中央環境審議会総合政策部会 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第16回) 会議録

日時

 平成27年7月16日(木)15:59~17:36

場所

 環境省 第1会議室

議題

  1.  (1)新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」の答申について
  2.  (2)その他

配付資料

  資料1   中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会委員名簿

  資料2   中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第15回)議録録

  資料3-1 新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」(案)の概要

  資料3-2 新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」(案)

  資料3-3 新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」(案)別添

  資料3-4 新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」(案)(変更箇所付き)

  資料4-1 「環境研究・環境技術開発の推進戦略について(案)」に対する

        第79回総合政策部会での主な意見について

  資料4-2 「環境研究・環境技術開発の推進戦略について(案)」に対する

        パブリックコメントの実施結果について

  資料5    新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略の策定に向けた今後の予定(案)

  参考資料1-1 環境研究・環境技術開発の推進戦略について

          (平成22年6月22日中央環境審議会答申)

  参考資料1-2 環境研究・環境技術開発の推進戦略 平成26年度総括フォローアップ結果

         (平成26年11月 環境政策局総務課環境研究技術室)

  参考資料2-1 環境基本計画(平成24年4月27日閣議決定)

  参考資料2-2 第四次環境基本計画の進捗状況・今後の課題について(第1回点検結果・抜粋)

  参考資料3   低炭素・資源循環・自然共生政策の統合的アプローチによる社会の構築

          ~環境・生命文化社会の創造~(平成26年7月中央環境審議会意見具申)

  参考資料4-1 科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定)

  参考資料4-2 第4期科学技術基本計画フォローアップ(概要)

         (平成26年10月22日総合科学技術・イノベーション会議決定)

  参考資料5   科学技術イノベーション総合戦略2014(概要)(平成26年6月24日閣議決定)

  参考資料6   環境エネルギー技術革新計画(平成25年9月13日総合科学技術会議決定)

  参考資料7   SDGs/ポスト2015開発アジェンダについて

  参考資料8   Future Earthについて(日本学術会議パンフレット)

  参考資料9   災害環境研究サマリー2014(国立環境研究所パンフレット)

  参考資料10   循環型社会形成推進基本計画((第2章・第3章(一部)抜粋))

  参考資料11   めぐみの星に生きる(生物多様性国家戦略2012-2020)

出席者

    委員: 安井 至委員、岡田光正委員、白石寛明委員、高村典子委員、

        大塚 直委員、荻本和彦委員、指宿尭嗣委員、甲斐沼美紀子委員、

        谷口 守委員、塚原正徳委員、松藤敏彦委員

オブザーバー: 中央環境審議会総合政策部会 浅野直人部会長、

        一般社団法人国際環境研究協会 安岡善文研究主監

   環境省: 小林総合環境政策局長、中井審議官、上田総務課長、

        吉川環境研究技術室長、宮下環境研究技術室主査、寺西環境研究技術室調整係員

議事

【吉川室長】 ほぼ定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会総合政策部会第16回環境研究・技術開発推進戦略専門委員会を開会いたします。

 本日は、お忙しい中、御出席をいただき、お礼申し上げます。

 本日は、森本専門委員、山口専門委員から、御欠席の旨をお伺いしております。また、大塚臨時委員、荻本臨時委員から、少し遅れる旨の御連絡をいただいております。

 本日は、中央環境審議会会長であり総合政策部会部会長を兼務されていらっしゃいます福岡大学名誉教授の浅野直人先生に御出席をいただいております。また、オブザーバーとしまして、環境省競争的資金プログラムディレクターであります一般社団法人国際環境研究協会の安岡善文研究主監に出席いただいております。

 議事に入ります前にお手元の配付資料ですが、議事次第、冒頭のものに一覧が記載しております。たくさんありますので、進行の途中で、ない資料がありましたら、その都度、その場で申しつけていただければお届けいたします。このうち資料2の前回の議事録につきましては、既に皆様のお手元にメールでお送りして確認をいただいておりますので、今回の配付をもちまして一般に公開させていただきます。また、ファイルでとじてあります参考資料ですが、大変分量が多いですので机上配付としております。このファイルは、委員会終了後、お席に置いて帰っていただいて結構でございます。

 カメラ撮りが、もしあればですが、ここまでとなります。

 それでは、これ以降の進行は安井委員長にお願いいたします。

【安井委員長】 本日もよろしくお願いします。

 今、室長から説明があったとおりでございますけれども、推進戦略につきまして、大分ファイナルステージまでやってきて議論が進んでまいりました。皆さん、御存じのとおりでございますけれども、事務局案を前回御議論いただきまして、文章の修正等を経まして、それで本日、答申の案ということになっているわけでございます。それとあわせまして、6月26日に行われました第79回の総政部会におきまして、この答申案を御紹介申し上げたときに、幾つかの御意見をいただいているということもございますので、それについてはまた御説明を申し上げるということと、それから、この答申案、6月30日から2週間パブコメにかかりまして、その結果につきましても、また事務局から御説明をするということでございます。

 その後でございますが、「はじめに」等々というのが書き加えられてあるとか、いろいろございますが、最終的には今日の御発言に基づきまして最後の修文をして、それで、あとは、こちらにお任せいただくという格好になるのか、お配りするのか、それはまた後で皆さんの御意見を伺って、それで一応完成形にしたいなというような感じでございます。

 説明がこれから20分ぐらいありますけれども、質疑応答の時間というのは、下手すると余るんじゃないかという気もいたしますので、ぜひ、いろいろな御意見をいただければというふうに思う次第でございますし、あまり御遠慮なさらずに、もうできかかっているから言わないよというのではなくて、また、「どうせ直しますから」と言ってしまったらいいのかもしれないので。また、お隣の浅野会長から厳しい御指摘があると、当然、修正をしなきゃいけないということもありますので、ぜひ積極的に御発言をいただければと思う次第でございます。

 それでは、事務局から一とおりの説明、ひとつよろしくお願いします。

【寺西調整係員】 それでは、事務局から説明させていただきます。資料3と4に関して、あわせて説明させていただきます。

 資料3-1に関してですが、資料3-1は推進戦略本文の概要ということでポンチ絵になっております。資料3-2が本文の最新版になっています。資料3-3が、その本文の後ろにくっつく参考資料となっております。資料3-4ですが、これは前回の第15回の専門委員会から変更した文章を見え消しで表現しております。前回から変更したところの資料ということですので、本日は、これに沿って説明させていただきたいと思います。

 まず、前回から表紙、目次、そして「はじめに」というところを書き加えております。「はじめに」というところが前回はなかったので、簡単に御説明いたしますと、「はじめに」の初め二つの段落のところで環境問題の経緯、人口増加であったり経済発展から環境が悪化してきたりといった経緯をまとめております。三つ目、四つ目のパラグラフが、環境分野の研究・技術開発といったところで、公害対策に端を発して、そこからどういうふうに広がってきたかということ、そして今後、いろんなステークホルダーと連携していかなければいけないということを書いております。次に1行あけまして、後ろから二つ目のパラグラフは中環審のいきさつに関して書いております。そして、最後のところで本戦略はどういう構成になっておりますと書き加えております。

 では、中身の説明に移りたいと思います。1枚めくっていただいて、2ページから御説明いたします。

 まず、2ページ目のところですが、ほとんどは言葉、表現上の修正になっております。細かい言葉で、こういった文章の中身にそぐわないので削ったり、新しく書き加えたりといったところでございます。

 右のページにいきまして、真ん中の少し上の辺りに「水循環基本計画では」というところの文章を書き加えております。後ろのほうの重点課題のほうで水関連の重点課題といったものを書いておりまして、それに対して前のほうで水関連の記述がないのはどうだろうというところでしたので、水循環基本計画の文章を書き加えております。

 また、同じページの下のほうに参りまして、ここには震災関連の文章がありまして、「科学者の信頼が低下しつつある」といった文章があったのですが、それはここで書く文章ではないだろうということで省いております。そのかわりに、震災に関して環境分野の研究・技術開発は対応してやっていかなければいけないと、さらに、その中で学際的な連携をもって研究を推進していかなければいけないと書き加えております。

 一つページをめくっていただきまして1章の最後のところですが、Future Earthのところに関しまして、Future Earthの提唱している内容、言葉の選択を少し修正して修文しております。

 続きまして、右のページに行きまして第2章に参りたいと思います。

 第2章は中長期的な社会像について書いておるわけなのですが、中期的な社会像の全般から参りたいと思います。この全般といったところは5ページの真ん中から7ページの頭までにわたっているわけなのですが、ぱっと見ると文章を多く消していて、また書き直しているように見られるのですが、これは文章を統合したり順番を入れかえたりしているだけで、内容として落ちているところはございません。例えば、「緩和」と「適応」といった文章がばらばらに書いていたというのが一番前に来て、同じ文章、同じポツの中に入っているだとか、そういった文章の書きかえをいたしまして、こういった大きく書きかえているような見ばえになっているということであります。

 この中で書き加えられている内容といたしましては、6ページの一番下から7ページの頭にかけて、ここは中環審の意見具申であったり第5期の科学技術基本計画の中間取りまとめであったりが出ましたので、そういった内容から引用いたしまして、少しポツを増やして記載しております。追加しております。

 続きまして、長期の領域別というところ、7ページの真ん中辺りからの御説明に参ります。

 ここに関しましては低炭素領域といったところで、もともとは2050年、長期というのは2050年を想定しておりますので、2050年で80%、温室効果ガスの削減を目標としておりますので、そこを実現すると書いておったのですが、ここからさらに30年後、50年後に温室効果ガスの排出をゼロにするといったところを見据えて、その道筋が、構想が進んでいると書き加えております。さらに、この低炭素領域のところでは緩和だけの記述を書いておりましたので、適応の文章も書き加えております。

 ほかに内容の変化といたしましては、自然共生領域で少し内容が増えております。

 次に8ページの真ん中から、中期的な社会像に参りたいと思います。

 中期的な社会像のところでも全般のところはすごく書きかえているように見られるのですが、内容としては、やはり文章を統合したり順番を変えたりというところで、大きく変わっているところはございません。

 つけ加えられている部分が少しございます。そこが10ページの真ん中の後ろからポツ三つ辺りぐらいのところが書き加えられているわけなんですが、ここも第5期科学技術基本計画の中間取りまとめなどを参考にして内容を少し増やしているところでございます。

 次に、中期的社会像の領域別のところに参らせていただきます。ここに関しても、自然共生領域のところで少し省内で議論いたしましてポツを増やしているといったところで、全般的に大きく変わっているところはないかと存じます。

 続きまして、13ページの国の役割と施策展開のあり方に参ります。

 この中で特に書き加えられているところといたしましては、真ん中から少し下のところなのですが、環境問題の取組というのが公共的な便益をもたらすというのは当然のこととして、それが企業収益にどうつながるかというところで、やはり政策的な後押しが必要なのではないかというところの文章をもう少し強化して書き加えております。

 また、ページをめくっていただきまして14ページのところに参りたいと思います。

 14ページのところで書き加えたことといたしましては、本戦略、推進戦略を環境省が率先して実施していくものとして位置づけられているわけなのですが、この戦略が環境省以外の関係府省であったり大学、地方公共団体、民間企業といった各主体においても、これを参考に推進していくことが望ましいといった文章を書き加えております。

 続きまして、3章に参りたいと思います。

 3章では、具体的に今後5年間で重点的に取り組んでいくべき分野を重点課題として15個掲げております。まず大きな変更点といたしましても、重点課題15個は統合したり何かを落としたり何かをつけ加えたりといったところは特にございません。15個は、そのままになっております。内容の変化といたしましても、その課題ごとの研究・技術開発例といったところで、省内で議論したところを幾つかポツを増やしているというところになっております。

 文章で少し変わっているところで言及しておくべきところといいますと、17ページ、重点課題の4で、ここがもともと東日本大震災に対応する研究・技術開発といったところだったのですが、ここに関して、東日本大震災だけではなく今後想定される大規模な災害であったりだとか、そういったところに少しすそ野を広げた書き方をするといったところで文章が少し修正されております。

 あとは、重点課題の部分に関する変更点といいますと、今、申し上げました幾つか、研究・技術開発例が増えているといったところにとどまっているかと思われます。

 少し大きくページをめくっていただきまして、26ページの第4章に参りたいと思います。

 第4章からは推進方策に関して書いているわけですが、ここで、まず大きく変わっているところと申しますと、右側のページの27ページ、推進費の運営体制に関してというところで少し文章を大きく書き加えております。推進費の運営体制に関しまして、今後、さらなる成果を上げていくために、改善を進める必要があるということで2点書き加えております。1点目が各研究者に対する助言や進捗管理を行うプログラムディレクターやプログラムオフィサーの業務をもう少し強化すべきではないかと財務省の予算執行調査などでも指摘されましたので、ここに関して、もう少し強化していくべきであると文章として加えております。

 また、2点目としましては、推進費の運用の体制について、もう少し弾力的な執行ができるようにと書いておりまして、ここの狙いといたしましては研究者の利便性を上げるといったところ、そういったところの文章をもう少し、しっかりとした文章で書き加えるということをしております。

 次の3.が国環研の内容に関してなんですが、国環研の文章としては特に大きく変わっているところはございません。28ページ、29ページで大きくつくられたり消えたりしているように見えるのですが、これは順番が変わっているということだけですので、大きく内容として変わっているところはないかと存じます。

 次に、31ページに参ります。5.の社会実装や国際展開といったところの事項なのですが、ここで一番下のところに全球的モニタリングについてという文章を少し書き加えております。

 次にページをめくっていただきまして、33ページの6.のところに参ります。ここでは研究成果の情報共有や、そういった基盤といったところの項なのですが、そこに関して、後からも資料の4-1で説明いたしますが、知的財産マネジメントというものをどういうふうにしていくのかと、研究成果を共有していくだけで大丈夫なのかといったところの指摘がございまして、そこに関して、2行目のところに「知的財産のマネジメントに留意しつつ」という文章を書き加えたという形になっております。

 最後に、この本文の最後なのですが、8.のところで推進戦略のフォローアップに関して文章を書き加えております。先ほども申しましたが、この戦略は環境省が率先してやっていくものというふうになっているわけなのですが、今後、フォローアップをしていく上で、政府全体の取組をもっと環境基本計画と連携して把握していかなければいけないというところと、また、環境基本計画が、今後改定が予定されているのですが、このタイミングに際しましても、この戦略が何らかの位置づけをされていって政府全体としての取組というふうにつながっていくように検討を進めていくことが望まれるという文章で締めくくっております。

 資料3-4に関しましては、以上の説明になります。

 続きまして、長くなって恐縮ですが、資料4-1と4-2に関して説明いたします。

 資料4-1ですが、先ほど資料3-4の最後のところで知的財産マネジメントの文章を加えたと申しましたが、6月に中環審の総合政策部会でこの答申案を報告いたしましたところ、幾つか御指摘をいただきました。その一つの御指摘として知的財産マネジメント、知的財産の保護というところを御指摘されまして、そして文章を書き加えたということがございました。

 ほかに幾つかいただいた御意見を御紹介いたします。1.の二つ目でありますと、効率性(Efficiency)だけではなく、もっと充足(Sufficiency)といった視点も取り入れた研究というのを、もうちょっと考えていかなければいけないのではないかという御意見もいただきました。これに関しましては、重点課題の2の、資料が行ったり来たりして申し訳ないのですが、ライフスタイルの変革といったところの研究というのが、それに当たるものかというふうに考えております。

 また、2.の二つ目ですね、社会実装について、民間企業や地公体なども巻き込んで連携して研究の戦略を立てていかなければいけないといった御指摘もいただきました。それに関しては本文のほうでも、地方自治体であったり、もしくは地域の地環研であったり、そういったところと連携していくといった文章が、それに対応しているものになっていると思われます。

 また、最後のマルで研究分野内における関わる機関同士の現状と方針の共有といったところも指摘されました。これはどういった意図かと申しますと、環境省だけでなく他省でも環境研究というものをいろいろやっておるわけなのですが、そこに関して、それぞれがそれぞれの絵を描いて研究を進めているといったところでばらばらになっているというところを、もう少し統合してやっていくべきだという御意見でした。これに関しては、まさしく、この戦略を環境省のものからもう少し広げていけないかといった議論につながっているものだと考えております。

 では、資料4-2に参ります。

 資料4-2ですが、この答申案を6月30日から7月13日までパブリックコメントにかけておりました。そこに関しましてメールを2通いただきまして、内容としては似たものとして、御意見1件としてまとめております。どういった御意見かと申しますと、環境化学物質というものが人の健康、特に中枢機能への影響というものがどういうふうになっているのか解明するために、疫学的な研究だけではなく、もっと動物実験を用いた研究というものを推進していくべきではないかといった御意見をいただきました。

 これに関しましては、本文の重点課題の14のところでメカニズムの解明、影響予測等の手法の確立に資する研究の重点的推進といったところで対応して記載しているというふうに認識しております。また、動物実験に関して、手放しで推進していくというのはいかがなものかということもございますので、後ろの文章として、さまざまな関連法の遵守を踏まえて、適正に実施することが求められるといった文章をつけ加えております。

 資料3と4の説明に関しては、以上です。

【安井委員長】 ざっとした御説明をさせていただきました。

 ということでございまして、あとは皆様から御意見を伺いたいということなんですが、どうしますか。ほぼ全員に回るような感じがしますので、全員お考えをいただきたいと思いますが。まだ、こういう格好ですと仕上がりの姿があまりはっきりしないんで、資料3-2が仕上がりのイメージという形でございます。

 何か御意見があればいただきますが、もしなければ、この間の総政部会で浅野先生からの御指摘があって、見え消しバージョン資料3-4ですと32ページ、一番最後のページのフォローアップ絡みのところで御意見をいただきました。このフォローアップ、今、岡田先生と御苦労されていろいろとやっておられるわけですけど、より効果的にするにはという御提案だったわけでございますが、先生、何か。

【浅野部会長】 環境省には、環境研究総合推進費の運用にあたる委員会がございまして、その委員長は中央環境審議会前々会長の鈴木基之先生が委員長でいらっしゃるわけですが、先生は、かねてから、ここでご検討いただいております環境研究推進戦略が単に環境省の環境研究総合推進費の運用のための指針にとどまるものであってはいけない。これが、政府全体の環境研究の指針全体になるべきだとたびたびおっしゃっております。何よりも、国の環境基本計画の中で環境研究が重要であると書いてあるのですけれども、そのことと研究推進戦略とがつながっていないではないかと言われておりまして、私もそれはそうだなと思ったわけです。ですから、ぜひ、これは環境基本計画に基づく戦略だとはっきりさせる必要があるだろうと考えております。そのために、今期の第4次環境基本計画はすでに策定されて3年を経過しておりまして、当然間に合いませんけれども、次期の環境基本計画には必ずそれをきっちり書いておくことが必要ではないかということを申し上げております。

 これまでにもたとえば、環境情報に関しても推進戦略をつくっていますが、これは既に第4次の環境基本計画にしっかりと組み込まれていて、環境情報戦略を政府がつくるということが書かれています。そこで、環境情報戦略に関しては、それがどういうふうに、どこまで進捗したかということが環境基本計画の進捗状況の点検の際に点検され、その結果が、点検報告の中にあわせて掲載されるという仕組みになっていて、これが最終的には、閣議報告されているわけです。こういう前提がありますから、ぜひ環境研究についても、それと同じような形になるようにすべきだろうというわけです。むろん現在の環境研究の戦略については、岡田先生が中心に事後評価が丁寧に行われていることは承知しておりますが、これを、もっと格上げをして、総合政策部会の場に報告を出して、そこで皆さんの議論を経て、最終的には環境基本計画の進捗状況の進捗報告の中に盛り込む、そういう形にしていくことによって、各省を呼んで、そこで意見を述べたり質問したりすることもできるというチャンスがありますから、今よりはよくなるのではないかと考えたわけです。そのことを今回は原案の最後の部分に入れていただきましたので、総政部会でもう一遍専門委員会のご報告を確認をした上で審議会の答申とすることを了承していただこうと思っております。

【安井委員長】 ということでございまして、岡田先生あたりからも御意見を後で伺いたいというふうに思います。

 昨日、実を言うと温室効果ガスの排出抑制の指針の検討会か何かを環境省の委員会でやっていますと、こういうところに書くのがいいのか、よくわかりませんけど、ここだけのフォローアップ、あるいは研究のフォローアップだけじゃなくて、いろんなところで今やっていますCO2削減政策で、例えば、昨日は上水道と下水道にどういう設備を入れるべきかなんて議論をやっていたんですけど、そういうものが実際に指針に書かれると本当に入ってくるんだと思うんだけれども、そういうものが本当に効果があったかどうかなんていう検証も、本当を言うとフォローアップしなきゃいけないんじゃないかと、昨日、突然、私、気がつきまして、もう少しここを書き加えたほうがいいのかなという感触もなきにしもあらずなんです。

 というのは、特に下水道、上水道みたいに一般商品じゃなくて特注品みたいなものだと、比較すべき対象がほとんどないですよね。そうすると何でもかんでも入れりゃいいみたいになりがちなんだけれど、こういうものをこういうふうにやって設計して、こう入れたらば前に比べてこれだけの改善があったみたいなことは、ちゃんとフォローアップしないといけないのかなと、昨日、気がついたんです。幸いにして、まだ書きかえが可能だと思いますので。

 たまたま吉川室長さんがやっているところでETVという仕組みがあって、ETVというのは技術のベリフィケーションですね。だから、こうやったらこうなったというそれだけでいいんですけれど、別にアクリテーションでもないしサティフィケーションでもない。こういう技術をこういうふうに入れたらこうなったという、技術開発系のフォローアップをもう少し広目に捉えて、ここをちょっと書き直そうかなと。という御報告でございますが。

【浅野部会長】 たった今、水・大気環境局でお聞きしてきたのですけど、今度の大気騒音部会に自動車の新しい規制についての報告が出てきて、これが答申になるのだそうです。それはそれで大いに結構なことですが、これだけのことをやったら、今の環境基準の非達成の部分がどのぐらい達成できることになるのですかと質問したら、「うーん」と言うわけです。

 政策の評価とか、そのために必要な指標でどんなものが使えるのかとか、どんなものを開発すればいいのか、今の総合政策部会のもとでの検討会中では、専門家が集まって議論しているとはいうものの、なかなか明確な答えにはいたっていないという現実がありますそういう点の研究というのが意外と欠けているような気がします。

 それから、これまでも何遍も研究課題にはなって研究が行われてきてはいるのですは、ソフトの政策の効果測定というための有効な手段がないために、ソフトな施策の経費は事業仕分けのようなものにかかるとしばしば潰されてしまうという結果が生じていて、これが何とかならないものだろうかといつも思っております。そういう課題は、特に総合・統合分野みたいなところで扱っていただけることだろうと思いますが、意識的に、そのことも表に出していくことが必要なのかもしれません。

【安井委員長】 ということでございます。岡田先生そろそろ。

【岡田委員】 フォローアップは私がやっているようなイメージにとられているんですが、フォローアップは、そこにいらっしゃる安岡先生から引き継いでやっています。やはり浅野先生がおっしゃった問題がありまして、こういう研究にこれだけのお金をつぎ込んだ、そこまではわかるんですが、成果が上がったかどうか全くフォローアップできていない。これは安岡先生とさんざん議論して引き継いだんですが、結論はまだ出ていません。肝に銘じて、いいアイデアが出るか、安岡先生は今度この立場でいらっしゃると、あまり攻撃するのはお互いによくないからやめておきますが、趣旨は重々了解していますが、すぐいい答えが出るかは、今のところわかりません。

 研究自身が全省庁の研究ですから、各省庁の研究担当者を呼んでヒアリングするのは理屈上可能ですよね。むしろ、しなきゃいけないんですが、それもやる余裕は今のところないと。すみません。考えさせてくださいとしか言いようがありません。

【安井委員長】 「やれ」と書くわけではなく、「可能である」ということを書くということですかね。「そういう方向もあり得る」と書くんですかね。そのあたりの御意見は。

【岡田委員】 まだ何とも。長年、真面目に、こんなフォローアップでいいかというのは、安岡先生、何年やっていますかね、ずっとやっていますよね。3年間、同じ議論は毎回繰り返していると言っていいんですが、いいアイデアが出なくて正直言って困っています。関係する委員の先生方、全員の共通認識だと思います。ただ、誰からもいいアイデアが出てきていないというのが正直なところです。

【安井委員長】 真面目に取り組むとあまりに膨大なので、恐らく何かのクライテリアをつけて、例えば、予算面でこういうようなものをやってみるみたいなところからやらないとだめなんでしょうね、恐らく。

【岡田委員】 全て記憶していませんが、幾つかはトライしていますよね。でも、データ収集か何かで引っかかっちゃうとか。それから、お金をつけても、でき上がるまでに何年もかかりますので、そこが一番辛いところです。

【安岡PD】 参考までに。「政策のための科学」というプログラムが文部科学省にありまして、これはJSTのプログラムですが、どういう科学技術がどういう政策に使われたか、それから、先ほどからお話があります政策の効果をどうやってはかったらいいかという研究が4年ほど前からスタートしております。なかなか皆さん、苦労しておられまして、一番簡単なのは、どれだけの研究費をどういう分野に投入したら、どれだけの特許が出たかというのは非常に簡単に出てくるんですが、そういうのは随分やられています。ただ、本当の政策でどう効果が起きたかという、先ほど来て、お話があるような話というのは、なかなか一品生産的なところがありまして、まだ一般論として、研究としては成り立っていないというふうに私は今、理解しております。

 ただ、今、欧米でそれがかなり進んできておりまして、日本でもそれをやろうという動きになっています。環境研究において、環境政策にどれだけ役に立ったか、もしくは環境政策の施策がどれだけの効果を上がったかというのをはかる研究があってもおかしくないですし、むしろやるべきではないかという感じはしています。

【安井委員長】 ありがとうございました。非常に大きな課題ではあると思いますので、何かやろうと思えばできるような文章にしようかなという感じでございますし、ベリフィケーションですから、本当の話、簡単な報告書があれば、それでもいいのかもしれないんで、こちら側が何するというよりも、そういうものが報告されていく、特に補助金をかなり大量にとったもの等につきましては、そういうものになっていかないといけないというような気がいたします。というわけで、ちょっと考えさせていただけたらと思う次第でございます。

 ほかに、何か。

【岡田委員】 3ページのところに「水循環基本計画においては」という前文を「はじめに」のところに入れていただいたのは大変ありがたいと思います。ところが、前から気がついているんですが、申し上げるべきかどうか迷っていました。

 例えば、8ページを見ていただきますと、長期的な目指すべき社会像の安全確保領域の4のところに水循環基本法の理念に関わるようなことが達成されたという文章が一文もないわけです。

 ところが、12ページの一番下に、流域における適正な生態系管理云々というふうに一応入っているわけです。どうしようかなと思ったのは、中期に入っていれば、これは速やかに達成されることだから、長期には書かなくてもいいかなと思ったんですが、せっかくだから入れておいていただいたほうがいいかなというお願いでございます。

【浅野部会長】 「策定される」と書いてあるけれど、既に策定されたので、水循環の計画は、基本計画が決まったはずです。

【岡田委員】 水循環の基本法に書かれている適切な水循環云々という社会像が達成されるというくらい、書いてもいいかなと思ったんです。

【浅野部会長】 本文もちゃんと作成されていますから、時点修正が間に合っていないんだろうと思います。

【安井委員長】 なるほど。

 ほかに、何か御注文がございましたらどうぞ。

【岡田委員】 ちょっと質問、いいですか。資料4-1に書いてあるEfficiencyだけではなくてSufficiencyの視点も取り入れた研究というのは具体的にどういうことか、先ほどの説明でよくわからなかったんですが、もう一度、教えていただけますか。

【吉川室長】 これは部会のときに林先生からお話がありまして、先生はこういうことをおっしゃったんです。従来、研究に基づく何の政策の実現を目指すかと、そのためにどういう研究をやるかというときに、効率性を上げるというのは一つの目的であると。ただ、効率だけでははかれないであろうと。1行前の環境負荷の影響を受ける場合に着目した研究との流れでもあるんですけれど、需要者側のほうが変わった環境についてどういうふうに受け止めるかという視点が要るんじゃないかというお話でした。

 我々もその意図をきちんと理解し切れていないところはあるかもしれませんが、我々なりにそれを考えましたのは、社会のあり方、価値観や倫理のあり方についての研究を行うというご趣旨かなと理解をした次第です。林先生の言及の中では、具体的には、例えば高齢化社会になっていくときに、その方の福祉・福利をどうやって維持・向上していくかということを考えたときに、それは効率性だけじゃなくてSufficiencyに着目していくという考え方もあるんだという御指摘だったんです。

 これをどういうふうに答申案に落としていくか、ちょっと悩ましかったんですが、この答申案ですと資料3-4、16ページの重点課題2の全体が、林先生のおっしゃったような問題意識を受け止めた重点課題かと考えております。

 個別の研究開発例の中でも、人々の行動変容に資する手法、実践に関する知見の充実といったところですとか、環境倫理の関係の研究、ソフト施策の政策効果の研究といったもので、そういった問題意識を受け止めていられるんじゃないかなと考えている次第です。

【浅野部会長】 林良嗣委員のご意見については、この重点領域課題の2に書いてあるからこれでいいと言ったら、多分、彼は満足しないだろうと思われます。もうちょっと哲学を彼は語ろうとしていたのであって、あらゆる研究について、そういう視点が必要だということを強調したのではないかと思います。だから、あるパーツで、これをテーマにして研究をしてくれと言っているだけではなくて、そもそもの話が背景にあるのだろうと感じました。ですから、委員のご意見を本当の意味で生かすためには、総論のどこかに書くことが適当なのでしょうが、なかなか書きづらいなと思ったので、私も今の事務局のご説明をききながら「それで、しようがないかな」と思っているのですが、多分部会の席では、また林委員は何か発言されるかもしれません。その場合はご意見をおききして対応することになるのかもしれません。

【安井委員長】 効率性と書いちゃうと、何となく分母にお金があるという感じがするんだけど、それだけじゃなくて、むしろ、そういうことを離れた何かの満足感みたいなものを与えなくちゃいけないという話なんじゃないかという気もするんだけどね。

【浅野部会長】 ちょっと書きづらいことは事実ですが。

【岡田委員】 すごく狭く捉えて、研究の効率性、研究の充足性なんてレベルじゃないんですね。

【安井委員長】 じゃないと思うんです。

【岡田委員】 ああ、なるほど。

【安井委員長】 そういう話じゃないと思う。

【岡田委員】 いやいや、フォローアップの責任があるかなと思って。わかりました。

【甲斐沼委員】 これと関連しているかどうかわからないですが、タイの国王がSufficiency Economyですか、足るを知る経済を推奨されていまして、効率だけではない指標として、Sufficiency Economyというのは、最近、いろんなところで言われてます。それとも関連しているのかなと思いました。その辺、よくわからないですけど。

【安井委員長】 そうね。仏教徒はわかる価値観ですよね。北野大さんなんか得意だからね、そういう話が。その中で、ある種の満足感があるみたいな、極めて哲学的な話。

【浅野部会長】 どこかの領域の話をしているのではないということはいえそうです。

【安井委員長】 最近、CO2削減のところにも、最後は満足感というのが出てきているんですよ。我々がつくっちゃったんですけど。最後は、ある意味での充足感みたいなものが結構重要なんじゃないかというのは、部分的にはちらちら見え始めているんだけど、あまりそれを露骨には書いてはいない。

 ほかに何かございますか。

【高村委員】 先ほどの政策評価の話に戻ります。今、総合政策部会にも出させていただいているので非常に大事だと感じます。評価するには何らかの指標が必要なわけであって、おのおのの政策に対して、どの指標を使って見ていくんだということは、政策担当者の方はきっとわかってやっておられるんじゃないかなと。それが為政だと思います。政策担当者から、どんな指標が必要か示されると、その指標は時系列でとっていく必要があるわけですよね。

 現在、環境研究総合推進費のS-9課題をやらせていただいていますが、研究者は政策対応を非常にやかましく言われています。しかし、研究として成り立つものと政策で必要な成果物との間には、明らかにギャップがあります。研究者が研究レベルの技術開発をすることと、政策担当者が使えるようにする、その間に研究者が関わらないとできないような技術や作業が結構な量存在します。例えば、スタンフォード大学で開発されたインベストというソフトを使った生態系サービスの可視化などです。

 私の分野ですと、DNAバーコーディングというのは生き物を遺伝子できちんと定義していく作業ですが、その作業自体は何も新規性がないわけです。しかし、情報を積み上げていってこそ利活用ができる技術開発であるし、リモセンもS-9でやっていただいているんですが、開発自体は研究になるんですが、それを使って生態系をモニタリングするところは、研究者はそれをやっても論文にならない。しかし、コンサルタントの会社が独自でできる作業ではない。それを生かすには、研究者がかまないと上手にできないというようなところがあるので、その辺に予算をつけて繋げていく、使える指標というのも、そうしたプロセスで作っていく必要があると思います。

 生物多様性のことを少し例に出しますと、きっと資金投入とか政策の数は増えていくから努力は評価できます。でも、実際に絶滅危惧種が減ったかどうかの評価は、モニタリングしないとわかりません。この前、水環境部会に出させていただきました、干潟が大事で再生していかないといけないという話ですが、そうしたら、日本の干潟は一体どこにあるんだというデータが、1995年の自然環境基礎調査以来20年間、誰も日本では把握していないんです。そういう状況です。やはり、政策課題を評価するための指標とそのモニタリングは、必要だと思います。

 もう1点は付随ですが、安岡先生がいらっしゃるので。27ページ、プログラムディレクターとプログラムオフィサーの機能強化を書き込んでいただいているんですが、実際、今、プログラムオフィサーの方に研究プログラムの会合に来ていただいているんですが、毎年、人が代わられ、連続性がない(研究は継続的だが)し、その方の専門性によって、おっしゃることも相当かわります。いい面と悪い面と両方あります。環境省の事務官と研究者の間に入ってくださって事務的なことは非常にスムーズにいくようにやってくださっているんですが、研究の内容に踏み込んで、政策と研究をつなぐというような役割をどれだけプログラムオフィサーの方がやっていただけるのかというのは、私は疑問だと思います。研究者が直接やったほうがいいんじゃないかなと思うんですが、そのあたりをお聞かせください。

【安岡PD】 ここに書かれている文章は、財務省の予算執行調査の結果を受けて書かれているんだろうと思いますが、財務省からいただいた文書にこういうことが書かれています。背景はそこです。プログラムディレクター、プログラムオフィサーはもう少し頑張りなさいと書いてあるのが、足りないからもっとやりなさいということなのか、褒められているのか、そこは私もよくわかりませんけれど、研究者と行政をつなぐ役割というのが非常に重要であるということは皆さんが認識されていて、それは何を具体的にすればいいのかというのは、まだ模索している段階だと思います。

 私もPD、POというのをほかのところでもやらせていただいていますが、口を出し過ぎるのはよくないということも感じています。ですから、研究者の方が政策のほうに寄っていただくということも必要ですし、特に環境研究の場合には。その中でPD、POの役割というのを少し精査させていただきながら、ここに書かれていることを具体的に何していったらいいのかというのは検討させていただきたいと思います。

 若干公式的な発言みたいなことを言ってしまいましたが、なかなか難しいことです。口を出し過ぎない、しかしながら、きちっとした充足性も満足しながらやるというのは、少し時間がかかるかなと思っています。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 谷口委員。

【谷口委員】 今の高村先生の前半のお話に関連して、参考情報なんですけれども、指標はやっぱり非常に大事で、研究でやる指標と政策で採用される指標はまたちょっと違う。実は個人的な趣味で2~3年前、学生と一緒に持続可能性指標は持続可能かという研究をやっておりまして、各国の公式に採用しているという持続可能性指標を経年的に追いかけると、リオの後にいろんな国が順番にやっているわけですが、最初にイギリスとかが非常にたくさんの指標を採用するわけです。けど、続かなくなって、チョウの分布とかトンボの分布とか、そんなものを全部調べろというのが最初にあって、それが続かなくなって減っていくんです。社会的な指標にどんどんシフトしていく。けど、ころころ指標を入れかえながら現在まで一応続いていると。

 ドイツなんかは全然タイプが違って、最初から指標の数を物すごく絞っていて、現在まで全然、指標を入れかえないというやり方をやっている。アメリカはやめちゃったみたいで、よくわからないんです。ホームページが改定されていなかったり。そういう問題もあって、実は結構おもしろいテーマじゃないかなと思っているんですが、助成金はもらわないでやっております。

【安井委員長】 事務局の一部にやっていただくと。

 指標の話で、また余分なことかもしれませんけど、先ほど申し上げたのは、排出抑制なんていう話は、実を言うとほかのところでも厳しくて、最近、いわゆる特会的な予算がくっついているやつは、これだけのお金を投入して、日本全体で何トン減ったか言ってみろみたいなことになっている。これは指標がめちゃくちゃ簡単だからなんです。最初にやるとしたら、その辺が一番手っ取り早いというのは間違いないのかなという気はします。

 しかし、露骨に「指標、指標」というのもどうかと思うんだけど、さっき私が申し上げたように、補助金がついたら、効果があったよぐらいは言ってほしいんです、CO2削減については。だから、その辺が何とかこういうところに、しかもベリフィケーションできるくらいな格好で、ほかの人が読んでもわかるように書いてほしいなという気はしないでもない。高村先生の指標は非常に難しいような気がするんで、研究課題かなという気がします。

 はい、どうぞ。

【松藤委員】 先ほどのPD、POの話なんですけど、今年から私たちが始めたのが行政推薦研究というので、この前、PDを挟んで環境省の職員の方と会ったんです。非常にいいですね。直接話をして、こういう研究をやるんです、向こうから要望があって、半分ぐらいが行政推薦だったと聞いていますけれども、そういったシステムは、PDを挟むだけなんですけど、非常にいいと思います。

 それからもう一つ、指標というわけじゃないんですけど、私たちの分野だと、今、抜けていることが一杯あって、ちょっと前にあったのは家庭系の有害廃棄物なんです。あれは全然、収集されていないんです。そういったのを提案して、環境省が「いいね」と言ってやってもらうと。そういった埋め方がありますので、それを一緒に使っていただくと環境研究は非常にいいと思っています。

【安井委員長】 そういう話は確かにいろいろあるので、これは安岡先生の課題としてお願いしたいと思うんですけど。

 関連しているか、していないかあれですけれども、15ページ以降に具体的なものが出てきているんですけど、ここまで並んでいろんなものが変えられてきて、ちょっと違和感があるのは、ここの四角の括弧で、みんな研究・技術開発例と出ているんです。

 これまで安岡先生などと御一緒に研究課題を見る会議では、何かよくわからないんだけど、ここにあるやつは通ると思って、アプリケーションを書いてくるんです。全く考えていないんだ。要するに、とにかく1個、自分に一番合ったやつをピックアップして出してくりゃいいという。私は「しっかり勉強して出せよ」と言いたいので、そういう行動ができないような形だから、研究・技術開発例というのは変えなきゃいけないかなと、今日、思い始めて。

 例えば、今のお話あたりを入れると、行政ニーズという言葉をちらっと入れたような文章にできないかな。行政ニーズと関係がありそうな課題例とか。ほかの省庁は全く違った行政ニーズですよね。例えば、文科省だったら、行政ニーズと言いながら学術の振興でいいんだから。それは読み方が全然違うんでいいだけど、ここにあれば通るんだよという、そういう極めて単純な思い込みを排除したい、そのためのキーワードであれば何でもいいんだけれども。

【吉川室長】 委員長の問題意識は、よく身にしみるわけなんですが、ただ、議論をずっとしてきたところでは、ここに書くものは、単に行政、とりわけ環境省がこういう研究が必要としているというだけでなくて、2050年の目指すべき社会像なりを見通したときに、当面5年間ではこういう研究を着手しないといかんだろう、ある程度、進展しないといけないだろうという観点で、専門家の御見地から議論いただいたところでもあるので、行政の期待する研究・技術開発に限るべきかというと、ちょっと。

【安井委員長】 期待するは言い過ぎだな。環境行政といっても広くて、結局は、こういうところに財務省対策もちょっと含ませるのがいいかどうかはあれとしても、考えている方向性、「例」と書いちゃうと非常にデフィニットじゃないですか。だけど、そうじゃなくて、何となくほわっとさせたいわけです。こういうものもあるかもしれないぐらいの感じにしたい。環境省の原課の思いはどうなんだろうな。その辺がよくわからない。

 例えば、「あり得る」とつけるだけでも違うのかもしれない。これだと、「例」と言われるとね。

【安岡PD】 環境省、それから我々もそうなんですが、行政ニーズというのは、もうちょっと短期的に考えていまして、来週から各部会のヒアリングが始まりますが、そこでは行政ニーズという言葉が前面に出ます。これは原課から出てきたニーズをかなりブラッシュアップさせてもらいました。そして、それを選んだ上で、そのニーズに合っているかどうか、毎年のテーマに関しては、そのすり合わせをやらせていただいています、PD、POの間で。

 ここに書かれているのは、やや中期的、長期的な話になりますので、原課から出てくる毎年の要求をさらに少し長期的にしたものが、ここに少しならされた形で、長期的な戦略としてここに書かれているという理解です。ですから、行政ニーズは、毎年のレベルで組み込まれていると御理解いただいてよろしいんじゃないかと思います。3年とか5年とか、そんな単位での行政ニーズが考えられていると。ここでは、もう少し長期的なことが書かれていると。

【安井委員長】 3年、5年というのは当たり前です。研究期間が大体そんなものなんだから。それはそうなんですけど。それでもいいんです。だから、やや中・長期的な話で、これが必ずピックアップすると、かなり可能性があると思う人の誤解を解きたいだけなので。

【安岡PD】 そうですね。それはおっしゃるとおりですね。

【浅野部会長】 いつごろから、この表現になったのですか。一番最初からですか。

【吉川室長】 この議論の中では、最初に素案を出したときから。

【浅野部会長】 いや、経年的に見て。今回の戦略はこれで3回目でしょう。2回目も同じなの。1回目から、この言い方をしているのでしょうか。

【吉川室長】 そうですね。もともと、この答申案の構成みたいなものを出したときから、研究・技術開発例という。

【浅野部会長】 前回、この言葉を使ったのは事実ですね。もっと前からもこれで来ているのですか。

【安井委員長】 多分、そうだと思うな。前の前のやつ。

【吉川室長】 前というのは、平成22年につくった現行のやつでは、この「例」じゃないです。現行のものは「例」ではなくて、「サブテーマ」という。

【浅野部会長】 サブテーマの後に、研究・技術開発例というのがありますが。

【吉川室長】 お手元の資料ですと参考資料1-1なんですが。

【浅野部会長】 前の戦略では、課題があってサブテーマがあって、そして研究・技術開発例という並び方になっている。今回はサブテーマというのをやめたのですね。

【安井委員長】 サブテーマというのが悪かったという可能性もあるんですけど、とにかく、そのまんま出てくるんですよね。

【吉川室長】 「サブテーマ」と書いてあると、まさに安井先生がおっしゃったように、それをそのまま書いておけば正解だという感じなので、今回、それはなしで「例」として。

【安井委員長】 少し、ましになったのか。でも、下は研究・技術開発例になっていますよね。

【吉川室長】 そうですね。中間のサブテーマというカテゴリーをなくしたんです。

【安井委員長】 どうぞ。

【谷口委員】 ほかの財団の助成とかの例だと、重点課題でこれをやってほしい、行政課題かもわかりませんけど、それをやってほしいというのが例えば五つぐらいあって、それから、その他みたいなものがあって、あくまで例ですみたいなのを補注で書かれるというやり方もあります。だから、そういうやり方もあるのかなと。補注で書かれるというのが一番誤解はないのかなと思いますが。

【安井委員長】 前のバージョンだと使いにくくなっていますよね。そのまま課題にはなりにくいけど、今回のやつは、まさに課題の例になっている気がする。その辺がもう少し何とかならないかな。例えば、ここだと温暖化対策製品の3R技術の開発というのがサブテーマで、その下の研究が、前のやつの6ページですけど、太陽光パネル、LED、二次電池等どうのこうのと書いてある、これはとても課題にはならないよねという文章になっている。だから、前のサブテーマと同じ役割をこれが果たさないか心配だという意味です。

【浅野部会長】 それなら、どこかに説明をつければいいんすね。研究・技術開発例というのが、いきなり何の説明もなしに言葉として出てくるので、上のほうでは、統合的アプローチに寄与する研究・技術開発の課題を設定すると書いてあって、その課題がこうであるといって重点課題があるわけです。その後に研究・技術開発例が出てくるので、どこでもいいですが、例というものはどういう意味なのだと、委員長がおっしゃるようなニュアンスのことをきちっと書いておけばいいのではないんでしょうか。それから、公募要領のときにも、これこれの技術例をそのまま写したら0点だよと書いておくという方法もありそうで、このほうがもっとはっきりしていいんじゃないかと思います。これは運用でカバーできそうですね。

【安井委員長】 というわけでございます。そのぐらいは何とかなるね。

【吉川室長】 はい。

【安井委員長】 ほかに何か。どうぞ、大塚先生。

【大塚委員】 メインの話でなくて恐縮ですが、さっきの知的財産の話ですけれども、後ろのほうにお書きになっていただいたんですが、知的財産が問題になるときに、その知的財産権が誰に帰属するかというのが恐らく最大の問題だと思うんですけど、そこはあまりはっきり書きたくないという御趣旨なのか。それだったらそれでいいんですけど、実際にはそこが問題になると申し上げておきたいと。当たり前のことで恐縮ですが。すみません。

【安井委員長】 今はどうなっているんだ。

【大塚委員】 そこが税金だからどうという話を、どういうふうに解決されているか。

【安井委員長】 いや、今は発明者のものになっているんじゃないかな、法律上は。

【大塚委員】 研究者でなくて。

【安井委員長】 要するに、発明者のものになっている。

【大塚委員】 これに関して、特に決めなくていいというわけですね。

【安井委員長】 決めないんじゃないかな。今は違うかな。

【白石委員】 私も詳しくはわからないんですが、環境省さんのほうから説明していただいたほうがいいと思うんですけど、2種類、補助金と委託費であって、補助金の場合はあれなんで、委託費の場合は委託契約ベースで処理しているような感じで。そういう意味で、私も知財のところが気になったんですけれども、32ページの情報のところだけにとどめるのではなく、例えば27ページのマネジメントですか、安岡先生のところで何だかんだアドバイスするなり、マネジメントあるいはコーディネートするみたいな機能があってもいいのかなというような感じがいたします。

【吉川室長】 知財については、制度整備が進められています。例えば、国が委託で研究開発をしたときに、国が一定の留保を持った上で受託者が知財を使用できるようにしつつ、将来、それが使われない知財になったときには、国が一回、回収するといったような、いろんなルールづくりが進められています。ここで言っておりますのは、部会で研究成果のオープン化との兼ね合いでの御指摘がありましたので、それを書いています。

 環境研究において、もっと積極的に知財について整理を行って、どんどん民間企業なりの参入を進め、イノベーションの促進に持っていくということを書くというのはあるかなと思いましたが、一連の議論の中でもそこは出なかった話ですので、最低限、オープン化との兼ね合いのところだけ言及にとどめた次第です。むしろ積極的に知財の扱いを明確にして、いろんなアクターを研究の場に呼び込もうというような観点で、そこを記述するというのはあり得るかなとは思います。今までそういう議論もなかったので、今回はそこまで書いていないというところです。

【大塚委員】 私はそのほうがいいと思いますが、実際に携わっていらっしゃる方が、紛争にまではなっていないでしょうけど、問題状況なのかということは必ずしもよくわかっていないので、それによっていろいろ考えなくちゃいけないのかなという気はしますけど。これに関して紛争は起きていないんですか。

【吉川室長】 私のところの所管ですと推進費と国環研事業ですが、そこで問題になっている事例は、私の知っている数年間ではないかと思います。国環研に関して言うと、知財の扱いについてはいろいろルール化をしたり、中での委員会をつくったりして整理をして、共同研究されて特許を取られたりしているものをどう扱うかという整理は、やっていっておられると思います。ただ、そもそも知財の数がほかの分野と比べて多くないところなんで、問題が出てきていないというだけなのかもしれないですね。

【指宿委員】 今のとは関係ないんですが、最終的に出すときに書くスタイルが統一していないといけないかなと思って、気がついたところをお話しするんですが。

 10ページ目の②に領域別というのが真ん中よりちょっと下にあると思うんですけれども、そこで低炭素領域、それから資源循環領域というのが同じページにあって、資源循環領域でポチがあって自然界における云々社会とある。その次に矢印が入っているんですよね。自然共生領域も同じスタイルになっているんですが、安全確保領域は全部ポチになっていると。自然共生領域も、いつの間にかついていないで後半はポチだけになっている。そういう意味で、読んだ人が階層をこれにつけているというふうにして読むと誤解を生む可能性があるので、全体的に階層をきちっととったほうが誤解がないかなと思うので、事務局のほうで整理していただければいいんじゃないかなと思いました。

【吉川室長】 確かに見ばえがよくないので、検討します。何でこうなっているかというと、もともと資料3-4の10ページ辺りから言いますと、資源循環領域は、もともと循環基本計画を参考にして書いているので、循環基本計画がこういうような形式で小見出しを立てて説明を書いているんです。ただ、小見出しを下の説明と一体化すれば、こういう書き方にしなくてよいという気がします。

 自然共生については、11ページの固まりは愛知目標の中身を列記しているので、ちょっと特殊かなと思います。そうすると、一般的な整理としては、安全確保領域のように全体をべたっと書き、階層化しないというのが全体をそろえやすいです。そこは考えさせていただいて。

【安井委員長】 矢印を取っちゃえば済むことじゃないですか。

【吉川室長】 そんな感じかもしれませんね。そこはテクニカルに整理して、見ばえよくします。

【甲斐沼委員】 今のと関連して低炭素領域のところなんですけれど、これを書いている段階では、まだ我が国の約束草案の内容が書かれていなくて、これについて、出た時点で少し内容を追加しますということだったかと思います。もし統一されるとすれば、ほかのところは中身も少し書かれているのでしたら、ここも達成されていると書いたほうがいいのか、それとも、約束草案はホームページにも出ているので、そのままでいいのか。その辺、前の議論までは全部ブラックボックスというか、出てきたときに何か書き加えますというような議論だったと思います。

【浅野部会長】 きょうの段階ではまだ本文の決定ができていなくて、パブコメが終わったのですが、本文がいつになるかわからないという状況です。

【甲斐沼委員】 わかりました。

【安井委員長】 変わるとは思えないけどね。今さら変えたら大変だから。先取りするわけにもいかない。ただ、ぼちぼち決めるんですよね。いつだっけ。

【小林局長】 明日です。

【安井委員長】 明日だそうです。作業は間に合うかもしれない。

【吉川室長】 最終的に、24日の部会までに、ぎりぎりの段階で、どう書くかというのを私どもの中で整理させていただいて、変わる可能性もあるかもしれません。

【安井委員長】 そうですね。

 ほかに何かございますか。まだ早いな。予想どおり早いね。早くやめるのは全然構わないんですけど、一言も発しておられない方は何か言っていただいたほうが。

【岡田委員】 資料4-1で2の人材資金何とかとあるんですが、マルの2番目、社会実装について、民間企業研究者に加えて現場なり自治体も巻き込む研究戦略。これはいいんですが、例えば、これを実現するために、今の環境省の研究のさらに上に、上か下かよくわからない、次に実用化研究みたいなものとか、政策評価研究というか。Aステップ、御存じですよね、JSTの。順番にやっていって、最初が1,000万くらいの安いやつで、最後は結構大きな金を出して実用化までいくと。社会実装までいくような研究ステップをつくっていただくのもいいかなと。その社会実装が近くなったら、総政局がやっている環境技術実証事業、技術系だったら、ちゃんと実証につなげるようにしていただくと、こことは直接関係ないけど、ETVももう少し潤うかなと。時間があるから、ちょっと余計な意見を申し上げました。

【安井委員長】 なるほど。ちゃんとステージアップをしていくようにと。

【岡田委員】 そうです。

【安井委員長】 はい、どうぞ。

【松藤委員】 私も社会実装についてなんですけれども、資料3-4の14ページ、(2)に大学、地方公共団体等と書いてあるんですけれども、こうやって見ると環境省以外のという文章があって、大学、地方公共団体とあって、その次が研究・技術開発とあるんです。地方自治体というのは社会実装の場であって、ここには該当しないと思うんですよね。だから、大学等が研究・技術開発をして、地方自治体に委嘱する、社会実装する、そういった役割を地方公共団体が持っているという感じじゃないかと思うんです。アウトリーチの話で、この前も意見を申し上げたんですけど、地方自治体がそれをうまく使っていくという順番かなと思うんです。

【安井委員長】 地公研の意識が若干残っているのかな。

【松藤委員】 そうですね。地公研かどうか、私のイメージは自治体そのものなんです。そのものという意味で読んだんです。

【安井委員長】 どっちがいいんだろう。よく知らないんだけど、実態を。

 最近、いわゆる地方公設試の実力が落ちていることは間違いないんだけど、それでも結構、活用しようとしている自治体もないわけじゃないんだよね。

【岡田委員】 すごく変な言い方ですが、格差が広がっていて、ある特定の地方自治体の研究所が、それこそドクターの思ったような人を、ポスドクではなくて、きちんと職員として雇って、多分、科研費も、それから環境省の研究費も、通常の大学と同じような研究テーマとしてやっているところもあるけれども、一方で、どこかに吸収されて、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、研究機関としては何となく訳がわからなくなっているところもある、そういう違いを最近感じます。

【松藤委員】 私のイメージだと自治体そのものであって、バイオマスなんかですと、それをちゃんとできるんですかというのが一番のポイントになるわけですよね。そういった意味なんです。生かす場として地方自治体があるだろうと。ですから、研究開発ではないという。

【岡田委員】 自治体そのものですか。

【松藤委員】 そのものです。私は、そういうふうに読んだんですけど。

【岡田委員】 失礼しました。

【安井委員長】 ここの文章が、地方公共団体という記述じゃ本当はいけないのかもしれない。もし自治体と入れるんだったら、別枠にして、ここに地方公設試みたいなものの意識で書いたんじゃないかなという気もしないでもないんだけど。

【岡田委員】 違うんだよ。

【安井委員長】 それだったら自治体は、その場の一つとして。

【浅野部会長】 ちょっと違う話が一緒になっていますね。

【安井委員長】 そんな気がしますね。

【浅野部会長】 ここでは、あくまでも地公試を考えていますけど、しかし、それにしても研究機関だけに幾らやってくれといっても、自治体の本体が理解がなければ何もできないということがあるので、ここは地方公共団体でいいと思うのですけれども、今、松藤先生がおっしゃったような話は、これとは別の文脈ですね。

【安井委員長】 そうですね。何か別に記述しなきゃいけないかもしれない。

【浅野部会長】 もし書くなら、別にもう一つ文章を起こしたほうがいいかもしれません。さらにテーマ、領域によるのですね。特に循環領域のような場合には、施設が割合自治体経営ということが多いから、余計そういうことが出てくるのですけど、全ての領域でそれが通用するとは限りません。分野によってはそういうことがあるのだと、ここにべたっと書いてしまうと、メリハリがつかなくなるかもしれません。

【安井委員長】 そんな気がしますね。

【浅野部会長】 あるいは、同じようなことは社会科学の分野でもありそうです。私は自治体は社会実験の場だと思っているので、結構やりたいことを自治体でやってもらって、効果があったら、それを国に持ってきて、「こういう政策いいよ」とやることをやってきた経験があるので、本当は社会科学もちゃんと自治体のような現場で社会実験をやればいいとも思われます。だから、必ずしも循環だけじゃなくて、ソフトの政策を考えるときでも自治体の役割というのが大きいと思われますが、それはこの文脈とは若干違うので、もし書けるなら検討されてみてはいかがですか。

【吉川室長】 確かに、全体に地方公共団体に関する語の使い分けがうまくできていないような気がします。14ページは置きまして、ここは、いわゆる地方環境研究所の持ち主としての地方公共団体ということだと思うんですが。二つの意味で語を展開しているのは、資料3-4ですと30ページと31ページで、30ページの4.では地域の環境研究拠点の役割強化というところで地環研がずっと出てきているんです。

 それから、5.が研究成果の社会実装のさせ方で、ここにも地方公共団体と連携しというのが出てきて、ここは行政あるいはフィールドを提供する場とか、施策を打って社会実装を進める場としての地方公共団体という役割を持たせていると思います。

 ですから、今の問題意識は5.のところで、すらっと連携と書いていますが、まさに地方の施策への実装としてのフィールドの提供ですとか、政策への組み入れみたいなところも役割だと書き込むのがいいんじゃないかなと思います。ここに書き加えるという形であれば、そんなに大手術ではないと思います。

 あとは書き分けを30ページ、31ページの中で注意しながら、全体を整理しようと思います。

【安井委員長】 ほかに。せっかくお見えで一言もしゃべらないのも、あれでございますので。

【塚原委員】 私の担当部分のキーワードの話なんですけれども、資源循環領域のちょうど11ページの中・長期のところになるんですけれども、11ページの真ん中辺に国際的取組とございます。もともと施設建設及びコンセンションビジネスというキーワードが入っていたんですけれども、コンセンションビジネスという言葉が削除されております。長期のところから見ますと、直接投資が活発化するという世の中を想定した場合には、このキーワードは、ぜひ残しておいていただきたいなと。これは産業界の立場からということになるかと思うんですけれども、研究開発とは直接関係ないのかもしれませんけれども、環境省として、この分野での国際的な取組はこういう方向を向いているということで、ぜひ、このキーワードは残していただきたいなというふうに思っております。

【吉川室長】 先生の思いをいただきましたので、省内で関係部署と調整したいと思います。

【安井委員長】 いかがですか。

【荻本委員】 一つは、前に出ていたような気がするんですが、指標の話なんですけれども、指標は、例えば、低炭素化というと二酸化炭素排出量と簡単に出てくるんですが、実際には補助指標というのがとても大切で、総理大臣からいろんな人がいるというような、その人に見合った指標というのが絶対必要で、例えば、ある技術とか研究をやったときには、それが直接役に立つ、それが反映される指標があって、その指標が一番最後の目標に結びついているというのがとても大切だと思うんです。

 そういう意味では、大元の指標がCO2だというのは一向に構わなくて、なぜCO2の指標がよくなるかということに直結する、自分にとって必要な一番ふさわしい指標を指定してやるとか、そういう構造をつくらないと、幾らやってもCO2が減って見えるわけではないから、でも適当に計算しておけばいいなというぐらいで終わっちゃうのかなと思います。

 なので、もし指標というのを議論する余地があるんであれば、究極の目的・目標の指標と、今やろうとしていることが直接影響を与えることができる指標を自分で設定しなさいと。これはなかなか難しいと思うんですね。先に指標を与えると、やることを決めてしまうことになってしまうんで。そういう構造を考えたらどうかなというのが1点です。

 もう一つは、いろんな研究をやって、使ったデータと出てきた結果をどう報告するかというところは、中身によって全く違うんで難しいとは思うんですが、あまりにも出てくるデータ、結果の書き方が自由で、全く継続性が難しいとか評価もできない、何もできないということになりますから、精神論でいいと思うので、報告書にはこういう趣旨のことをちゃんと書いてくださいねというのをやることと、何を使ったんだっけというところが、もう少しはっきり書けるといいかなと思いました。

 以上です。

【吉川室長】 後段の御指摘は、資料3-4ですと32ページで、6.が情報の整備で、7.が国民へのアウトリーチです。ここの両方にかかる課題かなと思います。今は書いていないです。だから、いただいたところは具体的に書き込んでいくのかなと思います。研究成果をわかりやすく提供する際に、一定の哲学というか、考え方に従って提供するといったような話でしょうか。

【荻本委員】 よくわからないですけど、ある言い方をするとすれば、論文を書くお作法の領域のような気がするんですけれども。最終的には、誰かが再現できるようなことでやってくださいねというのが普通の言い方だと思うんで。でも、それはきついかもしれないんで。ただ、そういうのがないと書きやすいことだけ書いて、評価もできなければ再現もできなくてというのが多いとまずいなという気がします。

【安井委員長】 環境研究って、いろんなものがあるからね。どこをどう書くのか、その辺はどうしよう。

【荻本委員】 精神でしか書けないかもしれない。指定はできないと思うんで。

【安井委員長】 そうですね。再現性が一番高い分野って、環境研究だとどこなんだろうな。そこから始まって、ほとんど期待できないところまで一杯あるから。特に人間を扱い始めたりすると。人の集団とか。

 趣旨はわかったようでございますけど、文章は直接相談させていただいたほうがいいのかもしれないね。事務局が文章をつくって、それで荻本先生と相談しないと無理かもしれないね。

【吉川室長】 そうですね。そうさせてください。先生のいただいている意図をきちんと踏まえられるかどうか、御相談しながら。例えば研究のコミュニティーで、自主的に進むといい話のような気もしますので、行政がたがをつくるみたいな話でも、そこは「国費で入っているものについては」とか、そういうふうに組み立てるのかもしれません。私も今、アイデアがうまくまとまっておりませんので、御相談させてください。

【安井委員長】 環境研究も、最後は応用研究の一つなんじゃないかと思うんですよね。ここの社会でこうやってみたら、ここでは使えるみたいなことが読めないと、あまり価値がない。ここは非常に特異なある社会で、そこだけ成立することがありましたというのは、歴史学等ではおもしろいのかもしれないんだけど、人類学でもおもしろいのかもしれないけど、環境の場合には、別の社会にも移植ができるという話なんじゃないかな。その辺も考え方だけどね。文化人類学と環境の違いって、そんなもんじゃないかという気がするんだけどね。その辺は人によって考え方が違うかもしれない。

【甲斐沼委員】 そんな大きな話じゃないですが、シナリオ研究のところでIPCCのデータベースというのがありまして、シナリオについては、今、IIASAという研究機関にデータベースを使って、将来シナリオをつくる人は、みんなそこに、決められたフォーマットで登録することになっていて、いろんなシナリオを比較検討するのが非常に楽になっています。シナリオに関するプロジェクト、いろんなプロジェクトがありますが、ほとんど全部といってよいプロジェクトがデータベースに登録するような仕組みになっています。

 それは森田さんが2000年のころにつくられたものがもともとです。いろんなシナリオを集めて。ただ、日本の場合は、環境研が最初作成していましたが、高村さんからも指摘がありましたように、なかなかデータベース専任の人を雇うことができなくて、また、データベースについては研究というわけにもならないので、結局、IIASAでデータを集めるようになりました。IIASAではデータベースに詳しい方がおられ、その人が全部引き継いでやってくださっています。

 これもシナリオなので数値ができるので、理論的な話とはまたちょっと違ってくると思いますが、ただ、いろいろシナリオがあって全然違うフォーマットでみんな書いていて、それを一つのフォーマットに、これに全部書いてくださいというのは、変換も結構面倒ですが、今は、プロジェクトの最初から統一的なフォーマットに入れるような形になっているので、割とデータの積み重ねができるというような状況になっています。御参考までに。

【安井委員長】 その部分というのは、AR6に載せたいとか、そういう動機があるから行くんだよね、きっとね。それだけパワーがあるかということだな、こっち側に。ないかもしれない。

 さて、あまり引き延ばしても生産性が上がりませんので、ぼちぼちやめてもいいかなと思いますけど、今後の予定をお願いします。

【寺西調整係員】 今後の予定に関して説明させていただきます。

今回御意見をいただきました内容を踏まえまして、この答申案の文章を書き直し、来週の7月24日に総政部会がございますので、そちらで報告という形に持っていけるように事務局で修文していく予定でございます。

【安井委員長】 またまた大変な作業になってしまうんですけど。そうでもないかな。何とか御期待には応えられるように。ただし、皆さんの御了承をとっている暇はないかもしれないということでございまして、本当を言うと事務局一任と言いたいんですけど、そういうわけにいかないんで、また例によって委員長一任という形とさせていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。事務局からいろいろコンタクトがございましたら、ぜひぜひポジティブにお答えをいただければと思う次第でございます。よろしくお願いします。

 私の役割は終了と。事務局、お願いします。

【吉川室長】 委員長、ありがとうございます。先生方、本日は貴重な御意見、ありがとうございました。今日いただいた意見はまだ反映できますので、いただいた御意見を踏まえまして安井委員長と事務局で文章をつくり、また個別に幾つか御相談させていただくところもあるかなと思いますが手続を進めてまいります。引き続き、よろしくお願いいたします。

 本日の議事録ですが、この委員会は今日が一連の審議の最後の会になっておりますので、メールで御確認をさせていただきまして、ある時点でホームページに公開させていただくことになるかと思います。

 ということで、本日、報告案について御意見をいただきまして、この委員会としての修正がこれから入るわけですが、報告案が取りまとまりましたので、最後に環境省総合環境政策局長、小林より挨拶を申し上げます。

【小林局長】 総合環境政策局長の小林でございます。

 本日は大変お忙しい中を、今年2月から回数を重ねて、推進戦略につきまして御審議を賜りまして、誠にありがとうございました。

 事務局からの紙ですと、新たな環境研究、環境技術開発の推進戦略について、おおよそ取りまとめていただくことができましたと書いてあるんですが、今日はいろんな課題ですとか、これからのいろんな可能性も含めて御提言をいただいて、これを現時点でまとめていくというようなところまで持ってきていただきまして、大変ありがとうございました。

 前回は平成22年6月に答申をいただいて、それ以来ということでございますが、環境をめぐる情勢というのは大変大きく変わっていると思います。大きく言いますと、昨年7月に中央環境審議会から低炭素、それから循環、共生、津波などの統合的なアプローチで循環共生型社会をつくっていく、こういうような意見具申もいただいたところでございまして、これをどういうふうに実現していくかというところは、今、取りかかったところだと考えておりますが、こういった方向性を踏まえた大局的なまとめをしていただいてきたと思っております。

 特に、2050年は長期ということでありますし、2025年から30年、中期がどういう社会であるべきかというようなことも、いろんな御提言があったわけでございますが、具体的な形で具現化もしていただいたというようなことも含めまして。それから、今日も調査研究の話で、それが政策にどうつながるかということですので、今回の御審議を通じて政策のあり方ですとか評価、持っていき方についても、いろんな課題があるということを改めて感じた次第でございます。

 そういうことも含めまして、この環境研究・技術開発の大きな方向性、それから、これを支えていきます資金制度とか国環研のあり方などについても盛り込んでいただいておりますので、これらを踏まえて、これから時代の岐路にあって、環境研究・技術開発が一層進んでいくように、これからも頑張ってまいりたいと思っております。

 このまとめにつきましては、もうしばし御尽力、御援助をいただくということになりましたので、引き続きお願いをいたしまして、何とかここで一つ締める形で、これからにつなげてまいりたいと思っておりますので、お礼を申し上げますとともに、また今後も引き続きお願いを申し上げまして御挨拶とさせていただきます。どうも、本当にありがとうございました。

【安井委員長】 それでは閉会とさせていただきます。ありがとうございました。