中央環境審議会 環境保健部会  石綿健康被害救済小委員会(第12回)議事録


議事録

午後1時00分 開会

○伊藤補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第12回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
 本日、大塚委員、椋田委員からご欠席の連絡をいただいておりまして、委員11名のうち、9名のご出席をいただいております。
 初めに、傍聴者の皆様へのご連絡でありますが、傍聴券にも記載させていただいておりますとおり、会議中は静粛にしていただき、審議の妨害となるような行為は慎んでいただきますようお願いいたします。また、会議中であるか否かにかかわらず、会場内において、委員等に対する抗議または陳情等は控えていただきますようお願いいたします。守られない場合には、ご退場いただくこともありますので、ご協力をお願いいたします。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第を1枚おめくりいただきまして、資料1が石綿健康被害救済小委員会の委員名簿であります。資料2から資料5までは、それぞれ1枚ずつ横長の資料になっておりますが、クリップを外していただいて、左上に資料番号を付しております。資料2が「びまん性胸膜肥厚と肺がんの関係について」、資料3が「諸外国における石綿健康被害に係る制度の比較」、資料4といたしまして、「石綿健康被害救済制度における肺がんの医学的判定に関する考え方について」、資料5が「肺がんと石綿肺等の医学的判定の比較のイメージ」であります。資料6は、縦長の資料に戻りますが、「石綿繊維計測体制整備事業」でありまして、資料7としまして、「石綿健康被害救済制度における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方について(案)」であります。それから参考資料としまして、「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会からご提出いただきました資料」をつけております。
 以上、不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。
 それでは、ここからの議事進行は、浅野委員長にお願いいたします。委員長、よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、前回の会議から大分時間が経過いたしましたが、本日も「石綿健康被害救済制度における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方について」ご議論をいただきたいと思います。
 それでは、まず最初に、古谷委員から、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会からの要望書に関する資料の提出がございましたので、ご説明をお願いいたします。

○古谷委員 参考資料として配られているものですが、前回、昨年の12月5日の救済小委員会で、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の会長の古川さんと斎藤さんがヒアリングという形で、意見を述べさせていただく機会がありました。
 そこで皆さんが主張したのは、今回の救済小委員会で、1点目は肺がんの判定基準を改正していただきたいという、まさに救済小委員会の課題のことです。
 2点目は、既に先行して、石綿肺が救済対象になっていますが、その石綿肺の救済についても、迅速かつ幅広く救えるようにという要請でした。
 3点目には、少し枠を大きくとることになるかもしれませんが、救済・給付の改善についても、引き続き忘れないでほしいという以上3点の要請で、実際、ヒアリングの中では、古川会長から、特に肺がんの判定に当たって、石綿繊維の計測ということで、2年以上も待たされている問題があるという指摘もあったところです。
 今回お届けしましたのは、それを受けての補足の参考資料と受けとめてください。
 肺がんの認定基準については、肺がんの発症リスクを2倍以上に高めるアスベストばく露があった場合に、アスベストが原因だと判定しましょうと。そのようなばく露というのは、25fiber/cc-yearsという、聞きなれない単位ですが、それだけの累積ばく露があった場合であろうと。そこまではいいとしても、そうかといって、累積ばく露量がどれぐらいあったのかということを過去にさかのぼって確かめることは非常に困難であると、あるいは不可能に近いかもしれない。そのため、それに代わる指標というものがどこの国でも求められてといますと言いますか、専門家の中でも議論されています。
 オールマイティーな基準がない。石綿小体5,000本以上あれば、2倍以上にリスクを高めるばく露があったと考えていいだろうということですが、逆に、そういうばく露を受けた人、全てが石綿小体5,000本以上あるかと言うと、そうとは言えないと。ですから、これか、これに該当する場合には、リスクを2倍以上にするばく露があったと考えようということが、現在の国際的な議論であり、また各国がアスベストの労災認定なり、判定に使っている基準だろうということで、このことについては、私たちも患者の皆さんも、現時点での知見として理解しているところです。
 1点目の肺がんの判定を改善してほしいということの中身は、例えば日本の労災制度の認定の中でも、そういう流れの中で労災制度の認定基準を変えてきて、選択肢を幾つか設けています。
 ところが、救済法の判定においては、労災制度の認定基準と比べた場合でも、挙げられている幾つかの選択のうち、幾つか限られた数しか採用されていない。それは理論的に考えて、労災認定の場合と比べても、救済法の場合に、肺がんが救えないということにつながってしまうのではないか。実態としても、そうであろうと考えます。
 これまで、一つのその理由が、救済法の判定に当たっては、どのようなばく露をしていたのかどうかということをうまく調べられない。それを判定の材料に使わないということで、選択肢が狭められてきたわけですが、石綿肺を救済の対象に加えた時に、救済法の枠組の中でも、ばく露についても考慮した判定という仕組みが、アプローチが入ったところですから、ぜひ今回の見直しに当たっては、そういうばく露に関する情報も活かして、少しでも現在あるそういう判定の基準が、ばく露の種類を問わず、全てのアスベスト被害者の救済のために活用できるというのが、迅速で、すき間のない救済という法の趣旨に一番合うのではないだろうかということに尽きます。
 ですから、端的に申しますと、特に救済法の肺がんの判定基準について、ばく露を勘案した救済の条件というのを、少なくとも労災制度並み、労災制度に準じて取り入れることをぜひ、今回の救済小委員会で考えてほしいということであろうと思います。
 特に前回の議論で、そうは言っても、今の環境再生保全機構なり、救済法を担当している機関に、そういうばく露状況をきちんと確認できる能力や体制があるのかという議論が出されました。
 そこで、特に、2013年1月10日付の要請書(その2)の3ページ以下については、例えば労災制度のほうでも、こういう工夫をしながら、その問題を処理していますということで、一つは、特にクボタショックの後、古い事例も含めて大量に挙がってきた中で、幅広く救済するために、どのような職種に従事してきたのかということの確認で、迅速に判定できるようにしようという取り組みがなされていたり、また、労災認定の場合は逆に、ご本人が労働者であった期間だけではなくて、事業主であった期間とか、そういう期間にもアスベストにばく露していたとすると、労災認定の場合には、労働者であった期間のばく露が主たる原因となって発病したものでないと、補償できないということを判定しなければいけませんから、単に期間だけではなくて、労働者性のあった期間となかった期間のばく露がどうだったのかということも、ふるい分けをしなければならない。そのためにこんなやり方が行われていますということもお示ししております。
 これは翻ってみますと、救済法の場合には、こういう仕分けをする必要はないと思いますので、その点、労災制度の場合よりも、たやすく済むというか、複雑でない面もあるということです。
 私たち、あるいは患者家族の皆さんは、このような現在厚生労働省が使っている、あるいは採用しているばく露の確認方法を参考にしながら、現在の救済法の枠組、環境再生保全機構を中心とした体制の中でも、それを活かすことは必ずできると。少なくとも迅速かつ、すき間のない救済の実現をするためには、そういうことができるようにすべきと考え、強く要望する次第です。
 2点目の要請書の最後のほうに、被害者家族が推薦する専門家の意見とか、あるいは被害者家族そのものの声が書かれていますが、これは今回の問題に限らず、議論の形式の中にも、被害者家族がよりよく代表できる、よりよく参加できる形を絶えず念頭に置いていただきたいですし、形式だけではなくて、何よりも議論の中、結論の中に、そういった患者や家族の声が反映されるように、引き続きお願いしたいということであります。
 簡単ですが、以上、解説というか、説明にさせていただきます。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの古谷委員からのご説明について、何かご質問などございますでしょうか。いかがでございましょうか。
 他の委員の方から、ご発言ございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、後ほどの議論の中で、また関連することがあれば、意見交換ができると思いますので、古谷委員のご説明、患者の会からのご要望については、承ったということにいたします。
 それでは続きまして、岸本委員から、「びまん性胸膜肥厚と肺がんの関係について」、資料をご提出いただきましたので、この資料2についてご説明をお願いいたします。

○岸本委員 私が研究責任者といたしまして、平成22年から3年間、びまん性胸膜肥厚の症例について検討をしてまいりました。
 この資料には、「全国労災病院」と書いてありますが、「全国労災病院等」ということで、かつてアスベストが多く使用された大阪、奈良の病院の先生方の御協力も得まして、びまん性胸膜症例を集めました。
 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚は、救済法でも、認定するということになっておりまして、過去の症例を含めまして、平成24年度終わりまでに89例の著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜症例を我々は集積することができました。
 その中で、8例というのは、石綿肺によってびまん性胸膜肥厚になった症例でございまして、石綿肺を伴わないびまん性胸膜肥厚81例について、過去の症例、もしくは、この平成22年~24年に新たに労災認定された症例を集めて検討いたしました。男性が78例、女性が3例で、男性がとても多い疾患であるということがおわかりになると思います。
 その中で、肺がんがどの程度、合併があるのかということを検討してきたわけですが、石綿肺のないびまん性胸膜肥厚では、1例も肺がんの発生がございませんでした。
 ここにありますように、胸膜プラークの合併率というのは、この程度、高いということと、良性石綿胸水と診断された後、びまん性胸膜肥厚で著しい肺機能障害を起こした例が過半数を占めるということでございました。
 我々は、81例しか、この3年間で集めることができなかったのですが、この中では肺がんの発生が1例もなかったということでございましたので、今、古谷委員がおっしゃったように、肺がん発生頻度を2倍にする25fiber/ml×年というのを満たすような事実は確認ができなかったということでございます。
 我々としても、肺内石綿小体が5,000本以上あった症例等を検討したかったのですが、この病気は肺がんと違いまして、手術等をしない病気でございます。そのため、剖検ということによることなんですが、思いのほか剖検をされる例がなかったので、肺内石綿小体を検討することができなかったということであります。これを平成24年度で終えることなく、もう少し検討してみたいとは思いますが、我々が3年間検討した限りでは、このような結果が出たということで、今日、この場で発表させていただきました。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 何かご質問、ご意見はございますでしょうか。

○清水委員 この症例は、81例でございますが、どの程度の期間、アスベストばく露を受けておられるのか、あるいは、どの時期にアスベストのばく露を受けた方なのかということはおわかりですか。

○岸本委員 これはわかっています。ばく露年数は、大体30年~31.5年が中央値でございまして、初回ばく露からびまん性胸膜肥厚を来すまでは47年間ということで、かなり潜伏期間が長いです。
 私が152例の石綿肺がんを検討して、2010年にキャンサー・サイエンスに投稿した石綿肺がんの潜伏期間も47年でございましたので、大体同じ程度だということだと思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 他に何かご質問ございますか。古谷委員から、何かコメントはありますか。

○古谷委員 前回も岸本委員が言われたように、残念ながら石綿小体や繊維の検査ができていないということで、後で出てくる労災認定基準が参考にした論文とのダイレクトな比較ができないのが残念だとは思うのですが、びまん性胸膜肥厚事例の石綿小体なり、繊維数のデータというのは、個別の症例でも、日本の症例というのは、ないのでしょうか。

○岸本委員 日本では、十分な検討がなされておりません。びまん性胸膜肥厚を50例以上集めて、報告書にまとめたものは、今回の環境省の検討事案ぐらいでございます。過去には、Gibbsらが肺内石綿繊維を測っているぐらいで、海外でもあまり石綿小体に言及した論文はございません。以前、McLoudが1980年代に、円形無気肺を来した人のBAL中の石綿小体のカウントというのは行っているのですが、びまん性胸膜肥厚に限ったものは、私はないと思っております。

○浅野委員長 他の委員から、何かご質問はありますか。内山委員は、よろしいですか。

○内山委員 教えていただきたいのですが、この症例は今現在、生存されている方ですか。

○岸本委員 生存されている方もおります。26例がお亡くなりになっております。

○内山委員 26例がお亡くなりになられて、生存されていらっしゃる方もいるということですね。

○岸本委員 はい。

○内山委員 この中から、今後、肺がんが発症される可能性というのはわからないということですか。

○岸本委員 はい。

○内山委員 それは、前向きコホートで追ってみれば、もっとはっきりしたことがわかるという、そういう意味ですね。

○岸本委員 はい、そういう意味です。

○内山委員 わかりました。

○浅野委員長 よろしゅうございますか。
 それでは、清水委員どうぞ。

○清水委員 年齢的には、どのぐらいの方たちですか。

○岸本委員 中央値が74歳ぐらいで、高齢者のほうが多い傾向であります。肺がんや良性石綿胸水に関しても、年齢中央値は70歳を超えております。超えていないのは中皮腫でございまして、中皮腫は大体67~68歳が中央値になってございます。

○浅野委員長 他にございますか。新美委員、何かありますか。

○新美委員 結構です。

○浅野委員長 それでは、これはそういうデータであるというご報告をいただいたということにいたします。
 それでは、続きまして事務局から、資料3から資料7までを続けてご説明をいただきます。よろしくお願いします。

○神ノ田室長 それでは、ご説明を申し上げます。まず、資料3でございます。前回のこの救済小委員会でも議論になりましたが、ヘルシンキ・クライテリアの2対1の比率と比べると、救済制度では肺がんが十分、救済できていないというご指摘がございました。
 そういったことから、諸外国の状況がどうなっているのかということを調べてみたのが、この資料3でございます。
 1番の労災対象外というのは、日本で言えば救済制度に該当する制度が諸外国でどうなっているのかというところでございますが、ドイツ、イタリア、アメリカについては、制度自体がないということで、イギリス、ベルギーについては、制度はありますが、肺がんは対象外となっております。唯一、フランスについては、肺がんも対象にしておりまして、肺がんと中皮腫の比は1.6対1という状況でございます。日本と比べると、肺がんの認定割合が高くなっているという状況でございます。
 2番は、労災対象についてでございます。日本は0.7対1という状況で、フランスの2.1対1、ドイツの0.9対1に次いで3番目という状況で、国際的に見ると平均的な水準にあるのではないかということが言えるかと思います。
 一番下に参考として、労災制度における認定状況について、トレンドを整理してみました。1980年代、1990年代、また2000年代ということで、推移を整理してみますと、トレンドとしては、肺がんの比率は低下傾向にあるということがわかるかと思います。1980年代は確かに2対1に近い水準にあったわけでございますが、2000年代に入りますと、1を下回ってきているということでございます。
 ヘルシンキ・クライテリアにつきましては、恐らくは1980年代、1990年代の古い知見に基づくものと考えられますので、それを現在の状況に当てはめるというのは、難しい面があるのではないかと考えているところでございます。
 続きまして、資料4でございます。肺がんの判定基準が厳し過ぎるというご指摘がございましたので、もう既にご案内済みのことかと思いますが、改めて肺がんの判定基準がどのような考え方で設定されているのかを整理した資料でございます。
 1番の石綿が原因であると見なす考え方でございますが、先ほど、話が出ておりましたとおり、肺がん発症リスク2倍以上の医学的所見が認められた場合を救済対象とするということで、これは対象者2人のうち、1人は石綿を原因と見なしてもよいという考え方に基づいております。
 過去の救済小委員会の議事録も確認してみたところ、通常は損害賠償の因果関係については、7割から8割の蓋然性の証明が必要であるというところを、5割でも救済するという考え方については、かなり被害者側に寄り添った考え方ではないのか、という議論もなされております。
 2番目で、医学的知見とそれに基づく判定基準の関係を整理しております。
 石綿小体数につきましては、医学的知見としては、乾燥肺1g当たり5,000~15,000本で発症リスク2倍となっております。また、気管支肺胞洗浄液1ml当たり5~15本で発症リスク2倍というのが、ヘルシンキ・クライテリアの知見ということでありますが、それに対して判定基準では、5,000本以上、5本以上ということで、いずれも最小値を採用しておりまして、これも幅広く救済できるレベルに数値を設定しているということが言えるかと思います。
 続きまして、画像所見でございますが、医学的知見としては、胸部エックス線検査の所見で胸膜プラーク及び肺線維化の所見が認められた場合に、発症リスクが2.3倍になるというのがHillerdalらの報告でございます。
 これに対して判定基準では、胸部エックス線とCT検査、この両者をあわせて確認をしておりまして、ご案内のとおり、CT検査では、かなり微細な所見も確認することができることから、こちらについても幅広く救済しているという状況でございます。
 実際の審査の場面におきましては、申請者側からはほぼ100%放射線画像については提出されております。画像所見の確認の中で、画像に係る基準をクリアできなかったものについて、石綿小体数も確認し、また石綿小体数でも基準に達しなかったもの、これについては繊維計測を実施しているということで、重層的な審査が行われているところでございます。
 続きまして、資料5でございます。こちらでは、先ほど古谷委員からも話がございましたが、既に石綿肺のほうで作業従事歴を基準として採用していることから、肺がんにも適用可能ではないかというご指摘を踏まえての整理でございます。
 事務局としては、肺がんには作業従事歴を適用することがなかなか難しいのではないかという認識で、こちらのイメージ図ではございますが、その違いを対比させて整理させていただいております。
 左側は、石綿肺等の医学的判定についてまとめておりますが、石綿肺等につきましては、医学的所見のみでほぼ鑑別が可能となっております。画像所見で小葉中心性粒状影等の特徴的な所見で確認もできますし、また、臨床経過で、例えば抗菌薬がよく効けば別の疾患が疑われ、除外診断等もできるということで、そういったことで医学的所見でおおむね絞り込みが可能だというのが、石綿肺等の審査の状況でございます。
 作業従事歴につきましては、実際、確認する作業はしておりますが、審査の場面では参考程度にとどまっておりまして、いろいろな証明書類等を提出してもらっておりますが、自己申告等に基づくような、客観性に乏しいものが多いというのが実情でございます。また、これまで2年半以上の間、審査をしてまいりましたが、この作業従事歴をもって不認定となった事例は、これまでにはないという状況でございます。
 前回の救済小委員会で、内山委員から、どのくらい作業従事歴の確認に負担がかかるのか確認してみたらどうかというご指摘がございましたので、直近1年間の審査の状況を整理しております。
 審査件数は103件で、そのうち認定されたものが24件ということでございましたが、この24件中、作業従事歴に関して第三者による証明書類が提出されたものは、1件もなかったということでございました。
 環境再生保全機構では、5名程度の担当者を配置しておりまして、この作業従事歴の確認作業をしておりますが、自己申告の裏づけとなるような証拠を集めるのは、なかなか難しいというのが実情でございます。
 一方、肺がんについてでございます。胸膜プラークと作業従事歴10年以上という基準を採用した場合にどうなるのかということをまとめておりますが、医学的所見としては、肺がんがあるのかどうか、また胸膜プラークがあるのかどうかというところまでしか、確認ができないということで、他の原因を除外していく作業が非常に難しくなってまいります。
 推計してみたところ、毎年約3,000~5,000人の胸膜プラーク所見を有する肺がんが発生してくることも想定されますので、この中から石綿による肺がんを絞り込んでいくためには、作業従事歴10年以上というところを厳密に精査していくことが必要になってまいります。
 先ほど、年間約100件の石綿肺等の審査で、5名程度の担当者を置いているということをお話ししましたが、これが1,000人を超えるような規模で申請が上がってくれば、数十人から、場合によっては100人以上の担当者を置く必要が出てくると思われますし、また、そういった形で担当者を置いたとしても、客観的な証拠を得るということは、この石綿肺等の審査の経験からしますと、非常に難しいのではないかと考えているところでございます。
 続きまして、資料6でございます。前回も議論になりましたが、石綿繊維計測に非常に時間がかかっているということで、迅速な救済がなされていないというご指摘がございまして、それを受け、急遽、平成25年度の政府予算案に透過型電子顕微鏡等の体制整備を図るための経費、1億3,800万円を計上することといたしました。
 1枚おめくりいただきまして、2ページのところで、こちらのイメージ図のとおり、現状約2年かかっている石綿繊維計測について、この体制整備を行うことによって時間の短縮を図っていきたいと。それによって迅速な救済につなげていきたいと考えているところでございます。
 1点だけご理解いただきたいのは、救済制度では、年間約1,200件の申請が上がってきておりまして、この石綿繊維計測の対象になるものは、年間約20件という状況でございます。この20件につきましては、確かに年単位で非常に時間がかかっておりますが、その他の大多数については、数か月以内に判定ができているという状況でございます。
 今日もご出席の三浦委員、岸本委員に、大変ご負担をおかけする中で、月に約4回、審査会を開催しておりまして、そういった中で、最短では、約2か月で判定ができているという状況でございます。
 3ページ目でございますが、石綿繊維計測に時間がかかっているということで、前回の救済小委員会において、制度全体が迅速な救済ができていないという指摘を受けましたので、石綿繊維計測の手続きについて見直しをしたいと考えております。
 左側が現行の手順でございますが、こちらの制度は、原則、申請主義でございますので、申請者から提出された資料に基づいて審査をするというのが原則でございますけれど、救済制度ではそれに加えて、救済の観点から審査側の対応として、石綿小体数の計測、あるいは繊維計測を実施しているということでございます。
 石綿繊維計測につきましては、先ほども申し上げましたとおり、画像所見や石綿小体数がいずれも基準を満たさなかったケース、つまりは、そのままでは不認定にせざるを得ないようなケースについて、可能な限り救済しようということで、審査側で実施しているものでありますが、実際には時間がかかり過ぎてしまっているということですので、この点については改めていこうと考えております。
 先ほどの繰り返しになりますが、信頼を損なうような結果になっておりますので、その点については十分、申請者側にもご理解いただく必要があるだろうということで、右側の石綿繊維計測が必要と判断された段階で、申請者側によく状況をご説明して、希望するのかどうか、その意向を確認した上で繊維計測を実施していきたいと考えております。
 資料7でございます。こちらは前回の救済小委員会での議論を踏まえまして、浅野委員長にもご相談の上、報告書案ということで作成したものでございます。
 1ページ目をお開きいただければと思いますが、まず「はじめに」というところで、これまでの経緯についてまとめております。
 1段落目のところは、環境省と厚生労働省の合同事務局の基で、平成18年2月に検討会報告書を取りまとめて、救済制度ではこの救済小委員会での審議を経て、指定疾病及び医学的判定の考え方を定めたという経緯をまとめています。
 また2段落目では、今回のこの救済小委員会での検討について整理をし、その結果をここに報告するということでまとめております。
 2番目のところで、判定するための考え方についてであります。まず、(1)の肺がんについてでありますが、1段落目のところでは、現行の判定の考え方を整理しております。
 肺がんの発症リスクを2倍に高める量の石綿ばく露があったとみなされる場合に、石綿によるものと判定するということ。また、2段落目のところでは、それをさらに具体的に記載しておりまして、25本/ml×年程度のばく露があった場合ということで、下に記載している[1]、また2ページの頭の[2]と、この二つの判定基準があるということです。[1]は、胸部エックス線検査又は胸部CT検査で胸膜プラークと肺線維化所見を確認するということで、2ページの頭では、肺内石綿小体又は肺内石綿繊維数ということでの基準を記載しております。
 以下、今般検討した各項目について、新たな知見等に基づいて、指標として適切であるのかどうかの検討を行ったということで、まず[1]の広範囲の胸膜プラーク所見を指標とする考え方でありますが、1段落目のところでは、廣島、由佐らの2011年の報告の内容をまとめております。
 広範囲の胸膜プラークに該当する所見を有するケースでは、87%あるいは73%ということで、非常に高い率で5,000本以上になっているという状況が書かれております。
 また、直接、広範囲胸膜プラークに関する知見ではありませんが、Parisらの2009年の報告では、ばく露開始からの期間や累積ばく露量と胸膜プラーク有所見率との間に相関関係が認められたというエビデンスも紹介しております。
 これを踏まえて、次の段落ですが、廣島、由佐らの研究については、症例数が少ない等の問題点はあるものの、Parisらの報告も勘案した上で、次のア又はイを満たす場合は、石綿による肺がんと判定して差し支えないとしてあります。ア、イについては、かなり細かく書いておりますが、要するに、広範囲の胸膜プラーク所見の定義を記載しております。
 3ページに参りまして、イの下の「なお」以下でございますが、胸部エックス線の画像上、胸膜プラーク所見が認められる場合でありますが、その発症リスクは、Hillerdalの1994年の研究では1.4倍ということで、これをもって石綿肺がんと認めることはできないということであります。ただし、この研究自体は、この実施時期が1980年代と非常に古いということもありますので、今後、胸膜プラークと肺がんの発症リスクに関する知見の収集に努めることが望まれると記載しております。
 次に、[2]のびまん性胸膜肥厚を指標とする考え方についてでございます。
 労災制度の認定基準改正においては、Gibbsらの1991年の報告に基づいて見直しがされております。どのような報告だったのかというと、びまん性胸膜肥厚の症例13例のうち、12例で石綿繊維数が500万本/g乾燥肺を上回っていたということでございます。
 しかしながら、先ほど岸本委員からご説明いただいたとおり、岸本委員の研究の中では、この81例中、今のところ肺がんを合併した症例がないという報告があったということで、現時点で得られている知見をもって、びまん性胸膜肥厚の所見により、肺がんの発症リスクを2倍に高める量の石綿ばく露があったとみなされると判断することは困難だということで、今後、さらなる知見の収集に努めることが望まれるとしております。
 [3]は石綿ばく露作業従事歴を指標とする考え方についてでございます。
 労災制度の肺がんの認定基準については、この石綿ばく露作業従事歴を採用していますが、救済制度では、ばく露歴を厳密に確認することなく、画像所見や石綿小体・繊維数等の医学的所見に基づき肺がんの判定が行われております。
 4ページに参りまして、これは前者が、つまり労災制度のほうが労働者の負傷、疾病等に関し、使用者の災害補償責任を担保するための保険制度であること、そのような制度の性格を持っている一方で、救済制度のほうは、個々の原因者の特定が困難であるという特殊性に着目して、民事上の賠償責任とは離れて、迅速な救済を図ることを目的としているという、制度の性格の違いによるためだと記載しております。
 また、労災制度では、労災加入歴を有する石綿ばく露労働者を対象とし、全国321か所の労働基準監督署において従事歴を把握しているということでありますが、救済制度においては、こういった従事歴を厳密かつ迅速に調査する体制が整っていないという現状を記載しております。また、さらには従事歴を確認するために必要となる客観的資料が乏しいことなどを勘案しますと、従事歴を指標として用いることは困難であると記載しております。
 次に、[4]の肺組織切片中の肺内石綿小体又は石綿繊維を指標とする考え方でございますが、現状、判定小委員会では、従前より、「肺組織切片中に石綿小体又は繊維が認められた場合」には、この基準とされている5,000本以上あるいは200万本以上という基準をクリアしていると、それに相当する量の石綿ばく露があったとみなすことができるということで、認定してまいりました。今般の見直しに併せて、肺組織切片中の肺内石綿小体等に係る指標を明示することが望ましいと記載しております。
 次に、(2)のびまん性胸膜肥厚についてでございます。
 一つ目の段落のところでは、現状の基準ということで、画像所見、呼吸機能検査結果、大量の石綿ばく露といった情報に基づいて、総合的に判定しているということ。今回は画像上の「厚さ」の要件を不要とする新たな知見が得られたということで、それについて検討したとしております。
 具体的な内容については、[1]のところでございますが、現状では肥厚の厚さが最も厚いところで5㎜以上であることを確認することになっておりますが、5ページの上のところ、「しかし」以下でありますが、ILO国際じん肺基準において肥厚の厚さが5㎜から3㎜へ変更されたこと、また胸部単純エックス線写真において肥厚の正確な厚さを測定することは困難であること、また測定者によって測定された肥厚の厚さが異なる場合が多いこと等を勘案すると、この肥厚の厚さを問わないこととするのが適当であろうと記載しております。
 最後、「おわりに」でございます。1段落目には、この報告書の趣旨を踏まえて、速やかに救済制度の医学的判定の考え方を改正すると共に、改正点については関係者に周知徹底して、迅速な救済が図られることを期待するとしております。
 2段落目のところでは、石綿による肺がんについては、まだ十分な知見が得られていないということで、今後とも更なる知見の収集に努めることが望まれるとしております。
 3段落目でございますが、こちらでは石綿繊維計測について記載をさせていただいております。現状では、計測可能な施設・専門家が少ないということ、また各検体の計測に手間がかかるといった理由から、年単位の時間を要していて、これについては改善が望ましいと記載しております。
 4段落目のところで、このため、繊維計測をできる限り迅速に実施できるように、機材の確保、人材の育成といった実施体制の整備を進める必要があるということと、また、実施に当たっては、その趣旨を申請者に対し十分に説明した上で、繊維計測の希望の有無を確認することが望ましいと記載させていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。

○浅野委員長 ただいま資料のご説明をいただいたわけでありますが、最終的には資料7に基づいて報告を取りまとめるということになりますので。どの点でも構いませんが、ご意見をいただければと思います。
 とりあえず、資料7の前に出された資料に関して、ご質問はございますか。なければ、あとは資料7と併せて議論をすればいいと思います。
 では、どうぞ。

○古谷委員 資料3の貴重な資料をありがとうございました。ただ、指摘しておきたいのは、先ほども、肺がんの判定のあり方をどのようにするのかというのは、世界各国の共通のチャレンジというか、どこも、自分の国が完璧なものだと思っている国はなくて、日々改善努力しているということです。
 とりわけ、ここに挙げられた各国、アメリカも含めて、必ず、公式統計を発表する時には、職業病についてはアンダーダイアグノーシスとアンダーレポーティングの問題があるのだということを必ず指摘しています。
 その上で、統計を見るようにということを当局自体が言っておりますし、本当にそういう意味では、私たちも世界の人たちは同じ土俵で努力をしているのだということは指摘しておかなければいけないと思った上で、それでもフランスの場合、これはFIVAですが、私は昨年の10月パリへ行く機会があって、何人かのスタッフと話を聞きました。非常にいろいろな面で苦労をしているという話を聞かされましたけれども。
 FIVAの場合には、この数字を見ても、比較的頑張っているなと、総体的に思われるわけですが、FIVAの労災以外のことも含めた判定に当たっては、ばく露情報を調べて、それを活用しています。認定の仕組みについては、労災認定のように、全国に網の目のような体制はありません。その中でもスタッフが頑張っているなという実例があるわけですから、私は環境再生保全機構でもできると思います。また、できるためにどうしたらいいのかということを救済小委員会としては提案しなければいけないと思っています。
 追加の話として、もう一つ、国としては韓国があるわけですが、労災以外の救済制度を持っています。韓国の場合、労災の肺がんの認定基準は非常にシンプルです。石綿肺又は胸膜プラークがあるのか、または石綿繊維、石綿小体があるのか。もしくは、石綿ばく露作業歴10年以上あるのかどうか。この三つのいずれかに該当する場合というのが、肺がんの労災認定基準になっておりまして、救済法でも、判定委員会が見るためのプラークがある場合には、それだけで救済の対象にするという扱いをされています。
 さらに2月26日、今年ですが、厚生労働省の予告広告で、労災制度の認定基準を変更して、喉頭がんと卵巣がんを新たな追加疾病の対象にするということが議論されていますし、中国では、職業病の診断基準が国家標準、日本のJISですかね、で決められているようですが、アスベストによる肺がんの診断基準は、アスベストのばく露歴が7年以上あって、潜伏期間が10年以上ある原発性肺がんはアスベスト関連肺がんとするという国家標準が定められています。
 そういう意味で、直ちにそのことの議論というよりも、どこの国でも共通のチャレンジで、例えば中国や韓国などのやり方というのは、明らかに事態をシンプルにして、できるだけ臨床現場で適用可能なアプローチをとると考えられると思います。

○浅野委員長 よろしいですか。
 他の委員から、資料のご説明についてのご意見、ご質問がありますか。

○今村委員 教えていただきたいのですが、資料6の整備事業について、私は現場の状況がよくわからないので、年間20件程度で、かなり時間がかかるということは、恐らく実施される先生が、他のいろいろなお仕事もしながら、その中でこれに取り組まれるということで、非常に時間がかかるという理解をしています。
 それについて、後の資料7で最終的な考え方というところにこのことが触れられて、人材の養成ということにも触れられていますが、これを拝見すると、とりあえず平成29年度までは機材の確保と精度管理ということで、そういう人材の養成ということについての、何か具体的なお考えがあるのかどうかということを教えていただければと思います。この1枚紙だけ見ていますと、とりあえず機器、透過型電子顕微鏡をそろえますというように見えてしまうので。
 もう1点、3枚目の紙も、私はよくわからないのですが、改正後のプロセスは、仕組みが増えるというか、プロセスが1個加わるという意味で、ちょっと見ると、手続きがより複雑になるように見えてしまって。例えば、認定申請される方というのは、できるだけ認定を認めていただきたいというお気持ちで申請されているということであれば、当然、包括同意みたいな、最初からこういうことも含めて、何かあったら実施してくださいということを、この最初の申請の時点で同意をとるというようなことができないのかなと思います。専門ではないので教えていただければと思います。よろしくお願いします。

○浅野委員長 では、事務局から今の今村委員のご質問にお答えください。

○神ノ田室長 まず、1点目でございますが、現状では国内で1か所でしか計測ができておりません。また、計測者は本来業務の傍ら、この計測にご協力をいただいているということで、どうしても時間がかかり、また処理できる件数にも限りがあるというのが現状でございます。
 こういった状況を変えなければいけないということで、急遽このような事業について予算要求したところでありますが、透過型電子顕微鏡があれば計測ができるということではございませんので、実際に石綿繊維の計測に精通した専門家も養成していかなければいけないということで、この精度管理の取り組みの中で、例えばマニュアルを作成したりとか、あるいはそのマニュアルに基づいてしっかりと実施できるように、人材養成をしていくことも併せて今後、取り組んでいきたいと思っておりますし、また、この事業の中で、ある程度の水準まで精度を高めることができれば、この救済制度での石綿繊維計測を、この事業の中で行っていただくような方針で、進めていけたらと思っております。
 あと、3枚目のところでありますが、これまで年単位でお待たせてしているということについて、十分、申請者側にご説明ができていなかったのではないか、という反省がございます。このため、これまで提出いただいた書類、あるいは画像等について、審査をしましたが、基準には達していないという状況の説明ですとか、また、今後、石綿繊維計測を実施すれば基準をクリアできる可能性もあることとか、ただし、そのためには時間がかかるということを一通りきちんとご説明をして、その上でご理解いただくというステップが、この石綿繊維計測を始める前の手順として必要と考え、このような形の取組みに改めさせていただければと思っております。
 あと、もう1点加えるとすれば、もし不認定ということについて納得がいかないということであれば、不服審査を請求することもできますので、もう石綿繊維計測を希望しないということであれば、一度不認定として、不服審査のほうで審査をしてもらうというオプションもあります。そういったオプションを申請者側に残しておく必要もあると考えております。決して、申請者にさらにお手間をおかけするということではなくて、申請者側にきちんと情報提供していこうということと、また、いろいろな選択肢をしっかり用意できるようにするための対応でございます。

○古谷委員 今あったとおり、後のほうの点では、前回のヒアリングの時にも、患者と家族の会の古川会長からもあったと思うのですが、どこかの段階で本人の同意をとろうという、これは妥当な話だろうとは思いますが、現状を前提にして、2年半かかりますが、どうしましょうかと聞かれたら、それならば要らないという話になってしまいます。
 そのように誘導するような結果になることがくれぐれもないようにということが、古川会長からもあったと思います。
 対応してくださったことは歓迎しつつ、多額のお金がかかる。しかも人材育成が必要だということを考えると、短期的にも、それでもやはり随分かかるということで諦めてしまう方たちが出てくることもないとは限らないので、このことは迅速化と併せて、セットだというように、ぜひともご理解していただいて、そのように運用していただきたいと思います。

○浅野委員長 今の点に限って言うと、私も古谷委員の意見に同感です。運用を少し誤ってしまうと、もう諦めなさいと強要するような使い方になっていると言われても困るし、それから、時間がかかってもしようがないのではないかと納得させるということでもないし。
 それから仮に、今、事務局が説明されたように、不服審査の道もあるのだからとなると、ここまで来れば、結局は不服審査に行っても、計測しなければならないということが、かなりはっきりしてくるわけでしょう。
 ですから、途中経過の説明を丁寧にするという意味については何の問題もないし、それは丁寧にやるべきですが、何らかの強制につながるような印象を与えて、それで批判を受けないようにはしておかなければいけない。それが多分、古谷委員のご指摘でもあると思います。やられることについてはいいのですが、やり方がよくないと、非常に問題を起こしますよというご指摘だろうと思います。両刃の剣みたいなところがあります。
 これは、今村委員も、ご指摘になったと思いますが、これは3人の委員がいずれも、ご提案はいいけれども、やり方については慎重にしてほしいという意見だったということを確認しておきたいと思います。
 他にご意見、ご質問がございますでしょうか。

○太田委員 議論から少しそれるようで申しわけないですが、資料5で、お聞きしたいのですが、この胸膜プラーク所見を有する肺がんのこの推計の精度は、事務局としてはどのようなものとお考えですか。年間3,000人~5,000人という精度ですね。

○神ノ田室長 説明が不足しておりましたが、肺がん罹患数については、地域がん登録等のデータに基づいて、現在、年間約9万人の新たな肺がんの患者さんが出ているということでございます。
 プラークの有所見率というのは、実態としてはどれぐらいなのかというのははっきりしないところでありますが、約3~5%という報告がございますので、これを単純にかけ合わせると、年間約3,000~5,000人という数字になるということでございます。

○浅野委員長 よろしいですか。今のご回答は、ご質問の趣旨と合っていましたか。

○太田委員 結構です。基本的に今回の議論、そういうお尋ねをしたわけではなくて、胸膜プラークという今後の推計が、どのぐらいの精度なのかということでお尋ねしたかったということです。

○浅野委員長 そうですか。
 新美委員、どうぞ。

○新美委員 資料3についてですが、各国の制度を比較していただいたのは非常に結構ですが、これはあくまでも要件論しか比べていないので、非常にミスリードしやすい表だということをコメントします。
 というのは、要件が緩い時には効果が非常に薄いというのが、制度の一般論であります。入り口が深ければ奥行きがないと。入り口を狭めれば、非常に厚い救済ということになるのでしょう。そういう比較ができるのかどうかというのが重要だと思います。
 また、そういう制度をとるのかどうかというのは、誰が資金を提供しているのかと、財源を提供しているのかということは非常に大きい問題であります。
 フランスなどは、これは非常に間口を広げておりますが、これは一般の社会保障あるいは、その他の医療過誤でも無過失でいいのだというくらいの国ですので、それを税金で全部賄ってもよろしいというお国柄ですので、それと日本と一緒になるのかどうか。
 そういったさまざまなバックグラウンドを踏まえないと、単純に要件論だけで比較するのは、ちょっと難しいのではないかと思います。
 例えば今、比較して、イギリスが非常に渋いのですが、イギリスは、これは基本的には損害賠償に近い考え方をとっておりまして、肺がんの認定は非常に厳しくやっております。それは、まさに個人に、あるいは事業者、もっと言うならば保険会社、事業者が加入している保険会社、あるいはそれぞれ負担すべきだというところに保険が入っていますので、保険会社に負担させるためには、相当程度厳しいことを言わなければいけないという、そういうロジックがあります。ですから、我が国がどういう仕組みを作るのかということ次第で、相当どちらにもぶれるという側面がありますので、その辺をきちんと見据えていく必要があるだろうと思います。

○浅野委員長 新美委員とフランスについて、以前、一緒に調べたことがありますが、たしか宣誓書を出させるというやり方でしたが、これは歴史的、文化的な背景の違いがあるのではないかという議論をしたことがありました。少しその辺を含めたご説明をお願いします。

○新美委員 自己申告でよろしいというのですが、まさにフランスはカトリックの国ですから、誓った上で自己申告でやるというところがあります。フリーライダーがいないというわけではありませんが相当程度、それに宗教的なバックグラウンドもあって申請をしてやるというところがありまして。それがあると、制度もそれを尊重する。そういう風土があることも加えておいたらいいかと思います。

○浅野委員長 他にご意見がありますか。内山委員、どうぞ。

○内山委員 先ほどの胸膜プラークの所見を有する肺がんのところですが、これは3,000~5,000人、10万人に3~5%を掛ければ、3,000~5,000人です。その中で、自分は職業歴がありますと自己申告される方というのは、これは100%皆さんが申告するという数で、3,000~5,000人と先ほどおっしゃったと思いますが、性善説に立てば、10分の1よりもっと少ないのではないだろうかと。この3,000人の中で、自分は職業でアスベストを扱っていましたと申告される方は100%、おっしゃる方はまずいないでしょう。ですから、10分の1、10人に1人がそうおっしゃったとしても、300人ぐらいが申請される実数ではないかなという気がしないでもないです。
 ですから、この間申し上げたのは、今までは全く職業歴を申告する欄はなかった。肺がんの場合は自由記載だったのですか。それをまず書いていただいて、どのくらい本当に実数として申請者が出てくるのかということを1~2年試行してみてもいいのではないかなと、この間は、そういう意味で申し上げて、それでどのぐらい増やせば、あるいは自己申告していただいた方の中で、本当に、確かにそうらしいという方はどのぐらいいそうだとか、ある程度、試行してもいいのかなという気がしたのです。

○浅野委員長 ここまでのところ、よろしければ、次は資料7の文章についてのご議論をいただきたいのですが、いかがでございましょうか。
 古谷委員は、先ほどから主張しておられるので、よくご趣旨はわかっておりますが、改めて資料7についてはどうですか。

○古谷委員 あまり細部に入らずに、本当に検討してほしいことに限ってということですけれども。一番は、再三言ってきましたように、3ページ、石綿ばく露作業従事歴を指標とする考え方についての結論の「困難であると考える」という結論については、私は、これは支持できません。これは絶対に賛成できないです。この文章のままで出すことはできません。
 その上で、文章の問題ではなくて、今、内山委員が言われたような、何らかの形の試行なりトライアルなりの試み。少なくとも早急にできるような、とにかくできるようにするための対策を作っていくということを救済小委員会として環境省に望みたいと思いますというのが結論です。
 あと、もう1点よろしいですか、議論は後で整理していただければいいのですが、これもびまん性胸膜肥厚の部分です。3ページの[2]です。びまん性胸膜肥厚がある方に、後で肺がんが出た場合にも認定しましょうというのが、昨年の3月に改定された新たな労災認定基準の新しい追加項目でした。これを救済法の判定基準に採用するのか、しないのかという話のところですが、結論的に、私自身は前回申し上げましたように、二つの制度の整合性をできるだけ図る。
 それと、被害者にとって有利なことは、できるだけそちらのほうに活かしていきたいということを、主に踏まえまして。なおかつ、岸本委員から紹介された研究の中身を理解し、今後とも継続することの重要性は維持しつつ、先ほども指摘をしましたように、岸本委員の見解は、直接、労災制度が引用したGibbsらの石綿繊維数を問題にしているのですが、直接比較できるような形で石綿繊維数のことを比較できないと考えて、さらなる知見の招集の必要性は認めながら、救済法の判定基準、肺がんの判定基準としても、びまん性胸膜肥厚があるものに発症した肺がんも加えたほうがいいのではないかというのが私の意見でございます。

○浅野委員長 古谷委員は、3ページの[2]の結論と[3]の結論には同意できないというご意見であったと思います。
 他の委員の方からもご意見をいただきたいのですが。
 岸本委員、いかがでございましょうか。

○岸本委員 2[2]、びまん性胸膜肥厚の症例というのは、どのような症例に起こるのかというのは、石綿肺や石綿肺がんのような高濃度ばく露者ではなくて、なおかつ胸膜プラークが起こるほど低濃度ばく露でないような、そういう方にびまん性胸膜肥厚や良性石綿胸水が起こるのではないかというのが、従来からの一般的なお話でありまして、私たちもそのようなドグマを念頭に置いて調べていたわけですが、意外と肺がんがないということが、この3年間でわかったということであります。
 あと、この医学的な所見は、Gibbsらが1991年に調べた古いデータでしかございません。そのため、どうして労災制度がこれをわずか1例のみの報告を認めたのか、私にはよくわかりませんが、私としては、さらなる知見の収集で、今、内山委員が言われましたように、まだかなりの症例の方がご存命ですので、もう少し、この方々をプロスペクティブに追ってみて、どれぐらいの方に肺がんが出るのかということと、今、古谷委員が言われましたように、Gibbsらと同じような、肺組織をもって石綿小体や石綿繊維を日本で比較してみたいと思いますが、症例がとても少ないので、びまん性胸膜肥厚を起こしてなおかつ肺がんになるという方は、多分、少ないと思います。
 それと、著しい肺機能障害を合併したびまん性胸膜肥厚の患者さんというのは、予後がよくありません。予後の中央値は、認定から22.4か月です。2年間、実はご存命ではないという、そういうデータも我々の検討でわかってまいりました。
 というのは、肺がんが出る前に慢性呼吸不全でほとんどの方がお亡くなりになっています。がんの合併は、直腸がんや胆がん、膵がんが各1例ぐらいあるのですが、ほとんどが慢性呼吸不全で肺炎、心不全等でお亡くなりになっているという現状がありますので、これはあえて救済法に入れることに対しては、私は、よしとはしませんので、もう少し研究をさせていただきたいと思っています。
 それから、石綿ばく露作業従事歴でございますが、私はこのアスベスト関連疾患を専門としている医師でございますので、患者さんにも直接対応しています。それから、岡山で労災委員もしておりますので、監督官と労災認定にもかかわっております。それから、当救済法についても判定小委員会で判定業務も行っておりまして、環境再生保全機構の方と一緒に判定業務を実施しております。
 これらでいろいろディスクレパンシーがございます。患者さんからの職業歴、監督官に調べさせた職業歴、環境再生保全機構の方が調べられた職業歴で、実際に思われていることと、アスベストばく露があったということには大きな差がございます。内山委員が今おっしゃられたとおり、本当に石綿を吸っていたのかどうかわからない。わからなかった方のほうが多いので、ある方は、アスベストを使っていたとおっしゃって、監督官が調べたら、それはアスベストの代替品であって、本当のアスベストではなかったというようなこともございますし、本当は使っていたのだけれど、意識をしていないというようなことがございまして、それが今の日本の現状で、いろいろな問題があると思います。
 今の救済法の段階で、環境再生保全機構の方に詳細な職業歴を求めるのですが、なかなか難しいというのが日常の判定業務でもわかっております。
 確かに監督署の係官が行けば、当時の資料等を出すことができますので、本当にアスベストが使われていたのかどうかというところまで到達できますが、ご本人の申請や、現在の環境再生保全機構の調査では、これは不十分であることは間違いないので、それは監督署が救済法を含めて、職業調査の立入権限が与えられるような法律の改正があれば、いいのですが、現段階の今の仕組みでは、これは無理だと思います。
 石綿肺は、今、石綿健康被害対策室長が言われましたように、医学的に石綿肺の診断は、病理や画像を見ればわかりますので、職業歴は参考にするという程度でございます。石綿肺と石綿肺がんの基準における職業歴というのは、ニュアンスが異なるということになれば、この[3]の今の原案は、これは現状を直視した上で妥当だと考えます。
 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 他の委員の方々、ご意見はありますか。三浦委員、いかがでございましょうか。

○三浦委員 古谷委員の言われますように、本来は労災制度とこちらの制度は同じ基準のほうがわかりやすくて、私もいいと思います。ただし、一番難しいのは、石綿肺よりももっと、びまん性胸膜肥厚は、いろいろな原因で起きてきます。石綿肺が鑑別するのは間質性肺炎ですが、これもいろいろな原因で起きてくるのですが、それと同じように、びまん性胸膜肥厚もいろいろな原因で起きてきますので、それを一つ一つ、全部除外していくのが診断の上でとても大変なんですね。
 そうしますと、労災制度の場合には、逆に、最初にばく露歴ありきで、ある程度このばく露歴があって似たような、画像上あるいは経過が同じであれば、向こうの患者さんとこちらの患者さん、対等に扱いましょうということで、ばく露歴がむしろ優先されると。そこで、びまん性胸膜肥厚ということが診断されます。
 ただし、そこで著しい呼吸機能障害がなければ、それは経過観察という範疇で、普通は石綿健康管理手帳の交付という形になってあらわれてきますから、結果的には肺がんが発生すれば、割合に簡単に労災制度のほうに移行できます。位置づけとしては、そういう位置にあります。
 それに対して、こちらの救済法で、びまん性胸膜肥厚と診断するのは、石綿ばく露歴を大前提にすることはできないものですから、むしろその中で同じような病像を呈した中から、これは石綿によるものと、一番、石綿が考えやすいですよねという形で判断していこうというところが、判定する時に一番時間がかかるところです。
 ですから、この胸膜肥厚はこんな疾患はありませんか、こんな疾患はありません、こんな可能性はありませんかと、一々患者さんに返して、担当医ともう一回相談してもらって、また返してもらってという、行ったり来たりのやりとりを結構やらなければいけないと。
 そういうところでのびまん性胸膜肥厚ですから、石綿によるびまん性胸膜肥厚というものを厳密に、これはもう間違いなく石綿によるびまん性胸膜肥厚ですというのは、非常に難しいところがあります。
 そういう経過観察中に肺がんが出てきたら、それでは、すぐに、これは石綿による肺がんと認定するということは、なかなか難しいところがありまして、私はどちらかというと、岸本委員よりは、やはり、びまん性胸膜肥厚というのは、どちらかというと高濃度の人に圧倒的に多いだろうと経験的には考えているのですが、残念ながらGibbsらが出した1991年ごろ、私たちもびまん性胸膜肥厚の患者さんを剖検して調べさせていただこうと思いましたが、当時は非常に呼吸困難感が強くて、ご本人もどんどんやせてきますし、何人か、正直言いますと4~5名にお願いしましたが、立て続けに断られました。剖検をさせていただけない。かなり、きつい疾患ですので。
 ですから、そういうことを考えますと、救済に取り入れられたということは、私はそのこと自体はありがたいと思いますが、今、言いましたように、石綿によるびまん性胸膜肥厚ということを正面切って、なかなか言いにくいところがありますので、それを最初から判断基準に入れるのは、今のところは難しいと考えています。
 ただし、逆に肺がんが出てきたら、もう一回再審査していただくということで、あとはできるだけ肺内のものが得られるような工夫をするということが今後の課題ではないかと考えております。数がそろえば逆にそれでもう、もっと今よりもこれがそろえば、石綿によるびまん性胸膜肥厚と言えるというようなことが、これから出てくるのではないかと考えています。

○浅野委員長 おっしゃることの趣旨は、私なりに理解ができたと思います。
 他の委員、清水委員、何かご意見ございますか。

○清水委員 結構です。

○浅野委員長 では、太田委員はいかがでございましょうか。

○太田委員 結構です。

○浅野委員長 今村委員はご意見ございませんか。
 新美委員のご意見を伺いたいのですが。

○新美委員 個別のところは、私はいいのですが、最初の基本的な考え方のところは、もう少し丁寧に書いたほうがいいだろうという気がいたします。
 1ページの2の(1)の4行目から、「肺がんの発症リスクを2倍に高める量の石綿ばく露があったとみなされる場合に、石綿によるものと判定することとしている。」というのですが、これは肺がんの発症リスクというのが、母集団を何として考えてこういうことを言うのかというのが不明なんですね。
 ですから、やはりこれは母集団によっては、2倍になるのか、ならないのかというのは全然違ってきますので、その辺を明確にしておいて、こういうふうに割り切ったのだということをはっきりさせたほうがよろしいのではないかと思います。そういう意見です。

○浅野委員長 それはわかりましたが、これはどうすればいいですか。
 どうですか、岸本委員。

○岸本委員 何をバックにというのは、私にはわからないです。

○浅野委員長 原発性肺がんである。それはそれでいいですね。まず、原因はさまざまありますが。その原発性肺がんにかかった方を母集団と考えたのでしょうね。

○岸本委員 そうでしょうね。

○浅野委員長 そのような患者グループの中のではないですか。

○新美委員 原発性肺がんは結果のほうですから。

○浅野委員長 では、ここはどうですか。今の新美委員の意見で訂正するよう言われたので、訂正しないといけないのでしょうけれど。三浦委員、ご意見はいかがですか。

○三浦委員 もう一回、論文を訳さないと確実には言えないのですが、通常は、例えば石綿による肺がんで、石綿によって2倍になるといった場合には、大規模集団ですね、ですから、国民全体の中の肺がんといいますか、その国民全体のリスク。

○浅野委員長 肺がんリスクと、それから石綿ばく露の患者集団のリスクと。それを比べた場合という意味ですね。

○三浦委員 はい。

○浅野委員長 新美委員、そういう趣旨で。

○新美委員 そういうことが明確になっていればいいので。というのは、損害賠償の考え方からいくと、これはリスクが2倍になっていたというだけでは、当然には個別の因果関係は認めないので。例えば、リスクが3倍あるものと、ダブって被ばくしていたら、これはリスクが2倍になるから、当然に個別の因果関係があるとは言わないです。これは石綿のことで、Hammondの相乗効果かどうかというようになるのですね。その辺の議論もしなけければいけないので、そういうことはせずに、全人口の肺がんリスクと石綿被ばく者のリスクとを比較して2倍ならばという、そういう割り切りをしているのであれば、それはそれではっきりします。

○浅野委員長 何か書き方を考えなければいけないのですが、要するに救済に向けて、かなり割り切ってやっているということですか。

○三浦委員 少し違います。これは片一方は、たばこがんですね。たばこは、大体、今、1日20本、30年間で5倍の肺がんの発生率があります。たばことアスベストの発がんのメカニズムは全く違うので、先ほどのHammondの掛け算が成り立つわけですが、アスベストだけで肺がんの発生が2倍になります。
 ですから、片一方では調査する時には、たばこの調査を一緒にやるわけですね。たばこを1日20本吸っている人も、50本吸っている人も、10本吸っている人も、ゼロ本の人も、同じように肺がんが大体2倍になったということですので。そうしますと、その対象は国民全体、大多数というところで普通は行います。そういう意味です。

○浅野委員長 たとえ、たばこのような交絡因子をどう入れてみても、全体として、とにかくアスベストが発症率を2倍にするということですか。

○三浦委員 はい。アスベストの場合には、たばこと、どうも掛け算で増えるというのは逆に考えれば、独自のメカニズムで肺がんを増やしているのだと、こういう考えです。

○浅野委員長 わかりました。ここは少し、後で新美委員の意見を聞いて、法的に筋の通った表現に直すということを検討してみたいと思います。
 あとはいかがですか。

○古谷委員 最後に一つだけ。同じことは繰り返しませんが、主にばく露の話については、肺がんがアスベストによるものだと判定するためのオールマイティな基準がなくて、複数の幾つかのことで、できるだけ幅広く救っていこうという考えの中で、救えるための判定の考え方があるのに、それをやる実務体制がないから、これを採用できないというのは、この法律の趣旨に反するのではないか。
 やはり、迅速かつすき間のない救済ということを考えれば、仮にそういう救える手段を活用できる体制が不十分であるのであれば、それを何とか工夫して、少しでも法の理念を実現するためにということを勧告すべきなのではないかということに改めて触れておきたいと思います。

○浅野委員長 今、資料7について、委員からご意見をいろいろ伺ったわけですが、新美委員から、肺がんの最初の部分について、少し論理的に明確にするようご意見がありました。
 それから、古谷委員からは、二か所について同意できないという前提でのご意見があるわけです。
 審議会の性質上、全員一致でなければならないということは全くありませんので、多くの委員が賛成であれば、それはそれでよろしいということでもあるわけですが、古谷委員が同意できないと言っておられるのに、それを全く無視して報告を書くということは、私の考え方としてはやりたくないので、少なくともこの報告に少数意見として異なる意見があるということについては、書くべきだろうと考えます。以前にも同じようなことを行いましたが、今回もこれについて、古谷委員のご意見をある程度取り入れて・・・。全面的に取り入れてひっくり返すわけにはいきませんが、この意見に同意できないと言っておられる点に関する古谷委員の意向は尊重すべきだと思いますから、それを入れたいと思います。
 とはいうものの、古谷委員にもう一度伺いますが、びまん性胸膜肥厚に関しては、先ほどの三浦委員のご指摘などもあって、どうもここでのロジックとしてはなかなか難しいのですが、それでも制度を合わせるべきであるから、これをあえて否定する必要はないのではないかという古谷委員のご意見があったということは、私は入れていいと思いますが、それはそれでよろしいですか。

○古谷委員 [2]については、労災保険制度との整合性を重視すべきではないという意見があったということで、私の趣旨はここでは尽きると思います。

○浅野委員長 わかりました。
 あと、[3]についても、いろいろと両方のご意見があるわけですが、これについては、やはり現段階においては困難であると書いてありますが、これについてはもっと調査をすべきであろうというご意見が内山委員からも出ているわけですが、この点に関してはどういたしましょうか。
 「おわりに」というところがありますので、ここに今後の情報として、こういう情報をきちんと入れなければいけないということを書いておくことができるかと考えます。それから、困難であるという記述についても、結論に賛成ではないという意見があったということを明記をして、[3]のほうに、このように困難であると考える。しかしながら、委員の中には、このようなことをもっと積極的に考えるべきであるという意見もあったということを入れたいと思うのですが、今後の調査に関しては、もう少し考えなければいけないと思います。
 内山委員のご意見は、どちらかというと、将来的には直す余地があるかもしれないので、現段階でデータをきちんととるべきだとおっしゃっていて、現在のシステムの中でも、職業歴などについて聞いておいてはどうかと、こういうご意見だったと思います。
 しかしながら、先ほどからのお話、現場の先生方のお話を聞いておりますと、どうも職業歴だけでは、ばく露の実態とはつながらないことが多いのではないかというご指摘もあって、任意記載の職業記載を幾ら行っても、そのことからデータがとれるのかなという気もしないでもないのですが、この点はどうでしょうか。
 それから、実際に先般アスベストに関連する裁判例をかなり丹念に調べてみたのですが、やはり、裁判所で取り上げられた症例に関しても、かなりばく露の形態が個々に違うので、結論が個々に分かれている面があるのですね。ですから、裁判のように、かなりの証拠調べを厳密に行っていっても結論が分かれてしまうということになると、同一職業歴だから同一の結論ということに、なかなかなりにくいような気もするのですが、その点はどうでしょうか。
 むしろ、もっと何か他にいい調べ方があれば、内山委員のご意見を活かすとすれば、どういうことを調べたらいいとお考えですか。

○内山委員 先ほどの計測フローのところの改正後の医学的判定のところでいけば、認定される条件を満たしている方は、特に作業歴は問うていないわけですよね。それは、それでいいと思うのです。それを満たさないけれどもという時に、では不認定にするのかという時に、職業歴を全く参考にしていないということは、明らかな方がもしいた場合に、画像所見、肺内石綿小体数で満たしてはいないのだけれども、もし明らかな、それプラスの職業歴が証明されても、このフローですと、まず不認定になってしまいます。そういう道は残してもいいのではないかということはあると思います。
 ですから、そのためにいろいろ、先ほど岸本委員がおっしゃったのはよくわかります。本人あるいは一般の方が見ても、アスベスト作業だけれど、実は大体、代替品を取り扱っていたとか、実際にそういう疾患を起こすほどの量ではなかったとか、いろいろあると思いますので、それは難しいことはわかるのですが、今の状況で、全く作業歴が参考にもなっていないという点は、少し片手落ちなところがあると思います。
 それを将来的にどうしたらより合理的な指標としてできるのか、あるいは環境再生保全機構の中では、この救済法の中では無理なのかというのは、もう少し調整をしてもいいのではないかと思います。ここで無理だと一定の結論を出してしまうのは、少し早いのかなという気がします。
 5年前の最初の時から申し上げているので、もう既に5年経ってしまったのですが、ぜひ、ここでもまた門戸は閉じないでいたほうがいいと思います。

○浅野委員長 将来的には、なお考える余地があるのではないかというご意見でありますので、そのことも踏まえて、それから、古谷委員の、とりあえずこの結論に賛成はしないけれども、しかし、もし仮にというようなことを言っておられて、制度的に検討する余地があるのかどうかという議論は、まだ将来の課題としては残ると思うのですね。
 ただし、やはり労災とは違う、制度的に違っていて、一体この制度の中でどこまで徹底した事実調べができるのかということになると、なかなか難しい気がしますが、可能な限り、もっと知見を重ねていくという努力をしなければいけないだろうという点では、何人かの委員のご意見も一致しておりますので、そのことを「おわりに」の中に少しうまく入れるということにして、ご趣旨を活かしていきたいと考えますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

(異議なし)

○浅野委員長 そうしますと、このままの文章では適当ではないというご意見が2~3ございますので、本日はこの文章をもって、資料7をもって、当救済小委員会の報告とするということにはできませんが、さりとて、また何度も会議を開くこともできませんので、今、言いましたように、1ページの肺がんに関する指摘について、表現はどうするのか考えるということと、それから古谷委員のご指摘を3ページの[2]のところに、少数意見ではありますが、つけ加えさせていただく。[3]についても同様に、異なる意見があるということについてはつけ加えさせていただいて、「おわりに」に今後の検討課題というところには、将来さらにできることについて、「今後ともさらなる知見の収集に」といったような、そういう表現をより具体的な形に直していくということで、この修文については、委員長にご一任をいただければ大変ありがたいのですが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

○古谷委員 修正後の文章の確認をさせてください。

○浅野委員長 修正後にご覧いただいてご確認いただきます。
 それでよろしゅうございましょうか。

(異議なし)

○浅野委員長 それでは、ただいまご同意いただきましたので、今の点について修文をした上で、当救済小委員会の報告として、審議会会長に報告を出したいと思います。
 それでは、それ以外のことについては、何かご意見はありますか。
 今村委員、どうぞ。

○今村委員 「おわりに」のところに、改正された点について、医療関係者に周知という記載がございまして、これは当然、医師会、そして全国の関係者に周知するというのは、我々の仕事だろうと思って、ここを拝読していたのですが、環境省として具体的に何か方法、リーフレットをお作りになるとか、何か考えておられると思うのですが、ぜひとも事前にいろいろお話をさせていただいて、わかりやすいものを作るということでお願いをしたいと思います。

○浅野委員長 これはご要望ということでお聞きいたします。もし、周知のための資料を作るのであれば、医師会と十分相談をしてほしいというご要望でございますので、よろしくお願いします。

○今村委員 もう1点、教えていただきたいのですが、先ほど地域がん登録の話が出ていたと思いますが、今回、法制化ということで、いろいろがん登録の話が進んでいると思いますが、がん登録のさまざまなデータと、石綿の健康被害の話と、何かリンクして、情報がやりとりできるようなことというのは可能ですか。あるいは、そういうことを考えておられるのでしょうか。環境再生保全機構にいろいろ登録されるわけですよね。

○岸本委員 中皮腫とかですね。

○今村委員 はい。そういう中皮腫の情報と、例えばがん登録で肺がんの中に、いろいろな中皮腫に関係しているもの、当然、含まれてくると思うのですが、その辺は、何か活用というのはありますか。

○神ノ田室長 今年度から中皮腫登録事業を開始することを予定しておりまして、その中で得られた情報については、地域がん登録でも活用していただきたいと思いますし、また、地域がん登録のデータも、環境省の中皮腫登録事業の参考にさせていただいて、より精度の高いデータを現場に提供できるように取り組んでいきたいと思っております。

○今村委員 お互いにこれをリンクしてということですね。

○神ノ田室長 はい。地域がん登録は、厚生労働省が担当していますので、どこまでできるのかというところはありますが、環境省としては、そうした考えでおります。

○浅野委員長 よろしゅうございますか。

○今村委員 はい。

○浅野委員長 それでは、他にご意見、ご発言がございませんようでしたら、この救済小委員会は、これで終了いたします。
 最後に環境保健部長からのご挨拶がございます。

○佐藤部長 本日はお忙しい中、熱心にご議論いただきましてありがとうございます。
 振り返ってみますと、昨年3月の労災側の判定基準の見直し以来、もう1年とちょっとが過ぎてしまいました。この間、私が申し上げるまでもありませんけれども、救済小委員会の委員の先生方にご意見を取りまとめていただき、また昨年の12月以来、この場でさまざまにご議論いただきました。その中には、患者と家族の会の方からのご意見聴取もありましたし、さまざまな観点からご議論、ご審議をいただいたものと承知をしております。
 私が申し上げるまでもありませんが、先ほど浅野委員長からお話がありましたように、委員の皆様方からいろいろな意見が出されまして、その点につきましては、浅野委員長とよく相談をしながら、早急に最終の報告書という形に反映をさせてまいりたいと思います。
 せっかくの機会ですから、その先の予定についてもお話をしておきますと、1年をもう超えてしまいましたので、できる限り早くとは思っておりますけれども、事柄の性質上、パブリックコメントを実施いたしまして、希望も含めて申し上げますと、6月頃に環境保健部長通知の形で改正をして、ご報告できればと思います。
 それから最後になりますが、今般の判定基準の見直しに直結するわけではありませんが、何度もありました石綿繊維計測の問題につきましては、この救済小委員会の場でもご意見を賜りましたので、ある意味、駆け込みで今年度予算案に盛り込むことができまして、石綿繊維計測については、少しでも迅速にできるようにという段取りはできたのではないかと思っております。この透過型電子顕微鏡等の機材の整備のみならず、精度管理等についても取り組んでまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、浅野委員長を初め、お力添えいただきました委員の皆様方、それからこの場でご発言をいただきました患者と家族の会の皆様方にも御礼を申し上げまして、簡単ではございますが、環境省からの挨拶にかえさせていただきます。ありがとうございました。

○伊藤補佐 事務局から連絡をさせていただきます。本日の議事録でありますが、原案を作成した後に、委員の皆様にご確認をいただきまして、環境省のホームページに掲載する予定でおります。よろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、第12回石綿健康被害救済小委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。

○浅野委員長 これをもちまして散会いたします。

午後2時36分 閉会

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