第1回 中央環境審議会 環境保健部会  石綿健康被害救済小委員会  議事録


日時

平成18年2月24日(金)

議事録

午後5時00分 開会

○天本総務課長補佐 時間になりましたので、第1回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
 本日は、急な開催にもかかわらず、小委員会委員計11名のうち9名のご出席をいただいております。
 まず初めに、環境保健部長の滝澤よりご挨拶申し上げます。

○滝澤環境保健部長 本日は小委員会の開催ということで、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 多くの先生方、およその経緯はご承知だと思いますが、改めて私なりに振り返ってみたいと思います。
 昨年の夏以来この問題が社会問題化いたしまして、政府全体でどのような方針で臨むべきかということを、関係閣僚会議という閣僚レベルでの会合を重ね、毎月毎月検討を進めてまいりまして、年末には総合対策として取りまとめをしたわけでございます。そうした取りまとめを受けまして、石綿の、特に健康被害に係る救済につきまして、迅速な救済が必要であるということで、今国会の冒頭に救済法案を提出いたしまして、先般、2月3日に可決・成立したわけでございます。
 環境省といたしましては、救済法の本年度中の施行に向けまして、目下全力で準備を進めておるところでございますけれども、特に救済における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方につきまして、ご議論をいただきたく、先日、2月9日付で環境大臣から中央環境審議会へご諮問申し上げたところでございます。その翌日、10日に環境保健部会が開催されまして、この環境保健部会におきまして、諮問事項について具体的に検討するために石綿健康被害救済小委員会を設置することが決議されたわけでございます。そうした段取り、経緯を踏まえて、本日この第1回の小委員会開催となった次第でございます。
 石綿に関連する疾病につきましては、石綿との関連をどのように判断するかなどにつきまして、医学的にも極めて専門性が高く、難しい分野であるということもございまして、昨年11月から石綿による健康被害に係る医学的判断に関する検討会、今日、小委員会の委員にご就任いただいている多くの先生方にはこの検討会にもご協力いただいたわけでございますけれども、その検討会で論点、課題、考え方の整理・検討をお願いしてまいりました。その5回の検討会を踏まえまして、報告書もまとめていただいておりまして、本日も、この検討会の報告書を基本といたしまして、さらなるご議論、ご審議をお願いしたいと思っているわけでございます。
 先ほど、年度内の制度の実施ということも申し上げました。大変日程的にも厳しいところで重ね重ね恐縮でございますが、何とぞよろしく諮問事項についてご意見をおまとめいただきますようにお願い申し上げ、冒頭の私からのご挨拶とさせていただきます。
 今日はありがとうございました。

○天本総務課長補佐 次に、本日は第1回目の小委員会の開催ということで、勝手ながら事務局の方で委員の皆様のご紹介をさせていただきたいと思っております。
 50音順にご紹介させていただきます。
 まず、国立病院機構近畿中央胸部疾患センターの審良正則先生でございます。
 続きまして、福岡大学法学部の浅野直人先生でございます。
 続きまして、財団法人癌研究会癌研究所の石川雄一先生でございます。
 続きまして、広島大学医学部の井内康輝先生でございます。
 本日ご欠席でございますが、早稲田大学法学部の大塚直先生もいらっしゃいます。
 続きまして、岡山労災病院の岸本卓巳先生でございます。
 続きまして、東洋大学経済学部の神山宣彦先生でございます。
 都立駒込病院の酒井文和先生でございます。
 本日ご欠席でございますが、国立病院機構近畿中央胸部疾患センターの坂谷光則先生もいらっしゃいます。
 続きまして、横須賀市立うわまち病院の三浦溥太郎先生でございます。
 最後になりますが、産業医学総合研究所作業環境計測研究部の森永謙二先生でございます。
 ありがとうございました。
 それでは、審議に先立ちまして、小委員会の委員長の指名が行われましたので、ご報告申し上げます。
 資料2をごらんください。
 本委員会の設置に伴いまして、中央環境審議会の議事運営規則に基づき、中央環境審議会環境保健部会長の指名を受けて、森永委員が当小委員会の委員長に就任されました。
 森永委員長より一言ご挨拶をお願いいたします。

○森永委員長 産業医学総合研究所の森永です。
 昨年11月から5回にわたって、石綿による健康被害に係る医学的判断に関する考え方の検討会で座長を務めさせていただきましたが、その報告書をベースに引き続き環境省で検討するということで座長を仰せつかりました。非常にタイトなスケジュールですが、皆さんご協力のほどよろしくお願いします。

○天本総務課長補佐 続きまして、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
 まず、表紙に議事次第がございます。
 1枚おめくりいただきまして、資料1といたしまして委員名簿がございます。
 1枚おめくりいただきまして、「石綿による健康被害の救済における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方について」ということで、諮問及び付議の文がついております。
 おめくりいただきまして、「中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について」がございます。
 おめくりいただきまして、資料4といたしまして「石綿による健康被害の救済に関する法律の概要」
 2枚ほどついておりますが、それをおめくりいただきまして、資料5といたしまして「石綿による健康被害に係る医学的判断に関する考え方」の報告書がついてございます。
 資料6にまいりますが、「石綿による健康被害の救済について(案)」パブリックコメントから抜粋したものがございます。
 1枚おめくりいただきまして、資料7「「石綿による健康被害の救済における指定疾病に係わる医学的判定に関する考え方について(諮問)」に対する意見」ということで、第14回の環境保健部会に江森臨時委員が提出された資料がございますので、それをおつけしております。
 2枚ついておりますが、そちらをおめくりいただきまして、資料8でございます。実際にパブリックコメントにおいて提出された意見を資料とさせていただいております。
 資料9にまいりますが、「業務上疾病に付随する疾病の認定の考え方」ということで、労災における業務上疾病に付随する疾病の認定の考え方についてまとめたものがございます。
 1枚おめくりいただきまして、資料10でございますが、「救済制度認定基準(案)」とありまして、労災の認定基準と比較した認定基準案がついております。
 最後に、参考資料としまして「中央環境審議会令」「中央環境審議会議事運営規則」がついております。
 以上でございます。過不足等ございましたらご指摘いただければと思います。
 ないようでございます。それでは、今後の議事の進行を森永委員長にお願いいたします。

○森永委員長 本小委員会は、中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会の第1回ということで、始めさせていただきます。
 先ほどもお話ししましたが、昨年11月から5回にわたって石綿による健康被害に係る医学的判断に関する検討会を持ちまして、一応報告書が出ておりますので、この報告書をたたき台にして議論していきたいと思います。
 まずは事務局の方から、先般成立した法律の概要、それから、先ほど言いました検討会の報告書について説明していただけますでしょうか。

○寺田大臣官房審議官 それでは、冒頭、滝澤部長からも申し上げましたけれども、本年1月20日に国会に提出され、2月3日、参議院本会議にて可決・成立いたしました石綿による健康被害の救済に関する法律の概要をご説明申し上げます。
 先生方、既にいろいろご存じとは思いますけれども、本検討会においてご議論いただく点にかかわりのある事項を中心に、簡単にご説明いたしたいと存じます。
 資料4をごらんください。概要でございます。
 まずI、制度の目的でございます。
 石綿による健康被害の特殊性にかんがみ、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対し、医療費等を支給するための措置を講ずることにより、石綿による健康被害の迅速な救済を図るということでございます。
 ポイントは2つございます。1つは、1行目にございます「健康被害の特殊性にかんがみ」という部分でございます。すなわち、なぜこのような救済制度をつくるのかということ。根本的な問題かもしれませんけれども、それは石綿による健康被害に特殊性があるからだと。
 その特殊性とは何かということでございますけれども、1つには、中皮腫あるいは肺がんというものが非常に長期の潜伏期間を持っておる。一方で、原因たる石綿というのは非常に広い範囲で使われている。この両様が相まってと申しますか、被害者のかなり多くの方々がご自分がどこでばく露を受けられたかわからない、因果関係が特定できない、ばく露の形態が特定できないという客観的な事情がございます。ゆえに、本来、大半が職業起源の病気であると言われておりますけれども、実はなかなか労災認定が受けられない方々がいらっしゃるという事実がございます。また一方で、原因の責任を追及しようとしても、因果関係が明確ではないので損害賠償請求等々に至らない、こういう事情がある。
 それはそれでしようがないではないかという考え方も成り立ちますけれども、一方の特殊性といたしまして、これらの健康被害は極めて重篤である。重篤であるというのは、重たいという意味のほかにも非常に予後が悪い。多くの方々が発病後1年、2年というようなことでお亡くなりになるというように、非常に予後が悪いという状況も含めて重篤であるということ。
 さらに申し上げますと、この原因たる石綿の使用が、実は明らかに日本の産業社会を支えてきた。一時期、奇跡の鉱物と言われたわけでございますけれども、まさにこの石綿の使用の上に、非常に大きな経済的利益を我が国産業社会が享受した、こういう事情がございます。
 かかる特殊性の中で、労災等で救済されない方々、非常にお苦しみになっているわけでございますけれども、こういう方々のご負担、お苦しみというものを、その方々だけの負担に期してよいものかどうかといった問題を考えたときに、先ほど申し上げました、石綿という物質が我が国産業社会の繁栄の一助となっていたといった事柄なども考えまして、ここは補償というスキームではなく、広く社会全体の負担によりご負担の一部なりとも救済しようという政治的な決断をしたのが本制度であるとご理解いただければありがたいと思うわけでございます。
 IIの、制度の概要でございます。
 1.救済給付の支給制度でございますけれども、実は、1ページめくっていただきますと、2.特別遺族給付金の支給制度とありまして、この法律は大きく2つの部分に分かれております。1つは、まさにばく露形態のよくわからない方々を救済する制度、これが救済給付の支給制度でございます。一方、本来、労災で救われるべきであったかもしれませんけれども、石綿をめぐる特殊事情の中で、労災の5年時効という問題で救済されなかった方のご遺族に対して特別に給付金を支給するという制度が2でございまして、性格の違う2つの制度があるとご理解いただきたいと思っております。
 戻っていただきまして、1.救済給付の支給制度でございますけれども、まず、指定疾病につきましては、冒頭申し上げました石綿による健康被害の特殊性ということを考えまして、法律上、指定疾病としては中皮腫及び気管支または肺の悪性新生物、すなわち肺がんというものを指定しておるところでございます。ただ、今後さまざまな検討、新知識、新知見ということもあるかもしれませんので、「石綿を吸入することにより発生する疾病であって政令で定めるもの」と、追加指定の余地を残しているということでございます。
 (2)救済給付の支給でございます。
 救済給付といたしましては、実は、先ほど申しましたように救済制度でありまして、我が国の他の救済制度の例なども参照しながら、以下のような救済給付となっております。まず、そもそも被認定者に対する給付、つまり存命の方に対する給付でございますけれども、医療費については他の救済制度との均衡、横並びということでございましょうが、自己負担分を支給するということでございます。これに加えまして、月々療養手当、それから、不幸にしてお亡くなりになった場合の葬祭料ということで考えております。額は最終的には政令で定まりますけれども、政府・与党においての検討は既に進められておりまして、金額につきましては、この2枚紙の一番最後のページに「石綿による健康被害の救済に関する法律の概要」というチャートがございますけれども、このチャートの下から3分の1くらいのところに、今、想定されている額が記載してございます。療養手当が月約10万円、葬祭料が約20万円ということでございます。
 もとに戻っていただきまして、この制度にかなり特徴的な給付といたしまして、遺族に係る給付がございます。通常は、救済制度の場合でもなかなか存命ではない方、遺族の方にまで遡ることは珍しいわけでございますけれども、実はこの石綿による健康被害は、非常に長い潜伏期間ということもあり、また、いろいろな経緯もございまして、既に過去、中皮腫で亡くなられた方だけでも恐らく1万人ぐらいいらっしゃるであろうという状況がございます。係る状況にかんがみまして、本制度では、他の救済制度になかなか例の見つけにくいものではございますけれども、遺族に係る給付として、過去に亡くなられた方のご遺族に特別遺族弔慰金280万円、それから特別葬祭料を給付することとしております。
 なお、その他に救済給付調整金というものがございますけれども、これは、ただいま申し上げました特別遺族弔慰金が制度発足前に亡くなられた方に支給されるものでございますので、制度発足後、認定されて不幸にして直ちにお亡くなりになった方への給付との間に不均衡が生じますので、その間を調整するものでございます。
 2ページをごらんいただきまして、ご議論の中心になろうかと思いますけれども、認定でございます。
 認定につきましては、「石綿の吸入により指定疾病にかかった旨の認定」ということになります。平たく言いますと、例えば、肺がんであっても、それが別に石綿の吸入によりかかったものでなければ認定対象ではないということでございます。そこら辺のところをどういう指標でやるのかということが、ご議論いただきたいポイントであろうかと思っております。
 なお、この認定行為につきましては、独立行政法人環境保全再生機構が行いますけれども、非常に重要な決定でございますので、医学的判定を要するような事項につきましては、機構は環境大臣に判定を申し出まして、環境大臣は中央環境審議会の意見を聞いて判定を行う。すなわち事務の主体、認定の主体は機構ではありますけれども、その医学的な部分につきましては環境大臣が中央環境審議会の意見を聞いて、責任を持つといった体制となっております。これは医薬品副作用救済基金とほぼ同じ構成をとっているものでございます。
 「その他」のところ等は後でお読みいただくといたしまして、救済給付に要する費用でございます。
 これは、もう一度最後のチャートを見ていただきたいと思いますけれども、救済給付全体は、国、地方公共団体、事業者がそれぞれの立場で負担することになっております。特別遺族弔慰金という制度を設けた関係もございまして、実はこの救済基金、初年度に相当額の支出が生じます。これを出し得る者は国しかございません。そういうこともございまして、国は本年度の補正予算におきまして388億円余を既に支出しているところでございます。また、国に準ずる立場の公的主体として、地方公共団体にも国の基金への拠出分の4分の1相当の拠出をお願いしたいと思っております。そして、事業者でございます。事業者につきましては、冒頭申し上げましたように、アスベスト─石綿というものが極めて広い範囲で使われ、日本の産業すべてを潤した。直接使ったかどうかはともかくとして、水道管にも使われておる、発電所にも使われておる、自動車のブレーキにも使われておる、船舶にも使われておる、ありとあらゆる輸送機械に使われておる、こういったことでございますので、裨益の程度はあろうかと存じますけれども、我が国産業全体がその便益を享受したということもございますので、労災保険システムを利用いたしまして、全国の従業員を雇用する事業者すべてに広く薄く負担をちょうだいするといったことになっております。
 ただ、事業者のところの[1]がそうなんでございますが、[2]で、確かにそうは言っても、直接石綿を使用しなかった方々から見ますと、やはりどう考えても非常に石綿と深いかかわりを持ち、石綿製品の製造により大きな利益を上げたのではないかといった主体がいることも事実でございます。かかる観点から、一定の要件に該当する事業主につきましては追加費用を徴収することを考えております。
 費用徴収は、実は当初年度はすべて国からの基金で賄うものですから、2年度目からとなります。そういう意味で、この徴収の細目については来年度、今年の夏ぐらいまでに決めていきたいと考えているところでございます。
 さて、先ほど申しましたように、本制度は一般的な救済給付の制度以外に、2の特別遺族給付金の支給制度がございます。これは先ほど申しましたように、本委員会での検討と直接的な関係はないものですから、簡単に申し上げますけれども、5年の時効により労災の給付が受けられなかった方々につきましても、本法律に基づいて特別遺族年金あるいは年金を受ける方がいらっしゃらない場合には、特別遺族一時金を給付するというものでございます。これは、もともと労災保険制度の傘の中にいらした労働者の遺族ということでございますので、この費用につきましては労災保険料として、労災保険適用事業者から徴収することとしております。
 そして、先ほど来、部長からも、あるいは委員長からもございましたけれども、施行期日につきましては、非常に予後の悪い疾病でお苦しみの方が今、現にいらっしゃるということも踏まえまして、できるだけ速やかな救済ということで、施行期日は平成18年3月31日と、非常に短い期間でございまして先生方にはまことに申しわけありませんけれども、とにかくこの限られた時間内で施行する、認定のためのさまざまなシステム、その中にはお願いしております医学的な判定の問題も当然含まれるわけでございますけれども、それをお願いしなければならん、こういうことになっているということでございます。
 なお、本法律につきましては、そういった極めて短い期間で、しかも前例のないような事象につきましてつくったということもありますので、できましたら、本制度が立ち上がればいろいろと指定疾病についても、また患者さんについても、いろいろな情報が得られるかと思っております。そういうことも踏まえまして、成立・施行後5年以内に見直しをすることにしているところでございます。
 法律については、以上でございます。

○俵木保健業務室長 続きまして資料5で、森永先生を初め今日もご出席いただいておりますが、検討会でおまとめいただきました「石綿による健康被害に係る医学的判断に関する考え方」の報告書について、簡単にご報告させていただきます。
 白表紙の報告書がついておりますけれども、資料5の、1枚紙の概要でご報告させていただきたいと思います。
 まず、中皮腫についてでございますけれども、中皮腫は、そのほとんどが石綿に起因するものということでご整理いただいておりまして、中皮腫の診断の確からしさが担保されれば、石綿を原因とするものと考えていいとおまとめいただいております。
 近隣ばく露や家庭内ばく露といった、職業ばく露でない低濃度のばく露によっても発症が考えられるということでございます。
 中皮腫は潜伏期間が非常に長い、予後の非常に悪い疾患である。
 次に、肺がんについてでございますが、肺がんは、喫煙を初めといたしましてさまざまな原因が指摘されておりまして、石綿を原因とするものと見なせるのは、肺がんの発症リスクを2倍以上に高める量の石綿ばく露があった場合とするのが妥当であるということが、各種の疫学データ等をもとにご議論されたところでございます。
 肺がんの発症リスクが2倍以上となるばく露量の指標は、どのように考えればいいかということでございますが、医学的な指標として2つ、それから、下から2行目ですけれども、職業ばく露に関連する指標として2つの考え方をお示しいただいております。
 医学的手法としての考え方といたしましては、1つ目は、画像所見を活用した指標でございますが、胸部エックス線写真、またはCTによりまして明らかな胸膜プラークが認められ、かつ、じん肺法に定める胸部エックス線写真の像で第1型以上と同様の肺線維化所見があって、CT画像においても肺線維化所見が認められる場合、これが肺がん発症リスク2倍に該当する。
 2つ目といたしまして、肺内の石綿の繊維数でございますけれども、石綿小体または石綿繊維がここに記載されましたような一定数以上である場合には、肺がんの発症リスクを2倍以上にする程度のばく露量があったと見なせるのではないかというご議論でした。
 また、職業ばく露に関連する指標として、客観的な石綿ばく露作業従事歴がある者に石綿肺の所見が認められた場合、また、胸膜プラークなどの石綿ばく露を示す所見が認められて、石綿ばく露作業におおむね10年以上従事したことが確認された場合は、これに当たるだろうとされました。
 中皮腫と同様に肺がんは潜伏期間は長く、一般に予後の非常に悪い疾患である。
 石綿肺についてでございますけれども、石綿肺につきましては代表的な職業病であって、石綿ばく露歴の客観的な情報がなければ、他の原因による肺線維症と区別して石綿肺と診断することは難しい。ばく露後すぐ発症するものではなく、おおむね10年程度以上経過してから所見があらわれ始め、肺がん、中皮腫に比べると、予後という点においてはそう不良とは言えないということでございます。
 一般環境での発症例の報告は、これまでに確認されておりませんが、今後、発生状況等については知見の収集を図っていくべきとされております。
 また、良性石綿胸水でございますけれども、診断は非常に困難とされておりまして、除外診断をしなければならないという点で、確定診断までに相当の時間を要する。
 胸水は、石綿以外のさまざまな原因で起こってまいりますので、石綿ばく露歴の客観的な情報がなければ、他の原因による胸水と区別して良性石綿胸水と診断することは難しいとされております。
 潜伏期間は他の石綿関連疾患よりも短く、肺がん、中皮腫に比べ予後不良とは言えないとされております。
 また、石綿肺と同様に、一般環境における発症例の報告はこれまでに確認されておりませんで、疫学的、または臨床的な知見も少ない状況で、今後さらに知見の収集を図るべきである。
 また、びまん性胸膜肥厚については、良性石綿胸水と同様の内容でございますが、石綿以外のさまざまな原因があり、石綿ばく露歴の客観的な情報がなければ他の原因によるびまん性胸膜肥厚と区別して石綿によるびまん性胸膜肥厚であると判断することは難しい。
 肺がん、中皮腫に比べまして予後不良とは言えない。
 一般環境における発症例の報告は、これまでに確認されておらず、また、疫学的、臨床的知見も少ないので、今後さらに知見の収集に努めるべきであるとされたところでございます。
 以上です。

○森永委員長 今まで事務局のご説明の中で、何かご質問なり、あるいは検討会の報告書に至る経過等、何か委員の先生方からコメントございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、私の方から。
 この法律の呼び方は、「セキメン」なのですか「イシワタ」なのですか。

○寺田大臣官房審議官 一応国会でも議論になりまして、「イシワタ」ということにしております。

○森永委員長 わかりました。一応法律の名前は「イシワタ」ですけれども、今日の議論の中では特に意識しなくても、アスベストでもイシワタでもセキメンでも、使いやすい呼び方でお願いします。

○井内委員 特別遺族弔慰金がこの制度の特徴で、その対象者がおよそ1万人くらいだと先ほどご発言なさったかと思うんですが、それはどういう根拠に基づいて推測なさったのか教えていただけますか。

○寺田大臣官房審議官 幾つかの前提がございます。まずベースとしておりますのは、中皮腫の死亡者が今までどのぐらいいらしたかということ。これは平成7年以降、厚生労働省の人口動態統計で大体7,000人という実際の死亡届けベースの数字がございます。ただし、それは平成7年以降でございまして、その前にもいらっしゃいますし、それから、これはまだ確定していませんけれども、直近の数字もあわせて推測しますと、中皮腫で亡くなられた方が1万人ぐらいいらっしゃるだろうというのがまず1つでございます。
 その上で、法定の対象疾患であります肺がんはどのくらいいるのか。肺がんが中皮腫に対してどのぐらいいらっしゃるのかというのは難しいことだろうと思いますけれども、今、現実に我々が具体的な数字として把握しておりますのは、労災認定における中皮腫と肺がんの比でございまして、これは今、中皮腫1に対して肺がんは0.7、7割ぐらいの数字でございます。ただし、いろいろな専門家の方々のお話を聞きますと、労災はそうかもしれないけれども、実際は、肺がんは同数ないしそれ以上いらっしゃるのではないかとおっしゃる方もいるものですから、ほぼ同数であろうと想定しますと、潜在的には2万人の方がお亡くなりになっているということではないかと考えています。
 さらに、それに対して、では労災の方でどのぐらい見ていただけるであろうかということがあります。今、労災の認定は非常に低い状況ではありますけれども、最近、急速に向上するというお話を伺っております。今回のさまざまな社会的事象によりまして、中皮腫とアスベスト、あるいはさまざまな労働履歴とアスベストの関係が、認知度が非常に高くなっているということで、一応労災の方で5割と考えますと、2万人に0.5を掛けて1万人という非常にアバウトな計算で、これはいろいろな前提、仮定、わからないことを積み上げた話で恐縮でございますけれども、一応そういった想定をしたところでございます。

○井内委員 想定の根拠はよくわかりましたけれども、なかなか科学的な証拠についてはまだ少し怪しいところもあるので、今後の検討課題ではありますね。まあ、1万という数をおっしゃったので。それは今のような考え方からというのは、現時点ではリーズナブルなのではないかとは思います。

○森永委員長 それでは、次に進めていきたいと思います。
 パブリックコメントを求めたということでございますので、その結果をまず事務局の方からご説明願います。

○俵木保健業務室長 それでは、資料6、7、8でございます。資料6は、私どもが2月10日付でパブリックコメントにかけさせていただいた今回の救済法関係の種々の事項のうち、今日のご議論でありますところの指定疾病、それから認定の基準に関連する部分だけを抜粋したものでございます。また、この後の指定疾病、それから認定基準のご議論のところで事務局の考え方としてご紹介させていただきたいと思いますけれども、指定疾病の範囲は中皮腫、肺がんとするということ、それから、中皮腫の場合の認定の考え方、肺がんの場合の認定の考え方、また、2ページの最後のところでございますけれども、制度開始時に死亡している方についてはどのような根拠に基づいて認定していくのかという考え方について、パブリックコメントにかけさせていただいたものでございます。
 内容については、またそれぞれの議論の際にご紹介させていただきます。
 資料7は、2月10日の環境保健部会に江森委員からご提出いただいた意見でございまして、1については本日の議論の中心ではございませんが、めくっていただきますと、2として医学的判断に関する考え方についてご意見をいただいておりまして、まさに本日のご議論の中身でございますので、これも後ほど、それぞれのご議論の際に内容をご紹介させていただきたいと思います。
 資料8は、先ごろ私どもが行いましたパブリックコメント案の内容に対しまして、指定疾病、認定基準に関して寄せられた意見そのものを、同じような意見はまとめて、右端の「意見数」のところに数をカウントしておりますけれども、2月10日から2月20日まで、非常にタイトなスケジュールでございますので10日間ではございましたけれども、意見を募集した中、74の団体、個人から意見をいただきまして、そのうち指定疾病の範囲、認定の基準に関するご意見としては、延べ84のご意見をいただきました。
 まだ若干整理が残っている部分がございまして、多少数の増減があるかもしれませんけれども、そのような状況でございます。
 この中身につきましても、後ほどそれぞれのご議論の際に、概要についてご紹介させていただきたいと思います。

○森永委員長 今日議論すべきことは、指定疾病と認定基準という2本柱でございますので、まずは指定疾病の範囲について議論をしたいと思います。その後、認定基準の議論に入りたいと思います。
 それでは、指定疾病の範囲について、パブリックコメントを中心に事務局からご説明をお願いします。

○俵木保健業務室長 それでは、資料6、Iの(2)認定の対象となる指定疾病と認定基準について、その[1]が指定疾病に関するパブリックコメント案でございます。
 救済給付は、重篤な疾病にかかるかもしれないことを知らずに石綿にばく露し、石綿という明らかな原因がありながら、個々の健康被害の原因者を特定することが極めて難しく、何ら補償を受けられないまま多くの方が1、2年で亡くなられるという、先ほど審議官の説明の中にもありましたように、今回の石綿による中皮腫、肺がんの特殊性にかんがみまして、まずはこれらの被害者を迅速に救済するために構築された新たな制度でございまして、対象となる疾病といたしましては、このような特殊性が明らかな中皮腫、肺がんということで考えております。
 その他の石綿関連疾患といたしましては、労災制度の対象とされております石綿肺、それから良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚があるわけでございますが、石綿肺につきましては古くからよく知られた代表的な職業病でございまして、しかも、じん肺症という職業病の中の1つでございまして、特別加入制度も含めた労災保険制度の対象疾患であり、また、検討会でのご議論のように、石綿ばく露歴の客観的な情報がなければ、石綿以外で発症するものとの区別がなかなか難しいということもございます。また、これまで職業ばく露での発症しか知られておらず、一般環境経由での報告もなく、先ほどご紹介いたしました検討会でもお取りまとめいただきましたように、今後、発生状況等について知見の収集をしていくことが重要だと考えています。
 また、良性石綿胸水、それからびまん性胸膜肥厚につきましては、これまで職業性ばく露での発症しか知られておらず、一般環境での報告例は確認されていないこと、また、労災制度におきましても、これら2疾病については平成15年以降に対象とされて、まだ認定者数が少ないといったこともございまして、疫学的または臨床的な知見も十分でないとお聞きしておりまして、現時点では、本制度の対象とするような中皮腫、肺がんに見られるような特殊性が明らかではないと考えておりまして、今後、医学的知見やデータの集積を図って、職業性ばく露以外のばく露による発症状況なども見ながら、将来、必要に応じてこれらを指定疾病とすることもあるのではないかというのが事務局の案でございます。
 これに対しまして、資料7でございますけれども、江森委員にご提出いただきましたご意見の中で、指定疾病に関連いたしましては3ページの(2)のところでございます。「石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚は、いずれもアスベストを長期に持続的に吸入した場合に発症する確率が高くなる。これら疾病は、すべてアスベストのみで発症するわけではなく、他の要因や原因不明で突然発症することもあるのは他の病気と何ら変わらないものの、発症には個人差もあり、同じ条件ですべての人が発症するわけではない。
 また、アスベスト関連疾病の診断について、熟達した医師がこれまで少なく、診断が難しいことや、職業歴の無いことで、アスベストを原因とした疾病であることを想定しなかった症例等もあるのではないか。
 よって、これまで環境ばく露による発症例がないことを理由に、これらの疾病について、今回の補償の対象外とすることには、問題がある。
 また、確かに、中皮腫や肺がんに比べ、予後不良とはいえない。しかし、症状の程度には差異はあるものの、呼吸障害を伴い就労に支障を及ぼす場合もあるため、労災保険制度では既に認定がなされ一定の補償を受けている。環境ばく露による被災者であって、これら疾病の罹患者を対象から外すべきではない。
 また、これらの罹患者は将来、中皮腫または肺がんを発症する場合もあることから、経過観察が不可欠であり、検査・診察の無料化と近隣の専門病院までの通院費を基金からの救済で思弁する対象として認定すべきである」というご意見でございます。
 パブリックコメントでいただきましたご意見については、資料8の1ページから4ページでございますが、同趣旨の意見も少なくございませんので、まとめてご紹介をさせていただきます。
 まず、1番、2番のようなご意見として、疑いのあるものは「どの疾病」ということで疾病名を特定するのではなく、すべて対象とすべきではないかというご意見をいただいております。
 また、最も多いご意見としては、3番、4番、5番等、それ以降もたくさんのご意見がございますけれども、労災補償の対象となっている石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚の3つは対象とすべきなのではないかというご意見をいただいております。
 また、発生状況についてのご意見もいただいておりまして、6番、8番、また15番、19番といったところで、大阪泉南地域では、住民にも胸膜肥厚など健康被害を受けている人が出ている。また、泉南に限らず、工場周辺住民にも石綿肺所見のある人が報告されているといったご意見もいただいております。また、江森委員のご意見と同様に、環境ばく露による石綿肺等の患者は、中皮腫のように予後不良とは言えないとしても、将来中皮腫または肺がんという悪性疾患を発症する場合もあることから、経過観察をきちんとやっていくことが不可欠だとするご意見をいただいております。

○石川委員 この法律の救済の対象は、どういう方なんでしょうか。環境ばく露の方ですか。一般住民ですか。

○寺田大臣官房審議官 本法が前提としておりますのは、先ほど私、ちょっとご説明しましたけれども、多くのアスベスト健康被害者の方が、実はどこでばく露したのかわからない。私どもも兵庫県さん等の協力も得まして、兵庫県で3年間の間に中皮腫で亡くなられた方のヒアリング等をやりましたけれども、そういったヒアリングでも、原因が全くわからないという方もいらっしゃれば複数のばく露経路が疑われる方もいらっしゃいますし、なかなか特定できない。そういう中で、労災で救われない方々を、政治的な言葉で恐縮でございますけれども、この法律では、国会では「隙間なく救済する」と言っております。
 したがいまして、本来的に、もちろん労災制度で救われるべき方々は労災制度で救われるべきであろうというのが基本にございますけれども、だからといって、この制度で想定しておりますのは、家庭内ばく露とか、あるいは施設内ばく露、そして一般環境ばく露ということでございますけれども、基本的には、どこでどうばく露したのかは問わないという設計となっております。
 もとより、基本的には労災で救われるべき人は救われるべきであって、労働環境以外のことを見るんだというのが基本的精神ではございますけれども、アスベストの被害の特殊性にかんがみて、そのばく露経路を詳細に問うことはしないという構成になっております。

○石川委員 そうしますと、医学的判断に関する考え方の報告書の中では、例えば、石綿肺は環境ばく露で起こらないので今回これに含めないというようなロジックだったような気がしましたが、環境レベルのばく露の人とは限らないわけですから、労災で救済されない人は全部これを出してくるわけです。そうすると、職業レベルでばく露したかもしれない人も来るわけですね。そうすると、それだからという理由で石綿肺とか良性石綿胸水を除くという方向ではない方がいいのではないでしょうか。

○浅野委員 実に悩ましい部分ではあるのですが、本来労災で救済されるべき人は、本質的には労災できちっと救済されなくてはいけないという大前提がございますね。その上で、時効にかかっている人についても、本来的に労災で救済されるべき方は、今回、労災で救済をうけてくださいということになっています。そして、一たん労災の救済対象になりますと、かなり高いレートの救済を受けることができるということがございますから、それはそれで一応話が終わるわけです。
 そうすると、あとは「実は労災かもしれない」という話は、もうここでは消さざるを得ないわけですね。つまり、本来労災で救われる可能性のある人は、そこで救済されてしまっていますということが大前提です。ですから、残っている方の中には労災分が残されているかもしれない。それはそうでしょうけれども、おられるかもしれないから、残った方も全部労災並みに扱わなければいけないということにはならないわけです。
 この制度はもともと、言ってみれば緊急避難的な制度であり、他方、労災は本来、無過失責任の制度に基づいて、雇われた人が雇用にもとづく労働の中で病気になったり怪我をされた場合には、その人を雇用している者がともかく賠償しなさいという大前提があるわけです。つまり、そこでは明らかに法的な責任に基づいて救済が行われる。だからレートが非常に高いというわけでもあるわけです。
 そこではどうにも救われませんという方について、今回、救済を考えようというわけであり、こちらの方は緊急避難的なものなので、将来的にもっと知見がふえていけば、もっと違ったことも考えられるかもしれませんけれども、とりあえずは、結果的に予後不良な病気になられた方については、手厚くではないわけですね、極めて低額の救済しかできないわけですけれども、それで救済させていただきましょうということにしているだけですから、やはりそこではちょっと、しようがないので仕切りを引いておいて、こちらはこちらの世界で考えざるを得ないということではないでしょうか。
 そうしませんと、予後不良の人と予後がそう悪くない人が、同じように給付を受けることになりまして、今度はそちらの方での不均衡も生じてしまいます。将来的に法律を改正して、そういうようなものについて2段階な扱いにするということはあるかもしれませんけれども、現行の法律は、そこまでまだ踏み込んでいないので、しようがないかなということだと考えます。
 仮に石綿肺の病像が変化していって、その後、肺がんやら中皮腫になられたら、それはもうそこからは救済対象になりますから、その前段階のところをどうするかということは、健康管理も含めて、とりあえず、この法律の救済の本体にそれを一緒に入れてしまいますと話しがややこしくなるという割り切りをせざるを得ないのではないか。
 だから、当小委員会の権限をやや超えることではあるかもしれないけれども、そのようなものについても、別途健康管理についてしかるべく、しっかりしたシステムをつくるべきだということは提言しておく必要があろうかと思いますけれども、この制度の救済の本体の中に全部入れてしまうという議論は、ちょっときついのではないかという気がいたします。

○石川委員 私が伺いたかったのは、資料5の、医学的判断に関する考え方の裏の方に、石綿肺と良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚について、それぞれ「一般環境での発症例は報告がない」とか「知見が少ない」と書いてありますね。このロジックで除くのか、それとも予後がいいから除くのか、それははっきり分けて考えるべきだと思うんですね。とりあえず予後がいいので今回はいいということなら、それはそれで一つの考え方だと思いますけれども、ここには報告例がないから除くと書いてあるので、ここでは環境ばく露しか相手にしないのかなと思ったんです。

○森永委員長 石綿肺については、プラークと誤解されて出ているコメントもあるんですけれども、今までのWHOなどの報告では今のところはないということで、普通はないだろうけれども、あそこみたいな特殊なところについてはどうなのかわからないということと、これからもう少しきちっと調べると、あるかもわからない。そこのところは、まだ一部分グレーゾーンがあるという考え方はあるんですけれども、一般……。つまり、もう少しそこは調べる必要がありますよという意味で入っているわけであって、一般環境で発症例がないから対象にしないというわけではない。

○石川委員 そうではないんですか。そうですか、何か書いてあるんで。

○寺田大臣官房審議官 幾つか申し上げなければならないと思いますけれども、指定疾病にするかしないかは最終的に政令で決めることでございまして、なぜこういう救済制度をつくるのか、それは石綿による健康被害にこういう特殊性があるからだと。1つは、疾病が非常に予後が悪くて迅速な救済をしなければならない、あるいは非常に潜伏期間が長くて、要するに原因が特定できない、ばく露経路を特定できない方々が非常に多くいらっしゃる。それから、どうも労災でどうしても救えない方が多数いるようである、そういったいろいろな要素を勘案いたしまして、最終的には政府として決めるわけでございます。
 もちろん、ここで言っていただいていますのは、これは医学的判断についてのことでございまして、その中で、一般環境ばく露の事例が今まであったのか、なかったのか等々、これは非常に私どもとして価値のあるご判断をいただいていると思っております。ただし、それがイコール指定疾病にするか、しないかということに結びつくわけではないと理解しております。

○俵木保健業務室長 もう一つ。この検討会では医学的な事実といいますか、これまで得られている知見について整理していただいておりまして、検討会として、指定疾病をこの範囲にするのが適当であるとか、これは入れない方がいいとか入れた方がいいといったご議論は、全く行われておりません。もしかして説明不足な部分があったかと思います。
 それから、ご議論が始まっておりますので、今日ご欠席の大塚先生に事前にいただいたご意見をご紹介させていただきます。
 「指定疾病の範囲は、本検討会の重要な問題である。石綿肺も対象とすべきかは問題であるが、今回はこれを含めず、今後の発生状況に応じて対応を考えるとする立場を支持したい。理由は幾つかあるが、今回の石綿による健康被害の救済制度が民事責任を明確にした制度ではなく、社会保障的な色彩が強いことから、特に保護の必要性の高いものに限定しておくことが自然であると考えられるからである」というご意見をいただいております。

○酒井委員 私もこれを最初に拝見したときに、つまり、肺がんの認定基準の中に肺線維症を入れているわけですね。じん肺の、1/0の。ということは、ある意味で石綿肺の合併を認めているわけですよね。肺線維症があるということを認めていながら、こっちの認定基準の方で石綿肺を除くということになっているのは、ちょっと理論的に矛盾かなと思ったんですけれども、その辺のところが多分、一般的に見ると非常にわかりにくくて、グレーゾーンが十分説明されていないのではないかというような印象を受けたので、その辺のところをもう少しわかりやすく書かないと、今後とも議論の対象になるのかなという気がいたしました。

○森永委員長 今の酒井先生のご意見に対して、何かコメントありませんか。

○石川委員 因果関係を言っておられるんでしょう。因果関係はあるんですけれども、救済はしないという……

○酒井委員 肺がんの認定基準の中に画像的な石綿肺というものが、ある意味では入っているわけですよね。画像的な。

○井内委員 それについて議論してきたのは、肺がんというのは70~80%は喫煙が原因であると考えられるので、アスベストによって肺がんが起こったという証拠をあげることは誰にも難しく、確定的なことは言えないわけですよね。

○酒井委員 わかります。

○井内委員 だから肺がんの方のうちどれくらいの割合の方をアスベスト被害者だと判断するかというときに、肺の線維化という所見で判断するいう立場で基準が入ったわけです。

○酒井委員 ですから、そこのところと疾患認定の範囲について、一般の方の誤解を招いて認定基準を非常にわかりにくくしている一つの要因ではないかと感じるわけです。

○井内委員 単純に石綿肺だけの場合は、指定疾病からは今のところ外しているけれども、アスベストにばく露されたことによって肺に線維化が起こることは明白です。そこで、我々医学者とすればわかるかもしれないけれども、一般の方には大変わかりにくいとおっしゃる原因がある。

○浅野委員 おっしゃるとおりだと思います。要するに、中皮腫は、ともかく中皮腫であれば、それがアスベスト由来でないかもしれないということは問わない。一方、肺がんの方は、残念ながらさまざまな原因があることがはっきりわかっているものだから、「アスベスト由来である」と言うためには、せめてこのぐらいの要件が必要である。そのためにこれを言うというだけのことです。そういう点は、今、井内先生がおっしゃったとおりですし、私もそうだろうと思って読んでいたんですが、大概の方はこの報告書の本体を全部読まないというか、パブコメをとるときに本体全部を皆さんに配ったかわかりませんが、要旨だけ読まれると誤解が出てきて、そういう誤解に基づいたご意見が結構出てくることは心配ですね。
 ですから今後とも、この委員会から報告を出すときにはその辺は注意すべきでしょうし、環境省も、実際に情報を外に流すときには今、ご指摘があった点はよく注意しないと、余計な議論が起こってしまう。
 特に心配していますのは、この種の問題は、下手すると裁判問題になりかねないのですが、裁判官も医学のことについてはあまり知識が多くないものですから、意外とシンプルに物を考えてしまう傾向があります。そういうところにも影響がないように、しっかり言いたいことを整理して書いておかないと、余計な混乱のもとになるという心配があります。

○石川委員 石綿肺とか良性石綿胸水─という病気は私、知らないんですけれども、そういう病気で死亡する人はいますか。

○岸本委員 ここに書いてあるように、中皮腫や肺がんほど予後は悪くないんですけれども、労災で認定される方では呼吸不全になりまして、結局、亡くなってしまう方がいらっしゃいます。私の患者さんにもそういう方がいらっしゃいましたので、決して亡くならない病気ではない。けれども中皮腫や肺がんのように1年や2年で亡くなる病気ではないという、ニュアンスはここに出ているんですけれども、中皮腫や肺がんほど重篤ではないけれども、死亡に至る可能性のある病気だと考えていいのではないかと思います。

○三浦委員 全く同じでして、石綿肺でお亡くなりになる方は、昔は結構おられましたけれども、現在はほとんどおられませんね。重篤な石綿肺の患者さんにお目にかかる率が極めて少なくなったということは言えます。
 ただ、良性石綿胸水の後にびまん性胸膜肥厚になられる方が多いんですけれども、この場合には呼吸不全で最終的にお亡くなりになる方がたまにおられます。

○神山委員 パブリックコメントの1ページの6番の方とか、あるいは9番、11番の方が泉南のケースを指摘されていまして、泉南というのはアスベスト工場が昔、非常に集合していた地域として有名ですけれども、ここで言われていることは、例えば6番ですと「住民の間で肺気腫や胸膜肥厚などの肺疾患を患っている人が他地域に比べてたいへん多い」とはっきり言い切っていますし、9番では「泉南調査では、じん肺管理区分3ないし4に相当する石綿肺」云々が「石綿関連業務への従事歴がないために」ということで、工場の周りに工場以外の一般の住宅があって、その方という意味にとれそうな感じがします。11番も似たような話ですね。そういう意味で、非常に特殊な地域という問題があると思うんですが、そこで果たして石綿肺が起きているのか。こういう調査結果があると言い切っているようなコメントですけれども、その辺、知見はどうなんでしょうか。

○森永委員長 これは一般住民ではなくて……

○神山委員 工場従事者という意味ですか。

○森永委員長 一人親方のことを考えているんだと思います。

○神山委員 石綿関連業務への従事歴がないために健康管理手帳の交付が受けられないというわけで、これは一人親方という意味なんですね。

○森永委員長 はい。

○神山委員 であれば意味がよくわかるんですが。
 要するに、建物の間に一般住宅があって、その人が石綿肺になったということではないんですね。

○森永委員長 そういうことではないですね。少なくとも私の経験ではそういうことではなくて、19番でも石綿肺と書いておられますが、これはプラークのことですね。松橋地区もそうですが、プラークのことなんですね。

○神山委員 泉南においても、はっきりとした肺の線維化である石綿肺は、今のところは認められていない。

○森永委員長 そういう方は大体、アルバイトで働いている人もいますので、きちっと職歴を聞けばわかってくるんですけれども……。いや、泉南のことは私は知っていますが。これはちょっと、石綿肺ではなくてプラークですね。

○俵木保健業務室長 申しわけありません、先ほどご紹介すべきだったんですけれども、実は本日ご欠席の坂谷先生からも事前にご意見をいただいておりますので、申し上げます。
 泉南地域についてご意見をいただいておりまして、「泉南地域には、一般環境経由での石綿肺はないと考えていいと思うけれども、家庭内の労働者など、職業ばく露での石綿関連所見、石綿肺に限らず石綿関連所見を有する者はいるのではないか。これらの有所見者は、将来、中皮腫であるとか石綿による肺がんということで、石綿関連の悪性疾患を発症するおそれもあるので、健康管理はきちんとしていくことが必要だ」というご意見をいただいております。
 それから、このパブリックコメントをいただいた方のバックデータはよくわかりませんけれども、先般、大阪府が公表されたところでは、大阪府が今年度行った健診におきまして、住民の中に、精密検査の結果、胸膜肥厚と診断された方が数名いらしたとは聞いておりますけれども、石綿肺が疑われる例が住民と考えられる方にいたという報告ではございませんでした。

○岸本委員 今、神山委員が読まれたところに「肺気腫」という文言がありましたね。アスベストによって肺気腫は、実は起こらないんですけれども、アスベストによって胸膜プラークがある患者さんが私のところにもよく来られて、「肺気腫で息切れがするから何とかしろ」と言われる方が多々ございます。きのう、私は仙台から来ていますが、仙台からもそういう話を聞いています。
 それから、胸膜プラークとびまん性胸膜肥厚を混同して診断する場合があります。今、アスベストということが余りにも有名になり過ぎて、胸膜プラークというのは自覚症状が全くないんですけれども、これがあるために健康管理手帳等の資格があるので、自覚症状があるとすべてアスベストが原因だというふうに患者さんというか、手帳を持っておられる人々は思っています。今の神山委員の読まれたパブリックコメントの原因の1つでありますので、このあたりはきちっと、胸膜プラークだけでは自覚症状がないんですよということも明確に打ち出しておいた方がいいのではないかと思いますし、医療の現場では、胸膜プラークしかないのに、これはびまん性胸膜肥厚だと診断される例がございます。私もあるところからコメントをするようにとの要請がありました。「健康診断をしたら、びまん性胸膜肥厚の例が三十数例とか二十数例あったんだけれども」ということで、「いや、それは読影が違うのではないか。もう一度読み直してほしい」とコメントしたら、どちらもゼロになったというような現状もあります。現状ではこのようなことがあることを認識していただければと思います。

○森永委員長 今の岸本委員の発言にもありましたけれども、この報告書の中では、17ページの真ん中よりちょっと上ですね、胸膜プラークとかびまん性胸膜肥厚をあわせて「胸膜アスベストーシス」と言う方もおられるわけですけれども、もう一つは、ただの「胸膜肥厚」という言い方をする場合もあるんですね。その場合は、プラークも含めればびまん性胸膜肥厚を含むこともありますし、レントゲンで少しぶ厚く見えるのを胸膜肥厚だと。それは、例えば非常に肥えた人で脂肪の影がレントゲンに映っているのでも胸膜肥厚だと、こういう言い方がありますので、医学的な言葉の定義をはっきりさせて、本当は理解していただきたいんですけれども、そこのところを理解されていない医者もまだかなりいるし、一般の方についてはなおさら、そこのところは実はわからないんだろうと思うんですね。
 ですから石綿関連疾患とは何ぞやということの周知徹底を、これは医者も含めて一般の人も含めて、もっとやっていかなければならない点だなとは思います。
 資料9の説明はまだ聞いていませんが、こちらも説明願えますか。

○俵木保健業務室長 資料9の出典は、こちらには書いてございませんが、資料一覧の方にございますように、「労災保険業務災害及び通勤災害認定の理論と実際」という本に書かれている考え方でございまして、「業務上疾病に付随する疾病の認定の考え方」ということで、労災におきます対象疾病と、それに付随する疾病についての考え方を示したもので、厚生労働省のご担当からは、いわゆる付随する疾病については、労災においてはこのような考え方で取り扱っているとお聞きしておりますので、この資料をお出ししたものです。
 業務上疾病に付随する疾病、すなわち、業務上の原疾患、例えば今回の場合は中皮腫または石綿による肺がんでございますが、それが原因となって発症した疾病、いわゆる続発症につきましては、おおむね当該原疾患と一体のものとして取り扱われるということでございまして、対象となる疾病は、中皮腫及び石綿による肺がんだとしても、それに付随して発症してくる疾患についても一体のものとして給付の対象とするのが適当ではないかと、私たちも労災と同じように考えたいと考えております。
 この業務上疾病に付随する疾病には、次のような疾病があるということで、ここに1から4の類型が示されております。
 しかし、個々の事例においては、業務上疾病である原疾患に合併した疾病が業務上疾病に付随する疾病であるか否かについては、医学経験則により相当因果関係があるか否かによって判断すべきものであるとなっております。
 1つといたしましては、疾病の経過中又はその進展により当該業務上疾病との関連で発症するもの。
 また、疾病を母地として細菌感染等の外因が加わって発症してくるもの。
 また、疾病に有意な高率で合併するもの。
 疾病の治療の際の薬剤による副作用等を原因として発症するもの。
 こういった4つの類型が考えられるのではないかということで、労災では運用されているということでございまして、今回、指定疾病を中皮腫及び石綿による肺がんといたしましても、それらに付随して発症してくる疾病についても対象となるという考え方でよろしいでしょうかということで、今日、資料をお出しいたしました。
 ただ、付随する疾病といいましても、非常に重いもの、軽いものがあるのではないかと事務局としては考えておりまして、どのような範囲にするのかはあれですけれども、概念的には、例えば日常生活に一定の障害が生じるような程度で、常に医師の管理下で治療を受けるような状態の場合に、救済の対象とすることが適当なのではないかと考えております。

○井内委員 ちょっと質が違いますよね。

○森永委員長 だけど4番の、中皮腫の治療は化学療法で、ほかの病気が出てきた場合ですね。そういうことは考えられると思います。

○井内委員 これは、例えば細菌感染が二次的に起こって、そのために起こった疾病も対象にしますということだけれども、アスベスト、石綿の場合は、吸引することによって線維症も起こるし肺がんも起こる。つまり、どちらが先でどちらが後かとか、どちらが合併症であるかを決められない場合もたくさんあるわけですね。ですから、プラークもあるし中皮腫も出るかもしれないし、全く中皮腫だけの人もあるしプラークだけの人もある。結局、因果関係といっても絶対AからBへ行ってBからCへという説明がなかなか難しいから、これが即当てはまるような病態ではないのではないかと思いました。

○三浦委員 臨床的には、ここでは対象となる疾病は中皮腫と肺がん、これがまず前提にありまして、中皮腫あるいは肺がんの経過中に肺炎を合併した場合には、これは続発症として業務上疾病の補償の中に入る。これは臨床的にしばしば経験することですね。
 それから、中皮腫、肺がんの治療として制がん剤を使ったときに起きてきた肺線維症、これは急激に起きてきますので、じん肺として起きてくるのではなくて、薬を使った結果、ある日を境目に急に起きてくる、そういうものも最終的には、私たちは肺がんの延長と考えていますので、そういうことを言っているのであって、背景にじん肺があるから、それに肺炎を起こしたからということは全く対象外だと思います。

○俵木保健業務室長 事務局として典型的に考えているのは、例えば、初期肺がんが見つかった患者さんが片肺をとってしまったような場合に、恐らく呼吸障害がずっと残る。病理的にもう肺がんの組織はないにしても、呼吸障害が遷延することになりますので、そういった状態は肺がんの治療の経過として出てくる付随する疾病として、認定の対象にするべきだと考えています。

○浅野委員 認定の対象にという言い方をするから、話がややこしくなるのではないかと思います。
 そうではなくて、要するに、この法律に基づいて治療費を払います、その対象をどうするかということを議論しているのではありませんか。続発症というのは、普通そうですね。死亡の場合はどうかということは1つあるかもしれませんが。
 例えば、この方は肺がんだけでお亡くなりになる状態ではなかったのですが、ほかの合併症があって、それでお亡くなりになった場合に、「これは肺がんによる死亡ではありません」と言って全部切ってしまうのか、それとも、それはやはり肺がんがベースにあって、それとの関連性もあるんだから、それはやはり認定疾病に関連のある死亡だと考えるかといったことがあるでしょうし、それから、現実に悩ましいのは、さっき言ったように治療費を一般健保で払うのか、それともこっちの方で全部支払うのかといった問題が運用上は出てきます。
 公害健康被害補償法でも、認定疾病は4つしかないのですが、その続発症については全部医療費も払います、お亡くなりになった場合には起因死亡ということで救済しますというふうになっているわけです。ただ、公健法の場合の続発症は、通達ベースに近いのですが、全部病名が書いてあります。そのためにかえって、やりづらい面もあるわけです。労災の方はさまざまな場合があるので、病名なんか並べられないということで資料にあるようなこういう抽象的な表現になっているのですけれども、今回、肺がん、中皮腫については、想定されるものがはっきり特定できればずらっと並べてもいいんでしょうけれども、それをしないで、こんなやり方で、それも続発症ということで救済対象の中に含めてよろしいかということでしょう。

○森永委員長 そうです。

○浅野委員 その上でちょっと、「有意な高率で合併するもの」という[3]が労災の方で入っている。ここはちょっと、どういうニュアンスなのか私にはややわかりにくいのですが、合併というのは、あくまでも合併症ではないか。「有意な高率」というのがそれに関連性があるということを言うのだったら、わざわざ「合併」と言わないで「続発」と言えばいいような気がするのですが、そこはどう理解したらいいでしょうか。

○森永委員長 私も詳しくは……

○浅野委員 このまま表に出ると、ちょっと混乱が起こるかもしれませんね。

○岸本委員 これはあくまでも労災疾病による可能性を見て4つになっていますから、今、浅野委員が言われましたように、3つ目は肺がん、中皮腫を特定していますから、これは当てはまらないことになると思います。
 例えば肺がんの患者でも、肺がんで必ず死ぬかというと、肺炎で死ぬこともありまして、肺がんはコントロールされていたけれども、今、三浦委員が言われたように薬剤による間質性肺炎が原因で亡くなるとか、肺がんのコントロールはいいけれども急性肺炎で亡くなる場合も面倒見ますということで、2番目は非常にわかりやすいし、4番目もわかりやすいんですけれども、3番目は、浅野委員が言われましたように、今回のこの2疾病の場合は余り関係ないのではないかと思います。

○森永委員長 わかりました。いわゆる続発症の件については、次回までに事務局の方で具体的な事例を、こういうものを考えるんだということぐらいにして、この資料9はあくまでも労災の方での考え方ですから、ちょっと誤解を生む可能性があるので、いわゆる続発性の疾患については、面倒みる範囲はこういうことですよということを具体例で示すぐらいにした方が誤解がないかもわかりませんね。
 先ほどお話がありましたけれども、肺がんで手術をしたけれども、肺機能が落ちてきて在宅酸素療法をしなければならないような例も、そういう在宅酸素の医療費の自己負担分はちゃんと面倒見ますよ、こういうことを考えているわけでしょう。ですから、具体例を列挙するような形の方が……

○浅野委員 それだけにしないで、抽象的な表現が残ってもいいとは思うのですけれども、この労災の続発症の表現をそのまま借りてしまうと混乱が起こるかもしれないので、例えば「など」とか、そういう書き方があるのではないでしょうか。

○森永委員長 そこは次回までに、もう一度事務局の方で検討していただくことにします。
 なかなかいろいろな議論があるんですが、特に今回は緊急的にこういう救済法を立ち上げているということで、予後が非常に悪いがんに特に絞ってやっているわけですね。
 石綿肺についてはグレードがたくさんあるわけでありまして、酒井委員からわかりにくいというご意見がありましたけれども、肺線維症を起こす……、別にアスベストだけに限らないですよね、先生。

○酒井委員 いや、私は、これが公表されたときに、ここら辺が一般の方にわかりにくいのではないかと考える訳ですが。

○森永委員長 ほかに書きようがないんですよね。

○酒井委員 何かもう少し具体的に説明しないと、なかなか一般の方にはわかってもらえないかなという気がいたしたものですから。

○森永委員長 何がいい方法ありますか。

○石川委員 浅野先生が言われたように、すごく予後の悪い、そういうすごく悲劇的というか、そういうものを救済するというふうにはっきり書けば。

○酒井委員 ある意味で、先生おっしゃられるように、医学的ないろいろなことを言わないで、緊急的に予後が悪いものを対象にするんだというロジックで分けた方が一般にはわかりやすいかなという気がいたします。

○森永委員長 事務局、どうですか。それで具合悪いですか。

○俵木保健業務室長 予後が悪いというのも一つの特殊性なんですけれども、先ほどもご説明しましたように、潜伏期間が非常に長くて、どこでどのように浴びたかもわからないような特殊性というのも大きな特徴なのかなと思っておりますが。

○石川委員 それだと、石綿肺もそうですよね。

○神山委員 先ほど議論していたプラークの話とか、アスベストーシスだとか、こういう本をきちっと読めばその辺はわかるんでしょうけれども、一般の人はそれほど読むわけではないので、チラシ的なもので少しわかりやすく解説するような、それも長い文章ではなくて、石綿肺と肺線維症とをこの報告書では使い分けているというぐらいのことを簡単に、1行ぐらいでわかるような何かを用意するのも親切なのではないかと思いますが、どうでしょうか。
 先ほどのお話では、プラークと胸膜肥厚といろいろ混乱があって、人によって使い方が違って系統的になっていないところがあるみたいですけれども、それを含めて簡単な、一枚二枚ぐらいの用語の解説のようなものが必要かなと思いながら聞いていたんですけれども、そういうレベルではないということでしょうか。

○森永委員長 それは大事なことだと思いますね。本当はそれが一番大事なんでしょうけれども。
 石綿関連疾患は5つあるということで、中身が知らない形でひとり歩きしているところが実はございますね。ですから……

○神山委員 多分、専門家はこういう本とかいろいろ専門書があるから、もう大丈夫なんだという安心感があって、余り細かく解説しないで済んでしまっているところがあると思いますので、混乱でいろいろ議論が始まる前に、やはり簡単な解説的なものがどうも必要だなと私も思うんです。そうすると、それをちょっと見ただけでわかるという感じで。

○森永委員長 そういう努力をいろいろなところですべきだということで、指定疾病の範囲は、肺がん、中皮腫という2つのがんにするということでよろしいでしょうか。

○石川委員 用語について質問があるんですけれども、この「中皮腫」という用語ですけれども、中皮腫というのは悪性中皮腫のことですね。

○井内委員 要は中皮腫を良性と悪性に分け、さらにさまざまな形容詞をつけるという考え方もあるかもしれませんが、ここで言う「中皮腫」というのは、悪性中皮腫のことです。それはWHO分類に準拠して、良性の場合は「良性」とつける、「中皮腫」と言った場合は悪性だという立場で用語の定義はしております。

○三浦委員 非常に大事な指摘でして、私たちが気がつかなかったのは、歴史的に見ると、良性中皮腫の時代があるんですよね。今回は、遡って救済する対象がありますから、その時代は、やはり「悪性」ときちっと書いていないとわからない時代なんですね。今は「良性中皮腫」という言葉そのものがなくなっていますから、「中皮腫」と書いてあれば「悪性中皮腫」と同義語になっていますけれども、確かに石川委員のおっしゃるように……

○石川委員 これ、法律も「中皮腫」になっているんですか。

○寺田大臣官房審議官 はい。

○石川委員 そうですか。でも、「悪性中皮腫」と書いた方がいいですよ。WHOだって「悪性中皮腫」と書いてあって、その亜系に「上皮型中皮腫」その次はマリグナントと略していますね。マリグナント・メソトリオーマと書いてあって、その次にステロイド・メソトリオーマ、サルトマ・メソトリオーマとなっているんですね。

○三浦委員 WHOは「マリグナント」が残っていますね。日本の肺がんの関係書類は、「悪性」を頭から一応外してあるんですけれども、最近またくっついている文献が多いので……。

○浅野委員 現代の医学の用語に従って法律をつくってしまったわけですね。そうすると、過去分について診断書で、良性だけど中皮腫と書くような診断書が出てくる可能性がどうもありそうですね、今のお話を聞くと。

○森永委員長 ありますあります。

○浅野委員 それはもう黙って救済するという腹ですか。

○寺田大臣官房審議官 腹といいますか、過去分というのは何かといえば、これはそれが原因でお亡くなりになった方に対する救済をするわけでございますから、果たして良性中皮腫なるものでお亡くなりになるのかどうかをお尋ねしたいと思います。

○井内委員 良性中皮腫の場合は、まず亡くなることはないから良性だと言っているわけで、その時代の疾患概念から言えば、これも中皮細胞由来の腫瘍だから中皮腫と呼ぼうということになっていたわけですね。ですから、申請に当たって病理診断書をもしレビューすることができれば、それがどういう記載であるかをあるレベルの人が見れば、その判断は可能だと思います。ですからそこは、ただ単に中皮腫と診断してあるものは全て認めようということではなくて、ある程度書面上で審議が必要ではないかなということにつなげていきたいと思います。死亡診断書に中皮腫と書いてあれば、それはそれでお亡くなりになったんでしょうけれども、そうでないものが出てきたときにどうするかといった問題は残ると思います。

○寺田大臣官房審議官 基本的には、死因として「中皮腫」とある方について、特別遺族弔慰金をお払いするということで考えております。
 これから出てくるさまざまな限界事例の中で、いろいろ個別に慎重な判断を要する事例が出てくるかもしれませんけれども、基本的には私どもは、過去「中皮腫」という言葉がどこかに出てきた方々をお救いするということではなくて、それによってお亡くなりになった証拠がある方のご遺族に対して弔慰金をお払いする、こういう立場でございます。

○森永委員長 今の石川委員のご指摘は、一般の方が誤解されると困るのではないかと。つまり、中皮腫という診断をもらっていれば、自分は完全にアスベストばく露の被害者なんだと思われると問題があるのは、以前、良性の中皮腫だと言っていたものはアスベストばく露とは関係がないと学問的にわかってきたわけで、その方を救うことにならないように、ある意味では今、おっしゃったように、そこで亡くなった方という縛りをつけることも可能だし、病理組織をもう一度確認することでちゃんとした選別ができるかもしれないと思っているわけですね。
 だから、今、「中皮腫」という言葉を使ってあるから混乱しそうだというおそれについてご指摘がありましたけれども、そういう立場を明確にしておけば峻別は可能だと思います。
 これはちょっとややこしいんですよね。WHOの分類案が出たのは99年なんですよね。ところが、死亡統計は95年に変わっているんですよね。─あ、95年じゃないか。少なくとも日本が採用したICD10というのは95年なんですよね。案が出たのはもうちょっと前ですけれども。そこのギャップもまたあるんですよね。
 ですから、限局型中皮腫であるとか良性中皮腫とか、こういうのがあるんですよね。

○石川委員 それがちょっと難しいですね。その上に悪性があるから難しい。だから「悪性中皮腫(以下、中皮腫と言う)」とすればはっきりするんですよ。限局型も悪性が稀にありますからね。
 本当は法律のときに、先生、何で意見言わなかったんですか。法律の条文が余りよくないですね。

○井内委員 逐条ここで検討したわけではないのです。ここでは医学的な判断基準を決めただけであって、それは現状の常識で中皮腫の議論をしたにすぎない。法律の条文をそれでチェックしたかと言われると、それはチェックはしていないわけです。「中皮腫(悪性のものを指す)」とか何とかいう指摘をしておいた方が混乱を招かなかったという先生のご指摘は、そうかもしれない。

○石川委員 昔、限局性線維性腫瘍を中皮腫と言っていましたよね。限局性線維性腫瘍というのはほとんど良性だけれども、一部悪性があるから、それは中皮腫でないとわかったけれども、それで死亡した人もいるんですね。その人の診断名は、昔は「中皮腫」と書いてあったと思います。それで死亡しているんですね。だけれども、それは悪性中皮腫ではないというのが今、わかったことですね。
 だから、もうちょっときちんとすべきだった。

○井内委員 先生のおっしゃっていることは、学問的なレベルを追求していけばそうなるんだけれども、実際、では10年前、15年前の材料が、まず正しく診断されているかどうかという前提がありますよね。それから、それを現時点でレビューできるかどうかという次の問題がある。そういうことを考えていくと、明確に表現しておいた方がいいのか、あるいはある意味でこちら側でさまざま考えることができる方がいいのか、少し考えておいた方がいいかなとも思うわけですよね。
 学問というのは常に進歩するわけで、今、極端な話を言えば、中皮腫は九十数%アスベストで起こるから、中皮腫であれば全部救おうという立場で我々は今までやってきましたけれども、そうではないんだという研究が5年後に出るかもしれない。そのときに慌てることになったらどうしようなんて思わないわけではないけれど、今、そのレベルで余り細かい議論をする必要はないのではないのではないでしょうか。あくまで救済だという視点で話がすすんできたと私は理解しております。

○森永委員長 今、議論したいのは、これからのことについて。これから中皮腫と診断される方について議論したいと思うんですね。既に亡くなられた方の議論は、このパブリックコメントでも一番最後、3番目に出ていますので、一番後で議論したいと思います。
 疾病の範囲ですけれども、委員の先生の意見として中皮腫、肺がんは予後も悪いし潜伏期間も長いから、とりあえず緊急避難的に救済しましょうということでこの2疾患を選んだことについては、皆さん方、妥当だというお考えだということですので、次に、中皮腫と肺がんの診断基準について、もう両方あわせてやりましょうかね。パブリックコメントの紹介をお願いします。

○俵木保健業務室長 それでは、資料6でございますけれども、私ども、検討会でおまとめいただきました医学的判断に関する考え方に基づきまして、中皮腫と肺がんの認定の場合の考え方をパブリックコメントにいたしました。資料6の表側の下でございますけれども、中皮腫については胸膜、腹膜、心膜、精巣鞘膜の中皮腫であることが確認された場合認定されるものとしておりまして、中皮腫は診断が困難な疾患であるということで、診断について幾つかコメントをつけております。
 中皮腫の診断に当たっては、病理組織検査記録等が求められ、確定診断が適正になされているか確認されるものとする。
 なお、病理組織検査が行われていない事案については、検討会のご議論でもあったかと思いますけれども、非常に患者さんの状態が悪い場合、病理組織検査ができないこともあるというご議論がありまして、そういう検査が行われていない事案については、臨床所見、臨床経過、臨床検査結果、他疾患との鑑別の根拠等を主治医から求め、専門家による検討を踏まえて判断されるものと考えております。
 一方、肺がんについてでございますけれども、肺がんについては、まず原発性の肺がんであることが基本ですが、かつ肺がんの発症リスクを2倍以上に高める量の石綿ばく露があったと見なされる場合に認定がされるものというのが基本的な考え方だと理解しております。
 肺がんの発症リスクを2倍に高める量の石綿ばく露があったと見なされる場合としては、ここに挙げました(ア)(イ)でございますけれども、検討会でおまとめいただきましたように、画像所見で判断する方法と石綿小体または石綿繊維の量が一定以上あることを確認して判断する方法と、2つをここに記載しております。
 申請に当たっては、このような、医学的に確認する必要のある所見を確認できる書類等の添付が原則的に求められるということで、例えば主治医の診断書、病理組織診断書、診断に必要な胸部エックス線写真、または胸部CT画像などが添付されて、認定されていくものと理解しております。
 また、今も一部ご議論がございましたが、制度開始時に既に死亡している方についての考え方でございますが、中皮腫の場合については、中皮腫であったことが記載された死亡診断書の写しなど、中皮腫であったことを客観的に証明できる書類があればよろしいのではないかと思っておりまして、現実的には、各地方の法務局で発行されます死亡届けの記載事項証明書というものがございますが、そういったもの。死因のレベルが何段階かございますが、いずれかに中皮腫の記載があるものについては、それが証明できたものと考えていいのではないかと考えております。
 一方、肺がんにつきましても同様に、死亡届けの記載事項証明書をもって確認の必要があると思っておりますが、肺がんであったことを証明できるそれらの書類のほかに、先ほど見ていただきましたように、医学的所見としての画像所見、または石綿小体、石綿繊維が一定量あったことを示す客観的な資料、そういったものを添えていただく必要がある、そういったものを確認する必要があると考えております。
 いただきましたご意見についてご紹介します。
 まず、環境保健部会の江森委員からいただきましたご意見の中で、2ページの下でございますが、肺内蓄積石綿繊維数を指標とする考え方について、「現状では、アスベストが肺がんを起こすメカニズムはまだ十分に解明されていない。
 報告書では、肺がんの認定に当たって、ヘルシンキのコンセンサスレポートをもとに、肺内蓄積石綿繊維本数を規定している。確かに、肺がんで胸膜プラーク等が認められない者であって、基金による救済を希望する者を認定する際に、何らかの基準は必要となるが、疑わしきケースについては、できるだけ「幅広く」認定できる基準とすべきである。
 世界的に中皮腫と肺がんの発症率は1対2と言われているが、日本の労災認定数はこの比率と大きくかけ離れている。これは現場で「石綿による肺がん」という診断が十分できていなかったこととあわせて、基準の厳しさがあるのではないか。
 労災であれば、BALFによります1ミリリットル中5本、または石綿小体1グラム中5,000本以下であっても、ばく露作業歴によって認定される。
 環境ばく露の場合、これが証明できないことから、それに代わる何らかの基準が必要ではないか。労災の認定基準がベストとは言えないが、その基準のハードルを「環境ばく露」の患者に対してさらに高めることは問題ではないか」というご意見をいただいております。
 4ページの(4)で、中皮腫、肺がんの確定診断の問題についてご意見をいただいております。
 「摘出術や胸腔鏡検査など病理学的な確定診断は、その費用もレントゲンやCT等に比べると高額であることに加え、BALであってもアスベスト罹患者への身体的負担は大きい。たしかに、労災の認定においても、病理診断が重要であることは認識している。
 しかし、病理診断の精度を勘案すれば、その精度の向上に努める努力もさることながら、現段階では環境曝露者の救済という観点から「疑わしい」ものすべてを認定するスタンスで対応すべきではないか。
 石綿小体を検出するのは簡単ではないが、喀痰でも曝露を証明できるケースがあるのではないか。こうした手法も含めて、できるだけ「幅広く」認定すべきと考える。
 また、中皮腫の診断には、負担の少ないメゾマーク─開発中の診断薬だと理解しておりますが─メゾマーク等も考慮してはどうか」というご意見をいただいております。
 パブリックコメントでの一般の意見といたしましては、資料8でございますけれども、中皮腫については5ページ、肺がんについては6ページから9ページにかけてご意見をいただいております。
 中皮腫に対する多くのご意見は、病理診断ができない例があるのではないか。病理診断ができた症例とすると、かなり厳し過ぎるのではないかというご意見。
 また、病理組織検査の記録を求めるのであれば、検査基準をきちんと示すべきではないか。
 また、石綿ばく露歴の情報を考慮して、石綿ばく露の蓋然性が推定される場合に、確定診断がなくても積極的に認定することができるのではないか。
 また、確定診断に必要な情報は医療機関に機構側から問い合わせた方がいいのではないか。
 また、確定診断できる医師が少ないのではないかということで、医師の養成が急務であるというご意見もいただいています。
 また、肺がんについて多いご意見といたしましては、「肺がんの発症リスクを2倍に高める量のばく露があったと見なされる場合」という基本的な考え方ですけれども、これについては根拠がないのではないかということで、石綿肺患者に併発した肺がんは認めるべきではないかといったご意見がございます。
 また、ばく露歴が確認されれば認定すべきではないかということで、ばく露歴を使った認定の方法についてご意見をいただいています。
 また、石綿小体の測定方法については、非常に難しいのではないかということで、一般臨床施設ではできないのではないかといったご意見もいただいています。
 また、医師のアスベストに対する認識がなく、画像など過去のデータについてはなかなか取り揃えることができないのではないかと心配されるご意見もあります。
 また、石綿小体について、クリソタイルでは形成しにくいので、クリソタイルばく露者での肺がんについては認定が難しいのではないかというご意見もございます。
 また、プラークを有する者のうちエックス線またはCTで確認できるというのが一つの条件でございますが、こういった方はどのくらいいるのか。胸膜プラークがある方がすべてCTで確認できるのでなければ、救済から落ちる人がいるのではないかというご意見がございます。
 また、25本/ml×年というばく露量の指標から認定すべきではないかということで、一定のばく露歴から考えて、25本/ml×年に該当するようなばく露量を受けたという蓋然性が推定できる場合には、医学的な所見がなくても認定できるのではないかというご意見がございます。
 また、労災と比べまして、労災の方は労働歴を確認して、例えば10年の労働歴がある場合には石綿小体が5,000本以下でも認定できるといったルールがございますが、そういった労働歴が確認できる労災と比べて、こちらの基準は厳し過ぎるのではないかというご意見が最も多く寄せられております。
 また、死亡された方の認定に関してのご意見は、死亡診断書の写しを入手しやすいように何らかの措置を考えた方がいいとか、そういう制度上の問題でございました。
 以上でございます。

○森永委員長 11月から行った検討会で大分いろいろ議論をしたんですけれども、実は議事録がまだ用意できていないんですね。議事録を読んでいただくと、このあたりのことは本当はかなり議論したので、本当はそこのところは読んでいただければご理解いただけるところが、まだできていないものですから、いろいろなご意見が出たというのが実情だと思います。
 大塚委員からも何かご意見ございましたか。

○俵木保健業務室長 すみません、大塚委員からもご意見がございました。
 肺がんに関する医学的判定の基準について、ご意見をいただいております。
 発症リスクを2倍とする場合に石綿が原因であるとすることは、救済される方お2人のうちお1人は石綿が原因で肺がんになったことを意味するわけでございますが、このように、50%の確率しかなくても救済するということは、法的には損害賠償の因果関係についての通常の考え方を相当広げたことになるということで、通常、裁判では80%の心証を必要とするそうでございますが、したがって、今回の基準は決して被害者には不利ではなく、救済としては適切な基準なのではないかというご意見でございます。

○森永委員長 我々医者としては、その辺のところはちょっとわからないんですけれども、浅野委員の方から補足していただけますか。

○浅野委員 8割というのは、かなりバサッとした言い方ではありますが、もちろん100%確実でなければだめだとは裁判所も考えていません。大体7~8割の確からしさがあれば因果関係を認めましょうというのが普通ですね。ですから、それから言うと、50%というのはかなり低い。ですが、これは緊急避難的であるし、労災のように高額な救済をするということでもありませんので、その点から言うと、広く救済することになったとしても、それはしようがないだろうということであります。
 大塚委員が言われるように、50%の確率でも救済されるというのは、少なくとも損害賠償の考え方から言うと、かなり緩やかだということになる。これ以上緩やかにできるかどうかは政策の問題ですけれども、まあこんなところかなと私も同じように考えています。

○森永委員長 ありがとうございました。
 労災よりも肺がんの認定基準は厳しいといったご意見がありますね。私はそうは思わないんですけれども、ご意見ございますか。

○神山委員 私もそうは思わないですね。議事録をきちっと読んで……、議事録は、いつのものまで出ているんですか。今までのものは全く出ていないんですか。

○森永委員長 いや、2回目まで出ているんですかね。

○神山委員 かなり議論しているところがあって、それを読んでいただければ理解していただきるのではないかと私は楽観視していますけれども。

○俵木保健業務室長 ご議論は、基本的にはこの報告書にもおまとめいただいたと理解しておりますけれども。

○森永委員長 ですけれども、CTで線維化の所見を拾うというのは、実はじん肺法で言う1型よりももっと拾っていると解釈できると思うんですが、酒井先生、どうですか。

○酒井委員 そうだと思います。線維化所見が単純で見えないことは幾らでもある。特にHRCTまでとってあれば、単純撮影では評価できない所見も拾うことはできると思います。

○森永委員長 我々のじん肺の経験を持っているグループとしては、1/0と0/1は大変難しいんですよね。ですから、そこのところはCTで確認しましょうということなわけですね。
 ですからILOも、1/1が本当のじん肺であって、1/0はじん肺の疑いなんですよね。だから、石綿肺の疑いも拾いましょうというのが今回の考え方なんですよね。そこのところは、この間の検討会の議事録を読んでいただければ、我々は理解していただけるとは思っています。

○石川委員 この報告書を読ませていただいたんですけれども、2倍になるリスク、この2倍という数字自体は、私はかなり広く救済する方向だと思いましたけれども、乾燥肺重量1グラム当たり石綿小体5,000本というのが、本当にそうかなというイメージを持ったんですね。乾燥肺重量1グラム当たり5,000本入っている一般人 は、ほとんどいませんからね。だから、一般の人はほとんど認定されないと思いますね。
 だから、この数字がどのぐらいなのかなと思って。

○神山委員 その件ですけれども、ヘルシンキ・クライテリアあたりが一つの参考資料になっていまして、5,000本から1万5,000本が肺がんリスク2倍というのもありますし、それから、私のつたない経験で、先生のところの肺がん例、一般の人で、職歴は全くブランクというか、調べていない二百数十名で5,000本以上ある方は3.5%ぐらいという数字です。先ほど中皮腫1に対して今、肺がんの認定が0.7だという話がありましたけれども、2倍ぐらいまであるのではないかということに─今、肺がんで亡くなる人6万人に3.5%を掛けますと2,000人ぐらいになりますので、たまたまそういう数字になったかもしれませんけれども、ヘルシンキ・クライテリアとそういうデータと両方かみ合わせて考えますと、5,000本以上というのはそんなに非常に高い値ではなくて、ある種、リーズナブルと考えていいのではないかというのがこの検討会でのコンセンサスだと思います。

○石川委員 背景を説明しますと、神山先生と私は、がん研で肺がんの手術をした人の肺の中のアスベスト小体を測って研究をしたんですね。その中で、職業歴は余り聞いていなくて、そのまま調べてもらったんです。その3.5%の方に5,000本以上あった。そういう意味で、ランダムに選んだ肺がんの人の中に結構そういう方がいるんだなということがわかったんですけれども、それは、50年代から90年代まで40年間にわたった肺がんの人の症例なんです。特にその結果、70年代に肺がんになった人の中に非常にそういう人が集中していたんですね。全部合わせると押しなべて3.5%だったんですけれども、70年代は肺がんは6万人もいなくて、6万人死亡したのはつい最近ですね。2000年以降ぐらいだと思うんですけれども、そういう意味で、70年代というのは一般人が非常にアスベストにばく露していたと考えられると思うんですけれども……。
 ヘルシンキ・クライテリアだと、5,000本から1万5,000本のうち一番低いところをとっていますから、そういう意味ではすごく救済的な方向ですし、神山先生が言われたとおりなんですけれども、私が感じるのは、たばこを吸っている人は10倍の肺がんになる、たばこを吸わないでアスベストをばく露した職業人は5倍の率で肺がんになる、両方の人は50倍になるというデータがあって、それから見ると、5,000本で2倍というのはちょっと何かイメージとして、そんなに低いかなという感じを持ったんですね。

○神山委員 中皮腫も、多分これから年間2,000人、あるいは3,000人と推定している方もいますけれども、その例と、多分肺がんもふえていくとすれば、今の5,000本で見ていっても、これから10年、20年経るに従って、その3.5%掛ける全国の肺がん患者という計算が成り立つのか、もっとパーセンテージが上がるのかわかりませんけれども、パーセンテージが上がる方向で比例関係が成り立つとも考えられますよね、これからという話になりますと。
 ですから、今時点のデータとして、限られたデータかもしれませんけれども大体その辺というのは、それ以上のデータもない段階で決めてきたという経緯はあります。
 仮に1,000本等に下げますと、30%とか非常にパーセンテージが上がるということも申しましたけれども、そうすると、計算の上だけですけれども、仮に6万人、あるいは昔だったら5万人だ、4万人だという話になるかもしれませんけれども、6万人で3割と言えば1万8,000人とか、中皮腫の数との開きが余りに大き過ぎるという意味でも合理的ではないだろうという判断も、一方であるんですね。

○森永委員長 ちょっと事務局にお願いですけれども、7時には終わりそうにないんですよね。2回でやらなければいけないということなので、30分程度、時間を延長させてもらいたいんですが、委員の先生方、よろしいでしょうか。
 そうしますと、まだいろいろ議論しなければなりませんが、メゾマークの話も出ていますので、岸本先生の方から何かありませんか。先生のところも含め、日本では5病院ぐらいでトライアルしているような状況ですが。

○岸本委員 私のところもIRBが通りましたので、3月になりますとフジレビオさんの方へ検体をお送りして、トライアルに入ります。
 悪性腫瘍のCEAというのは信頼性のあるマーカーなんですけれども、恐らくCEAをしのぐほど、このメゾマークがメソトリオーマにスペシフィシティがあるというようなことにはならないのではないかと危惧しております。
 胸水中のヒアルロン酸、三浦委員もかなり昔からやっておられますが、ヒアルロン酸の10万ナノグラム/ml以上の方がリライアビリティは私は高いのではないかと思っております。
 これに関しましてはメガスタディに入られるようなので、半年ぐらいすればデータが出ると思います。
 私のところは、もちろん中皮腫もエントリーしていますが、石綿肺、胸膜プラークだけ、それから石綿肺がんもエントリーする予定になっております。

○森永委員長 オステオポンチンも同じですよね。まだ研究レベルだという理解でいいと思います。
 それから、ちょっと急がなければなりませんが、中皮腫は、どうしても病理組織所見が得られない場合は総合的に判断するという、パブリックコメントに出した案で対応するしかないということでしょうね。
 それから、アスベスト小体の方は、喀痰でも証明できるケースがあるのではないかというご質問がありますが、どうでしょうか。これも高濃度ばく露で現職労働者でないと出てこないですよね、普通。だから、スペシフィシティは高いけれどもセンシティビティはほとんどない、低いですよね。そういうことでいいと思います。
 中皮腫の診断基準について、ほかにご意見ございますか。

○天本総務課長補佐 病理組織学的なものをまずは求めるという原則であるということは、検討会でもご議論いただいたかと思うんですけれども、一方で、病理組織学的な診断以外で中皮腫の蓋然性が高いであろうという診断があり得るのか、あり得ないのか。あり得るとすれば、どういった条件であれば中皮腫だと診断してよろしいのかということですね、そちらだけご確認いただければと思っております。

○森永委員長 どうでしょうか。細胞診までだと「中皮腫の疑い」までですよね。

○三浦委員 最近の亀井先生たちのお仕事では、細胞診でまずもう中皮腫と診断できるものがある。すべてではないんですけれども、ものがある。ただ、通常のパパニコロウ染色だけでは当然無理でして、それプラス特殊染色を加えた上で診断できるものがある。ですから、これは胸水細胞診あるいは腹水細胞診で腫瘍細胞が検出された、パパニコロウ5である。だけれども、今までは肺がんのがん細胞と中皮腫細胞の区別が全くできないから、診断が困難であるというのが一般的な話だったんですけれども、亀井先生たちの仕事で、これは明らかに区別できるものがある。
 それからもう一つ、私たちが昔やっていたものとしては、胸水の細胞診で陽性のものについては、もう一回胸水を集めて、それを電子顕微鏡でやりますと、中皮細胞に特異な所見が得られて、これはやはり、合わせ技で中皮腫であると診断することはできる。ですから、かなり特殊な方法を加えれば、組織学的な診断がなくても中皮腫であると診断することは可能である。ただし、最終的に組織系まではできないというのが最終結論ですけれども、中皮腫であるということは、ほかの悪性細胞との鑑別は、今は可能になっている。特殊例ですけれども、私はそう考えています。

○岸本委員 今、三浦委員が言われた細胞診までやっていただけると、中皮腫の確定診断はかなり信憑性が出てくるんですけれども、実地の医師の方々が、それらしい患者が出てきても、そこまで実際やっていない場合が非常に多いのが現状だろうと思います。レントゲン所見で、水がたまって胸水があるということだけで中皮腫と診断される場合もございますので、もっと診断基準を下げていかないと、なかなか中皮腫だというふうに診断はできないように私は思います。
 三浦委員が言われた、細胞診を免疫染色で、井内委員がやられているような形で再染色してやれば、信憑性は非常に上がりますけれども、そこまでできていない例であれば、例えば胸水中のヒアルロン酸のデータだとかCEAのデータだとか、そこまで下げ、なおかつ画像上、中皮腫にコンパティブルというところまで下げないと、かなり捨てていく症例がふえていくように私は思います。それが多分、現状だろうと思います。

○井内委員 私どものところに中皮腫かどうか見てほしいということで送られてくる中で、細胞診標本しかない例は大変苦慮しますね。確かに亀井先生たちのお仕事も知っていますけれども、特にこれからの症例ですと、そういう知識をもって材料のとり方にしろ扱い方に適切に行われた場合はいいのですが、過去の材料について、細胞診標本しかない例を確定診断してくれというのは、かなりきついと思います。
 ですので、やはり総合的判断に頼らざるを得ない。画像はどうだったか、あるいは胸水の性状はどうだったか、そういうこともあわせて、病理組織が得られない場合で、やはりたくさんの要素を組み合わせた診断をやらざるを得ない。そういう場合は、単一の診断だけに頼るのは危険だということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 細胞診の精度向上も、もちろん皆さんの研究対象であるし、今後、いいマーカーが見つかれば細胞診だけで診断できるようになると思いますが、今のところは、かなり熟練した人が見て、しかも免疫染色をやっていると言いますけれども、それだけ特異的かと言われると、非常に問題がある。つまり、中皮細胞としてのマーカーではあるけれども、これが悪性腫瘍であるというマーカーではないわけですから、そこら辺の区別は難しいと思います。

○三浦委員 前提は、悪性細胞なんですよ。パパニコロウで……

○井内委員 そうです。

○三浦委員 それに対して、その悪性細胞が……

○井内委員 だから、肺がんか中皮腫かの鑑別はできるわけです。

○三浦委員 そうです。

○井内委員 ところが、これが反応性胸膜炎の中皮細胞、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、がんでない中皮細胞とがんである中皮細胞があると思っていただければ、そこの鑑別をする方法は、まだ残念ながらないわけですよ。

○三浦委員 でも、悪性か悪性でないかは細胞診で決めるのが前提になっていますので、そこを否定したら世界じゅうの細胞診が成り立たなくなりますから。中皮細胞だけは、悪性像が軽いから中皮腫とは認めにくいという話は成り立ちますけれども、やはりパパニコロウ染色で悪性と判断されたものについて、「これは腫瘍ではない」と言うことは絶対できないと思います。その腫瘍細胞に対して、それが中皮腫の特徴を持っているかどうかという判断が加って、中皮腫の特徴の方が肺がんの特徴より強いとなれば、中皮腫と認めてよいというのが今の現実だと私は考えます。大前提は、腫瘍細胞かどうか。

○井内委員 おっしゃることは理解していますがやはりほかの細胞、例えば喀痰中の細胞とは違って、胸水や腹水の中にできた中皮細胞の良性・悪性の鑑別は、一番難しい領域だと私は思っているわけです。体腔液細胞診というのは。だからこそ、皆さんが同じレベルで同じように診断しているか少し疑問があるということを申し上げている。
 だから亀井先生たちの仕事が尊重されるし、彼らの知見に皆が頼るわけですよね。
 世界中で細胞診の位置づけとしては、私が言う総合的判断を行った中の細胞診という位置づけだと私は理解しているので、細胞診だけで決めていいと皆が思っているとは思っていません。少し意見が違うかもしれませんけれども、決して細胞診を否定する意味で言っているわけではなくて、そういう前提で診断できる例は何%か何十%かあることは認めたにしても、全てそれで診断できるというふうにはしない方がいいと思っているということです。

○浅野委員 いずれにせよ、今、出ている基準案では、病理組織検査が行われていない事案について総合判断ということしか言っていないわけで、そこは、やはりこういうクライテリアを制度的に示すときには、この程度の示し方にしておいて、あと、今、三浦委員がおっしゃったような実際の例は運用の中で、たびたび出てくればそれは先例集みたいな形できちっと積み重ねられていくでしょうから、井内委員がおっしゃるように「総合判断」という言葉は、とにかくいっぱい資料を持ってこなきゃだめだということを言っているわけではない。確からしさを証明できるだけの資料があれば、それを総合判断と言うんだという理解であれば、そんなに矛盾はないですね。

○森永委員長 あと、パブリックコメントの5ページの8番、中皮腫の確定診断ができる医師の養成が急務であるという意見がございますが……、全くそのとおりですね。

○岸本委員 そうですね。

○石川委員 資料6の一番最後のところなんですけれども、既に死亡している方の場合。これがほとんどになる可能性が大きいですよね。いわゆる1年目にドッと来ますね。中皮腫の場合は、中皮腫であったことが記載された死亡診断書の写しだけでいいんですか。

○森永委員長 これは我々がどうこう言う問題ではないと思うんですよね。これからの例については「こうすべきだ」ということを言って、過去の事例については、もう行政判断にお任せするしか仕方がないのではないですか。ですから、我々はこれからの話で……

○石川委員 過去の事例が出てきたときに、これをどう判断するか、その判断基準を決める会ではないんですか、ここは。

○森永委員長 これから申請するんですけれども、現存の方についてしか我々は言えないのではないですかということで議論しています。

○石川委員 死亡した人がドッと申請してきますよね。それは全く別なんですか。

○森永委員長 それはもう行政の方で判断していただくしか仕方がないと思います。

○石川委員 その病理診断の判定基準は……

○井内委員 その場合、中皮腫かどうかの判断を小委員会なり、しかるべき人たちが判断するという場面もあるんでしょう。

○俵木保健業務室長 死亡届けの記載事項証明書で、中皮腫であることが死亡原因のどこかの段階に書いてある場合には、行政的には判断したいと思っておりまして、それが案でございますけれども、そういう死亡診断書が、例えば非常に古い例とか、どういう例があるのかわかりませんけれども、死亡診断書以外に、例えばカルテの記載とかそういうものでご申請されるケースもあるのかもしれないと思っておりますけれども……

○井内委員 例えば「中皮腫の疑い」と書いてあったら。死亡診断書にはそういう例はないんですか。

○森永委員長 あります。そういう場合は相談になるとは思いますけれども。

○井内委員 医療機関に何かを求めるという場面もあると想像していいわけですか。つまり、病理検査の内容をですね。

○石川委員 あと「中皮腫または肺がん」というのも死亡診断書によくありますね。そういう場合どうするか。それは我々には関係ないというならいいんですけれども。

○井内委員 いやいや、関係あるだろうとは想像しています。

○俵木保健業務室長 ただ、過去の例については、カルテの保存期間という壁もありますし、診断当時の技術的な限界もありますし、今、ご議論いただいたような細胞診を含め、データが揃う例は必ずしも多くないのではないかと事務局としては考えておりまして、過去の例につきましては、中皮腫については中皮腫であることが疑われた例も含め、死亡届けの記載事項証明書の内容を、どういう記載があるのか事務局としてもちょっと想定できないケースがあり得るんですけれども、基本的には、死亡届けの記載事項証明書の記載の内容で判断していきたいと考えております。

○井内委員 申請書の中に死亡診断書以外の項目を書くことはあるわけですか。つまり、中皮腫であることの証明を加えることができる場合はそうすればよい。強制的に求めるのではない形でもいい。

○俵木保健業務室長 もちろん、ご提出いただくことは全く拒みませんけれども、「ある人は必ず出してください」という形でお願いすることは難しいのではないかと思っております。

○石川委員 私自身は、死亡診断書が来れば救済すること自体は賛成なんですけれども、恐らくその2割とかは間違っているでしょうね。実際には中皮腫ではないと思いますけれども、それでもいいとは思いますけれども。

○寺田大臣官房審議官 少なくとも中皮腫については、当然のことながら一定程度、間違いとかデータの不足等ありますでしょうけれども、中皮腫で死んだということについて一定程度の書類があれば救済するということは、これは政府・与党の意思でございます。別に論理とか科学とか、そういうことも当然ベースにあるでしょうけれども、それが与党の意思でございます。

○浅野委員 要するに、物すごく高額の手厚い救済をするということになりますと、因果関係については法的にかなり高いレベルのものを求めなければいけませんが、そこは、ある意味では裏腹な関係だけれども、比較的救済レベルとして、一般の損害賠償から考えたらかなり低いと言われるようなレベルの話ですから、そこは相対的に、因果関係についても緩くなってもしようがないかなという考え方も成り立つことになる。
 それから、多分間違いはあるだろうと思いますけれども、こんなにアスベストが社会問題化して中皮腫ということが知られていなかった時代の誤りは、一般の診断の誤差の範囲内という考え方でいいだろうと思われます。今日になると、救済制度が目の前にありますからもうちょっとその誤差の範囲が広くなるおそれがあるので、今後についてはちょっと厳しく見る。しかし、過去分については、まあ誤差の範囲内ということでいいのではないか。
 恐らく、私も法医学の講義などで診断書の書き方についてもしゃべらされますが、昔は随分荒っぽい診断書が多かったから、その中に「中皮腫」とイにせよロにせよ書いてもらえるというのは、相当のものだと考えていいのではないかという気もするんですが。

○岸本委員 私も、今の浅野委員のご意見に全く賛成であります。今後、この病名がつくと補償されるとなると、診断バイアスがかかりますし、これを書く主治医にもかなり責任が加わってくると思いますけれども、今までにこの病名を書いた方々というのは、かなり苦し紛れに書いた方もありましょうし、1人の人が目の前で亡くなったときに、医師は何か診断名を書かなければいけないわけですよね。今、一般的に「心不全」とは書いてはいけない。何か病名をきちっと書きなさいという指導がありますので、両側に水がたまって、これはひょっとして中皮腫かもしれないというような症例、もしくは疑い、そういう症例は過去にはあったけれども、これは許されるべきかなと思います。
 今後はかなり、そういう面ではバイアスがあるので、中皮腫という診断の認定基準は、ある程度決めておいた方がいいと思います。
 井内委員と三浦委員、かなりご議論になりました。1本明らかに筋が通った診断根拠があれば、これは認めていいと思うんですけれども、それがない例も必ずや出てくると思います。というのは、決して40代、50代の方々だけが中皮腫になるわけではなくて、九十数歳の方もなりまして、診断根拠がない場合もあるので、そういう場合はどうするのかということも、ある程度のラインで出しておいた方がいいのではないかと思います。

○森永委員長 ありがとうございます。中皮腫の方は、これでよろしいですか。
 それでは、肺がんの認定基準について、ご議論ございますか。私の運営の不手際もあって、もう時間が大分オーバーしまして申しわけありませんが、意見がなければ、次回までに今日議論したことをまとめて、一応たたき台を事務局と委員の先生方とでやりとりをして─といっても余り時間がございませんが、たたき台を出していただいて、その中で次回、今日討論できなかったところを討論してまとめたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

○浅野委員 私、次回は出席できません。大塚委員が次回は多分、出席されると思いますので法律面からの議論はお任せいたしますけれども、こういう通達というか、判断基準の書き方としては、当然こういう書き方しかないということがあるとしても、それについての解説みたいなものは丁寧につけなければいけないと思います。
 例えば、今の肺がんに関して言うと、パブリックコメントでも意見が出ていますけれども、ばく露歴がはっきりしている場合は認めるべきではないかという話があるわけですが、それは問わないことに制度の意味があるわけですから、問わない。そうすると、これが多分、検討会の報告書も審議会などではもう既に配布されて、出回っていますので、読み方を間違えてしまうと職業ばく露に関連する指標として[3][4]があるではないかといった議論が出てくる可能性がありますね。しかし、もともとそういったものは労災の世界での話であるわけだし、それ以外のところでも、ばく露歴がはっきりしていることは一切要求しないということになれば、[1]と[2]しかないんだから、ここではア、イという書き方になっているので、それ以外のものがないのは当たり前なんですけれども、その当たり前のことが当たり前として理解されないおそれが大いにありますから、やはり解説文をしっかりつけておかなければいけないという気がします。
 恐らくこのアとイは、さっきのお話を聞いていても、相当緩やかなクライテリアらしいと私はお聞きしましたので、そうだとすると、もうこれでいいのではないか。あとは、こんなものなくても肺がんであることがはっきりしていて、職業歴からアスベストにより肺がんの発症リスクが高まった可能性があるよということが書いてあるだけで、そのことと、今回のこの制度とは無関係ですから、そこが無関係であることがわかるようにしておかないと、また妙な議論が起こってしまう気がします。

○森永委員長 貴重な意見、ありがとうございます。
 今の意見も踏まえてたたき台を出す、次回でもうまとめるということでよろしいですね。

○俵木保健業務室長 今の浅野先生のご意見、この検討会の報告書は、一番初めにご説明しないで申しわけございませんでしたが、厚生労働省と共同で開催した検討会で、いわゆる労災制度の認定基準も考えるベースとすべきものとしてご検討をお願いしましたので、労働の話のこともついてきております。
 ただ、事務局といたしましても、私たちの対象とするような方には、一人親方も含めまして、明確で客観的な労働のばく露歴に関する資料を出していただける方は少ないのではないかと思っているんですけれども、ここで明らかな証明書類のようなものが出せるような例があった場合には、肺がんの発症リスクを2倍とする程度のばく露があったのかどうかという評価の仕方はあり得るのかもしれないなとは思っております。

○森永委員長 しかし、ややこしいから言わない方がいいですね。浅野委員の意見はそういうことなので……

○滝澤環境保健部長 今のはちょっと誤解を増長してしまうので。
 つまり、厚生労働省とうちと混合でやりましたけれども、それぞれの基準の根拠にこの報告書をするわけですから、我々は、指定疾患に関してどういう医学的判断基準を設定したらいいかということを、この小委員会にお願いしていますので、ばく露歴の取扱いについては、浅野先生のおっしゃるとおりだと考えています。

○森永委員長 少し議論が不十分だったところもあるかもわかりませんが、それはまた電話で詰めることにしたいと思います。何せ時間がもうオーバーしていますので、今日の議論はこれまでといたしまして、事務局の方から今後の予定をお願いします。

○天本総務課長補佐 事務局から次回のご連絡を申し上げます。
 第2回小委員会は、3月1日水曜日の18時から20時で、会場は環境省第1会議室、つまりこちらと同じ会場で予定しております。

○森永委員長 次回も2時間で終わるか、ちょっと自信がないんですが、できるだけたたき台のところで意見を事前に出していただいた方がいいと思いますので。
 万一のことを考えて、一応30分延長も含めて会場の方をお願いします。できるだけ2時間で終わりたいとは思いますが、よろしくお願いします。
 それでは、これで第1回の小委員会を終わりとさせていただきます。

午後7時25分 閉会

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