中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会(第3回)、 産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会 化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第2回)合同会合(第2回)議事概要


1.日時

平成19年3月13日(火) 10:00~12:10

2.場所

環境省 第1会議室

3.出席委員

(中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会)
佐藤委員長、有田委員、内山委員、大塚委員、小出委員(兼)、篠原委員(兼)、城内委員(兼)、高野委員代理(兼)、中地委員、新美委員、林委員(兼)、増沢委員、宮坂委員(兼)、森田委員、吉岡委員
(産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質基本問題小委員会化学物質管理制度検討WG)
中西座長、加藤委員、工藤委員、小出委員(兼)、古賀委員、佐藤委員、篠原委員(兼)、城内委員(兼)、城山委員、関澤委員代理、高野委員代理(兼)、辰巳委員、辻委員代理、林委員(兼)、保坂委員、宮坂委員(兼)

4.議事要旨

  • 第2回会合は、経済産業省が事務局取りまとめを、産業構造審議会中西座長が議事進行をする旨説明があった。
  • 事務局より、両委員会とも定足数を満たしていることが確認された。
  • 事務局より、本合同会合の略称を「化管法見直し合同会合」としたいとの提案があり、全出席委員により了承された。

【委員意見概要】

第1回合同会合における意見の整理(資料4,5)

○日本の事故時対応については、消防法等の他法令規定で対応しているようだが、それで充分なのか。例えば、米国のTRIでは、法律の目的は異なるが、事故時を十分考慮した制度となっている。

○米国のTRIと同様に周辺住民とのリスコミの観点から事故時対応について検討すべきである。

○法令間における情報の共有化が必要。また、届出情報・届出先の一元化等により、事業者の事務手続きの簡素化を図るべきである。

○化管法と米国TRIでは根本的な考えも異なり、またこの場は消防法の限界を議論する場ではないので、事故時の対応に係る規定は別の場で議論することとしたい。

「平成17年度PRTRデータ及びPRTRデータの推移の概要について」(資料6)

○各対象化学物質について、届出排出量と届出外排出量の関係が見えない。また、総排出量の議論をするのではなく、大気・水・土壌などの媒体別と業種との相関関係が分かるデータの提供など、国民の理解を促進するための情報提供が必要。また、PRTR制度に係る行政コストはどれくらいか。

○「グリーン購入」等の自治体が実施している環境配慮やリスク削減に係る取り組みを明確にして、住民が安心感を持てるような情報提供が必要。

○我が国のPRTR制度においては、届出外排出量の推計が大きな特徴であるのでその概要を説明して欲しい。また、平成15年度の届出要件の変更(年間取扱量5トンから1トンに引き下げ)に伴い、届出事業所数は増加しているが、排出量はほとんど変化していない。一方、同年度の届出外排出量は大きく変動しているが、これらは関連があるのか。

○過去5年間継続して届出や排出がない物質については、安易に対象から外すのではなく、物質代替などの理由を分析した上で、行うことが必要。

○日本と諸外国におけるPRTR制度のコスト比較について提示して欲しい。
(事務局)

○届出外排出量については次回の議題となっている。推計手法については、随時検討し、改良を加えてきているため、制度発足当初と比較すると推計値は小さくなっているが、これは精度向上の結果と認識している。

○諸外国の具体的な行政コストは把握していないが、諸外国の制度では届出件数が日本ほど多くなく、日本は比較的行政コストがかかっていると考える。

「PRTRデータの活用策について」(資料7)

○届出事項の拡充を検討してほしい。東京都では条例によって、100kg以上取扱事業者に対して「使用量」等の報告を義務づけており、業種毎の使用量に対する排出量の割合(排出率)等を把握したデータ解析が可能である。これらのデータは、事業者にとっても排出削減努力の指標のひとつになると考えられる。

○行政や事業者においてはPRTRデータが十分活用されているものの、一般市民が活用するには不十分と感じる。どのような物質が、なぜ問題となっているのか等、一般市民が理解でき、関心を持てるような情報提供が必要。

○経済産業省・環境省が別々にリスク評価を実施していることについては、可能であれば合同で実施することも検討すべき。リスク評価のデータについては、国として一元化して欲しい。

○PRTRデータと市民の結びつきが見えにくい。事業者による自主的な削減努力がきちんと評価されるような情報提供の在り方を検討すべきである。また、代替物質への転換が排出削減の一つの方法であることも示すべきではないか。

○PRTRデータの集計結果等、各種ホームページへのアクセス数等から市民への情報提供の状況を評価すべきではないか。

○そもそもの法目的である自主管理促進のためには、中小規模を含めたより多くの事業者に参加してもらうことが重要であり、柔軟な対応が可能な制度とすべき。また、化学業界では溶剤回収等のリサイクルも多いことから、「取扱量」の扱いは慎重にすべきと考える。

○リスク評価が難解であることが、一般市民の関心が低い理由の一つである。「排出量」と「濃度」を公開すれば一般市民がリスクを評価できるという訳ではなく、具体的にどの物質がどの程度の濃度で問題になるのか等、一般市民に分かりやすい情報を提供すべきである。

○リスク評価を実施し、リスクについて分かりやすい情報提供を行うことにより、事業者と地域住民とのリスクコミュニケーションが促進されるのではないか。また、事業者の削減努力の把握のために使用量・取扱量・製造量等を扱うのであれば、それらの定義を明確にした上で、情報提供の可否についての慎重な議論が必要。

○PRTRデータは、国だけでなく、各事業者で活用することが可能ということを前提に議論することが必要。

○リスク評価を両省共同で実施することについては、その目的等を踏まえると必ずしも合同で実施できない場合もある。リスク評価を行う人材育成における課題も含めて今後検討が必要と考える。

「PRTRデータの提供方法について」(資料8)

○現行の開示請求制度でも、事実上は個別データの一律公表と変わらないという印象はあるが、一律公表によって、更にデータ活用の機会が増えると考える。また、今後の対象化学物質の見直しにも資することから、国による代替物質の把握が必要ではないか。

○REACHやGHSでは社会全体がハザード情報をどのように活用するのかという点がポイントになっている一方、PRTR制度に関するこの場での議論は「措置」をどうするかに偏重しており、「危険有害性」などの情報を正しく地域住民に伝える仕組みが不十分である。

○実際に開示請求を行っているのはどのような人たちか。また、開示請求件数は年々減少しているが、制度上の問題があるのか。

○現在の開示データでは、一般市民はなかなか知りたい情報にたどり着けないのが現状。国が開発した検索システムがセットとなり利便性は向上したものの、国・事業者・NGO等が連携して、一般市民の関心を高めていく努力が必要。NGOでも個別データを公表しているが、データ整備等に時間を取られている。国が公表してくれれば、我々は違う活動に注力出来るので、国による公表制度として欲しい。

○例えば市町村レベルなど、公表するデータの単位が小さい方がリスクコミュニケーションにもつながりやすい。事業者はインセンティブがあれば自主的に削減努力を行うのであるから、行政は成功事例の提示などの支援に注力すべき。

◎個別事業所データを一律公表する方針について、全出席委員の了承を得た。

「地方公共団体の役割について」(資料9)

○自治体への立入権限付与等の意見があるが、未届出事業者の追求を目的とするのであれば、自治体では人員削減が進んでおり、成果は期待できない。個別データを公表し、常に地域住民から見られている環境を整えることによって、事業者の自主的取り組みを促進させることが必要。

○PRTR経由事務を行う自治体は、他法令で立入権限を有している政令指定都市等などと整合化すべき。

○自治体による上乗せ条例は、各地方に複数の事業所がある企業にとっては、届出事務が煩雑になるのではないか。国において統一した方が良いのではないか。

○国や自治体からの一方的な強制ではなく、事業者が自主的にリスク削減に取り組むことが重要。

○未届出事業者対策やデータの精度向上はPRTR制度の大きな課題である。自治体においても積極的に取り組んでいただきたい。

○地方公共団体の役割については、経由事務を行う自治体を拡大すべきとの提案があったが、それ以外には特段の積極的な意見なかったものと整理したい。

【次回日程等】

第3回会合 4月18日(水)10:00~12:00 於;三田共用会議所