中央環境審議会環境保健部会 化学物質評価専門委員会(第25回)議事録

1.日時

令和元年12月13日(金)15:00~17:00

2.議事

                                         午後3時00分 開会

○太田環境安全課長 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会環境保健部会、第25回化学物質評価専門委員会を開催いたしたいと思います。
 私、本日の進行を務めさせていただきます環境安全課長の太田でございます。本年7月9日付で着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、委員の先生方におかれましては、お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。以後、着席で失礼させていただきます。
 本日は、西川委員、内山委員、櫻井健郎委員より御欠席との連絡を事前にいただいております。武林先生は少々遅れているかと思いますけれども、現時点で13名の委員の皆様方に出席をいただいているところでございます。
 なお、委員の改選によりまして、今回の専門委員会から篠原前委員にかわりまして、谷口委員と本日、御欠席との御連絡をいただいておりますが、櫻井健郎委員に御参画をいただくことになりましたので、御紹介させていただきます。
 新任の谷口先生、一言御挨拶いただけますでしょうか。
○谷口委員 谷口でございます。どうぞよろしくお願いします。
 大阪府の環境部局に長年勤めておりました。そういう地方行政の観点から何か思いつくようなことがあれば、申し上げていきたいなと思っております。よろしくお願いします。
○太田環境安全課長 ありがとうございました。
 また、平成26年度まで当委員会の委員でおられました中杉先生におかれましては、引き続き参考人として、御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは、開会に当たりまして、環境保健部長の田原より一言御挨拶申し上げます。
○田原環境保健部長 環境保健部長の田原でございます。今年の7月から環境保健の業務を担当しております。
 委員の皆様には、大変年末のお忙しいところ御参集をいただきまして、ありがとうございます。中央環境審議会の化学物質評価専門委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 環境省では、化学物質が環境を経由して、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす可能性を環境リスクというふうにして捉えまして、その科学的な評価とリスク低減のための取組を実施しております。
 このため、本専門委員会で御助言をいただきながら、化学物質環境実態調査及び化学物質の環境リスク初期評価を実施しております。いずれも化学物質管理施策の基盤的な事業と位置づけておりまして、継続的に実施しているところでございます。今後も、最新の知見や技術等を反映しながら、適切に実施できるように努めてまいりたいと思います。
 今年も、この評価専門委員会を迎えるまでに多くの方々に御協力をいただき、また、さまざまな検討会等で議論が重ねられてまいりました。本日は、その検討結果をお示しいたしまして、最終的な御評価等をいただきました後、結果の公表に進めたいというふうに考えているところでございます。
 それでは、先生方の忌憚のない御意見を賜りますようにお願い申し上げまして、簡単ではございますが、冒頭の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○太田環境安全課長 ありがとうございました。
 ただいま武林先生につきましては、本日御欠席の御連絡がございましたので、本日の出席委員は13名ということでございます。
 続きまして、事務局のメンバーにも人事異動がございましたので、紹介させていただきます。
本年7月1日付で環境安全課の保健専門官として水谷保健専門官が着任しました。
○水谷環境安全課保健専門官 7月1日で安全課に着任しました水谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○太田環境安全課長 続きまして、本日の資料の確認と先生方のお手元にございますタブレットの使い方について、簡単に御説明させていただきたいと思います。まず、タブレットの使用につきましては、もう既に先生方おあけいただいているかと思いますが、一応使用の方法につきましては、この紙を配付させていただいておりますので、それを御参照いただきたいと思います。
 それから、本日の資料につきましては、スイッチを入れていただくと、既に議事次第が開かれているかと思いますけれども、議事次第の下のほうに本日の配付資料の一覧を掲載させていただいております。資料1が本専門委員会の名簿。資料2-1から2-5が議題1に関わる化学物質環境実態調査関係の資料。それから資料3-1から3-3が議題2の化学物質の環境リスク初期評価関係の資料となっております。
 また、参考資料といたしまして、本年に行われましたストックホルム条約第9回締約国会議と残留性有機汚染物質検討委員会第15回会合の結果概要を用意させていただいております。資料のファイルに不備等ございましたら、事務局までお申しつけくださいませ。
 また、タブレット操作にお困りのことが生じましたら、お近くに職員がおりますので、お声がけいただければと思います。
 なお、本日の会議は公開とさせていただいております。
 それでは、議事に入らせていただきますので、櫻井委員長、よろしくお願いいたします。
○櫻井委員長 わかりました。それでは、議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず最初の議題に入ります。化学物質環境実態調査の結果・進捗状況等についてということで、平成30年度の化学物質環境実態調査、いわゆる黒本調査、これの30年度の結果と令和元年度調査の進捗状況等につきまして、報告があるとのことでございます。資料2-1から2-5に基づきまして、事務局から資料の説明、お願いいたします。
○水谷環境安全課保健専門官 環境安全課でございます。
 それでは、資料2の各資料に沿って化学物質環境実態調査について、御説明させていただきます。資料2-1をご覧ください。
 平成30年度の調査結果の概要を示した資料となっております。化学物質環境実態調査では、試料採取・分析を行った翌年度の1年間で結果の精査、解析などを行っております。このため、今回は平成30年度の調査結果について、今年度の精査等を行った結果を御報告させていただきます。
 調査物質の構造式、調査地点などの情報を含めた「令和元年度版 化学物質と環境」、いわゆる黒本の案は資料2-2になりますが、約500ページの資料となっておりますので、本日は、この概要について取りまとめた資料2-1を使って御説明させていただきます。
 まず、1ページの1.経緯の部分をご覧ください。
 本調査は、昭和49年度に化審法制定時の附帯決議を踏まえまして、一般環境中における化学物質の残留状況の把握を目的として開始されており、これまで40年を超えて行われてきた調査となっております。
 2段落目、中ほど以降にありますとおり、平成14年度以降、現在では、環境省内の化学物質関連施策を所管する部署から要望があった物質を中心に調査を進めております。
 2.のところに調査の進め方について記載をしております。
 まず、(1)の調査対象物質になります。平成30年度の調査対象物質は、一昨年、平成29年の本委員会を経て選定されたものとなっております。
 下の(2)の調査内容でございますが、本調査はそれぞれの目的に沿って、平成18年度より初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査の三本立てで実施をしております。
 まず、アの初期環境調査でございますが、本調査は一般環境中で高濃度が予測される地域で調査を行い、主に化管法の指定化学物質の指定やその他化学物質による環境リスクに係る施策についての基礎資料とすることを目的としております。
 次の2ページ冒頭の内容になりますが、平成30年度は19物質(群)の調査を行いました。
次に、イの詳細環境調査でございますが、こちらは主に化審法の優先評価化学物質のリスク評価を行うことを目的に、一般環境中におけるばく露状況を検討する調査となっておりまして、平成30年度は10物質(群)の調査を行っております。
 ウのモニタリング調査につきましては、化審法の特定化学物質、ストックホルム条約の対象物質、またその候補物質を対象としまして、一般環境中における残留状況の経年変化を把握するために実施しております。
 平成30年度は、ストックホルム条約の対象物質に当たる19物質(群)と、ストックホルム条約対象物質への追加を検討中の1物質を加えた計20物質(群)について調査を行っております。
 次の3.には、調査結果の概要を記載しております。こちらは、資料の5ページ以降に別表として、物質ごとの検出状況をまとめた表を添付しておりますので、それに沿って御説明させていただきます。
 まず、5ページの別表1をご覧ください。
 初期環境調査における検出状況になっております。各調査対象物質について、左側から物質名、媒体、調査実施年度、検出頻度、それぞれ検体、地点を示しております。それから検出範囲、そして検出下限値となっております。
 また、今回の調査は、医薬品は調査対象となっていたものが多く、これらにつきましては、括弧内に別名として、医薬品の成分名を記載しております。今回の御報告対象となる平成30年度の調査結果については、文字を太字にしております。また、過去に調査の実績がある物質は、過去の結果とあわせて、その調査当時の結果も併記しております。
併記されていないもの、平成30年度のデータしか書いていないものは、今回が初めての調査となります。ご覧のとおり、今回は初めて調査した物質が多くあったということになります。
 なお、調査番号3の2-エチルヘキサン酸のように、個々の調査物質の名称の後ろに米印がついているものでございますが、こちらはPRTRによる届出排出量などの情報を考慮して選定した地点が含まれていることを示しております。これは、6ページの表の下にある注1に記載しております。
 また、同じく6ページの調査番号17、ベンゾ[a]ピレンについては、一番右側の検出下限値に括弧で数値を記載しているものがございます。これは下の注2にも記載しておりますように、過去に調査を行った際、ベンゾ[a]ピレンは検出下限値に関する記録が残されていなかったことから、検出された中での最小値を参考値として括弧で記載したものでございます。
 それでは、5ページにお戻りください。調査番号順に簡単に御説明させていただきます。まず、調査番号1のo-アセトキシ安息香酸、別名アスピリンでございます。今回が初めての調査でございまして、水質で調査いたしましたが、いずれの検体からも検出はされませんでした。
 2番のo-アニシジンでございますが、こちらは大気で調査をしておりまして、過去、平成2年に調査をして、今回が2回目の調査となっております。こちらも、いずれの検体からも検出はされませんでした。
 3番の2-エチルヘキサン酸でございますが、こちらは水質で初めての調査となりまして、19検体中1検体から検出されております。
 4番のアジルサルタンでございますが、こちらも水質で初めての調査となっておりまして、18検体中17検体から検出されております。
 5番のクロミプラミン、こちらも同様に水質で初めての調査、16検体中8検体から検出されております。
 6番のヒドロクロロチアジドでございますが、こちらも水質で初めての調査、16検体中全ての検体から検出されております。
 7番のクロトリマゾールでございますが、こちらも水質で初めての調査、16検体中11検体。
 8番のベザフィブラート、こちらも初めての水質の調査で18検体中11検体から検出されています。
 9番のサリチル酸及びその塩類は、水質で初めての調査、20検体中14検体から検出されています。
 10番のカルバマゼピンでございますが、こちらも水質で初めての調査、16検体全てから検出されております。
 11番がトリフルオロ酢酸でございますが、こちらは大気で初めての調査となっております。39検体中17検体から検出されております。
 12番がカフェインでございます。こちらは水質で初めての調査、18検体全てから検出されております。
 13番の2-ナフチルアミンでございますが、こちらは大気での調査となっております。こちらはいずれの検体からも検出されませんでした。
 14番のp-tert-ブチル安息香酸、こちらは水質と大気で調査をしております。水質につきましては過去3回調査をしておりまして、今回で4回目となります。18検体中16検体から検出がされております。一方、大気は初めての調査となり、45検体中42検体から検出されています。
 15番、アルペンダゾールでございます。水質での初めての調査となりましたが、いずれの検体からも検出されませんでした。
 16番がケトプロフェン、水質での初めての調査で、17検体中12検体から検出されました。 次のページでございますが、17番、ベンゾ[a]ピレンになります。こちらは水質と底質で調査をしておりまして、過去複数回にわたり調査を実施しております。平成30年度は、それぞれ一番下になりますけれども、水質は23検体中9検体から、底質は59検体全てから検出がなされました。
 18番、フルボキサミンでございますが、水質での初めての調査になります。いずれの検体からも検出はなされませんでした。
 19番、2-メトキシ-5-メチルアニリン、こちらは大気での初めての調査でございますが、いずれの検体からも検出されませんでした。
 以上が初期環境調査の結果となっております。
 次に、詳細環境調査の結果でございますが、7ページの別表2をご覧ください。
 今回は10物質群について調査を行っております。優先評価化学物質としましては、2番と9番以外の8物質群が該当しております。こちらも初期環境調査と同様、平成30年度の調査結果を太字にしております。また、過去に調査の実績がある物質は、その調査当時の結果もあわせて記載しております。
 調査番号順に簡単に申し上げます。
 まず、調査番号の1番、アルキルベンゼンスルホン酸(アルキル基は直鎖状で炭素数が10から14までのもの。)及びその塩類となっておりますが、こちらは底質で調査をしております。
過去に平成17年度で一度調査を実施しており、今回が2回目の調査となっております。表が少し複雑でございますが、上から2段目が平成30年度の結果で、75検体中24検体で検出されたということになっております。
 なお、一番右側の検出下限値の注2というのがございますけれども、こちらはアルキル基の炭素数が10から14、それぞれの検出下限値の合計値となっております。調査番号でいいますと、その下の1-1から1-5というふうに分けて書かれておりますけれども、それぞれの検出下限値が、それぞれ右側に示しておりまして、それらを合計したものが注2として示されています。
 次に、調査番号2、エトフェンプロックスでございます。こちらは水質と底質初めての調査でございます。水質はいずれの検体からも検出されませんでしたが、底質は43検体中35検体から検出されております。
 3番、クロロ酢酸及びその塩類でございますが、水質での2回目の調査となっております。24検体中3検体から検出されております。
 4番のN,N-ジメチルホルムアミドでございますが、水質で過去何度か調査をしております。今回は25検体中13検体から検出されております。
 5番のチオシアン酸及びその塩類ですけれども、こちら水質での初めての調査、24検体全てから検出されております。
 6番でございますが、中鎖塩素化パラフィン類(アルキル鎖の炭素数が14から17までで、かつ塩素数が4から9までのもの。)となっております。こちらも、少し複雑でございますが、調査番号の1と同様、炭素数が14から17のものをそれぞれその下の6-1から6-4に示しております。
 なお、6-1のテトラデカン類、炭素数14につきましては、これのみ塩素数が5から8までのもの、それ以外は4から9までのものとなっております。6-1が、塩素数が5から8となっている理由としましては、この物質は、平成17年度に一度調査をしているため、この時の結果と比較するため、このようなくくりでの測定を実施したということになっております。
 6-2から6-4、すなわち炭素数が15から17のものにつきましては、それぞれ塩素数4から9のものを測定したということになります。
 調査番号7のヒドラジンでございますが、底質と大気で調査をしておりまして、底質は3度目の調査、51検体全てから検出されております。大気は初めてになりますが、45検体中3検体から検出されました。
 8番、(1-ヒドロキシエタン-1,1-ジイル)ジホスホン酸でございますが、水質での初めての調査で、いずれの検体からも検出はされませんでした。
 次のページでございますが、8ページの9番をご覧ください。
 ペルメトリンでございますが、こちら水質と底質でそれぞれ初めての調査となります。水質は25検体いずれからも検出されませんでしたが、底質では53検体中39検体で検出がされております。
 10番のn-ヘキサンでございますが、水質と底質で調査をしております。水質は2度目の調査となりまして、25検体中1検体で検出されました。一方、底質では、いずれの検体からも検出はされませんでした。
 詳細環境調査の結果は以上となります。
 続きまして、9ページをご覧ください。
 こちらはモニタリング調査の結果となっております。モニタリング調査につきましては、残留状況の経年変化、すなわち増加・減少傾向を把握することが中心となっております。
 9ページから10ページには、別表3-1として水質・底質の結果を、11ページから12ページは別表3-2として生物・大気の結果をまとめており、各物質の検出範囲と検出頻度、幾何平均値について示しております。
 表の一番左側に調査物質番号がございますが、この調査物質番号はストックホルム条約の対象物質ごとに固定しておりまして、平成30年度に調査を行っていない物質は表に記載しておりません。つまり、番号が一部飛んでいるということになっております。
 また、初期詳細環境調査はナノグラムオーダーで結果を記載しておりましたが、モニタリング調査では、各媒体ともピコグラムオーダーとなっておりまして、初期詳細の1,000分の1のオーダーとなっております。
 対象物質が試料に含まれる場合には、可能な限り定量できるよう測定してきたということになります。
 次に、13ページの別表3-3をご覧ください。
 平成14年度から平成30年度までの経年変化のうち、水質の分析結果を示したものとなっております。モニタリング調査を実施したもののうち、数年間のモニタリングデータが蓄積された物質を対象に解析を実施したものとなっております。こちらは、あくまでも環境濃度の比較でございまして、環境リスクの対象とは直接結びつかないですが、POPsの濃度レベルは総じて横ばい、または右下がり傾向にあるという結果になっております。
 次の14ページでございますが、表の3-4として、底質の分析結果を示しております。こちらも水質同様、横ばい、または漸減傾向にあるという結果になっております。
 また、15ページの表の3-5は、生物及び大気の経年変化を示しておりますが、いずれの媒体も横ばい、または漸減傾向となっていることが確認されました。
 最後に、16ページ、17ページをご覧ください。
 本調査結果を取りまとめるに当たっては、こちらに記載しております各検討会を開催し、専門家の先生方に結果の精査や解析等を行っていただきました。
 続きまして、資料2-2をご覧ください。
 本日、時間も限られておりますので、各物質の詳細な説明は割愛させていただきますが、こちらは最初にも申し上げましたとおり、「令和元年度版 化学物質と環境」、いわゆる黒本の現時点での案となっております。こちらは年度末に向けて取りまとめていく予定となっております。
 本年度の黒本では、平成30年度の調査結果について公表することを予定しておりますが、この資料2-2に加え、調査結果の概要や、これまでに調査を行った化学物質の調査結果一覧などが加わりますので、黒本を製本するに当たっては、さらにページ数が増えることになるかと思います。
 続きまして、資料2-3をご覧ください。
 こちらは本年度、令和元年度の調査の進捗状況について、まとめたものとなっております。まず、1ページの1.調査内容にありますとおり、本年度も初期、詳細、モニタリングと3つの体系での調査を実施中でございます。
 1ページの下の2.精度管理でございますが、初期詳細調査につきましては、本年度も一部の地方環境研究所に分析の協力をいただいておりまして、複数の分析機関が同一物質の分析を行っております。
 よって、分析機関ごとに測定条件などが若干変わるため、結果に差異やばらつきが生じるおそれがございます。それを事前に把握し、必要な対策を行うため、実際の分析を行う前に共通の標準物質などを配付して、ラウンドロビンテストを実施し、精度の担保を行っております。
 また、モニタニング調査につきましては、分析機関が年度ごとに変わる可能性があります。そこで、調査の継続性を担保するために、国立環境研究所を初めとした有識者の方々に御協力をいただきまして、分析機関への立入調査を行い、実施状況が適正であることの確認に努めております。
 今年度調査している物質、媒体は2ページ以降に記載しております。
 まず、2ページの表1をご覧ください。
 初期環境調査は、22物質群を対象としております。◎で示しているものが初めて調査をする物質、○で示したものが過去に調査を実施しているものになります。また、右側には要望施策を示しております。
 次に、3ページの表2をご覧ください。
 詳細環境調査は7物質群について調査を実施しております。
 また、4ページの表3でございます。こちらはモニタリング調査の対象物質となっております。今年度はストックホルム条約の対象物質及びその候補物質から13物質群の調査を実施しております。これらの調査結果につきましては、来年度の本委員会で御報告させていただく予定となっております。
 続きまして、資料2-4をご覧ください。
来年度、令和2年度の化学物質環境実態調査の実施方針(案)について、御説明させていただきます。
 冒頭、1ページの3段落目にありますように、来年度の調査も今年度と同様、初期・詳細・モニタリングの3体系で実施いたします。いずれも平成21年度に開催されました化学物質環境実態調査のあり方検討会の検討結果に沿って調査対象物質、媒体等を選定し、調査を実施する予定でございます。
 このうち、初期・詳細調査につきましては、次のページから調査に向けた現在の準備状況と今後の方針をお示ししております。
 2ページから4ページまで、別添1として、現在の分析法開発を行っている32物質群を記載しております。これらのうち、本年度中に分析法が確立したものを対象に、来年度の調査の実施を考えております。
 次に、5ページ、6ページをご覧ください。
 別表2として、9物質群を記載しております。表に記載しております物質と、その隣に記載している調査媒体との組み合わせは、省内の関連部署から調査要望があったもののうち、既存の分析法があることから、来年度の調査の着手が可能なものとなっております。
 次に、7から9ページをご覧ください。
 調査要望があった物質のうち、今後分析法の開発が必要な物質、23物質群について、まとめております。これらは分析法開発の可能性など、専門家の御意見をいただきながら絞り込んだものとなっております。
 今後、このリストをもとに、地方環境研究所などと調整を行い、調整がついたものについて、来年度分析法を開発することを予定しております。
 以上、差し支えございませんでしたら、この実施方針で進めさせていただきたいと考えております。
 最後に、資料2-5をご覧ください。
 こちらは昨年の本委員会で御確認いただいた、平成29年度の調査結果の活用状況について、取りまとめたものとなっております。
 2ページから3ページまでの別表1が初期環境調査となっております。全部で15物質群となっており、表の見方としましては、右から2番目の列に要望理由、一番右側の列に調査結果の活用状況を記載しております。
 次の4ページから7ページまでの別表2が詳細環境調査の活用状況となっております。詳しい御説明は割愛させていただきますが、いずれも関係部署において調査結果を活用いただいていると考えております。
 長くなりましたけれども、ここまでが資料2の化学物質環境実態調査に関する説明となります。
 以上でございます。
○櫻井委員長 どうもありがとうございました。
 結果の取りまとめに当たりまして、専門家から構成される検討会議で別途精査・解析等をしていただいたとのことでございますが、本委員会において評価等に入る前に、それぞれの実務者会議で座長を務められた白石委員、柴田委員、中杉参考人より補足説明などございましたら、一言ずつ御発言をお願いしたいと考えております。
 まず、化学物質環境実態調査結果精査等検討会及びモニタリング調査の結果に関する解析検討会の座長を務められた白石委員から御発言お願いできますでしょうか。
○白石委員 では、精査等検討会から御紹介します。精査等検討会は3回会議を開きまして、その後、積み残し案件はメール審議ということで審議をしました。例年のことなんですけども、まず用いられた、白本として定義しているんですけども、その白本と、どの程度合致しているか合致していないか分析法の確認、それから試料の最新の状況、その保存方法と期間、ブランク試験回収率、検量線、検出下限値の確認を行いまして、それぞれのレポートのクロマトグラムを遡り、別途ラウンドロビン試験も行われていますので、その試験を見ながら数値を決めていったということであります。その精査基準に沿って測定値と、ndの場合には検出下限値をそれぞれ決めてあげるという作業をいたしました。
 若干気になったのは、底質の分析で2点ばかりありまして、一つはヒドラジンの分析です。これは、底質の性状によってはヒドラジンの底質からの回収率が悪いというのは、あらかじめわかっておりまして、それは白本にも記載したとおりなんですけども、その方法をもってして回収率が得られなかったという事例がございまして、それに関しましては原因がよくわからないものですから、欠測扱いというふうにされて、集計からは省かれています。ですので、その点は御留意いただきたいということでございます。
 もしも再調査を行うようなことがある場合には、底質中のヒドラジンの分析法については、もう少し検討が必要ではないかというふうに考えております。
 それから、もう一つ、アルキルベンゼンスルホン酸ですけども、これはブランク値の変動が大きくて、いわゆる測定法の検出下限値をオーバーするようなこともありました。これは、複数の測定者による計測の結果ではということで、分析の熟練度が効いているらしく、熟練者のブランク値が低いということがわかりまして、その熟練者が再測定をしていただいたという経緯がございます。その結果が今、ここに示されているということでございます。
 それから、モニタリング検討会ですけども、これは1回会議を行いまして、あとはメールで確認ということでございます。これも例年どおりの統計手法を用いていますけども、文言を少し変えさせていただいて、ちょっと探すのが大変だと思いますが、資料2-2の214ページ、その用いた統計方法のフローを載せております。不検出の多さから3つの統計手法を用いておりまして、それぞれ統計手法は、有意に判定されるかされないかという記載に統一しました。
 もう一つ、その有意であることがどういう意味を持つかということで、一番検出率の高い、そこのチャートでいいますと一番左側のラインに当たるんですけども、そのときには、定量的な値が得られますので、数年間同じ傾向が得られれば、定量的な数値を出すということで、この黒本の214ページからもう少し下のほうに、環境中からの半減期みたいな形で、その定量的な数値を示してあります。
 あと、不検出の頻度が高いような場合には、統計的に増減傾向が示唆されたというような文言に統一したということでございます。
 以上です。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 続きまして、初期環境調査及び詳細環境調査の結果に関する解析検討会の座長をお務めいただいた中杉参考人、御発言をよろしくお願いします。
○中杉参考人 初期環境調査の解析検討会は、初期及び詳細ですね、1回だけ開いております。基本的には、資料2-2にあります報告書の記載内容について検討するということで、白石先生の検討会で数値については十分検討いただいているので、それをもとにやりました。
 一番議論になるところは、過年度の調査とどうであるかということの記載ぶりが主な議論の中身なのですが、今回の中では、過去に何回もやっているものがございまして、その中で変動があるものが結構あるんですね。2-2の107ページのN,N-ジメチルホルムアミド、それから116ページのヒドラジン、それから、もう少し戻っていただいて、60ページのベンゾ[a]ピレンというのは、たくさん何回もはかっているというようなものです。
 これらについて調べてみましたけれども、例えば、例として107ページのN,N-ジメチルホルムアミドを見ていただくと、これ単純に比較するのは、なかなか難しくて、過去のものは検出下限が非常に高いためにndであった、いうのがあって、いきなり、最近濃度が高くなったのかということになると、それはきっと正しくなくて、過去の検出下限が高かったから、過去は見つからなかった、ということになります。
 そういう形で見ると、ここで見ていくと、上がっているようなものもあるし、下がっているようなものもある。大体、一桁濃度が変わったときに、少し変化があったというふうに見ようというふうな整理をしています。
 結果として、ベンゾ[a]ピレンとN,N-ジメチルホルムアミドにつきましては、はっきりしたことは言えないだろうという結論で何も記載をしておりません。ヒドラジンにつきましては、116ページですけども、1カ所、博多湾について、これ少し濃度が下がっているのではないかという判断でいいのではないかということになりました。記載の中では1カ所について、そういうことがあると。だから、全体的に見るとわからないと。あまり変わらないという判断をさせていただいております。
 それから、全体、それは具体的な中身の検討のところなんですが、そのほかに具体的に全体を見てどういうことが言えるかというのがありまして、それを2点ほど申し上げておきたいと思います。
 一つは初期調査の中で、かなり多くPPCPsの調査をやっております。これも、かなりの多くのものが検出されたということなんですが、検出された地点がやはり、やはりというと、ちょっと語弊がありますけども、下水処理場の下流地点が多く検出されると。これらのものは、やはり下水処理場を通じて出てくるものが多いだろうと。そういう意味でいくと、こういうものを調べるためには下水処理場を注視していく形のモニタリングが必要だろうということがよくわかってきた。これは、後で初期環境調査のほうでも、やったものについても同じようなことが言えます。
 それから、もう一つ、詳細環境調査は、化審法で優先評価化学物質にされているものとか、化審法では優先評価に指定されていないものについて調べました。1物質だけを除いて、ほかは検出されているんですが、これ化審法のほうは化審法が対象にしているものだけを評価の対象にしているので、化審法以外の農薬等で出ているもの、例えばエトフェンブロックス、2番とか9番の上、ペルメトリン、そういうものの発生が多いので、モニタリングでは検出されないという問題があるかもしれないけれども、化審法としては評価がない。そんなふうな仕分けになっている。そこら辺もよくわかるということでございます。
 簡単ですけども、以上、気がついた点だけを申し上げておきます。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 続きまして、POPsモニタリング検討会の座長を務められた柴田委員から御発言、お願いいたします。
○柴田委員 POPsモニタリング検討会のほうの御報告を申し上げます。
 検討会のほうは、検討会の下に分析法分科会という詳細な調査や技術的な検討を行う部会を持っておりますけれども、昨年度に引き続きまして、今年度も分析法分科会を合計3回開いた上で、各機関の視察を行い、最終的には、検討会で全体の意見調整を行うという形で議論を進めてきております。
 分析法分科会を3回開いた一番大きな理由は、今ちょうど条約に入ってまいりました短鎖塩素化パラフィンについて、これ残念ながら、まだ白本でも確立された方法がなかったという状況がございましたのと、それから国際的にも、まだこれという統一された方法が存在しない中で分析法を半ばつくりながら環境モニタリングを進める必要があるということで、分析法分科会という技術部会の中で、分析法について、いろいろ各分析機関に検討いただいた結果を踏まえて議論をしながら、例えば定量方法をどのようにしていくか、統一していくかとか、そういったところの議論を進めながら分析を進めているというところで、合計3回の検討分科会を開いて、数字の確定をしております。
 全体的に見ますと、今、申し上げたように、一番大きい問題の一つは短鎖塩素化パラフィンで、これはただ幸いなことに、昨年度、産総研のほうで、その分析の検討のために使えるような、いわゆる標準物質、短鎖塩素化パラフィンの標準物質というものを大量につくっていただくということができまして、それで、環境省のほうのこの黒本の分析を担当している分析機関にも、その共通分析に参加していただいて、お互いにデータを比較するチャンスをいただくことができました。
 その結果を踏まえて検討しているんですけれども、簡単にいいますと、定量の仕方を合わせてやると、GC/MSを使った場合でもLC/MSを使った場合でも、基本的には比較可能なデータが得られそうだと、大きなバイアスがあるようには見えないという結果になってまいりまして、これは、非常にちょっと大きな成果かなというふうに考えています。
 まだまだ、実際の試料の中で何が本当に妨害しているかとか、細かい検討が必要な状況ではあるんですけれども、まず、多分とりあえずは大体データの概要というのはつかめるようになってきたのではないかというふうに、現在考えていて、さらに定量性を上げるための議論というものを、それから、やはり一番難しいのは、定量のためのスタンダードがまだ完全なものは存在していない中で、どうやって、今後にちゃんと引き継いでいけるような定量をしていくかというところについても、国際的ないろんな研究者との議論も進めながら、その分析のほうを進めていくということで、今、力を注いでいます。
 それから、もう一つ、分析法分科会ではなくて、全体の検討会のほうで議論になりましたのは、これも昨年から急にちょっと変化が起こっているんですけども、2015年にストックホルム条約のAnnexAに追加されて、2017年からは、非意図的生成の規制にかかわるAnnexCにも追加をされたヘキサクロロブタジエンと呼ばれているPOPsがございます。これは最初の2年間、2015年と2016年の大気の全国平均値が、大体幾何平均として1,000pg/m3ぐらい、1m3当たり1,000pgぐらいということで、これまでのPOPsの中で最も濃度が高いというので、最初から注目はしていたんですけれども、それが2017年度の測定から急速に、かなり急に濃度が増えて、全体の幾何平均値が2017年、18年とほぼ4,000pg/m3ぐらいまで上がってしまったということで、これが何をちょっと意味するのかというところの議論を、今しているところでございます。
 簡単には以上でございます。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 それでは、各委員から、ただいまの御説明、補足説明を踏まえた上で、資料及び説明内容に関して御質問、御意見等ありましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。
○小山委員 一つ教えていただきたいんですが、資料2-1ですかね、どれということではないんですが、例えばのことですが、別表2の詳細環境調査の検出状況で、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの検出下限値は、従来であれば、過年度に比べれば今年度、平成30年度の値というのは低くなるはずなんですが、かなり上がっているんですが、これの理由を教えていただけないでしょうか。
○水谷環境安全課保健専門官 環境省から申し上げます。
 先ほど、白石先生からも少しお話がございましたけれども、一般的に、その定量検出下限値というのは、その技術の進歩というのもございまして、昔に比べて割と検出下限値が下がってくる。つまり感度が上がってくるということが多いというのはあるかと思います。
 ただ、一方で、分析する機関が測定する年によって異なった結果、その検出下限値が若干変わるということは、一般的にあることだと考えております。
 今回、このアルキルベンゼンスルホン酸を測定していただいた機関においては、このような検出下限値になり、その結果、平成17年に測定したときと比べて、下限値が上がってしまったという結果にはなっております。
 この結果について、どう考えるかということですけれども、調査を実施するには、ある程度の高い感度を求めつつも、その分析機関でできる技術をもって進めていただく必要があると。本調査を実行するには、そのバランスも考えて進めていただきたいというところもございます。
 今回の結果につきましては、要望された要求検出下限値を満たしていたということもございますので、この結果をもって進めさせていただいたという背景がございます。
○櫻井委員長 よろしゅうございますか。
 はい、どうぞ。
○遠山委員 今の小山委員の御質問と同じことを僕も質問しようと思っていたんですが、最初の説明では、アルキル基の炭素数別の検出下限値の合計値を使ったので、下限値が120に上がったというふうに説明があったと思います。
 ですから、そういう形で下限値を決めるということが妥当なのかどうかを教えていただければと思います。一般論として、ほかの下限値に関して、ほかの物質の下限値に関して、今、環境省の水谷さんのほうから御説明があった、それはそれで理解できるんですが、特に、この120の件に関してだけ、ちょっと御説明いただければと思います。
○櫻井委員長
 下限値の議論は常に難しさをはらんでおりまして、これを見ましても、今、トータルしていいかどうかという問題点があったのですが、それ以外にも、平成17年に比べると平成30年には個別の物質の検出下限値が上がっているにもかかわらず、検出率はあまり変わらない。ただし、検出範囲を見ますと、むしろ上がっています。中杉先生、いかがですか。
○中杉参考人 分析法の開発は、別途検討がなされているので、そこは、ちょっと説明ができない。どうして、そうなっているのかというのは、我々は説明できない。
 ただ、一つ言えることは、この要望が出てきたときに、各部局から要望が出る。有害性のほうの評価に必要なものですから、それを満たしていないといけない。それは一応満たすような形で設定していく努力をしていただいている。そういうふうな解釈をしています。
 一応、大体このぐらいの有害性評価になろうと。それを満たすのは目標ですよというような形で調査をしてもらっていると。その結果を解析に使っている。それをもとにこういう報告をしていると。だから、実際に、それはどんどん下げていけば、当然、出てくるのは、検出率が上がるわけですけども、検出率が上がることがリスクが高いのかどうかというのは、また別の問題として考える必要があると。
○遠山委員 要するに分析の下限値というものが、A、B、C、Dと、いろいろ種類があったと、それぞれ物質があったときに、足し算して下限値を上げてしまったというふうに説明がされているので、それはちょっと納得が僕にはいかないので、そこだけはちょっと明確にしておいていただいたほうがよろしいんじゃないかということです。
○櫻井委員長 このトータルとしての検出下限値が9.5から120に上がっているという点ですね。
この数字はあえて出す必要もないのかもしれませんね。個別の検出下限値が、それぞれ上がっていることは記載されていますから。
○遠山委員 でも、個別にも上がっている。何かそうなっています。
○櫻井委員長 これをどう解釈し、表現するか。今後の課題はありますね。しかし当面これではだめでしょうか。
○遠山委員 分析化学の御専門の方がいらっしゃるので、そちらの方がよろしいというんであれば、僕は、異論はないです。
○菅野委員 すみません。
○櫻井委員長 はい。
○菅野委員 測定点数が増えていますよね。お金のかからない試験法にして、たくさんはかれるようにしたということなのですか。入札のときの仕様書を変えられたのかどうかがちょっと気になります。どちらが良いかは非常に難しい。中杉先生もおっしゃるように、少数の点をはかって感度をやみくもに上げたのが本当に実態を評価するかという話と、たくさんの点を多少感度が落ちてもはかって、より実態に即した測定をしたほうがいいという話も、両方論理的にありうると思うのですが。あるいは仕様を変える判定をどなたが適切にやられたのかという点、もしわかれば。今後、またこれ戻すとかいう変な論理になってもおかしいと思うので、御説明があるとありがたいと思います。
○櫻井委員長 じゃあ小山委員、どうぞ。
○小山委員 これはモニタリングというか、ばく露のほうのデータであって、もう一方に有害性のデータがございますよね。有害性評価で、私生態のほうに携わっておりますけども、そちらで、いわゆるPNEC、無影響濃度があって、それが評価できるような検出レベルであれば、全体としては、私はよろしいと思うんですね。リスク評価ができればいいという結論だと思います。
○櫻井委員長 リスク評価をこれからやるかどうかということですね。現に、並行してリスク評価をやっているわけではない。これは実態として、こうなので。数値それ自体は高目ではあるけれど、驚くほどの数字ではないと思いますが。
 あえて仕様を変えたというのはないと思います。結果として、こうなることはあり得ると思うんですね。
○事務局 今の御質問に補足説明させていただきます。
 まず、検出下限値を足し算ですることについて、最初の御質問ですけれども、検出下限値それぞれの物質で不検出だった場合、検出下限値以下であることはわかるんですけれども、濃度がわからない。それの合計値ということは、最大だと検出下限値よりもちょっと低いくらいの濃度であるかもしれない。
 それならば、不検出であったとするときに、どういう値をするかというと、やっぱり検出下限値を全部足し合わせたよりは低いですよといってあげないと、嘘になってしまう場合が出るので、そこは検出下限値を足し算せざるを得ないという理由がございます。
 あと、もう一個の御質問で、仕様が変わったか、調査に関してということに関しましては、過去から平成17年ごろ、18年、それくらいからはあまり変わっておりませんで、基本的には、その要望部署さんからリスク評価をしたいので、こういう有害性に基づいて、こういう検出下限値以下で調査をしてほしいという御要望をいただいております。それを受けまして、分析法を開発して、分析法が極端に特殊な方法を使わない範囲で低くできるのであれば、それは低くしますけれども、そこはいろんな機関が参加するので、ある程度の線でやっている。
 それで、その要求検出下限値を満たす範囲内で分析をしてほしいということで、仕様になって、依頼をされる。そのときに分析法と大体同レベルであるかどうかというところですけれども、分析機関によっては、ちょっと先ほど白石委員のほうからもブランクが出てしまったそのときの状況によって、たまたまブランクが出て、それ以下が見られませんでしたという状況で、じゃあ、それを許可するかどうかというところで、要求検出下限値を満足できなければ、リスク評価ができませんので、それは許可できない。欠測にするか、試料が分解しなければ再分析をしてほしい。でも、それを満足するのであれば、何もそれよりももっと下げてほしいという要望までは、仕様書上規定をしていないものですので、そこで報告をいただいているという状況になります。
 以上です。
○櫻井委員長 よろしいですか。
○小山委員 ちょっと、すみません。事情はわかりましたが、これちょっと言葉は悪いですけども、もしかしたら地環研の実力がちょっと少し陰りがあるのかなというふうに、私は受け止めてしまったんです。ですから、それはちょっと大きな問題で、環境省として、今後の問題として、ちょっと考えていただければと思います。
 以上です。
○櫻井委員長 何かありますか。
○水谷環境安全課保健専門官 すみません。環境省でございます。
 このLASでございますが、今回、測定していただいたのは、地方環境研究所さんではないです。民間の企業さんにやっていただきまして、こういう結果になったということでございます。
○櫻井委員長 入札ですか。
○水谷環境安全課保健専門官 そうですね、入札で入っていただいた企業さんになります。
○小山委員 安心しました。
○鈴木委員 よろしいでしょうか。
 まず、年度ごとに多少検出の感度は変わってくるというのは、実は、私もちょっと気になるときがありまして、黒本調査が年度年度のそれぞれの要望部署の要望に応えて、それぞれ別に実施されていくことは確認しているわけですけども、要望部署さんは、それぞれ異なった観点で要望されてくるので、必ずしも同じ形で来なくて、でも、黒本調査の結果自体は、経年的な傾向を見るというような扱い方がされているので、その連続性は少し注意したほうがいいなと、ちょっと前、私も思ったことがありまして。それは今後、実際の分析業務をやっていくときに、解析の方法ともあわせて少し考えるところはあるかなと思いまして、一応、私の意見として申
し上げます。
 あと、もう一つは、分析下限値を足し合わせるというところなんですが、私自身の経験は、ダイオキシンの時の分析、あれは、ある意味足し合わせの計算でして、足し合わせのときに検出下限をどう設定するかは、これほとんど無理難題に近い問題なんですが、唯一の解法はダイオキシンのような解釈のときに実行可能な方法を考えたんですけども、足し合わせても全く問題がないレベルに下げるという一語に尽きるということが、それが一番安全な方法でして、それができれば、その議論は事実上意味をなさないんですが、残念ながら、そこまで達成することが困難な場合、あるいは、多分、今回起きたことは、もしかすると要望部署の今回の要望がそこを必ずしも要求していなかったことによって、何らかのデータ分析の基準が含まれていたということの問題が何かまじっているのかなと僕は想像しますので、それも、多分、今後の課題として、足し合わせるといっても、私が知っている限りでは、完全な回答は、僕にもないのですが、今後ともケースに合わせて、適切な分析結果が得られるように検討していただくのが必要かなと思っています。
 意見です。
○櫻井委員長 ありがとうございました。
 何かありますか。
○櫻井委員長 よろしいですか。出てきたものはこういう結果であったということで、このままで良いのではないでしょうか。ほかに何かございますでしょうか。
 それでは、この会議の終了後に平成30年度化学物質環境実態調査結果の対応として、今日お見せいただいたものを公表するということで御了承いただけますでしょうか。
                  (異議なし)
○櫻井委員  ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の議題に入ります。化学物質の環境リスク初期評価、いわゆるグレー本の第18次取りまとめ等につきまして、資料3-1から3-3に基づいて、事務局から説明をお願いいたします。
○鈴木環境リスク評価室長補佐 資料3-1から御説明させていただきます。資料3-1が環境リスク初期評価の進捗、検討体制等、資料3-2が今回の初期評価の取りまとめ結果概要案、資料3-3は個別の物質の評価書案を束ねたものとなってございます。
 資料3-1をご覧ください。化学物質の環境リスク初期評価は平成9年から実施しており、環境リスク管理の施策を念頭に置きながら多数の化学物質の中から相対的にリスクが高い可能性がある物質をスクリーニングする初期評価として行ってございます。具体的には、人の健康や生態系に対する「有害性評価」、それから「曝露評価」を行い、両者比較してリスクの判定をしております。曝露評価においては、特に黒本調査の結果なども活用しております。
 17次取りまとめまでで健康、生態の両方で275物質、生態のみで94物質の評価を行ってございます。評価書はいわゆる「グレー本」として環境省ホームページでも公開しております。分厚い資料3-3が実際のグレー本の案となりますが、この資料は本日は必要に応じて参照させていただくこととし、御説明は資料3-1、3-2でさせていただきたいと思います。
 資料3-1の2ページで、今回の第18次取りまとめについて御説明させていただきます。3(1)にございますように、健康リスク、生態リスク両方を対象とした評価物質が12物質、健康リスクだけのものが1物質、生態リスクだけのものが3物質、合わせて16物質の評価となってございます。
 物質の選定につきまして、3.(2)にございますように、環境省内の関係部局からの要望物質を中心に、さらに環境調査で検出された物質などから、専門家の御意見をいただきながら選定しております。具体的な物質名は3ページの表2、3、4にございます。後ほど個別に判定について触れていきたいと思います。
 4ページは環境リスク初期評価の検討体制になります。物質選定、曝露情報、有害性情報の収集を経て、リスク評価案を取りまとめるまで、専門家による検討委員会において検討していただいております。全体を内山委員を座長とする企画委員会で総括し、その下に中杉参考人を座長とする曝露評価分科会、青木委員を座長とする健康リスク評価分科会、楠井委員を座長とする生態リスク評価分科会があるという体制でございます。また、発がんや金属のリスク評価等については、別途検討ワーキンググループを設置しており、今回から新しく生態毒性QSAR(定量的構造活性相関)活用ワーキンググループを設置いたしました。今回の取りまとめの対象には、生態毒性の試験による知見が十分になく、QSARを用いた考察を含めて検討するとされていた物質が1物質ございまして、その有害性の程度に関する議論を中心に今回行っていただきました。
 それ以降は委員名簿となり、さらに8ページ以降にこれまでの評価の概要を参考につけております。
 次に資料3-2をご覧下さい。1ページの内容は既に資料3-1で概ね御説明しておりますので、2ページから参ります。
 (2)評価結果の活用ですが、リスクの程度に応じて、「詳細な評価を行う候補」、「関連情報の収集が必要」、「現時点では作業の必要はない」と分けており、詳細な評価を行う候補や関連情報の収集が必要とされたものにつきましては、その曝露源に応じて関係部局にフィードバックし、詳細なリスク評価の実施を促したり、継続的な監視を行ったりといった対応を必要に応じて行うこととしてございます。
 具体的な評価の方法が3ページにございます。リスクの判定において、健康リスク、生態リスクともに基本的な考え方といたしましては、有害性と曝露量の比較により評価を行ってございます。
 まず健康リスク評価につきましては、MOEの評価又は過剰発生率による評価を行ってございます。生態リスク評価につきましても同様に、予測環境中濃度(PEC)を予測無影響濃度(PNEC)で割ったPEC/PNEC比で判定を行ってございます。これらは有害性試験、及び環境中濃度の実測値に基づいて行っております。その上で「②情報収集の必要性に関する総合的な判定」にございますように、実測値以外の情報、例えばPRTR届出排出量データ等を用いてモデル推計した結果などの参考情報も踏まえて、専門的な観点から、更なる情報収集の必要性について総合的な判定を行っております。これにより、例えば、実測値によるリスクの判定では現時点では作業は必要ない」とされた場合でも、総合的な判定では「情報収集に努める必要がある」となる場合もございます。
 続いて、その初期評価の趣旨に鑑み、環境リスクが高い物質を見逃すことのないよう、安全側に立脚した取り扱いを行っていることや、別途検討が行われておりますナノ材料や内分泌かく乱作用についての評価は、本初期評価の対象としていない旨を説明してございます。
 次の「3.環境リスク初期評価(第18次取りまとめ)の結果について」では、今回の取りまとめの結果を御説明させていただきます。
 環境リスク初期評価として健康リスク、生態リスクの双方を対象としたもの12物質、健康リスク初期評価のみを行った1物質、生態リスク初期評価のみを行った3物質について、それぞれ(2)①から③の表に示しており、まず、①の環境リスク初期評価の12物質では、A欄の「詳細な評価を行う候補」となった物質はございませんでした。また、B欄の「更なる関連情報の収集が必要」とされた物質が、健康リスクで3物質、生態リスクで7物質ございました。
 なお、健康リスクに関しましては、曝露経路が経口か吸入かということも記載してございます。
 その他の物質はC欄の「現時点ではさらなる作業の必要は低い」と判定されました。
 なお、B欄の物質で名称の後にアスタリスクがついているものがございますが、これについては表の後ろに補足がをございますように、既存の関連情報を総合的に判断し更なる関連情報の収集に努める必要があると判定した物質でございます。これまでは、添付資料の評価結果一覧中の判定表記を(▲)と表現していたものになりますが、前回専門委員会で判定表記をもっとシンプルにとの御指摘をいただき、その一環として簡略化しております。
 ②の健康リスク初期評価のみを行った1物質につきましては、経口曝露について「更なる関連情報の収集が必要」な物質となってございます。
 6ページの③には、生態リスク初期評価のみを行った3物質の評価結果がございます。こちらはA欄の「詳細な評価を行う候補」と判定されたものが1物質ございまして、「更なる関連情報の収集が必要」とされたものも2物質ございます。
 個別の物質につきましては、8ページ以降の評価結果一覧表で御説明させていただきます。まず8ページの健康リスク初期評価結果一覧で、13物質について御説明させていただきます。
表の見方としては、経口、吸入の曝露経路毎に、左から、無毒性量等やエンドポイント、曝露評価、MOE・過剰発生率に加え、参考情報も踏まえた専門家判断としての総合的な判定を示しております。先ほどの表の中でAからCと申し上げたものが、この表では記号で判定欄に記載されており、「詳細な評価を行う候補」であるAが■、「更なる関連情報の情報収集が必要」のBが▲、「更なる作業の必要性は低い」のCが○となってございます。前回までは、モデル推計の結果等を加味したものを(▲)のように括弧で括っておりましたけども、今回からシンプルに括弧なしで記載してございます。注書きは引き続きございまして、その辺りの区別は分かるようにしております。
 それでは、各評価対象物質について、関連情報の収集が必要となったものを中心に御説明させていただきます。
 まず、環境1の1-アリルオキイシ-2,3-エポキシプロパンですが、総合的な判定が吸入曝露で▲となっております。有害性知見の影響評価指標(エンドポイント)の欄にございますマウスの鼻腔の呼吸上皮・嗅上皮の扁平上皮化生、粘膜の慢性炎症の所見から得られましたNOAELを基に無毒性量を設定し、一般環境大気の予測最大曝露濃度と合わせて、MOEが700になりました。この結果からは判定は○になりますが、一方でPRTRデータを用いたモデル推計の結果を考慮すると排出源近傍ではMOEが100を下回る地点が出てくる可能性があるということで、総合的な判定としては▲(更なる関連情報の収集が必要)となっております。
 続きまして、環境3の3-クロロ-2-メチル-1-プロペンですが、総合的な判定が吸入曝露で▲となっております。ラットの腎臓の相対重量の減少等及びマウスの体重増加抑制等が見られ、一般環境大気中の濃度と合わせてMOEが2,600となりましたが、PRTRデータを用いたモデル計算の結果も考慮すると排出源近傍ではMOEが100を下回る地点が出てくる可能性があるということで、総合的な判定は▲(更なる関連情報の収集が必要)となっております。
 環境4の1,3-ジクロロ-2-プロパノールにつきましては、総合的な判定が経口曝露と吸入曝露で▲となっております。まず経口曝露では、ラットで肝臓重量の増加が見られ、公共用水域の淡水を摂取するという仮定の下でMOEが67となり、▲(更なる関連情報の収集が必要)となっております。吸入曝露では、有害性の知見に基づく無毒性量等は設定できませんでしたが、経口曝露の無毒性量等を吸入曝露の無毒性量等に換算するとともに、PRTRデータを用いたモデル計算の結果を考慮すると、排出源近傍でMOEが100を下回る地点が出てくる可能性があるということで、総合的な判定は▲(更なる関連情報の収集が必要)となっております。
 次に9ページの一番下にございます健康1のアントラキノンにおいて、総合的な判定が経口曝露で▲となっております。ラットで網赤血球の増加が見られ、マウスで肝腫瘍が見られました。公共用水域・淡水を摂取するという仮定の下、MOEが16、がんの過剰発生率が7.2×10-7となり、MOEの値から総合的な判定は▲(更なる関連情報の収集が必要)となっております。
 10ページには、再評価物質の新旧結果がございます。今回は健康リスクについて2物質が再評価となります。表の左側に前回の評価結果として、有害性の知見、曝露評価、MOE・がん過剰発生率、総合的な判定がございまして、右側が今回の評価結果、さらに一番右側の列が変更概要となります。表中でグレーで着色されているセルが、前回評価時から知見が置き換わった部分となります。
 まず、環境3の3-クロロ-2-メチル-1-プロペンにつきましては、PRTRデータを用いたモデル計算の結果が若干新しくはなりましたが、この表の上では、総合的な判定も含めて、前回から変わった部分はございません。
 一方、環境4の1,3-ジクロロ-2-プロパノールは、前回の第4次取りまとめ時には、総合的な判定が×(現時点ではリスクの判定はできない)となっておりましたが、今回は経口・吸入曝露で▲(更なる関連情報の収集が必要)となっております。
 健康リスク初期評価については以上でございます。
 続きまして、生態リスク初期評価について、11ページをご覧下さい。15物質ございまして、■(詳細な評価を行う候補)となったものが1物質、▲(更なる関連情報の収集に努める必要がある)とされた物質は9物質ございましたので、代表的なものをかいつまんで御説明させていただきたいと思います。
 11ページの表の見方ですが、左から、物質名、有害性評価に用いた試験結果の生物種、急性・慢性、エンドポイント、アセスメント係数、予測無影響濃度(PNEC)、予測環境中濃度(PEC)、PEC/PNEC比、それから総合的な判定となってございます。
 なお、生物種の欄では、藻類等や甲殻類等のように「等」を記載しております。これまでは藻類、甲殻類のように「等」がない形でしたが、今回は藻類に「等」をつけまして、ウキクサ類の試験結果も評価に用いることといたしました。また、甲殻類に「等」をつけまして、ユスリカ類の試験結果も評価に用いることといたしました。これらはPNECの算出に用いることになりますが、これについては、資料3-3の冒頭にございますガイドライン、いわゆる手順書に反映した上で、今回の判定評価の案を作っております。
 まず、■(詳細な評価を行う候補)となったものといたしまして、一番下の生態3のスルファメトキサゾールになります。この物質は医薬品、具体的には人・動物用の抗菌剤として用いられているものでございます。生物種として藻類等と記載しておりまして、「等」に当たるイボウキクサの試験結果、それから公共用水域・淡水における実測濃度により、PEC/PNEC比が1.9となり、■(詳細な評価を行う候補)となっております。
 続いて、▲(更なる関連情報の収集に努める必要がある)となったものですが、まず環境2のイソデシルアルコールをご覧下さい。こちらは、PNECは算出されておりますが、PECを設定できる環境中の実測データが得られず、PEC/PNEC比の値もございません。そこで、参考値としてPRTRデータを用いて推計した河川中濃度をPECの代わりに用いると、そのPEC/PNEC比が0.1以上になる地点が出てくる可能性があるということで、総合的な定としては▲(更なる関連情報の収集に努める必要がある)となっております。
 同様に、PECを設定できる環境中の実測データが得られなかったところ、参考値を用いて総合的な判定を行って▲(更なる関連情報の収集に努める必要がある)となったものが他に3つございました。表中のPECの値、PEC/PNEC比の値が「-」になっているもので、環境6の2-スルホヘキサデカン酸-1-メチルエステルナトリウム塩、環境7のデカン酸、環境11の4-ヒドロキシ安息香酸メチルになります。
 次に、環境4の1,3-ジクロロ-2-プロパノールをご覧ください。PEC/PNEC比が、淡水で0.009、海水で0.001となっておりますが、参考値としてPRTRデータを用いて推計した河川中濃度を考慮すると、PEC/PNEC比が0.1以上になる地点が出てくる可能性があるということで、総合的な判定は▲(更なる関連情報の収集に努める必要がある)となっております。
 同様に、実測値によるPEC/PNEC比が0.1未満となる一方で、PRTRデータなどを用いて推定した河川中濃度といった参考値を用いた総合的な判定では▲(更なる関連情報の収集に努める必要がある)となったものが他に4つございまして、環境8の2-ナフトール、環境12のp-フェニレンジアミン、生態1のエリスロマイシン、生態2のジクロフェナクになります。
 次に、12ページの再評価物質の新旧結果をご覧下さい。今回は生態リスクについて3物質が再評価となります。表の左側に前回の評価結果として、有害性評価、アセスメント係数、PNEC、PEC、総合的な判定がございまして、右側が今回の評価結果、さらに、健康リスクと同様に一番右側の列が変更概要となります。表中でグレーで着色されているセルが、前回評価時から知見が置き換わった部分となります。
 まず、環境3の3-クロロ-2-メチル-1-プロペンにつきましては、有害性評価、環境中濃度等は全て「-」となっており、データは前回も今回もございませんが、前回第17次取りまとめにおきまして、十分に適切な知見が得られなかったので、QSAR(定量的構造活性相関)予測値を用いた考察を含めて検討し、有害性情報の充実を図った上で取りまとめることとしておりました。今回、資料3-1でも触れました生態毒性QSARワーキンググループを新たに設置して議論・整理していただき、生態毒性の程度について考察を加えました。具体の予測値を用いた評価までは行っておりませんが、総合的に判断をするための材料として用いたものでございます。一方、この物質の曝露情報については、水域における実測データがございませんでしたが、PRTRデータにおいて公共用水域への排出がなく大気に年間数t排出されるのみであること、また、あまり水域には分配されないであろうこと、これらを総合的に判定した結果、○(現時点では更なる作業の必要性は低い)となったものでございます。
 また、環境4の1,3-ジクロロ-2-プロパノールは、前回第4次取りまとめでは×(現時点でリスクの判定はできない)でしたが、今回は▲(更なる関連情報の収集に努める必要がある)となり、環境9のニトログリセリンは、前回第4次取りまとめでは×(現時点ではリスクの判定はできない)だったのが、今回は○(現時点では更なる作業の必要性は低い)となっております。
 生態リスク初期評価については以上でございます。
 恐縮ですが、資料3-2の6ページに戻っていただければと思います。「4.今後の対応について」を簡単に御説明させていただきます。(1)結果の公表については、先ほど申し上げましたとおり、今後インターネット等で「グレー本」として公表する予定でございます。
(2)については、今回1物質ございました「詳細な評価を行う候補とされた物質」について、関係部局等に評価結果を情報提供し、緊密な連携を図ることにより、取組の活用を求めるということとしております。(3)の初期評価の再実施につきましては、今回も再評価を行った物質がいくつかございましたが、今後も新しい知見が得られたら必要に応じて再評価を行っていくスキームで続けてまいりたく考えております。7ページの(4)に今後の課題等について記載しております。今後も新しい知見等を踏まえ、必要に応じてガイドラインの見直しを図ること、QSAR(定量的構造活性相関)について、今回も評価に当たって考察に用いた物質がございますが、更なる活用に向けた整理等も行っていきたいと思います。また、評価対象物質の選定に当たっての留意点等を記載してございます。
 御説明は以上でございます。
○櫻井委員長 ありがとうございました。資料3-1の御説明の中で、今回の取りまとめに当たって専門家から構成される分科会等で別途御議論いただいたということでございました。本委員会における審議に入る前に、それぞれの分科会等で座長を務められた中杉参考人、楠井委員、青木委員から補足説明などございましたら、一言ずつ発言をお願いしたいと考えております。まず、曝露評価分科会の座長を務められた中杉参考人、いかがでしょうか。
○中杉参考人 曝露評価分科会では、今回の第18次取りまとめに当たり、4回に渡って検討させていただきました。環境省からも御説明があったように、毎年少しずつ改良を重ねております。一つには、これまで▲(更なる関連情報の収集に努める必要がある)とされるものがかなり多かったのですが、これは、安全側で見ようとする中で、情報が足りないので収集が必要という形で判定を出してきたようなところがありました。その辺りについて、既存の情報を組み合わせて安全と言うことができれば、できるだけ〇(現時点では更なる作業の必要性は低い)と判定していこうとしております。PECを算出するためのデータとしては、今までどおり国の調査結果を用いておりますが、そのデータが得られないものも増えてきておりますので、PRTRデータを用いて計算した予測値や、国以外の調査の文献のデータ、これは分析法等といった文献の内容を委員にも見ていただき、使えるだろうと考えられるものは、参考情報として示していく形にさせていただきました。さらに、水域における実測データはない物質で、PRTRにおける大気への排出量データを用いて行った考察結果を、生態リスク、健康リスクの評価を分科会で検討していただく材料として示したものもありました。
 何例か御説明いたしますと、一つは、PRTRデータを用いて推計した結果を用いたケースがいくつかある中で、環境2のイソデシルアルコールと環境12のp-フェニレンジアミンについては、PRTRの届出の際に異性体を区別せずまとめて行うことになっております。これについて、排出源の情報を詳しく調べ、排出されているのがこの異性体だろうと判断がつく場合はその結果を用い、つかない場合は、環境リスクが高い物質を見逃してしまうことのないようにという初期評価の趣旨に鑑み、全排出量がこの異性体であった場合と仮定して推計した結果を、参考値として示しております。
 また、環境8の2-ナフトールについては、PRTRデータを用いた推計結果からはリスクが高いという判断になるのですが、その河川中濃度の最大値が13μg/L、一方で、その地点で測定が行われており、その実測値が0.21μg/Lでした。0.21μg/Lでは○(現時点では更なる作業の必要性は低い)という判定になるのですが、生態リスク評価分科会では、安全側で見て高いほうの数字で安定しているとして御判断いただいたと理解しています。
 それからもう一つ、環境2のイソデシルアルコールですが、PRTRデータを用いた河川中濃度の推計に当たっては、排出事業所下流にある直近の環境基準点(補助点含む)における予測濃度の最大値を採用することとしています。この物質の排出量が最大だった河川では、下流に環境基準点がなかったのですが、地図を見てみると周りの河川には環境基準点があり、そことほぼ同じような状況ではないかということで、推計結果を参考値として示すことといたしました。
 このように少しずつ改良しているところであり、今後も続けていきたいと思っております。
 それともう一つ、少し気になったこととして、生態2のジクロフェナク、この物質はPPCPsで、判定は▲(更なる関連情報の収集に努める必要がある)となっておりますが、この物質は生産量が2015年から2016年に数十倍に増えています。一方で、環境中濃度は2016年度に測定したデータであり、この2016年度のデータがその年の生産量の増加を反映したものかどうかというところはわかりませんでしたが、ここではルールに則って、測定データをそのまま評価に用いました。ただし、今後改めて測定した場合は濃度が高くなる可能性が考えられること注意が必要かと思います。黒本調査も同様ですが、このような物質について、どの時点で捉えるべきかがなかなか難しいところです。いわゆる代替物質によるリスクについても懸念されておりますが、代替物質はかなり使われるようになってからでないと環境測定では分からないところがあり、使われ始めてすぐに環境測定しても検出されず、初期リスク評価も適切にできないという課題があり、どのぐらい増えるかという動向をしっかりつかまえていくことが必要ではないかということを示唆する一つの事例だと思っております。
○櫻井委員長 ありがとうございました。続いて、生態リスク評価分科会の座長を務められた楠井委員、よろしくお願いいたします。
○楠井委員 生態リスク評価分科会は、今年度は3回開催しておりますが、その中で特に議論したこととして、藻類、甲殻類、魚類以外の生物の扱いがあります。従来、藻類、甲殻類、魚類、その他生物の毒性データを集め、そのうち3生物群、藻類と甲殻類、魚類の試験結果をいわゆるキーデータに用い、その他生物の試験結果には参考として扱ってきました。しかし、他制度における安全性評価ではユスリカやウキクサが取り入れられていることを受けて、リスクを見逃さないという初期リスク評価の役割を踏まえ、ウキクサについては、厳密にいうと藻類ではないのですが、藻類「等」というくくりで、また、ユスリカにつきましても、同様に厳密には甲殻類ではないのですが、甲殻類「等」というくくりで、今回、そのデータを取り入れた形で評価をしています。ただし、試験結果を用いる生物が増えた場合にアセスメント係数はそのままでいいのかという議論や、更に多様な生物を取り入れるべきという議論も、分科会でも出ておりますので、今後とも、リスクを見逃さないことを念頭におきつつ、生物種の充実を図っていく必要があるだろうと思っております。
 2点目としては、QSARの活用になります。従来、QSARについては、当面、専門家判断の根拠の一つとし、評価事例を積み重ねた後にQSAR予測値の評価への扱いを再度検討することに留めておりましたが、今回、生態毒性QSAR活用ワーキンググループを作り、先ほど環境省から御説明がありました環境3の3-クロロ-2-メチル-1-プロペンについて、既存のQSARがどういうデータを使っているのか、その決定係数が幾らか、あるいは使っている毒性データが5つ以上あるかといったQSAR自身の信頼性をまず確認し、一定の条件を満たしたものの予測値を考察に用いています。ただし、今回最終的に着目したのは藻類の値なのですが、これはQSAR予測値ではなく、QSAR式の構築に用いられた類似物質の毒性値が非常に低いということで、その値に留意する必要があるとしております。いろいろなケースがあり得ると思いますので、今回をまず第一歩として、今後とも検討していきたいと思っております。また、この物質についてはPECの算出に必要なデータの方もなかったのですが、PRTRデータから、環境中にこれぐらい排出され、最終的にはこれぐらいの水中濃度になるのではないかという予測を行い、総合的な判定としては○(現時点では更なる作業の必要性は低い)としています。詳細につきましては、資料3-3の94ページ以降をご覧いただければと思います。
○櫻井委員長 ありがとうございます。続きまして、健康リスク評価分科会の座長を務められた青木委員よりお願いいたします。
○青木委員 それでは、健康リスク評価分科会における審議について御報告申し上げます。健康リスク評価分科会は、今回の取りまとめに当たり3回開催いたしました。また、その下に設置しております発がんリスク評価ワーキンググループを1回開催し議論させていただきました。
 健康リスクの評価において一番大切なのが、NOAELとしてどの値を採用するか、また、発がんリスクに関しては、スロープファクターあるいはユニットリスクとしてどの値を採用するかになりますが、まず事務局の方で十分に情報収集していただいて作成した原案について、委員がそれぞれ担当を決めて査読をして、その査読結果を基に全体で議論し、それを事務局にフィードバックするというプロセスを経ております。
 今回の結果は先ほど環境省から御説明があったとおりですが、今回の特徴的なこととしては、特に発がんリスクに関してになりますが、前回から、スロープファクター及びユニットリスク、つまり発がん性の指標の、強弱の指標になる値について、算定に必要なデータが揃っている場合は独自に算定しているところですが、今回、発がん性が認められる物質に関しては、スロープファクター・ユニットリスクについて既存のデータがございましたので、それを採用させていただきました。
 具体的には、資料3-2の8ページをご覧いただきたいのですが、環境3の3-クロロ-2-メチル-1-プロペンのスロープファクターは、カリフォルニア州EPAのデータを採用してございます。9ページの環境10の1-ニトロピレンも、同じくカリフォルニア州EPAのデータを採用してございます。こちらについては後で少し補足いたします。また、健康1のアントラキノンでは、米国連邦政府のEPAのデータを採用してございます。
 1-ニトロピレンでは、従来行っていない算出方法を用いております。この物質は、定性的には発がん性があることが知られており、また、特に大気中でしばしば検出されますが、スロープファクター・ユニットリスクを独自に算出している機関はございませんでした。一方、独自に算出するために見合う十分なデータもございませんでしたので、1-ニトロピレンと、発がんのデータがあるベンゾ[a]ピレンの発がん性の比が、ベンゾ[a]ピレンに対して1-ニトロピレンが10分の1であるとして算出されたカリフォルニア州EPAのデータを用いております。
 そのため、9ページの表では、1-ニトロピレンの環境影響指標(エンドポイント)として記載されているマウスの胃の腫瘍やハムスターの気道の腫瘍はベンゾ[a]ピレンの試験によるものであることについて、注釈をつけさせていただいてございます。
 この物質を含め、元来はMOE等を実測データによる予測最大曝露量から求めているところ、化管法のデータ等も使って総合的な判定を行ってきておりますが、それにより▲(更なる関連情報の収集に努める必要がある)となったものが、環境1の1-アリルオキシ2,3-エポキシプロパンの吸入、環境3の3-クロロ-2-メチル-1-プロペンの吸入、環境4の1,3-ジクロロ-2-プロパノールでございました。
 先ほど環境省から御説明がありましたとおり、いろいろなセクターでこの初期リスク評価の情報を活用していこうという動きもございますので、より活用していっていただきたいと思いますし、この健康リスク評価分科会においても、いろいろ考え方をブラッシュアップしていきたいと思っている次第でございます。以上でございます。
○櫻井委員長 ありがとうございました。では、これまでの説明、補足説明等を踏まえて、この資料の内容等について、御質問、御意見ありましたらお願いします。
○遠山委員 全般的なことで2点、具体的なことに関して2点、質問とお願いをしたいと思います。一つは、今日の説明や委員からのお話の中でも西暦が出てきましたが、昭和から平成、さらに令和に渡っての仕事になりますので、できるだけ経年変化に関係するような部分については特に西暦を併記するなりということをお考えいただけたらありがたいと思います。国際化もうたわれる中、データを英文化する時にも便利だと思います。
 もう一つは、環境安全課と環境リスク評価室で、それぞれ黒本とグレー本と、大変努力なさって出されるわけですが、ホームページに掲載された時にはPDFになっていますよね。できたら、HTMLで、物質を特定したら互いに飛べるように、今日は部長もいらっしゃるので、うまく調整していただいて、みんなが使いやすいようにしていただけると、より活用が進むのではないかと思います。
 それから、甲殻類等のところにユスリカを読み込むのは、少し無理があるのではないかなと感じました。御承知のように、農薬・殺虫剤でも感受性が大分違いますし、感受性が違うかどうかはまた別にしても、要するに生物学の分類として一緒にしてしまうのはまずいのではないかなと、私は思いますので、できたら次回から別にしていただきたいです。
 第2点はQSARについてです。これが本当に実現できればいいとは思うのですが、分子・原子レベルでのいろいろな化学的・物理学的なパラメータからのアプローチで毒性評価につなげるのは、難しい話だと思っています。生物のレセプター側の構造によっても当然、反応性は変わってくるわけですので、もしこれを今後検討されるのであれば、最初からあまり広げずに、理想的に適用できる特定の物質でもいいですし、物質群でもいいのですが、そこでQSARが使えることを確認しながら先に進んでいただく方が有益かなと感じております。以上です。
○櫻井委員長 ただいまのコメントについて、何かございますでしょうか。
○楠井委員 ありがとうございます。まず、1点目の甲殻類等については、無脊椎動物と表現したらどうかといったことも含めて、分科会でもいろいろご意見がございましたが、もともと3生物群を使って評価する時の考え方が、OECDの藻類、甲殻類、魚類という分け方から来ているため、現状でその枠組みに合わせてウキクサ類及びユスリカ類を入れるとした場合の仮の形としてこうなっていると理解しております。今後さらに新たな生物を増やしていくことも検討していく必要はあるかなと思いますので、生物種の枠組みや、その場合にアセスメント係数自体を考え直す必要があるのかどうかといったことも含めて、引き続き検討させていただき
たいと思っております。
 2点目のQSARにつきましては、御指摘のとおり、類似物質であるとか、よく効くような同じ官能基を持っている物質でないと、同じQSAR式には当てはめられないと思います。安全側での評価を念頭に置きつつ、そのような目で見ながら、ケース・バイ・ケースで、QSARに詳しい方の御意見も入れながら使えるものなのかどうかを判断していくことになりますが、まずは実測値があればそれを使うことをベースにしながら、それがどうしても得られない場合にQSARの出番があるのかどうか、御指摘の点も踏まえながら、検討していきたいと思っています。
○櫻井委員長 では、次の御質問をどうぞ。
○香山委員 スルファメトキサゾールに関してですが、今回の調査では、医薬品も多く環境中で測られていて、特にこの物質では、PEC/PNEC比が1.9となり、■(詳細な評価を行う候補)という判定になっています。ところでこの物質は、ST合剤やバクタという名称で、尿路感染症等で以前はよく使っていたのですが、ヒト用の医薬品としては最近はあまり使っていないように思います。例えば、動物薬で使用量が増えているとかといった変化があるのでしょうか。それからもう一つ、藻類で特に影響が見られたということですが、甲殻類や魚類では影響がないのかが心配になるかと思いますので、可能でしたらそのような情報も併記していただくとよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木環境リスク評価室長補佐 具体の評価書案が資料3-3にございますので、こちらを用いて御説明させていただきます。生態3のスルファメトキサゾールは356ページからになります。まず、最近の使用量につきましては、357ページの(4)の製造輸入量及び用途の①生産量・輸入量等に、ヒト用医薬品に承認されているスルファメトキサゾール・トリメトプリムのその生産数量の推移がございます。こちらのデータからは、著しく減っている傾向は見て取れず、横ばい又はやや増ということになるかと思います。358ページの表1-2に、動物医薬品としての販売量の推移がございますが、こちらのデータからは、横ばい又はやや減といったところかと思われます。これらのデータからは、世間では意外にまだ使われていることが示されているのかなというところでございます。
 もう一点、甲殻類及び魚類の毒性の程度でございますが、これらについて情報収集した結果が361ページ以降にございます。361ページの表3-1に、水生生物に対する毒性値の概要ということでデータが並んでおりまして、こちらが集めたデータの全てになります。表の見方としては、一番左側の列でまず藻類等などと生物群でくくった上で、毒性の急性・慢性に○がついてございますけども、まず藻類等の慢性毒性については、イボウキクサのNOECとして10μg/Lという太字下線の数値が一番小さいものになります。また、急性毒性については、同じくイボウキクサの81μg/Lとなっております。一方、甲殻類等については、慢性毒性でニセネコゼミジンコの250μg/L、急性毒性で同じくニセネコゼミジンコの15,510μg/L、また、魚類については、急性毒性でメダカの562,500μg/Lとなっておりまして、3種類の生物群の中でも、藻類等に特に効いているということでございます。
○櫻井委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
○香山委員 はい、結構です。
○関澤委員 健康1のアントラキノンですが、化学構造から考えて非常に溶けにくいだろうと想定されるので、念のためにMERCKで確認したところ、「insoluble in water」とあり、アルコールでは100g当たり0.01gという数字があったのですが、この物質のエンドポイントとなったラットの網赤血球の増加が見られた試験は、溶媒に溶かしたものなのかどうか、また、その濃度や環境中で測定された濃度について、非常に水に溶けにくい物質ということで、どのような形で測定されたデータであったかがかなり重要ではないかなと思いました。タブレット操作がうまくゆかず、私は生データを確認することができなかったのですが、それを再度確認していただき、信頼のおけるデータであることを確認していただきたいと思います。
 それからもう一つ、中杉参考人から、ジクロフェナクの生産・使用量が数十倍に増えたという話がありましたが、例えば農薬などは、実際使用した時には環境中にかなり高い濃度で検出される場合があるものの直ちに減衰していくということが通常あって、使用量と環境中濃度との相関を見るのが非常に難しく、評価が難しいという議論が企画委員会でもあり、中杉参考人も常におっしゃっていますけれども、そういったことを考慮した環境中濃度の評価が今後とも重要になってくるように思われましたので、コメントさせていただきました。
○中杉参考人 確かに農薬は、施用する時期・季節に応じて環境中濃度に大きく変動があるので、そのデータの解釈においては、非常に議論があります。一方、今回のジクロフェナクは、下水処理場から出ているものなので、多分人が使っているものと思われますが、薬の飲み方にそういう季節変動があるのかというとあまりそういうことでもないだろうと思いますので、環境中濃度の測定結果をそのまま採用してよいのではないかと考えております。
○鈴木環境リスク評価室長補佐 もう1点のアントラキノンについては、資料3-3の評価書案を用いて御説明させていただきます。アントラキノンは307ページからとなっており、関澤委員から御指摘のありました水溶解度については、1.4㎎/1000gなどと記載がございます。また、ラットの網赤血球の所見が得られた試験は315ページの中・長期毒性のウ)になりますが、Wistarラット雌雄に対してこの物質を餌に添加して投与しているものでございますので、水溶解度との関係は特に考えなくても大丈夫かと思ってございます。それから、経口曝露による健康リスクにおいては、淡水を摂取する前提で評価を行っておりまして、実際に評価に用いたデータは、311ページの表2.2の公共用水域・淡水にございます最大値0.45μg/Lとなります。
 これは水溶解度よりも4桁小さい値になりますので、適切なデータを選んでいただいたということかなと思ってございます。以上です。
○櫻井委員長 よろしいでしょうか。
○関澤委員 はい。
○櫻井委員長 では、そろそろ時間も心配になってまいりましたが、よろしいでしょうか。いろいろコメントはございましたが、直ちにこの案を修正しなくてはならないということはないかと思いますので、この第18次取りまとめ(案)を大体このまま公表するということについて、御了承いただけますでしょうか。御異存ないようでございますか。
                  (異議なし)
○櫻井委員長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。最後に、その他ということで、本日配付されている参考資料について事務局から説明をお願いいたします。
○水谷環境安全課保健専門官 環境安全課でございます。
 時間を過ぎておりますので手短に御説明させていただきます。
 参考資料1をご覧ください。
 こちらは、昨年の化学物質環境専門委員会開催以降、本専門委員会に関係する内容で報道発表を行ったもの、ということで、ストックホルム条約についてご報告させていただきます。
 こちらが、本年4月末から5月にかけてスイスのジュネーブにて開催されたストックホルム条約等、3条約の締約国会議が開催されたときの結果の報告でございます。
 1ページ目の上のほうに、四角で囲まれた部分がございますけれども、その最後の段落のところをご覧ください。ストックホルム条約について触れておりまして、ジコホル及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質の条約附属書Aへの追加が採択されました。加えて、ペルフルオロオクタン酸(PFOS)とその塩及びペルフルオロオクタンスルホニルフルオリド(PFOSF)について、認められる目的及び個別の適用除外の見直しが行われましたということになっております。
 今後、国内でも、この決定に沿って、条約の担保のために必要な措置を講じることとなりますとともに、その一つとして、前半の部分で御説明いたしました、化学物質環境実態調査のモニタリング調査の中でも引き続き調査をしていくことを予定しております。
 続きまして、参考資料2をご覧ください。
 こちらは同じくストックホルム条約関係の資料となっております。条約の対象物質への追加を検討する専門家会議「残留性有機汚染物質検討委員会」の第15回の会合が、今年の10月にローマで開催された時の報告となっております。
 こちらも、資料の上のほうに四角で囲った部分がございますけれども、その最後の段落のところに記載しておりますとおり、この会議の動きとしましては、ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及びPFHxS関連物質について、条約上の廃絶対象物質(附属書A)への追加を次回の締約国会議に報告することが決定されました。
 また、デクロランプラス並びにそのsyn-異性体及びanti-異性体並びにメトキシクロルについては、リスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。
 参考資料に関する御報告は、以上となります。
○櫻井委員長 ただいま参考資料の説明をいただきました。この専門委員会に関連する内容ということで、最近の動きの紹介をしていただきましたが、これは報告を受けたということでよろしいでしょうか。何か追加の御質問等ございますでしょうか。
                   (なし)
○櫻井委員長 特にないようでございます。
 それでは以上で、予定していた議題は終了になります。
 事務局から連絡事項等ございましたら、どうぞ。
○太田環境安全課長 本日は、長時間にわたる御審議、どうもありがとうございました。本日御審議いただきました黒本調査と環境リスク初期評価の結果の概要につきましては、近日中に公表する予定といたしております。
 また、これら調査・評価の本体でございます黒本、グレー本につきましては、本日の委員会でいただきました御意見、御指摘等につきまして、櫻井委員長を初め関係する検討会の先生方とも御相談の上、さらに説明ぶりも含めて精査させていただきまして、年度内目途に公表することを考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、次回の委員会につきましては、来年の同じくらいの時期に開催することを予定しております。また近づきましたら、必要な御連絡、調整等をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○櫻井委員長 以上で、第25回化学物質評価専門委員会を閉会いたします。どうもありがとうございました。                                 

                                        午後5時05分 閉会