中央環境審議会 環境保健部会 石綿健康被害救済小委員会(第9回)議事録


議事録

午後2時58分 開会

○柳田補佐 それでは、定刻まで若干時間はございますが、本日出席予定の委員が全員そろいましたので、ただいまから第9回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
 本日は、小委員会の委員11名のうち、7名のご出席をいただいておりまして、定足数を達しております。
 それでは次に、前回、小委員会から約半年たってしまいましたが、その間に、事務局のほうに人事異動がございましたので、簡単に紹介させていただきます。
 まず、環境保健部長の佐藤でございます。
 石綿健康被害対策室長の正林です。
 それでは、佐藤部長より簡単にごあいさつをいただきます。

○佐藤部長 ただいまもごあいさつをいたしましたが、改めまして、環境保健部長の佐藤でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 繰り返しになりますが、7月の末に参りましたものですから、こういう小委員会の形でお会いするのは初めてになります。委員の皆様方におかれましても、これまでも何度か、種々、ワーキンググループその他でお会いをして、お願いをしたり、ご協力をいただいておりますが、この場を借りて、改めて厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 小委員会でございますけれども、きょうは本当にお寒い中、またお忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。私が申し上げるまでもないことですけれども、この救済制度のあり方につきましては、昨年5月に指定疾病に関する考え方ということで、ご答申をいただきまして、私ども環境省も政令改正を行いました。そういうことで、委員の皆様には、ご尽力、ご努力をいただきまして、本当に感謝を申し上げる次第でございます。
 これも言うまでもありませんけれども、本日は、去る7月の論点整理以来の半年ということでございまして、浅野座長を中心にワーキンググループをつくる形で、法律的な観点から、この制度についてご議論いただきました。きょうはその結果を報告いただくということになっております。ワーキンググループとしての浅野座長を初め、古谷委員、それから本日はご欠席になっていますけれども、大塚委員や新美委員に大変ご熱心にご議論いただきましたので、この場をかりて、これも感謝を申し上げる次第でございます。
 いずれにしましても、その報告を踏まえまして、ご議論いただくことになろうかと思いますが、どうか忌憚のないご意見、ご議論をお願いできればと考えております。
 簡単ではございますが、あいさつにかえさせていただきます。どうかよろしくお願いします。

○柳田補佐 それでは、続きまして、本日の資料の確認をしたいと思います。
 議事次第を1枚めくっていただきまして、資料1が小委員会の名簿でございます。資料2といたしまして、ワーキンググループの報告書、今後の石綿健康被害救済制度の基本的な考え方についてでございます。それと資料3といたしまして、その他御議論いただく事項(事務局メモ)でございます。
 なお、また事務局からの改めてのお願いでございます。傍聴者におかれましては、傍聴券にも記載されておりますとおり、静粛を旨とし、審議の妨害となるような行為は慎んでいただきたく思います。他の傍聴者のご迷惑にもなりますので、何卒遵守をお願いいたします。
 それでは、ここからの議事進行は、浅野委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 なお、カメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、お集まりいただきましてありがとうございました。
 本日の議題は、今後の石綿健康被害救済制度のあり方についてでございます。
 本日はワーキンググループの報告をいたしたいと思います。昨年の7月に第8回の救済小委員会を開催いたしましたが、その席でご了解いただきまして、制度の法的な問題点についての整理をしようということで、法律の専門家である大塚委員、新美委員に、さらに実際の制度運用についてもよくご存じである古谷委員にも加わっていただき、現在の石綿制度、類似の制度と比較しながら、法的な観点から、その制度の枠組はどういう構造になっているのかといったような点の検討を行ってみたわけでございます。少し分量が多くはなりますが、お手元にワーキンググループの報告を載せておりますので、これについて事務局から説明をお願いいたします。

○正林室長 それでは、私、室長をしております正林から説明をしたいと思います。
 この報告書、資料2をご覧下さい。まず、目次のところですけれど、「はじめに」とありまして、2番として、基本的な考え方、この制度の性格とか、給付内容・水準、費用負担についてまとめてあります。
 3番のところで、他制度の考え方。類似の制度として、医薬品副作用被害救済とか、原爆、予防接種法、公害健康被害補償制度、労災保険、こういったものについて、それぞれどういう制度なのかということもまとめてございます。
 それから、4番の他制度との比較ということで、今申し上げた制度と、この石綿救済法を比較してどうか。保険制度との比較、それから民事責任を踏まえた損害賠償的な制度との比較、その他ということでまとめてございます。
 そして、5番目に結論として、まず基本的な考え方について。それから(2)で救済給付の考え方についてまとめています。
 そして6番として、今後の課題という形で全体が取りまとまってございます。
 おめくりいただいて、「はじめに」は飛ばしますが、3ページ目のところ、この制度の性格について、法律学者の先生方を中心にまとめていただきました。二つ目のパラグラフのあたりですけれど、この石綿による健康被害に関しては、本来、原因者が被害者にその損害を賠償すべき責任を負うものであると。しかしながら、石綿へのばく露から発症までの潜伏期間が30年~40年と、非常に長期にわたること。石綿は建築物や自動車など、極めて広範な分野で利用されていたことから、被害者の石綿へのばく露に係る事実の確認、すなわち特定の場所における石綿の飛散と個別の健康被害に係る因果関係を立証することが極めて難しく、一定の場合を除き、石綿による健康被害を受けた者は原因者を特定し、民事上の損害賠償請求をすることは困難であると。
 一方、この石綿疾患が重篤なものだとか、それから知らないままにばく露し、自ら非がないにもかかわらず、何ら救済を受けられないまま亡くなられるという状況があると。
 ということで、何かできないかということで、原因者と被害者の個別的因果関係を問わず、社会全体で石綿による健康被害者の経済的負担の軽減を図るべく、制度化したものだと、これは5年前に制度を創った時のことを改めて法律家の先生方におまとめいただいたものであります。
 給付内容、水準のところは、補償ではなくて、医療費、入通院に係る諸雑費、介護や付き添いに係る費用、葬祭料などを含む見舞金的なものとなっております。
 そのほか、特別弔慰金なども含まれているということと、それからおめくりいただいて、4ページに、その辺の給付の水準の根拠などがまとまっていますが、その下には、費用負担のところで、一般拠出金のことと、それから特別拠出金のことがまとまってございます。
 以上は、もう委員の皆様方、ある程度ご存じのことかと思います。そして、5ページ目以降に、それぞれの制度について、これは実際のこういった制度を担当している方々にワーキングにお越しいただいて、ヒアリングをしながらまとめたものでございます。医薬品副作用被害救済制度から始まっていますが、制度趣旨のところで注目すべきは、二つ目のパラで、医薬品または生物由来製品が適正に使用されたにもかかわらず、発生した副作用または感染等による健康被害を受けた方について、迅速な救済を図ることを目的として、製造販売業者の社会的責任に基づく拠出金等を財源とする健康被害救済制度としてでき上がっていることです。
 それからおめくりいただいて、(2)の原子爆弾被爆者に対する援護制度ですけれど、これも制度趣旨のところで、被爆者が受けた原子爆弾の放射線による健康被害という他の戦争犠牲者に見られない特別の犠牲に着目し、国の責任において医療給付、各種手当の支給等、総合的な保健・医療・福祉施策が実施されているということで、この制度が構築されているようです。
 それから、6ページ目の下のほうに、予防接種法に基づく健康被害救済制度、これも冒頭に、予防接種は公共目的の達成のために行われるものであり、この結果健康被害を生ずるに至った被害者に対しては国家補償的精神に基づき救済を行いというふうにされております。
 それから、その下の(4)のところでは、公害健康被害補償制度が紹介されていますが、これも制度趣旨の下から3行目あたりですが、本制度は基本的には民事責任を踏まえた損害賠償補償制度として構築すべきであると考えるとしている。すなわち、現になされている「原因者の汚染原因物質の排出」に対して、民事責任を踏まえた制度的解決を図ろうとするものであると。こういったものが制度趣旨の根幹になっております。
 それから、8ページあたりは、公健法について、非特異疾患とか特異疾患等について詳細にまとめてございます。
 それから、9ページ目に、労働者災害補償保険制度がありますが、制度趣旨のところで、冒頭に、「使用者は労働基準法に基づく災害補償責任を負っており」と。これは労働基準法75条でその責任が明確になっていますが、使用者への責任を実質的に担保する制度として、労働者災害補償保険制度が存在すると。労災保険の給付が行われた場合には、事業主の災害補償責任は免除されると、そういった制度趣旨が基本になっています。
 以上のように、それぞれの制度について、制度趣旨、給付の内容等についておまとめいただいた上で、11ページ目に他制度との比較ということで、今申し上げました五つの制度と、まとめながら比較をしております。
 11ページのところでは、まず一つ目、保険的制度との比較ということで、保険的制度としては、医薬品副作用被害救済制度と労災保険制度が挙げられると思われます。
 医薬品の副作用被害救済のほうは、2パラ目になりますか、医薬品製造業者等の過失を問わず、保険加入者として被害者の補償に相当する保険料納付を義務づけ、一定の健康被害が生じた医薬品使用者に対し保険的給付を行うというのが制度の趣旨だと。
 それから一方で、労災のほうは、使用者の過失の有無を問わず、労働基準法に基づく災害補償責任を負っていると。その責任を実質的に担保する制度として、事業主の共同連帯責任としての保険システムを構築し、使用者の過失を問わず、被害者の補償に相当する保険料納付を義務づけ、一定の健康被害等が生じた労働者に対し保険給付を行うというのが労災の趣旨だと。
 その次のパラですけれど、「保険制度は」で始まるところですが、[1]責任を有する者が存在し、それらの者が誰しも健康被害等の原因者となりうる存在であることを踏まえ、[2]将来のリスクを考慮し、[3]保険料とそれに応じた保険給付を行うという要素を一体のものとして制度化していると。一方、石綿健康被害救済制度においては、[1]責任を有する者は、本来石綿を飛散させ被害を生じさせた事業者であるが、その存在に関する知見が整っていないにもかかわらず、[2]過去の石綿ばく露によって生じた健康被害への迅速な対処を必要としており、[1]により費用負担すべき者が特定できないことを考慮して、責任を問わず、社会全体で健康被害者の経済的負担を軽減するための給付を行っているものと言えるとなっています。
 それから、(2)民事責任を踏まえた損害賠償的な制度との比較ということで、公害健康被害補償制度がこれに当たると。これについては12ページ目、まとめてあるのは真ん中辺ですけれど、「公害健康被害補償制度は」で始まるところですが、既に指摘したように、[1]被害者と原因者について、疫学的知見等に基づいて因果関係を結びつけ、[2]原因者たる排出事業者の賦課金を原資とし損害賠償に相当する補償を行っていると。一方、石綿健康被害救済制度は、[1]石綿の特殊性(潜伏期間が長期で、戦後広範かつ大量に使用)によって原因者とその排出実態及び汚染濃度等に関する知見が整っておらず、したがって、人口集団に対する汚染の影響の程度を定量的に判断できず、原因者と健康被害者との因果関係を結びつけることができず、[2]費用負担すべき者が特定できないことを考慮し、社会全体で健康被害者の経済的負担を軽減するための給付を行っているものと言えるというふうに比較をしています。
 (3)その他の制度との比較ということで、原爆と予防接種法、原爆については、特別の犠牲で、国の責任において救済策を講じているところ、石綿健康被害は、本来原因者への責任を追及すべきというのが書かれています。予防接種法のほうは、社会的公正を図る観点から補償を行うものであって、一方、石綿による健康被害は、そもそも国の直接的な行為によって発生したものではないため、同様の考え方を当てはめることは困難だというふうにまとめられています。
 最後に、13ページで結論が述べられております。今までのことをおさらいしながらでありますけれど、まず基本的な考え方のところで、二つ目のパラ、「まず」で始まるところですが、保険(的)制度が、[1]責任を有する者が存在し、それらが誰しも健康被害等の原因者となりうる存在であることを踏まえ、[2]将来のリスクを考慮し、[3]保険料とそれに応じた保険給付を行っているのに対し、問題となる石綿健康被害者は、責任を有する者の存在が明確でなく、基本的には過去の石綿ばく露によって生じた健康被害であり、[3][1]により費用負担すべき者が特定できない。以上より責任があり将来のリスクに備える保険加入者をほとんど想定しえず、保険(的)制度としての性格にはなじまないものといえると。
 次に、民事責任を踏まえた補償制度についてですが、公害健康被害補償制度が、[1]被害者と原因者について、疫学的知見等に基づいて因果関係を結びつけ、[2]原因者たる排出事業者の賦課金を原資として損害賠償に相当する補償を行っているのに対し、問題となる石綿健康被害者は、[1]原因者や排出実態、汚染状況等に関する知見が整っておらず、[2]賦課金徴収対象者が特定できないため、同様の性格とすることは難しいといえる。
 なお、仮に因果関係が明らかな者だけを対象とした補償制度を構築しようとした場合、現行の石綿健康被害救済制度で救済対象となっている者の大半が制度から漏れてしまうことになり、救済の観点からは望ましくない。
 最後に、予防接種法に基づく健康被害救済制度に類似した制度を構築することについては、そもそも石綿による健康被害が、国の直接的な行為によって発生したものではないため、同様の考え方を当てはめることは困難といえる。
 以上を踏まえると、現行の石綿健康被害救済制度については、今度とも制度を取り巻く事情の変化には注視しつつ、基本的な考え方を維持していくこととするほかないと考えると。
 ここでただし書きが入っておりまして、ただし、ワーキンググループの委員の一人は、制度を補償制度とするか、労災補償や公害健康被害補償と同等の救済を実現できるものにすべきであるとの意見であったとしています。
 それから、(2)の救済給付の考え方のところですが、14ページですが、1行目のところで、現行の石綿健康被害救済制度が、あくまでも責任の有無を問わずに救済措置を実施するという性格を維持する以上は、費用負担者の視点、他制度との衡平性からして、現行の救済給付を上回る変更は困難であるといえると。
 また、患者団体等へのヒアリングの中で給付の増額を求める意見が出されたものの、制度対象者全体に関するアンケートにおいては、現行の給付水準では不足しているという方は少数にとどまり、制度全体としてみると、現行制度が有効に機能していることが指摘できると。
 以上を踏まえると、現行の救済給付を上回る変更を行うことは困難であり、社会経済状況を踏まえつつ、着実に制度全体を運用していくこととせざるを得ないと考えると。
 ここもただし書きが入っておりまして、ただし、ワーキンググループの委員の一人は、制度の基本的な考え方を維持する場合であっても、救済の内容及び水準を改善することは可能であり、速やかに改善すべきであるとの意見であったと書いています。
 それから、15ページ、今後の課題でありますが、最初のところで、2行目ですけれど、特に救済給付については、今後とも制度を取り巻く事情の変化に注視しつつ、改めて慎重に検討すべき課題であることは指摘できるとあります。
 それから、小委員会で引き続き議論すべき論点があるということで、健康管理について主にご議論いただきました。これについては、真ん中あたりの「一方」で始まるところですけれど、一方、石綿ばく露による健康被害のリスクが低いあるいは不明な一般住民の中には、検診も受けず、不安を抱いている者がおり、こうした者の不安感の解消は重要であると。ただし、石綿関連疾患を発見するには、単純レントゲンのみならず、より被曝量の多いCTなども使用する必要があり、不安感解消というメリット、放射線被曝というデメリットを、科学的根拠に基づき、比較考量する必要があるとともに、その他、対象や方法、費用負担等について問題がある。また、医療機関や地方公共団体等も含めた実施体制に関する問題も存在すると。
 これまで、「石綿の健康リスク調査事業」が全国7地域で実際されていると。今年度から5年間の追跡コホート調査なども行われていると。しかしながら、調査対象者については、調査対象地域内の医療機関で検査を受けることができることを要件としているため、結果として、現在も当該地域及び近隣地域に居住する者のみが対象となっている。このため、過去に当該地域に住んでいた者をなるべく多く含めた形で調査を行い、どのような症状、所見、石綿ばく露のある者が健康管理の対象となるべきかなど、健康管理によるメリットが、放射線被曝によるデメリットを上回るような、より効果的・効率的な健康管理のあり方を検討すべきであると。
 これもただし書きがついていまして、ただし、ワーキンググループの委員の一人は、法に健康管理制度を導入すること自体に法律的問題があるとは考えられず、被害者団体や関係自治体からも再三要望されていることからも、速やかに健康管理制度を導入すべきであるとの意見であったとしています。
 以上がワーキングで取りまとめていただいた報告書の内容であります。

○浅野委員長 ありがとうございました。その他の論点ということで、ワーキングの報告の中に、最後に記していることに関連しては、事務局からもメモが出ておりますので、先にそのご説明をお願いいたします。

○正林室長 資料3をごらん下さい。その他御議論いただく事項(事務局メモ)というのがございます。これについてご説明したいと思います。
 まず一つ目、運用の改善・強化、労災制度との連携という項目がございます。
 現在、救済制度と労災制度間では、制度対象者が適切に申請を行えるよう、相互の窓口に、両制度のパンフレットを置くなどして、普及啓発に努めているところであります。救済窓口でも、申請者のうち、石綿職業従事歴のある方については、労災の窓口案内を実施しています。
 ただ、労災制度に関する情報不足のために、救済制度のほうに申請する事案がいまだに発生しており、改善すべきとの声があることから、今後どう対応するかというのが一つ論点かなと思われます。
 ちなみに、一つのアイデアではありますけれど、今のところは、環境再生保全機構のほうに、本来労災に請求すべき事案が救済制度の請求する形で上がってきた場合に、パンフレットをお配りするだけではなくて、もう一歩踏み込んで、機構から労働基準監督署、労災の窓口のほうに直接連絡をとってみる。電話するなり何なり、そんなことも一つの方策かなと。これは一つの例であります。後ほど、またご議論いただけたらと思います。
 それから、認定に係る期間。中皮腫等の診断の難しさから、要する時間が長いケースがあり、より迅速に認定を行うために、どう対応するか。昨年7月にアンケートの結果をご報告していますけれど、あの中でも、認定までの時間がかかるということについては、多くの方からご意見をいただいていました。これについて、どう対応するのか。今、実際に判定の業務は、三浦委員を中心とした判定小委員会のほうでご議論いただいて、医学的判定をした上で、機構のほうで認定していただいているんですが、提出していただく資料が必ずしも十分でないことが非常に多くて、その結果として、またさらなる資料を求めている。それを繰り返しているうちに、だんだん時間がたってしまうというケースが多いように見受けられます。
 もう少し何らかの効率化というか、実際に申請する段階で、中皮腫というのはどうしたら診断ができるのか。特に医学的判定をどうやって行うかというのがもう少し周知されれば、一回で審査がなされてクリアされる場合もありますので、何度も何度も資料を出し直しということがもうちょっと周知ができていれば、要らなくなるんじゃないかなということは、一つ考えられます。これについても、またご意見をいただけたらと思います。
 それから、3番目、特別遺族弔慰金対象者への周知。平成18年3月以前に石綿由来の指定疾病で亡くなられた方の遺族に対する特別遺族弔慰金等の約300万円については、当初は月に数百件来ていましたが、今、申請件数が徐々に減少して、月に10件程度となっています。ただ、まだ申請されていない方々がいらっしゃいますので、そういった方々に対して、どう対応するか。
 実は来年度、これは厚生労働省のほうの予算なんですけれど、掘り起こしをする予算を来年度予算として厚労省のほうで計上しております。具体的に言えば、法務局というところで、死亡診断書を過去27年分保存しているようですけれど、それを1枚1枚ひっくり返して、そこで見つかる対象疾病、中皮腫の病名のついている方々を見つけて、お一人お一人にお知らせをするというようなことを厚労省のほうで、予算を今確保すべく予算計上していますので、環境省としても、それに協力していくというのも一つかなと。これについても、またご意見をいただけたらと思います。
 それから、2番目は調査研究の推進。中皮腫に関する研究調査。診断や治療が容易でない中皮腫については、情報を集約し、治療等に活かしていくべきとの声があることから、今後どう対応するか。よく言われる中皮腫登録。がん登録という制度が、都道府県単位で、三十幾つかの都道府県で行われていると思います。それの中皮腫版です。がん登録の場合は、がんと病名のつく方々について、そのすべてを都道府県に登録していただき、あわせて、治療の内容も登録していただく。それから、その結果、ご存命なのか、お亡くなりになっているのか、そういった情報もすべてご登録いただくことによって、どういう治療をすることによって、どのぐらい延命できるのか、そういった分析をする方法、これはがん登録という方法で幾つかの自治体でやっていますが、これの中皮腫版ができないか。例えば、がん登録の場合は、法律は特にないんですけれど、この中皮腫の場合は、この救済制度のために、恐らく多くの方が中皮腫と名のつくケースは、皆さん、救済制度を申請されていると思います。この際、もちろん、ご存命の場合に、ずっと医療費の自己負担を無料にするための給付を行ったりしていますので、いつお亡くなりになったかというのは、環境再生保全機構のほうでわかるようになっています。また、医療費の給付をしていますので、場合によっては、レセプトの内容を見ることができますから、どういう治療がなされたのかというのを、把握しようと思ったらできるかもしれない。そういった今の救済制度をうまく活用することによって、いわゆる中皮腫登録というのが実現できるのではないかなと、そんなことも一つの考えでありますけれど、これについても、後ほどご議論いただけたらと思います。
 あと、その他として、医療機関等への知識の普及や治療等に関する情報の提供とか、肺がんの認定方法、こういったことも一つの論点かなと思われますので、後ほどご議論いただけたらと思います。
 以上です。

○浅野委員長 どうもありがとうございました。ただいま事務局から説明をいただきましたけれども、先ほどの資料2につきましては、あくまでも法律論の観点からまとめたものでございまして、これが報告書そのものという位置づけではございません。これを素材にして、当小委員会としての報告をまとめていく材料にしたいと、こういうことでございます。
 それから、資料3につきましては、今後の課題ということでございますが、ワーキングで議論したことについて、あくまでも法律の立場で考えても、どうもそれ以上、なかなか考えにくいという、医学的な知見にかかわる問題もあったものですから、これについては、ぜひ小委員会の場に戻して、そこで皆様方からご意見をいただきたいという趣旨で、本日これをお出ししたということでございます。
 それでは、ワーキンググループの報告書のペーパー、あるいは資料3のペーパー、いずれについてでも構いませんけれども、ご質問なり、ご意見なり、コメントなりありましたら、お出しをいただければと思います。
 本日は大塚・新美、お二人の委員がおられませんけれども、ワーキンググループ報告に関しては、お尋ねがあれば、私のほうで可能な限りお答えをすることにしたいと思います。いかがでございましょうか。

○今村委員 詳細について、きょう初めて伺ったので、ちょっとまだよく理解できていないところもあるんですけれども、法律的な考え方だとか、そういうものについては、こういう制度なのかなというふうにちょっと思ったのですが、一部のワーキングの先生から、全く今までとは同じでなくて、同等という書き方をされているんですけれども、何かそれに近づけるような話というのは一切なくて、今のままの補償という整理をされているという理解でよろしいですか。

○浅野委員長 ワーキングの中では、ここにありますように、完全に全員が一致して、こういう結論になりましたということではないわけで、違う意見があるということを明示するということでありました。
 ここで異なる意見として出されているのは、仮にこの制度を法律の立場から言えば、こういう整理だということになるということを仮に認めたとしても、なおかつと、こういうことですございます。ですから、その前提に立ったとしても、できることがあるのではないかというご意見がありましたということです。つまり、法的な前提については、このように書かれておる認識であるが、その前提に立っても、なおこういうことはできるでしょうというご意見がありましたので、それを書いているということですございます。
 要するに、一言で言えば、労災制度とアスベストの救済法の制度というのを全く同じような土俵の上に並べて比較することは、どうも論理的に無理だということが、検討して、いろいろ議論してみたのですけれども、どうもそう言わざるを得ないというわけです。それをのり超えるとすれば、もっと思い切った発想の転換をしなければいけないわけですけれども、例えば費用負担の点とか、あるいは、だれが責任者であるのかとか、そもそも責任の前提がどうなっているのかというようないう点についての制度間の違いが根本的にあり過ぎるだろう。つまり、労災制度は、雇い主の方は、労働者が事業の面で災害に遭ったときは、自分に過失があろうが、なかろうが、責任を負えという大前提があるわけです。つまり、無過失責任という大前提のもとに制度ができ上がっています。その点でいえば、本制度についても、特定の原因者がはっきりわかっていて、さらにその原因者に過失があって、責任を負うということを全く解明できないわけではない事案に該当されるような方々については労災と同じように責任の所在は明確だからといったことが言えるとしても、それを余り強く言い過ぎると、そのような意味での責任者が明らかでない場合には、救済から外せということになってしまうわけです。この法律の中で、ある人々については手厚い救済だが、ある人々についてはそうではないということになってしまうのは、やはり制度としての根幹を揺るがすことになるので、まずいのではないかということだと、つまりこういう議論ございます。
 そのことを前提とした上でも、しかし、給付レベルや制度をもっと補償に近づけるということは、それは思い切ってやればできないこともないではないかというご意見があったので、そのことについては、我々も、そのご意見のあることは十分に留意できるということで、ここには「ただし」ということで書かせていただいたということでございます。

○今村委員 もう一点よろしいですか。14ページのところなんですが、前回、私もちょうど参加させていただいたときに、ヒアリングで被害者の方々のいろんなお話を伺って、非常に経済的に厳しい現状があるということは、お話の中ではよくわかりました。この14ページのところで、対象者全体に関するアンケートというのは、私は欠席や何かがあったものですから、これは委員会の中で出されているものなのでしたでしょうか。

○浅野委員長 ワーキングでは詳細に検討いたしましたが、たしか該当の報告は。

○正林室長 8回目の、前回です。

○今村委員 前回のときに出ましたか。すみません。ちょっと被害者の方のヒアリングばかり頭にあって、余り細かいそこのデータがなかったのですが、このアンケートでは十分だという方のほうが多いというような書きぶりになっていて、そんな資料でしたでしょうか。

○浅野委員長 ここは、なかなか微妙なもので、別に多い・少ないということで、多数決をとったアンケートでもありません。事務局から、少しアンケートについてご説明いただけますか。

○正林室長 資料としては、8回目の小委員会で、アンケートの概要をお示ししております。
 この中では、大体月に幾らかかっているか。例えば、交通費については、月に5,000円未満の方が72%とか、5,000~9,999円が16%とかというような内容であるとか、入院にかかった費用で、医療費以外のものとして、1万円未満の方が45%、1万円~1万9,999円が18%といったような形です。何でこれを言っているかというと、医療費の自己負担分については、もちろんこの制度は完全に給付して、無料になるようにしているんですけれど、それ以外に、いろんなこういった交通費とか、医療以外のお金とか、あるいは介護とか、そういったものにかかると思われるということで、療養給付として10万円一律に給付しているんですね。それに、では一体幾らぐらいかかっているかというのを調べているんですが、今申し上げたとおりの、交通費については、5,000円未満の方がほとんどだったり、医療費以外でも、やはり1万円~2万円の方がほとんど。介護の費用も、1万円未満という方が8割です。そういった状況でありました。

(傍聴者から発言する者あり)

○正林室長 すみません、委員以外の方は、ご発言は控えていただけるようお願いします。

○浅野委員長 ほかにございますか。

○内山委員 今のことに関してのこともあるんですが、これは主に医療費救済ということなので、それに関しては、多分、医療費はこのぐらいしかかかっていないということでお答えになっているんじゃないかという気がするんですが、いかがでしょうか。労災にも一つ問題があって、若いときにこういう疾患にかかられて、そこで働けなくなると。そのときの給料の何割というので、安い給付しかいただけないという問題点もあるんですけれども、高齢になられて、医療費はこれで救済されるという考えなのですけれど、若くして亡くなられた方は、生活、いわゆるお子さんがまだ未成年でいらっしゃって、病気したときに、やはりこれは現在の給付制度では十分ではないという感で、ヒアリングのときに寄せられた方もいらっしゃるのではないかと思います。
 この当時、この救済制度ができたときは、非常に急いでいたということもあって、いろいろ後からこうしたらよかったのではないかということもあって、それで、5年の見直しのときにということで、小委員会でいろいろ議論してきたと思うんですが、今回お示しいただいたのは、法的に見れば、この設立当初の趣旨と、そのほかの法律なり、制度から見れば、こういう違いがあって、現在の救済制度では、これが妥当だろうというご結論だろうと。これは法的には確かにそうだろうと思うんですね。ですから、ワーキンググループの中のお一人が言っておられるように、では、その制度として認めた上で、どういうことができるかということか、あるいは制度自体をもう少し見直すことができるのか。そこら辺のところは、ワーキングの中でご議論があったかどうか。

○浅野委員長 ワーキングの中では、結局のところは、一番ベースにある、だれが責任を負うのかという、そこのところの問題をはっきりさせない限り、補償制度について言っても、何の補償なのかという問題が起こってしまうということでありました。それで原爆医療まで広げて、おおよそ今日本の中で行われている類似の制度を全部洗ってみたわけです。本制度が原爆医療と同じようなものであるという位置づけができるかどうかと言われると、ちょっとなかなかこの問題に関しては、そこまでは言い切れないということですけれども、しかし、最後に主な課題として書きましたように、今後とも制度を取り巻く事情の変化というものはあるわけでしょうから、そこは状況が変わるという可能性はあるかもしれませんし、あるいは、それこそ政治主導ということであるならば、そこでも何かあれば、あるかもしれませんけれども、少なくとも、現在の状況の中で、この小委員会のレベルで法的にそこを一挙に突破しろと言われても、なかなか難しかろうというのが多数意見だということでございます。

○内山委員 だから、当時、5年前としては、非常に有効に機能しているし、ある程度、その当時議論したのは、非常にうまくできた制度だとは思っているんですけれども、それはその状況が今現在考えても、基本的な考え方を変えるに新しい状況というのは今のところないというふうに考えてよろしいですか。

○浅野委員長 ワーキングの多数意見は、少なくとも労災と全く制度の根幹が同じであるという前提に立っての議論はできないという結論になったものですから、そこは、その前提で考えざるを得ないということです。だから、仮に労災と比べても、余り差のない救済ということが言われるとしても、法的論理まで飛び越えて差がないということにはなりません。やはり論理は論理だということです。その上で、どこまで同じような状況にある方を、できる限り同じようにということでできるかということは、もちろん、かなり議論したわけです。そして、少数意見として、少なくとも制度の根幹を崩さなくても、もうちょっと頑張って給付をふやすということはできるのではないかとか、すべての方の給付を一律にふやすということができないにしても、やはり特定の状況の方に対しては特定の給付をするということはあるのではないかという議論もあったのですが、しかし、それについても、やはり理論構成にはなかなか難しい問題があるということです。つまり、さっき委員が言われたような、生活保持のための給付というような考え方を、今の制度枠の中でとれるかと言われると、それはちょっと難しいかなということになったわけです。
 ほかのご意見がございますか。あるいは、資料の3のほうに書かれていることに関してでも構いませんが。

○三浦委員 先ほどのご質問と関係するんですけれども、給付額を例えば疾患によって変えるとか、あるいは、予後によって変えるとか、そういうことは法律の中では難しいことなんでしょうか。

○浅野委員長 現行法は、その点についても明文規定を置いていますので、変えるとすれば、法律を変えざるを得ないということになると思います。そのときに、今の給付額というのは一律給付ですから、場合によっては、今よりも給付額が下がる方が出た場合に、そこで従来に比べての不公平感ということも考えられるかもしれない。そうすると、そう簡単に疾病によって変えるといっても、なかなかその議論も根拠を明確に示せるかと言われると、示しにくい点がある。ということで、さらに今後、継続的に議論していく以外にないという結論になっているわけでございます。

○今村委員 大変難しいところをちょっと置いておいて、先に資料3でお願いしたことがいっぱいあるんですが、それだけ先に。
 私どもも医療機関を代表する団体として、ここに参加させていただいているんですけれど、まず1番目の労災制度との連携の中で、今、産業保健の中で、50人未満の事業所の労働者の産業保健を適用している地域産業保健センター、全国347カ所ございますし、あと、47都道府県に産業保健推進センターというのも県単位で設けられています。そういったところ、この労働基準監督署という行政のところだけではなくて、やはり、そういう産業保健を提供している場所で徹底してそういう周知をするということも必要かなと思っていますので、ぜひ、その辺も何か連携できればと思っています。
 それから、2番目の認定の話で、先ほど申請される方が資料が不十分だと。確かにそうなんだろうと思うんですけれど、普通の方って、なかなかこういうことに限らず、何か申請するときでも、何を一体そろえたらいいのかというのが十分わからない方のほうが当たり前だと思っていて、そういうことを相談するというか、どこが対応を今現状されているのかというのがありまして、何か出したらこれがないと言われて、また行ったら、また今度はこれが不足ですみたいなことって、普通の行政でもよくあるんですね。だから、できれば、もう最初から全部きちんと対応していただけるような何か窓口がもしあるのであればとは、ちょっと思いました。
 それから、3番目の厚労省のほうの予算で、亡くなった方、お一人お一人を見ていくと。それはそれで、物すごく大変な作業だし、そういう取り組みをされるのはすごくいいと思うんですけれど、一般の広報活動というのは、今、例えば、いわゆる行政の窓口でパンフレットをいろいろつくられていますが、もっともっと本当に広い目に触れるような広報活動というのは、もう今後されないのかどうかということがあります。
 それから、調査研究のところで、中皮腫登録、これはこれですごくよろしいかと思うんですけれども、今、レセプト情報は電子化されて、厚生労働省のほうに全部基本的には、あれは外部の団体にいくのだと思うんですけれど、全部プールされるわけですね。それで、高齢者医療か国保の中で、行政等がそれを活用しようと思ったら、全部出てくると。あるいは、二次利用の今拡大ということも、別の委員会でいろいろ議論されていますけれども、そういうところで、例えば中皮腫病名で全部拾い上げて、何かそれをきちんとしたフォローアップのために使うということも、仕組上できるんじゃないかなというふうにちょっと思っています。
 それから、その他の医療機関の知識や普及等について、これは我々も通常の健康診断で、多数のレントゲンを今でも撮ることがあるわけですけれども、必ずしも多くの診療所医師や中小病院の先生方が、こういう中皮腫等の石綿に関する疾病についてレントゲンを見ているというわけでも必ずしもないと思いますので、ご専門の先生の研修というのはいろいろあると思うんですけれども、今後、そういう一般の医師の研修等について、何かお考えになっているかどうか教えていただきたい。

○浅野委員長 ありがとうございます。今のご意見、ご質問の中で、ご質問に類することでお答えがありますか。特に申請書類、窓口はどこで、どうしたらいいのですか。

○機構 環境再生保全機構の石綿健康被害救済担当をしております滝口です。
 受付につきましては、私ども機構ですとか、あとは全国の保健所にもお願いをして、受付をしてもらっております。一応、そこの窓口で必要書類につきましては、そろえていただくことが一応指導というか、これとこれは集めて下さいということを申請者の方にお願いして、集めていただくという形をとっていますので、何度も来ていただくという必要は基本的にはないという形になっています。
 問題となっている不足する資料というのは、医学的資料のほうでございまして、例えば免疫染色が若干足りないですとかといったことで、どうしてももう一回、医学的判定を経なければいけない。そこが一番、時間がかかってしまうネックなところがございまして、さすがにそこまでは申請者の方に直接お願いすることはできませんものですから、そこは、やはり医療関係者の方にお願いをして、提供をして、必要なものを出していただくような形しかできないかなと思うわけです。

○今村委員 そうすると、医療機関の側に十分な認識がないために、申請者が病院に対して、こういう書類を下さいと言ったときに、そこで十分なものが出てこないというところが問題だという理解でよろしいでしょうか。

○機構 医学的判定が、どうしても何回もかかってしまう原因の一つが、そこが一番大きいかなと思っております。

○浅野委員長 ある程度、経験則みたいなものがあって、事務的に窓口でチェックをしてというようなことはできないのですか、事前に。委員会にかける前に。

○機構 かなり病院によって差がございまして、中皮腫とか肺がんですとかを扱っていらっしゃる病院については、かなり正確な資料を出していただいて、今、全体でいきますと、半分ぐらいが1回の判定で認定されておりまして、そういうところはいいんですけれども、なかなかめずらしい病気ですので、年に1回ですとか、初めて見るというような、その病院から出てくる資料につきまして、なかなか足りないものが多くて、どうしてもやりとりが多くなってしまうと、こういったことがありますので、いろんな機会を通じて、我々としては医学的な情報提供をしていきたいと思っているところでございます。

○三浦委員 判定小委員会のほうに資料が上がってくるんですけれども、まず、中皮腫という病気は非常に少ない病気でして、大体、普通の死亡率が人口10万対幾つとかという数字なんですけれども、中皮腫の場合には、人口100万対幾つですから、少なくとも10分の1以下の、めったに見ない先生方も結構多い病気で、そうしますと、まず中皮腫かどうかというところが非常に難しい判断で、大体、臨床医の先生は、病理の先生が中皮腫の疑いがありますと書くと、鬼の首をとったように、中皮腫ですという形での説明をまず最初になされるということが現状です。
 それから、先ほどレセプトというお話がありましたけれども、これも別の委員会のメンバーが調べたものなんですけれども、死亡診断書の病名の中皮腫が、約2割が現実には中皮腫ではなかったと。これも明らかになっておりますので、レセプトも大体同じぐらいの不正確率といいますか、そういうものが多分あるんだろうと思います。
 現在、大体長い人で1年ぐらいかかってしまったり、平均5~6カ月ぐらい多分かかっていると思うんですけれども、最初の申請から認定まで。まず、私どもが見せていただきますと、分科会のほうで資料が足りないというと、まず患者さんに環境再生保全機構のほうから、こういう資料がないですかというのがいきます。直接、医療機関にいかないんですね。まず、患者さんが、そうすると医療機関に行きまして、その医療機関の中で、また患者さんにそういう資料を、あるいは環境再生保全機構のほうに送るのに、また時間がかなりかかる。そこで長い場合は数カ月以上滞る場合も結構あります。
 そういったことを踏まえて、やっと戻ってきたんだけれど、やはりまだ不足ですと。これが認定される方については、もうちょっと我慢していただければいいんですけれども、往々にして、不認定の場合にそういうことも結構多いんですね。その理由の一つが、実は認定された方については、資料をお借りして、医学的な見本をつくらせていただいているんです。申請者の方にご了解を得て、環境再生保全機構のほうから、後から申請者のほうにご了解を得て、そして医学的な資料を使わせていただいて、こういうのはいい見本ですということが、あるいはこういうのはかなり難しいけれども認定された症例ですというところができるんです。ところが、一目で全然違うというのが明らかにわかる症例については、見本をつくることができないんです、今のやり方の中では。ですから、そこをぜひ、例えば最初にすべての申請者の方に、医学的な判断のテキストブックとか、あるいは周知するための資料に使わせていただくとか、そういうご了解をまず得ていただくと、不認定であっても、認定された方であっても、個人情報はもちろん出しませんので、医学的にそういう見本を出して、そうすると、それは最初からまるっきり違う、もう一目で違うものだということがわかるということで、そういう資料が出てくれば、あるいは、そういう申請をする前に中皮腫とは全く違う病気ですということが言えると思うんです。そこがもう一つ、ぜひ、その点は5年後の改正のときに、何とかそういう点を織り込んでいただけたらと思います。
 それで、もう一度言いますと、特に中皮腫で非常に時間がかかるんですけれども、中皮腫の時間がかかるのは、医学的な資料が十分でない。申請する判断されたお医者さんのほうで、医学的な資料がこれで十分かどうかというのがよくわかっておられない先生がいまだに結構おられると。これは残念ながら、非常に少ない病気ですから、たくさん見ている方と、年に1度あるいは数年に1度しか見ない先生とでは、まるっきり変わってくるので、その辺はもう少し、できるだけ私たちも年柄年中、年に数回もいろんな学会に行ったり、いろんな研究会に行ったり、あるいは、先ほどの労働基準監督署とか、そういう勉強会に出向いては、いろいろ説明をさせていただいているんですけれども、まだまだそこまでは回っていないというのが、今村委員のお話しされたことの裏側だと思います。

○今村委員 どうも三浦委員、ありがとうございました。事情は大変よくわかりました。
 それで、先ほどお話があったように、受付をされる病院、例えば労災病院であるとか、それぞれの病院にも、経験が非常に豊富な先生のところから出てくるケースというのは、この先生はわかっているんだなというのはわかるわけですよね。ところが、初めて申請が来るようなところであれば、今のお話のように、当然疑い、疑いというのは、要するに理解が十分でない可能性があるということはわかるわけで、機構のほうでどういう病院から申請が来ているかとか、今回申請が上がった先生が初めて書かれているかどうかというのは、データがあればすぐその時点で判断できる話だと思うんですね。
 さっき三浦委員がおっしゃったように、病院も本当にこういうことじゃなくても、大体医療連携で何かいろんな書類を頼むと、物すごい時間がかかって出てくるというのは当然なんで、先ほどご本人、申請者の同意というようなお話があったんですが、申請者の同意があったら、直接ドクター同士が話ができるような仕組みにはできないんでしょうか。
 病院や診療所がよく連携していて、病診連携の中で医師同士の話というのはできるわけですよね。それがいろんな仕組みがどんどん入ってきて、なおかつ申請者があっちに行ったり、こっちに行ったりしなきゃいけないというような仕組みは、やっぱりちょっと変えていただいたほうがいいんじゃないかなというふうに思います。

○機構 ご指摘ありがとうございます。私ども、それは一番懸念というか、気になっているところでございまして、特に医学的資料が出てきた段階で、足りる、足りないというのはある程度わかります。ただ、残念ながら、私ども、ドクターが職員にいないものですから、そこでどこまで判断して主治医の方にお願いできるかというところは、若干詰めなきゃいけないところであると思っておりますけれども、できるだけ迅速な救済という観点から、受け付けた段階で補正というか、していただくのが一番早いものですから、そのあたりを一番の検討課題としていきたいと思っております。

○古谷委員 今言われたこと、実際にも結構問題になっていまして、特に今村委員も言われたように、あるいは三浦委員も言われたように、一度請求人に返して追加資料等を持ってきて下さいという話になるものですから、請求人が医療機関にそれを頼みにくい、頼んでもなかなかやってもらえないだとか、実際問題としてはあります。
 これ、労災の実務でいうと、申請人には負担がかからないのです。事実上、労働基準監督署長の名前で医療機関に意見書の要請が行ったり、資料の要請が行ったり、あるいは、関係する事業者に資料の要請があったり、立入調査があると。その点で言いますと、今、救済法雑則の中に第52条と第55条と第56条、それぞれ被認定者と、保険医療機関等と、それと診療担当者、それぞれに対して報告聴取等することができるという規定があることはあるんですけれども、実質を見ると不十分じゃないかという気がしているんです。
 一つには、機構がもうちょっとやりやすくしてあげる必要があるし、実態面として請求人のところに振られて、これが右往左往という事態はなくしたい。ここを一番いい形で改善することプラス、私は、できたら石綿肺やびまん性胸膜肥厚が指定疾病に追加されたのですから、関係する企業なり事業者にも一定の協力をもらえて報告調査できるという権限も機構に与えたほうがいいと思うんですね。それは、多分、法律改正が必要なんじゃないかというふうに思います。それはぜひここで提案すると、具体的にいい改正になるだろうという気がします。

○浅野委員長 当面の運用の問題としても、例えば、私の知る限り地域の場合、公健法だったら直接主治医にお聞きしている。審査会が直接お聞きしますから、そのほうがどんな情報が欲しいということがドクターに的確に伝わるわけです。だから、申請をする書類の中に不明な点は直接主治医に問い合わせてよろしいかという項目をつくっておいて、それに丸をつけた人については、直接問い合わせをする。それは困るという方については、患者さん経由で行くと、そういうぐらいの改善は、運用でもできるんじゃないかなと思いますがどうでしょうか。

○機構 現状をもう少し詳しく申し上げますと、医学的判定で追加資料をいただきますと、それをもって一応申請者の方にお返ししてしまうんですけれども、そのときに医療機関に直接コンタクトをとっていいですかという承諾をその段階でいただきます。いただいた段階で、それで後、医療機関と、追加資料ですので細かな話になりますものですから、医療機関との間でダイレクトに話をしていくという形を今現在ではとっております。
 ただ、今できないのは、先生がおっしゃったように、申請の段階で同意書をとっていないものですから、申請段階で不備がある場合にいきなりダイレクトにドクターのほうにはコンタクトできないというところがあるものですから、そこは、改善したほうがいいだろうということで、要するに同意書をもらうだけの話ですので、そこは早急に改善する、今、中で検討しているところでございます。

○太田委員 少し話が戻るんですけれども、調査研究の話をさせていただくと、がん登録の話が先ほど出ましたけれども、実際、がん登録、我々、県レベルでのばらつきもなかなか多い中で、特に中皮腫それから圧倒的に症例数の少ない肺がんについては、やはりきちんとしたある一定の症例数をきちんと情報収集するという意味では、国において何らかの調査研究のシステムを早く確立をして治療に生かす方法を見出していただきたいと思います。
 特に肺がんについては、兵庫県でも非常に少ない、この一つの原因として、さっき医師会の先生ございましたけれども、兵庫県でもやはり中皮腫そして肺がんの診断をきちんと、三浦先生がおっしゃいましたけれども、できる方がなかなか少ないので、医師会の先生にもご協力をいただいて、研修事業でもよろしいので、ぜひこれはもう一度原点に返ってお願いをしたいと思います。
 それから、最初の労災制度の話ですが、担当の方からお話がありましたように、保健所というのがある一定の機能を果たしておると思いますので、そこら辺をぜひ県の行政としては中に入れていただきたいということを申しておきたいと思います。
 それから、こちらの方、少しだけご質問させていただいてよろしいでしょうか。実は、12ページのその他の制度との比較というところで、この形でよろしいかと思うんですが、下から5行目の予防接種に伴う健康被害については、そもそも違法性に関する議論の余地があるというのは、法律的にちょっと専門的だと思いますので、わかりやすい形に変えていただければ、後ろと重複しているような気もしますので、我々、予防接種もやっているものですから、すみません。

○浅野委員長 これは、今、委員ご指摘のとおりでございまして、予防接種事故が全部違法であるというふうに言い切れないものがある。つまり、一定の確率で副作用が起こらざるを得ないというようなものであるけれども、他方では、地域の免疫力を高めるために、ある程度はしようがないと、お願いしなきゃいけないという性格があるので、そうなると、これはどっちかというと、損害賠償よりもむしろ適法行為に基づく損失補償の考え方により近づくのではないかという議論がありました。しかし、ここでは、そう断定することも難しいので、中途半端な書き方になっていますけれども、むしろ損失補償的な性格が強いという認識もあり得るということでございます。
 現場で事故が起これば、全部医療機関が悪かったと言われたのでは制度がもたないというような話もありますし、現行の予防接種法の考え方の中には、適法行為に基づく損失補償の考え方が入っているというのがむしろ正しい理解ではないかという気がしておりますので、これは無過失責任というより、むしろ損失補償に近いという理解を示したということでございます。

○古谷委員 メモのほうの中皮腫に関する研究調査というふうになっていますけれども、今、室長のほうからは中皮腫登録制度の可能性についてかなり前向きな提言であったというふうに思うんですけれども、室長自身が挙げたメリット以外にも今の議論で、例えば身近なところでは診断の精度を上げたり確保する意味があるだろうと思いますし、これは、小委員会の初めのころにも申し上げましたが、いわば診断精度を向上するような役割を何となく判定委員会が果たすような形というのは、ゆがんでいるというか、本来望ましい形ではなくて、診断精度が上がったほうがいい。
 それに加えて、これは室長のほうからもありましたけれども、今までの周知事業は、亡くなった方についての周知でしたけれども、中皮腫登録ということになれば、診断、生存されている段階での把握が可能になって、補償や救済の情報をその時点で提供するということになれば、より前向きなと言いますか、意味があって、そういう意味で中皮腫登録制度が幾つかの非常にいいメリットを持っているというのは明らかなわけですけれども、ただ、やはりそれはある意味、これは私たちもかねてから願っていたことではありますから、逆にいつ動くことを目指して提言していくんだ、あるいは、この小委員会で提言を受ければ、こうしていこうというところまでぜひ踏み込んでいただけたらというふうに思います。

○今村委員 先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、中皮腫登録はぜひ私どもやっていただきたいなと思っているのと、もう一点、三浦委員から先ほどお話があったように、レセプトで病名がついていても、実は正確じゃないというお話がそもそもあるわけですけれども、私もそのとおりだと思うんですが、今の実態、診断がついているものがどの程度の精度かということもよくわからないし、どんな治療をされているかということも全国的にわからない。せっかくレセプトを今全部電子化して基本的には国が持って、さまざまな調査研究に活用できるという枠組みがまずあるわけですから、正確な登録をしていく人と、今現状、全国でどの程度の方が中皮腫と診断されて、どんな治療をされているかというのは、環境省がデータをとろうと思えば、いつでも多分データがとれるんだと思うんです。法律に位置づけられて行政は使えるということになっているわけですから、それは、即刻今でもできる話なのかなと思っているので、ぜひそちらも同時並行的に見ていただければいいんじゃないかなというふうに思います。

○内山委員 私も以前からぜひこの枠組みの中で調査研究の推進というのをお願いしたいと思っているんですけれども、結局、今の法律の枠組みの中では、この基金を調査研究には使えないと言いますか、使うという項目がないというお話を伺っています。ですから、医療救済のためにしか使えないと。
 ところが、公健法のほうでは、最初から利子だったと思うんですけど、利子の分は調査研究に使えるということがもう明記されているので、その中には啓発運動も入って、大気汚染疾患に対して啓発するということも入っていますので現在もソフト3事業として行われています。一方でこの石綿に関しては、まだはっきりした治療法も、それからリスクをどういうふうに早く見つけていくか、早期診断というのもまだまだのところがあるので、ぜひこれからも調査研究を続けていただきたいと思うんですが、大きな問題となってから大体5年たって厚生労働科学研究費あるいは環境省の環境研究推進費あるいは文科省のほうでも、ほぼアスベストに関する研究費はつきにくくなっている状況ですね。大体3年から2年で、5年で大体1サイクルか2サイクルが終わっているので、これからなかなかアスベストに関しては研究費がとりにくくなる、あるいは調査費もとりにくくなる状況になっていますので、ぜひこの枠組みの中で調査研究に一部でも使えるような仕組みを、この小委員会で提言できないかなというふうに思っています。
 それで、今、中皮腫に関する登録は、今村委員のほうからもう既にやり方によってはできるんですよというお話があったんですが、今実際、科学技術振興調整費のほうでは5年計画で今年度が最後で随分この中皮腫登録と言いますか、全国の主に中皮腫を診療しておられる病院と組んでやっておられて、やはりこの3月でもう予算が切れてしまうので、4月以降はボランティアでNPOをつくって、そこでせっかく登録された方をフォローしていくというご苦労を伺っていますので、これは、がんセンターの先生も入っておられますので、そういうところにもぜひ連携をとって中皮腫登録等をすすめていただきたいと思います。私、評価委員で勉強させていただいているんですけれども、第一線病院で治療されている患者さんと、それから、余りまだ稀な疾患として診ておられるところでは、随分治療の水準も違っているように感じていますので、ぜひそこら辺は一番進んだ治療方針、そのプロトコールということができつつあるようですので、すべての患者さんが、登録された方が、そういう治療が受けられるようなシステム、これをぜひこの制度の中でつくっていただきたい。
 それには、やはり単年度あるいは環境省が幾らの予算をそのたびごとにとってもなかなか続かないと思いますので、こういう基金の中で継続的にそういうことが管理できるようなシステムができればというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○浅野委員長 ほかのご意見が、ございますか。
 椋田委員、どうぞ。

○椋田委員 この資料3に書かれている内容、いずれも重要な話ばかりだと思いますので、ぜひ住民目線で改善できるところは改善していただきたいと思います。
 一番目の労災との連携のところで、救済窓口で申請者のうち石綿職業従事歴がある方については、労災の窓口案内を実施していると書いてあるにもかかわらず、労災制度に関する情報不足が起きているというところが、矛盾しているような気もします。なぜそういう方々が救済制度のほうに申請しているのか、実態をきちんと調査して、何が問題だったのかを見た上で改善を考えていかないといけないと思っています。ぜひ直接そういった方々からお話を伺って、その上で対応策を考えていただきたいと思っています。情報不足だけが問題であれば、窓口がしっかりしていれば済む話とも思われます。

○浅野委員長 ありがとうございます。この点に関しては、何か特に事務局のコメントがありますか。ありませんか。

○古谷委員 実際問題としては、あなたは今救済法のほうの手続をしていますけれども、労災という制度もありますとリーフレットをわたされても、それに自分が該当するかどうか、あるいは、こちらに行ったほうが自分が有利なのだということが伝わっているかというと、ちょっとおぼつかない現状だろうと、そう多分言って、そう大きな異論はないんじゃないかと思うんですが。
 ですから、話しがあったように、ある意味、この分野については、やればやるだけの価値があると思います。やればやるだけの価値があって、やった分だけ成果があるということで、どこまで頑張るかなんですけれども、室長が言われたのもちょっとあるかもしれないけど、例えば、職業ばく露の可能性のある事例については、基本的に労働基準監督署で一度事前に調べるというような形をすると漏れがないし、機構のほうの業務にとっても一番楽な道だろうと思います。
 それと、今、法文の中に関係行政機関の協力というのがあるんですけれども、先ほど今村委員も言われたように、窓口は監督署は監督署、機構は機構で別なんですよ。一番よいのは、入り口のところで一本にして、そこから分かれていったほうがいいだろうし、いずれにしろ、できるだけシステム的に対応を打つことが一番効果が上がるというふうには考えています。

○椋田委員 もしそうであるならば、簡単なチェックリストをつくって、そのチェックリストである一定以上の評価となった方々は、労災の窓口案内を行うという形でやったほうがいいと思われます。いろいろ工夫をしていただきたいと思います。

○古谷委員 それともう一つ、この問題で気になるのは、今の現状で言いますと、救済法の救済給付を既に受けた場合であっても、後でいろんなマスコミ報道によって実は、自分も労災の対象じゃないかと後でわかるということがしばしばあるわけですけれども、そうしたら、今、労災の手続をすることは、これは可能なんですよ、今現時点で言いますと。ただ、このことが(3)のほうの特別遺族弔慰金の問題と重ねて、特に過去の事例が、今のままですと来年3月27日で請求期限が切れてしまう。請求期限があるうちは、そういうことがあったとしても後で気がつけばリカバリーすることができるんですけれども、来年3月27日を過ぎると、気がついたときにはまた手続ができなかったという、いわばクボタショックのときの状況と同じようなことが起こり得る可能性がある。対策をとればとるだけ成果があるのだけれども、その成果を生かせる道が、請求期限がなくなることによって閉ざされてしまう可能性があるという問題とリンクする。
 その特別遺族弔慰金のことも提起させていただきたいのですが、一つは、月に10件程度というのは、年間120件程度ですよね。年100人を救えているというのは、非常にいいことだと。これが救えなくなってしまうということのデメリット、もともとこの法律ができたときに、いわばいろんな特別事情の上で20年前、30年前、40年前に亡くなった人であっても救済できるようになったわけです。法律当初は、法律施行前に亡くなった人については3年間、ですから本来ならば2009年、一昨年の3月までで請求期限が失われるわけだったんですけれども、これは政治主導で2008年に法律が改正がされて3年間延びて来年3月までというふうになっています。放っておくと、これ、切れてしまうので、私たちとしては、やっぱりこれは延ばしたほうがいいと思うのです。
 これには、新たな予算措置をとったりという必要はまるきりないわけですね。徐々に減っていくかもしれません。特にここで指摘しておきたいのは、環境省と環境再生保全機構が2008年度で請求期限が切れてしまうからというために、周知事業を2008年度にやったんです。2008年度に中皮腫という診断名で亡くなった人を可能な限り追跡して電話もして、周知事業を行いました。ところが、2008年度中にこの周知事業によって救済された人が285件なんです。結果的に2008年に法律改正がされましたから、請求期限が延びました。2009年度に周知事業によって救済を受けた方が526件いるんです。2008年に法律を改正していないでおいたら、285件しか救えなくて526件は請求権を失ってしまっていた。同じことを懸念するんです。2011年度、厚生労働省が新しい予算措置で周知事業をやってくれると、これは結構なことだと思いますが、2011年度ですから、この効果が出てくるのは2011年度中に必ずしも全部出てこないと思います。それは前回の2008年の環境省、環境再生保全機構の経験で既にわかっている。せっかくやった周知事業の効果を延ばすためにも、来年の3月で切らせないで、これを延ばしておく。延ばしておくことの本当に財政的とか、そういうことはほとんど負担がなくて、しかも喜ばれて必要なことだという意味でいうと、もちろんもう1年間周知に頑張ってもらう、あるいは、厚生労働省の周知事業もけっこうなことですけれども、それにとどめずに、やはりここでの特別遺族弔慰金の対象者について、延長していくという決断をぜひ提起していただきたい。
 この中身では、2008年の法改正を政治主導と言いましたが、最初に出した民主党の改正法案が、死亡から10年または救済法施行から10年のどちらか遅い時点まで請求権を確保するという提案でした。当時の与党との協議の結果で来年3月までという形になりましたけれども、これは本当にやったことの後での価値はどんどん効いていますので、件数が少なくなっているからもう意味がなくなったではなくて、簡単なと言うんですか、余り負担のかからない改正ですき間ない救済に実現できるので、3番の特別遺族弔慰金については、やっぱり請求期限を来年3月で終わらせないという形で対処するのが一番望ましいと思います。

○浅野委員長 ほかに何かご意見ございますか。今村委員、どうぞ。

○今村委員 今の件でぜひ教えていただきたいのですけれど、今まで何回もいろんな周知のための啓発をされても、やはり目に触れない方たちがいるから、今でも10件ずつ出てくるという理解でよろしいんですよね。
 だから、こういう10件の方たちというのは、どういう手段で知ったかというような、そういう何かアンケートみたいなものというのはあるんでしょうか。

○浅野委員長 では、その辺をちょっとご説明ください。

○機構 きっちりとしたデータ化をしているわけではございませんけれども、申請していただいたときに、どういう内容を見て申請されましたかと、電話なりで確認するようにいたしております。
 中には、まだ周知事業で知って、それを今ごろと言いますか、今の時点になって出してこられる方も若干いらっしゃいますし、あと、私どもでまず新聞広告ですとかラジオですとか、広報を見て気づいて申請されたという方も半分ぐらいいらっしゃると、そんなような状況でございます。

○今村委員 だとすると、我々もそうなんですけれども、変な話、会員に対していろんな情報を知らせていくのになかなかやっぱり1回や2回じゃあ難しいと。本当にだからそういう意味では、3年というものが十分であるかどうかということは、いまだにこれだけの方たちが出てくるということは、まだそういう情報に触れない方たちもいるのかなというふうには思います。そういう意味では、古谷委員のおっしゃることもよく理解できると思います。

○古谷委員 恐らく、委員言われるように、一般的なパターンというのは、今までポスター、新聞広告、テレビだとかという方法だったと思うんですね。それでできる効果というのは、やっぱり一定までなんだろうと思うんです。個別周知事業というのは、確かに一つのすぐれた、死んじゃった人に対してですけれども、死亡診断書で中皮腫と書かれた人のところにわかる限り電話で知らせるというわけですから、それでも先ほど言いましたように、2009年度に526件周知事業で請求した人がいるんですけれども、周知事業によらない人も80件いるわけです、2009年度に。全部電話をしたはずなのに、電話番号がわからなかったり、転居先がわからなかったりした人の中からも、どこかで知って手続をしてくる。心当たりがあるのは、もちろん私たち患者団体も、例えばいろんな機会に繰り返し相談のホットラインなんかをやると、その都度新しい事例がやっぱり出てきます。多分、もっと効果的なやり方は幾つか選択肢があると思うんですけれども、そのことも横にらみしながら、一度請求権をなくしちゃうと、とにかくそれでおしまいですから、これはやっぱり後で後悔しないためにということだろうと思うんです。

○浅野委員長 よろしゅうございましょうか。ほかのテーマで何かご意見ございますか。

○古谷委員 冒頭、委員長のほうからも言われたように、ワーキングの方向、一つ、あくまでこれは小委員会の報告ではないわけだから、ここで言ったことを小委員会のあれと報告してどうするかというのはあれだということなので、給付の改善と健康管理のことについても提案させてもらいたいと思うんですが、その前に、きょうの資料3のほうのほかのことについてもちょっと一言。
 一つは、労災制度はさっき言ったとおりで、やった分だけいいけれども、できるだけシステム的にという話があります。それは条文により効果を持たせるというのが一番いい形なんじゃないかというふうに考えています。
 それと、認定にかかる期間については、これはヒアリングのときにも、一つには標準処理期間もつくるべきじゃないかという議論等がありましたが、今、環境再生保全機構のほうで、昨年度、実際に平均どれくらいの日数でできているかという数字を出してくれています。さっき話があったように、追加資料の請求なしで決定できた場合と、追加資料を求めた場合と当然違うわけですけれども、もともとヒアリングなどでこの問題が出された趣旨は、とりわけ予後の悪い中皮腫について、中皮腫の患者さんがまだ生存しておられる、闘病中の間に救済を行いたいと。いわば、そういう努力を表明することが一番大事だという趣旨だと思うので、仮に形式的に標準処理期間だったけれども、今やっている実績よりも長かったりしたんでは意味がないので、むしろそこは決意表明的であっても生存中に給付するということを努力目標にするんだということを表明した上で、そのことを担保するための努力なりシステムをつくってもらうということが趣旨だろうというふうに考えます。
 それと、特別遺族弔慰金は、さっき言いましたように、周知には努力しつつ、請求期限を奪わないということに尽きるのだろうと思います。
 中皮腫登録制度は、やはりこれはむしろ室長の提案するように、救済法の仕組みの中で制度として確立するというのが、やっぱり今一番いいんじゃないか。恐らく都道府県でやっていたり、がんセンターでやられた話を聞いても、やっぱりシステムとしての公的な登録制度という形が望ましいというふうに考えています。
 あと、その他の(1)はいろいろ議論があると思いますけれども、肺がんの認定については前半の議論の最後にも提起させていただいたところです。具体的には、判定小委員会のほうで判定基準のことをやってくださると思うんですけれども、できるだけ速やかに肺がんの判定基準を改善していただきたいということと、ちょっと細かくなって恐縮ですけれども、労災認定基準のほうが細かいところで年末に基準を変えています。例の石綿繊維の基準で、2ミクロン以上の石綿繊維の場合、500万本以上という基準が、実は2ミクロンじゃなくて、1ミクロン以上だったということで訂正されているんですけれど、多分、環境省の判定基準も変えなきゃいけない。
 テクニカルになって申しわけないですけど、もう一つ指摘しておきますと、1ミクロンを2ミクロンに間違ったというだけじゃなくて、もともと石綿繊維じゃなくてアンフィボールファイバーなんです。より発がん性の高い角閃石系の石綿繊維について繊維数の基準が出てきている。どういうことかというと、やっぱり石綿小体や石綿繊維というのは、一つ判定の基準にはなっているけれども、主には角閃石に限定されるメルクマールであって、それだけでなかなかクリソタイルのばく露を救い切れない。そのこともあるものですから、前回言いましたのは、石綿肺あるいはびまん性胸膜肥厚で職業ばく露のことも評価するようになったわけなので、肺がんについてもばく露を評価して救済につなげるという形での肺がんの判定基準の改正を一刻も早くお願いしたいと思っています。
 ワーキング報告のことはまたちょっと後にしましょうか。多分長いからどうぞ。

○浅野委員長 それでは三浦委員、どうぞ。

○三浦委員 今、1ミクロンという話が出たけれども、実は、1ミクロンだったんです。ところが、大急ぎであの基準をつくったときに、私たちも気がつかなくて2ミクロンだったんですけれども、救済のほうの判定の最初の小委員会から、すべて1ミクロンで現実にはやっております。ですから、今度1ミクロンになったから新たに基準が変わったわけではなくて、最初からもう1ミクロンの方が全部救われていますので、そこだけご承知おき下さい。

○浅野委員長 いかがですか、よろしいですか。
 それでは、古谷委員、どうぞ。

○古谷委員 言うまでもなくというか、もうおわかりのとおり、ワーキングの報告の中でただしということで委員の1人が意見を述べさせていただいたのは私でございます。これは、別にワーキングの会合だから言った話ではなくて、小委員会でもお話をしていたように、患者家族の願いは、要は救済法を補償法と称すのか、何と称すのかは別として、同じアスベストが原因で被害を受けられた方が、労災保険や公害健康被害補償と同様の救済を受けられる仕組みにしてほしいということなので、法律的にその議論を詰めて同意に達することができるならば、これは本当に徹夜でも何回でも議論してぜひ達したいということですけれども、施行5年以内の見直しということでやっている議論の中では、もしそれが合意に達しないのであれば、空中戦はやったけれども結論には至りませんでした、何もしませんというのが最悪になると思いますので、今回の見直しの作業においても、やっぱり患者家族の皆さんは、やはり給付が少しでもよくなることを一番のポイントとして願っているので、これは、できる介添えは何なのかという形で、ぜひ小委員会としての提言をまとめていただきたいというのが一番の望みです。
 ヒアリングのときには余り細かく言いませんでしたけれども、二、三具体的にむしろ提案をさせていただきますと、逆に余り制度をいじらないというようなことでどんなことが考えられるのかというふうに考えたときにも、今ある療養手当とか弔慰金の額は、これは法律を変えないで引き上げることが可能です。政令ですね。政令で変えられる。だから、これは法律を変えないでもある意味政治判断も含めて、今ある療養手当の額10万何ぼというのを、額を上げるということは、これは政令改正でできますが、法改正をぜひというふうに考えたときに、今、救済法の仕組みは、被災者本人か遺族かどちらかに支給するというのが基本形です。本人に療養手当10万何がしと医療費の自己負担分、この場合には、亡くなったときに20万円弱の葬祭料だけを遺族にやると。本人が医療費と療養手当をもらわなかった場合に限り、特別遺族弔慰金を出すというのが基本なんですけれども、一方で中皮腫の方などは非常に早く亡くなってしまいます。ですから、環境再生保全機構のデータでも、今7割の方が救済給付調整金を受けている。本人が受けた療養手当と医療費の合計額が280万円に足らないということで280万円との差額をもらっているんですね。だから、大体7割だったと思うんですが、7割の方が平均200万以上の調整金をもらっているということは、7割の方は100万円未満しか療養費を受けてない実態だということです。
 これはわかりやすい話だと思うのですけれども、どちらかではなくて、被害者本人が療養手当と医療費をもらった、実態としては7割の方が100万円ももらっていない。この場合についても、遺族に弔慰金280万円を支給できるようにしたいというのが一つの改善案。
 それと、委員長からも話があった、例えばヒアリングでも出た遺族の就学が大変だとかというような特別な事情に応じて給付を行うというのは、今仕組みがないですから、就学の援護みたいな新たな給付費目をつくるというのは、法律を変えないとできない。これがもう一つの改善案。
 法律としてこの二つを変えるのは、恐らく現行の基金をいじらなくてもできる改善だと私自身は思っています。ですから、ましてや性格をいじるという話にまでいかなくても、できる改善はあるし、具体的にそういう提言ができればというのは考えています。
 恐らくアンケートについては、いろいろ議論は出ると思いますけれども、例えば抗がん剤治療なんかについては、たまたま1カ月の医療費を聞いていますけれども、治療の中身によって医療費の額というのは、多分、相当左右されると思います。ですから、平均時のこともありますけれども、平均時で救えない個別事情の方々にということを考えたら、それは、多分、法律をいじらないと救えない。話の中では、特にアスベストの被害によって子供たちが学業を断念するとか、進学を断念するという事態は回避したいなというのは強い願いだろうと思います。
 同様に、健康管理制度についても、もう一つの患者家族の強い願いだというふうに理解して下さい。同時に、各自治体からも強い要望が出ているところ、健康管理制度については、できたらもし次回の小委員会にでも、新しく始まった調査がどんな形になっているのかも簡単に紹介してもらった上で、それを今制度化できないことはないというのが私の立場で、ここの小委員会の提言にしていただくことを今も期待しています。本当にそういう形にしていかないと、5年間の検討をしたけれども、何もしてくれないのかではちょっと残念だという気が強くしているところです。長くしゃべって申しわけありません。

○浅野委員長 最後の健康管理に関してですが、少し医系の先生方のご意見も聞いたほうがいいということで、ワーキングでは今後の課題、いろいろなところに記しているわけですが、この辺のところの問題点については、どうでしょうか。

○正林室長 健康管理のところは、ワーキングでもご議論はいただきました。15ページのところに、先ほども説明したとおりなんですが、一番大きな問題は、普通の検診と違って、この石綿の関係の中皮腫、肺がんを見つけるのに、どうしてもCTを撮る必要が出てくる。CTというのは、通常の単純のX線写真の100倍の被爆量があって、これを全国一律の制度化でやるとなると、相当大きなメリットをある程度科学的な根拠をもって証明していかないといけない、その辺が一番大きな課題であるのと、あとそこにありますように、対象や方法とか、あるいは実施主体となり得る、医療機関とか地方公共団体とか、実施体制の問題もある、費用負担はもちろんある、そういったもろもろの問題がある中では、現行の健康リスク調査事業をもう少し充実するような形でデータを集めながら、もっと効率的、効果的なあり方ができないかを検討していくということがいいのではないかと、そういった結論になったと思います。

○浅野委員長 既存の国民の健康管理の仕組みとうまく連動させるとかというようなことが必要かもしれない。つまり、自治体のヒアリングでは、多少地域でかなり高濃度ばく露の方がいらっしゃることがわかっている地域はいいのだけど、転居者を全然追跡できないという指摘がありました。といって、では全国津々浦々というのは、いきなり話が難しいということも一方ではこれありですから、そこをどうバランスをとるかという問題が出てくるのだと思います。

○古谷委員 昨年から新しい健康リスク調査で知見をという話だったですが、できたらこれはぜひ次回のときに、リスク調査でどういう知見が得られそうなのか、そういう知見を待ってから制度構築だというならば、今の見通し、どんな知見がそうなのかという話をちょっと簡潔にぜひご報告していただきたいと思います。
 一方で、リスク調査の改善ということを言われましたけれども、過去、調査地域に住んでいて、今は離れちゃっていた人を含めるという話が下のほうに書いているんです。これは、たしか尼崎や兵庫県では既に独自にやられてきていた話で、ある意味、あまりぱっとしないというか、あまり改善されたという印象の非常に少ない措置かなと。予算措置としてのリスク調査をもうちょっと広げるということであれば、指定地域に居住しているかどうかを問わず、アスベストばく露の所見である、プラークのある方については、何らかの形で検診を受けられるようにするぐらいに事業を広げないと、改善したというアピールにならない気が強くしています。

○浅野委員長 22年度からの調査ということについては、まだきちんとここで報告を受けてないですね。まだ始めたばっかりで年度中ですから、成果が上がったというような話にはならないと思いますが。

○古谷委員 成果というのにはならないと思うので、逆にどれぐらいの人がとか、どんなぐらいの話をですね。

○浅野委員長 どういうことをやろうとしているのか、あるいは5年間やるわけですから、どういう見通しを持っているのかというようなことについて、報告をいただきたいということですから、これは次回出していただくことにしましょう。
 それでは、ほかの先生方から何か特にご意見ございますか。三浦委員はもうよろしゅうございましょうか。

○三浦委員 資料3の一番下の肺がんの認定方法なんですけれども、できれば、ばく露したということでもってある程度認定できたらいいなとは考えているんですけれども、どの辺で線を引くかというのは非常に難しいところですので、判定小委員会のほうでちょっと検討してみて、もし可能であるならば、ちょっと確約はできないんですけれども、もう少し広げることができるようであれば、できるようにしたいと思います。
 現在、非常に時間がかかっている理由の一つに、アスベスト小体、さらにアスベストの繊維を計測するということがありますので、特に繊維の計測はもう目いっぱいで、今現実にできているのは1カ所なんですけれども、それをさらに増やしたとしても、そんなに短縮はできないと思うんです。そうしますと、そういったところも含めて、ばく露歴が確かであって、ある程度の所見があればというような観点で、どの辺で線が引けるかどうかちょっと判定小委員会のほうで検討してみたいと思っております。

○浅野委員長 ありがとうございます。その問題は、どちらかというと実務にかかわる問題ですから、判定小委員会でご検討いただけるようでしたら、大変ありがたいと思っております。
 今村委員、どうぞ。

○今村委員 多少議論から外れちゃうかもしれませんが、三浦委員にぜひちょっと教えていただきたいんですけど、これ、いわゆる中皮腫と診断するというのはとても難しい専門的な技量がないといけないということ、単純なレントゲンだけではいけないというのはよくわかるんですけど、例えば疑いを持つというような、プラークがあるからどうこうとすぐ言えないのはわかるんですけど、そういう少なくとも正常ではない可能性があるということを単純の胸部レントゲンだけである程度、そういう疑いを持つということは、ある程度の研修を受けている医師であれば可能でありましょうか。

○三浦委員 診断に結びつくという意味では、ほとんど不可能なんですけれども。

○今村委員 スクリーニングとして。

○三浦委員 スクリーニングは、可能だと思います。約85%が胸水貯留で発症してきますので、まず1枚だけではなくて、できれば前のものと比較して、胸水がちょっとでも出てきていたら、これは疑うべし、それから、胸膜プラークも典型的な、だれが見てもわかるような胸膜プラークは1回の研修を受けていただくことによって、ほとんど皆さんが、これ、プラークですねと言うことができますので、普通では、なかなかそういう患者さんが何名も見つかるというのはないんですけれども、そういう方が何名か見つかるようなところでは、より一層気をつけていかなければいけないということは、もっと気をつけていただけるようになると思います。

○今村委員 なぜそれを伺ったかというと、今、石綿のほうでは、そういう意味でスクリーニング的にレントゲンはやはり撮ったほうがいいと。だけど一方、結核予防法が変わって、普通の検診等ではがんのリスクが高くなるからレントゲンはできるだけ撮るなというような議論もあって、労働安全衛生法でも撮らなくてもいいという枠をつくったと。それから、特定検診保険医療で新しい検診制度が国に導入されたことによって、自治体によっても今まで住民に対してレントゲンを撮っていたのを、もう撮らなくなってきているところが非常にたくさんあるわけですね。だから方向性が全然違う方向を向いてやっているので、国としてその辺をどういうふうに考えていくという整理をしていただかないといけないのかなというのはちょっと感じているので、ちょっと議論とずれますけれども。

○浅野委員長 いえ、そうでもないと思います。大事なご指摘だと思います。
 太田委員、何か、特にはありませんか。

○太田委員 実は、今の問題、我々も早く結論を出したいと思うのが、兵庫県の場合、いわゆる、今、今村委員がおっしゃったがん検診、単純放射線の写真で9,000人ぐらい撮って、その中でいわゆる疑いのある胸水貯留から始めて、ただ、今のところまだスパンが短いのでいわゆるばく露歴のない方で胸水貯留が始まってはまだないんです。ただ、それが1枚のレントゲンで見れるかと、その後、我々は疑いのある方は、県と市との負担でCTとかを撮るようになっているんですが、なるべく今そういう方法論としてがん検診といういわゆる単純な放射線の写真を使わざるを得ないんですが、これを長期にずっとこれからやっていくのかという意味でも、今おっしゃったような結論は、少し方針というのは出していただきたいと、行政としての希望がございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 内山委員、よろしいですか。

○内山委員 先ほどから出ております環境省の年間でやる健康リスク調査ですが、結局、今までやってきた調査の中でプラークを見つけるというのは、やはり単純撮影だけでは難しくてCTを撮らなければいけない。それで見つけた、じゃあプラークがあったからといって、ハイリスクになるかどうか、これがまた最近の知見では、プラークがなくても中皮腫になられる方も多いしということで、何を指標にとったら一番ハイリスクの方で、今後、健康管理をしていかなきゃいけないかということは非常に難しくて、次回のときにまた事務局からもお話があると思いますが、なかなか難しいところがあって、ハイリスクの方をどうやって早期に見つけるかということが一つの目的なんですが、それをやろうとしているわけですけれどもなかなか難しいというのが現状ですので、また次回のときに詳しくお話しできると思います。

○浅野委員長 わかりました。それでは、よろしゅうございましょうか。
 では、本日の議論はここで終了させていただきます。
 きょう、ワーキンググループの報告と、それからその他の論点についてもいろいろご意見をいただきました。きょうご欠席の委員からもご意見をいただいていることも踏まえて、本委員会としての議論の取りまとめの方向に向かっていきたいと思います。
 事務局は、本日のご議論を踏まえ、取りまとめの方向についての案をつくっていただくということでお願いしたいと思いますし、きょうご要望が出ました健康診断の仕組みづくりに関連しては、今までやられていることなどを含めて、少し補足的に説明をいただくということでお願いしたいと思います。
 それでは、特にございませんようでしたら、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

午後4時49分 閉会