令和4年度第5回石綿健康被害救済小委員会議事録

開催日時

令和5年3月31日(金) 13:00-15:00

開催場所

Web会議方式により開催

議事次第

1.開会

2.議事

(1)石綿健康被害救済制度の施行状況について

(2)その他

議事録

午後1時01分 開会
○小笠原主査 それでは、定刻になりましたので、ただいまより令和4年度第5回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
 環境保健部環境保健企画管理課石綿健康被害対策室の小笠原でございます。議事の開始まで進行を務めさせていただきます。
 委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議での開催とさせていただいております。会議中、音声が聞きにくい等の不具合がございましたら事務局までお電話またはWeb会議のチャット機能でお知らせください。機器の不具合等によりご発言いただけなかった場合には、お電話にてご意見をいただきまして、後日議事録に掲載させていただきます。
 本日の会議は公開であり、環境省大臣官房環境保健部環境保健企画管理課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。
 発言のご意思のある委員におかれましては、お名前の横にあります挙手アイコンをクリックしていただくか、チャット機能で発言したい旨をお知らせ願います。
 委員長から指名を受けた場合、マイクのミュートを解除してご発言いただきますようお願いいたします。ご発言の後には再びミュートにしていただくとともに、挙手アイコンを忘れずにクリックして元に戻すよう操作をお願いいたします。
 また、本委員会は原則公開で開催いたしますが、石綿による健康被害を受けた方など傍聴が困難な方への迅速な情報提供を図るため、議事録が公開されるまでの間に限り、会議の音声を公開することといたしております。
 本日は、小委員会委員10名のうち、8名のご出席をいただいており、定足数を満たしております。
 なお、大塚委員及び細川委員につきましては、所用により、途中でご退席されます。
 それでは次に、本日の資料の確認をいたします。
 資料は事前にメールでお送りしております。議事次第、資料1及び2、委員提出資料並びに参考資料でございます。
 説明に当たっては、事務局が画面上に資料を共有して進行いたします。傍聴されている方におかれましては、環境省ホームページの環境保健部会石綿健康被害救済小委員会のページにアップロードしておりますので、そちらをご覧いただきますようお願いいたします。
 なお、本小委員会に係る前回までの資料につきましても、当該ホームページに掲載されておりますので、必要に応じてご覧ください。
 それでは、ここからの議事進行は浅野委員長にお願いしたいと思います。
 浅野委員長、よろしくお願いいたします。
○浅野委員長 それでは、年度末の本当にお忙しいときに小委員会を開くことになってしまいました。誠に申し訳ございません。どうぞ今日はよろしくお願いいたします。
 まず、この小委員会の進め方について、最初に事務局から説明を承りたいと思います。その上で、事務局が作りました取りまとめ報告のたたき台について、議論をしたいと思います。
 ではまず、資料1に基づきまして、この小委員会の進め方について、事務局からのご提案をお聞きください。よろしくお願いいたします。
○木内石綿健康被害対策室長 事務局から資料1についてご説明します。
 本小委員会の進め方については、これまで、今回第5回をもって報告書(案)取りまとめということで、ご確認をいただいています。ただ、前回までの議論の中で、委員から、さらに議論すべきとのご発言があり、また、今回、委員提出資料ですけれども、議論すべき点ということで、さらに資料も提出されています。
 そうしたことから、恐縮ですが、当初の予定を変更して第6回を追加し、今回は報告書(案)についてご議論いただき、次回取りまとめと変更することについて、ご提案します。
 以上でございます。
○浅野委員長 ただいま事務局が提案いたしましたように、私も、本日、報告書の取りまとめをするというのは、少しこれまでの議論の経過から見ても無理な面もあるかと思いますので、さらに委員会を少し、年度を超えてしまいますけれども、延ばしまして、本日、完全に取りまとめを決めるということにはしないということにしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。この事務局からのご提案につきまして、もしご異議のある方は、どうぞ挙手をお願いいたします。
(なし)
○浅野委員長 ございませんようでしたら、今後の進め方につきましては、事務局の説明のありました方針に従って進めてまいりたいと思います。
 それでは次に、取りまとめ報告書の議論に移りたいと思いますが、事務局がこれまでの議論を踏まえてまとめました資料2の説明をお願いいたします。
○木内石綿健康被害対策室長 資料2をご説明します。
 今委員長からご紹介がありましたとおり、これまでの4回の小委員会での議論について整理を行って、ご提案するものです。
 表紙と目次を飛ばしまして、1ページ目です。
 「はじめに」というところは、審議の経過、小委員会の開催等の経過について記載をしています。説明は省略します。
 Ⅱ番、以下、1から5まで、論点ごとに記載しています。
 各項目の記載のうち、(1)救済制度の施行状況については、これまでも議論の整理ということで、資料でお出ししていますけれども、本救済制度のこれまでの経緯、本小委員会の開催前の経過等について、記載しています。繰り返しになりますので、この(1)についても、説明は省略します。
 2ページ目、32行目から、(2)指摘された論点及び今後の方向性ということで、以下、1番から5番まで、(2)についてご説明します。
 32行目です。本小委員会の審議の中であった意見についてです。
 まずヒアリングの中で、患者さんの年齢、所得及び家庭状況等を考慮し、療養手当の額の引上げや遺族年金の新設を求めるというご意見がございました。
 また、同じくヒアリングの中で、責任概念を多様化させ、法的責任に限らず、「法的責任に準ずる責任」という新たな概念を考えて、多様な責任に基づく制度を新たに構築すべきとの意見がございました。
 また、ヒアリングの質疑の中で、「法的責任に準ずる責任」という新たな概念として社会的責務を位置づけたときに、ただしそれは裁判で認められた法的な責任ではないことから、行政や企業に強制できるものではないということ、また、個々の行為者の活動と石綿健康被害との因果関係は、依然として明らかではないといったことが、質疑の中で確認されたところです。
 4行目です。この点について、まず療養手当の額の引上げについて、これまでの資料のとおり、介護実態調査における自己負担額の結果からは、「入通院に伴う諸経費という要素」及び「介護手当的な要素」から構成される療養手当の額が不足しているということは、介護実態調査からは言うことができないということです。
 7行目です。給付体系、これは遺族年金の新設も含めてですけれども、「社会全体で石綿による健康被害者の経済的負担の軽減を図る」という救済制度の趣旨に照らせば、現行の給付内容は引き続き妥当であるということです。
 また、法的責任とは異なる新たな責任の概念に基づく給付を構想するとしても、法的責任でなければ強制できるものではなく、資金の拠出者から同意を得ることは困難である。また、給付項目を新設すること、これも困難であるということです。
 12行目以下、建設アスベスト訴訟の最高裁判決について、記載しています。
 これは、国、厚生労働大臣が、労働安全衛生法上の規制権限を適切に行使しなかったことについて賠償責任を負うとされた判決です。この中では、屋内建設作業者について、違法期間が昭和50年から平成16年までという判断も示され、一人親方も含めて国の責任が認められている一方で、屋外作業従事者に関する責任は否定されているということです。
 また、この判決を受けて、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立し、施行されています。
 そして、この判決と、環境省の救済制度との関係です。この判決は、原因者となり得る事業者がいて、その事業者に対する国(厚生労働大臣)の労働安全衛生法上の規制権限不行使を理由とする責任が認められたということであり、その責任は、特定の期間において特定の業務に従事された方に限定されています。
 このため、環境省の救済制度、これは因果関係を問わずに、石綿健康被害者を広く救済するものであり、労働安全衛生法上の規制権限の行使と直接関係していないので、この判決が、環境省の救済制度に対して、直接的な影響を及ぼすものとは言えないということです。
 25行目です。これまで、平成23年6月の中央環境審議会の「二次答申」、また、平成28年の取りまとめにおいて、救済制度の基本的な考え方、因果関係を問わず、社会全体で石綿による健康被害者の経済的負担の軽減を図る、こうした基本的考え方を変える状況にあるとは認められなかった。
 29行目です。その上で、この、因果関係を問わずに給付を行う救済制度は、引き続き重要であることから、今後も制度を取り巻く事情の変化を注視し、また、救済基金に係る費用負担に関する意見を聞きながら、この制度の安定的かつ着実な運用を図り、健康被害の迅速な救済をさらに促進すべきであるということです。
 2番、指定疾病の(2)、4ページ目の31行目です。
 指定疾病について、本小委員会の審議において、良性石綿胸水や石綿肺合併症を指定疾病に追加すべきという意見がございました。
 一方で、良性石綿胸水のうち、器質化した胸水貯留があるものについてはびまん性胸膜肥厚として認定するとして既に認定基準が改正され、実際に認定されている例もあるということで、必要な対応は取られているという意見もございました。
 また、良性石綿胸水、そして石綿肺の合併症、続発性気管支炎や気管支拡張症、続発性気胸などがありますが、これらについて、これ自体が難治性で重篤な疾病であるとは言えず、既に指定疾病とされている著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺と同等のものとは言えないという意見がございました。
 この点については、救済制度が、重篤な疾病を対象とするものであるということを踏まえ、症状が様々である良性石綿胸水及び石綿肺合併症を一律に対象とすることは困難であるということです。
 5ページ目の5行目です。石綿による肺がんの医学的判定についてです。
 石綿ばく露作業従事歴を認定基準に組み込むべきというご意見がございました。一方で、救済制度は、石綿ばく露歴が不明な方を救済する、という目的で創設されたものであること。また、現行の認定基準は、国際的な基準にも沿っており妥当であること。また、年金記録では、事業所等における石綿の使用の有無までを判別できないといったことから、迅速な救済を目的とする救済制度においては、ばく露作業従事歴を認定基準に採用することは、客観的に妥当性を欠く、こういったご意見がございました。
 この点について、平成28年取りまとめでの記載を、下に改めて掲げています。ポイントを申し上げます。
 ①、労災制度では労務起因性の判定がポイントになりますが、救済制度は、個々の原因者の特定が困難という特殊性に着目して、被害者の迅速な救済を図る、そうした制度趣旨であること。
 ②、この制度の性格上、作業従事歴を確認するために必要である客観的資料が乏しいということ。
 ③、肺がんが石綿によるものであるということを判定可能な医学的所見、指標が、国際的なコンセンサスに基づき得られているということ。
 そして、④石綿による肺がんについて、作業従事歴との関係についても知見が十分に得られていないということです。
 平成28年取りまとめにおけるこうした指摘を踏まえ、作業従事歴を指標として採用すべきではないという当時の結論を、今、変える状況にはないと考えられるということです。
 3番、制度運用。6ページ目の23行目以下です。
 本小委員会の審議において、患者さんに救済制度の情報が提供されるように、医療機関に対して周知をすべきというご意見がありました。また、医療機関において、石綿による肺がんを正しく診断するために、肺がんの臨床診断をするときに、患者さんの石綿ばく露の可能性に留意する。また、病理診断の中でも、石綿小体の有無の観察に留意をする。そうしたことについて、医療機関に対し周知をすべきというご意見がございました。
 この点については、引き続き様々な機会を捉えて、医療機関に対して周知を行うこと。また、肺がんの臨床診断、病理診断における留意点についても周知を行うべきであるということです。
 29行目、医師の卒前教育において、石綿関連疾病の教育の充実を図るべきというご意見もございました。この点については、環境省において、関係省庁と協議を行うべきであるということです。
 31行目、民間部門におけるピアサポート活動、ピアサポート活動というのは、同じような立場にある方が互いに支え合う活動のことです。これを周知すべきという意見がございました。
 この点について、これまで、がん患者さんへのピアサポート活動・患者サロン等についての情報提供も含めた支援は、各地域のがん診療連携拠点病院等に設置されているがん相談支援センターで、個別に、患者さんのご事情も伺いながら実施されています。
 また、このがん相談支援センターの探し方や利用方法等については、国立がん研究センターのがん情報サービスサポートセンターで実施されています。環境再生保全機構のホームページで、このがん相談支援センター及びがん情報サービスサポートセンターの紹介をしていまして、引き続き患者さんの個別のニーズに応じて、各地域で適切なサポートが行われることが重要ですので、今後も厚生労働省と必要な連携に努めるべきであるということです。
 7ページ目の4行目です。認定申請手続の合理化について、これも申請者の負担軽減のため、引き続き手続の簡素化を進めるべきという意見がございました。今後もオンライン化の検討も含め、手続の簡素化を行い、申請者の負担軽減に努めるべきであるとしています。
 4番、健康管理。8ページ目の5行目以下です。審議の中で、石綿ばく露者の恒久的な健康管理制度の構築について、具体的な検討を進めるべきというご意見がございました。
 また、胸膜プラークは石綿ばく露を示す画像所見の一つであるけれども、それが全てではないこと、現状の医学的なエビデンスに鑑みると、健康管理におけるレントゲン写真の活用が妥当であるといったことを踏まえると、環境省においてこれまで行ってきている読影調査の対象地域を広げ、かつ精度を高めることを目指して継続していくのがよいというご意見がございました。
 この点については、現在実施されている読影調査を、対象地域を拡大しつつ実施し、また、石綿読影の精度確保等に関する検討会の中で、健康管理の在り方について、引き続き必要な検討を行うべきであるとしています。
 5番、調査研究。30行目以下です。本小委員会のヒアリングの中で、また患者の立場を代表する委員から、基金の使途を治療研究へ拡大すべきという意見がございました。
 一方で、拠出者を代表する委員からは、この基金は「個別の石綿健康被害患者を救済」することを目的に拠出・造成されてきたものであり、別の目的に使用することには反対であるとの意見がございました。別の委員からは、拠出者の同意を得ずに使途を変更することは困難であるとのご意見。また、拠出金の使途をかつての決定事項から事後になって変更することになると、今後、他の救済制度を構築する際に制度設計が非常に困難になるというご意見がございました。
 6行目です。救済制度は、石綿による健康被害を受けた方の経済的負担の軽減を社会全体で引き受けるべく創設されたものであり、基金は「救済給付の支給」に要する費用に充てることを目的として設立されたものです。したがって、制度の目的と異なることに基金の使途を変更し拡大することは適切ではなく、拠出者の同意を得ること、そして基金の使途を変更して拡大することは困難であるとしています。
 11行目、基金の残高についても議論をされています。審議の中で、基金の残高に余剰があるのではないかというご意見がありました。一方、中皮腫の患者さんの数が増加していること、また、中皮腫及び石綿肺がんの患者さんの予後が良くなっていることなどから、残高に余裕があるとは言えないという意見がありました。また、別の委員から、仮に基金の残高が余剰となると、現行法の枠組みにおいては、産業界の一般拠出金率を下げることになる、とのご意見がありました。
 16行目です。基金の将来的な残高の推移については、確定的に予測することは困難であるものの、救済制度は安定的に運用される必要があることから、引き続き基金の収支を注視しつつ、適切な一般拠出金率に基づく運用が必要である。
 19行目、石綿関連疾患の治療研究の重要性について、各委員から異論はありませんでしたが、疾病の治療研究については、「疾病の予防及び治療に関する研究」を所管する厚生労働省において検討されるべきと意見がありました。また、環境省は、救済制度を所管する立場として、迅速かつ適切な診断のための研究に取り組むべきであると意見がありました。この点について、これまでも厚生労働省において、環境省から関係団体の要望を通じた治療研究に資する情報の提供を受けながら、中皮腫を含む希少がん及び難治性がんに係る治療等の研究を支援してきたところであり、今後についても、必要に応じた支援を進めることとされています。環境省においては、引き続き診断研究の支援に努めるとともに、本小委員会において指摘された中皮腫の治療研究の重要性について厚生労働省等の関係省庁に情報提供すべきであるとしています。
 29行目、中皮腫登録についてです。ヒアリングの中で、中皮腫登録は、継続性という観点からは優れているが、臨床情報や治療情報が不足しており、他のデータベースとも連携し、これらの情報を補完することによって、有益な情報を得られるという意見がございました。また、審議の中でも、中皮腫登録の拡充に向けた検討が実施されるべきと意見がございました。
 この点について、中皮腫登録と他のデータベースを連結して、医療機関の診療情報等のデータを追加することによって、救済制度における診断技術の向上や、治療方法の意思決定等にも役立つ可能性がありますので、中皮腫登録のさらなる充実について、必要な検討を行うべきであるとしています。
 10ページ目、Ⅲ番です。「おわりに」として、救済制度については、これまでのところ、制度の基本的考え方に基づいて、適時適切な見直しが行われ、制度の周知等の運用の強化・改善等が図られてきており、安定した制度運営が行われている。一方で、救済制度の評価・検討の中で幾つか論点も指摘されたことから、それぞれの論点について今後の方向性を提示した。
 救済制度については、今後も制度を取り巻く状況の変化に注視をしつつ、必要に応じた検討がなされるべきである。
 環境省においては、この報告書の内容を踏まえ、必要な対応を講じられることを求めたいとしています。
 11ページ目以下は審議の経過と委員名簿、参考資料でございます。
 資料2の説明は以上ですけれども、併せまして、参考資料についてもご説明します。
 これまで説明した内容と共通するものが多いところですけれども、9ページ目、救済制度における申請の促進につきまして、ご説明が漏れていましたので、追加します。
 労災制度における申請の促進についてのご指摘でした。
 労災制度では、原則として健康保険の診療報酬点数表に従いつつ、一部、独自の診療報酬体系を設けています。その中で、石綿疾患労災請求指導料という項目が設けられていまして、医療機関においてこの報酬の算定ができるということです。
 他方で、石綿健康被害救済制度は、公費負担医療制度とされていまして、つまり、医療費の算定については、健康保険の例によるとされています。健康保険の自己負担分について給付をするという制度です。そのため、独自の診療報酬体系を有する制度ではなく、こうした独自の報酬を設けることが難しいということです。
 また、他の公費負担医療制度においても、文書料については自己負担とされているものが多いということです。
 また、10ページ目以下、神戸市における石綿健康管理支援事業についてです。
 11ページ目に抜粋していますけれども、神戸市内に居住されて、石綿関連の所見により経過観察が必要であると診断された方を対象として、検査費用を助成する、そうした事業が神戸市において行われているということです。
 一方、13ページに紹介していますけれども、石綿読影の精度に係る調査事業として、環境省でも、参加自治体において、自己負担のない形で精密検診の受診ができる、こうした事業を実施しているところです。
 説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○浅野委員長 どうもありがとうございました。
 今、事務局から説明がありましたように、事務局の作りました、たたき台は、内容については五つのポイントについて、それぞれ制度運用の状況を説明し、審議会で出されましたご意見その他を勘案して整理したものをつけております。救済給付について、指定疾病について、制度運用について、健康管理について、調査研究についての5点でございます。
 少し整理をしていく必要があると思いますので、この1点1点についてご意見を承りたいと思いますが、ただ、大塚委員と細川委員は早めにご退室をご希望ということでございますので、このお二方の委員については、他の項目についても必要なところがあれば早めにご発言いただければと思います。
 それでは、まず救済給付についてということでご意見を承りたいと思いますが、ご発言をご希望の方がいらっしゃいましたら、どうぞ挙手ボタンをお願いいたします。
 小菅委員がお手をお挙げですね。
 小菅委員、どうぞ。
○小菅委員 私、全体を通してちょっと発言させていただきたいと思っております。
 まず冒頭に私の決意を申し上げて、本日の議論に入っていただきたいと思います。
 先ほどの環境省のご説明によりますと、前向きな取組が全く感じられず、何もしないということだけです。1回目では治療研究に前向きな考えの委員の方々が多くおられましたが、2回目は、患者さん、ご遺族の悲痛な叫びのヒアリングの中、時間ぎりぎりにまで必死に訴えた右田委員の姿がありました。3回目は、3人の医師からの治療研究に向けてのヒアリング、そして4回目は一人の法学者のヒアリングと、意見をいただきましたし、私も3回目と4回目とあれだけ意見を述べたにもかかわらず、何の意味も感じられず、内容も全く反映されておらず、どうすれば改善できるのか、知恵を出したものにはなっておらず、あきれると同時に憤りを感じております。
 6年ぶりに開催された小委員会なのに、見直し困難とは何のための小委員会なのでしょうか。4回開催していただいた結果は、何も見当たらず、了承、同意できません。
 本日ご参加の委員の方々にも、前向きな対応を切に願っております。そして、参議院の附帯決議、全国知事会からの要請内容についても、全て列挙、記載すべきだと思っております。
 以上でございます。
○浅野委員長 救済給付についてということでのご発言はよろしいですか。
 それではまず、お手をお挙げになっていらっしゃいます岩村委員、どうぞ、ご発言をお願いいたします。
○岩村委員 ありがとうございます。
 救済給付について、意見を申し上げたいと思います。
 これまでにも申し上げてきたとおり、本制度は個別の因果関係の立証が極めて厳しいことを踏まえて、石綿健康被害者の経済的な負担を迅速に軽減するために創設されたものでございます。
 救済制度と補償制度の性格は、本質的に異なるため、仮にこの制度を、補償制度に変えようとする場合、むしろ迅速な救済が行われなくなったり、原因者を特定できないといった事情により、救済可能な範囲が狭まってしまうことが懸念されます。
 加えて、個別の事案に着目した概念と考えられる、「法的責任に準ずる責任」に基づいて、制度を変更することについても、因果関係を問わず、社会全体の負担によって、石綿健康被害者の経済的負担を迅速に解決するという制度の趣旨を根本から変えるものになりますので、拠出者の立場から、到底容認できません。
 結論といたしましては、現行の救済制度の性格づけを変えるべきではないと考えてございます。
 以上でございます。
○浅野委員長 ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。
 小菅委員、ご発言ありますか。
○小菅委員 はい、お願いいたします。
○浅野委員長 どうぞ。
○小菅委員 救済給付に関する点についてですけれども、見直しについて困難であるという趣旨の記載がありますけれども、これについては全く同意できません。特に9ページの10行目の記載は、少なくとも現時点では困難であると記載する必要があります。ただ、そのような記載でも私は同意できないことは、繰り返し述べさせていただきます。
 前回の小委員会で、大塚委員からも、吉村先生と森先生のヒアリングに対して、さらに考えていく提案をしていただいた。もしこれを考えていくとすると、さらに他省庁を巻き込んだり、国会を巻き込んだ、結構いろんなところとの関係も出てくるかと思いますけれども、本日は、とにかく、これは環境省として重要な意見として受け止めていただければと意見されています。そのことに全く触れていないどころか、国会、他省庁を含めた議論の継続をすべき状況であることは当然ですので、今後も国会、他省庁を含めて必要な検討を行うべきであると必ず記載していただくようにお願いいたします。
 他方、今般の物価・電気代の上昇を踏まえた現行給付水準の見直しについては、早急に議論すべきですので、これらについても早急に検討を開始すべきであると記載していただくようにお願いいたします。
 以上でございます。
○浅野委員長 
 ほかにご発言ございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。
 ここについては、とにかく完全に意見が一致していないことははっきりしておりますが、どういうご意見があったかということについて、もっときちっと書けということですね。小菅委員の今のご発言は、早急に検討を始めるというぐらいのことはちゃんと書いてほしいと、そういうご意見だろうと思ってお聞きしております。
 最終の報告書の書きぶりについては、さらにまた事務局と相談をして、少なくともご発言の趣旨をもう少し明確に生かせるように記載するということでよろしゅうございましょうか。
(異議なし)
○浅野委員長 それではそのように、少しまた検討させていただきたいと思います。
 次に、指定疾病についてということで、よろしければ次に移りたいと思いますが、この点についていかがでございましょうか。
 大林委員、どうぞ。お願いいたします。
○大林委員 はい、よろしくお願いいたします。
 指定疾病に関しましては、まず、良性石綿胸水に関して、これは、先般、岸本委員からご発言があったかと思いますけれども、労災病院全体で調査研究をされたと。それによりますと、経過中に石綿関連の腫瘍あるいは非腫瘍性の認定疾患に進まれる方がおられるというふうな結果が出ていると思います。そういう意味合いにおきまして、やはり、例えば、神戸市の健康手帳の制度ですとかそういったものでフォローしていくべき疾患であることは確かかと思います。しかし、良性石綿胸水がたちまち重篤な疾患になるということではないので、やはり指定疾患には含めるべきではないというふうに思っております。
 それから、肺がんの認定件数が少ないということが問題になっているかと思います。
 皆様ご存じのように、肺がんは非常に多い悪性腫瘍でございまして、例えば、がんセンターの疫学統計に基づく公表された数字によりますと、2019年の肺がんの患者数は12万6,548人ですね。
 一方で、中皮腫は840人この間150倍の差異がございます。これはやはり中皮腫とアスベスト、これをなかなか同じように扱えないという、この数字から見まして、そのように思います。
 中皮腫は、喫煙との関連はないとされていまして、一方、肺がんはたくさんの原因物質があって、その一番大きなものが喫煙でございます。これは、国際的にも承認されているクライテリア、基準があって、喫煙とアスベストの相乗効果があって、発がんを2倍にする線維の量、あるいは小体の量ということで、現在は認定作業が進められております。これは、国際的によく練られた基準でございまして、妥当性があるというふうに考えております。
 肺がんの患者さんの中で、アスベストに関連する方をいかに拾い上げるかということですが、まずご本人の申告が重要かと思います。そして、職歴の聴取ですね、これは担当された臨床の先生方にご尽力いただかなくてはいけないと思います。
 そういったことで、手術をされた場合に、私たち病理医が、肺の中に、どの程度石綿小体あるいは線維があるかということを見ていくことになるわけです。石綿小体は、現在はばく露の根拠になるということになっておりますので、丹念に検索する必要はあるんですけれども、例えば、砂場の中に落とした100円を探すというぐらいの労力が必要な作業となります。
 申し上げましたように、肺がんというのはすごく件数が多いので、非常に少ない病理医だけではどうしようもないというところが実はございまして、臨床検査士さん、この方々は、中皮腫の診断にも非常にいろいろな面で努力されている方々なんですけれども、その方々に病理の標本の中で、石綿小体を見つける協力をしていただくと、そういったことを、私たち病理医も働きかけていきたいというふうに思っております。
 この疾患に関しては、特に肺がんに関しては、非常に広く、そして多因子であるということから、周知が何よりも重要かと思います。その周知に関しましても、あらゆる診療科ですね、そしてあらゆる職域、医者だけではなくて、いろんな検査をする方々にも周知をすることが重要かと思っております。
 以上でございます。
○浅野委員長 どうもありがとうございました。
 岸本委員、どうぞお願いいたします。
○岸本委員 今大林先生もおっしゃいました、良性石綿胸水という疾病は、2003年に労災の対象疾病になったんですけれども、20年たった今も認定基準が定まっておりません。でございますので、その病態というのが、これというふうに言えない、これは非常に問題があるということで、我々のグループは5年間この症例を集めて、認定基準をつくろうと努力をしてまいりました。けれども、後ろ向きの研究では駄目だと厚生労働省に言われておりまして、前向きの研究を今やっておりますし、これからもやろうとしております。
 良性石綿胸水というのは、外国で新たな報告も出ておりませんけれども、どういう疾病か医学的に明らかにして、それが重篤になり得るということが明らかになれば、救済法の対象にすればいいと思います。
 ただ、我々は、平成28年のときに、良性石綿胸水の器質化という、胸部レントゲン・CT上の基準をつくりまして、著しい呼吸機能障害を来している方々については救済法の対象にするということで、環境省も認めていただきました。石綿肺、びまん性胸膜肥厚、非悪性の病気につきましては、最近、認定されるのはほとんど器質化胸水を持ったびまん性胸膜肥厚であることは事実でございますので、良性石綿胸水ももう少し検討させていただいて、その病気の本質を明らかにしていくということが必要だろうと思います。
 肺がんにつきましては、大林先生が今詳細に語っていただきました。本当に私も大林先生のおっしゃるとおりだと思っております。
 以上です。
○浅野委員長 ありがとうございます。
 それでは、小菅委員、ご発言ございますか。
○小菅委員 はい、ありがとうございます。
○浅野委員長 どうぞ。
○小菅委員 指定疾病に関わることですけれども、石綿肺合併症と良性石綿胸水についても、労災と同様に、症状の違いによって給付の有無について検討すべきであります。困難との記載は同意できません。
 肺がんのばく露歴を判定基準に加える点についてですが、5ページの7行目に、救済制度は石綿ばく露歴が不明なものを救済するために創設されたと記載されていますが、明らかな誤りですので、削除ください。特定の石綿製造工場等の周辺に居住していた方、建設作業における自営業者などを念頭に制度設計された経緯があります。
 5ページに記載の②や④の記載は、労災保険制度や建設アスベスト給付金の在り方を根底から否定するものですし、③の記載については、ばく露歴が全く不明な被害者の最後のとりでとしての判断基準としての国際的なコンセンサスですので、これで十分とされる基準ではありません。被害者を救えるように、ばく露歴の調査を厚生労働省の各労働基準監督署に委託する等、具体的な検討を開始していくべきですので、このように記載をお願いしたいと思います。
 救済制度で認められない方が、工場型の裁判で国と和解したり、建設アスベスト給付金の認定を受けるいびつな構図を是正するための改善が必要であります。
 制度設計時の想定認定数は、中皮腫一人に対して肺がん一人が認定されるというものでした。国際的な知見に基づけば、かなり消極的な被害者数の想定ですが、現にそれすらも達成しておらず、今後もその事実を念頭に、請求件数、認定件数の向上を図るために、行政、環境再生保全機構、患者団体等が連携して、積極的かつ大胆な取組を検討していくと記載していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○浅野委員長 ありがとうございました。
 ほかにご発言はございませんでしょうか。
 ただいまの小菅委員のご発言もございますが、労災の機関に調査を委託するということができる患者さんと、そういう条件が全くない場合というのがあると思うんですね。ですから、ちょっと一般化がなかなかしづらいなと思いながらお話を承っておりましたが。
 ほかにご発言がございませんようでしたら、次のテーマに移ってよろしいでしょうか。
(異議なし)
○浅野委員長 では、制度運用についてということで書かれている部分につき、何かご発言がございましたらお願いいたします。
 いかがでございましょうか。5ページ以下ですね。委員会の議論の整理は6ページ以下にございますが、いかがでございましょうか。この点、もう既に今までのご発言の中にも、一部分関係するご発言をいただいているとは思いますが、いかがですか。
 小菅委員、ご発言をご希望ですか。
○小菅委員 はい。よろしくお願いいたします。
○浅野委員長 どうぞ。
○小菅委員 制度運用に関わる点でございます。
 中皮腫の被害者では、いずれの制度でも何らかの認定を受けていない被害者が3割程度おられます。肺がんでは、9割以上であるとも指摘されることもあります。このような未救済の被害者の救済を図るために、死亡診断書等を活用した周知事業を実施すべきですので、記載をお願いしたいと思っております。
 併せて、本来は労災認定されるべき被害者が救済制度のみで認定されている、紛れ込み事案の解消のために、昨年、議員立法によって、請求期限の延長がされた労災時効救済制度の周知を、救済制度のみの認定者に早急にすべきです。早急にと申しましたのは、遺族の中には、死因を証明する書類の取得が、行政、医療機関の関係書類の廃棄によって困難になっている方々もおられます。直ちに具体的な実施に向けた検討をすべきだと思っております。
 加えて、厚労省が保有している死亡小票には、死因が記載されておりますけれども、法制度の問題で、救済への活用が阻まれています。医療機関のカルテの保存期間が5年と定められていますので、現在のデジタル化が促進されている時代においては、この在り方も見直すべきですので、引き続きアスベスト被害者救済の観点から議論を開始すべきです。
 もう一点、事務局がかたくなに後ろ向きな姿勢を示している、患者家族への患者団体、支援団体に関する情報提供に関してですが、制度利用アンケートでも、患者のネットワークに関する情報提供について、一定の要望が出ているにもかかわらず、環境再生保全機構や、労働基準監督署から、直接の情報提供を検討しようとしない姿勢は、理解に苦しみます。理解に苦しむと報告には書いてください。
 この点、神奈川県の中澤委員からもご意見を伺いたいと思います。神奈川県は、県のホームページに、私どもの会をきちんと案内してくださっています。先日、3月28日に閣議決定された、第4期がん対策推進基本計画でも、国は相談支援の一層の充実を図るため、患者団体、社会的人材リソースを活用するとの方針が示されています。
 環境省はもちろんですが、環境再生保全機構と患者団体がより一層連携して、情報提供の在り方、患者団体等への支援を検討することも必要ですので、記載していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○浅野委員長 この点に関しまして、ほかにご意見はございませんでしょうか。
 岸本委員どうぞ。
○岸本委員 石綿関連疾患に関しましては、一定の診断基準すなわち認定基準というのがございますので、医学的な資料を提出していただかないと、死亡診断書だけを丸のみにするというのは、日本においての制度の根幹に関わると思いますので、我々、日夜一生懸命努力をしております。胸部レントゲン画像だとか病理組織、そういうものを出していただいて、それに合致したものは認定するという現行の制度というのは、私は非常に重要だというふうに思っております。
 それから、厚労省のがんセンターが、がん対策推進基本計画の新しい案が出ておりまして、がん拠点病院には患者相談センターが整備されますし、またピアサポート活動も、今がん患者さんを中心として、かなり全国で広がってきております。
 ですから、中皮腫の患者さんも、こういうがん相談センターやピアサポートセンターとコラボレートして、よりいい治療、よりよい生活のためのハウツーを勉強されたらいいというふうに思います。
 以上です。
○浅野委員長 ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。
 では、小菅委員、さらにご発言をご希望でしたらどうぞ。
○小菅委員 ありがとうございます。
 先ほどのご意見に対してですけれども、労災では死因とばく露歴で認定することもありますので、一言申し上げさせていただきます。
○浅野委員長 よろしゅうございましょうか。ほかにございますか。
 労災の場合は、労働災害であるという、勤務歴の確たるデータがあるということがかなり大きな特徴ですよね。そのことは事務局の整理の中にもありまして、それがない方がかなり多数に上るこちらの制度の側との違いということがあるというのが事務局の考え方だと思いますけれども、労災との関係について、もちろん全く切り離してということではない部分がありますから、関連性については十分考えなきゃいけない面がありますけれども、この制度自体は、直ちに労災救済と全く同じということにはなりにくいというのが、一応今のところの整理になっていますから、それも踏まえた上で、ご意見をどのように報告書にまとめるかということについては検討させていただきたいと思います。
 ほかの先生方から、何かご発言ございますでしょうか。
○小菅委員 岸本先生に対して、ちょっと一言お尋ねしたいことがございます。
○浅野委員長 はい。
○小菅委員 先ほどの発言に対してなんですけれども、岸本先生はがん相談センターに紹介されておられますでしょうか。
○浅野委員長 どういうご趣旨ですか。
○岸本委員 よく分かりませんが、私は今、中皮腫を中心としたがん患者を直接診る臨床医をしておりません。外来でがん患者さんを診ていませんので、対象となるような方がいらっしゃったら、そういう相談センターに紹介したいと思っています。
 以上です。
○浅野委員長 よろしいですね。
○小菅委員 はい。それに対しては、10%しかがん相談センターに紹介されていないということでございますので、ちょっと質問させていただいたところでございました。
○浅野委員長 ほかにございますか。
 よろしゅうございましょうか。
(なし)
○浅野委員長 それでは、次のテーマに取りあえず移らせていただきます。
 健康管理についてということでございます。この点について、いかがでございましょうか。8ページでございますね。この部分です。いかがですか。
 高田委員、どうぞご発言ください。
○高田委員 高田でございます。ご指名いただきましてありがとうございます。
○浅野委員長 よろしくどうぞ。
○高田委員 健康管理について、指摘された論点及び今後の方向性に書かれておりますように、石綿読影の精度確保等に関する検討会で、健康管理の在り方について、引き続き必要な検討を行うべきであると書かれておりますが、非常に重要なことだと思っております。
 今、対策型の検診では、胸部レントゲンを用いて行われておりますけれども、さらにここから精度を高めていくということは必要なことだと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○浅野委員長 ありがとうございました。
 小菅委員、どうぞ。
○小菅委員 はい、ありがとうございます。
  この件につきましては、石綿にばく露した建設作業等に従事した一人親方、自営業者等の健康管理は、厚労省の石綿健康管理制度、環境省が実施している検診制度のいずれでもカバーされておりません。尼崎市など、旧試行調査実施地域以外の非職業性ばく露者も同様でございます。このような方々の健康管理をどうしていくのか、厚労省と連携して議論を開始すべきですので、そのように記載していただくようにお願いしたいと思っております。
○浅野委員長 ご要望として承りました。どのように記すかは、また事務局と相談いたします。
 ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
(なし)
○浅野委員長 それでは、最後になりますが、調査研究ですね。
 どうぞ、小菅委員、お願いいたします。
○小菅委員 それでは、治療研究の問題について、ちょっと発言させていただきます。
○浅野委員長 どうぞ。
○小菅委員 この問題については、小委員会の議論の主要なテーマでしたので、調査研究の中の一文のように記載される話ではないと思うのです。3月17日の参議院環境委員会でも、西村環境大臣は、「中皮腫を治る病気にしたいということは、私個人としても大変強く思っているところです」と表明されております。治療研究を項目として設定し、中皮腫を治せる病気にしていく姿勢を明確にすべきです。
 その上で、ヒアリングで挙げられた治療研究の現状と課題、3億円程度の追加的な予算で状況は変えられるということについて確認されたので、記載すべきです。現在、基金へ拠出いただいている企業の皆様から、あと100円ずつのご協力をいただければ可能であることを、先日の参議院環境委員会でも指摘されているものですので、記載をお願いしたいと思います。
 本小委員会では、治療研究に関して、大塚委員から、研究開発に充てていくことが望ましいという話をしまして、今でもそう思っています。最終的には国家が決めることになりますので、法改正をすれば、研究開発のように充てるということも不可能ではない。将来的な道というのはさらにご検討いただければありがたいとのご意見があったので、必ず記載してください。
 また、岩村委員から、治療研究に関しては、費用負担の在り方も含めて、別途議論を進める必要があるのかなというふうに考えてございますとのご意見がありましたので、これも必ず記載をお願いいたします。
 岸本委員からも、中皮腫に対する国の研究費を新たに設立して、それでやっていけばいいのではないかなというふうに思いますとのご意見がありましたので、必ず記載してください。
 中澤委員からも、基金の性格から考えると、基金のことで考えるほうがより研究開発に資することができるのであるならば、そういう可能性があるのならば、そういうことを検討するということも必要なのではないかというふうに考えますとも意見がありましたので、必ず記載してください。
 報告書(案)の9ページの26行目からの記載では、環境省の姿勢が消極的に写りますので、治療研究の重要性について、厚生労働省等の関係省庁と必要な連携を加速すべきであると記載していただくようにお願いいたします。
 なお、昨年10月21日の医療関係者からのヒアリングで提案のあった一部の胸膜中皮腫にしか使用が認められていないオプジーボとヤーボイの2剤併用療法について、関係会社である小野薬品工業は、適応拡大のための臨床試験に当たって一切の資金拠出はしないと判断したと、当方の関係者から伺っております。
 現行の労災科研費とAMEDの2,000万円程度の支援の枠組みでは、2億円程度の費用が必要な医師主導治験は実施できませんので、これらの事実もご記載いただきまして、現行の支援の枠組みでは、到底中皮腫が治る病気にはならないと記載してください。
 38行目の記載は、中皮腫を治せる病気にするため、ゲノム情報の収集、活用も含めて、中皮腫登録のさらなる充実について、関係する省庁、独立行政法人、学会、医療機関と早急に必要な検討を行うべきであると記載していただくようにお願いいたします。
 なお11行目から基金の残高に関する記載がありますが、私たちは、基金の使途について、運用益の活用を含めて、命の救済のために治療研究の支援に活用すべきであり、現行の基金は明らかに余裕があること、第2回小委員会で事務局が示した将来推計は明らかに過大な見積りであるとの意見は、今でも変わっておりませんので、その点について、記載をしてください。
 今回の資料にもありますが、昨年の認定件数を下回った状況があります。8%ずつ支出が増加していく推計とは全く異なります。
 以上でございます。
○浅野委員長 個々の委員のご発言を報告書の中に具体的にどこまで書き込むかということについては、もう少し検討する必要があろうかと思いますが、こういう趣旨のというぐらいのことはあるかもしれませんが、そこもちょっと検討させていただきます。
 岩村委員、どうぞ、お願いいたします。
○岩村委員 ありがとうございます。
 治療研究について意見を申し上げたいと思います。
 個別の石綿健康被害者の経済的な負担を軽減するという救済制度の目的の下で、これまでも事業者は、すべからく拠出を継続してきたところでございます。こうした資金を、拠出時と別の目的に支出することは、拠出者として容認できません。
 また、基金の使途拡大を行うことで、個別の石綿健康被害患者の方々の経済的負担軽減という本来の目的を果たせなくなるとすれば、本末転倒であると考えております。
 加えて、報告書(案)に記載がございますとおり、救済制度が安定的に運用される必要があることは当然でございますけれども、今後収支の推移を注視していく中で、余剰が生じるようであれば、一般拠出率を引き下げることが適切だと考えてございます。
 ただし、中皮腫を治る病気とするのは重要な課題でございます。この点に関して、厚生労働省との連携や、中皮腫登録の拡充といった方向性が今回の報告書(案)で示されておりますので、ここは私どもとしても賛成するところであります。
 環境省におかれましては、今後このような取組を着実に実行に移していただきたいと思います。
 以上です。
○浅野委員長 ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。
 岸本委員、どうぞ。
○岸本委員 我々は、石綿関連疾患の認定業務に当たっております。大林先生も協力していただいております。まだまだ、肺がんの認定を含めて、中皮腫も決定的な診断根拠というのがなかなか見つからないということで、我々の基準も時代とともに変わってきております。
 最近では、BAP1とかMTAPというような特別な遺伝子変異があれば、腫瘍性胸膜肥厚がなくても中皮腫として認めています。我々も最先端の医学についていっているつもりでございますが、分からないところを調査することは必要です。そのため調査研究費というのは、一人でも多くの患者さんを認定する道につながると思いますので、このようなプロジェクトには重要視していただきたいというふうに思っております。
 以上です。
○浅野委員長 ありがとうございました。
 大林委員どうぞ。
○大林委員 はい、よろしくお願いいたします。
 報告書(案)と直接関係していることではないんですけれども、ちょっと診断面のことで、判定小委員会のことをご紹介しながら、させていただきたいと思います。
○浅野委員長 よろしくお願いします。
○大林委員 救済制度が始まった当初、中皮腫というのは非常に診断の難しい、難易度の高い病気でございました。ここ数年、先ほど岸本先生からもご紹介がありましたように、BAP1、MTAPといった分子診断に基づく抗体ができまして、診断精度が非常に上がっております。それと、セルブロックという手法を、胸水にたまっている腫瘍細胞を固めて、それでもって免疫染色をして診断するという方法ですが、これが全国的に普及いたしました。
 この免疫染色ですとかセルブロックをつくるということが一気に広まったんですが、これには恐らく環境省と厚労省の連携があったというふうに、私は拝察しております。
 と申しますのは、免疫染色というのは、そもそも診療報酬で1種類の抗体に対する400点だったわけです。病理学会として、10年間、幾ら要求しても、それ以上は上がらなかった診療報酬だったわけです。
 ところが、この救済制度ができまして、病理の判定小委員会のほうで、中皮腫診断にはどうしても4種類の免疫染色が必要だと、こういうことを強く要望いたしまして、調査研究でもそのような結果が出まして、診療報酬として4種類分の免疫染色が1,600点ついたという経緯がございます。それから、セルブロックの作製にも診療報酬がつきました。この診療報酬がつくということは、医療関係者の方はよくご存じだと思うんですが、大変なことでございます。病理は、このことには非常に驚いたというところが正直なところでございまして、これは中皮腫だけではなく、ほかの全ての悪性腫瘍を対象といたしまして、4種類の免疫染色が承認されたような状況になったわけです。病理診断を担当するものにとっては大変大きな進歩でございました。このことはぜひご理解いただきたいと思っております。
 判定小委員会は、もうすぐ450回を迎えようとしております。私ども、コロナ禍において、リモートで、バーチャルスライドにされた画像を見て診断してまいりました。これは我々診断する側も、環境省の担当の方も、大変な努力といいますか、苦労いたしまして、進行しているというようなことでございます。
 もう一つ、ぜひこれも知っていただきたいと思うのは、中皮腫というのは希少がんとして認められておりますので、現在、網羅的な遺伝子診断の対象になります。これは保険診療としてされるものです。このことを、意外と臨床の先生でご存じありません。これをしていただきますと、中皮腫の遺伝子のレベルの細かいことがいろいろ分かってまいります。それが積み重なりますと、創薬、お薬を作るということにも結びつくわけでございます。
 今はその可能性は低いわけですけれども、既にほかの疾患で使っているお薬がその方の遺伝子異常があった場合、適用を広げるということも検討できるわけであって、やはりそういった、今使われているいろいろなシステム、制度を、ぜひフル活動して、診療にも創薬にも一歩一歩進んでいきたいと思っております。
 以上でございます。
○浅野委員長 どうもありがとうございます。
 ほかの委員の方からのご発言はございますでしょうか。
 小菅委員、ご発言をご希望でしたらどうぞお願いします。
○小菅委員 ありがとうございます。
 今後の拠出金率に関する議論をする場合には、必ず小委員会を開催して議論していただくようにお願いしたいと思っております。
○浅野委員長 よろしゅうございましょうか。
 本日は事務局からたたき台が出されまして、それについていろいろとご意見をいただきました。ご要望も承りましたが、その全てを網羅することができるかどうか、ちょっとまたいろいろ考えなきゃ行けないと思うんですが事務局にお願いしたいのは、本日のご欠席の委員がいらっしゃいますので、本日ご欠席の委員からも意見をしっかり聴取していただければと思います。
 よろしゅうございましょうか。お願いいたします。
○木内石綿健康被害対策室長 ありがとうございます。本日出された様々な意見を、どのように反映ができるか検討してまいりたいと思います。
 委員長からご指摘のありました、欠席の委員の先生方からのご意見も、きちんと聴取をしてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○浅野委員長 それではよろしゅうございましょうか、ほかに。
○小菅委員 小菅から、よろしいでしょうか。
○浅野委員長 どうぞ。
○小菅委員 本日は報告書(案)の取りまとめのための議論をしておりますけれども、今回は1次答申であり、取りまとめの後、早急に2次答申の取りまとめについて、各論点の議論を開始すべきだと考えております。「おわりに」では、そのような記載をしていただくようにお願いいたします。
 先ほど触れましたが、がん対策基本計画では、国民本位のがん対策を推進するためには、国や地方公共団体と患者団体等の関係団体や、がん患者を含めた国民が協力して取組を進めていくことが必要であります。また、その際には、多様な患者、市民が参画できる仕組みを整備するとともに、患者・市民参画に関わる啓発、育成も併せて推進することが必要であると示されています。
 今後の議論において、本委員会も多様な患者が参画できる仕組みを整備することを検討すべき旨の記載をするようにお願いいたします。
 また、これまでの議事録、配付資料、関係委員などから提出された資料は、報告書の添付資料として、一体のものとして完成させていただくようお願いいたします。
 これは皆様のご意見を伺えればと思いますけれども、次回6月は、リアルで開催するようにしてはどうかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○浅野委員長 ほかによろしゅうございましょうか。
 次回の会議をどのような形で行うかということについても、事務局と相談した上で考えさせていただきます。それから、参考資料としてどこまで載せるかということについても、これもこれまでの答申の報告書との関係もございますので、少し検討させてください。
 ほかに特にご発言のご希望がないようでしたら、本日まだ予定の時間よりは早うございますが、これにて閉会ということでよろしゅうございましょうか。
 本日いろいろとご要望いただきましたので、その点については、どこまで報告書の中に盛り込むかということについては検討させていただきたいと思います。
 事務局から何かございましたら、どうぞお願いいたします。
○小笠原主査 浅野委員長、ありがとうございました。
 事務局から、事務的な連絡をさせていただきます。
 次回の小委員会の日程については、現在調整中ですので、決まりましたら追ってご連絡いたします。
 また、本日の議事録につきましては、事務局で原案を作成し、委員の皆様方にご確認いただいた後、環境省のホームページに掲載する予定ですので、よろしくお願いいたします。それまでの間につきましては、本委員会の運営方針に基づき、会議の音声を環境省のホームページで掲載する予定でございます。
 それでは、以上で令和4年度第5回石綿健康被害救済小委員会を終了いたします。ありがとうございました。
○浅野委員長 それでは皆さん、どうもありがとうございました。
午後2時20分 閉会