第3回 中央環境審議会 環境保健部会 石綿健康被害救済小委員会 議事録

1.日時

平成28年7月8日(金) 13:00~15:00

2.場所

航空会館201会議室

3.議事次第

  1. 開会
  2. 議事
     (1)石綿健康被害救済制度の施行状況について
     (2)その他
  3. 閉会

議事録

午後1時00分 開会

○課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
 本日の会議は公開で行います。
 また、報道機関の皆様のカメラ撮りは、冒頭のみ可能としております。
 なお、傍聴者の方々には撮影のご了解をいただいておりませんので、カメラ撮りの際はメーンテーブルのほうでお願いいたします。
 傍聴者の皆様におかれましては、傍聴券にも記載されておりますが、今から読み上げる留意事項を遵守してください。
 傍聴券を持っていない方や代理人の傍聴は認められません。事務局の指定した場所以外の場所に立ち入ることはできません。静粛を旨とし、審議の妨害となるような行為は慎んでください。審議中にカメラ撮りをすることはできません。携帯電話等の電源は、呼び出し音が出ないようにしてください。会議の開始前後を問わず、会議場内において委員等に対して抗議または陳情等はお断りします。その他職員の指示に従うようお願いいたします。これらを守られない場合には、他の傍聴者の迷惑になるため退場していただくことがありますので、何とぞ遵守をお願いいたします。また、火災、地震発生時のご案内を会場からいただいており、資料とともにお配りしておりますので、ごらんください。
 本日は小委員会委員10名のうち9名のご出席をいただいており、定足数を満たしております。
 また本日はヒアリングを行うため、芝診療所の藤井医師にお越しいただいております。
 それでは本日の資料の確認をしたいと思います。
 資料1、委員名簿。資料2、これまでの議論の整理について(たたき台)。資料3、前回頂いた御指摘事項に関する資料。委員提出資料、古川委員提出資料。ヒアリング資料、芝診療所藤井医師提出資料。また、古川委員提出資料につきましては、委員限りの資料を卓上にお配りしております。加えまして、第1回、第2回の配付資料、これまでの石綿健康被害救済小委員会の答申・報告書、中央環境審議会関係法令等をファイリングしたものも卓上にお配りしております。不足がございましたら事務局までお申し出ください。
 カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ここからの議事進行は浅野委員長にお願いしたいと思います。浅野委員長、よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、第3回目の小委員会をただいまから開催いたします。
 本日はまず、古川委員からいただいたご提案を踏まえまして、今後の審議の参考にするために、前回に引き続いて専門家からのヒアリングを行いたいと存じます。
 先ほど事務局からご紹介がありましたが、芝診療所の藤井正實先生においでいただいています。10分程度ということでご意見をおきかせいただくようにお願いをしております。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○藤井先生 ご紹介いただきました、芝診療所の藤井と申します。時間が限られておりますので、早速始めさせていただきたいと思います。
 本日発表させていただく内容は、お手元の資料にあるとおりでございまして、日常診療で私が感じていること、特に建設業での問題を感じている点、石綿セメント管製造会社で感じた点、あと、この給付制度について、日ごろ思っていることを述べさせていただけないかと。あと、石綿公害ではないかと思われる実態についてのご報告をさせていただき、最後にこの小委員会にお願いしたいことを述べさせていただけないかと思っております。
 まず、建設業での問題点でございますが、私が勤めている診療所で診察している石綿関連患者さんは、大体年間200名前後おりまして、その90%が建設業の方々です。この建設業界は、ご存じのとおり、ゼネコンという総合建設業があり、その後、一次下請、二次下請となって、私の診療所に来る方々は四次とか五次の下請の方々がほとんどになっております。労災との関係なのか、発注の関係なのかはわかりませんが、この患者さんたちといいますか、私の診療所に来る方々は、実態としては労働者であるのに、一人親方として事業主という扱いをされていることがほとんどになっております。
 ご存じのとおり、労災補償というのは、労働者救済の制度であり、事業主は本来救済の対象外となっております。このため、一人親方というのは、実態としては労働者なのですが、特別加入というものをしない限り労災の対象になっておりません。
 したがいまして、この一人親方の方々が石綿関連疾患で救済を求めた場合には、今回ご論議いただく石綿健康被害救済制度によらざるを得ない実態がございます。
 実態としましては従業員以上に石綿ばく露がひどいのに救済がなされていないのは、制度の矛盾があるんじゃないかというふうに日々感じております。やはりばく露実態に応じまして、等しく救済されるべきではないかというのが日々感じている点でございます。
 救済給付の現状というのは、環境再生保全機構のホームページにあったものをほぼそのまま写させていただきましたが、ここで見ていただければわかるとおり、平成26年度で、医療費と未申請弔慰金の対象について見ていきますと、職業性ばく露の方が66.1%、平成18年から26年度の累計では職業性ばく露の方が60%ということになっているようです。
 産業別の対象者を見ますと、平成26年では製造業が327名、建設業258名、平成18年から26年度の累計では、製造業が2,643名、建設業は1,570名となっておりまして、建設業の分類をもうちょっと詳しく見てまいりますと、電気工ですとか左官など、特定の職種に従事している方が多かったと。つまり、この救済給付というのは、どうも多くは一人親方に対してなされているのではないかというふうに思われました。
 次でございますが、石綿セメント管製造会社での問題点ということで述べさせていただきます。
 私の診療所には、40年以上前から、この会社の従業員の方々が受診をされております。この工場は1982年に移転をしているんですが、このときの従業員名簿に掲載されていた88名のうち、私が知る限りでは約半数の方々が、2000年前後には肺がんや中皮腫、石綿肺が原因で死亡されていたようでした。また、1996年には肺がんで死亡されている労働者、この方は労災補償を受けているのですが、その方のご子息が中皮腫で死亡する事例が発生しております。
 このご子息で中皮腫で死亡した事例というのは、本来、私は、遺族年金が必要ではなかったかというふうに考えております。工場内で起きたものは、お父さんは労災補償されたわけですが、工場内に住んでいても、息子さんの場合には職業歴がなかったということで補償されていないと。やはり制度上の差別というものを設けるのはよくないんじゃないかなというふうに感じております。
 また、この石綿セメント管製造工場のご家族の方も一緒にいらっしゃることが多いのですが、ご家族のこともいろいろと伺ってみますと、奥様が肺がんですとか、卵巣がんに罹患したという事例も散見されておりました。ほかにも、この従業員の奥様やお子様のレントゲンを撮ってみますと、胸膜プラークが存在していた事例がままございまして、やはり環境ばく露というのはかなりあるのではないかなというふうに考えております。
 ちょっと駆け足ですが、次へ。
 給付制度について思うことでございますが、石綿による健康被害の救済に関する法律では、第1条に「石綿による健康被害の特殊性にかんがみ、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対し、医療費等を支給するための措置を講ずることにより、石綿による健康被害の迅速な救済を図ることを目的とする。」という目的の記述がございます。
 この趣旨から申しますと、労災疾病と同一の疾患が対象になるというのは、この法律のたしか設立の趣旨のときに、当時の官房長官がすき間のない救済をしたいということを述べていたように思いますので、労災疾病と同一の疾病が対象となり、労災認定基準と同一、またはやや労災の基準より緩和すべきではないかなというふうに考えております。
 しかし、この救済給付に関しましては、実態としましては、対象疾患が中皮腫と肺がんと著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚に限定されておりまして、労災の補償と比べますと、石綿胸水ですとか石綿肺の合併症というものが除外されております。
 また、認定の基準につきましても、肺がんの認定は胸膜プラーク以外に一定以上の肺の線維化、つまり石綿肺の存在というものが必須になっておりまして、この基準は労災認定基準より厳しいもので、実際に一人親方の方で労災をかけていないのでこちらで救済してほしいと思いましても、石綿肺の認定がされずに救済されないということがままございます。
 また、石綿胸水ですとか石綿肺の合併症での認定ですとか、肺がんの認定基準を労災と同一化するということは、広く救済をするための第一歩だというふうに考えております。
 次が、別紙でお願いをしました、水嶋医師が作成した論文に関係することですが、この水嶋医師より、石綿製品の工場周辺住民の健康被害についての話を聞く会というものがございました。これは、前日の石綿セメント管製造工場の従業員の家族の事例を思わせるようなものでした。この事例というのは、工場周辺の住民から、中皮腫の患者さんが発見されまして、このことをきっかけにこの友人のクリニックに相談がありまして、11名の検診をしましたところ、7名に石灰化したプラークを認めていたということでした。この7名のうち2名につきましては肺の線維化も認めまして、石綿肺が疑われております。現時点では著しい呼吸機能障害はありませんので救済対象にならないと思いますが、著しい呼吸機能障害が出現した際には、当然救済の対象になるというふうに思っております。
 また、日々思っているところでは、肺がんの事例なんですが、労災の認定基準につきましては、ばく露期間というのが10年ですとか5年ですとか、細かく明示されているんですが、石綿救済法ではこのばく露期間の規定というのが全くありません。石綿救済法での肺がんの認定というのは、肺がんの発生リスクを2倍以上に高める量の石綿ばく露があったとみなされるという、その場合に判定可能というふうに記載がございまして、それであれば、胸膜プラークプラス石綿肺ですとか、石綿小体数や石綿の数以外にばく露年数を考慮した基準というのも、やはり必要ではないかというふうに考えております。
 最後に、本委員会にお願いしたいことといたしましては、先ほどの石綿による健康被害の救済に関する法律の第1条にございますように、すき間のない救済というのをやはり図っていただきたいというふうに考えておりまして、その中でも特にご遺族に対する補償というのが労災とこの救済制度では全く違いまして、差がかなりございます。労災でも適用されております遺族年金というものが存在しませんで、石綿被害者の家族の生活保障のためにも、ぜひ制度化をしていただけると大変ありがたいなというふうに感じております。
 先ほど述べましたが、労災の補償対象と同じようにしていただきたく、石綿胸水ですとか石綿肺の合併症についてもこの給付の対象としていただきたいと強く望みます。
 肺がん認定基準につきましては、労災の認定基準よりも厳しくて、石綿ばく露指標の追加と、石綿肺要件の廃止など、労災とほぼ同様の基準にしていただきたいというふうに考えております。
 あと資料がちょっと字足らずなんですが、公害審査会というのは公害健康被害補償不服審査会でございまして、ちょっと抜けておりますが、その裁決にあるように、肺がんの認定基準につきましても、石綿ばく露指標の追加をしていただきたいなというふうに考えております。というのは、石綿肺とびまん性胸膜肥厚ではばく露指標というのが入っておりますので、ぜひ肺がんにも入れていただきたいというふうに考えております。
 この石綿肺に関する公害健康被害補償不服審査会のご指摘を真摯に受けとめていただいて、厚生労働省のじん肺管理区分決定と矛盾しないように、ぜひ救済を広く図っていただきたいなというふうに思っております。
 以上です。

○浅野委員長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの藤井先生からのお話の内容につきまして、ご質問があれば委員からご質問いただきたいと思います。ご質問のある方は札をお立てください。
 古川委員から手が挙がりましたが、では、どうぞ、古川委員。

○古川委員 藤井先生、ありがとうございました。先生のお話は多々感ずることはあったんですけど、まず、肺がんの認定基準にばく露要件を入れてほしいということについて、ばく露要件を追加することの意義というか、その辺をもう少しお聞かせいただけたら。

○藤井医師 ばく露要件を入れることについて日々思っておりますのは、石綿小体ですとか石綿繊維の数というのは基準に入っているんですが、ご存じのとおり、石綿の中にも、クリソタイルのように繊維が残らないとか石綿小体をつくりづらいというものがございますので、クリソタイルはかなり吸っても証拠として残らないと。肺がんを発症するかどうかに関して言えば、どれだけの石綿を吸ったかということがやはり大事だというふうに思っておりますので、そういう点では、ばく露の実態というのを入れていただけると救済としてより広がるのではないかなというふうに思って記載させていただきました。

○古川委員 ありがとうございます。

○浅野委員長 古川委員、ご質問はそれでよろしいですか。どうぞご質問あれば、続けてお出しください。

○古川委員 石綿製品製造工場でのお父様とそのご子息の被害を先ほど述べられておられましたけれども、やはりばく露の形態が違うだけで救済される内容が違うということは、これは不公平であると。先生が今までたくさんごらんになってきた被害者の方たちの中から痛切に感じておられると思うんですけれども、その辺ももう少し詳しくお聞きできたらと思います。

○浅野委員長 藤井先生、どうぞ。

○藤井医師 今回出させていただいた事例が一番極端な事例なんですが、ほかにも建設業の方々を対象とさせていただいているので、建設業の方で、お父さんも息子さんも中皮腫になって亡くなったという方がいらっしゃいまして、息子さんは同じ大工さんで、職歴はあるんですが、それほどばく露の実態がなかったんです。その方はたまたま大工さんで、10年弱くらいのばく露歴がありましたので労災で救済されたのですが、その方が別の仕事についていたら救済されなかったんじゃないかなと。私はその息子さんの中皮腫については、お父さんが原因ではないかなというふうに考えているというのは、たしか三十八か九くらいで発症しているんです。だからばく露としては子供のころにばく露したんじゃないかなと思いましたので、お父さんの仕事が原因で中皮腫になったんじゃないかなというふうに思いまして、たまたまお父さんと同じ大工さんだったからよかったようなものの、ほかの職種だったら多分救済されなかったんじゃないかなと懸念している事例はあります。

○浅野委員長 古川委員、まだご質問がありますか、もうよろしいですか。

○古川委員 いいですか、すみません。先生のご友人の水嶋先生の報告ですけれども、大阪市西成区の事例ですね。水嶋先生のこの報告をごらんになって、大阪西成区では明らかにこういった環境被害が起こっていると、そうお考えですか。

○藤井医師 この報告を拝見する限り、西成区ではそういう被害が起こっているんだなと。これからもまだ出てくるんじゃないかなという懸念はしております。

○古川委員 では、周辺の住民の方たちに明らかに石綿のばく露があったと、そうお考えですか。

○藤井医師 この報告からすると、そう考えざるを得ない報告だというふうに思っております。

○古川委員 はい、ありがとうございました。委員長、ありがとうございました。

○浅野委員長 ほかにご質問がございますか。他の委員の先生方、よろしゅうございますか。
 先ほどのお話の中で、奥様が卵巣がんの事例をお聞かせいただきましたが、私は素人でよくわかりませんが、卵巣がんもアスベストと何らかの関係があるという趣旨のご説明だったんでしょうか。

○藤井医師 そうですね、卵巣がんは女性にしか起きませんが、石綿ばく露した方に卵巣がんの発生が多いというのは一応認められていることで、その当時は、何でこの工場の従業員の奥さんに卵巣がんがこんなに多いのかなと不思議に思っていたんですけれども、後になりまして、IARCが関係があると発表しまして、ああ、そうだったのかというのがやっとわかったということがございました。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 他の委員の先生方、よろしゅうございますか。
 それでは、特にご質問がないようでございます。藤井先生、本日はお忙しいところをありがとうございました。
 それでは、これまでの審議を踏まえた議論の整理に移ってまいりたいと思いますので、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○高城石綿健康被害対策室長 石綿室長でございます。それでは皆様、お手元に資料の2、これまでの議論に整理について(たたき台)をご用意願います。
 ご説明させていただきます。最初のリード文にございますように、こちらはたたき台でございます。本小委員会におけるこれまでの議論において各委員からいただきました主なご意見を整理したという位置づけでございます。
 まず第1としまして、制度の基本的考え方・救済給付でございます。
 石綿健康被害は健康被害者のみならず家族も被害者となることを踏まえて遺族年金のような遺族に対する給付を検討すべきではないかとの意見や、健康被害や療養の程度に見合ったものとなるよう療養手当の増額を検討すべきではないかとの意見があった一方で、現行の救済制度は補償制度や汚染者負担という考え方とは異なるものであり、社会全体の費用負担による迅速な救済という現行制度の基本的な枠組みは維持しつつ、その中で最大限の救済を図るとの観点から検討すべきではないかとの意見がございました。
 こちらの点々の枠囲みでつけておりますのは、参考でございますが、現行制度の基本的考え方の整理ということで、これは以前、制度設立から5年目に見直した際の、平成23年6月の答申からの抜粋を記載しております。簡単にご紹介します。
 法の立法趣旨は、第1条の目的にございますように、石綿による健康被害の特殊性に鑑みまして、健康被害の迅速な救済を図ることということでございます。この健康被害に関しましては、本来、原因者が被害者にその損害を賠償すべき責任を負うものであると。しかしながら、1)ですとか2)のような状況がございまして、特定の場所における石綿の飛散と個別の健康被害に係る因果関係を立証することは極めて難しいとされているところでございます。また、原因者を特定し、民事上の損害賠償を請求するということも困難な状況でございます。また、中皮腫以外の疾病については、石綿以外の原因によっても発症するために、石綿によるものだと判断することが医学的に見ても困難であるというような状況がございまして、このことが民事上の損害賠償の要件である因果関係の立証を一層困難にしている状況がございました。
 一方、これらの石綿による健康被害につきまして、多くの方が1年、2年で亡くなられるというような重篤なものでございます。にもかかわらず、何ら救済を受けられないまま亡くなられるというような状況もございましたので、国が民事の損害賠償とは別の行政的な救済措置を講ずることとしたものでございまして、原因者と被害者の個別的因果関係を問わず、社会全体で石綿による健康被害者の経済的負担を軽減するべく制度化されたというのが基本的考え方でございます。
 おめくりいただきまして、こちら、参考でつけておりますのは同じく答申からの抜粋でございます。救済給付の中身、水準についての整理でございます。
 給付内容は、逸失利益、積極的損害の額等の損害項目を積み上げて厳密に填補する補償ではなく、医療費、入通院に係る諸雑費、介護や付添に係る費用、葬祭料などを含む見舞金的なものとしております。これらの制度設計に際しては、医薬品副作用被害救済制度の給付内容を参考としたものでございます。この中で補償的色彩の強い、逸失利益を考慮した生活保障的な給付項目である障害年金ですとか遺族年金は、今回のこの救済制度では採用されておらず、医療費、療養手当、葬祭料が給付内容となっております。
 また、ご遺族に対しましては、特別遺族弔慰金と特別葬祭料を支払っておりまして、これは国が特別に弔慰をあらわし、その遺族に対し給付を行うものというふうに整理しております。
 また、給付の水準につきましては、制度が民事責任に基づくものではないという性格でございまして、例えば他の類似制度であります原子爆弾被爆者援護制度等との均衡を考慮して設定しているというところでございます。このうち、先ほどご紹介の療養手当につきましては、入通院に伴う諸経費、介護手当的な要素が含まれておりまして、さらに入通院に伴う諸経費的要素を分解しますと、療養に伴う交通費、生活品等のための諸経費が含まれているという整理でございます。また、介護手当的な要素につきましては、中皮腫、肺がんといった石綿による疾病が、予後の悪い重篤なものであることに鑑みまして、原子爆弾被爆者援護制度の介護手当、中度に準拠して定めたというものでございます。
 このような状況でございまして、そうしたものに係った実費について行うというものではなくて、定型化された定額の給付で認定者に対して一律に行っているというような現状がございます。
 おめくりいただきまして、3ページ目が指定疾病に係るご意見でございます。
 良性石綿胸水については重篤な疾患を対象とする救済制度では指定疾病とはされていませんが、そのうち、被包化された胸水貯留がある症例については、例えば、石綿ばく露を示す所見があり、かつ、著しい呼吸機能障害が認められる場合にはびまん性胸膜肥厚として判定するなどの取扱いを検討すべきではないかとの意見があった一方で、具体的な基準等については更なる研究が必要とのご意見をいただいております。
 また、肺がんの医学的判定について基準を見直すべきではないかとの意見があった一方で、肺がん発症に対する石綿と喫煙の関係などの更なる医学的知見の収集が必要ではないかとの意見を頂戴しております。
 参考までに、現行制度の指定疾病、これがどのように定まったかというものを抜粋で用意させていただいているのが点々の中でございます。
 まず、制度設立当初は、中皮腫、肺がんが入ったわけでございますけれども、これは当時の答申から抜粋してございます。(1)に書いております法律の趣旨でございます、石綿による健康被害の特殊性に鑑みて、石綿を原因とする中皮腫及び石綿を原因とする肺がんについては、まず①にございますように、個々の原因を特定することが極めて困難であるとか、②にございますように、一度発症した場合には、多くの方がすぐ亡くなられてしまうと。こういったことから、以上2疾病を対象としたものでございます。
 その後、この真ん中に書いてございますけれども、石綿肺及びびまん性胸膜肥厚につきまして検討を加えて、平成22年の5月に答申をいただいておりますので、その内容をご説明させていただきます。このような状況で、当初、中皮腫及び石綿を原因とする肺がんを対象としておりましたけれども、石綿肺、これにつきましては、無症候のものから著しい呼吸機能障害を来すものまでさまざまな病態が存在いたしますけれども、このうちの著しい呼吸機能障害を来している場合というのは、上記の疾病と同様に重篤な病態であるので、救済の対象とすることが適当であるという整理になっております。またさらに、びまん性胸膜肥厚につきましても、著しい呼吸機能障害を来している場合には、現行の法の趣旨に鑑み、対象とすることが適当と整理されたものでございます。
 おめくりいただきまして、4ページでございます。
 先ほどもご指摘がございました肺がんの現行制度の医学的判定の整理ということで、こちらは平成25年4月に肺がんの要件を追加した際にまとめられた報告書から抜粋をしてございます。
 最初に書いてございますように、肺がんにつきましては、喫煙を初め、さまざまとした原因がございます。石綿を吸入したことによるものであるか否かについての判定はなかなか難しいということでございます。
 このため、現行制度における医学的判定につきましては、原発性の肺がんであって、肺がんの発症リスクを2倍に高める量の石綿ばく露があったとみなされる場合には石綿によるものと判定するとされているところでございます
 具体的には、その2行下にございますけれども、25本/ml×年程度のばく露があった場合とするのが国際的コンセンサスとなっておりまして、これに相当する医学的所見として、下に記載のような要件を定めて当初は始まったというところでございます。
 真ん中に飛んでいただきまして、広範囲の胸膜プラーク所見を指標とする考え方でございます。
 これは制度施行後に出てきました研究ですとかParisらの研究、そういったものも踏まえまして、広範囲の胸膜プラーク所見があると認定できる場合には、肺がんの発症リスクを2倍に高める石綿のばく露があったものとみなして判定することとしたところでございます。
 次のページに行っていただきまして、5ページ目の上から、(ア)(イ)があって、大きいイがあって、なお書きが下に続いておりますけれども、そこから4行目からでございますけれども、いわゆる胸膜プラークをもって肺がんとできるかというあたりでございますけれども、上記に書かれているような現時点で得られている知見をもって胸膜プラーク所見で肺がんの発症リスクを2倍に高める量の石綿ばく露があったとみなすと判断することはできないとされているところでございます。しかし、今後も知見の収集に努めることが望まれるということが記載されてございます。
 また、②のびまん性胸膜肥厚を指標とする考え方につきまして、こちらも各種の知見を参考としておりますけれども、現時点で得られている知見をもって判断するということは困難だという整理になっております。
 ③でございます。石綿ばく露作業従事歴を指標とする考え方でございます。
 この石綿ばく露作業従事歴、先ほど来ご紹介ございますけれども、労災制度の基準には採用されておりますけれども、救済制度ではばく露履歴を厳密に確認することなく肺がんの判定を行っているという状況でございます。
 これにつきましては、労災につきましては、一番下のところに書いておりますが、労災加入歴を有する石綿ばく露労働者を対象とし、現に全国321カ所の労働基準監督署において従事歴というものを把握しているのが労災制度でございますが、救済制度においては、このような従事歴を厳密かつ迅速に調査する体制がないということ、また、この必要となる客観的資料が救済制度の対象者においては乏しいこと、それから、この体制を整備したとしても、従事歴の厳密な精査には限界があることから、従事歴を肺がんの医学的判定の指標とすることは困難であると形で整理をされているところでございます。
 最後に、肺組織切片中の石綿小体又は石綿繊維を指標とする考え方についてということでございますけれども、こちらにつきましては、一番下の行にございますように、肺組織切片中の石綿小体等に係る指標を明示することが望ましいということでございますけれども、こちらについては、肺組織切片中の石綿小体があれば現在は認定対象ということで、反映されているところでございます。
 おめくりいただきまして、新たな論点でございますけれども、7ページ目でございます。
 3.制度の運用でございます。
 中皮腫死亡者のうち救済制度や労災制度等を利用していない者が一定数いると考えられるため、更なる制度の周知をすべきではないかとの意見をいただいております。
 肺がんの医学的判定における繊維計測について、精度管理を継続して行いつつ、更なる迅速化を図るべきではないかとの意見もいただいております。
 4.健康管理でございます。
 石綿疾患の患者を専門外来・専門窓口につなぐ支援、震災から数十年経過後の住民の健康不安への対応が必要ではないかとの意見をいただいております。
 また、兵庫県が実施している「健康管理手帳」のような取組を実施すべきではないかとの意見があった一方で、健康管理の今後の在り方の検討に当たっては、健康リスク調査で得られた健康管理のメリット・デメリットを踏まえつつ、現在実施されている健康管理に係る試行調査をしっかり評価すべきではないかというご意見をいただいております。
 さらに健康管理に係る試行調査において、保健指導を適切に実施するために、専門知識に関する研修を行う必要性、高齢者にしっかり情報が伝わるようなコミュニケーション方法についても考慮が必要であるとの意見もいただいております。
 5.調査研究でございます。
 救済制度で認定された中皮腫患者の医学的情報の登録を継続し、そこで得られた知見を活用して診断法等に関する情報を医療従事者等に情報提供すべきではないかとの意見もいただいております。
 最後に、その他でございます。
 制度の定期的な見直しが必要ではないかとの意見、それから、中皮腫と診断された者について、療養や制度等に関する総合的なフォローアップを関係者の協力を得て行うことが必要ではないかとの意見をいただいております。
 以上が資料2でございます。
 続いてで申し訳ないんですけれども、資料3として1枚、前回頂いた御指摘事項に関する資料をお配りしております。
 これにつきましては、第2回の小委員会の際に、海外の非職業性ばく露の制度についてご紹介した際に、フランスの被害者補償基金について、参考といたしまして、遺族に対する補償金として25歳未満の子に対するものについてご紹介をしたところ、委員のほうから、なぜこの25歳未満ということが例示として挙げられているのか、制度としてどうなっているのかというお題をいただきましたので、こちらのほうで再度整理をさせていただいたものでございます。
 こちらに記載のとおり、フランスの石綿被害者補償基金、FIVAと言いますけれども、こちらにおいては、これらの配偶者ですとか25歳未満の同居している子、その他こちらに記載の状況に鑑みて補償金の額というのが決まっているというところで、こちらの2番目に書いてあります25歳未満の同居している子の部分を前回引用させていただいたと、そういうところでございます。
 事務局からの説明は以上となります。よろしくご議論お願いいたします。

○浅野委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明を踏まえまして、質疑応答、意見交換を行いたいと思います。これまでにいただいた意見や参考人の方々からお出しいただいたご意見を整理したものでありますけれども、さらにまだご意見をこれにつけ加えていくという必要があろうかと思っております。
 まず、岸本委員が早目に席を立たなければならないというご連絡を事前にいただいておりますので、まず岸本委員から、ご発言がございましたらお願いいたします。

○岸本委員 石綿肺がんに労務歴を加えるという藤井先生からのご意見がございました。実際、現行の労災法はそういうことになっておりまして、私は、労災の認定を岡山県でやっておりますとともに、救済の判定委員を環境省のこの委員会でやっております。
 一番難しいところは、私は医師もしておりまして、石綿肺がんの患者さんも診ているわけですが、患者さんが言われる職業内容と、実際に監督署で調べた内容というのは、長い間一定の企業に勤められておられる方はほとんど問題がないんですけれども、そうじゃなくて、いろいろ職場をかえている方というのは、その差異が大きいということがありまして、ご本人はこういう作業で石綿ばく露歴があるから労災にしてほしいということで、私も労災申請するんですけれども、監督署で調べた際には、そういう作業は確認できないということで、こちらの救済に行く患者さんというのは結構多うございます。
 今、実際に小委員会で石綿肺がんが提出されたときに、環境再生保全機構さんに、職業歴はどうですかということを必ず尋ねるようにしているんですけれども、実際に今のこの救済法では、職業歴を担保していないので明らかになりません。ご本人はこう言われるけれどもよくわからないとか、わかってもそれは健康保険の年金記録のみであって、具体的な作業内容はわからないということがしばしばです。そこで、石綿小体の数だとか胸部レントゲンやCT上での線維化だとかプラークだとか、いわゆる医学的に客観性のあるものをもって認定するということはいいんですが、主観に基づいて、客観性のないものというのは、法には余り妥当ではないというふうに感じております。
 石綿肺、びまん性胸膜肥厚、中皮腫に関しては、アスベストと医学的な関連がかなり高いわけなんですけれども、先ほども申されたように、肺がんに関しては喫煙等の交絡因子が非常に多いということもわかっています。我々が確認した石綿肺がん症例252例で、喫煙をしていない人はたったの14人で、90%以上が喫煙者であるという事実もありまして、胸膜プラークだとか線維化だとか職業歴だとかが確認できておれば、肺癌の原因として石綿によるものとするのもやぶさかでもないですけど、石綿肺がんを論ずる上では喫煙の交絡因子が余りにも大き過ぎるし、今でも、石綿単独ばく露よりも喫煙のほうが大きいというような疫学調査もありますので、これは更なる検討が必要だろうと思います。現段階ではこの制度で石綿ばく露歴、もしくは期間というのを考慮するのは時期尚早ではないかなと思います。ただ、検討していく必要はあろうかとは思います。

○浅野委員長 岸本委員、どうもありがとうございました。
 それでは古川委員、どうぞ。

○古川委員 岸本先生、ありがとうございました。一つお伺いしたいんですけれども、喫煙とアスベストの関係性が明確にわかったのはいつごろでしょうか。

○岸本委員 これは1960年代からセリコフらが言っておりましたが、1979年のハモンドの、北米の断熱作業者をプロスペクティブにコホート調査をした研究が今でも一番信頼性が高くて、石綿単独ばく露だと肺がんの発生頻度は約5倍、ただ、喫煙では10倍あったと報告されています。喫煙者で石綿ばく者を、非喫煙者の非アスベストばく露と比較した場合には53.2倍ということで、喫煙とアスベストのばく露がいわゆる相加的ではなくて相乗的な効果があるということは間違いないと思います。アスベストと喫煙の発がん性に関して言えば、疫学調査によって、どちらが強いかというので反転する場合もあるんですけれども、一般的に言って、石綿の中皮腫の発がん性は間違いないけれども、肺がんに関して言えば、喫煙のほうが石綿単独ばく露よりも大きいというのが一般的な見解だと私は思っています。

○古川委員 ありがとうございます。そうしたら、1979年ごろの調査で判明したということですけど、その後、一般に労働者とかに周知されたのはいつごろですか。

○岸本委員 私は1980年代から、広島県の呉でこれをやった時代から、この論文を知っておりましたので、もう30年ぐらい前から患者さんには言っております。

○古川委員 先生はそういう意識を持たれて、患者さんとか労働者の方に言われていたということですけど、一般的にそういったことが周知されたのはもっと遅かったということですか。

○岸本委員 アスベストが問題になったのはクボタショックからでしたので、私なんかは非常にマイナーな医者でございまして、地方の一医師ということで活動してきましたけれども、それなりの発信はしておりまして、1980年代に読売新聞に取り上げられたりということもありました。クボタショック以来、中皮腫がこのようになって、肺がんも同じようにクローズアップされたということでありまして、労災の4分の1以上のプラークだとか胸部レントゲン正面像でのプラークの所見で救済法も今は認定するようになりましたけれども、やはり社会の盛り上がりがあって、石綿肺がんの認定基準はかなり下げられたというふうに思っています。
 私は東南アジアやモンゴル等でアスベストの指導に当たっておりますが、アジアの各国では、石綿により肺がんの発生頻度を2倍にするという欧米のクライテリアを使っておりませんで、例えばタイなんかは、石綿肺というじん肺があって、著しい呼吸機能障害があった人に起こった肺がん以外は石綿肺がんとしないというような、中国も同じようなクライテリアであるので、日本の肺がんの認定基準というのは、そちらのほうの先生方と話をすると、非常に緩い、なぜかと、よく質問されます。

○古川委員 ありがとうございます。岸本先生のように、もっともっと多くのお医者様たちがたばことアスベストの相乗効果の危険性を周知していたら、ひょっとしたら肺がんになる被害者の方が減っていたのではないかと、そう感じます。ありがとうございました。

○浅野委員長 それでは、ほかの委員の、ご意見がございますか。
 資料3は大塚委員の請求で出てきた資料ですが、何かコメントなり何かありますか。

○大塚委員 資料3については先ほどお答えいただきましたので、それでよろしいんですけれども、今回はなかなか意見の対立があって難しいのかもしれませんが、将来的にはということだと思いますけれども、第1回目のときに発言させていただいたように、補償のほうに制度を変えていくということが検討されるべきだというふうに思っておりますし、資料2の1ページのところの第二次答申との関係でいうと、ここに書いてあることはこれは正しいんですけれども、参考の7行目から8行目にかけてのところですけれども、特定の場所における石綿の飛散と個別の健康被害に係る因果関係を証明することは極めて難しいという、これはこのとおりなんですけれども、民事責任との関係では、これが基本的には必要だというふうに考えられておりますが、建設アスベストに関する東京地裁の判決の裁判官が最後に言っているように、全体としての石綿の製造販売と、それから健康被害との間の因果関係については、中皮腫に関しては少なくとも明確ということがございますので、総体的に考えてみると、本来負担すべき原因者が負担していないという問題がございますので、これは何とか京都地裁の判決のように、民事責任で対応しようという裁判所もなくはないですが、制度としてきちんとつくっていく必要があるという問題だと思います。
 ただ、そのときも申しましたように、一人親方以外の基本的な対象は、建設労働者の方ですので、石綿健康被害救済法で対応することなのか、別に基金等をつくっていただくべきことなのかということがございまして、国交省とかほかの省庁とともに対応していただかなきゃいけないということで、環境省が中心になってやれるということでは必ずしもないかと思いますので、環境省ですぐに対応できるということではないですけれども、そんなに先ではない将来の課題としては、そういうこともぜひお考えいただきたいということがございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 ほかのご意見はございますか。太田委員、どうぞ。

○太田委員 兵庫県の太田でございます。この前は私用で欠席させていただいて、申し訳ございませんでした。
 最初の藤井先生のご意見ですが、大変医学的見地でご示唆に富むものでございますので、科学的検証もまた重ねていただければと思います。
 我々、石綿による健康被害、特にそのご遺族のためにも、救済制度の安定的な運営というのが大変重要だと行政的には考えております。
 この制度の枠組みの中で、とりあえず被害者のために何ができるかということを考えていきたいと思っておりますが、その中で、資料2の7ページに書いてありましたが、健康管理、兵庫県の取り組みをご紹介いただいて、ありがとうございました。この試行調査を今年度されておりますが、自治体職員を対象とした保健指導の講習会、これについて、今回からは東京に加えて大阪で開催されたということで、我々の県からの参加者にも大変好評でございました。ありがとうございました。
 今後は、参加した我々行政の職員とかの意見を聞いていただいて、参加者が専門家と、あるいは参加者同士が意見交換をできるようなシステムで、現場に役に立つ、適正な保健指導ということで、この健康管理について、取り急ぎ充実をお願いしたいというのが、当面の私の意見でございます。ありがとうございました。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 健康管理手帳についてもう少し、内容をどんなものかというご紹介を、この際、していただけますか。

○太田委員 このようなアナログの形で誠に申し訳ありません。古い形でございますので。ただ、いわゆる指定機関で要経過観察、一般的に申しますと、異常なしから要治療の間の要経過観察になられた方に健康管理手帳というものをお渡しして、少なくとも半年に1回はきちんと健康診断を受けていただいて、精密検査につなげようというシステムで、毎年、20名弱の申出がございます。トータルでは約140名ぐらいでございますが、兵庫県の制度として、以前からこのアスベスト健康管理支援事業というものをやっておりますので、ご紹介申し上げました。

○浅野委員長 費用負担はどういうふうに。

○太田委員 費用負担は、原則は、県と市(町)の全額負担ということになります。

○浅野委員長 公費ということですね。はい、わかりました。
 根本委員から札が上がっています、どうぞ、根本委員。

○根本委員 ありがとうございます。今、大塚委員から制度の根本に係る話がございました。今回議論している制度につきましては、前から私自身が繰り返し申し上げておりますとおり、救済給付を行う制度でありまして、今回、その範囲内の議論がなされるのであろうと思っておりました。事業主、国、地方公共団体のそれぞれが基金に拠出して、救済給付を行う制度であり、それ以上でも以下でもないと理解しております。もし根本論の話に入るのであれば、全く違った議論を、違う形でしないといけないと考えております。
 現行制度の中で気になる点を前回、指摘させていただきましたが、残念ながら、主な意見ではなかったということで、このたたき台の中に入っておりませんので、もう一度繰り返して意見として申し上げさせていただきたいと思います。
 2007年度から現在に至りますまで、民間の事業主が継続的に基金に拠出してきているのに対しまして、皆様ご承知とおり、国は、2005年に一括して拠出されたのを最後に、毎年度の事務費の半額は負担されておりますけれども、それ以降は拠出がないという状況でございます。都道府県による拠出も本年度で終了するということを伺っております。
 社会全体で被害者を支えていこうというのが制度の趣旨でございましたのに、社会全体で石綿による健康被害の迅速な救済を図る、こういう制度そのものの費用負担のバランスが完全に崩れていくということを、拠出を続ける民間の事業主としては、大いに危惧しているところでございます。
 石綿につきましては、その利便性、有用性が非常に早い段階で材質として注目され、時にはその使用を政府が奨励してきたという歴史がございます。ばく露による健康被害への科学的知見、研究が後手に回ったという経緯がございますけれども、こういう現状を鑑みますと、やはり費用負担において政府・自治体も引き続き役割を果たすべきではないかというふうに考えております。
 もちろん被害者救済が極めて重要であることは論をまちませんけれども、前回申し上げましたとおり、それを支える費用負担のあり方についても、一定の目配りをすることが、制度全体をしっかり成り立たせるためにも必要でございます。したがって、今、私が申し上げた費用負担の問題というのが制度の基本的な考え方、あるいは運用といったようなところで、しっかりと位置づけられるべきだろうと考えております。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 それでは今村委員、どうぞ。

○今村委員 資料の2の7ページの制度の運用と調査研究について、少しお話をさせていただきたいと思います。
 先ほど、古川委員から、喫煙と石綿と両方吸入した場合の影響について、もっと早くから広く啓発されなければならなかったというご指摘は大変重要だと思っています。私ども日本医師会は、そもそも喫煙の弊害を広く国民の方々に長い間、啓発をさせていただいているわけですけれども、さらにそれと石綿との吸入ということで、より被害が大きくなるということだと思います。
 私ども、医学の知識というのは本当に日進月歩で、どんどん新しい知見が入ってくる中で、それをどうやって多くの医師の方に知っていただくかというのは大変大きな課題でありまして、生涯教育ということで、さまざまな医療情報を会員の先生に発信しています。今、日本医師会は16万7,000人の会員がいるんですけれども、一番直近に環境保健、環境と健康リスクということで、かなり厚い冊子を発刊することにしておりまして、その中でこういった石綿の疾病についての知見であるとか、あるいはこういった制度のことも改めて全会員には周知をしたいと思っています。ただし、医療情報というのは、今も申し上げたように、ものすごく多岐にわたるものが日々会員のところに行くので、ある特定の疾病だけ、それをうんと注目して理解するというのはなかなか困難なので、機会を見てやってまいりたいと思っております。
 前回、この小委員会の後で岸本先生ともちょっとお話をして、専門医のリストというものがないのだと。実は、他の医療分野でも、全国を見ると大変医師の診療科が偏在している、地域が偏在しているということがある中で、どこにどんな先生がいらっしゃるかということは、患者さんや国民にとって知っていただく必要もあろうかということで、ぜひそういった専門医のリストをつくりたいなと。あるいは、きょう、藤井先生がお見えになってございますけれども、診療所レベルでこれだけたくさん診ておられるというのは、私もびっくりしたんですけれども、どこでどういう先生がいらっしゃるかというのは、リストは日本医師会でぜひつくりたいというふうに思っておりますが、それについてはぜひ環境省にもさまざまなご支援をいただけるといいなというふうに思っております。
 それから、こういう中皮腫なんかを診ておられる先生は、基本的には呼吸器科を中心として診ておられると思うんですけれども、呼吸器科の専門医であっても、例えば慢性閉塞性疾病を専門にしている人もいれば、肺がんをやっている方もいれば、結核をやっている方もいるということで、ただ、慢性閉塞性肺疾病を診ているから私は中皮腫を診ませんなんていうことはなくて、多分そういう先生たちも中皮腫の患者さんを診ているということで、呼吸器の先生たちの中で、こういった制度等についてどの程度周知されているかというのは、私、ちょっと存じ上げないんですけれども、ご専門の先生はすぐにそういう制度のことにつなげられると思うんですけれども、そうでない方たちがどういう状況にあるかというのは、ぜひ呼吸器学会か何かに一度そういう調査をしていただいたらいいんじゃないかなと思っています。
 それからもう1点、調査研究で、中皮腫登録のお話が出ておりますけれども、これはあくまで救済制度で認定されているという限定があると。それから、中皮腫と診断をしたときの情報だけを登録していると。その後の経過というのは全然わからないわけですよね。一方、今、国ではがん登録が始まるということで、肺がんも対象疾病になっているし、中皮腫も対象になると。それは別に、救済制度ではなく、全ての中皮腫が登録されて、その後の経過も一応わかっていくという中で、この中皮腫登録というのは、あくまで環境省の関連の登録事業でありますけれども、そうでない、このがん登録との連携情報の共有、がん登録から何の情報が得られるのかということもあわせて、検討していただければありがたいなというふうに思っています。

○浅野委員長 ありがとうございました。とても大事なご指摘をいただけたと思いますので、これはまた後で、部長でも構いませんし、事務局からお答えをいただきたいなと思いながら聞いていました。
 内山委員、どうぞ。

○内山委員 幾つかあるのですが、今おっしゃった中皮腫登録とがん登録の連携というのは非常に私も大切だと思っていまして、がん登録をやっておられる先生方に二、三伺ったことがあるんですが、中皮腫を診て、がん登録をしたときに、こういう救済制度があるとご存じですかと伺うと、余りはっきりしたお返事が返ってこなかった先生が多いです。ですから、せっかく中皮腫を見つけてがん登録をしてくださったんだけど、その患者さんにこういう制度がありますよという一声かけていただければ、あるいはここに相談したらどうですかということを治療の一環として言っていただければ、大分中皮腫登録のギャップがなくなってくるのではないかということで、今村先生にもお願いしたいし、呼吸器学会の先生にもお願いしたいと思います。中皮腫にはこういう救済制度があります、こういう制度があって患者さんにお知らせくださいと一言言っていただければ、またどこに相談すればいいかということは、それぞれの病院でやっていただけるのではないかというふうに考えていますので、ぜひそれは臨床医の先生にお願いしたいと思います。
 それからもう一つは、肺がんにばく露経歴を考えたらどうかというので、先ほどから議論で、少し混同されているところもあると思います。はっきりしたものであれば労災にできるからという議論が多いと思うんですが、今問題にしているのは、救済制度の対象者で、肺がんになった方に対してばく露歴を認定条件に加味したらどうかということなので、必ずしも客観的に証明できたら労災になると、労災にできるという方だけではないと思うんです。ですから、第三者機関、労基署でなくても、何かそういうところで客観的に確かにばく露されていたことが証明できたとしても、今の認定条件にばく露歴の条件がないものですから、結局ほかの石綿小体の数とかを満たしていなければ、せっかくばく露歴があるのに認定されないということが今問題になっているのではないかと私は思います。今、岸本先生がおっしゃったように、非常に難しいことだとは思いますけれども、ばく露がない方も、あるいは証明できない方もいらっしゃるだろう、だけど、その条件をつけておけば、もしそれが公的にも証明されたときには、その条件も認定条件の一つと考えるというような制度があってもいいのではないかなというふうに思いました。
 それからもう一つは、少し健康管理のほうに行ってもよろしいでしょうか。

○浅野委員長 どうぞ。

○内山委員 今、試行調査を、環境省がいろんなところでやってくださっています。これは従来のリスク調査の対象地域には既に入っていただいて、それプラスいろんなところも入ってくださっているのですが、これを将来、全国的なものにする、あるいは恒久的なものにするためには、もっともっと対象地域の参加をふやしていただいて、なるべく多くのところから意見をいただければ、今やっている試行調査のシステム自体のメリット、デメリット、あるいは早期の発見につながるとか、そういう検討が可能となってくると思いますので、ぜひ参加する地域をふやしていっていただいて、評価をしっかりしていただきたいと。それを将来的な健康管理のシステムにつなげていただければというふうに考えています。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 それでは、大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 3点ほどございますが、一つはがん登録と中皮腫登録との関係で、中皮腫登録と今まで言ってきた言葉は、がん登録とはニュアンスが若干違っていて、医学的所見をデータベース化したものを中皮腫登録というふうに言ってきたので、資料2だとフォローアップ体制の構築のところが、がん登録と同じようなものをつくるということと関係してくると思います。ちょっと言葉の問題が、フリクションというか、混乱をひき起こす可能性があるので、事務局にぜひ整理していただきたいところでございますけれども、患者さんのほうから見た登録の制度が大事になってくると思いますし、先生方がおっしゃっていただいたのもそちらの話だと思いますが、それをぜひ充実したものにしていただけるとありがたいと思います。
 それから二つ目ですけれども、健康管理に関して、今、内山先生からもお話がありましたけれども、一般環境経由の健康管理に関しても、健康診断等について充実させていただく必要があるかと思いますけれども、自治体でもそういうことはなさっていると思いますが、国でもぜひ支援をしていただけるとありがたいと思います。
 それから三つ目ですが、先ほど根本委員からお話がございましたが、もし制度を何か追加するのであれば、ぜひ、先ほど私が申し上げたようなことも考慮していただくことも必要になってくるかと思いますので、その点を追加して申し上げます。

○浅野委員長 それでは田村委員、どうぞ。

○田村委員 まず一つですけれども、びまん性胸膜肥厚を指標とする考え方ということでまとめていただいているんですが、確かにびまん性胸膜肥厚と肺がんの合併ということで、岸本先生は労災病院のほうで症例も多いと思うので、また調査をしていただければいいと思いますけれども、びまん性胸膜肥厚のそういう観点としては、びまん性胸膜肥厚がありますと、呼吸機能にかなり影響するとか、障害があるということがあって、肺がんを合併した場合、治療するに当たって手術がなかなかできにくいとか、放射線治療、あるいは抗がん剤治療をするに当たっても、そういった肺機能の低下があるとまたしにくいということがありますので、そういった治療を行う上での不利益といいますか、そういった観点からもまた考えていただければいいかなというふうに思います。
 それから、今回、いろいろ保健指導のことも書いていただいていて、私も奈良県で試行調査の委員とかをしていますけれども、やはり保健師さんのほうでも、あまりプラークについての認識についてもよくわかっておられない方もおりますし、保健師さんに読んでいただくような資料というものもなかなかないので、保健指導のいろいろ研修をしていただくことは非常にいいことだなというふうに思っています。
 それから、これは気づいた点なんですけれども、認定につきまして迅速にするということが当然必要になると思うんですけれども、もちろん認定については、いろいろ必要事項についてなかなかそれを減らすことが難しいと思うので、もちろん認定にすることは必要なんですけれども、書類ですね、僕も書類を書いたことがありますけれども、これは患者さん、あるいはご家族が書く分、診断した医師の書く分というのがあると思うんです。患者さんご家族も、非常に病気の治療とかでお忙しい中で書かれるので、書類を書くに当たって配慮といいますか、そういった迅速にできるような配慮も必要だと思いますし、医師の方も日ごろ日常の診療の忙しい中で書類を出されるので、何かフォーマットにしてパソコンで入力できるようにするとか、もちろん事項については認定に必要な事項がありますので減らせないと思うんですけれども、迅速にできるような方策も考えていただければいいかなというふうに思います。
 それから、これは救済ということで、肺がんについてもいろいろ救済ということで、ここに書いてあります広範囲のプラークを指標とすることになって、かなり救済された方もふえていると思うんです。先ほど話も出ていますような、職業的な従事歴とかについても、なかなか判断が難しいものもあると思いますけれども、やはり職業によって、また石綿ばく露に関した職業によってはばく露歴の多いものもあるとか、いろいろまたその辺は資料もあると思いますし、今すぐというのはなかなか難しいかもわかりませんけど、そういった従事歴を指標とする考えについても含めていけるように検討していただければいいかなというふうに思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 古川委員、どうぞ。

○古川委員 先ほど、根本委員のご発言にあったように、費用負担のことです。制度の運用において、この費用負担は非常に大切だと私も思っております。だからこそ、なおさら、このアスベストにかかわって、アスベストの利便性を享受してきた企業、民間の事業主、国、地方公共団体全てが負担しなければいけないと思っております。中でも事業主は、輸入、流通、製造、販売、使用、全てにおいて事業主は負担しなければいけないと思っております。そうした中で、きっと今回の委員会で、私たちが求めているように、遺族に対する給付も行えるようになるのではないかと思います。
 それともう1点、確かに肺がんとたばこの関係性は強いと思いますけれども、石綿にかかわっていた方、あるいは知らない間に石綿を吸ってしまった方が、その関係性を知らないでたばこを吸ってしまった、それによって、相乗効果によって発がん性が高まったというのは、とても悲劇です。だからせめて、ほかの例えば石綿肺、びまん性胸膜肥厚でしたらばく露要件を考慮しております。だからせめて肺がんの方も、ばく露要件を入れてほしいと思います。
 それと最後に、先日、尼崎市長が環境省に要請を出しました。委員の先生方にはお配りされておりますけれども、今回のように公開されているこういった委員会の場において、傍聴されている方たちに知らされていないということは不公平だと思いますので、私が昨日付で、尼崎市健康福祉局疾病対策担当課長補佐、波多伸一郎様より、環境省石綿健康被害対策室、山崎様宛てに送られたメールをご紹介させていただきます。
 いつもお世話になっております。尼崎市保健所疾病対策担当の波多でございます。早速でございますが、6月17日に本市が要望を行いました国への緊急要望について、中央環境審議会石綿健康被害救済小委員会で資料として配付していただきますよう、よろしくお願いいたします。石綿による健康被害が全国的に見ても多い本市として、特に健康被害を受けた方の経済的負担の軽減については、非常に重要な課題であると認識しております。今回のような自治体の意見があるということを小委員会の場で知っていただきたいと考えておりますことから、よろしくお願いいたします。以上です。
 こういったメールが昨日送られてきたということをご紹介しておきます。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 それでは、先ほどのがん登録に関して、幾つかご意見が出ていますが、事務局としてお答えがございましたら、どうぞ。

○高城石綿健康被害対策室長 石綿室長でございます。さまざまなご意見をまことにありがとうございます。
 ご指摘のようにがん登録と中皮腫登録、それから前回、中皮腫の患者さんをフォローするというような、それについても中皮腫登録とされていて、ちょっと言葉がわかりづらくて申しわけございません。
 もう一度整理させていただきますと、環境省でやっております中皮腫登録、今村委員からご紹介がございましたように、まず救済制度において診断をされた方の例えばレントゲンの所見ですとか病理の所見ですとか、ばく露の状況ですとか、そういった診断までの情報をデータベース化しておりまして、いわゆる現場のドクターに、例えば診断のときの参考にしてもらおうという趣旨で、ホームページに載せているというような状況でございます。
 一方、がん登録というのは中皮腫に限らず、全てのがんについて、がんと診断された場合には医療機関から国に情報を提供するというような法律がありまして、それが今年の1月から施行されているという状況と承知しております。
 その中では、どこかの制度の入る、入らないにかかわらず、がんに罹患したと診断された時点で登録されるということになっているので、より幅広いカバー率になっているかというふうに思います。
 ご指摘のように、こちらのほうでやっております中皮腫登録につきましては、引き続き情報内容の充実、さらに便利にするにはどういう情報が必要なのかというところは検討していく必要があるかなと思っておりますけれども、一方で、全国的にやられておりますがん登録において、中皮腫の情報がどうなっているのかと、どういうものが見られて、どういう分析が可能なのかというところは、これから事務方のほうでよくよく考えて、情報提供していくことができるか検討していきたいと思っております。
 また、中皮腫登録といいましたけれども、第2回のときに長松准教授がプレゼンテーションをされておりましたけれども、あれはまさに中皮腫の患者さんを罹患されたときにつかまえて、そこを人的に個別に支援するというフォローアップの体制だと思っております。これにつきましては、今回、その他の論点の一番最後のところに書かせていただいておりますので、そういう3種類のものがあるというふうに承知しております。
 以上でございます。

○浅野委員長 今、がん登録制度があって、そこで中皮腫という形で情報が登録されるというのは、これは救済制度に乗るかどうかとは別問題ですね。この間の長松さんの話は、そこを手がかりにして迅速に救済につながるようにする方法はあるだろうし、さらにまた患者さんに対して多くの方々がさまざまなケアをするということができてくるのではないかと、そういう話でした。だからただ単に、今の救済制度の中の登録というのとは全く違う次元の話をされていると思うし、今日出ている意見もそれに近い意見が多いようです。だからもう一回その辺を抜本的に考え直せというのが今日のご意見だと思うし、内山先生も同じような趣旨で発言しておられるようです。だからそこは、今あるものがどうだこうだということには余りこだわらずに考えろというのが今日の意見ではなかったかというふうに思っています。
 それから、水俣病の救済のときに、随分全国的にものすごくPRをして、締め切りまでに何とか名乗りを上げてくださいとさんざんやりました。だからあれができたのだったら、こちらのほうも同じようなことをやろうと思えば、できないことはないと思うのです。それにしても、今日、いろいろヒントになるお話がさまざまありまして、本当に現場の関係者が病態その他についての情報を十分持っていないので、そこはかなりのネックになっているらしいというのがよくわかってきましたから、この辺をもう一遍考えなきゃいけないという話は大事な話ですね。
 今村委員、どうぞ。

○今村委員 ありがとうございます。今、事務局のほうからもがん登録のお話がございましたけれども、改めて、皆さんご存じだと思いますけれども、がん登録は最初に疾病を診断したときの登録だけではなくて、治療法であるとか、予後のところまでフォローしていると。したがって、診断がついた後にどの程度の予後があるかというと、先ほどから中皮腫は予後が悪くてというようなお話がありますが、そういったデータ、それからどういう治療がその方に行われたかというようなさまざまな情報ががん登録のほうにはございますので、今後の患者さんたちのいわゆる治療法等についても、さまざまな知見が得られるという意味で、先ほどの幅広いというのは、単に対象の人数ということだけではなくて、もっと情報量が多いので、そこと上手く連携したほうがいいという意味合いも含めて申し上げています。
 もう一つは、先ほど内山先生から、医師が診断した時点で、こういう制度があるよということを一言というか、まさしく私もそのとおりだと思って、医師会の会員に対する啓発ということを申し上げているのですが、先ほどからお話があったように、臨床現場は非常に忙しいと。私も呼吸器の知っている先生に電話して、どんなふうになっていますかと聞いたら、いやいや、それは僕らも言いたいんだけど、ケースワーカーから話が行っているのがすごく多いんだよねというお話で、病院には恐らくケースワーカーさんがいらっしゃって、そういうケースワーカーの集団というのが多分あって、そういうところに改めてこういう制度の啓発をして、例えばドクターだと労災か救済制度があるよねぐらいのことがわかっていても、その中身のことなんかはなかなか説明できないんですよね。だからケースワーカーみたいな方たちにこの啓発をするということを、環境省としてその団体にやっていただくといいんじゃないかなというのが一つ。
 もう一つは、前回、聖路加の看護師さんが来られてヒアリングをさせていただいたわけですけれども、ここに、そういう専門知識に関する研修を行うべきではないかと、書いてある保健指導の。これは看護協会みたいな団体に対して、今、認定看護師みたいなことをいろいろ、各疾病について、看護協会はやっておられるんですけれども、我々は医師会としてここに呼んでいただいているわけですけれども、看護協会みたいな団体に働きかけて研修を行うと。そうすると、看護師さんは非常に真面目なので、勉強したいという人たちがたくさん来られて、そういう方にもこういうことを知っていただくきっかけになるのではないかなと思っていますので、ご検討いただければと思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 根本委員、どうぞ。

○根本委員 私の発言に絡んでお二方からご意見がありましたので、確認だけさせていただきたいと思っております。
 大塚委員から、現状の制度に追加するということでご発言があったように聞こえたのですが、私としては、現在の制度は救済制度であり、もし大塚委員が主張されるような補償制度を作るのであれば、制度の根幹にかかわる話になりますので、全く別の検討が必要になるのではないかということを申し上げたということを、まず1点、確認をさせていただきたいと思います。
 それから、古川委員のご発言から、企業の輸入から使用に至るまでのところの責任論にふれられたというふうに私には聞こえましたけれども、今回の救済制度においては、そういった責任論の体系は一切とられていないということを確認させていただきたいと思います。資料第2の1ページにある、平成23年答申からの抜粋の下から3行目以降に書かれているとおり、国が民事の損害賠償とは別の行政的な救済措置を講ずることとしたものであり、原因者と被害者の個別的因果関係を問わず、社会全体で石綿による健康被害の経済的負担の軽減を図るべく制度化されたものであるというのが今回の制度であると思っておりまして、私の冒頭の発言は、この社会全体でという部分が崩れそうになっているので、そこについての検討が必要ではないかということを申し上げたということを繰り返させていただければと思います。
 以上でございます。

○浅野委員長 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 それはもちろんそういうふうに理解していますが、私が申し上げたかったのは、最初に国が一時金を払って、自治体は何年まで払うということが決まっていて、あとは産業界に払っていただくということは決まっていたので、新しく自治体に何か払っていただくとか国が払うということにするのであれば、制度の改変のときですので全体的に見直しをしていただきたいという趣旨ですので、そこは意見が違いますけど、私はそういう趣旨で申しました。

○浅野委員長 どうぞ、根本委員。

○根本委員 国等については、予算の範囲内において機構に対して資金を出せるということが法律上規定されておりまして、国や自治体はもう支払わなくていいということになっているわけではございませんので、そこは大塚委員の認識をぜひ改めていただければと思います。

○浅野委員長 大塚委員、何かありますか。

○大塚委員 事務局に何か、もしお話ししていただければありがたいです。

○浅野委員長 では後で。
 古川委員、どうぞ。

○古川委員 私の説明が少し悪かったかもわかりませんけど、私は今ご指摘があったように、まさに1ページ目の下から3行目に該当しているように、「原因者と被害者の個別的因果関係を問わず、社会全体で石綿による健康被害者の経済的負担の軽減を図るべく制度化されたものである」ということにのっとって、そういう提案をさせていただいております。それは誤解だと思います。

○浅野委員長 ほかにご意見はございますか。太田委員、どうぞ。

○太田委員 私、立場上、行政の人間でもあります。先ほどのがん登録の話については、私のほうも直接やっておりますので。国も、今のがん登録制度でどこまでができて、今後どこまでの、例えばナショナルデータベースとか、いろんな、今はICT化の動きもありますので、今の状態がどうで、どこまでできて、今後どこまでの可能性があるかということは、はっきりお示しいただければと思います。
 それから、戻りますけれども、健康管理に関する講習会については、本当に大変好評でした。内容についても。ただ、大阪でも全国から集まられましたけれども、やはり興味のあるところとそうでないところと、なかなか温度差がありますので、ぜひこれについては、ご意見があったように少し広げていただきたい。内容についてもなるべく専門的な知識が身につくように、これはぜひ行政としてもお願いしたいところです。

○浅野委員長 確かに一部の自治体では一生懸命やっておられるけれども、そうじゃない自治体があるということは、患者さんの立場にしてみればものすごく不公平ですね。ですから、そこをちゃんと調整するのが国の役割ではないかというふうに思いますから、せっかくいい試みが行われていて、それが評価を受けているというのであれば、極力それを全部に広げるということをやらなきゃいけないので、検討の中にそういう指摘をしっかり入れておかなきゃいけないと思います。事務局でさらに検討してください。
 それから、自治体からの要望については、自治体からヒアリングをする機会がなかったというのは、当小委員会としても多少気になっている点があります。ですから、アンケート調査の形でいいですから、全てにアンケート調査をするのは大変かもしれませんけれども、特に患者さんが多いということがわかっている地域については、特にこの際ご意見があれば伺うということはしておいていただきたい。そういうデータも一緒にここに出していただくということは、ぜひしていただきたいと思います。
 ほかに何かございますか。古川委員、どうぞ。

○古川委員 先ほどからの肺がんとたばこの話になりますけれども、大阪市西成区にお住まいであった女性が肺がんになっております。彼女の手術した肺からは3,000本以上の石綿小体が出ました。もちろん認定になりません。繊維計測、前回も岸本先生からおっしゃっていただきましたけど、その方も随分繊維計測に時間がかかりまして、やっと出たら、また本数が足りないということで不認定になりました。
 しかし、問題はここからなんです。その内容です。石綿繊維の内容が、クロシドライトが18%、アモサイト25%、クリソタイル54%、約半数が青石綿、茶石綿なんです。これが普通の生活をしている人の肺の中に入る本数ですかということを訴えたいんです。その方は工場直近に住んでおられました。だから、ばく露歴を肺がんの認定の要件にぜひ入れてほしいという根拠がこれです。ということを今日はお伝えしたかったのです。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 ほかにご意見、ご発言はございますか。大塚委員から何か。

○大塚委員 事務局からお答えいただけますか。

○浅野委員長 何か答えよというご発言がありましたね。

○高城石綿健康被害対策室長 現状、費用負担に関して法の規定がどうなっているのかというところのご紹介までとなりますけれども、現在、石綿の健康被害の救済に関する法律の費用負担につきましては、法の第35条のところに、全ての労災保険適用事業主に一般拠出金を納付する義務が課されているというような状況でございます。さらに加えて、特別事業主においても特別拠出金を納付するということが課されているというようなのが法の第47条の関係でございます。
 一方、国、地方公共団体というところにつきましては、法の第32条におきまして、予算の範囲内において、それぞれ資金を交付、拠出することができるということで、義務とはなっていないというのが現状でございます。

○浅野委員長 というわけで、できるという規定があるわけですから、もう出しませんとは書いてないだろうというのが根本委員のご指摘なんですよね。

○大塚委員 そこは、私は国や自治体は資金を交付できるとしても義務ではないと思っていますので、私の認識が違っているとかという言い方はやめてください。

○浅野委員長 そこは、2人の意見がそんなに違うとは思わないんですけれども、今の点に関しては同じことをお互いに言っておられるような気がしますが。

○根本委員 確認させていただきたかったのは、要するに、国や自治体は一度資金を出したら終わりということは書かれていないということです。先ほどの大塚委員のご発言は、国や自治体が一時的に資金を拠出して終わりという制度になっていたと私には聞き取れてしまったので、先ほどのような発言をさせていただきました。誤解であれば取り消させていただきます。

○浅野委員長 多分そういうつもりでの発言ではなかったと思うんですけれども、そこは誤解のようです。
 ほかにございますか。それでは内山委員、どうぞ。

○内山委員 前回の見直しのときにも申し上げた記憶があるんですが、今、いろいろな問題点として、フォローアップをしていくための制度づくりですとか、それからコミュニケーション方法とか、いろいろ課題が出ていますけれども、これを継続してやっていくのには継続的な予算が必要です。今、公健法のほうでは、運用の利子でソフト3事業というのを多分やっておられると思います。調査研究ですとか、それからコミュニケーション等、積極的にやっておられるんですが、この救済制度に関しては、そういうものに使っていいということが書いていないので、やったらどうですかと私が何回提案しても、事務局や環境省からもできませんと言われてしまうんですが、利子であれば、今、非常に利息が下がってしまっているので大したことはできないと言われるかもしれませんが、基金が500億円くらいあれば、今の0.01%であっても5,000万円くらいは利息がつくはずなので、そういうものを有効に、何かそういう調査研究事業、あるいはコミュニケーションの活性化ですとか、例えば長松さんが提案しておられるようなことを、パイロット事業として、研究的なこととしてやって、それが全国的に広げられるかどうかとか、そういうものに使っていただければいいなというふうに常々思っています。ただ、これは救済制度でそういうことを利子であっても使っていいということが書いてないとだめだということですので、そこら辺は何かぜひ工夫をしていただけないかなと思っています。

○浅野委員長 今我々がやっているのは、この制度について、5年たったのでどうすればいいかということについての、ある種の点検作業をやっているわけです。それが法改正につながる話になるのか、それとも運用の話になるのか、別途予算措置を講じるという話になるのか、いろいろ出てくる出口の選択肢というものがあるわけです。今の法律に書いてないことは何も言えないのだったら、こんな検討委員会を開いてやる意味もないわけなので、こういう点は問題ですねと、直ちに改めることができることは改めましょうと。それから、直ちにでない場合にも、それこそ私は根本委員がおっしゃるように、根本的に制度を改めるためにはもっとちゃんとした検討の場が必要だとおっしゃったのはそのとおりだと思います。ですから、それはそういう場をつくるべきだということを述べるということもあるだろうし、いろいろあるだろうと思っております。
 第1回目に私も申し上げましたが、余り先入観なしに議論はしたいし、長期的に考えなきゃいけないことは長期的に考えなきゃいけないこととして、しっかり意見を述べるのがこの委員会の責任だと申し上げたことは、今でも考えは変わっておりません。ただ、すぐできるかどうかということは、これはまた別問題ですから、それは大塚委員もわかった上で発言しておられるのですけれども、すぐできることでどこまでできるかということは、最大限の我々としては提案して、また環境省に考えていただくということになるだろうと、そんなふうに考えております。
 それでは、そのほかにさらにご意見はございますか。今日もしまだご意見を出しそびれたということがありましたら。田村委員どうぞ。

○田村委員 すみません、今の件ですけれども、健康管理ということで、兵庫県とかは健康管理手帳の取り組みをされているということなんですけれども、これまで行ってこられた各地の健康リスク調査の中で、どことは言いませんけれども、胸膜プラークの発生範囲が大体これぐらい、1キロとかいう範囲で、わりかしきれいにデータが出ているところもあるので、そういったことも参考にして、健康管理手帳の発行とかそういった面もまた考えていただければいいかなというふうに思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。具体的にそういうものを制度化していくとしたときはどうすればいいのかというのは、また考えなきゃいけないことがあるかもしれません。今のご意見も参考になるかと思います。
 ほかにございますか。よろしゅうございましょうか。
 それでは、ご意見出し漏れということがありましたら、1週間以内に何らかの方法で、できれば電子媒体で事務局宛てにお送りいただければ、それも参考にしながら、今後の取りまとめの作業をさらに進めていくということにしたいと思います。
 今後のスケジュールその他について、事務局からありましたらどうぞお願いいたします。

○課長補佐 ありがとうございます。次回の小委員会の日程につきましては、現在調整中でございますので、決まりましたら追ってご連絡いたします。
 また、本日の議事録につきましては、事務局で原案を作成し、委員の皆さんにご確認いただいた後、環境省のホームページに掲載する予定でございます。よろしくお願いいたします。それまでの間は、本小委員会の運営方針に基づきまして、会議の音声を環境省のホームページに掲載する予定でございます。
 それでは、以上で第3回石綿健康被害救済小委員会を終了したいと思います、どうもありがとうございました。

○浅野委員長 それではどうもありがとうございました。本日はこれで終わります。

午後2時37分 閉会

ページ先頭へ