産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会制度構築ワーキンググループ 中央環境審議会環境保健部会水銀に関する水俣条約対応検討小委員会 合同会合(第3回)議事録

日時

平成26年10月10日(金)12:30~14:30

場所

霞山会館 霞山の間

議事次第

  1. 1.開会
  2. 2.議事
    1. (1)前回までの合同会合における主な指摘事項及び各ヒアリング対象団体からの回答について
    2. (2)中央環境審議会の他部会における検討状況について
    3. (3)水俣条約を踏まえた今後の水銀対策に関する論点(案)について
    4. (4)その他
  3. 3.閉会

配付資料一覧

  1. 資料1   委員名簿
  2. 資料2   前回までの委員会における主なご指摘事項等について
  3. 資料3   各ヒアリング対象団体からの回答について
  4. 資料4-1 中央環境審議会大気・騒音振動部会水銀大気排出対策小委員会の状況について(報告)
  5. 資料4-2 中央環境審議会循環型社会部会水銀廃棄物適正処理検討専門委員会の状況について(報告)
  6. 資料5   水俣条約を踏まえた今後の水銀対策に関する論点(案)

議事録

午後 0時30分 開会

○森下環境保健部環境安全課長 それでは、定刻になりましたので会議を始めさせていただきます。

 私、環境省環境保健部環境安全課長の森下と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 中央環境審議会及び産業構造審議会ともに定足数を満たしておりますので、ただいまから産業構造審議会、製造産業分科会、化学物質政策小委員会、制度構築ワーキンググループ及び中央環境審議会、環境保健部会、水銀に関する水俣条約対応検討小委員会の第3回の会合を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、ご多忙の中、お昼の時間にもかかわらずご出席をいただきましてありがとうございます。

 本日、ご欠席の委員は、水銀に関する水俣条約対応検討小委員会の吉田委員、細見委員、鈴木委員の3名と伺っています。また、有田委員は遅れて間もなく到着と伺っております。

 本日は平成26年10月10日でございますが、ちょうど1年前の10月10日、熊本におきまして水銀に関する水俣条約が全会一致で採択をされた、そういう記念の日でもございます。その際には安倍総理が、水俣病の重要な教訓を踏まえまして、世界から水銀の被害をなくすために先頭に立って力を尽くす責任が日本にはあるという力強いメッセージを寄せておられます。その節目であります本日、どうぞ活発なご議論をよろしくお願いいたしたいと考えております。

 それでは、早速ですけれども、資料の確認を行いたいと思います。

 議事次第に記載がありますように、資料1から5、それから参考資料をご用意しております。委員の皆様方のみ、水銀に関する水俣条約の原文と仮訳を机の上に配付をしております。資料に不備がありましたら、事務局までお知らせください。

 前回同様、この会合の後には簡単な議事の概要及び詳細な発言を記録した議事録を作成し、公表することとさせていただきます。その案については、追って事務局より委員の皆様にご確認をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 プレスの方のカメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 本日の合同会合は、水銀に関する水俣条約対応検討小委員会の大塚委員長に進行役を務めていただくことになっておりますので、大塚委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○大塚委員長 お忙しいところ、どうもご参集いただきまして誠にありがとうございます。

 本日のメインの議題は、論点について議論いただくことです。この合同会合がカバーする範囲は広うございまして、論点もかなり盛りだくさんですので、できるだけ、そこに時間を割いて、しっかりした議論をしていただけるよう進行していきたいと思っております。委員の皆様におかれましても、ご協力いただければ幸いです。

 では、本日の一つ目の議題である、前回までの合同会合における指摘事項及び前回のヒアリング団体からの回答について、審議をお願いしたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○増田企画課課長補佐 ありがとうございます。手短にご説明させていただきますけれども、資料2をまずご覧ください。前回及び前々回におきまして、委員の先生方からご指摘をいただいた事項等につきまして、各条約の条文ごと、また、その他という形でそれぞれまとめさせていただいておりまして、対応といたしまして参考資料と資料の中のどこにその内容が書いてあるかというところをまとめさせていただいておりますので、ご覧いただければと思います。

 続きまして、資料3に参りまして、こちらは前回の各団体とのヒアリングの際にご質問いただいた内容で回答漏れであった内容、また、その後に追加でいただいた質問に関しまして、左の欄にご質問という形でまとめさせていただいております。右の欄には、それぞれの回答を記載しておりますので、こちらもご覧いただければと思います。

 手短ではありますけれども、以上になります。

○大塚委員長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして、ご意見、ご質問がございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。

                        (なし)

○大塚委員長 では、特にないようですので、本日の二つ目の議題である中央環境審議会のほかの部会における検討状況について、事務局から説明をお願いいたします。

○永田水大気局総務課課長補佐 水・大気環境局の永田でございます。それでは、大気・騒音振動部会、水銀大気排出対策小委員会の状況について、資料の4-1に基づきましてご報告を申し上げます。

 まず、これまでの開催状況としては今までに6回開催してございまして、9月26日には答申案をご審議いただいたところでございます。答申案につきましては別添2としておつけしてございますが、大部でございますのでポイントをかいつまんでご説明申し上げます。具体的な中身につきましては資料の別添2の5ページからになりますが、十分な担保措置規定を伴う新たな規制制度を設ける必要があるということを指摘していただいてございます。

 具体的な規制手法としましては水銀を排出する施設の排出口における水銀濃度を規制するということで、規制基準については条約に定めます利用可能な最良の技術に適合するものとして、経済的・技術的考慮を払いつつ実態を調査して今後検討ということでございます。

 既存施設につきましても、7ページ目でございますが、新規施設と同一の仕組みで基本的に措置するということとした上で、具体的な水準については技術的制約等もございますでしょうから、既存施設としてのBATに適合する値として今後検討することとしてございます。

 また、排出規制の対象施設の選定の基本的考え方ということで8ページ目でございますけれども、こちらについては、条約に掲げる5施設を基本的には対象とするのは当然とした上で、水俣条約に掲げられていないものの、我が国においては排出量の多い施設につきましては、その規制対象とするか自主的取組を厳しく求めるかということで、A案、B案、両案でご審議いただいたところでございます。

 また、9ページ目の事業者、国民による自主的な排出抑制取組の責務というところでございます。事業者に対しては当然のことながら自主的な排出抑制の取組を求めるということとした上で、国民に対しましても、水銀添加製品の適切な廃棄ですとか水銀含有量の少ない製品の購入等の排出抑制のための努力を求めるということは必要であろうということをご指摘いただいてございます。また、特に、この点につきましては、適切な廃棄も水銀含有量の少ない製品を選択するという点につきましても、ともに製品の表示ということをするかどうかという点が関係するということで、こちらでご審議いただくであろう表示の義務づけといった論点につきましても、しっかり連携して検討していきたいということを指摘させていただいてございます。

 次に、目標、インベントリーのところでございますが、10ページ目でございます。基本的には、先進国の責任として排出量をできる限り抑制していくということが大事であるということで、インベントリーを活用した排出量の定量的な把握、評価を定期的に行っていくということとしてございます。また、インベントリーにつきましても、その策定というのが国に対して求められてございますので、その維持のため、排出状況の広範なデータを実効的に収集できるような仕組みを設けていくということでございます。

 「なお」でございますけれども、PRTR制度との関連ということも若干ご指摘いただいてございまして、基本的には、裾切り等の要件が違うということでございますけれども、可能な範囲でPRTR制度も活用しつつ、別途の情報収集をこちらでもしていくことが必要であろうということとしてございます。

 最後に、国と地方公共団体の責務について書かせていただいてございます。

 こちらの答申案につきましては、次回の第7回小委員会において、再度ご検討いただいた上で取りまとめをいただきまして、パブリックコメントを実施していく予定でございます。

 以上でございます。

○大塚委員長 廃リ部は、いかがでしょうか。

○鈴木廃リ部産廃課課長補佐 続きまして、資料の4-2をご覧ください。私、廃棄物リサイクル対策部の産業廃棄物課の鈴木と申します。循環型社会部会水銀廃棄物適正処理検討専門委員会の状況について、ご報告させていただきます。

 1枚目、開催状況としましては、これまで4回開催し、一昨日の10月8日に、この専門委員会の報告書案をご審議いただきましたので、今日は、その内容について、時間も限られていますので、ごく簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。

 2枚おめくりいただいたところから別添2ということで、一昨日にご審議いただいた報告書の案をお示ししています。

 おめくりいただいたところに目次がありますけれども、このような章立てにしておりまして、簡単に内容をご紹介させていただきます。

 さらに、おめくりいただきまして5ページのところに、我が国が目指すべき方向性というものがあります。水俣条約を踏まえまして、バーゼル条約などのガイドラインを考慮して水銀廃棄物を環境上適正な方法で管理するものとするというのが、目指すべき方向性としてまず挙げています。

 水銀廃棄物というのは、この前のページにあります2.1のところで条約上定義されています。こちらの専門委員会では、水銀廃棄物を廃棄物として処分するときに、廃棄物処理法のもとで適正な管理が確保されるように、あり方を検討したものでございます。廃棄物処理法の対象外となるものがある場合につきましても、条約を踏まえまして、環境上適正な管理は確保されるということが必要だと考えているところでございます。

 このページの一番下のところに本部会との関連が深い事項としまして、条約10条に基づく廃棄物でない水銀及び水銀化合物の暫定的保管につきましては、廃棄物か否かにかかわらず環境上適正な保管が確保されるように、すき間のない制度設計を検討することが必要であるとさせていただきました。

 続いて、6ページ以降の水銀廃棄物等の状況については飛ばしまして、13ページ、4.のところから環境上適正な処理のあり方について方針をまとめています。

 4.1が廃金属水銀等ということで、金属水銀そのものや、その化合物自体が廃棄物になったときのことを、どのように処理していくかを整理したものです。まずは、廃金属水銀については、廃棄物処理法において特別な管理が求められる特別管理産業廃棄物に指定したいと考えているところです。

 (2)や(3)で、その収集運搬方法、保管方法ということで考えていますが、特別管理産業廃棄物に一般に求められている基準に加えまして、例えば、感染性廃棄物やPCBなどに求められているような容器に入れることや、保管方法も、かつ高温にさらされないような方法を上乗せしたいと考えているところです。

 また、15ページが処分の方法ですが、現在得られている知見に基づきまして、水銀を安定化させる技術としまして水銀を99.9%以上に精製した上で黒色硫化水銀にしてポリマー化することで固型化することと、遮断型処分場あるいは管理型処分場の要件に見合うようにして処分していくということを基本的な方向として示させていただきました。

 続いて、めくっていただいた18ページから、4.2の水銀汚染物の処理です。水銀または水銀化合物を含んでいるような汚泥やばい塵などの処理について、考え方を整理いたしました。冒頭にありますが、水銀含有産業廃棄物というものとして指定して、マニフェスト等への記載を義務づけることによりまして適切な処理を確保するということを考えています。また、それによりまして先ほど報告がありました大気排出を抑制していくことにも資すると考えているところでございます。また、一部、高濃度のものにつきまして、今は水銀回収をされているところですが、インセンティブの低下により水銀回収がされなくなったときでも適切に管理するという観点から、水銀回収を義務づけることが適当ではないかと整理をしています。

 続いて、19ページ以降が水銀添加廃製品の処理でございます。一つ目が一般廃棄物の水銀添加廃製品ですが、こちらは既存の市町村等による分別回収がございますし、またメーカーによる自主回収もありますが、環境上適正な管理をより確保するため、市町村による水銀回収などを一層促進する必要があると考えているところです。また、関係機関の協力を得たスキームについても検討したいと考えています。

 (1)の一番下のところでは、このような水銀を使用している製品であることをわかりやすくするために、製品に関する情報提供を促進するための措置が必要であるということで、こちらの委員会での審議事項に関連が深いところを言及させていただいています。

 (2)から産業廃棄物について整理しています。2パラにありますが、汚染物と同じように、水銀含有産業廃棄物として指定したいと考えていまして、それに基づき適切な処理を確保するということを考えています。

 続いて、めくっていただいたところですが、産業廃棄物につきましても、ユーザーが水銀を使用している製品であることを認識できるように、適切な製品に関する情報提供を促進するための措置が必要であるとしています。また、次の段落以降にあるような適切な処理を促すための処理基準も必要だと考えています。例えば、水銀の処理設備がないような安定型処分場へ水銀が付着したまま埋立処分することは禁止することを考えているところでございます。

 次の21ページ、5でその他の必要な対策等を整理しました。特に5.2で製品の表示など上流側で講ずべき対策についてということで、こちらの委員会と関連でご審議いただいている、水銀使用製品のリスト化でありますとか水銀が使用されていることの製品への表示など、輸入品も含めた上流側での取組が必要ということで、製造、輸入、販売事業者等の取組を促進する方策を検討するべきであるということを、廃棄物の適正な処理という観点からも整理をさせていただきました。

 最後の22ページに今後の課題を整理しました。先ほどご紹介したような金属水銀の安定化技術でありますとか、処分した後の長期的な管理のあり方、また体制等を含めて引き続き検討が必要であるということで、検討事項をこのように整理しています。

 冒頭の紙に戻っていただきますと、裏面にスケジュールがありますが、第4回専門委員会で議論した中間取りまとめが、今、ご紹介したものですけれども、いただいたご意見を踏まえて必要な修正を行ったものを循環型社会部会で報告をし、承認いただいたものでパブリックコメントを実施したいと考えているところでございます。

 以上です。

○大塚委員長 ありがとうございました。では、ただ今のご説明につきまして、ご意見、ご質問がありましたら、お願いいたします。札を立てていただければ、ありがたく思います。よろしいでしょうか。

○菅野委員 4-1でもよろしいですか。

○大塚委員長 はい。

○菅野委員 理解不足で申し訳ありませんが、ここに出てくる自主規制というところ、これは、こういう国際的なものの中での自主規制というのは、外国とのやりとりの面では、どの程度、結果的に、有効性というのですかね、が担保されるのか、あるいは、ある程度、コンセンサスが得られたところでは、最低限のところは法制化しないと外国との間の正式な調整が難しくなるのではないか、そこら辺の兼ね合いがわからないものですからお伺いします。

○永田水大気局総務課課長補佐 国内で自主的に規制をするといった場合に、規制ではない自主的な取組も含まれると思いますけれども、条約に基づいて、海外に対してそれと同等のものを求めることは、難しいかとは思いますけれども、日本が、我が国として先進的な取組を行っているということを締約国会議の中で説明をいたしまして、今後の対策として同等のものが必要だというような主張をしていくことは可能なのではないかと考えます。

○大塚委員長 よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。では、三つ目の議題に移りたいと思います。、一つ目の議題のところでお伺いしておくべきだったかもしれませんが、及川委員が13時40分をめどで退席されるので、ここで何かご意見とか、あるいは質問とかをおっしゃっていただければと思います。及川委員お願いします。

○及川委員 資料の4-2を拝見させていただきました。この中で、全体的な今までの水俣条約を踏まえた今後の水銀廃棄物の対策ということが書いてございます。中小企業の事業者から見た場合、水銀の国際条約ということと、その水準と、それを上回る基準についての対応を含めて今後考えていかなければいけないことがあるのかと思っております。これにつきましては、今後、資料5の今後の論点について、また私どもの中小企業側の意見を言わせていただきたいと思っています。

 以上です。

○大塚委員長 途中でお帰りになるので、もし、資料の5についても何かご意見がありましたら。よろしいですか。

 それでは、本日の三つ目の議題である水俣条約を踏まえた今後の水銀対策についての論点(案)につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○上田環境安全課課長補佐 それでは、事務局、環境安全課の上田よりご説明いたします。資料は、資料の5、それから分厚い参考資料というのがございますので、この二つで説明をさせていただきます。

 この参考資料の位置づけですが、これは、ある意味、資料5の背景資料ということで、資料5のあちこちで引用しているという形になっております。最初に条約で求められていることと現在の状況がどうなっているかということの全体像をさらっとご説明をさせていただきたいと思いますので、参考資料の1ページをまずお開きいただければと思います。

 参考資料1の0.2というのがありますが、水銀に関する水俣条約の主な内容と我が国における水銀対策の現状というのがございます。ここで条約の条文ごとに、どういう状況になるかというのを簡単に整理しておりますので、これをさらっと、まずはじめに全体像としてご説明してから資料5の説明に入らせていただきます。

 まず、0.2の左側で第3条、水銀の供給源及び貿易に関するものでございますが、一つ目の枠の中で水銀の一次採掘の関係でございます。現在、日本国内では一次採掘は行われていない、実態がないという状況でありますが、これを禁止する国内法令はないという状況であります。

 次に、次の枠に入りまして、今度は水銀の輸出入の関係でありますが、水銀は日本国内では需要を上回って、その分、70tほど輸出がされているという状況でございまして、これに関しては何らかの規制措置なりが必要だということで、これは後ほど資料5でご説明いたします。

 2ページに参りまして、水銀添加製品、第4条でございます。これも、附属書Aの水銀添加製品に関しては、これを禁止する国内法令がないということで、ここも何らかの措置が必要だということで、後ほど、また出てまいります。

 次に水銀等を使用する製造プロセス、5条でございますが、クロロアルカリ製造あるいはアセトアルデヒド製造等につきまして、これは、基本的には国内ではこれらのプロセスにおいて水銀使用は現在では実態がないということでございますが、水質汚濁防止法に基づく排出規制はございますが使用を禁止するという法令はございませんので、そこは何らか必要かもしれないということでございます。

 次が第7条、ASGM、零細小規模金採掘、すみません、説明が何も書いておりませんが、これにつきましては日本国内では実態がないということでございますけれども、ASGMにおける水銀使用の削減をする、担保するという法律はございません。

 次に、第8条、大気への排出でございますが、これにつきましては、先ほど大気部会の関係のご報告がございましたが、基本的には大気汚染防止法の関係で何らかの対応を考えるということで、別途検討中ということでございます。

 次が、第9条、土壌・水への放出でございますが、これは基本的には水質汚濁防止法において大体担保済みということでございまして、今回、検討はあまりしないということになっております。

 次が第10条、水銀の適正な暫定的保管でございます。これにつきましては、水濁法ないし毒劇法、毒物及び劇物取締法で一定の規制がございますが、条約の求める措置を完全に担保はしていないということで何らかが必要だと、後ほど、これも資料5で出てまいります。

 次に、水銀廃棄物、第11条の関係でございますが、廃棄物処理法の廃棄物については同法に基づく管理がなされているということでございますが、三つ目のポツで、国内法、廃掃法と水俣条約上の廃棄物の定義が異なるという可能性がありますので、ここにつきましては論点が生じる可能性もございます。また、後ほど資料5にも出てまいります。

 次に、汚染されたサイト、場所でございますが、これにつきましては、基本的には土対法ないし水濁法で基本的には担保されているということでございます。

 それから、第20条、実施計画、これは義務規定ではございませんが、締約国はそれぞれ国別の実施計画を定めることができるとなっておりまして、ここにつきましては、義務ではございませんが何らか定めたほうがよいのではないかということで、後ほど資料5で紹介をさせていただきます。

 それでは、資料5に移らせていただきまして、資料5、水俣条約を踏まえた今後の水銀対策に関する論点(案)でございます。

 まず、目次で構成を紹介しておりますが、2.から8.までが今、申し上げたようなところの対応でございます。1.で全体のキャップになるような基本的考え方を整理しておりまして、最後に9.で雑則・罰則という法律にする場合の枠組みを書いております。

 おめくりいただきまして、2ページ、1.基本的な考え方でございます。1-1.検討の前提及び方向性でございます。

 まず、一つ目のマルでございますが、我が国では、水俣病の教訓を踏まえ、製造工程の無水銀化、あるいは条約の水銀を超えるような水銀削減・代替技術による市場が形成されてきたという結果、水銀需要は大幅に減少してきていると。また、高水準の水銀リサイクルが行われ、供給が需要を上回って年70t前後の水銀が輸出をされていると。

 二つ目のマルで、こうした中、我が国の今後の水銀対策はいかにあるべきか。また、取り組みを効果的・効率的に推進するための対策の組み合わせはいかにあるべきかと。その際、ステークホルダーがそれぞれ担うべき役割は何かと。

 三つ目のマルで、水俣病の教訓に鑑み、先頭に立って力を尽くす責任がある我が国が以下のような状況を踏まえて取り組むべき課題は何か。一つ目の黒ポツで、UNEPのレポートで水銀暴露の特に高いイヌイット族等で健康影響の可能性が示され、また将来的には地球規模での水銀濃度の増加が予測されていること。二つ目のポツで、海産物を多食する日本国民にも、将来的に水銀リスクが高まる可能性があること。三つ目のポツで、水銀条約は国際議論の中で最小限の合意がとれた内容であり、追加的な措置をとることは妨げられていないこと。

 四つ目のマルでございますが、我が国の水銀低減技術、あるいは水銀リサイクルシステム等の先進的な技術が正当に評価される仕掛けが市場での意識を高めるとともに、国際的な水銀対策を加速させるのではないかということでございます。

 次に、1ページ飛ばしまして4ページでございます。4ページ、2.水銀の供給及び貿易でございます。

 これは条約の3条の関係でございますけれども、まず3条は、実は、水銀及び水銀化合物の定義を3条の中だけで置いておりますので、そこを少し説明させていただきます。3条での水銀及び水銀化合物の定義は、そのすぐ下の条約の規定のところにございますが、一つ目の黒ポツで、水銀につきましては濃度が95%以上と規定されております。二つ目のポツで、水銀化合物につきましては、ここに挙げている六つの水銀化合物に限って規定をされているということでございます。三つ目の黒ポツで適用除外というのがございまして、(a)でございますが、実験室規模の研究のためのものは、これは基本的には適用としないということが書かれております。ちなみに、3条のこれらの定義につきましては、後ほど出てまいります10条、暫定的保管のところも同じ定義が引用されております。

 2-1.水銀の一次採掘でございますが、これはさっきもご説明しましたとおりですが、国内では一次採掘の実態はないということでございますが、法的には規制されていないので、何らかの法的措置が必要ではないかという論点でございます。

 次が、下に参りまして2-2.水銀等の輸出入の関係で(1)基本的考え方でございます。一つ目の白マル、我が国には先頭に立って力を尽くす責任があるということで、我が国から輸出される水銀が輸出先において公害を引き起こすことだけは、避けるべきではないかということでございます。

 5ページに移ります。5ページの一つ目の白マル、他方、我が国は高効率の水銀リサイクルシステムを有し、一次採掘に頼らない水銀であるので、この輸出を全面禁止するということは、かえって新たな水銀の一次採掘の増加を招くおそれがあるのではないかと。

 三つ目のマル、したがって、我が国からの輸出については「原則禁止」とし、条約上許可された用途等を目的とする輸出であって、その最終用途等を確実に確認できる場合に限って許可としてはどうかと。また、輸出後にも事後の報告を求めることで、しっかり適正性を確認すべきではないかということでございます。

 6ページに参りまして、今の水銀輸出の関係で1点だけ、資料5の6ページでございますが、上から二つ目の黒ポツがございます。ここにUNIDOの例を挙げておりまして、これの本物は参考資料にありますので、後ほど、お時間のあるときにご覧いただきたいのですが、UNIDOのレポートによりますと、例えば、ドイツ等からの輸出された水銀が再輸出され、それが例えばASGMなどに使われた可能性があるとか、あるいは歯科用とラベルされていた輸出水銀が実際はASGMに使われていたといったような例などが紹介されております。

 次に、6ページの(2)でございます。輸出入の規制の対象物質でございます。

一つ目の白マル、条約上の規制対象となるのは金属水銀、濃度95%以上であり、これについては法的措置が必要ではないかと。

 二つ目のマルで、6種の水銀化合物についての考え方でございます。これは、論点としては二とおりの考え方をご紹介し、これをもとに議論いただきたいと考えております。Aでございますが、水銀化合物については、条約上は輸出入が規制されていないが、欧米の規制状況あるいは水銀への還元の容易性等を踏まえて対象とすることを検討すべきではないかと。

 これにつきまして簡単に関連資料をご説明いたしますが、6ページの上の(2)の四角囲いのすぐ上に「参考」というのがございまして、欧米の輸出入禁止後の輸出入の実態というのがございます。これの本物は参考資料にございますので、後ほど、ご覧いただければと思いますが、米国では2013年1月から金属水銀だけを輸出禁止しております。その後に水銀化合物の輸出が増加をしております。それから、次のポツですが、欧州では、水銀及び水銀化合物の輸出禁止を2012年3月からしており、その禁止後に輸出は一旦減っておりますが、その後、再度増加しているという状況でございます。

 次に、論点に戻りましてBでございますが、水銀化合物について、我が国においてはリサイクルされた水銀が活用できることから、輸入の大幅な増加は見込まれないと。輸出が想定されるのは主に特定のリサイクル事業者として、野村興産に限定されるということから、今後、条約3条13に基づく締約国会議(COP)における検討の結果を踏まえて、取り扱いを検討すべきではないかと。

 すみません、ここは説明が舌足らずですが、条約3条の13というのがございまして、そこで、これら6種の水銀化合物については、当面は条約の輸出入の規制の対象としないけれども、今後のCOPにおいて、それを対象とするかどうか再度検討するということが規定されておりますので、そのことを言っております。

 それから、7ページに参りまして、先ほど1点、ご紹介し忘れましたが、7ページの参考というのが上にございますが、欧米における輸出規制と輸出入の実態ということで、二つ目のポツのところをご紹介しますが、米国の調査において、これら6種の水銀化合物が金属水銀に容易に還元され得ると結論づけられております。したがって、こういった六つの水銀化合物を介して諸外国に金属水銀の輸出がなされても、水銀化合物を介して輸出される可能性が示唆されたということでございます。

 7ページの(3)の輸出規制の対象用途・対象国でございますが、一つ目のマルで、ASGMについては、条約上、これは輸出が認められるという用途の位置づけになっておりますが、一つ目の黒ポツで、条約上、ASGMにおける水銀使用は基本的には廃絶の方向が指向されているということ。二つ目の黒ポツで、ASGMはグローバルには最大の水銀大気排出源であり、約4割を占めているということ。それから、三つ目の黒ポツで、ASGMは周辺環境への汚染あるいは健康影響のおそれがあるということから、これを目的とする輸出は禁止すべきではないかというのが一つ目のマルでございます。

 二つ目のマルは非締約国への輸出の扱いでございまして、ここは二とおりの考え方をもとに検討しております。まず、Aでございますが、一旦、非締約国に出されると、第三国への再輸出で例えばASGM等に転用されるという可能性もあることから、全面禁止とすべきではないかと。ただし、仮に全面禁止としない場合においては、締約国、非締約国にかかわらず最終用途等を確実に確認できるのであれば、それは例外的に認めることも検討すべきかということでございます。

 次にBでございますが、条約上は、非締約国に輸出する場合には、締約国と同等の措置を講ずるということを示す証明書を発行することが求められているということでございますので、条約上許可された用途にのみ用いることが確保されているということで、条約の規定に沿った規制とすることが適当ではないかと。なお、全面禁止とすると、条約発効当初は締結を目指しながら締結には至っていないという国が存在し得るため、本来認めるべき輸出が禁止されるということがあり得ることに留意すべきではないかということでございます。

 次、9ページ、3.に参りまして4条の関係、水銀添加製品でございます。

 3-1.基本的な考え方。一つ目のマル、附属書Aの水銀添加製品の製造、輸出入に関しては、現在、法的には禁止されていないことから、何らかの措置が必要ではないかと。その際、水銀使用を削減していくという条約の趣旨に鑑み、先頭に立って力を尽くす我が国として最も効果的・効率的な対策の組み合わせはいかにあるべきかと。

 二つ目のマルで、公正な競争環境を整えるという観点から、製造、輸出、輸入に関しては同じ規制水準とすべきではないか。

 三つ目の白マル、条約上で対象から除外されている代替製品がない用途につきましては、国内でも代替ができないというものに限って対象外とすべきではないかと。

 四つ目のマル、我が国の先進的な水銀低減技術を世界に普及することが重要だということでございますが、そういった海外展開にどのように取り組むべきかと。

 五つ目のマルで、条約発効後も流通する水銀製品については、4条の6の規定による未知の用途の水銀製品の流通の抑制ということへの対応、あるいは廃棄段階での適正な分別・処理の確保等を念頭に、流通実態を把握するための手法を検討すべきではないかと。例として、先ほどの循環部会の検討状況にも出てまいりました製品表示ですとか、あるいは製造輸出入量の実績報告などといったものが挙げられるかと考えております。

 次に、3-2.条約附属書A第Ⅰ部に掲載されている製品ということで、これは11ページに附属書Aが載っておりますが、附属書Aのパート1というのは、例えば、電池、スイッチ、あるいはランプ類といったようなものでございますが、これらについて、まず、9ページに戻りまして、一つ目のマルでございますけれども、先進的な技術を有する我が国の対策について、要するに、条約以上の規制の深掘り、前出しをどう考えるかというところでございますが、ここはA、B、二つの考え方で整理をしております。

 Aで、まず技術開発の動向あるいは対応の可能性等を踏まえて、含有量基準の深掘り、あるいは達成基準の前倒しといったものを個別に検討すべきではないかと。

 Bで、製造業者、輸出入業者は、条約における規定を念頭に取組を計画的に進めてきていることから、条約に即した規定が適当ではないかと。こういった対応については、産業界の自主的な取組とすべきではないかと。

 それから、もう一つのマルで、Aの考え方に基づいて対策を検討する場合には、いろいろ考慮すべきことがあるのではないかということで列挙をしております。

 次のページに参りまして、一つ目の黒ポツ、追加的対策の理由、効果等の十分な説明が必要。それから、二つ目の黒ポツで、ステークホルダーは製品の使用者、国民を含む方々に影響が生じ得ると。それから、三つ目の黒ポツ、日本だけが深掘りに踏み込んでも、海外には有水銀市場が存在するので、我が国の製造業者は当該市場の中では競争力を失うと。四つ目の黒ポツで、通商ルールに照らして問題ないかと。例えば、WTOあるいはTBT協定などとの関係は問題ないかという論点でございます。

 次の白マルに参りまして、製品の輸入時における水銀含有量の確認はどのように行われるべきかと。

 最後の白マルで、条約4条の5で、いわゆる組み込み製品というものでございますが、許可されていない水銀製品が組み立てられた製品に組み込まれることを防止する措置をとるという規定がございますが、これは現状法的には措置は存在しないということでございますが、どのような手法が考えられるかと。下の米印で、なお、実務面においては、こういった組み込み製品につきましてはEU・RoHS規制でも規制をされているので、対応ができる可能性があるということでございます。

 それから、1点、記載漏れがございましたが、実は、日本国内でもこういった組み込みというか部品規制を行っている事例がございます。それはアスベストでございまして、アスベスト含有製品につきましては、日本国内でも構成部品の規制を行っているというのがございます。それは参考資料の82ページに紹介がございますので、後ほど、またご覧いただければと存じます。

 次に、12ページでございます。

 12ページ、3-3、附属書Aパート2に掲載されている製品、これは歯科アマルガム用のものでございますけれども、これにつきましては条約上求められる措置は既にとられているということで、これは後ほど8.に出てまいります実施計画に位置づけるということでよろしいのではないかと。

 同じく12ページ、3-4.上記以外の製品でございますが、上記対策の後も国内で流通するものについては、条約4条の6によって未知の用途の製品の流通の抑制が求められるということ、それから廃棄段階での適正な分別・処理を確保すべきということを踏まえて、製品ごとにどのような取り扱いをすべきかを検討すべきではないかと。例えば、製品パッケージへの表示、あるいは事後の実績報告ということでございます。

 それから、最後、3-5.その他でございますが、製造輸出入の禁止措置等が機能していることを確認するために、規制導入後に試買調査を行うということではどうかと。

 次、13ページでございます。4.水銀使用製造工程でございます。

 附属書Bの製造工程は、これらは、いずれも日本国内では使用実態がございませんし、将来的にも可能性が低いということでございますが、将来にわたってこれを担保するというための何らかの法的措置が必要ではないかということでございます。

 次、14ページに参りまして、5.ASGMでございます。

 我が国においてはASGMの実態はございませんし、今後も可能性は低いと考えられますけれども、将来にわたって担保するための法的措置は必要かという論点でございます。

 次、15ページ、6.暫定的保管、10条の関係でございます。

 6-1.基本的考え方。条約発効により水銀の需要が先細りし、水銀が将来的には廃棄物に移行する可能性があるということも考慮すれば、条約の第10条、つまり有価物、第11条、つまり廃棄物との間ですき間のない制度とし、廃棄物への移行を把握できる制度とすることが必要ではないか。また、一旦、廃棄物となった水銀については、これは廃棄物処理法によって取り扱うことが適当ではないかと、つまり新法の対象から除外することが適当ではないかということでございます。

 下に参りまして6-2.担保措置の検討でございます。一つ目のマル、条約における暫定的保管の指針については今後のCOPで採択をされるということから、それまでの間につきましては国が管理指針を公表し、環境上適正な取り扱いを定めるということとしてはどうかと。それから、条約上は実は運搬というものについては規定がないということでございますが、バーゼル条約に基づく指針を考慮して水俣条約の指針を定めるということが規定されておりますので、これは指針の対象とすべきではないかと。

 すみません。ここも舌足らずでしたが、実は、バーゼル条約の指針では運搬も指針の中に含まれております。これにつきましては、参考資料でいいますと100ページから、毒劇法と、それからバーゼル条約と、そういったものの指針の比較表が載せてございますが、そこをご覧いただきますと、バーゼル条約では運搬も指針の対象になっているということが見てとっていただけるかと思います。水俣条約上は、バーゼル条約の指針を考慮して指針を定めるとなっておりますので、そういう意味で運搬は入れておいてもいいのではないかという論点でございます。

 それから、次の白マルでございます。すみません。資料5に戻りまして、次の15ページの一番下の白マルでございますが、すき間のない制度とするために、あるいは保管等の実施状況を適切に把握、指導、監督できるようにするために、一定量以上の水銀を保管する事業者に対して、年1回、その状況の届け出を求めるということとしてはどうかと。届け出の内容ですが、年間収支の内訳を含むと。特に、廃棄物への移行量、その年、どれだけ廃棄物に移行したかということを含めて届け出ていただくということではどうかということでございます。

 次、16ページに参りまして、米印でございますが、先ほど「一定量以上の届け出」と申し上げた一定量ですけれども、条約上は実験室規模のものが適用除外されているということで、何らかのすそ切りを設けることが適切ではないかと。また、指針の少量の保管者への適用については、どのように考えるべきかと。

 この一定量、すそ切りというのは幾つかというところですが、16ページの下から二つ目の参考のところにございますが、二つ黒ポツがございますけれども、30kgというのを、とりあえず今のところの事務局の目安としておりますが、30kgで仮に切りますと我が国の水銀保管量のほぼ全量、大体99%ぐらいですが、把握可能であると見ております。なお、二つ目の黒ポツですけれども、消防法でも30kg以上は届け出義務がございますので、あまり大きな負担にはならないかなと考えているところでございます。

 次は17ページ、7.、11条の関係でございます。

 7-1.基本的考え方。水銀廃棄物に対応する措置については循環部会で検討されているところであるが、この会合において留意すべき事項があるかと。

 米印でございますが、なお、条約に定められた水銀廃棄物のうち、廃棄物処理法の対象外となるものがある場合、環境上適正な管理を検討するとされていることから、今後、追加的な論点が生じる可能性があるということでございます。かなり持って回った言い方になっておりますが、これは、具体的には、そのすぐ下の条約の規定のところの定義の一つ目でございますけれども、条約の11条の1にこのように書いておりまして、「バーゼル条約の関連する定義は水俣条約の対象となる廃棄物について適用する」と。つまり、廃棄物の定義については、基本的にはバーゼル条約の関連する定義を引用するということが規定されております。

 それから、水銀廃棄物について求められる措置については、その下の17ページの下から三つ目ですか、(a)というのがございますが、バーゼル条約に基づいて作成された指針を考慮して、締約国会議が採択する要件に従って環境上適正な方法で管理すること、というのが求められることになってまいります。

 19ページでございます。8.実施計画その他でございます。これは20条の関係でございますが、これは義務規定ではございませんが、できる規定ではございますが、やはり我が国における対策の全体像、あるいは将来的な包括的に示すものとしてつくってはいかがかと考えております。

 一つ目の白マルでございますけれども、今、申し上げたとおりですが、全体像あるいは将来像を包括的に示すものとして、①関係者の責務、あるいは②ほかの法令で担保するもの、あるいは③条約の努力規定とされているものといったものを示してはどうかと。

 二つ目の白マルで、これは、先ほどご説明しましたことの再掲でございますので、我が国の海外展開をどのように進めるべきかということでございます。

 それから、※1でございますが、各主体の役割分担については以下のようではいかがかと。まず、国民については生活に伴う水銀の削減、あるいは適正な分別、廃棄、産業界につきましては産業活動に伴う水銀の低減、代替、あるいは製品等に関する情報提供、行政につきましては普及啓発、国際協力、あるいは研究開発ということでございます。

 最後に10ページ、雑則、罰則でございますが、上記のこれらの個別の対策ごとに必要な雑則、罰則等を検討する、実効性を確保するための規定を検討するということで書いております。

 以上でございます。

○大塚委員長 ありがとうございました。

 本件につきましては多くの論点がございますので、二つのパートに分けて議論していきたいと思っております。前半は、1、基本的な考え方から3、水銀添加製品までといたしまして、後半は4、製造工程以後、最後のところまでと分けたいと思います。

 では、まず前半部分の3、水銀添加製品までの部分につきまして、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。札を立てていただきますと、ありがたく存じます。

 及川委員、どうぞ。

○及川委員 ありがとうございます。すみません。中座いたしますので、失礼をお許しください。

 全体的に、日本が先頭に立ってということで高い志を持っているというのは大変賛成なのですが、具体的に、中小企業の実態を十分見て、「先頭に立っていく」という言葉と実効性あるものにしていく必要があるのではないかと思っています。

 5ページ目の水銀の輸出入のところですけれども、事後報告を求めること、あるいは9ページ以降の条約4条に関する基本的考え方、製品の表示の問題、そして輸出入の実績報告というような新しい負担というのも伴うと思っております。

 とりわけ、9ページの3-2ですけれども、Bにありますように、今回の条約の規定に則した規制にしていくとあります。現在、中小企業を含めて産業界の自主的な取組というのを大変一生懸命やっておりますので、ぜひその実態を見ていただきたいと思っております。

 最後に、特に私ども中小企業が危惧するのは、10ページにあります組み込みということでございます。自国についての製造、輸出、輸入というのがありますけれども、製品に組み込まれているようないろいろな物質、部品、部材料、関係がございます。この点についても、実態を踏まえた対応が必要だと考えております。

 以上です。

○大塚委員長 ありがとうございます。

 ほかには、いかがでしょうか。武林委員、お願いします。

○武林委員 1-1について、前提になるところでありますので、少し確認をさせていただきたいと思いますが、ここの中に過去の水俣の非常に重要な教訓をということ、それは、もう非常に賛成をするところでありますが、健康影響をどう考えるかということについては、当然、水俣のような大きな公害、これは被害ということについて何も異論があるわけではありません。大事にすべきだと思いますが、最終的に広い環境の汚染といいますか、ポピュレーションへの暴露があったときに、それをリスクとして捉えリーズナブルにリスクを十分に低減するという意図からすると、もう少しリスクとハザードを書き分けるようなことを考慮しても良いのではないかと思います。

 それから、今後の議論の前提、今、踏み込みということもありましたが、これはリスクを小さくするためなのか、ハザード、ゼロリスクを目指すものなのかということが、もう少し明確であったほうがいいのではないかという気がいたします。例えば、ここに書いてあるところでも、UNEPのレポートのところでも「イヌイットでの健康影響」と簡単に書いてありますが、非常に、ある限定された年齢層、集団でありますし、その次の「日本国民にも将来的に水銀リスクが高まる可能性がある」というのは、これは何を指して議論をしているのかというのが非常に漠然としている。やはり、ある程度明確にすべきところではないかと思います。

 少なくとも、今までわかっている範囲では、胎児への影響は非常に明確であって、日本でも、それに合った形で厚生労働省から食に関するマネジメントは出ているわけでありますが、例えば、これが成人での認知機能の低下ということは、まだコントラバーシャルであり、むしろネガティブという研究もいっぱい出ているわけでありますので、これを広く書いてしまうのか、もう少し今のサイエンティフィックにわかっていることに根差して議論するかによって、かなり、この後の議論、特に、世界に対しての貢献とは別に日本国内でどうするかという議論に関しては、大事な論点になるのではないかと思いますので。この前提の中に表れてきますような、あるいは資料の中に出てきますような健康影響について、大きな問題、公害被害というものと、リスクの範囲でありコントラバーシャルな健康影響も含めて量との関係をどう考えるかということが大事な点については、少し気をつけて資料の中も書き分けていただけるといいのではないかと思います。

○大塚委員長 ありがとうございました。

 東海先生、お願いします。

○東海委員 1-1の検討の前提と方向性のところで、何点か確認させていただきたいと思います。基本的には賛同する内容ではございますけれども、1点目のところの日本がこのことに対して、いかに貢献していくかという観点で、この水俣条約というのは、今まで管理されていなかったフローあるいはストックを、より管理されたものに変えていくと、そういうところにいかなる対応策が考えられるかということが、より上位の議論としてあるのではないかと思っております。

 そういたしますと、日本国内で先んじて、ある種のハードルを高めるような目標を設定するということが、かえって世界全体としては、それに追いついていけない国を増やしていくということにつながらないかどうかということは若干危惧するところでございます。したがいまして、これは、日本が水銀の管理されていなかったフロー、ストックを、より管理されたフロー、ストックに変えてきた技術開発の経緯ですとか、そういうものを、むしろ、もっと広くまず最初にアピールすることによって、世界全体における水銀のフロー、ストックの適正化ということに貢献し得るのかなと、そういうふうな考えを持ちました。このことは1.1の四つ目のところで既に言及されているところではありますけれども、最初の三つの考えと四つ目の考え方を、どうバランスさせた形でそれ以降の議論をまとめていくかということが一つ大事なことではないかと感じました。

 以上です。

○大塚委員長 ありがとうございます。

 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 ありがとうございます。今回の仕組みづくりは、日本は水俣病を経験して、できるだけ減らそうという努力が続いてきましたけれども、世界的に見ればまだまだ使用量が多いということで進めているわけです。こういう状況に鑑みて、しっかりと世界で、できるだけ、まずはしっかり管理してリスクを低減していくけれども、最終的には、できるだけ減らしていこうという方向性に持っていきましょうと。それも、多くの技術的な先進事例を活用しながら、みんなが納得し合いながらつくっていきましょうという、非常に新しい視点でのライフサイクル全体に関わるような仕組みを世界でとっていこうという、非常に先進的な動きだと私は考えております。ですから、できるだけ、今、日本が使用量を減らしてきているという、こういう状況を踏まえて、しっかりと強く発信していくという本来の最初の基本的な考え方というのは非常に重要なところだと思っています。

 今、私が個別の意見で思っているのは、5ページの最後の辺りの水銀の輸出入に関してのところですけれども、先ほど輸出後のところまできちんと報告を出すということは、やはり厳しいのではないかというご意見もありました。けれど発言させていただきたいのですが、やはり輸入もできるだけ減らしていこうというときに、輸出だけは日本からのリサイクルの成果ではありますが、あるので輸出しましょうというのは少し状況がアンバランスですので、ここで原則禁止という形にするということが大事だと思うのです。

 ただ、やっぱりリサイクルしているものがあるので、それを出せば天然資源採掘は減ります。そのときに、相手は国できちんと、それを適正な形で使っているかというところまで私たちが責任を持つというのは、多くの人が今、関心を持っているところです。トレーサビリティーをしっかり確保していくというところがないと原則禁止の原則をつけるというところがきちんと担保できないと思っています。ですから、ここはトレーサビリティーをしっかりさせ、輸出するだけではなくて、どう使ったかというところまでチェックするというのが大事だと思っております。

 その後ですけれども、私が今、一番関心を持っているのは9ページの水銀添加製品のところです。水銀添加製品に関しては、先ほどの廃棄物のところのお話とか大気環境のところのお話でも、消費者がもっともっと製品に対する関心を高めて、購入する、選択する行動、あるいは使用する、分別排出、廃棄で、しっかりと責任をとりましょうという意見が大変強く、いろんな方からお話が出ています。私も、消費者、市民が、そういうことに関心を持って参加していくというのは大変重要だと思っておりますが、今の状況だと、どういうところに水銀が入っているのかというのが分からない。入っていないという表示はあるのですが入っているという表示がないというのが現実だと思いますので、やはり、きちんと、そこの表示をしていただくというような仕組みを今回明確にするのが大変重要だと思っております。

 その次のページの10ページのところですけれども、そういう意味で、製品だけではなく組み込み製品の問題が出ていますが、やはり組み込み製品が、そういうものがどこに入っているのかが私たちにとってわからないというのが非常に問題ですので、こういう組み込み製品の場合も、きちんと入っているということを表示するとか、そういうものを輸入するというときに書類をきちんと提出するとか、そういうきちんと把握できるような状況を担保するというところを徹底していただきたいと思っております。

 まず、これだけ発言させていただきます。

○大塚委員長 ありがとうございます。組み込み製品のところは、実際に税関のところでチェックできるかということが問題になりますけれども、EUですと、某国のおもちゃとかの中にボタン電池が入っているかどうか、何が使われているかに関して割って調べているということでして、そういうこともやっている国はあるということでございます。

 では、高岡委員。

○高岡委員 ありがとうございます。私も、崎田委員の先ほど述べられたご意見の初めの部分と同じようなところ、つまり、トレーサビリティーのところで少し質問させていただきます。

 具体的には、例えば、7ページのところで非締約国への輸出というところで、最終用途や最終使用者を確実に確認できる場合、あるいは最終使用者が確実に確認できるのであれば例外的に輸出を認めるということも検討すべきかと書かれておりますが、その前の6ページの上のところで、ご説明にもありましたが、いわゆる、もともと用途としては歯科用と出されていたにもかかわらずASGMに使われていたというようなことも現実にはあるようです。このあたりの実効性のあるアイデアの具体的なものがありましたら、教えていただきたいと思います。

 以上です。

○大塚委員長 では、菅野委員、お願いします。

○菅野委員 5ページの輸出入のところが一番気になっておりまして、崎田委員のお話とかなりダブるのですが、それを繰り返すのをやめさせていただいて、違う視点から申したいのは、日本がイニシアチブというときには、あるいは東海先生のお話もあるのですが、日本の国内が汚れるとか汚くなるとかということは、もうあり得なくて、ある意味、国内はでき上がっているわけですよね。その場合、音頭をとるべきだと首相がおっしゃった中には、ついてこられないような国が出ては困るという立場で、開発途上国もケアしたような行動をとらなければいけないということが含まれると思うのです。そこで、輸出入がテーマとして挙がってくるように見えるのです。

 この計画の中で、2020年までというタイムラインも含めて、これは先進国にとっての猶予でもあるのでしょうけれども、国際的に見ると全世界的に軌道に乗せるための猶予でもあるように思われるので、ここの特に輸出入のところ、日本は輸出国になるわけですが、それとの関係でのタイムラインがわかるような記載に、あるいは計画にしていただけると非常にいいのではないかと思います。これですと、静止したスナップショットで、このまま2020年まで行こうとしているようにも見えますので、そこを漸減するのか、原則禁止が最後は何年ぐらいに本当の禁止になるのかとか、もう、皆さん、考えておられるのは存じ上げているのですが、そこが見えたほうが国際的にも強いインパクトがあるのではないかと思います。

 以上です。

○大塚委員長 重要なご指摘だと思います。

 貴田委員、お願いします。

○貴田委員 やはり輸出入のところに関係してなんですけど、まず5ページのところですが、括弧内の二つ目になりますか、リサイクル由来の水銀の輸出を全面禁止することは、国際的に見れば、かえって新たな水銀の一次採掘の増加を招くおそれがあるのではないかということに対して、現状、世界の今の採掘が2,000t弱ぐらいあるのですけど、そのほとんどが今、中国になっていて、中国は、この5年ぐらい、ずっと増加しているという事実があることを踏まえると、これは、今後、輸出を禁止しようがしまいが、中国がどうなるかということにかなり関わってくるのではないかなと思っています。したがって、輸出に関してはアメリカもEUも、もちろんEUは域内以外の輸出を禁止するということではあるのですが、やはり原則禁止ということは必要であると思っています。

 それから、菅野委員からもご指摘されたところでもありますが、今後、どうしていくのかという観点で言えば、極端に言えば、EU、アメリカのことを考えると早急に禁止はしてもいいのではないかと感じております。ただ、そういう世界的な情勢も含めて、この輸出が最終的にはトレーサビリティーというか、ASGMによって、そういう暴露、これは水銀蒸気の暴露ということではありますが、それは、やっぱり即なくすべきだろうと思う。ただ、ASGMに使用している国々というのは、経済的な理由で禁止をしてもらいたくないと思っているわけですから、やはり、それを助長するようなことにもなりかねないのではないかという気持ちがあります。ということで、トレーサビリティーに関しては、最終的に本当にトレーサブルなのだろうかという観点からいえば、それはやむを得ない措置かもしれないのですけれども、原則禁止を強く意識しながら制度設計はやっていただきたいと思います。

○大塚委員長 ありがとうございました。

 高村委員、お願いします。

○高村委員 ありがとうございます。幾つか意見を述べさせていただきたいと思うのですけれども、まずはじめに、基本的な議論のベースとなる考え方ということについて何人かの委員からご指摘があったと思うのですが、議論の中で、特に水俣条約を採択する際の首相のコメントがあったと思うのですが、その中でいろいろおっしゃっていますけれども、グローバルなマーキュリーミニマムの環境をつくるのだと、それにリーダーシップをとるという発言をされていて、この考え方は、やはり、ここの議論の基礎にせざるを得ないのではないかと思います。これは、崎田委員がおっしゃった、全体として、できるところからリスクはできるだけ減らしていくとおっしゃった、まさにその考え方だと思うのですけれども。

 その上で、今、申し上げたのは原則の話ですけれども、基本的に代替が可能なものは代替をしていくということが基本的な考え方としては必要ではないかと。つまり、やめられるのであれば、やめたほうがいいと。しかし、これまでのヒアリングでもありましたように、やっぱり技術的に代替ができない、あるいは場合によっては非常に経済的コストがかかるものがあると。これは個別の事情としては非常によくわかるので、それをきちんと精査をしていくということが必要ではないかと思っております。

 同時に、当然、代替ができるものであっても制約が技術的であったり経済的であったりするわけで、それは技術あるいは経済状況の変化で変わっていくので、その取組自身を定期的に見直していくと。これは、もともと水銀条約の中の基本的な見直し規定、あるいは個別の製品や工程の規制についても、そういう規定が入っておりますけれども、国内でもそのことが必要ではないかと思っています。これが、まず基本的な考え方の点で1点であります。

 その上で、個別の点について四つでしょうか。一つは、金属水銀の貿易の点でありますけれども、自分の専門に引きつけて条約の規定ぶりを見たときに、3条の6項でありますが、これは基本的に原則禁止の規定ぶりだと理解をいたします。ただし、こういう条件を満たした場合には貿易、輸出入が可能であるという、そういう規定ぶりをしていると理解をしています。

 その上で、やはり一つ気になるのが非締約国との関係で、非締約国に関しては例外を認める規定ぶりが、当然、締約国に対するものよりも厳しい規定になっていて、特に、例えば、非締約国に対する輸出に関して言うと、お手元に多分あると思いますが、非締約国から得る証明の内容というのが、この文言ぶりでいくと人間の健康と環境の保護をインシュアして、しかも10条、11条の規定の順守をインシュアすると。インシュアするというのは、そういう事態がきちんと生じているように確保する義務だと少なくとも私は理解しますけれども、これはかなり厳しい証明を非締約国に対して求めないといけないし、逆に、輸出をする側に日本が立ったときには、そうなっているかということの確認をしなきゃいけないというチェックの作業が入るということかと思います。

 さらに、3条の6のBのⅱですが、この規定ぶりは、やはり実際に輸出された後の水銀が、どういう用途で使われていたかということが示されるような証明じゃないといけないということだと思うので、そういう意味では、何が申し上げたいかというと、非締約国に関してはかなり厳しい、例外的な輸出に関しても厳しい規制を入れるということが条約の担保上必要だと強調しておきたいと思います。

 もちろん、ほかの委員からありましたように、途上国になる可能性がある場合には、当然、環境リスクの問題があると思いますし、同時に、特に日本の、リスクと言っちゃいけないかもしれませんが、日本の輸出した水銀が何か問題を起こしたということになると、これは、恐らく国内外にとっての、日本にとっての政策リスク、政治リスクを引き起こす可能性があるという観点からは、特に、非締約国への金属水銀の輸出については厳格な対応が必要ではないかと思います。

 それから、次は水銀化合物の輸出入の点ですけれども、これ、多分、A案とB案があるのですが、A案とB案、ひょっとしたら中庸を申し上げるかもしれませんけれども、輸出と輸入について分けてもいいのではないかと思っていて。書きぶりは一応分けてくださっているのですが、特に輸入の場合、例えば、途上国できちんと処理ができない、適正な処理ができないものを日本で輸入をするという可能性というのはあり得ると思っていまして。他方で、輸出ということに関して見ると、やはり水銀化合物を輸出するという意味では、日本で使う用途がない、しかし国外に用途があるから輸出をする、あるいは日本では経済的に見合わないけれども国外で見合うから輸出をするということだとすると、金属水銀と同じような用途で結果的には使われる、あるいは廃棄物としてということかもしれません、どちらかだと思いますけれども、そういう意味では、輸出に関しては、できるだけ金属水銀と同じような扱いというものを検討する必要があるのではないかと思います。

 ただし、これは、当然、水銀化合物も広くありますので、ここに書いてありますように純度ですとか、あるいは想定される使用の用途なども考えて、少し丁寧に検討したほうがいいと思いますが、一番大きく言いたいのは、特に輸出と輸入は分けて、輸出に関しては、やはり規制については検討すべき事項ではないかという点であります。

 3点目は水銀添加製品に関してでありますけれども、これ菅野委員がおっしゃったところが私も思うところがあって、条約で規制が求められている製品も、これは2020年までに、2019年の12月31日かもしれませんけれども、目標といいますか規制に対応すればいいわけであります。ですから、何となく、締結するとすぐやらなきゃいけないという、もしかしたらイメージがあるかもしれませんけれども、2020年までのいずれかのどういうスケジュール、タイムラインでやるかというのは、日本にとっては、そういう裁量があるものだと理解をしています。

 そういう意味で、水銀添加製品に関してですけれども、冒頭で申しましたように、私自身は、原則として水銀を使わないで済むのであれば、水銀を使わない代替をしていくということをきちんとした原則として持つべきであると思います。ただ、これも冒頭に申し上げましたように、個別の製品や、場合によっては先ほどあった中小企業の方、あるいは途上国での輸出、生産ですね、こうした問題、個別の製品について伴う条件が違うので、原則として代替をするということを念頭に置きながら、より具体的な製品ごとの検討を、上乗せの議論でありますけれども、上乗せ、前倒しの議論についてはすべきではないかと思います。

 私個人的には、さっき言いました代替をできるものは代替する。これは、むしろヒアリングの中で事業者さんに非常に励まされた気持ちを持っていまして、つまり日本でこれだけの代替技術あるいは代替製品をつくる能力をお持ちなのだということに励まされたところがございます。これは、逆に言うと、それでもって日本が水銀条約の規制のもとで拡大するだろう市場に入っていくということ、それから一過性ではなくて今後も規制というのは強くなる方向で条約はつくられているわけですから、それを想定した対応が必要ではないかと思います。

 最後でありますけれども、組み込みの問題でありますけれども、組み込みの条約規定の書きぶりを見ますと、ほかのところと少し違う書きぶりをしているのですけれども、日本国内における組み込みを防止する措置は、これは条約の担保上、とらなきゃいけないものだということは間違いないということです。ここに書かれているように、じゃあ、どういう方法があるかということなので、一つは、今日もありました、EUの例もありましたし、あとは電池工業会さんでしょうか、教えてくださった周辺国の事例もあるので、少し具体的に検討していただきたいと思っております。

 このときに、条約上は自国において、自国においてというのは、日本の国内で水銀添加製品の組み込みというのは防止をする措置をとらなきゃいけないという前提に立つと、私は、むしろ事業者さんの競争を考えると、できる限り輸入品に関しても組み込みを抑制するような措置、これ、どうやって実効的にやるかというのは非常に課題があるのですけれども、つまり日本の国内の事業者さんは組み込み防止の措置をとらされて、外からそうじゃないものが入ってくるというのは、事業者さんにとって非常に不幸だと私は思うので、実効性の問題があるのは重々承知しているのですが、やはり、できるだけインセンティブを与える、あるいは抑制する措置というのを考える必要があるのだはないかと思います。

 長々と申し訳ありません。以上です。

○大塚委員長 網羅的にご発言いただきました。

 田村委員。

○田村委員 私、産業界からですので、特に9ページの3-2についてお話しさせていただきたいと思います。

 まず、3-2のA)とB)がございます。Aは深掘り、Bは条約どおりでということですけれども、おっしゃるように、日本にはある程度、条約以上の力がある部分もございますが、いろいろ調べていく中で、やはりグローバルスタンダード化が重要であろうというふうな思いに今、至ったところです。他国の輸出入で相当大きなハードル、混乱が生じるのではないか。照明工業会さんなどからいただいたのは、例えば、国内製造がだんだんなくなって、管型ランプって、あの丸いランプですね、これが日本国内でつくらなくなったと。さりとて、皆さんのご家庭にまだ器具はあるわけですよね。この器具用のランプは、もう売れません、すぐ器具を変えてくださいというわけにはいかなくなると思いますので、その場合には輸入で、どこかからのをもって5年、それなりの期間は供給しなきゃいけない。

 あるいは、先ほどおっしゃっていましたように、中小企業さんがいろいろな特殊がものを出している、その部分に関して深掘りをしていってしまいますと非常に困ることが起きてくる可能性があると。全体としては十分下がってきているにもかかわらず、ごく一部の部分ができないことによって消費者の方々へ多大な不利益を与えてしまうというのを心配しております。

あと、もう1点。例えば、時計用の電池などであっても、ロレックスの電池をEUで買ってきました。内部電池がEU基準より日本が高い、厳しいとなるとロレックスが輸入できなくなるとか、あとは電池を外して日本製の電池にもう一回入れかえてくださいということになりかねないので、ある程度、まず水銀条約が始まるまでの間はグローバルスタンダードで、日本が世界を引っ張っていくという考えもありますが、グローバルスタンダードをきちんとやっていこうと、その部分で日本がしっかりと他国を引っ張っていくというのが一つの考え方ではなかろうかなと思います。

 あと、さらに、例えば、日本だけ電池の水銀を減らした場合も、海外に出すものに関して水銀なし、そうするとコストが高くなってしまうのですよね。そうすると他国では勝てなくなるということで、日本の産業界だけが不利益を生じる、きちんとした戦いにならないという部分もありますので、やはり、ある程度、他国の状況も見ながら、グローバル化の時代ですので、やっていかなくてはいけないのかなと、そのように思う次第です。

 あと、3-2の組み込み製品に関して、これが非常に難しくて産業界の中でもいろいろ困っております。それで、先ほどおっしゃっていたように、条約の中では輸入の防止措置までとることは求められていないのかなということで、相当、法制化は難しいのかなと、実効性も厳しいのかなという部分があります。

 水銀条約のときにボーイング社の方が来ておられまして、ボーイング社のディスプレー、要はコックピットのディスプレーですね、あれにランプを使っているよと。それで、航空規制当局その他の規制が厳しいものですから、そんなに簡単にすぐ変えられるものではないと。となった場合に、そこにそういうランプが入っているからボーイング777は輸入禁止ですよ、あるいは飛んでいるボーイング777のディスプレーを変えられません、飛べませんなんていうことになりかねませんので、全体の量からしたら、ごくわずかという部分もありますので、ここら辺については、完全に一律に禁止、その他、するものではなくて、十分調査をした上でやらなくてはいけないのかな、そのように思っております。

 次に、3-4の上記以外の製品、製品やパッケージの表示等という文言がございます。1点、お伺いしたいのが、まず表示の意図というのがはっきりしない部分があるので、廃棄物の分別のためなのか、それとも表示によって消費者への水銀未使用製品ですか。

○大塚委員長 途中ですみませんが、これは両方の意味だと思います。

○田村委員 両方ともの意味ですか。なのか、はっきりしない部分があるということですが、その場合、例えば、条約で認められている用途のものというのは相当多く流通しているのです。それを組み込んだ製品は数え切れなくあります。電気、電子だけではなく、医療器具、交通機関の機器、あと分析装置、業務用機器、インフラ系にも入っておりますので、医療機器、その他にも、これ水銀が入っていますよと表示をするのかどうか。考えていくと、例えば、バスなんかが輸入して車内照明にランプが使われているとき、バスに水銀入りですと書くというのは現実的ではないのかなと。

 あと、例えば、おもちゃで、これも規制値以下の水銀が入っていても、もし表示をしましょうということになると、海外から入ってきて水銀条約の規制値はちゃんとクリアしているのだけれども電池が入っていると。その場合にも、例えば、犬のおもちゃに水銀含有と書くのか。ただし、そもそも、そのおもちゃを廃棄するときには、もう、ほかの電池に変わっているわけです。そこで、おもちゃだけに水銀含有と書くことにどれだけ意味があって効力があるのかというのは、悩んでおります。

 それで、RoHS規制においても、除外規定に適合した部品を組み込んだものに関して水銀含有その他の表示というのは要求されておりませんで、日本の電気電子産業界もRoHS規制はある程度対応はできて、ほとんど水銀は使われていないのですが、表示ということ自体は対応できませんし、電気電子業界以外の相当多くの業界がありますので、もし、やられるということであれば、その影響度、あと全ての業界からの確認、そして、しっかりと表示のメリット、デメリット、コストも相当かかりますものですから、ここら辺を十分考えていかなきゃいけないのかなと。

 それで、実質上は、流通量の多いランプ、電池に関しては、廃棄物のワーキングでもきちんと分別して、現在あるルートを生かして処理をしていきましょうということにはなっておりますので、実質的には、これからきちんと分けて廃棄をされていくのだろうなと思いますので、そこら辺も含めて、どのようにやっていくかを十分考えていかないと、最後、やってみたけれども、いや、誰もできていませんでした。輸入品にもつけなきゃいけないものですから、実際無理でしたというような話にならないように気をつけていかなくてはいけないかなと思います。

 以上です。

○大塚委員長 次のパートのご議論をいただく時間もあるものですから、多くの委員の札が立てられ、多少困っているのですけれども。これ以上は、札をお立ていただかないということでお願いしたいと思います。蒲生委員、お願いします。

○蒲生委員 ありがとうございます。そうしましたら、既にコメントされた部分については省略しまして、私は9ページの3-2でA案、B案、上がっている添加製品への対応というところで、どっちに1票という話ではないのでしょうけれども、産業界の自主的な取組という形で行うのがいいのではないかということでコメントをさせていただきたいと思います。

 一つには、いろいろ社会状況、経済状況、技術の開発動向といったようなところは非常にダイナミックなところがあると思いまして、ある基準値のようなものを一つ、合意のもとに設定するということ、それ自体が、もうかなり困難なのではないかなと思います。というのと、もう一つは、前回のヒアリングにもありましたように、既に条約が求めるところを十分に達成している部分が多いわけで、あるいは達成の見込みが十分あるというような状況で、それが後戻りしなければいいというようなところもあろうかと思います。

 自主的取組といいましても、そういったわけで、きちんと行政ないし、あるいは国民の目でチェックしていくという活動がセットであるようなタイプの自主的な取組であれば、不用意に条約の文言をもって、そこまでは使っていいのだというような解釈も起きづらいでしょうし、あと、そういうプロセスが明示的にあることで、一番はじめの基本的な考え方のところにもありましたような、事業者が先進的な技術で取り組んでいる状況というのが正当に評価される、そういう場につながっていくのではないかと、そう思いました。

 以上です。

○大塚委員長 築地原委員、お願いします。

○築地原委員 7ページの(3)の二つ目のマル、A)とB)と二つあるのですけれども、このちょうど間にある2行ぐらいのところが両方とも妥協のできる案ではないのかなと思っています。最終用途及び最終使用者が確実に確認できるのであれば例外的に云々という、ここのところですり合える話ではないのかなと思います。

 それと、ここで言っている最終用途及び最終使用者が確実に確認できるということ、それから戻っていただいて5ページの上の四角囲いの一番下です、輸出後にも最終用途等の事後報告を求めることでということで、確認、トレースをするということで、例えば、5ページの書きぶりであれば、これから具体化するのでしょうけれども、主体は誰なのかというところがわからない。先ほど輸出しているのは国内では1社ぐらいだというお話もありましたけれども、では、その1社にどこまで求めるのか、求める内容によっては厳しくなり過ぎるということもあろうかと思うので、輸出側、輸入側、それぞれの政府が絡むなり、そういった仕組みというものが必要ではないかなと感じております。

 それから、9ページの3-2、ここも話題になっております。先ほど中小企業団体中央会の委員の方もおっしゃっていましたけれども、厳しい側面もあるということですが、これもA、Bともに、Bは自主的な取組として評価という違いはありますけれども、言っていることにそんなに違いはなく、個別製品毎に検討するということに尽きるのかなと思います。それについては、下のほうで水銀含有量とか普及状況を見てと書いてあります。ここはなかなか難しいことだと思います。やれるものだけを羅列しても意味がありませんし、やるべきもの、やることはできるけれども少し時間がかかるもの、こういったものを、あるいは全く対応が困難であるといったところの、どこまで求めていくかというところをしっかり考えていく必要があるのかなと感じております。

 それから、10ページの組み込み製品の話題が出ております。これは現場サイドのお話としてお聞きいただければと思いますけれども、現場で、野村興産ですけれども、行ってお話をお聞きしますと、最近は組み込みの電池が増えていて、先ほど中国のというお話もありましたけれども、中国製の電池、小さなボタン型の電池で水銀含有量が多いというものが多く見受けられるようになってきているということをお聞きしております。輸出側を厳しく規制をするが、組み込み製品で入ってくるものはルーズにして、それが比較的濃度が高いものが入ってくる。国際的なバランスの中で、きちんとリサイクルした輸出をすることが一次採掘を防止することにもつながるという理念に立ちながら、実際に入ってくるものは高い濃度のものがどんどん入ってきて、それをリサイクルしているので一次採掘を減らしていますというのは若干矛盾を感じる部分があります。組み込み製品の規制については、武村委員からも、大変難しいというご指摘がありました。田村委員からもご指摘がありましたけれども、ここはやはり考えていかなければならない部分ではないかなという気がしております。

 以上です。

○大塚委員長 前半部分は、この程度にさせていただきたいと思います。今、幾つかご指摘があったところですと、組み込み製品については、4条5項の規定があることはありますので、これをどうやっていくかということを、いろいろとまさに議論していかなければいけないと思います。それから、水銀含有量基準の深掘りについては、やるとした場合に、どう限定していくかということがあると思いますし、そもそも、これについてどう考えるかというご議論がありました。表示は、恐らく、深掘りの基準を決めていくよりは緩やかな方法だろうと思いますけれども、輸入品の表示をどうするかということを考えていかなければいけないというご指摘がございました。

 ほかにも輸出入についていろいろご議論がありましたけれども、私からは、その程度の簡単なまとめをさせていただくにとどめます。また、事務局にお答えいただく事実確認のようなことがありましたが、多分、時間が足りないので、後で、もし時間があったらお答えいただくことにして次に移らせていただきたいと思います。

 では、後半部分の4、製造工程から最後の部分までについて、ご意見、ご質問がございましたらお願いします。ご意見がある人は、札を最初に立てていただけますでしょうか。後からの追加は基本的にはお認めできないかと思います。私は強権を発動したいとは全然思っていないのですけれど、時間的な問題がございますので、ご意見がある人は最初にお立ていただけるとありがたく存じます。申し訳ありませんが。よろしいでしょうか。

 築地原委員、お願いします。

○築地原委員 私からは1点だけです。11条関連の部分のお話でございます。第1回目のこの委員会でもお話をさせていただいたのですけれども、事務局からも説明がありましたけれども、国内の廃掃法での廃棄物の該当性と、この条約上の該当性が違う部分が出てくるということです。具体的に申し上げて可能性として出てくるのは、非鉄の精錬スラッジというようなものをどうするかという問題は非常に大きな問題であると思います。量的にも多いので課題ではないかなと思っておりまして、1回目も発言させていただきました。追加的な論点が生じるというところが、そういうことなのかどうかわかりませんけれども、個人的には、やはり、何らかの形で国内法の廃棄物としてスムーズに移行させるのか、廃棄物に準じたような取り扱いの中で処理責任というものを明確にしていくのかとか、そういったことはぜひ検討する必要があるのではないかなと思っております。

○大塚委員長 武林委員、お願いします。

○武林委員 実施計画に関するところでありますが、具体的に、これが法令化された後は実施計画に則っていろんなことが進んでいくのだと思いますし、多くの場合、実施計画を立てる段階になって、より具体的な方向性でありますとか目標が設定されると思うのですが、先ほど前半の議論の中で菅野委員からのご発言にもありましたが、法をつくって行く現段階で、国が持っておられるであろうシナリオを示していただけないでしょうか。現状までは、世界の中でどれぐらいの量の水銀がやりとりされているかというところまでは理解できたつもりでおりますが、じゃあ、2020年には、どれぐらいの量が世界の中でというような数値です。

 今までの議論の中で0にはできないということは共有されているわけでありますので、リスクシナリオみたいなものがこの場に出てきて、もう少し議論をさせていただけるといいのではないかなと思います。それは、今日は無理だと思いますので、もし可能であれば次回、そういう少し数値的なことがあれば、フェーズアウトといいますか、フェーズを減らしていくことの議論が具体的にできるので、ここに何を書くべきか、ということも見えてくるのではないかなと思います。

○大塚委員長 ありがとうございます。

田村委員、お願いします。

○田村委員 この論点というよりか最後のお願いになるのですけれども、今日の中で組み込み製品、その他、電気電子4団体だけでなく相当広い範囲の意見になりましたので、その業界の意見を十分聞いていただきたいということと、あと、電気電子4団体も今日の議論を受けていろんな意見が出てくると思います。その場合に、皆さんにお伝えしたいときには、事務局に意見書みたいなものを提出させていただきますので、そのときに委員の先生方へ展開をお願いできればと思っている次第です。

 以上です。

○大塚委員長 これは事務局、お願いします。

 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 ありがとうございます。最後の実施計画ですけれども、日本は、ぜひ、ここできちんと、どう取り組むのかということを明確に発言していくのが大事だと思います。そのときに、ここにも国民、産業界、行政と書いてありますが、これまで特に産業界の皆さんが、どう積極的に取り組んでこられて、代替製品にされたものとかいろいろありますので、そういうようなこともしっかりと書き込んだ上で、今後、日本が、そういうことを踏まえて国内で、今の状態を担保するような仕組みをきちんと持つということと、それを世界に発信するということをしっかり書くのが大事だと思っております。

 なお、先ほど廃棄物の定義のお話がありましたが、私も、いろいろな廃棄物の定義の中で落ちるようなものがあるというのは、やはり、こういうライフサイクル全体で考えようと言っている制度を考えているときに非常に問題だと思いますので、できるだけきちんと量が多いものは網羅した上で、そこがどう取り組むか、あるいは、それをどう担保するように制度の中で考えていくのか、そういうことをきちんと考えていったほうがいいのではないかと思います。

 なお、私、先ほど、もう二度目の手を挙げずにおりましたけれども、さっき、6ページの辺りの輸入の金属水銀か化合物かということも本当はすごく大事だと思っています。制度上は金属水銀しか入っていないということですが、そういうふうな規定をしたほかの国で化合物が増えてくるとか、現実にいろいろな状況が起こっていますので、やはり日本もきちんと全体を網羅した視点を持っていく、そういうところがこれからも必要ではないかと思っています。よろしくお願いします。

○大塚委員長 どうもありがとうございました。

 東海先生。

○東海委員 8-1の実施計画のところの米印の1のところに関わることですけれども、かつ参考資料の65ページのところに優良事例として、これまで日本の集団回収ですとか分別回収によって水銀の個別のフローというものをつくってきたと、そういうことができることによって社会のシステム全体として水銀を管理しながら使いこなしてきたということも、ぜひ実施計画の中で諸外国に知らしめるようなことがあるといいのではないかと感じております。

 ステークホルダーとして国民、産業界、行政と書いておりますけれども、もう少し広く、人材育成の観点を踏まえてはどうでしょうか。大学等で毎年、若い学生に対しては、いわゆる安全衛生教育なるものをやっております。たとえば、その中で、実験室、研究室等で水銀の入っている製品をどのように適正に処理、処分をしていくかということを水銀条約の内容に絡めた教育をすることで学生が将来、社会や産業界等に入っていく中で、社会全体として水銀に対するキャパシティー形成に貢献する道筋に広がっていくのではないかと感じております。

 以上です、

○大塚委員長 ありがとうございます。

では、高村委員、お願いします。

○高村委員 ありがとうございます。19ページの実施計画のところでありますけれども、この実施計画自身は条約の規定上はできる規定ですけれども、日本としては、きちんとした実施計画、しかも法令に基づく実施計画ということに、法定計画に位置づけていただきたいと思っております。それは、中身にどんな内容が、義務的措置なのかどうかとは関係なく、特に、今回の審議会でも、どうしても議論が複数の会合で議論されていることからもわかるように、非常に多岐にわたっている水銀条約の性格と言いましょうか、水銀のライフサイクル全体にわたっているので、全体としての施策の総体を国際的にしっかりきちんと示すということと同時に、国内的にきちんと、それは国民対事業者であり、先ほどから出ているステークホルダー全体に関わりますけれども、わかりやすく示すということが非常に大事ではないかと思います。

 さらに、やはり法定計画とすることによって定期的に内容というのが精査をされるということが、きちんと法令上確保されることが非常に大事だと思っておりますので、ぜひ、その点はお願いできればと思います。

 以上です。

○大塚委員長 私の申し上げたことをよく聞いていただいてありがたかったのですが、まだご発言いただく時間が残っておりますので、どうぞ、新しく札を立てていただいて結構ですので、いかがでしょうか。申し訳ありません。

 永田委員、お願いします。

○永田委員 先ほどラベルの話についてご意見も出ましたように、若干、ラベルの位置づけがまだわかりにくいところがあると思います。例えば、条約を超えた部分に対してやるのか、それとも、そうでないところに対してやるのか、どういう目的でやるのかというのを少しはっきり示されたほうがよいのではないかと思いました。

 日本の場合、ラベルで水銀の含有を有効に示せれば、過去に水俣病があったこともあって、水銀の扱いは気をつけなければいけないという意識が消費者にもそこそこ浸透していると思います。例えば、電池は捨てるのではなく回収のルートに乗せなければいけないという意識は今のところあると思っております。ですので、業界の方の負担ともうまくバランスをとりながら、今の日本国民の消費者の持っている一定の意識を生かすような形で、ラベルの制度を有効活用していけば良いのではないかと思います。

○大塚委員長 ありがとうございます。

 初めての発言の方を優先します。有田委員、お願いします。

○有田委員 ありがとうございます。水俣条約と名前がついて、これが国際条約になった以上は、やはり、ある程度の厳しさがあった上で条件をつけていくというのが必要だろうなと思っておりました。多数の方がそう発言をされたので少しほっとしました。

 それから、消費者の目線で言いますと、ラベルの問題があります。いろいろな自治体の回収リサイクル状況を調査しました。例えば、蛍光管は割らないようにとは書いてあるのですが、なぜ割らないかと書いているところは少ない。割れると手に刺さって危ないとか回収する人がけがをするからという程度のことしか思っていないことがある。それはやはり情報不足だなというのと、組み込み製品にしては分けて出していないです。普通の電池は回収で、以前は別に分けて出してくださいとなっていましたが、今はそこまで言わなくなったのです。ボタン電池に関しては量販店で回収ボックスなどがあるとはいっても、組み込まれたまま、そういうおもちゃやプラスチック製品は回収が分けられないので、生ごみに出してくださいとなっています。それはそのまま焼却炉に行くわけですよね。そういうところも、ラベルなどでもう少し何とかしないといけない。

 何年かにわたって調べたりはしているのですが、そういうことも含めて、情報の出し方が不十分です。産業界の方からの発言もあったように、なかなか難しい部分もあるかもしれないし、変に騒がれる、怖がるということになりかねないということもあるかもしれないのです。が、正しい情報は正しく伝えながら、どういうライフスタイルにしていくかというか、ライフサイクルにしていくかということは重要なのではないかなと思いました。法律を決めたら、何か、もう全てのことが解決したみたいに思いがちです。猶予期間が長かったりして、既にやっていると思っていたら、全く行われていなかったり、ああ、その程度なのですかというのが別の分野の法律でもある。そのようなことから、やはりしっかりスケジュール化していただき進めていただきたいと思います。

○大塚委員長 ありがとうございます。

 貴田委員、お願いします。

○貴田委員 関連しているのですけれども、今、表示に対しての位置づけがということがあったと思いますが、これに関しては、いわゆる分別というか廃棄過程における分別というのが一番かもしれないのですけど、さらに大気排出の低減ということにも役立つと思うのです。先ほど言われましたけど、何か、よくわからなかったら組み込み製品なんかは燃やされると、わからないので焼却場に行くということは容易に想定されます。そんな意味で、表示というのは、いろんな製品の環境排出の低減という意味において、大気排出にも、あるいは廃棄物への移行というか、そういうところにも寄与するのではないかと思っております。

 また、それに関連して、試買調査をやられるということですけれども、これも結局、輸入製品をどうするのだという問題と組み込み製品も含めて、これは、ぜひやらねばならないというか。実施計画の中でも、どのように書かれるかわからないのですけれども、わからない部分は、できる調査はやっていただきたいと思います。

 以上です。

○大塚委員長 田村委員。

○田村委員 ラベリングについて追加で。我々、もう1点、厳しいなと思っていますのは、先日、照明工業会さんからご紹介があったように、2020年ころには器具はLEDになって、もう、今、家にあるのを取りかえるためだけに供給するという方向になってくるのですが、ランプに例えば「水銀入り」と書いたとしても、水銀なしのランプがこれからどんどん出てくるわけです。それで、水銀マークが入っていないものは、ああ、これ水銀入っていないのだというと逆に混乱してしまいますので、やはり地方自治体で分別、その他、ホームページ等もありますけど、そこでしっかり、こういうものは分別して廃棄しましょうねというほうが効率的なんじゃないかと。

 あと、産業廃棄物等で50gとか血圧計みたいに多く入っているものに関しては、これはしっかり伝えて分別をするという方向は必要だろうなと思っております。

○大塚委員長 すみません。今のは、「水銀なし」と書けばいいということですか。

○田村委員 いや、「水銀なし」と書くという意味じゃなくて、今から、例えば、蛍光ランプに「水銀入り」というのを書いてしまっても、今、流通しているものが5年後、10年後出てきますので、そこには水銀マークも何も書いていないものですから。

○大塚委員長 過去のものの話ですね。

○田村委員 そうですね。それを、ああ、水銀ないのだという誤解をされる可能性が逆にあるだろうなと。

○大塚委員長 わかりました。

 崎田委員。

○崎田委員 関連ですが、今、マークだけで対処するのは難しいという話があって、それは、もう、そのとおりだと思います。ですから、まずマークできちんと表示をしていただくことで社会の関心をきちんと呼び起こすことが重要で、そして分別の仕組みをちゃんとつくる、そういうような社会全体での取組で相乗効果を上げてきちんと管理するようにしていく。そのためにも、こういうところの表示などもぜひしっかりやっていただきたいという意味で発言をしております。

 それで、今、回収ルートに関して、自治体の分別回収というお話がありました。ほとんどのところでやっていますが、もう少し徹底するということと、もう一つ、退蔵品のお話が出ましたけれども、医療製品とか血圧計とか、ある程度、物がわかっているものに関して、そういったメーカーの方が回収に関する告知を出すとか、店頭で回収の仕組みをつくるとか、何らかのメーカーとか小売店の方に積極的に取り組んでいただくということも今後の選択肢としてあるのではないかと思います。よろしくお願いします。

○大塚委員長 ありがとうございました。これは、大気に関して出てきた話です。某自治体では、焼却施設に何かが入ったために水銀が出てしまって、かなりの時間、焼却施設を止めることになって億単位の損害が発生していますので、そういうこともいろいろご検討いただければと思います。

 丸山委員、お願いします。

○丸山委員 2点、意見というか感想になるかもしれませんが、発言させていただきます。

 一つは、私、製品含有化学物質の情報伝達の仕事に関わっておりまして、含有化学物質を本当に正しく情報伝達するというのは非常に難しいことだと思っています。間に入れば入るほど、それが難しいと思います。輸出品について、その後のトレーサビリティーということになると、実効性が求められるわけで、そこが非常にポイントになると思っています。具体的にどうすればいいかというアイデアは持ち合わせませんが、そこがないと、幾ら決めてもなかなか最終的にどこに使われたかわからなくなりますので、そういったことをきちんとすべきではないかと思っております。

 それから、もう一つは、日本が製品に入っている水銀をさまざまな産業界の努力で低減してきていること。また、産業界、国民、国が、ライフサイクル全般にわたっての管理をしっかりしてきており、それらの取組みを世界に対してどう貢献していくかといったところをもうすこし具体的に書くべきではないかなと思っております。

 以上です。

○大塚委員長 この程度にさせていただきたいと思いますが、7の水銀廃棄物のところのご議論があまりなかったですが、ぜひ、ここで検討していただきたいことでございます。10条に関しての暫定的保管の6のところについては、管理指針をつくるとかという話が出ていますが、7の水銀廃棄物に関して、国内の廃棄物とは言えない水銀廃棄物に関して、どう扱うか。具体的に言えば、国内の廃棄物に関しては、廃棄物の定義の問題がございますので、無価のものだけが廃棄物になっていますが、有価であって、しかし水銀廃棄物という条約上の廃棄物に当たるものがあり得るものですから、それについて、どう扱うかという問題がございます。ここで追加的な論点が生じる可能性があると書いてありますが、ここの議論をしていただくとありがたいのですけれど、何かございませんでしょうか。

 貴田委員、お願いします。

○貴田委員 廃棄物、これは非常に難しいところで、有価のものは廃棄物にならないというところが非常に難しいところだと思いますけれども、ここで、すき間のない制度設計という観点からすれば、有価であろうとなかろうと廃棄物となり得る、あるいは水銀を含んだものが外に出たときに環境影響を及ぼすような潜在的なものだという観点から言えば、これは有価であろうとなかろうと同じような考えでやるべきだと思っています。多分、廃掃法で担保できないところを、こちらでやらねばならないということからすれば、可能性のある潜在的なものというのは同じように考えておくべきだということです。

○高岡委員 今、貴田委員がおっしゃったように、やはり廃棄物の有害性というもの自体は物によって決まるというものですので、有価か無価かというところで決まるものではありません。条約では、越境移動をベースにしたバーゼル条約の定義を用いるということになっておりますが、ここは越境しない国内の対応を考えなければなりません。基本的には性質として、それが廃棄物か否か、有害性を見ていかなければ漏れてしまうことがあるかと思います。

○大塚委員長 ありがとうございます。国内の廃棄物と同等の扱いというのはやや言い過ぎかもしれませんが、類似した扱いをする必要があるのではないかということかと思います。

 高村委員、どうぞ。

○高村委員 全く違う10ページのところですが、WTO、特にTBT協定との関係ですけれども、確かに、ここに指摘をされている要件というのは留意が必要だと思います。ただ、WTOの仕組み上、一方的に訴えたい国から訴えられてしまうので、このリスクというのは0にはできないということも念頭に置く必要があると思います。

 今の水銀条約が結ばれている状況を見ると、恐らく、水銀の規制というのは、ここで言っている人の生命・健康の保護という正当な目的に該当すると思うのですが、訴えられるリスクを下げるという意味では、確かに、国際的な基準というのは安全なセーフティーゾーンに、よりセーフティーなゾーンになるというのは間違いがないと思います。他方で、それでも非締約国から訴えられる可能性というのは排除できません。

 ただ、なかなか水銀の問題は、上乗せをしても、そんなにリスクが増えるかどうかというのは見る必要があって、例えば、同じような措置をとっているEUのRoHSの規制に関して言えば、もちろん不公正貿易だというクレームといいましょうか、議論、協議はありますけれども、これを絶対的に0にすることはできないけれども、このルールについて念頭に考慮をする必要があるということ。特に、内外不差別ということについては留意が必要だということを確認しておく必要があるかなと思います。

 以上です。

○大塚委員長 ありがとうございました。

 最後はまた慌ただしくなってしまい、申し訳ありませんでしたが、よろしいでしょうか。資料全体につきまして、さらにコメント等がございましたら、手短にお願いしますが。

 崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 先ほど、産業界のこれまでの取組などを、どこかにしっかり書き込んでいただければというお話がありました。私、そういう気持ちを込めて、先程発言しましたが、実施計画をしっかり立ててほしいと、これをきちんと立てるに当たって日本の状況をしっかりと書いていただきたいと申しました。国民、産業界、行政の役割の中に、これまでどうしたかというところをしっかり書き込んでから、今後、どうするというところを書き込んでいただきたいと申し上げたのは、実は、そういう思いもあります。やはり、かなり、ここ三、四十年、代替製品にするとか、多くの業界で非常に努力されたと伺っている面もあります。そういうところは入れ込みながら、でも、それを社会全体で担保するためには、こういう仕組みが必要だということをきちんと書いていくという、そういう流れが必要なのではないかと思います。よろしくお願いします。

○大塚委員長 どうもありがとうございました。

 ほかには、よろしいでしょうか。 

                        (なし)

○大塚委員長 では、本日は活発なご議論を賜りまして誠にありがとうございました。本日の議論を踏まえて次回は報告書(案)を議論していただく予定でございますので、事務局で作業を進めていただくようお願いいたします。作業時間が短いですので、委員の皆様におかれましては、本日、言いそびれたコメント等がございましたら、できるだけ早く1週間以内に事務局までお送りいただければと思います。

 以上で本日の議題は全て終了いたしましたので、事務局にお返しします。

○森下環境保健部環境安全課長 ありがとうございました。

 次回会合は11月14日(金)を予定しております。後日、事務局から場所等をお知らせいたします。お手元の資料のうち、ファイルつづりとなりました条約の原文、それから仮訳については、毎回使わせていただきたいので、そのまま机の上に残していただければありがたいです。

 本日は、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

午後 2時32分 閉会