中央環境審議会 環境保健部会  石綿健康被害救済小委員会(第10回)議事録


議事録

午後3時00分 開会

○柳田補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第10回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
 本日、小委員会委員11名のうち10名のご出席をいただいておりますので、定足数を満たしております。
 まず、本日の資料の確認をしたいと思います。議事次第をめくっていただきまして、資料1といたしまして中央環境審議会の救済小委員会の名簿でございます。資料2といたしまして、石綿健康被害救済制度の在り方についての案でございます。資料3といたしまして、石綿健康被害救済制度に関する資料集でございます。また、参考資料といたしまして、ワーキンググループの報告書でございます。
 なお、事務局からのお願いでございます。傍聴者におかれましては、傍聴券にも記載されておりますとおり、静粛を旨とし、審議の妨害となるような行為は慎んでいただきたいと思います。他の傍聴者のご迷惑にもなりますので、守られない場合には退場していただくということもございますので、何とぞご遵守をお願いいたします。
 それでは、ここからの議事進行は浅野委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 なお、カメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、本日はお集まりいただきましてありがとうございました。
 かなり前に第9回の小委員会を開きまして、その後前年の年度内には次の取りまとめを行う予定でおりましたが、ご存じのように3月11日の大変な出来事がございまして、予定の期日には小委員会を開くことができませんでした。その後の日程の調整に努めましたが、残念ながら皆様方の日程のご都合がそろいませんでしたので、本日まで会合が遅れてしまいましたことを大変申しわけなく存じます。また、遅ればせながらではございますが、今回の災害でお亡くなりになった方々が多数いらっしゃることはまことに心痛む思いでおります。また、現在も、なお被災地にあって避難の生活を送っておられる方々にはさぞかしご苦労が多いものと存知ます。何とお慰めの言葉を尽くしていいかわからないという気持ちでございます。
 さて、前回の小委員会で、皆様方から第二次の取りまとめに向けて様々なご意見をいただきました。それらのご意見を踏まえながら、これまでの時間、事務局にも各先生方との意見調整あるいは関係する省庁との調整をしていただくということで、努力はしてきたわけでございますけれども、最終的には、ワーキンググループの報告でも整理をいたしましたように、現行の環境省所管の法律は労災の制度とは根本的に構造が違うということ、つまり、労働災害については労基法に基づいて責任者が明確になっており、そのことを前提にした上で、かつ無過失責任という前提での救済制度になっているわけでありますが、他方、こちらの環境省所管の法律制度は、そのような意味での責任の所在については、まだ明確に司法の判断も確定していないというような状況も踏まえながら、とりあえず緊急の救済制度という趣旨で制度が組み立てられておりますので、このような制度の組み立ての違いということが大変大きな制約になっております。この小委員会では、患者の方々やそのご家族皆様方のご要望、自治体のご要望、委員の皆さん方のご意見についても十分に伺いましたし、その上で何とかそれを生かさなくてはいけないということを考えてきたわけでありますけれども、現段階においては、とりあえず、こういうような報告をまとめるということになりました。
 なお、これで最終報告ということにするには、小委員長としては大いに不満が残っておりますし、今後、さらに制度の改善に向けて検討できることがあれば検討していかなくてはいけない、そういう時期が来ることを期待したいと思いますので、私としては、今回の取りまとめは最終の取りまとめということではなくて、あくまでも第二次のまとめであって、さらに今後の検討をしなければいけないと考えていることを申し上げたいと存じます。
 今日、お手元にあります取りまとめについて、大分時間もあいておりますので、事務局からご説明をいただいて、その上で皆さんから、ご意見を伺いたいと思いますので、まず事務局の説明をお願いいたします。

○正林室長 石綿健康被害対策室、室長の正林でございます。私から、資料の説明をしたいと思います。資料は資料2であります。
 前回、2月14日に小委が開かれた時に、ワーキンググループの報告書をご説明し、それから幾つかの論点に沿っていろいろご議論いただきました。その後、3月に予定しておりましたが、先ほど浅野委員長からありましたように、地震の関係で一回延期をしております。この間、ドラフトを作って先生方と何往復かさせていただいて、多数のご意見をちょうだいいたしました。今日、ここにお示しします案は、先生方にご意見をいただいた結果として、とりあえず事務局案として提示いたすものであります。
 それでは、先生方はもう何度もお読みになっていると思いますけれども、一応、全部、重要な部分に沿ってご説明したいと思います。
 まず、2ページ目の「はじめに」のところですけれども、これは、もともとワーキングの報告書にもありましたが、そこに書いてあったことに大体沿って書いてあります。諮問がなされたこと、それから一次答申がなされたこと、ワーキンググループが何回か開かれて、さらに患者団体等からヒアリングを行っていろいろな意見をちょうだいしたというようなことが「はじめに」で記されています。
 おめくりいただいて3ページ目のところ、この辺もワーキングに書いてあったことでありますけれども、最初に、この制度の性格について、もともと石綿による健康被害というのは、本来、原因者が被害者にその損害を賠償すべき責任を負うものであると。しかしながら、石綿のばく露から発症までの潜伏期間が非常に長いとか、それから石綿というものが広範な分野で利用されている、その結果として特定の場所における石綿の飛散と個別の健康被害に係る因果関係を立証することが極めて難しいとか、原因者を特定して民事上の損害賠償を請求することが困難だと。さらに、中皮腫以外については石綿以外の原因によっても発症し得るために、高度な蓋然性をもって判断するということが医学的に見ても困難で、民事上の損害賠償の要件である因果関係の立証を一層困難にしているというようなことに留意すべきだということも書いてあります。
 一方、石綿による健康被害を発症した場合には、多くの方が1年、2年と非常に短い期間でお亡くなりになると、非常に重篤なものだということ。国が民事の損害賠償とは別の行政的な救済措置を講ずることにしたということで、原因者と被害者の個別的因果関係を問わず、社会全体で石綿による健康被害者の経済的負担の軽減を図るべく制度化されたものだというふうに説明されています。
 次の4ページ、給付内容・水準ですが、給付内容は、逸失利益や積極的損害の額、慰謝料等の損害項目を積み上げて厳密に補てんする補償ではなくて、医療費とか入通院にかかる諸雑費、介護や付き添いにかかる費用、葬祭料などを含む見舞金的なものになっていると。医薬品副作用被害救済制度などを参考としつつも、医薬品のほうは損害保険制度として被害者を補償するに相当する程度に救済するような制度ですが、石綿救済制度は行政上の緊急的な救済措置として行われている公的給付の制度だと。したがって、石綿健康被害救済制度では、医薬品副作用被害救済制度の給付項目のうち、より補償的色彩の強い逸失利益を考慮した生活保障的な給付項目である障害年金とか遺族年金は採用されておらず、医療費、療養手当、葬祭料が給付内容となっていると。そのほか、特別弔慰金、遺族弔慰金も、国が特別に遺族に弔意を表明するというもので給付がなされていると。
 水準については、制度が民事責任に基づくものとされていないという性格を有することから、医薬品副作用被害救済制度、原爆の援護制度に基づいて、その辺を考慮しながら設定されていると。療養手当については、入通院に伴う諸経費、それから介護手当的要素、そういったものを勘案して設定されているというものであります。
 それから、費用負担。費用負担は、原因者と被害者の個別的因果関係を問わずに、社会全体で石綿による健康被害者の経済的負担の軽減を図るという制度の趣旨にかんがみ、事業者、国、地方公共団体、それぞれが拠出していると、こういうふうに記されています。
 次のページ、5ページ目で、その費用負担には、例えば、事業者からの拠出では一般拠出金、すべての事業者を対象とした一般拠出金と、それから特に深い事業活動を行っていたところから出していただく特別拠出金がありますと。
 (2)の今後の石綿健康被害救済制度の基本的な考え方でありますが、まず、保険的な制度として、労災保険とかそういったものがありますが、それについては、一つは責任を有する者が明確に存在する。それから、将来のリスクを考慮している、あらかじめ納付された保険料を基としていると。特に、労災保険というのは、労働基準法第75条以下で災害補償責任を負っている、無過失責任となっている、この辺が考慮されてこのような形になっていますが、一方、石綿健康被害救済制度は責任を有する者の特定が極めて困難だと。基本的には過去の石綿ばく露によって生じた健康被害であると。責任を有する者が不明確であるということで、なかなか保険的な制度としての性格にはなじまないかなと考えられます。
 それから、民事責任を踏まえた補償制度である公害健康被害補償制度、こちらのほうは、被害者と原因者について、疫学的知見に基づいて法的因果関係を推定することが全く不可能というものではなくて、原因者たり得る排出事業者の賦課金を原資としていると。一方、石綿健康被害救済のほうは、原因者や排出実態、汚染状況等に関する知見が整っておらず、賦課金といったものの徴収対象者を特定することが難しいということで、同様の性格とすることは困難といえると。
 それから、仮に因果関係が明らかなことを前提とした補償制度を構築しようとした場合、次のページですが、現行の石綿健康被害救済制度で救済対象となっているものの多くが制度から漏れてしまう可能性が高くなって、救済の観点から望ましくないと。
 さらに、予防接種法も例に挙げていますが、予防接種法は公共政策的な見地を含めた施策として国が直接的に実施する行為によって発生したものですが、石綿救済はそういうものではないので、同様の考え方を当てはめることは困難だと。
 以上のことから、当面は現行の基本的な考え方を維持していくこととするほかはないと考えるとしています。ここで、個別意見として、労災補償や公害健康被害補償と同等の救済を実現できるものとすべきという意見もあったと示しています。
 それから、救済給付の考え方についてですが、もともと現行の救済給付は、健康被害者の経済的負担を軽減するという観点から医療費を中心としたものになっていると。一方、補償的色彩の強い逸失利益、慰謝料、原因者の負担に基づく公害健康被害補償制度、保険料に応じた保険給付を行う労災保険制度では、そういったものは支給されるのですが、現行の制度は、あくまで責任の有無を問わずに救済措置を実施するという性格を維持する以上は、費用負担者のあり方、また類似の他制度との衡平性からして、現行の救済給付を上回る変更を理論的に裏づけ説明することは容易ではないと。アンケートの結果でも、調査対象月の医療費が給付額を上回ったとされる件数は少数で、おおむね現行制度が必要に応えたものとなっていると。
 以上のようなことを踏まえると、現行の給付を上回る変更を行うことは困難で、着実に制度全体を運用していくこととせざるを得ないと。なお、個別意見として、給付の内容及び水準の改善をすることは可能であり、速やかに改善に向けて具体的検討に踏み切るべきとの意見もあったということも示しています。
 7ページ目、運用の改善・強化ということで、一つ目に健康管理について。一般住民の中には、検診を受ける機会がなくて不安を抱いている方がいらっしゃって、こうした方の不安感の解消を図ることが重要だと。ただ、石綿関連疾患を発見するためには、より放射線被曝量の多いCTなども使用する必要があって、不安感解消というメリット、それから放射線被曝というデメリット、これを比較考量することが必要で、そのほか対象とか方法とか費用負担とか実施体とか、さまざまな課題がありますと。
 今のところ、環境省で石綿の健康リスク調査事業というものを全国7地域で実施しています。昨年度からは、これをコホートスタディーという形態に変えたりしております。これについては、過去に当該地域に住んでいて、今現在、別の地域に住んでいる方、そういった方も多く含めた形で調査を行って、健康管理によるメリットが放射線被曝によるデメリットを上回るような、より効果的、効率的な健康管理のあり方を引き続いて検討すべきであるとしています。
 下から7行目になります「また」で始まる部分なのですが、かねがね古谷委員から、健康管理について何か、進めることができないかと。浅野座長からもご意見をいただきましたし、今村委員からヒントをいただいて、次のような3行を加えております。「また、既存の結核検診、肺がん検診にあわせて、例えば、胸膜プラークの所見を発見した場合には、健康管理に必要な情報提供等を行うよう促すことができないかどうかを検討するべきである」と。後ほど、ご質問いただければ、もう少し詳しく説明したいと思います。この健康管理については、個別意見として、法改正による健康管理制度の導入を検討すべきだというご意見もここに記載しております。
 8ページ目、運用の強化・改善ということで、一つ目、労災保険制度との連携強化。現在、石綿健康被害救済制度と労災保険制度間では、環境再生保全機構、それから労働基準監督署、相互の窓口に両制度のパンフレットを置いていますと。しかし、本来、労災保険に申請すべき方が、労災保険制度の存在とか、あるいは自分が申請できることを知らない、あるいは知ってはいるけれども労災保険窓口への申請を躊躇して機構のほうに申請する事案がいまだにあるということで、申請者本人に労災保険制度について説明することはもちろんですが、機構から労災保険窓口へ直接連絡するということも検討すべきだということも記載させていただいております。
 それから、特に、古谷委員からまたご要望をいただいて、次の3行を加えています。「このほか、労災保険制度との連携強化に関しては、石綿健康被害救済制度、労災保険制度等における認定者と中皮腫死亡者との関係等の情報についても、認定状況とともに定期的に公表していくことが重要である」と。
 それから、[2]認定に係る対応の迅速化に向けた取り組みの強化と。アンケートを見ましても、申請から認定までの期間の短縮を求める意見が出ていました。時間がかかる原因の一つとして、医学的資料の不足が挙げられると。一般の医療機関に対する制度の周知、これが必要だということ。そのために、機構における学会を通じたセミナーの開催とかパンフレットの配付、そういったものを通じて認定の判定基準、そういったものについての周知を行って、可能な改善を図っていくことが重要だとしています。
 それから、他の原因として、追加の補足資料を求める場合に、一度、申請者に通知して、申請者の承諾を得てから機構が直接、医療機関と調整して資料を収集していると。これで多少時間がかかってしまいますので、機構が申請の段階から申請者から同意をとって、直接、医療機関と連絡や調整を行うということも進めるべきだと。そうしたことを通じて、認定にかかる期間の一層の短縮に向けた取り組みを進めるべきだとしています。
 ここで、また古谷委員からご意見をいただいて、「なお」をつけ加えています。「なお、認定に係る期間の短縮に向けた努力を行っていることを申請者等に明示するために、認定等の決定までの期間に関する情報公開や申請者から個別の問い合わせがあった場合に進捗状況を伝えるなどの取り組みを引き続き実施するべきである」としています。
 次に、特別遺族弔慰金対象者への周知、9ページですけれども、今、施行前にお亡くなりになって特別遺族弔慰金を請求される方は、大体、月10件を下回るぐらいになっています。これについて、制度周知のための広報を実施していますが、一層の広報活動を通じて、遺族が制度について知らないことのないように努めると。特に、掘り起こし策を適切に実施して、救済給付を受ける権利を有する遺族が漏れなく救済給付が受けられるように努めるべきだというようにしています。
 次に、[4]として医療機関等への知識の普及や治療等に関する情報の提供と。普及啓発、特に医療機関に対する普及啓発として、平成21年度から講習会も行っているところですが、これに加えて、そういった情報をホームページに掲載する、そういったことを通じて医療機関の診断、治療レベルを一定以上に保つ、そうした情報提供を実施することが重要だというようにしています。
 それから、(3)調査研究の推進。制度利用アンケートでも、治療法の研究開発、治療法や療養、介護に関する情報提供という回答が、ご要望としては非常に多数寄せられたところです。診断や治療が容易でない中皮腫について、情報を集約して治療法などに応じた予後の分析を行うことが治療法の向上を図るためには重要だと。このため、中皮腫についても、がん登録制度を参考にしつつ、救済制度の中で機構に集まる治療内容や生存期間の情報を活用しながら調査研究を行い、その結果を広く認定患者や医療機関に対し情報提供することについて検討するべきであるとしています。
 この他として、これも岸本委員からご意見をいただきましたが、「肺がんに比べて著しく予後が悪く、新たな治療方法がない中皮腫に対する日本発の新たな治療法の開発や早期発見・早期診断のための研究について、関係府省等とも連携しながらその推進に向けて努力すべきである」と、そういった文言も追加しております。
 それから、(4)石綿健康被害の未然防止の取り組みの推進。未然に防止するための施策、これも極めて重要であると。この問題は、直接、石綿健康被害救済制度のあり方とは関係はないのですが、新たな石綿健康被害を引き起こさないことが究極的には本制度と関係すること、特に東日本の大震災で倒壊した建築物等から石綿飛散が懸念されて、それによる健康被害が将来起こるおそれもあるので、引き続き、こうした未然防止策の推進を図ることが重要だと。これは、浅野座長から、ぜひ入れるようにという指示があり、入れております。
 最後に「おわりに」ということで全体をまとめて、先ほど座長からもありましたが、この救済制度については、今後とも制度を取り巻く状況の変化に注視をしつつ検討するべきだと締めくくっております。
 以上であります。

○浅野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、大分、間があきましたので、この間、いろいろとご準備をいただいて、先生方にもご意見を伺いながらまとめてきた文章について、改めてご説明をいただいたわけでございますが、本日が最後でございますので、一つ一つ文章を確認していくというよりも、横断的に、どこでも構いませんので、先生方のご意見があればお出しをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、どなたからでも結構でございますが、何かご意見あるいはコメントがございましたら、お出しいただければと思いますが。

○古谷委員 今、事務局からも説明されたように、震災の影響で会議が延びたという期間も含めて、二次答申の取りまとめに当たっては、私自身も提案や注文を出させていただきましたし、そのやりとりを含めて、結果的に取りまとめの中に盛り込まれなかったことも含めて、いろいろ検討していただいたと。あるいは、それ以外のことで提案を受け入れるように努力していただいたということは理解しつつ、それには感謝しつつも、今回の小委員会の作業に当たって患者や家族の皆さんが一番期待したことは、何を取り置いても給付の内容や水準の改善であったわけです。
 これは、検討開始に当たってのヒアリングで、患者、家族の代表が発言した中にもあらわれているように、アスベストという同じ原因で起こった被害が、労働者と住民や自営業者の場合とで公的補償、救済の中身に余りにも大きな差がある、それを公平あるいは公正という形に変えたい、あるいは近づくための努力をしていただきたい。さらには、アスベストによる健康被害という思いもよらない事態で、例えば子供たちが就学を断念しなくてはいけないというような事態がないように、という願いだったわけです。その点についていうと、そういうことを打ち出せなかったという意味で、この小委員会が被害者家族の期待に応えられていないと、応えられなかったということは言わざるを得ない、私自身も非常に残念です。
 その上で幾つかのことを、書かれていることについても少しお聞きしたいのですが、7ページの下から二つ目の段落のところ。実は、給付の改善に次いでというのでしょうか、優先順位的に、労働者については、曲がりなりにも労働安全衛生法に基づく健康管理手帳という形で長期的な健康管理の制度があるのに対して、何の仕組みもない住民や自営業者のために、健康管理制度というのは、もう一つの大きな期待というか、課題の一つでした。そういう制度をしっかりと作ってほしいということを一番要求しながら、その上で、当面すぐにでもできるような形としては、今は七つの地域に限定されている健康リスク調査ですけれども、これを地域を限定せずに、胸膜プラークの所見がある方々についてはアスベストにばく露したことが確実であり、なおかつ、これまでの環境省や厚生労働省の専門家検討会の報告でも、胸膜プラーク 「有」所見者の健康管理を行うということについては、みなさん支持があるということを考えれば、当面すぐにでも、地域を問わずに、胸膜プラーク「有」所見者の健康管理についてはスタートさせられないかということを提案させていただいたところです。
 今、文章の中で、健康診断なり健康管理制度ということではないわけですけれども、胸膜プラークの所見を発見した場合には、と書かれていることを、もう少し、そういう意味では、ご紹介いただけたらと思っています。

○正林室長 それでは、7ページ目の下から7行目の3行について、もう少し詳しくご説明したいと思います。
 内容についてのヒントは、今村先生からいただきました。いわゆる健康管理制度として、ここの頭のほうにも書いてありますけれども、石綿関連疾患を見つけようと思うと、どうしてもCTまで撮る必要があって、CTまで撮るとなると放射線被曝という大きなデメリットがあって、そこまでやるのは今の段階では行き過ぎではないかと。では、今の段階で何ができるかということをいろいろ考えて、ヒントをいただいたのですけれども、既存の結核検診とか、あるいは肺がんの検診、それをやっている中で胸膜プラークが見つかる場合があります。そういったケースの方というのは、胸膜プラークの存在というのは、石綿のばく露を受けたという一つの傍証でもありますので、普通の方よりは、例えば肺がんになるリスクとか、そういったものは高いであろうと。そういった方については、一般の方よりは多少、健康に配慮してもらったほうがいいので、きちんとした情報提供をする必要があるだろうと。
 具体的に、どういうことが考えられるかというと、普通は市町村事業でこういった肺がん検診とか結核検診をやっているわけですが、そこでたまたま胸膜プラークが見つかった場合に、まず、お知らせとして環境再生保全機構の連絡先をそこに書いておくと。プラークとはどんなものかとか、紙には書いておいて、環境再生保全機構にぜひご連絡くださいと。連絡していただいたら、健康管理に役立つような情報を盛り込んだリーフレットなのか、どんなものか、まだ作っていないのでわかりませんけれども、何らかのそういう情報をその方に提供して健康管理に努めていただくと。
 例えば、もし、その方が喫煙されていたとしたら、たばこと石綿というのは、それだけでかなりリスクが高まってしまいますので、そういう方は、ぜひ禁煙していただいたほうがいいと思います。普通の喫煙者に対する禁煙指導ではなくて、より強い禁煙指導、そういったものをリーフレットに盛り込んで情報提供していくとか。そういった方々は普通の方よりは恐らく肺がんリスクが高いでしょうから、必ず翌年の肺がん検診は受けてくださいと。普通の方は、異常がないというと、皆さん、安心してしまって、翌年とかは検診をさぼってしまうケースがありますので、こういう方は、ぜひ翌年の検診もしっかりと受けて下さいとか。そういった、是非とも必要な情報をこういった方々に提供していくということを検討してみたらどうかと、ここに書いています。

○浅野委員長 それでは、ほかにご意見がありますか。

○古谷委員 何らかの形で、市町村の肺がん検診などを受ける方に、まずは機構に連絡しなさいとか、何か、そこでインフォメーションが一番最初のところで行くということですので、これは、できたらご検討いただきたいということですけれども、できるものなら、中皮腫や肺がんが発症した場合に、これが救済や補償の対象になるということ、及び、機構というのは、いつも僕らが気になるのは、環境再生保全機構が環境省所管の救済制度のことだけを知らせて、労災補償制度などのことが行き渡らないということになると、またこれも問題なので、それは環境省の救済制度と労災補償、その他の制度、あわせてそういうことがあり得るのだということも、ぜひメッセージとして伝わるようなことをご検討いただきたいということを注文をつけておきたいと思います。

○浅野委員長 では、今の点はご要望としてお聴きいたします。

○正林室長 わかりました。情報提供の内容は、これから検討することになると思いますけれども、もちろん、そういった救済制度とか、あるいは労災のこととか、そういったことも考えていきたいなと思います。

○浅野委員長 わかりました。

○今村委員 既存の検診で撮っているレントゲンを活用してということで、書いていただいたと思っております。ただし、実際、住民の方たちは、結核検診、肺がん検診だけではなくて、もっといろいろな種類の検診があって、その中でレントゲンを撮っておりますので、ここで限定的に二つになっていますので、もし可能だったら「等」とか入れていただけると、幅広くなるかなということと、もう一つは、環境再生保全機構につないで、そこで情報提供というよりも、我々地域の医療機関が実際にレントゲンをたくさん撮って対面でいろいろな指導をしているという実態もありますので、9ページの研修というところにもつながるお話なのですけれども、そういう医療機関がきちんと直接、そこでそういうリスクや禁煙指導ができるような仕組みというものも大事ではないかなと思っております。
 したがって、後で申し上げようと思ったのですが、今、お願いするのは、9ページの医療機関向け講習会事業を行いということで、これは21年度から開始されているということなのですが、これをもっと拡大して、広く多くの医療機関がこういった石綿の健康被害についての知識を持って、今、お話があったような指導も、直接対面で撮った場合にはできるようにしていただければということをお願いしたいなと思っています。
 それから、委員長、もし可能でしたら、他のところもよろしいでしょうか。
 8ページの認定まで非常に時間がかかっているということなのですけれども、これは古谷委員からのご意見で最後の3行がつけ加わったということで、どうして、例えば、今、遅れているのかというような情報開示がされるということはとても大事だと思うのですが、私も直接、認定にかかわったことがないので、余り申し上げられないのですが、例えば、別の仕組みで介護保険の認定を受けるときに、法律の中で申請してから1カ月以内に認定をしなくてはいけないという。これは義務ではありませんので、いろいろな事情で、それが30日ではなくて40日になったり50日になったりすることもあるのですが、あくまで申請者のことを考えれば原則は30日ですよと。
 ただ、できなかった時に、どういう理由でできないのかということは、必ず申請者に情報提供されるのです。例えば、医療機関の意見書が遅れているとか、あるいは審査会の審査がこういうことで遅れているとかというようなことがきちんとフィードバックされる仕組みになっていて、結構、それは医療機関の側にするとプレッシャーになっていて、「ああ、そうか」と、「これぐらいの日数で書かなくてはいけないものなのだな」と、「なかなか大変だけれども努力はしなくては」という、こういう意識を持つだけでも、大分、そこは違ってくるのかなということで。私は、何日間が適正なのかまでは申し上げられないのですが、そういうことが一つ検討できないのかなと思ったものですから、あえて申し上げました。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 今の点については、直接には医療機関に何かをお願いして、医療機関に対していつまでにということが問題の中心ではなくて、むしろ。

○今村委員 前提としてです。

○浅野委員長 はい。おっしゃるような標準処理期間というのをきちんと決めたらどうかということも議論はいたしましたけれども、ケースによっては、もっと早く処理できるものもあれば、なかなか難しいものもあるので、なまじ決めてしまうと早くできるものまでゆっくりやられてしまうという逆の効果があるので、あまり明確に標準処理期間を決めるということは言わないほうがいいのではないかというご意見が多かったものですから、ここには書かなかったという経緯がございます。

○今村委員 わかりました。ありがとうございます。いろいろなご意見があるのだと思います。ただし、介護保険も、1カ月と切っているから、みんな1カ月まで待っているということはなくて、大体、大きく分けると、早くやってしまいたい、つまり1カ月と書いてあってもやる人は早くやってしまって、遅れる人はうんと遅れるので、それを1カ月までにという、行動様式のような認識があったものですから。日にちを決めてしまうと、みんながそこまでずらして、できるものを遅くするということはないのかなと思ったものですから申し上げました。

○浅野委員長 多くの関係者が介在しますと、1機関だけで済むわけではない。したがって、どうしても事務的には標準処理期間というシステムには両面がございます。さらに、この標準処理機関としてはあまり短い期間を決めることは現実的ではないものですから、かえって定めることが遅延を合理化してしまうのではないか、といった議論があったことだけはご理解ください。

○今村委員 わかりました。了解しました。

○古谷委員 行政手続法で申請に対する処分については標準処理期間を定めなければならないということになっているわけですけれども、労災のほうで見ますと、一般の労災の標準処理期間は1カ月とされているのですが、難しい職業病については定めないということになっていたのです。昨年、アスベストについて定められたのが、たしか、6カ月だと思うのです。今、再生保全機構で、それぞれのケースごとに平均どれぐらいで処理できているのかというデータを示してくれていて、そちらのほうが早いので。それは法律で決まっていることですから定めるにこしたことはないのですけれども、今やっている現実よりも長くなるようなことをするより、イメージとしては、今、平均これぐらいで処理できていて、これをもっと早く、一日も早くというか、もっと縮めたいと。なおかつ、この問題で私たちが言っているのは、とりわけ中皮腫の患者さんたちに、本人が生きておられる期間中に結論が出るようにという努力を示してほしい。そういう意味で、現状こうだけれども、それを少しでも早くしようとしているということを示していただくことは意味があると思っています。

○浅野委員長 どうぞ。

○岸本委員 審査に当たっている者から、一言しゃべらせていただきたいと思います。
 今、古谷委員が言われましたように、中皮腫の診断については、確かに5年前はいろいろ問題がございまして、中皮腫と診断をする証拠がなかなか医療機関から出てこないため、確定診断ができないので、認定までの期間がかなりかかっていたのです。しかし、最近ではしかるべき医療機関では、認定すべき条件、特に病理組織標本等をお出しいただいて、文書の記載事項により速やかに診断ができるようになっております。けれども、中皮腫と確定診断できる根拠が出てこない場合もあるので困っています。我々は中皮腫と診断したいのだけれども、その根拠がないということにより、医療機関にしかるべきものを提出してほしいということを要望するのですけれども、そこで時間がかかって、一部の例は認定が遅くなってしまいます。
 石綿肺がんも全く同じでして、画像上プラークがあって、線維化がある、その事実がわかれば、すべて認定されるのですけれども、それを診断する根拠がない場合には、例えば腹ばいのCTを出してほしいというようなことを求めております。これに関しては、中皮腫も石綿肺がんもそうなのですけれども、診断される先生方がこの認定基準を十分理解されて、それで診断書を書いていただくということが求められるのではないかなというふうに思います。
 日本医師会でも、環境保健委員会でこれを重く取り上げていただけるそうなので、6月1日にも、私はそこに力点を置いてお話を致しました。一般医院の先生方が、これは中皮腫かもしれない、これは石綿肺がんかもしれない、だから何が必要なのかという、その何かをきちんと出していただければ、認定期間というのはもっと短くなる可能性はあると思っております。

○太田委員 7ページのお話に少し戻させていただいて、私の立場は、一応全国知事会の任を受けているということと、もう一つは兵庫県の担当でもございますので、肺がん検診でのこの発見については、兵庫県は、特にクボタの事件がございましたので、平成18年度から市町の肺がん検診の時に申し入れておりまして、もしそういうばく露のご不安のある方の胸膜肥厚とかプラークが出てまいりましたら、精密検査に回しまして、そこで何らかの今後のフォローが必要ということであれば、市町と県で2分の1ずつを持たせていただいて、健康管理手帳を出させていただいて、フォローアップに回すというシステムを組んでおります。
 幸いにして、なかなかこれで見つかる方は、少ないのですけれども、こういうように変えていただくということが、今後、市町の努力を促すという意味では大変ありがたいことだと思っておりますので、コメントとしてつけ加えさせていただきたいと思います。

○内山委員 今のところに関してなんですけれど、一般の方の結核検診、肺がん検診とあわせて、これは職場の定期健康診断を受けておられる人数というのは、これに匹敵あるいはそれ以上だろうと思うのですね。これは厚労省の、逆に言うと、職場の健康診断のほうに同じようなことを加えていただければ、これは職場でのばく露とは関係なく、例えばオフィスであろうと、工場の方であろうと、これは定期健康診断を1年に1回は労働者の方は胸部エックス線を撮るわけですので、その辺も特に省庁を超えて加えていただければ、あるいは厚労省にもそういう喚起をしていただくというようなことを加えていただければよろしいかなと思います。
 それから、CTも、検診ではなくて、普通の病院で、このごろは肺炎の疑いがあっても、CTを撮る病院が随分ふえて、私もこのごろ、そういうのを見させていただくのですけれども、プラークがあるのではないかなと思っても、CTの所見を書いてこられる先生に、まずプラークを指摘されておられる先生はいなくて、肺炎の所見ですとか、肺がんの所見はCT所見として書いておられるのですけれども、胸膜肥厚とかプラークを指摘されている診断医は多分今の病気には関係ないからということで、所見を示されていないのだろうと思うのですけれども、今は情報が、病院に行って、胸に所見があって、大きな病院ですと、CTを胸部レントゲンと同時に所見をとられている方も多いので、そういうところも少し注意喚起していただければと。随分、対象が広がるのではないかと思います。

○三浦委員 ただいまのご意見の追加ですけれども、全国の検診機関を対象に、胸部写真で胸膜プラーク、こういうものが胸膜プラークですよ、これは胸膜プラークじゃないですよと、そういうわかりやすい資料を今作成中ですので、多分来年にはそういうもので、今よりも皆さんに良く知っていただけるのではないかと思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。他にございますでしょうか。別のことでも構いません。

○古谷委員 もう一つ、9ページの調査研究の推進の二つ目の段落ですけれども、「中皮腫についてもがん登録制度を参考にしつつ」という話があります。いわゆる中皮腫登録制度、特に公的な中皮腫登録制度をぜひつくってほしいという話は、私だけでなく、医学の専門家からもここで出ていたと思います。その時、私以外の先生方もイメージしていたのは、中皮腫の診断を疑った医療機関なり医師からが届出をして、その中皮腫という診断の確からしさのことの検討も含めて行うような制度。そういう意味で、中皮腫登録と中皮腫パネルと両方をミックスさせた議論をしていたような気がするのですけれども、ここで書かれている書きぶりからすると、まず環境再生保全機構に手続があってからということなので、そういう意味で、診断を疑ったという事前のところよりはちょっとポイントが後になるとは思うのですが、やられ方によっては、非常に有意義なことだと思いますので、これも少しご説明をいただけたらというふうに思います。その上で、今言ったように、違いがあると思うので、やはり公的な中皮腫登録制度ができないものか。環境省単独かどうかも含めて、それについては継続して、ぜひご検討をいただきたいと思っております。

○浅野委員長 この点は、環境省の所管事項とは必ずしも言い切れないものがあると思ったのですが、いかがですか。

○正林室長 はい。事務局としてここに書いた趣旨をご説明したいと思います。
 まず、がん登録制度を余りご存じない方もいらっしゃると思いますけれど、今、日本国内では、恐らく47都道府県のうち30県そこそこは、このがん登録事業というものを県単位でやっていると思います。
 どういう事業かというと、医療機関で患者さんにがんの診断をつけたら、そこの自治体に対して、治療の内容とあわせて登録します。自治体は治療内容とあわせて、年間何件がんが発生しているか、どんながんが何件発生しているか。あわせて死亡の状況についても、これは別の方法ですけれど、自治体の場合は、亡くなったら死亡個票が保健所を通じて届くことになっていますので、その方が亡くなったかどうかも調べることができると。結果的にいつ診断がついて、どんな治療をして、いつ亡くなったのかというデータが自治体には集まります。それを解析して、治療の内容ごとに、どのぐらいの生存期間があるのか、年間どのぐらい発生しているのか、そういったことを調べて、いろんな施策に役立てるというのががん登録事業であります。
 非常に個人的な体験ですけれど、私はかつてこれを厚労省時代に担当したことがありまして、実は法律に位置づけることも考えたのですが、なかなか難しかったのは、個人情報保護という大きな壁があって、当然、登録をする時に、ご自身の名前とか、ご自身が特にがんであるという情報を自治体に提供することになるわけですが、これを制度化するというと、個人としては自分ががんであることを余り知られたくないという思いが強いので、非常に難しいということで、その時はなかなか制度化できませんでした。
 ところが、この中皮腫については、石綿健康被害救済法という法律に基づいて、給付を受けたい方が申請をまずすると。医療費を支給する関係で、レセプトを医療機関から機構のほうに提示することになると。何を言いたいかというと、機構には、まだ完全ではないのですが、レセプトが入手されることによって、大体どんな治療をしているかということが分かる。さらに、この制度はきちんとした判定のプロセスを経ますので、単なる現場の医療機関、場合によっては、余り中皮腫の診療の経験のない方も中皮腫と診断をつけてしまう場合がありますが、この救済法で支給される方々というのは、かなりしっかりとした診断のついた方について、きちんと事実上登録されることになると。しかも、その情報の中身として、レセプトを取り寄せれば、きちんと治療の内容も分かる。それから、いつ診断がつけられたかも分かる。それから、医療費を支給している関係で、お亡くなりになれば医療費を止めますので、いつ亡くなったかも分かる。すなわち、いつから診療を開始して、いつまで治療を続けたかという情報もあわせて分かることになりますので、そこをしっかりと解析すれば、どんな治療法によって、どのぐらいの生存期間なのかというのがある程度解析することができます。
 さらに欲を言えば、実は病理についてもご提出いただいていますので、どういう病理像の時にどういう治療をして、その結果として、どのぐらい生きられるのかということも、解析しようと思ったらできると。
 まだまだ今の段階では、すべてのレセプトが機構に届いているわけではありませんので、まずその辺を整える必要があるのと、それから実は進行度、どういうステージなのかという情報は今のところまだ入手していませんので、その辺の情報を入手すれば、かなりしっかりとした治療の内容に応じた生存期間というものを解析することができるだろうと。その結果をきちんと医療現場に提供していくことによって、より適切な、よりよい治療法を患者さん本人に提供することもできますし、研究開発にも貢献できるのではないかと。これはもちろん、治療研究は厚労省の仕事ですけれど、実は環境省としてやろうと思えばできることなので、ぜひそういうものを実現したいということで、ここに書かせていただきました。ただし、古谷委員のおっしゃっている、イメージされている中皮腫登録とは若干違うのですが、その辺については将来の課題かなと思っています。

○岸本委員 この中皮腫登録については、古谷委員とともに、私もぜひお願いをしたいと言った人間の一人でございます。
 平成15年の中皮腫の死亡症例を全国から集めまして、我々が中皮腫かどうか真偽を確かめた際に、約20%は中皮腫という診断が誤っていたということを、厚生労働省の報告書に書いてまいりました。それを5年間見て、平成20年のときの診断が誤った率が14%ということでございまして、多少は診断率が向上しているのですけれども、まだまだ診断が間違っている例が多いということを含めまして、中皮腫登録制度を立ち上げて診断の精度を上げていけば、日本における中皮腫の診断率がもっと上がると思います。
 平成15年の時の中皮腫に対する治療は、治療が効かないということで、化学療法をほとんど行っていなかったという事実がございます。けれども、平成19年1月にシスプラチン、アリムタが保険適用になりまして、化学療法をされる症例がふえておりまして、そういう例では、今事務局が言われましたように、あるタイプの症例にはこの化学療法が効くということもわかってまいりました。
 その後の文言にもあるのですが、中皮腫と診断された患者さんは、私もたくさん見ております。今、保険適用があるのは、シスプラチンとアリムタという薬だけでございまして、新たな治療の開発もほとんどされていないという現実が、中皮腫の患者さんを一番苦しめていると思いますので、日本発の新たな治療法の開発が必要です。また、早期診断をされた方は、予後がいいということもわかっていますので、単なる胸水貯留ということで見過ごすのではなくて、中皮腫かもしれないということで、その時点でさらなる検査を行って、早期の症例を集めていくというようなことを行うと、この中皮腫登録制度に帰結するのではないかと思います。この文言でよろしいので、まず登録制度を立ち上げて下さい。そして徐々に内容を充実していくということを目指していただきたいと思います。欧米では、確かに中皮腫登録制度を行っている国がございます。そういうところでは、この病気について、現状をつかみやすいということと、アスベストばく露との関連も調査しやすいということになります。日本では今後も中皮腫が増えていくことが予測されておりますので、何らかの形で登録制度の基礎を作っていただけたらと思います。

○今村委員 私もぜひ登録制度を作っていただきたいということで、それを環境再生保全機構の中でというのは、それはそれで非常に精度の高いものになるということで、私もよろしいかと思います。
 教えていただきたいのは、これは環境省に伺うのもどうかと思いますが、レセプト情報は厚労省で今電子化されて、一括で管理されているわけですよね。それを行政的に活用することができるという仕組みになっているわけで、例えば環境省が厚労省に正式な手続で申し入れれば、日本中で中皮腫という診断がついている人は、データを全部とることができるわけですよね。個別の個人を特定しない形での情報利用なのか、こういった制度で、例えば正確に診断がついている方と、実際には中皮腫と診断がついているけれども申請が上がっていない人とを比較するというようなことに活用できるのでしょうか。

○正林室長 前回先生からそういうご意見をいただいて、厚労省の保険局と相談をさせていただきました。
 厚労省の保険局は、今レセプトを電子媒体で、すべて入手して、それを申請があればどなたでも活用できるようにということを考えています。ただし、内容としては、個人情報を特定できる形では提供はいたしません。個人が特定できないような形での提供になります。
 環境省として使わせてもらえないかということも、今頼んでいるところですが、まずは研究をされる研究機関に提供したいということのようでして、相当多数応募があって、少し待ってくれと言われています。そのうちきちんとやろうかなと思っています。

○今村委員 研究に使いたいというのは、環境省の方たちの宝みたいな話ですから、よく分かるのですが、やはり行政的にいろいろな仕組みの中で、いろいろな解決していかなければいけないことがたくさんあるので、それこそ環境省から優先してデータをいただいたらいいのではないかなと思うのと、個別は、やはり個人情報の問題があるので、確かに難しいなと私も個人的は思いますが、再生機構にはきちんとした、診断のついた個人の登録がされていて、そうでない方たちがどのぐらいいるかという比較を常に比べていくということは可能なわけですよね。日本中で診断がついている方たちの数がわかれば、いろいろなデータが出てくるのかなと思ったものですから。

○浅野委員長 わかりました。今の点について、事務局、どうですか。統計処理みたいにした形で何件という情報はすぐ、システムができれば入手できるのですか。

○正林室長 それは申請すれば、いただけるようにはなっています。

○浅野委員長 今村委員がおっしゃったように、機構で把握し得ていない患者さんということになると、個人情報、識別行為をしなければいけなくなってくるのですが。

○正林室長 そこは難しいかもしれません。オールジャパンのマスとしてのデータは入手可能ですが。

○浅野委員長 マスを把握しておいて、その中にどのぐらいあるかは可能ということになるわけですね。わかりました。

○清水委員 今までよくわからなかったのですが、プラークを見つけた場合に、どのような形で上がっていくかというのはわかってきたのですけれども。開業医がプラークを診断すれば、レセプトの形で再生機構に上がっていくと理解してよろしいのですか。
 それともう一つは、健康管理手帳のような場合に、まずどこに申請するか、そしてどういうシステムでそれが上がっていくのかと。その辺が全然見えていないのですが、教えていただければありがたいです。

○浅野委員長 今の段階では、まだその話ではないような気がするのですが、事務局の方、ご説明ください。

○正林室長 私の説明が悪かったのか、レセプトの話と健康管理、ごっちゃになってしまっているかもしれませんが、先ほど7ページのところで説明したのは、肺がん検診、これは普通、開業医とかいろんな検査機関でやっていると思います。そこでたまたまプラークが見つかる場合があります。そういう方々に対して、私のイメージは、簡単な1枚の紙ですけれど、その紙をお渡しすると。その紙には、プラークとはどういうものか、もし環境再生保全機構にご連絡いただければ、健康管理に役立つ情報を提供しますよということを書いた紙です。ご本人の判断で、環境再生保全機構に連絡をしていただいて、連絡が来れば、機構のほうから何かリーフレットみたいなものを郵送すると、そんなイメージでいます。
 レセプトの話は全く別の話で、これは救済制度の中で申請があって、そこで審査もされて、認定がされて、その段階でかなりの情報が集まります。レセプトももちろん集まりますし、申請書にも、いつ診断をつけたのかとかいろいろな情報が入っていますので、そういったものを解析すれば、治療法の開発に役立つということであります。

○浅野委員長 他にご意見がございましたら、どうぞ。

○三浦委員 中皮腫登録の一番の問題点は、診断の精度が今までのままですと、かなりぶれているということです。岸本委員の平成15年の研究でも、20%は死亡診断書の記載の中皮腫が違っていたという結果が出ております。環境再生保全機構からの、要するに救済のほうは、先ほど事務局から話がありましたように、診断の精度が極めて高い。99%あるといって間違いありませんので、そういうところでのデータを活用するというのは非常にいいことだと思います。
 ただ、もう一つの大きな集団である労災のほうがあるのですけれども、これはまだ救済の方ほど診断精度は高くはないというのが現実ですが、現在は診断が非常に難しい疾患であるので、確定診断委員会というものが設けられておりまして、そちらに基準監督署から申請していただければ、そちらのほうで専門の医師が、やはり救済と同じような精度でもって診断を確定して、労働基準監督署に戻すというシステムが動き始めていますので、両方あわさると、日本の9割以上のものがしっかりとわかってくるのではないかと考えています。

○浅野委員長 わかりました。今回の報告に関しては、この表現でいいというご意見もいただいたわけでございますが、中皮腫の登録制度を設けることが望ましいということは、かなり小委員会でご意見が出てきたということは、皆さんご記憶のとおりでございまして、ただ、どういう登録制度かということについては、必ずしも突き詰めた議論ができているわけではないという面がございましたし、それから法的な強制というようなことは、プライバシーの問題があって、他の疾病に関してもかなり難しいという状況ですので、とりあえずここでは、機構に集まっている情報はかなり精度が高い情報であるので、これを活用するということが書かれているわけですが、しかし願いとしては、「がん登録制度を参考にしつつ」とあるように、やはり登録制度的なものにきちんと広げていくことが必要であるということが、ご意見として出ていることは事実でございますので、これは事務局として十分に理解をしていただいた上で、今後の展開の中ではこのご意見を生かしていただくことをお願いいたします。場合によっては、強制的な法的制度という仕組みを一足飛びに考えてもうまくいかないのであれば、これは他の疾病も同じですが、有力な研究機関が研究ベースでおやりになって、それに全国の医療機関が協力をして、症例を提供するというような仕組みができていけば、かなりそれに近いものができていくような気もします。
 ですから、こういう研究ベースということも可能だと思いますから、環境省の持っておられる研究費、あるいは厚労省の持っておられる研究費を上手に活用するというようなことも選択肢になるのだろうと思うわけです。必ずしもここでは強制的な法的制度ということではなくても、実は上がる道はいろいろありそうだということが今のやりとりで理解できましたので、これはこのような弾力的な方策に期待するということにさせていただいてはと思います。
 それから、今村委員と内山委員のお二人から、検診に関して「既存の」と書いてあるが、 「等」という言葉を入れてはどうかというご意見がありました。この部分は、さらに検討すべきであるということになっておりますので、検討をいただく事柄の射程距離の中には、確かに委員の皆様のご発言を伺っておりますと、職場の健康診断の中で明らかになった、労災とは関係のない診断データというものがこの中に入るのだろうと当然思っておりましたので、もし、これで制度的に読めないのであれば、「等」というのを入れておいて、この点も今後検討していただくということがあってもいいと思うのですが、事務局としてはどうですか。

○正林室長 わかりました。7ページの下から7行目の「また、既存の結核検診、肺がん検 診」の後に「等」を入れたいと思います。

○浅野委員長 お二人の委員からのご意見でありますが、「等」を入れることといたします。
 もう一つは、これは今村先生にむしろお聞きしたいのですけれども、日医を活用してというか、そのご協力を得てということです。今の医療機関向け講習会事業のようなものが行われているという事実の記載しかないのですが、これをもっと強化するためには、地域医療機関とのつながりがしっかりある日本医師会の協力も得た上で、それをもっと強力に展開するのだという記述があってもいいような気がするのですがいかがでしょうか。

○今村委員 入れていただければ大変ありがたいです。「日本医師会等」ですね。これは都道府県医師会もありますし、実際の会員、地域で研修に携わっているのは、日本医師会の会員でもあり、都道府県や群市医師会の会員でもありますので、「日本」とつけるかどうかは別として、「医師会等」というような書き方をしていただければ大変ありがたいです。

○浅野委員長 入れ方については工夫させていただきますけれども、この文面では、これは何となく行政だけがやるみたいな形になっていますが、確かに行政が幾ら頑張ってみても、現場の臨床のお医者さんが協力しなければどうにもならないことだということがよくわかりますので、そのような文言を入れたいと思います。表現は私にお任せいただけますか。

○今村委員 ありがとうございます。

○古谷委員 中身としては、調査研究の推進にかかわるのかもしれません。実はワーキングの会合で話をして、その時に環境再生保全機構の方もいて、検討すると言われていた話ですけれども、ここでも指摘しておきたいと思います。今回の見直しに当たって、給付を受けた方々が、給付を受けて、それがどうだったかというようなアンケートが資料としても出されているのですけれども、これはそのワーキングの方ではご紹介したのですが、労災保険のほうでは年金受給者だけですけれども、傷病補償年金、あと障害補償年金、それと遺族補償年金という三つの種類について、3年置きに受給者のアンケート調査をやっているのですね。その中では、例えば被災したことによってどんな影響があったのかと。特に経済的に。それに対してどう対処したのかと。例えば借金をしたとか、貯金を取り崩したとか。それに対して、また年金給付がどういう役割だったのかなども含めた、結構詳しい分析をしています。アンケート調査に、ここの分をふやしたら、それで返ってくるのかどうかということもあるとは思いますが、できれば、労災の年金の方でやられているような項目も参考にしながらやっていくと、もっと制度の改善に役立つ情報が得られますし、また、そっちの方の受給者の状況と比較もできるということで、これは機構の方が検討してみると、たしか言われていたと思いますが、この報告書の文章にという話ではなくて、これはぜひ実際に検討していただき、前向きに対応していただくよう、とこの場で改めて要望しておきたいと思います。

○浅野委員長 では、これはワーキングの中の話でありましたが、確認のご発言がありましたので、記録にはきちんととどめておきたいと思います。

○椋田委員 この報告書につきましては、これまでの議論をきちんと整理してまとめていただいておりますので、全くこのとおりで異存ございません。
 一点、お願いするのは、昨年の7月のこの委員会でも申し述べたことですが、この報告書にも書かれておりますように、国民、企業あるいは全員で石綿の恩恵を享受したという経緯から、まさに社会全体、国、自治体、国民、企業、皆で健康被害の救済に当たるという発想のもとで今の制度ができているのだと思います。
 制度創設当初、国は補正予算で388億円を計上したわけですが、実は、その後は年間数億円の負担のみという形になっております。これに対して、産業界は年間100億円近いお金を出しております。
 今回の答申では、現行の救済制度の枠組みを維持するということになっているわけで、政府の役割は変わらないはずですが、実は国の負担割合というのが年々減ってきております。産業界は、引き続きこの問題に正面から向き合っていくという固い決意を持っていくわけですが、少なくとも国は基金への拠出のための予算措置をしっかりとしていただいて、明確な役割を果たしていただきたいと思っておりますし、少なくとも、その国の役割が後退することのないよう、ぜひお願いをいたしたいと思っております。
 私からは以上です。

○浅野委員長 ご要望、ご意見として記録にとどめておきます。
 大塚委員は、ご意見がありますか。

○大塚委員 今の国の負担割合が減っているというあたりはどうなっているか、事務局に教えていただけたらありがたいのですが、いかがでしょうか。

○正林室長 減っているわけではなくて、5年前に、最初にどんと400億円近いお金を積んでいるのですね。そういう形になっています。

○大塚委員 では、そこは、もしそうでないのだったら、ちゃんとそういうふうにお答えいただいたほうがありがたいかなと思いました。
 それから、もう一つお伺いしておきたいのは、7ページの下から15行目ぐらいのところに、石綿の健康リスク調査事業が全国7地域で実施されるということになっていますが、これは、これ以上拡大する必要は特に今余りないということなのでしょうか。それとも、その必要性はあるというふうに考えてよろしいのでしょうか。

○正林室長 なぜ7地域かというと、かつては、できるだけこれに参加して下さいということで案内を出して、7地域が手を挙げたからなのですが、私どもとしては、できればもっと地域の数はふえたほうがいいなと思っています。

○大塚委員 5ページのあたりで、因果関係が明らかでないということが、いろいろなことの根拠になっていますので、ただし明らかでないのが当然になっているわけでは必ずしもないので、今のように地域を増やして、調査を拡大していただけると大変ありがたいと思っていますが、別に文章を何か直して下さいということではございません。

○浅野委員長 わかりました。やはり地方分権というような流れの中で、国としてやらなければいけないことが、必ずしもうまく協力を得られないという事実があることは否定できませんので、どうしても自治体でご理解いただいてやらなければいけないということをお考えくださらない限りは、どうにもならないということが起こってしまうと思います。
 大体、ひととおり、委員のご意見はいただいたところでございますが、それでは、この報告でございますけれども、第二次答申ということでまとめさせていただきたいと思いますが、先ほど申しましたように、二点ほど、この報告書の記述を直すということについてはご了承いただけると思いますので、その他、まだ見落としなどがあるかもしれませんので、最終的にはこの報告のとりまとめについて、私にご一任いただけますでしょうか。

(異議なし)

○浅野委員長 ありがとうございます。

○浅野委員長 今申し上げましたように、この報告については、私に最終的にご一任いただきましたが、第二次答申と書きましたように、このテーマについては、なお今後とも検討の必要は残っているという認識を持っておりますので、事務局におかれましては、これが決して最終答申であるという位置づけにならないように、十分なご配慮をいただきたいということを特に強く発言をしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、他に何かございますか。というわけで、あるタイミングが来ました時に、またこの小委員会にお集まりをいただくということを私は考えておりますけれども、そういう理解でよろしゅうございましょうか。
 最後に、それでは環境保健部長からご挨拶をいただきます。

○佐藤部長 環境保健部長でございます。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、また熱心にご討議をいただきましてありがとうございます。
 おかげさまをもちまして、二次答申、おおむねご了解を得られたものであろうかと思います。また、細かい点については、浅野委員長と相談をさせていただくことといたしまして、本当にこの間の熱心なご討議に、また特にワーキンググループの先生におかれましては、この間においても大変にご熱心にご議論いただきまして、本当にありがとうございました。
 最後に浅野委員長からコメントがございましたように、検討の余地はなおあるのだということをお伺いしましたし、この報告書の中に、必ずしもすべてが盛り込まれたわけではなさそうでございます。そういうことも含めて、最終的なものではないという認識のもと、差し当たりはこの二次答申の形でちょうだいをして、環境省としても引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 いずれにいたしましても、本当にありがとうございました。簡単ではございますが、代表といたしまして、御礼の言葉を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

○柳田補佐 一点だけ、事務局から説明させていただきます。本日、この二次答申案ということで、小委員会としての取りまとめということでございまして、この後、環境保健部会長と中央環境審議会長へ報告をいたしまして、同意を得た上で、最終的な二次答申という形で答申ということになりますので、最終的な二次答申につきましては、また各委員に送付させていただくとともに、また後日、ホームページ等で公開したいと思います。また、議事録につきましても、これまでどおり原案を作成いたしまして、先生方にご確認いただきたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。
 以上です。

○浅野委員長 それでは、本日はこれで散会いたします。どうもありがとうございました。

午後4時18分 閉会

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