中央環境審議会 環境保健部会 化学物質環境対策小委員会(第3回)、 産業構造審議会 化学・バイオ部会 化学物質政策基本問題小委員会 化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第2回) 合同会合(第2回)議事録

日時

平成19年3月13日 10:00~12:10

場所

環境省第1会議室

議事録

午前10時00分 開会

○獅山化学物質管理課長  定刻になりましたので、ただいまから、中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会(第3回)、産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第2回)合同会合(第2回)会合を開催させていただきます。
  本日は、経済産業省が事務局の取りまとめを、産業構造審議会化学物質管理制度検討ワーキングの中西座長が議事進行をさせていただくということになっております。
  委員の出欠状況でございますが、まだ、二、三おくれていらっしゃる方がおられますが、ほどなく来られるということでございますので進めさせていただきたいと思います。
  本日の出欠状況、これは時間の都合上省略をさせていただきます。お手元に座席表を用意してございますので、それをごらんいただくようお願いいたします。
  本日の合同会合の成立でございますが、両委員会ともそれぞれ定足数を満たしておりますので、本会合は成立しております。
  審議に先立ちまして、前回小出委員よりご提案をいただいております、最初非常に長い名前を申しましたけれども、本合同会合の略称につきまして、事務局から「化管法見直し合同会合」ということで提案させていただきます。よろしゅうございますでしょうか。
  それでは、議事進行を中西座長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○中西座長  おはようございます。本日座長を務めさせていただきます中西です。よろしくお願いいたします。
  それでは、まず本日の資料の確認を事務局からお願いたします。

○獅山化学物質管理課長  お手元に配付してございます資料ですが、クリップどめのものがございます。これは一番上に「議事次第」と書いてございまして、下に配付資料1~9、そして参考資料1ということで書いてございます。クリップを外していただきますと、資料1~右肩に2、3、4、5、6、7、8、9ということで配付してございます。
  なお、資料3の前回議事録(案)と参考資料2は、後ろに分厚いものとあわせて3点あります。参考資料2というのは委員限りであります。傍聴者の方には配付しておりませんのでご留意願います。議事録の(案)でございますが、委員の方には事前にご確認いただいておるところでございますが、なお、修正点がございましたら、1週間後の3月20日を目途にご連絡をお願いいたします。委員全員にご確認いただきましたら、経済産業省及び環境省のホームページに掲載させていただく予定でございます。
  それから、資料1~9は、議題の中で説明したりいたしますが、参考資料の分厚いもの、これはPRTRのデータの概要というものと、それから化学物質リスク管理研究センター、ニュースレターというものでございます。これは活用事例などでモデルのものが出ております。そういったものがあるということでございます。
  また、参考資料3でございますが、これは現在報告をさせていただきました「化学物質政策基本問題小委員会」、産業構造審議会になりますが、それの中間取りまとめにつきまして、パブリックコメントを求めていたところでございます。それに対する(パブリックコメントを受けた修正版)でございます。パブリックコメントの結果をご参考に配付させていただいたものでございます。
  以上でございます。

○中西座長  それでは、本日の議題を確認させていただきます。
  まず最初に、クリップどめの1枚のものを見ていただいて、その前に、きょうの予定は、前回の会合における意見の整理及び指摘事項への回答について事務局から説明をしていただきまして、その後、議事次第にありますように、議題1の「平成17年度PRTRデータ及びPRTRデータの推移の概要について」を行います。議題2として「PRTR制度の課題と今後の方向性について」、3つに分かれておりますが、活用と提供方法、地方公共団体の役割、この議題について本日は進めさせていただきたいと思います。
  それでは、まず初めに、第1回合同会合における意見の整理について、環境省の方からと経済産業省の方からと分かれて説明をいただきます。まず環境省の方、お願いいたします。

○森下化学物質審査室長  それでは資料4をごらんになっていただけますでしょうか、「第1回合同会合における意見の整理」というペーパーでございます。前回は2月9日に開催をさせていただきました。その際、産業構造審議会化学物質政策基本問題小委員会中間取りまとめ、中央環境審議会化学物質環境対策小委員会における意見の整理ペーパー、それから、化学物質排出管理促進法に関する懇談会報告書、これらを事務局からご報告を申し上げまして、それにつきまして、この合同会合におきまして化学物質排出管理促進法の運用状況、そして今後の検討課題についてご議論をいただいたということになっております。
  この資料4でございますけれども、このペーパーはその際にご了承いただきましたこの合同会合での検討課題と検討スケジュール、第1回会合では資料4というものでございますけれども、その資料4に即しましていただいたご意見を整理してございます。
  まず各会に共通する法律全般にかかわることでございますけれども、いろいろなご意見をいただいております。法律ができて企業行動・自治体がどのくらい変わったのかというようなご意見、あるいは事故との関係、他の法律でカバーする範囲等の整理、本来的なこの法律の特性、性格、限界というようなことについても説明が必要、あるいは化学物質のリスクや制度に関して、全体の考え方を整理する必要があるというような大きなご意見をいただいております。
  これにつきましては、この資料4の後ろに参考でポンチ絵をつけさせていただいておりまして、お時間の関係で説明は省略させていただきますけれども、化学物質に関係する法律としてはこのようなものがあると。ばく露の経路に着目すると例えば代表的なものでいろんな法律が上がってくるというようなことで整理をさていただいております。
  また、その裏のページになりますと、化学物質のライフサイクルに着目をしますと、こういった整理の仕方が可能だということを絵で説明させていただいておりますけれども、適宜こういったものをご参照いただきながら、今後の議論にご活用いただければと考えております。
  また、国民の知る権利ということについてもご議論いただいておりました。それから、事故の件に関しましては、本日の資料5で資料をご用意させていただいておりますので、またその際にご議論いただければと考えております。
  それから、いただいたご意見を各課題ごとに整理いたしましたのがII以降ということになっております。
  「II.PRTR制度の課題と今後の方向性について」ということで、1)全般的な事項といたしましては、制度そのものがまだ国民に理解・周知をされていないのではないか。企業が海外に進出する、それに伴って排出も移転するようなこともあるということも含めて、トータルにリスクが小さくなるということを評価するシステムが必要ではないかというご意見をいただいております。
  2)PRTRデータの活用方策については、点源のデータについてはアクセスのしやすさ、非点源のデータについてはそれぞれのさまざまなステークホルダーでの利用ということを考えるということを考える必要があるというご意見をいただいております。これは本日の資料7を用意させていただいております。ご議論いただければと思っております。
  3)PRTRデータの提供方法についてというところですが、法律対象外の事業者の自主的なデータ公表をやるような柔軟性、あるいは健康や生態系に対する影響、それを含めて情報提供や啓発が必要ではないかというご意見をいただいておりまして、これにつきましても資料8の中でご議論いただければと思っております。
  4)地方公共団体の役割については、前回特段のご議論ありませんでしたが、今回資料9としてまとめさせていただいております
  5)届出事項についてもご議論いただいております。
  めくらせていただきまして2ページになりますが、6)未届出事業者への指導対策については、特段のご議論は今いただいておりません。
  7)対象物質と対象事業者の要件については、取扱量要件、代替の促進、他法令とのリンク、毒性・安全性の強さの概念の取り込みといったようなご議論を既にいただいているところでございます。また、当初の趣旨はリスクがはっきりしないものを対象とするというものであったというご指摘もいただいております。
  8)排出量把握手法及び届出外排出量の推計手法については、非点源データを取り上げて、どうそれを活用していくのか。また、PRTRデータの精度を上げていく、こういったご指摘をいただいているところでございます。
  「III.化学物質の自主管理に関する今後の方向性について」、化学物質の自主管理に関してでございますが、1)全般的な事項としまして、これまで環境報告書でPRTRが取り上げられているところが多いのだが、それが減ってきているのではないかというようなご指摘。
  2)自主的な化学物質管理の在り方についても、いろんな面でハーモナイズが必要なのではないか。また、その際には自主管理の言葉の定義が重要ではないか。また、法律の外の範囲の企業・業種においても自主的な取組を促すことも必要ではないかというご議論。
  3)事業者によるリスクの把握につきましては、リスク把握の方法がまだわかっていないところも問題ではないかというようなご指摘もいただいております。
  3ページに移りますが、4)より安全な物質への代替について、ここでは代替物質の把握をしていくことが必要ではないかというご指摘。
  6)リスクコミュニケーションというようなことについてもご指摘をいただいているところでございます。
  「IV.MSDS制度の課題と今後の方向性について」でございますが、MSDSについて企業の活用状況や効果が見えにくいというご指摘や、2)情報伝達のあり方、3)国際調和について、いろいろ意見をいただいているところでございます。
  前回の合同会合での意見、ざっとまとめさせていただいて、資料4ということでご説明させていただきました。

○中西座長  どうもありがとうございました。先ほど私勘違いして、前回の整理を環境省の方からしていただいて、その後、経済産業省から指摘事項への回答をしていただくという役割分担でしたが、ちょっと勘違いいたしました。
  ただいま環境省からご説明のありました前回の整理というところについて、何かご意見などありましたらお願いいたします。
  特別ないでようですので、次に、前回の合同会合における指摘事項への回答について、事務局からご説明をお願いいたします。

○斉藤化学物質リスク評価室長  資料5をごらんください。ただいま資料4で説明がございましたが、その中でも、特に前回幾つか意見が出ましたのは、化管法というのは、事故時対応というものを特段見てないところもありますが、その辺をどう考えるのかということで、特に急性毒性物質的なものを見る必要があるのではないかという議論。あるいは他の法律ではそれをきっちり見ているのであれば、化管法はどう考えていくかという他法令との関連も考える必要があるというご意見をいただきましたので、その点を簡単に整理したものをご紹介させていただきます。
  まず、この1枚紙でございますが、左側が化管法の現状を整理したものでございます。四角の中に書いておりますとおり、化管法は1年間の排出量・移動量の届出を義務づけておりますので、ある一定スパン、1年間を対象にしていることをまずご理解いただければと思います。
  そういうこともございまして、対象物質としては、慢性毒性を対象としておりまして、急性毒性につきましては選定項目としてはおりません。
  真ん中あたり左側でございますが、「法律上の定義」というところで、その2行目あたりからごらんになっていただきたいのですが、「相当広範囲な地域の環境において継続して存すると認められる化学物質」と書かれておりまして、通常の状態で我々の身の回りに存在する化学物質のリスクを評価していくことを想定しておりますので、基本的にはそれが長期間ばく露によってどういう影響を与えるのかという慢性毒性というものを主体に考えてきている法律と考えております。
  具体的な物質指定と申しますと左側の下です。前回、法律ができた後、また別の審議会で個別の物質についてご審議いただいた経緯がございます。括弧で囲っておりますが、その中の[1]にございますとおり、特にここにあります項目、エンドポイントと申しますか、特に慢性毒性的なエンドポイントを中心に選んで、それに対する懸念のある物質を選んできているという経緯がございます。
  また、一番左下でございますが、答申の中にも、一部急性毒性物質についての言及がございます。ちょっと読ませていただきますが、「事故時の大量排出の際などでは問題となるが、通常の環境濃度レベルで問題とならない有害性については、それのみをもって物質選定のための有害性項目として用いる可能性はないと考えられる。」と、少しわかりづらい言い方かもしれませんが、急性毒性は対象外という位置づけで当時は整理させていただいております。
  それでは、他法令ではその部分はどうなっているのかということでございます。右側でございますが、黒い括弧で囲っておりますとおり、特に毒劇法やその他の法令で事故時対応ということで規定が幾つかございます。
  まず、真ん中あたりの毒劇法でございます。これは通常時においても使用段階等においても飛散・漏えい等の防止措置を講ずるよう義務づけております。また、事故が発生した場合には直ちに地元の保健所、警察署、消防機関等へ届け出ることを義務づけておりまして、当然事業者においても応急措置を講ずることを義務づけるといった形で、まず、この法律で、特に急性毒性物質については、事故時対応あるいは通常時も含めて対応を事業者へ義務づけているという法律がございます。
  また、消防法でございますが、この消防法は、基本的には引火性・爆発性といったどちらかというと火事を想定したものを中心に見ている法律でございますが、急性毒性物質を保管している場合には、その保管量について地元の消防等に事前に届け出るという仕組みが整っております。
  また、一番右下、大気汚染防止法・水質汚濁防止法、これも急性毒性だけを注目した法律ではないのですが、これにつきましても急性毒性物質については、もし漏えい等そういう事故があった場合には直ちに地元の都道府県に届け出るという規定がございまして、そういう地域において、いろいろ住民の安全を担当する公共機関に対してはきちんと報告をする。事前あるいは事故時の対応について報告する義務が課せられておりまして、一応我々としてはそういう事故時対応ということでの法律は整備されていると考えております。
  以上、資料5の説明とさせていただきます。

○中西座長  どうもありがとうございました。ただいまのご説明について、何かご意見、ご質問などございますでしょうか。

○大塚委員  ご丁寧にご説明いただきましてありがとうございます。事故時対応については、この毒劇法とか消防法とか大防法等々で既に対応されているということなのですけれども、消防法が特に重要だと思いますが、火災等、あるいは地震とかいろんなことが起き得ると思いますけれども、そういう場合に、シアン化水素、ひ素、塩化水素、あと幾つぐらいあったか、今、私も把握してないのですけれども、この程度で足りるかということとか、あるいは最大貯蔵数量だけでいいかとか、そういうやや細かい点かもしれませんが、その辺はもう少し詳しくご説明いただけると大変ありがたいと思います。
  というのは、ご案内のように、アメリカのTRIはどちらかというと事故時のことをよく考えた制度なものですから、現在の日本のPRTR法とはちょっと趣旨が違っておりますけれども、その辺が法律が国によって大分対応の仕方とか特色が違っておりますので、消防法だけで足りると言っていいかどうかというところを詳しくご説明いただけるとありがたいと思います。

○中西座長  ほかに関連して何かご質問、ここの項目については、実はきょうは余り詳しくやる、また、別の機会が多分あろうかなと思いますが、でも、どうしてもというご意見がありましたら伺っておきます。

○中地委員  前回の議論でもあった周辺住民とのリスクコミュニケーションの観点から、事故のおそれがあるということを、周辺の住民がどういうふうに周知しているのかとか、どういうふうな危険性があるのかなということがわかるのかという観点からの質問であったと思いますので、先ほど大塚先生の方からおっしゃられたのと同じ、アメリカのTRIで国民の知る権利に基づいて一定の法整備をするというふうな観点からちょっとご検討願いたいというふうに思います。

○佐藤委員  私の意見は、各法律があるということ自体で、もう少し連携がとれないかということ。つまり情報の共有とか届出が相互に矛盾していても気がつかないようなことがあるのではないか。そういうことでは情報の共有化、事業者にとっては1つの届出で足りるというんですか、そういう簡素化、情報の共有化が必要ではないかというふうに思います。

○中西座長  ありがとうございました。事務局の方からお願いします。

○斉藤化学物質リスク評価室長  まず大塚委員のご指摘でございますが、消防の細かい規定は今持ち合わせてないのですが、物質は、予定表全部対象ではないですが、数十ぐらいあったかなと思っていますが、物質について届出義務がございます。特にガス状のものが中心ではないかと思っております。十分かどうかというのは、私がどうこう言うのはあれでございますが、消防法としては、十分把握し得ると考えているのではないかと思います。
  アメリカのTRIと違うということは、法律の根本的な概念といいますか、考え方が違うということで、そこの議論から始まるかもしれませんが、EUなどはそういう概念は全くなく、急性毒性的な概念というのはほとんどないと考えております。PRTR法というのが、これまで慢性毒性の通常レベルでのばく露が、我々ヒト健康、生態系にどういう影響があるのかないのかということを主体にしてきたところの流れからするとちょっと違う大きな議論かなと。また、別の議論という可能性もあるという気がしております。
  もちろんTRIと違いまして、日本の法律でそういうものを周辺住民に公表しているという法律はございませんが、我が国の場合はそういう形態ではなくて、地元で責任を負う公共機関がデータを常に有していて、事故時対応のときにはそこが責任持って何らかの対応をするという形で行ってきているというふうに考えております。
  あと、佐藤委員がおっしゃいましたところについては、この部分だけではなくていろんな部分で課題だと思っておりますので、また、今後ともご議論いただければと思います。
  とりあえず以上でございます。

○中西座長  この法律だけですべてをというわけにもいかないのですが、今、消防法の限界みたいなことを言ってもちょっとあれなので、また、これは別途議論をさせていただくということで次の議題に移りたいと思います。
  それでは、議題1の「平成17年度PRTRデータ及びPRTRデータの推移の概要について」ということで、まず事務局からお願いいたします。

○斉藤化学物質リスク評価室長  資料6をごらんください。先月2月24日に、平成17年度のPRTRデータがまとめられ公表されましたので、その最新のデータとともに、17年度で5回目の届出となりましたので、その5年間の推移ということで状況を簡単に分析したものを含めましてご説明したいと思います。
  1ページは、17年度の単年度のデータということでございます。円グラフにございますとおり、全体の届出でございます。排出量・移動量の合計が49万トン、排出と移動が半々程度ということでございます。
  下にございますとおり、届出の部分(排出量)はどれぐらいを占めるかということでございます。その他のところは推計ということになるわけですが、我々の今の推計等見通しでは届出で出てきているところが全体の約43%、残りは対象外の事業者、業種、家庭とか点源等々からの排出ではないかと考えております。
  めくっていただきまして2ページでございますが、どういう物質がまず多いのかということでございます。2ページの上が、届出排出量と移動量の概要でございますが、足し合わせたものでございます。毎年ほぼ一緒ですが、トルエン、キシレン、塩化メチレンといったところが上位に並んでおります。特にトルエン、キシレンの量が非常に多いということでございます。
  下でございます。届出の排出量だけを出したものでございます。3位までは順番がほとんど同じでございますが、4位以下は届出の排出量だけにいたしますと若干順位が変わってまいります。
  3ページ見ていただきますと、届出の移動量の上位10物質でございます。トルエンというところは変わりませんが、その他移動となりますとやや順位が変わってくるということでございます。
  以上が物質の大きな状況でございます。
  3ページの下は業種でございます。届出の排出量と移動量を足し合わせたものの多い業種ということで、上から化学工業、輸送用機械器具製造業等々、すべてが製造業ということで、製造業は幾つか小分類に分けてここで掲載させていただいております。このような状況になっております。
  めくっていただきまして4ページでございます。届出排出量の上位10業種ということで、これは排出量だけを出してきたものです。輸送用機械器具製造業、プラスチック製品製造業、化学工業というような順番となっております。
  下が、今度はまた細かいですが、移動量の上位10業種ということで、化学工業、鉄鋼業等並んでおります。
  5ページでございますが、また、物質に戻るのですが、これは届出の排出量と届出外、推計の部分のすべての排出量を足し合わせた上位10物質ということで、トルエン、キシレンにおきましては、届出外の排出量もかなり多いこともございまして、圧倒的な多さを示しております。その他、エチルベンゼン、塩化メチレンと続いてまいります。
  めくっていただきまして、6ページからが、この5年間の届出の推移の流れを見たものでございます。まず、一番上の表1が、届出事業者数等を見たものでございます。見ていただきますと、平成14年度から15年度のところで大きく事業者数あるいは事業所数ふえておりますが、これは実は下の(注)に書いていますとおり、取扱量の要件が物質ごとに、それまで法律施行当初は5トンでとりあえず運営していたのが1トンに引き下げられたということもございまして、その影響もありふえているということでございます。17年度につきましては、事業者数、事業所数ともに16年度よりも若干の増加、16年度はやや減ったのですが、逆に17年度はまたふえているという経緯があります。
  下にもう少しわかりやすくグラフに示してございます。折れ線グラフが事業所数でございまして、16年度から17年度若干の増加が見られます。やや赤い色の棒グラフが届出の総排出量でございまして、14年度から15年度はやや直接比べにくいところの、先ほどの5トン、1トンというのがございますが、それを除いても、全体的には排出につきましてはやや減っている方向が見えます。一方、移動につきましては、ここ3年ほどほぼ横ばいといった状況が見てとれるかと思います。
  それが全体の状況でございまして、7ページは今度業種別に展開をしたものでございます。届出排出量の上位業種。17年度において多い10業種において、その5年間の推移を見たものでございます。この棒グラフは排出量でございまして、一部メインの物質についてはその量の内訳を示しております。輸送用機械器具製造業はやや減ってきているという感じ、プラスチック製品製造業、ややでこぼこでございますが、化学工業はかなりきれいに減ってきているといったところが見られます。
  後ほども出てくるのですが、非鉄金属製造業というのはやや特殊でございます、ほかの業種にはない、精錬した後に、鉱滓的なものだと思うのですが、自社内に埋め立てている例がございまして、自社内に埋め立てる場合は移動ではなくて排出ということで勘定されますので、実際には大気や水に直接排出しているものではないものがここに計上されるということで、1社、2社が出てくると急にそれで全体が変わってしまうというやや特殊な業種と見ていただきたいと思います。急にふえている変動がありますが、ある1社、2社が、自社内での埋め立てというものが突然大量に出てきたということがあるということでございます。
  めくっていただきまして、8ページでございます。細かい紹介は省略いたしますが、その他6業種についても、このようにやや業種ごとに違いが見られます。
  9ページが、その中で、排出量が減少した業種ということでまず掲げてございます。化学、出版・印刷、パルプ・紙といったところが、毎年減ってきているというのが見られます。
  めくっていただきまして10ページでございます。排出量が増加した業種ということで、これはあくまでも13年度と17年度という最初と最後だけを比べてどの程度ふえたか、減ったかを見ているものでございます。非鉄金属製造業は先ほど言ったやや特殊な事情があるかと思っております。あと、一般機械器具製造業、これは個別のデータなどを眺めてみたのですが、余り大きな理由は見当たらない。1つは、届出事業所数が毎年ふえておりまして、この影響が全体に影響している感じも受けとめられるかと思っております。やや、特殊なのは自動車整備業でございまして、14年度から15年度大幅にふえておりますが、これは先ほど言いました5トンから1トンということで、取扱量が下がったことによって、この業種は非常に中小企業が多いということで1トンから5トンの取り扱いの方が非常に多いことによって届出事業所数が大幅に伸びたこともあって全体量がふえているということでございます。
  11ページ、今度は物質に注目したものでございます。17年度で上位10物質だったものについて、5年間の状況を見ますと、トルエン、キシレンは絶対的な量が多いのですが、やや減少の方向が見られるかと思っております。ややふえておりますのが、右下のエチルベンゼンでございます。これも分析をしてみますと、1つの理由としましては、最初のころは混合キシレンという形で溶剤として売られていたものをキシレンという形で届出していただいていたようなのですが、若干その中にエチルベンゼンが含まれていることがわかりまして、販売している業界等からも、きちんとMSDS等で修正があったこともあって、それ以降、そういうこともあってエチルベンゼンがふえてきているということもございますし、一部代替もあるのかなというふうに考えております。
  めくっていただきまして、この中で若干ふえているように見えますのが、例えば右上のマンガンなどがございます。これも、先ほど非鉄金属業で申しましたとおり、一部精錬業者が自社内で埋め立てますと大量の量が出てくることもあって、それが1社あるいは2社レベルの対応で大きく動いてしまうという事情がございます。
  13ページでございますが、排出量が減少とした物質としてはどういうものがあるかということで、これは13年度と17年度のパーセントではなくて絶対量で比べていますので、量的に多いトルエンとかキシレンが減少量も量的には多いということで上位2物質を占めております。
  14ページをごらんいただきますと、増加した物質でございます。これは先ほど言いましたように、エチルベンゼンがふえているということと、マンガンとかアンチモンは何回も言っていますとおり、やや特殊な事情があると考えております。
  15ページが、354物質の中で、この5年間でほとんど届出がないものが幾つかございます。ちょっとわかりづらいのですが、「☆」が5年間、取り扱いも届出も全くなかった物質でございます。「★」が、取り扱いはあったという報告があったのですが、届出の排出量がゼロだった物質、5年間すべてです。「無印」はどっちか、「☆」か「★」か交互で来ていたというか、両方ある物質です。また、ここで載せておりませんが、これ以外に推計というものがございまして、推計がこの中で計上されている物質でございますので、必ずしもこの物質がほとんど使われてない、あるいは排出されていないということではございません。特に農薬がかなり多くございまして、農薬については推計の部分で出てきているものもございますので、これだけをもって全く使われていないとは言えませんが、これだけの物質が届出がないということでございます。
  めくっていただきまして16ページでございます。これは特定第一種指定化学物質ということで、発がん性の観点からやや重要性が高いということで、取扱量等の上限値が1トンから500キログラムと下がっているなど、やや厳しめの対応がされている物質でございます。12物質ございます。1物質については全く届出がなされてないので表から外しておりますが、その他、ここに載せているような状況でございます。量の多いもの、少ないものございますが、全体の流れとしてごらんになっていただければと思います。
  18ページ以降は省略させていただきますが、まず、18~20ページまでが都道府県別の状況を細かく分けたものでございます。
  21ページ以降は、 354物質すべてにつきまして、この5年間の届出等の状況を整理したものでございます。後ほどまた参考に使っていただければと思います。
  以上、説明とさせていただきます。

○中西座長  どうもありがとうございました。ただいまの説明につきましてご質問とかご意見などございますでしょうか。

○吉田代理(関澤委員)  関澤委員の代理で出ています吉田といいます。今回のご説明で概観という意味ではよくわかりました。事業所と推計の数値もありますので物質ごとの経緯はわかるのですけれども、それぞれの重みというのですか、いわゆる推計との関係や、、一番最後の表には大気とか公共用水域とか皆分かれた数字があるのですけれども、これを全部足して減っている、減ってないという議論もないので、例えば大気と水は分離してどうかとか、先ほどご説明ありましたけれども、土壌については、そういう非鉄の金属、我々も含めてですけれども、金属の事業者が生産によって変わってくるのであれば、層別せずにそれを一緒にやるとデータ自体は交絡してしまって、その関係がよく説明聞かないとわからない。
  法律上、これは国民の理解を深めるという目的がありますので、もう少しわかりやすくやっていただきたいということが1点です。
もう一つは、これは相当なコストがかかっていると思いますので、コストはどういうイメージなのか、知っておきたいと思いましたので質問させていただきました。

○中西座長  ただいまのコストというのは、削減のために事業者がコストという意味ですか、それともPRTRの行政の方のコストという意味でしょうか。

○吉田代理(関澤委員)  行政の方ですね。

○中西座長  行政の方ですか。ほかに何かご質問ありますか。どうぞ、古賀委員。

○古賀委員  今の説明で自治体の方の実績がありますね。リスクという観点から見ると移動排出ということもそうなのですけれども、いわゆるグリーン購入等の関係で、果たしてそういうものが、環境に配慮した取り組みというものを、今盛んにやっている自治体が多いわけです。そういう自治体が果たして排出されたものをちゃんと処理して、いわゆるばく露、そういったものに対して量的に確実に計画的にやられているかどうかということを我々は見なければいけないと思うんですよ。
  このデータを今後生かすためには、そういった自治体がどういった取り組みでこういったリスクを少なくするような、さらにはっきり言うと、計画的にそういった排出量を減らすだけでなくて、そういうものが確実に処理されている量をできているということを知ることが住民にとっても非常に安心感が出ると思うんです。前回ちょっとお話出ましたように、住民に対して安心感を持てる取り組みというのは、ここら辺の多分グリーン購入との関連で、地域がどうやって頑張っているかどうかというその実態がもう少しわかるような形で見せていただきたいということで、それに対する国の方の取り組みというか、そこら辺をぜひともお伺いしたいと思います。

○中西座長  ありがとうございました。ほかに何か。

○中地委員  ただいまPRTRデータの概要ということでご説明があったわけですが、日本のPRTR制度というのは、冒頭あったように、届出の集計と届出外の推計というのが、特に世界的にも届出が排出量をきちんと推定しているというのは、今日本が一番進んでいると思うんですが、その点について概要が説明されなかったので、もう少しお聞きしたいのと、あと、6ページにありますように、取扱事業所が5トンから1トンに引き下げられたときに、事業者数は大幅にふえているわけですが、排出量の届出、移動量も含めてほとんど変わっていないと。
  きょうご説明ありませんでしたが、届出対象外の推計の方は排出量が20万トンぐらい、この年度で変化があるわけなんですけれども、その辺、どのように理由等を検討されているのか、ご説明願いたいと思います。

○中西座長  事務局、済みません。

○斉藤化学物質物質リスク評価室長  幾つかご意見いただいたのをお答えしたいと思います。まず、吉田代理からでございますが、いろんな計上の仕方があるという点、おっしゃるとおり、大気、水、土壌で一緒にしてしまうのはいかがかというのはご指摘のとおりだと思います。今後はそういうデータの公表、分析の仕方については、ただ、余り複雑にするとまた逆にわかりづらくなるところもございますのでいろいろ工夫していきたいと思います。
  また、行政のコストということでございますが、この制度は都道府県を経由して国に上がってまいります。都道府県の方ではいろんなデータのチェック等をしていただいていますので、そこである程度一定のコストがかかっていると思います。また、事業所管大臣のところでチェックをさらにするということになっておりますので、そこでのまたコスト。さらには、製品評価基盤技術機構(NITE)で最終的な取りまとめをお願いしているのですが、そこに1つの、このための課がございまして、大体20名ほど、全員がそればかりやっているわけではないと思いますけど、そこがかなりやってきているということで、おっしゃるとおり、かなりの行政コストはかかっていることは事実だというふうに考えております。
  それから、古賀委員がおっしゃいましたデータをどう評価していくかということですが、これにつきましては、後ほど資料7で少しその辺をご説明したいと思いますので、それをお聞きいただいて、またご議論いただければと思います。グリーン購入という観点とはちょっと違うかもしれませんけれども、PRTRデータの活用という意味では、自治体での活用も含めて少しご説明をこの後させていただきたいと思います。
  中地委員がおっしゃっていただいたとおり、届出外推計といいますのは日本特有の制度と言っていいと思います。ほかの国ではほとんど見られないところでございます。これがどういうふうになってきているかについては、次回、議題として取り上げたいと思っていますので、そこでもう少し詳しく資料を提出させていただきたいと思います。ただ、ご指摘のとおり、届出外の推計といいますのはやや試行錯誤でやってきているところもございまして、制度発足当初と今では若干数字が異なってきて、どちらかというとやや少ない方向に推計数が減っている方向に来ています。
  これは私どもといたしましては、制度発足時の推計はやや間違えていたといいますか、甘いところがあったと。最近の年度の方が正確性は高いのではないか。毎年毎年審議等をしていただいて、専門家のご意見も伺いながら見直していますので、そういう意味では最近の方が正しい数字に近いのではないかと思っております。
  とりあえず、以上です。

○中西座長  中地委員が言われました最後のところの、5トンから1トンに変わったところが、事業所数がふえたにもかかわらず排出量がそんなにふえていない。しかし、届出外の面的なものとか、そちらの方は、ふえているのはなぜかというのでしたか。

○中地委員  大幅に減っているのに……。

○中西座長  それは推計の違いということでよろしいですか。

○中地委員  そこら辺がもう少し。

○中西座長  推計の方法が違っていると、修正されていると。ほかにはございますか。

○内山委員  15ページのところで、「物質毎の届出情報」、52物質が非常に届出が少ない、あるいは取り扱いのみで少ないということがありましたが、これは 354物質を選んだときには、過去数年間に相当量の物質の使用、あるいは実態があったものが選ばれたはずですよね。ですから、これを評価するときに、これが単に届出あるいは排出がないから、もういいのかなということではなくて、これがどういう意味で減ってきたのか、あるいは代替しやすかったから代替になったのか、本来は余り使われてない物質がここに入ったからもうやめてしまったのか、いろいろな事例があると思うんですね。ですから単に、この5年間は余り出てこなかったから、これでいいのかというのではなくて、PRTR1つには、この代替品に変えやすいものに変えて毒性の強いもの、それほど意味がないものはなるべく減らしましょうというのがもとの目的ですので、安易にこの5年間なかったからもういいのかというのではなくて、何か評価の方法を改めて仕方を考えておく必要があるのではないかと考えます。

○中西座長  ご注意して承っておくということでよろしいですか。

○有田委員  1点は、今、内山先生がおっしゃったこと、どうしてなのかという理由が知りたいことと、もう一つは、コストの件が出されたのですが、それではよく海外の例を出されることが多いですね、同様の制度に関して。海外との比較、コスト、日本のPRTR制度にかかるコストと海外のコストを、具体的な数字は結構ですけど、わかれば教えていただきたい。コストの比較。

○斉藤化学物質リスク評価室長  具体的なコストまで調べた調査は正直ございませんが、ただ、1つ言えますのは、前回の資料でご説明しましたとおり、日本は約4万を超える事業所のデータを集計しておりますが、海外はこれほど多くないのがほとんどでございまして、そういう意味は我が国の事業所数のカバーという意味では非常に多いと思っております。

○中西座長  それでは、次の議題に移りたいと思います。議題2ですが、「PRTR制度の課題の今後の方向性について」ということで、まず最初のところは、資料7の「PRTRデータの活用策について」、(2)が3つに分かれていますが、その最初のところをいきたいと思います。それでは、資料7についてのご説明をお願いいたします。

○斉藤化学物質リスク評価室長  それでは資料7をごらんください。「PRTRデータの活用事例」ということでご紹介いたします。
  検討事項(案)ということで、一番上に書いてございますが、これに限らずでございますが、とりあえず論点を少し書かせていただいております。PRTRは、集計結果は国の方で公表しておりますし、それがさまざまなデータとして活用されていますが、当然ながら、データの数字だけを眺めていてもなかなか見えないところもあるわけでして、そのデータのもとで、どういう分析、あるいは活用していくかという点が我々は重要と思っております。現状どの程度活用されているかということをご紹介させていただいた上で、今後どうあるべきかということをご議論いただければと。法律の文言どうこうというよりも、まさにこの法律の評価といいますか、どう活用していくのかというところの議論だと思っております。
  まず、1.としまして、国、地方公共団体と申しますのは、行政による活用事例ということでご紹介させていただきます。1ページの表でまとめております大きく5点、左側にございます1)環境保全上の基礎データ、2)といたしまして優先度を決めるための基礎データ、あるいはリスク評価という点でございます。3)が、事業者の方に行っていただきます自主管理に対する支援、4)といたしまして、国民の方への情報提供等、5)といたしまして、行政としての把握という意味でございます。こういう大きな5本柱に沿ってどういうことが行われているかということを簡単にご説明したいと思います。
  めくっていただきまして2ページでございます。
  1)として、基礎データとしての活用ということでございます。まず環境政策指標としてさまざま位置づけられておりますが、第3次環境基本計画においても、当然ながらPRTRデータ、この制度は重要ということで掲げられております。細かい内容についてはお読みいただければと思います。
  また、左下にございますとおり、さまざまな環境政策においても、施策分野ということで4つほど掲げさせていただいておりますが、こういう分野におきまして日々そういうPRTRデータというものは活用されて、それがさまざまな政策の基礎データとして使われているということでございます。個別の内容については、細かいところがございますので省略させていただきます。
  ページ移っていただきまして3ページ、2番目の柱でございます化学物質の対策のための優先度決定のための基礎データということで、ある意味、これはPRTRデータの最大の目的の分野ではないかと我々は思っているわけですが、要するにリスク評価をしていくということでございます。
  まず、経済産業省、あるいはNEDO等で行ってきております技術開発プログラムの中で行ってきたものについてご紹介させていただきます。これにつきましては、PRTRの対象物質の中から、特に排出量等が多いものをまず 150物質選びまして、これにつきまして、ややスクリーニング的な意味を含めました初期リスク評価というものを、これはNITEが中心に行っております。また、それとともに、そういう中でやや懸念があるもの、あるいは社会的にニーズがある物質につきましては、別途、中西先生のところでございますが、産総研の方で約30物質につきまして詳細リスク評価というものを今やっていただいております。
  下に図がございますとおり、まず左側にあります有害性評価ということで、まずハザードを同定いたしまして、それとともに右側のPRTRデータを活用してモデル等を用いてさまざまな地域の濃度等を導いて、それによって初期リスク評価、あるいはもう少し詳しいリスク評価等をただいま行ってきております。
  めくっていただきまして4ページでございます。字が小さくて恐縮ですが、現状の結果を簡単にまとめたものがここにございます。上が初期リスク評価の結果ですが、現状公表されているものが約57物質ということで、一応審議会で有害性についてオーソライズしていただく必要があることもあって、ややそこで時間がかかっておりますが、ここにありますとおり、ある程度スクリーニングの結果、さまざまなリスク評価に必要な物質、当面必要ないだろうという物質ということで幾つか分けられてございます。
  4ページの下が詳細リスク評価、産総研の方でやっていただいております30物質の項目を掲げさせていただいております。
  次、5ページでございます。詳細リスク評価につきまして、現状まで終了しております11物質につきまして、細かい概要はそちらを見ていただければと思いますが、簡単にまとめさせていただいております。現状のところ、直ちに対策を講じないと問題が生じるといったレベルのものはまだないと思っておりますが、さまざまな検討を行ってきていただいております。
  6ページでございます。これはもう一つ、環境省におきましても、国立環境研究所等が中心になってリスク評価をやってきております。これはPRTR対象物質だけに限らず、もう少し広い範囲のものも含めて物質を対象にして行ってきております。経済産業省のものとやや違う点としましては、PRTRデータを直接ばく露データとして用いるのではなくて、基本的にはモニタリングのデータを重視しておりますが、PRTRデータにつきましては、どこの部分にその物質があるかという媒体別の割合等を導き出す基礎データとして活用しているようでございます。
  そういうことで、これまでに、7ページ、8ページにまとめておりますが、5回にわたりまして審議会をかけて取りまとめを行ってきております。こうような形で全国レベルでの化学物質に関するリスク評価が今進み始めているという状況でございます。
  8ページでごさいます。これは環境関連の行政で当然ながらモニタリングというものを行っているわけですが、モニタリングの地点を決める際に、要するに正しいところではかっているかどうかということを見きわめる際にこのPRTRデータに基づくモデル等を回して、その結果を踏まえてモニタリング地点を定めていくという、行政としてはそういう活用をしてきているという例でございます。8ページから9ページにつきましては、そのような形で書かさせていただいております。
  9ページの下の方でございますが、化審法を書いてございますが、「監視化学物質」がございます。これはおそれがあるということではっきりとまだ決まってはいないのですが、そういう物質について、人の健康、あるいは生態系への影響を与えるおそれがある物質として指定されている物質でございます。これにつきましては、毎年製造輸入量等届出制度ございます。また、すべてではないのですが、PRTRの対象となっています物質もございますので、そういうものにつきましては、現在行政側におきまして、さらなる有害性調査指示の作業が必要かどうか等について検討を開始したところでございます。
  めくっていただきまして10ページでございます。次は3番目の柱でございます。事業者の方に自主管理をしていただく上での支援をしていくということで、1つはモデルを提供していくということです。モデルを回さないとリスク評価はなかなかできないということで、特に事業所の周辺、事業所の敷地境界における濃度等を見ていただこうということで、それは大気の場合ですが、例えば4つございますMITI-LIS(低煙源工場拡散モデル)、ADMER(暴露・リスク評価大気拡散モデル)といったもの、MITI-LISは事業所周辺、非常に狭い範囲のモデルといいますか、分析をするモデルでございます。ADMERと申しますのはもう少し広い範囲、どちらかというと、地方自治体等を含めた行政側の利用が中心かもしれませんが、全国をメッシュで切って、それによってどこの地域が濃度が高いかというものがある程度見えるというものです。その他、河川モデル、湾岸のモデルといったものもございまして、これらについてはすべて手に入る形となっております。
  11ページでございます。事例といたしまして、左側がMITI-LISで、これは市川、船橋のあたりですが、こういうふうにモデルを回しまして、その結果と、非常にモニタリングのデータの一致が高かかったということがこういうもので証明されております。要するにモデルの有効性がモニタリング結果に基づいてある程度示された事例です。右側が東京湾のリスク評価の例でございます。
  11ページの下、事業者の方にリスク評価をしていただくというのがございますが、それとともに、後で私ども行政側もリスク評価してきているわけですが、そのリスク評価した結果を踏まえてどうしていくかというのがまた1つ、これは議題としては先の方のものかもしれませんが、リスク管理ということが出てまいります。これにつきましては、例えばの事例といたしまして、PRTRの対象物質である3物質につきまして、これは環境ホルモンという観点からもやや脚光を浴びたものでもございますが、具体的なPRTRデータがございましたので、それに基づいてどのように管理していくべきかということを、これはNITEを中心に専門家、あるいは取り扱っている業界の方にも入っていただきまして、どう管理すべきかというご議論をしていただいたという経緯がございます。そういうこともあって、この3物質については、ここ数年、PRTR排出量というものは大きく減少してきているというふうに考えております。
  12ページでございますが、その概要についてもここでまとめさせていただいております。そういう形で全国レベルでリスク管理というものについても、これは法律による対応とはまた別の形で行われた例がございます。
  12ページ、4本目の大きな柱としまして、これはデータの提供ということで、この後の資料8とやや重なる部分がございます。当然ながらPRTRについてはデータの集計結果を公表させていただいております。下の方にございますとおり、データを出すだけではなく、濃度について展開して、濃度分布的なものも公表しております。
  その例が13ページでございます。13ページの上の図が、これはADMERという先ほどご紹介いたしましたモデルに基づきまして、トルエンがどこにどの程度、濃度が分布しているかということを解析した結果を公表させていただいております。
  また、下は自治体ということで千葉県の例ですが、どの市町村において届出排出量が多いかといったことを地図上にプロットして掲げさせていただいております。
  めくっていただきまして14ページでございます。また、一般の方へのガイドブックということで、これは環境省が中心となって、市民の方へのガイドブック、あるいはファクトシートといったものを化学物質のデータを掲載した冊子を公表させていただいております。
  また、5番目の大きな柱として、状況の把握ということで、これにつきましてはやや法律的な制度でございますが、平成8年、9年ごろから行われている制度といたしまして有害大気汚染物質対策というのがございます。これは特に問題となっておりました12物質につきまして、エンドオブパイプの排出規制ではなくて、業界ごとで目標を立てていただいて、それに業界ぐるみで自主的な取り組みによって排出量を削減していただこうという取り組みを行った事例でございます。これは大きな効果が出まして大幅に排出量が減ったという経緯がございますが、その結果を受けて、どこまでやるかという議論がございますので、リスク評価を産総研を中心にやっていただいた結果、当面リスク的にはかなり低くなったということで、そういう業界ごとの取り組みはとりあえず終わりまして、現状では個々のPRTRデータを見ながら状況を注視していくという方向に今移ってきております。
  15ページは、これも別の審議会で公表したものですが、この1年間の排出量の状況というもので、PRTRデータに基づくものを提出させていただいております。業界ぐるみの取り組みは終了しておりますが、その後もさらに排出量的には減っている状況が見てとれるかと思います。
  以上が行政による活用ということでございますか、そのもう一本の柱としまして16ページでございます。事業者の方による活用というものも重要なものだと我々は考えております。特にPRTRデータ、リスク評価といいましてもいろんな概念のものがあると思いますが、PRTRデータで一番関連が深いのは事業所での排出量が出るわけですから、当然ながら事業所の敷地境界での、特に周辺の住民の方への影響があるのかないのかというところを評価していただくことが重要な事例になっていくのではないかと考えております。そういうことについて、事業者はどう認識しているかという点について最近アンケートをとった結果をまず書かせていただいております。
  排出量が多い事業者ということですから、ある一定規模以上の企業だと思いますが、 500社を選定して 278社の回答でございます。約4分の1ぐらいの企業におきましては、円グラフがございますとおり、何らかのリスク評価を既にしております。残った4分の3のうちは大体半々で、何とか今後やりたいというところと、余りまだ考えてないというところと分かれているという状況でございます。
  この円グラフの右側ですが、リスク評価をしたという24%の事業者の中でどうやってやったかということについては、約3分の2が自社の中で専門社員が行ったということ。残りの4割近くは外部委託という形で進めております。
  リスク評価は何のためにやったのかということについては下にございます。幾つか理由がございますが、多いものとしては、自主的な行動を進めるためとか、あるいは事業者としての責任という観点の回答が多かったということでございます。
  具体的にどういうリスク評価をしているかということでございますが、その事例を17ページ、18ページに載せさせていただいております。4社ほど代表例を載せさせていただいております。いずれも事業所周辺の大気濃度というものをモデルを使って分析していただいておりまして、それによって周辺の住民の方への影響があるかないかというものを見ているものでございます。
  A社はここにございますとおり、リスクマネージャーという、これは日本化学工業協会の方で開発したモデルを使っております。こういう形でリスコミなどにも活用していくということでございます。
  B社におきましては、これは先ほどご紹介いたしましたMITI-LISというモデルを使って、代表的な3物質についてリスク評価を行っているものでございます。
  めくっていただきまして18ページのC社でございます。こちらは幾つかの物質を用いて使っていることもございまして、それぞれの物質についてどれから先に管理をすべきかという優先順位づけという観点も含めてリスク評価を行っていただいております。要するに許容される濃度に比べてどの程度出ているかという割合のMOS(Margin of safety)というものを導き出して、その数字の大きいものから順番に暴露管理を強化していくということで、ここはリスク管理というものの議題として挙がってくると思いますが、こういう順位づけによるリスク管理というのは今後の大きな課題の1つだろうと我々も考えております。
  また、D社におきましても、同じように管理しておりまして、D社の場合は具体的にはモニタリングを別途行っておりまして、その関係も常にチェックしているというところのようでございます。
  以上、資料7についてのご説明でございます。

○中西座長  どうもありがとうございました。今まで5年分PRTRのデータが蓄積されてきましてきまして、これをどんなふうに活用していくかというのは非常に大きな課題かと思います。今、随分いろいろな例が紹介されましたが、今後、行政機関とかNGOとか、あるいは事業者の方がこれから後いかに活用していくかは非常に重要だと思いますが、皆さんから今のご説明についてのご質問、あるいは今後こんなふうにしていったらいいのではないかとか、こういうことをしたいためにこういうような整備が必要だとか、そういうようなご意見がありましたらぜひ出していただきたいと思います。お願いします。

○保坂委員  東京都の保坂でございます。PRTRデータの活用策を考える上では、テーマとしては、第3回のようですけれども、届出の事項の充実を含めてセットで考える必要があるのではないかと思います。つまり現在の届出事項である排出量、移動量だけではなかなかまだデータの解析を行うには不十分ではないかというふうに思っています。
  東京都では、別途条例で指定いたしました58種類の化学物質の年間取扱量が 100キログラム以上の事業者に対しまして、年間の使用量、製造量、製品としての出荷量の報告も求めております。先月の2月20日にプレス発表をさせていただきまして、その制度に基づく報告データから解析しまして、業種ごとの排出削減の取組状況についてお示しいたしました。制度の開始当初からどうなったかというのは、先ほどPRTR制度の方の資料6のような形で、排出量そのものがどういうふうに削減できたかということはもちろんのことなのですが、それだけではなくて使用量のデータもあるわけですので、使用量に対する排出量の比率、排出率や排出係数というようなこともありますけれども、そういったものも業種ごとに算出することができまして、その減少傾向も示すことができました。つまり排出率というのは、例えば排出ガスの処理装置を導入することによりまして小さくなりますので、これは事業者さんによります化学物質の排出削減努力の指標の1つになると思っております。
  したがいまして、この制度によって事業者さんの自主的取組の状況を把握する目的でデータを活用するということであれば、ぜひ届出事項の拡充を図っていただきたいというふうに思っております。

○中西座長  どうもありがとうございました。ほかにご意見ございますでしょうか。それでは、増沢委員、次に吉岡委員お願いします。

○増沢委員  質問になりますけれども、3ページから「行政による化学物質対策の優先度決定のための基礎データとしての活用」というところで、経済産業省と環境省でいろいろとリスク評価に取り組まれているというご紹介があるのですけれども、基本的には行政による、特に国によるということを考えますと、国として化学物質対策の優先度決定を今後していくということが考えられると思うんですけれども、現在両省でいろいろな形でやっておられる、こうしたリスク評価のところから、国としての優先度を決定していくという方向に持っていくに当たって、現在のところ、どのようなお考えを持っておられるのか、あるいはどのようなお考えでやっておられるのかということを教えていただければと思います。

○吉岡委員  PRTRデータの活用事例につきましては、行政あるいは事業者等につきましての多くの事例がありますし、PRTRデータは十分活用されているものと考えております。しかしながら市民等が直接一般的にこのPRTRというものを活用するための手段、方法というものについては少し欠ける点があるのではないかと考えております。例えば、私が一般住民といたしますと、私の地域のところでは、一体何が問題であって、それがどこから出てくるのだという逆の方向から推定ができるようなソフトウェアといいますか、データの提供といいますか、そういったものがあれば市民にも大きな関心を払っていただけるのではないかというように考えます。

○小出委員  読売新聞の小出です。今の増沢さんのお話と近いのですけれども、リスク評価のデータは、経産省、環境省それぞれやられていますけど、素人の感覚では何で合同でできないのか、ばらばらにやることに意味があるのかどうか、合同でやることのメリット・デメリットをお伺いしたいのと、もう一つは、化学物質のリスク評価のデータがあちらこちらに散っていて、素人がアクセスするのに非常にわかりにくいのですが、国としてのこういうふうなデータベースを一元化して入っていけるような仕組みづくりができないのかどうか、その辺をお伺いしたい。

○中西座長  きょうたくさん議論しなければいけないことがありますので、まとめてお話を伺います。辰巳委員どうぞ。

○辰巳委員  あえて、済みません。今、吉岡さんがおっしゃったのとかなり近いのですけど、私もそれぞれの活用事例の中で市民との結びつきが余りよく見えないなと思ったもので、それを一言言いたかっただけです。特に市民と事業者のつながりはとても大きいのですけれども、そのときに削減された努力というのが、「事業者の責務」としてという単語が非常にたくさんありまして、責務としてやっておられて、そうすると一生懸命やったものをそれなりに評価してほしいのだろうと思うんですけれども、そういう消費者の評価をどのように評価していったらいいのかというところが見えにくいと思います。
  別の話かもしれないのですけれども、削減する方法として何かに代替していくのが1つなのだろうと思うのですけれども、そのあたりがもうちょっとわかるとわかりやすいなと私は思ったのですけれども、済みません、それだけです。

○中西座長  市民との結びつき、市民自身が解析するとか、そういうことではなくて、今回は自治体はもっと市民に解析した結果を教えてくれと、そういう感じですか。

○辰巳委員  特に市民というか、事業者と市民との結びつきが大きいので、先ほどもグリーン購入というお話もあったのですけれども、そういうふうなところでうまくつながるような使い方というのか、削減した努力をどういうふうに表現していくかということも関係するのかと思うのですけれども、そのあたりでもう少し広がっていくというか、そういうふうに思ったもので、済みません。

○中地委員  市民への情報提供という関連で少し質問したいのですけれども、PRTRデータがこの5年間公表されることによって、当初に比べて何万トン排出量が減ったとかというのは割と目に見える数字で説明ができるわけですけれども、それをだれがどれだけ努力しているのかという観点で言いますと、例えば事業者の人たちはそれぞれ個々の届出データから一定の判断できるわけですが、市民に対してどれだけ情報提供しているのかということで言うと、例えばインターネットでNITEさんであったり、あるいは環境省さんであったりいろんなところでPRTRデータを工夫して大気中の濃度を見せたりというような形でウェブサイトで公表されているのですが、それをどういう人がどれぐらい見ているのか。要するにアクセス数みたいなものを出してもらって、これだけ情報提供をしているといった努力を評価することは必要なのではないかと思いますので、その辺どういうふうにお考えなのか、あるいは今の実態をどのように把握されているのかということをご説明いただきたいです。

○中西座長  宮坂委員、辻委員もでしたね。時間を気にしているものですから、宮坂委員どうぞ。

○宮坂委員  化成協の方から一言言わせていただきます。PRTRは基本的には全員参加というか、できるだけ多くの企業に無理なく参加してもらうということは1つ大きな点だと思います。例えば排出の数値の出し方についても非常に柔軟な形でやっていただいていると思いますし、それを極めて厳密な方法にすると、例えば中小企業が多い化成協などでは対応しきれない会社も出てくると思います。ただし、取扱量を排出量で割るといういろんな指標もあると思うんですけれども、特に化学企業ではリサイクルが非常に進んでおりまして、例えば溶剤を回収してまたそれを使う。そのときの取扱量がどういうものなのかというのは非常に慎重に考えないと大きな誤解を招く結果になると思います。ですから、そういう面で、規模の大きな化学工業の会社では内部で自主的に削減計画を出してやっていると。そういう形で、こういうPRTRはできるだけ柔軟な対応をして、できるだけ多くの会社に参加してもらうというのがポイントだと思いますし、自主管理のところをぜひ慎重に考えていただきたいと私は思います。

○小澤代理(辻委員)  日本電機工業会の辻の代理の小澤でございます。活用については、報告の中にもありますように、今リスク管理が最も重要だということでうたわれているし、さらにその取り組みもされていますけれども、基本的に工業会の立場からすると、届出イコール排出削減という認識で動いていまして、現実的に相当毎年度排出量は下がってきております。その届出データの利用について、環境省等はリスクには地域も含めて量の公開、あるいはこの中にありますけれども、濃度の公開というのがあるのですが、量と濃度だけで実質的に一般市民がそのリスクの評価ができるのかどうか、その辺が非常に見えないということで、実質的に利用頻度といいますか、その辺も非常に少ないのではないか。それが市民の化学物質に関する関心がなかなか上がらない理由でもあるのではないかという気がしているので、もっと実際に濃度についていえば、濃度が具体的にどのような程度で問題があるのか、その辺をもっとわかりやすく説明したものが必要ではないかという感じを受けます。

○中西座長  もう一方、ここでおしまいにさせていただきますけど、後は議論にさせていただきます。

○篠原委員  2点お伺いしたいのですけど、1つはリスク評価を環境省と経済産業省が別々にやっておられるのですけれども、どうも少しずつ目的が違うということです。先ほどの小出委員と同じなのですけれども、1つにできないかというのは私も同じように感じます。地域住民とのリスクコミュニケーションというのは、業界団体として取り組みとしてやっておりますし、また各事業所も地域住民と対応しているのですけれども、かなり一生懸命やっているつもりなのですけれども、なかなかうまくいっていないのではないかという気がしています。
  わかりやすい情報をできるだけ提供しているのですけれども、国としてこういう物質が今問題になっているとか、リスクについてわかりやすく、国全体で解説できるようなものがあれば、地域住民との対話で非常に役に立つのではないかと思います。我々事業者の悩んでいる地域住民との対話をうまくいかせるためにも是非お願いしたい。
  それから、先ほどありましたように各事業所での努力がわかるようにするために、使用量に対する排出量がどう変わったかということはわかるのですけれども、使用量と取扱量、製造量といろんな言葉が出てきますが、これをはっきり定義づけておかないと、先ほど化成協の方がおっしゃったように、非常に誤解を生む可能性があると思います。ぜひ、今後この議論するときは言葉の定義だけははっきりしておいていただきたいと思います。

○中西座長  今のご意見、非常にたくさんあって、これについて全部議論していくのはちょっと難しいなという感じを持っているのですけれども、座長として1つだけちょっと出過ぎたことかもしれませんが、PRTRのデータというのは、事業者の名前も住所も全部公表しているということは、基本的に国だけがやれということではなくて、みんながそれぞれのところで活用することが原則だと思うんですね。そうなりますと、今のご意見の多くは、国がやってないではないか、やってないではないかという感じのご意見が非常に多かったように思うのですけれども、その点は再確認をさせていただいた上で、事務局の方からお返事をいただきます。

○斉藤化学物質リス評価室長  何点かお答えさせていただきます。まず、大きくこのリスク評価、経済産業省と環境省で2つあるというお話がございました。現状そのとおりでございます。理由といたしましては、1つは、リスク評価の手法はまだ完全に固まってないということもあって、これまではどちらかというと技術開発的な要素もあったということで、幾つかのところでやってきたところでございます。その結果、例えば活用の仕方としては、ばく露データの取り扱いを、PRTRデータを用いるのか、モニタリングデータを用いるのかとか、少しずつこの2つのものの細かいところを見ると異なっております。ただ、ご指摘のとおり、いつまでも別々ということでもないと思いますので、今後は何らかのそういう調整、手法の調整なのか分野の調整なのか、その辺は今後でございますが、政府として考えていきたいと思っております。もちろん、この2つのリスク評価の結果は全く異なるということはございませんで、ほぼ同じような方向は出ております。
  それから、市民の方への理解がまだまだ足りないということで、アクセス数はただいまデータがないので、またわかれば別途お示ししたいと思いますが、今、座長がおっしゃったとおり、我々もやるべきことはやっていかなくてはいけないと思っておりますが、国、自治体、事業者、あるいはNGOの方も含めてどういう役割分担で何をしていくのかというところが重要かと我々は思っておりまして、そのために我々としては事業者の方やNGOの方がいろいろやれるようなツールの提供とか支援はしていく必要はあると思いますが、すべて私どもに期待されるのもつらいところもありますので、その辺はまた今後の事業者のリスク管理とかリスクコミュニケーションといったところでもいろいろご議論いただければと思います。
  あと、データのどういうものを届出事項にするかということで、取扱量という言葉が少し出ておりました。これについては次回また議論させていただきたいと思いますが、きょうは細かいことは申し上げません。例えば排出量というのは一番ダイレクトにまさにわかるわけですが、それによってリスク評価はきちんとできるようになってきているわけですが、それ以外のデータといったものはどう反映されるのか、本当にそれが正しく状況がわかるデータなのかどうか。もちろんないよりはましという議論があるかもしれませんが、当然それなりのコストがかかるわけですから、最低必要なデータなのかどうかという点も含めて何がわかるのかという点をもう少し精査して次回お示しをできる範囲でしたいと思っております。
  大体こんなところかと思っています。以上です。

○中西座長  環境省の方からも説明をしたいということで、よろしくお願いいたします。

○北窓環境リスク評価室長  環境リスク評価室長の北窓です。リスク評価について行政活用を具体的にどのように考えているかということと、合同でできないかという2点の御質問がございました。まず、環境省の実施する環境リスク評価は、化学物質管理に係る環境行政の一環として環境リスクが高いと考えられる物質をスクリーニングする役割を担っています。したがいまして、初期リスク評価でスクリーニングされた物質については、詳細リスク評価の候補となるわけです。詳細リスク評価についてどのような活用が考えられるか、わかりやすい例で言いますと、例えば環境基準の設定があります。したがって、初期リスク評価は環境基準を設定のプライオリティーを決めるツールの1つとして活用される、あるいは環境基準に準じる指針値作成のプライオリティーを決める1つの材料として活用されると認識しております。
  合同でできないかということに関しましては、目的が異なるものの内容については共通点が多いというご指摘もございましたので、産総研等の研究成果も活用しながら一層積極的に進めてまいりたいというふうに考えています。

○佐藤委員長  今のリスク評価をいろんなところで、いろんな形でやっているという話をつけ加えさせていただきたいのですけど、環境省と経産省だけではなくて、例えば労働衛生の現場であっても、あるいは食品の話であってもいろんなところでやっているわけですね。恐らく中西先生もそうだと思いますけど、ここにもたくさんいらっしゃると思いますけど、私どもいろんなところでやらされて、ある意味では何とかしてくれよという気持ちで、させられる方からしても、何とか一緒にやってほしいというふうには思うんですけれども、今、リスク評価室長がおっしゃっていたように、目的が若干違ったり、あるいはターゲットのコピュレーションが違うというようなことがあると必ずしも一緒にできるものではない。かなりの部分は一緒にできるけれども、最終的な評価の部分はかなり個別なものがあるのではないかという感じは私も持っています。ですから、どういうふうにやるのかというのは考えていかなければいけないと思うんです。
  もう一つ、大事なのは、さっき篠原委員がご指摘だったかと思うのですけれども、リスクコミュニケーションの部分で、これをわかりやすくすれば、リスク評価自身は、個別というか、その目的に従ってやっていってもいいのではないかというか、その方がいいのかなという気もします。ただ、リスクコミュニケーションは国民・市民に向かってわかりやすくする必要があるであろうというような感じがします。
  ただ、その人材が実際には余りいないんですね。そういうのを育てるようなことをむしろ国の政策なり、科学技術政策の中で考えていくと。ちょっとPRTRそのものとは関係ない話になってしまいますけれども、そんなことを考えていったらいいのではないだろうか。以上です。

○中西座長  どうもありがとうございました。幾つか、例えばもっと活用するためには発生源のことがわかった方がいいとか、吉岡委員の説明とか、濃度からリスクのところがよくわからないとか、そういうようなお話ありましたが、そういうようなことは課題として、できるだけ多くの人が活用していけるような、そういうシステムにしていくと。今までの経験を生かしてそういうような形にできていけばいいのではないかと思っております。
  済みません、時間がなくて大変申しわけないのですが、次の議題に移りたいと思います。「PRTRデータの提供方法」ということで、資料8に基づいて、事務局から説明をお願いいたします。

○青木環境安全課長  環境省の環境安全課でございますが、資料8につきまして、時間も押しているようでございますのでごく簡単にご説明させていただきたいと思います。
  検討事項として、PRTRデータをどのように情報提供すべきかということをご審議いただくためのペーパーでごさいますが、このペーパーの構成として、1.PRTRデータの集計と公表、2番として、個別データの開示、そういう構成でこの紙をつくっております。
  全体の仕組みでございますが、1ページの図にございますが、一番上の矢印にございますが、国が集計結果を公表する。都道府県においては地域ニーズに応じた集計を行う。この都道府県の取り組みにつきましては、次の資料9でご説明させていただきたいと思います。国民の方からの矢印として開示請求を行い、国が個別データを開示する。こういうフローになっておりまして、この法律の条文が20ページ、21ページに書いてございます。この条文に基づいて国が公表する。その公表の項目も省令で決まっているということになっております。
  22ページに、国会におきまして附帯決議がなされております。この附帯決議におきましても、「必要な情報が国民に分かり易く、利用しやすく、又、等しく提供されるものとなるように配慮するとともに、インターネット等を含めた情報提供手段の幅広い活用」、あと「開示の方法に応じ、利便性が高く負担がかからない金額とすること。」、こういう附帯決議をいただいておりますので、これに沿った形の情報提供及び開示の仕組みを整えているということでございます。
  2ページが、この制度に基づきました集計と公表の現状でございまして、表として各項目ごとの集計の表を掲げております。図1―1、図1―2、図1―3ということで、インターネット等を通じまして、こういうビジュアルな形での提供に努めているところであります。
  4ページに行きまして、地方自治体による集計と公表ということで、ここではごく簡単に書いておりますけれども、特に地方自治体においては、表1―4にございますように、ブロック単位、市町村単位ということで公表されているところもかなりあるという状況でございます。
  5ページに行きますと、自治体によりましては、物質の類型ごとに集計している例が図1―4、また河川、地理的な情報別に公表しているという例が1―5でございます。
  6ページに行きまして、自治体だけではなくてNGO等による集計と公表も行われておりまして、ここでは代表的な例としてエコケミストリー研究会のホームページの例を掲げておりますけれども、市区町村別の情報提供でありますとか、または有害性の程度を加味したデータの公表といったようなことも行われているという状況でございます。個別データの提供している事例につきまして、後ほどこのペーパーの最後の方で出てございます。
  8ページに行きまして、集計・公表に対する要望・意見ということで、当審議会におきましても、できるだけ事業者や市民の声を拾っていきながらご審議いただきたいということがございましたので、ここは環境省が行いましたアンケートの結果を掲げてございます。図1―7が事業者に聞いた要望・意見ということで、一番上にありますけれども、「各対象物質について、業種別の排出量・移動量及びその構成比」を示すべきである、これが一番多くなっておりまして、事業者としては業種別といったところが要望が高い。
  市民の要望・意見としまして、下の図1―8にございますけれども、「排出量に毒性で重み付けをした対象物質のランキング」、また、2つに下になりますけれども、「各都道府県における市町村別集計結果」、こういったものに関心が高いということでございます。
  9ページは、どのようなツールが把握、提供すべきかということで、「生態系への影響評価ツール」、「環境中へ排出後の化学物質の挙動解析ツール」、「データの地図情報化ツール」、こういう市民がわかりやすく活用できるようなツールを提供していくべきであるといったご意見がございました。
  その下の地方自治体のアンケートでございますけれども、データ提供についてご意見を聞いたところ、「開示請求を廃止して公表すべき」という意見が9件、「届出外排出量を市町村ごとに推計すべき」という意見が6件といったような状況でございます。
  10ページが外国におけるデータ提供の例として、米国における例を書いてございますけれども、これはホームページにおきまして検索することによって、例えば個別物質の経年変化も共有することができます。
  以上が、公表の点でございますけれども、12ページ以降が開示請求というところでございます。
  PRTRの個別データにつきましては、国民からの開示請求を待って国から開示するということで、全データを開示する場合にはCD―ROMの形で 1,100円の手数料で開示を受けることができるという形になっておりまして、これまで 2,500件の開示請求がございました。その中で 2,300件かなりの部分がCD―Rが高いということになろうかと思います。
  開示請求により入手できる情報が13ページに掲げてございまして、CD―ROMで開示を受けた場合にどのようなツールが用意されているかというところを14ページの個別事業所データの分析システムというところでご説明しております。
  個別事業所データを開示請求によらず公開しているというところがどういう状況にあるかということを15ページでご説明していますけれども、諸外国におきましては、表3―1にございますように、ほとんどの国において個別データはウェブサイトにおいて入手できるという状況にあります。韓国のみがまだ対応がなされていない状況ですけれども、2008年1月から公表予定という状況であります。
  それが具体的にどのような形でなされているかという例を16ページ以降に掲げております。米国の例を掲げておりますけれども、米国においては、これとは別に地図情報でも提供はされているのですが、EUの方がちょっとわかりやすいということで17ページ以降にそのヨーロッパの例を挙げております。
  ちょっと飛ばしますけれども、18ページの図3―5の形の地図情報表示ができるということです。
  19ページにおきましては、先ほど申し上げましたもう一つのNGOによる情報提供の例として個別事業所データを提供しているTウォッチの例を掲げてございます。
  以上です。

○中西座長  どうもありがとうございました。ただいまの報告を受けまして、ご質問、ご意見ありましたら、よろしくお願いいたします。

○大塚委員  今の件に関して1つだけ申し上げておきますと、ご説明いただきましたように12ページにありますように、ほとんどCD―Rで開示をされているということで、このCD―Rに個別事業所のデータも出ていますので、現在、開示制度ということで開示請求されたら開示するということになっていますが、事実上公表とそんなに変わらない状況になっているということではないかと思います。しかし、もし諸外国と同じように公表ということにすれば、もっとデータの活用がふえると思いますので、個人的にはそういうふうにしていただいた方がいいと思いますけれども、既にそれにかなり近い状況になっているということではないかと思います。
  それから、先ほどの件でちょっとだけ追加で申しわけないのですが、データの活用に関して1つだけ申し上げたかったのは、辰巳委員もおっしゃっていましたけれども、代替物質への転換が実際にかなり行われ始めているようですので、先ほどのPRTRの排出量、届出量の把握だけではなくて、どういう物質に変わっていっているかということをぜひ国の方で評価していただくと大変ありがたいと思いますし、それが今回のもし見直しがあった場合に、対象物質を変えていく、あるいはふやしていくことかもしれませんが、その検討に非常に役に立つのではないかということでございます。

○中西座長  ほかに、城内委員どうぞ。

○城内委員  議論が少し戻るようで申しわけないのですが、日本大学の城内です。私は長いことGHSとつき合っていますので、ちょっとハザードコミュニケーションの方からお話ししたいと思います。化学物質の関係で多分一番重要なのは危険有害性をそれを扱っている人と、住民に知らせることで、その後でコミュニケーションがあると思っています。でも日本の法律はPRTR法もそうであるわけですけど、措置が先になって、なおかつ物質が限られているということが問題だろうと思っています。もちろん措置は非常によくできていると思いますが、情報提供の方がうまくできていないわけです。それはほかの法律でも言えるわけで、毒物劇物法でも医薬用外毒物とか医薬用外劇物というのは書かれるわけですが、それは何を意味するのかというのは普通の人はわからないわけですね。私も長い間わかりませんでした。あと、石油何類というのも同じようなことで、それを知っている人は措置がわかるけれども、危険有害性はわからないというのが日本の法律の現状なわけです。
  それの一番いい例が、資料7ページ3で表が出ているのでこれがわかりやすいと思います。例えば有害性を評価しましょう、有害性評価書をつくりましょうというのはいいのですが、この有害性評価をした結果というのが日本の法律ではラベルにもMSDSにも反映されないことの方が多いわけですね。そういうような日本の現状があって、それで各省で化学物質に関する法規制を何とかしようという議論がいっぱいあるわけですけど、一番大切なところがなくて、どちらかという枝葉末節というか、措置をどうしようかということの議論ばかりが先行しているようで、とても残念に思っています。リーチとか、米国の危険有害性周知基準などは既にあって、なおかつそれらはGHSを基本にしてやっていこうということが決まっているわけですので、我が国ではそういうベースがなくて法規制をどうしようかということを議論しているというのは、繰り返しになりますが、非常に残念なところであります。
  私としては、まず危険有害性を伝えるハザードコミュニケーションをどうするかということをちゃんと議論していきたいと思っています。それは今ある措置を主体にした法律はすべて包含されると思いますし、縦割り行政でけんかしなくても、みんなで同時に始められると思いますので、ぜひご検討をお願いしたいと思います。

○吉田代理(関澤委員) 情報開示の請求についてですけれども、この12ページのデータを見ていますと、15年度がふえてその後は減ってきているということで質問します。私どももCD-ROMを業界で分析するので購入しています。実際に請求されている方は企業が多いと思いますが、請求される方はどのような方かということと、先ほど大塚先生から、開示のやり方を簡単にすればもっとふえるとありましたし、当然そうだと思うのですけれども、気になるのは減っているのではないのという感じがしていまして、制度上の何か課題があるのかどうか、その辺の分析がどういうふうになっているのかをお聞きしたいと思います。

○中西座長  どうもありがとうございました。

○中地委員  中地ですけれども、PRTRデータの開示請求の件で、12ページにあるように確かにCD―Rでもらっている人はかなり減ってきているような傾向もあるのですが、なぜ、そうなのかというのは13ページにありますように、情報が本紙と別紙という形で別々になっていて、なかなか一般の市民の人が自分の知りたい情報に行き着けないという話になっていて、それで2年間から14ページにありますように、トナイチさんの方で開発されて、個別の事業所のデータが検索できる「けんさくん」というのをつけて配布されるようになったという経過はあると思います。
  私どもの方は当初から、吉岡先生のおっしゃったような、自分の住んでいる住所の近くの工場からどういうふうなものが出ているのか、どういう届出があるのかというようなことがわかるように、19ページで個別事業所データの公表例という形で出されておりまして、Tウォッチのウェブサイトを運用してきているのですが、最近事業所数が多くなったのと、あと、経年変化がわかるようにという形で、作業がおくれていて最新なものにはなっていないのですけれども、住所や工場名を入れれば届出されているデータがわかるというシステムになっております。ただ、アクセス数は大体年間2万件から3万件で余りふえておりませんので、そういう意味は市民の方の関心が薄いというようなところをどういうふうに関心を高めていくかという努力は私たちもしなければいけないと思っていますし、それは国、特に事業者や地方自治体の方も含めて、せっかく大気中に排出される化学物質の量を減らそうという努力らと協働してやっていく必要があるのかなというふうに思っております。
  できれば、こういったデータについてはすべてウェブサイト等で公表されるようにしていただきたいなと。そうしますと、私どもの作業も軽くなりまして、また違ったNGO活動が違った観点から事業所の削減努力などを評価できるような活動ができるのかなというふうに思っております。

○古賀委員  この提供方法を今までお聞きして、まだまだ方向が、やらなくてはいけないことがあるなというのは、現実にこの後、地方自治体の役割というのが出てきますけれども、いずれにしても単位が大きいと、1つの一律の公表だけになってしまうのですけど、いわゆるコミュニケーションにつなげるために単位を小さくして、現実には自治体というのは市もあるわけで、そういったところで、ここでNGO、公共・行政、それとあと企業、企業が実際には負荷を下げリスクを少なくするという現場を知っているわけです。そういう意味で、ぜひとも公表するための全国自治体の中で成功事例というか、そういうものをもっとはっきりさせるために、そういったところで、いわゆる国の関与というのは、国がやるというよりも政策的にそこに支援をすればいいと思うんです。そういった成功事例をもとに、そこの数をどんどんふやしていくようなことをそろそろやらないと、相変わらず公表だけ、義務づけだけに終わってしまうので、ぜひともそこら辺を考えていただいて、コミュニケーションにつなげていっていただくと。
  企業はインセンティブがあればどんどんやるし、それは住民も喜ぶということなので、ぜひともそのことを考えていただきたいと思います。

○中西座長  今の古賀委員のご意見は、次の議題と考えていいですか。

○古賀委員  そうです。

○中西座長  今の公表の仕方についてというところでご意見をいただいておりますが、積極的な提案としては、開示の仕方を公表にしてしまったら、CD―ROMで請求したりするのではなくて、公表してしまったらどうかというご意見と、あと城内委員のご意見はちょっとPRTR法だけの問題ではないというところがあって、ここで議論しなければいけない問題ではないと、ご意見は伺いますが、というふうに考えていいですか。

○城内委員  はい。

○斉藤化学物質リスク評価室長  城内委員のご意見は、MSDSについて議論する場、これは後の方になってしまうのですが、ございますので、そこで資料もある程度提示できると思っております。
  あと、その他、国だけではなくて自治体、あるいはNGOの方々を含めてどう地域レベルで住民の方へのリスコミ含めた情報提供していくかということについては、先ほど申しました今後ともまたそれはこの会議の重要な議題かと思っております。
  情報提供のあり方については、今、座長からありましたけれども、もし意見が集約できるのであれば、ここで議論していただいても結構かと思います。

○中西座長  反対の意見は、特に事業者の方からも余りないと考えてよろしいでしょうか。今のようなCD―ROMで提供するよりも公表してしまった方がいいのではないかというご意見がいくつかございました。中地委員がおっしゃっていたことは、私は逆に心配していまして、せっかくNGOがやっていることを国がやっていいのかというのは相当疑問に思っていたのですけれども、それはNGOとしては構わないということでよろしいのですね。

○中地委員  はい。

○中西座長  ほかにご意見がなければ、ここでは一応公表ということが望ましいのではないかという形のまとめさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

○中西座長  では、そのようにさせていただきます。ありがとうございます。
  では、最後の(2)の3の「地方公共団体の役割について」ということでお願いします。

○青木環境安全課長  続きまして資料9についてご説明させていただきますが、その前に、座長におまとめいただきましたというよりも、一応ご質問がありましたので、開示請求の内訳はどうなのか。これは全体をくくられたデータはないのですけれども、事業者の方が多いかなという印象は持っております。ただし、それが減ってきているのはどういうことかということはご議論の中でもいろいろお話があったかと思いますので、我々の方でもそこまでの理由までは把握しきれておりませんけれども、この辺はご議論いただけたのではないかと考えております。
  それでは、資料9につきまして、地方自治体の役割についてということでご説明させていただきます。1ページの箱の中にございます「PRTR制度における地方公共団体の役割はどのようにあるべきか。」ということでありまして、これはあくまでもPRTR制度につきましてまとめたものでありますので、自主管理でありますとかリスコミ、こういったことにつきましては、次の次の回の議題になっておりますので、ここではPRTRということに限っております。
  このペーパーの構成といたしまして、法的な位置づけで、2番目として独自の制度、3番目としてデータの活用の事例、4番目として自治体の意見という構成でつくっております。
  最初の図が自治体の関与を示した図でありまして、事業者は都道府県を経由してPRTRデータを届出ると。都道府県は国からの情報提供を受けて、この集計結果を公表することができるということになっておりますのと、ともに技術的助言を事業者にすることができる。この技術的助言といいますのは、どちらかというと自主管理に関するものででもございますけれども、一応都道府県の役割ということで法的に位置づけられているものを書かせていただきました。
  この図にあるものとは別に、営業秘密に関する手続で都道府県が意見を言うことができるとか、そういうのがちょっとあるのですけれども、実際営業秘密に該当するという申し出があったデータは今までございませんのでその辺は省略してあります。この根拠条文につきましてはこのペーパーの最後につけてございます。
  なお、1ページの最後でございますけれども、地方公共団体の経由規定といいますのは、これは実は国会で修正がなされたところでございまして、その修正の理由として、「排出量等の届け出先については地方公共団体とすることが、地域における排出量等の把握や事業者に対する相談指導等の実施において有効であること」から国会で修正がなされたものということでございます。
  2ページに自治体の独自の条例指針の制定状況ということで、24自治体の表が掲げてございます。3ページの下にございますように、このうち11自治体はPRTRに関する上乗せ等の届出制度を設けているということで、その概要が4ページ以降でございます。
  まず、上乗せの条例ではほとんどのものが製造量、使用量、取扱量を届出させるといったものになっております。
  5ページにございますように、PRTR制度と重複して排出量、移動量を届けさせるというものもございますけれども、注3にございますように、札幌と東京におきましては、法に基づく届出がなされている場合に省略可能ということになっておりますし、川崎市は)(注)にございますように、要請に応じて届出させるということから、この辺につきましては、特に二重の規定にはなっていないという状況かと考えています。
  この届出要件が、6ページにございますけれども、ここにおきましては、事業者全体で21人以上の従業員数で、年間取扱量1トンというものがごさいますけれども、そのすそ切りにつきましては自治体によって幾つか差があるという状況にございます。
  対象物質につきましては、7ページに掲げておりますけれども、埼玉県、東京都、川崎市、大阪府におきまして、独自指定の物質が幾つかある。特に大阪府におきましては、急性毒性に関連する物質も含むという形でございまして、事故などを想定したものにつきましても、自治体レベルでは情報を把握するといった取り組みが行われているという状況であります。
  3番目といたしまして、8ページにございますPRTRデータの活用状況であります。図3―1にございますように、独自に集計して公表している。これはほとんどの自治体でなされているわけですけれども、それ以外に問題が発生した場合の原因の特定や対策の検討、個別指導が必要な事業所の把握、優先的に対策を講じるべき業種や地域、対象化学物質等の把握ということで、それぞれどういった内容かというものは8ページの下の段以降に詳細に書いてございますけれども、時間もございませんので、この辺は割愛させていただきます。
  10ページ、11ページは、埼玉、千葉におけるPRTRデータの活用事例ということでありますけれども、いくつかご紹介いたしますと、例えば自治体において、事業者指導を積極的に活用すべきではないかといったご意見があったかと思いますが、11ページの千葉県の例を見ていただきますと、化学物質管理の一番上、管理指針のところで、事業者による排出量の把握、環境リスクの評価、事故時対策、管理体制の整備等について指導しているといった状況がございます。
  また、12ページは、これは東京都の例でありまして、保坂委員がいらっしゃいますので、ここで私から説明するのも何なんですけれども、一番下の箱に書いてありますように、モデル地域において、地域による環境リスク低減対策の策定実施というものにPRTRデータが使われているというふうな例でございます。
  13ページの神奈川県の例といいますのは、これは総合的な安全性影響といったものを事業所ごとに算出するといった例がございまして、それは詳しくは14ページにありますように、人健康への影響、生態系への影響ということで、ランクをローマ数字とアラビア数字で分けまして、これの組み合わせで表3―6の網かけの濃い部分が影響度が高いといった評価がされているという例であります。
  15ページ、新潟県による取り組み事例ということで、こういうふうにGISによってマップに落としまして、災害時における迅速な対応が可能になるということで、新潟県においてはこのような取り組みがなされているところであります。
  17ページ、地方自治体アンケートで寄せられた意見ということでありますけれども、これは68自治体中の意見でありますので、一番多い意見として、立入権限の付与でありますとか、そういった権限の付与関係が書かれておりますけれども、68自治体のうちの7自治体ということで、これをどういうふうに評価するかは難しいところでありますけれども、一応アンケートではこのような意見が寄せられているということでご紹介させていただきます。
  1点、誤植でございますけれども、自治体の役割のその他の意見ということで、下半分の上から3行目、「地方自治法の法廷受託事務」、この法廷(正:法定)の廷が間違っておりますので訂正させていただきます。
  以上でございます。

○中西座長  ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対してご意見をいただきたいのですが、実はあと4分しかなくて、ちょっと10分ぐらい延長させていただくということでお願いしたいと思います。ご意見ありましたらどうぞ。

○保坂委員  地方公共団体の役割ということですので、東京都の意見を出させていただきたいと思います。現在の経由事務から踏み込んで立入権限などを付与したらどうかという議論があることは承知しておりまして、ただ、この背景には、事業所の皆様の自主的取り組みを技術的にサポートするのをもう少しきめ細かくやれるようにするというのではいいのですけれども、単に未届けの事業者の追及の役割を地方公共団体に負わせようという感じが見え隠れするなというふうに思っております。そういうことでは、この権限を付与しただけでは届出の問題は解決できないと思っております。今、地方公共団体はどこも人員削減の波を受けておりまして、公平性を担保しようということで、そういういろんなところを訪問することになりますと、ローラー作戦をやって展開するみたいなことになるわけですが、これは現実的に無理ではないかと思います。
  それよりも、先ほどのテーマにもなるのですけれども、アメリカ、EU並みに個別事業所のデータをすべて公表する制度によって、事業者さんが社会的に常に見られているという状況をつくることによりまして、該当の事業者さんは届出を出さざるを得ないという、そういう状況づくりをすることの方が重要ではないかと思っております。

○中西座長  ありがとうございました。ほかにご意見ございますでしょうか。

○中地委員  都道府県の経由事務のお話なんですけれども、きちんと事業者が届出をしているかどうかというのはその事業者に、ほかの例えば大防法であったり、水濁法であったり、そういうところで立入権限のあるようないろんな許可や届出を受けているような市町村といいますか、例えば、私は大阪ですけれども、大阪府の場合には、大阪市とか堺市という政令市がありますけれども、届出事務をされていないんですね。
  そういうふうな形で言うと、それぞれの市町村あるいは地方自治体に公平に役割分担をしてもらう意味で言うと、届出事業所の把握をしやすい形に経由事務をするところをかえていくということが必要だと思いますので、ぜひともその辺、見直しという意味ではご検討願いたいと思います。

○中西座長  ご意見は、経由事務を担当するのが都道府県のみならず、少なくとも大防法などに責任を持っている政令指定都市を含めるべきというご意見ですね。

○中地委員  はい。

○中西座長  わかりました。ほかにご意見ありますか。

○辰巳委員  済みません、国で決まっている以上に上乗せをして調査をしている市町村があるということで、いいことだと思っているのですけれども、例えば日本の大きな企業の方たちは、地方に工場があったり、いろいろしますよね。そのときにそれぞれ皆ばらばらの報告というか、基本的なものにプラス上乗せをされたりして、言われたとおり、なさっているのかと思うんですけれども、そのあたりの煩雑さというのはないのかどうか、ちょっと気になったもので、済みません、半分興味だけですけれども。

○中西座長  要するに日本国全部統一した方が楽なのではないかと、そういうご意見ですか。

○辰巳委員  そうです。

○中西座長  事業者の方、何かご意見ありますか。

○古賀委員  辰巳委員はそういうお立場からいうと、確かにそのとおりだと思うんですけれども、やはり問題はどうやってこのリスクを事業者が自主的に少なくするか。先ほど佐藤先生が、教育ということもありましたけど、こういうことを含めてやるために、事業者は、極端に言えば決められたことはやるかもしれないけれども、それ以上踏み込んで本当に皆さんが安心できるようにするためには、あくまでも国は、もしくは地方自治体は黒子になってほしい。それでぜひとも、それをみんなが活気が出るような仕組みにしないと、企業はただやることはやるという全然おもしろくない世界に入ってしまうと思います。

○中西座長  ありがとうございました。ほかにご意見、大塚委員。

○大塚委員  ちょっと明確な意見を持っているわけではないのですけれども、東京都の方がおっしゃっていただいたので、気にはなっていますけれども、未届出事業者がいないとか、場合によっては、情報が必ずしも正確でないというのが、このPRTRの恐らく最大の問題の1つなものですから、自治体にもぜひその辺を積極的に対応していただいた方がいいと思いまして、立入権限まで入れた方がいいかどうか、私は明確な意見持っておりませんけれども、自治体が人員が少ないからできないとか、余りおっしゃらないでいただいた方がありがたいと思いました。個人的で済みません。

○森下化学物質審査室長 今、未届出事業者対策についていろいろご意見等が出ているところでございますけれども、本件につきましては、次回、第3回会合で議題のテーマの1つとさせていただきたいと思っています。
  一言つけ加えさせていただきますと、現在地方自治体の方々と連携しながら、未届出の事業者に対する対策を今進めておるところでございますので、そういった現在の状況をご紹介をしながらご議論をいただければといふうに考えております。

○中西座長  事務局の方から、特に私は今お答えは要らないかと。今のこの議題については、皆様からご意見がありましたけれども、それぞれの自治体が積極的にやるというところが担保されていれば、十分皆さんのご意見が反映されるような今の制度ではないのかというふうに思いますので、それぞれのご意見は、もちろん事務局の方でよく聞いて、その後のことに生かしていただくとしましても、今、この委員会として、特に積極的に何かを言わなければいけないというような意見は特別なかったというふうに、中地さんのは1つ、政令都市までという積極的なご意見ありましたが、それは事務局の方に今後のこととして、今回の議題のあれよりは相当踏み込んだ、まさに法改正みたいな話にもなりますので、それは事務局の方にご検討いただくとしまして、とりあえず今のご意見は余り積極的なご意見はなかったということでまとめさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

○中西座長  済みませんが、そのようにさせていただきます。大変時間をせっついてしまって申しわけなかったと思います。
  それでは、その他ということで、ト書きによりますと、本会合全体を通じてとかあるのですが、これは全部はぶかせていただきまして、これで省略させていただきます。
  では、獅山課長お願いいたします。

○獅山化学物質管理課長  長時間のご検討ありがとうございました。次回の合同会合でございますが、4月18日(水曜日)10時から三田共用会議所で開催させていただきたいと思います。次回以降の開催日程につきましては、追って調整させていただきます。
  また、本日の議事録につきましては、前回同様、原案を作成し、各委員にご確認いただいた上で、次回会合でご了承を得た後にホームページに掲載させていただく予定でございます。よろしくお願いします。
  事務局からは以上でございます。

○中西座長  これで終了いたします。ありがとうございました。

午前12時10分 開会