中央環境審議会総合政策部会 環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会(第1回)議事録

日時

平成20年11月28日(金)10:00~12:00

場所

虎ノ門パストラル アジュール

出席委員

14委員

議題

  1. (1)環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会の運営について
  2. (2)環境配慮促進法の施行状況と課題について
  3. (3)小委員会の今後の検討スケジュールについて

配布資料

議事内容

午前 10時01分 開会

○石飛環境経済課長 おはようございます。まだ3人委員がおそろいではございませんけれども、定刻になりましたので、ただいまから第1回中央環境審議会総合政策部会環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会を開会いたします。
 私は、環境省総合環境政策局環境経済課長の石飛でございます。しばらくの間進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事に入ります前に、お手元の資料の確認をお願いいたします。
 議事次第がございまして、1枚紙ですけれども、同じ紙に配布資料の一覧がございますので、それと照らし合わせながらご確認をいただきたいと思います。
 まず、資料の1は、この小委員会の名簿でございます。
 それから、資料の2が、中央環境審議会議事運営規則でございます。
 資料3が、この小委員会と専門委員会の運営方針という資料でございます。
 それから、資料の4が、この小委員会の設置についてというものでございます。
 それから、資料の5が、同じくこの総合政策部会小委員会、専門委員会の設置についてという資料でございます。
 資料6はリーフレットで、環境配慮促進法について紹介したものでございます。
 それから、資料7が、環境配慮促進法の施行状況という横長の資料でございます。
 それから、資料の8、これも横長でありますけれども、特定事業者による環境報告書の作成及び信頼性向上の取組状況について。
 それから、資料の9が、環境配慮促進法の施行状況の評価に当たっての論点。
 資料の10が、この小委員会のスケジュールの案でございます。
 以上が資料でございまして、続きまして参考資料でございます。
 1が、平成18年度における温暖化対策推進法に基づく政府の実行計画の実施状況という資料でございます。
 それから、資料の2が、環境報告ガイドライン2007年版の記載事項です。
 資料3が、投資家の投資判断に資する企業の環境情報の提供についてです。
 それから、資料の4が、環境報告書における古紙配合率の偽装に係る記載状況です。
 資料5が、環境ラベル等データベースでございます。
 資料6が、環境コミュニケーション大賞及び環境コミュニケーションシンポジウムについて。
 最後に資料の7といたしまして、この環境配慮促進法の法律の条文を用意させていただいております。
 以上、かなり多数にわたりますけれども、不足等はございませんでしょうか。もし後ほどお気づきでありましたら、事務局にお申しつけいただきたいと思います。
 それでは、委員会の開始に先立ちまして、総合環境政策局長、小林よりごあいさつを申し上げます。

○小林総合環境政策局長 おはようございます。環境省総合環境政策局長の小林でございます。この小委員会の新しい開始1回目ということでございますので、恒例ではございますけれども、一言ごあいさつをさせていただきたいと存じます。
 今日は、特に大変足もとの悪い中、ご参集を賜りまして、ご多忙の中、ご出席賜りまして厚く御礼申し上げます。昨今、もうこれはご案内のとおりでございますけれども、経済が大変低迷をしているという一方、環境問題に対する取り組みというのもゆるがせにできないという大変せっぱ詰まった状況にあるというふうに考えてございます。
 環境の側から言いますと、これもご案内のとおりでございますが、昨年度の温室効果ガスの排出量が90年基準比で8.7%増えているといったようなことがございます。そういう意味で言いますと、この経済のやはりあり方を大きく変えていくということが必要なのかなというふうに考えてございます。
 特にそうした中、アメリカの大統領に就任される予定のオバマさんは、新しい施策の方針というのを特に発表されて、それが一番最初が環境だったわけでありますが、これもご案内のとおりでございますけれども、新エネ等にものすごく投資をして雇用もつくるグリーンジョブというようなこと、グリーンニューディールということで経済の形を変えていくと。そして、大変厳しい2050年の80%カットといったような大胆な目標を立てていくんだということをおっしゃっております。そういうことで、新しい環境経済の流れがこの不況をバネにして起きてくるのかなというふうに今考えている次第でございます。
 こういうわけでございますので、それぞれ経済社会にかかわる方々がそれぞれのお立場で環境保全に取り組むだけでなくて、その取り組みをうまく結び合って世界と言いますか、まず経済全体として、そして日本だけでなく世界含めて成果を実際に上げていくというような仕組みづくりと言いますか、ルールづくりと言いますか、土台づくりが必要だというふうに考えているところでございます。
 そういう意味で言いますと、今回この小委員会でご議論をお願いいたします、法律の名前は大変長いわけでございますが、環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律、2面あります。1つは環境レポートを規律している法律だということと、もう一つは、いわばそれを通じた環境経営を促していく法律であると、こういうふうな側面があるわけでございますが、そういった法律に期待されるところというのは大変大きくなっていると思います。今日も参考資料のところでいろんなところからいろんな問題が起きてきて、そしてこの法律に期待されるところがいろいろあるということでございます。従前この法律が3年前にできたときのスコープと大分変わってきているというふうに思います。
 一例を挙げますと、環境偽装問題、古紙とかいろんなことで起きてございます。環境配慮情報の信頼性を担保するというようなこと、それはある意味ネガティブな話ですが、そういうことと、さらに積極的な環境配慮がいろんなところで求められております。それをレポートなり表示なり、もうちょっと広く言いますと情報提供なんかをどうやってうまく見込んでいくのかというようなことで大変話題の範囲も広がっているということになってございます。
 ぜひ、今後どういうような方策が考えられるのか、幅広い視点でご議論を賜りまして、この小委員会が成果をおさめますようご協力のほど賜りたいと、お願いをいたしたいというふうに思っております。
 大変粗辞でございますけれども、大変重要な小委員会の発足に当たりましてお願いを申し上げました。よろしくお願いいたします。

○石飛環境経済課長 続きまして、本日の小委員会は第1回目の会議でございますので、委員のご紹介をさせていただきたいと思います。
 お手元の資料1に名簿がございます。ちょっと順不同になりますが、今日は座席の順番でご紹介をさせていただきたいと思います。時計回りでご紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、KPMGあずさサステナビリティ株式会社代表取締役、有限責任中間法人サステナビリティ情報審査協会会長、魚住隆太委員でいらっしゃいます。

○魚住委員 魚住です。よろしくお願いします。

○石飛環境経済課長 次に、中央大学経済学部教授、河野正男委員でいらっしゃいます。

○河野委員 河野です。よろしくお願いします。

○石飛環境経済課長 富士フイルムホールディングス株式会社総務部CSRグループ担当課長、五所亜紀子委員でいらっしゃいます。

○五所委員 よろしくお願いいたします。

○石飛環境経済課長 ジャーナリスト、環境カウンセラー、崎田裕子委員でいらっしゃいます。

○崎田委員 崎田です。どうぞよろしくお願いいたします。

○石飛環境経済課長 なお、崎田委員は、本日、ご都合により、会の途中でご退席になる予定でございます。
 続きまして、積水化学工業株式会社CSR部CSR企画グループグループ長、白鳥和彦委員でいらっしゃいます。

○白鳥委員 白鳥です。よろしくお願いいたします。

○石飛環境経済課長 続きまして、東京大学生産技術研究所教授、山本良一委員でいらっしゃいます。

○山本委員 よろしくお願いいたします。

○石飛環境経済課長 株式会社クレアン代表取締役、薗田綾子委員でいらっしゃいます。

○薗田委員 よろしくお願いいたします。

○石飛環境経済課長 続きまして、株式会社グッドバンカー代表取締役社長、筑紫みずえ委員は少し遅れてご到着の予定でございます。
 ソニー株式会社CSR部統括部長、冨田秀実委員でいらっしゃいます。

○冨田委員 よろしくお願いいたします。

○石飛環境経済課長 続きまして、株式会社旭リサーチセンター代表取締役社長、永里善彦委員でいらっしゃいます。

○永里委員 永里です。よろしくお願します。

○石飛環境経済課長 株式会社みずほフィナンシャルグループコーポレート・コミュニケーション部CSR推進室室長、橋村明彦委員でいらっしゃいます。

○橋村委員 橋村でございます。よろしくお願いします。

○石飛環境経済課長 上智大学大学院地球環境学研究科教授、藤井良広委員でいらっしゃいます。

○藤井委員 藤井です。よろしくお願いします。

○石飛環境経済課長 日本公認会計士協会計経営研究調査会環境会計専門部会長、高崎経済大学経済学部教授、水口剛委員でございますが、少々遅れておいでになる予定でございます。
 続きまして、日本商工会議所環境・エネルギー委員会委員代理、宮田勉委員でいらっしゃいます。

○宮田委員 よろしくお願いします。

○石飛環境経済課長 なお、以上の方々のほか、早稲田大学法務研究科教授、大塚直委員にもご就任いただいておりますが、本日はご都合により欠席される予定と伺っております。
 続きまして、本日出席しております環境省の職員をご紹介申し上げます。
 まず、先ほどご紹介しました局長、小林でございます。

○小林総合環境政策局長 小林でございます。よろしくお願いいたします。

○石飛環境経済課長 それから、私、先ほど申し上げました環境経済課長の石飛でございます。
 同じく環境経済課の課長補佐、小笠原でございます。

○小笠原課長補佐 よろしくお願いいたします。

○石飛環境経済課長 同じく、松本でございます。

○松本課長補佐 松本でございます。よろしくお願いいたします。

○石飛環境経済課長 同じく、原田でございます。

○原田課長補佐 原田です。よろしくお願いいたします。

○石飛環境経済課長 本小委員会の委員長につきましては、中央環境審議会議事運営規則第8条に基づき、鈴木総合政策部会長のご指名により山本委員にお願いすることになっております。今後の進行は山本委員長にお願いをいたします。
 それでは、山本委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○山本委員長 皆様、おはようございます。鈴木部会長のご指名でございますので、私が委員長を務めさせていただきます。皆様のご協力、ご支援を得まして、何とかこの委員会の取りまとめの責を果たしてまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 私、この1週間、どこでも今申し上げているんですが、このクライメートウォーズという、これ気候戦争という題のグウィン・ダイヤーさんという、これはカナダで出版された本なんですが、大変ショックを受けて、至るところで紹介しているんですけれども、もう環境の問題は、まさにこの安全保障の問題というか、人類のサバイバルの問題に私はなってきていると。既にイギリス、ドイツ、アメリカは、このナショナルセキュリティーと気候変動についての報告書を出しているんですね。日本がそれがあるかというと、どうもないような気がして大変心配しているんですが、なぜ今日その話を最初にさせていただいたかと言いますと、昨日、インドでご存知のようにテロが起きまして、100名以上の犠牲者が出たという、今朝テレビでやっておりましたが、実は、この本にはいずれインド、パキスタンの全面核戦争が起こると、この水不足とか気候変動によってですね。
 このダイヤーさんの分析では、2036年5月25日、午前3時、核戦争が始まると。これはまずインドが最初に発射して、パキスタンの半分の核を破壊するんですが、その残った核によって今度はインドが破壊されると、こういう想定になっていまして、このダイヤーさんというのはロンドン大学で軍事学でドクターを取った方で、アメリカ、それからカナダ、イギリスの海軍に勤務の経験があって、今大学で教鞭をとられているという方なんですが、日本で私は議論が非常に欠けているのは、まさにこの環境安全保障という観点がほとんど欠けているのではないかと。何のためにこの環境配慮をやらなければいけないのか、これは、先ほど局長のほうからご紹介ありましたようにさまざまな環境問題を解決する、それを経済の成長と同軸でやると、まさにグリーンニューディールとか、グリーングロースとか、グリーンレスキューとか、いろんな言葉が今飛び交っておりますけれども、しかし、それを越えて、まさに安全保障の問題そのものに今なりつつあると、こういう認識なんですね。特にここ数年、世界に広まっているというふうに私は今感じているわけでありまして、そういうことで、我々というか、今日の議論も時間が非常に限られているという中で、我々は一刻も早くこの環境経済というか、低炭素経済、循環型自然共生社会をつくり上げなければいけないわけでありまして、ここが私は原点だと思うんですね、議論の。
 そういうことで、今日はぜひ第1回でございますので、活発なご議論をお願いしたいと思います。
 それでは、本小委員会の運営等につきまして、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。

○石飛環境経済課長 その前に、水口委員がご到着になりましたのでご紹介いたします。ちょっと立っていただけますか。水口委員でございます。

○水口委員 どうも遅くなりまして失礼いたしました。

○石飛環境経済課長 それでは、この小委員会の運営等につきまして、資料2から5までの資料を使いましてご説明を申し上げたいと思います。
 まず、資料の2をご覧いただきたいと思います。これは審議会の議事運営規則でございます。そのうち、今回の小委員会にかかわりますのは、裏の2ページの第8条というところでございます。部会は、必要に応じ、その定めるところにより、小委員会を置くことができるという規定がございまして、今回はこの総合政策部会が必要に応じて小委員会を置くことができると。この定めに基づきましてこの小委員会を定める、置くということになったわけでございます。
 それにつきましての決定の内容がちょっと飛びますが、資料の5をご覧いただきたいと思います。
 中央環境審議会総合政策部会の小委員会及び専門委員会の設置についてということで、最近の改正は本年の10月31日でございますけれども、その改正事項がこの裏のページになります。5番のこの小委員会、これを今年の10月31日の改正で追加したところでございます。
 先ほどの局長のあいさつにもございましたけれども、この小委員会を置くということ、それから、(2)で、この小委員会は、環境に配慮した事業活動を一層促進するための方策に関する審議を行う。そして、この小委員会の決議は、部会長の同意を得て、部会の決議とすることができるという定めになっているところでございます。
 続きまして、資料の4をご覧ください。
 同じく、小委員会の設置についてという表題でございますけれども、これは10月31日の総合政策部会に配布した資料でございまして、この資料に基づいてご審議いただいて、小委員会の設置が決定されたというものでございます。設置の趣旨につきましても、先ほどのご発言と重なるところがございますけれども、環境配慮促進法、これは平成17年4月に施行されておりまして、その法律の附則の第4条に、「政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、環境報告書の公表の状況その他のこの法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」とされておりまして、施行後3年が経過したわけでございますので、この法律の施行の状況について評価・検討を行うと同時に、環境に配慮した事業活動を一層促進するための方策について検討する必要があるというふうに考えまして、この小委員会の設置が決まったわけでございます。
 主な論点、2にございますけれども、[1]の特定事業者による環境報告書の作成・公表と信頼性の向上。[2]企業による環境配慮等の状況の公表とその信頼性の向上。[3]環境報告書の利用促進。[4]事業者による製品等に係る環境負荷低減に係る情報提供の促進、その他論点は幾つかまた加わるかもしれません。こういった点につきまして、今後ご議論をいただきたいと思っております。
 メンバーの構成案は先ほどご紹介させていただいたとおりでございます。
 スケジュールにつきましては、今回第1回でございますが、今後、数回開催いたしまして、先ほどの論点についてご審議いただいて、一定のご結論をいただきたいと思っておりますが、特に終期を定めてということではございませんけれども、一応年度内には一区切りをつけさせていただきたいというふうなことで考えております。詳しいスケジュールはまた最後でご紹介を申し上げたいと思います。
 続きまして、資料の3をご覧いただきたいと思います。小委員会の運営方針についてという、これは総合政策部会長決定の資料でございます。
 まず、会議の公開についてでありますけれども、1の(1)の[1]でありますが、「小委員会は、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合には非公開とし、それ以外の場合には公開するものとする」ということで、原則公開ということで進めさせていただきたいと思っているところでございます。
 それから、(2)代理出席は認めないということになっております。
 2の会議録等でございますけれども、会議録と会議録の要旨、これを作成するということになっております。あらかじめ各委員にお送りいたしまして、内容をご確認いただいた上で、2の(3)にありますけれども、会議録、それから議事要旨は公開した場合ですけれども、公開をするということになっております。公開の方法は、環境省のホームページの掲載、環境省閲覧窓口への備え付けということで、原則これも結果は公開をするということで運営を進めていきたいと思っております。
 以上が議事運営に関するご説明でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきまして、何かご質問等ございましたら。よろしゅうございますか。
 それでは、早速次の議題に移りたいと思います。環境配慮促進法の施行状況と課題について、資料の6から9に基づき、事務局より簡潔にご説明をお願いしたいと思います。

○小笠原課長補佐 それでは、資料の6から9について説明させていただきます。
 最初にまず、資料6のこのパンフレットをご覧いただけますでしょうか。
 これは、お開きいただきますと、まず左手のところに環境配慮促進法の背景について書かれております。背景としては、1つは、社会や市場からの要請の高まりといたしまして、事業者の環境保全活動に対する国民の期待が高まって、これは平成16年度とかそれぐらいの当時の話でございますけれども、事業者が自らの事業戦略の中核に環境配慮というのを位置づけて、規制遵守にとどまらないさらなる自主的な環境配慮に創意工夫を活かして取り組む重要性が高まっているということ。
 それから、そういう要請を受けて事業者自身の取り組みというのも、例えば環境報告書、ラベリング、それから環境会計、ライフサイクル・アセスメントといった取り組む事業者数も増増えてきていて、こういう取り組みをステークホルダーの理解と協力を得ながら対策を進めていく、そういうものが有効な手段となってそういう取り組みが進んでいたということ、こういった取り組みの進展というのを背景といたしまして、真ん中のページでございますけれども、環境配慮促進法というのが制定されました。
 この法律は、先ほど来ご説明いたしているとおり、事業者とさまざまな関係者との間で重要なコミュニケーション手段である環境報告書の普及促進、信頼性向上のための制度的枠組みを整備して、環境報告書を社会全体として積極的に活動していくことで事業者の積極的な環境配慮の取り組みを促進するための条件整備を行おうと、そういう法律でございます。そのために、法律の中では、環境報告書の普及促進と信頼性向上のための制度的枠組みの整備、それから、一定の公的法人、特定事業者と呼んでおりますけれども、独立行政法人等につきまして、環境報告書の作成、公表の義務づけを規定しております。
 こうした措置によってねらっているところといたしましては、国民や事業者が投資や商品購入を行う際に、事業者の環境への配慮の状況を考慮するように促して、それによって事業者の自主的な環境配慮の取り組みを促進すると、そういうサイクルを構築するといったことをねらいとしております。
 それで、一番右側のページに行きまして、そのために環境配慮促進法におきましては、1、2、3と括弧にある事項を定めておりまして、例えば、国による環境配慮の状況の公表、それから、3.のところで、事業活動に係る環境配慮等の状況の公表ということで、環境報告書にこんな事項を記載するべきではないかといったことであるとか、特定事業者による環境報告書の公表、それから、環境報告書の審査における第三者審査に関する事項、それから、民間事業者による環境報告書の公表等について規定をしております。
 この中でも、義務的な事項というのは割と少なくて、特定事業者、独立行政法人とかに対しては環境報告書をつくるということを義務づけておりますけれども、その中の規定については割とプログラム規定と申しますか、こういうふうに努力しましょうという規定が非常に多い法律というふうになっております。
 参考までに、反対側をおめくりいただいたところに環境報告書の記載事項等が書いてあるページがございますけれども、その下に環境と経済の好循環の実現に向けた事業者による環境配慮のための手法としていろんな手法がございますけれども、一番下のところでございますけれども、環境報告書、環境会計、環境ラべリング、環境マネジメントシステム、それからLCA、それから環境パフォーマンス評価、それから、中小事業者向けの支援ツールであるところのエコアクション21、それから、環境適合設計(DfE)といった、そういったツール、取り組みがあるというふうに思っております。これが環境配慮促進法の大まかな趣旨と概要でございます。
 続きまして、資料7のほうに行きまして、この法律は平成16年に制定されまして、平成17年4月に施行されて、3年後に見直しなさい、評価をしなさいという規定があって、今この小委員会を開いているわけでございますけれども、その施行状況がどうなのかということをまとめたものがこの資料7でございます。
 若干細かい規定もございますけれども、まず1ページおめくりいただきまして第6条。第6条は、まず政府に対してこうしろと言っている規定でございまして、各省各庁の長は、毎年度、当該年度の前年度における所掌事務に係る環境配慮等の状況を、インターネットの利用、その他の方法により公表するものとするというふうにされております。環境配慮等の状況というのは、プラス面、マイナス面の両方の話がありまして、環境負荷を低減すること、その他環境を守る活動、環境省では環境政策をやるというところの話と、環境の負荷を生じさせ、または生じさせる原因となる活動、自分たちがどれだれの紙を使って、電気を使っているかという、そういうプラス、マイナス両面の状況について公表することを求めております。
 政策面への実施状況については、環境白書とか循環型社会白書において、政府全体としては公表しているところでございますけれども、通常の経済主体としての、どれだけ電気を使って、紙を使ってとかというところについては、まず地球温暖化対策推進法に基づいて政府は実行計画というのを、自分の出すガスの削減等に関する計画というのを策定するとともに、その実施状況を公表するということになっております。その中では、数値目標を掲げるとともに、それを達成するために具体的措置として、例えば公用車の燃料使用量であるとか、用紙の使用量、電気の使用量、それから上水使用量、廃棄物の量とかに関して、さらに具体的な数値目標が掲げられているところでございます。
 各省も、この政府全体の実行計画に基づき、各省の実行計画を定めているところでございます。この政府実行計画の実施状況については、毎年度フォローアップをして公表されております。参考資料1としてつけて、ちょっとタイムラグで説明は省略させていただきますけれども、この中においては数値目標、目標に対して実績がどうだったのか、それから具体的措置、公用車燃料使用量であるとか、紙の使用量であるとか、電気使用量といった具体的措置ごとの実施状況、それから、どんな取り組みがよく取り組まれていて、どんな取り組みが遅れているのかといったことについて記載がされております。
 それから、各府省ごとの実施状況、目標の達成状況に対する評価、今後の課題についてもあわせて公表されております。
 それで、この第6条というのは、これらに加えて、さらに行政だけではなくて立法や司法を含めた国に対して、それぞれの機関が環境配慮等の状況の公表を求めているというものでございまして、各省各庁のウェブサイトにおいて公表がされております。環境省のサンプルを後で、後ろにつけていますのでこの後簡単にご説明いたします。
 それで、環境省は、各省各庁の公表状況や公表時期について毎年確認するとともに、各省各庁が公表しているサイトへのリンクを一覧化しております。
 この条は、翌年度における公表を義務づけていますけれども、一部公表が次々年度にずれ込んだケースもございます。
 それで、次のページの4ページ、5ページが、環境省がこの条項に基づいて公表しているものでございまして、各省それぞれの様式で公表しておりますけれども、政策分野における取組結果の概要という点については、政策評価書を基本的につけております。
 それから、通常の経済主体としての活動分野における取組結果については、環境省は、ISO14001の認証を取得しておりますので、その達成状況について記載するとともに、プログラムの達成状況を踏まえた目標の改定、18年度実績が目標よりも随分改善されていたので、例えば公用車燃料使用量ですと、もともと15%削減という目標が、もう30%、18年度に削減されていたので19年度目標を深堀して30%に変えましたとか、そういったようなことが書かれております。
 それから、次に6ページのほうに行きまして、地方公共団体による環境配慮等の状況の公表でございます。これは努めるものとする努力義務でございますけれども、実施状況について調査を行ったところ、回答のあった地方公共団体のうち、19年度に環境配慮等の状況を既に公表しているのが21.9%、今後公表する予定が3.1%、検討中が23.8%となっております。全体で見るとそんなに高くないなという印象でございますけれども、規模別に見ると、都道府県、政令市においては9割近く、ほとんどが公表している一方で、市、23区では34.5%、町村であると3.1%と、規模によってかなり格差が生じているという状況でございます。
 それから、どういう手段によって公表しているのかというのが7ページでございます。
 ホームページというのがどこにおいても割と簡便なので上位の回答になっておりますけれども、規模別に見ると、都道府県、政令市では、環境白書に含めるというところが8割、それから区市町村とかになると、広報、市民向けの広報、行政だよりというのがそれぞれ高い割合になっていて、規模が小さくなるとより簡易な手段が選ばれているという、そういう傾向がございます。
 8ページのほうに行きまして、8ページは、特定事業者による環境報告書の作成公表義務、この法律が具体的に政府以外のものにこうしなさいと言っている数少ない部分でございますけれども、義務づけている数少ない部分でございますけれども、特定事業者は、環境負荷を示す数値を含めた環境報告書を毎年度作成して、これを公表しなければならないという規定でございます。
 特定事業者というのは、独立行政法人とか国立大学法人という、いわゆる政府に割と近いところの公的な法人について、事業活動の対応等を勘案して政令で定められております。具体的には、9ページのところにある88の法人が定められております。
 この規定の趣旨は、国に準ずる位置づけである特定事業者について、率先垂範の観点から環境報告書の作成を義務づけることによって、民間事業者に環境報告書の作成及び公表等の取組が波及することを期待するという、そういう趣旨でございます。
 それで、まず、作成しているかどうかというレベルでは、すべての特定事業者が年度終了後6カ月以内に、環境負荷の数値を含む環境報告書を作成しております。
 次に、10ページのほうに行きまして、単に作成するだけではなくて、9条の2項でございますけれども、環境報告書を公表するときは、記載事項の定め、こういう事項について書きなさいよと、記載事項に従って作成するように努めるほか、自ら記載事項に従っているかどうかという自己評価を行うこと、または、他の者が行う第三者審査を受けること、その他の措置を講ずることによって、環境報告書の信頼性を高めるように努めるものとするという規定がございます。努力義務でございますけれども、この記載事項等というのは、環境配慮促進法の8条1項に基づいて、環境報告書にこういうことを書いてくださいということを12ページに具体的にそれを引っ張っておりますけれども、事業活動に係る環境配慮の方針、代表者の緒言、それから、事業活動における環境配慮方針。
 2つ目として、主要な事業内容と対象とする事業年度等。それから3つ目として、事業活動に係る環境配慮の計画、目標。それから、4つ目として、環境配慮の取組の体制、運営方法。5つ目として、環境配慮の取組の状況。特に具体的な環境負荷に係る数値を示すこと。それから、製品等に係る環境配慮の状況。それから、その他として、関係法令に基づく規制について行った対応。それから、利用者との間でのコミュニケーションの概要を記載するといったことが書かれております。このターゲットは特定事業者のみでなく、環境報告書をつくる人は、なるべくこれを参考にしてくださいよという趣旨で規定されているものですけれども、特定事業者については、特にこれに従って作成するよう努めるという規定がございます。
 10ページのほうに戻りまして、後で簡単にご説明しますけれども、資料8として、特定事業者の環境報告書が記載事項に従って作成されているかどうかというのを我々が調査した結果を資料8として添付しております。その概略といたしましては、先ほどの記載事項に定める事項はおおむね記載されております。事業活動に伴う環境負荷に係る数値によっては、これは法人によって随分ばらつきはあるんですけれども、エネルギー使用量、CO排出量、紙使用量、水使用量、廃棄物排出量、化学物質使用量、データを豊富に盛り込む事業者も多く見られました。多く盛り込んでいない事業者もありましたけれども、さらに、環境報告書に関し、地域や学生等からアンケートをとるとともに、結果をフィードバックするといった利用者とのコミュニケーションの取り組みを行っている特定事業者も見られたところです。
 また、環境報告書の作成の義務づけを機に、これはいい機会だということで学生も参加した学内の環境マネジメント体制の構築・運用を図っているという、そういう大学もあると聞きます。
 その一方で、11ページのほうでございますけれども、見ていくと、対象となる組織範囲のバウンダリの記載がない、それから、環境配慮の目標及びその達成に向けた取組計画というところが明確でない、それから、マネジメント体制・運営方法の記載が不十分、それから、利用者とのコミュニケーションの記載がないといった例も見られたところです。あと、その環境負荷に係る数値の記載はあるのですけれども、事業活動の性格から見ると、より多くの種類の数値が望ましいという、そういう例も見られたところでございます。
 それから、第三者審査とか自己評価につきましては、88法人中、第三者審査を受けているのが3法人、これは非常に少ない、それから、第三者意見を受けているのが27法人、31%、自己評価を行っているのは52法人、59%でございます。それから、一方で、そのどちらも実施していないという法人が24法人、27%、約4分の1ございました。
 環境省としての環境報告書の自己評価等を進める取組としては、「環境報告書の信頼性を高めるための自己評価の手引き」というのを平成19年12月に策定・公表しているところでございます。また、優秀な環境報告書を表彰する「環境コミュニケーション大賞」というのを実施しておりますけれども、平成18年度から特定事業者賞を設けて、特定事業者による取組の促進を図っているところでございます。
 それで、12ページ、13ページは飛ばしまして、第10条は、今度は報告書の第三者審査の促進という観点からの規定でございます。
 第10条は、環境報告書の審査を行う者は、独立した立場において環境報告書の審査を行うように努めるとともに、環境報告書の審査の公正かつ的確な実施を確保するために必要な体制の整備及び環境報告書の審査に従事する者の資質の向上を図るように努めるものとするというふうに規定されております。
 この規定を踏まえまして、そのままサステナビリティ情報審査協会の言葉を引きますと、「環境報告書等の審査手法を示し、審査の公平性、透明性、独立性、信頼性を確保するとともに、効率的・有効な審査を実現することで、環境報告書等の信頼性向上に寄与することを目的として」、まず日本環境情報審査協会というのが平成17年に設立されております。この協会は、サステナビリティ報告書の増加というのを踏まえまして、平成19年8月に、有限責任中間法人サステナビリティ情報審査協会となっております。このあたりについては、魚住委員から後ほどまた補足があるかと思います。
 協会がやっている業務は、審査機関及び審査人の認定・登録、倫理、品質管理に関する業務、それから、審査に関する基準等の策定の業務、それから、環境報告書等の登録に関する業務、それから、審査人の研修に関する業務といったことをされています。審査人の認定については、公平性を確保する体制ができているか、それから、必要な専門知識・実務経験を有する十分な数の審査人がいるか、それから、品質管理が実施されているか、それから、他の業務活動との区分管理といったことについて要件が満たされているかということについて審査を行った上で認定が行われていると聞いております。
 それから、16ページのほうに行きまして、今度は大企業者による環境配慮等の状況の公表と信頼性向上でございます。
 規定としては、大企業者は、環境報告書の公表その他のその事業活動に係る環境配慮等の状況の公表を行うように努めるとともに、その公表を行うときは、記載事項等に留意して環境報告書を作成することその他の措置を講ずることにより、環境報告書その他の環境配慮等の状況に関する情報の信頼性を高めるように努めるものとするとされております。大企業者が何たるかという定義は、単に中小企業者以外の者をいい、特定事業者を除くとされていて、中小企業者ということの定義は特にされていませんけれども、一般的な意味での中小企業者を除くということかと思います。
 ここにつきましては、環境省が毎年、「環境にやさしい企業行動調査」というのを実施しておりまして、そこで上場企業及び従業員500人以上の非上場企業における環境報告書の作成割合、作成数を毎年調べておりますけれども、下の17ページのほうのグラフを見ると、平成9年度から、ちょっと数字が読みにくいですけれども、グラフで見たとおりずっと右肩上がりで、これまでのところ上がってきているという状況でございます。
 法施行前の平成16年と18年の作成割合というのを、上場、非上場を通じて見ますと31.7%から37.8%というふうに6%増加しているという数値が出ているところでございます。
 それから、17ページの下のほうに行きまして、これに関する数値的なものといたしまして、日本経団連様のほうで、「環境立国のための3つの取り組み」というのを平成16年1月に公表されておりまして、その中の一つとして、企業はこうした取り組みを積極的に情報発信し、広くステークホルダーに配慮して経営を進めなくてはなりません。コミュニケーション手法も多様化しており、いわゆる環境報告書、CSR報告書などは、市場、消費者、投資家と企業を結ぶ上で重要な役割を果たしております。日本経団連の会員企業でも300社以上が環境報告書等を策定・公表しておりますが、日本経団連は3年倍増をめざして、さらに多くの企業が環境報告書やCSR報告書の策定・公表に取り組むよう、会員企業・団体に呼びかけるとともに、その動きをフォローアップしていきたいというふうにされております。
 それから、18ページのほうに行きまして、環境報告書を作成している企業について、最近、CSR報告書なども増えていますけれども、環境報告書への社会・経済面の記載についてはどうかということを問うたところ、これは皆さんもご承知のとおりかと思いますけれども、社会・経済面についても記載しておるという企業が65.7%と、18年度で65.7%で年々増加している傾向にあります。こういった企業の多くが持続可能性報告書、CSR報告書、環境・社会報告書といった形式で報告書を公表されています。
 それから、信頼性向上のための取組につきましては、第三者審査、第三者機関、有識者のコメント、内部審査を合わせて、平成16年度の34%から、平成18年度には64.7%と増えております。この数値だけを見ますと大幅に増えていますけれども、若干注意が必要なのは、第三者機関、有識者のコメントという項目は平成17年に新設しておりますので、そこでちょっと底上げされている面はございますけれども、増えている傾向にあるということでございます。
 それから、19ページに行きまして、国による中小企業者の環境配慮等の状況の公表への支援。中小企業者については、何々するよう努める、中小企業者が努めるというよりも、国が中小企業者は大変なので支援してあげてくださいと、そういう規定になっております。規定としては、中小企業者がその事業活動に係る環境配慮等の状況の公表を容易に行うことができるようにするため、その公表の方法に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるものというふうにされております。
 これについては、中小企業者にも取り組みやすい環境マネジメントシステムであるところのエコアクション21というのを推進しているところでございます。これは、企業の環境経営に真に必要な事項のみを盛り込んで、環境負荷の把握と環境対策の自己チェックが簡単にできるというような工夫を行っているものでございます。その特徴としては、環境マネジメントと、それから環境保全の取り組み、具体的にはCO排出量と廃棄物排出量、水使用量を必ず把握してくださいというふうに言っているんですけれども、それと環境報告という3つの要素を統合したガイドラインでございまして、企業はこれに取り組むことによって環境活動レポートの作成・公表を行うことができるという特徴がございます。この認証・登録事業者、それによっては11条2項で言うところの環境配慮等の状況の公表も行うことができるというふうに理解しております。
 この認証登録事業者数は、2008年10月現在で2,926業者でございまして、今年に入ってからは月平均、大体90事業者ぐらいのペースで増加しているところでございます。環境省としては、これを促進するために、低利融資制度を今年度から日本政策金融公庫を通じて創設しているところでございます。
 20ページ、21ページはちょっと省略いたしまして、22ページでございますけれども、事業者による製品等に係る環境負荷低減に関する情報の提供という条文がございます。これは、事業者は、その製品等が環境への負荷の低減に資するものである旨その他のその製品等に係る環境への負荷の低減に関する情報の提供を行うように努めるものとするという条文でございます。
 これにつきましては、例えば、製品等が環境負荷低減に資するものである旨の情報提供につきましては、多くの事業者さんによって自己宣言型の環境ラベルというのが提供されています。具体的には、参考資料5として、環境省の環境ラベル等データベースを添付しておりますけれども、そこにもすべてではございませんけれども、各事業者によりデータベースに登録された各企業の環境ラベルを掲載しているところでございます。
 それから、業界団体の審査を経て提供される環境ラベルも、参考資料5に各種掲載しておりますけれども、例えばPCグリーンラベルであるとか、エコガラスなんかがございます。
 それから、行政機関・公的主体が運営するラべリング制度といたしましては、事業者が認証されて、ラべリングを行うものとしてはエコマークとか省エネラべリング制度、経済産業省なんかがあります。
 それから、製品に係る環境負荷のデータを提供するものとしては、代表的なものとしてはエコリーフがあります。
 それから、23ページのほうに行きまして、グリーン購入ネットワークにおいては、エコ商品ねっとにおいて、ライフサイクル全体を考慮した商品の環境情報データが掲載されています。
 それから、特定の業界の製品については、例えば家電製品環境情報であるとか、車種別環境情報といったものがそれぞれの業界団体において提供されております。
 こういった事業者の提供する環境情報というのは、消費者が環境負荷の低い製品を選択する上で役立っていると考えられる一方で、消費者の自己宣言であるため、中には客観性や合理性に欠けるもの、それから表示の根拠が不明確であいまいなケースというのも散見されるとか、シンボルマークの氾濫による混乱が生じたり、製品間の客観的な比較が難しいといった課題があるかと認識しております。
 それから、13条1項でありますが、国による環境報告書の利用促進措置でございますけれども、国は、環境報告書を収集、整理し、閲覧させる業務を行う者に関する情報の提供その他の環境報告書の利用の促進に必要な措置を講ずるものとするというふうにされていまして、そういった業務を行う事業者さん、各種そこにあるとおりありますけれども、これは情報提供を現段階でやっていないので、これはしっかりやらなきゃいけないというふうに思っております。
 それから、その他環境報告書の利用促進に必要な措置といたしまして25ページでございますけれども、先ほどちょっと言及いたしましたけれども、環境省は、地球・人間環境フォーラムと共同で、平成9年から毎年、優れた環境報告書、環境活動レポート、テレビCMを表彰することにより、事業者の環境コミュニケーションの取組を促進するとともに、その質の向上を図ることを目的として、環境コミュニケーション大賞というのを実施してきております。また、それとあわせて環境コミュニケーションの取組をシンポジウムというのを開催して普及啓発に取り組んでいるところでございます。
 それから、環境報告書データベースというのを環境省が持っておりまして、特定事業者の環境報告書について情報を検索できるデータベースを提供しているのですけれども、これについては環境報告書そのものがデータベース上で見られないであるとか、そのもののデータへのリンクが張られていないというちょっと課題があるかなとか、掲載されているのが特定事業者だけであり広がりに欠けているといった課題があり、この点については改善が必要だというふうに考えております。
 それから、経済産業省さんも、企業等の環境報告書のデータベースを提供されていて、700社以上の企業のデータが閲覧できるとともに検索もできるようになっています。
 それから、26ページのほうに行きまして、国による環境情報の利用促進措置でございます。
 国は、事業者または国民が投資、製品等の利用その他の行為をするに当たって環境情報を利用することを促進するため、技術的な助言その他の必要な措置を講ずるものというふうに規定されております。
 これについては、環境省は、参考資料5として添付しておりますけれども、消費者が環境にやさしい商品を選択するに当たって参考となる情報を提供するために、環境ラベルのデータベースを提供しているところでございます。
 それから、環境にやさしい商品選びに資する3つのポイント、温暖化、資源消費、化学物質に関する情報を提供する商品環境情報提供システム、ECOセレというのを運用しております。さらに、消費者にわかりやすい適切な環境表示の促進に向けて、事業者が取り組むべき内容をまとめた環境表示ガイドラインというのを、委員のお手元に冊子を参考として配布しておりますけれども、これを平成20年1月に策定・公表しております。まだあまり宣伝をしていないので知名度が必ずしも高くないんですけれども、今後売り出していきたいというふうに思っております。
 このガイドラインでは、環境表示の多くを占める各企業による自己宣言型の環境表示について、次のページのようなホップ、ステップ、ジャンプと取り組むことによって、消費者にわかりやすい適切な環境表示へのステップアップを図っていくということを推奨しているところでございます。
 それから、経済産業省さんによる省エネラべリング制度であるとか、国土交通省さんによる自動車の燃費制度の評価、公表といった情報提供も、取り組みも行われているところでございます。
 続きまして、資料の8でございますけれども、お時間の関係で簡潔に説明しますけれども、まずは何をどういうふうに記載されているかということにつきまして、全88法人中のうち、33の法人を抽出して調査をいたしました。各省についてはそれぞれ3法人、それから国立大学法人については、資料8の2ページ目にありますとおり、それぞれ類型別に大学を抽出して、規模であるとか、大学の性格において抽出して調査を行いました。
 それで、先ほどの3ページでございますけれども、環境報告書の記載事項等に定める事項、代表者の緒言、事業活動に係る環境配慮についての方針が書かれているか、それから、バウンダリとかが書かれているか、それから、目標、計画は書かれているかといったことについて、○△×、それぞれ一個一個細かく書いてありますけれども、大まかに言えば、○はきっちり書いてある、△若干不十分ながら書かれている、×は記載がないと。特によく書けていれば◎と、そんな大まかに言えばそんな分類で評価を行ったのが、調査を行ったのが5ページ目でございます。
 独行政法人、国立大学法人と分けて記載しておりますけれども、全く記載されていないという項目、一番右の欄で言うと、×評価というところは我々の調査ではなかったと。ただ、やっぱり記述が不十分ではないかと思われる△評価については、各項目3法人ぐらい見受けられたところでございます。
 例えば、国立環境研究所、日本環境安全事業株式会社とか東京大学、岡山大学といったところは◎が、千葉大学さんもですかね、多くついていたり、一方で、△ばかりがついている法人も見受けられたところでございます。
 それから、6ページ目は、環境報告書の信頼性向上の措置をどの法人が、係数としては先ほどご報告したものと同じものですので説明は省略いたします。
 それで、こういったことを踏まえて、環境配慮促進法の施行状況の評価に当たってどんな論点が考えられるかというのを、例としてまとめたのが資料9でございます。これは、事務局側で想定される論点、例としてまとめたもので、論点は全くもってこれに限られるものではないので、そこはそもそもそこからご意見を賜れればと思いますけれども、例えば、総論としては、環境配慮促進法は、環境報告書の普及促進と信頼性向上のための制度的枠組みの整備や特定事業者による環境報告書の策定・公表の義務づけ等に規定し、これらの措置によって、国民や事業者が投資や商品購入を行う際に、事業者の環境への配慮の状況を考慮するように促し、事業者の自主的な環境配慮の取組を促進することをねらいとしているが、こうした観点から、現在の施行状況をどう評価するかというのが大きくとらえたときの論点だと思います。
 それから、特定事業者関係では、法に基づいて、特定事業者が環境報告書を作成・公表していることの効果・成果についてどう考えるか。
 それから、特定事業者が作成している環境報告書について、記載事項等におおむね従って作成されていますけれども、さらにどのような改善が図られることが必要か。
 それから、特定事業者による環境報告書の信頼性向上措置の現状についてどう評価するか。
 それから、特定事業者の作成する環境報告書の質の一層の向上とさらなる利用促進を図るためにいかなる措置を講ずるべきか。
 それから、特定事業者による環境報告書の信頼性向上の取組の促進を図るため、いかなる措置を講ずるべきかといったことを書いてあります。
 それから、大企業者による環境配慮等の状況の公表と信頼性向上につきましては、大企業者による環境報告書の作成割合・作成数については、平成16年に比べ増加しているが、これをどう評価するか。
 それから、日本経団連様の環境立国のための3つの取り組みにおいて3倍増というふうに、必ずしも日本経団連さんは環境報告書という形態にこだわるわけでなく、いろんな形態があるということをあわせて、その後の公表の中でおっしゃっていたかと思いますけれども、これについてのフォローアップということ。
 それから、信頼性向上のための取組について、どう評価するのかといったこと。
 それから、環境省の環境報告ガイドラインというものを、項目だけを参考資料の2としてつけておりますけれども、実際はご承知のとおり大部な資料でございますけれども、ここには環境報告書には、以下のような基本機能があるとされていまして、1つは、事業者と社会とのコミュニケーションツールとしての外部機能、中には3つ、事業者の社会に対する説明責任に基づく情報開示機能、2つ目として、ステークホルダーの判断に影響を与える有用な情報を提供するための機能、3つ目として、事業者と社会とのプレッジ・アンド・レビューによる環境活動等の推進機能。
 それから、事業者自身の事業活動における環境配慮等の取組も促進される内部機能としまして、自らの環境配慮等の取組に関する方針・目標・行動計画等の策定・見直しのための機能。それから、5つ目として、経営者や事業者の意識づけ、行動促進のための機能がありますが、これらを踏まえ、例えば以下の点についてどういうふうに考えるのかということで、先ほど来お話が出ていますとおり、社会に対する説明責任の観点からは、例えば、古紙偽装問題のように、環境に関する不祥事を引き起こした場合の環境報告書における記載についてどのように考えるかといった論点があるかと思います。
 これにつきましては、参考資料の4の中で、大手製紙……

○山本委員長 すみません、簡潔にひとつ、委員の意見を聞くことができなくなりますから、ひとつよろしくお願いします。

○小笠原課長補佐 わかりました。では、それはここに引用しております。
 それから、ステークホルダーへの情報開示の観点からは、近年、投資家の投資判断に資する企業の環境情報の提供ということが言われておりまして、そういったことに関する環境報告書における情報の記載のあり方についてどう考えるかということがあります。それについて指摘されているものについては、地球温暖化対策推進法であるとか、自民党の地球温暖化推進本部中間報告等につきましては、参考資料3として添付しております。
 それから、環境報告書を作成している企業のうち6割以上が社会・経済側面も含めたCSR報告書という形で報告書を公表しておりますけれども、これに伴って、掲載すべき情報の全体量が多くなることから、環境面に関する記載が少なくなる場合も見られるけれども、この結果、環境面における記載が弱まっているとの指摘があるけれども、これについてどう考えるか。
 それから、環境報告書の作成・公表と信頼性向上措置の促進のためにいかなる措置を講ずるべきか。
 それから、環境報告書の第三者審査関係につきましては、第三者審査の役割についてどう考えるのか。それから、現状と促進策についてどういうふうに考えられるか。
 それから、3ページのほうに行きまして、中小企業者の環境配慮等の状況の支援につきましては、エコアクション21について見直しを行うべきでないか。それから、さらなる促進のためにいかなる措置を講ずるべきか。
 それから、国による環境報告書の利用促進措置につきましては、環境報告書データベースについて、より使いやすくすべきではないかと。
 それから、環境コミュニケーションシンポジウム、コミュニケーション大賞についてさらに工夫すべきではないか。
 それから、各省各庁につきましては、その公表の仕方について何らかの工夫を図るべきではないか。
 それから、環境表示につきましては、環境表示ガイドラインが策定されていますけれども、これに基づく取り組みをどう促進するか。
 それから、2としては、グリーン購入法に基づく基準、それから、エコマークの基準、グリーン購入ネットワークの基準といったそれぞれの目的、対象にも基準が異なっているけれども、こうした政策手法の間で、エコアクション21なんかも含めて、環境にやさしい商品選択を促すためにどのように連携させていくことが有効かといった論点があります。
 以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。大変詳しい資料でございまして、まず理解するのがちょっと容易ではないということなんですが、時間が1時間もないですね、あと50分くらいししかなくなってしまったんですけれども、先生方のご意見をなるべくたくさんいただきたいということで、まずはお1人発言される場合は、1回1分半くらいでまとめていただいて、多数回ご発言いただくということにさせていただきます。
 それで、崎田委員がご所用があるということでございますので、一番最初に崎田委員からご発言をいただきたいと思います。

○崎田委員 ありがとうございます。先にご指名いただきましてありがとうございます。
 実は、私自身今1分半と、ちょっと頭がパニックになっておりますが、この今経済状況が非常に悪いという印象が強くなっているときこそ、本当に環境と経済をしっかり好循環させて次の時代を牽引していくんだというメッセージを強く出していくということが私は重要だと思っています。
 そのためにも、ふだん消費市場と金融市場がきちんとグリーン化するということが大事だというふうに思っておりますけれども、それのきちんとした情報源としての環境報告書というのの重要性というのは本当に大事だというふうに思っています。そういうふうな視点で考えると、今これがうまく回っているかというと、残念ながらまだまだうまく活用しきれていないと言いますか、何か非常にそういう環境と経済の好循環がこういう情報源で起こっているというふうにはまだまだ難しいという時代ではないかというふうに思っています。
 そういう視点で、今回この委員会では、私は、情報の発信側がわかりやすくきちんとした情報を出すような仕組みが徹底しているかどうかということと、受け取る側がそれを利用するような仕掛けが社会の中で徹底しているか、その両方の視点をきちんと考えていきたいというふうに強く思っています。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。どなたからでも。どうぞ。

○水口委員 水口と申します。では、1分半で。この環境配慮促進法の基本的な理念というのは、環境情報を公開し、それを利用する、特に投資者、消費者が利用することによってよりよい環境を実現していくというものだと思います。その観点からすると、環境報告書の数は増えてきましたが、決定的に欠けているのはその情報を利用する側、特に投資にこれを利用するという側の行動が欠けているのではないかと思います。環境配慮促進法では、第4条に、事業者が投資において環境に関する情報を配慮するということを義務づけております。
 ところで、政府にも事業者としての側面がございます。例えば、政府は、公的年金として200兆の資金を扱っている、この200兆の資金を投資に運用する際に、では環境に配慮するという観点で運用されているのかどうか、ここの部分は、環境配慮促進法の理念とやはり政府として整合させて議論していくべきだろうというふうに思いますので、環境配慮促進法の活動を見直すという観点から、公的年金の利用に環境情報がいかに利用されているのかということは重要な論点だろうと思います。
 以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。
 これは調査も必要だと思いますけれども、筑紫委員、いかがでございますか。今の点につきまして。

○筑紫委員 おっしゃるとおりだと思うんですが、現実にはこれが全然進まないと。例えば、今でしたらば、運用会社さんが、例えばSRIなどをやっているようなところでもどんどん人を減らしていっていると。それは、このようなサブプライムに関連してマーケットが非常に下落すると運用資産も減っていくと。それで赤字になると、2年続けて赤字になると、公的資金の運用ができないということが決まっているんだそうです。ということで、人を減らして、むしろ人を減らしていって、新しいこういう環境にお金が行くようなというところになかなか行けないとか、それから、肝心の年金さんのほうでも、どんどん長期的な運用ではなくて、どうかすると四半期ごとの運用パフォーマンスを求められたり、基本的には1年で運用パフォーマンスがあるレベルを下がると、その年金基金はその説明をしなければいけないということになりますと、その年金の人たちというのは非常に保守的な、同じような運用をするということになっておりまして、ここのところで金融のいろんなレギュレーションと言いますか、それがそういう意味では世界に逆行しておりますね。ということで、絶望的な私は気分になっております。
 イギリスのそういう意味では環境庁にお勤めの方の年金が、たしかそういう環境ファンドのようなものをつくって、自分たちの環境庁に、イギリスの環境庁にお勤めの方の年金はそれで運用しておりますが、例えば環境省の方の年金をそういうふうに運用するということもまず不可能ですね。そういう意味では、非常に金融の仕組み的にそれがやりにくい状況になっているという、日本は、そういう意味では本当に世界の孤児ですね。ですから、それを、そういう意味では、むしろここにいつもいつも財務省の方とか金融庁の方が必ずいらっしゃるべきだと思います。環境と経済の好循環といったところに金融の制度の変革と言いますか、それなくしてそれはやっぱり起こらないということが私は大変、すみません、1分半になりました、感じております。
 以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。
 河野先生。

○河野委員 1分半というのは難しいかと思いますが、先ほど水口先生が環境配慮法の理念をおっしゃいましたけれども、企業が環境配慮をする、内側の問題ですから外から見えない、結局報告書に出してくださいというスタンスになろうかと思います。報告書につきまして、この資料の9ですかね、そこの論点2と3が大事かなと思います。3番目はどちらかと言うと自主的な対応ということになっております。それで、既に環境報告書ガイドラインが2000年に出ています。さらにその報告書の内容の信頼性担保というようなことで言いますと、ISO14001認証取得している企業も増えてきており、内部的な情報の収集システムもできている、その上で報告書の信頼性担保をどういうふうに大企業について考えるかということが必要かなと思います。特定事業者については3年目であります。私も、今日の小委員会があるというので、手元にある大学関係の報告書を20冊ぐらい見たんですが、先ほどの資料の9で紹介された「記載事項等」の内容については、ほとんど皆書いてある。しかし、30ページから80ページぐらいのもので、内容に濃淡があるというわけですね。よく考えると、やはりまだ推進体制、環境保全のための推進体制の構築ができていない。環境方針、目的、目標と書いてあるけれども、それを実施して進めるための結局推進体制、内部組織ですか、こういうものが構築されていない。法律でつくれと言うからつくっているという状況にあるんではないかと思います。
 とすれば、特定事業者、20ぐらいですから全部見たわけではありません。それから、国立大学だけであります。大学は割とまじめにせっせやりますので、それなりのことはやっているんだろうと思います。これから見直すときには環境保全のための推進体制ということをさらに強化すると言いますか、PDCAサイクルを回してきちんと環境保全を達成するというような体制の整備をやる必要があるんではないかということであります。
 以上です。

○山本委員長 どうぞ。

○藤井委員 河野先生のご発言は、おっしゃるとおりだと思います。要は、報告書の中身の問題ですね。環境報告書はたくさん出ておりますけれども、中身が信頼できるかどうか、きれいに書いてあるけれども、まさに古紙再生偽装の問題のように、都合の悪いところは書いていない、あるいは意図的に外しているというものがあったりして、信頼性を高めるための、担保をするための方策をどうするのか、ということが重要です。それと、報告書の中身の信頼性をどうチェックするのかというところだと思うんですね。
 現行法でも、先ほど特定事業者等のチェックというか、アンケート等はやられているわけですが、各省庁の報告についてはやっていないわけですね。単にエネルギー、光熱費を削減しているかどうかだけではなくて、省庁の場合、それぞれ政策を担当されているわけですから、とった政策が環境配慮と整合性があるのかないのかというところも、本来、環境省が各省庁の公表内容を全体的にチェックして、例えば、会計検査院が予算の執行状況をチェックするように、「環境会計検査」みたいなことをやってはどうかと思います。
 例えば、会計検査院が前回、これは報道されているので名前を出してもいいでしょうけれども、国交省が自動車を大量に保有していると指摘しました。予算の執行面でも本当に必要な車の保有かの問題があるのでしょうけれども、その車からどれだけのCOが出ているんだということを、環境省が環境の視点から勧告することもできるのではないでしょうか。要するにチェックする場合も、機能をただ結果を公表するだけではなくて、場合によれば罰則を科すかどうかは議論があるかもしれませんが、何らかの強制措置を加味したものでないと、中身が信頼されるものにはなってこないのではないかと思います。

○山本委員長 今の点、ちょっと思い出したのは、この前、日本、中国、韓国の日中韓環境産業円卓会議がありまして、そこで中国側から紹介されたのが、何か融資の条件に環境配慮ということが法律で書き込まれて、それが実りの一票制度とか、そういう名前でたしか呼んでいたと思うんですが、ですからいろんな融資条件をクリアしても、最後に環境配慮のところでリジェクトされる、そういう法律が今年施行されたという話をこの前彦根で聞いたんですが、課長、そうですね、私の記憶ではそうなんですが、今の藤井委員のご指摘は極めて大きなテーマでありまして、この環境配慮促進法というのが各省庁の政策形成決定にまで及ぶのかどうかという、及ばなければいけないと思うんですけれども、そこは非常に大きな問題だと思います。
 私のほうから質問は、1分半で、まだ環境レポートを公表していない都道府県、政令市というのはどういうところがあるんですか。先ほど9割は公表しているとおっしゃいましたけれども、なお10%ぐらい公表していないという、極めて遅れているところの名前を知りたいんですけれども。

○小笠原課長補佐 ちょっと今名前までが、具体的な名前はすみません。

○山本委員長 後で結構です。先生方からほかにいかがでございましょうか。
 では、薗田委員。

○薗田委員 私からも質問です。この法律が施行されたときに経団連が3年で倍増を目指しますとおっしゃっていたんですけれども、この目標は達成されてないですよね。「自主的にやります」ということで義務化しなかったという記憶をしているんですけれども。

○小笠原課長補佐 そのフォローアップ結果についてはまだ公表はされてない……

○松本課長補佐 日本経団連様のほうが、このレポートに関しまして、ここだけを切り抜いての公表という形はとられておらないんですけれども、ご承知のとおり自主行動計画に対してのフォローアップということをなされております。その中に関しまして、これはアンケートという調査手法ではございますけれども、回答企業さんの何社中の何%の何社が環境報告書、もしくはCSR報告書等を公表しているという形でのフォローアップはなされているということでございます。したがいまして、2006年度とか2007年度のフォローアップという形では数値のほうは出ておりますけれども、今申しましたとおりアンケートという形をとってございますので、そもそも例えば2007年度のフォローアップで申しますと、回答企業者数が483社という形でございまして、目標と言っていました300をさらに倍にするというそもそもの全体数がお答えされてもその目標に達せないという数字でございますので、さらにアンケートというか、報告書という少し言葉が強いと言いましょうか、というところがございまして、先ほど小笠原のほうから説明がございましたけれども、媒体は報告書という形をとらなくても、例えばウェブ上であってもという、CDであってもということでございますけれども、もしかしたらその辺も回答の中に入っていない可能性もあるということでございまして、もう少しこの辺は私どもも経団連さんのほうとお話し合いをさせていただきまして、フォローアップ状況というのを確認させていただいたほうがよろしいのかなと。
 実際に具体的に申しますと、2007年の8月のアンケートでございますけれども、483社中の65%に相当する316社が公表されているというふうなフォローアップがなされているところでございます。

○薗田委員 御報告ありがとうございました。量的なこともすごく重要だと思いますが、私は、実は環境報告書の作成支援に携わる業務をやってまして、そういう立場では量的なものだけではなくて質的な向上がより重要です。もちろん、活用する側の活用方法によっては、今のガイドラインに定められているもの以外に、いろんな判断の材料になってくるものが必要になってくると思います。
 例えばですけれども、私たちはどちらかと言うと内部的な機能、環境・CSRマネジメントの推進ということをメインに置いて報告書作成を行っておりますが、なかにはコミュニケーションのところばかりがうまくなってしまって、マネジメントが進んでいないのに表に出し方がうまくなっている企業さんもあります。先ほど山本先生から冒頭にもありましたように、人類の危機的な状況の大きな要因として、温暖化の問題があるということを考えていくと、例えば再生可能エネルギーの比率をどういう形で戦略的にあげていくのかということなども重要になってきます。またリコーさんや、エプソンさん、INAXさんが2050年の超長期目標を出していますけれども、そういった超長期的なビジョンと、もっと具体的な、アクションプランにどういうふうな形で落とし込んでいくのか、その中でトップの意識、あるいは社員に環境意識がどの程度浸透しているのか、またそれをどの程度上げていくことを考えているのか、そういった具体的な内容が重要です。今のガイドライン項目はかなり皆さん網羅をし始めていますが、アカウンタビリティーの要素だけを高めるのではなく、本当にマネジメントがどういう形で進んできたのか、あるいは進んでいくのかというところがきちんと示されないと、利用促進してほしいといっても、使う側、活用する側にはなかなかできない部分があるというふうに考えています。

○山本委員長 ただいまのご意見は私も全くそのとおりだと思っていまして、この10年間の、1996年度だと思いますが、ISO14001シリーズが導入されて、ですからシステムの導入に全力を挙げてきたわけですね。これからはまさに日本は現状比6割、8割削減という革命の段階に入るわけですからパフォーマンスが厳しく問われるという時代に入るわけですね。
 そのほか、どうぞ。はい、どうぞ。

○白鳥委員 今のお話もそうですけれども、河野委員の話にも関係しますが、やはりこの資料9の2番、3番が論点になるかとは思います。先ほど発信側とか受け手側という話がありましたが、当然報告をするということは、最終的にはどう内部として促進するかということになると思いますが、やはり対象によってあり方というのは違うと思いますね。やはり企業だったら、例えばそれで事業活動がよくなったとか、内部がよくなったという視点はあるでしょうし、特定事業者、例えば大学であれば、その中の学生とか、先生方とかにきちんと伝えるとか、それぞれ情報発信したときに役割が違うと、そのあたりをきちんと好事例を出すとか、何のためにやるかとか、その結果こうだったという形を見せることをしていかないと、なかなかここから先を同じ次元では論じられないのではないかなという気がしております。

○山本委員長 ごもっともなご意見だと思いますが、河野先生、いかがですか、今の。

○河野委員 実は、最近ある会社でゼミの学生が環境報告書の比較可能性が大事だという視点から、全般的に比較可能性についてプレゼンテーションをしましたが、会社サイドからはセグメンテーションというか、利害関係者を特定化しているとか、あるいは利害関係者によっては特定の環境配慮製品や負荷活動の状況を見るという指摘があり、網羅的な比較可能性ということはあまり考えていないというような印象をもったわけです。こういうわけでどういうふうに比較可能性というのを議論していくかというのは難しい問題かなと、個人的には今思っています。

○山本委員長 魚住委員。

○魚住委員 環境報告書等の第三者審査をしている立場から言いますと、やはり数値情報の正確性とかがベースになるわけなんですけれども、その数値情報が正確であってもなくても、やはり情報の利用者のほうはあまり利用されていないと、そういう実態がまずあるかと思うんです。極端な話、数値が間違っていてもほとんど情報の受け手側の判断に変化はない。経済的意思決定にほとんど使われていないというようなところが非常に問題あるかなと。
 それは、情報の受け手側だけの問題ではなく、今までにもお話し出ましたけれども、その情報の比較可能性、バウンダリの問題とかいろんな計算式の違いとか、そういう比較可能なことができないという面もあるかと思います。審査する側は計算式等が明確、バウンダリが明確であれば、一応それでオーケーという形なんですけれども、受け手側が比較しようとすれば、バウンダリが違っていれば単純に比較できないとか、そういう問題もあると。
 そういうふうに考えていくと、受け手側が意思決定に使うように啓発するだけではなくて、作成して出てくる指標そのものが、もっとこういうルールに基づいて出さなければならない、極端に言えば規制に近いような形で。そして、それを出したら自分のところが不利になるということであれば、任意の発行であれば発行しなくなっていくと思うんですね。だから、本当に比較可能なものをつくるなら強制にせざるを得ないだろうと、発行そのものを。しかし、任意の中でやるなら非常に難しいものがあるなというふうに今思っています。

○山本委員長 私も、かねがねやっぱりこれはもうあくまでも任意とか善意に頼っていては物事が進まないんではないかと。やはり規制とか罰則とかご褒美をちゃんと考えないと、制度自体が進展を見ないんではないかという気もしているんですが、この辺、五所委員、いかがでございましょうか。

○五所委員 現在私は、富士フイルムグループのグループ全体のCSR戦略を練り、CSRレポートの作成もしています。弊社はサステナビリティの分野においてグッドカンパニーと言われていますが、内部にいる者としてはまだまだ発展途上であると思っています。そのような状況下で、いきなり規制をされてしまうと、国内の子会社、それから海外も含めて考えると、新たな規制に対して、グループ全体のガバナンスを保って対応していくことは、難しいところもあると思います。もちろん、新しく設定された規制に対応していく上で、パフォーマンスを算定する際にある程度の計算式や具体的な比較可能性のルールがあるのは、企業にとって助かりますが、ハイレベルな規制に付いて行ける企業は限られると思います。母体が大きくなればなるほど、企業は一律に設定された全ての規制にすぐには対応できないですし、中小企業でも受け入れられるような規制であることが望まれます。そのためには、先ほど白鳥さんがおっしゃっていたように段階を見せて、各段階にあてはまる組織や企業に取り組んでもらえることを明示すべきです。例えば、情報を集めるということは、母体の大きい企業や中小企業にとってものすごく努力がいりますし、収集した情報を整理しCSRレポートなどで公表するということも非常に努力が要ります。よって、こういう段階を経て、こういうグッドカンパニーを目指しましょうという方向性をまず見せて、その中で一つずつ積み上げ取り組めるよう具体的な方程式やルールを提示していくと非常にいいと思います。そうすることによって、それが恐らく大学や研究所のような特定事業者であれ、大企業であれ、中小企業であれ、組織や企業が自らの取り組み段階を理解し、その段階で守るべき規制やルールを遵守して管理し、取り組んだことを公表するようになると思っています。
 環境推進の段階を政府が提示し、環境配慮促進法を利用する組織や企業が具体的に取り組むよう判断できるように、提示された段階のどの位置に組織や企業がいるのかを認識させることが規制より有効です。よって、一律に規制を設定するという行為ではなく、段階を示し、それにあわせた規制を提示していただきたいと思っています。

○山本委員長 宮田委員から。

○宮田委員 よろしくお願いします。今、規制とか、罰則とかというお話があったんですが、その前にまず仕組みをシンプルに明確にする必要があるんではないかと思います。例えば、エコリーフで環境負荷を計算する場合も、もとになる原単位は実は登録する企業にしか教えていただけないという、企業情報を出しなさいという割には原単位を教えていただけないというのは全く理解不能な考え方だと思っています。そういったところもきちんとしていただきたいし、例えば温室効果ガスの排出量を計算するんであっても、排出係数というのは電力はじめ自由に選べる部分があるんですが、地域ごとに柔軟に実質的な効果を出せるというメリットもあれば、今進んでいるCDMの取り組みという視点からすると、日本全国で考えたら統一したほうがいいんではないかとか、そういうところでできるだけわかりやすい基準を使うような形にしないといけないなと思っております。
 そういう意味では、環境報告書も、それを規定する法律がある一方で、エコアクション21も今年度中に見直しということですが、そこでもガイドラインが載っているわけですね。それが本当に整合性がとれているのかなというと、どうもちょっと解せない部分もありますので、要は取り組みがいろいろ乱立している部分もあると思うので、それをぜひあわせていただきたいなと思います。

○山本委員長 冨田委員、それから永里委員。

○冨田委員 この環境配慮促進法ができて以来随分たっていると思いますが、その間にかなりこの世界変わってきているんではないかというふうに感じていまして、一つやはりこういった報告書みたいな多様化が非常に進んでいると。つまり、例えば読者にしろユーザーにしろ、従来出せばよかったという感じで、どこへ向けて出したかよくわからなかった状況がかなり明確に投資家向けにつくったり、社員向けにつくったりというふうにかなり目的が明確になってきていると。海外であったり国内であったり、そういった側面もありますし、形式の面でもいわゆる報告書と想像されるようなものから、ウェブサイトであったり、非常に抜粋版のようなものになったり、そういうものもありますし、この審査、信頼性の向上ということに関しても、例えば内容の妥当性を検証するものから数値の妥当性を検証するもの、さらにはあまり何を保証するのかよくわかりませんが、第三者のコメントを載せる、そういうふうに非常に多様化が進んでいるということだと思いますので、あまり環境報告書という言葉だけで想像されるようなところにこの話を持って行くのはいかがなものかというふうに感じます。
 そういう意味で行くと、いわゆる非財務情報開示という言葉が最近よく使われると思いますが、情報開示のあり方として報告書というツールもあり得ると思いますが、例えば環境省さんがほかに所管されています温対法の算定報告制度、これは一種義務化されたある種定量的な情報の開示でありますし、民間レベルでも、非常に投資家の情報ということに関して言うと、CDPみたいな非常に強力なツール、かなり比較可能性の高いものだというふうに感じていますが、こういったものが出てきておりますので、やはりあらゆるそういった取り組みを全体に網羅的に見て、その目的に応じた開示のあり方というのをきちんとここでもうちょっと定義していく必要があるんではないかなというふうに感じます。

○山本委員長 では、永里委員、橋村委員。

○永里委員 今日の環境省からのご説明は、全部を盛り込んでありますので、ある意味ではわかりにくいし、焦点がぼけている可能性があるんですね。今から私が話すことでかえって混乱を招くといけないんですが、実は、ここに書いてある目的は、国民や事業者が投資や商品購入を行う際に事業者への環境への配慮の状況を考慮するように促して云々でして、ここで投資と商品とは違うんですね。それで、ここに来ていらっしゃる方は、私も含めて投資とか年金とかに非常に興味があって、筑紫委員のご意見なんかに賛同しているところが多いんですけれども、その部分にだけ焦点を当てるのではなくて、むしろ国民全体のことを考え、生活者のことを考え、消費者のことを考えると、環境報告書は、商品やサービスを購入する人のためのことでは、そのためにはどうあるべきか、ということも考えるべきです。
 だから、実は2つあって、投資家のためにはもうちょっと詳しく、いろんなことが書いていないといけないと。それに対して国民レベルは、極端な例でいくと、TVのコマーシャルでみんな買っているような状態ですから、それよりももっと役立つようなレベルでその情報を提供すればいいんであって、先ほど宮田委員がおっしゃいましたけれども、非常にわかりやすいガイドラインを出すべきだろうと思います。
 私は、その点において、投資家のためには、はっきりとした義務化とか、それから規制とかというようなことにかかわるようなことまでやらないと、今回のサブプライム問題、デリバティブの問題、その他のことが起こり得ます。ただし、消費者に買ってもらうということを考えると、消費者のほうが、賢くなっていくような情報を提供していけば、そういう報告書を出さない企業というところは自然淘汰されてきますので、それで結局消えていきます、その企業は。
 今、企業のほうの立場で言いますと、特に化学企業のことを考えると、2050年に向けて温暖化問題について限りますと、COを60%から80%削減するというような目標をつくった場合に、この環境報告書を書き上げたら進むかというとそんなものではないんですね。それよりもっと重要なことは、企業自身が変身し、変容していくことなんです。COを使わないプロセスに変えていくとか、COをニュートラルな、例えば化学は石油化学がほとんどでして、石油から化学製品、樹脂をつくるんですけれども、そうではなくて、いわゆる植物のほうからつくっていく、これもうできているんです、技術的にはできているんです。欧米の化学企業は変わりつつありますけれども、こういう方向に持っていく、あるいはCOを原料とするような製品をつくっていく、これもできております。
 そういうような方向に持って行くのが重要でして、これでないと2050年は乗り切れません。その視点に立った場合に、環境報告書とか何とかということよりももっとこれは難しいことでして、そういうことは企業が、最初は隠しながら、隠すというのは相手にばれないように研究開発していますから、だけど、パテントをとった途端に今度はどんどん公表していきます。それが促進されるような方向にガイドラインは持って行くべきであると。だから、ちょっと混乱するように聞こえるかもしれませんが、実は投資家のためと一般国民のために使い分けて、私はここでガイドラインこそが重要だと思っております。
 もう一つ言うと、実はその場合に、企業はトップが重要なんです。トップがどう考えるかです。だから、技術開発とか研究開発を促進するようなトップでなければいけないし、そして、多分大学のことを私はあまり調べていませんが、環境報告書をつくりなさいと義務化されていますね。かなりおざなりに書かれているんではないかと思うんです。
 というのは、そういうことでやれと言うと、つくればいいんでしょうとおざなりなことになって、企業みたいに自らモチベートする要素が多分ない、ちょっとこれ言い過ぎかもしれませんけれども、おざなりな報告書になっている可能性がありますね。企業の場合はそうではない、死活の問題ですから。報告書が出てこないような、ガイドラインに書いてあって、ある数字が出てこないようなところというのは淘汰されます。
 以上です。

○山本委員長 橋村委員。

○橋村委員 今のお話に少しつながるんですが、義務化と規制というのは、我々が考えているのは、アニュアルレポートがやはり義務で、投資家のために出しているものだというふうに考えていて、私はCSRレポートという呼び名なので環境報告とは言っていないんですが、これはお客様のためのPRだというふうに考えて出しています。そのことが正しいかどうかは別にして、我々はそういう考えをとっていて、ただ一方で、これだけ社会的に大きな課題になってくると、例えば今後、COをきちんと債務認識をしてバランスシートに載せるべきというような考えであるとか、あるいはアニュアルレポートとCSR、こういった環境報告を一緒にすべきだというような議論もあるように認識しておりますので、そういう意味でちょっと義務の部分とPRの部分というのを分けて考えるべきで、義務であればアニュアルレポートをどう整理するかということを議論するべきで、PRであれば、規制というよりはご褒美というような考えで進めていくのがいいのではないかというふうに考えております。
 以上です。

○山本委員長 先生。

○水口委員 すみません、2回目ですけれども、環境報告書に現在書かれている情報内容には多様なものがありまして、ある部分は今議論になっておりますように規制になじむもの、例えばバウンダリを決めて、比較可能性を追求すべき部分があります。一方で、社長のコミットメントのように規制になじまない部分もあろうかと思います。おっしゃるように、開示媒体にはさまざまなものがあり、目的に応じて開示のあり方を検討していくべきだと。特にアニュアルレポート、日本で言えば有価証券報告書と環境報告書との関係を整理していくことが必要だろうと思います。参考資料の3には、有価証券報告書の中で環境情報を開示していくべきだということに関して、自民党、民主党、それから内閣の意見も出てございますので、日本公認会計士協会としても、今、有価証券報告書の中で温室効果ガスの排出情報については開示していくべきではないかという、こういう研究をしております。
 有価証券報告書に関する議論は、一応環境審議会の管轄外であるということになるかもしれませんけれども、政府として一体となってこの環境情報の開示と、その情報の利用の促進ということを考えていくならば、有価証券報告書とのすみ分け、あるいは有価証券報告書をどう変えていくのかということも当然議論に上るべきであろうと思います。また、もしここでできないということであれば、金融審議会と合同会議ということがあってもいいのではないかというふう思っております。
 繰り返しになりますけれども、私はこの環境の問題を解決するためには、情報が出るだけではなくて、その情報が利用されて、その利用によって企業の行動が変わっていくということがなければいけないと思いますので、先ほどちょっと申し上げた筑紫さんのおっしゃるとおりだと思うんですけれども、だからこそ政府が率先して投資行動も変えていくと。したがって、もう一つ先ほど申しましたが、政府の資金の運用のあり方についても、ぜひこの論点の1番の総論の中の一つとして投資のあり方、言い続けていただきたいと思います。ということで2つですね、有価証券報告書についてと投資のあり方について2点申し上げます。

○山本委員長 これは大変いいご提案だと思いますので、ぜひお取り上げいただきたいと思いますが、筑紫さん、いかがでございましょうか。どうすればこの環境レポートというか、環境情報を役に立ててもらえるようになるんでしょうかね。

○筑紫委員 私は、実は、この審議のときに、義務化ではなくて努力でというところに賛成したんですね。というのは、率先してまず国とかに義務化すると。それに対して企業のほうは付いて来てくださるだろうということを期待したんですけれども、今ではそれは間違いだったと思っています。義務化すべきであったと思いますが、それはそのためにはしかし、義務化して、きちんと開示したことによって企業は実は投資という形で、企業にとってもインセンティブになるような仕組みというものに、それが一緒に付いてくると思ったんですけれども、それは付いてこなかったし、今でも付いてきていないですね。そして、非常に構造的な、日本という国の構造的な問題があるのか、つまり日本はストレンジマーケットだと最近私がヨーロッパに行ったときにも言われて、サブプライムでも大して痛んでいない国がどうしてあんなに下がるんだって、変な国だと、そんな変な、わからないと言われたんですね。わからない国には投資できないということで、どんどん投資家が海外の年金にしても、日本を素通りにして、アジア、パシフィックに行っちゃって日本には行かないということになっていっているという状況で、それは、日本は自分の国の株式市場を支えるためにそこで出動するかというと、やっぱりこれもやらないんではないかということでどうしたらいいのかと。それは、今の政府ではおできにならないんではないでしょうかと。だから、つまりこういう経済を何とか立ち直らせようと思うのであれば、それは政府を変えるしかないんではないかと私は思います。今の政府は無理ではないでしょうか。

○山本委員長 この委員会で判断というか、議論できる話ではないと思うんですが。
 藤井先生……

○永里委員 筑紫さんが、実は株のほうのご専門であって発言があったのでちょっとだけ言いますが、日本の株が下がっているのは、日本が買われていないことはあるんですけれども、円が上がっているということで、実態はそんなに向こうは損していないんです。彼らは非常にお金が欲しいものですから換金しやすいところから換金していきますので日本の株を売っているということになります。これはこの審議会とは何の関係もないんですけれども、今その話があったので、つけ加えます。筑紫さんが言っておられるんですけれども、本当は公的年金が日本の株を買うべきなんですね。何を買うか、当然ここで精査・吟味されて、優良企業の株をどんどん買っていくと、そうすると換金売りなんて出てこなくなりますので、持っていたほうがずっと得するということになるんだろうと思います。
 私、ここでちょっとだけ言いたいのは、公害は規制しなきゃいけませんね。COは公害なのかどうかという問題で、大分公害に近くなってきましたね。カリフォルニアとか、ブラジルとかいろいろと公害的な扱いを受けてきていますね。そういう公害に関しては規制すべきです。それで、もしそうでなくて、公害でない場合は、北風と太陽ではないけれども、創意工夫を促すようなインセンティブを与えるようなやり方で企業を誘導して行くべきたと。だから、この委員会も義務化にあまりこだわる必要はないんではないかと思います。義務化すべきところは、さっき言った公害的なところだと思います。
 以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。
 藤井先生。

○藤井委員 論点としてはそこが非常に大事だと思いますが、先ほど水口先生が言われたように、一方で有価証券報告書ではCO債務の公表を義務化しようという動きにはまだなっていません。ただ、そういう方向での議論は出ている。あるいは資産除去債務などのように、既に義務化の方向が決まった環境債務もある。徐々に有価証券報告書でも、そういう方向が出てきている。しかし、すべての環境債務を義務化か、自主的開示かで議論してしまうのはどうか。何から何まで義務にしてしまうのも問題を引き起こしかねない。当然、企業のほうも責任を持って開示するべき情報というのはあるわけです。環境報告書でも掲載している情報については、責任持って開示しているはずです。例えばCOについていえば、もし義務化するとすれば、有価証券報告書で負債総量を義務的に開示する一方で、どのように削減したのとか、どのような削減効果があったのかというようなことは、恐らく環境報告書のほうに書くというような書き分けが可能になってきます。あるいは他の社会貢献的な活動については当然、有価証券報告書には載ってきませんから、現行どおり、環境報告書で掲載することになる。
 ですから、もちろん必要な環境債務への責任をとるという形で義務的開示は当然やらざるを得ない。しかし、義務的開示でないからといって責任とらないということではなくて、有価証券報告書だけでなく環境報告書も含めて、責任ある開示を企業ができるかどうか、ということだと思います。そういうことであれば、有価証券報告書に載っていくものは当然企業として最低限のものとしてやるわけです。すべてが有価証券報告書に載らないということですから、一種の「連携」ですね。義務的開示と自主的開示の連携。しかし、その両方に載ってくる数字については、企業は責任を持って開示する。さらに、環境報告書が今読まれていないという議論が出ましたけれども、読ませるためにはやはり「非常に重要な企業価値に影響するものですよ」ということを企業側がアピールする必要があります。なぜかと言えば、総量は有価証券報告書で開示して、コストとしてこのように環境報告書のほうで効果的に対応していますよというようなことを説明する必要があります。各論及びその関連情報について環境報告書で補足的というか、説明していることを伝える。
 今まで環境省が軸になって環境報告書なり環境会計でやってこられたわけですが、環境負債が企業全体に影響する時代になってくると、義務的開示や、義務的会計と、環境報告書・同会計をどのように連携させていくかという視点が要ると思います。その意味では、水口先生が言われたように、金融庁及び金融審議会の方もそういうマインドを持って義務的開示についても改正していかなければいけないし、両審議会が合同でやるというのは非常にいいことだと思います。今日は金融庁の人は来ておられないようですが、ぜひ次回は呼ばれて、この議論を聞かせたい気がいたします。

○山本委員長 そのほか、いかがでございますか。
 冨田さん。

○冨田委員 少々同じようなご意見になってしまうかもしれませんが、やはり今藤井先生がおっしゃったように、目的に応じた開示のやり方というのは当然きちんと考慮すべきだと思うんですね。特にカーボンの開示みたいなものというのは、有報でやるという手もあるでしょうし、温対法も積極的に活用していくという方法も多分あると思いますから、こういう形でやっていけばいい話だと思うんですね。一般的な環境報告書に相当するような場としたところに関しては、あまり義務化というよりは、やはり自主的開示を重んじるべきところではないかというふうに感じます。
 例えば、国際的な視点から見ても、私はGRIの技術諮問委員会なんかやって、いろいろ国際比較のデータなんか見せられるんですが、やっぱり圧倒的に日本は進んでいるんですね。この報告書というか、サステナビリティレポートの発行部数に関しては圧倒的に日本は非常にリードしていますし、先日、KPMGのインターナショナルから出されたれレポートも日本が1位ということで挙げられていますので、そういったところに関する自主性の取り組みは、逆に国際的に見れば進んでいるんではないかというふうに私は認識しています。

○山本委員長 魚住委員、五所委員。

○魚住委員 私の先ほどの意見がきっかけで義務化とかいうのが大分出たんですが、私自身も義務化に賛成しているわけではなくて、パフォーマンス指標なんかを本当に比較可能になるようにしようとすれば、やはり今上場企業でも500ぐらいしかアンケートの結果では発行していないというような状態で、3,000以上の上場企業のうちそれだけでは不十分だと。そういう意味では、比較可能とかそういう利用、そっちの観点からは義務化の可能性も考えられるかということを言っただけで、今すぐ義務化を賛成しているわけではありません。
 それと、先ほどの公害関係は義務化というのには賛成で、情報開示においても、私は温対法でGHG情報、PRTR法で化学物質の排出・移動量は開示されているわけなんですけれども、水濁法とか、大気汚染防止法の環境負荷物質、これは開示の義務化がないと、個人的には環境報告書の議論とは違ってくるんですけれども、そういう定量情報が開示されるような義務化があったほうが目的的にはいいんではないかと。環境報告書のほうは、やはり自主的取り組みとか、社長のコミットメント、どういう方向性、どういう考え方か、そういうやや定性的な、そちらを伝えるものであってもいいんではないかというふうに個人的には思っております。

○山本委員長 では、五所委員。

○五所委員 先ほど、目的に応じた開示という意見がありましたが、弊社もそのようにしています。私たちは、短期的な投資家の方にも、長期的な投資家の方にもアニュアルレポートとCSRレポート、両方合わせて私たちの会社の実態ですという言い方をしています。もちろん製品のパンフレットもありますが、事業活動においては先の2つのツールを示しているので、その2つのレポートの役割を、政府から明確に提示することが大切だと思います。例えば、長期的にその企業のファンになっていただくためには、アニュアルレポートや有価証券報告書だけではなく、CSRレポートをあわせて見ていただくことが企業選別の良い判断につながるということを政府から押していただくことが必要です。そうすることによって、企業は、環境レポートやCSRレポートの存在価値を今以上に考えて、アニュアルレポートでは開示することができないステークホルダーにとって有用な情報を開示するようになると思います。政府から、環境レポートやCSRレポートの役割をもう少し明確にして押し出していくといいと思います。単に環境レポートやCSRレポートを発行しましょうではなくて、アニュアルレポートや有価証券報告書で財務情報、CSRレポートでは非財務情報を理解することができ、財務と非財務情報をあわせてみることで、企業の全体像が見えるものであることを社会に対して政府が明言していくといいと思います。
 先ほど水口さんからおっしゃっていただいたんですけれども、実はアニュアルレポートの中にCSRレポートを入れてくる会社も結構最近増えてきています。なので、やはりそういう会社というのは、実は2冊に分かれていることに弊害があるのかと思って1冊にまとめてきていることもあるので、国としてやはりもう少し非財務情報と財務情報を両方見てもらって、企業のアピールであったり企業のファンになってもらって、企業をよくするものなんだというスタンスをきちんと出していくことが非常に必要かなと思っています。

○山本委員長 どうぞ。

○河野委員 12時になったらすみません、退出させてもらいます。今の、目的に応じて異なるレポートを出すということについてはおおむね賛成なんですが、先ほど冨田委員の言われた環境情報までをさらにいろいろな情報源に分けて、例えば温暖化ガスの排出報告制度があるような場合あるいはそういう制度に乗るものは、例えば環境報告書から落とすとかというような話であれば、少し話が違うんではないか。やはり環境関係の情報は環境報告書の中にまとめる、あるいはCSR関係の情報ということであれば、会社によって社会責任報告書というのをつくっていれば、そこにまとめる。あるいは、経済関連の情報であればアニュアルレポートにまとめる。個人的、私はそういう方向であれば結構かなと思っております。

○冨田委員 当然、落とすという話では全くなくて、例えば温対法で報告しても、我々のレポートは必ずCOの排出量は書きますし、CDPで聞かれればそこでも開示しますので、そういうデュプリケーションは避けがたいというふうには思いますが、やはり最低ラインをキープするということでいうと、非常に目的意識を絶対に開示しなければいけないところだけを義務化して、もうちょっと広いところに関しては義務化という話でなく、あくまでそこは自主的開示ですから、義務で報告しているところも含めた自主的な開示を行えばいいというふうに思います。

○山本委員長 ありがとうございました。もう予定の時間になってきたんですが、最後に一言何か、この際、ご発言ございますか。
 では、白鳥委員、それで最後にします。

○白鳥委員 事務局から出されています現状の施行状況という中で、先ほど都道府県はどうだったのかと委員長の質問がありましたけれども、例えば企業なども、はっきり言ってこれは、私も企業の一員として決して伸びているとは思えないわけです。そうすると、やっていないところがなぜできないのという点についてももうちょっと原因の深堀りをしていかないと次の施策にも反映できないかと。そのあたりの調査も次は必要かと感じております。

○山本委員長 ありがとうございました。
 それでは、大変今日は活発なご議論をいただきましてありがとうございました。事務局から小委員会のスケジュールにつきましてご説明をお願いしたいと思います。

○石飛環境経済課長 資料の10でございます。本日、いろいろとこれから議論すべき点についてご指摘をいただきましたので、少しこれは整理をして、系統立ててやっていかなければいけないと思っております。また、今ご指摘のありましたような追加的な調査もできる範囲でやっていきたいと思っております。
 ご提案でございますが、次回は、現在、実際にこの環境配慮促進法に基づくさまざまな取り組みをやっておられる方々、ここに書いてあるように特定の事業者、それから大手の企業、審査機関、エコアクション21事務局、エコマーク事務局、もちろんこれから増やしてもいいんですけれども、そういったところからこの環境配慮促進法に基づく、もしくは環境配慮の活動を促進する上で、推進する上での現状と、むしろ今後の課題なり制度に求めること、こういうことについて率直なご意見を伺うヒアリングをしたいというのがご提案でございます。その上で、またいろいろとご提言もあると思いますので、そういうのをまとめて、一応3月にこの小委員会としての施行状況の評価に関する一定の報告案についてご提示して議論をしていただくということでいかがでしょうか。
 その後は、また必要に応じて、今も出ましたような少し中長期的に考えるべき課題もございますので、必要に応じて開催をさせていただくということが現在考えているスケジュールの案でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。もしできましたら、公的年金基金を呼ばれてはいかがですかね。もし可能であればですね。筑紫さん、どうですかね。

○筑紫委員 ぜひお願いいたします。

○山本委員長 もし可能でしたらということで、事務局でご検討いただきたいと思います。
 それでは、本日はどうもありがとうございました。これで閉会いたします。

午後12時00分 散会