第9回 環境基本計画点検小委員会議事録

日時

平成21年8月20日(木)

場所

環境省 総合環境政策局 環境計画課

議事内容

午後2時00分 開会

○事務局(小森計画官) ただいまより第9回環境基本計画点検小委員会を開会いたしたいと思います。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
 配付資料でございますが、資料1-1が「重点点検分野(基盤分野)に係る主な取組状況等」、資料1-2「重点点検分野(基盤分野)に係る関係府省の自主的点検結果(調査票)」、資料2が「国民及び地方公共団体に対するアンケート調査結果の概要」、資料3が「環境シンポジウム開催概要」(さいたま市・熊本市・堺市)でございます。
 それから、参考資料でございますけれども、参考資料1が「第三次環境基本計画の進捗状況の第3回点検の今後のスケジュール」、参考資料2が「第三次環境基本計画の進捗状況の第3回点検の進め方について」、参考資料3が「中央環境審議会総合制作部会名簿・環境基本計画点検小委員会名簿」、参考資料4が「第三次環境基本計画の進捗状況・今後の展望について」、参考資料が「環境情報戦略の策定について」、参考資料6が「環境にやさしいライフスタイル実態調査報告書」(概要版)、参考資料7が「環境基本計画で期待される地方公共団体の取組についてのアンケート調査報告書」(概要版)でございます。
 もし、足りない資料などがございましたら、事務局までお申しつけいただければと存じます。
 なお、マイクをお使いいただきます際には、スタンドにありますスイッチを押してからご発言をお願いいたします。同時に4本までしか使用できませんので、ご発言が終わりましたら随時スイッチを切っていただければと思います。ご協力をお願いいたします。
 それでは、今後の進行は鈴木委員長にお願いいたします。

○鈴木委員長 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。
 環境基本計画の点検を進めておりますが、今回が3回目のヒアリングということで、ヒアリングはこれで完了いたします。この後、最終的な点検結果の報告書に向けて、次回以降進んで行くことになりますので、今回は、5番目のテーマということになりますが、長期的な視野をもった科学技術、環境情報、環境手法等の基盤の整備、この分野につきましてのヒアリングをさせていただくということになります。
 対象としておりますところは、内閣府、財務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省、防衛省及び環境省でございます。ここに皆様、おいでいただいております。
 初めに、概要につきまして、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○環境省(小森計画官) それでは、説明させていただきます。
 環境基本計画の点検に当たっては、関係府省による自主的点検として、関係府省における取組状況等を記した調査票を提出していただいております。
 基盤分野の調査票は、資料1-2にまとめてございます。
 これを基に事務局におきまして、基盤分野の取組状況等を整理した資料1-1を作成しております。
 この資料は、点検報告書に各重点調査事項に係る主な取組状況として盛り込む記述の叩き台として作成いたしたものでございます。
 これに沿いまして、まず重点調査事項1、環境分野の研究技術開発の戦略的重点化につきまして、まず私から関係府省の取組状況等を総括してご説明させていただきます。
 資料1-1の表紙をめくっていただきまして、1ページでございますけれども、[2]の主な取組状況等をご覧ください。
 政府の研究・技術開発に係る施策は、現在、第3期科学技術基本計画に基づきまして、総合的かつ計画的な推進が図られているところでございます。
 この計画は、10年程度先を見通し、5年間の科学技術施策を具体化するものとして策定されたものであり、平成18年度から平成22年度までの5年間を対象としております。
 そして、「環境と経済の好循環」に対応するものとして、6つの施策目標のうちの1つに、「環境と経済の両立」が掲げられておりまして、1ページの下のほうから、2ページの上のほうにかけてでございますけれども、12の個別政策目標が示されております。
 また、環境分野が重点推進4分野の1つにエネルギー分野が推進4分野の1つに位置づけられておりまして、それぞれについて分野別の推進戦略が策定されております。
 各分野別推進戦略におきましては、重要な研究開発課題が選定されておりまして、各々の具体的な成果目標が掲げられるとともに、平成22年度までの計画期間中に重点投資が行われる科学技術として、「戦略重点科学技術」が設定されております。
 エネルギー分野では、3つの大分類に分類された39の重要な研究開発課題が設定されるとともに、3ページの上のほうにございますけれども、14の「戦略重点科学技術」が設定されているところでございます。
 平成18年度から平成20年度までの研究技術開発の成果につきましては、本年の総合科学技術会議において、中間フォローアップが行われておりまして、その結果、環境分野及びエネルギー分野につきましては、概ね順調に進捗していることが明らかとなりました。
 異なる環境分野の連携に関わる研究・技術開発については、例えば、ちょっとページを離れますが、14ページの注1、注2に掲げてございますが、コベネフィットの考え方に基づく各種研究・技術開発。それから、ヒートアイランド現象の解明や対策評価に関わる研究・技術開発等、現在さまざまな研究・技術開発が進められております。今後も環境分野の研究・技術開発全体の体系を念頭に置きながら、関連する各環境分野の連携を図るという観点で推進していくことが重要と考えております。
 異なる環境分野の連携につきましては、先ほど申し述べました環境分野の中間フォローアップにおきましても環境分野との相互の関連を全体的に見通すことが重要となってきておりまして、そのためには俯瞰図が有効であること。俯瞰図は、研究の企画、計画、実施、見直し等にも活用すべきであることが掲げられました。
 このフォローアップの一環としてまとめられた「環境分野の現状分析と今後の対応方針」におきましては、「環境問題の俯瞰図」の例として、この資料の一番最後に添付させていただきます別紙という形でつけさせていただいておりますが、こういう図が示されております。
 これは、安井先生に提供いただいた資料でございます。
 このように、環境分野の研究・技術開発は、第3期科学技術基本計画を中心に戦略的重点化が図られ、推進されておりますけれども、各府省においては、その所掌に係る研究・技術開発を同計画に即し、または他の計画等との整合も図りながら進めるために、必要に応じて具体的な戦略方針等を作成しているところでございます。
 平成18年7月には、科学技術・学術審議会により、「地球環境科学技術に関する研究開発の推進方策」が策定されています。
 同方策は、科学技術基本計画の環境分野に係る分野別推進戦略に示された課題につきまして、文部科学省として推進すべき具体的な研究開発課題及び研究開発の推進に当たっての重要事項をまとめたものでございます。
 農林水産省におきましては、平成20年7月「地球温暖化対策研究戦略」が策定されております。
 同戦略は、科学技術基本計画のうち、環境分野の気候変動研究領域に即して、農林水産分野における地球温暖化対策研究を総合的に推進するため、研究開発を推進する上で考慮すべき課題等を提示したものでございます。
 環境省におきましては、本審議会において作成いただきました「環境研究・環境技術開発推進戦略」を受けまして、平成19年3月、「環境研究・環境技術開発の推進戦略実施方針」を策定しています。
 同方針におきましては、戦略の趣旨を踏まえ、環境省が中心となって行う施策の具体的な実施方針が示されています。
 環境省では、同戦略、方針を踏まえた研究技術開発を実施しているところでございまして、環境省の科学技術関係予算の約半分を占める競争的資金に関しましては、総合科学技術会議にかける平成21年度予算の優先度判定におきまして、「地球環境研究総合推進費」、それから「循環型社会形成推進科学技術研究費補助金」が加速してされるべきという評価を受けているところでございます。
 最後になりますが、特に、「環境と経済の好循環」に焦点を当てた取組についてご紹介させていただきます。
 財務省におきましては、平成18年10月に、「環境問題と経済・財政の対応に関する研究会」が設けられました。この研究会では、環境問題に対する経済財政政策のあるべき姿を検討するため、環境経済学の潮流、経済・財政との関係、諸外国との状況、排出権取引や環境税といった環境対策手法等についての研究が行われ、平成19年6月に報告書が取りまとめられております。
 環境省におきましては、本年度より新たに「世界に貢献する環境経済政策の研究」が始められております。
 この研究は、環境保全の取組が経済をどのように発展させていくのか。経済動向が環境にどのような影響を与えるのか等について調査分析し、環境と共生できる新しい経済社会の将来像の提示や環境政策を戦略的に進めるための研究でございまして、具体的には環境政策と経済との地球規模での相互作用の研究、環境保全と雇用等の企業の発展に関する研究、効果的な環境政策形成に関する研究の3つの枠組みの下、合計8分野について調査研究を進めることとしています。
 以上で、環境分野の研究、技術開発の戦略的重点化についての概要説明を終わらせていただきます。

○環境省(川上企画調査室長) 続きまして、環境に関する情報整備及び提供についての取組状況について、ご説明申し上げます。
 めくっていただきまして、6ページからになります。
 第1回の点検におきましては、ここにありますような概ね4点ご指摘をいただいております。
 環境情報に対する満足度については一定の改善が見られるものの、環境基本計画上の目標を90%超にははるかに及ばない状況であり、より一層工夫をこらし、各省連携して情報提供を行っていく必要があるというご指摘が1点目でございます。
 2点目が、利用者のニーズにあった情報提供形態の確保、即時性・正確性の確保、さらに双方向性の確保、こういったところのご指摘をいただきました。
 3点目といたしまして、温室効果ガス排出量の数値について、速やかな公表ということが指摘されております。
 4点目といたしまして、「環境情報戦略の策定」ということに触れられているところでございます。
 こういった指摘を受けまして、これまでの取組でございます。
 中環審総合政策部会において設置されました環境情報専門委員会における大変活発なご議論を踏まえまして、環境基本計画推進関係府省会議を構成する各府省の合意によりまして、本年3月に、「環境情報戦略」を策定させていただいております。
 これは、参考資料5ということで、本体をつけさせていただいております。
 最大の成果は、この情報戦略の策定であろうということになろうかと思います。
 この概要をその下にありますポンチ絵で簡単にご説明申し上げたいと思います。
 まず、左側にありますけれども、環境情報の現状と課題というものを見ております。
 課題といたしましては、情報の収集整理に関して、政策課題ごとの整理がなされていない。あるいは、環境と経済社会との関係を示す情報が不十分である。こういった課題が指摘されております。
 情報の提供に関しましては、必要とする情報が得にくい。あるいは体系的な情報が得にくいといったご指摘がありました。
 こういったことを踏まえまして、環境情報のあるべき姿として中ほどにございますが、5点ほどございます。
 科学的な一次情報の整備。2点目が、政策立案等に必要な情報の整備。3点目が、理解しやすく使いやすい形での情報提供。4点目がITの徹底活用。そして、5点目として、情報間の関連性の体系的整理。ということが示されております。
 このあるべき姿を実現するために、戦略の目標、基本方針、そして当面優先した取組施策につきまして、2つの柱というか観点から立てられております。
 1つが、情報立脚型の環境行政という観点でございます。
 もう1つが、利用者、国民による環境情報の利用という観点からニーズを踏まえた情報提供を行うということでございます。
 特に、当面優先して取り組む施策といたしましては、情報立脚型の環境行政といたしましては、[1]の環境と経済社会活動に関する情報収集の強化。[2]国土の自然環境に関する情報収集の強化。そして、IT活用、[8]に至るようなこういった課題が挙げられております。
 国民による環境情報の利用といたしましては、この[1]にありますような環境と経済社会活動等に関する情報の提供強化。ポータルサイトの構築。そして[8]にありますような環境団体との連携協力。こういったところが示されております。
 具体的にどういった進捗があるかということにつきまして、もう1枚おめくりいただきますと、それぞれの[1]から[8]に対応した表の形で整理させていただいております。
 主なところをピックアップさせていただきながら、ご説明申し上げたいと思います。
 5(1)[1]につきましては、まず1つ目の○がございますけれども、「公的統計の整備に関する基本的な計画」に定められた措置方策等を着実かつ計画的に実施するということでございます。
 これは、具体的には、気候変動に関する統計、あるいはエネルギーに関する統計、廃棄物統計、環境分野分析産業連関分析、さらに領域環境統計といったところにつきまして、各省庁で担当部署を定めて動き出したというようなところでございます。
 その下の○にあります環境政策を戦略的に進めるための研究といたしましては、先ほどありましたが、環境経済の政策研究について公募し、その中から選定をしていくという、ちょうどそういう作業の現状でございます。
 (1)[2]につきましては、3つ目の○に、生物多様性の変化の状況、あるいは各種施策の効果等を的確に把握するための手法検討を進めるということがございます。
 20年度に開始されております22年度を目標に取りまとめる方向で検討が進められているところでございます。
 同じ項目の下から2つ目の○で、陸域観測技術衛星の関係がございます。広域的生態系モニタリングを実施し、というところがございます。西日本地域で例えば1キロメッシュで、森林を4タイプに分類して作成するという進捗が見られているところでございます。
 [3]情報アーカイブの構築につきまして、環境省図書館の電子化を進めるというのがございます。具体的には、書籍情報等データの充実。あるいはデータベースの構築、国会図書館とのシステム連携など、25年度にサービスを開始するというような目標で、順次作業を進めているところでございます。
 [4]標準的フォーマットによる情報提供の信頼性、正確性の確保等でございますが、関係省庁にありますさまざまなデータにつきまして、フォーマットとしてどういったものが適当かというようなところで今調査を進めているという現状でございます。
 次のページで、[5]環境省と関係府省及び地方公共団体との連携協力につきましては、地方公共団体等との会議設置等を検討しているところでございます。
 次の[6]におきましては、国際的な比較可能性というご指摘もいただいております。こういったところを踏まえまして、OECDのワーキング・グループ等での議論を踏まえながら、重要な環境情報、あるいは内容の変化が速い環境情報については収集頻度を高めるといった検討を進めているところでございます。
 [7]の1つ目の○で、海外の環境に関する情報の整備、蓄積及びその活用を図っていくということがございます。
 OECDの会合、あるいは今般設置しようとしております「3Rアジアフォーラム」、こういった場での情報収集を進めるということにしてございます。
 3つ目の○の下のほうで、国際的な情報ネットワークの構築などについて、関係府省と連携を図りつつ、検討し、実施する。というところにつきましては、例えば、日中韓の枠組みでありますとか、日中、ASEANの国際協力に関するポータルサイトの構築を検討しているところでございます。
 [8]ITの活用につきましては、情報の検索を容易にする技術等のITの活用強化でございますけれども、オントロジーという考え方があるようでございます。共通の語彙を提供する体系的な辞書ということでございまして、この活用を進めるという方向で検討を進めさせていただいております。
 それから、5(2)[1]、これは利用者のニーズを踏まえた情報提供でございますけれども、意識調査等の結果を踏まえながら、環境と経済社会活動及び自然環境に関する情報提供を強化するということを考えてございます。
 [2]につきましては、1つ目の○の中ほどに「国の環境政策」(仮称)に関するポータルサイトを構築し、ということがございます。これが最終的な到達点ではないと考えておりますけれども、まず第一歩といたしまして、こういったものの構築というものを進めようとしているところでございます。
 [3]海外に対する情報発信の強化といたしましては、我が国の公害を克服してきた経験、あるいはOECDといった国際機関によります我が国の環境政策の評価について、英語での発信等を強化していくということを考えてございます。
 [4]ITの活用による情報提供の展開につきましては、情報源情報につきまして、各省のフォーマットについての調査を行ったというところでございます。
 なかなか一朝一夕にはできないことかと思いますけれども、着実に進めていきたいというふうに考えてございます。
 [5]の環境情報信頼性につきましては、偽装等の問題がございましたけれども、環境配慮製品について一定量の抜取り調査を行うということを考えているところでございます。
 [6]情報収集の計画段階における情報提供のあり方に関する検討でございます。情報段階からこういったことを検討するということで、中ほどに情報利用者のニーズに応じた情報提供の内容や作成方法等を類型化したリストを作成するというふうにございます。
 このリストにつきましては、粗々の要素を今抽出しているところでございます。環境情報を収集するいずれかの機会で、まず試行的にこれを行ってみるということを考えているところでございます。
 [7]「見える化」のための効果的な取組方法の検討でございます。
 関係省庁さんでいろいろご努力を進められておられるところでございます。確かに進展しているというふうに認識してございます。
 環境省としては、例えばこういったところにリンクを張るなどの連携をとるというようなことが具体的な方策として考えられるかなというふうに考えております。
 [8]関係団体との連携協力につきましては、現在22年に関係団体との会議の設置等ができないかというようなことで検討を進めている状況でございます。
 簡単でございますけれども以上でございます。

○環境省(平之山環境影響評価課長) 次に重点調査事項[3]の戦略的環境アセスメントの取組状況についてご説明申し上げます。
 私は、環境省環境影響評価課長の平之山でございます。
 まず、私のほうから、環境省の取組を中心に取組全体を概括説明させていただいた上で、次いで国交省、農林水産省、防衛省の方に、各省の取組を補完していただく次第でございます。
 資料1-1の11ページ。戦略アセス、いわゆるSEAにつきましては、資料にありますとおり第1回点検の指摘を受けまして、2点につきまして、調査を行ってございます。
 すなわち1点目でございますが、a)一昨年3月に策定いたしましたSEA導入ガイドラインを踏まえた取組状況。これがどうなっているかという点が1点目です。
 2点目、b)でございますけれども、同ガイドラインが射程に据えている段階よりもさらに上の段階、より上位の計画段階、政策段階のSEAのあり方についての検討、これがどうなっているのかという点でございます。
 まず、1点目のSEA導入ガイドラインを踏まえた取組関係でございますけれども、[2]主な取組状況等の1つ目の○にございますとおり、平成18年度浅野先生初め13名のご専門の先生方の参加を得まして、局長諮問の総合研究会におきまして、精力的にご審議賜りました。
 この総合研究会におきましては、政策段階から事業実施に至る一連の流れを事業別に整理いたしまして、どの段階を対象に検討を進めるべきかということでご検討いただきました。
 結果、まず検討過程や検討内容が比較的明確であるところで、位置・規模検討について議論を進めるのが現実的ではなかろうかということでまとまった次第でございます。
 結果、位置・規模検討のガイドラインとして取りまとめられまして、実績を積み重ね、実効性を検証しつつ、今後同ガイドラインを不断に見直していくということになった次第でございます。
 ガイドライン策定以降、取組の実効性を高めるために、2つ目の○でございますけれども、ここ2カ年ほど地方公共団体の担当者、実際にアセスを担当されるコンサルの皆様方を対象に、ガイドラインの趣旨、仕組み、担うべき内容等につきまして、精力的に普及してまいりました。
 ご案内のとおりSEAにつきましては、我が国で初めての試みでございますので、多くの方から言われておりますのは、趣旨はわかるけれども、実際にどうすればいいのか。実施運用面を不安視する声が非常に強かったということでございます。
 この点を踏まえまして、さらにSEA実施プロセスを細かく分解しまして、実務参考なるものを用意させていただき、地方公共団体の皆様方に対しては全国7ブロック、コンサル等の皆様方に対しては、全国6ブロックに分けまして、拠点的に運用面をケアする形で普及を徹底してまいった次第でございます。
 次の12ページの一番上の○でございますが、関係府省に対しましては、同ガイドラインに基づくSEAの取組の検討を要請させていただいたところでございまして、国交省さんにおきましては、後ほど国交省のほうから触れていただきますけれども、昨年4月にSEAガイドラインを包含する形の国交省自身の横断的なガイドライン、これを策定していただきまして、那覇空港の構想段階を対象としまして、SEAの取組を実践していただいたところでございます。
 何分にも初めの事例でございますので、環境省といたしましても国交省の本省、地方機関、内閣府、沖縄県、こういった関係機関と緊密に連携を図りつつ、実際に現地で環境情報を収集するためのサポーターを活用しながら、環境省としましても意見を述べさせていただくなど、本取組の大きな第一歩を踏み出したところでございます。
 また、環境省所管の最終処分場につきまして、「最終処分場における戦略的環境アセスメント導入ガイドライン(案)」をとりまとめた次第でございます。
 同プロセスを担っていただく地方公共団体のほうにご送付させていただき、取組を求めた次第でございます。今後、同ガイドラインに基づき、適切な取組が推進されることを期待している次第でございます。
 なお、農林水産省、防衛省につきましては、SEA導入ガイドラインを受けまして、所管事業での適用に向けまして、事業特性を踏まえつつ鋭意検討中でございます。
 次に、2つ目のより上位の計画段階及び政策段階のSEA導入に係る検討でございますが、次の13ページにございますとおり、現在までのところ、主要国のSEA制度の制度面を中心にその概要につきまして、整理分析している段階でございます。
 諸外国におけるSEA制度につきましては、それぞれの国ごとに計画体系、事業体系、土地利用規制等の法規制、そして、利害関係者の関心の度合い、これらが相違してございまして、SEA制度そのものの仕組みも多様なものとなってございます。
 こうした中、例えばアメリカの国家環境政策法、いわゆるNEPAでございますけれども、NEPAの場合について見ますと、政策、計画プログラムを含む連邦政府の決定に対しまして、事前評価を義務づけてございまして、事業アセス、いわゆるEIAとともにSEA制度を包含する形になっております。
 一般的な傾向といたしまして、計画プログラム段階を対象にする場合につきましては、既存のアセス法等に基づく、事業実施段階と類似する仕組み、内容とすることが比較的多いように感じてございますけれども、具体の中身については、それぞれの国で相当の相違があるように感じてございます。
 他方、政策等を対象にする場合につきましては、事業アセスとは別の制度を設ける形式が見受けられてございまして、この形式の場合ですと、例えばオランダの環境テスト、いわゆるEテストでございますけれども、それついて見ますと、法律案を対象として、幾つかの質問事項に対する回答を法案の説明文という形で法案に添付させる形、そういったことを主な内容にしてございまして、閣議命令で律している次第でございます。
 このような形式の場合には、閣議の命令、決定といういわゆる行政措置で律してい場合が多いようにとらえてございます。
 いずれにいたしましても、各国の事例を見ますと、それぞれ置かれた事情が相違してございまして、制度設計も異なってございます。運用面も一様ではございません。単純にはまいらない次第でございます。
 今後、多様なSEA制度の仕組みに加えまして、SEAに関連する各事業の事業体系、意思の決定プロセス等に十分配慮しながら、我が国におけるより上位の計画段階、政策段階のSEAのあり方につきまして、実現可能性の面も十分踏まえさせていただきながら検討を深めてまいりたいと考えてございます。
 私からは、以上でございます。
 続いて、国交省、農林水産省、防衛省の順に補完させていただきます。

○国土交通省(中澤技術開発官) 国土交通省大臣官房技術調査課の中澤でございます。
 私からは、12ページの記載内容について、少し補足させていただきます。
 国土交通省では、公共事業の計画づくりにおいて、社会面、経済面、環境面など、さまざまな観点から総合的に判断していく必要があると考え、公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドラインを昨年4月に策定したところでございます。
 このガイドラインは公共事業構想段階における計画策定プロセスのあり方について標準的な考えを取りまとめたものでございまして、いわゆる戦略的環境アセスメントを含むものとなっております。
 また、その事業に最も適した計画策定プロセスとなるよう、ガイドラインを一律に適用するのではなく、事業の特性、地域の実情などを勘案して、柔軟に対応することとしております。このガイドラインを適用した事例に那覇空港の滑走路増設計画がございますので、簡単にご紹介させていただきます。
 那覇空港につきましては、平成15年度より19年度にかけまして、空港能力の抜本的な向上方策について、国と地域が連携して、総合的な調査を実施し、平成20年度にはその結果を踏まえて、現滑走路との間隔を1310メートル及び850メートルとした2つの滑走路増設案について、パブリックインボルブメント、PIの手法により総合的に比較検討を行ったところでございます。
 この比較検討に当たっては、サンゴ、藻場、干潟などの自然環境の消失、潮流の変化、航空機騒音の改善等の自然環境や社会環境、事業効率性、利便性等を評価項目としております。
 その結果、工期、事業費、自然環境、社会環境等の観点から、1,310メートル案を求める意見が多数寄せられまして、空港近隣市等からも安全、生活環境の観点から1,310メートル以上の沖合への整備を求める意見が出されました。
 また、環境省さんからも複数案について、環境影響を十分具体的に把握、比較検討されていることについて評価される等の意見をちょうだいしたところでございます。
 これらを総合的に勘案いたしまして、滑走路の間隔を1,310メートル案ということにいたしまして、次の施設計画段階に移行したところでございます。
 以上で、国土交通省からの説明を終わります。

○農林水産省(圓谷環境バイオマス政策課長補佐) 農林水産省の大臣官房環境バイオマス政策課の圓谷と申します。
 農林水産省では、先ほどは環境省の平之山課長からご説明ありましたように、他事業における戦略的環境アセスメントの実施事例の積み重ねを参考に検討中でございます。

○防衛省(内田環境対策室長) 防衛省大臣官房文書課環境対策室の内田です。
 防衛省での取組状況でございますけれども、今現在、戦略的アセスメントガイドラインの導入の可能性につきまして、引き続き検討しているところでございます。平成20年4月に国交省さんのほうから出されましたガイドライン等も含めまして、参考にしながら検討してまいる所存でございます。
 なお、防衛省の事案としましては、当面はSEAの適用対象となる事案はございません。以上です。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 この長期的視野を持った科学技術、環境情報、政策手法の基盤の整備、この分野に関しましては、今、ご紹介がありましたように、重点調査事項が3つございます。
 最初の1つは、今年度新規に点検させていただくということで、環境分野の研究・技術開発の戦略的重点化、一番最初に小森さんのほうから紹介いただいたものであります。
 あとの2つ、重点調査事項の2、環境に関する情報の整備及び提供についての取組、そして重点調査事項3、戦略的環境アセスメントの取組状況、これは2年前の点検におきまして、既に1回検討させていただいたものでございまして、その第1回の点検において指摘されたことを踏まえてのフォローアップという形でございます。
 それぞれの重点調査事項が幅広な内容を持っておりまして、今、重点調査事項の3につきましては、既に国土交通省、農水省、そして防衛省のほうから、補完していただいたわけでございますが、後ほど、委員の方々からそれぞれご質問をいただきますが、この段階で、重点調査事項1、あるいは2につきまして、各省からおいでいただいている方々に、何か補足説明をしていただくようなことがございましたら、お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、委員の方々からのご質問を受ける形で各省の方に補足説明をお願いできればと思います。
 この3つの重点調査事項、これは特に、切り分けてご質問等をお受けいたしません。一緒で結構ですので、ご意見、あるいはご質問おありの委員の方々は、札を立てていただけますでしょうか。
 では、そちらのほうから、三浦委員のほうからまいりましょうか。

○三浦委員 重点調査事項の3番の戦略的環境アセスメントについて、国交省と防衛省の方にお伺いいたします。
 1点目は、国交省の方への質問です。次のステップとしまして、現在、都市計画であれば都計審、景観であれば都市景観審という形の審査機関がございますが、今後この戦略的アセスメントに関して、何か審査機関をつくっていくという予定がおありになるのかどうなのかということをお伺いしたいと思います。
 防衛省に関しましては、今現在対象となる事案の予定はないというお話でございましたけれども、横浜都市部において、10年以内に上瀬谷ですとか深谷、根岸といった、都心部としましてはかなり大きな敷地が返還されるということが決まっております。そういった事案についてまず防衛省のほうが戦略的なアセスメントによって、ある程度の調査をされるのか。あるいはすみやかに財務省に移して、そのままスルーされるのかと以上、2点をお伺いしたいと思います。

○鈴木委員長 それでは、全体の質問が終わりましてから、それぞれお答えいただくことにいたします。
 林委員。

○林委員 8ページの表のところですが、ここに[1]、[2]とありまして、各省の情報が出ております。この個別の情報の整備が必要であるということはよくわかるんですが、例えばこれを見ただけでも、都市の内部の環境といったときに、建物の建て方と言いますか、あるいは配置とか、あるいは街区の中の建物のレイアウトとか、どういう材質かとか、そういうものに関する情報が例えば欠けております。そこで、個別の項目を出すだけではなくて、例えばヒートアイランドなど、現象別にどういうふうにこれを把握したらいいかという、ストラクチャーがあったほうがいいんじゃないかと思います。
 そういうものを1つぜひ、つくっていただきたいと思います。

○鈴木委員長 長辻委員。

○長辻委員 内閣府にお尋ねしたいんですが、3ページにエネルギー分野に係る戦略重点科学技術というのがありまして、その下の○印の部分に、「その結果、環境分野及びエネルギー分野については、概ね順調に進捗していることが明らかとなりました」とあるんですが、しかしこのすぐ上の表にあるエネルギーの科学技術のところを見ていくと、12番、13番、14番が気になります。12番は地層処分処理技術、これはガラス固化体で今難航しておりまして、ソフトウェアを含めて住民の受け入れということを考えれば、これは全く進んでいないですよね。
 それから13番の『高速増殖炉(FBR)サイクル技術』。これももんじゅの事故で、14年間止まったままで全く進んでないですね。
 あと14番のITERですが、これは始ったばかりといえば、そうなんですけど、これはまだどうなるかよくわからないという部分がありす。にもかかわらずこれらを含んで、概ね順調に進捗している、というその理由がよくわからないので、それをお尋ねしたいと思って質問しました。
 以上です。

○鈴木委員長 中杉委員。

○中杉委員 質問というよりは取りまとめ方について意見を申し上げたいと思います。
 2つの点がございまして、1つは、各項目ごとに調査の観点が掲げられていますね。例えば、1ページのところで見ますと、a)、b)、c)という3つの観点があって、それに対して、主な取組状況等というのが書かれているんだと思うんですが、実際にそこら辺の対応がよくわからないんですね。
 各省庁ごとの取組がダーッと書かれているだけで、それぞれa)、b)、c)に対して、どうなのかという形での取りまとめをしていただく必要があるだろうというのが1つです。
 それから、2番目と3番目のフォローアップのところですけれども、これにつきましては、点検の指摘内容を踏まえて、評価の観点というのが決まってくると思いますので、この書き方の順番は逆ではないか。第1回の点検における指摘内容がこうこうであったから、こういう観点で評価をすると、調査をしたということを書くべきではないだろうかというふうに思います。
 重点調査事項2のところの指摘内容の最後の○のところは、ご説明にもあったように、これは主な取組状況の中ではないだろうかと。ここに書くのはおかしいのではないかというふうに思います。
 それが全般的な話でございます。
 それから、もう1つ、ご質問させていただきたいのは、重点調査事項の1番のところで、最初から調査の対象になっていなかったようでございますけれども、経済産業省の取組、これは技術開発という面では、非常に大きな割合を占めている。そこの両方がすっぽり抜けていって、基本の点検ができているのか。これはどういうふうにお考えになったのかというのは、これは事務局のほうにお聞きする話になるかもしれません。
 それから、2つ目のところで、情報の整理、提供についてでございますけれども、利用者のニーズにあった提供形態の確保というのは、これは非常に重要なことだと思うんですが、一方で、環境情報がその目的にそぐわない形で利用されている。こういう状況をどう考えるのか。そもそもそういう目的でない形で情報を出しているのに対して、利用する側がそうではない。
 例えば、1つの例を挙げますと、土壌汚染の状況の調査があります。基準をクリアしても、そこに汚染があるかどうか、ないということを判断する材料にならないわけでございますけれども、実際、そういうものが使われて、裁判でもそれを根拠にして評価がなされている。こういう状況をどう考えるかという問題があるかと思います。
 以上でございます。

○鈴木委員長 田中委員。

○田中委員 私は、戦略的環境アセスメントについて3点お伺い、あるいは要望したいと思います。
 この戦略的環境アセスメントは2007年3月に導入ガイドラインが制定されまして、私自身もこの制定のときに、総合研究会のメンバーとして当たったものですから、大変関心を持っておりました。
 いずれにしても、このガイドラインの制定には、最後の調整の段階で、いろいろなご意見でて難航があり、課題があったということは承知しております。
 それで関連して、3点お伺いしたいと思うんですが、1つは、環境アセスメントの実施例というのは、やはり地方に一番多いわけでありますので、ぜひSEAガイドラインの考え方を地方に普及させていくような、そうした環境省の取組をぜひお願いしたいということです。
 したがって、SEAに関する情報提供であるとか、事例の紹介といったことにぜひ取り組んでいただきたい。これはどちらかというと要望であります。
 2つ目は、国交省のほうでは、SEAの具体化にいち早く取り組み、その事例として那覇空港の事例が紹介されました。これは国レベルのSEAガイドラインの枠組みとしては、最初の事例ということで、第一歩を踏み出した評価できる取組だろうと思います。
 その上で、ここは質問なんですが、そうした初めての取組の中で、PIの手法をとりつつ、新しいSEAの枠組みで行ったわけですが、そうした実施局面でどのような課題なり、あるいはこの点はクリアにしておいたほうがいいといったことがあったのか、そうした課題点のようなものがあったら、ぜひご紹介していただきたい。これは質問であります。
 3つ目は、こうしたSEAガイドライン、あるいはその枠組みをさらに運用していく上で、今後のこの取組方向というか、あるいは取組の状況ということについて、特に先ほど防衛省のほうではあまり事例がないというお話でしたけれども、国交省のほうではいかがでしょうか。全国レベルの例えば交通系事業であるとか、道路事業であるとか、幾つか事例があるのかなというふうに考えるのですが、今後はどんな状況なのか、実施例のようなものについてもし把握されている例があったら、教えていただきたい。
 以上、3点でございます。よろしくお願いいたします。

○鈴木委員長 岩村委員。

○岩村委員 私は、戦略的環境アセスメントについての要望というか意見をちょっと申し上げたいと思います。
 上位の政策というか、政策を決める入口で、こういうアセスメントをやるということは、後々、手戻りがなくなるという意味で、大変画期的なことだし、プラスの評価があると思います。
 ただ、1つ、入口でやっても、結果的にはもう一度現地着工なり、その前にもう一度公共事業の場合であれば、アセスメントをしなければいけない。環境アセスメントをする。そのときに、1回目と周辺の事業が全く変わってしまえば別ですが、それでなければやはり1回目にやったものが生きるようなアセスメントを最初にしておかないと、結局二度手間になって、入口でうまく整理したつもりが最終的には単に同じことを2回やったことになるというのも困る。
 そういう意味で、最初のこの戦略的環境アセスメント、まだ始まったばかりなので、まだいろいろ問題あるかと思いますけれども、やはり入口のところでしっかり、後々生きるような、アセスをしておく必要があるのかなというふうに思います。
 もしそうでなければ、結局、同じことを2回やって、特に、役所の場合、人が変わっちゃうので、変わるとまた同じことを1からやり始めるなんていうことも過去にも例がありますので、そこはよく各省間で調整、特に環境省と調整していただいて、これが生きる形になるように、私は期待しております。

○鈴木委員長 よろしいですか。
 では、崎田委員。

○崎田委員 今、それぞれご発表いただいた皆さんに、質問させていただきたいと思っています。
 最初の長期的な視点をもった科学技術などの推進のお話のところですけれども、これに関しては、5ページの一番最後の4、5行のところに、実現に向けた政策の進め方を示すような研究技術開発がより体系的、重点的に進むことが期待されます。というふうに最後にまとめていらっしゃいますが、私はここのところが大変重要だなというふうに感じました。
 大変長期的な視点で重要な科学的な研究をされて、結果的にそれをいかに今の地域社会の環境課題を解決したり、社会システムの変革にできるだけそれを早く投入するかという、そういうところが今期待されているところだと思いますので、こういう現実にいかに移すかという、それに関して、どういう戦略をもっていただくかということが大事なように思います。
 この部分に関して、各省庁がどのような視点を今持っていらっしゃるかというのをぜひ伺いたいというふうに思いました。
 次に、情報の整備のことに関してなんですけれども、やはり同じような視点で、考えさせていただくと、例えばなんですが、8ページの最初の一番上の項目の2つ目のボックスのところに環境保全の取組を発展させるためにも将来のいろいろな将来像をきちんと研究するということが書いてあります。本当に今、今後温暖化対策などをしっかりすると、コスト負担が大変になる。国民はそれが耐えられるかという問いかけが大変強くある時代になってまいりました。
 やはりそれを超えてみんなでやはり取り組んでいくことが将来にとって大事なんだということをかなりきちんとしたデータを基に強く発信していただくのが今大事な時期だと思っておりますので、こういうところをこの研究成果をいかにきちんと発信して、それを実際の保全活動に活用するかというあたりが大変重要だというふうに思っております。
 また、10ページの上から2番目のボックスのところにも、各省庁のいろいろな事例をきちんとつなぐようにするということを書いてあります。
 例えば、総務省のユビキタス特区の事例などを拝見したときに、大変驚いたんですが、地域社会の中で、本当に1件、1件のCO2、エネルギーの使用状況、CO2の排出状況などを調べようと思えばできるシステムが技術的にはある。そういうようなのが見えたときに、地域のCO2削減というのをきちんと地域間オフセットみたいなものを本気で研究するのには、技術的には可能性があるんだということが見えてきたりするわけです。いかにこういうのを、政策形成の中でも省庁の研究を使うかということが大変重要だと思っております。
 そういう意味で、10ページの下の5番の(2)[6]、それぞれの情報提供のあり方に関して、対象ごとにきちんと考えていくという、この辺の項目が大変重要になってくるというふうに思っております。
 一応、ここの項目のところに書いてありますけれども、活用する対象別に、リストを作成し、というふうにありますけれども、市民がこれを活用するときと、政府が政策形成の中で活用するときとまたいろいろと違うと思いますので、この辺に関して、どういうふうに柔軟に考えていらっしゃるか、もう一度お話しいただければありがたいというふうに思っております。
 戦略的アセスに関しては、かなり説明、質問も出ましたので、これだけにさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○鈴木委員長 大塚委員。

○大塚委員 戦略的アセスについて2点と環境情報について1点、質問と意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 最初に、戦略的アセスについてでございますが、12ページのところにございました、国交省さんの最近の取組について、特にこの那覇空港に関しまして、非常にいい取組をされていると思いますので、ぜひ広げて行っていただければと思います。
 今後、これをどういう場面について、これはガイドラインではあるわけですけれども、適用していくことをお考えなのかということをもし何か予想がございましたら、ぜひ教えていただきたいということがございます。
 それから、戦略的アセスメントの最後の上位計画の話等々についてでございますけれども、国によってSEAのやり方というのも違うということがございますので、それから各国で制度ができていても、どういう背景でつくられているかというところとか、制度が導入された場合の効果というのも恐らくかなり変わってくる可能性もあると思いますので、そういう各国でSEAが入ったときに、どういう使われ方をしているか、どういう形で社会の中で位置づけられているかということに関して、ぜひ研究を進めていただきたいと思います。
 これは、さっきの環境の研究の中でもそういうことをぜひやるべきだと思いますが、そういうことをやりながらSEAについての制度の導入というのをぜひ図っていっていただけるとよろしいかと思います。
 それから、環境情報の戦略に関しては、非常に概括的な質問ですけれども、環境情報戦略連絡会というのが、これについて統括することになっているわけですけれども、この連絡会はどのくらい機能しているかとか。年間何回ぐらい行われるかとか。そういうことについては何か既に決まっているのかどうか、よく見るとどこかに書いてあるのかもしれないんですけれども、ちょっと見つからなかったので、教えいただければと思います。
 以上でございます。

○鈴木委員長 では、浅野委員。

○浅野委員 まず、環境情報戦略については、以前この部会で、専門委員会の報告を差し上げまして、いろいろとご意見をいただきました。そのいただきましたご意見をできるだけ生かそうということで、ご意見を取り入れながら、最終的に専門委員会の報告といたしまてし、それを基に政府としての戦略が決定されました。
 本来なら、決定されたのちに速やかに部会の委員の先生方に、こういうものが決まりましたというご報告をしなくてはいけないと考えておりましたが、きちんとそのことを事務局にお願いしていなかったこともあって、今日になって、資料が配られているという体たらくでありまして、大変申し訳ありませんでした。私もうっかりしておりまして、今日になってしまったということです。
 しかし、前回いきなりこういう内容の戦略を決めるのかいうご意見が多数だされました。いただいたご意見は極力取り入れたつもりでおります。ご了承いただきたいと思います。
 その上で、今後、この戦略はつくったらそれで終わりというわけにはいけないわけでございまして、やらなければいけないことはものすごく多いわけですから、すべてを一時に進めることはできないとしても、本日の資料でご報告されているこれまでの動きについては、評価できると思います。大塚委員からのご質問がありましたけれども、今後とも連絡会を緊密に開いていただいて、環境情報戦略が十分に生かされるようにぜひ頑張っていただきたいと思います。
 それから、戦略アセスに関しては、ぜひご理解をいただきたいというか、各省に考えていただきたい一番のポイントは、手続きをどうするかということにこだわるのでなく、およそ何かもの事を進めるときには、その構想を考え、計画を立てる段階から、ちゃんと環境の配慮をしなければいけないということを、本当に具体化、現実化していただきたいということです。
 ですから、手続き規定ができるまで何もしませんというのは、本当はおかしいわけで、そんなことはないはずです。今日のご報告を聞いていても、これから検討しますとか、できたらやりますというお話ですが、そうではなくて、手続きの制度がなくても、現実にこういう点ではこんなふうに配慮しているというようなことがあるはずです。それは、特に地方の出先機関でやっておられる仕事を見る機会があるわけですが、大きな声では言わないけれども、ちゃんと環境配慮の工夫をしておられるわけです。
 実は、その実際にやられていることに関する情報を集めて、それをもとにして制度を考えるほうがより現実的であり、何もなしに空理空論で制度をつくって、SEAをやりますとか、極端な場合には、実際の仕事の手順も考えないで、ともかくSEAの法律をつくればうまくいくという議論はよくないと思います。
 そんな抽象化されたSEAの法律さえできればすべてがよくなるという議論を防ぐためにも、実際にこのガイドラインに沿ってやられている事柄、あるいはガイドラインには沿っていないけれども、可能な限りこれに近いことをやっているという、こういう事柄の事実を積み上げていかないと話は進まないと思います。
 まったく同じことは、今後予想されるより上位の計画、政策決定における戦略アセスメントについても同じだと思います。
 さっき岩村委員がいみじくもおっしゃったわけですが、手続きを重ねてやるというのでは芸がない。そのとおりだと思います。
 要は、ちゃんと環境配慮をしなければいけないということがきちんと実行できているのであれば、制度は要らないとさえ言えるぐらいです。そういうものが、ないからしようがないので制度、制度と言わなきゃいけないわけなんですが、そこのところは常に矛盾を感じるわけです。
 例えばオランダのeテストのようなものが我が国でも、政府が行政措置で導入されるのはいいことだろうと思うんですけれども、しかしそうしたとしても、それだけでうまく機能するかというと疑問もあります。なぜなら、それは閣法の場合に機能しても、議員立法についてはうまく機能しません。
 今国会では、議員立法がたしかに増えています。そうすると、議員立法についてはどうすればいいかという話になるわけです。どういう制度をつくったらうまくいくか、ということもあるわけですが、議員立法の場合でも、議員さんたちがこの立法提案については、環境面ではどういう影響があるのかということを意識して議員立法の提案をしてくださらなければまずいわけです。そういう雰囲気をどうやって、この国に定着させるかというのが、このもう1つの大事な問題だと思います。
 ただ、手続きができている。制度ができているということだけで評価したり、あるいは法律ができたからいい、できてないから駄目だという議論にならないように、もっと実質を考えるということでないといけない。ちょっと抽象的ですが、ここは意見ということで申し上げておきたいと思います。

○鈴木委員長 それでは、ちょっと私もつけ加えさせていただきたいと思うんですが、3つの調査事項がございまして、まず最初の環境分野の研究・技術開発、ここは内閣府の原沢さん、おいでいただいているわけですが、12の個別政策目標、それから環境分野、そしてエネルギー分野の戦略重点科学技術、たしかにこれは非常にきれいにまとめて、総合科学技術会議でまとめていただいていると思います。
 その結果、これを推進していくことが重要であるという段階で終わっていて、これは先ほどの崎田さんもおっしゃったとおりなんですが、一方、環境省においては、環境研究、環境技術開発の推進戦略のようなものがあって、環境省のほうでも国全体としての環境研究、環境技術開発をどうするかというようなことを考えている。何かもう少し内閣府のいろいろな環境PT、エネルギーPTで考えておられるようなことと、環境省の戦略がもう少し密接にリンクする方法はないのかというようなところが非常に気になるんですね。
 内閣府のほうは、実際に手足をお持ちでない、自前の財源を持っておられないというようなこともあって、いろいろとその辺を各省で分担しておやりいただくというような形になるんでしょうが、何かその辺でやはり全体像を眺めた上で、環境省ももちろん協力しながらその他の各省とともに国全体としてどういうふうに進めていくかという、その仕組みをぜひどこかで考える必要があるのではないかと思います。
 それから、もう1つの点は、最後に、安井先生の、この重点領域時代の俯瞰図があるんですが、これは10年以上前の図で、今の時点では少し進化しているのではないでしょうか。この辺のところは安井先生にお願いしても良いでしょうが、少し書き直していただいたらどうでしょうか。
 それから、環境情報に関してなんですが、情報をどういうふうにまとめていくか、あるいはどういう形のものであるべきかということがいっぱいここに書かれているんですが、本当に環境情報として、何を環境情報と考えているのか。どういう目的のどういう情報を集めるのか。そういうようなことで、もちろん政策形成に必要となる情報とそれから一般市民の側から必要とされる情報など、それは階層構造があると思いますし、質も違っていていいと思いますが、ともかく何か目的が明確になってないと、ただ情報という言葉が躍っているようで、ちょっと気になるんですね。ですから、あるいは環境情報の整備及び提供の取組みたいなものや、データベースの具体的な形がどうなるのかというあたりが、もっと早くみんなに見える形で出てくると、またそれについて議論が進むのかなとおもいます。
 環境情報以外に国家統計的ないろいろな基本的な情報がいろいろなところで錯綜しているわけで、その辺も本来であればオールジャパンで考えていかなくてはいけないものかもしれません。その辺も含めて、どこかの段階で環境情報の姿がもう少し具体的に提示されるといいのかなという感じを持って伺っていました。
 アセスについてはいろいろとお話がありましたので、特に私のほうとしては質問等はございません。
 それでは、今いろいろと委員の方々から出ましたご意見につきまして、おいでいただいている各省の方々からお答えいただきたいと思いますが、環境省のほうから進めましょうか。

○環境省(小森計画官) それではまず、私のほうから全体の資料のまとめ方ということで、中杉先生から点検の指摘があって、それから観点が出てきて、それぞれの観点がどういう施策と対応しているのかともう少し明確にわかるようにということのご意見をいただきましたので、ぜひそのようにさせていただければと思っております。
 それから、科学技術のところで、経産省が入ってないじゃないかと。私ども経産省とも調整しまして、個別のいろいろな施策は出てきているんですけれども、どうも戦略的な省全体をまたぐ環境分野の戦略的重点化はないということでしたので、ここから抜けておりますけれども、先生からご指摘を受けましたので、引き続き調整させていただきまして、何とかご意見に沿うような形で調整をさせていただきたいというふうに思います。

○環境省(川上企画調査室長) 企画調査室でございます。環境情報の関係で、幾つかご指摘、あるいはご質問いただきました。
 例えば、現象別のアプローチ、ヒートアイランドなど、そういうことができないかということでございますけれども、ちょうど私ども今考えておりますオントロジーという共通語彙概念を提供する体系的な考え方があるようでございます。従来ですと、例えば地球温暖化というキーワードで検索しますと、温暖化というキーワードの入っている情報しか出なかったというところがございまして、その先またそれぞれの解釈をしながら取捨選択をしていくというようなことでございましたけれども、このオントロジーの考え方ですと、例えば地球温暖化というキーワードで検索しますと、二酸化炭素、メタン、エネルギー、エルニーニョ、こういった現象に関わる、バックグラウンドのような、そういったところまで合わせて情報が提供されるというふうになっているようでございます。
 したがいまして、人の思考、あるいは発想の形態に非常に近い形で情報が出てくるわけでありますので、非常に検索がしやすくなるのではないかなというふうに考えております。
 集めた情報につきましては、こういった方法で提供していくということで改善が図られるのではないかなと思ってございます。
 また、個別具体に適宜ご指導などをいただければというふうに考えてございます。
 それから、点検の指摘内容のところに、取組が記載されているということでございました。第1回の6ページの4つ目の○ということでございますけれども、実際のところ第1回の点検の中に、今後の展望という項目があるようでございまして、その展望としてこういったところが指摘されたということでございます。ただ、例えば少し書きぶりを工夫するなどして、例えば発展的な検討が必要である、こういったところを指摘の内容とさせていただいて、そして中環審の総政部会環境情報専門委員会における設置、検討、これを取組のほうに書かせていただくということもできるかなというふうに考えてございます。
 それから、提供された環境情報が必ずしも提供者の意図に合った形での使われ方をしないときにどうするのか。目的外の利用ということでございます。
 大変に難しい問題だなというふうに思いますけれども、例えば環境基本法の27条で、情報の提供に当たって、個人及び法人の権利、利益の保護に配慮しつつという原則があるわけでございます。こういった原則を踏まえること、それからこの情報の提供の目的といたしまして、民間団体、民間団体というのは企業も事業者も国民も入れた概念で使っておりますけれども、民間団体等が自発的に行う環境の保全に関する活動の促進に資するために行うというような基本的な考え方でございます。
 そういったところに照らしながら、個別の事例ごとに考えさせていただくのかなというふうな思いを持っております。少しお時間をいただきながら検討させていただければというふうに考えております。
 それから、将来像の提示というのは非常に重要であるというご指摘などをいただいております。データについて、市民の活用、政府の使い方が違うけれども、この辺について、どう考えているのかということがございました。
 私ども環境白書を提供させていただくときに、やはりわかりやすさというのと正確性というのと一見非常に難しい2つの条件を両立させていかなければいけないわけでありますけれども、むしろ市民の方に対してはもう思い切ってわかりやすさを優先させていくというようなことも必要ではないかなというふうに考えてございます。
 情報の収集、計画段階における考え方として、現在8つほど粗々の要素というものを挙げてきておるんですけれども、例えば利用者の設定とニーズへの対応方針といたしまして、利用者の利用目的でありますとか、利用手段、こういったものをよく考えて、その特性、あるいはニーズに対応して、情報収集をどうするのか、そういう方針を設定して、それから始めよう。あるいは、これに基づいて、どういう情報を優先して収集したらいいのか。頻度はどうするのか。サンプルの地点をどういうふうにとっていくのかということを検討したり、やはり市民の方に信頼を持って使っていただかなければいけないということで、信頼性を保証するような方策も必要であろうというふうに考えております。
 政府のほうでこの信頼性という観点からすると、例えばデータ収集のプロセスでどういった課題があるのかという、そこも含めまして、プロセスにかかる記録を行うこと、そして収集整理方法を検討していくというようなことを考えております。
 市民の活用という点については、ぜひこれからもこういった活用をしたいんだというところで、ご意見等いただければというふうに考えております。
 それから、連絡会議の関係でございますけれども、先ほど、浅野先生がおっしゃったように、ぜひこの会議、有意義に活用していくということを考えております。実際今回もそうでありましたけれども、実質的に担当レベルで非常に密な連絡を交わしながら環境情報の提供、政府全体としてどう進んでいくのかということで、非常に既に有益に機能しておるところでございます。引き続き、こういった良好な関係を政府全体として維持できればというふうに考えております。
 環境情報の戦略につきまして、手続きでちょっとうまくいかなかったようでございまして、改めてお詫びをしたいと思います。
 それから、環境情報については、政策の目的を明らかにしてというようなご指摘でございました。収集、あるいは設計段階はもとより提供する段階で常に目的というものを意識しながら問題の「見える化」に資するような情報を集めること、何か特別の取組ができるような「できる化」というんでしょうか、そういった形で提供。さらには、具体的な行動を継続して行うためにはほめられるというような、そういったインセンティブの与え方もあるということでございます。
 こうした観点も情報に付加しながら、その当初の政策目的が達成されるような形での情報提供を進めていきたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。

○環境省(平之山環境影響評価課長) 戦略的環境アセスメントSEAについてご回答させていただきます。
 まず、田中先生のほうからございましたSEAの普及の話でございます。説明させていただきましたとおり、地方公共団体の皆様方、あるいはコンサルを担う方々とここ1、2年、意見交換してまいりましたけれども、SEAに対する実施局面でのケアというのが極めて大切だなということで、私自身考えてございます。
 最初が肝心でございますので、この普及につきまして、今後とも力を入れて取り組んでまいりたいと思ってございます。
 次に、岩村先生のほうからございましたSEAとEIAの重複排除の点でございます。
 まさにここが重要な課題でございまして、総合研究会におきましても、この点について十分な議論をしてきたつもりでございます。
 ご案内のとおりSEAにつきましては、複数案の環境影響を評価することによって、環境への影響の回避低減の可能性を見いだすということが眼目でございまして、それに続く具体のA案のところで深堀りをするEIAとはそもそも違うんだよということを常に念頭に置きながら我々処理していきたいと思ってございます。
 またこの点につきましては、環境影響評価制度総合研究会の中でも議論がございまして、いわゆるSEAでやった先行成果を次のEIAでいかに活用するのかという、いわゆるティアリングということで称してございますけれども、それも大きな課題として登場してきてございますので、先だって、7月30日に専門委員会を設置させていただきましたけれども、そちらのほうでもご議論を賜ればなということで考えてございます。
 次に、大塚先生のほうからございました、より上位、構想段階における検討について、非常に重要な課題であるので、引き続き検討、研究してほしいということでございました。
 この分野につきましては、国別の制度設計、背景等々、さまざまでございまして、我が国に導入する際に、どういう工夫があるのかという、大きな課題がございます。
 先ほど浅野先生のほうから制度をつくるのが目的ではなくて、中身、実質を考えながら詰めていかないといかんというのはまさにそのとおりでございますので、浅野先生のご指摘を十分念頭に置きながら、よりよい制度設計について検討してまいりたいと思ってございます。
 それ以降の那覇空港の話であるとか、さまざまなことがございましたけれども、それぞれ担当のほうからよろしくお願いいたします。

○国土交通省(中澤技術開発官) 国土交通省でございます。
 私のほうからは、5名の先生からご意見いただきましたので、順にお答えいたします。
 まず、三浦委員からちょうだいしたSEAについて、都市計画審議会のような審議機関をつくる予定があるのかということについてでございます。
 私どもの計画策定プロセスガイドラインでは、環境影響を含めて客観的な立場から助言をする技術検討委員会という組織の設置を位置づけております。
 現に那覇空港でも技術検討委員会を設置しておりまして、技術的な視点からさまざまな助言をいただくような形で進めております。
 いずれにいたしましても、まだ試行段階の制度でございますので、事例を積み重ねて、その中で、個々の事案に応じてどんなメンバー構成にするか、議論を深めていきたいと考えております。
 次に、田中委員からいただきました那覇空港の実施局面での課題についてでございます。私どもで実施面の課題として大きく2点あると考えております。
 1つ目は、やはり地域の実情等に応じて、柔軟な対応が必要だったということでございます。
 構想段階の計画策定プロセスにおいては、まだ事業の内容が固まっていない段階で多種多様なデータの収集ですとか、複数案や評価項目の設定、比較、検討といったものを行うことになるわけですが、個別の事業の特性や事案の性質、地域の実情等を勘案して、試行錯誤しながら柔軟に対応していかなければならないということが実務上大変なところでございます。
 那覇空港の事例で言えば、あらかじめ滑走路の間隔や配置別に12パターンの増設案を設定して、これを先ほど申し上げた総合的な調査によって、2つに絞り込んだ上で、14の評価項目について比較検討をしたということでございます。
 こういった代替案ですとか、評価項目、比較検討の内容が個別の事業ごとに千差万別となってしまうため、なかなか標準化が難しい部分があるというのを実感として感じております。
 もう1点でございますが、それなりに大きな時間と労力を伴うということでございます。住民関係者への周知について説明会や懇談会を35回、那覇空港の例ですが、パネル展示は5カ所、オープンハウス、いろいろなパネルを展示したりする空間、説明会をする部屋を設けて説明するというオープンハウスを30カ所、それからシンポジウム1回というものを実施しまして、PIのレポートについては、8万6,000部を配付してございます。
 さらに、アンケートへの回答者が約1万8,000人ということでございます。意見総数約2万8,000件となりまして、こういったものへの対応にも膨大な時間と労力を費やしたところでございまして、PIの実施自体がそれなりに大きな負担を伴うということも事実でございます。
 次に、大塚委員と田中委員と共通したご質問かと思いますけれども、那覇空港の事例があった後の今後の見通し、展開についてのご質問だったと思います。
 私ども国土交通省、PIを通じて、戦略的環境アセスメントに鋭意取り組んでおりまして、現在のところ、那覇空港以外にも数件現場でPIの進め方について調整中のものがございます。
 続きまして、岩村委員からSEAの段階で、1回目に行った評価なりさまざまな成果が後に生きるような形で進めなさいというお話がございました。これにつきましては、先ほども環境省からも説明がありましたが、私どものプロセスガイドラインにおいても、計画策定後の環境影響評価や都市計画手続きにおいても計画策定プロセスにおける検討の経緯を十分に勘案するですとか、計画プロセスの中で収集した調査結果、データ等について有効に活用することが望ましいというふうにしておりまして、今後、事例の積み重ねの中で、現場でも十分留意するようしっかり周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
 続きまして、浅野先生からちょうだいしたことでございまして、環境配慮をさまざまなところで広げていってほしいというお話だったと思います。
 これにつきましては、私ども、もともと影響が大きい事業というものをプロセスガイドラインで対象にしておりますけれども、その一方で、ガイドラインの一部分だけでも適用できないのかですとか、またプロセスガイドラインの精神の部分というところだけでも取り入れてもらえないかということで、地方の支部部局の担当者向けの説明会を行ったりということで、周知に努めてきております。そういう中で、浅野先生がおっしゃった事例の蓄積に努めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○防衛省(内田環境対策室長) 防衛省でございます。
 三浦委員のほうから、ご意見がございました横浜で今後予定される大規模返還について、SEAを適用するのかというご質問だったと思うんですけれども、当省として現在検討中でございますので、明確な答えはできないんですけれども、我々これまで米軍の施設だったものを返還してきたところでございますけれども、それらについては、環境上の問題が生じないような措置をして、地権者等に返還しているところでございます。
 今回のSEA、土地利用に適用するのかというご質問でございますけれども、返還された後の土地利用等につきましては、市町村とか個人の地権者の方のいろいろなご意見をまとめられて、市町村等がこの土地をどのように利用していくかというのを検討されるということだと思いますので、我々自身が返還した後、どういうふうに土地を利用していくかという構想自体を持ち合わせてございませんので、SEAの適用というか、防衛省としてのSEAの対象にはならないんじゃないかと思っております。
 以上です。

○鈴木委員長 そのほかのご質問、順番にまいりましょうか。

○環境省(秦環境研究技術室長) 崎田委員からいただいておりましたご質問は、研究・技術開発の5ページの最後のところで、新しい経済社会の将来像を提示してその実現に向けた政策の進め方を示すような研究・技術開発、これはどういう視点をもって進めていくのかというお尋ねであったかと思います。具体的にその将来像をどう提示していくのかというところは鈴木部会長からもご指摘があったように大変難しい課題でございますけれども、私どもとしては、横断的分野、例えば循環型社会と低炭素社会を同時に実現していくような分野、そういったものに重点化をしていくということを通じて、政策に直結した研究開発を進めていく、そういう視点で進めていくのだろうと考えております。こういったやり方によって、政策推進のための研究を加速していくということが重要になってくるのではないかと思っております。
 なお、具体的には、今、その前の4ページの「環境研究・環境技術開発の推進戦略」の見直しに入っておりますので、その検討の中でもこういった視点を含めて議論してまいりたいと思っております。
 以上でありす。

○農林水産省(荻野技術会議研究専門官) 関連して農林水産省でございます。
 農林水産分野に関する研究開発につきましては、当然、農林水産業としての生産性の向上ですとか、農林水産業を持続的に発展させていくという視点から、また国民の皆様に安全、安心の食を提供すると、そういった観点から研究開発を進めておりますが、先ほどの資料の中では1つの例示のような形で、地球温暖化対策研究戦略というのを出させていただいているところですけれども、こういった環境政策ですとか、科学技術基本計画、そういったものとの整合性を図りながら、また農林水産省として進めていく政策との整合性ももちろん図りながら研究開発を進めているところでございます。
 研究開発で得られた成果につきましては、これは迅速に政策に反映させたり、また現場に普及させていったりするような取組を進めておりますし、現場や政策から出てきた研究ニーズについては、これをフィードバックさせて、研究を進めていると、そういった状況でございます。
 以上でございます。

○鈴木委員長 農水はよろしいですか。
 では、文部科学省は特によろしいですか。
 では、財務省はいかがでしょうか。よろしいですか。
 せっかくおいでいただいたので。
 それでは、内閣府のほうは。

○内閣府(原沢政策統括官付副参事官) 内閣府でございます。
 4つほどコメント、質問をいただいたと思います。
 まず、中辻先生のほうから、3ページにあります概ね順調という意味についてのご質問がございました。
 ちょっと資料が変わるんですが、資料1-2にもう少し詳しい情報を載せております。
 今回の中間フォローアップは、分野別に環境分野とエネルギー分野、それぞれ別個にフォローアップを進めたという状況があります。
 1ページにありますのは、環境分野におけますフォローアップの結果の概要ということで、真ん中辺には中間フォローアップを行ったということで、一部の研究開発目標を除いて概ね順調に進捗しているという、そういう表現でまとめておりますが、環境分野につきましては、研究開発目標は360ほどありまして、そのうち、遅れていると評価されたものが2件ございますので、この1部というのが、そういう意味では、362分の2ぐらいの位置づけになっております。
 同じようなものがエネルギー分野につきましては、ちょっと後ろですけれども、5ページご覧いただきますと、こちらについてもかなりの研究開発目標がございまして、先ほどご指摘のあったような一部遅れている課題もあるということではあるんですけれども、上のほうですけれども、一部遅れている事業もあるが、全体的に俯瞰すると順調に進捗しているという表現でまとめております。
 この2つを合わせまして、一部という、意味づけが非常に曖昧かとは思うんですけれども、本文のほうの概ねにそういったことを含めつつ、概ね順調に進捗しているという表現にさせていただいたんですけれども、ちょっと誤解があるということであれば、もう少し、先ほどご紹介したような意味を入れるような文章にしたいと思います。
 それが1点目でございます。
 2点目ですけれども、崎田先生のほうからは、研究開発の出口が見えるような研究開発をすべきではないかというご趣旨のお話かと思います。
 今回、中間フォローアップをやりますと結果をわかりやすく一般の人たちにも「見える化」を図る必要があるということで、一部そういったことが進んできておりますけれども、また分野によっては、内閣府が関連しておりますと、連携施策群という形で、環境分野については科学物質ですとかバイオマスについては府省連携でまた出口が見える研究を進めておりますし、また昨年度からスタートしたものでありますけれども、社会関連加速プロジェクト、これはまさに社会に還元するというのを銘打ったプロジェクトでございまして、現在、5本動いております。今年度が2年目ということで、5年後に実証試験まで持っていって、技術開発の成果が目に見えて一般の方々にもわかるようにするというような趣旨で進めております。
 こういったタイプの研究が今後増えてくるのではないかと思っております。
 3つ目、4つ目は鈴木先生のほうからご指摘のあった点でありまして、こういった戦略をつくる際に、各省もっと連携してやるべきではないかということでございます。実際に、第3科学技術基本計画をつくる際の各省の連携をやってございますし、今まさに中間フォローアップが終わったすぐ後でございますけれども、次の第4期の科学技術基本計画に向けて、いろいろ検討が始まっているという中で、各省連携してそういった戦略づくりについて知恵を出し合って、よりいいものをつくっていくという方向になっております。
 特に、第3期科学技術基本計画におきましては、府省連携、産官学の連携といったものが合言葉になっておりまして、かなりこの中間フォローアップではそういったことが進んできたのではないかという評価もございます。
 俯瞰図でございますけども、こちらは安井先生にいただいたものを1枚だけご提示したということで、ちょっと誤解を招いたかもしれませんけれども、数十枚の俯瞰図をいただいております。かなり前に出されたものについてバージョンアップをしているということでございまして、俯瞰図につきましては、我々中間フォローアップをやる中で、やはりこういった全体を見渡せるようなものが必要ではないかということで、これまでの俯瞰図ということで、いろいろな形でつくられてきたということで、俯瞰図が結果ではなくて、俯瞰図は出発点で、これを基にして、いろいろな研究をどうするかとか、研究の戦略をどうするかといったものに今後使っていくべきではないかということでありまして、問題は、誰がつくるかということがあるんですけれども、いずれにしろこういった戦略をつくるに当たって、こういったツールをうまく使うことによって、第4期の科学技術基本計画をよりいいものになっていくのではないかと思います。
 以上、コメントです。

○鈴木委員長 国土交通省はもうよろしいですか、先ほどので。
 それでは、それぞれのところから補足説明等をいただきました。
 第4次環境基本計画を来年度ぐらいから準備していくことになりますが、その辺について、今いろいろとご質疑、あるいはご意見をいただいたところを生かして進めるということになろうかと思います。
 何かこの段階で、委員の方々から特に追加のご質問等ございますでしょうか。
 ちょっと1つ、私、防衛省にお伺いしたいんですが、いろいろ軍事施設に関して、環境配慮というのは先ほどちょっとありましたが、どういうことをお考えですか。環境アセスをなさるご覚悟があるのか、あるいはそういう……。

○防衛省(内田環境対策室長) 通常、いろいろな事業の中で、環境アセスを実施するべきものは実施してきておりますし、また規定で必要がないものもいろいろ考慮して環境アセス等を実施しておりますけれども、まずやはり例えば沖縄であれば自然というんでしょうか、貴重種の保護等に環境アセスで皆様方のいろいろなご意見を伺いながら、実際の工事を環境の負荷がないような形で行ってきております。
 ちょっと私自身も数種の事例しか承知してないもんですから。

○鈴木委員長 なんかその辺ははっきり線引きをしておいていただかないと、環境にやさしいという物差しと軍事施設の目的とをどうすり合わせをするのかという問題もあるように思いますが。

○防衛省(内田環境対策室長) 我々の施設というのは、国交省さんのような施設と違いまして、公共事業ではないんですけども、やっぱり軍事的な必要性というんでしょうか、そういうことが前に出ているものでありまして、その必要性から修正というんでしょうか、例えば飛行場の滑走路の方向とか何かということもかなり制約がある状況の中で、我々のほうも計画段階で必要なこと、また運用段階で時間、航空機であれば騒音をまき散らしてはいかんということで、ある一定の時間で飛行場の運用をするというような運用等においても考慮しているというところでござます。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 ちょっと余計なことを伺ったかもしれません。
 それでは、よろしいでしょうか。この長期的な視野を持った科学技術、環境情報、政策手法の基盤の整備につきましては、いろいろと原案、まとめにつきましては、ほかの分野とも整合性をとった形でかなりブラッシュアップをしていただくことが必要かと思いますが、またさらに追加の情報等を加えていただいて、次の段階に進めさせていただければと、そんなふうに思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、この各省からのヒアリングというような形、これはこれをもって終了させていただきたいと思います。それぞれの担当省からおいでいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、ご退席いただいて結構です。
(各省庁退室)

○鈴木委員長 では、次の議題といたしまして、アンケート調査の結果について、それから環境シンポジウムの結果についてというものがございます。
 これにつきましては、事務局のほうからアンケート調査の結果について、ご説明をいただき、そしてシンポジウムの結果につきましては、3カ所の会場でシンポジウムいたしておりますので、このパネルディスカッションの進行を担当された委員から報告をいただくということにお願いしたいと思います。
 それではまず、アンケート調査の結果につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○環境省(小森計画官) それではご説明させていただきます。
 環境省では、毎年、全国の二十歳以上の成人約2,000人の方を対象といたしました調査、「環境にやさしいライフスタイル実態調査」、それからすべての地方公共団体を対象とした調査といたしまして、「環境基本計画で期待される地方公共団体の取組についてのアンケート調査」、この2つのアンケート調査を行っているところでございます。
 この度、平成20年度の調査結果を取りまとめたところでございますので、まずその概要につきまして、参考資料の6と7ということで、お手元のほうに配付させていただいております。
 アンケート調査報告書本体につきましては、別途、大変厚い資料がございます。これにつきましては、後日郵送させていただきたいというふうに思います。
 これらを基に事務局において、主な調査項目について、標本誤差等も踏まえ、明らかになった傾向を記載した資料2を作成しております。
 この資料は点検報告書に盛り込む叩き台として、作成したものでございます。
 本日は、この資料2の記載内容に沿いましてご説明させていただきたいと思います。
 なお、2つのアンケートの調査対象の属性等につきましては、資料2の11ページに記載しているところでございますので、ご覧いただければと思います。
 調査期間は、本年2月から3月となってございます。
 それでは、まず「環境にやさしいライフスタイル実態調査結果の概要」からご説明申し上げます。
 1ページの図1をご覧ください。
 現在の環境の状況についてでございますが、地球レベルでの悪化を実感している国民の割合が高く、国のレベル、地域レベルと身近になるにつれ、割合は低下してございます。
 地球環境について、平成20年度は「悪化している」の割合が、15%以上低下しているものの、「悪化している」及び「やや悪化している」の合計は前年度から大きな変化はありません。
 また、地域レベルの環境について、「変わらない」との回答が半数近くを占めているところでございます。
 1ページをおめくりいただきまして、2ページの図2をご覧ください。
 地域レベル、国レベル、地球レベル、それぞれについて環境の状況が「悪化している」、または「やや悪化している」というご回答をいただいた方から、その回答理由について伺いました。
 各レベルにおいて地球温暖化が進んでいるからというご回答が最も多くなってございます。
 3ページの図3をご覧いただきたいと思います。
 平成20年度の調査結果におきましても、国が行っている環境行政の満足度につきましては、「満足している」と「まあ満足している」というご回答の方が合わせて3%にとどまってございます。
 平成19年度調査結果と同様、国民の環境行政、国の環境行政に対する満足度は残念ながら低くなっているという状況でございます。
 一方で、地方公共団体が行っている環境行政の満足度につきましては、約8%でございましたけれども、満足していない方の割合、「あまり満足していない」、「全く満足していない」と答えた人の合計は、平成19年度は半数を占めていたのに対して、平成20年度は35%程度まで減少しているところでございます。
 4ページの図5、図6をご覧いただきたいと思います。
 国及び地方公共団体が行っている環境行政に対する満足度の低さを踏まえまして、今後環境行政に求めることにつきまして調査したところ、国、地方公共団体の双方につきまして、概ね半数の方が、法律、条例等による環境保全対策制度の強化、地球温暖化防止、循環型社会形成等に関する計画の進行管理の徹底、といった総合的な環境行政の推進を求めているということでございました。
 その他、国については、ほぼすべての項目について、概ね3割以上の方が今後求めることにそれぞれの項目を挙げてございます。
 それから、5ページに移りまして、図7でございますけれども、環境保全に重要な役割を担う主体は国民であるという回答があった方が約半数となっておりまして、国が約30%、事業者が15%でございますので、これを大きく上回っております。
 それから、ページの下のほう、図8でございますけれども、実際の環境保全行動の実態について見ますと、「ゴミの分別」、「節電・節水」、「リサイクル」等個人で対応できる行動や家庭内の工夫により対応が可能な行動の実行率が高いことがわかります。
 一方で、「地域の環境に関する計画等の策定活動」、「地域の省エネルギー活動」、「地域自然保護活動」への参加等、地域における環境保全のための取組の実行率というのは概ね低くなっております。
 6ページの図9をご覧いただきたいと思います。
 国民の環境教育・環境学習活動への参加率でございますけれども、「現在参加している」、それから「参加したことがある」を合計いたしましても、体験型、体験型以外を問わず、10%に満たない状況でございますけれども、参加したいという意向を持つ人の割合を合わせますと、50%を超えるということでございまして、環境教育・環境学習活動への国民のニーズを参加に結びつけるための情報、機会の提供等の施策というのが引き続き必要と考えられます。
 図10でございますけれども、国民の70%近くが環境保全に取り組むことが経済発展につながるという認識を持っています。
 それから、図11、12ということで、次のページになりますけれども、地方公共団体の取組についてのアンケート調査結果の概要でございますけれども、環境保全活動について、事業者及び民間団体との連携・協働に取り組んでいる地方公共団体というのは、全体の40%程度。それから、住民との連携・協働に取り組んでいる地方公共団体は全体の60%程度になっております。
 また、図12でございますけれども、民間団体に対する支援、育成に取り組んでいる地方公共団体は、全体の30%程度となっております。
 パートナーシップ社会の構築に向けて事業者、民間団体との連携・協働の仕組みづくりや民間団体への支援の強化というのが引き続き求められる状況にあります。
 それから、8ページ、図13でございますけれども、住民の環境保全取組促進のために地方公共団体が行っている施策でございますけれども、特に進んでいる取組というのは、「ゴミのぽい捨てを禁止」、それから「リサイクル活動」、「コンポストの購入」、「野外焼却の禁止」、「合併処理浄化槽の個人設置」等、環境負荷の低減にかかる取組でございます。
 また、最も多く採用されている手法は、「普及・啓発」となっております。
 引き続き、地方公共団体ごとにさまざまな取組の内容や手法を検討し、地域の実情に応じた適切な環境保全の取組を進めていくことが望まれると思います。
 それから、9ページの図14でございます。
 地方公共団体が、住民に提供している環境情報は、「暮らしの中の工夫や行動」が最も多く、企業関連情報や環境保護団体の活動状況に関する情報の提供の実施率が低くなっております。
 図15でございますけれども、住民への情報提供の方法は、「広報誌やパンフレット」が最も多く、次いで「ホームページ」による情報提供が進んでおります。
 10ページ、図16をご覧ください。
 環境保全施策推進過程における住民意見の取り入れについて、最も多く採用されている方法は「審議会」ですが、「自治会・町内会からの意見聴取」、「アンケート」、「意見交換会・ワークショップ・協議会等」、さまざまな方法が採用されているところでございます。
 以上で、国民及び地方公共団体に対するアンケート調査結果についての概要の説明を終わらせていただきます。

○鈴木委員長 それでは、3つの環境シンポジウムにつきましての報告をいただきましてから、あわせてご質問があればお受けしたいと思います。
 資料3にございますように、埼玉とそれから熊本、それから堺、3つのシンポジウムを行っております。
 まず最初に、埼玉で開催されました環境シンポジウムの結果のご報告を小澤委員のほうからお願いいたします。

○小澤委員 シンポジウムの司会を担当いたしましたので、報告させていただきたいと思います。
 お手元の資料3の1枚目が、さいたま市で行われました環境シンポジウムの概要でございます。
 期日は、6月1日ということでございます。
 取組の状況報告につきましては、そこに書いてあります4人の方からご報告いただきました。
 また、この中央環境審議会の政策部会の先生方、9人の委員の方にご出席いただきました。環境省からもお2人ということでございました。
 まず、基調講演として、田中充先生のほうから、多様な主体の参加・協働による地域環境づくりをテーマといたしまして、ご報告をいただきました。
 特に、今まとめられております参加・協働のあり方ということで、幾つかの観点からお話をいただき、そしてまた環境保全における市民と行政による活動の特質を紹介いただきましたけれども、いわゆる従来の行政に市民が協力するということではなく、地域社会を構成します市民、事業者、そして行政が対等にコラボレーションしていく、そしてそのことが地域環境力向上に求められていく行政の役割にもつながっていくというご報告がありました。
 具体的には、地域社会の各主体と協働して、地域づくりを推進していくとともに、主体の力、主体間の関係の力を向上させていくことが必要ではないかということと、地域環境資源の活用など、地域環境力を向上させる戦略的な仕組みが必要であるということを事例を入れてお話をいただきました。
 その基調講演をいただいた後、1枚目の後ろのほうに、裏紙のほうになりますけれども、取組の状況をNPOカウンセラー協会の会長をしていらっしゃいます上領園子さんから、地球温暖化防止に向けた取組とそれから個人で、家庭で進められておられますよという排出削減に向けた取組のご紹介をいただきました。
 また、片亀さんには、一応肩書は評価機構という形になっておりますけれども、実際には家庭、家族の理解と協力によって具体的にやってらっしゃることをお話ししていただきました。
 また、東京ガスの埼玉支店の高嶋様からは東京ガスの経営理念と企業行動理念、そしてさいたま市における環境活動の具体的な活動内容をご紹介ただきました。
 そして、2030年ごろの低炭素社会におけるエネルギーのあるべき姿についてご説明いただきました。
 また、埼玉県の環境部保全課対策課長の北田さんからは、埼玉県の温暖化の状況。特に、温暖化によってお亡くなりになった方もあるという数値をお示しいただきながら、実際のこの2月に策定いたしました地球温暖化対策実行計画、それと制定しました条例、そのこととそれから具体的な施策についてお話をいただきました。
 実際に補助金を出すことによって、太陽光発電パネルを取り付ける家庭などが増えているということのご報告もいただきました。
 パネルディスカッションが行われましたけれども、参加いただきました政策部会の委員の先生からもご質問等々がありましたけれども、大きく3つの視点からまとめますと、そこに記載してありますような内容になるかと思います。
 エコライフの実践におきましては、やはり成果をこまめに記載、記録していくことが大事じゃないかということと。取組をサポートする社会的インフラが構築されていれば取り組みやすくなるのではないかというご意見がありました。
 また、東京ガスの高嶋さんからは、顧客のガスの使用状況からCO2がどれだけ削減できたのかをインターネットなどで示すサービスが必要なのではないか。これは実際に一番下のほうにありますような地域づくりに向けた取組の課題の中でも、個人、あるいは家庭でやっておりました片亀さんのほうからもそういった必要性が強調されておりました。
 そして、片亀さんからはやはりこういう実際にやるということが、経済的な節約にもなるということが1つの動機になるということで、そういったことをアピールして、義務感で頑張るよりも楽しんでできるということが大事だということをパワーポイントで実際の絵を見せていただきながらご説明、そしてご意見をいただくことができました。
 また、埼玉県からはエコライフ普及のために、CO2排出量の「見える化」、そういったこととその経済性とのリンク、どれくらいCO2排出量を減らすと電気料金を節約できるかということが必要じゃないか。
 そして、環境学習を重点的に取り組むという、この3つを重点的に取り組むということ、そうすることによって、ここから親への啓蒙、そういったところにもつながるのではないかということのご意見をいただきました。
 また、一般傍聴者の方から、埼玉県が実施しているエコライフデーにおける紹介をすることによって、誰でも取組ができるということで、広めていくことが必要ではないかというご意見がありました。
 また、環境教育、環境学習については、佐和委員から、環境学習のプログラムをいかに上手につくるかが重要であるということ。学校に太陽光発電施設を設置して、幼児や児童に対してそういった太陽光発電の仕組みなどについて体験学習させることが重要ではないかというご意見もいただきました。
 そして、地域づくりに向けた取組の課題として、やはり環境カウンセラーの方が個人的に対応しようとすると非常に交通費などの負担がある。そしてそれが活動範囲の限界を招くということで、そういった意味での支援というんでしょうか、そういったことのご意見がありました。
 全体を振り返りまして、田中先生からいただいた基調講演の中での、地域環境力をどういうふうに向上させていくかというところの意見交換が少し少なかったのかなというふうには思っております。
 以上でございます。

○鈴木委員長 それでは、熊本市につきまして、浅野委員。

○浅野委員 熊本でのシンポジウムは、6月25日に熊本交通センターホテルで行われました。
 審議会からは崎田委員、武内委員、川上委員、善養寺委員、永里委員、林委員がご出席くださいました。
 基調講演は私が20分ほどさせていただきましたが、内容は省略させていただきます。
 次に、取組状況についてのご報告を4人の方からいただきました。まず養父信夫さんからのご報告でした。
 この方は、「九州のムラへ行こう」というコミュニティ雑誌を出しておられて、ムラの活性化という立場からグリーンツーリズムやエコツーリズムを応援するという活動をしておられる方です。ムラの「生活」(いのち)、ムラのイノチをマチの暮らしに。マチの力をムラの生業(なりわい)に。こういうことについて雑誌を通じて情報を伝える役割を果たしているということでした。地元学とものが九州でも盛んですが、その考え方を生かしながら、地域の六次産業化、つまり一次、二次、三次を加えれば六次になるということらしく、「六次産業」といわれるわけですが、それをターゲットにするためにはコーディネーターの役割が大事だという話をされました。
 それから、次のご報告者、深見聡さんは、長崎大学の准教授ですが、この方は、NPOでの活動の経歴を評価されて大学の先生になられた、そういう方ですが、大学では環境学ではなくて観光学を担当しておられます。
 この方は、NPOでエコミュージアム活動をサポートするというお仕事をしてこれられていまして、その経験を生かして、大学と地域の連携プログラムを環境教育の中で実践しようとしておられます。
 例えば、世間遺産といったような新しい概念、つまり世界遺産じゃなくて、世の中全体、世間ですね。つまり身の回りのものもそういう新しい目で見れば、何か使い道があるのではないかとか、あるいはまちエコ講座を実践するということによって、地域環境資源を発見する手法開発が大事であるということを強調されました。
 次のご報告者の坂元英俊さんですが、この方は、半官半民の財団法人ですが、自治体と地域の民間の方が共同でつくっておられる組織の事務局長をしておられます。
 この方は、地域の環境資源をどう認識するか、それを認識した上でどう活用するか、そのあり方を考えておられるということでありました。
 見せるということがまず第一ですが、それから始まって次は体験させる、泊める、食べさせる、そして地域の持っているものを商品化するといったようなプロセスがある。そういうプロセスを通じて、人をちゃんと集める、お金を使ってもらう。そういう戦略を考えなければいかんのだということを言っておられました。
 ただし、そうは言いながら、「暮らし」を続けることが第一義であって、そういうことをしっかり認識するところから自然や歴史や文化の保護ということも生まれるのだろう、こんな話をされました。
 最後のご報告者は、熊本市役所の水保全課の課長補佐の星子和徳さんでしたが、熊本は大変豊富な地下水資源を持っておられて、それらを活用したまちづくりを考えておられまして、水文化の保全のために、熊本水遺産登録とか、くまもと水検定制度、これは要するに知識を検定試験でやってみようとか、あるいはくまもと水守制度、そういうものを通して、市民をいかに取組主体にさせていくか、こういう努力をしておられるということでした。
 この報告に対して、各委員からのご質問を受けて、パネルディスカッションをいたしましたが、内容的には、特に九州という場所を考えますと、そこでの歴史を踏まえた地域資源の活用ということができないか。それから、海外から人を集めるというときに、歴史を踏まえた地域資源の活用というときに、どういう取組の仕方があるのだろうか、といったようなことが1つの話題でありました。
 2番目は、地域資源、地域環境資源を活用する方策ということでありまして、特にその中でも、コーディネーターの機能や取組主体を育てること。3番目は、ここにその他と書いてありますが、実はかなり時間をかけて議論したのは、阿蘇の草原保全のために、社会がどう取り組むか、この問題が大変深刻な問題になっているということで少し盛り上がりました。
 あとは、資料をご覧ください。熊本の報告は以上でございます。

○鈴木委員長 それでは、最後の堺につきましては、私のほうからご報告をさせていただきます。
 6月30日に大阪府の堺市で最後のシンポジウムが開催されましたが、このプリントにございますように、地元の4名の方に、取組状況の報告をいただき、この総政部会のほうからは、6名が参加しております。
 総政部会のほうから、藤井委員に基調講演をお願いいたしまして、それが功を奏したのか、一般傍聴者120名という大変活発な会議になりました。
 基調講演の藤井委員のほうからはご自身の「菜の花プロジェクト」の周辺、それを取り囲むいろいろな活動につきましてのご紹介がございました。
 これにつきましては皆様よくご承知のことと思います。一方、地域のほうからの取組状況といたしましては、NPO法人のASUの会、シニアーな方々が集まって、官学等が協力して、廃食油を集めてBDF(ディーゼル油)をつくり出す。こういうようなことで努力しておられるNPO法人の代表の柴田美治さん。
 それから、子どもたちを集めて、その力を使って環境保全を試みておられる「ONE WORLD for children」という、これもNPO法人でありますが、この代表の松本一美さんという方です。実際に、この地域の大和川というところに、葦を植えて、これは琵琶湖の経験から葦をこちらのほうに導入するというようなことがあるようですが、それと同時に守屋池というところで、ナノバブルを利用した浄化活動をしたり、いろいろな具体的な浄化活動に子どもたちを巻き込むことによって環境改善と同時に環境教育もやっておられる活動紹介がございました。
 3番目のご報告は、釣道具で有名なのシマノの本社が堺のほうにございますが、その中心となって活躍しておられる大田勝之さん。大変活発なCSR活動として、先ほどの大和川の河川清掃、あるいはそこで生える葦を使って紙をつくる。その紙をつくるのも福祉との協力において、作業所と連携して紙をつくり、それをまた企業が利用するというようなうまいモデルができ上がっているというご紹介がございました。
 4人目は、堺市の環境局の環境保全部長の真瀬和則さんで、堺市自身の環境活動に関しましてのご紹介がございました。
 堺市は、この日、ちょうど6月30日のシンポジウムの前の時間を使いまして、第1回ということだったと思いますが、堺市としての環境活動表彰というものを始めるということで、幾つかの団体、そして個人の方の表彰式が持たれました。市長さんから表彰がされたわけであります。
 堺はそもそも環境モデル都市にも選ばれているわけでありますし、ご承知のように埋立地のほうを使いまして、建設廃材からバイオエタノールをつくる工場が作られていたり、埋立地で共生の森というような自然復帰の森をつくる努力をされていたり、太陽メガソーラーをあの地域で考えているというような、ある意味では埋立ての土地があるから、いろいろなことができることもありますが、なかなか先進的な活動をしておられます。
 そういうところで、その中で、代表的な活動の紹介いただき、そういうところをベースにしてディスカッションが行われたということであります。
 パネルでは、大体、埼玉の場合、熊本の場合ともそうかもしれませんが、どうやってその地域の1つの活動モデルをつくっていくのがいいのか。というようなことで、特に堺のほうでは、地域と民間、あるいは大学、特に大阪府立大学、あるいは市民活動、非常に連携が強まっているわけですが、そういうところのやはりコーディネーションをどういうふうにやっていくのがいいのか。あるいは、ビジネスモデルのようなものがどうつくり得るのか。いろいろなことが議論になったと思います。
 そして、ほかのところとも関連していると思いますが、やはりそのビジョンをどういうふうにつくっていくのか。どういう形をその地域におけるいろいろな主体の連携の活動としてつくっていくのか。そこにおいて自治体がどういう役割を果たすのかというようなことが課題になろうかと思います。
 ここにおきましては、一般参加者も含め、いろいろなご議論をいただき、また、総政部会から参加いただいた先生方からも非常に有益なご意見をいただくことができました。
 そういうことで、大変充実したシンポジウムなりました。この3つのシンポジウムを通して、やはり先ほど申し上げましたように、その地域で、環境省の一番の強みでもあるわけですが、市民あるいはビジネス、あるいは自治体の行政からの期待があり、これらの主体の間でどういうふうに連携を組み立てて、どういうモデル、成功事例を幾つつくっていくかというようなことが重要なのかなというような感じを持ちました。
 そういう意味では、堺は、実績を通じて1つの貢献ができているところと言ってよろしいのかと思います。
 非常に、短時間で3つのシンポジウムを紹介させていただきましたが、先ほどのアンケートの調査結果も含めまして、先生方のほうから何かご質問、あるいはご意見がございましたら、お願いしたいと思います。
 では、今度はこちらから行きましょうか。 
 崎田委員。

○崎田委員 では、私は意見ということで、まず私もシンポジウムに参加させていただいたんですが、こういうふうに現場に行って、いろいろ活動していらっしゃる方ときちんとお話を伺うようなシンポジウムのやり方というのは、やはり現場で本当に皆さんが地域密着して活動している新しい活動の仕方などをきちんと生で伺える機会があるので、こういうやり方はやはり継続してやっていただくといいなというふうに改めて実感しました。
 そういう点で考えるともう1点、逆にただこのアンケートなどを拝見しますと、まだまだ地域の体験型の環境学習などに参加したことがあるという人が10%とか、こういうさまざまな地域での動きや活動をもっと広く、より広い地域社会の方に活用していただくような、そういうような次の展開というのが必要なのかなというふうな感じもいたしました。
 そういうようなところで、こういうアンケートと両方を感じながらきちんとその辺の人材育成とか情報提供のこと、そしてモデルをつくっていくというお話が今ありましたが、そういうところをきちんと今後に踏まえて発信していけたらいいなと思いました。ありがとうございました。

○鈴木委員長 武内委員。

○武内委員 最初に1つ余計なことですけれども、浅野先生が六次産業をおっしゃったんですが、あれは東大の名誉教授の今村先生が最初に話をされて、彼は1+2+3ではなくて、1×2×3だと、結果は同じなんですけれども、掛けて相乗効果というのを彼自身が言っているということで、余計なことを申し上げました。
 アンケートのことでございますけれども、私は、ちょっと平成20年度は悪化している割合が15%以上低下しているというあたりとそれからその次に3枚目に地方公共団体の施策に対して満足していないものの割合が平成19年度から20年度にかけて15%程度低下しているという、これだけ見ますと、皆さんは環境はよくなっているというふうに認識し、それから公共団体はよくやっていると読めるという話になるとちょっと困るので、ここでは、「悪化している」、「やや悪化している」の合計は大きな変化がありませんというような、こういうふうにして文章をつくっているんですけれども、私はこれが比較可能だという前提で一生懸命文章を書いていることになるんですけれども、ずっと見てみますと、これはインターネット調査なんですね。そもそもこの3つの時期でインターネット調査でやったのかということも気になりますし、それから多分インターネット調査なんですよね、これはね。
 インターネット調査したときに、これはインターネット調査というのは、私もこれを使わざるを得ないので、よくやっているんですけれども、その会社によって持っている人がいるんですね、それぞれ。ですから、同じ会社でやるとか、何かそういうことをしないと、この結果が動くとか、そういう話があるんじゃないかと思って。
 この地方自治体のほうは、郵送で回収しているので全く問題ないんですけれども、インターネット調査について、多分前もちょっと議論があったと思うんですけれども、この辺の数字の大きな変化を解釈するに当たって、これは比較可能だという設定で解釈していいのかどうか。そこをちょっとご検討いただいたほうが、このデータを見る限り、ちょっといいんじゃないかなと、そんな感じがいたしました。

○鈴木委員長 岩村委員。

○岩村委員 同じくアンケート調査の結果なんですが、環境の状況の実感、国民が地球レベルでの悪化を実感している国民の割合というんですが、その後ろの理由を見ると、地球温暖化が進んでいるからという選択肢を選んでいるんですね。こういうのは実感とは言わないんじゃないかと。ここにいらっしゃる方は皆さんある程度そういう知見がありますから、悪くなっているというのはおわかりかもしれませんけれども、一般の人でわかるのは、せいぜい地域の周りのゴミが減ったとか、増えたとか、森林が減ったとか、そんな話ぐらいで、やっぱり地球レベル、国レベルで、国民にアンケートしても、恐らく理由の選択肢がないと判断できないんじゃないかと思うんですが、そうじゃないのか、ちょっと一度教えていただきたいなと思います。
 私個人は、地球レベルで悪化したかどうかというのはわからない。実感はわからないという答えになっちゃうような気がするんですけど。

○鈴木委員長 小澤委員。

○小澤委員 1つは、私も今まとめて報告いたしましたけれども、非常にアンケート結果は個人でできるところが非常に高い割合になっていて、地域社会全体でやるということがとても少ないとう、そして実際にさいたま市でやったときも、非常に情熱を持ってやっていらっしゃるんですね。
 それがなかなか田中先生が基調講演でお話しした地域力、地域環境力まで高めて行かれないという、それで私もこの3月まで、日本環境教育学会の会長をやりながら、なかなかそういった社会の仕組みをつくるところに行かないのは何だろうという、それでアンケート結果を見ると非常に環境教育を受けている人が少ないと、環境教育の質的な課題があるのかなとも受け止めて、やはりこれはもう少し社会をどう変えていくかとか。そういったことで、文科省のほうのいわゆる環境教育をトータルにやる総合的な学習的な時間、高校生の解説編では市民としての資質を高めるということを入れていただいたんですけれども、何かそこに転換していくような、アンケートをとる項目を入れないと、これだとやはりどうしても個人でやっているほうに高くついてしまうのかなと思っております。
 2点目は、温暖化が進んでいるということは実感は多分マスコミとか映像を見ながら、多分感じているんだろうと思うんですが、私はこの地球温暖化という言葉が本当にいいのかどうかという、やはり異常気象ということが特にヨーロッパなんかでは使われている、異常気象という言葉のほうがいいのか。そろそろ日本もきちんと概念をわかっていただくためにも提示の仕方を考えたほうがいいのではないかというふうに思っております。
 以上です。

○鈴木委員長 佐々木委員。

○佐々木委員 私、このアンケートの調査結果を見させていただいて、実は大変びっくりしておりまして、国民の環境に対する理解度が、実践力がまだまだだなという実感を持たせていただきました。
 しかしながら、一方で、環境に関わることに参画したいという数字は、ある程度あるわけでありまして、今の小澤委員がお話しされましたように、やはりそこに対する、どんなふうにしてやっていくのかという具体的な項目を入れることによって、この調査の数値も別の視点で見ることができるのかなというふうにも思いました。
 またもう1つ、やはり過日行われました環境シンポジウムは、啓発活動そのものに対しても大変有効なシンポジウムだったと思っております。
 いろいろな情報が資料として学校現場にもたくさん来ますけれども、やはりそれはさらりと流されてしまう。人が人を介して、環境の学びをさせてもらうことは非常に重要なことでありますので、書面を渡したから、書面をつくったからその情報提供をされたということではないはずでありまして、きちんと人との関わりの中で、環境の学びができるようにしたいにです。、したがって、さっきも文科省の方がお見えになっておりましたけれども、やはり会議にお出でになったら、ひと言も発言せずにで帰ってしまうというのは大変残念だなと、そんなふうにも思いました。環境シンポジウムのような場面を活用したり、それからイベントの場面を活用したりして情報を直に提供することも可能かと考えます。そんな形のものがもっとたくさん日本にできるといいなというようにも思いました。ありがとうございました。

○鈴木委員長 藤井委員。

○藤井委員 アンケートの8ページのところの住民に対する取組促進の実施例のところで、行政の取組が大変気になって、ちょっとご質問というか意見を申し上げたいと思います。
 行政は普及啓発、ここが大変多いというのは、この右側の数字を見ても大変よくわかりますが、問題は、その真ん中の支援・誘導とどのぐらいの整合性があるかです。
 ほとんど合併浄化槽のような制度設計が金銭的な助成があるところは、少し近い数字もあるんですが、ほとんどが例えばリサイクル商品の購入でも、51.4と2.6、エコマーク商品、56.1と0.8、さまざまなところでこういうギャップがあるということで、行政はチラシをつくる、資料づくりばかりにかまけて、ばかりと言ってはいけないんですが、それでもう仕事が終わり、ならばこれを本当に啓発したものがどう生きるかと、そこのところまで制度設計のバックアップができないのは、ただお金がないだけなのか。環境の行政の全体の方針の全体像を市民に伝える中で、このまちは、この県は、この方針でいくということを高々にうたっての項目立て、こういう啓発なのか。そこのところが全国で、同じような傾向が出ているんではないかというのが大変気がかりです。
 このまままた来年とっても、同じような形が出て、いつも行政は普及啓発やっておりますということで、終わってしまうことと、実際のきっちりと形ができていくというところのギャップをどうしたらいいかというのをアンケートの中でも何か引き出せないかなという、そういうお願いをさせていただきたいと思います。

○鈴木委員長 三浦委員。

○三浦委員 2回目で失礼いたします。
 アンケートですが、データの信ぴょう性はともかくも、とられている対象が地域別と都市規模別に見てクロス集計をかけてみてはいかがかと思います。特に、図表4にあります本文11ページですが、関心のある環境問題分野と国に対して今後求める、あるいは地方公共団体に対して、今後求めることというのが、地域や住まう都市の規模によって、多少違うのではないかという感じていますので、単純集計だけではなくて、そのあたりのクロス集計もお願いをしたいというのが1点でございます。
 もう1つは、シンポジウムの報告で重要なのは、先ほどの鈴木先生のほうからもご報告がありましたけれども、シンポジウムの後に、バイオエタノールの工場を見学に行ったりと現地施設の見学は非常に意義がございました。多分、熊本でも埼玉でもそういった施設を見に行かれたのではないかなということを考え合わせますと、この報告書の中にそれぞれのシンポジウムに付随して、どんなような施設を見学されたのかという報告をいただければと思います。
 以上、2点ございます。

○鈴木委員長 どうされますか。簡単に。

○環境省(小森計画官) 簡単にということでございますので、幾つか。
 武内先生から、インターネットでやっているのかどうかということですが、この比較しております18、19、20、3つともインターネット調査でやっております。
 それでやはり武内先生ご指摘のように、会社が競争入札という制度なものですから、毎年変わってしまうんです。それで、非常に細かいところを見ると、数字が変な動きをしているというのがあるので、大きなものをつかまえるのにはいいんですけど、なかなか難しい問題がございます。
 それから、小澤先生から、行動に転換していくような、地域環境力を高める、そういったようなアンケートのとり方、工夫ができないかということで、ちょっと考えてみたいというふうに思います。
 それから、崎田先生、佐々木先生、シンポジウムは大変有用だというご意見をいただきました。ありがとうございます。
 それから、クロス集計をしたらどうかということですが、クロス集計は実はしてございまして、これは厚いので本日はお配りしてないんですけれども、後日、皆様に郵送させていただきたいというふうに思っております。
 以上、ファクトだけでございます。それ以外にもさまざまなご意見いただきました。ぜひ、参考にさせていただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

○浅野委員 ちょっと、1つ足しておかなければいけないことがございます。
 岩村先生からご質問があった点ですが、詳しい報告書のほうをご覧いただくとおわかりだと思いますが、選択肢はものすごく沢山あります。それらが果たしてそれぞれの部分を見るときに適切かどうかということは確かに議論の余地があるわけですが、大変多くの選択肢を用意しているので、これをどの部分でどう認識するかということを見る意味では、一応意味があるかなというふうに思いますので、後で詳しく参考資料の6、どの項目を聞いているかというのが出ていますので、ご覧をいただければと思います。
 きょうの説明資料は、回答数が極めて多かった項目だけが記されていますので、3つだけが選択肢と思われたかもしれません。そうではありません。

○岩村委員 それと実感という言葉が。

○浅野委員 それは問題ですね。もともと実感という言葉も問題ですし、それから、よくなったと思うか悪くなったと思うか、というのは、やはり危機感の調査とあまり変わらない。始まる前に話をしていたのですが、地球危機時計のあの調査とこの調査とどこが違うかと言われたら、実質あまり変わらないような気がするんですね。
 だから、見出しの書き方がちょっと誤解を与えてしまうかもしれない。
 例えば政府の取組がよくないということは、どう取組をしているかをご存じの方が言われるのとご存じじゃない方が言われるのでは違うわけですから、そこはどうかなという気もしないではありません。
 以前、私は、仮説のようなことでしたが、例えば環境税がうまく導入できないとか、国内排出枠取引制度がなかなか進まないというふうなことが報道されるにつけ、国民の皆さん方は、どうも政府がよくやってないんじゃないかと思われるんじゃないかと申し上げたこともあったのですが、では、何をやるべきかという質問への回答を拝見いたしますと、あまりそれらには答えは集まっていない。
 ですから、やっぱり何となく全体的な不満とか何となく全般的な不安というのは印象だけで答えが出てくるということはやむを得ないですね。

○鈴木委員長 理解が深まると不満も増えるということもあったり、なかなか難しいんですが、ただやはりこういう概括的な結果だけじゃなくて、もっと内容に立ち入っていろいろと解析ができるようになると、せっかくのアンケートが生きてくるのかもしれません。アンケートの取り方も、結果について年次経過を比較しなきゃいけないということになると、ちょっと不備があっても思い切って変えられないということがありますね。
 ですから、どこかの段階で、またきっちりとデザインし直さないといけないといけないでしょう。あとで意味がある結果をそこから得られるような、アンケートのつくり方を第四次基本計画のときでしょうか、考えていかなきゃいけないのかもしれませんね。

○浅野委員 これこそまさに環境研究でこういうテーマをきちんと研究してくださる方があるといいのかもしれません。

○鈴木委員長 アンケートというのは一種の誘導尋問的なところもあるので、危険な面もあるのですが、先ほど小澤先生がおっしゃったように、やはり自分たちのライフスタイルや行動の見直し、変革につながるような、アンケートも、ある意味では必要なのかもしれません。
 さて、これは議論していると果てしなくなるかもしれませんが予定の時間を大変オーバーしてしまっております。本日の審議予定の案件に関しましては、すべて終了いたしました。
 あとはこの点検報告書の具体的な内容をつくっていただくというようなことで、事務局のほうにもご努力いただかなければいけませんが、先生方のほうでもいろいろ気がつかれたことはぜひ事務局のほうに挙げていただいて、次回に間に合うようにさせていただければと思います。
 事務局のほうから、何かご連絡はございますでしょうか。

○事務局(小森計画官) 次回の日程についてお知らせいたします。
 第51回総合政策部会でございますけれども、9月25日金曜日、14時から16時ということで、場所は本日と同じでございます。三田共用会議所4階第4特別会議室でございます。
 議題としては、主に点検報告書の素案を作成いたしまして、それについてのご審議をお願いしたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○鈴木委員長 それでは、以上をもちまして、本日の環境基本計画点検小委員会を終了させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

午後4時23分 閉会