令和3年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、令和3年度化学物質審議会第4回安全対策部会・第214回審査部会及び第221回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会 議事禄(第一部)

1.日時

  令和4年1月18日(火)第一部 13時00分~15時25分

              第二部 15時40分~18時20分

2.開催方法

  Web会議方式

3.出席(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員

 稲見 圭子     北嶋 聡       齋藤 文代

 佐藤 薫      杉山 圭一      頭金 正博

 豊田 武士     平林 容子(座長)  広瀬 明彦

 北條 仁      増村 健一

化学物質審議会安全対策部会委員

 石川 百合子    小野 恭子      金原 和秀

 金藤 博子     坂田 信以      東海 明宏(部会長)

 永井 孝志     松江 香織      山根 雅之

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

 青木 康展     石塚 真由美     菅野 純

 小山 次朗     白石 寛明(委員長) 鈴木 規之

 山本 裕史     吉岡 義正      和田 勝

事務局

 厚生労働省 大久保化学物質安全対策室長

 経済産業省 藤沢化学物質安全室長

 環境省   久保化学物質審査室長  他

4.議題

  1. 第一種特定化学物質に指定することが適当とされたペルフルオロオクタン酸(PFOA)関連物質の個別の適用除外の取扱い及びこれらの物質群が使用されている製品で輸入を禁止するものの指定等について

  2. 優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱにおける評価等について

  3. その他  

5.議事

○MHLW事務局 定刻になりましたので、ただいまから、令和3年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、令和3年度化学物質審議会第4回安全対策部会、第221回中央環境審議会環境保険部会化学物質審査小委員会(第一部)を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。今回は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、3省合同のWeb会議形式での開催とさせていただきます。なお、本合同会議は「第一部」と「第二部」に分けて実施し、「第一部」は公開の会議であることから、Web会議の様子をYou Tubeにてオンライン配信しておりますので、御了承お願いします。

 また、本日はいずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることを御報告いたします。また、本部会から本日の会合への具体的伝達手続きはそれぞれの省により異なりますが、化審法第56条に基づく諮問が大臣よりなされている審議会もございますので、よろしくお願いいたします。

 本合同審議会を開始する前に、厚生労働省事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を申告いただいておりますので、御報告させていただきます。

 委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは本日の審議会の進め方に関して御案内いたします。まず、13時から15時半までを「第一部」としまして、「第一種特定化学物質に指定することが適当とされたペルフルオロオクタン酸(PFOA)関連物質の個別の適用除外の取扱い及びこれらの物質群が使用されている製品で輸入を禁止するものの指定等について」「優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱにおける評価等について」「その他」の議事を公開にて審議を行います。「第一部」終了後、休憩をはさみまして、15時45分をめどに「第二部」を開催する予定としております。本日、大変議題が多く長時間の御審議となりますので、円滑な議事進行に御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、「第一部」を始めるに当たり、お配りした資料について確認を行いたいと思います。資料名の読み上げは割愛させていただきますが、議事次第に沿って資料を確認いたします。まず、議題1関連として、資料1-1、資料1-2、参考資料1-1~1-7になります。議題2関連として、資料2-1-1、資料2-1-2、資料2-1の参考1~2。資料2-2関連として、資料2-2、資料2-2の参考1~4。参考資料2-1、2-2、2-3-1、2-3-2です。議題3関連として、資料3-1、資料3-1別紙、資料3-2、資料3-2別紙1~2。最後に委員名簿です。過不足等がございましたら事務局までお申しつけください。

 Web会議の説明に関しまして、今回、3省合同のWeb開催としているため、スムーズな審議を行うため、議事に先立ち、審議の申告法等について事務局より御説明させていただきます。まず、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御意見、御質問を頂く際は、Webexのチャット機能を活用し、御自身の名前、所属する審議会の担当省名を御入力ください。座長から順に発言者を御指名いただきます。なお、チャットが使用できない委員におかれましては、発言前にマイクをオンにして所属する審議会の担当省名及びお名前をお知らせください。御発言のタイミングが重なったりした場合は、座長から順に発言者を御指名いただきます。会議中、マイクの調子が悪かった場合などは、チャットに御発言内容を御記入いただくようお願いする場合がございます。システムの動作不良などがございましたら会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡ください。また、もし事務局のサーバーがダウンする等のトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので御確認をお願いします。

 それでは、これより議事に入ります。本日の全体の議事進行につきましては、薬事・食品衛生審議会化学物質調査会の平林座長にお願いいたします。平林座長、どうぞよろしくお願いいたします。

○平林座長 よろしくお願いいたします。これより議事に移らせていただきます。初めに、本日の会議の公開の是非についてお諮りいたします。各審議会の公開につきましては、それぞれ規定のあるところですが、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、又は特定の者に不当な益、若しくは不利益をもたらすおそれがある場合等、非公開とするべき場合には該当しないと考えますので、原則、公開といたしたいと思います。ただし、営業秘密等に該当する場合は秘匿することを認めることといたしたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、本日の会議は公開といたします。議事録につきましては後日ホームページ等で公開されますので、あらかじめ御承知おき願います。

 では、議題1「第一種特定化学物質に指定することが適当とされたペルフルオロオクタン酸(PFOA)関連物質の個別の適用除外の取扱い及びこれらの物質群が使用されている製品で輸入を禁止するものの指定等について」に移ります。まず、資料1-1について事務局より説明願います。

○MHLW事務局 資料1-1に基づき、御説明いたします。1ページ目を御覧ください。今回の検討の背景を記載しております。本文にありますとおり、今回、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」、いわゆる「ストックホルム条約」の中でPFOA及び関連物質について附属書Aに規定されています。それに基づき、令和3年7月16日開催の3省合同会合において、次のページから表1に示す化学物質については、難分解性、高蓄積性であり、人や高次捕食動物への長期毒性を有するものであることから、化審法の第一種特定化学物質に指定することが適当であるとの結論が得られました。今回の審議会におきましては、これらを加え、第一種特定化学物質に指定した際に講じるべき化審法上の所要の措置について検討していくことになっております。

 2ページ目を御覧ください。(2)化審法に基づく第一種特定化学物質に関する主な規制及び措置として、化審法において第一種特定化学物質については、①~⑤に示す5つの措置がとられています。今回の審議会においては(3)に示しているとおり、②政令で定める製品で第一種特定化学物質が使用されているものの輸入の禁止、③政令で指定された用途、いわゆるエッセンシャルユース以外の使用の禁止、④取扱い等に係る技術上の基準について、化審法第56条において審議会に意見を聞くこととされており、今回の審議とさせていただいたところです。これが表1の関連物質です。

 進みまして、17ページです。PFOA関連物質の製造・輸入の規制のあり方等に関してです。17ページの表2について、それぞれの製造・輸入数量、国内出荷量等について表にまとめています。平成25年度以降については縮小傾向にあります。PFOA関連物質のうちの1つであるペルフルオロオクチル=ヨージド又はペルフルオロオクチルエタノールについては、それぞれ医薬品の製造に用いられるペルフルオロオクチル=ブロミドの製造原料又は侵襲性及び埋込型医療機器の製造に用いられるペルフルオロオクチルエチルオキシプロピル=メタクリレートの製造原料として用いられていますが、現状の技術では代替困難であることから、当面は製造・使用を継続することが必要と考えられています。

 続きまして、18ページの(2)PFOA関連物質の製造・輸入規制等のあり方についてです。これにつきましては、いわゆるエッセンシャルユースに関しての説明になります。ストックホルム条約では、廃絶・制限の対象となった物質について、他の物質への代替が困難である場合、人への暴露及び環境への放出を防止し、又は最小限にするような方法で行われていることを確保するための適当な措置がとられていることを条件に、条約締結国での会議の中で認められた用途については、その使用が認められているところです。

 表3がストックホルム条約上で認められている用途になります。この中で調査した結果、④侵襲性及び埋込型医療機器、⑥医薬品の製造を目的としたペルフルオロオクチル=ブロミドの製造のためのペルフルオロオクチル=ヨージドの使用については、エッセンシャルユースの検討が必要となります。

 この表3の下から19ページにかけて、PFOI(ペルフルオロオクチル=ヨージド)の製造について記載しています。第一種特定化学物質としてその製造を許可することを想定されるのは、今後PFOIのみに限られます。そのため、あらかじめPFOIの製造設備について、化審法20条に定める技術上の基準を策定する必要があります。技術上の基準の策定に当たっては、19ページの上段にあるような要素に留意しながら検討していくことが必要となります。

 エッセンシャルユースについては、化審法25条で定められているところですが、2つの要素があります。1つ目は、他のものによる代替が困難であり、2つ目は、第一種特定化学物質が使用されることにより環境汚染が生じて人の健康に係る被害又は生活環境動植物の生息若しくは生育に係る被害を生ずるおそれがないことで、この2つを満たすものについてはエッセンシャルユースとして今後認められることができます。まず、1つ目の他のものによる代替が困難である事例に関しては、20ページに進んでください。PFOIについては、他のものになる代替が困難であるということを説明している資料です。PFOIですけれども、慢性閉塞性肺疾患というような呼吸器疾患の中の粉末吸入製剤の多孔性微粒子を利用する技術の開発が進んでおり、このPFOBが使われているところです。PFOBの製造に当たっては、PFOS又はPFOAの類縁物質を原料とすることもできますが、反応効率や環境負荷を考えた場合にはPFOIが原料として最も適切であるとされています。したがいまして、粉末吸入製剤に用いる多孔性微粒子の製造においてPFOBの代替物質は見つかっておらず、PFOBの原料としてPFOIの使用は代替手段がない状況にあり、代替困難であると判断しております。

 21ページです。こちらのほうで8:2のFTOH(ペルフルオロオクチルエタノール)に関して代替困難であることを説明した資料になっています。こちらは眼科用の埋込型医療機器の一部で、このPFMA(ペルフルオロオクチルエチルオキシプロピル=メタクリレート)が使われているところです。代替となる眼科用の埋込型医療機器は現在開発中であるため、代替困難であると判断しております。

 21~22ページにかけて、もう一つの要件である第一種特定化学物質が使用されることにより環境汚染が生じて人健康に係る被害又は生活環境動植物の生息若しくは生育に係る被害を生ずるおそれがないかどうかに関して記載しています。

 まずは、環境省において平成22年度から令和2年度に実施した環境モニタリングデータに基づいて環境リスク評価をいたしました。PFOAに関する環境リスク評価を実施し、算定した暴露量と、PFOAの毒性データを基にした人及び高次捕食動物の有害性評価値・予測無影響濃度を比較した結果、有害性評価値等のほうが高かったという結論としています。

 進みまして、22ページの2段落目のところです。NITE及び厚生労働省、経済産業省、環境省において、PFOBの製造のためのPFOIの使用及びPFMA製造のための8:2FTOHの使用を前提として生物濃縮を加味したリスク評価を実施した結果、人及び高次捕食動物の予測暴露量が、それぞれの許容量・許容濃度より小さくなるという結果が得られております。加えまして、3段落目ですが、今後、PFOA関連物質の使用をこれらの用途に限る場合、今までと比べPFOA関連物質の使用量は減少するため、環境中への排出量が減少すると考えております。

 これらを踏まえると、①、②により「医薬品の製造を目的としたペルフルオロオクチル=ブロミドの製造のためのペルフルオロオクチル=ヨージドの使用」及び「侵襲性及び埋込型医療機器の製造を目的としたペルフルオロオクチルエチルオキシプロピル=メタクリレートの製造のためのペルフルオロオクチルエタノールの使用」については例外的に認めることが妥当であると結論されています。ただし、国は使用の状況や代替に向けた進捗状況を把握し、継続的にモニタリング調査等を実施するものとします。

 続きまして、22ページの下段から23ページにかけてですが、2-2.PFOA関連物質が使用されている製品等の取扱いについて説明いたします。今回、エッセンシャルユースに限る第一種特定化学物質に指定するということにおいて、第一種特定化学物質に指定された際には、国内で製造見込みのある製品は今後限定されることになります。また、既に在庫等の形態で製品として存在しているPFOA関連物質についても、第一種特定化学物質として指定が行われた以降もその使用については継続される可能性があります。それら製品の中で環境汚染の可能性がある製品として、泡消火薬剤があげられます。泡消火薬剤については、希釈して業務用消火器用の消火薬剤としても使用されています。その泡消火薬剤の製造については、代替物質のほうが既に存在しているため、今後、新たにPFOA関連物質を使用して製造・輸入される予定はありません。

 一方で、消火設備団体が別途調査した結果によると、既に消火薬剤としては相当数量のものが全国の地下駐車場等の消火設備として設置されていることが判明しています。これらの泡消火薬剤についても、今後、速やかに代替製品に切り替えていくことが望ましいと考えていますが、既に相当数量が全国の様々な箇所に配備されていることに加え、PFOA関連物質を含む泡消火薬剤が配備されている場所を特定し、短期間で代替製品に取り替えることは、この泡消火薬剤は災害時のみに使用するという製品の性質を考えれば、非常に困難であると考えております。

 これらを踏まえ、医薬品の製造を目的としたPFOBの製造に用いられるPFOI及び侵襲性・埋込型医療機器の製造を目的としたPFMAの製造に用いる8:2FTOH並びに泡消火薬剤、消火器用消火薬剤については、その形態から環境を汚染する可能性があるので、これらを取り扱う事業者については、今後、別途定める取扱い上の技術基準を遵守すること等が必要です。

 また、国は、これらの取扱上の技術基準が遵守されるように、各製品に関係する事業者と協力し、周知に務めるものとします。また、必要に応じて、環境汚染の可能性も含めて情報収集等を今後も行い、また事業者のほうは、製品中の第一種特定化学物質の含有状況について新たな事実等が判明すれば、迅速に国へ情報提供することが望まれます。

 以上を踏まえ、表4には、先ほどの基準適合義務がかかる製品が掲げられており、今後、審議会の後に検討していくことになり、先ほどの製造の技術基準と同様、留意すべき主な要素を24ページの中段以降に掲げています。

 続きまして、24ページの下段、2-3.PFOA関連物質が使用されている製品の輸入の禁止についてです。PFOA関連物質については、ストックホルム条約において廃絶の対象物質と決定されたことから、適用除外とされた用途を除いて、今後、諸外国においてもその製造・使用が禁止される予定です。こうしたことを前提に、国内におけるこれまでのPFOA関連物質の使用状況及び当該化学物質が使用されている主な製品の輸入の状況、海外における使用状況を調査しました。その調査結果が25ページの表5です。さらに表5に関して、「参考」に記載されていますが、輸入禁止製品の政令指定の考え方に従って整理した結果が26ページの表6です。これらについては当該製品中にPFOA関連物質が使用されている場合には、輸入を禁止する処置を講じることが適当であると考えております。なお、PFOA関連物質の使用されている製品の輸入状況については、今後も実態把握を務め、環境汚染を生じるおそれのある製品が確認された場合については、輸入禁止製品に追加する等の速やかな措置を講じていく必要があります。

 続きまして、27ページを御覧ください。2-4.その他の必要な措置について、回収措置について記載しています。先ほど説明いたしましたPFOAの環境リスク評価を踏まえ、現時点において、回収措置を命じる必要はないと考えます。ただ、その一方で、今後のPFOA関連物質の製造・輸入及びエッセンシャルユースを除く使用の禁止措置を講じるシナリオに基づく将来の環境リスク推計については、現在行っているところです。こちらについては、引き続き環境リスク推計を進め、当該結果をもとに、回収措置については検討を行っていくこととしております。また、残留性有機汚染物質を含む廃棄物に関しては、ストックホルム条約上で適正な方法で処分することとされていることを踏まえ、廃棄物処理法等関係法令に従い適切に措置することが必要です。

 最後に28ページ、3.今後の進め方についてです。PFOA関連物質については、第一特定化学物質に指定することとしております。それに加え、今回議論させていただいている輸入禁止製品やエッセンシャルユース等もありますので、こちらに関してもパブコメ等を踏まえ、化審法の政令改正を行っていく予定です。事務局からの説明は以上です。

○平林座長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見はございますか。吉岡先生、御発言をお願いできますか。

○吉岡委員 資料1の22ページに書いてあることですが、PNECでは、「有害性評価値のほうが大きかった」という記載があります。この基になっているものは多分、参考資料1-1のOECDTGの「鳥類への毒性」だろうと思います。参考資料1-1の1ページ、一番右の欄の一番上の「鳥類への毒性」という所の「ニホンウズラ」というのが、他の資料では「コリンウズラ」になっております。学名からすると「ニホンウズラ」が正しいようですけれども、これは修正されたのでしょうか。

○MOE事務局 環境省の事務局からお答えします、大変失礼いたしました。資料間での整合ができていませんでした。正しい学名に、資料を修正したいと思います。ありがとうございます。

○吉岡委員 これはどっちが間違っているのが、「コリンウズラ」ですか。学名から言うと、「ニホンウズラ」が正しいように見えるけれども、正しいほうに直してください。

 もう一点いいですか。このウズラによって得られた毒性値から、PNECが0.1という値を設定されました。参考資料1-1の同じ欄の下に書いてある「水生生物への毒性」という項目があります。この水生生物への毒性という所ですが、魚類、甲殻類、藻類というものの毒性が載っていますけれども、魚類のNOECが0.3mg/Lです。通常の形でPNECを計算すれば、0.03がPNECになるだろうと思います。そうすると計算に用いられた0.1よりも小さい値になってしまうということが起こります。この点はどう考えればよいのでしょうか。

○平林座長 お願いします。

○MOE事務局 環境省よりお答えいたします。従前より第一種特定化学物質に関しましては、こういった捕食動物への毒性を基に判断するというのが法令上決められていまして、鳥類の試験結果から今回の評価を行わせていただいています。水生生物の従前の第一種特定化学物質の指定においても、そのように考えているところの考え方と整合を取ったところです。水生生物のPNECとの比較はどうなるかということに関しては、ちょっと計算方法がいろいろ変わってきますので、どういう数字になるか、今この場で、すぐにお答えすることは難しい状況です。

○吉岡委員 ありがとうございます。それで、もう一点だけですが、資料1-1の22ページの、元の所に戻ります。ここで一番上から2行目、「有害性評価値等の方が大きかった」という記載がございます。これは他の資料でもそうなっています。ただ、予測無影響濃度よりも有害性評価値が大きいというだけでは、例えばPEC/PNEC比が0.99であっても同じことが言えます。そういうマージンが大きいということをきちんと伝えるためには、もう少し正確に書かれたほうがいいのではないかなと思います。以上です。

○平林座長 はい、ありがとうございました。事務局、よろしいですか。

○MOE事務局 はい、記載の仕方については検討させていただきます。ありがとうございました。

○平林座長 続きまして、鈴木先生、お願いします。

○鈴木委員 国環研の鈴木です。2点というか、2.5点ぐらい質問させていただきます。1つが④と⑥の用途について例外ということで、この趣旨は大体理解いたしましたが、この2つを適用除外することによって、表2にあるように、PFOAの関連物質の数量では、年間数トンという用途がありますけれども、どの程度の量が適用除外として使用されていくことが想定されるのでしょうか、というのが1点目です。

 もう一つは消火剤について、これもまあやむを得ないことかなと思いますが、環境汚染を防止するための措置について、取扱い上の技術基準につきまして、漏えいするとか訓練について配慮されること。これは必要だと思いますけれども、すぐに代替が困難であるという状況からすれば、これが実際に消火剤として使用される事態もあるのではないかと思われるので、そのようなことに対する事実上の基準というようなことも考慮されているのでしょうかというのが質問の2点目です。以上です。

○平林座長 はい、ありがとうございました。まず1点目、経産省の事務局からお願いします。

○METI事務局 経産省の事務局からお答えします。1点目の御質問についてですけれども、御指摘のとおり、直近の年で実績がある分については今回御説明差し上げたエッセンシャルユースにかかる使用というものになります。主に御説明差し上げたPFOIの使用ということになりますけれども、こちらについては、見通しとして大体10トン程度の使用が見込まれているという状況です。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。2点目は環境省ですね、お願いします。

○MOE事務局 環境省よりお答えいたします。今、御指摘を頂きました消火薬剤に関しては御指摘のとおり、今回の技術基準というのは保管時あるいは緊急時の使用以外のときに対して適用するもので、御指摘いただきました本当の緊急時、火災が起きたときの使用等に関しては、今回の技術基準には適用しないということの制度設計となっています。これに関しては従前のPFOSのときの消火剤と同じ整理で、やはり火事が起きた緊急時という使用はある程度やむを得ないだろうという考え方に基づいています。ただし、一方でこういった状況を長く継続することも好ましくありませんので、なるべく早く代替していただくようにということを関係業界なども含めて働きかけを行っていきたいと考えています。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。鈴木先生、これでよろしゅうございますか。

○鈴木委員 1点目はだいたい理解いたしました。10トンというのも割合が多いので、基本的には環境中に放出されにくい用途であるという説明で理解しましたが、しっかり管理していただくことをお願いします。

 2点目についてはその通りだと思いますが、実際に使用されてしまった時に恐らく事後的な何かの環境面からの対応というのは、これは本当に起こることのような気がしますので、化審法上はともかくとして、対応としては考えておく必要があるのではないかと思いました。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。他の先生方はよろしゅうございますか。そうしましたら、今まで頂いた御意見をもとに多少の修正等をしていただきたいと思います。以上で、本件についての質疑を終わりたいと思いますが、よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、事務局より本件の取扱いについて説明をお願いします。

○MHLW事務局 本議題については、3省の関係審議会で合同開催、審議とさせていただきましたが、審議結果を踏まえた今後の手続き・対応は審議会によって異なります。各省の事務局から、順次、御説明いたします。

 まず厚生労働省です。厚生労働省では、薬事・食品衛生審議会の手続き等について御説明いたします。本日の調査会で御審議いただきました内容に関しては、今後行われる化学物質安全対策部会において御審議いただく予定にしております。

○平林座長 ただいま説明のあった内容で、化学物質安全対策部会へ調査会から報告してよろしいでしょうか。

 特に御意見がないようですので、御了承いただいたと思います。ありがとうございました。

○平林座長 では先に、環境省から今後の取扱いについて説明をお願いします。

○MOE事務局 それでは先に、環境省の手続き等について御説明します。中央環境審議会の手続き等に関しては、中央環境審議会では化学物質審査小委員会での議決は環境保健部会長の同意を経て部会の議決となり、更に会長の同意を得て審議会の議決となるように定められています。資料1-2の報告案をもとに、所定の手続きを経た後、審議会の第四次答申としたいと考えております。中央環境審議会の委員の方は資料1-2の9ページの第四次報告案を御覧ください。こちらの冒頭に、第一次から第三次の経緯を書いています。その後、今回の資料1-1で御審議いただいた内容に基づき、1として輸入禁止製品のリスト、2として第一種特定化学物質を使用できる用途(エッセンシャルユース)について、3として第一種特定化学物質が使用されている場合に技術上の基準等に従わなければならない製品についての3点に関して、第四次答申としてまとめたいと考えています。

 この決議案について、白石委員長から化学物質小委員会に諮っていただくようお願いいたします。

○白石小委員長 ただいま御説明のあった案について、実際の法制化作業における技術的な修正については、事務局に御一任いただいた上で本委員会の議決と了承してよろしいでしょうか。

(了承を確認)

○白石小委員長 ありがとうございました。

○平林座長 ありがとうございました。それでは 経済産業省の準備はできましたでしょうか。本件の今後の取扱いについて。

○METI事務局 経済産業省のほうから化学物質審議会の手続き等についての御説明をします。

 まず、今般御審議いただきました1点目の第一種特定化学物質が使用されている製品で輸入してはならないものの指定、及び第一種特定化学物質を使用できる用途の指定、並びに技術上の基準に従わなければならない当該化学物質が使用されている製品の指定については、経済産業大臣から化学物質審議会へ諮問がされており、化学物質審議会の運営規程において、諮問に係る事案を本安全対策部会に付託することができるということになっています。

 また、その内容が技術的専門事項であると認められる場合には、本安全対策部会の決議は、化学物質審議会長の同意を得て、化学物質審議会の議決、すなわち答申とすることができると定められています。今回はこの技術的専門事項に該当するということで、本安全対策部会の決議案を御相談させていただきたいと考えています。

 化学物質審議会安全対策部会の委員におかれましては、資料1-2の決議案を御覧ください。まず、資料1-2の2ページ目から御覧ください。こちらがまず別添に掲げる化学物質について、先ほど申し上げました3点についての決議案です。冒頭申し上げた別添に掲げる化学物質は、この資料の4ページから8ページ目に記載しております。全体では56種のPFOA関連物質を指していて、本日は時間の都合上、各物質の読み上げは割愛させていただきます。

 その内容ですけれども、まず1点目です。別添に掲げる化学物質について、化審法第24条第1項に規定する当該化学物質が使用されている製品で、輸入してはならないものとして政令で定めるべき製品としては、下の表のフロアワックスや繊維製品用保護剤及び防汚剤など、以下に記載している製剤で、合計8製品を今回指定しております。

 2点目は、同じく別添に掲げる化学物質について、化審法第25条に規定する当該化学物質が使用できる用途で、政令で定める用途、エッセンシャルユースです。これも表中にありますが、1つ目が医薬品の製造を目的としたPFOBの製造のためのPFOIの使用、2つ目が侵襲性及び埋込型医療機器の製造を目的としたPFMAの製造のための8:2FTOHの使用で、この2つの用途を予定しています。

 3点目は、同じく別添に掲げる化学物質について、化審法第28条第2項に規定する技術上の基準に従わなければならない当該化学物質が使用されている製品として、消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤を予定しています。これらの本決議案の内容は以上になります。

 この決議案について東海部会長から安全対策部会にお諮りいただきたく、よろしくお願いしたいと思います。以上です。

○東海部会長 ただいま御説明のあった決議案をもって、化学物質審議会安全対策部会の決議としてよろしいでしょうか。

(了承を確認)

 承認いただけたということです。ありがとうございました。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。先ほど事務局から今後のスケジュールについて説明がありましたとおり、パブリックコメントなどを踏まえて、実際に指定される製品の区分や表現方法等について変更される場合もありますが、その場合は、部会長、委員長一任ということでよろしいでしょうか。

(了承を確認)

 特に反論がないようですので、ありがとうございました。それでは、本件の今後の取扱いについて、事務局から御説明願います。

○MHLW事務局 今後の予定を説明いたします。先ほどの決議、報告等については、各審議会で定められた手続を経まして答申となり公表されます。

○平林座長 今後の取扱いについてはよろしいですか。以上で、議題1に係る審議事項は終了といたします。

 それでは、続きまして議題2「優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱ」に係る審議に移りたいと思います。本日は2物質のリスク評価について審議を行います。まず、審議物質①トルエンに係る評価として、7月開催の合同審議会において「物理化学的性状等の詳細資料(案)」「有害性情報の詳細資料(案)」を審議し、了承されましたので、本日はリスク評価結果及び今後の対応に関する審議をいたします。資料2-1-1リスク評価書(案)、資料2-1-2リスク評価結果(案)について、事務局より説明をお願いします。

○NITE それでは、まず資料2-1-1の1ページ目を御覧ください。評価対象物質トルエンの構造式を載せています。表2及び表3には本評価で用いたトルエンの物理化学的性状等について掲載しています。こちらの値は先ほど御説明がありましたように7月の審議会で了解していただいた内容となっています。

 続いて3ページ目を御覧ください。排出源情報について御説明します。図1には化審法の届出情報に基づく製造輸入数量の経年変化を掲載しています。製造輸入数量は平成25年度以降、約120万トンから約140万トンの間で推移しています。同じページの表4には、化審法届出の用途を記載しています。排出量が最も大きいのは02-aで、塗料用溶剤、塗料希釈剤となっています。

 続いて4ページ目を御覧ください。このトルエンは化管法の対象物質にもなっていて、図2には化管法のPRTR制度に基づく排出・移動量の経年変化を載せています。経年変化を見ていただきますと、大気排出量は減少傾向にあるということが分かります。排出源情報については以上になります。

○MHLW事務局 続いて6ページを御覧ください。有害性評価について御説明します。

トルエンの人健康に関する有害性評価値については、令和3年7月開催の3省合同審議会にて御審議いただき了承をいただいており、経口経路、吸入経路それぞれについては7ページの表6にまとめています。

経口経路は、感受性の高いラットの経口投与試験をキースタディに選定し、2つのエンドポイントから求めた有害性評価値のうち、より安全性に配慮した肝臓及び腎臓重量の増加が見られない用量をNOAELと設定し、平均1日投与量への換算値を不確実係数(UF)で除した値を有害性評価値として採用しました。

 吸入経路は、職業暴露の疫学研究から、暴露群及び対照群において中枢神経系への影響に有意な差を認められなかったとしてNOAELが得られた疫学研究をキースタディに選定し、神経学的影響を指標としたNOAELから連続暴露量への換算値を不確実係数で除した値を有害性評価値として採用しました。

 なお、7ページの冒頭に記載のとおり、トルエンの各暴露経路の根拠データが動物実験とヒト疫学で異なり、更に標的臓器や発生機序も異なっているため、両暴露経路におけるリスク比を合算するための毒性学的根拠が乏しいことから、本物質のリスク推計は暴露経路別に行うことが妥当であると考えられるとしています。

有害性評価については以上です。

○NITE 続いて8ページ目、5-1「排出源ごとの暴露シナリオによる評価」を御説明します。表7にはPRTRの届出情報に基づくリスク推計結果を示しています。こちらは経口経路、吸入経路ともにリスク懸念箇所はありませんでした。こちらの説明は以上になります。

○MOE事務局 続いて、5-2「様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価」を御説明します。PRTR情報と化審法届出情報の長期使用製品の排出量を用いて、推計モデル(G-CIEMS)により、大気中の濃度及び水質濃度を計算し、3,705地点のリスク推計を行いました。その結果、経口、吸入いずれにおいても、3,705地点全てにおいて、HQは0.1未満でした。

 次に、5-3「環境モニタリングデータによる評価」の御説明をします。平成25年度~29年度の5年間におけるトルエンの大気及び水質モニタリングデータを用いてリスク評価を行いました。その結果、大気、水域いずれにおいても、HQが1以上(HQ≧1)となる地点はありませんでした。また、大気については、HQが0.1以上1未満(0.1≦HQ<1)の地点が8か所ありました。こちらの説明は以上になります。

○MHLW事務局 続いて資料2-1-2に基づいて、評価結果及び今後の対応について御説明します。

トルエンについては、人健康影響に係る有害性評価として、有害性評価値を導出し、暴露評価として化審法の届出情報、PRTR情報に基づく予測環境中濃度を計算、環境モニタリングによる実測濃度を収集し、暴露濃度及び摂取量の推計を行いました。リスク評価としてこれらを比較した結果、暴露濃度及び摂取量が有害性評価値を超えた地点は確認されませんでした。また、化審法の届出製造・輸入数量及びPRTR排出量は、平成25年度以降は横ばい傾向にあります。

 このことから、現在得られる情報・知見の範囲では、現状の取扱い及び排出の状況が継続しても、広範な地域での環境の汚染により人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとは認められないと考えています。

 また、化学物質管理、大気汚染等に関する他法令に基づく取組を引き続き推進していくとともに、PRTR排出量・環境モニタリングデータ等を注視してまいります。

なお、トルエンは生態影響の観点からリスク評価(一次)評価Ⅰは継続中ですので、引き続き優先評価化学物質としたいと考えています。

以上です。

○平林座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見等はありますでしょうか。チャットにはどなたも御希望がないようですが、よろしいですか。

 鈴木先生、お願いします。

○鈴木委員 国立環境研究所の鈴木です。ありがとうございます。評価結果は大体これで妥当だと思いますが、最後に資料2-1-2で、排出量モニタリングデータを注視していくという記載があります。これもそのとおりかと思いますが、トルエンに関しては、多分どの先生も御承知のように、今でも非常に広範な用途がありますので、その辺りも留意してモニタリングデータを注視していく必要があると思いますので、一応申し上げます。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。ほかに御意見はありますでしょうか。そうしますと、これは注意して見ていくということで、原案に特に変更はないかと思いますので、原案どおり、リスク評価結果及び今後の対応が了承されたということでよろしいでしょうか。

 ありがとうございました。それでは、次の物質、α-(ノニルフェニル)-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)の審議に移ります。資料2-2生態影響に係るリスク評価(一次)評価Ⅲの進捗報告について、事務局より説明をお願いします。

○METI事務局 ありがとうございます。資料に基づきまして経産省事務局、環境省事務局より分担して説明をさせていただきます。まず1ページ目から今回の審議物質の経緯について説明をさせていただきます。お時間の都合上、経緯の詳細は割愛させていただきますが、昨年2020年9月時点までで、リスク評価Ⅱにおいて、有害性評価について御審議いただきまして、こちらに記載の2つのPNECをもって総合的にリスク評価を行うこととされることが了承されました。このリスク評価(一次)評価Ⅱの進捗報告において、ノニルフェノールの環境モニタリングによる実測濃度がPNECを超えた地点が多数確認されたことから、NPEは継続的に摂取され又はこれにさらされる場合には、生活環境動植物の生息若しくは生育に係る被害を生ずるおそれがあると認められるものに該当する可能性があるとされましたが、発生源について十分な情報収集・分析ができておらず、措置の必要性を含め、更なる検討が必要であるとされたことから、リスク評価(一次)評価Ⅲに進めまして、排出源に関する詳細な分析を行うこととなりました。本日は、その進捗について報告をさせていただきます。

 次の「リスク評価の概要」ですが、評価2段階から更新された部分に絞って御説明させていただきます。評価対象物質については同様です。有害性評価については今御説明させていただいたとおり、こちらの2つのPNEC、便宜的にPNEC[a]、[b]とさせていただいており、この2つの値です。

 暴露評価に用いたデータにつきましては更新しております。2019年度までの最新届出情報、PRTR情報などを用いまして、暴露評価を行っております。暴露評価の結果については、別添「3 排出源情報」に図表を示しておりますので、こちらも併せて御確認いただければと思います。化審法届出情報及びPRTRのデータに基づき、このような形で減少傾向を示しております。

 続きまして、リスク推計について御説明いたします。リスク推計につきましては、1つ目のポツにお断わりしておりますが、親物質から変化物への分解経路や分解速度が環境中の条件によって異なることを踏まえ、モデル推計において様々な仮定を入れると解析が複雑になることから、モデル推計は親物質についてのみ行っており、変化物についてはモデル推計を行わないことといたしました。その結果、PRAS-NITE及びG-CIMESの推計結果は記載のとおりとなっています。

 モニタリング結果についても情報を更新しております。評価Ⅱの時点では、2013年から2017年度の5か年のモニタリングデータを使用しておりましたが、今回の評価Ⅲにおいては、2019年度までの7か年分のモニタリングデータを用いて評価を行っております。こちらには「親物質」及び「変化物①」「変化物②」のモニタリングの結果についてお示ししております。特に「変化物②」については、先ほど御説明した2つのPNECである、PNEC[a]及び[b] について、PNEC超過地点をお示ししております。MEOGRT試験のPNEC[a]については、測定地点3,984のうちPNEC超過地点数は87以上、[b]のデータについては、同じく3,984地点の測定地点のうちPNEC超過地点は71となっています。

 過去7年間分のノニルフェノールのモニタリングデータについては、別添の表30、表31のほうにも整理しておりますが、PNECの超過地点については減少傾向にあります。2013年から2019年度の各年度のPNECの[a]及び[b]の超過地点数については、こちらにお示ししたとおりです。具体的には、表30及び表31に傾向を示しておりますので、お手元にて御参照いただければ幸いです。

 ここからは、今回行いました「排出源分析」について御説明いたします。今回の排出源分析においては、今お示しした水質モニタリングデータにおいて、複数年PNECを超過している地点の流域を調査分析するとともに、関係業界へのヒアリングを通じて業種ごとの取扱い状況について調査をいたしました。また、化審法規制の対象外である農薬由来の可能性や、親物質の変化物が底質に残留している可能性などについても併せて検討をいたしました。

 まず、モニタリング懸念地点の流域調査について御説明いたします。PNEC[a]、[b]それぞれについて、この7年間で1回だけPNECが1以上となった地点は3,984地点中、いずれも[54]地点でした。また、2回以上、PEC/PNEC≧1となった地点については、PNEC[a]、[b]それぞれについて[33]及び[17]地点でした。その中で、どのような傾向を示していたかというと、具体的には、表31を御覧いただくのが分かりやすいのですが、7年間のうち7回超過した地点については、PNEC[a]が3地点、[b]が2地点、6回超過したのは3地点、2地点、5回超過については3地点、3地点というような状況になっておりますので、表のほうで御確認いただければ幸いです。PNECを7年間のうち複数回超過した地域の河川について調べたところ、河川の流量が比較的小さい傾向が見られました。その流域のうちの傾斜角度などについても調べましたが、傾斜角度が1度未満以下で勾配が緩やかであることから、流速も小さい所が多かったと推測されます。

 また、今回の排出源分析においては、7年間でPNEC[a]を5回以上超過した9地点の地域について、その傾向を調べるために、この5地域に焦点を当てて詳細に分析をいたしました。具体的な調査のポイントとしては、こちらに記載のとおりですが、各地域において下水道の普及状況や、NPEやNPのPRTR届出事業所の立地状況、また水質汚濁防止法の特定事業所、こちらは下水道に接続されているかされていない事業所があるかという観点で調べました。そして下水処理場や廃棄物処理施設の立地状況についても調査いたしました。

 後ほど御説明する業種別使用実態の調査を併行して行っておりましたが、例えばNPE含有製品のうち、自動車整備等を行う事業所においては、自動車の洗浄に使う洗剤が使われている可能性があるということで、その流域調査においては、自動車整備等を行う事業所があるかどうかについても調査を行いました。更に、先ほどNPEは農薬にも使用されているというお話をいたしましたが、その観点から、流域に公園や緑地、ゴルフ場など農薬が使用されている可能性がある場所があるかどうかについても調査いたしました。

 各流域の個別の調査結果については、38ページ以降に記載させていただいておりますが、今回はその個別の調査について詳細に御説明することは割愛させていただき、この項を御覧いただきながら要約について御説明いたします。この5地点について簡単に要約させていただきますと、この7年間で5回以上PNECを超過した5地域についての対象河川は、流量・流速が比較的小さいということが確認されました。また、モニタリング懸念地点は9地点と申し上げましたが、そのうち6地点については生活環境の保全に関する環境基準の水生生物に係る水域類型に指定されておらず、残りの3地点は「生物B」に指定されている環境であるということが確認されました。

 また、6ページ以降ですが、各排出源については、PRTR事業所等の立地状況について簡単に報告します。まずPRTR事業所については、5地点のうち、Q地域、N地域について、それぞれ3か所、2か所の立地が確認されましたが、届出状況を確認しますと、最後の届出実績が2005年までとなっております。また、水質汚濁防止法の特定事業所は各地域において確認されておりますが、並行して行った業界ヒアリングによりますと、いずれの業種でも排水処理が行われているということが確認されております。排水処理の方法によっては、NPE又はNPが残留している可能性がありますが、これについては後ほど御説明をいたします。

 また、下水処理場、廃棄物処理場施設での立地状況も確認しております。また、自動車整備工場についても立地状況を確認し、かつ、NPEが含有されている可能性がある製品についてもF地域を選定いたしましてヒアリング調査を行いました。こちらで行いましたのは、その流域に点在する全国展開しているような自動車販売所などについて、どのような製品を使っているかについてヒアリングを行いましたが、現時点で確認される限りでは、水域への排出可能性が低い用途のみが確認されました。

 最後に農薬についてですが、5地域のうち3地域についてNPE含有農薬の使用が確認されております。その使用量、使用場所の立場の関係上、使用量については年間使用量がグラムオーダーと少量であったことから、モニタリングの濃度と農薬の使用実態の紐づけがしづらいと考えております。

 以上から、各流域で調べた各項目を踏まえて、どれが排出源かということを特定することができなかったという結果ですが、追って御説明いたしますが、流速の小さい河川などでは、底泥にNPが残存している可能性を示唆する報告などがありますので、こういった報告を踏まえますと、過去に排出されたNPEが検出されているといった可能性も考えられるのではないかと思います。

 次の項目は、PRTR届出事業所と、モニタリング懸念地点との関係ということで、2001年から2019年の約20年間で、NPEを水域に排出していたPRTR届出事業所とモニタリング地点の関係について調査した結果をこちらにお示ししています。詳細は割愛させていただきますが、モニタリング年度に合わせて大体、全体的な傾向としては、経年的にPRTRの排出量は激減しているのですが、それでも2013年以降、排出届出がある事業所を確認したところ、全国でモニタリングの地点と関係する事業所は4事業所という結果でした。

 ここからは、環境省からお願いいたします。

○MOE事務局 では続きまして、6-2 追加的モニタリング調査について御説明いたします。環境省では2013年から生活環境項目のモニタリング調査において、リスク懸念地点が多く、農薬の影響を強く受けていると考えられる地域を対象に6流域、35地点について、農閑期と農繁期の2回に分けて、各物質を測定しました。周辺の土地利用については、多くの地点で田畑や工場が複数ある地点でした。ただし、工場につきましては、PRTRでNPE及びNPを排出していると届出ている事業所は周辺にはありませんでした。

 測定結果は、43ページから45ページにグラフでお示ししております。43ページを御覧ください。こちらが変化物②(NP)のモニタリング調査結果になります。こちらを御覧いただきますと、全体的に赤い線の農繁期が高くなっていることが御覧いただけるかと思います。また比較的濃度が低めであり、農薬などの点源からの排出で見られるような特異的に高い地点はなく、全地点でほぼ同程度の濃度となっております。このことから、過去に排出された農薬による広範な汚染があり、それが徐々に流出している可能性も考えられます。

 続きまして45ページを御覧ください。こちらは親物質(NPE)のモニタリング調査結果になります。こちらは先ほどとは異なりまして、青い線の農閑期のほうが高い地点が多く見られ、またNPよりも高濃度の地点が見られるという状況です。一方で赤い線の農繁期のほうが高い地点も幾つか見られ、これらについては農薬の影響の可能性もあると考えております。

 7ページの本文に戻っていただきまして、このような結果から、このモニタリング調査により、NP及びNPEの発生源が化審法由来、農薬由来、残留物の流出由来等を特定することは困難でした。こちらの御説明は以上になります。

○METI事務局 続きまして、7ページの下の部分の「業種別使用実態調査」について御説明をさせていただきます。こちらについても簡単に要約として本文をまとめており、詳細は別添の46ページ以降、業界ヒアリングから得られました業種別の結果については46ページ以降を御参照いただければと思います。また、50ページに、どのような業界についてヒアリングをさせていただいたかを表にまとめておりますので、各用途分類と、主な用途についてはこちらを御確認いただければと思います。

 7ページ目に戻りまして、冒頭の説明のとおり、関係業界に対して現時点での使用実態、使用状況や排水処理の状況についてヒアリングをさせていただき、その結果をまとめております。NPEについては、使用の用途が非常に多岐にわたっていまして、代表的な用途としては界面活性剤などに使われておりますが、業種、サプライチェーンが長い物質です。こちらは2000年前後に内分泌攪乱物質として社会問題化された時期以降、各業界で代替化などの削減の取組が進められております。業界の中には、ほぼ代替されたと考えられる用途があります。例えば、ビルなどの外で使うような洗浄剤ですとか、洗車機用の洗浄剤については、業界として使用していないということは確認されております。そのほかに、化学繊維の紡糸油剤、印刷インキの消泡剤等の助剤についても、業界団体として使用を中止したという声があります。他方で、このNPEが界面活性剤としての高機能を有する物質であることから、脱脂剤、乳化剤、分散剤などの助剤や、一部の洗浄剤については販売先の要求性能を確保するためや、使用変更に伴う製造工程の変更を避けるため継続使用されているという実態もあります。販売先は非常に多岐にわたり、自動車、電気製品、建築、医療などいろいろな分野にわたりますが、各業種によって使用の申請や認可の仕組みがありますので、そういった手続が必要となる分野もあると聞いております。

 継続使用されているような用途については、代表的なものとしては繊維表面処理、樹脂系の製品などの製造工程で使われる助剤にNPEが含まれていると聞いておりますが、こちらの助剤等に含まれるNPEについては、この含有濃度は1%未満~3%と低く、また最終製品になった段階では、固化して製品に取り込まれるために製造・使用段階からの環境排出の可能性は低いと考えられます。また、こういったNPEの継続使用が確認されている用途については、工場内で使用されている場合が多く、各工場では排水処理や産廃処理が行われているということが確認できました。

 この排水処理については、次の項目にて御説明いたします。この関係団体のヒアリングによりますと、中規模以上の事業所であれば、排水処理設備が備えられておりまして、排水処理設備がないような小規模事業所においても、水質汚濁防止法、下水道法などや自治体の基準に従って、排水を調整してから下水等に排出するか、産業廃棄物処理事業者に委託して処分をしているといったことが確認されました。産廃処理業者によって焼却処理されているような場合は、NPEが残っているという心配はないと思うのですが、次に御説明しますが、排水処理方法によっては排水中にNPE又はNPが残留している可能性も否定できません。そういった場合があることを、次の2つ目のポツで御説明いたします。

 排水処理において、活性汚泥が使われている場合は、NPEが97%以上除去されたという水質分析の結果も得ているのですが、この活性汚泥の条件によって異なってくる場合もあります。例えば、凝集及び活性汚泥プロセスにおいて水理学的滞留時間が長く、有機物負荷が低く、汚泥滞留時間が長いなどの条件が整うことによりNPE及びNPの除去が促進されるという報告があります。その一方で、活性汚泥の処理の過程で、NPEから発生するカルボン酸誘導体(NPEC)が生成したという報告もあります。そのような中、処理コストは上がるのですが、既存の処理工程に活性炭フィルターや紫外線処理、オゾン処理などを追加することで処理を向上させることができるという報告もあります。

 以上を踏まえますと、活性汚泥処理、活性炭フィルター、紫外線処理、オゾン処理などをせず、例えば油水分離や中和凝集処理のみというような処理の場合は、排水中にNPE、NPEC又はNPが残っている可能性があると考えられます。「下水処理」についても似たような文献報告をこちらにまとめております。

 また最後の項目として、産廃処理の状況についてもまとめております。NPEとNPについては、PRTRの届出情報に基づき、産廃処理がどのような処理方法でされているのかということについて、こちらにまとめております。詳細な説明は割愛させていただきますが、中間処理における焼却・溶融の過程で、かなりの汚泥が処理されておりますので、最終処分の前に相当程度減らされていると考えられます。

 11ページですが、先ほど個別流域調査の所で、追って御説明をすると申し上げました「NPEからNPへの変化及び動態」について御説明したいと思います。流域調査のところで、流速は小さいような所では、河川の底泥にNPが残存している可能性も考えられるのではないかと話しましたが、その発現に基づく情報を整理しております。記載のとおりですが、NPEは、好気性又は嫌気性の環境条件下において微生物の作用等によって段階的にエトキシ基が外れて下位のNPE化合物へと変換し、NPへと分解され、究極的には二酸化炭素と水に分解されます。ただし、下水処理や河川水中では早く分解されますが、底質や土壌での分解は遅いという報告があります。

 また、NPECよりもNPE、NPEよりもNPのほうが大きな吸着定数となり、土壌や底質に強く吸着するということが示唆されています。流速の小さい湖沼や底泥においては徐々に蓄積していくという文献の報告もありますので、そういった環境においては、河川底泥に残存しているという可能性が考えられます。

 では、続いて環境省からお願いします。

○MOE事務局 続きまして、「化審法対象外用途」について御説明いたします。まず農薬につきまして、NPEは、農薬成分を葉に均一に塗布するための展着剤として農薬中に含まれております。またPRTR情報によりますと、2019年度は315トンが排出されていると推計されております。

 次に、医薬品につきましては、172製品にNPが含有されているという情報があります。PRTR情報や事業者ヒアリングによりますと、工場内での排水処理によって除去されて、製品中にはほとんど残存していないということです。その他の用途につきましては、ホームセンターや通信販売等で入手可能な洗剤等の製品にNPEが含有している可能性については、まだ検証されておりません。

 続きまして、「G-CIEMSを用いた発生源別濃度予測」を御説明いたします。G-CIEMS(環境中予測濃度モデル)で、NPEの地点ごとの濃度及び用途ごとの寄与率を求めました。その結果は、30ページ以降の表23~表25にお示ししています。お手元の資料で御確認ください。その結果、化審法対象の用途の寄与が大部分を占めるということが示唆されております。また、表25を御覧いただきますと、農薬(田)の寄与が最大で20%近くの地点があり、10%を超える地点も40地点中に6地点ありました。

 続きまして、欧州の規制状況の御説明をいたします。欧州ではREACH規則によって、NPE及びNPは認可物質及び制限物質に指定されております。そのため、製品中の含有量制限や使用後の処理方法が具体的に指定されております。また、農薬における展着剤用途については、PPP規則によって使用禁止されております。今後、日本国内で削減の取組を検討する上では、このような欧州での規制内容が参考になると考えております。例えば、出荷量が増加している用途などについては重点的に国内の使用実態を確認する必要があると考えております。

 最後に、「まとめ」を御説明いたします。これまで御説明した内容が書かれておりますので、要点をかいつまんで御説明させていただきます。13ページ目を御覧ください。397行目辺りからですが、今回の事業者ヒアリング等によりますと、代替化しにくい用途が継続使用されており、NPEの使用量は削減されているということでしたが、化審法届出情報によりますと、19ページ表11でお示しておりますとおり、2015年度と2019年度で増加しているという用途もありました。また、事業所ごとに排水処理や産廃処理が行われておりますが、排水処理方法によっては排水中にNPEやNPが残留している可能性があります。また、今回行いました排出源分析及び追加的モニタリング調査結果では、発生源が化審法由来、農薬由来、底質等の残留物の流出由来等を特定することはできませんでしたが、依然としてPNEC超過地点がある現状においては、引き続き第二種特定化学物質指定も検討しつつ、リスク低減のための対策を行うことは不可欠と考えております。環境モニタリング懸念地点の状況や、化審法PRTRの届出情報などを引き続き注視するとともに、欧州等の規制内容も参考としつつ、農薬の濃度寄与が20%程度の地点もあるという推計結果もありますので、農薬も含めて開放系用途等における更なる対策について検討することを考えております。こちらの資料につきまして、経産省と環境省を併せての説明は以上になります。

○平林座長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見等はございますか。青木先生、お願いします。

○青木委員 青木です。とても詳細な資料を作っていただいてありがとうございます。非常に感激しております。御専門の先生方が後からいろいろありますので、素人的なところからになりますが、13ページの399行ですけれども、「増加している用途もある」ということなのですが、これは何か具体的に分かっているのでしょうか。事務局、よろしくお願いします。あと、農薬等のこともあるのですが、それは御専門の先生方の発言を受けて、いろいろ発言したいと思います。よろしくお願いします。

○平林座長 お願いします。

○METI事務局 御質問ありがとうございます。御質問の点について経産省事務局より回答させていただきます。具体的には、19ページの表11ですが、2015年度と2019年度の化審法届出の出荷数量を用途別に列記した表があります。こちらに基づいて御確認いただければと思います。一番右の列が「出荷数量増減率」となっております。プラスの数量になっている用途については、2015~2019年と比較して増加した用途ということになります。例えば、113-a、120-f、127-j、128-g、131-d、そして144-bと145-bといった用途が増加したということになっています。幾つか、代表的な用途について確認しました。2015年と2019年の比較では、その2点の比較になってしまうのですが、代表的な用途について、2019年度の前後の年度の2018年と2020年の傾向についても数量的なところを確認させていただきました。全ては確認できてはいないのですけれども、例えば144-bの建材資材については、2019年が123トンとなっておりますけれども、2018年と2020年についても大体120トン程度で推移しておりますので、こちらについては2015年時点と比較すると増加していると言えるのではないかと思います。もう1つ、145-bについて調べたところ、2019年度が107トンになっているのですけれども、2018年と2020年については、それぞれ31トンと44トンということですので、この用途については2019年度だけ増加しているといったことかもしれないと考えております。以上となります。

○青木委員 ありがとうございます。続いて恐縮ですけれども、これは直感的な言い方で恐縮なのですが、増えているのは幾つかありますけれども、その中で、113-aの水系洗浄剤、119-dの殺生物剤、合成ゴムは違いますね、さすがに陶磁器も違いますが、144-bの建設資材、あるいは145-bの散布剤、又は埋立処分前処理薬剤ですので、一般的な感覚としては、やはり環境中への放出が大いに懸念されるものがあるというように、私個人的には理解しておりますので、是非、先生方に、この辺の議論をいただきたいところでございます。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。欠席の委員からの御意見があったかと思いますので、今、ここで御紹介いただけますか。

○METI事務局 本日、経産委員の安全対策部会の委員のお一人であります柏田委員が急なことで、やむなく御欠席されるということで直前にメールで御連絡を頂いたのですけれども、もしお時間が許せば先生の御意見を紹介していただきたいということで言付かっております。代読させていただきたいと思います。まず1点目ですが、「少なくとも甲殻類への高い毒性が明確となっているノニルフェノールの発生源、親物質NPEの挙動の不明な状況は、生態リスク評価上、問題があると思います。」といったことと、もう1つが「NPE及びNPの底質モニタリングを行う必要があると思います。」という2点について、代わって申し上げさせていただきます。

○平林座長 ありがとうございます。これに対しては何かありますか。

○MOE事務局 底質モニタリングの予定ですが、水質モニタリングと併せて、底質モニタリングの実施も検討しているところで、今、分析法の開発を行っているところです。それができ次第、底質モニタリングも実施予定と考えております。

○平林座長 ありがとうございました。差し当たりは、それでよろしゅうございますか。そうしましたら、チャットのほうに入っているので、吉岡先生、お願いします。

○吉岡委員 環境の吉岡です。よろしくお願いいたします。資料13ページの412行目の一番最後の所です。この物質に限らず、いわゆる私たちが法規制で化審法や農取法あるいは薬事法等といったような形で、様々な法律で、分割された化学物質の管理を行っております。その意味からして、できれば統一した管理方法というものを考えて、いわゆる漏れがないようにということを希望します。この物質が「欧州等の規制内容も参考としつつ農薬も含め、うんぬん」と書いてありますので、これが端緒になれば有り難いと思います。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。この件に関しては事務局から何かございますか。

○平林座長 御意見としてお伺いしたということですね。ありがとうございます。そうしましたら、続きまして環境の鈴木先生、お願いします。

○鈴木委員 鈴木です。何点か意見を申し上げます。1つ目は、流量に関するところで、5ページの135行目とか、158行目辺りに書いてあるのですが、この別添の図4に、流量が多い河川では、NPのモニタリング濃度が低い傾向が見られるように、私には思われませんが、これは間違っているのではないかという気がすることが1点です。

 河川において、1m3/s以下は比較的小さいと書いてありますが、分析されているとおり、50パーセンタイルは全然小さくなんかなくて、日本の水環境管理では1トンぐらいの河川というのは重要なターゲットでありまして、全然小さくなどないという意味で、認識不足かと私は思います。

 関連して、勾配から流速は小さいと推測されていますが、このような単純なお話はありませんので、これは多分、水理学的には間違いに近いと思います。これは直していただいたほうがよいかと思います。その流量関係が、まず第1点です。

 底質にNPが溜まっているとか、NPEが溜まっているとか、何箇所かにありますが、このぐらいは可能性が常にあるので、調査されるのはいいと思いますけれども、この考察くらいで、ああ、そうですかと私は信じることは、申し訳ないですが、全くできません。計算してみないと分かりません。底質がこういうように寄与するというのはかなり高い濃度が本当に存在して、それが実際に流出する現象が起きるときに起こるのであって、それをちゃんと計算してみないと、強いとか高いとか定性的な論文のディスカッションは何の根拠にもならないと思いますので、計算して、これはやっていただきたいと思います。可能性はあると思いますけれども、農地にはあるかもしれませんが。

 あと、「過去に排出されたNPEが比較的吸収量が河川の底質に」と書いてありますが、河川底質にというのは、何年前の過去のNPEが残っていると思っておられるのですか。それをお答えいただきたいと。河川に30年間も溜まっていると思っているのですか。それから、似たことですけれども、11ページの320行前後に、同じ関連ですが、懸濁態が沈降してということですが、これも、論文としてこういう考察をされたのでしょうけれども、その下のほうに、流速の小さい湖沼や閉鎖性水域でも同様の現象があって、NPが河川に残存していると。湖沼や閉鎖性水域と河川底泥と同じとは私は全く思いませんので、このようなことを並べて書かれても困る。この辺をもう少し詰めていただきたいという意味で、考察の端緒としては分かりますが、根拠としては、このままではほとんど使い物にならないと、申し訳ないけれども私は思います。

 それから、11ページの347行のところで、PRTRの農薬の排出量について、これは事実であって書いてあるとおりですけれども、PRTRの農薬の排出量は、農薬としての農地の散布量を書いていますので、水域への流出量とは全く違う数字のはずです。ですから、その点を注釈として追記していただかなければ誤解を招くだけだと思います。化審法的な意味で比ゆ的に言うならば、排出基準をかけていない数字が入っているものでありまして、排出推定はこうやってやるしかないので出てくるのですけれども、この「315t」を他のPRTRの届出排出量とダイレクトに比較できるかというのは違う話でありますので、その点は追記していただく必要があるかと思います。ほかに言いたいことは10個以上思い付くのですが、取りあえずこれだけにしておきます。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。事務局からの応答は如何でしょうか。

○METI事務局 先に、経産省からですけれども、御意見ありがとうございます。流量、流速について間違いではないかという御指摘を頂きましたけれども、公表データに基づいてこのような整理をしているのですが、考え方というか、まとめ方、分析方法として正すべきという点については、また先生とも御相談しながら必要に応じて修正をしていきたいと思います。

 また、底質に蓄積している可能性について、こちらに記載の文献だけでは考察としては弱いといった点を御指摘いただきましてありがとうございました。具体的、各モニタリング懸念地点、それぞれの調べた5地域について、何年前のものが検出されたと考えているかという点については、そこまで具体的に何年ということで考察しておりませんでしたので、考察しておりませんという回答とさせていただきます。ありがとうございました。

○平林座長 続きまして、環境省からお願いします。

○MOE事務局 11ページの農薬の記載ぶりにつきまして、排出量と散布量が違うということで、こちらは誤解のないように注釈を入れるなりして表現を適切にしたいと思います。御指摘をありがとうございます。

○平林座長 ほかにも御意見があるので、次に進んでよろしゅうございますか。

 次は、環境の小山先生、お願いします。

○小山委員 最近のPEC/PNEC比の1をオーバーした所がだんだん減ってきているのは、多分、ノニルフェノール類の排出移動量が減ってきているからだろうということは理解するのですが、一方で、排出量は21ページの図2で見ると、最近は、ここ数年間は余り大きく減っていないということから考えますと、PEC/PNEC比が1を超える点数の減少というのは、ここらで止まってしまって、この程度の超過地点数が毎年ずっと観察されるのではないかというような心配をしております。一方で、排出が、これ以降に急激に減っていくような見込みはありますでしょうか。例えば、13ページの最後の所に、「リスク低減のための対策を行うことは不可欠である。」ということですが、リスク低減の対策は何か、今は考えがありますでしょうか。以上の点をお聞かせください。

○平林座長 ありがとうございました。では、経産省のほうからお願いします。

○METI事務局 御指摘、御意見ありがとうございます。関係業界にはヒアリングをしておりまして、引き続き今までの取組をもって、排出の削減の取組を進めているということではありますが、届出数量的にもまだ継続使用されている所がありまして、引き続き削減の余地はあるのではないかと考えております。これについては、そういった聞き方で、具体的に業界とは、こういった方向であれば、より削減できるといった形での意見交換をまだしておりませんので、暴露状況を引き続き注視することと並行しまして、関係業界と引き続き意見交換を行いまして、具体的な排出削減対策についても相談していきたいと思っております。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。

 では次に、経産の永井先生、お願いします。

○永井委員 永井です。今回から参加しております。よろしくお願いいたします。私は農薬の生態リスク評価をやってきた経験から、農薬由来のものがどれくらいあるかということについてコメントをしたいと思います。2つありまして、まず全体的なところですけれども、2019年の農薬の補助剤としてのPRTR排出量は、水田では15トン、果樹は60トン、畑は210トンであって、数字だけを見ると畑とかに目がいきがちなのですが、畑に散布された農薬というのは、基本は土に落ちるので、余り水系には流出しにくいという性質があります。流出するのは大雨などで土ごと流される場合です。こういう場合の吸着しやすいものは土に吸着したままですし、あとは大雨のときだと水量も増えるので、濃度の上昇には余りつながらないのです。流れるマスとしては多いのですが、その分、水量も増えているので、濃度としてはそれほど上がらないという性質もあります。もし、あったとしても1日とか、そのくらいの短い期間でピークが終わってしまうので、今回やってもらったようなモニタリングのような期間ではピークを検出するということがまず無理なのです。そこまでやる必要もないとは思いますけれども、結論として、濃度上昇への寄与というのはほとんどないと言っていいと思います。これは公園とかゴルフ場、森林も同様です。

 一方で、水田で使用された農薬のほうは、少しずつ水系に流出していくので、むしろ、こちらのほうが排出源としては重要になります。現在、現場の水管理も、以前と比べて徹底されているので、流出率が10%を超えるということは大体ないのですけれども、最大10%と見積もっても、水系への排出というのが1.5トン程度、これが先ほど鈴木委員が言われた排出係数を掛けた後の数字というようにみなしていいのではないかと思います。

 これと比べると、化審法用途の水系の排出が275トンですから、水田からの寄与というのは1%未満で、全体としての環境中濃度に対する農薬由来の寄与というのは低いという結論になるだろうと思います。ここまでが全体の1点目です。

 2点目は、とは言っても、周りが田んぼばかりで、ほかに排出源がないとか、そういう場所であれば水田の寄与率が高くなる場所というのは当然出てくるものと思われます。大体モニタリングの、私の個人的な相場観ですが、年間15トンという水田の使用量の農薬だと、周りが田んぼばかりの所で測って、最大0.1ppb程度というのが何となくの相場観です。モニタリングの結果を見ると、5月の測定でそのくらいの数字というのが出てくる所はあるかなと。こういう所で、周りに田んぼしかなくて、周りに排出源がなさそうで、ここで100ng/Lぐらい出ているということであれば、農薬の寄与率が高いという推察は、そこそこ妥当ではないかと思われます。

 ただし、ピーク濃度だけを見ていても駄目で、結局、評価期間の時間加重平均というのを見るためにはピークの推移を捉える必要があります。このピークを捉えるには、最低でも週1回ぐらいのサンプリングをする必要があって、水田由来のピークというのは田植え後と出穂後の2回ありますので、このように全体的に夏に高くて、冬は低いと、そういう傾向を示すものではないので、やはり週1回くらいのサンプリングでピークの推移というものを見ていく必要があると思われます。

 結果的に、今回の調査結果では、農薬由来がどれくらいかという特定は困難であったという結論になっていると思いますけれども、農薬に適したサンプリング計画というのを練っていれば、もう少しいろいろ言えることがあったのかもしれないというようには思っています。農薬側でも金属の銅を使うのですが、やはり銅をモニタリングしても農薬由来なのか、それ以外に由来するのか分からない問題があって、これもやはり、場所とか時期など細かくモニタリングしていかないと、農薬由来の寄与というのはなかなか分からないのです。そのときは流域の流量と作付面積とか周辺の農薬使用実態のヒアリングとかを併せてやらないと、これも絶対やらないと、なかなかはっきりとしたことが言えないのですね。今後、更に深掘りするのかどうか分かりませんけれども、もしやるということであれば、もう少し事前に農薬の環境動態に詳しい方に調査時期や場所の相談などをしてやられると、もっといいのかなと思います。以上でコメントを終わります。

○平林座長 ありがとうございました。これは何か御発言はありますか。では、環境のほうから。

○MOE事務局 御意見を頂きましてありがとうございました。現時点で、また同じような農薬由来を調べるためのモニタリング調査というのは今のところ予定していないのですけれども、今後そういうことをまた実施する際には、頂いた御意見を踏まえて事前に検討したいと思います。

○平林座長 引き続きまして、経産の小野委員、お願いします。

○小野(恭)委員 小野です。まず、発生源を明確にする意味で確認です。資料2-2の12ページの360行に、「その他の用途」として、ホームセンターや通信販売で入手可能な洗剤等の製品にNPEが含有している可能性は検証されていないと書いてあります。単純に考えますと、販売用途等が分かっているので、この分は洗浄剤として既にカウントされているのではないかと思うのですが、こう書かれた意図は何ですか。もっと別な意図があったのでしょうかというのが、まず1点です。

 2点目は、先ほど永井委員から農薬の発生源について説明していただき、私も大変勉強になったのですけれども、C地域での実測で、NPEは2月が高くて、NPは5月が高い。この理由については検証がされていたのか、考察されたのかということをお聞きします。

○平林座長 ありがとうございます。経産のほうから。

○METI事務局 1点目をお答えしたいと思います。確かに分かりづらいというか、誤解を招く表現であったと、御指摘を受けて今、気付いたのですけれども、例えば流域調査の所で報告させていただいたような小さい規模の自動車整備とかを行っているような所の事業所が、ホームセンターとか通販で洗剤を購入されていないとも限らないので、小売のホームセンターで入手可能な洗剤についても、検討の対象外としていたわけではないのですけれども、書いていて念頭にあったのが、実際にホームセンターとか通販で販売されている製品に、例えば製品表示でフェノール類とか書かれていたとしても、そういった製品にNPEが使われているかどうかというところまで、確認したり分析したりしていないということを、こちらに書きたかったのですが、そういう意図ですので、誤解を招かないような表現に工夫したいと思います。

○小野(恭)委員 小売の流通分についてよく分からないということですか。含有量について全く予想ができないため、これからやるということか、無視できるだろうと思って余り今後はやらないのかという辺りも含めて、今後の検討なのでしょうか。

○METI事務局 ここは、見解を余りきちんと議論していないところで、ここを深掘りするかどうかについては、まだ環境省とも議論はしていないのですけれども、全体としては無視できる範囲ではないかと思っています。

○小野(恭)委員 そうであれば、余り問題ないかと思われるということですね。分かりました。

○METI事務局 はい。

○平林座長 それでは、環境のほうからお願いします。

○MOE事務局 続きまして、モニタリング調査についてお答えいたします。モニタリングの結果の濃度の傾向の考察については、実施したのですけれども、正直なところ、こちらにも記載しておりますとおり、よく分からなかったというのが現実でございます。先ほど永井先生から御指摘いただきましたように、モニタリングを実施する際の制度設計などが適切でなかった部分もあったかなと反省しております。以上でございます。

○小野(恭)委員 傾向がはっきりしているのに対し、原因が分からないというのも、何となく不自然な気もするのですが、やはり分からないのでしょうか。

○MOE事務局 いろいろなデータの解析を行いまして検討したのですけれども、なかなか明確に、農薬か農薬でないかというようなそこら辺の結論までいくことができなかったという状況です。

○小野(恭)委員 ここは季節による傾向が分かるような気もします。例えば、先ほどから鈴木先生も議論されていますが、流量が高いときに、NPが高いのだったら、やはり底質の巻き上げの寄与が大きい、などです。農薬の寄与かという議論ではなく、それ以外の発生源の解析には結構使えるデータなのではないかと思ったので、今後も手間をかけない範囲でもう少し考えてみたらいいのではないかなと思いました。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。それでは、経済産業省の金原委員、お願いいたします。

○金原委員 金原です。聞こえますか。

○平林座長 聞こえます。

○金原委員 多分、大分昔のデータですが、手賀沼の水中半減期は、ノニルフェノールが1.52日です。これが1.10日とか、結構早いのですね。だから、それを考えると、多分、ノニルフェノールが分析されているというのは、近くに置いてあったのかなという気がしました。ただ、これは昔のデータです。

 一番気になるのは、検出している場所で、例えば、都市地域であっても、近くで建設が多く行われている場所だと、土地改良剤など建築資材を大量に使っているわけです。そのような地域で土地改良剤などの散布剤に入っているとなると、それが河川にいくかどうかは分かりませんが、例えば、小さな河川というか、そのような流れから入っていく可能性もあるだろうと思いました。

 それから、結構、工場が点在化している地域で検出している場合は、ヒアリングでは、その工場は使っていないとは言え、工場内の点検や工場内の除草など、やはり土壌を改良する場合にいろいろな下請けや孫請けなどを使うと何を使っているか分からないという状況が、会社には実はあるのです。そのような意味では、検出している、モニタリングしている場所の周囲がどうなっているのかが、ヒアリングだけでは見られないものもあるのではないかと思ったわけです。

 公園にしても競馬場にしても、その直下でやったときに、そこでは使っていないとは言え、それを業者に任せているとしたら、それが何を使っているか分からないとか、何となく、その場所が超過しているという周囲の状況をもう少し詳しく解析していかないと、多分、その他の地点が低くなっているのは、恐らく、現状では余り使われていないような状況だと思いますが、やはり、いまだに使われている製品があるわけで、それらをよく使われているような場所ではないかという気がしました。そこら辺をもう少し、しっかりと分析していただきたいと思いました。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。経産からお願いします。

○METI事務局 金原先生、御指摘ありがとうございます。御指摘の点については、実は各個別流域で相当突っ込んだ調査はしているつもりです。また、御助言いただければ幸いではございますが、例えば、ヒアリングにしても、もちろん競馬場やゴルフ場、あとは各地方自治体にも御協力をいただきまして、農薬の種類及び使用頻度や、使用量についても細かく情報提供いただいた上での調査結果になっております。正直、もうこれ以上、どこまで詳細に調査すればいいのかと思うぐらい一応詰めてはみたつもりです。

 他方、先ほどおっしゃられました下請け、孫請けのお話ですが、こちらの各事業所、流域の周辺、地図上で確認できるような点在している所についても、流域、地理的な確認、モニタリング地点との関係も確認した上で、もちろん全事業所に確認することは難しいですが、そういった調査を行っております。御指摘の点も踏まえ、今後の検討の参考にしてまいりたいと思います。ありがとうございました。

○金原委員 ありがとうございました。

○平林座長 ありがとうございました。

○金原委員 もう1つ、いいですか。工場で排水処理をやっているときに、排水の清浄など、そのときに流量が、会社の都合で突然多くなったときに、BODだけ調節して排水してしまう場合もあると聞いています。だから、そのような意味では、排水処理も完璧ではないことを念頭に置いていただきたいと思いました。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。環境の青木委員、お願いします。

○青木委員 青木です。鈴木委員のほうがコメントが多いと思いますので、鈴木委員を先にしてください。

○平林座長 承知しました。では鈴木先生、お願いします。

○鈴木委員 別に多くもないですが、今回、考えられる排出源について詳細に調査していただいたことは多分意義のあることだと思います。ありがとうございます。ただ、私の感覚では、今回は進捗報告ということですので、具体的に何か判断するとなるということではなさそうですが、化審法のための判断を含めて具体的に対策を練っていくときには、多分、このような調査が非常に有用になると思います。

 それはそれでいいのですが、今、ここで言われた排出源分析というものを、余りこれを突っ込み過ぎるのは私は健全ではないという気がしております。これは難しく、単に研究としても、学問としても難しい課題でして、そんなに簡単ではなく、私も若い頃からやってきましたので、やるのであれば、本当にそこに出掛けて行って張り付いて、2、3か月間そこに泊まり込んでやらないと全然分からない、実はやっても多くの場合は分からないのです。

 なので、化審法のこのような場合の判断として、可能な健全な範囲までの範囲の、ある程度の分析で、恐らく、化審法の判断に進んでいくことが私は重要だと思いますので、このぐらい調べれば、ある意味十分かなとも思いますし、必要なところは修正して考えていくのがいいのではないかと思います。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。青木先生に移ってもよろしいですか。

○青木委員 よろしいですか。2点、まず細かい点から、360行目の「ホームセンターや通信販売で入手可能な洗浄剤等」とありますが、これは、輸入している洗浄剤というのはないのですか。つまり、当該物質の含有量に関しの情報がどれほど掴めているかということが問題かなと思ったのですが、まず第1点、その点はいかがでしょうか。

○平林座長 いかがですか。

○METI事務局 輸入製品については確認できていないのですが、ある可能性はあると思います。

○青木委員 それは、どの程度あるのでしょうか。先ほど小野委員からの質問に関しては、それほど多くないという、つまり、この部分は多いかどうか分からないという御回答だったかと思いますが、そこに時間を掛けるのも余り生産的ではないと思うのですが、分からないものがあるというのは、しかも、洗浄剤ですので環境中への放出が当然考えられる部分ですので、それは念頭に置いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○平林座長 今、回答を調整中のようですので少しお待ちください。

○青木委員 はい。

○METI事務局 お待たせして申し訳ありませんでした。数量としては化審法上、物質としての製造輸入数量としては把握しているのですが、製品ベースですと、対象外となるために製品ベースでNPEがどれぐらい含有されている製品が輸入されているかといった具体的な数値については承知しておりません。

○青木委員 ありがとうございます。もう一点は、380行目の「欧州の規制状況」は、確かに非常に参考になると思います。その中で、欧州で規制を行ったことで様々な規制ということが。この会で伺っているところから、様々な含有量制限等が行われているということですので、我が国の、この部分に該当する法律は、この化審法であると思われますので、ここは参考にして検討していただきたいと思います。これはコメントです。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。そうしましたら、東海部会長、御発言をお願いいたします。

○東海部会長 東海です。コメントです。まずは、事務局で大変広範囲にわたる各データをまとめていただき今後の議論の方向付けに資する様々な内容を整理していただいたことに対してまず感謝いたしたいと思います。話の内容として、非常に細かく深掘りしていく方向に関しては、実態を把握するという意味でとても重要なことだと思います。

 一方で、評価Ⅲというステージで求められていることを考えますと、どこかの段階で、この細かく見たものを逆の方向に集計して知見を得るとでもいいますか、すなわち、端的に申し上げますと、オールジャパンとして全地域、一律的に生活環境動植物の維持の観点から、踏み込んでいくべきなのか、あるいは、今回の解析から、複数年次、懸念箇所が出ているところは、ひょっとしたら限定的かも分からない。ただし、その排出源がまだ分からないところがあると思いますが、そういったところは今後、更に次の一歩を考えていく上で例えば、環境排出抑制のための技術上可能なものとして一体どのようなことが今されているのかといったことも、折角、事業者さんとチャンネルを作られて、実態をまとめられておりますので、特に、21ページに書かれておりますように、これだけの期間すなわち20年にわたって排出量の動向を把握されて、この期間内で一体どれほどの各業種単位で取組があったのかという、そのような情報も重ねて議論していただくと、個々に分かったことをもう一回整理総合化していって改良方向の方針というものを整理していただければと感じました。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。よろしゅうございますか。経産の松江委員、お願いします。

○松江委員 今、東海先生もコメントされておりましたが、私も非常に多方面から環境モニタリング等々、排出源の特定に向けて御尽力いただいたレポートになっていると読んでおります。環境モニタリングについては、多くの先生からコメントがありましたので、私は13ページの410行目の「リスク低減のための」のところで、1つコメントさせていただきたいと思います。

 8ページには、2000年代に内分泌攪乱物質が問題になったときに業界で代替化に大きく取り組んでいることが書かれており、ほとんど代替されているものもありますが、一方で、途中コメントがありましたような代替が難しい用途については、まだ引き続き使われている、サプライチェーンの長い物質であるといったような御発言があったかと思いますが、私が聞いておりますところでは、この直近においても、製造メーカーにおいては、長いサプライチェーンに対して代替を勧めていくような取組をされていると聞いておりますので、是非、リスク低減のための対策として、業界と情報交換しながら業界と連携して、どのようなリスク低減策ができるかということも業界も一緒になって考えていく必要があると思っておりますので、引き続き、業界と議論をしていただけたらと思っております。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。経産の石川委員、お願いします。

○石川委員 経産委員の石川です。今回の詳細な排出源の分析を拝見し、非常に勉強になることがたくさんあり、先ほど、青木委員がおっしゃったとおり、研究者サイドとしても非常に難しいところではあるのですが、興味深いところでもあります。課題がいろいろあることが実感されるところです。

 1点、私がこのような解析に間接的に携わっている立場から少し思ったのが、このノニルフェノールが非常に吸着しやすい物質というのはよく知られていることでして、先ほどから御指摘にありますとおり、底泥とか湖沼に吸着することはデータからも推察はされるのですが、河川に出るまでの、例えば、工場排水から河川につながる水路、排水管というのでしょうか、そこにも意外と泥状のものが溜まっていて、そこに吸着しているNPが雨と一緒に流されてくるのも割と寄与が大きいのではないかと思います。これは検証をした段階でのコメントではないのですが。側溝でよく見られるような晴天時には落葉が積もっていたり、泥があるような所でも、雨が降ると、特に豪雨が流れてくるときに側溝に吸着しているNPが出るかもしれないと思った次第です。

 それに関連して、水路のような河川、道頓堀川のような感潮域に関しては、これは物質にかかわらず、いろいろな物質が行きつ戻りつしながら、なかなか流れないという問題もありますので、今後、対策なり評価をしていく段階で、先ほど東海部会長がおっしゃったとおり、どのような所に焦点を当てて、評価、対策をしていくかを調べるポイントを俯瞰的に見ていただくのはどうかなと思った次第です。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。経産の山根委員、お願いします。

○山根委員 山根です。今回は詳細な評価をいただき、ありがとうございました。先ほどから幾つかコメントが出ていますが、やはり底質は一度、どれぐらい濃度が溜まっているのか測ってみたらいいのかなと思いました。それから、今回、詳細に排水源解析をしていただいた地点以外でも、一回しか出なかったり検出回数が少なかった地点について、何か解析をする予定等はございますでしょうか。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○METI事務局 今のところ、検出回数が低い所について詳細な分析をする予定はありません。御指摘ありがとうございました。

○山根委員 分かりました。検出回数が低い所を見ることによって、また見えてくることもあったのかなと思ったのでコメントいたしました。ありがとうございます。

○平林座長 ありがとうございました。本当に活発な御議論をいただきましたので、頂いたコメント等々を整理して、また少し検討もされるだろうと思いますが、今日のところはここまででよろしゅうございますでしょうか。もし、よろしければ、以上で本件についての質疑は終わりたいと思います。

 引き続いて、議題3「その他」は2件です。まず、資料3-1「スクリーニング評価におけるデフォルトの有害性クラスを適用する一般化学物質と優先評価化学物質の判定案並びに今後の進め方について(案)」についてです。事務局から説明をお願いします。

○MOE事務局 資料3-1について御説明いたします。こちらはスクリーニング評価におけるデフォルト適用物質の件です。有害性情報を入手できなかった一般化学物質については、有害性情報の提供依頼を行い、それでも有害性情報が得られなかった場合には、デフォルトの有害性クラスを適用してスクリーニング評価を行うこととしております。

 今般、別紙3に記載しております3物質について生態影響に係る有害性情報の提供依頼を行いました。申し訳ありません。画面共有をありがとうございます。3物質の有害性情報の提供依頼を行いましたところ、3物質全てにおいて有害性情報の提供等がありましたため、デフォルトの有害性クラスの適用を保留することといたしました。今後の予定としては、次年度以降のスクリーニング評価の対象として優先度判定を行ってまいります。報告は以上です。

○平林座長 ありがとうございました。本件について何か御質問はございますか。

 特にないようでしたら、デフォルトの有害性クラスの適用については、事務局から御説明いただいたとおりの対応としたいと思います。

 続いて、資料3-2「化審法のスクリーニング評価・リスク評価におけるWSSD2020年目標への取組の総括を踏まえた優先評価化学物質の見直しについて(案)」について、事務局から説明をお願いいたします。

○MHLW事務局 それでは、資料3-2に基づき御説明いたします。

まず、1.背景としては、これまでに優先評価化学物質は、リスク評価Ⅱの結果、第二種特定化学物質に該当しないと考えられた物質や、過去3年以上、評価年度における製造・輸入数量の全国合計が10トン以下、又は推計排出量が1トン以下となる場合、いわゆる「数量監視」の対象となる物質については、化審法第11条に基づき優先評価化学物質からの取り消しを行ってまいりました。

 また、令和3年9月開催の3省合同審議会において、2002年に合意された国際目標である「WSSD2020年目標」への取組の総括に係る審議が行われ、スクリーニング評価・リスク評価の更なる合理化・加速化に向けた取組の1つとして、優先評価化学物質への指定後に新たに得られた有害性情報及び暴露情報を用いて、スクリーニング評価の際に用いる優先度マトリックスに当てはめ、リスク評価(一次)評価Ⅰ又は評価Ⅱの段階においてリスク懸念のない物質の機動的な優先取消を検討することとされました。

 次に、2.優先取消の検討方法としては、デフォルトの有害性クラスを適用されて優先指定された物質やエキスパートジャッジにより優先指定された物質を除いた優先評価化学物質を対象とし、直近3年間の化審法届出情報に基づく暴露クラスと、最新の有害性情報に基づく有害性クラスを優先度マトリックスに当てはめ、更に、過去5年分のモニタリングデータを活用して判断いたします。

 このように検討した物質の中から、資料3-2の2ページに記載する(1)~(3)に該当する物質を、リスク懸念のない物質として優先取消を行い、一般化学物質としてスクリーニング評価を行うことが妥当な物質であると考えております。

具体的な優先取消の候補物質については資料3-2の別紙1に、人健康影響観点からの候補物質を、資料3-2の別紙2に、生態影響の観点からの候補物質を記載いたしました。これらの候補物質については、今後、本年度末に優先評価化学物質からの取消を行いたいと考えております。

 また、優先取消の検討方法として整理した考え方は、「化審法に基づく優先評価化学物質のリスク評価の基本的な考え方」にも反映させ、来年度以降も引き続き実施することとしたいと考えております。

以上です。

○平林座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見等はございますでしょうか。

 吉岡先生、お願いします。

○吉岡委員 環境の吉岡です。お願いがございます。資料3-2に、別紙1、別紙2があります。そこには最近3年間の、どういう評価であったかということが書き込んでありますが、この設定当時から何がどのようにというか、どのような理由で変わっているのかということの見当がつきません。そのようなことが分かるような表にしていただきたい。あるいは、本文に述べていただきたいと思います。以上です。

○平林座長 ありがとうございます。事務局、よろしいですか。

○MHLW事務局 御指摘ありがとうございます。頂いた御意見を踏まえまして、資料に注釈等を付け足した形としたいと思います。ありがとうございました。

○平林座長 ほかに特に御意見がないようでしたら、終わりにしてよろしいでしょうか。事務局から、ほかに何かありますか。

○MHLW事務局 特段ございませんが、合同審議会(第二部)の審議については、15時40分から開始したいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。なお、第二部については、新規化学物質の審査等でございますので非公開とさせていただき、You Tubeによる配信は以上となります。第二部の委員の皆様におかれましては、開始時間の15時40分までにお席にお戻りいただきますようお願いいたします。

○平林座長 では、以上をもちまして合同審議会第一部を終了いたします。御協力ありがとうございました。