井部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまご説明いただきました内容につきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、例によりまして、お手元のネームプレートをお立ていただきたいと思います。

しばらく様子を見ますが。このぐらいですね。

それでは、そちらの岸上委員から順番にお願いいたします。

岸上委員

お疲れさまでした。ご報告ありがとうございます。

直接関係しないかもしれませんが、たしか10月に出ましたIPCC1.5℃の特別報告書について、何か議論なり、あるいは各国のスタンスなり、それぞれの国がどのように考えているかといった議論はありましたでしょうか。質問させていただきます。

安井部会長

そうですね。人数が限られているようですから、今、ご回答いただいても。

国際地球温暖化対策担当参事官

まず、IPCCの報告の受け止めということについて、いわゆるサブスタ、実務者の会合と、あとはCOP決定のところで議論がございます。サブスタの実務者のレベルでは、報告書をウエルカムするか、あるいはノーとするかというようなことで、いろいろ文言の調整が実施されましたけれども、結局、実務者のレベルでは、文言については合意に至りませんでした。一方で、そういうことも含めて、今度、COP決定でどう書くかということで議論がなされまして、最終的には気候変動の科学的知見に関するIPCCの役割を認識するということ、また、この気候変動の枠組み条約の招聘に応じて、同報告書を作成してくれたことに感謝をするということ、同報告書のその時宜を得た完成を歓迎するというような内容で、COPの決定がなされております。

また、IPCCの議論になったかということで、COP決定のてんまつについては以上でございますけれども、国によっては、やはり1.5℃報告書を踏まえて、今後、各国の目標をどうするかということについて、国によっては発表しているところがございました。

安井部会長

ありがとうございました。

井田委員、お願いします。

井田委員

すみません、今のとも関係するんですけども、ちょっと1.5℃と、2℃でもギャップがある中で1.5℃というのはパリ協定の目標の中で大きなギャップがあるというようなことがどれだけ深刻に受け止められたのかとか、今、一部の国は1.5℃のことを重要だと言ったと言ったけども、日本政府はどのように受け止めたというようなことをおっしゃったのかと。あと、タラノア対話の中で、今後の目標を深掘りというようなことがどれだけ議論があったのか。また、日本はそれに関して、どういう姿勢を表明したのかということを伺いたいんです。

国際地球温暖化対策担当参事官

報告書については、まず、この報告書自体を歓迎するというようなことをステートメントの中で大臣から言っていただいておりますのと、また、タラノアの実際の円卓会議、10人ちょっとぐらいのところでございますけれども、このIPCCの報告を受けて、2℃目標を達成すること、また、1.5℃の目標も追加できるように、さらなる行動が必要という認識はお示しをしております。また、日本が示す今後の取組については、やはり長期戦略をつくっていくというようなことで、今、取り組んでいることについて、ご報告をしております。

あと、各国でどのようなということなんですけれども、特に交渉国のグループ、あるいはEUのグループについては、この報告書について非常に重視をしているというようなことをいろんな場で発言していたというふうにございました。

安井部会長

ありがとうございました。

こちらが終わって、こちらです。藤村委員からお願いします。

藤村委員

先ほど森下局長のほうから大成功だったというご意見があったんですけども、私たちNPOとしては物足りないところがあるなということで、多分、この報告には書かれていない点があるなと思っています。

先ほどからお話になっている1.5のことについて、それをCOPの決定に明確に位置づけるような動きが後半かなり活発にあったようなんですけども、それに日本は加わろうとしていなかったんじゃないかという意見がNPOから出ています。また、COP24の会場で相変わらず石炭火力に対して反対運動がかなりあったという報告も環境省の報告にはなかったり、あるいは、ちょうどこの時期に、ジャーマン・ウォッチがいつもいろんな気候変動パフォーマンスインデックスということで発表するんですけども、日本は49位という非常に低い位置にあった。、政府の報告なので、成功と言わざるを得ないところはあるのかもしれませんが、そうではない見方もNGOの間ではあるということもあります。先ほどの順位が非常に低かったというのも全てに通ずるんですけども、やはり政策で明確なシグナルを発していないというところが一番のウイークポイントのように言われておりますので、ぜひ、今後はもう実施段階に入ったわけですから、例えば、国別約束を見直して、実際に目標を引き上げるんだというふうな強いメッセージを発するということは非常に重要なんじゃないかなと思っているところです。

安井部会長

ありがとうございました。

それでは、続きまして、藤井委員、お願いします。

藤井委員

5ページの13条の透明性のところで、このクレジットには当然、JCMも入るわけですよね。JCMの場合は、政府が補助金を出していますよね。その補助金というのは、このエミッションバランスの中でどのように扱うのかという議論はあるんでしょうか。それは構わないということなのか。クレジットはそれぞれに配分しますよね。しかし、政府、先進国のほうが、日本が補助金を出すということの補助金分は、このクレジットの算定の中で何らかの扱いをするのか、しないのか。あるいは、しなくてもいいのかという理解が得られているのか。ちょっとその辺がありましたら、教えてください。

国際地球温暖化対策担当参事官

JCMの運用の中で、補助金に対しては、設備補助という形でプロジェクトの支援はしております。一方、じゃあ、このプロジェクトをやった中で、出てくるクレジットをどのように配分するかということについては、これはそれぞれの2カ国の中で、それぞれのプロジェクトごとに決めておりますので、そのお金の方というよりも、お金の方も踏まえつつ、クレジットの量の分配というのを各国と決めておるところです。

このクレジットを今度、分配します。分配した後、今後、NDCあるいは透明性の報告の中に、どう反映していくかということについても、キャパビルをしましたり、あるいは、2国間の合意の中できちんと反映してもらうように、途上国に働きかけて、NDCの中と外というのはちょっとあるんですけれども、きちんと反映していくようにやっていく、かつ、今、実際にJCの中の、すみません、2国間の協議の中でもそういう話をきちんと進めているところであります。

藤井委員

例えば、途上国が得たクレジットを国際民間航空で売っちゃうということも可能ですよね。制限されていませんよね。その場合に、要するにクレジットの補助金サポートということ自体は、特に問題はないということなんですね。そういう理解でいいですかね。

国際地球温暖化対策担当参事官

はい、そこは問題ございません。

安井部会長

ありがとうございました。

原澤委員、お願いします。

原澤委員

ありがとうございます。

実施指針が採択されたということで、事前には非常に難しいんじゃないかという、そういう雰囲気もあったんですけれども、よかったと思います。

それで、詳細なルールについては、次回COPまでにということだと思うんですが、先ほど市場メカニズムの際に、次回COP以降というご発言があったと思うんですけど、具体的には次回までにどういったことをされるのかというのが一つの質問です。特に市場メカニズムの中で、2ページにはJCM等と書いてありますが、JCMが一番トップに来ているということではなくて、CDMとか、ほかのいろんなメカニズムがあって、そういう中で、仕組みを考えていくというのが次回以降なのかどうかを確認させていただきたいと思います。

それと、あと、先ほどダブルカウントについては、問題がなくなったということではあるんですが、まだ一部先送りになったような事項もあったと聞いておるんですが、その辺はどんなところが問題になっているのか、確認させてください。

国際地球温暖化対策担当参事官

申し訳ありません。スライド5にございますように、6条の実施については、COP25において採択をすると。これを目指して、また今年の6月に実務者の会合がございますし、それまでに交渉官レベルの対話がございますので、ここに採択できるように交渉を進めてまいりたいというふうに思います。

また、ほかの議題については、若干の報道もございましたけれども、コモンタイムフレームということで、NDCの期間を5年にするのか、10年にするのか。共通のタイムフレームを決めるという案件がございます。これは、今回のCOPでは、パリ協定とコンシダーする、検討するということが決まっておりましたので、まずは検討をしたと。その中で幾つかのオプションが出てきておりますので、そのオプションも踏まえながら、今回決まったのは、31年のNDCからコモンタイムフレームというのを適用しようということは決まっております。また、次回のCOPにおいては、そこを決めるためにリコメンデーションを出そうということで、ここは議論を実施していくということになります。

あと、市場メカニズムについて、ここにありますように、CDMの取り扱い、あるいはクレジット、現行のクレジット、ビンテージとかという読み方もございますけれども、そういうものについて、細かい取り決めについて詰めていくということが残っております。

安井部会長

それでは、南部委員、お願いします。

南部委員

ありがとうございます。

私もCOP24に参加をさせていただきました。そして、日本のジャパンパビリオンにおきまして、私たち連合として「地域から広げる公正な移行」と題しまして、サイドイベントをさせていただきました。その際には、皆さんのお力添えをいただき、本当にありがとうございました。この場で、お礼を申し上げたいと思います。

そして、原田大臣を初めまして、政府の交渉団の皆様には、先ほどご報告もございました二元論を押さえた形でのルールの取り扱い、また、透明性を確保した形のルールブックの取りまとめについてされたことに、改めて敬意を表したいと思います。ただ、私たちがこの間、主張しておりました公正な移行につきましては、議論が十分されることもなく、そして、私たちが求めておりましたNDCやグローバル・ストックテイクの中に記載がされなかったということの課題が残りました。

今後、引き続きのご協力をお願いしたいということとあわせまして、今後、国連の気候変動サミット、そして、先ほど局長からもございましたG20の会合がございます。そこでナショナルレベルとしましても、私たちも発信をしてまいりますので、ぜひ、第5次計画にも掲げております公正な移行につきまして、皆様の引き続きのご協力をお願いしたいということで、ご意見としてよろしくお願いいたします。

以上でございます。

安井部会長

ありがとうございました。

続きまして、末吉委員、お願いいたします。

末吉委員

どうもありがとうございます。

私自身も後半の1週間参加しました。今回は、気候変動イニシアチブ、JCIに政府のバッジをいただきまして、その立場で参加したんですけど、これからちょっと個人的に思ったことを2点申し上げたいと思います。その前に、バッジをいただきまして本当にありがとうございました。

一つは、岸上委員がお尋ねになった1.5のことなんですけども、私自身の印象では、人々のマインドセットがすっかり変わってしまったと。簡単に言えば、2℃が消えたんじゃないかというふうに思っております。ですから、キーワードはやっぱり1.5℃で、これからのこの分野の議論が1.5℃を前提に議論が始まっていったような気がしてなりません。逆にいいますと、2℃は当然だと。もう今さら2℃のことを四の五の言うことはなくて、どうやって1.5℃に近づけていくのか、そういった意味で、非常に厳しい要求がこれから出てくるんじゃないかという印象を強く持ちました。人々のマインドセットが変わったんじゃないかという気がします。

それから、二つ目が局長がおっしゃったインプリメンテーションのステージに入ったということで申し上げますと、今回、日本の非政府主体、JCIの立場で出たんですけれども、いよいよパリ協定が実行の段階に入ると、一体誰がやるんだという話に当然になりますよね。そうしたときに、やる主体は政府ではなくて、ステートではなくて、ノンステートアクターズだと。それはビジネスを含む地方自治体も含めて、当然、現場を持っている、手段を持っているところが実現に取り組むというのは当然の話であります。

ですから、私自身も先ほどお話が出ました日本パビリオンで、JCI主催のパネルも持ちましたし、アメリカの「We Are Still In」のものに参加するなど、三つのパネルに参加にいたしましたけども、そういった議論を通じて強く感じたのは、これからノンステートアクターズとの連携で、政府がどういう温暖化対策、政策を打っていくのか、このことが非常に重要になってきたように思います。あえて申し上げれば、ノンステートアクターズがこれからやろうとすることについて、足を引っ張るような政策は絶対避けるべきであると。むしろリードして背中を押して、その方向性、活動を担保していく。そういったような政府と非政府主体のコラボレーションといいますか、車の両輪の関係が非常に重要になってきたんじゃないかということを強く感じました。

以上です。

安井部会長

ありがとうございました。

では、榮委員、お願いします。

榮委員

COP24に関しましては、先進国と途上国共通のルールが導入されるなど、我々が期待しておりました実効性と公平性のある形で合意がなされたという事で経済界としても高く評価してございます。環境省を初め、政府交渉団の皆さんのご尽力に敬意を表したいと思います。

経団連としましても、公式のサイドイベントを主催いたしまして、私も参加いたしましたけれども、企業のバリューチェーン全体を通じて、グローバルな規模での温室効果ガスの削減に貢献していくということを発信してまいったつもりでございます。先ほどから何度かコメントが出ておりますように、パリ協定のインプリメンテーション・フェーズに移行する中では、やはりグローバル全体での温室効果ガスの大幅削減と、これを実現する上で、我が国ならではの貢献のあり方として、すぐれた環境技術、製品、プロセス、あるいはサービスを海外に展開していくことで貢献してまいりたいと思っているわけです。日本の技術に対する信頼度、期待度というのは、現地におりまして非常に強く感じております。

一言コメント差し上げました。

安井部会長

ありがとうございました。

それでは、一通りご意見いただきましたので、次に行かせていただいてよろしいですか。何かお答えになるものはありました。特になかったように思うんですけど。よろしいですか。

それでは、次の議題2に移りますが、先ほど申し上げましたように、審議事項でございます。事務局からのご説明をいただきたいと思います。お願いします。

気候変動適応室長

気候変動適応の関係でございます。気候変動適応室長の大井です。どうぞよろしくお願いいたします。

私のほうから資料2-1~2-4までございますけれども、まず資料2-1のスライドで、気候変動適応法、冒頭、局長のご挨拶にありましたとおり、この法律が121日から施行になったとなっております。その前後、それから現在に至るまでの取組の状況について、簡単にご説明をさせていただきます。

この資料2-1の2ページ目になりますけれども、気候変動適応法の概要でございます。もう既にご案内のとおりかと思いますけれども、適応の総合的推進、それから情報基盤の整備、地域での適応の強化、適応の国際展開等という四つの柱からなる法律でございます。

1点、まずご報告としましては、この適応の総合的推進の中にあります気候変動適応計画、これを法施行に先立つ11月27日に閣議決定をさせていただきました。前回の部会で、そのパブリックコメントを実施する前の案の段階で、委員の皆様からもご意見をいただいて、そのご意見も踏まえた格好で、また、パブリックコメントで頂戴したご意見を踏まえて、計画、案を直して閣議決定したところでございます。

それから、それ以降のスライドは、この法律のポイントをまとめておりますけれども、法律の中、また、計画の中にも書いてあるとおりで、5年サイクルでこれから最新の科学的知見をもとに気候変動による影響、これを評価をいたしまして、各分野における影響を加味した施策を立案し、政府全体として、これを実施していくということがこの法律の根本でございます。このため、とりわけ関係各所との連携をしっかりしていくということが大事でございまして、適応計画の中でも、気候変動適応推進会議という新しい会議体を設置するということを書かせていただきました。環境大臣を議長といたしまして、関係府省庁により構成される会議、これを実際に設置をし、法施行後の最初の勤務日でございました123日(月)に早速この会議を招集をいたしまして、原田環境大臣から各省の局長級でございますけれども、にこの適応の問題にしっかり取り組んでいこうということで、スタートをしたところでございます。

それから、法律のもう一つのポイントが情報基盤の整備ということでございまして、国立環境研究所に12月1日、法施行の日に気候変動適応センターを設立し、情報発信、それから地方公共団体等の取組への技術的な支援などを行っていくという体制を整備したところでございます。

また、地域の取組の強化ということでございまして、法律の中では、各地方公共団体に対しまして、計画の策定、それから地域センターの設置、それから広域協議会の立ち上げといったようなことをお願いをしているところでございます。

今、各自治体とも少しやりとりをしておりますけれども、とりわけ都道府県等においては、この計画、それからセンターをどのようにしていこうかということで、今、検討を進められているところということでございます。

早速、最初のセンターの設置事例としまして、埼玉県さんは、この12月1日にまさに地域の適応センターを設置するというようなことで動かれているところもございます。ほかの自治体さんにもぜひ積極的に取り組んでいただくよう、これから投資をしていきたいというふうに思ってございます。

それから、広域協議会でございますけれども、全国の7ブロック、北海道~九州・沖縄までの七つのブロックにおきまして、1月の下旬から2月中旬にかけて、この広域協議会、法律に基づく協議会を立ち上げていきたいというふうに考えております。第1回の協議会を各地で予定をしてございますので、ご紹介させていただきます。

それから、企業、それから市民の皆様にもこの適応の問題に取り組んでいただくということが法律の中にも書かれてございます。今現在、企業が適応に関して取り組む上での参考となるようなガイド、これを策定作業中でございまして、今年度中にはこれを発表をしたいというふうに思ってございます。とりわけ気候リスクマネジメントという観点、気候による悪影響をどのように防止していくかという、そういうマネジメントの観点。また、逆にこれをチャンスと捉えて、適応ビジネスをいかに展開していくかと、こういう二つの観点からのガイドを作成したいというふうに思っているところでございます。

最後でございますけれども、国際的な支援ということで、これはもうCOP等の場で既に公約として発信していることでございますけども、2020年までに国際的な情報基盤といたしまして、アジア太平洋適応情報プラットフォーム、A-PLATというものを構築するということを宣言してございます。これをしっかりと準備を進めて立ち上げていきたいというふうに思っております。

以上がとりあえず資料2-1でございまして、続きまして、ご審議いただく事項としまして、資料2-2、それから2-32-4とございます。

資料2-2でございますけれども、先ほどの説明の中にも少しございましたが、法律に基づいて、5年ごとに気候変動の影響について評価をするということが書かれてございます。この評価に当たっては、環境大臣が中央環境審議会の意見を聞いて行うということになってございまして、法律の第10条でございますけれども、その関係で、先月、1221日付で諮問をさせていただいております。気候変動影響の評価について、この法律、気候変動適応法第10条第1項の規定に基づきまして、気候変動影響の評価について、中央環境審議会の意見を求めるということで、諮問をさせていただいております。

続きまして、この諮問が資料2-3にございますとおり、中央環境審議会会長から部会長、地球環境部会に、この部会に付議をされているところでございます。

実際にご審議をいただきたいのがこの作業の進め方でございまして、現在、この部会の下に気候変動影響評価等小委員会というものが設置されてございます。平成25年7月に設置をされて、前回、一度、2015年の3月になりますけれども、我が国の気候変動影響についての報告書を取りまとめていただいたということがございます。この小委員会におきまして、実際に、この法に基づく影響評価の作業を行っていただきたいというふうに考えてございます。

その関係で、この資料2-4でございますけれども、設置に係るその規定を若干改正をさせていただいております。具体的には、2ページ目に見え消しの格好で書かせていただいておりますので、こちらをご覧いただいたほうがわかりやすいかと思いますけれども、現行が法策定前の政府の閣議決定の適応計画に基づいて作業いただくということになっておりましたのを、適応法の規定に基づいて作業いただくと。「気候変動適応法に基づき、気候変動及び多様な分野における気候変動影響の観測、監視、予測及び評価に関する最新の科学的知見を踏まえ、気候変動影響の総合的な評価について審議する」ということで、この小委員会の規定をこのように変えさせていただきたいというのがこの提案の趣旨でございます。

以上、どうぞよろしくお願いいたします。

安井部会長

ご説明ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等ございましたら、お手元のネームプレートを立てていただきたいと思います。

じゃあ、今度、こっちから行きますか。住委員から。できれば、名札はこちらに見えるように出していただきたいと思います。

住委員

ちょっと確認なのですが、新しいものでは、前だと日本におけるという記述があったのが、今度消えていますよね。これは、従来から言われているように、日本の影響評価には輸出入によるものだとか、いろんなグローバルな関係があるので、そういうところも含めて、対象を拡張しようという意思なんですか。

気候変動適応室長

そこまでの強い意思を持ってやっているわけでは実はございませんけれども、法律の規定に基づいて、これは書かせていただいておりまして。でも、おっしゃったとおり、我が国における影響ということを広く考えていくと、そういうこともあり得るというふうには思ってございます。

安井部会長

よろしいですか。

それでは、藤村委員、お願いします。

藤村委員

この委員会設置ではなくて、適応センターの件ですけれども、従来から申し上げていたと思うんですが、今回、例えば適応ガイドみたいなのをつくるというふうなお話もありますけども、やっぱり対症療法だけではなくて、必ず原因療法というか、根本的に削減の必要性みたいなことも必ず書いていただかないと、市民は広く知るというのがなかなか機会が少ないので、適応策のところだけだと、ああ、こうすればいいのねで終わって、根本的な解決にはならない。、ぜひ、そこも必ずそういう情報も入れていただきたいというのが1点です。

それから、地域に根差したということで、これも以前申し上げましたんですけど、やはり地域のNGO、温暖化防止活動なんかをずっとやってきているNGONPOもいますので、そういう人たちも必ず入れるような仕組みを、意見を聞き入れるような仕組みをつくっていただきたいなというふうに思っています。

それから、もう一点、環境省の前の資料のほうで、地域循環共生圏というのが出ていたと思うんですけども、これとも多分この政策は絡むようになると思います。地域循環共生圏を環境省が一生懸命やっていらっしゃるのはすごくいいことだし、ありがたいことだと思います。一方、地域で長年、持続可能な地域づくりをやってきた市民からすると、突如この話が来て、今までの仕組みをぐちゃぐちゃにするような強い要請が上から来る場合もあるという話をあちこちで聞いております。ですので、地域に根差した政策をつくろうとするのであれば、今までの地域の取組を無視したようなことではなくて、それを踏まえた上で、一緒につくるという体制をぜひつくっていただきたいなというふうに思います。

安井部会長

ありがとうございました。

赤渕委員、お願いします。

赤渕委員

ありがとうございます。

資料の5ページ目の各都道府県、市町村の地域計画に関してでございますが、これまでに46都道府県18政令指定都市が策定したということでございますが、これは、ちなみに策定されていないのはどこになるのかについて、確認させていただきたいのと、それで、そうした自治体さんとの間で、現在、どのようなやりとりが行われているのかについて、ご紹介いただけると、ありがたいかと思います。それが1点と。

あと、もう一つ、資料一番最後のA-PLATに関しまして、このような情報基盤が構築されることは大変喜ばしいことかと思いますが、これに対して、アジア各国がどのような期待を持っているのかについて、何か情報がございましたら、お教えいただけるとありがたいかなと思います。

以上でございます。

気候変動適応室長

まず最初の問いでございますけれども、46都道府県とありますけども、一つの県というのは石川県でございます。そういったところも含めまして、今回、法律ができたということもあって、私どもも国立環境研究所、それから中央環境事務所とも連携しながら、全国各地でこの法律、あるいは適応の重要性ということで、説明会等を実施をしてございます。そういう機会でも使いながら、やりとりをさせてもらって、現在の状況、あるいは、これからの見通し等については、意見交換をしているところでございます。

それから、A-PLATの関係での各国からの評価といいますか、受け止めということでありますけれども、実際に、アジア太平洋地域の各国と、この7ページのスライドの中で2国間事業というのを右上のほうに書かせていただいておりますけれども、例えばインドネシアとかタイといった国々とは、実際にその国の中での情報プラットフォームをつくるというようなことも2国間協力でやってございます。そういったところで集められた情報なんかもこのアジア太平のプラットフォームに確保していくというようなことで、協力をしているところでございまして、全体として非常に期待といいますか、高い評価を受けているというふうに認識をしてございます。

安井部会長

では、浅野委員、お願いします。

浅野委員

各県、自治体の適応計画について少し補足的な説明をしますと、今のところは、多くが気候変動の計画の中にその一部として適応の計画を入れるという状態で、まだまだ取組が始まったという状況であることは間違いないと思います。ただ、自治体によっては工夫をしておられて、何が適応策としてその地域に必要なのかということについて、かなり丁寧に調べておられる。地域特性を極めて見事に把握して、計画をつくっているところが既に出始めていますので、これは期待できるんではないかと思います。

ぜひお願いしたいのは、あまり国で画一的なフォーマットを示して、どこもみんな同じようなものをつくるということではなく、やっぱりそれぞれの地域で地域の特色と必要性を生かしふまえた計画をつくっていくことが大事だろうと思います。

それで、地域気候変動センター、さっきご意見もありましたが、これについても、やはりあまり画一的なスタイルにしないほうがいいのかなという気がしたりします。とりわけ地方自治体にある研究機関のようなものの強化をこれと同時に図ろうということで、そこにセンターを置くということを考えられておられるようですが、やはりセンターは情報をしっかりみんなが把握することができるように、必要な窓口業務にも力を入れてもらいたいので、そのことをよくわかっていない研究者が自分の研究関心事項だけに向いてしまうということでも困るわけです。それだけでは甚だまずいだろうと思います。それから、さらにもう既に温暖化防止のセンターが各地域で活躍をしているわけですが、それとまた全く別のものができてしまうというのも、甚だまずいのではないかという気もするので、状況によっては、一緒のところが二つのセンターを兼ねるというようなことがあっても一向に構わないと思います。適応センターが自ら研究をして、研究成果を発表することがメインの役割ではない。それはむしろ研究機関が研究機関としてやればいいわけで、ここはあくまでもサービス機関のようなものだという認識をしっかり持ってもらえるようにする必要があると思います。

当然、法律上は、各県、市町村と書いていますから、いろんなものがあることを想定しているわけですけども、ちょっとこのまま放っておきますと、金太郎あめのような同じようなものができてしまうことでは、甚だおもしろくないと思います。

それから、もう一つは、せっかくブロックで協議会をつくって、ブロック単位で動くという雰囲気が出てきていますので、それとの関連も少し考えていかないといけないと思います。ブロックはブロック、各県は各県というようなことになると、甚だまずい。ですから、できるなら、この地域センターというものがブロックごとの何か連携がしっかりできるような仕組みにしていくとか、どこかがキーステーションのような機能を持つことができるようにするとか、いろんな工夫があるだろうと思います。これもあまり画一的に考えないで、それぞれのブロックの特性に応じてやればいいと思います。

といいますのは、九州のように割合に区域がはっきりわかっているブロックと、それから役所の都合で地方事務所の区割りに合わせてブロックをつくっていることがある。しかし、環境省の地方事務所のブロック割というのは、あまり適応の政策という点からすれば必然性がない場合があるので、そういうところはまたそういうところなりの対応を考えなきゃいけないだろうと思われます。くれぐれも画一的なことにならないようにお願いをしたいと思います。

安井部会長

ありがとうございました。

続きまして、石田委員、お願いします。

石田委員

お願いという位置づけで発言させていただきます。

こちらは、適応のあり方ですね、企業のビジネスモデルですとか、サプライチェーン等に応じて多種多様だというふうに考えております。また、資料中にも自らが適応に取り組む時代へとございますが、適応法にも定められておりますように、適応の取組というのは、企業がその実勢に基づいて行うものでございます。したがいまして、本年度末に公表予定の民間企業向け適応ガイド等々についても、そういった観点から民間企業の自主的な取組の助けとなるような情報提供に努めていただくこと、こちらをお願いしたいと思います。

以上でございます。

安井部会長

ありがとうございました。

続きまして、大塚委員、お願いします。

大塚委員

最後のスライドから2枚目の今の民間企業向けの適応ガイドですけども、これは適応の法律の5条で事業者について書いてありますけども、あまり事業者の取組について、この法律では十分でないという議論もあったので、そういう意味で非常に期待されるものであると思っております。

ちょっとお伺いしたいのは、この企業や市民の取組を支援するというのは、これは資金的な支援も入るんですかね。ちょっとその辺をお伺いしたいところです。

あと、スライドの3枚目の環境省が今回、やっぱり中心になって、議長をやっていただいて、環境大臣が議長をやっていただいて、適応の推進会議を設置していただくということになりましたので、環境省がまさにこの影響評価等について、進捗管理をしていただくようなことになると思いますが、ぜひしっかりやっていただけるとありがたいと思います。

以上です。

安井部会長

ご回答をお願いします。

気候変動適応室長

ご質問がございました事業者の支援の話でございますけれども、法律上は、19条の中で国の援助ということで、国が地方公共団体あるいは事業者等の取組に対して、情報の提供、その他の援助を行うよう努めるものとするという、そういう規定がございます。今回の民間企業向けの適応ガイド、あくまでも事業者の方々に参考としていただくもの、これの作成などもこの規定に基づいて実施をしているものというふうに認識をしてございます。ただ、その中で、実際に補助金といいますか、お金を出すような話ですね、概念上は、その他の援助の中にそういうものも含まれ得ると思いますけれども、現時点で、そういうものを想定した予算とかがあるわけではないということでご説明させていただければと思います。

大塚委員

あれですかね、エネ特のお金はここには使わないんですよね、たしか。使わないんですよね。あまりそういう話をしないほうがいいのかもしれませんが。本当は使えるようにしたほうがいいかなということは考えていますけど、ちょっとそれはコメントにとどめます。

気候変動適応室長

エネ特は排出削減ということでございます。

安井部会長

それでは、岸上委員、お願いします。

岸上委員

ご説明ありがとうございます。

基本的なことで恥ずかしいのですが、皆さんおっしゃるように、緩和と適応というのは表裏一体のものだと思っております。そうはいっても、いよいと適応していかなくてはならないという理解で、適応法が施行になったと理解をしております。それにつれて設置される気候変動適応センターの役割ですが、今、現に起きている温暖化等に対する対策ということで考えるのか、あるいは、少し先のシナリオを踏まえた上での、対策も考えていくのか確認したいと思っております。後者だと思っておりますが、その場合に、先ほどのお話と関係しますが、シナリオをどのように置いて考えていかれるのか、2℃シナリオなのか、あるいは、このままいくと3℃ぐらいになっってしまうのかといった話も聞こえてきておりまして、その点の考え方を教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

あと、企業の自主性に任せるということはもうもちろん全くそのとおりでございます。ただ、事業者の中には、自力でなかなかそこまでやりきれない、という会社さんも多いと思います。そのような会社に対する、シナリオの想定などの後押しも視野に入れていただいてやられると思っておりますが、その点についてもご説明いただければと思います。

安井部会長

お願いします。

気候変動適応室長

いずれも今回、諮問させていただいて、これから影響評価をやっていく中で、さらにご審議をいただくことかなというふうには思ってございますけれども、まず、シナリオということに関していきますと、現状では、RCPの2.68.5という、比較的対策を頑張ったケースと、それから、そうでないケース、それぞれのような格好で対応する被害がどれぐらい出るかというようなことを主にはやっぱり検討をし、その結果を踏まえて、一応、その両方に備えるというか、これもちょっと分野によっても少し取り扱い方が変わったりもするところはありますけれども、そういった考え方でやっているということでございますけれども、これから先、次回やる評価において、どういうふうな格好で評価をするのか、また、それを踏まえた計画をどういうふうに改定していくのかということについては、またこれからの議論かなというふうに思ってございます。

その対象もいろんな方々がやっぱり関係しますので、影響の評価、それから、それに基づく対応、計画の改定、これは5年ごとにどんどん変えていきますけれども、やはりその時々の状況に応じて考えていくということになるかなというふうに思ってございます。

安井部会長

ありがとうございました。

それでは、一応、質疑応答は終わりということにさせていただきまして、この気候変動影響評価等小委員会の設置要綱についてでございますけども、その変更をその案のとおり改正するということで決定をさせていただきたいと思いますけど、ご異議ございますでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

安井部会長

ありがとうございました。

それでは、このように決定をさせていただきました。

さて、それでは、次に進みますけれども、議題3~5は一括してご説明をいただきまして、その後、議論をさせていただきたいと思います。お願いします。

低炭素社会推進室長

それでは、まず、資料3を用いまして、2017年度の温室効果ガス排出量、この速報値について、ご説明させていただきます。

この速報値の位置づけですけれども、例年、その算出時点で得られるデータをもとに取りまとめているものでございまして、改めまして、4月に17年度の確報値を公表予定でございます。17年度の数値ですけれども、我が国の温室効果ガスの総排出量は129,400tとなってございます。これは、前年度と比較いたしますと、1.0%の減少、または基準年の一つである2013年度と比べますと、8.2%の減少という数値でございます。その下に、参考ということで、主な要因を書いてございます。減少要因といたしましては、エネルギー起源CO2の排出量が減少しておりますが、この背景としましては、再生可能エネルギーの導入・拡大あるいは原子力発電所の再稼働、こういったものがございます。また、増加に振れた主なものといたしまして、冷媒分野におけるオゾン層破壊物質からの代替に伴うHFCS類の排出量の増加というものがございます。

次のスライドで、このトレンドから2点ご紹介したいと思います。1点目は、4年連続で日本の排出量が減少しているということでございます。GDPとかを見ましても、経済成長は最近、堅調でございますので、いわゆるデカップリングというのが見えてきているのかなという期待を持って見てございます。また、二つ目でありますけれども、減少値幅といたしましては、先ほどご紹介したとおり、前年度比1%ということですので、減少したとはいえ、中長期の目標達成に向けては、一層の対策、努力が必要という状況は変わっていないというふうに見てございます。

また、次のスライドですけれども、ガス種別、また部門別の表を載せております。これも2点だけ紹介しますと、一つは、代替フロン等4ガス、先ほど増加していると述べましたけれども、右側に変化率があります、前年度比でプラス6.3%、13年度比ですとプラス32.6%ということですので、ここの対策が非常に今後重要になってくると。また、下に部門別というところでございます。一番右側を見ていただきますと、一つだけプラスに振れているもの、これは何かと申しますと、家庭部門であります。家庭部門につきましては、17年度冬季が前年度に比べまして、冬の気温が寒かったことから暖房に伴う灯油等の消費量の増というのが主な要因かと見ております。いずれにしましても、今後、確報値に向けまして、要因分析を含めまして、引き続き精査していくという状況でございます。

以上です。

フロン対策室長

続きまして、フロンの関係をご説明させていただきます。

今日の午前中、表紙にございますように、産構審のフロンワーキングと中環審のフロン小委の合同審議会がございまして、報告書の案が取りまとまりました。基本的に方針についてはご了承いただきまして、今後、パブコメの上で、今年の通常国会への法案提出を目指しているところでございます。

中身でございますけれども、先ほどインベントリー速報値でフロンが増えているということなんですが、その中で、この廃棄時の回収率がずっと3割台を低迷しているということでございまして、平成25年にフロン法大改正がされて、メーカーの取組、それから管理者を位置づけてメンテナンスを義務づけた関係で、この3年ぐらいは廃棄時回収率が一定程度上がって、3割台だったものが4割弱まで回収率が上がっているのですが、一方で、一番右の温対計画の目標として、202050%、203070%に向けて、今の対策のままでは達成ができないということで、検討を進めておりました。まず、回収率が低迷している要因を解明するための調査を行いまして、回収されているのが38%なので、その裏返しの、回収されていない62%というのがどういう原因によるものかという調査を行いました。

調査結果がご覧のページでございまして、1年間に廃棄されているフロンの全量を100とした場合に、下の青のところは機器からフロンの回収作業が実施された。フロンの回収作業は実施されて、実際に回収されたのは37%です。一方で、回収作業の制約ですとか、技術的に回収できないというところが要因Cと書いてございまして、1722%程度ある。一方で、上の赤のほうですけど、これはそもそも機器の廃棄時にフロンの回収がされていないということで、仮にフロンの回収が実施されれば、それだけで回収されるであろう量が要因A2937%でこれが最大。あと、要因Bは、ACの組み合わせで、回収作業が実施された上で、作業環境の制約とか技術開発を解決しないと回収できないものです。こういう形で、要因Aについて、そもそも回収作業がされていないので、ここの抜本的な対策を急ぐとともに、あと、BCにつきましても、技術的な調査・研究をしていくということでございます。

あわせて、要因Aが大きかった主たる理由として、建物解体の時にきちんとフロンの回収がされていないのではないかということで、そこもあわせて調査をやっておりまして、実際、解体時におきましては、回収が実施されているのが3割程度。解体以外というのは、機器更新のときなのですが、そのときは7割ぐらいフロンが回収されていまして、解体時を中心にフロンの回収が行われるようになるための対策が必要ということでございます。

その対策でございますけれども、これまでは、ほぼ廃棄等実施者が引き渡しの義務を負っているというだけの状態でございました。今後の方向性としては、まず、廃棄等実施者に対して、点検管理簿の保管期間の延長をして、きちんと機器があったということを廃棄後も残すこととすることに加えて、引き渡し義務違反に対する直罰化を導入する。さらに、解体時につきまして、ユーザーと解体の際に直接やりとりをする解体業者の関係ですが、現行制度の課題として、解体元請者に建物解体前にフロンの機器の有無の事前確認・説明義務があるのですけれども、この記録が保存されないことになっておりまして、また、立入検査の対象にもなっておりませんでして、さらに、建設リサイクル法の解体届の入手も現行法上制約があるということでございます。そこの解決をするために、この三つのポツですけども、都道府県知事から資料要求規定を位置づけ、元請業者、ユーザー双方への事前説明の書面を義務づけるという形で、解体の際においてもユーザーに対してきちんと義務の履行を働きかけるということであります。

さらに、第一種特定製品を廃棄物リサイクル業者が引き取るときも今は引き取るときに、特に明確な基準があるわけではなくて、自主的に個別の廃棄物リサイクル業者がフロンが回収されているかどうかを確認しているということでございまして、ただ、確認方法が不統一でございます。そこで、この対策のところにございますが、フロンの回収済み証明がユーザーから流れてくるようにしまして、フロンの回収済み証明を受けた場合などを除き、廃棄機器を引き取る者による廃棄された機器の引き取りを制限するということでございます。あわせて、二つ目ですけども、それをするためには、ユーザーから廃棄機器を引き取る者へのフロン回収済み証明の送付義務を義務づけると。立入検査の対象にも加えまして、こういう形で、ユーザーに引き渡し義務があるわけですが、解体のタイミング、それから廃棄物リサイクル業者への引き渡しのタイミングも捉まえて、関係者みんなでユーザーの引き渡し義務履行を促進するというふうな仕組みを検討してございます。

一方で、要因B、Cのほうでございますけれども、要因BCというのは、いわゆるビル用マルチエアコンというもので、特異的に発生しておりまして、と申しますのも、上に①、②、③とございますが、配管長が特に100メートルを超える場合も大きくて、なかなか回収作業の時間がかかってしまうという制約、それから、部屋ごとに電磁弁があって、電源がない状況では電磁弁の先の冷媒がトラップされてしまって回収できないという制約、さらに、ビルの屋上に室外機があるのですが、スペース上、大型回収機を使いづらい場合もあって作業環境が悪いという制約。このような原因で、ビル用マルチエアコンについては、要因BCが発生しているという意見もある一方で、そこまでこの技術的な大きな阻害要因にならないんじゃないかという意見もありまして、関係者間で意見が分かれてございます。ここにつきましては、対応の方向性のところで、今後、技術的な知見を有する者の協力を得て、分析・調査をして、この1台当たり回収率が何でビル用マルチエアコンだけ低いのかというのをきちんと回収方法の制約なのか、技術的な制約なのかを切り分けて明確にしていきたいというふうに考えております。

以上でございまして、このような形で、本日午前中、ご審議をいただきました。委員からはこういう形で仕組みをつくるに当たって、都道府県が実効性のある指導・監督を行えるように環境整備をする必要があるというご意見、要因B、C対策も着実に進めないと、203070%に向けては、BC対策も必須ですので、そこをきちんと進めていく必要があるというご意見等をいただきました。

以上でございます。

低炭素社会推進室長

続きまして、資料5のシリーズを用いまして、いわゆる長期戦略の検討状況について、ご紹介させていただきます。

資料5-1をまずご覧ください。前回の部会では、パリ協定長期成長戦略懇談会、これを立ち上げまして、政府としての議論を始めたということをご報告させていただきました。本日も、引き続きこの懇談会での議論の状況報告という位置づけになります。

右下に開催実績ということでご紹介しておりますけれども、これまで4回開催してございます。第2回、第3回では、外部有識者のヒアリングを含めまして、ここにありますイノベーション、グリーンファイナンスあるいはグリーンビジネス・海外展開、地域、こうしたテーマをもとに、ご意見をいただきまして、第4回、12月では、第3回までのご意見を集約した資料をもとに、足りない視点ですとか、拡充すべき論点等について、さらなるご議論を行っていただいたというところであります。今後ですけれども、第4回までにいただいたご意見をもとに、次回以降で提言の取りまとめに向けた議論を行っていただく、こういう予定にしてございます。

次に、資料5-2をご確認ください。この資料が第4回の懇談会で用いました、それまでの意見を集約した資料というものになります。これに沿って、懇談会の議論の様子をごく簡単に紹介させていただければと思います。

まず1ページ目は、最近の状況ということで、飛ばさせていただきます。次のスライド以降で、まず、長期戦略の策定に当たっての視点ということで、まとめてございます。

ここのページ、長期的なビジョン・ゴールの必要性というところは、今までのいわゆる積み上げ方式でない、野心的な目標あるいは国としての大きなゴール、これを掲げていく。それによって、全てのステークホルダーがその実現に向けて取り組んでいく。そうしたゴールが必要だと。そうした観点のご指摘をいただいているところです。

次のページですけれども、長期戦略の方向性ということで、さまざまな視点がありますけれども、例えば、共感性の高いビジョンを示しながら、日本や地域の将来像を描いていくと。そうしたことで、将来像をそれぞれの立場で共有することが必要でないかと。そういったようなご指摘をいただいているというところであります。

次のスライド、一番最初にございますように、もはや温暖化対策は企業にとってコストではない、競争力の源泉であると。こうした指摘に代表されるように、今後の脱炭素目標の達成に向けては、環境と成長の好循環、これをしっかり生み出していくということが一つの柱になってございます。

また次のスライドですけれども、SDGsということでまとめておりますけれども、脱炭素化という課題はもとより、持続可能な社会の構築という視点で、経済、社会的な側面、そこもしっかり手当てした発展をしていく。そうした視点の重要性について、ご指摘をいただいているというところでございます。

次のスライドです。国が、日本が目指すべき方向性として、ビジョンあるいはゴールをどう設定するかというご指摘です。2050年の80%削減というところはありますけれども、さらにその先の実質ゼロに向けたビジョンをどう示すのか、あるいは、先ほども議論になりましたけども、1.5℃目標、これに対して、どういう取組姿勢を示していくのかと。そうしたことを含めまして、今後、こうした要素をどういう形でまとめていくかといったところは、今後の取りまとめに向けての一つのポイントかと思ってございます。

次のスライドからは、各分野におけるビジョンあるいは対策・施策という関係であります。エネルギーということに関しましては、一番上のコメントにございますように、総論といたしましては、世界のエネルギー転換、あるいは脱炭素化を牽引すると。そういうことを明確に打ち出していくということかと思っております。

その中でも、各論の重要な指摘として、例えば、次のスライドですと、水素、特にカーボンフリー水素を低コストで大量に導入すると。そういったところの視点ですとか、あるいは、再生可能エネルギー主力化に向けての対策、特に分散型エネルギーシステムをつくっていくと。そうした指摘がなされております。

また、その他関係というところでございますけれども、石炭につきましては、CCSあるいは水素転換というところも日本が主導しながら、将来、ゼロに向かっていくという姿勢を明確に示すことが重要だと、そうした視点もいただいているところであります。

次に、産業、運輸という柱が立っておりますけれども、真ん中ら辺にあるような、例えば、日本鉄鋼連盟さんが出していただいたような将来的にゼロカーボン・スチールに向けて挑戦していくということ、あるいは、運輸の関係ですと、国の審議会で議論されているように、Well to WheelでZero Emissionに向けていくんだと、そうした高いビジョンについて、紹介、指摘を受けています。

また、次のスライドですけれども、地域あるいは暮らしという視点からのビジョンに向けたご指摘もいただいております。例えば、地域の活性化につながるような成長戦略を考えていくべきだ。あるいは、地域循環共生圏の考え方を取り入れていくべき、そうした視点をいただいているところで、こうした視点も重視していきたいと思っているところでございます。

次からのスライドが分野横断的な対策です。

一つ目の柱はイノベーションですけれども、いわゆる革新的な技術を開発するというイノベーションだけでなくて、社会実装・普及のためのイノベーション、それを実現するためにはどうしたらいいかといったことで重要な指摘をいただいているところであります。

また、科学的レビュー関係というところで、まとめているご意見がございます。ここにつきましては、長期戦略を策定した後で何らかのフォロー、あるいはフォローアップですとか軌道修正していくための仕組みが要るのではないかと、そうしたことについてもご指摘いただいているところでございます。

二つ目の柱で、グリーンファイナンスというものがございます。これはESG投資も含めまして、こうしたファイナンスを今後、脱炭素化に向けて、いかに利用あるいは促進、対応していくのかといったことで、さまざまな視点からご指摘いただいているというところであります。詳細については、すみません、省略させていただきます。

三つ目の柱といたしまして、ビジネス主導の国際展開という柱が立ってございます。これにつきましては、世界の脱炭素化に貢献していく、貢献していくという視点もありますし、日本が技術でしっかり世界をリードしていくという視点、そうしたことをしっかり実現していこうと。そのための方向性ですとか施策、対策について、ご指摘いただいているというところでございます。

最後に、(4)その他というところで、二つの柱を立てております。

一つは人材育成、これに関しては今後に向けて人をしっかり育てていく、あるいはリテラシーを高めていくと。そうしたことの重要性というところについて、ご意見、ご指摘をいただいているところであります。

また、もう一つ、カーボンプライシングという小見出しを立てておりますけれども、カーボンプライシングについても委員よりご見解をいただいている。こういったところでございます。

また、本日の資料の5-3で、第4回懇談会の議事概要をご参考につけております。ただ、年末年始を挟んだ関係で内容の確認がぎりぎりになりまして、部会当日の配付になったことを改めましてお詫び申し上げます。

説明は以上です。

安井部会長

ありがとうございました。

委員の皆様からご意見等をいただく前に、議題(4)につきましてはフロン類等の対策小委員会と、それから参考審の合同会議が本日午前中に行われまして、議論があったということでございます。小委員会委員長の浅野委員から、何かご報告があると伺っておりますので、お願いします。

浅野委員

事務局から、既にご説明申し上げたことがほとんどの内容でございますが、特に今回、特徴的なことは廃棄時のフロン回収率がなぜ悪いのかについて、かなり丁寧に要因分析をしたことでした。この調査結果については、委員会、合同会議で大変高い評価を受けています。ただ、委員の中から、回答しない企業が結構ある、回答しない人というのは多分やってない人ではないかと。そうすると、回答した人の数字を足し算していったら、すごくいい数字になってしまっているのではないかというようなご発言がありましたので、ここで出ている数字は、そういうご指摘もなるほどと思う面があるわけですね。ということは、つまり、これはやっぱり、かなりいい読みをしているので、現実にはもっとひどいのではないか。だから、やっぱりこれぐらいの厳しい対策を立てなきゃいけないのは当然のことであるという話につながると思っておりまして、数字が、何というか、あまりにもきちんと合い過ぎていないということの効用がかえってあるのかなという気もしたりしています。

それにしても、調査そのものは、重要なところは、大量に扱っているところはしっかり調査をしていますので、かなり精度の高い調査ではなかったかと思っています。

それから対応策についても事務局が既にお話し申し上げたとおり、かなり今度は思い切ったことをやろうとしているわけですが、直罰を入れるというようなことについても大胆に提案しております。

なお、平素のメンテのときはちゃんとフロン類のガスを抜くことをみんなやるのですが、建物解体に伴う機器撤去のといった際には、もうこれで終わりだというので、きちんと回収しないで放出してしまっている事例が結構多いのではないかということは前から言われていたわけですが、これは実は、建物解体のときのアスベスト粉じんの飛散の問題と類似していると思います。ですから、建物解体時のアスベスト粉じんの飛散防止に関しては、大気汚染防止法改正をしまして、かなりしっかり手当をいたしましたが、建物解体時のフロン類ガス放出防止のほうは手当がやや遅れていたという面があります。

 今回提案している内容は、ほぼアスベストに関して、大防法でやっていたものに近い内容になりつつある、こういうことでありまして、今日午前に開かれた委員会では、私が前から言っていることと同じような発言がありまして、建物の解体に伴って考えなきゃいけない環境上の配慮について、法律も所管もがばらばらである、つまり、建築リサイクル法で廃リ部が扱う問題、それからアスベスト問題を扱うときには、これは水・大気局がやります、そして今度、フロンは地球環境局がやります、自治体もそれぞれ担当が違う、こういうことなので、大変おかしいのではないか、だから、建物の解体に伴う環境配慮に関しては一元的な法律をつくる必要があるというご指摘がありました。今回はそこまで行くのはなかなか難しいということでありますので、できませんけれども、やはりまだ課題が残っていると言えるということを、この部会でもご報告申し上げておきたいと思います。

安井部会長

ありがとうございました。

なお、同じ議題(4)でございますけれども、ご欠席の高村委員から意見のご提出がございまして、皆様に配付されておりますので、ご参照いただければと思います。

さて、それではただいま三つのご説明がございましたけれども、内容全体について、どこからでも結構でございますけど、ご意見、ご質問等ございましたら、またネームプレートを立てていただけると幸いでございます。

今度はこちらからまいりますが、それでは河上委員から、一つお願いいたします。

河上委員

ありがとうございます。

5番目の長期戦略のところで少しコメントさせていただきます。

懇談会でもご意見が出ていたようですが、エネルギー分野におきましては、やはりS+3Eのバランス確保というのは非常に大事だと思っておりまして、そのためには再エネの主力電源化とか、安全確保を大前提とした原子力の活用ということが不可欠になると考えております。いずれにしましても、S+3Eを大前提としたご議論をお願いしたいと思っております。

それからもう一点、やはり大幅に温室効果ガスを削減していかなければいけないということであると、電源の低炭素化は当然なんですが、加えて電化の推進ということも必須だと思っておりますので、それらを踏まえたご議論をよろしくお願いいたします。

以上でございます。

安井部会長

続きまして、大塚委員です。

大塚委員

私も長期成長戦略の懇談会について、意見とか質問とかを若干させていただこうと思いますけれども。

4点ございますが、最初に重要なことを、一番重要だと思っていることを申しますが、今回これで、長期成長戦略で、日本から出す長期戦略のほうにつなげていくことになると思うんですけども、これと温暖化対策の計画との関係がどうなるかということを考えると、温暖化対策の計画のほうは緩和が入っていますが、こちらの長期成長戦略のほうは適応のほうも入ってくるかと思いますけども、恐らく長期計画のほうが上に立つような形になると思いますので、そういう意味では、長期計画自体についてレビューする仕組みをぜひ検討していただくことが必要ではないかということをちょっと申し上げておきたいと思います。

それから、内容についてはご意見をいただいているところだと思いますけれども、まず最初に出てくるのが、6ページに出てくるような1.5℃度目標をどう扱うかという、先ほどもCOP24に関して問題があった、この点が多分、非常に重要な問題になると思います。今からどういうふうに入れていくかというのは結構難しいかと思いますけど、何らかの形で入れていただかないと、既に先進国の中で、G7の中でつくってしまっているところはあまり入ってないわけですけども、これからつくる国はこれを入れざるを得ないと思いますので、何らかの形で中に盛り込んでいただけるとありがたいということです。

それから、第3点ということになりますけれども、人口減少のことが結構出てきているんですけど、最近は人口減少というのを非常に言うようになったし、特に地方においてはそうだと思いますけども、他方で出入国管理法の改正があったところから、かなり移民が増えることに結果的になるんじゃないかということが予想されるんですけども、そこはあまり政権としてはおっしゃりたくないところかもしれないのですが、実際には多分そういうことに経済原則上なっていくと思いますので、その観点もどこかに少しは入れていただかないと、ちょっとかけ離れたものになってしまうかなと。逆に言うと、人口減少は何割かは外国から来た労働者の方々によって穴埋めされることになると思いますので、人口減少、人口減少とあまり言い過ぎると、国内に投資しないとかという話になると、後から考えたら、そんなには減らなかったということになると、何だったのだろうということになる可能性もあるかなという気が、私がちょっとしています。そうは言っても、地方の人口減少は激しいので、日本全体ではということですけど。要するに、日本列島に住んでいる日本人の数は、人口減少することは間違いないですけど、日本列島に住んでいる人はそんなにべらぼうに減らないかもしれないということが出てくるんじゃないかと思っていますけども、その辺はなかなか扱いにくいかもしれませんが、とにかく起こりそうなこととかけ離れたものを前提にして議論しているのはちょっとまずいので、多少の修正的な問題にはなるんじゃないかということです。

それから最後にもう一つは、AIの話とかが結構出てきていると思いますけども、2050年辺りでもうAIが発達して、比較的単純な労働はかなりAIで肩がわりされるようなことになると、大分、今の世界、社会とは違う様相になっていることは想像されるわけですけど、どういう世界になるか、ちょっと私もよくわかりませんけど、この中で枝廣さんがおっしゃっているように、やはり5年ごととかにブラッシュアップしていくようなことを考えないと、今つくっておしまいということにして、あとはお蔵入りみたいなことになると、ちょっとあまり役に立たないものになってしまう可能性が高いので、その辺の逐次修正とか改善というのはぜひやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

以上です。

安井部会長

ご質問には答えられないよね。コメントとして伺うしか。私も多分、答えられないし、環境省としても答えられないんじゃないかと思うのだけれど。

低炭素社会推進室長

ありがとうございます。本日いただいたご指摘は、懇談会の取りまとめに向けて、あるいはその後に政府として戦略をドラフトしていきますので、そうした中で重要なご指摘として考えていきたいと思います。特に戦略をフォローアップする仕組みというのは重要だと思っておりますので、ふさわしい仕組みをぜひ検討していきたいと思っております。

安井部会長

それでは、次、井田委員から、最後に小西委員。

井田委員

フロンの件なんですが、2005年比258%、恐ろしい数字ですよね。これを深刻に受け止めないと、これは、私はこれまで再三申し上げてきましたけども、90年代後半からこうなることというのはわかっていたことなんですよね。それをこれまで放置してきたというのは、何度も申し上げているけれども、日本の環境政策上の大失策だと思います、私は。しかも15年以降から30%でうろうろしていた、目標の1年前まで原因究明すらきちんとしないで、日本政府の統計の信頼が揺らいでいますけど、統計も過ちですよね、本当にずさんですよね。こういうことをやっているから258%になるんですよ。

僕らが前々から専門家を含めて指摘してきたことを、やっぱり下流でやるというのは限界があるでしょう、上流をやらないから、こういうことになるんだと、それはわかっていた、これもわかっていたことだし、指摘されてきたことで、今になってキガリ改正、オゾン層保護法を改正しましたけども、私の認識では2025年以降、本当にキガリ改正の長期の目標を日本として達成できるかどうかというのはまだ不透明だという認識なんですが、それでいいのかというのを伺いたいというのが質問としては1点。

これもかねがね申し上げてきたことですけども、モントリオール議定書の規定から、通例からいって、これはどんどん前倒しで厳しくなっていく可能性があるんですよね。そのときに回収だけやっています、回収強化しました、上流は何もしないでいいですというふうに、環境省は上流規制が十分だと、今のキガリ改正、長期的なものまで含めてですよ、十分だとお考えになっているのか。

僕はやっぱり用途規制、使用規制、生産規制をもっときちんとしないと、これはウオーターサーバーとか、量は少ないけれども回収できないものが出てきているんですよね、ビールサーバーもそうですよね。そんなものに使わせていいのか。いまだに、何度も言うけれども、量は少ないけども、いまだにダストブロワーはHFCを使っているんですよ。あんなものの回収をどうやってするんですか。そういう上流と下流、両方の両輪がなければ、温暖化対策、258%というのは減っていかないと思います。僕はこれで来年50%になるとは思わないですけども、そうでもしないと同じ過ちを繰り返すことになりますよね。

パリ協定の4条というのは別に脱炭素じゃなくて、温暖化対策の全部をバランスさせましょうという、温室効果ガス全部をバランスさせましょうと書いてあるんですよね。そのときに、本当に同じ過ちをこれ以上繰り返さないために、環境省は上流規制というのを、もっと今、キガリ改正に対応して、当面2025年まで対応しましたというのではなくて、長期的なものを含めて、2050年以降、今世紀後半にバランスさせるというのまで含めて、もうちょっと真面目にやらないと、これは繰り返しになるけれども、同じ過ちを繰り返すことになると思います。

安井部会長

ちょっと短目にしていただいて。

井田委員

はい。

長期戦略のほうで私が申し上げることは大してないんですけれども、やっぱりここまで、今、大塚先生がおっしゃったけども、これまで遅くなったんですよね。先に出しておけばよかったんだけども、遅くなったので、やっぱり1.5、この期に及んでこんなものを出してきたのかと国際的に言われないように、1.5℃というのをきちんと受け止めるべきだし、それに向けて、コンシステントな国の目標というのを今世紀、2050年以降、80%の先まで踏まえてやりますという覚悟を見せるものにならないと、これは恥ずかしいものになるというのが個人的な意見ですが、それを申し上げておきます。

安井部会長

石田委員、お願いします。

石田委員

議題の3番と5番について、発言させていただきます。

こちらで我が国の温室効果ガス4年連続で減少しているという結果でございました。確かに2030年の中期目標に向けて、まだ途中だということは承知しておりますが、原田大臣がCOPでも発言されましたように、非常に評価すべきことだと思います。環境省の皆様の努力にも感謝したいと思います。

経済界としても低炭素社会実行計画、この推進を通じて引き続き、国内はもとより世界の温室効果ガス削減に努力してまいります。ただ一方で、排出量、こちらを長期的に大幅に低減していく上ではイノベーションの創出、その社会実装が鍵を握ると考えております。弊社の内山田が戦略懇談会でも申し上げておりますように、低炭素あるいは省エネ型の製品サービスをビジネスベースで実装していくためには導入コスト、こちらを下げていくことが不可欠でございます。長期戦略を成長戦略として位置づける観点から、この点、しっかりと考慮した戦略の策定をぜひお願いしたいと思います。

以上でございます。

安井部会長

続きまして、赤渕委員。

ちょっと時間が押してきておりますので、ご配慮いただきたいと思います。

赤渕委員

ありがとうございます。

3点ございます。

まず長期成長戦略におきまして、1.5℃をどう受け取るかという点でございますが、先ほど来、末吉委員が1.5℃に関してマインドセットが変わったというようなご発言がございましたし、長期成長戦略の中でこの1.5℃という目標が適切に受け止められるように、ぜひとも前向きにご検討いただきたいというのが1点でございます。

2点目といたしましては、その実現のためにはあらゆる政策手法が総動員されるべきということは言うまでもございませんが、当然のことながらカーボンプライシングにつきましても有力な政策手法の一つとして排除されるべきではないわけでございまして、引き続き環境省が主導的にご検討いただけると大変幸いかなというふうに考えております。

三つ目といたしまして、フロンに関しましてですが、これは高村先生からのご意見にもございますが、緩和の取組を相殺してしまうような現状は、あまりにももったいないといいますか、関係者を脱力させるようなことがあってはならないわけでございまして、先ほど井田委員からもご発言がございましたけれども、上流段階での取組がぜひとも積極的に講じられるべきことは、恐らく言を俟たないわけでございまして、この点につきましても引き続き積極的にご検討いただければ大変ありがたいかなと思います。

以上でございます。

安井部会長

続きまして、藤村委員、お願いします。

藤村委員

先ほども申しましたけども、世界のNGOから日本の政策が遅れているというのは本当に、明確なシグナルが出ていないということがすごく大きいと思うんですね。G20もあることだし、安倍さんが珍しく、この懇談会ではすごくいいことを言っているので、こういうのを大いに活用して、本当に早い時期に明確なシグナルを出すということに徹していただきたいなと思うんですね。産業界とか、反対する人たちにあまり遠慮することなく、環境政策として、ちゃんと言うべきことは言っていっていただきたいなというふうに思います。

安井部会長

南部委員、お願いします。

南部委員

ありがとうございます。

長期戦略についてでございます。イノベーションについてのお話であったり、人材育成ということは議論されているんですけども、イノベーションによって新しい雇用が創出されるということは一つあるんですが、その一方で温暖化対策によって負の影響を受ける産業というのも考えられます。それによって職を失う人等々が出てくることによって、想定される労働移動についてのサポートをしっかりやるということを、この中に書き込んでいただきたいというふうに考えております。今後、人口減少、労働力不足という中で、成長と雇用と労働移動ということで議論をしっかりとしていただきたいということで、この間、私たちが訴えております公正な移行ということを、ここにも盛り込んでいただきたいというふうに考えております。

それにつきましては、ESG投資の広がりについても、国連のPRIで、公正な移行が、投資家が貢献すべき企業による活動の一つとして位置づけられているということもございますので、ぜひ議論の中に盛り込んでいただくよう、お願いいたします。

以上でございます。

安井部会長

中根委員、お願いいたします。

中根委員

長期戦略のことで、温暖化、SDGsとか、人工知能が加速するデジタル経済への対応とか、そういう気候変動と経済、社会的課題を同時解決するのが大事だということが強調されていて、それは本当にそうだと思いますし、これをビジネスチャンスとして捉えるということは素晴らしいことだと思います。が、同時に、フランスなど、全世界的に起きていますポピュリズムが温暖化対策に対するブレーキにならないか、また、SDGsを実現するような取組が十分ではないことが原因なのではないかということを心配しております。

昨日ですが、温暖化対策に対しても、SDGsに対しても熱心に取り組んでいらっしゃるはずのグローバル企業が海外の法人を使って税の申告漏れをしていたというニュースがあって、それに対して国際的な枠組みがないと各国ではなかなか取り組めないという解説がなされていました。こういうことが、SDGsのディーセント・ワークとか貧困というゴールに対して、やはり必要なコストを各国の政府が、また国際的な社会が確保できていないというようなことがあると思うんですね。

そういうことで、金融界はESG投資で頑張って引っ張っておられるのですけれども、ビジネスチャンスというところだけではなくて、こういうソーシャルな面で、「世界の共通善」のためのコストをしっかり企業も確保、政府も国民も負担してSDGsを担保するという、コストをしっかり引き受けるということが重要で、金融界もESG投資のSのところできっちりと引っ張っていっていただきたい。また、日本の政府はそういうところにも目を向けて、国内及び国際的な、まさに経済社会課題との同時解決というところでイニシアチブを発揮していただければいいのではないかというのが1点です。

それからフロンに関しては、非常にHFCが増大しているということのご指摘がありますが、同時に、これはHCFCCFCの代替であって、そういうものが持っている温室効果について全くカウントしてないということも一因であることも認識しておく必要があります。

今回、回収破壊のところについて、かなりしっかりした報告書ができ、それに対してしっかりした対策をこれからとられようとしているということは素晴らしいことですし、上流対策や下流対策と同時に中流での漏えいに対する取組も強まっているということがありますので、HFCや、それ以外のフロンの温室効果をしっかり減らすことについて、フォローアップをして進めていく必要があると考えております。

以上です。

安井部会長

末吉委員、お願いします。

末吉委員

ありがとうございます。

まず、長期成長戦略ですけども、一言申し上げれば、発表した途端に色あせるような戦略は出してほしくないということです。今、私が個人的に見ているので行くと、世界はアグレッシブさを前倒しする競争に入っております。当然、一番世界が共有しているのは、やはり今の言葉で1.5℃ですよね、あるいはゼロエミッション、あるいはカーボンニュートラルです。こういった人類社会の共通の願いであるものを、やっぱり世界とゴールとして共有する、これはもう絶対的な基本ベースとして非常に重要だと思います。

それから、長期成長戦略ということで申し上げれば、経済が入れかわるんだと思うんですね。今までの経済を成長させていくという競争ではなくて、新しい経済モデルをつくっていく、ビジネスのあり方を探していく、それが新しい成長の源泉になっていくんだと。ですから、今、世界をリードしている理論で行くと、ザ・ニュー・クライメイト・エコノミーをつくろうということですよね。これは明らかに20世紀型の経済ではない、新しいものをつくるということですから、こういった競争が始まっているということは非常に認識として重要だと思います。

そのことを別な言葉で言えば、温暖化対策は決してコストでは、もうないんです。新しいものをつくっていく投資ですし、新しいビジネスチャンスを生んでいく、これはビジネスにとってみれば不可欠の経済活動ですよね。

それをやる上で、ぜひ注意していただきたいことが1点ありまして、気候変動リスクが明らかに企業リスクになりました。企業リスクとして認知されました。企業リスクの表現とか把握とか評価は何によってなされるのかというと、財務データでなされるのです。ですから、単純な定性的なCO2を出しているということではなくて、そのことが企業にとってコストとしてどうなるのか、売上にどう響くのか、利益にどう反映されるのか、そういったような企業リスクとして財務データ化して見るという流れが始まっております。ですから、こういったことをよく頭に入れておかないと、昔のやり方で物を見ることをしていくと、新しい経済モデル、ビジネスモデルをつくる競争に、私は間違いなく劣後すると思います。ですから、今までバンカブルでなかったものがバンカブルになっていくんですよ。ですから、新しいバンカブルなビジネスチャンスをどう生んでいくのか、これが明らかに私は国と国との競争の一番ベーシックにあるところだと思っています。

安井部会長

榮委員、お願いします。

榮委員

長期戦略について、一言コメントさせていただきます。

まず、長期戦略策定に当たっては、安倍総理から、鍵を握るのは民間の活動であると言葉をいただいているわけですけれども、経団連としても昨年の10月から、会員企業や団体に対して、2050年あるいはそれ以降の長期ビジョンの検討、策定を依頼しました。年末までに声をかけた250の団体、企業のうち、既に60社・団体が、長期ビジョンを作成してございます。また190の会社、団体についても現在、策定途上にあるということで、温暖化対策等に向けた企業のモメンタムというのは今非常に大きくなっております。

先ほどご紹介がありましたけども、例えばその中で鉄鋼連盟としても今のつくり方ではCO2は減らない、減ってもわずかしか減らない、やはり革新的なイノベーションが必要だと考えております。この鍵になるのが水素還元であり、CCSであり、CCUであるわけです。先ほど末吉委員からお話がありましたけれど、モデル自体を変えて、我々はゼロカーボン・スチールと呼んでいますが、これに挑戦しようとしております。

政府におかれましても、我々のこうした取組を後押しするような長期戦略の検討、策定をぜひお願いしたいと思います。

以上でございます。

安井部会長

ありがとうございました。

小林委員、お願いします。

小林委員

ご説明ありがとうございました。

5)の長期戦略に関しまして、商工会議所でも昨年11月に長期低排出発展戦略に対する意見を取りまとめて公表しております。その中の主な3点は、「S+3E」を前提とした環境と経済の両立、イノベーションの促進、地方・地域の活性化の視点からの施策が重要であるとしております。

例えば地域活性化については、今回の環境基本計画のメーンメッセージであります地域循環共生圏の具現化、ひいては地域を元気づけることと同様の認識と考えております。十分にご理解いただくとともに、引き続き本懇談会の内容のタイムリーな情報提供をお願いいたします。

以上です。

安井部会長

小西委員、お願いします。

小西委員

ありがとうございます。遅れて申し訳ありません。

手短に3点だけ。長期戦略についてです。

まず、やっぱりG20の中では非常に遅れての後出しになりますので、逆に言えば1.5℃を入れるというのは、ほかの国ができなかったことなので、ぜひ差別化を図るという意味でも1.5℃について、なるべく多く記述していくというのが一つの、日本の出せる差別化かなと思います。COP24におきましてもタラノア対話の関連ですとか、ほとんど全ての議題において、1.言及されておりました。象徴的な戦いとしては、もう、こちらでご紹介があったかもしれませんが、ウエルカムという言葉でIPCCレポートをCOPのディシジョンテキストに書くのか、それについて4カ国が反対したことに対して非常に大きなファイトがありました。それほどまでに1.5℃というものが気候変動の国際社会の中では大きく捉えられているのだなということを非常に私も、むしろ驚いて帰ってまいりました。ですので、今の国際情勢からいって、後から出す長期戦略で1.5℃について強く触れないということは、もうあり得ないと思いますので、ぜひお願いしたいと思っております。

1.5℃というのは、要はいつゼロエミッションするか、2℃なら2075年で、1.5℃なら2050年ということですので、いずれにしてもゼロエミッションの時期ということになりますので、ぜひここについては記述をお願いできればと思います。

2点目は石炭です。こちらの今のディスカッションペーパーを見ていますと、石炭の脱炭素化については、どちらかというとCCSなどの技術に頼るといったふうに読めてしまいますが、1.5℃で石炭はもうあり得ない、ゼロだということが明確に、科学の報告書でも書かれていますし、オロー氏がここでは発言されていますが、石炭はもう減少、なるべく早く、早期に廃止という道しかないと思います。COP24におきましても、特にCOP23以降、もうNGOだけではなく、いわゆる脱石炭連盟でフランスやカナダなどを初めとする政府とか、そういった、いわゆる国家セクターのほうからも石炭火力への撤退ということが言われる時代になっております。ですので、日本が最も今COPで目立っているのは石炭に対する姿勢ですので、これについて触れない長期戦略をG20で出すということは、非常にこれは日本にとってのデメリットになると思っておりますので、石炭について、やはり減少、少なくとも減少、廃止の方向であるということは明示していく必要があるかと思います。

あともう一つ、日本は都市鉱山です。オリンピックの調達方針の中で、鉄リサイクルを初めて温暖化対策の一つとして位置づけました。ですので、もちろん技術に頼る脱炭素化は重要なんですが、日本における長期戦略において、どのようにすれば、まずCO2削減ができるかという観点から、リサイクルの推進ということも一つ、検討するべき大きな課題だと思っております。

以上です。

安井部会長

ありがとうございました。

それでは、ちょっと遅れておりますので、次に行きたいと思いますけど、特に質問はなかったように思いますけど、それでよろしいでしょうか。

それでは、ありがとうございました。

それでは、若干、どうだろうな、10分ちょっとぐらい遅れている感じでございますが、それでは次の議題でございます。次の議題(6)につきまして、事務局側からのご説明をお願いします。

市場メカニズム室長

市場メカニズム室長の鮎川でございます。

それでは今開いております資料6-1、横置きのカーボンプライシングの活用に関する小委員会についてというパワーポイントでございます。

ご案内のとおり、6月15日、昨年、大臣から諮問いたしまして、629日にカーボンプラインシングの活用に関する小委員会を設置していただきました。その趣旨として、上の2番目のパラの文章でございますが、あらゆる主体に対して、脱炭素社会に向けた資金を含む、あらゆる資源の戦略的な配分を促し、新たな経済成長につなげていくドライバーとしてのカーボンプライシングの可能性について審議を行うという趣旨で、ご覧の24名の委員の方々にお集まりいただきまして、ご審議いただいております。委員長は浅野委員でございます。

ということで、昨年12月まで、第1回のヒアリングを含めまして6回、議論といたしましては5回のご審議をいただいております。スタイルとしては、主に事務局のほうから国内外の事実関係、特に国外における導入事例、あるいは導入事例に関する実証研究のご紹介みたいなもの、主にファクトを中心にご説明し、それに対して各論点ごとにご議論いただくというスタイルで、2回、3回、4回と議論をしていただきました。第5回で4回までの議論を、一応いただいたご意見を集約するという形で、これまでの議論という資料を作成しております。

それが資料6-2の縦置きの資料でございます。

今、目次をご覧いただきますと、1、23と、数字のない章で分かれておりまして、1は前提条件みたいな、気候変動の現状と社会の問題。2ポツ目が、カーボンプライシングが脱炭素化と経済成長に寄与する可能性。逆に、3ポツにつきましては課題をもたらす可能性。その中に、それぞれ、そこに書いておりますが、2ポツであれば削減の可能性、あるいは経済成長にプラスに寄与するような可能性。3ポツであれば負担が増大する可能性、あるいは国際競争力の低下、炭素リーケージの可能性あるいは逆進性の可能性といったような形で、これまでいただいたご意見を整理してございます。

1ページをご覧いただきますと、普通の字体と斜字体になっている部分がございます。普通の字体のところは、いわゆるリード文的に事務局からご紹介したようなファクトを中心に記述してございまして、斜字体の部分がいただいたご意見をまとめたものと。同趣旨のご意見をたくさんいただいている部分もございますので、これはこちらの事務局のほうで適宜編集してございます。ただ、パートごとに再掲はたくさんございますが、そういった形で編集してございます。

なお、今日お示ししてございますのは、昨年12月27日にご審議いただいたもの、そのものでございまして、実は27日にいろいろご指摘をいただいています。27日が終わった後も、書面で意見をいただいている委員もございます。そのご指摘につきまして、実はここに反映しておりません。今後、小委員長とご相談いたしまして修正するといったようなことにしておりますが、今の段階では27日に出したものをそのままご説明させていただきたいと思います。

ちょっと部会長から時間が迫っているということですので、全てのご意見をご紹介するのは無理でございますが、ちょっとかいつまんでテーマごとにということでございます。

まず最初でございます。

これまでの議論の経緯という中で、全体的な議論の進め方のご意見の中では、24行目の辺りから、1ページ、エピソードベースの議論にとどまらず、深掘りした分析に基づいた議論が必要といったご指摘をいただく一方で、50年、100年を見るという中では、データが限られている部分もあるので、エピソードの持つ力もあるといったようなご指摘をいただいております。

続きまして、2ページ目、次は前置きの気候変動の現状の部分でございます。

まず2ページの一番下のところでございます。気候変動問題の基本認識を巡る意見といたしまして、まず地球温暖化が寄与すると推定されるような自然災害が起こっているということで、国民生活を守ることであるという意義を再認識すべきであるといったような話。あるいは、温暖化対策を取らない場合のコストも加速的に変わっている。さらには、欧米を中心に経済やビジネスと統合して議論されるようになっているといったような認識。基本認識が幾つか示されております。

3ページの一番上のパラでございますが、他方で諸外国の動きということで関連いたしますと、カナダやアメリカ連邦議会下院では炭素税に反対する動きもあるといったようなご紹介、ご意見もいただいてございます。

続きまして、前提としまして、気候変動に続きまして、今度は我が国の経済、社会の現状と言ったようなところで、幾つか整理させていただいております。

4ページの18行目の辺りからですと、まず、ここの一つで、一人当たりGDPの低下、生産性の低さ、設備の老朽化を始めとする日本経済の現状を踏まえることが重要であるというご指摘をいただいております。

それと関連いたしまして、同じページの26行目の辺りから、諸外国の炭素生産性の推移、これは炭素生産性というものはご案内のとおり、排出量を分母、GDPを分子といたしました、炭素1単位当たりの生産性でございますが、これの推移が日本は、ほぼ横ばいで、諸外国、特に欧州を中心に伸びているといったような事実を踏まえてのご発言でございますが、カーボンプライシングが産業構造の転換を後押し、企業レベルでは事業構造の転換を促し、より付加価値の高いビジネス領域に企業を移していく効果があった可能性があるというご指摘をいただいている一方で、次の行でございますが、国際比較の観点から注意すべきものとして、諸外国によって、産業構造の違いといった、様々な要因の影響を受けるということなので、単純な相関やトレンドだけではなくて、国による産業構造、エネルギー構造が異なる点を踏まえて議論すべきといったようなご指摘もいただいております。

続きまして、5ページでございますが、脱炭素社会への意向の在り方を巡る意見といたしまして、幾つか拾っております。

まず一番最初の行でございます。先ほどの長期戦略の関係でもいろんなご指摘をいただいておりますが、パリ協定を踏まえ、日本の中長期的な低炭素成長のイメージを共有することが重要であるというご指摘をいただいております。

それから、5ページの19行目の辺りからですが、世界が脱炭素社会へ向かう中、日本企業が脱炭素社会へ向けたイノベーションを生み出せる原動力としてこそ、明確なルールに基づいた制度のほうが望ましいというご指摘。さらには、大きなイノベーションが必要になることは自明である、これは現状の技術では不可能である、そのために何をするかということを議論すべきといったようなご指摘をいただいております。

続きまして、5ページ、エネルギーの事情を巡る意見ということでございまして、27行目からでございますが、我が国の資源が乏しい国情を踏まえ、エネルギーの3Eのバランスの視点が不可欠であるというご指摘。エネルギーと関連いたしまして、どうやって本体価格そのものを下げていくのか、さらには国内のエネルギー源をどう増やしていくかといったような視点が重要であるというご指摘をいただいております。

6ページでございますが、最後の二つのパラでございまして、ちょっと日本のエネルギーの原単位が停滞されているということに関する一つのご指摘でございますが、例えば鉄鋼業のように副生エネルギーの活用で一次エネルギー消費量を削減するといったような、省エネ努力が反映されていないといったことも停滞の要因ではないかというご指摘。

あともう一つは、東日本震災後、石炭火力の計画が多く出ていることについて、あくまで仮説というふうなご意見でございますが、安定供給のために多かったのではないかというご指摘もいただいております。

続きまして、2ポツでございます。次の章でございますが、脱炭素化と経済成長に寄与する可能性ということでございます。

7ページの下のほうをご覧いただきますと、まず2ポツの1といたしまして、脱炭素社会への移行におけるカーボンプライシングと題しまして。

8ページに移っていただきますと、まずカーボンプライシングの意義・特質を巡るご意見ということでございまして、幾つかご指摘をいただいております。

10行目の辺りをご覧いただきますと、日本の産業力、お金の流れをどう仕向けていくかという全体の移行プロセスの中で位置づけを考えるべきというご議論。

さらには、16行目の辺りをご覧いただきますと、炭素に価格を付け、新たな経済に移行していくというメッセージが必要である。その上でということで、特定の産業へのデメリット等は、これはまた別途、議論すべきであるというご指摘もいただいております。

続きまして、関連いたしまして、9ページでございますが、7行目の辺りからでございますが、日々の現実的なくらしの問題と長期的なビジョンを複眼的に見るべきという中で、収入をイノベーションやアダプテーション等に使うといったことも含めて、セットで考えるべきというご意見をいただいております。

続きまして、9ページの21行目以降でございますが、エネルギーの脱炭素化における位置づけを巡る議論ということでございますが。

29行目をご覧いただきますと、我が国では省エネの徹底された歴史があるという中で、カーボンプライシングが省エネやエネルギー転換という目的に対して、どういった効果があるのかというのを分析すべきであるというご指摘。

さらに、その下の32行目以降でございますが、長期的な限界費用をどう下げるかという経済的な視点も切り口になるという中で、化石燃料依存体質のままでは限界費用を下げられないで、他国が再エネを大量導入し、限界費用を下げた場合、日本は厳しい状況に置かれるだろうというご指摘もいただいております。

続きまして、10ページの中ほど以降が、削減効果に関するご指摘をまとめた部分でございますが、ご指摘の部分は具体的には11ページからでございまして、最初のご指摘、17行目からでございますが、削減効果につきましては、これは事務局から幾つか、こういったデータを小委員会でご説明していることへのご指摘でございますが、マクロだけではなくてミクロベースでも実証分析が行われてきているということで、削減効果が確認されているのではないかというご指摘。

一方で、11ページの28行目からでございますが、必ずしも削減効果を発揮しない例も見られるという中で、それぞれの国情を踏まえてとり得る最適な対策を講じて、世界全体のCO2を減らしていくことが重要であるというご指摘でございます。

以上が削減効果に関する議論でございます。

続きまして、次の12ページ辺りからが、2-2といたしまして、経済成長との関連のご指摘でございます。

まず、12ページの27行目から、カーボンプライシングを上げている国々が温室効果ガス削減と同時に経済成長もできているという証拠が得られているのは重要な示唆であるというご意見がある一方で、むしろデカップリングが進んでいるからカーボンプライシングを入れても大丈夫だという、鶏と卵が逆なんじゃないかというご指摘もいただいております。

もう一つ、経済成長との関係の意見といたしまして、12ページの最後の行からでございますが、カーボンプライシングは炭素排出が多く不採算な事業から、より付加価値・利益率の高いビジネスへと事業を転換していく強い後押しになるのではないかということを初め、幾つかサプライサイドの転換に関するご指摘をいただいております。

15行目の辺りからは、今度は需要側が変わっていくのではないかというご指摘をいただいておりまして、わかりやすい例で言えば、34行目、13ページの一番最後のパラでございますが、カーボンの価格による代替効果、その価格が波及した先の財の相対的価格が変化することで需要が変容していくといったようなご指摘もいただいております。

さらに、それに関連いたしまして、14ページでございますが、4行目の辺りからですが、税制のグリーン化だけではなくて、財政構造全体のグリーン化にまで議論を踏み込んでいくべきではないかというご指摘もいただいております。

他方で、14ページ、課題についてもご指摘をいただいていまして、後ほど課題については改めて整理いたしますが、ちょっとご紹介いたしますと、例えば18行目の辺りからでございますが、経済成長レベルのシグナルを送るとなると、必然的に高税率の炭素税が必要となるので、それが経済成長を実現することになるのか疑問であるという中で、企業の国際競争力の喪失、リーケージの招聘、国民経済への悪影響が生じることを懸念するといったようなご指摘をいただいております。

続きまして、経済との関係で、先ほど長期戦略の関係でもイノベーションという言葉がございましたが、こちらの小委員会でもイノベーションとの関連が議論されてございます。

15ページをご覧いただきますと、15行目の辺りから、長期大幅削減にはイノベーションの不断の創出が必要である、不可欠であるという中で、カーボンプライシングはエネルギーコストの上昇を招き、研究開発投資の原資を奪うことでイノベーションを阻害しかねないことを懸念すると、こういうご意見をいただいている一方で、その下の19行目の辺りからですと、カーボンプライシングで脱炭素投資を促していくほうが経済にプラスに作用するのではないかというご意見もいただいております。

続きまして、これもやはり長期戦略との関係で、別に合わせているわけではありませんが、議論しているものが同じ、もともと気候変動なので、ファイナンスについても小委員会で議論してございます。

16ページからは脱炭素化に向けたファイナンス促進の可能性ということで、いただいたご意見は次の17ページ目の辺りからでございます。

ちょっと時間がなくなってきたので、22行目の辺りから、グローバル企業はカーボンプライシングが導入されても競争に勝てるようなビジネスに取り組んでいるといったようなご指摘、あとその他、ESG投資等々のいろんなご指摘をいただいております。

18ページでございますが、もう一つ、先ほど財務情報というご意見がございましたが、こちらでもTCFDに関してのご指摘が、21行目の辺りから、されております。

続きまして、19ページからは、3ポツといたしまして、課題がもたらす可能性ということで、ご議論いただいた部分でございます。

まず、課題の1が、エネルギーコスト等の負担が増大する可能性ということでございます。

具体的なご指摘は20ページからでございまして、まず11行目からですと、温暖化と同時に国民生活にとっては、ほかにも大事な要素があるという中で、カーボンプライシングの導入がどのような影響を及ぼす可能性があるのかというのを議論すべきであるという中で、エネルギーをいかに安定的に安く供給するかは大きなポイントであるというご指摘をいただいております。

今エネルギー事情全体の話の中で、総論的にこういったご指摘をいろいろいただいておりますが、その中で特にコストを巡るご意見といたしまして、30行以降のパラグラフでございますが、小委員会では本体価格と、あとは実効炭素価格ということで、炭素税という炭素に比例したもののみならず、化石燃料にかかっている税全体をカウントしたものでございますが、実効炭素価格について国際比較をするならば、輸出の関係でいうのであれば、輸出貿易相手国であるアメリカ、中国、韓国等々との比較をすべきであるといったようなご指摘をいただいております。

もう一つ、コストの関係でいうと、例えば寒冷地における灯油のような、社会福祉的に安くしておく必要があるものもあるので、そういった意味では、価格全体を見るときには、そういったことも考えるべきであるというご指摘もいただいております。

今、実効炭素価格に少し触れましたが、ここについて、いろいろご意見をいただいております。

世界比較のグラフをご紹介したのですが、その中で、日本の産業部門について、実効炭素価格は国際的にはそんなに高くないのではないかというご意見がある一方で、単純比較するのではなくて、国によって産業構造等々が違うのだから、こういったこともあわせて比較検討すべきというご指摘もいただいております。

同じページ、下のほうで、特にエネルギーの中の電力価格についてもデータをお示ししておりましたので、それについてのご意見もいただいております。

多かったのは、31行目以降で、電力価格で見ると、日本の本体価格はそもそも高いという中で、輸出の面で国際競争力に影響を与えているという議論になっちゃうのではないかというご指摘もいただいております。

続きまして、22ページ、関連いたしまして、ほかの施策と対応コストといったことで、例えばFITも含めた暗示的な炭素価格も含めて議論すべきであるというのが22ページの23行目の辺りのご指摘でございます。

23ページに移りますと、他方で、他の施策ということになりますと、全てを定量的に判断することはなかなか難しいという問題はあるけども、他国でも、日本だけではなくて他国でもかなり規制、暗示的な価格の中に含まれる規制が実施されていることが明らかになったのではないかといったようなご指摘もございました。

あと、自主的取組を巡るご意見ということで、23ページ以降でございますが、19行目から、電気事業者が非常に急激に増えている中で自分たちが何をしたらよいかを考える点でも、自主行動計画の取組は非常に重要であるというご指摘をいただいております。

各国との関係で申しますと、32行目をご覧いただきますと、各国でも自主的な取組が実施されており、日本だけが特別ではないというご指摘もございました。

続きまして、24ページからが国際競争力あるいは炭素リーケージに絡む可能性ということでございますが、具体的にいただいたご指摘は25ページからでございますが、まず18行目からでございます。我が国は、ものづくり立国だということで、国際競争力に悪影響を与えることは、ゆゆしき事態になるというご指摘をいただいている一方で、同じ製造という観点から、日本企業が脱炭素で製品をつくれない、もしそういうことになれば、脱炭素で製造できる、ほかの国に発注されるおそれがある。国際的なグローバル・バリューチェーンの中でのご指摘だと思いますが、こういったようなご意見もいただいております。

続きまして、26ページ以降が炭素リーケージに関するご意見でございまして、2627にかけて、非常にたくさんのご意見をいただいております。ちょっと時間があれなので、さらに、かいつまませていただきます。

26ページの一番下の行でございますが、リーケージが起きていないとのエビデンスが出されている。これは事務局のほうからヨーロッパでの製造業を対象にしたリーケージに関する実証研究の成果で、その成果の結論として、エビデンス、リーケージは起きていないという結論のご紹介をしたんですが、それに対するご意見ということで、その理由は現在のカーボンプライシングが、そもそもリーケージを起こすほどのレベルになっていないのではないかというご指摘をいただいております。

その他、たくさんリーケージに関するご指摘をいただいております。その中には、リーケージについての制度的な対処の知見が蓄積されているといったような、27ページの18行目の辺りからのご指摘もいただいております。

課題の最後でございます。逆進性が生じる可能性がということで、こちらについては、28ページの21行目の辺りから、エネルギーは嗜好品ではない、生活を支えるインフラであるという性質に鑑みれば、FITの賦課金と同様、国民負担の議論になるというご指摘がある一方で、CO2を減らす目的のカーボンプライシングは消費税の逆進性の議論とは別物であるというご指摘もいただいております。

あと数分で終わります、最後に、制度設計を巡る関心事項ということで、幾つか拾ってございます。

全般的なご指摘といたしましては、すみません、29ページの8行目の辺りからで、日本の実情を踏まえた具体的な制度案に向けた議論をしてほしい。これは非常に多くの委員からご指摘をいただいております。その中で、社会全体の移行プロセスの中で、どう位置づけすべきかとか、

あるいは、24行目の辺りからですと、FITも含めた、暗示的炭素価格も含めた議論が必要とか、さまざまなご指摘をいただいております。

といったことで、これまでの議論をまとめてございますが、27日にいただいたご指摘も最後に、簡単に1分ぐらいでご紹介したいと思います。

非常に多くの委員からいただいたのは、一応、議論のまとめというものをご説明いたしまして、さらにこの中にご指摘をいただいたんですが、ほぼ意見、主張、論点は出尽くした。材料はもう、ほぼそろっているということで、あとは具体的な案を見せて議論したいというようなご指摘を非常に多くいただいております。また、この中に非常に、事務局が整理したファクトの部分につきまして、あるいは編集の仕方について、もっときちんと温対計画を引用すべきであるとか、もっとファクトについて、不十分ではないかとか、あるいはカーボンプライシングが削減にどのような効果があるのか、もっと十分に検証すべきではないかといったような、幾つかご指摘をいただいていますが、これにつきましては、また小委員長とご相談して、今後の議論に反映させたいというふうに思っております。

すみません、長くなりました。以上でございます。

安井部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等あると思いますので、また。ただ、時間が非常に迫ってきておりますので、ご配慮いただければと思います。

 それでは、今回はこちらから、小林委員から、すみませんけど、お願いします。

小林委員

ご丁寧なご説明ありがとうございました。

カーボンプライシングに関しましても、第5次環境基本計画策定の際に、商工会議所として意見を取りまとめております。その中で、日本はエネルギー資源の大半を輸入していることから、エネルギーコストが諸外国に比べて高く、その状況下で省エネルギーや省CO2の取組を推進してきた日本企業において、追加的なカーボンプライシングを導入した場合には、国際競争力の低下、環境と成長の好循環への悪影響、さらにはイノベーションのための原資縮小等の懸念点をお示ししております。

これらは特に地域経済の一翼を担う中小企業への影響が大きいと考えることから、今後の制度設計、制度検討に当たっては、地域への影響という視点も盛り込んでいただいて、丁寧な議論をしていただきたいと思っております。

また、本日ご説明いただいた資料の冒頭にもありますように、制度の導入ありきではなく、慎重なご検討をお願いしたいと思います。また、今日の様々なご意見を小委員会にフィードバックしていただくと同時に、引き続き本部会へのご報告もお願いしたいと思っております。

以上です。

安井部会長

ありがとうございました。

榮委員、お願いいたします。

榮委員

今、小林委員からご説明がありましたが、経団連の立場としては基本的に同じです。

ただ、一つご理解いただきたいのは、我々企業は脱炭素化に向けて決して消極的ではない。ぜひこれを実現したいということで、イノベーションに向けて、今一生懸命に取り組んでいる。こういう姿勢はまずご理解いただきたいと思います。その観点から見たときに、今ご議論されているカーボンプライシングが果たして我々にとってインセンティブになるかどうかというと、資源のない我が国のエネルギーコスト等を踏まえれば、付加的、追加的な炭素税というのは、我々にとっては決してインセンティブにならない。ここはぜひご理解いただきたい。この1点だけは強調しておきたいと思います。

安井部会長

ありがとうございました。

末吉委員、お願いします。

末吉委員

ありがとうございます。

ちょっと念のためなんですけど、先ほどちょっと触れましたけれども、カーボンを含むクライメイトリスクを財務データで見るという流れが始まっています。これは別の言葉で言えば、カーボンについて貨幣単位ではかって、見て評価して判断、結論を出していくという流れですよね。ですから、企業にとってみれば、もう既にクライメイトチェンジのリスクの財務データ化の中で企業自身の投資判断、設備投資も含めて、あるいは戦略判断、あるいは企業の情報開示、あるいは企業の会計基準、あるいは金融機関、あるいは外部の者の投資判断、ビジネスをしていいのかの話も含めて、あるいは格付がどうなっているのか、あるいはレピュテーションの問題、こういったところに間違いなくカーボンをドルではかり、円ではかり、ユーロではかる、人民元ではかる、そういう流れがもう、じわじわと本当に始まっているわけです。これは明らかに企業の外堀が埋まり始めているんですよ。

そういった状況の中で、主としてカーボンタックス及びキャップ&トレードの制度を議論するときに、そういう下地がどんどん変わっているというようなことは、ぜひ頭の中に入れていただきたいんです。ですから、企業にとってみれば、自社で勝手にプライスのレベルを決めていいのか、30ユーロなのか、そうじゃないのか、そういった話になると、明らかにフェアなプライスは何によって提供されるんだ、これは非常に重要な話だと思うんですね。

多分、資本主義のもとでは、自由なマーケットがプライスを決める、それにみんなが従わざるを得ないんだということになると、日本の中にマーケットによるフェアバリューを、フェアプライスを、どうやって決めていくのか、そういった視点からの議論もぜひやっていただきたいと思います。

安井部会長

ありがとうございました。

藤井委員、お願いいたします。

藤井委員

ありがとうございます。

私は、この議論は最近ちょっとどうもおかしいんじゃないかなという気がしてきているんですね。おかしいというのは、意味がないということじゃなくて、もともと温暖化問題を最初に経済的に分析されたスターン・レポートは、温暖化対策は大したコストじゃないと、早くやればGDPの0.51%で済むんだという議論だったわけです。ですから、早くやる、もちろん遅れるとすごくなりますよと、あくまでも推計ですけれども。ですから、我々が今やらなきゃいけないのは、カーボンプライシングは大事だと思いますけれども、大事ですけれども、これで何か世の中が大きく変わるとか、すごい負担になるとか、新たなマーケットがどんとできるとか、そういうことではないんじゃないか。そうなってしまうときには、すごいことになっているということなんですよ。ですから、それがまず1点。

それともう一つ、このご議論の中では、つまりタックスとクレジットが混在している。明らかにタックスとクレジットでは政策の効果も違いますし、タックスの場合ですと懸念されているように国民にもかけるのか、そしてフランスのイエロージャケットのように、フランス人は革命が好きなので起こるんですが、日本人は粛々と受け入れるかもしれませんけれども、しかし家庭の負担は大きくなってしまう、そういうようなものを選ぶのか。特定の産業セクターにかけて、全ての産業セクターに私はかけるのもよくないと思うんですね。やはり特定の産業を低炭素化するために政策的にやっていく、そのためにインセンティブとして、前向きにやっている企業をほめたたえ、そこのコストを削減するというような実務的な使い方を、どうせこれをやっていく上においては考えていかなきゃいけないと思うんです。

それから、一般タックスにどうしても、恐らく環境省が目指されているのはタックスじゃないかと思っているんですけども、タックスにもししていく場合には、これは目的税になりますから、国の一般財政との関係を明確にしていただく。予算を見ますと、一般消費税の10%引き上げに対応して自動車の課税を引き下げるというのが入っています。つまり、大きな温暖化対策税になってくると、一般税との、要するに両方で重複感が出てくるわけですね。そういうことも踏まえてご議論されていかなきゃいけない。ですから、もしタックスならば、小さな特定産業を目指すとか、そのような議論を今後これらの一般的な意見を踏まえて絞り込んでいただきたいなと思います。

以上です。

安井部会長

ありがとうございました。

藤村委員、お願いします。

藤村委員

ありがとうございます。

先ほど、森下さんは年々変わっていると言うけど、この議論は本当に30年ぐらい変わらない議論がずっと続いているなと思っています。今日の説明では、、もう材料は出尽くした、具体的な議論をということになったようなので、期待するわけですけども。その際、ぜひ2点ほど。

1点は、これまでにも述べましたけれども、反対される方がいらっしゃるわけですが、じゃあどんな実効性のある方法でパリ協定の目標を達成しようとしているのか、ぜひ知りたい、そういうことも明確にしていただきたいなと思います。最近、企業の環境報告書とか統合報告書を見る機会が結構あるんですけれども、その中で新たな企業価値創造がちょっとトレンドになっているようですので、、そういう視点からどうやってパリ協定の目標を達成しようとしているのか?もう自主的取組では無理といういろんな実証がなされているわけで、そこはぜひ知りたいし、そういう議論をしていただきたいなと。

それから2点目として、前回のときにも申し上げたんですが、実は私たち、グリーン連合として地域のNGOや市民の方たちと一緒に炭素税についてのワークショップをやりました。そのとき、森下局長を初め、ご担当の方にもいらっしゃっていただいて、ご説明いただいたんですけども、30人ぐらいの市民が集まりました。もちろん、その中には企業の方もいらっしゃいました。それを簡単にご紹介すると、炭素税の是非については、やはり反対という方はいらっしゃいませんでした。もちろん関心があるから来たという方は多いと思うんですが、企業関係者の方も反対という意見はなかった。なぜかというと、経済システムを変えないと、もう変わらない。従来の取組では、とても不十分で、やっぱり経済の仕組みを変えるには、お金の流れを変えることが非常に必要だというふうなご意見が出ましたし、またパリ協定の長期目標を達成するためには、もうこの手法しかないというようなご意見も出ました。

それからもう一点、炭素税の使途についても議論したんですけれども、炭素税そのものにCO2削減効果があるわけだから、そういうことではなくて、多くの方が税の意義や使途を理解し、賛同してもらえるように、例えば欧州なんかでよくやられている社会保障費の負担軽減など、そういうことに使うということもあるんじゃないかというご意見がたくさん出ました。もちろんこの中には雇用対策のようなことも、既に始められているところもあるようですけども、こういう意見も出ました。

それからもう一つ、やっぱりこれを国民の多くの人に知ってもらうことが必要だということで、ぜひ前向きなメッセージを出すべきじゃないかというご意見も出ました。要は、炭素税を導入し、所得税などを減税するなどの税制そのものをグリーン化することで、経済成長するんだということを明確に示したほうがいいんじゃないかとか。あるいは実際に製品価格が幾らぐらい、これによって上昇するのかというような、わかりやすいデータを出してもらうことで国民の理解も得られるようになるんじゃないかというふうなご意見もありました。

炭素税に関しては、賛否両論あるわけですけれども、将来世代につけを残さないためにはやはりこの手法というのは、非常に有効な方法だということが実証されているわけですから、これをもっと前向きにやって、一部の産業界の反対の方を説得するということに尽力するよりも、賛成派を増やす努力をもっともっとしていただきたいなと思います。市民の意見からも、先ほどご説明したような意見も出ているわけで、決して市民がこれに関心がないわけでもないし、本当にこれが消費税とは抜本的に違うんだよとか、こういうことをやることによって、よりよい社会を築けていくんだよという前向きなメッセージを出すことで市民の理解も得られると思います。、ぜひ賛成派を増やすような努力、ベースとなる制度設計をした上で市民も含めた議論を重ねる努力が必要ではないかなというふうに思いますので、今後の議論に期待したいと思います。

安井部会長

ありがとうございました。

次、井田委員ですけど、ぜひ短くお願いします。

井田委員

短く言います。

先ほどのフロンの話と同じなんですけども、90年代からずっとこういう話をしているんです。これが実現しなかったということは、私自身、どれだけそれに影響力を与えたかというのは疑問なんですけども、大きな後悔の一つです。これがなければ、きちんとしたカーボンプライシングが入っていれば、先ほど小西さんがご指摘になったように、石炭のような、こんなことにはなっていなかったはずです。

今、藤村さんがおっしゃったけども、90年代後半からずっとこういう議論をしてきたんですね。もうそろそろ、いいかげんにしませんか。官邸の中でも、産業界の人から制度設計、官邸の長期懇談会の中でも制度設計次第だという声も出てきているわけだし、JCLPなんかの人たちも環境情報監視のヒアリングに出てきて、カーボンプライシングに賛成だと言うんです。世の中が全然変わっているわけですから、やっぱりそろそろ、もうこんな議論はやめてというと非常に失礼ですけども、具体的な制度設計の議論を早くしたほうがいいというか、すべきではないかというふうに思います。何年こういう議論をしてきましたか。

安井部会長

ありがとうございました。

大塚委員。

大塚委員

この会議のほうに入れていただいているので、本当に一言だけ申しますが。

先ほどご議論があったのは本当に参考にしたほうがいいと思いますけど、使途については、またそれはそれで大きな議論になってしまうので、あまり触れられていないところがちょっとあると思うんですけれども、やっぱり二重の配当のような議論は、雇用のほうに、社会保険料のほうを安くするとかというような議論は、これから検討していくときには、ぜひ環境省は打ち出していったほうがいいかなと思います。賛成派を味方につけるというのはかなり重要な話ではないかと思います。

あと、やはり石炭、とにかく本体価格を含めても値段が安いというのは非常にありますので、それが石炭価格のほうに結びついているということが実際問題あるので、カーボンプライシング全体ももちろん大事なんですけど、特に石炭に関してはやはり問題が大きいということ。

それから日本の企業の中でCO2をたくさん出していらっしゃるところがあるので、それはこの中にも出てきていますけども、一般的に社会全体を低炭素化に持っていくわけですけども、そういうところに関しては、やはり一定の減免とかというのは当然考えるべきだと思いますので、あまり社会全体が変わっていくことについて、個々の企業についても配慮するということで、反対していただくことを、ちょっと緩和することが非常に重要ではないかということを申し上げておきたいと思います。

以上です。

安井部会長

河上委員、お願いいたします。

河上委員

ありがとうございます。

小林委員、榮委員からご意見がありましたので、そこは同意見というところで省きまして、1点だけ。

カーボンプライシングによるところの温室効果ガスの排出削減効果やデカップリングとの因果関係のところで、やはり依然として十分な検証がなされていないんじゃないかと考えております。したがって、やはりこの点だけはしっかりと分析、検証していただいて、ましてや国情の異なる我が国において本当に有効なのかというところ、慎重な検討が必要だと考えております。

以上でございます。

安井部会長

ありがとうございました。

岸上委員、お願いします。

岸上委員

ありがとうございます。

手短に二つ、質問させていただきたいと思っております。

海外に導入した事例をもとにご議論いただいたということで、賛否両論あったという状況かと思いますが、海外の導入の事例をご覧になった限りでは、プラス面は出ているけれども、マイナス面があまりなさそうな気がいたします。現時点で、もし何かマイナスの側面があるとしたら、それは何だったのかということをお聞きしたいというのが1点ございます。

2点目は、今後具体的なスキームを頭に描きながら議論を、小委員会でしていただくということだと理解しましたけれども、小委員会で進める結論になった場合、その後の実際に実現するまでのプロセスはどのようになるのか、教えていただけますか。

安井部会長

お答えを。

市場メカニズム室長

すみません。1点目のマイナスの側面となると、実は導入されている、特にヨーロッパの事例で実証研究が積み重ねられているのですが、申し訳ありません、例えば一番よく言われるのが国際競争力との関係でカーボンリーケージということがあるんですが、リーケージが発生しているという研究は実は世の中にまだないということでございます。

あとは、もちろん個々の経済の場面で見ると、エネルギーコストが上昇したり、あるいは先ほどのリーケージの中で、リーケージは起きてないけども、一時、雇用が少し、フランスで下がったとかといったような事例はあるのですが、ちょっと体系的に負の面についての研究がまだ十分に成果として、我々としても得ていないので、この程度ではございますが、一応そのような事例もございます。

もう一点のプロセスというのは、制度として具体化するプロセスということになりましょうか。先ほどもちょっとタックスとクレジットをごっちゃにしているというご指摘もございましたが、今後具体的に議論する中では、もちろんクレジットというのは恐らく排出量取引制度のことだと思いますが、一緒くたに、制度は全然違う制度なので、議論はできないので、例えば税という形でやるのであれば税法の改正ということになりますので、一連のプロセス、もちろん党の税調でもご議論いただかなきゃいけませんし、それで最終的に国会に提出ということになるんですが、排出量取引制度の場合ですと、最終的なプロセスとしては同じように、恐らくこれは法律事項になりますので、法律をつくって提出する。もちろん、その過程で、こういったようなさまざまなご議論をしていただいた上で、もしやるのであればということなのですが、そういうふうなプロセスになります。もちろん、それをやる、やらないは、まだ全然決まっておりませんが、今のご質問にテクニカルにお答えすると、そういうことになります。

安井部会長

ありがとうございました。

大分時間が過ぎておりますが、一応あとちょっとございます。議題(7)その他が議題にございますが、何かございましたか。

そうですか。ありがとうございました。

それでは、本日の議事は終了いたしまして、何かしゃべれという話もあるんですけど、ちょっと、できるだけ短くしますが。

実を言うと、先ほど申しましたように、次、来月中に中環審の委員、それから臨時委員の改選がございますので、現メンバーでの地球環境部会は今回が最後ということでございますし、私も、もう座長は次が決まっておりますので、これで引くということになります。私はもともと気候変動の専門家ではございませんでしたけど、LCAというものをやっていたり、材料屋というのは地球から原料を取ってきて、最後、製品にするところまで、一応全部を知っていないといけないので、そういう意味で、一部、CO2がどこへ出るかという話はわかっていたということで、これまでやってまいりました。あまり十分ではなかったと思いますけれども、いろいろお世話になってありがとうございました。

ただ、先ほどの1.5℃推移の話というのは確かにインパクトがあるんですけど、あの中身を全部お読みになった方がどれだけおられるのか、知りませんけど、全部読むと大変なことが書かれているんですよ。とにかくBECCS、バイオエナジーのCCSをどれぐらいやるかという話が、大変な話が書かれていて、バイオ系で地球がぶっ壊れちゃいます。本当にどっちで壊すかという話だなという、私は解釈ですが。バイオ系で壊れるんじゃないかというほうが怖いか、食料がどうなるかとか、そんなような気もいたしまして。何ともかんともだなと思って、そこまで人類というのは地球を追い込んじゃったのだろうなという感じはいたしております。

というわけでございまして、本日、長々といって5分遅れてしまいまして、申し訳ございませんが、以上でございます。

それでは、これにて本日は閉会とさせていただきます。本日はありがとうございました。

総務課長

ありがとうございました。

活発なご議論どうもありがとうございました。引き続きお世話になる委員の皆様もいらっしゃいますけれども、2年間、誠にお疲れさまでございました。

なお、本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただき、そのうちホームページのほうに掲載させていただきます。

事務局からは以上です。本日は誠にどうもありがとうございました。

安井部会長

終了でございます。どうも。

午後 5時04分 閉会