中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会(第4回)、 産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会 化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第3回)合同会合(第3回)議事要旨

1.日時

平成19年4月18日 10:00~12:00

2.場所

三田共用会議所 大会議室

3.出席委員

(中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会委員)
佐藤委員長、有田委員、上路委員、大塚委員、織委員、亀屋委員(兼)、北野委員(兼)、北村委員(兼)、小出委員(兼)、酒井委員、篠原委員(兼)、城内委員(兼)、高野委員代理(兼)、中杉委員、中地委員、新美委員、林委員(兼)、増沢委員
(産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ委員)
中西座長、加藤委員、亀屋委員(兼)、北野委員(兼)、北村委員(兼)、小出委員(兼)、古賀委員、篠原委員(兼)、城内委員(兼)、城山委員、関澤委員代理、高野委員代理(兼)、辰巳委員、辻委員、保坂委員、御園生委員

4.議事

  1. (1)PRTR制度の課題と今後の方向性について
    • ・届出事項について
    • ・未届出事業者への指導対策について
    • ・対象物質と対象事業者の要件について
    • ・排出量把握手法及び届出外排出量の推計手法について
  2. (2)その他

5.議事概要

  1. (1)会議は公開で行われた。
  2. (2)第3回会合は、環境省が事務局取りまとめを、中央環境審議会佐藤座長が議事進行をする旨説明があった。
  3. (3)事務局より、両委員会とも定足数を満たしていることが確認された。
  4. (4)PRTR制度の課題と今後の方向性について、審議が行われた。なお、当初予定していた議事のうち、排出量把握手法及び届出外排出量の推計手法については次回審議が行われることになった。

6.意見の概要

化学物質排出把握管理促進法全般

○そもそも化管法は事業者が技術的・経済的に最も合理的な手段を選択し、自主努力により化学物質の環境リスクを低減させることを目的とする法律であり、届出に関する規制はあるものの、排出に関する規制ではないという基本的な性格に留意すべき。

PRTR制度の課題と今後の方向性について
PRTRデータの提供方法について

○化管法の目的であるリスクの削減を進めるためには、有害性を加味した排出削減量など、PRTRデータとハザード情報とを組み合わせた情報提供も必要ではないか。

届出事項について

○新たな届出項目を要求するのであれば、情報をどのように使うかを考えることが必要。

○削減対策が十分かどうかはリスク評価で判断すべきである。リスク評価に必要な情報は排出量であって、原単位で評価することはできないことから、安易に取扱量を届出事項に追加するべきではない。

○排出原単位のみで企業の取組を評価することはできないが、排出量データとセットで評価に用いることができる。

○取扱量を提出させることにより、物質収支のチェック、排出量データのチェックができる。

○事業者において取扱量は把握しているが、法目的は環境影響の未然防止にあり、排出量そのものをいかに削減するかにかかっている。従って、届出事項は現在の排出量移動量で十分であり、また、取扱量には企業秘密の問題もある。

○取扱量については、届出はさせるが開示はしないということも考えられる。少なくとも行政は取扱量を把握しておくべき。

○住民の関心は事故時の対応にある。PRTR制度への関連データの取り込みについて議論が必要。

○事故対応では貯蔵量の届出という議論になるが、すでに消防法等で届出はなされている。

○米国の制度では、保管量は事故時を想定して届出事項としており、PRTRとは別の制度で考えるべきではないか。

○取扱量や貯蔵量等については、自治体レベルで地域のニーズに応じて対応すればよい。

○リスク評価の観点からは、下水道、廃棄物に移動した後が追えないことが問題。放流先下水道名、廃棄物処理方法を届出項目に追加することを検討してはどうか。

○リサイクル促進のため、廃棄物としての移動量からリサイクルに回される分を除くべき。

未届出事業者への指導対策について

○化管法は自主的取組を促進する法律であり、それを担保する仕組みとして情報(排出量)の届出があるのだから、未届けには厳格に対処すべき。

○未届け事業者には、過料の適用を検討すべき。

○20万円という過料の額は少なすぎるのではないか。

○現状の未届出事業者は中小事業者が多いと考えられ、リスク評価上あまり重要ということはない。完璧を求めて未届けの解消にコストをかけすぎるべきではない。

○未届出事業者はどのような事業者が多いのかを分析して、対応を検討すべき。

○自治体が各種台帳を使って届出状況をチェックしているのはよいこと。このような情報を共有できるシステムが大切。

○個別の届出情報を公表することにより、未届出事業者へのチェック機能が働くという効果もある。

○サプライチェーンの中で、中小企業もISO14000シリーズに基づく監査を受けるようになってきており、未届出事業者を淘汰する役割を果たしているではないか。

対象物質と対象事業者の要件について

○届出がなくても届出外の排出があり、推計を行うべき物質もある。このような物質をどう扱うのか、検討が必要。

○失効農薬もある一方、新たな農薬も出てきている。その面での見直しも必要。

○対象物質の検討に当たっては、代替物質についても把握が必要。

○有害性についての国内外の情報もアップデートされており、こうした情報を考慮に入れるべき。

○国によるGHS分類結果についても、PRTR対象物質選定の時と作業手法が違うのでそのまま用いることはできないかも知れないが、違いを把握した上で考慮に入れるべき。

○ばく露関係のデータについては、現行の指定物質についてチェックするだけでなく、新たな対象物質の追加という観点からも行うべき。

○物質の追加については、コストパフォーマンスを考慮すべき。

○化学物質のリスク管理の分野でも国際整合が求められており、対象物質の見直しにおいても国際整合について考慮すべき。

○特定第一種指定化学物質については、発がん性だけでなく、変異原性及び生殖毒性も考慮すべき。

○建設業については、大防法のVOC規制で排出削減が進められており、また、農業については農薬使用は農薬取締法で規制されている。非対象業種を追加するかどうかは他法令による規制、取組等を踏まえて検討すべき。他の法規制の対象になっており、かつ、十分な規制が講じられている業種は対象としなくてもよいのではないか。届出対象に加えるのでなくても、自主管理を促進する手法はあり得る。

○建設業、農業、漁業等についても、化学物質管理の意識を高めるためには、PRTR制度の対象にすることが望ましく、業種にかかわらず、一定規模以上の事業者を対象にすることを検討すべき。ただし、対象にすることの技術的な問題(困難さ)も踏まえなければならない。

○医療業については、現行制度では大学病院であれば高等教育機関として、届出の対象になることを勘案して、一定規模以上の医療施設は対象にすべきではないか。

○従業員21人未満で年間取扱量1トン以上の事業者の多くは燃料小売業である。当該業種ではベーパーリターンを義務付けている自治体もあり、これを設置してしまえば自主管理においてこれ以上の排出削減効果があるかどうかは疑問であることから、従業員数21人以上を含めて業種の見直しが必要ではないか。

○従業員数21人という要件は外してもよいのではないか。

○推計を含めた総排出量のうちすそ切り未満事業者からの排出量は1割程度に過ぎないこと、及び、従業員規模要件を外すとコストが大幅に増大することを勘案すると、今以上に届出範囲を拡大する必要はなく、現行のままでよい。

○業務をアウトソーシングした場合に対象事業者から外れることがないよう配慮が必要。

○東京都条例のデータでは1トン未満の割合は7%程度に過ぎず、現行の取扱量要件1トン以上は妥当である。

MSDS制度の課題と今後の方向性について
情報伝達のあり方について

○例えば水に排出されている物質について、水生生物への有害性が空欄となっているなどの事例あり。記載の充実が必要。

○MSDSだけでは情報伝達には不十分。ラベルによる情報伝達を導入すべき。

○GHSでは、対象とする全ての危険有害性についての情報伝達を定めており、対象物質の選定とは区別した対応が必要。