中央環境審議会 環境保健部会  石綿健康被害救済小委員会(第3回)議事録


議事録

午前10時00分 開会

○柳田補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
 本日は、小委員会委員9名のうち、8名のご出席をいただいておりますので、定足数を満たしております。
 本日は、実務者からのヒアリングを行うため、国立行政法人労働者健康福祉機構北海道中央労災病院院長の木村先生にお越しいただいております。
 また、前回同様、厚生労働省の方にもご出席いただいております。
 次に、本日の資料の確認をしたいと思います。まず、議事次第がございまして、次が資料1といたしまして、中央環境審議会の救済小委員会の委員名簿でございます。資料2といたしまして、非腫瘍性石綿関連疾患の取扱いに関する論点項目でございます。資料3といたしまして、救済制度におけるフローチャート(案)でございます。資料4といたしまして、合併症についてでございます。資料5といたしまして、石綿肺症例の解析調査について(結果概要)でございます。その次が、資料5の参考資料といたしまして、呼吸機能評価の予測式についてでございます。続きまして、ヒアリング資料といたしまして、先ほどご紹介させていただきました木村院長の提出資料でございます。それで、あとは参考資料といたしまして、基本資料集がございます。その次が、参考資料2といたしまして、医学的事項検討会の報告書でございます。また、委員限りの資料といたしまして、小委員会の委員からの当日配付の資料がございます。一つ目は、岸本委員ご提出の資料でございまして、平成20年度厚生労働科学研究労働安全衛生総合研究事業の石綿肺25例(剖検例)における画像・病理・石綿小体数の検討でございます。続きまして、古谷委員ご提出の資料といたしまして、平成11年度災害科学に関する研究委託報告書のじん肺患者の予後でございます。もう一つ、古谷委員提出の資料がございまして、石綿肺関連の新聞記事でございます。
 資料としては以上でございます。
 また、事務局から1点お願いがございます。前回までの会議におかれましては、傍聴席からの発言がかなり目立ったと認識しております。傍聴者におかれましては、今回の傍聴券にも記載させていただきましたけれども、静粛を旨とし審議の妨害となるような行為は慎んでいただきたいと思います。また、他の傍聴者のご迷惑にもなりますので、守られない場合には、場合によっては退場していただくこともありますので、何とぞ遵守をよろしくお願いいたします。
 それでは、ここからの議事進行は、浅野小委員長にお願いしたいと思います。それでは、浅野委員長、よろしくお願いいたします。
 なお、念のためカメラ撮りというのはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、きょうも朝早くからお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の議題も前回に引き続きまして、石綿健康被害救済制度における指定疾病に関する考え方について議論をいただくことにいたします。
 まず、前回1月8日に開きました第2回小委員会でどんな議論があったかということについて、事務局から説明をお願いいたします。

○泉室長 それでは、資料2に基づきまして、論点項目に従って前回の議論の内容を振り返らせていただきます。座ったままで失礼ですが、説明させていただきたいと思います。
 まず、資料2を1枚おめくりいただきまして2ページでございます。まず、石綿肺の取扱い、救済法上の位置づけというところでございますが、前回第2回の主な意見を赤い字で示しておりますので、そこを中心に見ていただきたいと思います。
 指定疾病追加に関する考え方につきましては、まず、救済制度における救済要件というのは、指定疾病にかかったと診断され療養していることを想定するのではないかと、予後が悪いとか重篤であるといった要件はないのではないかといったご意見があった一方で、今回の議論でどこまで拘束されるかは別として、立法時の国会審議では非常に予後が悪い疾患を想定していたことは明らかであるとか、また、救済制度において、制度設計当時、療養を中心に考えられていたのであれば、その点が条文に反映されているはずであるといったご意見、また、当時の立法の趣旨を見直すとした場合、状況が変わったのかの分析やエビデンスが必要である。また、枠組みを変えるとなると、限られた財源ということも考える必要があるというご意見、それから、進め方として、現行制度の枠組みで緊急にやるべきことを今回は優先的に議論をして、その後で給付の多様化など、制度そのものを見直すと、そういった方針でどうか、こういったご意見があったところでございます。
 まためくっていただきまして、4ページ、5ページのところは、特にご意見が追加されておりませんので、6ページをお願いいたします。6ページのまた赤い字のところでございますが、ここでは認定の対象となる病態という項目に対してのご意見をまとめておりますけれども、一つは、管理4相当で著しい肺機能障害のある方については、予後が悪いので救済対象とすべきというご意見、それから、労災でいう合併症のようなものをどのような形で制度を取り扱うのかどうかということにつきましては、石綿の発生源と指定疾病の因果関係が不明ということで労災法にうたっていると。その中でさらに石綿が原因なのかはっきりしない合併症のみ救済の対象とするのかという点については、慎重な議論が必要であるとか、また、労災の合併症になっております続発性気管支炎については、慢性気管支炎であって喫煙が原因のことが多いと。喫煙の影響を除いて判断する基準をつくるのは難しいのではないか、こういうご意見がございました。
 次の7ページでは、認定に至らない、どちらかというと軽症、中等症の石綿肺をどう扱うかということにつきましては、労災制度ではじん肺などについて健康管理を行う制度がありますと。救済制度においても同じような健康管理のシステムをつくるべきと、こういうご意見がございました。
 まためくっていただきまして、次に具体的は判定の在り方について、9ページにご意見をまとめております。まず、総論的な事項といたしましては、石綿に係る救済の法律なので、石綿が原因でないものを外さざるを得ないと。しかし、石綿肺では特徴的には見られないという大陰影であるとか、閉塞性喚起障害がある場合に、直ちに違うと確定するのも困難であって、総合判断が容易ではないと。また、その総合判断となるクライテリアをつくればよいのではないかという意見がございました。
 それから、画像所見に関しては、石綿肺の典型的な所見が見られる場合にはよいけれども、非特異的な線維化しか見られない場合にはどう扱うのだろうか。また、呼吸機能検査については、検査方法、評価方法を労災制度と同じやり方とすべきというご意見があった一方で、現在の労災の認定基準の肺機能検査の基準値、これが現在の日本人とは合っていないということで適切なものに変える時期が、採用する時期に来ているのではないかというご意見がございました。また、その他として、病理学的な所見についてですけれども、病理学所見を得るために肺組織を生検でとる方法については、典型的な所見が見られる確率も低いので採用は進められない。また、それは患者にとっても負担となるのでよろしくないのではないかという意見がございました。その後ろのところにつきましては、特に新たなご意見は追加されておりません。
 前回の議論の流れは、以上のようなものでございました。

○浅野委員長 ただいま事務局からご説明をいただきましたように、この小委員会では、第1回は総論的に皆さん方から自由にご意見をお出しいただきました。そこではいろんな論点にまたがるご発言があったわけでございますが、前回第2回目からは各論点に沿っての議論ということで進めてきております。
 前回特に大きく議論になりましたのは、先ほど説明がありましたように、石綿肺の取り扱いに関して、救済法上どう位置づけるかということでございますが、疾病の重篤性という要件が果たして指定疾病を追加する場合に必要なのかどうかということが議論になりました。これについて、明文上の文言がないところから、これを強調することは必要ないというご意見がございましたが、他方で、立法時の国会の審議では予後が悪いことを想定していたことが明らかである。あるいは、現行制度の枠組みでまず緊急にやるべきことをやった上で制度の多様化ということについては引き続いて議論をしていくということが必要であろうと、こういったようなご意見もございました。
 いろいろと考えてみたわけでございますが、法律制定時の立法者意図の中に、石綿による被害が重篤であることにかんがみて迅速な救済を図るという、そういう趣旨が含まれていたということは、法律の体系解釈といいますか、随所の条文を総合的に読んでいけば、そういうようなことが言えるということだろうと思います。ただし、立法者意志というものは、法律の運用に当たって重要ではありますけれども、状況が変われば、これを変えることができないわけではない。ただし、ある範囲を超えて変えるというときには、どうしても立法的に法律条文そのものを変えていくということをしないといけないということがあります。つまり法律論としてはどこまで解釈で扱えるか、どこからは立法的に解決しなければいけないかということは、なかなかシビアな問題であるということは事実でございます。
 そこで、法律そのもののあり方をみますと、現在は医療費の自己負担分と、それから療養手当を一律支給ということで体系をつくっておりますけれども、こういう体系のつくり方を今後にわたってそのまま維持していくべきかどうかということに関しては、大いに議論の余地がありますので、この小委員会では当初から4月以降、この点については精力的に議論をしたいということをお互いに了解し合ってまいりました。ですから、この点については、今後の議論の中で十分に議論をするということになろうかと思いますけれども、とりあえず、まず現行法体系の中で解釈上無理のない範囲内で政令改正をできる部分について急いで改正しなければいけないだろう。そのことが、現実に被害に遭っておられる患者さんに対する救済を迅速に行うということにもかなうことだろうと、こんなふうに考えております。
 そこで、給付体系を見直したり、健康管理システムを創設するといったようなことについての検討の必要性があることは、感じておりますし、多くの委員からご指摘がございましたので、これは、費用負担者の側にも加わっていただくということもしながら、議論をしていかなければいけないと思いますけれども、今回は、現行法の体系の中で救済すべき対象の拡大がどこまでできるか。とりわけ石綿肺を救済対象とするために、どういう基準で認定をしていくのかということに関して、前回まだ十分な議論ができておりませんので、今回から、技術的な検討をしていきたいと考えております。
 それで、この点について本日は議論していきたいわけでございますが、合併症の取り扱いについてなお課題が残っているということも前回指摘されましたので、とりあえず、専門家のご意見も伺ってみたらどうかということを私は申し上げました。事務局の方でいろいろとご苦労なさいまして、本日、独立行政法人労働者健康福祉機構北海道中央労災病院の院長でいらっしゃいます木村清延先生においでいただきました。まず先生からご意見をお伺いしたいと思います。10分程度でご説明、ご意見を伺うことにしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○木村北海道中央労災病院院長 それでは、北海道中央労災病院の木村と申します。
 では、早速、きょうはスライド枚数が多うございますので、ちょっと早口で説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 先生、恐れ入りますけど、傍聴の方もいらっしゃいますので、マイクをお使いいただけますでしょうか。

○木村北海道中央労災病院院長 まず、じん肺の疫学ですけれども、ご存じの方多いと思います。スライドをお願いします。新規に合併症も含めて労災に認定になる患者数というのは、1995年から見ましてやや減ってはいますけど、2007年の時点で、まだかなり多いという実態がございます。次、スライドをお願いします。
 じん肺の療養を継続している患者数も現在も2007年の数値で1万6,000名以上いるという実態がございます。次のスライドをお願いします。
 なぜ、じん肺患者さんは減少しないのかということです。スライドお願いします。
 これは、2007年までの補償の対象になっている患者さんの内訳です。ここにじん肺の管理4という患者さんの数、これ、後から管理4について説明しますけれども、これはやや減ってきております。そのほか、代表的な合併症でありました肺結核がこれですけれども、減ってきていることは明らかです。ほかの合併症も少のうございますけれども、やや減っているんですけれども、ここにきょうのお話の中心になろうかと思います続発性気管支炎、これが、ほかのと違って独自の形で動いている。ただし、ここ数年は急速に減っているんですけど、これは、私ども北海道でいささかこの認定に関しまして問題があるということでいろいろ行っているんですけれども、それで、北海道の続発性気管支炎の新たな認定数が大幅に減りまして、毎年200人以上あったのが、今は80名ぐらいになっているということで、こう下がっているということで、それがなければ、多分、似たような形で推移しているだろうということでございます。スライドをお願いします。
 まず、管理4の患者数というか、管理4についてお話ししたいと思います。スライドをお願いします。
 管理4と言いますのは、合併症ではなくて、下記のいずれかに相当する進んだじん肺のことを指します。一つは、画像上、4Cと言いまして、大陰影の面積が相当を占める、画像上進んだじん肺であるということ。もう一つは、著しい肺機能障害があるということでございます。スライドをお願いします。
 これは、私どものじん肺の患者さん、離職した時点ではPR1と画像上は軽いじん肺であったんですけれども、それを10年から13年後までフォローしてみますと、最終的に131例中、進展がなかったのが6割強おりますけれども、4割弱の人は画像上も明らかに進展するということがございます。画像上これだけ進展するということですから、当然、呼吸機能も進展してくるということが当然あるだろうということで、じん肺は被爆がなくても新たに進展してくるということが、今、日本で炭鉱だとか金属鉱山の大きなところがなくなっても管理4が出てくるという根拠になっているだろうというふうに思います。次、スライドをお願いします。
 合併症についてですけれども、皆さんのお手元にある資料のとおり、じん肺の合併症としましては、この六つの疾患がございます。きょうは、その中でも代表的な肺結核それから続発性気管支炎、以後、続気と言わせていただきます。それから続発性の気胸についてお話をさせていただきたいと思います。スライドをお願いします。
 まず、肺結核についてお話しいたします。これは、私どもが開院した昭和30年から40年代の肺結核がいかにひどかったということで剖検数から見ました肺結核者を見ますと、昭和30年代は18%、40年代は9%の方が肺結核で亡くなっただろうというふうに考えられるぐらい悲惨な合併症でございました。特に若くして40代、50代で亡くなる方に肺結核を合併症している方が多かった。また、生前結核を排菌した方が30年代で42%、40年代で28%もおられたということで、非常に悲惨な合併症でございました。スライドをお願いします。
 現在、肺結核は明らかに減少してきています。本当に合併症なのかどうかという問題を考えなければならないぐらい減ってきているんですけれども、一方、非結核性抗酸菌症は明らかに増加しています。これは、今は合併症とはなっていないんですけど、これについて新たに検討していく必要があるのではないかなと私どもは考えています。次、スライドをお願いします。
 続発性気胸についてお話しいたします。スライドをお願いします。続発性気胸も、これちょっと古いデータで恐縮ですけれども、昭和60年1年間に、私どもに1年間にかかりました全じん肺有所見者数、1,898例を対象とした検討ですけれども、気胸の発生は26例、41件見られました。胸部エックス線写真が進展するほど気胸発生は増加しますし、気胸が死因に関係したと思われる例は、気胸発生26例中8例ということで30.8%、一たん進行した例に気胸が発生しますと、すぐ手術に持っていけないとか難治性であるということもありますので、現在でも普通の自然気胸とは異なったじん肺に特有の合併症だろうというふうに考えています。今までお話ししました結核であるとか気胸は、第三者が、気胸である、結核であるということを確実に理解することができる明らかな疾病です。次のスライドをお願いします。
 続発性気管支炎についてこれからお話ししたいと思います。スライドをお願いします。これは先ほどお話ししましたように、続発性気管支炎のこの数値は、何か問題があるのではないかと考えさせる数値です。スライドをお願いします。
 私どもは、続発性気管支炎の診断に関しまして、特に北海道で問題が多いと考えられましたA病院から申請されました症例を労働局の依頼に基づきまして再検査を行いました。その成績を報告します。スライドをお願いします。
 48例を検討したんですけれども、ほとんどがレントゲン上、PR1/0ないしは1/1のごく軽い人ばかりでした。私どもが診断する限り、合併症があるだろうというのはわずか27%、ほかは合併症はとても考えられないという例でございました。スライドをお願いします。
 続発性気管支炎と申しますのは、じん肺法で詳しく定義されております。これは、そこから一字一句たがえないで持ってきたものですけれども、「持続性のせき、たんの症状を呈する気道の慢性炎症性変化はじん肺の病変と考えられ、一般的には不可逆性の変化と考えられるが、このような病変に細菌感染等が加わった状態は、一般に可逆性であり、このような場合には積極的な治療を加える必要がある。」ということで、このような病態をじん肺法では続発性気管支炎と呼称し、合併症とするのだと、明らかに規定しております。スライドをお願いします。
 じん肺健康診断の方法と判定、ハンドブックに書かれておりますけれども、要は既往歴の調査等で気管支炎があるかどうかをまずちゃんと聞き取りなさいということです。スライドをお願いします。
 その中の、今言った気管支炎と言いますのは、じん肺の所見があるものに持続性のせき、たんの症状を訴える者が多いことは、多くの調査で知られていると。じん肺は、気道の慢性炎症性変化を伴っていることは既に述べたとおりであり、このような慢性炎症性変化に細菌感染が加わると膿性のたんを伴う気管支炎を発症する。このような気管支炎を何回も罹患すると、肺の荒廃が進行し、肺機能障害も進行するということで、このような意味で、まず慢性的な気管支炎の既往を調査することが基本だ、重要であるということです。スライドをお願いします。
 自覚症状として、せきとたん、まず慢性の炎症性変化があるかどうかをせきとたんで調べなさいと。スライドをお願いします。
 じん肺における気道の慢性炎症性変化の把握のためには、上記の定義を勘案して1年のうち3カ月以上、毎日のようにせきとたんがある、このことを最低限はまず把握してください。この把握というのは、ハンドブックでこういうふうに書いてあるものですから、このように書かせていただいています。このようなものに関しては、続発性気管支炎を疑って精密検査を必要とするということでございます。スライドをお願いします。
 続発性気管支炎は、先ほど言いましたように、あくまでも慢性のせきとたん、これを1年の内3カ月以上ある人をベースにして、この人方に細菌感染が加わった場合に治療が必要だということで、これを繰り返し説明したいと思います。スライドをお願いします。
 精密検査の方法は、たんについて量と性状を調べなさいと。スライドをお願いします。
 たんの量の検査としては、起床後おおむね1時間のたんを採集しなさいと。スライドをお願いします。
 性状については、たんに占める膿の比率を調べることと決められております。スライドをお願いします。
 たんについて、そのほかの検査としては、細菌感染が加わったことの確認のためには、場合によっては、たん中の喀たん細菌検査が必要となる場合があるということも記載されてございます。スライドをお願いします。
 たんの性状の判定ですけれども、これも詳しく書かれておりまして、MILLERとJONESの分類を参考にして区分してくださいということで、MたんとPたんというふうに分かれておりますけど、Pたん、P1、2から3までありますけど、これは明らかに膿が入っている、3分の1以下から3分の2、いろいろ区分されていますけど、明らかに膿がたんに入っているというのをPたんとすることになっております。スライドをお願いします。
 これがMILLER・JONESの分類です。このPたんというのは、ここに、これも若干黄色いんですけど、ここに明らかに膿性のたんが、たんに含まれていることが大事なんだということです。スライドをお願いします。
 最終的な判定としましては、たんの量の区分が3ミリリッター以上で、たんの性状の区分がP1からP3の場合には、続発性気管支炎に罹患していると判定して、治療の対象としろと、これを続気と言うことになっております。スライドをお願いします。
 ただし、正しいたんをとるということは非常に難しいということで、私どもの平成12年から16年までの成績で、外来で患者さんがたんとして出したやつを細胞診を中心に検討しますと、4割以上がたんではないと。要するにつばであるとか鼻水であるとか、ないしは食べ物残渣であるとか、そういうものしかなかなか出せない。入院でも3割弱から2割強ぐらいが、なかなか正しいたんとして出すことができないということがあります。スライドをお願いします。
 私どもの鑑別診断を振り返りますと、スライドをお願いします。実は、私どもで、この48例の鑑別診断を行っていましたら、ある社会労務士から大変な抗議文書が何度も届きました。どういうことかよくわからなかったんですけれども、そうこうしておりましたら、聴覚障害の不正受給ということに、この社会労務士が関係しているということがわかりました。スライドをお願いします。
 聴覚障害事件というのは、ご存じかと思いますけれども、北海道で起きておりまして、聴覚障害を偽装した障害年金詐欺事件というふうになっております。医師と社会保険労務士が今起訴されております。まだ実際、裁判は始まっておりません。813人が聞こえないと、年金を不正受給しておりましたけれども、ほとんどの方は聞こえるようになったということで返還してございます。このうちの何人かは、この社会保険労務士が医師と患者さんの間を持っていたということで起訴されておりまして、今、判例、2例が出ておりますけれども、いずれも実刑判決が出ております。私どもが鑑別しましたA病院は、この社会保険労務士と密接に関係しておりまして、ここに130人の社会保険労務士と関係した続発性気管支炎の患者さんがいる。それ以外に100人ぐらいの続発性気管支炎の患者さんがいらして、患者はトータルで大体280人ぐらいいらっしゃるということですけれども、先ほど鑑別診断で入り口でとめられた患者さんを加えると、ここの病院は、ほとんどすべての患者さんを続発性気管支炎と診断しているという実態があるだろうというふうに私は推測しております。スライドをお願いします。
 私どもにかかった鑑別診断の患者さんを、私どもが聞き取り調査をしますと、もしかしたらこの人は続気の可能性があるかなという人は3割ぐらいで、問診から何でこの人が鑑別にかかったんだろうと思わざるを得ない人が7割ぐらいもいるということで、ここの病院は、しっかり恐らく聞き取り調査をしていなかったのか、その辺の実態はわかりませんけれども、そういう事実がございます。スライドをお願いします。
 なぜこんな問題が起きているかということですけれども、申請書というのは、これ、地方じん肺診査会に上がってくる申請者です。ここにレントゲン所見を書くことになっておりますし、ここに肺機能を書くことになっております。これにつきましては、レントゲンが添付されておりますので、正しく書かれているかどうか、地方じん肺診査医が判断することができます。肺機能に関しましては、精いっぱいの患者さんの努力が必要なんですけれども、これについては、直接の生のデータを提出してもらうことで正しいかどうか、地方じん肺診査会が判断できますけど、続気に関しましては、ここに記載があるだけで、これが正しいかどうかがわかりません。先ほどのA病院は、この辺の判断に非常に間違いが多くて、要は、じん肺についてほとんどわかってないだろうと思われるところで、ここだけに関しては、ここも間違っていると言い切れないということで、当初、合併症を認めていたという北海道局の実態がございます。スライドをお願いします。
 現在の私どもの労災患者さん、合併症がどのくらいいるかということで、管理4が88%に対して、合併症は12%しかおりません。全国の先ほどの疫学的な経過と大変な違いがあるということがおわかりいただけると思います。スライドをお願いします。
 合併症の内訳です。続発性気管支炎が33%、肺がん、気胸、肺結核、もろもろの合併症が満遍なくいるということでございます。スライドをお願いします。
 続発性気管支炎の全労災患者に占める比率は、4%でございます。スライドをお願いします。
 私どもの合併症の発生と治癒の関係ですけれども、ちょっと詳しい内訳は述べませんけれど、平成20年、21年は20例、16例の合併症がございましたけれど、症状固定、いわゆる治っている方が7例、7例、6例と、過去3年間ですね。当然治るものを合併症と規定しているわけですから、当然、治っていきます。でも、これとこれとは同じ数字ではないと、もちろんこの中には肺がんもおりますし、肺がんはなかなか治癒ということは難しいということもございますので、当然、一致した数ではございません。スライドをお願いします。
 石綿肺の合併症の認定に関しまして、肺がんを除くじん肺合併症をそのまま適応することは問題があるかと、私は考えています。内外の知見を収集することが重要ではないでしょうか。特に、続気を合併症とする場合には、今日の審査の問題点を改善する必要があると思います。
 今回の私どもの非常に問題になりましたA病院に関しては、社会保険労務士も関係しました特異な例と皆さんお考えになられるかもしれませんけれども、同じようなことが1992年、岡山労災病院の宇垣先生がやはり50例の患者さんを再鑑定いたしまして、88%が実は申請の内容が誤りだということで、今のこの審査のあり方について問題を提起しております。年1回の中央じん肺診査医の方が集まる職業災害学会の意見交換会でも似たような施設が全国あちこちにあるということと、客観的に判断できない今の認定基準が問題だということは、常に提起されている問題でございます。スライドをお願いします。
 最後のスライドです。続気の認定に関する改善が望まれる点につきまして、まず、疾患の定義を明らかにして、診断医に対して、それを確実に周知させることが大事だと思います。これは、いわゆる呼吸器の慢性気管支炎と違いますので、ずっとせきやたんが続いていればいいのだということではありません。それから、喀たんの細菌検査や細胞診検査を行って、適切な喀たん材料で正確に判断することが大事だろうと。それから、地方じん肺診査医が客観的に成否を判断することが可能なシステムをぜひ構築することが必要でしょうと。必要に応じて、地方じん肺診査会が資料の提出や再検を求めることを可能とすることが大事ではないでしょうか。スライドをお願いします。
 以上、早口でちょっと申しわけございませんでしたけれども、私のお話を終わらせていただきます。

○浅野委員長 どうも、木村先生、ありがとうございました。
 それでは、ただいま木村先生からご説明いただきましたことについて、ご質問なりご意見なりございましたら、どなたからでも結構です。岸本委員、どうぞ。

○岸本委員 今、岡山労災病院という名前が木村先生から出ましたが、実際、木村先生がおっしゃられている事案は、北海道だけではなくて、むしろ西日本の方に多いということでございます。
 この認定基準については定義というのが曖昧になっているという事実もございます。これは、木村先生も今おっしゃられましたように、じん肺患者さんがいて、細菌の感染が起こったものを続発性気管支炎と定義をしています。そうしますと、現在では、非常に優秀な抗生物質がたくさん出てますので、きちんと治療をすれば1カ月以内に治るはずなんです。治ったときに治癒として、また細菌感染があれば、そこで続発性気管支炎を再認定するということなのです。しかし、現在では一度認定された人は、ずっと続発性気管支炎ということであります。続発性気管支炎が何度か繰り返すと、著しい呼吸機能障害になることもあります。そうなれば管理4としなければいけないんですけれども、管理4とされずに、すべて続発性気管支炎のままになっています。前回名取委員がおっしゃいまして、三浦委員がそれに対して反論をいたしました。このことを知らない医者がたくさんいるからこういうことになっていて、本当に呼吸機能が悪くなれば、続発性気管支炎の繰り返しでも著しい呼吸機能障害になります。このような人たちは管理4として別扱いにすべきです。管理4というのは、明らかに呼吸機能障害があるということです。
 それから、私も地方じん肺診査医を16年ほどやっていて、今はやってませんが、たんというのは、早朝1時間のたんを記載するということになっております。そうすると、3ミリリットルとか5ミリリットルぐらいしか出ません。けれども、これが50ミリリットル出るとか60ミリリットル出るというような、そういう診断書が出てくるということもありますので、この合併症に関しては、やはりいろいろ問題があります。
 それから、起因菌に関してなんですが、通常の起因菌は抗生物質で治ります。ただ治らない菌は、木村先生が言われたように、非結核性抗酸菌だとか緑膿菌だとかメチシリン耐性のブドウ球菌、こういうものが起因菌になると治りにくいんですけれども、こういう菌が出る方というのは、10人いて1人くらいしかいません。これは、1992年に私どもの病院の前任の副院長であった宇垣公晟先生が論文にも書かれているということでございまして、こういう問題がある合併症であるというのは、専門家では皆様知っていらっしゃいます。一部の知らない先生方が間違ったというか、不用意に診断書を書いているというのが現状ではないかなというふうに思っております。
 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。ほかにご意見、ご質問がございますでしょうか。新美委員、どうぞ。

○新美委員 細菌感染によって膿性のたんがあることが一つのメルクマールだと伺いましたが、スライドを見てみますと、細菌感染等が加わった場合に治療が必要になるとされています。そこで、膿性たんが出る場合に細菌だけなのか、あるいはたばこなんかの場合も入るのか、おわかりでしたら教えていただきたいのですが。

○浅野委員長 木村先生、どうぞ。

○木村北海道中央労災病院院長 等と言っているのは、やっぱり意味があるんだろうと思うんですけど、ウイルス感染とかでもやっぱり出てくるだろう、膿性たんとして出てくるだろうと。それから、やっぱり専門家はみんな一致した意見ですけど、スモーカーであれば、朝、一、二個の膿性たん、いわゆるP1ぐらいのたんはどうも普遍的に出ているようだろうということは言われております。

○浅野委員長 よろしいですか。古谷委員、どうぞ。

○古谷委員 木村先生に質問、一つだけなんですが、先生が診られている患者さん、じん肺合併症の中で石綿肺の方が何人いらっしゃってどんな作業の方なのか、もしご紹介していただければお願いします。

○木村北海道中央労災病院院長 今のところ石綿肺で今の合併症、今、六つの合併症になっている方は、肺がんの方は何例かいらっしゃいますけど、それ以外の五つの合併症の方はいらっしゃいません。

○古谷委員 石綿肺だけで診ていらっしゃる方は。

○木村北海道中央労災病院院長 石綿肺だけで診ている方は、そういうことです。肺がんだけですね。

○古谷委員 石綿肺の方の合併症が何かではなくて、先生が石綿肺の患者さんをどれくらい診てらっしゃるのかということです。

○木村北海道中央労災病院院長 今のところ、石綿肺で手帳で通院されている方は100名ぐらいじゃないでしょうか。

○古谷委員 健康管理手帳ということで。

○木村北海道中央労災病院院長 健康管理手帳です。

○古谷委員 労災補償されている方ではいらっしゃらないということですか。

○木村北海道中央労災病院院長 いえ、いらっしゃいます。それがどのくらいかですか。

○古谷委員 そう。

○木村北海道中央労災病院院長 ちょっと実際あれですけど、せいぜい10名ぐらいじゃないでしょうか。

○古谷委員 ありがとうございました。
 それと、岸本先生の話で一つだけ、厚生労働の話なのですけれども、ちょっと説明が違っていることだけ正しておきたいと思うのですけれども、じん肺法の体系の中では、合併症で要療養ということがわかった段階で、その人たちは治療を受けますので、この人たちに呼吸機能検査をやる必要はないという扱いになっています。この人たちに呼吸機能障害があったとき、先ほどの岸本先生のお話ですと、肺機能検査をやって管理4であるということを確認しなければならないのだというのは、じん肺法の管理の体系では、そうはなってなくて、治療を受けて、必要な治療をやっていっている方には、これは必要ないということになってますので、そこだけ訂正しておきたいと思います。

○浅野委員長 ちょっと岸本先生が、おっしゃったことと違うような気もするのですが、私の理解では、岸本先生は続発性気管支炎というものは、通常は治癒する。頻回にまた再発することもあるのだけれど、治癒するという前提なので、それで頻回に再発をされた方が全体として呼吸機能が落ちていった場合には、続発性気管支炎でなくて本来のじん肺の方の管理区分が上がるという扱いにすべきだというご主張だったと思います。そういう理解でよろしいですか。

○岸本委員 はい、そのとおりです。

○古谷委員 今ので整理いただいたと思います。ただ、いずれにしろ、何かよその役所の診査のあり方について、ここで突っついても余り意味がないのかなという気がしますけれども、ただ、前回も私もお話ししましたように、もしこういうことで問題があるのであれば、石綿被害救済法の目的というのは、前回も話されてますけれども、特殊性にかんがみに続いて、労災補償を受けられない人を救うための制度をつくることによってすき間ない救済を目指すのだということですから、裏返しますと、労災補償制度等と相まって石綿被害者の救済を全体で考えていくということですので、その意味では、幾つかの制度にまたがるところでの整合性だとか合理性を担保するというのは極めて大事なので、そういう枠組みの中で話をしていきたいなと考えています。

○浅野委員長 ご意見としてわかりました。
 とは言いながら、ちょっときょうの木村先生のお話をお聞きしていて、私も気になったことがございます。私は、健康被害補償の認定に長くかかわっておりましたので、そのこととの関連でお聞きしていて、おやっと思ったのですけれども、公健法では、資料をもう一遍出してくださいとか、再検査を受けてくださいということは当然のようにやっているんですが、労災ではそういう制度がないのでしょうか。

○木村北海道中央労災病院院長 地方じん肺診査会に付与されている権利というのが、もう決められているんですね。それで、喀たんを再提出というのは、地方じん肺診査会ではできないと。

○浅野委員長 そうですか、わかりました。

○木村北海道中央労災病院院長 それから、ちょっとよろしいでしょうか。先ほど古谷委員がおっしゃった合併症がある限りは、肺機能ができないんだというのは間違いで、さっき岸本先生のおっしゃったことからいけば、合併症ということで今補償の対象になっていても、今は落ちついていると、だからまだ治癒とは言ってないけど、経過観察できるんだという状況で肺機能をやってF2なのであれば、要するにF2に移行できると、私は思います。それは、弾力的に判断できると思いますけど、今、要療養で抗生物質でこうやって治療しているという段階では、そのFは判定できないんですけど、今はそういうことはやっていないで、今は落ちついているんだという段階になれば、そこの状況では幾らでも移行できる、切られない前に移行できると考えています。

○古谷委員 あくまでもじん肺法の健康管理体系の理解については、正しくなければいけないと思いますので、これは、100%私が正しいです。先生が、間違っています。合併症で要療養になったら、管理4の判定をする必要がないというのが、じん肺法の健康管理体系です。

○岸本委員 それは、じん肺患者さんを診てない人の言うことであって、じん肺患者さんをよく知った医師は、今、木村先生がおっしゃられたとおりでありまして、続発性気管支炎という患者さんは、1年中膿性たんが出ているわけではないので、少なくとも3カ月以上であります。当然、夏場は非常に安定していて、膿性たんが出てない時期というのがありますから、そういう時期を見て、病態が安定したときに肺機能をやるのは何ら問題はございませんので、それは、古谷委員が間違っています。

○古谷委員 ちょっと整理してほしいんですけれども、じん肺法が要求している、じん肺法が定めている健康管理体系の話を私はあくまでしておりますので、間違いはないと私は理解しているのですが。

○浅野委員長 この点に関して、ほかの委員から、何かご意見ございますか。三浦委員、どうぞ。

○三浦委員 法律上、古谷委員の言うとおりだと思います。ただし、現実には、続発性気管支炎で膿性たんがよくなっても、それを解除するということはほとんどないんですよね。だから、現実には、中止じゃなくて何年もそのまま継続していて、だから現実的には、その間のいいときに肺機能検査をできるんですよ。療養のためには、肺機能検査が不要ですというのが法律の趣旨なんで、膿性たんを治療するために肺機能検査をやりなさいと、これは全く不要なんです。ですから、要療養のために肺機能は不要ですと。だから、治療の必要がなくなったら、速やかに解除するという体系ができていれば問題ないんですけれども、現実には、一たん続発性気管支炎と診断されると、それを解除するということはほとんど不可能に近いのが現実なので、今のような解釈というか、現実との乖離が出るんだと思います。

○浅野委員長 わかりました。この問題に関しては、今後、当小委員会で合併症を扱うときには、またもう一遍関連づけて議論しなければいけないことだろうと思いますが、純粋医学的な議論と、それから制度運用上、私も、法律の制度としてしばしば、これは治癒した、また数カ月後に発症したからまた認定するというふうにやることが、制度的に合理性があるかどうかという点には若干疑問がありますので、現実の今の運用が間違っているとかおかしいという、そこまで強く言う気はないのですが、純論理的には、確かに合併症があれば、それは外れると。それからまた再発すればまた起こるという論理はあるだろうと思います。ですから、ここでは議論がいかにも対立したかのように見えますけれども、純論理の問題と現実の運用の問題の間にかなりギャップがあるということがよくわかりました。
 ほかに別の観点から何か木村先生のプレゼンテーションに対してご意見、ご質問がございますでしょうか。よろしいでしょうか。大塚委員、何かお聞きしたいことがございますか。よろしゅうございますか。

○大塚委員 はい。

○浅野委員長 それでは、どうも木村先生、ありがとうございました。お忙しいところをわざわざおいでいただきまして大変ありがとうございます。参考になりましたので、今後の審議にお話しいただいたことを生かしていきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、次に、現行法の救済対象として石綿肺を入れていくというために具体的にどういう基準を設けるかという技術的な検討に入っていきたいと思いますので、この点についてまず事務局から資料の説明をいただきたいと存じます。

○泉室長 お手元の資料3、3は、今後救済制度で石綿肺を入れていくとした場合に判定のあり方、考え方のフローチャートの案というものでございます。それから、資料4は、合併症について、じん肺法における合併症についてということで、前回、口頭でご説明したことを紙にしております。また、その裏側は、前回お示しした、今、研究班で集めていただいております症例の集計結果、若干数字をアップしたものをつけておりますので、これは必要に応じて参照していただきたいと思います。資料5は、研究班の石綿肺症例の解析結果の一部についてご説明するものです。その後ろに資料5の参考資料として、呼吸機能評価の予測式、それからあと後ろにつけております参考資料2として、石綿による健康被害に係る医学的事項に関する検討会の報告書をつけておりますので、それらの資料をもとにご説明させていただきたいと思います。
 まず、資料3でございます。対象者の方からの申請について、大量の石綿へのばく露があったかどうかということの確認が必要となりますが、その一つは、過去のばく露作業歴を確認していくと思います。今回、症例収集した中でどんなばく露歴が出ているかというところを見ていただきたいと思います。資料5は、前回も一部ご説明いたしましたけれども、現在、今年度の研究事業として坂谷先生を班長として進めております全国の労災病院を中心とする石綿肺の症例がかなりあるだろうと思われる医療機関で最近、石綿肺と診断された症例、具体的に申しますと、平成16年1月から平成20年の年末までの5年間に診療を行ったケースということで症例収集したものでございまして、ばく露形態とか労災の認定を受けているかどうかといった属性は問わずに、カルテの情報それから画像などを集めたものでございます。

○浅野委員長 もう1回確認しますが、労災認定を受けているかどうかということとは全く別に、当該医療機関において病名として石綿肺という診断名がついているかどうかということだけで調べておられる、こういうことですね。

○泉室長 そうでございます。

○浅野委員長 はい、わかりました。

○泉室長 じん肺としての労災認定を受けているかどうかといった情報につきましては、病院経由ですので必ずしも情報が十分でないところがございます。医学的な検査所見などを中心に収集したものとご理解いただければと思います。
 230例の症例が集まり、さらに専門家で再度、画像やばく露歴などを見ながら総合的に精査を行いまして、石綿肺の可能性が高いと考えられた116例について解析をしております。年齢、身長の分布、受診の動機につきましては、ご覧のとおりです。転帰につきましては、116例について転帰の情報が得られておりますけれども、治療中が26、死亡が35、転院、経過観察、不明とございます。死亡された方につきましての死因は、石綿肺による呼吸不全、肺がん、中皮腫、肺炎、呼吸不全、その他、不明となっておりまして、上の五つは呼吸器の関連の疾患と考えられますが、これらが全体の死因の6割を占めているというものでございます。
 喫煙歴につきましては、これは、過去喫煙していて今は吸ってない方も含めてありにしておりますので、一般に男性は高いので75%になっております。画像の区分につきましては、専門家の目で再度確認したときの区分でございますけれども、1型から3型まで分布をしており4型はございません。
 石綿ばく露作業につきまして、記載内容を数えていきますと、石綿製品製造、配管・断熱・保温・ボイラー、それから吹きつけ、船内取扱、解体、造船所内作業、建材等付近の作業、その他、不明と、こうなっております。
 石綿のばく露、初回からの期間、診断までの期間等につきましては、相当の長期間が見られるというのが概要でございます。
 石綿ばく露作業につきましては、ここに出てきたような高濃度ばく露と考えられる作業を中心として、厚生労働省の基準なども参考にしながら、ばく露歴の判定を行うことを考えています。ただし、救済制度におきましては、じん肺法、労災制度の世界と異なり、病気になる前からずっと作業をしているということで健康管理をして、その後何年かたった後に病気が出てくるというような方と違い、恐らく病気になったところで申請がございますので、そうすると、その方が過去にどういう作業をしていたかということは必ずしも明らかでないと、また、一人親方といった労働形態であると、なかなか証明が難と思われるので、これをどう客観的に確認していくのかということが一つのポイントになってくるかと思います。
 資料3の方に戻っていただきまして、次に過去のばく露作業のほかに医学的資料といたしまして、例えば何かの機会に肺の手術をして、そこから石綿小体を数えることができた、あるいは、亡くなってから剖検をして小体を数えた、あるいは、BAL(気管支肺胞洗浄)といった検査をして、そこで石綿小体の数が得られたといったような医学的資料が出てきた場合には、これは大いに参考になるだろうというふうに考えております。一方、職業ばく露が明らかでないような方につきましては、医学的証明がないとなかなか困難だというふうに思われますけれども、これをどういうふうに確認していくかということが一つポイントかというふうに思います。
 この際、次の四角にありますような画像所見で胸膜の石綿特有の所見を見ていくというようなことも一つあるかと思います。
 それから、石綿ばく露の確認がなされたとなりますと、次に石綿肺としての確からしさを確認するという作業になります。参考資料2の昨年10月の報告書9ページに、石綿肺の特徴的な画像所見の評価について記載されています。一つは、肺の線維化が生じていることの証明といたしまして、胸部の画像、それも胸部の単純エックス線写真をベースにして、胸部のCT、できればHRCT、つまり高分解像度のCTを活用しながら見ていくと。その際の不整形陰影の評価基準につきましては、じん肺法のI型以上を広義の石綿肺と考えていいだろうというのが、検討会の議論でございました。特発性肺線維症との鑑別が重要であり報告書にもある石綿肺に特徴的な所見をこうした画像から見ていくことが必要となります。
 それから、もう一つ、特発性肺線維症などの類似の他疾患との鑑別に関しては、臨床経過に関する情報や、時期の異なる。複数の胸部画像、つまり、申請時よりさかのぼった画像を見て、石綿肺は一般的にゆっくりと進行していくというふうに言われておりますので、過去数年の経過を見て鑑別していくことが必要であるとされています。
 また、ほかの、肺線維症を来す疾患の原因となるようなもの、例えば喫煙は石綿肺類似の不整形陰影を起こすということがこの報告書にも述べられておりますし、膠原病であるとか薬剤の副作用としての肺線維症というものも広く見られますので、そうした他原因を鑑別するための情報というものも必要だと考えられます。
 検討ポイントとしましては、前回もご議論がございましたが、胸部の単純写真の評価でじん肺法では評価されています大陰影については、石綿肺では基本的に見られない所見だということでございますので、大陰影だけが起きているような場合についてどう見ていくのかということがあります。
 ここのチェックで石綿肺あり、または石綿肺の可能性が大いにあるとなった場合は次に、救済に相当するような状態の方かどうかという判断になってくるかと思います。先ほど労災制度においては特定の疾患について合併症という扱いをして、呼吸機能障害を見ずに画像上でじん肺所見があって合併症があれば、自動的に認定されるというルートがあるわけですけれども、今回提案いたしますのは、そういった疾患がある、なしを問わず、呼吸機能で評価するという方法です。
 この際、呼吸機能については、幾つか検討課題がございます。一つは、評価の指標をどうするか、つまり具体的に何の検査を用いて評価するのか。もう一つは、評価をするときに、拘束性障害が中心となりますので、肺活量の評価が中核になってくると考えられますが、肺活量を評価にあたり、いわゆる正常値と言いますか、同じような性・年齢・身長の方と比べてどのくらい落ちているかを評価するのに用いる一般人の値を何にするのか、さらにその基準値に対してどこで判定ラインを引くのかという点です。また、本日、木村先生からもございましたが、呼吸機能検査は患者さんの十分な協力が必要でございますので、その検査を行う術者の声のかけ方の上手か下手かということもかなり影響してきますので、適切な検査であったかといった確認、これをどう担保していくかという問題が出てくるかと思います。
 ここで、基準値についてちょっとご説明させていただきます。資料5の参考資料です。呼吸機能評価の予測式についてでございます。基準値については、前回も三浦先生からご指摘があったところでございますが、過去用いられてきたものと、最近提唱されているものと二つの基準値がございます。一つは、Baldwinらによる予測式で、1948年に発表された論文に記載されている式で、恐らくは欧米人の、92名の健常者を対象にしておりまして、年齢分布は若い方が中心です。それから、測定法が背臥位というのも特徴的でございます。一方で、日本人の基準値については、日本呼吸器学会が2001年に発表されています。これは、日本人1,838名の非喫煙者で過去にも喫煙していない健常者を被験者として集めて、座位、スパイロの場合は立位もありで測定されています呼吸器を検査する機械(スパイロメーター)の会社にも聞きますと、現在はどの機械も両方使えるようになっているということで、既にこの新しい日本呼吸器学会の基準も現場では相当に使われているものと考えられます予測式は両方とも年齢と身長の関数で、男女別の予測式になっています。
 この予測肺活量に対し8割までが正常、8割を切ると拘束性の換気障害という診断されます。では、この二つの式でどう結果が違ってくるかについて、検査結果をもとにご説明したいと思います。
 資料5の最後のページでございます。呼吸機能の数字が得られた方が78ございます。先ほど申し上げたとおり、これは労災認定を受けている、受けてないを関係なくとっております。上がBaldwinの予測式を使った場合の%肺活量下が学会の予測式を使ったグラフです。横軸は画像の区分の1型から3型まで。仮に健常者の%肺活量に対して7割、6割、5割というところで線を引いてシミュレーションをしております50で切りますと、Baldwinの式でも学会の式でも、当てはまる方の数は同じです。6割で切りますと、Baldwinでは25名の方が6割以下に該当しますが、学会では31名が該当し、学会基準の方が呼吸機能障害と判定できる方が6人増えます。さらに、7割で切ると、その差は7人になります。日本呼吸器学会の式を使った方が、障害だと判定される方の数が増える傾向にあるということをご理解いただけるかと思います。
 また資料3に戻っていただきますが、今、一つの指標としての%肺活量をお見せいたしましたが、ほかの指標も含めてご提案いただきたいと考えております。そうした呼吸機能の検査でこの救済対象の方を判定するということでどうかということで、ご提案でございます。
 なお、先ほどご議論がございました合併症につきましては、合併症でよほど急性期の場合は別として、合併症であっても呼吸機能検査結果で判断するということを考えております。合併症によって可逆的に呼吸機能が悪い方に動いている方可能性もあるわけでございますが、そういう場合も織り込んでこのような方法で判定することでどうかと考えております。
 先ほど見ていただいたシミュレーションはごく一部でございますので、きょうこれから各種指標をご提案いただきましたらば、または研究班の方のデータを使いながら解析をしていきたいと思いますので、ぜひこのフローチャートをもとにご議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、ただいま事務局からのご提案をいただいたわけでございますが、このご提案に関していろいろとご意見おありかと思います。おおむね本日12時に終了の予定でございます。まだあと50分程度ございます。十分にご議論をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。では、岸本委員、どうぞ。

○岸本委員 石綿肺の診断に関しては、非常に問題があるということで、私、追加資料をお出ししております。これは、岡山労災病院で診ていた石綿肺患者で剖検をした25例ということでございます。実際に診断が難しいということでお出しをしているわけなんですが、現状では、じん肺法だとレントゲン写真正面像をもって診断をしろということになっているんですけれども、これだけでは鑑別が非常に難しいということが、実地医家として思っております。HRCTを含めた胸部CT写真や、職業歴も参考にして診断をするというふうにこちらに書いてありますので、ぜひこれはHRCTを含めて診断をさせていただくということを求めたいと思います。
 それから、環境によって石綿肺が出るかどうか、非常に議論のあるところでございますが。先ほどの私の研究班のデータを見ても、すなわち私の検討した石綿肺25例の剖検例を見ましても、石綿高濃度ばく露のあった方に石綿肺が発症したというのが現状でございます。そういう職業歴も十分勘案するというような形でどうかなというふうに私は思っております。

○浅野委員長 ほかの委員からご意見がございますでしょうか。古谷委員、どうぞ。

○古谷委員 最終的に指定疾病、政令で決めるわけなので、政令でどういう書き方をするのかというのが、ちょっとまだこのフローチャートで検討がつかないところがあるのですけれども、最初の方でおきますと、大量の石綿へのばく露云々ということで、こういうばく露の石綿肺というようなことを政令に果たして書くのかなということは疑問で、基本的には書かない方が法体系には合っていると思うのですが、その上で書くか、書かないかも含めて、石綿へのばく露は当然なわけですけれども、過去2回の議論で出てきましたように、高濃度ばく露での実例が多い、中心であることが事実であったとしても、それ以外のばく露で出ないというエビデンスは全く示されていませんし、ここのところで特に異論はなかったかと思います。
 本日、資料として新聞記事を入れさせていただいておりますけれども、この新聞記事は、前回の小委員会の日の朝刊の記事で、第1回目のヒアリングのときに、私、紹介させていただいた神戸新聞の事例と同じ尼崎の職業ばく露歴のない石綿肺患者さんの件ですけれども、やはりこういうふうなことが実際に出てきている中では、職業ばく露が中心であるだろうということは、私も最初から言ったとおりですけれども、職業ばく露以外のこういう形のケースが救われないことがない形にしておかなければいけない。それをシャットアウトするような政令の書き方とか、判定基準の書き方はまずかろうというふうに思います。職業ばく露について言えば、厚生労働省の方の認定基準で例示列挙という形で、これも限定列挙ではありませんけれども、例示列挙という形で石綿肺を含めた石綿関連疾患が出るであろう職業を例示列挙されているわけで、例示列挙するなら、そこら辺を使う手はありますけれども、限定的に、シャットアウトするような形ではまずいということが第一、この点については異論はなかったのじゃないかというふうに私自身は理解しております。
 その上で、石綿肺については、繰り返しになりますけれども、これも大陰影のある場合も含めた管理4相当の石綿肺という取り扱いでよろしいというふうに考えていて、なおかつ呼吸機能障害のことについてもですけれども、仮にこういうデータでこちらの評価表を使った方が救われる被害者がふえるよというデータが目の前にあったとしても、実は、私は評価方法については、なおかつじん肺法なり厚生労働省で使っている評価方法を採用した方がいいと考えています。これは、木村先生の話にもありました。現行でも認定基準や定義について診断医が十分理解してない場合があるという中で、何度か申しているように、臨床現場に混乱や何かを持ち込みたくないということなのです。同じ石綿肺の診断について、ある法律ではこうなっていて、ある役所の別の法律ではこうなってという形は避けたい。その上で、よりいい方法があるのならば、両方そろえてという形にしないと、やっぱり臨床現場にさらなる混乱を持ち込むことになるのじゃないかという気がしています。
 合併症についても述べたいのですけれども、もう一つ資料出させていただきました。過去2回で石綿肺とその他のじん肺はどう違うのかということが議論になっていたものですから、見つけた中で、タイトルは「じん肺患者の予後」ということになっている平成11年度の厚生労働省の委託研究の報告書ですけれども、まさに石綿肺とその他のじん肺患者さんの比較をしていたものですから、めくっていただいて研究結果の概要を見ていただければいいのですけれども、1956年から1985年までの30年間に大阪府下で石綿肺と診断され、管理4または管理2以上で合併症のために療養であると認定された者184人をずっと追跡調査した結果ということで、まず、合併症の有無別に見ると、合併症なし、すなわち管理4ということで要療養になった方たちの5年実測生存率が47.7%、10年生存率は31.0%ということで、非常に予後が悪いということが出ているわけですけれども、では、管理4ではなくて合併症ありの方で見ますと、5年実測生存率は52.0%ということで管理4より多少いいのですけれども、逆に10年生存率は26.0%ということで、この場合、管理4の石綿肺の方よりも合併症の石綿肺の予後の方が10年生存率、かえって悪いような数値になっています。
 いずれにしろ、管理4の石綿肺と合併症の石綿肺、いずれも非常に予後が悪いということがここで出ているわけですけれども、続けて1972年から79年までの8年間に大阪府下で要療養とされた石綿肺以外のじん肺386人の方々も追跡されていて、こちらの方の方々の5年実測生存率は82.7%、10年実測生存率は60.5%ということで、どういう数字を言ったらいいのでしょうか。石綿肺以外のじん肺と比べて2倍近くとでも言うのでしょうか、生存率が悪いという形が調査結果で出ているということです。
 長くなるので一度切りますけれども、石綿肺を労災並みの形で救済法の対象にすると同時に、やっぱり合併症の問題も落としてはいけない課題だと考えています。

○浅野委員長 ほかの委員からのご意見がございますか。それでは、坂谷委員、どうぞ。

○坂谷委員 今、古谷委員からのデータで184名のデータが出ましたけど、大阪府下の患者数でありますが、大部分ではないでしょうけど、相当部分を私どもの病院で診ております。
 それから、先ほど泉室長の方からデータの解析をやりつつあるということのご発表がありましたが、数字に気をつけていただきたいと思います。専門病院、石綿肺の診断に精通しておる病院から221例の可能性のある症例と言いますか、石綿肺として診ておる患者群を集めまして、実際、石綿肺の可能性が強いであろうと、純粋に石綿肺だろうと思われるのは、116名しかなかった。すなわち、半分は多分違うけれども、石綿肺として診療をされておると、こういう事実がございます。すなわち、石綿粉じん吸引をした住民群があるわけで、その中で肺線維症を来たしておる症例があります。その中の一部分が石綿粉じん吸引が原因となった石綿肺の症例があるわけです。ですけど、石綿粉じん吸引に一緒に起こった肺線維症と本当の石綿肺との区別が非常に難しいと、こういうことは、岸本委員が何遍もおっしゃるとおりであります。
 それで、行政上の対応として、私のところでも可能性はあるけれども確定診断は難しい、それから、他省の法律についてはどうでもいいという話がありましたけれど、現行ではそういう粉じん吸入職歴があって肺線維症があるかないかわかりませんが、胸部単純写真でもって肺線維症があるだろうと見られる患者について、石綿肺として労災の申請をすることが可能なわけであります。それで審査会を通ってしまう。その後で詳しく調べますと、CTなんかで見ますと、実は線維症があるように見えたけれども実際はなかったという症例が、そんなに少ない話ではございません。ですけれど、一度石綿肺として行政上の認定を受けた人は、石綿肺という病名でもって診療と行政上の対応が続いてなされておるのが現状であります。別に悪意はないんですが、そういう症例が当院でも少なからずおります。
 何を申し上げるかと言いますと、石綿肺そのものの診断というのは非常にやはり難しい。可能性のある症例をすべて入れるということになりましても、今まで救済法の対象となっておる肺がん及び中皮腫のように非常にコンセンサスの得られやすい診断というものはないというふうに理解すべきだと、こういうふうに思います。
 合併症の難しさにつきましては、木村先生からお話があったとおりでありまして、あれは北海道だけのことじゃなくて、岸本先生がおっしゃいましたように、西日本だけではなくて全国的に、患者さんのためを思って申請をしておると信じておりますけれども、間違った申請の仕方がされている可能性は十分にあると思っております。
 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。内山委員、どうぞ。

○内山委員 今の資料5のことでお聞きしたいんですけれども、これは、拘束の障害の表が出ておりますけれども、閉塞性障害でまとめることはできるんでしょうか。

○泉室長 資料5の3枚目のグラフでございますが、データとしては、この%VC以外にも1秒率、1秒量とか、閉塞性の指標についても、あるいは、血液ガスの指標についても可能な限りデータを集めておりますので、本日ご議論いただいたものについて解析を進めて、また次回、お示しをしていきたいと思っております。

○内山委員 資料3のところにも閉塞性換気障害の取り扱いをどうするかということもありますので、拘束性障害と閉塞性障害、どのくらい合併されているのか、その辺もちょっと知りたいと思います。
 それから、Baldwinの式で、これは、論文上は背臥位、背臥位というのはうつぶせですよね。仰臥位ではなくて背臥位で正しいですか。

○泉室長 背臥位です。

○内山委員 これは、労災の検診のときも背臥位でやっているのですか。労災の呼吸機能検査の時は座位でやられているんですね。それで、体位によってこのぐらい違うというのがあるんですか。それはもう無視するぐらいのものだと。

○三浦委員 寝ている方が少なく出ます。ですから、起きている方がたくさん吐けますから、一番吐けるのは、こういう格好が一番吐けますので、こうしてますと、なかなか吐き切れませんので肺活量そのものも少なく出ます。

○内山委員 そうすると、もしそうだとすると、これからは日本呼吸器学会の予測式を使わなければ、二重の意味で過小評価になっているというふうに考えてよろしいんでしょうか。

○浅野委員長 そうです。ありがとうございました。いろいろ論点がまだあるわけですが、とりあえず、前回の議論にもありましたように、日本呼吸器学会で提案されている新たな予測式を用いるということについて、古谷委員は現場に混乱をもたらすおそれがあるから、今までどおりでいいのではないかとおっしゃったのですが、この点に関して、ほかの委員のご意見はいかがですか。どうもお聞きしていると、Baldwinの予測式でやると、どうも過小評価されてしまって救済範囲が狭くなってしまう。労災が狭くなっているからそれでいいのだという、まあ、それは一つの割り切りですからいいのかもしれませんが、しかし、どうでしょうか。

○岸本委員 今、三浦委員がおっしゃれましたように、通常の肺機能検査というのは、じん肺法でもそうなんですけれども、背臥位で寝ておりますと、吸気も呼気も少ないので、小さくなってしまいます。このデータから見てもそうですが、日本呼吸器学会が提唱している方法をもっと使おうということで全国キャンペーンを今しているような状況です。私も評議員として協力しておりますが、この計算方法を使用すると救っておあげできる患者さんがふえるのであれば、私としては石綿肺のうちで呼吸不全のあるような方を1人でも多く救っていただきたいというふうに思います。

○浅野委員長 ほかの委員のご意見はいかがですか。なかなか呼吸機能の検査、難しいということは、私も実際に自分で、調べてもらったことがありますが、何回やってもアウトで息の出し方が悪いと怒られたことがあるので、大変難しいことはよく経験しているんですけれども。

○古谷委員 じん肺法の方の著しい呼吸機能障害ありの判定方法については、今、話題になっている%肺活量のほかに、1秒率あるいはAaDO2の方の話があるわけで、一つは、事務方の方に資料4として配られている方の裏方なのですけれども、著しい肺機能障害ありと言えるという数を出すとき、%VCが60%未満でそう判定された人、AaDO2が限界値を超えるということで判定された人が出ていて、恐らく数は少ないかもしれないけど、1秒率が限界値を超えるという形で評価された方もいるのじゃないかなと思うので、わかればここの数値は教えていただきたいのと、今なされている議論は、著しい呼吸機能障害というのを、そのどちらの評価表を使うかということは別にして、じん肺法の体系と同様に、%肺活量だけではなくて、1秒率、AaDO2等も含めて、そういう体系の中で著しい呼吸機能障害があるかないかを判定しようという議論で理解してよろしいのでしょうか。

○浅野委員長 この点は、うっかりしておりました。いかがですか。事務局の想定している考え方。今のご意見は。単に予測式の話だけだと思ってましたので、これだけで全部、%VCだけでやるという提案ではない。

○泉室長 先ほど資料5の3枚目で見ていただきましたけれども、%肺活量60%というのがじん肺法の方の基準です。まず、予測式はどれを使うかということと、そのラインが50%、60%、70%など考えられますがどこに引くのかという議論、仮に60に引いたとして、それより上の人はもうそのままでいいのか、あるいは、何かほかの指標を組み合わせてより救済を進めていくのかといったことがご議論になるかと思います。そこで、先ほど閉塞性障害の評価というようなご提案もございましたし、幾つかご議論いただければありがたいと思っておりますが。

○浅野委員長 この点について、どうぞ専門の先生方。

○古谷委員 私が聞いたデータは。

○泉室長 すみません。資料4の裏側のデータに関して現時点では1秒率の集計はしておりませんので、今データを持っておりません。次回、これは石綿肺で合併症があるものだけの集計なので、むしろ全体の中での集計というところでお示ししたいと思います。

○坂谷委員 呼吸機能検査のあり方と、それから、それの判定、行政的な判定基準と言いますか、それの関係することとしましては、この救済法で今議論したところと、それから労災の分と、それから、もう一つは身体障害者の判別の基準と、これがあります。すべてに私、関係しておりますけれども、それぞれに問題を持っておりまして、改定の時期に来ております。それで、一番進んでおるのが、このまさしく環境省が一番進んで検討をしておりまして、ほかの2省と言いますか、分野では、ここでの判断を待っているように私は見ております。
 ですから、率先して今のような不都合を是正するように当会が中心となって積極的に決めていけばいいのではなかろうかと、私はそういうふうに思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。ほかのご意見がございますか。岸本委員、どうぞ。

○岸本委員 %VCが下がるというのが、石綿肺の特徴なんですけれども、AaDO2が広がるというのも、石綿肺の特徴です。これはもちろん入れていただくとして、閉塞性障害はないのかというと、末期になりますと拘束性障害、閉塞性障害、両方が出てくる混合性障害ということもあります。今、じん肺法でやっている肺機能障害を測定する方法は、日本呼吸器学会の提唱する方法を取り入れるにしても、入れないにしても、すべて今じん肺法でやっている呼吸機能障害の検査は、考慮していただきたいというふうに私は思います。

○浅野委員長 具体的には1秒量、1秒率、全部を入れるわけですね。

○岸本委員 はい、そうですね。それから、石綿肺のときには低酸素血症も来るんですが、炭酸ガスも下がりますので、AaDO2が広がる人が多いので、動脈血ガス分析でPaO2、PaCO2、AaDO2も考慮していただきたいと、そう思います。

○古谷委員 言わずもがなですけれども、私も基本的に検査体系についても合わせた方がいいということです。あと、整合性が保たれるという担保がいかにも薄いというのですか、過去を見てますと、よそでやっていることは、我関せずが多いので、本当に整合性の確保ということは大事な視点だと、それがわかりやすいのが、特にアスベストだという気がしています。

○浅野委員長 私は、整合性というよりも、医学的に見て根拠があるということの方が重要かなと思っていますが、少なくとも%VCだけで見るということが合理的ではないだろうというご意見は、今出てまいりましたので、この点についてはよろしゅうございますか。あとは、検査方法についてですが、どうぞ、坂谷委員。

○坂谷委員 逆に1秒率の方を重要視される申請書があるんですが、それの方が問題ではなかろうかと。じん肺の方では、例えば溶接工肺でありますとか、閉塞性換気障害が主体の高次機能障害が出てくる場合がありますけれども、石綿肺の場合には、拘束性障害のない閉塞性障害のみの石綿肺というのは見たことはないと、こういうふうに思いますけれど。

○浅野委員長 わかりました。その点は十分に理解できました。
 あと、どの予測式を使うかということに関しては、古谷委員のご意見もあるわけですけれども、先ほど坂谷委員がおっしゃったように、本来検討すべきものが検討されてない状況の中で、環境省がそれに追随するということはいいかなと、私はどちらかというと新しいものが好きなものですから、科学的知見というのは新しい方がいいので、せっかく制度をつくるなら、新しい知見に基づいた方がいいと、個人的には思うわけですが、古谷委員が強くおっしゃるのであれば、そういうご意見があったということを報告書に記すことについてはかまいません、古谷委員、それでよろしいですか。

○古谷委員 私どもの意見は記録してほしいと思います。

○浅野委員長 そのようにいたします。
 ほかの点で何かご意見がございますか。はい、どうぞ、岸本委員。

○岸本委員 大陰影の取り扱いをどうするかというところがありますね。これは、じん肺法だと不整形陰影と大陰影があるというのはいいんですよね。ただ、この今の議論は、石綿肺について議論をしてます。石綿肺というのは、過去のエビデンスから絶対に大陰影はつくらないということがわかっています。ただ、はつりだとか解体業だと、石綿粉じんのみならず、珪素等も混合で粉じんを吸う作業が確かにあります。じん肺法というのは、そういう混合粉じんを吸って発症したじん肺をすべてまとめてます。じん肺法というのは、石綿肺だとか溶接工肺だとかけい肺を含んでおりますので、大陰影があってもよいのです。大陰影は大きくなるとPR4Cということで、この所見があれば労災も認めています。大陰影が例えば5センチまでのPR4Aというのなら、余り呼吸機能に問題はないかもしれませんが、PR4Cになっていて、肺の線維化がわずかだけあるような石綿肺まで入れるのかどうか。ちょっとこれ、私も素直に大陰影も入れていいとは思えないんですけれども。大陰影が石綿によって起こる可能性でもあれば、もちろん考慮すればいいんですけれど、可能性ゼロ%なものですから、これがどうかなとちょっと疑問を呈したいと思います。

○浅野委員長 わかりました。他の原因はおっしゃいましたね。両方は、石綿もあるし、他の粉じんもあるというような場合でも、少なくとも石綿が原因であるという場合には、大陰影の病像にはならないということですね。そうすると、大陰影しかないような病態というのは、どうも石綿以外の原因だという判断になるということですか。

○岸本委員 はい、そのとおりです。医学的にはそういうことです。

○浅野委員長 わかりました。内山委員、どうぞ。

○内山委員 逆に言うと、ほかの所見があって、大陰影の有無は問わないということでよろしいんでしょうか。そのほかに石綿肺を疑わせるような所見があれば、大陰影があろうとなかろうと、石綿肺と診断すると。あって悪いことはないわけですよね。労災で石綿しか職場で扱っていないという場合だったら大陰影はまずないだろうと。ただ、今回、対象となる方は、おっしゃったように、いろいろな職場で渡り歩いている方とか、ほかの粉じんもばく露されている可能性の職場であれば、大陰影が出てもおかしくない。

○岸本委員 ただ、その大陰影が大きくなると肺活量が減りますから、著しい呼吸機能障害の原因として、石綿による線維症が原因であればいいんですが、この大陰影が大きくなったために、肺活量が減るというのは、医学的に言ってどうかと思います。この検討会というのは石綿肺というのが原因であって、肺機能障害を発症した人を対象としていますので、ほかのじん肺は云々していません。この検討会で大陰影のある石綿肺で著しい肺機能障害がある人を対象とするかどうか、私、いいとも悪いとも言っておりません。ちょっと、私自身疑問なものですから問題提起という形で出させていただきました。

○浅野委員長 わかりました。ほかのご意見がございますか。古谷委員。

○古谷委員 資料4の裏側の方の表を見ていただきたいのですけれども、私、当初から石綿肺そのものの合併症なしの石綿肺の取り扱いについては、労災の方でも著しい呼吸機能障害があるもの、あるいは大陰影があるものが管理4として療養が必要だという意味で救済法でも同じ道をということを言っているわけですけれども、今、合併症の方の議論なんですけれども、合併症を入れたとしたときの議論で、著しい呼吸機能障害の有無でということの意味ですね。これで見ると、労災病院を中心とした施設での石綿肺の事例で、続発性気管支炎の17名の方の呼吸機能障害を見ると、このうち10名については著しい呼吸機能障害があったと言えたと、言えない方が6名であったということが示されているわけですけれども、一方で、その下の肺がんを見ていただきたいのですが、肺がんだと13名のうち著しい呼吸機能障害ありが4名で、ありとまでは言えないというのが9名ですね。この救済給付のときに呼吸機能障害で給付のあり方を規定するのだということであれば、すべての疾病に適応すべきだと、適応されるべきだという議論が成り立つというふうに思うのです。そうすると、肺がん・中皮腫については、今それを問うてないわけですけれども、肺がんのこのデータだけで見ても、実は13例のうち9例は、その基準を持ってくると救われない、あるいは、救うべきではないという議論が出てきてしまって、逆に労災の方で続発性気管支炎で救っている17名のうちの6名が救われないという形になると。こういう格差はぜひやめたいということなのですよ。
 前の議論でもありましたけれども、障害が重症になるのを待って救ってあげますよではなくて、救済のあり方の範囲に入ると思うのですけれども、治療が必要な人たちに確実に治療が与えられるようになって、さらに、労働不能やなんかの状態が出てきたら、そこに対する手当を出して救っていくのだと。ただ重症化するのを待っているという形では、余りにも無念ではないかという気がしているのです。

○浅野委員長 肺がん・中皮腫に関して、呼吸機能は問題にしてないのですか。肺がんは全部アスベスト起因だというふうに認めているわけじゃなくて、それなりのレッドの診断の基準があって、それでアスベスト起因であることがわかった肺がんについての救済をするという現行法の仕切りですから、その点に関しては呼吸機能を問題にしないのは、特段疑問に感じる点がないのですが。
 今は石綿肺を問題にしようと言っているわけなので、そこでどうかということですね。合併症をどうするかについては、もっと手厚いさまざまなバリエーションがある救済あるいは療養を主体とする救済というような仕組みを導入するということは必要だろうと思っておりますから、そこでどうするかという議論ができるとしても、現行法の枠の中で政令によって緊急にともかく手を打たなきゃいけないという限りにおいては、今の古谷委員のお話がまたまた出てまいりますと、ちょっと話がもとに戻ってしまうなというような感じがしないでもないのですが。ほかの委員から何かご意見ございませんか。坂谷委員、どうぞ。

○坂谷委員 座長のおっしゃるとおりでして、肺がんは診断がついた途端に療養が必要となります。石綿肺は、それと診断されたものの中に療養が必要な者たちと、療養が必要なくて経過観察、あるいは処方に転換のみの症例がありますので、古谷委員のおっしゃることは、座長のおっしゃるとおり取りまとめるのが適当だと思います。

○浅野委員長 ほかにご意見がございますか。

○大塚委員 この点も最初に座長がおっしゃったことと関係するのではないかと思いますけれども、この救済制度フローチャートの案の最後に書いてあるように、救済法のところが、石綿に関する法律については、医療費と療養手当がセットになって一律支給ということですので、労災給付並みにするというときに、ここを考えざるを得ないということがあるかと思いますので、著しい肺機能障害ありという要件は、政令改正のときはちょっと外せないのかなと思います。法律改正をするのだったら、そこは、ちょっとまた抜本的に考えた方がいいんじゃないかと思っております。その方が、かえって今の患者を、一定レベルではありますけれども、早く救済することにつながるのではないかと考えております。

○浅野委員長 ほかのご意見はございますか。内山委員、どうぞ。

○内山委員 この資料3では、これは合併症はまだ入ってないというか、認めない的なものでしょうか。

○浅野委員長 いや、これは、要するに、合併症は問わないということではないでしょうか。

○内山委員 そうすると、先ほど言った続発性気管支炎の場合は、続発性気管支炎と診断された段階で、呼吸機能は関係なく、療養の必要が、医療の必要があれば、これは救済対象になると、こういう別のものではあるわけですか。

○浅野委員長 それは、まだ今後さらに議論しないといけませんと言っているわけです。ここでは、だから、極論をすれば、著しい呼吸機能をというものさえあれば、その原因については、たとえ合併症によって修飾されていても…。

○内山委員 今のとちょっと違うと…。

○浅野委員長 それはもう構いませんと、割り切ってしまいますよということでしょうか。

○内山委員 そうですよね、わかりました。

○浅野委員長 ですから、この割り切りをした上で、さらに今後救済範囲を広げるというときに、ここからもう1回後退はできませんので、ここで一たん腹を決めてしまえば、次の検討のときには、ここでは認めたけれど、今後、検討ではまた救済の範囲を後退させましょうというわけにいきませんから、そこはそれ相当の、それこそ政治的決断をしていただかなければいけない部分だろうと思います。
 三浦委員。どうぞ。

○三浦委員 著しい肺機能障害は、本当に一時的で合併症がよくなれば回復するものが含まれますので、ある程度判断する時期が大切だと思います。例えばここにある続発性気胸でありますけれども、これも気胸を起こしているときは悪いのは当たり前ですので、それが回復した後、しばらくすればよくなりますので、起こしたけれども回復した後もまだ悪ければ対象になると、そういうふうに解釈した方が、そういうふうにした方が私はいいと思います。
 それと、もう一つよろしいでしょうか。続発性気管支炎のみの合併、要するにそれ以外に合併症がない場合の症例が11例ここにあるんですけれども、そのうちの6例は、著しい肺機能障害ありということで救済の対象になるんですね、もう合併症云々をする以前に。ですから、少なくとも緊急に何かする場合には、もう著しい肺機能障害ありだけで、もうかなり半分以上が救われるということは、この表からは読めると思います。

○浅野委員長 ただ、とにかくやっぱりこれは、本当は緊急に政令でという発想そのものにかなり無理があるという気がしてしようがないのですが、それはここで言ってみてもしようがない。要するに、今は、認定された方の認定の有効期間がかなり長いものですから、公健法みたいに2年とかというような形であれば、病態の変化を上手に反映して認定を工夫できるんですけれども、こちらは、一たん認定されて、その有効期間がかなり長い期間続くということがあるので、今、三浦委員がおっしゃったような問題点について考えれば、正直言って非常に悩ましいですね。

○泉室長 政令で指定できます。

○浅野委員長 有効期間は政令事項でしたか。

○泉室長 指定疾病ごとに有効期限が…。

○浅野委員長 なるほど、それならそれも含めて考える余地はあるということですね。

○泉室長 あります。

○浅野委員長 そうじゃないなら認定のところである程度、慢性的な呼吸機能低下であることを確認しなきゃいけなくなりますから、非常にやりづらくなると思ったわけです。わかりました。それでは、そこは政令事項であるならば、この新たに追加する病気の特徴に応じて有効期間を少し短くさせていただいて、変化に対応できるようにするという方法はあると、こういうことも可能ということになります。
 ほかにございませんか。

○古谷委員 そこのところは、今の有効期間の問題、あるいは治癒した場合の取り扱い、特に救済法で用意されてますので、そこは対応可能な話だと思います。
 やはりまた蒸し返すようなことも言ってあれですけれども、著しい呼吸機能障害に限定するというのは、やはりある種の要素、そこまで病態が進むのを待ってからの救済という受身の姿勢を感じざるを得ません。確かに、じん肺というのは、特に労働者の場合、健康管理体制の中でそういう流れになって、ですから、労災補償の中でもじん肺の療養補償というのは、ある意味、かなり管理4相当、管理4というのは、悪くなってから療養に持っていきましょうと、不可逆性で治療してもというようなことがあるから、労災補償の中でも例外的な扱いです。むしろほかの疾病については、もっと積極的な発想で補償をしているということなのですけれども、合併症、要するに指定疾病の中では外そうということ、私自身は、やっぱりすき間のない労災並みでの補償ということの中から考えざるを得ない。これだけはやっぱり主張しておきたいと思うのです。

○浅野委員長 主張はずっと一貫しておられるので、それはよくわかります。ですから、答申としては、それをご意見としてあったということを報告の中に入れることについては、一向にやぶさかではありませんし、私の、ちょっと乱暴な認識なんですけど、かつては審議会が決めれば、それはもう最終決定であったわけですが、今はそういう時代ではございませんので、いろいろな考え方があることは、審議会としてちゃんとフェアに出して最終的には政策決定をされる方が、それを選び取られるということが、今の政権のもとでの審議会の役割だという認識をしておりますから、意見を1本に絞り込まなければならないとは必ずしも思っておりません。多数がこういうご意見であると、しかし、こういう強いご意見があったということを取りまとめの段階で出していくことは、それは、審議会の議論を公正に反映させるために必要だという認識を小委員長として持っております。
 ただ、さっきも言いましたように、とりあえず、この現在出されている案は、合併症による修飾は無視するという意味では、むしろ広いという理解ができるわけですから、その点を一応ご理解いただいた上で、さらに何度も何度も申しますけれども、この議論はこれで終わりじゃないので、法改正の議論はちゃんとやらなきゃいけないということは、お互い了解の上で議論をしているということをもう一度確認をさせていただきたいと思います。
 新美委員、何かございませんか。

○新美委員 座長がおっしゃったように、政令の問題としてやるという限定の中での議論としては、救済の中身等も決まっておりますので、そう幅広にきめ細かくということは難しいかと思います。このチャートのようなプロセスを経て決定していくのが、一番現時点ではとり得る道だと思います。
 一番の問題は、石綿肺であるということの確からしさが、このフローチャートでどこまで確保できるのかということだと思います。その辺から、もう少しいろんなデータが出てくることになると思いますので、石綿肺であるということができた後、その人にふさわしい救済として、医療費プラス療養手当というのがあるということになる。これをどう見るのかということだと思います。
 法令による限り、その救済内容は、画一化されたものになってますので、これを前提にどう議論するかということだと思います。

○浅野委員長 それでは、井内委員。

○井内委員 井内です。今までの議論とちょっと違う視点で資料3のフローチャートの一番上のところの大量の石綿へのばく露の確認というところなんですが、これは、ひとり親方さんの場合は、これは、何とか職務の内容であるとか、どんな職種に何年というところまで調査できる場合が多いのかなというふうに思ってますが、全く職業的な要因がない方でも十分あり得るとすれば、ここの大量の石綿へのばく露の確認というフローチャートの最初のステップの段階をどう決めていくのか、これがないと下に行かないのかどうかというところのちょっと議論がまだ足りないんじゃないかなと。つまり、全く純粋に環境であるということに関して、じゃあ工場の周辺だったらいいのか、じゃあ学校だったらいいのか、そういうところを実際そういう症例が少ないんじゃないかという前提があるというのは、前回も申し上げたんですけれども、しかしないとは言えない。つまり、それは、人ですから、どんな少量が入ってきても個体の反応が違うということを前提に言えば、大量の石綿のばく露の確認がなくても、石綿肺の確からしさから言えば、かなり確からしいという症例はあり得るのではないかなという気がします。
 それは、中皮腫なんかの場合もそうだったんですが、これは、腫瘍だから特殊なんですけれども、必ずしも石綿へのばく露とコーディネーションというのはないというふうに考えられるようなものもあるわけです。これ、石綿肺が大量のばく露がないと起こらないという前提から始まればこうなんだけど、大量というのはどういうものを言うのかという定義のところが少しないと、審議の過程で漏れていく方があるかもしれないという、ちょっと危惧を持ちます。これは、具体的な事例を検討するというか、一例一例上がったときに考えればいいことなのかもしれません。このフローチャートで大量の確認ということがまず前提にあると、門前払いにならないかなという危惧も多少あります。
 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございます。この点は、さっき古谷委員がおっしゃったように、職業歴のみを要件とするというやり方では、はじかれてしまう危険性があるので、それは避けてほしいというご意見でした。私も、これは、古谷委員が言われるように、職業歴がない者が皆無であるということエビデンスがない以上は、はじくわけにいかないだろうと思います。そうなりますと、今、井内委員がおっしゃるような問題も出てくるわけですが、ただし、前回のヒアリングやご意見を承っていても、やはり量の問題について定量的にどれだけだということは知見があるかどうかは、私も残念ながらお聞きしてもわからなかったのですが、大量ばく露ということがこの疾病の特徴だという点は、かなり共通の認識であったので、その大量ばく露ということと、病像と両方プラスということ、だから、このフローチャートで書いていくと、どうも順番に見ていくような印象があるんですが、これは順番というよりは、むしろ思考のプロセスをあらわしているだけですから、実際の診断書をお書きになるドクターが、どう判断されるかというときには、両方をあわせて判断されるんでしょうし、丁寧な問診をなさって経過を丁寧に書き取っていただいて、この大量ばく露ということを思わせるものがあれば、それをもって自信をもって診断書をお出しになるのだろう。であれば、そのデータが、より不足の場合には、さらにもっと審査をする審査主体においても追加的に情報を獲得できるという運用上の手当ができればカバーできることではないかという気がしておりますが、坂谷委員、どうぞ。

○坂谷委員 おっしゃるとおりでして、この大量の石綿へのばく露の確認は、十分条件であって必要条件ではないわけです。これがありますと、確からしさが増すということであって、大量ばく露がなくたって、もちろん石綿肺はあり得ると認識はされているわけであります。
 それで、尼崎の例も、その一例でありますけど、ですけど、我々の経験では、調査が行き届いてないのではなくて、ある程度全国的な調査が行われた上での稀な例だと私どもは理解をしております。それが一つ、そういうことであります。ばく露歴のチェックというのは、非常に大事だと思っておりますが、十分条件にしか過ぎないのは確かであると。

○古谷委員 その点では、石綿による肺がんの場合もある意味同じ話で、実は、25ファイバー/year云々という形でばく露量を想定して判断しているわけですけれども、石綿肺がんの場合、殊さら大量の石綿ばく露によるなんてことは書かないわけで、国内での石綿ばく露によるというのは、救済法の中でも明定されている話ですから、特に政令や何かでそうですけれども、殊さら大量にとか何とかという形容詞をつけて特に量を指定するわけではなく、限定的な意味を持たせるような表現は避けた方がいいと思います。

○浅野委員長 病名を書くのが、基本的に認定指定疾病を決めるときの大前提ですから、おっしゃるように、余計なことは、多分、政令には書かないのだろうと私は思っておりますけれども、今問題になっているのは、政令の書き振りの問題としては、おっしゃるとおりだと思いますが、どういうクライテリアでどういうふうに判断するかということについて、考え方の整理をしなきゃいけないという、そのプロセスの中で、きょうの議論が行われたというふうにお考えいただきたいと思います。
 それでは、坂谷委員どうぞ。

○坂谷委員 先ほど、この委員会で合併症のことを外そうとしているという話がありましたけど、そんなことは我々やっているつもりはない。それから、座長も無視するとおっしゃいましたけれども、そんなことはないんでありまして、不問、問わないということでありまして、無視はしておりませんし、それから、もちろん外そうとしているわけではございませんというふうに理解しております。

○浅野委員長 同じ趣旨のことを述べたつもりでしたが、ちょっと表現が適当でありませんでした。
 それでは、本日の資料に基づくご議論は大体出尽くしたようにも思いますので、これまで出されましたご意見について、もう一度事務局で論点の整理をいただくことといたします。さらに、資料の追加提出の要求が古谷委員からございましたので、この点についても事務局にご努力をいただくということにしたいと思います。
 本日議論できなかった論点については、事務局から案を提示いたしまして、次回検討させていただきたいと思います。
 それにしましても、できるだけ早く結論を出して、年内には政令改正に持っていかなければいけないわけでございますので、次回の日程についてもまたご無理をお願いいたしますが、どうぞ迅速に議論が進んでいくように努力をしていきたいと思いますので、ご協力のほどをお願いいたします。
 それでは、本日の議事をこれで終了いたしますが、次回以降のスケジュールについて、事務局から説明をお願いいたします。

○柳田補佐 次回の小委員会の日程につきましては、いろいろ委員からの宿題もありましたので、そういったことも踏まえまして調整させていただきたいと思いますので、決まりましたら追ってご連絡させていただきます。
 なお、本日の議事録につきましては、こちら原案を作成いたしまして、先生方にご確認いただいた後、環境省のホームページに掲載する予定ですので、よろしくお願いいたします。
 それでは、以上で第3回石綿健康被害救済小委員会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

午前11時54分 閉会

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