第6回 環境基本計画点検小委員会議事録

日時

平成20年9月19日(金)

場所

環境省 総合環境政策局 環境計画課

議事内容

午前10時01分 開会

○小川環境計画課長 おはようございます。何人かの先生は、おってお見えになるご予定でございますけれども、時間になりましたので、ただいまから第6回の環境基本計画点検小委員会を開会いたします。
 まず、配付資料の確認をお願いいたします。
 第6回の小委員会の議事次第と配付資料1枚紙でございます。それから、小さなクリップで止めております資料1が「川崎市のリスクコミュニケーションにかかる取組」というもので、コピーの資料とそれからパンフレットでございます。それから、資料2の[1]、重点調査事項に係る点検結果でございます。それから、次が同じ体裁でありますけれども、資料2の[2]としておる資料でございます。最後に、参考資料1、基本計画の第2回点検の進め方について、でございます。もしご不足がありましたら、事務局のほうまでご連絡をお願いいたします。
 ご発言につきましては、マイクの前の大きなボタンを押してお願いいたします。また、ご発言が終わりましたら、再度ボタンを押して消していただきたいと思います。
 本日の会議につきましては、鈴木部会長がご欠席でいらっしゃいますので、浅野委員に進行をお願いいたします。
 それでは、ここからの進行につきまして、浅野委員、よろしくお願いいたします。

○浅野委員 それでは、おはようございます。
 本日は、化学物質の環境リスク低減に向けた取組について点検を行うということでございます。
 まず、前半は、川崎市からリスクコミュニケーションについて、ご報告をいただき、質疑応答したいと思います。
 まず、「川崎市のリスクコミュニケーションに係る取組」について川崎市環境局環境対策部企画指導課の島田ひろ子主幹からお話を承りたいと存じます。大体15分ぐらいということでお願いしておりますので、よろしくお願いいたします。

○島田主幹 川崎市環境局で化学物質対策担当をしております島田と申します。よろしくお願いいたします。
 今日は、資料1に沿いまして「川崎市のリスクコミュニケーションに係る取組」について報告いたします。
 1番に書いてありますように川崎市の取組としては、3つのことを今日報告いたします。
 1つ目といたしまして、川崎市化学物質に関するリスクコミュニケーションを進める会について。2つ目といたしまして、川崎市化学物質と環境セミナーについて。3つ目といたしまして神奈川県公害防止推進協議会、この協議会は神奈川県、横浜市、川崎市が連携して快適な生活の実現を目指すということでやっている協議会であります。
 自動車交通公害対策、化学物質問題、それから浮遊粒子状物質対策の3つの部会がございまして、その中の化学物質問題検討会で、平成19年度にリスクコミュニケーションについて取り上げましたので、それについて報告いたします。
 川崎市化学物質に関するリスクコミュニケーションを進める会について、まずご報告します。この発足の背景といたしましては、川崎市における化学物質の排出量、環境濃度、環境リスク、あるいは事業所の取組などについて市民、事業者、行政が情報を共有し、化学物質による環境リスクの低減のためには何をすべきか検討するといったようなことについて、川崎市における化学物質に関するコミュニケーションを図る必要があると考えまして、平成15年度に「川崎市化学物質に関するリスクコミュニケーションを進める会」というのを発足いたしました。
 こちらの目的ですが、川崎市における化学物質による環境リスクの低減を図り、より安全で安心して暮らせるまちづくりに寄与するため、その一貫として化学物質の環境リスクに関する市民、事業者、行政の情報及び意見交換の場を構築し、相互理解を深め、リスクコミュニケーションを推進することを目的としております。
 リスクコミュニケーションの場の構築、リスクコミュニケーションの促進に向けた検討を行ってまいりました。
 会議の委員ですが、市民5名、事業者5社、行政5名、リスク解析専門家、ファシリテーター各々1名という形で構成しております。
 市民委員は、一般公募ではなく環境局の地域事業経験者、川崎市の環境局の中に環境パートナーシップかわさきという事業者さんとか市民団体が入っている川崎市のことについて話し合う会があるんですが、そこでの経験者、それから学校の先生、それからまたその方たちの推薦者ということで成り立っております。
 表1に、事業者委員について掲載しております。
 この事業者さんなんですが、川崎市の場合、化学物質関係というとやはり臨海部に非常に多いんですが、臨海部に偏らない形でということで内陸部の方も入っていただいています。
 この表の中で、株式会社東芝さんと富士通株式会社さんについては、PRTRの対象外となっております。
 では、ちょっとページをめくっていただいて、2ページ目をお願いいたします。
 開催頻度は、親会、ワーキングは年3回程度で行ってきました。
 これまでの会の活動の概要ですが、リスクコミュニケーションの場の構築といたしましては、会自体を市民、事業者及び行政の各主体がそれぞれの立場で環境リスクの低減に向けた取組を進める際の情報収集や意見交換、勉強の場としてとらえ、事業者委員に依頼して、工場見学も実施しております。
 それから、リスクコミュニケーションの促進に向けた情報発信ですが、事業者には、リスクコミュニケーションの実施に参考にしていただくために、市民に対しては、化学物質に関する理解を深めていただくために、この会の活動についてはホームページ等で広く情報発信しております。
 会で実践してきたリスクコミュニケーションの手法について、よかった点や反省点なども整理して、これもホームページ上で情報発信しております。
 会の活動を踏まえ、リスクコミュニケーションの普及に向けた市民向け及び事業者向けパンフレットの作成を検討し、パンフレットの印刷、配付を予定しております。
 19年度にこの会議で案をつくっていただきまして、今、印刷中というんですか校正中で今日はちょっとお持ちできなかったんですが、10月ごろ配付予定でおります。その配付した折には、ホームページにも掲載する予定でおります。
 会の現状なんですが、5年間の活動を通して、リスクコミュニケーションの普及に向けたパンフレットの作成という形で成果がまとめられました。この参加しているPRTR事業者の委員の方に、一般市民とのリスクコミュニケーションの実施をお願いしましたが、ちょっとまだ実現には至っておりません。こういう状況から、一応この会につきましては、今年度から休会としております。
 今後は、つくっていただいたパンフレットをもとにうちのほうでいろいろ検討を加えていきたいと思っております。
 課題としましては、PRTR対象の事業者さん委員が必要性等を理解しているんですが、一般市民とのリスクコミュニケーションということに対してはまだ抵抗があり、実際の実施には至っておりません。
 (8)以降に、1ページ半にわたって活動実績を掲載しております。
 この各会のやったことにつきましては、ホームページに詳細を掲載しております。
 それから、3ページ目、次のページですが、平成16年度のところの上から2つ目の

○のところですが、化学物質に関する市民向けパンフレット別添というのが今日資料としてお配りしています「化学物質と環境について知ろう―川崎市の化学物質排出量などから」というパンフレットになります。
 それから、平成17年度、3つ目のところに会報と書いてございます。それも別添ということで、書いてありますが、それがオレンジ色というんですか、「身近な化学物質について、日ごろこんなことが気になったことはありませんか?」という形で、簡単なパンフレットにしております。この両方につきましては、区役所、それから図書館等の資料コーナーを通したりして、市民の方に配付しております。
 次のページをお願いします。
 2つ目といたしまして、川崎市化学物質と環境セミナーでございますが、これは市民向け、事業者さん向けの2つに分かれております。
 まず、目的としまして、市民向けセミナーは市民に、化学物質の排出実態、環境リスク、市や事業者における取組など、化学物質に関する理解を深めてもらい、リスクコミュニケーションを推進すること。また、事業者向けセミナーは、事業者に化学物質の自主管理の取組を促進してもらい、リスクコミュニケーションを推進することを目的としております。
 これまでのセミナーの概要といたしましては、市民及び事業者を対象とした化学物質、環境に関するセミナーを毎年開催し、化学物質の排出実態や環境リスク、事業者による化学物質管理やリスクコミュニケーションの取組事例、関係法令の動向、市の環境物質対策などの情報提供をしております。
 また、市民向けセミナーで、平成18年度、19年度におきましては、事業者が発行しております環境報告書がリスクコミュニケーションの1つのツールとなることから、参加型の環境報告を読むワークショップとして開催いたしました。
 課題といたしましては、市民向けセミナーにおける参加者が少なく、市民が関心を持つセミナーの企画が必要であると思っております。
 開催実績ですが、まず市民向けセミナーにつきましては、下のほうに書いてありますが、初めは40人弱で、18年、19年になるともうちょっと少なくなって、参加者が少ないことがちょっと問題となっています。
 ホームページにこれの内容については、詳細を掲載しております。また、アンケートを実施し、アンケートの結果というかご意見も掲載しております。
 次のページをお願いします。
 事業者向けのセミナーですが、こちらは大体60人から96人とかなり出席していただいてやっております。
 これらのセミナーにつきましては、先ほど言いましたリスクコミュニケーションを進める会の方たちのご意見を参考にしてやっております。
 その前に、事前段階として平成14年度にもこのリスクコミュニケーションを推進するための準備としてのセミナーを1回開催しております。
 次のページをお願いいたします。
 4と書いてある3つ目のものですが、神奈川県公害防止推進協議会の化学物質問題検討部会における19年度の取組ですが、この化学物質問題検討部会というのは、毎年、中身を変えてやっておりますので、たまたま19年度にリスクコミュニケーションについて取り上げました。
 神奈川県のほうは、リスクコミュニケーションのモデルリスコミということを実施しておりまして、これはたしかPRTR大賞をいただいていたと思います。
 こちらの県のモデルリスコミの実施事業者4社、それから化学物質アドバイザー、ファシリテーターの方で、内容なんですが、リスクコミュニケーションを実施した、その事業者さんの実施前の状況や実施の契機、それから準備段階の苦労、実施後の感想などについての情報交換を行いました。
 表2に事業者さんからの意見についてまとめております。
 まず、「リスコミの実施について」ですが、リスコミについては、まだマイナスイメージがある。リスコミ実施に関して恐怖心がある。経営者にリスコミを実施するメリットを理解してもらう必要がある。事故時など非常時に理解と協力が得やすくなることがあり、リスコミ実施の動機であった。行政の要請、支援があったためリスコミの実施に踏み切った。
 「リスコミを実施してよかったこと」としては、会社の活動を理解してもらえた。リスコミ実施後、地域住民とコミュニケーションが図れるようになった。社内で評価された。社員に地域の中で、事業活動をしているという意識・視点が芽生えた。社内では、気づかなかった意見を聞くことができた。
 「化学物質に特化したコミュニケーション」につきましては、環境保全全般、緊急時の対応などと比較すると化学物質管理についての市民の関心は高くない。化学物質に特化することは市民、事業者の立場からは違和感がある。
 「行政に対して」は、行政からのは働きかけは経営者の理解を得やすい。リスコミ実施の理由になる。それから、行政主導で実施すると市民も参加しやすい。行政が入ると全体的にやりやすくなる。行政が作成する冊子については、その内容を説明するなどPRし、リスコミの下地づくりが必要である。市民から地域の事業所をまとめてリスコミを実施してほしいとの意見があった。工場見学などわかりやすいことから始めていけばよいのではないか。リスコミのアンケートなどを実施した場合は、結果を事業者に返すことが重要だ。事業者は他社と比較し、競争するものなので、他社が実施していることが原動力となることもある。という意見がありました。
 次のページにいきます。
 リスクコミュニケーションに関する講習会です。これは、講演者を社団法人の環境情報科学センターの方にやっていただき、内容としてはPRTR大賞から見るリスクコミュニケーションの現状や事業者の取組事例の紹介をしていただきました。
 あと冊子の作成をしました。このリスクコミュニケーションを実施した事業者による情報交換会の内容や化管法が施行されて8年経過した現在で、リスクコミュニケーションの意義や成果についてリスクコミュニケーションを実施するメリットの観点も含めて、検証した内容等について取りまとめました。
 以上、3つの主な取組がありましたが、これまでの取組でわかったこととしましては、リスクコミュニケーションについて現在においても事業者にとってマイナスのイメージや恐怖心があり、リスクコミュニケーションを実施するメリットを経営者に理解してもらうことが重要である。
 リスクコミュニケーションを実施した事業者は概ね実施してよかったとの感想である。化学物質に特化してのコミュニケーションについては、市民の関心とのギャップがある。例えば、市民の関心は、平常時の化学物質のリスクよりも災害時のハザードや騒音、臭気など、環境対策全般に関心がある。
 市民と事業者、行政との間に化学物質に関する情報の理解度にギャップがあるため、市民の化学物質に対する関心を高め、理解を深めていくことが不可欠である。
 リスクコミュニケーションの実施に関して、行政からの働きかけやリスクコミュニケーションの場に同席するなどの支援は効果がある。
 川崎市独自の課題といたしましては、化学物質の排出量の多い事業所が臨海部に集中している。臨海部は工業専用地域であり、近隣に住民がいないため、事業者は平常時の化学物質管理についてのリスクコミュニケーションについての必要性をあまり感じておりません。
 現状、市民からの要請も特にありません。川崎市は前に公害がかなりひどかったようなことがありまして、以前に比べれば環境が改善されていること。あとどこの事業所に問い合わせればよいかわからないなどが考えられます。
 そういう中で、事業者にリスクコミュニケーションを実施するメリットを示していく必要があります。
 あと周辺に同業種の事業者が多く、事業者は個別の事業所ごとにリスクコミュニケーションを行うことに抵抗があります。市民の立場からも地域全体からの影響がどうしても関心となっております。
 事業所が集中している臨海部に関しましては、個別事業所ということではかなり難しいこともありますので、地域全体、または業種全体でのリスクコミュニケーションの推進を検討する必要があるかと思っております。
 業種全体のリスクコミュニケーションということになると、なかなか地方の自治体では難しいので、国からの働きかけをお願いできればと思っております。
 あとJRCC、日本化学工業会の中の日本レスポンシブルケア協議会におきまして、地域対話ということを行っております。
 川崎地区地域対話におきましても最近では今年の5月に開催されたのですが、前回の2005年に化学物質のリスクコミュニケーションについて取り上げております。このJRCCの地域対話におきましては、臨海部に接している町内会の方も出席しております。
 川崎市の場合ですと、例えば悪臭の苦情でも、内陸部の居住地域におきましては、ある事業者さんのにおいですごく困っている場合がある。例えば、川崎のラーメン屋さんとか飲食店のにおいで困っているということがあるんですけれども、臨海部におきましては、どこの事業所さんから来ているにおいかわからないけれども、すごいにおいが来るということで、なかなか特定の事業者さんということはわからない状態であります。

○浅野委員 恐れ入りますが、ちょっと時間が過ぎておりますので。

○島田主幹 そういうこともありますので、なかなか個別の事業者さんが実施するということが難しい状態になっております。
 以上で、川崎市からの報告を終わらせていただきます。

○浅野委員 どうもありがとうございました。
 それでは、ご質問があろうかと思います。今日は、ヒアリングということですので、恐縮ですがあまり議論をふっかけるようなことはご遠慮いただいて、単純に事実関係についてのご質問ということでお願いをしたいと思います。
 ご質問おありの方は、ちょっと挙手をお願いできますか。
 永里委員、鳥井委員、中野委員、森嶌委員、佐和委員、鷲谷委員、大塚委員、崎田委員。
 それでは、次のヒアリングで他省庁をまたせておりますので、森嶌先生から、できるだけ簡潔にご質問事項だけをお出しください。

○森嶌委員 この後の、パンフレットもありますけれども、リスクコミュニケーションでいうリスクを何と考えておられるか。コミュニケーションというのを誰と誰の間のコミュニケーションと考えておられるのか。コミュニケーションというのは、事業者とのコミュニケーション、市民とのコミュニケーション、事業者と市とのコミュニケーションとそれぞれ意味が違っているのではないか。その意味では、先ほどおっしゃった事業者にコミュニケーションを実施するメリットを経営者に理解してもらうという場合のメリットというのは、何を考えておられるのか。
 ここでは非常に時間が短いですから、そういうことをよく考えておられないと、これはもう川崎市に限らないんですけれども、英語を使うとみんなそれで解決したような気がするんですけれども、リスクコミュニケーションということに含まれている言葉の中身がいろいろ多様である。リスクというのもいろいろ違う。臭気がリスクなのかということも含めて、それから、地域におけるリスクと個別企業の持っているリスクというのは全く違うわけですから、そういうことを区別しないで書いておられるように、このパンフレットを見ますと思いますので、ぜひそこをもう一度お考えいただきたいという、そこは要望です。

○浅野委員 ありがとうございました。
 中野委員、どうぞ。

○中野委員 パンフレットが大変うまくできていて、市民などわかりやすくていいなと思ったんですけれども、そのパンフレットを配られるときには、ただ置いてあるだけで参加者が来られるのかどうかということと、それから参加者の年齢層なども教えていただきたい。私は、市民のことで聞きたいんです。よろしくお願いいたします。

○浅野委員 永里委員、どうぞ。

○永里委員 化学物質と環境セミナーに関して、事業者向けセミナーは96名と非常に参加者が多いんですが、なぜ市民向けセミナーの参加者が少ないのか。例えば、16名というのがあるんですが、その理由、どうお考えになっていらっしゃるでしょうか。
 私としては、これは、企業人は仕事としてやっているのであって、企業人がいったん自分の家に帰った途端にまじめに対応しない、その辺について非常に問題があるんじゃないかと思っているんですが、どうお考えでしょうか。

○浅野委員 鳥井委員どうぞ。

○鳥井委員 似たような話になっちゃうんですけど、市民向けセミナーがどうやって人集めをされたのかというのを具体的にちょっと教えていただければと思います。
 それから、リスクコミュニケーションを進める会でいろいろやられたことをホームページに出されたということですが、これは市民にどのくらい伝わったというふうに、面的な広がりを持つことができたというふうに感じてらっしゃるんでしょうかという、その2点をお願いします。

○浅野委員 ありがとうございます。
 鷲谷委員、どうぞ。

○鷲谷委員 2つ質問がありまして、1つは、リスク解析専門家とか化学物質アドバイザーとかファシリテーターという役割をする方が出ているんですけれども、その方たちのバックグラウンドとか本来の専門がどうなのかということ、大学の先生がボランタリーにされたりしているのか、それとも新しいビジネスとしてそういうことに取り組んでいる方がいたり、その間かもしれませんけれども、NPO法人の方などがそういう役割を果たされているのかという質問が1つです。
 もう1点は、公害防止推進協議会のところに事業者からの意見、表2というのがございます。ここには、発言をそのまま書いていらっしゃるような印象があるんですけれども、これについてもう一歩踏み込んだ分析をしてらっしゃるかということをお聞きしたいんですが、例えばリスコミに後ろ向きで、リスコミ実施に対して恐怖心があるという言葉があるんですが、この恐怖心というのは情報型でしか受け取られないんじゃないかとご心配されているのか、それとも何か負い目のようなものを感じて恐怖を持っていらっしゃるのかでは大分意味が違って、その次をどう進めたらいいかも変わってくると思うんですが。

○浅野委員 佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 今日のご報告で、2つか3つ、重要な読み取れる点があると思うんですが、1つは市民が化学物質ということに限定すれば、必ずしもあまり関心を抱かないというか、例えばこういうセミナーをやっても参加者が少ないという点が1つ。
 そして、事業者が情報を公開すること等々、あるいは説明をすることに対して、あるいはリスクコミュニケーションすることについて、非常に消極的であって、結果的には15年度にスタートにして、19年度に幕を閉じたということで、結果的には予想したほどの効果は上がらず失敗したということになるわけですね。
 それは、その原因なんですが、事業者にとってマイナスのイメージや恐怖心があるとお書きですけれども、これは、市民のほうが、非常に参加者も少なくて、最初から明確な事業者に対する批判的な見解を持った人たちがそのほとんどであったとか、そういうことで、つまり事業者のほうがそういう恐怖心を持って、リスクコミュニケーションを回避するというのが、一見事業者側だけの責任のようなんですが、その辺、市民のほうにも何らかの問題点があったのかどうかということです。

○浅野委員 ありがとうございます。
 崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 大変ご苦労されて長年やってらっしゃるということに敬意を表したいと思っています。
 1点、質問に関しては、事業者には大変パイプをうまくつくってらっしゃるというふうに感じるんですが、市民とのつなぎ役の例えば環境グループとか環境NPOとか、そういう方たちを割にうまくリスクコミュニケーションに活用しようという動きもありますが、そういう方たちとはどういうふうに接触されたか。あまりそういう方たちの影がないのですが、ちょっとその辺の地域の状況を教えていただければありがたいというふうに思います。

○浅野委員 大塚委員どうぞ。

○大塚委員 今、出ていた件とも関連しますけれども、平成19年度にこの会を休止されているということなんですが、恐らくリスクコミュニケーションというのは継続されたほうがいいということはまず明らかだと思いますので、市民への働きかけ、特に市民については必ずしも参加が十分でないということがあったと思われますので、働きかけとしてどういうことをなさっていたかということと、今お考えになって、どうやったら再開できるというふうにお考えかというあたりをお伺いしたいと思います。

○浅野委員 いろいろとご質問がございまして、1つ1つ全部丁寧にお答えいただきますと多分また30分ぐらいかかってしまうと思うので、大変恐縮でございますが、次に他の役所が控えておりますので、5分程度でお答えいただいて、あとは必要な場合には、書面か何かで少し参考までにお知らせいただければと思いますが、よろしゅうございましょうか。

○島田主幹 時間がなく全部には答えられないのですが、このリスクコミュニケーションを進める会について、休会したというのは、ある程度の市民の要望することですとか、今回本当は、その冊子を持ってこれればよかったんですけども、市民向けとそれから事業所さん向けにこれからリスクコミュニケーションするにはどうしたらいいかとか、市民がどういうことを望んでいるかとか、そういうことについてまとめることができたという状況もあります。
 私たちは、確かにリスクコミュニケーションが今うまくいっているわけではないんですけども、失敗したというふうにはとらえておりません。
 5年間の活動をまとめていただいた成果をもとに、試行錯誤しながらこれから広めていくつもりでおります。
 市民の方に向けましては、今回、リスクコミュニケーションの会議の中で、参加していただいたファシリテーターの方は環境カウンセラーの方なんですが、その方も今回できました冊子、パンフレットにつきましては、ぜひ自分たちも配りたいということで言っております。
 先ほど言いました環境局の中にもいろいろな組織がございますので、そういうところを使ってこれからうちのほうで積極的に発展的に対応していきたいと思っております。
 個々のご質問については、ちょっと時間がないということなので、後でまとめさせて環境省さんのほうにお出しするという形でよろしいでしょうか。

○浅野委員 ありがとうございます。そのようにしていただければと思います。
 少し今日のお話を聞いている者の中に、若干誤解が生じたということは申しわけございませんでした。決して失敗したというご報告を承ったと私は思ってなかったのですが、この会が休止になったと、そこだけちょっとみんな少し強く印象を受けてしまったようです。初期の目的はある程度達成したということもあるだろうと思います。
 ただ、議論を吹っかける気は全くないんですけれども、森嶌委員が最初にご指摘になった点をできれば少し整理をして知らせていただければと思います。
 というのは、我々も今、同じ問題にぶつかっていますし、リスクコミュニケーションが大事だということを環境基本計画に書きながら、森嶌先生のご指摘は、書いている我々の自問自答みたいなところもあるわけです。
 単純に、リスクコミュニケーションという言葉で何かをやれば何かが出てくるというものでもないだろうということもあるものですから、その辺のところについては我々も重大な関心を持っています。
 中杉委員、どうぞ。

○中杉委員 ちょっと専門ですので、簡単に感想というようなことで。
 1つは、リスクコミュニケーションをするときに、森嶌先生は、市民と考えたときもいろいろな市民があって、一般市民を対象にしているのか、地域住民を対象にしているのか。それから、もう1つは被害を受けていると感じておられる人、関心の高い人を対象にするのか。それでそこの区別がなしにやると非常に問題がある。
 一般市民でバラっとやってしまうと、こういう参加者が少ないという話になって、それだったらパンフレットを配っておけばいいじゃないかという話になるので、どこをどうするか。
 それから、地域住民ということであれば、大企業はもうほとんどやっておられるので、むしろ中小企業が問題であろう。周りに住民がおられると。そういうところをどういうふうにするかというところが1つの問題であるだろう。
 それから、もう1つは、化学物質ということで頭に入ってしまっているので問題なんですけれども、一番リスクコミュニケーションが必要なのは、土壌汚染です。土壌汚染は法の求めを超えて、掘削事業をしなきゃいけないと、これはまさにリスクコミュニケーションができないところなので、これはちょっと化学物質リスクというと土壌汚染は別だというふうに考えがちなんですが、そこが一番ポイントになる。そういう意味では、もう少し絞られたほうがいいと思います。
 どこをどう持ってくるのか。漠然とリスクコミュニケーションということではなくて、極端に言えば、参加者が少ないということはリスクコミュニケーションしなくてもいい、求められてないということにもなりかねないので、そういう意味では、主体を少し整理をされたほうがよろしいかなと、これはコメントでございます。

○浅野委員 ありがとうございました。
 今のはコメントということで、ご質問ではございません。
 私もちょっとお話を聞きながら、メモをしたことがあって、ちょっと私も一言だけ申し上げたいのは、市民が一体何を知りたいと思っているのか。何に心配しているのかということを事業者の方によく理解していただくこと、というのが多分1つのポイントではないかという気がしております。
 ところが、何か安全であることを中心に市民に説明しろと言われてしまうと、事業者としては非常にやりづらくなる面があるのではないかなと思います。
 ですから、リスクコミュニケーションを進める会がうまくいったのは、そこら辺のところについてお互いに情報交流ができたということだろうと思うのですけども、それがうまく生かされていけば発展も期待できるのではないかと思いながらお話を伺っておりました。
 大変恐縮でございます。多くの質問が出ておりますので、ぜひこれについては、環境省のほうに整理をした形でお答えをいただければ、記録の中に一緒に入れまして、私どもの検討の材料にさせていただきたいと思います。
 どうも今日はありがとうございました。
 それでは、次に、環境基本計画の点検における国の取組状況についての関係府省からのヒアリングということでございます。
 前回のヒアリングのときに、ちょっと感じたことですが、テーマが2つございまして、それぞれ別々にヒアリングをするということになっておりますので、今日は何をテーマとしてヒアリングをするのかということをあらかじめ確認をしておきたいと思います。
 資料の2の[1]をご覧いただきたいと思うのですが、こちらのほうは重点調査事項[1]とありますように化学物質の環境リスク管理とリスクコミュニケーションの推進というテーマでの点検とそれに関連するヒアリングでございます。
 後半は、資料2の[2]をご覧いただきたいと思いますが、国際的な観点に立った化学物質管理の取組ということでございます。
 これについても点検が行われ、ご報告をいただきヒアリングをするということになっておりますので、後のほうのテーマについては前のほうのご質疑応答の段階ではお出しにならないようにご協力いただきたいと思います。それから、いつもバランスが少し悪くて、どうしても最後は時間が足りなくなって後のほうのテーマには余り質問がないというようなことがありますので、その辺もご勘案の上、要領よく質問を配分していただかないと点検をやったことになりません。よろしくご協力を申し上げます。
 それでは、まず最初に[1]でございますが、環境リスク管理とリスクコミュニケーションの推進について、ということでございます。
 ヒアリング対象省庁は、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省でございます。
 前回同様、まず環境保健部の木村課長からこのペーパーについての概要のご報告をいただき、もし各省庁から補足のコメントがございましたら、それをいただいた上で、質疑をしたいと思います。
 では、木村課長、よろしくお願いいたします。

○木村環境安全課長 それでは、私のほうから、まず初めに、環境基本計画の点検における国の取組状況につきまして、まず全体の概要を御説明申し上げたいと思います。
 テーマは、重点調査事項の1、化学物質の環境リスク管理とリスクコミュニケーションの推進でございます。
 これにつきましては、化学物質のライフサイクルにわたる環境リスクを最小化し、人の健康及び生態系の被害を事前に防止するための環境リスク管理の取組といたしまして、そこにも記載してございますように、PRTR制度の運用状況と課題。それからリスクコミュニケーションの推進にかかる取組状況のこの2つについて調査を実施したところでございます。
 これにつきまして、全体概要を御報告したいと思います。
 まず、これらについて、環境基本計画における施策の基本的な方向性といたしましては、環境リスク低減の基礎として化学的な環境リスク評価を進める。このために化学物質の有害性に関するデータの収集や化学物質の製造量や用途、また排出経路や廃棄方法などの基礎情報の整備、そしてまた環境残留状況の把握について取り組むということでございます。
 そして、これらの情報をできる限り関係者の間で共有するといったことの方向性が示されているところでございます。
 それでは、PRTR制度の運用状況と課題について御説明申し上げたいと思います。
 このPRTR制度につきましては、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、いわゆる化管法に基づいて実施してございまして、この化管法は平成11年度に公布され、平成13年度より同法に基づく、このPRTR制度が施行されているところでございます。
 これまで6回にわたりまして、事業者によるPRTRデータの届出と国による届出結果の集計やまた届出対象外の排出源からの排出量の推計などについて公表を行っているところでございます。
 一番最近のデータは平成18年度のデータを公表してございますけれども、届出事業所数は全国で4万980事業所と前年度と比較しまして約200事業所増加してございます。
 また、PRTRデータの集計を始めました平成13年度と比べましても、届出排出量や移動量につきましては、52万9,000トンで、平成13年度から47万1,000トンに減少しており、この化管法の制定が事業者の自主管理を進展させて、対象化学物質の環境負荷を低減させたという意味で、一定の効果を上げているといえるかと思います。
 しかしながら、化管法におきましては、その附則第3条及び第三次環境基本計画にも指摘がありますように化管法の施行後、7年後の見直しということが求められておりましたことから、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合におきまして、平成19年2月から6回にわたりまして審議を行いまして、PRTR制度、またMSDS制度、また事業者による化学物質の自主的な管理の改善等の要素ごとに施策状況の評価、課題の整理、措置の検討などを行いまして、昨年8月に中間取りまとめという形で、取りまとめたところでございます。
 この中間取りまとめにおきましては、制度の改正につながるものやまた運用の改善につながる提言がございました。
 まず、制度改正にかかるものといたしましては、化管法において、対象物質のまずは見直し、そして個別事業所ごとの開示請求方式の見直し、それから対象業種の追加の検討などといったものがございます。
 この化管法の対象物質の見直しにつきましては、昨年10月から4回にわたりまして、やはり中央環境審議会、それから化学物質審議会、そしてさらに薬事食品衛生審議会の合同審議会によりまして議論がされまして、今年5月にその報告が取りまとめられたところでございます。その結果、現行の化学物質、435物質を563物質に増やすといったこと。また、除外となる物質も85物質となるといった結論となってございます。
 これらにつきましては、政令事項対象でございますので、速やかに今後、化管法の政令を改正していく必要があると考えてございます。
 また、今後とも化学物質の製造や輸入、使用の動向や一般環境中での検出状況、そしてさらに新たな有害性情報の蓄積等を勘案いたしますとともに、いわゆるGHSとの整合性も踏まえまして、必要に応じて見直しを実施していく必要があると考えてございます。
 それからまた、先ほどの開示請求方式を改めるという件についてでございますが、これにつきましては、今後は一定の公表を行いますとともに、またインターネットでの地図等を活用したよりわかりやすい公表方式にしていく必要があるということで、今後、改正の際にはこの点について検討していく必要があろうと考えております。
 また、PRTR制度の対象業種につきましても、さらに拡大していくということの検討も必要でございまして、その中で、医療業全体を対象業種に追加するということについても今後化学物質の使用実態の調査結果などを踏まえまして検討する必要があろうと考えております。
 それでは、次に2つ目のリスクコミュニケーションの推進にかかる取組状況についてでございます。
 まず、1点目、自主的な取組についてでございますけれども、化学物質を扱う企業につきましては、自主的に環境、安全、健康を確保し、社会からの信頼性向上とコミュニケーションを行う活動でありますいわゆるレスポンシブルケアを推進するために、レスポンシブルケア推進協議会を組織し、中期計画の作成などを通じてその取組を進めているところであります。
 それから、2点目の情報提供のための新ツールの作成についてですが、このリスクコミュニケーションに必要な情報提供のための新ツールの作成については、専門的でわかりにくい化学物質の情報をわかりやすく簡潔にしました「化学物質ファクトシート」や子どもなどでも比較的理解でき得る「かんたん化学物質ガイド」などのわかりやすい資料の作成。
 また、事業所等から大気で排出される化学物質の発生源近傍の濃度予測モデルやあるいは、「E-ラーニング」の開発といったこと。
 そしてまた、これらのツールに加えまして、農薬等、個別の化学物質の情報につきましては、関係省庁のホームページでそれぞれ公表しているところでございます。
 それから、3点目に、データベースの構築に関してでございますが、これにつきましては、インターネット上で公開されております化審法のデータベース、いわゆるJ-CHECKなどで化学物質に関する安全性について情報発信をしているところでございます。
 それから、4点目として、人材の育成についてでごさいますけれども、これにつきましては身近な化学物質に関する疑問に対してアドバイスなどを行います、化学物質アドバイザーの定期的な研修とさまざまな場への派遣などを実施しているところであります。
 そして、最後に5点目としまして、リスクコミュニケーションの場の提供ということでございますが、これにつきましては、行政、産業、国民の代表による対話の場であります化学物質と環境円卓会議といったものが関係省庁の共同により開催されておりますほか、PRTR制度やMSDS制度、あるいは化学物質の有害性情報などに関するセミナーを昨年度は全国で7カ所、また農薬の登録制度の仕組みなど国民に対して紹介するための意見交換会を総計103回開催しているところでございます。
 また、農薬登録制度の見直しの段階で、消費者や生産者の意見を聞くことを主とした農薬制度改革に関する懇談会につきましても開催しておりまして、さらに、化学物質の安全性等にかかる研究の成果を一般に対して紹介するためのシンポジウムなども開催しているところでございます。
 今後ともこれらの施策につきましては、引き続き推進していきますとともに、より多くの国民の参加を得る工夫を逐次重ねていきたいと考えているところでございます。
 以上で、調査動向1につきましての全体概要の説明は終わらせていただきたいと思います。

○浅野委員 どうもありがとうございました。
 それでは、ご出席いただいています各省庁から、特に何か補足のご発言ございましたらお願いいたします。
 よろしゅうございますか。経産省、何かありますか。よろしいですか。厚生労働省いかがでしょうか。
 それでは、ただいままとめてご報告をいただいたということにさせていただきますので、これ以降、概ね30分程度でございますが、質疑応答ということで意見の交換をしたいと思います。
 ご発言ご希望の方は、ちょっと挙手をお願いいたします。
 森嶌委員、福川委員、中杉委員、善養寺委員、鷲谷委員、崎田委員ということですか。ほかにいらっしゃいませんね。
 それでは、今度は逆回りで行きますので、崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 今、伺っておりまして、まず環境省のほうに1点質問というかあれなんですが、今、化学物質のリスクコミュニケーションに関して、川崎市から先進的なモデル事例ということで発表いただきました。
 例えば、こういう全国の都道府県、市町村が積極的にリスクコミュニケーションにかかわっていただくのが大変推進に役立つというようなご報告もありましたが、こういう全国の状況というのをわかりやすく情報収集していただくようなことも大変情報発信には今後必要なのではないかという感じもいたしましたが、今はどういうふうにその辺はお考えでいらっしゃるか、ぜひ伺いたいというふうに思いました。
 なお、文部科学省、各省庁非常に熱心にやっていらっしゃるんですが、例えば文部科学省の中の人材育成の中で、例えば化学技術振興機構で、化学技術コミュニケーターとか、ああいうのを養成してらっしゃって、そういう方たちも地域で活動していらっしゃるようなことも、お会いしたことがありますが、そういうような人材育成の情報なども今後こういうところに出ていれば、もっと出していただくことで、情報が広がるのではないかという感じがいたしましたので、どちらの省庁の皆さんもそういうふうな検討をしていただければありがたいなというふうに思いました。
 なお、1点、国土交通省の皆さんが建築に関して、ちょっと今後の検討事項として据え置きたいというニュアンスでお書きなんですが、建築現場というのは建ち上がった後、建物とかビルとか人が住むという大変身近なところですので、今後も積極的にご検討いただければありがたいというふうに思いました。よろしくお願いいたします。

○浅野委員 鷲谷委員、お願いいたします。

○鷲谷委員 化学物質アドバイザーという方が既にリスクコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしているというふうに報告されているんですけれども、その知識とかスキルなどを定期的な研修という言葉がありますが、何かそれを認定する試験などで保証していらっしゃるのか。それとも研修だけで十分、そういう能力を保証することができるのか、そのあたりについてお聞きしたいと思います。

○浅野委員 それでは、善養寺委員、どうぞ。

○善養寺委員 国土交通省さんにですが、先ほど、崎田さんも言われたように、建築における化学物質管理に関してですが、今、100パーセントに近いほど木質系のいわゆる建築廃材リサイクル品の中に、ヒ素が含まれております。それは、確実にCCA材が含まれているということが数値的に見えるのですが、こういうものを現場で分別収集させるということはほぼ不可能に近い。多分、このことは国土交通省も既にご存じだと思うのですけれど、こういうことに関するリスク管理をどう考えているのか。今、このような建材がどんどん新しい建築の中に入っていって、広がっています。アスベストと同じような状況が起ころうとしています。
 木材廃材は、タダ同然の原材料なため、引く手数多でそれゆえに、色んなものに混じり、広がり、広がりしております。そういう点に関して、現場できちんと分別しろと禁止事項をつくるというのは簡単ですが、現実的な政策でそれを阻止していくような管理の方法をとっていく必要があるだろうと思われます。
 建築基準法は、特に大臣認定に関しては、力学的な問題がないとか、耐火、不燃の性能がいいとか、一部をもって認定されます。化学物質に関してや、その後のそのものに対する化学物質の影響などに関しては、認定基準の中にありません。強度があるからといっても、人体に影響する化学物質が含まれるもの、製造過程の中で人体に影響する化学物質が含まれる可能性があるものは、予防原則の観点から国の責任として、本来認定すべきではないと思われます。その辺の整備もお願いしたいと思います。

○浅野委員 ありがとうございました。
 中杉委員、お願いいたします。

○中杉委員 質問が2つとあとはコメントです。
 最初に、文部科学省のほうで、文部科学省のほうは、各大学等で化学物質の管理というのをものすごく厳しくされているというふうに思われます。これはいろいろなところでそういう事例が出てきていますので、そこら辺の情報をどのくらい把握しておられるのか。これはPRTRという観点ではなくて、化学物質をどう扱うか。これは、学生が扱いますので、非常に管理を厳しくして、量もちゃんと把握している。そういうところは当然書き込んでいくべきだろうというふうに思います。
 これは、PRTR制度の運用にも絡んでということになりますけれども、そういうところの情報はどのぐらいお持ちなのかなというのが1つです。
 それから、化学物質の話に絡むんですが、土壌汚染という問題がありまして、土壌汚染については今大学等の機関は、一応調査の対象になってない。これは大学に人が入らないからという前提なんだけれども、大学というのは一般の人が通常入ってくる場所で、必ずしも適切ではない。そういうふうな判断をするのは適切ではない。そうするとやはり大学の周りの奥さんたちが子どもを連れて入ってくるようなところはやはり把握しておく必要があるのではないか。そこら辺のところの取組はどういうふうにされているのかというのが1つあります。
 それから、国交省のほうは、これは、PRTRの見直しのときに、建設業とそれから下水道はそれぞれ議論されて課題として残したところなんですけれども、建設業については、場所が移動するからということで、そういう話にしたんですが、これは検討していただく必要があるということになって、検討しますよという話になっています。
 下水道のほうは、対象という、ここには一応検討と入っていますけども、下水道のほうについては、対象物質を広げる必要があるだろう。今、届けられている物質、届出の対象になっている物質は、水質汚濁防止法の規制項目ではかっている物質だけなんですが、実は、化学物質の中に調べてみると、環境や河川への排出量のほとんどが下水道だという例があります。
 今度は、下水道に入ってくるものというのは、どこにどのくらい行くというのがわかるようになりますから、下水道にたくさん入ってくるようなものについては、それを把握していくような取組が必要じゃないかと。すぐにしなさいという話じゃないんですけど、そういうことが求められるのではないかというふうに思っています。そこら辺はどういうふうに考えておられるのか。
 それから、あとこれは全般の話になってしまうんですが、これは化審法と化管法の見直しのときに、必ず出てきた話なので、その法律の見直しのときには、法律の枠外だから、議論の外だというふうに言ってしまった課題がありまして、1つは化学物質の管理を全体にライフサイクルにわたってやるべきだと。それぞれの個々の法律については、部分、部分で、やらざるを得ないので、その法律の見直しの議論の中でそういうことはできない。
 だけれども、やはり全体を管理しないといけないのではないか。欧州なんかではそういうリーチという制度をつくっています。そこら辺のところが1つの課題だというふうに言われています。
 これを基本計画の中でどう取り込むのか、これも環境基本計画なのでちょっと難しいかもしれませんけど、そういうことが1つです。
 それから、もう1つは、お願いなんですが、J-CHECKが今、化審法の枠の中で、これは非常に有用なものだろうというふうに考えていまして、これをさらに広げられないか。
 例えば、農薬の情報についてもJ-CHECKのほうに、名前は変えたほうがいいかもしれませんけど、あいのりして、日本の化学物質のリスク情報についての1つのベースとして、それがあっちこっちに幾つもあるというのは適切ではないので、どこかにまとめてという形でそれを発展させることが必要ではないか。ちょっとそこら辺は意見でございます。

○浅野委員 それでは、福川委員、お願いいたします。

○福川委員 今もちょっと出ておりましたが、厚生労働省にお尋ねしますが、3ページの今のJ-CHECKですが、これはどの範囲のものが入っているのか。それから、平成14年度に作成して、18年度に情報を追加したと書いてありますが、もっときめ細かくいろいろ情報を絶えず収集していくことというのはないのか。どんな運用になっているのかを教えていただきたいと思います。
 それから、5ページの農林水産省にお尋ねしますが、ここで、この3行目あたりに、「制度を構築する取組を行うことが必要不可欠である」と書いていらっしゃいますが、この制度構築というのは、どういうところに問題があって、どういう制度構築をしようとしていらっしゃるのかを教えていただきたいと思います。
 最後に、環境省ですが、各省庁でいろいろ努力はなさっていらっしゃいますが、一体各省庁のいろいろな努力をどのように集約して、それぞれのいろいろな教訓を交換しあって、よりよい制度にしていく必要があろうと思いますが、環境省としてそういった各省庁の調整、あるいは指導というのをどういうことをおやりになったか3点お伺いします。

○浅野委員 ありがとうございました。
 森嶌委員、お願いします。

○森嶌委員 文部科学省に伺います。1ページに、平成19年度で、「文科省所管となる高等教育機関及び自然科学研究所から119件の届出」があったとありますが、私は、大学にいて、文科系ですけれども、いろいろな形で意見もしているんですけども、大学というのは研究するのが中心だから、こういうものはあまりルーズにやっているんですが、119件というのは、大学とかあるいは研究所でリスクのあるところを全部カバーをして、ちゃんと管理ができるようなことになっているんでしょうか。この後に、「報告を怠らないよう周知徹底」をしたと書いてあるんですけれども、経済産業省が企業に対して、きちんとやれと言っているのと同じぐらい、文科省は高等教育機関、あるいは自然科学研究所に対してきちんとやっておられるんでしょうか。
 それから、例えばCOの排出は、東京都の中で東京大学が一番大きいとされているんですけれども、多分、化学物質も東京大学が一番扱っていて、リスクが一番高いのも東京大学だと思うんですが、多分各地域でもそうだと思うんですけれども、そういうリスクを背負っている大学は、地域に対するリスクコミュニケーションをちゃんとやっているんでしょうか。そういうことも含めて、大学というところが事業者としてきちんとこういうことをやっているのかどうか、それについて文科省はちゃんと監督というか、大学に対して協力をして、そういう体制をとっておられるのか。現にやっておられるのか、やっておられないとすれば、どういうふうにやるおつもりか伺いたいと思います。

○浅野委員 ひとわたり質問をいただきましたが、経産省あたりの質問があまりないので残念ですが、大塚委員いかがでしょうか。

○大塚委員 経済産業省に対して、1つ質問させていただきますが、1つは、先ほど中杉委員が言われたこととの関係もあるんですけれども、その化学物質全体に関して、今いろいろな個別的な法律がたくさん並んでいて、その関係が十分に図られていないという問題が指摘されているんですけれども、これは環境基本計画との関係で、将来的に考えていかなきゃいけない問題だと思いますので、ぜひその点について何かお考えがございましたら、お話しいただければと思います。以上でございます。

○浅野委員 ありがとうございました。
 私が言わなくて済むように、大塚委員にご協力願いました。よろしくお願いします。
 それでは、今日は、最初に文部科学省のご報告が並べられていたということもあってでしょうか、珍しく大変質問が多く集まりましたが、文部科学省から順次お答えいただければと思います。

○文部科学省 文部科学省でございます。
 質問、ご意見の順番にお答えしたいと思いますけれども、まず、崎田先生のほうから科学技術コミュニケーターなどの活動状況についても人材育成という観点から入れるような工夫ができないかというお話がございました。科学技術コミュニケーター自身は、科学技術一般の理解増進という活動に取り組んでおるところでございますが、関係といたしましては、こういった化学物質のリスクでありますとか、そういったものについて、話をするということもあり得るであろうというふうに考えております。
 ただ、一般的に制度の趣旨としましては、科学技術一般、全体を理解増進ということでやらせていただいておりますので、具体的にその活動をどのようにこのPRTRとの関係で入れさせていただけるかというのはちょっと検討させていただければというふうに思っております。
 それから、中杉先生から大学における化学物質管理の活動、それから土壌汚染について把握が必要ではないかというお話がございました。
 まず、大学の化学物質管理の活動につきましてどのぐらい把握しているかということでございますけれども、率直に申し上げれば、本件担当の部署といたしましては十分に把握はしておりません。
 基本的には、これは法律がございますので、各大学、その法人としての全体のマネージメントの中で、所要の法律、この化管法だけではなくて大学が各研究、教育活動を行うに当たっての活動に対する規制がいろいろございますけれども、その規制に対しては、法人としてきちんと遵守をしていくというのが大前提でございますので、基本的にはそういうことを前提に考えております。
 個々の活動について十分に把握はしておりませんけれども、全体としてどのくらい大学、あるいは自然科学研究所からの排出移動量があるかということにつきましては、例えば18年度で申し上げれば、高等教育機関は0.08%、自然科学研究所で申し上げれば、0.11%というふうになっておりますので、そこはそういった現状も踏まえつつ対応させていただければというふうに思っております。
 また、土壌汚染についても、そういった問題意識をぜひ各大学においてきちんと共有をして、きちんと対応していくということが期待されるということでございまして、我々も機会がありましたらそういう奨励に努めたいというふうに考えております。
 特に、周知徹底につきまして、森嶌先生からもご質問がございましたので、関係で申し上げますと、基本的に周知徹底というのは、基本は文書でやるということでございます。
 大学に対する文書というのはたくさん行きますので、それがどのくらいきちんと機能しているのかと。経済産業省から企業になされているものと比べてどうなのかということもお話にございましたけれども、経済産業省さんがどのくらい厳しくやっておられるか十分私も承知しておりませんけれども、基本的にはその文書なりできちんとやるというのが通常の行政の行為でございますので、当然、大学、法人側としてはそれを踏まえて対応していただいているものというふうに考えております。
 それから、続いて、森嶌先生から、先ほど一部お答え申し上げましたけれども、例えば、東大なんか非常に大きな排出、移動の事業者ではないかということで、またそのリスクコミュニケーションについて大学がどのようにリスクコミュニケーションを図る活動をやっているのかということでございますけれども、まず、大変恐縮でございますけれども、大学は教育研究活動をしっかりやっていくということがまず第一義的なミッションでございまして、その上で、その活動を進めていく上で、例えば地域住民の皆さんとの交流でありますとか、そういった側面も出てくるわけでございます。
 これはもう必ずしも我々は十分に把握しておりませんけれども、先ほど申し上げましたような排出量、移動量、これが多いところはきちんと各法人がその問題意識を高めてやっていくように、我々としても機会をつかまえて進めてまいりたいというふうに考えております。
 機会をつかまえてということにつきましては、今回政令の改正を進めているという話がございましたけれども、これに伴いまして、改めて周知徹底を図るというつもりでおりますので、そういうった機会も活用していきたいと、このように考えております。以上でございます。

○浅野委員 どうもありがとうございました。
 それでは、厚生労働省、お願いいたします。

○厚生労働省 では、厚生労働省のほうからお答えいたします。
 私どものほうには、まずJ-CHECKの関係のことについてどうなっているかというご質問でございました。
 先ほど、環境省の木村課長からもお話がありましたように、J-CHECKというのはもともと化審法の所管をしております私ども厚生労働省と経済産業省、環境省の3省で、その化審法の関係のデータを公表するという趣旨で始めた化審法の関係のデータベース、これをもとにしたものでありまして、従来は、国が行った既存化学物質の安全点検のデータを中心に公表するというものだったんですけども、それに加えて、本日の資料にありますように、官民でその化学物質の点検を行うジャパン・チャレンジ・プログラムのデータについてもデータベースで公表するということで、今年の5月にJ-CHECKということで拡充をいたしまして公表を始めたというものでございます。3省で分担、連携をして、データを掲載しているという状況でございます。
 特に、我々のほうでは、人の健康に関する化学物質のデータについてのデータを随時掲載していくというようなことをしているようなところでございます。
 ちょっと本日の資料の書き方が若干誤解を招くような書き方で恐縮でありますけれども、J-CHECKのデータベースとPRTRのデータの公表とこれは別のものでありまして、このPRTRのデータにつきましては、13年度の制度発足以来我々のほうのホームページのほうで、我々の関係の業界、業種のデータについて公表しております。
 この19年度の事業を中心に書いたもんですから、18年度の情報と書いてありますが、当然その間の今までの事業の毎年のデータについても公表しているという状況であります。毎年のデータをウェブサイトに公表して、これを検索できるようにしているという状況でございます。
 我々のほうに直接ではなかったんですけれども、化学物質全体の管理をきちんとするような体系を考えたらどうかというご意見もございまして、我々のほうでも、化学物質関係に関しては、化審法のほかに家庭用品に使われている化学物質に関する規制をしている法律であるとか、あるいは労働安全衛生の関係の法律であるとか、あと毒物、劇物のような化学物質の管理、取締を行う法律、化学物質関連の幾つかの法律を所管しておりますけれども、そうした関係の法律の間で、少なくとも化学物質の関係の毒性の情報、新たな安全性の情報に関しては、共有をして、個別の法律の隙間に陥るようなことはできるだけないように、迅速、適切な対応ができるように今後とも努めていきたいと、各省とも連携をして間違いないような化学物質対策を進めていきたいというふうに考えているところでございます。以上でございます。

○浅野委員 ありがとうございました。
 では、農林水産省、お願いいたします。

○農林水産省 農林水産省でございます。私は、農薬対策室長の鈴木でごさいます。
 先ほど、福川委員からのご質問がありました。資料2の1の5ページのところの制度を構築する取組ということに関してのご質問でございますが、私ども、これはまさに農薬の関係のご説明でございますけれども、農薬取締法に基づきまして、農薬の登録制度というものを有しております。
 農薬につきましては、もう皆様ご承知のとおりでございますけれども、環境中に意図的に使用される。環境中に放出されるというふうなものということでございますので、この登録制度というものを不断に見直していく必要性があるというふうに私どもは考えております。
 この登録制度を見直すに際しまして、この5ページにも書いてございますけれども、我々といたしましては、我々行政部局だけで決して決めるのではなく、関係者、生産者の方、あるいは消費者の方、こういう方々にもこの農薬登録制度に関する懇談会というところにご参集いただきまして、広く意見を聞きながら農薬の登録制度の見直しに向けた意見交換を行って、まさにその意見交換の中から施策の見直しに向けて取り組んでまいろうというふうなことで、この懇談会も開催をさせていただいているところでございます。
 したがいまして、制度を構築するというのは、今は既に農薬の登録制度はあるわけでございますけれども、これをいろいろと例えば国際的な調和との観点から、例えば諸外国で導入されている試験方法の導入を速やかにやっていくとか、そういうことで新たな農薬登録制度の構築に向けてというふうにご理解いただければと思いますけれども、その際にこの懇談会で広く関係者の方々からご意見を聞きながら我々として登録制度の見直しに向けた取組を一生懸命やっているところとご理解いただければと思います。
 具体的に今どういうものに対して検討しているかと言えば、例えば農薬を登録する際には多くの特性試験を要求したりしていますけれども、その試験項目の追加というふうなことなどについても今後この懇談会の場で検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。以上でごさいます。

○浅野委員 J-CHECKに農薬を含めるべきではないかという中杉委員からのご発言については、農水省としては何かございますか。

○農林水産省 その辺もまた今後考えていかないといけないかもしれませんけれども、農薬につきましては、いろいろな特性に関するデータなどは食品安全委員会のほうで評価もしていただいておりますし、また環境への影響という観点では、農薬取締役法は環境省との共管法でございますので、環境省におきましても今いろいろと水産、動植物と関連するような毒性のデータとか、そういうものは随時公表していただいていると思っておりますので、その辺をどう合体していくのかというふうなことにつきましてもまた引き続き考えていければいいかと思っております。

○浅野委員 あと農取法改正で、農家の適正使用の規制を随分厳しくしたわけですけれども、こういうようなこととリスクコミュニケーションとの関係で、何か特段農水省はおやりになっていますか。

○農林水産省 私どもの資料2の1の4ページを見ていただければと思いますけれども、意見交換会で、全国レベルでこれまで103回開催しておりまして、一番下の行でございますけれども、この関係でどういうふうなことをやっていたかと言えば、やはり農取法の改正に伴って使用の規制が極めて強化されたというふうなことに対する周知などもこの場でやらせていただいておりますし、あとそれから、これは農薬取締法ではないんでございますけれども、食品衛生法に基づきます残留農薬基準の制度がポジティブリスト制度に変わったことに対しての周知、そういうことで例えば農薬の飛散をできるだけさせないような形での取組とか、そういうものについては、そのような意見交換会の場を通じまして、積極的なPRに努めさせていただいているところでございます。

○浅野委員 ありがとうございました。
 今の農家向けというよりもむしろ一般国民向けということも含まれているという理解でよろしいですね。

○農林水産省 そうでございます。意見交換会ということでは別に農家だけを対象にしているわけではございません。

○浅野委員 わかりました。ありがとうございました。
 では、経済産業省、お願いいたします。

○経済産業省 化学物質リスク評価企画官の飛騨でございます。よろしくお願いします。
 化学物質を管理する法律を基本的な基盤法といいますか基本法みたいなものが必要なのではないかという意見があるということはよく承知しております。それにつきましては、関係省庁、あるいは関係者の方と今後話し合いを進めていく必要があると考えております。
 我々といたしましては、その議論を待たずとも、今できることからやっていったら良いのではないかと考えております。
 例えば、化審法、化管法という法律がよく名前が出てくるんですけれども、似たようなリスクを扱っている法律なのですが、例えば化審法でハザードを特定されたものについては化管法で曝露情報を得るとか、そういう一体的な運用というのは今後どんどん進んでいくのだろうと理解しております。
 あと関係省庁間での連携というのもどんどん進めていくべきだと考えておりますが、例えば今GHSをキーワードとして、GHS関係省庁連絡会議というのを開催しておりまして、化学物質の規制を扱っている関係省庁が一堂に会して議論するという機会がありますが、そういった機会をどんどん増やしていって、横の連絡をどんどん密にしていくべきだろうと考えております。
 あと先ほどから情報基盤の話、データベースの話がたびたび出ておりますけれども、例えばJ-CHECKをもっと厚いものにして、いろいろな情報を入れて皆さんが利用しやすいものにするということもあると思います。
 例えば、OECDの中で、グローバル・ポータルという構想があって、世界中のそういうデータベースをつなぐという構想がありますけれども、例えばそういうところでフォーマットなりが統一されれば、国内の関係省庁、あるいは事業者の方も同じフォーマットでデータを揃えるといったことによって情報の流通性が非常に高まるといったことも期待されていますので、我々も積極的に進めていきたいと考えております。以上でございます。

○浅野委員 ありがとうございました。
 それでは、国土交通省、お願いいたします。

○国土交通省 国土交通省総合政策局建設業課で課長補佐をしております古市と申します。
 何人かの委員の方から、建設業について対象業種に加える検討が必要ではないかというご意見をいただきました。
 これにつきましては、中杉委員からも先ほどお話がありましたように昨年度の法の点検のときに、業種に加えるかどうかということで、さまざまなご意見をいただきました。
 その中で、やはり建設業の特徴といたしまして、場所が短期間で移動していく、つまり排出源が移動していくという特徴から長期的な定点観測という視点にたったPRTRの制度にはちょっと向かないんじゃないかということで、対象業種については見送る、そして引き続き検討というお話になっているところでございます。
 とはいえご指摘もいただいておりますように、建設業というのは排出量の多い業種であると言われておりますので、そういった建設業の特殊性を踏まえながら、今後対象業種に含めていくかどうかという部分については、検討していくべきではないかと考えております。
 それから、崎田委員、善養寺委員からお話をいただきました、住宅における化学物質の排出削減に向けた取組ということなんですけれども、こちらはPRTR制度とは直接リンクしないと申しますか、PRTR制度は、建設工事の施工中のお話でございますので、完成後の化学物質の飛散をいかに減らすかという視点での取組が必要であると考えております。
 これにつきましては、私どもの部局ではございませんが、他局などを中心に設計時に排出量が少なくなるような建材を選んでもらうような基準類の検討等がなされていると聞いておりますので、今後とも行政、それから設計者、実際現場の施工者、すべての建設工事の関係者に化学物質の排出削減に向けた共通認識をもって積極的に取り組んでいくことが必要ではないかと考えているところでございます。
 それから、善養寺委員からご指摘をいただきました、リサイクル品の安全性についてのご意見でございますけれども、まさにこれは建設リサイクルの話になってまいります。
 ご指摘のとおりCCA木材等はなかなか判別が難しくて、検査を行うということも現実的ではないということで、なかなか分別が徹底されていないという現状がございます。そういった中で、分別の規制というのをつくるのは簡単ですが、なかなか実効性が上がるものにはならないということで、現状では、CCA木材等について分別の規制はないわけでございますけれども、やはりリサイクル品の安全性が確保できないということになりますと、これはリサイクルの促進の阻害要因にもなってまいりますし、リサイクル建材のまさに安全性の話がかかわってまいりますので、その分別解体、それから再資源化のときもそういった有害物質を含む建材について、どう取り扱っていくのかというのを今後検討してまいりたいと考えております。以上でございます。

○浅野委員 下水道についてはいかがでしょうか。

○国土交通省 下水道について対象物質を広げるべきではないかという中杉委員からのご意見についてでございます。いろいろな事業所だとか家庭から排出される排水がほとんど下水処理場のほうに集まってきますので、結局、下水処理場からの排出量が多くなっているわけです。下水処理場については、現在30項目については届出の対象物質としているところです。PRTRの対象物質が全部で数百ぐらいあるということと、下水処理場数も多いことから、すべて把握するのはなかなか難しい面もあるかとは思いますので、必要性を十分踏まえて、所管しております環境省ともよく連携して、推計手法等につきまして、可能かどうかも含めて、今後、検討していきたいと考えています。

○浅野委員 ありがとうございました。
 では、最後になりましたが、環境省の木村課長、お願いいたします。
 自治体の問題、アドバイザーの問題、それから各省庁の調整があるかという、これが環境省への直接あてでしたけれども、それ以外のことでも包括的に環境省としての見解があればご説明をください。

○木村環境安全課長 それでは、まずその3点から御説明申し上げたいと思います。
 まず、1点目、崎田委員のほうから地方自治体のリスクコミュニケーションにおける取組状況、それに関連しての御質問でございました。
 先ほど、川崎市のところでの議論でもありましたように、このリスクコミュニケーションという概念は非常に幅が広くて、どういった内容でやるかということで、いろいろとこれはレベル、また対象者が違ってまいりますけれども、そういう中の1つにやはり地方自治体が中心になって取り組むようなリスクコミュニケーションの施策というものがあろうかと思います。
 これについて全国の状況でございますけれども、川崎市のように非常によく取り組んでいるところも一部はあるわけでございますが、全国的に見て、まだまだその取組がより活発にしていただければというところも多い状況でこざいまして、いわゆるかなり地方自治体さんに温度差があるという状況であろうかと思います。
 そこで、私どもとしては、全国の地方自治体の意識のレベルアップというものをやはり一番中心課題の1つと考えてございまして、今後、全国の都道府県を集めてその先進事例の取組などをそれぞれ情報共有していくような、そんな取組というものを進めていきたいと考えているところでございます。
 それから、2点目の鷲谷委員からの化学物質アドバイザーのスキル、レベルはどんな状況というご質問がございました。
 まず、この化学物質アドバイザーというのは、環境省が直接やっているのではなくて、民間の公益法人のほうにお願いをしてやっていただいておるわけでございますが、そのやっておられる方々、経歴を見ますと、化学物質担当の大学教授でやめられたOBの方ですとか、あるいは企業で長く化学物質担当を務めてきた人ですとか、あるいは薬剤師のような免許を持っていて、こういうところに関心があってやっているという人、そもそもレベルの非常に高い方々でございますけれども、こういう方々に対しまして、なっていただく際には化学物質関連の法令、あるいは化学物質関係の国際的な動向やまたその化学物質自体の知識といったものを含んだテストをさせていただきまして、一定のレベルがあると考える方々になっていただいているというものでございます。
 したがって、国家試験的なものでも、業界認定というわけでもありませんけれども、レベル自体は非常に高いレベルで運用しているというふうに考えております。
 ただ、問題点としては化学物質アドバイザーの人数自体がまだ少なくて、全国で24名しか今現在いないということ。また、それらの方々の活躍分野も大都市部に偏在しておりまして、より地方でのところでの活躍がなかなか思うようにできないということもございまして、今後はこの方々の量的な拡大といったものを検討していく必要があろうと考えているところでございます。
 それから、3点目に、福川委員のほうからのご質問でございましたPRTR制度など、こういうことに対する各省庁間の調整や連携をどういうふうにしているのかということでございますが、今回、PRTR制度の改正に当たりましては、法所管であります経済産業省はもとより関係の省庁さんとも調整をさせていただいて、このPRTRの見直しというものを図らせていただきました。
 それから、一般的な通常業務におきましても、業所管の各省庁から法所管の環境省と経済産業省にPRTRデータが上がって来ることになってございまして、そのデータのやり取りの際に、情報についてのやり取り、調整といったものを行ってございます。
 それから、またこのPRTRには、目安箱と称しまして、いわゆる何か苦情があった場合には、直接環境省、あるいは経済産業省のほうに苦情を持ち込むことができる制度をつくってございまして、こういったことで来た苦情情報について関係省庁と調整をやっているところでございます。以上でございます。

○浅野委員 どうもありがとうございました。
 最後の点につきましては、最近環境政策のいろいろな分野で各省庁間の連携が非常によくなってきていますけども、私の知る限りでは、最初にうまくいったのは化学物質だろうと思っていまして、特に前の化審法改正のときに、大変うまく省庁間の調整ができて、リスクマネジメントという考え方をしっかり取り入れることができたと思っております。
 それでは、この[1]のテーマにつきましてのヒアリングは以上で終わらせていただきまして、次に、国際的な観点に立った化学物質管理の取組について伺いたいと思います。
 このテーマにつきましては、内閣府、外務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省がヒアリングの対象省庁となっておりまして、今、説明員の方の交代をお願いしておりますので、ちょっとお待ちください。
 それでは、よろしゅうございましょうか。大変お待たせをいたしまして申しわけございませんでした。
 それでは、まず最初に環境省から全体についての概要をご説明いただきたいと思います。

○木村環境安全課長 承知いたしました。
 資料につきましては、資料2の[2]について、各省から出てきている重点調査事項に係る点検結果がございますけれども、まずは私のほうから、国際的な観点に立った化学物質管理の取組について全体概要を御説明申し上げたいと思います。
 この化学物質は、さまざまな国で製造、使用されておりますことから、その管理手法などは国際的な調和が求められております。各国は2006年2月に国際化学物質管理会議におきまして採択されました国際的な化学物質管理に関する戦略的アプローチ、いわゆるSAICMに基づきまして、関係施策を進めることとされております。国際的な観点に立った化学物質管理の取組として次の3点、すなわち1点目が、国際的な化学物質管理に関する戦略的アプローチに沿った化学物質管理の取組、2点目が国際協調に基づく環境リスクの評価、化学物質の適正管理、環境リスクの低減の取組、3点目が我が国の経験と技術を踏まえた積極的な情報発信、国際協調、途上国への技術支援の取組、この3点について調査を実施させていただいたところでございます。その御報告をさせていただきたいと思います。
 まず、これらの環境基本計画におきます施策の基本的方向といたしましては、平成18年に合意されましたいわゆるSAICMに沿って、国際的な観点に立った化学物質管理に取り組むこと。また、国際協調に基づく環境リスクの評価や化学物質の適正な管理、地球規模での環境リスクの低減対策に貢献すること。そして、化学物質管理のための国際的な枠組みや国際標準の構築に向け、積極的な情報発信、国際共同作業、開発途上国への技術支援を進めることなどが示されているところでございます。
 それでは、主な取組状況としまして、まずSAICMに沿った化学物質管理の取組についてご説明申し上げます。
 このSAICMの考え方に沿いまして、化学物質審査規制法及び化管法をはじめとする、関係法令に基づきます規制管理を進めているところでございます。
 特に、化審法につきましては、平成21年度に見直し年次を迎えますことから、WSSD2020年目標達成に向けた制度の在り方について、現在厚生科学審議会、産業構造審議会、中央環境審議会において検討が進められているところでございます。
 また、化管法につきましても、先ほど申し上げましたように、施行後7年の見直しとしまして、昨年2月から中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合によって、その見直しが行われて、昨年8月に中間取りまとめが公表されたところでございます。
 そして、国による安全性情報点検を行いますとともに、官民連携既存化学物質安全性情報収集・発信プログラム、いわゆるJapanチャレンジングプログラムのプログラム推進委員会の開催ですとか、またそれらに対する内容をホームページを通じて情報発信などを行っているところでございます。
 また、POPs条約等の各種条約に基づく国内措置についても適切に進めているところでございます。
 そして、個別課題の取組としまして、小児など化学物質の曝露に対して脆弱な集団に注目した疫学調査研究、また船舶からの化学物質による海洋汚染防止の観点からマルポール条約に対応した海洋汚染防止法に基づく有害液体物質の排出の管理。海洋における有機すず化合物などの有害化学物質のモニタリングの実施。河川におけるダイオキシン類等の水質・底質モニタリング、汚泥浚渫等の実施、農薬取締法に基づく農薬登録制度、農薬登録保留基準などの制度の適切な運用などを進めているところでございます。
 また、化学物質の環境リスク低減に資するため廃棄物処理、バイオマス再試験化等に関するプロセス技術開発等の調査研究につきましても進めております。
 そして、総合科学技術会議において、国際間協力の枠組みに対応するリスク評価管理を戦略重点課題といたしまして、各省施策のフォローアップを行いますとともに、平成19年度より連携施策として、国際的な観点に立った化学物質管理の取組にかかる施策を含めた各省、化学物質連携施策の連携強化などを行いまして、総合的リスク評価による化学物質の安全管理を図っているところでございます。
 今後のこれらについての展望でごさいますけども、このSAICMの採択を受けまして、アジア太平洋地域会合を開催するなど、SAICM対応の指導を開始したところでございまして、引き続きこれらの地域におけるSAICM実施について指導的な役割を果たすということともに、WSSD2020年目標達成にむけた対応を進めていきたいと考えております。
 それでは、次に2点目の国際協調に基づく環境リスクの評価や化学物質の適正管理、環境リスクの低減についての取組についてでございます。
 まず、この中での1点目、POPs条約等、国際条約に関連した国際協調についてでございますけれども、これにつきましては、2009年に、POPs条約第4回締約国会合におきます第1回の条約有効性評価がなされることになってございまして、それに向けて設置された調整グループ及び地域組織グループに我が国からも委員が参画しておりまして、我が国におけるモニタリングデータの提供や報告の執筆を結局的に行っているところでございます。
 また、昨年度に、「非意図的生成POPsに係るBAT及びBEP検討会」を開催いたしまして、POPs条約のCOP3で採択されましたBAT/BEPガイドライン、また今後の国際発信等に関する検討を行うということとともに、アジアの海外現地調査ですとか、国連環境計画、いわゆるUNEPの排出量ツールキット検討会合への専門家の派遣を行っているところでございます。
 それから、2点目として、OECDの化学物質にかかるプログラムへの協力がございます。工業製品や農薬などの各種化学物質などの環境リスク評価やテストガイドラインの作成などにつきましては、OECDにおける曝露評価や生態毒性試験などの会合への専門家の派遣、また高生産量化学物質への点検の貢献、それから規制当局に提出するデータ作成のためのガイドラインの国際調和の促進ですとか、データ作成に当たっての運用及び評価方法に関するガイドラインについての検討など、OECD化学物質プログラムの活動に関する取組を進めているところでございます。
 そして、3点目として、その他の国際的観点からの化学物質対策といたしまして、国際的な動向を踏まえた初期評価の実施、あるいは国による既存化学物質安全性点検、それからJapanチャレンジプログラムの実施などに取り組んでいるところでございます。
 最後に3点目の我が国の経験と技術を踏まえた積極的な情報発信、国際共同作業、途上国への技術支援の取組についてでございますけれども、まず我が国の積極的な情報発信等につきましては、このSAICMに関するアジア太平洋地域のフォーカルポイントとして平成19年にバンコクにて、アジア・太平洋地域会合を開催するなど、アジア・太平洋地域におけるSAICM推進の中心的な役割を果たしているとこでございます。
 また、来年に予定されております世界化学物質管理会議、第2回目の会議でございますけれども、この内容についての検討にもアジア・太平洋地域代表として積極的に参加、貢献しているところでございます。
 また、UNEP関連におきましては、UNEPの公開水銀作業グループに副議長として参画するなど、積極的に国際的な水銀対策の枠組みづくりの議論に対しましても貢献しておりまして、こうした国際的動向を踏まえまして、平成18年度より有害金属対策の基礎調査検討会、また平成19年度には国際的な観点からの有害金属対策の関係省庁連絡会議を新たに設置しまして、対応を図ってきているところでございます。
 また、これらの動きに関連しまして、東アジアのPOPsモニタリングワークショップを開催しておりまして、東アジアの諸地域でPOPsモニタリング調査を行うなど、アジア・太平洋地域におきます条約有効性評価にかかる取組にも指導しているところでございます。
 それから、国際共同作業の観点からは、日中韓の3カ国間の政策ダイアローグを通じました3カ国間の情報交換、並びに連携方策の検討を進めているところでございまして、昨年11月には各国の政府関係者、学識経験者、企業などから参画を得ました。
 第1回目の日中韓の化学物質管理に関する政策ダイアローグを東京で開催したところでございます。
 また、そのほかにもPOPs条約やPIC条約、バーゼル条約の3条約の協力、調整に関するアドホックワーキンググループなどの個別課題に対応した国際条約の交渉などにつきましても積極的に参加しております。
 そして、途上国への技術支援という観点につきましては、近年製品中の化学物質情報に関する関心が高まってきております。この製品含有の化学物質の情報伝達のためには、ビジネスパートナー国との連携が必要であるという観点から、国内におきまして展開されております製品含有化学物質に関する情報システムをASEAN域内においても展開していくということを検討しているところでございます。
 また、農薬のリスク低減に関する技術支援につきましては、JICAからの技術協力に関する要請に基づきまして、発展途上国における農薬のリスク評価やリスク管理手法を支援する観点から専門家の派遣等を行っているところでございまして、今後ともこれらの施策につきまして継続的、積極的に推進していくこととしているところでございます。
 以上で、重点調査事項2の概要についての説明を終わらせていただきます。

○浅野委員 各省から何か補足がございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、ご質問がおありの方は、ちょっと挙手をお願いいたします。
 大塚委員、崎田委員、和気委員、中杉委員、福川委員、それでよろしゅうございますね。森嶌委員、では、森嶌委員から、どうぞお願いいたします。

○森嶌委員 意見というよりも、これは初歩的な質問なので、経済産業省にお伺いしたいんですけど、11ページのところに、現在は化学物質、平成18年度に産構審のところで、長期的な化学物質政策の在り方ということと、このSAICMとの関係、つまり日本の化学物質、今後どういうふうな化学物質政策とこの国際的な安全管理の基準というものをつくっていくということとの関係をどうとらえておられるのか。
 そして、それと同時に途上国との関係、途上国のSAICMなんかの、国際的な基準をクリアする、その管理能力を向上させることに対して、日本が支援をしていくというのは、今後の化学物質政策といういわばちょっと言い方はあれですけど、開発の方向とそれを安全というところからチェックをしていくのと、それから途上国に対する、逆の言い方をしますとグローバルに一方で、グローバルな先進国のあれで基準をかけておいて、途上国はそれに合わせる。そこで、この3者の関係を、これは環境省にも伺いたいんですけども、むしろ経済産業省に伺いたい。
 もう一度申しますと、日本の化学物質政策という観点からのSAICMとの関係。それから、途上国支援。この3者の関係について質問させていただきたいと思います。

○浅野委員 それでは、福川委員、どうぞ。

○福川委員 これは大変重要な課題だと思いますが、この分野についての各省庁での予算というのはどういうふうになっているのか。環境省のほうで、もしまとめていらっしゃれば教えていただきたいと思います。以上です。

○浅野委員 ありがとうございます。
 中杉委員、どうぞ。

○中杉委員 細かい点、2点についてですけれども、1つは、外務省のほうで書かれているPIC条約がありますけれども、私はあまり中身は十分把握してないんですが、PIC条約での実績みたいなものは公表されたのかどうか。これはなかなか難しいのかなと思いますが、これはお答えは経済産業省のほうからいただくのかなと思いますが、PIC条約で、化学物質が動く話ですよね。バーゼル条約だと有害廃棄物がどう動いているかという実績というのは環境省のホームページを見るとわかるようになっているんですけど、そこら辺はこのPIC条約についてはそういうことはどういうふうにしておられるのかなというのが1つです。
 それから、もう1つ、国交省のほうで、海洋の汚染のモニタリングをしておられますが、これは環境省のほうで化学物質のモニタリングをしておられるのとどういうふうな関連を持っておられるのか。今のところ、12物質ということですけれども、固定していくという話では多分ないだろうと思いますけども、そういう意味で、そこら辺はどうなっているのか。対象物質がどういうふうに選定して動いているのかということでお答えいただければと思います。

○浅野委員 それでは、和気委員、どうぞ。

○和気委員 環境リスクをいかにコントロールするかという場合、国際的な視点は実に、かつ一層重要になると思っています。森嶌先生をはじめ既に指摘されている観点でもありますが、具体的に確認させてください。
経済産業省の11ページ2の部分で国際的な協調活動への参加についてですが、貿易活動は財やサービスが国境を越えて、最終消費者に何らかの環境リスクをもたらすということですから、この部分は重要な役割を担う箇所であり、したがって貿易をどう扱うかというのは、非常に重要なポイントです。
そこで、この11ページの2.の最初のセンテンスで、「かつ国際貿易等の支障とならないよう」という言葉があえて書き加えられています。国際貿易に支障がないような環境管理、あるいは環境政策というのは、実に難しい議論ですけれども、この政策的意図の実施において貿易政策と環境政策をどのように調整していったらいいのかというのは、私自身もその答えを求めて頭を悩ませているところですけれども、具体的な行政の現場でどんな議論がなされているのかということを伺いたいと思います。
 たとえば、経済連携協定のなかや、その交渉のプロセスにおいて、環境問題への対応、こことの関連では化学物質問題が盛り込まれた議論としてなされているのかどうか、その実態を伺いたいということが第一点です。
 第二点としては、経済産業省と環境省の中で提言されている国際的な政策ダイアローグの場に関してです。経済産業省がこれからやろうとしているなかに、ASEANを注目した展開といったニュアンスのご説明があります。環境省では、日中韓政策ダイアローグが既に進んでおります。仮に、貿易という問題を切り口として検討する場合には、中韓やASEANを包括した日本全体の国家戦略として何をするかという議論が展開されるべきであると思います。日中韓の政策ダイアローグの場が一方であり、これからASEANを対象に進めるとして、これまでの政策努力がうまく組み込まれた形で統合されていけばそれはそれでいいと思うのですが、国家戦略としてひとつの方向での戦略的展開があるとすれば、日中韓、ASEANも含めたアジア地域における政策ダイアローグの場を拡充するというか、そういう一本の政策の道筋における議論や政策方針があった方が良いと思いますが、そのような展開で動いているのかどうかを伺いたいと思います。

○浅野委員 ありがとうございました。
 﨑田委員、どうぞ。

○崎田委員 既にさまざまな質問が出ましたので、その中に入っているというふうに思いますが、2点ほど。
 例えば、3Rイニシアチブの閣僚会合の関連でも、今までバーゼル条約で非常に厳しく有害廃棄物の移動などを押さえていた部分を逆にアジアのほうのリサイクルできないものは日本に持ってくるという、そういうことを認めるとか、新しい交渉の時代に突入しているというふうに考えております。
 そういうふうに特にアジアなどを見据えたときの化学物質を含めたそういう貿易とかそういうことに関する緩和策と厳しくするのとのバランスと透明性、公平性が大変重要になってくると思いますので、その辺に関する現在の関係省のお考えを伺いたいというふうに思いました。
 なお、もう1点、先ほど経済産業省さんが省庁連携の好事例として、GHSの連絡会議のことなどをお話しされました。
 私自身、GHSは市民の目線からも貿易間でも非常にきちんと定着するのが大事だと思っておりますが、2006年までに、世界的には2008年までにですが、そういうふうにいっていたものを日本は前倒しで取り入れると宣言していただいていた割には遅いという感じがするんですが、ちょっとその辺をしっかり取り組んでいただきたいと思いますので、様子をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○浅野委員 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 環境省さんと経済産業省さんにお伺いしたいと思いますけども、先ほど、木村課長がおっしゃった中で、割と国際的な観点に立った、我が国の管理というところに出ていたと思いますので、その関係でお伺いしたいんですが、化学物質に関するその情報の公表という点に関してのBtoBの対応はかなりなされていると思いますけれども、BtoCの対応は必ずしも十分でないということがあるかと思いますけれども、その点に関して、現在の化学物質政策とか将来の化学物質政策に関して、どういうことをお考えになっているのかということをお伺いしたいと思います。

○浅野委員 それでは、いろいろ質問が出ましたが、予定時間は12時まででございます。ただ、せっかくおいでいただいて、お答えをいただかなきゃいけませんので、お答えが終わるまで、若干時間が延びるかもしれません、ご了承ください。
 それでは、外務省、いかがでしょうか。答えられなければ、経産省に振ってもいいという質問者から話がございましたが。

○外務省 冒頭ございましたPICの事前承認制度につきまして、これは情報を各国で共有するということが条約の主眼ですので、国際的な観点からは各国から対象となる化学物質についての輸出の申請があった場合については、その情報は各国間で共有するということで、情報共有は幅広く進められています。他方、国内において、どこまでの周知徹底が広く公表されているかということについては、バーゼル条約では公表されているということはお話がありましたが、このPICについてはどこまでなされているのかなということになりますと、個別の化学物質について、それぞれ国内法に基づいて、審査基準、国内において安全かどうかということを判断する基準があり、それぞれ担当省庁の方で判断を行っておりますので、その判断の結果の方については、各省庁の方で公表するかどうかを決めていただいているという状況です。

○浅野委員 それでは、ちょっと順番を飛ばしまして、国交省に対するご質問を先にお答えください。

○海上保安庁 海上保安庁でございます。先ほどの海域のモニタリングの件でございますが、12というのは海域のことでございます。
 それから、分析項目といたしましては、従来から固定ではありません。途中、例えば、平成11年からはPCBを分析項目に入れているとか、そういったことで必要があると判断された場合においては、分析項目は増やしてきております。
 また、環境省のモニタリングとの関連でございますが、以前は調整的なものもあったと聞いておりますが、重複しないという意味合いでは、現在も踏襲されているというふうに理解しております。以上でございます。

○浅野委員 それでは、経産省、たくさんございましたので、よろしくお願いいたします。

○経済産業省 初めに、化学物質政策の今後の在り方と国際的な管理、SAICMとの関係はどうなっているのかというお話があったと思います。
 SAICMは、皆さんご存じのように、2020年までに化学物質が健康や環境への影響を最小とする方法で生産・使用されるようにすることを目標として、さまざまなことに取り組むことになっておりますけれども、例えば、1つの例としては、今、化審法の見直しというのをやっておりますけれども、その化審法の中で、全ての化学物質についてリスクの懸念がないということを確認できるような仕組みをつくりたいと考えております。
 途上国の管理能力支援の関係で、どういうことをしているのかというお話があったと思いますが、ここについては、経済産業省といたしましては、JICAですとかAOTSの仕組みを通じて、途上国支援、セミナーですとか、そういったことをやっております。また、その途上国との関係がどうなっているのかという問題もございましたけれども、我々が途上国を支援するといったときに、例えばそれは単純に日本の制度を持っていけばいいとか、日本企業がそこで活動がしやすければいいというものではないと理解しております。グローバルな基準を途上国に導入する、例えば、GHSのようにグローバルにやることが決まっているものについて、彼らもそういったものがスムーズに取り入れられるように支援をするとか、あるいは日本企業のサプライチェーンというのは途上国まで及んでおりまして、例えば日本の企業がヨーロッパに製品を輸出して、REACHで規制を受けるといったときに、その構成している部品をよくよく見てみると、途上国で生産されているといった問題がありますが、そういったときに、例えばREACHが求めているような情報伝達の仕組みというものが途上国まで及んでいなければ、我々も産業活動ができないということもありますので、そういうグローバルに経済を動かすときに必要となる情報伝達、そういったものも産業界を交えて、1つの仕組みとしてうまく日本とASEANが動いていけるようなものを考えているところでございます。
 日中韓とASEANと取組がうまくいってない、あるいは二重に動いているような印象を持たれているというお話があったと思いますが、経済産業省の場合は、環境という観点だけで、ASEANと連携をしているわけではなくて、どうしても役所の役割上、経済活動全体の中で環境を見るということで、さまざまな活動を行っております。
 そういった中で、環境の部分をうまく例えば今の日中韓の活動とうまく合わせていけるものがあれば、そういった方向を目指していくのは重要だろうと思っております。
 ただ、その日中韓だけがメインで、ほかはどうでもいいという話ではないと思いますので、その日中韓を越えた世界をどういう形でまとめていくのかというのは、環境省初め関係省庁の方と議論を進めながらやっていくべきと理解しております。
 具体的にPICの制度をどういうふうに動かしているのかという質問がございましたけれども、PIC制度は、有害な化学物質が国内に入ってくる場合とそれを海外に出す場合と2つ対応が必要になってきます。
 国内に入ってくる場合には、先ほど外務省のほうからも回答がございましたけれども、個別の法律を所管しているところで主に対応するということになるわけですけれども、出ていくほう、有害な化学物質を海外に輸出する場合、これは経済省のほうで所管させていただいております貿易管理令というのがございまして、一元的に貿管令にしたがって相手国の事前確認をとるという制度を構築しているところでございます。
 あとGHSの関係で、市民に対する情報伝達の取組が不十分ではないかと。あるいは国全体としての取組が遅いのではないかというお話がありました。
 確かにGHSそのものを既存の法律の中で完全に取り入れているというケースはまだ少ないと思います。部分的に取り入れ始めたというところです。
 法律の中で取り入れるいうのは、それなりに国際約束があるにしても、法律そのものがもともと持っていた目的というのがありますので、そう簡単にできることではないのですが、関係省庁と協力をして、今、JISをつくっております。それを基盤にして関係する法律でそれを引用できるような形にしたいと思っておりまして、それは関係する省庁の方と協力しながら、制定作業を進めているところでございます。
 あとは、同じく消費者に対して情報が十分に出ていないのではないかというお話がありましたけれども、1つの方法としては、先ほどからも話が出ておりましたけれども、データベースというものをきちんと充実させて、その有害性情報を広く皆さんにお伝えするということが重要だろうと考えております。
 例えば、化審法という法律で、化学物質の審査をやっておりますけれども、今まではどちらかといいますと、これが監視化学物質に相当するのかしないのかという、そういう法律上のステータスしか公表していない部分があったわけですけれども、これからはできるだけ、どういう毒性を持っているのか、どういうハザードだったのかという情報まで含めて、世の中に公表していきたと考えております。

○浅野委員 あと和気先生から貿易との関係の質問がありましたね。貿易上の支障にならないようにという。

○経済産業省 これは、例えば化学物質の関係で言うと、製品中に含まれている化学物質をどこまで規制するのかということがあります。REACHは1つの例になりますけれども、製品の中に、あるいは成形品の中に含まれる化学物質も規制の対象としているわけですが、そのような化学物質をどれぐらい厳しく規制するのかといったところが大体いつも議論になるところです。
 製品を輸入する方がその製品をつくるに当たって、どういう化学物質が使われているのかというのを届け出なさいという、あるいは調べて有害なものが入っていたら申告しなさいという制度をつくるのは、法律上はできるかもしれませんけれども、実際にはなかなか実行の難しい問題でして、そういった問題、どこまで化学物質の管理という観点から、そういう化学物質を含む製品の規制をどこまでやるのかといった問題は、いつも難しい問題となっております。

○浅野委員 ありがとうございました。大体、そんなところでよろしいでしょうか。
 あと環境省ですが、恐縮ですが、3分以内でお願いします。

○環境省 まず、森嶌委員のほうからの日本の化学物質とSAICMについて、先ほど経産省さんからもお答えありましたけれども、補足でございますけれども、SAICMにつきましては、この日本におきましても国内実施計画というものを今後つくっていこうと思ってございます。そして、各国の状況というのがどうなのか、我々今年の3月にセミナーを開催した折に、公表させていただいておりますけれども、アジア・太平洋地域、例えば韓国におきましては、我が国と同じようにSAICMの調整委員会を設置して、今、実施計画を2009年度までに策定予定だというふうに限定している国もあれば、また、例えばカタールのように、既に2007年1月からSAICM実施計画を毎年つくって見直しているという国もございます。
 一部の国では、SAICMの考え方に沿った国内実施計画をつくっているところも出てきております。
 日本も、今後、化審法や化管法の見直しがある程度進めば、この国内実施計画の作業というものがより具現化していくのではないかと考えているところでございます。
 それから、2点目の福川委員のほうから、全体の予算はどうなっているのかということでございましては、申しわけございません、今現在、手持ちがないわけでございまして、またどれを関連予算とするかという点もあろうかと思いますけれども、もし後日示すことができるのであれば、後日、対応させていただきたいと思います。
 それから、最後に大塚委員のほうのBtoBとBtoCの話もございました。これも先ほど私が森嶌委員のところでもお話しさせていただきましたけれども、SAICMの今後国内実施計画を策定していくという流れの中で、この問題についてもいろいろな法律の改正などの全体の動きを見ながら進んでいこうかと思いますけれども、こういう流れの中で、BtoCへの考え方というものを関係各省においてもさらに詰めていくのではないかというふうに考えているところでございます。以上でございます。

○浅野委員 どうもありがとうございました。

○森嶌委員 私の問題意識は、和気委員と全く同じところから出発していまして、日本の化学政策は将来無機化学、有機化学、どういう方向で進んでいくか。そのときにSAICMの基準づくりを日本としてはどういうところに力を入れて基準づくりに日本の総力をあげていくのか。それと同時に日本が輸出するときに、アジアで輸出しやすいような方向で、例えばそれを受け入れてもらえるような、そういう能力をアジアで支援していくような、そういう国家戦略の中の一貫としてやっておられるのか、そういうことは全く無関係に国際協力ということで、今までと、10年前と同じようにやっているのか。
 それを今までそういう国家的な、ある意味では言いか悪いかは別として、そういう全体のリンケージなしにやっているから、今、京都、あるいはポスト京都で、あっちこっちで問題が出ているわけですけれども、私が伺ったのは、そういうことです。
 つまり日本の化学政策との関係で、こういうコントロールをする、それから将来の貿易にとって、そういうスタンダードが日本にとっていいかどうかということまで考えてそういうことをやっておられる。あるいは、途上国との連携、そういうことまで考えてやっておられるのかどうかということを伺いたかったんですけれども、そういうご返事はなかったものですから、ぜひそういうことも政府としては、お考えいただきたい。お考えいただかないならばもう考えなくても、我々のほうで、そういうことをこれから主張していかなければならない。
 どうぞ、和気先生、よろしく。ということです。

○浅野委員 ありがとうございました。
 多分お答えがなかったというのは、考えてないということだろうと勝手に解釈をするわけですが、ひょっとしたら経産省から反論があるかもしれませんけれども、いずれにせよ化学物質管理についての全体戦略というのをきちんと考えておかなければ、このような問題について対応できないであろうというご指摘でございまして、今日の報告はどちらかといえば、重複感はあるんですけれども、こんなことをやっているという事実のご報告に止まっておりますので、点検としてはさらに今の森嶌委員が指摘されたようなことを審議会の考え方としては示していく必要があるだろうと思います。
 それでは、予定の時間を5分弱オーバーしてしまいましたが、本日の審議はこれで終了いたします。
 事務局から次回の日程についてのお知らせがございます。
 小川課長、どうぞ。

○小川環境計画課長 次回からは、総合政策部会という形で点検を進めてまいります。
 次回は、来週金曜日、9月26日でございます。時間は14時から17時です。場所は、ここと同じ三田会議所の第4特別会議室であります。お時間につきましては、点検の中で、温暖化、物質循環、生物多様性という3つの課題について点検をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○浅野委員 それでは、次回は9月26日でございます。
 本日は、これで散会いたします。

午後12時05分 閉会