中央環境審議会総合政策部会  環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第12回)  会議録

日時

平成27年2月20日(金) 17:00~19:00

場所

環境省 第1会議室

議題

  1. 1.開会
  2. 2.議事
    1. (1)新たな「環境研究・技術開発の推進戦略について」の策定について
    2. (2)その他
  3. 3.閉会

配付資料

【資料】

資料1 中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会委員名簿 
資料2-1 環境研究・環境技術開発の推進戦略について(諮問)
資料2-2 環境研究・環境技術開発の推進戦略について(付議)
資料3-1 新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」策定の経緯
資料3-2 「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」(平成22年6月22日中央環境審議会答申)の概要
資料3-3 環境研究・環境技術開発の推進戦略 平成26年度総括フォローアップ結果(概要)
資料3-4 低炭素・資源循環・自然共生政策の統合的アプローチによる社会の構築 ~環境・生命文明社会の創造~(概要)(平成26年7月中央環境審議会意見具申)
資料3-5 新たな「環境研究・技術開発の推進戦略について」の策定に関する第78回総合政策部会での主な意見
資料4 環境研究・環境技術開発を取り巻く現状について
資料5 新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略に関する論点(案)
資料6 新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略の策定に向けた今後の予定(案)

【参考資料:机上配布】

参考資料1-1

環境研究・環境技術開発の推進戦略について(平成22年6月22日中央環境審議会答申)

参考資料1-2

環境研究・環境技術開発の推進戦略 平成26年度総括フォローアップ結果(平成26年11月環境政策局総務課環境研究技術室)

参考資料2-1

環境基本計画(平成24年4月27日閣議決定)

参考資料2-2

第四次環境基本計画の進捗状況・今後の課題について(第1回点検結果・抜粋)

参考資料3

低炭素・資源循環・自然共生政策の統合的アプローチによる社会の構築~環境・生命文明社会の創造~(平成26年7月中央環境審議会意見具申)

参考資料4-1

科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定)

参考資料4-2

第4期科学技術基本計画フォローアップ(概要)(平成26年10月22日総合科学技術・イノベーション会議決定)

参考資料5

科学技術イノベーション総合戦略2014(概要)(平成26年6月24日閣議決定)

参考資料6

環境エネルギー技術革新計画(平成25年9月13日総合科学技術会議決定)

参考資料7

SDGs/ポスト2015開発アジェンダについて

参考資料8

Future Earthについて(日本学術会議パンフレット)

出席者

委員:

安井 至委員、岡田光正委員、白石寛明委員、高村典子委員、荻本和彦委員、

指宿堯嗣委員、甲斐沼美紀子委員、谷口 守委員、塚原正徳委員、松藤敏彦委員、

森本幸裕委員、山口耕二委員

オブザーバー: 一般社団法人国際環境研究協会 鷲田研究主監
環境省: 小林総合環境政策局長、中井大臣官房審議官、上田総務課長、

吉川環境研究技術室長、宮下環境研究技術室調整係員、嶋田環境研究技術室調整係員

議事

【吉川室長】 環境省総合環境政策局環境研究技術室の吉川でございます。定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会総合政策部会第12回環境研究・技術開発推進戦略専門委員会を開催いたします。

 本日はお忙しい中、皆様、ご出席賜りまして誠にありがとうございます。お礼を申し上げます。

 本専門委員会の開催に当たりまして、環境省総合環境政策局長の小林より挨拶を申し上げます。

【小林局長】 環境省総合環境政策局長の小林でございます。

 専門委員の先生方には、大変お忙しい中ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。また、こうやって拝見しますと、各分野で日ごろから大変お世話になっている先生方ばかりでございまして、これを結集して、環境研究、技術開発の大きな方向性を見出してきたと、こういうことでございます。

 ご承知のとおりでございますが、平成22年6月に環境研究・環境技術開発の推進戦略についてということで答申をいただきまして、この間、これに基づいて進めてまいったわけでございますが、この数年の間にも大変大きな変化がございました。大変大きなものとしては、特に、東日本大震災がございまして、これからの復旧・復興ということも環境行政上の大きな課題になっております。また、地球温暖化問題はかねてからの大きなテーマでございましたが、予想以上にというか、私などからしますと、本当に予想以上に、その進展というのは急速で厳しいものがあるのかなというようなことも実感している次第でございます。

 また、社会を取り巻く情勢も、少子高齢化、あるいは、地域がどうなっていくのかというようなことで、地方創生というようなことも大きな課題になっておりまして、そういう意味で、大きな変動期にあるのかなということを感じているところでございます。

 また、中央環境審議会のほうから昨年7月に意見具申をいただきまして、低炭素・資源循環・自然共生政策の統合的アプローチによる社会の構築という大変大きな命題をいただいております。低炭素社会、循環型社会、生物多様性を大事にしていく社会というものを総合的に見ていく必要があるということと、それから、特に、環境と経済を両輪でやっていかなければいけないということは相当共通認識になってきておりますが、社会的課題に応えていくという環境・経済・社会、これを統合的に見ていって初めて本当の答えが出てくるのではないかと、こういうことでございまして、環境基本計画などでかねてから言われたことでありましたが、本腰を入れて取り組むのはいよいよこれからということでございます。今、これを具体化していくいろんな取組をしているところでございますが、その中でも、この審議会からいただきました提言の中でも六つの基本戦略というものがあるわけでございますが、その中で、あるべき未来を支える技術の開発・普及というものも位置づけられております。ちょうどタイミングとしては、LEDに関わられた研究者の先生方がノーベル賞を取られたりとか、技術の進展というものも非常に大きな力があるということも国民が今大きく感じていると、こんな情勢にあろうかと思っております。そういう中にありまして、ぜひこの環境研究・技術開発というものをより効果的で大きな力を持つような形で発展させていきたいというふうに考えておりまして、その新たな戦略づくりにつきましての諮問を環境大臣からさせていただいたということでございます。どういう大きな方向性で進むかということもございますし、それを支えていく資金制度でありましたり、いろんな仕組み、また、国立環境研究所というものも環境省を大きな支えていただく存在としてございますので、そういうものを広く視野に入れてぜひご議論をいただきまして、この夏ごろを目処といたしまして答申をまとめていただければ大変ありがたいというふうに考えているところでございます。

 今日はそのキックオフの会議ということでございますが、大所高所からのいろんなご意見を賜りまして、ぜひいい方向に導いていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

【吉川室長】 この専門委員会の前回の開催は平成22年4月です。5年たっておりますので、委員の改選がその間に中央環境審議会でございました。ですので、委員の皆様、それから、私ども事務局の紹介を申し上げたいと思います。

 まず、委員長には、中央環境審議会議事運営規則第9条2項の規定に基づきまして、総合政策部会長より、独立行政法人製品評価技術基盤機構理事長の安井至委員がご指名を受けていらっしゃいます。先生、ご挨拶をよろしくお願いいたします。

【安井委員長】 座ったままで失礼いたします。そろそろ引退すべき年齢に到達しておりまして、事実、独法のNITEもあと40日でやめることになっております。しかし、中環審は、実を言うと、この間改選があって、なぜか残ってしまいました。それは微妙なタイミングの体制でございます。

 ここでそういうことになりまして、これを指名されました理由でございますけど、恐らく、自分で幾ら何でも研究費は要らないから、公平な判断をするだろうと。しかも、弟子というのがあまり環境分野にいない。私の弟子の大部分は材料なものですから、いないので、それで、多分弟子のために何かをやることもないだろうと。これは公平でございますね。あと、環境の雑学に関しては結構そこそこのレベルにあるとはいえ、しかしながら、環境分野というのはやっぱり広過ぎまして、特に、最近は放射線まで入ってしまったなんということでございますので、本日ご出席の皆様、各分野のエキスパートでいらっしゃる皆様の専門知識におすがりをして、ぜひいいものをつくらせていただきたいと思う次第でございますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

【吉川室長】 ありがとうございます。

 続きまして、本専門委員会にご所属いただきます委員の皆様方につきましては、これも中央環境審議会令第3条第2項及び第6条第2項の規定に基づきまして、既にご審議をいただいておりますが、お手元の資料、議事次第、配付資料一覧を1枚めくりますと資料1がございます。資料1が委員名簿でございまして、本日ご出席の委員の方をこちらの名簿の順に沿いましてご紹介させていただきます。

 まず、放送大学教授、岡田委員でございます。

 独立行政法人国立環境研究所の白石委員でございます。

 続きまして、独立行政法人国立環境研究所の高村委員でございます。

 早稲田大学の大塚臨時委員、本日はご欠席の旨を伺っております。

 東京大学の荻本臨時委員、ご出席の予定でありますが、遅れておられるようでございます。

 続きまして、専門委員、一般社団法人産業環境管理協会の指宿専門委員でございます。

 独立行政法人国立環境研究所の甲斐沼専門委員でございます。

 筑波大学の谷口専門委員でございます。

 続きまして、一般社団法人日本産業機械工業会の塚原専門委員でございます。

 北海道大学の松藤専門委員でございます。

 京都学園大学、森本専門委員でございます。

 三友プラントサービス株式会社の山口専門委員でございます。

 また、オブザーバーといたしまして、環境省競争的資金プログラムディレクターであります一般社団法人国際環境研究協会の鷲田研究主監にご出席いただいております。

 続きまして、本専門委員会の事務局を紹介させていただきます。

 先ほどご挨拶いたしました、総合環境政策局長の小林でございます。

 続きまして、大臣官房審議官、中井でございます。

 総合環境政策局総務課長の上田でございます。

 環境研究技術室の宮下でございます。

 同じく、環境研究技術室の嶋田でございます。

 議事に入ります前に、お手元の配付資料ですが、冒頭の議事次第に一覧が記載してございます。また、参考資料として分量が多いですので、ファイルにとじまして机の上にございます。これは机上配付としております。次回以降もこれは事務局で用意しますので、会議が終わりましたら、このファイルは机の上に置いておいていただければ、また次回に用意させていただきます。資料の逐一の確認はここではいたしませんが、不足等が途中でございましたら、事務局でその都度お申しつけいただきましたら、そこで用意させていただきます。

 カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただければと思います。よろしくお願いします。

 それでは、これ以降の進行は安井委員長にお願いいたします。

【安井委員長】 それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、本日は、先ほどご紹介がございました、平成22年6月に策定されました環境研究・環境技術開発の推進戦略、その改定ということの最初の会議でございます。本日は全体的にはいろいろ説明資料がございますが、最初のうちはご質問だけをいただいて、それで、一通りご説明が終わりました後でいろいろと議論をいただくと、そんなような感じかと思っておりますので、ひとつよろしくご協力をお願いしたいと思います。

【吉川室長】 先ほどまで各先生のご紹介をさせていただきました。ただいまいらっしゃいました東京大学の荻本臨時委員でございます。

【安井委員長】 よろしくお願いします。

 それでは、まず説明をいただきます。15分ぐらいですか。よろしくお願いします。

【嶋田調整係員】 私から、資料2及び資料3の関連につきましてご説明いたします。

 恐縮ですが、座ってご説明いたします。

 まず、資料1は名簿でございましたけれども、その次の資料2-1は諮問文でございます。こちらは、昨年11月18日付の、今回の新たな推進戦略の策定に関する環境大臣から中央環境審議会会長への諮問の文書でございます。

 中ほどにあります諮問理由を読み上げます。

 環境分野の研究及び技術開発は、直面する様々な環境問題の解決に向け、「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」(平成22年6月中央環境審議会答申)に沿って進められてきた。

 昨今、気候変動問題への対応、災害への対応等、持続可能な社会の構築に向けて我が国の環境研究及び環境技術開発が果たすべき役割は一層大きくなっており、取り組むべき研究及び技術開発の重点化等を図りながら、より効果的に推進することが必要となっている。

 このため、環境研究及び環境技術開発を効果的に推進するための新たな戦略はいかにあるべきか、貴審議会の意見を求めるものであるというものでございます。

 続いて、資料2-2は、資料2-1の諮問について、中央環境審議会からその下の総合政策部会に付議された文書でございます。この後ご説明いたしますが、11月26日の総合政策部会におきまして、本専門委員会にこの諮問について付託がなされております。

 続きまして、資料3-1でございます。こちらは、環境技術・環境技術開発の推進戦略についての今回の改定についての経緯をまとめたものでございます。この資料で細かな説明があるトピックもございますので、概略についてご説明申し上げます。

 まず、新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」の策定の経緯ということで、中央環境審議会では、科学技術基本計画ですとか環境基本計画の策定状況等を踏まえました環境大臣からの諮問を受けまして、平成18年、平成22年と環境研究・技術開発の方向性を答申していただいております。平成22年6月に答申されました現行の戦略については向こう5年間の対象期間ということでありまして、平成27年度にその期間を終えることになります。これを機に新たな戦略についてご議論をいただきたいというのが、今回の新たな戦略のご議論の背景でございます。この戦略の中身につきましては後でご説明いたします。

 続きまして、政府全体の科学技術政策についての動向ということで、内閣府総合科学技術・イノベーション会議では、「成長のためのイノベーション」を重視した政策をここ数年推進しております。昨年6月に閣議決定されました「科学技術イノベーション総合戦略2014」、こちらは参考資料にも一応概要版をとじておりますが、こちらでは、科学技術イノベーション政策の役割として以下の3点を挙げています。経済再生を確実にする原動力になること。また、将来の持続的発展のブレークスルー、グローバル経済社会でのプレゼンス向上の切り札といったことが挙げられています。この戦略の中で、環境研究・技術開発関連では、再生可能エネルギーの供給拡大でありますとか、革新的デバイスの開発による効率的エネルギー利用、省エネの話ですとか、あとは、モニタリングとその利活用ということで、衛星による地球環境観測などを主に想定していますけれども、そういった記載でありますとか、持続的な成長に貢献する資源循環・再生といった項目が入っております。また、こちらは、今まさに議論がなされているのですが、第4期の現行の科学技術基本計画が平成28年度に改定時期を迎えるため、今年度の後半、昨年の12月ぐらいからですけれども、次期科学技術基本計画について検討が始まっております。10月22日の総合科学・イノベーション会議におきまして、次期科学技術基本計画に向けた検討事項として、例えば次の四つを示しております。イノベーション人材の育成・流動化。組織・制度の改革。研究資金の改革。イノベーションの協働の深化と地域からの創発の推進などといったトピックが使われております。

 裏面に参りまして、環境政策の基本的な考え方というところですけれども、現行の答申が平成22年6月に出ておりますので、その間にまず環境基本計画が変わっております。これが平成24年4月でございます。さらに、先ほど局長のご挨拶にもございましたけれども、平成26年7月に「低炭素・資源循環・自然共生の政策の統合的アプローチによる社会の構築」が意見具申をされております。こちらの内容については、後ほど、別の資料でご説明をいたします。

 続きまして、4ポツ、環境研究・技術開発を支える制度・組織に関する動向ということでございます。現行の推進戦略の実施状況については、毎年フォローアップ調査を実施しておりまして、今年度は平成22年以降の状況を「総括フォローアップ」として整理をしております。後ほど、資料3-3でご説明いたします。また、環境省では、環境省が持つ競争的資金制度であります「環境研究総合推進費」について、おおよそ5年おきに実施しております制度評価の年にも当たっておりまして、運用改善に向けた検証を進めております。また、国立環境研究所に関しては、現行の中期計画・中期目標が平成27年度で終期を迎えますので、来年度からは次期中期目標・中期計画の議論が始まります。さらには、来年度(27年度)の4月1日から独法通則法が改正されるということで、組織のあり方も変更になるということでございますので、こういった状況も踏まえていくことになるということでございます。

 続きまして、資料3-2でございます。こちらは今の答申の概要でございます。表紙をめくっていただきまして、戦略の位置づけでございますけれども、環境基本法の下に環境基本計画がまず策定されまして、直近では平成24年4月でございます。一応それに紐づくという形でございまして、現行の中環審の推進戦略がございます。この中では、目指すべき中長期的な社会像を提示した上で、5年間で重点的に取り組むべき環境研究・技術開発の課題を整理しています。また、推進方策についても提示をしています。実は、この答申は、横目で科学技術基本計画を見ていたりということになっております。また、この答申は、競争的資金である環境研究総合推進費の課題公募の際に活用されたりですとか、国立環境研究所の研究・技術開発にも活用されており、また、それ以外の環境省の研究・開発施策にも生かされているというものでございます。

 次のページに参りまして、推進戦略の策定とフォローアップの体制についてでございます。総合政策部会から本専門委員会に付託をしていただきまして、平成22年6月に答申を出していただいたわけですが、その後、平成23年度以降、本日ご出席いただいていますけど、岡田先生を委員長としますフォローアップ検討会という検討会で、毎年この推進戦略の実施状況について調査をし、結果を整理しております。この結果については、環境省の競争的資金であります環境研究総合推進費の新規採択課題の公募の要領にこの内容を反映させまして、その年その年で進んだところ、必ずしも進んでいないけれども進めるべきであるところを課題公募に入れ込んでいく形で反映していくという体制で動いておりました。

 次のページからは、今の答申の概要でございます。基本的な考え方としては、中長期の「あるべき持続可能な社会の姿」を念頭に置き、そこから少しずつ引き戻していきまして、5年間で必要な研究課題というものをピックアップしていくということでございます。また、世界トップレベルの環境技術を活かした「世界への貢献」と「成長」、技術を「社会実装」、イノベーションということが言われております。

 次のページは、重点課題でございます。全部で17の重点課題を設定しておりますが、環境分野の比較的個々の分野になります、脱温暖化、循環、自然共生、安全という四つの分野のほかに、それぞれの分野にまたがるような内容であるところの領域横断ですとか、全ての領域にまたがるような非常に大きなビジョンを描いたりする、あるいは、環境教育に関する内容であるというのは、全領域共通という領域を設定した上で重点課題を設定したというのが当時の戦略の特徴でありました。

 次に、推進方策でございますけれども、こちらは、重点課題がいわゆる課題のターゲティングであれば、こちらは、どのようにその課題を実現していくかということを定めた内容でございまして、競争的資金制度の改革でありますとか、国立環境研究所による取組の強化、地方環境研究機関を巻き込むでありますとかといったことについて記載がございました。

 資料3-2につきましては以上でございます。

 この戦略に基づきましてどういった研究が実際に行われてきたかというのが、資料3-3にまとめましたフォローアップ結果の概要でございます。このフォローアップの結果につきましては冊子を参考資料でおつけしておりますけれども、本日はこちらの概要でご説明を申し上げます。

 表紙をめくっていただきまして、先ほどご説明申し上げました個別の4領域と、さらに全領域共通と領域横断という六つの領域が設定されておりましたので、こちらについて概観を示しております。

 まず、脱温暖化の分野に関しまして、こちらでは、非常に大きなイベントとしまして、FITの開始でありますとかエネルギー基本計画、IPCCの第5次評価報告書の公表、また、最近は特に動いておりますけれども、COP21に向けた検討等々の動きがございました。大きな動きがある中である程度取組が進んできているところと申しましては、再生可能エネルギーの技術の高効率化ですとか低コスト化、また、気候変動に関する観測・予測・評価といったところが進展をしています。また、今後さらに省エネ・再エネ技術の更なる高度化・低コスト化、これは引き続き取り組むべきであるということであるとともに、気候変動の観測・予測・評価といったものを実際の政策にどんどん活用していくようなつなぎということも必要になってくるであろうということが言われております。

 循環の分野に関してでございますけれども、こちらは、東日本大震災の災害廃棄物処理でありますとか、循環型社会形成推進基本計画が決定されたり、あるいは、小型家電リサイクル法の施行がされたりというようなことがここの5年の動きとしてございました。その中で、レアメタルの回収率の向上ですとか、災害廃棄物の処理に関する知見の集積等々がかなりなされてきているというところでございます。今後取り組むべきものとして、3Rを支えるシステムですとか、リサイクル・廃棄のときの有害物質の処理でありますとか、熱回収のシステムですとか、そういったことについても引き続き研究開発が必要であるということになっております。

 続いて、自然共生でございますけれども、こちらは、大きなイベントとしまして、生物多様性条約の第10回の締約国会議ですとかIPBESの設立ですとか、生物多様性国家戦略が策定されたりといったような動きがございました。こういった動きの中で、アジア規模での生物多様性の観測・評価・予測でありますとか、水環境に関する面的対策といった研究は比較的進展しているとされており、今後、生物多様性の保全策でありますとか、里地・里山といった二次的な自然の保全、また、外来種の防除などについての研究が必要ということになっております。

 安全の確保でございますけれども、こちらの領域は、エコチル調査の開始でありますとか、東日本大震災後のさまざまな放射性物質の関連も含めました対応でありますとか、PM2.5などの大気汚染の問題への注目が集まっております。また、水銀に関する水俣条約が採択されたといった動きもございます。こういった状況の中で、化学物質の感受性に関する基礎的研究でありますとか、PM2.5等の越境大気汚染のデータの蓄積等は一応進展しているされており、今後取り組むべきこととして、化学物質の複合ばく露による健康リスク評価でありますとか、汚染物質の処理でありますとか、重金属類、水銀等がいよいよ対策が本格化するわけでございますけれども、そういったところの研究が必要ということになっております。

 これらの個別領域にまたがっていくような2領域でございますけれども、全ての領域に共通する部分ということで、今まさに議論が進められておりますが、SDGsに関する関連の研究というのが今年度から始まるところかと思います。また、アジア地域との国際連携ということも、これは、環境省に限らず、さまざまな方面で進展が進んでおります。今後のIPCCへのさらなる貢献でありますとか、低炭素型の都市開発でありますとか、二国間クレジット制度等の活用に向けた研究技術開発が引き続き必要ということになっております。

 次に、領域横断というところでございますけれども、これは、個別領域のある意味そのコンフリクトになっているような部分を解消するような技術でありますとかというものを想定しておりますので、自然環境、安全に配慮した再生可能エネルギー技術の開発に関する研究、これは、大分進展してきているというところでございます。一方で、気候変動による生物多様性の損失の経済効果等々はまだ取組が必ずしも十分ではないところというのもございますので、そういったところも今後取組が必要であろうということになっております。

 次のページ以降は、17の重点課題それぞれについて進展が見られるテーマと今後取り組むべきテーマということで書いておりますが、申し訳ございません。時間の関係がございますので、全てを読み上げるということは割愛させていただきますが、進展が見られるテーマと今後取り組むべきテーマというふうに分けさせていただいていますが、進展が見られるテーマ、これは必ずしも終わってしまった研究というわけでは必ずしもなくて、今後も必要ではあるけれども、少なくともこの5年間の間では進展は見られるであろうということを選び出しているというものでございます。

 最後のページに行っていただきまして、重点課題と、もう一つ書いておりまして、推進方策に関するフォローアップ結果でございます。

 1ポツの研究・技術開発領域間の連携ということで、「環境研究総合推進費」の創設ということでございまして、もともと、環境省の競争的資金は四つほどに分かれておりましたけれども、現在、エネルギー対策特別会計で実施しております温暖化の緩和に関する技術開発のほうは別事業になっておりますが、それ以外の三つの資金というのは全て統合されて運用されております。ですので、そういった形で領域にまたがるような研究というのは、ある種しやすいような状況に少しずつなってきているところでございます。また、2ポツの産学官、府省間、国と地方との連携というところで、国立環境研究所と都道府県の環境センター等との共同研究というのも、これも実際になされているところでもございますし、「地球観測連携拠点」ということで、これの温暖化分野の運営もなされているというところでございます。

 また、5ポツの研究・技術開発の成果の施策への着実な反映ということで、こちらは、環境研究総合推進費において、この研究成果について、単に報告書として出すのだけではなくて、行政職員向けの「政策決定者向けサマリー」というものの提出を義務化したりというような取組も始まっております。まだまだそのアウトリーチは必ずしも十分ではないというご意見もあるかとは思いますけれども、一応こういった形で改善は進んできていると。一方で、今後必要なことということに関しましては、ぜひ今後ご意見をいただきたいというところでございます。

 資料3-3に関しましては以上でございます。

 続いて、資料3-4でございます。こちらは、昨年7月に中央環境審議会から意見具申をいただきました低炭素・自然循環・自然共生政策の統合的アプローチの概要資料でございます。全体版につきましても、参考資料3にとじさせていただいておきますけれども、今回は資料3-4でご説明申し上げます。

 我が国が直面する環境面、経済面、社会面での複合的な諸課題に切り込むアプローチとしまして、低炭素・循環・自然共生施策の総合的アプローチという考え方が示されたところでございます。まず、ポンチ絵のビジョンと書いているところでございますけれども、100年後までを見通した新たなパラダイムとして、環境負荷の少ない循環を基調とする社会経済ですとか、こちらも丸で書かれていますけども、こういった項目が示されておりまして、この中で、日本の技術力を生かした地域・世界への貢献ということもビジョンの一つに組み込まれております。

 このビジョンを実現する戦略として、中ほどの六つの柱で示されております基本戦略というのが示されております。この中で、右から二つ目の環境技術という項目がありまして、内容としては、持続可能なエネルギー資源の生産・消費。地域振興、社会システム・ライフスタイル変革の実現。我が国の先進的な環境技術の国際的展開といったことがうたわれております。また、この戦略を進めるための政策の考え方としましては、基盤として、安全を確保する政策、また、その上に、低炭素・資源循環・自然共生政策の統合ですとか、連携を推進するということとされております。さらに、これらの政策については、関係省庁と政策連携を目指してステージアップを図るというようなことで、こちらの意見具申が示されております。

 めくっていただきまして、2枚目は、「6つの基本戦略」を技術、社会システム、ライフスタイル、それぞれのイノベーションを軸として、左側が地域、右側が世界ということでありますけれども、そういったさまざまな空間スケールに展開していくというところの概念図が示されております。

 3枚目でございますけれども、こちらは、「6つの基本戦略」を地域スケールに投影した概念図でございます。農山漁村ですとか都市内でのエネルギーですとか、物質循環を実現しながら、ただ、それぞれの地域特有の資源でありますとか強みでありますとか、ほかの地域に提供しながら成り立っていく社会ということで、中央の赤字でございますけれども、地域循環共生圏という概念が示されております。

 中央環境審議会の意見具申に関する説明につきましては以上でございます。

 続きまして、このパートの最後の資料になります資料3-5でございます。こちらは、中央環境審議会総合政策部会におきまして、本諮問につきましてご議論いただいた際にいただいた主な意見でございます。大きく、研究テーマと研究開発に関する人材・資金・組織についてというふうに大別されます。研究テーマについては、基盤的研究を充実すること。また、低炭素技術の都市・地域への面的導入に向けた支援を図ること。温暖化の最悪シナリオに関する研究ですとか、環境に関する国際社会のガバナンスに関する研究。また、研究・技術開発の成果を社会実装する際に、それを支える金融技術というものも開発すべきではないかというご意見がございました。

 また、人材・組織・資金に関しては、若手研究者、また、分野統合的な研究者の担い手を育成すること、政策研究と自然科学系の研究の融合、水俣条約への対応、民間企業でありますとか、地域住民などさまざまなステークホルダーが関与する仕組み。国際的下に立った基礎的研究から応用・産業化までの研究まで政府一丸となった取組が必要。また、民間企業との連携・オープンイノベーションによる研究開発も必要ではないかというようなご意見を賜ったところでございます。

 以上、現行の答申でありますとか、検討の背景でありますとか、につきましてご説明を申し上げました。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまのご発表というか、ご報告いただきました資料に関しまして、ご意見は後で別途いただきたいと思いますが、何かご質問等がございましたら。後でまとめてやるという手もあるのですけど、とりあえず、今、何かございませんか。よろしゅうございますか。一応時間はとってはありますが、いいですか。

(なし)

【安井委員長】 これは後から戻るのもありということで、それでは、先に進めさせていただきまして、続きまして、次は、新たな推進戦略についてということのご説明をいただきたいと思いますが、再び事務局からのご説明をお願いしたいと思います。

【嶋田調整係員】 引き続きまして、資料4からご説明をいたします。

 こちらは、本日以降のご議論のご参考としていただくためのデータ集でございます。表紙をめくっていただきまして、まず初めは、官民の研究開発投資額の推移でございます。総務省が毎年調査を行っておりまして、それによりますと、官民の研究開発投資総額というのは17兆円から18兆円程度で推移をしていますと。そのうち、企業が7割、大学が2割、非営利団体・公的機関が1割程度というような比率になっております。

 次のページでございますけれども、環境・エネルギー分野における研究開発投資額の推移ということで、この総務省の統計では、分野ごとにある程度切った投資額というものも一応集計をしておりますので、そちらの環境・エネルギーの分野についてグラフで数字を付しております。このグラフをご覧いただく際にちょっとご留意いただきたい点としまして、この統計なんですけれども、重複を認めております。その研究費に対して、例えば、環境にも関連する、エネルギーにも関係するという場合には、両方計上せよという回答欄の書き方になっておりますので、実際には重複が発生しております。ですので、環境分野で1兆円、エネルギー分野で1兆円が全く別々に計上されているかというと、そうではありません。そこの切り分けについては、この統計ではちょっとわからないですけれども、そういった性質のものであるということをご理解いただければと思います。という前提でご覧いただければと思うのですが、環境分野、エネルギー分野、それぞれ1兆円程度を官民で研究開発投資がされているというところでございます。

 次のページに参りまして、主体別の投資額ということで、環境分野に関しては、全体の約9割が実は企業による投資であると。非営利団体・公的機関と大学というのはほぼ同じ規模、5%ずつぐらいというようなことになっております。

 次のページのエネルギー分野に関しましては、若干比率が変わりまして、非営利団体・公的機関の割合が増えると。民間企業の割合というのは6割ぐらいになるというような特徴でございます。

 続きまして、こちらは文部科学省科学技術・学術政策研究所の毎年行っております意識調査から抜粋してきたものでございますけれども、グリーンイノベーションの実現に向けて我が国で強化が必要な取組は何であるかということをアンケートしております。この中で、産学官による戦略や国家プロジェクトの実施でありますとか研究開発の選択と集中、実証実験の場の確保などが重要とする意見が多くございます。グラフをご覧いただきまして、赤いほうの棒が産業界の有識者のご意見、青いほうのグラフが大学・公的研究機関のご意見ということでございまして、若干傾向に違いはありますけれども、産業界のほうからですと、政府調達のところでありますとか、ベンチャー創業への支援といったところがやや突き出ている感じではあります。また、一方で、大学・公的研究機関のところですと、1番の産学連携でありますとか、選択と集中でありますとかがやや突き抜けているというような特徴はございます。

 続いて、次のページでございますけれども、政府全体の科学技術政策の動向ということで、過去の科学技術基本計画等における重点的課題の変遷をまとめております。科学技術基本計画が概ね5年を機に策定されておりますが、今の前の基本計画であります、第3期から一応、環境というのが重点推進4分野というものに挙げられておりまして、現行の基本計画でもグリーンイノベーションの推進というところで挙げられております。また、昨年に閣議決定されました科学技術イノベーション総合戦略2014においても、一番下の赤い四角ですけど、分野横断的技術として環境技術が挙げられています。また、一番上のオレンジのところで、クリーンで経済的なエネルギーシステムということで、ここで、再生可能エネルギーですとか省エネルギーに関して言及があるということになっております。

 続きまして、次のページでございますけれども、政府の科学技術関係予算の分野別の推移ということで、こちらは平成24年度分までしか実はデータがないのですけれども、こういったものを内閣府が取りまとめております。この中で環境の分野は概ね1,000億円、先ほどの資料と位どりが若干違っておりますけれども、環境分野は1,100億円か1,200億円前後で推移をしているということになっておりまして、エネルギーのほうに関しましては5,500億円から5,000億円弱ぐらいのところで推移をしているというところになっております。年度によって極端な変動というのは必ずしもないというような状況になっております。

 次のページでございますけれども、科学研究費補助金ということで、競争的研究資金の代表的なものでございますが、こちらの採択の状況でございます。こちらなんですけれども、グラフの右側に凡例を置かせていただいておりますが、この科研費の中ではこういった分類で採択件数のデータベースがございまして、その中で、今回は環境学という分野を拾ってきております。ただ、環境関連でも実はその工学でありますとか、生物でありますとか、農学でありますとかに入ってしまっている点は実際はあり得ますので、そういったところも込みでのデータであるというところでご認識いただければと思います。年間500件から600件前後で推移しておるというところでございまして、これは、科研費の新規採択の全体から言いますと2%前後ということで、これも実はほぼ一定で推移をしているというものでございます。

 次のページは、環境学という分類をもう少し細かく見てみた場合にどういうことになるかということでございますけれども、環境政策ですとか、環境社会システム等に関わる研究という課題というのは少しずつ増加をしていると。一方で、リサイクル工学でありますとか環境技術・環境材料等、環境影響評価等に係る課題というのは少しずつ減少しているのですが、こちらについては、ほかの学問分野に吸収されているという可能性もありますので、これは一応細かな傾向としてグラフでは出ているのですけれども、一応このグラフではそういった状況であるというところでございます。

 続きまして、環境研究総合推進費という環境省の競争的資金の概要でございますけれども、こちらはちょうど輪を描くような形になっておりますが、まず、年度の初めで申しますと、行政ニーズの特定という青い枠がございますけれども、まず、この推進費の特徴と申しまして、環境省内からこういう行政側のニーズがあって、こういう研究課題を出してほしいということで、行政ニーズというのをまず取りまとめます。その上で公募を実施します。左の上のほうに矢印が動きますけれども、公募を実施しまして審査を行いまして、研究開発を行うということになっております。また、その候補審査の段階でも環境省内の担当部局も入るということもございます。研究開発を実施しまして、その成果については、政策決定者向けサマリーということで環境省内にもフィードバックをしていったりということでもございますし、また、研究成果を公表して中間評価、事後評価等々も行っていきます。また、これらの動向を踏まえて、先ほど申し上げましたフォローアップ調査等々も実施をしていって、翌年度の公募の要領に記載をしていくというようなサイクルになっているということでございます。

 次のページでございますけれども、推進費の予算額の推移と領域別の内訳というものでございますが、推進費は、先ほど少しご説明を申し上げましたように、もともと三つに分かれていた研究費を徐々に統合していった制度でございまして、完全に統合されたのが平成23年度でございまして、このときは、実は一番予算額が多かったというところでございまして、近年予算額がじりじり減っているというところで、当室としても危機感を持っているところでございます。この金額はどのような領域に使えているのかということでの内訳が下の円グラフでございます。戦略的研究開発領域ということで、こちらは比較的1件の課題が非常に大きなものについて取り上げていて、地球温暖化の観測ですとか、あとは、越境大気汚染問題でありますとか、そういったことに多く割かれていると。直近ですと、沿岸海域の環境に関する研究というものを始まっておりますけれども、そういったところに比較的大きな案件に金を割いているというものでございまして、それ以外で見ますと、安全確保、化学物質でありますとか、水、大気、土壌の汚染対策の話でありますとかが10億円ぐらいと。その次は、循環、自然共生と脱温暖化が同じぐらいの予算と、全領域共通・領域横断が3億円程度というような内訳になっております。

 次のページに参りまして、国立環境研究所でございますけれども、こちらは茨城県つくば市にございます。昭和49年に国立公害研究所として発足をしまして、看板の掛けかえでありますとか、独立行政法人化等がございましたけれども、平成13年に独法になりまして、現在に至っているというところでございます。研究分野の概念図等々につきましてはこちらでお示ししたとおりでございますけれども、国立環境研究所ですとか、環境研究総合推進費のあり方等々については、今回は概略についてご説明しますが、次回以降にまた別途資料をご用意してご説明したいと思いますので、今回はちょっと駆け足になってしまいますが、概要について述べてまいりたいと思います。

 分野としては、八角形で書かれている分野がありまして、それにまたがる研究プログラムが研究者同士の連携によってなされているというような状況でありまして、また、震災以降は、赤枠に書かれております災害と環境に関する研究というものも始まっておりまして、こちらに関しては、実際にその現場で活用されたりといった実績もございます。また、その基盤となります環境研究の基盤整備といったことの取組も行われておりまして、これについては次のページ以降でご説明いたします。

 国立環境研究所の職員構成でありますけども、800人程度ということで、比較的小規模なのかなというふうに思いますけど、他省庁の独法の研究機関に比べますと、比較的小ぢんまりとした組織の体制になっております。

 次は運営費交付金の推移でございますけれども、ここ数年、衛星による地球環境観測でありますとか、エコチル調査の関係の交付金が入りまして、どんと増えているというところでございますが、大体こういった推移で動いているということでございます。主なトピックスとしまして、実は、ある程度その環境研究の大きな動きにも若干重なるところがありますので、ご説明しますけれども、エコチル調査ということで、環境の子どもたちに対する影響がどのようなものがあるのか、ないのかというようなことを非常に大きな母数の皆様にご協力いただきまして、追跡、後方等調査を行っていくというのがエコチル調査でございます。10万人というご協力いただく皆さんの数を達成したというのが、こちらのグラフでございます。

 次はGOSATの関連ということでございまして、衛星によりまして、二酸化炭素ですとかの温室効果ガスの観測を行う衛星を文部科学省、JAXA、そして、国環研が連携して運営を行っております。現在、GOSATのいわゆる初号機が動いているわけなんですけれども、その次の2号機の開発についても本格的に始まるというところでございまして、それに向けたプロジェクトが進んでいるということでございます。

 次は災害関連でございますけれども、現在、福島県三春町に環境創造センターを開設するべく準備作業を進めております。こちらは、国環研だけではなくて、原子力研究開発機構(JAEA)等も同居する形の研究拠点になるということでございます。国環研の中では25年から準備室を設置して準備を進めているというところでございます。平成28年度に開所の予定でございます。

 続きまして、エネルギー対策特別会計の活用ということで、こちらは26年度からの新規事業ということで、インドネシアなどの途上国における地域のエネルギーネットワークシステムのシミュレーションでありますとか設計でありますとかということについて、国立環境研究所において検討が始まっているというものでございます。

 このデータ集の最後のトピックスでございますけれども、科学技術に対する国民の意識の変化ということで、平成24年版の科学技術白書から少し借りてきたものでございますが、こちらは科学技術に対する国民の意識ということで、アンケートの結果を実は引用しているのですが、「科学者の話は信頼できると思いますか」というアンケートの項目に対して肯定的な回答がやや減っているというところのグラフでございます。

 また、その次で、「科学技術の研究開発の方向性は、内容をよく知っている専門家が決めるのがよい」という意見に対して、肯定的な回答が少し減少していて、「どちらとも言えない」という回答が増えているというような傾向が見てとれるというところでございます。

 データ集に関しましては、以上でございます。

 続いて、資料5でございます。これまで実施してきました環境研究・技術開発の動向でありますとか、社会の動向でありますとか、直近のトピックスでありますとかを説明してまいりましたけれども、それら等々を踏まえまして、今後の新たな戦略はどうあるべきかということの論点整理を事務局で若干いたしました。

 1ポツでございますけれども、政策動向、社会の現況ということで、意見具申の中でも触れられておりますように、気候変動問題、生物多様性の減少ということも環境面でもございますし、化石燃料を初めとする資源の大量輸入による国富の流出、地域の問題、人口減少、超高齢社会等々の問題に直面しております。

 また、環境研究・技術開発の動向として、IPCCの第5次報告書の公表、名古屋議定書・愛知目標の採択、水俣条約の採択、PM2.5等への中国災害廃棄物等々のさまざまな動きがありますと。東日本大震災以降の科学技術に対する国民の信頼低下でありますとか、取組そのもの、あるいは、成果に関する国民へのアウトリーチをしっかり伝えていく、あるいは、相互のコミュニケーションを図るということの重要性というものも高まっております。

 それらを踏まえました戦略策定のポイントということで、まず、環境研究・技術開発に関する現状認識。今まで申し上げてきた分のことなどをもう一度整理するということが一つと、あとは、新たな戦略においても、中長期的な社会像を設定した上で、それを引き戻していって新たな重点課題を設定していくという考え方は踏襲をするべきなのではないかなというふうに考えておりますので、このように書いております。長期的な社会像に関しては、意見具申の中である程度その絵が示されておりますので、ある意味、そこに向かっていく技術開発のあり方というのをこの答申の中で書いていくというのが一つの流れになるのではないかというふうに考えているところでございます。

 新たな戦略に求められる内容ということで、こちらは、その概ね5年間で取り組むべき重要な課題に重点化というのは、これは現行の答申と同じでございます。大体5年を見据えて研究課題を設定すると。また、さらに、研究課題を実施するための機関ですとか、資金配分制度の方向性を打ち出していくということが考えられます。

 次は3ポツでございまして、こちらは、重点的に取り組むべき研究・技術開発ということで、いわゆる現在の答申で重点課題と申していた部分でございますけれども、まず、領域を設定して課題を設定するということはそのまま踏襲をしていきたいというふうに考えておりますが、領域の設定の仕方について、全領域共通と領域横断と言っていたものを統合という一つの領域に大きくくくるということと、また、脱温暖化という言い方になっていたのですけれども、これは先ほど申し上げました意見具申でありますとか、現行の環境基本計画でも低炭素という言い方になっておりますので、これは低炭素に名前を変えると。そして、循環、自然共生、循環もこの資源循環というふうな後の言い方になっておりますけれども、自然共生と安全確保の5領域の設定という設定があり得るのではないかというところで考えました。

 裏面に参りまして、それぞれの領域で取り組むべきことでありますとか、これは今後の委員会の議論で設定していただくということでもございますし、また、今日は1回目でございます。領域の設定について、ある意味、事務局は頭の体操をしてこういうふうにして設定を組み立ててみたというところではありますけれども、こちらについてもご意見を賜れればというふうに思います。

 4ポツでございますが、これは推進方策でございまして、資金制度の改善について、あるいは、国立環境研究所の役割でありますとか、地方の環境研究機関の役割でありますとか、技術の普及展開に関する取組、国民とのアウトリーチ、コミュニケーションに関する話でありますとかといったことが入ってき得るのかなというふうに事務局としては考えたところでございます。

 最後に、新しい戦略についても引き続きそのPDCAを回すということで、フォローアップをしていくべきというふうに考えております。そちらについても、目標ですとか指標ですとか、そういったものを設定していくということが考えられるというふうに思っております。

 駆け足になってしまいましたが、説明は以上でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 実は、先日、こういう議論をされるということを伺って、ちょっと注文をつけた部分がありまして、それの宿題をどうもご準備いただいているみたいなので、お願いをしようかと思っておりますけど、一つは、さっきから話題になっておりますSDGsの中身をもう一遍確認しようという話と、それから、もう一つは、最近、Future Earthという国際的な枠組みがあって、それがどういうふうに動いているかという、その二つを若干説明してくれませんかという注文を申し上げておりますが、それでは、室長から。

【吉川室長】 参考資料のファイルの一番最後の5ミリぐらいのところに参考資料7という横方向の資料がありますね。それから、その次に、参考資料8というFuture Earthのパンフレットがあります。この二つをもとに簡単に説明をさせていただきます。

 まず、参考資料7のほうのSDGsポスト2015についてのところでございますが、もともと、遡れば、92年の地球サミット、2002年のヨハネスブルグサミットの流れの中で、国連の持続可能な開発会議UNCSDという会議があったわけですけど、この中で、持続可能な開発目標としてSDGsを立てていく。あわせて、制度的枠組みをつくっていくということが成果文書としてまとめられて公表されております。それがここの資料の、ページが振っておらなくて恐縮なんですが、1枚めくって、2ページ目から3ページ目に記載されているところでございます。SDGsの性格といたしましては、持続可能な開発は、経済・社会・環境を含むということで、それらに対応し、普遍的な目標として先進国、途上国全てに対して共通する目標として立てるというものでございます。現在、3ページにあるような17の目標案が示されております。この中の黒い色で書かれているタームが環境分野と関わりの深いタームで、例えば、健康的な生活の確保、教育の提供から始まりまして、もうちょっとダイレクトには、エネルギーのアクセスですとか、持続可能な生産消費形態の確保、気候変動、海洋資源、陸域生態系、生物多様性といったようなキーワードを含む目標案が提出されています。

 1枚めくりまして、4ページ目です。今後の進行なのですが、これが、図表の中の緑色の枠の流れです。リオ+20の後にSDGsに関するワーキンググループが立ち上げられて、報告書がまとまっている。一方で、国連のミレニアム開発目標関連の、右側の紫のラインで書かれていますが、この両方の議論の流れを進めていきまして、ポスト2015年の開発アジェンダというのを2015年9月に国連として首脳会議で採択していく予定になっております。その中で、ミレニアム開発目標とSDGsを統合していくという方向で議論がなされ、現在、2015年に入りまして、国連におきまして、宣言、実施手段、レビューのメカニズム等についての議論が進められているところでございます。

 続きまして、数枚移りまして、参考資料8に、Future Earthに関する日本学術会議の作成したパンフレットがございます。最初の緑色の、なぜFuture Earthが必要なのかというところは割愛させていただきまして、青い色のFuture Earthとは何かというところでございますが、それは、国際的な地球環境に関わります地球環境の諸問題に関する国際的な共同研究の枠組み組織として新たに提唱され、構築されつつあるものでございます。課題としましては、6ページになりますが、持続可能な社会への転換、地球規模の開発、ダイナミックな地球の理解といった三つの課題を対象としまして、これを、下の研究設計のところにありますように、自然科学だけでなくて、人文社会科学等に係る学際的な研究を行うと。それから、研究だけでとどまらず、行政、政策担当者、産業界、市民団体等々との超学際的な連携、協働を進めていくというものです。

 1枚めくりまして、具体的な組織枠組みとしましては、ここにございますように、評議会、科学委員会といったものをつくりまして、その下に、国際合同事務局、それから、地域事務局というのが準備されています。これにつきましては、1枚先です。なぜ、アジアが重要ですかという紙をめくった後に、4として、紫色で、なぜ日本がFuture Earthを推進するのかというページがございますが、そこの9ページのところにございますように、日本におきましても、Future Earthにつきまして、文部科学省、それから、学術会議を中心に対応、議論をいただきまして、その中には、地球環境に係る研究者の方々にも参画いただきまして議論が進められています。現在、国内としましては、9ページの図にありますように、日本学術会議に推進委員会が置かれまして、それから、国際対応の拠点としまして、東大の国際高等研究所IR3Sに国際事務局が、それから、アジアの地域事務局が京都の地球研に置かれております。また、文部科学省が中心となって、ステークホルダーの集まりました国内委員会というのもつくるということになっております。全体のターゲットとしましては、2015年から10年間の予定でこういった国際的な地球環境に係る観測研究について、これで統合的な仕組みで進めていこうということで進められているところでございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 事務局側からのご説明は大体これで終わりでございまして、あと、最後に、15分ぐらい時間をいただいて、最後に少しやらなければいけない議題がございますが。したがいまして、45分ぐらい、ご自由にご質問、あるいは、ご意見をいただく時間がございます。

 多分いろいろと疑問点はあると思うんですね。あるいは、今の説明では不十分でわかりにくいだろうという補足みたいなことも歓迎でございますが、Future Earthに関しては、どうも江守さんが書いている文章が比較的わかりやすいので、国環研の誰か、ご説明というのはないですか。

【甲斐沼委員】 江守さんと環境研の三枝のほうが関係していて、事務局は、今ご説明のように、東大と、それから、京都の地球研のほうにあるのですけれども、環境研もFuture Earthについて積極的に関与しているところというふうに聞いています。私自身はそれに直接は関係していないのですけれども、逆に私のほうからお聞きしたいといいますか、Future Earthはかなり概念的なところもあって、最初はHDPだとかIGBPだとかという、社会経済の側面と、それから、もう少し物理的な側面と、それをもっと統合した形で研究を進めようということであって、ただ、それに対して、今、いろんな要素が出てきているというふうに聞いていまして、それをどのように統合して今回のこの戦略の中に入れ込むのかというのは、私のほうはまだ情報を探っているところもございまして、その辺は、事務局のほうで、どういうふうにこれを入れ込むかというのは、多分、今後の課題にもなるかと思いますが、ただ、一つ重要なことは、これは国際的な共同研究で、それで、さらに、全体の理念というか、バックボーンになるようなところの研究も進めていかれているというふうに聞いているので、非常に重要なところという認識は持っているのですが、まだ具体的にこういう研究を進めるとかというところまでは至って、今はまだ検討中の段階で、環境研のほうでも検討会を設けまして、既に何回か勉強会をやっているところであります。

【安井委員長】 それでは、何かご質問をいただければ、あるいは、ご意見をいただければと思うんですけれども、例えば、岡田先生は、かなり前からフォローアップなんかをやってくださっていますし、私も、前のものも、考えてみると私がつくったので、それで、本当を言うと、何か言わなければいけないと思うんですね。岡田先生にフォローアップをしていただきながら、5年間同じものを使って、感想は、やっぱり中古品になったなという感じが、はっきり言っていたしましたね。やはり、最近の研究のやっぱり動向は本当に結構激しくて、それで、特に日本の場合には、東日本大震災以来、またがらっと変わった部分もあって、先ほどありましたように、科学者が信頼されていないという社会に変わっちゃいましたから。ですから、非常に大きく変わったという点もあって、それで、今回も一応5年間というスコープではやるのですけど、一つの心配事は、本当にもつのかなということです。それには、やっぱり、非常に、いろんな国際的な状況を眺めながら、我々の位置、ポジショニングを常にある意味で、ある振れ幅を考えた上で、今現時点の考え方だけではなくて、将来こっちに、場合によると、振れ幅というか、ポジションがずれるから、場合によってはこういうものを入れておこうかとか、何かそんなことでもやっていかないと、ひょっとするとうまくいかないのかなという感想も持たないわけではないのです。

 しかし、主要な用途は、ご存じのようにというか、推進費を決めるときにやはり使われているということはあるのですけど、先ほどの事務局からのシナリオのご説明の中には、岡田先生のやられたフォローアップが、それぞれの原課と言っていいのかどうかはわかりませんが、原課の方々に理解をされて、そこで行政ニーズというのが出てきて、それがあると推進費が通りやすいという枠組みになっているはずなんだけど、恐らく、今のPDの鷲田先生に言わせると、あれは何かという話にもなりかねないので、その辺りを含めて全体的な枠組みも考えなければいけないのかもしれないという気もいたします。

 いろいろと皆様からご感想を。昔からやっている人は、岡田さんと、あと、指宿さんも昔からですか。特にこのお二人には、これまでの過去の経緯を含めて、まず口火を切っていただきたいと思うんですけど、岡田さん、いかがですか。

【岡田委員】 口火を切るというのは、ひょっとしたら反省の弁になるかもしれませんが、実は、私は途中から引き継いでいますという言い訳を最初からさせていただいて。安岡先生がやっていたのですが。冗談は抜きにして、フォローアップは今後の方針に当然生きると思うんですが、フォローアップの悩みだけは最初にここで共有させていただきたいと思います。フォローアップということで、どういう研究が進んだ、進まないというのは、その研究にお金を投資したということにすぎなくて、先ほど嶋田さんも言っていたけども、その研究は、ここで推進戦略の目標に対して成果が上がったということではないと。これは延々とフォローアップ委員会で議論してきているのですが、できないからしようがないということで、どちらかといえば、お金を投資したということにとどまっているということを割り引いて、次の戦略のご判断をいただきたいというのを最初にお願いしたいと思います。

 それと、あと一つ、今日の資料にも関わるのですが、鷲田PDがいつもおっしゃるように、やはり、環境省の研究費は行政需要に基づいてというのがすごく多いのですが、今回、行政需要の資料というのは、この統合的アプローチだけと考えていいのか。将来、どうやって議論するのかなという素朴な疑問を感じました。統合的アプローチ、これはもちろん中環審で決めたことですし、これに従って動くのも結構ですし、今までと180度方向転換しているわけでもないからいいのですが、この話と通常の行政需要の話は、若干レベルが違いますよね。そこのところは今後どう考えていくかということが気になりました。

 それと、あと、一つフォローアップでも常に議論になることは、環境省の研究費については非常にフォローアップしやすいけれども、ほかの省庁の研究費は多額のものしかわからないと。けちをつけるつもりは全然ないのだけど、今日の、例えば科研費の資料を見ますと、何件とか出ていて、これで環境の話をするのはかなり無理があるのではないかと。あと、NEDOとかJSTがやっている話と、この話をどう統合していくかというのは、非常にいつも悩ましくて、重要だと思っています。そもそも、この推進戦略は、たしか環境省のものではないんですよね。日本国のものでしたか。どっちでしたか。もう一度確認したいのですが。

【吉川室長】 中央環境審議会の答申としていただきますので、これは日本国全体です。

【岡田委員】 ですよね。しかも、私の理解では、科研費の申請とかJST何とか、あそこにも結構これは引用されているというふうに理解していますので、フォローアップでもいつも苦労しているのですが、何かほかのところの情報がもう少しうまく整理できるとありがたいなというふうに思います。無理強いな要求なことは百もわかっていて、さんざん議論しているのにまだ同じことを言うかといっても、いつも悩んでいることですから、一応、フォローアップの代表者として申し上げさせていただきます。

 とりあえず、3点です。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 指宿委員、何か。ほかの方も、黙っておられると指名が行っちゃいますから、よろしく。

【指宿委員】 冒頭で5年前にと言われて、5年もたつのかという感じと、まだ5年かという、その両方があります。前回つくった、その後に大震災が起こっているんですね。そういう意味では、途中に震災対応の復興枠というか、それも含めて研究プロジェクトの構成がかなり変わったということ、これが非常に印象に残っております。その後以降、その効果かどうかはわからないですけれども、この環境の推進費のあれに対する行政ニーズをかなり強く出すという傾向になったのではないかということが一つの感覚としてあります。それが今後どういうふうに影響するかというのが、うちにとっては非常に興味深いし、その方向でやっていいのか悪いのかという議論はしたほうがいいのではないかということが、一つの私が感じたところです。

 それから、今日の資料で、今、岡田先生も触れられたのですが、官民の研究開発投資ということで見ると、先ほどのご説明のときに、環境分野とエネルギー分野の予算が重複を認められて出ていると。両者がちょうど1兆円で、これは本当にぐちゃぐちゃになっているのではないかということを感じました。私の感覚では、特に推進費を見ていると、環境エネルギー研究費の中では非常に小さな割合でしかなくて、多分、日本の全体で見ても、環境研究とエネルギー研究は、例えば、省エネルギーというところの重複を認めるならば、かなり環境のほうが大きくなるかもしれないのですが、やはり、大きなものはエネルギー関係の研究費が占めているのではないか。それは私の直感的な感じ方ですが。そういう状況の中で、今後、環境推進費を中心にして、どういう戦略があってどういうふうに進められるかという議論もあっていいのかなと。先ほど、他省庁でやっている研究はどういうのかがわからないと。これは、たしかワーキンググループの中で、どういうふうに他省庁が予算を出しているかという作業をした覚えがあるので、それを多分継続されると思うんですが、そういうところの私が持っているエネルギーのかなり大きい中で、環境研究、特に、気候変動ですとか、あるいは、災害の対応ですとか、そういったところをどう含めていくのかということをぜひ検討したいなと思っております。

【安井委員長】 ご意見ありがとうございました。

 何かご質問は。あるいは、よく札を立てるというやり方もあるので、札を立てていただくのもありかと思います。

 それでは、順番に、白石委員、森本委員とお願いします。

【白石委員】 まず、この計画の立ち位置というか、位置づけをはっきりしておきたいなと思っていて、今、岡田先生のご意見でわかったのですけど、要は、環境基本計画についている日本、我が国を見た計画をつくるというところで、今のフォローアップは、いただいた資料3-2の2ページ目を見ているのですが、出口が推進費と環境研と環境省の研究実施機関、国内といったところで、現状はそうで、フォローアップもそうなっていると思いますけれども、全体を見るというところでよろしいですね。まずそこから。その後は、フォローアップは急に大変なことになるのではなかろうかと思いますが、そういった理念でつくると。その中で、推進費は微々たるものであろうということもわかりました。

 そうすると、環境基本計画は、今見直しというか、フォローアップみたいなことがされていて、そういったものも考慮に入れながらつくっていくということになるということでよろしいでしょうか。

【安井委員長】 実際、多分そうなんですけど、確かにフォローアップはそういう形でやっているのですが、実を言うと、総合科学技術イノベーション会議というのが存在しておりまして、そっちでも何かそれに近いようなことはやっているんですよね。ですから、本当を言うと、割合と、そういうところとの一緒に協力をしてやるとかというスタンスはあまりないですね。その辺はもう少しやったほうがいいのかもしれないし、また、さっきのエネルギー研究辺りのうち、どのぐらいが環境研究なのかというのは、文科省と本当にちゃんとやったほうがいいのではないかと思うんですけどね、本当は。ですから、そういうような省庁間連携、最近は、省庁間連携があると予算がつきやすいという、そういうトレンドが若干はあるので、そういった方向性というものを今回の戦略の中に書き込むというのはあるかもしれないなと、そんな気もしなくはありません。

 それでは、森本委員、お願いします。

【森本委員】 森本です。

 平成22年のときにも一度議論に参加したのを思い出したのですけど、そのとき、安井委員長がおっしゃったように、考えていなかったようなことが今起こっていて、部会等でちゃんと議論しなければならないなと思ったので、ここの場で、まだ議論にならないかもしれないですけど、フォローアップを拝見していまして、例えば、共生分野と自然共生の分野のところで言いますと、COPの記載がCOP10で終わっているんですね。実は、去年、COP12がありまして、その過程で、例えば、あまり大したイベントというのはなかったのですけど、グリーンインフラストラクチャーというようなキーワードがEUの強い後押しで入ったということがございまして、そういうことを考えてきますと、昨年、学術会議が復興強靭化における生態系インフラストラクチャーの活用という報告を出していまして、その流れに沿って、国土形成計画にもそれが入るかどうかという議論をされているように聞いているのです。そんな中で、環境研究、環境技術開発のところで、グリーンインフラストラクチャーみたいなことが一つ大事なキーワードになるのかなと思ったりしていたのですけれども、これは、自然共生分野だけの問題ではなくて、実は、横串というか、防災とか安全・安心とか、そういうことが関わってくると非常に横串的なところがございますので、議論をどこかでしないといけないのかなと思って、フォローアップを読ませていただいておりました。

 もう一つだけ、ちょっと気になったことを申しますと、例えば、環境問題で申しますと、諫早がえらく盛り上がっていますけど、あれは農水の考え方の中でも、農業のほうと漁業のほうと水産のほうとが矛盾してきて、それは法的にどうしたらいいのかということが結構わかりにくいような状況にある。環境経済というキーワードで社会分野が入っているのですけど、記載がちゃんと、環境経済といろんな分野の連携みたいな研究があるのですが、法学的な分野というのが、今は結構これまで欠けてきたということをつくづく思っております。それは、例えば、これからの少子高齢化で、国土が再編というときに、持ち主のわからない場所をどうするかというのが、即生態系インフラストラクチャ―の取り扱いに効いてきまして、所有権と使用権とか、法的な整理をうまくしなければデッドロックになってしまうというようなところがあって、環境法というのは、今まで、こういうところでは全くほとんどと言っていいほど議論されてこなかったのですけど、炭素税みたいな、いわゆるほかのところで課題になったことはあるのですけど、そういうことは、ここで入らなくてもいいのかなということを感じた次第でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 どなたか。

 どうぞ、谷口委員。

【谷口委員】 谷口と申します。

 私は全く新米で、初めてここに来させていただきました。非常にいろんな資料を見させていただいて、勉強になったと思います。様子がわかっていないこともあるので、適切な発言になるかどうかはわからないですけど、2点ほど申し上げたいと思います。

 1点目は、環境研究に対する期待感、世の中の期待感というのが、今、薄れちゃっているのではないかという気持ちをちょっと持っています。どういうことかといいますと、私、1995年に、日本で初めて環境系の学部を、岡山大学で環境理工学部というのをつくった、その設立メンバーなんですが、そのとき、環境研究に対する期待というものがすごく高かったというふうに感じているんですね。COP、1992年のリオの後であったり、それから、そのしばらく後も名古屋の生物多様性の会議とか、環境の研究が実際に環境問題を解決してくれるという期待が世の中にあったと思うんですけれども、今の感じは、ほかの分野とつながるということとか、あと、予算が多くなるというふうな面で、よくなっているようにも見えるのですが、何となく流されているという言い方をしたらよろしくないかもわかりませんが、本当に環境分野で環境問題を研究で解決していくのだろうかということが、科学者に対する信頼ということと一緒で、ちょっと見えにくくなっているのではないかというふうに思っているということが1点目です。

 あと、2点目は、環境技術というのはどこまでのことを含むのかということを個人的にずっと疑問に思っています。というのは、例えば、私自身がやっていた研究ですと、2008年にガソリン価格が非常に高騰したことがございまして、そのとき、ドライバーの行動がどう変わったかというのを見ておりました。そうすると、エコカーに乗っている人たちは全然ドライブの量を減らさないんですよね。自分は環境に優しいことをしているのでいいと思っているということとか、あと、環境省さんが集められた、各自治体がどういう生物多様性の保護をされているかという資料を分析したりしますと、皆さんがやっているのは蛍の保護なんですよね。その次はトンボぐらいで、かわいい生き物しか保護していないんですね。だから、本当に今やっているような環境政策が人間の心を通じてうまく機能しているのかどうかみたいなことが、結構これから、行動を見る技術というか、そういうものが本当に変えていく意味では重要になってくるのではないかというふうに感じていて、そういう議論はひょっとしたらあまりないのかもしれないかなと。やられているのかもわからないですけれども、今日の議論からはあまり感じられなかったので、その辺りはちょっとコメントさせていただいたほうがいいかなと思いました。

【安井委員長】 大変重要なことをおっしゃってくださったように思いますが。確かに、期待感は下がっているのですけど、実際、関心が下がっているという言い方のほうが多分正しい。ところが、周りの環境の状況、特に、気候変動なんかは、絶望的に将来はひどいはずなんですよ。ですから、そういう辺りは、はっきり言ってメディア辺りも全くそういう──最近は少し言い始めていますけど、その辺の理解が確かに一般社会では減っているという気はいたします。

 実を言うと、Future Earthも似たようなところが多分本当は根幹にあって、今までの国際研究というと、例えばWCRPとかIHDPとかIGBPとかがいっぱいあるのですけど、そういうものというのは、みんな理学研究であって、問題解決型と言えたかどうかというのは非常に微妙なんですよね。それが今回、Future Earth案も最終的にありとあらゆるステークホルダーを巻き込んで、それで問題解決型にしようという話だと私は理解しているのですけど、そういうような感じは、多分こちらにも、今回、ここは全部そういうふうに書かれているのですけど、よりそれを強く出したような格好になるのかなという気もしなくもない。これは個人的な感覚ですから、詳細は皆様にご議論いただく。

 それから、もう一つ、最後、省エネの話と心理学の話は、完璧にアメリカ辺りに比べて一周遅れましたね、日本は。その辺を見たときに、特に、彼らは本当に人間の心理をちょんちょんと突っついて、それで省エネをやらせてしまうみたいなことが非常にうまくできるようになってきているのですけれども、日本は今、まだまだツールがないんですよ、スマートメーターという。そういうようなこともあって、その辺りはまさにおっしゃるとおりかなという気がします。

 すみません、勝手にしゃべっておりました。

【松藤委員】 私もフォローアップの委員を4年やっていて、だから、今、これを伺うと、よくわからないでやっていたという気がしてしようがないですけれど、今言われた、流されているという話は、逆に、フォローアップをやっていると、ほかの省庁関係が非常に多くて、環境に絡むのが非常に多いという意識はすごくあります。ただ、ゴールが何かということがちょっとよくわからなくてやっていたところがありまして、例えば、目標は何かという、それは具体例にすぎないのですけれども、それが危惧にすぎないということになっていて、そうすると、全体のゴールは一体何なのかという姿がないままに、例に引っ張られて評価していたような気がどうもするということなんです。今日の一番最初の資料でも、戦略というのがどこまでかかるかというのを教えていただきたいのですけど。これは、ほかの省庁、経産省とか、そういったことに対しても影響してくる、影響力を持ってくるものなのでしょうか。

【安井委員長】 さっきおっしゃった事務局の説明のとおりで、要するに、環境基本法というのは基本法だから、はっきり言って、日本全体を縛っているわけですね。それに基づいて研究計画を書く。一応、そのはずです。

【鷲田PD】 使えるところは使うということが現実でしょうね。

【松藤委員】 私は、経産省の範囲というのは、やっぱり開発型かなというふうに思っていて、やりっ放しで終わってしまって、結局、予算がなくなったらおしまいになってしまうという例を非常にたくさん見ているんですね。本当はそうではいけないと思っています。

【安井委員長】 甲斐沼委員、お願いします。

【甲斐沼委員】 私も、フォローアップについて、昨年、何もわからないまま、少しだけ手伝わせていただいていて、今日、少し全体が見えてきたのかなと思ったのですが、ただ、そのときに、フラストレーションというのは、環境省の推進費については予算があって、幾らで、どういう研究をしているというのはよくわかるのですけども、そのほかの省庁に関しては、そういうのが具体的にわからなくてということが。特に、技術開発につきましても、何度もご意見が出ましたけども、経産省とか文科省とか農水省とか、いろんな省庁と連携するということが今後さらに重要になってくると思いますが、その辺はどういうふうに連携していけるのかということが非常に難しいことだと思っています。

 それで、資料3-5のところに関係することですけども、総合政策部会での主なご意見の中の一番最後のところの民間企業との連携・オープンイノベーションによる研究開発というようなことをもう少し位置づけるようなというようなご意見があったのですが、これも、なかなか具体的にどう進めていくかということが難しいのではないかというふうに、ご説明をいただいて感じました。

【安井委員長】 他省庁との連携というのは確かに難しいのですけれども、文科省の、例えば今のリスク創生辺りとは、結構連携は、研究者ベースでは少なくともばっちり連携はしていますよね。よくわかりませんけども、多分原課は割と連携しているのではないかという気はする。そうでもないかな。その辺は。

【鷲田PD】 連携というのを同時進行みたいに考えるのか、それとも、今は推進費なんかにも結構あるのですが、基本的なところは科研費だとか何かで行われて、それを環境に、要するに、自走的に動かすところは、例えば推進費に持ってくるとか、そういうことは少しはあるんですよ。そういうことを連携と言うのか。どういうイメージで連携と言われているのかというのがありますけれど、何かを一緒にわっしょいわっしょいとやるだけではなくて、そういう流れというものをうまくつかむということもあり得るんですよ。

【安井委員長】 おっしゃるとおりなんですけれど、それ以外にももっとまたあって、SIPという予算の枠組みが一時期、今も動いているのかもしれませんが、あれは結局、優先して予算がつくのは、省庁間が連携しているからということもあって、だから、計画段階からそういうものをつくると言うと、多分、国が予算をややつけやすくしてくれるという要素もあるのですけど、環境省はあまりやっていないような気がする。やっているのかな。

【鷲田PD】 それは、多分時代が変わって、かつて、総合科学技術会議では、切れ目のない予算の配分とかと言って、省庁間でそれをつないでいけとか、そういうことを奨励した時代もあったのです。また変わるんですね。

【安井委員長】 またそれが二、三年前から変わっているんです。だから、そこが、実を言いますと、文科省と経産省が合同検討会というのを、私、座長もやっていて、それで、それをSIPという枠組みができる前からやっていて、それが結局すごく役に立ったという経験もあって、最近はそうやってやっておかないと損するかなという気もするのですけど、あまりそれはちゃんとは動いていないかなという気はします。

【鷲田PD】 それから、甲斐沼さんが言われたことで、もう一つは、いわゆる産業界との話なんですが、例えば、やっぱりこういうのをやっていて一番困るのは、環境の推進費なんかだと特に、今、政府の言う成長戦略にかなった研究をという、それだったらお金をつけますみたいな話が多いのですが、これがなかなか乗りにくいんですよね。

【安井委員長】 直には乗らなくても、でも、例えばエネルギー問題辺りにすれば、最終的にどうやってゼロカーボンの燃料を持ってくるかなんというのは、やっぱり環境省の範囲ですよね。ですから、長期的にそういうような戦略を練るなんという話はエネルギー分野なんかに必要のような気はしますよね。私が答えていてもしようがないのですけどね。

 ほかに。どうぞ。

【荻本委員】 荻本です。

 この場は初めてですし、まず、大学に来て7年しかたっていない、その前はJ-POWERという会社にいた研究者まがいの人間なんですが、率直に感じたことを述べたいと思います。

 私が関係するエネルギー、または、後で申し上げますけど、環境とも背中合わせの分野というのは、明日の話もあって、でも、設備ということを考えると、10年、20年、30年ぐらい当たり前に考えないとどうしようもないという意味でも、環境と割と似ている分野です。

 そこで私が思うのは、まず1点目は、本当に順不同ですけれども、ナショプロというのがこのごろ非常に巨大化していて、先ほども、ナショプロがあったらいいなというアンケート結果もあったように見えるのですが、これは、きっと、何を求めているかによって大分違うと思うんですね。それは、何か特定の目的があって、それを達成するためにかなり集中するという意味では非常にいいやり方だと思います。ただし、ナショプロは10年も20年もやっているわけにはいかないので、必ず3年目、5年目に終わってしまう。そういうことを考えますと、人を育てるという意味では必ずしもよくなくて、それも、ナショプロは、恐らく、トップレベルの参加者はナショプロを次々とこなしていくのですけれども、ミドルの人たちはなかなか回ってこないというようなことを考えると、人を、それもミドルアップをしたいと思ったときには、なかなかうまくいかない。むしろ、大きな金額が短期間の切れ目で続いていくということで、研究者にとってはそれなりにつらいサイクルになっていると。選択と集中と言われると、もっともっとつらいというようなところがあると思うので、それがいけないというわけではなくて、一体それは人を育てるのが目的なのか、それとも、数年後に何か結果を出すのが目的なのかということを峻別していただいて、今の傾向だと、もうちょっと人をミドルアップするというようなところも大切かなというふうに、このごろ思っております。

 2番目のテーマにもう行ってしまったのですけれども、ミドルアップをするのか、トップレベルを上げるのかということは、どのテーマに関しても意識してやっていかないといけないかなというふうに思っています。

 中身のほうで考えると、何かに向かってベンチマークをしていくというのが、戦略を考えるときにはそれなりにやりやすいと。国内(の技術研究開発)であれば、環境省さんのポートフォリオとエネ庁さんのポートフォリオと、JSTのポートフォリオと、いろいろあると思うので、それの差を見ていくと。面倒くさい話ではあるのですけれども、先ほどの話で、これは国レベルの話であるということだとすれば、そこに材料が転がっているような気がしますので、ぜひ、今あるもので比べてみて、何が違うのか。全く同じだったら、これは話にならないということのはずなんですね。やっぱり、何か違いがないといけない。そこの中に、国としての戦略を考えていく何かきっかけがあるのではないかというふうに思います。

 あとは、ちょっと細かい話ですが、震災の後のエネルギーの議論は、研究者は信用されないというキーワードがあるようですが、私の目から見ると、かなり間違ったことが堂々とまかり通っていて、それがまたお役所の予算書に書いてあってという情けない状態がずっと続いています。その例を挙げると、「節電」という単語が、いつの間にか省エネとまざって使われているとか、あと、電力の「地産地消」という言葉があるとか、ほとんど原理的にあり得ないような単語が中央の文書に踊ると、それが自動的に自治体へ行って、新聞に書き垂れているということになるので、やっぱり、間違ったことを書いてはいけないということは、この世界でも絶対大切かなというふうに思います。

 最後は、ハウツー、つまり、どの分野に重点を置くべきかというところにたどり着かないといけないと思うのですが、できれば、何を目指しているのかという、その手前のところを少し整理すること。あとは、時間軸上で、この数年間でものにしたいのか、10年後にものにすればいいのかという、この時間軸も考えて、最後はハウツーのところに行き着けばいいのではないかなと、すみません、口幅ったいですが、そんなふうに感じました。

【安井委員長】 その時間軸の話というものも、実を言うとなかなか難しくて、文科省系だと、多分50年ぐらいまで先もあるのだけど、環境研究は何年まであるのだろうか。その辺の議論を本当にしていただかないとだめなのかもしれない。

【荻本委員】 エネルギーか環境なのかということがいかにもろかぶりかというのは、例えば、省エネルギーというのは、見方を変えるだけで、(エネルギーの視点からも環境の視点からも)全く同じことを言っている。それから、再生可能エネルギーもほとんど同じだと思います。その路線で来ると、火力発電所の効率向上、これも環境だと言うこともできる。という話なので、エネルギーという方向から見ると、環境と分けることはほぼ不可能と。ただ、そういう中で、こちらのほうは別のスローガンのもとにやられているから、環境としては同じように見えるけど、もっと方法を強調すべきだというようなことはあってもいいと思うのですが。

【安井委員長】 厳然として、業界というものが存在していますからね。

 ほかに何かございますでしょうか。

 山口委員、どうぞ。

【山口委員】 たしか私も、以前、全て他にいたもので申し訳ないのですが、フォローアップをやっていまして、感じたことでもあるのですけれども、他の省庁との関係。これは、方向性が合っていればそれでよしということではないかなと実は思っているのです。もちろん、他の省庁と文科省さんとか経産省とか、そういうことのいいコラボレーション、成果をうまく融合して、よりいい成果を出すということももちろん大事でございますけれども、なかなかそれは今の枠組みでは難しゅうございますので、方向性が合っていれば、それでよしとする以外にないのかなという気が、現実的には実はしております。

 それから、フォローアップについては、私は産業界の人間でございますので、先ほど来、PDCAという言葉がございますけども、そもそも、総合推進費の中で、明快な目標、数字で表せる目標というものもなかなか設定しにくいわけですよね、現実問題は。したがって、むしろ、このフォローアップ成果に出ておりますように、大きな方向性として継続すべきもの、大きな方向性として見直すべきもの、それから、新しいテーマと、そういう枠組みでいいのではないかと思いました。すると、新しいテーマで考えると、昨日も株価が1万8,000円になりましたけれども、どうもバブルの底がついて、経済成長に日本はまた戻るのではないかと。これはいいことだと思うんですね。すると、昔のバブルが、経済成長からバブルで落ち込んで、リーマンショックで落ち込んで、また上がろうとしていると。すると、上がろうとしている中で、環境問題で何かが起こるのではないかと。従来の枠組みの環境の政策だけではだめになるものがあるかもわからない。そういう意味では、そういう意味での新しいテーマというものもあると思うんですね。

 先ほども先生がおっしゃっておりましたけれども、スマホの発展はすさまじいですね。生活スタイルが全然変わっているわけでございます。したがって、そういう意味では、フォローアップの中で、新しいテーマというところでは、これからの経済動向を見ながら、何か出てきてもいいのかなと、そういう気がいたしました。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 そろそろ、頃合いは頃合いなんですけど、あと、お二人からご発言をいただいていないのですが、もしあれでしたらどうぞ。

【塚原委員】 私はこの場は全く初めてでありまして、ましてや産業界から来ているということで、非常にそぐわない印象を受けております。

 私たちは日本産業機械工業会という産業界で、その中に環境装置というものを持っているところから来ておるわけですけども、産業界のほうから、今、この分野でといいますと、従来型の国内での廃棄物処理とか水処理という分野と震災対応という部分と、もう一つは、どの業種も海外、海外というキーワードでいろいろ動いている部分があります。

 今日見せていただいた重点課題というのが17あるわけですけれども、その中でも、重点の3とか4、アジアを初めとした国際的なとか、複数領域に同時に関与するWin-Win型とかといった辺りが、我々の目から見ると非常に興味を引くところです。

 ただ、特に海外といったときに、ここにも低価格の技術というようなものがあるのですけれども、そういったものがこういう環境研究という場で議論されるということが非常にそぐわないというか、何となく違和感を感じるような部分があります。ただ、我々としては、そういうところにこそ興味があるということでありますので、こういった場に出させていただいているという中で、私もちょっと今後考えていきたいなというふうに思っているところです。

【安井委員長】 今おっしゃった安価なというのはSDGsの中ですか。それではなく。それはどの資料のところですか。

【塚原委員】 どこにあったか、キーワードとしてあったような。

【安井委員長】 SDGsの中に安価なエネルギーということは書いてあるのですけど、あれはあれで国際的なターゲットであって、ここのターゲットとは違うので、それを踏まえて我々は何ができるかというつもりでしかない。

 コストの話までは、多分今まであまり考えたことはないような気がしてはおります。

 白石委員は何かお話しになりますか。放棄されますか。どちらでも。

【高村委員】 すみません、高村です。

 私はこの場が初めてで、少し皆さんのご議論を聞かせていただいていたのですが、何かちょっとまだよくわかっていないと思います。

 「連携」や「つながり」「統合」とか、そのような言葉が非常に強調されるようになってきていると思います。具体的に、国環研の研究もこの計画とすり合わせをしないといけなくなると思いますが、実際問題として、国環研の中だけで考えても、分野横断で研究プロジェクトを組み立てて行くのは、それなりに結構しんどいと思います。しかし、そうはいってもそれをやっていくことが社会から非常に求められているの。そのため、そうした方向で進める努力をしないといけないのであろうと思います。

 自然共生のところも、森・川・海のつながりとが文言として書き込まれています。実際問題としては、流域で物事を考えるなどは以前からも研究レベルでは言っていますが、具体的に行政レベルではできていない。研究レベルでつくったものをどれぐらいちゃんと活用してくださるかというふうなことも含めて、やはり、いろんな連携の仕方ややりやすい仕組みとか、そういうふうなものをつくっていく必要もあるのかなというふうに思いました。

 感想だけですみません。

【安井委員長】 残り1名、白石委員。

【白石委員】 戦略を立てるに当たって、我が国というか、環境基本計画に基づいてつくるということなんですけど、要は、出せるものが少ないですね。ほかのいろんな計画があって、それとの比較をしながら、独自性を出せるところにはそういったところで独自性を出して、そういったところに推進費を重点化するとか、環境研のパイが少ないので、そういったところで方向性を示していけばいいのかなと。大枠は、フォローアップ結果と方向性が合っていればいいという話ですけれども、どういったことになるのかなというふうな感想ですけれども。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 ちょっと遅れましたけれども、これで終わると思いますので。

 それでは、最後の議題で、資料6の説明をいただくことになりますかね。今後の予定に関してでございます。

【嶋田調整係員】 それでは、新しい戦略の検討に向けた今後の予定についてご説明を申し上げます。

 資料6をご覧ください。

 今後の予定でございます。既に終了しているものも記載しておりますが、昨年の11月に総政部会でこの委員会に付託していただき、本日お集まりいただきまして、12回になっていますけれども、事実上の1回目キックオフということで、今回、さまざまなご議論、ご意見を賜ったところでございます。

 次の予定でございますけれども、3月24日(火曜日)ということで、こちらについてはもう既に日程調整をさせていただいたところでございますので、同じ17時から19時、こちらの第一会議室で開催ということで、またご連絡を差し上げますが、一旦そういったところで決まっております。

 次の会では、先ほどの骨子と申しますか、たたき台で少しお示ししました、各領域で取り組むべき内容、あるいは、領域横断的な話でありますとか、あとは、資金制度、国環研、研究開発を支える仕組みの話でありますけれども、議題2については、議題1の成り行き次第と申しますか、議題2を全て話し切るのは多分難しいであろうというふうに事務局としては考えておるところでございます。

 新年度の予定は、まだ調整ができておりませんけれども、新年度も2回ないし3回程度開催をさせていただきまして、27年夏、今年の夏ぐらいに取りまとめをしていただけるとありがたいということで事務局としては考えております。

 以上です。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 具体的にどう進めるかでございますけれども、既にある程度準備はあるようでございますが、やはりご専門の領域に関しまして深いご意見及び議論をいただいたほうがよろしいかと思いますので、低炭素、資源循環、自然共生、それから、安全確保の各領域に関しましては、本専門委員会の委員を含めて、ほかの専門家に──これは私が指名するのですかね。──ご協力いただきまして、それで論点を整理していただき、それで、次回の専門委員会におきましても若干のインプットをしていただけるといったようなスケジュールを、まずスタートとしてやらせていただきたいと思っております。

 結局、統合領域というところは、最初から議論することはできないので、ここは当然なしでございまして、残りの四つということでございますが、そういうようなやり方で進めさせていただきたいと思いますけど、いかがでございますか。ご了承いただきたいと思いますが。

(異議なし)

【安井委員長】 ありがとうございました。それでは、ご了承いただいたということでございまして、そのような方向でやらせていただきたいと思います。

 そういうわけで、これで大体終わったかな。ただ、何が統合領域かということをお考えにならなくて議論をしていただくという条件でいいですよね。例えば、そもそも、アダプテーションなんというのは、最初から統合領域なんですね。ただし、これは統合領域だと思わないで議論をするということでいいと思うんですね。

【吉川室長】 例えば、アダプテーションであれば、温暖化、自然共生、それぞれでご議論をいただいて、持ち寄っていただいて、改めてそれを統合領域とするのか、どこかメインにするのかを議論するという感じで進めていただければいいのではないかと思います。

【安井委員長】 ですから、例えば今の例ですと、低炭素領域と自然共生領域というところがございますが、少し広目に他分野を侵略するつもりでご議論をいただいて、それで最後に調整するということでいいのではないかと思いますので、足りない、落っこちているよりは、そのほうがずっと議論がしやすいという、そういうことかと思います。

 というわけでございまして、以上で本日の議題は終了でございます。今後の進め方に関しましていろいろとご示唆をいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、最後に、何か事務局からご連絡事項はありますか。

【吉川室長】 本日は貴重なご意見をありがとうございました。先生方の全てのご意見は大変重要かと思っております。我々の足りない部分もいろいろあったと思います。これを踏まえまして、事務局で戦略のたたき台を、先ほど委員長からあったような過程を経まして作成して、今後、さらに議論を深めていきたいと思います。

 今日ご議論いただいたのは多岐にわたったわけですけれど、一番コアなところは、多分、中環審のつくる戦略というものの位置づけ、役割の自己定義をちゃんとするということが必要だということかと思います。そこは、理想として考えるところと、これまでの現実、実際に環境省が持っている予算の配分方針として使っている現実をさらに越えて、日本の環境研究・技術開発全体に対してこの戦略がどういう役割を持つべきかと。例えば、環境基本計画を初め、多くの既存の計画との関係をどうするか。何か住み分けるような考え方でいくのか、それらとはずっと別の考え方で立っていくのかといったところを含めて議論をすべきということかと思います。私どももこれを宿題としてしっかり考えて、また私どもの考えをご提示したいと思います。

 ほかにも、目標のスパンをどうするかとか、行政としての重点課題の考え、今回は提示いたしませんでしたが、それについてもどこかの時点で提示をして、それも併せて考えていただくべきではないかと思ったところです。

 以上、宿題を多くいただきましたので、また先生方と個別にご相談などもさせていただきながら案を用意してまいりたいと思いますので、引き続きご指導をいただければと思います。

 また、本日の議事録ですが、案ができましたら、皆様に確認いただきました後、ホームページでの公開をさせていただこうと思いますので、これもよろしくお願いいたします。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 それでは、終わってよろしいですか。

 それでは、本日はどうもありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。