第5回 環境基本計画点検小委員会議事録

日時

平成20年9月17日(水))

場所

環境省 総合環境政策局 環境計画課

議事内容

午前10時32分 開会

○小川環境計画課長 おはようございます。それでは、追って来られる委員の方もいらっしゃいますので、開会させていただきたいと思います。今から第5回環境基本計画点検小委員会を開会いたします。
 まず、お手元の配付資料を確認させていただきます。
 厚い束でありますけれども、クリップを外していただきまして、最初の1枚が議事次第です。それから、資料1、第三次環境基本計画点検の今後のスケジュール、1枚紙です。資料2が、「環境にやさしいライフスタイル実態調査報告書(概要)」、少し厚いコピーであります。資料3が、「環境基本計画で期待される地方公共団体の取組についてのアンケート調査報告書(概要)」、これも厚いものであります。資料4が、「環境シンポジウム開催概要」です。資料5[1]が、「重点調査事項に係る点検結果」の、左肩に「(人づくり分野)」と書いてあります。次が、資料5[2]でありますが、同じく「重点調査事項に係る点検結果」の、左肩に「(地域づくり分野)」というものであります。
 次が参考資料1でありまして、第三次環境基本計画の進捗状況の第2回点検の進め方についてという資料であります。参考資料はこれ1つだけです。
 それから、白表紙で本が2冊、環境にやさしいライフスタイル実態調査と、地方公共団体の取組についてのアンケート調査であります。それから、右側に「環境基本計画」がございますが、これは会議用ということで、会議中にご参照ください。その上に、追加資料としまして、「地域づくりのための新たな枠組み」という1枚紙がございます。
 もし不足の資料がございましたら、事務局のほうまでお申しつけいただければと存じます。
 それから、マイクの使用でありますが、ご発言のときは、このパネルの大きいボタンを押してご発言ください。また、ご発言が終わりましたら、再度スイッチを押して消していただくようにお願いいたします。
 私は、7月の人事異動により新しく環境計画課長となりました小川晃範と申します。申しおくれましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
 あわせて、同じく7月に幹部の相当な異動がございましたので、改めて事務局幹部のご紹介を申し上げたいと思います。
 まず、総合環境政策局長の小林光です。
 それから、大臣官房審議官の総合環境政策局担当の小林正明です。
 総合環境政策局の総務課長、梶原成元です。
 それから、総合環境政策局環境経済課環境教育推進室長の出江俊夫です。
 総合環境政策局環境計画課の計画官、小森雅一です。
 以上でございます。
 まず、総合環境政策局長小林から一言ごあいさつを申し上げたいと思います。

○小林(光)総合環境政策局長 おはようございます。総合環境政策局長の小林でございます。
 きょうは本当にお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。開会に当たりまして一言ごあいさつ申し上げます。
 委員の皆様方におかれましては、この環境行政につきまして平素からご指導、そしてご鞭撻をいただきまして、厚く御礼申し上げます。また、本日は特にご多忙中、こうしてご参集いただきまして、ありがとうございます。
 きょうお集まりいただきましたのは、お手元にあります環境基本計画、第三次の環境基本計画でございますけれども、これの進捗状況の点検ということでございます。この基本計画をつくりっ放しにするということでは計画の意味がございません。この進捗状況をいつも点検し、そして足りないところがあれば、政策に生かしていくということでございまして、この点検作業は大変重要な役割を担ってございます。この点検作業は、きょうから始まりますけれども、実はこの計画については2回目の点検ということに相なるわけでございますが、全国の自治体の調査あるいは国民のほうの環境行動の調査等々、といった材料も含めまして、あるいは各地でシンポジウムをしたり、ご意見を聞いたりといったこともしておりますが、こういったものもあわせてご覧いただき、ご審議を賜りたいと思っております。いずれにしろ、これからの作業でございますけれども、ひとつ忌憚のないご意見をちょうだいいたしたく存じております。よろしくお願いいたします。

○小川環境計画課長 本年の点検でございますが、資料1に全体のスケジュールがございます。既にご案内しているところでありますけれども、その中で本日につきましては、環境保全の人づくり・地域づくりの推進の点検を中心とした議事としております。
 それでは、ここからの進行につきましては鈴木委員長にお願い申し上げます。

○鈴木委員長 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。
 本日は、2時間という時間ではありますが、大変盛りだくさんの議事を予定させていただいております。その内容は、アンケート調査の結果について、そして環境シンポジウムの結果についての報告、それから環境保全の人づくり・地域づくりの推進、この重点調査事項に係る関係府省においでいただいて、ヒアリングをさせていただくということになっております。
 まず、アンケート調査の結果につきましては、事務局から説明を受けることにいたしております。シンポジウムの結果につきましては、3カ所で行っておりますが、そのそれぞれの会場での司会進行をお願いいたしました委員の方から報告をお願いすることにいたしたいと思っております。重点調査事項に係る関係府省ヒアリングにつきましては、事務局から概要説明を受けまして、その後、関係府省から補足の説明を受けるということにさせていただきます。
 では、まず最初のアンケート調査の結果につきまして、事務局から説明をお願いいたします。資料2、資料3、続けてお願いいたします。

○沓掛環境計画課補佐 私、環境省総合環境政策局環境計画課課長補佐の沓掛と申します。よろしくお願いいたします。それでは、アンケート調査結果についてご説明申し上げます。
 アンケート調査結果には、国民に対するライフスタイル実態調査、それから地方公共団体の取組についてのアンケート調査、この2種類がございます。まず初めに、国民に対する調査を説明します、資料2をごらん下さい。
 3ページにありますとおり、調査は前回からインターネットを活用した方式で行っております。今回は、本年2月22日から29日にかけまして調査を行いました。全国の20歳以上の1,627名から回答をいただいております。早速ですが、中身の説明をさせていただきます。
 5ページの図表1でございます。近年の環境状況の実感について、地域・国・地球の3つのレベルに分けて尋ねております。地域のレベルに比べまして、国や地球レベルで「環境が悪化している」と実感する人が多くなっております。
 続きまして、7ページの図表2でございます。関心のある環境問題でございますけれども、「地球温暖化」については非常に高い値を示しております。そのほか、「オゾン層の破壊」、「大気汚染」、「世界的な森林の減少」などと続きまして、地球規模での環境問題に関心が集まっているということがわかるかと思っております。
 時間の制約があるため、飛ばし飛ばしとなりますが、9ページの図表4をごらん下さい。環境保全に重要な役割を担う者といたしましては、「国民」が高い値を示しておりますが、「国」が前回から増加している点が特徴的かと思います。調査がサミット開催を前にした時期に行われていたことも影響しているのかとも思われます。
 続きまして、図表5でございます。環境問題に対する考え方についてでございます。「森林の維持・整備が大切」、「地球問題の解決には各国の協力が必要」といった考えを持つ人が多い点につきましては昨年と同様ですが、「環境教育や環境学習が大切」、「個人の環境意識を高めることが必要」といった地域づくり・人づくりに関する考えを持つ人も多くなっている点が注目されます。
 続きまして10ページから11ページですが、環境保全行動の実態と今後の意向についてです。11ページの図表6でございます。表の字が細かくて恐縮ですが、例えば(8)の「ごみの分別排出」、それから「節電」「節水」、これは(1)、(13)ですが、こういったルール化されたものへの協力ですとか、個人的にも経済的なメリットがあるものについては、実行率が高いのかと思われます。ただ、一番下の8、「人づくり・地域づくり」の部分については、実行率が低くなっているということで、「人づくり・地域づくり」については、意識は高いものの、行動に結びついていないのではないかと考えております。
 続きまして12ページから13ページにかけて、日常生活での環境配慮についてでございます。図表7、8はそれぞれ、太陽熱温水器、太陽光発電についてです。利用率は低調ですが、利用希望者を含めると3割~4割程度となっております。それから、次のページの図表10、低公害車の件につきましても、購入は1割~2割程度でございますが、購入希望者が4割程度ということで、それぞれ潜在的な需要は高いのかと思われます。
 続きまして13ページの半ばから後ですが、自然とのふれあいについてです。14ページの図表11、自然とのふれあいに対するニーズですが、これについては総じて高い値を示しています。ほぼすべての人が、現状以上の自然とのふれあいを求めているという結果となっております。次のページ、図表14ですが、「この1年間で自然関連の旅行をした」という人は、「旅行をしていない」人が4割ということなので、全体で6割を占めているという状況。それから、その次のページの図表16でございますけれども、「今よりも自然に関連した旅行をしたい」と考える人も半数以上ということですので、自然とのふれあいを求めていることが、ここからわかるのではないかと思われます。
 それから、17ページ以降ですが、日常生活における環境保全行動への実感についてです。18ページの図表18、それから21ページの図表22、23ページ以降の図表23、この3つの表を見てということですが、物の購入時の環境への配慮、それから省エネ、ごみの処理、この3つにつきまして、どれについてもほとんどの人が「環境保全のためによいことだ」と考えているということ、それから7~8割の人が「習慣であり特に意識することではない」というところまでいっているということが結果として出ております。
 それから、20ページの図表19ですが、環境に配慮している企業につきましては、「信頼できる」「その企業の製品を買いたい」といった値が高くなっております。また、「当然の行為である」と見ている人の割合も高くなっております。逆に、環境配慮に無関心な企業につきましては、「社会的責任を果たしていない」「企業のイメージとして、他社に劣る」といった割合が高くなっています。
 続きまして、図表20ですが、製品やサービスを選択する際に考慮する点ということで、下から2つ目のところ、「環境によいかどうかを判断する材料としている」という人が8割以上いるということで、高い値かと思われます。
 少し飛びますが、環境教育・環境学習についてです。25ページ以降になります。図表24、それから26ページの図表26ですが、体験型、非体験型いずれについても、環境教育・環境学習に関する参加率は低い値になっていますが、「今後参加したい」という人を入れますと全体の6割程度にふえるということで、潜在的ニーズはある程度高いのかと思われます。
 それから、27ページからは、環境保全活動を行う民間団体への参加というところでございます。図表28、民間団体への参加率、これも環境教育・環境学習と同じで、低調ですが、「参加したい」という人を入れると半分以上にふえます。こちらも潜在的ニーズは高いのかと思われます。
 29ページの図表31です。民間団体の環境保全活動への参加者の9割近くが「環境問題の解決に貢献している」と考えておりまして、この値が昨年より1割以上増加している点が注目されるかと思います。
 続きまして、32ページ、33ページに飛びます。環境情報に関する話でございますが、図表35が環境情報への関心、それから図表36が環境情報への満足度となっております。この両者を比較しますと、環境情報への関心は高くなっていますが、満足度については低くなっているという状況が見てとれます。続きまして、図表37、環境情報の入手経路につきましては、マスコミが中心であるということが見てとれます。
 36ページ、一番最後でございますけれども、環境行政についてというところです。これは非常に残念な結果なのですが、図表40、「環境基本計画」の認知状況につきましては、昨年同様、非常に厳しい結果でして、5%と低い水準で推移しているところでございます。
 それから図表41、図表42につきましては、国や地方公共団体が行っている環境行政全体の評価ですが、満足度では、国については3%程度、それから地方公共団体については6%ということで、低い水準で推移しているという状況が出ております。
 以上が、国民に対するアンケート調査の結果についてのご説明でございます。
 続きまして、地方公共団体に対する調査結果についてご説明申し上げます。資料3をごらんください。
 この調査は、本年2月25日から3月29日まで、全地方公共団体1,865団体に対してアンケートを行ったものでして、回答率は77.9%、前回とほぼ同じ回答率でございます。
 中身の説明に入らせていただきます。資料3の6ページ以降をごらんください。自治体の環境施策主体としての総合的な取組についてでございます。7ページの図表1-2でございます。全体的に条例等の制定・策定はふえる傾向にあります。あと、基本を定める条例は半分弱、総合的計画については4割程度、温暖化防止計画については3割程度の自治体で策定されているという結果が出ております。特に温暖化防止計画につきましては、「検討中」も含めると6割を超えていて、昨年より大きく伸びているという点が注目されるところで、地球温暖化問題に対する関心の高まりがうかがえると考えております。
 少し飛びますが、11ページです。環境問題に関する問題意識と重点取組についてです。図表1-7、自治体の問題意識と重点取組との相関関係ですが、高い相関が示されている状況でして、「リサイクル・リユース」、それから「地球温暖化」等が高い値を示しています。
 続きまして、12ページ、13ページです。広域連携の状況というところですが、「廃棄物処理」で6割程度、それから「水環境保全」で4割程度、「情報共有」で3割程度の自治体で連携が行われているという状況でございます。
 14ページです。域内の市町村に対する取組支援・調整についてでございます。これは都道府県を対象とした調査ですが、「情報提供」とか「人材育成」といったところで支援とか調整等の割合が高くなっているという状況でございます。
 続きまして、17ページ以降です。事業者に対する取組というところですが、17ページの図表1-14については、網かけのある部分が実施率の高い取組となっておりまして、廃棄物、水質汚濁といった直接的な環境負荷削減が中心になっています。手法別に見ますと、「普及・啓発」という手法が高い値を示しているという状況です。
 18ページ以降ですが、工場・事業所等との連携・協働・協定についてです。昨年と比べまして都道府県や政令市では連携が減少しているのですが、市区町村では増加していまして、全体でも増加しています。基礎的自治体単位での連携・協働に移行してきているのかと思われます。
 続きまして、23ページ以降です。住民・NPO等に対する取組でございます。23ページの図表1-22につきましては、これも先ほどと同様で、網かけのある部分が実施率の高い取組となりますが、「リサイクル活動」「野外焼却の禁止」「環境教育・環境学習の実施」等が高い値を示しています。手法別で見ても、事業者に対する取組と同様に「普及・啓発」が高い値を示しています。
 24ページ以降ですが、住民・NPO等との連携・協働等についてということで、図表1-23と図表1-26を見ますと、住民、NPO双方とも連携・協働の実施率が昨年より低下しています。ただ、図表1-24、図表1-27を見ますと、連携・協働が「行政からの呼びかけ」をきっかけとするケースが多く出ていますので、行政の働きかけの強化が今後の連携・協働の強化に向けた手段の一つとなるのかと考えております。
 飛びますが、30ページ以降でございます。情報提供・情報収集に関する取組でございます。30ページの図表1-32をご覧下さい。情報提供方法としましては、「広報誌やパンフレット」が7割強で、「ホームページ」「環境セミナー・展示会」といったものが続いているという状況でございます。
 続きまして、32ページの図表1-35です。情報提供の内容としては、「暮らしの中の工夫や行動」、「地域環境問題」といった住民生活に関する情報が提供されています。広報誌やパンフレットが住民向けであると予想されます。
 続きまして、33ページ、34ページです。住民等からの意見の取り入れについてですが、取り入れ手法としましては、図表1-37、「審議会」「自治会等からの意見聴取」といった直接的な意見聴取方法もありますが、「パブリック・コメント」「アンケート」につきましても昨年よりふえている状況で、いろいろな手法がとられているということがわかると思います。
 続きまして、34ページの図表1-39です。環境計画・条例見直しにつきましては、都道府県、政令市のほとんどが住民等の意見の取り入れを実施していることが見てとれます。
 35ページ、国際的な取組についてですが、図表1-40、都道府県・政令市を中心に国際的な取組が行われていることがわかります。取組の内容につきましては、人的交流に当たるものが中心であることがわかります。
 36ページ以降ですが、事業者・消費者としての自治体の取組です。図表1-41、率先実行行動についてですが、これは上が職員個人レベルでの行動、それから下が組織としての行動となっております。下の表を見ますと、「ノー残業デー」「環境配慮型商品の発注」といったものが高い値を示していますが、総じて上の表、個人レベルのものよりは数値が全体的に低くなっており、率先実行行動は個人レベルの活動が中心になっていることがわかるかと思います。
 最後に、38ページですが、率先実行行動の効果です。「職員の環境意識が向上した」「諸経費の節減につながった」といったものが高い値を示しています。
 以上、時間の制約もありまして、駆け足で2つの調査についてご説明させていただきました。全体としては、前回の調査結果と比べて特に大きく変わった、特筆すべき変化と言えるものはなかったのかと考えております。
 以上、2つの調査結果についてご説明させていただきました。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 これは、よく中をごらんいただくと、いろいろおもしろいことが読み取れるのかもしれませんが、まずは委員の方々から何かご質問等がございましたら、お受けしたいと思います。名札を立てていただけますでしょうか。
 では、森嶌委員のほうからお願いいたします。

○森嶌委員 まず、このアンケート調査をなさったことについて、それからまた分析されたことについて、敬意を表しますが、経年で見てみますと、むしろだんだん悪くなっているのではないかという気がいたします。特に環境行政などについて、これは今見たばかりなので、まだよくわかりませんが、例えば一番最後の先ほどの36ページ、「国が行っている環境行政全体の評価」などを見ますと、平成15年度では9.9%が「全く満足していない」というのが、平成19年度では20.8%が「全く満足していない」ということで、だんだん「全く満足していない」がふえているわけです。それから、「満足している」のが、これは「まあ満足している」も含めて、平成15年度が約10%であったのが、平成19年度では3%ということです。それから、その前のもずっと見てみますと、アンケートの対象によるばらつきと言うには余りにも、例えば環境教育なども含めて、環境省がやってこられたことについて、このアンケートで環境省は何を読み取られるのか。そして、これは環境基本計画のチェックのフォローアップのためにやっているわけですから、このことから、余り変わったことはありませんでしたというふうに沓掛さんはおっしゃったけれども、私は、変わったことはないのではなくて、だんだん、少なくとも環境省に対する評価としては余り芳しくない。
 だとすると、環境省はこの分析の結果から何を教訓として得られたのか、この際、仮の結論でも結構ですので、言っていただきたい。最近着任された小川さんに伺うのはちょっと無理かもしれませんけれども、途中の、例えば環境教育などに対するのもまだ我が国ではちょっとあれですけれども、それから太陽光発電の利用状況とか、住宅の断熱の進捗などを見ても、非常にばらつきがあって、本来ならば「もう既に設置した」というのは、これも相手によるのかもしれませんけれども、だんだん少しずつふえてきてもしかるべきなんですけれども、行ったり来たりしていたり、1つは、アンケートそのものが余りサイエンスティフィックにちゃんとしていないということがあります。第2には、環境省がいろいろなことをやっておられるけれども、ほとんど効果は上がっていない。環境教育もいろいろなものを含めてです。それから、環境情報がいかに大事かということを繰り返し言っていますけれども、環境情報についての満足度をごらんいただくと、皆さん、環境情報に対する関心はだんだんふえていますけれども、環境情報に対する満足度は、32・33ページをごらんになると、だんだん減っているという、これも環境省だけの責任ではありませんけれども、これもどうお考えか。「クールビズ」の認知度が92%あると言って喜んでいる場合ではないと私は思いますので、とりあえずこのアンケートをして、環境省としてはそこから何を学んでおられるのかということについてお伺いしたいと思います。

○鈴木委員長 それでは、永里委員、筑紫委員、長辻委員の順でお願いいたします。

○永里委員 ありがとうございます。主として資料2についての私の考えと、それからそれに対するお答えを聞きたいんですが、図表5、「環境問題に対する考え方」で、2番、3番で、「大人にも子どもにも」というところで「環境教育や環境学習が大切である」というのがふえているのは、非常にいいことだと思います。石岡の小学校のお話ですと、霞ヶ浦の実体験というか、環境に関する小学生の参加によって、子供たちは非常に目覚めております。だが、大人たちは多分だめだろうと、子供たちがそういう結論を出しているようですけれども、そういう意味では非常に教育が重要であると思いますし、図表16で、自然とのふれあいが非常に重要になってこようかと思います。環境教育というのは、学校で机上で教えることだけではなくて、自然とのふれあいが非常に重要だろうと思います。それによって目覚めてくるでしょうし。そのときに、図表18では、物を買うときの環境への配慮に「環境保全のために良いことだと思う」という回答者の%があるのですが、これが平成19年度にはむしろちょっと減っているのです。「環境保全のために良いことだと思う」と「大変そう思う」が減っているのはどういうことなんだろうかということが質問です。
 そして、図表20のほうでは、「製品やサービスを選ぶ際に」、これは企業を選ぶときの話ですが、これを時系列でちょっと見てみたい。それは今の図表18との関連から、時系列ではどうなっているのだろうかと。私が言いたいのは、企業を選ぶときの、あるいは製品を選ぶときの環境行動として、皆さんが少々高い物でも買うといった行動が重要だろうと思うんですが、それはすべては環境教育に根っこがあるのではないかと思っているからです。
 以上です。

○鈴木委員長 筑紫委員。

○筑紫委員 森嶌委員がおっしゃったこととほぼ重複するんですけれども、意識は高いが、行動に結びついていないというのは、意識が低いことだと思うんです。ですから、そういう意味では、そういう結論をこのアンケートからおとりになるのはちょっとおかしいのではないか。本当に高ければ行動に結びつくんですが、結びついていないということは、意識が知識に終わっているんじゃないか。それで、知識を意識にするために、要するにそういう意味で環境情報を伝える、「何かまた言っている」みたいな感じで耳から流すのではなくて、そこのところでもう少し影響力のある人とか、個別にはいろいろなタレントさんとか、いろいろな方たちが、環境に関心があるとか、こういう生活をしているといったことを言っておられるので、ぜひそういう方たちを環境省から積極的に登場していただいて、その方たちを通して話をするということで、より意識のレベルにいくのではないかと思って、工夫されたら思います。
 それで、国の環境政策全体の評価では3%しか満足していないということは、私どものように、環境政策を評価して投資するような商品をつくろうとしていますと、3%しか満足していない国の国債なんかは買いませんということになります。しかし、本当は、日本国、例えば日本企業の環境技術とか、そういったものは世界的にもすごく評価されているんです。洞爺湖サミットでもそのように福田首相が言っておられて、世界もそれを認めておられるということは、環境省の環境政策が正しかったから、企業の環境技術とか、そういったものがそういう企業の競争力にもつながったんじゃないかということを声を大にして言われたらどうでしょうかということです。ですから、もっとこのアンケートの結果というものを深刻に受け取られて、これでは税金を払っているかいがないということですので、もっと本当に工夫していただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木委員長 長辻委員。

○長辻委員 では、ちょっと基本的で単純な質問なんですけれども、よろしくお願いします。一つ関心の高いところで、オゾンホールが挙がっていますね。そのオゾンホールは、前々から時々耳にするんですが、多くの国民の方々が地球温暖化の原因と考えているという節があるということを耳にするんです。オゾンホールがたしか2番目ぐらいに挙がっていると思うんですが、それがこの温暖化との混同によるものがどの程度含まれているか、その辺は検討されたことがあるのかどうかということをお尋ねしたい。それとあと生物多様性の認知度が極端に低いという、これを向上させていくには何か対策を考えておられるのかということ。この国際会議も迫っているということですし、その辺の対応をお尋ねしたい。あと、これを見ると、自然とふれあう機会がどんどん減っているという、これは非常に大きな問題で、このあたりがその生物多様性の問題等に関係しているのかなと思ったりしておりますので、そのあたりの解釈をお尋ねしたいと思います。
 以上です。

○鈴木委員長 すみません。時間が非常に限られておりますので、後から挙げられた方々は1分でまとめてお願いいたします。では、順番は、善養寺委員、どちらでしょうか、鳥井委員、塩田委員でお願いします。

○善養寺委員 アンケートの中で感じたこととしましては、関心が高まると満足度が減るというのは、心理学としてあると思うんです。要は、初年度の3年前のときは、関心が低かった。だから、充足度がなかったというのは当たり前で、次のときには、関心を持ってきた。そうすると、レベルの低い情報でも満足する。その次には、今度はもっと関心が高まると、かなりレベルの高い情報でないと充足しなくなってくるので、満足度が下がるのは当たり前な流れだと思うんです。ただ、その次に見ていくと、環境情報の入手経路として、多くはテレビニュースなどマスコミを中心とすれば、今後は、そこでの情報提供の、それもかなりレベルの高い情報提供の方法を考えていかなければいけないのかと思います。アンケートの中で、情報入手経路に学校という部分がないので、今後は入れていったほうがいいのではないかと思います。PTAの活動とか、学校を拠点とした大人の活動もありますが、学校教育そのもの、小さいころからの教育ですり込んでいくことが行動に結びつくと思えば、小さいころからの学校での教育を重視していくことが、長い目で見たら重要なんじゃないかと思うと、情報入手経路の中に学校というのも必要なんじゃないかなと思いました。

○鈴木委員長 塩田委員からお願いします。

○塩田委員 インターネットで調査されて、非常にきめの細かい調査をされたと思うんですけれども、この質問に答える人というのは、かなりややこしい内容ですし、インターネットをしょっちゅうやっていて、時間がある人という感じだと思いますので、偏っている面もあるのではないかという気がいたします。そこで、基本的な問題について、もう少しラフな質問に対するアンケート調査を別途やられて比較してみられるということもいいのではないかと思うんですが、実際問題として問題があるのかもしれませんが、そんな感想を持ちました。
 以上です。

○鈴木委員長 鳥井委員。

○鳥井委員 今、塩田さんが言われたこととほとんど同じことを申し上げたかったんですけれども、これは、年度比較をするなら、統計的な有意な差というのは何なのかということをよく考えて議論しませんと、このままこれで議論して表へ出したら笑い物になるという感じすらするのであります。しかも、インターネット調査というのは往々にして非常にサンプルとしては偏ったサンプルで、多分社会学の学会に行きますと、この調査は査読で落っこちるだろうと思うのでありますが、それを使うときにもよほど注意される必要があると思います。

○鈴木委員長 お答えを頂きましょう。

○小林(光)総合環境政策局長 いろいろご意見をありがとうございました。私も見ておりまして、調査自体、その予算の制約等々ございますので、詳細なことをすると、こういう、どちらかというとインターネット等を使わざるを得ないということがどうしてもあって、二律背反があるんだと思うんですが、そういう留保のもとでも、少し結果が安定していないなという気はいたしております。属性を見ますと、それほどおかしな属性にはなっていないように、要するにフェイスシートは結構ちゃんとした母集団みたいに見えるんですけれども、そういう意味で、実際にご指摘がありましたように、例えば太陽光の導入率などが経年的に下がってみたりとか、やや検定したらどうなのだろうかという感じはいたします。そのようなバイアスがあるにしても、しかし環境行政に対する満足度といいますか、ニーズに余りこたえていないというところは確かにご指摘のとおりだと思います。そういうところについては、さらにいろいろ工夫しなければいけないと思っておりますけれども、きょうご指摘いただきました、例えば社会的な影響力のある人をもっと使ったらどうかとか、あるいは学校が一番正当な影響を与える場所だと思いますし、永里委員がおっしゃったように、子供たちが体験するということで実際には行動にまで響くようなアピールといいますか、訴求ができるのではないかと、いろいろなご意見もちょうだいいたしました。そういうものをいただきながらやっていこうと思っております。とにかく行動を変えるのは本当に大変だというのが痛感するところでございます。ニーズがあるのに、まだなかなか行動にまでいっていない。それは国民の意識が低いことだと言われればそうかもしれませんけれども、さらに工夫が要るということは痛感したところでございます。ありがとうございました。

○鈴木委員長 きょうのアンケートの報告というのは、ある意味では、この形のアンケートをしたところこういう結果が出たという段階でとまっているのではないかと思います。これから一体何を読み取って、環境省として何をするのか、あるいは国として何をするのかというのは、環境省の側としては、担当の方も2年ぐらいでかわられますし、なかなかつらいところはあると思います。本来はこの部会で一度徹底して議論することぐらいのことがあってもいいのかなという気もいたしますが、その辺はまた後でご相談をさせていただきたいと思います。そもそも、アンケートが果たして的確な、適正なものなのか、これまでこういう形でやってきたので、ことしもこうやってみるということではなくて、この段階で少し、本来国の行政に何を生かしていくのかといったことを読み取れるようなものをつくっていく必要があるのではないかという気がして伺っていました。
 環境教育に関しても、一番問題なのは、文部科学省と環境省は一体どういう形できちんとすり合わせをしているのか。あちら側でも環境教育というのは今、目玉の一つになっているはずですが、そういう意味では両者の間で統合的な形がつくられているとは思えない。いろいろな意味で、重要な時期にあると思いますので、ぜひ局長にイニシアティブをとっていただいて、その辺をご検討いただければと思います。この部会でも、これをもう一度検討させていただくということがよろしいのではと思って伺っていました。この結果を読み取ってみますと、いろいろなことが出てくると思いますので、きょういただいたご意見、そしてまたそれにプラスするものもまとめて一度議論させていただく。いかがでしょうか。はい。

○中杉委員 一言だけ。先ほどの属性等のお話については、昨年も同じ調査結果をご報告いただいたときに発言させていただいて、もう少し細かい解析が必要だということを申し上げたんです。委員長が今言われたように、この部会で検討するにしても、もう少し細かい解析をした結果を出してもらわないとできない。環境省のほうで予算を工面して、これだけの膨大なデータがあるんですから、どこかに依頼して解析してもらう必要があると思います。そうしないと、議論が多分できないだろうと思います。これを見ただけでは全く何もわからない。昨年も同じことを言いましたので、1年後に同じ結果が出てきたというのは、ちょっとがっくりしているところです。

○鈴木委員長 その辺も……。それでは、小川課長。

○小川環境計画課長 技術的なことを申しますと、インターネットの調査に変えたということで、平成15年と昨年、ことしの調査というのは、そういう意味で方法論のギャップがございます。というところで、インターネットにしたことによって多少サンプリングの集団のばらつきが違ってきたということがありますので、その辺は昨年のご指摘もありましたので、それを変えずに標準的な分布にした場合にどのぐらい結果が変わるかといったチェックはやっております。そのあたりは技術的なところですので、きょうはお見せいたしませんでしたが、また整理いたしまして、必要なときにご提示したいと思いますので、よろしくご検討をお願いしたいと思います。

○鈴木委員長 それでは……。はい。

○浅野委員 項目によって分析するときのやり方は違うはずです。例えば、満足しているかというのと、行動をとっているかというのは、単純に解析できないだろうと思います。それを一緒にして、余り変わりがないという結論を出すことは危ないだろうと思います。特に満足度という点については、このアンケートがサミットの前にとられた。ちょうど排出枠取引がどうだこうだという議論がいっぱい行われていて、それがちっとも動いていないじゃないかといったことがアンケートにお答えになった方々の不満として出ているという可能性があるわけですから、そういうことを全部含めて、少しきちんと見ていかないとだめではないか。10%から3%に下がったということは大きいと思いはしますが、それはそれだけ悪くなったというよりも、聞き方にも問題があると考えざるを得ません。

○鈴木委員長 それでは、このアンケートというものを今後どのように位置づけていくかということも含めて、また議論させていただく場を設定できればと思います。
 では、次の議題に入らせていただきたいと思います。ことし始めた試みでありましたが、3回ほど環境シンポジウムを開いております。資料4にございますが、仙台、そして大阪の池田、そして金沢と、この3会場でシンポジウムを行っております。それぞれにつきまして、司会進行をお引き受けいただいた委員の方からご報告を簡潔にお願いしたいと思います。
 まず、仙台会場、浅野委員からお願いいたします。

○浅野委員 資料4をごらんいただきたいと思います。資料4をめくっていただきますと、仙台についての報告が載っております。
 ご参加いただきました審議会委員の方は資料に掲載された6名の委員でございまして、東北地方の4名の方から最初にお話を伺い、その後、会場の方も含めて質疑応答をいたしました。質疑の内容は資料に書いてあるとおりでありますが、幾つかのポイントと、それから若干のポイントについてご指摘申し上げたいと思います。
 まず、それぞれのパネラーのご報告については、記載されているとおりでございますので、詳細は省略させていただきます。お目通しをいただきたいと思いますが、東北大学の新妻先生は、地域で「薪ストーブの会」という活動をしておられまして、エネルギー確保と森林の保全を両立する活動をやられているといったご報告でございまして、興味深いものでございました。それから見上先生は、環境教育について、特に生き物系の研究をなさっているというお立場での報告でありました。また、渡辺さんは協同組合の部長さんですが、これは、我々が実際に現地へ行きまして、どう事業活動をなさっておられるかを拝見した上でのご報告をお聞きしましたので、よく理解できました。さらに、行政の担当者からも取組についてのお話を伺ったということでございます。
 パネルディスカッションの中での討議については、まず地域での具体的な活動を円滑に進めるためにということでいろいろなお話を伺いましたが、とりわけ地域づくりについては、地域経済という面から見て、市場の外部価値を市場内部価値に転換するという工夫がなかなか難しい面があるのだけれども、そういう意味では新妻先生の取り組みには注目できるというご指摘が委員の中から出されました。
 それから、環境教育に関してでございますけれども、これは一言で言えば、環境教育というのは非常に範囲が広くて、1人ではできないので、ネットワークが大事だという見上先生のご意見にみんなが同意したところでございます。
 それから、森嶌委員から、環境教育を一生懸命やっている先生は「変わり者」と思われがちなので、そういう先生をみんながサポートしなければうまくいかないよといったご注意がございました。
 それから、人づくり・地域づくりに関しては、ネットワークを広げることは、次の世代につなぐという意味でも重要であると、これもまた森嶌委員からのご指摘がございました。
 それから、中杉委員のご発言が資料にまとめられていますが、これはちょっと委員の真意を伝えていない面がありますので、修正させていただきますと、塩竃の取組はとてもいい取組なのだが、それはそこにある条件のもとでできることだから、それを全国に広げてどこでもできるというものでもない。それぞれの地域でどういうことをやっているかということをしっかり見ていかなければいけないということがご発言の真意でございます。
 先ほどの環境教育に戻りますけれども、フロアからのご発言でございましたが、環境教育はどうも現場で見ていると、こんな環境教育をやっていますという研究報告レベルの話でとまってしまっている。そうじゃなくて、一体これからどうしたらいいのかということを示すという一貫した環境教育をやらなければいけないのじゃないかというご指摘がありまして、これはなるほど、もっともだと思われる面がございました。
 それから、ある意味では、環境倫理といった面からの環境教育というのは進んではきているんだろうけれども、そもそも我々が生活していること自体が環境に大きな影響を与えているということをきちんと認識して、どう解決するかということを考えていかないとだめだという石坂委員からのご指摘もございまして、これも会場ではみんながなるほどと納得させられたということでございました。
 以上でございます。

○鈴木委員長 それでは、池田会場、崎田委員、お願いいたします。

○崎田委員 それでは、池田会場のほうを紹介させていただきます。
 実際に参加いただいた委員の皆さんに関しては、資料4の9ページに出ておりますので、ごらんいただければありがたいと思っております。
 当日の進行に関してなんですけれども、こちらの総合政策部会の委員でもあります倉田池田市長に基調講演をしていただきました。それで、この倉田市長の基調講演に関しましては、中環審委員をされてから、環境基本計画の策定と、容器包装リサイクル法の見直し、このようなことに大変尽力されたというお話なんですが、特に容器包装リサイクル法に関して、フランスなどの視察をされた経験を紹介して、日本の法制度はなかなか自治体の要請に沿った形で実現されにくく、審議の経過が非常に大変であったということをかなり強調されて、ご自分の問題意識を明確にされていらっしゃいました。
 なお、シンポジウムのほうに関してなんですけれども、池田市の環境保全審議会の会長の藤田さん、そして環境基本計画に市民参加型、いわゆる公募で参加された方たちがその後会議を設けていらっしゃいまして、池田市環境問題市民会議の会長のエコスタッフというグループの村上会長、そして財団法人ひょうご環境創造協会顧問の小林さん、そして池田市職員としてクリーンセンター所長の中村さんから環境に関する取組についてお話をいただきました。
 特に審議会の会長の藤田さんからは、審議会としてできるだけ地域の皆さんに情報を広く伝えること、あるいは行政が市民や事業者を巻き込んだ活動の仕掛け手となるべき立場であるということを重視して会議の進行に当たる。あるいは、池田市にある環境資産を育成しているかということをきちんと考えて、行政、市民の取組を評価し、後押ししていくということに取り組んでいるというお話をされました。特に、環境の今回の人づくり・地域づくりなどに関して、指標を設定、活動の成果を評価することが大切ではないかというお話をされました。これに関しては、後ほど質問なども出ましたので、お話をさせていただきたいと思います。
 市民参加型の会議のエコスタッフの村上会長は、その後の活動の中で、多くの市民に、環境を共有するために、市民同士の会に積極的に関与してネットワークを広げている。ただし、事業者と市民との連携の強化のためには、もう少し行政のコーディネーター役を期待するということを強調されておられました。
 そして、ひょうご環境創造協会は、長年県というサイズで取り組んでいらっしゃる小林さんは、県民、事業者及び行政の3者の連携を重視してやってこられたということを強調しておられました。
 次に、行政側としてお出になったクリーンセンターの中村所長は、実際にエコドライブに関するモデル事業を実施されまして、それについてご報告いただいたのですけれども、2005年にNEDOの事業として、市内運輸事業者さん39社315台でエコドライブの機械を自動車に設置するようにしたのですけれども、燃費が平均6.55%向上して、これは年間で原油489リットルを削減したということになる。もしこれを全国のこういう事業者さんが実施した場合、290万トンのCO削減に相当し、これは運輸部門の2010年度削減目標の7割強に相当する。地道にモデル事業を実施するだけではなく、それを全国に広げていって、きちんと環境負荷を低減することが大事なのではないかと強調されました。
 このような話し合いの後、パネルディスカッションとしてかなりいろいろと意見交換をしたのですが、簡単に6つのポイントについてお話をしたいと思っています。
 各主体の認識と行動に関してなんですけれども、市民は、かなり関心を持ってきて、大きな盛り上がりはあるものの、まだまだ生活の中に入り込んできちんと実践している、そういうことは伴っていないのではないか。また、市民だけではなく、企業、地域の事業者の皆さんも、大量購入・大量消費といった状況に関する問題意識が欠けていて、ごみ減量化がなかなか徹底されていないのではないかということを問題視されている方がいらっしゃいました。このような活動のネットワークの拡大に関しましては、市民は、環境をよく知っている人はいいけれども、理解はしているけれども行動しない、あるいは無関心な人、こういう人たちに積極的に情報発信が必要ではないか。そして、先ほど連携の話がありました。市民と企業の連携、そして市民と市民の連携を明確にしてほしい。そのためには、行政がきちんとコーディネーター役を発揮していただきたいということがかなり強く出てまいりました。
 環境教育に関しても、会場からの発言も大変多く、幼児の段階からの環境教育が必要だけれども、今母親が環境について子供に教えられない状況というのが問題ではないかという意見も出ました。また、中学生以上は、受験対応などで非常に忙しくなっている。こういう全体を考えることが必要ではないか。また、小澤委員から、人づくりの中で、今まで自然に触れるということを強調してきたけれども、これからは触れるだけではなく、その中でどのように対応していったらいいのかという、次の世代をきちんと育てる視点が必要なのではないかということが出てまいりました。
 また、こういう具体的な活動の継続に関して、国の支援が終わった、例えばNEDOの事業が終わった後にきちんと継続するためにどうするかとか、継続すること。そして、先ほどのエコドライブの取組などを国全体に、ではどうやってモデル事業を広げるか、そのような次の作戦がきちんと必要なのではないかということが強調されました。
 そういう中で、人づくり・地域づくりということに関して、今まではイベントに参加した人の数とか、そういうことで指標化されることが多かったのではないかという意見もありましたけれども、もっと、イベントで学んだことを試した人の割合とか、ほかの人にちゃんと伝えた人の割合とか、新しい人づくり・地域づくりの評価指標というものを検討していくことが必要なのではないかと言われました。
 また、何度も申し上げましたけれども、市町村の温度差が大きい。自治体自身も環境政策をもっと熱心に取り組んでいただきたいという意見が出ました。
 こういう中で、本当に一人一人とか、企業、行政一つ一つの取組はかなり進んでおりますが、連携して地域に広げ、長い間定着させるような取組がもっと必要だという意見が出ました。
 どうもありがとうございました。

○鈴木委員長 それでは、金沢会場につきましては、私のほうからご紹介させていただきます。
 7月1日に金沢でシンポジウムが行われまして、参加者の方々はこの15ページにございますとおりであります。
 速水委員から基調講演をいただきまして、里地里山の形成といったことをある種のターゲットということにしながら、速水委員はご自身、森林を企業経営しておられるわけですが、森林管理という観点からの意義と現状、そして森林管理の評価、あるいは認証制度というものについてご紹介いただき、企業としては、山づくりの推進、そして自然あるいは地域との共生を考えていくときに、稼ぎだけではない、社会的に意義のある仕事をしていくということを念頭において活動を進めることが重要であるといったことを基本的な認識としてお話しいただきました。
 それから、3人のシンポジウム・スピーカーとして、まず、金沢大学の中村浩二先生。この方は、いわばNPO的に能登半島における人づくり・地域づくりに向けた活動をしておられる方です。
 それから、行政の立場から、能美市職員の谷田さん。この方は、能美の里山ファン倶楽部を設立して、里山づくりに活動しておられ、そこで、その主体あるいは資金、事業という3つが非常に重要であって、そのコーディネートにおける行政の役割が一種の成功のポイントであるといったお話をされました。
 もうお一方、国連大学高等研究所の石川オペレーティング・ユニットのアン・マクドナルドさん。この方は、石川に赴任されたのは最近ですが、その前に宮城県の旧松山町において環境保全型農業を推進する取組をしておられました。ここで酒造会社をスポンサーにして、非常におもしろい活動をしてこられて、成果を上げられた。女性中心に行われている農業について、男性による理解もそこから生まれてきたことなどがお話しにございました。
 こういう3者それぞれのお話を受けまして、参加していただきました委員の方々からいろいろなご意見をいただき、そしてまた会場からもご発言がございました。そこのポイントは、活動の主体として、どこが中心となっていくのか。行政の問題、それから住民の問題、その辺が一番重要なところですが、ここに関わる問題点等々について、これまでも出てきたとおりでありますが、行政がイニシアティブをとるということの重要性についてのお話などもございました。
 それから、里山というものの重要性、生物多様性あるいは生態系というものと人間がどうかかわっていくのか。非常に難しい問題で、わかりにくいわけですが、その辺を里山というキーワードが果たして解決に役立つのかどうかといったこともあるかと思います。
 行政に対する要望、期待等もいろいろと出てまいりました。この辺は、この整理された報告をごらんいただければと思います。
 人材をいかに確保するのか。高齢化していく中で若手をどのように巻き込んでいくのか。あるいはボランティアというだけでいいのかどうか。単にそういう形だけで人材の確保ができるかどうかという問題、あるいは企業、教育機関がどのようにかかわっていくのかといったところで、一番問題として浮かび上がってきますのは、NPOという形の活動、口で言うのは簡単なんですが、我が国ではNPOという仕組みが非常に弱いわけでありまして、そのようなところをどのようにきちんとつくり上げていくのかということが問題の一つとして指摘されました。
 シンポジウムという形でこういう会を持ちましたのはことしが初めてであります。昨年まではヒアリングを何カ所かでいたしました。それに比べるとはるかに充実した、おもしろいものになったのではないかと私自身は感じております。しかし、こういう形を毎年これから環境省が主催していくということになると、一体どういう仕組みをつくっていくのか。この形式は非常におもしろく、また成果が上がったと思われるわけですが、それをどのように継続的に維持していくのかということもこれから考えていかなくてはいけないかと思います。非常にいい結果が出ていると思いますので、これをより広い地域で行っていくとなると、また大変な作業になりますし、どういう仕掛けを考えるか、ぜひこれも検討していくことが必要でしょう。
 こういう3カ所の紹介をさせていただき、委員の方々から、またご参加いただいた委員の方々からもご意見をいただきたいのですが、時間の都合がございまして、大体11時半ぐらいから各府省の取組につきましてのヒアリングをさせていただく予定になっております。したがいまして、後ほど、もし時間が余りましたら、ご参加いただいた委員の方々等々からの補足をいただくことにいたしまして、次の議題であります関係府省のヒアリングに移らせていただきたいと思います。
 環境基本計画の点検における国の取組状況についてということで、環境保全の人づくり・地域づくりの推進に関しましては、重点調査事項として2つ設けてあります。1つは人づくり、2つ目は地域づくりということで、この二つに分けてヒアリングをさせていただきます。
 それではまず、環境保全のために行動する人づくりと組織・ネットワークづくりのための取組につきまして、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省がヒアリング対象の府省となっております。
 初めに、概要につきまして、環境省、小川課長のほうからご説明をお願いいたします。

○小川環境計画課長 資料5の[1]をごらんください。私のほうから概略ご説明いたしまして、不足分を各省の方から補足あるいは質疑にご回答いただきたいと思います。
 人づくりに関する点検結果のまとめでありますけれども、関係各省庁から関連の事業につきまして報告をいただいたものであります。調査内容といたしましては、人づくりについては、具体的な教育・学習の取組、それから環境リーダーの育成、またそれ以外、地方公共団体、NPO等々の主体による取組の状況、さらに環境保全、教育のための組織やネットワークづくりといったところが調査項目になっております。総じて、一つのグループは、教育・研修そのものを目指したものがございまして、もう一つは、地域づくりのプロジェクトなどに伴って教育的なことを行っているというものがあったかと思います。
 以下、個々についてご紹介いたしますが、まず文部科学省でございますけれども、この下の部分からの

○が1つの事業に対応しております。ご紹介いたします。
 文部科学省の事業では、1つは、青少年の自然体験活動の機会の増加のための事業ということで、省庁連携に基づく推進プロジェクトを行っているというのが挙げられております。
 2ページの下のほうにまいりまして、2つ目といたしましては、豊かな体験活動推進事業ということで、農山漁村あるいは自然の中で長期宿泊体験をするというモデル事業でございます。
 3ページの真ん中ぐらいが、現代的教育ニーズ取組支援プログラムにおける「持続可能な社会につながる環境教育の推進」ということで、高等教育、大学におきまして教育プロジェクトを支援するというモデル事業でございます。
 次の4ページが、農林水産省からの報告であります。7つの事業が挙げられております。4ページの真ん中が、バイオマスタウンアドバイザー養成研修ということで、バイオマスタウンを進めている者に関するアドバイザーを養成するというものであります。
 それから5ページの真ん中が、子ども農山漁村交流プロジェクトということで、小学生が農山漁村での1週間程度の宿泊体験をするというモデル事業でございます。
 6ページ、森林関係でありますけれども、美しい森林づくり活動推進事業ということで、これは研修や支援などの事業、それから真ん中が「遊々の森」制度ということで、国有林野をフィールドとして体験活動に提供するというものであります。3つ目が、森林環境教育推進総合対策ということで、人材の育成、普及啓発を広く図るというものであります。
 7ページにまいりまして、漁業関係でありますが、市民参加による森・川・海を通じた漁業環境保全の推進というもので、漁協やNPO等が行う取組を推進して、ネットワークづくり・連携強化を図るという事業であります。
 下にまいりまして、環境・生態系保全活動支援調査・実証事業というものであります。これは、漁業者と市民が共同して藻場や干潟等の保全活動を行うというものを支援することにより組織・ネットワークづくりを図ろうというものでございます。
 9ページが経済産業省でありますが、経済産業省は、環境コミュニティ・ビジネスの推進という事業を行っておりまして、その中で、環境リーダーの育成をしているという事業を挙げておられます。事例として、北海道のバイオディーゼルの件、それから沖縄県の養殖サンゴに関するコミュニティ・ビジネスというものが挙げられております。
 11ページにまいりまして、国土交通省です。6つの事業があります。11ページは、環境教育プログラムの提供ということで、これは都市公園を用いましたプログラムであります。それから、そのページの下が川の指導者育成ということで、川の利用に関する指導者の育成のための事業であります。
 次の12ページへまいりまして、気象講演会、これは温暖化などの講演を行うという啓発事業であります。下が「子どもの水辺」再発見プロジェクトということで、「子どもの水辺」を活用しまして河川環境学習を行うというフィールドの事業であります。
 13ページにまいりまして、河川管理への住民参加。美化活動などへの参加を進めることにより組織づくりをするというものでございます。次は「海辺の自然学校」、これは親子向けの自然体験プログラムを実施するというものでございます。
 人づくりの最後、環境省でありますけれども、環境省は12の事業を取り上げております。14ページが、こどもエコクラブ事業であります。従前からの取組であります。
 15ページにまいりまして、我が家の環境大臣事業、これはウェブサイトを通じて家庭での活動を推進するというものであります。
 また、真ん中の学校エコ改修と環境教育事業、これはハードの施設整備と、それを用いたソフトな環境教育というものを組み合わせるモデル事業であります。
 下にまいりまして、環境教育の指導者の育成事業、これは学校の教員や地域の活動実践リーダーを対象とする研修活動を行っているものであります。
 16ページにまいりまして、環境教育・環境学習データベース総合整備事業という、教育に関するデータベースを構築し提供するという事業であります。
 下にまいりまして、21世紀環境教育AAAプラン推進事業がございます。これは、文科省と連携しまして、環境教育の「ねらい」や学習内容につきまして調査研究を行って、広く提供していくという事業であります。
 17ページでありますが、エコ・インストラクター人材育成事業、これは自然学校でのインストラクターやエコツアーガイドなどを育成するための研修を行っているものであります。
 真ん中は、自然解説指導者研修、これは自然公園での解説のための研修であります。
 それから下が、国連の持続可能な開発のための教育の10年促進事業でございます。これは、地域と結びついて教育を行うというモデルを募集いたしまして、その成果についての情報を取りまとめて提供していくという事業であります。
 また真ん中が、持続可能な開発のための教育を担うアジア高等教育機関人材育成事業であります。これは、国際的に活躍する環境人材を育成するということで、そのためのリーダー育成の支援とか、大学の環境教育プログラム等の開発を行うものであります。
 19ページ、最後のページでありますが、地球環境パートナーシッププラザの運営、これは10年以上にわたりまして運営しております活動であります。
 最後は、地方環境パートナーシップオフィス、地方EPOと言っておりますが、これの運営であります。これは、地域ごとに行政・企業・NPOの協働のためのプラットフォームをつくりまして、さまざまな促進の活動をしているというものでございます。
 以上でございます。

○鈴木委員長 何かこれに関しまして各省の方々から補足説明をされるところはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、いろいろご質問いただく中で補足をお願いしたいと思います。
 では、委員の方々から、ただいまの人づくりに関します分野でご質問等ございますでしょうか。では、6名の方の手が今挙がっております。こちらから順番にまいりましょうか。浅野委員、﨑田委員、田中委員、青木委員、河野委員、木下委員。

○浅野委員 まず、全体を通じていろいろな取組が行われているということもよくわかりました。それはありがたいことだと思います。できれば、どのぐらいの予算を使っているのかということがわかるとなおいいなと思いました。というのは、どの取り組みも同じように取り扱われて、淡々と事績が書いてありますが、お金の額がすべてとは申しませんが、ある程度、濃淡あるんだろうと思うので、それを知るという意味では必要なんじゃないかなと思いました。
 それから、一番文句をつけやすい環境省に文句をつけたいんですけれども、16ページに「21世紀環境教育AAAプラン推進事業」と書いてあります。これはとりあえず初年度だからこういうことだという答えなら引っ込みますけれども、もともとAAAプランというのが、学校教育を視野に入れた発達段階に応じた環境教育の「ねらい」策定というところでとどまるというつもりではなかったはずです。つまり、いつでもどこでもだれでもというのが、例えば生涯教育あるいは企業内教育等の一切合財全部を統合的にとらえて環境教育というものを進めなければいけませんと考えて21世紀環境立国戦略の中では述べたはずだと、私はそう理解してきたのですが、どうもそれを具体化するときにこんな形の話になってしまうというのは、やや狭過ぎるのではないかと思われる。というのは、このAAAプランを考える段階では、もともと文科省と環境省の合意があってそこから始められたという経過は承知しているのですが、やる以上は、これは経産省とか、国交省とか、いろいろな府省がちゃんと連携してやっていかなければいけないのではないか。もちろん、環境教育の現場では、既に文科省、それから環境省、農水省などが協力して自然の中での教育について取り組んでおられるという事実は知っていますし、それから某所であんな無駄なことをやめやといって予算が削られそうになっているというけしからん話も聞こえていまして、私も一緒に怒っているわけで、こういうことはぜひともちゃんと続けるべきだと思いますけれども、根本の一番大きなこういう戦略を立てるというところでの連携が弱いんじゃないか。ですから、結果的に、各省がいろいろやっておられて、みんないいことをやっておられるけれども、ばらばらではないのかなあという感じを受けてしまいます。
 これも書いていないではないか、あれも書いていないではないかということを言うことは余りよくないとは思うんですけれども、例えば経産省は、非常に遠慮がちに書いておられますけれども、私も実際にかかわりを持っていますから言いたいんですが、例えば九州局では、企業、それから行政、大学と連携して、若い人たちの人材養成というものに力を入れてやってきているわけです。そのようなことについては、どうも本省の耳に届いていないのは残念なことなんですけれども、もうずっと年を重ねて大変効果を上げているわけです。それから、資源エネ庁とタイアップして、エネルギーという観点からの人材養成というのは随分やっておられるんですが、そんなものはみんな落ちてしまっています。残念なことだと思います。
 それから、国交省についても、運輸関係も環境教育に力を入れておられるんじゃないでしょうか。例えば、私はあした九州運輸局では小学校で公共交通機関利用促進についての出前講義などに熱心に取り組んでいます。国交省のこの報告を通じて、河川が一生懸命やっておられることはよくわかったんだけれども、それ以外のところは何もやっていないかのごとく報告されてしまうのももったいないですね。せっかくやっておられるのですから、もっと地方出先機関がやっておられることについての情報をきちんと把握して、そういうものをここに報告していただかないと、地方出先機関無用論みたいなものが出てしまうと思いますので、よろしくお願いします。

○鈴木委員長 一通りご質問をいただいてから、後でそれぞれから対応をお願いしたいと思います。崎田委員。

○崎田委員 ありがとうございます。各省庁が、本当にプロジェクトといった視点が多いんですが、実際に人づくり・地域づくりを意識してやっていただいているのは大変うれしいと感じます。ただし、もう一つ視点として、こういう新しいプロジェクトをやっていただいたというだけではなく、今あるこれに関する施策にどのように環境の視点を取り入れたかみたいな点も、実は大変強く知りたい部分でもあると感じました。そういう意味で、そういう部分はきっとたくさんあると思いますので、後ほど少しご説明いただければうれしいと思います。例えば、文部科学省のところなどで、今、地域側では地域と学校の連携でもっと環境学習の内容の質を高めたり機会をふやすということも大変重要課題になっていますが、そうすると、調査項目のb)の将来展望のところなどで、そういう基本的なところをどのように進め、今後どうしようとしていらっしゃるのかということもきちんと伺いたいと思いました。
 同じような視点で、例えば国土交通省のところを拝見すると、本当にいろいろな施策をやっていらっしゃるのですが、大もとの地域づくりという大変重視していらっしゃるところに、環境を視点にした地域づくりというものを持っていくときにどのようにお考えかということもぜひ伺いたいと、これを拝見して思いました。どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木委員長 田中委員。

○田中委員 ありがとうございます。私は3点ほどございますが、1つは、この環境教育をいろいろな対象の場ごとに、川であったり、森であったり、あるいは海であったり、公園も都市公園と自然公園と、いろいろな省庁でおやりになられています。そこで、そこの間の連携といいますか、あるいは協力体制ということが大事だろうなと思うんです。つまり、フィールドは違うけれども、同じといいますか、ある程度統一的な共通的な方針のもとで行っていくという考えが必要ではないかと思うんですが、そういうことを取りまとめられるのは、例えば環境教育という立場でいけば、環境省なのか、文科省なのか、ちょっとその点の整理があるのかどうかということを確認したい。これが1点です。
 それから2つ目は、これも各省庁にまたがることで出していただきたいんですが、その場合に、例えば農水省で農業なり林業を中心として地域で環境教育を実践しているときに、その地域の地元の自治体、それは環境部局であったり、あるいは農林部局であったりするのかもしれませんが、そういうところと連携してやっているのか、あるいは国の単独事業として行っているのか、そういう点も追加の情報として提示いただければありがたいと思います。これは先ほど委員から出ました、例えば予算というものもあるかと思いますが、そのときに、私が申しました、例えば自治体との連携はどうなのか。あるいは、追加してちょっと、より事業の深掘りをするという意味で出していただきたいのですが、例えばそこに参加の人数であるとか、あるいはその成果・効果をどのように把握しているのか。そんなことも各事業それぞれに整理していただければありがたいかなと。
 それから最後ですが、これは比較的一般国民向けの環境教育という視点があるかと思うんですが、実は事業者の中でも、例えば内部の従業員向けの研修とか、それは一般製造業もあれば、小売業もやっていますし、あるいは農業もやっていると思いますが、そういう事業者における環境教育・環境研修のようなものを把握しているのかどうか、こういう視点もぜひ追加していただければなと思います。
 ちょっとお願いのことばかりですが、以上でございます。

○鈴木委員長 青木委員。

○青木委員 文部科学省に1点要望と、それから国土交通省にちょっと意見みたいなことを申し上げたいと思います。
 文部科学省ですけれども、要望は、環境の保全の人づくりについて、国立大学の附属植物園を活用していただきたいということをお願いしたいと思うんです。私は、個人的に東大の附属の小石川植物園の後援会というものに一応関係しておりまして、実情をよく承知しているんですけれども、都内の中心部に5万坪の広大な敷地を有して膨大な植物資源を持っているんです。これは研究施設であるということで、研究をやっておられるわけですけれども、環境保全に関する人づくり。これは、世界の植物園というのは、入園者はもちろんでございますけれども、いろいろな国民に対する環境教育の推進等について植物園が非常に重要な役割を果たしているわけです。また、生物多様性とか、絶滅危惧とか、そういったところにも世界の植物園は動いているわけですけれども、残念ながら東大の小石川植物園というのは、研究施設という名目と、予算も削られ、人もいないということで、現在、温室の公開を中止しておりますし、分類標本園とか薬草園なども雑草が生え放題という非常に悲惨な状況になっているわけです。ぜひ東大の小石川植物園が、特に植物は非常に人間生活の基本でございますから、環境教育とか、学校の先生方の植物に関する指導とか、そういった方面に力を入れていただければ、全国の植物園や公園等にもそういった成果が波及していくわけでございますので、膨大な資産を有しておりながら環境教育の面からするとほとんど活用されていないという点がございますので、ぜひ実情をお調べになった上でご検討をお願いしたいという要望でございます。
 それから、国土交通省でございますけれども、私は、先ほど浅野先生のおっしゃったことと全く同じでございますけれども、公園等でここに書いてある以外にも、私もいろいろな関係で承知しておりますが、余りここで申し上げることもございませんけれども、多様な活用をやっておられます。ボランティアの方々が入園者に対していろいろ指導しているとか、いろいろなことをやっておられますが、そういったものがこの資料だけではなかなか見えてこない。もう少しそういったものをわかりやすく書いていただきたい。例えばこの中にプロジェクトワイルドで457人の指導者が育成されたと書いてあるわけですが、この指導者が育成されると全体にどのような効果を及ぼしているのか、また将来こういった人たちをどのように養成して環境教育にどのように貢献しようとしているのかというのが見えてこないのです。調べさせていただきましたが、アメリカでは、このプロジェクトワイルドの指導者というのは60万人いて、ワークショップを受けた受講者の子供というのは3,800万人いる。1人の人が約60人を指導しているという感じになるのだと思うんですけれども、そういった今までは多々ますます弁ずでやっておられる事業はかなりあると思うので、河川も同じだと思うんですけれども、多々ますます弁ずだけではなくて、目標を設定して、河川でも、どういうところにはどのような活動をさせるとか、全体でどういう目標を持ってやるかという目標を設定されて、それの成果も検証されていくといった方向に行かれることが望ましいのではないかと、これは意見でございます。
 以上です。

○鈴木委員長 河野委員はいかがですか。

○河野委員 所用により間もなく退室します。質問した後、私は回答を聞けませんので、取り下げることにします。

○鈴木委員長 そうですか。では、木下委員。

○木下委員 関係各省が人づくりあるいは地域づくりの推進をしておられるというのはよく理解できたんですけれども、人づくりとか地域づくりというのはあくまでも、まさにどういう人たちでつくるかということですけれども、そういう意味でこの人づくりあるいは地域づくりがどの程度の広がりがあるかということがなかなか理解できないんです。例えば5ページの子ども農山漁村交流プロジェクトですけれども、全国53地域を受け入れモデルにするというんですが、大体どの程度の子供たちが参加しているのか。このペーパーによりますと、将来的には120万人の小学生が参加するというのが目的であると書いてあるんですけれども、53地域でどの程度の子供たちが参加しているのかがわかれば教えていただきたいと思います。

○鈴木委員長 大変たくさんのご質問があったと思います。善養寺委員、永里委員からもご発言の希望がありますが、時間が無くなってきましたので、簡潔にお願いします。

○善養寺委員 国土交通省の住宅局とか都市局にお願いしたいのですが、この人づくりの中で所管している建築士、都市計画関係の設計者、あと設備士、施工管理技師など、こういう人たちに対しての環境教育というか、環境技術などの再教育を考えていただきたいと思います。建築士など、新しい試験制度の中では環境はかなり盛り込まれていますが、部分的な技術の知識はあっても総体的なことがわからないで現実に仕事をしている方が大変多い。現場を担っている方々はもう30代、40代、50代の方々ですので、余り環境の意識がない時代に学生を終えていますので、再教育する必要があると思います。環境省のほうでは、「学校エコ改修等環境教育事業」の中で若干の技術者に教育をしていますが、本来所管官庁のほうがもっと諸団体と一緒になって、きちんとした再教育のプログラムを考えていただきたいと思います。

○鈴木委員長 永里委員。

○永里委員 それでは簡単に言います。縦割り行政から遠慮しているのではないかと思われますが、他省庁の分野にまたがることをしている省庁がそれをここに明記していないんじゃないかと思われます。だから、もっとたくさんのことを皆さんやっていらっしゃると思います。それはさておき、大層いろいろな省庁が環境教育をなさっていることがこれでわかります。それで、先ほど石岡の小学校のお話をしたんですが、霞ヶ浦の環境は将来よくなるかでディベートさせたそうです。子どもたちが出した結論は、「大人はいずれ死ぬから、よくなるだろう」という結論になったそうです。(笑)これはEUの環境教育が参考になりますけれども、民度の問題と考えたいと僕は思います。子供のときのすり込みが重要だろうと思います。子供が大人になったときに実ることになりますので、結論として言えることは、環境教育は継続が重要だろうと思います。

○鈴木委員長 では、それぞれからお答えいただくこととなりますが、ちょっとまとめますと、ここは人づくり、後で地域づくりが出てまいりますが、一体どういう人をつくるのとかという人の側からのある意味では一つのコンセプト、哲学がここではよく見えない。それぞれがそれぞれのところで人づくりあるいは環境教育といったことをおっしゃっているように見えるのですが、国全体としてどういう環境教育を体系的に総合的に進めていき、どういう人をつくるのか。人というときにも、子供のレベル、それからもう少しシニアのレベル、さらには、例えば事業者のレベルといったいろいろなレベルがあると思いますが、そういうところの総合的な絵を一体どこが書くのか。それをきちんと連携を取って進めなくてはいけないだろう。それぞれがそれぞれでおやりの事業に環境教育という名札をちょっとつけるぐらいでは済まない時代になってきているのではないかという感じがいたしました。
 さらには、各省の中でもいろいろな部局の間での連携が本当にとれているのかどうか。地方の局との間の問題もあったかと思いますが、その辺も環境という視点で一度全体像を描いていただく。これに関しましても、目標をきちんとたてること、定量的とは言いませんが、ある種の目標を立てて、どこまでそこに近づこうとするのかという評価をできるようにしなくてはいけないだろう。そのようなことでこの点検結果をこれからどのように整理し、膨らませていくかというのは、難問といいますか、大変ではありますが、考えていくべきことではないかと感じました。
 各省に対してのご質問等がありましたが、簡潔にお答えいただくことは可能でしょうか。文科省はいかがでしょう。例えば、環境教育というのが今、文科省の中でも非常に重要な意味を占めていると思うのですが、どういうものが環境教育であるかという議論は一体どこでされていて、それを学校教育にどのように反映させて、それがまたほかの省でやっている子供たちに対するいろいろないわゆる環境教育などとどうつながっているのか。その辺はどうお考えになっているのでしょうか。

○文部科学省 文科省の児童生徒課の大西と申します。
 子どもの教育となれば、学習指導要領というのが基本になると思います。今年1月の中央教育審議会答申では、環境教育の充実についての提言をいただきました。3月に改訂しました学習指導要領では、各教科の中で環境についての取組を充実していこうということになっております。また、平成21年度からは環境教育についての調査研究を始めていこうとしております。
 具体的に教科の中でどういう形で位置づけられているかということですが、例えば小学校であれば、3・4年生では、節水や節電などの資源の有効利用についてとか、あるいは5年生ぐらいになってきますと、森林資源の働き及び自然災害の防止についてとか、あるいは中学校であれば、地域における環境保全の取組の大切さとか、あるいは課題解決のための経済的・技術的な協力の大切さとか、そういうものを各教科の内容として盛り込んでおります。社会科に限らず、理科、あるいは家庭科、技術家庭といったところが中心になっております。
 それ以上の説明は、担当課ではないもので、控えさせていただきます。
以上です。

○鈴木委員長 では、順番にご関連のところへのコメント、お答えをお願いいたします。

○農林水産省 農林水産省都市農村交流課の小浮でございます。
 まず、木下委員から、子ども農山漁村交流プロジェクトの実際の活動状況がどうかというご質問がございました。7月末時点で一応把握しておりますけれども、今回のこのプロジェクトは長期の宿泊体験が一応対象なのですけれども、一応把握しておりますのは、短期の1泊2日というのも含めまして、モデル地域は53あるんですけれども、秋から活動するところもございますので、30地域で178校、約1万人の活動が行われているということで、各地域からお聞きしているところでございます。
 あと、田中委員のほうから、地域との連携についてもちょっとご質問がございましたけれども、例えばこの子ども農山漁村交流プロジェクトでございますと、受け入れ地域のほうは協議会という形を設けまして、当然地方自治体も入りますけれども、地域のNPOの方、あるいは関係する団体、あるいは地域住民、あるいは農林漁業者、そういう方々皆さんが入った協議会をつくってもらって受け入れをしていく、そういう体制づくりを今進めているところでございます。
 以上でございます。

○鈴木委員長 経済産業省、いかがでしょうか。

○経済産業省 経済産業省環境調和産業推進室長の君塚と申します。
 先ほど浅野委員のほうからご指摘がございました九州局の取組、それから資源エネルギー庁の取組は、いずれもご指摘のとおりでございまして、このa、b、cの要件に合致するかどうかという視点から原課のほうでは選択したと思いますけれども、ご指摘がございましたので、また3Rの取組なども環境教育がございますので、ちょっと幅広く経済産業省の取組を反映するべく、原課のほうにも伝えさせていただきます。

○国土交通省 国土交通省環境政策課から参りました鈴木です。
 国土交通省のほうをちょっと簡単に説明させてもらいますと、まず質問のほうが何点か重複されていたので、簡単に申し上げますと、他省庁との連携がこの票を見る限りうまくいっていないんじゃないかということもありまして、これは本当にそのとおりだと思いますので、内部で調整したいと思います。
 あと、内部での調整、各局、先生からご指摘があった、特に建築部門であったり、住宅部門の環境教育が全く見えてこないということもありましたが、これも恐らく、確かにこの票だと何も出てきていないので、このあたりもちょっともう一度検討したいなと思います。
 あと運輸部門、これは恐らく交通エコロジー教室を今度は九州で行かれると思いますけれども、確かにここに出していなかったので、これも、恐らくうちの省庁には山ほどこういったものが見えないところにあると思いますので、持ち帰って、しっかりともう一回票のつくりから検討したいと思います。
 以上、国土交通省でした。

○鈴木委員長 では、環境省。

○小川環境計画課長 予算とか、その他規模とか、そういうご質問がありましたので、その点は、関係各省から追加の資料をいただきまして、また整理をして提出させていただきたいと思います。それから、教育関係のご質問です。

○出江環境教育室長 まずAAAに関しては、先生ご指摘のとおり、もっと幅広いものでございまして、これはたまたまちょっと予算どりの関係でこの名前でとったものだけをここに挙げております。ただ、非常にわかりにくくなっておりますので、ことしの21年度要求からその幅広いいろいろ関連する施策を全部ここにまとめるということもしております。また、関係省庁の関係も、そういうご指摘のような幅の広い視点で取り組むというパンフレットもつくりまして、各省の事業も入れて、そういう形で連携してやっていくという姿勢で取り組んでおりますので、ご理解いただければと思います。
 それから、田中先生のほうから、連携の関係に関して環境省なり文科省なりがそこを仕切るというか、調整しているのかという部分でございます。連携に関しては、それぞれが必要なところを連絡をとり合い、また連携をしていくという形になっておりまして、直接それを一々、例えば環境省がそれを調整・指導するといった形にはなっておりません。ただ、年に1回、これは都道府県とか政令指定市の方々に対するものが中心なんですが、環境教育の担当者会議を開催しておりますが、その折に各省からのその取組を取りまとめ、また各省からご紹介いただくといったところで、情報の共有などは図るように取り組んでいるところでございます。
 また、企業内での職員等への環境教育の取組について把握しているのかということでございますが、全体的な把握としては今のところできていない状況でございます。ただ、一部上場企業等について、環境報告書等への記載の部分についての若干の分析というか、拾い出し等は一部行っておりますが、それはごく一部という状態で、今のところ全体的に拾ったものはないのではないかと、現時点の認識としてはそのように思っております。
 以上でございます、とりあえずは。

○鈴木委員長 よろしいでしょうか。こういう形で環境基本計画の点検をさせていただきながら、環境保全に向けた人づくりというのは一体何なのかということをきちんと私たちの側でも把握させていただかなければいけませんし、人づくりというからには、子供から大人まで、一体日本国民をどのように全体として環境コンシャス、あるいは環境を本当に持続可能な形で維持していくためにはどうするのか、そういうコンセプトのもとにいろいろな施策を考えていかなくてはいけないんだろうと思います。ですから、そういう意味では、担当者会議がそういう機能を果たしていただけるのかどうかわかりませんが、総政部会としては、ぜひ各省、そういう意味での共通の認識を持っていろいろな施策に反映させていただければと思っております。今まとめられている点検報告は、一応その下敷きということで、これをベースにしてその全体像がわかる、予算額なのか、あるいは人材としてもどういうところをねらって、一体どれぐらいの広がりを持ってどうなっているものなのか、そういう全体像がせめて現段階ではこうだという形でまとめていただく必要があると思いますので、よろしくお願いいたします。
 ちょっと時間をオーバーしてしまいましたが、各省のご説明の方々、ありがとうございました。では、人づくりに関しましては以上とさせていただきまして、次の重点調査事項、「環境資源の保全と有効活動の実施を統合的に進める、それぞれの持つ資源や特長をいかした地域づくりのための取組」、地域づくりのほうに移らせていただきます。
 説明いただく方々が入れかわりますので、しばらくお待ちください。
 それでは、重点調査事項の2番といたしまして、「環境資源の保全と有効活用の実施を統合的に進める、それぞれの持つ資源や特長をいかした地域づくりのための取組」、大変長い事項ですが、ここでは農林水産省、そして国土交通省、環境省がヒアリング対象の府省となっております。概要についての説明をお願いいたします。

○小川環境計画課長 資料5の[2]をごらんください。先ほどと同様に概略をご説明いたします。
 地域づくりに関します調査内容項目の重点といたしましては、地域資源を生かしたこの地域づくりの取組状況、また経済的手法などを含めたその実現手法についてというのが1点、それから広範な関係者を巻き込んで地域づくりを進めるという取組の現状と方向性というものでございます。
 3省庁ございますが、最初のページが農林水産省であります。4つの事業がございます。1番目が、バイオマスタウンの推進ということで、市町村が中心となって創意工夫しながら進めるという事業でございます。
 2ページをごらんいただきたいと思います。農山漁村(ふるさと)地域力発掘支援モデル事業といたしまして、農山漁村の生活空間を保全・活用するモデル的な取組の支援というものであります。
 次が、農地・水・環境保全向上対策という事業です。これは、地域ぐるみ、それから農業者ぐるみでの保全活動、営農活動について支援していこうというものでございます。
 3ページにまいりまして、環境・生態系保全活動支援調査・実証事業、これは人づくりでも出てまいりましたけれども、漁業者と市民が連携して藻場・干潟を保全する活動を支援するというものでございます。
 4ページ、国土交通省であります。4つの事業を出していただいておりますけれども、1番が、水とみどりのネットワーク形成によるうるおいあるまちづくり、2番目が、河川管理への住民参加、3番目が、良好な海域環境の保全・再生・創出、4番目が、北海道に適した新たなバイオマス資源導入促進事業というものでございます。
 5ページ、最後は環境省でありますけれども、9つの事業がございます。最初が低炭素地域づくり面的対策推進事業というものであります。これは、市町村ぐらいの広さでCO対策のための面的対策を展開する、公共交通その他を含めて行うという計画支援を行うものであります。また、来年度につきましては、事業費の予算要求をしております。
 6ページでありますが、コミュニティ・ファンド等を活用した環境保全活動促進事業です。これは、地域づくりの推進手段といたしまして、コミュニティ・ファンドをどう活用するかということをモデル的に検討している事業であります。
 次が、温暖化対策「一村一品・知恵の環づくり」事業であります。昨年度から始まりました全国品評会を通じてこういった取組を促進していくという事業であります。
 次が、エコツーリズム総合推進事業です。これはエコツーリズムの推進のための普及啓発、地域への支援、ノウハウの確立、人材育成等を総合的に行う事業でございます。
 7ページの下ですが、「循環・共生・参加まちづくり表彰」。これは、例年続けております自治体等に対する表彰の仕組みでございます。
 8ページにまいりまして、環境と経済の好循環のまちモデル事業です。これは、環境保全の事業をばねにしてまちおこしを図るというモデル事業でございます。これについてはほぼ終了しております。
 下が、地域の産学官連携による環境技術開発基盤整備モデル事業というものであります。これは、それぞれの地域におきまして特有の環境技術開発を進めるということで、モデル地域を設定して事業を行って、その成果を全国へ普及させるというものでございます。
 9ページの真ん中が、街区まるごとCO20%削減事業です。これは、大規模宅地開発など、一つの街区につきまして、大々的に二酸化炭素排出を削減するという事業を支援するものでございます。
 最後が、SATOYAMAイニシアティブ推進事業です。これは、里山保全のために、里地里山の選定をいたしまして、そこで地域資源を活用した新たな取組とか、稀少種の保護といったさまざまな活動を促進していこうという事業でございます。
 以上であります。

○鈴木委員長 それでは、委員の方々からいろいろご質問、ご意見をいただくことにいたしたいと思います。ではこちらからまいりましょうか。浅野委員。

○浅野委員 まず農水省ですが、私は、林野庁が山村力コンクールというのをやっておられるのを見て非常に感動しました。まさに環境基本計画で言おうとしていることをやっておられるな、先行的にやっておられると思ったわけです。それは、このきょうの報告の中でいうと、農山漁村(ふるさと)地域力発掘支援モデル事業とは直接つながるのか、つながらないのかよくわからないのですが、ああいう林野庁がやっておられるようなプログラムとこれの関係があるか、ないか、ちょっとそれを知らせてください。
 それから、国交省ですが、この報告書の中ではこのような書き方になっているのですが、例えば、景観法に基づいて地域の景観計画をつくってプログラムが進められています。実際に景観法に基づいた何かをやるときには、昔のように、ただ単に色とか外観とかということよりも、むしろその地域そのものをどうつくっていくのかとか、あるいは地域のなりわいとどう結びつけて景観を考えるのかとか、それはもう常識になりつつあると思っているわけです。ですから、他の法令でやられていることの中にもこの我々が基本計画の中で言っている地域づくりというものと結びつく施策はいっぱいあるのだろうと思うのですが、その辺のところをもう少しきちんと認識していただけないものだろうかという気がしますし、それを認識した上で、例えば景観法についても運用をもっと考えるといったことをやったり、どの切り口から入ろうと最後に行き着くところは同じなんだという認識が必要だろうと思うわけです。しかし、この報告ではその辺の認識があるとは全く思えない。きょうは景観の直接担当の方はいらっしゃらないようですが、せっかく景観課からおいでですから、一言申し上げたいと思いました。

○鈴木委員長 崎田委員。

○崎田委員 ありがとうございます。いらっしゃっている課の方から見ると、ちょっとお答えが難しいかと思うんですが、私は、こうやって今、これから地域がさまざまなこういう各省の施策を受け入れながら、それぞれの地域がしっかり将来計画をつくっていくということが、地域側からは大変重要だと思っております。省庁のほうから考えて、各省がこういう施策をどのように連携させて日本全体に定着させるかということに関してどのような連携をとっていらっしゃるか、それぞれの省庁に教えていただければありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○鈴木委員長 田中委員。

○田中委員 それでは短く。一つは、これは環境省のほうで調べていただいたほうがいいのかもしれませんが、たしか通産省でかつてエコタウン事業というのをやっていたと思います。今でも継続されているのかもわかりませんが、その進捗状況です。これはある意味で地域づくりの一つの有力な選択ですし、しかも環境と経済の好循環という、まさにそれをねらっている事業だと思いますので、この評価を一度してみたらどうであろうかと思います。これはきょういらっしゃっていない経産省の所管だろうと思います。
 もう一つは、持続可能な地域づくりに向けて、例えば農水省であったり国交省であったり、幾つかきょうこの事業が出ているんですが、これ以外にもっとたくさんいろいろなことがやられているんじゃないかと思います。例えば、まさに農水省であれば、農業であったり、林業であったり、地域の自然資源を使って、それこそ地元の人がそこになりわいとしての生業を成立させて、かつ、例えば高齢化対策であったり、住民の健康対策のようなものを含めた生きがい対策をしている。そういう事例はあろうと思いますので、果たしてこれだけかなという印象は持っております。
 それから、国交省についても、例えば河川管理の参加とか、あるいは海洋環境という話が出ていますが、例えば水環境を軸にした地域づくりのようなものはたくさん行われていると思いますので、少し絞り込みといいますか、掘り込みが浅いのではないかなという印象を持っております。もし追加の事業がありましたら、ぜひ出していただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木委員長 森嶌委員。

○森嶌委員 環境省だけではなくて、国も低炭素社会への転換というのがあるんですけれども、これを見せていただくと、それぞれ直接COの排出の削減ということではなくて、バイオマスとか、あるいは地域・水・森といったことで農水あるいは国土交通省でやっておられるんですが、地域の中からそういう広い意味での低炭素社会へ向けての試みというのは、私は、2050年まで考えますと、これは非常に有力な手段と思います。これをそれぞれの省庁がどういう方向に向けて、どういうターゲットに向けて、どういうロードマップで考えておられるのか。それぞれの予算要求のためにやっておられるのはいいのですけれども、それが最終的にどこまで持っていくのか。今幾つか、153のバイオマスとかを300地域に向けてつくる。300地域だけで日本の全体が変わるわけではないですから、そうだとすると、先ほどの人づくりもそうですけれども、何人かの人を育成して、それをどのように広げていって2050年の日本の変革に結びつけるのか。例えばバイオマスタウンだとすると、この300地域に向けてやっていくと、それを将来どのように広げていくのか。どういうビジョンのもとでこういうことをやっておられるのか。ここで返事をお聞きしようとは思いませんけれども、ぜひそういう戦略性あるいは全体の構想のもとで、これも環境省も同じことなんですけれども、予算をとるためにこういうものをつくっているだけではなくて、それが結果的に日本全体が動いていくような方向性でこういうものをやる、しかもそれを必ず評価してやっていくということで、ぜひお願いしたいと思います。私は、これを見る限りでは、非常にいいことをやっておられるけれども、担当者が変わって何年かたつと、結局ああいうことがあったなと、何年かたってみると途中で終わりになったなということになると、社会全体は変わらないのではないかと思いますので、ぜひここにおられる方、よろしくお願いしたいと思います。質問ではなくて、むしろ、よろしくお願いしたいということです。

○鈴木委員長 確かに、この地域づくりに関する報告は、一体それぞれの事業の中の何をここに取り上げて出してこられたのかということもあると思います。考えてみれば、農水省、国土交通省でやっておられることは殆どすべてある意味では地域づくりなのですね。これまで進めてこられた地域づくり施策の中に環境的な意識をどこまで盛り込んでいったのかとか、あるいは今、森嶌先生がおっしゃったように、こういう形で2030年、2050年にはどうしようとしているのかとか、そういうターゲットのようなものをぜひ示していただけるとわかりやすいかなと思います。例えば、バイオマスタウンが300できると一体どうなるのか。それだけで日本の再生可能エネルギーの目標とするバイオエタノール600万キロリットルはカバーできるのか。そのようなものに向けて、この300という数字は一体何なのかとか、そういうところを、それぞれの事業を定量化していただくなり、あるいはちゃんと評価ができる指標をつくっていただくなりといったこともあっていいのかなと思います。そういう意味では、田中先生がエコタウンはとおっしゃられましたが、今あの施策はどうなっているのかなど、経産省がおられればお答え頂けるのかもしれません。
 いろいろご質問が出たのに関しまして、農水省のほうから順番に、お答えいただけますか。

○農林水産省 では、浅野先生からご質問のありました林野庁の事業との関係ですけれども、林野庁の事業に関しましては、基本的には生業を活性化しようと。生業としての、例えば林業とか、あるいはその他もろもろの森林資源を活用した経済活動といったものを使っての地域活性化を支援しようというものだと理解しています。この農山漁村(ふるさと)地域力発掘支援モデル事業につきましては、大きくその点で違うのは、そういった農林水産業といった生業だけではなくて、例えば村に伝わる伝統文化とか、あるいはお祭りとか、あるいは農山漁村の美しい景観、あとはもちろん農林水産物の生産加工といったものを含めて、地域にある、主に農林水産業に関係している有形・無形のあらゆる資源を活用しての地域おこしといったものを支援の対象にしているところが一つ大きく違うかなと思っております。
 とりあえず以上です。

○農林水産省 バイオマスタウンのお話がありましたが、「バイオマス・ニッポン総合戦略」に基づいて7府省が連携した取組の中の一つということで、バイオマスタウン、これだけですべてを達成するというものではございません。ただ、その中で当然重要な柱の一つとして、バイオマスタウンを300地区構築するということを掲げているところです。そのほかに、先ほど座長からご指摘がございましたように、バイオ燃料については、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた工程表において、600万キロリットルまで進めていくといった目標も掲げております。

○国土交通省 公園緑地・景観課の大石でございます。
 浅野先生にご指摘いただきました景観法の関係なんですけれども、全体を通じて、我々の施策、地域づくりというのは、基本的に地方公共団体が行うものをいかに国として支援していくかという観点でございますので、例えば緑についてもそうですし、先生がおっしゃられた景観法につきましては、主に規制を通じてなんですけれども、地域固有の持つ資源、これは環境保全のどこまでの範囲をとらえるかということだと思いますけれども、該当するのではないかということと、あと、この中には入っておりませんけれども、今年新法として歴史まちづくり法というのが成立しておりまして、これはまだ施行には至っていないんですけれども、まさに地域の歴史的な資源を支援するというのがそもそもの法律の趣旨ですので、全体を通じまして、国としてどうやって支援していくかというのを挙げたいと思います。
 ありがとうございました。

○国土交通省 河川局の河川環境課です。
 まず、全体的な連携という話でございますが、当然、施策によって連携を進めてございます。今回というとちょっとだけずれてしまいますが、先ほどヒアリングをしていただいた教育ということに関して、「子どもの水辺」再発見プロジェクトということで、この中で環境教育をやる中でいろいろな現状を把握したりとか、そういったことを進めています。その中では文科省とか、環境省とか、そういったところと連携して進めてございます。
 また、水環境を軸としたといった話がございましたが、例えば身近な水環境の全国一斉調査という形で、一般の方々に参加していただいて、簡易な測定キットを使ってそれぞれ自分の周りの河川などの水質をはかってもらうといった取組を行っております。これで自分の身の回り河川の水質とか、そういった現状がどうなっているのかということを把握してもらうという取組を進めてございます。
 以上です。

○鈴木委員長 環境省のほうはいかがでしょうか。

○小川環境計画課長 低炭素に関するご質問がございましたけれども、地域における面的な取組というのは、改正された目標達成計画の中でも一つの柱になっておりますが、まだまだ、どうやっていくかということは、各省それぞれ取組を始めたところで、これから大きく展開していくことが必要だと思っております。そういうことで、追加資料を1枚お配りしておりますけれども、「地域づくりのための新たな枠組み」というものでありますが、この中で、温暖化につきましては、前国会での温暖化対策推進法の改正で地方公共団体の実行計画というものが変わりまして、これまでは自分の役所の事務事業だけだったのですけれども、それだけではなくて、その地域全体のCO対策を計画の中で書くようにという改正がございました。また、その中で、その

○の下の2つ目の小さい「・」でありますが、「都市計画や農業振興地域整備計画などの施策の実施に反映」という他の制度とのつなぎの規定も入りましたので、こういった枠組みを使いましてほかの制度を巻き込んで、低炭素社会をどう進めるかという切り口になっていこうかと思います。このあたりは、崎田先生のご質問にもありました、連携をどう進めるのかということの一つの方法かと思います。
 加えまして、そのページの裏ですけれども、温暖化以外につきましても、循環型社会形成関係であれば、推進基本計画の中で地域循環圏という概念が出されまして、この形成のための地域計画をつくっていくということが打ち出されております。また、生物多様性につきましては、先日の生物多様性基本法ができましたけれども、その中で地域における生物多様性地域戦略を策定するということが決められております。法レベルでもこういった枠組みができてきておりますので、こういったものを活用しながら、地域づくり、まちづくりというのをこれから進めていくことが重要かと思います。
 それから、エコタウンにつきましては、ちょっと調べさせていただきたいと思いますので、お願いいたします。

○鈴木委員長 大体以上でよろしいでしょうか。地域づくりというときに、その地方の行政、地方自治体をどのように元気づけて、どのようにそこを核として動かしていくかといったこともまた重要なことかと思いますが、ここでは国としての重点調査事項の検討ということで、これに関しては、きょうご注文があったことは、また追加で点検結果に含めていただくということでお願いします。

○小川環境計画課長 追加の資料のあるものにつきましては、またお出ししたいと思います。それから、議論の中身につきましては、報告書案という形で整理いたしまして、総合政策部会の中でご審議いただきたいと思います。

○鈴木委員長 それでは、各省からおいでいただきました方々、ありがとうございました。ちょっと時間がオーバーしてしまいましたが、本日の予定された審議は以上で終了させていただきたいと思います。何か特にご発言はございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○小川環境計画課長 次回の日程についてお知らせいたします。次回はあさってです。第6回の小委員会でございまして、あさって19日金曜日の10時から12時、場所は同じこの三田共用会議所の第4特別会議室でございます。次回は、化学物質の環境リスクの低減に向けた取組ということに集中いたしましてご議論いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木委員長 次回の点検小委員会は、私は出席できません。進行は浅野委員にお任せしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして本日の環境基本計画点検小委員会を終了させていただきます。
 本日はまことにありがとうございました。

午後0時35分 閉会