第4回厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会ワーキンググループ、 第4回産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会化学物質管理・審査制度検討ワーキンググループ、 第4回中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会化審法見直し分科会 合同会合 (第4回化審法見直し合同WG) 議事録

1.日時

平成20年7月10日(木)16:00~18:30

2.場所

砂防会館 別館1階「シェーンバッハ・サボー(淀・信濃)」
(東京都千代田区平河町2-7-5)

3.議題

  1. (1)これまでの合同委員会及び合同WGでの指摘事項について
  2. (2)今後の化学物質管理の在り方について
  3. (3)その他

配付資料

  1. 資料1 化審法見直し合同WG 委員名簿
  2. 資料2 第3回化審法見直し合同WGでの指摘事項
  3. 資料3 化審法見直し合同委員会及び合同WGにおける指摘事項
  4. 資料4 2020年目標を踏まえた化学物質管理に係る国内外の動向について
  5. 資料5 今後の化学物質管理の在り方(論点メモ)
  1. 参考資料1 第3回化審法見直し合同WG議事要旨
  2. 参考資料2 第3回化審法見直し合同WG議事録[委員のみ配布]
  3. 参考資料3 化学物質審査規制法の見直しに関するシンポジウムの概要

議事録

○環・戸田室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会ワーキンググループ、第4回産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会化学物質管理・審査制度検討ワーキンググループ、第4回中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会化審法見直し分科会の合同会合、通称「第4回化審法見直し合同ワーキンググループ」を開催したいと思います。
 合同会合の議事進行及び議事進行担当事務局は、各審議会の委員長及び関係3省による持ち回りとさせていただいておりまして、本日は中央環境審議会の佐藤委員長に議事進行をお願いし、議事進行担当事務局は環境省が務めさせていただきます。
 本会合は、いずれのワーキンググループ等も開催に必要な定足数を満たしており、いずれも成立していることをご報告いたします。
 続いて資料の確認をさせていただきます。
 クリップを外していただきますと、上から議事次第がございまして、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5までございまして、参考資料といたしまして参考資料1、参考資料2、参考資料3をお配りしております。
 なお、参考資料2の第2回合同ワーキンググループの議事録は委員限りの配布とさせていただいておりますが、既に3省のウエブサイトで公開しております。
 資料の不足等がございましたら、お知らせいただきたいと思います。
 もしないようでしたら、まず議事に入る前に、委員の交代についてご紹介いたします。
 篠原前委員に代わりまして、後藤卓雄委員が着任されておりますが、今回の会合には、篠原前委員が代理または説明員として出席されております。
 それでは、以後の議事進行を佐藤委員長にお願いしたいと思います。

○佐藤委員長 どうも皆さん、こんにちは。今日の進行を担当させていただきます佐藤でございます。
 おととい東京に来たときには、おまわりさんが各地に立っていて、非常に緊張感があふれていたんですけれども、今日はサミットも終わったということで余りそういう感じがいたしませんでした。
 今日のワーキンググループは、ワーキンググループとしては一応最終回でございますけれども、伸び伸びとご議論をいただきたいというふうに申し上げたいんですけれども、やはりまとめでございますので、何とぞよろしくご協力をお願いしたいと思います。
 それでは、本日の会議の公開の是非についてお諮りしたいと思います。
 各審議会の公開につきましては、それぞれ規定がございますけれども、本日の会議については「公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定な者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合」等、非公開とすべき場合に該当しないと考えます。公開としたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(異議なし)

○佐藤委員長 ありがとうございます。それでは、本日の会議は公開といたします。
 なお、公開の会議の議事録は、後日、ホームページ等で公開されますので、あらかじめご承知おきください。
 それでは、早速本論に入りたいと思います。
 本日も検討課題が多いんですけれども、事務局の説明のほうはできるだけ簡潔にお願いして議論をしていただきたいと思います。
 まず、議題1の「これまでの合同委員会及び合同WGでの指摘事項について」、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○厚・田中専門官 厚生労働省の田中と申します。よろしくお願いします。
 それでは、資料に沿ってご説明させていただきます。
 まず、資料2をご覧いただければと思います。こちらは、前回第3回合同ワーキングでの指摘事項をまとめた資料でございます。
 大きく分けて7つの項目についてご議論、ご指摘いただいております。
 まず1つ目でございますが、(1)新規化学物質事前審査制度の在り方としまして、化学物質管理は、事前審査と事後管理を組み合わせて行うことが適切であるといったご意見や流通するすべての化学物質について、その数量等をどのように把握して事後の管理をしっかり行うのか、前提がはっきりしないと議論ができないといったご意見をいただいております。
 続きまして、(2)少量新規確認制度、低生産量への特例、中間物等の確認制度の在り方としまして、少量新規確認制度について、一事業者当たり1トン以下の生産であれば、確認を受けて製造・輸入が可能であるように運用してほしいという意見がございました。また、複数の事業者からの申出で全国1トンを超える場合には、QSARによるチェックということも一案だが、そうはいっても、やはり全国での数量の上限が必要なのではないかといったご意見をいただいております。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目の一番上にございます(3)有害性懸念の低いポリマー審査の在り方については、試験報告書の提出までは必要ないかもしれないが、最低でも有害性懸念の低いポリマーに該当することを示す物理化学的データ等の提出はしてほしいといったご意見や低懸念ポリマーの定義については十分注意を払う必要がある、といったご意見を頂戴しております。
 続きまして、(4)ハザード評価結果の開示につきましては、安全性情報を把握している者が製造・輸入を行うことができるようハザード評価結果は開示するべきだがフリーライドは防ぐ必要があるとのご意見を頂戴しております。
 また、名称の公示につきましては、例えば5年といった期間で保護するのか、公示はすぐに行うが総称名ということで保護するのか、どちらが有効なのか考えるべきだ、といったご意見をいただいております。
 3ページ目に移りますが、(5)審査におけるQSAR・カテゴリーアプローチの活用としまして、こういったアプローチについては改良されてはきたが、メインの手法とするにはいまだ不十分であるが、現状でも活用できる部分については活用していってもよいのではないか、といったご意見をいただいております。
 続きまして、(6)環境中への残留可能性に関する考え方につきまして、化審法上は、良分解性の化学物質については対象外となっており、発がん性物質などの管理を考えると、今後は、排出規制により対応するのか、あるいは化審法の対象にするのか検討するべきとのご意見をいただいております。
 また、化審法で良分解性の物質を規制することまでは必要ないかもしれないが、上市後のリスク評価の対象として考え、その情報を収集していくことは重要ではないか、といったご意見もいただいております。
 1枚おめくりいただきまして、(7)ナノマテリアルの取扱いにつきまして、その安全対策に関する研究調査をきちんと進めていってほしいといったご意見をいただいております。
 続きまして、資料3に移ります。こちらは、これまでの化審法見直し合同委員会及び合同WGにおける指摘事項のおさらいをしている資料でございます。
 一部資料2と重複している部分がございます。まず、1ページ目の一番上にございますが、第1回合同WG検討テーマとしまして、「ライフサイクルにおける使用実態を考慮した化学物質管理」、大きく分けて3つのポイントについてご議論いただいております。
 1つ目のポイントでございますが、(1)化学物質のリスクに応じた管理体系と安全性情報の伝達ということで、高ハザード化学物質への対応を担保しつつ、サプライチェーン全体において、リスクベースでの化学物質管理をどのように促進するべきか、ということや、国際的な動向にも対応しつつ、サプライチェーンにおける安全性情報の流通はいかにあるべきか、といった点についてご議論いただいております。
 1枚めくっていただきまして、2ページ目の真ん中下にありますが、2つ目のポイントとしまして、(2)高ハザード化学物質の厳格な規制ということで、リスクベースの化学物質管理を推進する中で、高ハザード化学物質の管理はどうするべきか、ということについてもご議論いただいております。
 続きまして3ページ目に移りますが、真ん中上、(3)リスクの観点から懸念の高い化学物質の管理制度はどうするべきか、についてもご議論いただいております。
 1枚おめくりいただきまして、第2回合同WG検討テーマとしまして、「リスク評価の必要性と効率的実施方法」ということで、こちらは大きく分けまして(1)~(5)の5つのポイントについてご議論いただいておりまして、1つ目としまして、化審法における一般工業品としての化学物質を管理するためのリスク評価についての基本的な考え方はどうあるべきか。2つ目としまして、ページの中ほど下になりますが、適切なリスク評価のためばく露関連情報の収集はどのように行うべきか。次のページ5ページ目に移りますが、(3)リスク評価のためのハザード情報の収集として、ハザード情報の収集の在り方、特に上市後にハザード情報を収集することについて、どのように対応するべきか、についてご議論いただいております。
 1枚おめくりいただきまして、6ページ目の一番上にございますが、(4)化審法におけるリスク評価をどのように進めていくべきか。また、国と事業者の役割分担はどうあるべきか、ということについてもご議論いただいております。
 ページの下にありますが、(5)国が収集した情報に関する企業秘密の取扱いとしまして、化審法によって収集した情報は、どの程度まで企業(営業)秘密に該当するのか。その場合の取扱いはどのように行われるべきか、ということについてもご議論いただいております。
 7ページ目にその他とありまして、もう一枚おめくりいただきまして、こちらが第3回合同WG検討テーマとなっておりまして、先ほどご説明した資料と重複しますので省略させていただきます。
 一番最後の紙に飛んでいただきまして13ページ。今回の第4回合同WG検討テーマとしまして「今後の化学物質管理の在り方」として、こちらは第1回の合同委員会における指摘事項になりますが、幾つかご指摘をいただいております。やや昔の話になって恐縮ですが、何点かご紹介させていただきますと、日本企業の国際競争力確保を念頭に置いて、過度な規制は避けるべきではないか。2つ目としまして、国際整合性は重要であるが、すべてを合わせる必要はないのではないか。1枚おめくりいただきまして、一番最後のページになりますが、14ページ一番上の三角のところにございますが、安全性情報の収集と共有のための基盤整備が必要。化学物質を正しく理解するための簡単なデータベースのようなものが必要ではないか。こういったご意見をいただいております。
 資料3について、駆け足になって恐縮でございますが、説明は以上です。

○佐藤委員長 ありがとうございました。これまでの議論を振り返っていただきました。
 これについてさらに議論をする前に、前回合同ワーキンググループでもご案内があったと思いますけれども、6月29日に「化学物質審査規制法の見直しに関するシンポジウム」というのが開催されておりますので、その概要を紹介していただきたいと思います。
 では、お願いいたします。

○環・木野補佐 お手元の資料一番最後になりますが、参考資料3というのがございます。こちらで「化学物質審査規制法の見直しに関するシンポジウムの概要」ということで、開催の結果につきまして紹介させていただきます。
 このシンポジウムですけれども、6月29日に都内で開催されました。事前に意見を公募いたしまして、応募のあった5団体からの意見発表、その後、意見交換という形で行われております。
 これに関しましては、現在、この合同委員会、ワーキンググループなどで見直しの検討が進められております化学物質審査規制法につきまして、市民団体等の意見を幅広く聴取する、関係者による意見交換を行うという趣旨で、厚生労働省、経済産業省の協力を得まして、環境省の主催により開催いたしました。
 その結果、現在の化審法の範囲にとどまらず、多様な観点からご意見あるいはご指摘をいただきましたので、今後のご審議の参考にしていただければと思いまして、概要について簡単にご紹介させていただきます。
 なお、当日の参加者ですが、公募によります参加者、あるいは本合同委員会の委員も含めまして約80名の参加を得て開催されております。
 3.以降で結果の概要をまとめております。
 まず、環境省から趣旨説明、化審法見直しの状況の説明の後で、各団体からの発表者より、意見をいただいております。これに関しまして3ページ以降で発表団体と申し込み時の内容というものも紹介しておりますので、適宜ご参照いただければと思います。
 また、委員に事前にご案内しておりましたが、環境省のホームページで当日の発表のパワーポイントの資料なども掲載しておりますので、お時間がありましたら、ぜひそちらもご覧いただければと思います。
 意見発表の内容でありますが、まず1つ目のご意見につきましては、ナノ物質の管理についてでございました。これにつきましては、市民の参加のもとに、予防原則に基づく法的強制力のある管理が必要であろう、化審法の改正ではなく、「ナノ物質管理法」のようなものを制定して管理すべきだというご提案をいただきました。
 2つ目のご意見といたしましては、化学物質の総合管理体系を実現するためには、法律、行政、評価機関の一元化による管理能力の強化、国際整合性の確保を図る必要があるということで、具体的に「化学物質総合管理法」の制定についてご提案いただきました。
 3つ目の団体からのご発表ですが、予防原則等の明記、既存物質対策の強化など、具体的に化審法の改正ポイントにつきましてご提案いただいております。また、それに限らず、化学物質管理一元的組織の設立などを含めた「化学物質対策基本法」というご提案をいただいております。
 4つ目のご発表ですが、まず、ビジョンを明確にすべきだ、省庁の所管にとらわれず化学物質管理体系を包括的に見直すことが必要である、また、市民の理解促進のための平易な情報提供が必要であるというご指摘をいただきながら、幅広い関係者の参加によってSAICMの国内実施計画の策定をすべきだというご提案をいただいております。
 5つ目の発表でございますが、省庁の権限の枠を外した化学物質総合管理を行う仕組みが重要であろう。また、情報開示も重視すべきだ、「消費者庁」の設立に向けた動きなどが参考になるのではないか、こういったご意見をいただいております。
 その後、意見交換ということで、発表者相互の意見交換、あるいはフロアからの意見提出などという形で進めさせていただきました。その概要につきまして2ページにまとめております。
 意見交換時にいただきました発表者からのご意見といたしましては、化審法、化管法の見直しを行う前に、現在の法体系が最善であるのか、そこをまず議論するべきだというご指摘です。
 2つ目といたしましては、欧州のREACH規制に倣いまして、我が国の化審法等の見直しでも、まず「白書」をつくってビジョンを明確にすべきであるというご指摘をいただいております。
 さらに、その下3つ目といたしまして、広く国民の声を聞きながら、化学物質管理に関する現状分析、そこで現状と課題を洗い出す作業を経て、SAICMの国内行動計画に反映させるべきというご指摘、あるいは化学物質のリスクに関する情報を一本化し、気軽に市民が得ることができるようにという情報提供の観点からのご指摘、あるいは化審法の中で予防原則または予防的取組方法というのをどのように具体的に適用するのかということが重要であるということ。また、制度としては、国外から見てもわかりやすい制度が必要である。そのために中核となる法律と機関を新設すべきだというご指摘をいただいております。
 また、フロアからいただいたご意見といたしまして、化審法などの検討は一旦やめて、まずは化学物質対策の抜本的な検討を始めるべきではないか。
 あるいは化審法の中で、環境影響の比重が物足りない、あるいは天然物を除外すべきではないという内容。
 あるいは米国のTSCA、有害物質管理規制法などに比べまして、Japanチャレンジプログラムによる基準、化学物質の収集につきましては法的な枠組みがないため限界があるのであろうというご指摘。
 あとは、市民に広くハザードデータ等を共有、情報公開していくべきだというご指摘。
 また最後に、こちらは消費者の相談を受けている方だったのですけれども、化学物質による被害に関して消費者からの相談などに応じられる窓口を設けることも検討してほしい、このような幅広いご意見をいただいたということであります。
 簡単でありますが、開催結果につきましては以上です。

○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 ただいまのご説明につきまして、先ほど事務局のほうから報告のあった資料2、3も含めて、何かご意見、ご質問等ありましたら伺いたいと思います。
 ご発言をなさる方は、ネームプレートを立てていただければと思います。
 よろしゅうございますか。もしなければ、時間の関係もございますので、先に進めたいと思います。
 それでは、続きまして議題2でございますけれども、「今後の化学物質管理の在り方について」です。
 まず、事務局から資料4「2020年目標を踏まえた化学物質管理に係る国内外の動向について」説明をお願いいたします。

○環・木野補佐 お手元の資料4になります。こちらを用いまして「2020年目標を踏まえた化学物質管理に係る国内外の動向について」ということで事務局からご説明させていただきます。
 まず、第Ⅰ部が、国内における関連制度となっております。
 最初にご紹介しているのが化審法でございます。
 この中身につきましては、これまでのワーキンググループなどでもご紹介してまいりましたので、ごく簡単に触れさせていただきますが、まず1ページ目に、「化審法の概要」というフロー図を載せております。
 既存化学物質、新規化学物質というカテゴリーがございまして、それぞれ安全性点検、事前審査を経て、監視化学物質あるいはその後、特定化学物質といったカテゴリーに判定され、それぞれに応じて管理がされるという体系になっております。
 めくっていただきまして、「化審法における化学物質管理」という表がございます。ここでは、それぞれのカテゴリーが、どういう管理体系になっているかというご紹介です。
 監視化学物質になったものにつきましては、製造・輸入量を届け出るという仕組みになります。さらに、第一種特定化学物質、第二種特定化学物質になりますと、製造・輸入あるいは使用というところでの制限がかかってくる、こういった化学物質管理体系になっています。
 続きまして、3ページです。
 2.既存化学物質点検とJapanチャレンジプログラムということで、主に既存化学物質の点検状況についてのご紹介になります。
 化審法制定以前から製造・輸入が行われてきました、いわゆる既存化学物質につきましては、国が中心となって安全性情報の収集をしてきたという体系になっております。
 具体的な点検の状況につきましては、(1)既存化学物質点検の状況ということでグラフにしております。
 この国による点検に加えまして、平成17年6月から「官民連携既存化学物質安全性情報収集・発信プログラム」、いわゆるJapanチャレンジプログラムというのが開始されております。これは、官民一体となりまして、既存化学物質に関するより広範な安全性情報の収集・発信に関する取組を進めるといったものであります。今年6月にこのプログラムの推進委員会が開催されまして、そこでの助言等も踏まえまして、3省による中間評価案が取りまとめられております。それが3ページの中ほど少し下、(2)Japanチャレンジプログラムと中間評価(案)についてというところで概要を載せております。ここにつきましては、後ほどの論点の中で、今後のハザード情報収集のあり方というところとも関連いたしますので、少しお時間をとって説明させていただきたいと思います。
 まず、1.Japanチャレンジプログラムの概要と進捗状況であります。
 Japanチャレンジプログラムにつきましては、既存化学物質に対しまして、平成20年度までに優先して安全性情報を収集・発信すべきとされました「優先情報収集対象物質」について安全性情報の収集・発信を行うというものでございます。
 この優先情報収集対象物質でございますが、1,000トン以上の国内での生産・輸入実績があります有機化合物を対象に645物質が選定されております。また、この情報の収集に当たりましては、国と産業界が連携するということ、あるいはOECD等の海外の取組による情報も活用するということで、国内外での協力をしながら進めるという体系になっております。
 この優先情報収集対象物質のうちで、海外のプログラムにおきまして情報収集が行われている物質が、今年6月時点で532物質ございました。すべての対象の中から、この情報収集予定のものを除きますと126物質になります。こちらが国内の企業に対してスポンサーを募集して情報収集をお願いするという対象になります。
 6月時点でありますが、この126物質の中で89物質につきまして、また、このスポンサー対象の優先情報収集対象物質リストの外でありますが、3物質についてそれぞれスポンサー登録がありました。合計92物質につきまして、100を超える企業・団体からスポンサーとしての参加・協力が得られている。概要はこのような状況になっております。
 なお、この中間評価(案)でございますが、現在、パブリックコメントをかけております。その結果を踏まえまして、中間評価として確定した後、3省といたしましては、さらなるスポンサー呼びかけなどのフォローアップを実施する、このような予定になっております。
 3.中間評価の内容についてということで、概要を紹介しております。
 まず、(1)ブログラム全体の評価でございますが、こちらにつきましては、産業界と国の連携によるプログラムの推進という観点におきまして、当初の提案より遅れが見られるものの進展はしている。プログラムは全体としては適切な枠組みであったという全体の評価となっております。
 その後、(2)といたしまして、事業者及び国の取組の評価ということで、それぞれの各論的な評価がございます。
 事業者の取組といたしましては、本プログラムの趣旨・目標につきまして、事業者から多くの理解、賛同が集まった。スポンサーとしての適切かつ妥当な協力がなされてきたという評価がまずございます。
 ただし、本プログラム開始後3年を経過した時点におきまして、スポンサー未登録物質が残っているということ、あるいは安全性情報の収集が終了して報告書が提出された物質が少数にとどまっているという進捗の遅れがございまして、その点につきまして、自主的取組のインセンティブが働かないことなどがプログラムの問題点であろうというご指摘もございました。
 続きまして、5ページに移りますと、B)国の取組というものがございます。
 国につきましては、政府内、事業者との連携の中で、必要な取組を行ってまいりましたが、情報につきましては、先ほども少し触れましたが、当初は平成20年度末というところの期限で情報の収集・発信をするというスケジュールでしたが、当初提案の期限内に収集・発信を終える見込みに至っていない。そのため、期限を再設定し、計画的に情報の収集・発信を行うことが必要という指摘になっています。
 また、前回のワーキンググループでもご紹介いたしましたが、3省共同の化審法データベースである「J-CHECK」を公開しております。これについての改良、あるいは今後このようなプログラムを進めるに当たって、優先取組物質リストの作成について、ベースとなる製造・輸入量の調査、これが現在承認統計になっておりますが、こちらの正確な把握方法等の検討など、リストの作成方法の検討が必要であろうという評価がございました。
 (3)今後の進め方でございますが、まず、国は今年度中につきましては、引き続きスポンサー獲得に向けた働きかけを継続いたします。またJ-CHECK、データベースでございますが、これにつきましては、情報の充実及びユーザーの利用しやすさの観点からの改善を図るということになっております。
 また、この安全性情報につきましては、海外に向けた情報発信の強化、OECDプログラムへの貢献なども行っていくということになります。
 また、次の○ですが、これは当初のプログラムには入っていなかった内容になります。このプログラムにより得られました安全性情報につきましては、平成24年度を目途に、国が化学物質の有害性の評価を実施するということで、単に情報を集めるだけではなくて評価まで行うということになっております。そのために、スポンサー企業につきましては、できるだけ早期に、遅くとも平成23年度中に提出するよう協力を依頼することになります。
 また、このプログラムが終了後、来年4月以降の取組につきましては、このプログラムの経験と成果を踏まえまして、この審議会などにおける化審法見直しの検討状況を見つつ検討していくということになります。その際には、新たに1,000トン以上、高生産量となった物質を考慮する、あるいは必要に応じて無機化学物質の扱いも検討するなどの改善の余地があるであろう、このような内容で今後進めていくということになります。
 これらがJapanチャレンジプログラムの中間評価(案)の内容になります。
 続きまして、ページをめくっていただきまして、6ページ以降が国際的な動向の紹介になります。
 最初にご紹介しておりますのが、1.で、2002年に開催されました持続可能な開発に関する世界サミット、いわゆるWSSDにおける目標であります。
 このWSSD2020年目標につきましては、これまでも何度もご紹介しておりましたが、「予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価・管理手順を用いて、化学物質が、人の健康と環境への著しい影響を最小化する方法で生産・利用されることを、2020年までに達成する」。この合意を踏まえまして、2006年にはSAICMが採択されている。その後、国内におきましても、国内実施計画の策定が現在検討されている。このような状況でございます。
 ページめくっていただきまして、2.OECDにおける既存化学物質の点検プログラム、高生産量化学物質安全性点検プログラムの紹介です。
 こちらにつきましては、1992年から開始されたものです。加盟国及び化学物質の製造事業者などが分担して、化学物質の有害性情報、SIDS項目と呼ばれております、スクリーニング・インフォメーション・データ・セットの内容を分担して収集・評価をするというものでございます。
 進捗状況につきましては、2004年までに約500物質の初期評価が終了している。2010年までに新たに1,000物質についてデータを収集する。また、日本はこれまでに180物質に貢献しているという状況でございます。
 9ページには、これまでの進捗状況をまとめておりますが、このOECDのプログラムにつきましては、SIAMと呼ばれます専門家によるレビューがございます。情報収集された有害性情報は、専門家のレビューを経て公表されるということで信頼性の担保が図られているということであります。
 続きまして、ページをめくっていただきまして、3.北米の取組について紹介しております。
 北米の取組でございますが、米国、カナダ、メキシコの3カ国におきまして、昨年開催されました北米3カ国リーダーズサミットにおいて、それぞれ目標年次を定めて化学物質の評価と管理の取組を加速・強化することが発表されております。
 具体的には、その下、3-1.北米における地域連携でまとめております。
 文章の中ほど、「具体的な内容としては」ということで紹介しておりますけれども、まず、2012年までに行う取組としまして、米国につきましては、国内で2万5,000ポンド、約11トンという分量に相当いたします。約11トンを超えて製造されている既存化学物質について評価し、必要な措置を着手するということを国際公約とするということになっております。
 カナダにつきましては、カナダの最優先物質についての評価及び規制措置を完了するとともに、中程度の優先物質についての評価に着手する。これらが2012年までに行うものとして合意されております。
 2020年までに達成する事項といたしまして、例えば、3カ国すべてにおける工業化学品のインベントリーの作成及び更新をする。このようなことが合意されているということであります。
 ページをめくっていただきまして、3-2.米国の取組で、具体的に米国の取組について紹介いたします。
 アメリカの化学物質管理体系につきましては、TSCAに基づきましてやられているということであります。
 また、100万ポンド以上(450トン以上)の高生産量化学物質につきましては、HPVチャレンジプログラムも実施されているところでございます。
 また、2008年3月には、EPAにおきまして「化学物質アセスメント・管理計画(ChAMP)」というものが公表されております。この中身につきましては、先ほどご紹介した北米3カ国のもとでの公約の内容を含んでおるものでございます。SPPの下での米国の公約といたしまして、こちらは先ほどご紹介したとおりです。11トンを超えて製造される物質につきましては、高生産量のもの、中生産量のもの、それぞれ入手されるデータに基づいて有害性の評価、スクリーニングを行って必要な措置をとっていくということが定められております。
 また、既存化学物質対策の強化ということも幾つか触れられておりまして、例えば、高生産量の無機化学物質につきましても、今後、優先順位づけ、必要な措置に関して着手することを検討していく。あるいはTSCAのインベントリーにつきましても、今後新たに見直していく、このような内容が先ほどのChAMPには盛り込まれております。12ページにはそれを模式図的に示した内容を載せております。
 続きまして、3-3.カナダの取組になります。
 カナダにつきましては、カナダ環境基本法に基づきまして化学物質の管理がされているということになります。
 また、既存化学物質の取組につきましては、カテゴライゼーションということで、約2万3,000の既存化学物質につきましてスクリーニングをするということを行っております。
 この概要につきまして、14ページになります。14ページにフロー図がついておりますので、こちらでご紹介させていただきます。
 カナダのカテゴライゼーションのアプローチですけれども、既存化学物質が約2万3,000あります。その化学物質につきましてばく露の観点、あるいは人、人以外の生物に対してのハザード情報、そういったものを対象にいたしまして、スクリーニング評価をまず行うというアプローチであります。そのスクリーニング評価の結果、この計画の中では、さらなる措置はないという低リスクのグループ、さらに、今後リスク評価を進めていくべき物質という形のスクリーニング、優先順位づけがされます。4,300物質が、さらなる取組が必要とされたカテゴリーに入っておりまして、その中が、さらに低優先、中優先、高優先という形で3つに優先づけがされている。現在は特に高優先の物質につきまして、2011年までにリスク管理措置が適用されるということで、これらの物質につきましては有害なものであるか、優先物質リストに掲載し詳細なリスク評価を行うものであるか、さらなる措置が必要ないものであるかといったことを今後決めていく、こういったスクリーニング手法がとられているということであります。
 最後になりますが、欧州の取組ということで、15ページになります。
 欧州につきましては、2006年12月にREACH規則が成立しておりまして、こちらで段階的な施行、2018年5月までに化学物質の登録完了を予定するというスケジュールで進めております。
 何度もご案内ありましたが、REACHについてこのような特徴を持つということで3点ほどまとめております。
 1つ目として、一事業者当たりで年間製造・輸入量が1トンを超えるすべての既存化学物質及び新規化学物質について登録を義務づける。10トンを超える化学物質につきましては、化学物質安全性評価報告書の作成と提供を義務づけるという内容になります。
 また、PBT(残留性・蓄積性・毒性)がある物質、あるいはCMR(発がん性・変異原性・生殖毒性)がある物質などにつきましては、認可あるいは制限という仕組みにおきまして利用などを制限しつつ、代替化を促進するというスキームになっております。
 また、化学物質の安全性等に関する情報のサプライチェーンを通じた伝達、消費者への伝達など情報の流通の強化もございます。
 最後、17ページでありますが、登録のスケジュールということで簡単な模式図を載せております。
 今年6月から予備登録が始まっております。今後、製造・輸入量、のトンネージごとに登録、登録というのは、有害性情報を含む技術書類一式の提出も必要ですが、トンネージごとにそれぞれスケジュールが決まっておりまして、最終的には2018年までに登録を完了する。欧州につきましてはこのようなアプローチがとられているということでございます。
 説明は以上です。

○佐藤委員長 ただいま「2020年目標を踏まえた化学物質管理に係る国内外の動向について」ご説明がありました。
 議論は後ほどしていただくことにして、ここでは、もし事実関係の確認等必要なことがございましたら質疑をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 このJapanチャレンジプログラムでございますけれども、まだ少し足りないところがあるかと思います。随分進んでおられて大変結構だと思います。
 1つ補完したいのは、3ページにあります既存化学物質点検の状況について、昭和50年からずっと件数が並んでいるんですけれども、これに関しては、先ほどのお話だと、平成24年度とかにばっとたくさん出てくるという、そういうことになるのでしょうか。この後の予測される点検の状況というのはどういうふうになるかおわかりでしたら教えていただければありがたいと思います。

○佐藤委員長 では、これは事務局のほうから。

○環・木野補佐 3ページの(1)の表につきましては、これは国がみずから安全点検を行っている状況でございまして、こちらにつきましては、引き続きこのようなペースで行われていくと思います。
 先ほどの24年度以降といいますのが、Japanチャレンジプログラムの国と民間事業者の連携による情報収集のプログラムでございまして、これにつきましては、今後、情報がさらに集められて、さらに国による有害性評価が実施されて、さらにハザード情報の発信が進んでいくということになります。ですから、(1)のグラフと(2)以降の点検につきましては、両方既存化学物質の点検ではありますが、2つの取組で今パラレルに動いているということでご理解いただければと思います。

○大塚委員 そうすると、5ページの(3)の国の有害性評価の実施というのも、これは(1)と同じではないということなのですね。

○環・戸田室長 そこは、Japanチャレンジの中間評価の中では、今後の進め方として、4月以降の取組については化審法見直しの検討状況を見つつ検討するということになっておりまして、これまでJapanチャレンジにのって情報収集されたものについて評価はしていくということですけれども、これをその評価結果を踏まえて、例えば、審査会において監視化学物質等々の判定をするかどうかということにつきましては、もう少しそれぞれの物質によって判断をしていくことになろうかと思いますので、若干既存化学物質の点検に役立っていくということは確かかと思いますけれども、この辺の関係を今後の化審法の制度の見直しにおいて、こうした状況も踏まえてご審議をいただきたいというふうなことでございます。

○佐藤委員長 若干わかりにくかったところがあると思うのですけれども、よろしいですか。
 中地委員、どうぞ。

○中地委員 2点、7ページなのですが、(3)フォローアップで、「我が国では、関係省庁連絡会議を設置、国内実施計画の策定につき検討中」ということですけれども、省庁連絡会議で設置されているのは存じ上げていますが、結局、産業界や市民も含めて、関係者による国内実施計画というものをつくられる予定があるのか。特に来年、第2回のフォローアップのミーティングもあるようですから、その辺、国のほうとしてはどうお考えなのでしょうか。

○佐藤委員長 これも事務局で。

○環・戸田室長 SAICMの国内実施計画にきましては、2009年5月に第2回のICCMが開催されます。その前につくることができるかどうかは、なかなか難しいかなという気がしております。ICCMに向けては、SAICMに基づく取組の実施状況について報告は当然していくんだろうと考えておりますけれども、国内実施計画ということにつきましては、やはり化学物質管理制度をどうするかということも踏まえた検討が必要かと思いますので、この制度の検討を経まして、その後検討していくということになるのかなというふうに今のところは考えているところです。

○佐藤委員長 よろしゅうございますか。
 他に何かございますでしょうか。もしなければ、次のほうへ進みたいと思うのですけれども、それでは、引き続き事務局から、資料5「今後の化学物質管理の在り方(論点メモ)」、今日の一番大事なところというか、本体になるかと思いますけれども、それについてまずご説明いただきたいと思います。

○経・羽田補佐 それでは、ご説明いたします。
 資料5をご覧ください。今回は、「今後の化学物質管理の在り方」について論点メモを用意いたしました。
 先ほどもご説明がありましたが、WSSD(持続可能な開発に関する世界サミット)2020年目標で定められている目標を達成するために、化審法の体系、それから具体策がどのような形で必要となるかという点についてご議論いただきたいと考えております。
 詳しくは5点ございます。
 1点目は、2020年目標の再確認です。
 具体的にこれを踏まえるとすると、2020年までに、我が国で製造・使用されている化学物質のリスクを評価し、リスクに応じた管理がなされている状態を実現すること、これがWSSD目標を実現するために必要なことではないかという点でございます。
 2点目は、段階的なリスク評価体系の構築についてです。
 資料の最後のほうに、裏表で1枚ずつスキーム図がございます。こちらをご覧いただければと思います。
 資料の裏、最後のページに現行法の模式図が書いてございます。現行の化審法におきましては、まず、ハザードの観点から監視化学物質、2監、3監という箱がありますが、これを指定し、これらの監視化学物質に対し製造・輸入数量の届出を求めてリスク評価の対象としております。このような現行の枠組みは、これまで相応の役割を果たしてきていると考えられますが、他方で、ハザード評価が十分になされないまま使用されている既存化学物質が多く存在するということも事実でございます。
 他方で、これらの既存化学物質に関しまして、ハザード情報を新たに取得していくという場合には、相応の費用ですとか時間がかかるということも踏まえますと、すべての化学物質について一律に最初から詳細なリスク情報をとっていくということは迅速性、効率性の観点から合理的ではないと考えられるのではないか。こういった点も踏まえまして、1ページ手前、もう一つ図がございますが、「改正後」の図であります。こちらのフロー図のようなものを提案いたしました。
 まずは、このフロー図におきまして、上市後の既存化学物質に関してご説明いたします。
 こちらに関して、ワーキングの議論でもご指摘がございましたが、基本的に、この改正後の図におきましては、一定量を超えて上市される既存化学物質すべてに対して製造・輸入数量、それから用途の届出を求め、これらすべての上市化学物質をリスク評価・管理の対象といたします。その際に、環境へのばく露量、それからハザードの既知見を踏まえまして評価を行い、その結果、リスクが十分に低いと判断されるもの、また逆に、リスクが十分に低いとは判断されず、さらなる評価を必要とするもの、これは「優先評価化学物質」という仮称をつけておりますが、この2つに分類いたします。特に、後者に関しましては、追加的に情報を収集するなど、さらに段階的に評価を進めていくこととしてはどうかということです。
 この中で、新規化学物質については、図の左側をご覧いただければと思います。上市前については事前審査がございますが、これまでのハザード評価に加えまして、上市後に想定されるばく露量を踏まえたリスク評価を行い、同様にリスクが十分に低いというもの、また、十分に低いと判断できないものを「優先評価化学物質」として分類し、リスク評価監視の対象とするという図になっております。
 以上を総合しますと、この裏表の改正前、改正後という2つの図ですけれども、改正前は、ハザードの情報が収集できるものについて、ハザードの評価の観点から監視化学物質を選定し、これをリスク評価・管理の対象としているということに対し、改正後の図においては、すべての一定量以上の上市後の化学物質に関して、ばく露の程度を判断するために届出を求め、これをリスク評価・管理の基本とするということでございます。また、このような手法は、上市されているすべての化学物質に関して、リスクに応じた適切な化学物質管理を実現するということと同時に、試験にかかる時間ですとか迅速性、効率性の観点から見ましても合理的であると考えられるのではないかと考えております。
 なお、上市前にも、事前審査において分解度試験など難分解性に係る試験というものを行っておりますが、上市後のリスク評価の管理の充実を図る観点から、必要に応じて難分解性に関する評価方法について検討を加えることとしてはどうかという点もあわせて挙げております。
 3点目は、段階的リスク評価体系における情報収集の在り方です。資料としては、2ページになります。
 今後の化審法のリスク評価体系を考える上で、どのような情報に基づいてリスクが十分に低いと判断するのかなどといった判断基準に関しては、科学的知見に基づいて明示的に出すということが望ましいと考えており、また、そういったことによって、事業者もみずからの責任において管理すべきリスクというものが具体化される。その評価のために必要となるようなハザード情報の収集も促進されるといったようなことが考えられます。
 具体的には、例えばですが、製造・輸入数量が少量である場合や、環境へのばく露が想定されないような場合については、試験によるハザード情報がなくてもリスクが十分に低いと判断できることもあると考えられます。また、こうした際に、国際的にも開発・利用が進んでおりますQSAR/カテゴリーアプローチのような評価手法、また安全性情報の提供といったような動きを踏まえまして、情報などを段階的なリスク評価において活用していくということも考えられます。
 これに対しまして、最初の評価によっては、リスクが十分に低いと判断できない「優先評価化学物質」に関しましては、これに関して詳細なハザード情報がないということを理由として、いつまでも評価できないという状態が続くというのは望ましくないと考えております。
 具体的には、先ほどのフロー図の改正後のページになりますが、中ほどの「優先評価化学物質」というところをご覧いただければと思います。ここに入った物質に関して、一定の公的な関与のもとでハザード情報、用途情報などの収集を進めることとしてはどうかと考えます。その際、まずSIDSデータの必須項目と用途情報などを基本として情報収集を行い、さらに詳細なデータが必要である。例えば、長期毒性試験などのデータの必要性が示される場合は、これらのデータを事業者に求めることとしてリスク評価の精度を高めていく。こういった段階的な情報収集を行うこととしてはどうかと考えております。
 最後の点として、PRTR法、化管法との関係ですけれども、3ページになりますが、仮にPRTRの対象物質であるならば、既に化管法によって一定のばく露情報というものが得られておりまして、それらの情報を使うことで、より精緻なリスク評価を行うことが可能になると考えます。逆に、PRTR対象物質というものは、環境を経由した人や動植物への毒性に基づいて選定されるものであるという点を踏まえますと、化審法、化管法における情報収集の目的に留意しながら、対象物質の整合化を進めていくということも一案として考えられます。
 4点目に移りたいと思います。引き続き3ページですが、リスクが高いと評価された化学物質に関するリスク低減措置に関してです。
 これは現行、また改正後におきましても、「1特」「2特」と書かれている部分ですが、段階的なリスク評価の結果、リスクが高いと評価された化学物質に関して、これらについては製造・輸入の制限、取扱いの適正化、安全性情報の伝達などの低減措置を講ずることとしてはどうか。また、難分解性、高蓄積性、長期毒性の性状を併せ持つ高ハザード物質については、ストックホルム条約、POPs条約の対象物質の判断基準に関する動向、すなわち、以前ご議論いただきましたエッセンシャルユースなどの議論も踏まえつつ、厳格な管理措置を継続することが望ましいのではないかという2点でございます。
 最後に、リスクに関する情報の公開と継続的な評価・管理の実施です。
 情報の公開は、これを利用する事業者や消費者にとっても非常に重要です。こうしたことから、国は、収集したハザード情報、また国が実施したハザード評価、リスク評価結果について、基盤整備として、国際整合性にも留意しながら、積極的に公開することが必要ではないかと考えます。
 特に、有害性が一定以上あると考えられる物質については、情報公開に加え、MSDS等による情報伝達が適切に行われる仕組みを考えるべきではないかという点も挙げさせていただいております。
 これらの取組によって、あらゆる関係者間でそれらの結果を共有しつつ、化審法の規制措置に加えて、事業者による自主管理を促進するという効果が期待されると考えております。
 資料5の説明は以上です。

○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局から説明がございましたけれども、5つ論点がございましたが、それに従って議論を進めていきたいと思います。
 今回は、先ほど申し上げましたように、4回にわたるワーキンググループの議論の締めくくりであるということであり、また、議論の結果を合同委員会に報告するということになります。このメモで先ほど申し上げましたように論点を5つに区切っておりますので、その5つの点について順次ご議論いただきたいと思います。あと、資料の最後のほうについておりました手続等のフローのイメージというのがございましたけれども、こういったものも議論の対象にしたいと思います。
 まず、最初の「(1)2020年目標を踏まえた化学物質管理の基本的な考え方」ということで、何かご発言のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 これは、国際的にもこういう流れできておりますし、何かあらがうことでもないようには思いますけれども。
 中地委員、どうぞ。

○中地委員 2005年に取りまとめられた第3次環境基本計画では、2025年ごろというふうにぼやかした形で数値目標が掲げられているので、そこは、そういう意味ではこの委員会の総意としては、2020年というWSSDの国際合意に基づいて、環境基本計画よりは少し早めるんだということを確認するのかというのがまず一つあると思うのですけれども、そうした上で、段階的にやっていくというのは、私はそれでいいと思うのですけれども、最終的には2020年ということですと、今からですとまだ10年以上あるわけですから、下の一定数量を超えてどういうふうにリスク評価をするのかということも含めて、総合的に判断をしないと、単に、2020年という目標を守ればよいというわけではないのではないかと思います。

○佐藤委員長 目標の、今はやりの言葉で言うと、実質化整理というご意見だったと思いますけれども、そういうことを踏まえた上で、一応2020年を目標とするということがここでの合意ということでよろしゅうございますか。
 どうぞ、有田委員。

○有田委員 もちろんこれで実施していただきたいなというのがあるのですが、一つには、先ほどJapanチャレンジの中にも、ここにも関連すると思うのですが、農薬のことです。法律の関係でいくとここに入っていない。総合的な管理ということで言うと、それはおかしいと思います。ここには農水省の方もいらっしゃいませんし。Japanチャレンジの中でも、農薬は外すべきだという意見も出ていて、私はそれには反対なのですが、そのことについて書いておいていただきたいなと思います。

○環・戸田室長 農薬については、これまで委員会の議論でもあったかと思いますけれども、農薬取締法に基づいて使用までの厳しい規制がなされているということで、Japanチャレンジにおきましても、もちろん農薬によって一般品の用途がある場合には化審法の対象にもなるわけですけれども、農薬についてはこれは農薬取締法の中でやるんだということで、今回の検討の範囲内ではございませんし、またJapanチャレンジにおいても、農薬については、どちらかというとデータは揃っているというところがあるかと思いますので、そちらのほうは対象外ということになるかと思います。

○有田委員 その回答は十分に理解した上で発言させていただいています。

○経・森田室長 すみません、補足いたします。
 Japanチャレンジのご質問がございましたので、少し補足でございます。
 Japanチャレンジは、義務的な手法というよりは自主的な手法ということで、実際今出しております中間評価案をご覧いただいたらわかると思うのですけれども、かなりいろいろ柔軟な手法を取り入れ得るものだと考えております。そういう意味では、どういうものを集めるかというリストをつくるところも含めまして、まだまだ可能性、余地はあると思いますので、農薬というものを規制するというのは先ほど環境省の戸田室長からありましたけれども、それはそういう規制法があるということはご理解いただいた上で、化学物質の根本に近い原料をどう管理するか、その情報をどう集めるかという中においては、こういったJapanチャレンジという手法がかなり可能性を持って対応できるということは言えると思いますので、今後の見直しの中、あるいは今後どういう展開をするかという中でまたご議論をさせていただきたいと考えております。

○環・戸田室長 もう一点だけ、2020年目標との関係という意味で言えば、もちろん化審法、化管法の見直しだけで2020年目標を達成するというわけではなくて、それは農薬対策においても2020年目標をしっかり、またSAICMをしっかり意識してもらわなければいけないということは当然ながらの説明です。その辺は環境基本計画においても、SAICMを踏まえて化学物質対策全体をやっていくんだということがありますので、ここの議論は農薬というのは対象外だというのはご理解いただいて、ただ、2020年目標の中では、それは当然入っていくんだよというご理解でよろしいのではないかと思います。

○佐藤委員長 よろしいですか。
 では、まだいろいろご意見あると思いますけれども、もしよろしければ、次のほうへ進みたいと思うのですが。
 「(2)段階的なリスク評価体系の構築」についてご議論いただきたいと思います。資料5に該当部分が記述されているポイントとともに、手続フローのイメージというのを先ほどご説明いただきましたけれども、これも含めてご意見いただきたいと思います。
 北野先生、どうぞ。

○北野委員 今回のご提案の中では、優先評価化学物質というのが目玉だと思っております。私の持論で、事前審査と事後管理で化学物質の安全性を確保するという意味では、この考え方に私は賛成しているものです。  特に大事なことは、低リスクのものについて、これを全く除くのではなくて、保留というような形で、ウエイティングリストみたいなところに入れておく。いつでも必要に応じて優先評価のほうに持っていくという、そういうスキームがきちんと確保されているので結構かなと思っております。

○佐藤委員長 低リスクだからといって野放しというのは言い方は悪いですけれども、そうならないようにということだったと思いますが。
 どうぞ、篠原代理人。

○後藤委員代理(篠原氏) 今、北野委員のおっしゃったことの逆を考えますと、優先評価化学物質に入っているものでも、状態が変わって、生産量も使用量も非常に少なくなり、全体のリスクがかなり低くなってきたときには、優先評価化学物質から場合によっては外れることもある。また、低リスクのものが新しく入っていく可能性もある。そういう柔軟な動きができるというふうに理解してよろしいんですね。

○佐藤委員長 逆の場合もあるということで、ダイナミックに考えたほうがいいんだろうということだったですけれども、どなたかご意見ございますか。
 それに関連したことですか。

○関澤委員代理(吉田氏) 関連しています。

○佐藤委員長 どうぞ、関連したことで。

○関澤委員代理(吉田氏) 関澤委員の代理の吉田と言います。
 後ろの2つの図を見ていただきますと、説明にもありましたけれども、違いが明確にあります。段階的評価の構築という点では、段階的には同じ段階的ではないかと思いますが、ハザード評価を先にしていたものを、製造・輸入量と用途の届出を先にすることで、これは多分、毎年事業者からデータを取るということになっていくと思います。毎年届出の評価ができる状況になるということです。これは非常に予防的というか、常にそういうものを監視状態に置いていくということになりますから、今、お話がありましたように、常にそういうリスクを見直すという作業を行うことができる。ここでプラスアルファのところは、そういう作業をするということは国に、また私どもも、これは鉄鋼業界も多分届出ということになりますから、非常に負荷が出てくるわけですね。だから、今PRTR法でかなりそういう負荷が出ているということと同じですけれども、事業者も協力していかなければなりませんので、リスクをきちんと評価できるような枠組みを、例えば製造量がダブルカウントされないとか、そういったようなことを前提に一次評価できるような仕組みをつくるということが大事だと思います。そうすることで、常にリスクを評価できるという体制になる。仕組みとしてはいい仕組みだと思います。

○佐藤委員長 情報の精緻化を図るということだと思いますけれども、中地委員、どうぞ。

○中地委員 今、優先評価化学物質という形で出ているんですけれども、これは関澤委員の代理の方のお話がありましたけれども、一応毎年、製造・輸入量、用途等の届出をするようになれば1年ごとに見直しができるんだというお話があったのですが、冒頭の2020年目標との関係で、優先評価化学物質のリストというのをいつつくられるのかということをはっきりさせていただきたい。今ここにあります改正後のイメージで言うと、上市後、既存化学物質、審査後公示物質というのは、既存化学物質自体、1973年の化審法改正時に既に使われていたということで、2万物質ぐらいあって、審査後公示物質というのは、2003年の生体影響に関する化審法改正があった以前のものを指して、1973年~2003年の間に新規化学物質として登録されたものということで挙げられていて、全部で恐らく4万とか5万種ぐらいになるわけですけれども、それを、例えば、当初一次リスク評価が進まない間は、すべて優先評価化学物質として登録をする。一次リスク評価が進むごとにその数が減っていくというふうに理解してよろしいのでしょうか。

○佐藤委員長 これはご質問もあったかと思うのですけれども。

○環・戸田室長 その前の篠原委員のご質問にもありましたけれども、それもあわせて答えさせていただきます。
 従来の優先評価化学物質制度というのは、そっちから外れるということもあるという従来のものかということにつきましては、手続フローのイメージを見ていただきますと、リスク評価を経て低リスクと判断された場合には、戻るという矢印もございますので、そういう柔軟性を持ったものであるということはご理解いただきたいと思います。
 いつ、こういうリストをつくるかということになりますと、これはなかなか難しいご質問で、もちろんこの法を施行して、今の第一種特定化学物質をどういうふうに優先評価化学物質のほうに移行していくのかという観点からは、割と短期間で何らかの判断をして優先評価化学物質というところに今までの監視化学物質を持っていくということになろうかと思うのですけれども、では、この評価がいつ完全なものになるのかといいますか、既存化学物質にまで化学物質をいつの時点で全体を評価して、これを持っていくのかということになると、これはなかなかそんなにすぐにはできないといいますか、例えば、REACHにおいても、全体の登録が済むのは2018年ということになるということもありますので、そんなに短期間の作業にはならないと思いますので、イメージとしては、既存化学物質また審査後公示物質も含めればもう少し2万9,000ぐらいになるかと思いますが、そのくらいのものの中から順次一次リスク評価をしていって、優先評価化学物質も年々増えていく。その中からどんどん二次リスク評価、三次リスク評価ということで管理体制の物質を絞り込んでいくという、そういうイメージになろうかと思います。

○佐藤委員長 よろしいですか、中地委員。
 では、中西先生、どうぞ。

○中西委員 このサイクルを動かすということは非常にいいと思いますが、やはり余りにも作業が多くなってしまうということは逆の効果になってしまうので、その辺はある程度現実的なことをもう少し、この次の委員会とか、もっとあれなので考えていただくということがいいんじゃないかな。
 例えば、毎年報告する必要があるのかどうかということも、5年に一遍でいいとか、製造・輸入量とか用途とかについても、そういうのでもいいんじゃないかとか、あるいは一定量の上市数量以上のものについて報告とありますよね。そこの一定量の上市量というのと報告量との関係というのは、実は矛盾しているというところもあるので、そのあたりのところはやはりここの中に過度の作用を生まないようにということも重要なこととして加えたほうがいいんじゃないかなというふうに私は思います。
 それから、一番最後の2行の難分解性の何とかというのは、前から私がこだわっていることなんですけれども、やはり難分解性という化学的な特性と、現実に量と分解性や環境の条件で残っているということは、サイエンスからいってやはり別なので、たまたま残っているというものを難分解性として片づけてしまうことは、化学の原理から納得できないということで、それはぜひ注意して言葉を使っていただきたいと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 非常に現実的に考えなければいけないというご指摘だったと思いますけれども、他にどなたかご意見。
 大塚委員、どうぞ。その後、浅田委員お願いします。

○大塚委員 私も今、中西先生がおっしゃったのと似たようなことは気にはしていたんですけれども、毎年この作業をするというのはどのぐらい大変なのかというのは、報告される企業の方もそうですけれども、国とかもかなり大変なのではないかということを思うのですが、他方で、これは今まで、最初はハザードの評価しかしていなかったのを、リスク評価を第一次的なところからするという大きな転換をすることをお考えだと思いますので、それは5年ごととかになると、5年で物質の生産量とか変わると思うので、やるんだったらやはり毎年やらないといけないんじゃないかと一方で思うんですけれども、かなり作業量は多くなるかもしれないので、その辺について何かもしお考えがあったらご指摘いただけるとありがたいと思います。私はそういうふうにかなりアンビバレントに思っていますが、リスク評価というふうに転換するのであれば、やはり毎年やらないとまずいのかなというが私の意見ではあります。

○佐藤委員長 この辺何か見通しみたいなものがあればというお話だったんですけれども、事務局として特に。

○環・戸田室長 その点は、この図は今回のご議論のためにたたき台として出したものでございますし、現時点で事務局から毎年だとか、何トン以上だとかというところは、むしろこの場でご議論いただきながら、だんだん決めていくものかなと思いますので、現段階では我々のほうからは……。

○佐藤委員長 浅田委員、どうぞ。

○浅田委員 多分、皆様議論されていることは一緒だと思うのですけれども、私たち企業でREACHに対応していますと、REACHは単に重量の量だけで議論しているんですけれども、今回の制度のご提案の中、当然、既存化学物質といってもハザードの情報等も背後にあるわけですよね。そういったハザードの情報と量を重ねて、リスクを見ながら優先度をつけていただくというのが私たち企業にとっては非常にリーズナブルになるだろう。ただ、実際の先ほどから議論になっているワークのマスの量ですね、仕事量のことは、そこはもうひとつ現実的な、これを決めていただければもっと動くような仕組みになるんじゃないかなと思うので、ご配慮をお願いしたいと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 確かに、現実的にやるためには、かなりいろいろ議論を詰めていかなければならないところがあるんだろうと思いますけれども、北村委員、どうぞ。

○北村委員 今回新しく出されましたスキームですけれども、現在のスキームよりはかなり精緻化されているというふうに思います。ただ、この中でちょっと気になるのは、先ほど、戸田室長が答えられた中で、新しいスキームの優先評価化学物質と現在の第二種、第三種の監視化学物質の関係なんですけれども、これは全部第二種、第三種がここに行くというわけではなくて、第二種、第三種が、どちらかというと一次評価を先に済ませて、その判定を先にやると、そういう理解でよろしいのでしょうか。それとも、2監、3監がここに入るという意味でしょうか。

○環・戸田室長 これはまだこの場でいろいろご議論いただく中でだんだん決まっていくことなのかなと思いますけれども、一つの考え方としては、2監、3監というのは、スクリーニング的なハザードがあるということは明らかなので、少なくとも2監、3監で、かつ生産された物質については、優先評価化学物質に入るというのは普通の考え方かなという気がしておりますが、その辺は今後の運用かなと思います。

○佐藤委員長 中西先生、どうぞ。

○中西委員 この2監、3監というのは、基本的にハザード情報だけで決まっているものですよね。今回の優先評価化学物質というのは、やはり簡易的なものであれ、リスク評価をしていくものですから、基本的に違うもの。もちろんリスクの高いものの可能性はすごく高いとは思いますが、そこはやはり基本的に違うというふうに考えるべきだと私は思います。

○佐藤委員長 白石委員、今のことに関係して。

○白石委員 はい、今のことと関係あるのですが、先ほども難分解性について気をつけろというご発言があったと思うのですけれども、ここをリスクベースにするということなので、例えば、既存化学物質では難分解も良分解もわからないようなものに対して登録させるということであるとすれば、新規化学物質に対して同じような考え方をもし持っておるとするならば、ここに関して良分解だと、今は何もリスク評価をしないということになっているか、そういうことではないと理解してよろしいですか。
 一次スクリーニングのところで何らかの判断基準が多分入ると思うのですけれども、良分解に対しては10倍掛けるのか20倍掛けるのか知らないんですけれども、今まで良だったら何もしないということではないと、リスク評価をするということでよろしいでしょうか。

○佐藤委員長 よろしいですか。
 では、中地委員、どうぞ。

○中地委員 優先評価化学物質のリストをどういうふうにつくるかということで、今、2監、3監の話が出たわけですけれども、2監に入っている物質については、いわゆる3監相当の生体毒性については評価されていないわけですから、その辺どういうふうにするのかというのもありますし、あとは冒頭説明されていたJapanチャレンジプログラムとの関係で言うと、要するに、年間1,000トン以上製造されているものでも、まだリスク評価が終わっていないということを考えると、ある程度ばく露の可能性という観点から、製造量の多いものを優先するという考え方もあるとは思いますので、そういうことも含めて検討を願いたいと思います。

○佐藤委員長 今までと考え方が、がらっとでもないけれども、かなり違うわけだから、今までの2監、3監がそのまま横滑りするというわけではないんだろうと思うのですけれども、大体そういうご意見でよろしいですか。

○経・森田室長 すみません、少し補足をよろしゅうございますか。

○佐藤委員長 どうぞ。

○経・森田室長 2監、3監と優先評価化学物質の概念が少しまざっておりますので、そこは今回整理をしたいと思っております。
 先ほど来、2監、3監として言われているハザード情報の扱いですけれども、要するに、ハザードのある一部分について評価が済んでいる既存物質、あるいは公示物質というふうにまずご理解をいただく。そういった評価をした結果については、当然ながら、もう既に公開されているものですし、私どもでつくっているデータベース等々でも毒性情報はちゃんと開示をしておりますので、見る人が見れば、これはちゃんとこういう毒性を持ったものであるというのは、ハザードとしてはわかるということでございます。
 他方、リスクを評価する場合は、それとばく露をかけていくというところは、先ほど来のご指摘どおりであると考えております。

○佐藤委員長 他に何か、(2)について。
 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 (3)のところとも関係してしまうんですけれども、毎年やることが作業量が大変かという話もさっきの話の続きですけれども、PRTRの対象物質とかなり重なるのであれば、毎年PRTRのほうをお出しになっているので、プラスアルファの情報はもちろんあると思いますが、そういう意味ではそんなに大変ではないというふうに考えてもよろしいのでしょうか。これは製造・輸入数量なので直接関係しないんだろうとは思いますけれども、物質としては管理はされているものだというふうに考えてよろしいのかというのが、申しわけありませんけど。

○佐藤委員長 PRTRとの重なりぐあいはどうかというご質問ですか。

○大塚委員 それとの関係で、ばく露量を出すことはそれほど大変ではないというふうに考えてもよろしいかどうかですが。

○環・戸田室長 ここで既存化学物質について製造・輸入数量の用途の届出とあるのは、既存化学物質全体を対象としておりますので、PRTRの対象物質というのは今度追加された四百数十物質になる物質よりははるかに多いということで、作業としてはもちろん、企業の化学物質関連の中で一括した管理システムというのがあるかもしれませんけれども、余りリンクはないのかなという気がいたします。

○佐藤委員長 そういうことになるでしょうね。
 他に、この件に関していかがでしょうか。
 そうしますと、今までのご意見は、やはりこれ概括的にはいいけれども、一つは、柔軟に考えておいたほうがいいんだろう。ただ、もう一つ、どれくらいの頻度で報告を求めたり、あるいは優先評価化学物質(仮称)、そういったものを決め直すのかということについては現実的にならなければいけないだろうというようなご意見だったと思いますけれども、そういうようなことを、この論点メモに書いてあることにつけ加えてこの場のご意見とさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
 林先生、失礼しました。

○林委員 確認なんですけれども、先ほどご説明の中で、一定数量を超えて上市されているすべての化学物質の一定数量というようなことも、ここで話をして決めていくんだ、というような話があったと思います。その一定数量の線引きというのは、現行の化審法の中でもいろいろ問題視されたところで、その辺をどういうふうに決めていくのか重要だと考えるのですが、具体的な線引きの値、例えば1トン、10トン、をどこでどういうふうに決めていくのかについてはどういうふうにお考えなのでしょうか。

○経・森田室長 ワーキンググループの役目というのは、いろいろ論点の整理と、それからどういう制度があるかというところで、一通り頭の整理をしていただくということで考えておりまして、今のご指摘の話は、今後の全体会合等々の場でもう少しそれについての意見集約をするということはあるかと思います。そういう意味では、この場で決めていただくということではないと思います。

○佐藤委員長 ただ、意見は出してもいいということですよね。

○経・森田室長 参考になる……。

○佐藤委員長 篠原代理人、どうぞ。

○後藤委員代理(篠原氏) 今、新しい優先評価化学物質という概念が出てきました。最終的にリスク評価をやっていくときに、かなりの数があって、どれだけ労力がかかるのかという議論もありましたが、私どもとしても、先ほどの何トンという数量ベースでどれだけできるかということでかなり労力が変わってきますけれども、さすがにかなりの労力になるだろうという予測はつきます。ここでひとつお願いですが、リスク評価は、ハザード情報にばく露量を掛けるという、そういう単純なことなのでしょうけれども、評価のやり方について、国の方である程度の考え方、評価のやり方を分かりやすく提示していただくことをぜひお願いしたい。要するに、労力という観点からも、わかりやすいリスク評価体系のご検討をお願いしたいと考えております。

○佐藤委員長 ありがとうございました。これはご意見として承っておくというか、かなり専門的な話でもあるんだろうと思うのですけれども、そういう議論の場を設けていただければというふうに思います。
 あとよろしゅうございますか。もしよろしければ、時間の関係もありますので、先に進めさせていただきたいと思うのですけれども、先ほどちょっと先走って申し上げたようなことでここはまとめさせていただきたいと思います。
 「(3)段階的リスク評価体系における情報収集の在り方」ということでございますけれども、この論点についてご意見があれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 実平委員、どうぞ。

○実平委員 今回ご提案の重要ポイントとして優先評価化学物質を選ぶということと、これを起点としてさらにリスク評価を実施していくということがあろうかと思います。
 この評価を実効性のあるものにするために、我々も、ここに書いてございますように、詳細用途情報等々の提供には協力させていただきたいなと考えておりますが、ここに挙げられた化学物質がどこにどれだけ使われているかという情報伝達がしっかり私どものところに伝わってこないと、なかなか用途情報等々の提供も難しいということであります。必要な情報を、当然ながら必要なところまで届けるためのスキーム、あるいはルールづくりというのが多分重要になってくるんだろうなと考えております。
 REACH等でも、SVHCの情報伝達が当然ながら必要になってくるわけでありますから、できれば、これに整合したルールづくり等々をしていただくことが、社会的コストの最小化という観点からもいいのではないかなというふうに考えています。
 さらに、用途情報の提供に関して補足をさせていただきますと、優先評価化学物質ごとに現状把握している用途等については、例えば、ウェブ等に公開をしていただいて、それ以外の用途があれば申告してくれという形にしていただければ、最初からサプライチェーンを通じて情報を集め直すと社会的負担も相当大変なものですから、過剰な負担にならないような工夫ということをしていただければいいのかなというふうに考えています。

○佐藤委員長 ありがとうございました。用途情報の収集について具体的なご提案があったわけですけれども。
 江馬委員、続いてどうぞ。

○江馬委員 優先評価化学物質のところで、ハザードデータを収集するということになっているのですが、SIDSデータの必須項目の収集に関しては、新規の化学物質の場合、SIDSの必須項目として足りないものは、人の健康影響で言えば、生殖発生毒性のエンドポイントだけです。SIDSの必須項目から長期の毒性試験の必要性を判断するのは結構難しいと思います。これを判断する人材が不足していますので、人材を確保し若い人を教育していかないと、なかなか毒性を理解する人は出てこないと思います。

○佐藤委員長 現実的には人材の問題で難しいよというお話だったんですけれども、私もいろいろなところで感じているところです。これはすぐにどうにでもなる問題ではないと思いますが、記録にとどめていただきたいと思います。
 北野委員、どうぞ。

○北野委員 リスク評価に、当然ながら今、ばく露情報とハザード情報も必要ですけれども、特に、先ほど実平委員もおっしゃったように、ばく露情報についてはある程度お願いすれば出してくれるだろうと思うのですが、ただ、実際の用途ですね、その辺どういうふうにきちんと把握するか、この辺のところをうまくルールをつくらないといけないのかなと思ったわけです。要するに、メーカーが把握し切れない用途というのはあるわけですから、そこのところをいかにうまく吸い上げるかというところをひとつ考えないといけないと思っています。
 それから、ハザード情報について、確かにSIDSでいいかどうかという議論はあるかと思うのですが、この原案には、「まず」となっていますので、まずSIDS情報でいくのかなと私は思っているのですが、ただ、心配しているのは、やはりSIDS情報を出してくれない方がいるのではないか、お願いしても出してくれない方はどうするか。そこで、この上の3行ですか、「一定の法的な関与の下」という文章になっているのですが、強制的なのか、ボランタリにお願いしたらいいか、難しいのですが、私は基本的には余り規制よりも、企業のきちんとした協力といいますか、企業とのコーオパレーション、そういう形で進めていくのが、先ほどからも、例えば、作業量が多くなるのではないかということに対しても、企業の協力等が必須だと思っているわけです。そこで理解して出していただくのが一番いいのですが、ただ、それでも出してくれないとなると、どうするかという話があって、そうなったら、私は最後の手段として、より安全サイドの判断をするという、そういう方向をはっきり言っておくべきだと思うのです。それを出さない以上は、より安全性の方向、もっとはっきり言えば、毒性が強い、そういう形で考えていきますよというようなことは一言言うべきだと思っております。
 以上です。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 続いて、中地委員、中西委員ということでお願いいたします。

○中地委員 2点ありまして、1点目は、今の北野先生の意見とも関連するのですが、結局、このイメージ図で言うと、二次リスク評価以降に有害性調査指示みたいな形で、半ば強制的に事業者に調査を指示するという話になるわけですが、その辺、ハザード情報を出すのに協力をしないという方が出てくるような場合でしたら、もう少し早い段階で調査的なハザード情報の提供を指示するような形で、ある程度法的な拘束力を持ったような形で制度としてはつくらざるを得ないのかなと思っております。
 2点目は、ずっと優先評価化学物質ということで、かなりどういうものなのかというイメージが、一般の人にこういうふうに書いたら、何を評価するかのわからなくて、それよりは、REACHの日本語訳で高懸念物質と言っていますけれども、結局、人の健康と環境に対して影響を及ぼす可能性があるということで、それが懸念される物質ということで優先的にリスク評価をするという形で、そういった物質のリストアップをしようというふうになっていますから、国際的にも認められているような考え方ですから、この際、日本も高懸念物質みたいな形で、はっきりと短い日本語で市民の方にも、要するに、問題のあるような物質なんだなということがわかるような形のリストにしていただきたいと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 中西先生、続いてどうぞ。

○中西委員 用途とか製造・輸入数量、製造・輸入数量はかなりわかると思うのですが、用途情報を二次的なリスク評価とか、あるいは三次リスク評価のところで企業が提供していくというところは、やはりもっと丁寧に議論しないとならないと思うのです。わからない部分をわからないでいいのか、製造業者に責任がそこまで全部及ぶのかとか、データが最終的に間違っているということが非常にはっきりわかったときに、そこに責任がいくというのも相当大変なことなのではないか。例えば、非常に奇妙な塗料の中に入っていて使われて何か起きてしまったとか、いろいろなことがあり得ると思うのです。そういうことを考えますと、やはりこのあたりはもう少しの責任と、責任がない部分と、そういうこともはっきりして議論をする必要があるのではないか。先ほどの一定数量も含めて、やはりさらに全体会議の中で議論をするのはとても無理なので、もうちょっと企業の実際のことがわかっている方に入っていただいて、本当にこういうリスク評価をするんですよということを見せた上で、さらなるWGみたいなものをつくる必要があるんじゃないかと思います。そうじゃないとすごい不安があって、この用途情報を本当に一番最初に輸入した人が、全部確保するということは大変なことと私は思っているので、もしそこで責任が誰かみたいになると大変なので、そこのところはもう少し丁寧に議論してほしいなというふうに思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。実は私もそういうふうに思っていたものですから、中西先生に言っていただいて助かりました。
 確かに、ここでも無理なのに、全体会議の中で細かい話はますますできにくいだろうと思いますし、そういう形での議論で詰めるしかないんだろうなというふうには私も思いました。ありがとうございました。
 それでは、大塚委員、北村委員というふうにしたいと思います。

○大塚委員 先ほど北野先生がおっしゃったことに私も賛成ですけれども、ここは第二次のリスク評価をするところなので、ハザード情報に関して、一定の法的な関与というのは、最終的には有害性情報の報告のような指示のようなことができるようにしておいたほうがよろしいと思います。
 現在の有害性情報の報告について、第31条の2に規定があるんですけれども、これについて、新しく試験を行ったときに、それで試験結果が得られたときにということが書かれてあるものですから、この規定が入ったとき以前から、事業者さんのほうにはわかっていたけれども、国にはわからないという情報に関しては、有害性情報の報告の指示ができないということに厳密にはなるものですから、そこについては、農薬とかについてそういうことがあるようですが、もう少し既存の知識についても出していただけるようなことを規定の中に入れていく必要があるのではないか。若干細かい話で恐縮ですけれども、31条の2のようなものについて、もう少し拡張するということが必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。

○佐藤委員長 ありがとうございます。
 北村委員、どうぞ。

○北村委員 この(3)の最後のパラフレーズに化管法と化審法の関連が書かれていると思いますけれども、実際に実務をやっていますと、どうしても後ろを向いているような発言になってしまって恐縮なんですけれども、実際に化管法と化審法そのものの化学物質の定義も違っている。もちろん目的も違うということがありますので、事務局のほうからいろいろ出てくるデータ、生産量データであるとかPRTRのデータであるとか、あるいは環境中のモニタリングのデータ、そういったものを組み合わせてリスク評価することは当然のことだと思いますけれども、最後に書かれているような「両法の対象物質の整合化」というような、そこまで踏み込まれるのは非常に運用が難しいのではないかというふうに思います。
 例えば、農薬の問題をどういうふうに位置づけるのかとか、化管法でぼんやりと何々化合物類(水溶性のもの)とか、何々イオンとやっているのをどうするのかとか、そういう細かいところでいきますと、実務を担当すると非常に悩ましいというところがございますので、その辺はご留意いただきたいと思っております。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 時間も関係もあってあれなんですけれども、では、手短に白石委員お願いいたします。

○白石委員 大塚委員と全く一緒なんですけれども、リスクベースの評価をするということになると、情報の不足ということが一番問題になってくると思うのです。ですので、既存の有害性情報等は、優先評価化学物質になった段階で自動的に吸い上げられるような仕組みをつくっておく必要があるんじゃないかなと思います。
 もう一点、有害性調査指示はあるんですけれども、有害性じゃなくて、今度はばく露のほうの情報の収集に関して何も指示……国かやらないのかもしれないんですけれども、これもある程度ばく露に関するファクターなり何なりは民間でもとれるわけですので、そういったことに関しても指示ができるような形になっていたほうが望ましいかなと思います。

○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 情報の収集に関して、非常にいろいろ議論があったかと思うんですけれども、実際にはなかなか難しいということだと思うんですよね。しかしながら、できるだけ企業からも出していただくようにという、そういう努力をしながら、もう一方で法的な強制力と申しますか、担保をしておく必要があるんじゃないかという、そういうご意見だったように思いますけれども。
 では、申しわけありませんけれども、続きまして、「(4)リスクが高いと評価された化学物質に関するリスク低減措置」についてご意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 北野先生、どうぞ。

○北野委員 2つ目のパラグラフです。「高ハザード物質については」という、ここはリスクではなくて高ハザードである。それについては厳格な管理をするという、こういうものにはリスクではなくてハザードでいくということと私は理解していますが、これも大賛成な考え方です。

○佐藤委員長 いわゆるPOPs条約にのるようなものについては、やはりきちっとした厳格な管理をしていく。
 中西先生、どうぞ。

○中西委員 以前にここのところで、エッセンシャルユースという問題が出ました。これは、この文章はそのことを言っているのか、言っていないのかがわからないという感じなんですね。「対象物質の判断基準等に関する動向も踏まえつつ」というのは、要するに、エッセンシャルユースというのをPOPs条約で言っているということは、それを我々も尊重しながら考えます。しかし、厳格にやりますと言っているのか、そこがどうも隠しているような感じがしてどうもすっきりしないんですけれども、違うんですかね、これ。

○経・森田室長 すみません、表現がつたなくて申しわけございません。隠しているわけではございませんで、中西先生が今おっしゃったご認識で、今までの議論から踏まえますと、そういうご認識でよろしいかと思います。

○佐藤委員長 よろしいですか、中西先生。

○中西委員 そういうことからだったら結構ですけれども、林先生も、どうぞご意見。

○佐藤委員長 林先生、どうぞ。

○林委員 今、中西先生がおっしゃったこと、まさに言おうとしたところなので、その辺のところだけをもう少し明確にしておいていただければ、後で読み直したときにもはっきりすると思います。

○佐藤委員長 これはメモをつくり直しておいていただいたほうがよろしいですね。

○環・戸田室長 もちろん、本日の議論を踏まえてもう少し明確に書きますので、貴重な意見をいただいたと思っています。

○佐藤委員長 他にいかがでしょうか。
 中杉先生、どうぞ。

○中杉委員 遅れてきて議論に乗り切れないところがあるんですけれども、リスクが高いと評価された化学物質。確かに、リスクが高いと評価されたということなんですけれども、もう一つの考え方としては、リスクマネジメントの管理ができるかどうかという側面が一つ重要なポイントだと思うのです。実際にはリスクをちゃんと管理できるかというのは、例えば、一つの例としては、環境の汚染状況は把握できるかどうかというようなことも一つの要素としてはありますので、そういう意味では、単にリスクが高いか低いかだけではなくて、逆にリスクが低くても、いろいろな情報でリスク管理、マネジメントができないような要件があれば、それはある程度考えていく必要があるだろうし、先ほどのエッセンシャルユースについても、エッセンシャルユースでやるときに、それはちゃんとリスク管理ができているよということがもちろん前提になると思いますので、そこら辺も一つの観点として考えておく必要があるだろうということだけ申し上げておきます。

○佐藤委員長 ありがとうございました。重要なご指摘だったように思いますけれども。
 北村委員。

○北村委員 やはり2番目のパラフレーズですが、最後の「厳格な管理措置を継続する」と書かれているのですが、この管理措置というのは、いわゆるマネジメント、それはリスクマネジメントと考えてよろしいのでしょうか、それともものだけを管理すると、そういう意味なのでしょうか。

○経・森田室長 それは、リスクマネジメントを含めた概念でいいと思います。

○佐藤委員長 他にどなたかご意見。これ以上特にございませんでしょうか。
 そうしますと、今まで出た話で、ここに書いてあることはいいんですけれども、もう少し実質的なリスク管理をどうしていくのかというのを十分考えていかないといけないというようなことだったろうと思うのですけれども。
 それでは、先に進ませてよろしゅうございますか。
 「(5)リスクに関する情報の公開と継続的な評価・管理の実施」、先ほども何年に一回とか、どういうふうにやるんだというお話ありましたけれども、一回やったら済むというものでもないと思うのですが、その辺も含めて、情報公開の話もありますけれども、この論点についてのご意見を求めたいと思います。
 浅田委員、どうぞ。

○浅田委員 化学物質を私たちは使う立場で、ほとんどの場合、化学物質が単体ではなくて、例えば、接着剤で混合物で使わせていただいているのが自動車産業でございます。そういう立場からいたしますと、ある意味、化学のプロではないわけでございますので、このMSDS等の上流から来る情報の質の精度を、うまく国際的な整合性をとった上でのレベルアップをしていただきたいと今考えております。それがやはり情報のベースとなりますので、そこからの議論。そういうものがあって初めて私たちがリスクをケアできるということですので、ここのところは、他の制度も含めてご検討をお願いします。

○佐藤委員長 ありがとうございました。具体的なご意見だったと思います。
 他にいかがでしょうか。
 それでは、吉田代理人、中地委員というふうにさせていただきます。

○関澤委員代理(吉田氏) 今、MSDSの話が浅田委員からありましたので、これは私の希望ですが、(5)のところで、一般論として、有害性が一定以上あると考える物質についてという書き方ですと、化審法とのかかわりがはっきりしません。いわゆる規制的にやるかどうかは別にして、これは先ほど来議論になっている優先評価化学物質についてMSDSに記載することで非常に意義があるのではないかなと思います。事業者が評価して実施する仕組みを作るべきでは依然として表現が不十分ですので、標準化ができないということもありますので、化審法で仕組みをつくるのであれば、優先評価化学物質の情報提供としてうまく使うというのが一つの手ではないかと思います。この(5)のセクションのところに入れるのが有効なのかどうかという点については、いま一度ご検討いただければと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 続いて、中地委員、どうぞ。

○中地委員 今、浅田委員がおっしゃられたMSDSのことなんですけれども、自動車業界でももっと下流の、いわゆる消費者といいますか、一般市民のレベルで使っているようなものについてもいったい、中にどんなものが入っているのかというようなことがわかって、それの有害性等が説明できるような仕組みをつくっていただきたいと思っておりますので、その辺をできれば書き加えていただきたい。ただし、MSDSそのものを消費者にも配るという話になると、一つの製品に何十ページもあるような説明書をつけるという話にはならないわけなので、その辺はもう少し、簡素化したようなものというような話になるというふうには思っておりますので、ただ、そういうことで検討していただきたい。
 それと、ここにも全然出てきていないのですが、GHS制度そのものを日本でもう少しきちんと取り組むというようなことも、化審法の見直しの委員会としてでも検討していただきたい。当然、GHSの表示をつけるつけないということでいうと、主にハザード情報ですけれども、それをどういうふうに評価するのかという観点から、有害の規制のあるものについては、主に作業現場のほうはつくわけですけれども、きちんと表示をしようという話になっているわけですから、それを、労働安全衛生法で600物質か何か、決まった物質にしかGHS表示を義務づけていないというのは、有害性についてリスク評価をするということであれば、その辺については少し制度、仕組みを考える必要があるのかなと思います。
 以上です。

○佐藤委員長 情報の伝達というのは大変難しい話で、MSDSだけではなくて、どこのレベルというと言い方は悪いかもしれませんけれども、人たち、どのような情報を伝えるかというのは本当に難しいと思うんですけれども、貴重なご意見ありがとうございました。
 北村委員、続いてどうぞ。

○北村委員 MSDSの議論をやったので、少し私どもの業界の状態を申し上げたいと思います。
 基本的に、MSDSというのは、化学製品である、先ほど先生言われたように、混合物であるならば、有姿の情報を出すのがまず最初の目的になっております。それをもってどのようにお使いいただくのかということ、まずそれを判断してくださいというのがございます。ただ、今回の議論では、MSDSの中にいろいろな法規制物質の含有情報をどのように入れていくのかということがあると思います。現実に、日本では化管法、それから化審法についても配慮したMSDSが基本的には日本では出回っております。この化学物質組成をMSDSに記すという状況は、実は、日本のMSDSは他国のMSDSよりも私は進んでいると思います。他国の場合には、そういった含有物質を入れる、MSDSに入れるというのは基本的には習慣化されていないということがありますので、その意味で、日本で行っている、特に混合物製品のMSDSについては、より得意先の方々には親切につくっているのではないかということが言えると思います。ただ、今おっしゃられているような含有物質情報も新たな政令で規定するのは非常に面倒くさいことですので、MSDSに入れていくというのは、基本的には私どもはその流れが正しいと思いますし、先ほどから議論になっております優先評価化学物質も現在、日本では化審法の2監、3監を入れているのと同じような感覚で情報として提供していくということについては、余り不都合はないのではないかと思っております。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 (5)の最初のパラグラフにあるように、化学物質の有害性とかリスクに関する情報について、できるだけ情報公開していくという方針で、ここに書いているとおりでいいと思いますけれども、それがとられるべきだと思います。
 それから、今議論がありますMSDSに関して、一つは、多少別の観点で議論しなければいけないと思うのは、REACHで成形品についても情報の伝達ということを出しているんですけれども、我が国では、化管法では製品のMSDSが入っていますけれども、化管法の製品のMSDSというのは、実際には調剤のことなので、それ以外の成形品についてどう扱うかということで、できるだけ情報伝達を広げていくほうが適当だと思いますけれども、どこまで広げられるかということについて、今ごろ申し上げて申しわけないんですけれども、ぜひご議論いただければありがたいと思います。私はREACHのほうでやっておられる輸出業者の方が、日本で同じようなことをやるのは、やりやすい場合もないわけではないかと思っていますけれども、MSDSの対象を成形品のほうに広げていくということもぜひご検討いただければありがたいと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 今、大塚委員から、質問のようなご意見が出たんですけれども、もしこの委員会の委員の中でお答えというか、さらにご意見をいただければ。
 北村委員、どうぞ。

○北村委員 今、大塚先生に対する答えになるかどうかなんですけれども、どうしてもMSDSというのは、化学品についてあることですが、成形品に関しては、ご存じの方もおおいと思うんですけれども、JAMPという仕組みの中で、アーティクルに対してもレギュレーションを出していこうという経緯になっております。
 現在のJAMPの動きは、基本的にはどうしてもREACH対応というふうに言われておりますけれども、今後、成形品に対するいろいろな情報の必要、あるいはそれが重要であるという意味であれば、アーティクルインフォメーションシステム、AISという仕組みの拡張のような形でしていくのも現実的ではないかと思います。
 化学品と同じようなシートでアーティクルの情報を出そうと思いますと、これは非常に複雑になりますので、そこまではしないでいくほうが適当ではないかと思っております。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 たしか前にポリマーの議論があったと思うんですけれども、成形品からどれくらい出てくるのかということもポイントになりそうな気がするので、必ずしも同じような扱いというのはできないのかなと思います。
 大塚委員、よろしいですか。

○大塚委員 はい。どうぞ、他の方に。

○佐藤委員長 中西先生、どうぞお願いします。

○中西委員 成形品のそういうような情報をいろいろな形でつくったり流したりするということが、たとえいいとしても、この化審法の中でそれをうたうというのは、余りにも大変過ぎるといいますか、そこはもうちょっと、化審法の改正の議論をしているんだというところをぜひ踏まえた議論にしていただきたいと私は思います。

○佐藤委員長 ありがとうございます。確かに、生活用品のいろいろな規制もあるわけですから。
 中杉先生、どうぞ。

○中杉委員 化審法の中でやるかどうかという、これは議論になるかと思いますけれども、必ずしも製品の場合に使っている途中のばく露ということだけではなくて、環境に出るところでも製品からたくさん出てくる。例えば、埋立処分地の中から浸出液に含まれて出てくる化学物質を見ると、ほとんどプラスチックの、添加剤なんですね。そういうものについてどうするか。例えば、これは化審法の中でいうと、今、MSDSが住民の方まで、消費者の方までいくかどうかという議論になっていますが、それをここでやるかどうかというのは別な話なのですが、例えば、埋立処分地にそういうものが入ってくる。それをどうするかというときに、消費者の方が、例えば、そのような観点から製品を選択できるという情報というのは必要になるだろう。だから、この枠組みの中でやるかどうかはともかくとして、それとこれは必要だということだけは認識をしておいていただく必要があるだろうと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。情報伝達についていろいろご意見いただいておりますけれども、他にいかがでしょうか。
 何をどう、どこに伝えるのかという話になると思って、複雑な感じがいたしますけれども。よろしいですか。
 そうしますと、今までのお話を伺っていますと、やはり今申し上げたみたいに、何をどう伝えるのか、伝える相手によって中身を変えていかなければいけないわけですけれども、そこのところはやはり今後の今回議論が必要だなというふうに思いますし、それから、先ほどご指摘があった製品というか、消費者にわたる整理についての議論をどこでやるのかというのもやはり大事な問題だろうと思います。
 一応5つの論点についてそれぞれご意見を伺いました。今日は委員の先生方のご協力によって、シナリオでいただいているよりも早く進んでおりますので、今日はまとめのところでございますので、一応一つ一つをまとめてきたつもりなんですけれども、全体的な部分で、あるいは個々の論点でも結構でございますけれども、何かここで言っておかなければいけないということがあれば改めて伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 中地委員、どうぞ。

○中地委員 冒頭、事務局の説明では、TSCAでやったり、あるいはREACHのことなどで、結構国際的な動向についての説明があって、今日の議論はほとんど国際的にどうあわせるのかというようなことは全然どなたからも出なかったんですけれども、国際協調というのは原則として認めて、一定の物質についてはきちんと評価をしていくということでいいと理解していいんですかね、どうなのでしょうか。日本だけ独自路線はとらないということでいいのでしょうか。

○佐藤委員長 ありがとうございます。重要なご指摘をいただきました。先ほどGHSの話も出たんですけれども、国際的な整合性をとるというのは、さっき文書でも幾つかあったと思うんですけれども、これについてご意見いかがでしょうか。
 ある意味、そういうのは当たり前と言えば当たり前の時代に来ているんだろうな。ただ、実際に整合性をどうとっていくのかというのもまた難しい問題だと思いますけれども。
 板倉委員、どうぞ。

○板倉委員 今までの議論から、私自身は、当然、国際的な協調性をとるものだと考えて聞いていました。
 それから、繰り返しになるんですけれども、化審法の限界ということでいろいろなものがそのままになっていて議論が進まないような状況ですけれども、この前のシンポジウムでも、やはり化学物質については、縦割りで法律のすき間に落ちないような形でもっと統一的にきちんとやってほしいということがかなり出されていましたのに、そのシンポジウムの結論とか意見を踏まえての議論をここでやらないというのも非常に疑問に感じているところです。
 それと、ナノマテリアルについても、たしか議論をここでやるという話があったのですが、それも宙ぶらりんなままで今まで来ているので、これについてはこれから議論をどうされるのか教えていただきたいところです。

○佐藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、今3つの点があったかと思うんですけれども、国際的な整合性を目指す。それがGHSであるのか何であるのかというとは置いておいて、それは共通認識ということでよろしいですね。
 それから、2番目は化学物質の取扱いを全体的にやるような枠組みが必要じゃないか。これは大分前から、本当に最初のころから出ているこれは化審法の改正の議論をする場だからということで議論はしてこなかったんですけれども、シンポジウムでも随分出ていたことは出ていたんです。これについては、どなたかもう少しご意見ありますかと。
 どうぞ。

○有田委員 繰り返しになるんですけれども、化学物質の総合管理については、それを進めてほしいということで、全くここの議論が国際化に向けて反対している方がいらっしゃるとは思えなかったのです。その方向には、行っているんだろうということで理解しています。ただ、化審法の中で、それはここでは関係ありませんという回答があり、なかなか議論にはならなくて、化審法見直し論議の中で議論する中身でない事は、十分理解した上で、考え方として、今後の議論として必要だろうということもあったと思うのです。
 先ほどで言えば、MSDSは事業者の方にわかりやすいというか、丁寧な情報を流しているというふうにおっしゃったと思います。しかし、化学物質関係で事業者ヒアリングに行きますと、MSDSが非常にわかりにくくて、もっとわかりやすくしてほしいという事業者の方もいらっしゃいます。そういうことも含めて、消費者にわかりやすいかわかりやすくないかというよりも、事業者というか、化学工場に勤めていらっしゃる方も消費者というような考え方でいけば、当然情報は全部わかりやすいほうがいいと思うのです。GHSも、事業者の途中までで今のところは終わってしまっているので、当初の考え方でいえば、消費者というか最終消費材のところにもつけていくというのが議論されないまま残されているというふうに思います。ただ、今はリスクベースでいこうと言っているので、GHSはハザード情報なので、必要ないというふうに考えているのかなと、私は勝手に整理をしてしまったのですが、そういうわけではないのですね。これは質問です。

○佐藤委員長 これはどなたが。ハザードを忘れているわけではないと思うんですけれども。
 どうぞ、浅田委員。

○浅田委員 今のお答えをするわけではないんですが、私の認識は、1特の部分が残っているというのは、高ハザードはずっと存在するんだろうなという認識でいます。
 それと、ここの化学物質の、今日は化審法の議論をしているわけですけれども、やはり日本がこの化審法をどうしてつくったか。世界に先駆けてつくった法律の中で、どう目指していくかというのをここで議論しているわけで、今までなかったリスクという考え方を入れるということで、やはり道はいろいろあるでしょう。目標は2020年に向かっている中で、いろいろな根本的に変わるわけではなくて、日本の制度面にどう継ぎ足すかということで、かなり実のある議論をしていると思います。
 それと最後、これ全然離れてしまう要望なんですけれども、私たち議論していても、化学物質を管理して、これと共存していかなければいけない社会にいるわけですよね。しかしながら、ここでの議論でも、先ほど優先評価化学物質だとか高懸念物質だというと、非常に怖いイメージの言葉がよく使われている。消費者の方々が見ると、もうこれは使っちゃいけないんだとか、ブラックリスト、そういう意味じゃないんですけれども、そういうふうに思われてしまう危険もあるものですから、そういう、いわゆる化学物質の教育みたいなこととか、一般にどうこの化審法をアピールするかということは、ぜひ行政を進める上でご検討いただきたいと思います。

○佐藤委員長 貴重なご意見ありがとうございました。
 先ほど、板倉委員から出た3つ目のナノマテリアルの話なんですけれども……中西先生、何か。

○中西委員 基本法の話でいいですか。

○佐藤委員長 どうぞ。

○中西委員 化学物質を管理する総合的な基本法をつくれというお話があって、確かに幾つもの法律があって、それを抜け落ちている部分や足りない部分、あるいは整合性のとれない部分があるかなというのはあります。そういうものは、やはり今後、どういうところが整合性がとれていないのか、どういうところが足りないのか、あるいは事業者の人に非常に二重、三重の負担をかけているんじゃないかとか、そういうことはぜひ検討して、どういうような法律の足りないところを補っていくかということは重要だと思うのです。ただ、基本法というような大きな法律だけで物事が解決するわけじゃないというのは、先ほど浅田さんが言われたベネフィットという問題がやっぱりあるからなんですよ。化粧品には化粧品としてのよさというのがあって、その上でリスクというのがあって、食品には食品のよさというのがあって、だから、やはり個別法というのはどうしても必要なんですね。しかし、なおかつ全体をうまく整合性をとるということが必要なので、個別法的な考え方を全部否定するというのは、むしろ、ベネフィットを否定してしまうということになるのです。ですから、そこのところを十分考えた上で、ぜひ基本法という話をしていただきたい。
 そのためには、先ほども言ったような欠点というのが、どういうところにあるのかということをもう少し時間をかけて掘り下げていただくということを宿題みたいにしてもいいのかな。その上で、基本法の議論をしたらいいんじゃないかというふうに私は思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 確かに、このワーキンググループで議論する中で、フラストレーティブな部分というのがあって、それが今議論になっていることとも絡んでいるんだろうというふうに思いました。
 北野先生、どうぞ。

○北野委員 先ほど来、国際的整合性が議論されていますけれども、言わずもがななんですけれども、国際的統一性ではないわけですね、はっきり言いまして。ですから、法の趣旨なり法の目的なり法体系なりが、それぞれの国がそれぞれに特徴のものがあってしかるべきだと私は思っています。
 では、整合性は何かといったら、例えば、リスク評価ではリスク評価の方法、そのリスク評価に使うデータとか、OECDでやったような議論ですが、そういうものは整合性を持たせていくということで、最終的な結論というものは、それぞれ国が独自に決めて当然だと思っているわけです。例えば、ばく露状況なんかは全く違うわけですから。
 その意味で、私の誤解かもしれませんが、何か国際的整合性というものが、国際的統一性というふうに聞こえてしようがないので、そこは違うというところは言っておきたいと思います。
 もう一つは、中西先生が最後におっしゃったことに全く賛成で、今回、化審法は見直しということで我々はやっているわけですから、さらに別の法律が必要であるとすれば、今の化審法の何が問題になるのかという、その辺のレビューがまず初めにあるべきだろうと思っております。
 以上です。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 大塚先生、どうぞ。

○大塚委員 2点ございますけれども、いろいろな意見が先ほど出ていたのですが、私も基本法はできるだけ早くつくったほうがいいと思っていますけれども、中西先生がおっしゃったように、いろいろな溝みたいなものができていたり、整合性がとれていないところがあるので、基本法をつくって、それによって個別法を整合性のとれるものにしていくとか、穴があいているところをなくしていくということが必要だと思います。もちろん個別法は残して、その上に基本法をつくるというのが必要だと思います。今回それができるかどうかは、ちょっと難しいみたいですけれども、方向性としては、そういう方向が正しいと思います。
 それからもう一つ、REACHがやっていることのノーデータ・ノーマーケットという話ですけれども、その標語は多分、非常に上手な標語のつくり方をしていて、インパクトがあるわけですけれども、今回の改正案のイメージだと、前よりノーデータ・ノーマーケットに近づいているんだろうなというふうに私は理解をしていて、そういう意味では、そちらの方向にいっているんだというふうに思って、そういう意味で積極的に評価したいと思っていますけれども、ある方向性というのを考えながら法改正というのはしていく必要があると思いますので、直ちにそれが全部実現できなくても、少しでもそちらの方向に向かって動いていくということが非常に必要なことではないかなと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました、ポジティブなご意見。
 中地委員、どうぞ。

○中地委員 リスク評価をするということについて、共通にできる部分は、基本法的なものをつくって一括してやったらどうか。当然、そこから出てきてマネジメントをしなければいけないというのも、個別法でやらなければいけないとは思いますので、大塚先生がおっしゃったように、基本法の下に個別法をちゃんと整合性がとれる形でつくっていくようにしていったらよいかなと思っております。
 その辺の話でいうと、前々から言っている話で恐縮なのですが、アスベストに有害性が多くて、それをどういうふうに禁止をしていくのかみたいな観点で言いますと、今の化審法で言うと、アスベストは元素及び化合物に入らない、要するに、天然の鉱物なわけですけれども、こいつはPRTR制度ではアスベストは対象で報告義務があるわけですけれども、化審法はそのままノーチェックで使っていいという話になってしまうわけですよね。だから、その辺について、何とか対策をとらなければいけないと思いますし、そういう観点で言うと、アスベストのようなサイズのものも、ナノ粒子というふうに言えば、100ナノマイクロメーター程度の繊維状の物質という話になるわけなので、そういうふうな観点から、まだ議論は不十分なんですけれども、ナノサイズのスケールの物質の取扱いというものをきちんとリスク評価ができるような形で規制といいますか管理をしていくということも、この委員会の意見としてまとめていただきたいと思います。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 基本法というんですかね、仮にそう言わせていただきますけれども、それについては方向性というのはあるんだろうと思いますけれども、現実ここのところですぐどうのこうのということにはならないと思いますが、宿題とさせていただきたいと思います。
 今、中地委員がうまく話を展開してくださったんですけれども、ナノ粒子について、3つ目に板倉委員からのご意見があったんですけれども、そこのところだけ時間が許す限り議論したいと思うんですけれども、確かに漏れてしまいましたね。取扱いが、化学物質の定義からいくとなかなか難しいような気もするんですけれども、どなたか。
 中杉委員、どうぞ。

○中杉委員 前回でしたか、前々回でしたか、ナノ粒子のお話が出てきたときに私ちょっと発言させていただいたのですが、ナノ粒子自体の中身ですね、これはどういう問題を持っているのか自体が今余りよくわかっていない。言葉だけが出ていって、ナノ粒子といっても、ナノファイバーと本当に粒子のやつとシートみたいなやつと、これは一緒にみんな議論しているような状態でやられているところです。本当にそれは本質は何が問題なのかというのを少し見きわめる必要があるだろう。それを見きわめた上で、それは化審法の上で何かやっていかなければいけないのかどうかというところを議論することが必要ではないかというふうに私は今考えていまして、確かに懸念される物質ではあるけれども、そういうふうな検討をしないといけない。それは厚生労働省も言っていますし、環境省でも始めていますし、そういうところで検討してやっていく。そのときにどういうふうにリスク管理をしていけばいいか、そのリスク管理の一つの手段として化審法というものが有効に機能するのかどうか、そういう見方をしていく段階ではないだろうか。いきなり化審法の中で、それをどう扱うかというところまではまだ行けるだけの情報を、私が不勉強なのかもしれませんけれども、持っていないんじゃないかというふうに考えています。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 中西先生、どうぞ。

○中西委員 余り言いたくないとは思っていたんですけれども、当事者として現状をお話しさせていただきますと、二、三年前までは、ナノ粒子というのは非常に細かくて、表面積が大きくて、活性が大きくて、こんなものほうっておいていいのかという議論だったと思うのですが、今は、繊維状の物質で、長いから問題だという議論にまた転換していまして、非常に混乱しています。
 それで、私も実は今日アメリカから帰ってきたばかりなんですけれども、米国でリスク評価のことを一生懸命やっている人とフェイス・ツー・フェイスで2日間話をしてきたのですが、まだまだとらえどころがないというところですね。その表面積の効果も、ないとは言えないですけれども、表面積に比例するというような感じとはとても思えないというような様々なところがあって、しかも、それが今すごい危険な状態になっているかというか、ばく露の点で、もしもあるとすれば、作業環境のところで一定の注意が必要というレベルだと思うのです。ですから、それで法律をつくるというと、私は日本の法律というのは、何て根拠のないことをもとにつくるんだというふうになるのではないかと思って、それは全然今のフェーズと違うと思います。
 では、ナノについて何もしなければいいのかというと、そうではなくて、相当のところが今研究にかかってきていると思うのです。私たちも一生懸命やっていますし、井上先生のところも相当一生懸命やっています。他でも相当一生懸命やっています。大事なことは、この力を連携して、できるだけ全体的に早く、例えば、作業現場でのNOAELを出すとか、そういうようなところになるべく早く到達することじゃないのかなというふうに思っています。

○佐藤委員長 ありがとうございました。
 どうぞ。

○有田委員 中西先生にお聞きしたいのですが、二、三年前に、ある化粧品会社がナノ技術を使った日焼け止めを販売していました。ナノ技術の問題点が表面化して、意見が出だしたら急に市場からその製品が無くなりました。最近、同じメーカーではないですけれども、いろいろナノという名前がついたような化粧品が出ているんですが、それについては、評価がはっきりしないときに製品化したものが市場に流通していて問題はないのでしょうか。

○中西委員 化粧品とかそういうような、例えば食品というようなものを売り出すという場合には、私はそこは何らかのそういう疑問に対して答えたほうがいいと思います。製造業者が、まだ全体としてナノがどういう性質を持っているから、どういう有害性ということを一般化することはできない状態ですけれども、その商品については、自分たちはこういう試験をやってこうだったということは、ぜひ発表していただきたいなというふうに思います。
 外国でも、今そういうフェーズなんですね。まとめて、何でナノを規制したらいいか誰もわからない状態で、しかし、皆さんところに売り出すからには、自分たちとしてはこういうふうに考えて大丈夫だと思っていますというデータをつけて消費者の人に使ってもらうなり、使ってもらわないなりするというフェーズなので、ぜひそれはやっていただきたいなと思っています。

○佐藤委員長 どうもありがとうございました。非常に重要なお話だったと思いますし、まだナノについては本当にわかっていないことがいっぱいあるし、先ほど、基本法みたいな大きな法律と個別の法律が必要だというのも、こういうところにかかわってくるのかなと思いましたけれども、どうぞ、板倉委員、手短にお願いいたします。

○板倉委員 食品添加物についてJECFAで議論していますけれども、その中では、既に安全性評価済みの添加物であっても、ナノパーティクルの製品については、それまでの評価は適用できないというようなことで、吸収や代謝等が全く異なる可能性があるということをまとめてウェブにも載せてありますので、やはりそういう概念は知っておいた上で考えていかなければいけないのではないかと思います。

○佐藤委員長 やはり化学物質として、水に溶ける、体の中で溶ける、あるいはパーティクル、粒子のままでいるのかどうか、いろいろな要件があって難しい問題だというのがよくわかったかと思います。
 先ほどご意見もありましたように、直ちに化審法の中で取り扱う問題ではないかと思いますけれども、こういう化学物質並びにそういったことに関係している方々が注目していく必要があるんだろうなと思います。
 そろそろ時間なので、最後のほうの議論は私もおもしろかったんですけれども、思わず長くなってしまったかもしれませんけれども、そろそろ時間なのでこの議論を閉じたいと思うんですけれども、よろしゅうございますか。
 いろいろ貴重なご意見をいただき、大変ありがとうございます。
 以上で議題2を終了したいと思います。
 これまで何回かあったわけですけれども、本ワーキンググループは、全体会議というか合同委員会における議論を過不足なくかつ円滑に実施するために、制度の施行状況、課題、対策オプション等を整理すべく、これまで4回にわたってご議論をいただいたところです。
 必ずしも全部整理されたわけでもないし、まだご意見残っている方もいらっしゃるかと思いますけれども、本日の結果を踏まえ、これまで出された論点を整理して、親委員会と申しますか、我々のワーキンググループをつくった合同委員会に報告することとしたいと思います。
 合同委員会への報告資料については、共同座長であります井上先生、中西先生と私で相談をしながら、事務局に取りまとめをしていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。

(異議なし)

○佐藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、議題3にその他が用意されておるようですけれども、事務局から何かございますか。

○環・戸田室長 その他ということで、今後の予定でございますけれども、佐藤委員長のほうから大体ご説明をいただきましたので、特に付け加えることもないんですけれども、ワーキンググループは今回で終了し、次回からは、化審法見直し合同委員会、上の親委員会におけるご審議をお願いするということにしております。これまで4回にわたって行われたワーキンググループの検討内容につきましては、3委員長と相談しつつ事務局で整理し、合同委員会に提示させていただきたいと思います。
 なお、専門的な議論をもう少ししたほうがいいんじゃないかという話がございまして、一つの場として、化審法の審査をやっていただいている審議会の場でもちょっとご議論いただくということも考えております。これに限らず、そういった場が必要かどうかにつきまして、関係省庁の中で、また委員長とも相談させていただいて対応したいと思っております。
 委員の先生方におかれましては、お忙しい中、これまで4回のワーキンググループにご参加いただきまして、活発なご議論をちょうだいしたことに対しまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 次回、第2回合同委員会につきましては、8月28日、9時半から、場所は、三田共用会議所講堂を予定しております。
 また、本日の配付資料につきましては、速やかに各省のウエブサイトに掲載するとともに、議事録については、事務局で原案を作成し、出席委員の皆様に郵送またはメールさせていただき、ご確認をいただきました上で同様に各省のウエブサイトに掲載する予定でございます。
 事務局からは以上でございます。

○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 今後、8月28日に合同委員会、親委員会があるようでございますけれども、何か今後の予定についてご質問とかございますか。特にございませんか。
 それでは、ほぼ2時間半にわたりご議論いただきましたけれども、どうもありがとうございました。
 以上で第4回化審法見直し合同WGを閉じたいと思います。どうもありがとうございました。