第69回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会議事録

1.日時

平成19年6月29日(金)10:00~12:00

2.場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室

3.出席者(五十音順、敬称略)

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

日下 幸則 白石 寛明 田中 嘉成
中杉 修身(委員長) 吉岡 義正 米元 純三

事務局

環境省 森下化学物質審査室長 他

4.議題

  1. (1)化審法に基づく動植物への影響の防止に関する検討状況について
  2. (2) その他

5.議事

○事務局 それでは時間がまいりましたので、田中委員が若干遅れていらっしゃるようでございますけれども、間もなくおみえになると思いますので、ただいまから、第69回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会を開催したいと思います。
 審議に先立ちまして夏の間の軽装のお願いについて申し上げます。地球温暖化防止、省エネルギーに資するため政府全体として夏季の軽装に取り組んでいるところでございます。これを踏まえまして本日事務局におきましては軽装ノーネクタイで対応させていただいております。委員の先生方、あるいは傍聴の皆様方におかれましても、この夏季の軽装、クールビズにご理解とご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の審議会でございますが、開催に必要な定足数を満たしておりまして、審議会として成立していることをご報告いたします。
 まず、審議に入ります前にお手元にお配りしました資料の確認をよろしくお願いいたします。申し上げます。
 まず議事次第の1枚紙に続きまして、資料1「魚類及び甲殻類の急性毒性に係るQSARモデルの開発と活用について。それから、資料2といたしまして「化審法第三種監視化学物質に係るリスク評価について」という資料、それから資料の順序が逆になりますけれども、綴じてある順に申し上げますと、その次に参考資料2というものを付けさせていただいております。
 「第三種監視化学物質のリスク評価に係る手順等(案)」。続きまして、資料3「第一種特定化学物質に係る鳥類の毒性評価について」。資料4-1としまして「生態毒性試験法に関する検討とセミナー等を通じた情報発信について」。資料4-2といたしまして「魚類の毒性症状等の記載について」ということでございます。
 それから参考資料1としまして委員名簿も付けさせていただいております。
 あと本日の審議には直接関係ございませんけれども、環境省のほうで最近策定しましたパンフレットが2種類ございまして、お手元にお配りしているかと思います。
 「我が国の化学物質対策のこれから」という青色のパンフレット、それから「欧州REACHと我が国の対応」というパンフレット、2種類でございます。
 以上、ご確認いただきまして、もし不足等ございましたら事務局のほうまでよろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 それでは本日、全体の議事進行につきまして中杉委員長にお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○中杉委員長 よろしくお願いいたします。それでは、議事次第に従って進めていきたいと思います。
 議題が1と2に分かれてございます。まず1のほうの化審法に基づく動植物の影響の防止に関する検討状況について、4つの項目がございますので、それぞれについて進めていきたいと思います。最初に定量的構造活性相関(QSAR)の活用についてということでございます。事務局から最初に資料のご説明をお願いいたします。

○事務局 それではお手元の資料1をごらんください。
 「魚類及び甲殻類の急性毒性に係るQSARモデルの開発と活用について」という資料でございます。
 まず、この説明に関しましては私のほうから概略を説明した後に、詳しいモデルの検証、バリデーションの結果等につきましては、実際にこの開発あるいは検証を行っていただいた国立環境研究所の白石委員のほうから補足ということでご説明を賜りたいと思っております。
 それでは、資料1でございます。定量的構造活性相関(QSAR)というものがございます。これは釈迦に説法でございますけれども、QSARとは化学物質の構造と性状との間に成り立つ量的関係のことでございまして、この相関を基にしまして、例えば化学物質の疎水性といったような情報あるいは構造を表現する数量から、構造的に類似する化学物質について生物学的な活性を、統計的な手法で検討することができるということでございます。
 一般にこれまで魚類、それから甲殻類の急性毒性に関しましてはこのQSARの手法を用いることである程度毒性の予測は可能ではないかということが言われております。これまでに実際、世界的に見ますと幾つかの生態毒性QSARモデルというものが開発されておりまして、実際に利用もされているということでございます。
 この資料、この後の議論につきましては比較的利用頻度が高い既存のモデルでありますECOSAR、これはアメリカの環境保護庁(EPA)が開発したモデルでございます。それからTIMESというモデル、これはブルガリアのBurgas大学において開発されたモデルです。
 さらに国立環境研究所におきまして新しいQSARモデルの開発を進めておりまして、そのモデルでありますKATEというモデル、この3つのモデルについて述べたいと思っております。
 具体的にはこのモデルを今後さまざまな形で活用を目指して検討を進めていきたいと思っておりまして、本日の資料ではその3つのQSARモデルを活用するに当たっての検証、バリデーションの結果についてご報告をさせていただくということでございます。
 2.のところの検証に用いたデータセットでございますけれども、まず魚類につきましては環境省がこれまで平成7年度から17年度の10年度間に実施しました既存化学物質の安全点検の生態毒性試験結果のメダカに関する272物質、それからアメリカEPAのデータベース、これはファットヘッドミノーという種類の魚に関するデータベースになっているんですが、それが580物質。またミジンコ、甲殻類に関しましては環境省が実施した生態毒性試験結果の346物質でございます。この物質を使いまして、各モデルで計算をして実測値と、それから計算値の間の相関等々を検証したということでございます。
 以後、2-1以降の説明につきまして、申し訳ありませんが白石先生のほうからよろしくお願いしたいと思います。

○白石委員 では、ご説明いたします。
 まず、ECOSARですが、ECOSARはなかなかVersion1にならなくて0.99hというものを使用しました。これが最新だと思います。今ここで挙げられましたデータセットをECOSARに流しまして、クラス全体でどの程度の決定係数あるいは誤差があるかというものを検証したのが図1になります。次のページになります。
 具体的な数値を言いますと、魚類で決定係数は0.62、甲殻類で0.45。誤差が0.79、甲殻類で1ということになっておりました。
 具体的に中身を調べますと、クラスごとの決定係数とRMSEをTable.1に示してございます。
 これは魚類761物質、分けましたけれども、そこでECOSARでは25クラスに分類されております。そのうち該当物質が5物質以上あるものをTable.1に挙げております。これは全部で11クラスございます。
 ごらんになってわかると思いますけれども、例えばAcrylatesはRMSE0.28。ログスケールで表示していますので10倍以下の誤差で予測ができる、あるいは一番数が多いNeutral Organics、下から3番目ですが309物質に分類されて、決定係数が0.66、RMSE0.76ということで、ある程度の予測性をもって使えるということがあります。
 ミジンコのほうですが、ミジンコのほうも同様で全体が0.84、誤差が0.84ということですので、ある程度使えるのではないかという結論であります。
 特にここもそうですが、Neutral Organics、いわゆる非極性の麻酔作用を持つものですが、これが一番分類される数が多くて、こういったものに関してはある程度使えるのではないか。あるいはAcrylates、あるいは誤差が少ないところでいいますとImidesとか、そういったものには使えるかも知れないと思われます。
 次にTIMESですが、TIMESはVersion2.24.9というものを使用しました。ECOSARは水/オクタノール分配係数と単相関を求めているんですけれども、TIMESのほうは水/オクタノール分配係数ではなくて、生物濃縮係数のトクスというものとクラスごとに記述表を用いたのと単相関ではなくて重回帰を行っております。
 そのときに分子軌道計算をするんですが、構造最適化はAM1PRECISEという方法で行いました。
 いろいろなコンフォメーションが出てきて、それぞれ記述子の値が変わるんですけれども、それの最大値と最小値の平均を予想値として採用しております。
 エンドポイントとしましては、TIMES自体は幾つかの生物種を予測できるのですが、Fathead Minnow 96hr-LC50というものを採用します。Daphnia magnaは48hr-EC50というものを選択いたしました。
 メダカの予測式もございますが、それは48時間ということなので今回はこの資料には示してございません。96時間ということでファットヘッドミノーの式をお示してあります。
 その結果はTable.2に示すとおりでございまして、クラス全体の決定係数は魚類で、Table.3、3ページ目一番下が全体の結果です。物質数780、一番下をごらんになっていただきたいと思いますけれども、決定係数0.58、誤差が0.84ということになっております。
 Daphnia magnaは物質数325、決定係数0.4、誤差が0.88ということになっております。
 3ページ目、一番上段にTable.2というものがございます。ここがTIMESで分類されるクラスになります。モード・オブ・アクションに基づいて分類しているということで、Table.2の上段がFathead Minnow、下段がDaphnia magnaの48時間になります。
 魚類の場合には7クラスに分類され、Daphnia magnaのほうは3クラスに分類されます。
 式はそこに書いたとおりで2変数、X、Yに係数を掛けて切片を掛けて足して予測をするという方法で、例えばαβの不飽和のアルコール、これは不飽和のアルコールは体内で酸化されてケトンあるいはアルデヒド等になって、それが毒性を発現させるというメカニズムを想定しているようであります。
 その用いる記述子はLogBCFtoxというもので、これは具体的にまだよくわからないのですが、LogBCFではなくてtoxというものを記述子として用いています。
 それからアルコールに関する記述子を用いて、そのような係数を掛けて計算がもたれます。
 これがTIMESのそのTableの一番初めnとR2と書いてありますが、これはTIMESのプログラム上に出てくる参照物質の数がnでございます。そこで用いたときの誤差がR2という形に示してあります。
 ここで注意していただきたいのが一番下の3番目、basesurface narcotics、これがいわゆる非極性の麻酔作用ですが、この式とReactive Unspecifiedというもの、一番下でございます。一番下の式が同じになっています。これはバグかどうかわからないんですけれども、いわゆるモード・オブ・アクションがよくわからないものに関しては現状のVersionではbasesurface narcoticsの式を当てはめているというふうに思われます。Daphnia magnaのほうも同じです。3クラスに分類されますが、いわゆる最後のクラス、残ったクラスはbasesurface narcoticsを当てはめてしまっているということで誤差が大きくなっていると思われます。
 それは端的にTable.3を見ていただくとわかるのですが、Table.3の一番下、Reactive Unspecifiedに217物質分類されますが、そこの誤差が非常に大きいということで、ほかを見ていただくとECOSARよりも誤差は少ないような傾向がございます。
 Table.2をごらんになっていただきたいんですが、Table.2、横軸が計算値、縦軸が実測値なんですけれども、そこで上のほうにたくさん点々が散らばっていますけれども、そこが多分Reactive Unspecifiedの結果であろうと思われます。
 ということで、これを除きますとある程度この予測式というものは使えるのではないかということが言えると思います。
 次にKATEモデルです。この名前ですが、KAは化審法の「化(KA)」です。Tはツール(Tool)で、Eはエコトキシティ(Ecotoxicity)ということでKATEというふうに呼んでいますけれども、これはECOSARとかなり類似の方法であります。構造分類したもののLogPとの単相関を求めております。
 15ページにアルゴリズムを示してございますけれども、いわゆる毒性官能基というものを抽出してきます。さらに修飾構造、例えばニトロがついているなり、OHがついているなりに関して細分化いたしまして、QSAR式を当てはめるというものです。
 単相関ですので、これは化審法を想定してLogPがあまり実測値がないということを想定しまして、このペーパーではCLogPを記述として用いたものを書いてあります。
 その式を当てはめまして、それが参照物質のフラグメントと一致するかどうか、記述子の範囲が参照物質と一致するかどうかということを判断しまして、最終的に予測するというふうになっています。これはインターネットのウェブ版で開発しております。
 結果は、これは開発中なので、先ほどのTIMESとECOSARと同レベルでこの数値は扱えないと思うのですが、いわゆる参照物質そのものを使っておりますのでいいのは当たり前ですが、ほかの物質が来たときには多分この結果は悪くなるだろうと思います。
 KATEでの決定係数は魚類で0.87、誤差が0.43、甲殻類で0.8、誤差のほうが0.46ということになっています。
 具体的な細かいことはTable.4のほうに示してございます。非常に細分化しております。今後、これはモード・オブ・アクションで少しずつまとめていこうと思いますが、いわゆるNeutral Organics、ECOSARによるNeutral Organics、いわゆる非極性の麻酔作用も今のところ細分化してあります。例えば上からaliphatic halogenあるいはaromatic halogenと書いてあります。あるいはaliphatic nitrileというのが7クラスございます。これの決定係数0.97、誤差0.24という非常にいい式があります。
 これの相関式は7ページ目のたくさんズラズラ並んで、あとでゆっくりごらんになっていただきたいと思いますが、7ページ目の一番左側の下から3番目、それがaliphatic nitrileに相当しますので、非常にいい直線、LogPとの直線が得られます。こういったものは幾つかございまして、例えば同じページのその下、not aliphatic amidesとか変なことが書いてありますが、これも非常にいい直線性が得られます。これはいわゆる非極性の麻酔作用だろうと思いますが、これは最終的には1つのグループにまとめていこうと思いますが、このグループにぴったり合えば非常によく合うということで、今のところ細分化してお示ししてございます。
 全体を通じましてRMSEは当然のことながらよく押さえられているということでございます。
 ここで魚類と甲殻類の分類ルールですが、これは現状のところ全く一緒のものをつくっています。これは少しずつ改良を加えて甲殻類なり、あるいは魚類に特異的な毒性のあるもののルールを少しずつ増やしていくという計画でございます。
 最終的に3つのモデルをまとめたのがページ6になります。図4に非常にごちゃごちゃしておりますけれども、ECOSARとTIMESとKATE、ECOSARが×です。TIMESが○、KATEが□で、右側が甲殻類、左側が魚類ということになっています。
 先ほどもTIMESのところで述べましたが、TIMESのところがばらついているという傾向がありますが、これは多分Unspecifiedのモード・オブ・アクションのところがずれているためであろうということで、Table.5にまとめたものをお示ししてあります。ECOSAR、TIMES、KATEそれぞれある程度の予測性はあるのではないかというのが結論であります。以上です。

○中杉委員長 これまでのご説明に対してご意見、ご質問はございますか。
 私のほうからご質問させていただきますが、KATEの場合はかなり細分化されているので、これをまとめていくと決定係数なりが当然下がってくることになるのでしょうか。

○白石委員 もともとわりとよかったグループ、いわゆるECOSARでいうとNeutral Organicsというのがございまして、それは特定の毒性が非常に強いグループがあります。Reactive なものは非常に毒性が強くてLogPと相関がないようなものがあって、それを外したものが割合いい相関とか誤差です。
 その中身がよくわからないので細分化したというのが、この図に示したものですので、まとめてもそれほど変わらないグループができます。

○中杉委員長 傾きがあまり変わらない?

○白石委員 変わらないです。

○中杉委員長 もう1つは、今合同審議会のほうで分解・蓄積と、それから変異原性について、実際に化審法の判定基準と比べた形で、ミスがどのぐらい出るかという形でご説明いただいていますが、そのような観点で見ていくとどうなのでしょうか。
 このばらつきがどのぐらいの範囲に入ってくるか。どのぐらいミスが出るかというところは実際に化審法に使おうとするときにはそういう問題になってきて、安全側に見てしまうのはそれはいいのかもしれないけれど、安全側というのは実際よりも厳しく低く出てくる、予測値が低く出てくる場合は、それはあとで特定を進めればいいということになるのですが、逆の場合があります。それはどのぐらい入れるのだろうかというのは。まだそういうことはやっておられないですか。

○白石委員 試しに少しはやっていますが、統計的に議論できるほどの数はやっていません。毒性を低い予想とする傾向があるものもございます。TIMESのReactive UnspecifiedというものはQSAR式自体が立っていないようなものだと思いますので、これは実測値、ページ3の図2を見ていただくとわかると思うのですが、非常にたくさん予測のほうが低いという傾向はあります。そういったものも注意しながら使うということになると思います。
 あと難しいのは判定基準があるので、そこの近辺が2倍3倍ずれますので、その辺の判断をどうするかというのは非常に難しいと思います。

○中杉委員長 私ばかり質問してはいけないですから。
 吉岡先生、どうぞ。

○吉岡委員 QSARをつくるに当たってモデルの正当性を示す場合に一番大事なのは、元のデータがどれぐらいあるか。しかも相当の精度をもってつくられたデータがどれぐらいあるかということによって決まってしまうという部分、その部分は非常に大きいかと思います。
 使われておりますデータは、環境省が行ったデータを主体にして使われているんですけれども、化審法等で出てくるようなデータの利用可能性というものを今後とも検討すべきではないかなと思っております。以上です。

○中杉委員長 ありがとうございました。分解・蓄積とか変異原性についてやられているようなことを今後積み重ねていく必要があるのだろうと思うんです。

○事務局 吉岡先生ご指摘の点ですが、おっしゃるところはよくわかるんですけれども、実際に化審法に出てくるような、事業者から出てくるような新規化学物質のデータをQSARもとれるように使うのかというところはなかなか難しい問題をはらんでおります。
 といいますのは、QSARのモデルを実際に使っていくためのバリデーションの原則みたいなものがありまして、基本的にどういうデータを用いて構築されたものであるかということはオープンにしないといけないという、これは国際的なOECDのほうで決められていますバリデーションのルールというものがある。そういう中ではたして事業者から出された、特に新規化学物質の届出のデータというのは、原則データそのものは非公開となっておりまして、その辺の取扱いの問題はあるということでございます。おそらく今後議論すべき課題の一つなのかなと思っております。

○吉岡委員 これまでもそうしたお話をよくお聞きしておりますので理解しているつもりでございます。しかしながら、私たち日本人というのはあまりにも杓子定規にとりすぎて完璧に守らなければ前に進めないんだというような考え方をひょっとしたらしているのではないかという部分もございます。
 と申しますのは、例えば今ECOSARが代表例として出ておりますが、ではECOSARのデータがオープンにされているかというと、これはオープンされていない部分もあります。そういう意味からすると悪貨が良貨を駆逐するというのは言い過ぎですけれども、よく当たるものが結局は採用されて、当たらないものは理屈がどうであろうと採用されないのではないかというような、ちょっと変な言い方でございますけれども、あまり堅苦しく考えなくてもいいのではないなという部分、そういう思いもございます。意見です。

○中杉委員長 ありがとうございました。そのほかいかがでございましょうか。
 どうぞ。

○日下委員 先ほど先生がおっしゃられたことで具体的に聞きたかったので前に帰って恐縮ですけれど、吉岡先生が妥当性のある検査が1つひとつどれぐらいかということに関わったんですが、そのときにECOSARとそれからこっちのKATEのほうが魚の種類が違っていて、かつクラス分けするときに注目しているクラス分類するときの構造のその部分というのが違っていますでしょう。それが特に結果に影響している。逆に言うとKATEが非常に結果がいいのでECOSARのほうがもっと改良してくれてとか、そういう可能性というのはないのでしょうか。

○白石委員 ECOSARとKATEのところはかなり似通っております。ただ構造分類するときには若干変えております。そこはECOSARを見つつ、先行の既存モデルがあるんですが、それを見つつ改良するような形でつくっていますので、必然的によくなって当たり前なのかもしれないです。何言っているかわからないんだけど。
 ECOSARのほうもわりと頻繁に改良が加わっています。どうやっているかわからないんですが、例えば今はVersion.hで、そのしばらく前はgというのがございまして、どこまでいったら1になるのかわからないんですが、Versionは0.99のままなんですが、かなり頻繁に見直しがかかっていると思いますので、お互いに情報交換できればしていいものにしたいと思います。

○中杉委員長 先ほどの吉岡先生がおっしゃること、ある意味で重いんですけれども、実際に分解・蓄積のほうでやられているCERIモデルというもの、あれは学習するタイプのモデルなのでどんどん新しいので学習していっておられるのだと思うんです。どのレベルで使うかという話で考えていって、その結果でそのまま使うという話ではなくて、スクリーニング的な使い方をするということであれば最適うんぬんの話もあまり要らないのではないか。化審法の中である精度、整理の中で使うということを考えていくと、今吉岡先生が言われたことに関してあまりギチギチと詰めなくてもいいような気がします。
 もう1つは、同様のことは農薬のほうでも同じようなことが起こるわけです。農薬のほうで審査をすることになる。そういうところ、データを使う、使わないの話ではないんですが、当然そちらのほうでも法律化ということが進められ、農薬のほうはそう簡単にはいかないのかもしれませんが、少しそういう意味での協力をするということができればより多くのデータがそろう可能性がありますし、そういうことも少し検討してみてはどうでしょうか。
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 なかなか使えそうな感じがするという、今のところの段階ですが。
 それでは、1番目の議題につきましてはこのくらいにさせていただきまして、2番目の第三種監視化学物質のリスク評価についてということで、これも資料のご説明からお願いします。

○事務局 それではお手元の資料2と参考資料2、この2つの資料を用いまして説明させていただきます。
 まず資料2、「化審法第三種監視化学物質に係るリスク評価について」という資料をごらんください。まず背景的なところのご説明でございます。これも先生方よくご存じのお話かと思いますけれども、化審法、平成15年の改正におきまして第三種監視化学物質という新しいカテゴリーが導入されたところでございます。この第三種監視化学物質につきましては、生態系の影響防止の観点ということでございまして、難分解であり、高濃縮性は有さないものの動植物の生息または生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質ということで指定をされるということになっております。
 第三種監視化学物質に指定をされますと、その製造・輸入者に対しまして毎年度製造・輸入の実績量の報告などの義務がかかってくるということでございます。
 この第三種監視化学物質の判定に当たりましては試験の実施が容易な藻類・ミジンコ類、魚類の急性毒性試験の結果を用いるということとなっております。
 平成16年4月の改正化審法施行開始以降、これまでに61の物質が第三種監視化学物質として告示されているところでございます。
 その第三種監視化学物質に係る化審法の規定の中で第二種特定化学物質への指定替えというところが規定されております。
 (2)のところでございます。第二種特定化学物質というカテゴリーは難分解性だが高濃縮性ではなく、長期毒性を有し、相当広範囲な地域の関係において相当程度残留しているか、近くその状況に至るのが確実であると見込まれることにより、人の健康又は生活環境動植物に係る被害が生ずるおそれがあると認められる化学物質、ちょっと長い説明になりますけれども、ということで指定をされているということでございます。
 この第二種特定化学物質に指定されますと監視化学物質からさらに厳しい規制がかかってくるということでございまして、製造・輸入の予定数量、それから実績の両方を報告する。それから国のほうで取り扱いの事業者がとるべき措置に関する技術上の指針というものを公表して、それに従うことが求められる。
 あるいは第二種特定化学物質による環境汚染を通じた人の健康又は動植物に係る被害を防止するために必要があると認められる場合には製造・輸入予定数量の変更を国が命ずるというようなことで様々な規制がかかってくるということでございます。
 この第二種特定化学物質といいますのは、その定義にありますとおり化学物質の性状、有害性のみならず、環境中の残留の状態、ばく露の関係も含めたリスク評価が必要となってくるということでございます。
 それから、さらに申し上げますと第二種特定化学物質には人の健康という観点に加えまして、この15年の改正によりまして生活環境動植物の生態系への影響という観点からも第二種特定化学物質を指定することができる、指定されるというふうになったわけでございます。
 現在のところ、23の物質が第二種特定化学物質として指定されておりますが、いずれもこの15年改正以前にヒト健康という観点から指定されていたものでございまして、そういう意味では生態影響の観点からこの第二種特定化学物質と指定されている物質は未だにないということでございます。
 化審法上、第三種監視化学物質を環境の状況などを評価しまして問題があるという場合には第二種特定化学物質に指定替えをするということが制度として位置づけられております。
 ページをおめくりいただきまして2ページですけれども、まず国、これは経済産業大臣及び環境大臣ということになっております。この2大臣がその物質の有害性や製造・輸入、使用等の状況から見て、この第三種監視化学物質が第二種特定化学物質に該当するかどうかを判定する必要があると認めるに至った場合には、この第三種監視化学物質の製造・輸入者に対しまして有害性の調査、及びその結果の報告を指示することができるとなっております。
 この有害性調査指示に基づきまして出てきた報告に基づいて、国が第二種特定化学物質に該当するかどうかの判定を行うというふうになっております。
 これまでこの指定替えの手順、ルールに従って三監から二特に指定された物質は先ほど申し上げたとおり未だ無いということでございますけれども、今後、第三種監視化学物質の指定というのはどんどん進んでいくということでございまして、また毎年度の製造輸入実績量の報告という情報も集まってくるということであります。
 そういったことで、この化審法に規定されております三監から二特へのリスク評価、指定替えに係る評価についても、例えばどういう手順でそれを検討していったらよいかというようなことはあらかじめ私どもの方でも検討しておかなければいけない、そういう課題があるというところでございます。
 そういったような背景を踏まえまして、これまで環境省におきましては、国立環境研究所のご協力をいただきまして、三監、第三種監視化学物質のリスク評価に係る手順についてさまざまな整理・検討をしてきたところでございます。その概要についてまとめたものが参考資料2ということになっておりまして、「第三種監視化学物質のリスク評価に係る手順等(案)」というものでございます。
 参考資料2をごらんいただきたいのですが、参考資料2の1ページ目、「はじめに」ということでこの資料の位置づけを説明してございます。
 まず最初の段落、パラグラフにつきましては先ほど私が申し上げたような背景的なことを少し簡単に書いてございます。その下のほうのパラグラフ、1行あけた下のほうをごらんいただきたいのですが、国立環境研究所環境リスク研究センターにおきまして改正化審法の円滑な施行に資するべく化学物質の動植物への影響に関する各種の検討を進めてきているところでございます。
 この手順と案はその検討成果の一部ということでございまして、第三種監視化学物質について国が行う予備的なリスク評価に関しまして、その考え方でありますとか評価の手順等を提案するとともに、今後の技術的な課題についても併せて整理したものという性格でございます。
 そういうことでございまして、まだこの手順案につきましてはこれで確定というものではございませんで、今後、実際に第三種監視化学物質のリスク評価の作業も進めながら適宜、適切に修正していくべき性格のものであろうと考えております。
 本日、ある程度まとまった段階、まだ未確定ではありますが、こういう段階で先生方に一度ごらんをいただきまして、ご意見を賜ればと思っているところでございます。
 参考資料2の全体の構成でございますけれども、2ページをごらんいただきますと、第1章としまして化審法における生態系保全の観点からの対応ということで、先ほど私がご説明しましたような化審法における生態系保全の考え方とかあるいは三監、二特、それぞれの規定ぶりといったような背景を少し詳しめに書かせていただいているところでございます。
 実際の内容につきましては6ページから始まっておりまして、6ページが第2章の第三種監視化学物質のリスク評価のプロセスとなっております。1としましてプロセスの概要を6ページ、7ページと説明し、8ページ以降にさらに詳細にどのようなリスク評価を経たらいいかという、例えばどういうデータを利用して、どのような評価をするかというようなことが提案をされているということでございます。
 詳細はこの場では省略させていただいて、資料2のほうに戻って後ほどご説明させていただきたいと思います。
 あと、この参考資料2の全体構成ということでいきますと、第3章が18ページからなっております。これはリスク評価に実際に使えるのではないかと思われるモデルの概要等について解説をした部分でございます。それからページが飛びまして38ページに「IV技術的な課題等」ということで、実際にリスク評価をしていくうえでさまざまな課題があるということで、特にばく露評価、それから有害性の評価にどういうデータを用いるか、あるいは生活環境動植物の評価というところで底生生物、第三種監視化学物質の指定に用いる水生3種、3種の水生生物のみならず底生生物、ユスリカ等のデータを使っていくことになっているんですが、そういったものについてのリスク評価における課題等を掲げているところでございます。
 検討が進んでいきますと、技術的な課題、第IV章におさめられているような内容が解決されれば必然的にその部分は消えていってしかるべき内容が前の第II章等に盛り込まれていくということでございますので、この資料のおそらく最終形はこの第2章まで、あとは第3章の内容が少し参考資料につく程度というような形になっていくのかなと思うのですが、とりあえず今の時点ではこういう格好でまとめさせていただいております。
 資料2のほうに戻っていただきまして、評価のプロセスに係る概略についてご説明させていただきます。資料2の2ページの下のほう、2.(1)評価のプロセス、というところからでございます。第三種監視化学物質から第二種特定化学物質の指定に至るプロセス、これは化審法上位置づけられているプロセスを図示しますと、3ページにございます図1のようになるということでございます。3ページをごらんいただきまして、まず三監からスタートしまして、製造・輸入数量の監視を毎年度行っていくということでございます。
 その後、第1段階と書いてございますけれども、まず三監の中でも特に二特に該当するおそれが高いものを、スクリーニングといいますか、あるいは検討の優先順位付けをするような作業、第1段階の作業がまずあるであろうということでございます。
 この第1段階の作業でリスク評価をやりまして、より詳細なリスク評価をやる必要があると判断されるものが第2段階にいく。この第2段階におきましては、まさに化審法に基づく有害性調査指示を出すか出さないかという判断をする段階でございまして、この第2段階のリスク評価におきましても一定のリスクがあると判断された場合は化審法に基づいて有害性調査指示を事業者に対してかけるということになります。
 その下にある第3段階といいますのは、まさに事業者から提出されました有害性調査指示の結果提出されたものを踏まえまして、ではこの物質が二特に該当するのかどうかという判断をする段階であります。最後、この第3段階のリスク評価を経まして、最終的に二特に指定する、しないという判断をするということでございます。
 なお※をつけて下に書いてあるんですけれども、この第1段階、第2段階とありますけれども、場合によっては第1段階を経ずに明らかに問題があるという場合に第2段階に進むという場合もあるのでしょうし、場合によっては、これは実際に想定されるかどうかわかりませんが、有害性調査指示で求めるべきデータがすでにあるという場合に、再度事業者に対してコストをかけて有害性の毒性データを出させるということは常識的にあり得ないだろうと思いますので、実際にそうされるのかどうかわかりませんが、第2段階を飛ばして第3段階にいくということも概念上はあり得るのかなと思っているところでございます。
 なお、この第1段階から第3段階までのリスク評価をこのように整理しているのですが、実際に化審法上位置づけられておりますのは、第2段階と第3段階、要は有害性調査指示を出す・出さないという判断、それから最終的に二特に該当する・しないの判断、この2つの段階のリスク評価、これまでが化審法上規定されているということでございます。
 そういうことで第1段階の作業というのは、正直言ってなくてもよいということになるんですけれども、ただ第三種監視化学物質の数が非常に多くなっていくということもございまして、またそのすべての第三種監視化学物質について詳細に検討していくということはあまり効率的でもないということから、まずは第1段階の予備的、スクリーニング的なリスク評価をやって、どうしても危険性といいますかそのおそれがあるというものについてのみ第2段階に進めばいいのではないか。そういう考え方で整理をしているところでございます。
 続きまして3ページの(2)ですが、各段階でのリスク評価の概要、詳細は参考資料2のほうに書かせていただいているんですが、資料2のほうでは概要だけを表のような格好でまとめさせていただいております。第1段階、第2段階、第3段階それぞれのリスク評価は基本的に、段階を追うごとに対象になる物質の数が絞られているとともにリスク評価の作業はより詳細になっていくということだと思います。
 その詳細につきましては参考資料2を適宜ごらんいただくことといたしまして、ここでは表1で各段階でのリスク評価で主に利用される有害性情報、それからばく露情報、どういうデータを用いてリスク評価をするのかというところだけを紹介させていただきます。
 第1段階につきましては3ページの一番下でございますけれども、まず有害性情報につきましては、これは三監を指定するときにその判定根拠となった急性、慢性試験の結果がございます。具体的には藻類、ミジンコ、魚類の3種についての急性毒性試験の結果、それから藻類についてはNOECの値などもあるだろうということで、三監の判定をした時点ですでにある情報を使って評価がまずできるだろうということであります。
 またばく露のほうに関しましては、これは実測値が実際にあるかないかという話がございますけれども、基本的には環境省のほうでさまざまな環境モニタリングを実施しておりまして、そういうところで実測値があればそれを使っていきますし、また、無い場合でありますけれども、PRTR法に基づくPRTR排出データを用いたモデルによる推計なども活用していくということになっております。
 実際に、第三種監視化学物質はPRTR法とのリンクということもありまして、かなりの割合の第三種監視化学物質が現在PRTR法の指定化学物質にもなっているということでございますので、こういったようなことも可能かなと思っております。
 続きまして第2段階ですけれども、4ページに移りまして、第2段階ではまず有害性の情報に関しましては当然ながら第1段階で用いたデータは使えるとしまして、それに加えて化審法の三監の判定以外の情報ということで、例えば海外における情報でありますとか、文献調査でありますとかそういったことで若干情報を集める努力をしまして、収集できた急性、慢性試験結果を用いるということでどうかということでございます。
 またばく露評価、第2段階のばく露評価に関しましてはもちろん第1段階で用いましたモニタリングの結果、あるいはモデルによる結果に加えまして、特に第1段階で若干リスクありというふうになった場合は、これは環境省のほうで少し重点的にその物質に関するモニタリングを実施するということをしまして、そのデータをより厚くしていくということが可能かなと思っております。そういうことで[3]で「新たに追加実施したエコ調査の結果」というようなことを書かせていただいております。
 また環境省以外、具体的には地方の公害研究機関でありますとかそのようなところで実施するような結果がありましたら、そういったものを使っていけばいいのではないかということでございます。それに加えまして適宜モデルで検証を行うということを考えてございます。
 最後に第3段階でございますけれども、これはまず有害性に関しましてはそれまでの段階で用いたデータに加えまして有害性調査指示の結果、事業者から提出されてくる慢性の試験結果がございます。この慢性の試験の結果を用いて判断をする。もちろんそのデータのみならずそれまでに集めた情報を用いて総合的に判断をするということだと思います。
 またばく露に関しましては、基本的には情報を更新できれば更新しますし、ただ全体的な方法としては第2段階と同様であろうと思っております。
 ということでありまして、4ページの「3.今後の方針と課題」ですが、環境省といたしましては今後、国立環境研究所の協力を得まして、まず第三種監視化学物質、これまで指定をされております物質について第1段階のスクリーニング的なリスク評価を順次進めていくということを考えております。
 その際、特にばく露評価に必要な情報の質の向上、特に第三種監視化学物質として指定された物質が環境中にどのぐらい残留しているんだということで環境省のほうで実施するモニタリングを少し重点的にやってみるとか、あるいはモデルの精度の向上といった問題、そういったことが不可欠であります。
 また評価の手順自体もその評価の作業をやりながら見直すべきところは見直してというようなことで、そこは並行しながら作業を進めていったらいいのではないかと考えているところでございます。
 資料の説明につきましては以上でございますので、資料2、それから参考資料2に関しましてご意見、ご質問等をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○中杉委員長 それでは、ただいまのご説明についてご意見、ご質問等はございますか。

○吉岡委員 参考資料2をつくるに当たりまして多少関係しておりますから、中身は大体わかっているつもりでございます。改めてこうしてまとまったものを読んでみたときに、多少気になる点といいますか、お話ししておきたい点というのがございますので、この機会にお話しさせていただきたいと思います。
 まず第1、私たちがこうしたリスク評価のプロセスを考えるときに経済性というものは、このプロセス内だけでの経済性を考えていますけれども、プロセスの外における経済性というものをほとんど考えておりません。
 例えばこの1、2、3段階というものを全部民間に委託した場合に一体幾らのコストがかかるのかということを考えたときに、じゃあ試験をするコストとそれらを調査して何とかかんとかするコストと一体どっちが高いのだろうか。もし試験をするコストのほうが安かったならば、初めから試験をしたほうが早いのではないか。国全体で見れば、当然そういう考え方が出てきてもいいだろう。
 我々は官庁がやることだから人件費はただというのか、考慮することが少ない傾向があります。税金を使って本当に効率的に物事をやるという場合において、プロセス内だけで考えるのではなしに社会の外側のものを取り込んでコストというものを考えていく必要があるのではないかなという考えを新たにしているところでございます。
 3つございますけれども、2番目の点というのは参考資料2の9ページ、表がございまして、上の段と下の段の2つの表がございます。いずれもの不確実係数というものを書いてございますが、上の段の不確実係数と下の段の不確実係数が違っている部分がございます。というよりも下の段、9ページから10ページにわたるところの数値というものは細かく分類されておりません。本来、UFというのは揃っている場合であろうと、揃っていない場合であろうと、多分同じになるべきではないのかと私は思っているのですが、まだ検討の段階でそこまで進んでいないというのであるならば、またその検討も必要かなというふうに思います。
 3番目の点でございます。3番目の点は、これはどこということがなかなか言いにくいのでありますけれども、第1段階におきまして評価するときに、ちょっと考え方を間違えたかなというふうに思った部分でございます。それは何かというと先ほどの費用と関係するんですけれども、最初に幾つかの過程があります。コンピュータのプログラムがあって、化学物質の物理化学的性状がわかっていて、なおかつ製造量がわかっていて、製造量から廃棄物の割合のおおよその最大値なら最大値が推測できてという条件のもとであるならば、とりあえず最初に全部計算したほうが早い。計算時間が相当かかるということは知っておりますけれども、それは人件費がほとんどからない。電気代だけですもの。それを全部やってしまっておいてから調査にかかったほうが、実はランキング付けという意味においては楽ではないだろうかという感じを今持ちました。
 そういう意味で、これは内部の経済性という意味になりますけれども、そういうことも順次考えていく必要があるのかなというのが意見でございます。以上です。

○事務局 3つのご指摘をいただきました。大きくは2つかなと思います。コストの問題であります。全くご指摘のとおりだと思っております。ただ、この資料に関しましては基本的には手順を書いているものであるということでありまして、吉岡先生お話になったコストの話というのは、まさにその手順に従ってやっていく段階でそれを考慮する話なのかなと思っております。
 具体的には三監とか二特の性状、リスクを考えていかなければいけない。リスク評価においてはハザードとそれからばく露の話がある。ハザードに関しましては、先生がおっしゃったとおり三監の判定の時点で情報があるということですので、そこにあまりコストというか労力をリスク評価の段階にかける必要がないと思っております。
 一方、ばく露のほう、こちらについてはある程度国が費用負担をして、まさに環境中のモニタリングであるとか、そういうところは適切にやっていかないといけないのだろうと思っております。ただ、そこの中でもまさに先生がおっしゃったとおり、では三監すべてを全国数多くの地点で測る必要があるのかというところにつきましては、そこは実際にモニタリングをするときに製造・輸入量-三監ですから毎年製造・輸入実績が届けられるということがあります-そういう実績も加味して、例えば実績量の多いものをやはり注意してモニタリングをするとかそういうことで、結局、実際のところでよく考えて対応すべき話ではないかなと感じているところでございます。
 それから2点目の参考資料2の9ページの表のアセスメント係数の数字の違いでございます。おそらく先生がおっしゃったのは数字の、例えば参考資料9ページの上の表でアセスメント係数のACRのところの数字が上と下で違うとかそういうことかなと思うのですが、ここにつきましては若干説明が難しいのですけれども、上のほうのACRの例えば藻類の速度法についてはACRを20としているとか、ミジンコのアミン類についてはこれを100と見ている、魚類を100と見ているとか、この辺のところはまさに三監の判定基準の考え方でこういう数字で対応しているというところでございます。要は、基本的に第三種監視化学物質というのは慢性的な影響を見たいのだけれども、利用できるデータとしては急性のデータを使う。そこで判断をするときにこれまでの経験から魚類、ミジンコ、藻類それぞれごとに急性、慢性の間の相関といいますかACRが大体これぐらいのものであるということを前提としまして、三監の判定基準が決められているということでございまして、かなりスペシフィックにそれぞれの種類ごとにこういうACRを三監の判定には使っている。
 一方、データがない場合にその数字をそのまま使うのかどうかというところで、それは今後の検討の話だと思いますが、今現在下のほうの表ではごく一般的に数字を置いているということでございまして、ここの数字を上の表と同じようなことで合わせていくというのは、今後検討の中でそれはあり得る話かなとは思いますが、そういうことでございます。以上です。

○吉岡委員 最初の回答ですが、国の責任でしなければいけない部分というのは、命じるかどうかということを決めるのは国の責任であって、調査をするかどうかは国の責任ではないと思う。つまり日本の場合は非常にかっちりしているので、何もかも完璧とはいいませんけれども、絶対的にこれをやれば上がるんだというような形でないとなかなかもっていきにくいということはよくわかります。
 しかし、コンセンサスさえ得られれば一定の式をつくりますよ、この式でやるのでよろしいですね。で、やりましたよ。蓋然性としてこの化合物は可能性が残りますよ。ですからやってくださいねといったほうが本当は楽といいますか、はっきりしているといいますか、そういう考え方に我々もこれから慣れていかなければいけないのではないかとは思っております。以上です。

○中杉委員長 今の吉岡先生の御意見について、私なりの考え方を。
 真ん中のご質問に関しては基本的には三監の場合には3種のデータがそろっているのが原則、これは審査のときに出ていますから、それがないのが一部ある。それについてどう考えるかというところが下の部分だろうと思いますので、これをどういうふうにするかというのはなかなか難しいのですが、ほかで一般にやられているのはこの考え方に立っていますよねという整理だと思いますね。
 最初の部分は、有害性調査の指示をするわけですから、事業者の方に場合によっては試験をしていただく必要がある。そのときに今の状況でモデルでこうだからということでご理解をいただけるかどうかというところが1つの問題だと思います。これは社会的にそれでいきましょうという合意形成ができれば、それはそれで1つの考え方だろうと思いますけれども、現段階はなかなかそこまでは難しいのではないだろうかというのが私の考え方です。
 理論的には第1段階、第2段階と流れとして書いてあるけれども、これをきっちりやるよという話ではほとんどない。ほとんどないと言うと語弊がありますが、一応こういう手順を踏むんだけれども、例えば第1段階あるいは第2段階まで踏み込んだ形でやられているのは、環境省のほうでいえば環境リスク評価がありますし、経済産業省ではNITEがやっている。そこで生態毒性があるということがわかっていれば、これは第1段階を使うのか第2段階で使うのかわかりませんけれども、それはもう活用していく。多分、一番最初のところはそこら辺から始まるのかなというふうな感じで見ていますので、これはあくまでも正式な手順としてやるとこんなことになります。
 でも、それはすでにやられているものは使っていくという形で考えていくのだろうと思いますので、確かにモデルでどうなんだろう。これは日本の社会の話でモデルがまだまだ十分に理解といいますか、社会的な合意としてとれていないようなところがあるので、実際のモニタリングでモデル予測みたいな話がどっちが正しいんだという議論が当然ありますし、その問題はあるんですが今の段階ではまだ測らないとなかなか納得していただけないのではないだろうかということはあります。
 これはその段階でやったほうが社会全体として効率がいいよ、それはそのとおりかもしれません。でも、そのときに事業者の方に負担をかけてやらせる。空振りだった。これが何回も続く。そこまでできるかどうかというのはまさに社会の合意だろうと思いますけれども。現段階はそういう考え方ではないかな。もう少しそこに慣れていく必要があるかとは思いますけれども。
 いかがでございましょうか。
 そのほかにご質問はございますでしょうか。

○日下委員 一つお願いしたいのですが、せっかく参考資料のほうで幾つか物質が出て、可能性のあるもののデータも出てきていて、もしよければ今中杉先生が資料2のほうで流れを書いたんだけど、実際問題としては環境リスク評価もされているし、社会的に明らかに、マスコミ関係で報告されたりということもあったり、そうしたことから考えて参考資料で具体的に上がっているものの中で、特にこうしないといけない、あるいはそうしたらどんなふうにするのか、そういうあたりの何か可能性のあるような予測できるようなことがあったらもう少し見通し的なものをおっしゃっていただけたらなと思います。

○中杉委員長 いかがでしょうか。

○事務局 先生ご指摘の部分はおそらく第3章の21ページから出ている7つぐらいの物質についての結果と考察、ここの部分だと思います。ここの部分でやっております考察といいますのは、まだリスク評価うんぬんという以前の段階といいますか、リスク評価にモデルを使うということを考えたときに、どれぐらいの精度でモデルが使えるのだろうかというところを検証したというところでございます。
 具体的にはPRTR排出データがすでにある物質、それからそれを検証し得る実測値もあるという物質を幾つか選びまして、PRTR排出データをモデルに投入しまして、出てきた結果と実測の結果を見比べて、どれぐらいモデルが確かということを検証したということでございますので、この結果をもって直ちにこれが危ないとかということにはまだならないのです。もちろんこの結果でそのモデルが使えるということになれば、ほかの物質についてもこのモデルを適用していく、もちろんPRTRのデータがあることが前提ですが、そういった作業はできますし、また今ここに挙げております7物質についてはすでにある実測値あるいはモデルの結果でこれぐらいの環境中濃度があります。それとこの物質の持っているハザードと比べてはどうか、そういう評価はできる段階になっておりますので、この場ではこの物質がどう係わるか申し上げられませんけれども、そういうことで作業もかなりのところまで進んでいるということなのかなと思います。

○中杉委員長 先ほど私は一つほかのデータ、情報を持ってきて説明したけれども、環境リスク評価で生態の観点から詳細なリスク評価が必要だという物質がかなりあります。ただ、それは多くは農薬ですので、実際にばく露の状況をどう判断するか。農薬の管理のほうは急性毒性で最高値をポンと持ってきて、それで評価すれば超えてしまったらだめだよという話になるんですけれども、化審法のほうの場合は年間平均濃度を求めまして、その年間平均のばく露をどうするか。これはけっこう難しい話があるので、そちらをまた少し調べなければいけない。
 NITEのほうでどのぐらい引っかかっているのかわかりませんが、そういうものをまず一番最初は詳細に評価をして、詳細なリスク評価が必要だよという両方の文書で言っていますので、それを受けた形で検討を。この化審法が全部受ける必要はないと思います。そこら辺が実際の作業としてはとっかかりになるのかなという理解をしております。
 いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかにご意見が特段ないようでしたら、続きまして3番目の議題でございます。
 第一種特定化学物質に係る高次捕食動物の毒性影響評価についてということでございます。これも資料のご説明から始めてください。

○事務局 資料3「第一種特定化学物質の鳥類の毒性評価について」という資料をごらんください。
 まず順を追って説明いたしますが、1.検討の背景、でございます。こちらも化審法平成15年改正によりまして、従来よりこの制度がございましたが、高次捕食動物に対する長期毒性のある物質についても第一種特定化学物質に指定し、その製造、輸入等を原則禁止するということになりました。
 また同じく15年改正ですが、難分解性であり、かつ高濃縮であるが、人または高次捕食動物に対する毒性に対する毒性が不明な既存化学物質を第一種監視化審法に指定するということになりました。
 第一種監視化学物質につきましては先ほどご説明させていただきました第三種監視化学物質から第二種特定化学物質というプロセスと同じように、第一種監視化学物質から第一種特定化学物質へというプロセスでございまして、こちらにつきましてはハザードベース、国が長期毒性の疑いがあるということを明らかにするために予備的な毒性評価を行う。それに加えてリスク評価を行なった結果、長期毒性の疑いがあると判定した場合については事業者に有害性調査の指示を出すということになっております。
 具体的な有害性調査につきましては、下に脚注がございますけれども、2種類ございまして、高次捕食動物に係る試験としましてほ乳類に関する長期毒性、それから鳥類の繁殖に対する毒性という二つがございます。
 このうち(1)のほ乳類につきましては人健康の観点から第一種監視化学物質に対する有害性調査の指示の項目と同じようになっております。
 その有害性調査指示の長期毒性試験の結果、一特相当と判断をされた場合につきましては第一種監視化学物質から第二種特定化学物質への指定替えがされるということになっております。
 2.のこれまでの検討状況でございます。今ご説明しました2つの試験のうち、高次捕食動物の鳥類に対する毒性の予備的な毒性試験方法、予備試験法、国が行う試験法の開発を行ってまいりました。検討に当たりましては長期毒性試験としましてOECDテストガイドラン206に準拠しております20週間の長期毒性試験、こちらのデータを収集したうえで、これに予備的試験で予測できるかどうかということを検討する必要があるということでございましたが、実際OECDのTG206に準拠した形で信頼性の高い長期毒性試験を行ったという文献そのものがあまり収集できなかったということでございまして、ここでの検討としましてはまずTG206に準拠した試験データをしっかりとって、その上でこれを予測できるような予備的試験法の開発を行うということをやってまいりました。
 [1]というのが長期毒性試験を行うために、まず投与量設定のために短期の急性の摂餌毒性試験を行う。
 [2]それを踏まえて用量を設定して長期毒性試験を行って、[3]がそれを予測するための予備試験法というふうになっております。
 検討は16年度から行っておりまして、16年度は5日間投与の鳥類摂餌毒性試験、TG205でございます。
 被験物質ですが、第一種特定化学物質として鳥類への影響が指摘されているDDT、ディルドリンの2種、それから第一種監視化学物質についても2物質行いまして、それが次のページに結果を示してございます。
 表1でございますが、第一種特定化学物質として2つ。第一種監視化学物質として2つぐらいあります。第一種監視化学物質の上のほうでございますが、ベンゾトリアゾール系のものでございます。これは第一種特定化学物質相当という判定をいただいているものでございます。
 結果はLC50で2つの第一種特定化学物質については毒性値が具体的に出ております。
 この数字でございますけれども、被験物質/飼料ということで飼料中の濃度のppmでございます。第一種監視化学物質につきましては5,000ppmでも毒性がありませんでした。
 これを踏まえまして平成17年度、第一種特定化学物質のうちDDTを被験物質としまして長期毒性試験、TG206、事業者に有害性調査指示で求める試験を行いました。
 被験物質の濃度設定は本来であれば、テストガイドラインを参考にすると250mg/kgが上限なんですが、親鳥そのものが死んでしまうと長期毒性、繁殖毒性が見られないということで、若干それを低めにしまして上限が125mg/kgで行っております。
 それと併せて予備的試験法になり得るもの、これを想定しまして繁殖条件下6週間投与群というものを設けました。これは以前OECDのテストガイドラインにプロポーザルとして出されたものをベースにしております。
 試験法の概要は別紙1参照でございますので、4ページの横の表をごらんください。まず真ん中にあります鳥類の繁殖に及ぼす影響に関する試験といいますのが、これが有害性調査指示の対象になる事業者が行う試験のTG206。それから、左側が急性毒性試験ということで、これがTG205です。右が鳥類繁殖条件下6週間投与試験ということで、今回我々はこれが予備的試験法になり得るのではないかと考えているものでございます。
 簡単にご説明いたしますが、まず最初に順化期間をとったうえで、鳥類の急性毒性試験であればその後5日間の投与、3日間の被験物質を投与しない回復期間を設ける。
 長期毒性につきましては20週間ということですので、長期毒性につきましては22週間以上は少なくともかかる。それに対して一番右、6週間投与試験は2週間+6週間、8週間程度で若干短縮することができるというふうになっております。
 幾つか説明しますと、照明条件ですが鳥類の繁殖毒性試験、真ん中でございますが、まず8週間は非繁殖条件下、短時間照明で行ったあとに12週間の長時間照明、繁殖条件下で行う。
 一方、6週間投与試験、一番右でございますが、これはずっと繁殖条件下で行うというふうになっております。
 そのほか細かいことは以下書いてございます。
 一番下のエンドポイントでございます。左の急性毒性試験はエンドポイントが死亡で見る。真ん中と右につきましては繁殖に関する指標を使っております。以上、別紙1の説明です。
 戻っていただきまして平成17年度の試験の結果でございますが、上限濃度125ppmでは結果的に大きな毒性症状は見られませんでした。
 「一方」のところでございます。しかしながら体内の残留濃度について若干考察をしておりまして、長期毒性試験が体内の残留濃度、残留によって発現するというふうに考えますと、これは6週間投与群と20週間投与群の血清と脂肪の濃度でございますが、投与飼料中の濃度が横軸、縦軸はlogスケールで体内の残留濃度というふうになっております。
 傾向としては大体同じようでございまして、濃度依存、投与濃度を増やせば体内残留濃度が増える。当然のことでございますが、それが6週間投与群では20週間投与群より若干低めになっておりますけれども、6週間投与すれば相当程度の体内残留が認められるということですので、体内残留の濃度という観点では6週間投与すれば、それで長期毒性が発現し得る、長期毒性の疑いを見ることができるのではないかという可能性が示唆されたということでございます。
 平成18年度でございます。16年度に行なったDDTともう1種類のディルドリンのほうで同様に206の試験を行うとともに、予備試験法の候補でございます6週間投与試験を行っております。
 被験物質濃度は上限が20ppmで行っております。試験結果の詳細は別紙2、3、こちらは省かせていただきますが、エンドポイントが20、30ほどございまして、それぞれについての実際の結果をお示ししております。
 文章のほうで引き続き説明させていただきますが、ここでご説明させていただく試験につきましては繁殖能に関する指標として産卵率、孵化率、育成率、それとこれら3つの指標をかけ合わせた総合繁殖指数というものでご説明したいと思います。
 産卵率といいますのは、メスの1羽当たりの産卵の数ということでございます。孵化率というのは生まれた卵群当たりで実際に孵化した卵の数、それから育成率は孵化した卵のうち14日間生存が認められた個体数ということになっております。これらを掛け合わせるとどうなるかと言いますと、親鳥1個体当たりから最終的に生まれて14日間生存する鳥がどの程度の割合かということの指標になります。
 以上、3つの指標とそれの掛け合わせの総合繁殖の指数と4つの数字の、これは抑制率という形でお示ししたのが図2になっております。抑制率ですのでコントロールに対してどれだけ産卵、孵化、育成が抑制されたかという数字でございます。それらを掛け合わせてコントロールに対してどれだけ14日間生存する雛が抑制されたかというのが繁殖抑制率になっております。
 これをごらんいただきますと、濃い色のほうが6週間投与群、薄色のほうが20週間投与群で、おおむね同じような傾向を示しているのではないかということでございます。一番右下の繁殖抑制率、総合評価の数字を見ますとほぼきれいに同じような結果が出ています。6週間投与と20週間投与で同程度の繁殖抑制率が見られているということになっております。
 したがいまして、繁殖条件下の6週間投与試験によって20週間投与による長期毒性、すなわち繁殖に及ぼす影響を予測できるのではないかという可能性が示されています。
 最後の3.今後の予定、でございます。18年度までの検討結果によりまして、今の6週間投与群の試験を引き続いて予備的試験法としての有効性を検証するということでございますので、第一種特定化学物質のビストリブチルスズ=オキシド、TBTOを被験物質として今年度は試験を行っております。これで同様の傾向が確認できれば、6週間投与試験というものが国の行う予備的試験法として妥当なのではないかと考えられるかと思います。
 その後はこの試験を使いまして国がスクリーニングという形で第一種監視化学物質について国が順次予備的試験を行うこととなります。その結果を踏まえて事業者に有害性調査の指示を出すためのリスク評価の手法などについても並行して検討を行っていきたいというふうに考えております。
 説明は以上です。

○中杉委員長 ただいまのご説明についてご質問、ご意見等ございましたら。いかがでございましょうか。

○日下委員 基本的なことを教えていただきたいのですが、OECDテストガイドラインではターゲットにする鳥というのは幾つかあって、その中にニホンウズラがあるのでしょうか。
 それはターゲットの話で、今度は指標とかあるいは投与期間、そうしたアッセイするプロセスといいますか、プロシージャーといいますか、それはターゲットが何であっても全くガイドラインでは1種類といいますか、粛々とそれに従うべきものということなんですか。

○事務局 そうです。テストガイドラインのほうでは同列でウズラ、マガモ、コリンウズラなどでどれを使ってもいい、ウズラを推奨するというふうにされています。
 試験の実際の流れは基本的に同じでございます。例えば206の飼育条件でございますが、鳥かごの中の個体数でございますが、各濃度区マガモの場合は8、ウズラまたはコリンウズラの場合は12でございます。
 あるいは、その後にありますように1羽のオスに対し1羽~3羽のメスよりなるということですが、1羽に対して例えばウズラは1羽又は2羽である。マガモは1羽又は3羽である、そういった形で若干試験条件の設定、個体数であるとかいったところで変えているところはございます。しかしながら試験のプロセスとしては全く同じでございます。
 我々が今回提案しております6週間投与試験については、ウズラと書いておりますが、これは試験をウズラで実施したということで、ウズラが推奨種というほかの2つの試験と同様に考えていただければと思っております。

○日下委員 ありがとうございました。

○中杉委員長 よろしいでしょうか。いかがでしょうか。

○吉岡委員 22週間の試験の結果を6週間で予測できる可能性が出てきたということで、非常に喜んでおります。
 あと、これから先の話で少しおふれになりましたけれども、一体この結果というものをどうやって利用するかという部分のところは大変難しいかなというふうには思っております。それは例えばどこの濃度、何mg/kgを与えたときに影響が出てきた。では、しなさいという場合には濃度設定でどれだけ以上あったらしなさいというふうに命令するかというようなことをどういうふうに決めていくのだろうかという部分が非常に難しいかなという感想を持っております。以上です。

○中杉委員長 まだそこの議論はできていないというか、まず試験法をつくらなければいけない。確かにいろいろ難しいところで、人健康のほうについても第一種特定化学物質が出てくるときに、具体的にこれはいかがかなという明確な基準はなくて、これまでの一特の物質と比べてどうだろうかという判断がなされていると思います。生態影響からはそういうことをやっていないものですから、大体どこら辺かというのは非常に難しい議論だろうと思いますけれども。

○事務局 検討会を行っているのですが、まだ明確には、具体的な数字といったものについては議論していません。しかしながら欧州であるとか、あるいはアメリカであるとか、具体的に鳥の長期毒性についての数字を出しているところがございまして、それは明確な根拠があるのかと聞いたところはあまり明確なものはないとのことです。ですから、具体的な数字を定めるかどうかということについても、この予備的試験法を確立することと並行して検討したいと考えております。

○中杉委員長 よろしいでしょうか。
 そのほか特段のご質問がないようですので、これはもう1年検討してということですね。
 それでは、議題1の最後でございます。その他、国立環境研究所における検討状況についてということで、資料のご説明をお願いいたします。

○事務局 資料4-1、4-2を続けてご説明させていただきます。
 国立環境研究所での検討ということでございますが、事務局からご説明させていただきます。最初、4-1、生態毒性試験法に関する検討とセミナー等を通じた情報発信について、ということでございます。
 1.生態毒性試験法に関する検討、でございます。背景としましては、化審法の届出対象となる新規化学物質の中には物理的性状等から生態毒性試験の実施が困難である物質、いわゆる試験困難物質も存在しております。
 これらの試験実施方法につきましては届出事業者あるいはラボのほうから問い合わせがあれば環境省が対応する、あるいは専門家の先生方にご意見を伺いながら対応をしているという状況でございます。
 しかしながらこうした類似の問い合わせも多うございまして、試験困難物質の試験法についてはある程度対応方針をまとめていくというところが重要なのではないかと考えております。
 OECDのほうでもガイダンスマニュアルがございますけれども、こういう試験法以外にまた別の手順というものを決める、あるいは事例集であるとか、マニュアルであるというものを定めていくのがいいのではないかと考えております。
 これまで国立環境研究所のほうで着色性物質、難水溶性物質、自己分散性高分子等の試験法についてご検討をいただいております。その検討内容につきましては2.にございますセミナー等を通じて、試験機関あるいは関係者等に対して情報発信を行なったところでございます。
 この具体的なセミナーでございますが、国立環境研究所では平成15年度から毎年度1回ずつ一般公開セミナーを開催しております。対象は主に試験機関及び関係事業者を対象としております。
 内容は生態毒性試験に関する技術情報の発信というものをしばらく行っておりました。毎年度アンケートをさせていただいておりまして、過去のセミナーの参加者からのご意見を踏まえまして、平成18年度につきましては従来からの技術的な内容に加えて、化学物質審査規制に関する政策的な話題についても情報発信を行ってまいりました。
 過去の開催状況は次のページということで、ごらんいただければと思っております。平成15年度、改正化審法の施行前でございますが、改正化審法の概略であるとか、具体的な試験法につきまして動植物毒性試験の試験法についてご説明させていただくというセミナーをさせていただきました。
 以後、16年度、17年度、例えば試験困難物質、申し上げましたような話につきまして検討結果を報告するというような機会を設けさせていただいております。
 3ページ目が平成18年、昨年度でございますが、環境省も共催させていただきまして、第1部が政策的な話も含めまして、化学物質審査規制に関する動向ということで、本日ご説明しましたQSARにつきましてもやっております。
 第2部が従来の生態毒性試験法に関する技術的事項ということで3つほどテーマを掲げております。
 一番最後が急性毒性試験等における毒性症状の記載についてということで、これは後ほど資料4-2でご説明させていただきます。
 1ページ目に戻っていただきまして、今年度、平成19年度も年末ごろをめどに昨年同様に生態毒性試験に関する技術情報と政策的な話題提供を目的としたセミナーを環境省と国立環境研究所の共催で開催させていただこうと思っております。資料4-1につきましては以上でございます。
 引き続き資料4-2、魚類の毒性症状等の記載についてのご説明をさせていただきます。まずこの検討の目的及び経緯でございます。新規化学物質の試験法の一つである魚類急性毒性試験につきましては、ほかの試験も同様に試験報告書を作成します。その中で毒性症状の記載を求めております。
 別添参照でございますが、一番裏、4ページ目をごらんいただけますでしょうか。別添で化審法の試験法通知、それから国立環境研究所がそれを若干かみ砕いております試験手順例というものをお示ししておりますが、こちらの記載でございます。
 試験法通知、3省の局長通知の一番最後、8の「観察」の最後に「平衡、遊泳行動、呼吸機能、体色」などに異常が観察された場合は記録しておくということを記載しております。現行、関係の手順例につきましてはそれが若干詳しめに記載しているところでございます。
 こういった形で症状を記載していただいてはいるのですが、1ページに戻りますが、これについては具体的に毒性症状の試験は今のところよろしい。死亡で見ておりますので、化審法の審査の中で活用しているというわけではございません。
 環境省、国立環境研究所では試験機関の試験担当者と意見交換等を行いまして、まず毒性症状の定義を明確にして記載方法の統一を図れないかという検討を行ってきたところでございます。
 といいますのは、ラボによって観察症状がさまざまである。その観察症状がどの程度がどの程度重篤なのかということについての判断を症状によっては、あるいは観察者によって異なるということでございますので、今後それを何らかの形で反映させていくということに当たっては、ある程度ラボの方、試験の担当者、試験機関で認識を統一していく必要があるのではないかということで考えて検討を行っております。
 本資料では現在までに整理した毒性調査の分類と定義及び試験報告書の記載法等について紹介させていただきます。試行的実施という形で今年度の環境省が行います既存化学物質の安全性点検において、ラボのほうにこういった形で記載をお願いして、ある程度データを集めていきたいと考えております。
 その具体的な分類と定義でございますが、大きく分けて3つ、死亡・重篤、異常、正常、この3つに分けております。化審法では、例えば鰓蓋の動きがないというような状態については死亡としておりますが、表1の下に遊泳不能というのがございます。鰓蓋は動いている。ただ遊泳等の運動が停止、または極度の異常を示している状態というものがございまして、これは亜致死的といいますか近いうちに死亡に至るものではないかと考えられております。これは今のところ死亡という扱いはしておりませんが、重篤な症状であろうと考えております。
 その下にBに異常ということで、遊泳不能以外の異常症状ということで、遊泳異常、次のページにいきまして外見異常、呼吸異常、その他の異常、この4つに分類してある程度データを集めていきたいと考えております。
 ただ、このAとBの間に二重線を引いておりますが、遊泳不能以外の異常の中にも亜致死的な症状がある、近いうちにそれが死に至ることが確実な症状があるというような報告を試験担当者の方からいただいております。しかしながら、それはある程度主観が入りますので、試験の担当者で統一ができるかどうかということ、そういうことができればそういったものについての重篤な症状と見なすことも当然可能だと思いますが、これについては引き続きラボの方に実際に意見を伺いまして決めていきたいと考えております。
 3.が報告書の記載法でございます。報告書の記載法につきましては、少なくとも死亡、遊泳不能、遊泳異常、外見異常、呼吸異常、その他の異常、正常」、これらに分類することを必須という形でお願いしたいと考えております。それぞれの個体数がわかるように記載していただくということでございます。
 その記載例が3ページの一番上にございます報告書の記載例という形で、こちらはそれぞれアルファベットが載っていますが、それは(2)の英語表記及び略称で示しております。
 区分を死亡、重篤、異常、正常、この4つに分けまして、それぞれ何個体ずついるのか。死亡については累積でございますが、その観察時点で何個体がそれぞれの症状に分類されているのかということについて、統一の報告書の記載方法でお願いしまして、死亡以外の症状がどのような形で分布しているのかということをある程度データを蓄積したうえで次のステップを検討していきたいと考えております。
 これにつきましては、まだある程度暫定的なものでございましてGLPのラボと逐次意見交換を行いながら進めている状況でございますが、現時点での検討の成果についてご報告させていただきました。以上でございます。

○中杉委員長 ただいまのご説明についてご意見、ご質問等ございましたら。いかがでございましょうか。

○日下委員 一つ質問ですけれど、OECDガイドラインのほうではこうした死亡、重篤、異常、英語表記もあるようですが、これほど細かくは決められていないんですか。

○事務局 化審法の試験法通知は基本的にOECDのものを日本語に訳したものをベースにして若干修正をしておりますが、試験法通知、4ページ目にございますけれども、OECDガイドラインは英語ですが、こういった形で例示がされております。死亡以外の症状が観察された場合は例えばこういったものについては記載してくださいというような形で書いてあります。
 ただ、その分類といいますのは今回我々が統一を図ろうとしております記載事項の欄にあります死亡であるとか、遊泳不能、遊泳異常、そういった分類の仕方ではなくて、まさに別添の通知に書いてありますような具体的な症状を幾つか例示しているという形になっております。
 そういう意味ではOECDテストガイドラインと分類が若干異なりますけれども、OECDテストガイドラインはその例ということで書かれております。ですから、この書き方でやると外国にデータが出せないというわけではないと思いますが、若干その点を懸念されているラボの方も実際いらっしゃいまして、具体的には個別のもっと詳細なそれぞれの定義の欄に記載されているような、例えば異常の遊泳異常の中の表層遊泳という形で書きたいという、そういったところをすべて細かく分類したいという方もいらっしゃいますので、そういった詳細な症状を書くことについては特に制限はせずに、まず表2の報告書の記載という、この表を守っていただいて、その中で個別の症状を記載していただくということはかまわないのではないかと思います。

○中杉委員長 よろしいでしょうか。

○吉岡委員 先ほど外国に対する報告書が問題になった部分があるというお話でしたが、こうしたことは結局OECDのほうの通知か何かが行くんですか。つまり外国の試験機関がする場合には、そうした情報はどこからどうやって手に入れるのかなということなんですが。

○事務局 個別の試験のデータが必ず外国に行くかというのは、特に決まりはございませんで、まさに各ラボによって、例えば外国の顧客から試験を依頼された場合とか、あるいは日本の顧客からの依頼であってもそのデータを依頼した事業者が外国に持っていくということは当然想定されるので、そういう話がありました、ということでございます。
 あと、それとは別に日本においてこういう検討をしているという話はOECDの中でテストガイドラインを検討しているグループが当然ございますので、そういうところに情報として提供したいと思います。場合によってはOECDテストガイドラインをさらに改良というか、そういうことも議論につなげていただくということは当然考えられますし、環境省としてもそういうことを考えていきたいと思います。

○中杉委員長 いかがでしょうか。1つだけ確認しておきたいんですが、Aの分類が死亡と重篤と2つに分かれていますね。これは化審法上は死亡だけが判断ですよね。そこら辺区別をしておかないとほかの国の判定基準がどういうふうになっているかということもありますが、例えば海外から入ってきたものをこのまま出してしまうとあれですし、日本の試験業者は、化審法を見ればわかるんだよと言ってしまうとそのとおりですが、ままにしてしまうと両方入ってしまって、両方入れてしまうようなことになると過剰にならないか。
 現行法ではあくまでもここには何も線がないですが、厳然たる線があるはずなので、その辺が気になる感じがするんですが。

○事務局 全くおっしゃるとおりです。表1の書き方が若干誤解を招いたのかと思いますが、この一番左の分類というものは本来不要でして、記載事項で分けるという形にしております。ですので、表2の報告書の記載をごらんいただければと思いますが、ここはABCという分類の仕方ではなくて、死亡か重篤か異常か正常という形になっておりますので、この記載の方法であれば疑義なく死亡は死亡、もちろん死亡というのはほぼ死亡、鰓蓋の動きがないというのも含めましてこういった死亡と、それ以外の重篤等と混同される疑念のないように報告書に記載してもらうようにしております。

○中杉委員長 表1もその辺気をつけて出していただいたほうがよろしいものか。これをこのまま見ると、あれが変わったのではないかということで誤解される方もあるかと思いますので。
 いかがでございましょうか。そのほかにご質問はございますか。
 よろしいでしょうか。
 それではご質問は特段ありませんようですので、議題の1はその程度にさせていただきまして、議題の2のその他でございます。事務局から何か。

○事務局 少しお時間も残っておりますので、特に予定はしていなかったのですが、お手元にパンフレットを2つ置かせていただいております。最近、環境省でつくったパンフレットということでご紹介させていただきます。少しお時間をいただきましてごらんをいただければと思っております。
 2種類ございますけれども、「欧州REACHと我が国の対応」というほうから見ていただければと思うのですが。白っぽいほうですね。
 ご存じかと思いますが、欧州でREACHという新しい制度がこの6月1日から段階的にスタートしているということでございます。このREACHはさまざまな点でこれまでの化学物質審査・規制のあり方を変えるといいますか、新たなアプローチであるということで我が国の事業者、特にヨーロッパに対して物を売っていく事業者、化学産業界のみならず製品を供給していく事業者に影響が及ぶということでかなり注目されている制度でございます。
 このREACHに関しまして環境省でもいろいろな情報を収集しまして、その情報を分かりやすく提供するということをやっていきたいと思っておりまして、このパンフレットもその一貫で作らせていただいたものでございます。
 おめくりいただきますと、最初にREACHの概要ということでごく簡単に見開き2ページでございますけれども、REACHの概要を目的、特徴、概要ということでまとめさせていただいているということでありまして、さらに詳細情報は2ページ目の下にありますウェブサイト情報等でごらんいただければと思っているところでございます。
 次のページをおめくりいただきまして、ページ番号はございませんけれども3ページに相当する部分の見開きの部分ですけれども、環境省におきましては今年の1月末から、国内事業者の皆様方にご協力をお願いしましてREACHへの対応に関する事業者のアンケートを実施いたしました。その結果についてまとめさせていただいております。
 詳細はこの場では割愛させていただきますけれども、最終的なまとめというか結論的な話としまして、ページをめくっていただいて最後のページでございますけれども、このアンケートを通じまして、まず国内事業者の約7割の方がREACHを認識されているということ。ただし大企業と中小企業の間に理解の度合いであるとか、対応の状況については大きな違いがあるということ。またREACHの制度そのものも制度としては一応確定はしているのですが、その詳細部分、運用部分といいますか、そこの部分が明らかになっていないという現状でございますので、かなりの事業者さんが具体的な作業についてはこれから進めるというふうな状況であるということ。
 それから、4点目が私ども最も興味深かったんですが、現時点では事業規模、業種にかかわらずREACHについては肯定的な評価をされる事業者の数のほうが否定的な評価をされる方の数を上回っているということでございます。
 一方で、特に否定的な見解を持たれている事業者の中に国際的な競争力の低下、我が国の産業界の国際的競争力が低下するのではないか、そういう懸念があるということでございます。以上が「欧州REACHと我が国の対応」の資料でございます。
 もう1つのほう、我が国の化学物質対策のこれからという資料、つい先日刷り上がったところですが、これにつきましては副題にもありますとおり、これまでの我が国の化学物質対策の取り組みをかいつまんで説明する。化審法でありますとか、あるいは化審法も関連しますけれども既存化学物質への取組というようなところを紹介しつつ、最近の国際動向を踏まえて今後の化学物質対策のこれからを考えるということでございます。
 化学物質審査規制法、化審法に関しましては平成21年の見直しということが言われておりまして、今後、それに向けた検討も徐々に進められていくということでございますので、そういったものについて関係する主体の皆様、産業界、市民の方々にこれからの制度について考えていただく助けになればと思って作成したものでございます。
 ページをめくっていただきまして、背景ということで化学物質管理に関する我が国の主な法令、こんな法律がありますよということを図示しておりますし、また3ページにおきましては化学物質審査規制法についての説明をしているところでございます。
 3ページの右のほうにこれまで化審法に基づいて化学物質の審査、点検が行われた物質数ということで書かれております。既存の化学物質がかなりの数ございます。一方、新規化学物質も年々の累積ということでかなりの数、1万物質近い新規化学物質について審査、点検が行われてきているという状況になっております。
 4ページ、5ページでは既存の化学物質対策ということで国際的にどういう取り組みが進んでいるのか。あるいは我が国においてどういう取り組みが進んでいるのかということでまとめておりまして、国際的にはOECDにおける高生産量化学物質に関する安全性点検、HPVプログラム、またアメリカにおけるUSチャレンジプログラムというものがある。また、日本国内におきましてはJapanチャレンジプログラムということで、官民連携で既存化学物質、特に生産量の多い既存化学物質について情報収集を進めましょうという取組を現在進めているところであるという、そういう紹介でございます。
 6ページにいきますと、ごく最近の国際動向ということで、まず全体の流れとしましては2002年に持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)というものが開かれまして、そこで化学物質管理に関する中長期目標、いわゆるWSSDの2020年目標というものが合意されているということ。また、その目標の達成に向けた取組の推進のための国際化学物質管理戦略、SAICMと言われているものでございますけれども、そういったものが取りまとめられているということ。また、これも全世界共通の話としましてGHS、化学物質の表示や分類に関する世界的な調和システムについても2008年末までの導入ということを世界的な目標として進められているということという大きな話があるとともに、各国、各地域においても最近様々な動きがあるということで[1]~[4]まで書かせていただいております。
 [1]の欧州につきましては先ほどご紹介したまさにREACHの話でございます。アメリカにおいては既存化学物質のUSチャレンジプログラムというものをこれまでずっと進めてきていたんですが、その中で事業者のほうで自主的に手が挙がらなかった物質については公的に安全性情報の提供を義務づけるというような発表を昨年したところでございます。
 またカナダにおいて非常に新しい動きがありました。昨年の年末に新たな化学物質管理計画が報告されまして、既存の化学物質約23,000物質についてカテゴライゼーションあるいはスクリーニング評価を終了しまして、その結果を発表した。そのカテゴライゼーションの結果、懸念が非常に高い物質についてはそれ相応の対応を今後とっていくということで発表されたというところでございます。
 また東アジア、特にお隣中国、韓国でございますけれども、におきましてもさまざまな動きがあるということでありまして、これも昨年の年末になるのですけれども、日中韓の3か国の環境大臣会合、これは毎年開いているものでございますけれども、ここにおきまして化学物質管理に関して今後この日中韓3か国間の情報交換を進めていきましょうということで合意をされているところでございます。
 最後、7ページが我が国の化学物質対策のこれからということで、以上のような国内の動向、国際の動向を年表的にまとめるとここに書いてあるとおりで、現在2007年ですけれども、化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)の見直しが予定されているとともに、2年後には化学物質審査規制法の次期見直しというものが予定されているということでございまして、それに向けた検討が必要であるということ。
 また既存化学物質に関しましてはJapanチャレンジプログラムの中間評価を来年度実施するということ。といったことで、国内で様々な動きがこれからあるということでございます。
 こうした検討を進めていく上で国際的な動向を踏まえますと、以下のような観点からの検討や取組が必要であるということで、ごく基本的な考え方みたいな話でございますけれども、環境省としてこういうことが大事ではないかと考えているポイントを5つ挙げさせていただいております。1つ目が国際潮流とも親和性を持った効果的・効率的な化学物質管理の導入が必要であるということ。
 特にハザードベースからリスクベースへの転換ということでございます。
 また2点目がサプライチェーンを通した情報の供給のあり方の検討ということでございまして、これはまさにヨーロッパのREACHでありますとか、RoHSという制度でございますが、そういったような動き、国際的な動きにも対応するためにも一番川上のところだけではなくて川下の事業者まで含めて化学物質に関するさまざまな情報、特に安全性に関する情報をどのように共有していったらいいのかということをよく考えなければいけませんということでございます。
 3点目が国内のみならず海外から流入してくる有害物質ということで、最近もいろいろニュースになっておりますけれども、海外からいろいろな物質がいろいろな製品に紛れ込んでいるような格好で入ってくるということで、国内の制度を精緻化することはもちろん大切なんですけれども、それと共に海外から入ってくるようなものもあるということで、そこら辺の目配りというものをどうしていったらいいのかというところが非常に大きな課題になってきているということであります。
 4点目がリスクの情報や技術ノウハウを国内で蓄積し、将来の発展の基礎とすべきということでございまして、まずハザードの情報もそうなんですけれども、リスク評価等の技術的なノウハウを国内で蓄積していって、まさに化学物質管理の基盤となる情報でございますので、そういったものの蓄積、それから適切な発信等々をしっかりやっていかなければいけないということでございます。
 最後に化学物質対策への取り組みが社会的に評価されるような世の中をつくっていくべきであるということで、特に事業者のほうでJapanチャレンジプログラムなどもありますけれども、いろいろな取組がされている、そういうものについてなかなか消費者あるいは世の中全般の理解が進まない。化学物質について漠然とした不安みたいなものを抱いている方がいらっしゃる、非常に多いということだと思います。
 そういうことでリスクコミュニケーションということでこれまでもいろいろ進めているところでございますけれども、化学物質管理に向けた取組が正しく評価される、そういうような仕組みをつくっていかなければいけないのではないか、という以上5点を、これは環境省としての考えでございますがまとめさせていただいているということでございます。
 これについては特にご意見、ご質問等はいただきませんが、こういうことでホームページに掲載するなどして、いろいろな方にこれを読んでいただければなと思っているところでございます。

○中杉委員長 事務局としては特にご意見、ご質問は受けないということでございますけれども、何かご意見、ご質問等ありましたら。まだちょっと時間があります。
 欧州REACHを事業者の方も肯定的に見ておられるというのは若干意外でもないのかもしれませんが、やはりこれを見てみると川上から川下へ行くほど肯定的に見ておられるという、これは当然のことかなというふうに思います。そんな感じがします。
 川上の事業者の方でも肯定的と否定的というのが同じぐらいに見ておられる。これは1つの新しい方向を示しているような感じがいたします。
 いかがでございましょうか。ご質問等ございましたら。
 よろしいでしょうか。

○事務局 最後にごあいさつというかお礼を申し上げたいと思います。
 本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、活発にご議論をいただきました。大変ありがとうございます。
 それから、本日ご紹介申し上げてご議論をいただいた取り組みでございますが、国立環境研究所には格別なご協力をいただいているということで、併せてお礼を申し上げたいと思っております。
 本日の議題、主にQSAR(定量的構造活性相関)、それから第三種監視化学物質のリスク評価、それから鳥類の毒性影響評価ということでございました。
 1点目のQSARでございます。こちらは昨年4月に取りまとめられました第三次環境基本計画におきまして記述がされております。2020年までに有害化学物質によるリスクの最小化を図るべく構造活性相関等の簡易・迅速な化学物質の安全性評価手法を開発し、人の健康及び生態系に当たる影響について科学的知見に基づき評価を行い、適切な管理を推進しますということを大きな目標として掲げてございます。
 したがいまして、このQSARの開発に私どもは今力を入れているということでございます。今後、平成21年の化学物質審査規制法の見直しということが迫ってきておりますけれども、そういった見直しの中でこのQSARをどうやって位置づけていくのか。これにつきましてはこのQSARの手法をさらに改良を加えつつ、どうこれを中で位置づけていくかにつきましては今後の大きな検討課題になるだろうというふうに考えてございます。
 もう1つの第三種監視化学物質のリスク評価でございますが、これは平成15年の法改正で導入されました新しいカテゴリーということでございます。現在では61種が第三種監視化学物質に指定されておりますけれども、これにつきましても今回ご議論いただきましたリスク評価をベースに、さらにそれをラーニングバイドゥーイングという形で改善をしつつ取り組みを進めていきたいと思っております。
 それから鳥類の毒性影響評価ということでございますけれども、ようやくスクリーニング手法の見通しが立ってきたということで、非常に喜んでおります。これにつきましても第一種監視化学物質も15年の法改正が入っておりまして、現在36種類ということでございますけれども、この鳥類毒性のスクリーニング手法の検討をさらに進めまして化審法に基づいて国の義務とされているところにつきましても、十分取り組んでいきたいと思っております。今後とも引き続きご指導をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○中杉委員長 先生方から何か。よろしいでしょうか。
 それでは、予定していた時間の前でございますけれども本日の審議会はこれで終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

以上