第10回 環境基本計画点検小委員会議事録

日時

平成22年6月4日(金)

場所

環境省 総合環境政策局 環境計画課

議事内容

午前10時00分 開会

○小森計画官 ただいまから第10回環境基本計画点検小委員会を開会いたします。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
 資料1-1として「「化学物質の環境リスクの低減に向けた取組」に係る報告」、資料1-2といたしまして「重点点検分野に係る関係府省の自主的点検結果(調査票)(重点調査事項[1])」、資料1-3として、同様の題名で重点調査事項[2]、資料1-4は、重点調査事項[3]についての自主的点検結果でございます。資料1-5が「化学物質対策の経緯」、資料2が「国民及び地方公共団体に対するアンケート調査結果の概要」。
 参考資料1が「第三次環境基本計画の進捗状況の第4回点検の今後のスケジュール」、参考資料2が「第三次環境基本計画の進捗状況の第4回点検の進め方について」、参考資料3が「中央環境審議会総合政策部会名簿・環境基本計画点検小委員会名簿」、参考資料4が「環境にやさしいライフスタイル実際調査の報告書概要」、参考資料5が「環境基本計画に係る地方公共団体アンケート調査の報告書概要」でございます。
 足りない資料等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと存じます。
 なお、マイクをお使いいただきます際には、スタンドにありますスイッチを押してからご発言ください。同時に4本までしか使用できませんので、ご発言が終わりましたら随時スイッチを切ってください。ご協力をお願いいたします。
 それでは、今後の進行は鈴木委員長にお願いいたします。

○鈴木委員長 第三次環境基本計画の点検小委員会、第10回となります。いろいろと変化しつつある時期ですが、こちらは着々と、粛々と進めさせていただきたいと思っております。
 環境基本計画の点検につきましては、参考資料2にございますように今年度が第4回目、4年目となります。プログラム10件につきまして毎年5つずつ、すなわち2回ずつということになりますが、今年度が最終年度。今年度のテーマとしては、地球温暖化、物質循環の確保と循環型社会、生物多様性、この3つにつきましては、それぞれの分野で基本法等に基づく基本計画等々の進捗状況の点検で進んでおりますので、そちらをもって環境基本計画の進捗状況の点検に活かすことになりますが、化学物質の環境リスクの低減に向けた取組、環境保全の人づくり・地域づくりの推進の2件につきましては、この場で十分にご検討いただく、こういうことになります。
 本日は、議事次第をご覧いただきますと、重点点検分野に係る関係府省ヒアリングということで、化学物質の環境リスクの低減に向けた取組が1番の議題、それに続きまして報告をいただくものといたしまして、国民及び地方公共団体に対するアンケート調査の結果について、これがございます。本日は、主として化学物質の環境リスクの低減に向けた取組について、各府省でどのような取組がなされているか、これが環境基本計画の趣旨にどのように沿っていて、どのような成果を上げてこられたか、これをお伺いすることになります。
 内閣府、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省がヒアリング府省となっておりますが、まず初めに、概要について事務局から説明をお願いいたします。

○和田化学物質審査室長 環境省環境保健部化学物質審査室長の和田でございます。
 15分ほどお時間をちょうだいしまして、最初に概要を説明させていただきます。
 お手元の資料1-1をご用意いただければありがたいと思います。資料1-2、1-3は、それぞれ1-1の内容についての個票でございますので、必要に応じて敷衍させていただきたいと思っております。
 早速、資料1-1に基づきましてご説明させていただきます。
 恐縮ですが、資料1-5という1枚紙もご用意してございますので、こちらにも少し触れながらご説明させていただければと思います。
 それでは、化学物質の環境リスクの低減に向けた取組に関してご報告いたします。
 重点調査事項といたしましては、大きく3本の柱でご説明させていただきたいと思います。
 最初の柱が、「科学的な環境リスク評価の推進」でございます。こちらの項目につきましては、前回の基本計画の点検より新たに加わりました新規の設定事項として、今日、ご説明させていただくものでございます。残りの2つの柱につきましては、後ほどご説明させていただきますが、既に前回、柱が立っていたものでございます。
 重点調査事項[1]科学的な環境リスク評価の推進でございます。
 すぐ下にa)b)c)ということで、3つの分野に分かれてございます。1点目につきましては、まさに環境リスク評価の基礎に当たります化学物質の安全性情報の収集・発信。それから化学物質のモニタリング、いわゆる環境中のモニタリングという観点。それから、a)とb)を併せた概念でございますけれども、リスク評価手法の調査研究・開発状況ということでございます。
 既に基本計画において施策の基本的方向ということで、科学的な環境リスクの評価という観点で、有害性に関するデータ収集でありますとか基礎情報の整備、環境残留状況の把握などについてしっかり対応するといった観点とか、産学官の研究機関との連携といったキーワードも基本的方向で、既に基本計画において挙げられているところでございます。
 この分野につきまして、政府での主な取組状況でございます。
 これにつきましても、先ほど申し上げました3つのキーワードに分けて説明させていただきたいと思います。
 まず1点目が、化学物質の安全性情報の収集・発信でございます。1ページの下のほうになりますが、まずは既存化学物質の安全性情報でございます。
 こちらにつきましては、ご承知のとおり昨年5月に化審法が改正されまして、今まで化審法では、以前から製造、輸入されていた化学物質は対象になっておりませんでしたけれども、既存の化学物質も対象にするという新たなスキームができたところでございます。それに先立ちまして、化学物質の安全性情報の収集につきましては毎年5から20物質程度を選定しまして、国のほうで文献調査、それから基礎的な物理化学情報の整備、収集を行ってきたところでございます。
 2ページでございますが、J-CHECKの拡充等でございます。
 こちらにつきましては、国が実施しております安全性情報の点検の結果でありますとか、官民連携の情報収集のスキームでありますJapanチャレンジプログラムにつきまして、今、申し上げましたデータベース、J-CHECKというものを構築して平成20年5月より公開して、順次充実を図っているところでございます。
 併せてOECDのグローバルポータルサイトでも、英文版も開発しながらといったところで、充実を図っているところでございます。
 次のキーワード、環境中における化学物質のモニタリング実施状況に関する取組でございます。
 まずは化学物質環境実態調査でございます。
 こちらにつきましては1)から3)までスキームがございまして、これまで順次取り組んできたところでございますけれども、初期環境調査、詳細環境調査、モニタリング調査という3つのスキームでそれぞれ役割分担をしまして、環境中での残留状況などの情報把握に努めているところでございます。
 この3つのスキームを活用しまして、今後も排出源を考慮したりとか、例えば環境省におきましては水・大気環境局との連携も含めながら、類似の調査との整合を図りながら効率的な調査を進めていこうと思っております。
 それから、モニタリングというキーワードでは、ダイオキシンの関係も汚染状況の把握のための取組を行っております。
 ダイオキシン特別措置法に基づく国とか地方のモニタリングの結果についても、そこにございますように、毎年調査を行っているところでございまして、今後も引き続き取り組んでまいりたいといったところでございます。
 次に、河川・湖沼におけるダイオキシン、それから内分泌かく乱化学物質、いわゆる環境ホルモンの調査・対策の推進でございます。
 そこにございますように、ダイオキシンや環境ホルモンについて、一級河川の環境基準点などにおいて環境実態の調査を行うといった取組も進めているところでございます。併せて対策も推進しているところでございます。
 それから、海洋汚染の科学的調査という観点でも、これまでさまざまな取組を展開してきておりまして、特に内湾域から外湾域にかけての汚染物質の広がりの状況を把握して、陸域起源や海洋投棄による汚染の把握といった取組を進めてきてございます。海水・海底堆積物中の油分、PCB、重金属などについて具体的な調査を行っているところでございます。今後も引き続き調査に取り組んでいきますけれども、基礎情報の1つとして、海洋環境中の汚染物質のモニタリングといった取組を柱にして、取り組んでまいりたいというところでございます。
 3つ目のキーワードとして、人の健康及び生態系に対するリスク評価手法等の調査・研究でございます。
 まず、環境リスク初期評価の実施といったキーワードで、人、生態系に着目して定量的な評価、いわゆる環境リスク評価を行って、特に環境リスクが高い物質についてスクリーニングを行って、この環境リスク初期評価の実施を図っているところでございます。具体的な調査の結果につきましても、既にこれまで「化学物質の環境リスク評価」として、第1巻から第8巻とここに書いてありますけれども、公表しているところでございます。
 また、製品評価技術基盤機構におきましても同様のスキームの調査を行っておりまして、特にリスクが高いと考えられる高生産量化学物質を中心に、これまでリスクの評価を行ってきているところでございます。
 次に、改正化審法における化学物質のリスク評価スキームに関する調査についての取組でございます。
 先ほども、昨年5月に改正があったことをご説明いたしました。従前の化審法では環境中で分解しやすい化学物質は対象になっておりませんでしたけれども、今回の改正で、分解しやすい化学物質、いわゆる良分解性物質も対象にするといった観点、それから、先ほども敷衍させていただきましたけれども、既存化学物質、いわゆるこの法律そのものができる前に既に製造、上市されていた物質は対象になっていませんでしたが、今回は、既存化学物質につきましても製造・輸入実績数量の届出の義務づけという新たなスキームが導入されたところでございます。
 それから、優先評価化学物質という新たなスキームを導入いたしまして、いわゆる環境リスク評価の分野にもしっかりと取り組んでいくといったところを改正化審法の柱としたところでございます。
 それから、農薬による陸域生体リスク評価手法の確立調査でございます。
 そこにございますように、農取法に基づくさまざまな取組、文献調査、情報収集などを行ってきているところでございます。
 農薬につきましては大気経由の影響評価についても取り組んでおりまして、同様に、下のほうになりますが、漁場環境化学物質影響総合評価事業では、海産生物への影響評価につきましても、漁場環境の保全でありますとか生物多様性の保全の観点も含めまして、影響評価手法の開発といったものに取り組んでいるところでございます。
 5ページに参りまして、内分泌かく乱作用の試験の国際標準化というキーワードでございます。
 これにつきましての試験法の開発、それから、国際標準化を目的としてOECDが進めております取組につきまして、我が国としても積極的に貢献しているといったところでございます。
 次は、子どもの健康と環境に関する全国調査、通称「エコチル調査」と言われておりますけれども、こちらにつきましても、いわゆる特に影響に敏感であるという観点に着目しまして、胎児、それから子どもへの影響という観点で、10万人規模の妊婦さんを対象にしまして、13歳まで追跡調査を行うというエコチル調査の実施にも取り組んでいるところでございます。
 次に、化学物質による新たなリスク評価手法の検討・開発でございます。
 こちらにつきましても、環境中での分解性とか蓄積性、それから毒性を予測する定量的な構造活性相関、これはコンピュータのプログラムに基づく予測システムでございますけれども、このように、動物実験などを直接的に利用しなくても、ある程度高い精度で毒性などを予測できるようなシステムの開発にも取り組んでいるところでございます。
 さらには、そこにございます遺伝子導入等々といった近代生命科学のコンセプトを導入したような、培養細胞とか動物を用いたような短期試験について、高性能かつ簡易な評価手法の開発といったところに取り組んでいるところでございます。
 ダイオキシンにつきましては、先ほどは環境中のモニタリングといったところでございましたけれども、人へのばく露の観点につきましても実態調査に取り組んでいるところでございます。
 それから、最近注目されておりますいわゆるナノ物質、ナノマテリアルにつきましても、まだ十分に健康影響などについて治験が蓄積していないということもあって、予防的アプローチの観点も含めまして、さまざまな情報収集などに取り組んでいますとともに、取り組むべき具体的事項について、ガイドラインなどを作成して取り組んでいるところでございます。
 それから、化学物質の最適管理を目指すリスクトレードオフ解析手法ということで、今後のところで例に挙がっていますが、溶剤、溶媒とか金属類など、用途のグループ別に、そのグループの中でどういうふうによりリスクを下げるようなトレードオフの化学物質に対応できるのかというところで、本当によりリスクが下がるのかといった観点を評価、分析する評価方法についても、指針の策定、モデル開発といったものに取り組んでいるところでございます。
 他の環境分野との関わり等でございますけれども、こちらにつきましては、循環型社会でありますとか大気、水、それから生物多様性、生態系の観点での取組とも、化学物質につきましてはそれぞれ非常に密接な関係もございますので、この以降の柱でも同じようなことに触れたいと思いますけれども、連携を図っていきたいと思っています。
 8ページ、重点調査事項の次の柱でございますが、化学物質の環境リスク管理とリスクコミュニケーションの推進でございます。
 そこに3つの柱が書かれておりますが、PRTR制度の運用、リスクコミュニケーションの推進、その他情報の有効活用などといった分野でご説明させていただきます。
 第2回点検結果におけるご指摘内容ということで、8ページから9ページの下ぐらいまでの内容が既にご指摘いただいている内容でございますので、これに沿って9ページの下から、主な取組状況についてご説明させていただきたいと思っております。
 まず最初に、PRTR制度の運用状況と課題でございますけれども、PRTR制度につきましては、これまでしっかり運用してきていますといった観点と、後ほどもご説明させていただきますけれども、制度の充実、拡充を図ってきているところでございます。
 10ページの上のほうには、届出対象になっている排出量のところだけに仮に着目しますと、全国的に減少傾向でもございますので、制度による一定の成果があるのではないかといったことも考えているところでございます。
 それから、PRTR関係の法律である化管法につきましては、制度の充実を図っておりまして、対象物質・事業の拡大でありますとか、具体的により的確な情報を集められるようにということで、届出様式などにつきましても充実を図っているところでございます。
 それから、PRTRデータの公表方法の拡充といたしまして、個別事業所ごとのPRTRデータについて、ホームページ上でも公開し、充実を図ったところでございます。
 届出外排出量の推計方法につきましても、充実を図ってきているところでございます。
 それから、化管法の制度の周知につきましても積極的に、前回の基本計画点検でのご指摘を踏まえながら、さまざまな情報提供に取り組んでいますとともに、ご指摘を受けましたPRTR目安箱を設けたり、特に悪質な未届け事業者に対する厳正な対処にも取り組んでいるところでございます。
 11ページ、PRTRの続きでございますけれども、マニュアル等の整備による、より一層の制度運用の充実といった観点、それから、環境基準が設定されていない物質も含めた環境濃度の推移の的確な把握といったところについても、モニタリングの充実を図っています。
 今後の制度運用につきましても、これまで政令、省令の改正を化管法で図ってきたところでございますけれども、より一層の充実に努めてまいりたいというところでございます。
 次のキーワードであります、リスクコミュニケーションでございます。
 こちらにつきましても、政府部内関係各省と連携しながらさまざま取り組んでおりまして、特にリスクコミュニケーションに必要な情報の公開では、例えば化学物質のファクトシートということで、毎年50物質程度の情報を追加しながら提供でありますとか、下水道の分野でも手引書の作成など、リスクコミュニケーションの充実に努めているところでございます。
 それから、先ほど少し触れましたJ-CHECKの充実につきましても、リスクコミュニケーションの一環として位置づけているところでございます。
 12ページになります。
 さらに、製品評価技術基盤機構におきましては、「化学物質と上手に向き合うには」ということに着目しましたリスクコミュニケーション分野の情報提供にも努めているところでございます。
 また、化学物質アドバイザーの派遣、それからリスクコミュニケーションの場の提供。円卓会議のようなものでありますとかセミナーを通じまして場の提供に努めているところでございます。
 その他でございますが、情報提供の関係では、情報共有の政府部内でのより一層の推進、連携強化の一環でもありますけれども、連携施策群における各省化学物質関連施策の連携強化というところで、科学技術基本計画のもとでの重点分野として位置づけられた上で、連携施策群という研究開発分野を新たに実施しまして、重点的にこの分野に取り組むという柱を立てているところでございます。
 13ページでございます。
 CCA処理木材が一部に含まれる廃材のリサイクルといった観点につきましても、焼却、埋め立てを適正に行うといった観点での取組に努めているところでございます。
 他の環境分野との関わり等につきましては、先ほどと重複しますので割愛させていただきます。
 重点調査事項の3番目の柱になりますけれども、国際的な視点に立った化学物質の管理の取組でございます。
 今度は国際的な視点からということでございますけれども、こちらにつきましても3つのキーワードを立ててございます。1つは、SAICMに沿った化学物質管理の取組。それから、国際協調に基づく環境リスクの評価といった観点。それから、積極的な情報発信といった3つの観点でハイライトしてございます。
 SAICMに沿った取組でございます。
 ご承知のとおり、WSSD2020目標といったものが2002年に採択されているところでございますけれども、この基本理念と哲学に基づきまして、さまざまな取組を展開するようになどといったところを、既に第2回に指摘を受けているところでございますけれども、この部分につきましても割愛させていただいて、これに沿って、15ページの真ん中以降になりますけれども、具体的に取り組んでいる事項についてご説明させていただきます。
 SAICMの関係では、まず第1点目に、化審法の改正。先ほどの説明と重複しますので、あまり冗長にならないようにしたいと思いますけれども、化審法の改正によるWSSD2020年目標という理念への貢献といったところに取り組んでいる。特に既存化学物質を含むすべての化学物質を対象にして、規制対策、適切な管理といった制度の導入に移ったという観点。
 それから、化管法につきましても同様に、SAICMの基本理念に沿った取組ということで、こちらは先ほどの内容を再掲させていただいてございます。
 16ページでございます。
 アジア太平洋地域におけるSAICM実施について主導的な役割の実践でございますが、我が国におきましては、アジア太平洋地域におけるSAICMのフォーカルポイントといった観点でありますとか、さまざまな点で、アジアの中でできるだけ中心的にリードしていくといった役割を担っているところでございます。
 Japanチャレンジプログラムに基づく取組でございますとか、先ほどご説明しましたエコチル調査につきましても、国際的な流れでありますWSSD、SAICMの戦略の流れに基づく取組として位置づけてございます。
 16ページの下のほうにつきましては、国際協調に基づく環境リスクの評価等でございます。
 まず、POPs条約の有効性評価に関する議論への貢献ということで、いわゆるPOPs条約に日本としてしっかり貢献していくとともに、もちろんそれに基づく条約、規制事項についてはしっかりと履行していくという観点での取組として、挙げているところでございます。
 POPsの関係では、ダイオキシンのような非意図的な生成物のBAT/BEP、いわゆる具体的にどう取り組んで対策をとっていったらいいのかというところについても、指針のようなものを定めて取り組んでいるところでございます。
 それから、国際的な議論への科学的治験の提供、集積に貢献するといった観点、それからPOPs対象物質について、それぞれの国に義務が課されるわけですけれども、その義務についても、国内法などの取組でしっかり履行していくといった取組に万全を期しているところでございます。
 水銀対策関係につきましては、UNEPにおける水銀管理に関する条約を受けまして、日本が積極的な対応を図っていきたいといった方向を考えておりまして、18ページに続いておりますけれども、我が国におきましては、特に水銀管理に関する条約の第2回政府間交渉委員会、INC2と言っておりますけれども、こちらをぜひ日本で行いたいということも既に国際的な場で表明しているところでございます。
 それから、水銀につきましては、アジア地域のリージョナル・コーディネーターも努めているところでございます。
 リスク評価に関する国際的動向を踏まえた取組でありますとか、農薬登録制度につきましても各省連携して行っているところでございますし、それから、アジア地域の中でも特に日中韓にハイライトして政策対話を実施したり、この中で、例えばGHSという世界的な表示の調和の観点などにハイライトした取組についても情報・意見交換の場、政策対話を行っているところでございます。
 3つ目のキーワードであります情報発信につきましては、さまざまなスキームのもとで取り組んでいるところでございますけれども、特に国際協力機構─JICAその他、国際協力関係に関する機関との連携を含めまして、アジアまたはASEAN地域との連携、それから、そういう地域への協力を念頭に置きながら戦略展開を図っているところでございます。
 最後になりますけれども、他の分野との関わり等につきましても、先ほど同様、循環、大気、水、生物多様性の観点からの連携、さらには、特にここにつきましてはBAT/BEPと言われる対策につきまして、特に水、大気、廃棄物といった対策分野との連携が非常に重要でございますので、そういう観点を念頭に置きながら積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございまして、こういうものに取り組んできたといったところをご報告させていただきます。

○鈴木委員長 大変丁寧にご説明いただいたと思います。
 それぞれの項目につきまして、関連府省の名前が挙がっております。ただいま説明いただいたことに関しまして、それぞれご出席の方から補足説明はございますでしょうか。もしよろしければ、後でご質問を受けながら補足をしていただいてもよろしいかと思います。
 最後の部分で、国際的な連携ということで外務省関連のテーマがかなり挙がりましたが、今日は外務省は来ておられないわけですね。

○小森計画官 来ていません。

○鈴木委員長 それでは、ご質問、ご意見がおありの委員は名札を立てていただけますでしょうか。
 それでは、森嶌委員から。

○森嶌委員 個々の質問ではありませんが、第三次の環境基本計画のときには、細かいことは忘れましたけれども、要するに、今までのような定性的な記述ではなくて、なるべく点検を定量化するということにしたはずです。しかし、今日のご報告でも「調査を進めています」とか「対策を進めています」ということになっていますが、今回の点検をする場合に、そのままのやり方でいいかどうか、我々の点検の仕方について問題にしたいと思います。
 そういうことを申しますのは、今、政府の行政刷新会議と称するところが「この事業をやってどれだけ効果が上がるんだ」ということをしきりに言っていますね。全くアットランダムなので申し訳ないのですけれども、例えば2ページの最後のところ、これは決して国土交通省に物申すわけではありません。2ページの一番最後の行に「……調査を実施しています。また、……を行い、汚泥浚渫等の対策を実施しています」と書いてあるんですけれども、どれだけの予算を使って、調査をどれだけして、対策を実施した結果、どれだけの効果が上がっているのか。行政刷新会議ならば、これだけの予算を使って大して効果が上がっていないんだったら、この事業は廃止とか何とかいうことになりかねないわけですね。
 そうだとすれば、やはり我々が点検をするときにも、私は、数量化できないことは幾らでもあると思いますから、従来のやり方が決して悪いというのではありませんが、もしできるならば、外側からいちゃもんをつけられないような定量的な点検を我々はして、今後、事業仕分けなどで途中でパッと政策が止まってしまわないような点検をしておくべきではないかということです。
 点検というのは、いちゃもんをつけて廃止をするのではなくて、むしろ事業をサポートして続けていけるような形で、点検の際に、我々が指摘をするにあたっても「こういう方向で政策を進めていくべきだ」ということを示して、単なる経費削減的な発想に対して我々の持続的発展からの指摘が使えるようにしなければならないと思うのです。
 これもたまたま目についたのですが、9ページの真ん中からちょっと上に<4.人材の育成>とあります。「化学物質アドバイザーの派遣については、今後も、実績を拡大すべきです」と言う記述がありますが、これも人材派遣してどれだけの効果があるのかが問題にされるおそれがあります。それから、<5.リスクコミュニケーションの場の提供>では、シンポジウムなどについても、「なぜ国がこういうことをやるんだ」と言われかねない。今度、環境省や他の省もそれぞれ事業仕分けをおやりになるようですけれども、せっかく基本計画を立ててこれを実施しながら、事業仕分けと政策との関係をどのように考えておられるのか。
 やはり点検をする過程で、それぞれの政策がどういう意味を持っているのかということについて、報告書を出される役所のほうでも、これまでこれだけのことをやってきて、将来これだけのことを年次的にやっていくんだということを、細かい数字はいいとして、現在、こういうロードマップのこの辺にいるということをできるだけ出しておいて貰わないと、成果が出ないうちに事業仕分けで長期的政策が途中でぶった切られることになりかねない、のではないでしょうか。
 単なる政治的な思いつきで長期的な環境政策が行き詰まりにならないように、この点検を役立てるべきではないでしょうか。先ほど委員長が世の中騒がしいと言ったけれども、その世の中の騒がしさを鎮静化するなどというつもりはありませんけれども、もともと第三次の環境基本計画で、数量的なものをできるだけ出して戦略的な点検をしたいということでした。そして、今回の点検も、どういうふうに計画が進んでいるのかを見える化していこうということだとすると、報告書を出される方もできるだけそういうふうにしていただきたいし、我々のほうもそういう指摘をしたいと思います。そのことが、私の目から見ると、このところ行政を長期的観点から計画的に進めることが難しくなっているように見えることに対して、これをきちっと進める原動力になると思います。
 なお、今、例として挙げたのは、たまたま目に付いたもので、決してそれが特に問題だということではありません。

○鈴木委員長 この第三次基本計画をつくる段階で、既に「指標等による計画の進捗状況の点検及び計画の見直し」というのが盛り込まれていながら、実はどういう指標を本当にどう使うのか、そして目標として定量的にどう設定するのかという辺りが今の段階では十分ではなかった。森嶌委員のおっしゃるとおりですね。それはぜひ第四次の環境基本計画をつくる段階からしっかりと議論をしておかなければいけないと思います。例えば国連のミレニアム・ディベロップメント・ゴールでも、上水道に関しては、2015年までに安全な水が飲めない人の人数を半分にするとか、極めて定量的な目標をしっかり出しているわけですね。そういうようなことを、こういう分野で、あるいは環境だけではなくてそれぞれの施策の分野でしっかりと出していくというのは、本当は我々国民にとって必要なことなんでしょうが、それがないがゆえに、仕分けの必要性も生まれたのかもしれないですね。

○森嶌委員 私が、仕分けに遭ったかどうかというような個人的な問題ではありません。問題を最小化してはいけません。客観的に眺めた場合に、これは「第四次になったらそうしよう」というのではもう遅いんです。2011年度から始まるわけですから、今回の点検の際にも、資料をお出しいただく役所そのものの問題ですから、役所のほうでもお考えいただきたいし、私どものほうも点検する際に、「第四次になったら」と悠長に構えないで、今の段階でできることはできるだけ、この第三次の点検を通じて、第四次に向けて、何も環境省だけではなくて、他の省庁も含めて、それこそ持続的に展開していけるような指摘をするべきです。そういうことで点検のやり方を考えていこうではないかということを提案したので、具体的にどうするかは、やはりリーダーシップを持っておられる委員長がお考えになることです。

○鈴木委員長 そのとおりだと思います。確かにお伺いいたしました。ご注意はよく受け止めさせていただきます。

○三浦委員 私は、今、ご説明いただいた資料1-1の17ページ、さらには資料1-4の12ページの国際的な取組のところから質問させていただきたいと考えております。
 POPs条約に基づくダイオキシン類の1つ目の○に「地理的関係から影響が大きい東アジア」ということで、最近、黄砂の影響が全国的に散見されていますけれども、こういった状況が起こっていることに対して、もうこちらの環境技術を後進国に提供するだけではなく、日々起こっていることをどうデータ化して、どう伝えていくか、あるいは、気象状況からどのような被害があるのか予見することも可能ですから、そういった情報をどう発信していくかといったことも含めて考えると、もはや環境省だけの問題ではなくて、例えば外務省ですとか厚労省、気象庁といった連携の仕組みを考えもう少し迅速な対応が必要になってくるのではないかと感じました。それにつきましてはどのような状況になっているのでしょうか。

○鈴木委員長 一通りご質問をいただきます。

○速水委員 私自身が森嶌委員を仕分けする立場だったのですが、森嶌委員からお話が出たので、少し話させていただきますと、話が大きくなるんですけれども、1つは、調査というものはかなり様々あるわけです。あるいは、データ収集の中でさまざまな収集方法をとっていらっしゃるが、これは仕分けした経験から申し上げれば、調査事項をどう共通化するかが、少なくとも今の政権の調査に対する考え方ですね。アンケート等もそうですけれども。いかに他でやっているものと重複しないで、それを利用していくかということは、環境省に対して、その現場での期待感がかなり大きいわけです。
 少しここからずれますが、例えば生物多様性等でも、各省庁がさまざまな形で生物多様性の調査をやっているけれども、それは環境省にまとめなさいとい意見が仕分けの場では良く出るわけです。私自身はそれに100%賛成している立場ではないですが、全体的にはそういう動きがあるので、ここでも調査事項はたくさん出てくるんですが、少し横串を刺して、いかに調査事項をまとめて行っていくかという発想を、今後、計画の中に盛り込んでおかなければいけないだろうと考えました。
 数値目標と達成率、これはもう先ほどのお話で結構かと思いますけれども、調査事項に関しては、そういう感じがいたします。
 もう一つ、これは個別の話ですけれども、10ページにある<化管法の周知等>の一番下に「悪質な未届け事業者」と書いてあるんですけれども、化学物質の問題は、適切にやっている方々はかなり厳しくやっている。ところが、無届けであったり悪質であったりというのは、小さい業者でもそこから出ていく被害だとか汚染だとかいうのは極端に量が多い、そういう場合がよくあるわけですね。そういう意味では、さまざまな登録制度をとっているときに、登録されていないものをどう掌握していくか、あるいは登録されていないものを俯瞰して見ていくという立場をどこかでしっかりとっておかないと、登録されたものに関しての管理に終始してしまうと大きな目標から外れるのではないかと、ちょっと気になりました。

○林委員 1つは具体的なこと、1つは全体的なことであります。
 具体的なほうは、工場跡地のような、もともと汚染の可能性のある敷地の土地利用転用、再開発などのプロジェクトがあろうかと思います。例えばマンションにしたりとか。そういうものがあるときに、一体どういう確認システムになっているのか。特に地中に浸透したりしたときに、地下水を通して全く見えない所に、空間的に全く違う場所に出てくることがあるわけですね。そういうものの点検はどうなっているのか。
 今日の報告では、汚染源の場所で測ったり見たりして判断するシステムの報告に聞こえたものですから。それ以外の空間的に伝わっていくものも、同様に考えていただければと思います。
 2つ目は、全体の牽制関係とでも言ったほうがいいと思いますが、今の速水委員のご発言とも関係しますけれども、報告あるいは非報告、それに対してどこが監視するのか。これは政府であったりNGOであったり市民であったりしますね。その全体のストラクチャがどうなっているのかという一般図が要るのではないか。そういうものに基づいて、各省庁に関連することがあったら「各省庁でこういう関係になっている」と対応するようなものが具体的に示される、それに基づいて我々はこういう点検をしている、そういうベースが要るような気がしました。
 特にNGOの活用という言い方がいいかどうかわかりませんが、かなり前面に出た取組、政府が全部お金を出してやるという時代は終わったと思いますので、そういうことが重要かと思います。

○中野委員 子どもの健康と環境に関する全国調査のことですけれども、生活環境とかそういうところを調べるためには、やはり環境省だけではなくて、文部科学省との連携が大切ではないかと思います。
 例えば10万人を対象としていろいろと調査をされるのでしたら、環境省の視点だけではなくて、やはり文部科学省、そしてそれに関連する省庁と連携しながら調査をされたほうが有効ではないか、このように思います。

○岩村委員 私からは、この報告の位置づけにも関わるんですが、ダイオキシンのところ、2ページ以下のところを見ると、ここだけ対策が出てくるんですね。浚渫等によって処理をしているという対策が出てくるんですが、他のところには調査、モニタリングの話、リスク評価の話しか出てこない。ということは、この評価というのは他の分野についてはそこまでまだいっていないのか、浚渫以外の対策はないのか。それとも、そうではなくて、ここはそういうリスク評価なりモニタリングをするという項目だから対策を書いていないのか、そこがよくわからないというか、教えていただきたいと思います。
 それから、汚泥の浚渫等の対策はいいんですけれども、では、その汚泥を浚渫して、その後、無毒化というか、一般の安全なものに変える対策はできているのか。これは国土交通省から教えてもらえばいいんだろうと思いますが、そういったところが質問です。
 それから、ここで言っている対策は世界のレベルから見て大変優れているものなのかどうか。ダイオキシンの対策で言うと。もし優れているのであれば、後にも出てきますけれども、外国との関係で、恐らく今、東アジアの国々は、日本がたどってきたような道を歩んでいるんだろうと思うので、そこにそういう国際貢献なりができるものなのかどうか、いや、まだそんなところまでいっていませんよ、これからまだまだ対策が要りますよということなのか、そんなことを教えていただくのと、最初に申し上げた位置づけですね、対策までここで報告していくのか、しないのか、そこら辺を併せて教えてもらえればと思います。

○崎田委員 化学物質の分野は非常に充実してきていると感じるんですが、状況的に、この調査項目であるリスク評価の推進というのは、リスク評価を推進して産業界や事業者の自主的な管理、あるいは生活者の自主的な管理を進めたり、規制的な措置を検討するための基本的な調査をする、そのような性格を持っていると思うんですが、そういう社会的に波及させるという意気込みがもう少し伝わるような形で評価をしていくことが必要なのではないかと、実はちょっと思いました。
 具体的に一体どういうことを言っているのかといいますと、例えばなんですが、4ページの上から2ブロック目に<農薬による陸域生態リスク評価手法確立調査>とあります。例えばこの文章の最後に「評価・管理措置の導入可能性について検討を行います」とあるんですが、今、いろいろ環境に関心を持っている方から、例えばですが、「農薬のネオニコチノイドはどういうふうに皆さん思っているんですか」と質問を受けることが増えています。そういう社会的な関心が高まっているものもある。そういうものに関しては、こういう中でどう対応していっていただけるのか、ある程度の方向性が出るのにどのぐらいの時間がかかっていくのか、何かそのようなこともわかるような視点があるといいなと感じました。
 次に、5ページのエコチル調査ですが、私は、こうやって大規模な予算をきちんとつけて、子どもの健康についてこれから10年かけて調査する基盤ができたことは大変すばらしいと思うんですが、今後、いわゆる化学物質全体のリスクコミュニケーションとか広報にかかる予算がどんどん削られて始めているときに、調査とリスクコミュニケーションは別にやるというのではなくて、私たち市民生活に非常に関係があるようなこういう大規模調査をやるときに、これを活用しながらきちんと情報発信していくことでいろいろな理解を進めるとか、何かそのような連携した全体像、いかに社会に効果を定着させていくかというところを考えて、こういう調査をぜひしていただければありがたい。そういう視点も込めておかれたほうがよろしいのではないかという感じがいたしました。
 また事例として、6ページに【他の環境分野との関わり等】とあるんですが、例えばこういところですと、今、生物多様性条約のCOP10が今年10月に開かれるということで、いろいろ動いており、生物多様性と化学物質の話は非常に関連しているところもあるわけですので、こういうところで今、どういうふうに対応しようとうしているのか、あるいはそこをどう活かそうとしているのかみたいなことも大事だと思います。また、温暖化にきちんと取り組むため、省エネ基準を厳しくして100%義務化しようとか、そういう検討さえ進んでいるわけですが、断熱性能が厳しくなったらアレルギー体質の人が急激に増えることも、EUの事例などでは出ておりますので、そういうことにどう対処していくのかとか、いろいろもうちょっと現実につながるような対応がわかるように、この評価をしていければいいのではないかと思いました。
 最後に1点、リスクコミュニケーションのところですけれども、やはりこういうリスクコミュニケーションも、こういう仕掛けをしながら、どういうふうにリスク管理が進むかといったことを考えていくことが大事だと思っております。実はこういう国の方向性に沿い、今、自治体がさまざまな情報を使って地域社会の中で、例えばPRTRデータを使って、中小事業者さんの化学物質をどう減らすかという取組をしていますが、そういうときに地域の大規模事業者さんは、自らの取組を地域の中小事業者さんに伝えても評価される仕組みがなくて、忙しくてやっていただけないとか、いろいろな壁にぶち当たっています。そのような現実の自治体とか事業者さんの、そういう現実を踏まえて、この評価の次にどういう施策が必要なのかということまで見えてくるような評価をみんなでしていけるといいなという感じがいたしました。

○浅野委員 今、崎田委員が言われましたが、化学物質の分野は第一次環境基本計画の策定のときには、ややおっかなびっくり「環境リスク」などという言葉を入れて、各省から抵抗を受けるかなと思っていたのですが幸いスッと通ったんですね。つまり、各省はあまりお気づきにならなかったらしいんですが、それ以降、第二次計画、第三次計画を経て、資料5を見てもわかるように、かなり施策が進んできたと思いますし、それから、今回のこの報告を見ても、各省の連携がかなり進んできていることはわかるわけです。
 ただ、森嶌委員が最初におっしゃったように、全体としてこれを見ると、定性的にはこのぐらいのことが行われているということはわかるわけですけれども、それでは済まない部分があるだろう。特に、非専門家にも、今、どういう状況になっているかをわかるようにしないと説得力が出てこないという気がするわけです。
 その意味では今回の報告もまだ、大学の研究室の報告を聞いているような感じで、それぞれの教室がそれぞれ自分の興味のあるテーマを勝手にやっていて、「大学全体としては何か研究が進んでいるんだろうな。でも、一体どうなっているの?」というような感じがするわけです。
 もちろん化学物質の問題ですから、片っ端から、次から次へと物質を調べていけというものでもないことは当然で、調べる価値があるもの、調べる必要があるものがこのぐらいある、その中でさらにこのぐらいのことまで調査が進みました、しかし、本当は背景にこれだけのものがあるんですといったことが文章に書かれていますから、ある程度知識がある者にはわかるんですけれども、例えば絵に大きな丸をかいて、これぐらい化学物質があるが、その中でリスクの管理が特に必要なものはこのぐらいあって、実際には今までこのぐらいのものが施策として進んでいるんだとか、調査はこれぐらい進んでいるんだとか、4つぐらいの輪で絵をかいて、それが毎年毎年大きくなっているか、小さくなっているかぐらいのことを示す工夫はできるんだろうと思ったわけです。それが実は第三次計画で指標として掲げたものだったわけです。
 すなわち、この分野の指標として何を取り上げることになっているかというわけですが、大気環境と水環境の両方で環境基準、指標値が設定されている物質について達成状況がどうかを示す、これはもう既に出ています。これは環境省固有のデータで簡単に処理できますから、これは既に公表されているわけですが、それ以外の、製造、使用、廃棄の流れの把握を含めたリスク評価の取組が進行し、または終了している物質数というのがあります。
 これは実はつくったほうも、いささか無責任なつくり方をしていて、ただ数字を並べればいいというつもりで書いたわけではないわけですけれども、私が最初に申し上げたような、輪っかをかいておいて、これぐらいの輪があって、こうなってこうなって、こうなってぐらいの感じで、それが1か2かではないのです。去年よりも1つ増えた、2つ増えた、減ったというような細かなことを言いたいのではなくて、全体としてはどう進んでいるかの概況を毎年毎年追いかけていけば、非専門家にも状況がわかって、それなりの安心感を得られるのではないか、そんなことが、この二番目の指標という形で考えられたことであり、それに基づく点検をやらなければいけないというこの部会の役割があるにも関わらず、森嶌委員ご指摘のとおり、今までやってきていない。今年になって改めて、これをもう一回取り上げて調べてみたのですけれども、全然どこにもないわけですね。ですから、今からでもちょっとこれはやってみる必要があるのではないか。
 パーフェクトな数字を、例えば廃棄段階でどういうふうに評価ができているかなんて議論を始めたら、そんなものできっこないわけですから、それはいいわけです。これはこの間、政策検討のためには松・竹・梅ぐらいの区別されたデータがあればそれでいいので、細かい、0.00幾つのオーダーで上がったの下がったのというのはどうでもいいことだと思います。行政の方も、0.00何という数字が出せないから何も出せないというのでは、そもそもやっているのかいないのかが全然わからないではないかという気がします。
 さて、いろいろと各委員からお叱りのご発言があったわけですが、この基本計画をつくったときのことをもう一回思い出していただきたいんですけれども、化学物質管理については、実は、最初に科学的な環境リスク評価の推進を挙げ、その次に、リスク管理を推進する。3番目に、リスクコミュニケーションをやる、こういうふうな計画になっている。これはちゃんとストーリーがあって、評価ができなければ管理はできません。管理が行われると同時に、それに合わせてリスコミをやらなければいけません、こういうシナリオで計画をつくったわけですが、これまでの点検では逆にやってきてしまっていて、いってみれば後ろから前に向かって点検をしてきて、ようやく入り口にたどり着いたわけです。ですから、もうこれで4回目の点検ですけれども、4年間かけて、本当は最初からリスク評価の推進ということがちゃんと進められていて、4年たったんだからこれぐらいの成果が上がっています、それについてはリスク管理にはね返っています、リスコミのほうにもこんなふうに活きています、こういうストーリーを我々は描いたはずです。ただ、残念ながら点検のやり方は、諸般の事情でそちらからできなくて、できるところからやりましょうと考えたものだから逆の順序でやってしまってきたわけですが、総集編をつくる段階になりましたから、今までやったことと、これをもう一回突き合わせて、今のストーリー性に合わせた話を進めていくということをしないと、4回目の点検の報告にはならないと思います。
 これは審議会が出す報告書ですから、事務局にやれなどとけちなことは申しませんけれども、我々はそういうつもりでこれを取り上げていかなければいけないだろうと思います。
 その中で、さっき崎田委員が言われたこと等も、そういう順序ですから、それはそうだろう。岩村委員のご指摘は誠にごもっともで、あの部分はたまたま聞かれたほうが、ここで聞かれたものにそこで答えただけだと思うので、整理をするときには、そちらはリスク管理のほうに移さなければいけない。たまたまダイオキシン規制法に関連する施策を進めておられる担当者としては、どうしてもそこで「対策をやっています」と書かなければいけないと思われたんだと思いますから、報告者を責める気は全くないんですが、むしろ編集者側の責任でちゃんと仕分けをすることが、仕分けというのは、いわゆる事業仕分けではなくて、こちら側の項目仕分けをしなければいけないと思います。
 その上で最後に、多くの委員がいろいろご指摘になりましたので、私も各論的には気になる部分があったのですが、事業仕分けをする気は毛頭ないのであまり言いたくはないんですけれども、例えば、国交省が海洋汚染調査をやっておられ、水産庁、農水省のほうで漁業環境化学物質影響調査をやっておられる。多分これは意図するところが違うので、フィールドが丸きり違うのだろうと思うんですね。大きな状況で化学物質の拡散状況を海洋全体で見ようというのと、内湾の漁場のような所での汚泥による生物影響を見ようというのでは、当然目的が違いますから、それはそれでいいんですけれども、そういうことについてちゃんと話し合って、こういう領域の違いがあるからそれぞれやらなければいけない、そういうことでやっておられるのだということを我々が納得できれば、廃止とか縮小と言う気は毛頭ないんですけれども、もし万一ダブッで同じような海域でやっているのであれば、これは若干問題かなという気がします。
 仮に同じようなフィールドで同じような目的でやるなら、データの相互利用はできるだろうと思うんですけれども、研究機関でも、同じフィールドでいろいろな研究室が同じようなことをやっていたり、無駄なことをやっているのはもったいない。だから、ここは目的や対象が違うんだという説明を聞かせていただければ、とりあえずは安心してお話を伺えると思います。
 いずれにせよ、このままの報告では、何か「こういう調査をやっています」ということが並んでいるだけですから、最終の見せ方としては、そのことがどういう成果にどうつながっていって、我々のこのストーリーの中で2、3、4という展開の中にどうつながっていくのかを見ていきたい。それがまだ十分つながる芽が出ていないなら、そこをつなぐような工夫をしてほしいというのが今回の点検報告の中での勧告事項になるのだろうと思います。

○森嶌委員 関連で。私が一番最初に発言したものですから……

○鈴木委員長 簡潔にお願いします。

○森嶌委員 先ほど速水委員がおっしゃったことで、調査がダブッたり何かしていることについては、なるべく省庁を越えて調査方法を統一するような方向でというサゼスチョンをすることは大事ですけれども、私は、事業仕分けの際にとられている廃止という形でははなくて、むしろポジティブに、前を向いて、どういう方向に行政とか政策を進めていくのかを、この審議会は示唆すべきだと思います。
 今、事業仕分けがやっていることは、「廃止」とは言うが、あと何をすればいいんだということを示していない。その意味で、私は速水委員に申し上げたんですが、事業仕分けは意図としているところはいいのかもしれないけれども、方法論的に間違っているから、私は評価しないと申し上げたので、私が仕分けに呼ばれたからそういうことを申し上げているわけでないことを、ここで改めて申し上げておきます。

○鈴木委員長 ありがとうございました。いろいろなご質問、ご意見がございました。
 これはここだけで議論しても仕方がないことなんですが、特に環境の問題はいろいろな分野、いろいろな府省に関わることは、今日お集まりいただいている方々のお顔を拝見してもわかるんですが、化学物質だけでもこういうことになるわけで、他の生物多様性であり、また気候変動の問題であり、すべて同じようになっていくのですが、調査ということだけをとっても、つまり国家統計みたいなものをきっちりつくるといったことでさえ、それぞれがバラバラにおやりになって、そしてまた、今の時代の流れでeガバメントに関しても、各省がきっちり連携してどういう仕組みをつくるか、そういうグランドデザインが欠けている。化学物質の面においても、経済産業省において化学物質の管理をお考えのグループもたとえばQSAR等を使って毒性評価などをやっておられますが、そういう活動と環境省の側とも連携をとっていくことも必要でしょう。府省の間の連携性もあり、環境省の中でも局の間の連携性もあるでしょう。まさに連携施策群という事業も内閣府では、化学物質についてやっておられました。これも大変重要と思いますが、時期が来ると終わってしまう、ということにになってしまう。本来は何か国家的に、化学物質だけをとっても、きっちりと連携をとるような仕組みが必要なのではないかと思います。
 環境面の問題というのは、色々と他に関わる問題が多い。食の安全などは化学物質に関連していろいろな問題がある。厚生労働省に関わるわけですが、残留農薬と言うことになれば農林水産省に関わってくる。環境中の化学物質ということになれば環境省と無縁とはとても言えない。しかしながら、その連携をどうとるかはなかなか難しいでしょう。
 いろいろと個別に出たご質問に対しまして、対応頂きましょう。
 では、和田さんから。

○和田化学物質審査室長 的確にお答えできるかどうかわかりませんが、もし不足しているところがあれば、各省からお願いします。
 まず、三浦委員から、多分キーワードは越境大気汚染かなと思っています。例として黄砂というのが出て、たまたま保健部的には、黄砂そのものに着目するとあまり、化学物質であるとかないとか瑣末な議論になってしまうので、地球環境局と環境保健部で連携しながらということはあります。
 具体的には、例えば黄砂を例にしますと、中国が発生源ではないかというのはあるんですが、まずはモニタリングデータを各国間で共有できるかとか、予報のシステムを設計できるかとか、発生源をより押さえられるかといった観点からしっかり、先生からご指摘がありましたように、外務省、それからもちろん環境省、それから、例えば黄砂ですと気象庁とか農水省といった連携で、ヘッドは外務省にしたりとか、いろいろ手を変え品を変え、例えば中国との連携とか、なかなか情報を出してくれない中国にどう働きかけるかとか、黄砂を例にするとそんなこともやっていますし、環境保健部風の化学物質という観点でいくと、まずは越境大気汚染につながるような化学物質の問題がないかという観点でしっかりと、東アジアPOPsモニタリングをやりながら、なかなか日本のようには測定能力がなかったりするので、そういうキャパシティ・ビルディングといったところにも取り組んでございますけれども、まだステップ・バイ・ステップではあります。
 ただ、連携という意味では、越境大気汚染ということでは結構政府部内で連携がとれているかな、頑張っているかなという感じではあります。
 それから、速水委員からのご指摘です。
 これは先ほど浅野委員からもこ指摘がありましたように、調査事項をどう共通化していくか。逆に言うと、これは重複があるのではないかということでもあるんですが、ちょっと私のほうから「これ」というのはないんですけれども、もし重複があるのであれば、それはやはりどうストラテジックに設計していくのかが非常に重要ではないか。特に横串で刺した上でどうストラテジックに、こんなことでないかなとは思っています。
 それから、届出されていないほうが実はドンと出ていて、そちらの影響のほうが大きくて、本末転倒ではないか。そこまではおっしゃっておられなかったと思いますけれども、そこの観点については、限界はあると思いますけれども、一応、届出義務がないところについても、通常、大気とか水等でも同様の手法をとるんですが、いわゆる面源データ的にとかそういった観点で、国のほうでできるところまでデータを把握して、データアロケーションをして排出量を入力して予測するというところをやっています。
 ただ、よく考えると、ある小さな工場がドンと出しているというところまで本当に把握できているのかというところは、課題かなとは思っています。
 それから、林委員からご指摘がありました、例えば工場跡地の土地利用転用等があった場合には、どんなスキームになっているのかというお話です。
 こちらもトピックスとしては非常に国民の関心の高いものだと思いますけれども、例えば昨年の春、土壌汚染法の改正のときも、このような観点が非常にハイライトされまして、いわゆる昔々工場跡地だったことが後でわかって、不安で仕方がないので全部調査すべきではないかとか、または土を全部入れかえるべきではないかとか、そのような観点についてどのように対応するのが最もリスクが小さいのかといった観点での、例えば土壌汚染対策法の世界で言うと、制度手当というところに取り組んでございますのと、あとは、例えば委員から地下水汚染というキーワードがあったと思うんですが、それについては、どちらかというと今まで環境省は満遍なく、限られた予算でめり張りなく地下水汚染をウォッチしていくということではあったんですけれども、昨年から新しく地下水汚染のモニタリングスキームも、土壌汚染との連携をよく図りながら、やはり危なそうなところを重点的に図るというコンセプトも入れながら、地下水汚染モニタリングというスキームを少し衣替えしてございます。
 限界はあると思うんですが、そういう点にもハイライトしながらという取組であろうかと思います。
 それから、やはり全体的に取組が見えにくいということもあって、そんな中で、例えばNGOの活用なども含めて、何でもかんでも政府がやるのではなくてといった視点も重要ではないかというご指摘が林委員からありました。
 確かに、まさに化学物質は、後でもご指摘いただきましたけれども、予算等も限られておりますので、いかにいろいろな主体と連携しながら、リスクの評価から管理コミュニケーションに至るまで効率的に対応するかが重要かと思っております。
 それから、岩村委員からのご指摘ですが、先ほど浅野委員からアドバイスがございましたように、ダイオキシンのところの書きぶりは、まさに項目の整理上は書かないということなんですけれども、何か対策を書かないと何となく後ろ向きに見られるのではないかということもあったのではないかと思いますが、もし違っていれば、関係府省からご指摘いただければと思います。これは整理上の問題だけかと思っています。
 あとは、ダイオキシン対策も含め、世界と比べて進んでいるところがあれば国際貢献が可能ではないかということです。ちょっとこの辺、自信がないのでもし必要であれば補足していただければと思いますが、何らかはあるのではないか。あるのであれば、いわゆるテクノロジー・トランスファーの観点で途上国支援というのは、特にアジア地域を中心にという点が重要になってくるのではないかと思っています。必要であれば補足していただければと思います。
 あと、崎田委員から農薬の関係もございまして、ネオニコチノイド系についてどうなっているんですかというようなお話でした。これはうちと農水省の両方にまたがっている可能性があると思うんですが、後ほど補足させていただきたいと思っています。
 それから、エコチル関係についてもしっかりやっていってほしいという、いわゆるエコチル調査自体はいいけれども、エコチル調査の結果をどうリスクコミュニケーションにつなげていくのかといった戦略的な連携みたいなものも、やはり必要ではないか。あとはCOP10をにらみながらとか、それからクライメット・チェンジが非常に注目されている中で、例えば断熱性能が上がって室内の化学物質汚染みたいなものが問題になるのではないかといった観点でのご指摘もいただいています。こちらについても、非常に重要な問題かと思っています。
 浅野委員からご指摘のところは、これは質問というよりは、我々に対するこの場でのいろいろな意味でのご指示かなと思いましたので、しっかり受け止めなくてはいけないかと思っているところでございます。

○環境省(筒井環境リスク評価室長補佐) 保健部リスク評価室補佐の筒井と申します。
 エコチル調査の関係で、文部科学省等との連携をということでございますけれども、この調査自体、この設計に際しましては厚生労働省、文部科学省さんと連携して進めているところでございまして、引き続ききちっと連携しながら進めていきたいと思っております。

○鈴木委員長 それでは、各省からお出でになっている方々の方から宜しくお願いします。

○環境省(西嶋農薬環境管理室長) 環境省農薬環境管理室の西嶋と申します。
 崎田委員からご指摘ございましたネオニコチノイドの農薬の関係でございますけれども、ネオニコチノイドの、殺虫剤に限らず農薬全般につきましては、農薬取締法に基づきまして、製造するときに農薬の登録をしていただくことになってございます。登録時に、人に対する健康の影響でありますとか、水質とか水産動植物とか、あとミツバチ等の昆虫に対する影響について数多くの項目を調べまして、影響がないものについて登録をするという形になっております。
 具体的な使用に当たっては、農水省のほうで農薬の使用基準が定められておりまして、それに基づいて使用されれば環境なり人への影響はないという仕組みになってございます。
 委員ご指摘いただきました陸域生態リスク評価手法につきましては、鳥なり昆虫なり、いわゆる陸上の生物に対する影響を見させていただくことにしておりまして、例えば鳥につきましては、今、農取法の審査の中で、有用生物として鳥の試験等もされておりますけれども、そういった基準を新たにするといったことも含めて、出口を考えているところでございます。

○厚生労働省(山本化学物質安全対策室長) 厚生労働省からもネオニコチノイド系の関係で一言申し上げますと、厚生労働省の関係では、食品衛生法に基づいて食品中の残留農薬の基準をつくっておりますけれども、その前提となる農薬のリスク評価については、食品安全委員会のほうでやることになっておりまして、ネオニコチノイド系については食品安全委員会でリスク評価が行われている。それに基づいて、現在、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で、食品中の残留農薬基準の設定について議論をしている状況でございます。
 それから、これについては農薬以外に、例えば家庭内で使うシロアリの防除剤などでも使われておりますけれども、これについては、有機りん系などのものに比べると揮発性が低いと言われておりますし、家庭内での残留の程度を調べたデータを見る限りでは、残留の程度はそれほど高くないというデータでありますので、リスクという観点から言うと、有機りん系のものなどに比べるとリスクはまだ低いのではないかとは認識しておりますけれども、今後とも、必要なら科学的なデータを集めて、リスクがどのくらい高いのか注意深く検討していきたいと考えております。
 それから、一般的な話ですけれども、化学物質関係のことで各省の連携ができているかという話ですけれども、厚生労働省は化学物質関係で化学物質審査規制法という法律を厚生労働省と環境省と経済産業省の3省共同で所管しておりますけれども、その化審法の施行に当たっては、3省の連携が比較的できているのかなと考えております。

○農林水産省(寺田農薬対策室長) 農薬対策室の寺田と申します。
 ネオニコチノイド系の農薬に関して、環境省と厚生労働省からほとんど話されたので、あまりないんですけれども、基本的に、農薬は、農業生産を安定して行うために意図的に環境中に放出されるものであります。そういうものであるがゆえに、先ほどからお話があるように、私どもだけでなくて食品安全委員会、厚生労働省、環境省と連携しまして、一つ一つ試験結果に基づいて内容を評価した上で登録をするという仕組みになってございますし、先ほど厚生労働省からお話がありましたけれども、科学が進んでいくにつれて、人への影響だとかいろいろなことが明らかになっていく可能性がありますから、農薬の毒性等につきましても、新たな知見の集積だとか国際的な動向等の情報収集を含めまして、これらを含めて登録審査を的確に運用していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○水産庁(高山漁場資源課長補佐) 水産庁の高山でございます。
 皆さんもご存じのように、漁業は生態系の一部を漁獲して利用する産業でございます。ですから、漁場環境が健全に維持されることが水産業を成立させる上で一番重要なことでございます。そういった意味で、事業を展開しているわけでございますけれども、浅野委員からご指摘のありましたように、その成果、方法については共通の、要するに、関係省庁間で話し合って共通の土俵でやるべきではないかといったご意見がございました。水産庁としてもそういったご意見を踏まえまして、関係省庁とも話し合って対処してまいりたいと考えております。

○海上保安庁(當重環境調査課長補佐) 海上保安庁の當重でございます。
 海上保安庁につきましては、海洋汚染防止法に基づきまして海洋の汚染調査を実施しております。これにつきましては、環境省と連携をとっており情報交換等もよくやっております。
 以前、海洋汚染調査につきましては関係省庁連絡会議がございました。これは環境省で事務局を持ってやっていただいておりました。これをまた復活していただければいいかなと思っておる次第でございますので、環境省で検討のほう、よろしくお願いします。

○国土交通省(空閑河川環境課長補佐) 国土交通省河川局でございます。
 底質のダイオキシン対策ということで、ちょっとご説明させていただきます。
 現在、河川の底質のダイオキシン類対策の技術というものは、経済的にも技術的にも確立されていないのが現状でございます。では、今、何をやっているかというと、主に試験施工みたいなことを各地で行っている状況でございます。底質をとって、それを無害化処理して埋め立てるというのが理想の工程ではございますが、無害化処理に関しても、経済的にも含めて、まだ「これは」という技術は確立されていないのが今の段階でございます。
 当然今、試験的にはいろいろな対策ということで、現地で固化をして溶出しないようにするといったこともやっているところでございまして、経済的にどれがいいかというのも含めまして、大学の先生方と一緒に検討を進めている状況でございます。

○経済産業省(福島化学物質管理課長) 速水委員と林委員からありました無届けまたは非報告についての化管法についての取組をご紹介させていただきます。
 一昨年、政令等を改正して対象物質を大幅に見直しました関係で、帝国データバンク等から選んだ8万事業所以上の事業者に再度、周知のパンフレット等の発送をいたしましたところ、従来届出をしていなかった方等から新たにかなり届出がありました。また、目安箱等も設置しておりまして、これについては問い合わせが非常に多いです。あと、過去との整合性ということで、担当者が異動等で変わることによって届出を失念してしまったというようなケースがかなり多かったものですから、過去あったものが急に届出がなくなった場合ですとか、あとは、数字の桁を間違えるケースもありますので過去の数字と比較して大幅に変わっている場合には、問い合わせ等をすることによって整合性の確保ということにも取り組んでおります。
 また、林委員からNGOの活用ということもございました。これは、従来は情報開示請求があってから開示しておりましたけれども、昨年からホームページですべて事業所データを開示しております。そういった意味で、NGOの方、また消費者の方が自分の家の近くにどういった工場があるのかとか、その工場からどういう化学物質が排出されているのかということは、随分見やすくなったのではないかと思っております。
 また、森嶌委員と浅野委員から指摘がありました、定量化ですとか全体像の件で、化審法の改正についてですが、化審法を改正して、すべての化学物質の製造・輸入数量を来年4月から提出していただくことにしております。したがいまして、1トン以上ある物質ですけれども、大体1万ぐらいあると思いますが、すべての化学物質について政府が把握することができる体制になります。
 こういった化学物質の中から、有害性の情報等を松・竹・梅、大まかなランクづけをして、優先評価化学物質というものに絞り込みをして、その中でリスクの高そうなものから順次、詳細なリスク評価をしていく。これは2020年に向けてということですけれども、そういった取組をすることによって全体像を把握して、絞り込みをして、何年までに何物質ぐらいをちゃんとリスク評価をしていくという工程表は、来年、届出が来ないとわかりませんけれども、ある程度お示しできるのではないかと思っておりますので、そういった成果も後日こちらにご報告させていただけたらと思っております。

○内閣府(渡部政策調査員) 先ほど鈴木委員長から連携施策群のお話があったので、若干補足させていただきます。
 第3期の科学技術基本計画に基づく重要な研究開発課題につきまして、連携の強化及び不要な重複排除を目的として連携施策群という取組を3年間実施してまいりました。タスクフォース会合等で年次計画や進捗管理、また成果の共有を図ってまいりましたけれども、資料の12ページにございますように、年に1回のシンポジウムを開催して成果の公表を行ってまいりました。毎回、満員に近いご参加をいただくような盛況なシンポジウムでございまして、参加者の大多数は民間事業者さんでございます。
 連携施策群を終えるに当たって、アンケートをして参加者からいろいろご意見をいただいたんですけれども、ぜひこういった取組を今後も続けてほしいということでございました。各省あるいは研究機関ともに、さまざまなシンポジウムを企画されておられると思いますけれども、このシンポジウムは各省が全部並んで最新の研究成果を報告し合うということで、参加者にとっても非常に評判がようございまして、ぜひこういった取組を続けてほしいというアンケート結果、多数の意見をいただいたということもございまして、ただいま各省からも、こういった年数回の情報交換、情報共有と年1回ぐらいシンポジウムを開くような連携をやっていこうではないかということで、合意していただいております。
 ただ、実際、運営をどのようにするかについては、予算的にも非常に難しい問題がございますので、これから詰めてまいりたいと考えております。こちらの主査を製品評価技術基盤機構の安井理事長に務めていただいていたんですけれども、今後の連携のあり方等についてもご指導いただきながら、連携施策群は終了しましたけれども、どうにか各省の連携の取組を続けていければと考えております。
 以上でございます。

○鈴木委員長 ご質問あるいはご意見に一通り対応していただいたと思いますが、委員の方々から特にこれに追加して何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 いろいろご意見いただきまして、リスクの評価、そして管理、また、その情報発信あるいは交流、コミュニケーションをどうとっていくか、こういう問題に関してのこれまでの状況に関して、これは環境基本計画の点検全般に通じることにもなりますが、やはり定量的な、きっちりした評価を出来るようにしていかなくてはいけない。これはもう前々から言われ続けているわけですが、少なくとも次の、第4期の基本計画を策定していくに当たりましては特に重視して、この辺の具体化をしていかなくてはいけないと思います。
 また、単に仕組みをつくるというのはよくあるんですが、やはり実効を上げていくことが大事だと思いますので、仕組みを作ってどういう成果につながったかを示していく。委員の方々が繰り返しいろいろとおっしゃったとおりです。
 そしてまた、連携というのが一つのキーワード。国全体としてどういう仕組みをつくっていくのか、常に全体システムに対する俯瞰的なものを念頭におき、そしてまた具体的な、それに応じた有効な仕組みを考えていく、こういうことが必要かと思います。
 今年のヒアリングをまとめていくにつきましても来年度に検討を進める第4期の基本計画を想定して進めていくことにさせていただきます。
 このヒアリングにつきましては、これからもまだシンポジウムが予定されていますし、総合政策部会とも検討を重ねつつ纏めさせていただきたいと思います。
 これをもちまして第1の議題、関係府省のヒアリングは終了させていただきます。お集まりいただきました方々、どうもありがとうございました。
 関係府省の方々は、よろしければここにお残りいただいても結構ですし、ご退席いただいても結構です。
 それでは、2つ目の議題といたしまして、国民及び地方公共団体に対するアンケート調査の結果について。これについてご報告をお願いいたします。

○小森計画官 環境省では、毎年、全国の20歳以上の成人約2,000人を対象といたしました「環境にやさしいライフスタイル実態調査」それから、すべての地方公共団体を対象とした調査といたしまして「環境基本計画に係る地方公共団体の取組についてのアンケート調査」この2種類のアンケート調査を行っております。この度平成21年度の調査結果を取りまとめましたので、その概要につきまして、参考資料4と5としてお手元に配付させていただいております。アンケート調査報告書本体につきましては、別途大変厚い資料がございます。これにつきましては後日、郵送させていただきたいと思います。
 これらをもとに、事務局において主な調査項目について、標本誤差等も踏まえ、明らかになった傾向を記載した資料2を作成しております。この資料は点検報告書に盛り込むたたき台として作成したものでございます。本日は、資料2の記載内容に沿ってご説明させていただきたいと思います。
 なお、2つのアンケートの調査対象の属性等につきましては、資料2の末尾、13ページ、14ページに記載しているところでございますので、ご覧いただければと思います。
 調査期間は、「環境にやさしいライフスタイル実態調査」については本年2月上旬、「環境基本計画に係る地方公共団体の取組についてのアンケート調査」については2月から3月でございます。
 それでは、まず「環境にやさしいライフスタイル実態調査」結果の概要からご説明いたします。
 1ページから2ページの頭でございますが、図1をご覧ください。
 近年の環境の状況について、地球レベルでの悪化を実感している人の割合が高く、国レベル、地域レベルと身近になるに連れて割合が低下していく傾向に変化はありません。一方、平成21年度調査においては、国レベル及び地域レベルで改善を実感している人の割合が上昇いたしました。
 2ページの下にございます図2をご覧ください。
 環境の状況が「悪化している」または「やや悪化している」と回答した人の回答理由について、地球レベルにおいては「地球温暖化が進んでいるから」が最も多くなっています。他方、国レベルにおいては「都市の中心部で気温が高くなるヒートアイランド現象が増加しているから」地域レベルにおいては「人々の生活の身近にある自然が減少しているから」が最も多くなっており、対象とするレベルに応じて、環境悪化を実感する理由が身近なものとなってございます。
 3ページに入りまして、図3をご覧ください。
 環境問題への取組に対する考えや意見については、ほとんどの項目で「そう思う」との回答が引き続き90%を超えており、環境問題に対する取組に対して肯定的であることがうかがえます。特に「環境に配慮した製品やサービスを選ぶことは重要である」が約91%となり、昨年度より8%以上上昇しましたが、これは平成21年7月からスタートした家電エコポイント等の施策により関心が高まったことが一因と推測されます。
 他方「環境保全の取組を進めることは、経済の発展につながる」が引き続き約70%にとどまっており、環境と経済の好循環に向けた取組を一層推進していく必要があると考えております。
 4ページに入りまして、図4をご覧ください。
 環境に配慮した製品への興味については、省エネ家電、環境配慮型自動車、高効率給湯器及び太陽光発電システムのいずれにおいても、「興味がある」と回答した割合が約60%から80%と総じて高い傾向にありまして、関心の高さがうかがえます。
 図5をご覧ください。
 製品を実際に購入する際に重視する項目は、いずれの製品においても「製品の環境負荷」と回答した割合が10%を下回っておりまして、むしろ「製品の品質・性能」及び「製品の購入価格」と回答した割合が高く、環境配慮型の消費選好とはなっていません。
 図6をご覧ください。
 環境に配慮した製品購入のインセンティブとして、補助金、減税等の支援策への要望が高くなっております。
 5ページに入りまして、図7をご覧ください。
 「環境保全の重要な役割を担う主体は国民である」と考えている国民の割合は約半数となっており、「国」の25%ほど、「事業者」の約18%を大きく上回っております。国民の環境保全に対する意識の高さがうかがえます。なお、この傾向は、過去4年で大きな変化はございません。
 6ページの図8をご覧ください。
 国民が取り組む環境保全行動の実態について見ますと、節電等の省エネ、ごみの分別、排出抑制、節水等、家庭内で日常的に対応可能な取組の実施率が高くなっています。第三次環境基本計画の重点分野政策プログラムごとに「実施している」と回答した人の割合を整理すると、重点分野1の地球温暖化問題、重点分野2の物質循環の確保と循環型社会の構築、重点分野3、都市における良好な大気環境の確保、重点分野4の健全な水循環の確保の各分野に関する取組の実施率が概ね50%を上回っており、水準が高い傾向にあります。
 他方、重点分野8の環境保全の人づくり・地域づくりの推進に係る取組については、実施率が20%未満の項目もございまして、重点分野の中でも実施率の低い分野となってございます。
 7ページに入りまして、図9をご覧ください。
 国が行っている環境行政への満足度、「満足している」「まあ満足している」という方の合計が約8%と、前年度までと比較して上昇しています。同時に、引き続き約半数は不満足と回答しています。
 こうした傾向は、図10にあるとおり、地方公共団体においても同様に見受けられます。
 8ページの図11、図12をご覧ください。
 国及び地方公共団体が行っている環境行政に対する満足度の低さを踏まえ、今後、環境行政が求めることについて調査したところ、国、地方公共団体の双方について、概ね半数の方が「法律(条例)等による環境保全対策制度の強化」及び「地球温暖化防止、循環型社会形成等に関する計画の進行管理の徹底」といった総合的な環境行政の推進を求めていることがわかりました。
 また、国については、ほぼすべての項目について、概ね3割以上の人が「今後求めること」に挙げておりまして、環境保全上、いまだ多くの課題を抱えていること、さらに国民の環境への関心が高いことがうかがえます。
 国及び地方公共団体におきましては引き続き、こうした国民の環境に関する問題意識を踏まえて環境行政を強化すべきであると、私どもとしても考えているところでございます。また、国民とのコミュニケーション、それから環境保全活動を行うように呼びかけ、支援するといったようなことをしていかなくてはいけないと考えているところでございます。
 9ページに入りまして、図13でございます。
 ここからは、「環境基本計画に係る地方公共団体の取組についてのアンケート調査」の結果でございます。
 地方公共団体を対象としてアンケートしたものでございますが、地方公共団体が取り組む環境施策についての実施率を見ると、循環資源の回収・リサイクル・リユース、廃棄物のリデュース、適正な処理といった住民生活に密接な関連を有する分野で7割前後の実施率となっております。また、地球温暖化対策、環境教育・環境学習の推進も実施率が高い傾向にあります。
 一方、2ページの図2でも示した「環境悪化を実感する理由」のうち回答が多かった「自然が減少しているから」ということに対応する自然環境の保全等に関する取組の実施率は、概ね4割程度にとどまっているところでございます。
 続きまして、11ページをご覧ください。
 地方公共団体とさまざまな主体との連携・協働の実施状況を見ると、住民・住民団体、事業者については、循環資源の回収・リサイクルなど日常生活と密接な関連を有する分野で、また、NPOなどの民間団体につきましては環境教育、それから里地・里山の保全等の分野で連携・協働が進んでおります。パートナーシップ社会の構築に向けて連携・協働の仕組みづくり、支援の強化を進めることが引き続き求められるものと考えてございます。
 12ページの図17をご覧ください。
 住民への情報提供の方法は、広報紙等への掲載が最も多く、次いでホームページへの掲載による情報提供が進んでおります。さまざまな主体に対する情報提供を念頭に置いた、提供する情報の内容や情報提供の方法の多様化が望まれます。
 図18でございます。
 住民意見の取り入れの方法でございますけれども、最も多く採用されている方法は審議会等でございます。そのほかアンケート、意見交換会、説明会、公聴会、パブリックコメント等、さまざまな方法が採用されております。今後とも環境保全施策の推進に当たり、さまざまな方法で住民意見が積極的に取り入れられることが望まれるものと考えてございます。
 以上で国民及び地方公共団体に対するアンケート調査結果についての概要の説明を終わらせていただきます。

○鈴木委員長 ただいま小森さんからご説明いただきましたアンケート調査結果につきまして、委員の先生方からご意見、コメント、ご質問ございましたらお願いいたします。

○河野委員 図1、近年の環境の状況についての実感で、平成21年度は地域レベル、国レベルでよくなっているということで、結構なことだと思うんですが、2ページのほうで、よくなったことについての理由について、この概要は多分、公表されるときに新聞等にも出るのではないかと思いますので、悪くなった理由の前に挙げておいてしかるべきではないかと思います。
 どういうことでよくなったと実感しているのか、もしわかれば教えてもらえればと思います。詳しくは報告書を見ればわかるということですが、今、わかればお願いします。

○浅野委員 9ページと10ページの地方公共団体の取組で、項目のところに特に注目する必要があろうと思います。
 今、説明がありましたように、自然系については約4割となっていて、廃棄物・循環系に比べれば取組が少ないということですが、このアンケートそのものの集計の仕方が、都道府県、市町村すべての団体を並べてただ数を数えているという感じがするので、これでは実態がよくわからないのですが、恐らく自然系については、市町村になればなるほど取組が少ないという結果が出てくるだろうと容易に想像できるわけです。
 ですから、今後、一体どこに支援をする必要があるのかといったことの材料に使わないと、ただこれを並べて「こうですよ」と言うだけでは何の意味もない。やはりこれを取り上げる以上、ここはもっと重点的にやらなければいけないとか、何がネックになっているのだということをもっと深掘りをして調べなければいけないと思います。
 自然系について市町村が取組を渋る理由は、1つは、開発の妨げになるというプレッシャーがかかってやれないということがあると思うし、それから、やたらと金がかかるという不安感が先に立って、財政が「うん」と言わないという実態もあるわけですね。これは政令市ですらそういう実態があるわけですから、ここら辺はもうちょっと分析をしていかなければいけない。これは少なくとも総合環境政策局だけではなくて、自然環境局の担当の人たちにこのデータを見ていただいて、自分たちが何をやらなければいけないのか考える材料にしないと、調べる意味がないという気がしますから、ぜひ今回は、そのことまでこの報告の中に書き込んでいく必要があろうかと思います。

○崎田委員 今後、しっかり読み込んでいきたいと思いますけれども、今回、環境配慮して消費行動をとるというポイントが上がったということが大きな特徴として取り上げられておりますが、読ませていただいたときに、例えばエコポイントがついたとか税金の減免などこういうコストのところが大事という結果だと割にすっきり書いてあって、もちろんそれでいいんですけれども、これをどういうふうに読んでいくか、今後、もう少し深く考えていきたいと思います。
 どういうことかというと、今、環境に関心のある人が取り組む時代から、本当に多くの人が暮らしの中に取り入れる時代に広げるためにこういう政策が重要ですので、そうたいうところをしっかり見据えながら、どういう対象にどういう政策を打って広げていくかを考えることが重要で、そういう参考として活用していきたいと思っています。よろしくお願いします。

○木下委員 河野委員と同じ質問で、図1の地球レベル、国レベルが、従来の傾向とは逆に非常にいい傾向に振れていることは評価したいと思いますけれども、この背景についてどう見ておられるのか。
 同じように、7ページの国の環境行政の評価も、「満足している」あるいは「まあ満足している」が大幅に増えている。これも非常にいい傾向ですけれども、これについてどういう受け止め方をしているのか、ご教示願いたいと思います。

○林委員 「ライフスタイル実態調査」と言うんですが、住宅等の立地に関わるものが全くないのですね。これはもうやられてしまったので今回は仕方がないと思うんですが、もし次にやられるときには、どこに住宅を求めてどういう交通手段を使うか、なるべく自動車を使わないように公共交通に近い所に立地するとか、そういう発想がどのぐらい出てきているかを調べるべきです。例えば、病院に行くために公共交通を使おうと思ってもそれが非常に不十分で無理だとか、そういうところがあってもいいと思います─というか、あってほしいと思います。
 それに関連して、例えばエコ住宅。自分が購入したり入ったりするのに環境負荷を意識しているかとか、消費財の購入だけではなくて、もっと大きな買物のほうも入れるべきだと思います。
 一方で、自治体の側からは、最近よく言われているコンパクトシティと公共交通を組み合わせるような、例えば青森とか富山に聞いたらきっとそういう答えが出てくると思うんですが、そういう質問欄が全くないなと思います。そして、自治体に対しては、特に「コベネフィットは何ですか」というようなことを聞く。例えば、それによって市街地を維持する費用が非常に減ってきたとか、減る可能性があるとか、そういうことも必要だと思います。
 というのは、1つおもしろい例がありまして、ソウルでは、清渓川の川を再生するために都心に車で入るのをやめさせて、バスと地下鉄を組み合わせて公共交通を全面的に再編をしました。これはITを使って、2時間以内に乗り継げば乗り継ぎ先では初乗りチャージはしないこととし、例えば郊外に住んでいる主婦が都心に向かうときは2時間買物をして戻ってもいいとか、そういうソフトも込みでライフスタイルそのものをつくろうとしました。そんなことのヒントが何か出てくるようなものが欲しいと思います。

○速水委員 先ほど浅野委員がおっしゃった10ページのところをフォローしたいのですが、特に森林の管理に関して、今、林野庁は大きな方針転換をしようとしていまして、今以上に市町村の森林管理の権限を大きくしていくわけです。
 その場合に、ご存じのように、実は市町村というのは森林の専門官がいないのが前提で、それでも市町村におりていく権限がかなりあります。今さらその流れをとめることはできないという現状が森林管理においてはあるわけです。
 やはり委員がおっしゃるように、末端に行けば行くほど開発に対する圧力に弱いところがございまして、特に里山を周辺に持っているような地域に関して、仮にそこに工場誘致の話があると、どうしても雇用のほうを重視してしまって、里山開発はとめられないというのがよくある話なんですね。
 そういう点では、どこに環境意識を高めるカンフル剤を打っていくかは本当に委員のおっしゃるとおり、よほどしっかりしていかないと、駄目だと思います。特に里山関係は、日本で里山をローマ字で書くような提案をずっとされているわけですから、間違いなく市町村になってくるわけで、その時の対応としては、このアンケート結果を利用してしっかりとした方向性をつけていただくことが絶対に必要だと思っています。

○三浦委員 1点目は、ご説明のペーパーで11ページ、参考資料5の29ページ、民間団体(環境NPO等)との連携というところで、上位3位の中には50~60%のものが記述されているのですが、全体を見回しますと、70%後半から80%が連携・協働施策を実施しておらず、なおかつ実施に向けての検討を進める施策もないという状況下今後ますますNPOなどの民間団体との連携が必要になってくる中、各自治体にこのスキームがないことに対して、国として今後どう指導していくのか、あるいは各市町村あるいは自治体任せにしておくのかということをお伺いいたします。
 2点目は、公共団体の評価に対しての今後ですけれども、同じような項目でもその施策の質が求められてくるのではないかと考えますと、全予算に対して、それぞれの施策に対する投資率、全予算に対する比率を把握することと、その費用対効果、これは定量的な効果だけではなくて、例えばどれぐらい啓蒙が進んでいるか、市民意識が高まったかといった定性的なものまで含めた効果の部分を公表して、それらの情報がが全国レベルで共有される情報シートになったらいいかなと考えます。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 このアンケートを私たちがゼロから、また一から設計し直すと、大分違ったものになったんだろうと思いますが、これは平成18年から20年までのものと比較できるようにということで、形はそのまま引き継いでいます。しかし、アンケートを引き受けた業者が変わった。したがって、対象も変わっているかもしれないとか、政権が変わったことがここに表れているかもしれないとか、いろいろなことがあると思うんですが、「こういうアンケートをとったら」という点についてはまた次の段階で検討していかなくてはいけないと思います。
 今、ここで求めていることは、当面どういう施策をとるべきかといったことに若干役に立つというようなことで、国民に対するアンケートと自治体に対するアンケートが構成されています。

○岩村委員 先ほどよくなったことを実感する理由という話で、これは年齢構成も相当関係あると思うんとですね。特に身近な話で言えば、私など、長く生きてくると自然は若干減っているかもしれないけれども、逆に言えば、一時汚くなった川とか海がきれいになっているとか、とらえ方によって大分違う、それから年齢構成によっても違うので、やはりもう少し分析を緻密にしないと。
 それから、悪くなった理由も、自然がなくなっただけで環境が悪くなったと言えるのかどうか。特に地球レベルで言うと、「地球温暖化が進んだ」なんて実感できる人は新聞読んでいる人でしかないんですよね。私なんか子どものころに比べると少し冬が暖かい気がしますけれども、それが本当に地球温暖化と関係あるのかどうかもわからないし。だから、もう少し年齢構成とか具体的な質問設定等を分析してみないと、これで乱暴に「地球温暖化が進んだから地球規模で環境が悪くなった」というのは、ちょっと結論を急ぎ過ぎているのではないかという気がします。

○鈴木委員長 その辺は、属性その他で分析できるようなアンケートになっているのかという問題もあるかもしれませんが。

○小森計画官 お答えできる範囲でお答えしたいと思います。
 よくなっている理由等をとっているかということですが、よくなっている理由そのものはとっておりません。では、どうして高くなっているのか、国としてどう考えるのかというご質問もございましたが、このアンケートをとった時期が平成22年2月1日から2月10日でございまして、国民の皆様は必ずしも専門家でないので、恐らくマスコミ報道を通じて環境の状況といった情報をとっているのであろうと推測しておりまして、その間かなりマスコミ報道で、25%の話もございますし、さまざまなことで盛んに報道されていることから、例えば「国は一生懸命やっているのではないか」というようなことで、そういったところに理由があるのではないかということでございます。
 それから、浅野委員からお話のございました市町村の自然分野、実は環境対策が遅れているのではないかということ、まさにご指摘のとおりでございまして、例えば重要地域の保全についてすべて実施しているといったところは、都道府県の場合は40.4%ですが、同じ質問を政令市にしても、27.8%はしているわけですが、市区町村レベルになりますと、同じ質問に対して6.7%しか「実施している」という回答がありませんで、浅野委員、速水委員からご指摘ありましたように、こうしたアンケート結果を踏まえて、地方分権という時代の流れではございますけれども、重点的に支援なりをしていけるよう取り組んでまいりたいと思います。
 林委員から、住宅の立地、それからエコ住宅、公共交通、そこら辺についてのアンケート項目を加えていくべきではないかということでした。それにつきましても前向きに検討してみたいと考えてございます。
 三浦委員からお話がありました、NPOと連携していない、国がそういうスキームを持っていないのではないかというところにつきましても、関係課にしっかり伝えてまいりたいと思います。
 それから、施策の質とか費用対効果がわかるようなことを、アンケートの中でも何とかそういったことが確認できないかということにつきましても、今後、アンケートのとり方などを工夫してまいりたいと思います。
 あと、アンケートにつきましては、先ほど申しましたように、年齢別、それから都市規模別の詳細なデータも実はとってございまして、これは大変厚い資料でございますので、後ほど送付させていただきたいと思います。アンケート調査結果すべてをこの概要の中には盛り込めていないわけですけれども、そうした中で、私どもとしても今後、分析してまいりたいと考えておるところでございます。

○鈴木委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、予定の時間をちょっとオーバーしてしまいましたが、これをもちまして本日の基本計画のヒアリング検討会を終了させていただきます。
 事務局から連絡事項を。

○小森計画官 次回の日程につきましてお知らせいたします。
 総合政策部会となりますが、第54回中央環境審議会総合政策部会、日にちが6月16日水曜日、14時から17時、場所はここを予定してございます。議題といたしましては、第4回点検の地球温暖化問題に対する取組、物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組、生物多様性の保全のための取組、それから環境研究・環境技術開発の推進戦略について、環境と金融の専門委員会の報告について等でございます。

○鈴木委員長 それでは、これをもちまして終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

午後0時06分 閉会