平成29年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会 平成29年度化学物質審議会第1回安全対策部会 第175回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会【第一部】 議事録

1.日時

平成29年6月23日(金)13:00~14:15

2.場所

経済産業省本館17階 第1~第3共用会議室.

3.出席:(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員

石田 誠一    菅野 純(併任)  鈴木 勇司

高橋 祐次    田中 博之     能美 健彦(座長)

平塚 明     平林 容子     本間 正充

化学物質審議会安全対策部会委員

浅野 哲     大石 美奈子    小林 剛

恒見 清孝    林 真(部会長)  原田 房枝

半沢 昌彦(庄野委員代理)

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

青木 康展    石塚 真由美    菅野 純(併任)

小山 次朗    白石 寛明(委員長)鈴木 規之

山本 裕史    吉岡 義正     和田 勝

事務局

厚生労働省  渕岡化学物質安全対策室長

経済産業省  飛騨化学物質安全室長

環境省  新田化学物質審査室長 他

4.議題

1.優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱにおける評価等について


2. 1,2,4-トリメチルベンゼンの新たな評価結果及び今後の対応について


3. その他

5.議事

○METI事務局  それでは、時間がまいりましたので、ただいまから平成29年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、平成29年度化学物質審議会第1回安全対策部会、第175回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会の合同審議会を開催したいと思います。

 議事に先立ちまして、夏期の軽装について申し上げます。地球温暖化対策、省エネルギーに資するため、政府全体として夏期の軽装に取り組んでおります。これを踏まえ、事務局は軽装にて対応させていただきます。委員の方々におかれましても、ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 本日は、いずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることをご報告いたします。

 なお、本日、庄野委員の代理として、日本化学工業協会の半沢部長にご出席いただいております。

 本合同審議会は、第一部と第二部に分けて実施します。13時から14時15分までを第一部として、優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱの審議等を公開で行います。終了後、休憩を挟みまして、14時半より第二部を行いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず、お手元にお配りしている資料の確認を行います。

 まず、議事次第、次に、資料1シリーズとして、1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンの評価結果について(案)。次に、資料1─2として、トリクロロイソシアヌル酸のリスク評価書簡易版(案)、続きまして、資料2─1として、2,2',2”-ニトリロ三酢酸のナトリウム塩の生態影響のリスク評価における有害性・環境中動態の論点ペーパーになります。続きまして、資料2─2として、優先評価化学物質のリスク評価(一次)生態影響に係る評価Ⅱ、有害性情報の詳細資料、ニトリロ三酢酸のナトリウム塩のものです。資料2─3として、ニトリロ三酢酸のナトリウム塩の優先評価化学物質のリスク評価(一次)生態影響に係る評価Ⅱ、物理化学的性状等の詳細資料(案)。最後に、資料3として、リスク評価(一次)評価Ⅱにおける1,2,4-トリメチルベンゼンの評価結果を受けた対応について(案)というものです。

 また、1枚だけ資料番号のついていない、本日ご欠席されている東海委員の資料2─2に対する意見書というものも置いてありますので、ご確認ください。

 それ以外の各配付資料の参考資料、また、資料2─2に関連した試験報告書については、お手元のパソコンに入っているので、適宜御覧ください。

 過不足などございますでしょうか。

 それでは、これより議事に入ります。

 本日の全体の議事進行につきましては、化学物質審議会化学物質安全対策部会の林部会長にお願いしたいと思います。林部会長、よろしくお願いします。

○林部会長  それでは、どうぞよろしくお願いします。

 まず、議事に移らせていただくのですけれども、初めに本日の会議の公開の是非についてお諮りいたします。

 各審議会の公開につきましては、それぞれ規定のあるところでございますが、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合または特定な者に不当な益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合等、非公開とすべき場合には該当しないものと考えますので、原則公開といたしたいと思います。ただし、営業秘密等に該当する場合は秘匿することを認めることといたしたいと思います。よろしいでしょうか。──それでは、本日の会議は公開といたします。

 議事録につきましては、後日ホームページ等で公開されますので、あらかじめご承知おき願います。

 本日は、リスク評価(一次)評価Ⅱに進んでいる2物質のリスク評価に関する審議と、既に評価を実施した1,2,4-トリメチルベンゼンについて、今後対応すべきとした事項について評価結果が出ましたので、報告を行う予定としております。

 それでは、早速議事次第に沿って議事に入りたいと思います。

 まず、議題1でございますが、優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱにおける評価といたしまして、まず、1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン評価に関しまして、資料1─1、1─2について御説明を事務局よりお願いいたします。

○METI事務局  それでは、まず、資料1─2を御覧ください。

 まず、評価対象物質についてです。

 この物質は、環境中で不安定な物質であり、徐々に水を溶解しながら速やかに加水分解され、イソシアヌル酸と次亜塩素酸に変化すると考えられます。次亜塩素酸は、水溶液中で不安定であり、水中で不均化により塩化水素を徐々に放出しながら分解します。これが既知見通知で示されたイオンのみに環境中で分解するため、定常状態の温度を推計する暴露評価及び、その濃度を用いてのリスク評価において、加水分解成分の一つであるイソシアヌル酸を推計対象物質(評価対象物質)といたしました。

 そのイソシアヌル酸とトリクロロイソシアヌル酸の同定情報は、表1─1、表1─2に示してあります。

 次に、「2.物理化学的性状、濃縮性及び分解性」についてですが、排出量推計に用いた物理化学的性状等のデータが表2、暴露推計に用いた物理化学的性状等データが表3、表4に記載しています。いずれの値も、昨年28年11月17日の物化性状レビュー会議で了承を得た値となっております。

 続きまして、6ページ目、「排出源情報」ですが、トリクロロイソシアヌル酸はPRTR物質ではございません。そのため、化審法の届出情報により製造・輸入数量の経年変化をみました。それによると、24年から26年までに減少傾向であるということが示されています。

 次、下の表5、「化審法届出情報に基づく出荷数量と推計排出量」ですが、用途番号が20-dと40-aの殺菌剤、消毒剤、また、腐食防止剤などにほとんどの量が出荷されていることがわかります。

MOE事務局  有害性評価について御説明をいたします。7ページでございます。

 表6に、PNECwaterの導出に利用可能な毒性値のほうをお示ししております。

 こちらの結果に基づきまして、表7に示すPNEC値を算出しております。2栄養段階(生産者、一次消費者)の慢性毒性値が得られておりまして、このうち小さいほうの値を種間外挿のUF、不確実係数の5で除した値── 一次消費者の値となりますけれども、6.4㎎/Lが候補値となっております。二次消費者の急性毒性値は確定した値が得られておりませんので、こちらの慢性毒性値から得られた候補値をさらに室内から野外への外挿係数10で除しまして、その結果、イソシアヌル酸のPNECwaterとして0.64㎎/Lを得ております。

 なお、LogPowが3未満となっておりますので、底生生物については評価を行わないこととしております。

 以上です。

○METI事務局  続きまして、9ページです。「リスク推計結果の概要」ということで、まず、5─1で、排出源ごとの暴露シナリオによる評価でございます。

 化審法の届出情報を用いた結果を用いて、排出源ごとの暴露シナリオの推計モデル(PRAS─NITE)により評価を行った結果を表8に示しておりますが、結果は、仮想的排出源の数が144あったのに対してリスク懸念箇所はありませんでした。

 続きまして、水系の非点検シナリオによる評価ですが、こちらもリスク懸念はございませんでした。

○MOE事務局  続きまして、「様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価」の結果を御説明いたします。

 化審法の届出情報と排出係数から推計いたしました排出量を用いまして、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる推計モデル──G─CIEMSと申します──により、水質濃度の計算を行いまして、水域における評価対象地点3,705流域のリスク推計を行っております。

 イソシアヌル酸としての推計を行うために、トリクロロイソシアヌル酸がイソシアヌル酸へ全量変化すると仮定いたしまして、トリクロロイソシアヌル酸の排出量に対して分子量換算を行うことでイソシアヌル酸の排出量を求めまして、イソシアヌル酸の物理化学的性状を用いて水質濃度を計算しております。

 推計結果は表10にお示しするとおりでございまして、PEC/PNECが1を超えた地点が2地点ございました。

 続きまして、5─4「環境モニタリングデータによる評価」でございます。

 直近5年及び過去10年分のイソシアヌル酸に関する水質モニタリングデータは得られていなかったため、環境モニタリングデータによる評価は実施しておりません。

 「追加調査が必要となる不確実性事項」といたしましては、PRTR対象物質ではなく、具体的な排出量や分布に関する情報が得られておらず、直近5年における水質モニタリングデータが得られていないため、環境中の濃度レベルが把握できていないということになっております。

 以上です。

○METI事務局  それでは、今のリスク評価書簡易版(案)の結果を踏まえて、資料1─1に戻っていただいて、評価結果及び今後の対応ということで発表させていただきます。

 まず、最初の6行の小さい文字は、先ほど資料1─2でお伝えした評価対象物質をイソシアヌル酸にしたという、同じことが書いてあります。

 それでは、丸の1つ目、イソシアヌル酸について、生態物質に係る有害性評価として、既存の有害性データから水生生物に対するPNECを導出し、暴露評価として、化審法の届出情報に基づくPECの計算を行いました。リスク評価として、これらを比較した結果、PECがPNECを超えた地点がみられたものの、地点数はG─CIEMSで2地点ということで限られていました。また、トリクロロイソシアヌル酸の製造・輸入数量の経年変化は、平成24年以降減少傾向にありました。

 次が結論ですけれども、このことから、現在推計される暴露濃度では、イソシアヌル酸による環境の汚染により広範な地域での生活環境動植物の生息もしくは生育に係る被害を生ずるおそれがあるとは認められないと考えられます。これが結論になります。

 「ただし」ということで宿題を残しておりまして、PRTR対象物質でないため、具体的な排出の量や分布に関する情報が得られていないこと、環境モニタリングによるイソシアヌル酸の実測濃度が得られていないことから、評価Ⅱの判断の根拠に足る暴露評価結果が得られていないと判断し、イソシアヌル酸の環境モニタリングによる実測データを収集することとするという宿題になっております。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 それでは、これから議論に移るわけですけれども、今の事務局の説明に対して、御質問、御意見等ございましたら、お手元のネームプレートを立てていただければ、こちらから順次指名させていただきます。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。──もし意見がないようでしたら、今の事務局案を全面的にご支持いただけたものと考えますが。

○鈴木(規)委員  これ、以前に説明いただいたような気もしますが、資料1─2で、報告書資料が引用されているところで、トリクロロイソシアヌル酸が順次水に溶解しながら速やかに加水分解されるというところがあるのですが、これは具体的にはどのぐらいの時間スケールで判断しているということですか。

○林部会長  事務局、わかりますでしょうか。

○METI事務局  「速やかに」というところは、例えば既存点検ではありますが、どちらかというとこちらの物質は溶解速度が遅くて、そちらの溶解速度が律速になっております。水の中において溶け出したら、すぐに分解していくということで速いとなっております。そのため、「速やかに」とさせていただきました。

○鈴木(規)委員  別に、結論はいいというか、しようがないと思いますが、この物質の使用形態が水に投入するものだと、投入する形態があるというふうに伺っていますので、それが環境中に出るこの物質の使用の仕方になりますから、それから加水分解されて2つの物質に分解するという過程が化審法の評価の関心となるような、時間スケールに比べて十分に短いのかどうかということは多分判断の根拠とすべきことだと思いますので、おおよそのイメージとして、この物質が環境中に剤として投入されてから分割した2つのものになるまでが、それが1時間なのか、10時間なのか、10分なのかというイメージは、どの程度に思っておられますでしょうか。

○林部会長  いかがでしょうか。

○METI事務局  こちらのトリクロロイソシアヌル酸ですが、試験を実際に行っていただいた企業のデータがあります。そちらによりますと、およそ6時間で溶解するとなっておりますが、これも6時間がその物質の分解速度ではなくて、溶解の速度のほうが律速になっております。つまり6時間よりももっと短い間に水中では分解していくと結論づけております。

○林部会長  要するに、溶解には6時間かかるけれども、分解はそれよりかはもっと速やかに、溶解されたところから起こっているということですね。

○METI事務局  はい。そのとおりです。

○林部会長  よろしいですか。

 ほかに。

○小山委員  今の御説明ですと、この剤は、例えばプールなんかに入れたときに次亜塩素酸が生じて、それが殺菌作用をもってくると。となると、剤が溶けていく前にどんどん次亜塩素酸も消失されてしまうということを、ちょっと、この剤の本来の目的に反するように聞こえたのですが、いかがでしょうか。

○林部会長  いかがでしょうか。

○METI事務局  こちらに関しては、確かに次亜塩素酸を出すことによって効能を発揮するというものでございますが、その溶解速度が遅いということで、そこにとどまりながら少しずつ、例えば錠剤であるとかそういったものがゆっくり溶け出しながら次亜塩素酸をゆっくり放出して、それで効能を発揮していくというものになっております。

○小山委員  ですから、次亜塩素酸が、先ほどは6時間ぐらいで溶けると、この剤が6時間ぐらいで溶解するとおっしゃいましたけれども、それ以降も若干次亜塩素酸が残っているということにならないのでしょうか。

○METI事務局  確かに次亜塩素酸の残留時間はやや、それよりもあると考えられます。

○小山委員  ですから、先ほどの6時間以内に全てが消失するというような説明ではちょっとおかしいことになりますよね。

○METI事務局  はい。次亜塩素酸ではなくて、トリクロロイソシアヌル酸が分解するということでした。すみません。

○白石委員長  すみません、今の関連するのですけれども、多分用途が、優先評価化学物質でジクロロイソシアヌル酸がございますね。

○METI事務局  はい。あります。

○白石委員長  それとの関係について、御説明は今の段階でなくてもいいのですけれども、トリクロロイソシアヌル酸はそのまま分解しているよというのですけれども、多分ジクロロイソシアヌル酸を経由してなくなっていくのだと思うのですけれども、そのジクロロイソシアヌル酸の取り扱いも同じようにするということであれば、それは今後の議論だと思いますけれども、どうなさるのかということと、環境モニタリングを実測データでやるということなので、イソシアヌル酸を生成する物質は今いったジクロロイソシアヌル酸もあるし、ほかの物質もあると思いますので、その辺のモニタリングの設計について注意していただきたいというふうに感じます。

 以上です。

○林部会長  ありがとうございました。

 ほかにないようでしたら、この資料1─1に関してお認めいただけるかどうかをお伺いしたいと思います。もし何か文言等も含めてコメントがございましたら、お申し出ください。──では、ないようですので、今少し宿題が残りましたけれども、この資料1─1は事務局案どおりで進めさせていただくということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、その次の、資料2─1から始まりますニトリロ三酢酸のナトリウム塩に関して議論をさせていただきたいと思います。

 まず、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○METI事務局  それでは、資料2─1、2,2',2”-ニトリロ三酢酸のナトリウム塩の生態影響のリスク評価における有害性・環境中動態の論点ということで、論点ペーパーとして御提示いたします。

 まず、このニトリロ三酢酸のナトリウム塩というものの指定の経緯などです。

 平成24年度のスクリーニング評価において、ここに書いてあるような3ナトリウム塩が生態影響の観点で優先評価化学物質、通し番号でいうと120番に指定されました。翌年の平成25年度のスクリーニング評価で、ニトリロ三酢酸のナトリウム塩が生態影響の観点で優先評価化学物質相当と判定されました。この結果を受けまして、先に指定されていた通し番号120番の指定を取り消して、2,2',2’’-ニトリロ三酢酸のナトリウム塩が、今回審議する152番として優先評価化学物質に包含して指定されました。その後、2,2’,2’’-ニトリロ三酢酸のナトリウム塩は、平成27年度の評価Ⅰにおいて、水系の非点源シナリオにおいてリスク懸念が認められる物質として、リスク評価Ⅱに着手することになりました。2,2’,2’’-ニトリロ三酢酸のナトリウム塩には、ナトリウムの置換数が異なるものが存在するということがわかっていました。物化性状等レビュー会議において、化審法の平成26年度実績の届出情報を調べたところ、3置換体のものがほぼ大半を占めることがわかったため、トリナトリウム=2,2’,2’’-ニトリロトリアセタートを評価対象物質として設定いたしました。

 一方、生態影響に関する有害性評価をするに当たって、この2,2’,2’’-ニトリロ三酢酸のナトリウム塩の3置換体のpKaからpHが中性付近ではナトリウムを解離するため、2,2’,2’’-ニトリロ三酢酸も水環境中で同じ形態になると考えられるため、酸についても有害性情報を収集して信頼性評価の対象としました。

 この「ただし」というところが本日の議論のトリガーになったのですけれども、ただし、2,2’,2’’-ニトリロ三酢酸のナトリウム塩は、キレート作用、錯体を形成する作用をもつことが知られているため、リスク評価に先立ってそのキレート作用を考慮した有害性評価、暴露評価について整理を行うこととしました。よって、今回は、リスク評価書の審議ではなくて、有害性評価書を御審議をいただくということになっております。

 2.として、本日御議論いただきたい論点ですけれども、リスク評価における有害性評価、暴露評価で、試験条件や実環境でのキレート作用などをどのように解釈、考慮するかということを御議論いただきます。

 3.として、キレート作用をもつ化学物質の評価の例がEUなどにありますので、それを参考までに御紹介させていただきます。

 まず、(1)として、OECDの2000年の試験困難物質及び混合物の水生生物毒性試験に関するガイダンス文書です。その中の3.7章に「錯体形成物質」という項目がございます。錯体形成は、被験物質の生物学的利用及び毒性に重大な影響を与えます。それはまた、試験生物を健康に維持するために不可欠な塩分、微量元素量の試験水中の利用能を低下させます。錯体形成が試験結果に重大な影響を与えたと判断された場合、そこから得られたデータが物質の分類やリスク評価のための予測影響濃度を推定する際に意味をもつかどうかは疑問である。また、化学物質による毒性が直接得られたものなのか、あるいは、例えば錯体形成によって起こった栄養欠乏による二次的な影響であるのか、その程度を可能であれば判断すべきであろう。藻類生長阻害試験における金属錯体物質の影響は、主に必須陽イオンがキレート形成し、錯体未形成の生理的活性イオン濃度が減少して生長を制限することによって起こります。したがって、金属錯体剤による藻類生長阻害は二次的な影響であり、物質個体の本質的毒性によるものではない。二次的影響は必須イオン濃度の不足分を補えば除去することができる。このようなガイダンス文書がOECDから2000年に出されております。

 (2)ですが、これはEUの2005年のニトリロ三酢酸のリスク評価書になります。こちらはかいつまんで御説明しますと、2パラ目、「Results of」というところからですが──藻類生長阻害試験の結果は慎重に解釈しなくてはならない。なぜならば、観察された影響は主に栄養欠乏によるもので、それらは人工的なもので、自然環境に対して適切ではない。not relevantである。次に、栄養となる金属イオンの濃度が高い試験、栄養欠乏が抑制された試験ではニトリロ三酢酸の本質的な毒性は10㎎/Lをはるかに超えた濃度でのみあらわれる。

 次に、3.1.3.5.4というところに、水環境中における、実環境中におけるニトリロ三酢酸の錯体形成、環境動態に関するようなことが書いてあります。ドイツやオランダの川は、重金属の濃度が10~20μmol/Lである。そのような環境では、ニトリロ三酢酸のPECは通常低いものとなっている。なぜならば、自然の水環境中ではニトリロ三酢酸は完全に錯体を形成しているからである。

 続きまして、3.2.1.3の藻類に対する毒性ということで、ここでは3種類の藻類に対する毒性試験の結果が書いてあります。簡単に読みますと──3種類の藻類の生長阻害に対する培地組成の影響が、1998年にミリングトンらによって試験されました。このBBM培地というのが、その培地の一つになっておりますけれども、こちらはOECDとかEPAの培地に比べてとてもリッチな栄養を含んだ培地になっております。ここで使われた試験手法ですが、先ほど申し上げたOECDのテストガイドラインに沿ったものであって、ニトリロ三酢酸について、5、10、50、80、そして100㎎/Lでそれぞれ試験されました。その結果ですが、5日間のNOECで、OECDとEPAのどちらの培地でも5㎎/Lでありましたところ、BBM、リッチな培地では、藻類で50㎎/L、また80㎎/Lであった。この試験結果は、あらわれた影響が化学物質の本質的な毒性ではなく、主に栄養欠乏であることを示しています。

 ここには抜粋していないのですが、この試験結果によって、EUは藻類を試験に採用することはやめて、甲殻類の試験をPNEC導出に採用したということになっております。

 続きまして、(3)、こちらはEDTAと呼ばれる、キレート作用が非常に強い物質についてのEUのリスク評価書です。こちらについても、栄養欠乏についての考慮が必要であると、ニトリロ三酢酸と同様のことが書かれております。

 続きまして、(4)は日本の評価書で、2005年のEDTAの初期リスク評価書です。EDTAは、平成31年度にリスク評価Ⅱを実施することになっている物質です。EUのEDTAの評価書を参考にしたものと思われておりますが、まず、5.3環境水中の動態ですが、EDTAは自然環境中に存在する重金属イオンと容易に錯塩を形成し、酸の状態ではほとんど自然中では存在しないと考えられると記載されています。

 7.3、環境中の生物への影響という章では、EDTA及びその塩の環境中の生物に対する影響については、EDTAそれ自身の毒性の結果ではなく、この化学物質が配位化合物をつくることに大きく影響されると記載されています。この作用形態については、実験室における試験結果を評価するときには十分に注意を払う必要があり、標準化された試験法では、個々のイオン濃度は生理学的必要性に従って規定されてはいるが、EDTAによる錯体形成可能な金属イオンの幅広いレンジまでは考慮されていない。しかしながら、環境を評価する場合には、環境中には自然条件下に排出されたEDTAに比較して、より過剰な溶存金属イオンが存在しているので、EDTAによる必須金属イオン不足を考慮する必要はありません。また、EDTAのキレート化能力は非常に高く、環境に出た場合は遊離酸で存在する可能性はまずなく、何らかの金属の錯化合物になっている可能性が大きい。環境中での一次生産者である藻類に対する生長阻害試験では、EC50は1.01~7.18㎎/Lの結果が報告されている。藻類の長期毒性とされるセネデスムスの72時間EC10では必須金属の鉄(Ⅲ)を等モル添加した場合、100㎎/L以上になる。

このように様々なリスク評価書に錯体形成の影響が発表されているので、参考までに御紹介いたしました。

○MOE事務局  続きまして、「4.有害性評価の補足」について御説明をいたします。

 有害性評価の詳細資料は、お手元に資料2─2としてお配りをしておりまして、こちらの2ページにPNECwaterの導出に利用可能な毒性値一覧をお示ししておりまして、5ページの表1─2になりますけれども、こちらに有害性情報のまとめといたしまして、現時点の知見に基づきますPNECの値というものをお示ししております。キースタディーの毒性値に関しましては、藻類の生長速度に対する影響濃度NOEC0.3からUF50を加味しまして、0.006という値を現時点では設定しているというところでございます。

 当方で調べました有害性情報の一覧に関しましては、本資料の末尾に横長の表で10ページ以降でお示しをしておりまして、表1にお示ししているほうが、信頼性評価を行った結果、PNEC値導出の候補となる毒性データ一覧でございまして、11ページ以降の表2、こちらが信頼性に足るデータではなかったという、あるいは試験条件等の情報不足、試験法からの明らかな逸脱ということのデータとなっております。

 こちらの詳細資料は、いつも通常のリスク評価と同じく作成しておりますので、今回論点とあわせまして、このキーデータを選んだことに関する補足説明をさせていただきたいと思います。

 では、資料2─1のほうにお戻りください。

 ニトリロ三酢酸の生態毒性に関する有害性評価に関しましては、技術ガイダンスに従って行っておりまして、そちらに示されました有害性データを収集しまして、それらのデータの信頼性を確認するとともに、既存の評価書における評価や、国内外の規制値の根拠となった有害性評価値を参考としつつ、PNECに相当する値を導出しております。

 なお、ニトリロ三酢酸ナトリウム塩につきましては、生態影響のリスク評価における有害性評価では、毒性値の信頼性に加えて、以下の点についてを踏まえてキースタディーを選定しております。

 1枚おめくりください。

 まず、1点目といたしましては、先ほど冒頭で御説明がございましたけれども、中性付近では水環境中は全てのナトリウムが解離をいたしましてイオンの状態であることから、水中での状態が同じである酸の有害性データも収集をいたしました。

 ②といたしましては、OECDの──先ほどこちらも御説明がございましたけれども、OECDのガイダンス文書では、錯体を形成する物質の藻類生長阻害試験について、主に必須陽イオンがキレートを形成いたしまして、錯体未形成の生理的活性イオン濃度が減少し生長を制限することとされております。その影響は、金属錯化剤による藻類生長阻害の二次的影響でございまして、物質固有の本質的毒性によるものではないとされておりますので、培地中の金属成分濃度、共存物質に留意しながら信頼性評価を進めてまいりました。

 これを行った結果、環境庁において1997年に実施いたしました生態影響試験結果に基づきまして、生産者の生長速度に対する阻害(3日間)NOEC0.3㎎/Lがキーデータとなりました。UFに関しましては、先ほど御説明したとおりでございます。

 当該試験は1997年に実施されておりまして、OECDガイダンス文書2000年が出版される前に行われたものではございますけれども、OECD培地を用いておりまして、培地の成分につきましては、後ほど、この後の5.の関連データのほうで御紹介をいたしますけれども、これにはニトリロ三酢酸が毒性を発現した最小濃度──これはLOECになりますけれども、1㎎よりも過剰のカルシウムが含まれておりまして、等量の──先ほどガイダンスの付録の4のところにあったとおり、等量のカルシウムをキレートしたといたしましても結果に影響を及ぼすとは考えにくいということを考えました。さらに、これに対して等量のカルシウムを添加しても大きく結果が変わるとは考えにくいため、現時点の知見に基づけば当該データをキーデータとすることは妥当と考えました。

 なお、EUのリスク評価書──こちらも御紹介があったものですけれども、試験結果において、培地成分が異なることにより結果が異なるということは確認はしておりますけれども、環境庁の試験と同様にOECD培地を採用した試験では、こちらはNOECとして5㎎/Lということが示されていたのですけれども、原著をあたりましたところ、NOECではなくてLOECとして示されておりました。そのため、NOEC値は5㎎/L未満と低い値になると考えておりまして、そう大きな乖離はないというふうに確認をしておりまして、環境庁データの妥当性を裏付けるものとは考えております。

 また、これも後ほど御紹介いたしますけれども、OECD培地には、ニトリロ三酢酸よりも非常にキレート安定化定数が大きいEDTAが鉄と等量程度含まれておりまして、本物質に限らずOECD培地を用いる場合、キレート作用が強いEDTAが存在下で試験を行われているということとなっております。

 では、関連データの御紹介をいたします。ページをおめくりください。

 まず、(1)といたしましては、化審法の届出情報でございます。こちらに関しましては、用途としては水系の洗浄剤用途が非常に多いということになっております。生態毒性データの試験条件等につきましては、資料2─2、表1、2にお示しをしております。こちらで用いた培地であるとかpHであるとかもお示しをしております。

 藻類の試験の培地中の成分でございますけれども、藻類の培地中の成分は、少々細かくてみづらくて申しわけないのですけれども、環境庁試験に用いましたのがOECD培地ということで、一番最初、上のところにあるものでございます。

 EUの評価書のほうで用いました培地が、こちらのOECD培地とAAP培地、1枚めくっていただいてBBM培地ということになっております。先ほど御紹介がありましたとおり、BBM培地では毒性値が大きい値となっておりましたけれども、こちら、成分を御覧いただきたいのですけれども、ほかの2つの培地と比べて、全ての成分がかなりリッチな状態になっているということでございます。

 続きまして、もう一枚めくっていただいて、10ページの(4)でございます。環境水中の硬度の分布でございます。日本の硬度の分布につきましてお示しをしておりますけれども、大体20超30以下のところがヤマとなっておりまして、これ、平均をとりますと40となりますけれども、軟水ということでございます。

 また、環境水中での主な培地成分の含有量、環境水中でのものということになりますけれども、こちらにお示ししているとおりであるということでございます。

 また、本議論には、ちょっと先走ったような話なのですけれども、ニトリロ三酢酸の濃度データも得られておりますので、表3でお示しをしておりまして、仮に今回のPNEC、現時点で得られている値から設定したPNEC値についてリスク評価を行った──排出量からPECwaterレベルを出したところ、各シナリオでこちらのデータが得られているということでございます。

 資料2─1の説明は以上です。

○METI事務局  続きまして、本日はご欠席されている大阪大学の東海先生から意見書をいただいておりますので、代読させていただきます。

 「ニトリロ三酢酸のナトリウム塩の有害性評価書(資料2─2)についての意見。PNEC値の導出においては、ニトリロ三酢酸のキレート作用による毒性作用への影響は不明との理解のもとで、キレート作用を考慮せず、2栄養段階に対する慢性毒性値(0.3㎎NTA/L)に種間外挿5、室内から野外への外挿係数10で除して次のように求めている。O.3㎎/NTA/L÷5÷10=0.006㎎/NTA/L。

1.PNEC導出を論じた2つのレポートを踏まえた意見

(ア)OECD(2000)のガイダンスドキュメントの『錯体形成による栄養欠乏による二次的影響の存在の指摘』を踏まえると、この導出方法は、不確実性を増大させうる求め方に相当しており、評価Ⅱの趣旨にはなじまないのではないでしょうか。

(イ)EC(2005)のリスク評価書(Trisodium Nitrilotriacetate)では、藻類に対する毒性試験の結果、5日間ばく露でNOECを求めており、培地に含まれる金属とNTAとの錯体形成に基づく栄養塩欠乏によってもたらされたものと結論づけられていることから、本有害性評価でも、共存する金属濃度の知見を併記したうえで、キレート作用を踏まえた有害性評価値の導出が必要であると考えます。2.NTAは、キレート作用を有する物質として、最初のリスク評価となるため、まずキレート作用を有する物質の有害性評価、リスク評価の枠組み(手順)についての共通理解の確認をすることが先決であると考えます。その枠組みに含まれる内容としては、(ア)ガイダンスドキュメント『Ⅲ.4.2.2有害性データの精査の観点』というものが有害性評価のガイドラインでございますけれども、有害性等の性状データ等の評価に考慮されている、reliability,relevance,adequacyのうち、reliability,adequacyは従来の定義で押さえることができても、特に、relevanceの再確認・再定義が必要と思います。特に、キレート作用は、relevance(データと試験は、特有の有害性やリスク特性を適切に捉えているか)に直接かかわるものであることから、評価書では、この点に関する記述が必要と思われます。(イ)リスク評価に関して、(これは、NTAに限る事ではありませんが)ばく露評価のrelevancyとして、環境基準に基づく環境評価の考え方を援用することはどうでしょうか。すなわち、X%非超過確率値を代表値としてPNECと対比するもので、このXについて共通理解を整理することです。現状では、モデル推算によって、非常に小さな空間的非超過確率値に相当するばく露濃度を推算して広域的なひろがりがないかどうかの判定をおこなっています。だからこそ、ここにモデル推算の強み─すなわちモニタリングを補完できる─、という筋道がでてきますが、モデルによるモニタリング補完機能とともに、適切にモデルの再現レベルの確認をしつつ、モデルを中心にして、リスク評価の加速化に資するような、ガイダンスドキュメントの整備を進めてはどうかと考えます」。

 以上、代読を終わります。

○林部会長  どうも御説明ありがとうございました。

 それでは、これから議論に移りたいと思うのですが、時間が少し限られておりますので、できるだけ効率のいい議論をお願いしたいと思います。

 今の東海委員のコメントで、何か今回の論点整理をされたようにも思うんですけれども、何か、ただいまの御質問に対してのさらに質問、御意見等ありましたら札を立ててください。何か追加はございませんか。

○恒見委員  キレートの問題については、結局、金属がキレート化することによる必須元素の問題なのだろうと思います。そのときに、先ほどの環境省さんの御説明では、カルシウムを中心に御説明されていましたが、カルシウムだけではなくて、いろいろな元素のことをやはり考えないといけない。特に亜鉛とか、マンガンとか、銅とか、そういった元素も含めて、藻類の、必須元素としてどの程度本当に必要なのかというところとやはり比較しながら議論していく必要があると思います。

 特にEUが、結局藻類を選ばずにミジンコの試験を選んだというところで、そのハーモナイズということを考えずに藻類を選ぶというのは、やはりそれなりの根拠がないといけないと思いますし、また、国環研さんのほうでも、藻類の生長抑制のためにマンガンの濃度を減らすことが効果があるというような研究成果もありますので、そういったところとも含めて、必須元素の必要量、それに対して実際の試験濃度が幾らであったのか、その辺の比較もあわせて有害性評価書の中で御提示いただければと思います。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 環境省さん、何か、今の質問というか、コメントに対してございますでしょうか。

○MOE事務局  難しい宿題をいただいたと思っておりますけれども、まず、カルシウムの観点のみで御説明しておりましたので、ほかの金属として、どこまで詳細に把握ができるかということはなかなか難しい課題だとは思っておりますけれども、そのあたり、カルシウムだけではなくて──鉄に関しましてはEDTAが入っておりますので問題ないと思っているのですけれども、そういった必須の微量の金属への影響につきましては、少し調べをさせていただきたいと考えております。

○林部会長  もう一つ、今ありましたEUとのハーモナイゼーションの観点からみて、ミジンコのほうの値、データを採用するというお考えに対してはいかがでしょうか。

○MOE事務局  EUの評価書につきましても、なぜそれを棄却したのかという理由が詳細に書かれているわけではございませんで、また、この評価書自体の位置づけも、必ずしもハーモナイズせねばならないという位置づけほどのものであるのかというところは若干疑問でございますけれども、藻類の、先ほど御指摘いただいた点の調べを進めていく中で、当然ミジンコのデータを採用すべきかという点につきましても検討させていただきたいと思います。

○林部会長  ありがとうございます。

 そのほかに何か。

○吉岡委員  OECDやヨーロッパの考え方に基づいて、キレート作用をもつ云々のものが、これは毒性ではない、いわゆる本質的な毒性ではないというふうな考え方と、もう一つ、生態生物にとって影響があるものならば、それは問題で、コントロールするというのが化審法の考え方なのかどうか。つまり、化審法が毒性というふうにいっているのとEU等が毒性といっているのは全く同じなのかどうかというところがまず一つ問題だろうと思います。これは、研究者というか、個人によって考え方が違うので、多分どれが正しいのかということは難しいだろうと思います。

 もう一つは、試験法において、ではキレート作用を有する可能性があるもの、あるいは中に含まれているキレート剤によって影響を受ける可能性がある物質、そうしたものを試験するときには、そうでないことを義務づけるかどうか──ごめんなさい、キレートの影響であるということを証明する、あるいはキレートの影響ではないということを証明するための試験を設定して義務づけるべきかどうか。こういうところもまた問題になってくるのではないかなというふうに思います。

 以上です。

○林部会長  ありがとうございました。

○小林委員  私も、今回ちょっと悩ましい問題だと思っているのですが、資料2─2の11ページ、今回採用されなかった毒性データが一覧として載せていただいているのですが、表2の、この資料№6というのが、今回の藻類に対しては溶媒をBBM培地に変えたというのが8番、9番、10番で、あと、それ以外がOECD培地、AAP培地ということで、培地の比較をしています。キレート作用がないように培地の成分をリッチにしたBBM培地で比較試験をしているのですが、それによると毒性値自体が10倍ぐらい低い値になっています。こういうデータがある中で、今回、試験期間は少し長目ということで外すという、ルール上はしようがないのかなとは思うのですが、こういうようなデータをどう理解したらいいのか。これは専門の先生にもお伺いしたいのですけれども。もしこれが妥当な研究結果であって、ミネラルの欠乏が今回の毒性試験データの数値につながっているということであれば、この試験結果も考えなければいけないのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

○林部会長  ありがとうございました。

○小山委員  今の小林委員の御質問について、この論文をみた立場で申し上げますが、OECD培地とBBM培地、単純な比較はできないんですね。つまり、微量金属だけが違っているのであれば、今小林委員がおっしゃったように、キレート剤があるかなしかによってどう違うのかというのが評価できると思うのですけれども、それ以外の成分、つまり、例えば窒素であるとかリンであるとかいったような成分の濃度がBBM培地はかなり高い値だということで、果たしてそういう栄養塩がリッチな培地でやった試験と通常のOECDの培地の試験結果を直接比較できるのかということで、この結果は使えないだろうというふうに我々は判断しております。

 以上です。

○林部会長  ありがとうございます。

○鈴木(規)委員  単純にこれは、私もこれは完全にわかっていない質問ですが、OECDの培地にキレート、EDTAが添加され鉄と等量入っているということは、鉄を溶かすために入れているのかなと思うのですが、ということは、その鉄は吸収されているのでしょうか。要するに、キレート化作用ということは、確かに藻類の生長に影響を与えるでしょうけれども、必ず吸収されないと無条件に想定するのもおかしいのではないかという気がするというのが、まず第1点。

 あと、BBM培地は、これも完全にはわかりませんが、ざっとみると、BBM培地の濃度は10倍ぐらいみたいなので、PNECが、そこから出る毒性は10倍ぐらいになっているらしいですが、どっちも10倍だったら起きていることは同じなはずで、別にキレート化とは関係ないのではないかという気もするので。キレート化すると毒性が消えるとかいうほど話は単純ではないのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。

○青木委員  私もちょっと、ぜひ専門の先生方に伺いたいことがあって、結局、金属の欠乏だって、それは本質的な毒性ではないかと思うところがまずあるんですね。そこの議論をやってしまうと、キレート作用自体も毒性ではないかということになってしまうので、そこの議論はあえてやらないとして、結局、本質的な毒性ということと、それから、そういうキレート作用による生長阻害というのは、これは専門の方に伺いたいのですが、結局区別ができるのか。だから、できるならば、そういう議論をきちんとやっていくのが大切だと思うけれども、できないのだったら、やっぱりどこかで割り切るしかないと思うんですね。

そこのところ、しっかり議論をして、結局それは、では何でできるかというと、多分実験的にやるしかないと思うんですね。理論的にここは解が出る問題とは思えないので。ですから、そういう実験的にそういう証明──証明とはいわないまでも、判別することができるものかというのが結構重要な論点になると思うのです。けれども、どうなんでしょうか。私は非常に疑問というか、ぜひ教えていただきたいところでございます。

○林部会長  ありがとうございます。

 今の議論に尽きると。この後、評価単位の話にもなってくるんですよね。だから、その辺のところも言い出すと酸と一緒に評価していいのかというようなことにまでなってきてしまうので、かなり奥は深いかなと思うのですけれども、ほかに。そのほかはいかがでしょうか。

 こうやって御意見を聞いていますと、かなりまだ、意見を統一するというところまではいきそうにないというのが座長の実感なのですけれども、ちょっと本日の議論の時間も十分とれなかったということもあるのですけれども、今、各委員からいただきました貴重な御指摘、御意見を、もう一度事務局におかれましては調査していただき、事務局で有害性評価書の修正案を作成していただいて、その内容についてもう一度、もう少し今度は時間をとれるような状況で再審議を行いたいと考えますが、それでよろしゅうございますでしょうか。──では、そのように進めさせていただきます。

 それでは、その次の議題です。議題2、1,2,4-トリメチルベンゼンの新たな評価結果及び今後の対応についてということで、これは昔宿題が出たもので、その宿題の回答ができたので、皆さんに聞いていただき、ご評価いただくという趣旨のものでございます。

 事務局よりご説明をお願いします。

○MOE事務局  それでは、資料3に基づいて御説明をいたします。

 こちらの資料3の参考資料につきましてはパソコンの中に入っておりますので、適宜御覧いただければと思います。27年の7月に生態影響の観点でリスク評価(一次)評価Ⅱを行った詳細な評価書が入っております。

 こちらですけれども、平成27年7月のリスク評価の結果、下の四角囲いの内容が結論として出されております。

 少し飛ばしまして、リスク評価の結果、現在推計される暴露濃度では、この1,2,4-トリメチルベンゼンによる環境の汚染により、広範な地域での生態環境動植物の生息もしくは生育に係る被害を生ずるおそれがあるとは認められないと考えられるとしておりますけれども、ただしということで、一部水域においてPECがPNECを超えた地点がみられておりまして、環境排出量の推計とモニタリングデータに不確実性があることから、製造・輸入数量やPRTR排出量等の経年変化を調査いたしまして、暴露濃度を確認することとしております。

 これらの結果につきましては審議会に報告することとし、必要に応じて再度審議に諮るものとしております。

 こちらの状況につきまして少し御説明をいたしますと、シミュレーションを行った結果、PECがPNECを超えた地点が数地点ございまして、その地点におけるモニタリング結果がなかったということで、こちらの結果としております。一つ、点源の下の下水処理施設の直下ですとか、そういったところが超えていたという結果でございました。

 また、底質に関するモニタリングデータもございませんでしたので、今回水質のモニタリングとあわせまして、こちらのモニタリングも平成27~28年で実施をいたしました。

 それでは、2枚めくっていただきまして、3ページに新たに得られたモニタリング結果を御紹介しております。

 環境モニタリングデータによる評価でございますけれども、平成27年度の時点で21~25年の結果、それに加えまして27年、28年について水質・底質のモニタリングを行っております。そちらの結果は以下のとおりでございまして、水質・底質いずれもPEC・PNECが1を超える地点はございませんでした。

 モニタリングデータの詳細につきましては、4ページ以降にお示しをしております。懸念が出た地点について測定を行っておりまして、その地点は確実に超えていないということを確認しております。

 また、5ページに、化審法の届出情報といたしまして、26年、27年のデータを追加いたしまして、特に大きな変化はないということも確認をしております。

 2ページに戻っていただきまして、新たに得られた情報及び今後の対応について御紹介をいたしたいと思います。

 平成27年度の評価でPECがPNECを超えた地点について、平成27年度及び平成28年度に水質濃度及び底質濃度の実測を行いまして、当該地点でのPNECを比較した結果、PECを下回って──済みません、何か誤植があるかもしれない。──当該地点は、平成27年度の評価でPRTR届出排出量が多い事業所付近、PRTR届出移動量が多い事業所の下水を処理している終末処理施設付近を含んでおります。

 このように、平成27年度の評価で不確実性が指摘された地点において、リスク懸念はございませんでした。なお、平成24年度のPRTR届出排出量を用いた前回の評価においてリスク懸念があった2地点の平成27年度の河川へのPRTR届出排出量は、平成24年度に河川へのPRTR届出排出量が最も多かった地点より少なかった。また、平成27年度にこの2地点より河川へのPRTR届出排出量が多い地点はございませんでした。

 以上のことから、化審法の届出情報による製造・輸入数量は平成25年度以降減少傾向でありました。

 そのため、当初のとおり、この被害を生じるおそれがあるとは認められないと考えられるという結論に変わりがないということでございまして、生態の観点からは優先の取消相当であるということでございますけれども、こちらの物質に関しましては人健康影響の観点から評価Ⅰが継続中でございますので、引き続き優先評価化学物質としたいということでございます。

 以上です。

○林部会長  どうもありがとうございました。

 これは宿題返しということで、ほとんど報告事項ということなのですけれども、前回の評価のときにNEC、PNECが1以上になった地点が少しあったために、それをもう少し精査するという宿題が出て、今回それらをモニタリング等で再評価した結果、全く問題がなかったという結論が得られたということですが、何か御質問等はございますでしょうか。──もしないようでしたら、一応宿題に対する回答が出たということで、これでもってこの物質の評価は一応終了するということになろうかと思います。ただし、人健康影響の観点からは評価Ⅰで継続中であるということから、引き続きこの物質は優先評価化学物質であるということには変化はございません。

 ということで、特に御発言がなければ、このように取り計らいたいと考えます。ありがとうございました。

 それでは、事務局のほうから、その他の御議論、御提案等ございましたら、お願いいたします。

○METI事務局  特段ございませんけれども、この後の第二部の審議につきましては、2時半から第二部を開始しますので、引き続きよろしくお願いします。

 事務局からは以上です。

○林部会長  ありがとうございました。

 一応これできょうの議論を終了したいと思います。

 第二部にもご参加いただく先生方におかれましては、しばらく休憩の後、またこの場に2時半にお戻りいただきたいと思います。また、傍聴の方におかれましては、第二部は非公開の議論となりますので、ご退席のほどお願い申し上げます。

 本日はどうもありがとうございました。

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